説明

RFIDリーダライタ

【課題】 高い精度で共振周波数が調整されたRFIDリーダライタを提供する。
【解決手段】 本発明のRFIDリーダライタ100は、共振周波数調整用コンデンサを、少なくとも第1共振周波数調整用コンデンサC3と第2共振周波数調整用コンデンサC4とに並列に分割し、第1共振周波数調整用コンデンサC3はRFIDリーダライタモジュール2に内蔵し、第2共振周波数調整用コンデンサC4はRFIDリーダライタモジュール2の外に配置し、第1共振周波数調整用コンデンサC3の容量値が第2共振周波数調整用コンデンサC4の容量値よりも大きくなるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDリーダライタに関し、さらに詳しくは、高い精度で共振周波数が調整されたRFIDリーダライタに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、情報を保存し、近距離から無線通信により取出すようにしたRFIDシステムが、有用なものとして、商品タグ、交通機関の乗車カード、社員証などに多用されている。
【0003】
RFIDシステムは、RFIDタグとRFIDリーダライタとから構成され、対をなして使用される。具体的には、RFIDタグは、RFIDリーダライタから伝送されたエネルギーで作動し、RFIDリーダライタから伝送された情報を、たとえば、IC内のメモリ部に保存する。また、RFIDタグは、RFIDリーダライタから伝送されたエネルギーで作動し、保存された情報を、RFIDリーダライタに伝送する。
【0004】
RFIDタグ、RFIDリーダライタの双方にとって、共振周波数を、キャリア周波数に同調させることが重要である。共振周波数がずれると、通信効率が落ち、通信距離が短くなったり、通信できなくなったりするからである。
【0005】
たとえば、特許文献1(特表2000−509869号公報)には、RFIDタグについてではあるが、共振周波数を調整するため、アンテナと並列に共振周波数調整用コンデンサを接続したものが開示されている。
【0006】
図4に、特許文献1に開示されたRFIDタグ300を示す。
【0007】
RFIDタグ300は、RFID用IC101を備える。RFID用IC101は、演算機能、情報保存機能、電子制御機能を備える。なお、RFID用IC101は、浮遊的に、コンデンサCiを備えている。
【0008】
また、RFIDタグ300は、アンテナ102を備える。アンテナ102は、RFID用IC101の1対の入出力端子間に接続されている。
【0009】
RFIDタグ300は、アンテナ102と並列に、共振周波数調整用コンデンサCeを備える。この共振周波数調整用コンデンサCeには、RFID用IC101のコンデンサCiに比べて、十分に大きな容量値を有するものが使用される。これは、RFID用IC101のコンデンサCiの容量値は、ICごとにばらつきが大きいため、共振周波数調整用コンデンサCeの容量値を十分に大きく設計しておかないと、安定した共振周波数を得ることがないからである。
【0010】
RFIDタグ300は、共振周波数調整用コンデンサCeにより、共振周波数を、キャリア周波数に同調させて使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特表2000−509869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述したRFIDタグ300は、共振周波数調整用コンデンサCeに容量値の大きなコンデンサを使用しているため、調整後の共振周波数のばらつきが大きいという問題があった。すなわち、コンデンサの容量値のばらつき量(絶対量)は、容量値の大きなコンデンサほど大きくなる。このため、容量値の大きなコンデンサを共振周波数調整用コンデンサCeに使用したRFIDタグ300は、調整後の共振周波数のばらつきも大きいという問題を有していた。
【0013】
また、振周波数調整用コンデンサCeに使用されるコンデンサは、JIS C 5063で規格化されたE12系列と呼ばれる等比数列による数列表に従った段階状の容量値で準備されるのが一般的である。たとえば、10pF、12pF、15pF、18pF、22pF、27pF、33pF、39pF、47pF、56pF、68pF、82pF、100pF、120pF、150pFというように、段階状に準備されるのが一般的である。しかしながら、周波数調整に130pFのコンデンサが必要な場合に、上記のコンデンサしかなければ、120pFのコンデンサを使用しても、適正値から10pFもずれており、精度良く、共振周波数を調整することが難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上述した従来技術の有する課題を解決したRFIDリーダライタを提供するためになされたものである(上述した従来技術はRFIDタグに関するものであり、本発明はRFIDリーダライタに関するものであるが、上述したRFIDタグの有する課題は、RFIDリーダライタにも共通のものである)。その手段として、本発明のRFIDリーダライタは、RFIDリーダライタモジュールと、アンテナとを備え、RFIDリーダライタモジュールには、少なくとも、RFIDリーダライタ用ICが内蔵され、アンテナには、並列に共振周波数調整用コンデンサが接続され、共振周波数調整用コンデンサは、少なくとも第1共振周波数調整用コンデンサと第2共振周波数調整用コンデンサとに並列に分割され、第1共振周波数調整用コンデンサはRFIDリーダライタモジュールに内蔵され、第2共振周波数調整用コンデンサはRFIDリーダライタモジュールの外に配置され、第1共振周波数調整用コンデンサの容量値が第2共振周波数調整用コンデンサの容量値よりも大きくなるようにした。
【0015】
なお、RFIDリーダライタ用ICが情報保存機能を備えるようにして、RFIDリーダライタ自身がRFIDタグとしても機能するようにしても良い。
【0016】
また、RFIDモジュールは、少なくとも、RFID用ICと、第1共振周波数調整用コンデンサとが実装された基板上に、樹脂がモールドされたもので構成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のRFIDリーダライタは、RFIDリーダライタモジュールに内蔵された第1共振周波数調整用コンデンサを粗調用、RFIDリーダライタモジュールの外に配置された第2共振周波数調整用コンデンサを微調用として、きめ細かい共振周波数調整を高い精度でおこなうことができる。
【0018】
また、本発明のRFIDリーダライタは、製造にあたり、予めRFIDリーダライタモジュールを製造し、第1共振周波数調整用コンデンサの容量値も含めたRFIDリーダライタモジュールの有する総合的な容量値を、RFIDモジュールの端子を使って外部から測定することにより、第2共振周波数調整用コンデンサに必要な容量値を予め確定させることができる。そのため、基板上に、RFIDリーダライタモジュールと第2共振周波数調整用コンデンサを、1回のリフローはんだにより同時に実装することができる。したがって、本発明のRFIDリーダライタは生産性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるRFIDリーダライタ100を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかるRFIDリーダライタ100の等価回路図である。
【図3】本発明の第2実施形態にかかるRFIDリーダライタ200の等価回路図である。
【図4】従来のRFIDタグ300の等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面とともに、本発明を実施するための形態について説明する。
【0021】
[第1実施形態]
図1および図2に、本発明の第1実施形態にかかるRFIDリーダライタ100を示す。ただし、図1は斜視図、図2は等価回路図である。
【0022】
RFIDリーダライタ100は、マザー基板1を備える。
【0023】
マザー基板1上には、RFIDリーダライタモジュール2が実装されている。
【0024】
RFIDリーダライタモジュール2は、基板3を備える。基板3の表面には、RFIDリーダライタ用IC4と、特定の機能を果たしたり、周辺回路を構成したりする、複数の種類からなる複数個の電子部品5と、第1共振周波数調整用コンデンサC3が実装され、さらに樹脂6がモールドされている。ただし、図1においては、内部が見えるように樹脂6の図示を省略し、鎖線で示している。また、RFIDリーダライタモジュール2は、基板3の端面に、外部接続用端子T1、T2が形成されている。
【0025】
RFIDリーダライタ用IC4は、RFIDタグに対して伝送する情報を送り出す機能、RFIDタグから伝送された情報を受け取る機能などを備える。そして、RFIDリーダライタ用IC4は、RFIDタグへ情報を送り出す送信端子TX1、TX2と、RFIDタグからの情報を受け取る受信端子RXを備える(図1においては図示せず)。
【0026】
RFIDリーダライタモジュール2は、電子部品5として、たとえば、発振子などを含む。また、電子部品5により、フィルタ回路やマッチング回路などの周辺回路が構成されている。
【0027】
たとえば、図2に示すように、RFIDリーダライタ用IC4の送信端子TX1にコイルL1、送信端子TX2にコイルL2が、それぞれ接続され、コイルL1とコイルL2の、RFIDリーダライタ用IC4に接続されたのとは反対側の端子間に、直列に接続され2つのコンデンサC11、C12が接続されている。なお、コンデンサC11とコンデンサC12の接続点は、グランドに接地されている。そして、コイルL1、L2、コンデンサC11、12で、フィルタ回路が構成されている。
【0028】
また、コイルL1と外部接続用端子T1との間にはコンデンサC21が、コイルL2と外部接続用端子T2との間にはコンデンサC22が、それぞれ、DCカット用として挿入されている。
【0029】
R1、C7、R2、C8は受信端子RXに入力される信号の振幅とDCバイアスを調整するための素子である。
【0030】
なお、図1に示したRFIDリーダライタモジュール2の電子部品5は、参考例として示したものであり、図2に示した等価回路とは厳密には一致していない。
【0031】
そして、RFIDリーダライタ100のマザー基板1の表面には、スパイラル状の導電線路パターンにより、アンテナ7が形成されている。
【0032】
図1においては、アンテナ7は、2周のスパイラル状になっているが、1周であっても良いし、2周より多くても良い。なお、2周以上のスパイラル状である場合には、導電線路パターンは途中で交差する。このため、本実施形態では、図1に示すように、交差部分に、導電線路パターンを相互に絶縁する絶縁層8を設けている。あるいは、これに代えて、マザー基板1を貫通させて1対のスルーホールを形成し、短絡しないように、一方の導電線路パターンをマザー基板1の裏面側に迂回させるようにしても良い。
【0033】
そして、RFIDリーダライタ100のマザー基板1には、アンテナ7と並列に、第2共振周波数調整用コンデンサC4が実装されている。
【0034】
本発明においては、RFIDリーダライタモジュール2に内蔵された第1共振周波数調整用コンデンサC3の容量値が、RFIDリーダライタモジュール2の外に配置された第2共振周波数調整用コンデンサC4容量値よりも大きい。すなわち、並列に接続された第1共振周波数調整用コンデンサC3と第2共振周波数調整用コンデンサC4は、両者でRFIDリーダライタ100の共振周波数の調整に用いられるが、第1共振周波数調整用コンデンサC3が粗調用に、第2共振周波数調整用コンデンサC4が微調用に用いられる。
【0035】
たとえば、第1共振周波数調整用コンデンサC3に用いるコンデンサとしては、JIS C 5063で規格化されたE12系列と呼ばれる等比数列による数列表に従った、12pF、15pF、18pF、22pF、27pF、33pF、39pF、47pF、56pF、68pF、82pF、100pF、120pF、150pFのコンデンサを準備する。また、第2共振周波数調整用コンデンサC4に用いるコンデンサとしては、E12系列により、10pF、12pF、15pF、18pF、22pF、27pF、33pF、39pF、47pF、56pF、68pF、82pF、100pF、120pFのコンデンサを準備する。
【0036】
そして、たとえば、RFIDリーダライタ100の共振周波数を調整するのに130pFの容量値が必要な場合は、第1共振周波数調整用コンデンサC3に82pFのコンデンサを用い、第2共振周波数調整用コンデンサC4に47pFのコンデンサを用いることができる。この場合には、両者の合計の容量値は129pFとなり、所望の容量値である130pFから、1pFのずれしかない。あるいは、第1共振周波数調整用コンデンサC3に100pFのコンデンサを用い、第2共振周波数調整用コンデンサC4に27pFのコンデンサを用いたとしても、両者の合計の容量値は127pFとなり、所望の容量値である130pFから、3pFのずれに抑えることができる。(なお、ここでは、浮遊的な容量の存在を考慮せずに説明している。)
なお、これを、1つの共振周波数調整用コンデンサで構成しようとした場合には、背景技術の欄でも説明したように、120pFのコンデンサを使用せざるを得ず、所望の容量値である130pFから10pFもずれてしまい、共振数周波数のずれた、通信効率の悪いRFIDリーダライタになってしまう。これに対し、本発明のRFIDリーダライタは、高い精度で共振周波数が調整された、通信効率の高いものとなる。
【0037】
このような構造からなるRFIDリーダライタ100は、たとえば、次の方法で製造することができる。
【0038】
まず、表面に予めアンテナ7が形成された、マザー基板1を準備する。そして、アンテナ7のインピーダンスLを測定し、以下の計算式
Cr=1/(ω2L)
を使用し、共振周波数を調整する(キャリア周波数に同調する)ために、アンテナ7と並列に接続すべき共振周波数調整用コンデンサの容量値Crを決定する。
【0039】
また、RFIDリーダライタモジュール2を製造するために、表面に予め所定の配線が形成されるとともに、端面に外部接続用端子T1、T2が形成された基板3を準備する。そして、基板3に、RFIDリーダライタ用IC4と、所定の電子部品5と、第1共振周波数調整用コンデンサC3を、たとえば、リフローはんだにより実装する。
【0040】
第1共振周波数調整用コンデンサC3は、RFIDリーダライタの共振周波数を調性するのに必要な容量値Crよりも、小さな容量値のものを使用する。たとえば、容量値Crが130pFの場合は、第1共振周波数調整用コンデンサC3として、準備した12pF、15pF、18pF、22pF、27pF、33pF、39pF、47pF、56pF、68pF、82pF、100pF、120pF、150pFのコンデンサの中から、100pFのコンデンサを使用する。
【0041】
そして、RFIDリーダライタ用IC4、所定の電子部品5、第1共振周波数調整用コンデンサC3が実装された基板3の表面に、加熱されて半溶融状態となった熱硬化性樹脂のシートを被覆し、さらに加熱して硬化させて、樹脂6を形成し、RFIDリーダライタモジュール2を完成させる。
【0042】
そして、完成したRFIDリーダライタモジュール2の外部接続用端子T1、T2間の容量値を測定する。ここでは、第1共振周波数調整用コンデンサC3の容量値である、たとえば100pFに、浮遊的に存在する容量値を加えた、RFID用モジュール2の総合的な容量値が測定される。そして、RFIDリーダライタの共振周波数を調性するのに必要な容量値Crから、測定されたRFID用モジュール2の容量値を減じ、第2共振周波数調整用コンデンサC4に使用するコンデンサの容量値を決定する。たとえば、RFIDリーダライタの共振周波数を調性するのに必要な容量値Crが130pF、測定されたRFIDリーダライタモジュール2の容量値が102pFである場合には、130pFから102pFを減じた28pFを算出し、第2共振周波数調整用コンデンサC4には、準備した10pF、12pF、15pF、18pF、22pF、27pF、33pF、39pF、47pF、56pF、68pF、82pF、100pF、120pFのコンデンサの中から、最も近い容量値である27pFのコンデンサを使用する。
【0043】
次に、マザー基板1に、RFIDリーダライタモジュール2と、第2共振周波数調整用コンデンサC4と、その他の必要な電子部品(図示せず)を、たとえば、リフローはんだにより実装する。上述したように、本発明においては、第2共振周波数調整用コンデンサC4に必要な容量値が予め確定されているため、RFIDリーダライタモジュール2と第2共振周波数調整用コンデンサC4を、1回のリフローはんだにより同時にマザー基板1に実装することができる。したがって、本発明のRFIDリーダライタは生産性が高い。
【0044】
マザー基板1に、RFIDリーダライタモジュール2と、第2共振周波数調整用コンデンサC4と、その他の必要な電子部品を実装することにより、本実施形態にかかるRFIDリーダライタモジュール100は完成する。
【0045】
なお、RFIDリーダライタ100においては、共振周波数の調整に、第1共振周波数調整用コンデンサC3の容量値100pFに、浮遊的に存在する容量値を加えた、RFID用モジュール2の総合的な容量値102pFに、さらに第2共振周波数調整用コンデンサC4の容量値27pFを加えた、129pFの容量値が使用されている。この容量値は、アンテナ7のインピーダンスなどから算出された、RFIDリーダライタ100の共振周波数の調整に求められる容量値130pFに対し、わずかに1pFだけずれたものであり、RFIDリーダライタ100は、高い精度で共振周波数が調整されている。
【0046】
以上、第1実施形態にかかるRFIDリーダライタ100、およびその製造方法の一例について説明した。しかしながら、本発明がこれらの内容に限定されることはなく、発明の主旨に沿って、種々の変更を加えることができる。
【0047】
たとえば、RFIDリーダライタモジュール2において、構成される回路は任意であり、上述した内容には限られない。また、RFIDリーダライタ用IC4、第1共振周波数調整用コンデンサC3などが実装された基板3を、樹脂6により保護するのではなく、たとえば、金属ケースなどで保護するようにしても良い。
【0048】
また、アンテナ7の形状や大きさも任意であり、上述した内容には限られない。また、アンテナ7は、マザー基板1の表面に形成するのではなく、別部品として構成し、マザー基板1の表面に実装するようにしても良い。
【0049】
[第2実施形態]
図3に、本発明の第2実施形態にかかるRFIDリーダライタ200の等価回路図を示す。
【0050】
RFIDリーダライタ200は、RFIDリーダライタとしての機能の他に、情報保存機能を備え、自らRFIDタグとしても機能する。すなわち、RFIDリーダライタ200は、他のRFIDリーダライタから伝送された情報を保存するとともに、他のRFIDリーダライタの命令に従って保存された情報をそのRFIDリーダライタに伝送する機能も備える。
【0051】
RFIDリーダライタ200は、RFIDリーダライタモジュール12を備える。そして、RFIDリーダライタモジュール12は、RFIDリーダライタ用IC14を備える。また、RFIDリーダライタモジュール12は、外部接続用端子T1、T2に加えて、外部接続用端子T3、T4を備える。
【0052】
RFIDリーダライタ用IC14は、上述した、実施形態1にかかるRFIDリーダライタ100に使用したRFIDリーダライタ用IC4の機能に加えて、情報保存機能を備え、この情報保存機能に関連して、1対のタグ機能端子PF1、PF2を備える。
【0053】
そして、RFIDリーダライタ用IC14のタグ機能端子PF1は、結合用コンデンサC51を介して外部接続用端子T1に接続され、タグ機能端子PF2は、結合用コンデンサC52を介して外部接続用端子T2に接続されている。すなわち、RFIDリーダライタ200は、RFIDタグとして使用される場合には、RFIDリーダライタ用IC14のタグ機能端子PF1、PF2が、結合用コンデンサC51、52、および外部接続用端子T1、T2を介してアンテナ7の両端に接続される。そして、タグ機能端子PF1、PF2は、他のRFIDリーダライタからの信号に応じてインピーダンスを変化させ、信号の反射状態を変化させることにより、他のRFIDリーダライタと通信をおこない、他のRFIDリーダライタから伝送された情報をRFIDリーダライタ用IC14に保存し、また、RFIDリーダライタ用IC14に保存した情報を他のRFIDリーダライタに伝送する。
【0054】
なお、RFIDリーダライタモジュール12は、外部接続用端子T1、T2に加えて、さらに、外部接続用端子T3、T4を備える。そして、RFIDリーダライタ用IC14のタグ機能端子PF1が、直接、外部接続用端子T3に接続され、タグ機能端子PF2が、直接、外部接続用端子T4に接続されている。外部接続用端子T3、T4は、主に2つの目的で使用される。
【0055】
まず、外部接続用端子T3、T4は、結合用コンデンサC51、52の容量値を調整するために使用される。すなわち、RFIDリーダライタ200のマザー基板1(図示せず)上において、外部接続用端子T1とT3との間にコンデンサを挿入すれば、そのコンデンサは結合用コンデンサC51と並列に接続されることになり、結合用コンデンサC51の容量値を調整することができる。同様に、RFIDリーダライタ200のマザー基板1上において、外部接続用端子T2とT4との間にコンデンサを挿入すれば、そのコンデンサは結合用コンデンサC52と並列に接続されることになり、結合用コンデンサC52の容量値を調整することができる。
【0056】
また、外部接続用端子T3、T4は、アンテナ7として、当初予定していたアンテナ(RFIDリーダライタモジュール12を設計する際に、接続するアンテナとして予定していたアンテナ)と異なるアンテナを使用する場合に、結合用コンデンサC51、52の容量値を変更するために使用される。すなわち、アンテナ7が当初予定していたアンテナから変更されると、通常、インピーダンスが異なるため、当初の結合用コンデンサC51、52の容量値では結合することができなくなる。この場合には、RFIDリーダライタ200のマザー基板1上において、外部接続用端子T1とT3との間に所定の容量値を備えたコンデンサを挿入すれば、そのコンデンサは結合用コンデンサC51と並列に接続されることになり、そのコンデンサの容量値と結合用コンデンサC51の容量値と合わせた総合的な結合用の容量値を変更することができる。同様に、RFIDリーダライタ200のマザー基板1上において、外部接続用端子T2とT4との間に所定の容量値を備えたコンデンサを挿入すれば、そのコンデンサは結合用コンデンサC52と並列に接続されることになり、そのコンデンサの容量値と結合用コンデンサC52の容量値と合わせた総合的な結合用の容量値を変更することができる。なお、アンテナ7を変更した場合には、通常、第2共振周波数調整用コンデンサC4にも、異なる容量値を備えたコンデンサを使用することが必要になる。
【0057】
RFIDリーダライタ200の他の構成は、図1および図2に示した、第1実施形態にかかるRFIDリーダライタ100と同様である。
【0058】
このように、本発明のRFIDリーダライタは、RFIDリーダライタとしての機能の他に、情報保存機能を備え、自らRFIDタグとしても機能するものとして構成することができる。
【符号の説明】
【0059】
1: マザー基板
2、12:RFIDリーダライタモジュール
3:基板
4、14:RFIDリーダライタ用IC
5:電子部品
6:樹脂
7:アンテナ
8:絶縁層
100、200:RFIDリーダライタ
C3:第1共振周波数調整用コンデンサ
C4:第2共振周波数調整用コンデンサ
TX1、TX2:送信端子
RX:受信端子
T1、T2、T3、T4:外部接続用端子
PF1、PF2:

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDリーダライタモジュールと、アンテナとを備えてなるRFIDリーダライタであって、
前記RFIDリーダライタモジュールには、少なくともRFIDリーダライタ用ICが内蔵され、
前記アンテナには、並列に共振周波数調整用コンデンサが接続され、
前記共振周波数調整用コンデンサは、少なくとも第1共振周波数調整用コンデンサと第2共振周波数調整用コンデンサとに並列に分割され、前記第1共振周波数調整用コンデンサは前記RFIDリーダライタモジュールに内蔵され、前記第2共振周波数調整用コンデンサは前記RFIDリーダライタモジュールの外に配置され、前記第1共振周波数調整用コンデンサの容量値が前記第2共振周波数調整用コンデンサの容量値よりも大きいRFIDリーダライタ。
【請求項2】
前記RFIDリーダライタ用ICが情報保存機能を備え、前記RFIDリーダライタ自身がRFIDタグとしても機能する、請求項1に記載されたRFIDリーダライタ。
【請求項3】
前記RFIDモジュールが、少なくとも、前記RFID用ICと、前記第1共振周波数調整用コンデンサとが実装された基板上に、樹脂がモールドされたものからなる、請求項1または2に記載されたRFIDリーダライタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−190257(P2012−190257A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53138(P2011−53138)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】