説明

RNAの検出方法

【課題】微量のRNAを迅速、簡便、高感度に検出する方法であって、かつ、コンタミネーションの危険も低いRNAの検出方法を提供すること。
【解決手段】(i)RNAに逆転写酵素を作用させて核酸断片を調製する工程;及び
(ii)少なくとも1種のデオキシヌクレオチド3リン酸、少なくとも1種の鎖置換能を有するDNAポリメラーゼ、2価の陽イオン、少なくとも0.01%以上の界面活性剤、少なくとも2種類のオリゴヌクレオチドプライマー、及び上記工程(i)で得た鋳型となる核酸断片を含む反応溶液を実質的に等温でインキュベートすることによって前記プライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ反応を行い、該核酸断片を増幅する工程;
を含む核酸の増幅方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RNAの検出方法に関する。より詳細には、微量のRNAを迅速、簡便、高感度に検出する方法であって、かつ、コンタミネーションの危険も低いRNAの検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分子生物学の研究や臨床診断において、核酸の増幅方法は微量な核酸を検出するための必須の技術として広範な分野で用いられている。現在、核酸の増幅方法は、微量なRNAの検出方法としても活発に利用されている。RNAの検出方法として通常使用されるRT−PCR法は、まず、RNAに逆転写酵素を作用させて該RNAと相補的なDNAを作製し、その後、目的遺伝子に特異的なプライマーを用いたPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法によって、作製されたDNAを増幅する、という方法をとっている。PCR法では、目的とする標的核酸配列を増幅させるために、鋳型である二本鎖DNAを一本鎖DNAに変性する工程(変性工程)、一本鎖DNAにプライマーをアニーリングさせる工程(アニーリング工程)、及びプライマーを起点として相補鎖を伸長する工程(伸長工程)の3つの工程から構成される。通常のPCR法においては、サーマルサイクラーを使用して、変性工程、アニーリング工程、伸長工程はそれぞれ異なる温度で行われている。しかし、3種類の異なる温度で核酸増幅反応を行うことは、温度制御が煩雑であり、またサイクル数に比例して時間のロスも増大していくという問題があった。
【0003】
そこで、PCR法に代わる核酸増幅方法として、等温状態で実施することが可能な核酸増幅方法が開発されている。例えば、RCA(Rolling Circle Amplification:Proc.Natl.Acad.Sci,vol.92,4641-4645(1995))、 ICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids)、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification of DNA;Bio Industry,第18巻、2号(2001))、NASBA(Nucleic acid Sequence-based Amplification method;Nature,350,91〜(1991))、TMA(Transcription mediated amplification method;J.Clin Microbiol.第31巻、3270〜(1993))等が挙げられる。
【0004】
SDA法(特開平5−130870号)は、エクソヌクレアーゼを用いたサイクリングアッセイ法であり、ポリメラーゼ伸長反応を利用したターゲット核酸断片の目的部位の増幅法の一つである。この方法はターゲット核酸断片の目的部位に特異的にハイブリダイゼーションしたプライマーを起点とした、ポリメラーゼ伸長反応とともに、5’→3’エクソヌクレアーゼを作用させて、プライマーを逆方向から分解する方法である。分解したプライマーの代わりに新たなプライマーがハイブリダイゼーションし、再度DNAポリメラーゼによる伸長反応が進行する。このポリメラーゼによる伸長反応と、この先に伸長した鎖を外すエクソヌクレア−ゼによる分解反応が順次、周期的に繰り返される。ここで、ポリメラーゼによる伸長反応とエクソヌクレア−ゼによる分解反応は等温条件で実施することが可能である。しかしながら、ポリメラーゼと共にエクソヌクレアーゼを用いる必要があり、コストがかかると共に、プライマーの設計を工夫する必要があった。
【0005】
LAMP法は、近年開発されたターゲット核酸断片の目的部位の増幅法である。この方法は、ターゲット核酸断片の少なくとも6箇所の特定部位を相補的に認識する少なくとも4種のプライマーと、5’→3’方向へのヌクレアーゼ活性がなく、かつ鋳型上の2本鎖DNAを1本鎖DNAとして遊離させながら伸長反応を触媒する鎖置換型のBst DNAポリメラーゼを使用することで、等温条件でターゲット核酸断片の目的部位を、特別な構造として増幅する方法である。しかしながら、6箇所の特定部位を認識する少なくとも4種のプライマーを用いる必要があり、プライマー設計が非常に困難であった。
【0006】
ICAN法も、近年開発されたターゲット核酸断片の目的部位の増幅法である。RNA-DNAキメラプライマー、鎖置換活性と鋳型交換活性を有するDNAポリメラーゼ、RNaseHを用いる等温の遺伝子増幅方法である。キメラプライマーが鋳型と結合した後、DNAポリメラーゼにより相補鎖が合成される。その後,RNaseHがキメラプライマー由来のRNA部分を切断し、切断部分から鎖置換反応と鋳型交換反応を伴った伸長反応が起きるこの反応が繰り返し起こることにより遺伝子が増幅される。しかしながら、この方法もキメラプライマーという特殊なプライマーを用いる必要がありプライマー設計が非常に困難である。
【0007】
特表平11−509406号公報には、鎖置換能を有するDNAポリメラーゼ存在下、少なくとも1組のオリゴヌクレオチドプライマーにより目的とする領域のDNAを等温における反応によって増幅する方法が記載されている。しかしながら、特表平11−509406公報に記載の方法では比較的長い反応時間が必要であるなどの問題がある。
【0008】
特開2002−233379号公報には、鎖置換能を有するDNAポリメラーゼ存在下、少なくとも1組のオリゴヌクレオチドプライマーにより目的とする領域のDNAを等温における反応によって増幅する方法が記載されている。しかしながら、特開2002−233379号公報に記載の方法では、非特異的な増幅産物の生成が顕著であるという問題があった。
【0009】
【非特許文献1】Proc.Natl.Acad.Sci,vol.92,4641-4645(1995)
【非特許文献2】Bio Industry,第18巻、2号(2001)
【非特許文献3】Nature,350,91〜(1991)
【非特許文献4】J.Clin Microbiol.第31巻、3270〜(1993)
【特許文献1】特開平5−130870号公報
【特許文献2】特表平11−509406号号公報
【特許文献3】特開2002−233379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、微量のRNAを迅速、簡便、高感度に検出する方法であって、かつ、コンタミネーションの危険も低いRNAの検出方法を提供することを解決すべき課題とした。さらには、本発明は、より簡単なプライマー設計でRNAを検出する方法を提供することを解決すべき課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、まず、標的RNAに逆転写酵素を作用させることで該RNAと相補的なDNAを作製した後、これをデオキシヌクレオチド3リン酸、鎖置換能を有するDNAポリメラーゼ、2価の陽イオン、界面活性剤、オリゴヌクレオチドプライマーを含む反応溶液に移し、実質的に等温でインキュベートすることによって前記プライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ反応を行うことで、核酸を効率的に短時間で増幅し、検出できることを見出した。しかも、本発明で用いられているオリゴヌクレオチドプライマーは、従来の等温増幅法で用いられていたような複雑な構造をしていないことを大きな特徴としている。例えば、ICAN法で用いられるようなキメラ構造やLAMP法で用いられるようなループ構造をとらせるような構造を有する必要がない。
【0012】
さらに、逆転写酵素及び鎖置換能を有するDNAポリメラーゼが共に活性を有する反応液組成を見出すことで、RNAを鋳型として相補的なDNAを作製する工程、作製されたDNAを鋳型として核酸増幅を行う工程、及び、増幅産物を検出する工程を一つの反応容器中で連続的に行なうことに成功し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明によれば、(i)RNAに逆転写酵素を作用させて核酸断片を調製する工程;及び
(ii)少なくとも1種のデオキシヌクレオチド3リン酸、少なくとも1種の鎖置換能を有するDNAポリメラーゼ、2価の陽イオン、少なくとも0.01%以上の界面活性剤、少なくとも2種類のオリゴヌクレオチドプライマー、及び上記工程(i)で得た鋳型となる核酸断片を含む反応溶液を実質的に等温でインキュベートすることによって前記プライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ反応を行い、該核酸断片を増幅する工程;
を含む核酸の増幅方法が提供される。
【0014】
好ましくは、RNAに逆転写酵素を作用させて核酸断片を調製する工程(i)と、該核酸断片を増幅する工程(ii)とが、単一の反応容器の中で連続して行われる。
好ましくは、逆転写酵素は、トリ骨髄芽球症ウイルス由来のAMV RTase、モロニーネズミ白血病ウイルス由来のMMLV RTase、モロニーネズミ白血病ウイルス由来逆転写酵素であってRNaseH活性の欠失した変異体であるSuperscriptII、及びラウス関連ウイルス2由来のRAV−2 RTaseからなる群から選択される逆転写酵素である。
【0015】
好ましくは、界面活性剤は非イオン性界面活性剤である。
好ましくは、非イオン性界面活性剤のHLB価は12以上である。
好ましくは、非イオン性界面活性剤のHLB価は14以上である。
好ましくは、非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系から選ばれる。
好ましくは、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステルである。
【0016】
好ましくは、非イオン性界面活性剤は、以下の化学式で表される。
【化1】

(式中、x + y + z + w = 20 であり、R:炭素数が12〜18のアルキル基であることを示す。)
【0017】
好ましくは、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレートの少なくとも1つから選ばれる。
【0018】
好ましくは、反応溶液は融解温度調整剤をさらに含む。
好ましくは、融解温度調整剤は、ジメチルスルホキシド、ベタイン、ホルムアミドもしくはグリセロール、またはこれらの2種以上の混合物である。
好ましくは、反応溶液は、各々1.0mM以上のデオキシヌクレオチド3リン酸を含む。
好ましくは、反応溶液は、1μM以上のオリゴヌクレオチドプライマーを含む。
【0019】
好ましくは、オリゴヌクレオチドプライマーは上記工程(i)で得た鋳型核酸断片の一部と実質的に相補的である。
好ましくは、オリゴヌクレオチドプライマーの3'末端領域のみが上記工程(i)で得た鋳型核酸断片の一部と実質的に相補的である。
好ましくは、オリゴヌクレオチドプライマーは、上記工程(i)で得た鋳型核酸断片の一部と連続した1箇所でのみ実質的に相補的である。
【0020】
好ましくは、少なくとも1種の鎖置換能を有するポリメラーゼは、バチルス ステアロサーモフィラス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Bst.DNAポリメラーゼ、及びバチルスカルドテナックス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Bca DNAポリメラーゼ 、サーモコッカス リトラリス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Vent.DNAポリメラーゼ、アリサイクロバチルス アシドカルダリウス(Alicyclobacillus acidocaldarius)由来のDNAポリメラーゼからなる群より選択されるポリメラーゼである。
【0021】
好ましくは、反応溶液を50℃以上の実質的に等温でインキュベートする。
好ましくは、上記工程(ii)で、実質的に等温でインキュベートする時間が60分以内である。
【0022】
本発明によればさらに、上記した本発明による核酸の増幅方法を行うことを含む、標的RNAを検出する方法が提供される。
【0023】
上記の標的RNAを検出する方法において好ましくは、上記工程(ii)は、以下の工程を含む。
(1)少なくとも1種のデオキシヌクレオチド3リン酸、少なくとも1種の鎖置換能を有するDNAポリメラーゼ、2価の陽イオン、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、変異部位を含む少なくとも2種類のオリゴヌクレオチドプライマー、及び鋳型となる標的RNA逆転写反応産物を含む核酸断片を含む反応溶液を実質的に等温でインキュベートする工程;及び
(2)前記プライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ反応による核酸増幅反応が起きたか否かにより変異の有無を判定する工程:
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、まず、標的RNAに逆転写酵素を作用させることで該RNAと相補的なDNAを作製した後、これをデオキシヌクレオチド3リン酸、鎖置換能を有するDNAポリメラーゼ、2価の陽イオン、界面活性剤、オリゴヌクレオチドプライマーを含む反応溶液に移し、実質的に等温でインキュベートすることによって前記プライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ反応を行うことで、核酸を効率的に短時間で増幅し、検出できることを見出した。
【0025】
さらに、核酸を増幅する工程を等温で実施可能であるため、温度を周期的に上下させる必要がなく、上記工程を簡便な装置で実施することが可能となった。
【0026】
しかも、本発明で用いられているオリゴヌクレオチドプライマーは、従来の等温増幅法で用いられていたような複雑な構造をしていないことを大きな特徴としている。(例えば、ICAN法で用いられるようなキメラ構造やLAMP法で用いられるようなループ構造をとらせるような構造を有する必要がない。)
【0027】
その上、上記工程は一つの反応容器内で実施することができ、この場合、さらなる簡便化、迅速化が可能となる。また、コンタミネーションのリスクの低いRNA検出法となる。そして、そもそも核酸の増幅反応を利用しているため、高感度なRNA検出法でもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明による標的RNAの検出方法は、まず、標的RNAに逆転写酵素を作用させることで、該RNAと相補的なDNAを作製した後、これをデオキシヌクレオチド3リン酸、鎖置換能を有するDNAポリメラーゼ、2価の陽イオン、界面活性剤、オリゴヌクレオチドプライマーを含む反応溶液に移し、実質的に等温でインキュベートすることによって前記プライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ反応を行うことを特徴とする。
また、上記工程は一つの反応容器内で実施することも可能である。
【0029】
以下、本発明で用いる成分について説明する。
(1)デオキシヌクレオチド3リン酸
伸長反応の基質として、デオキシヌクレオチド3リン酸を用いる。具体的には、dATP、dCTP、dGTP、dTTPの混合物を使用することが好ましい。デオキシヌクレオチド3リン酸としては、dNTPのアナログ(例えば、7−デアザ−dGTP等)が含まれていてもよい。
【0030】
また、デオキシヌクレオチド3リン酸(dATP、dCTP、dGTP、dTTP混合物)は、最終濃度で、それぞれ0.1mM〜3.0mM、好ましくは0.75mM〜3.0mM、さらに好ましくは1.0mMから2.0mM、特に好ましくは1.0mMから1.5mMの範囲である。
【0031】
(2)逆転写酵素
本発明においては、逆転写酵素を用いる。逆転写酵素としては、標的RNAを鋳型としてDNAを合成する活性を有するものであれば特に限定はなく、例えばトリ骨髄芽球症ウイルス由来逆転写酵素(AMV RTase)、モロニーネズミ白血病ウイルス由来逆転写酵素(MMLV RTase)、ラウス関連ウイルス2逆転写酵素(RAV−2 RTase)などを使用することができる。また、逆転写活性を併せ持つ鎖置換型DNAポリメラーゼを使用することもできる。
【0032】
(3)逆転写用オリゴヌクレオチドプライマー
逆転写反応に使用されるプライマーは、特定の鋳型RNAに相補的な塩基配列を有するプライマーでもよいし、オリゴdTプライマーやランダムな配列を有するプライマーでもよい。逆転写用プライマーの長さは好ましくは3から100ヌクレオチド程度であり、更に好ましくは6から50ヌクレオチド程度である。
【0033】
(4)DNAポリメラーゼ
本発明においては、DNAポリメラーゼを用いる。DNAポリメラーゼとしては、好ましくは、鎖置換能を有するポリメラーゼを用いることができる。本明細書において「鎖置換能」とは、鋳型となる核酸配列に従ってDNA複製を行う際、DNA鎖を置き換えながら進行し、鋳型鎖にアニーリングしている相補鎖を遊離させる、即ち鎖置換(strand displacement)することができる活性のことをいう。鎖置換能を有するポリメラーゼの具体例としては、バチルス ステアロサーモフィラス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Bst.DNAポリメラーゼ、及びバチルスカルドテナックス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Bca DNAポリメラーゼ 、サーモコッカス リトラリス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Vent.DNAポリメラーゼ、アリサイクロバチルス アシドカルダリウス(Alicyclobacillus acidocaldarius)由来のDNAポリメラーゼなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。鎖置換能を有するポリメラーゼは、天然由来のものでもよいし、遺伝子工学的に製造した組み換え蛋白質でもよい。
【0034】
(5)2価の陽イオン
本発明では、使用する酵素の金属要求性等に2価の陽イオンを用いる。2価の陽イオンとしては、マグネシウム塩、カルシウム塩やその他の金属塩を使用することができ、例えば、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウムなどを使用できる。2価の陽イオンの濃度は最終濃度で、好ましくは1mM〜20mMであり、さらに好ましくは2mM〜10mMの範囲である。
【0035】
(6)界面活性剤
本発明では、反応溶液中に界面活性剤を添加する。界面活性剤を使用することにより、非特異的な核酸の増幅を防止するという本発明の有利な効果が達成される。本発明で使用できる界面活性剤の種類は、特には限定されないが、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸エステル塩(SDS)、スルホコハク酸オクチルエステル塩、ステアリン酸石けんなどの陰イオン(アニオン)性界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル(Tween等)、POEアルキルエーテル(Brij等)、POEアルキルフェニルエーテル(Triton等)、ノニルフェノール、ラウリルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、POEアルキルアミン、POE脂肪酸ビスフェニルエーテルなどの非イオン(ノニオン)性界面活性剤、セチルピリジニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドのような陽イオン(カチオン)性界面活性剤、そして、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタインのような双性(両性)界面活性剤などを使用できる。界面活性剤の使用量は本発明の効果が達成できる限り特に限定されないが、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.1%以上である。界面活性剤の使用量の上限は特に限定されないが、通常は10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下である。
【0036】
界面活性剤の中でも、非イオン性界面活性剤を使用することが特に好ましい。非イオン性界面活性剤の中でも、親水性がより強い界面活性剤が好ましく、HLB価で示すと12以上が好ましい。より好ましくは14以上であり、上限は20まで好ましく用いることができる。さらに好ましくは17以下であり、より好ましくは14以上17以下である。構造的には、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系から選ばれることが好ましい。さらに、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの中でも、脂肪酸エステルが一つだけのものが好ましい。例えば、以下の構造式で表すことができる。
【0037】
【化2】

【0038】
(式中、x + y + z + w = 20 であり、R:炭素数が12〜18のアルキル基であることを示す。)
【0039】
アルキル基の位置は特に限定されず、以下のような構造でも好ましく用いることができる。
【化3】

【0040】
このような界面活性剤として、物質名でポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート等が挙げられる。(商品名:Tween20、Tween40、Tween60、Tween80等)の界面活性剤が挙げられる。また、使用量も特に限定されないが、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.1%以上である。
【0041】
(7)核酸増幅に用いられるオリゴヌクレオチドプライマー
本発明で核酸増幅反応に使用するオリゴヌクレオチドプライマーは、鋳型DNAに実質的に相補的な塩基配列を有し、その3'末端よりDNA鎖の伸長が可能なものである。オリゴヌクレオチドプライマーは、鋳型DNAに実質的に相補的な塩基配列を有することにより、鋳型となるDNAにアニーリングすることができる。本発明で使用されるオリゴヌクレオチドプライマーとしては、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドで構成されたものを使用することができ、さらに、修飾リボヌクレオチドあるいは修飾デオキシリボヌクレオチドを含有するものでもよい。
【0042】
さらに、前記、オリゴヌクレオチドプライマーは、従来の等温増幅反応で用いられるような複雑な設計を必要としない。通常のPCR反応で用いられる少なくとも一組以上のプライマーを用いて等温増幅反応を行うことを可能にしたことが、本発明の大きな特徴である。詳細には、これらのプライマーは、LAMP法等で用いられるような5’末端が3’末端より伸長した部分と相補的になるループ構造を形成するような構造を持っていない。つまり、プライマーの3'末端の連続した領域が鋳型核酸と相補的である。さらに、SDA法やICAN法で用いられるように、反応途上でプライマーが切断され、切断された3‘末端が新たな合成起点になるようなるような複雑な仕組みを持たない。
【0043】
オリゴヌクレオチドプライマーの長さは、特に限定されないが、一般的には、10〜100ヌクレオチド程度の長さであり、好ましくは15〜50ヌクレオチド程度の長さであり、さらに好ましくは15〜40ヌクレオチド程度の長さである。
【0044】
オリゴヌクレオチドプライマーは、市販のDNA合成機(例えば、アプライド バイオシステムズ社(Applied Biosystem Inc.)のDNAシンセサイザー394型など)を用いて、ホスホアミダイト法により合成できる。
【0045】
オリゴヌクレオチドプライマーの使用量は、反応溶液中において0.1μM以上が好ましく、1μM以上がさらに好ましく、1.5μM以上が特に好ましい。
【0046】
(8)鋳型となるRNA
本発明において鋳型となるRNAは、mRNA、全RNA、rRNA、siRNA、ウイルスのゲノムRNAなど、いずれでもよい。鋳型となるRNAを含む可能性のある試料から調製したRNAを使用してもよいし、鋳型となるRNAを含む可能性のある試料をそのまま直接使用してもよい。鋳型となるRNAを含む試料の種類は特に限定されず、例えば、体液(例えば、全血、血清、尿、脳脊髄液、精液、唾液など)、組織(例えば、癌組織など)、スワブ、細胞培養物のような生体由来試料、ウイルス、細菌、カビ、酵母、植物及び動物のようなRNA含有試料、微生物が混入している可能性のある試料(例えば、食品など)、あるいは土壌、排水のような環境中の試料が挙げられる。上記したような試料からRNAを調製する場合、その調製方法は特に限定されず、例えば、界面活性剤による処理、超音波処理、ガラスビーズを用いた精製など当業者に公知の方法を用いることができる。RNAの試料からの精製は、フェノール抽出、クロマトグラフィー、ゲル電気泳動または密度勾配遠心分離などにより行うことができる。
【0047】
(9)鋳型となるRNAの前処理
本発明において鋳型となるRNAは、前処理工程を経た後に用いても良い。
前処理用の試薬は、例えば、界面活性剤、血液凝固防止剤、タンパク分解酵素、脂質分解酵素を含んでいてもよい。液性としては、酸性あるいはアルカリ性であってもよい。
前処理工程としては、高温(例えば98℃)に加熱することや変性処理剤で処理する工程を含んでよい。また、高温に加熱後、4℃以下に急冷する工程を含んでもよい。
【0048】
(10)融解温度調整剤
本発明における反応溶液には、融解温度調整剤を添加することができる。融解温度調整剤の具体例としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ベタイン、ホルムアミドもしくはグリセロール、テトラアルキルアンモニウム塩、またはこれらの2種以上の混合物を挙げることができる。融解温度調整の使用量は特に限定されないが、DMSOやホルムアミド、グリセロールの場合、通常は反応溶液中に10%以下の量で含めることができる。
ベタインやテトラアルキルアンモニウム塩は、0.2〜3.0M、好ましくは0.5〜1.5M程度添加することができる。
【0049】
(11)緩衝成分
本発明における反応溶液には、緩衝成分を含めることができる。緩衝成分としては、特に限定はないが、例えば、ビシン、トリシン、ヘペス、トリス、リン酸塩(リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等)などを使用することができる。緩衝成分の最終濃度は5mM〜100mMの範囲、特に好ましくは10mM〜50mMの範囲であり、またpHは、増幅反応に用いられる酵素の至適pHにもよるが、一般的には6.0〜9.0、特に好ましくはpH7.0〜9.0のものを使用できる。
【0050】
(12)蛍光色素
本発明における反応溶液には、蛍光色素を含めることができる。蛍光色素としては、特に限定はないが、例えばSYBR GreenIなどを使用することができる。
【0051】
本発明の核酸の増幅方法により得られる増幅物は、当業者に公知の方法により検出できる。例えば、ゲル電気泳動によれば、エチジウムブロマイドでゲルを染色することによって特定サイズの反応産物を検出することができる。増幅産物を検出するための検出系は、蛍光偏光、イムノアッセイ、蛍光エネルギー転移、酵素標識(例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなど)、蛍光標識(例えば、フルオレセイン、ローダミンなど)、ケミルミネッセンス、又はバイオルミネッセンスなどを用いることができる。TaqmanプローブやMolecular Beaconを利用して検出することもできる。ビオチンなどで標識した標識ヌクレオチドを使用することによって増幅物を検出することもできる。この場合、増幅産物中のビオチンは、蛍光標識アビジン又は酵素標識アビジンなどを用いて検出することができる。また、当業者に公知の酸化還元型インターカレーターを使用することで、電極により増幅産物を検出することもできる。また、SPRを用いて増幅産物を検出してもよい。
【0052】
ピロリン酸マグネシウムを検出することによても核酸増幅の検出を行うことができる。この場合、濁度による検出など、その他の当業者に公知の方法により検出できる。
【0053】
本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0054】
<実施例1>totalRNA中のβアクチンmRNAの検出
(1)逆転写反応による標的RNAに相補的なDNAの作製
Human Liver Total RNA(Clonetech社製)0.1μg、Random 6mer Primer(TaKaRa社製)100pmol、dNTP Mixture 10nmolに純水を加えて13μlとし、65℃で5分間加熱した。
上記反応液に5倍濃縮した逆転写バッファーを4μl、100mMのDithiothreitolを2μl加え、42℃で2分間加熱した。
上記反応液にSuperScriptII(Invitrogen社製)を1μl加え、25℃で10分間、42℃で50分間、70℃で10分間加熱した。
【0055】
(2)(1)で作製したDNAを鋳型とした核酸増幅反応
配列特異的な核酸増幅を行うため、以下のプライマーを用いた。
<プライマー>
プライマーは、βアクチンmRNAより逆転写されたDNA(及びその相補配列)を標的に設計を行った。各プライマーの配列を以下に示す。
プライマー(1)(Forward):
5'−GGGCATGGGTCAGAAGGATT−3'(配列番号1)
プライマー(2)(Reverse):
5'−CCTCGTCGCCCACATAG−3'(配列番号2)
上記プライマーのβアクチンmRNAより逆転写されるDNA(及びその相補配列)に対する位置関係の詳細を図1に示した。
以下に示す反応液の組成で、60℃、60分反応させることで増幅反応を実施した。酵素は、NEB社のBst.DNA polymeraseを使用した。
【0056】
<反応液の組成>
10×Bst Buffer 2.5μL
MgSO4(100mM) 1.5μL
Tween20(10%(v/v)) 0.25μL
DMSO 1.25μL
dNTP(25mM each) 1.4μL
SYBR GreenI(2000倍希釈) 0.5μL
50μM primer(1) 1.6μL
50μM primer(2) 1.6μL
Bst.Polymerase 1.0μL
(1)で得た反応溶液 1.0μL
精製水 12.4μL
25.0μL
【0057】
(3) 増幅産物の検出
前記(2)における増幅反応を、リアルタイム蛍光検出装置(Mx3000p,Stratagene社製)を用いて蛍光検出を行った。結果を図2に示す。
RNA試料由来のサンプルから核酸の増幅が起きていることがわかる。ここで、Mx3000pの解析ソフトを用いて、上記のグラフにおいて蛍光量が250に到達したときの時間(Ct値)を算出したところ、28.2分、28.3分であった(n=2の実験)。
【0058】
<実施例2>一つの反応容器中でのRNA検出
(1)逆転写反応及び核酸増幅反応
<標的となるRNA>
標的となるRNAとして、Human Liver Total RNA(Clonetech社製)0.1μgを用いた。
配列特異的な核酸増幅を行うため、以下のプライマーを用いた。
【0059】
<プライマー>
プライマーは、βアクチンmRNAより逆転写されるDNA(及びその相補鎖)を標的に設計を行った。各プライマーの配列を以下に示す。
プライマー(1)(Forward):
5'−GGGCATGGGTCAGAAGGATT−3'(配列番号1)
プライマー(2)(Reverse):
5'−CCTCGTCGCCCACATAG−3'(配列番号2)
以下に示す反応液の組成で、25℃で10分間、42℃で50分間、60℃で60分間反応させることで増幅反応を実施した。酵素は、NEB社のBst.DNA polymeraseを使用した。
【0060】
<反応液組成>
鋳型RNA(0.1μg/μL) 1.0μL
Random 6mer Primer(100μM) 1.0μL
Dithiothreitol(0.1μM) 2.0μL
10×Bst Buffer 2.5μL
MgSO4(100mM) 1.5μL
Tween20(10%(v/v)) 0.25μL
DMSO 1.25μL
dNTP(25mM each) 1.8μL
SYBR GreenI(2000倍希釈) 0.5μL
50μM primer(1) 1.6μL
50μM primer(2) 1.6μL
RTase(SuperScriptII) 1.0μL
Bst.Polymerase 1.0μL
精製水 17.0μL
25.0μL
【0061】
(2)増幅産物の検出
前記(1)における増幅反応を、リアルタイム蛍光検出装置(Mx3000p,Stratagene社製)を用いて蛍光検出を行った。結果を図3に示す。
RNA試料から核酸の増幅が起きていることがわかる。ここで、Mx3000pの解析ソフトを用いて、上記のグラフにおいて蛍光量が250に到達したときの時間(Ct値)を算出したところ、18.6分、19.3分であった(n=2の実験)。なお、Ct値は、60℃で反応を開始した時点を0分としている。
【0062】
実施例1に比べて、検出にかかる時間を10分程度短縮できた。
【0063】
<比較例> PCR法を用いたtotalRNA中のβアクチンmRNAの検出
(1)逆転写反応による標的RNAに相補的なDNAの作製
Human Liver Total RNA(Clonetech社製)0.1μg、Random 6mer Primer(TaKaRa社製)100pmol、dNTP Mixture 10nmolに純水を加えて13μlとし、65℃で5分間加熱した。
【0064】
上記反応液に5倍濃縮した逆転写バッファーを4μl、100mMのDithiothreitolを2μl加え、42℃で2分間加熱した。
上記反応液にSuperScriptII(Invitrogen社製)を1μl加え、25℃で10分間、42℃で50分間、70℃で10分間加熱した。
【0065】
(2)(1)で作製したDNAを鋳型としたPCR
配列特異的な核酸増幅を行うため、以下のプライマーを用いた。
<プライマー>
プライマーは、βアクチンmRNAより逆転写されるDNA(及びその相補鎖)を標的に設計を行った。各プライマーの配列を以下に示す。
プライマー(1)(Forward):
5'−GGGCATGGGTCAGAAGGATT−3'(配列番号1)
プライマー(2)(Reverse):
5'−CCTCGTCGCCCACATAG−3'(配列番号2)
PCRは以下のような反応液組成で行なった。
【0066】
<反応液の組成>
10×PCR Buffer 10.0μL
10mM dNTP each 4.0μL
50μM primer(1) 0.25μL
50μM primer(2) 0.25μL
SYBR Green I(1000倍希釈) 0.5μL
Taq Polymerase 0.5μL
精製水 37.5μL
50.0μL
【0067】
PCRは以下の温度サイクルで行なった。
【0068】
【化4】

【0069】
なお、リアルタイム蛍光検出装置にMx3000p(Stratagene社製)を用いた場合、この温度サイクルでは、1サイクル当たり2.1分かかる。
【0070】
(3)増幅産物の検出
前記(2)における増幅反応を、リアルタイム蛍光検出装置(Mx3000p,Stratagene社製)を用いて蛍光検出を行った。結果を図4に示す。
【0071】
RNA試料由来のサンプルから核酸の増幅が起きていることがわかる。ここで、Mx3000pの解析ソフトを用いて、上記のグラフにおいて蛍光量が250に到達したときのサイクル(Ct値)を算出したところ、19.7サイクル、19.7サイクルであった(n=2の実験)。即ち、時間に直すと、41.4分、41.4分であった。
【0072】
実施例1に対して、検出にかかる時間は13分程度長かった。また、実施例2に対して、検出にかかる時間は22分程度長かった。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、実施例で用いたプライマーのβアクチンmRNAより逆転写されるDNA(及びその相補鎖)に対する位置関係の詳細を示す。
【図2】図2は、本発明による増幅反応で得られた増幅産物についての蛍光検出の結果を示す。
【図3】図3は、本発明による増幅反応で得られた増幅産物についての蛍光検出の結果を示す。
【図4】図4は、比較例での増幅反応で得られた増幅産物についての蛍光検出の結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)RNAに逆転写酵素を作用させて核酸断片を調製する工程;及び
(ii)少なくとも1種のデオキシヌクレオチド3リン酸、少なくとも1種の鎖置換能を有するDNAポリメラーゼ、2価の陽イオン、少なくとも0.01%以上の界面活性剤、少なくとも2種類のオリゴヌクレオチドプライマー、及び上記工程(i)で得た鋳型となる核酸断片を含む反応溶液を実質的に等温でインキュベートすることによって前記プライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ反応を行い、該核酸断片を増幅する工程;
を含む核酸の増幅方法。
【請求項2】
RNAに逆転写酵素を作用させて核酸断片を調製する工程(i)と、該核酸断片を増幅する工程(ii)とが、単一の反応容器の中で連続して行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
逆転写酵素が、トリ骨髄芽球症ウイルス由来のAMV RTase、モロニーネズミ白血病ウイルス由来のMMLV RTase、モロニーネズミ白血病ウイルス由来逆転写酵素であってRNaseH活性の欠失した変異体であるSuperscriptII、及びラウス関連ウイルス2由来のRAV−2 RTaseからなる群から選択される逆転写酵素であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、請求項1から3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
非イオン性界面活性剤のHLB価が12以上であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系から選ばれることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
非イオン性界面活性剤が、以下の化学式で表されることを特徴とする請求項4記載の方法。
【化1】

(式中、x + y + z + w = 20 であり、R:炭素数が12〜18のアルキル基であることを示す。)
【請求項8】
反応溶液が融解温度調整剤をさらに含む、請求項1から7の何れかに記載の方法。
【請求項9】
オリゴヌクレオチドプライマーが上記工程(i)で得た鋳型核酸断片の一部と実質的に相補的である、請求項1から8の何れかに記載の方法。
【請求項10】
オリゴヌクレオチドプライマーの3'末端領域のみが上記工程(i)で得た鋳型核酸断片の一部と実質的に相補的である、請求項1から9の何れかに記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1種の鎖置換能を有するポリメラーゼが、バチルス ステアロサーモフィラス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Bst.DNAポリメラーゼ、及びバチルスカルドテナックス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Bca DNAポリメラーゼ 、サーモコッカス リトラリス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Vent.DNAポリメラーゼ、アリサイクロバチルス アシドカルダリウス(Alicyclobacillus acidocaldarius)由来のDNAポリメラーゼからなる群より選択されるポリメラーゼである、請求項1から10の何れかに記載の方法。
【請求項12】
反応溶液を50℃以上の実質的に等温でインキュベートする、請求項1から11の何れかに記載の方法。
【請求項13】
上記工程(ii)で、実質的に等温でインキュベートする時間が60分以内である、請求項1から12の何れかに記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13の何れかに記載の核酸の増幅方法を行うことを含む、標的RNAを検出する方法。
【請求項15】
上記工程(ii)が、以下の工程を含む請求項14に記載の方法。
(1)少なくとも1種のデオキシヌクレオチド3リン酸、少なくとも1種の鎖置換能を有するDNAポリメラーゼ、2価の陽イオン、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、変異部位を含む少なくとも2種類のオリゴヌクレオチドプライマー、及び鋳型となる標的RNA逆転写反応産物を含む核酸断片を含む反応溶液を実質的に等温でインキュベートする工程;及び
(2)前記プライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ反応による核酸増幅反応が起きたか否かにより変異の有無を判定する工程:

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−131252(P2009−131252A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−285019(P2008−285019)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】