説明

RFIDタグ用のリーダライタ

【課題】全てのRFIDタグに対する固有情報などの読込みや書込みを一括して行え、しかも、各アンテナ間の相互干渉や不要輻射ノイズに伴う通信性能の低下を解消できるRFIDタグ用のリーダライタを提供する。
【解決手段】一群のマイクロチューブ11に組込まれたRFIDタグ16を通信対象とするリーダライタである。読書き部8を備えた本体ケース1と、本体ケース1の内部に配置される一群のアンテナ21を備えたアンテナ基板2と、一群の制御回路が実装された複数個の制御基板3と、アンテナ基板2と制御基板3との間に設けられる中継基板4とを含む。中継基板4には、アンテナ21の共振周波数を調整するための周波数調整回路28が設けてある。アンテナ基板2と中継基板4とはピンヘッダ22を介して直結する。中継基板4と制御基板3とはコネクター30を介して着脱可能な状態で直結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば多数個のマイクロチューブに組込まれたRFIDタグに対して、一括して試料の固有情報や関連情報などの読込みや書込みを行うことができるリーダライタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のリーダライタは、例えば特許文献1に公知である。そこでは、筐体の内部に収容されるアンテナヘッドと、アンテナヘッドをラック載置板に沿って移動操作する駆動装置と、アンテナヘッド用の制御ボードと、コンピュータなどでリーダライタを構成している。アンテナヘッドには、チューブラックの装填穴列方向のチューブ数に対応するアンテナコイルが配置してあり、マイクロチューブの底部に設けたRFIDタグに対して、試料の固有情報や関連情報などの読込みや書込みを、各装填穴列ごとに一括して行うことができる。例えば、チューブラックに8本のマイクロチューブを装填できる装填穴列が10列設けてある場合には、アンテナヘッドを駆動装置で一側端の装填穴列から他側端の装填穴列へ向かって断続的に移動操作することにより、80個の全てのRFIDタグに対して固有情報などの読込みや書込みを行うことができる。
【0003】
本発明に関して、アンテナ基板を制御基板と向かい合わせに配置し、アンテナ基板のアンテナパターン形成面を、制御基板の部品実装面に対して反対側に位置させたアンテナ取付構造が特許文献2に開示されている。このアンテナ取付構造によれば、制御基板に実装された部品から発せられる電気的なノイズを、アンテナ基板の基板本体(誘電体)で遮蔽して、電気的なノイズに伴う悪影響がアンテナに及ぶのを低減できる。
【0004】
また、特許文献3には、放射素子(アンテナ)と回路基板を、放射素子に固定したピンと回路基板に設けたコネクタを介して、電気的に接続することが開示してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−351641号公報(段落番号0017、図1)
【特許文献2】特開2005−268899号公報(段落番号0017、図3)
【特許文献3】特開平10−117108号公報(段落番号0006、図17)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のリーダライタによれば、マイクロチューブに収容した試料の固有情報等の読込みや書込みを、RFIDタグに対して装填穴列ごとに一括して行うことができる。しかし、全てのRFIDタグに対して固有情報などの読込みや書込みを行うには、アンテナヘッドを駆動装置で装填穴列ごとに断続的に移動操作する必要があり、一連の作業に多くの時間が掛かるのを避けられない。
【0007】
アンテナヘッドに、チューブラックに装填されたマイクロチューブと同じ個数のアンテナを配置すると、全てのRFIDタグに対する固有情報などの読込みや書込みを一括して行える。しかし、その場合には、個々のアンテナに対応して同数の制御回路を設ける必要があるため、制御基板が大形化し複雑になるのを避けられず、チューブラックの下方の限られた空間に制御基板を収めるのが難しくなる。例えば、制御基板を複数に分割すると、チューブラックの下方の限られた空間に制御基板を収めることができる。しかし、アンテナと、アンテナ用の制御回路を接続する接続リード線から出る不要輻射ノイズや、各アンテナ間の相互干渉によって、リーダライタの通信性能が著しく損なわれる。
【0008】
先のような不要輻射ノイズを避けるには、アンテナ基板と制御基板の基板どうしを直接接続して、両基板を短距離で接続するとよい。例えば、アンテナ基板と制御基板とを半田付けしたピンヘッダで接続すると、両基板の接続距離を最小限化できる。ところが、両基板が半田付けによって一体化されてしまうので、制御基板を交換する場合にはアンテナ基板ごと交換しなければならず、アンテナ基板が無駄になる。
【0009】
その点、特許文献3の接続構造のように、放射素子と制御基板をピン(ピンヘッダ)とコネクタで接続すると、制御基板を交換し、あるいは制御基板の保守を行う場合等に、放射素子を制御基板から分離することができる。しかし、接続すべきピン数が多くなるのに伴い、ピンの隣接ピッチとコネクタの隣接ピッチが部分的に一致していないことがある。そのため、保守のために放射素子を抜差しするような場合に、隣接ピッチが一致していないピンの接合部分に力が集中して、ピンを固定している半田部分にクラックを生じるおそれがあり、長期使用時の信頼性に問題がある。
【0010】
本発明の目的は、全てのRFIDタグに対する固有情報などの読込みや書込みを一括して行え、しかも、各アンテナ間の相互干渉や不要輻射ノイズに伴う通信性能の低下を解消して、RFIDタグに対する通信を安定した状態で行なえるRFIDタグ用のリーダライタを提供することにある。
本発明の目的は、保守作業に際してアンテナ基板が制御基板に対して繰返し着脱されるような場合でも、両者を常に的確に接続でき、従って、長期使用時の信頼性を向上できるRFIDタグ用のリーダライタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るRFIDタグ用のリーダライタは、一群の担持体11に組込まれたRFIDタグ16を通信対象とする。リーダライタは、一群の担持体11を載置するための読書き部8を備えた本体ケース1と、読書き部8に臨んで本体ケース1の内部に配置されるアンテナ基板2と、複数個の制御基板3と、アンテナ基板2と制御基板3との間に設けられる中継基板4とを含む。アンテナ基板2にはRFIDタグ16と同数のアンテナ21が設けられ、制御基板3にはRFIDタグ16と同数の制御回路が設けられている。中継基板4には、アンテナ21の共振周波数を調整するための周波数調整回路28が設けてある。図1に示すように、アンテナ基板2と中継基板4とは、両基板2・4に半田付けしたピンヘッダ22を介して直結する。中継基板4と制御基板3とは、コネクター30を介して着脱可能な状態で直結する。
【0012】
図6に示すように、アンテナ基板2に、アンテナ21と、アンテナ21の共振周波数を粗調整する第1コンデンサ23を設ける。中継基板4に、アンテナ21の共振周波数およびインピーダンスを微調整する第2コンデンサ25およびコイル26と、抵抗27を含む周波数調整回路28を設ける。アンテナ基板2と中継基板4をピンヘッダ22で接続した状態において、アンテナ21の特性に適合する第2コンデンサ25を中継基板4に実装して周波数調整を行なう。
【0013】
通信周波数が異なる複数種のRFIDタグ16と通信を行なうための周波数切換回路を制御基板3に実装する。通信周波数が異なる複数のRFIDタグ16に対応した周波数調整回路28を中継基板4に組込んで、各RFIDタグ16ごとに専用の中継基板4を設ける。通信周波数が異なる複数種のRFIDタグ16に適合する中継基板4をアンテナ基板2に接続して、通信周波数が異なる複数種のRFIDタグ16と通信を行なうリーダライタにおいて、アンテナ基板2および制御基板4を共用する。
【0014】
アンテナ基板2は本体ケース1の内部に設けたフレーム36に固定する。制御基板3はフレーム36に固定した基板ホルダー32で支持する(図4参照)。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、RFIDタグ16と同数のアンテナ21を備えたアンテナ基板2と、RFIDタグ16と同数の制御回路を備えた制御基板3と、これら両基板2・3の間に設けられる中継基板4などでリーダライタを構成した。このように、RFIDタグ16と同数のアンテナ21および制御回路を備えたリーダライタによれば、全てのRFIDタグ16に対する固有情報などの読込みや書込みを一括して迅速に行うことができる。
【0016】
アンテナ基板2と中継基板4をピンヘッダ22で直結し、さらに中継基板4と制御基板3をコネクター30で直結するので、アンテナと制御回路を接続リード線で接続する場合に避けられない不要輻射ノイズの発生を抑止し、同時にアンテナ間の相互干渉を抑止してアンテナ21の利得を最大化できる。さらに、中継基板4に、アンテナ21の共振周波数を調整するための周波数調整回路28を設けるので、周波数調整回路28を調整することにより、アンテナ21の特性をRFIDタグ16に適合した状態に調整して、リーダライタとRFIDタグ16との通信を確実に行える。
【0017】
アンテナ基板2に粗調整用の第1コンデンサ23を設け、中継基板4に微調整用の第2コンデンサ25およびコイル26などの周波数調整回路28を設けると、さらに正確にアンテナ21の通信特性をRFIDタグ16に適合した状態に調整することができる。また、アンテナ基板2と中継基板4をピンヘッダ22で接続した後に、アンテナ21の特性に適合する第2コンデンサ25を中継基板4に実装するので、アンテナ21の特性の微細なばらつきに対応して通信周波数を精密に調整できる。
【0018】
制御基板3に周波数切換回路を設け、通信周波数が異なる複数のRFIDタグ16ごとに専用の中継基板4を設けると、通信周波数が異なる複数種のRFIDタグ16に適合する中継基板4をアンテナ基板2に接続し、周波数切換回路を切換えることにより、通信周波数が異なる複数種のRFIDタグ16と通信を行なうリーダライタにおいて、アンテナ基板2および制御基板4を共用することができる。従って、通信周波数が異なるRFIDタグ16に対応して、専用のリーダライタを用意する場合に比べて、リーダライタの全体コストを削減できる。
【0019】
アンテナ基板2をフレーム36に固定し、さらに制御基板3をフレーム36に固定した基板ホルダー32で支持すると、アンテナ基板2、制御基板3、中継基板4の全体重量をフレーム36で支えることができる。そのため、制御基板3と中継基板4を接続するコネクター30に各基板2・3・4の重量が作用するのを防止して、アンテナ基板2と制御基板3の適正な接続状態を維持でき、例えば、外部から振動を受けるような場合でも、コネクター30が動いて接続不良に陥るのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るリーダライタの縦断側面図である。
【図2】本発明に係るリーダライタの正面図である。
【図3】本発明に係るリーダライタおよびチューブラックの平面図である。
【図4】本発明に係るリーダライタの縦断正面図である。
【図5】本発明に係るアンテナ基板の平面図である。
【図6】本発明に係るアンテナ基板と中継基板の配線構造を示す配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施例) 図1ないし図6は本発明に係るリーダライタの実施例を示す。なお、本発明における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
【0022】
図2において、リーダライタは、本体ケース1の内部に配置される1個のアンテナ基板2と、6個の制御基板3と、両基板2・3の間に設けられる6個の中継基板4と、USBハブ5および電源部6と、USBハブ5を介して制御基板3に接続されるコンピュータ7などで構成してある。本体ケース1の上面には、チューブラック10を載置するための読書き部8が凹み形成してある。チューブラック10には、マイクロチューブ(担持体)11を装填するための装填穴12が縦横それぞれに直線列を構成する状態で形成してある。図3および図4に示すように、この実施例では、前後方向の装填穴列に6個の装填穴12を形成し、左右方向へ8個の装填穴列を形成して、合計48個のマイクロチューブ11をチューブラック10に装填できるようにした。読書き部8およびチューブラック10の隅部のひとつには、チューブラック10の装填方向を一定にするための切欠8a・10aが形成してある。
【0023】
マイクロチューブ11は、ポリプロピレン製の筒状のチューブ本体13と、チューブ本体13の上開口にねじ込まれたキャップ14とからなる。チューブ本体13の上部にはフランジ15が張出してあり、このフランジ15を装填穴12の上開口縁で受止めることにより、マイクロチューブ11を一定の姿勢で支持できる(図4参照)。チューブ本体13の底壁には、チューブ本体13に収容した試料の固有情報や関連情報などのデータを記録するためのRFIDタグ16が埋設してある。RFIDタグ16とリーダライタとは、先のアンテナ基板2を介して13.56MHzの通信周波数で通信を行なう。RFIDタグ16が埋設されたチューブ本体13の底壁は、読書き部8の面壁と数mmの隙間を介して対向している。
【0024】
図5に示すようにアンテナ基板2は、プラスチック製の基板20の上面に渦巻状のアンテナ21のパターンを、RFIDタグ16の配置パターンに対応して同数個形成して構成してある。また、基板20の下面側には、各アンテナ21と同数個の平面実装型の2極のピンヘッダ22の実装面が半田付けしてある。アンテナ21の渦巻きパターンは、基板20に積層した銅箔にエッチング処理を施して形成する。図6に示すように、各アンテナ21とピンヘッダ22との間には、アンテナ21の共振周波数を粗調整する第1コンデンサ23が配置してある。
【0025】
中継基板4には、アンテナ21の共振周波数およびインピーダンスを微調整する第2コンデンサ25およびコイル26と、抵抗27を含む周波数調整回路28が実装してある。また、図1に示すように中継基板4には、ピンヘッダ22の接続ピン22aを半田付けするためのスルーホール29が形成され、さらに、中継基板4の下面側に装填穴列と同数個(8個)のピンを備えたコネクターピン30aが半田付けしてある。スルーホール29とコネクターピン30aとはパターン配線で接続してある。
【0026】
アンテナ基板2に固定した8個のピンヘッダ22の接続ピン22aを、先のスルーホール29に差込んだ状態で半田付けすることにより、アンテナ基板2と中継基板4とを直結接続している。この状態で、各アンテナ21の特性に適合する静電容量の第2コンデンサ25が選定され、選定された第2コンデンサ25を中継基板4に半田付けすることにより、アンテナ21の共振周波数およびインピーダンスを最適化できる。また、8個のピンヘッダ22を介してアンテナ基板2と中継基板4を接続するので、接続ピン22aおよび半田部分に作用する外力を分散させて、接続部分の強度を高めて耐久性を向上できる。
【0027】
48個のRFIDタグ16に対して一括してデータの読込みや書込みを行うために、6個の制御基板3にはそれぞれ8個の制御回路が実装してある。一体化されたアンテナ基板2と中継基板4を、各制御基板3に対して着脱可能な状態で直結接続するために、中継基板4と制御基板3は市販のコネクター30を介して接続する。コネクター30は、先に説明した中継基板4側のコネクターピン30aと、制御基板3の側に固定されるコネクターソケット30bとからなる。図1に示すように、コネクターソケット30bは、その上面が制御基板3の上縁から上方へはみ出る状態で各制御基板3の前面側に固定してあり、コネクターピン30aをコネクターソケット30bに差込むことにより、制御基板3と中継基板4を接続できる。コネクターピン30aおよびコネクターソケット30bには、それぞれ一対の接続端子が対応する位置に設けてある。
【0028】
図1および図4に示すように、6個の制御基板3は左右一対の基板ホルダー32で垂直に支持されて、読書き部8の下方空間に臨ませてある。基板ホルダー32は逆L字状の支持アーム33と、支持アーム33の下端に固定されて、各制御基板3を垂直姿勢で支持する前後に長い支持枠34とからなる。左右の支持枠34には、制御基板3の下隅を受止める溝35が等間隔おきに6個ずつ形成してある。基板ホルダー32を支持するために、本体ケース1の内部にフレーム36が設けてあり、支持アーム33は、その上部に固定したブラケット37を介してフレーム36に固定してある。なお、図示していないが、アンテナ基板2の前縁の左右、および後縁の左右は、それぞれフレーム36に固定してある。
【0029】
以上のように構成したリーダライタによれば、48個のマイクロチューブ11が装填されたチューブラック10を読書き部8に載置した状態で、アンテナ基板2とRFIDタグ16との間で通信を行なうことにより、全てのRFIDタグ16に対する固有情報などの読込みや書込みを一括して迅速に行うことができる。また、必要に応じて、任意のRFIDタグ16に対して情報を追記し、あるいは情報を書き換えることができる。アンテナ基板2と中継基板4をピンヘッダ22で直結し、さらに中継基板4を制御基板3に対してコネクター30で直結するので、不要輻射ノイズの発生を効果的に抑止できる。さらに、アンテナ21間の相互干渉を低減して、両者16・21の間の通信を常に安定した状態で的確に行なうことができる。因みに、アンテナ間の相互干渉は、アンテナの隣接距離が小さいほど、あるいは近接しているアンテナの線長が長いほど生じやすいが、上記のようにアンテナ基板2と中継基板4、さらに中継基板4と制御基板3を直結することにより、アンテナ間の相互干渉を低減できる。
【0030】
本発明者は、基板同士を直結した上記構造の直結型のリーダライタと、アンテナ基板と制御基板をリード線で接続したリーダライタとを使用して、不要輻射ノイズを測定し、その発生の度合を確認した。測定条件は、FCC part15 3m法で行った。その結果、直結型のリーダライタの不要輻射ノイズを、リード線接続型のリーダライタの不要輻射ノイズよりも20〜30db減少できた。また、隣接配置した2個のアンテナ21で同時に通信を行なってアンテナ21間の相互干渉の状況を確認した。その結果、直結型のリーダライタの読取り範囲が、リード線接続型のリーダライタの読取り範囲の2倍に拡大され、アンテナ21間の相互干渉を低減できることを確認した。
【0031】
各制御基板3には8個の制御回路が実装してあるため、制御回路のひとつが故障したような場合には、故障の状況に応じて制御基板3ごと交換し、あるいは該当する制御回路の電子部品を交換する必要がある。こうした保守作業を行う場合には、アンテナ基板2と中継基板4と制御基板3を本体ケース1から取出したのち、コネクター30を分離するだけで、制御基板3を一体化されたアンテナ基板2と中継基板4から取外すことができる。従って、保守作業をより少ない手間で簡便に行うことができる。また、制御基板3を交換する場合でも、アンテナ基板2および中継基板4を再使用することができるので無駄がなく、メンテナンス費用を削減できる。
【0032】
アンテナ基板2と中継基板4を8個のピンヘッダ22を介して接続し連結するので、接続ピン22aおよび半田部分に作用する外力を分散させて接続部分の強度を高めて耐久性を向上できる。従って、保守作業に際して中継基板4が制御基板3に対して繰返し着脱されるような場合でも、両者3・4を常に的確に接続して長期使用時の信頼性を向上できる。また、アンテナ基板2と中継基板4をピンヘッダ22で一体化したのちに、アンテナ21の特性に適合する静電容量の第2コンデンサ25を選定して、中継基板4に半田付けするので、アンテナ21の共振周波数およびインピーダンスを最適化できる。さらに、アンテナ基板2と中継基板4を一体化した後に、アンテナ21の特性に適合した第2コンデンサ25を実装するので、アンテナ基板2と中継基板4を組立るための一連の組立工数を削減し、組立を容易化してリーダライタの組立コストを減少できる。
【0033】
上記の実施例では、RFIDタグ16の通信周波数が13.56MHzである場合について説明したが、予め制御基板3に周波数切換回路が実装してある場合には、通信周波数が異なる複数種のRFIDタグ16に対して、リーダライタの構造を大幅に変更する必要もなく通信を行なえる。その場合には、通信周波数が異なる複数のRFIDタグ16に対応した周波数調整回路28を中継基板4に組込んで、各通信周波数ごとに専用の中継基板4を予め設けておく。例えば、13.56MHz用の中継基板4と、135kHz用の中継基板4とを設けておく。そのうえで、通信周波数が異なる複数種のRFIDタグ16に適合する中継基板4をアンテナ基板2に接続して、アンテナ21の特性をRFIDタグ16の通信周波数に適合させる。例えば、RFIDタグ16の通信周波数が135kHzである場合には、135kHz用の中継基板4をアンテナ基板2に接続してアンテナ21の特性を135kHz用に調整する。さらに、制御基板3の周波数切換回路を135kHz側に切換える。
【0034】
以上のように構成したリーダライタによれば、RFIDタグ16の通信周波数に適合した中継基板4をアンテナ基板2に接続することで、アンテナ基板2および制御基板3を共用できる。従って、通信周波数が異なるRFIDタグ16に対応して、それぞれ専用のアンテナ基板2と制御基板3と中継基板4を設ける場合に比べて、より低コストでリーダライタを提供でき、アンテナ基板2および制御基板3の管理の手間を省くことができる。
【0035】
上記の実施例では、チューブラック10に48個のマイクロチューブ11が装填してある場合について説明したが、チューブラック10の装填穴12の形成個数は任意に設定でき、より大量のマイクロチューブ11を装填できるチューブラック10であってもよい。その場合には、アンテナ基板2におけるアンテナ21の配置個数、および制御基板3における制御回路の配置個数を増加することにより、より大量のRFIDタグ16に対応できる。
【0036】
RFIDタグ16はマイクロチューブ11以外の担持体に組込んであってもよい。例えば、コンテナに設けた格子状の区画に収納された工業製品を担持体にしてRFIDタグ16を組込んでおくと、一群の工業製品に対して製造履歴情報や固有情報を一括して書込み、あるいは読込むことができる。
【符号の説明】
【0037】
1 本体ケース
2 アンテナ基板
3 制御基板
4 中継基板
8 読書き部
10 チューブラック
11 担持体(マイクロチューブ)
16 RFIDタグ
21 アンテナ
22 ピンヘッダ
30 コネクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一群の担持体(11)に組込まれたRFIDタグ(16)を通信対象とするリーダライタであって、
リーダライタは、一群の担持体(11)を載置するための読書き部(8)を備えた本体ケース(1)と、読書き部(8)に臨んで本体ケース(1)の内部に配置されるアンテナ基板(2)と、複数個の制御基板(3)と、アンテナ基板(2)と制御基板(3)との間に設けられる中継基板(4)とを含み、
アンテナ基板(2)にはRFIDタグ(16)と同数のアンテナ(21)が設けられ、制御基板(3)にはRFIDタグ(16)と同数の制御回路が設けられており、
中継基板(4)には、アンテナ(21)の共振周波数を調整するための周波数調整回路(28)が設けられており、
アンテナ基板(2)と中継基板(4)とは、両基板(2・4)に半田付けしたピンヘッダ(22)を介して直結されており、
中継基板(4)と制御基板(3)とが、コネクター(30)を介して着脱可能な状態で直結してあることを特徴とするRFIDタグ用のリーダライタ。
【請求項2】
アンテナ基板(2)に、アンテナ(21)と、アンテナ(21)の共振周波数を粗調整する第1コンデンサ(23)とが設けられており、
中継基板(4)に、アンテナ(21)の共振周波数およびインピーダンスを微調整する第2コンデンサ(25)およびコイル(26)と、抵抗(27)を含む周波数調整回路(28)が設けられており、
アンテナ基板(2)と中継基板(4)をピンヘッダ(22)で接続した状態において、アンテナ(21)の特性に適合する第2コンデンサ(25)を中継基板(4)に実装して周波数調整が行なわれている請求項1に記載のRFIDタグ用のリーダライタ。
【請求項3】
通信周波数が異なる複数種のRFIDタグ(16)と通信を行なうための周波数切換回路が制御基板(3)に実装されており、
通信周波数が異なる複数のRFIDタグ(16)に対応した周波数調整回路(28)を中継基板(4)に組込んで、各RFIDタグ(16)ごとに専用の中継基板(4)が設けられており、
通信周波数が異なる複数種のRFIDタグ(16)に適合する中継基板(4)をアンテナ基板(2)に接続して、通信周波数が異なる複数種のRFIDタグ(16)と通信を行なうリーダライタにおいて、アンテナ基板(2)および制御基板(4)を共用できる請求項2に記載のRFIDタグ用のリーダライタ。
【請求項4】
アンテナ基板(2)が、本体ケース(1)の内部に設けたフレーム(36)に固定されており、
制御基板(3)が前記フレーム(36)に固定した基板ホルダー(32)で支持してある請求項1から3のいずれかひとつに記載のRFIDタグ用のリーダライタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−109689(P2013−109689A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255879(P2011−255879)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】