説明

RG1抗体及びその使用

本発明は、RGIポリペプチドに対して向けられた抗体、及び抗原−結合の抗体フラグメントに関する。本発明はさらに、前記抗体及び抗体フラグメントの使用、診断及び治療用とのための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野:
本発明は、前立腺及び他の腫瘍細胞において選択的に発現されるポリペプチドRG1に対して向けられた新規抗体に関する。特に、本発明は、癌及び癌転移の処理及び検出のためへのそれらの抗体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景:
前立腺癌は、45以上年齢の男性の約1/3に見出されることにおいて、男性における頻繁に発生する疾病である。遺伝的及び環境的原因の両者について証拠が存在し、そして大部分の原因はたぶん、両要因の組合せの結果である。家族に関する癌の研究は、遺伝的な疾病素因がすべての前立腺癌の約5〜10%において、及び55よりも若い年齢の男性の患者の約45%においてその役割を演じていることを示唆している。
【0003】
前立腺癌が多段階疾病として進行する証拠が存在し、その前駆体病変の1つは前立腺性上皮内新形成(PIN)である。その疾病の初期段階は、アンドロゲン依存性であり、そして後期段階はホルモン依存性ではない。両性前立腺過形成として知られている前立腺の増殖性障害はしばしば、臨床的に検出されないが、しかしたぶん、癌の進行における段階ではない。しかしながら、それはしばしば、前立腺癌に関連している。前立腺における癌はしばしば、多病巣性であり、一般的にゆっくりした増殖及び異種性を伴う。後期段階の癌はしばしば、リンパ節及び骨に転移する。
【0004】
前立腺癌は通常、物理的試験及び前立腺特異的抗原(PSA)の血清レベルにより診断される。根絶性前立腺切除は、局在化した疾病に関する選択の処理である。進行した転位性疾病は、卵巣摘除又はGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)による処理により誘発されるアンドロゲン切除により、及び抗−アンドロゲン療法により、現在処理される。さらに、根絶性前立腺切除及びアンドロゲン切除療法の両者に関する重度の副作用が存在する。それらは、根絶性前立腺切除に関する失禁及び不能症、及びアンドロゲン切除療法に関する骨破損及びオステオポローシスの高い危険性を包含する。
【0005】
従って、初期及び後期段階前立腺癌に関しての新規治療アプローチについての相当の必要性がある。これは処理選択に有意に影響を及ぼすので、新規診断剤についての有意な必要性がまた存在する。例えば、疾病が前立腺を越え進行し、そしてリンパ節に転移した場合、根絶的前立腺切除は、それが進行に対して効果を有さず、しかし有意な所望しない副作用を有するので、保証されない。インビボで転移を検出する剤は、相当の価値を有する。
【0006】
特定タンパク質の発現の変化、例えば、初期段階の前立腺癌における異常p53発現、低められたレベルのTGF−β受容体、低められたレベルのE−カドヘリン、C−Cam(細胞付着分子)及びいくつかのインテグリンが、前立腺癌において示されている。腫瘍遺伝子bcl-2の発現は、後期段階のアンドロゲン無関係の腫瘍において著しく高められ、そして高められたレベルでの患者の発現bcl-2においての予後は比較的不良である。遺伝子発現におけるこれまで言及された変化は十分に示されているが、疾病の原因であることが示されている発現の変化は同定されていない。従って、その発現が前立腺診断及び治療に向けられた組成物に関しての分子標的物として作用する、前立腺腫瘍の存在又は進行に連鎖する新規タンパク質を同定することが有用である。
【0007】
ポリペプチドRG1(アメリカ特許第5,871,969号を参照のこと)は、細胞外マトリックスタンパク質であるMindin/F-2スポンジンファミリーの相同体である。RG1ポリペプチドは、前立腺組織において高く発現されることが示されており(WO98/45442号を参照のこと)、そして前立腺癌及びそれが発現される他の癌の診断及び治療のための有用な標的物であるはずである。
【発明の開示】
【0008】
発明の要約:
本発明は、RG1ポリペプチドに対して高い選択性であり、そして疾病状態、例えば前立腺、腎臓、結腸又は卵巣の癌に関連するRG1発現の検出方法、及びそのような疾病状態の処理に使用され得る、抗体又はその抗原−結合抗体フラグメント又はその変異体を提供する。
【0009】
RG1ポリペプチド(配列番号2)に存在するエピトープに対して特異的に結合する、単離された抗体、又はその抗原−結合抗体フラグメント又はその変異体を供給することが本発明の目的である。1μM以下か又はそれに等しい、より好ましくは100nM以下かそれに等しい、及び最も好ましくは10nM以下か又はそれに等しい解離定数(KD)を有するRG1ポリペプチドのエピトープに結合するヒト抗体が特に好ましい。
本発明のさらに好ましい態様によれば、配列番号26又は29のアミノ酸配列を含んで成るL鎖可変領域を含んで成る、単離された抗体及びその抗原−結合抗体フラグメントが供給される。
【0010】
配列暗号27, 28, 30又は31のアミノ酸配列を含んで成るH鎖可変領域を含んで成る、単離された抗体及びその抗原−結合抗体フラグメントがまた供給される。配列番号26のアミノ酸配列を有するL鎖可変領域、及び配列番号27又は28のアミノ酸配列を有するH鎖可変領域を含んで成るヒト抗体が特に好ましい態様である。第2の特に好ましい態様は、配列番号29のアミノ酸配列を有するL鎖可変領域及び配列番号30又は31のアミノ酸配列を有するH鎖可変領域を含んで成るヒト抗体である。
【0011】
本発明のさらなる観点においては、上記アミノ酸配列に対して80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するL鎖可変領域及びH鎖可変領域がまた企画される。
上記抗体のL鎖及びH鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列がまた供給される。配列番号20又は23を含んで成るヌクレオチド配列によりコードされるL鎖可変領域を含んで成る抗体が好ましい。配列番号21, 22, 24又は25を含んで成るヌクレオチド配列によりコードされるH鎖可変領域を含んで成る抗体がまた好ましい。
【0012】
本発明のこの観点の一定の好ましい態様によれば、抗体は、インビトロでの細胞、エクスビボでの細胞及びインビボでの細胞、又は多細胞生物への投与のための診断剤として使用のための検出可能マーカーに接合される。放射性ラベル、酵素、発色団又は蛍光剤に接合される抗体が特に好ましい。特に好ましい検出方法は、イムノシンチグラフィー及び陽電子射出断層撮影法であり、ここで抗体は、イムノシンチグラフィーに関しては、放射性同位体、例えば111In又は99mTcに接合され、又は陽電子射出断層撮影法に関しては、43Sc、44Sc、52Fe、55Co、68Ga、64Cu、86Y、又は94mTcに接合される。
【0013】
本発明のさらなる観点においては、インビトロでの細胞、エクスビボでの細胞及びインビボでの細胞、又は多細胞生物への投与のために治療剤、例えばリシン又は放射性同位体に接合される抗体が供給される。これに関しては、細胞毒性である治療剤が好ましい。放射性同位体、例えば90Y及び177Luに接合される抗体が、治療剤のために特に好ましい。これに関しては、一定の好ましい態様は、RG1発現により特徴づけられる疾病状態、例えば前立腺癌、及び特に、進行した転移性前立腺癌の処理のためにヒトへのそのような接合された抗体の投与である。
【0014】
本発明のさらなる観点においては、検出可能マーカー又は細胞毒性剤へのRG1抗体、又はその抗原−接合フラグメントの接合は、p−SCN−ベンジル−DPTA及びその誘導体、1, 4, 7, 10−テトラアザシクロドデカン−N, N’, N’’, N’’’−四酢酸(DOTA)及びその誘導体、及び1, 4, 7−トリアザシクロノナン−N, N’, N’’−三酢酸(NOTA)及びその誘導体から成る群から選択されたキレート化剤の使用を通して達成される。
【0015】
本発明のさらなる観点は、本発明の免疫接合体を使用する、RG1ポリペプチドの発現に関連する疾病状態、例えば前立腺の処理方法である。
本発明のさらなる観点は、本発明の免疫接合体を使用する、RG1ポリペプチドの発現に関連する疾病状態、例えば前立腺癌の処理方法である。
本発明のさらなる観点においては、免疫応答を刺激するために使用され得るペプチド及び抗−イディオタイプ抗体が供給される。
【0016】
本発明の他の目的、特徴、利点及び観点は、次の記載から当業者に明らかになるであろう。しかしながら、次の記載及び特定の例は、本発明の好ましい態様を示すが、単なる例示により与えられることが理解されるべきである。本発明の範囲内での種々の変更及び修飾は、次の記載を読むことにより、及び本発明の開示の部分を読むことにより当業者に容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の特定の記載:
定義:
本明細書、例及び請求の範囲に使用される場合、特にことわらない限り、次の用語は示される意味を有する。
【0018】
“rg1”とは、配列番号1で示される配列を有するポリヌクレオチド、配列番号2で示されるRG1のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及びRG1変異体、誘導体及びフラグメント、及び前記変異体及び誘導体のフラグメントをコードするポリヌクレオチドを意味する。RG1はまた、RNAから構成されるそのようなポリヌクレオチド、及び配列番号2で示されるポリペプチド配列番号をコードするポリヌクレオチドの補体であるポリヌクレオチドも意味する。
【0019】
“RG1”は、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、その変異体及び誘導体、及び配列番号2のフラグメント、その変異体及び誘導体を意味する。用語“変異体”、“フラグメント”及び“変異体”とは、配列番号2のポリペプチドを言及する場合、配列番号2のポリペプチドと同じ生物学的及び/又は免疫学的活性を実質的に保持するポリペプチドを意味する。
【0020】
“生物学的活性”とは、天然に存在するRG1ポリペプチドの構造、調節又は生化学的機能を意味する。
“免疫学的活性”とは、(1)適切な動物又は細胞において特定の免疫応答を誘発し、そして特定の抗体と結合する、天然組換え又は合成RG1、又はそのいずれかのフラグメントの能力、又は(2)インビボでRG1を結合し、そしてRG1発現組織又は腫瘍に対する増強された細胞免疫応答を誘発する、RG1に対する抗体の能力を意味する。
【0021】
“天然に存在するRG1”とは、遺伝子的に構築されていないヒト細胞により生成されたRG1を意味し、そしてポリペプチドの後−翻訳修飾、例えばアセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、アシル化及び切断(但し、それだけには限定されない)から生じる種々のRG1形を意味する。
“活性RG1”又は“nRG1”とは、その活性コンホメーションで存在するRG1を意味する。
【0022】
“ポリヌクレオチド”とは一般的に、修飾されていないRNA又はDNA、又は修飾されたRNA又はDNAであり得るいずれかのポリリボヌクレオチド又はポリデオキシリボヌクレオチドを意味する。従って、例えば、ポリヌクレオチドは、本明細書において使用される場合、中でも一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖及び二本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖及び二本鎖RNA、及び一本鎖及び二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖又はより典型的には、二本鎖、又は一本鎖及び二本鎖領域の混合物であり得るDNA及びRNAを含んで成るハイブリッド分子を意味する。さらに、ポリヌクレオチドは、本明細書において使用される場合、RNA及びDNAの両者を含んで成る二本鎖領域を意味する。そのような領域における鎖は、同じ分子又は異なった分子からであり得る。それらの領域は、1又は複数の分子のすべてを包含するが、しかしより典型的には、分子のいくらかの領域のみを包含する。三本鎖ヘリックス領域の分子の1つはしばしば、オリゴヌクレオチドである。
【0023】
本明細書において使用される場合、用語“ポリヌクレオチド”とは、1又は複数の修飾された塩基を含む、上記のようなDNA又はRNAを包含する。従って、安定性又は他の理由のために修飾された主鎖を有するDNA又はRNAは、その用語が本明細書において意図される場合、“ポリヌクレオチド”である。さらに、異常塩基、例えばイノシン、又は修飾された塩基、例えばトリチウム−ラベルされた塩基を含んで成るDNA又はRNAは、その用語が本明細書において使用される場合、ポリヌクレオチドである。
【0024】
多くの種類の修飾が、当業者に知られている多くの有用な目的の役に立つDNA及びRNAに対して行われてきたことは認識されるであろう。用語“ポリヌクレオチド”とは、本明細書において使用される場合、中でも、そのような化学的に、酵素的に又は代謝的に修飾された形のポリヌクレオチド、及びウィルス及び細胞、例えば単純及び複雑な細胞の特徴を有する、化学的形のDNA及びRNAを包含する。
【0025】
“オリゴヌクレオチド”とは、比較的短いポリヌクレオチドを意味する。しばしば、この用語は、一本鎖デオキシリボヌクレオチドを意味するが、しかしそれは中でも、一本鎖又は二本鎖リボヌクレオチド、RNA:DNAハイブリッド及び二本鎖DNAも意味することができる。オリゴヌクレオチド、例えば一本鎖DNAプローブオリゴヌクレオチドはしばしば、化学的方法、例えば自動オリゴヌクレオチド合成機上で行われるそれらの方法により合成される。しかしながら、オリゴヌクレオチドは、種々の他の方法、例えばインビトロ組換えDNA−介在性技法及び細胞及び生物のおけるDNAの発現により製造され得る。“オリゴヌクレオチド又はオリゴマー”、又はポリヌクレオチド“フラグメント”、“一部”又は“セグメント”とは、少なくとも10個のヌクレオチド、及び約60個ほどのヌクレオチド、好ましくは約15〜30個のヌクレオチド、及びより好ましくは約20〜25個のヌクレオチドのポリヌクレオチド配列を意味する。
【0026】
“ポリペプチド”とは、本明細書において使用される場合、下記に記載されるようなすべてのポリペプチドを包含する。ポリペプチドの基本構造は良く知られており、そして当業界における多くのテキストブック及び他の出版物に記載されている。これに関して、その用語は、ペプチド結合により線状鎖においてお互いに結合される複数のアミノ酸を含んで成るいずれかのペプチド又はタンパク質を意味するために本明細書において使用される。本明細書において使用される場合、この用語は、ペプチド、オリゴペプチド及びオリゴマーとして当業界において通常、言及される短い鎖、及び多くのタイプが存在する、タンパク質として当業界において一般的に言及される長い鎖の両者を意味する。
【0027】
ポリペプチドはしばしば、20個の天然に存在するアミノ酸として通常言及される20個のアミノ酸以外のアミノ酸を含み、そして多くのアミノ酸、例えば末端アミノ酸は、天然の工程、例えばグリコシル化及び他の後−翻訳修飾、又は当業界において良く知られている化学的修飾技法のいずれかにより、所定のポリペプチドにおいて修飾され得ることが認識されるであろう。通常の修飾は、グリコシル化、脂質結合、硫酸化、グルタミン酸残基のγ−カルボキシル化、ヒドロキシル化及びADP−リボシル化を包含し、そしてそれらの及び他のものは、ほとんどの基本テキスト、例えばI. E. Creighton, Proteins-Structure and Molecular Properties, 2nd Ed. , W. H. Freeman and Company, New York, 1993に記載されている。
【0028】
多くの詳細される再考、例えばWold, F. , in Posttranslational Covalent Modification of Proteins, B. C. Johnson, Ed. , Academic Press, New York, pp 1-12,1983 ; Seifter etal., Meth. EnzymoL 182: 626-646,1990 and Rattan et al., Protein Synthesis : Posttranslational Modifications and Aging, Ann. N. Y. Acad. Sci. 663: 48-62,1992により提供されるそれらが、この主題に基づいて入手できる。
【0029】
ポリペプチドは常に完全には線状ではないことが、良く知られているように及び上記に示されるように、認識されるべきであろう。例えば、ポリペプチドは、ユビキチン化の結果として枝分れされ得、そしてそれらは後−翻訳現象、例えば天然のプロセッシング現象及び天然に存在しないヒト操作により引き起こされた現象の結果として、枝分れ環状のポリペプチドは、非翻訳の天然の工程及び完全に合成の方法により合成され得る。
【0030】
修飾は、ポリペプチド、例えばポリペプチド主鎖、アミノ酸側鎖及びアミノ又はカルボキシル末端のいずれかの位置で存在することができる。実際、ポリペプチドにおけるアミノ又はカルボキシル基、又は両者の共有修飾による封鎖は通常、天然に存在し、そして合成のポリペプチドであり、そしてそのような修飾は本発明のポリペプチドに存在することができる。例えば、タンパク質分解プロセッシングの前、E. コリにおいて製造されるポリペプチドのアミノ末端残基は、ほとんど一定してN−ホルミルメチオニンであろう。
【0031】
ポリペプチドに存在する修飾はしばしば、それがいかにして製造されるのかの機能であろう。宿主においてクローン化された遺伝子を発現することにより製造されるポリペプチドに関しては、修飾の性質及び程度は大部分、宿主細胞の後−翻訳修飾能力、及びポリペプチドアミノ酸配列に存在する修飾シグナルにより決定されるであろう。例えば、良く知られているように、グルコシル化はしばしば、細菌宿主、例えばE. コリにおいて存在しない。従って、グリコシル化が所望される場合、ポリペプチドは、グリコシル化宿主、一般的に真核細胞において発現されるべきである。昆虫細胞はしばしば、哺乳類細胞と同じ後翻訳グリコシル化を行い、そしてこの理由のために、昆虫細胞発現システムは、活性パターンのグリコシル化を有する哺乳類タンパク質を効果的に発現するために開発されて来た。類似する考慮が他の修飾に適用される。
【0032】
一般的に、本明細書において使用される場合、用語ポリペプチドは、すべてのそのような修飾、特に宿主細胞においてポリヌクレオチドを発現することにより合成されるポリペプチドに存在するそれらの修飾を包含する。
“誘導体”とは、化学的修飾、例えばヒトタンパク質において通常存在しない、ユビキチン化、ラベリング(例えば、放射性核種、種々の酵素修飾による)、ペギル化(pegylation)(ポリエチレングリコールによる誘導体化)、又はアミノ酸、例えばオルニチンの挿入又は置換(又は、例えば、アミノ酸をコードするヌクレオチドの置換)により、それぞれ天然に存在するrg1、RG1又は抗体結合RG1由来のポリヌクレオチド又はポリペプチドを意味する。
【0033】
“ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド”とは、本明細書において使用される場合、本発明のポリペプチド、特に配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するRG1ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチドを包含する。この用語は、追加の領域と一緒に、ポリペプチド(例えば、イントロンにより中断された)をコードする単一の連続領域又は断続的領域を含むポリヌクレオチドを包含する。
【0034】
ポリペプチド“フラグメント”“部分”又は“セグメント”は、少なくとも約5個のアミノ酸、しばしば少なくとも約7個のアミノ酸、典型的には少なくとも約9〜13個のアミノ酸、及び種々の態様においては、少なくとも約17又はそれ以上の範囲のアミノ酸である。“フラグメント”とは、前述のRG1ポリペプチド、又はRG1に対する抗体、及びその変異体又は誘導体のアミノ酸配列のすべてではないが、一部と完全に同じであるアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。
【0035】
“欠失”とは、1又は複数のポリヌクレオチド又はアミノ酸残基がそれぞれ不在である、ポリヌクレオチド又はアミノ酸配列のいずれかにおける変化として定義される。
“挿入”又は“付加”とは、それぞれ天然に存在するポリヌクレオチド又はアミノ酸配列に比較して、1又は複数のポリヌクレオチド又はアミノ酸残基の付加をもたらした、ポリヌクレオチド又はアミノ酸配列の変化である。
“置換”は、それぞれ、異なったポリヌクレオチド又はアミノ酸による1又は複数のポリヌクレオチド又はアミノ酸の置換に起因する。
【0036】
ポリヌクレオチド又はポリペプチドの“変異体”とは、本明細書において使用される場合、下記に及び本発明の開示における他の場所に、より詳細に記載される。
ポリヌクレオチドの変異体は、もう1つの対照ポリヌクレオチドとは、ポリヌクレオチド配列において異なるポリヌクレオチドである。一般的に、差異は制限され、その結果、対照及び変異体のポリヌクレオチド配列は全体的に密接して類似し、そして多くの領域において同一である。
【0037】
変異体のポリヌクレオチド配列の変化はサイレントであり得る。すなわち、それらはポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸を変更することはできない。変更がこのタイプのサイレント変化に制限される場合、変異体は対照として同じアミノ酸配列を有するポリペプドをコードするであろう。また下記に示されるように、変異体のポリヌクレオチド配列の変化は、対照ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を変更することができる。そのようなポリヌクレオチド変化は、下記に論じられるように、対照配列によりコードされるポリペプチドにおけるアミノ酸置換、付加、欠失、融合及び切断をもたらすことができる。
【0038】
ポリペプチドの変異体は、もう1つの対照ポリペプチドとはアミノ酸配列において異なるポリペプチドである。一般的に差異は制限され、その結果、対照及び変異体の配列は、全体的に密接して類似し、そして多くの領域において、同一である。変異体及び対照ポリペプチドは、いずれかの組合せで存在することができる、1又は複数の置換、付加、欠失、融合及び切断により、アミノ酸配列において異なる。それらの同じか又は類似するポリペプチドをコードする組換え変異体は、遺伝子コードにおける“冗長性”を使用することにより合成され得るか又は選択され得る。
【0039】
種々のコドン置換、例えば種々の制限部位を生成するサイレント変化は、プラスミド又はウィルスベクターのクローニング、又は特定の原核又は真核システムにおける発現を最適化するために導入され得る。突然変異はまた、ポリペプチドの性質を改良するために、すなわちリガンド−結合親和性、鎖間親和性、又はポリペプチド分解又はターンオーバー速度を変えるために導入され得る。
【0040】
本明細書において論じられるように、ポリペプチド、抗体又は免疫グロブリン分子のアミノ酸配列におけるマイナーな変動は、アミノ酸配列における変動が元の配列の少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、90%、95%及び最も好ましくは99%を維持する条件下で、本発明により包含されるように企画される。特に、保存性アミノ酸置換が企画される。保存性置換は、それらの側鎖に関連するアミノ酸ファミリー内で起こるそれらの置換である。
【0041】
遺伝的にコードされるアミノ酸は一般的に、次のファミリーに分割される:(1)酸性(アスパラギン酸、グルタミン酸);(2)塩基性(リシン、アルギニン、ヒスチジン);(3)非極性(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン);及び(4)非荷電性極性(グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン)。より好ましいファミリーは次の通りである:セリン及びトレオニンは脂肪族−ヒドロキシファミリーであり、;アスパラギン及びグルタミンはアミド−含有ファミリーであり;アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシンは脂肪族ファミリーであり;そしてフェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンは芳香族ファミリーである。
【0042】
例えば、イソロイシン又はバリンによるロイシン、グルタミン酸によるアスパラギン酸、セリンによるトレオニンの単離された置換、又は構造的に関連するアミノ酸による類似する置換が、特にその置換がフレームワーク部位内にアミノ酸を包含しない場合、得られる分子の結合又は性質に対して主要な効果を有さないであろうことを予測することは道理に合っている。アミノ酸変化が機能的ペプチドをもたらすかどうかは、修飾されていないポリペプチドと、ポリペプチド誘導体の非活性とを比較することにより容易に決定され得る。本出願の目的のためには、本発明は、RG1エピトープに関して、1μM以下の結合親和性(KD)を維持する本発明の抗体の変異体を包含する。
【0043】
次の用語が、複数のポリヌクレオチド又はアミノ酸配列間の配列関係を記載するために使用される:“対照配列”“比較窓”、“配列同一性”、“配列同一性の%”、“実質的な同一性”、“類似性”、及び“相同”。“対照配列”は、配列比較のための基礎として使用される定義された配列であり;対照配列は配列の列挙に与えられる十分な長さのcDNA又は遺伝子配列のセグメントとしての大きな配列のサブセットであり得るか、又は完全なcDNA又は遺伝子配列を含んで成ることができる。
【0044】
一般的に、対照配列は、少なくとも18個の長さのヌクレオチド、又は6個の長さのアミノ酸、時折少なくとも24個の長さのヌクレオチド又は8個の長さのアミノ酸、及びしばしば少なくとも48個の長さのヌクレオチド又は16個の長さのアミノ酸を含んで成ることができる。2個のポリヌクレオチド又はアミノ酸配列はそれぞれ、(1)2個の分子間で類似する配列(すなわち、完全なポリヌクレオチド又はアミノ酸配列の一部)を含んで成り、そして(2)2個のポリヌクレオチド又はアミノ酸配列間で異なる配列をさらに含んで成り、2種(又はそれ以上)の分子間の配列比較は典型的には、配列類似性の局部領域を同定し、そして比較するために、“比較窓”にわたって、2種の分子の配列を比較することにより行われる。
【0045】
“比較窓”とは、本明細書において使用される場合、少なくとも18個の連続したヌクレオチド位置又は6個のアミノ酸のセグメントを言及し、ここでポリヌクレオチド配列又はアミノ酸配列が少なくとも18個の連続したヌクレオチド又は6個のアミノ酸配列の対照配列に比較され得、そして比較窓におけるポリヌクレオチド配列の一部が、2種の配列の最適な一列整列に関して対照配列(付加又は欠失を包含しない)に比較して、20%又はそれ以下の付加、欠失、置換及び同様のもの(すなわち、ギャップ)を含んで成ることができる。
【0046】
比較窓を一列整列するための配列の最適な一列整列は、Smith and Waterman, Adv.Appl. Math. 2: 482 (1981)の局部相同性アルゴリズムにより、Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol. 48: 443 (1970)の相同性一列整列アルゴリズムにより、Pearson and Lipman, Proc.Natl. Acad. Sci. (U. S.A.) 85: 2444 (1988)の類似性方法についての研究により、それらのアルゴリズム(GAP, BESTFIT, FASTA, and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0, (Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, Wis. ), Geneworks, or MacVector software packages)のコンピューター処理された実施により、又は調査により行われ得、そして種々の方法により生成される最良の一列整列(すなわち、比較窓にわたって相同性の最高百分率をもたらす)が選択される。
【0047】
用語“配列同一性”とは、2種のポリヌクレオチド又はアミノ酸配列が比較窓にわたって同一である(すなわち、ヌクレオチド対ヌクレオチド又は残基に基づいて)ことを意味する。用語“配列同一性の%”は、比較窓にわたって2種の最適に一列整列された配列を比較し、同一の核酸塩基(例えば、A, T, C, G, U又はI)又は残基が適合した位置の数を得るために両配列において存在する位置の数を決定し、比較窓(すなわち、窓サイズ)における位置の合計数により適合した位置の数を割り算し、そして配列同一性の%を得るために前記結果に100を掛け算することにより計算される。
【0048】
用語“実質的な同一性”とは、本明細書において使用される場合、ポリヌクレオチド又はアミノ酸配列の特徴を示し、ここでポリヌクレオチドアミノ酸配列は、少なくとも18個のヌクレオチド(6個のアミノ酸)位置の比較窓にわたって、時折、少なくとも24〜48個のヌクレオチド(8〜16個のアミノ酸)位置の比較窓にわたって、対照配列に比較して、少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90〜95%の配列同一性、より通常には少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含んで成り、ここで配列同一性の%は、比較窓にわたって、対照配列の合計20%又はそれ以下である欠失又は付加を包含する配列に対照配列を比較することにより計算される。
【0049】
対照配列は、大きな配列のサブセットであり得る。用語“類似性”とは、ポリペプチドを説明するために使用される場合、第2のポリペプチドの配列に対して1つのポリペプチドのアミノ酸配列及び保存されたアミノ酸置換基を比較することにより決定される。用語“相同”とは、ポリヌクレオチドを記載するために使用される場合、2種のポリヌクレオチド又はその企画された配列が、最適に一列整列され、そして比較される場合、少なくとも70%のヌクレオチド、通常約75〜99%のヌクレオチド、及びより好ましくは少なくとも約98〜99%のヌクレオチドにおいて、適切なヌクレオチド挿入又は欠失を伴って、同一であることを示す。
【0050】
“抗体”又は“抗原−結合抗体フラグメント”とは、特異的結合のために損なわれていない抗体と競争する損なわれていない抗体又はそのフラグメントを言及する。抗体又は抗原−結合抗体フラグメントは、その解離定数が1μM以下か又は等しく、好ましくは100nM以下か又は等しく、及び最も好ましくは10nM以下か又は等しい場合、抗原を特異的に結合するといわれる。結合は、当業者に知られている方法、例えばBIAcoreTM 装置の使用により測定され得る。抗体フラグメントは、損なわれていない抗体の一部、好ましくは損なわれていない抗体の抗原結合又は可変領域を含んで成る。
【0051】
結合フラグメントは、Fab, Fab’, F(ab’)2及びFvフラグメント;ジアボディ;線状抗体;一本鎖抗体分子;及び抗体フラグメントから形成される多特異的抗体を包含する(C. A. K Borrebaeck, editor (1995) Antibody Engineering (Breakthroughs in Molecular Biology), Oxford University Press; R. Kontermann & S. Duebel, editors (2001) Antibody Engineering (Springer Laboratory Manual), Springer Verlag)。“二特異的”又は“二官能性”抗体以外の抗体は、同一のその結合部位の個々を有することが理解される。
【0052】
“エピトープ”は、免疫グロブリン又はT−細胞受容体に特異的に結合できるいずれかのタンパク質決定因子を包含する。エピトープ決定因子は通常、化学的活性表面グループの分子、例えばアミノ酸又は糖側鎖から成り、そして通常、特定の三次元構造特徴及び特異的電荷特徴を有する。2種の抗体は、1つの抗体が当業者に良く知られているいずれかの方法により、競争結合アッセイにおいて第2抗体と競争することが示される場合、“同じエピトープを結合する”と言われる。
【0053】
“組換え”又は“組換えDNA分子”とは、天然に存在しないか、又は配列の2つに分離されたセグメントの人工的組合せにより製造されるポリヌクレオチド配列を言及する。“組換え的に生成される”とは、化学的合成手段、又はポリヌクレオチドの単離されたセグメントの人工的操作のいずれかにより、例えば遺伝子構築技術により、しばしば達成される人工的組合せを意味する。そのような操作は通常、典型的には配列認識部位を導入するか又は除去しながら、同じか又は保存性アミノ酸をコードする冗長性コドンにより1つのコドンを置換するために行われる。
【0054】
他方では、通常の天然形で見出されない機能の所望する組合せを含んで成る単一の遺伝子実在物を生成するために、所望する機能を有するポリヌクレオチドセグメントを一緒に連結することが行われる。制限酵素認識部位、調節配列、制御配列又は他の有用な特性が企画により組込まれ得る。“組換えDNA分子”は、クローニング発現ベクターを包含する。“組換え体”とはまた、ポリペプチドをコードし、そして組換えDNA技法を用いて調製されるポリヌクレオチドを意味することができる。
【0055】
“単離された”とは、その天然の状態から“人の手により”変更されることを意味し;すなわち、それが天然に存在する場合、それはその元の環境から変更されるか又は除去されていることを意味する。例えば、天然に存在するポリヌクレオチド、又はその天然の状態で生存動物において天然で存在するポリペプチドは、“単離”されないが、しかしその天然の同時存在物質から分離された同じポリヌクレオチド又はポリペプチドは、その用語が本明細書において使用される場合、“単離される”。例えば、ポリヌクレオチドに関しては、用語、単離されたとは、それが天然に存在する染色体又は細胞から分離されることを意味する。ポリヌクレオチド及びポリペプチドは、組成物、例えば媒体配合物、細胞中へのポリヌクレオチド又はポリペプチドの導入のための溶液、天然に存在する組成ではなく、そして本明細書において使用されるような用語の意味内で、単離されたポリヌクレオチド又はポリペプチドを存続する組成物又は溶液に存在することができる。
【0056】
“実質的に純粋”及び“実質的に相同”とは、交換可能的に使用され、そしてRG1ポリペプチド又はそのフラグメント、又は前記をコードするポリヌクレオチドセグメントを記載し、ここでそのようなポリペプチド又はポリヌクレオチドは、天然においてそれを付随する成分から分離される。RG1ポリペプチド又はそのフラグメント、又はそれをコードするDNAセグメントは、それがその天然の状態でそれを付随する天然の汚染物から分離される場合、天然において結合される成分を実質的に有さない。
【0057】
従って、化学的に合成されるか、又はそれが天然において発生する細胞とは異なった細胞系において合成されるポリペプチドは、その天然において結合される成分を実質的に有さないであろう。同様に、化学的に合成されるか、又はそれが天然において発生する細胞とは異なった細胞系において合成されるポリヌクレオチドは、その天然において結合される成分を実質的に有さないであろう。
【0058】
“ポリメラーゼ鎖反応”又は“PCR”とは、DNAの特異的断片が1987年7月28日に公開されたアメリカ特許第4,683,195号に記載のようにして増幅される方法を言及する。一般的に、興味あるか又はそれ以外のポリペプチドフラグメントの末端からの配列情報は、オリゴヌクレオチドプライマーを企画するために入手する必要があり;それらのプライマーはお互いの方向に向き、そして増幅される鋳型の反対の鎖に配列において同一であるか又は類似するであろう。2種のプライマーの5’末端ヌクレオチドは、増幅された材料の末端と一致するであろう。PCRは、全ゲノムDNAからの特異的DNA配列、全細胞RNAから転写されるcDNA、プラスミド配列、等を増幅するために使用され得る(Mullis など., Cold Spring Harbor Symp. Quant.Biol., 51: 263, 1987; Erlich, ed. , PCR Technology, Stockton Press, NY, 1989を参照のこと)。
【0059】
“緊縮性”は典型的には、約Tm(溶融温度)〜5℃(プローブのTmよりも5℃低い)〜約20℃〜Tmよりも25℃低い温度の範囲で存在する。当業者により理解されるように、緊縮ハイブリダイゼーションは、同一のポリヌクレオチド配列を同定するか又は検出するために、又は類似するか又は関連するポリヌクレオチド配列を同定するか又は検出するために使用され得る。本明細書において使用される場合、用語“緊縮条件”とは、配列間に少なくとも95%及び好ましくは少なくとも97%の同一性が存在する場合のみ、ハイブリダイゼーションが生じるであろうことを意味する。
【0060】
“ハイブリダイゼーション”とは、本明細書において使用される場合、“ポリヌクレオチド鎖が塩基対合を通して相補的鎖と連結するいずれかの工程”を包含する(Coombs, J., Dictionary of Biotechnology, Stockton Press, New York, N. Y. , 1994)。
【0061】
“治療的有効用量”とは、疾病状態の徴候又は病状を改善する、ポリペプチド又はその抗体、アンタゴニスト、又はインヒビター、例えばアンチセンス分子及びリボザイムの量を言及する。用量は、被検体に関する寿命の拡張を導くために、腫瘍又は転移増殖が遅延されるか又は停止されるか、又は腫瘍又は転移がサイズ的に縮小することが見出される場合、癌又はその転移の処理における治療的有効用量と見なされる。用量はまた、それが患者の生命の全体的性質の改良、すなわち苦痛の改善を導く場合、治療的に効果的であると見なされる。そのような化合物の治療効力及び毒性は、細胞増殖物又は実験動物における標準の医薬手段、例えばED50(集団の50%で治療的に効果的な用量)及びLD50(集団の50%までの致死量量)により決定され得る。治療効果と毒性効果との間の用量比は、治療指数であり、そしてそれはED50/LD50比として表わされ得る。
【0062】
“処理する”又は“処理”とは、本明細書において使用される場合、高められたレベルのRG1により特徴づけられる病状状態、例えば前立腺癌又は進行した転移性前立腺癌のヒト患者における処理を包含する。
【0063】
発明の特定の記載:
抗体
本発明は、RG1ポリペプチド、特に配列番号2のアミノ酸配列を有するRG1ポリペプチドに対して特異的に結合する、抗体、その抗体−結合抗体、及び前記抗体及びフラグメントの変異体に関する。それらの抗体は例えば、ポリクローナル又はモノクローナル抗体であり得る。モノクローナル抗体がより好ましい。キメラ性又はヒト適合された抗体がさらにより好ましく、そしてヒト抗体がさらにより好ましい。
【0064】
本発明において企画される、抗体、抗原−結合抗体フラグメント、及び前記抗体及びフラグメントの変異体は、1μM以下か又は等しい解離定数(KD)を有するRG1ポリペプチドのエピトープに結合する。100nM以下か又は等しいKDを伴って結合する抗体がより好ましい。10nM以下か又は等しいKDを伴って結合する抗体が最も好ましい。当業者に良く知られている技法を用いて、下記に記載される抗体により結合されるエピトープと同じエピトープを認識し、そして結合し、そして競争結合研究を通して決定され得る抗体がまた企画される。
【0065】
本発明の抗体、抗原−結合抗体フラグメント、及び前記抗体及びフラグメントの変異体は、L鎖可変領域及びH鎖可変領域から成る。配列番号26又は29のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%及びさらにより好ましくは99%の配列同一性を有するL鎖可変領域を含んで成る、抗体、抗原−結合抗体フラグメント、又はその変異体が、これに関しての本発明の好ましい態様である。配列番号27、28、30又は31のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%及びさらにより好ましくは99%の配列同一性を有するH鎖可変領域を含んで成る、抗体、抗原−結合抗体フラグメント、又はその変異体がまた、好ましい態様である(図3及び4を参照のこと)。
【0066】
本発明の特に好ましい態様は、それぞれ配列番号20及び23のヌクレオチド配列によりコードされる、配列番号26又は29のアミノ酸配列を有するL鎖可変領域を含んで成る、抗体、抗原−結合抗体フラグメント、又はその変異体である。
それぞれ配列番号21, 22, 24及び25のヌクレオチド配列によりコードされる、配列番号27、28、30又は31から選択されたアミノ酸配列を有するH鎖可変領域を含んで成る、抗体、又は抗原−結合抗体フラグメント、又はその変異体がまた特に好ましい。
【0067】
配列番号26のアミノ酸配列を有するL鎖可変領域、及びさらに、配列番号27又は28のアミノ酸配列を有するH鎖可変領域を含んで成る、抗体、抗原−結合抗体フラグメント、又はその変異体、及び配列番号29のアミノ酸配列を有するL鎖可変領域及びさらに、配列番号30又は31のアミノ酸配列を有するH鎖可変領域を含んで成る第2抗体が、さらに特に好ましい。
【0068】
次のようなヒト抗体、抗原−結合抗体フラグメント、又はその変異体が最も好ましい:(a)配列番号26のアミノ酸配列を有するL鎖可変領域及び配列番号27のアミノ酸配列を有するH鎖可変領域から成る抗体、(b)配列番号26のアミノ酸配列を有するL鎖可変領域及び配列番号28のアミノ酸配列を有するH鎖可変領域から成る抗体、(c)配列番号29のアミノ酸配列を有するL鎖可変領域及び配列番号30のアミノ酸配列を有するH鎖可変領域から成る抗体、又は(d)配列番号29のアミノ酸配列を有するL鎖可変領域及び配列番号31のアミノ酸配列を有するH鎖可変領域から成る抗体。
【0069】
抗体生成
RG1ポリペプチド、フラグメント又は誘導体、又はそれらを発現する細胞が、それらに対する抗体を生成するために免疫原として使用され得る(Harlow, Antibodies, Cold Spring Harbor Press, NY (1989))。当業界において知られている種々の方法が、そのような抗体及びフラグメントの生成のために使用され得る(C. A. K Borrebaeck, editor(1995) Antibody Engineering (Breakthroughs in Molecular Biology), Oxford University Press; R. Kontermann & S. Duebel, editors (2001) Antibody Engineering (Springer Laboratory Manual), Springer Verlag)。
【0070】
RG1に対して生成された抗体は、動物へのポリペプチドの直接的な注入により、又は動物、好ましくは非ヒトへのポリペプチドの投与により得られる。次に、そのようにして抗体は、ポリペプチド自体を結合するであろう。この態様においては、ポリペプチドのフラグメントのみをコードする配列さえ、完全な活性ポリペプチドを結合する抗体を生成するために使用され得る。次に、そのような抗体が、そのポリペプチドを発現する組織からポリペプチドを単離するために使用され得る。RG1に対する抗体を生成するために、精製されたRG1タンパク質又はRG1ペプチドの使用を必要としない他の方法は、“DNA免疫化”(ここで発現ベクター又はウィルスが、RG1をコードするDNAを用いて創造され、そして抗体を生成するために使用される動物においてRG1を発現するために宿主組織細胞をトランスフェクトするか又は感染するために使用される)、又はインビトロで創造されるRG1を発現する細胞系が免疫化工程に使用される、細胞に基づく免疫化を包含する。
【0071】
モノクローナル抗体は、連続細胞系培養物により生成される抗体を供給するいずれかの技法を用いて調製され得る。例として、ハイブリドーマ技法(Kohler and Milstein, Nature 256: 495-497,1975)、ヒトB−細胞ハイブリドーマ技法(Kozbor など., Immunology Today 4: 72,1983)、及びヒトモノクローナル抗体を生成するためのEBV−ハイブリドーマ技法((Cole など., in Monoclonal Antibodies and Cancer, Alan R. Liss,Inc., 77-96,1985)を挙げることができる。RG1を発現する細胞系を用いての細胞に基づく免疫化に関しては、減法免疫化が、親細胞系に対して動物を免疫化するために使用され得る(Sleister, H. M. and Rao, A. G., J. Immunological Methods 261: 213-220,2002)。
【0072】
さらに、“キメラ性抗体”の生成のために開発された技法、すなわち適切な抗原特異性及び生物学的活性を有する分子を得るためにヒト抗体遺伝子に対するマウス抗体遺伝子のスプライシングが使用され得る(Morrison など., Proc.Natl. Acad.Sci. USA 81: 6851-6855,1984 ; Neuberger など., Nature 312: 604-608,1984 ; Takeda など., Nature 314: 452-454,1985)。他方では、単鎖抗体の生成について記載される技法(アメリカ特許第4,946,778号)が、RG1−特異的一本鎖抗体を生成するために適合され得る。
【0073】
さらに、“ヒト”抗体は、引用により本明細書に組み込まれるアメリカ特許第5,877,397号及び第5,569,825号に記載される方法を用いて、又はMendezなど. Nature Genetics 15: 146-156,1997に記載されるようなXenomouseTMの使用を通して生成され得る。そのような抗体はまた、ファージ表示技法を用いて生成され得る(Rader など., Current Opinion in Biotechnology 8: 155- 168,1997 ; Aujame etal., Human Antibodies 8: 155-168,1997)。ヒト抗体の生成は、そのような抗体がマウス又はマウス−由来のモノクローナル抗体に固有の免疫原性及びアレルギー性応答を最小にすることが予測されることにおいて、非常に好ましい。RG1ポリペプチド(配列番号2)のエピトープを認識するヒト抗体の生成が例4に記載される。
【0074】
抗体はまた、リンパ球集団におけるインビボ生成を誘発することにより、又はOrlandi など. (Proc.Natl. Acad.Sci. USA 86: 3833-3837,1989) 及び Winter and Milstein (Nature 349: 293-299,1991)に開示されるように、高い特異性の結合試薬の組換え免疫グロブリンライブラリー又はパネルをスクリーニングすることにより生成され得る。
RG1のための特異的結合部位を含む抗体フラグメントがまた生成され得る。より小さなサイズのフラグメントがより急速なクリアラシスを導くことができ、そしてまた、固形腫瘍への改良された接近性を提供することができるので、完全な抗体よりもむしろ抗体フラグメントを用いることがしばしば好都合である。
【0075】
そのようなフラグメントは、抗体分子のペプシン消化により生成され得るF(ab’)2、及びF(ab’)2フラグメントのジスルフィド橋を還元することにより生成され得るFabフラグメントを包含するが、但しそれらだけには限定されない。他方では、Fab発現ライブラリーは、所望する特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの急速且つ容易な同定を可能にするために構成され得る(Huse など., Science 256: 1270-1281,1989)。Fab, Fv及びSsFv抗体は、多量のそれらのフラグメントの生成を可能にする、E. コリ又は種々の真核細胞発現システムにおいてすべて発現され、そしてそれらから分泌され得る。
【0076】
他方では、Fab’−SHフラグメントは、E. コリから直接的に回収され得、そしてF(ab’)2フラグメントを形成するために化学的にカップリングされ得る(Carter など.,Bio/Technology 10: 163-167 (1992))。抗体フラグメントの生成のための他の技法は、当業者に知られている。一本鎖Fvフラグメント(scFv)、シアボディ、ミニボディ及び他の構築された抗体フラグメントがまた、構想される(アメリカ特許第5,5761894号 及び第5,587, 458号; Hudson など. Nature Medicine 9: 129-133,2003)。
【0077】
Fv及びsFvフラグメントは、不変領域を欠いている損なわれていない結合部位を有する種の例であり;従って、それらはインビボ使用の間、低められた非特異的結合を、たぶん示し、そしてイメージング剤としての使用のために特に好ましい(C. A. K Borrebaeck, editor (1995) Antibody Engineering (Breakthroughs in Molecular Biology), Oxford University Press; R. Kontermann & S. Duebel, editors (2001) Antibody Engineering (Springer Laboratory Manual), Springer Verlag)。抗体フラグメントはまた、例えばアメリカ特許第5,641,870号に記載されるように、“線状抗体”でもあり得る。そのような線状抗体フラグメントは、単一特異性又は二特異性であり得る。
【0078】
本明細書に記載される抗体又は抗体フラグメントの変異体がまた企画され、そして例えばアメリカ特許第5,364,934号に記載のように、保存性及び非保存性突然変異についての技法及びガイドラインのいずれかを用いて製造され得る。変化は、活性抗体配列に比較してアミノ酸配列の変化をもたらす、抗体をコードする1又は複数のコドンの置換、欠失又は挿入を包含する。企画されるそのような突然変異の有用性は、(1)酸化によるタンパク質分解又は不活性化に対する感受性の低下、(2)タンパク質複合体を形成するための結合親和性又は抗体に対する結合親和性の変更、(3)インビボクリアランス又は生分布の変更、(4)抗体イソタイプ又はアロタイプの変化、(5)抗体の機能的性質、例えばFc受容体結合の変化、(6)免疫原性を低めるか又は高めるためのエピトープ配列の変更、及び(7)そのような類似体の生理化学的又は機能的性質の他の変化を導くそれらを包含する。
【0079】
アミノ酸残基が、所望する活性に悪影響を及ぼさないで、挿入され、置換され、又は欠失され得る決定の手本は、RG1抗体と相同タンパク質のその抗体との間の高い相同性の領域において行われるアミノ酸配列変化の数を最少にすることにより見出され得る。その可能にされる変化は、配列におけるアミノ酸の挿入、欠失又は置換を組織的に行い、そして活性配列により示される活性について、その得られる変異体を試験することにより決定され得る。
【0080】
特に好ましいタイプの置換変異体は、親抗体(例えば、ヒト抗体)の1又は複数の超可変残基の置換を包含する。一般的に、さらなる開発のために選択される得られる変異体は、それらが生成される親抗体に関して改良された生物学的性質を有するであろう。そのような実質的な変異体を生成するための便利な手段は、ファージ表示を用いての親和性成熟を包含する(Schier R. , J. Mol. Biol., 263: 551-67,1996)。次に、変異体は、本明細書に記載のように(例4を参照のこと)、それらの生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーンされ得る。修飾のための良好な候補体である超可変領域を同定するために、アラニンスクリーニング突然変異誘発が、抗原結合に有意に寄与する超可変領域を同定するために行われ得る。1又は複数の適切なアッセイにおける卓越した性質を有する抗体がさらなる開発を受けることができる。
【0081】
本明細書に提供されるRG1のアミノ酸配列(配列番号2)は、抗体を生成するためのRG1ポリペプチドの特異的領域を選択するために使用され得る。当業者により理解されるように、抗体が向けられるRG1ポリペプチドの領域又はエピトープは、意図される適用により変化することができる。例えば、前立腺細胞上での膜結合されたRG1の検出のためのイムノアッセイへの使用のために意図された抗体は、RG1ポリペプチド上の接近できるエピトープに対して向けられるべきである。
【0082】
免疫原構造を示すRG1ポリペプチドの領域、及び他の領域及びドメインは、当業界において知られている種々の他の方法、例えばChou- Fasman, Garnier-Robson,又はJameson-Wolf分析を用いて用意に同定され得る。それらの残基を含むフラグメントは、抗−RG1抗体の生成において特に適切である。有用なフラグメントは、配列PLGGESICSAGAPAKYSIT (配列番号8); HSSDYSMWRKNQYVS (配列番号10); DAGTDSGFTFSSPNFATIPQDTV (配列番号11); 及び NEIVDSASVPET (配列番号12)を包含するが、但しそれらだけには限定されない。それらの領域に対するポリクローナル抗体の生成は、例4に記載されている。
【0083】
RG1のエピトープを認識する抗体の使用
本発明の抗体、抗原−結合抗体フラグメント、及びその変異体は、RG1が過剰発現される癌、例えば前立腺、腎臓、結腸及び卵巣の癌の管理のための診断アッセイ、イメージング方法、例えば治療方法において特に有用である。
【0084】
本発明は、RG1ポリペプチドの検出、及び癌、例えば前立腺癌の診断のために有用な種々の免疫学的アッセイを提供する。そのようなアッセイは一般的に、RG1ポリペプチドを認識し、そして結合できる1又は複数のRG1抗体を含んで成る。最も好ましい抗体は、RG1に対して選択的に結合し、そして非RG1ポリペプチドに対して結合しないであろう(又は弱く結合するであろう)。アッセイは、当業界において良く知られている種々の免疫学的アッセイ形、例えば種々のタイプのラジオイムノアッセイ、酵素−結合された免疫吸着アッセイ及び同様のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない。さらに、前立腺癌を検出できる免疫学的イメージング方法、例えばラベルされたRG1抗体を用いるラジオシンチグラフィーイメージング方法がまた本発明により提供される。そのようなアッセイは、癌、例えば前立腺癌の検出、モニターリング及び予後において臨床学的に有用であり得る。
【0085】
上記抗体は、ポリペプチドを発現するクローンを単離し又は同定するために、又は親和性クロマトグラフィーによる単離及び/又は精製のための固体支持体への抗体の結合により本発明のポリペプチドを精製するために使用され得る。
さらに、RG1抗体は、異種移植腫瘍組織、培養物における細胞、等から、前立腺癌細胞を、抗体に基づく細胞分類又は親和性精製技法を用いて単離するために使用され得る。本発明のRG1抗体の他の使用は、RG1ポリペプチドを模倣する抗−イディオタイプ抗体の生成を包含する。
【0086】
RG1抗体は、前立腺癌又は腫瘍転位の存在を検出するために使用され得る。種々の生物学的サンプル、例えば血清、前立腺及び/他の組織生検検出内でのそのようなRG1−含有細胞の存在が、RG1抗体により検出され得る。さらに、RG1抗体は、種々のイメージング方法、例えば99mTc(又は他の同位体)接合された抗体によるイムノシンチグラフィーに使用され得る。例えば、111In接合された抗−PSMA抗体を用いての最近記載されるプロトコールに類似するイメージングプロトコールが、再発性及び転位性前立腺癌を検出するために使用され得る(Sodee など., Clin.Nuc. Med. 21: 759-766,1997)。使用され得る検出のもう1つの方法は、陽電子射出断層撮影方法である(Herzog など., J. Nucl Med. 34: 2222-2226,1993を参照のこと)。
【0087】
本発明のRG1抗体は、検出可能マーカーによりラベルされるか、又は第2分子、例えば細胞毒性剤に接合され得、そしてRG1陽性細胞に対して第2分子を標的化するために使用され得る(E. S. など., Immunotoxin Therapy, in DeVita, Jr, V. T. など., eds, Cancer: Principles and Practice of Oncology,4th ed., J. B. Lippincott Co. , Philadelphia, 2624-2636,1993)。細胞毒性剤の例は、リシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、タキソール、エチジウムブロマイド、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ヴィンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ジヒドロキシ アントラシン ジオン、アクチノマイシンD、ジフテリア毒素、エポシロン、シュードモナス(Pseudomonas)菌体外毒素(PE)A、PE40、アブリン、及びグルココルチコイド、及び他の化学療法薬、並びに放射性同位体を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0088】
細胞毒性又は抗増殖性標的化融合タンパク質は、所望する抗−腫瘍生物学的活性を有する、適切なサイトカイン、ケモカイン、インターフェロン、又は増殖因子への抗体の遺伝子的又は化学的融合により創造され得る(Asgeirsdottir など., Biochem. Pharmacol. 15: 1729-1739,2003)。適切な検出可能マーカーは、放射性同位体、蛍光化合物、生物発光化合物、化学発光化合物、金属キレート化剤又は酵素を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0089】
免疫療法、又は検出可能マーカーとしての使用のための適切な放射性同位体は、次のものを包含する:アンチモン-124、アンチモン-125、砒素-74、バリウム-103、バリウム-140、ベリリウム7、ビスマス-j206、ビスマス-207、カドミウム-109、カドミウム-115m、カルシウム量-45、セリウム-139、セリウム-141、セリウム-144、セシウム-137、クロム-51、コバルト-56、コバルト-57、コバルト-58、コバルト-60、コバルト-64、エルビウム-169; ユウロピウム-152、ガドリニウム-153、金-195、金-199、ハフニウム-175、ハフニウム-181、インジウム-111、沃素-123、沃素-131、イリジウム-192(鉄-55)は59にアイロンをかけます、クリプトン-85、リード-210、ルテチウム-177、マンガン-54、水銀-197、水銀-203、モリブデン-99、ネオジウム-147、ネプツニウム-237、ニッケル-63; ニオビウム-95、オスミウム-185+191、パラディアム-103、プラチナ-195m、プラセオジム-143、プロメチウム-147、プロトアクチニウム-233、ラジウム-2226、レニウム-186、ルビジウム-86、ルテニウム-103、ルテニウム106、スカンジウム-44、スカンジウム-46、セレニウム-75、銀-110m、銀-11、ナトリウム-22、ストロンチウム-85; ストロンチウム-89、ストロンチウム90、イオウ35、タンタル-182、テクネチウム-99m、テルル-125、テルル-132、タリウム-170、タリウム-204、トリウム-228、トリウム-232、スズ-113、チタニウム-44、タングステン-185、バナジウム-48、バナジウム-49、イッテルビウム-169、イットリウム88、イットリウム-90、亜鉛-65、およびジルコニウム-95。
【0090】
抗体の放射性ラベルは、キレート化剤中に挿入される放射性核種により抗体中に共有結合されるキレート化剤を用いて達成される。好ましいキレート化剤は、Srivagtava など. Nucl. Med. Bio. 18: 589-603,1991 及び McMurryなど., J. Med. Chem. 41: 3546-3549,1998に示されるか、又はH. Chong, K. など., J. Med. Chem. 45: 3458-3464,2002に公開される、いわゆるNOTAキレートから誘導される(前記文献は、引用により本明細書に組み込まれる)。
【0091】
RG1抗体への放射性同位体の接合のためには、次のものが特に好ましい:二官能キレート化剤p-SCN-Benzyl-DTPA (Brechbiel など. Inorg. Chem. 25: 2772-2781,1986)の誘導体:例えばシクロヘキシル−DTPA(CHX-A"-DTPA, Wu etal., Bioorg. Med. Chem. 10: 1925-1934,1997)及びMX-DTPA(1 B4M-DTPA, McMurry など., J. Med. Chem. , 41: 3546-3549,1998)、並びに1,4,7−トリアザシクロノナン−N, N’’’, N’’’−三酢酸(NOTA)(Chong など. J. Med. Chem. 45: 3458-3464,2002)。接合は、Nikula など.Nucl. Med. Biol. 3: 387-390,1995の方法により達成され得る。
【0092】
放射性同位体111In又は99mTcが、イムノシンチグラフィーのための検出可能マーカーとして使用するために特に好ましい。陽電子放出断層投影法のための好ましい検出可能マーカーは、43Sc, 44Sc, 52Fe, 55Co, 68Ga, 64Cu, 86Y及び94mTcである。免疫療法に関しては、β−放出放射性同位体46Sc, 47Sc, 48Sc, 72Ga, 73Ga, 90Y, 67Cu, l09Pd, 111Ag, 149Pm, 153Sm, l66Ho, l77Lu, l86Re, 及び l88Re、及びα−放出同位体211At, 2llBi, 212 Bi, 213 Bi 及び 2l4Biが使用され得る。90Y, l77Lu, 72Ga, l53Sm, 67Cu 及び 2l2Biが好ましく、そして90Y及び177Luが特に好ましい。
【0093】
前立腺及び他の癌のための免疫療法
本発明は、前立腺及び他の癌を処理するための種々の免疫療法、例えば抗体療法、インビボワクチン及びエクスビボ免疫療法アプローチを提供する。他の癌は、腎臓、結腸及び卵巣の癌を包含する。1つのアプローチにおいては、本発明は、前立腺癌を処理するために全身的に使用され得るRG1抗体を提供する。
【0094】
例えば、接合されていないRG1抗体が患者中に導入され、その結果、抗体は、前立腺癌細胞上の、その細胞における、又はそれに結合されるRG1に結合し、そして補体−介在性細胞溶解、抗体−依存性細胞毒性、RG1の生理学的機能の変更、及び/又はリガンド結合又はシグナルトランスダクション経路の阻害を包含する構造により、細胞及び腫瘍の破壊を介在する。上記のように、毒性剤、例えばリシン又は放射性同位体に接合されるRG1抗体はまた、RG1−担持の前立腺腫瘍細胞に毒性剤を直接的に供給し、そしてそれにより、腫瘍細胞を破壊するために治療的に使用され得る。
【0095】
RG1抗体を用いての前立腺癌免疫療法は、他のタイプの癌、例えば結腸癌(Arlen など., Crit. Rev. Immunol. 18: 133-138,1998)、多発性骨髄膜(Ozaki など., Blood 90: 3179-3186,1997 ; Tsunenari など., Blood 90: 2437-2444,1997)、胃癌(Kasprzyk など, Cancer Res. 52: 2771-2776,1992)、B−細胞リンパ腫(Funakoshi など.,Immunther. EmphasisTumorlmmunol. 19: 93-101,1996)、白血病(Zhong など.,Leuk. Res. 20: 581- 589,1996)、結腸直腸癌(Moun など., Cancer Res. 54: 6160-6166,1994 ; Velders など., Cancer Res. 55: 4398-4403,1995)、及び乳癌(Shepard など., J. Clin. Immunol. 11: 117-127,1991)(但し、それらだけには限定されない)に関して好都合良く使用されて来た種々のアプローチから得られる教授に従うことができる。
【0096】
本発明はさらに、RG1ポリペプチド又はそのフラグメントを含むよう配合されるワクチンを提供する。抗癌療法への使用のための体液性及び細胞−介在性免疫性を生成するためのワクチンへの腫瘍抗原の使用は、当業界において良く知られており、そしてヒトPSMA及び齧歯動物PAP免疫を用いて前立腺癌に使用されて来た(Hodge など., Int. J. Cancer 63: 231-237,1995 ; Fong など.,J. Immunol. 159: 3113-3117,1997)。そのような方法は、PG1ポリペプチド又はそのフラグメント、又はRG1−コードの核酸分子、及びRG1免疫原を発現することができ、そしてそれを適切に提供することができる組換えベクターを用いることにより容易に実施され得る。
【0097】
例えば、ウィルス遺伝子供給システムは、RG1−コード核酸分子を供給するために使用され得る。本発明のこの観点の実施に使用され得る種々のウィルス遺伝子供給システムは、ワクシニア鶏痘、カナリア痘、アデノウィルス、インフルエンザ、ポリオウィルス、アデノ関連ウィルス、レンチウィルス及びシンドビスウィルスを包含するが、但しそれらだけには限定されない(Restifo, in Curr.Opin, Immunol. 8: 658-663, 1996)。非ウィルス供給システムはまた、抗腫瘍応答を誘発するために患者に導入される(すなわち、筋肉内)、RG1ポリペプチド又はそのフラグメントをコードする裸のDNAを用いることにより使用され得る。
【0098】
1つの態様においては、十分な長さのヒトrg1 cDNAが使用され得る。もう1つの態様においては、特異的Tリンパ球(CTL)エピトープをコードするrg1核酸分子が使用され得る。CILエピトープは、特定されるHLA対立遺伝子に最適に結合することができるRG1ポリペプチド内のペプチドを同定するために、特異的アルゴリズム(例えば、Epimer, Brown University)を用いて決定され得る。
【0099】
種々のエクスビボ手段がまた使用され得る。1つのアプローチは、患者の免疫系に対する抗原としてRG1ポリペプチドを提供するためへの樹状突起細胞の使用を包含する。樹状突起細胞は、MHCクラスI及びII、B7同時刺激体及びIL−12を発現し、そして従って、高く特殊化された抗原提供細胞である。前立腺癌においては、前立腺−特異的膜抗原(PSMA)のペプチドによりパルスされた自己由来の樹状突起細胞が、前立腺癌の患者の免疫系を刺激するために第I期臨床学的試験において使用される(Tjoa など., Prostate 28 : 65-69,1996 ; Murphy など., Prostate 29: 371-380,1996)。樹状突起細胞は、MHCクラスI及びII分子におけるT細胞にRG1ポリペプチドを提供するために使用され得る。
【0100】
1つの態様においては、自己由来の樹状突起細胞は、MHC分子に結合できるRG1ポリペプチドによりパルスされる。もう1つの態様においては、樹状突起細胞は、完全なRG1ポリペプチドによりパルスされる。さらにもう1つの態様は、当業界において知られている種々の実行ベクター、例えばアデノウィルス(Arthur など., Cancer Gene Ther. 4: 17-25,1997)、レトロウィルス(Henderson など., Cancer Res. 56: 3763-3770,1996)、レンチウィルス、アデノ関連ウィルス、DNAトランスフェクション(Ribas など., Cancer Res. 57: 2865-2869,1997)及び腫瘍−由来のRNAトランスフェクション(Ashley など., J. Exp. Med. 186: 1177-1182,1997)を用いて、樹状突起細胞におけるrg1遺伝子の過剰発現の構築を包含する。
【0101】
抗−イディオタイプ抗−RG1抗体はまた、RG1ポリペプチドを発現する細胞に対して免疫応答を誘発するためのワクチンとして抗−癌療法に使用され得る。特に、抗−イディオタイプ抗体の生成は、当業界において良く知られており、そしてRG1ポリペプチド上のエピトープを模倣する抗−イディオタイプ抗−RG1抗体を生成するために容易に適合され得る(例えば、Wagnerなど., Hybridoma 16: 33-40,1997 : Foon など., J. Clin. Invest. 96: 334-342,1995 ; Herlyn など., Cancer Immunollmmunother43 : 65-76,1996を参照のこと)。そのような抗−イディオタイプ抗体は、腫瘍抗原に対して向けられた他の抗−イディオタイプ抗体により現在、実施されるようにして抗−イディオタイプ療法に使用され得る。
【0102】
遺伝的免疫化方法は、RG1を発現する癌細胞に対して向けられた予防又は治療的体液及び細胞免疫応答を生成するために使用され得る。本明細書に記載されるRG1−コードのDNA分子を用いて、RG1ポリペプチド/免疫原をコードするDNA及び適切な調節配列を含んで成る構造体は、個人の筋肉又は皮膚中に直接的に注入され得、その結果、筋肉又は皮膚の細胞が前記構造体を取り、そしてコードされるRG1ポリペプチド/免疫原を発現する。RG1ポリペプチド/免疫原は、細胞表面ポリペプチドとして発現されるか、又は分泌され得る。RG1ポリペプチド/免疫原の発現は、前立腺癌に対する予防又は治療的体液及び細胞免疫性の生成をもたらす。当業界において知られている種々の予防及び治療的遺伝的免疫化技法が使用され得る(再考のためには、インターネットアドレスwww.genweb.comに公開される情報及び文献を参照のこと)。
【0103】
RG1を結合する剤を同定するためのアッセイ
本発明はまた、RG1に結合する剤(すなわち、抗体、ペプチド、等)を同定するために使用され得るアッセイ及び方法にも関する。特に、RG1に結合する剤は、RG1に結合するRG1リガンド又は他の剤、又は構成成分の能力、及び/又はRG1活性を阻害するか/刺激する能力により同定され得る。
【0104】
上記のように、抗体は、抗原性領域、すなわち抗体により標的化されることが意図されたRG1ポリペプチドのそれらの部分を含むペプチドによる適切な哺乳類対象の免疫化により得られる。そのような剤は、2次生成阻害を同定するために、及びRG1活性を阻止するために競争結合研究に使用され得る。
RG1ポリペプチドを結合する剤、例えばRG1抗体は、RG1の活性を調節するために、適切な哺乳類細胞に抗癌剤を標的化するために、又はRG1との相互作用を阻止する剤を同定するために使用され得る。RG1を発現する細胞は、RG1に結合する剤を用いて標的化されるか又は同定され得る。
【0105】
RG1結合剤をいかにして使用するかは、RG1結合剤の性質に依存するであろう。例えば、RG1結合剤は、接合される毒素、例えばジフテリア毒性、コレラ毒素、リシン又はシュードモナス外毒素をRG1発現細胞に供給するために;RG1活性を調節するために;RG1発現細胞を直接的に殺害するために;又は競争結合剤を同定するためのスクリーンに使用され得る。例えば、RG1阻害剤は、RG1発現細胞の増殖を直接的に阻害するために使用され得、そしてRG1結合剤は診断剤として使用され得る。
【0106】
医薬組成物及び投与
本発明はまた、rg1ポリヌクレオチド、RG1ポリペプチド、抗体、アゴニスト、アンタゴニスト又はインヒビターを単独で含むか、又は少なくとも1つの他の剤、例えば安定化化合物と組合して含んで成る、いずれかの無菌性生物適合性医薬キャリヤー、例えば塩溶液緩衝溶液、デキストロース及び水において投与され得る医薬組成物にも関する。それらの分子のいずれかが、単独で、又は他の剤、薬物又はホルモンと組合して、それが、賦形剤又は医薬的に許容できるキャリヤーと混合される医薬組成物において、患者に投与され得る。本発明の1つの態様においては、医薬的に許容できるキャリヤーは、医薬的に不活性である。
【0107】
本発明はまた、医薬組成物の投与にも関する。そのような投与は、経口又は非経口で達成される。非経口投与は、局部、動脈内(腫瘍に直接的に)、筋肉内、皮下、髄質内、鞘内、心室内、静脈内、腹膜内又は鼻腔内投与を包含する。活性成分の他に、それらの医薬組成物は、医薬的に使用され得る製剤への活性化合物の加工を促進する賦形剤及び助剤を含んで成る医薬的に許容できる適切なキャリヤーを含むことができる。配合及び投与に関する技法のさらなる詳細は、emington's Pharmaceutical Sciences (Ed. Maack Publishing Co, Easton, Pa.)の最も最近の版に見出され得る。
【0108】
経口投与のための医薬組成物は、経口投与のために適切な用量形で当業界において良く知られている医薬的に許容できるキャリヤーを用いて配合され得る。そのようなキャリヤーは、患者による摂取のための錠剤、ピル、糖剤、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液及び同様のものとして医薬組成物の配合を可能にする。
【0109】
経口使用のための医薬製剤は、活性化合物と固体賦形剤との組合せを通して、任意には得られる混合物を粉砕し、そして所望には、錠剤又は糖剤コアーを得るために、適切な助剤の添加の後、顆粒の混合物を加工することにより得られる。適切な賦形剤は、炭水化物又はタンパク質充填剤、例えば糖、例えばラクトース、スクロース、マンニトール又はソルビトール;トウモロコシ、小麦、米、ジャガイモ又は他の植物からのスターチ;セルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はナトリウムカルボキシメチルセルロース;及びガム、例えばアラビアガム、及びトラガカント;及びタンパク質、例えばゼラチン及びコラーゲンである。所望には、砕解剤又は溶解剤、例えば架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸又はその塩、例えばアルギン酸ナトリウムが添加され得る。
【0110】
糖剤コアは、適切な被膜、例えばアラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール及び/又は二酸化チタンをまた含む濃縮された糖溶液、ラッカー溶液、及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物により供給される。色素又は顔料が、製品識別のために、又は活性化合物の量を特徴づけるために、錠剤又は糖剤被膜に添加され得る。
【0111】
経口的に使用され得る医薬製剤は、ゼラチンから製造される押込み嵌めカプセル、及びゼラチン及び被膜、例えばグリセロール又はソルビトールから製造される軟質の密封されたカプセルを包含する。押込み嵌めカプセルは、充填剤又は結合剤、例えばラクトース又はスターチ、滑剤、例えばタルク又はステアリン酸マグネシウム及び任意には、安定剤と共に混合される活性成分を含むことができる。軟質カプセルにおいては、活性化合物は、適切な液体、例えば脂肪油、液体パラフィン又は液体ポリエチレングリコールに、安定剤を伴って又はそれを伴わないで溶解されるか又は懸濁され得る。
【0112】
非経口投与のための医薬製剤は、活性化合物の水溶液を含む。注射に関しては、本発明の医薬組成物は、水溶液、好ましくは生理学的に適合できる緩衝液、例えばハンクス溶液、リンガー溶液又は生理学的緩衝液において配合され得る。水性注射用懸濁液は、懸濁液の粘度を高める物質、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール又はデキストランを含むことができる。さらに、活性化合物の懸濁液が、適切な油状注射用懸濁液として調製され得る。適切な親油性溶媒又はビークルは、脂肪油、例えばゴマ油、又は合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチル又はトリグリセリド、又はリポソームを包含する。任意には、懸濁液はまた、適切な溶解剤、又は高く濃縮された溶液の調製を可能にするために化合物の溶解性を高める剤を含むことができる。
局部又は鼻腔内投与に関しては、透過されるべき特定のバリヤーに対して適切な浸透剤が製造に使用される。そのような浸透剤は一般的に当業界において知られている。
【0113】
キット
本発明はさらに、本発明の前述の組成物中の1又は複数の成分により充填された、1又は複数の容器を含んで成る医薬パック及びキットに関する。製造を規定する政府機関により処方される形、製造の機関による許可に影響を及ぼす医薬又は生物学的製品の使用又は販売、ヒト投与のための製品の使用又は販売の注意が、そのような容器に付随される。
【0114】
製造及び貯蔵
本発明の医薬組成物は、当業界において知られている態様で、例えば従来の混合、溶解、粒質化、糖剤−製造、磨砕、乳化、封入、取り込み、又は凍結乾燥を程により製造され得る。
医薬組成物は、塩として供給され、そして酸、例えば塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、マレイン酸、琥珀酸、等により形成され得る。塩は、その対応する遊離塩基形である水性又は他のプロトン性溶媒においてより溶解できる傾向がある。他の場合、好ましい製剤は、1mM〜50mMのヒスチジン、0.1〜2%のスクロース、2〜7%のマンニトール(4.5〜5.5のpH範囲)における凍結乾燥粉末であり、これは使用の前、緩衝液と組み合わされる。
【0115】
許容できるキャリヤーに配合される本発明の化合物を含んで成る医薬組成物が調製された後、それらは適切な容器に配置され、そして示される条件の処理のためにラベルされ得る。RG1の投与に関しては、そのようなラベリングは、投与の量、頻度及び方法を包含する。
【0116】
治療的有効用量
本発明への使用のために適切な医薬組成物は、活性成分が意図される目的、すなわちRG1発現により特徴づけられる特定の疾病状態の処理を達成するための有効量で含まれる組成物を包含する。有効量の決定は、当業者の能力内である。
いずれかの化合物に関しては、治療的有効用量は、最初に細胞培養アッセイ、例えば腫瘍細胞において、又は動物モデル、通常マウス、ウサギ、イヌ又はブタにおいて評価され得る。動物モデルはまた、所望する濃度範囲及び投与路を得るために使用される。次に、そのような情報が、ヒトにおける投与のための有用な用量及び経路を決定するために使用され得る。
【0117】
治療的有効用量は、症状又は病状を改善する、タンパク質又はその抗体、アンタゴニスト又はインヒビターの量を言及する。そのような化合物の治療効能及び毒性、すなわちED50(集団の50%において治療的に有効な用量)及びLD50(集団の50%に対して致死の用量)は、細胞培養物又は実験動物における標準の医療方法により決定され得る。治療効果と毒性効果との間の用量比は、治療指数であり、そしてそれは、比、ED50/LD50として表わされ得る。大きな治療指数を示す医薬組成物が好ましい。細胞培養アッセイ及び動物研究から得られるデータは、ヒト使用のための投与量範囲を処方することに使用される。そのような化合物の投与量は好ましくは、低い毒性か又はまったくない毒性を伴ってED50を包含する広範囲の循環濃度内にある。投与量は、使用される投与量形、患者の感受性、及び投与路に依存してこの範囲内で変化する。
【0118】
正確な投与量は、処理される患者の観点から個々の医者により選択される。投与量及び投与は、十分なレベルの活性成分を供給するために、又は所望する効果を維持するために調節される。考慮される追加の要因は、疾病状態の重症度、例えば腫瘍サイズ及び位置;患者の年齢、体重及び性別;節食、投与の時間及び頻度、薬剤の組合せ、反応感受性及び治療に対する耐性/応答を包含する。長い作用性の医薬組成物は特定の製剤の半減期及びクリアランス速度に依存して、3〜4日ごとに、1週ごとに、又は2週ごとに1度、投与され得る。
【0119】
通常の投与量は、投与路に依存して、0.1〜100,000μgであり、約1gの合計用量までである。特定の投与量及び供給方法に関する指図は、文献に提供されている。アメリカ特許第4,657,760号、第5,206,344号又は第5,225,212号を参照のこと。当業者は、タンパク質又はそれらのインヒビターとは異なったポリヌクレオチドについての製剤を使用するであろう。同様に、ポリヌクレオチド又はポリペプチドの供給は、特定の細胞、状態、位置、等に対して特異的であろう。放射性ラベルされた抗体についての好ましい比活性は、0.1〜10Ci/mgタンパク質の範囲であり得る(Riva など., Clin. Cancer Res. 5: 3275s-3280s, 1999; Wong など., Clin. Cancer Res. 6: 3855-3863,2000 ; Wagner など., J. Nuclear Med. 43: 267-272,2002)。
【0120】
本発明はさらに、次の例により記載される。例は、特定の態様により本発明を例示するために単独で供給される。それらの例示は、本発明の特定の観点を例示するが、開示される発明の範囲を制限するものではない。
すべての例は、詳細に記載されている場合を除いて、当業者に良く知られており、そして通常のことである標準の技法を用いて行われた。次の例の通常の分子生物学技法は、標準の実験用マニュアル、例えばSambrookなど., Molecular Cloning : A Laboratory Manual, 2nd Ed.; Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N. Y. , 1989に記載のようにして行われ得る。
【実施例】
【0121】
例1ヒトrg1ポリヌクレオチドの同定:
Rg1を、Incyte LifeSeq(商標)データベースを調べることにより前立腺に発現される遺伝子として同定した。ヌクレオチドを、データベースを調べるためにIncyteにより提供される“Protein Function”用語を用いて;データベースの注釈調査により同定した。ヌクレオチド配列は、注釈されるデータベースにおける細胞付着分子のカテゴリーに見出され、そしてf−スポンジンの相同体として記載されている。データベース組におけるrg1ポリヌクレオチド配列の分布の電子ノザン分析は、rg1が前立腺ライブラリーにおいて高いレベルで、及び多くの他の組織ライブラリー、例えば正常及び腫瘍組織からのそれらのライブラリーにおいて低いレベルで発現されることを示した。
【0122】
連続ポリヌクレオチド配列へのデータベースにおけるrg1クローン組のアセンブリー及び連続配列の編集に続いて、十分な長さのコード配列を、予測されるアセンブリーされたポリヌクレオチドにおいて同定した。この配列は、f−スポンジン及びミンジン−2に対して相同のタンパク質をコードした。
Incyteクローン1640796, 1712252及び1880265を実験研究のためにIncyteから入手し、そしてクローン3360733を、ほとんどの5’ヌクレオチド配列を含むものとして同定した。このクローンは、十分に配列決定され、そして予測されるRG1タンパク質についての十分なコード配列を含んだ。この配列は、配列番号1で示される。
【0123】
例2Rg1 mRNA発現:
正常及び腫瘍組織からの種々のサンプル、及び細胞系におけるrg1 mRNAの発現を、Taqman アッセイ, (Perkin-Elmer)を用いて、半定量的PCRにより決定した。改良されたGleason等級システムに従って等級化された前立腺の正常、良性及び腫瘍組織サンプルを、Urology Department at Stanford University School of Medicineから得た。RNAを、それから標準の方法により単離した。他の腫瘍及び正常組織からのRNAを、Clonetech及びBiochainを包含する商業源から購入した。前立腺腫瘍細胞系PC−3、LNCaP及びDU145を、ATCCから得、そして血清含有培地を用いて標準の方法により培養において増殖した。それらの細胞系由来の異種移植腫瘍を、ヌードマウスにおいて確立し、そして移植の後、約4〜6週でマウスから収穫した。RNAを標準の方法により腫瘍から単離した。
【0124】
Taqmanに基づくPCR分析を、次のプライマー:CGC GCA TAG CTC CGA CTA C (配列番号3) 及びGCC GCG TCC GCA AAG (配列番号4)及びTaqmanプローブ:6-FAM-AGG AAG AAC CAG TAC GTC AGT AAC GGG CTG-Tamra (配列番号5)を用いて行った。
それらのプライマー及びプローブを、Perkin Elmer’s Primer Expressソフトウェアを用いて企画し、そしてSynthetic Geneticsにより合成した。PCR反応を30〜40サイクル行い、そして相対的比較のための標準曲線を生成するために前立腺RNAを用いて定量化した。この分析は、rg1 mRNAが、前立腺において最も豊富であり、そしていくつかの他の組織において有意に低いレベルで検出された。
【0125】
例3BHK細胞におけるRG1の生成:
クローニング:RG1コード領域を、Incyteプラスミド3360733から得た。そのコード配列を、1x Pfu Turbo ポリメラーゼ緩衝液(Stratagene, LaJolla, CA)/200μM dNTPs/0.2μMオリゴヌクレオチドプライマー/2.5U Pfu Turbo ポリメラーゼ (Stratagene)を用いて、標準のPCR反応(100μl)において、プライマー:SST115 (5'-TCCCTCTAGAGCCACCATGGAAAACCCCAGCCCGGC-3') (配列番号6) 及びSST113 (5'-AAGGCATCACGTGTTAGACGCAGTTATCAGGGACG-3') (配列番号7)によりPCR増幅した。
【0126】
PCR増幅条件は次の通りであった:95℃で3分、(95℃で15秒、60℃で30秒、72℃で2分)×35、72℃で7分。得られるPCR増幅された生成物を、QlAquick PCR カラム (Qiagen, Valencia, CA)を用いて精製し、そしてXboI及びPmII制限酵素により消化し、1010bpのフラグメントを得、これを、BIO 101 GeneClean Kit (Vista, CA)を用いて1%アガロースゲルから精製した。精製されたフラグメントを、XbaI及びPmIIにより消化された非細胞変性Sindbis発現ベクターpSINrep21 (Agapovなど, 1998, PNAS 95: 12989-12994)に連結し(Epicientre Fast Link キット, (Epicenter, Madison,WI)を用いて)、そしてアンピシリン(100μg/ml)を含むLB寒天プレート上で選択した。1つのそのようなアンピシリン耐性コロニーを、アンピシリンを有するLB培地において増殖し、そして挿入されたRG1コード配列を含むことが配列分析により示した。このプラスミドをpPEG6と命名した。
【0127】
発現:2μgのpPEG6を用いて、Lipofectamine Plus 試薬 (Life Technologies, Gaithersburg, MD)により、その製造業者の説明書に従って1−3×105個のウシハムスター腎臓細胞(BHK)細胞をトランスフェクトした。トランスフェクションに続いて、細胞を、DMEM+胎児血液血清において24〜48時間インキュベートし、この時点で、細胞を1〜10に分け、そしてプラスミド含有細胞についての選択を、プロマイシン(2.5μg/mlの最終濃度)及びDMEM含有血清を添加することにより開始した。細胞が密集的になった後(プロマイシン添加の4〜5日後)、細胞をPBSにより洗浄し、1〜10に分け、そして血清及び5μg/mlのプロマイシンを含むDMEM培地を添加した。さらに2〜3日後、培地を、DMEM及び血清を有さない5μg/mlのプロマイシンにより置換し、2〜3日間、増殖し、そしてRG1タンパク質の存在を、RG1抗体を用いて、ウェルターン分析により培地において検出した。
【0128】
精製:安定してRG1タンパク質を過剰発現し、そして増殖培地中にそれを分泌するためにトランスフェクトされた子供ハムスター腎臓細胞(BHK)を、ウシ胎児血清を含む培地において培養した。集密下の場合、細胞を、血清フリーの培地に24〜48時間、交換した。培地を集め、遠心分離し、細胞を除去し、そして−80℃で貯蔵した。培地を、精製の直前に融解し、そして氷上で維持した。プロテアーゼインヒビターを添加し、培地を、20mMの冷酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)により10倍に希釈し、そして精製を通して4℃で維持した。希釈されたサンプルを、0.5ml/分の流速で、Q−セファロースアニオン交換カラム上に充填し、次に同じ緩衝液により洗浄した。
【0129】
溶出を、画分を集めながら、線状NaClグラジエント(緩衝液中、1MのNaCl 0〜80%、0.5%/分)を用いて行った。RG1は、SDS PAGE及びウェスターンブロットにより決定される場合、約75mMのNaClで溶出した。RG1含有画分をプールし、限外濾過により濃縮し、そしてさらに、Superdex75ゲル濾過カラム上で精製した。精製されたBHK−RG1を、活性RG1(nRG1)タンパク質に対して特異的であるヒトmabsの生成において免疫原として、及びそれらの抗体のスクリーニング及び特徴づけにおいて抗原として使用した。
【0130】
例4抗体生成:
ポリクローナル抗体:ウサギポリクローナル抗血清を、RG1タンパク質配列に由来する5種の合成ポリペプチド配列に対して生ぜしめる。それらの配列を、表面エピトープをたぶん認識する抗血清を生成するために、タンパク質の表面でのそれらの予測される位置のために選択した。システイン残基を、アミノ酪酸(Abu)により置換し、合成を助けた。5種のペプチドについての特異的アミノ酸配列、RG1タンパク質上の位置、及び名称を下記に列挙する。
【0131】
名称 位置 アミノ酸配列
1C 28−46 PLGGESICSAGAPAKYSIT (配列番号8)
2C 46−64 TFTGKWSQTAFPKQYPLFR (配列番号9)
3C 77−91 HSSDYSMWRKNQYVS (配列番号10)
4C 188−210 DAGTDSGFTFSSPNFATIPQDTV (配列番号11)
5C 263−274 NEIVDSASVPET (配列番号12)
【0132】
ペプチドを、免疫原としての使用のために、追加のカルボキシル−末端システインを通してキーホールカサガイヘモシアニン(KLH)に共有結合した。同様に、ウシ血清アルブミン(BSA)接合体を、ELISAを通して抗血清力価の分析のために調製した。
2匹の動物を、個々のペプチドにより免疫化した。初期免疫化を、完全フロイントアジュバント(0.5mg/動物)において行い、続いて、追加免疫化を、筋肉内に適用される不完全フロイントアジュバント中、0.25mg/動物により3週間隔で行った。定期的な試験採血を取り、そして特異的BSA−ペプチド接合体に対する抗体力価を、ELISAにより測定し、そして前免疫血清と比較した。ペプチド1C及び3Cに対する抗血清は、活性的であることを示された。ペプチド2Cに対する抗血清は、RG1ポリペプチドを認識しなかった。ペプチド4C及び5Cに対する抗血清は試験されなかった。
【0133】
モノクローナル抗体:RG1に対するモノクローナル抗対を、RG1ペプチドに対してトランスジェニックマウスを免疫化することにより生成し、そして6−ヒスチジン−標識されたRG1融合タンパク質をE. コリにおいて発現した。それらの動物の脾臓細胞を骨髄腫細胞と融合し、ハイブリドーマ細胞を生成した。得られるハイブリドーマを、RG1ペプチド及びタンパク質に対して向けられた抗体を生成するハイブリドーマについてELISAによりスクリーンした。
【0134】
活性RG1に対する特異性を有するヒトモノクローナル抗体をまた、破壊されたマウスH及びマウスκL鎖遺伝子座を含むトランスジェニックマウスの免疫化により調製した(アメリカ特許第5,877,397号)。C57BL/6J近交系(Medarex)からのトランスジェニックマウスを、安定したトランスフェクトされたBHK細胞において生成された、精製RG1タンパク質により免疫化した(例3を参照のこと)。
【0135】
抗原を、プロトコール1として第1及び第2免疫化のために完全フロイント(Sigma, F5881)アジュバントと共に混合し;その後、抗原を不完全フロイント(Sigma, F5506)と共に混合した。第2プロトコールのために、完全フロントを、第1免疫化のために使用し、そしてその後、不完全フロントを使用した。個々のマウスは、乳化針を用いて、アジュバントにより1:1で混合された、100μlのPBS中、25μgの活性RG1(nRG1)受けた。マウスは、0.2mlの調製された抗原と共に、腹腔内に注射された。
【0136】
ハイブリドーマの調製:P3 X63 ag8.653 骨髄腫細胞系 (ATCC CRL1580, ロットF-15183)を、融合のために使用した。オリジナルATCCバイアルを融解し、そして培養において拡張した。凍結されたバイアルの種ストックを、その拡張から調製した。細胞を、3〜6ヶ月間、培養に維持し、1週当たり2度、継代した。P388D1(ATCC、TIB−63FL)細胞からの上清液を、ハイブリドーマのためのならし培地として使用した。手短には、細胞を増殖し、そして200mlに拡張した。静置培養物を約7日間、増殖した。消耗された上清液を回転沈降し、そして0.2μmの無菌フィルターを通して濾過した。この細胞系を、3〜6ヶ月間、継代し、そして次に新しいバイアルを融解した。
【0137】
5% FBS (Hyclone,#AKE11828)を含むDMEM(Celigro#10013271,10013270)、及びP/S (Celigro, #30002029)を用いて、骨髄腫及びP388D1細胞を培養した。追加の培地補充物(5% Origen-Hybridoma Cloning Factor(IGEN, #36684,36908), 5% P388D1 ならし培地 (11/15/00,12/21/00 DH), 10% FCS (Hyclone,#AKE11828), β-メルカプトエタノール (Gibco#1076640), ゲンタマイシン(Gibco#1079874), ヘルペス(Cellgro-#25060041) 及び HAT (Sigma, H 0262; 1.0X10-4 M ヒポキサンチン, 4.0x10-7 M アミノプテリン, 1.6 x10-5 M チミジン),又はHT (Sigma,H0137 ; 1.0x10-4 Mヒポキサンチン, 1.6x10-5 M チミジンを含む)を、ハイブリドーマ増殖培地に添加した。
【0138】
脾細胞を、PEG及び標準の方法を用いて、骨髄腫細胞と融合した。得られるハイブリドーマを、50の96−ウェルプレート中に、プレートし、第1の融合のために、200μl/ウェルで接種した。ヒトIgG,κ抗体についての初期ELISAスクリーンを、融合の10〜12日後、行った。次に、ヒトIgG,κ陽性ウェルを、6−His捕獲ELISAによりスクリーンした。このスクリーニングは、3種の融合体からの次の8種のヒト抗体の単離を導いた:3種のIgM, 1つのIgG3、及び4種のIgG1サブクラス抗体。
【0139】
抗原結合抗体を有するウェルからのハイブリドーマを、第1に、24ウェルプレートに移し、そして特異性について再び再スクリーンした。活性RG1特異的ハイブリドーマを、制限希釈によりサブクローン化し、モノクローナル性を確かめた。活性RG1(nRG1)を結合した抗体を生成するハイブリドーマを、IGEN凍結培地において細胞を凍結することにより、増殖抗体のいくつかの段階で保存した。それらの系からの培地を凍結し、そして下記のように、抗体の精製のために使用した。8個のうち4個は、さらなる研究を保証するのに十分な特異性を有することが決定された。
【0140】
抗体の精製:上記RG1に対する4個のヒトモノクローナル抗体を、プロテインGセファロース親和性クロマトグラフィーを用いて、細胞ならし培地から精製した。細胞を、遠心分離及び濾過により培地から除去し、培地をプロテインGカラム上に通した。次に、カラムをPGSにより洗浄し、未結合の材料を除去した。結合された抗体を、100mMのグリシン(pH2.5)により溶出し、そしてすぐに、その画分に10%(v/v)の1Mのトリス(pH8)を添加することにより中和した。抗体含有画分をプールし、PBSに対して透析し、SDS PAGEにより純度について試験し、そしてELISAにより抗原結合活性についてアッセイした。
【0141】
抗体のスクリーニング:抗体のスクリーニングを、いくつかの異なったアッセイ方法を用いて行った:
A. hIgGγκ ELISAスクリーン:96ウェルマイクロタイタープレート(Falcon, #3912)を、1μg/mlの抗−ヒトIgGκ又はPBS中、抗−ヒトIgGκ(50μl/ウェル)により一晩、被覆した。プレートを吸引し、そして室温で1時間、5%ニワトリ血清含有のPBS0.05%Tween20によりブロックし(100μl/ウェル)、次に、PBS−Tweenにより3度、洗浄した。ハイブリドーマ上清液を、ブロッキング緩衝液において1:2に希釈し、そしてスクリーニングのために室温で1時間インキュベートした(100μl/ウェル)。
【0142】
インキュベーションに続いて、プレートを、ブロッキング緩衝液により3度、洗浄し、その後、100μl/ウェルの第2抗体(HRP 抗−ヒト IgGFc (Jackson, #109-036-098 又は HRP 抗−ヒトIgGκ (Sigma,#A-7164))を添加した。第2抗体を、室温で1時間インキュベートし、そして次にプレートを、ブロッキング緩衝液により2度、洗浄した。プレートを、プレート当たり80μlのABTS(Sigma, #A1888)、8μlのH2O2を含む、10mlのクエン酸リン酸緩衝液(pH4.0)を用いて進行せしめ、そしてA415-490nmで読み取った。
【0143】
B. RG1結合ELISA:96ウェルマイクロタイタープレートを、PBS中、0.5〜1.0μg/ウェルの精製された活性RG1タンパク質(50μl/ウェル)により4℃で一晩、被覆した。ウェルを吸引し、そして次に、反応を、100μl/ウェルのPBS−Tween+5%ニワトリ血清の添加、続く室温での1時間のインキュベーションによりブロックした。次に、プレートを、ブロッキング緩衝液により3度、洗浄した。次に、連続希釈されたサンプル(血清、ハイブリドーマスープ、精製されたmabs、等)を、50μl/ウェルで個々のウェルに添加した。室温での1時間のインキュベート物を、ブロッキング緩衝液により3度、洗浄した。次に、ウェルを、ブロッキングし緩衝液中、HRP抗−ヒトIgGFc第2抗体と共に室温で1時間インキュベートし、そして次に、上記のように3度、洗浄した。プレートを、上記基質を用いて進行せしめ、そして96ウェルプレートリーダーを用いて、A405nmで測定した。
【0144】
C. 捕獲ELISA方法:その活性コンホメーションにおけるRG1タンパク質へのmab結合を決定するために、捕獲ELISA形を使用した。6個のヒスチジン発現標識を含むRG1タンパク質(6Hs−RG1)を、BHK細胞において発現し、そして抗原として使用した。6His−RG1を、NiNTAアガロース親和性クロマトグラフィーを用いて、標準の方法に従って、ならし培地から精製した。
【0145】
精製された6HisRG1を、PBS+0.2BSA(PBS/BSA, 100μl/ウェル)中、1.5μg/mlの濃度を用いて、96ウェルNiNTA プレート (Qiagen NiNTA HisSorb)上に、4℃で一晩、捕獲した。ウェルを、0.05%Tween20を含むPBS(PBST)により3度、洗浄した。サンプル(ハイブリドーマ上清液、血清、精製されたmabs, 等)を、PBS/BSAにより希釈し、そしてプレート上で室温で1〜2時間インキュベートし(50μl/ウェル)、そして次に、PBSTにより3度、洗浄した。第2抗体(HRP−ラベルされたヤギ抗−ヒトIgGFc)を、PBS/BSAにより1:5000に希釈し、プレートに50μl/ウェルで添加し、そして室温で1時間インキュベートした。
プレートをPBSTにより3度、洗浄し、そしてELISAにおいて進行せしめた。405nmでの吸光度を、ELISAプレートリーダーを用いて測定した。
【0146】
D. BIAcore表面プラスモン共鳴(SPR)アッセイ:親ハイブリドーマ上清液をさらに、SPRを用いて、結合活性によりクローンを定性的に評価するためにスクリーンした。ウサギ抗−ヒトIgGFc(Pierce, 31142)を、標準のアミンカップリング、及び酢酸塩(pH4.0)中、60μg/mlの抗体、並びにHEPES緩衝溶液(HBS)の移動相を用いて、センサーチップ(Biacore, BR-1000-12)上に固定した。 ハイブリドーマ培地を、5μl/分で表面上に通し、その表面上に捕獲し、そして次に、HBSにより洗浄した。次に、精製された活性BHK−RG1タンパク質(400nM)を表面上に通して、そして結合をSPRにより測定した。注入の最後で、HBSを表面上に通し、抗体:RG1複合体の解離を測定した。時間に対するSPR測定の傾斜は、解離速度の表示であり、傾斜が大きいほど、解離速度は速く、そして従って、抗体の結合活性は低い。
【0147】
例5抗体のウェスターンブロット分析:
抗血清を、ウェルターンブロットによりRG1特異性について試験した。RG1特異的抗血清(上記、配列1C及び3Cに対して生ぜしめられたそれら)を、COS細胞において一時的に発現されるRG1に対して試験し、活性RG1をLNCaP細胞から分離し、そしてRG1を、トランスフェクトされた子供ハムスター腎臓細胞(BHK)から生成した。RG1−特異的抗血清をさらに、つぎのものから生成された溶解物に対して試験した:LNCaP腫瘍、LNCaP細胞、PC3腫瘍、PC3細胞、及びヒト前立腺腫瘍のいくつかの臨床学的サンプル。細胞及び組織を、界面活性剤緩衝液に溶解した。
【0148】
5分間の煮沸の後、個々の溶解物10μlを12%SDS−ポリアクリルアミドゲル上に負荷し、タンパク質を分解した。次に、分離されたタンパク質を、ニトロセルロース膜に移行した。RG1抗体の結合特異性を、相同及び異種ペプチドの存在下で結合により確証した。RG1−特異的抗血清は、PC−3細胞及びPC−3腫瘍を除く、全てのサンプルにおけるタンパク質を検出できた。
活性RG1に対して特異的なヒトmabsのウェルターンブロット分析は、それらの抗体が非還元条件下でのみ、ブロット上のRG1を認識したことを示した。これは、それらのmabsがより活性形のRG1に結合することを示した。
【0149】
例6LNCaP細胞から分泌される活性RG1タンパク質の精製:
培養において増殖されたLNCaP細胞は、ウェスターンブロット分析により活性RG1タンパク質を分泌することが示された。その活性タンパク質を精製するために、細胞を、血清を欠いている培地において48時間、増殖した。この血清を有さないならし培地を収穫し、遠心分離し、細胞を除去し、そして限外濾過により約50倍に濃縮した。次に、濃縮された培地を、20mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)により10倍に希釈し、そしてQ−セファロースアニオン交換カラム上に負荷した。カラム溶出は、2.0mlの画分を集めると共に、塩化ナトリウムグラジエント(0.5%/分)から構成された。RG1タンパク質は、ウェスターンブロット及びSDS PAGEにより決定される場合、約75mMのNaClで溶出した。活性RG1タンパク質は、細菌において発現される6ヒスチジン−RG1融合タンパク質よりもわずかに低い分子量で進行する。なぜならば、たぶんそれは融合タンパク質を欠いているからである。
【0150】
例7前立腺及び前立腺癌転移におけるRG1発現の免疫組織化学的染色:
RG1タンパク質の発現を、種々のヒト組織、例えば腎臓、肺、膵臓、筋肉、脳及び前立腺、並びにリンパ節及び骨転移において、LifeSpan Biosciences, Inc.により決定した。追加の前立腺組織を、Urology Department at Stanford University School of Stanfordから入手し、そしてBerlexで試験した。組織切断を、標準方法を用いてパラフィン除去した。ポリクローナル抗体RG1-3Cを一次抗として使用し、そして検出システムはVector ABC-AP キット(AK5002)及びVector Red Substrate キット (SK 5002)の使用から成った。負の対照として、染色を、一次抗体の不在下で行った。
【0151】
RG1の発現を、何人かの患者からの前立腺腫瘍及び正常前立腺組織において試験した。すべての場合、RG−1発現を表わす強い染色を前立腺腫瘍サンプルにおいて見出した。RG−1発現は、正常な前立腺組織において、ほとんどない染色〜有意な染色まで変化した。
RG1の発現はまた、前立腺腫瘍転移を含むことが知られているリンパ節及び骨サンプルにおいて免疫組織化学的に検出された。正常なリンパ節又は骨は染色を示さない。
【0152】
例8RG1抗体の配列決定:
上記4に記載のようにして生成され、そして精製された2種のRG1抗体(C及びB)の核酸配列を、標準の方法により決定した。BのL鎖可変領域のヌクレオチド配列を配列番号20と命名し、BのH鎖可変領域のヌクレオチド配列を配列番号21と命名する。CのL鎖可変領域のヌクレオチドオ配列を配列番号23と命名し、そしてCのH鎖可変領域のヌクレオチド配列を配列番号24と命名する。
それらの可変領域のその対応する予測されるアミノ酸配列を決定し、そして配列番号26(BのL鎖);配列番号27(BのH鎖);配列番号29(CのL鎖);配列番号30(CのH鎖)と命名する。図3及び4を参照のこと。
【0153】
例9RG1抗体についての結合定数の決定:
活性RG1タンパク質に結合するmabの反応動力学定数(KD, Ka及びKd)を、可溶性活性RG1タンパク質がセンサーチップ上の固定されたmabに結合される捕獲形式を用いて、BIAcoreにより決定した。ImmunoPure ウサギ 抗-ヒト IgGFc (Pierce, 31142)を、標準のアミンカップリング方法を用いて、Sensor Chip CM5 (Biacore, BR-1000-12)に共有固定した。10mmの酢酸塩(pH4.0)に希釈された、100μg/mlの抗体を、5μl/分で使用した。
【0154】
HBS-EP (Biacore, BR-1001-88)を、移動相として使用した。未反応部位をエタノールアミンによりブロックした。MabをHBSにより200nMに希釈し、そしてその50μlをサイクル当たり10μl/分で注入した。BHK−RG1(12.5〜400nM)の一連の希釈物を、固定されたmabに結合した。解離動力学を、抗原注入が20μl/分で8分間、完結された直後、測定した。表面を、25μlの10mmグリシン(pH1.8)を用いて、個々のサイクルの後に再生し、そして次に、HBSにより洗浄した。
【0155】
典型的には、5種の濃縮物及び1つの培地対照を実験した。データを、1:1Langmuirモデルに、その計測器製造業者により提供されるソフトウェア(BIAevaluation 3.0)を用いて適合し、そして運動学定数を計算した。平衡定数は、好ましい解離速度(10-4/s)を伴って、nモル範囲に存在した。表1は、4のヒト抗体の運動学定数を示す。
【0156】
【表1】

【0157】
例10RG1抗体の放射性ラベリング:
RG1抗体へのキレート化剤の接合:二官能価キレート化剤p-SCN-Benzyl-DTPA (Macrocyclics,Inc.)を、Nikula など,Nucl. Med.Biol., Vol. 22, No. 3, pp. 387-390,1995から適合された方法を用いて、抗体に供給結合した。この工程の間に使用されるすべての試薬及び装置は、キレート化剤の不活性化を回避するために、使用の前、金属フリーにされた。すべての溶液は、低い金属性試薬、高い純度(MilliQ)に水及び微量金属を除去するために処理されたChelexにより調製された。すべての装置は、10mMのEDTAによりすすがれ、そして次に、MilliQ水により集中的にすすがれた。
【0158】
精製されたmab(約20mg)をまず、1mMのEDTAにより室温で1時間、処理し、いずれの金属をも除去し、その後、AKTAクロマトグラフィーシステムに基づいてPharmacia 26/10脱塩カラムを用いて、50mMの炭酸緩衝液、150mMのNaCl(pH8.5)に緩衝液交換した。抗体含有画分をプールし、そして限外濾過(Centricon 30)により約2mg/mlに濃縮した。100mg/mlのp-SCN-Benzyl-DTPA原液を新しく、無水DMSOにおいて調製した。50〜100倍のモル過剰のDTPAを接合反応に使用し、室温での一晩の進行を可能にした。次に、反応混合物を、50mMの酢酸ナトリウム、150mMのNaCl、pH6.5(放射性ラベリング緩衝液)に緩衝液交換し、そして限外濾過により、少なくとも3mg/mlに濃縮した。抗体接合体を、4℃で数週間、この緩衝液において安定していた。タンパク質濃度を、BCAにより決定し、そして抗体結合活性をELISAにより確めた。
【0159】
RG1抗体の放射性ラベリング:DTPA−接合された抗体を、腫瘍−担持の動物におけるインビボ研究への使用のために、金属フリー条件下で90Y又は111Inにより放射性ラベリングした。典型的には、10mgの抗体接合体を、重度の遮断下で軽く混合しながら室温で1時間、10mCiの[90Y]Cl3又は[111In]Cl3(PerkinElmer Life Sciences)と共に混合した。EDTAを添加し、1mMにし、そして室温で10分間インキュベートした。その反応混合物を、末結合90Yから放射性ラベルされた抗体を分離し、そして緩衝液を交換するために、金属フリーのPBSにより予備平衡化されたPharmacia 26/10脱塩カラム上に負荷した。1mlの画分を集め、そして抗体含有画分をプールした。タンパク質濃度をBCAにより決定した。
【0160】
1μlのサンプルにおける合計の放射能を、90Yについての液体シンチレーション又は111Iについてのγカウンターを用いて決定した。比活性を、mCi/mgタンパク質として計算し、そして典型的には、0.25〜1.0 Ci/mgであった。放射性純度を、Nikula など,Nucl. Med.Biol. 22: 387-390,1995に従って、インスタント薄層のクロマトグラフィー(ITLC)により決定した。典型的には、98%以上の放射能がタンパク質に結合した。放射性接合体の抗原結合活性を、末接合の抗体標準(90Y接合体)に対してのELISAにより、又は固定されたRG1タンパク質(111In接合体)に基づく固相放射性免疫結合アッセイを用いて決定した。すべての場合、放射性接合体の抗原結合は、末接合体のその結合とは区別できなかった。
【0161】
例11111In−ラベルされたRG1抗体の腫瘍特異的蓄積:
腫瘍異種移植を、生後5〜6週の雄の無胸腺ヌードマウスの側腹部中にマトリゲル中、1×10-7のLNCaP細胞をs.c.注射することにより確立した。生物分布研究を、腫瘍が150〜400mm3の体積に達した場合(腫瘍細胞接種の約4〜6週後)、実施した。111In−ラベルされたヒトRG1抗体(C, B, A)及び非特異的ヒトIgG1対照抗体(比活性、0.3mCi/mg)を、LNCaP異種移植片を担持する12匹のマウスの4グループ中に静脈内投与した。
【0162】
マウスを、解剖の前、心臓穿刺により放血した。血液、腫瘍及び全ての主要器官を除き、分析バランス上で計量し、そして放射能をγ−カウンターにより計数した。全身体クリアランスを、血液、個々の器官及び残る身体において測定された放射能を要約することにより決定した。すべてのデータは放射性同位体壊変のために補正された。結果は、組織Ig当たり注射された用量の%として表わされた。RG1特異的抗体は、高い腫瘍特異的蓄積を示す(図1を参照のこと)。
【0163】
例1290Y−ラベルされたRG1抗体による腫瘍増殖阻害:
腫瘍異種移植を、生後5〜6週の雄の無胸腺ヌードマウスの側腹部中にマトリゲル中、1×10-7のLNCaP細胞のs.c.同時インキュベーションにより確立した。処理を、腫瘍が50〜350mm3の体積に達した場合(腫瘍細胞接種の5週後)、開始した。腫瘍担持動物を、4つの処理グループ(n=13/グループ)に平等に分配した。放射性ラベルされた抗体B, C及び非特異的IgG1(125μCi/動物)の1回のi.p.注射を、LNCaP異種移植片を担持するマウス中に投与した。
【0164】
第4の処理グループは、塩溶液によりi.p.注射された。LNCaP−由来の腫瘍の増殖に対する90Yラベルされた特異的抗体の効果を、注射の後32日間モニターした。その時点で、動物を殺し、そして腫瘍を取り、そして計量した。健康状態を、体重をモニターすることにより決定した。90Yラベルされた特異的ヒトRG1抗体の単一投与は、90Yラベルされた非特異的抗体又はビークル対照により注射された動物に見出される結果に比較して、腫瘍増殖の有意な阻害を生成した(図2を参照のこと)。
【0165】
例13CHO細胞におけるRG1抗体のクローニング及び発現:
突然変異誘発:抗−RG1抗体B及びCの可変領域をコードする野生型cDNAの特定部位の突然経に誘発を行い、ヒトにおいてより頻繁に発現されるアロタイプを生成した。QuickChange(商標)複数部位の突然変異誘発方法 (Stratagene)を用いて、鋳型としてのTOPO/BVH 及び TOPO/CVH (Medarex)により突然変異を行った。プライマー(GGGGAGGCTTGGTACAACCTGGGGGGTCCCTGAG ;配列番号14)及び(GAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCAAG; 配列番号15)を用いて、点突然変異H13Q, M90T 及び M92VをB cDNA(BVH_3m)中に;及びH13Q, M90T をC cDNA(CVH_2m)中に導入した。突然変異は、DNA配列分析により確められ、そしてそれぞれ、配列番号22及び25の配列を有する変異体H鎖可変領域をもたらした。それらの2種のH鎖可変領域について推定されるアミノ酸配列は、それぞれ配列番号28及び31により与えられる。
【0166】
発現ベクターの構成:pIE_SRγ1fa(Medarex)の発現ベクターは、それぞれヒトIgG1(faハプロタイプ)及びκ鎖のCH及びCL領域をコードするcDNAを含む。pIE_SRγ1fa中へのB及びCL鎖可変領域のインフレームクローニングを可能にするために、プライマー対BVKF (GGGAAGCTTGCCACCATGGAAACCCCAGCG ; 配列番号16) 及び BVKR (CAGTCGTACGTTT GATCTCCACCTTGGTCC; 配列番号17)を用いて、BVL及びCVL cDNAのそれぞれの5’及び3’末端で適合できるHindIII /Bsiw部位(下線)を導入した。
【0167】
得られるPCR−生成されたVL cDNAを、pIE_SRγ1faのHindIII /Bsiw部位中にクローン化し、pIE/BVL及びCVLを創造し、同じ方法を用いて、pIE/BVL及びCVL中へのインフレームVH融合体(BVH,BVH_3m, CVH 及び CVH_2mを含む)構成した。手短には、CVHF (GTCAGGATGCGGCCGCCACCATGGAGTTTGTGCTGAGCT; 配列番号18) 及びCVH R (ACCGATGGGCCCTTGGTGGA ; 配列番号19)のプライマー対を用いて、PCR−増幅されたVH cDNAの末端でNotI/ApaI部位を導入した。PCR生成物を、NotI/ApaIにより消化し、そしてpIE/BVL及びpIE/CVLのCH領域の上流に挿入し、VH領域がそれぞれのpIE誘導体におけるCH領域と整合したことを確めた。最終構造体は、plE/B, plE/B_3m, plE/C 及びplE/C_2mと命名された。全ての挿入体を、DNA配列分析により確めた。
【0168】
DG44及びDXB11細胞のトランスフェクション及び選択/増幅:F12 培地及び5%FCSにより補充された約4×106個のDG44及びDXB11細胞を、トランスフェクションの1日前、P100皿上にプレートした。トランスフェクションを、Lipfectamine 2000(Invitrogen)及び24μgの線状化されたプラスミドDNA(plE/B_3m又はpIE/C_2m)/P100を用いて行った。培地を、トランスフェクションの4時間後、変えた。選択条件を、トランスフェクションの約24時間後に適用した。
【0169】
選択をまず、5%の透析されたFBS, 2mMのL−グルタミン及びG418(400μg/ml)を含むが、しかしリボヌクレオシド及びデオキシリボヌクレオシドを欠いているMEM培地により行った。約90%細胞の集密性に達成すると、4×P100皿に分け、そして種々の濃度でG418+メトトレキセートにより同時選択した。1週間後、生存する細胞を、同時選択培地の存在下で100細胞/プレートで96−ウェルプレートにプレートした。生存するクローンを、組換え抗体の発現のためにELISAによりスクリーンした。最も高い発現レベルを示す10のクローンの遺伝子コピー数を、上昇する濃度のメトトレキセートの存在下での連続選択により増幅し、そしてマスター細胞銀行の調製のために血清フリー培地に適合されたクローンを選択した。
【0170】
上記明細書に言及される全ての出版物及び特許は、引用により明細書に組込まれる。本発明はその特定の態様に関して記載されて来たが、種々の変更が行われ得、そして同等のものが本発明の範囲内で置換され得ることは、当業者により理解されるべきである。さらに、多くの修飾が特定の情況、材料、組成物、工程、工程段階、目的物、及び本発明の範囲を適合するために行われ得る。すべてのそのような修飾は、本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】図1は、111InラベルされたRG1抗体の生物分布を示す。3種のRG1の抗体(A, B及びC)、非特異的hIgG1対照抗体、及びProstascintTMを、111Inにより放射性ラベルした。放射性ラベルされた抗体(比活性:0.3mCi/mg)を、腫瘍(LNCaP)担持のヌードマウス中にi.v.投与した。グループ当たり12匹の動物(時点当たり3匹の動物)を、6、24、120、及び150時p.j.で殺害し、そして腫瘍、血液及び肝臓における蓄積をモニターした(例11を参照のこと)。
【図2】図2は、90YラベルされたRG1抗体に対する抗−腫瘍効果を示す。LNCaP腫瘍担持の動物を、90Yラベルされた抗体(抗−RG1抗体B及びC又は比特異的IgG1、比活性、0.5mCi/mg)により注射した。125μCiの90Y−ラベルされたRG1抗体(B, C)の単一用量を、i.p.投与した。マウスを32日目で殺害し、そして腫瘍を切除し、そして計量した(例12を参照のこと)。
【図3】図3は、突然変異誘発されたH鎖可変領域を包含する、ヒトモノクローナル抗体Bの可変鎖領域のアミノ酸配列を示す。VL (配列番号26), VH (配列番号27),VH_2m (配列番号28)。
【図4】図4は、突然変異誘発されたH鎖可変領域を包含する、ヒトモノクローナル抗体Cの可変鎖領域のアミノ酸配列を示す。VL (配列番号29), VH (配列番号30),VH_3m (配列番号31)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RG1ポリペプチドに存在するエピトープに対して特異的に結合する、単離されたヒト抗体、又はその抗原−結合抗体フラグメント又はその変異体。
【請求項2】
それが結合するRG1ポリペプチドが、配列番号2のアミノ酸配列を有する請求項1記載の抗体、又は抗原−結合抗体フラグメント。
【請求項3】
RG1ポリペプチドへの結合が、1μMに等しいか又は1μM以下のKDで生じる請求項1記載の抗体、又は抗原−結合抗体フラグメント。
【請求項4】
RG1ポリペプチドへの結合が、10nMに等しいか又は10nM以下のKDで生じる請求項3記載の抗体、又は抗原−結合抗体フラグメント。
【請求項5】
前記抗体が、配列番号26又は29と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んで成るL鎖可変領域を含んで成る請求項1記載の抗体。
【請求項6】
前記抗体が、配列番号27、28、30又は31と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んで成るH鎖可変領域を含んで成る請求項1記載の抗体。
【請求項7】
前記抗体が、配列番号20又は23を含んで成るヌクレオチド配列によりコードされるL鎖可変領域を含んで成る請求項1記載の抗体。
【請求項8】
前記抗体が、配列番号21、22、24又は25を含んで成るヌクレオチド配列によりコードされるH鎖可変領域を含んで成る請求項1記載の抗体。
【請求項9】
前記抗体が、配列番号26のアミノ酸配列を有するL鎖可変領域、及び配列番号27又は28のアミノ酸配列を有するH鎖可変領域を含んで成る請求項1記載の抗体。
【請求項10】
前記抗体が、配列番号29のアミノ酸配列を有するL鎖可変領域、及び配列番号30又は31のアミノ酸配列を有するH鎖可変領域を含んで成る請求項1記載の抗体。
【請求項11】
前記H鎖可変領域が、配列番号27のアミノ酸配列を有する請求項9記載の抗体。
【請求項12】
前記H鎖可変領域が、配列番号28のアミノ酸配列を有する請求項9記載の抗体。
【請求項13】
前記H鎖可変領域が、配列番号30のアミノ酸配列を有する請求項10記載の抗体。
【請求項14】
前記H鎖可変領域が、配列番号31のアミノ酸配列を有する請求項10記載の抗体。
【請求項15】
請求項9記載の抗体により結合されるエピトープと同じエピトープを認識し、そして結合する抗体。
【請求項16】
請求項10記載の抗体により結合されるエピトープと同じエピトープを認識し、そして結合する抗体。
【請求項17】
前記抗体フラグメントが、Fv, F(ab’), F(ab’)2, scFv, ミニボディ及びジアボディフラグメントから成るフラグメント群から選択される請求項1記載の抗体フラグメント。
【請求項18】
治療剤又は検出可能マーカーである分子に接合される、請求項1記載のヒトモノクローナル抗体又は抗体フラグメントを含んで成る免疫接合体。
【請求項19】
前記治療剤が、細胞毒性剤である請求項18記載の免疫接合体。
【請求項20】
前記細胞毒性剤が、リシン、ドキソルビシン、TaxolTM(パクリタキセル)、臭化エチジウム、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシンジオン、アクチロマイシンD、ジフテリアトキシン、シュードモナス(Pseudomonas)外毒素(PE)A、AE40、リシン、アブリン、グルココルチコイド及び放射性同位体から成る群から選択される請求項19記載の免疫接合体。
【請求項21】
前記細胞毒性剤が、放射性同位体であり、そして46Sc、47Sc、48Sc、72Ga、73Ga、90Y, 67Cu、109Pd、11Ag、149Pm、153Sm、166Ho、177Lu、186Re、188Re、211At、211Bi、212Bi、 213Bi 及び214Biから成る群から選択される請求項20記載の免疫接合体。
【請求項22】
前記検出可能マーカーが、放射性ラベル、酵素、発色団又は蛍光剤である請求項18記載の免疫接合体。
【請求項23】
前記検出可能マーカーが、放射性ラベルであり、そして43Sc、44Sc、52Fe、55Co、68Ga、64Cu、86Y、94mTc、111In及び99mTcから成る群から選択される請求項22記載の免疫接合体。
【請求項24】
前記抗体又は抗体フラグメントと前記治療剤又は検出可能マーカーとの接合が、p−SCN−ベンジル−DPTA及びその誘導体、1, 4, 7, 10−テトラアザシクロドデカン−N, N’, N’’, N’’’−四酢酸(DOTA)及びその誘導体、及び1, 4, 7−トリアザシクロノナン−N, N’, N’’−三酢酸(NOTA)及びその誘導体から成る群から選択されたキレート化剤を利用する請求項18記載の免疫接合体。
【請求項25】
前記使用されるキレート化剤が、シクロヘキシル−DTPA(CHX-A’’-DTPA)又はMX−DTPA(1B4M−DTPA)である請求項24記載の免疫接合体。
【請求項26】
配列番号2のアミノ酸配列を有するヒトRG1ポリペプチドを発現する細胞を選択的に破壊するための方法であって、請求項20記載の免疫接合体と前記細胞とを、その細胞が破壊されるよう反応せしめることを含んで成る方法。
【請求項27】
配列番号2のアミノ酸配列を有するRG1ポリペプチドの発現に関連する、ヒト患者における疾病状態の処理方法であって、治療的有効量の請求項19記載の免疫接合体を前記患者に投与することを含んで成る方法。
【請求項28】
前記免疫接合体の治療剤が、90Y又は177Luである請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記免疫状態が、前立腺癌、腎臓癌、卵巣癌又は結腸直腸癌である請求項27記載の方法。
【請求項30】
配列番号2のアミノ酸配列を有するRG1ポリペプチドの発現に関連する、被検出における疾病状態の検出方法であって、
(a)請求項22記載の免疫接合体を前記被検出に投与し;
(b)前記被検体内の免疫接合体の結合を検出し、そして
(c)前記被検体における免疫接合体の結合のレベルが、疾病を有さない対照被検体に検出される結合のレベルに比較して高められるかどうかを決定することを含んで成る方法。
【請求項31】
前記検出方法が、イムノシンチグラフィである請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記免疫接合体の検出可能マーカーが、111In又は99mTcである請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記検出方法が、陽電子放出断層撮影法である請求項31記載の方法。
【請求項34】
前記免疫接合体の検出可能マーカーが、43Sc、44Sc、52Fe、55Co、68Ga、64Cu、86Y、又は94mTcから成る群から選択される請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記疾病状態が癌である請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記癌が前立腺癌である請求項35記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2007−527403(P2007−527403A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521161(P2006−521161)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/023143
【国際公開番号】WO2005/010048
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】