説明

RSV特異的結合分子

本発明は、RSVに特異的に結合できる抗体及びその機能的等価物を提供する。前記抗体をコードする核酸配列、並びに抗体産生細胞、及び前記抗体を産生する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物学及び医学の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)は、パラミクソウイルスファミリーに属する一般的な風邪ウイルスである。RSVは、病原性があり、伝染し易く、かつ2歳未満の児童の下気道疾患の最も一般的な原因である。デイケアに参加している児童の最高98%が、1つのRSVシーズンで感染する。RSV感染を有する児童の0.5%〜3.2%が入院を必要とする。米国において、1年につきおよそ90,000件の入院及び4500件の死亡が報告された。RSVに起因する入院のための主要な危険因子は、早産、慢性肺疾患、先天性心臓病、易感染性免疫(compromised immunity)、及び年齢以外は健常の児童における6週未満の年齢である。十分な栄養及び酸素療法の形態での支持看護の他に、RSV陽性の細気管支炎の有効な治療は利用できない。リバビリンなどの抗ウイルス療法は、RSV感染症に効果的であることが証明されていない。1つのモノクローナル抗体であるパリビズマブ(palivizumab)(シナジス(Synagis)とも称される) は、RSV感染症に対する予防のために登録されている。パリビズマブは、RSVの融合タンパク質(Fタンパク質)に対する遺伝子改変された(ヒト化)モノクローナル抗体である。RSV Fタンパク質は、ウイルス膜タンパク質であり、接着後、宿主細胞とビリオンの融合の原因となる。加えて、合胞体の形成による隣接細胞の感染は、Fタンパク質により促進され、その機能は、該タンパク質の原型のオリゴマー構造によると考えられる。しかしながら、パリビズマブは常に効果的とは限らない。従って、当該技術分野において、RSVに対する代替的及び/又は補助抗体並びに治療法についての必要性が存在する。
【0003】
本発明の目的は、RSVに対する改良された抗体又は当該抗体の機能的等価物を提供することである。更なる目的は、既存のRSV特異抗体と組み合わせて、相乗効果を提供する、RSVに対する補助抗体を提供することである。本発明のさらなる目的は、公知のRSV特異抗体が指示されるエピトープと異なるエピトープに指示される、RSV Fタンパク質に対するヒト若しくはヒト化抗体又は機能的等価物を提供することである。
【0004】
したがって、本発明は、呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合することができ、かつ以下の構成を含む、単離された合成若しくは組換え抗体又はその機能的な部分、誘導体及び/又は類似体を提供する:
・配列
【化1】

に少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR1配列、及び/又は、
・配列
【化2】

に少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR2配列、及び/又は、
・配列
【化3】

に少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR3配列、及び/又は、
・配列
【化4】

に少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR1配列、及び/又は、
・配列
【化5】

に少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR2配列、及び/又は、
・配列
【化6】

に少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR3配列。
【0005】
本発明は、図2に示す重鎖及び軽鎖配列を有する、「AM22」と称する抗体を提供する。特にAM22の抗原結合特性に関与するAM22のCDR配列も図2に示す。抗体AM22は、完全ヒト抗体であり、RSVに特異的に結合でき(図3)、それゆえ、ヒト個人の予防及び/又は治療的な使用に好ましい。
【0006】
上記のように、唯一の利用可能な臨床的に使用される抗RSV抗体は、パリビズマブである。これは、RSV Fタンパク質の抗原部位におけるエピトープに指示されるヒト化モノクローナル抗体である。ヒト化抗体は未だマウス抗体の一部を含み、免疫原性特性が完全マウス抗体に比較して減弱しているものの、ヒトに適用した場合、ヒト化抗体の副作用が発生する場合がある。しかしながら、本発明者は、RSV特異抗体を産生するヒトB細胞を得ること及び培養することに成功し、これにより完全ヒト配列の結果として、(仮にあったとしても)大幅に減弱した免疫原性活性を有するヒトRSV特異抗体が提供された。実施例に示すように、本発明による抗体は、パリビズマブに比較して、優れた特徴を有する(図1及び表1)。本発明者は、筋注により本発明の抗体を与えられた後にRSV-Xで鼻腔内曝露したコットンラット(Sigmodon hispidus)が、パリビズマブを与えた後にRSV-Xで曝露したコットンラットよりも低い病態指数を有することを示した (図4C及び表2)。本明細書に使用される病態指数は、肺損傷についての3つの個別的マーカーを分類するスコアの合計である。これらの3つのマーカーは、気管支及び細気管支上皮の肥大(hyperthropy)、気管支及び細気管支を囲む炎症((細)気管支周囲炎)、及び肺胞の炎症(肺胞炎)である。加えて、本発明の抗体を筋注した後にRSV-X曝露したコットンラットは、パリビズマブを与えた後にRSV-X曝露したコットンラットよりも低い肺ウイルス力価を有し(図4B)、これはTCID50(50%の組織培養感染用量)アッセイにより測定された。それゆえ、AM22は、パリビズマブよりも好ましい。
【0007】
パリビズマブの他に、いくつかの他のRSV特異抗体が公知である。WO 2008/147196は、RSV結合分子、すなわち、抗体D25、AM14、AM16 及びAM23の配列を開示する。本願の実施例1において詳細に説明するように、RSV特異抗体AM22は、抗体D25、AM14、AM16及びAM23と同じドナーから得られた。しかしながら、顕著なのは、AM22は、同じドナーから得られる他の全ての抗体よりも効率的にRSVを認識することである。AM22のIC50値(1.15ng/ml)は、パリビズマブ、D25、AM14、AM16又はAM23のIC50値より低い。従って、RSV関連の障害の治療及び/又は予防のためのAM22の使用は、他のRSV特異抗体の使用に勝る利点がある。他の抗体に比較して類似の効果を得るのにより少ないAM22抗体が必要とされている。従って、より少ないAM22が、RSV関連の障害の治療及び/又は予防のために個人に与えられなければならない。別法として、AM22の同程度の量を用いて、他の抗体と比較して、RSV関連の障害のより有効な治療及び/又は予防が達成される。
【0008】
更に、本発明によるRSV特異抗体は、先に開示されたRSV結合分子と異なるエピトープを認識する。先に同定された抗体(WO2008/147196)に類似するAM22は、RSV Fタンパク質に結合できる(図3A)。しかしながら、AM22は、単量体のRSV Fタンパク質に結合しない(図3B左右のパネル)。AM22に反して、公知の抗体パリビズマブ及びAM16(WO 2008/147196及び図3Bにおいて開示される)は、Fタンパク質の単量体形態に結合できる。重要なことに、抗原特異的B細胞受容体(BCR)を発現するAM22 B細胞株は、組換え型のFタンパク質を認識しない(図3C)。それゆえ、AM22は、パリビズマブ、D25、AM23及びAM16とは異なるFタンパク質のエピトープに結合する。組換えFタンパク質が、8個のHISタグを有するイソロイシンジッパー三量体化モチーフ(ILZ-8xHIS)を含むベクターで発現する場合、それから、AM22は、この三量体立体構造依存的構造を認識した(図3D)。対照的に、AM14は、Fタンパク質の単量体形態又はILZ-8xHIS Fタンパク質のいずれも認識しなかった。それゆえ、AM22は、同様にAM14とは異なるFタンパク質のエピトープに結合する。更に、AM22は、RSV感染Hep2細胞に結合するD25又はパリビズマブに干渉しないことが判明した。それゆえ、AM22は、D25、AM14、AM16、AM23及びパリビズマブに比較して、Fタンパク質の異なるエピトープに結合する。従って、本発明によるRSV特異抗体又はその機能的等価物は、好ましくは、既に公知であるRSV特異抗体、例えばパリビズマブ、D25、AM14、AM16及びAM23と組み合わせる。本発明による抗体を公知のRSV特異抗体と組み合わせることにより、RSVの2以上の異なるエピトープが、同じ療法の間、認識される。それゆえ、RSVへのより強い免疫原性反応が得られる。更に、RSVに対するより高い抗体特異性は、公知のRSV特異抗体のうちの1つを本発明によるAM22抗体と組み合わせることにより、達成される。RSVに応答してより強い免疫原性反応及びRSVに対するより高い特異性を有する当該組合せは、RSV関連障害のより有効な治療及び/又は予防を結果的に生じる。最後に、AM22は、約1.15ng/mlという低いIC50値により示されるように、パリビズマブ、D25、AM14、AM16及びAM23に比較して、Fタンパク質により強い結合能を有するので、全体的により低い抗体投与量を必要とする。
【0009】
従って、一実施態様は、HEp-2細胞をRSV-A2ウイルスで感染させたインビトロ中和アッセイにおいて1.25ng/ml未満のIC50値を有する本発明による抗体又は機能的等価物を提供する。前記抗体又は機能的等価物は、好ましくは1.2ng/ml未満、好ましくは0.5ng/ml〜1.2ng/mlのIC50値を有する。加えて、本発明による抗体又は機能的等価物は、HEp-2細胞をRSV-A2ウイルスで感染させたインビトロ中和アッセイにおいて、パリビズマブのIC50値よりも、好ましくは少なくとも120倍低い、より好ましくは少なくとも130倍低いIC50値を有する。前記抗体又は機能的等価物は、好ましくは、約1.15ng/mlのIC50値を有する。それゆえ、少なくとも1つの利用可能なRSV特異抗体と組み合わせて本発明によるRSV特異抗体又はその機能的等価物を用いて、RSV関連障害のより有効な治療及び/又は予防が達成される。
【0010】
抗体の機能的等価物は、本明細書において、抗体の機能的部分、誘導体又は類似体と定義される。抗体の機能的等価物は、好ましくは、抗体の少なくとも1つのCDR配列を含む人工結合合成物である。
【0011】
抗体の機能的部分は、前記抗体と必ずしも量においてではなく種類において少なくとも1つの同じ特性を有する部分として定義される。前記機能的部分は、必ずしも同程度というわけではないが、前記抗体と同じ抗原に結合し得る。抗体の機能的部分は、好ましくは、単ドメイン抗体、単鎖抗体、単鎖可変断片(scFv)、Fab断片、又はF(ab')2断片を含む。
【0012】
抗体の機能的誘導体は、結果として生じる合成物の少なくとも1つの特性、好ましくは抗原結合特性が必ずしも量においてではなく基本的に種類において同じあるように改変された抗体として定義される。誘導体は、様々な方法、例えば保存的アミノ酸置換で提供され、これによりアミノ酸残基は、全体的な機能にそれほど影響がないように、一般的に類似する特性(サイズ、疎水性など)を有する別の残基により置換される。
【0013】
当業者は、抗体の類似化合物をうまく生成することができる。これは、例えばペプチドライブラリ又はファージディスプレイライブラリを使用してなされる。当該類似体は、必ずしも量においてではなく、種類において前記抗体と基本的に少なくとも1つの同じ特性を有する。
【0014】
本発明による抗体は、好ましくはヒト抗体である。ヒトにおける予防及び治療法のためのヒト抗体の使用は、ヒト個人における非ヒト配列に対する免疫学的反応に起因する副作用の可能性を減弱させる。別の実施態様において、本発明による抗体、機能的部分、誘導体又は類似体は、ヒト化抗体である。ヒト化抗体は、非ヒトの超可変ドメインをヒト抗体に組み込むことにより作成され、したがって、免疫原性特性は、完全非ヒト抗体に比較して、減弱する。他の好ましい実施態様において、本発明による抗体又は機能的部分、誘導体又は類似体は、キメラ抗体である。それゆえ、関心対象の配列、例えば関心対象の結合部位は、本発明による抗体又は機能的等価物に含ませることができる。
【0015】
当業者に周知のように、抗体の重鎖は、免疫グロブリン分子を形成している2つのタイプ鎖の大きい方である。重鎖は、定常ドメイン及び可変ドメインを含み、当該可変ドメインが抗原結合に関与する。抗体の軽鎖は、免疫グロブリン分子を形成している2つのタイプの鎖の小さい方である。軽鎖は、定常ドメイン及び可変ドメインを含む。該可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと共に、抗原結合に関与する。
【0016】
相補性決定領域(CDR)は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインに存在する超可変領域である。重鎖のCDR及び抗体の連結軽鎖は共に、抗原結合部位を形成する。
【0017】
本明細書により、本発明が、図2に示すCDR配列が所望の結合特性を提供することの知見を提供することから、当業者は、少なくとも1つの改変されたCDR配列を含む異型をうまく生成することができる。例えば、保存的アミノ酸置換が適用される。AM22に比較して少なくとも1つの改変された特性を有する異型抗体又はその機能的等価物を生成するために、図2に示す少なくとも1つのCDR配列を改変することも可能である。好ましくは、図2に示すCDR配列に少なくとも70%同一である CDR配列を含む抗体又は機能的等価物が提供され、その結果、AM22の好ましい結合特性が少なくとも部分的に維持され又は改良されさえもする。図2に示すCDR配列は、好ましくは、結果として生じる抗体又は機能的等価物が、AM22に比較して、少なくとも1つの改良された特性、例えば改良された安定性及び/又は結合親和性を含むように、改変される。好ましくは、結合特異性は(必ずしも量においてではなく、種類において)維持される。従って、図2に示すCDR配列に少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含む異型抗体又はその機能的等価物も本発明の範囲内である。当該技術分野におけるアミノ酸配列を改変するための様々な方法が利用可能である。例えば、所望のCDR配列を有する重鎖又は軽鎖配列は、人工的に合成される。好ましくは、CDR配列をコードする核酸配列は、例えばランダム突然変異誘発又は部位特異的突然変異誘発を使用して、変異される。
【0018】
抗原と抗体の間の結合の親和性定数及び特異性の測定は、本発明の抗RSV抗体を使用する予防方法、治療方法、診断方法及び調査方法の有効性を決定することにおいて好ましい。「結合親和性」とは一般に、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合相互作用の合計強度をいう。特に明記しない限り、本明細書に使用されるように、「結合親和性」は、結合対(例えば、抗体及び抗原)のメンバー間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性をいう。親和性は通常、平衡解離定数(Kd)により表すことができ、これは比率koff/konとして算出される。例えば、Chen, Y.らの文献, (1999) J. Mol Biol 293:865-881を参照されたい。親和性は、当該技術分野において公知の一般的方法、例えばBiaCore、若しくはIBIS Technologies BVのIBIS-iSPR装置(Hengelo, the Netherlands) などの表面プラスモン共鳴(SPR)アッセイ、又はKinexaなどの液相アッセイにより測定できる。
【0019】
好ましい実施態様によると、本発明の抗RSV抗体は、RSV Fタンパク質上のエピトープに結合親和性を有し、1×10-2M未満、1×10-3M、1×10-4M、1×10-5M、1×10-6M、1×10-7M、1×10-8M、1×10-9M、1×10-10M、1×10-11M、1×10-12M、1×10-13M、1×10-14M又は1×10-15M未満の解離定数(Kd)を含む。一実施態様において、抗RSV抗体は、10-7M未満、5×10-8M未満、10-8M未満、5×10-9M未満、10-9M未満、5×10-10M未満、10-10M未満、5×10 -11 M未満、10 -11 M未満、5×10-12M未満、10-12M未満、5×10-13M未満、10-13M未満、5×10-14M未満、10-14M未満、5×10-15M未満、又は10-15 M未満のKdを有する。
【0020】
本発明は、以下の構成を含む、単離された合成若しくは組換え抗体又はその機能的部分、誘導体及び/又は類似体を更に提供する:
・配列
【化7】

に少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む重鎖CDR1配列、及び/又は、
・配列
【化8】

に少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む重鎖CDR2配列、及び/又は、
・配列
【化9】

に少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む重鎖CDR3配列及び/又は、
・配列
【化10】

に少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR1配列、及び/又は、
・配列
【化11】

に少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR2配列、及び/又は、
・配列
【化12】

に少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR3配列。
【0021】
好ましくは、本発明による抗体又は機能的等価物は、図2に示すCDR配列のうちの少なくとも1つに少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%同一であるCDR配列を含む。最も好ましくは、本発明による抗体又は機能的等価物は、図2に示すCDR配列のうちの少なくとも1つに少なくとも95%同一であるCDR配列を含む。上記の特に好ましい抗体AM22には、図2に示すCDR配列からなるCDR配列を含む。それゆえ、本発明による特に好ましい実施態様は、RSVに特異的に結合でき、かつ以下の構成を含む、単離された合成若しくは組換え抗体又はその機能的等価物を提供する:
・配列
【化13】

を含む重鎖CDR1配列、及び/又は、
・配列
【化14】

を含む重鎖CDR2配列、及び/又は、
・配列
【化15】

を含む重鎖CDR3配列、及び/又は、
・配列
【化16】

を含む軽鎖CDR1配列、及び/又は、
・配列
【化17】

を含む軽鎖CDR2配列、及び/又は、
・配列
【化18】

を含む軽鎖CDR3配列。
【0022】
一実施態様において、図2に示す重鎖CDR1及びCDR2配列及び軽鎖CDR1及びCDR2配列、又は該配列に少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%同一である配列を含む抗体又は機能的等価物が提供される。従って、配列
【化19】

に少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR1配列、及び配列
【化20】

に少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR2配列、及び配列
【化21】

に少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR1配列、及び配列
【化22】

に少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR2配列を含む、単離された合成若しくは組換え抗体又はその機能的部分、その誘導体及び/又は類似体が更に提供される。前記抗体又は機能的等価物は、好ましくは、上記重鎖CDR配列及び軽鎖CDR配列に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%同一であるCDR配列を含む。好ましくは、前記抗体又は機能的等価物は、配列
【化23】

に少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR3配列、及び/又は配列
【化24】

に少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR3配列も含む。上記重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列並びに上記軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列を含む抗体又は機能的等価物も提供される。
【0023】
任意に、前記少なくとも1つのヒトCDR配列は、好ましくは結合効率又は安定性を改良するために、最適化される。これは例えば、突然変異誘発実験を行い、その後好ましくは結果として生じる合成物の安定性及び/又は結合効率を試験し、改良された抗体又は機能的等価物を選択することにより最適化される。
【0024】
CDR配列を最適化する他に、フレームワーク領域のうちの少なくとも1つにおける少なくとも1つの配列を最適化することは、しばしば有利である。これは、好ましくは結合効率又は安定性を改良するために最適化される。フレームワーク配列は、例えば、当該フレームワーク配列をコードする核酸分子を変異させ好ましくは結果として生じる抗体(又はその機能的部分)の特徴を試験したことにより最適化される。それゆえ、改良された抗体又は機能的部分を得ることが可能である。従って、図2に示す重鎖配列に少なくとも70%の配列同一性を有する重鎖アミノ酸配列を含む単離された合成若しくは組換え抗体又はその機能的部分、誘導体及び/又は類似体も提供される。当該重鎖配列は、抗体AM22により証明されたように、所望の結合特性を提供する。更に、図2に図示する軽鎖配列に少なくとも70%の配列同一性を有する軽鎖アミノ酸配列も、抗体AM22により証明されたように、所望の結合特性を提供する。従って、配列
【化25】

に少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む重鎖配列、及び/又は、配列
【化26】

に少なくとも70%の配列同一性を有する軽鎖配列を有する、本発明による単離された合成若しくは組換え抗体又はその機能的部分、誘導体及び/又は類似体が更に提供される。
【0025】
本発明による単離された合成若しくは組換え抗体又はその機能的部分、誘導体及び/又は類似体は、好ましくは、図2に示す重鎖配列及び/又は軽鎖配列に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%同一である重鎖配列及び/又は軽鎖配列を含む。相同性が高いほど、前記抗体又は機能的等価物は、より密接に抗体AM22に似る。本発明による単離された合成若しくは組換え抗体又はその機能的部分、誘導体及び/又は類似体は、好ましくは、AM22の重鎖及び軽鎖に似ている重鎖並びに軽鎖を含む。従って、図2に示す重鎖配列及び軽鎖配列にそれぞれ少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%同一である重鎖配列及び軽鎖配列を含む、単離された合成若しくは組換え抗体又はその機能的部分、誘導体及び/又は類似体が更に提供される。一実施態様において、図2に示す重鎖配列及び図2に示す軽鎖配列を有する抗体又は機能的等価物が提供される。
【0026】
一実施態様は、図2に示す重鎖配列からなる重鎖配列を含む、及び/又は図2に示す軽鎖配列からなる軽鎖配列を含む、単離された合成若しくは組換え抗体又はその機能的部分、誘導体及び/又は類似体を提供する。別法として、当業者に周知であるように、短縮されているが、関心対象の結合特性を維持する重鎖又は軽鎖配列を生成することができる。好ましくは、原型の重鎖又は軽鎖に比較して、より短い定常領域を有する当該短縮された重鎖又は軽鎖が産生される。好ましくは、可変ドメインは維持される。例えば、図2に示す重鎖配列又は軽鎖配列に基づき、Fab断片又はF(ab')2断片又は単ドメイン抗体又は単鎖抗体又はナノボディ又はユニボディ又はscFv断片が産生される。従って、図2に示す配列の少なくとも機能的な部分を含む抗体の機能的部分も提供される。前記機能的部分は、少なくとも20アミノ酸長を有し、かつ、図2に示す重鎖CDR1配列に少なくとも70%同一である配列、及び図2に示す重鎖CDR2配列に少なくとも70%同一である配列、及び図2に示す重鎖CDR3配列に少なくとも70%同一である配列、及び図2に示す軽鎖CDR1配列に少なくとも70%同一である配列、及び図2に示す軽鎖CDR2配列に少なくとも70%同一である配列、及び図2に示す軽鎖CDR3配列に少なくとも70%同一である配列からなる群から選択される少なくとも1つの配列を含む。
【0027】
先に記載したように、本発明による抗体及び機能的等価物は、RSV Fタンパク質三量体の固有エピトープを認識する。それゆえ、このエピトープを特異的に認識する抗体及び機能的等価物が提供される。前記固有エピトープを特異的に認識する抗体又はその機能的等価物は、好ましくは、既に公知であるRSV特異抗体、例えばパリビズマブ、D25、AM14、AM16及びAM23と組み合わせる。前記固有エピトープを特異的に認識する本発明による抗体又は機能的等価物を公知のRSV特異抗体と組み合わせることにより、RSVの2以上の異なるエピトープは、同じ療法の間、認識される。それゆえ、RSVに応答してのより強い免疫原性反応、及び/又は RSVに対するより高い抗体特異性は、RSVに応答してのより強い免疫原性反応及びRSVに対するより高い特異性で達成され、当該組合せは、RSV関連障害のより有効な治療及び/又は予防を結果的に生じるであろう。
【0028】
従って、本発明は、以下の構成を含む抗体により認識されるエピトープに特異的に結合することができる、単離された合成若しくは組換え抗体又はその機能的部分、誘導体及び/又は類似体を提供する:
・配列
【化27】

を含む重鎖CDR1配列、及び/又は、
・配列
【化28】

を含む重鎖CDR2配列、及び/又は、
・配列
【化29】

を含む重鎖CDR3配列、及び/又は、
・配列
【化30】

を含む軽鎖CDR1配列、及び/又は、
・配列
【化31】

を含む軽鎖CDR2配列、及び/又は、
・配列
【化32】

を含む軽鎖CDR3配列。
【0029】
特に好ましい実施態様において、本発明は、以下の構成を含むAM22抗体により認識されるエピトープに特異的に結合することができる、単離された合成若しくは組換え抗体又はその機能的部分、誘導体及び/又は類似体を提供する:
・配列
【化33】

を含む重鎖CDR1配列、及び
・配列
【化34】

を含む重鎖CDR2配列、及び
・配列
【化35】

を含む重鎖CDR3配列、及び
・配列
【化36】

を含む軽鎖CDR1配列、及び
・配列
【化37】

を含む軽鎖CDR2配列、及び
・配列
【化38】

を含む軽鎖CDR3配列。
【0030】
本発明のさらなる実施態様は、エフェクター機能を改変する特定の抗体定常領域(Fc)の修飾を意図する。例えば、Fc領域を含むタンパク質の血清半減期は、FcRnのためのFc領域の結合親和性を増加させることにより、増加される。本明細書で使用される用語「抗体半減期」は、その投与後における抗体分子の平均生存時間の測定値である、抗体の薬物動態学的特性を意味する。抗体半減期は、例えば、血清(すなわち、循環半減期) において、又は他の組織において測定される、患者の体(若しくは他の哺乳類)又はその特定の区画からの免疫グロブリンの既知量の50パーセントを除去するのに必要とされる時間を表現し得る。半減期は、1つの免疫グロブリン又は免疫グロブリンクラスにより変化し得る。一般に、抗体半減期の増加は、投与される抗体の循環における平均滞留時間(MRT)の増加を結果的に生じる。
【0031】
半減期の増加は、患者に与えられる薬の量を減少させ、並びに投与頻度を減少させる。本発明による抗体の血清半減期を増加させるために、例えば、米国特許第5,739,277号に説明されるように、サルベージ受容体結合エピトープを抗体(特に抗体断片)に組み込むことができる。本明細書に使用するように、用語「サルベージ受容体結合エピトープ」とは、IgG分子のインビボ血清半減期を増加させる役割を果たす、IgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)のFc領域のエピトープをいう。あるいは、増加した半減期を有する本発明の抗体は、FcとFcRn受容体との間の相互作用に関与するものとして同定されたアミノ酸残基を修飾することにより、生成できる(例えば、米国特許6,821,505及び7,083,784を参照されたい)。加えて、本発明の抗体の半減期は、当該技術分野において広く利用される技術により、PEG又はアルブミンに抱合することにより、増加し得る。いくつかの実施態様において本発明のFc異型領域を含む抗体は、天然のFc領域を含む抗体に比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約125%、約150%、又はこれらを上回って増加した半減期を有する。いくつかの実施態様において、Fc異型領域を含む抗体は、天然のFc領域を含む抗体に比較して、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約10倍、約20倍、約50倍、又はこれらを上回る、又は2倍〜10倍、又は5倍〜25倍、又は15倍〜50倍の増加した半減期を有する。従って、本発明は、サルベージ受容体結合エピトープ、及び/又はFcとFcRN受容体との間の相互作用に関与するものとして同定されるアミノ酸残基の修飾、及び/又は非天然存在型アミノ酸残基を含む、本発明による抗体、機能的部分、誘導体又は類似体を提供する。別の好ましい実施態様は、 PEG又はアルブミンに抱合された本発明による抗体又は機能的等価物を提供する。
【0032】
一実施態様において、本発明は、本発明によるFc異型であって、該Fc領域が、Kabatらの文献(J Immunol. 1991; 147(5):1709-19)に説明されるEU指数による番号234、235、236、237、238、239、240、241、243、244、245、247、251、252、254、255、256、262、263、264、265、266、267、268、269、279、280、284、292、296、297、298、299、305、313、316、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、339、341、343、370、373、378、392、416、419、421、440及び443からなる群から選択される1以上の位置での修飾(例えば、アミノ酸置換、アミノ酸挿入、アミノ酸削除)を含む、前記Fc異型を提供する。任意に、Fc領域は、当業者に公知の付加的な及び/又は別の位置の非天然存在型アミノ酸残基を含む(例えば、米国特許5,624,821; 6,277,375; 6,737,056; 7,083,784; 7,317,091; 7,217,797; 7,276,585; 7,355,008; 2002/0147311; 2004/0002587; 2005/0215768; 2007/0135620; 2007/0224188; 2008/0089892; WO 94/29351; 及びWO 99/58572を参照されたい)。
【0033】
特定の実施態様において、本発明は、本発明によるFc異型抗体であって、該Fc領域が252、254及び256からなる群から選択される1以上の位置で少なくとも1つの非天然存在型アミノ酸を含む、前記Fc異型抗体を提供する。一実施態様において、非天然存在型アミノ酸は、252Y、254T及び256Eからなる群から選択される。
【0034】
本発明は、従来技術の抗体に比較して改良された特性を有するRSV特異抗体及びその機能的等価物を提供する。発明者は、現在知られているうち最も低いIC50値を有するRSV特異抗体を生成することに成功した。当該抗体は、RSVに特異的な高い若しくは強い親和性を有し、従って、特にRSV感染及び/又はRSV感染の副作用を妨げ(conteract)、及び/又は少なくとも部分的に阻止することに適する。従って、一実施態様は、実施例(図1を参照)に記載されているインビトロ中和アッセイにおいて決定されるように、1.25ng/ml未満、好ましくは1.2ng/ml未満、より好ましくは1.19ng/ml未満、より好ましくは1.18ng/ml未満、最も好ましくは1.1ng/ml〜1.17のIC50値を有する抗体を提供する。
【0035】
本発明は、少なくとも本発明による抗体又は機能的等価物の抗原結合性部分をコードする少なくとも15ヌクレオチド、好ましくは少なくとも30ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも50ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも75ヌクレオチドの長さを有する、単離された合成若しくは組換え核酸配列又はその機能的等価物を更に提供する。当該核酸は、例えば、本発明による抗体を産生することができる B細胞から単離される。好ましい実施態様は、図2に示す少なくとも15ヌクレオチドの核酸配列に少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む核酸配列を提供する。本発明による核酸配列は、好ましくは、図2に示す核酸配列の少なくとも15ヌクレオチドに少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む。好ましくは、図2に示す前記核酸配列は、少なくとも1つのCDRコード配列を含む。
【0036】
好ましい一実施態様は、本発明による抗体又は機能的等価物の少なくとも1つのCDR配列をコードする少なくとも15ヌクレオチドの長さを有する単離された合成若しくは組換え核酸配列又はその機能的等価物を提供する。前記核酸配列は、好ましくは、抗体AM22のCDR領域に少なくとも70%の配列同一性を有する少なくとも1つのCDR配列をコードする。AM22 CDR領域をコードする核酸配列は、図2に示されている。従って、以下の配列からなる群から選択される配列に少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む、単離された合成若しくは組換え核酸配列又はその機能的等価物が更に提供される
【化39】


【0037】
前記核酸配列又は機能的等価物は、好ましくは、上記核酸配列のいずれかに少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む。更に、図2に示すヌクレオチド配列の少なくとも一部に少なくとも70%の配列同一性を有し、該一部が少なくとも15ヌクレオチドを有し、かつ図2に示すCDR領域の少なくとも1つをコードする配列を含む、核酸配列又はその機能的等価物が提供される。
【0038】
本発明による核酸配列又はその機能的等価物は、好ましくは、 AM22 CDR領域、AM22重鎖及び/又はAM22軽鎖に少なくとも70%の配列同一性を有する領域をコードする。それゆえ、一実施態様は、単離された合成若しくは組換え核酸配列又はその機能的等価物であって:配列
【化40】

に少なくとも70%の配列同一性、及び/又は配列
【化41】

に少なくとも70%の配列同一性、及び/又は配列
【化42】

に少なくとも70%の配列同一性、及び/又は配列
【化43】

に少なくとも70%の配列同一性、及び/又は配列
【化44】

に少なくとも70%の配列同一性、及び/又は配列
【化45】

に少なくとも70%の配列同一性、及び/又は配列
【化46】

に少なくとも70%の配列同一性、及び/又は配列
【化47】

に少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする配列を含む、前記単離された合成若しくは組換え核酸配列又はその機能的等価物を提供する。
【0039】
先に記載したように、本発明による抗体又は機能的等価物は、三量体RSV Fタンパク質に存在する固有エピトープを認識することができる。それゆえ、本発明による核酸配列は、好ましくは、この固有エピトープに特異的に結合することができるCDR配列をコードする。従って、本発明は、以下の構成を含む抗体により認識されるエピトープに特異的に結合することができる少なくとも1つのCDR配列をコードする、単離された合成若しくは組換え核酸配列又はその機能的等価物も提供される:
・配列
【化48】

を含む重鎖CDR1配列、及び/又は、
・配列
【化49】

を含む重鎖CDR2配列、及び/又は、
・配列
【化50】

を含む重鎖CDR3配列、及び/又は、
・配列
【化51】

を含む軽鎖CDR1配列、及び/又は、
・配列
【化52】

を含む軽鎖CDR2配列、及び/又は、
・配列
【化53】

を含む軽鎖CDR3配列。
【0040】
好ましくは、前記核酸配列は、本発明による全抗体又は機能的等価物(例えば重鎖又は軽鎖を含む)をコードする。従って、以下の構成を含む抗体により認識されるエピトープに特異的に結合することができる抗体又はその機能的等価物をコードする、単離された合成若しくは組換え核酸配列又はその機能的等価物が更に提供される:
・配列
【化54】

を含む重鎖CDR1配列、及び/又は、
・配列
【化55】

を含む重鎖CDR2配列、及び/又は、
・配列
【化56】

を含む重鎖CDR3配列、及び/又は、
・配列
【化57】

を含む軽鎖CDR1配列、及び/又は、
・配列
【化58】

を含む軽鎖CDR2配列、及び/又は、
・配列
【化59】

を含む軽鎖CDR3配列。
【0041】
本発明の一実施態様において、核酸配列又は機能的等価物は、以下の構成を含むAM22抗体により認識されるエピトープに特異的に結合することができ、抗体又はその機能的部分、誘導体及び/又は類似体をコードする:
配列
【化60】

を含む重鎖CDR1配列、及び配列
【化61】

を含む重鎖CDR2配列、及び配列
【化62】

を含む重鎖CDR3配列、及び配列
【化63】

を含む軽鎖CDR1配列、及び配列
【化64】

を含む軽鎖CDR2配列、及び配列
【化65】

を含む軽鎖CDR3配列。
【0042】
本発明による核酸配列又は機能的等価物は、好ましくは、1×10-2M未満、1×10-3M、1×10-4M、1×10-5M、1×10-6M、1×10-7M、1×10-8M、1×10-9M、1×10-10M、1×10-11M、1×10-12M、1×10-13M、1×10-14M又は1×10-15M未満の解離定数(Kd)を有する抗体又はその機能的等価物をコードする。
【0043】
本発明による核酸配列を含むベクターが更に提供される。当該ベクターは、様々な用途に適する。例えば、治療的に有益な核酸配列を含む本発明のベクターは、予防若しくは治療用途に適する。その必要の個人への当該ベクターの投与は、前記予防若しくは治療的な核酸配列の発現をインビボで生じる。前記ベクターは、例えば本発明の抗体又は機能的等価物の(商業的な)産生のために、関心対象の核酸配列のインビトロ発現を含む用途においても使用できる。本発明による核酸配列を有するベクターを構築するための方法は当該技術分野において周知である。本発明のベクターを生成するために適するベクターの非限定的な例は、レトロウイルス及びレンチウイルスベクターである。
【0044】
用語「%配列同一性」とは、本明細書において、2つの配列を整列配置してギャップを導入した後、参照配列の残基と同一である(必要であれば最大の同一性の割合を達成する)候補アミノ酸配列又は候補核酸配列における残基の割合として定義される。整列ための方法及びコンピュータプログラムは、当該技術分野において周知である。
【0045】
本明細書に使用するように、本発明の核酸分子又は核酸配列は、好ましくは、ヌクレオチド、より好ましくはDNA及び/又はRNAの鎖を含む。他の一実施態様において、本発明の核酸分子又は核酸配列は、例えば、DNA/RNAヘリックス、ペプチド核酸(PNA)、係止核酸(locked nucleic acid ; LNA)及び/又はリボザイムなどの他の種類の核酸構造を含む。このような他の核酸構造は、核酸配列の機能的等価物という。用語「核酸配列の機能的等価物」は、天然ヌクレオチドと同じ機能を呈する、非天然ヌクレオチド、修飾ヌクレオチド及び/又は非ヌクレオチド構成要素(building block)を含む鎖も含む。
【0046】
本発明による核酸配列又はベクターは、RSVに特異的である抗体又は機能的等価物を生成するために特に有用である。これは、例えば、当該核酸配列又はベクターを細胞に導入することによりなされ、このようにして当該細胞の核酸翻訳機構はコードされた抗体又は機能的等価物を生成する。一実施態様において、本発明による重鎖及び/又は軽鎖をコードする核酸配列又はベクターは、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NSO(マウス骨髄腫)又は293(T)細胞株などのいわゆる産生細胞で発現し、そのいくつかは、商業的な抗体産生に適用される。前記産生細胞の増殖は、本発明による抗体又はその機能的等価物を産生することができる産生細胞株を生じる。好ましくは、前記産生細胞株は、ヒトにおける使用のための抗体を産生するのに適する。それゆえ、前記産生細胞株は、好ましくは、病原性微生物などの病原性作用体を含まない。最も好ましくは、ヒト配列からなる抗体又は機能的等価物は、本発明による少なくとも1つの核酸配列又はベクターを使用して生成される。
【0047】
従って、本発明による抗体又はその機能的部分、誘導体及び/又は類似体を産生することができる単離された若しくは組換え抗体産生細胞、並びに本発明による単離された合成若しくは組換え抗体又はその機能的部分、誘導体及び/又は類似体を産生する方法であって、細胞に本発明による核酸配列又は機能的等価物又はベクターを提供する工程、及び前記細胞に前記核酸配列又は機能的等価物又はベクターを翻訳させる工程を含み、これにより前記抗体又はその機能的部分、誘導体及び/又は類似体を産生する前記方法も提供される。
【0048】
抗体産生細胞は、本明細書において、抗体又はその機能的等価物を産生及び/又は分泌することができる細胞、及び/又は抗体又はその機能的等価物を産生及び/又は分泌することができる細胞になることができる細胞として定義される。本発明による抗体産生細胞は、好ましくは、商業的な抗体産生に適用される産生細胞である。好ましくは、前記産生細胞は、ヒトにおける使用のための抗体を産生するのに適する。
【0049】
本発明による方法は、好ましくは、本発明による前記抗体又はその機能的部分、誘導体及び/又は類似体を回収、精製、及び/又は単離する工程を更に含む。本発明により得られた抗体又は機能的等価物は、好ましくは、ヒトの療法において、任意に精製、単離又は加工工程を追加した後に、使用される。
【0050】
本明細書において、ヒト抗体又は機能的等価物を含む本発明による改良された呼吸器合胞体ウイルス特異抗体又は機能的等価物、及びそれをコードする核酸配列及びベクターが提供されたことから、改良された予防的及び/又は治療的用途が利用可能なようになった。RSVは、本発明による抗体又は機能的等価物により、妨げられる。従って、本発明による抗体又は機能的等価物は、任意に公知の少なくとも1つの他のRSV特異抗体と組み合わせて、特に医薬又は予防薬としての使用に適する。好ましくは、ヒト個人が治療される場合の有害な副作用の可能性を低減するために、ヒト配列からなる、又は多くても5%の非ヒト配列を有する抗体又は機能的等価物が使用される。従って、医薬及び/又は予防薬としての使用のための本発明による単離された合成若しくは組換え抗体又はその機能的部分、誘導体及び/若しくは類似体、又は核酸配列若しくはその機能的等価物、又はベクター、又は細胞も本明細書に提供される。本発明による核酸又は機能的等価物又はベクターが投与される場合、これはインサイチュウで本発明による抗体又は機能的等価物に翻訳される。特に好ましい実施態様において、前記抗体は、抗体AM22又はその機能的等価物を含む。前記医薬又は予防薬は、好ましくは、RSVによる感染を妨げ、又は少なくとも部分的に阻止するために使用される。従って、RSVに関連する障害を少なくとも部分的に治療及び/又は予防するための医薬及び/又は予防薬としての使用のための、本発明による単離された合成若しくは組換え抗体又はその機能的部分、誘導体及び/若しくは類似体、又は核酸配列若しくはその機能的等価物、又はベクター、又は細胞が更に提供される。当該技術分野において公知である少なくとも1つの他のRSV特異的作用体(好ましくは抗体) と組み合わせてAM22を含む医薬は、当該組合せを用いることで、RSVに応答してのより強い免疫原性反応が得られ、かつ/又は、RSVに対するより高い抗体特異性が達成されるので、特に有利である。従って、医薬及び/又は予防薬としての使用のための、本発明による単離された合成若しくは組換え抗体又はその機能的部分、誘導体及び/若しくは類似体、又は核酸配列若しくはその機能的等価物、又はベクター、又は細胞と、別の異なるRSV特異的作用体、好ましくは抗体又はその機能的等価物との組合せが更に提供される。本発明による組合せは、好ましくは、AM22と、パリビズマブ、D25、AM14、AM16及びAM23からなる群から選択される抗体とを含む。先に記載したように、当該組合せは、RSV関連障害を少なくとも部分的に治療又は予防するために特に適する。従って、RSVに関連する障害を少なくとも部分的に治療及び/又は予防するための医薬及び/又は予防薬の製造のための本発明の組合せの使用が更に提供される。RSV関連障害を少なくとも部分的に治療及び/又は予防するための医薬及び/又は予防薬の製造のための、本発明による単離された合成若しくは組換え抗体又はその機能的部分、誘導体及び/又は類似体、核酸配列若しくはその機能的等価物、又はベクター、又は細胞の使用、並びにRSV関連障害を少なくとも部分的に治療又は予防するための方法であって、その必要のある個人に、本発明による単離された合成若しくは組換え抗体又はその機能的部分、誘導体及び/又は類似体の治療上有効量を与えることを含む前記方法も提供される。好ましい一実施態様において、少なくとも1つの他のRSV特異的作用体、好ましくは別のRSV特異抗体との組合せが使用される。前記個人は、好ましくは、治療前に、RSVより感染していることを診断されている。
【0051】
前記抗体は、好ましくは、抗体AM22又はその機能的部分を含む。前記少なくとも1つの他のRSV特異抗体は、好ましくは、パリビズマブ、D25、AM14、AM16又はAM23である。最も好ましくは、AM22及びD25の組合せが使用される。
【0052】
呼吸器合胞体ウイルスに関連する障害を少なくとも部分的に治療又は予防するために、本発明による抗体又は機能的等価物は、好ましくは、感染が起こる前に個人に投与される。あるいは、本発明による抗体又は機能的等価物は、個人が既に感染した場合に投与される。前記抗体又は機能的等価物は、好ましくは、例えば入院した個人及び/又は易感染性免疫を有する個人などの合併症の危険が増加した個人に投与される。また、高齢者は、RSV感染の危険が増加する。本発明による抗体又は機能的等価物は、好ましくは、1以上の注入を介して投与される。本明細書において先に記載したように、予防的若しくは治療的用途で使用される本発明による抗体又は機能的等価物の用量範囲は、厳密なプロトコル要件が存在する臨床試験におけるクリニックでの増加用量調査に基づいて設計される。典型的用量は、体重1kgにつき0.1〜10mgである。予防的若しくは治療的用途のために、本発明による抗体又は機能的等価物は、典型的には、医薬として許容し得る担体、希釈剤及び/又は賦形剤と組み合わせられる。適切な担体の例は、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、血清アルブミン(例えばBSA又はRSA)、及びオボアルブミンを含む。1つの好ましい実施態様において、前記適切な担体は、例えば生理食塩水などの溶液を含む。
【0053】
更に別の実施態様において、本発明による抗体又は機能的等価物をコードする核酸又はベクターが使用される。既に記載されているように、当該核酸又はベクターの投与に応じて、抗体又は機能的等価物は宿主の機構により産生される。産生された抗体又は機能的等価物は、呼吸器合胞体ウイルス感染及び/又は当該感染の副作用を少なくとも部分的に阻止してかつ/又は妨げることができる。従って、医薬及び/又は予防薬としての使用のための本発明による核酸配列又は機能的等価物又はベクターも本明細書に提供される。更に、RSV関連障害を少なくとも部分的に治療及び/又は予防するための医薬及び/又は予防薬の製造のための、本発明による核酸配列又は機能的等価物又はベクターの使用が提供される。
【0054】
更に、本発明による単離された合成若しくは組換え抗体又はその機能的部分、誘導体及び/若しくは類似体、又は核酸配列若しくはその機能的等価物、又はベクター、又は細胞、並びに医薬として許容し得る担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物が提供される。前記医薬組成物は、好ましくは、ヒトの使用に適する。1つの好ましい実施態様において、前記抗体は、AM22である。更なる好ましい実施態様において、前記核酸は、AM22又はその機能的等価物をコードする。一実施態様において、前記医薬組成物は、少なくとも1つの他のRSV特異抗体、好ましくはパリビズマブ、D25、AM14、AM16及び/又はAM23を更に含む。
【0055】
本発明は、以下の実施例で更に説明される。これらの実施例は、本発明の範囲を制限するものではないが、本発明を単に明確化するのに役立つ。
【0056】
(参照文献)
Chen Y, Wiesmann C, Fuh G, Li B, Christinger HW, McKay P, de Vos AM, Lowman HBの文献.「最適化された抗VEGF抗体の選択及び解析:抗原との複合体における親和性成熟Fabの結晶構造」J Mol Biol. 1999;293(4):865-81.
Diehl SA, Schmidlin H, Nagasawa M, van Haren SD, Kwakkenbos MJ, Yasuda E, Beaumont T, Scheeren FA, Spits Hの文献. 「BLIMP 1のSTAT3媒介型上方制御は、BCL6下方制御と協調してヒトのプラズマ細胞分化を制御する」J Immunol.2008;180(7):4805-15.
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Kabat EA, Wu TTの文献.「異なる特異性の抗体における同一のV領域アミノ酸配列及び配列セグメント。抗体結合部位の結合へのVH及びVL遺伝子、ミニ遺伝子、及び相補性決定領域の相対的寄与。」J Immunol.1991;147(5):1709-19.
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US 5,624,821
US 5,739,277
US 6,277,375
US 6,737,056
US 6,821,505
US 7,083,784
US 7,317,091
US 7,217,797
US 7,276,585
US 7,355,008
US 2002/0147311
US 2004/0002587
US 2005/0215768
US 2007/0135620
US 2007/0224188
US 2008/0089892
WO 94/29351
WO 99/58572
WO 2008/147196
【図面の簡単な説明】
【0057】
(図の凡例)
【図1】AM22 (新規な完全ヒトモノクローナル抗体) は、パリビズマブに比較して、非常に効率的にHep2細胞上のRSV A2ウイルスを中和する。
【図2】AM22の重鎖及び軽鎖ヌクレオチド配列並びにアミノ酸配列。
【図3】ヒト抗RSVモノクローナル抗体は、ELISA及びFACS染色によって測定されるように、RSVの融合(F)タンパク質上の高次構造エピトープを認識する。 (A)は、RSV F又はRSV Gタンパク質の偽型である水疱性口内炎ウイルス(VSV)に感染させたEL-4細胞に対する抗体の結合を示す。(B)は、RSV感染したHEp2の溶解物で被覆した ELISAプレート(左側パネル) 、又は組換え型HISタグ化Fタンパク質で被覆したNi-NTA HisSorpプレート(Qiagen) (右側パネル)との抗RSV F抗体の結合を示す。Fタンパク質に結合する抗体は、HRP抱合型IgG検出抗体(希釈1:2500、Jackson)により検出される。(C)は、原型のB細胞クローンに対するポリHISタグを含む組換えRSV F Long株の結合を示し、BCRへの結合は、抗ペンタHIS抗体により検出される。(D)において、出願人は、三量化ドメイン(ILZドメイン)を含む組換えRSV F構築物でトランスフェクションした293T細胞に対するヒト抗RSV抗体の細胞内結合を示す。
【図4】ヒト免疫グロブリンで予防的に処理したコットンラットにおけるRSV曝露。(A)は、コットンラットでの示された用量の抗体の筋肉内投与後1日目及び5日目における、血清からのヒトIgG1の回収を示す。(B)は、RSV-Xを用いた感染の24時間前に、示された抗体で処理したコットンラットの肺のRSV負荷を示す。RSV負荷は、TCID50培養を用いた感染の5日後に測定された。実験は、治療群当たり4〜6匹の個々の動物を用いて2回実施した。肺の病態は、同じ動物群において調査し(C)、AM22及びパリビズマブの平均の肺病態を示す。表2も参照されたい。
【実施例】
【0058】
(実施例1):B細胞培養、不死化及び選択。
(方法)
B細胞は、先に記載されているように不死化して培養した(Scheeren FAらの文献 (2005) Nat Immunol 6: 303-313; Diehl SAらの文献 (2008) J Immunol 180: 4805-4815及びKwakkenbos MJらの文献 (2009) Nat Med 近刊)。手短にいうと、出願人は、フィコール分離、CD22 MACSマイクロビーズ(Miltenyi Biotech)、及びその後のFACSAria(Becton Dickinson)でのCD19+CD3-CD27+IgM-IgA-(IgGメモリー細胞)についての細胞ソートにより、B細胞を末梢血(Sanquin、Amsterdam、Netherlands)から単離した。これらの組織の使用は、当該機関の医学倫理委員会の承認を得ており、かつインフォームドコンセントに従った。レトロウイルスを形質導入されたB細胞は、組換えマウスIL-21(25ng/ml、R&D systems)で補充したIMDMにおいて2×105細胞/mlで維持し、CD40Lを安定的に発現するγ照射を受けた(50Gy)マウスL細胞線維芽細胞(CD40L-L細胞、105細胞/ml)と36時間共培養した。BCL6及びBcl-xLレトロウイルスの構築物は、先に記載されており(Shvarts Aらの文献 (2002) Genes Dev 16: 681-686、及びJaleco ACらの文献 (1999) Blood 94: 2637-2646))、LZRSレトロウイルスベクターにクローン化し、先に記載されているようにフェニックスパッケージング細胞にトランスフェクションして、刺激したB細胞に加えた(Shvarts Aらの文献 (2002) Genes Dev 16: 681-686、及びScheeren FAらの文献 (2005) Nat Immunol 6: 303-313)。形質導入されたB細胞は、組換えIL-21及びCD40L-L細胞の存在下、長期にわたり、IMDMにおいて維持した。BCL6+Bcl-xL-形質転換B細胞によって比較的高い量の分泌抗体が与えられたことにより、出願人は、特異抗体の分泌に基づいて抗原特異的B細胞を選択できるかどうかを検査した。健常ドナーのBCL6+Bcl-xL形質導入メモリーB細胞は、100細胞/ウェルで播種し、CD40L-L細胞及びIL-21で増殖した。培養の2週後、上清を回収し、マイクロ中和実験におけるRSV中和抗体の存在について選別した。384の培養(100細胞/ウェル)のうち、31がHEp2細胞のRSV A2感染を阻止した。D25、AM14、AM16及びAM23が限界希釈によりサブクローン化された 4つの微量培養の他に、出願人は次にAM22を得た。AM22は、1.15ng/mlのRSV-A2ウイルスに対する中央値半分最大阻害濃度(IC50)を有する(図1)。
【0059】
AM22の免疫グロブリン遺伝子座の重鎖及び軽鎖の配列を得るために、出願人は、RNeasy(登録商標)ミニキット(Qiagen)で全RNAを単離してcDNAを作成し、PCRを実施し、重鎖及び軽鎖可変領域をpCR2.1 TAクローニングベクター(Invitrogen)にクローン化した。逆転写酵素又はDNAポリメラーゼ誘発突然変異を除外するために、出願人は、いくつかの独立したクローニング実験を実施した。組換えAM22 mAbを生成するために、出願人は、AM22重鎖及び軽鎖可変領域をインフレームでヒトIgG1及びκ定常領域と共にpcDNA3.1(Invitrogen)ベースのベクターにクローン化し、一過的に293T細胞をトランスフェクトした。出願人は、培養上清からプロテインAを用いて組換えAM22を精製した。
【0060】
(結果)
以前、出願人は、AM14、AM16、AM23及びD25と命名した4つの有力な高次構造依存的抗RSV抗体を開発した。これらの抗体は、WO 2008/147196及びKwakkenbos MJらの文献(2009) Nat Med 近刊に記載されている。同じドナーから、出願人は、RSV A2ウイルスに対する1.15ng/mlのIC50から明白であるように、他の抗体に比較して、更により効率的にRSVウイルスを認識したAM22も発見した (表1及び図1) 。AM22のVH及びVL鎖のアミノ酸配列は、この抗体が他の抗体とは異なることを明らかにした(図2)。
【0061】
(実施例2):インビトロ結合実験
AM22抗体の抗原特異性を更に測定するために、出願人は、該タンパク質がRSV F又はGタンパク質を認識したか、及びどの型の立体構造を認識したかを明らかにするインビトロ結合実験を実施した。
【0062】
(方法)
(1)RSV G又はFタンパク質のFACS染色
野生型、及びRSV-Gタンパク質(VSV-G)又はRSV-Fタンパク質(VSV-F)を発現する組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)のウイルスストック(実験はWKZ (Utrecht )のM. Lukensにより実施され、VSVウイルスはJ.S Kahn及びJ.K Roze ( Yale University School of Medicine )により快く提供された。)は、5% FCS、ペニシリン/ストレプトマイシン及び50μΜ 2-メルカプトエタノールを含むDMEMで培養したBHK細胞において調製した。VSV感染は、 5% FCS、ペニシリン/ストレプトマイシン及び50μΜ 2-メルカプトエタノールを補充したイスコーブ(Iscove)のダルベッコ変法培地(IMDM、Gibco、Invitrogen)で培養されたEL-4細胞で実施した。VSVウイルス異型で感染させたEL-4細胞は、組換え抗体とインキュベートした後、マウス抗ヒトPEで染色した(図3A)。
【0063】
(2) RSV ELISA
プレートは、37℃で1時間又は4℃で一晩、PBS中のRSV感染したHEp-2細胞の溶解物で被覆し、ELISA洗浄バッファ(PBS、0.5% Tween-20)で洗浄した。プレートは4%のミルク含有PBSを用いたインキュベーションによりブロックし、その後、酵素抱合型抗IgG抗体との組み合わせで抗RSV抗体又はポリクローナルヤギ抗RSV(Biodesign)を添加した(HRP抱合抗IgG(Jackson)については1:2500希釈)。TMB基質/停止溶液(Biosource)がELISAの開発のために使用された(図3B左側パネル)。RSV-A2感染したHEp-2細胞の溶解物に加え、RSV Long株からのHISタグ化Fタンパク質(Ternette Nらの文献, (2007) Vaccine 25: 7271-7279に基づきFrank Coenjaerts(UMCU, Utrecht)により快く提供された)を使用して、Ni-NTA HisSorpプレート(Qiagen)を被覆した(図3B右側パネル)。RSV F抗体の結合は、HRP抱合型IgG検出抗体を用いて検出された(1:2500希釈、Jackson)。別の設定において、原型B細胞クローンは、FACS解析に使用した(図3C)。B細胞は、組換えHISタグ化Fタンパク質とインキュベートし、BCRへの結合は、ラベル化抗ペンタHIS抗体ALEXA Fluor 647(Qiagen)を用いて検出した。
【0064】
(3) RSV三量体
組換えRSV long株由来Fタンパク質に加え、出願人は、イソロイシンジッパードメインとそれに続く8個のHISリピート(ILZ-8×HIS)に融合した構築物にFのオープンリーディングフレームを挿入することにより、RSV A2 F三量体を生成した。タンパク質構築物は、293T細胞において一過的に発現され、BDのFix Permキットを使用する細胞内染色プロトコルを用いて検出した(図3D)。
【0065】
(結果)
組換えVSV により発現される場合、全ての抗体は、RSV-Fタンパク質を認識した(図3A)。更に、AM16を除いて、前記抗体はRSV感染HEp-2細胞の溶解物を認識しなかったので、認識は、RSV-Fタンパク質の高次構造エピトープの存在に依存していた (図3B左側パネル)。また、精製されたHISタグ化組換えRSV-F Long株タンパク質は、ダイレクトELISAで試験した場合、D25、AM14、AM22及びAM23によって認識されなかった(図3B右側パネル)。しかしながら、原型の安定なBCRを発現するB細胞株が、HISタグ化RSV-Fタンパク質のこの非精製培養上清と共にインキュベートされる場合、出願人は、B細胞へのクローンAM16、AM23、及び比較的弱いD25の結合を観測した (図3C)。おそらく、この非精製培養上清のタンパク質は、BCRに結合するがHisSorpプレート上の単量体として捕捉されるだけであるRSV F三量体の画分を含む。しかしながら、それでも、RSV-Fタンパク質の捕捉は、AM14及びAM22 B細胞株のBCRに観測されなかった(図3C)。それゆえ、AM14及びAM22は、異なるエピトープに結合する。おそらく、低い割合のタンパク質Fホモ三量体又は二量体が、Fタンパク質産生細胞株の未処理の培養上清に存在した。これらのより天然型のF立体構造は、AM23及びD25により認識されるエピトープを発現することができ、これらはELISA手順の変性条件で失われた。興味深いことに、出願人がILZ-8×HIS配列を含むRSV三量化構築物でトランスフェクションした293T細胞における細胞内染色を実施した場合、出願人は、AM22はRSV Fを認識するが、AM14はそれでもこのタンパク質構造を認識しなかったことを発見した (図3D)。それゆえ、AM22は、変性条件に存在しない、それゆえ該タンパク質の単量体形態に存在しないRSV-Fタンパク質の立体構造を認識するので、独特である。RSV Fタンパク質が共にとどまって三量体を形成させる場合にのみ、その後、出願人はAM22抗体によってFの結合、すなわちウイルス粒子に存在する立体構造を検出し、このようにしてAM22の高い中和効力を説明することができる。
【0066】
(実施例3):インビボ効力実験
AM22モノクローナル抗体のインビボ効力を調査するために、出願人は、コットンラット実験を実施した。
【0067】
(方法)
病原体を有しない7〜9週齢のコットンラット(Sigmodon hispidus, Harlan Laboratories, Nederland)をイソフルランで麻酔し、コントロール抗体、パリビズマブ、AM22、AM23及びD25については2.0又は0.4mg/kgの用量で0.1mlの精製された抗体を筋注(i.m.)によって与え、AM14は0.4及び0.1mg/kgで投与した。24時間後、動物を麻酔し、血清hIgGの測定のために採血し、106のTCID50 RSV-X(100μl)の鼻腔内滴下により曝露した。5日後、動物を屠殺し、それらの肺を回収した。肺ウイルス力価を測定し、検出で最も低い制限は2.1log10TCID50/gであった。オランダワクチン研究所の動物実験委員会は、コットンラットを含む全ての手順を承認した。
【0068】
(結果)
AM16を除く抗RSV抗体のパネルは、コットンラットにおいて試験した。動物は、RSV-X(主要なRSV A単離株)を鼻腔内投与する前に、2.0又は0.4mg /kgのモノクローナル抗体で予防的に処理した。比較的低い抗体産生により、AM14抗体は、0.4及び0.1mgの/kgで投与した。1日目(ウイルス接種の日)及び5日目(屠殺の日)にコットンラット血清から回収されたヒトIgGのレベルは、全ての抗体について同じ範囲であり、かつ時間内の抗体の減少は同程度であった (図4A)。
【0069】
屠殺した動物の肺からのRSVウイルスの回収は、コントロール群に比較して、2.0mg/kgの免疫グロブリンで処理した全ての動物群において、大幅に減少した(図4B)。0.4mg/kgのパリビズマブ及びAM23で処理した動物は、顕著なウイルス複製を示したが、AM14及びD25の群においては、6匹の動物のうちの1匹が検出可能なウイルス複製を示した。ウイルスは、AM22で処理した動物から回収できなかった。これらの結果は、RSV Fタンパク質上の高次構造エピトープを特異的に認識するAM22が、強力なインビボ中和能を有することを実証した。
【0070】
(RSV曝露したコットンラットの肺病態のアッセイ)
i.n.RSV感染後の5日目の各コットンラットから、左肺を摘出し、ホルマリンで固定した。肺の損傷は、以下の3個の個々のマーカーについて0〜5の間で等級付けした:1)気管支及び細気管支上皮の肥大、2 )気管支及び細気管支を囲む炎症(細気管支周囲炎)、及び3)肺胞の炎症(肺胞炎)。1群中の全ての動物のスコアの平均合計は、病態指数 (最大スコア15) を生成した(図4c、表2)。RSV感染の後の肺病態は、高用量の免疫グロブリン(2mg/kg)で処理した動物群において、著しく減少した(表3)。しかしながら、AM14、AM22及びAM23群においてのみ、該病態は低濃度(0.4mg/kg)で著しく減少した。2mg/kgのAM22及びAM23で処理した5匹の動物のうちの3匹において病態の完全な欠如がみられたが、0.4mg/kgでは、AM14及びAM22群においてそれぞれ6匹の動物のうちの2匹又は1匹において完全な保護が検出された(表3)。
【0071】
実施例1、2及び3の結果を組み合わせると、AM22が特定の利点を有することが結論付けられる。AM22は最も低いIC50値を示し、これは、他の抗体に比較して、低量のAM22を用いて類似の予防的又は治療的有効性が達成されることを意味する。AM22は、他の抗体とは異なるRSV Fタンパク質のエピトープを認識し、したがって他の抗体のうちの1つと組み合わせて使用して、RSVへのより強い免疫原性応答及びRSVに対するより高い抗体特異性を達成することができる。最後に、AM22を用いたコットンラットの処理は、これらのコットンラットにおけるウイルス複製のほぼ完全な阻害、及び病態の潜在的な完全欠如をもたらした。
【0072】
(実施例4):RSV Fタンパク質に対するAM22の親和性
抗体の予防的、治療的及び診断的な値を確立するのには、RSV Fタンパク質とAM22との間の結合の親和性定数及び特異性を測定するのが好ましい。これは、抗体親和性がオリゴマータンパク質構造について測定されなければならないので、挑戦的な特性である。通常、親和性定数は、チップ上に捕捉された固定された作用物質に対して測定される。しかしながら、 チップ上に捕捉されたタンパク質Fは、AM14、AM22、AM23及びD25抗体により認識されない。
【0073】
(方法)
「結合親和性」とは一般に、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合相互作用の合計強度をいう。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般に、比率koff/konとして算出される平衡解離定数(Kd)により表すことができる。親和性は、表面プラスモン共鳴(SPR)アッセイなどの当該技術分野において公知の一般的方法により測定できる。親和性(KD)、結合速度(on-rate)(ka)及び解離速度(off-rate)(kd)は、IBIS Technologies BV (Hengelo, the Netherlands)のIBIS-iSPR装置を用いたSPRアッセイで測定される。簡潔にいうと、抗RSV抗体は固定され、精製されたRSV Fタンパク質(ペンタHISを含む)は希釈され、速度及び親和性定数は、該タンパク質の少なくとも3つの連続希釈物の注入で測定される。
【0074】
IMIS-iSPR装置における別の設定は、1) F-ペンタHISタンパク質が共役された抗ペンタHIS抗体を固定すること、又は2) F-ペンタHISタンパク質をチップ上に直接固定した後、該チップ上のサンプルをAIMM抗体とインキュベートして、親和性定数を測定することである。
【0075】
【表1】

【0076】
選択された抗RSV IgGのIC50(ng/ml)値は、RSV A2ウイルスを有するHEp2細胞上の標準TCID50培養アッセイにより測定した。
【0077】
【表2】

【0078】
示された抗体を用いたRSV感染の24時間前に処理したコットンラットの肺の累積的な病態スコア。感染の5日後に得られた肺標本は、病理学者により、ランダムに評価した。肺病態は、以下の3個の個々のマーカーについて0〜5のスコアで等級付けした:1)気管支及び細気管支上皮の肥大(hyperthropy)、2)細気管支周囲炎、及び3)肺胞炎。コントロールIgG1群に関する平均標準誤差(SEM)及び統計的差異を用いた平均病態スコア(最大スコア15)は、2側ウイルコクソン検定(2-sided Wilcoxon test)で算出した。実験は、治療群当たり4〜6匹の個々の動物を用いて2回実施した。N.A.:該当なし。
【0079】
【表3】

【0080】
RSV-X感染の間の5日目の肺病態に顕著な低減を有する動物の数又は肺病態の欠如を有する動物の数。実験は、治療群当たり4〜6匹の個々の動物を用いて2回実施した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合でき、かつ以下の構成を含む、単離された合成若しくは組換え抗体又はその機能的部分、誘導体及び/又は類似体:
・配列
【化1】

に少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR1配列、及び/又は、
・配列
【化2】

に少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR2配列、及び/又は、
・配列
【化3】

に少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR3配列、及び/又は、
・配列
【化4】

に少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR1配列、及び/又は、
・配列
【化5】

に少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR2配列、及び/又は、
・配列
【化6】

に少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR3配列。
【請求項2】
配列
【化7】

に少なくとも70%同一である配列を含む重鎖配列を有する、かつ/又は配列
【化8】

に少なくとも70%同一である軽鎖配列を有する、請求項1記載の抗体、機能的部分、誘導体又は類似体。
【請求項3】
PEG若しくはアルブミンに抱合され、かつ/又は以下の構成を含む、請求項1又は2記載の抗体、機能的部分、誘導体又は類似体:
サルベージ受容体結合エピトープ、及び/又は、
FcとFcRN受容体との間の相互作用に関与するとして同定された修飾アミノ酸残基、及び/又は、
非天然存在型アミノ酸残基。
【請求項4】
Kabatらの文献に記載されるEU指数により番号付けされた234、235、236、237、238、239、240、241、243、244、245、247、251、252、254、255、256、262、263、264、265、266、267、268、269、279、280、284、292、296、297、298、299、305、313、316、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、339、341、343、370、373、378、392、416、419、421、440及び443からなる群から選択される1以上の位置での修飾を含む Fc領域を含み、前記修飾がアミノ酸置換及び/又はアミノ酸挿入及び/又はアミノ酸削除を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の抗体、機能的部分、誘導体又は類似体。
【請求項5】
以下の構成を含む抗体により認識されるエピトープに特異的に結合することができる、単離された合成若しくは組換え抗体又はその機能的部分、誘導体及び/又は類似体:
・配列
【化9】

を含む重鎖CDR1配列、及び/又は、
・配列
【化10】

を含む重鎖CDR2配列、及び/又は、
・配列
【化11】

を含む重鎖CDR3配列、及び/又は、
・配列
【化12】

を含む軽鎖CDR1配列、及び/又は、
・配列
【化13】

を含む軽鎖CDR2配列、及び/又は、
・配列
【化14】

を含む軽鎖CDR3配列。
【請求項6】
1×10-2M未満、1×10-3M、1×10-4M、1×10-5M、1×10-6M、1×10-7M、1×10-8M、1×10-9M、1×10-10M、1×10-11M、1×10-12M、1×10-13M、1×10-14M、又は1×10-15M未満の解離定数(Kd)を有する、請求項1〜5のいずれか1項記載の抗体、機能的部分、誘導体又は類似体。
【請求項7】
ヒト抗体である、請求項1〜6のいずれか1項記載の抗体、機能的部分、誘導体又は類似体。
【請求項8】
ヒト化抗体である、請求項1〜6のいずれか1項記載の抗体、機能的部分、誘導体又は類似体。
【請求項9】
配列
【化15】

に対する少なくとも70% 配列同一性、及び/又は配列
【化16】

に対する少なくとも70% 配列同一性、及び/又は配列
【化17】

に対する少なくとも70% 配列同一性、及び/又は配列
【化18】

に対する少なくとも70% 配列同一性、及び/又は配列
【化19】

に対する少なくとも70% 配列同一性、及び/又は配列
【化20】

に対する少なくとも70% 配列同一性、及び/又は配列
【化21】

に対する少なくとも70% 配列同一性、及び/又は配列
【化22】

に対する少なくとも70% 配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする配列を含む、単離された合成若しくは組換え核酸配列又はその機能的等価物。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項記載の抗体又はその機能的部分、誘導体及び/又は類似体の少なくとも1個のCDR配列をコードする、少なくとも15ヌクレオチドの長さを有する単離された合成若しくは組換え核酸配列又はその機能的等価物。
【請求項11】
【化23】

からなる群から選択される配列に少なくとも70% 配列同一性を有する配列を含む、請求項9又は10記載の核酸配列又は機能的等価物。
【請求項12】
図2に示すヌクレオチド配列の少なくとも一部に少なくとも70% 配列同一性を有する配列を含み、前記一部が少なくとも15ヌクレオチドを有し、かつ少なくとも1個のCDR領域をコードする、請求項9〜11のいずれか1項記載の核酸配列又は機能的等価物。
【請求項13】
以下の構成を含む抗体により認識されるエピトープに特異的に結合することができる少なくとも1個のCDR配列をコードする、単離された合成若しくは組換え核酸配列又はその機能的等価物:
・配列
【化24】

を含む重鎖CDR1配列、及び/又は、
・配列
【化25】

を含む重鎖CDR2配列、及び/又は、
・配列
【化26】

を含む重鎖CDR3配列、及び/又は、
・配列
【化27】

を含む軽鎖CDR1配列、及び/又は、
・配列
【化28】

を含む軽鎖CDR2配列、及び/又は、
・配列
【化29】

を含む軽鎖CDR3配列。
【請求項14】
以下の構成を含む抗体により認識されるエピトープに特異的に結合できる抗体又はその機能的部分、誘導体及び/又は類似体をコードする、請求項13記載の核酸配列又は機能的等価物:
・配列
【化30】

を含む重鎖CDR1配列、及び/又は、
・配列
【化31】

を含む重鎖CDR2配列、及び/又は、
・配列
【化32】

を含む重鎖CDR3配列、及び/又は、
・配列
【化33】

を含む軽鎖CDR1配列、及び/又は、
・配列
【化34】

を含む軽鎖CDR2配列、及び/又は、
・配列
【化35】

を含む軽鎖CDR3配列。
【請求項15】
1×10-2M未満、1×10-3M、1×10-4M、1×10-5M、1×10-6M、1×10-7M、1×10-8M、1×10-9M、1×10-10M、1×10-11M、1×10-12M、1×10-13M、1×10-14M、又は1×10-15M未満の解離定数(Kd)を有する抗体、機能的部分、誘導体又は類似体をコードする、請求項9〜14のいずれか1項記載の核酸配列又は機能的等価物。
【請求項16】
請求項9〜15のいずれか1項記載の核酸配列又は機能的等価物を含むベクター。
【請求項17】
請求項9〜15のいずれか1項記載の核酸配列若しくは機能的等価物、及び/又は請求項16記載のベクターを含む、単離された又は組換え細胞。
【請求項18】
医薬及び/又は予防薬としての使用のための、請求項1〜17のいずれか1項記載の抗体、機能的部分、誘導体若しくは類似体、又は核酸配列若しくは機能的等価物、又はベクター、又は細胞。
【請求項19】
RSV関連障害を少なくとも部分的に治療及び/又は予防するための医薬及び/又は予防薬としての使用のための、請求項1〜17のいずれか1項記載の抗体、機能的部分、誘導体若しくは類似体、又は核酸配列若しくは機能的等価物、又はベクター、又は細胞。
【請求項20】
以下の構成を含む組合せ:
・請求項1〜17のいずれか1項記載の抗体、機能的部分、誘導体若しくは類似体、又は核酸配列若しくは機能的等価物、又はベクター、又は細胞、及び、
・異なるRSV特異的作用体、好ましくは抗体。
【請求項21】
医薬及び/又は予防薬としての使用のための、請求項20記載の組合せ。
【請求項22】
RSV関連障害を少なくとも部分的に治療及び/又は予防するための医薬及び/又は予防薬の製造のための、請求項20記載の組合せの使用。
【請求項23】
前記異なるRSV特異的作用体が、パリビズマブ、及び/又はAM14及び/又はAM16、及び/又はAM23、及び/又はD25である、請求項20又は21記載の組合せ。
【請求項24】
RSV関連障害を少なくとも部分的に治療及び/又は予防するための医薬及び/又は予防薬の製造のための、請求項1〜17、20又は23のいずれか1項記載の抗体、機能的部分、誘導体若しくは類似体、又は核酸配列若しくは機能的等価物、又はベクター、又は細胞、又は組合せの使用。
【請求項25】
以下の構成を含む医薬組成物:
・請求項1〜17、20及び23のいずれか1項記載の抗体、機能的部分、誘導体若しくは類似体、又は核酸配列若しくは機能的等価物、又はベクター、又は細胞、又は組合せ、及び、
・医薬として許容し得る担体、希釈剤又は賦形剤。
【請求項26】
請求項1〜8のいずれか1項記載の抗体、機能的部分、誘導体又は類似体を産生できる単離された又は組換え抗体産生細胞。
【請求項27】
請求項1〜8のいずれか1項記載の抗体、機能的部分、誘導体又は類似体を生産するための方法であって、請求項9〜15のいずれか1項記載の核酸配列若しくは機能的等価物、又は請求項16記載のベクターを細胞に提供すること、及び、前記細胞に請求項9〜15のいずれか1項記載の前記核酸配列若しくは機能的等価物、又は請求項16記載のベクターを翻訳させること、を含み、これにより、請求項1〜8のいずれか1項記載の前記抗体、機能的部分、誘導体又はその類似体を産生することを含む、前記方法。
【請求項28】
請求項1〜8のいずれか1項記載の前記抗体、機能的部分、誘導体又はその類似体を回収、精製及び/又は単離することを更に含む、請求項27記載の方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【公表番号】特表2013−506431(P2013−506431A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533099(P2012−533099)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【国際出願番号】PCT/NL2009/050599
【国際公開番号】WO2011/043643
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(512089232)
【Fターム(参考)】