RFID通信システムおよび無線通信装置
【課題】 RFIDタグのリーダライタの構成を簡素化する。
【解決手段】 RFID記録媒体(3A、3B)の指示情報を出力するホスト装置(1)に接続された無線通信装置(2)は、RFID記録媒体に対する送信信号およびRFID記録媒体からの受信信号を送受信する複数のアンテナ機構がRFID記録媒体の通信仕様ごとに設けられている。この無線通信装置に、当該指示情報が示す通信仕様に基づき送信信号の生成および受信信号の解析を実行する信号処理手段と、送信信号を送出すべきアンテナ機構および受信信号を受信すべきアンテナ機構の選定を行うアンテナ切替手段とを有する制御機構とを備える。
【解決手段】 RFID記録媒体(3A、3B)の指示情報を出力するホスト装置(1)に接続された無線通信装置(2)は、RFID記録媒体に対する送信信号およびRFID記録媒体からの受信信号を送受信する複数のアンテナ機構がRFID記録媒体の通信仕様ごとに設けられている。この無線通信装置に、当該指示情報が示す通信仕様に基づき送信信号の生成および受信信号の解析を実行する信号処理手段と、送信信号を送出すべきアンテナ機構および受信信号を受信すべきアンテナ機構の選定を行うアンテナ切替手段とを有する制御機構とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在普及が急速に進みつつあるRFID(Radio frequency identification)技術を用いた通信システム、及び、該システムにおいてRFID記録媒体に対するデータ書込及び読出を行う無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RFID技術を用いた通信システムは、例えば後述の非特許文献1にて説明されているように、情報を記憶し高速に読み書きができるICを持つタグやカードのようなRFID記録媒体に対し、通信装置であるリーダライタにより情報の読み書きを行うことが知られている。RFID技術の大きな特徴は、リーダライタ及び記録媒体間での非接触通信、すなわち空間を隔てた近距離で電磁界を利用して通信することにあり、電磁界を利用する一般的な原理として、例えば電磁誘導がある。
【0003】
電磁誘導の原理が適用されるパッシブ(passive)型のRFID記録媒体は、リーダライタからの電波により誘起される電流を用いてICを作動させると共に、この電波に情報を乗せてリーダライタに送信する。リーダライタ側は、自ら発信した電波を受信することにより記録媒体からの情報を受信することとなり、これにより双方向の通信を可能としている。
【0004】
図10は、RFID記録媒体として物品等に添付されるRFIDタグを用いた従来のRFID通信システムの構成例である。図示のシステムは、ホストコンピュータ100、リーダライタ200及びRFIDタグ300から成る。RFIDタグ300は、リーダライタ200から送られた電波をアンテナモジュール301で受信し、その内容を主制御部302が解読して、タグ内メモリ303に対しデータ書込または読出を行う。データ読出の場合、主制御部302は、タグ内メモリ303から読み出したデータに所定の変調処理を施してリーダライタ200に送信する。
【0005】
リーダライタ200は、RFIDタグ300の通信仕様に対応するアプリケーションプログラムにより稼働するホストコンピュータ100からの指示に従い、RFIDタグ300に対するデータ書込/読出を行う。リーダライタ200は、図10に示すようにコントローラ210及びアンテナユニット220に大別される。
【0006】
コントローラ210は、コマンドインタプリタユニット211によりエンコーダ214を用いてホストコンピュータ100からの指示情報としての指示コマンドを符号化し、タグドライバー213に渡す。指示がデータ書込の場合、書き込むべき値が一時的にメモリ212に保存される。タグドライバー213は、ホストコンピュータ100からの指示を電波の形式に変換してアンテナモジュール221に渡し、アンテナモジュール221は、その電波を送信信号としてRFIDタグ300へ送出する。
【0007】
また、タグドライバー213は、アンテナモジュール221を介してRFIDタグ300から受信した電波としてのアナログ信号を解析し、その内容をデジタル信号に変換してコマンドインタプリタユニット211に渡す。コマンドインタプリタユニット211は、渡されたデジタル信号をデコーダ215により復号し、タグから読み取ったデータとしてホストコンピュータ100へ供給する。
【0008】
図11は、図10に示すタグドライバー213及びアンテナモジュール221と、RFIDタグ300との通信に関する構成を模式的に示すものである。タグドライバー213は、送信すべきデータを用いて所定の変調処理を行うことにより形成されたデジタル信号をD/A変換器214に入力し、これによりアナログのベースバンド信号を生成する。また、発振器217から出力された定常波のアナログ信号の周波数を、逓倍器218によりRFIDタグ300の通信周波数に変換することにより、搬送波の信号を形成する。そして、この搬送波の信号に対し上記ベースバンド信号を重畳させることによりアナログ変調信号を生成し、これを送信用増幅器219aで増幅してアンテナモジュール221に渡す。
【0009】
アンテナモジュール221は、渡された信号を送信信号としてコイルL1から出力する。また、アンテナモジュール301としてのコイルL3を持つRFIDタグ300からの受信信号となる電波をコイルL2により受信し、受信用増幅器219b及びA/D変換器216bを経て形成されたデジタル信号からデータが復調される。
【0010】
ところで、リーダライタ200及びRFIDタグ300における変調の形式としては、基本的に、送信すべきデータを搬送波の振幅成分に反映させる振幅変調(AM:Amplitude Modulation、ASK:Amplitude Shift Keying)、搬送波の周波数成分に反映させる周波数変調(FM:Frequency Modulation、FSK:Frequency Shift Keying)、搬送波の位相成分に反映させる位相変調(PM:Phase Modulation、PSK:Phase Shift Keying)のいずれかが適用される。また、通信周波数としては、135KHz(長波帯)、6.78MHz、13.56MHz(短波帯)、915MHz(超短波帯)、2.45GHz(マイクロ波帯)等が用いられる。
【0011】
このような多岐にわたる通信仕様に対処するために、従来、例えば図12に示すようなシステムが提案されている。図示のシステムにおいて、リーダライタ200は、通信仕様が相互に異なる2種類のRFIDタグ300A及びRFIDタグ300Bとの通信を可能とするために、RFIDタグ300Aとの通信のためのタグドライバ213A及びアンテナモジュール221Aと、他方のRFIDタグ300Bとの通信のためのタグドライバ213B及びアンテナモジュール221Bとを備える。これらの各タグドライバー(213)及び各アンテナモジュール(221)は、図11に示すものと同様の構成を持つ。
【0012】
図12に示すようなシステムに関し、例えば、後述の特許文献1に記載の手法がある。特許文献1におけるリーダライタは、3種類の周波数帯域の電波を送受信する3つのアンテナ部と、各周波数帯域の電波の変調/復調を行う3つの変復調部とを備え、通信開始時、無線ICタグにアクセス要求命令を出力し、この命令に対しタグから通知されたタグタイプに基づいて周波数帯域及びプロトコルを決定し、当該決定内容に対応するアンテナ部及び変復調部によりタグと交信するというものである。
【特許文献1】特開2001−291079号公報
【非特許文献1】苅部浩著、「非接触ICカードの本」、日刊工業新聞社、2003年10月30日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、1台のリーダライタを複数の周波数帯域に対応させようとすると、上記特許文献1に記載のリーダライタと同様に、図12に示すリーダライタ200には、N種類のアンテナモジュール(221)が送受信する電波を生成/解析するためのN種類のタグドライバ(213)を備える必要がある。これは、すなわち1台のリーダライタ200に、図11に示す構成を持つタグドライバをN個搭載することを指す。そうすると、タグドライバの増加によりリーダライタの筐体が大型化することから、特に、リーダライタが携帯型である場合はこれを携行するユーザに不便が生じる。また、搭載するタグドライバの数が増大するに従い、製品価格が上昇するという問題がある。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数の通信仕様に対処し得るリーダライタの簡素化を図る手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るRFID通信システムは、所定の通信仕様に基づく無線通信手段およびデータ記憶手段を有するRFID記録媒体と、該RFID記録媒体に対するデータ書込指示またはデータ読出指示を含む指示情報を出力するホスト装置と、該ホスト装置から出力される指示情報に基づき前記RFID記録媒体に対するデータ書込またはデータ読出を行う無線通信装置とを備え、前記無線通信装置は、相互に異なる前記RFID記録媒体の通信仕様に対応し、且つ、前記RFID記録媒体に対する送信信号および前記RFID記録媒体からの受信信号を送受信する複数のアンテナ機構と、前記送信信号の生成および前記受信信号の解析を前記RFID記録媒体の通信仕様に基づき実行する信号処理手段と、前記送信信号を送出すべきアンテナ機構および前記受信信号を受信すべきアンテナ機構を選定するアンテナ切替手段とを有する制御機構とを備える。
【0016】
本発明に係る無線通信装置は、所定の通信仕様に基づく無線通信手段およびデータ記憶手段を有するRFID記録媒体に対するデータ書込指示またはデータ読出指示を含む指示情報を出力するホスト装置から出力される指示情報に基づき前記RFID記録媒体に対するデータ書込またはデータ読出を行う無線通信装置であって、相互に異なる前記RFID記録媒体の通信仕様に対応し、且つ、前記RFID記録媒体に対する送信信号および前記RFID記録媒体からの受信信号を送受信する複数のアンテナ機構と、前記送信信号の生成および前記受信信号の解析を前記RFID記録媒体の通信仕様に基づき実行する信号処理手段と、前記送信信号を送出すべきアンテナ機構および前記受信信号を受信すべきアンテナ機構を選定するアンテナ切替手段とを有する制御機構とを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、RFID記録媒体に対するデータ書込及び読出を行う無線通信装置において、複数のアンテナ機構により送受信する送信信号および受信信号を、制御機構が一括的に生成あるいは解析を行うことから、信号の変調あるいは復調を行う機構をアンテナの数と同数搭載することが不要となる。これにより、無線通信装置の構成を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、RFID記録媒体の多種多様な通信仕様に対処し得るリーダライタの構成を簡素化するために、リーダライタにおいて従来ハードウェアで実現されていた構成要素を部分的にソフトウェアに置換したものである。その具体的な一例として、本発明では、アナログ信号による搬送波を作り出す発振器の機能を、デジタルシグナルプロセッサに代行させる。すなわち、デジタルシグナルプロセッサが定常波のアナログ信号をデジタル信号にてシミュレートすることにより、搬送波を擬似的に生成するというものである。以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
[実施形態]
図1は、本発明に係るRFID通信システムの実施形態の構成を示すブロック図である。本実施形態のシステムは、販売管理や在庫管理等のために物品に添付される従来知られたRFIDタグをRFID記録媒体として利用するシステムであり、図1に示すように、相互に異なる通信仕様を持つ2種類のRFIDタグ3A及びRFIDタグ3Bと、これらRFIDタグ(3)へのデータ書込及び読出を指示するためのアプリケーションプログラムに従い動作するホストコンピュータ1と、ホストコンピュータ1の指示に従ってRFIDタグ(3)に対しデータ書込及び読出を行う無線通信装置であるリーダライタ2と、RFIDタグ(3)及びリーダライタ2間の無線制御手順が記述された後述の無線制御プログラム8を保存する仕様サーバ4とを備える。
【0020】
RFIDタグ3A及びRFIDタグ3Bは、通信周波数及び変調形式等、リーダライタ200との通信仕様が相互に異なるものであるが、主な構成要素は、図10に沿って説明した従来のRFIDタグと同様である。すなわち、RFIDタグ3Aは、リーダライタ2に対し電磁波を送受信するアンテナモジュール5Aと、データを一時的に格納するタグ内メモリ6Aと、アンテナモジュール5Aが受信した信号を復調して解読して、リーダライタからの指示命令を解釈実行する主制御部7Aとから構成される。
【0021】
また、RFIDタグ3Bは、当該通信仕様により、上述のアンテナモジュール5A、タグ内メモリ6A及び主制御部7Aと同様な機能を果たすアンテナモジュール5B、タグ内メモリ6B及び主制御部7Bを有する。なお、図1に示す例は、2種類の通信仕様が存在する構成であるが、本発明を適用可能なシステムの通信仕様は、2種類に限らず、3種類以上であってもよい。
【0022】
仕様サーバ4は、リーダライタ2と通信可能に接続されたコンピュータ装置であり、データ書込及び読出に関しリーダライタ2が行う後述のルーチンをRFIDタグ(3)の通信仕様ごとに記述した無線制御プログラム8を保持している。この無線制御プログラム8は、本発明におけるサーバ装置が保持する通信情報に対応するものである。本実施形態の無線制御プログラム8は、具体的には、デジタル変調の形式(ASK、FSK変調、PSK変調等)及び通信周波数(135KHz(長波帯)、6.78MHz, 13.56MHz(短波帯)、915MHz(超短波帯)等)の組み合わせから成る通信仕様と、データ書込及び読出のための手順とが関連付けられたプログラムである。このように、必要な無線制御プログラム8を外部の仕様サーバ4からダウンロードする構成としたことにより、RFIDタグ(3)の通信仕様に柔軟に対処することが可能となる。
【0023】
リーダライタ2は、コントローラ9及びアンテナユニット10から構成される。アンテナユニット10は、図11に沿って説明した従来のアンテナユニットのアンテナモジュールと同様なアンテナモジュール10A及びアンテナモジュール10Bを備え、各アンテナモジュール10A及び10Bは、アナログ信号を受け取ると電磁波として空中に送出する送信用コイル(11)と、空中の電磁波を受信しアナログ信号として取り込む受信用コイル(12)から構成される。
【0024】
アンテナモジュール10A及び10Bは、本発明における無線通信装置が有する複数のアンテナ機構に対応する構成要素であり、リーダライタ2にて取り扱う通信仕様の数に対応する数量だけ設けられる。本実施形態では、2種類の通信仕様に対応する2種類のアンテナモジュールが設けられている。なお、本実施形態では、アンテナコイルを送信用と受信用とで分別する、いわゆる全二重方式を採用したが、これに代えて、送受信を単一のアンテナコイルにて行う半二重方式の構成であってもよい。
【0025】
コントローラ9は、本発明における無線通信装置の制御機構に対応する構成要素であり、コマンドインタプリタ15、タグドライバインタプリタ17及び仕様ダウンロード部13から構成される。仕様ダウンロード部13は、RFIDタグ(3)との交信の際、仕様サーバ4に対し後述の無線制御プログラム8のダウンロードを要求し、そのプログラムを受け取り格納する。無線制御プログラム8は、既述したように、タグへの書き込みを実行するためのルーチンと、読み出しを実行するためのルーチンとが通信仕様ごとに記述されたプログラムであり、各ルーチンは、タグドライバインタプリタ17により1命令ずつ解釈され実行される。
【0026】
コマンドインタプリタ15は、ホストコンピュータ1からの指示情報となるコマンドを受け取り、そのコマンドからRFIDタグ(3)に対する読出指示または書き込み指示を判断する。書き込み指示の場合は、書き込むべきデータをホストコンピュータ1から受け取り、タグドライバインタプリタ17に対し、そのデータの書込を指示する。また、読み出し指示の場合は、タグドライバインタプリタ17に対してRFIDタグ(3)からデータを読み出すよう指示し、読み出されたデータを受け取ってホストコンピュータ1に返す処理を行う。
【0027】
タグドライバインタプリタ17は、仕様ダウンロード部13により取得済みの無線制御プログラム8に基づき書込/読出のためのルーチンを実行する。書込指示に対応したルーチンでは、コマンドインタプリタ15から渡された送信すべきデータに対し、指定された変調を行い、当該通信仕様の送信用コイル(11)に渡す。また、読み出し指示に対応したルーチンでは、上記書込指示の際のルーチンと同様なルーチンに加え、当該通信仕様の受信用コイル(12)から受信したアナログ信号を復調し、その処理結果をコマンドインタプリタ15に返す。
【0028】
図2に、上記ルーチンを実行するタグドライバインタプリタ17の構成を示す。プログラムメモリ22は、仕様ダウンロード部13により取得した無線制御プログラム8を格納する。データメモリ23は、RFIDタグ(3)への書き込みデータおよびRFIDタグ(3)からの読み出しデータを一時的に格納する。
【0029】
デジタルシグナルプロセッサ21は、本発明における無線通信装置のデジタル信号演算部の機能を果たすものとして、市販のデジタルシグナルプロセッサを利用することができるが、本実施形態には、RFIDタグ(3)の通信仕様で規定された通信周波数に対処し得る処理速度を有するものを採用する。例えば、取り扱うRFIDタグ(3)の通信周波数のうち、最も高いものが13.56MHzである場合、この周波数と同等あるいは高い周波数にて動作するデジタルシグナルプロセッサを使用する。
【0030】
デジタルシグナルプロセッサ21は、ダウンロードされた無線制御プログラム8に従い、RFIDタグ(3)に対するデータ書込/読出のための各ルーチンを実行し、各ルーチンにおいて、RFIDタグ(3)への送信信号のためのデジタル変調信号を生成する。デジタル変調信号の生成手順については後に詳細に説明する。
【0031】
D/Aコンバータ24は、デジタルシグナルプロセッサ21から出力されるデジタル変調信号を受け取り、これをアナログ信号に変換する。送信用増幅器28は、変換されたアナログ信号を所定の送信出力レベルまで増幅し、送信信号として出力アンテナ切替部30へ渡す。受信用増幅器29は、入力アンテナ切替部31から渡される受信信号の信号強度を増幅する。A/Dコンバータ25は、増幅された受信信号としてのアナログ信号を受け取りサンプリングしてデジタル信号に変換し、デジタルシグナルプロセッサ21に渡す。これらのD/Aコンバータ24、送信用増幅器28、受信用増幅器29及びA/Dコンバータ25は、本発明における無線通信装置の信号変換部の機能を担う構成要素である。
【0032】
出力アンテナ切替部30は、アンテナモジュール10A及びアンテナモジュール10Bのうち送信信号を送出すべきアンテナモジュールを選定する。入力アンテナ切替部31は、RFIDタグ(3)からの受信信号を受信すべきアンテナモジュールを選定する。
【0033】
以下、本実施形態の動作手順を説明する。ここでは、一例として、リーダライタ2が図1に示すRFIDタグ3Aに対しデータ書込または読出を行う手順を説明する。図3は、リーダライタ2におけるコマンドインタプリタ15の動作手順を示すフローチャートである。
【0034】
コマンドインタプリタ15は、RFIDタグ3Aの通信仕様を含む指示コマンドをホストコンピュータ1から受信したとき(ステップS1)、その指示内容がデータ書込であるのか、あるいはデータ読出であるのかを判定する(ステップS2)。判定の結果、ホストコンピュータ1からの指示がデータ書込である場合、書き込むべきデータをホストコンピュータ1から受信し(ステップS3)、データ書込のためのルーチンのうちRFIDタグ3Aの通信仕様に対応するルーチンを実行するようタグドライバインタプリタ17に指示する(ステップS4)。また、ホストコンピュータ1からの指示がデータ読出である場合、データ読出のためのルーチンのうちRFIDタグ3Aの通信仕様に対応するルーチンを実行するようタグドライバインタプリタ17に指示する(ステップS5)。
【0035】
RFIDタグ(3)の通信仕様をリーダライタ2が認識するための方法としては、例えば、ホストコンピュータ1から出力される指示情報にRFIDタグ(3)の通信仕様に関する情報を記述しておく、あるいは、RFIDタグ(3)とその通信仕様とを関連付けた情報テーブルをリーダライタ2に保持させておき、データ書込/読出時に、ホストコンピュータ1から、対象のRFIDタグ(3)を識別する情報を出力するという方法でもよい。
【0036】
コマンドインタプリタ15からの上記指示を受けたタグドライバインタプリタ17の動作手順を説明する。図4は、データ書込指示の際の動作手順を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、便宜上、RFIDタグ3Aへのデータ書込のためのルーチンを記述した無線制御プログラム8を「ラベル1」と称し、データ読出のための無線制御プログラム8を「ラベル2」と称する。ここで、「ラベル1」及び「ラベル2」は、RFIDタグ3Aの通信仕様に対応するプログラムである。
【0037】
タグドライバインタプリタ17のデジタルシグナルプロセッサ21は、RFIDタグ3Aへのデータ書込のためのルーチンに対応する無線制御プログラム8を仕様サーバ4からダウンロードするよう仕様ダウンロード部13に指示し、ダウンロードした無線制御プログラム8、すなわち「ラベル1」をプログラムメモリ22へ格納する(ステップS10)。そして、「ラベル1」に従い、送信信号を出力するための以下の処理を実行する。
【0038】
デジタルシグナルプロセッサ21は、コマンドインタプリタ15から供給された書込命令及び書込データを含むデータ信号からデジタル変調信号を生成する(ステップS11)。このデジタル変調信号の生成手順については、後に詳細に説明する。また、送信信号を出力するためのアンテナモジュールとして、RFIDタグ3Aの通信周波数に対応するアンテナモジュール10Aを使用するよう出力アンテナ切替部30に指示する(ステップS12)。
【0039】
D/Aコンバータ24は、デジタルシグナルプロセッサ21が生成したデジタル変調信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し(ステップS13)、そのアナログ信号を送信用増幅器28により所定の送信出力レベルまで増幅する(ステップS14)。増幅されたアナログ信号は、出力アンテナ切替部30からアンテナモジュール10Aの送信用コイル11Aを介して送信信号として空中へ出力される(ステップS15)。
【0040】
次に、図5に示すフローチャートに沿って、タグドライバインタプリタ17におけるデータ読出処理を説明する。タグドライバインタプリタ17のデジタルシグナルプロセッサ21は、仕様サーバ4からRFIDタグ3Aへの読出のためのルーチンに対応する無線制御プログラム8をダウンロードするよう仕様ダウンロード部13に指示し、ダウンロードした無線制御プログラム8、すなわち「ラベル2」をプログラムメモリ22へ格納する(ステップS20)。そして、「ラベル2」に従い、送信信号を出力するための以下の処理を実行する。
【0041】
データ読出時のリーダライタ2からRFIDタグ3Aへの送信信号の出力手順は、図4に沿って説明した手順におけるデータ信号を、書込命令および書込データから読出命令に置き換えることにより実施することができ、ここでは、説明を省略する(ステップS21〜S25)。
【0042】
デジタルシグナルプロセッサ21は、RFIDタグ3Aからの読出データの受信に備えるべく、入力アンテナ切替部31に対し、RFIDタグ3Aの通信周波数に対応するアンテナモジュール10Aを受信用のアンテナとして選択するよう指示する(ステップS26)。その後、アンテナモジュール10Aの受信用コイル12AによりRFIDタグ3Aからの信号を受信すると、この受信信号を受信用増幅器29が所定の強度レベルまで増幅し(ステップS27)、増幅されたアナログ信号をA/Dコンバータ25がデジタル信号に変換してデジタルシグナルプロセッサ21に渡す(ステップS28)。
【0043】
デジタルシグナルプロセッサ21は、渡されたデジタル信号に対しRFIDタグ3Aの通信仕様に従い復調処理を施し、復調により抽出した読出データを、ホストコンピュータ1からの読出指示に対する処理結果として、ホストコンピュータ1へ渡し処理を終了する(ステップS29)。
【0044】
ここで、図6の説明図を用いて、上記ステップS11及びステップS21におけるデジタル変調信号の生成手順を説明する。デジタルシグナルプロセッサ21は、RFIDタグ3Aへの送信内容を示すデータ信号である「1011」を、変調に用いるベースバンド信号に変換するために、従来知られたベースバンド変調を施す。具体的には、本来の搬送波より低い周波数の副搬送波を表すデジタル信号を、デジタルシグナルプロセッサ21によるシミュレーションにより生成し(図示略)、この副搬送波のデジタル信号に「1011」なるデジタル信号を重畳する。その結果、図6においてベースバンド変調の結果として示されているような波形が得られる。
【0045】
また、デジタルシグナルプロセッサ21は、RFIDタグ3Aの通信周波数と同一の周波数を持つ定常波を表すデジタル信号、すなわち搬送波を表すデジタル信号をシミュレーションにより生成する。この処理は、デジタル信号にて搬送波を擬似的に生成することを指す。デジタルシグナルプロセッサ21は、生成した搬送波のデジタル信号に、上記説明したベースバンド信号を重畳することにより擬似的にデジタル変調を行い、これによりデジタル変調信号を生成する。デジタルシグナルプロセッサ21から出力されたデジタル変調信号は、D/Aコンバータ24にてアナログ波形として整形される。
【0046】
なお、図6に示すデジタル変調信号の波形およびベースバンド変調後の波形は、いずれも振幅変調(ASK)により得られる波形であるが、変調形式は振幅変調に限らず、RFIDタグ(3)の通信仕様に応じて周波数変調(FSK)あるいは位相変調(PSK)等を実行する。また、受信信号の復調処理の際は、上述の処理に適用された変調形式に対応する復調処理を行う。
【0047】
以上説明した実施形態によれば、リーダライタ2において、複数のアンテナモジュール10A及び10Bにより送受信する送信信号及び受信信号を、タグドライバインタプリタ17により一括的に生成および解析を行うことから、通信仕様ごとにタグドライバを搭載する従来の手法に比べ、使用するハードウェアの点数を大幅に削減することができる。これにより、リーダライタを小型化することができ、また、製品コストの削減も可能となる。
【0048】
[他の実施形態]
上記説明した実施形態のシステムでは、タグドライバインタプリタ17に搭載するデジタルシグナルプロセッサ21として、RFIDタグ(3)の通信周波数に対処し得る処理速度を有するものを用いたが、本発明は、処理速度の周波数がタグの通信周波数より低いデジタルシグナルプロセッサを用いても実施することができる。そのための構成を図7に示す。
【0049】
図7に示すように、本実施形態のタグドライバインタプリタ17´は、図2に示す構成に加え、デジタルシグナルプロセッサ21からの出力信号をアナログ信号に変換する搬送波用D/Aコンバータ32と、該コンバータ32からのアナログ信号の周波数を整数倍に変換する逓倍器26と、逓倍器26からの出力とD/Aコンバータ24からの出力とにより後述のアナログ変調処理を行う周波数変換器27とを備える。
【0050】
図8は、タグドライバインタプリタ17´におけるデータ書込処理の動作手順を示すフローチャートである。ここでは、データ書込のためのルーチンを記述した無線制御プログラム8を「ラベル1´」と称する。図9の説明図を用いて、図8に示す手順について説明する。タグドライバインタプリタ17´は、RFIDタグ3Aへのデータ書込のための無線制御プログラム8として「ラベル1´」を仕様サーバ4からダウンロードし(ステップS30)、この「ラベル1´」に従い以下の処理を実行する。
【0051】
デジタルシグナルプロセッサ21は、定常波を表す第1のデジタル信号と、データ信号「1011」に基づく第2のデジタル信号とを生成する(ステップS31)。これにより図9に示すような波形が得られる。第2のデジタル信号は、図6に沿って説明したベースバンド変調処理と同一の処理により生成する。また、第1のデジタル信号は、デジタルシグナルプロセッサ21が定常波をシミュレートすることにより生成する。定常波の周波数は、他方の第2のデジタル信号のための副搬送波の周波数と同一、あるいは整数倍の周波数であることが望ましい。
【0052】
デジタルシグナルプロセッサ21は、図4のステップS14での手順と同様に、出力アンテナ切替部30に対し、当該通信周波数に対応する出力アンテナを選定するよう指示する(ステップS32)。
【0053】
D/Aコンバータ24は、デジタルシグナルプロセッサ21から出力された第2のデジタル信号を第2のアナログ信号に変換する(ステップS33)。これにより、図9にD/Aコンバータ24の処理結果として示すようなアナログ波形が得られる。D/Aコンバータ24は、変換した第2のアナログ信号を周波数変換器27へ入力する。
【0054】
一方、デジタルシグナルプロセッサ21から出力された第1のデジタル信号は、搬送波用D/Aコンバータ32にて第1のアナログ信号に変換され(ステップS33)、逓倍器26に入力される。逓倍器26は、入力された第1のアナログ信号に対し周波数を倍数化する処理を施すことにより、RFIDタグ3Aの通信周波数と同一に変換する(ステップS34)。これにより、第1のアナログ信号が、送信信号のための搬送波に変換される。
【0055】
周波数変換器27は、逓倍器26から出力された搬送波としての第1のアナログ信号に、D/Aコンバータ24からの第2のアナログ信号を重畳することによりアナログ変調を実行しアナログ変調信号を生成する(ステップS35)。これにより、図9にアナログ変調信号として示すような波形が得られる。なお、図9に示す例も、変調形式として振幅変調(ASK、AM)を適用したが、この例のような振幅変調に限らず、RFIDタグ(3)の通信仕様に対応する変調形式を適用させればよい。
【0056】
送信用増幅器28は、周波数変換器27から出力されたアナログ変調信号を送信信号に必要な強度に増幅する(ステップS36)。増幅された送信信号は、出力アンテナ切替部30から送信用コイル11Aを介して空中へ出力される(ステップS37)。
【0057】
また、データ読出処理における送信信号の出力手順は、図8のステップS31で用いるデータ信号として、RFIDタグ3Aへの読出命令を充てることにより実施することができ、読出データの受信手順は、図5のステップS26〜ステップS29と同様な手順により実施することができる。
【0058】
以上説明した実施形態によれば、デジタルシグナルプロセッサ21として、処理速度がRFIDタグ(3)の通信周波数よりも低い周波数のものを用いても、上記説明した図1に示すシステムと同様な効果を奏することができる。
【0059】
上記説明した各実施形態では、リーダライタ2が無線制御プログラム8を仕様サーバ4からダウンロードする構成であったが、これに代えて、必要な無線制御プログラム8をリーダライタ2のコントローラ9に予めインストールしておく構成であってもよい。
【0060】
また、上記各実施形態では、本発明におけるRFID記録媒体としてRFIDタグを用いたが、媒体の態様はタグに限らず、樹脂カードにRFID技術のためのICチップが搭載された、いわゆる非接触ICカードをRFID記録媒体に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態におけるリーダライタの構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態におけるコマンドインタプリタの動作手順を示すフローチャートである。
【図4】実施形態のデータ書込手順を示すフローチャートである。
【図5】実施形態のデータ読出手順を示すフローチャートである。
【図6】実施形態におけるデジタル変調信号の生成手順の説明図である。
【図7】他の実施形態におけるリーダライタの構成を示すブロック図である。
【図8】他の実施形態のデータ書込手順を示すフローチャートである。
【図9】実施形態におけるアナログ変調信号の生成手順の説明図である。
【図10】従来のRFID通信システムの構成を示すブロック図である。
【図11】従来のシステムにおける機能的な構成を示すブロック図である。
【図12】従来のRFID通信システムの他の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0062】
1:ホストコンピュータ、2:リーダライタ、3:RFIDタグ、4:仕様サーバ、5:アンテナモジュール、6:タグ内メモリ、7:主制御部、8:無線制御プログラム、9:コントローラ、10:アンテナユニット、11:送信用コイル、12:受信用コイル、13:仕様ダウンロード部、15:コマンドインタプリタ、17:タグドライバインタプリタ、21:デジタルシグナルプロセッサ、22:プログラムメモリ、23:データメモリ、24:D/Aコンバータ、25:A/Dコンバータ、26:逓倍器、27:周波数変換器、28:送信用増幅器、29:受信用増幅器、30:出力アンテナ切替部、31:入力アンテナ切替部、32:搬送波用D/Aコンバータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在普及が急速に進みつつあるRFID(Radio frequency identification)技術を用いた通信システム、及び、該システムにおいてRFID記録媒体に対するデータ書込及び読出を行う無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RFID技術を用いた通信システムは、例えば後述の非特許文献1にて説明されているように、情報を記憶し高速に読み書きができるICを持つタグやカードのようなRFID記録媒体に対し、通信装置であるリーダライタにより情報の読み書きを行うことが知られている。RFID技術の大きな特徴は、リーダライタ及び記録媒体間での非接触通信、すなわち空間を隔てた近距離で電磁界を利用して通信することにあり、電磁界を利用する一般的な原理として、例えば電磁誘導がある。
【0003】
電磁誘導の原理が適用されるパッシブ(passive)型のRFID記録媒体は、リーダライタからの電波により誘起される電流を用いてICを作動させると共に、この電波に情報を乗せてリーダライタに送信する。リーダライタ側は、自ら発信した電波を受信することにより記録媒体からの情報を受信することとなり、これにより双方向の通信を可能としている。
【0004】
図10は、RFID記録媒体として物品等に添付されるRFIDタグを用いた従来のRFID通信システムの構成例である。図示のシステムは、ホストコンピュータ100、リーダライタ200及びRFIDタグ300から成る。RFIDタグ300は、リーダライタ200から送られた電波をアンテナモジュール301で受信し、その内容を主制御部302が解読して、タグ内メモリ303に対しデータ書込または読出を行う。データ読出の場合、主制御部302は、タグ内メモリ303から読み出したデータに所定の変調処理を施してリーダライタ200に送信する。
【0005】
リーダライタ200は、RFIDタグ300の通信仕様に対応するアプリケーションプログラムにより稼働するホストコンピュータ100からの指示に従い、RFIDタグ300に対するデータ書込/読出を行う。リーダライタ200は、図10に示すようにコントローラ210及びアンテナユニット220に大別される。
【0006】
コントローラ210は、コマンドインタプリタユニット211によりエンコーダ214を用いてホストコンピュータ100からの指示情報としての指示コマンドを符号化し、タグドライバー213に渡す。指示がデータ書込の場合、書き込むべき値が一時的にメモリ212に保存される。タグドライバー213は、ホストコンピュータ100からの指示を電波の形式に変換してアンテナモジュール221に渡し、アンテナモジュール221は、その電波を送信信号としてRFIDタグ300へ送出する。
【0007】
また、タグドライバー213は、アンテナモジュール221を介してRFIDタグ300から受信した電波としてのアナログ信号を解析し、その内容をデジタル信号に変換してコマンドインタプリタユニット211に渡す。コマンドインタプリタユニット211は、渡されたデジタル信号をデコーダ215により復号し、タグから読み取ったデータとしてホストコンピュータ100へ供給する。
【0008】
図11は、図10に示すタグドライバー213及びアンテナモジュール221と、RFIDタグ300との通信に関する構成を模式的に示すものである。タグドライバー213は、送信すべきデータを用いて所定の変調処理を行うことにより形成されたデジタル信号をD/A変換器214に入力し、これによりアナログのベースバンド信号を生成する。また、発振器217から出力された定常波のアナログ信号の周波数を、逓倍器218によりRFIDタグ300の通信周波数に変換することにより、搬送波の信号を形成する。そして、この搬送波の信号に対し上記ベースバンド信号を重畳させることによりアナログ変調信号を生成し、これを送信用増幅器219aで増幅してアンテナモジュール221に渡す。
【0009】
アンテナモジュール221は、渡された信号を送信信号としてコイルL1から出力する。また、アンテナモジュール301としてのコイルL3を持つRFIDタグ300からの受信信号となる電波をコイルL2により受信し、受信用増幅器219b及びA/D変換器216bを経て形成されたデジタル信号からデータが復調される。
【0010】
ところで、リーダライタ200及びRFIDタグ300における変調の形式としては、基本的に、送信すべきデータを搬送波の振幅成分に反映させる振幅変調(AM:Amplitude Modulation、ASK:Amplitude Shift Keying)、搬送波の周波数成分に反映させる周波数変調(FM:Frequency Modulation、FSK:Frequency Shift Keying)、搬送波の位相成分に反映させる位相変調(PM:Phase Modulation、PSK:Phase Shift Keying)のいずれかが適用される。また、通信周波数としては、135KHz(長波帯)、6.78MHz、13.56MHz(短波帯)、915MHz(超短波帯)、2.45GHz(マイクロ波帯)等が用いられる。
【0011】
このような多岐にわたる通信仕様に対処するために、従来、例えば図12に示すようなシステムが提案されている。図示のシステムにおいて、リーダライタ200は、通信仕様が相互に異なる2種類のRFIDタグ300A及びRFIDタグ300Bとの通信を可能とするために、RFIDタグ300Aとの通信のためのタグドライバ213A及びアンテナモジュール221Aと、他方のRFIDタグ300Bとの通信のためのタグドライバ213B及びアンテナモジュール221Bとを備える。これらの各タグドライバー(213)及び各アンテナモジュール(221)は、図11に示すものと同様の構成を持つ。
【0012】
図12に示すようなシステムに関し、例えば、後述の特許文献1に記載の手法がある。特許文献1におけるリーダライタは、3種類の周波数帯域の電波を送受信する3つのアンテナ部と、各周波数帯域の電波の変調/復調を行う3つの変復調部とを備え、通信開始時、無線ICタグにアクセス要求命令を出力し、この命令に対しタグから通知されたタグタイプに基づいて周波数帯域及びプロトコルを決定し、当該決定内容に対応するアンテナ部及び変復調部によりタグと交信するというものである。
【特許文献1】特開2001−291079号公報
【非特許文献1】苅部浩著、「非接触ICカードの本」、日刊工業新聞社、2003年10月30日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、1台のリーダライタを複数の周波数帯域に対応させようとすると、上記特許文献1に記載のリーダライタと同様に、図12に示すリーダライタ200には、N種類のアンテナモジュール(221)が送受信する電波を生成/解析するためのN種類のタグドライバ(213)を備える必要がある。これは、すなわち1台のリーダライタ200に、図11に示す構成を持つタグドライバをN個搭載することを指す。そうすると、タグドライバの増加によりリーダライタの筐体が大型化することから、特に、リーダライタが携帯型である場合はこれを携行するユーザに不便が生じる。また、搭載するタグドライバの数が増大するに従い、製品価格が上昇するという問題がある。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数の通信仕様に対処し得るリーダライタの簡素化を図る手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るRFID通信システムは、所定の通信仕様に基づく無線通信手段およびデータ記憶手段を有するRFID記録媒体と、該RFID記録媒体に対するデータ書込指示またはデータ読出指示を含む指示情報を出力するホスト装置と、該ホスト装置から出力される指示情報に基づき前記RFID記録媒体に対するデータ書込またはデータ読出を行う無線通信装置とを備え、前記無線通信装置は、相互に異なる前記RFID記録媒体の通信仕様に対応し、且つ、前記RFID記録媒体に対する送信信号および前記RFID記録媒体からの受信信号を送受信する複数のアンテナ機構と、前記送信信号の生成および前記受信信号の解析を前記RFID記録媒体の通信仕様に基づき実行する信号処理手段と、前記送信信号を送出すべきアンテナ機構および前記受信信号を受信すべきアンテナ機構を選定するアンテナ切替手段とを有する制御機構とを備える。
【0016】
本発明に係る無線通信装置は、所定の通信仕様に基づく無線通信手段およびデータ記憶手段を有するRFID記録媒体に対するデータ書込指示またはデータ読出指示を含む指示情報を出力するホスト装置から出力される指示情報に基づき前記RFID記録媒体に対するデータ書込またはデータ読出を行う無線通信装置であって、相互に異なる前記RFID記録媒体の通信仕様に対応し、且つ、前記RFID記録媒体に対する送信信号および前記RFID記録媒体からの受信信号を送受信する複数のアンテナ機構と、前記送信信号の生成および前記受信信号の解析を前記RFID記録媒体の通信仕様に基づき実行する信号処理手段と、前記送信信号を送出すべきアンテナ機構および前記受信信号を受信すべきアンテナ機構を選定するアンテナ切替手段とを有する制御機構とを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、RFID記録媒体に対するデータ書込及び読出を行う無線通信装置において、複数のアンテナ機構により送受信する送信信号および受信信号を、制御機構が一括的に生成あるいは解析を行うことから、信号の変調あるいは復調を行う機構をアンテナの数と同数搭載することが不要となる。これにより、無線通信装置の構成を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、RFID記録媒体の多種多様な通信仕様に対処し得るリーダライタの構成を簡素化するために、リーダライタにおいて従来ハードウェアで実現されていた構成要素を部分的にソフトウェアに置換したものである。その具体的な一例として、本発明では、アナログ信号による搬送波を作り出す発振器の機能を、デジタルシグナルプロセッサに代行させる。すなわち、デジタルシグナルプロセッサが定常波のアナログ信号をデジタル信号にてシミュレートすることにより、搬送波を擬似的に生成するというものである。以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
[実施形態]
図1は、本発明に係るRFID通信システムの実施形態の構成を示すブロック図である。本実施形態のシステムは、販売管理や在庫管理等のために物品に添付される従来知られたRFIDタグをRFID記録媒体として利用するシステムであり、図1に示すように、相互に異なる通信仕様を持つ2種類のRFIDタグ3A及びRFIDタグ3Bと、これらRFIDタグ(3)へのデータ書込及び読出を指示するためのアプリケーションプログラムに従い動作するホストコンピュータ1と、ホストコンピュータ1の指示に従ってRFIDタグ(3)に対しデータ書込及び読出を行う無線通信装置であるリーダライタ2と、RFIDタグ(3)及びリーダライタ2間の無線制御手順が記述された後述の無線制御プログラム8を保存する仕様サーバ4とを備える。
【0020】
RFIDタグ3A及びRFIDタグ3Bは、通信周波数及び変調形式等、リーダライタ200との通信仕様が相互に異なるものであるが、主な構成要素は、図10に沿って説明した従来のRFIDタグと同様である。すなわち、RFIDタグ3Aは、リーダライタ2に対し電磁波を送受信するアンテナモジュール5Aと、データを一時的に格納するタグ内メモリ6Aと、アンテナモジュール5Aが受信した信号を復調して解読して、リーダライタからの指示命令を解釈実行する主制御部7Aとから構成される。
【0021】
また、RFIDタグ3Bは、当該通信仕様により、上述のアンテナモジュール5A、タグ内メモリ6A及び主制御部7Aと同様な機能を果たすアンテナモジュール5B、タグ内メモリ6B及び主制御部7Bを有する。なお、図1に示す例は、2種類の通信仕様が存在する構成であるが、本発明を適用可能なシステムの通信仕様は、2種類に限らず、3種類以上であってもよい。
【0022】
仕様サーバ4は、リーダライタ2と通信可能に接続されたコンピュータ装置であり、データ書込及び読出に関しリーダライタ2が行う後述のルーチンをRFIDタグ(3)の通信仕様ごとに記述した無線制御プログラム8を保持している。この無線制御プログラム8は、本発明におけるサーバ装置が保持する通信情報に対応するものである。本実施形態の無線制御プログラム8は、具体的には、デジタル変調の形式(ASK、FSK変調、PSK変調等)及び通信周波数(135KHz(長波帯)、6.78MHz, 13.56MHz(短波帯)、915MHz(超短波帯)等)の組み合わせから成る通信仕様と、データ書込及び読出のための手順とが関連付けられたプログラムである。このように、必要な無線制御プログラム8を外部の仕様サーバ4からダウンロードする構成としたことにより、RFIDタグ(3)の通信仕様に柔軟に対処することが可能となる。
【0023】
リーダライタ2は、コントローラ9及びアンテナユニット10から構成される。アンテナユニット10は、図11に沿って説明した従来のアンテナユニットのアンテナモジュールと同様なアンテナモジュール10A及びアンテナモジュール10Bを備え、各アンテナモジュール10A及び10Bは、アナログ信号を受け取ると電磁波として空中に送出する送信用コイル(11)と、空中の電磁波を受信しアナログ信号として取り込む受信用コイル(12)から構成される。
【0024】
アンテナモジュール10A及び10Bは、本発明における無線通信装置が有する複数のアンテナ機構に対応する構成要素であり、リーダライタ2にて取り扱う通信仕様の数に対応する数量だけ設けられる。本実施形態では、2種類の通信仕様に対応する2種類のアンテナモジュールが設けられている。なお、本実施形態では、アンテナコイルを送信用と受信用とで分別する、いわゆる全二重方式を採用したが、これに代えて、送受信を単一のアンテナコイルにて行う半二重方式の構成であってもよい。
【0025】
コントローラ9は、本発明における無線通信装置の制御機構に対応する構成要素であり、コマンドインタプリタ15、タグドライバインタプリタ17及び仕様ダウンロード部13から構成される。仕様ダウンロード部13は、RFIDタグ(3)との交信の際、仕様サーバ4に対し後述の無線制御プログラム8のダウンロードを要求し、そのプログラムを受け取り格納する。無線制御プログラム8は、既述したように、タグへの書き込みを実行するためのルーチンと、読み出しを実行するためのルーチンとが通信仕様ごとに記述されたプログラムであり、各ルーチンは、タグドライバインタプリタ17により1命令ずつ解釈され実行される。
【0026】
コマンドインタプリタ15は、ホストコンピュータ1からの指示情報となるコマンドを受け取り、そのコマンドからRFIDタグ(3)に対する読出指示または書き込み指示を判断する。書き込み指示の場合は、書き込むべきデータをホストコンピュータ1から受け取り、タグドライバインタプリタ17に対し、そのデータの書込を指示する。また、読み出し指示の場合は、タグドライバインタプリタ17に対してRFIDタグ(3)からデータを読み出すよう指示し、読み出されたデータを受け取ってホストコンピュータ1に返す処理を行う。
【0027】
タグドライバインタプリタ17は、仕様ダウンロード部13により取得済みの無線制御プログラム8に基づき書込/読出のためのルーチンを実行する。書込指示に対応したルーチンでは、コマンドインタプリタ15から渡された送信すべきデータに対し、指定された変調を行い、当該通信仕様の送信用コイル(11)に渡す。また、読み出し指示に対応したルーチンでは、上記書込指示の際のルーチンと同様なルーチンに加え、当該通信仕様の受信用コイル(12)から受信したアナログ信号を復調し、その処理結果をコマンドインタプリタ15に返す。
【0028】
図2に、上記ルーチンを実行するタグドライバインタプリタ17の構成を示す。プログラムメモリ22は、仕様ダウンロード部13により取得した無線制御プログラム8を格納する。データメモリ23は、RFIDタグ(3)への書き込みデータおよびRFIDタグ(3)からの読み出しデータを一時的に格納する。
【0029】
デジタルシグナルプロセッサ21は、本発明における無線通信装置のデジタル信号演算部の機能を果たすものとして、市販のデジタルシグナルプロセッサを利用することができるが、本実施形態には、RFIDタグ(3)の通信仕様で規定された通信周波数に対処し得る処理速度を有するものを採用する。例えば、取り扱うRFIDタグ(3)の通信周波数のうち、最も高いものが13.56MHzである場合、この周波数と同等あるいは高い周波数にて動作するデジタルシグナルプロセッサを使用する。
【0030】
デジタルシグナルプロセッサ21は、ダウンロードされた無線制御プログラム8に従い、RFIDタグ(3)に対するデータ書込/読出のための各ルーチンを実行し、各ルーチンにおいて、RFIDタグ(3)への送信信号のためのデジタル変調信号を生成する。デジタル変調信号の生成手順については後に詳細に説明する。
【0031】
D/Aコンバータ24は、デジタルシグナルプロセッサ21から出力されるデジタル変調信号を受け取り、これをアナログ信号に変換する。送信用増幅器28は、変換されたアナログ信号を所定の送信出力レベルまで増幅し、送信信号として出力アンテナ切替部30へ渡す。受信用増幅器29は、入力アンテナ切替部31から渡される受信信号の信号強度を増幅する。A/Dコンバータ25は、増幅された受信信号としてのアナログ信号を受け取りサンプリングしてデジタル信号に変換し、デジタルシグナルプロセッサ21に渡す。これらのD/Aコンバータ24、送信用増幅器28、受信用増幅器29及びA/Dコンバータ25は、本発明における無線通信装置の信号変換部の機能を担う構成要素である。
【0032】
出力アンテナ切替部30は、アンテナモジュール10A及びアンテナモジュール10Bのうち送信信号を送出すべきアンテナモジュールを選定する。入力アンテナ切替部31は、RFIDタグ(3)からの受信信号を受信すべきアンテナモジュールを選定する。
【0033】
以下、本実施形態の動作手順を説明する。ここでは、一例として、リーダライタ2が図1に示すRFIDタグ3Aに対しデータ書込または読出を行う手順を説明する。図3は、リーダライタ2におけるコマンドインタプリタ15の動作手順を示すフローチャートである。
【0034】
コマンドインタプリタ15は、RFIDタグ3Aの通信仕様を含む指示コマンドをホストコンピュータ1から受信したとき(ステップS1)、その指示内容がデータ書込であるのか、あるいはデータ読出であるのかを判定する(ステップS2)。判定の結果、ホストコンピュータ1からの指示がデータ書込である場合、書き込むべきデータをホストコンピュータ1から受信し(ステップS3)、データ書込のためのルーチンのうちRFIDタグ3Aの通信仕様に対応するルーチンを実行するようタグドライバインタプリタ17に指示する(ステップS4)。また、ホストコンピュータ1からの指示がデータ読出である場合、データ読出のためのルーチンのうちRFIDタグ3Aの通信仕様に対応するルーチンを実行するようタグドライバインタプリタ17に指示する(ステップS5)。
【0035】
RFIDタグ(3)の通信仕様をリーダライタ2が認識するための方法としては、例えば、ホストコンピュータ1から出力される指示情報にRFIDタグ(3)の通信仕様に関する情報を記述しておく、あるいは、RFIDタグ(3)とその通信仕様とを関連付けた情報テーブルをリーダライタ2に保持させておき、データ書込/読出時に、ホストコンピュータ1から、対象のRFIDタグ(3)を識別する情報を出力するという方法でもよい。
【0036】
コマンドインタプリタ15からの上記指示を受けたタグドライバインタプリタ17の動作手順を説明する。図4は、データ書込指示の際の動作手順を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、便宜上、RFIDタグ3Aへのデータ書込のためのルーチンを記述した無線制御プログラム8を「ラベル1」と称し、データ読出のための無線制御プログラム8を「ラベル2」と称する。ここで、「ラベル1」及び「ラベル2」は、RFIDタグ3Aの通信仕様に対応するプログラムである。
【0037】
タグドライバインタプリタ17のデジタルシグナルプロセッサ21は、RFIDタグ3Aへのデータ書込のためのルーチンに対応する無線制御プログラム8を仕様サーバ4からダウンロードするよう仕様ダウンロード部13に指示し、ダウンロードした無線制御プログラム8、すなわち「ラベル1」をプログラムメモリ22へ格納する(ステップS10)。そして、「ラベル1」に従い、送信信号を出力するための以下の処理を実行する。
【0038】
デジタルシグナルプロセッサ21は、コマンドインタプリタ15から供給された書込命令及び書込データを含むデータ信号からデジタル変調信号を生成する(ステップS11)。このデジタル変調信号の生成手順については、後に詳細に説明する。また、送信信号を出力するためのアンテナモジュールとして、RFIDタグ3Aの通信周波数に対応するアンテナモジュール10Aを使用するよう出力アンテナ切替部30に指示する(ステップS12)。
【0039】
D/Aコンバータ24は、デジタルシグナルプロセッサ21が生成したデジタル変調信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し(ステップS13)、そのアナログ信号を送信用増幅器28により所定の送信出力レベルまで増幅する(ステップS14)。増幅されたアナログ信号は、出力アンテナ切替部30からアンテナモジュール10Aの送信用コイル11Aを介して送信信号として空中へ出力される(ステップS15)。
【0040】
次に、図5に示すフローチャートに沿って、タグドライバインタプリタ17におけるデータ読出処理を説明する。タグドライバインタプリタ17のデジタルシグナルプロセッサ21は、仕様サーバ4からRFIDタグ3Aへの読出のためのルーチンに対応する無線制御プログラム8をダウンロードするよう仕様ダウンロード部13に指示し、ダウンロードした無線制御プログラム8、すなわち「ラベル2」をプログラムメモリ22へ格納する(ステップS20)。そして、「ラベル2」に従い、送信信号を出力するための以下の処理を実行する。
【0041】
データ読出時のリーダライタ2からRFIDタグ3Aへの送信信号の出力手順は、図4に沿って説明した手順におけるデータ信号を、書込命令および書込データから読出命令に置き換えることにより実施することができ、ここでは、説明を省略する(ステップS21〜S25)。
【0042】
デジタルシグナルプロセッサ21は、RFIDタグ3Aからの読出データの受信に備えるべく、入力アンテナ切替部31に対し、RFIDタグ3Aの通信周波数に対応するアンテナモジュール10Aを受信用のアンテナとして選択するよう指示する(ステップS26)。その後、アンテナモジュール10Aの受信用コイル12AによりRFIDタグ3Aからの信号を受信すると、この受信信号を受信用増幅器29が所定の強度レベルまで増幅し(ステップS27)、増幅されたアナログ信号をA/Dコンバータ25がデジタル信号に変換してデジタルシグナルプロセッサ21に渡す(ステップS28)。
【0043】
デジタルシグナルプロセッサ21は、渡されたデジタル信号に対しRFIDタグ3Aの通信仕様に従い復調処理を施し、復調により抽出した読出データを、ホストコンピュータ1からの読出指示に対する処理結果として、ホストコンピュータ1へ渡し処理を終了する(ステップS29)。
【0044】
ここで、図6の説明図を用いて、上記ステップS11及びステップS21におけるデジタル変調信号の生成手順を説明する。デジタルシグナルプロセッサ21は、RFIDタグ3Aへの送信内容を示すデータ信号である「1011」を、変調に用いるベースバンド信号に変換するために、従来知られたベースバンド変調を施す。具体的には、本来の搬送波より低い周波数の副搬送波を表すデジタル信号を、デジタルシグナルプロセッサ21によるシミュレーションにより生成し(図示略)、この副搬送波のデジタル信号に「1011」なるデジタル信号を重畳する。その結果、図6においてベースバンド変調の結果として示されているような波形が得られる。
【0045】
また、デジタルシグナルプロセッサ21は、RFIDタグ3Aの通信周波数と同一の周波数を持つ定常波を表すデジタル信号、すなわち搬送波を表すデジタル信号をシミュレーションにより生成する。この処理は、デジタル信号にて搬送波を擬似的に生成することを指す。デジタルシグナルプロセッサ21は、生成した搬送波のデジタル信号に、上記説明したベースバンド信号を重畳することにより擬似的にデジタル変調を行い、これによりデジタル変調信号を生成する。デジタルシグナルプロセッサ21から出力されたデジタル変調信号は、D/Aコンバータ24にてアナログ波形として整形される。
【0046】
なお、図6に示すデジタル変調信号の波形およびベースバンド変調後の波形は、いずれも振幅変調(ASK)により得られる波形であるが、変調形式は振幅変調に限らず、RFIDタグ(3)の通信仕様に応じて周波数変調(FSK)あるいは位相変調(PSK)等を実行する。また、受信信号の復調処理の際は、上述の処理に適用された変調形式に対応する復調処理を行う。
【0047】
以上説明した実施形態によれば、リーダライタ2において、複数のアンテナモジュール10A及び10Bにより送受信する送信信号及び受信信号を、タグドライバインタプリタ17により一括的に生成および解析を行うことから、通信仕様ごとにタグドライバを搭載する従来の手法に比べ、使用するハードウェアの点数を大幅に削減することができる。これにより、リーダライタを小型化することができ、また、製品コストの削減も可能となる。
【0048】
[他の実施形態]
上記説明した実施形態のシステムでは、タグドライバインタプリタ17に搭載するデジタルシグナルプロセッサ21として、RFIDタグ(3)の通信周波数に対処し得る処理速度を有するものを用いたが、本発明は、処理速度の周波数がタグの通信周波数より低いデジタルシグナルプロセッサを用いても実施することができる。そのための構成を図7に示す。
【0049】
図7に示すように、本実施形態のタグドライバインタプリタ17´は、図2に示す構成に加え、デジタルシグナルプロセッサ21からの出力信号をアナログ信号に変換する搬送波用D/Aコンバータ32と、該コンバータ32からのアナログ信号の周波数を整数倍に変換する逓倍器26と、逓倍器26からの出力とD/Aコンバータ24からの出力とにより後述のアナログ変調処理を行う周波数変換器27とを備える。
【0050】
図8は、タグドライバインタプリタ17´におけるデータ書込処理の動作手順を示すフローチャートである。ここでは、データ書込のためのルーチンを記述した無線制御プログラム8を「ラベル1´」と称する。図9の説明図を用いて、図8に示す手順について説明する。タグドライバインタプリタ17´は、RFIDタグ3Aへのデータ書込のための無線制御プログラム8として「ラベル1´」を仕様サーバ4からダウンロードし(ステップS30)、この「ラベル1´」に従い以下の処理を実行する。
【0051】
デジタルシグナルプロセッサ21は、定常波を表す第1のデジタル信号と、データ信号「1011」に基づく第2のデジタル信号とを生成する(ステップS31)。これにより図9に示すような波形が得られる。第2のデジタル信号は、図6に沿って説明したベースバンド変調処理と同一の処理により生成する。また、第1のデジタル信号は、デジタルシグナルプロセッサ21が定常波をシミュレートすることにより生成する。定常波の周波数は、他方の第2のデジタル信号のための副搬送波の周波数と同一、あるいは整数倍の周波数であることが望ましい。
【0052】
デジタルシグナルプロセッサ21は、図4のステップS14での手順と同様に、出力アンテナ切替部30に対し、当該通信周波数に対応する出力アンテナを選定するよう指示する(ステップS32)。
【0053】
D/Aコンバータ24は、デジタルシグナルプロセッサ21から出力された第2のデジタル信号を第2のアナログ信号に変換する(ステップS33)。これにより、図9にD/Aコンバータ24の処理結果として示すようなアナログ波形が得られる。D/Aコンバータ24は、変換した第2のアナログ信号を周波数変換器27へ入力する。
【0054】
一方、デジタルシグナルプロセッサ21から出力された第1のデジタル信号は、搬送波用D/Aコンバータ32にて第1のアナログ信号に変換され(ステップS33)、逓倍器26に入力される。逓倍器26は、入力された第1のアナログ信号に対し周波数を倍数化する処理を施すことにより、RFIDタグ3Aの通信周波数と同一に変換する(ステップS34)。これにより、第1のアナログ信号が、送信信号のための搬送波に変換される。
【0055】
周波数変換器27は、逓倍器26から出力された搬送波としての第1のアナログ信号に、D/Aコンバータ24からの第2のアナログ信号を重畳することによりアナログ変調を実行しアナログ変調信号を生成する(ステップS35)。これにより、図9にアナログ変調信号として示すような波形が得られる。なお、図9に示す例も、変調形式として振幅変調(ASK、AM)を適用したが、この例のような振幅変調に限らず、RFIDタグ(3)の通信仕様に対応する変調形式を適用させればよい。
【0056】
送信用増幅器28は、周波数変換器27から出力されたアナログ変調信号を送信信号に必要な強度に増幅する(ステップS36)。増幅された送信信号は、出力アンテナ切替部30から送信用コイル11Aを介して空中へ出力される(ステップS37)。
【0057】
また、データ読出処理における送信信号の出力手順は、図8のステップS31で用いるデータ信号として、RFIDタグ3Aへの読出命令を充てることにより実施することができ、読出データの受信手順は、図5のステップS26〜ステップS29と同様な手順により実施することができる。
【0058】
以上説明した実施形態によれば、デジタルシグナルプロセッサ21として、処理速度がRFIDタグ(3)の通信周波数よりも低い周波数のものを用いても、上記説明した図1に示すシステムと同様な効果を奏することができる。
【0059】
上記説明した各実施形態では、リーダライタ2が無線制御プログラム8を仕様サーバ4からダウンロードする構成であったが、これに代えて、必要な無線制御プログラム8をリーダライタ2のコントローラ9に予めインストールしておく構成であってもよい。
【0060】
また、上記各実施形態では、本発明におけるRFID記録媒体としてRFIDタグを用いたが、媒体の態様はタグに限らず、樹脂カードにRFID技術のためのICチップが搭載された、いわゆる非接触ICカードをRFID記録媒体に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態におけるリーダライタの構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態におけるコマンドインタプリタの動作手順を示すフローチャートである。
【図4】実施形態のデータ書込手順を示すフローチャートである。
【図5】実施形態のデータ読出手順を示すフローチャートである。
【図6】実施形態におけるデジタル変調信号の生成手順の説明図である。
【図7】他の実施形態におけるリーダライタの構成を示すブロック図である。
【図8】他の実施形態のデータ書込手順を示すフローチャートである。
【図9】実施形態におけるアナログ変調信号の生成手順の説明図である。
【図10】従来のRFID通信システムの構成を示すブロック図である。
【図11】従来のシステムにおける機能的な構成を示すブロック図である。
【図12】従来のRFID通信システムの他の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0062】
1:ホストコンピュータ、2:リーダライタ、3:RFIDタグ、4:仕様サーバ、5:アンテナモジュール、6:タグ内メモリ、7:主制御部、8:無線制御プログラム、9:コントローラ、10:アンテナユニット、11:送信用コイル、12:受信用コイル、13:仕様ダウンロード部、15:コマンドインタプリタ、17:タグドライバインタプリタ、21:デジタルシグナルプロセッサ、22:プログラムメモリ、23:データメモリ、24:D/Aコンバータ、25:A/Dコンバータ、26:逓倍器、27:周波数変換器、28:送信用増幅器、29:受信用増幅器、30:出力アンテナ切替部、31:入力アンテナ切替部、32:搬送波用D/Aコンバータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の通信仕様に基づく無線通信手段およびデータ記憶手段を有するRFID記録媒体と、該RFID記録媒体に対するデータ書込指示またはデータ読出指示を含む指示情報を出力するホスト装置と、該ホスト装置から出力される指示情報に基づき前記RFID記録媒体に対するデータ書込またはデータ読出を行う無線通信装置とを備え、
前記無線通信装置は、
相互に異なる前記RFID記録媒体の通信仕様に対応し、且つ、前記RFID記録媒体に対する送信信号および前記RFID記録媒体からの受信信号を送受信する複数のアンテナ機構と、
前記送信信号の生成および前記受信信号の解析を前記RFID記録媒体の通信仕様に基づき実行する信号処理手段と、前記送信信号を送出すべきアンテナ機構および前記受信信号を受信すべきアンテナ機構を選定するアンテナ切替手段とを有する制御機構と
を備えることを特徴とするRFID通信システム。
【請求項2】
前記制御機構は、前記信号処理手段として、
当該通信仕様における通信周波数の搬送波を表すデジタル信号に当該送信データを表すベースバンド信号を重畳して成るデジタル変調信号を生成するデジタル信号演算部と、
前記デジタル変調信号をアナログ信号に変換し該アナログ信号を前記送信信号として増幅し出力する信号変換部と
を有することを特徴とする請求項1記載のRFID通信システム。
【請求項3】
前記制御機構は、前記信号処理手段として、
所定周波数の定常波を表す第1のデジタル信号、および、所定周波数の定常波を表すデジタル信号に当該送信データを表すベースバンド信号を重畳して成る第2のデジタル信号を生成するデジタル信号演算部と、
前記第1のデジタル信号および前記第2のデジタル信号を第1のアナログ信号および第2のアナログ信号に変換し、前記第1のアナログ信号の周波数を当該通信仕様の通信周波数に変換し、該通信周波数に変換した第1のアナログ信号に前記第2のアナログ信号を重畳して成るアナログ変調信号を生成し、該アナログ変調信号を前記送信信号として増幅し出力する信号変換部と
を有することを特徴とする請求項1記載のRFID通信システム。
【請求項4】
前記信号変換部は、前記受信信号としてのアナログ信号をデジタル信号に変換し、
前記デジタル信号演算部は、前記信号変換部が変換したデジタル信号から当該通信仕様に基づきベースバンド信号を抽出することを特徴とする請求項2又は3記載のRFID通信システム。
【請求項5】
前記無線通信装置と通信可能に接続され、且つ、前記RFID記録媒体の通信仕様に関する通信情報を該RFID記録媒体に関連付けて保持するサーバ装置を備え、
前記無線通信装置は、データ書込時およびデータ読出時に前記サーバ装置から前記RFID記録媒体に対応する通信情報を取得することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のRFID通信システム。
【請求項6】
所定の通信仕様に基づく無線通信手段およびデータ記憶手段を有するRFID記録媒体に対するデータ書込指示またはデータ読出指示を含む指示情報を出力するホスト装置から出力される指示情報に基づき前記RFID記録媒体に対するデータ書込またはデータ読出を行う無線通信装置であって、
相互に異なる前記RFID記録媒体の通信仕様に対応し、且つ、前記RFID記録媒体に対する送信信号および前記RFID記録媒体からの受信信号を送受信する複数のアンテナ機構と、
前記送信信号の生成および前記受信信号の解析を前記RFID記録媒体の通信仕様に基づき実行する信号処理手段と、前記送信信号を送出すべきアンテナ機構および前記受信信号を受信すべきアンテナ機構を選定するアンテナ切替手段とを有する制御機構と
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項7】
前記制御機構は、前記信号処理手段として、
当該通信仕様における通信周波数の搬送波を表すデジタル信号に当該送信データを表すベースバンド信号を重畳して成るデジタル変調信号を生成するデジタル信号演算部と、
前記デジタル変調信号をアナログ信号に変換し該アナログ信号を前記送信信号として増幅し出力する信号変換部と
を有することを特徴とする請求項6記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記制御機構は、前記信号処理手段として、
所定周波数の定常波を表す第1のデジタル信号、および、所定周波数の定常波を表すデジタル信号に当該送信データを表すベースバンド信号を重畳して成る第2のデジタル信号を生成するデジタル信号演算部と、
前記第1のデジタル信号および前記第2のデジタル信号を第1のアナログ信号および第2のアナログ信号に変換し、前記第1のアナログ信号の周波数を当該通信仕様の通信周波数に変換し、該通信周波数に変換した第1のアナログ信号に前記第2のアナログ信号を重畳して成るアナログ変調信号を生成し、該アナログ変調信号を前記送信信号として増幅し出力する信号変換部と
を有することを特徴とする請求項6記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記信号変換部は、前記受信信号としてのアナログ信号をデジタル信号に変換し、
前記デジタル信号演算部は、前記信号変換部が変換したデジタル信号から当該通信仕様に基づきベースバンド信号を抽出することを特徴とする請求項7又は8記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記RFID記録媒体の通信仕様に関する通信情報を該RFID記録媒体に関連付けて保持するサーバ装置と通信可能に接続され、
データ書込時およびデータ読出時に前記サーバ装置から前記RFID記録媒体に対応する通信情報を取得することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項11】
コンピュータを、請求項6乃至10記載の無線通信装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
所定の通信仕様に基づく無線通信手段およびデータ記憶手段を有するRFID記録媒体と、該RFID記録媒体に対するデータ書込指示またはデータ読出指示を含む指示情報を出力するホスト装置と、該ホスト装置から出力される指示情報に基づき前記RFID記録媒体に対するデータ書込またはデータ読出を行う無線通信装置とを備え、
前記無線通信装置は、
相互に異なる前記RFID記録媒体の通信仕様に対応し、且つ、前記RFID記録媒体に対する送信信号および前記RFID記録媒体からの受信信号を送受信する複数のアンテナ機構と、
前記送信信号の生成および前記受信信号の解析を前記RFID記録媒体の通信仕様に基づき実行する信号処理手段と、前記送信信号を送出すべきアンテナ機構および前記受信信号を受信すべきアンテナ機構を選定するアンテナ切替手段とを有する制御機構と
を備えることを特徴とするRFID通信システム。
【請求項2】
前記制御機構は、前記信号処理手段として、
当該通信仕様における通信周波数の搬送波を表すデジタル信号に当該送信データを表すベースバンド信号を重畳して成るデジタル変調信号を生成するデジタル信号演算部と、
前記デジタル変調信号をアナログ信号に変換し該アナログ信号を前記送信信号として増幅し出力する信号変換部と
を有することを特徴とする請求項1記載のRFID通信システム。
【請求項3】
前記制御機構は、前記信号処理手段として、
所定周波数の定常波を表す第1のデジタル信号、および、所定周波数の定常波を表すデジタル信号に当該送信データを表すベースバンド信号を重畳して成る第2のデジタル信号を生成するデジタル信号演算部と、
前記第1のデジタル信号および前記第2のデジタル信号を第1のアナログ信号および第2のアナログ信号に変換し、前記第1のアナログ信号の周波数を当該通信仕様の通信周波数に変換し、該通信周波数に変換した第1のアナログ信号に前記第2のアナログ信号を重畳して成るアナログ変調信号を生成し、該アナログ変調信号を前記送信信号として増幅し出力する信号変換部と
を有することを特徴とする請求項1記載のRFID通信システム。
【請求項4】
前記信号変換部は、前記受信信号としてのアナログ信号をデジタル信号に変換し、
前記デジタル信号演算部は、前記信号変換部が変換したデジタル信号から当該通信仕様に基づきベースバンド信号を抽出することを特徴とする請求項2又は3記載のRFID通信システム。
【請求項5】
前記無線通信装置と通信可能に接続され、且つ、前記RFID記録媒体の通信仕様に関する通信情報を該RFID記録媒体に関連付けて保持するサーバ装置を備え、
前記無線通信装置は、データ書込時およびデータ読出時に前記サーバ装置から前記RFID記録媒体に対応する通信情報を取得することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のRFID通信システム。
【請求項6】
所定の通信仕様に基づく無線通信手段およびデータ記憶手段を有するRFID記録媒体に対するデータ書込指示またはデータ読出指示を含む指示情報を出力するホスト装置から出力される指示情報に基づき前記RFID記録媒体に対するデータ書込またはデータ読出を行う無線通信装置であって、
相互に異なる前記RFID記録媒体の通信仕様に対応し、且つ、前記RFID記録媒体に対する送信信号および前記RFID記録媒体からの受信信号を送受信する複数のアンテナ機構と、
前記送信信号の生成および前記受信信号の解析を前記RFID記録媒体の通信仕様に基づき実行する信号処理手段と、前記送信信号を送出すべきアンテナ機構および前記受信信号を受信すべきアンテナ機構を選定するアンテナ切替手段とを有する制御機構と
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項7】
前記制御機構は、前記信号処理手段として、
当該通信仕様における通信周波数の搬送波を表すデジタル信号に当該送信データを表すベースバンド信号を重畳して成るデジタル変調信号を生成するデジタル信号演算部と、
前記デジタル変調信号をアナログ信号に変換し該アナログ信号を前記送信信号として増幅し出力する信号変換部と
を有することを特徴とする請求項6記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記制御機構は、前記信号処理手段として、
所定周波数の定常波を表す第1のデジタル信号、および、所定周波数の定常波を表すデジタル信号に当該送信データを表すベースバンド信号を重畳して成る第2のデジタル信号を生成するデジタル信号演算部と、
前記第1のデジタル信号および前記第2のデジタル信号を第1のアナログ信号および第2のアナログ信号に変換し、前記第1のアナログ信号の周波数を当該通信仕様の通信周波数に変換し、該通信周波数に変換した第1のアナログ信号に前記第2のアナログ信号を重畳して成るアナログ変調信号を生成し、該アナログ変調信号を前記送信信号として増幅し出力する信号変換部と
を有することを特徴とする請求項6記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記信号変換部は、前記受信信号としてのアナログ信号をデジタル信号に変換し、
前記デジタル信号演算部は、前記信号変換部が変換したデジタル信号から当該通信仕様に基づきベースバンド信号を抽出することを特徴とする請求項7又は8記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記RFID記録媒体の通信仕様に関する通信情報を該RFID記録媒体に関連付けて保持するサーバ装置と通信可能に接続され、
データ書込時およびデータ読出時に前記サーバ装置から前記RFID記録媒体に対応する通信情報を取得することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項11】
コンピュータを、請求項6乃至10記載の無線通信装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−157593(P2006−157593A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−346363(P2004−346363)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(390001395)エヌイーシーシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(390001395)エヌイーシーシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】
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