説明

RFIDラベルを製造するための方法

【課題】RFIDラベルを製造するための好適な方法を提供すること。
【解決手段】半導体チップの比較的高ピッチ密度の配列を含むRFIDウェブストックを提供し、このRFIDウェブストックを連続工程で比較的広く離間されたアンテナをもつウェブに接続する。RFIDウェブストックは、RFIDウェブストックを打ち抜くに従ってチップの離間が大きくなるよう個々のチップセクションに分離またはカットされる。セクション上の個々のチップはその後対応するアンテナに接続され、RFIDインレイストックを形成する。この工程は、RFIDタグやラベルロールストックの高速度ロールツーロール製造の助けとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本出願は、2001年2月2日に出願され現在係属中の米国特許出願第09/7762
81号「自己集合マイクロ構造を含む屈曲可能基板を作製する方法」に関連するものであ
る。本出願は米国特許出願09/776281号を参照により組み込んでいる。本出願は
、2002年1月18日に出願された米国特許仮出願第60/350606号「RFID
ラベルおよび製造方法」の一部継続出願で優先権を主張しているものであり、これを参照
により組み込んでいる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、無線識別(RFID)タグとラベルに関するものであり、特に、ロールツー
ロール製造法と代替法であるシートツーロール製造法とを含むこれらの製造方法に関する
ものである。
【背景技術】
【0003】
RFIDタグとラベルは、アンテナとアナログおよび/またはデジタル電子機器回路と
の組をもち、例えば通信電子機器回路、データメモリ、制御論理とを含む場合がある。R
FIDタグおよびラベルは、対象物を識別コードと関連付けるために広く使われている。
例えば、RFIDタグを車の防護ロックとともに用いたり、建屋へのアクセス制御や在庫
品や荷物の追跡のために用いたりする。RFIDタグとラベルの例については米国特許第
6107920、6206292、6262292号で述べられているが、これら全ては
本出願で参照により組み込んでいる。
【0004】
RFIDタグとラベルは能動型タグを含む。この能動型タグは電源を含むが、受動型タ
グやラベルは電源を含まない。受動型タグの場合、チップから情報を検索するため「基地
局」または「読取装置」がRFIDタグまたはラベルに励起信号を送る。励起信号はタグ
またはラベルを付勢し、RFID回路が保存情報を読取装置に送り返す。「読取装置」は
RFIDタグから情報を受信解読する。一般的に、RFIDタグは、個人、荷物、在庫品
等を特定する上で十分な情報を保持、送信することができる。RFIDタグとラベルはま
た、(情報が繰り返し読み込まれるものであっても)情報が一回だけ書き込まれ、情報が
使用中に書き込まれることのできるものとして特徴付けることができる。例えば、RFI
Dタグは(関連するセンサで検出される)環境データ、補給履歴、状況データ等を保存す
る。
【0005】
RFIDラベルの製造方法については、ムーア・ノース・アメリカ社によるPCT第W
O01/61646号で公開されており、本出願では参照によりこれを組み込んでいる。
PCT公開第WO01/61646号で公開されている方法では、各RFID入力口がア
ンテナとチップとを含む多数の異なるRFID入力源を用いている。ライナ付RFIDを
作製するため、複数のウェブを合わせて、RFIDラベルをこのウェブから打ち抜く。代
替法として、ライナのないRFIDラベルを、1面に剥離材料を他の面に圧感接着剤をも
うけた複合ウェブから作製するもの、ウェブにおけるパーフォレーションにより形成する
ものといったものがある。さまざまな代替法が可能である。
【0006】
RFIDラベル製造のための他のRFID装置や方法については、プレトナーによる米
国特許出願公開第US2001/0053675号で開示されており、本出願ではこれを
参照により組み込んでいる。この装置は、接触パッドと、この接触パッドと導電的に接続
された少なくとも2つの連結要素とをもつチップを備えるトランスポンダを含む。この連
結要素はお互いに接触しないようになっており、自己支持型で自立型のものとして形成さ
れ、チップ面に対して実質的に平行に延びる。トランスポンダの全設置高さはチップの設
置高さと実質的に同じである。連結要素の大きさと形状は、ダイポールアンテナとして機
能するように設定される、または平板コンデンサとして評価ユニットと同じになるように
設定される。典型的には、トランスポンダがウェーハ高さで作製される。連結要素は、ウ
ェーハ高さで、すなわちチップがウェーハで与えられる配置から抽出される前に直接チッ
プの接触パッドに接触可能である。
【0007】
多数の応用例において、電子機器回路の大きさをできるだけ小さくすることが望まれて
いる。申請者の譲受人であるアベリー・デニンソン社はエイリアン・テクノロジー社その
他と共同で、「小型電子ブロック」が充填された屈曲可能基板のロールを効率的に製造す
るための材料を特定し、装置を考案し、処理技術を開発した。
【0008】
「小型電子ブロック」が充填された屈曲可能基板について、カリフォルニア州モーガン
・ヒルのエイリアン・テクノロジー(「エイリアン」)社は、同社が「ナノブロック」と
呼ぶ小型電子ブロックとして超小型電子素子を製造するための技術を開発し、その後に小
型電子ブロックを基底基板上の凹部内に設置するようにした。小型電子ブロックを受け入
れるため、平らな基板200(図1)に多数の受容器ウェル210でエンボスを行う。受
容器ウェル210は、典型的には基板上でパターン化して形成される。例えば、図1にお
いて、受容器ウェル210は簡単なマトリックスパターンを生成しており、基板の所定位
置にわたって広がっている、もしくは必要に応じて実質的に基板の全幅と全長にわたって
広がるようにしてもよい。
【0009】
小型電子ブロックを凹部内に設置するため、エイリアン社は流体内自己アセンブリー(
「FSA」)として知られる技術を用いている。FSA法はスラリー内で小型電子ブロッ
クを拡散させ、その後にこのスラリーを基板のタップ面に流すという作業を含む。小型電
子ブロックと凹部とは相互補完的な形状であり、重力によりこの小型電子ブロックを凹部
内に引き入れる。その結果、微小な電子要素でエンボスされた基板(例えば、シート、ウ
ェブ、板)が得られる。図2は凹部210内に小型電子ブロック100を配設した様子を
図示する。ブロック100と基板220との間には金属被覆層222がある。ブロック1
00は、電子回路224が上部に配設されたタップ面をもつ。
【0010】
エイリアン社はその技術に関して多数の特許を開示しているが、その中には、米国特許
第5783856;5824186;5904545;5545291;6274508
;6281036号がある。これらは全て本申請において参照により組み込んでいる。エ
イリアン社の特許協力条約に基づく公開特許でさらに情報を見出すこともできるが、この
特許には、第WO00/49421;WO00/49658;WO00/55915;W
O00/55916;WO00/46854;WO01/33621号が含まれている。
これらも全て本申請において参照により組み込んでいる。最近公開された当該技術にてつ
いては、インフォメーション・ディスプレイ誌2000年11月号、第16巻、No.1
1の12〜17ページに、さらには2002年2月に「5セントタグに向けて(“Tow
ard the 5 Cent Tag”)」というタイトルのMITオートIDセンタ
ーの論文にも見られる。微小構造要素の製造とFSA工程に関するさらに詳細については
、米国特許第5545291、5904545号および第WO00/46854号におけ
るPCT/US99/30391号で見ることができるが、これらの開示全ては本申請に
おいて参照により組み込んでいる。
【0011】
上述のMITオートIDセンターが発表した技術をさらに進めたものとして、流体内自
己アセンブリ法の代わりに、フィリップス社等が開発した振動フィーダアセンブリにより
開口部に電子ブロックを設けるというものがある。代替法として、米国特許第62745
08号で記載されているとおり、ロボットアームを用いて電子素子をつかんで各開口部に
一度で設置することのできる決定論的ピックアンドプレイス法で電子ブロックを開口部に
設けるようにしてもよい。
【0012】
電子ブロックを設置するさらに他の方法として、ウェブストックまたはシートストック
が、シートの厚み方向全長に渡って延びる開口部を含むようにしてもよい。ウェブストッ
クより下に真空をかけて電子ブロックを引っ張り、開口部内まで導いて開口部を充填する
こともできる。
【0013】
本発明は、屈曲可能基板の開口部内に小さな電子ブロック又はチップを設置することに
関する方法や、チップを屈曲可能基板内に設けるためのさらに便利な表面設置技術におい
て大いに必要とされているものに向けたものである。つまり、後でチップを接着するアン
テナ、例えばウェブストック上のアンテナの密度を超える密度でチップ離間させることが
望まれている。本発明では、さらにRFIDタグとラベルの高速ロールツーロール製造に
適した技術を用いてこれを可能にする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、タグまたはラベルといったRFID(無線識別)用物品を作製する方法に関
する。この方法では、エンボスまたは表面実装されたチップをもち、本特許申請において
それぞれ「RFIDウェブストック」または「RFIDシートストック」と呼ばれる屈曲
可能なウェブストックまたはシートストックの処理を行う。
【0015】
本特許申請で用いられているとおり、ウェブストックまたはシートストック上の素子(
RFIDウェブストック内のチップまたはラベルストック内のラベル)の「ピッチ」は、
隣接する素子間の中心間距離を意味する。本発明において、チップのピッチが、(a)縦
方向(「ダウンウェブ」とも呼ばれる);(b)横方向(「クロスウェブ」);(c)両
方向に形成されるRFIDタグまたはラベルの配列のピッチと異なってもよい。本特許申
請で用いられている「ピッチ密度」、すなわち例えばチップ等の単位面積あたりの数は、
これらのピッチの積を相互に計算することにより決まる。
【0016】
ロールツーロール製造方法の1つの様態によれば、RFIDウェブストックまたはRF
IDシートストックのチップのチップ密度が、タグまたはラベルのロール内の個々のRF
IDタグまたはラベルのピッチ密度と異なる(好ましくははるかに大きい)。ピッチ密度
が異なる理由は、ダウンウェブ方向、クロスウェブ方向、または両方向のピッチが異なる
ためである。典型的には、RFIDウェブストックの各軸に沿ったチップのピッチは、ア
ンテナウェブの対応軸に沿ったアンテナのピッチ以下である。チップ密度が異なる理由は
、RFIDウェブストックを「セクション」に分離することと、ロールツーロール成層工
程でこのセクションのピッチの調整を行う(「索引付けを行う」)ためである。1つの実
施例において、RFIDウェブストックを、チップのクロスウェブ列をそれぞれのセクシ
ョンが含む一連のセクションに打ち抜き、RFIDインレイストックを形成するようアン
テナを含むウェブにセクションを成層する前にチップのダウンウェブピッチを増加させる
。他の実施例において、RFIDウェブストックを、チップのダウンウェブ列を含むレー
ンをそれぞれのセクションが含む一連のセクションになるよう打ち抜き、その後、アンテ
ナを含むウェブにセクションを成層する前にチップのクロスウェブピッチが増加するよう
レーンを広げる、または分離する。第3の実施例において、RFIDウェブストックを初
めにレーンに切り、その後、個々のチップセクションのダウンウェブピッチを調整するた
め各レーンから個々のセクションを切る、又は分離する。
【0017】
本発明の方法は、RFIDチップに対するキャリアとしてRFIDウェブストックとR
FIDシートストックとの利用の両方に対するものであるが、RFIDウェブストックに
対するものが非常に好ましい。「RFID超小型電子ストック」という用語はRFIDウ
ェブストックとRFIDシートストックの両方を含む意味で用いられる。この用語では、
アンテナに接合する前の状態のRFIDチップと電気コネクタとを含むウェブストックま
たはシートストックを示す。個々のチップが対応するアンテナと関連付けられると、本特
許では個々のチップ−アンテナアセンブリを示すために「RFIDインレイ」を用い、こ
のようなRFIDインレイを含むウェブストックを示すために「RFIDインレイストッ
ク」という用語を用いる。
【0018】
好ましい実施例において、RFIDインレイストック中チップのピッチ密度は、最終タ
グまたはラベルストック中チップのピッチ密度と同じである。しかし、個々のRFIDイ
ンレイとチップとのピッチ密度を、最終タグまたはラベルストックに統合されるように、
さらに調整することも可能である。
【0019】
本発明の1つの実施例によると、RFID物品を形成する方法が、各凹部にRFIDチ
ップを含む複数の凹部をもつRFIDウェブストックを準備するステップを含む。離間さ
れたアンテナを上部にもつ第2のウェブを準備する。RFIDウェブストックを、各セク
ションで1つ以上のRFIDチップを含む複数のセクションに分割(例えば、切断または
分離)する。RFIDウェブストック上の高密度部からRFIDインレイストック上の比
較的低密度部までRFIDセクションのピッチに索引付けを行う。RFIDインレイスト
ックを形成するため、各RFIDチップがアンテナの1つに連結(オーム接続)されるよ
う自動連続工程で複数アンテナにセクションを取り付ける。
【0020】
本発明の他の実施例によると、RFID物品を形成する方法が、RFIDチップ配列を
もつ高分子材料のRFIDウェブストックを準備するステップを含む。離間されたアンテ
ナを上部にもつ第2のウェブを準備する。RFIDウェブストックを、各セクションで1
つ以上のRFIDチップを含む複数のセクションに分割する。RFIDウェブストック上
の比較的高密度部からRFIDインレイストック上の比較的低密度部までRFIDセクシ
ョンのピッチに索引付けを行う。RFIDインレイストックを形成するため、各RFID
チップがアンテナの1つに隣接するよう自動連続工程で複数アンテナにセクションを取り
付ける。
【0021】
他の実施例において、分割および索引付けステップが、カッター部材と輸送部材とで行
われ、RFIDウェブストックが、カッター部材と輸送部材間のカット位置を通過するも
のであって、セクションがRFIDウェブストックから切り出され輸送部材により係合さ
れる。輸送部材が、カット位置から、各セクションがアンテナに接合される輸送位置まで
セクションを運搬する。カッター部材と輸送部材とは、例えば、ローラまたはベルトであ
る。輸送部材はセクションを真空ホルダまたはクランプと係合させる。
【0022】
索引付けステップにおいて、RFIDウェブストックに対するRFIDチップのダウン
ウェブ離間が、輸送位置でRFIDチップが接合されるアンテナの離間に一致するよう輸
送部材上で増加させる。索引付けステップが、輸送部材上のチップのピッチに対してRF
IDチップのダウンウェブピッチの索引付けを行うようRFIDウェブストックの輸送を
行うステップをさらに含む。
【0023】
クロスウェブ方向で索引付けを行うステップが、例えば、高分子材料のRFIDウェブ
ストックをレーンに切断し、レーンを離すことにより行われる。一度分離されたレーンは
、分岐パスに沿って動く、または(当初のクロスウェブピッチと比較して大きなクロスウ
ェブピッチの)平行パスに沿って動くことができる。
【0024】
索引付けステップの他の実施例は、RFIDウェブストックを、チップの一連のクロス
ウェブ列に分割するものであり、このチップが輸送部材において係合され、チップの他の
列から分離して索引付けすることができる。
【0025】
取り付けステップは、輸送位置で輸送部材を成層部材に圧接することで行われるもので
あり、輸送位置でセクションとアンテナウェブとがニップまたは輸送部材と成層部材間の
接触延長域を通過する。例えば、輸送部材と成層部材とは両方とも2つのローラ、1つの
ローラと1つのベルト、または2つのベルトを備える。
【0026】
他の特異な実施例において、この方法が、第1のフェイスストックロールを巻き出し、
第1のフェイスストックロールをRFIDインレイストックに巻き取るステップを含む。
フェイスストックの第2のロールを巻き戻し、第2のロールからのフェイスストックを、
第1のフェイスストックと反対側のRFIDインレイストックに取り付ける。この方法は
さらに、接着ラベルを形成するステップを含む。
【0027】
(i)導電性インクの印刷を行い;(ii)金属スパッタリングを行い;(iii)箔
の成層を行い;(iv)熱間スタンプを行うといった多数のさまざまな方法のいずれかに
よりアンテナを形成する。
【0028】
さらに本特許の様態に関して、RFIDセクションを分離させてアンテナに接合させる
ため、アセンブリを変換する1つの実施例において、カッター部材と輸送部材との間でカ
ット位置を通してウェブストックを通過させることによりRFIDウェブストックをセク
ションに切断する。好ましくは、輸送部材は、セクションがRFIDウェブストックから
カットされるとアンビルとして機能する。1つの実施例において、輸送部材とカッター部
材とはローラであり;代替法として、これらの部材のうちの1つまたは両方がベルトを備
える。輸送部材は、真空ホルダまたはクランプといった、切断されたセクションを係合す
るためのホルダを含む。輸送部材が、カット位置から、RFIDインレイストックを形成
するためセクションがアンテナに接合される輸送位置までセクションを運搬する。好まし
くは、アンテナがウェブストック上で運搬される。
【0029】
この変換アセンブリの好ましい操作では、RFIDウェブストックの輸送、カッター部
材の操作、輸送部材によるセクションの係合を、RFIDチップのピッチを比較的狭いピ
ッチから比較的広いピッチに増加させるよう制御する。好ましくは、変換アセンブリがチ
ップのダウンウェブ離間を増加させる。1つの実施例において、RFIDウェブストック
の輸送は、REIDウェブストックの周期的な前後移動を含む折返し運動を含む。好まし
くは、輸送位置での輸送部材の運動は、各アンテナをもつセクションを位置合わせするた
め、アンテナ運搬ウェブストックの動きと一致する。
【0030】
この変換アセンブリは、チップの単レーン(チップの複数レーンでウェブストックから
切り取られたもの)を含むRFIDウェブストック上に作用する。この場合、こういった
複数の変換アセンブリを、チップのレーンそれぞれに1つずつ与える。代替法として、変
換アセンブリが、複数レーンを含むウェブストック上に作用し、ここでそれぞれの切断セ
クションがチップのクロスウェブ列を含む。
【0031】
変換アセンブリの輸送位置で、接合を容易にするため、セクションが熱、圧力、化学線
のうちの1つ以上を受ける。チップをアンテナに接着するため、導電性または非導電性接
着剤を用いる。超小型電子素子とアンテナ間で耐久力のある接着を確実に行うため、ロー
ラまたはベルトといった成層部材により加圧ニップまたは拡張加圧域を形成する。各セク
ション内のチップの配置と、アンテナやその他の構造材の配置とは、加圧接着中にチップ
に対する機械応力を最小化するよう設計されている。
【0032】
本発明を実行する図で示す方法により、半導体チップを含む高ピッチ密度RFIDウェ
ブストック(またはシートストック)を準備し、個々のチップを受け入れるため、連続工
程で比較的広く離間されたアンテナをもつウェブを準備し、入力ウェブを打ち抜く際にこ
のチップのピッチを変更する、または非常に大きくする。このようにして得られた個々の
チップは、RFIDインレイストックを形成する対応アンテナと関係付けられる。
【0033】
RFIDウェブストックは、それぞれが関係付けられた回路をもつチップ配列を含む。
1つの実施例において、RFIDウェブストックのチップ配列は、ダウンウェブ列やクロ
スウェブ行の直交パターンといった一定のパターンを形成する。この方法では、RFID
ウェブストックを、各セクションで1つ以上のチップを含む複数のセクションに分割し、
これらのセクションをその後、アンテナ層に接合または成層してRFIDインレイストッ
クを形成する。RFIDインレイストックはその後、各タグまたはラベルが、好ましくは
単独チップを含むRFIDラベルストックまたはタグストックを形成するよう他の層に接
合される。RFIDラベルストックまたはタグストックは多層構造であってもよい。フェ
イスストックの印刷可能層は、基板の上面を形成する上部層である。ラベルストックまた
はタグストックはさらに、剥離ライナあるいは第2フェイスストックといった底部層を含
む。
【0034】
本発明の特徴には、RFID超小型電子ストック用の特殊基板を用いることが含まれる
。このRFID超小型電子ストックは容易に打ち抜かれ、これまで述べた寸法安定性、熱
安定性、および/またはその他の望ましい特性をもつ。好ましい基板は、コア周りに巻き
つけ可能な屈曲可能ウェブの形状をもつ非晶質熱可塑性材料である。代替法として、RF
ID超小型電子ストック用基板が紙またはその他の薄い屈曲可能材料を備える。
【0035】
本発明の1つの実施例において、RFIDウェブストックが、通常各凹部が各チップを
もつ凹部配置を含む。この凹部はある実施例において少なくとも5μmの深さをもち、1
つの凹部が実質的に長方形底面と外側に傾く側面を4つともつ。代替法として、RFID
ウェブストックが凹部内にあり、ここでチップがウェブストックの滑らかな面に接合され
る。
【0036】
この発明のまとめは、請求された対象物のある様態をまとめて説明するものであるが、
本発明を完全に説明するものではない。詳細な説明、図面、請求項により、本発明の特徴
や様態をさらに特定し説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
(I.序論)
概略として、RFIDラベルまたはタグの安価な方法では少なくとも3つの要素を用い
る。1つの要素は、RFIDウェブストックまたはRFIDシートストック、すなわち連
続ウェブまたはシートであり、配列内の超小型電子素子またはRFIDチップや、チップ
用電気コネクタを含む。本発明の方法において、ウェブストックまたはシートストックは
、それぞれが所定のRFIDラベルまたはタグに組み込まれる一連の「セクション」に分
離される。典型的には、各セクションはRFIDチップの1つと、そのチップ用の電気コ
ネクタとを含む。1つの実施例において、RFIDウェブストックまたはシートストック
は、RFIDチップが凹部内に接合されるRFIDチップをもつ微小エンボスされた凹部
配列を含む。代替法として、このチップをRFIDウェブストックまたはシートストック
の滑らかな面に接合させるようにしてもよい。注記:本発明申請では、RFID「チップ
」、「IC」、「超小型電子素子」、さらにいくつかのケースでは「ブロック」という用
語を、ウェブストックまたはシートストック内に埋められる、またはストックのなめらか
な面に装荷されているかどうかに係らず、これらの要素を引用する際に交換可能な用語と
して用いている。
【0038】
本発明の方法は、RFIDチップに対するキャリアとしてRFIDウェブストックとR
FIDシートストックとに対するものであるが、RFIDウェブストックに対するものが
非常に好ましい。ここで「RFID超小型電子ストック」という用語は、RFIDウェブ
ストックとRFIDシートストックの両方を含む意味で用いられる。これらの用語は、ア
ンテナに接合される前の状態のRFIDチップと電気コネクタとを含むウェブストックま
たはシートストックを示す。個々のチップが対応するアンテナと関連付けられると、本特
許では個々のチップ−アンテナアセンブリを示すために「RFIDインレイ」を用い、こ
のようなRFIDインレイを含むウェブストックを示すために「RFIDインレイストッ
ク」という用語を用いる。
【0039】
他の要素は、例えば銅、銀、アルミ、その他の薄い導電性材料(エッチングまたはホッ
トスタンプされた金属箔、導電性インク、スッパタリング金属等)でできた複数のアンテ
ナの連続ウェブである。第3の要素は、特定の用途に対してRFIDインレイストックを
支持防護する、および/または有用な形状因子や表面特性(例えば、印刷適性、粘着固定
性、耐候性等)をもたらすために用いられる選定材料の連続ウェブまたはシートである。
【0040】
RFID超小型電子ストックは、このRFID超小型電子ストックを用いて形成される
RFIDインレイストックのピッチ密度よりもかなり高いピッチ密度をもつピッチ配列を
含む。この高密度ピッチにより、大きなメリットが得られる。例えば、FSA工程を用い
る超小型電子素子の設置、あるいはその他のチップの設置工程を容易にする。好ましい実
施例において、RFIDインレイストック中チップのピッチ密度が、最終タグまたはラベ
ルストック中チップのピッチ密度と同じである。しかし、個々のRFIDインレイとチッ
プとのピッチ密度を、最終タグまたはラベルストックに統合されるようさらに調整するこ
とも可能である。
【0041】
一連のアンテナを、薄膜、コーティング紙、薄膜と紙の成層体、その他適当な基板でで
きた連続ウェブ上に形成する。好ましくは、アンテナのピッチ密度は、ラベル又はタグが
形成される内部における特定寸法で、セクションのピッチ密度とは独立した寸法になるよ
う設計される。
【0042】
超小型電子ストックとアンテナウェブとは、各アンテナと関連付けられた位置に対して
超小型電子セクションを索引付け/個別化する変換工程を通して輸送される。この工程で
は、RFIDインレイストックを形成する導電性インク、またはアンテナウェブに用いら
れる接着剤に対してセクションを固定する。好ましい実施例において、インレイストック
は、セクションを囲むマトリクスを含むが、これがなくてもよい。代替法として、隣接セ
クション間(例えば、ダウンウェブ方向、またはクロスウェブ方向)のマトリクスをなく
すよう、インレイストックを突合せ切断してもよい。
【0043】
RFIDインレイストックはその後成層される、さらに/または特定の最終利用に適し
た薄膜、紙、薄膜と紙との成層体、その他の屈曲可能シート材料でできたラベル又はタグ
が選定される。このようにして得られたRFIDラベルストックまたはRFIDタグスト
ックの連続ウェブは、その後、テキストおよび/またはグラフィックスとともに上重ね印
刷され、特定の形状に打ち抜かれ、連続ラベルのロールまたは単体または複数ラベルのシ
ート、またはタグのロールまたはシートの大きさに合わせられる。
【0044】
特定の実施例の詳細に関して、図3は、RFIDラベル102が接着された基板100
を図示する。このラベルの実施例は、上部のプリント可能面104と印刷テキストおよび
/またはグラフィックス106とを含む。
【0045】
図4は、RFIDラベルおよび/またはタグが形成される多層ラベルストックまたはタ
グストックの断面である。この実施例は、印刷を行うため、トップウェブまたはフェイス
ストック層400を含む。セクション402は、中心ウェブ404とともに準備され、こ
の中心ウェブ上に(例えば、導電性インクまたは箔の)アンテナ408が印刷、スパッタ
リング、成層、あるいはその他の場合、蒸着される。接着剤406の層によりフェイスス
トック400をインレイウェブ404に接着させる。
【0046】
図5は、ラベルに切断される図4の多層構造を図示する。接着剤414の層によりイン
レイウェブ404をフェイスストック材料412の他の層に接着させる。圧感接着剤層4
14はフェイスストック層412の下にあり、シリコン被覆剥離ライナ416で覆われる
。ラベルが切断されるエリアは矢印419と420とで示される。
【0047】
フェイスストック層をそれぞれ接着するため、多目的恒久圧感接着剤または成層接着剤
を用いることが好ましい。幅広い恒久圧感接着剤がこの技術でよく知られている。圧感接
着剤は、アクリル系ゴム弾性圧感接着剤等の数多くのさまざまなタイプの接着剤の1つで
ある。図5に図示されたラベル構造が、レーザプリンタ等の高温を発生するプリンタで印
刷される場合、接着剤層414は、アベリー・デニソン社の米国特許第4898323号
で開示されているような熱安定性のあるものとして形成されるが、この特許はここで参照
により組み込まれている。
【0048】
さらに他の代替法として、底部層412を圧感接着剤層414で被覆する代わりに、底
部層412を水活性化接着剤、加熱活性化接着剤、その他この技術で知られたタイプの接
着剤を用いて被覆する、もしくは(タグの場合)接着剤をまったく使わない。層412は
、成層および変換工程中で追加層418および416を無視することにより、使用者がプ
リンタでラベルの表面および/または裏面に印刷することを望む状況での使用に対して、
紙または被覆ポリマーといった印刷可能材料であればよい。両面タグを使用する場合、例
えば、布上で、タグの1端部で穴あけを行い、プラスチック留め具、ストリング、または
その他の留め手段がその穴内に挿入される。
【0049】
層418で使用される接着剤は、水活性化接着剤、加熱活性化接着剤、その他この技術
で知られたさまざまなタイプの接着剤のいずれであってもよい。接着剤層406と414
は、典型的には恒久接着剤であるが、その他さまざまな接着剤を使用してもよい。
【0050】
フェイスストック400用の適当な材料として金属箔、ポリマー薄膜、紙、さらにこれ
らを組み合わせたものがあるが、これらに限定されるものではない。この材料は、天然繊
維または合成繊維でできた織布または不織布を含む布類であってもよい。この材料は単層
の紙または薄膜であってもよく、多層構造であってもよい。多層構造すなわち多層ポリマ
ー薄膜は2つまたは3つの層をもち、共抽出、成層、その他の工程により接合される。こ
ういった多層構造すなわち多層ポリマー薄膜の層は、同じ組成および/または大きさをも
つことが可能であるが、異なる組成や大きさをもつようにしてもよい。フェイスストック
400は上記のシート材又は薄膜材のいずれであってもよい。
【0051】
図3に示すラベルは、典型的には、ラベル技術で知られたくさび型打抜型あるいはその
他の切断方法により打ち抜かれる。図4において、ラベルは、セクション410を含むよ
うに切断される。打ち抜きはラベル断面全てにわたって行われるか、またはライナ層41
6までだけ行うようにしてもよい。この例では、ラベル技術において典型的なものとして
、ライナが標準の大きさの統一シートとして保持され、シートの上面に1つ以上の剥離可
能なラベルをもつ。
【0052】
例えば、インクジェットレーザやその他標準的な家庭用/事務用プリンタ用の標準的な
給紙トレイの大きさに一致するよう、8 1/2インチ×11インチまたは8 1/2×
14インチの大きさにライナ416を切断する。代替法として、ライナ416は特定の用
途で必要な場合、その他の大きさに切断してもよい。各シートは、このラベルが1×2イ
ンチ、1 1/2×3インチといった標準的なラベルの大きさ、あるいはその他当該技術
で知られた標準的なラベルの大きさの多数の打ち抜きRFIDラベルを含む、または慣例
的な大きさのラベルになるよう切断してもよい。
【0053】
ラベルよりもタグの方が必要とされる場合、接着剤層418や対応する剥離ライナ41
6とが無視されることに注意のこと。ラベルが貼り付けられる面、および/または使用者
が望むラベルの接着特性に応じて、圧感接着剤414の代わりに水活性化接着剤又はその
他のタイプの接着剤を用いてもよい。例えば、小型RFIDラベルは、水活性化接着剤層
を含む郵便切手といった切手形状のものであってもよい。
【0054】
図6A〜6Cは、各アンテナ465、462、472にそれぞれ取り付けられたセクシ
ョン450、460、470を図示する。セクションは各RFIDチップ454、464
、474をもつ。セクションは、クリンピング、溶接、あるいは例えば導電性または非導
電性接着剤による接着といった多数のさまざまな方法でアンテナに取り付けられる。好ま
しくは、セクションのアンテナへの取り付けにより、アンテナのチップとリードの電気接
点間でオーム接続を行うようにする。静電結合も可能である。
【0055】
(II.受容体薄膜の作製)
本発明の1つの実施例において、RFIDタグまたはラベルを製造する最初のステップ
として、ここでは「受容体薄膜」と称されることのあるポリマー薄膜基板中の受容体ウェ
ルまたは穴がある。好ましい実施例において、ポリマー薄膜基板は、WO02/9362
5号「自己集合マイクロ構造を含む屈曲可能基板を作製する方法」として発行された国際
特許出願第PCT/US02/21638号として共通選定された国際特許申請第PCT
/US02/21638号で説明されているポリマー薄膜の中の好ましい等級から選定さ
れた材料である。受容器穴は、第281号特許申請で開示された精密連続エンボス工程を
用いてこの基板薄膜内に形成される。ポリマー材料や、受容器ウェルを形成するための好
ましい工程を以下に説明する。代替法として、ポリマー薄膜基板は、PCT国際特許公開
第WO00/55916号といったエイリアン・テクノロジー社の特許出願で説明された
ポリマー材料から選定される。エイリアン社の特許公開で説明されたポリマー薄膜基板微
小構造受容器ウェルまたは穴を形成するための代替技術は、例えば、スタンピングや注入
モールド法などがある。
【0056】
ポリマー薄膜は、カリフォルニア州モーガン・ヒルのエイリアン・テクノロジー社が開
発した流体内自己アセンブリ(FSA)プロセス等により微小な電子構成品チップで充填
されるウェルを含む。その後、この充填されたウェルの上に平坦化層がコーティングされ
る。平坦化を行う目的は、まだ残っているギャップを埋めること;バイアのエッチングと
いったそれ以降の工程のために滑らかな平面を得ること;さらに処理ステップを行ってい
る間に超小型電子ブロック要素(すなわち、チップ)が基板上の凹部に位置し続けている
ことを確認すること;成層に対して機械的結着性を得ることである。「バイア」はその後
、エッチング法で作製される。その後、電子接続のためチップの反対面に1対のパッドを
形成するため、バイアをアルミでコーティングする。本工程のこの段階においてポリマー
薄膜ウェブは、埋め込みチップや関連付けられたパッドとともに、「RFIDウェブスト
ック」(シート基板の場合、「RFIDシートストック」)として本申請の中で言及され
ている。
【0057】
本発明の好ましい実施例において、RFIDウェブストックまたはシートストックが、
その後、各セクションが1つ以上の電子構成部品と、関連付けられた平坦化層や導電パッ
ドを含む一連のセクションになるよう切断または分離される。RFID微小電子ストック
の切断または分離されたそれぞれの部位は、ここでは「セクション」と称される。エイリ
アン・テクノロジー社は本実施例においてRFIDセクションを利用することによる主な
優位性を認識している。これにより、チップが組み込まれるRFID装置配列の密度より
もチップの密度が高い(このため製造費用が安い)RFIDウェブストック又はRFID
シートストックのFSA技術を用いて製造することが可能になる。このように、ウェブの
縦横方向配列されたチップの格子の場合、チップのピッチ(すなわち、隣接チップ間の中
心間距離)が、(a)縦方向(「ダウンウェブ」とも呼ばれる);(b)横方向(「クロ
スウェブ」);(c)両方向に形成されるRFIDタグまたはラベルの配列のピッチと異
なる。「ピッチ密度」は、ピッチの積を相互に計算することにより決まる。これにより、
ダウンウェブピッチの例として5mm、クロスウェブピッチで10mmであり、この例の
場合、ピッチ密度はmあたり200チップである。
【0058】
それぞれ単体の電子構成部品を含み、関連付けられた平坦化層と導電パッドをもつRF
IDウェブストックまたはRFIDシートストックからセクションが分離される場合、こ
れらのセクションはその後、個々のRFIDタグまたはラベルに組み込むため適切な形状
にされる。代替法として、セクションが(電気コネクタとともに)複数の電子構成部品チ
ップを含んでもよい。例えば、RFIDウェブストックを、それぞれ超小型電子ブロック
の1つの列を含む一連の縦方向レーンに切る。この工程の後のポイントにおいて、個々の
RFIDタグまたはラベルを形成するため、個々のセクションをこれらのレーンから切断
または分離することができる。RFIDセクションの取り扱いは、RFIDセクションを
RFIDウェブストックから分離する、ロールツーロール工程でRFIDセクションをR
FIDインレイストック(その後、ラベルストックまたはタグストック)に物理的に統合
する際にさまざまな製造上の問題が発生する。申請者は、以下に説明するとおり、本発明
においてこういった問題点を克服した。
【0059】
各RFIDセクションの大きさは、セクションがラベルよりも大きくならないという制
限から、関連付けされた仕上げラベルの大きさに大きく依存する。1つの実施例において
、セクションは約6mm×2mmである。他の実施例において、セクションはそれぞれ1
0mm×2mm、4mm×2mmである。しかしセクションの大きさは変わることもあり
、さらにこれらの寸法は単に例として示したものである。
【0060】
(III.RFIDラベルの製造方法)
RFIDラベルの製造方法に関して、この方法の1つではさまざまな層の大ロールを用
いる。つまり、工程への投入物として、フェイスストックの大ロール;RFIDウェブス
トックを形成するために処理される基板ロール;アンテナが上部に印刷または接着される
基材ロール、また代替法として、事前に形成されたアンテナをもつ基材ロール;その他考
えられるロールがある。
【0061】
図7は、アンテナ510が印刷または形成されるウェブ500を図示する。図8で図示
するとおり、1つのアンテナはウェブ上にあり、RFIDチップをもつ個々のセクション
はアンテナに固定される。1つのアプローチにおいて、セクション520は真空によりア
ンビル530に対して保持される。セクション520はアンテナ用の接点525上に蒸着
される。
【0062】
セクションは、導電性エポキシ系接着剤といった接着剤によりアンテナ接点に固定する
。接着剤は部位540で熱および/または圧力で硬化される。
【0063】
図9は、こういったロールを用いてRFIDラベルを製造するための1つの方法におけ
るステップを示すブロック図である。ステップ600で、基薄膜は印刷用に巻き出される
。ステップ602でアンテナが、ラベルのピッチに対応するピッチで基薄膜上に印刷され
る。ステップ604において、製造工程がさらに進む前に性能試験が行われる。ステップ
606で、事前に印刷されたアンテナロールが巻き出される。
【0064】
アンテナウェブのクロスウェブ幅は、さまざまな幅の数のうちのいずれかのものである
。1つの実施例において、クロスウェブ幅は16インチである。アンテナのピッチとアン
テナ間の離間とは、意図するラベル寸法と最終ラベルストック上のラベルの離間とに依存
するが、典型的には約0.5〜32インチの範囲である。隣接アンテナ間の典型的な離間
は約0.125インチであるが、この離間は必要に応じてさらに大きくても小さくてもよ
い。
【0065】
(第1フェーズと連続する場合も連続しない場合もある)ラベル製造工程の第2フェー
ズにおいて、RFIDウェブストックロールはステップ608で巻き出される。受容器薄
膜上の小型電子ブロックICの配置は、(FSA等の)IC設置工程の特殊性、RFID
利用の要求事項(およびRFIDチップおよび/またはアンテナの関連仕様)、その他の
因子に応じて変わりうる。例えば、ウェブに沿って小型電子ブロックICは1列または複
数列ある。経済的な理由から、ウェブ上にできるだけたくさんICを置くことが一般に望
ましいとされ、同じ理由により、小型の高密度に詰め込んだIC(小型電子ブロック)が
望ましい。つまり、1つの実施例において、小型電子ブロックの「ピッチ密度」を最大化
させる。前述の通り、「ピッチ密度」は、「ダウンウェブ」すなわち縦方向ピッチと「ク
ロスウェブ」すなわち横方向ピッチとの積を相互に行うものである。
【0066】
個々のセクションはステップ610でウェブから切断または分離される。切断は、打ち
抜きまたは当該技術の他の切断方法、レーザ切断、穿孔、スリット切り、パンチ、あるい
は特定の形状や大きさにけがくことのできる既知の手段で行う。この切断位置はその後、
アンテナのピッチ(典型的にはラベルの最終ピッチと同じ)と一致するよう索引付けされ
る。ラベルのピッチはラベルの大きさに依存するが、この大きさは用途ごとに変わりうる
。典型的には、前述の通り、セクションが所定の離間をもって作製され、セクションが組
み込まれる特定タイプのラベルの大きさで要求される離間と同じになるよう「索引付け」
されなければならない。この索引付けは、セクションのダウンウェブ離間、クロスウェブ
離間、又はその両方に影響を与える。
【0067】
追加の背景として、ICのピッチ密度は、全体として仕上げラベルシートのピッチ密度
よりも大きいことに注意のこと。小型電子ブロックICは、ラベルよりもウェブ上でお互
いさらに密接に充填することができる。例えば、ラベルのクロスウェブピッチに一致する
よう、セクションがウェブから切断された後に小型電子ブロックICをもつセクションの
ピッチが調整される場合、小型電子ブロックICの8インチ幅のウェブとラベルの16イ
ンチ幅のシートとをもつことが可能になる。唯一の要求事項は、チップのレーン数とラベ
ルのレーン数間で1対1の対応があるということだけである。
【0068】
索引付け装置を用いて、アンテナウェブに関して個々のICを適切に離間させるよう、
ICをもつウェブの相対速度を、アンテナをもつウェブの速度に対して制御することが可
能になる。この縦方向(ダウンウェブ)索引付け装置により、セクションをアンテナに対
して適切に配置しアンテナに接着できるようにするよう、セクションをアンテナとともに
配列する。
【0069】
ここで図10を参照すると、巻き出し608からのRFIDウェブストック502は、
打抜型DとアンビルA間で引っ張られて通過する。ウェブは、打抜型DとアンビルAまで
の途中で送り込み引っ張りアイソレータ650と送り込みドライブ652においてローラ
を通過する。アンビルAは、表面部にアンテナウェブ上のアンテナ配置に対応する真空保
持ステーションを含む。アンビルは硬い面を含み、典型的には打抜型とともに回転できる
よう打抜型の直径と同じ直径をもち、面上の任意の平面上でお互いに同じ位置にある。打
抜型は、RFIDウェブストックを囲むマトリクスからの個々のRFIDセクションを切
断する。
【0070】
図11を参照すると、真空アンビルAはDおよびBとともに逆回転し、これによりDの
表面から、セクションがアンテナに接合される位置、この場合、ローラAとBの間のニッ
プまでセクションを輸送することができるようになる。アンテナウェブはアンビルAと、
成層部材として作用する基アンビルロールBとの間を通過する。ローラBは、ローラの直
径が回転位置合わせやローラ面をセクションやアンテナウェブに接触させることができる
ように調整するよう、アンテナウェブの厚み調整を行うための段付面をもつ。ローラAや
Bにより、チップの電気コネクタとアンテナの間の耐久接着を容易に行うための圧力ニッ
プを形成することができる。さらに、UV等の熱および/または化学線放射(図示されて
いない)を行う。この接着は、導電または非導電接着剤を用いて形成または強化される。
さらに、ローラを用いて、接着剤付または接着剤のないセクションとアンテナとの2つの
金属面をかしめる。この接着に続き、アンビルAは次のセクションを受け入れるための回
転を完了する。
【0071】
図12の配置では、固定部でセクションのピッチの約2倍のピッチになっている。図1
2は打抜型面の詳細図の半分を示す。これにより、各打抜型の回転により、4つのセクシ
ョンが連続的に打ち抜かれる。打抜型Dは、セクションの直径と一致するよう切断面とと
もに作製される。個々のセクションを打ち抜く打抜型はそれぞれ、前縁L−1と後縁L−
2をもち、L−1がセクションの前縁でセクションウェブを切断し、L−2がセクション
の後縁で切断を完了する。
【0072】
セクションとアンテナピッチを最適印刷速度にあわせるため、セクションのピッチとア
ンテナのピッチとの両方に対する打抜ローラD上の切断セクションの数とローラDおよび
Aとの相対直径との比を選定する必要がある。
【0073】
図10でわかるとおり、打抜ステーション610を通過した後、ウェブが巻き戻し機6
58までの途中で送り出しドライブ654と送り引っ張りアイソレータ656においてロ
ーラを通過する。
【0074】
図13は、代替法による圧力積層部材B、すなわちアンテナをアンビルローラA’に接
着するための金属又はポリマー製のベルトを図示する。回転ベルトB’を使用することに
より、アンテナとICコネクタ構造体間の接着剤硬化や耐性金属間接着の形成を容易にす
るための高温および/または温度の拡張領域が得られる。アンテナとICコネクタ構造体
間の接着形成部をさらに拡張するため、1つ以上のベルト又はローラの組み合わせ(図示
されていない)の組を提供することが可能である。オプションとして、RFIDセクショ
ンをゴム弾性帯に設置しアンテナに対してRFIDセクションの位置決めを行うため、ア
ンテナウェブに対して1つ以上の次元にこのゴム弾性帯を延伸させる。
【0075】
再度図11を参照すると、真空アンビルAは一般に、正の真空度による回転を行う部位
と、真空のない第2の部位とをもつよう設計される。さらに、Pで示される、真空のない
回転セクションのサブセクションは、正の圧力流で作動するよう設計される。3つの空気
流セクションとして考えられる部分のそれぞれは、Aの回転に対するセクションの位置に
対応して活性化されるよう設計することが可能である。
【0076】
L−2がセクションの切断を完了すると、セクションの大きさに対応する穴を通してア
ンビル表面に真空が生成される。このようにしてセクションは、打抜型Dへの接触から回
転して離れるとローラAの表面に保持される。セクションウェブからのマトリクスは平面
内のままであり、廃棄物として巻き戻される。(代替法として、セクションウェブの突合
せ切断を行い、これによりマトリクスをなくすことができる。)
正の真空でアンビルローラAにより保持されたRFIDがローラBとの接線部に近づい
た場合、真空が開放され、これによりセクションが係合され、アンテナウェブに予め設け
られた接着剤により保持させることができる。必要な場合、セクションPのAの面からセ
クションを押すため、正の空気流を生成することができる;この空気流はさらに真空ステ
ーションを浄化するために用いることができる。その後セクションはアンテナウェブとと
もに動く。
【0077】
セクションのダウンウェブ(すなわち縦方向)索引付けに関して、RFIDウェブスト
ック輸送機構は、電子制御装置からのコマンドにより左から右の方向、または右から左の
方向のいずれかにウェブを向けるよう設計できる。前縁切断打抜型面L1が最初にRFI
Dウェブストックに接する瞬間に始まり、後縁切断打抜型面L2がウェブストックとの接
触を終える瞬間に終わる期間に、ウェブはアンテナウェブと同じ速度で右から左に輸送さ
れる。これらの切断サイクルの間に、打抜型D上の次の未切断打抜型面L1、L2の組と
並ぶようRFIDウェブストック上に次の未切断セクションを置くため、ウェブ輸送制御
により、ウェブの制御加速された左から右の動きが得られる。その後、このサイクルが繰
り返される。
【0078】
ローラDとその切断セクションとは、各切断セクション間にスペースを設けるよう配置
することができ、これにより打抜型面と接することなく打抜型面の動きから逆方向にセク
ションウェブが移動することが可能になる。切断セクション間のスペースと、セクション
ウェブを1方向から他の方向に循環させるための経過時間とを合わせることにより、各セ
クションの位置は、各切断セクションの位置に対してさまざまなピッチで切断することが
可能である。Dの各切断セクションは、セクションウェブが打抜型Dの切断セクションと
未切断セクション間とを折り返し運動するよう、アンテナと同じピッチで作製することが
でき、各セクションは、ローラAとBとの間を移動するアンテナと合ったピッチでアンビ
ルローラA上に各セクションが輸送される。これにより、標準化された(したがって安価
な)セクションの高速ロールツーロール処理が、ラベルやタグで典型的に見られるさまざ
まな慣習的な配置に適用できる。
【0079】
図9〜12の装置の1つの変形例において、この装置が、チップのレーン1つを含むR
FIDウェブストック上で作動し、複数のこの装置が、当初のRFIDウェブストック上
のチップの多数のレーンに対応して準備される。これらのレーンは、当初のRFIDウェ
ブストックから切り出され、垂直索引付け装置による処理の前に任意に広げられる。代替
法として、垂直索引付け装置は、チップの多数のレーンをもつRFIDウェブストック上
で作動する。
【0080】
セクションをもつウェブのレーンはまた、ラベルとアンテナとをもつウェブのレーンの
横方向(クロスウェブ)ピッチに一致するよう作製される。この「クロスウェブ配列」を
確実に行う方法の1つは、ラベルやアンテナの個々のウェブ1つずつに対してセクション
の1つのウェブを用いるということである。他のアプローチは、各ウェブを縦方向に切り
、その後、セクションの切断されたレーンをラベルやアンテナの切断されたレーンに対し
て並べるというものである。このアプローチは、通常のスリッタアセンブリでよく行われ
るとおり、一連の拡幅ロールを用いて行うことができる。切断方法は、多数の米国特許で
知られ開示されているが、その中には例えば、米国特許第3724737、398957
5、3891157、4480742号があり、これらは全てここで参照により組み込ま
れており、さらに欧州特許公開第EP0979790号についてもここで参照により組み
込まれている。この拡幅ロールは、レベルの各レーンに対してセクションの1つのレーン
を与えるため、小型電子ブロックセクションの組を変える。
【0081】
さらに他の代替アプローチは、最大ピッチ密度のクロスウェブで小型電子ブロックウェ
ブを切断し、得られたレーンを、レーンを広げる真空ベルト上に置くというものである。
米国特許第4480742号で図示された形態の装置を用いて、クロスウェブ方向にレー
ンを分離するため連続拡大バンドまたはベルトを用いてもよい。代替法として、レーンを
クロスウェブ方向に分離するため、横方向に離間された一連のベルトの離間を広げる。
【0082】
ステップ608〜612と同時に、事前に印刷されたアンテナのロールをステップ61
4で巻き出す。セクションを事前印刷アンテナに固定するための接着剤は、ステップ61
6で事前印刷アンテナロールに設けられる。ラベルのピッチに応じて索引付けされたセク
ションは、ステップ618でアンテナに固定される。
【0083】
安定化樹脂はステップ620で接着部に設けられる。ステップ620の樹脂により、小
型電子ブロック構成部品を防護し、これらの構成部品をラベル内の場所に固定する。さら
に、セクションとアンテナ間の境界部は脆弱なものであってもよい。これにより樹脂材料
を境界部エリアにわたって分配し、その後、この境界部がたわみや疲労等により壊れない
よう安定化させるハード仕上げになるよう樹脂材料を硬化させる。適当な樹脂材料の例と
して、シリコン充填熱硬化エポキシや清浄充填UV硬化アクリル系樹脂等がある。エポキ
シまたはアクリル系樹脂は、境界部エリアに直接分配される、または移送装置を用いて間
接的に分配される。
【0084】
ステップ622において、1枚以上のフェイスストックが、アンテナと接着部とをもつ
ウェブに成層されている。図4に戻ると、このステップにより、図4の特定の実施例にお
いて、フェイスストック層400をインレイ層404に接着する。同様に、フェイススト
ック層412等の追加層は、図5に示されるようにインレイ層404の上部および/また
は下部の位置で成層できる。
【0085】
ラベルストックのさまざまな層がともに成層されると、ラベルストックはステップ62
4で個々のラベルに打ち抜かれる。ラベルはまた、必要に応じて細片またはシートに切断
される。ラベルはステップ626で引き取りロールに巻き戻される。
【0086】
打ち抜きラベルの製造の最終段階において、ステップ628でラベルは巻き戻される。
ステップ630での切断操作を通して、ラベルの打ち抜き細片は個々のラインに送られ最
終工程にまわされる。ウェブを個々の細片に切断後、細片はシートに切断される。このシ
ートはその後、ステップ632で梱包搬出される。
【0087】
図14は、RFIDラベルを製造するための製造工程の簡略図である。印刷アンテナ用
の基薄膜はステーション600’で巻き出される。小型電子ブロックをもつウェブはステ
ップ608’で巻き出される。打ち抜きやインレイストックを形成するためにセクション
を固定することに関するステップ610’〜620’はこれで完了する。
【0088】
インレイストックはブロック622’でフェイスストックと底部ウェブとで成層される
。ラベルは打ち抜かれ、ラベルマトリクスはブロック624’の成層ウェブから剥ぎ取ら
れる。フェイスストックはリール636’で巻き出され、接着剤被覆された底部ウェブと
剥離ライナとのアセンブリはリール638’で巻き出される。代替法として、巻き出し6
38’により、ウェブ500に直接被覆された接着剤に成層される剥離ライナのウェブだ
けが得られる。この貼付ラベルはエリア626’で巻き戻される。打ち抜きステップ後に
残った余分な材料であるラベル材料はステーション634’で巻き戻される。
【0089】
図15は、図14と比較したさらに詳細な製造工程を示すものである。図15は、さま
ざまな副工程を行う多数のさまざまなステーションを示す。図の左側で開始される1つの
副工程について、巻き出しステーション700は上記RFIDウェブストックを保持する
。RFIDウェブストックはステーション700から巻き出され、送り込みステーション
702に入り、その後変換モジュール704に入る。変換モジュール704において、R
FIDウェブストックはセクション配列に打ち抜かれ、このセクションは事前印刷アンテ
ナウェブに固定される。ウェブストックの残り(廃棄マトリクス)は、供給ステーション
706を通して供給され、最終的に巻き戻しステーション708でリールに巻き戻される

【0090】
図15に図示された製造工程の他の部分は、印刷アンテナウェブ500に関するもので
あり、このアンテナウェブはステーション710でリールに供給される。事前印刷アンテ
ナウェブ500はステーション700でリールから巻き出され、その後、送り込みステー
ション712で処理される。事前印刷アンテナウェブ500は印刷又は被覆ステーション
714に送られ、ここでウェブに接着剤が貼付される。ウェブ500はステーション70
4へと続き、ここでRFIDセクション配列が事前印刷アンテナに固定され、RFIDイ
ンレイストック504を形成する。RFIDインレイ504ストックはステーション71
6に送られ、ここで固定接着剤が(例えば、B段階の接着剤に対して)後硬化される。接
着剤を硬化させるための方法は当該技術で知られているものであり、例として、熱硬化法
、UV法、赤外線硬化法等があるが、これらに限定されるものではない。
【0091】
追加の安定化樹脂はステーション718で貼付される。前述の通り、樹脂により、小型
電子ブロックを保護しウェブ上のブロックを安定化させる。ステーション720により、
RFIDインレイストックを検査して品質管理を維持する。RFIDインレイストックは
その後、送り出しステーション722に送られ、ステーション724を通過する。ステー
ション724において、成層接着剤をRFIDインレイストックの上面と下面とに貼付す
る。任意に事前印刷される、または使用者施設での印刷に適したフェイスストック成層5
06は、送り込みステーション726を通過して、その後、ステーション724とステー
ション728とに移送される。ステーション724および/または728において、フェ
イスストックはRFIDインレイストックに成層される。同時に、底部が圧感接着剤で事
前に被覆される底部層508がステーション730から巻き出される。底部層508はス
テーション724と728とに入り、ここで底部層はウェブに対して成層される。ステー
ション730で巻き出される底部層はさらに、層の底部で圧感接着剤を覆う剥離ライナを
含む。フェイスストック層はリール731から巻き出される。
【0092】
全て成層された構造体はその後、送り出しユニット732を通過する。2つの巻き戻し
リール734と736とがあることに注意のこと。巻き戻しリール734は、貼付ラベル
をつかみ上げる。巻き戻しリール736は、ラベルが切断される工程から発生する実質的
に廃材である打ち抜きラベルマトリクスをつかみ上げる。打ち抜き作業はステーション7
28で実施される。切断作業は、打ち抜きだけに限定されるものではなく、レーザ切断、
穿孔、スリット切り、パンチ、その他当該技術で知られた方法といった他の切断技術によ
る。
【0093】
図16は、フェイスストック材がリールから巻き出された後にステーション750、7
52、754によりグラフィックスおよび/またはテキストを印刷する他の配置を図示す
る。必要に応じてマルチカラー印刷といった印刷が1つ以上の印刷ヘッドにより印刷を行
うことができることを図示するため、3つの別個の印刷ステーション750〜754を示
す。しかし、状況によっては1つの印刷ヘッドだけで印刷することも可能である。図15
の配置と比較して、図16におけるこの工程により、ラベルストックを作成する際の他の
ステップとして、同一製造ラインで上部フェイスストックに印刷を行う。例えば、特定の
チップに保存されている識別情報といったさまざまな情報が対応するラベル上に印刷され
る場合に、ラベル製造中にフェイスストック上に印刷を行いたいことがある。
【0094】
しかし、図15から、フェイスストックがリール上に巻かれる前にフェイスストックに
事前印刷されることは明らかである。つまり、事前印刷は、ラベル作製においてさまざま
な特定のステップを行う製造ライン以外の他施設や他の場所でオフサイトに行うことがで
きる。代替法として、フェイスストックを部分的にオフサイトで行い、追加印刷をインラ
インで行ってもよい。
【0095】
ここまではICまたは小型電子ブロックが、製造工程中に巻き出された巻きウェブ上に
設置することを想定していた。しかし、代替法として、マイクロチップ付受容体薄膜を、
巻きロール形状の代わりにシート形状に設ける。個々のICをもつセクションはその後、
ロールの代わりに事前切断されたシートから切断され、これらのセクションはピックアン
ドプレイス操作によりRFIDタグ又はラベルに統合できる。ピックアンドプレイス操作
を制御するため、小型電子ブロックをもつセクションの位置は、例えばラベル上又はラベ
ル近くの位置決めまたは配列を検出するためのCCDカメラを用いて対応ラベル上におい
て決められる。上で図示された(例えば、索引付けステーション、取り付けステーション
に対する)ウェブ取り扱い機器の代わりに、シート取り扱い機器を用いてもよい。
【0096】
ピックアンドプレイス操作はピックアンドプレイス装置で行うが、この装置は、小型電
子ブロックをラベルとともに配置内の望みの位置に移動させるとともに小型電子ブロック
をもつセクションをつかむための機械および/または真空グリップを含む。適切なピック
アンドプレイス装置には幅広くさまざまなものがよく知られている。こういった装置の例
として、米国特許第6145901、5564888号で開示されている装置があるが、
これら両装置は、これらの特許で論じられている従来技術とともに本申請で参照により組
み込まれている。
【0097】
代替法として、回転式プレーサを用いてセクションをラベルに設ける。こういった装置
の例として、米国特許第5153983で開示されているが、これは本申請で参照により
組み込まれている。
【0098】
集積回路またはRFIDチップは、RFID超小型電子ストック内の凹部に摩擦固定さ
れる、または接着剤および/または溶接によりこの凹部に接合される。RFIDチップと
、アンテナに接続される回路間の電気接続は、ワイヤ接合、リボン接合、テープ自動化接
合、リードフレーム、フリップチップ接合、および/または鉛導電接着により行う。
【0099】
(IV.材料特性−RFIDウェブストックとRFIDセクション)
工程を通して十分な寸法安定性と剛性とを維持する上で、RFIDセクションは十分強
固であることが望ましい。ストックを形成するため(例えば、受容体ウェルを形成するた
め);さらに導電性、誘電性材料や類別された電気相互接続構造体を形成するために使用
される工程では、RFID超小型ストック用基板材料に対する追加の要求事項がある。ウ
ェブストックの他の望ましい特性は、清浄で鋭い打ち抜き特性;引っ張り応力下(典型的
には500,000psi超)における不当な伸びを避ける十分な引っ張り計数;マトリ
クス剥ぎ取り等の作業中にウェブが破損することを防ぐための適当な力といったインレイ
ストックを形成するため、さらにインレイストックをラベルストックに変換するための工
程で要求される。
【0100】
上述の通り、エイリアン・テクノロジー社の平坦化工程が用いられる場合、1時間に1
50℃で寸法的に安定であり、260℃で微小複製可能であり、平坦化層との接着性がよ
く、化学耐性が高く、平坦特性がよく(11’’シートに対して<0.5’’のもち上が
り)、ツールからの取り外しが容易で、打ち抜き可能なものの1つが適当なポリマー薄膜
基板である。
(出願時に提出されず)エンボスは薄膜のそれよりもはるかに小さい。スーパーカレンダ
処理クラフト紙(SCK)をポリスルホンと比較すると、引っ張り係数が同程度である。
つまり、同一のウェブ引張り力と同一のキャリパの場合、SCKとポリスルホンの両方と
も同じだけ延びることを意味するが、SCKの破断点伸びははるかに小さい。紙の場合、
本発明の物品の寸法安定性に対して悪影響を及ぼす恐れがあるため、感湿性が重要である
。好ましい代替法の1つとして、紙の片面または両面をポリエチレンやポリプロピレンで
コーティングした紙とであるポリコート紙がある。これにより、湿気に曝露されることに
より起こる寸法不安定性を減少させることができる。
【0101】
(V.アンテナウェブ)
アンテナ部分はさまざまな材料や工程を用いてアンテナウェブ上に構成される。例えば
、複数アンテナを規定するパターンで、銀製導電インク等の導電材料をアンテナウェブ上
に印刷する工程もある。このインクは例えば、シート供給又は巻き取り作業中にシルクス
クリーン法を用いて印刷する。アンテナは、対称パターン、非対称パターン、蝶ネクタイ
型パターン、格子状形状パターン、および/または不等形状パターン、あるいは当該技術
で知られている他の形状やパターンといったさまざまな形状やパターンで印刷される。
【0102】
アンテナは典型的にはロールのウェブ上で乾燥され格納される。しかし、代替法として
、変換工程中にアンテナを湿式印刷し、セクションを直接湿式印刷インクに貼付すること
もある。インクが乾燥すると、インクがセクションを下地ウェブに接着させる。インクは
、接着性を上げるためドープ剤を任意で含んでもよい。圧感接着剤層は、安定性をさらに
増すため湿式インクとともに用いられる。
【0103】
アンテナを形成する適当な方法としては、導電インクで印刷すること、金属スパッタリ
ングを行うこと、箔成層またはホットスタンピングを行うこと、その他、アンテナを薄膜
上に形成するために当該技術で知られた方法等も含まれる。
【0104】
金属スッパタリング法に関して、金属スパッタリングされたアンテナを非常に薄いまま
、必要な表面抵抗又は導電性を達成するよう作製することに注意のこと。本発明の装置と
方法の好ましい実施例の1つにおいて、アンテナを金属スパッタコーティングで作製する
ものがある。60%充填された銀インクの通常のコーティングと比較すると、銀の厚さを
1/10でスパッタリングすることでも同等の表面抵抗が得られる。さらに、銀が充填さ
れたインクコーティングの場合のように乾燥工程が必要とされない。
【0105】
金属スパッタコーティングでアンテナが形成される好ましい実施例の1つにおいて、1
6インチ×6インチの四角形のターゲットで、4〜6インチのスパッタ距離で銅またはア
ルミのターゲットを用いて1フィート/分のウェブスピードで、6〜10インチのウェブ
幅でスパッタリングを行う。第1の代替法において、スパッタリング後の除去に続いて基
板上にマスキングを行う。第2の代替法において、PSAでコーティングされたウェブ後
面にパターンをマスキングし、これがスパッタリングの直前に基板に成層され、その後ス
パッタリング直後にストリッピングを行う。第3の代替法において、スパッタリングの開
度が最小になるよう基板ウェブに非常に近い(1cm以下)恒久マスクを用いてもよい。
【0106】
ラインやスペースの印刷要素の精度すなわち解像度はアンテナの性能にとって重要であ
る。アンテナの設計によっては、通常の印刷により適当な解像度、ライン/スペース分離
、その他、設計性能を得る上で必要な品質特性が得られないこともある。
【0107】
同様に、アンテナの印刷エリアの厚さや滑らかさを制御することがアンテナの性能にと
って重要である。インク形成、環境条件、基板の使用、工程条件、その他の因子が、印刷
アンテナの滑らかさや最終厚さの両方に影響する。表面張力効果は、これらの変数の多く
のものの基礎になっており、これが蒸着可能なインク量や、グラフィック要素がお互いに
どれほど近く位置できるかということに対する制限となる。
【0108】
アンテナ用の好ましい基板は、高Tgポリカーボネイト、ポリ(エチレンテレフタラー
ト)、ポリアリレート、ポリスルホン、ノルボルネン系ポリマー、ポリフェニールスルホ
ン、ポリエーテルイミド、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン
(PES)、ポリカーボネイト(PC)、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリイミド、
ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、セルロースアセテート、脂肪族ポリウレタ
ン、ポリアクリロニトリル、ポリフルオロエチレン、フッ化ポリ塩化ビニリデン、HDP
E、ポリ(メチル−メタクリル酸)、あるいは環状または非環状ポリオレフィン等がある
が、これらに限定されるものではない。特に好ましい基板では、ポリスルホン、ポリエス
テルポリアリレート、ノルボルネン系コポリマー、高Tgポリカーボネイト、ポリエーテ
ルイミドを含む。
【0109】
製造工程中に過度に延びることのない材料を用いることが望ましい。例えば、500,
000psi超の引っ張り係数をもつウェブストックを用いることが望ましい。
【0110】
ここで模範的寸法に関して1例として示すがこれに限定されることのないものとして、
ラベルの実施例において、セクションが約7〜8ミルの厚さで、アンテナコーティングが
約5〜10ミクロン(0.2〜0.4ミル)というものがある。アンテナはマイラー等の
プラスチック薄膜上にコーティングされ、厚さは約2〜5ミルである。この特定の実施例
における厚さは、剥離裏当てシートを含み、約15〜20ミルである。こういった厚さの
例を示す目的は、いずれかの層またはラベル全体の厚さを制限するためのものではない。
むしろ、本発明によるRFIDラベルが非常に薄いということを図示することが目的であ
る。
【0111】
ICを組み込んだラベルのさまざまな実施例は、RFIDラベルまたはタグとして考え
うるさまざまな配置の複数例を示すものである。他の配置例についても可能であり、それ
らも本特許申請の範囲内である。
【0112】
(VI.追加の特徴)
前述の「詳細な説明」は本発明の特定の実施例について図示のために説明していると理
解すべきである。しかし、本発明は、この「詳細な説明」で示す特定の例だけに限定され
るものではない。本発明の適用範囲内でラベルまたは製造工程に対してさまざまな変更や
改造を行うことができる。
【0113】
例えば、上記実施例において、セクションをウェブから切断し、その後、アンテナのあ
る他ウェブに貼付してもよい。しかし、例えば、セクションをウェブに貼付し、その後、
印刷を行う、またはアンテナをセクション上に置くことも可能である。これは、例えば、
セクションがウェブに貼付された後にセクション上にアンテナを印刷することで実行可能
である。または、代替法として、金属スパッタリングを行う、またはセクション上にアン
テナを形成する。
【0114】
さらに代替法として、さまざまな追加層をRFIDラベル内に含める・例えば、通常使
用中に構成部品への衝突または衝撃を緩和するよう、ICの上部または下部に追加の緩衝
層を設けてもよい。1つ以上の防水ポリマー層といった防水層を構成体に含めてもよい。
必要とされる特性やRFID装置の使用目的に応じて、さらに別の層を含めることも可能
である。
【0115】
本発明による物品は、例えば、荷物ラベルまたはタグ、洗濯ラベルまたはタグ、図書館
物品の分類用ラベルまたはタグ、服飾製品を特定するためのラベルまたはタグ、郵便物を
特定するためのラベルまたはタグ、医療用物品を特定するためのラベルまたはタグ、輸送
チケット用ラベルまたはタグといったものがある。ここで使用されている「ラベル」とい
う用語は、上記の通り、本発明による物品のことであり、使用目的に応じて物品を他の物
品に貼り付けるための接着面を含むものである。「タグ」という用語は、本発明による物
品のことであり、貼り付けのための接着剤がないものである。タグは、本発明の巻取供給
成層工程で梱包用の平材等の追加機能をもつ平基板と組み合わされる。
【0116】
ラベルの層は、接着剤以外の手段で接着される。例えば、集積回路を、接着剤としても
機能する熱溶融型樹脂又はその他の物質とともに所定位置に置く。樹脂はこの際、接着剤
層の代わりになる。層は、例えば超低周波溶接で共接着される。
【0117】
ラベルの接着面は、当該技術で知られている通り、ラベルの全底面を覆う接着剤を含む
、またはパターンにコーティングされる。接着剤は、ラベルが基板に貼付された後に基板
からラベルを取り外せるよう、取り外し可能なものとする、または接着剤は、ラベルを基
板に恒久的に接着するための恒久的接着剤とする。代替法として、ラベルが初めに貼付さ
れた後にこのラベルの基板上の再位置決めを行うよう、接着剤が再位置決め可能なものと
する。接着剤は、特定のラベルの特定用途に応じて、水活性化、圧力活性化、および/ま
たは他の手段により活性化される。代替法として、ラベル(またはタグ)が基板に対して
、糸綴じ、溶接、熱接着、機械的締結、あるいはタグ又はラベルの技術で知られた固定方
法を含む他の手段により貼付される際に、下面にいかなる接着剤をもたないというものが
ある。
【0118】
他の代替法として、1つ以上のRFIDチップをもつラベルまたはタグを作製するもの
がある。例えば、受容体薄膜が各セクションに複数の凹部をもち、各凹部に1つのRFI
Dチップをもつ。RFIDチップは列、行、またはマトリクスに配列され、お互いに電気
的相互接続される。
【0119】
他の代替法として、ラベルまたはタグがRFIDチップ以外に電気および/または電子
構成部品を含む。例えば、RFIDラベルまたはタグがセンサ、MEMS、その他のタイ
プの構成部品を含む。この構成部品は電気的相互接続されて回路を形成する。使用される
電気および/または電子構成部品のタイプは通常の技術能力の中の1つから選定されるが
、ラベルまたはタグの利用に依存する。
【0120】
例えば図2で説明されたウェル内でRFIDチップが位置決めされる必然性はないとい
うことを再度確認する。RFIDチップはウェル内に代わり基板の上にあり、基板内又は
基板上で組み込まれる。例えば、RFIDICは「フリップチップ」型であり、ここで、
露出接点または打抜型上パッドがバンプをもつよう打抜型が形成される。通常のフリップ
チップ梱包において、ICを含む回路に対して電気接点を与える導線上に打抜型が当たり
、この中で直接接する。「フリップチップ」技術を用いるRFIDタグとラベルの構成は
、例えば、ドイツ国ドレスデン市のKSWマイクロテック社のものが利用可能である。
【0121】
本発明と共存可能なIC梱包技術の他の例として、「リードフレーム」ウェブを本発明
の製造方法とともに利用する。この実施例において、一般にパッドまたはフラグと呼ばれ
半導体チップまたは打抜型と直接接触させる比較的大きなエリア部分と、チップまたは打
抜型の中間接続(例えば、ジャンパ)を経由してアンテナまでの電気相互接続を容易にす
るためのリード要素とをもつ導体金属ネットワーク付ウェブにICを設ける。
【0122】
したがって、「詳細な説明」は、ここで示される特定の例に対して行われるさまざまな
変更の全てを説明するものではないということを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】図1は、ウェブの一部の表面上でエンボスされた壁のパターンを図示するものであり、この中に相互補完形状の小型電子ブロックが埋め込まれる:
【図2】図2は、エンボスされた基板から切り出されたセクションで壁に埋め込まれた小型電子ブロックを図示する。
【図3】図3は、基板に接着されたRFIDラベルを図示する。
【図4】図4は、製造工程中に形成される多層構造の1つの実施例の横断面図である。
【図5】図5は、表面材料や接着剤、ライナを加えた後に打ち抜きを行う際の図4に示す多層構造の横断面図である。
【図6A】図6Aは、アンテナに取り付けられたRFIDセクションの図である。
【図6B】図6Bは、アンテナに取り付けられたRFIDセクションの図である。
【図6C】図6Cは、アンテナに取り付けられたRFIDセクションの図である。
【図7】図7は、アンテナウェブの斜視図である。
【図8】図8は、RFIDセクションをウェブ上のアンテナに適用する工程を図示する。
【図9】図9は、RFIDラベルを形成するための工程のステップを図示する。
【図10】図10は、垂直方向又は機械方向のアンテナに対してRFIDセクションの索引付けを行うための工程を図示する。
【図11】図11は、図10の工程の詳細を図示するものであり、特に打ち型とアンビルとの配置を示す。
【図12】図12は、打ち型とアンビルとの配置の詳細を図示する。
【図13】図13は、ベルトとローラとを用いた他の配置を図示する。
【図14】図14は、RFIDラベルを製造するためのシステムの構成品を示す簡略図である。
【図15】図15は、RFIDラベルを製造するためのシステムの構成品を示す他の図である。
【図16】図16は、RFIDラベルを製造するためのシステムの構成品を示すさらに他の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDデバイスを形成する方法であって、本願明細書に記載されている方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−48662(P2009−48662A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−293920(P2008−293920)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【分割の表示】特願2004−512060(P2004−512060)の分割
【原出願日】平成15年1月17日(2003.1.17)
【出願人】(594177391)エーブリー デニソン コーポレイション (26)
【氏名又は名称原語表記】Avery Dennison Corporation
【Fターム(参考)】