説明

RNA依存性RNAウイルス感染を治療するためのヌクレオシドアリールホスホルアミデート

本発明は、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害剤に対する前駆体である構造式(I)


を有するヌクレオシドアリールホスホルアミデートを提供する。前記化合物は、RNA依存性RNAウイルス複製の阻害剤に対する前駆体であり、RNA依存性RNAウイルス感染の治療のために有用である。前記化合物は、C型肝炎ウイルス(HCV)NS5Bポリメラーゼの阻害剤に対する前駆体として、HCV複製の阻害剤に対する前駆体として、及び/またはC型肝炎感染の治療のために特に有用である。本発明はまた、前記ヌクレオシドアリールホスホルアミデートを単独でまたはRNA依存性RNAウイルス感染(特に、HCV感染)に対して活性な他の物質と組み合わせて含む医薬組成物も記載している。本発明のヌクレオシドアリールホスホルアミデートを用いるRNA依存性RNAポリメラーゼの阻害方法、RNA依存性RNAウイルス複製の阻害方法及び/またはRNA依存性RNAウイルス感染の治療方法も開示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヌクレオシドアリールホスホルアミデート、その合成、及びRNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害剤に対する前駆体としてのその使用に関する。本発明の化合物はRNA依存性RNAウイルス複製の阻害剤に対する前駆体であり、従ってRNA依存性RNAウイルス感染を治療するために有用である。本発明の化合物は、C型肝炎ウイルス(HCV)NS5Bポリメラーゼ阻害剤に対する前駆体として、HCV複製の阻害剤に対する前駆体として、及びC型肝炎感染の治療のために特に有用である。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染は、世界の人口の2〜15%と推定されている感染者の実質数を肝硬変や肝細胞癌のような慢性肝疾患に至らしめる重大な健康問題である。米国疾病管理センターによれば、米国だけでも感染者は450万人と推定されている。世界保健機構によれば、世界中での感染者は2億人以上であり、毎年少なくとも300〜400万人が感染している。いったん感染すると、感染者の約20%でウイルスが除去され、残りの感染者は人生の残りの間HCVを保有している。慢性感染者の10〜20%はついには肝臓を壊す肝硬変または癌を発症する。ウイルス疾患は、汚染された血液や血液製剤及び汚染された針により非経口的に、または性的に、感染者または保菌者の母親から子供へと縦に伝播される。HCV感染に対する現在の治療は組換えインターフェロン−αを単独でまたはヌクレオシドアナログのリバビリンと併用する免疫治療に限られており、限られた臨床効果しか得られていない。更には、HCVに対して樹立されたワクチンはない。その結果、慢性HCV感染を効果的に根絶させる改良された治療薬が緊急に要望されている。HCV感染の治療の技術水準は検討されており、以下の刊行物を参照されたい:B.Dymockら,“Novel approaches to the treatment of hepatitis C virus infection”,Antiviral Chemistry & Chemotherapy,11:79−96(2000);H.Rosenら,“Hepatitis C virus:current understanding and prospects for future therapies”,Molecular Medicine Today,5:393−399(1999);D.Moradpourら,“Current and evolving therapies for hetpatitis C”,European J.Gastroenterol.Hepatol.,11:1189−1202(1999);R.Bartenschlager,“Candidate Targets for Hepatitis C Virus−Specific Antiviral Therapy”,Interviroloagy,40:378−393(1997);G.M.Lauer and B.D.Walker,“Hepatitis C Virus Infection”,N.Engl.J.Med.,345:41−52(2001);B.W.Dymock,“Emerging therapies for hepatitis C virus infection”,Emerging Drugs,6:13−42(2001);及びC.Crabb,“Hard−Won Advances Spark Excitement about Hepatitis C”,Science:506−507(2001)。これらの内容は全文を参照により本明細書中に含まれるとする。
【0003】
HCV治療に対する別のアプローチも採用されており、その中にはウイルス性セリンプロテイナーゼ(NS3プロテアーゼ)、ヘリカーゼ及びRNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5B)の阻害並びにワクチンの製造が含まれる。
【0004】
HCVビリオンは、約3,010アミノ酸のポリタンパク質をコードする約9600塩基の単一オリゴリボヌクレオチドゲノム配列を有する包膜プラス鎖ウイルスである。HCV遺伝子のタンパク質産物は構造タンパク質C、E1及びE2、並びに非構造タンパク質NS2、NS3、NS4A及びNS4B、NS5A及びNS5Bから構成されている。非構造(NS)タンパク質はウイルス複製に対する触媒機構を与えると考えられている。NS3プロテアーゼはポリタンパク質鎖からRNA依存性RNAポリメラーゼであるNS5Bを放出させる。HCVの複製サイクルにおける鋳型として役立つ一本鎖ウイルス性RNAから二本鎖RNAを合成するためにはHCV NS5Bポリメラーゼが必要である。従って、NS5BポリメラーゼはHCV複製コンプレックスにおける必須成分であると考えられている[K.Ishiら,“Expression of Hepatitis C Virus NS5B Protein:Characterization of Its RNA Polymerase Activity and RNA Binding”,Hepatology,29:1227−1235(1999);及びV.Lohmannら,“Biochemical and Kinetic Analyses of NS5B RNA−Dependent RNA Polymerase of the Hepatitis C Virus”,Virology,249:108−118(1998)参照]。HCV NS5Bポリメラーゼを阻害すると二本鎖HCV RNAの形成が防止され、よって該阻害はHCV特異的抗ウイルス治療を開発するための魅力的なアプローチとなる。
【0005】
HCV感染治療の可能性を有するHCV NS5Bポリメラーゼの阻害剤の開発はM.P.Walkerら,“Promising candidates for the treatment of chronic hepatitis C”,Expert Opin.Invest.Drugs,12:1269−1280(2003);及びP.Hoffmannら,“Recent patents on experimental therapy for hepatitis C virus infection(1999−2002)”,Expert Opin.Ther.Patents,13:1707−1723(2003)で検討されている。HCVポリメラーゼに対するプリンリボヌクレオシドの活性はA.E.Eldrupら,“Structure−Activity Relationship of Purine Ribonucleosides for Inhibition of HCV RNA−Dependent RNA Polymerase”,J.Med.Chem.,47:2283−2295(2004)に報告されている。HCV治療に対する治療アプローチとしてのHCVポリメラーゼの阻害剤として構造的に異なるヌクレオシド誘導体が必要とされ続けている。
【0006】
今回、本発明のヌクレオシドアリールホスホルアミデートがRNA依存性RNAウイルス複製(特に、HCV複製)の強力な阻害剤に対する前駆体であることが判明した。ホスホルアミデートはインビボでヌクレオシド5’−ホスフェート(ヌクレオチド)誘導体に変換され、後者はRNA依存性RNAウイルスポリメラーゼ(特に、HCV NS5Bポリメラーゼ)の阻害剤である対応のヌクレオシド5’−トリホスフェート誘導体に変換される。本発明のヌクレオシドホスホルアミデートはRNA依存性RNAウイルス感染(特に、HCV感染)を治療するために有用である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害剤に対する前駆体として(特に、HCV NS5Bポリメラーゼの阻害剤に対する前駆体として)有用なヌクレオシドアリールホスホルアミデートを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルスの複製の阻害剤に対する前駆体として(特に、C型肝炎ウイルスの複製の阻害剤に対する前駆体として)有用なヌクレオシドアリールホスホルアミデートを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルス感染の治療(特に、HCV感染の治療)において有用なヌクレオシドアリールホスホルアミデートを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、本発明のヌクレオシドアリールホスホルアミデートを医薬的に許容され得る担体と一緒に含む医薬組成物を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害剤に対する前駆体として(特に、HCV NS5Bポリメラーゼの阻害剤に対する前駆体として)使用するための本発明のヌクレオシドアリールホスホルアミデートを含む医薬組成物を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルス複製の阻害剤に対する前駆体として(特に、HCV複製の阻害剤に対する前駆体として)使用するための本発明のヌクレオシドアリールホスホルアミデートを含む医薬組成物を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルス感染の治療(特に、HCV感染の治療)において使用するための本発明のヌクレオシドアリールホスホルアミデートを含む医薬組成物を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、本発明のヌクレオシドアリールホスホルアミデートをRNA依存性RNAウイルスに対して(特に、HCV)に対して活性な他の物質と一緒に含む医薬組成物を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害(特に、HCV NS5Bポリメラーゼの阻害)方法を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルス複製の阻害(特に、HCV複製の阻害)方法を提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルス感染の治療(特に、HCV感染の治療)方法を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルスに対して活性な他の物質と組み合わせたRNA依存性RNAウイルス感染の治療(特に、HCVに対して活性な他の物質と組み合わせたHCV感染の治療)方法を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルス複製の阻害のため及び/またはRNA依存性RNAウイルス感染の治療(特に、HCV複製の阻害及び/またはHCV感染の治療)用薬剤として使用するためのヌクレオシドアリールホスホルアミデート及びその医薬組成物を提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルス複製の阻害及び/またはRNA依存性RNAウイルス感染の治療(特に、HCV複製の阻害及び/またはHCV感染の治療)用薬剤を製造するための本発明のヌクレオシドアリールホスホルアミデート及びその医薬組成物の使用を提供することである。
【0021】
これらの目的及び他の目的は以下の詳細説明から容易に明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0022】
発明の要旨
本発明は、指定する立体化学配置を有する構造式I
【0023】
【化5】

[式中、
nは0、1または2であり;
Arはフェニル、ナフチル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリル、キノリニルまたはイソキノリニルであり、Arは場合によりハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルカルボニルオキシ及びC1−4アルキルオキシカルボニルからなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されており;
は水素またはフルオロであり;
はフルオロ、メトキシまたはOR10であり;
は水素、C1−16アルキルカルボニル、C2−18アルケニルカルボニル、C1−10アルキルオキシカルボニル、C3−6シクロアルキルカルボニル、C3−6シクロアルキルオキシカルボニル、及び構造式
【0024】
【化6】

を有するアミノアシル残基からなる群から選択され;
10は水素、C1−16アルキルカルボニル、C2−18アルケニルカルボニル、C1−10アルキルオキシカルボニル、C3−6シクロアルキルカルボニル、C3−6シクロアルキルオキシカルボニル、及び構造式
【0025】
【化7】

を有するアミノアシル残基からなる群から選択され;或いは
及びR10はこれらが結合している酸素原子と一緒になって、5員環状カーボネートを形成し;
は水素、C1−5アルキル、フェニルまたはベンジル(前記アルキルは場合によりフッ素、ヒドロキシ、メトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、グアニジノ、メルカプト、メチルチオ、1H−イミダゾリル及び1H−インドル−3−イルからなる群から選択される1個の置換基で置換されており、前記したフェニル及びベンジルは場合によりハロゲン、ヒドロキシ及びメトキシからなる群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換されている)であり;
は水素またはメチルであり;或いは
及びRはこれらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜6員脂肪族スピロ環式環系を形成し;
は水素、C1−16アルキル、C2−20アルケニル、(CH3−6シクロアルキル、フェニル、ベンジルまたはアダマンチル(前記したアルキル、アルケニル、シクロアルキル及びアダマンチルは場合によりハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、C1−4アルコキシから独立して選択される1〜3個の置換で置換基されており、前記したフェニル及びベンジルは場合によりハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルコキシ、トリフルオロメチル及びトリフルオロメトキシから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている)であり;
は水素、C1−5アルキルまたはフェニルC0−2アルキルであり;
は水素、C1−4アルキル、C1−4アシル、ベンゾイル、C1−4アルキルオキシカルボニル、フェニルC0−2アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルアミノカルボニル、フェニルC0−2アルキルアミノカルボニル、C1−4アルキルスルホニルまたはフェニルC0−2アルキルスルホニルであり;
は水素、C1−8アルキルカルボニルまたはC1−8アルキルオキシカルボニルである。]
を有する化合物及びその医薬的に許容され得る塩に関する。
【0026】
式Iを有する化合物は、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼ(特に、HCV NS5Bポリメラーゼ)阻害剤に対する前駆体として有用である。これらの化合物はRNA依存性RNAウイルス複製(特に、HCV複製)の阻害剤に対する前駆体でもあり、RNA依存性RNAウイルス感染の治療(特に、HCV感染の治療)のために有用である。
【0027】
作用メカニズムを限定しないが、本発明のアリールホスホルアミデートは対応のヌクレオシド5’−モノホスフェートの前駆体として作用する。内因性キナーゼ酵素は5’−モノホスフェートをRNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害剤である5’−トリホスフェート誘導体に変換する。よって、アリールホスホルアミデートは、ヌクレオシドそれ自体よりもより効率的に標的細胞に浸透し、代謝分解を受けにくくなり、特定組織(例えば、肝臓)を標的する能力を有し得るので、治療指数はより広くなり、抗ウイルス剤の全用量を低下させることができる。
【0028】
本発明の化合物を単独で、またはRNA依存性RNAウイルス(特に、HCV)に対して活性な他の物質と組み合わせて含む医薬組成物、並びにRNA依存性RNAウイルス複製の阻害方法及びRNA依存性RNAウイルス感染の治療方法も本発明の範囲に包含される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
発明の詳細な説明
本発明は、指定する立体化学配置を有する構造式I
【0030】
【化8】

[式中、
nは0、1または2であり;
Arはフェニル、ナフチル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリル、キノリニルまたはイソキノリニルであり、Arは場合によりハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルカルボニルオキシ及びC1−4アルキルオキシカルボニルからなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されており;
は水素またはフルオロであり;
はフルオロ、メトキシまたはOR10であり;
は水素、C1−16アルキルカルボニル、C2−18アルケニルカルボニル、C1−10アルキルオキシカルボニル、C3−6シクロアルキルカルボニル、C3−6シクロアルキルオキシカルボニル、及び構造式
【0031】
【化9】

を有するアミノアシル残基からなる群から選択され;
10は水素、C1−16アルキルカルボニル、C2−18アルケニルカルボニル、C1−10アルキルオキシカルボニル、C3−6シクロアルキルカルボニル、C3−6シクロアルキルオキシカルボニル、及び構造式
【0032】
【化10】

を有するアミノアシル残基からなる群から選択され;或いは
及びR10はこれらが結合している酸素原子と一緒になって、5員環状カーボネートを形成し;
は水素、C1−5アルキル、フェニルまたはベンジル(前記アルキルは場合によりフッ素、ヒドロキシ、メトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、グアニジノ、メルカプト、メチルチオ、1H−イミダゾリル及び1H−インドル−3−イルからなる群から選択される1個の置換基で置換されており、前記したフェニル及びベンジルは場合によりハロゲン、ヒドロキシ及びメトキシからなる群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換されている)であり;
は水素またはメチルであり;或いは
及びRはこれらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜6員脂肪族スピロ環式環系を形成し;
は水素、C1−16アルキル、C2−20アルケニル、(CH3−6シクロアルキル、フェニル、ベンジルまたはアダマンチル(前記したアルキル、アルケニル、シクロアルキル及びアダマンチルは場合によりハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、C1−4アルコキシから独立して選択される1〜3個の置換で置換基されており、前記したフェニル及びベンジルは場合によりハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルコキシ、トリフルオロメチル及びトリフルオロメトキシから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている)であり;
は水素、C1−5アルキルまたはフェニルC0−2アルキルであり;
は水素、C1−4アルキル、C1−4アシル、ベンゾイル、C1−4アルキルオキシカルボニル、フェニルC0−2アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルアミノカルボニル、フェニルC0−2アルキルアミノカルボニル、C1−4アルキルスルホニルまたはフェニルC0−2アルキルスルホニルであり;
は水素、C1−8アルキルカルボニルまたはC1−8アルキルオキシカルボニルである。]
を有する化合物及びその医薬的に許容され得る塩に関する。
【0033】
式Iを有する化合物は、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害剤に対する前駆体として有用である。これらの化合物はRNA依存性RNAウイルス複製の阻害剤に対する前駆体でもあり、RNA依存性RNAウイルス感染を治療するために有用である。
【0034】
本発明化合物の1つの実施態様において、Rは水素またはフルオロであり、Rはヒドロキシであり、Rは水素である。この実施態様のクラスにおいて、Rは水素である。
【0035】
本発明化合物の第2の実施態様において、Rは水素またはフルオロであり、Rはフルオロであり、Rは水素である。この実施態様のクラスにおいて、Rは水素である。
【0036】
本発明化合物の第3の実施態様において、Arは場合によりハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、トリフルオロメチル,トリフルオロメトキシ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルカルボニルオキシ及びC1−4アルキルオキシカルボニルからなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されているフェニルである。この実施態様のクラスにおいて、Arはハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルカルボニルオキシ及びC1−4アルキルオキシカルボニルからなる群から独立して選択される3〜5個の置換基で置換されているフェニルである。このクラスのサブクラスにおいて、Arはハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルカルボニルオキシ及びC1−4アルキルオキシカルボニルからなる群から独立して選択される3個の置換基で置換されているフェニルである。この第3の実施態様の別のクラスにおいて、Arは未置換フェニルである。
【0037】
本発明化合物の第4の実施態様において、Arは未置換1−ナフチルである。
【0038】
本発明化合物の第5の実施態様において、Arはインドリルである。この実施態様のクラスにおいて、Arは1H−インドル−5−イルである。
【0039】
本発明化合物の第6の実施態様において、Rは水素であり、Rは水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、イソブチル、2−メチル−1−プロピル、ヒドロキシメチル、フルオロメチル、メルカプトメチル、カルボキシメチル、カルバモイルメチル、1−ヒドロキシエチル、2−カルボキシエチル、2−カルバモイルエチル、2−メチルチオエチル、4−アミノ−1−ブチル、3−アミノ−1−プロピル、3−グアニジノ−1−プロピル、1H−イミダゾル−4−イルメチル、フェニル、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル及び1H−インドル−3−イルメチルからなる群から選択される。この実施態様のクラスにおいて、Rはメチルまたはベンジルである。このクラスのサブクラスにおいて、Rはメチルである。
【0040】
本発明化合物の第7の実施態様において、RはC1−8アルキル、シクロヘキシルまたはシクロペンチルである。この実施態様のクラスにおいて、Rはエチルまたはブチルである。この実施態様の別のクラスにおいて、Arはインドリルである。
【0041】
本発明化合物の第8の実施態様において、RはC7−16アルキルである。この実施態様のクラスにおいて、RはC8−12アルキルである。このクラスのサブクラスにおいて、RはCアルキルである。このサブクラスのサブクラスにおいて、Rは2−n−プロピル−ペンタ−1−イルである。
【0042】
本発明化合物の第9の実施態様において、Arはそれぞれが場合によりハロゲン及びC1−4アルキルから選択される1〜3個の置換基で置換されているフェニルまたはインドリルであり、Rはメチルであり、Rはエチルまたはブチルであり、Rは水素である。この実施態様のクラスにおいて、Arはインドリルである。
【0043】
本発明化合物の第10の実施態様において、R及びRは共にメチルである。
【0044】
本発明化合物の第11の実施態様において、Arは未置換フェニルであり、RはCアルキルである。この実施態様のクラスにおいて、Rは2−n−プロピル−ペンタ−1−イルである。
【0045】
RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害剤に対する前駆体として有用である構造式Iを有する本発明化合物の非限定的例を以下に示す。
【0046】
【化11】


及びこれらの医薬的に許容され得る塩。
【0047】
本発明の1つの実施態様において、本発明のヌクレオシドアリールホスホルアミデートはプラスセンス一本鎖RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害剤、プラスセンス一本鎖RNA依存性RNAウイルス複製の阻害剤に対する前駆体として及び/またはプラスセンス一本鎖RNA依存性RNAウイルス感染の治療のために有用である。この実施態様のクラスにおいて、プラスセンス一本鎖RNA依存性RNAウイルスはフラビウイルス科ウイルスまたはピコルナウイルス科ウイルスである。このクラスのサブクラスにおいて、ピコルナウイルス科ウイルスはライノウイルス、ポリオウイルスまたはA型肝炎ウイルスである。このクラスの第2サブクラスにおいて、フラビウイルス科ウイルスはC型肝炎ウイルス、黄熱ウイルス、デング熱ウイルス、西ナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、バンジウイルス及びウシ下痢症ウイルス(BVDV)からなる群から選択される。このサブクラスのサブクラスにおいて、フラビウイルス科ウイルスはC型肝炎ウイルスである。
【0048】
本発明の別の態様は、RNA依存性KNAウイルスポリメラーゼの阻害、RNA依存性RNAウイルス複製の阻害及び/またはRNA依存性RNAウイルス感染の治療を要する哺乳動物に対して治療有効量の構造式Iを有する化合物を投与することを含む前記哺乳動物におけるRNA依存性KNAウイルスポリメラーゼの阻害方法、RNA依存性RNAウイルス複製の阻害方法及び/またはRNA依存性RNAウイルス感染の治療方法に関する。
【0049】
本発明の上記態様の1つの実施態様において、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼはプラスセンス一本鎖RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼである。この実施態様のクラスにおいて、プラスセンス一本鎖RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼはフラビウイルス科ウイルスポリメラーゼまたはピコルナウイルス科ウイルスポリメラーゼである。このクラスのサブクラスにおいて、ピコルナウイルス科ウイルスポリメラーゼはライノウイルスポリメラーゼ、ポリオウイルスポリメラーゼまたはA型肝炎ウイルスポリメラーゼである。このクラスの第2サブクラスにおいて、フラビウイルス科ウイルスポリメラーゼはC型肝炎ウイルスポリメラーゼ、黄熱ウイルスポリメラーゼ、デング熱ウイルスポリメラーゼ、西ナイルウイルスポリメラーゼ、日本脳炎ウイルスポリメラーゼ、バンジウイルスポリメラーゼ及びウシ下痢症ウイルス(BVDV)ポリメラーゼからなる群から選択される。このサブクラスのサブクラスにおいて、フラビウイルス科ウイルスポリメラーゼはC型肝炎ウイルスポリメラーゼである。
【0050】
本発明の上記態様の第2の実施態様において、RNA依存性RNAウイルス複製はプラスセンス一本鎖RNA依存性RNAウイルス複製である。この実施態様のクラスにおいて、プラスセンス一本鎖RNA依存性RNAウイルス複製はフラビウイルス科ウイルス複製またはピコルナウイルス科ウイルス複製である。このクラスのサブクラスにおいて、ピコルナウイルス科ウイルス複製はライノウイルス複製、ポリオウイルス複製またはA型肝炎ウイルス複製である。このクラスの第2サブクラスにおいて、フラビウイルス科ウイルス複製はC型肝炎ウイルス複製、黄熱ウイルス複製、デング熱ウイルス複製、西ナイルウイルス複製、日本脳炎ウイルス複製、バンジウイルス複製及びウシ下痢症ウイルス複製からなる群から選択される。このサブクラスのサブクラスにおいて、フラビウイルス科ウイルス複製はC型肝炎ウイルス複製である。
【0051】
本発明の上記態様の第3の実施態様において、RNA依存性RNAウイルス感染はプラスセンス一本鎖RNA依存性ウイルス感染である。この実施態様のクラスにおいて、プラスセンス一本鎖RNA依存性RNAウイルス感染はフラビウイルス科ウイルス感染またはピコルナウイルス科ウイルス感染である。このクラスのサブクラスにおいて、ピコルナウイルス科ウイルス感染はライノウイルス感染、ポリオウイルス感染またはA型肝炎ウイルス感染である。このクラスの第2サブクラスにおいて、フラビウイルス科ウイルス感染はC型肝炎ウイルス感染、黄熱ウイルス感染、デング熱ウイルス感染、西ナイルウイルス感染、日本脳炎ウイルス感染、バンジウイルス感染及びウシ下痢症ウイルス感染からなる群から選択される。コノサブクラスのサブクラスにおいて、フラビウイルス科ウイルス感染はC型肝炎ウイルス感染である。
【0052】
本明細書を通して以下の用語は指定した意味を有する。
【0053】
上に特定したアルキル基は、直鎖または分岐状で指定した長さを有するアルキル基を含むと意図される。アルキル基の例はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル等である。
【0054】
用語「ナフチル」は、1−ナフチル(α−ナフチル)及び2−ナフチル(β−ナフチル)の両方を包含する。
【0055】
用語「アダマンチル」は、1−アダマンチル及び2−アダマンチルの両方を包含する。
【0056】
用語「場合により置換されているベンジル」は、−CHフェニル(ここで、フェニル部分は場合により置換されている)を意味する。
【0057】
用語「アルケニル」は、全部で2〜12個の炭素原子またはこの範囲内の数の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルケン(例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、オレイル等)を意味する。
【0058】
用語「シクロアルキル」は、全部で3〜8個の炭素原子またはこの範囲内の数の炭素原子を有するアルカンの環状環(すなわち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチル)を意味する。
【0059】
用語「アルコキシ」は、特定の炭素原子数を有する直鎖または分岐鎖アルコキシド(例えば、C1−4アルコキシ)またはこの範囲内の炭素原子数を有する前記アルコキシド[すなわち、メトキシ(MeO−)、エトキシ、イソプロポキシ等]を指す。
【0060】
用語「アルキルチオ」は、特定の炭素原子数を有する直鎖または分岐鎖アルキルスルフィド(例えば、C1−4アルキルチオ)またはこの範囲内の炭素原子数を有する前記アルキルスルフィド[すなわち、メチルチオ(MeS−)、エチルチオ、イソプロピルチオ等]を指す。
【0061】
用語「アルキルアミノ」は、特定の炭素原子数を有する直鎖または分岐鎖アルキルアミン(例えば、C1−4アルキルアミノ)またはこの範囲内の炭素原子数を有する前記アルキルアミン[すなわち、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノ等]を指す。
【0062】
用語「アルキルスルホニル」は、特定の炭素原子数を有する直鎖または分岐鎖アルキルスルホン(例えば、C1−6アルキルスルホニル)またはこの範囲内の炭素原子数を有する前記アルキルスルホン[すなわち、メチルスルホニル(MeSO−)、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニル等]を指す。
【0063】
用語「アルキルオキシカルボニル」は、特定の炭素原子数を有する本発明の化合物中に存在するカルボン酸またはカルバミン酸基の直鎖または分岐鎖エステル(例えば、C1−8アルキルオキシカルボニル)またはこの範囲内の炭素原子数を有する前記エステル[すなわち、メチルオキシカルボニル(MeOCO−)、エチルオキシカルボニルまたはブチルオキシカルボニル]を指す。
【0064】
用語「アルキルカルボニル」は、特定の炭素原子数を有する直鎖または分岐鎖アルキルアシル基(例えば、C1−8アルキルカルボニル)またはこの範囲内の炭素原子数を有する前記アルキルアシル基[すなわち、メチルオキシカルボニル(MeOCO−)、エチルオキシカルボニルまたはブチルオキシカルボニル]を指す。
【0065】
用語「ハロゲン」は、ハロゲン原子のフッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含むと意図される。
【0066】
用語「ホスホリル」は、−P(O)(OH)−を指す。
【0067】
用語「ジホスホリル」は、構造
【0068】
【化12】

を有する基を指す。
【0069】
用語「トリホスホリル」は、構造
【0070】
【化13】

を有する基を指す。
【0071】
用語「5員環式カーボネート環」は、C−2及びC−3ヒドロキシルをカルボニル化試薬(例えば、ホスゲン及び1,1’−カルボニルジイミダゾール)でアシル化することによりヌクレオシドのフラノース環のC−2及びC−3位で形成された以下の環系
【0072】
【化14】

を指す。
【0073】
及びR10のアミノアシル残基実施態様中のRが式
【0074】
【化15】

中の水素原子以外の置換基であるとき、アミノアシル残基は不斉中心を含み、個々のR−及びS−立体異性体並びにRS−ジアステレオマー混合物を含むと意図される。1つの実施態様において、ステレオジェン炭素での立体化学はS−アミノ酸の立体化学、すなわち、式
【0075】
【化16】

に示すような天然のα−アミノ酸立体化学に相当する。
【0076】
用語「置換されている」は、記載されている置換基による複数の置換を含むと見なされる。複数の置換基部分が開示または特許請求されている場合、置換されている化合物は独立して1個以上の開示または特許請求されている置換基部分により単独でまたは複数で置換され得る。
【0077】
用語「5’−トリホスフェート」は、以下の一般構造式II
【0078】
【化17】

(式中、R、R、R及びRは上に定義した通りである。)
を有する本発明のヌクレオシド化合物の5’−ヒドロキシル基のトリリン酸エステル誘導体を指す。
【0079】
医薬組成物中のような用語「組成物」は、活性成分と担体を構成する不活性成分を含む製品、並びに2つ以上の成分の組合せ、複合体化または集合から、1つ以上の成分の解離から、または1つ以上の成分の他のタイプの反応または相互作用から直接または間接的に生ずる製品を包含すると意図される。従って、本発明の医薬組成物は本発明化合物及び医薬的に許容され得る担体を混合することにより作成される組成物を包含する。
【0080】
用語「化合物の投与」及び「化合物を投与する」は、本発明化合物または本発明化合物のプロドラッグを必要な個人に対して与えることを意味すると理解されるべきである。
【0081】
本発明の別の態様は、本発明化合物をHCV感染を治療するために有用な1つ以上の物質と一緒に用いるHCV NS5Bポリメラーゼの阻害、HCV複製の阻害またはHCV感染の治療方法に関する。HCVに対して活性な物質にはリバビリン、レボビリン、ビラミジン、ニタゾキサニド、チモシンα−1、インターフェロン−β、インターフェロン−α、ペグ化インターフェロン−α(ペグインターフェロン−α)、インターフェロン−αとリバビリンの組合せ、ペグインターフェロン−αとリバビリンの組合せ、インターフェロン−αとレボビリンの組合せ、及びペグインターフェロン−αとレボビリンの組合せが含まれるが、これらに限定されない。インターフェロン−αには組換えインターフェロン−α2a(例えば、ニュージャージ州ナットリーに所在のΗoffmann−LaRochから入手可能なRoferonインターフェロン)、ペグ化インターフェロン−α2a(Pegasys(商品名))、インターフェロン−α2b(例えば、ニュージャージ州ケニルワースに所在のSchering Corp.から入手可能なIntron−Aインターフェロン)、ペグ化インターフェロン−α2b(PegIntron(商品名))、組換えコンセンサスインターフェロン(例えば、インターフェロンアルファコン−1)及び精製インターフェロン−α製品が含まれるが、これらに限定されない。Amgenの組換えコンセンサスはInfergen(登録商標)のブランド名を有する。レボビリンは、リバビリンに類似の免疫調節活性を有するリバビリンのL−エナンチオマーである。ビラミジンはWO 01/60379(ICN Pharmaceuticalsに譲渡)に開示されているリバビリンのアナログに相当する。本発明の方法に従って、配合剤の各成分は治療中異なる時期に別々に投与してもよく、分割または単一配合剤形態で同時に投与してもよい。従って、本発明は、同時または交互治療のすべてのレジメンを含むと理解され、用語「投与する」はそのように解釈される。本発明化合物とHCV感染の治療のために有用な他の物質の組合せの範囲には原則としてHCV感染を治療するための医薬組成物との組合せが含まれる。本発明化合物またはその医薬的に許容され得る塩をHCVに対して活性な第2治療薬と一緒に使用する場合、各化合物の用量は当該化合物を単独で使用するときの用量と同じであっても異なっていてもよい。
【0082】
HCV感染を治療するために、本発明化合物をHCV NS3セリンプロテアーゼ阻害剤である物質と一緒にも投与され得る。HCV NS3セリンプロテアーゼは必須のウイルス酵素であり、HCV複製の阻害に対する優れた標的であると記載されている。HCV NS3プロテアーゼ阻害剤の基質及び非基質ベースの阻害剤はWO 98/22496、WO 98/46630、WO 99/07733、WO 99/07734、WO 99/38888、WO 99/50230、WO 99/64442、WO 00/09543、WO 00/59929、GB−2337262、WO 02/18369、WO 02/08244、WO 02/48116、WO 02/48172、WO 05/037214及び米国特許6,323,180に記載されている。HCV複製の阻害剤を開発するため及びHCV感染を治療するための標的としてのHCV NS3プロテアーゼは、B.W.Dymock,“Emerging therapies for hepatitis C virus infection”,Emerging Drugs,6:13−42(2001)に記載されている。本発明化合物と組み合わされ得る具体的HCV NS3プロテアーゼ阻害剤にはBILN2061、VX−950、SCH6、SCH7及びSCH−503034が含まれる。
【0083】
リバビリン、レボビリン及びビラミジンは、細胞内酵素イノシンモノホスフェートデヒドロゲナーゼ(IMPDH)を阻害してグアニンヌクレオチドの細胞内プールをモジュレートすることにより抗HCV効果を発揮し得る。IMPDHはデノボグアニンヌクレオチド生合成における生合成ルートに対する律速酵素である。リバビリンは細胞内的に容易にリン酸化され、モノホスフェート誘導体はIMPDHの阻害剤の阻害剤である。よって、IMPDHの阻害はHCV複製の阻害剤を見つけるための別の有用な標的である。従って、本発明化合物はWO 97/41211及びWO 01/00622(Vertexに譲渡)に開示されているVX−497のようなIMPDH阻害剤、WO 00/25780(Bristol−Myers Squibbに譲渡)に開示されているような別のIMPDH阻害剤、またはミコフェノレートモフェチル[A.C.Allison and E.M.Eugui,Agents Action,44(Suppl.):165(1993)参照]と一緒にも投与され得る。
【0084】
HCV感染を治療するために、本発明化合物は抗ウイルス剤のアマンタジン(1−アミノアダマンタン)[この物質についての包括的記載については、J.Kirschbaum,Anal.Profiles Drug Subs.,12:1−36(1983)参照]と一緒にも投与され得る。
【0085】
本発明化合物は、HCV感染を治療するためにR.E.Harry−O’kuruら,J.Org.Chem.,62:1754−1759(1997)、M.S.Wolfe,ら,Tetrahedron Lett.,36:7611−7614(1995)、米国特許3,480,613(1969年11月25日)、米国特許6,777,395(2004年8月17日)、米国特許6,914,054(2005年7月5日)、国際特許WO 01/90121(2001年11月29日)、WO 01/92282(2001年12月6日)、WO 02/32920(2002年4月25日)、WO 02/057287(2002年7月25日)、WO 02/057425(2002年7月25日)、WO 04/002422(2004年1月8日)、WO 04/002999(2004年1月8日)、WO 04/003000(2004年1月8日)、WO 04/002422(2004年1月8日)、米国特許出願2005/0107312、US 2005/0090463、US 2004/0147464及びUS 2004/0063658に開示されている抗ウイルス性2−C−分岐状リボヌクレオシドとも組み合わされ得る。これらの文献の各々は全文を参照により本明細書中に含まれるとする。2’−C−分岐状リボヌクレオシドには2’−C−メチルシチジン、2’−フルオロ−2’−C−メチルシチジン、2’−C−メチルシチジン、2’−C−メチルウリジン、2’−C−メチルアデノシン、2’−C−メチルグアノシン及び9−(2−C−メチル−β−Dリボフラノシル)−2,6−ジアミノプリン;フラノースC−2’,C−3’及びC−5’ヒドロキシルの対応アミノ酸エステル(例えば、バロピシタビン二塩酸塩またはNM−283とも称される3’−O−(L−バリル)−2’−C−メチルシチジン二塩酸塩、及び3’−O−(L−バレリル)−2’−フルオロ−2’−C−メチルシチジン)、並びに5’−ホスフェート誘導体の対応する場合により置換されている環状1,3−プロパンジオールエステルが含まれるが、これらに限定されない。
【0086】
本発明化合物は、HCV感染を治療するために抗HCV性を有する他のヌクレオシド、例えば米国特許6,864,244(2005年3月8日);Mitsubishi Pharma Corp.に譲渡されているWO 02/51425(2002年7月4日);Pharmasset,Ltd.に譲渡されているWO 01/79246、WO 02/32920及びWO 02/48165(2002年6月20日);ICN Pharmaceuticalsに譲渡されているWO 01/68663(2001年9月20日);WO 99/43691(1999年9月2日);Hoffmann−LaRocheに譲渡に譲渡されているWO 02/18404(2002年3月7日);U.S.2002/0019363(2002年2月14日);WO 02/100415(2002年12月19日);WO 03/026589(2003年4月3日);WO 03/026675(2003年4月3日);WO 03/093290(2003年11月13日);US 2003/0236216(2003年12月25日);US 2004/0006007(2004年1月8日);WO 04/011478(2004年2月5日);WO 04/013300(2004年2月12日);US 2004/0063658(2004年4月1日);及びWO 04/028481(2004年4月8日)に開示されているものとも組み合わされ得る。
【0087】
1つの実施態様では、本発明のヌクレオシド誘導体と組み合わされ得るヌクレオシドHCV NS5Bポリメラーゼ阻害剤は、4’−アジド−シチジン、4−アミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン、4−アミノ−7−(2−C−ヒドロキシメチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン、4−アミノ−7−(2−C−フルオロメチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン、4−アミノ−5−フルオロ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン、2−アミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オン、4−アミノ−7−(2−C,2−O−ジメチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン、並びにその医薬的に許容され得る塩及びプロドラッグから選択される。
【0088】
本発明化合物は、HCV感染を治療するためにHCVポリメラーゼの非ヌクレオシド阻害剤、例えばTularik,Inc.に譲渡されているWO 01/77091(2001年10月18日)、Japan Tobacco,Inc.に譲渡されているWO 01/47883(2001年7月5日)、Boehringer Ingelheimに譲渡されているWO 02/04425(2002年1月17日)、Istituto di Ricerche di Biologia Moleculare P.Angeletti S.P.A.に譲渡されているWO 02/06246(2002年1月24日)、WO 02/20497(2002年3月3日)、Japan Tobacco,Inc.に譲渡されているWO 2005/016927(特にJTK003)に開示されているもの、並びにHCV−796(Viropharma Inc.)とも組み合わされ得る。前記文献の各々は全文を参照により本明細書中に含まれるとする。
【0089】
1つの実施態様では、本発明のヌクレオシド誘導体と組み合わされ得る非ヌクレオシドHCV NS5Bポリメラーゼ阻害剤は、14−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸、14−シクロヘキシル−6−(2−モルホリン−4−イルエチル)−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸、14−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−3−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸、14−シクロヘキシル−3−メトキシ−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸、({[(14−シクロヘキシル−3−メトキシ−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−イル)カルボニル]アミノ}スルホニル)酢酸メチル、({[(14−シクロヘキシル−3−メトキシ−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−イル)カルボニル]アミノ}スルホニル)酢酸、14−シクロヘキシル−N−[(ジメチルアミノ)スルホニル]−3−メトキシ−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキサミド、3−クロロ−14−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸、N’−(11−カルボキシ−14−シクロヘキシル−7,8−ジヒドロ−6H−インドロ[1,2−e][1,5]ベンゾオキサゾシン−7−イル)−N,N−ジメチルエタン−1,2−ジアミニウムビス(トリフルオロ酢酸塩)、14−シクロヘキシル−7,8−ジヒドロ−6H−インドロ[1,2−e][1,5]ベンゾオキサゾシン−11−カルボン酸、14−シクロヘキシル−6−メチル7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸、14−シクロヘキシル−3−メトキシ−6−メチル−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸、14−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−3−メトキシ−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸、14−シクロヘキシル−6−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸、14−シクロヘキシル−7−オキソ−6−(2−ピペリジン−1−イルエチル)−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸、14−シクロヘキシル−6−(2−モルホリン−4−イルエチル)−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸、14−シクロヘキシル−6−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸、14−シクロヘキシル−6−(1−メチルピペリジン−4−イル)−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸、14−シクロヘキシル−N−[(ジメチルアミノ)スルホニル]−7−オキソ−6−(2−ピペリジン−1−イルエチル)−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキサミド、14−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−[(ジメチルアミノ)スルホニル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキサミド、14−シクロペンチル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸、14−シクロヘキシル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸、6−アリル−14−シクロヘキシル−3−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸、14−シクロペンチル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸、14−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸、13−シクロヘキシル−5−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロフロ[3’,2’:6,7][1,4]ジアゾシノ[1,8−a]インドール−10−カルボン酸、15−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−7−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−インドロ[2,1−a][2,6]ベンゾジアゾニン−12−カルボン酸、15−シクロヘキシル−8−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−インドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾニン−12−カルボン酸、13−シクロヘキシル−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[1,2−a][1,4]ベンゾジアゼピン−10−カルボン酸、並びにその医薬的に許容され得る塩から選択される。
【0090】
「医薬的に許容され得る」は、担体、希釈剤または賦形剤が製剤の他の成分と相容性でなければならず、そのレシピエントにとって有害でないことを意味する。
【0091】
本発明の範囲には、本発明のヌクレオシドアリールホスホルアミデートを医薬的に許容され得る担体と一緒に含む医薬組成物も含まれる。本発明の別の例は、上記した化合物を医薬的に許容され得る担体と組み合わせることにより製造される医薬組成物である。本発明の別の例は、上記した化合物を医薬的に許容され得る担体と組み合わせることを含む医薬組成物の製造方法である。
【0092】
本発明の範囲には、有効量の本発明化合物及び医薬的に許容され得る担体を含むRNA依存性RNAウイルスポリメラーゼ(特に、ΗCV NS5Bポリメラーゼ)を阻害するために有用な医薬組成物も含まれる。RNA依存性RNAウイルス感染(特に、ΗCV感染)を治療するために有用な医薬組成物、並びにRNA依存性RNAウイルスポリメラーゼ(特に、ΗCV NS5Bポリメラーゼ)の阻害方法及びRNA依存性ウイルス複製(特に、ΗCV複製)の治療方法も本発明に包含される。更に、本発明は、治療有効量の本発明化合物を治療有効量のRNA依存性RNAウイルス(特に、ΗCV)に対して活性な別の物質と一緒に含む医薬組成物に関する。ΗCVに対して活性な物質にはリバビリン、レボビリン、ビラミジン、チモシンα−1、ΗCV NS3セリンプロテアーゼ阻害剤、インターフェロン−α、ペグ化インターフェロン−α(ペグインターフェロン−α)、インターフェロン−αとリバビリンの組合せ、及びペグインターフェロン−αとリバビリンの組合せ、インターフェロン−αとレボビリンの組合せ、及びペグインターフェロン−αとレボビリンの組合せが含まれるが、これらに限定されない。インターフェロン−αには組換えインターフェロン−α2a(例えば、ニュージャージ州ナットリーに所在のΗoffmann−LaRochから入手可能なRoferonインターフェロン)、インターフェロン−α2b(例えば、ニュージャージ州ケニルワースに所在のSchering Corp.から入手可能なIntron−Aインターフェロン)、コンセンサスインターフェロ及び精製インターフェロン−α製品が含まれるが、これらに限定されない。リバビリン及びそのΗCVに対する活性を検討するためには、J.O.Saunders and S.A.Raybuck,“Inosine Monophosphate Dehydrogenase:Consideration of Structure,Kinetics,and Therapeutic Potential”,Ann.Rep.Med.Chem.,35:201−210(2000)を参照されたい。
【0093】
本発明の別の態様は、RNA依存性RNAウイルス複製(特に、ΗCV複製)の阻害及び/またはRNA依存性RNAウイルス感染(特に、ΗCV感染)の治療のための薬剤を製造するためのヌクレオシドアリールホスホルアミデート及びその医薬組成物の使用を提供する。本発明の更なる態様は、RNA依存性RNAウイルス複製(特に、HCV複製)を阻害するため及び/またはRNA依存性RNAウイルス感染(特に、HCV感染)を治療するための薬剤として使用するヌクレオシドアリールホスホルアミデート及びその医薬組成物を提供する。
【0094】
本発明の医薬組成物は、活性成分として構造式Iを有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩を含み、医薬的に許容され得る担体及び場合により他の治療成分をも含み得る。
【0095】
前記組成物には経口、直腸内、局所、非経口(皮下、筋肉内及び静脈内を含む)、眼内(眼用)、経肺(鼻腔内または口腔内吸入)、または鼻腔内投与に適した組成物が含まれるが、いずれの場合も最も適当なルートは治療対象の状態の種類及び重症度、活性成分の種類に依存する。組成物を単位投与形態で提供することが便利であり、製薬業界で公知の方法により製造され得る。
【0096】
実際の使用に際し、構造式Iを有する化合物は活性成分として慣用の医薬混合技術に従って医薬用担体と均密混合した状態で組み合わされ得る。担体は投与したい製剤、例えば経口または非経口(静脈内を含む)のために所望される製剤の形態に依存して広範囲の形態をとり得る。経口剤形の組成物を製造する際、一般的な医薬媒体、例えば懸濁液剤、エリキシル剤や溶液剤のような経口液体製剤の場合には水、グリコール、油、アルコール、着香料、保存剤、着色料等;散剤、硬及び軟カプセル剤や錠剤のような経口固体製剤の場合にはデンプン、糖、結晶セルロース、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等のような担体が使用され得る。固体経口剤形が液体製剤よりも好ましい。
【0097】
投与が容易であるので、明らかに固体医薬用担体が使用されている錠剤及びカプセル剤が最も有利な経口投与単位形態に相当する。所望により、錠剤に標準の水性または非水性技術によりコーティングを被せてもよい。組成物及び製剤は少なくとも0.1%の活性化合物を含んでいなければならない。前記組成物中の活性化合物の%は勿論変更可能であり、有利には単位の重量の約2〜約0%の範囲であり得る。治療上有用な組成物中の活性化合物の量は有効な用量が得られる量である。活性化合物は例えば液体滴剤またはスプレーとして鼻内にも投与され得る。
【0098】
錠剤、ピル剤、カプセル剤等は結合剤、例えばトラガカントガム、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチン;賦形剤、例えばリン酸ジカルシウム;崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム;及び甘味料、例えばスクロース、ラクトースまたはサッカリンをも含み得る。投与単位形態がカプセル剤のときには、上記したタイプの材料に加えて液体担体、例えば脂肪油を含み得る。
【0099】
コーティングとして、または投与単位の物理的形態を修飾するために各種の他の材料を存在させてもよい。例えば、錠剤にシェラック及び/または糖をコーティングしてもよい。シロップ剤またはエリキシル剤は活性成分に加えて、甘味料としてスクロース、保存剤としてメチル及びプロピルパラベン、染料及び着香料(チェリーまたはオレンジフレーバー)を含み得る。
【0100】
構造式Iを有する化合物は非経口的にも投与され得る。活性化合物の溶液剤または懸濁液剤は、界面活性剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)と適当に混合した水中で製造され得る。分散液剤は油中のグリセロール、液体ポリエチレングリコール及びその混合物を用いても製造され得る。通常の貯蔵及び使用条件下で、製剤は微生物の増殖を予防するために保存剤を含む。
【0101】
注射用に適した医薬形態には滅菌水性溶液または分散液、滅菌の注射用液体または分散液を即時調合するための滅菌粉末が含まれる。いずれの場合も、製剤は無菌でなければならず、容易に注射し得る程度に流動性でなければならない。製剤は製造及び貯蔵条件下で安定でなければならず、微生物(例えば、細菌及び真菌)の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例:グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエレングリコール)、その適当な混合物及び植物油を含有する溶媒または分散媒体であり得る。
【0102】
適当な投与ルートが哺乳動物、特にヒトに対して有効量の本発明化合物を与えるために使用され得る。例えば、経口、直腸内、局所、非経口、眼内、肺内、鼻腔内等が使用され得る。剤形には錠剤、トローチ剤、分散液剤、懸濁液剤、溶液剤、カプセル剤、クリーム剤、軟膏剤、エアゾール剤等が含まれる。構造式Iを有する化合物を経口投与することが好ましい。
【0103】
ヒトに対して経口投与する場合、用量範囲は分割量で0.01〜1000mg/kg体重である。1つの実施態様では、用量範囲は分割量で0.1〜100mg/kg体重である。別の実施態様では、用量範囲は分割量で0.5〜20mg/kg体重である。経口投与の場合、組成物を1.0〜1000mgの活性成分、特に治療対象の患者に対する用量を症状に合わせて調節するために1、5、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、750、800、900及び1000mgの活性成分を含有する錠剤またはカプセル剤の形態で提供することが好ましい。
【0104】
使用する活性成分の有効用量は使用する特定化合物、投与モード、治療しようとする状態及び治療しようとする状態の重症度に応じて変更され得る。用量は当業者により容易に確認され得る。この投与レジメンは最適の治療応答が得られるように調節され得る。
【0105】
本発明化合物は1個以上の不斉中心を含み、よってラセミ化合物及びラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在し得る。Rが水素であり、構造式I中のリン原子に結合しているアミノアシル残基中のRが式
【0106】
【化18】

中の水素以外の置換基である場合、アミノ酸残基は不斉中心を含み、個々のR−及びS−立体異性体並びにRS−立体異性体混合物が含まれると意図される。1つの実施態様では、ステレオジェン炭素での立体化学はS−アミノ酸の立体化学、すなわち下記式に示されているように天然に存在するα−アミノ酸の立体化学に相当する。
【0107】
【化19】

【0108】
構造式Iを有する化合物中のテトラ置換リンは別の不斉中心を構成し、本発明化合物はリン原子での両方の立体化学配置を含むと意図される。
【0109】
本発明は、以下の構造式
【0110】
【化20】

に示すように5員フラノース環についてβ−D立体化学配置を有するヌクレオシドアリールホスホルアミデート、すなわち5員フラノース環のC−1及びC−4の置換基がβ−立体化学配置(“上向き”配向は太線で示す)を有するヌクレオシドアリールホスホルアミデートを含むと意味する。
【0111】
本明細書中に記載されている化合物の幾つかはオレフィン二重結合を含み、別段の記載がない限りE及びZ幾何異性体の両方を含むと意味する。
【0112】
本明細書中に記載されている化合物の幾つかはケト−エノール互変異性体のような互変異性体として存在し得る。個々の互変異性体及びその混合物が構造式Iを有する化合物に包含される。本発明化合物の範囲に包含されると意図されるケト−エノール互変異性体の例を以下に示す。
【0113】
【化21】

【0114】
構造式Iを有する化合物は、例えば適当な溶媒(例えば、メタノール、酢酸エチルまたはその混合物)からの分別結晶、または光学活性な固定相を用いるキラルクロマトグラフィーにより個々のジアステレオマーに分離され得る。
【0115】
或いは、構造式Iを有する化合物の立体異性体は、公知の立体配置を有する光学的に純粋な出発物質または試薬を用いて立体特異的合成により得られ得る。
【0116】
本発明化合物は医薬的に許容され得る塩の形態で投与され得る。用語「医薬的に許容され得る塩」は、無機または有機塩基及び無機または有機酸を含めた医薬的に許容され得る非毒性塩基または酸から製造される塩を指す。用語「医薬的に許容され得る塩」の範囲に包含される塩基性化合物の塩は、通常遊離塩基を適当な有機または無機酸と反応させることにより製造される本発明化合物の非毒性塩を指す。本発明の塩基性化合物の代表的な塩には酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素酸塩、硫酸水素酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、カムシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストール酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシネート、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、粘液酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボレート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシル酸塩、トリエチオジド及び吉草酸塩が含まれるが、これらに限定されない。更に、本発明化合物が酸性部分を有している場合、その適当な医薬的に許容され得る塩にはアルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第一鉄、第二鉄、リチウム、マグネシウム、第一マンガン、第二マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等を含めた無機塩基から誘導される塩が含まれるが、これらに限定されない。アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩及びナトリウム塩が特に好ましい。医薬的に許容され得る有機非毒性塩基から誘導される塩には第1級、第2級及び第3級アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂(例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等)の塩が含まれる。
【0117】
また、本発明化合物中にカルボン酸(−COOH)またはヒドロキシル基が存在する場合、カルボン酸誘導体の医薬的に許容され得るプロドラッグエステル、例えばメチル、エチルまたはピバロイルオキシメチルエステル;またはリボースC−2’、C−3’及びC−5’ヒドロキシルのプロドラッグアシル誘導体、例えばO−アセチル、O−ピバロイル、O−ベンゾイル及びO−アミノアシルが使用され得る。徐放性またはプロドラッグ製剤として使用すべくバイオアベイラビリティー、組織分布、溶解性及び加水分解性を修飾するために当業界で公知のエステル及びアシル基が含まれる。考えられる誘導体はインビボで容易に所要化合物に変換され得る。よって、本発明の治療方法において、用語「投与する」及び「投与」は、記載されているウイルス感染を具体的に開示されている化合物または具体的に開示されていないかもしれないがヒト患者を含めた哺乳動物に対して投与した後インビボで具体的化合物に変換される化合物で治療することを包含することを意味する。適当なプロドラッグ誘導体を選択及び製造するための一般的方法は、例えば参照により全文を本明細書に含まれるとする“Design of Prodrugs”,H.Bundgaard編,Elsevier,1985に記載されている。
【0118】
本発明のヌクレオシドアリールホスホルアミデートの製造
2’−C−メチルシチジンはC.Pierraら,Nucleosides,Nucleotides and Nucleic Acids,24:767(2005)またはJ.A.Piccirilliら,J.Org.Chem.,64:747(1999)の文献に記載されているように製造した。2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルシチジンはJ.Med.Chem.,48:5504−5508(2005)に記載されているように製造する。ホスホリル化反応のためのアリールホスホロクロリデートは全文を参照により本明細書中に含まれるとする米国特許6,455,513に記載されている方法に従って製造した。本発明のアリールホスホルアミデートを生成するためのホスホリル化反応は米国特許6,455,513及びC.McGuiganら,J.Med.Chem.,36:1048(1993)に記載されている方法に従って実施した。例えば、フェノールまたは1−ナフトールをオキシ塩化リンと反応させ、次いで別のアミノ酸塩とカップリングさせて、フェノキシまたは1−ナフチルオキシホスホロクロリデートを得る。これは通常フラッシュクロマトグラフィーより精製した後、適当な塩基(例えば、t−ブチルマグネシウムクロリド)の存在下でヌクレオシドとカップリングさせる(M.Uchiyamaら,J.Org.Chem.,58:373(1993)及びスキーム1参照)。
【0119】
一般的手順
溶媒はすべて市販業者から入手し、更に精製することなく使用した。反応は窒素雰囲気下、オーブン乾燥した(110℃)ガラス器具中で実施した。有機抽出物を硫酸ナトリウム(NaSO)で乾燥し、(乾燥剤を濾過した後)減圧下で操作する回転蒸発器を用いて濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーはシリカゲルを用いて公開されている手順(W.C.Stillら,J.Org.Chem.,43:2923(1978))に従って、または予め充填されているカラムを用いて市販のフラッシュクロマトグラフィーシステム(Biotage corporation and Jones Flashmaster II)を用いて実施した。
【0120】
試薬は通常市販業者から直接入手し(および、供給されたまま使用し)、または科学文献に報告されているかまたは当業者に公知のルーチンな合成ステップを用いて容易に入手できる。
【0121】
H及び31P NMRスペクトルは(報告されている)300〜600MHzの周波数で操作するBruker AMシリーズ分光計で記録した。交換不能なプロトン(及び、目に見えるならば交換可能なプロトン)に相当するシグナルの化学シフト(δ)はテトラメチルシランに対する100万部の部(ppm)で記録し、基準として残留溶媒ピークを用いて測定した。シグナルは、多重性(s,一重項;d,二重項;t,三重項;q,四重項;m,多重項;b,幅広及びその組合せ);ヘルツ(Hz)で示すカップリング定数(s);プロトンの数の順に示す。質量スペクトル(MS)データは陰(ES)または陽(ES)イオン化モードで操作するPerkin Elmer API 100またはWaters MicroMass ZQを用いて入手し、結果は親イオンのみについて質量/電荷の比(m/z)として報告する。分取規模HPLC分離は、2487二重吸光デテクタを備えたWaters 2525ポンプ、UV1000吸光モジュールを備えているTSP SpectraシステムP400、または2525ポンプモジュール、Micromass ZMDデテクタ及び2525収集モジュールを有する自動化質量トリガーWaters Micromassシステムを用いて実施した。化合物をいずれも0.1% トリフルオロ酢酸またはギ酸を含有する水及びMeCNの線形勾配で10〜40mL/分の流速で溶離させた。固定相としてSymmetry C18カラム(7μM,19×300mm)を使用した。
【0122】
実施例、スキーム及び表において以下の略号を使用する。aq.:水性、Ar:アリール、atm:雰囲気、CCl:四塩化炭素、DCM:ジクロロメタン、DMF:N,N−ジメチルホルムアミド、DMSO:ジメチルスルホキシド、eq.:当量、EtN:トリエチルアミン、EtOAc:酢酸エチル、EtO:ジエチルエーテル、h:時、Me:メチル、MeCN:アセトニトリル;MeOH:メタノール、min:分、MS:質量スペクトル、N,N−DMA:N,N,−ジメチルアセトアミド、PE:石油エーテル、Py:ピリジン、quant.:定量的、RP−HPLC:逆相高速液体クロマトグラフィー、RT:室温、sec:秒、TFA:トリフルオロ酢酸、及びTHF:テトラヒドロフラン。
【0123】
以下の実施例は本発明化合物を製造するために使用される条件を例示する。これらの実施例は本発明の範囲を限定するものと決して意図されず、そのように解釈されるべきでない。ヌクレオシド及びヌクレオチド合成の当業者は以下の製造手順の条件及び方法の公知の変更が本発明のこれら化合物及び他の化合物を製造するために使用され得ることを容易に認識している。温度は別段の記載がない限り℃である。
【0124】
【化22】

【0125】
実施例1
5’−O−[[[(1S)−2−n−ブトキシ−1−メチル−2−オキソエチル]アミノ](1−ナフタレニルオキシ)ホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
ステップ11−ナフチルジクロロホスフェート
【0126】
【化23】

【0127】
EtO中の1−ナフトール(0.23M)にオキシ塩化リン(1.0当量)を添加し、溶液を−78℃まで冷却した。ニートなEtN(1.0当量)を添加し、生じた溶液を一晩で室温まで加温した。白色スラリーを不活性雰囲気下で濾過し、すべての揮発物を除去して、標記化合物を無色液体として得た。これを更に精製することなく次ステップで使用した。
【0128】
31P NMR(400MHz,CDCl)δ:3.93ppm。
【0129】
ステップ2n−ブチルN−[クロロ(1−ナフチルオキシ)ホスホリル]−L−アラニナート
【0130】
【化24】

【0131】
DCM中の1−ナフチルジクロロホスフェート(0.086M)に(2S)−1−ブトキシ−1−オキソプロパン−2−アミニウムクロリド(1.0当量)を添加した。−78℃まで冷却したら、ニートなEtN(2.0当量)を添加し、反応物を一晩で室温まで加温した。すべての揮発物を除去し、生じた白色固体をEtOで洗浄し、濾過し、真空中で蒸発させて、無色油状物をジアステレオマーの1:1混合物として得た。
【0132】
31P NMR(400MHz,CDCl)δ:8.39及び8.11ppm。
【0133】
ステップ35’−O−[[[(1S)−2−n−ブトキシ−1−メチル−2−オキソエチル]アミノ](1−ナフタレニルオキシ)ホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
【0134】
【化25】

【0135】
2’−C−メチルシチジンをTHFで希釈した(0.097M)。生じたスラリーを−78℃まで冷却した後、tert−ブチルマグネシウムクロリド(THF中1.0M溶液として、2.2当量)を添加した。混合物を直ちに0℃まで加温し、30分間撹拌し、再び−78℃まで冷却し、次いでブチルN−[クロロ(1−ナフチルオキシ)ホスホリル]−L−アラニナート(THF中1.0M溶液として、2.2当量)を1滴ずつ添加した。反応物を一晩で室温まで加温した後、水を添加してクエンチした。水性相をEtOAcで3回抽出し、合わせた有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。粗な生成物をシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィー(90:10→80:20のDCM/MeOH勾配)により精製し、生じたオフホワイト色固体をDMSO中に溶解し、RP−HPLCにより精製した。純粋なジアステレオマーを含有するフラクションを合わせ、凍結乾燥して、標記化合物を白色TFA塩として得た。
【0136】
最初に溶離したジアステレオマーH NMR(400MHz,CDOD)δ:8.24−8.22(m,1H),8.00(d,J=8.09Hz,1H),7.95−7.93(m,1H),7.76(d,J=8.09Hz,1H),7.61−7.56(m,2H),7.52(d,J=7.84Hz,1H),7.48(t,J=8.08Hz,1H),6.01(s,1H),5.91(d,J=7.83Hz,1H),4.68(ddd,J=11.75,5.05,1.89Hz,1H),4.57(ddd,J=11.88,6.07,3.28Hz,1H),4.22(dd,J=9.1,2.27Hz,1H),4.12−4.03(m,3H),3.84(d,J=9.1Hz),1.63−1.56(m,2H),1.42−1.33(m,5H),1.18(s,3H),0.93(t,J=7.33Hz,3H),NH,NH,2×OHは観察できなかった。31P NMR(400MHz,CDOD)δ:2.77。MS(ES+) m/z 591(M+H)
【0137】
2番目に溶離したジアステレオマーH NMR(400MHz,CDOD)δ:8.28−8.22(m,1H),7.99−7.92(m,2H),7.79(d,J=8.1Hz,1H),7.65−7.69(m,2H),7.59−7.55(m,1H),7.50(t,J=8.1Hz,1H),6.00(s,1H),5.86(d,J=7.83Hz,1H),4.65(ddd,J=11.7Hz,J=6.3Hz,J=1.6Hz,1H),4.53−4.46(m,1H),4.24−4.17(m,1H),4.10−4.00(m,3H),3.83(d,J=9.3Hz,1H),1.62−1.53(m,2H),1.41−1.32(m,5H),1.17(s,3H),0.93(t,J=7.4Hz,3H)。31P NMR(300MHz,CDOD)δ:4.33。MS(ES) m/z 591(M+H)
【0138】
実施例2
5’−O−[[[(1S)−2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル]アミノ](1−ナフタレニルオキシ)ホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
ステップ2エチルN−[クロロ(1−ナフチルオキシ)ホスホリル]−L−アラニナート
【0139】
【化26】

【0140】
実施例1のステップ2に記載されている手順に従って、1−ナフチルジクロロホスフェートをDCM中に含む溶液(0.144M)をL−アラニンエチルエステル塩酸塩(1.0当量)及びEtN(2.0当量)で処理して、標記化合物を無色油状物として、ジアステレオマーの1:1.1混合物として得た。
【0141】
31P NMR(300MHz,CDCl)δ:9.47及び9.14
【0142】
ステップ35’−O−[[[(1S)−2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル]アミノ](1−ナフタレニルオキシ)ホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
【0143】
【化27】

【0144】
実施例1のステップ3に記載されている手順に従って、THF中の2’−C−メチルシチジン(0.097M)を−78℃まで冷却した後、tert−ブチルマグネシウムクロリド(THF中1.0M溶液として、2.2当量)を添加し、次いでエチルN−[クロロ(1−ナフチルオキシ)ホスホリル]−L−アラニナート(THF中1.0M溶液として、2.2当量)を添加した。粗な生成物をシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=92:8)により精製した。生じた固体をDMSO中に溶解し、RP−HPLCにより精製して、標記化合物を白色TFA塩として得た。
【0145】
2番目に溶離したジアステレオマーH NMR(400MHz,CDOD)δ:8.27−8.22(m,1H),7.98−7.94(m,1H),7.92(d,J=7.83Hz,1H),7.79(d,J=7.83Hz,1H),7.65−7.55(m,3H),7.50(t,J=7.95Hz,1H),6.01(s,1H),5.85(d,J=7.83Hz,1H),4.65(ddd,J=11.81Hz,J=6.12Hz,J=1.83Hz,1H),4.49(ddd,J=11.87Hz,J=5.81Hz,J=3.53Hz,1H),4.23−4.17(m,1H),4.11(q,J=7.07Hz,2H),4.07−3.99(m,1H),3.84(d,J=9.09Hz,1H),1.36(dd,J=6.69Hz,J=0.37Hz,3H),1.22(t,J=7.07Hz,3H),1.17(s,3H)。31P NMR(400MHz,CDOD)δ:4.35。MS(ES) m/z 563(M+H)
【0146】
実施例3
5’−O−[[4−クロロ−5−メチル−2−(1−メチルエチル)フェノキシ][[(1S)−2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル]アミノ]ホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
ステップ14−クロロ−2−イソプロピル−5−メチルフェニルジクロロホスフェート
【0147】
【化28】

【0148】
実施例1のステップ1に記載されている手順に従って、4−クロロ−2−イソプロピル−5−メチル−フェノールをEtO中に含む溶液(0.174M)をオキシ塩化リン(1.0当量)及びEtN(1.0当量)で処理して、標記化合物を無色油状物として得た。
【0149】
31P NMR(300MHz,CDOD)δ:4.54。
【0150】
ステップ2エチルN−[クロロ(4−クロロ−2−イソプロピル−5−メチルフェノキシ)ホスホリル]−L−アラニナート
【0151】
【化29】

実施例1のステップ2に記載されている手順に従って、4−クロロ−2−イソプロピル−5−メチルフェニルジクロロホスフェートをDCM中に含む溶液(0.098M)をL−アラニンエチルエステル塩酸塩(1.0当量)及びEtN(2.0当量)で処理して、標記化合物を無色油状物として、ジアステレオマーの1:1.35混合物として得た。
【0152】
31P NMR(300MHz,CDOD)δ:8.5及び8.8
【0153】
ステップ35’−O−[[4−クロロ−5−メチル−2−(1−メチルエチル)フェノキシ][[(1S)−2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル]アミノ]ホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
【0154】
【化30】

【0155】
実施例1のステップ3に記載されている手順に従って、THF中の2’−C−メチルシチジン(0.097M)を−78℃まで冷却した後、tert−ブチルマグネシウムクロリド(THF中1.0M溶液として、2.2当量)を添加し、次いでエチルN−[クロロ(4−クロロ−2−イソプロピル−5−メチルフェノキシ)ホスホリル]−L−アラニナート(THF中1.0M溶液として、2.2当量)を添加した。粗な生成物をシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィー(90:10→80:20のDCM:MeOH勾配)により精製し、生じた固体をDMSO中に再溶解し、RP−HPLCにより精製して、標記化合物を白色TFA塩として得た。
【0156】
最初に溶離したジエステレオマーH NMR(300MHz,CDOD)δ:8.03(d,J=7.96Hz,1H),7.31(s,2H),6.07(d,J=7.96Hz,1H),6.01(s,1H),4.61(ddd,J=11.66,5.2,1.54Hz,1H),4.49(ddd,J=11.72,5.86,3.76Hz,1H),4.24−4.16(m,3H),4.01(dt,J=16.14,7.3Hz,1H),3.83(d,J=9.28Hz,1H),2.33(s,3H),1.43(d,J=7.08Hz,3H),1.31−1.23(m,12H),NH,NH,2×OHは観察できなかった。31P NMR(300MHz,CDOD)δ:5.03。MS(ES+) m/z 625及び627(M+Na)。
【0157】
2番目に溶離したジアステレオマーH NMR(300MHz,CDOD)δ:7.96(d,J=7.83Hz,1H),7.37(s,1H),7.33(s,1H),6.02(s,1H),6.00(d,J=7.83Hz,1H),4.57(ddd,J=11.88,6.45,1.77Hz,1H),4.41(ddd,J=11.81,6.45,4.04Hz,1H),4.20−4.14(m,3H),4.00(dt,J=17.18,7.33Hz,1H),3.80(d,J=9.34Hz,1H),2.34(s,3H),1.43(d,J=7.08Hz,3H),1.29−1.25(m,9H),1.20(s,3H),NH,NH,2×OHは観察できなかった。31P NMR(300MHz,CDOD)δ:5.026。MS(ES+) m/z 625及び627(M+Na)。
【0158】
実施例4
5’−O−[(4−クロロフェノキシ)[[(1S)−1−メチル−2−[(9Z)−9−オクタデセニルオキシ]−2−オキソエチル]アミノ]ホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
ステップ2N−[クロロ(4−クロロフェノキシ)ホスホリル]−L−アラニナート(9Z)−オクタデカ−9−エン−1−イル
【0159】
【化31】

【0160】
実施例1のステップ2に記載されている手順に従って、(9Z)−オクタデカ−9−エン−1−イルN−[クロロ(4−クロロフェノキシ)ホスホリル]−L−アラニナートをDCM中に含む溶液(0.116M)を4−クロロフェニルジクロロホスフェート(1.0当量)及びEtN(2.0当量)で処理して、標記化合物を無色油状物として、ジアステレオマーの1.2:1混合物として得た。
【0161】
31P NMR(400MHz,CDCl)δ:8.31及び7.97。
【0162】
ステップ35’−O−[(4−クロロフェノキシ)[[(1S)−1−メチル−2−[(9Z)−9−オクタデセニルオキシ]−2−オキソエチル]アミノ]ホスフィニル]]−2’−C−メチルシチジン
【0163】
【化32】

【0164】
実施例1のステップ3に記載されている手順に従って、THF中の2’−C−メチルシチジン(0.097M)を−78℃まで冷却した後、tert−ブチルマグネシウムクロリド(THF中1.0M溶液として、2.2当量)を添加し、次いで(9Z)−オクタデカ−9−エン−1−イルN−[クロロ(4−クロロフェノキシ)ホスホリル]−L−アラニナートを添加した。粗な混合物をシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィー(90:10→80:20のDCM:MeOH勾配)により精製し、生じた固体をDMSO中に再溶解し、RP−HPLCにより精製して、標記化合物を白色粉末として得た。リンでのジアステレオマーの1:1.4混合物がH NMRにより観察された。
【0165】
H NMR(300MHz,CDOD)δ:8.03及び8.02(d,J=7.74Hz及びJ=7.96Hz,1H),7.43−7.39(m,2H),7.32−7.26(m,2H),6.11及び6.09(d,J=7.3Hz及びJ=7.52Hz,1H),6.02及び6.01(s,1H),5.43−5.33(m,2H),4.65−4.54(m,1H),4.51−4.39(m,1H),4.22−4.07(m,2H),4.05−3.95(m,1H),3.83及び3.82(d,J=9.07Hz及びJ=9.07Hz,1H),2.07−2.00(m,4H),1.66−1.62(m,2H),1.42−1.33(m,26H),1.22(s,3H),0.94(t,J=6.2Hz,3H),NH,NH,2×OHは観察できなかった。31P NMR(300MHz,CDOD)δ:5.15及び5.12(s,1P)。MS(ES+) m/z 769及び771(M+H)
【0166】
実施例5
5’−O−[(4−クロロフェノキシ)[[(1S)−2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル]アミノ]ホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
ステップ2エチルN−[クロロ(4−クロロフェノキシ)ホスホリル]−L−アラニナート
【0167】
【化33】

【0168】
実施例1のステップ2に記載されている手順に従って、4−クロロフェニルジクロロホスフェートをDCM中に含む溶液(0.090M)をL−アラニンエチルエステル塩酸塩(1.0当量)及びEtN(2.0当量)で処理して、標記化合物を無色油状物として、ジアステレオマーの1:1混合物として得た。
【0169】
31P NMR(300MHz,CDCl)δ:9.43及び9.11
【0170】
ステップ35’−O−[(4−クロロフェノキシ)[[(1S)−2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル]アミノ]ホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
【0171】
【化34】

【0172】
実施例1のステップ3に記載されている手順に従って、THF中の2’−C−メチルシチジン(0.097M)を−78℃まで冷却した後、tert−ブチルマグネシウムクロリド(THF中1.0M溶液として、2.2当量)を添加し、次いでエチルN−[クロロ(4−クロロフェノキシ)ホスホリル]−L−アラニナート(THF中1.0M溶液として、2.2当量)を添加した。粗な生成物をシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=92:8)により精製し、生じた固体をDMSO中に再溶解し、RP−HPLCにより精製して、標記化合物を白色TFA塩として得た。
【0173】
2番目に溶離したジアステレオマーH NMR(300MHz,CDOD)δ:8.01(d,J=7.74Hz,1H),7.43(d,J=8.85Hz,2H),7.31(d,J=8.85Hz,2H),6.06(d,J=7.74Hz,1H),6.02(s,1H),4.58(ddd,J=11.89Hz,J=6.25Hz,J=1.82Hz,1H),4.47−4.38(m,1H),4.24−4.12(m,3H),4.06−3.92(m,1H),3.81(d,J=9.28Hz,1H),1.41(d,J=6.85Hz,3H),1.27(t,J=7.18Hz,3H),1.21(s,3H)。31P NMR(300MHz,CDOD)δ:5.10。MS(ES) m/z 547(M−KH)
【0174】
実施例6
5’−O−[(4−クロロフェノキシ)[[(1S)−1−メチル−2−(1−メチルエトキシ)−2−オキソエチル]アミノ]ホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
ステップ2イソプロピルN−[クロロ(4−クロロフェノキシ)ホスホリル]−L−アラニナート
【0175】
【化35】

【0176】
実施例1のステップ2に記載されている手順に従って、標記化合物を黄色油状物として、リンでの2つのジアステレオマーの混合物として単離した。
【0177】
31P NMR(300MHz,CDCl)δ:9.61,9.35。
【0178】
ステップ35’−O−[(4−クロロフェノキシ)[[(1S)−1−メチル−2−(1−メチルエトキシ)−2−オキソエチル]アミノ]ホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
【0179】
【化36】

【0180】
実施例1のステップ3に記載されている手順に従って、標記化合物をリンでの単一ジアステレオマーとして、そのTFA塩として単離した。
【0181】
2番目に溶離したジアステレオマーH NMR(300MHz,CDOD)δ:8.0(d,J=7.7Hz,1H),7.41(d,J=8.7Hz,2H),7.3(d,J=8.7Hz,2H),6.05(d,J=7.96Hz,1H),6.0(s,1H),5.02−4.94(m,1H),4.56(ddd,J=11.7,6.4,1.7Hz,1H),4.41(ddd,J=11.8,6.35,3.7Hz,1H),4.21−4.14(m,1H),3.99−3.89(m,1H),3.80(d,J=9.2Hz,1H),1.39(d,J=7.1Hz,3H),1.25(d,J=6.2Hz,6H),1.20(s,3H)。31P NMR(400MHz,CDOD)δ:5.13。MS(ES) m/z 561(M+H)
【0182】
実施例7
5’−O−[[[(1S)−2−n−ブトキシ−1−メチル−2−オキソエチル]アミノ](4−クロロフェノキシ)ホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
【0183】
ステップ2N−[クロロ(4−クロロフェノキシ)ホスホリル]−L−アラニナートn−ブチル
【0184】
【化37】

【0185】
実施例1のステップ2に記載されている手順に従って、市販されている4−クロロフェニルジクロロホスフェートをDCM中に含む溶液(0.090M)をL−アラニンエチルエステル塩酸塩(1.0当量)及びEtN(2.0当量)で処理して、標記化合物を無色油状物として、ジアステレオマーの1.1:1混合物として得た。
【0186】
31P NMR(400MHz,CDCl)δ:9.52及び9.28
【0187】
ステップ35’−O−[[[(1S)−2−n−ブトキシ−1−メチル−2−オキソエチル]アミノ](4−クロロフェノキシ)ホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
【0188】
【化38】

【0189】
実施例1のステップ3に記載されている手順に従って、THF中の2’−C−メチルシチジン(0.097M)を−78℃まで冷却した後、tert−ブチルマグネシウムクロリド(THF中1.0M溶液として、2.2当量)を添加し、次いでブチルN−[クロロ(4−クロロフェノキシ)ホスホリル]−L−アラニナート(THF中1.0M溶液として、2.2当量)を添加した。粗な生成物をシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=92:8)により精製し、生じた固体をDMSO中に再溶解し、RP−HPLCにより精製して、標記化合物を白色TFA−塩として得た。
【0190】
2番目に溶離したジアステレオマーH NMR(400MHz,CDOD)δ:8.01(d,J=7.83Hz,1H),7.42(d,J=8.84Hz,2H),7.31(d,J=8.08Hz,2H),6.06(d,J=7.83Hz,1H),6.01(s,1H),4.57(ddd,J=11.68Hz,J=6.25Hz,J=1.71Hz,1H),4.47−4.39(m,1H),4.21−4.06(m,3H),4.05−3.95(m,1H),3.81(d,J=9.35Hz,1H),1.68−1.58(m,2H),1.49−1.34(m,5H),1.21(s,3H),0.97(t,J=7.33Hz,3H)。31P NMR(400MHz,CDOD)δ:3.97。MS(ES) m/z 575(M+H)
【0191】
実施例8
5’−O−[[(2−n−ブトキシ−2−オキソエチル)アミノ](1−ナフタレニルオキシ)ホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
ステップ2ブチルN−[クロロ(1−ナフチルオキシ)ホスホリル]グリシナート
【0192】
【化39】

【0193】
1−ナフチルジクロロホスフェートをDCM中に含む溶液(0.077M)をグリシンブチルエステル塩酸塩(1.0当量)及びEtN(2.0当量)で処理して、標記化合物を無色油状物として得た。
【0194】
31P NMR(400MHz,CDCl)δ:9.28。
【0195】
ステップ35’−O−[[(2−n−ブトキシ−2−オキソエチル)アミノ](1−ナフタレニルオキシ)ホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
【0196】
【化40】

【0197】
実施例1のステップ3に記載されている手順に従って、THF中の2’−C−メチルシチジン(0.097M)を−78℃まで冷却した後、tert−ブチルマグネシウムクロリド(THF中1.0M溶液として、2.2当量)を添加し、次いでN−[クロロ(1−ナフチルオキシ)ホスホリル]ブチルグリシナート(THF中1.0M溶液として、2.2当量)を添加した。粗な混合物をシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=92:8)により精製し、生じた固体をDMSO中に再溶解し、RP−HPLCにより精製して、標記化合物をTFA塩の形態のジアステレオマー混合物として得た。
【0198】
ジアステレオマーの混合物H NMR(400MHz,CDOD)δ:8.29−8.20(m,1H),8.02(d,J=7.83Hz,1H),7.99−7.92(m,1H),7.79(d,J=8.04Hz,1H),7.67−7.54(m,3H),7.50(t,J=7.83Hz,1H),5.99及び5.98(s,1H),5.89(d,J=7.83Hz,1H),4.69(ddd,J=11.87Hz,J=5.56Hz,J=1.77Hz,1H),4.57(ddd,J=11.81Hz,J=6.12Hz,J=3.34Hz,1H),4.25−4.18(m,1H),4.12(t,J=6.44Hz,2H),3.92−3.71(m,3H),1.66−1.56(m,2H),1.45−1.33(m,2H),1.17(s,3H),0.95(t,J=7.71Hz,3H)。31P NMR(CDOD)δ:5.79及び5.44。MS(ES) m/z 577(M+H)
【0199】
実施例9
5’−O−[[[(1S)−2−(2−エチルブトキシ)−1−メチル−2−オキソエチル]アミノ]フェノキシホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
【0200】
【化41】

【0201】
標記化合物を、(フェニルジクロロホスフェート及びL−アラニナート2−エチルブチル塩酸塩から出発して)実施例1に記載されている手順に従い、シリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=92:8)及びRP−HPLC(固定相:カラムPhenomenex Luna C18(2),5μm,21.2×250mm;移動相:アセトニトリル/NHHCO 5mMで緩衝したHO)により精製して製造した。2つの純粋なジアステレオマーを各々含有するフラクションを合わせ、凍結乾燥して、標記化合物を白色粉末として得た。
【0202】
最初に溶離したジアステレオマーH NMR(400MHz,CDOD)δ:7.73(d,J=7.5Hz,1H),7.41−7.37(m,2H),7.28−7.25(m,2H),7.22(t,J=7.5Hz,1H),6.08(s,1H),5.85(d,J=7.5Hz,1H),4.58(ddd,J=11.7,4.8,2.0Hz,1H),4.43(ddd,J=11.7,5.4,2.9Hz,1H),4.13−3.95(m,4H),3.75(d,J=9.2Hz,1H),1.56−1.50(m,1H),1.42−1.35(m,7H),1.10(s,3H),0.91(t,J=7.4Hz,6H)。31P NMR(400MHz,CDOD)δ:3.96。 MS(ES) m/z 569(M+H)
【0203】
2番目に溶離したジアステレオマーH NMR(400MHz,CDOD)δ:7.70(d,J=7.5Hz,1H),7.41−7.37(m,2H),7.30−7.28(m,2H),7.22(t,J=7.3Hz,1H),6.06(s,1H),5.85(d,J=7.5Hz,1H),4.52(dd,J=10.3,5.7Hz,1H),4.39(dd,J=9.5,5.3Hz,1H),4.12−3.95(m,4H),3.74(d,J=9.2Hz,1H),1.54−1.48(m,1H),1.39−1.33(m,7H),1.12(s,3H),0.90(t,J=7.5Hz,6H)。31P NMR(400MHz,CDOD)δ:3.79。MS(ES) m/z 569(M+H)
【0204】
実施例10
5’−O−[[[(1S)−2−(2,2−ジメチルプロポキシ)−1−メチル−2−オキソエチル]アミノ]フェノキシホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
【0205】
【化42】

【0206】
(フェニルジクロロホスフェート及びL−アラニナート2,2−ジメチルプロピルエステル塩酸塩から出発して)実施例1に記載されている手順に従い、シリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィー(90/10→80/20のDCM/MeOH勾配)により精製して、生じた固体をDMSO中に再溶解し、RP−HPLC(固定相:カラムSymmetry C18,7μμm,19×300mm;移動相:アセトニトリル/0.1% TFAで緩衝させたHO)により精製した。純粋な化合物を含有するフラクションを合わせ、凍結乾燥して、標記化合物を白色粉末として、TFA塩として、(NMRによると)7.1:1混合物(最初の溶離物:2番目の溶離物)として得た。
【0207】
ジアステレオマーの混合物H NMR(300MHz,CDOD)δ:8.01及び7.97(d,J=7.8Hz及びJ=8.1Hz,1H),7.41−7.37(m,2H),7.30−7.20(m,3H),6.03及び6.00(d,J=7.8Hz及びJ=7.7Hz,1H),5.99及び5.98(s,1H),4.60及び4.56−4.52(ddd,J=11.7,4.8,2.0Hz及びm;1H),4.45及び4.42−4.36(ddd,J=11.8,5.8,3.0Hz及びm,1H),4.18−4.15(m,1H),4.05−3.97(m,1H),3.88−3.78(m,3H),1.40及び1.37(d,J=7.8Hz及びJ=7.1Hz,3H),1.22(br s,3H),0.96及び0.95(s,9H),NH,NH,2×OHは観察されなかった。31P NMR(300MHz,CDOD)δ:5.09及び4.96。MS(ES+) m/z 555(M+H)
【0208】
実施例11
ステップ35’−O−[[[(1S)−2−(オクチルオキシ)−1−メチル−2−オキソエチル]アミノ]フェノキシホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
【0209】
【化43】

【0210】
実施例1のステップ2(フェニルジクロロホスフェート及びL−アラニンオクチル酸塩酸塩から出発)及びステップ3に記載されている手順に従って、粗な生成物を得た。これをシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=92:8)により精製し、RP−HPLC(固定相:カラムSymmetry C18,7μm,19×300mm;移動相:アセトニトリル/0.1% TFAで緩衝したHO)により精製した。純粋な化合物を含有するフラクションを合わせ、凍結乾燥して、標記化合物をそのTFA塩として得た(白色粉末;1:1のリン上でのジアステレオマー;第1溶離:第2溶離)。
【0211】
ジアステレオマーの混合物H NMR(300MHz,DMSO−d)δ:9.65(br s,1H),8.72(br s,1H),7.96及び7.95(d,J=7.6Hz及びJ=7.9Hz,1H),7.44−7.37(m,2H),7.28−7.20(m,3H),6.20−6.0(m,2H),5.86及び5.85(s,1H),4.55−4.25(m,2H),4.16−3.97(m,3H),3.95−3.80(m,1H),3.63(d,9.2Hz,1H),1.61−1.45(m,2H),1.27(br s,13H),1.07(s,3H),0.91−0.86(m,3H)。31P NMR(300MHz,DMSO−d)δ:3.82及び3.67。MS(ES+) m/z 598(M+H)
【0212】
実施例12
5’−O−[[[(1S)−1−メチル−2−オキソ−[(プロピルペンチル)オキシ]エチル]アミノ]フェノキシホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
【0213】
【化44】

【0214】
ステップ2L−アラニン,N−(クロロフェノキシホスフィニル)−,2−プロピルペンチルエステル
【0215】
【化45】

【0216】
DCM中のフェニルジクロロホスフェート(0.086M)に(2S)−1−プロピルペンチルオキシ−1−オキソプロパン−2−アミニウムクロリド(1.0当量)を添加した。−78℃まで冷却した後、ニートなEtN(2.0当量)を添加し、反応物を一晩で室温まで加温した。すべての揮発物を除去し、生じた白色固体をEtOで洗浄し、濾過した。濾液を真空中で蒸発させて、無色油状物を1:1のジアステレオマー混合物として得た。
【0217】
31P NMR(400MHz,CDCl)δ:8.22及び7.93ppm。
【0218】
ステップ35’−O−[[[(1S)−1−メチル−2−オキソ−2−[(プロピルペンチル)オキシ]エチル]アミノ]フェノキシホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
【0219】
【化46】

【0220】
2’−C−メチルシチジンをTHF(0.097M)で希釈した。生じたスラリーを−78℃まで冷却した後、tert−ブチルマグネシウムクロリド(THF中1.0M溶液として、2.2当量)を添加した。混合物を直ちに0℃まで加温し、30分間撹拌し、再び−78℃まで冷却した後、プロピルペンチルN−[クロロ(フェニルオキシ)ホスホリル]−L−アラニナート(THF中1.0M溶液として、2.2当量)を1滴ずつ添加した。反応物を一晩で室温に戻した後、水を添加することによりクエンチした。水性相をEtOAcで3回抽出し、合わせた有機相をNaSOで乾燥した。粗な生成物をシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=92:8)により精製し、生じたオフホワイト色固体をDMSO中に溶解し、RP−HPLC(固定相:カラムSymmetry C18,7μm,19×300mm;移動相:アセトニトリル/HO,5mM AMBICで緩衝させた水)により精製した。純粋なジアステレオマーを含有するフラクションを合わせ、凍結乾燥して、標記化合物を白色固体として得た。
【0221】
最初に溶離したジアステレオマーH NMR(400MHz,CDOD)δ:7.70(d,J=7.46Hz,1H),7.45−7.30(m,2H),7.30−7.13(m,3H),6.06(s,1H),5.83(d,J=7.46Hz,1H),4.63−4.51(m,1H),4.48−4.35(m,1H),4.17−3.87(m,4H),3.73(d,J=9.1Hz,1H),1.67(bs,1H),1.47−1.17(m,11H),1.08(s,3H),0.89(bs,6H)。NMR(400MHz,CDOD)δ:3.95。MS(ES+) m/z 597(M+H)
【0222】
2番目に溶離したジアステレオマーH NMR(400MHz,CDOD)δ:7.68(d,J=7.33Hz,1H),7.43−7.32(m,2H),7.31−7.16(m,3H),6.04(s,1H),5.83(d,J=7.33Hz,1H),4.55−4.45(m,1H),4.42−4.31(m,1H),4.14−3.90(m,4H),3.72(d,J=9.09Hz,1H),1.72−1.59(m,1H),1.43−1.20(m,11H),1.09(s,3H),0.89(t,J=6.32Hz,6H)。31P NMR(400MHz,CDOD)δ:3.79。MS(ES+) m/z 597(M+H)
【0223】
実施例13
5’−O−[[[(1S)−2−[2−(ヘキシルオキシ)エトキシ]−1−メチル−2−オキソエチル]アミノ]フェノキシホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
【0224】
【化47】

【0225】
ステップ2N−[クロロ(フェノキシ)ホスホリル]−L−アラニナート2−(ヘキシルオキシ)エチル
【0226】
【化48】

【0227】
(2S)−1−[2−(ヘキシルオキシ)エトキシ]−1−オキソプロパン−2−アミニウムクロリドのDCM(0.116M)溶液をフェニルジクロロホスフェート(1.0当量)、トリエチルアミン(2.0当量)で処理して、標記化合物をジアステレオマーの1:1混合物として得た。
【0228】
31P NMR(400MHz,CDCl,300K)δ:8.03及び7.67。
【0229】
ステップ35’−O−[[[(1S)−2−[2−(ヘキシルオキシ)エトキシ]−1−メチル−2−オキソエチル]アミノ]フェノキシホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
【0230】
【化49】

【0231】
THF中の(トルエンから2回蒸発させた)2’−C−メチルシチジン(0.097M)を−78℃まで冷却し、tert−ブチルマグネシウムクロリド(THF中1.0M溶液として、2.2当量)を添加した後、(ヘキシルオキシ)エチルN−[クロロ(フェノキシ)ホスホリル]−L−アラニナート2−を添加した。粗な生成物をシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィー(90/10→80/20のDCM/MeOH勾配)により精製し、生じたオフホワイト色固体をDMSO中に溶解し、RP−HPLC(固定相:カラムSymmetry C18,7μm,19×300mm;移動相:アセトニトリル/0.1% TFAで緩衝させたHO)により精製した。純粋な化合物を含有するフラクションを合わせ、凍結乾燥して、標記化合物を白色粉末として得た。31P NMRにより1:1.8混合物と判明した。
【0232】
H NMR(300MHz,CDOD)δ:7.85及び7.82(d,J=7.92Hz及びJ=7.92Hz,1H),7.24−7.18(m,2H),7.11−7.02(m,3H),5.87及び5.83(d,J=7.83Hz及びJ=7.92Hz,1H),5.81及び5.80(s,1H),4.45−4.33(m,1H),4.30−4.18(m,1H),4.11−3.94(m,3H),3.87−3.76(m,1H),3.62及び3.59(d,J=8.34Hz及びJ=9.30Hz,1H),3.46(qt,J=4.53Hz,2H),3.28(t,J=6.60Hz,2H),1.41−1.32(m,2H),1.20−1.13(m,9H),0.99(s,3H),0.74−0.70(m,3H)。31P NMR(300MHz,CDOD)δ:3.86及び3.63(s,1P)。MS(ES+) m/z 613(M+H)
【0233】
【化50】

【0234】
実施例14
5’−O−[[[1−(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]−1H−インドル−5−イル]オキシ][[(1S)−2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル]アミノ]ホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
【0235】
【化51】

【0236】
ステップ15−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−1H−インドール
【0237】
【化52】

【0238】
5−ヒドロキシインドールをDCM中に含む溶液(0.3M)を撹拌し、ここにイミダゾール(2.0当量)を添加した。混合物を0℃まで冷却し、tert−ブチルジメチルシリルクロリド(1.0当量)で処理した。生じた混合物を室温で12時間撹拌し、DCMで希釈し、HO、次いで1N HCl(水性)、最後にブラインで洗浄した。合わせた有機フランションをNaSOで乾燥した。粗な生成物をシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:ジエチルエーテル=90/10)により精製して、標記化合物を白色固体として得た。
【0239】
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ:10.92(br s,1H),7.29(t,J=3.15Hz,1H),7.26(d,J=8.76Hz,1H),6.96(d,J=2.25Hz,1H),6.65(dd,J=2.25及び8.76Hz,1H),6.34−6.27(m,1H),0.98(s,9H),0.18(s,6H)。
【0240】
ステップ25−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル
【0241】
【化53】

【0242】
5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−1H−インドールをDCM中に含む溶液(0.4M)を室温でDMAP(0.2当量)及びTEA(1.2当量)で処理した。BocO(1.0当量)を添加し、混合物を室温で12時間撹拌した。反応物をDCMで希釈し、1N HCl(水性)、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。粗な生成物をシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:ジエチルエーテル=98/2)により精製して、標記化合物を白色固体(50%)として得た。
【0243】
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ:7.48(d,J=8.85Hz,1H),7.64(d,J=3.60Hz,1H),7.07(d,J=2.22Hz,1H),6.86(dd,J=2.22及び8.85Hz,1H),6.63(d,J=3.60Hz,1H),1.63(s,9H),0.98(s,9H),0.20(s,6H)。
【0244】
ステップ35−ヒドロキシ−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル
【0245】
【化54】

【0246】
5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルをTΗF中に含む溶液(0.18M)を0℃でTBAF(1.1当量)で処理した。混合物をこの温度で10分間撹拌し、室温まで戻した。飽和水性NHCl溶液を添加することにより反応物をクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をHO、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。粗な生成物をシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:EtOAc=92/8)により精製して、標記化合物を無色油状物として得た。
【0247】
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ:9.20(s,1H),7.87(d,J=8.85Hz,1H),7.59(d,J=3.63Hz,1H),6.95(d,J=2.13Hz,1H),6.81(dd,J=2.13及び8.85Hz,1H),6.58(d,J=3.63Hz,1H),1.65(s,9H)。
【0248】
ステップ41H−インドール−1−カルボン酸5−[(ジクロロホスフィニル)オキシ]−1,1−ジメチルエチルエステル
【0249】
【化55】

【0250】
EtO中の5−ヒドロキシ−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル(0.11M)にTEA(1.0当量)を添加し、この溶液を−78℃まで冷却した後、ニートなオキシ塩化リン(1.0当量)をこの温度で添加し、生じた溶液を一晩で室温まで加温した。白色スラリーをNの不活性雰囲気下で濾過し、すべての揮発物を除去して、標記化合物を無色液体として得た。これをそのまま次ステップのために使用した。
【0251】
31P NMR(300MHz,CDCl,300K)δ:4.23。
【0252】
ステップ51H−インドール−1−カルボン酸5−[[クロロ[[(1S)−2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル]アミノ]ホスフィニル]オキシ]−1,1−ジメチルエチルエステル
【0253】
【化56】

【0254】
DCM中の1H−インドール−1−カルボン酸5−[(ジクロロホスフィニル)オキシ]−1,1−ジメチルエチルエステル(0.18M)にL−アラニンエチルエステル塩酸塩(1.0当量)を添加した。ニートなトリエチルアミン(2.0当量)を−78℃で添加し、反応物を一晩で室温まで加温した。すべての揮発物を除去し、生じた白色固体をEtOで洗浄した。懸濁液を濾過し、真空中で蒸発させて、白色固体をジアステレオマーの1:1.04混合物として得た。
【0255】
31P NMR(300MHz,CDCl)δ:−8.25及び−8.99。
【0256】
ステップ65’−O−[[[1−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]−1H−インドル−5−イル]オキシ][[(1S)−2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル]アミノ]ホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
【0257】
【化57】

【0258】
(トルエンから2回蒸発させた)2’−C−メチルシチジンをTHFで希釈した(0.097M)。生じたスラリーを−78℃まで冷却した後、tert−ブチルマグネシウムクロリド(THF中1.0M溶液として、2.2当量)を添加した。混合物を直ちに0℃まで加温し、30分間撹拌し、再び−78℃まで冷却した後、1H−インドール−1−カルボン酸5−[[クロロ[[(1S)−2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル]アミノ]ホスフィニル]オキシ]−1,1−ジメチルエチルエステル(THF中1.0 M溶液として、1.6当量)を1滴ずつ添加した。反応物を一晩で室温に戻し、水を添加することによりクエンチした。水性相をEtOAcで3回抽出し、合わせた有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した、粗な生成物をDMSO中に溶解し、RP−HPLC(固定相:カラムPhenomenex Luna C18(2),5μm,250×21.20mm;移動相:アセトニトリル/5mM AMBICで緩衝したHO)により精製した。純粋な化合物を含有するフラクションを合わせ、凍結乾燥して、標記化合物を白色粉末として得た。
【0259】
最初に溶離したジアステレオマーH NMR(300MHz,DMSO−d)δ:8.02(d,J=8.91Hz,1H),7.72(d,J=3.63Hz,1H),7.56(d,J=7.45Hz,1H),7.45(s,1H),7.17(d,J=9.06Hz,1H),7.16(br s,1H),7.10(br s,1H),6.71(d,J=3.60Hz,1H),6.07(dd,J=10.17及び12.66Hz,1H),5.95(s,1H),5.70(d,J=7.44Hz,1H),5.28(d,J=6.93Hz,1H),5.08(s,1H),4.47−4.35(m,1H),4.32−4.21(m,1H),4.13−3.96(m,3H),3.89−3.75(m,1H),3.58(t,J=6.96Hz,1H),1.64(s,9H),1.23(d,J=6.96Hz,3H),1.13(t,J=7.05Hz,3H),0.92(s,3H)。31P NMR(300MHz,DMSO−d)δ:4.05。MS(ES+) m/z 653(M+H)
【0260】
2番目に溶離したジアステレオマーH NMR(300MHz,DMSO−d)δ:8.02(d,J=8.91Hz,1H),7.72(d,J=3.63Hz,1H),7.57(d,J=7.54Hz,1H),7.49(s,1H),7.20(d,J=7.60Hz,1H),7.18(br s,1H),7.10(br s,1H),6.71(d,J=3.63Hz,1H),6.00(dd,J=10.42及び12.34Hz,1H),5.94(s,1H),5.70(d,J=7.44Hz,1H),5.23(d,J=7.05Hz,1H),5.09(s,1H),4.43−4.32(m,1H),4.30−4.18(m,1H),4.13−3.93(m,3H),3.92−3.80(m,1H),3.62(t,J=7.02Hz,1H),1.65(s,9H),1.25(d,J=7.02Hz,3H),1.13(t,J=7.11Hz,3H),0.96(s,3H)。31P NMR(300MHz,DMSO−d)δ:4.16。MS(ES+) m/z 653(M+H)
【0261】
実施例15
ステップ75’−O−[[[(1S)−2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル]アミノ](1H−インドル−5−イルオキシ)ホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン
【0262】
【化58】

【0263】
DCM中の実施例13のステップ6からの最初に溶離した5’−O−[[[1−(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]−1H−インドル−5−イル]オキシ][[(1S)−2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル]アミノ]ホスフィニル]−2’−C−メチルシチジン(0.01M)を0℃でTFA(0.5mL)で処理し、室温で2時間撹拌した。反応物をHO(0.1mL)で処理し、35℃で2時間撹拌した。粗な生成物をDMSO中に溶解し、RP−HPLC(固定相:カラムSymmetry C18,7μm,19×300mm;移動相:アセトニトリル/0.1% TFAで緩衝させたHO)により精製した。純粋な化合物を含有するフラクションを合わせ、凍結乾燥して、標記化合物を白色粉末として得た。
【0264】
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ:11.12(br s,1H),8.94(br s,1H),8.12(br s,1H),7.88(d,J=7.49Hz,1H),7.44−7.31(m,3H),6.95(d,J=9.64Hz,1H),6.40(s,1H),6.03−5.91(m,2H),5.87(s,1H),5.43(br s,1H),5.30(br s,1H),4.47−4.38(m,1H),4.38−4.22(m,1H),4.14−4.01(m,3H),3.91−3.74(m,1H),3.67−3.58(m,1H),1.22(d,J=6.99Hz,3H),1.17(t,J=7.17Hz,3H),1.00(s,3H)。31P NMR(300MHz,DMSO−d)δ:4.27。MS(ES+) m/z 553(M+H)
【0265】
表1及び2に挙げられている追加実施例をスキーム1に示し、実施例1〜15に記載されている手順に従って製造し、いずれもリンステレオジェン中心でのジアステレオマーの混合物として、または単一ジアステレオマーとして得た。
【0266】
【表1】





【0267】
【表2】


【0268】
生物学的アッセイ
HCV複製の阻害を調べるために使用したアッセイを以下に記載する。
【0269】
A.HCV RNA複製の阻害に関するアッセイ
本発明化合物を、サブゲノムHCVレプリコンを含有している培養肝細胞癌(HuH−7)細胞においてC型肝炎ウイルスRNAの複製に影響を及ぼす能力について評価する。アッセイの詳細を以下に記載する。このレプリコンは、V.Lohmann,F.Korner,J−O.Koch,U.Herian,L.Theilmann,and R.Bartenschlager,“Replication of a Sub−genomic Hepatitis C Virus RNAs in a Hepatoma cell Line”,Science,285:110(1999)に記載されているアッセイの修飾である。
【0270】
プロトコル:
本アッセイは、in situリボヌクレアーゼ保護、シンチレーション近接をベースとするプレートアッセイ(SPA)である。10,000〜40,000個の細胞を96ウェルのcytostarプレート(Amersham)において100〜200μLの0.8mg/mL G418含有培地中で平板培養する。化合物を1% DMSO中100μMまでの各種濃度で0〜18時に細胞に添加した後、24〜96時間培養する。細胞を固定し(20分間,10% ホルマリン)、透過化処理し(20分間,0.25% トリトンX−100/PBS)、RNAウイルスゲノム中に含まれている(+)鎖NS5B(または、他の遺伝子)に相補的な一本鎖33P RNAプローブとハイブリド形成させる(一晩50℃)。細胞を洗浄し、RNAseで処理し、洗浄し、65℃に加熱し、Top−Countでカウントする。複製の阻害をカウント/分(cpm)の減少として表す。
【0271】
サブゲノムレプリコンを含有するように選択されるヒトHuH−7肝細胞癌細胞は、HCV 5’非翻訳領域(NTR)、ネオマイシン選択マーカー、EMCV IRES(内部リボソーム侵入部位)及びHCV非構造タンパク質NS3〜NS5Bから構成される細胞質RNA、その後に3’NTRを有している。
【0272】
複製アッセイで調べた代表的化合物は100μM未満のEC5Dを示す。
【0273】
B.細胞内代謝に関するアッセイ
本発明化合物を、ヒト肝細胞癌細胞株に侵入し、細胞内的に対応のヌクレオシド5’−モノ−、ジ−及びトリホスフェートに変換される能力についても評価する。
【0274】
本発明化合物の細胞内代謝研究のために2つの細胞株、すなわちHuH−7及びHBI10Aを使用する。HuH−7はヒト肝細胞癌細胞株であり、HBI10AはHCVビシストロンレプリコンを含んでいるHuH−7細胞に由来するクローン細胞株を指す。HuH−7細胞は10% ウシ胎児血清を含有する完全ダルベッコ修飾イーグル培地において平板培養し、HBI10A細胞は該細胞が化合物の添加時に80%集密度であるようにG418(0.8mg/mL)を含有する同一培地において1.5×10細胞/60mm皿で平板培養する。トリチウム化化合物を2μMで細胞培地において3または23時間温置する。細胞を収集し、リン酸緩衝生理食塩液で洗浄し、カウントする。次いで、細胞を70% メタノール、20mM EDTA、20mM EGTAで抽出し、遠心する。ライゼートを乾燥し、放射標識したヌクレオチドをインラインβ−RAMシンチレーション検出器(IN/US Systems)に接続させたWaters Milleniumシステムでイオン対逆相(C−18)HPLCを用いて分析する。HPLC移動相は、(a)10mM リン酸カリウム+2mM 水酸化テトラブチルアンモニウム、及び(b)10mM リン酸カリウム+2mM 水酸化テトラブチルアンモニウムを含有する50% メタノールから構成する。標準に対する保持時間を比較することによりピークを同定する。活性を10個のHuH−7またはHBI10A細胞中で検出したヌクレオチドのピコモルとして表示する。
【0275】
本発明のヌクレオシドアリールホスホルアミデートを下記するカウンタースクリーニングにおいて細胞毒性及び抗ウイルス特異性についても評価する。
【0276】
C.カウンタースクリーニング
本発明のヌクレオシドアリールホスホルアミデートのヒトDNAポリメラーゼを阻害する能力を以下のアッセイで調べる。
【0277】
a.ヒトDNAポリメラーゼα及びβの阻害
(反応条件)
50μLの反応容量
(反応緩衝液成分)
20mM トリスHCl(pH7.5)
200μg/mL ウシ血清アルブミン
100mM KCl
2mM β−メルカプトエタノール
10mM MgCl
1.6μM dA,dG,dC,dTTP
α−33P−dATP
(酵素及びテンプレート)
0.05mg/mL ギャップ魚精子DNAテンプレート
0.01U/μL DNAポリメラーゼαまたはβ
(ギャップ魚精子DNAテンプレートの作成)
500μLの活性化魚精子DNA(USB 70076)に5μLの1M MgClを添加する;
37℃に加温し、30μLの65U/μL エキソヌクレアーゼ(GibcoBRL 18013−011)を添加する;
37℃で5分間温置する;
65℃に10分間加熱することにより反応を停止させる;
50〜100μLのアリコートを20mM トリス−HCl(pH7.5)で平衡化したBio−spin 6クロマトグラフィーカラム(Bio−Rad 732−6002)に充填する;
1,000×gで4分間遠心することにより溶離させる;
溶離液をプールし、260nmでの吸光度を測定して、濃度を調べる。
【0278】
DNAテンプレートを適当な容量の20mM トリス−HCl(pH7.5)中に希釈し、酵素を適当な容量の2mM β−メルカプトエタノール及び100mM KClを含有する20mM トリス−HClで希釈する。テンプレート及び酵素を微量遠心管または96ウェルプレートにピペットで移す。酵素を除くブランク反応及び試験化合物を除く対照反応もそれぞれ酵素希釈緩衝液及び試験化合物溶媒を用いて作成する。上にリストした成分を含む反応緩衝液を用いて反応を開始する。反応物を37℃で1時間温置する。20μLの0.5M EDTAを添加することにより反応物をクエンチする。50μLのクエンチした反応物をWhatman DE81フィルターディスク上にスポットし、風乾する。1mLの洗浄液が<100cpmになるまでフィルターディスクを150mLの0.3M ギ酸アンモニウム(pH8)で繰り返し洗浄する。ディスクを150mLの無水エタノールで2回、150mLの無水エーテルで1回洗浄し、乾燥し、5mLのシンチレーション流体中でカウントする。
【0279】
阻害%は以下の式に従って算出する:
阻害%=[1−(試験反応でのcpm−ブランクでのcpm)/(対照反応でのcpm−ブランクでのcpm)]×100
【0280】
b.ヒトDNAポリメラーゼγの阻害
ヒトDNAポリメラーゼγの阻害の可能性を、20mM トリス(pH8)、2mM β−メルカプトエタノール、50mM KCl、10mM MgCl及び0.1μg/μL BSAを含有する緩衝液中に0.5ng/μLの酵素、10μMのdATP,dGTP,dCTP及びTTP、2μCi/反応物の[α−33P]−dATP及び0.4μg/μLの活性化ウシ精子DNA(US Biochemicalから購入)を含む反応物において調べる。反応を37℃で1時間進行させ、0.5M EDTAを142mMの最終濃度まで添加することによりクエンチする。産物の形成をアニオン交換フィルター結合及びシンチレーションカウントにより定量する。化合物を最高50μMで試験する。
【0281】
阻害%は以下の式に従って算出する:
阻害%=[1−(試験反応でのcpm−ブランクでのcpm)/(対照反応でのcpm−ブランクでのcpm)]×100
【0282】
本発明のヌクレオシドアリールホスホルアミデートのHIVの感染性及びHIV蔓延を阻害する能力を以下のアッセイで調べる。
【0283】
c.HIV感染性アッセイ
アッセイは、低バックグラウンドβ−ガラクトシダーゼ(β−gal)発現のために選択したCXCR4及びCCR5の両方を発現するHeLa Magi細胞の変異体を用いて実施する。細胞を48時間感染させ、結合HIV−1 LTRプロモーターからのβ−gal産生を化学発光基質(マサチューセッツ州ベッドフォードに所在のTropix社のGalactolight Plus)を用いて定量する。阻害剤を100μMから出発する2倍連続希釈で滴定する。各濃度での阻害%を対照感染に比べて計算する。
【0284】
d.HIV蔓延の阻害
本発明化合物のヒト免疫不全ウイルス(HIV)の蔓延を阻害する能力を、全文を参照により本明細書中に含まれるとする米国特許5,413,999(1995年5月9日)及びJ.P.Vaccaら,Proc.Natl.Acad.Sci.,91:4096−4100(1994)に記載されている方法により調べる。
【0285】
本発明のヌクレオシドアリールホスホルアミデートを、以下のアッセイに記載されているMTS細胞ベースアッセイにおいてサブゲノムHCVレプリコンを含有する培養肝細胞癌(HuH−7)細胞に対する細胞毒性についてもスクリーニングする。HuH−7細胞株はH.Nakabayashiら,Cancer Res.,42:3858(1982)に記載されている。
【0286】
e.細胞毒性アッセイ
細胞培養物を適当な培地において3日間温置での懸濁培養物に対しては約1.5×10細胞/mL、3日間温置での接着培養物に対しては5.0×10細胞/mLで作成する。99μLの細胞培養物を96ウェルの組織培養処理プレートのウェルに移し、1μLの100倍最終濃度のDMSO中試験化合物を添加する。プレートを37℃、5% COで特定期間温置する。温置した後、20μLのCellTiter 96 Aqueous One Solution細胞増殖アッセイ試薬(MTS)(Promega)を各ウェルに添加し、プレートを37℃、5% COで最長3時間までの追加期間温置する。プレートを十分に混合するために撹拌し、490nmでの吸光度をプレートリーダーを用いて測定する。懸濁培養細胞の標準曲線をMTS試薬の添加直前に公知の細胞数で作成する。代謝的に活性な細胞はMTSをホルマザンに還元する。ホルマザンは490nmで光を吸収する。化合物の存在下での490nmでの吸光度を化合物が添加されていない細胞での吸光度と比較する。
【0287】
参考文献:Cory,A.H.ら,“Use of an aqueous soluble tetrazolium/formazan assay for cell growth assay in culture”,Cancer Commun.,3:207(1991)。
【0288】
以下のアッセイを使用して、本発明化合物の他のRNA依存性RNAウイルスに対する活性を調べる。
【0289】
a.ライノウイルスに対する化合物のインビトロ抗ウイルス活性の測定(細胞変性効果阻害アッセイ)
アッセイ条件はSidwell and Huffman,“Use of disposable microtissue culture plates for antiviral and interferon induction studies”,Appl.Microbiol.,22:797−801(1971)の文献に記載されている。
【0290】
(ウイルス)
Sidwell and Huffman参考文献に記載されているようにライノウイルスタイプ2(RV−2)菌株HGPをKB細胞及び培地(0.1% NaHCO,抗生物質なし)と一緒に使用する。ATCCから入手したウイルスは軽度の急性発熱性上気道疾患を有している男性成人の喉スワブ由来のものである。ライノウイルスタイプ9(RV−9)菌株211及びライノウイルスタイプ14(RV−14)菌株Towもメリーランド州ロックビルに所在のAmerican Type Culture Collection(ATCC)から入手する。RV−9はヒト喉うがい液に由来し、RV−14は上気道疾患を有している若い成人の喉スワブ由来である。これらの両ウイルスを、ヒト子宮頸部類上皮癌細胞であるHeLa Ohio−1細胞(VAの大学のFred Hayden博士)と一緒に使用する。5% ウシ胎児血清(FBS)及び0.1% NaHCOを含むMEM(イーグル最小必須培地)を増殖培地として使用する。
【0291】
3つすべてのウイルスタイプの抗ウイルス試験培地は5% FBS、0.1% NaHCO、50μg ゲンタマイシン/mL及び10mM MgClを含むMEMであった。
【0292】
2000μg/mLが本発明の化合物をアッセイするために使用した最高濃度である。試験化合物から約5分後にウイルスをアッセイプレートに添加する。適切な対照も流す。アッセイプレートを37℃で湿潤空気及び5% COで温置する。対照細胞において細胞毒性を形態学的変化について顕微鏡を用いてモニターする。ウイルスCPEデータ及び毒性対照データの回帰分析によりED50(50%の有効用量)及びCC50(50%の細胞毒性濃度)を得る。選択指数(SI)は、式SI=CC50÷ED50により算出する。
【0293】
b.化合物のデング熱、バンジ及び黄熱に対するインビトロ抗ウイルス活性の測定(CPE阻害アッセイ)
アッセイの詳細は上掲したSidwell and Huffman文献に記載されている。
【0294】
(ウイルス)
デング熱ウイルスタイプ2のNew Guinea菌株は疾病管理センターから入手する。ウイルス(Vero)を培養し、抗ウイルス試験(MA−104)を実施するために2系統のアフリカミドリザル腎細胞を使用する。両方の黄熱ウイルス、すなわち感染させたマウス脳から作成した17D菌株及び南アフリカの発熱少年の血清から単離したバンジウイルスH336菌株はATCCから入手する。これらのウイルス及びアッセイのためにベロ細胞を使用する。
【0295】
(細胞及び培地)
MA−104細胞(メリーランド州ウォーカーズビルに所在のBioWhittaker.Inc.)及びベロ細胞(ATCC)を抗生物質を含まずに5% FBS及び0.1% NaHCOを含有する培地199中で使用する。
【0296】
デング熱、黄熱及びバンジウイルスに対するアッセイ培地はMEM、2% FBS、0.18% NaHCO及び50μg ゲンタマイシン/mLである。
【0297】
本発明化合物の抗ウイルス試験は、Sidwell and Huffman文献に従って、上記ライノウイルス試験と同様にして実施する。これらの各ウィルスについて5〜6日後に十分な細胞変性効果(CPE)が見られる。
【0298】
c.化合物の西ナイルウイルスに対するインビトロ抗ウイルス活性の測定(CPE阻害アッセイ)
アッセイの詳細は上掲したSidwell and Huffman文献に記載されている。西ナイルウイルスのカラスの脳由来のニューヨーク単離物は疾病管理センターから入手する。ベロ細胞を上記したように増殖させ、使用する。試験培地はMEM、1% FBS、0.1% NaHCO及び50μgのゲンタマイシン/mLである。
【0299】
本発明化合物の抗ウイルス試験は、ライノウイルス活性をアッセイするために使用したものに類似しているSidwell and Huffmanの方法に従って実施する。5〜6日後に十分な細胞変性効果(CPE)が見られる。
【0300】
d.化合物のライノ、黄熱、デング熱、バンジ及び西ナイルウイルスに対するインビトロ抗ウイルス活性の測定(ニュートラルレッド摂取アッセイ)
上記CPE阻害アッセイを実施した後、“Microliter Assay for Interferon:Microspectrophotometric Quantitation of Cytopathic Effect”,Appl.Environ.Microbiol.,31:35−38(1976)に記載されている追加の細胞変性検出方法を使用する。アッセイプレートを調べるためにモデルEL309マイクロプレートリーダー(Bio−Tek Instruments Inc.)を使用する。ED50及びCD50は上記したように算出する。
【0301】
医薬組成物の実施例
本発明化合物の経口組成物の具体的実施態様として、50mgの実施例1または実施例2の化合物を十分に微細なラクトースと処方して全量580〜590mgとし、サイズOの硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0302】
本発明を具体的実施態様を参照して記載し、例示してきたが、当業者は本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく各種の変化、修飾及び置換を加え得ることを当業者は認識している。例えば上記した好ましい用量以外の有効用量はHCV感染の重症度に対する治療対象のヒトの応答性の変化の結果として適用可能であり得る。また、観察される薬理学的応答は選択した特定の活性化合物または医薬用担体が存在しているか否か、使用する製剤のタイプ及び投与方法に従って、応じて変更され得、結果の予想される変化または差は本発明の目的及び実施に従って考えられる。従って、本発明は請求の範囲によってのみ限定され、請求の範囲は合理的に広く解釈されると意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I
【化1】

[式中、
nは0、1または2であり;
Arはフェニル、ナフチル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリル、キノリニルまたはイソキノリニルであり、Arは場合によりハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルカルボニルオキシ及びC1−4アルキルオキシカルボニルからなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されており;
は水素またはフルオロであり;
はフルオロ、メトキシまたはOR10であり;
は水素、C1−16アルキルカルボニル、C2−18アルケニルカルボニル、C1−10アルキルオキシカルボニル、C3−6シクロアルキルカルボニル、C3−6シクロアルキルオキシカルボニル、及び構造式
【化2】

を有するアミノアシル残基からなる群から選択され;
10は水素、C1−16アルキルカルボニル、C2−18アルケニルカルボニル、C1−10アルキルオキシカルボニル、C3−6シクロアルキルカルボニル、C3−6シクロアルキルオキシカルボニル、及び構造式
【化3】

を有するアミノアシル残基からなる群から選択され;或いは
及びR10はこれらが結合している酸素原子と一緒になって、5員環状カーボネートを形成し;
は水素、C1−5アルキル、フェニルまたはベンジル(前記アルキルは場合によりフッ素、ヒドロキシ、メトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、グアニジノ、メルカプト、メチルチオ、1H−イミダゾリル及び1H−インドル−3−イルからなる群から選択される1個の置換基で置換されており、前記したフェニル及びベンジルは場合によりハロゲン、ヒドロキシ及びメトキシからなる群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換されている)であり;
は水素またはメチルであり;或いは
及びRはこれらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜6員脂肪族スピロ環式環系を形成し;
は水素、C1−16アルキル、C2−20アルケニル、(CH3−6シクロアルキル、フェニル、ベンジルまたはアダマンチル(前記したアルキル、アルケニル、シクロアルキル及びアダマンチルは場合によりハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、C1−4アルコキシから独立して選択される1〜3個の置換で置換基されており、前記したフェニル及びベンジルは場合によりハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルコキシ、トリフルオロメチル及びトリフルオロメトキシから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている)であり;
は水素、C1−5アルキルまたはフェニルC0−2アルキルであり;
は水素、C1−4アルキル、C1−4アシル、ベンゾイル、C1−4アルキルオキシカルボニル、フェニルC0−2アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルアミノカルボニル、フェニルC0−2アルキルアミノカルボニル、C1−4アルキルスルホニルまたはフェニルC0−2アルキルスルホニルであり;
は水素、C1−8アルキルカルボニルまたはC1−8アルキルオキシカルボニルである。]
を有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩。
【請求項2】
が水素またはフルオロであり、Rがヒドロキシであり、Rが水素である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が水素またはフルオロであり、Rがフルオロであり、Rが水素である請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Arが場合によりハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルカルボニルオキシ及びC1−4アルキルオキシカルボニルからなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されているフェニルである請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Arがハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルカルボニルオキシ及びC1−4アルキルオキシカルボニルからなる群から独立して選択される3〜5個の置換基で置換されているフェニルである請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Arがハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルカルボニルオキシ及びC1−4アルキルオキシカルボニルからなる群から独立して選択される3個の置換基で置換されているフェニルである請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Arがインドリルである請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が水素であり、Rが水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、イソブチル、2−メチル−1−プロピル、ヒドロキシメチル、フルオロメチル、メルカプトメチル、カルボキシメチル、カルバモイルメチル、1−ヒドロキシエチル、2−カルボキシエチル、2−カルバモイルエチル、2−メチルチオエチル、4−アミノ−1−ブチル、3−アミノ−1−プロピル、3−グアニジノ−1−プロピル、1H−イミダゾル−4−イルメチル、フェニル、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル及び1H−インドル−3−イルメチルからなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
がメチルまたはベンジルである請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
がメチルである請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
がC7−16アルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
がC8−12アルキルである請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
がCアルキルである請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
Arがそれぞれが場合によりハロゲン及びC1−4アルキルから選択される1〜3個の置換基で置換されているフェニルまたはインドリルであり、Rがメチルであり、Rがエチルまたはブチルであり、Rが水素である請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
Arが未置換フェニルであり、RがCアルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
【化4】

からなる群から選択される請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩。
【請求項17】
請求項1に記載の化合物及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物。
【請求項18】
哺乳動物におけるC型肝炎ウイルス感染を治療するための請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項19】
哺乳動物におけるC型肝炎ウイルス感染の治療用薬剤の製造における請求項1に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2009−526850(P2009−526850A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555315(P2008−555315)
【出願日】平成19年2月12日(2007.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/003862
【国際公開番号】WO2007/095269
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【出願人】(501209427)イステイチユート・デイ・リチエルケ・デイ・ビオロジア・モレコラーレ・ピ・アンジエレツテイ・エツセ・ピー・アー (90)
【Fターム(参考)】