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RNAウイルス感染阻止塗料用組成物、RNAウイルス感染阻止塗料及びRNAウイルス感染阻止製品
説明

RNAウイルス感染阻止塗料用組成物、RNAウイルス感染阻止塗料及びRNAウイルス感染阻止製品

【課題】 本発明は、RNAウイルスがヒトに感染するのを効果的に阻止して症状の発現の予防或いは症状が表れたとしても症状の軽減を図ることができるRNAウイルス感染阻止塗料用組成物を提供する。
【解決手段】 本発明のRNAウイルス感染阻止塗料用組成物は、線状高分子の側鎖に所定の構造式の置換基のうちの少なくとも一つを有するRNAウイルス感染阻止化合物をRNAウイルス感染阻止剤として含有しており、塗料に添加することによってRNAウイルス感染阻止塗料を容易に作製することができる。RNAウイルス感染阻止塗料をRNAウイルス対象物に塗布、乾燥させることによってRNAウイルス感染阻止効果を有する塗膜を形成することができ、RNAウイルス対象物に起因してウイルスが人間に感染するのを概ね阻止して症状の発現を防止し或いは症状が表れたとしても症状の軽減を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RNAウイルス感染阻止塗料用組成物、RNAウイルス感染阻止塗料及びRNAウイルス感染阻止製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、季節性インフルエンザウイルスの流行に加え、高病原性のトリインフルエンザウイルスが変異してヒト間で感染し、世界的な大流行が懸念されている。
【0003】
又、致死率のきわめて高いサーズウイルスの再発生も懸念されており、病原性の高いRNAウイルスへの不安感は高まる一方である。
【0004】
これらの問題に対して、例えば、特許文献1には、樹脂、塗料、繊維、化粧品などに添加し又は建物や備品などに塗布して抗ウイルス性効果を長期間に亘って奏する無機系抗ウイルス剤が開示されている。
【0005】
又、特許文献2には、ドロマイトを焼成して得られる抗ウイルス性を有する塗膜を形成するための抗ウイルス性塗料組成物及びこの抗ウイルス性塗料組成物からなる塗膜を有する塗装物が開示されている。更に、特許文献3には、壁面等に塗布することにより、光が無くても良好な抗ウイルス効果を発揮できる光触媒を含む塗料が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1で開示されている無機系抗ウイルス剤は金属成分を含有しており、金属アレルギーを引き起こすという問題点を有している。又、特許文献2で開示されている抗ウイルス性塗料組成物は、水溶性であり、接着力が要求されるポリオレフィン系の自動車内装材などに塗装しづらいという問題点を有している。更に、特許文献3で開示されている光触媒を含む塗料は、光が弱くても問題ないが、長時間光の当たらない場所には使えないという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−221304号公報
【特許文献2】特開2007−106876号公報
【特許文献3】特開2008−50559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、RNAウイルスがヒトに感染するのを効果的に阻止して症状の発現の予防或いは症状が表れたとしても症状の軽減を図ることができるRNAウイルス感染阻止塗料用組成物、このRNAウイルス感染阻止塗料用組成物を含有するRNAウイルス感染阻止塗料、及び、RNAウイルス感染阻止塗料を用いて塗装されてなるRNAウイルス感染阻止製品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のRNAウイルス感染阻止塗料用組成物は、線状高分子の側鎖に一般式(1)〜(3)で示される構造式の置換基のうちの少なくとも一つを有するRNAウイルス感染阻止化合物をRNAウイルス感染阻止剤として含有することを特徴とする。
【化1】


(m,n及びpはそれぞれ0〜2の整数を示し、R1〜R19はそれぞれ、水素、カルボキシ基、スルホン酸基又はそれらの塩若しくは誘導体の何れかであって、R1〜R5のうちの少なくとも一つは、カルボキシ基、スルホン酸基又はそれらの塩若しくは誘導体であり、R6〜R12のうちの少なくとも一つは、カルボキシ基、スルホン酸基又はそれらの塩若しくは誘導体であり、R13〜R19のうちの少なくとも一つは、カルボキシ基、スルホン酸基又はそれらの塩若しくは誘導体である。)
【0010】
先ず、RNAウイルス感染阻止化合物とは、ウイルス感染阻止効果を有する化合物をいう。「ウイルス感染阻止効果」とは、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、カリシウイルスなどのRNAウイルスが細胞に感染できないか又は感染後に細胞中で増殖できなくする効果をいう。このようなウイルスの感染性の有無を確認する方法としては、例えば、「医・薬科ウイルス学」(1990年4月初版発行)に記載されているようなプラック法や赤血球凝集価(HAU)測定法などが挙げられる。
【0011】
RNAウイルス感染阻止化合物としては、線状高分子の側鎖に一般式(1)〜(3)で示される構造式の置換基のうちの少なくとも一つを有する化合物が用いられる。
【化2】

【0012】
上記一般式(1)〜(3)中、m,n及びpはそれぞれ0〜2の整数を示している。m,n及びpは、3以上となると、RNAウイルス感染阻止化合物がウイルス感染阻止効果を喪失してしまうからである。
【0013】
又、一般式(1)において、R1〜R5はそれぞれ、水素(−H)、カルボキシ基(−COOH)、スルホン酸基(−SO3H)又はその塩若しくは誘導体の何れかであるが、R1〜R5のうちの少なくとも一つは、カルボキシ基、スルホン酸基又はその塩若しくは誘導体であることが必要である。
【0014】
同様に、一般式(2)において、R6〜R12はそれぞれ、水素(−H)、カルボキシ基(−COOH)、スルホン酸基(−SO3H)又はその塩若しくは誘導体の何れかであるが、R6〜R12のうちの少なくとも一つは、カルボキシ基、スルホン酸基又はその塩若しくは誘導体であることが必要である。
【0015】
加えて、一般式(3)において、R13〜R19はそれぞれ、水素(−H)、カルボキシ基(−COOH)、スルホン酸基(−SO3H)又はその塩若しくは誘導体の何れかであるが、R13〜R19のうちの少なくとも一つは、カルボキシ基、スルホン酸基又はその塩若しくは誘導体であることが必要である。
【0016】
これは、一般式(1)〜(3)のそれぞれにおいて、置換基としてカルボキシ基、スルホン酸基又はその塩若しくは誘導体を有していないと、RNAウイルス感染阻止化合物がウイルス感染阻止効果を発現しないからである。
【0017】
カルボキシ基の塩としては、例えば、−COONa,(−COO)2Caなどが挙げられ、スルホン酸基の塩としては、例えば、−SO3Na、(−SO32Ca、−SO3NH4+などが挙げられる。
【0018】
又、カルボキシ基の誘導体としては、例えば、−COOCH3、−COOC25などのエステル化体が挙げられ、スルホン酸基の誘導体としては、例えば、−SO3CH3、−SO325などのエステル化体が挙げられる。
【0019】
そして、一般式(1)において、カルボキシ基、スルホン酸基又はその塩若しくは誘導体の数は、多いと、ウイルス感染阻止効果がなくなるので、1〜3が好ましく、1がより好ましい。
【0020】
又、一般式(1)において、立体障害が少ないことから、R3が、カルボキシ基、スルホン酸基又はその塩若しくは誘導体であると共に、R1、R2、R4及びR5が水素であることが好ましい。
【0021】
一般式(1)〜(3)で示される構造式の置換基を側鎖に有する線状高分子としては、特に限定されず、例えば、ビニル重合体、ポリエステルが好ましく、ポリスチレンがより好ましい。そして、線状高分子と、一般式(1)〜(3)で示される構造式の置換基との間の化学結合は、炭素−炭素結合、エステル結合、エーテル結合、アミド結合などの何れであってもよい。
【0022】
そして、線状高分子の側鎖に一般式(1)〜(3)で示される構造式の置換基のうちの少なくとも一つを有するRNAウイルス感染阻止化合物としては、スチレンスルホン酸成分を含有する重合体、スチレンスルホン酸成分を含有する重合体のスルホン酸塩、スチレンスルホン酸成分を含有する重合体のスルホン酸誘導体、スチレンスルホン酸塩成分とスチレンスルホン酸誘導体成分とを含む共重合体、スチレンスルホン酸単独重合体、スチレンスルホン酸塩単独重合体、スチレン−スチレンスルホン酸塩共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、ポリスチレンのベンゼン環をスルホン化した化合物、ポリスチレンのベンゼン環をスルホン化した化合物のスルホン酸塩、ポリスチレンのベンゼン環をスルホン化した化合物のスルホン酸誘導体、スチレン成分を含む重合体のベンゼン環をスルホン化した化合物、スチレン成分を含む重合体のベンゼン環をスルホン化した化合物のスルホン酸塩、スチレン成分を含む重合体のベンゼン環をスルホン化した化合物のスルホン酸誘導体、ビニル安息香酸成分を含有する重合体、ビニル安息香酸成分を含有する重合体のカルボキシ基の塩、ビニル安息香酸成分を含有する重合体のカルボキシ基の誘導体、ビニル安息香酸のカルボキシ基の塩成分とビニル安息香酸のカルボキシ基の誘導体成分とを含む共重合体、ビニル安息香酸単独重合体、ビニル安息香酸塩単独重合体、スチレン−ビニル安息香酸塩共重合体、スチレン−ビニル安息香酸共重合体、ポリスチレンのベンゼン環にカルボキシ基を導入した化合物、ポリスチレンのベンゼン環にカルボキシ基を導入した化合物のカルボキシ基の塩、ポリスチレンのベンゼン環にカルボキシ基を導入した化合物のカルボキシ基の誘導体、スチレン成分を含む重合体のベンゼン環にカルボキシ基を導入した化合物、スチレン成分を含む重合体のベンゼン環にカルボキシ基を導入した化合物のカルボキシ基の塩、スチレン成分を含む重合体のベンゼン環にカルボキシ基を導入した化合物のカルボキシ基の誘導体が好ましい。
【0023】
スチレンスルホン酸成分を含有する重合体のスルホン酸塩としては、特に限定されないが、スチレンスルホン酸成分を含有する重合体のスルホン酸ナトリウム塩、スチレンスルホン酸成分を含有する重合体のスルホン酸カルシウム塩、スチレンスルホン酸成分を含有する重合体のスルホン酸アンモニウム塩が好ましく、スチレンスルホン酸単独重合体のスルホン酸ナトリウム塩がより好ましく、p−スチレンスルホン酸単独重合体のスルホン酸ナトリウム塩が特に好ましく、p−スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体が最も好ましい。又、スチレンスルホン酸重合体の誘導体としては、特に限定されないが、スチレンスルホン酸エチル重合体が好ましい。
【0024】
ポリスチレンのベンゼン環をスルホン化した化合物のスルホン酸塩において、スルホン酸基の塩としては、スルホン酸ナトリウム塩、スルホン酸カルシウム塩、スルホン酸アンモニウム塩、スルホン酸マグネシウム塩、スルホン酸バリウム塩が好ましく、スルホン酸ナトリウム塩が好ましい。
【0025】
スチレン成分を含む重合体のベンゼン環をスルホン化した化合物のスルホン酸塩において、スルホン酸基の塩としては、スルホン酸ナトリウム塩、スルホン酸カルシウム塩、スルホン酸アンモニウム塩、スルホン酸マグネシウム塩、スルホン酸バリウム塩が好ましく、スルホン酸ナトリウム塩が好ましい。
【0026】
スチレン成分を含む重合体において、スチレン成分以外の単量体成分としては、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ビニルアルキルエーテル、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、ジイソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、2-ビニルナフタレン、アクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、無水マレイン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルトルエン、キシレンスルホン酸、ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、ビニルアルコール、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ヒドロキシエチルなどが挙げられる。
【0027】
スチレン成分を含む重合体又はポリスチレンにおけるベンゼン環のスルホン化は、公知の要領で行うことができ、例えば、三酸化イオウや濃硫酸などを用いる方法などが挙げられる。スチレン成分を含む重合体又はポリスチレンのベンゼン環をスルホン化した化合物のスルホン酸塩の製造方法として、例えば、スチレン成分を含む重合体又はポリスチレンのベンゼン環をスルホン化する。このスルホン化された化合物を含む分散液をアルカリ水溶液で中和する方法が挙げられる。なお、アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
【0028】
又、RNAウイルス感染阻止化合物としては、一般式(1)〜(3)で示される構造式の置換基を少なくとも一つ有する単量体を単独重合又は共重合してなる化合物であることが好ましい。このような単量体としては、例えば、p−スチレンスルホン酸、m−スチレンスルホン酸、o−スチレンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、m−スチレンスルホン酸ナトリウム、o−スチレンスルホン酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸カルシウム、m−スチレンスルホン酸カルシウム、o−スチレンスルホン酸カルシウム、p−スチレンスルホン酸アンモニウム、m−スチレンスルホン酸アンモニウム、o−スチレンスルホン酸アンモニウム、p−スチレンスルホン酸エチル、m−スチレンスルホン酸エチル、o−スチレンスルホン酸エチル、4−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸ナトリウム、4−ビニル安息香酸メチル、4−ビニルアニリン、アミノスチレン塩酸塩、N−アセチルアミノスチレン、N−ベンゾイルアミノスチレン、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸カルシウムなどが挙げられ、スチレンスルホン酸ナトリウムが好ましく、ウイルスとの反応性において立体障害が少ないことから、p−スチレンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
【0029】
スチレンスルホン酸成分を含有する重合体のスルホン酸塩は、公知の要領で製造することができ、例えば、スチレンスルホン酸塩をラジカル重合する方法、スチレンスルホン酸単独重合体のスルホン酸を水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどのアルカリを用いて中和する方法などが挙げられる。
【0030】
又、スチレンスルホン酸成分を含む重合体のスルホン酸塩の分子中において、スルホン酸基の全てが塩とされていなくてもよいが、塩とされたスルホン酸基の割合が低いと、RNAウイルス感染阻止塗料用組成物の酸性が強くなり、後述するウイルス対象物を破損する虞れがあるので、50モル%以上が好ましく、70〜100モル%がより好ましく、85〜100モル%が特に好ましい。
【0031】
なお、スチレンスルホン酸成分を含む重合体のスルホン酸塩の分子中における塩とされたスルホン酸基の割合は下記の要領で算出される。スチレンスルホン酸塩を含む単量体を重合させて、スチレンスルホン酸成分を含む重合体のスルホン酸塩を得た場合には、重合に用いられた単量体中において、スルホン酸基及びこの誘導体の合計モル数を算出すると共に、塩とされたスルホン酸基のモル数を算出し、上記合計モル数に対する、塩とされたスルホン酸基のモル数の百分率を算出すればよい。又、単量体としてスチレンスルホン酸を用いてスチレンスルホン酸単独重合体を重合し、このスチレンスルホン酸単独重合体をアルカリによって中和してスチレンスルホン酸単独重合体のスルホン酸塩を製造した場合には、消費されたアルカリのモル数を中和滴定によって測定すると共に、重合に用いられたスチレンスルホン酸のモル数を測定し、スチレンスルホン酸のモル数に対する消費されたアルカリのモル数の百分率を算出すればよい。
【0032】
スチレンスルホン酸単独重合体のスルホン酸塩の重量平均分子量は、低いと、ウイルス感染阻止効果が低下することがあるので、2万以上が好ましく、10万以上がより好ましく、30万以上が特に好ましいが、高過ぎると、RNAウイルス感染阻止塗料用組成物の取扱性が低下することがあるので、上限は500万が好ましい。
【0033】
なお、本発明において重合体の重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーでポリエチレンオキシドを標準物質として測定したものをいう。重合体の重量平均分子量及びZ平均分子量は、例えば、下記の条件にて測定することができる。
カラム:(東ソー社製TSKgel GMPWXL 7.8mmI.D.×30cm 2本)
溶離液:(0.2M硫酸ナトリウム水溶液:アセトニトリル=9:1)
流速:1ミリリットル/分
温度:40℃
検出:UV(210nm)
標準ポリエチレンオキシド:(東ソー社製、SE-2,5,8,15,30,70,150の7種類を使用)
【0034】
RNAウイルス感染阻止化合物としては、一般式(1)〜(3)で示される構造式の置換基を少なくとも一つ有する単量体と、これと共重合可能な単量体との共重合体であってもよい。このような共重合体としては、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよいが、ブロック共重合体が好ましい。
【0035】
RNAウイルス感染阻止化合物が、一般式(1)〜(3)で示される構造式の置換基を少なくとも一つ有する単量体と、これと共重合可能な単量体とのブロック共重合体である場合、一般式(1)〜(3)で示される構造式の置換基を少なくとも一つ有する単量体に由来するブロック部の重合度は、低いと、RNAウイルス感染阻止化合物がウイルス感染阻止効果を奏しないことがある一方、高いと、RNAウイルス感染阻止塗料用組成物の取扱性が低下することがあるので、5〜6000が好ましい。
【0036】
RNAウイルス感染阻止化合物が、一般式(1)〜(3)で示される構造式の置換基を少なくとも一つ有する単量体と、これと共重合可能な単量体との共重合体である場合、この共重合体中、一般式(1)〜(3)で示される構造式の置換基を少なくとも一つ有する単量体成分の含有量は、少ないと、RNAウイルス感染阻止化合物がウイルス感染阻止効果を奏しないことがあるので、5重量%以上が好ましい。
【0037】
なお、一般式(1)〜(3)で示される構造式の置換基を少なくとも一つ有する単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ビニルアルキルエーテル、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、ジイソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、2-ビニルナフタレン、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、無水マレイン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルトルエン、キシレンスルホン酸、ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、ビニルアルコール、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ヒドロキシエチルなどが挙げられるが、一般式(1)〜(3)で示される構造式の置換基を少なくとも一つ有する単量体との相性や、RNAウイルス感染阻止化合物に非水溶性を付与するという点から、スチレンが好ましい。
【0038】
そして、一般式(1)〜(3)で示される構造式の置換基を少なくとも一つ有する単量体を単独重合又は共重合してなる重合体、及び、一般式(1)〜(3)で示される構造式の置換基を少なくとも一つ有する単量体と、これと共重合可能な単量体との共重合体の重量平均分子量は、低いと、RNAウイルス感染阻止化合物がウイルス感染阻止効果を奏しないことがある一方、高いと、RNAウイルス感染阻止塗料用組成物の取扱性が低下することがある。よって、一般式(1)〜(3)で示される構造式の置換基を少なくとも一つ有する単量体を単独重合してなる重合体の場合は、2万〜500万が好ましい。一般式(1)〜(3)で示される構造式の置換基を少なくとも一つ有する単量体を共重合してなる重合体、及び、一般式(1)〜(3)で示される構造式の置換基を少なくとも一つ有する単量体と、これと共重合可能な単量体との共重合体の場合は、5000〜500万が好ましく、5000〜200万がより好ましい。
【0039】
上記RNAウイルス感染阻止塗料用組成物は、水溶性であっても非水溶性であってもよいが、耐水性が要求されるRNAウイルス感染阻止塗料に用いる場合には、非水溶性であることが好ましい。ここで、非水溶性とは、20℃で且つpHが5〜9である水100gに対して溶解可能なグラム数(以下「溶解度」という)が1以下であることをいい、1を超えるものを水溶性という。
【0040】
RNAウイルス感染阻止塗料用組成物が非水溶性であると、RNAウイルス感染阻止塗料用組成物を含有するRNAウイルス感染阻止塗料を用いて塗装されたRNAウイルス感染阻止製品が水に接触した場合にあってもRNAウイルス感染阻止塗料用組成物が水に溶解して消失するのを抑制することができ、後述するRNAウイルス感染阻止製品のウイルス感染阻止効果を長期間に亘って安定的に持続させることができる。
【0041】
RNAウイルス感染阻止塗料用組成物を非水溶性にする方法としては、水溶性のRNAウイルス感染阻止化合物に硬化剤を含有させてRNAウイルス感染阻止化合物を架橋させる方法、水溶性のRNAウイルス感染阻止化合物を担持体に固定させる方法などが挙げられる。
【0042】
又、RNAウイルス感染阻止化合物がスルホン酸基又はその塩若しくは誘導体を有している場合において、RNAウイルス感染阻止化合物を非水溶性にするには、一部を脱スルホン化する方法や、スルホン酸塩部分の構造を一部変化させる方法、難水溶性の塩にする方法などが挙げられる。なお、脱スルホン化する方法としては、高温でRNAウイルス感染阻止化合物と水蒸気とを反応させる方法などが挙げられ、スルホン酸塩部分の構造を変化させる方法としては、RNAウイルス感染阻止化合物を水酸化ナトリウム中で融解させ、その後にフェノール化する方法などが挙げられる。
【0043】
更に、スチレンとジビニルベンゼンとを水中で懸濁重合することで直鎖の高分子であるポリスチレン同士をジビニルベンゼンによって網状に架橋して重合体粒子を製造し、この重合体粒子のベンゼン環にスルホン酸基を導入することによって、非水溶性のRNAウイルス感染阻止塗料用組成物を得ることができる。
【0044】
RNAウイルス感染阻止化合物が共重合体である場合、一般式(1)〜(3)で示される構造式の置換基を少なくとも一つ有する単量体と共重合可能な単量体として、疎水性の高いスチレンなどを選択し、その含有割合を増加させることで非水溶性のRNAウイルス感染阻止塗料用組成物を得ることができる。
【0045】
上記RNAウイルス感染阻止化合物の硬化剤としては、RNAウイルス感染阻止化合物を架橋させることができれば、特に限定されず、例えば、アミン化合物、アミン化合物から合成されるポリアミノアミド化合物などの化合物、3級アミン化合物、イミダゾール化合物、ヒドラジド化合物、メラミン化合物、酸無水物、フェノール化合物、熱潜在性カチオン重合触媒、光潜在性カチオン重合開始剤、ジシアンアミド及びその誘導体、ジビニルベンゼンなどが挙げられ、単独で用いられても2種以上が併用されてもよい。
【0046】
上記アミン化合物としては、特に限定されず、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミンなどの脂肪族アミン及びその誘導体;メンセンジアミン、イソフォロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどの脂環式アミン及びその誘導体;m−キシレンジアミン、α−(m−アミノフェニル)エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、α,α−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼンなどの芳香族アミン及びその誘導体などが挙げられる。
【0047】
又、上記アミン化合物から合成される化合物としては、特に限定されず、例えば、上記アミン化合物と、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカ二酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジヒドロイソフタル酸、テトラヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などのカルボン酸化合物とから合成されるポリアミノアミド化合物及びその誘導体;上記アミン化合物と、ジアミノジフェニルメタンビスマレイミドなどのマレイミド化合物とから合成されるポリアミノイミド化合物及びその誘導体;上記アミン化合物とケトン化合物とから合成されるケチミン化合物及びその誘導体;上記アミン化合物と、エポキシ化合物、尿素、チオ尿素、アルデヒド化合物、フェノール化合物、アクリル化合物などの化合物とから合成されるポリアミノ化合物及びその誘導体などが挙げられる。
【0048】
更に、上記3級アミン化合物としては、特に限定されず、例えば、N,N−ジメチルピペラジン、ピリジン、ピコリン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビスシクロ(5,4,0)ウンデセン−1及びその誘導体などが挙げられる。
【0049】
そして、上記イミダゾール化合物としては、特に限定されず、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール及びその誘導体などが挙げられる。
【0050】
又、上記ヒドラジド化合物としては、特に限定されず、例えば、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド、エイコサン二酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド及びその誘導体などが挙げられる。
【0051】
更に、上記メラミン化合物としては、特に限定されず、例えば、2,4−ジアミノ−6−ビニル−1,3,5−トリアジン及びその誘導体などが挙げられる。
【0052】
そして、上記酸無水物としては特に限定されず、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセロールトリスアンヒドロトリメリテート、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、ドデセニル無水コハク酸、ポリアゼライン酸無水物、ポリドデカン二酸無水物、クロレンド酸無水物及びその誘導体などが挙げられる。
【0053】
又、上記フェノール化合物としては、特に限定されず、例えば、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール及びその誘導体などが挙げられる。
【0054】
更に、上記熱潜在性カチオン重合触媒としては、特に限定されず、例えば、6フッ化アンチモン、6フッ化リン、4フッ化ホウ素などを対アニオンとした、ベンジルスルホニウム塩、ベンジルアンモニウム塩、ベンジルピリジニウム塩、ベンジルホスホニウム塩などのイオン性熱潜在性カチオン重合触媒;N−ベンジルフタルイミド、芳香族スルホン酸エステルなどの非イオン性熱潜在性カチオン重合触媒が挙げられる。
【0055】
そして、上記光潜在性カチオン重合開始剤としては特に限定されず、例えば、6フッ化アンチモン、6フッ化リン、4フッ化ホウ素などを対アニオンとした、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩及び芳香族スルホニウム塩などのオニウム塩類、並びに、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体及びアリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体類などのイオン性光潜在性カチオン重合開始剤;ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスルホナートなどの非イオン性光潜在性カチオン重合開始剤が挙げられる。
【0056】
又、RNAウイルス感染阻止化合物を固定させる担持体としては、特に限定されず、例えば、タルク、ベントナイト、クレー、カオリン、珪藻土、シリカ、バーミキュライト、パーライトなどの無機担体や、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、アルキド系樹脂などの有機高分子担体などが挙げられる。
【0057】
有機高分子担体の形態としては、特に限定されず、例えば、微粒子状、繊維状、シート状、フィルム状、発泡体などが挙げられる。RNAウイルス感染阻止化合物を発泡体に担持させる場合には、発泡体の原反となる発泡性成形体の発泡前にRNAウイルス感染阻止化合物を担持させても発泡後にRNAウイルス感染阻止化合物を担持させてもよい。
【0058】
そして、RNAウイルス感染阻止化合物を担持体に固定する方法としては、特に限定されないが、例えば、RNAウイルス感染阻止化合物を担持体に吸着させる方法、グラフトなどの化学結合やバインダーによる結合によってRNAウイルス感染阻止化合物を担持体に固定する方法などが挙げられる。RNAウイルス感染阻止化合物を有機高分子担体の分子末端に結合させることが好ましい。
【0059】
本発明のRNAウイルス感染阻止塗料用組成物には、ウイルス感染阻止効果の有効性を阻害しない範囲において、分散剤、乳化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、移染防止剤などの製剤用補助剤が配合されていてもよく、又、殺ダニ剤、殺菌剤、防黴剤、消臭剤などが含有されていてもよい。
【0060】
移染防止剤としては、特に限定されず、例えば、塩化カルシウムなどの塩類、水溶性カチオン化合物、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジンベタイン、ポリアミンN−オキシド重合体などが挙げられる。
【0061】
上述のRNAウイルス感染阻止塗料用組成物を従来から用いられている塗料に添加することによってRNAウイルス感染阻止塗料とすることができる。塗料としては、従来公知の塗料が用いられ、例えば、油性塗料、セルロース塗料、合成樹脂塗料などが挙げられる。
【0062】
油性塗料としては、ボイル油、顔料からなる調合ペイント、油ワニス、アルミニウム粉からなるアルミニウムペイントなどが挙げられる。セルロース塗料としては、硝化綿、合成樹脂、可塑剤、顔料からなるラッカーやハイソリッドラッカーなどが挙げられる。
【0063】
合成樹脂塗料としては、例えば、溶剤系塗料、水系塗料、無溶剤系塗料などが挙げられる。溶剤系塗料としては、例えば、アルキド樹脂及び顔料を含有するアルキド樹脂塗料、アルキド樹脂、アミノ樹脂、硬化剤及び顔料を含有する酸硬化アミノアルキド樹脂塗料、不飽和ポリエステル樹脂、硬化剤及び触媒を含有するポリエステル樹脂塗料、エポキシ樹脂、硬化剤及び顔料を含有するエポキシ樹脂塗料、ビニルブチラール樹脂、リン酸及び錆止め顔料を含有するエッチングプライマー、塩化ビニル樹脂、可塑剤及び顔料を含有する塩化ビニル樹脂塗料、塩化ゴム、可塑剤及び顔料を含有する塩化ゴム塗料、ポリオール、イソシアネート及び顔料を含有するポリウレタン樹脂塗料、シリコーンアクリル樹脂及び顔料を含有するアクリルシリコーン樹脂塗料、フッ素樹脂、イソシアネート及び顔料を含有する常乾フッソ樹脂塗料などが挙げられる。
【0064】
水系塗料としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、可塑剤、乳化剤及び顔料を含有する酢ビ系エマルジョン塗料、アクリル樹脂、可塑剤、乳化剤及び顔料を含有するアクリル系エマルジョン塗料、アクリルウレタン樹脂、可塑剤、乳化剤及び顔料を含有するアクリルウレタン系エマルジョン塗料、アクリルシリコン樹脂、可塑剤、乳化剤及び顔料を含有するアクリルシリコン系エマルジョン塗料やフッソ樹脂、可塑剤、乳化剤及び顔料を含有するフッソ樹脂系エマルジョン塗料、各種水溶性樹脂及び中和剤を含有する水溶性樹脂塗料、アクリル樹脂、可塑剤及び乳化剤を含有する水性ワニスなどが挙げられる。
【0065】
無溶剤系塗料としてはエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系などを含有する粉体塗料などが挙げられる。又、塗料としては、天然フェノールを含有する漆、天然フェノール、油溶性フェノール樹脂及び乾性油を含有するカシュー樹脂塗料などが挙げられる。
【0066】
本発明のRNAウイルス感染阻止塗料中におけるRNAウイルス感染阻止塗料用組成物の含有量は、少ないと、所望のRNAウイルス感染阻止効果が低下することがあり、多いと、RNAウイルス感染阻止塗料の塗工性が低下することがあるので、0.01〜20重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより好ましい。
【0067】
RNAウイルス感染阻止塗料中において、RNAウイルス感染阻止塗料用組成物がバインダー中に溶解せずに分散している場合には、RNAウイルス感染阻止塗料用組成物の大きさは、大きいと、RNAウイルス感染阻止塗料の塗工性が低下することがあるので、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。なお、RNAウイルス感染阻止塗料を自動車内装材用途に用いる場合には、RNAウイルス感染阻止塗料用組成物の大きさは30μm以下が好ましい。
【0068】
RNAウイルス感染阻止塗料には、その物性を損なわない範囲内において、顔料、可塑性、硬化剤、増量剤、充填剤、老化防止剤、増粘着、界面活性剤などの添加剤が含有されていてもよい。
【0069】
上記RNAウイルス感染阻止塗料を製造する方法としては、RNAウイルス感染阻止塗料用組成物と塗料とが均一に混合できれば、特に限定されず、例えば、RNAウイルス感染阻止塗料用組成物と塗料とを分散装置に供給して均一に混合する方法などが挙げられる。なお、分散装置としては、例えば、ハイスピードミル、ボールミル、サンドミルなどが挙げられる。
【0070】
そして、上記RNAウイルス感染阻止塗料を、ウイルスが存在し或いはウイルスが将来に存在する可能性のある対象物であって、この対象物に存在するウイルスが原因となって人間にウイルスが感染するのを防止したい対象物(以下、「RNAウイルス対象物」という)に塗布し乾燥させて塗装することによってRNAウイルス感染阻止製品とし、RNAウイルス対象物に存在するウイルスが原因となって人間がウイルス感染するのを概ね阻止することができる。上記RNAウイルス感染阻止塗料用組成物は、単独で用いられても2種以上が併用されてもよい。
【0071】
又、上記RNAウイルス対象物としては、車、飛行機、船などの車輛内用品及び車輛内装材(シート、チャイルドシート及びこれらを構成している発泡体など)、キッチン用品、ベビー用品、建築内装材などが挙げられる。
【0072】
上記建築内装材とは、特に限定されるものではなく、例えば、床材、壁紙、天井材、塗料、ドアノブ、スイッチ、スイッチカバー、ワックスなどを挙げることができる。
【0073】
上記車輛内用品及び車輛内装材とは、特に限定されるものではなく、例えば、シート、チャイルドシート、シートベルト、カーマット、シートカバー、ドア、天井材、フロアマット、ドアトリム、インパネ、コンソール、グローブボックス、吊り革、手すりなどを挙げることができる。
【0074】
なお、RNAウイルス対象物へのRNAウイルス感染阻止塗料の塗布方法としては、特に限定されず、例えば、ローラー塗り、コテ塗り、スプレー塗り、刷毛塗り、ディップコート(浸漬)などがあり、RNAウイルス感染阻止塗料を乾燥させて得られる塗膜の表面形態も上記塗装方法の選択により自由に変化させることができる。
【0075】
本発明のRNAウイルス感染阻止塗料用組成物が対象とするRNAウイルスとしては、例えば、レオウイルス科(Reoviridae)の哺乳類オルトレオウイルス、コロラドダニ熱ウイルス、パラミクソウイルス科(Parmyxoviridae)のヒトパラインフルエンザウイルス1,3、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス2,4、ヘンドラウイルス、ニパウイルス、ヒトRS(Respiratory syncytial)ウイルス、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)の狂犬病ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、フィロウイルス科(Filoviridae)のマ−ルブルグウイルス、ザイ−ルエボラウイルス、ス−ダンエボラウイルス、ボルナウイルス科(Bornaviridae)のボルナ病ウイルス、オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)のインフルエンザAウイルス、インフルエンザBウイルス、インフルエンザCウイルス、ブニヤウイルス科(Bunyaviridae)のLa Crosseウイルス、Rift Valley熱ウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ハンタ−ンウイルス、Sin Nombreウイルス、アレナウイルス科(Arenaviridae)のラッサウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、Juninウイルス、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)のポリオウイルス、コクサッキーA群ウイルス、コクサッキーB群ウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルス、ヒトライノウイルス、A型肝炎ウイルス、ヒトparechoウイルス1,2、カリシウイルス科(Caliciviridae)のNorwalkウイルス、サッポロウイルス、アストロウイルス科(Astroviridae)のヒトアストロウイルス、コロナウイルス科(Coronaviridae)のヒトコロナウイルス、SARS関連コロナウイルス、フラビウイルス科(Flaviviridae)の日本脳炎ウイルス、黄熱ウイルス、デングウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、ウエストナイルウイルス、C型肝炎ウイルス、トガウイルス科(Togaviridae)の東部ウマ脳炎ウイルス、チクングニヤウイルス、風疹ウイルス、レトロウイルス科(Retroviridae)のヒトT細胞白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス1などが挙げられる。
【発明の効果】
【0076】
本発明のRNAウイルス感染阻止塗料用組成物は、所定分子構造を有するRNAウイルス感染阻止化合物を含有しており、従来から用いられている塗料に添加することによってRNAウイルス感染阻止塗料を容易に作製することができる。そして、このRNAウイルス感染阻止塗料をRNAウイルス対象物に容易に塗布、乾燥させることによって、金属アレルギーなどを生じさせるようなことなく、RNAウイルス感染阻止効果を有する塗膜を形成することができ、光の当たらない条件下においても、RNAウイルス対象物に起因してウイルスが人間に感染するのを概ね阻止して症状の発現を防止し或いは症状が表れたとしても症状の軽減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0077】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0078】
(実施例1)
RNAウイルス感染阻止化合物であるポリスチレンをスルホン化してなる化合物のスルホン酸ナトリウム塩(アクゾノーベル社製 商品名「TL502」)5重量部をエアゾール塗料(杵屋ケミカル社製 商品名「コスモカラー」)95重量部に添加して均一に混合させてRNAウイルス感染阻止塗料を得た。なお、ポリスチレンをスルホン化してなる化合物のスルホン酸ナトリウム塩は水溶性の粉末であった。RNAウイルス感染阻止塗料20gをポリプロピレン樹脂成形板1m2に均一に塗布して室温にて5時間に亘って乾燥させ、ポリプロピレン樹脂成形板から一辺が1.5cmの平面正方形状の試験片を切り出した。
【0079】
(実施例2)
RNAウイルス感染阻止化合物であるp−スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体(東ソ−有機化学社製 商品名「PSS−100」)5重量部をエアゾール塗料(杵屋ケミカル社製 商品名「コスモカラー」)95重量部に添加して均一に混合させてRNAウイルス感染阻止塗料を得た。なお、p−スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体は水溶性の粉末であった。RNAウイルス感染阻止塗料20gをポリプロピレン樹脂成形板1m2に均一に塗布して室温にて5時間に亘って乾燥させ、ポリプロピレン樹脂成形板から一辺が1.5cmの平面正方形状の試験片を切り出した。
【0080】
(実施例3)
RNAウイルス感染阻止化合物であるp−スチレンスルホン酸ナトリウム−スチレンランダム共重合体(東ソ−有機化学社製 商品名「ST−5005」)5重量部をエアゾール塗料(杵屋ケミカル社製 商品名「コスモカラー」)95重量部に添加して均一に混合させてRNAウイルス感染阻止塗料を得た。なお、p−スチレンスルホン酸ナトリウム−スチレンランダム共重合体は水溶性の粉末であった。RNAウイルス感染阻止塗料20gをポリプロピレン樹脂成形板1m2に均一に塗布して室温にて5時間に亘って乾燥させ、ポリプロピレン樹脂成形板から一辺が1.5cmの平面正方形状の試験片を切り出した。
【0081】
(比較例1)
エアゾール塗料(杵屋ケミカル社製 商品名「コスモカラー」)20gをポリプロピレン樹脂成形板1m2に均一に塗布して室温にて5時間に亘って乾燥させ、ポリプロピレン樹脂成形板から一辺が1.5cmの平面正方形状の試験片を切り出した。
【0082】
得られた試験片について、RNAウイルス感染阻止性を下記の要領で評価し、その結果を表1に示した。
【0083】
(RNAウイルス感染阻止性)
1)ウイルス液の調整
10cmDishに培養したMDBK細胞にインフルエンザウイルスを接種し、37℃で1時間に亘って培養後に、培養上清(未感作ウイルス含む)を除去した。上清を除いた10cmDishに新たにDMEM培地を加え、37℃で4日間培養後に、培養上清を採取し、800rpmの回転速度で5分間に亘って遠心分離した。遠心分離後の上清をウイルス液として使用した。
2)試験方法
DMEM培地で3倍希釈したウイルス液を実施例及び比較例で得られた試験片に0.1ミリリットル滴下し、試験片を30分間に亘って室温で静置した。しかる後、試験片上のウイルス液を回収し、DMEM培地と混合して、10倍、100倍、1000倍、10000倍希釈し、96穴マイクロプレートに撒いたMDBK細胞に0.1ミリリットルずつ接種し、37℃で1時間に亘って培養した。培養後、培養上清(未感作ウイルス含む)を除去し、DMEM培地を加え、37℃で4日間に亘って培養した。培養上清を除去後、水溶性テトラゾリウム塩(同仁化学研究所社製 商品名「WST−8」)5重量%含むDMEM培地を添加し、37℃で3時間に亘って培養した。プレートリーダーにて450nmの吸光度を測定し、生存細胞の割合から50%の細胞がウイルスに感染するウイルス量(TCID50:Tissue Culture Infectious Dose 50)を算出した。上述の要領を各実施例及び比較例で作製した4個の試験片について行った。
【0084】
各実施例で得られた試験片では、比較例に対して、約95%以上のウイルス低減効果が見られた。
【0085】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状高分子の側鎖に一般式(1)〜(3)で示される構造式の置換基のうちの少なくとも一つを有するRNAウイルス感染阻止化合物をRNAウイルス感染阻止剤として含有することを特徴とするRNAウイルス感染阻止塗料用組成物。
【化1】


(m,n及びpはそれぞれ0〜2の整数を示し、R1〜R19はそれぞれ、水素、カルボキシ基、スルホン酸基又はそれらの塩若しくは誘導体の何れかであって、R1〜R5のうちの少なくとも一つは、カルボキシ基、スルホン酸基又はそれらの塩若しくは誘導体であり、R6〜R12のうちの少なくとも一つは、カルボキシ基、スルホン酸基又はそれらの塩若しくは誘導体であり、R13〜R19のうちの少なくとも一つは、カルボキシ基、スルホン酸基又はそれらの塩若しくは誘導体である。)
【請求項2】
請求項1に記載のRNAウイルス感染阻止塗料用組成物を含有することを特徴とするRNAウイルス感染阻止塗料。
【請求項3】
請求項2に記載のRNAウイルス感染阻止塗料を用いて塗装されていることを特徴とするRNAウイルス感染阻止製品。
【請求項4】
RNAウイルス感染阻止化合物が、一般式(1)〜(3)で示される構造式の置換基を少なくとも一つ有する単量体を重合又は共重合してなる化合物であることを特徴とする請求項1に記載のRNAウイルス感染阻止塗料用組成物。
【化2】


(m,n及びpはそれぞれ0〜2の整数を示し、R1〜R19はそれぞれ、水素、カルボキシ基、スルホン酸基又はそれらの塩若しくは誘導体の何れかであって、R1〜R5のうちの少なくとも一つは、カルボキシ基、スルホン酸基又はそれらの塩若しくは誘導体であり、R6〜R12のうちの少なくとも一つは、カルボキシ基、スルホン酸基又はそれらの塩若しくは誘導体であり、R13〜R19のうちの少なくとも一つは、カルボキシ基、スルホン酸基又はそれらの塩若しくは誘導体である。)
【請求項5】
RNAウイルス感染阻止化合物が、ポリスチレンをスルホン化又はカルボキシル化してなる化合物であることを特徴とする請求項1に記載のRNAウイルス感染阻止塗料用組成物。
【請求項6】
非水溶性であることを特徴とする請求項1に記載のRNAウイルス感染阻止塗料用組成物。
【請求項7】
RNAウイルス感染阻止化合物を架橋することによって非水溶性とされていることを特徴とする請求項1に記載のRNAウイルス感染阻止塗料用組成物。

【公開番号】特開2011−136977(P2011−136977A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137722(P2010−137722)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】