説明

RFIDタグ収納バンド及びその保持治具

【課題】 RFIDタグの取り付けが容易で、印字作業や搬送作業も効率的に行えるRFIDタグ収納バンドを提供する。
【解決手段】 RFIDタグ収納バンドを、ヒンジ部10並びに当該ヒンジ部10を介して屈曲可能に連設された第1及び第2の包囲部材11,12から構成されるバンド本体2と、第1及び第2の包囲部材11,12の対応する部位に形成され、第1及び第2の包囲部材の開放側を着脱可能に連結する係合部17及び係合受部15aと、第1包囲部材11の外面に形成されたRFIDタグ収納部と、該RFIDタグ収納部内に収納されたRFIDタグ3と、RFIDタグ3の外周を覆うように第1包囲部材11に着脱可能に取り付けられるカバー部材4とから構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線ケーブル、光ファイバ、金属製又は合成樹脂製の線材又は管材等のいわゆる長尺材に個体識別用のRFID(Radio Frequency IDentificaition)タグを取り付けるRFIDタグ収納バンドと、複数のRFIDタグ収納バンドを1体に保持して長尺材への取り付けを容易化するための保持治具とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の長尺材の個体識別は、必要な識別項目が印字されたチューブを長尺材に装着したり、油性のインク等を用いて長尺材の表面に直接必要な識別項目を印字する等の目視に頼った手段が採られていたが、多数の長尺材を効率的に管理することが困難で、必要箇所に適用する際の確認作業にも多大の労力を要していた。
【0003】
例えば、プラント、鉄道、ビルディング等に設置される配電盤には多数の電線ケーブルが接続されるので、電線ケーブルの確認作業を容易に行えないと、新設及びメンテナンスに長時間を要するばかりでなく、誤接続による不具合も発生しやすくなる。また、1旦誤接続が発生してしまうと、専門的な知識をもった熟練者による配線図を見ながらの修正作業が必要になるため、熟練者の都合によっては更に長時間を空費するおそれがある。
【0004】
このような問題に対処するため、近年においては、識別コード、線種、線番、配線経路、接続先、接続時期及び用途等の配線識別情報が電子的に記憶されたRFIDタグを、対応する電線ケーブルに個別に取り付けると共に、データベースに個々のRFIDタグの記憶情報とそのRFIDタグを取り付けた電線ケーブルに関する情報とを関連付けて保持し、リーダ(データ読み取り器)によりRFIDタグから読み出された情報をデータベースに記憶された情報と対照することによって個々の電線ケーブルの管理を行う、RFIDケーブルシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このシステムによれば、各電線ケーブルの管理をデータベースを用いて一括管理できるので、ヒューマンエラーを回避することができ、新設時及びメンテナンス時における作業の効率化及び低コスト化を図ることができる。
【0005】
RFIDタグを長尺材に取り付ける手段としては、内面に無線ICタグが取り付けられた包囲部材を含む3つの包囲部材がヒンジ部を介して屈曲可能に連設され、1の包囲部材に形成された係止部と他の1の包囲部材に形成された係止受部とを係合することにより、各包囲部材を長尺材の外周に巻き付けるようにしたものが従来提案されている(例えば、特許文献2,3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−151383号公報
【特許文献2】特開2008−299424号公報
【特許文献3】実用新案登録第3121534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2,3に記載の無線ICタグホルダーはいずれも、包囲部材の内側に形成された凹部内に無線ICタグを挿入して取り付ける構成であり、凹部の近辺には凹部側に突出する部材があるため、凹部に対する無線ICタグの取り付け作業を効率良く行うことが難しいという問題がある。
【0008】
また、特許文献2,3に記載の無線ICタグホルダーはいずれも、ヒンジ部を介して3つの包囲部材を屈曲可能に連設してなるので、係止部と係止受部とを係合する以前においては形状が不安定であり、無線ICタグホルダーの表面に配線識別情報を効率的に印字したり、複数個の無線ICタグホルダーを後工程で取り扱いやすい形で搬送する等の処理が難しいという問題もある。即ち、この種の無線ICタグホルダーを実用性あるものにするためには、無線ICタグホルダーの外面に配線識別情報の全部又は一部を印字して、目視による配線識別情報の確認が可能であるようにする必要がある。そして、各無線ICタグホルダーに対する配線識別情報の印字を効率的に行う手段としては、多数個の無線ICタグホルダーを棒状の保持治具に取り付けて、印字面を印字ヘッドに対して整列させるという手段を採ることが有効であるが、特許文献2,3に記載の無線ICタグホルダーは、係止部と係止受部とを係合しなければ保持治具に安定に取り付けることができないので、印字作業を効率良く行うことが難しい。また、搬送についても、これと同様であって、多数個の無線ICタグホルダーを棒状の保持治具に取り付けることによって作業を効率化できるが、係止部と係止受部の係合及び係合解除が必要になるので、搬送作業を効率良く行うことが難しい。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、RFIDタグの取り付けが容易で、印字作業や搬送作業も効率的に行えるRFIDタグ収納バンドを提供することにある。また、複数個のRFIDタグ収納バンドを着脱自在に保持して、印字作業、搬送作業及び長尺材に対するRFIDタグ収納バンドの取り付け作業を効率化するRFIDタグ収納バンドの保持治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、このような技術的な課題を解決するため、RFIDタグ収納バンドについては、ヒンジ部並びに当該ヒンジ部を介して屈曲可能に連設された第1及び第2の包囲部材から構成されるバンド本体と、前記第1及び第2の包囲部材の対応する部位に形成され、前記第1及び第2の包囲部材の開放側を着脱可能に連結する係合部及び係合受部と、前記第1包囲部材の外面に形成されたRFIDタグ収納部と、該RFIDタグ収納部内に収納されたRFIDタグと、該RFIDタグの外周を覆うように前記RFIDタグ収納部に着脱可能に取り付けられるカバー部材とからなることを特徴とする。
【0011】
かかる構成によると、RFIDタグ収納部を第1包囲部材の外面に形成するので、RFIDタグ収納バンドに対するRFIDタグの収納を、他の部材に邪魔されることなく、容易に行うことができる。また、RFIDタグの外周をカバー部材にて覆うので、RFIDタグの脱落や破損を確実に防止することができる。加えて、カバー部材をバンド本体とは別体に構成したことから、カバー部材及びバンド本体の色の組み合わせを適宜変更することが可能となり、RFIDタグ収納バンドが取り付けられる長尺材の目視による識別性を高めることができる。また、カバー部材を透明樹脂で成形した場合には、RFIDタグの収納の有無を確認することができる。さらに、バンド本体を、ヒンジ部を介して屈曲可能に連設された2つの包囲部材から構成するので、3つの包囲部材から構成する場合に比べて、係止部と係止受部とを係合する以前の形状を安定化することができ、係止部と係止受部とを係合することなく、保持治具に取り付けることが可能となる。
【0012】
また本発明は、前記構成のRFIDタグ収納バンドにおいて、前記第1包囲部材は、外面に前記RFIDタグ収納部が形成された天板と、その両端部から下向きに形成された第1及び第2の側板とからなる断面コ字状に形成され、前記第1側板の下端部に前記ヒンジ部を介して前記第2包囲部材が連結されると共に、前記第2側板には前記係合部及び係合受部のうちの一方が形成されており、前記第2包囲部材は、前記ヒンジ部を介して前記第1包囲部材に連結された底板と、その先端部から起立された第3側板とからなる断面L字状に形成され、前記第3側板には前記係合部及び係合受部のうちの他方が形成されていて、前記係合部と前記係合受部とを互いに係合したとき、前記第1及び第2の包囲部材が輪状に組み立てられて、長尺材の保持空間が形成されることを特徴とする。
【0013】
かかる構成によると、ヒンジ部を介して屈曲可能に連設された2つの包囲部材、即ち、第1及び第2の包囲部材を用いて、略四角形の長尺材保持空間を有するRFIDタグ収納バンドを構成することができる。
【0014】
また本発明は、前記構成のRFIDタグ収納バンドにおいて、前記第2包囲部材の底板に、長尺材を前記第1包囲部材の天板側に付勢する弾性片を形成したことを特徴とする。
【0015】
かかる構成によると、第1包囲部材の天板と弾性片とでRFIDタグ収納バンドを長尺材に強固に取り付けることができるので、長尺材に対するRFIDタグ収納バンドの取付安定性を高めることができる。また、外径が異なる長尺材に対する同1サイズのRFIDタグ収納バンドの取り付けも可能となるので、RFIDタグ収納バンドの汎用性を高めることもできる。
【0016】
また本発明は、前記構成のRFIDタグ収納バンドにおいて、前記カバー部材の外表面に印字が施されていることを特徴とする。
【0017】
かかる構成によると、カバー部材の外表面に印字が施されているので、リーダを近づけてRFIDタグに記憶された情報を読み取る際、近くに同じタイプのRFIDタグがあったとしても、作業者が印字を目視することによって、現在リーダと通信しているRFIDタグを確認できるので、読み間違えなどのミスを減少することができる。
【0018】
一方、本発明は、RFIDタグ収納バンドの保持治具に関して、ヒンジ部を介して屈曲可能に連設された第1及び第2の包囲部材を有し、前記第1包囲部材は、外面に前記RFIDタグ収納部が形成された天板と、その両端部から下向きに形成された第1及び第2の側板とからなる断面コ字状に形成され、前記第2包囲部材は、前記ヒンジ部を介して前記第1包囲部材に連結された底板と、その先端部から起立された第3側板とからなる断面L字状に形成されていて、前記底板に長尺材を前記第1包囲部材の天板側に付勢する弾性片が形成されたRFIDタグ収納バンドの保持治具において、前記第1包囲部材の天板に接する上面と、前記第1包囲部材の第1側板及び前記第2包囲部材の底板に接する第1側面と、前記第1包囲部材の第2側板に接する第2側面と、前記第2包囲部材の第3側板に接する下面と、前記第2側面と前記下面との間の接続部に形成された前記弾性片との衝合を回避するための凹溝とを有する棒状体からなることを特徴とする。
【0019】
かかる構成によると、RFIDタグ収納バンドを構成する第1包囲部材の天板、第1包囲部材の第1側板及び第2包囲部材の底板、第1包囲部材の第2側板及び第2包囲部材の第3側板を、それぞれ保持治具の上面、第1側面、第2側面及び下面に接することにより、RFIDタグ収納バンドを保持治具に安定に取り付けることができる。また、保持治具の第2側面と下面との間の接続部に凹溝を形成したので、RFIDタグ収納バンドに形成された弾性片と保持治具との衝合を回避することもできる。よって、1つの保持治具に多数のRFIDタグ収納バンドを並列して取り付けることが可能になるので、印字スペースに対する印字作業や、各作業部間の搬送を容易化することができる。また、その際に、第1包囲部材と第2包囲部材とを係合部及び係合受部を用いて結合する必要がないので、保持部材に対するRFIDタグ収納バンドの取り付け・取り外し作業を容易化できる。
【0020】
また本発明は、前記構成のRFIDタグ収納バンドの保持治具において、前記棒状体の一端側に、前記長尺材を連結するための長尺材挿入保持部を形成したことを特徴とする。
【0021】
かかる構成によると、長尺材挿入保持部内に長尺材の一部を保持しておき、保持治具に装着されたRFIDタグ収納バンドをスライドさせて当該長尺材側に移動させるだけで、長尺材の外周部にRFIDタグ収納バンドを配置することができる。後は、第1及び第2の包囲部材に形成された係合部と係合受部とを結合するだけで、長尺材に対するRFIDタグ収納バンドの取付作業を完了できるので、その作業性を高めることができる。
【0022】
また本発明は、前記構成のRFIDタグ収納バンドの保持治具において、前記凹溝の長さ方向に、前記弾性片を弾接するための複数の山型突起を形成したことを特徴とする。
【0023】
かかる構成によると、弾性片を山型突起に弾接させることにより、RFIDタグ収納バンドを保持治具に仮固定できるので、保持治具に対するRFIDタグ収納バンドの取付安定性を高めることができ、印字作業や搬送作業の効率化と信頼性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るRFIDタグ収納バンドは、RFIDタグ収納部をバンド本体の外面に形成するので、RFIDタグ収納バンドに対するRFIDタグの収納を他の部材に邪魔されることなく容易に行うことができる。よって、RFIDタグ収納バンドに対するRFIDタグの収納作業を効率化することができ、RFIDタグ収納バンドの生産性向上及び低コスト化を図ることができる。また、RFIDタグの外周をカバー部材にて覆うので、RFIDタグの脱落や破損を確実に防止できると共に、カバー部材とバンド本体とを独立の別体に構成したことから、カバー部材及びバンド本体の色の組み合わせを適宜変更することによって、RFIDタグ収納バンドが取り付けられる長尺材の目視による識別性を高めたり、カバー部材を透明樹脂で成形することによって、RFIDタグの目視による確認を容易化することもできる。さらに、バンド本体を、ヒンジ部を介して屈曲可能に連設された2つの包囲部材から構成するので、3つの包囲部材から構成する場合に比べて、係止部と係止受部とを係合する以前の形状を安定化することができる。よって、係止部と係止受部とを係合することなく保持治具に安定に取り付けることができ、印字スペースに対する印字作業や各作業部所への搬送性を高めることができる。
【0025】
本発明に係るRFIDタグ収納バンドの保持治具は、第1包囲部材の天板と第2包囲部材の底板とが対向に配置された状態にあるRFIDタグ収納バンドの内面に密接可能な断面形状を有するので、係合部と係合受部とを結合することなく、RFIDタグ収納バンドを保持治具に安定に取り付けることができる。よって、保持部材に対するRFIDタグ収納バンドの取り付け・取り外し作業を容易に行うことができて、その後の印字作業や各作業部間の搬送を容易化でき、RFIDタグ収納バンドが取り付けられた長尺材の生産性向上及び低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態に係るRFIDタグ収納バンドの分解斜視図である。
【図2】実施形態に係るRFIDタグ収納バンドの組立状態を示す斜視図である。
【図3】実施形態に係るRFIDタグ収納バンドの長尺材への取付状態を示す斜視図である。
【図4】図3のA方向矢視図である。
【図5】図4のB−B断面図である。
【図6】実施形態に係る保持治具の上面側から見た斜視図である。
【図7】実施形態に係る保持治具の下面側から見た斜視図である。
【図8】RFIDタグ収納バンドが取り付けられた保持治具の端面図である。
【図9】保持治具に対するRFIDタグ収納バンドの取付状態を示す斜視図である。
【図10】長尺材に対するRFIDタグ収納バンドの取付手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施形態に係るRFIDタグ収納バンド及びその保持治具について、図面と共に説明する。
【0028】
図1及び図2に示すように、実施形態に係るRFIDタグ収納バンド1は、例えばポリアミド樹脂又はポリアセタール樹脂等の適度の弾性と硬度とを有するプラスチック材料を用いて形成されたバンド本体2と、バンド本体2に取り付けられるRFIDタグ3と、バンド本体2と同種又は異種のプラスチック材料をもって形成され、RFIDタグ3を覆うようにバンド本体2に取り付けられるカバー部材4とから構成されている。
【0029】
バンド本体2は、ヒンジ部10と、ヒンジ部10を介して屈曲可能に連結された第1包囲部材11及び第2包囲部材12とからなる。第1包囲部材11は、天板11aと、当該天板11aの対向する二辺より下向きに形成された第1及び第2の側板11b,11cをもって、下側に開口を有する断面コ字状に形成されている。一方、第2包囲部材12は、ヒンジ部10を介して第1側板11aに連結された底板12aと、その先端部から起立された第3側板12bとからなる断面L字状に形成されている。
【0030】
天板11aの外面には、その長さ方向の前後端部に、外側に向けて突出する一対の突壁13,13が形成され、当該突壁13,13の内面下部には、これよりも高さ寸法の小さい一対のカバー保持突起14,14が形成されていて、これらカバー保持突起14,14の内面間がRFIDタグ3を収納するためのRFIDタグ収納部になっている。このように、本例のRFIDタグ収納バンド1は、RFIDタグ3の収納部を第1包囲部材11の外面に形成するので、バンド本体2に対するRFIDタグ3の収納を、他の部材に邪魔されることなく、容易に行うことができる。一方、第1包囲部材11の第2側板11cには、突壁13,13の内面間の幅と同幅の窓孔15が開設されており、当該窓孔15の上辺15aがカバー部材4の係合受部となり、下辺15bが第2包囲部材12の係合受部になっている。なお、図示は省略するが、第1包囲部材11の第1側板11bにも、突壁13,13の内面間の幅と同幅の窓孔が開設されており、当該窓孔15の上辺がカバー部材4の係合受部となっている。
【0031】
第2包囲部材12の底板12aには、図5に詳細に示すように、先端部が内面側に張り出された弾性片16が形成されている。また、第2包囲部材12を構成する第3側板12bの外面先端部には、第2側板11bに形成された係合受部15bに係合される係合部17が形成されている。
【0032】
RFIDタグ3は、平面形状が四角形に形成された基板3aと、当該基板3a上に設定されたICチップ3bと、ICチップ3bの入出力端子に両端が接続されたアンテナ3cとから構成される。RFIDタグ3の構成及び機能については、公知に属する事項であり、かつ本発明の要旨でもないので、これ以上の説明を省略する。なお、基板3aのサイズは用途に応じて適宜選択されるが、通常は数mm程度のものが用いられる。
【0033】
カバー部材4は、上面板4aと、当該上面板4aの対向する二辺より下向きに形成されたフック部4b,4cとから構成されており、フック部4b,4cを第1包囲部材11に形成された係合受部15aに係合し、上面板4aの下面を第1包囲部材11の天板11aに形成されたカバー保持突起14,14の上面に載置することによって、バンド本体2に取り付けられる。カバー部材4は、天板11a及び突壁13,13と協働して、RFIDタグ3の周囲を密閉可能なサイズに形成される。このように本例のRFIDタグ収納バンド1は、RFIDタグ3の外周をカバー部材4にて覆うので、RFIDタグ3の脱落や破損を確実に防止することができる。また、上面板4aの下面をカバー保持突起14,14の上面に載置するので、カバー部材4に不正な外力が作用した場合にも、カバー部材4がカバー保持突起14,14によって支えられ、カバー部材4の変形が防止される。よって、この点からもRFIDタグ3の破壊を確実に防止することができる。なお、カバー保持突起14,14の形状は、カバー部材4の下面を支持できれば足りるのであって、図1に示す横向き角柱状のほか、カバー部材4の四隅を支える少なくとも4個の縦向きの円柱状とすることもできる。
【0034】
カバー部材4の上面板4aは、その外面が平坦な印字スペースとなっており、図示は省略するが、所要の識別コード、線種、線番、配線経路、接続先、接続時期及び用途等の配線識別情報が、目視可能な形で印字されている。また、上面板4aの下面には、カバー部材4に適度の弾性を付与するための切り込み溝18が形成されている。これにより、バンド本体2に対するカバー部材の着脱を容易なものにすることができる。
【0035】
なお、カバー部材4には、適宜の着色を施すことができる。カバー部材4に着色を施すと、カバー部材4とバンド本体2の色の組み合わせを長尺材の識別情報として利用することができるので、RFIDタグ収納バンド1が取り付けられる長尺材の目視による識別性を高めることができる。また、カバー部材4は透明樹脂をもって形成することもできる。カバー部材4を透明体にすると、RFIDタグ3が所定の収納部に収納されているか否かの確認を目視で行うことができるので、RFIDタグ3が収納されていないRFIDタグ収納バンド1が流通するという問題の発生を未然に防止できる。
【0036】
バンド本体2を構成する第1及び第2の包囲部材11,12は、ヒンジ部10を介して屈曲可能に連結されているので、第1包囲部材11に対して第2包囲部材12を屈曲し、第3側板12bの外面先端部に形成された係合部17を第2側板11bに形成された係合受部15bに係合することにより、輪状に組み立てられる。したがって、図3〜図5に示すように、長尺材Lの外周に第1及び第2の包囲部材11,12を巻き付けることができる。このとき、図4及び図5に示すように、第2包囲部材12の底板12aに形成された弾性片16の先端部が長尺材Lに当接され、長尺材Lが弾性片16と天板11aの内面との間で弾性保持されるので、RFIDタグ収納バンド1が長尺材Lの外周に緩みなく巻き付けられる。また、本実施形態に係るRFIDタグ収納バンド1は、バンド本体2とカバー部材4とを別体に構成したので、これらの両部材を一体に構成する場合に比べてヒンジ部10の数を少なくすることができ、全体を小型に形成することができる。よって、長尺材Lに対する取付作業を容易化できると共に、取付後の見た目も良好なものにすることができる。
【0037】
次に、実施形態に係る保持治具の構成と使用方法を、図6〜図11を参照しながら説明する。これらの図に示すように、実施形態に係る保持治具20は、長さ方向の各断面においてその断面形状が同一となるように形成されたバンド取付部21と、その一端に形成された長尺材挿入保持部22とからなる棒状に形成されている。保持治具20も、適度の弾性と光度とを有するプラスチック材料を用いて作製される。
【0038】
バンド取付部21は、図8に示すように、第1包囲部材11の天板11aに接する上面21aと、第1包囲部材11の第1側板11b及び第2包囲部材12の底板12aに接する第1側面21bと、第1包囲部材11の第2側板11cに接する第2側面21cと、第2包囲部材12の第3側板12bに接する下面21dと、第2側面21cと下面21dとの間の接続部に形成された凹溝21eと、凹溝21eの壁面から凹溝21e内に張り出された複数の山型突起21fとからなる。山型突起21fの形成ピッチは、RFIDタグ収納バンド1の横幅とほぼ同一寸法とされる。
【0039】
長尺材挿入保持部22は、図6及び図7に示すように、バンド取付部21の幅方向の半部を切り欠いた如き形状になっており、その内面には、正面形状がL字状で、断面形状が半円状の長尺材挿入溝22aが形成されている。また、長尺材挿入溝22aの水平部と垂直部の間には、長尺材案内突起22bが形成されている。したがって、長尺材挿入保持部22の側方から長尺材挿入溝22aの水平部と垂直部に長尺材Lを挿入することで、保持治具20に長尺材Lを連結することができる。
【0040】
保持治具20は、RFIDタグ収納バンド1の搬送や印字、それに長尺材Lに対するRFIDタグ収納バンド1の取り付けを効率化するために用いられるもので、図9に示すように、1つの保持治具20に複数のRFIDタグ収納バンド1が同一の向きで取り付けられる。1つの保持治具20に取り付け可能なRFIDタグ収納バンド1の数は、保持治具20に形成される山型突起21fの数である。
【0041】
保持治具20に対するRFIDタグ収納バンド1の取り付けは、図8に示すように、RFIDタグ収納バンド1を構成する第1包囲部材11の天板11a、第1包囲部材11の第1側板11b及び第2包囲部材12の底板12a、第1包囲部材11の第2側板11c及び第2包囲部材12の第3側板12bが、それぞれ保持治具20の上面21a、第1側面21b、第2側面21c及び下面21dに接するように、RFIDタグ収納バンド1を保持治具20の外周に装着することにより行われる。本例の保持治具20は、保持治具20の各面にRFIDタグ収納バンド1の各面を密着させるので、複数のRFIDタグ収納バンド1を安定に保持することができる。
【0042】
また、保持治具20の一端部に装着されたRFIDタグ収納バンド1を、保持治具20の長さ方向にスライドさせ、RFIDタグ収納バンド1に形成された弾性片16を保持治具20に形成された山形突起21fの頂面に当接させると、弾性片16の弾性力によってRFIDタグ収納バンド1が保持治具20に安定に保持されるので、搬送作業及び印字作業等を安泰に行うことができる。
【0043】
以下、保持治具20を用いた場合における、長尺材Lに対するRFIDタグ収納バンド1の取付手順を、図10及び図11を用いて説明する。
【0044】
まず、図10(a)に示すように、複数のRFIDタグ収納バンド1が装着された保持治具20を用意する。次に、図10(b)に示すように、長尺材挿入保持部22に形成された長尺材挿入溝22a内に、長尺材Lを挿入する。次に、図10(c)に示すように、保持治具20に装着された複数のRFIDタグ収納バンド1のうち、長尺材挿入保持部22の最も近くにある1のRFIDタグ収納バンド1を、長尺材挿入保持部22の先端部までスライドさせる。次に、図10(d)に示すように、第3側板12bの外面先端部に形成された係合部17を第2側板11bに形成された係合受部15bに係合し、RFIDタグ収納バンド1の第1包囲部材11と第2包囲部材12とを輪状に組み立てる。次に、図10(e)に示すように、保持治具20から長尺材Lを繰り出し、RFIDタグ収納バンド1と長尺材挿入保持部22との係合を解除する。最後に、長尺材挿入溝22aから長尺材Lを取り出し、外周部にRFIDタグ収納バンド1が装着された長尺材Lを得る。
【0045】
本例の保持治具20は、複数のRFIDタグ収納バンド1を同一向きに向けて取り付けることができるので、RFIDタグ収納バンド1に対する印字作業や、各作業部間におけるRFIDタグ収納バンド1の搬送を容易に行うことができる。また、RFIDタグ収納バンド1を装着する際に、第1包囲部材11と第2包囲部材12とを係合部17及び係合受部15aを用いて結合する必要がないので、保持部材20に対するRFIDタグ収納バンド1の取り付け・取り外し作業を容易化することができる。さらに、本例の保持治具20は、その一端に、長尺材挿入保持部22を形成したので、長尺材Lに対するRFIDタグ収納バンド1の装着を簡単に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、各種のプラントに設置される配電盤の配線作業等に利用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 RFIDタグ収納バンド
2 バンド本体
3 RFIDタグ
3a 基板
3b ICチップ
3c アンテナ
4 カバー部材
4a 上面板
4b,4c フック部
10 ヒンジ部
11 第1包囲部材
11a 天板
11b,11c 側板
12 第2包囲部材
12a 底板
12b 第3側板
13 突壁
14 カバー保持突起
15 窓孔
15a 係合受部
15b 係合受部
16 弾性片
17 係合部
18 切り込み溝
20 保持治具
21 バンド取付部
21a 上面
21b 第1側面
21c 第2側面
21d 下面
21e 凹溝
21f 山型突起
22 長尺材挿入保持部
22a 長尺材挿入溝
22b 長尺材案内突起
L 長尺材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジ部並びに当該ヒンジ部を介して屈曲可能に連設された第1及び第2の包囲部材から構成されるバンド本体と、前記第1及び第2の包囲部材の対応する部位に形成され、前記第1及び第2の包囲部材の開放側を着脱可能に連結する係合部及び係合受部と、前記第1包囲部材の外面に形成されたRFIDタグ収納部と、該RFIDタグ収納部内に収納されたRFIDタグと、該RFIDタグの外周を覆うように前記RFIDタグ収納部に着脱可能に取り付けられるカバー部材とからなることを特徴とするRFIDタグ収納バンド。
【請求項2】
前記第1包囲部材は、外面に前記RFIDタグ収納部が形成された天板と、その両端部から下向きに形成された第1及び第2の側板とからなる断面コ字状に形成され、前記第1側板の下端部に前記ヒンジ部を介して前記第2包囲部材が連結されると共に、前記第2側板には前記係合部及び係合受部のうちの一方が形成されており、前記第2包囲部材は、前記ヒンジ部を介して前記第1包囲部材に連結された底板と、その先端部から起立された第3側板とからなる断面L字状に形成され、前記第3側板には前記係合部及び係合受部のうちの他方が形成されていて、前記係合部と前記係合受部とを互いに係合したとき、前記第1及び第2の包囲部材が輪状に組み立てられて、長尺材の保持空間が形成されることを特徴とする請求項1に記載のRFIDタグ収納バンド。
【請求項3】
前記第2包囲部材の底板に、長尺材を前記第1包囲部材の天板側に付勢する弾性片を形成したことを特徴とする請求項2に記載のRFIDタグ収納バンド。
【請求項4】
前記カバー部材の外表面に印字が施されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のRFIDタグ収納バンド。
【請求項5】
ヒンジ部を介して屈曲可能に連設された第1及び第2の包囲部材を有し、前記第1包囲部材は、外面に前記RFIDタグ収納部が形成された天板と、その両端部から下向きに形成された第1及び第2の側板とからなる断面コ字状に形成され、前記第2包囲部材は、前記ヒンジ部を介して前記第1包囲部材に連結された底板と、その先端部から起立された第3側板とからなる断面L字状に形成されていて、前記底板に長尺材を前記第1包囲部材の天板側に付勢する弾性片が形成されたRFIDタグ収納バンドの保持治具において、
前記第1包囲部材の天板に接する上面と、前記第1包囲部材の第1側板及び前記第2包囲部材の底板に接する第1側面と、前記第1包囲部材の第2側板に接する第2側面と、前記第2包囲部材の第3側板に接する下面と、前記第2側面と前記下面との間の接続部に形成された前記弾性片との衝合を回避するための凹溝とを有する棒状体からなることを特徴とするRFIDタグ収納バンドの保持治具。
【請求項6】
前記棒状体の一端側に、前記長尺材を連結するための長尺材挿入保持部を形成したことを特徴とする請求項5に記載のRFIDタグ収納バンドの保持治具。
【請求項7】
前記凹溝の長さ方向に、前記弾性片を弾接するための複数の山型突起を形成したことを特徴とする請求項5及び請求項6のいずれか1項に記載のRFIDタグ収納バンドの保持治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−3738(P2013−3738A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132622(P2011−132622)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【出願人】(000226507)株式会社ニックス (96)
【Fターム(参考)】