説明

RFID記録媒体発行装置およびRFID記録媒体発行方法

【課題】 表裏両面にRFIDインレットが内蔵されたRFID記録媒体に対し、表側あるいは裏側のいずれか一方より所望の情報の書込みを可能としたRFID記録媒体発行装置およびRFID記録媒体発行方法を提供する。
【解決手段】 台紙51の表裏面に剥離可能に仮着されたRFIDインレット57,60が内蔵された第1及び第2の記録媒体片53,54を備えた記録媒体50、記録媒体を供給する媒体供給手段2と、第1および第2の記録媒体片の表面に所望の情報を印字する第1および第2の印字手段3、4と、RFID記録媒体の検出マーク52を検出する検出手段6と、記録媒体の一方の面側に設けられるとともに、記録媒体の第1および第2の記録媒体片に内蔵されたRFIDインレットに対する読取り及び所望情報の書込みを行うRFID読取り・書込み手段7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、表裏両面にRFIDインレットが内蔵されたRFID記録媒体に対し、表側あるいは裏側のいずれか一方より所望の情報の書込みを可能としたRFID記録媒体発行装置およびRFID記録媒体発行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品の情報や物流における商品情報、あるいは、送り先の情報などをバーコード変換してラベルに印字し、前記情報がバーコード印字されたラベルを貼り付けて表示するようなことが行われていた。
しかしながら、バーコードによる表示可能な情報量に限りがあるため、記憶可能な情報量が多いRFID(Radio Frequency Identification)に各種情報を記憶すると共に、記憶した情報を目視できるよう印字するようなことが行われている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の「RFID印字用紙用プリンター」によれば、RFID印字用紙(RFID記録媒体)の長さ方向および幅方向のどの位置にどのような大きさのRFIDインレットが組み込まれていても、RFIDインレットを簡単に検出可能とすべく、用紙本体(記録媒体片)の裏面にアンテナ指示マークを設け、このアンテナ指示マークをアンテナ検出部により検出することにより、RFIDインレット(アンテナ)の位置や大きさが異なっても、読取り・書込み部におけるRFIDアンテナとの間の交信特性を適正に維持可能としたものである。
また、他方、高価なRFIDの採用を避け、情報を剥離基材(記録媒体)の両面に印字することにより、コスト削減を図ったような配送伝票用ラベル(記録媒体)が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2によれば、剥離基材(台紙)の一方面に仮着された第1の表面基材と、剥離基材の多方面に裏面が擬似接着された第2の表面基材と、を備え、第1の印字手段により第1の表面基材に所望情報を印字し、かつ、第2の印字手段により第2の表面基材に所望情報を印字するようにしている。
ところで、個人情報保護法の施行により、表面には表示(印字)せずに記憶させる情報量が増えるとともに、記憶させた情報のうちから、必要な情報を目視可能に表示させる要望が高まってきている。
しかしながら、上述したように、用紙本体(記録媒体片)の裏面にアンテナ指示マークを設け、表面(片面)に設けた用紙本体(記録媒体片)のRFIDインレットに情報を書き込むような「RFID印字用紙プリンター」はあるものの、両面にRFIDインレットおよび印字表示面を備えるとともに、一つのRFID読取り・書込み装置を使って用紙本体(記録媒体片)のRFIDインレットに対し情報を書き込むようなRFID記録媒体発行装置は存在しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−296740号
【特許文献2】特開2010−30112号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の諸問題に着目して成されたものであり、表裏両面にRFIDインレットが内蔵されたRFID記録媒体に対し、表側あるいは裏側のいずれか一方より所望の情報の書込みを可能としたRFID記録媒体発行装置およびRFID記録媒体発行方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の発明に係るRFID記録媒体発行装置は、表面に等間隔に検出マークが形成された長尺状の台紙と、裏面に粘着剤層が形成されるとともに、前記検出マーク間の検出マーク近辺にRFIDインレットが内蔵され、かつ、前記台紙の一方の面において前記粘着剤層を介して剥離可能に仮着された第1の記録媒体片と、裏面に粘着剤層が形成されるとともに、前記検出マーク間の長手方向の中央部位にRFIDインレットが内蔵され、かつ、前記台紙の他方の面において前記粘着剤層を介して剥離可能に仮着された第2の記録媒体片と、を備えたRFID記録媒体と、前記RFID記録媒体を供給する媒体供給手段と、前記媒体供給手段より下流に側に設けられ、供給された前記第1および第2の記録媒体片の表面に少なくとも商品や送り先の情報を印字する第1および第2の印字手段と、前記媒体供給手段より下流側であり、前記第1および第2の印字手段を含む部位に形成された搬送路と、前記搬送路に沿って前記RFID記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送路に設けられ、前記RFID記録媒体の前記検出マークを検出する検出手段と、前記搬送路における前記RFID記録媒体の一方の面側に設けられるとともに、前記RFID記録媒体の第1および第2の記録媒体片に内蔵された前記RFIDインレットに対する読取りおよび前記商品や送り先に関する情報の書込みを行うRFID読取り・書込み手段と、を備えたことを特徴とする。
また、第2の発明に係るRFID記録媒体発行方法は、表面に等間隔に検出マークが形成された長尺状の台紙と、裏面に粘着剤層が形成されるとともに、前記検出マーク間の検出マーク近辺にRFIDインレットが内蔵され、かつ、前記台紙の一方の面において前記粘着剤層を介して剥離可能に仮着された第1の記録媒体片と、裏面に粘着剤層が形成されるとともに、前記検出マーク間の長手方向の中央部位にRFIDインレットが内蔵され、かつ、前記台紙の他方の面において前記粘着剤層を介して剥離可能に仮着された第2の記録媒体片と、を備えたRFID記録媒体と、前記RFID記録媒体を供給する媒体供給手段と、前記媒体供給手段より下流に側に設けられ、供給された前記第1および第2の記録媒体片の表面に少なくとも商品や送り先の情報を印字する第1および第2の印字手段と、前記媒体供給手段より下流側であり、前記第1および第2の印字手段を含む部位に形成された搬送路と、前記搬送路に沿って前記RFID記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送路に設けられ、前記RFID記録媒体の前記検出マークを検出する検出手段と、前記搬送路における前記RFID記録媒体の一方の面側に設けられるとともに、前記RFID記録媒体の第1および第2の記録媒体片に内蔵された前記RFIDインレットに対する読取りおよび前記商品や送り先に関する情報の書込みを行うRFID読取り・書込み手段と、を備えたRFID記録媒体発行装置を用いたRFID記録媒体発行方法であって、前記第1の印字手段により第1の記録媒体片の表面に所望の情報を印字した後、下流の前記RFID読取り・書込み手段により第1の記録媒体片の前記RFIDインレットに対し前記印字した情報に関する詳細の情報を書き込み、さらに、下流に搬送して前記RFID読取り・書込み手段により第2の記録媒体片の前記RFIDインレットに対し所望の情報を書き込んだ後、さらに、下流に搬送して前記第2の記録媒体片の前記RFIDインレットに書き込んだ情報のうちから所望の情報を前記第2の記録媒体片の表面に印字することを特徴とする。
また、RFID読取り・書込み手段による第1または第2の記録媒体片に対する読取り・書込み時、第1または第2の記録媒体片のいずれか一方がエラーとなった場合、第1および第2の記録媒体片の双方の表面にエラーマークを印字するようにできる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の第1の発明に係るRFID記録媒体発行装置は、台紙の検出マーク間の表裏面に、RFIDインレットが内蔵された第1および第2の記録媒体片を仮着し、しかも、第1および第2のRFIDインレットは、ずらした位置に配設されているため、一つの読取り・書込み手段にて台紙の表裏に設けられた第1および第2のRFIDインレットに対する書き込みが可能であるという効果がある。
また、第2の発明に係るRFID記録媒体発行方法は、第1の印字手段により第1の記録媒体片の表面に所望の情報を印字した後、下流の前記RFID読取り・書込み手段により第1の記録媒体片のRFIDインレットに対し印字した情報に関する詳細の情報を書き込み、さらに、下流に搬送してRFID読取り・書込み手段により第2の記録媒体片のRFIDインレットに対し所望の情報を書き込んだ後、さらに、下流に搬送して第2の記録媒体片のRFIDインレットに書き込んだ情報のうちから所望の情報を第2の記録媒体片の表面に印字するようにしたので、表裏の第1および第2の記録媒体片の表面への所望情報の表示、およびRFIDインレットへの詳細情報の書込みが確実に行えるという効果がある。
さらに、RFID読取り・書込み手段による第1または第2の記録媒体片に対する読取り・書込み時、第1または第2の記録媒体片のいずれか一方がエラーとなった場合、第1および第2の記録媒体片の双方の表面にエラーマークを印字すれば、同じ対象物に貼り付ける2枚1組のペアの一方の記録媒体片がエラーとなった場合であっても、誤って貼ってしまう虞が軽減されるとともに、エラーとなった記録媒体片のみを不使用にでき、正常な情報が書き込めた記録媒体片は使用に供することができるので、材料費のコストアップが抑えられるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係るRFID記録媒体発行装置の一実施の形態の構成例を示す図である。
【図2】同、図1中、矢示II方向より見た拡大平面図である。
【図3】同、図2中、矢示III−III線に沿う断面図である。
【図4】同、RFID記録媒体の先端部が待機位置から検出手段にて検出される位置にバックフィードするまでの状態を示す動作説明図である。
【図5】RFID記録媒体の先端部が検出手段にて検出された位置より第1および第2のRFIDインレットに情報を書き込み、かつ、第1の記録媒体片に所望の情報を書き込むまでの状態を示す動作説明図である。
【図6】同、第2の記録媒体片に印字を施すととともに、先頭のRFID記録媒体を切断するまでの状態を示す動作説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明が適用されるRFID記録媒体発行装置の一実施の形態の構成例を示している。同図に示すように、RFID記録媒体発行装置(以下、適宜、単に「発行装置」と称する)1は、後述するRFID(Radio Frequency−Identification)が内蔵されたRFID記録媒体(以下、適宜、「記録媒体」と称する)50を供給する媒体供給手段2と、記録媒体50の一方の面(図1における下面)に所定の印字データを印字する第1の印字手段3と、記録媒体50の他方の面(図1における上面)に所定の印字データを印字する第2の印字手段4と、記録媒体50を両面から回動自在に挟持して第1および第2の印字手段3、4側に案内する送りローラ5と、検出手段6と、RFID読取り・書込み手段7と、切断手段8と、前記各部を制御する制御手段9と、を備えている。
【0009】
ここで主に、図2および図3を参照して、記録媒体50につき説明する。
図2は、図1中、矢示II方向より見た拡大平面図、図3は、図2中、矢示III−III線に沿う断面図である。
同図に示すように、記録媒体50は、長尺状の台紙51と、台紙51の少なくとも一方の面に予め等間隔に印刷された位置検出用の矩形状の検出マーク52と、台紙51の一方の面に仮着された第1の記録媒体片53と、台紙51の他方の面に仮着された第2の記録媒体片54と、を備える。
第1の記録媒体片53は、裏面に粘着財層55を塗布形成し、表面に感熱発色層56を塗布形成するとともに、検出マーク52間における台紙51の一方の面(図3における下面)に前記粘着剤層55を介して仮着したものであり、検出マーク52間が一葉の記録媒体片53となって、台紙51の長手方向Lに連続して仮着されている。
また、第1の記録媒体片53には、一端側(図2、図3においては、長手方向Lの左側)の検出マーク52の近辺に図示省略のICチップおよびアンテナを備えたRFIDインレット57が形成されており、後述するRFID読取り・書込み手段7との間で送受信を行って図示省略のICチップからのデータの読み取り、およびICチップへのデータの書込みが可能となっている。
第2の記録媒体片54は、第1の記録媒体片53と同様、裏面に粘着剤層58、表面に感熱発色層59が形成されるとともに、RFIDインレット60が備えられており、このRFIDインレット60は、台紙51の長手方向Lにおける検出マーク52間の中央部位に形成されている。
すなわち、検出マーク52間における台紙51の他方の面(図3における上面)に粘着剤層58を介して第2の記録媒体片54が一葉仮着され、これが長手方向Lに連続して設けられるものであり、台紙51の裏面および表面に仮着された第1および第2の記録媒体片53、54は表面側の感熱発色層56、59が表出するとともに、第1の記録媒体片53のRFIDインレット58と第2の記録媒体片54のRFIDインレット60が検出マーク52間において重なることのない、ずれた位置に配設されるものである。
なお、記録媒体50は、図示省略の巻芯にロール状に巻回して形成してある。
【0010】
図1に戻って、「媒体供給手段」としての媒体供給軸2は、装着された前記記録媒体50を第1および第2の印字手段3、4側へ繰り出せるよう回転可能に保持する。
【0011】
「第1の印字手段」としての第1の印字部3は、サーマルヘッド10と、記録媒体50をサーマルヘッド10との間で押圧するプラテン11とを備え、プラテン11の回動により搬送方向(矢示F方向)、または、搬送逆方向(矢示B方向)へ記録媒体50を搬送するようになっている。なお、第1の印字部3のサーマルヘッド10は、記録媒体50の裏面(図1における台紙51の下方)側に設けられており、第1の記録媒体片53に対し所望の印字データを印字するようになっている。
【0012】
「第2の印字手段」としての第2の印字部4は、第2の記録媒体片54側に設けられたサーマルヘッド12と、記録媒体50をサーマルヘッド12との間で押圧するプラテン13とを備え、プラテン13の回動により搬送方向(矢示F方向)、または、搬送逆方向(矢示B方向)へ記録媒体50を搬送しながら第2の記録媒体片54に対し所望の印字データを印字するようになっている。
なお、第1および第2のプラテン11、13とも別個のステッピングモータ(図示省略)に接続され、所望ステップ数の回動を可能にするとともに、ステップ数を計数(カウント)できるようになっている。
【0013】
送りローラ5は、記録媒体50を両面から回動自在に挟持して第1および第2の印字部3、4(搬送方向F)側に搬送(フィード)、および印字部3、4から媒体供給軸2(搬送逆方向B)側へ逆搬送(バックフィード)するためのフィードローラであり、図示省略のステッピングモータに接続されている。そして、所望ステップ数の回動を可能にするとともに、ステップ数を計数(カウント)できるようになっている。
【0014】
「検出手段」としての反射センサ6は、所定の光を出射する発光部6a、およびこの発光部6aから出射された光の記録媒体50からの反射光を受光し、受光した光の強度(単位時間当たりの受光量)に対応する電気信号を出力する受光部6bからなり、記録媒体50の裏面(図1における下部)側に発光部6aと受光部6bを配し、記録媒体50の裏面に予め印刷された前記検出マーク52を受光部6bの受光量に基づいて検出する「位置検出用センサ」である。
【0015】
「RFID読取り・書込み手段」としてのRFID読取り・書込み部7は、前記記録媒体50の第1の記録媒体片53のRFIDインレット57、および第2の記録媒体片54のRFIDインレット60に対する送受信を行う装置であり、図示省略のアンテナを介して第1および第2のRFIDインレット57、60の図示省略のICチップの固定IDを読み取るとともに、読み取りができたICチップ(図示省略)に対して図示省略の商品番号や送り先などの必要項目情報(所望の情報)を送信・書き込むようになっている。
【0016】
「切断手段」としてのカッター部8は、例えば、上刃8aに対して下刃8bを進退移動させることにより前記記録媒体50を切断して一葉の第1および第2の記録媒体片53、54とするギロチン式の「切断機構」であり、第2の印字部4の下流に設けられている。
【0017】
「制御手段」としての制御部9は、第1および第2の印字部3、4のサーマルヘッド10、12やプラテン11、13、送りローラ5、反射センサ6、読取り・書込み部7、カッター部8などの各部と図示省略の信号ケーブルを介して接続され、以下の制御を行うようになっている。
1)送りローラ5を回動して記録媒体50を第1の印字部3側(矢示F方向)へ送る、および第1および第2の印字部3、4側から媒体供給軸2側(矢示B方向)へ記録媒体50をバックフィードする。
2)反射センサ6にて検出マーク52を検出するとともに、プラテン11、13を所定数回転して記録媒体50を第1および第2の印字部3、4の所望位置に位置決めし、所望の情報を第1および第2の記録媒体片53、54に印字するとともに、印字されてカッター部8に搬送された記録媒体50を所望の位置で切断する。
3)所定のタイミングで第1または第2のサーマルヘッド10、12をヘッドアップ、すなわち、第1および第2のプラテン11、13よりサーマルヘッド10、12を離反する。
4)第1の記録媒体片53のRFIDインレット57が読取り・書込み部7の直下に近接したとき、ICチップ(図示省略)に対する書込みが可能であるか否か判定し、書込みが可能と判定された場合は、読取り・書込み部7を介してRFIDインレット57に対して所望の情報の書込みを行う。
5)前項4)と同様、第2の記録媒体片54のRFIDインレット60が読取り・書込み部7の直下に近接したとき、ICチップ(図示省略)に対する書込みが可能であるか否か判定し、書込みが可能と判定された場合は、読取り・書込み部7を介してRFIDインレット60に対して所望の情報の書込みを行う。
6)第1および第2のRFIDインレット57、60のICチップ(図示省略)に対する読取り・書込み部7による書込みができたか否か判定し、いずれか一方でも書き込みエラーとなった場合は、第1および第2の記録媒体片53、54の両方を第1および第2の印字部2、3に戻して「エラーの記録媒体片」である旨(例えば、「NG」)を印字する。
なお、送りローラ5から第2の印字部4までの間は、記録媒体50が搬送される「搬送路」となっている。
また、送りローラ5、ならびに第1および第2のプラテン11、13により、記録媒体50を搬送方向Fおよび搬送逆方向Bに搬送する「搬送手段」が形成されるものである。
【0018】
次に、主に、図4ないし図6に基づき、RFID記録媒体発行装置を用いてRFIDが内蔵された記録媒片を発行するRFID記録媒体発行方法につき説明する。
なお、以下においては、台紙51、粘着剤層55、58、感熱発色層56、59を省略してある。
図4は、記録媒体50がカット位置Zにおいてカッター部8により切断された待機位置[図4(a)]から、反射センサ6にて記録媒体50の先端部50aが検出される位置までバックフィード(矢示B方向)するまでの動作説明図であり、以下の動作を行う。
1)第1および第2の印字部3、4のサーマルヘッド10、12をヘッドアップする。
2)送りローラ5を回転し、記録媒体50を搬送逆方向(矢示B方向)にバックフィードする。
3)前項2)のバックフィード時、反射センサ6により記録媒体50の検出マーク52を確認する。検出マーク52を検出した後、送りローラ5を所定数回転して台紙51が検出された場合は、引き続きバックフィードしながら次の検出マーク51を検出する[図4(b)]。
他方、検出マーク51を検出して所定数回転したときに、受光部6bへの反射光の受光がなかった場合、記録媒体50の先端部50aが検出されたものと判定して送りローラ5の回転を停止する[図4(c)]。
【0019】
図5は、記録媒体50の先端部50aが反射センサ6により検出された時点[図4(c)]から搬送方向Fへの搬送に転じ、先頭(1枚目)の記録媒体50−1のRFIDインレット57、60に情報を書き込む動作説明図であり、以下の動作を行う。
1)第1および第2のサーマルヘッド10、12をヘッドアップ、すなわち、プラテン11、13側へ接近する[図5(a)]。
2)送りローラ5をの回転数を計数(カウント)しながら記録媒体50を搬送方向Fへ搬送する。
3)先頭(1枚目)の記録媒体50−1の第1の記録媒体片53の表面に、第1のサーマルヘッド10を介して所望の情報を印字しながら搬送方向Fへ搬送する。
なお、第1の記録媒体片53への印字が終了した時点で第1のサーマルヘッド10は、ヘッドアップしてもよい。ヘッドアップすることにより、2枚目の記録媒体50−2の感熱発色層56の表面をサーマルヘッド10の余熱やプラテン側への押圧力等により汚す恐れが軽減される。
4)第1の記録媒体片53のRFIDインレット57が読取り・書込み部7の直下に到達したとき印字動作を一時停止し、RFIDインレット57に対し、印字した所望情報の詳細を書き込む[図5(b)]。
所望情報の書き込みが正常に終了した場合は印字を再開し、引き続き搬送方向Fに記録媒体50を搬送する。
5)第2の記録媒体片54のRFIDインレット60が読取り・書込み部7の直下に到達したときRFIDインレット60に対し、これから印字する所望情報の詳細を書き込む[図5(c)]。
【0020】
図6は、第2の記録媒体片54の表面に印字を施し、所望情報を書き込んだ先頭の記録媒体50−1を切断するまでの動作説明図であり、以下の動作を行う。
1)先頭の記録媒体50−1を第2の印字部4に位置決めし[図6(a)]、搬送方向Fに記録媒体50を搬送しながら第2の印字媒体片54の表面に、第2のRFIDインレット60に書き込んだ情報のうちから所望の情報を印字する。
2)搬送を継続し、切断位置Zに先頭の記録媒体50−1の後端部の切断箇所を位置決めする[図6(b)]。
3)カッター部8の上刃8aに対して下刃8bを進退動して先頭の記録媒体50−1を切断し一葉の「記録媒体片」を作成するものであり[図6(c)]、この状態は、印字開始前の待機状態を示す図4(a)と同様の状態であり、待機位置には、2枚目の記録媒体50−2が位置決めされた状態となっている。
切断された一葉の「記録媒体片」には、第1および第2の記録媒体片53、54が形成されており、台紙51より剥がすと各々の粘着剤層55、58が露出し、商品や配送物などに貼り付けができるようになっている。
【0021】
なお、上述は、第1および第2のRFIDインレット57、60に対する書き込みが正常だった場合につき説明したが、以下に書き込みエラーが生じた場合の処理を説明する。
1)先頭の記録媒体50−1の第1のRFIDインレット57に対し所望情報を書き込んだ際[図5(b)]にエラーとなった場合、制御部9の図示省略のRAMに「第1のインレットの書込みエラーフラグ」をセットし、以降の第1の記録媒体片53に対する印字は再開しないで搬送方向Fに記録媒体50を搬送する。
2)先頭の記録媒体50−1の第2のRFIDインレット60に対し所望情報を書き込んだ際[図5(c)]にエラーとなった場合、制御部9の図示省略のRAMに「第2のインレットの書込みエラーフラグ」をセットし、搬送方向Fに記録媒体50を搬送する。
3)先頭の記録媒体50−1が第2の印字部4に位置決めされたとき[図6(a)]、図示省略のRAMの第1および第2のインレットの書込みエラーフラグ(図示省略)にフラグが立っているか否かを判定し、いずれかにフラグが立っていた場合は、搬送方向Fに記録媒体50を搬送しながら第2の印字媒体片54の表面に図示省略の「エラーマーク(例えば、「NG」や「X」)」を印字する。
4)第2の印字媒体54にエラーマークを印字後、送りローラ5を逆回転し先頭の記録媒体50−1の先端部50aを第1のサーマルヘッド10に位置決めする[図6(a)]。
5)プラテン11および送りローラ5の回転を正回転に転じ、記録媒体50を搬送方向Fに搬送しながら第1の記録媒体片53の表面にエラーマーク(図示省略)を印字する。
6)搬送方向Fへの搬送を継続し、切断位置Zに先頭の記録媒体50−1の後端部の切断箇所を位置決めする[図6(b)]。
7)先頭の記録媒体50−1を切断する。
切断された記録媒体50の第1および第2の記録媒体片53、54の表面にはエラー・マーク(図示省略)が印字されているため、所望の情報が記憶されていない「不正のRFID記録媒体片」を商品や物流の段ボール等の配送品に貼り付ける虞が軽減される。
なお、本実施の形態のエラー処理は、同じ商品あるいは配送品などの異なった面に第1および第2の記録媒体片53、54を貼り付けるため、いずれか一方のRFIDインレット57,60に対する書き込みエラーとなった場合、第1および第2の記録媒体片53、54の両方を「エラー」とした例で説明した。
【0022】
以下では、エラーとなった「記録媒体片」のみに図示省略のエラーマークを印字するエラー処理につき説明する。
1)先頭の記録媒体50−1の第1のRFIDインレット57に対しRFID読取り・書込み部7を介して所望情報を書き込んだ際[図5(b)]エラーとなった場合、印字を停止するとともに、プラテン11および送りローラ5を逆回転に転じ記録媒体50を搬送方逆向(矢示B方向)へ搬送し、第1のサーマルヘッド10に先頭の記録媒体50−1の先端部50aを位置決めする。
2)プラテン11および送りローラ5を正回転に転じ、記録媒体50を搬送方向Fへ搬送しながら第1の
記録媒体片53の表面にエラーマーク(図示省略)を印字する。
3)第1のRFIDインレット50への書き込みは行わないでスキップし、RFID読取り・書込み部7に第2のRFIDインレット60を位置決めする[図5(c)]。
4)第2のRFIDインレット60に対し所望情報の書き込みが正常に行われた場合は、搬送方向Fに記録媒体50を搬送しながら第2のサーマルヘッド12を介して第2の記録媒体片54の表面に所望の情報を印字する。
他方、第2のRFIDインレット60に対する書き込み時エラーとなった場合は、第2のサーマルヘッド12を介して第2の記録媒体片54の表面にエラーマークを印字する
5)印字した先頭の記録媒体50−1は、切断位置Zに先頭の記録媒体50−1の後端部の切断箇所を位置決めする[図6(b)]。
6)先頭の記録媒体50−1を切断する。
切断された記録媒体50の第1および第2の記録媒体片53、54のうち、エラーとなった「記録媒体片」の表面にはエラー・マーク(図示省略)が印字されているため、所望の情報が記憶されていない「不正のRFID記録媒体片」を商品や物流の段ボール等の配送品に貼り付ける虞が軽減されるとともに、正常な「記録媒体片」は商品等に貼り付けて表示に供することができるため、無駄な「記録媒体片」を減らすことによりコストアップの軽減が図れる。
【0023】
上述したように、台紙51の検出マーク52間の表裏面に、RFIDインレット57、60が内蔵された第1および第2の記録媒体片53、54を仮着し、しかも、第1および第2のRFIDインレット57、60は、長手方向Lにおいてずらした位置に配設されているため、一つの読取り・書込み部7にて台紙51の表裏に設けられた第1および第2のRFIDインレット57、60に対する書き込みが可能となる。
【0024】
また、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0025】
F 搬送方向(フィード方向)
B 搬送逆方向(バックフィード方向)
L 台紙51の長手方向
Z 切断位置
S 検出手段6による検出位置
1 RFID記録媒体発行装置(発行装置)
2 媒体供給手段(媒体供給軸)
3 第1の印字手段(第1の印字部)
4 第2の印字手段(第2の印字部)
5 送りローラ
6 検出手段(位置検出用の反射センサ)
6a 発光部
6b 受光部
7 読取り・書込み手段(読取り・書込み部)
8 切断手段(カッター部)
8a 上刃
8b 下刃
9 制御手段(制御部)
10 サーマルヘッド
11 プラテン
12 サーマルヘッド
13 プラテン
50 RFID記録媒体(記録媒体)
51 台紙
52 検出マーク
53 第1の記録媒体片
54 第2の記録媒体片
55 粘着剤層
56 感熱発色層
57 RFIDインレット
58 粘着剤層
59 感熱発色層
60 RFIDインレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に等間隔に検出マークが形成された長尺状の台紙と、
裏面に粘着剤層が形成されるとともに、前記検出マーク間の検出マーク近辺にRFIDインレットが内蔵され、かつ、前記台紙の一方の面において前記粘着剤層を介して剥離可能に仮着された第1の記録媒体片と、
裏面に粘着剤層が形成されるとともに、前記検出マーク間の長手方向の中央部位にRFIDインレットが内蔵され、かつ、前記台紙の他方の面において前記粘着剤層を介して剥離可能に仮着された第2の記録媒体片と、を備えたRFID記録媒体と、
前記RFID記録媒体を供給する媒体供給手段と、
前記媒体供給手段より下流に側に設けられ、供給された前記第1および第2の記録媒体片の表面に少なくとも商品や送り先の情報を印字する第1および第2の印字手段と、
前記媒体供給手段より下流側であり、前記第1および第2の印字手段を含む部位に形成された搬送路と、
前記搬送路に沿って前記RFID記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送路に設けられ、前記RFID記録媒体の前記検出マークを検出する検出手段と、
前記搬送路における前記RFID記録媒体の一方の面側に設けられるとともに、前記RFID記録媒体の第1および第2の記録媒体片に内蔵された前記RFIDインレットに対する読取りおよび前記商品や送り先に関する情報の書込みを行うRFID読取り・書込み手段と、
を備えたことを特徴とするRFID記録媒体発行装置。
【請求項2】
表面に等間隔に検出マークが形成された長尺状の台紙と、
裏面に粘着剤層が形成されるとともに、前記検出マーク間の検出マーク近辺にRFIDインレットが内蔵され、かつ、前記台紙の一方の面において前記粘着剤層を介して剥離可能に仮着された第1の記録媒体片と、
裏面に粘着剤層が形成されるとともに、前記検出マーク間の長手方向の中央部位にRFIDインレットが内蔵され、かつ、前記台紙の他方の面において前記粘着剤層を介して剥離可能に仮着された第2の記録媒体片と、を備えたRFID記録媒体と、
前記RFID記録媒体を供給する媒体供給手段と、
前記媒体供給手段より下流に側に設けられ、供給された前記第1および第2の記録媒体片の表面に少なくとも商品や送り先の情報を印字する第1および第2の印字手段と、
前記媒体供給手段より下流側であり、前記第1および第2の印字手段を含む部位に形成された搬送路と、
前記搬送路に沿って前記RFID記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送路に設けられ、前記RFID記録媒体の前記検出マークを検出する検出手段と、
前記搬送路における前記RFID記録媒体の一方の面側に設けられるとともに、前記RFID記録媒体の第1および第2の記録媒体片に内蔵された前記RFIDインレットに対する読取りおよび前記商品や送り先に関する情報の書込みを行うRFID読取り・書込み手段と、
を備えたRFID記録媒体発行装置を用いたRFID記録媒体発行方法であって、
前記第1の印字手段により第1の記録媒体片の表面に所望の情報を印字した後、下流の前記RFID読取り・書込み手段により第1の記録媒体片の前記RFIDインレットに対し前記印字した情報に関する詳細の情報を書き込み、
さらに、下流に搬送して前記RFID読取り・書込み手段により第2の記録媒体片の前記RFIDインレットに対し所望の情報を書き込んだ後、
さらに、下流に搬送して前記第2の記録媒体片の前記RFIDインレットに書き込んだ情報のうちから所望の情報を前記第2の記録媒体片の表面に印字することを特徴とするRFID記録媒体発行方法。
【請求項3】
前記RFID読取り・書込み手段による第1または第2の記録媒体片に対する読取り・書込み時、第1または第2の記録媒体片のいずれか一方がエラーとなった場合、第1および第2の記録媒体片の双方の表面にエラーマークを印字することを特徴とする請求項2に記載のRFID記録媒体発行方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−45388(P2013−45388A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184558(P2011−184558)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】