説明

RFIDタグ

【課題】 電子部品等の小形商品への装着が可能であり、かつ所定の情報を表示可能なRFIDタグを提案する。
【解決手段】 RFIDタグ10は、非接触で記録情報の書き換えが可能なICチップ11と、ICチップ11上に重ねて配置されると共に、ICチップ11に記憶された情報に関する情報を表示する表示部12とを備える。また、表示部12は、ICチップ11と略同一形状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
本発明は、小形商品等に装着される表示部付きRFIDタグに関する。
【背景技術】
【0002】
商品の在庫管理、棚卸等を行うために、各商品に個別の識別番号を付したバーコードを装着し、このバーコードを読み取ることによって、商品の情報をコンピュータ管理する方法が広く採用されている。そして、近年、このバーコードに代えて、RFID(Radio Frequency IDentification)タグを用いた在庫管理システムが提案されている(特許文献1)。
RFIDタグとは、プラスチック等の基材の上にコイル状アンテナパターンを備え、このアンテナパターンと容量素子とにより共振回路を形成して一定周波数の電波を受信・送信できるように構成されたものである。
また、RFIDを用いた技術として、ICカードが知られている。ICカード(スマートカード)は、IC(集積回路)チップを搭載したカードであり、磁気ストライプカードと比較して、高情報容量化、セキュリティ性向上(偽変造、不正使用の防止)、複数のアプリケーションに対応可能、ホスト負荷軽減(オフライン処理が可能)等の特徴を有する。このため、クレジットカードやキャッシュカードの他、電子マネー、電子商取引、医療保健分野、鉄道・バスなどの交通分野やビルの入退出管理等への展開が盛んに行われ始めている。そして、ICカード内に記憶した情報を表示させるために、ICカードの表面に画像を書き換え可能なリライト層を設ける技術や液晶表示装置を設ける技術が提案されている(特許文献2)。更に、マイクロカプセル型電気泳動表示デバイスを設ける技術(特許文献3)が提案されている。
【特許文献1】特開2001−31218号公報
【特許文献2】特許2632078号公報
【特許文献3】特開2003−271911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した在庫管理システムでは、商品等に装着されるRFIDタグには、個別の識別番号等が保存されているだけなので、その商品を見ただけでは、例えば、棚卸済みか、棚卸未完了か、を識別することはできない。
そのため、表示部付きICカードを商品等に装着することも考えられるが、例えば、電子部品(抵抗器、コンデンサ等)等の小形商品への装着は不適である。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、電子部品等の小形商品への装着が可能であり、かつ所定の情報を表示可能なRFIDタグを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るRFIDタグでは、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
第1の発明は、RFIDタグが、非接触で記録情報の書き換えが可能なICチップと、前記ICチップ上に重ねて配置されると共に、該ICチップに記憶された情報に関する情報を表示する表示部と、を備えるようにした。
この発明によれば、ICチップの動作状況を目視することが可能であるにも関わらず、極めて小さく形成されるので、小さな物品等に取り付けて使用することが可能となる。
【0006】
また、前記ICチップが、情報の送受信を行うアンテナを内蔵するものでは、外部アンテナがないので、RFIDタグの小形化を図ることができる。
また、前記表示部が、前記ICチップと略同一形状であるものでは、更にRFIDタグの小形化を図ることができる。
また、前記表示部が、電気泳動表示デバイスであるものでは、電力の供給なしに所定の表示を維持しつつけることが可能となる。また、RFIDタグに可撓性を備えさせることが可能となり、曲面等に取り付けることができる。
【0007】
第2の発明は、非接触で記録情報の読出し書き換えが可能なRFIDタグの製造方法において、ICチップと表示デバイスとを重ね合わせる工程と、重ね合わされた前記ICチップと前記表示デバイスの側面に、インクジェット法により導電性材料を吐出し、前記ICチップと前記表示デバイスとを電気的に導通させる配線を形成する工程と、を有するようにした。
この発明によれば、別々に製造したICチップと表示デバイスとの電気的接続を容易に確保することができる。また、ICチップと表示デバイスの接着を確実にすることができ、小形であるにも関わらず、ICチップの動作状況を目視することが可能なRFIDを得ることができる。
【0008】
第3の発明は、RFIDタグを用いた在庫管理システムにおいて、在庫管理がなされる物品に装着するRFIDタグとして、第1の発明のRFIDタグを用いるようにした。
この発明によれば、物品に取り付けたRFIDタグに記憶した情報を所定の読取装置で読み取って在庫管理を行う際に、在庫管理処理が行われた物品に取り付けたRFIDの表示部に所定の表示を行わせることにより、処理が完了した物品を目視確認することが可能となる。これにより、重複作業や作業もれを防止することができる。
また、前記物品が、電子部品であるものでは、小形で大量の電子部品であっても在庫管理の状況を目視確認できるので、作業の効率化が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明のRFIDタグの第1実施形態について図を参照して説明する。
〔RFID〕
図1は、本実施形態のRFIDタグを示す斜視図である。図2は、ICチップの構成を示す概念図である。図3は、電気泳動表示デバイスの構成を示す断面図である。
RFID10は、ICチップ11と、電気泳動表示デバイス(表示素子、Electro Phoretic Display、以下、EPD12と称する。)とを備えるタグである。そして、RFID10は、ICチップ11の上面にEPD12が重ねて合わせて配置された構造となっており、RFID10の側面(重ね合わせたICチップ11とEPD12の側面)にICチップ11とEPD12を導通する配線20が設けられている。
【0010】
ICチップ11は、演算処理部11a、記憶部11b、送受信部11c、当該ICチップ11に電力を供給する電源部11d、後述するリーダライタ30との間で情報の送受信(通信)を行うアンテナ11e等を備える。
記憶部11bには、書き換え不可能な記憶領域と、書き換えが可能な記憶領域が設けられている。書き換え不可能な記憶領域には、予め個別のID番号が記憶されている。また、書き換えが可能な記憶領域は、RFID10の使用用途に応じて、例えば数百から数十バイト程度の容量が与えられる。
また、アンテナ11eは、ICチップ11内に形成(内蔵)されたコイル状部材であって、後述するリーダライタ30との間で情報の送受信(通信)を行うためのものである。すなわち、アンテナ11eは、RFID10を使用する際に、リーダライタ30と電磁的に入出力信号を送受信するものである。
このように、RFID10は、アンテナ11eがICチップ11内に内蔵されるので、外部アンテナを用いた場合に比べて、非常に小さく形成される。例えば、ICチップ11自体の大きさは、数ミリ角程度の大きさに形成される。
また、ICチップ11の側面には、演算処理部11aに接続する端子部11fが外部に露出するように形成される。この端子部11fは、ICチップ11の上面に配置されるEPD12と電気的に接続される端子である。
【0011】
EPD12は、図3に示すように、可撓性を有するプラスチック基材15上に、電極フィルム16d、電気泳動表示層16c、電極フィルム16b及びこの表示部を保護する表面保護層16aが積層されて構成されている。なお、表面保護層16aは省略することも可能である。
電極フィルム16bは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド等の寸法安定性の優れた透明なプラスチックフィルムに電極が形成されているものである。電極フィルム16dも同様な基材の電極が形成されてなるものであるが、必ずしも透明性は要求されない。なお、電極フィルム16bと電極フィルム16dとは、上下導通電極16fにより導通される。
電極フィルム16bは、全面に同一の電位がかかる共通電極となり、一方、電極フィルム16dにはアクティブマトリックス電極或いはセグメント電極等が形成されて駆動電極となる。
なお、電極フィルム16dの側面には、外部に露出するように端子部16gが形成される。
【0012】
電気泳動表示層16cを形成するマイクロカプセル16は、アラビアガム・ゼラチンの複合膜、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、尿素樹脂等をカプセル殻とし、カプセル殻の作製方法としては、界面重合法、in−situ重合法、相分離法、界面沈殿法、スプレードライング法、等の公知のマイクロカプセル化手法を採用することができる。内部には泳動粒子と分散媒が封入される。
【0013】
泳動粒子としては有機あるいは無機の粒子(高分子あるいはコロイド)が用いられる。たとえば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の白色顔料、モノアゾ、ジイスアゾン、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、アンチモン等の黄色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドンレッド、クロムバーミリオン等の赤色顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、アントラキノン系染料、紺青、群青、コバルトブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料等の1種又は2種以上を用いることができる。分散媒としては無色または染料により染色された水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等の各種エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ぺンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロへキサン、メチルシクロへキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等の長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩又はその他の種々の油類等の単独又はこれらの混合物に界面活性剤等を配合したものを用いることができる。
【0014】
電気泳動は、電気泳動粒子は予め正または負に帯電させられており、また、分散媒と電気泳動粒子とは、互いに異なる着色がなされている。例えば白の粒子である酸化チタンを正電荷に、一方黒の粒子であるカーボンブラックを負電荷にした場合、二つの電極フィルム16b,16dに電界を印加して、電極フィルム16bが負極、電極フィルム16dが正極になると、正に帯電した白の粒子が電極フィルム16b側に引かれ、黒の粒子が電極フィルム16d側に引かれるので、電極フィルム16bを透明電極としておくことにより、電極フィルム16b側の上方から観察すると、その部分が白く見えるようになる。逆に、電極フィルム16bが正極、電極フィルム16dが負極になった場合には、正に帯電した白の粒子が電極フィルム16d側に引かれ、黒の粒子が電極フィルム16b側に引かれるので、電極フィルム16bの上方から観察するとその部分が黒く見える。
【0015】
EPD12は、上述したマイクロカプセル16を多数有しているので、電極フィルム16b,16dの各アドレス電極の電界を制御することで、所望の文字、数字、或いは記号を白黒画素、或いはカラー画像で表示させることが可能となっている。本実施形態においては、EPD12は、ICチップ11上に配置されるので、ICチップ11と略同一形状、すなわち数ミリ角程度の大きさに形成される。したがって、EPD12に表示できる文字等には限度がある(視認性が悪い)。
そこで、例えば、数桁の数字のみを表示させたり、或いは、単に白色表示と黒色の表示とを切り替えたりする。カラー画像の場合には、白表示と赤表示を切り替える。又は黒表示と青表示を切り替える。
このように、EPD12に単純な表示のみを行わせる。EPD12に、文字、数字や色の変化を表示することにより、RFID10に何らかの処理が行われていることが外部から認識可能となる。
なお、数字や文字を表示させる場合には、視認性を確保するために、EPD12の大きさをICチップ11よりも大きくしても構わない。
【0016】
なお、マイクロカプセル16をアクティブマトリックス駆動法で駆動する場合は、電極フィルム16dは画素電極として画素毎に独立してパターニングされ、不図示の薄膜トランジスタ、信号電極、および走査電極を併設し、電極フィルム16bは光透過性基材上に一様に形成された透明な共通電極とする。この場合、電極フィルム16bを共通電極にすると全面同一電位になるので(例えば電位をゼロとする)、電極フィルム16d側の各アドレス電極の電界を制御(正または負の電位を与える)することで、上述した原理に基づき電極位置のマイクロカプセル16内の粒子を移動させ、所望の画像を表示させることができる。同様に、電極フィルム16dを共通電極とし、電極フィルム16b側の各アドレス電極の電界を制御することで、電極位置のマイクロカプセル16内の粒子を移動させることで所望の画像を表示させるようにしてもよい。
【0017】
時分割駆動の場合は、電極フィルム16b、16dは互いに直交するライン状のITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)等の透明導電体からなる透明電極により構成され、両電極の交わる領域にマイクロカプセル16を配置する。
駆動方式は上述したものに限定されず、用途に応じて最適なものを選択すればよい。また、マイクロカプセル16の径は、種々のものを採用することが可能である。
このようなEPD12は、表示画像を記憶するメモリ性を有している。具体的には、電極フィルム16b,16dの間に電圧を一度付与するだけで、EPD12の画像は保持され、電圧が付与されていない状態で表示画像が残るようになっている。従って、一度表示した画像を電源が切れても保持するという特性を有し、低消費電力が実現可能となっている。
【0018】
EPD12においては、薄膜トランジスタを利用することにより電気泳動表示層16cに電圧を付与している。このような薄膜トランジスタは、SUFTLA(登録商標:Surface Free Technology by Laser Ablation/Annealing)等の剥離転写技術によりプラスチック基材15に形成されたものである。具体的には、耐熱性に優れ、透明性を有する、例えばガラス基板上に低温ポリシリコンTFTを予め形成し、その後、レーザー照射によって所定の薄膜トランジスタを剥離し、当該薄膜トランジスタをプラスチック基材15上に転写して形成するものである。このような技術を用いることにより、従来まではガラス基板のような硬くて耐熱性を有する基板のみにしか形成することができなかった薄膜トランジスタを、例えばガラス基板よりも耐熱性が劣るような、プラスチック板に転写形成することが可能となる。
従って、柔軟性を有するプラスチック基材15等に容易に薄膜トランジスタを形成することが可能となり、EPD12を備えると共に可撓性を有するRFID10が実現可能となる。
【0019】
このような構成を備えるICチップ11は、アンテナ11eを介してリーダライタ30との間で情報の送受信(通信)を行うと共に、演算処理部11aからの指令に基づいてリーダライタ30から得た情報を記憶部11bに記憶し、更に、その情報に関する所望の文字、数字或いは記号をEPD12に情報表示させる。また、同時に、記憶部11bに予め記憶している個別ID番号をリーダライタ30に送信するようになっている。
【0020】
[製造方法]
次に、RFID10の製造方法について説明する。
上述したICチップ11とEPD12とは、別々に製造される。それぞれの製造方法については、従来と同様であるので説明を省略する。
ICチップ11とEPD12とは、その大きさ(上面の面積)が略同一に形成される。そして、ICチップ11とEPD12とを重ね合わせることにより、RFID10が形成される。
具体的には、まず、ICチップ11の上面に絶縁性を有する接着剤を塗布して接着層25を形成する。例えば、エポキシ系接着剤を用いることができる。なお、接着剤はインクジェット法で吐出して接着しても良い。
そして、ICチップ11の上にEPD12を重ね合わせる。
次に、重ね合わせたICチップ11とEPD12の側面に、インクジェット方式等を用いて、導電性材料を配置する。ICチップ11とEPD12のそれぞれの側面には、予め端子部11f,16gが形成されているので、重ね合わせたICチップ11とEPD12の側面に端子部11fと端子部16gとを電気的に動通させるように導電性材料を配置することにより、ICチップ11とEPD12との導通が図られる。
そして、導電性材料を固化するために、乾燥処理を行う。導電性材料が固化させることにより、ICチップ11とEPD12とを導通する配線20が形成される。この配線20は、ICチップ11とEPD12とを接着する機能も備える。
なお、ICチップ11とEPD12とが一体となって形成されたRFID10は、そのまま使用してもよいが、透明なカバー樹脂で覆ったり、カバーフィルムで挟んで保持したりしてもよい。更に、複数枚の透明な保護フィルム等に挟んで保持してもよい。カバーフィルムとしては、有色または無色透明なプラスチック、例えばポリビニルカーボネート(PVC)や耐熱性PVC、非結晶性ポリエステル樹脂(PET−G)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が使用できる。保護フィルム上には、印刷を行っても良い。保護フィルムに反射防止や防湿、耐引っ掻き性等の機能を付与しても良い。
【0021】
[在庫管理システム]
次に、上述したRFID10を用いた在庫管理システムについて説明する。
図4は、在庫管理システムの動作を示すフローチャート図である。なお、本実施形態では、RFID10を抵抗器やコンデンサ等の電子部品に貼り付けて、この電子部品の在庫管理を行う場合を例にして説明する。
【0022】
RFID10を用いて電子部品の在庫管理を行う場合には、各RFID10を在庫の管理を行う電子物品に取り付ける。例えば、抵抗器やコンデンサにRFID10を一つずつ取り付ける。
なお、電子部品に取り付ける各RFID10のICチップ11には、予め個別のID番号が記憶させておく。また、各RFID10のEPD12は、初期状態(無表示状態)である。
更に、各RFID10の個別のID番号は、在庫管理システムを統括制御するホストコンピュータの記憶部に予め記憶されており、そのID番号と共にID番号に対応させて各電子部品に関する各種情報(製品情報、製造日時等)もホストコンピュータの記憶部に記憶させておく。
【0023】
次に、在庫管理、例えば棚卸を行う際には、棚卸作業者は、RFID10が取り付けられた電子部品の近傍に、リーダライタ30を近づける。すると、リーダライタ30は、電子部品に取り付けた各RFID10と通信を開始して、各RFID10のICチップ11に記憶された個別ID情報を読み取る(ステップS1)。
リーダライタ30に読み取られた個別ID情報は、ホストコンピュータに送られて、ホストコンピュータの記憶部に記憶されたID番号と照合される(ステップS2)。そして、照合により同一のID番号が存在すると判断された場合には、既に棚卸処理が完了している電子部品か否かを判断する(ステップS3)。なお、リーダライタ30に照合データが記憶されている場合は、個別ID番号の照合をリーダライタ30で行うことも可能である。
そして、未処理の場合にのみ、ホストコンピュータは、ID番号に対応して記憶されている電子部品の製品情報に、棚卸完了情報を追加する(ステップS4)。
【0024】
ホストコンピュータは、電子部品の製品情報に棚卸完了の情報を記憶すると、同時に、リーダライタ30に向けて、棚卸が完了したID番号と棚卸完了情報とを送信する。そして、再びリーダライタ30は、各電子部品に取り付けたRFID10と通信を開始する(ステップS5)。
【0025】
すると、各RFID10では、リーダライタ30からのID番号を受信して、自己のID番号と受信したID番号が一致するか否かを照合する(ステップS6)。そして、同一のID番号を受信した場合には、棚卸完了情報を更に受信して、その情報を記憶部11bに記憶する。
そして、棚卸完了情報が記憶部11bに記憶されると、演算処理部11aは、EPD12に指令して、所定の情報を表示させように指令する。
演算処理部11aからの指令を受けたEPD12は、例えば、表示領域を白色から黒色に変化させる、或いは白色から赤色に変化させる等の所定の表示を行う(ステップS7)。
【0026】
このように、棚卸処理が完了した電子部品では、取り付けたRFID10のEPD12に所定の文字や色が表示されるので、作業者は、棚卸処理が完了した電子部品と未完了の電子部品とを容易かつ確実に見分けることが可能となる。
このため、作業者が、リーダライタ30を近づけてID番号を読み取る作業を、誤って重複して行ったり、或いは作業し忘れたりすることを容易に回避することができる。つまり、重複作業や作業もれを確実に防止できるので、効率よく棚卸を行うことが可能となる。
【0027】
なお、上述した実施形態では、EPD12の表示領域の色を変化させる場合について説明したが、所定の数字や文字を表示して、その文字により作業状態を表すことも可能である。例えば、1月の棚卸が完了した場合には、EPD12が「1」を表示するようにしてもよい。
【0028】
また、電子部品の在庫数に応じた数を、EPD12に表示してもよい。例えば、在庫数をカウントして、100番目までの在庫品にはEPD12に赤色を表示させ、200番目までの在庫品には緑色を、300番目までの在庫品には青を表示するようにしてもよい。
同様に、例えば、100番までの在庫品には「1」を、200番までの在庫品には「2」を、300番までの在庫品には「3」を表示するようにしてもよい。
【0029】
以上、説明したように、RFID10を用いた在庫管理システムでは、在庫管理処理が完了すると、その物品に取り付けたRFID10のEPD12の表示が変化するので、在庫管理処理が完了した部品と未完了の部品とを容易かつ確実に見分けることが可能となる。したがって、在庫管理処理の重複作業や作業もれを確実に防止でき、効率よく在庫管理処理の作業を行うことが可能となる。
また、RFID10が極めて小形であるので、電子部品等の小形物品にも好適に取付けることができる。
【0030】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲においてプロセス条件や設計要求等に基づき種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】RFIDタグを示す斜視図である。
【図2】ICチップの構成を示す概念図である
【図3】電気泳動表示デバイスの構成を示す断面図である。
【図4】在庫管理システムの動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0032】
10…RFID(RFIDタグ)、 11…ICチップ、 11e…アンテナ、 12…EPD(表示部、電気泳動表示デバイス、表示デバイス)、 20…配線



【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触で記録情報の書き換えが可能なICチップと、
前記ICチップ上に重ねて配置されると共に、該ICチップに記憶された情報に関する情報を表示する表示部と、を備えるRFIDタグ。
【請求項2】
前記ICチップは、情報の送受信を行うアンテナを内蔵することを特徴とする請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記表示部は、前記ICチップと略同一形状であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記表示部は、電気泳動表示デバイスであることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【請求項5】
非接触で記録情報の読出し書き換えが可能なRFIDタグの製造方法において、
ICチップと表示デバイスとを重ね合わせる工程と、
重ね合わされた前記ICチップと前記表示デバイスの側面に、導電性材料を吐出配置して、前記ICチップと前記表示デバイスとを電気的に導通させる配線を形成する工程と、
を有することを特徴とするRFIDタグの製造方法。
【請求項6】
RFIDタグを用いた在庫管理システムにおいて、
在庫管理がなされる物品に装着するRFIDタグとして、請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のRFIDタグを用いることを特徴とする在庫管理システム。
【請求項7】
前記物品は、電子部品であることを特徴とする請求項6に記載の在庫管理システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−209297(P2006−209297A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−17931(P2005−17931)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】