RFIDタグ
【課題】蓋体の装着間違いを防止できてIDの不一致を防止でき、しかも、全体のコンパクトさを維持でき、さらに電池交換作業も容易とする。
【解決手段】連結部材23を、弾性変形可能な薄肉な短冊状の連結部材から構成し、この連結部材23の一端部23iがケース本体3のコーナー部3cの内面に連結され、蓋体4が開口6fを閉塞する状態において、連結部材23の一端部23iから他端部23t方向へ延びる途中部が、一方の側板部3iの内面に沿って立ち上がりつつ蓋体4の裏面近くにおいてケース本体3の一方の側板部3iとは反対の他方の側板部方向3tへ湾曲し、且つ連結部材23の他端部23tが、蓋体4の裏面のうち蓋体4の中心よりは他方の側板部3t方向に寄った部分で当該蓋体4に連結される構成とした。
【解決手段】連結部材23を、弾性変形可能な薄肉な短冊状の連結部材から構成し、この連結部材23の一端部23iがケース本体3のコーナー部3cの内面に連結され、蓋体4が開口6fを閉塞する状態において、連結部材23の一端部23iから他端部23t方向へ延びる途中部が、一方の側板部3iの内面に沿って立ち上がりつつ蓋体4の裏面近くにおいてケース本体3の一方の側板部3iとは反対の他方の側板部方向3tへ湾曲し、且つ連結部材23の他端部23tが、蓋体4の裏面のうち蓋体4の中心よりは他方の側板部3t方向に寄った部分で当該蓋体4に連結される構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池を内蔵したRFIDタグに関する。
【背景技術】
【0002】
ID(識別)情報等を保有するRFID(RadioFrequency IDentification)タグは、読取機(リーダライタ)と、電磁界や電波などを用いた近距離の無線通信でID情報などのやりとりを行う。このRFIDタグには、ケース本体内に、電池と、この電池を電源として自発的に電波を発信するアクティブ(能動型)ID発信器とを内蔵したものがあり、このタイプのRFIDタグは、通信距離が長く、このため、タグをリーダライタに近接させなくても、その近くを移動するのみでID認証ができる利点があり、又、動く対象(人やバッグなど)につけて、位置情報の管理などにも好適する。そして、このように動く人が携帯したり、動く物品に付帯させたりするから大きさも極めて小さい。
【0003】
一方、上述のRFIDタグでは、電池が切れたときの緊急対応のために、電池が不要なパッシブ(受動型)ID発信器を備えており、電池が切れたときには、RFIDタグを前記読取機に近接させることで、この読取機から電磁誘導などで電源を得て当該パッシブID発信器を作動させてID認証をさせるようにしている。
【0004】
上述のパッシブID発信器は、RFIDタグ自体の大きさが小さいため、アクティブID発信器が既に備えられているケース本体内に設け難い事情にあり、そこで、ケース本体内の前記電池を交換するための蓋体に、当該パッシブID発信器を取り付けている。なお、ケース本体に蓋体を備えている構成としては例えば特許文献1がある。
【0005】
ここで、上述のRFIDタグは、例えば建物への入退室を管理する鍵システムに使用される場合、複数人が夫々異なるIDを備えたRFIDタグを携帯することになる。この場合、複数の各人が携帯するRFIDタグは、製造性及び製造コストの面から基本的に同じ大きさ及び同じ形であり、又、携帯を考慮してコンパクトである。そして、このRFIDタグでは、常時電池が消費されるから電池交換は必須のことであり、この場合、複数のRFIDタグをまとめて電池交換することがある。このとき、各RFIDタグの蓋体を開けて電池を交換し、再度蓋体を取付けることを行うが、蓋体を、これがもともと装着されていたRFIDタグのケース本体とは別のケース本体に取り付けてしまうと、蓋体自体及びケース本体自体が夫々同じ外見をしているから、蓋体の取付け間違いに気付かないことも起こり得る。この場合、一方のRFIDタグで蓋体取付間違いがあると他方のRFIDタグも蓋体取付間違いとなる。
【0006】
このような蓋体の取付間違いがあった場合、間違えた方のRFIDタグでも、間違えられた方のRFIDタグでも、電池で駆動するアクティブID発信器は各携帯者対応のIDで問題なく長時間機能するから、これらのRFIDタグの各携帯者が、蓋体の取付間違いに長時間気が付かないまま使用することになる。ところが途中で万が一、一方のRFIDタグを紛失すると、当該RFIDタグのアクティブID発信器のIDの認証停止措置をすることになる。すると、蓋体装着間違いの他方のRFIDタグのパッシブID発信器のIDが失効し、緊急対応時において、ID認証ができない事態が考えられる。このような事態は、緊急時であるだけに極力避けなければならない。
【0007】
上述のような蓋体取付間違いは、具体的には、次のようなケースが起きると考えられる。例えばRFIDタグを使用したホームセキュリティシステムにおいて、複数の家族が同時に電池交換する場合や、オフィスの入退室管理において、従業員等が同時に電池交換する場合に蓋体取付間違いが起きる可能性がある
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−97958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、ケース本体にアクティブID発信器を備えると共に電池を備え、蓋体にパッシブID発信器を備えたRFIDタグにおいては、電池交換時における蓋体の装着間違いは極力避けなければならない。
【0010】
そこで、蓋体の装着間違い防止策を考えた場合、当該蓋体をケース本体に連結手段により連結しておけば良いことは容易に推考できる。この連結手段の具体案としては、ヒンジを用いる構成や、紐などの連結部材を用いる構成が考えられる。前記ヒンジを用いる構成では、そのヒンジ部をRFIDタグ内部に設け得るスペースはないから、ヒンジをタグ外部が突出する構成となってしまい、RFIDタグのコンパクトさが維持できない。これに対して、紐の場合もある程度の太さをもっているから、タグ内部に配置できない。
【0011】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、蓋体の装着間違いを防止できて一つのRFIDタグでのアクティブID発信器とパッシブID発信器のIDの不一致事態の発生を防止でき、しかも、全体のコンパクトさを維持でき、さらに電池交換作業も容易であるRFIDタグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、次の点を考慮してなされたものである。すなわち、蓋体をケース本体にヒンジや紐で連結することは、蓋体の装着間違いを防止するといった所期目的を達成できるものであるが、これらヒンジや紐などの連結部材を用いる構成では、既述したように、RFIDタグのコンパクトさが維持できないし、電池交換のときに当該蓋体が邪魔になるおそれもある。
【0013】
そこで、本発明者では、フィルム状部材からなる連結部材として用いることを考えた。この連結部材は、かなりの薄さが期待できるから、蓋体閉塞時において、当該連結部材がケース本体内に収容配置されたとしても、スペース的に何の問題もなく、コンパクトさを維持できる。
【0014】
ところが、この連結部材を使用すると、非常に薄いが故に、蓋体を閉塞するときに当該連結部材を蓋体縁部でケース本体の開口縁部に挟み込んだまま蓋体を閉塞してしまうおそれがあり、次に蓋体を開放したときには当該連結部材が切断されて蓋体がケース本体から分離してしまう。これを防止するために連結部材の長さを短めに設定すると、蓋体を開放したときに当該蓋体がケース本体の開口部の一部にかかってしまい、電池交換の邪魔になるおそれがある。
【0015】
この点を考慮した本願請求項1のRFIDタグにおいては、まず、蓋体をケース本体に連結部材により連結する構成としたから、複数のRFIDタグを、同時に電池交換する場合に、パッシブID発信器を備えた蓋体を、別のIDを発信するアクティブID発信器を備えたケース本体に間違って取付けることはない。従って、一つのRFIDタグにおいてアクティブID発信器とパッシブID発信器のIDが不一致となることはない。
【0016】
さらに、本願請求項1では、前記連結部材を、弾性変形可能なフィルム状部材からなる連結部材から構成し、この連結部材の一端部が前記ケース本体おいて対向する両側板部のうち一方の側板部と底板部とのコーナー部の内面に連結され、前記蓋体が前記開口を閉塞する状態において、当該連結部材の前記一端部から他端部方向へ延びる途中部が、前記一方の側板部内面に沿って立ち上がりつつ前記蓋体の裏面近くにおいて前記ケース本体の前記一方の側板部とは反対の他方の側板部方向へ湾曲し、且つ当該連結部材の前記他端部が、前記蓋体の裏面のうち当該蓋体の中心よりは前記他方の側板部方向に寄った部分で当該蓋体に連結される構成とした。
【0017】
上述した構成においては、使用者が電池交換のために蓋体をケース本体から取り外した場合、当該蓋体に対するケース本体の拘束が無くなるから、連結部材がその弾性力により湾曲変形から直線状に復元しようとしてケース本体の一方の側板部に沿って起立するように変形する。そして、その勢いのまま、この連結部材の他端部に連結された蓋体の全体も、ケース本体3の一方の側板部から外の方向へ移動し、そして、蓋体はその中心より他方の側板部に寄った部分で連結部材により連結支持された形態であるから、前記蓋体における少なくとも半分の部分が一方の側板部からはみ出た状態となり、そして当該一方側蓋部分にある重心による偏荷重が連結部材に作用し、この偏荷重が連結部材をさらに前記はみ出し方向へ湾曲するように変形させることで、蓋体自身もさらに前記はみ出し方向へ移動する。しかも、この場合、連結部材の長さが、一方の側板部と底板部とのコーナー部から蓋体の中心よりは他方の側板部方向に寄った部分まで延びた長さであるから、蓋体がケース本体の開口から十分に離れ(この離れた位置を退避位置という)、当該蓋体及び連結部材が電池交換の邪魔になることはない。
【0018】
そして、電池交換後、再び蓋体をケース本体に取付ける場合、使用者が、蓋体を前記退避位置から、開口閉塞位置方向へ移動させるが、この場合、蓋体の移動により連結部材がその移動方向へ湾曲してゆき、この連結部材に連結された蓋体は、この連結部材の長さ以上に移動できない位置で適正な開口閉塞位置となる。この後、蓋体をケース本体に取り付けるが、前記連結部材はケース本体内の一方の側板部内面から蓋体裏面の途中部分までしか存在しないから、当該連結部材が蓋体縁部でケース本体の開口縁部に挟み込まれることもない。
【0019】
請求項2のRFIDタグは、連結部材の他端部に、前記ケース本体の前記一方の側板部方向へ折り返された折り返し辺部が設けられ、この折り返し辺部が当該蓋体裏面に固着されることにより、前記連結部材の他端部が当該蓋体裏面に連結されていることを特徴とする。これによれば、蓋体が開放されたときに、連結部材の他端部が折り返されている分だけ、蓋体の前記退避位置で、蓋体の前記一端部が他端部より低くなる傾斜状態となり、この結果、この蓋体を再取付けする場合に、当該傾斜状態の蓋体の表面を他方の側板部方向へ指で押し操作すれば、自ずと適正な開口閉塞位置に蓋体を移動させることができ、閉蓋作業が容易となる。
【0020】
又、請求項3のRFIDタグは、連結部材の一端部に、長手方向に延びる両辺縁部から夫々横方向へ突出する二つの突片部が設けられ、ケース本体における一方の側板部には、連結部材の前記突片部を係止して当該連結部材の開口方向への抜けを防止する2つの係止部が横方向に並んで形成され、前記突片部が前記係止部に係止されることにより、前記連結部材の一端部が前記ケース本体に連結されていることを特徴とする。
【0021】
連結部材の一端部をケース本体に連結する場合、当該連結部材の一端部を例えば接着剤あるいは両面テープで接着する方法があるが、この場合、蓋体の開放時に連結部材が不用意に上方向に引っ張られるおそれがあることを考慮すると、接着面積を上下方向で広くして接着強度を確保することが必須であるが、ケース本体はそもそも薄型であるため、上下に広い接着スペースをとることは困難である。
【0022】
この点上述の請求項3では、いずれも上下方向には大きくはない、横方向に並んだ係止部と、連結部材から横方向に突出する突片部とで、連結部材の一端部をケース本体に連結するから、上下方向の広いスペースを必要とすることなく連結部材をケース本体に連結できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態におけるRFIDタグの縦断正面図
【図2】RFIDタグの分解斜視図
【図3】蓋体係止部分を示すためのRFIDタグの縦断正面図
【図4】連結部材の一端部の係止部分の拡大斜視図
【図5】閉蓋状態における連結部材の他端部の拡大断面図
【図6】蓋体開放時の様子を示す縦断側面図
【図7】蓋体閉塞時の様子を示す縦断側面図
【図8】本発明の第2実施形態を示す図5相当図
【図9】図6相当図
【図10】図7相当図
【図11】本発明の第3実施形態を示す図5相当図
【図12】図7相当図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の第1実施形態について図1ないし図7を参照して説明する。なお、図1及び図2には、この実施形態でのRFIDタグの前後、左右の方向を矢印で示している。図1ないし図3において、第1実施形態のRFIDタグ1の筐体2は、ケース本体3と蓋体4とから構成されている。ケース本体3は、下ケース5と上ケース6とから構成されている。下ケース5は矩形状をなし、底板部5a(図1、図3参照)と、左右の下側板部5b、5cと、前後の下側板部5d、5eとを有して構成されている。又上ケース6は天板部6aと、左右の上側板部6b、6cと、前後の上側板部6d、6eとを有して構成されている。前記天板部6aにはほぼ円形の開口6fが形成されている。
【0025】
この下ケース5と上ケース6とは、その4つの角部同士がねじ止めされることにより一体化されて、ケース本体3を構成している。なお、図示しないが、上ケース6上面にはねじ用座ぐりが形成されていて、このねじ止めに使用されるねじが上ケース6の天板部6aから突出しないようになっている。
上記ケース本体3において左下側板部5b及び左上側板部6bは一方の側板部3iを構成し、右下側板部5c及び右上側板部6cは他方の側板部3tを構成している。
【0026】
図1、図2及び図4に示すように、ケース本体3の一方の側板部3iと底板部5aとのコーナー部3c(図1参照)の内面(前記上ケース6においては左上側板部6bの内面)には、横方向に並んでリブ状の係止部7A、7Bが垂直状態に形成されている。この係止部7A、7Bにおいて左上側板部6bから離れた部分が下方に突出している。この突出部を夫々符号7Aa、7Baで示す。
そして、天板部6aにおいてこの係止部7A、7B間における部分は後述の連結部材23を挿通するための開放部6gとなっており、前記開口6fと連通している。
【0027】
さらに、図2に示すように、天板部6aの開口6fには右上側板部6c近くまで延びる凹部8、8が形成されており、この凹部8、8の奥端部が一方の蓋係止部9、9を構成している。さらに、天板部6aにおける左上側板部6b近くには矩形の孔部10、10が形成されており、この孔部10、10の一つの辺縁部で他方の蓋係止部11、11を構成している。
又、図1に示すように、天板部6aの左端には傾斜状の蓋開放用操作部6sが形成されており、蓋体4との間で蓋開放のための隙間を形成するようになっている。
【0028】
前記ケース本体3内にはアクティブID発信器12が配設されており、このアクティブID発信器12は、基板13にID記憶部やID発信部などのICを実装して構成されており、左下側板部5b近くの部分に例えばLEDを保持するためのホルダ14を装着している。前記LEDは例えばリーダライタと通信していることを点灯表示し、或いは電池残量が少なくなったことを点灯表示する。前記ホルダ14は前記係止部7A、7Bの間に入る位置関係にある。
【0029】
そして、前記基板13にはボタン型の電池15を保持するための電池ホルダ16A、16Bが取り付けられている。一方の電池ホルダ16Aは、剛性が高い合成樹脂製で、他方の電池ホルダ16Bは電極を兼ねており、導体金属からなる板ばねで構成されており、この他方の電池ホルダ16Bを弾性変形させて電池15を着脱する。
電池15は上述のように電池ホルダ16A、16Bにより保持されることによりケース本体3内に収容配置されており、この配置状態で前記開口6fがこの電池15と対応している。なお、この開口6fは電池15の交換性を考慮して該電池15より大きく設定されている。
【0030】
一方、前記蓋体4は、矩形板状をなし、当該蓋体4の裏面には、前記一方の蓋係止部9、9に対応する部位にL字状の係合片17、17が形成され、又、前記孔部10、10(他方の蓋係止部11、11)に対応する部位に係合爪部18、18が形成されている。
【0031】
さらのこの蓋体4の裏面には円形の凹部4aが形成されており、この凹部4aに薄型のパッシブID発信器19が接着されている。このパッシブID発信器19は薄肉なフィルム状基板20にアンテナ21及びIC22を実装して構成されており、このIC22にはID記憶部やID発信部が含まれている。
【0032】
さらに、この蓋体4をケース本体3に繋ぐために連結部材23の両端部がそれぞれケース本体3及び蓋体4に連結されている。この連結部材23は、弾性変形可能なフィルム状部材から短冊状に形成されており、フィルム状部材としては、合成樹脂製フィルム例えばPETフィルム(ポリエチレンテレフタレート・フィルム)を用いているが、これ以外、ポリカーボネート・フィルムや、塩化ビニル・フィルムなどがある。又、このフィルムとしては薄肉なシートも含まれる。この連結部材23は特段の折曲げ(折り返し)付与をしない限りは直線性を保持しようとするものである。
【0033】
この連結部材23の主体部23aの一端部23i(図2、図4では下端部)には、長手方向に延びる主体部23aの両辺縁部から夫々横方向へ突出する二つの突片部24A、24Bを有し、一方の突片部24Aの先端部には上方へ若干突出する突出部24Aaを有する。この突出部24Aaと前記主体部23aとの間に凹状部24Abが形成されている。
【0034】
図4に示すように、前記突片部24A、24Bが前記係止部7A、7Bに係止されることにより、前記連結部材23の一端部23iが上方向への動き及び右方向への動きを規制され、左方向への動きは一方の側板部3iで規制され、さらに、突片部24Aの凹状部24Abが係止部7Aに嵌合する形態となるから、連結部材23の前後方向の動きも規制され、もって、連結部材23の一端部23iは前記ケース本体3の一方の側板部3iと底板部5aのコーナー部3cの内面(この場合一方の側板部3i)に連結されている。なお、当該連結部材23の一端部23iは一方の側板部3iと前記ホルダ14との間にあって、これら一方の側板部3iと前記ホルダ14とで当該一端部23iが起立状態に規制されている。
【0035】
又、前記連結部材23の主体部23aの他端部23tには、図1及び図5に示すように、前記ケース本体3の前記一方の側板部3i方向へ折り返された幅広な折り返し辺部25が設けられ、この折り返し辺部25の全体が当該蓋体4裏面(パッシブID発信器19)に例えば接着材により接着されて固着されることにより、前記連結部材23の他端部23tが当該蓋体4裏面に連結されている。
前記蓋体4は前記係合片17、17を一方の蓋係止部9、9の下側に係合させ、そして係合爪部18、18を孔部10、10に挿入して他方の蓋係止部11、11に係止させることにより、ケース本体3の前記開口6f部分に取り外し可能に装着されている。
【0036】
前記蓋体4が前記開口6fを閉塞する状態(図1参照)において、当該連結部材23の前記一端部23iから他端部23t方向へ延びる途中部が、一方の側板部3iの内面に沿って立ち上がりつつ開放部6gを通り、蓋体4の裏面近くにおいてケース本体3の他方の側板部3t方向へ湾曲し、且つ当該連結部材23の他端部23tが、蓋体4の裏面のうち当該蓋体4の中心(図1に符号Pcを付して示す)よりは他方の側板部3t(蓋体4の他端部4t方向)方向に寄った部分で当該蓋体4に連結されている。
上記連結部材23の他端部23t及び折り返し辺部25は主体部23aより幅広に形成している。
【0037】
上述したRFIDタグ1は、例えば建物への入退室を管理する鍵システムなどに使用され、通常は、アクティブID発信器12が電池15から電源を得て、ID情報を発信して、リーダライタとID認証を行い、鍵のロックやロック解除を行う。又、このアクティブID発信器12は通信距離がパッシブID発信器19よりも長いので、人やバッグに携帯あるいは付帯させて、位置情報の管理などにも使用する。
【0038】
又、前記パッシブID発信器19は、電池15が切れてアクティブID発信器12が機能しない場合といった緊急時に、リーダライタに近接させ、当該リーダライタから電源を得てID認証を行うものである。従って、一つのRFIDタグ1においてはアクティブID発信器12とパッシブID発信器19のIDは同じである。
上述したRFIDタグ1は、一つの鍵システムなどで複数人の家族が夫々携帯する場合、各人においてIDが異なる。
【0039】
さて、上述の実施形態においては、使用者が電池15の交換のために、蓋体4をケース本体3から取り外す場合、まず、蓋開放用操作部6sにより形成された隙間に爪あるいはドライバーを入れて蓋体4を開けると、図6に示すように、当該蓋体4に対するケース本体3の拘束が無くなるから、状態S1を経て、連結部材23がその弾性力により湾曲変形から直線状に復元しようとしてケース本体3の一方の側板部3iに沿って起立するように変形する(状態S2)。そして、その勢いのまま、この連結部材23の他端部23tに連結された蓋体4の全体も、ケース本体3の一方の側板部3iから外の方向へ移動し、そして、蓋体4はその中心Pcより他方の側板部3tに寄った部分で連結部材23により連結支持された形態であるから、前記蓋体4における少なくとも半分の部分4bが一方の側板部3iからはみ出た状態となり、そして当該蓋体4の重心Gによる偏荷重が連結部材23に作用し、この偏荷重が連結部材23をさらに前記はみ出し方向へ湾曲するように変形させることで、蓋体4自身もさらに前記はみ出し方向へ移動する。しかも、この場合、連結部材23の長さが、一方の側板部3内面から蓋体4の裏面のうち当該蓋体4の中心Pcよりは他方の側板部3t方向に寄った部分まで延びた長さであるから、蓋体4がケース本体3の開口6fから十分に離れ(この離れた位置を退避位置(この位置状態を図6の状態S3で示している)という)、当該蓋体4及び連結部材23が電池15の交換の邪魔になることはない。
【0040】
この場合、蓋体4が開放されたときに、連結部材23の他端部23tが折り返されている角度α(図6参照)分だけ、蓋体4の前記退避位置で、蓋体4の一端部4iが他端部4tより低くなる傾斜状態となる(図6の状態S3参照)。
この蓋体4の開放状態において、当該蓋体4は連結部材23によりケース本体3に連結されているから、複数のRFIDタグ1を同時に電池交換する場合においても、蓋体4が間違って別のケース本体3に取付けられることはない。従って、一つのRFIDタグ1においてアクティブID発信器12とパッシブID発信器19のIDが不一致となることはない。
【0041】
そして、電池15の交換後、再び蓋体4をケース本体3に取付ける場合、使用者が、図7に示すように、蓋体4を前記退避位置S3から、開口6f閉塞位置方向へ移動させるが、この場合、蓋体4の移動により連結部材23がその移動方向へ湾曲してゆき(その途中状態を符号Saで示す)、この連結部材23に連結された蓋体4は、この連結部材23の長さ以上に移動できない位置(図7の符号Sbで示す位置)で適正な開口閉塞位置となる。
【0042】
この後、蓋体4をケース本体3に取り付けるが、連結部材23はケース本体3内の一方の側板部3i内面から蓋体4裏面の途中部分までしか存在しないから、当該連結部材23が蓋体4縁部でケース本体3の開口6f縁部に挟み込まれることもない。
【0043】
特に、この蓋体4の取付けに当たっては、前述したように、連結部材23の他端部23tに、一方の側板部3i方向へ折り返された折り返し辺部25を設け、この折り返し辺部25を当該蓋体4裏面に固着したことで、蓋体4が傾斜状態(図7の状態S3)となっているから、当該傾斜状態の蓋体4の表面を図7に示すように他方の側板部3t方向へ指で押し操作すれば、自ずと適正な開口閉塞位置に蓋体4を移動させることができ、閉蓋作業が容易となる。
【0044】
又、上記実施形態においては、連結部材23の一端部23iに、長手方向に延びる主体部23aの両辺縁部から夫々横方向へ突出する二つの突片部24A、24Bを有し、ケース本体3における一方の側板部3iに、連結部材23の前記突片部24A、24Bを係止して当該連結部材23の開口6f方向への抜けを防止する2つの係止部7A、7Bを横方向に並んで形成し、突片部24A、24Bが係止部7A、7Bに係止されることにより、連結部材23の一端部23iをケース本体3に連結した。
【0045】
これによれば、いずれも上下方向には大きくはない、横方向に並んだ係止部7A、7Bと、連結部材23から横方向に突出する突片部24A、24Bとで、連結部材23の一端部23iをケース本体3に連結するから、上下方向の広いスペースを必要とすることなく連結部材23をケース本体3に連結できる。
【0046】
ちなみに、連結部材23の一端部23iをケース本体3に連結する場合、当該連結部材23の一端部23iを例えば接着剤あるいは両面テープで接着する方法があるが、この場合、蓋体4の開放時に連結部材23が不用意に上方向に引っ張られるおそれがあることを考慮すると、接着面積を上下方向で広くして接着強度を確保することが必須であるが、ケース本体3はそもそも薄型であるため、上下に広い接着スペースをとることは困難である。
この点上述した実施形態では、上述したように当該不具合を解消できる。
又、前記実施形態では、連結部材23の他端部23tを幅広に形成したことで、当該部分を折り返しても、この折り返し部分が強度的に弱化することはなく、十分な耐久性を保持できる。
【0047】
次に図7ないし図10は本発明の第2実施形態を示し、この第2実施形態では、連結部材23の他端部23tから先の部分に延出片部26を有し、この延出片部26は折り返されることなく他方の側板部3t側に位置して蓋体4の裏面に接着されている。この実施形態においても、蓋体4が開放されるときには、図9に示すように、当該蓋体4に対するケース本体3の拘束が無くなるから、連結部材23がその弾性力により湾曲変形から直線状に復元しようとしてケース本体3の一方の側板部3iに沿って起立するように変形する(状態S1、S2参照)。そして、その勢いのまま、この連結部材23の他端部23tに連結された蓋体4の全体も、ケース本体3の一方の側板部3iから外の方向へ移動し、そして、蓋体4はその中心Pcより他方の側板部3tに寄った部分で連結部材23により連結支持された形態であるから、前記蓋体4における少なくとも半分の部分4bが一方の側板部3iからはみ出た状態となり、そして当該蓋体4の重心Gによる偏荷重が連結部材23に作用し、この偏荷重が連結部材23をさらに前記はみ出し方向へ湾曲するように変形させることで、蓋体4自身もさらに前記はみ出し方向へ移動する。この結果、蓋体4がケース本体3の開口6fから十分に離れ、当該蓋体4及び連結部材23が電池15の交換の邪魔になることはない。なお、蓋体4は最終的にやや仰向け状態となる(状態S3)。
又、蓋体4をケース本体3に再取付けする場合には、図10の矢印Y1、Y2、Y3のように蓋体4を移動させることになるため、一つの指での操作は行い難いが、この場合蓋体4の前後辺縁部を掴みもって同矢印Y1、Y2、Y3のように当該蓋体4を移動させれば良い。
【0048】
図11及び図12は本発明の第3実施形態を示しており、この第3実施形態では、連結部材23の他端部23tを合成樹脂製の極小のヒンジ27を介して他方の側板部3t側に位置で蓋体4の裏面に接着している。この実施形態においても、蓋体4が開放されるときには、蓋体4の途中姿勢は不定であるが、当該蓋体4に対するケース本体3の拘束が無くなるから、連結部材23がその弾性力により湾曲変形から直線状に復元しようとしてケース本体3の一方の側板部3iに沿って起立するように変形し、その勢いのまま、蓋体4の全体も、ケース本体3の一方の側板部3iから外の方向へ移動し、そして、蓋体4はその中心Pcより他方の側板部3tに寄った部分で連結部材23により連結支持された形態であるから、前記蓋体4における少なくとも半分の部分4bが一方の側板部3iからはみ出た状態となり、そして当該蓋体4の重心Gによる偏荷重が連結部材23に作用し、この偏荷重が連結部材23をさらに前記はみ出し方向へ湾曲するように変形させることで、蓋体4自身もさらに前記はみ出し方向へ移動する。この結果、図12に状態J1、あるいは状態J2で示すように、蓋体4がケース本体3の開口6fから十分に離れ、当該蓋体4及び連結部材23が電池15の交換の邪魔になることはない。
このように本実施形態によれば、蓋体4の装着間違いを防止できてIDの不一致を防止でき、しかも、全体のコンパクトさを維持でき、さらに電池交換作業も容易となる。
【0049】
本発明のRFIDタグは、単に、ケース本体と蓋体とを単に連結部材で繋いだだけのものではなく、アクティブID発信器とパッシブID発信器を備えたRFIDタグにおいて、連結部材として、弾性ある薄肉の連結部材を用い、且つ、連結部材の一端部をケース本体おいて対向する両側板部のうち一方の側板部の内面に連結し、蓋体が開口を閉塞する状態において、当該連結部材の一端部から他端部方向へ延びる途中部が、前記一方の側板部の内面に沿って立ち上がりつつ蓋体の裏面近くにおいてケース本体の前記一方の側板部とは反対の他方の側板部方向へ湾曲し、且つ当該連結部材の前記他端部が、前記蓋体の裏面のうち当該蓋体の中心よりは前記他方の側板部方向に寄った部分で当該蓋体に連結されている構成をとったことで、本発明の前記連結部材により、電池交換時に、外した蓋体を電池交換の邪魔にならない部位に退避させるものである。
【0050】
なお、本発明の実施形態は、上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、ケース本体3は下ケース5及び上ケース6といった二つの部材から構成したが、これは一つの部材から構成しても良く、又、ケース本体3の上面全体が開口していても良い。
連結部材23の一端部23iの連結箇所は、ケース本体3の一方の側板部3iと底板部5aとのコーナー部3cの内面であれば底板部5aでも良い。又、連結部材23の折り返し角度αは適宜変更しても良い。
その他、本発明の実施形態は、要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適宜変更して適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
図面中、1はRFIDタグ、2は筐体、3はケース本体、3cはコーナー部、3iは一方の側板部、3tは他方の側板部、4は蓋体、4bは一方側蓋部分、5は下ケース、6は上ケース、6fは開口、7A、7Bは係止部、9は一方の蓋係止部、11は他方の蓋係止部、12はアクティブID発信器、14はホルダ、15は電池、17は係合片、18は係合爪部、19はパッシブID発信器、23は連結部材、23aは主体部、23iは一端部、23tは他端部、24A、24Bは突片部、25は折り返し辺部、26は延出片部、27はヒンジを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は電池を内蔵したRFIDタグに関する。
【背景技術】
【0002】
ID(識別)情報等を保有するRFID(RadioFrequency IDentification)タグは、読取機(リーダライタ)と、電磁界や電波などを用いた近距離の無線通信でID情報などのやりとりを行う。このRFIDタグには、ケース本体内に、電池と、この電池を電源として自発的に電波を発信するアクティブ(能動型)ID発信器とを内蔵したものがあり、このタイプのRFIDタグは、通信距離が長く、このため、タグをリーダライタに近接させなくても、その近くを移動するのみでID認証ができる利点があり、又、動く対象(人やバッグなど)につけて、位置情報の管理などにも好適する。そして、このように動く人が携帯したり、動く物品に付帯させたりするから大きさも極めて小さい。
【0003】
一方、上述のRFIDタグでは、電池が切れたときの緊急対応のために、電池が不要なパッシブ(受動型)ID発信器を備えており、電池が切れたときには、RFIDタグを前記読取機に近接させることで、この読取機から電磁誘導などで電源を得て当該パッシブID発信器を作動させてID認証をさせるようにしている。
【0004】
上述のパッシブID発信器は、RFIDタグ自体の大きさが小さいため、アクティブID発信器が既に備えられているケース本体内に設け難い事情にあり、そこで、ケース本体内の前記電池を交換するための蓋体に、当該パッシブID発信器を取り付けている。なお、ケース本体に蓋体を備えている構成としては例えば特許文献1がある。
【0005】
ここで、上述のRFIDタグは、例えば建物への入退室を管理する鍵システムに使用される場合、複数人が夫々異なるIDを備えたRFIDタグを携帯することになる。この場合、複数の各人が携帯するRFIDタグは、製造性及び製造コストの面から基本的に同じ大きさ及び同じ形であり、又、携帯を考慮してコンパクトである。そして、このRFIDタグでは、常時電池が消費されるから電池交換は必須のことであり、この場合、複数のRFIDタグをまとめて電池交換することがある。このとき、各RFIDタグの蓋体を開けて電池を交換し、再度蓋体を取付けることを行うが、蓋体を、これがもともと装着されていたRFIDタグのケース本体とは別のケース本体に取り付けてしまうと、蓋体自体及びケース本体自体が夫々同じ外見をしているから、蓋体の取付け間違いに気付かないことも起こり得る。この場合、一方のRFIDタグで蓋体取付間違いがあると他方のRFIDタグも蓋体取付間違いとなる。
【0006】
このような蓋体の取付間違いがあった場合、間違えた方のRFIDタグでも、間違えられた方のRFIDタグでも、電池で駆動するアクティブID発信器は各携帯者対応のIDで問題なく長時間機能するから、これらのRFIDタグの各携帯者が、蓋体の取付間違いに長時間気が付かないまま使用することになる。ところが途中で万が一、一方のRFIDタグを紛失すると、当該RFIDタグのアクティブID発信器のIDの認証停止措置をすることになる。すると、蓋体装着間違いの他方のRFIDタグのパッシブID発信器のIDが失効し、緊急対応時において、ID認証ができない事態が考えられる。このような事態は、緊急時であるだけに極力避けなければならない。
【0007】
上述のような蓋体取付間違いは、具体的には、次のようなケースが起きると考えられる。例えばRFIDタグを使用したホームセキュリティシステムにおいて、複数の家族が同時に電池交換する場合や、オフィスの入退室管理において、従業員等が同時に電池交換する場合に蓋体取付間違いが起きる可能性がある
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−97958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、ケース本体にアクティブID発信器を備えると共に電池を備え、蓋体にパッシブID発信器を備えたRFIDタグにおいては、電池交換時における蓋体の装着間違いは極力避けなければならない。
【0010】
そこで、蓋体の装着間違い防止策を考えた場合、当該蓋体をケース本体に連結手段により連結しておけば良いことは容易に推考できる。この連結手段の具体案としては、ヒンジを用いる構成や、紐などの連結部材を用いる構成が考えられる。前記ヒンジを用いる構成では、そのヒンジ部をRFIDタグ内部に設け得るスペースはないから、ヒンジをタグ外部が突出する構成となってしまい、RFIDタグのコンパクトさが維持できない。これに対して、紐の場合もある程度の太さをもっているから、タグ内部に配置できない。
【0011】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、蓋体の装着間違いを防止できて一つのRFIDタグでのアクティブID発信器とパッシブID発信器のIDの不一致事態の発生を防止でき、しかも、全体のコンパクトさを維持でき、さらに電池交換作業も容易であるRFIDタグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、次の点を考慮してなされたものである。すなわち、蓋体をケース本体にヒンジや紐で連結することは、蓋体の装着間違いを防止するといった所期目的を達成できるものであるが、これらヒンジや紐などの連結部材を用いる構成では、既述したように、RFIDタグのコンパクトさが維持できないし、電池交換のときに当該蓋体が邪魔になるおそれもある。
【0013】
そこで、本発明者では、フィルム状部材からなる連結部材として用いることを考えた。この連結部材は、かなりの薄さが期待できるから、蓋体閉塞時において、当該連結部材がケース本体内に収容配置されたとしても、スペース的に何の問題もなく、コンパクトさを維持できる。
【0014】
ところが、この連結部材を使用すると、非常に薄いが故に、蓋体を閉塞するときに当該連結部材を蓋体縁部でケース本体の開口縁部に挟み込んだまま蓋体を閉塞してしまうおそれがあり、次に蓋体を開放したときには当該連結部材が切断されて蓋体がケース本体から分離してしまう。これを防止するために連結部材の長さを短めに設定すると、蓋体を開放したときに当該蓋体がケース本体の開口部の一部にかかってしまい、電池交換の邪魔になるおそれがある。
【0015】
この点を考慮した本願請求項1のRFIDタグにおいては、まず、蓋体をケース本体に連結部材により連結する構成としたから、複数のRFIDタグを、同時に電池交換する場合に、パッシブID発信器を備えた蓋体を、別のIDを発信するアクティブID発信器を備えたケース本体に間違って取付けることはない。従って、一つのRFIDタグにおいてアクティブID発信器とパッシブID発信器のIDが不一致となることはない。
【0016】
さらに、本願請求項1では、前記連結部材を、弾性変形可能なフィルム状部材からなる連結部材から構成し、この連結部材の一端部が前記ケース本体おいて対向する両側板部のうち一方の側板部と底板部とのコーナー部の内面に連結され、前記蓋体が前記開口を閉塞する状態において、当該連結部材の前記一端部から他端部方向へ延びる途中部が、前記一方の側板部内面に沿って立ち上がりつつ前記蓋体の裏面近くにおいて前記ケース本体の前記一方の側板部とは反対の他方の側板部方向へ湾曲し、且つ当該連結部材の前記他端部が、前記蓋体の裏面のうち当該蓋体の中心よりは前記他方の側板部方向に寄った部分で当該蓋体に連結される構成とした。
【0017】
上述した構成においては、使用者が電池交換のために蓋体をケース本体から取り外した場合、当該蓋体に対するケース本体の拘束が無くなるから、連結部材がその弾性力により湾曲変形から直線状に復元しようとしてケース本体の一方の側板部に沿って起立するように変形する。そして、その勢いのまま、この連結部材の他端部に連結された蓋体の全体も、ケース本体3の一方の側板部から外の方向へ移動し、そして、蓋体はその中心より他方の側板部に寄った部分で連結部材により連結支持された形態であるから、前記蓋体における少なくとも半分の部分が一方の側板部からはみ出た状態となり、そして当該一方側蓋部分にある重心による偏荷重が連結部材に作用し、この偏荷重が連結部材をさらに前記はみ出し方向へ湾曲するように変形させることで、蓋体自身もさらに前記はみ出し方向へ移動する。しかも、この場合、連結部材の長さが、一方の側板部と底板部とのコーナー部から蓋体の中心よりは他方の側板部方向に寄った部分まで延びた長さであるから、蓋体がケース本体の開口から十分に離れ(この離れた位置を退避位置という)、当該蓋体及び連結部材が電池交換の邪魔になることはない。
【0018】
そして、電池交換後、再び蓋体をケース本体に取付ける場合、使用者が、蓋体を前記退避位置から、開口閉塞位置方向へ移動させるが、この場合、蓋体の移動により連結部材がその移動方向へ湾曲してゆき、この連結部材に連結された蓋体は、この連結部材の長さ以上に移動できない位置で適正な開口閉塞位置となる。この後、蓋体をケース本体に取り付けるが、前記連結部材はケース本体内の一方の側板部内面から蓋体裏面の途中部分までしか存在しないから、当該連結部材が蓋体縁部でケース本体の開口縁部に挟み込まれることもない。
【0019】
請求項2のRFIDタグは、連結部材の他端部に、前記ケース本体の前記一方の側板部方向へ折り返された折り返し辺部が設けられ、この折り返し辺部が当該蓋体裏面に固着されることにより、前記連結部材の他端部が当該蓋体裏面に連結されていることを特徴とする。これによれば、蓋体が開放されたときに、連結部材の他端部が折り返されている分だけ、蓋体の前記退避位置で、蓋体の前記一端部が他端部より低くなる傾斜状態となり、この結果、この蓋体を再取付けする場合に、当該傾斜状態の蓋体の表面を他方の側板部方向へ指で押し操作すれば、自ずと適正な開口閉塞位置に蓋体を移動させることができ、閉蓋作業が容易となる。
【0020】
又、請求項3のRFIDタグは、連結部材の一端部に、長手方向に延びる両辺縁部から夫々横方向へ突出する二つの突片部が設けられ、ケース本体における一方の側板部には、連結部材の前記突片部を係止して当該連結部材の開口方向への抜けを防止する2つの係止部が横方向に並んで形成され、前記突片部が前記係止部に係止されることにより、前記連結部材の一端部が前記ケース本体に連結されていることを特徴とする。
【0021】
連結部材の一端部をケース本体に連結する場合、当該連結部材の一端部を例えば接着剤あるいは両面テープで接着する方法があるが、この場合、蓋体の開放時に連結部材が不用意に上方向に引っ張られるおそれがあることを考慮すると、接着面積を上下方向で広くして接着強度を確保することが必須であるが、ケース本体はそもそも薄型であるため、上下に広い接着スペースをとることは困難である。
【0022】
この点上述の請求項3では、いずれも上下方向には大きくはない、横方向に並んだ係止部と、連結部材から横方向に突出する突片部とで、連結部材の一端部をケース本体に連結するから、上下方向の広いスペースを必要とすることなく連結部材をケース本体に連結できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態におけるRFIDタグの縦断正面図
【図2】RFIDタグの分解斜視図
【図3】蓋体係止部分を示すためのRFIDタグの縦断正面図
【図4】連結部材の一端部の係止部分の拡大斜視図
【図5】閉蓋状態における連結部材の他端部の拡大断面図
【図6】蓋体開放時の様子を示す縦断側面図
【図7】蓋体閉塞時の様子を示す縦断側面図
【図8】本発明の第2実施形態を示す図5相当図
【図9】図6相当図
【図10】図7相当図
【図11】本発明の第3実施形態を示す図5相当図
【図12】図7相当図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の第1実施形態について図1ないし図7を参照して説明する。なお、図1及び図2には、この実施形態でのRFIDタグの前後、左右の方向を矢印で示している。図1ないし図3において、第1実施形態のRFIDタグ1の筐体2は、ケース本体3と蓋体4とから構成されている。ケース本体3は、下ケース5と上ケース6とから構成されている。下ケース5は矩形状をなし、底板部5a(図1、図3参照)と、左右の下側板部5b、5cと、前後の下側板部5d、5eとを有して構成されている。又上ケース6は天板部6aと、左右の上側板部6b、6cと、前後の上側板部6d、6eとを有して構成されている。前記天板部6aにはほぼ円形の開口6fが形成されている。
【0025】
この下ケース5と上ケース6とは、その4つの角部同士がねじ止めされることにより一体化されて、ケース本体3を構成している。なお、図示しないが、上ケース6上面にはねじ用座ぐりが形成されていて、このねじ止めに使用されるねじが上ケース6の天板部6aから突出しないようになっている。
上記ケース本体3において左下側板部5b及び左上側板部6bは一方の側板部3iを構成し、右下側板部5c及び右上側板部6cは他方の側板部3tを構成している。
【0026】
図1、図2及び図4に示すように、ケース本体3の一方の側板部3iと底板部5aとのコーナー部3c(図1参照)の内面(前記上ケース6においては左上側板部6bの内面)には、横方向に並んでリブ状の係止部7A、7Bが垂直状態に形成されている。この係止部7A、7Bにおいて左上側板部6bから離れた部分が下方に突出している。この突出部を夫々符号7Aa、7Baで示す。
そして、天板部6aにおいてこの係止部7A、7B間における部分は後述の連結部材23を挿通するための開放部6gとなっており、前記開口6fと連通している。
【0027】
さらに、図2に示すように、天板部6aの開口6fには右上側板部6c近くまで延びる凹部8、8が形成されており、この凹部8、8の奥端部が一方の蓋係止部9、9を構成している。さらに、天板部6aにおける左上側板部6b近くには矩形の孔部10、10が形成されており、この孔部10、10の一つの辺縁部で他方の蓋係止部11、11を構成している。
又、図1に示すように、天板部6aの左端には傾斜状の蓋開放用操作部6sが形成されており、蓋体4との間で蓋開放のための隙間を形成するようになっている。
【0028】
前記ケース本体3内にはアクティブID発信器12が配設されており、このアクティブID発信器12は、基板13にID記憶部やID発信部などのICを実装して構成されており、左下側板部5b近くの部分に例えばLEDを保持するためのホルダ14を装着している。前記LEDは例えばリーダライタと通信していることを点灯表示し、或いは電池残量が少なくなったことを点灯表示する。前記ホルダ14は前記係止部7A、7Bの間に入る位置関係にある。
【0029】
そして、前記基板13にはボタン型の電池15を保持するための電池ホルダ16A、16Bが取り付けられている。一方の電池ホルダ16Aは、剛性が高い合成樹脂製で、他方の電池ホルダ16Bは電極を兼ねており、導体金属からなる板ばねで構成されており、この他方の電池ホルダ16Bを弾性変形させて電池15を着脱する。
電池15は上述のように電池ホルダ16A、16Bにより保持されることによりケース本体3内に収容配置されており、この配置状態で前記開口6fがこの電池15と対応している。なお、この開口6fは電池15の交換性を考慮して該電池15より大きく設定されている。
【0030】
一方、前記蓋体4は、矩形板状をなし、当該蓋体4の裏面には、前記一方の蓋係止部9、9に対応する部位にL字状の係合片17、17が形成され、又、前記孔部10、10(他方の蓋係止部11、11)に対応する部位に係合爪部18、18が形成されている。
【0031】
さらのこの蓋体4の裏面には円形の凹部4aが形成されており、この凹部4aに薄型のパッシブID発信器19が接着されている。このパッシブID発信器19は薄肉なフィルム状基板20にアンテナ21及びIC22を実装して構成されており、このIC22にはID記憶部やID発信部が含まれている。
【0032】
さらに、この蓋体4をケース本体3に繋ぐために連結部材23の両端部がそれぞれケース本体3及び蓋体4に連結されている。この連結部材23は、弾性変形可能なフィルム状部材から短冊状に形成されており、フィルム状部材としては、合成樹脂製フィルム例えばPETフィルム(ポリエチレンテレフタレート・フィルム)を用いているが、これ以外、ポリカーボネート・フィルムや、塩化ビニル・フィルムなどがある。又、このフィルムとしては薄肉なシートも含まれる。この連結部材23は特段の折曲げ(折り返し)付与をしない限りは直線性を保持しようとするものである。
【0033】
この連結部材23の主体部23aの一端部23i(図2、図4では下端部)には、長手方向に延びる主体部23aの両辺縁部から夫々横方向へ突出する二つの突片部24A、24Bを有し、一方の突片部24Aの先端部には上方へ若干突出する突出部24Aaを有する。この突出部24Aaと前記主体部23aとの間に凹状部24Abが形成されている。
【0034】
図4に示すように、前記突片部24A、24Bが前記係止部7A、7Bに係止されることにより、前記連結部材23の一端部23iが上方向への動き及び右方向への動きを規制され、左方向への動きは一方の側板部3iで規制され、さらに、突片部24Aの凹状部24Abが係止部7Aに嵌合する形態となるから、連結部材23の前後方向の動きも規制され、もって、連結部材23の一端部23iは前記ケース本体3の一方の側板部3iと底板部5aのコーナー部3cの内面(この場合一方の側板部3i)に連結されている。なお、当該連結部材23の一端部23iは一方の側板部3iと前記ホルダ14との間にあって、これら一方の側板部3iと前記ホルダ14とで当該一端部23iが起立状態に規制されている。
【0035】
又、前記連結部材23の主体部23aの他端部23tには、図1及び図5に示すように、前記ケース本体3の前記一方の側板部3i方向へ折り返された幅広な折り返し辺部25が設けられ、この折り返し辺部25の全体が当該蓋体4裏面(パッシブID発信器19)に例えば接着材により接着されて固着されることにより、前記連結部材23の他端部23tが当該蓋体4裏面に連結されている。
前記蓋体4は前記係合片17、17を一方の蓋係止部9、9の下側に係合させ、そして係合爪部18、18を孔部10、10に挿入して他方の蓋係止部11、11に係止させることにより、ケース本体3の前記開口6f部分に取り外し可能に装着されている。
【0036】
前記蓋体4が前記開口6fを閉塞する状態(図1参照)において、当該連結部材23の前記一端部23iから他端部23t方向へ延びる途中部が、一方の側板部3iの内面に沿って立ち上がりつつ開放部6gを通り、蓋体4の裏面近くにおいてケース本体3の他方の側板部3t方向へ湾曲し、且つ当該連結部材23の他端部23tが、蓋体4の裏面のうち当該蓋体4の中心(図1に符号Pcを付して示す)よりは他方の側板部3t(蓋体4の他端部4t方向)方向に寄った部分で当該蓋体4に連結されている。
上記連結部材23の他端部23t及び折り返し辺部25は主体部23aより幅広に形成している。
【0037】
上述したRFIDタグ1は、例えば建物への入退室を管理する鍵システムなどに使用され、通常は、アクティブID発信器12が電池15から電源を得て、ID情報を発信して、リーダライタとID認証を行い、鍵のロックやロック解除を行う。又、このアクティブID発信器12は通信距離がパッシブID発信器19よりも長いので、人やバッグに携帯あるいは付帯させて、位置情報の管理などにも使用する。
【0038】
又、前記パッシブID発信器19は、電池15が切れてアクティブID発信器12が機能しない場合といった緊急時に、リーダライタに近接させ、当該リーダライタから電源を得てID認証を行うものである。従って、一つのRFIDタグ1においてはアクティブID発信器12とパッシブID発信器19のIDは同じである。
上述したRFIDタグ1は、一つの鍵システムなどで複数人の家族が夫々携帯する場合、各人においてIDが異なる。
【0039】
さて、上述の実施形態においては、使用者が電池15の交換のために、蓋体4をケース本体3から取り外す場合、まず、蓋開放用操作部6sにより形成された隙間に爪あるいはドライバーを入れて蓋体4を開けると、図6に示すように、当該蓋体4に対するケース本体3の拘束が無くなるから、状態S1を経て、連結部材23がその弾性力により湾曲変形から直線状に復元しようとしてケース本体3の一方の側板部3iに沿って起立するように変形する(状態S2)。そして、その勢いのまま、この連結部材23の他端部23tに連結された蓋体4の全体も、ケース本体3の一方の側板部3iから外の方向へ移動し、そして、蓋体4はその中心Pcより他方の側板部3tに寄った部分で連結部材23により連結支持された形態であるから、前記蓋体4における少なくとも半分の部分4bが一方の側板部3iからはみ出た状態となり、そして当該蓋体4の重心Gによる偏荷重が連結部材23に作用し、この偏荷重が連結部材23をさらに前記はみ出し方向へ湾曲するように変形させることで、蓋体4自身もさらに前記はみ出し方向へ移動する。しかも、この場合、連結部材23の長さが、一方の側板部3内面から蓋体4の裏面のうち当該蓋体4の中心Pcよりは他方の側板部3t方向に寄った部分まで延びた長さであるから、蓋体4がケース本体3の開口6fから十分に離れ(この離れた位置を退避位置(この位置状態を図6の状態S3で示している)という)、当該蓋体4及び連結部材23が電池15の交換の邪魔になることはない。
【0040】
この場合、蓋体4が開放されたときに、連結部材23の他端部23tが折り返されている角度α(図6参照)分だけ、蓋体4の前記退避位置で、蓋体4の一端部4iが他端部4tより低くなる傾斜状態となる(図6の状態S3参照)。
この蓋体4の開放状態において、当該蓋体4は連結部材23によりケース本体3に連結されているから、複数のRFIDタグ1を同時に電池交換する場合においても、蓋体4が間違って別のケース本体3に取付けられることはない。従って、一つのRFIDタグ1においてアクティブID発信器12とパッシブID発信器19のIDが不一致となることはない。
【0041】
そして、電池15の交換後、再び蓋体4をケース本体3に取付ける場合、使用者が、図7に示すように、蓋体4を前記退避位置S3から、開口6f閉塞位置方向へ移動させるが、この場合、蓋体4の移動により連結部材23がその移動方向へ湾曲してゆき(その途中状態を符号Saで示す)、この連結部材23に連結された蓋体4は、この連結部材23の長さ以上に移動できない位置(図7の符号Sbで示す位置)で適正な開口閉塞位置となる。
【0042】
この後、蓋体4をケース本体3に取り付けるが、連結部材23はケース本体3内の一方の側板部3i内面から蓋体4裏面の途中部分までしか存在しないから、当該連結部材23が蓋体4縁部でケース本体3の開口6f縁部に挟み込まれることもない。
【0043】
特に、この蓋体4の取付けに当たっては、前述したように、連結部材23の他端部23tに、一方の側板部3i方向へ折り返された折り返し辺部25を設け、この折り返し辺部25を当該蓋体4裏面に固着したことで、蓋体4が傾斜状態(図7の状態S3)となっているから、当該傾斜状態の蓋体4の表面を図7に示すように他方の側板部3t方向へ指で押し操作すれば、自ずと適正な開口閉塞位置に蓋体4を移動させることができ、閉蓋作業が容易となる。
【0044】
又、上記実施形態においては、連結部材23の一端部23iに、長手方向に延びる主体部23aの両辺縁部から夫々横方向へ突出する二つの突片部24A、24Bを有し、ケース本体3における一方の側板部3iに、連結部材23の前記突片部24A、24Bを係止して当該連結部材23の開口6f方向への抜けを防止する2つの係止部7A、7Bを横方向に並んで形成し、突片部24A、24Bが係止部7A、7Bに係止されることにより、連結部材23の一端部23iをケース本体3に連結した。
【0045】
これによれば、いずれも上下方向には大きくはない、横方向に並んだ係止部7A、7Bと、連結部材23から横方向に突出する突片部24A、24Bとで、連結部材23の一端部23iをケース本体3に連結するから、上下方向の広いスペースを必要とすることなく連結部材23をケース本体3に連結できる。
【0046】
ちなみに、連結部材23の一端部23iをケース本体3に連結する場合、当該連結部材23の一端部23iを例えば接着剤あるいは両面テープで接着する方法があるが、この場合、蓋体4の開放時に連結部材23が不用意に上方向に引っ張られるおそれがあることを考慮すると、接着面積を上下方向で広くして接着強度を確保することが必須であるが、ケース本体3はそもそも薄型であるため、上下に広い接着スペースをとることは困難である。
この点上述した実施形態では、上述したように当該不具合を解消できる。
又、前記実施形態では、連結部材23の他端部23tを幅広に形成したことで、当該部分を折り返しても、この折り返し部分が強度的に弱化することはなく、十分な耐久性を保持できる。
【0047】
次に図7ないし図10は本発明の第2実施形態を示し、この第2実施形態では、連結部材23の他端部23tから先の部分に延出片部26を有し、この延出片部26は折り返されることなく他方の側板部3t側に位置して蓋体4の裏面に接着されている。この実施形態においても、蓋体4が開放されるときには、図9に示すように、当該蓋体4に対するケース本体3の拘束が無くなるから、連結部材23がその弾性力により湾曲変形から直線状に復元しようとしてケース本体3の一方の側板部3iに沿って起立するように変形する(状態S1、S2参照)。そして、その勢いのまま、この連結部材23の他端部23tに連結された蓋体4の全体も、ケース本体3の一方の側板部3iから外の方向へ移動し、そして、蓋体4はその中心Pcより他方の側板部3tに寄った部分で連結部材23により連結支持された形態であるから、前記蓋体4における少なくとも半分の部分4bが一方の側板部3iからはみ出た状態となり、そして当該蓋体4の重心Gによる偏荷重が連結部材23に作用し、この偏荷重が連結部材23をさらに前記はみ出し方向へ湾曲するように変形させることで、蓋体4自身もさらに前記はみ出し方向へ移動する。この結果、蓋体4がケース本体3の開口6fから十分に離れ、当該蓋体4及び連結部材23が電池15の交換の邪魔になることはない。なお、蓋体4は最終的にやや仰向け状態となる(状態S3)。
又、蓋体4をケース本体3に再取付けする場合には、図10の矢印Y1、Y2、Y3のように蓋体4を移動させることになるため、一つの指での操作は行い難いが、この場合蓋体4の前後辺縁部を掴みもって同矢印Y1、Y2、Y3のように当該蓋体4を移動させれば良い。
【0048】
図11及び図12は本発明の第3実施形態を示しており、この第3実施形態では、連結部材23の他端部23tを合成樹脂製の極小のヒンジ27を介して他方の側板部3t側に位置で蓋体4の裏面に接着している。この実施形態においても、蓋体4が開放されるときには、蓋体4の途中姿勢は不定であるが、当該蓋体4に対するケース本体3の拘束が無くなるから、連結部材23がその弾性力により湾曲変形から直線状に復元しようとしてケース本体3の一方の側板部3iに沿って起立するように変形し、その勢いのまま、蓋体4の全体も、ケース本体3の一方の側板部3iから外の方向へ移動し、そして、蓋体4はその中心Pcより他方の側板部3tに寄った部分で連結部材23により連結支持された形態であるから、前記蓋体4における少なくとも半分の部分4bが一方の側板部3iからはみ出た状態となり、そして当該蓋体4の重心Gによる偏荷重が連結部材23に作用し、この偏荷重が連結部材23をさらに前記はみ出し方向へ湾曲するように変形させることで、蓋体4自身もさらに前記はみ出し方向へ移動する。この結果、図12に状態J1、あるいは状態J2で示すように、蓋体4がケース本体3の開口6fから十分に離れ、当該蓋体4及び連結部材23が電池15の交換の邪魔になることはない。
このように本実施形態によれば、蓋体4の装着間違いを防止できてIDの不一致を防止でき、しかも、全体のコンパクトさを維持でき、さらに電池交換作業も容易となる。
【0049】
本発明のRFIDタグは、単に、ケース本体と蓋体とを単に連結部材で繋いだだけのものではなく、アクティブID発信器とパッシブID発信器を備えたRFIDタグにおいて、連結部材として、弾性ある薄肉の連結部材を用い、且つ、連結部材の一端部をケース本体おいて対向する両側板部のうち一方の側板部の内面に連結し、蓋体が開口を閉塞する状態において、当該連結部材の一端部から他端部方向へ延びる途中部が、前記一方の側板部の内面に沿って立ち上がりつつ蓋体の裏面近くにおいてケース本体の前記一方の側板部とは反対の他方の側板部方向へ湾曲し、且つ当該連結部材の前記他端部が、前記蓋体の裏面のうち当該蓋体の中心よりは前記他方の側板部方向に寄った部分で当該蓋体に連結されている構成をとったことで、本発明の前記連結部材により、電池交換時に、外した蓋体を電池交換の邪魔にならない部位に退避させるものである。
【0050】
なお、本発明の実施形態は、上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、ケース本体3は下ケース5及び上ケース6といった二つの部材から構成したが、これは一つの部材から構成しても良く、又、ケース本体3の上面全体が開口していても良い。
連結部材23の一端部23iの連結箇所は、ケース本体3の一方の側板部3iと底板部5aとのコーナー部3cの内面であれば底板部5aでも良い。又、連結部材23の折り返し角度αは適宜変更しても良い。
その他、本発明の実施形態は、要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適宜変更して適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
図面中、1はRFIDタグ、2は筐体、3はケース本体、3cはコーナー部、3iは一方の側板部、3tは他方の側板部、4は蓋体、4bは一方側蓋部分、5は下ケース、6は上ケース、6fは開口、7A、7Bは係止部、9は一方の蓋係止部、11は他方の蓋係止部、12はアクティブID発信器、14はホルダ、15は電池、17は係合片、18は係合爪部、19はパッシブID発信器、23は連結部材、23aは主体部、23iは一端部、23tは他端部、24A、24Bは突片部、25は折り返し辺部、26は延出片部、27はヒンジを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形箱状をなし底板部及び側板部を有し且つ上部に開口を有し、内部に、ID情報を発信するアクティブID発信器を備えると共に、このアクティブID発信器の電源としての電池を前記開口を通して交換可能に備えるケース本体と、
このケース本体の前記開口部分に取り外し可能に装着され、当該装着により前記開口を閉塞し、取り外されることにより前記開口を開放する蓋体と、
この蓋体に設けられ外部リーダライタから電源が供給されてID情報を発信するパッシブID発信器と、
前記蓋体を前記ケース本体に繋ぐ弾性変形可能なフィルム状部材からなる連結部材とを備え、
前記連結部材の一端部が前記ケース本体おいて対向する両側板部のうち一方の側板部と底板部とのコーナー部の内面に連結され、前記蓋体が前記開口を閉塞する状態において、当該連結部材の前記一端部から他端部方向へ延びる途中部が、前記一方の側板部の内面に沿って立ち上がりつつ前記蓋体の裏面近くにおいて前記ケース本体の前記一方の側板部とは反対の他方の側板部方向へ湾曲し、且つ当該連結部材の前記他端部が、前記蓋体の裏面のうち当該蓋体の中心よりは前記他方の側板部方向に寄った部分で当該蓋体に連結されていることを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
前記連結部材の他端部には、前記ケース本体の前記一方の側板部方向へ折り返された折り返し辺部が設けられ、この折り返し辺部が当該蓋体裏面に固着されることにより、前記連結部材の他端部が当該蓋体裏面に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記連結部材の一端部には、長手方向に延びる両辺縁部から夫々横方向へ突出する二つの突片部を有し、
前記ケース本体における一方の側板部には、前記連結部材の前記突片部を係止して当該連結部材の前記開口方向への抜けを防止する2つの係止部が横方向に並んで形成され、
前記突片部が前記係止部に係止されることにより、前記連結部材の一端部が前記ケース本体に連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のRFIDタグ。
【請求項1】
矩形箱状をなし底板部及び側板部を有し且つ上部に開口を有し、内部に、ID情報を発信するアクティブID発信器を備えると共に、このアクティブID発信器の電源としての電池を前記開口を通して交換可能に備えるケース本体と、
このケース本体の前記開口部分に取り外し可能に装着され、当該装着により前記開口を閉塞し、取り外されることにより前記開口を開放する蓋体と、
この蓋体に設けられ外部リーダライタから電源が供給されてID情報を発信するパッシブID発信器と、
前記蓋体を前記ケース本体に繋ぐ弾性変形可能なフィルム状部材からなる連結部材とを備え、
前記連結部材の一端部が前記ケース本体おいて対向する両側板部のうち一方の側板部と底板部とのコーナー部の内面に連結され、前記蓋体が前記開口を閉塞する状態において、当該連結部材の前記一端部から他端部方向へ延びる途中部が、前記一方の側板部の内面に沿って立ち上がりつつ前記蓋体の裏面近くにおいて前記ケース本体の前記一方の側板部とは反対の他方の側板部方向へ湾曲し、且つ当該連結部材の前記他端部が、前記蓋体の裏面のうち当該蓋体の中心よりは前記他方の側板部方向に寄った部分で当該蓋体に連結されていることを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
前記連結部材の他端部には、前記ケース本体の前記一方の側板部方向へ折り返された折り返し辺部が設けられ、この折り返し辺部が当該蓋体裏面に固着されることにより、前記連結部材の他端部が当該蓋体裏面に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記連結部材の一端部には、長手方向に延びる両辺縁部から夫々横方向へ突出する二つの突片部を有し、
前記ケース本体における一方の側板部には、前記連結部材の前記突片部を係止して当該連結部材の前記開口方向への抜けを防止する2つの係止部が横方向に並んで形成され、
前記突片部が前記係止部に係止されることにより、前記連結部材の一端部が前記ケース本体に連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のRFIDタグ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−195149(P2012−195149A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58023(P2011−58023)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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