RSVFタンパク質組成物およびそれを作製するための方法

本発明は、RSV Fタンパク質を含む免疫原性組成物、RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む組成物の調製方法、ならびに特定の遺伝子操作型RSV Fタンパク質および該遺伝子操作型RSV Fタンパク質をコードする核酸に関する。該方法を用いて調製される組成物は、RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを、主要な、または単一の所望の形態およびコンフォメーションで含むものであり得る。また、本発明はRSV Fに対する免疫応答の誘導方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2009年7月15日に出願された米国特許出願番号61/225,805、および2010年1月12日に出願された米国特許出願番号61/294,426の利益を主張する。上記米国特許出願の全教示は、参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
RSウイルス(RSV)は、パラミクソウイルス科、ニューモウイルス属の、エンベロープをもつ非分節型マイナス鎖RNAウイルスである。これは、生まれてから1年以内の子供の細気管支炎および肺炎の最も一般的な原因である。また、RSVは、重度の下気道疾患(これは、どの年齢でも起こり得、特に、高齢者または心臓、肺もしくは免疫機構に欠陥を有する人に起こり得る)などの反復感染も引き起こす。
【0003】
宿主細胞に感染するために、パラミクソウイルス(RSVなど)は、エンベロープをもつ他のウイルス(インフルエンザウイルスおよびHIVなど)と同様、ウイルスの膜と宿主細胞の膜との融合を必要とする。RSVでは、保存された融合タンパク質(RSV F)が、不可逆的なタンパク質リフォールディングを膜の並置とカップリングさせることによりウイルス膜と細胞膜を融合させる。パラミクソウイルスの研究に基づいた現在のモデルでは、RSV Fタンパク質は、まず、フォールディングして準安定性の「融合前」コンフォメーションになる。細胞への侵入中、融合前コンフォメーションはリフォールディングとコンフォメーション変化を受け、安定な「融合後」コンフォメーションになる。
【0004】
RSV Fタンパク質は、mRNAから、およそ574個のアミノ酸のFと表示されるタンパク質に翻訳される。Fの翻訳後プロセッシングとしては、小胞体でのシグナルペプチダーゼによるN末端シグナルペプチドの除去が挙げられる。また、Fは、2つの部位(およそ109/110とおよそ136/137)で、トランス−ゴルジ体において細胞内プロテアーゼ(特に、フリン)によって切断される。この切断により、短い介在配列の除去がもたらされ、F(約50kDa;C末端;およそ残基137〜574)およびF(約20kDa;N末端;およそ残基1〜109)と表示される2つのサブユニットが生成されるが、これらは互いに会合したままである。Fは、そのN末端に疎水性の融合ペプチドを含み、また、2つの両親媒性の7反復領域(HRAおよびHRB)も含む。HRAは該融合ペプチド付近に存在し、HRBは膜貫通ドメイン付近に存在する。ビリオン内では、3つのF−Fヘテロ二量体がF−Fのホモ三量体としてアッセンブルされる。
【0005】
現在入手可能なRSV感染に対するワクチンはないが、所望されている。ワクチンの作製に対する潜在的アプローチの1つは、精製RSV Fタンパク質を基にしたサブユニットワクチンである。しかしながら、このアプローチでは、精製RSV Fタンパク質は、経時的に安定な単一の形態およびコンフォメーションであり、ワクチンのロット間に一貫性があり、かつ簡便に精製されるものであることが望ましい。
【0006】
RSV Fタンパク質を、例えば、膜貫通ドメインと細胞質テールの欠失によって切断型にすると、該タンパク質がエクトドメインとして発現されることが可能となり得、これにより可溶性となり得る。また、RSV Fタンパク質は、最初は単量体として翻訳されるが、この単量体は切断され、三量体にアッセンブルされる。RSV Fタンパク質が切断三量体の形態になると、疎水性の融合ペプチドが露出される。異なる三量体(例えば、可溶性のエクトドメインの三量体)上の露出された疎水性の融合ペプチドは互いに会合し、ロゼットの形成がもたらされ得る。また、疎水性の融合ペプチドは、例えば、可溶性の組換えRSV Fタンパク質を発現させるために使用した細胞に由来する脂質およびリポタンパク質とも会合し得る。RSV Fタンパク質のプロセッシング、構造およびリフォールディングの複雑性のため、精製された均一な免疫原性調製物を得ることは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、改善されたRSV Fタンパク質組成物およびRSV Fタンパク質組成物の作製方法の必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の概要)
本発明は、1つ以上のRSV Fポリペプチドを含む免疫原性組成物、ならびに一部の特定の遺伝子操作型RSV Fタンパク質および該遺伝子操作型RSV Fタンパク質をコードする核酸に関する。
【0009】
一態様において、RSV Fタンパク質は可溶性である。例えば、RSV Fタンパク質は、膜貫通領域と細胞質テールが欠失したものであり得る。一部の態様では、可溶性のRSV Fは、1)一方または両方のフリン切断部位に対する1つ以上の変異、2)融合ペプチドに対する1つ以上の変異、3)p27リンカーに対する1つ以上の変異、4)付加オリゴマー化配列を含むこと、および5)プロテアーゼ切断部位を提供する付加アミノ酸配列を含むこと、のうちの1つ以上を含むものである。付加的または代替的な態様において、RSV Fタンパク質は単量体、三量体、または単量体と三量体の組合せである。三量体は単分散型またはロゼットの形態であり得る。さらなる付加的または代替的な態様では、RSV Fタンパク質は融合前コンフォメーション、中間コンフォメーションまたは融合後コンフォメーションであり得る。
【0010】
一態様において、免疫原性組成物は、アミノ酸100〜150が配列番号9、配列番号12、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7;配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号91または配列番号92のアミノ酸配列で置き換えられた1つ以上のRSウイルスF(RSV F)ポリペプチドを含むものである。一部の実施形態では、RSV Fポリペプチドは可溶性(例えば、エクトドメイン)である。
【0011】
別の態様では、免疫原性組成物は、RSV Fのアミノ酸100〜150が配列番号12のアミノ酸配列で置き換えられたRSV Fポリペプチドを含むものである。一部の実施形態では、RSV Fポリペプチドは可溶性(例えば、エクトドメイン)である。
【0012】
また別の態様では、免疫原性組成物は、RSV Fのアミノ酸100〜150が配列番号9、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7;配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号13、または配列番号92のアミノ酸配列で置き換えられたRSV Fポリペプチドを含むものである。一部の実施形態では、RSV Fポリペプチドは可溶性(例えば、エクトドメイン)である。
【0013】
別の態様では、免疫原性組成物は、アミノ酸100〜150が配列番号9のアミノ酸配列で置き換えられたRSV Fポリペプチドを含むものである。一部の実施形態では、RSV Fポリペプチドは可溶性(例えば、エクトドメイン)である。
【0014】
別の態様では、免疫原性組成物は、RSV Fが配列番号1または配列番号2のアミノ酸23〜99および151〜524を含むRSV Fポリペプチドを含むものである。一部の実施形態では、RSV Fポリペプチドは可溶性(例えば、エクトドメイン)である。
【0015】
一態様において、免疫原性組成物は、配列番号49、配列番号68、配列番号71、配列番号25、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号69、配列番号70、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、および配列番号93からなる群より選択されるポリペプチドを含むものである。一部の実施形態では、シグナルペプチドおよび/またはHISタグが削除されている。一部の実施形態では、RSV Fポリペプチドは可溶性(例えば、エクトドメイン)である。
【0016】
一態様において、免疫原性組成物は、配列番号68あるいはまたシグナルペプチドおよび任意選択でHISタグが削除された配列番号68を含むものである。
【0017】
別の態様では、免疫原性組成物は、配列番号49、配列番号71、ならびにシグナルペプチドおよび任意選択でHISタグが削除された前述のいずれかの配列からなる群より選択されるポリペプチドを含むものである。一部の実施形態では、RSV Fポリペプチドは可溶性(例えば、エクトドメイン)である。
【0018】
好ましい実施形態では、免疫原性組成物にアジュバントを含める。アジュバントは、好ましくは、アルミニウム塩、水中スクアレン型エマルジョン(MF59など)、ベンゾナフチリジン化合物、リン脂質化合物(E6020など)、小分子免疫増強物質または前述のいずれかの任意の2つ以上の組合せである。
【0019】
本発明のまた別の態様は組換えRSV Fポリペプチドを含む。RSV Fは、単量体、三量体、三量体のロゼット、または単量体と三量体の組合せの形態であり得る。組換えポリペプチドは、異種オリゴマー化ドメイン、エピトープまたはシグナルペプチドを含むものであり得る。異種オリゴマー化ドメインは、好ましくは、インフルエンザ血球凝集素由来の三量体化ドメイン、SARSスパイク由来の三量体化ドメイン、またはHIV gp41、NadA、修飾GCN4もしくはATCase由来の三量体化ドメインである。
【0020】
一態様において、組換えRSV Fポリペプチドは、配列番号9、配列番号12、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号91または配列番号92のアミノ酸配列で置き換えられたアミノ酸100〜150を有するものである。一部の実施形態では、RSV Fポリペプチドは可溶性(例えば、エクトドメイン)である。
【0021】
別の態様では、組換えRSV Fポリペプチドは、配列番号12のアミノ酸配列で置き換えられたRSV Fのアミノ酸100〜150を有するものである。一部の実施形態では、RSV Fポリペプチドは可溶性(例えば、エクトドメイン)である。
【0022】
別の態様では、組換えRSV Fポリペプチドは、配列番号9、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7;配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号13、または配列番号92のアミノ酸配列で置き換えられたRSV Fのアミノ酸100〜150を有するものである。一部の実施形態では、RSV Fポリペプチドは可溶性(例えば、エクトドメイン)である。
【0023】
また別の態様では、組換えRSV Fポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸配列で置き換えられたRSV Fのアミノ酸100〜150を有するものである。一部の実施形態では、RSV Fポリペプチドは可溶性(例えば、エクトドメイン)である。
【0024】
一態様において、該組換えポリペプチドは、配列番号49、配列番号68、配列番号71、配列番号25、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号48、配列番号47、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号69、配列番号70、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号93、およびその任意の組合せからなる群より選択される。任意選択で、シグナルペプチドおよび/またはHISタグが削除されている。一部の実施形態では、RSV Fポリペプチドは可溶性(例えば、エクトドメイン)である。
【0025】
さらに別の態様は、前述の任意のポリペプチドをコードする核酸を含む。該核酸は自己複製RNA分子であり得る。
【0026】
本発明の別の態様は、RSV Fポリペプチドをコードする自己複製RNAを含む免疫原性組成物である。免疫原性組成物は送達系を含むものであり得る。
【0027】
本発明の別の態様は、任意の該免疫原性組成物を投与することにより、RSV Fに対する免疫応答を誘導する方法を含む。
【0028】
本発明は、組成物の調製方法、およびRSV Fタンパク質(可溶性のRSV Fエクトドメインポリペプチドなど)を含む組成物、例えば、免疫原性組成物に関する。RSV Fエクトドメインポリペプチドは、単一の形態(非切断単量体、非切断三量体、切断三量体、または切断三量体のロゼットなど)であり得る。また、RSV Fエクトドメインポリペプチドは、2つ以上の形態、例えば、平衡状態(非切断単量体と非切断三量体との平衡など)で存在している2つ以上の形態であってもよい。本発明により、いくつかの利点がもたらされる。例えば、免疫原性組成物中におけるRSV Fの単一の所望の形態の存在により、該組成物を被験体に投与した場合の免疫応答がより予測可能となり、ワクチンに処方した場合の安定性ならびに他の物理的および化学的特性が、より一貫性を有する。
【0029】
一態様において、本発明は、切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む組成物の作製方法である。該方法は、a)切断されるとFおよびF断片が生成される1つ以上のプロテアーゼ切断部位を含む非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを準備すること、ならびにb)該非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを、該プロテアーゼ切断部位(1つまたは複数)を認識するプロテアーゼ(1つまたは複数)で切断することを含む。一般に、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列は改変型フリン切断部位を含み、該RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、該ポリペプチドをアミノ酸101〜アミノ酸161の位置において非切断の(例えば、106〜109位および131〜136位のフリン切断部位で切断されていない)状態で産生する宿主細胞から分泌される。一部の実施形態では、a)において準備する非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを精製する。
【0030】
a)において準備する非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、インタクトな融合ペプチドを含むものであっても、改変型融合ペプチド(例えば、欠失型融合ペプチドまたは変異型融合ペプチド)を含むものであってもよい。a)において準備する非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドがインタクトな融合ペプチドを含むものである場合、工程b)での切断により、三量体のロゼットの形成がもたらされる。a)において準備する非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドが改変型融合ペプチドを含むものである場合、工程b)での切断により、三量体の形成がもたらされる。
【0031】
該方法は、さらに、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの切断によって生成されるロゼットまたは三量体を精製する任意選択の工程を含むものであってもよい。好ましい実施形態では、該方法によって作製される切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドには実質的に脂質とリポタンパク質が含まれていない。
【0032】
別の態様では、本発明は、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの単量体、三量体または単量体と三量体の組合せを含む組成物の作製方法である。該方法は、a)非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む生物学的材料を準備すること;およびb)非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの単量体または三量体を該生物学的材料から精製することを含む。一般に、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列は改変型フリン切断部位を含み、該RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、該ポリペプチドをアミノ酸101〜アミノ酸161の位置において非切断の(例えば、106〜109位および131〜136位のフリン切断部位で切断されていない)状態で産生する宿主細胞から分泌される。一部の実施形態では、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列は、さらに改変型トリプシン切断部位を含み、RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、アミノ酸101とアミノ酸161との間の部位でトリプシンによって切断されない。他の実施形態では、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列は、さらに改変型融合ペプチドを含む。
【0033】
一部の実施形態では、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド三量体を精製する。他の実施形態では、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド単量体を精製する。さらに他の実施形態では、非切断型RSV Fタンパク質のエクトドメインの単量体と三量体の混合物(これは動的平衡状態であり得る)を精製する。好ましい実施形態では、該方法によって作製される切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドには実質的に脂質とリポタンパク質が含まれていない。
【0034】
別の態様では、本発明は、切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの単量体、三量体または単量体と三量体の組合せを含む組成物の作製方法である。該方法は、a)改変型融合ペプチドを含む切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む生物学的材料を準備すること;およびb)切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを該生物学的材料から精製することを含む。
【0035】
一部の実施形態では、切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド三量体を精製する。他の実施形態では、切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド単量体を精製する。さらに他の実施形態では、切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインの単量体と三量体の混合物(これは動的平衡状態であり得る)を精製する。好ましい実施形態では、該方法によって作製される切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドには、好ましくは、実質的に脂質とリポタンパク質が含まれていない。さらに別の実施形態では、改変型融合ペプチドを含む切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインの三量体を精製する。
【0036】
他の態様では、本発明は、本発明の方法を用いて作製される組成物、例えば、免疫原性組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、野生型RSV F(図1A)および膜貫通ドメインと細胞質テールを除去し、任意選択のHIS6−タグをC末端に付加したエクトドメイン構築物(図1B)の概略図を示す。明確にするため、残基の番号付けは、N末端シグナルペプチドから始まる野生型A2株RSV Fと関連させており、アミノ酸の欠失を含む構築物において改変されていない。概略図において、シグナル配列またはシグナルペプチドを表示している(sp)。図1Aは、RSV Fタンパク質の概略図であり、シグナル配列またはシグナルペプチド(SP)、p27リンカー領域、融合ペプチド(FP)、HRAドメイン(HRA)、HRBドメイン(HRB)、膜貫通領域(TM)、および細胞質テール(CT)を示している。エクトドメインのC末端結合部は種々(very)であり得る。図1Bは、RSV Fエクトドメイン構築物の一般的な概略図であり、図1Aの概略図と共有の特徴を示し、任意選択のHlS−タグ(HIS TAG)を含めている。フリン切断部位はアミノ酸位置109/110および136/137に存在している。図1Cはまた、RSV F(野生型)(配列番号108)、ならびに一方または両方のフリン切断部位および/または融合ペプチド領域が変異または欠失したいくつかのタンパク質(Furmt−配列番号3;Furdel−配列番号4;Furx−配列番号6;Furx R113Q,K123N,K124N−配列番号5;Furx R113Q,K123Q,K124Q−配列番号92;Delp21 furx−配列番号7;Delp23 furx−配列番号8;Delp23 furdel−配列番号9;N末端フリン−配列番号10;C末端フリン−配列番号11;融合ペプチド欠失1−配列番号12;および第Xa因子−配列番号13)のアミノ酸100〜150のアミノ酸配列を示す。図1Cにおいて、符号「−」は、その位置のアミノ酸が欠失していることを示す。
【図2】図2は、RSV F(野生型)(配列番号94)および付加プロテアーゼ切断部位を含むいくつかのタンパク質(配列番号95〜100)のアミノ酸488位からTM領域の開始点までのカルボキシ末端のアミノ酸配列を示す。図2において、符号「−」は、その位置にアミノ酸がないことを示す。
【図3】図3は、サイズ排除クロマトグラフィーを用いたRSV F 単量体(3)の精製を示すクロマトグラムおよび電気泳動ゲルの画像である。
【図4A】図4A〜4Fは、RSウイルスF糖タンパク質(RSV−F)をコードしているpT7−TC83R−FL.RSVF(A317)自己複製RNA分子をコードするプラスミドのヌクレオチド配列(配列番号101)を示す。RSV−Fをコードしているヌクレオチド配列に下線を付している。
【図4B】図4A〜4Fは、RSウイルスF糖タンパク質(RSV−F)をコードしているpT7−TC83R−FL.RSVF(A317)自己複製RNA分子をコードするプラスミドのヌクレオチド配列(配列番号101)を示す。RSV−Fをコードしているヌクレオチド配列に下線を付している。
【図4C】図4A〜4Fは、RSウイルスF糖タンパク質(RSV−F)をコードしているpT7−TC83R−FL.RSVF(A317)自己複製RNA分子をコードするプラスミドのヌクレオチド配列(配列番号101)を示す。RSV−Fをコードしているヌクレオチド配列に下線を付している。
【図4D】図4A〜4Fは、RSウイルスF糖タンパク質(RSV−F)をコードしているpT7−TC83R−FL.RSVF(A317)自己複製RNA分子をコードするプラスミドのヌクレオチド配列(配列番号101)を示す。RSV−Fをコードしているヌクレオチド配列に下線を付している。
【図4E】図4A〜4Fは、RSウイルスF糖タンパク質(RSV−F)をコードしているpT7−TC83R−FL.RSVF(A317)自己複製RNA分子をコードするプラスミドのヌクレオチド配列(配列番号101)を示す。RSV−Fをコードしているヌクレオチド配列に下線を付している。
【図4F】図4A〜4Fは、RSウイルスF糖タンパク質(RSV−F)をコードしているpT7−TC83R−FL.RSVF(A317)自己複製RNA分子をコードするプラスミドのヌクレオチド配列(配列番号101)を示す。RSV−Fをコードしているヌクレオチド配列に下線を付している。
【図5】図5は、いくつかのRSV株に由来するFタンパク質のアミノ酸配列のアラインメントである。アラインメントは、Corpet,Nucleic Acids Research,1998,16(22):10881−10890に開示されたアルゴリズムを使用し、デフォルトパラメータ(Blossum 62シンボル比較表,ギャップオープンペナルティ:12、ギャップ伸張ペナルティ)を用いて作製した。A2、A2株(アクセッション番号AF035006)のFタンパク質(配列番号102);CP52、CP52株(アクセッション番号AF013255)のFタンパク質(配列番号103);B、B株(アクセッション番号AF013254)のFタンパク質(配列番号104);long、long株(アクセッション番号AY911262)株のFタンパク質(配列番号105)、および18537株、18537株(アクセッション番号Swiss Prot P13843)のFタンパク質(配列番号106)。また、Fタンパク質配列のコンセンサスも示す(配列番号107)。
【図6】図6は、選択したRSV F抗原の精製のサイズ排除(SEC)クロマトグラムの関連領域を示す。表示した抗原を含む主成分ピークにアスタリスクを示し、Superdex P200 16/60カラム(GE Healthcare)の保持時間をミリリットルで示す。較正したカラムでは、47ml、65mlおよび77mlのおおよその保持時間は、それぞれ、カラムのボイドボリューム(void volume)、RSV F三量体の保持、およびRSV F単量体の保持に相当する。図6Aにおいて、非切断Delp23 Furdel(Δp23 Furdel)構築物は、およそ77mlにおいて単量体ピークから精製される。非切断Delp23 Furdel RSV F抗原をトリプシンで処理すると、タンパク質はロゼットを形成し得、これは、さらに、SECで、およそ47mlにおけるボイドボリューム中に移動する(図6B)。RSV F融合ペプチド欠失の切断三量体種は、三量体ピークからおよそ65mlの保持時間において精製される(図6C)が、非切断Delp21 Furx構築物(Δp21 Furx)は、単量体ピークからおよそ77mlにおいて精製される(図6D)。
【図7】図7は、選択したRSV F抗原の代表的なEM画像を示す。図7Aは、トリプシン処理前のRSV F Δp23(Delp23)のEM画像を示す。融合後三量体コンフォメーションと整合する図7Aの松葉杖形状は、常に非切断Δp23(Delp23)Furdel構築物で観察されるわけではない。Δp23(Delp23)Furdel構築物をトリプシンで処理し、SECカラムのボイドボリュームから精製し、EMによって観察すると、該タンパク質にロゼットコンフォメーションが採用されたことがわかる(図7B)。RSV F融合ペプチド欠失構築物をSECカラムの三量体ピークから精製すると、単分散型の松葉杖形状が観察され、融合後三量体と整合する(図7C)。図7Dに、Δp21(Delp21)furx RSV F(モノマーと表示)、融合ペプチド欠失RSV F(三量体と表示したレーン)および精製RSV Fロゼット(ロゼットと表示)のいずれかの3つの調製物を示す。ゲルに、GE Full Range Standard(分子量標準をゲルの左側に表示している)のいくつかのレーンを含めているとともに、RSV F断片のおおよその保持時間をゲルの右側に示している。
【図8】図8A〜8Cは、RSV Fエクトドメインポリペプチドの単量体(非切断Δp21(Delp21)furx)、三量体のロゼット(切断Δp23(Delp23)Furdel)、および三量体(融合ペプチド欠失)がコットンラットにおいて免疫原性であることを示すグラフである。抗RSV F IgGおよび中和抗RSV抗体の血清力価を、1回目のワクチン接種の2週間後(2wp1)、1回目のワクチン接種の3週間後(3wp1)、および/または2回目のワクチン接種の2週間後(2wp2)に測定した。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(発明の詳細な説明)
本発明は、RSウイルスF(RSV F)ポリペプチドおよび/またはタンパク質、RSV Fポリペプチドおよび/またはタンパク質を含む免疫原性組成物、RSV Fポリペプチドおよび/またはタンパク質の作製方法、ならびにRSV Fポリペプチドおよび/またはタンパク質を含む組成物、ならびにRSV Fポリペプチドおよび/またはタンパク質をコードする核酸に関する。
【0039】
一般に、免疫原性組成物は、有益な特徴、例えば、1)融合前または中間(非融合後)コンフォメーションの安定化、2)融合ペプチドの露出の低減または排除、3)安定性の改善(例えば、凝集および/または分解の低減)、ならびに4)活性なF1/F2ウイルスタンパク質により類似すること、のうちの1つ以上をもたらす変異(例えば、アミノ酸の置き換え、欠失または付加)を含むRSV Fポリペプチドおよび/またはタンパク質を含むものである。このような特徴により、免疫原性組成物および免疫原性組成物の製造に対して利点がもたらされる。例えば、本明細書に記載のように、RSV Fタンパク質の非融合後コンフォメーション(すなわち、融合前コンフォメーション、中間コンフォメーション)は、より良好な免疫原となり得、より良好な中和抗体応答が誘起され得る。例えば、フリン切断部位に変異または欠失を導入することにより融合ペプチドの露出を低減または排除すると、該ポリペプチドの疎水性が低減され、精製が容易になり、また、RSV Fタンパク質が該タンパク質の投与対象の被験体の細胞膜と会合することが低減または排除される。該タンパク質の安定性の改善により、該タンパク質の凝集傾向または分解傾向が減少した免疫原性組成物の作製が容易になり、これにより、該組成物を被験体に投与した場合、より予測可能な免疫応答がもたらされる。最後に、例えばp27リンカー領域の全部または一部の欠失によりF1/F2ウイルスタンパク質と類似させた変異型RSV Fポリペプチドまたはタンパク質では、より良好な中和抗体応答が誘起され得る。本発明の他の利点は本明細書に記載している。
【0040】
また、本発明は、RSV Fタンパク質、特にRSV Fエクトドメインポリペプチドを含む組成物の調製方法、およびRSV Fタンパク質を含む組成物、例えば、免疫原性組成物に関する。好ましくは、RSV Fエクトドメインポリペプチドは、単一の形態または既知の形態間での動的平衡状態である。
【0041】
(定義)
本明細書で用いる場合、「集団」とは、組成物において存在している1つより多くのRSV Fポリペプチドまたはタンパク質をいう。集団は、実質的に均質であってもよく(この場合、実質的にすべてのRSV Fポリペプチドまたはタンパク質が実質的に同じ(例えば、同じアミノ酸配列、同じコンフォメーション))、不均質であってもよく、所望の度合の均一性(homogenicity)を有する(例えば、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%のRSV Fポリペプチドまたはタンパク質が融合前コンフォメーションであるか、融合後コンフォメーションであるか、単量体であるか、三量体である)ものであってもよい。
【0042】
RSV Fタンパク質の「融合後コンフォメーション」は、3つのHRB領域と3つのHRA領域を含む6ヘリックスバンドルの存在を特徴とする三量体である。
【0043】
RSV Fタンパク質の「融合前コンフォメーション」は、3つのHRB領域を含む三重らせんを含む三量体を特徴とするコンフォメーションである。
【0044】
本明細書で用いる場合、「RSV Fエクトドメインポリペプチド」は、実質的に成熟RSV Fタンパク質の細胞外部分を含み、シグナルペプチド(例えば、アミノ酸1付近〜アミノ酸524付近、またはアミノ酸22付近〜アミノ酸524付近)は、ある場合またはない場合があるが、天然に存在するRSV Fタンパク質の膜貫通ドメインと細胞質テールが欠損しているRSV Fタンパク質のポリペプチドをいう。
【0045】
本明細書で用いる場合、「切断型RSV Fエクトドメインポリペプチド」は、101/102付近〜160/161付近の1つ以上の位置で切断されて2つのサブユニットが生成されており、一方のサブユニットがFを含み、他方のサブユニットがFを含むものであるRSV Fエクトドメインポリペプチドをいう。
【0046】
本明細書で用いる場合、「C末端側非切断型のRSV Fエクトドメインポリペプチド」は、101/102付近〜131/132付近の1つ以上の位置で切断されているが、132/133付近〜160/161付近の1つ以上の位置では切断されずに2つのサブユニットが生成されており、一方のサブユニットがFを含み、他方のサブユニットがFを含むものであるRSV Fエクトドメインポリペプチドをいう。
【0047】
本明細書で用いる場合、「非切断型RSV Fエクトドメインポリペプチド」は、101/102付近〜160/161付近の1つ以上の位置で切断されていないRSV Fエクトドメインポリペプチドをいう。非切断型RSV Fエクトドメインポリペプチドは、例えば、単量体または三量体であり得る。
【0048】
本明細書で用いる場合、「融合ペプチド」はRSV Fタンパク質のアミノ酸137〜154をいう。
【0049】
本明細書で用いる場合、「改変型融合ペプチド」は、1つ以上のアミノ酸が独立して、置き換えられているか、または欠失している融合ペプチドをいう(例えば、137〜154位の全部のアミノ酸の置き換えまたは欠失)。好ましくは、「改変型融合ペプチド」を含む切断型RSV Fエクトドメインポリペプチドはロゼットを形成しない。
【0050】
本明細書で用いる場合、「精製」タンパク質またはポリペプチドは、組換えもしくは合成により作製されたか、またはその天然の宿主によって産生されたタンパク質またはポリペプチドであって、組換え産生系もしくは合成作製系または天然宿主の他の成分から単離されており、組成物中に存在している他の巨大分子成分と比べた該タンパク質の量が、粗製調製物中に存在する量よりも実質的に高くなっているようなタンパク質またはポリペプチドである。一般に、精製タンパク質は、少なくとも約50%均一、より好ましくは少なくとも約75%均一、少なくとも約80%均一、少なくとも約85%均一、少なくとも約90%均一、少なくとも約95%均一または実質的に均一である。
【0051】
本明細書で用いる場合、「実質的に脂質とリポタンパク質が含まれていない」とは、タンパク質および/またはポリペプチド(例えば、RSV Fポリペプチド)の純度をSDS PAGEゲルで観察し、全タンパク質含有量をUV280吸光度もしくはBCA分析のいずれかを用いて測定し、脂質とリポタンパク質含有量をPhospholipase Cアッセイ(Wako,コード番号433−36201)を用いて測定した場合、組成物、タンパク質およびポリペプチドに質量基準で少なくとも約95%脂質とリポタンパク質が含まれていないことをいう。
【0052】
本明細書で用いる場合、「改変型フリン切断部位」は、天然に存在するRSV Fタンパク質では、フリンまたはフリン様プロテアーゼによって認識されて切断されるが、1つ以上のアミノ酸の置き換え、1つ以上のアミノ酸の欠失、または1つ以上のアミノ酸の置き換えと1つ以上のアミノ酸の欠失の組合せを含む非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドではそうではない106〜109位付近と133〜136位付近のアミノ酸配列であり、改変型フリン切断部位を含むRSV Fエクトドメインポリペプチドは、該ポリペプチドを改変型フリン切断部位において非切断の状態で産生する細胞から分泌される。
【0053】
本発明における使用に適したRSV Fタンパク質のエクトドメインの特徴を、A2株由来のRSV Fタンパク質の配列(配列番号1)内のアミノ酸の位置で特定した具体的なアミノ酸に関して本明細書に記載している。RSV Fタンパク質のエクトドメインは、A2株由来のFタンパク質のアミノ酸配列を有するものであっても、任意の他の所望の株由来のFタンパク質のアミノ酸配列を有するものであってもよい。A2株以外の株に由来するFタンパク質のエクトドメインが使用される場合、Fタンパク質のアミノ酸は、A2株由来のFタンパク質の番号付けを参照して番号付けされ、必要に応じてギャップが挿入される。これは、任意の所望のRSV Fタンパク質と、株A2(本明細書にA2株由来のFタンパク質について示したとおり)、CP52株、B株、長鎖株、および18537株のFタンパク質との配列アラインメントを行なうことにより行なわれ得る。図5参照。配列アラインメントは、好ましくは、Corpet,Nucleic Acids Research,1998,16(22):10881−10890に開示されたアルゴリズムを使用し、デフォルトパラメータ(Blossum 62シンボル比較表、ギャップオープンペナルティ:12、ギャップ伸張ペナルティ:2)を用いて得られる。
【0054】
本発明は、可溶性のRSV Fポリペプチドおよびタンパク質、ならびに可溶性のRSV Fポリペプチドおよびタンパク質を含む免疫原性組成物、ならびに可溶性のRSV Fポリペプチドおよびタンパク質をコードする核酸(例えば、自己複製RNA分子)を含む組成物を提供する。
【0055】
RSV Fポリペプチド(例えば、エクトドメインポリペプチド)は任意の所望の形態、例えば、単一の形態(非切断単量体、非切断三量体、切断三量体、または切断三量体のロゼットなど)であり得る。また、RSV Fエクトドメインポリペプチドは、2つ以上の形態、例えば、平衡状態(非切断単量体と非切断三量体との平衡など)で存在している2つ以上の形態であってもよい。本発明により、いくつかの利点がもたらされる。例えば、免疫原性組成物中におけるRSVの単一の所望の形態の存在、または既知の形態間での動的平衡により、処方、可溶性および安定性がより予測可能となり、該組成物を被験体に投与した場合の免疫応答がより予測可能となる。
【0056】
好ましくは、RSV Fエクトドメインポリペプチドは、単一の形態(非切断単量体、非切断三量体、切断三量体、切断三量体のロゼットなど)であるか、またはかかる形態のサブセット間での動的平衡(例えば、非切断単量体と非切断三量体との平衡)状態である。
【0057】
本発明の一態様において、RSV Fポリペプチドおよびタンパク質は融合前コンフォメーションである。融合前コンフォメーションのエピトープの方が、天然ビリオンを認識して中和することができる抗体を、より良好に誘起できることがあり得る。
【0058】
本発明の一実施形態において、免疫原性組成物は、融合前コンフォメーションのRSウイルスF糖タンパク質の集団を含むものである。本発明の別の態様では、免疫原性組成物は、単離されたRSV F糖タンパク質の集団と比べて、融合後コンフォメーションが不利(disfavor)であるRSウイルスF糖タンパク質の集団を含むものである。
【0059】
また、本発明は、RSウイルスF糖タンパク質の融合前または中間融合コンフォメーションでは存在するが、該糖タンパク質の融合後コンフォメーションでは存在しないエピトープをディスプレイするポリペプチドを含む免疫原性組成物を提供する。
【0060】
(F糖タンパク質)
RSVのF糖タンパク質は、ビリオンのエンベロープと宿主細胞の原形質膜とを融合させることによりウイルス侵入を指向する。これは、4つの一般的なドメイン:N末端ERトランスロケーションシグナル配列(SS)、エクトドメイン(ED)、膜貫通ドメイン(TM)、および細胞質テール(CT)を有するI型の1回貫通内在性膜タンパク質である。CTは、パルミトイル化システイン残基を1つ含む。Fタンパク質の配列は、RSV単離株間で高度に保存されているが、常に進化している(7)。ほとんどのパラミクソウイルスとは異なり、RSVのFタンパク質は、その他のウイルスタンパク質とは独立して侵入と合胞体形成を媒介し得る(通常、他のパラミクソウイルスではFに加えてHNが必要である)。
【0061】
hRSV F mRNAは、Fと表示される574個のアミノ酸の前駆タンパク質に翻訳され、これは、N末端に、小胞体でシグナルペプチダーゼによって除去されるシグナルペプチド配列を含む。Fは、トランス−ゴルジ体で細胞内プロテアーゼ(特に、フリン)によって2つの部位(a.a.109/110と136/137)で切断されて短いグリコシル化介在配列が除去され、F(約50kDa;C末端;残基137〜574)およびF(約20kDa;N末端;残基1〜109)と表示される2つのサブユニットが生成する(例えば、図1参照)。Fは、そのN末端に疎水性の融合ペプチドを含み、また、2つの疎水性の7反復領域(HRAとHRB)も含む。HRAは該融合ペプチド付近に存在し、HRBは膜貫通ドメイン付近に存在する(例えば、図1参照)。ビリオン内では、F−Fヘテロ二量体がホモ三量体としてアッセンブルされる。
【0062】
RSVは、単一の血清型として存在しているが、2つの抗原性の亜群:AとBを有する。この2つの群のF糖タンパク質は約90%同一である。A亜群、B亜群または両者の組合せもしくはハイブリッドが本発明において使用され得る。一例の配列は、A亜群のものは配列番号1であり(A2株;GenBank GI:138251;Swiss Prot P03420)、B亜群のものは配列番号2である(18537株;GI:138250;Swiss Prot P13843)。配列番号1および配列番号2は、ともに574個のアミノ酸の配列である。A2株のシグナルペプチドはa.a.1〜21であるが、18537株では1〜22である。どちらも配列も、TMドメインは約a.a.530〜550であるが、別の例では525〜548であると報告されている。
【0063】
【化1】

本発明では、任意の所望のRSV Fアミノ酸配列(配列番号1もしくは2のアミノ酸配列、または配列番号1もしくは2と同一性を有する配列など)が使用され得る。典型的には、該配列は、配列番号1または2と少なくとも75%の同一性を有するもの、例えば、配列番号1または2と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の同一性を有するものである。該配列は、RSVに天然に見られるものであってもよい。
【0064】
本発明で、全体または一部においてFタンパク質のエクトドメインが使用される場合、これは、
(i)配列番号1のアミノ酸22〜525付近を含むポリペプチド
(ii)配列番号2のアミノ酸23〜525付近を含むポリペプチド
(iii)(i)または(ii)と少なくとも75%の同一性(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の同一性)を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド
(iv)(i)、(ii)または(iii)の断片を含むポリペプチド(ここで、該断片は少なくとも1つのFタンパク質エピトープを含む。該断片は、通常、少なくとも約100アミノ酸長、例えば、少なくとも約150、少なくとも約200、少なくとも約250、少なくとも約300、少なくとも約350、少なくとも約400、少なくとも約450アミノ酸長である)
を含むものであり得る。
【0065】
エクトドメインは、F形態(シグナルペプチドを有するか、または有しない)であってもよく、互いに会合している2つの別個のペプチド鎖(例えば、FサブユニットとFサブユニット)(例えば、該サブユニットはジスルフィド結合によって連結されたものであり得る)を含むものであってもよい。したがって、アミノ酸101〜約161付近の全体または一部(アミノ酸110〜136など)がエクトドメインに存在していなくてもよい。したがって、エクトドメインは、全体または一部に、
(v)第1のペプチド鎖が、配列番号1のアミノ酸22付近〜アミノ酸101付近、または配列番号2のアミノ酸23付近〜アミノ酸101付近と少なくとも75%の同一性(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはさらに100%の同一性)を有するアミノ酸配列を含み、第2のペプチド鎖が、配列番号1のアミノ酸162付近〜525付近、または配列番号2のアミノ酸162〜525付近と少なくとも75%の同一性(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはさらに100%の同一性)を有するアミノ酸配列を含む、第1のペプチド鎖、およびこの第1のポリペプチド鎖と会合している第2のペプチド鎖
(vi)第1のペプチド鎖が、配列番号1のアミノ酸22付近〜アミノ酸101付近、または配列番号2のアミノ酸23付近〜アミノ酸109付近の断片を含むアミノ酸配列を含み、第2のペプチド鎖が、配列番号1のアミノ酸162付近〜アミノ酸525付近、または配列番号2のアミノ酸161付近〜アミノ酸525付近の断片を含む、第1のペプチド鎖、およびこの第1のポリペプチド鎖と会合している第2のペプチド鎖(該断片の一方または両方が少なくとも1つのFタンパク質エピトープを含む。第1のペプチド鎖の断片は、通常、少なくとも20アミノ酸長、例えば、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80アミノ酸長である。第2のペプチド鎖の断片は、通常、少なくとも100アミノ酸長、例えば、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450アミノ酸長である)
(vii)(i)、(ii)、(iii)または(iv)のフリン消化によって得られ得る分子
を含むものであり得る。
【0066】
したがって、本発明で使用されるアミノ酸配列は、RSV Fタンパク質において天然に見られるものであってもよく(例えば、TMとCT(配列番号1または2のアミノ酸522〜574付近)が欠損している可溶性RSV Fタンパク質)、および/または天然RSV配列と比べて1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個)の単一アミノ酸変異(挿入、欠失もしくは置換)を有するものであってもよい。例えば、Fタンパク質を、そのフリン切断配列が排除されるように変異させると、それにより細胞内プロセッシングが抑制されることが知られている。一部の特定の実施形態では、RSV Fタンパク質は、TMとCT(配列番号1または2のアミノ酸522〜574付近)が欠損しており、天然RSV配列と比べて1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個)の単一アミノ酸変異(挿入、欠失もしくは置換)を含むものである。
【0067】
(フリン切断、トリプシン切断および融合ペプチドの変異)
RSV Fポリペプチドまたはタンパク質は、フリン切断部位(すなわち、配列番号1および2のアミノ酸109と136)の一方または両方での切断を妨げる1つ以上の変異を含むものであり得る。該変異により、可溶性の該ポリペプチドまたはタンパク質の凝集が抑制され、それにより精製が容易となり得、RSV Fタンパク質が細胞表面上で発現される場合(ウイルスレプリコン(例えば、アルファウイルスレプリコン粒子)からの発現によって)、またはRSV Fタンパク質がウイルス様粒子の一成分である場合は、細胞−細胞融合が抑制され得る。このような変異はまた、単独または本明細書に記載の他の変異との組合せで、融合前コンフォメーションの該タンパク質を安定化させ得る。
【0068】
好適なフリン切断変異の例としては、配列番号1または2のアミノ酸残基106〜109を、RARK(配列番号77)、RARQ(配列番号78)、QAQN(配列番号79)、またはIEGR(配列番号80)で置き換えることが挙げられる。あるいはまたさらに、配列番号1または2のアミノ酸残基133〜136を、RKKK(配列番号81)、ΔΔΔR、QNQN(配列番号82)、QQQR(配列番号83)またはIEGR(配列番号80)で置き換えてもよい(Δは、アミノ酸残基が欠失していることを示す)。このような変異を、所望により、p27領域(配列番号1または2のアミノ酸110〜136)における変異、例えば、p27領域の全体または一部の欠失などの本明細書に記載の他の変異と組み合わせてもよい。
【0069】
このようなフリン切断変異を、所望により、トリプシン切断変異および融合ペプチドの変異などの本明細書に記載の他の変異と組み合わせてもよい。好適なトリプシン切断変異の例としては、配列番号1もしくは2の101位〜161位付近の任意のリジンもしくはアルギニン残基の欠失、またはかかる任意のリジンもしくはアルギニン残基のリジンもしくはアルギニン以外のアミノ酸での置き換えが挙げられる。例えば、p27領域(配列番号1または2のアミノ酸110〜136付近)内のリジンおよび/またはアルギニン残基を置換してもよく、欠失させてもよい(p27領域の全体または一部の欠失など)。
【0070】
フリン切断変異に対して代替的または付加的に、RSV Fポリペプチドまたはタンパク質は、融合ペプチド領域(配列番号1または2のアミノ酸137〜153)に1つ以上の変異を含んでいてもよい。例えば、この領域の全体を欠失させてもよく、一部を欠失させてもよい。
【0071】
具体的な実施形態では、RSV Fポリペプチドまたはタンパク質(配列番号1、配列番号2など)のアミノ酸残基100〜150またはその可溶性エクトドメインの配列は、
【0072】
【化2】

【0073】
【化3】

(ここで、符号「−」は、その位置のアミノ酸が欠失していることを示す)
である。
【0074】
フリン切断および融合ペプチドの変異に対して付加的または代替的に、可溶性RSV Fポリペプチドまたはタンパク質(膜貫通領域と細胞質テールが欠損しているものなど)は、1つ以上のオリゴマー化配列を含むものであってもよい。オリゴマー化配列を存在させる場合、これは、好ましくは三量体化配列である。好適なオリゴマー化配列は、当該技術分野でよく知られており、例えば、酵母GCN4ロイシンジッパータンパク質のコイルドコイル、バクテリオファージT4のフィブリチン(fibritin)由来の三量体化配列(「フォルドン(foldon)」)、およびインフルエンザHAの三量体ドメインが挙げられる。これらおよび他の好適なオリゴマー化配列を、本明細書において、より詳細に説明する。
【0075】
具体的な実施形態では、RSV Fポリペプチドまたはタンパク質のカルボキシ末端の配列は(480位から始まる)、
【0076】
【化4】

【0077】
【化5】

である。
【0078】
フリン切断変異、融合ペプチドの変異およびオリゴマー化配列の付加の任意の組合せに対して付加的または代替的に、膜貫通領域を含むRSV Fポリペプチドまたはタンパク質は、プロテアーゼ切断部位を提供する付加アミノ酸配列を含むものであってもよい。この型のRSV Fポリペプチドまたはタンパク質は、細胞表面上での発現によって作製され、適切なプロテアーゼを用いて該細胞表面から切断した後、可溶性形態で収集され得る。一般的に、プロテアーゼ切断部位を提供するアミノ酸配列は、膜貫通ドメインのアミノ末端(配列番号1または2のアミノ酸525)の約60アミノ酸以内、約50アミノ酸以内、約40アミノ酸以内、約30アミノ酸以内、約20アミノ酸以内、約10アミノ酸以内に、または実質的に隣接させて存在させる。市販のプロテアーゼによって切断される多くの適当なアミノ酸配列が当該技術分野でよく知られている。例えば、トロンビンは配列LVPR(配列番号75)を切断し、第Xa因子は配列IEGRを切断し、エンテロキナーゼは配列DDDDK(配列番号76)を切断する。このようなアミノ酸配列がRSV Fポリペプチドに導入され得る。具体的な実施形態では、RSV Fポリペプチドまたはタンパク質の配列は(488位から始まり、TM領域まで)、図2に示す配列である。
【0079】
本発明に従って使用される免疫原性ポリペプチドは、通常、単離されたもの、または精製されたものである。したがって、該ポリペプチドは、通常(あてはまる場合)自然界では一緒に見られる分子と会合していない。例えば、本発明で使用されるFタンパク質は、RSVビリオンの形態ではない(しかし、ビロソームまたはVLPなどの人工ビリオンの形態であってもよい)。
【0080】
ポリペプチドは、通常、組換え宿主系内での発現によって調製される。一般的に、該ポリペプチド(例えば、RSVエクトドメイン)は、該エクトドメインをコードする組換え構築物を適当な組換え宿主細胞内で発現させることによって作製されるが、任意の適当な方法が使用され得る。好適な組換え宿主細胞としては、例えば、昆虫細胞(例えば、Aedes aegypti、Autographa californica、Bombyx mori、Drosophila melanogaster、Spodoptera frugiperda、およびTrichoplusia ni)、哺乳動物細胞(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、および齧歯類(例えば、ハムスター))、鳥類細胞(例えば、ニワトリ、アヒル、およびガチョウ)、細菌(例えば、大腸菌、Bacillus subtilis、およびストレプトコッカス種)、酵母細胞(例えば、Saccharomyces cerevisiae、Candida albicans、Candida maltosa、Hansenual polymorpha、Kluyveromyces fragilis、Kluyveromyces lactis、Pichia guillerimondii、Pichia pastoris、Schizosaccharomyces pombeおよびYarrowia lipolytica)、テトラヒメナ細胞(例えば、Tetrahymena thermophila)またはその組合せが挙げられる。多くの適当な昆虫細胞および哺乳動物細胞が当該技術分野でよく知られている。好適な昆虫細胞としては、例えば、Sf9細胞、Sf21細胞、Tn5細胞、Schneider S2細胞、およびHigh Five細胞(親Trichoplusia ni BTI−TN−5B1−4細胞系統に由来するクローン単離物(Invitrogen))が挙げられる。好適な哺乳動物細胞としては、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胚性腎細胞(HEK293細胞、典型的には、剪断アデノウイルス5型DNAで形質転換されたもの)、NIH−3T3細胞、293−T細胞、Vero細胞、HeLa細胞、PERC.6細胞(ECACC寄託番号96022940)、Hep G2細胞、MRC−5(ATCC CCL−171)、WI−38(ATCC CCL−75)、アカゲザル胎仔肺細胞(ATCC CL−160)、マディン−ダービーウシ腎(「MDBK」)細胞、マディン−ダービーイヌ腎(「MDCK」)細胞(例えば、MDCK(NBL2)、ATCC CCL34;またはMDCK 33016、DSM ACC 2219)、乳仔ハムスター腎(BHK)細胞(例えば、BHK21−F、HKCC細胞)などが挙げられる。好適な鳥類細胞としては、例えば、ニワトリ胚性幹細胞(例えば、EBx(登録商標)細胞)、ニワトリ胚性線維芽細胞、ニワトリ胚性生殖細胞、アヒル細胞(例えば、AGE1.CRおよびAGE1.CR.pIX細胞系統(ProBioGen)、これらは、例えば、Vaccine 27:4975−4982(2009)およびWO2005/042728に記載されている)、EB66細胞などが挙げられる。
【0081】
好適な昆虫細胞発現系(バキュロウイルス系など)は当業者に知られており、例えば、SummersおよびSmith,Texas Agricultural Experiment Station Bulletin No.1555(1987)に記載されている。バキュロウイルス/挿入(insert)細胞発現系のための材料および方法はキットの形態で、とりわけ、Invitrogen(San Diego CA)から市販されている。また、鳥類細胞発現系も当業者に知られており、例えば、米国特許第5,340,740号;同第5,656,479号;同第5,830,510号;同第6,114,168号;および同第6,500,668号;欧州特許番号EP0787180B;欧州特許出願番号EP03291813.8;WO03/043415;ならびにWO03/076601に記載されている。また、同様に、細菌発現系および哺乳動物細胞発現系も当該技術分野で知られており、例えば、Yeast Genetic Engineering(Barrら編,1989)(Butterworths,London)に記載されている。
【0082】
RSV Fタンパク質のエクトドメインをコードする組換え構築物は、適当なベクターにおいて慣用的な方法を用いて調製され得る。昆虫細胞または哺乳動物細胞での組換えタンパク質の発現のためのいくつかの適当なベクターは、よく知られており、当該技術分野で慣用的である。好適なベクターは、いくつかの成分、例えば限定されないが、以下:複製起点;選択可能なマーカー遺伝子;1つ以上の発現制御エレメント(例えば、転写制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター)、および/または1つ以上の翻訳シグナル);ならびに選択した宿主細胞(例えば、哺乳動物起源のもの、または異種哺乳動物種もしくは非哺乳動物種由来のもの)の分泌経路への標的化のためのシグナル配列またはリーダー配列のうちの1つ以上を含むものであり得る。例えば、昆虫細胞での発現のためには、適当なバキュロウイルス発現ベクター(pFastBac(Invitrogen)など)が組換えバキュロウイルス粒子の作製に使用される。バキュロウイルス粒子を増幅させ、組換えタンパク質を発現させるための昆虫細胞の感染に使用する。哺乳動物細胞での発現のためには、所望の哺乳動物宿主細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞)での該構築物の発現を駆動するベクターが使用される。
【0083】
RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、任意の適当な方法を用いて精製され得る。例えば、イムノアフィニティクロマトグラフィーによるRSV Fエクトドメインポリペプチド精製方法は、当該技術分野で知られている。Ruiz−Arguelloら,J.Gen.Virol,85:3677−3687(2004)。所望のタンパク質の好適な精製方法、例えば、沈降および種々の型のクロマトグラフィー(疎水性相互作用、イオン交換、アフィニティ、キレートおよびサイズ排除など)は、当該技術分野でよく知られている。好適な精製スキームは、これらまたは他の適当な方法の2つ以上を用いて作成されたものであり得る。所望により、RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドに、エピトープタグまたはHISタグなどの精製を容易にする「タグ」を含めてもよい。かかるタグ化ポリペプチドは、例えば、馴化培地から、キレートクロマトグラフィーまたはアフィニティクロマトグラフィーによって簡便に精製され得る。
【0084】
また、RSV Fポリペプチドは、インサイチュで、該ポリペプチドをコードする核酸を被験体の細胞内で発現させることによっても作製され得る。例えば、本明細書に記載の自己複製RNAの発現による。
【0085】
ポリペプチドは、RSV配列に加えて、さらなる配列を含んでいてよい。例えば、ポリペプチドには、精製を容易にする配列(例えば、ポリ−His配列)が含められ得る。同様に、発現の目的で、Fタンパク質の天然リーダーペプチドを異なるペプチドで置換してもよい。例えば、参考文献6では、天然のペプチドの代わりにミツバチメリチンリーダーペプチドが使用されている。
【0086】
(ポリペプチドの形態とコンフォメーション)
本発明は、本明細書に開示したRSV Fポリペプチドおよびタンパク質の任意の形態およびコンフォメーションを含む免疫原性組成物を含む(本明細書に開示したRSV Fポリペプチドおよびタンパク質の形態およびコンフォメーションの任意の所望の組合せを含む)。RSV Fポリペプチドは単量体であり得るか、またはRSV Fタンパク質は、3つの該単量体ポリペプチドを含む三量体であり得る。三量体は、単分散型であってもよく、例えば個々の三量体(timer)の融合ペプチド間の相互作用のため、ロゼットの形態であってもよい。免疫原性組成物は、単量体、三量体、単量体と三量体の組合せ(例えば、動的平衡状態)、三量体のロゼット、および前述のものの任意の組合せであるポリペプチドを含むものであり得る。また、本明細書においてさらに記載するように、RSV Fタンパク質は、融合後コンフォメーション、融合前コンフォメーション、または中間コンフォメーションであり得る。
【0087】
RSV Fタンパク質は、融合前コンフォメーション、融合後コンフォメーションまたは中間コンフォメーションであり得る。RSV Fタンパク質の「融合後コンフォメーション」は、天然RSV Fの低エネルギーコンフォメーションであると考えられており、3つのHRB領域と3つのHRA領域を含む6ヘリックスバンドルの存在を特徴とする三量体である。融合後コンフォメーションは、電子顕微鏡検査によると、特徴的な「松葉杖」または「ゴルフのティー」形状を有する。RSV Fタンパク質の「融合前コンフォメーション」は、3つのHRB領域を含むコイルドコイルを含む三量体を特徴とするコンフォメーションである。融合ペプチドは、融合前コンフォメーションでは露出されず、したがって、融合前コンフォメーションは、一般的にロゼットを形成せず、電子顕微鏡検査によると、「棒つきキャンディ」または「軸付きのボール」形状を有する。
【0088】
一部の態様では、RSV Fタンパク質は融合後コンフォメーションである。例えば、RSV Fタンパク質は、融合後コンフォメーションの単分散三量体の形態、または融合後三量体で構成されたロゼットの形態であり得る。
【0089】
一部の実施形態では、RSV Fポリペプチドは単量体である。一部の実施形態では、RSV Fポリペプチドは三量体である。
【0090】
他の態様では、RSV Fタンパク質は融合前コンフォメーションである。なんら特定の理論に拘束されることを望まないが、RSV Fタンパク質の融合前コンフォメーションまたは中間形態には、天然のRSV ビリオン上に発現されたRSV Fタンパク質のものと同じエピトープが含まれ得、したがって、中和抗体の誘起に利点をもたらすと考えられる。
【0091】
本発明の一部の態様では、Fタンパク質の融合後コンフォメーションを不利にするポリペプチドが使用される。好ましくは、該ポリペプチド(全体または一部において)は、融合前コンフォメーションから融合後コンフォメーションへの変換において、融合前Fタンパク質のエピトープまたは中間コンフォメーションのエピトープをディスプレイする。このようなポリペプチドは、融合前状態の天然もしくは変異型Fタンパク質であってもよく、中間コンフォメーションの天然もしくは変異型Fタンパク質であってもよく、融合後コンフォメーションが不利になったか、もしくは優先的に排除された天然もしくは変異型タンパク質の集団であってもよい。一部の特定の場合では、該天然もしくは変異型タンパク質は、該ポリペプチドを前述の状態のうちの1つに維持することを補助する1つ以上のさらなる分子(融合前コンフォメーションまたは中間コンフォメーションに優先的に結合するモノクローナル抗体など)と合わされ得る。また、該ポリペプチドは天然Fタンパク質の誘導体であってもよい。かかる誘導体としては、天然Fタンパク質の1つ以上の断片を含むポリペプチド、天然Fタンパク質(またはその断片)と異種配列を含む融合ポリペプチド、および1つ以上の変異を有する天然Fタンパク質配列を含むポリペプチドが挙げられる。このような(または他の)修飾は融合後コンフォメーションを不利にするものであり得る。融合後コンフォメーションを不利にするための例示的なアプローチとしては、融合前コンフォメーションの安定化、中間コンフォメーションの安定化、融合後コンフォメーションの不安定化または融合後コンフォメーションをもたらす1つ以上の工程の活性化障壁の増大が挙げられる。
【0092】
別の実施形態では、本発明は、融合前コンフォメーションのFタンパク質または中間コンフォメーションのFタンパク質に特異的な少なくとも1つのエピトープをディスプレイするポリペプチドである。融合前コンフォメーションのFタンパク質または中間コンフォメーションのFタンパク質に特異的なエピトープは、融合後コンフォメーションでは提示されないエピトープである。該エピトープの少なくとも1つは安定的に提示されることが好ましく、例えば、該エピトープは、溶液中で、少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも2日間、少なくとも4日間、少なくとも6日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも4週間、または少なくとも6週間、安定的に提示される。
【0093】
かかるポリペプチドは、融合前状態、中間状態、または融合後状態が過少提示(underrepresented)状態もしくは単離された天然Fタンパク質の場合よりも割合が少ない集団状態の、天然もしくは変異型Fタンパク質であってもよく、天然Fタンパク質の誘導体であってもよい。かかる誘導体としては、天然Fタンパク質の1つ以上の断片を含むポリペプチド、天然Fタンパク質(またはその断片)と異種配列を含む融合ポリペプチド、および1つ以上の変異を有する天然Fタンパク質配列を含むポリペプチドが挙げられる。このような(または他の)修飾は、Fタンパク質のアミノ酸配列をその融合前コンフォメーションで安定化させるもの、Fタンパク質のアミノ酸配列を中間コンフォメーションで安定化させるもの、Fタンパク質のアミノ酸配列の融合後コンフォメーションを不安定化させるもの、Fタンパク質のアミノ酸配列の融合後コンフォメーションをもたらす遷移のエネルギー障壁を増大させるもの、または前述のものの2つ以上の組合せであり得る。
【0094】
Fタンパク質のTMおよび/またはCTドメインは融合前コンフォメーションの安定性に重要である(8)。したがって、これらのドメインは本発明の免疫原に有用に保持され得る。しかしながら、膜貫通ドメインを可溶性免疫原に含めないことが望ましい場合があり得るため、TMの機能性効果を他の手段によって得てもよい。例えば、パラインフルエンザウイルス5のFタンパク質の融合前および融合後の挙動がある程度詳細に試験されており(6)、著者は、EDの融合前構造を、異種三量体化ドメインをEDのC末端と融合させることにより安定化させた。
【0095】
(オリゴマー化ドメイン)
本発明の別の実施形態において、該組成物は、第1のドメインと第2のドメインを含み、(i)第1のドメインがRSV Fタンパク質(例えば、全体または一部におけるRSVエクトドメイン)を含み、(ii)第2のドメインが異種オリゴマー化ドメインを含むポリペプチド(例えば、組換えポリペプチド)を含むものであり得る。第2のドメインは該ポリペプチドのオリゴマー化を可能にし、それにより、第1のドメインが融合前状態または中間状態になることが助長される。該ポリペプチドは、好ましくはオリゴマーとして、特に三量体として存在する。
【0096】
種々のオリゴマー化ドメインが当業者に利用可能である。これは、複数のポリペプチドが会合して(通常、非共有結合により)オリゴマー(例えば、三量体)を形成できるように、他のポリペプチド(同じであれ異なるものであれ)のオリゴマー化ドメイン(同じであれ異なるものであれ)と相互作用し得る構造が形成され得るアミノ酸配列である。例えば、HIVのFタンパク質(すなわち、gp160)の三量体化は、これを、天然で安定な三量体である大腸菌アスパラギン酸トランスカルバモイラーゼ(ATCase)の触媒性サブユニットと融合させることにより行なわれる(9)。したがって、ATCaseのこのサブユニットは本発明で使用され得る。同様に、HIV(10)およびPIV5(6)のFタンパク質の三量体化は、そのエクトドメインをGCNtと融合させることにより得られている。したがって、本発明で使用されるオリゴマー化ドメインは、酵母GCN4のロイシンジッパータンパク質のコイルドコイルを含むものであってもよい(11)。インフルエンザAウイルス由来のHAタンパク質のエクトドメインの三量体化は、バクテリオファージT4のフィブリチンの三量体化配列(「フォルドン」)(GSGYIPEAPRDGQ AYVRKDGEWVLLSTFL−配列番号19)を使用することにより行なわれている(12)。したがって、本発明で使用されるオリゴマー化ドメインは、かかるフォルドンを含むものであってもよい。
【0097】
天然に存在するタンパク質オリゴマーは(ヘテロ−オリゴマーおよびホモ−オリゴマーのどちらも)、さまざまな異なる様式で、例えば、種々の単量体のβ−シートの会合、種々の単量体のα−らせんの会合、疎水性表面パッチの会合などによって会合している。タンパク質のオリゴマー化に関与している共通の構造モチーフの一例はコイルドコイルドメインである。コイル状のα−らせん構造モチーフは、それ自体がコイルを形成することができ、2つ、3つ、4つ、または5つのα−らせんが互いに巻き付いて、「コイルドコイル」として知られる左巻き超らせんが形成され得るが、人工の右巻き超らせんも設計されている(13〜19)。コイルドコイルドメインの単純さのため、該ドメインは、規定のオリゴマー化状態を有するキメラタンパク質の設計によく使用される選択肢となっている(16)。
【0098】
コイルドコイル構造では、α−らせん同士が、各らせんの一方側に沿って無極性のストライプ(stripe)を形成する疎水性残基を介して相互作用するが、このストライプのどちらかの側で側鎖間の静電相互作用が安定化されることもあり得る。α−らせんのabcdefg7反復内では、該無極性ストライプは残基aとdの疎水性側鎖によって規定され、静電相互作用(あれば)は主に残基eとgに存在する。位置aは、最も高頻度にはLeu、IleまたはAlaであり、位置dは、通常、LeuまたはAlaである。残基eおよびgは、多くの場合、GluまたはGlnであり、また、位置gにはArgとLysもよく見られる。荷電残基は、一般的には位置b、cおよびfである。それは、これらの残基が溶媒と接触しているからである。しかしながら、この一般的な7パターンには例外があり、場合によっては、この7つの中にPro残基が存在する。かかる例外は、通常、機能的有意性(例えば、一例として、Fタンパク質で起こるものなどのリフォールディングと再編成(rearrangement)を可能にするオリゴマー化ドメインの不安定化)を有するものである。
【0099】
数百のコイルドコイルドメイン配列が当該技術分野で知られており、任意の適当な配列がオリゴマー化ドメインとして本発明で使用され得るが、該配列は、他のコイルドコイルドメインとオリゴマー化する能力を保持しているものであること、およびポリペプチド内において他のドメインの機能を破壊しないものであることを条件とする。細胞外に見られ(20)、かつ天然でオリゴマー化ドメインとしての機能を果たすコイルドコイルドメインを使用することが好ましい。天然のコイルドコイルドメインの使用の代替法として、人工のコイルドコイルドメインが使用され得る(21,22)。コイルドコイルドメインが高度に反復性の構造であることによって、該ドメインは、各アミノ酸残基の主鎖部分がパラメータ化され得るため(残基の各主鎖部分を、独自の変数を有する一意的な単位として扱うのではなく)、特にコンピュータでのモデル設計を行ない易い。ドメイン(b)には、ロイシンジッパー配列またはアラニンジッパー配列が含まれ得る(23)。
【0100】
本発明のポリペプチドに使用されるコイルドコイルドメインは、好ましくは、本発明のポリペプチドも三量体にアッセンブルされ得るように、三量体を形成するものである。好ましいコイルドコイルドメインは、細菌の膜貫通タンパク質から得られるものである。膜貫通タンパク質の好ましいサブセットは、アドヘシン(すなわち、他の細胞または表面への接着を媒介する細胞表面タンパク質)、特に、非線毛アドヘシン(例えば、オリゴマー化コイルドコイルアドヘシンまたは「Oca」ファミリーのもの)である。本発明で使用される具体的な配列としては、参考文献24に開示されたもの(Yersinia enterocoliticaアドヘシンYadA、Neisseria meningitidisアドヘシンNadA、Moraxella catarrhalis表面タンパク質UspA2)、および他のアドヘシン(例えば、Haemophilus influenzae biogroup aegyptius由来のHadAアドヘシンなど)(参考文献24の配列番号28〜31および42〜58)が挙げられる。また、真核生物の熱ショック転写因子は、別個に発現させることができるコイルドコイル三量体化ドメインを有し、したがって本発明で使用される。
【0101】
コイルドコイル領域を有するポリペプチドのアミノ酸配列において、α−らせんの7反復の性質は、コイルドコイルドメインの境界は、ある程度の精度を伴って決定され得るが、コイルドコイル配置の終わりと言える厳密な残基は、絶対的な正確さを伴って知ることはできないであろうことを意味する。しかし、絶対的精度の欠如は、常套的な試験によって、コイルドコイルに、必要かもしれない任意の特定のアミノ酸残基が必要とされるかどうかが実証され得るため、本発明を実施するのに問題ではない。そうであっても、本発明の基本的要件は、該ポリペプチドが他のコイルドコイルドメインと、該ポリペプチドにおける他のドメインの機能を破壊することなくオリゴマー化することが可能であるような様式で、コイルドコイルドメインが機能を果たすべきであるということのみであるため、本発明では、境界を絶対的精度を伴って知ることは必要とされない。
【0102】
本発明で使用され得る別の類型のオリゴマー化ドメインは、コラーゲンヘリックスとして知られる左巻き三重らせんに見られるものである(25)。この三重らせん形成配列は、基本のトリペプチド反復配列Gly−Xaa−Xaaを含み、ここで、Xaaは、多くの場合、Proであり、Xaaは、多くの場合、4−ヒドロキシプロリンである。このモチーフは「コラーゲン」らせんとして知られているが、コラーゲンだけでなく、多くのタンパク質にみられる。したがって、オリゴマー化ドメインは、複数の反復配列モチーフGly−Xaa−Xaaを含む配列であってもよく、該モチーフがフォールディングして、他のポリペプチド鎖の対応するらせん構造とオリゴマー化し得るらせん構造が形成される。
【0103】
また、コラーゲンにより、別の類型のオリゴマー化ドメインも得られる。参考文献26には、X型コラーゲンの非コラーゲン性ドメイン1(NC1)にみられるモチーフが記載されており、このモチーフは、三重らせんなしの三量体および高次多量体の形成に使用され得る。この三量体会合体は、分子間ジスルフィド結合なしで高度に熱安定性である。したがって、オリゴマー化ドメインはNC1配列を含むものであってもよい。
【0104】
他のオリゴマー化ドメインは、オリゴマーTMタンパク質の膜貫通ドメインに由来するものであり得る。このようなものは、通常、親油性であるため、TM領域の外側に位置する疎水性残基が荷電残基と置換され、可溶性ドメインがもたらされることがあり得る。かかるタンパク質工学による膜貫通ドメインの可溶化方法は当該技術分野で知られている(例えば、参考文献27)。
【0105】
また、この方法は、GCN4にも使用されており、ここでは、7反復の「a」および「d」の位置がイソロイシン(11)で置き換えられている:KQIEDKIEEILSKIYHIENEIARIKKLIGEA(配列番号20)。オリゴマー化ドメインにおける使用に好適なコイルドコイル配列は、通常、20〜35アミノ酸長、例えば、23〜30アミノ酸残基長のものである。
【0106】
本発明で使用されるオリゴマー化ドメインでは、一般的に、単量体間ジスルフィド結合の形成の必要なくオリゴマー構造が維持され得るが、本発明では、ジスルフィド連結単量体を含むオリゴマーを除外しない。
【0107】
融合前コンフォメーションのFタンパク質を安定化させるためのオリゴマー化ドメインの使用に対する代替法として、または該使用に加えて、変異が使用され得る。例えば、参考文献28には、シミアンウイルス5またはヘンドラウイルスのFタンパク質のF2サブユニットの保存領域における変異は、融合前コンフォメーションの安定性に影響し得ることが報告されている。
【0108】
また、一部の状況では、融合前コンフォメーションが有利となるように低pHが使用され得る。
【0109】
(HRBドメインの三量体の安定化)
本発明の別の好ましい態様では、Fタンパク質の融合後コンフォメーションは、HRBドメインの三量体の安定化によって不利となり得る。HRBドメインは、融合前形態およびおそらく中間形態の三重コイルドコイルを形成する。先のセクションで論考したように、コイルドコイルは、その単純さのため、タンパク質間の分子間相互作用のモデル系として、およびより広範な分子内相互作用(すなわち、三次フォールディング相互作用)のモデル系として広く研究されている。このような研究は、三量体コイルドコイル形態のHRBドメインを安定化させるために使用され得る方法の教示に有用である。一例として、7反復のa位および/またはd位の1つ以上の残基を、安定な三量体コイルドコイルの形成を有利にする残基(Ile残基など)で置き換えてもよい。また、好ましさは低いが、e位とg位における不利であり得るイオン性相互作用を欠失させてもよく、またはe位とg位において有利となり得るイオン性相互作用を付加してもよい。
【0110】
操作するのに好ましいHRBドメインの領域は、P484〜N517間の7反復である。変異の標的とするa残基とd残基の好ましい例は、F488、I492、V495、I499、S502、I506、S509、L512、およびV516である。セリン残基は、親水性残基が疎水性残基で置き換えられるとコイルドコイルの疎水性コアが安定化されるため特に好ましい。別の好ましい標的は、フェニルアラニンのコア内により良好に入れられる小さい疎水性残基(イソロイシンなど)での置き換えであり得る。
【0111】
(HRAドメインの三量体の不安定化)
本発明の別の好ましい態様では、Fタンパク質の融合後コンフォメーションは、HRAドメインの三量体の不安定化によって不利となり得る。HRAドメインは、融合後形態および場合によっては1つ以上の中間形態の三重コイルドコイルを形成する。一例として、7反復のa位および/またはd位の1つ以上の残基を、安定な三量体コイルドコイルの形成を不利にする残基で置き換えてもよい。また、好ましさは低いが、e位とg位における有利であり得るイオン性相互作用を欠失させてもよく、またはe位とg位において不利となり得るイオン性相互作用を付加してもよい。好ましくは、融合前形態および融合後形態のPIV5 Fタンパク質の入手可能な結晶構造に基づいてモデル設計され得るような、融合前コンフォメーションのHRAドメインの安定性に対する影響が最小限であるような変異が選択される。
【0112】
(他の修飾)
前述の修飾に加え、修飾は、さらに、融合前形態および融合後形態のPIV5 Fタンパク質の入手可能な結晶構造に基づいたhRSV Fタンパク質の分子モデル設計に基づいて設計され得る。融合後コンフォメーション(HRAおよびHRBドメインの6HBフォールド体など)を不安定化させる変異、または融合前コンフォメーション(融合前コンフォメーションのHRAフォールド体など)を安定化させる変異が行なわれ得る。また、融合後コンフォメーションに至る遷移のエネルギー障壁を増大させてもよい。当業者は、最初のコンフォメーションの安定化または最後のコンフォメーションの不安定化は、エネルギー障壁の増大効果を有することがあり得ることを認識するが、遷移自体に影響を及ぼす他の修飾を導入してもよい。
【0113】
さらなる一例として、HRBドメインのN末端のアミノ酸(a.a.449〜482付近、好ましくは、V459−F483)は、HRBドメインが融合後コンフォメーションの6HBに関与し得るように、HRBドメインがFタンパク質三量体の一方側から他方側にシフトすることを可能にする「テザー(tether)」としての機能を果たす。このようなアミノ酸の1つ以上を欠失させると、Fタンパク質の融合後コンフォメーションの6HBフォールド体へのHRBドメインの関与が障害または明白に抑制される(図3参照)。また、テザーと融合前コンフォメーションのFタンパク質との間の相互作用を安定化すると、HRBドメインが6HBフォールド体に関与することが可能となるようにテザーが引き離されることが抑制され得る。行なわれ得る安定化変異の例は、テザーと、該テザーが融合前コンフォメーションで接触するFタンパク質部分との間のシステインブリッジである。
【0114】
また別の例は、融合前コンフォメーションのHRA(残基T50〜Y306)の安定化である。この場合も、相同Fタンパク質の結晶構造に基づいて、疎水性コアは、埋もれた親水性またはイオン性の残基を類似した大きさの疎水性残基で置き換えることにより安定化され得る。また、システインブリッジを表面またはコア内に導入してもよい。また、リゾチーム変異型での広範な結晶構造分析で示されたように、その疎水性コアまたはタンパク質は比較的堅く、したがって、細孔の導入により予測どおりにリゾチーム変異型は不安定化された。同様に、融合前コンフォメーションのFタンパク質のコアを作り変えて(repacking)任意の天然の細孔をなくすと、融合前形態または中間形態のFタンパク質が安定化され得、したがって、融合後コンフォメーションが不利となり得る。
【0115】
(組成物の調製方法)
本発明は、組成物の調製方法、およびRSV Fタンパク質を含む組成物、特に、可溶性のRSV Fエクトドメインポリペプチドを含む組成物、例えば、免疫原性組成物に関する。好ましくは、RSV Fエクトドメインポリペプチドは、単一の形態(非切断単量体、非切断三量体、切断三量体、切断三量体のロゼットなど)であるか、またはかかる形態のサブセット間での動的平衡(例えば、非切断単量体と非切断三量体との平衡)状態である。本発明により、いくつかの利点がもたらされる。例えば、本明細書に記載のように、本発明は、RSV Fタンパク質の優性である所望の形態、もしくはRSV Fタンパク質の単一の所望の形態(非切断単量体、非切断三量体、切断三量体、切断三量体のロゼットなど)、かかる形態のサブセット間での動的平衡(例えば、非切断単量体と非切断三量体との平衡)、またはRSV Fタンパク質の所望の形態の混合物を含む組成物の作製方法を提供する。このような型の組成物は、ワクチンの作製に使用され得る免疫原性組成物の作製など、さまざまな目的に使用され得る。免疫原性組成物中におけるRSV Fの単一の所望の形態の存在、または既知の形態間での動的平衡の存在により、処方、可溶性および安定性がより予測可能となり、該組成物を被験体に投与した場合の免疫応答がより予測可能となる。
【0116】
RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを慣用的な組換え発現によって宿主細胞内で産生させた場合、該ポリペプチドは、培養培地中に分泌される前に、宿主細胞内での産生中に、109/110位付近と136/137位付近のフリン切断部位で切断される。宿主細胞によって該ポリペプチドが切断されると、RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドのリフォールディングが許容され、これにより、疎水性の融合ペプチドの露出がもたらされる。したがって、切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、露出された融合ペプチドの存在によって、ロゼットを形成し、宿主細胞および培養培地に由来する脂質およびリポタンパク質と会合する。実際、昆虫細胞において産生され、HIS−タグによって精製された切断型RSV Fエクトドメインの電子顕微鏡検査では、該ポリペプチドが、融合後形態と整合する松葉杖形状を有し、残留細胞残屑と思われるものに結合していることが示された。したがって、ロゼットおよび他の形態の高純度調製物ならびにRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの確認は、宿主細胞での慣用的な組換え発現では容易に得られないだろう。
【0117】
(切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの作製方法)
一態様において、本発明は、切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む組成物の調製方法である。一般に、該方法は、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを準備すること、次いで該ポリペプチドを切断し、FサブユニットとFサブユニットを生成させることを伴う。本明細書に記載のように、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、夾雑している脂質とリポタンパク質から、適当な方法(サイズ排除クロマトグラフィーなど)を用いて容易に精製および分離され得る。なんら特定の理論に拘束されることを望まないが、疎水性の融合ペプチドは、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドでは露出されておらず、したがって、非切断型ポリペプチドは、脂質/リポタンパク質夾雑物と会合しないと考えられる。本明細書においてさらに記載するように、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインは、切断されるとFおよびFサブユニットが生成され得、これらは、三量体、三量体のロゼット、または三量体と三量体のロゼットの混合物として精製され得る。
【0118】
非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、任意の適当な方法を用いて作製され得る。例えば、RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドが産生されている時点では活性なフリンまたはフリン様プロテアーゼを含まない宿主細胞での組換え産生による。この産生方法を行なうのに、さまざまな方法、例えば、フリンまたはフリン様プロテアーゼの発現が抑制されるように変異した(条件付きで、または完全に「ノックアウト」の)組換え宿主細胞での産生、および例えば、RNA干渉または他の同様の方法を用いて、あるいは宿主細胞におけるフリンまたはフリン様プロテアーゼ活性を該プロテアーゼのインヒビターを用いて阻害し、宿主細胞でのフリンまたはフリン様プロテアーゼの発現を低減または抑制する種々の方法が使用され得る。
【0119】
非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、好ましくは、RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドが該ポリペプチドを非切断型で産生する宿主細胞によって分泌されるように、フリン切断部位のアミノ酸配列が改変されたRSV Fタンパク質のエクトドメインをコードする構築物の組換え発現によって作製される。非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、任意の適当な宿主細胞(昆虫細胞(例えば、Aedes aegypti、Autographa californica、Bombyx mori、Drosophila melanogaster、Spodoptera frugiperda、およびTrichoplusia ni)、哺乳動物細胞(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、および齧歯類(例えば、ハムスター))、鳥類細胞(例えば、ニワトリ、アヒル、およびガチョウ)、細菌(例えば、大腸菌、Bacillus subtilis、およびストレプトコッカス種)、酵母細胞(例えば、Saccharomyces cerevisiae、Candida albicans、Candida maltosa、Hansenual polymorpha、Kluyveromyces fragilis、Kluyveromyces lactis、Pichia guillerimondii、Pichia pastoris、Schizosaccharomyces pombeおよびYarrowia lipolytica)、テトラヒメナ細胞(例えば、Tetrahymena thermophila)など、またはその組合せ)を用いて作製され得る。多くの適当な昆虫細胞および哺乳動物細胞が当該技術分野でよく知られている。好適な昆虫細胞としては、例えば、Sf9細胞、Sf21細胞、Tn5細胞、Schneider S2細胞、およびHigh Five細胞(親Trichoplusia ni BTI−TN−5B1−4細胞系統に由来するクローン単離株(Invitrogen))が挙げられる。好適な哺乳動物細胞としては、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胚性腎細胞(HEK293細胞、典型的には、剪断アデノウイルス5型DNAで形質転換されたもの)、NIH−3T3細胞、293−T細胞、Vero細胞、HeLa細胞、PERC.6細胞(ECACC寄託番号96022940)、Hep G2細胞、MRC−5(ATCC CCL−171)、WI−38(ATCC CCL−75)、アカゲザル胎仔肺細胞(ATCC CL−160)、マディン−ダービーウシ腎(「MDBK」)細胞、マディン−ダービーイヌ腎(「MDCK」)細胞(例えば、MDCK(NBL2)、ATCC CCL34;またはMDCK 33016、DSM ACC 2219)、乳仔ハムスター腎(BHK)細胞(例えば、BHK21−F、HKCC細胞)などが挙げられる。好適な鳥類細胞としては、例えば、ニワトリ胚性幹細胞(例えば、EBx(登録商標)細胞)、ニワトリ胚性線維芽細胞、ニワトリ胚性生殖細胞、アヒル細胞(例えば、AGE1.CRおよびAGE1.CR.pIX細胞系統(ProBioGen)、これらは、例えば、Vaccine 27:4975−4982(2009)およびWO2005/042728に記載されている)、EB66細胞などが挙げられる。
【0120】
好適な昆虫細胞発現系(バキュロウイルス系など)は当業者に知られており、例えば、SummersおよびSmith,Texas Agricultural Experiment Station Bulletin No.1555(1987)に記載されている。バキュロウイルス/挿入細胞発現系のための材料および方法はキットの形態で、とりわけ、Invitrogen(San Diego CA)から市販されている。また、鳥類細胞発現系も当業者に知られており、例えば、米国特許第5,340,740号;同第5,656,479号;同第5,830,510号;同第6,114,168号;および同第6,500,668号;欧州特許番号EP0787180B;欧州特許出願番号EP03291813.8;WO03/043415;ならびにWO03/076601に記載されている。また、同様に、細菌発現系および哺乳動物細胞発現系も当該技術分野で知られており、例えば、Yeast Genetic Engineering(Barrら編,1989)(Butterworths,London)に記載されている。
【0121】
一般的に、非切断型RSV Fタンパク質のエクトドメインのアミノ酸配列は、109/110位付近と136/137位付近のフリン切断部位での切断は抑制されるように改変されているが、切断されるとFサブユニットとFサブユニットが生成される天然に存在するかまたは導入のプロテアーゼ切断部位を含む。例えば、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、109/110位付近と136/137位付近のフリン切断部位での切断が抑制されるように改変されたアミノ酸配列を有するが、101位付近〜161位付近に1つ以上の天然に存在するかまたは導入のプロテアーゼ切断部位を含むものであり得る。
【0122】
非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドが宿主細胞によって産生および発現されることを可能にするさまざまな具体的なアミノ酸配列(例えば、109/110位付近と136/137位付近のフリン切断部位で切断されないアミノ酸配列)が、当業者に容易に設計され、想定され得よう。一般に、109/110位付近と136/137位付近のフリン切断部位の一部であるか、または該部位付近に存在している1つ以上のアミノ酸が独立して、置き換えられているか、または欠失している。RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの切断を抑制するのに適したアミノ酸置換および欠失がいくつか知られている。例えば、置換R108N、R109N、R108N/R109N(これらにより109/110での切断が抑止される)、および置換K131Qまたは131〜134位のアミノ酸の欠失(これらにより136/137での切断が抑止される)が、Gonzalez−Reyesら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,98:9859−9864(2001)に記載されている。アミノ酸置換R108N/R109N/K131Q/R133Q/R135Q/R136Qを含む非切断型RSV Fエクトドメインポリペプチドも記載されている。Ruiz−Arguelloら,J.Gen.Virol.85:3677687(2004)。本明細書において詳細に記載しているように、宿主細胞から非切断型でのRSV Fエクトドメインポリペプチドの分泌をもたらすさらなるRSV Fタンパク質のアミノ酸配列は、改変型フリン切断部位を含むもの、例えば、106〜109位付近と133〜136位付近のアミノ酸配列が改変されたものである。改変型フリン切断部位には、106〜109位付近での少なくとも1つのアミノ酸置換または欠失、および133〜136位付近での少なくとも1つのアミノ酸置換または欠失が含まれる。
【0123】
同様に、切断されるとFを含む第1のサブユニットとFを含む第2のサブユニットが生成されるプロテアーゼ切断部位(例えば、天然に存在するかまたは導入)を含む非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドのさまざまな具体的なアミノ酸配列が可能であり、容易に設計され、想定され得る。例えば、RSV Fタンパク質の101位付近〜161位付近のアミノ酸配列にトリプシン切断部位を含めて、該トリプシン切断部位の1つ以上をトリプシンによって切断し、FおよびFサブユニットを生成させ得る。所望により、1つ以上の適当なプロテアーゼ認識部位を、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドに導入してもよい(例えば、101位付近〜161位付近)。導入されたプロテアーゼ認識部位は、FおよびFサブユニットが生成されるように、適切なプロテアーゼを用いて切断され得る。プロテアーゼ認識部位を非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列に導入する場合、該部位は、天然に存在するRSV Fタンパク質のエクトドメインは切断しないプロテアーゼによって認識されるものであることが好ましい。
【0124】
本発明のこの態様の方法は、a)切断されるとFおよびFサブユニットが生成されるプロテアーゼ切断部位を含む非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを準備すること、ならびにb)該非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを、該プロテアーゼ切断部位を認識するプロテアーゼで切断することを含む。一般に、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列は改変型フリン切断部位を含み、該RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、該ポリペプチドを106〜109位付近と131〜136位付近のフリン切断部位において非切断の状態で産生する宿主細胞から分泌される。
【0125】
準備した非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを所望の度合まで精製してもよい。例えば、準備した非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、実質的に未加工処理(例えば、未加工処理、もしくは清澄化のみ)のの細胞溶解物、細胞ホモジネートまたは細胞馴化培養培地として、または一部もしくは実質的に精製された形態において、準備したものであり得る。具体的な例では、準備した非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、昆虫細胞馴化培地、哺乳動物細胞馴化培地、鳥類細胞馴化培地、酵母細胞馴化培地、テトラヒメナ細胞馴化培地、およびその組合せからなる群より選択される細胞馴化培養培地において準備したものである。
【0126】
一般的に、準備した非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを精製すること、例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または実質的に均質になるまで精製することが好ましい。本明細書に記載のように、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは脂質とリポタンパク質から容易に精製され得、一方で、慣用的に生成されるRSV Fタンパク質の切断型形態は、脂質およびリポタンパク質夾雑物とともに共精製される(co−purify)。したがって、精製された非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを準備した場合、該方法を用いて、実質的に脂質またはリポタンパク質が含まれていない切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインを含む組成物が容易に作製され得る。
【0127】
プロテアーゼを用いてポリペプチドを切断するための好適な方法は、よく知られており、当該技術分野で慣用的である。一般的に、切断対象のポリペプチドを十分な量のプロテアーゼと、該ポリペプチドの切断に適した条件(例えば、pH、ポリペプチドおよびプロテアーゼの濃度、温度)下で合わせる。多くの好適なプロテアーゼが市販されており、ポリペプチドの切断を行なうための好適な条件は、多くのプロテアーゼについてよく知られている。所望により、切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを、プロテアーゼでの切断後に精製してもよい。
【0128】
該方法の一例では、インタクトな融合ペプチドを含む非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド(137〜154位のアミノ酸のいずれも置換または欠失されていない非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドなど)を準備する。一部の実施形態では、準備した非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを精製する。インタクトな融合ペプチドを含む準備した非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを切断すると、切断により、切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド三量体のロゼットの形成がもたらされる。所望により、ロゼットを、任意の適当な方法(サイズ排除クロマトグラフィーなど)を用いてさらに精製してもよい。
【0129】
該方法の別の例では、改変型融合ペプチドを含む非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド(アミノ137〜152付近、アミノ酸137〜153付近、アミノ酸137〜145付近またはアミノ酸137〜142付近が欠失している非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドなど)を準備する。また、他の適当な融合ペプチドの欠失も記載されている(137〜146位のアミノ酸の欠失など)。Ruiz−Arguelloら,J.Gen.Virol.,85:3677−3687(2004)。
【0130】
一部の実施形態では、準備した非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを精製する。準備した非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを切断すると、切断により、切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの三量体の形成がもたらされる。所望により、三量体を、任意の適当な方法(サイズ排除クロマトグラフィーなど)を用いてさらに精製してもよい。
【0131】
該方法の具体的な例では、準備した非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、furdelおよびdelp23 furdel(例えば、均質なトリプシン切断性furdel、均質なトリプシン切断性delp23 furdel、またはトリプシン切断性furdelとトリプシン切断性delp23 furdelの混合物)からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチドを含むものである。準備した非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを、例えばトリプシンで切断すると、切断により、RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの切断三量体、切断三量体のロゼット、または切断三量体と切断三量体のロゼットの組合せの形成がもたらされる。所望により、切断三量体および/または切断三量体のロゼットを、任意の適当な方法(サイズ排除クロマトグラフィーなど)を用いてさらに精製してもよい。
【0132】
(非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの作製方法)
別の態様では、本発明は、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む組成物の調製方法である。一般に、該方法は、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む生物学的材料(細胞溶解物、細胞ホモジネートまたは細胞馴化培養培地など)を準備すること、および次いで、該非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを精製することを伴う。本明細書に記載のように、精製された非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド単量体は自己会合して非切断三量体を形成することができること、および非切断単量体と非切断三量体の混合物または非切断単量体と非切断三量体との平衡が存在することを見い出した。なんら特定の理論に拘束されることを望まないが、該平衡は、単量体に有利に働くが、濃縮溶液中では三量体に該平衡がシフトすると考えられる。
【0133】
本発明のこの態様の方法は、a)非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む生物学的材料(細胞溶解物、細胞ホモジネートまたは細胞馴化培養培地など)を準備すること;およびb)非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの単量体、三量体または単量体と三量体の組合せを、該生物学的材料から精製することを含む。一部の実施形態では、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド単量体を精製するか、または非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド三量体を精製するか、または単量体と三量体を精製する。
【0134】
一般に、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列は改変型フリン切断部位を含み、該RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、該ポリペプチドを101位付近〜161位付近(例えば、106〜109位および131〜136位のフリン切断部位)において非切断の状態で産生する宿主細胞から分泌される。より具体的な例では、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む生物学的材料は、furmt、furdel、delp21 furx、delp23 furx、delp21 furdel、delp23 furdel、および第Xa因子構築物(これは第Xa因子を用いて切断され得る)からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチドを含む。
【0135】
一部の実施形態では、RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列は改変型フリン切断部位を含み、101位付近と161位付近との間の他のプロテアーゼ切断部位(例えば、トリプシン切断部位)は、プロテアーゼ(例えば、トリプシン)切断が抑制されるように改変されているか、または欠失している。例えば、トリプシンは、リジン残基およびアルギニン残基の後を切断することがよく知られている。一部の特定の好ましい実施形態では、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列は改変型フリン切断部位を含み、101位付近と161位付近との間に存在している1つ以上のリジンおよび/またはアルギニン残基(例えば、すべてのリジン残基とアルギニン残基)が欠失しているか、あるいはリジンもしくはアルギニンではないアミノ酸で置き換えられており、RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、該ポリペプチドを101位付近と161位付近との間を非切断の状態で産生する宿主細胞から分泌され、RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドはトリプシンによって101位付近と161位付近との間が切断されない。好ましくは、RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの1mg/ml溶液(25mM Tris(pH7.5),300mM NaCl中で希釈)を、1対1000容積のトリプシン溶液(25mM Tris(pH7.5),300mM NaCl中で1mg/ml濃度に希釈したウシ血漿由来のトリプシン;消化反応物中の最終質量比は、トリプシン:RSV Fエクトドメインが0.001:1である;トリプシンは10〜15 BAEE単位/mgタンパク質で使用)で37℃にて1時間処理した場合、トリプシンによって切断されない。
【0136】
所望により、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド(例えば、改変型(alter)フリン切断部位を含む該ポリペプチド、および改変型フリン切断部位と改変型トリプシン切断部位を含むポリペプチド)は、さらに、改変型融合ペプチド(例えば、アミノ酸137〜152付近が欠失しているか、アミノ酸137〜154付近が欠失しているか、アミノ酸137〜145付近が欠失しているか、またはアミノ酸137〜142付近が欠失している非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドなど)を含むものであってもよい。また、他の適当な融合ペプチドの欠失も記載されている(137〜146位のアミノ酸の欠失など)。Ruiz−Arguelloら,J.Gen.Virol.,85:3677−3687(2004)。
【0137】
具体的な実施形態では、該方法は、a)非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む生物学的材料(細胞溶解物、細胞ホモジネートまたは細胞馴化培養培地など)を準備すること(ここで、該非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列は改変型フリン切断部位を含み、101位付近と161位付近との間に存在するリジン残基とアルギニン残基が欠失しているか、あるいはリジンもしくはアルギニンではないアミノ酸で置き換えられており、RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、該ポリペプチドを101位付近と161位付近との間を非切断の状態で産生する宿主細胞から分泌され、RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドはトリプシンによって101位付近と161位付近との間が切断されない);およびb)非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの単量体、三量体または単量体と三量体の組合せを、該生物学的材料から精製することを含む。
【0138】
より具体的な例では、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む生物学的材料は、Furx、Furx R113Q K123N K124N、delp21 furxおよびdelp23 furxからなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチドを含む。
【0139】
他の具体的な実施形態では、該方法は、a)融合ペプチドが変異した(例えば、該融合ペプチドの少なくとも一部分が欠失している)非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む生物学的材料(細胞溶解物、細胞ホモジネートまたは細胞馴化培養培地など)を準備すること;およびb)非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを該生物学的材料から精製することを含む。非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは改変型フリン切断部位を含むものであり得、該RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、該ポリペプチドを101位付近〜161位付近(例えば、106〜109位および131〜136位のフリン切断部位)において非切断の状態で産生する宿主細胞から分泌される。所望により、改変型フリン切断部位を有する非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、さらに、プロテアーゼ(例えば、トリプシン)切断が抑制されるように、101位付近と161位付近との間の他のプロテアーゼのための部位(例えば、トリプシン切断部位)の改変または欠失を含んでいる。例えば、101位付近と161位付近との間に存在している1つ以上のリジンおよび/またはアルギニン残基(例えば、すべてのリジン(lysing)残基とアルギニン残基)が欠失しているか、あるいはリジンもしくはアルギニンではないアミノ酸で置き換えられており、RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドはトリプシンによって101位付近と161位付近との間が切断されない。
【0140】
非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの単量体、三量体および単量体と三量体の組合せを、所望の度合まで精製してもよい。一般的に、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの単量体または三量体を、例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または実質的に均質になるまで精製することが好ましい。本明細書に記載のように、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは脂質とリポタンパク質から、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーによって容易に精製され得る。したがって、該方法を用いて、切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの単量体、三量体、または単量体と三量体の組合せを含み、実質的に脂質とリポタンパク質が含まれていない組成物が容易に作製され得る。
【0141】
一例では、該方法は、昆虫細胞馴化培養培地、哺乳動物細胞馴化培養培地、鳥類細胞馴化培地、酵母細胞馴化培地、テトラヒメナ細胞馴化培地、またはその組合せを準備することを含む。一部の実施形態では、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド三量体を精製する。他の実施形態では、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド単量体を精製する。他の実施形態では、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの単量体と三量体を精製する。
【0142】
(改変型融合ペプチドを有する切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの作製方法)
一態様において、本発明は、改変型融合ペプチドを含む切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む組成物の調製方法である。改変型フリン切断部位を含まないRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを宿主細胞で発現させると、該ポリペプチドは一部において、宿主細胞が該ポリペプチドを109/110位付近と136/137位付近のフリン部位で切断し、FおよびFサブユニットを生成させることによってプロセッシングされる。プロセッシングされたポリペプチドは培地中に分泌され、会合したF−Fサブユニット(例えば、ジスルフィド結合性FおよびFサブユニット)として収集され得、該サブユニットは、露出した融合ペプチドの凝集によって三量体のロゼットを形成することがあり得る。改変型融合ペプチドを含むRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、宿主細胞中で、会合したF−Fサブユニットとして産生および分泌され得、好ましくは、ロゼットに凝集しないか、または脂質もしくはリポタンパク質夾雑物と凝集しないものである。なんら特定の理論に拘束されることを望まないが、該ポリペプチドは、改変型融合ペプチドが凝集を媒介しないため、ロゼットを形成しないか、または脂質およびリポタンパク質夾雑物と会合しないと考えられる。
【0143】
本発明のこの態様の方法は、a)改変型融合ペプチド(例えば、該融合ペプチドの少なくとも一部分が欠失している)を含む切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む生物学的材料(細胞溶解物、細胞ホモジネートまたは細胞馴化培養培地など)を準備すること;およびb)切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを該生物学的材料から精製することを含む。精製された切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、切断三量体、切断三量体のロゼット、または切断三量体と切断三量体のロゼットの混合物として精製されたものであり得る。改変型融合ペプチドを含む好適なRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、109/110付近と136/137付近に切断可能なフリン切断部位を含み、さらに、本明細書に記載の改変型融合ペプチドを含むものである。例えば、アミノ酸137〜152付近が欠失しているか、アミノ酸137〜153付近が欠失しているか、アミノ酸137〜145付近が欠失しているか、アミノ酸137〜146付近が欠失しているか、またはアミノ酸137〜142付近が欠失しているRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドが、該方法において使用され得る。具体的な例では、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む生物学的材料は、少なくとも融合ペプチド欠失1を含む。
【0144】
切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド(例えば、切断三量体または切断三量体と切断三量体のロゼットの混合物)を所望の度合まで精製してもよい。一般的に、切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを、例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または実質的に均質になるまで精製することが好ましい。本明細書に記載のように、改変型融合ペプチドを含む切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは脂質とリポタンパク質から、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーによって容易に精製され得る。したがって、該方法を用いて、切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの三量体、切断三量体のロゼット、または切断三量体と切断三量体のロゼットの組合せを含み、実質的に脂質とリポタンパク質が含まれていない組成物が容易に作製され得る。
【0145】
(C末端側フリン変異を有するRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの作製方法)
別の態様では、本発明は、C末端側非切断型のRSVエクトドメインポリペプチドを含む組成物の調製方法、および切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの調製方法である。なんら特定の理論に拘束されることを望まないが、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、該タンパク質を産生する細胞によって、109/110位(postion)付近のフリン切断部位で切断されるが136/137位付近のフリン切断部位では切断されず、培地中に、Fサブユニットと会合したFサブユニットとして分泌されると考えられる。さらに、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドでは疎水性の融合ペプチドは露出されず、したがって、このC末端側非切断型のポリペプチドは脂質およびリポタンパク質夾雑物と会合しないと考えられる。本明細書においてさらに記載するように、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインをさらに切断し、アミノ末端が110位〜161位付近であり、Fサブユニットと会合しているFサブユニットを生成させてもよい。かかるFおよびFサブユニットは、三量体、三量体のロゼット、または三量体と三量体のロゼットの混合物として精製され得る。
【0146】
一般的に、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインのアミノ酸配列は、136/137位付近のフリン切断部位での切断が抑制されるように改変されているが、切断されるとFサブユニット(そのアミノ末端は110位〜161位付近である)とFサブユニットが生成される天然に存在するかまたは導入のプロテアーゼ切断部位を含む。例えば、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、136/137位付近のフリン切断部位での切断は抑制されるが、101位付近〜161位付近に1つ以上の天然に存在するかまたは導入のプロテアーゼ切断部位を含むように改変されたアミノ酸配列を有するものであり得る。具体的な一例では、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインのアミノ酸配列は、136/137位付近のフリン切断部位での切断は抑制されるように改変されているが、109/110位付近に天然に存在するフリン切断部位を含む。
【0147】
C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドが宿主細胞によって産生および発現されることを可能にするさまざまな具体的なアミノ酸配列(例えば、136/137位付近のフリン切断部位で切断されないアミノ酸配列)が、当業者に容易に設計され、想定され得よう。一般に、136/137位付近のフリン切断部位の一部であるか、または該部位付近に存在している1つ以上のアミノ酸が独立して、置き換えられているか、または欠失している。136/137位付近での切断を抑制する好適なアミノ酸置換および欠失は、本明細書において記載している。例えば、置換K131Q、131〜134位のアミノ酸の欠失、または置換K131Q/R133Q/R135Q/R136Q(これらは各々、136/137での切断を抑止するものである)が使用され得る。一部の特定の実施形態では、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、133〜136位付近に少なくとも1つのアミノ酸置換または欠失を含むものである。
【0148】
同様に、切断されるとFを含む第1のサブユニットとFを含む第2のサブユニットが生成されるプロテアーゼ切断部位(例えば、天然に存在するかまたは導入)を含むC末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドのさまざまな具体的なアミノ酸配列が可能であり、容易に設計され、想定され得る。例えば、RSV Fタンパク質の101位付近〜161位付近のアミノ酸配列にトリプシン切断部位を含め、該トリプシン切断部位の1つ以上をトリプシンによって切断し、FおよびFサブユニットを生成させ得る。所望により、1つ以上の適当なプロテアーゼ認識部位を、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドに導入してもよい(例えば、101位付近〜161位付近)。導入されたプロテアーゼ認識部位は、FおよびFサブユニットが生成されるように、適切なプロテアーゼを用いて切断され得る。プロテアーゼ認識部位をC末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列に導入する場合、該部位は、天然に存在するRSV Fタンパク質のエクトドメインは切断しないプロテアーゼによって認識されるものであることが好ましい。
【0149】
C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、任意の適当な方法を用いて作製され得る。好ましい方法は、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドが、該ポリペプチドを136/137位付近のフリン切断部位において非切断の状態で産生する宿主細胞によって分泌されるように、136/137位付近のフリン切断部位のアミノ酸配列が改変されたRSV Fタンパク質のエクトドメインをコードする構築物の組換え発現によるものである。好ましくは、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、該ポリペプチドをFサブユニットと会合しているFサブユニットとして産生する宿主細胞によって分泌させ、ここで、Fサブユニットのアミノ末端は137位ではなく132位〜161位付近である。C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、本明細書に記載の任意の適当な宿主細胞を用いて作製され得る。
【0150】
本発明のこの態様の方法の1つは、a)136/137位に改変型フリン切断部位を含むC末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを準備すること(前記C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、該ペプチドを、136/137位において切断されていないがFを含むサブユニットと会合しているF断片の形態で産生する細胞から分泌される)、およびb)準備したC末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを、RSV Fタンパク質のエクトドメインを101位と161位との間の部位で切断するプロテアーゼで切断し、それにより前記組成物を生成させることを含むものである。具体的な実施形態では、工程b)は、準備したC末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを、RSV Fタンパク質のエクトドメインを101〜132位付近の間、または132〜161位付近の間、または110〜132位付近の間の部位で切断するプロテアーゼで切断することを含む。あるいはまたさらに、一部の実施形態では、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、136/137位に改変型フリン切断部位を含むものである(ただし、該改変型フリン切断部位はアミノ酸131〜134の欠失ではないものとするものとする)。具体的な例では、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む生物学的材料は、少なくともN末端(−term)フリンポリペプチドを含む。
【0151】
準備したC末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを所望の度合まで精製してもよい。例えば、準備したC末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、実質的に未加工処理(例えば、未加工処理、もしくは清澄化のみ)の細胞溶解物、細胞ホモジネートまたは細胞馴化培養培地において、または一部もしくは実質的に精製された形態において、準備したものであり得る。具体的な例では、準備したC末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、昆虫細胞馴化培地、哺乳動物細胞馴化培地、鳥類細胞馴化培地、酵母細胞馴化培地、テトラヒメナ細胞馴化培地、およびその組合せからなる群より選択される細胞馴化培養培地中において準備する。
【0152】
一般的に、準備したC末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを精製すること、例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または実質的に均質になるまで精製することが好ましい。本明細書に記載のように、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは脂質とリポタンパク質から容易に精製され得、一方で、慣用的に生成されるRSV Fタンパク質の切断型形態は脂質およびリポタンパク質夾雑物とともに共精製される。したがって、精製されたC末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを準備した場合、該方法を用いて、実質的に脂質またはリン脂質が含まれていない切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインを含む組成物が容易に作製され得る。
【0153】
プロテアーゼを用いてポリペプチドを切断するための好適な方法は、よく知られており、当該技術分野で慣用的である。一般的に、切断対象のポリペプチドを十分な量のプロテアーゼと、該ポリペプチドの切断に適した条件(例えば、pH、ポリペプチドおよびプロテアーゼの濃度、温度)下で合わせる。多くの好適なプロテアーゼが市販されており、ポリペプチドの切断を行なうための好適な条件は、多くのプロテアーゼについてよく知られている。所望により、該RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを、プロテアーゼでの切断後に精製してもよい。
【0154】
該方法の一例では、インタクトな融合ペプチドを含むC末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド(137〜154位のアミノ酸のいずれも置換または欠失されていないC末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドなど)を準備する。該方法の別の例では、改変型融合ペプチドを含むC末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド(アミノ137〜152付近、アミノ酸137〜153付近、アミノ酸137〜145付近またはアミノ酸137〜142付近が欠失しているC末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドなど)を準備する。また、他の適当な融合ペプチドの欠失も記載されている(137〜146位のアミノ酸の欠失など)。Ruiz−Arguelloら,J.Gen.Virol.,85:3677−3687(2004)。
【0155】
一部の実施形態では、準備したC末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを精製する。準備した非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを切断すると、切断により、切断型RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの三量体の形成がもたらされる。所望により、三量体を、任意の適当な方法(サイズ排除クロマトグラフィーなど)を用いてさらに精製してもよい。
【0156】
該方法の具体的な例では、準備したC末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、少なくともN末端側のフリンポリペプチドを含むものである(図1)。準備したC末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを、例えばトリプシンで切断すると、切断により、RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの切断三量体、切断三量体のロゼット、または切断三量体と切断三量体のロゼットの組合せの形成がもたらされる。所望により、切断三量体および/または切断三量体のロゼットを、任意の適当な方法(サイズ排除クロマトグラフィーなど)を用いてさらに精製してもよい。
【0157】
本発明のこの態様の別の方法は、a)136/137位に改変型フリン切断部位を含むC末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む生物学的材料(細胞溶解物、細胞ホモジネートまたは細胞馴化培養培地など)を準備すること(前記可溶性のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、該ペプチドを、136/137位において切断されていないがFを含むサブユニットと会合しているF断片の形態で産生する細胞から分泌される(ただし、該改変型フリン切断部位はアミノ酸131〜134の欠失ではないものとする));およびb)C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを該生物学的材料から精製し、それにより組成物を生成させることを含む。好ましくは、Fサブユニットのアミノ末端は110位付近〜132位付近である。より好ましくは、Fサブユニットのアミノ末端は110位付近である。Fサブユニットのアミノ末端が137位ではないことが特に好ましい。具体的な例では、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む生物学的材料は、少なくともN末端側のフリンポリペプチドを含む。
【0158】
所望により、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、さらに、プロテアーゼ(例えば、トリプシン)切断が抑制されるように、101位付近と161位付近との間の他のプロテアーゼのための部位(例えば、トリプシン切断部位)の改変または欠失を含んでいる。例えば、101位付近と161位付近との間に存在している1つ以上のリジンおよび/またはアルギニン残基(例えば、すべてのリジン残基とアルギニン残基)が欠失しているか、あるいはリジンもしくはアルギニンではないアミノ酸で置き換えられており、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドはトリプシンによって101位付近と161位付近との間が切断されない。C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、インタクトな融合ペプチドまたは改変型融合ペプチド(本明細書に記載している)を含むものであり得る。
【0159】
C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド(例えば、単量体、三量体および単量体と三量体の組合せ)を、所望の度合まで精製してもよい。一般的に、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの単量体または三量体を、例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または実質的に均質になるまで精製することが好ましい。本明細書に記載のように、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは脂質およびリポタンパク質から、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーによって容易に精製され得る。したがって、該方法を用いて、実質的に脂質およびリポタンパク質が含まれていないC末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド(例えば、単量体、三量体、または単量体と三量体の組合せ)を含む組成物が容易に作製され得る。該方法の具体的な例では、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、少なくともN末端側のフリンポリペプチドを含むものである(図1)。
【0160】
一例では、該方法は、昆虫細胞馴化培養培地、哺乳動物細胞馴化培養培地、鳥類細胞馴化培地、酵母細胞馴化培地、テトラヒメナ細胞馴化培地またはその組合せを準備することを含む。一部の実施形態では、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質(protean)のエクトドメインポリペプチド三量体を精製する。他の実施形態では、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド単量体を精製する。他の実施形態では、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの単量体と三量体を精製する。
【0161】
(自己複製RNA)
本明細書に記載のRSV−Fポリペプチドは、該ポリペプチドをコードする組換え核酸を被験体の細胞で発現させることによって作製され得る。RSV−Fポリペプチドの生成をもたらすために被験体に投与され得る好ましい(prefereed)核酸は自己複製RNA分子である。本発明の自己複製RNA分子は、RNAウイルスのゲノムRNAを基礎としているが、1つ以上の構造タンパク質をコードする遺伝子が欠損している。自己複製RNA分子は、翻訳されると、該自己複製RNAにコードされたRNAウイルスの非構造タンパク質と異種タンパク質を生成し得るものである。
【0162】
自己複製RNAは、一般的に、ウイルスレプリカーゼ、ウイルスプロテアーゼ、ウイルスヘリカーゼおよび他の非構造ウイルスタンパク質からなる群より選択される少なくとも1つ以上の遺伝子を含み、また、5’−および3’末端シス活性複製配列、ならびに所望により、所望のアミノ酸配列(例えば、タンパク質、抗原)をコードする異種配列も含む。該異種配列の発現を指令するサブゲノムプロモーターを自己複製RNAに含めてもよい。所望により、該異種配列を、インフレームで他のコード領域と自己複製RNA内で融合させてもよく、および/または内部リボソーム侵入部位(IRES)の制御下にしてもよい。
【0163】
本発明の自己複製RNA分子は、該自己複製RNA分子によって感染性ウイルス粒子の生成が誘導されない場合があるように設計され得る。これは、例えば、自己複製RNA内のウイルス粒子の生成に必要な構造タンパク質をコードしている1つ以上のウイルス遺伝子を削除することによりなされ得る。例えば、自己複製RNA分子がアルファウイルス(シンドビス(Sinebis)ウイルス(SIN)、セムリキ森林ウイルスおよびベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)など)を基礎としているものである場合、ウイルスの構造タンパク質(キャプシドおよび/またはエンベロープ糖タンパク質など)をコードする1つ以上の遺伝子が削除され得る。所望により、本発明の自己複製RNA分子は、弱毒化されたか、もしくはビルレントな感染性ウイルス粒子の生成、または1ラウンドの後の感染が行なわれ得るウイルス粒子の生成が誘導されるように設計されることがあり得る。
【0164】
自己複製RNA分子は、脊椎動物細胞に送達されると、なんらタンパク質がなくても、自身(または自身のアンチセンスコピー)からの転写によって複数の娘RNAの生成をもたらすことができるものである。自己複製RNAは細胞への送達後、直接翻訳され得、この翻訳によりRNA依存性RNAポリメラーゼがもたらされ、次いで、これにより、送達されたRNAから転写物が生成される。したがって、送達されたRNAにより、複数の娘RNAの生成がもたらされる。この転写物は、送達されたRNAに対してアンチセンスであり、これ自体を翻訳して遺伝子産物のインサイチュ発現をもたらしてもよく、またはコードされたRSV−Fポリペプチドのインサイチュ発現をもたらすように翻訳される、送達RNAと同じセンスであるさらなる転写物を得るために転写されてもよい。
【0165】
自己複製を行なうのに適当な系の一例は、アルファウイルス系RNAレプリコンの使用である。このような+鎖レプリコンは、細胞への送達後に翻訳され、レプリカーゼ(またはレプリカーゼ−トランスクリプターゼ)が生成される。このレプリカーゼは自己切断して+鎖の送達RNAのゲノム−鎖コピーを生成させる複製複合体をもたらすポリタンパク質として翻訳される。このような−鎖転写物は、自身が転写されて、さらなる+鎖親RNAコピーがもたらされ、また、RSV−Fポリペプチドをコードするサブゲノム転写物ももたらされることもあり得る。したがって、サブゲノム転写物の翻訳により、感染細胞によるRSV−Fポリペプチドのインサイチュ発現がもたらされる。好適なアルファウイルスレプリコンは、シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルスなどに由来するレプリカーゼが使用されたものであり得る。
【0166】
したがって、好ましい自己複製RNA分子は、(i)自己複製RNA分子からRNAを転写することができるRNA依存性RNAポリメラーゼと、(ii)RSV−Fポリペプチドをコードしているものである。該ポリメラーゼは、例えば、アルファウイルスタンパク質nsP4を含むアルファウイルスのレプリカーゼであり得る。
【0167】
天然のアルファウイルスのゲノムは、非構造レプリカーゼポリタンパク質に加えて構造ビリオンタンパク質をコードしているが、アルファウイルス系の本発明の自己複製RNA分子はアルファウイルスの構造タンパク質をコードしていないことが好ましい。したがって、自己複製RNAは、細胞内で自身のゲノムRNAコピーの生成はもたらし得るが、RNA含有アルファウイルスのビリオンの生成はもたらさないものである。このようなビリオンが生成できないことは、野生型アルファウイルスとは異なり、自己複製RNA分子が感染性形態で永続的に存在しないであろうことを意味する。野生型ウイルスの永続的存在に必要なアルファウイルス構造タンパク質は、本発明の自己複製RNAには存在せず、代わりに、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子(1つまたは複数)が採用されており、そのため、サブゲノム転写物は、アルファウイルスの構造ビリオンタンパク質ではなく所望の遺伝子産物をコードしている。
【0168】
したがって、本発明で有用な自己複製RNA分子は、2つのオープンリーディングフレームを有するものであり得る。第1(5’)のオープンリーディングフレームはレプリカーゼをコードしており;第2(3’)のオープンリーディングフレームはRSV−Fポリペプチドをコードしている。一部の実施形態では、該RNAは、例えば、さらなる所望の遺伝子産物をコードするさらなる(下流)オープンリーディングフレームを有するものであり得る。自己複製RNA分子は、コードされたレプリカーゼと適合性である5’配列を有するものであってもよい。
【0169】
一態様において、自己複製RNA分子は、アルファウイルスに由来するもの、またはアルファウイルスが基礎であるものである。他の態様では、自己複製RNA分子は、アルファウイルス以外のウイルス、好ましくは、プラス鎖のRNAウイルス、より好ましくは、ピコルナウイルス、フラビウイルス、ルビウイルス、ペスチウイルス、ヘパチウイルス、カリシウイルス、またはコロナウイルスに由来するもの、または該ウイルスが基礎であるものである。好適な野生型アルファウイルス配列は、よく知られており、American Type Culture Collection(Rockville,Md)などの配列寄託機関から入手可能である。適当なアルファウイルスの代表的な例としては、アウラ(ATCC VR−368)、ベバルウイルス(ATCC VR−600,ATCC VR−1240)、カバソウ(Cabassou)(ATCC VR−922)、チクングニヤウイルス(ATCC VR−64,ATCC VR−1241)、東部ウマ脳脊髄炎ウイルス(ATCC VR−65,ATCC VR−1242)、フォートモーガン(ATCC VR−924)、ゲタウイルス(ATCC VR−369,ATCC VR−1243)、Kyzylagach(ATCC VR−927)、マヤロ(ATCC VR−66)、マヤロウイルス(ATCC VR−1277)、ミドルバーグ(ATCC VR−370)、ムカンボウイルス(ATCC VR−580,ATCC VR−1244)、ヌドゥム(ATCC VR−371)、ピクスナウイルス(ATCC VR−372,ATCC VR−1245)、ロス川ウイルス(ATCC VR−373,ATCC VR−1246)、セムリキ森林(ATCC VR−67,ATCC VR−1247)、シンドビスウイルス(ATCC VR−68,ATCC VR−1248)、トネート(Tonate)(ATCC VR−925)、トリニチ(Triniti)(ATCC VR−469)、ウナ(ATCC VR−374)、ベネズエラウマ脳脊髄炎(ATCC VR−69,ATCC VR−923,ATCC VR−1250 ATCC VR−1249,ATCC VR−532)、西部ウマ脳脊髄炎(ATCC VR−70,ATCC VR−1251,ATCC VR−622,ATCC VR−1252)、ワタロア(ATCC VR−926)、およびY−62−33(ATCC VR−375)が挙げられる。
【0170】
自己複製RNAを送達系と結合させてもよい。自己複製RNAはアジュバントとともに、またはなしで投与され得る。
【0171】
(RNA送達系)
本発明の自己複製RNAは、裸のRNAでの送達、または脂質、ポリマーもしくは細胞内への侵入を容易にする他の化合物との組合せなどのさまざまなモダリティでの送達に適している。本発明の自己複製RNA分子は標的細胞または被験体に、任意の適当な手法を用いて、例えば、直接注射、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、リポフェクション、粒子銃(biolystic)などによって導入され得る。また、自己複製RNA分子は細胞内に、受容体媒介性エンドサイトーシスによっても導入され得る。例えば、米国特許第6,090,619号;WuおよびWu,J.Biol.Chem.,263:14621(1988);ならびにCurielら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:8850(1991)を参照のこと。例えば、米国特許第6,083,741号には、外因性核酸を哺乳動物細胞に、該核酸をポリカチオン部分(例えば、3〜100個のリジン残基を有するポリ−L−リジン)(該部分自体はインテグリン受容体結合部分(例えば、配列Arg−Gly−Aspを有する環状ペプチド)にカップリングされている)に会合させることにより導入することが開示されている。
【0172】
本発明の自己複製RNA分子を細胞内に両親媒性物質によって送達してもよい。例えば、米国特許第6,071,890号を参照のこと。典型的には、核酸分子はカチオン性両親媒性物質と複合体を形成し得る。該複合体は、哺乳動物細胞と接触すると該細胞に容易に取り込まれ得る。
【0173】
自己複製RNAは、裸のRNAとして(例えば、単にRNAの水溶液として)送達してもよいが、細胞内への進入、また、その後の細胞間効果を向上させるため、自己複製RNAは、好ましくは、送達系(粒状またはエマルジョンの送達系など)と組み合わせて投与する。数多くの送達系がよく当業者に知られている。かかる送達系としては、例えば、リポソーム系送達(DebsおよびZhu(1993)WO93/24640;ManninoおよびGould−Fogerite(1988)BioTechniques 6(7):682−691;Rose 米国特許第5,279,833号;Brigham(1991)WO91/06309;およびFelgnerら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413−7414)、ならびにウイルスベクターの使用(例えば、アデノウイルス系(例えば、概説については、Bernsら(1995)Ann.NY Acad.Sci.772:95−104;Aliら(1994)Gene Ther.1:367−384;およびHaddadaら(1995)Curr.Top.Microbiol.Immunol.199(Pt 3):297−306参照)、パピローマウイルス系、レトロウイルス系(例えば、Buchscherら(1992)J.Virol.66(5)2731−2739;Johannら(1992)J.Virol.66(5):1635−1640(1992);Sommerfeltら,(1990)Virol.176:58−59;Wilsonら(1989)J.Virol.63:2374−2378;Millerら,J.Virol.65:2220−2224(1991);Wong−Staalら,PCT/US94/05700、ならびにRosenburgおよびFauci(1993),Fundamental Immunology,第3版 Paul(編)Raven Press,Ltd.,New Yorkおよびそこに挙げられた参考文献、ならびにYuら,Gene Therapy(1994)(上掲)参照)、およびアデノ随伴ウイルスベクター(AAVベクターの概要については、Westら(1987)Virology 160:38−47;Carterら(1989)米国特許第4,797,368号;Carterら WO93/24641(1993);Kotin(1994)Human Gene Therapy 5:793−801;Muzyczka(1994)J.Clin.Invst.94:1351およびSamulski(上掲)参照;また、Lebkowski,米国特許第5,173,414号;Tratschinら(1985)Mol.Cell.Biol.5(ll):3251−3260;Tratschinら(1984)Mol.Cell.Biol.,4:2072−2081;HermonatおよびMuzyczka(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6466−6470;McLaughlinら(1988)ならびにSamulskiら(1989)J.Virol.,63:03822−3828も参照のこと))などが挙げられる。
【0174】
特に有用な3つの送達系は、(i)リポソーム、(ii)非毒性で生分解性のポリマー微粒子、(iii)カチオン性のサブミクロン水中油型エマルジョンである。
【0175】
(リポソーム)
種々の両親媒性脂質は、水性環境において二重層を形成し、リポソームとしてRNA含有水性コアを被包し得るものである。このような脂質は、アニオン性、カチオン性または両性イオン性の親水性頭基を有するものであり得る。アニオン性リン脂質からのリポソームの形成は1960年代に始まっているが、カチオン性のリポソーム形成脂質は1990年代から研究されている。リン脂質はアニオン性のものもあれば、両性イオン性のものもある。好適な類型のリン脂質としては、限定されないが、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、およびホスファチジルグリセロールが挙げられ、有用なリン脂質の一例を表20に示す。有用なカチオン性脂質としては、限定されないが、ジオレオイルトリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)、1,2−ジステアリルオキシ−N,N−ジメチル−3−アミノプロパン(DSDMA)、1,2−ジオレイルオキシ−N,Nジメチル−3−アミノプロパン(DODMA)、1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチル−3−アミノプロパン(DLinDMA)、1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチル−3−アミノプロパン(DLenDMA)が挙げられる。両性イオン性脂質としては、限定されないが、アシル系両性イオン性脂質およびエーテル系両性イオン性脂質が挙げられる。有用な両性イオン性脂質の例は、DPPC、DOPCおよびドデシルホスホコリンである。脂質は飽和型であっても不飽和型であってもよい。
【0176】
リポソームは、単一の脂質で形成されたものであってもよく、脂質混合物で形成されたものであってもよい。該混合物は、(i)アニオン性脂質の混合物、(ii)カチオン性脂質の混合物、(iii)両性イオン性脂質の混合物、(iv)アニオン性脂質とカチオン性脂質の混合物、(v)アニオン性脂質と両性イオン性脂質の混合物、(vi)両性イオン性脂質とカチオン性脂質の混合物、または(vii)アニオン性脂質、カチオン性脂質および両性イオン性脂質の混合物を含むものであり得る。同様に、該混合物は、飽和型の脂質と不飽和型の脂質の両方を含むものであってもよい。例えば、該混合物は、DSPC(両性イオン性、飽和型)、DlinDMA(カチオン性、不飽和型)、および/またはDMPG(アニオン性、飽和型)を含むものであり得る。脂質混合物を使用する場合、混合物中のすべての成分脂質が両親媒性である必要はなく、例えば、1つ以上の両親媒性脂質がコレステロールと混合され得る。
【0177】
脂質の親水性部分をペグ化(すなわち、ポリエチレングリコールの共有結合によって修飾)してもよい。この修飾により、リポソームの安定性が増大され、非特異的吸着が抑制され得る。例えば、脂質はPEGに、Heyesら(2005)J Controlled Release 107:276−287に開示されたものなどの手法を用いて結合体化され得る。
【0178】
本実施例では、DSPC、DlinDMA、PEG−DMPGおよびコレステロールの混合物を使用している。本発明の別の態様は、DSPC、DlinDMA、PEG−DMGおよびコレステロールを含むリポソームである。このリポソームは、好ましくは、例えば、免疫原をコードするRNA(自己複製RNAなど)を被包する。
【0179】
リポソームは、通常、3つの群:多重層小胞(MLV);小型単層小胞(SUV);および大型単層小胞(LUV)に分けられる。MLVは、各小胞内に複数の二重層を有し、いくつかの個別の水性区画を形成している。SUVとLUVは、水性コアを被包する単一の二重層を有し;SUVは、典型的には≦50nmの直径を有し、LUVは>50nmの直径を有する。本発明で有用なリポソームは、理想的には、50〜220nmの範囲の直径を有するLUVである。異なる直径を有するLUVの集団を含む組成物では:(i)少なくとも80%(個数で)は20〜220nmの範囲の直径を有するものであるのがよい、(ii)集団の平均直径(Zav,強度で)は理想的には40〜200nmの範囲である、および/または(iii)該直径は、<0.2の多分散度指数を有しているのがよい。
【0180】
好適なリポソームを調製するための手法は当該技術分野でよく知られており、例えば、Liposomes:Methods and Protocols,第1巻:Pharmaceutical Nanocarriers:Methods and Protocols.(Weissig編).Humana Press,2009.ISBN 160327359X;Liposome Technology,第I,II & III巻(Gregoriadis編).Informa Healthcare,2006;およびFunctional Polymer Colloids and Microparticles 第4巻(Microspheres,microcapsules & liposomes).(Arshady & Guyot編).Citus Books,2002を参照されたい。有用な方法の一例は、(i)脂質のエタノール性溶液(ii)核酸の水溶液および(iii)バッファーを混合した後、混合、平衡化、希釈および精製を行なうことを伴うものである(Heyesら(2005)J Controlled Release 107:276−87)。
【0181】
RNAは、好ましくはリポソーム内に被包されており、そのため、リポソームは水性のRNA含有コア周囲の外側層を構成している。この被包により、RNAがRNase消化から保護されることがわかった。リポソームには、一部のRNAを外的に含めてもよいが(例えば、リポソームの表面上)、少なくとも半分(理想的には、全部)のRNAを被包する。
【0182】
(ポリマー微粒子)
種々のポリマーは、微粒子を形成してRNAを被包または吸着することができる。実質的に非毒性のポリマーの使用は、レシピエントが安全に該粒子を受容できることを意味し、生分解性ポリマーの使用は、該粒子が送達後に代謝され、長期間の残存が回避され得ること意味する。また、有用なポリマーは滅菌性であり、医薬等級処方物の調製の一助となる。
【0183】
好適な非毒性で生分解性のポリマーとしては、限定されないが、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリラクトン(例えば、ポリカプロラクトン)、ポリジオキサノン、ポリバレロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリシアノアクリレート、チロシン由来ポリカーボネート、ポリビニル−ピロリジノンまたはポリエステル−アミド、およびその組合せが挙げられる。
【0184】
一部の実施形態では、該微粒子は、ポリ(α−ヒドロキシ酸)(ポリ(ラクチド)(「PLA」)など)、ラクチドとグリコリドのコポリマー(ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)(「PLG」)など)、およびD,L−ラクチドとカプロラクトンのコポリマーで形成されたものである。有用なPLGポリマーとしては、例えば、20:80〜80:20の範囲(例えば、25:75、40:60、45:55、55:45、60:40、75:25)のラクチド/グリコリドモル比を有するものが挙げられる。有用なPLGポリマーとしては、例えば、5,000〜200,000Da(例えば、10,000〜100,000、20,000〜70,000、40,000〜50,000Da)の分子量を有するものが挙げられる。
【0185】
該微粒子は、理想的には、0.02μm〜8μmの範囲の直径を有するものである。異なる直径を有する微粒子の集団を含む組成物では、少なくとも80%(個数で)が0.03〜7μmの範囲の直径を有しているのがよい。
【0186】
好適な微粒子を調製するための手法は当該技術分野でよく知られており、例えば、Functional Polymer Colloids and Microparticles 第4巻(Microspheres,microcapsules & liposomes).(Arshady & Guyot編).Citus Books,2002;Polymers in Drug Delivery.(Uchegbu & Schatzlein編).CRC Press,2006.(特に、第7章)およびMicroparticulate Systems for the Delivery of Proteins and Vaccines.(Cohen & Bernstein編).CRC Press,1996を参照されたい。RNAの吸着を助長するため、微粒子に、例えば、O’Haganら(2001)J Virology75:9037−9043;およびSinghら(2003)Pharmaceutical Research 20:247−251に開示されているようなカチオン性の界面活性剤および/または脂質を含めてもよい。ポリマー微粒子の代替的な作製様式は、例えばWO2009/132206に開示されているような、成形と硬化によるものである。
【0187】
本発明の微粒子は40〜100mVのゼータ電位を有するものであり得る。RNAは微粒子に吸着され得、吸着は、該微粒子にカチオン性物質(例えば、カチオン性脂質)を含めることにより助長される。
【0188】
(水中油型のカチオン性エマルジョン)
水中油型エマルジョンは、インフルエンザワクチンのアジュバントに関して知られている(例えば、FLUADTM製品中のMF59TMアジュバント、およびPREPANDRIXTM製品中のAS03アジュバント)。本発明によるRNA送達では水中油型エマルジョンが利用され得る(ただし、該エマルジョンは1つ以上のカチオン性分子を含むものであるとする)。例えば、カチオン性脂質は、負電荷のRNAが結合され得るプラスの液滴表面を提供するために該エマルジョンに含められ得る。
【0189】
該エマルジョンには1つ以上の油が含まれる。好適な油(1つまたは複数)としては、例えば、動物(魚類など)または植物供給源に由来するものが挙げられる。油は、理想的には、生分解性(代謝可能)で生体適合性である。植物油の供給源としては堅果、種子および穀類が挙げられる。ピーナッツ油、ダイズ油、ココナッツ油およびオリーブ油は、最も一般的に入手可能であり、堅果油の例示である。例えば、ホホバ豆から得られるホホバ油も使用され得る。種子油としては、ベニバナ油、綿実油、ヒマワリ種子油、ゴマ種子油などが挙げられる。穀類の群では、コーン油が最も容易に入手可能であるが、他の穀粒(例えば、コムギ、オートムギ、ライムギ、コメ、テフ、ライコムギなど)の油も使用され得る。グリセロールおよび1,2−プロパンジオールの炭素数6〜10の脂肪酸エステルは、種子油に天然に存在するものではないが、堅果油および種子油から出発する適切な物質の加水分解、分離およびエステル化によって調製され得る。哺乳動物の乳汁由来の脂肪および油は代謝可能であり、そのため使用され得る。分離、精製、ケン化および動物供給源から純粋な油を得るのに必要な他の手段のための手順は当該技術分野でよく知られている。
【0190】
ほとんどの魚は代謝可能な油を含んでおり、これは容易に収集され得る。例えば、タラ肝油、サメ肝油およびクジラ油(鯨ろうなど)は、本明細書において使用され得るいくつかの魚油の例示である。いくつかの分枝鎖の油は、炭素数5のイソプレン単位で生化学的に合成され、一般的にテルペノイドと称される。また、スクアラン(スクアレンの飽和型類似体)も使用され得る。魚油(スクアレンおよびスクアランを含む)は、市販の供給元から容易に入手可能であるか、または当該技術分野で知られた方法によって得られ得る。
【0191】
他の有用な油はトコフェロール(特に、スクアレンとの組合せ)である。エマルジョンの油相にトコフェロールを含める場合、α、β、γ、δ、εまたはξトコフェロールのいずれも使用され得るが、α−トコフェロールが好ましい。D−α−トコフェロールとDL−α−トコフェロールのどちらも使用することができる。好ましいα−トコフェロールはDL−α−トコフェロールである。スクアレンとトコフェロール(例えば、DL−α−トコフェロール)を含む油類の組合せを使用してもよい。
【0192】
好ましいエマルジョンは、スクアレン(分枝型不飽和テルペノイドのサメ肝油(C3050;[(CHC[=CHCHCHC(CH)]=CHCH−];2,6,10,15,19,23−ヘキサメチル−2,6,10,14,18,22−テトラコサヘキサエン;CAS RN 7683−64−9))を含むものである。
【0193】
エマルジョンの油は、例えば、スクアレンと少なくとも1つのさらなる油の油類の組合せを含むものであってもよい。
【0194】
エマルジョンの水性成分は、ただの水(plain water)(例えば、w.f.i.)であってもよく、さらなる成分(例えば、溶質)を含むものであってもよい。例えば、該水性成分は、バッファーを形成するための塩(例えば、クエン酸塩またはリン酸塩(ナトリウム塩など))を含むものであり得る。典型的なバッファーとしては、リン酸バッファー;Trisバッファー;ホウ酸バッファー;コハク酸バッファー;ヒスチジンバッファー;またはクエン酸バッファーが挙げられる。緩衝化された水相が好ましく、バッファーは、典型的には5〜20mMの範囲で含める。
【0195】
また、該エマルジョンにはカチオン性脂質も含まれる。好ましくは、この脂質は、エマルジョンの形成と安定化が助長され得るように界面活性剤である。有用なカチオン性脂質は、一般的に、生理学的条件下で正電荷の窒素原子を含むものである(例えば、第3級または第4級アミンとして)。この窒素は、両親媒性界面活性剤の親水性頭基に存在するものであり得る。有用なカチオン性脂質としては、限定されないが、1,2−ジオレオイルオキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン(DOTAP)、3’−[N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル]コレステロール(DCコレステロール)、ジメチルジオクタデシル−アンモニウム(DDA,例えば、臭化物)、1,2−ジミリストイル−3−トリメチル−アンモニウムプロパン(DMTAP)、ジパルミトイル(C16:0)トリメチルアンモニウムプロパン(DPTAP)、ジステアロイルトリメチルアンモニウムプロパン(DSTAP)が挙げられる。他の有用なカチオン性脂質は、塩化ベンザルコニウム(BAK)、塩化ベンゼトニウム、セトラミド(cetramide)(これは、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミドと、場合によっては、少量のドデシル(dedecyl)トリメチルアンモニウムブロミドおよびヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを含む)、セチルピリジニウムクロリド(CPC)、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)、N,N’,N’−ポリオキシエチレン(10)−N−獣脂−1,3−ジアミノプロパン、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチル−アンモニウムブロミド、混合型アルキル−トリメチル−アンモニウムブロミド、ベンジルジメチルドデシルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルヘキサデシル−アンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムメトキシド、セチルジメチルエチルアンモニウムブロミド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)、塩化メチルベンゼトニウム、塩化デカメトニウム、メチル混合型トリアルキルアンモニウムクロリド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド)、N,N−ジメチル−N−[2(2−メチル−4−(1,1,3,3テトラメチルブチル)−フェノキシ]−エトキシ)エチル]−ベンゼンメタ−ナミニウムクロリド(DEBDA)、ジアルキルジメチル(dimetyl)アンモニウム塩、[1−(2,3−ジオレイルオキシ)−プロピル]−N,N,N,トリメチルアンモニウムクロリド、1,2−ジアシル−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン(アシル基=ジミリストイル、ジパルミトイル、ジステアロイル、ジオレオイル)、1,2−ジアシル−3(ジメチルアンモニオ)プロパン(アシル基=ジミリストイル、ジパルミトイル、ジステアロイル、ジオレオイル)、1,2−ジオレオイル−3−(4’−トリメチル−アンモニオ)ブタノイル−sn−グリセロール、1,2−ジオレオイル3−スクシニル−sn−グリセロールコリンエステル、コレステリル(4’−トリメチルアンモニオ)ブタノエート)、N−アルキルピリジニウム塩(例えば、セチルピリジニウムブロミドおよびセチルピリジニウムクロリド)、N−アルキルピペリジニウム塩、二カチオン性のボラフォーム電解質(C12Me6;C12BU6)、ジアルキルグリセチルホスホリルコリン、リゾレシチン、L−αジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、コレステロールヘミスクシネートコリンエステル、リポポリアミン、例えば限定されないが、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS)、ジパルミトイルホスファチジルエタノール−アミドスペルミン(DPPES)、リポポリ−L(またはD)−リジン(LPLL、LPDL)、ポリ(L(またはD)−リジンがN−グルタリルホスファチジルエタノールアミンに結合体化されたもの、ペンダントアミノ基を有するグルタミン酸ジドデシルエステル(CΛGluPhCnN)、ペンダントアミノ基を有するグルタミン酸ジテトラデシルエステル(C14GIuCnN+)、コレステロールのカチオン性誘導体、例えば限定されないが、コレステリル−3β−オキシスクシンアミドエチレントリメチルアンモニウム塩、コレステリル−3β−オキシスクシンアミドエチレン−ジメチルアミン、コレステリル−3β−カルボキシアミドエチレントリメチルアンモニウム塩、およびコレステリル−3β−カルボキシアミドエチレンジメチルアミンである。他の有用なカチオン性脂質は、US2008/0085870およびUS2008/0057080(これらは引用により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0196】
カチオン性脂質は、好ましくは生分解性(代謝可能)で生体適合性である。
【0197】
油とカチオン性脂質に加え、該エマルジョンに、非イオン性界面活性剤および/または両性イオン性界面活性剤を含めてもよい。かかる界面活性剤としては、限定されないが、ポリオキシエチレンソルビタンエステル系界面活性剤(一般的に、Tweenと称される)、特に、ポリソルベート20およびポリソルベート80;エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)および/またはブチレンオキシド(BO)のコポリマー(DOWFAXTMの商標名で販売、線状EO/POブロックコポリマーなど);オクトキシノール(これは、反復エトキシ(オキシ−1,2−エタンジイル)基の数が種々であり得、オクトキシノール−9(Triton X−100、またはt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)が特に重要である);(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA−630/NP−40);リン脂質(ホスファチジルコリン(レシチン)など);ラウリル、セチル、ステアリルおよびオレイルアルコールから誘導されるポリオキシエチレン脂肪エーテル(Brij界面活性剤として知られている)(トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(Brij 30)など);ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル;ならびにソルビタンエステル(一般的に、Spanとして知られている)(ソルビタントリオレエート(Span 85)およびソルビタンモノラウレートなど)が挙げられる。該エマルジョンに含めるのに好ましい界面活性剤は、ポリソルベート80(Tween 80;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、Span 85(ソルビタントリオレエート)、レシチンおよびTriton X−100である。
【0198】
このような界面活性剤の混合物をエマルジョンに含めてもよい(例えば、Tween 80/Span 85の混合物、またはTween 80/Triton−X100の混合物)。ポリオキシエチレンソルビタンエステル(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)など)とオクトキシノール(t−オクチルフェノキシ−ポリエトキシエタノール(Triton X−100)など)の組合せも好適である。別の有用な組合せは、ラウレス9+ポリオキシエチレンソルビタンエステルおよび/またはオクトキシノールを含む。有用な混合物は、10〜20の範囲のHLB値を有する界面活性剤(例えば、15.0のHLBを有するポリソルベート80)と、1〜10の範囲のHLB値を有する界面活性剤(例えば、1.8のHLBを有するソルビタントリオレエート)を含むものであり得る。
【0199】
最終エマルジョン中の油の好ましい量(容積%)は2〜20%、例えば、5〜15%、6〜14%、7〜13%、8〜12%である。約4〜6%または約9〜11%のスクアレン含有量が特に有用である。
【0200】
最終エマルジョン中の界面活性剤の好ましい量(重量%)は0.001%〜8%である。例えば:ポリオキシエチレンソルビタンエステル(ポリソルベート80など)では、0.2〜4%、特に、0.4〜0.6%、0.45〜0.55%、約0.5%または1.5〜2%、1.8〜2.2%、1.9〜2.1%、約2%、または0.85〜0.95%、または約1%であり;ソルビタンエステル(ソルビタントリオレエートなど)では、0.02〜2%、特に、約0.5%または約1%であり;オクチル−またはノニルフェノキシポリオキシエタノール(Triton X−100など)では、0.001〜0.1%、特に、0.005〜0.02%であり;ポリオキシエチレンエーテル(ラウレス9など)では、0.1〜8%、好ましくは0.1〜10%、特に、0.1〜1%または約0.5%である。
【0201】
油と界面活性剤の絶対量ならびにその比率は、エマルジョンが形成されていれば、広範な制限値の範囲内で種々であり得る。当業者は、所望のエマルジョンが得られるように成分の相対割合を容易に変化させることができるが、油と界面活性剤が4:1〜5:1の重量比が典型的である(油が過剰)。
【0202】
特に大型の動物において、エマルジョンの免疫賦活活性を確保するために重要なパラメータは油の液滴サイズ(直径)である。最も有効なエマルジョンはサブミクロン範囲の液滴サイズを有するものである。好適には、液滴サイズは50〜750nmの範囲である。最も有用には、平均液滴サイズは250nm未満、例えば200nm未満、150nm未満である。平均液滴サイズは、有用には80〜180nmの範囲である。理想的には、該エマルジョンの油の液滴の少なくとも80%(個数で)、好ましくは少なくとも90%が250nm未満の直径である。エマルジョンの平均液滴サイズおよびサイズ分布を測定するための装置は市販されている。典型的には、動的光散乱および/または単一粒子光学的検知の手法が使用される(例えば、AccusizerTMおよびNicompTMシリーズ(Particle Sizing Systems(Santa Barbara,USA)から入手可能な機器)、またはZetasizerTM機器(Malvern Instruments(UK)製)、またはParticle Size Distribution Analyzer機器(Horiba(京都,日本)製))。
【0203】
理想的には、液滴サイズ分布(個数で)は、極大値を2つ有するのではなく最大値を1つだけ有する、すなわち、平均(モード)の周囲に分布した液滴の単一の集団がみられるものである。好ましいエマルジョンは、<0.4(例えば、0.3、0.2またはそれ未満)の多分散性を有するものである。
【0204】
サブミクロン液滴および狭いサイズ分布を有する好適なエマルジョンは、マイクロフルイダイゼーションの使用によって得られ得る。この手法では、投入成分の流れを幾何学的に固定されたチャネルを介して高圧および高速度で推進させることにより平均油滴サイズが低減される。この流れはチャネル壁、チャンバ壁および互いに接触する。その結果の剪断力、衝撃力およびキャビテーション力により、液滴サイズの低減が引き起こされる。マイクロフルイダイゼーション工程の反復は、所望の平均液滴サイズおよびサイズ分布を有するエマルジョンが得られるまで行なわれ得る。
【0205】
マイクロフルイダイゼーションに対する代替法として、転相を引き起こす熱的方法が使用され得る。この方法でも、密集したサイズ分布を有するサブミクロンエマルジョンが得られ得る。
【0206】
好ましいエマルジョンは濾過滅菌されたものであり得、すなわち、その液滴を220nmフィルターに通したものであり得る。滅菌がもたらされるとともに、この手順により、該エマルジョン中の大きな液滴(あれば)も除去される。
【0207】
一部の特定の実施形態では、該エマルジョン中のカチオン性脂質はDOTAPである。このカチオン性の水中油型エマルジョンは、約0.5mg/ml〜約25mg/mlのDOTAPを含むものであり得る。例えば、該カチオン性の水中油型エマルジョンはDOTAPを、約0.5mg/ml〜約25mg/ml、約0.6mg/ml〜約25mg/ml、約0.7mg/ml〜約25mg/ml、約0.8mg/ml〜約25mg/ml、約0.9mg/ml〜約25mg/ml、約1.0mg/ml〜約25mg/ml、約1.1mg/ml〜約25mg/ml、約1.2mg/ml〜約25mg/ml、約1.3mg/ml〜約25mg/ml、約1.4mg/ml〜約25mg/ml、約1.5mg/ml〜約25mg/ml、約1.6mg/ml〜約25mg/ml、約1.7mg/ml〜約25mg/ml、約0.5mg/ml〜約24mg/ml、約0.5mg/ml〜約22mg/ml、約0.5mg/ml〜約20mg/ml、約0.5mg/ml〜約18mg/ml、約0.5mg/ml〜約15mg/ml、約0.5mg/ml〜約12mg/ml、約0.5mg/ml〜約10mg/ml、約0.5mg/ml〜約5mg/ml、約0.5mg/ml〜約2mg/ml、約0.5mg/ml〜約1.9mg/ml、約0.5mg/ml〜約1.8mg/ml、約0.5mg/ml〜約1.7mg/ml、約0.5mg/ml〜約1.6mg/ml、約0.6mg/ml〜約1.6mg/ml、約0.7mg/ml〜約1.6mg/ml、約0.8mg/ml〜約1.6mg/ml、約0.5mg/ml、約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、約0.8mg/ml、約0.9mg/ml、約1.0mg/ml、約1.1mg/ml、約1.2mg/ml、約1.3mg/ml、約1.4mg/ml、約1.5mg/ml、約1.6mg/ml、約12mg/ml、約18mg/ml、約20mg/ml、約21.8mg/ml、約24mg/mlなどで含むものであり得る。例示的な実施形態では、該カチオン性の水中油型エマルジョンは、約0.8mg/ml〜約1.6mg/ml(0.8mg/ml、1.2mg/ml、1.4mg/mlまたは1.6mg/mlなど)のDOTAPを含むものである。
【0208】
一部の特定の実施形態では、カチオン性脂質はDCコレステロールである。このカチオン性の水中油型エマルジョンはDCコレステロールを、約0.1mg/ml〜約5mg/ml DCコレステロールで含むものであり得る。例えば、該カチオン性の水中油型エマルジョンは、約0.1mg/ml〜約5mg/ml、約0.2mg/ml〜約5mg/ml、約0.3mg/ml〜約5mg/ml、約0.4mg/ml〜約5mg/ml、約0.5mg/ml〜約5mg/ml、約0.62mg/ml〜約5mg/ml、約1mg/ml〜約5mg/ml、約1.5mg/ml〜約5mg/ml、約2mg/ml〜約5mg/ml、約2.46mg/ml〜約5mg/ml、約3mg/ml〜約5mg/ml、約3.5mg/ml〜約5mg/ml、約4mg/ml〜約5mg/ml、約4.5mg/ml〜約5mg/ml、約0.1mg/ml〜約4.92mg/ml、約0.1mg/ml〜約4.5mg/ml、約0.1mg/ml〜約4mg/ml、約0.1mg/ml〜約3.5mg/ml、約0.1mg/ml〜約3mg/ml、約0.1mg/ml〜約2.46mg/ml、約0.1mg/ml〜約2mg/ml、約0.1mg/ml〜約1.5mg/ml、約0.1mg/ml〜約1mg/ml、約0.1mg/ml〜約0.62mg/ml、約0.15mg/ml、約0.3mg/ml、約0.6mg/ml、約0.62mg/ml、約0.9mg/ml、約1.2mg/ml、約2.46mg/ml、約4.92mg/mlなどのDCコレステロールを含むものであり得る。例示的な実施形態では、該カチオン性の水中油型エマルジョンは、約0.62mg/ml〜約4.92mg/ml(2.46mg/mlなど)のDCコレステロールを含むものである。
【0209】
一部の特定の実施形態では、カチオン性脂質はDDAである。このカチオン性の水中油型エマルジョンは、約0.1mg/ml〜約5mg/mlのDDAを含むものであり得る。例えば、該カチオン性の水中油型エマルジョンは、DDAを、約0.1mg/ml〜約5mg/ml、約0.1mg/ml〜約4.5mg/ml、約0.1mg/ml〜約4mg/ml、約0.1mg/ml〜約3.5mg/ml、約0.1mg/ml〜約3mg/ml、約0.1mg/ml〜約2.5mg/ml、約0.1mg/ml〜約2mg/ml、約0.1mg/ml〜約1.5mg/ml、約0.1mg/ml〜約1.45mg/ml、約0.2mg/ml〜約5mg/ml、約0.3mg/ml〜約5mg/ml、約0.4mg/ml〜約5mg/ml、約0.5mg/ml〜約5mg/ml、約0.6mg/ml〜約5mg/ml、約0.73mg/ml〜約5mg/ml、約0.8mg/ml〜約5mg/ml、約0.9mg/ml〜約5mg/ml、約1.0mg/ml〜約5mg/ml、約1.2mg/ml〜約5mg/ml、約1.45mg/ml〜約5mg/ml、約2mg/ml〜約5mg/ml、約2.5mg/ml〜約5mg/ml、約3mg/ml〜約5mg/ml、約3.5mg/ml〜約5mg/ml、約4mg/ml〜約5mg/ml、約4.5mg/ml〜約5mg/ml、約1.2mg/ml、約1.45mg/mlなどで含むものであり得る。あるいはまた、該カチオン性の水中油型エマルジョンは、DDAを、約20mg/ml、約21mg/ml、約21.5mg/ml、約21.6mg/ml、約25mg/mlで含むものであり得る。例示的な実施形態では、該カチオン性の水中油型エマルジョンは、約0.73mg/ml〜約1.45mg/ml(1.45mg/mlなど)のDDAを含むものである。
【0210】
カテーテルまたは同様のデバイスを使用し、本発明の自己複製RNA分子を裸のRNAとして、または送達系と組み合わせて標的の器官または組織に送達してもよい。好適なカテーテルは、例えば、米国特許第4,186,745号;同第5,397,307号;同第5,547,472号;同第5,674,192号;および同第6,129,705号(これらはすべて、引用により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0211】
本発明は、RSV−Fポリペプチドをコードする自己複製RNA分子を送達し、例えば、単独または別の巨大分子との組合せで免疫応答を誘起させるための、該自己複製RNAを被包したかまたは吸着したリポソーム、ポリマー微粒子またはサブミクロンエマルジョン微粒子などの適当な送達系の使用を含む。本発明は、吸着および/または被包された自己複製RNA分子を有するリポソーム、微粒子およびサブミクロンエマルジョン、ならびにその組合せを含む。
【0212】
本実施例でさらに実証するように、リポソームおよびサブミクロンエマルジョン微粒子と会合させた自己複製RNA分子は、宿主細胞に有効に送達され得、自己複製RNAにコードされたタンパク質に対する免疫応答が誘導され得る。
【0213】
(免疫原性組成物)
本発明は免疫原性組成物を提供する。免疫原性組成物は、単一の活性な免疫原性因子を含むものであってもよく、いくつかの免疫原性因子を含むものであってもよい。例えば、免疫原性組成物は、単一の形態(例えば、単量体、三量体もしくはロゼット)または2つ以上の形態(例えば、単量体と三量体の混合物もしくは単量体と三量体の動的平衡)であるRSV Fポリペプチドを含むものであり得る。免疫原性組成物は、RSV−Fポリペプチドをコードする自己複製RNAを含むものであり得、また、好ましくは、適当な送達系(リポソーム、ポリマー微粒子、水中油型エマルジョン、およびその組合せなど)も含む。
【0214】
また、本発明の免疫原性組成物に1つ以上の免疫調節剤を含めてもよい。好ましくは、1つ以上の免疫調節剤は、1つ以上のアジュバント(例えば、2、3、4つまたはそれ以上のアジュバント)を含むものである。アジュバントとしては、TH1アジュバントおよび/またはTH2アジュバント(以下にさらに論考する)が挙げられ得る。
【0215】
別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、RSV−F糖タンパク質の融合前または中間コンフォメーションで存在するエピトープをディスプレイするが、糖タンパク質の融合後コンフォメーションではディスプレイしないポリペプチドを含むものである。
【0216】
別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は第1のポリペプチドと第2のポリペプチドを含み、第1のポリペプチドは、全体または一部においてRSV Fタンパク質を含み、第2のポリペプチドは異種オリゴマー化ドメインを含むものである。第1のポリペプチドはRSV Fタンパク質のエクトドメインを含むものであってもよい。第2のポリペプチドは、インフルエンザ血球凝集素由来の三量体化ドメイン、SARSスパイク由来の三量体化ドメイン、HIV gp41、NadA、修飾GCN4またはATCase由来の三量体化ドメインであり得る。
【0217】
一態様において、本発明は、本明細書に記載のように、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド、またはC末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを準備し、該ポリペプチドを切断してFおよびFサブユニットを生成させることにより作製される切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む組成物である。
【0218】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載のように、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む生物学的材料を準備し、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの単量体、非切断三量体、または非切断単量体と非切断三量体の組合せ(例えば、混合物もしくは動的平衡)を該生物学的材料から精製することにより作製される非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド三量体および/または単量体を含む組成物である。一部の実施形態では、RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、106〜109位付近と133〜136位付近に改変型フリン切断部位を含み、所望により、さらに改変型融合ペプチドを含んでいてもよい。他の実施形態では、RSV Fタンパク質のエクトドメインは、106〜109位付近と133〜136位付近に改変型フリン切断部位、および101位付近と161位付近との間に改変型トリプシン切断部位を含み、所望により、さらに改変型融合ペプチドを含んでいてもよい。
【0219】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載のように、C末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む生物学的材料を準備し、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの単量体、非切断三量体、または非切断単量体と非切断三量体の組合せ(例えば、混合物もしくは動的平衡)を該生物学的材料から精製することにより作製されるC末端側非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド三量体および/または単量体を含む組成物である。
【0220】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載のように、改変型融合ペプチド(例えば、融合ペプチドの少なくとも一部分が欠失している)を含む切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む生物学的材料を準備し、切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド三量体を該生物学的材料から精製することにより作製される切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む組成物である。
【0221】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載のように、改変型融合ペプチド(例えば、融合ペプチドの少なくとも一部分が欠失している)を含む非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む生物学的材料を準備し、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド単量体を該生物学的材料から精製することにより作製される非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む組成物である。
【0222】
本発明の組成物は、好ましくは、ヒトなどの哺乳動物被験体への投与に適したものであり、1つ以上の薬学的に許容され得るキャリアおよび/または賦形剤、例えば、アジュバントを含む。かかる成分の十分な論考は参考文献29において得られ得る。該組成物は、一般的に水性形態である。該組成物が免疫原性組成物である場合、ヒトなどの哺乳動物に投与すると免疫応答が誘起される。免疫原性組成物は、哺乳動物を免疫化するためのワクチン処方物を調製するために使用され得る。
【0223】
免疫原性組成物は、単一の活性な免疫原性因子を含むものであってもよく、いくつかの免疫原性因子を含むものであってもよい。例えば、RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、単一の形態(例えば、非切断単量体、切断単量体、非切断三量体、切断三量体、もしくは切断三量体のロゼット)または2つ以上の形態(例えば、非切断単量体と非切断三量体の混合物もしくは非切断単量体と非切断三量体との動的平衡)であり得る。また、該組成物は、RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドと、1つ以上の他のRSVタンパク質(例えば、Gタンパク質および/またはMタンパク質)を含むものであってもよく、および/または他の病原体由来の免疫原と合わせたものであってもよい。
【0224】
該組成物に、チオメルサールまたは2−フェノキシエタノールなどの保存料を含めてもよい。しかしながら、好ましくは、ワクチンは水銀系物質を実質的に含まない(すなわち、5μg未満/ml)ようにすべきである(例えば、チオメルサールを含まない)。水銀を含まない免疫原性組成物がより好ましい。保存料を含まない免疫原性組成物は特に好ましい。
【0225】
張度を制御するため、ナトリウム塩などの生理学的塩を含めることが好ましい。塩化ナトリウム(NaCl)が好ましく、1〜20mg/mlで存在させ得る。存在させ得る他の塩としては、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウム脱水物(dehydrate)、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどが挙げられる。
【0226】
該組成物は、一般的に、200mOsm/kg〜400mOsm/kg、好ましくは240〜360mOsm/kgの重量オスモル濃度を有し、より好ましくは、290〜310mOsm/kgの範囲に含まれる。
【0227】
該組成物は、1つ以上のバッファーを含むものであってもよい。典型的なバッファーとしては、リン酸バッファー;Trisバッファー;ホウ酸バッファー;コハク酸バッファー;ヒスチジンバッファー(特に、水酸化アルミニウムアジュバントと一緒に);またはクエン酸バッファーが挙げられる。バッファーは、典型的には5〜20mMの範囲で含める。該組成物のpHは、一般的に5.0〜8.1、より典型的には6.0〜8.0、例えば6.5〜7.5、または7.0〜7.8である。したがって、本発明の方法に、パッケージング前のバルクワクチンのpHを調整する工程を含めてもよい。
【0228】
該組成物は好ましくは滅菌されたものである。該組成物は、好ましくは非発熱性である(例えば、<1EU(エンドトキシン単位,標準的尺度)/用量、好ましくは<0.1EU/用量を含む)。該組成物は、好ましくはグルテンを含まない。ヒト用ワクチンは、典型的には約0.5mlの投薬容積で投与されるが、小児には半分の用量(すなわち、約0.25ml)で投与され得る。
【0229】
(アジュバント)
RSV−F ポリペプチド(peptid)またはRSV−F ポリペプチドをコードする核酸を含む本発明の組成物にはまた、該組成物を受ける患者において誘起される免疫応答(体液性および/または細胞性)を増強する機能を果たし得る1つ以上のアジュバント(例えば、2、3、4つまたはそれ以上のアジュバント)を含めてもよい。アジュバントとしては、TH1アジュバントおよび/またはTH2アジュバントが挙げられ得る。本発明の組成物に使用され得るアジュバントとしては、限定されないが、以下のものが挙げられる。
【0230】
・無機質含有組成物。本発明におけるアジュバントとしての使用に適した無機質含有組成物は、カルシウム塩およびアルミニウム塩(またはその混合物)などの無機塩類を含むものである。本発明は、無機塩類(例えば、水酸化物(例えば、オキシ水酸化物)、リン酸塩(例えば、ヒドロキシリン酸塩、オルトリン酸塩)、硫酸塩など)または異なる無機質化合物の混合物を含み、該化合物は任意の適当な形態(例えば、ゲル、結晶性、非晶質など)をとり、吸着が好ましい。カルシウム塩としては、リン酸カルシウム(例えば、参考文献38に開示された「CAP」粒子)が挙げられる。アルミニウム塩としては、水酸化物、リン酸塩、硫酸塩などが挙げられる。また、無機質含有組成物は、金属塩の粒子として処方されてもよい(39)。アルミニウム塩アジュバントは、以下に、より詳細に記載する。
【0231】
・油エマルジョン組成物(さらなる詳細は下記参照)。本発明におけるアジュバントとしての使用に適した油エマルジョン組成物としては、スクアレン−水エマルジョン、例えば、MF59(5%スクアレン、0.5%Tween 80および0.5%Span,マイクロフルイダイザーを用いてサブミクロン粒子に処方)が挙げられる。
【0232】
・サイトカイン誘発剤(さらなる詳細は下記参照)。本発明における使用に適したサイトカイン誘発剤としては、toll様受容体7(TLR7)アゴニスト(例えば、WO2009/111337に開示されたベンゾナフチリジン化合物)が挙げられる。
【0233】
・サポニン(参考文献74第22章)、これは、広範な植物種の樹皮、葉、茎、根、さらには花にも見られるステロールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドの異種群である。樹木Quillaia saponaria Molinaの樹皮由来のサポニンは、アジュバントとして広く研究されている。また、サポニンは、Smilax ornata(サルサパリラ)、Gypsophilla paniculata(ブライダルベール)、およびSaponaria officianalis(ソープルート)から市販品として入手することもできる。サポニンアジュバント処方物としては、精製処方物(QS21など)、ならびに脂質処方物(ISCOMなど)が挙げられる。QS21は、STIMULON(TM)として市販されている。サポニン組成物は、HPLCおよびRP−HPLCを用いて精製されたものである。このような手法が使用された具体的な精製画分は同定されている(例えば、QS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−BおよびQH−C)。好ましくは、サポニンはQS21である。QS21の作製方法は参考文献40に開示されている。また、サポニン処方物に、コレステロールなどのステロールを含めてもよい(41)。サポニンとコレステロールの組合せは、免疫賦活複合体(ISCOM)を呼ばれる特殊な粒子を形成するために使用され得る(参考文献74の第23章)。また、ISCOMには、典型的には、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリンなどのリン脂質も含まれる。任意の既知のサポニンがISCOMに使用され得る。好ましくは、ISCOMは、QuilA、QHAおよびQHCのうちの1つ以上を含むものである。ISCOMは、参考文献41〜43にさらに記載されている。任意選択で、ISCOMSは、さらなる洗浄剤を含まないものであり得る(44)。サポニンベースのアジュバントの開発の概説については参考文献45および46を見るとよい。
【0234】
・脂肪アジュバント(さらなる詳細は下記参照)、例えば、水中油型エマルジョン、腸内細菌リポ多糖から誘導した修飾型天然リピドA、リン脂質化合物(合成リン脂質二量体E6020など)など。
【0235】
・細菌ADP−リボシル化毒素(例えば、大腸菌熱不安定性エンテロトキシン「LT」、コレラ毒素「CT」、または百日咳毒素「PT」)ならびにその無毒化誘導体(LT−K63およびLT−R72として知られている変異型毒素(47)など)。無毒化ADP−リボシル化毒素の粘膜用アジュバントとしての使用は参考文献48に、非経口用アジュバントとしての使用は参考文献49に記載されている。
【0236】
・生体付着剤(bioadhesive)および粘膜付着剤(mucoadhesive)、例えば、エステル化ヒアルロン酸ミクロスフィア(50)またはキトサンおよびその誘導体(51)。
【0237】
・生分解性で非毒性の物質(例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトンなど)(ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)が好ましい)で形成されており、任意選択で、負電荷の表面を有するように処理されたか(例えば、SDSで)または正電荷の表面を有するように処理された(例えば、CTABなどのカチオン性洗浄剤で)微粒子(すなわち、約100nm〜約150μmの直径、より好ましくは約200nm〜約30μmの直径、または約500nm〜約10μmの直径の粒子)。
【0238】
・リポソーム(参考文献74の第13章および第14章)。アジュバントとしての使用に適したリポソーム処方物の例は、参考文献52〜54に記載されている。
【0239】
・ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステル(55)。かかる処方物は、さらに、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤とオクトキシノールの組合せ(56)ならびにポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはエステル界面活性剤と少なくとも1つのさらなる非イオン性界面活性剤(オクトキシノールなど)の組合せ(57)を含むものである。好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の群:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(ラウレス9)、ポリオキシエチレン−9−ステアリル(steoryl)エーテル、ポリオキシエチレン(theylene)−8−ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテルから選択される。
【0240】
・ムラミルペプチド、例えば、N−アセチルムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(「thr−MDP」)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDP)、N−アセチルグルコサミニル(glucsaminyl)−N−アセチルムラミル−L−Al−D−イソglu−L−Ala−ジパルミトキシプロピルアミド(「DTP−DPP」または「TheramideTM」)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(「MTP−PE」)。
【0241】
・第1のグラム陰性細菌から調製された外膜タンパク質プロテオソーム調製物と第2のグラム陰性細菌由来のリポ糖(liposaccharide)調製物の組合せ。ここで外膜タンパク質プロテオソームとリポ糖調製物は、安定な非共有結合性アジュバント複合体を形成する。かかる複合体としては、「IVX−908」(Neisseria meningitidisの外膜とリポ多糖で構成された複合体)が挙げられる。
【0242】
・ポリオキシドニウムポリマー(58,59)または他のN−酸化型ポリエチレン−ピペラジン誘導体。
【0243】
・メチルイノシン5’−一リン酸(「MIMP」)(60)。
【0244】
・ポリヒドロキシル化ピロリジジン化合物(61)、例えば、式:
【0245】
【化6】

(式中、Rは、水素、直鎖または分枝鎖の非置換または置換された飽和型または不飽和のアシル、アルキル(例えば、シクロアルキル)、アルケニル、アルキニルおよびアリール基を含む群から選択される)
を有するもの、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは誘導体。例としては、限定されないが、カスアリン、カスアリン−6−α−D−グルコピラノース、3−エピ−カスアリン、7−エピ−カスアリン、3,7−ジエピ−カスアリンなどが挙げられる。
【0246】
・CD1dリガンド、例えば、α−グリコシルセラミド(62〜69)(例えば、α−ガラクトシルセラミド)、フィトスフィンゴシン含有α−グリコシルセラミド、OCH、KRN7000[(2S,3S,4R)−1−O−(α−D−ガラクトピラノシル)−2−(N−ヘキサコサノイルアミノ)−1,3,4−オクタデカントリオール]、CRONY−101、3”−O−スルホ−ガラクトシルセラミドなど。
【0247】
・γイヌリン(70)またはその誘導体、例えば、アルガンムリン(algammulin)。
【0248】
・ビロソームおよびウイルス様粒子(VLP)。これらの構造物は、一般的に、ウイルス由来の1つ以上のタンパク質を含む(任意選択で、リン脂質と組合せられるかまたは処方される)。これらは、一般的に、非病原性および非複製性であり、一般的に、天然ウイルスゲノムを全く含まない。該ウイルスタンパク質は、組換え産生させたものであってもよく、完全なウイルスから単離したものであってもよい。ビロソームまたはVLPにおける使用に適したこのようなウイルスタンパク質としては、インフルエンザウイルス(HAまたはNAなど)、B型肝炎ウイルス(コアまたはキャプシドタンパク質など)、E型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、シンドビスウイルス、ロタウイルス、口蹄疫ウイルス、レトロウイルス、ノーウォークウイルス、ヒトパピローマウイルス、HIV、RNA−ファージ、Qβ−ファージ(コートタンパク質など)、GA−ファージ、fr−ファージ、AP205ファージ、およびTy(レトロトランスポゾンTyタンパク質p1など)由来のタンパク質が挙げられる。
【0249】
これらおよび他のアジュバント活性物質は参考文献74および75に、より詳細に論考されている。
【0250】
組成物は、2、3、4つまたはそれ以上のアジュバントを含むものであってもよい。例えば、本発明の組成物は、好都合には、水中油型エマルジョンとサイトカイン誘発剤の両方、もしくは無機質含有組成物とサイトカイン誘発剤の両方、もしくは2つの水中油型エマルジョンアジュバント、もしくは2つのベンゾナフチリジン化合物などを含むものであり得る。
【0251】
組成物中の抗原およびアジュバントは、典型的には混合された状態である。
【0252】
(油エマルジョンアジュバント)
本発明におけるアジュバントとしての使用に適した油エマルジョン組成物としては、スクアレン−水エマルジョン、例えば、MF59(5%スクアレン、0.5%Tween 80、および0.5%Span 85、マイクロフルイダイザーを用いてサブミクロン粒子に処方)が挙げられる。また、完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)も使用され得る。
【0253】
種々の水中油型エマルジョンが知られており、これらは、典型的には少なくとも1つの油と少なくとも1つの界面活性剤を含み、油(1つまたは複数)および界面活性剤(1つまたは複数)は生分解性(代謝可能)で生体適合性である。該エマルジョン中の油滴は、一般的に5μm未満の直径であり、さらにはサブミクロン直径を有するものであってもよく、このような小サイズはマイクロフルイダイザーによって達成され、安定なエマルジョンが得られる。220nm未満のサイズを有する液滴は、濾過滅菌に供することができるため好ましい。
【0254】
本発明は、動物(例えば、魚)由来または植物供給源のものなどの油とともに使用され得る。植物油の供給源としては堅果、種子および穀類が挙げられる。ピーナッツ油、ダイズ油、ココナッツ油およびオリーブ油は、最も一般的に入手可能であり、堅果油の例示である。例えば、ホホバ豆から得られるホホバ油も使用され得る。種子油としては、ベニバナ油、綿実油、ヒマワリ種子油、ゴマ種子油などが挙げられる。穀類の群では、コーン油が最も容易に入手可能であるが、他の穀粒(例えば、コムギ、オートムギ、ライムギ、コメ、テフ、ライコムギなど)の油も使用され得る。グリセロールおよび1,2−プロパンジオールの炭素数6〜10の脂肪酸エステルは、種子油に天然に存在するものではないが、堅果油および種子油から出発する適切な物質の加水分解、分離およびエステル化によって調製され得る。哺乳動物の乳汁由来の脂肪および油は代謝可能であり、したがって、本発明の実施において使用され得る。分離、精製、ケン化および動物供給源から純粋な油を得るのに必要な他の手段のための手順は当該技術分野でよく知られている。ほとんどの魚は代謝可能な油を含んでおり、これは容易に収集され得る。例えば、タラ肝油、サメ肝油およびクジラ油(鯨ろうなど)は、本明細書において使用され得るいくつかの魚油の例示である。いくつかの分枝鎖の油は、炭素数5のイソプレン単位で生化学的に合成され、一般的にテルペノイドと称される。サメ肝油は、スクアレンとして知られている分枝型の不飽和テルペノイド、2,6,10,15,19,23−ヘキサメチル−2,6,10,14,18,22−テトラコサヘキサエンを含み、これは本明細書において特に好ましい。また、スクアラン(スクアレンの飽和型類似体)も好ましい油である。魚油(スクアレンおよびスクアランを含む)は、市販の供給元から容易に入手可能であるか、または当該技術分野で知られた方法によって得られ得る。他の好ましい油はトコフェロールである(下記参照)。油の混合物を使用してもよい。
【0255】
界面活性剤は、その「HLB」(親水性/親油性バランス)によって分類され得る。本発明の好ましい界面活性剤は、少なくとも10、好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも16のHLBを有するものである。本発明は、界面活性剤、例えば限定されないが:ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(一般的に、Tweenと称される)、特に、ポリソルベート20およびポリソルベート80;エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)および/またはブチレンオキシド(BO)のコポリマー(DOWFAX(TM)商標名で販売、線状EO/POブロックコポリマーなど);オクトキシノール(これは、反復エトキシ(オキシ−1,2−エタンジイル)基の数が種々であり得、オクトキシノール−9(Triton X−100、またはt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)が特に重要である);(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA−630/NP−40);リン脂質(ホスファチジルコリン(レシチン)など);ノニルフェノールエトキシラート(TERGITOL(TM)NPシリーズなど);ラウリル、セチル、ステアリルおよびオレイルアルコールから誘導されるポリオキシエチレン脂肪エーテル(Brij界面活性剤として知られている)(トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(Brij 30)など);ならびにソルビタンエステル(一般的に、SPANとして知られている)、例えば、ソルビタントリオレエート(Span 85)およびソルビタンモノラウレートとともに使用され得る。非イオン性界面活性剤が好ましい。該エマルジョンに含めるのに好ましい界面活性剤は、TWEEN 80(TM)(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、Span 85(ソルビタントリオレエート)、レシチンおよびTriton X−100である。
【0256】
界面活性剤の混合物(例えば、TWEEN 80(TM)/Span 85の混合物)を使用してもよい。ポリオキシエチレンソルビタンエステル(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(TWEEN 80(TM))など)とオクトキシノール(t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Triton X−100)など)の組合せも好適である。別の有用な組合せは、ラウレス9+ポリオキシエチレンソルビタンエステルおよび/またはオクトキシノールを含む。
【0257】
界面活性剤の好ましい量(重量%)は、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(TWEEN 80(TM)など)では0.01〜1%、特に、約0.1%;オクチル−またはノニルフェノキシポリオキシエタノール(Triton X−100など、またはTritonシリーズの他の洗浄剤)では0.001〜0.1%、特に、0.005〜0.02%;ポリオキシエチレンエーテル(ラウレス9など)では0.1〜20%、好ましくは0.1〜10%、特に、0.1〜1%または約0.5%である。
【0258】
本発明で有用な具体的な水中油型エマルジョンアジュバントとしては、限定されないが、以下のものが挙げられる。
【0259】
・スクアレン、TWEEN 80(TM)およびSpan 85のサブミクロンエマルジョン。該エマルジョンの組成(容積で)は、約5%スクアレン、約0.5%ポリソルベート80および約0.5%Span 85であり得る。重量の観点では、この比率は、4.3%スクアレン、0.5%ポリソルベート80および0.48%Span 85となる。このアジュバントは「MF59」として知られており(71〜73)、参考文献74の第10章および参考文献75の第12章に、より詳細に記載されている。MF59エマルジョンは、好都合には、クエン酸イオン(例えば、10mMクエン酸ナトリウムバッファー)を含む。
【0260】
・スクアレン、トコフェロールおよびTWEEN 80(TM)のエマルジョン。該エマルジョンにリン酸緩衝生理食塩水を含めてもよい。また、Span 85(例えば、1%で)および/またはレシチンを含めてもよい。このエマルジョンは、2〜10%のスクアレン、2〜10%のトコフェロールおよび0.3〜3%のTWEEN 80(TM)を有するものであり得、スクアレン:トコフェロールの重量比は好ましくは<1である(この比率で、より安定なエマルジョンが得られるため)。スクアレンとTWEEN 80(TM)は約5:2の容積比で存在させ得る。かかるエマルジョンの一例は、TWEEN 80(TM)をPBSに溶解させて2%溶液を得、次いで、90mlのこの溶液を(5gのDL−α−トコフェロールと5mlのスクアレン)の混合物と混合し、次いで、この混合物をマイクロフルイダイズすることにより作製されるものであり得る。得られるエマルジョンは、サブミクロン油滴(例えば、100〜250nm、好ましくは約180nmの平均直径)を有するものであり得る。
【0261】
・スクアレン、トコフェロールおよびTriton洗浄剤(例えば、Triton X−100)のエマルジョン。また、該エマルジョンに3d−MPL(下記参照)を含めてもよい。該エマルジョンにリン酸バッファーを含めてもよい。
【0262】
・ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)、Triton洗浄剤(例えば、Triton X−100)およびトコフェロール(例えば、α−トコフェロールスクシネート)を含むエマルジョン。該エマルジョンは、これらの3成分を約75:11:10の質量比で含むものであり得(例えば、750μg/mlのポリソルベート80、110μg/mlのTriton X−100および100μg/mlのα−トコフェロールスクシネート)、これらの濃度は、抗原に由来する該成分の任意の寄与を含むはずである。また、該エマルジョンにスクアレンを含めてもよい。また、該エマルジョンに3d−MPL(下記参照)を含めてもよい。水相はリン酸バッファーを含むものであり得る。
【0263】
・スクアラン、ポリソルベート80およびポロキサマー401(「PLURONIC(TM)L121」)のエマルジョン。該エマルジョンは、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中で処方されたものであり得る。このエマルジョンは、ムラミルジペプチドのための有用な送達ビヒクルであり、「SAF−I」アジュバント(76)(0.05〜1%のThr−MDP、5%のスクアラン、2.5%のプルロニックL121および0.2%ポリソルベート80)においてトレオニル−MDPとともに使用されている。また、該エマルジョンは、「AF」アジュバント(77)(5%のスクアラン、1.25%のプルロニックL121および0.2%ポリソルベート80)の場合のように、Thr−MDPなしで使用してもよい。マイクロフルイダイゼーションが好ましい。
【0264】
・スクアレン、水性溶媒、ポリオキシエチレンアルキルエーテル親水性非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン(12)セトステアリルエーテル)および疎水性非イオン性界面活性剤(例えば、ソルビタンエステルまたはマンニドエステル(ソルビタンモノオレエート(monoleate)または「Span 80」など))を含むエマルジョン。該エマルジョンは、好ましくは熱可逆性であり、および/または少なくとも90%(容積で)が200nm未満のサイズを有する油滴を有するものである。また、該エマルジョンに、アルジトール;凍結防止剤(例えば、ドデシルマルトシドおよび/またはスクロースなどの糖類);および/またはアルキルポリグリコシドのうちの1つ以上を含めてもよい。かかるエマルジョンは凍結乾燥させたものであってもよい。
【0265】
・0.5〜50%の油、0.1〜10%のリン脂質、および0.05〜5%の非イオン性界面活性剤を有するエマルジョン。参考文献78に記載のように、好ましいリン脂質成分は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、スフィンゴミエリンおよびカルジオリピンである。サブミクロン液滴サイズが好都合である。
【0266】
・代謝可能ではない油(軽油など)と少なくとも1つの界面活性剤(レシチン、TWEEN 80(TM)またはSpan 80など)のサブミクロン水中油型エマルジョン。添加剤を含めてもよい(QuilAサポニン、コレステロール、サポニン−親油性物質結合体(参考文献79に記載された、脂肪族アミンをデスアシルサポニンにグルクロン酸のカルボキシル基を介して付加することによって作製されるGPI−0100など)、ジメチル(dimethyi)ジオクタデシルアンモニウムブロミドおよび/またはN,N−ジオクタデシル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミンなど)。
【0267】
・鉱油、非イオン性の親油性エトキシル化脂肪アルコール、および非イオン性の親水性界面活性剤(例えば、エトキシル化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)を含むエマルジョン。
【0268】
・鉱油、非イオン性の親水性エトキシル化脂肪アルコール、および非イオン性の親油性界面活性剤(例えば、エトキシル化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)を含むエマルジョン。
【0269】
・サポニン(例えば、QuilAまたはQS21)とステロール(例えば、コレステロール)がらせん状ミセルとして会合しているエマルジョン(80)。
【0270】
該エマルジョンは、送達時に抗原と即席で混合され得る。したがって、アジュバントと抗原は、パッケージングまたは分配されたワクチンにおいて別々に維持され、使用時に最終処方物とするように準備されたものであり得る。抗原は、一般的に、2つの液体を混合することによって最終的にワクチンが調製されるように水性形態である。混合する2つの液体の容積比は種々であり得る(例えば、5:1〜1:5)が、一般的には約1:1である。
【0271】
(サイトカイン誘発剤)
本発明の組成物に含めるためのサイトカイン誘発剤は、患者に投与されると、免疫機構によるサイトカイン(例えば、インターフェロンおよびインターロイキン)の放出を誘起させることができるものである。好ましい薬剤は、インターフェロン−γ;インターロイキン−1;インターロイキン−2;インターロイキン−12;TNF−α;TNF−β;およびGM−CSFの1つ以上の放出を誘起し得るものである。好ましい薬剤は、Th1−型免疫応答に関連するサイトカイン、例えば、インターフェロン−γ、TNF−α、インターロイキン−2の放出を誘起するものである。インターフェロン−γとインターロイキン−2の両方の刺激が好ましい。
【0272】
したがって、本発明の組成物を受ける結果、患者は、RSV Fタンパク質で刺激されると所望のサイトカイン(1つまたは複数)を抗原特異的様式で放出するT細胞を有することになる。例えば、該患者の血液から精製したT細胞は、インビトロでFタンパク質に曝露するとγ−インターフェロンを放出する。末梢血単核細胞(PBMC)においてかかる応答を測定するための方法が当該技術分野で知られており、ELISA、ELISPOT、フローサイトメトリーおよびリアルタイムPCRが挙げられる。例えば、参考文献81には、破傷風トキソイドに対する抗原特異的T細胞媒介性免疫応答(具体的には、γ−インターフェロン応答)をモニタリングする試験が報告されており、抗原特異的TT誘発性応答を自発的応答と識別するにはELISPOTが最も感度のよい方法であるが、再刺激効果を検出するには、フローサイトメトリーによる細胞質内サイトカインの検出が、最も効率的な方法であることが見い出されている。
【0273】
好適なサイトカイン誘発剤としては、限定されないが、以下のものが挙げられる。
【0274】
・免疫賦活性オリゴヌクレオチド、例えば、CpGモチーフ(リン酸結合によってグアノシンに連結された非メチル化シトシンを含むジヌクレオチド配列)を含むもの、または二本鎖RNA、またはパリンドローム配列を含むオリゴヌクレオチド、またはポリ(dG)配列を含むオリゴヌクレオチド。
【0275】
・3−O−脱アシル化モノホスホリルリピドA(「3dMPL」,「MPL(TM)」としても知られている)(82〜85)。
【0276】
・イミダゾキノリン化合物、例えば、IMIQUIMOD(TM)(「R−837」)(86,87)、RESIQUIMOD(TM)(「R−848」)(88)、およびその類似体;ならびにその塩(例えば、塩酸塩)。免疫賦活性イミダゾキノリンに関するさらなる詳細は、参考文献89〜93を見るとよい。
【0277】
・ベンゾナフチリジン化合物、例えば:(a)式:
【0278】
【化7】

を有する化合物(式中:
は、H、ハロゲン、−C(O)OR、−C(O)R、−C(O)N(R1112)、−N(R1112)、−N(R、−NHN(R、−SR、−(CHOR、−(CH、−LR、−LR10、−OLR、−OLR10、C〜Cアルキル、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケン、C〜Cアルキン、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C〜Cシクロアルキル、およびC〜Cヘテロシクロアルキルから選択され、ここで、RのC〜Cアルキル、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケン、C〜Cアルキン、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C〜Cシクロアルキル、およびC〜Cヘテロシクロアルキル基は各々、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−R、−OR、−C(O)R、−OC(O)R、−C(O)OR、−N(R、−P(O)(OR、−OP(O)(OR、−P(O)(OR10、−OP(O)(OR10、−C(O)N(R、−S(O)、−S(O)R、−S(O)N(R、および−NRS(O)から選択される1〜3個の置換基で任意選択的に置換されており;
各Lは、独立して、結合、−(O(CH−、C〜Cアルキル、C〜CアルケニレンおよびC〜Cアルキニレンから選択され、ここで、LのC〜Cアルキル、C〜CアルケニレンおよびC〜Cアルキニレンは各々、独立して、ハロゲン、−R、−OR、−N(R、−P(O)(OR、−OP(O)(OR、−P(O)(OR10、および−OP(O)(OR10から選択される1〜4個の置換基で任意選択的に置換されており;
は、H、C〜Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケン、C〜Cアルキン、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、およびC〜Cヘテロシクロアルキルから選択され、ここで、RのC〜Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケン、C〜Cアルキン、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、およびC〜Cヘテロシクロアルキル基は各々、1〜3個のR13基で任意選択的に置換されており;
各Rは、独立して、H、−CH(R10、C〜Cアルキル、C〜Cアルケン、C〜Cアルキン、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキル、C〜CヒドロキシアルキルおよびC〜Cハロアルコキシから選択され、ここで、RのC〜Cアルキル、C〜Cアルケン、C〜Cアルキン、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキル、C〜CヒドロキシアルキルおよびC〜Cハロアルコキシ基は各々、独立して、−CN、R11、−OR11、−SR11、−C(O)R11、−OC(O)R11、−C(O)N(R、−C(O)OR11、−NRC(O)R11、−NR10、−NR1112、−N(R、−OR、−OR10、−C(O)NR1112、−C(O)NR11OH、−S(O)11、−S(O)R11、−S(O)NR1112、−NR11S(O)11、−P(O)(OR11、および−OP(O)(OR11から選択される1〜3個の置換基で任意選択的に置換されており;
各Rは、独立して、H、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)R10、−C(O)OR10、−S(O)10、−C〜Cアルキル、C〜CヘテロアルキルおよびC〜Cシクロアルキルから選択されるか、または各Rは、独立して、結合しているNと一緒にC〜Cヘテロシクロアルキルを形成するC〜Cアルキルであり、該C〜Cヘテロシクロアルキル環は、任意選択で、N、OおよびSから選択されるさらなるヘテロ原子を含み、ここで、RのC〜Cアルキル、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cシクロアルキル、またはC〜Cヘテロシクロアルキル基は各々、独立して、−CN、R11、−OR11、−SR11、−C(O)R11、−OC(O)R11、−C(O)OR11、−NR1112、−C(O)NR1112、−C(O)NR11OH、−S(O)11、−S(O)R11、−S(O)NR1112、−NR11S(O)11、−P(O)(OR11、および−OP(O)(OR11から選択される1〜3個の置換基で任意選択的に置換されており;
各R10は、独立して、アリール、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールから選択され、該アリール、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリール基は、ハロゲン、−R、−OR、−LR、−LOR、−N(R、−NRC(O)R、−NRCO、−CO、−C(O)Rおよび−C(O)N(Rから選択される1〜3個の置換基で任意選択的に置換されており;
11とR12は、独立して、H、C〜Cアルキル、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C〜Cシクロアルキル、およびC〜Cヘテロシクロアルキルから選択され、ここで、R11とR12のC〜Cアルキル、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C〜Cシクロアルキル、およびC〜Cヘテロシクロアルキル基は各々、独立して、ハロゲン、−CN、R、−OR、−C(O)R、−OC(O)R、−C(O)OR、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、−C(O)N(R、C〜Cヘテロシクロアルキル、−S(O)、−S(O)N(R、−NRS(O)、C〜CハロアルキルおよびC〜Cハロアルコキシから選択される1〜3個の置換基で任意選択的に置換されているか;
あるいは、R11とR12は各々、独立して、C〜Cアルキルであり、これらが結合しているN原子と一緒になって、任意選択でN、OおよびSから選択されるさらなるヘテロ原子を含む任意選択的に置換されたC〜Cヘテロシクロアルキル環を形成しており;
各R13は、独立して、ハロゲン、−CN、−LR、−LOR、−OLR、−LR10、−LOR10、−OLR10、−LR、−LOR、−OLR、−LSR、−LSR10、−LC(O)R、−OLC(O)R、−LC(O)OR、−LC(O)R10、−LOC(O)OR、−LC(O)NR11、−LC(O)NR、−LN(R、−LNR、−LNR10、−LC(O)N(R、−LS(O)、−LS(O)R、−LC(O)NROH、−LNRC(O)R、−LNRC(O)OR、−LS(O)N(R、−OLS(O)N(R、−LNRS(O)、−LC(O)NRLN(R、−LP(O)(OR、−LOP(O)(OR、−LP(O)(OR10および−OLP(O)(OR10から選択され;
各Rは、独立して、−R、−R、−OR、−OR、−R10、−OR10、−SR、−NO、−CN、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(S)R、−NRC(O)N(R、−NRC(S)N(R、−NRCO、−NRNRC(O)R、−NRNRC(O)N(R、−NRNRCO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−CO、−(CHCO、−C(O)R、−C(S)R、−C(O)N(R、−C(S)N(R、−OC(O)N(R、−OC(O)R、−C(O)N(OR)R、−C(NOR)R、−S(O)、−S(O)、−SON(R、−S(O)R、−NRSON(R、−NRSO、−P(O)(OR、−OP(O)(OR、−P(O)(OR10、−OP(O)(OR10、−N(OR)R、−CH=CHCO、−C(=NH)−N(R、および−(CHNHC(O)Rから選択されるか;あるいは環A上の2つの隣接するR置換基が、2個までのヘテロ原子を環構成員として含む5〜6員環を形成しており;
nは、各出現において独立して、0、1、2、3、4、5、6、7または8であり;
各mは、独立して、1、2、3、4、5および6から選択され、
tは、1、2、3、4、5、6、7または8である);(b)式:
【0279】
【化8】

を有する化合物(式中:
は、H、ハロゲン、−C(O)OR、−C(O)R、−C(O)N(R1112)、−N(R1112)、−N(R、−NHN(R、−SR、−(CHOR、−(CH、−LR、−LR10、−OLR、−OLR10、C〜Cアルキル、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケン、C〜Cアルキン、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C〜Cシクロアルキル、およびC〜Cヘテロシクロアルキルから選択され、ここで、RのC〜Cアルキル、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケン、C〜Cアルキン、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C〜Cシクロアルキル、およびC〜Cヘテロシクロアルキル基は各々、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−R、−OR、−C(O)R、−OC(O)R、−C(O)OR、−N(R、−P(O)(OR、−OP(O)(OR、−P(O)(OR10、−OP(O)(OR10、−C(O)N(R、−S(O)、−S(O)R、−S(O)N(R、および−NRS(O)から選択される1〜3個の置換基で任意選択的に置換されており;
各Lは、独立して、結合、−(O(CH−、C〜Cアルキル、C〜CアルケニレンおよびC〜Cアルキニレンから選択され、ここで、LのC〜Cアルキル、C〜CアルケニレンおよびC〜Cアルキニレンは各々、独立して、ハロゲン、−R、−OR、−N(R、−P(O)(OR、−OP(O)(OR、−P(O)(OR10、および−OP(O)(OR10から選択される1〜4個の置換基で任意選択的に置換されており;
は、H、C〜Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケン、C〜Cアルキン、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、およびC〜Cヘテロシクロアルキルから選択され、ここで、RのC〜Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケン、C〜Cアルキン、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、およびC〜Cヘテロシクロアルキル基は各々、1〜3個のR13基で任意選択的に置換されており;
各Rは、独立して、H、−CH(R10、C〜Cアルキル、C〜Cアルケン、C〜Cアルキン、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキル、C〜CヒドロキシアルキルおよびC〜Cハロアルコキシから選択され、ここで、RのC〜Cアルキル、C〜Cアルケン、C〜Cアルキン、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキル、C〜CヒドロキシアルキルおよびC〜Cハロアルコキシ基は各々、独立して、−CN、R11、−OR11、−SR11、−C(O)R11、−OC(O)R11、−C(O)N(R、−C(O)OR11、−NRC(O)R11、−NR10、−NR1112、−N(R、−OR、−OR10、−C(O)NR1112、−C(O)NR11OH、−S(O)11、−S(O)R11、−S(O)NR1112、−NR11S(O)11、−P(O)(OR11、および−OP(O)(OR11から選択される1〜3個の置換基で任意選択的に置換されており;
各Rは、独立して、H、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)R10、−C(O)OR10、−S(O)10、−C〜Cアルキル、C〜CヘテロアルキルおよびC〜Cシクロアルキルから選択されるか、または各Rは、独立して、結合しているNと一緒にC〜Cヘテロシクロアルキルを形成するC〜Cアルキルであり、該C〜Cヘテロシクロアルキル環は、任意選択で、N、OおよびSから選択されるさらなるヘテロ原子を含み、ここで、RのC〜Cアルキル、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cシクロアルキル、またはC〜Cヘテロシクロアルキル基は各々、独立して、−CN、R11、−OR11、−SR11、−C(O)R11、−OC(O)R11、−C(O)OR11
−NR1112、−C(O)NR1112、−C(O)NR11OH、−S(O)11、−S(O)R11、−S(O)NR1112、−NR11S(O)11、−P(O)(OR11、および−OP(O)(OR11から選択される1〜3個の置換基で任意選択的に置換されており;
各R10は、独立して、アリール、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールから選択され、該アリール、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリール基は、ハロゲン、−R、−OR、−LR、−LOR、−N(R、−NRC(O)R、−NRCO、−CO、−C(O)Rおよび−C(O)N(Rから選択される1〜3個の置換基で任意選択的に置換されており;
11とR12は、独立して、H、C〜Cアルキル、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C〜Cシクロアルキル、およびC〜Cヘテロシクロアルキルから選択され、ここで、R11とR12のC〜Cアルキル、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C〜Cシクロアルキル、およびC〜Cヘテロシクロアルキル基は各々、独立して、ハロゲン、−CN、R、−OR、−C(O)R、−OC(O)R、−C(O)OR、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、−C(O)N(R、C〜Cヘテロシクロアルキル、−S(O)、−S(O)N(R、−NRS(O)、C〜CハロアルキルおよびC〜Cハロアルコキシから選択される1〜3個の置換基で任意選択的に置換されているか;
あるいは、R11とR12は各々、独立して、C〜Cアルキルであり、これらが結合しているN原子と一緒になって、任意選択でN、OおよびSから選択されるさらなるヘテロ原子を含む任意選択的に置換されたC〜Cヘテロシクロアルキル環を形成しており;
各R13は、独立して、ハロゲン、−CN、−LR、−LOR、−OLR、−LR10、−LOR10、−OLR10、−LR、−LOR、−OLR、−LSR、−LSR10、−LC(O)R、−OLC(O)R、−LC(O)OR、−LC(O)R10、−LOC(O)OR、−LC(O)NR11、−LC(O)NR、−LN(R、−LNR、−LNR10、−LC(O)N(R、−LS(O)、−LS(O)R、−LC(O)NROH、−LNRC(O)R、−LNRC(O)OR、LS(O)N(R、−OLS(O)N(R、−LNRS(O)、−LC(O)NRLN(R、−LP(O)(OR、−LOP(O)(OR、−LP(O)(OR10および−OLP(O)(OR10から選択され;
各Rは、独立して、−R、−R、−OR、−OR、−R10、−OR10、−SR、−NO、−CN、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(S)R、−NRC(O)N(R、−NRC(S)N(R、−NRCO、−NRNRC(O)R、−NRNRC(O)N(R、−NRNRCO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−CO、−(CHCO、−C(O)R、−C(S)R、−C(O)N(R、−C(S)N(R、−OC(O)N(R、−OC(O)R、−C(O)N(OR)R、−C(NOR)R、−S(O)、−S(O)、−SON(R、−S(O)R、−NRSON(R、−NRSO、−P(O)(OR、−OP(O)(OR、−P(O)(OR10、−OP(O)(OR10、−N(OR)R、−CH=CHCO、−C(=NH)−N(R、および−(CHNHC(O)Rから選択され;
nは、各出現において独立して、0、1、2、3、4、5、6、7または8であり;
各mは、独立して、1、2、3、4、5および6から選択され、
tは、1、2、3、4、5、6、7または8である);または(c)任意の(a)もしくは(b)の薬学的に許容され得る塩。他のベンゾナフチリジン化合物およびベンゾナフチリジン化合物の作製方法は、WO2009/111337に記載されている。ベンゾナフチリジン化合物またはその塩は、単独で、または1つ以上のさらなる化合物と組み合わせて使用され得る。例えば、ベンゾナフチリジン化合物は、水中油型エマルジョンまたは無機質含有組成物と組み合わせて使用され得る。具体的な一実施形態では、ベンゾナフチリジン化合物は、水中油型エマルジョン(例えば、MF59などのスクアレン−水エマルジョン)または無機質含有組成物(例えば、アルミニウム塩もしくはカルシウム塩などの無機塩(sald))と組み合わせて使用される。
【0280】
・チオセミカルバゾン化合物(参考文献94に開示されたものなど)。また、活性化合物の処方、製造およびスクリーニングの方法が参考文献94に記載されている。チオセミカルバゾンは、TNF−αなどのサイトカインの産生のためのヒト末梢血単核細胞の刺激に特に有効である。
【0281】
・トリプタントリン化合物(参考文献95に開示されたものなど)。また、活性化合物の処方、製造およびスクリーニングの方法が参考文献95に記載されている。チオセミカルバゾンは、TNF−αなどのサイトカインの産生のためのヒト末梢血単核細胞の刺激に特に有効である。
【0282】
・ヌクレオシド類似体、例えば:(a)イサトラビン(ANA−245;7−チア−8−オキソグアノシン):
【0283】
【化9】

およびそのプロドラッグ;(b)ANA975;(c)ANA−025−1;(d)ANA380;(e)参考文献96〜98に開示された化合物;(f)式:
【0284】
【化10】

を有する化合物(式中:
とRは各々、独立して、H、ハロ、−NR、−OH、C1〜6アルコキシ、置換C1〜6アルコキシ、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、C6〜10アリール、置換C6〜10アリール、C1〜6アルキル、または置換C1〜6アルキルであり;
は、非存在、H、C1〜6アルキル、置換C1〜6アルキル、C6〜10アリール、置換C6〜10アリール、ヘテロシクリル、または置換ヘテロシクリルであり;
とRは各々、独立して、H、ハロ、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、−C(O)−R、C1〜6アルキル、置換C1〜6アルキルであるか、または一緒に結合して、R4−5のような5員環を形成しており:
【0285】
【化11】

結合は
【0286】
【数1】

で示す結合において行なわれ、
とXは各々、独立して、N、C、OまたはSであり;
は、H、ハロ、−OH、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−OH、−NR、−(CH−O−R、−O−(C1〜6アルキル)、−S(O)、または−C(O)−Rであり;
は、H、C1〜6アルキル、置換C1〜6アルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリルまたはR9aであり、ここで、R9aは:
【0287】
【化12】

であり、
結合は
【0288】
【数2】

で示す結合において行なわれ、
10とR11は各々、独立して、H、ハロ、C1〜6アルコキシ、置換C1〜6アルコキシ、−NR、または−OHであり;
とRは各々、独立して、H、C1〜6アルキル、置換C1〜6アルキル、−C(O)R、C6〜10アリールであり;
各Rは、独立して、H、ホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェート、C1〜6アルキル、または置換C1〜6アルキルであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C1〜6アルキル、置換C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、置換C1〜6アルコキシ、−NH、−NH(C1〜6アルキル)、−NH(置換C1〜6アルキル)、−N(C1〜6アルキル)、−N(置換C1〜6アルキル)、C6〜10アリール、またはヘテロシクリルであり;
各Rは、独立して、H、C1〜6アルキル、置換C1〜6アルキル、C6〜10アリール、置換C6〜10アリール、ヘテロシクリル、または置換ヘテロシクリルであり;
各Rは、独立して、H、C1〜6アルキル、置換C1〜6アルキル、−C(O)R、ホスフェート、ジホスフェート、またはトリホスフェートであり;
各nは、独立して、0、1、2または3であり;
各pは、独立して、0、1または2である);または(g)任意の(a)〜(f)の薬学的に許容され得る塩、任意の(a)〜(f)互変異性体、もしくは該互変異性体の薬学的に許容され得る塩。
【0289】
・ロキソリビン(7−アリル−8−オキソグアノシン)(99)。
【0290】
・参考文献100に開示された化合物、例えば:アシルピペラジン化合物、インドールジオン化合物、テトラヒドライソキノリン(THIQ)化合物、ベンゾシクロジオン化合物、アミノアザビニル化合物、アミノベンゾイミダゾールキノリノン(ABIQ)化合物(101,102)、ヒドラフタルアミド(hydrapthalamide)化合物、ベンゾフェノン化合物、イソオキサゾール化合物、ステロール化合物、キナジリノン化合物、ピロール化合物(103)、アントラキノン化合物、キノキサリン化合物、トリアジン化合物、ピラザロピリミジン化合物、およびベンゾアゾール化合物(104)。
【0291】
・参考文献105に開示された化合物。
【0292】
・リン酸アミノアルキルグルコサミニド誘導体、例えば、RC−529(106,107)。
【0293】
・ホスファゼン、例えば、参考文献108および109に記載のポリ[ジ(カルボキシラトフェノキシ)ホスファゼン](「PCPP」)など。
【0294】
・小分子免疫増強物質(SMIP)例えば:
N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
N2,N2−ジメチル−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
N2−エチル−N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−N2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
1−(2−メチルプロピル)−N2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミンN2−ブチル−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
N2−ブチル−N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−N2−ペンチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−N2−プロプ−2−エニル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
1−(2−メチルプロピル)−2−[(フェニルメチル)チオ]−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
1−(2−メチルプロピル)−2−(プロピルチオ)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
2−[[4−アミノ−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−イル](メチル)アミノ]エタノール
酢酸2−[[4−アミノ−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−イル](メチル)アミノ]エチル
4−アミノ−1−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−オン
N2−ブチル−1−(2−メチルプロピル)−N4,N4−ビス(フェニルメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
N2−ブチル−N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−N4,N4−ビス(フェニルメチル)−IH−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−N4,N4−ビス(フェニルメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
N2,N2−ジメチル−1−(2−メチルプロピル)−N4,N4−ビス(フェニルメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
1−[4−アミノ−2−[メチル(プロピル)アミノ]−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−2−メチルプロパン−2−オール
1−[4−アミノ−2−(プロピルアミノ)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−2−メチルプロパン−2−オール
N4,N4−ジベンジル−1−(2−メトキシ−2−メチルプロピル)−N2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン。
【0295】
本発明における使用のためのサイトカイン誘発剤は、Toll様受容体(TLR)のモデュレータおよび/またはアゴニストであり得る。例えば、該誘発剤は、ヒトTLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR7、TLR8および/またはTLR9タンパク質のうちの1つ以上のアゴニストであり得る。好ましい薬剤は、TLR4のアゴニスト(例えば、腸内細菌リポ多糖から誘導した修飾型天然リピドA、リン脂質化合物(合成リン脂質二量体E6020など))、TLR7のアゴニスト(例えば、ベンゾナフチリジン、イミダゾキノリン)および/またはTLR9のアゴニスト(例えば、CpGオリゴヌクレオチド)である。このような薬剤は先天性免疫経路の活性化に有用である。
【0296】
サイトカイン誘発剤は該組成物に、作製中の種々の段階で添加され得る。例えば、該誘発剤を抗原組成物中に存在させ、次いで、この混合物を水中油型エマルジョンに添加してもよい。代替法として、該誘発剤を水中油型エマルジョン中に存在させてもよく、この場合、該薬剤は、乳化前に該エマルジョン成分に添加され得るか、または乳化後に該エマルジョンに添加され得るかのいずれかである。同様に、該薬剤は該エマルジョンの液滴においてコアセルベート化してもよい。最終組成物中のサイトカイン誘発剤の位置および分布は、その親水性/親油性特性に依存し、例えば、該薬剤は、水相中、油相中および/または油と水の界面に存在し得る。
【0297】
サイトカイン誘発剤を別の薬剤(抗原(例えば、CRM197)など)に結合体化させてもよい。小分子のコンジュゲーション手法の一般的な概説は、参考文献110に示されている。代替法として、アジュバントをさらなる薬剤と、疎水性相互作用またはイオン性相互作用などによって非共有結合させてもよい。
【0298】
好ましいサイトカイン誘発剤は、(a)ベンゾナフチリジン化合物;(b)免疫賦活性オリゴヌクレオチドおよび(c)3dMPLである。
【0299】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート修飾体などのヌクレオチドの修飾体/類似体を含むものであり得、二本鎖であっても、一本鎖であってもよい(RNAを除く)。参考文献111、112および113に、可能な類似体置換(例えば、グアノシンの2’−デオキシ−7−デアザグアノシンでの置き換え)が開示されている。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は参考文献114〜119に、さらに論考されている。CpG配列は、TLR9(モチーフGTCGTTまたはTTCGTTなど)に指向され得る(120)。CpG配列は、Th1免疫応答の誘導に特異的なものであってもよく(CpG−A ODN(オリゴデオキシヌクレオチドなど))、B細胞応答の誘導に、より特異的なものであってもよい(CpG−B ODNなど)。CpG−AおよびCpG−B ODNは参考文献121〜123に論考されている。好ましくは、CpGはCpG−A ODNである。好ましくは、CpGオリゴヌクレオチドは、5’末端が受容体認識に利用可能となるように構築される。任意選択で、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列をその3’末端で結合し、「イムノマー(immunomer)」を形成してもよい。例えば、参考文献120および124〜126を参照のこと。有用なCpGアジュバントはCpG7909である(PROMUNE(TM)としても知られている(Coley Pharmaceutical Group,Inc.))。
【0300】
CpG配列の使用の代替法として、または該使用に加えてTpG配列が使用され得る(127)。このようなオリゴヌクレオチドは、非メチル化CpGモチーフを含まないものであり得る。
【0301】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドはピリミジンリッチであり得る。例えば、これは、1つより多くの連続するチミジンヌクレオチド(例えば、参考文献127に開示されているようなTTTT)を含むものであり得、および/または>25%チミジン(例えば、>35%、>40%、>50%、>60%、>80%など)のヌクレオチド組成を有するものであり得る。例えば、これは、1つより多くの連続するシトシンヌクレオチド(例えば、参考文献127に開示されているようなCCCC)を含むものであり得、および/または>25%シトシン(例えば、>35%、>40%、>50%、>60%、>80%など)のヌクレオチド組成を有するものであり得る。このようなオリゴヌクレオチドは、非メチル化CpGモチーフを含まないものであり得る。
【0302】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、典型的には、少なくとも20個のヌクレオチドを含むものである。該オリゴヌクレオチドは100個より少ないヌクレオチドを含むものであり得る。
【0303】
3dMPL(3 脱−O−アシル化モノホスホリルリピドAまたは3−O−デスアシル−4’−モノホスホリルリピドAとしても知られている)は、モノホスホリルリピドAの還元末端グルコサミンの3位が脱アシル化されているアジュバントである。3dMPLは、Salmonella minnesotaの無ヘプトース(heptoseless)変異型から調製されたものであり、リピドAと化学的に類似しているが、酸不安定性のホスホリル基と塩基不安定性のアシル基が欠損している。これは、単球/マクロファージ系統の細胞を活性化し、いくつかのサイトカイン(例えば、IL−1、IL−12、TNF−αおよびGM−CSF)の放出を刺激する(参考文献128も参照のこと)。3dMPLの調製は、最初に参考文献129で報告された。
【0304】
3dMPLは、アシル化が異なる(例えば、3、4、5または6個のアシル鎖(これらは異なる長さのものであってもよい)を有する)関連分子の混合物の形態となり得る。2つのグルコサミン(2−デオキシ−2−アミノ−グルコースとしても知られている)単糖は、その2位の炭素(すなわち、2位と2’位)でN−アシル化されており、また、3’位にもO−アシル化がみられる。炭素2に結合している基は、式−NH−CO−CH−CR1’を有する。炭素2’に結合している基は、式−NH−CO−CH−CR2’を有する。炭素3’に結合している基は、式−O−CO−CH−CR3’を有する。代表的な構造は:
【0305】
【化13】

である。
【0306】
基R、RおよびRは各々、独立して−(CH−CHである。nの値は、好ましくは8〜16、より好ましくは9〜12、最も好ましくは10である。
【0307】
基R1’、R2’およびR3’は各々、独立して、(a)−H;(b)−OH;または(c)−O−CO−Rであり得、ここで、Rは、−Hまたは−(CH−CHのいずれかであり、mの値は、好ましくは8〜16、より好ましくは10、12または14である。2位では、mは好ましくは14である。2’位では、mは好ましくは10である。3’位では、mは好ましくは12である。したがって、基R1’、R2’およびR3’は、好ましくは、ドデカン酸、テトラデカン酸またはヘキサデカン酸由来の−O−アシル基である。
【0308】
1’、R2’およびR3’がすべて−Hである場合、3dMPLは3個だけアシル鎖を有する(2位、2’位および3’位の各々に1つ)。R1’、R2’およびR3’のうち2つだけが−Hである場合、3dMPLは4個のアシル鎖を有し得る。R1’、R2’およびR3’のうち1つだけが−Hである場合、3dMPLは5個のアシル鎖を有し得る。R1’、R2’およびR3’のいずれも−Hではない場合、3dMPLは6個のアシル鎖を有し得る。本発明に従って使用される3dMPLアジュバントは、3〜6個のアシル鎖を有するこれらの形態の混合物であってもよいが、6個のアシル鎖を有する3dMPLを混合物中に含めることが好ましく、特に、該ヘキサアシル鎖形態が全3dMPLの少なくとも10重量%(例えば、>20%、>30%、>40%、>50%またはそれ以上)を構成することを確実にすることが好ましい。6個のアシル鎖を有する3dMPLは、最も活性な形態のアジュバントであることがわかっている。
【0309】
したがって、本発明の組成物に含めるための3dMPLの最も好ましい形態は、以下に示す式(IV)を有するものである。
【0310】
3dMPLを混合物の形態で使用する場合、本発明の組成物における3dMPLの量または濃度に対する言及は、該混合物中の3dMPL種を合わせたものをいう。
【0311】
水性条件では、3dMPLは、異なるサイズ、例えば、直径<150nmまたは>500nmを有するミセル状の凝集体または粒子を形成し得る。これらのいずれかまたは両方が本発明で使用され得、よりよい粒子が常套的なアッセイによって選択され得る。小粒子(例えば、3dMPLの透明な水性懸濁物が得られるのに十分小さい)は、活性が優れているため(130)本発明による使用に好ましい。好ましい粒子は、220nm未満、より好ましくは、200nm未満または150nm未満または120nm未満の平均直径を有するものであり、さらには100nm未満の平均直径を有するものであってもよい。しかしながら、ほとんどの場合、平均直径が50nmより小さいことはない。このような粒子は、濾過滅菌に適するのに十分小さい。粒子の直径は、平均粒子直径が示される常套的な動的光散乱手法によって評価され得る。粒子がx nmの直径を有するという場合、一般的に、この平均付近に粒子の分布がみられるが、粒子の少なくとも50%(個数で)(例えば、>60%、>70%、>80%、>90%またはそれ以上)はx+25%の範囲内の直径を有する。
【0312】
3dMPLは、好都合には、水中油型エマルジョンと組み合わせて使用され得る。実質的にすべての3dMPLが該エマルジョンの水相中に存在し得る。
【0313】
3dMPLは、単独で、または1つ以上のさらなる化合物と組み合わせて使用され得る。例えば、3dMPLは、QS21サポニン(131)(例えば、水中油型エマルジョン中で(132))、免疫賦活性オリゴヌクレオチド、QS21と免疫賦活性オリゴヌクレオチドの両方、リン酸アルミニウム(133)、水酸化アルミニウム(134)、またはリン酸アルミニウムと水酸化アルミニウムの両方と組み合わせて使用されることが知られている。
【0314】
【化14】

(脂肪アジュバント)
本発明で使用され得る脂肪アジュバントとしては、上記の水中油型エマルジョンが挙げられ、また、例えば、以下のものが挙げられる。
【0315】
・式I、IIもしくはIIIのリン脂質化合物またはその塩:
【0316】
【化15】

(参考文献135に、「ER 803058」、「ER 803732」、「ER 804053」、「ER 804058」、「ER 804059」、「ER 804442」、「ER 804680」、「ER 804764」、ER 803022または「ER 804057」、例えば:
【0317】
【化16】

などが規定されている)。ER804057はE6020とも称されている。式I、IIもしくはIIIのリン脂質化合物またはその塩は、単独で、または1つ以上のさらなる化合物と組み合わせて使用され得る。例えば、式I、IIもしくはIIIの化合物は、水中油型エマルジョンまたは無機質含有組成物と組み合わせて使用され得る。具体的な一実施形態では、E6020は、水中油型エマルジョン(例えば、MF59などのスクアレン−水エマルジョン)または無機質含有組成物(例えば、アルミニウム塩もしくはカルシウム塩などの無機塩)と組み合わせて使用される。
【0318】
・OM−174などの大腸菌由来のリピドAの誘導体(参考文献136および137に記載)。
【0319】
・カチオン性脂質と(通常、中性の)コリピド(co−lipid)の処方物、例えば、アミノプロピル−ジメチル−ミリストオレイルオキシ−プロパンアミニウムブロミド−ジフィタノイルホスファチジル−エタノールアミン(「VAXFECTIN(TM)」)またはアミノプロピル−ジメチル−ビス−ドデシルオキシ−プロパンアミニウムブロミド−ジオレオイルホスファチジル−エタノールアミン(「GAP−DLRIE:DOPE」)。(+)−N−(3−アミノプロピル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(syn−9−テトラデセネイルオキシ)−1−プロパンアミニウム塩を含む処方物が好ましい(138)。
【0320】
・3−O−脱アシル化モノホスホリルリピドA(上記参照)。
【0321】
・リン酸含有非環式主鎖に連結された脂質を含む化合物、例えば、TLR4アンタゴニストE5564:
【0322】
【化17】

(139,140)。
【0323】
・リポペプチド(すなわち、1つ以上の脂肪酸残基と2つ以上のアミノ酸残基を含む化合物)、例えば、グリセルシステインが基礎であるリポペプチド。かかるペプチドの具体例としては、下記の式:
【0324】
【化18】

の化合物が挙げられ、式中、RおよびRは各々、8〜30、好ましくは11〜21個の炭素原子(これも、酸素官能基で任意選択的に置換されている)を有する飽和または不飽和の脂肪族または脂肪族−脂環式混合型の炭化水素ラジカルを表し、Rは、水素またはラジカルR−CO−O−CH−(式中、Rは、上記のものと同じ意味を有する)を表し、Xは、ペプチド結合によって結合され、かつ遊離のエステル化またはアミド化されたカルボキシ基を有するアミノ酸、または末端カルボキシ基が遊離のエステル化もしくはアミド化された形態である2〜10個のアミノ酸のアミノ酸配列を表す。一部の特定の実施形態では、該アミノ酸配列は、D−アミノ酸、例えば、D−グルタミン酸(D−Glu)またはD−γ−カルボキシ−グルタミン酸(D−Gla)を含む。
【0325】
細菌リポペプチドは、一般的に、TLR6の関与を必要とすることなくTLR2を認識する(TLRは、協働的に機能を果たして種々の誘発因子の特異的認識をもたらし、TLR2+TLR6は一緒になってペプチドグリカンを認識するが、TLR2はTLR6なしでリポペプチドを認識する)。該リポペプチドは、場合によっては、天然リポペプチドと合成リポペプチドに分類される。合成リポペプチドは、類似した挙動を示す傾向にあり、主にTLR2によって認識される。
【0326】
アジュバントとしての使用に適したリポペプチドとしては、式:
【0327】
【化19】

を有する化合物が挙げられ、式中、を表示したキラル中心と***を表示したものは、ともにR配置であり;
**を表示したキラル中心は、R配置またはS配置のいずれかであり;
各R1aおよびR1bは、独立して、7〜21個の炭素原子を有し、酸素官能基で任意選択的に置換された脂肪族もしくは脂環式−脂肪族の炭化水素基であるか、またはR1aとR1bの一方(両方ではない)がHであり;
は、1〜21個の炭素原子を有し、酸素官能基で任意選択的に置換された脂肪族または脂環式の炭化水素基であり;
nは、0または1であり;
Asは、−O−Kw−CO−または−NH−Kw−CO−(式中、Kwは、1〜12個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基である)のいずれかを表し;
Asは、D−またはL−α−アミノ酸であり;
およびZは各々、独立して、−OHを表すか、あるいはアミノ−(低級アルカン)−スルホン酸のD−もしくはL−αアミノ酸、またはD−およびL−αアミノカルボン酸ならびにアミノ−低級アルキル−スルホン酸から選択される6個までのアミノ酸を有するペプチドのN末端ラジカルを表し;
は、Hまたは−CO−Zであり、ここで、Zは、−OHであるか、あるいは、アミノ−(低級アルカン)−スルホン酸のD−もしくはL−αアミノ酸、またはD−およびL−αアミノカルボン酸ならびにアミノ−低級アルキル−スルホン酸から選択される6個までのアミノ酸を有するペプチドのN末端ラジカル;またはかかる化合物のカルボン酸から形成されるエステルもしくはアミドであり、好適なアミドとしては、−NHおよびNH(低級アルキル)が挙げられ、適当なエステルとしては、C1−C4アルキルエステルが挙げられる(低級アルキルまたは低級アルカンは、本明細書で用いる場合、C〜C直鎖または分枝鎖アルキルをいう)。
【0328】
かかる化合物はUS4,666,886に、より詳細に記載されている。具体的な一実施形態では、該リポペプチドは、式:
【0329】
【化20】

を有する。
【0330】
リポペプチド種の別の例は、LP40と称されるものであり、TLR2のアゴニストである。Akdisら,Eur.J.Immunology,33:2717−26(2003)。
【0331】
これは、ムレインリポタンパク質と称される大腸菌由来の既知の類型のリポペプチドに関連している。ムレインリポペプチド(lipopetide)と称される該タンパク質の一部の特定の部分分解生成物が、Hantkeら,Eur.J.Biochem.,34:284−296(1973)に記載されている。これは、N−アセチルムラミン酸に連結されたペプチドを含むものであり、したがって、ムラミルペプチド(これは、Baschangら,Tetrahedron,45(20):6331−6360(1989)に記載されている)に関連している。
【0332】
(アルミニウム塩アジュバント)
「水酸化アルミニウム」および「リン酸アルミニウム」として知られているアジュバントが使用され得る。この名称は慣用的であるが、便宜上、使用されているにすぎず、いずれも、存在している実際の化学物質の化合物の厳密な記述を示すものではない(例えば、参考文献74の第9章参照)。本発明では、一般にアジュバントとして使用されている任意の「水酸化物」または「リン酸塩」アジュバントが使用され得る。
【0333】
「水酸化アルミニウム」として知られているアジュバントは、典型的には、オキシ水酸化アルミニウム塩であり、これは、通常、少なくとも一部が結晶性である。オキシ水酸化アルミニウムは、式AlO(OH)で表され得、水酸化アルミニウムAl(OH)などの他のアルミニウム化合物と、赤外(IR)分光法によって、特に、1070cm−1における吸着バンドおよび3090〜3100cm−1における強いショルダー(shoulder)の存在によって識別され得る(参考文献74第9章)。水酸化アルミニウムアジュバントの結晶化度は、半分の高さにおける回折バンド幅(width of the diffraction band at half height(WHH))に反映され、結晶性が不十分な粒子は、結晶子の大きさが小さいため、大きな線の広がりを示す。表面積は、WHHが増大するにつれて増大し、高いWHH値を有するアジュバントほど、大きな抗原吸着能を有することがわかっている。繊維状の形態構造(例えば、透過電子顕微鏡写真において見られるようなもの)は、水酸化アルミニウムアジュバントに典型的である。水酸化アルミニウムアジュバントのpIは、典型的には約11であり、すなわち、アジュバント自体が生理学的pHで正の表面電荷を有する。水酸化アルミニウムアジュバントでは、1.8〜2.6mgタンパク質/mg Al+++(pH7.4)の吸着能が報告されている。
【0334】
「リン酸アルミニウム」として知られているアジュバントは、典型的には、ヒドロキシリン酸アルミニウムであり、多くの場合、少量の硫酸塩(すなわち、ヒドロキシリン酸アルミニウム硫酸塩)も含まれる。これは沈降によって得られ得、沈降中の反応条件および濃度は、該塩におけるホスフェートでのヒドロキシルの置換の度合に影響を及ぼす。ヒドロキシリン酸塩は、一般的に0.3〜1.2のPO/Alモル比を有する。ヒドロキシリン酸塩は、ヒドロキシル基の存在によって、厳密なAlPOと識別され得る。例えば、3164cm−1におけるIRスペクトルバンド(例えば、200℃まで加熱した場合)は、構造のヒドロキシルの存在を示す(参考文献74の第9章)。
【0335】
リン酸アルミニウムアジュバントのPO/Al3+モル比は、一般的に0.3〜1.2、好ましくは0.8〜1.2、より好ましくは0.95+0.1である。リン酸アルミニウムは、一般的に非晶質である(特に、ヒドロキシリン酸塩の場合)。典型的なアジュバントは、0.84〜0.92のPO/Alモル比を有する非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムである(0.6mg Al3+/mlで含まれる)。該リン酸アルミニウムは、一般的に粒状である(例えば、透過電子顕微鏡写真において見られるようなプレート様形態構造)。粒子の典型的な直径は、任意の抗原吸着後において0.5〜20μmの範囲(例えば、約5〜10μm)である。リン酸アルミニウムアジュバントでは、0.7〜1.5mgタンパク質/mg Al+++(pH7.4)の吸着能が報告されている。
【0336】
リン酸アルミニウムのゼロ電荷点(PZC)は、ホスフェートでのヒドロキシルの置換の度合に反比例し、この置換の度合は、沈降による塩の調製に使用される反応条件および反応物の濃度に応じて異なり得る。また、PZCは、溶液中の遊離リン酸イオン濃度を変えること(より多くのホスフェート=より酸性のPZC)、またはヒスチジンバッファーなどのバッファーを添加すること(PZCは、より塩基性となる)によっても変更される。本発明に従って使用されるリン酸アルミニウムは、一般的に4.0〜7.0、より好ましくは5.0〜6.5、例えば約5.7のPZCを有する。
【0337】
本発明の組成物を調製するために使用されるアルミニウム塩の懸濁物には、バッファー(例えば、リン酸またはヒスチジンまたはTrisバッファー)を含めてもよいが、これは必ずしも必要なことではない。該懸濁物は、好ましくは滅菌されており、パイロジェンフリーである。該懸濁物は、例えば、1.0〜20mM、好ましくは5〜15mM、より好ましくは約10mMの濃度で存在する遊離の水性リン酸イオンを含むものであり得る。また、該懸濁物に塩化ナトリウムを含めてもよい。
【0338】
本発明では、水酸化アルミニウムとリン酸アルミニウムの両方の混合物を使用してもよい。この場合、リン酸アルミニウムを水酸化物よりも多く、例えば、少なくとも2:1(例えば、>5:1、>6:1、>7:1、>8:1、>9:1など)の重量比で存在させるのがよい。
【0339】
患者への投与のための組成物中のAl+++の濃度は、好ましくは、10mg未満/ml(例えば、<5mg/ml、<4mg/ml、<3mg/ml、<2mg/ml、<1mg/mlなど)である。好ましい範囲は0.3〜1mg/mlである。最大0.85mg/用量が好ましい。
【0340】
1つ以上のアルミニウム塩アジュバントを含むとともに、アジュバント成分は、1つ以上のさらなるアジュバントまたは免疫賦活剤を含んでいてもよい。かかるさらなる成分としては、限定されないが、ベンゾナフチリジン化合物、3−O−脱アシル化モノホスホリルリピドAアジュバント(「3d−MPL」);および/または水中油型エマルジョンが挙げられる。3d−MPLは、3 脱−O−アシル化モノホスホリルリピドAまたは3−O−デスアシル−4’−モノホスホリルリピドAとも呼ばれている。この名称は、モノホスホリルリピドAの還元末端グルコサミンの3位が脱アシル化されていることを示す。これは、S.minnesotaの無ヘプトース変異型から調製されたものであり、リピドAと化学的に類似しているが、酸不安定性のホスホリル基と塩基不安定性のアシル基が欠損している。これは、単球/マクロファージ系統の細胞を活性化し、いくつかのサイトカイン(例えば、IL−1、IL−12、TNF−αおよびGM−CSF)の放出を刺激する。3dMPLの調製は、最初に参考文献129で報告され、製品は、Corixa CorporationからMPL(TM)の名称で製造および販売されている。さらなる詳細は、参考文献82〜85を見るとよい。
【0341】
水酸化アルミニウムおよび/またはリン酸アルミニウムアジュバントの使用は、特に小児に有用であり、抗原は、一般的に該塩に吸着させる。また、水中スクアレン型エマルジョンは、特に高齢者に好ましい。有用なアジュバントの組合せとしては、CpGとアラム(alum)、またはレシキモドとアラムなどのTh1アジュバントとTh2アジュバントの組合せが挙げられる。リン酸アルミニウムと3dMPLの組合せが使用され得る。使用され得る他の組合せとしては、アラムおよびベンゾナフチリジン化合物またはSMIP、水中スクアレン型エマルジョン(MF59など)およびベンゾナフチリジン化合物またはSMIP、ならびにE6020および水中スクアレン型エマルジョン(MF59など)またはアラムが挙げられる。
【0342】
本発明の組成物は、細胞媒介性免疫応答ならびに体液性免疫応答の両方を誘起するものであってもよい。
【0343】
細胞媒介性免疫および体液性免疫を起こすか、および/または増強するためには、一般的に、T細胞、CD4細胞およびCD8細胞の2つの型が必要であると考えられている。CD8 T細胞は、CD8共受容体を発現し得るものであり、一般的に、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)と称される。CD8 T細胞は、MHCクラスI分子上にディスプレイされた抗原を認識すること、または該抗原と相互作用することができる。
【0344】
CD4 T細胞は、CD4共受容体を発現し得るものであり、一般的に、Tヘルパー細胞と称される。CD4 T細胞は、MHCクラスII分子に結合された抗原性ペプチドを認識することができる。MHCクラスII分子と相互作用すると、CD4細胞は、サイトカインなどの因子を分泌し得る。分泌されたこのようなサイトカインにより、B細胞、細胞傷害性T細胞、マクロファージ、および免疫応答に関与する他の細胞が活性化され得る。ヘルパーT細胞またはCD4+細胞は、さらに、2つの機能的に相違するサブセット:TH1表現型とTH2表現型(これらは、サイトカインおよびエフェクター機能が異なる)に分けられ得る。
【0345】
活性化型TH1細胞は、細胞性免疫を増強し(例えば、抗原特異的CTL生成の増大)、したがって、細胞内感染に対する応答に特に重要である。活性化型TH1細胞により、IL−2、IFN−γおよびTNF−βのうちの1つ以上が分泌され得る。TH1免疫応答により、マクロファージ、NK(ナチュラルキラー)細胞およびCD8細胞傷害性T細胞(CTL)が活性化されることによって局所炎症反応がもたらされ得る。また、TH1免疫応答は、IL−12によってB細胞およびT細胞の増殖を刺激することによって免疫応答を拡張する機能を果たし得る。TH1に刺激されたB細胞によりIgG2aが分泌され得る。
【0346】
活性化型TH2細胞は抗体産生を増強し、したがって、細胞外感染に対する応答に重要である。活性化型TH2細胞により、IL−4、IL−5、IL−6およびIL−10のうちの1つ以上が分泌され得る。TH2免疫応答により、IgG1、IgE、IgAおよび記憶B細胞(将来の防御のため)の生成がもたらされ得る。
【0347】
増強された免疫応答は、増強されたTH1免疫応答およびTH2免疫応答のうちの1つ以上を含むものであり得る。
【0348】
TH1免疫応答は、CTLの増大、TH1免疫応答と関連している1つ以上のサイトカイン(IL−2、IFN−γ、およびTNF−βなど)の増大、活性化マクロファージの増大、NK活性の増大、またはIgG2a生成の増大のうちの1つ以上を含むものであり得る。好ましくは、増強されたTH1免疫応答は、IgG2a生成の増大を含むものである。
【0349】
TH1免疫応答は、TH1アジュバントを用いて誘起され得る。TH1アジュバントは、一般的に、アジュバントなしでの抗原での免疫化と比べて、IgG2a生成のレベルの増大を誘起するものである。本発明における使用に適したTH1アジュバントとしては、例えば、サポニン処方物、ビロソームおよびウイルス様粒子、腸内細菌リポ多糖(LPS)の非毒性誘導体、免疫賦活性オリゴヌクレオチドが挙げられ得る。免疫賦活性オリゴヌクレオチド(CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドなど)は、本発明における使用に好ましいTH1アジュバントである。
【0350】
TH2免疫応答は、TH2免疫応答と関連している1つ以上のサイトカイン(IL−4、IL−5、IL−6およびIL−10など)の増大、またはIgG1、IgE、IgAおよび記憶B細胞の生成の増大のうちの1つ以上を含むものであり得る。好ましくは、増強されたTH2免疫応答は、IgG1生成の増大を含むものである。
【0351】
TH2免疫応答は、TH2アジュバントを用いて誘起され得る。TH2アジュバントは、一般的に、アジュバントなしでの抗原での免疫化と比べて、IgG1生成のレベルの増大を誘起するものである。本発明における使用に適したTH2アジュバントとしては、例えば、無機質含有組成物、油エマルジョン、ならびにADP−リボシル化毒素およびその無毒化誘導体が挙げられる。無機質含有組成物(アルミニウム塩など)は、本発明における使用に好ましいTH2アジュバントである。
【0352】
組成物は、TH1アジュバントとTH2アジュバントの組合せを含むものであってもよい。好ましくは、かかる組成物により、アジュバントなしでの免疫化と比べて、TH1の増強およびTH2応答の増強、すなわち、IgG1生成とIgG2a生成の両方の増大が誘起される。さらにより好ましくは、TH1アジュバントとTH2アジュバントの組合せを含む組成物により、単一のアジュバントでの免疫化と比べて(すなわち、TH1アジュバント単独での免疫化、またはTH2アジュバント単独での免疫化と比べて)TH1の増大および/またはTH2免疫応答の増大が誘起される。
【0353】
免疫応答は、TH1免疫応答とTH2応答の一方であっても両方であってもよい。好ましくは、免疫応答により、TH1応答の増強とTH2応答の増強の一方または両方がもたらされる。
【0354】
増強される免疫応答は、全身性免疫応答と粘膜免疫応答の一方であっても両方であってもよい。好ましくは、免疫応答により、全身性免疫応答の増強と粘膜免疫応答の増強の一方または両方がもたらされる。好ましくは、粘膜免疫応答はTH2免疫応答である。好ましくは、粘膜免疫応答はIgA生成の増大を含むものである。
【0355】
(処置方法および投与)
本発明の組成物は哺乳動物への投与に適しており、本発明は、本発明の組成物(例えば、免疫原性組成物)を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物において免疫応答を誘導する方法を提供する。該組成物(例えば、免疫原性組成物)は、哺乳動物を免疫化するためのワクチン処方物を作製するために使用され得る。哺乳動物は、典型的にはヒトであり、RSV Fタンパク質のエクトドメインは、典型的にはヒトRSV Fタンパク質のエクトドメインである。しかしながら、哺乳動物は、RSVに感染し易い任意の他の哺乳動物(ウシRSVに感染し得るウシなど)であり得る。例えば、免疫応答は、精製RSV Fタンパク質、アルファウイルス粒子または自己複製RNAの投与後に生じ得る。
【0356】
また、本発明は、医薬としての使用のための、例えば、RSV感染に対する患者の免疫化における使用のための本発明の組成物を提供する。
【0357】
また、本発明は、患者において免疫応答を起こすための医薬の製造における上記のポリペプチドの使用を提供する。
【0358】
このような方法および使用によって生じた免疫応答は、一般的に抗体応答、好ましくは防御的抗体応答を含むものである。RSVワクチン接種後の抗体応答の評価方法は当該技術分野でよく知られている。
【0359】
本発明の組成物は、いくつかの適当な様式で、例えば、筋肉内注射(例えば、腕または脚に)、皮下注射、鼻腔内投与、経口投与、皮内投与、経皮投与(transcutaneous administration)、経皮投与(transdermal administration)などで投与され得る。適切な投与経路は、哺乳動物の年齢、健康状態および他の特徴に依存する。医師は、これらおよび他の要素に基づいて適切な投与経路を決定することができよう。
【0360】
免疫原性組成物およびワクチン処方物は、小児と成人(妊娠女性を含む)のどちらを処置するためにも使用され得る。したがって、被験体は、1歳未満、1〜5歳、5〜15歳、15〜55歳、または少なくとも55歳であり得る。該ワクチンを受けるのに好ましい被験体は、高齢者(例えば、>50歳、>60歳、好ましくは>65歳)、幼若者(例えば、<6歳、例えば4〜6歳、<5歳)、および妊娠女性である。該ワクチンは、これらの群に対してのみ適しているのではなく、集団においてより一般的に使用され得る。
【0361】
処置は、単一用量スケジュールによるものであっても複数用量スケジュールによるものであってもよい。複数用量は、初回免疫化スケジュールおよび/または追加免疫化スケジュールにおいて使用され得る。複数用量スケジュールでは、種々の用量が同じかまたは異なる経路で与えられ得る(例えば、非経口での初回免疫と粘膜での追加免疫、粘膜での初回免疫と非経口での追加免疫など)。1より多くの用量(典型的には、2用量)での投与が、免疫学的にナイーブな患者に特に有用である。複数用量は、典型的には、少なくとも1週間あけて投与する(例えば、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約16週間など)。
【0362】
本発明の組成物を用いて作製されるワクチン処方物を患者に、他のワクチンと実質的に同時に(例えば、同じ診察時、または医療専門家もしくはワクチン接種施設を訪れたとき)投与してもよい。
【0363】
(本発明のさらなる態様)
また、本発明は、第1のドメインと第2のドメインを含み、(i)第1のドメインが全体または一部においてRSV F糖タンパク質のエクトドメインを含み、(ii)第2のドメインが異種オリゴマー化ドメインを含むポリペプチド(例えば、組換えポリペプチド)を提供する。さらなる詳細は上記に示している。オリゴマー化ドメインに7配列(例えば、上記のGCNに由来する配列)が含まれている場合、これは、好ましくは、エクトドメインのHR2配列(存在する場合)と共に7反復相にある。
【0364】
また、本発明は、このポリペプチドをコードする核酸(例えば、DNA)を提供する。また、本発明は、かかる核酸を含むベクター、およびかかるベクターを含む宿主細胞を提供する。該ベクターは、例えば、組換え発現目的、核酸での免疫化などに使用され得る。
【0365】
また、本発明は、RSV F糖タンパク質のエクトドメインを含む分子であって、該分子の少なくとも50%(例えば、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%または100%)のエクトドメインが融合前コンフォメーションで存在している分子を含む組成物を提供する。
【0366】
(他のウイルス)
ヒトRSVで使用されるのと同様に、本発明は、肺炎ウイルス科およびパラミクソウイルス科の他の構成員、例えば限定されないが、ウシRSウイルス、パラインフルエンザウイルス1、パラインフルエンザウイルス2、パラインフルエンザウイルス3、およびパラインフルエンザウイルス5で使用され得る。
【0367】
したがって、本発明は、肺炎ウイルス科またはパラミクソウイルス科由来のF糖タンパク質を含み、該F糖タンパク質が融合前コンフォメーションである免疫原性組成物を提供する。
【0368】
また、本発明は、肺炎ウイルス科またはパラミクソウイルス科のF糖タンパク質の融合前コンフォメーションでは存在するが、該糖タンパク質の融合後コンフォメーションでは存在しないエピトープをディスプレイするポリペプチドを含む免疫原性組成物を提供する。
【0369】
また、本発明は、第1のドメインと第2のドメインを含み、(i)第1のドメインが全体または一部において肺炎ウイルス科またはパラミクソウイルス科のF糖タンパク質のエクトドメインを含み、(ii)第2のドメインが異種オリゴマー化ドメインを含むポリペプチドを提供する。
【0370】
また、本発明は、免疫化などにおける使用のための、このようなポリペプチドおよび組成物を提供する。
【0371】
また、本発明は、RSV F糖タンパク質のエクトドメインを含む分子であって、該分子の少なくとも50%(例えば、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%または100%)のエクトドメインが融合前コンフォメーションまたは中間コンフォメーションで存在している分子を含む組成物を提供する。
【0372】
(RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド)
本発明の一部の実施形態において、特定のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを使用するか、含めている。一部の該特定のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、100位付近〜161位付近に改変されたアミノ酸配列を含むものである。いくつかの特定のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの100位〜150位のアミノ酸配列を図1Cに示す。いくつかの特定のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列を本明細書に(例えば、実施例1に)示している。
【0373】
(一般)
用語「〜を含む(comprising)」は、「〜を含む(including)」ならびに「〜からなる(consisting)」および「本質的に、〜からなる(consisting essentially of)」を包含し、例えば、X「を含む(comprising)」組成物は、排他的にXからなるものであってもよく、さらなる何かを含むもの(例えば、X+Y)であってもよい。
【0374】
語句「実質的に」は「完全に」を排除せず、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、完全にYを含まないものであってもよい。必要な場合、語句「実質的に」は本発明の定義から削除され得る。
【0375】
数値xに関する用語「約」は、例えば、x±10%を意味する。
【0376】
具体的な記載のない限り、2つ以上の成分を混合する工程を含む方法は、なんら特定の混合順を必要としない。したがって、成分は任意の順序で混合され得る。成分が3つある場合、2つの成分が互いに合わされ得、次いで、この合わせたものが、第3の成分と合わされ得るなどである。
【0377】
動物(特に、ウシ)材料を細胞の培養に使用する場合、該材料は、伝染性の海綿状脳症(TSE)を有さない、特に、ウシ海綿状脳症(BSE)を有さない供給源から得たものであるべきである。概して、細胞を動物由来の物質の完全な非存在下で培養することが好ましい。
【0378】
化合物を身体に組成物の一部として投与する場合、該化合物を、代替的に適当なプロドラッグで置き換えてもよい。
【0379】
細胞基質を再集合(reassortment)または逆遺伝学手順に使用する場合、これは、好ましくは、ヒト用ワクチン作製における使用に承認されたものである(例えば、Ph Eur概説5.2.3章)。
【0380】
ポリペプチド配列間の同一性は、好ましくは、ギャップオープンペナルティ=12およびギャップ伸張ペナルティ=1のパラメータでアフィンギャップ検索を使用し、MPSRCHプログラム(Oxford Molecular)において実行されるSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムによって判定する。
【0381】
【表1−1】

【0382】
【表1−2】

【0383】
【表1−3】

【実施例】
【0384】
(実施例)
(実施例1−RSV Fポリペプチド)
この実施例では、ポリペプチド(例えば、シグナル配列を含むもの)のいくつかの例の配列、および本発明のRSV Fポリペプチドを発現するために使用され得る核酸配列を示す。ここに示すアミノ酸配列は、シグナルペプチドを含み、任意選択のC末端リンカーおよびHisタグ(GGSAGSGHHHHHH(配列番号90))を含むものである。このようなポリペプチドを宿主細胞において産生させると、該ポリペプチドは、通常、該細胞によってプロセッシングされてシグナルペプチドが除去され、本明細書に記載のように、一部の該ポリペプチドは、例えば、非修飾フリン切断部位で切断される。本発明は、本明細書に開示した具体的なRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドのあらゆる形態、例えば、シグナルペプチドが欠損している成熟形態、FとFを含むサブユニットに切断され得る形態、および任意選択のC末端のHisタグが欠損している形態を含む組成物を含む。以下の例は、本発明の範囲の例示にすぎず、したがって、なんら本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0385】
野生型フリン切断の一例はRSV F野生型切断型HIS(配列番号84)である。
【0386】
単量体として作製され得るポリペプチドの例としては、RSV F Furx(配列番号45);RSV F old furx切断型HIS(配列番号88);RSV F Furx R113Q K123N K124N切断型HIS(配列番号89);RSV F delp21 furx切断型HIS(配列番号47);およびRSV F delP23 furx切断型HIS(配列番号48)が挙げられる。
【0387】
三量体として作製され得るポリペプチドの例としては、RSV F N末端フリン切断型HIS(配列番号85);RSV F融合欠失切断型HIS(配列番号67);およびRSV F融合欠失2切断型HIS(配列番号68)が挙げられる。
【0388】
単量体または三量体のロゼットとして作製され得るポリペプチドの例としては、:RSV F furmt切断型HIS(配列番号50);RSV F furdel切断型HIS(配列番号51);RSV F delP21 furdel切断型HIS(配列番号86);およびRSV F delP23 furdel切断型HIS(配列番号49)、ならびにRSV F第Xa因子切断型HIS(配列番号52)が挙げられる。
【0389】
ロゼット形成がもたらされると思われる野生型切断の一例は、RSV F C末端フリン切断型HIS(配列番号87)である。
【0390】
(完全)
下記のポリペプチドは完全長のRSV Fポリペプチドである。
【0391】
【化21】

下記の核酸配列は、前述のポリペプチド配列の最適化されたコード配列である。
【0392】
【化22】

【0393】
【化23】

(完全HIS)
下記のポリペプチドは、完全長のRSV Fポリペプチド、続いてヘキサ−ヒスチジンタグを含む。
【0394】
【化24】

下記の核酸配列は、前述のポリペプチド配列の最適化されたコード配列である。
【0395】
【化25】

【0396】
【化26】

(完全プレHIS)
下記のポリペプチドは、RSV FポリペプチドのC末端に結合されたGCN4(下線)の三量体化ドメインを有する完全長のRSV Fポリペプチド、続いてヘキサ−ヒスチジンタグを含む。
【0397】
【化27】

【0398】
【化28】

下記の核酸配列は、前述のポリペプチド配列の最適化されたコード配列である。
【0399】
【化29】

(完全プレHIS 2)
下記のポリペプチドは、RSV FポリペプチドのC末端に結合されたGCN4(下線)の三量体化ドメインを有する完全長のRSV Fポリペプチド、続いてヘキサ−ヒスチジンタグを含む。
【0400】
【化30】

下記の核酸配列は、前述のポリペプチド配列の最適化されたコード配列である。
【0401】
【化31】

【0402】
【化32】

(エクトHIS)
下記のポリペプチドは、RSV Fポリペプチドのエクトドメイン、続いてヘキサ−ヒスチジンタグを含む。
【0403】
【化33】

下記の核酸配列は、前述のポリペプチド配列の最適化されたコード配列である。
【0404】
【化34】

【0405】
【化35】

(エクトプレHIS)
下記のポリペプチドは、RSVタンパク質のTMドメインが存在していた(a.a.517から始まる)箇所の上流のRSV Fポリペプチド内に挿入されたGCN4(下線)の三量体化ドメインを有するRSV Fポリペプチドのエクトドメイン、続いてヘキサ−ヒスチジンタグを含む。
【0406】
【化36】

下記の核酸配列は、前述のポリペプチド配列の最適化されたコード配列である。
【0407】
【化37】

(完全プレHA HIS)
下記のポリペプチドは、RSV FポリペプチドのC末端に結合されたインフルエンザ血球凝集素ポリペプチド(下線)の融合後三量体化ドメインを有する完全長のRSV Fポリペプチド、続いてヘキサ−ヒスチジンタグを含む。
【0408】
【化38】

【0409】
【化39】

下記の核酸配列は、前述のポリペプチド配列の最適化されたコード配列である。
【0410】
【化40】

【0411】
【化41】

(エクトプレHA HIS)
下記のポリペプチドは、RSVタンパク質のTMドメインが存在していた(a.a.517から始まる)箇所の上流のRSV Fポリペプチド内に挿入されたインフルエンザ血球凝集素ポリペプチド(下線)の融合後三量体化ドメインを有するRSV Fポリペプチドのエクトドメイン、続いてヘキサ−ヒスチジンタグを含む。
【0412】
【化42】

下記の核酸配列は、前述のポリペプチド配列の最適化されたコード配列である。
【0413】
【化43】

【0414】
【化44】

(完全ΔHRB HIS)
下記のポリペプチドは、HRBドメインを欠失させた完全長のRSV Fポリペプチド、続いてヘキサ−ヒスチジンタグを含む。
【0415】
【化45】

下記の核酸配列は、前述のポリペプチド配列の最適化されたコード配列である。
【0416】
【化46】

【0417】
【化47】

(エクト)
下記のポリペプチドは、RSV Fポリペプチドのエクトドメインのみを含む。
【0418】
【化48】

下記の核酸配列は、前述のポリペプチド配列の最適化されたコード配列である。
【0419】
【化49】

【0420】
【化50】

【0421】
【化51】

【0422】
【化52】

【0423】
【化53】

【0424】
【化54】

【0425】
【化55】

【0426】
【化56】

【0427】
【化57】

【0428】
【化58】

【0429】
【化59】

【0430】
【化60】

【0431】
【化61】

(実施例2−RSV F構築物の発現および精製)
膜貫通ドメインと細胞質テール領域が欠損しており、野生型フリン切断部位を有するか、またはフリン切断部位にノックアウト変異を有するかのいずれかであり、融合前安定化変異を有するか、または有しないかのいずれかである、RSV F ECTOおよび切断型の構築物を、pFastBacバキュロウイルス発現ベクター(Invitrogen)にクローニングした。これらの構築物のいくつかは、C末端フレキシブルリンカー、続いて、キレート精製で使用するHis6−タグ配列を含むものである。高力価バキュロウイルスストックの作製物はSf9昆虫細胞において継代した。Sf9、Tn5またはHigh Fiveいずれかの昆虫細胞を必要とされるバキュロウイルスに感染させることによりタンパク質を発現させ、感染の2〜3日後に培地の上清を収集し、抗RSV Fまたは抗6HIS抗体を用いてウエスタンブロットでモニタリングした。
【0432】
昆虫細胞培地中に存在するフェリチンの有害効果によってキレート樹脂が損なわれることを排除するための2つの一般的なストラテジーのうちの1つにより、大規模発現培地を濃縮/精製した。第1のアプローチは、およそ10〜20リットルの昆虫発現培地をおよそ300mlまで、GE Healthcare Hollotubeファイバー濃縮カラムを用いて濃縮することであった。この濃縮混合物に硫酸銅を終濃度500μMまで添加し、得られた溶液を5mlのHiTrapキレートカラムにロードした。次いで、結合されたHIS−タグ化タンパク質をカラムから、25mM Tris(pH7.5)、300mM NaClおよびイミダゾール勾配で溶出させた。
【0433】
第2の精製ストラテジーでは、CuClを培地の上清に終濃度500μMまで添加した。1リットルの各培地に、4ミリリットルのキレート樹脂(Chelating Resin,BioRad)を添加し、スラリーを、セ氏4度で少なくとも30分間振盪させ、樹脂と培地を重力カラムによって分離した。樹脂を、カラムの10倍容積の平衡化バッファー(25mM Tris(pH7.5),300mM NaCl)で洗浄し、Fタンパク質を、カラムの10倍容積の溶出バッファー(250mMのイミダゾールを含む平衡化バッファー)で溶出させた。溶出物を25mM Trisバッファー(pH7.5)に対して透析し、得られた溶液を、NiSO4を充填した5mlのHitrapキレートカラムにロードし、25mM Tris(pH7.5)、300mM NaClおよびイミダゾール勾配で溶出させた。
【0434】
イミダゾール勾配での溶出物は、いずれの場合も、抗6HISウエスタンおよびクマシーゲルを用いて評価した。純粋な構築物を含む画分を収集し、種々のバッファー/生理食塩水溶液に対して透析し、その後の分析のために、Millipore Centriprep Concentratorsおよび/またはVivaspin濃縮ユニットを用いて濃縮した。また、本発明者らは、単分散(monodisperced)RSV三量体がロゼットからさらに精製され得るサイズ排除精製プロトコルを開発した(後述)。
【0435】
(RSV Fタンパク質のSEC分析)
融合前コンフォメーションで安定化される他のパラミクソウイルス融合タンパク質の文献に記載された特徴は、融合ペプチドが露出するように切断された場合であっても、融合後コンフォメーションで観察されるようなロゼットを形成しないことである。単純なサイズ排除クロマトグラフィー分析により、タンパク質の同定、およびタンパク質がロゼットを形成しているかどうかの判定が可能である。効率的な精製工程としても機能する2つの方法、HPLC−SECとFPLC−SECを開発した。
【0436】
HPLC−SECは、Biorad SECカラム(18mm)を、25mM Tris(pH7.5)、300mM NaCl移動相とともに用いて行なった。Biorad HPLC−SEC標準物を用いて系を較正すると、本発明者らは、RSVロゼット(切断された融合後コンフォメーションを示す)は分析のカラムのボイドボリューム中に溶出されるが、RSV単分散三量体(その後のEM分析により三量体と推定)は、およそ100kDaの見かけ分子量で溶出されることを見い出した。
【0437】
FPLC−SECは、16/60 Superdex 200カラムを、25mM Tris(pH7.5)、300mM NaCl移動相とともに用いてGE Healtcare FPLCにおいて行なった。GE Healthcare高分子量標準物を用いて系を較正すると、本発明者らは、RSVロゼットは分析のカラムのボイドボリューム中に溶出されるが、RSV単分散三量体は、およそ100kDaの見かけ分子量で溶出されることを見い出した。
【0438】
(RSV Fタンパク質の電子顕微鏡検査(EM))
およそ50マイクログラム/mlのRSV F構築物のタンパク質溶液を、グロー放電炭素コートグリッド上に吸収させ、2%リンタングステン酸ナトリウム(pH7.0)または0.75%ギ酸ウラニル(非定量低pH)でネガティブ染色した。グリッドをTechnai SpiritまたはJOEL 1230透過電子顕微鏡にて、必要とされる解像度に応じて、80〜120kVで20,000〜150,000の倍率で操作して観察した。
【0439】
【表2】

(実施例3−融合前および融合後RSV Fの検出)
RSV Fポリペプチドに対する修飾または付加分子によって融合後コンフォメーションが不利になるかどうかをアッセイするためにRSV Fタンパク質のコンフォメーションを調べるには、いくつかの方法が利用可能である。例としては、リポソーム会合、コンフォメーション特異的モノクローナル抗体(例えば、FACS、ELISAで使用されるものなど)、電子顕微鏡検査、コンフォメーション間のプロテアーゼ感度の差、ゲル濾過クロマトグラフィー、分析用超遠心分離、動的光散乱、重水素交換NMR実験、質量分析、円偏光二色性分光法、等温滴定型熱量測定、トリプトファン分光法、およびX線結晶学が挙げられる。
【0440】
(リポソーム会合)
リポソーム会合は、RSV Fタンパク質のコンフォメーションをアッセイするために使用され得る。RSV Fタンパク質の可溶性形態は、融合前コンフォメーションではリポソームと会合しないが、融合後コンフォメーションはリポソームと会合する。
【0441】
リポソームは、以下のようにして調製され得る:クロロホルム中、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、およびコレステロール(Avanti Polar Lipidsから入手可能)を8:2:5のモル比で混合する。クロロホルムをアルゴン下で蒸発させる。脂質フィルムが形成され、これを一晩真空乾燥させ、PBS中に総脂質40mMで再懸濁させる。5回の凍結−解凍サイクル後、脂質をボルテックスし、ミニエクストルーダー(Avanti Polar Lipidsから入手可能)を使用することにより、2つの100μmフィルターから21回押し出す。
【0442】
リポソームが調製されたら、リポソーム会合アッセイが行なわれ得る。試験対象の各試料について、試験する2μgのRSV Fポリペプチドを25ミリ単位のトリプシン(Worthington Biochemicalから入手可能)で、100mMリン酸バッファー(pH7.1)中にて25℃で30分間切断する。切断後、40pgのダイズトリプシンインヒビター(Worthington Biochemicalから入手可能)を各試料に添加し、反応を終了させる。試料を60℃で30分間前処理し、これにより単離された天然RSF Fタンパク質において融合前形態から融合後形態へのコンフォメーションのシフトを誘導する。リポソーム(40μl/試料)とPBSを添加し(80μlの終容積)、試料を60℃で30分間インキュベートする。スクロースを50%の終濃度(500μlの終容積)まで添加する。試料に、各々500μlの40%スクロース、25%スクロースおよびPBSを重層し、TLS55ローターにて、49,000rpmで3時間、25℃にてスピンさせる。画分(500μl)を勾配の上部から収集する。タンパク質を0.5%Triton X−100中で可溶化させ、12.5%vol/volのトリクロロ酢酸を使用することにより沈殿させる。ポリペプチドをSDS/PAGEによって分離し、PVDF膜に移す。ブロットを抗RSV Fモノクローナル抗体で調べる。
【0443】
(電子顕微鏡検査)
電子顕微鏡検査を使用し、RSV Fポリペプチドのコンフォメーションの分布をアッセイした。融合前形態のRSV Fポリペプチドは、長さが約12nmの「軸付きのボール」形状を有する。対照的に、融合後形態のRSV Fポリペプチドは、長さが約16nmの「ゴルフのティー」形状を有する。また、「ゴルフのティー」の細い末端における融合ペプチドは、凝集してロゼット構造を形成する。このように、電子顕微鏡検査は、形状が容易に識別可能なため、RSV Fポリペプチドの試料におけるコンフォメーションの分布をアッセイするために使用され得る。
【0444】
(実施例4 RSV Fエクトドメインの三量体およびロゼット)
膜貫通ドメインと細胞質テール領域が欠損しており、野生型フリン切断部位を有するか、あるいはフリン切断部位にノックアウト変異および/または融合ペプチドの変異(mutations mutations)を有するかのいずれかである、ポリペプチドをコードするRSV Fタンパク質のエクトドメイン構築物を、pFastBacバキュロウイルス発現ベクター(Invitrogen)にクローニングした。これらの構築物のいくつかは、C末端フレキシブルリンカー、続いて、キレート精製で使用するHis−タグ配列を含むものである。高力価バキュロウイルスストックの作製はSf9昆虫細胞での継代によって達成した。Sf9、Tn5またはHigh Fiveいずれかの昆虫細胞を必要とされるバキュロウイルスに感染させることによりタンパク質を発現させ、感染の2〜3日後に馴化培地の上清を収集した。タンパク質の産生を、抗RSV Fまたは抗HIS抗体を用いてウエスタンブロットでモニタリングした。
【0445】
昆虫細胞培地中に存在するフェリチン(これは、キレート樹脂を損ない得る)の有害効果を排除するための2つの一般的なストラテジーのうちの1つを用いて、大規模発現培地を濃縮/精製した。第1のアプローチは、およそ10〜20リットルの昆虫発現培地をおよそ300mlまで、GE Healthcare Hollotubeファイバー濃縮カラムを用いて濃縮することであった。この濃縮混合物に硫酸銅を終濃度500μMまで添加し、得られた溶液を5mlのHiTrapキレートカラムにロードした。次いで、結合されたHIS−タグ化タンパク質をカラムから、25mM Tris(pH7.5)、300mM NaClおよびイミダゾール勾配で溶出させた。
【0446】
第2の精製ストラテジーでは、CuClを培地の上清に終濃度500μMまで添加した。1リットルの各培地に、およそ4〜10ミリリットルのキレート樹脂(Chelating Resin,BioRad)を添加し、スラリーを、セ氏4度で少なくとも30分間振盪させ、樹脂と培地を重力カラムによって分離した。樹脂を、カラムのおよそ10倍容積の平衡化バッファー(25mM Tris(pH7.5),300mM NaCl)で洗浄し、Fタンパク質のエクトドメインを、カラムのおよそ10倍容積の溶出バッファー(250mMのイミダゾールを含む平衡化バッファー)で溶出させた。溶出物を25mM Trisバッファー(pH7.5)に対して透析し、得られた溶液を、NiSOを充填した5ml容Hitrapキレートカラムにロードした。結合されたタンパク質を、25mM Tris(pH7.5)、300mM NaClおよびイミダゾール勾配で溶出させた。
【0447】
イミダゾール勾配での溶出物は、いずれの場合も、抗HISウエスタンブロットおよび/またはクマシー染色SDS−PAGEゲルを用いて評価した。純粋な構築物を含む画分を収集し、種々のバッファー/生理食塩水溶液に対して透析し、その後の分析のために、Millipore Centriprep濃縮器および/またはVivaspin濃縮ユニットを用いて濃縮した。一部の場合では、単量体、三量体またはロゼットを、サイズ排除クロマトグラフィーを用いてさらに精製した。
【0448】
(RSV FエクトドメインのSEC分析および精製)
サイズ排除クロマトグラフィーを用いてRSV Fタンパク質のエクトドメインの単量体、三量体およびロゼットを精製し、分析した。また、この方法は、非切断型RSV Fタンパク質のエクトドメインが、宿主細胞または培地に由来する脂質/リポタンパク質夾雑物から精製されることを可能にした。効率的な精製工程としても機能し得る2つの方法、HPLC−SECとFPLC−SECを開発した。
【0449】
HPLC−SECは、Biorad SECカラム(18mm)を、25mM Tris(pH7.5)、300mM NaCl移動相とともに用いて行なった。Biorad HPLC−SEC標準物を用いて系を較正すると、本発明者らは、RSVロゼット(切断された融合後コンフォメーションを示す)は分析のカラムのボイドボリューム中に溶出されるが、RSV F単量体は、およそ75〜85kDaの見かけ分子量で溶出されることを見い出した。
【0450】
FPLC−SECは、16/60 Superdex 200カラムを、25mM Tris(pH7.5)、300mM NaCl移動相とともに用いてGE Healtcare FPLCにおいて行なった。GE Healthcare高分子量標準物を用いて系を較正すると、本発明者らは、RSVロゼットは分析のカラムのボイドボリューム中に溶出されるが、RSV単分散三量体は、およそ140〜160kDaの見かけ分子量で溶出され、RSV F単量体は、およそ75〜85kDaの見かけ分子量で溶出されることを見い出した。
【0451】
精製には、FPLC−SEC法を使用し、1mlの画分を収集した。
【0452】
(FurdelまたはDelp23 Furdel構築物のトリプシン切断による融合後ロゼットの形成)
一般に、Delp23 Furdel単量体のトリプシン消化は、重量で1:1000のトリプシン:RSV Fまたは1mgのRSV F抗原に対して10〜15 BAEE単位のトリプシンを用いて行なう。典型的な反応において、ウシ血漿由来のトリプシン(Sigma Aldrich,T8802:10,000〜15,000 BAEE単位/mgのトリプシン)を25mM Tris(pH7.5),300mM NaCl中で1mg/ml濃度に希釈した。RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの1mg/ml溶液(25mM Tris(pH7.5),300mM NaCl中で希釈)を、1マイクロリットルのトリプシン溶液(最終質量比が0.001:1のトリプシン:RSV F、または各1ミリグラムのRSV Fに対しておよそ10〜15 BAEE単位のトリプシン)で、37℃にて1時間処理した。典型的には、切断反応の進行はSDS−PAGEゲルによってモニタリングした。トリプシンインヒビターを用いて切断反応を停止させた。切断されたRSV Fタンパク質を、サイズ排除クロマトグラフィーによってさらに精製した。
【0453】
場合によっては、1:100容積の固定化トリプシンインヒビター(Sigma)または1マイクロリットルの1mMダイズトリプシンインヒビターを切断溶液に添加し、混合物を静かに振盪しながら室温でおよそ15〜30分間インキュベートし、トリプシン反応を停止させた。マイクロ遠心分離機カラムを用いてインヒビター樹脂をタンパク質溶液から分離した。得られた溶液をSEC精製によって精製した。
【0454】
(RSV Fタンパク質の電子顕微鏡検査(EM))
RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド(およそ50マイクログラム/ml)を、グロー放電炭素コートグリッド上に吸収させ、2%リンタングステン酸ナトリウム(pH7.0)または0.75%ギ酸ウラニル(非定量低pH)でネガティブ染色した。グリッドをTechnai SpiritまたはJOEL 1230透過電子顕微鏡にて、必要とされる解像度に応じて、80〜120kVで20,000〜150,000の倍率で操作して観察した。
【0455】
(リン脂質アッセイ)
このアッセイは、Wako Pure Chemical Industries,Ltd.のアッセイであるリン脂質Cコリンオキシダーゼ−DAOS法(カタログ番号433−36201)に基づいたものである。このアッセイプロトコルは、単に、該製造業者の一般的なプロトコルと比べて、アッセイで使用する物質の量が少なくなるように、および反応における試料の希釈が低減されるように変形したものである。RSV F試料の脂質含有量を測定するため、一瓶の着色試薬を一瓶のバッファーに溶解させることにより、着色試薬を作製する(着色試薬は4℃で1週間安定である)。300mg/dL(3mg/ml)のリン脂質標準物を蒸留水で1.5、1.0、0.75、0.5および0.25mg/mlに希釈する。標準物、水ブランクおよび試料反応物の各々について、マイクロ遠心分離機のチューブに、10μlの着色試薬と2μlの標準物、蒸留水(0mg/ml標準物)または試料のいずれかを添加する。反応物を短時間で遠心分離(centrifuge)して適正な混合を確実にし、チューブを37℃で15分間インキュベートする。各標準点について595nmにおける吸光度を記録し、標準曲線を作成する。各試料の595nmの吸光度を記録し、作成した較正曲線からリン脂質濃度を計算する。
【0456】
(コットンラットにおける免疫原性)
単量体(非切断delp21 furx)、三量体のロゼット(切断delp23 furdel)、および三量体(融合ペプチド欠失)の形態のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの免疫原性を、コットンラット(Sigmodon hispidus)において2つの試験で決定した。試験1(図8Aおよび8B)では、10匹のコットンラット/群に、10μgの単量体またはロゼット(各々、水酸化アルミニウムに吸着させたもの)を筋肉内に、0日目と21日目にワクチン接種した。血清抗RSV Fタンパク質IgGおよびRSV中和抗体の力価を、1回目のワクチン接種の2週間後(2wp1)と2回目のワクチン接種の2週間後(2wp2)、または1回目のワクチン接種の3週間後(3wp1)と2回目のワクチン接種の2週間後(2wp2)に測定した。抗RSV Fタンパク質IgG(図8A)は、ELISAによって、RSV Fタンパク質コートプレートおよびホースラディッシュペルオキシダーゼ結合体化ニワトリ抗コットンラットIgG検出抗体を用いて測定した。データを、個々のコットンラットのlog10幾何平均力価(GMT)+標準偏差で示す。RSVの中和力価(図8B)は、プラーク減少中和試験(PRNT)によって測定した。簡単には、熱不活性化した血清の希釈物をRSV Longとともにプレインキュベートし、次いで、12ウェルプレート内のHEp−2細胞に接種した。2時間の感染後、接種材料を除去し、細胞にアガロースを重層した。5日後、ニュートラルレッド染色によってプラークを計数した。中和力価は、対照(血清なし)と比べて、ウェル1つ当たり少なくとも60%のプラーク数の減少をもたらす血清希釈度の逆数と定義する。データを、5匹のコットンラット/群の2つのプールのlog10GMT+標準誤差で示す。
【0457】
試験2(図8C)では、9匹のコットンラット/群を、筋肉内に、表示した用量の単量体、三量体またはロゼット(各々、水酸化アルミニウムに吸着させたもの)で免疫化した。血清抗RSV Fタンパク質IgGの力価を2wp1に上記のようにして測定した。
【0458】
(結果)
可溶性のRSV Fエクトドメイン(非変異型フリン切断部位を有する)は発現されたが、宿主細胞または培養培地に由来する脂質およびリポタンパク質不純物からサイズ排除クロマトグラフィーを用いて精製できなかった。このようなRSV FエクトドメインポリペプチドはSECカラムのボイドボリューム内に脂質およびリポタンパク質夾雑物とともに溶出される。
【0459】
フリン切断部位に変異を含むRSV Fエクトドメインポリペプチドを作製するための、いくつかの構築物(例えば、Furdel構築物)を調製した。図1参照。Furdel構築物の発現によって産生されたポリペプチドは細胞から、約65kDaの非切断種として分泌された。また、Furdel変異により、融合ペプチドの露出が抑制され、これによりロゼット形成が抑制される。その結果、可溶性のRSV F Furdelは、Superdex 200分取用(preparatory)カラムの包含ボリューム(included volume)中に移動し、脂質残屑(これは、ボイドボリューム中に溶出される)と昆虫タンパク質不純物の両方からの分離がもたらされる。このような結果は、フリン切断部位が変異したRSV Fエクトドメインポリペプチドが、SECによって精製され得る非切断ポリペプチドとして産生されることを示す。また、非切断型RSV Fの保持時間の分析は、該ポリペプチドが三量体ではなく単量体であることと整合した。
【0460】
RSV F furdelポリペプチドが単量体、三量体または単量体と三量体の混合物のいずれであるかを、分析用超遠心分離を用いてさらに評価した。SEC精製の単量体ピークから精製したタンパク質を使用し、分析用超遠心分離試験を行なった。非切断型RSV Fの沈降速度データにより、溶液中に2つの種を示唆するステップパターンが示された。沈降速度実験の分析により、非切断型RSV Fエクトドメインが、溶液中で単量体の大きな集団と見かけ上三量体の小さな集団を有することが示された。平衡実行データ(equilibrium run data)を収集し、データを理想的な単量体モデルまたは単量体−三量体平衡モデルのいずれかにフィットさせる試行を行なった。しかしながら、フィットの残差は不十分であり、特にタンパク質濃度が高いセルの底部に対して不十分であった。このような観察により、非切断型RSV Fエクトドメインポリペプチドは、高濃度で主に単量体であり、自己会合する少数集団(場合によっては三量体として)または凝集体を伴うことが示唆された。
【0461】
選択したRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドのさらなる分析を、サイズ排除(SEC)クロマトグラフィーを用いて行なった。図6A〜6D。図6A〜6Dにおいて、単量体、三量体または三量体のロゼットを含む主成分ピークをアスタリスクで示し、Superdex P200 16/60カラム(GE Healthcare)の保持時間をミリリットルで示す。較正したカラムでは、47ml、65mlおよび77mlのおおよその保持時間は、それぞれ、カラムのボイドボリューム、F三量体の保持、および単量体の保持に相当する。図6Aにおいて、非切断Delp23 Furdel(Δp23 Furdel)構築物を単量体ピークから精製した。非切断Delp23 Furdel RSV F抗原をトリプシンで処理すると、タンパク質はロゼットを形成し、これは、SECでボイドボリューム中に移動した(図6B)。RSV F融合ペプチド欠失の切断三量体種は、三量体ピークからおよそ65mlの保持時間において精製された(図6C)が、非切断Delp21 Furx構築物(Δp21 Furx)は、単量体ピークからおよそ77mlにおいて精製された(図6D)。
【0462】
非切断形態の、またはトリプシン切断後のいくつかのRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドをEMによって評価した。RSV F Furdelおよびdelp23 Furdel構築物は、フリン切断部位内に残っているアルギニン残基を有する。このようなアルギニンはトリプシン切断を受け易い。切断されると、非切断型F種は、融合ペプチドが露出されるF/F種に変換された。EM分析により、トリプシン切断後、非切断型RSVエクトドメインは、その融合ペプチドのため、関連融合タンパク質で観察されたように三量体のロゼットを形成することが確認された。結果を表3に示すが、これは、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドが切断されて三量体のロゼットを形成し得ることを示す。融合ペプチド欠失型構築物(これは、フリンによって切断される)では単分散三量体が形成された。図7A〜7Dも参照のこと。好都合なことに、このようにして三量体のロゼットが生成すると、実質的に脂質残屑およびリポタンパク質が含まれていない三量体のロゼットがもたらされる。
【0463】
免疫原性試験の結果により、単量体(非切断delp21 furx)、三量体のロゼット(切断delp23 furdel)、および三量体(融合ペプチド欠失)の形態のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、コットンラット(Sigmodon hispidus)において免疫原性であり、中和抗体が誘導されることが示された。図8A〜8C。
【0464】
【表3】

(実施例5−昆虫細胞またはCHO細胞でのRSV Fサブユニット抗原の作製方法)
(昆虫細胞からのRSV F抗原の精製)
RSV Fエクトドメインサブユニット、例えば、Delp21 Furx、Delp23 Furdelおよび融合ペプチド欠失の構築物を、HiFive昆虫細胞(Invitrogen)において、pFAST Bacバキュロウイルス系を用いて発現させた。RSV Fサブユニットを大規模発現(10〜25リットル)から、昆虫細胞培地中に存在するフェリチン夾雑物(これは、キレート樹脂を損ない得る)の有害効果を少なくする2工程のキレート方法によって精製した。CuSOを培地の上清に終濃度500μMまで添加した。およそ10〜20ミリリットルのキレート樹脂(Chelating Resin,BioRad)を1リットルの各培地に添加し、スラリーを4℃で少なくとも30分間振盪させ、重力カラムを用いて樹脂と培地を分離した。樹脂を、この樹脂のおよそ2倍容積の平衡化バッファー(25mM Tris(pH7.5),300mM NaCl)で洗浄し、Fタンパク質のエクトドメインを、カラムのおよそ2倍容積の溶出バッファー(250mMのイミダゾールを含む平衡化バッファー)で溶出させた。溶出物を25mM Trisバッファー(pH7.5),300mM NaClに対して透析し、得られた溶液を、NiSO4を充填した5mlのHitrapキレートカラム(GE Healthcare)にロードした。結合されたタンパク質を、25mM Tris(pH7.5)、300mM NaClおよびイミダゾール勾配で溶出させた。
【0465】
イミダゾール勾配での溶出物は、どちらの場合も、抗HISウエスタンブロットおよび/またはクマシー染色SDS−PAGEゲルを用いて評価した。純粋な構築物を含む画分を収集し、その後のサイズ排除クロマトグラフィーによる分析/精製のために、Millipore Centriprep濃縮器および/またはVivaspin濃縮ユニットを用いておよそ1mg/mlまで濃縮した。
【0466】
(RSV FエクトドメインのSEC分析および精製)
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いてRSV Fタンパク質のエクトドメインの非切断単量体および切断三量体を精製し、分析した。また、この方法により、非切断型RSV Fタンパク質のエクトドメインが、宿主細胞または培地に由来する脂質およびリポタンパク質夾雑物から精製されることを可能にした。不純物のないロゼットを生成する場合、まず、非切断Delp23 Furdel構築物を単量体として精製し、続いて、プロテアーゼ処理し、SECを用いて再度精製して、均一なロゼットを精製した(下記参照)。効率的な精製工程としても機能し得る2つの方法、HPLC−SECとFPLC−SECを、RSV Fオリゴマー化の分析のために開発した。
【0467】
HPLC−SECは、Biorad SECカラム(18mm)を、25mM Tris(pH7.5)、300mM NaCl移動相とともに用いて行なった。Biorad HPLC−SEC標準物を用いて系を較正すると、本発明者らは、RSVロゼット(切断された融合後コンフォメーションを示す)は分析のカラムのボイドボリューム中に溶出されるが、RSV F単量体は、およそ75〜85kDaの見かけ分子量で溶出されることを見い出した。
【0468】
FPLC−SECは、16/60 Superdex 200カラムを、25mM Tris(pH7.5)、300mM NaCl移動相とともに用いてGE Healtcare FPLCにおいて行なった。GE Healthcare高分子量標準物を用いて系を較正すると、本発明者らは、RSVロゼットは分析のカラムのボイドボリューム中に溶出されるが、RSV単分散三量体は、およそ140〜160kDaの見かけ分子量で溶出され、RSV F単量体は、およそ75〜85kDaの見かけ分子量で溶出されることを見い出した。RSV 非切断Delp21 FurxまたはDelp23 Furdel(単量体)または融合ペプチド欠失(三量体)の精製では、0.5〜2mlのおよそ1mg/mlのキレート精製物質を、平衡化したSuperdex P200 16/60カラムに0.5〜2ml/分の流速でロードし、適切な画分を収集した。
【0469】
(Delp23 Furdel構築物のトリプシン切断による融合後ロゼットの形成)
ウシ血漿由来のトリプシン(Sigma Aldrich,T8802:10,000〜15,000 BAEE単位/mgのトリプシン)を25mM Tris(pH7.5),300mM NaCl中で1mg/ml濃度に希釈した。RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの1mg/ml溶液(25mM Tris(pH7.5),300mM NaCl中で希釈)を、1マイクロリットルのトリプシン溶液(最終質量比が0.001:1のトリプシン:RSV F、または各1ミリグラムのRSV Fに対しておよそ10〜15 BAEE単位のトリプシン)で、37℃にて1時間処理した。切断反応の進行はSDS−PAGEゲルによってモニタリングした。トリプシンインヒビター(Gibco製ダイズトリプシンインヒビター,トリプシンに対して等質量のインヒビターを使用)を用いて切断反応を停止させた。より高い効率で単量体をロゼットに変換させるためには、切断工程と、その後のロゼット精製との間にインキュベーション期間が必要であることがわかった。37℃で1〜6時間のインキュベーション期間により、高いロゼット形成効率がもたらされることが示された。切断RSV Fタンパク質を、未変換単量体種からサイズ排除クロマトグラフィー(上記)を用いてさらに精製し、その場合、均一なロゼットがカラムのボイドボリューム画分中にて収集され得る。
【0470】
(CHO細胞からのRSV F抗原の精製)
RSV F融合ペプチド欠失構築物(これはHIS−タグを含まない)をカチオン精製によって精製した。発現させたRSV F三量体抗原を含むCHO材料を、GE Healthcare製中空糸カートリッジ濃縮システム(MWCO 10,000kDa)にて、元の容積のおよそ10分の1まで濃縮した。次いで、この濃縮液を、等容積の25mM酢酸ナトリウム(pH6.0),25mM NaClで4回バッファー交換した。得られた溶液(酢酸/生理食塩水バッファー中に濃縮RSV F三量体を含むもの)を、酢酸/生理食塩水バッファーで平衡化しておいた充填済GE Healthcare HiTrap CMカラムにロードした。タンパク質をカラムから、25、150、250、500または1000mMいずれかのNaClを含む25mM酢酸バッファーの段階的勾配を用いて溶出させた(250mMおよび500mMのNaCl画分はバルク溶出物質を含む)。この物質を、上記のプロトコルと同様のSEC精製を用いてさらに精製してもよい。
【0471】
(実施例6−コットンラットにおけるRSV Fサブユニットの免疫原性)
各々、アラムまたはMF59を用いて処方したRSV−F三量体(RSV−F−融合−ペプチド−欠失−trun)およびロゼット(RSV−F−delp23−furdel−trunc,切断)サブユニットの免疫原性および防御能を、コットンラットモデルにおいて評価した。この試験でのELISAに使用した抗原は、RSV−F−融合−ペプチド−欠失−truncとした(表4)。中和は、感染性RSVであるLong株に対するものとした(表5)。組合せはすべて免疫原性であり、高力価のRSV−F特異的IgGおよびRSV中和抗体の応答が誘起され、これは、2回目のワクチン接種で高められ、経鼻RSVチャレンジからの防御がもたらされた。
【0472】
(方法)
(コットンラットのワクチン接種およびチャレンジ)
雌性コットンラット(Sigmodon hispidis)をHarlan Laboratoriesから取得した。動物群を筋肉内にて(i.m.,100μl)、表示したワクチンで0日目と21日目に免疫化した。血清試料を、最初の免疫化の3週間後(3wp1)と2回目の免疫化(immunziation)の2週間後(2wp2)に収集した。免疫化した動物またはワクチン接種していない対照動物に、鼻腔内にて(i.n.)、1×10pfuのRSV Longで、最後の免疫化の4週間後にチャレンジした。血液採取およびRSVチャレンジは、精密気化器を用いた3%イソフルランでの麻酔下で行なった。
【0473】
(RSV F特異的ELISA)
個々の血清試料を、RSV F特異的IgGの存在について酵素免疫測定法(ELISA)によってアッセイした。ELISAプレート(MaxiSorp 96ウェル,Nunc)を、1μg/mlの精製RSV F(融合−ペプチド欠失−trunc)(PBS中)で、4℃にて一晩コートした。洗浄後(0.1%Tween−20含有PBS)、プレートをSuperblock Blocking Buffer(PBS中)(Thermo Scientific)で、37℃にて少なくとも1.5時間ブロックした。次いで、このプレートを洗浄し、実験コットンラットまたは対照コットンラットの血清のアッセイ希釈剤(0.1%Tween−20と5%ヤギ血清含有PBS)での連続希釈物を添加し、プレートを37℃で2時間インキュベートした。洗浄後、プレートを、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)結合体化ニワトリ抗コットンラットIgG(Immunology Consultants Laboratory,Inc,アッセイ希釈剤中で1:5,000に希釈)とともに37℃で1時間インキュベートした。最後に、プレートを洗浄し、100μlのTMBペルオキシダーゼ基質溶液(Kirkegaard & Perry Laboratories,Inc)を各ウェルに添加した。100μlの1M HPOの添加によって反応を停止し、プレートリーダーを用いて450nmにおける吸光度を読み取った。各血清試料について、血清希釈度の逆数の対数に対する光学密度(OD)のプロットを非線形回帰(GraphPad Prism)によって作成した。力価は、およそ0.5のODでの血清希釈度の逆数と定義した(プレートごとに含めた、規定の力価1:2500を有するRSV感染コットンラット由来のプールした標準血清に対して標準化)。
【0474】
(マイクロ中和アッセイ)
血清試料を、中和抗体の存在についてマイクロ中和アッセイによって試験した。熱不活化(HI)−血清の2倍連続希釈物(5%HI−ウシ胎仔血清(FBS)含有PBS中)を、等容積のRSV Long株に添加した(事前におよそ115 PFU/25μlをもたらす力価にした)。血清/ウイルス混合物を37℃および5%CO2で2時間インキュベートしてウイルス中和を行なわせ、次いで、25μlのこの混合物(およそ115 PFUを含む)を、二連で、96ウェルプレート内のHEp−2細胞のウェルに接種した。37°および5%CO2で2時間後、細胞に0.75%メチルセルロース/EMEM 5%HI−FBSを重層し、42時間インキュベートした。感染性ウイルス粒子の数を、免疫染色した後、自動計測することによるシンシチウム形成の検出によって測定した。中和力価は、対照(血清なし)と比べて、ウェル1つ当たり少なくとも60%のシンシチウム(synctia)数の減少をもたらす血清希釈度の逆数と定義する。
【0475】
(ウイルス負荷)
肺内のウイルス負荷を、プラークアッセイによって測定した。具体的には、RSV感染の5日後に肺を収集し、右側の肺葉の1つを、25%スクロースを含む2.5mlのダルベッコ改変イーグル培地(DMEM,Invitrogen)中に入れ、組織ホモジナイザーで破壊した。この試料の無細胞上清を−80℃で保存した。感染性ウイルスについてアッセイするため、清澄化した肺ホモジネートの希釈物(5%HI−FBS含有PBS中)を、12ウェルプレート内のコンフルエントHEp−2細胞の単層に200μl/ウェルの容積で接種した。定期的に静かに振盪しながら2時間後(37℃,5%CO)、接種材料を除去し、細胞に、1.5mlの1.25%SeaPlaqueアガロース(Lonza)含有イーグル最小必須培地(EMEM,Lonza)(5%HI−FBS、グルタミンおよび抗生物質を補給)を重層した。3〜4日間のインキュベーション後、細胞に、再度、1mlの1.25%アガロース含有EMEM(Sigma)(0.1%ニュートラルレッド(Sigma)を含有する)を重層した。1日後、ライトボックスの補助を伴ってプラーク計数した。
【0476】
ウイルス負荷を測定するための代替的な方法は、定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)である。ウイルス負荷は、既報(I.Borgら,Eur Respir J 2003;21:944−51)のRSV−F遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを用いて(一部修正を伴って)qRT−PCRによって測定され得る。簡単には、RNAを、140μlの清澄化肺ホモジネート、または既知のプラーク形成単位(PFU)数のRSV(プラークアッセイによって測定し、非感染動物由来の肺ホモジネート中で希釈する)から、RNeasyキット(Qiagen)を最終溶出容積100μlのHOとともに用いて単離する。cDNAの合成とPCRを単一のチューブにおいて行ない、Superscript III Platinum One−Step Quantitative RT−PCRキット(Invitrogen)を、5μLの溶出RNA、10μMの各プライマーおよび50μMのプローブとともに使用する(プライマーおよびプローブはIntegrated DNA Technologies製)。フォワードプライマー:TTGGATCTGCAATCGCCA(配列番号72)。リバースプライマー:CTTTTGATCTTGTTCACTTCTCCTTCT(配列番号73)。プローブ:5’−カルボキシフルオレセイン(FAM)−TGGCACTGCTGTATCTAAGGTCCTGCACT−テトラメチルカルボキシローダミン(TAMRA)−3’(配列番号74)。増幅および検出は、ABI Prism 7900HTまたは7500(Applied Biosystems)を用いて行なう。サイクル閾値(Ct)は、各試料について、蛍光シグナルが、設定された閾値より上で最初に検出可能となるサイクル数と定義する。次いで、ウイルスRNAの規定コピー数の対数に対するCtの標準曲線に基づいて各試料のPFU当量を求める。
【0477】
(結果)
モデルとしてのコットンラットは、コットンラットとヒトとのRSV誘発性疾患における多くの類似性のため、RSVの病因および免疫の試験において広く使用されている。2つの重要な類似点は、中和抗体の有効性、およびホルマリン不活化RSVワクチン接種と関連する肺組織病理の増強である。また、コットンラットは、マウスなどの他の小動物よりもRSV感染に感染性である。
【0478】
本発明者らのRSV−Fサブユニットワクチンの免疫原性を評価するため、雌性コットンラット群に、各々、アラムまたはMF59のいずれかを用いて処方した種々の用量の三量体(RSV−F−融合−ペプチド−欠失−trunc)またはロゼット(RSV−F−delp23−furdel−trunc,切断)を筋肉内にワクチン接種した。すべての場合において、血清中でF特異的抗体と中和抗体の両方を誘導するのに、1回の免疫化で十分であった(最初のワクチン接種の3週間後(3wp1)に測定する場合)。初回から3週間後、すべてのコットンラットに同種の追加免疫化を施し、これにより、2週間後(2wp2)に測定した場合、F特異的IgGおよび中和抗体の有意な増大がもたらされた。一般的に、ロゼットの免疫原性は三量体のものと同等かまたはそれ以上であり、MF59処方物の方がアラム処方物よりも力価が高く、タンパク質用量が高いほど高い力価がもたらされるが、一部例外もみられた。
【0479】
該サブユニットワクチンの防御能を調べるため、2回目のワクチン接種の4週間後、すべてのコットンラットを経鼻経路によってRSVに感染させ、5日後、プラークアッセイによって肺内のウイルス負荷を測定した。すべての場合において、ワクチン接種したコットンラットの肺内ウイルス負荷は、免疫化せずにチャレンジした対照動物よりも3桁超低減されており、サブユニットワクチン接種によりチャレンジからの防御がもたらされた。
【0480】
【表4−1】

個々のコットンラット(7〜8匹/群)の幾何平均力価
三量体免疫原はRSV−F−融合−ペプチド−欠失−truncとした
ロゼット免疫原はRSV−F−delp23−furdel−trun,切断とした。
【0481】
【表4−A】

1×10プラーク形成単位(pfu)のRSV Longで鼻腔内チャレンジ
チャレンジの5日後のpfu/グラム肺
7〜8匹の個々のコットンラット/群の幾何平均力価
個々の動物が<203(検出限界)の力価を有した場合、力価100を割り当てた。
【0482】
【表5】

シンシチウムが60%減少する中和力価
3〜4匹のコットンラット/群の2つのプールの幾何平均力価。
【0483】
(実施例7−RSV RNAワクチン)
(RNA合成)
アルファウイルスレプリコンをコードするプラスミドDNA(図4,配列番号77)を、インビトロでのRNA合成のための鋳型として供した。この実験では、RSVの完全長の表面融合糖タンパク質(RSV−F)を使用した(図4)。レプリコンが真核生物の細胞に送達されると、プラス鎖のRNAが翻訳されて4つの非構造タンパク質が生成され、これらが一緒になってゲノムRNAを複製させ、異種遺伝子産物をコードする大量のサブゲノムmRNAを転写した。アルファウイルスの構造タンパク質の発現の欠損のため、レプリコンは、感染性粒子の生成を誘導することができない。アルファウイルスのcDNAの上流のバクテリオファージ(T7またはSP6)プロモーターにより、インビトロでのレプリコンRNAの合成が助長され、ポリ(A)−テイルのすぐ下流のデルタ肝炎ウイルス(HDV)リボザイムにより、その自己切断活性によって正しい3’末端が生成される。
【0484】
HDVリボザイムの下流で適当な制限エンドヌクレアーゼによってプラスミドDNAを線形化した後、T7またはSP6バクテリオファージ由来DNA依存性RNAポリメラーゼを用いてインビトロでランオフ(run−off)転写物を合成した。7.5mM(T7 RNAポリメラーゼ)または5mM(SP6 RNAポリメラーゼ)の各ヌクレオシド三リン酸(ATP、CTP、GTPおよびUTP)の存在下、製造業者(Ambion,Austin,TX)によって提供された使用説明書に従い、37℃にて2時間転写を行なった。転写後、鋳型DNAをTURBO DNase(Ambion,Austin,TX)で消化した。レプリコンRNAをLiClにより沈殿させ、ヌクレアーゼを含まない水中で再構成させた。転写後、ScriptCap mG Capping System(Epicentre Biotechnologies,Madison,WI)をユーザーマニュアルの概説どおりに使用し、無キャップRNAにVaccinia Capping Enzyme(VCE)でキャッピングした。転写後にキャッピングしたRNAをLiClにより沈殿させ、ヌクレアーゼを含まない水中で再構成させた。260nmにおける光学密度を測定することにより、RNA試料の濃度を求めた。インビトロ転写物の完全性を、変性アガロースゲル電気泳動によって確認した。
【0485】
(脂質ナノ粒子(リポソーム)処方物RV01(01))
1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチル−3−アミノプロパン(DlinDMA)を、以前に公開された手順を用いて合成した[Heyes,J.,Palmer,L.,Bremner,K.,MacLachlan,I.Cationic lipid saturation influences intracellular delivery of encapsulated nucleic acids.Journal of Controlled Release,107:276−287(2005)]。1,2−ジアステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)は、Genzymeから購入した。コレステロールはSigma−Aldrich(St.Lois,MO)から取得した。1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](アンモニウム塩)(PEG DMG 2000)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](アンモニウム塩)は、Avanti Polar Lipids(Alabaster,AL)から取得した。
【0486】
脂質の新鮮ストック溶液(エタノール中)を調製した。37mgのDlinDMA、11.8mgのDSPC、27.8mgのコレステロールおよび8.07mgのPEG DMG 2000を秤量し、7.55mLのエタノールに溶解させた。調製したこの脂質の新鮮ストック溶液を37℃で約15分間、静かに振盪し、均質な混合物を形成した。次いで、755μLのストックを1.245mLのエタノールに添加し、2mLの作業用脂質ストック溶液にした。この量の脂質を用いて、250μgのRNAを有する8:1のN:P(窒素対ホスフェート)比のLNPを形成した。DlinDMA(カチオン性脂質)上のプロトン化性(protonatable)窒素とRNA上のホスフェートがこの計算に使用される。1μgの各自己複製RNA分子は3nmolのアニオン性ホスフェートを含むものとし、1μgの各DlinDMAは1.6nmolのカチオン性窒素を含むものとした。また、2mLの作業用RNA溶液を、100mMクエン酸バッファー(pH6)(Teknova,Hollister,CA)中約1μg/μLのストック溶液から調製した。使用前に、バイアルのRNAse汚染を除去するため、3つの20mLのガラスバイアル(撹拌バーを入れる)をRNase Away溶液(Molecular BioProducts,San Diego,CA)ですすぎ洗浄し、大量のMilliQ水で洗浄した。バイアルの1つを作業用RNA溶液に、その他を脂質およびRNAミックスの収集に使用した(後述どおり)。作業用の脂質溶液およびRNA溶液を37℃で10分間加熱した後、3ccのルアーロック式シリンジ(BD Medical,Franklin Lakes,NJ)内に充填した。2mLのクエン酸バッファー(pH6)を別の3ccのシリンジ内に充填した。RNAおよび脂質を内包したシリンジをTミキサー(PEEKTM 500μm ID連結,Idex Health Science,Oak Harbor,WA)に、FEPチューブ([フッ素化エチレン−プロピレン] 2mm ID×3mm OD,Idex Health Science,Oak Harbor,WA)を用いて連結した。また、Tミキサーの排出口もFEPチューブ(2mm ID×3mm)とした。クエン酸バッファーを内包する3つ目のシリンジは、別のチューブ片(2mm ID×3mm OD)に連結した。次いで、シリンジポンプ(kdScientific,型番KDS−220,Holliston,MA)を用いて、すべてのシリンジを7mL/分の流速で作動させた。チューブの排出口は、混合物が20mLのガラスバイアル内(撹拌を伴う)に収集されるように配置した。撹拌バーを取り出し、エタノール/水溶液を室温まで1時間、平衡化させた。4mlの混合物を5ccのシリンジ(BD Medical)内に充填し、該シリンジをFEPチューブ片(2mm ID×3mm OD,Idex Health Science,Oak Harbor,WA)に連結し、等しい長さのFEPチューブに連結した別の5ccのシリンジ内に、等量の100mMクエン酸バッファー(pH6)を充填した。この2つのシリンジを、シリンジポンプを用いて7mL/分の流速で作動させ、最終混合物を20mLのガラスバイアル内(撹拌を伴う)に収集した。次に、第2の混合工程から収集された混合物(リポソーム)をムスタングQメンブレン(アニオン性分子に結合して除去するアニオン交換支持体,Pall Corporation,AnnArbor,MI,USAから入手可能)に通した。リポソームを通す前、ムスタングメンブレンに、逐次、4mLの1M NaOH、4mLの1M NaClおよび10mLの100mMクエン酸バッファー(pH6)を通した。このムスタングフィルターに通す前、リポソームを37℃で10分間昇温させた。次に、リポソームを2mLまで濃縮し、10〜15容積の1×PBS(Teknova製)に対して透析した(タンジェンシャルフロー濾過(TFF)システムを使用)後、最終生成物を収集した。TFFシステムおよび中空糸濾過膜は、Spectrum Labs(Rancho Dominguez,CA)から購入し、製造業者のガイドラインに従って使用した。100kDの孔径カットオフおよび8cmの表面積を有するポリスルホン中空糸濾過膜(品番P/N:X1AB−100−20P)を使用した。インビトロおよびインビボ実験では、処方物を、必要とされるRNA濃度まで1×PBS(Teknova製)で希釈した。
【0487】
(カチオン性エマルジョン17(CNE17)の調製方法)
スクアレン、ソルビタントリオレエート(Span 85)、およびポリオキシ−エチレンソルビタンモノオレエート(monololeate)(Tween 80)は、Sigma(St.Louis,MO,USA)から取得した。1,2−ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(DOTAP)は、Lipoid(Ludwigshafen Germany)から購入した。カチオン性ナノエマルジョン(CNE)は、既報(Ottら Journal of Controlled Release,79(1−3):1−5(2002))の荷電MF59と同様にして、軽微な修正を伴って調製した。簡単には、油溶性成分(すなわち、スクアレン、span 85、カチオン性脂質、脂質界面活性剤)をビーカー内で合わせ、脂質成分をクロロホルム(CHCl)またはジクロロメタン(DCM)に溶解させた。得られた脂質溶液を油+span 85に直接添加した。溶媒を換気フード内で室温にて2時間蒸発させた後、水相と合わせ、均一な供給材料を得るため、IKA T25ホモジナイザーを用いて24K RPMで試料をホモジナイズした。一次エマルジョンを、氷浴冷却コイルを有するMicrofluidezer M110SまたはM110PSホモジナイザーに、およそ15k〜20k PSIのホモジナイゼーション圧で3〜5回通した(Microfluidics,Newton,MA)。該ユニットから20mlのバッチ試料を取り出し、4℃で保存した。以下の表には、CNE17の組成が記載されている。
【0488】
【表6】

(RNAの複合体化)
溶液中の窒素数をカチオン性脂質の濃度から計算した(例えば、DOTAPは1分子当たり、プロトン化され得る1個の窒素を有する)。RNA濃度を使用し、RNA1マイクログラム当たり3nmolのホスフェートの概算値を用いて溶液中のホスフェートの量を計算した。RNA:脂質の量を変更することによりN/P比が修正され得る。RNAをCNE17と、10:1の窒素/ホスフェート(N/P)比で複合体形成させた。このような値を用いて、RNAをRNaseを含まない水中で適切な濃度に希釈し、軽くボルテックスしながら直接、等容積のエマルジョンに添加した。この溶液を室温でおよそ2時間放置した。複合体が形成されたら、得られた溶液を、投与前に必要とされる濃度に希釈した。
【0489】
(エレクトロポレーション)
エレクトロポレーションは、pDNAワクチンの送達に非常に有効な方法であり、この手法を用いて自己複製RNAを送達した。マウスをイソフルラン(isofluorane)下で麻酔し、両後脚を念入りに剃って処置対象の肢部領域を露出させた。30ul用量のワクチンを後肢の腓腹筋に、1/2ccのインスリンシリンジを用いて注射した。この筋肉を、Elgen(登録商標)DNA Delivery System(Inovio,San Diego)を用いてエレクトロポレーションした。機器パラメータは以下のとおり:60V,60ms毎に2パルスである。別の用量を第2肢に同様に送達した後、エレクトロポレーションした。
【0490】
(ウイルスレプリコン粒子(VRP))
RNAワクチンを、レポーター遺伝子または抗原のインビボ発現を行なうための従来のRNAベクター系アプローチと比較するため、本発明者らは、BHK細胞において、Perriらに記載の方法によって産生させたウイルスレプリコン粒子(VRP)を用いた。この系では、抗原(またはレポーター遺伝子)レプリコンは、シンドビスウイルスの3’末端配列(3’UTR)とシンドビスウイルスパッケージングシグナル(PS)を含むように操作されたベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)ゲノム由来のアルファウイルスキメラレプリコン(VCR)からなるものとした(Perriらの図2参照)。このレプリコンを、乳仔ハムスター腎(BHK)細胞にシンドビスウイルスキャプシドと糖タンパク質の遺伝子をコードする欠陥性ヘルパーRNAとともに共エレクトロポレーションすることにより、VRP内にパッケージングした(Perriらの図2参照)。次いで、VRPを収集し、標準的な方法によって力価測定し(titrate)、動物に、培養液または他の等張性バッファー中にて接種した。Perri S,Greer CE,Thudium K,Doe B,Legg H,Liu H,Romero RE,Tang Z,Bin Q,Dubensky TW,Jr.ら(2003)。ベネズエラウマ脳炎ウイルスおよびシンドビスウイルスに由来するアルファウイルスレプリコン粒子キメラは、強力な遺伝子ベースのワクチン送達ベクターである。J Virol 77:10394−10403。
【0491】
(RSV F三量体サブユニットワクチン)
RSV F三量体は、RSV Fエクトドメインを含み、融合ペプチド領域が欠失した(他の三量体との会合が抑制される)組換えタンパク質である。得られた構築物は、サイズ排除クロマトグラフィーによって観察されるように、均一な三量体を形成し、電子顕微鏡検査によって観察される融合後Fコンフォメーションと整合する、予測される表現型を有する。該タンパク質を昆虫細胞において発現させ、該構築物のC末端に融合させたHISタグによる精製、続いて、慣用的な手法を用いたサイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。得られるタンパク質試料は95%より高い純度を示す。F−サブユニットワクチンのインビボ評価のため、100μg/mLの三量体タンパク質を、10mMヒスチジンバッファー(pH6.3)を用いて2mg/mLのアラムに吸着させ、150mMまで、塩化ナトリウムで等張に調整した。F−サブユニットタンパク質はアラムに、2〜8℃で静かに撹拌しながら一晩吸着させた。最終ワクチンのpHおよび重量オスモル濃度は、6.5〜7.5および240〜360mOsm/kgを標的とした。ワクチンを、タンパク質吸着についてSDS−PAGE(Invitrogen Corporation,USA)によって、およびエンドトキシン含有量についてLALアッセイ(Charles River Laboratories,USA)によって特性評価した。免疫化前、ワクチンを静かに反転することによって混合した。
【0492】
(マウスでの免疫原性試験)
10匹の雌性BALB/cマウスの群(8〜10週齢および体重約20グラム)を0日目と21日目に免疫化し、14、35および49日目に血液を採取した。すべての動物に対し、2つの後脚の四頭筋で注射し、各々、等容積(50μl/部位)で合計100μlのワクチンを与えた(10μgの抗原用量を送達)。T細胞応答の測定が必要なときは、35日目または49日目に脾臓を収集した。
【0493】
(コットンラットのワクチン接種およびチャレンジ)
雌性コットンラット(Sigmodon hispidis)をHarlan Laboratoriesから取得した。実験はすべて、Novartis動物保護使用委員会(Animal Care and Use Committee)の承認を得ており、上記委員会に従って行なった。動物の群を筋肉内にて(i.m.,100μl)、表示したワクチンで0日目と21日目に免疫化した。血清試料を、各免疫化の2週間後に収集した。免疫化した動物またはワクチン接種していない対照動物を、鼻腔内にて(i.n.)、1×10PFUのRSVで、最後の免疫化の4週間後にチャレンジした。血液採取およびRSVチャレンジは、精密気化器を用いた3%イソフルランでの麻酔下で行なった。
【0494】
(マウスT細胞機能アッセイ)
(細胞内サイトカイン免疫蛍光アッセイ)
同一にワクチン接種したBALB/cマウスの2〜5個の脾臓をプールし、培養のための単一の細胞懸濁物を調製した。各脾細胞プールについて、2つの抗原刺激培養物と2つの非刺激培養物を樹立した。抗原刺激培養物は、1×10個の脾細胞、RSV Fペプチド85−93(1×10−6M)、RSV Fペプチド249−258(1×10−6M)、RSV Fペプチド51−66(1×10−6M)、抗CD28 mAb(1mcg/mL)、およびブレフェルジンA(1:1000)を含むものとした。非刺激培養物は、RSV Fペプチドを含めなかったこと以外は、刺激培養物と同一とした。37℃で6時間の培養後、培養物を免疫蛍光のために処理した。細胞を洗浄し、次いで、蛍光標識抗CD4および抗CD8 モノクローナル抗体(mAb)で染色した。細胞を再度洗浄し、次いで、Cytofix/cytopermで20分間固定した。次いで、固定された細胞をPerm洗浄バッファーで洗浄し、次いで、IFN−g、TNF−a、IL−2およびIL−5に特異的な蛍光標識mAbで染色した。染色細胞を洗浄し、次いで、LSR IIフローサイトメーターで分析した。FlowJoソフトウェアを使用し、取得データを分析した。CD4+8−T細胞サブセットおよびCD8+4−T細胞サブセットを、別々に分析した。所与の試料の各サブセットについて、サイトカイン陽性細胞の%を決定した。RSV F抗原特異的T細胞の%は、抗原刺激培養物でのサイトカイン陽性細胞の%と非刺激培養物でのサイトカイン陽性細胞の%との差として計算した。標準的な方法(Statistical Methods,第7版.G.W.SnedecorおよびW.G.Cochran)を使用し、抗原特異的細胞の%の95%信頼限界を決定した。
【0495】
(分泌サイトカインアッセイ)
分泌サイトカインアッセイのための培養物は、ブレフェルジンAを除いたこと以外は細胞内サイトカイン免疫蛍光アッセイのものと同様とした。37℃で一晩培養後に培養上清を収集し、複数のサイトカインについて、Meso Scale Discovery製のマウスTh1/Th2サイトカインキットを用いて分析した。培養物ごとの各サイトカインの量を、製造業者により供給された精製組換えサイトカインを用いて作成された標準曲線から決定した。
【0496】
(RSV F特異的ELISA)
個々の血清試料を、RSV F特異的IgGの存在について酵素免疫測定法(ELISA)によってアッセイした。ELISAプレート(MaxiSorp 96ウェル,Nunc)を、1μg/mlの精製RSV F(delp23−furdel−trunc 非切断)(PBS中)で、4℃にて一晩コートした。洗浄後(0.1%Tween−20含有PBS)、プレートをSuperblock Blocking Buffer(PBS中)(Thermo Scientific)で、37℃にて少なくとも1.5時間ブロックした。次いで、このプレートを洗浄し、実験コットンラットまたは対照コットンラットの血清のアッセイ希釈剤(0.1%Tween−20と5%ヤギ血清含有PBS)での連続希釈物を添加し、プレートを37℃で2時間インキュベートした。洗浄後、プレートを、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)結合体化ニワトリ抗コットンラットIgG(Immunology Consultants Laboratory,Inc,アッセイ希釈剤中で1:5,000に希釈)とともに37℃で1時間インキュベートした。最後に、プレートを洗浄し、100μlのTMBペルオキシダーゼ基質溶液(Kirkegaard & Perry Laboratories,Inc)を各ウェルに添加した。100μlの1M HPOの添加によって反応を停止し、プレートリーダーを用いて450nmにおける吸光度を読み取った。各血清試料について、血清希釈度の逆数の対数に対する光学密度(OD)のプロットを非線形回帰(GraphPad Prism)によって作成した。力価は、およそ0.5のODでの血清希釈度の逆数と定義した(プレートごとに含めた、規定の力価1:2500を有するRSV感染コットンラット由来のプールした標準血清に対して標準化)。
【0497】
(マイクロ中和アッセイ)
血清試料を、中和抗体の存在についてプラーク減少中和試験(PRNT)によって試験した。HI−血清の2倍連続希釈物(5%HI−FBS含有PBS中)を等容積のRSV Longに添加した(事前におよそ115 PFU/25μlをもたらす力価にした)。血清/ウイルス混合物を37℃および5%CO2で2時間インキュベートしてウイルス中和を行なわせ、次いで、25μlのこの混合物(およそ115 PFUを含む)を、二連で、96ウェルプレート内のHEp−2細胞のウェルに接種した。37℃および5%CO2で2時間後、細胞に0.75%メチルセルロース/EMEM 5%HI−FBSを重層し、42時間インキュベートした。感染性ウイルス粒子の数を、免疫染色した後、自動計測することによるシンシチウム形成の検出によって決定した。中和力価は、対照(血清なし)と比べて、ウェル1つ当たり少なくとも60%のシンシチウム数の減少をもたらす血清希釈度の逆数と定義する。
【0498】
(ウイルス負荷)
肺内のウイルス負荷を、プラークアッセイによって測定した。具体的には、RSV感染の5日後に肺を収集し、右側の肺葉の1つを、25%スクロースを含む2.5mlのダルベッコ改変イーグル培地(DMEM,Invitrogen)中に入れ、組織ホモジナイザーで破壊した。この試料の無細胞上清を−80℃で保存した。感染性ウイルスについてアッセイするため、清澄化した肺ホモジネートの希釈物(5%熱不活性化ウシ胎仔血清(HI−FBS)含有PBS中)を、12ウェルプレート内のコンフルエントHEp−2細胞の単層に200μl/ウェルの容積で接種した。定期的に静かに振盪しながら2時間後(37℃,5%CO)、接種材料を除去し、細胞に、1.5mlの1.25%SeaPlaqueアガロース(Lonza)含有イーグル最小必須培地(EMEM,Lonza)(5%HI−FBS、グルタミンおよび抗生物質を補給)を重層した。3〜4日間のインキュベーション後、細胞に、再度、1mlの1.25%アガロース含有EMEM(Sigma)(0.1%ニュートラルレッド(Sigma)を含有する)を重層した。1日後、ライトボックスの補助を伴ってプラーク計数した。
【0499】
(コットンラット肺病理)
RSVチャレンジの5日後、肺を収集し、各動物から4つの肺葉を収集し、穏やかな気管内滴注の後、液浸固定によって10%中性緩衝ホルマリン(NBF)で固定した。組織を、顕微鏡検査のために常套的に処理し、ヘマトキシリン&エオシン染色切片を調製した。所見を、以前に公開された基準[Prince GAら,2001]の変形を用いて以下のパラメータ:細気管支周囲炎、肺胞炎、気管支炎、脈管周囲細胞浸潤および間質性肺炎について評価した。病変を4点の半定量的スケールで評価した。最小(+)変化は、1つまたは数個の小病巣を含むものとした;軽度(++)変化は、小〜中くらいの大きさの病巣で構成されたものとした;中等度(+++)変化は、いくつものおよび/または中等度の大きさの病巣を含むものとした;顕著な(++++)変化は、広範にコンフルエントな病巣を示し、組織の大部分/全部が影響を受けたものとした。
【0500】
(実施例7)
(A−コットンラットRSVチャレンジ試験(CRIS14))
RSVの表面融合糖タンパク質(RSV−F)を発現するA317レプリコンをこの実験に使用した。コットンラット(Sigmodon hispidus)(8匹の動物/群)に、裸の自己複製RNA(A317,1μgもしくは10μg)、LNPにおいて処方した自己複製RNA(RV01(01),A317,0.1μgもしくは1μg)、RSV−Fを発現するVRP(5×10IU)、F−三量体/アラムサブユニット(10μg)、またはホルマリン不活化RSVワクチン(5200 FI−pfu)で、0日目と21日目に、両側に筋肉内ワクチン接種(50μL/脚)を行なった。抗体分析のため、14日目(2wp1)と35日目(2wp2)に血清を収集した。すべての動物を、1×10pfuのRSVで、鼻腔内に49日目にチャレンジし、ウイルス負荷および肺病理の決定のため、肺を54日目(5dpc)に収集した。
【0501】
(結果)
【0502】
【表7】

表7.0日目と21日目の筋肉内ワクチン接種後のコットンラット(Sigmodon hispidus)(8匹の動物/群)のF特異的血清IgGの力価。抗体分析のため、14日目(2wp1)と35日目(2wp2)に血清を収集し、49日目に、すべての動物を1×10pfuのRSVで鼻腔内にチャレンジした。ウイルス負荷および肺病理の決定のため、54日目(5dpc)に肺を収集した。データを、8匹の個々のコットンラット/群の幾何平均力価で示す。個々の動物が<25(検出限界)の力価を有した場合、力価5を割り当てた。
【0503】
【表8】

表8.0日目と21日目の筋肉内ワクチン接種後のコットンラット(Sigmodon hispidus)(8匹の動物/群)のRSV血清中和力価。分析のため、14日目(2wp1)と35日目(2wp2)に血清を収集した。データを60%プラーク減少中和力価で示す。4匹のコットンラット/群の2つのプールの幾何平均力価。個々の動物が<25(検出限界)の力価を有した場合、力価5を割り当てた。
【0504】
【表9】

表9:0日目と21日目の筋肉内ワクチン接種後のコットンラット(Sigmodon hispidus)(8匹の動物/群)のRSVチャレンジ5日後の肺のウイルス力価。49日目、すべての動物を1×10pfuのRSVで鼻腔内にチャレンジした。ウイルス負荷および肺病理の決定のため、54日目(5dpc)に肺を収集した。データを、プラークアッセイによって決定されたプラーク形成単位/グラム肺で示す。8匹の個々のコットンラット/群の幾何平均力価。個々の動物が<200(検出限界)の力価を有した場合、力価100を割り当てた。
【0505】
【表10】

表10.0日目と21日目の筋肉内ワクチン接種後のコットンラット(Sigmodon hispidus)(8匹の動物/群)のRSVチャレンジ5日後の肺の肺胞炎。49日目、すべての動物を1×10pfuのRSVで鼻腔内にチャレンジした。ウイルス負荷および肺病理の決定のため、54日目(5dpc)に肺を収集した。病変を4点の半定量的スケールで評価した。最小(1)変化は、1つまたは数個の小病巣を含むものとした;軽度(2)変化は、小〜中くらいの大きさの病巣で構成されたものとした;中等度(3)変化は、いくつものおよび/または中等度の大きさの病巣を含むものとした;顕著な(4)変化は、広範にコンフルエントな病巣を示し、組織の大部分/全部が影響を受けたものとした。
【0506】
(結論)
この試験の目的の1つは、コットンラットRSVモデルにおけるレプリコンRNAの免疫原性と防御能を調べることであった。別の目的は、ワクチンの免疫原性および有効性に対するリポソームおよびCNE17処方の効果を評価することであった。非処方レプリコンRNAでは、1回のワクチン接種後、血清F特異的IgGおよびRSV中和抗体が誘導され、この応答は2回目のワクチン接種により高まった。リポソームおよびCNE17処方物は、このモデルにおいて同様に有効であり、2回目のワクチン接種後、1μgのレプリコンRNAに対するF特異的IgGの力価はおよそ8倍、および中和力価は4〜10倍高まった(それぞれ、CNE17およびリポソーム)。レプリコンRNAワクチンはすべて、経鼻RSVチャレンジからの防御をもたらし、5日後に測定したとき、肺のウイルス負荷が3桁超低減された。リポソームを用いて処方された1μgのレプリコンRNAによって生じる免疫応答の大きさおよび防御能は、5×10個のVRPによって誘起される応答の2倍以内であった。アラムアジュバント含有三量体サブユニットでは、最も高い全抗F IgG ELISA力価が誘起され、最も高い中和力価が誘起され、この試験で試験したいずれのワクチン調製物でチャレンジしたときも、肺においてRSV力価からの最も大きな度合の防御が誘起された。
【0507】
(実施例7B−RSV−F免疫原性試験(10−1001))
RSVの表面融合糖タンパク質(RSV−F)を発現するA317レプリコンをこの実験に使用した。BALB/cマウス(10匹の動物/群)に、RSV−F発現VRP(1×10IU)、裸の自己複製RNA(A317,1μg)、エレクトロポレーションを用いて送達する自己複製RNA(A317,10μg)、リポソームにおいて処方した自己複製RNA(RV01(01),A317,0.1μgもしくは1μg)およびCNE17を用いて処方した自己複製RNA(A317,0.1μgもしくは1μg)で、0日目と21日目に、両側に筋肉内ワクチン接種(50μL/脚)を行なった。抗体分析のため、血清を、14日目(2wp1)、35日目(2wp2)および49日目(4wp2)に収集した。T細胞分析のため、49日目(4wp2)に5匹のマウス/群から脾臓を収集した。
【0508】
(結果)
【0509】
【表11】

表11.(10−1001)筋肉内ワクチン接種の14日後のマウス(10匹の動物/群)のF特異的血清IgGの力価。データを、個々のマウスの力価および10匹の個々のマウス/群の幾何平均力価で示す。個々の動物が<25(検出限界)の力価を有した場合、力価5を割り当てた。
【0510】
【表12】

表12.(10−1001)0日目と21日目の筋肉内ワクチン接種後のマウス(10匹の動物/群)のF特異的血清IgGの力価。抗体分析のため、血清を35日目(2wp2)に収集した。データを、個々のマウスの力価および10匹の個々のマウス/群の幾何平均力価で示す。個々の動物が<25(検出限界)の力価を有した場合、力価5を割り当てた。
【0511】
【表13】

表13.(10−1001)0日目と21日目の筋肉内ワクチン接種後のマウス(10匹の動物/群)のF特異的血清IgGの力価。抗体分析のため、血清を49日目(4wp2)に収集した。データを、個々のマウスの力価および10匹の個々のマウス/群の幾何平均力価で示す。個々の動物が<25(検出限界)の力価を有した場合、力価5を割り当てた。
【0512】
【表14】

表14:(10−1001)0日目と21日目の筋肉内ワクチン接種後のマウス(10匹の動物/群)のRSV血清中和力価。分析のため、35日目(2wp2)に血清を収集した。データを、個々のマウスの60%プラーク減少中和力価および10匹の個々のマウス/群の幾何平均力価で示す。個々の動物が<40(検出限界)の力価を有した場合、力価20を割り当てた。NA=アッセイせず。
【0513】
【表15】

表15:(10−1001)0日目と21日目の筋肉内ワクチン接種後のマウス(10匹の動物/群)のRSV血清中和力価。分析のため、49日目(4wp2)に血清を収集した。データを、個々のマウスの60%プラーク減少中和力価および10匹の個々のマウス/群の幾何平均力価で示す。個々の動物が<40(検出限界)の力価を有した場合、力価20を割り当てた。NA=アッセイせず。
【0514】
【表16】

表16.(10−1001)49日目(4wp2)のRSV F特異的CD4+脾臓T細胞の頻度。正味の(抗原特異的)サイトカイン陽性頻度(%)±95%信頼半区間(half−interval)を示す。太字で示した正味の頻度は、統計学的に有意に>0であった刺激応答を示す。
【0515】
【表17】

表17.(10−1001)49日目(4wp2)のRSV F特異的CD8+脾臓T細胞の頻度。正味の(抗原特異的)サイトカイン陽性頻度(%)±95%信頼半区間を示す。太字で示した正味の頻度は、統計学的に有意に>0であった刺激応答を示す。
【0516】
(結論)
リポソーム処方物では、裸のRNA対照と比べて、免疫原性(F特異的IgGの力価の増大によって決定(8〜30倍の増大))、中和力価、ならびにCD4 T細胞応答およびCD8 T細胞応答が有意に増強された。驚いたことに、RV01(01)のF特異的IgGの力価と中和力価は、0.1および1.0μgの両方の用量において、VRP(1×10IU)と同等であった。LNP処方物でのT細胞応答は、高用量ではVRP(1×10IU)と同等であった。CNE17を用いた自己複製RNAの処方物では、裸のRNA対照と比べて、免疫原性(F特異的IgGの力価の増大によって決定(2〜5倍の増大))、中和力価、ならびにCD4 T細胞応答およびCD8 T細胞応答が有意に増強された。RNAのエレクトロポレーションにより、裸のRNA対照と比べて免疫原性が増強されたが、リポソーム送達よりは有意に低かった。
【0517】
(実施例7C−RSV−F免疫原性試験(10−1018))
RSVの表面融合糖タンパク質(RSV−F)を発現するA317レプリコンをこの実験に使用した。BALB/cマウス(8匹の動物/群)に、RSV−F発現VRP(1×10IU)、裸の自己複製RNA(A306,1、0.1、0.01μg)およびリポソームにおいて処方した自己複製RNA(RV01(01),方法1(A317,10.0、1.0、0.1、0.01μg)を使用)で、0日目と21日目に、両側に筋肉内ワクチン接種(50μL/脚)を行なった。抗体分析のため、血清を14日目(2wp1)および(2wp2)に収集した。T細胞分析のため、49日目(4wp2)に5匹のマウス/群から脾臓を収集した。
【0518】
(結果)
RV01(01)リポソーム処方物は、多分散度指数が0.14で158nmのZ平均粒子直径を有するものであり、被包効率は96%であった。14日目と35日目のF特異的血清IgGの力価を表18と19に示し、49日目のT細胞応答を表20と21に示す。
【0519】
【表18】

表18:(10−1018)0日目と21日目の筋肉内ワクチン接種後のマウス(8匹の動物/群)のF特異的血清IgGの力価。抗体分析のため、血清を14日目(2wp1)と35日目(2wp2)に収集した。データを、個々のマウスおよび8匹の個々のコットンラット/群の幾何平均力価で示す。個々の動物が<25(検出限界)の力価を有した場合、力価5を割り当てた。
【0520】
【表19】

表19:23Aから継続。(10−1018)0日目と21日目の筋肉内ワクチン接種後のマウス(8匹の動物/群)のF特異的血清IgGの力価。抗体分析のため、血清を14日目(2wp1)と35日目(2wp2)に収集した。データを、個々の動物および8匹の個々のコットンラット/群の幾何平均力価(GMT)で示す。個々の動物が<25(検出限界)の力価を有した場合、力価5を割り当てた。
【0521】
【表20】

表20.49日目(実験10−1018,4wp2)のRSV F特異的CD4+脾臓T細胞の頻度。正味の(抗原特異的)サイトカイン陽性頻度(%)±95%信頼半区間を示す。太字で示した正味の頻度は、統計学的に有意に>0であった刺激応答を示す。
【0522】
【表21】

表21.49日目(実験10−1018,4wp2)のF特異的脾臓CD8T細胞の頻度。正味の(抗原特異的)サイトカイン陽性頻度(%)±95%信頼半区間を示す。太字で示した正味の頻度は、統計学的に有意に>0であった刺激応答を示す。
【0523】
(結論)
リポソーム処方物では、裸のRNA対照と比べて、免疫原性(F特異的IgGの力価の増大によって判定)およびT細胞の頻度が有意に増強された。RV01(01)についてのF特異的IgGの力価およびCD8 T細胞の頻度は、10μgのRNA用量で、VRP群(1×10IU)と比べて増強された。
【0524】
(さらなる参考文献)
以下の参考文献は、その全ての教示が、参照によって本明細書に援用される。
【0525】
【数3】

【0526】
【数4】

【0527】
【数5】

【0528】
【数6】

【0529】
【数7】

【0530】
【数8】

【0531】
【数9】

本明細書に引用された全ての文書の全教示は、本明細書により、参照によって本明細書に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸100〜150が配列番号9、配列番号12、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7;配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号91または配列番号92のアミノ酸配列で置き換えられている1つ以上のRSウイルスF(RSV F)ポリペプチドを含む免疫原性組成物。
【請求項2】
前記RSV Fのアミノ酸100〜150が配列番号12のアミノ酸配列で置き換えられている、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
前記RSV Fのアミノ酸100〜150が、配列番号9、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7;配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号13または配列番号92のアミノ酸配列で置き換えられている、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
アミノ酸100〜150が配列番号9のアミノ酸配列で置き換えられている、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
前記RSV Fが単量体、三量体、または単量体と三量体の組合せの形態である、請求項1または請求項2に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
RSV Fが単量体、三量体、ロゼットまたはその任意の組合せの形態である、請求項3または4に記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
前記RSV Fポリペプチドが、RSV−Fエクトドメインを含む可溶性ポリペプチドである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
前記RSV Fが、配列番号1または配列番号2のアミノ酸23〜99および151〜524を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
配列番号49、配列番号68、配列番号71、配列番号25、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号69、配列番号70、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号93、シグナルペプチドおよび/またはHISタグが削除されている前述のいずれかの配列、ならびにその組合せからなる群より選択されるポリペプチドを含む免疫原性組成物。
【請求項10】
前記ポリペプチドが、シグナルペプチドおよび任意選択でHISタグが削除されている配列番号68または配列番号68である、請求項9に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
前記ポリペプチドが、配列番号49、配列番号71、ならびにシグナルペプチドおよび任意選択でHISタグが削除されている前述のいずれかの配列からなる群より選択される、請求項9に記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
アジュバントをさらに含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
前記アジュバントが、アルミニウム塩、水中スクアレン型エマルジョン、ベンゾナフチリジン化合物、リン脂質化合物、小分子免疫増強物質および前述のものの任意の組合せからなる群より選択される、請求項12に記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
アミノ酸100〜150が、配列番号9、配列番号12、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号91または配列番号92のアミノ酸配列で置き換えられている、組換えRSウイルスFポリペプチド(RSV F)。
【請求項15】
前記RSV Fのアミノ酸100〜150が配列番号12のアミノ酸配列で置き換えられている、請求項14に記載の組換えRSV F。
【請求項16】
前記RSV Fのアミノ酸100〜150が、配列番号9、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7;配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号13または配列番号92のアミノ酸配列で置き換えられている、請求項15に記載の組換えRSV F。
【請求項17】
アミノ酸100〜150が配列番号9のアミノ酸配列で置き換えられている、請求項14に記載の組換えRSV F。
【請求項18】
単量体、三量体、または単量体と三量体の組合せの形態である、請求項14または15に記載の組換えRSV F。
【請求項19】
単量体、三量体、三量体のロゼットまたはその組合せの形態である、請求項16または17に記載の組換えRSV F。
【請求項20】
配列番号49、配列番号68、配列番号71、配列番号25、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号69、配列番号70、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号93、シグナルペプチドおよび/またはHISタグが削除されている前述のいずれかの配列、ならびにその組合せからなる群より選択される組換えポリペプチド。
【請求項21】
異種オリゴマー化ドメイン、エピトープ、またはシグナルペプチドをさらに含む、請求項14〜20のいずれか1項に記載の組換えポリペプチド。
【請求項22】
前記異種オリゴマー化ドメインが、インフルエンザ血球凝集素由来の三量体化ドメイン、SARSスパイク由来の三量体化ドメイン、またはHIV gp41、NadA、修飾GCN4もしくはATCase由来の三量体化ドメインを含む群から選択される、請求項21に記載の組換えポリペプチド。
【請求項23】
請求項14〜21のいずれかに記載のポリペプチドをコードする単離された核酸。
【請求項24】
自己複製RNA分子である、請求項23に記載の単離された核酸。
【請求項25】
請求項24に記載の自己複製RNA分子を含む免疫原性組成物。
【請求項26】
送達系をさらに含む、請求項25に記載の免疫原性組成物。
【請求項27】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を被験体に投与する工程を含む、被験体においてRSV Fに対する免疫応答を誘導する方法。
【請求項28】
請求項25に記載の免疫原性組成物を被験体に投与する工程を含む、被験体においてRSV Fに対する免疫応答を誘導する方法。
【請求項29】
切断型RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む組成物を作製するための方法であって、
a)切断されるとFおよびFサブユニットが生成されるプロテアーゼ切断部位を含む非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを準備する工程であって、該非切断型の可溶性のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列は、改変型フリン切断部位を106〜109位および133〜136位に含み、該非切断型の可溶性のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、該ポリペプチドを非切断型で産生する細胞から得られる、工程;ならびに
b)準備した該可溶性のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを、該プロテアーゼ切断部位で切断するプロテアーゼで切断し、それにより、切断型の可溶性のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む組成物を生成させる工程
を含む、方法。
【請求項30】
工程b)において、準備した前記非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを、101位付近〜161位付近の1つ以上の位置で切断する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
準備した前記非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを、106位付近〜142位付近の1つ以上の位置で切断する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
a)において準備する前記非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを精製する、請求項29〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
a)において準備する前記非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドがインタクトな融合ペプチドを含むものである、請求項29〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
工程b)での切断により、三量体のロゼットの形成がもたらされる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
c)前記三量体のロゼットを精製する工程をさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記三量体のロゼットの精製がサイズ排除クロマトグラフィーを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
a)において準備する前記非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドが改変型融合ペプチドを含むものである、請求項29〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記融合ペプチドの少なくとも一部分が、前記非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドにおいて欠失している、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
アミノ酸137〜153、アミノ酸137〜146、アミノ酸137〜145、またはアミノ酸137〜142が前記融合ペプチドから欠失している、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
工程b)での切断により、三量体の形成がもたらされる、請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
c)前記三量体を精製する工程をさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記三量体の精製がサイズ排除クロマトグラフィーを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
a)において準備する前記非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを、昆虫細胞、哺乳動物細胞、鳥類細胞、酵母細胞、テトラヒメナ細胞またはその組合せにおいて発現させる、請求項29〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
a)において準備する前記非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを細胞馴化培養培地中で準備する、請求項29〜43に記載の方法。
【請求項45】
前記細胞馴化培養培地が、昆虫細胞馴化培養培地、哺乳動物細胞馴化培養培地およびその組合せからなる群より選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記三量体のロゼットが、FurdelおよびDelp23 furdelからなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチドのFおよびF断片を含む、請求項29〜36および41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記切断型RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドに実質的に脂質とリポタンパク質が含まれていない、請求項29〜46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
請求項29〜47のいずれか1項に記載の方法を用いて作製された切断型RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む組成物。
【請求項49】
免疫原性組成物である、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの単量体、三量体または単量体と三量体の組合せを含む組成物を作製するための方法であって、
a)非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む生物学的材料を準備する工程であって、該非切断型の可溶性のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列は改変型フリン切断部位を106〜109位および133〜136位に含み、該非切断型の可溶性のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは該ポリペプチドを非切断型で産生する細胞から分泌される、工程;ならびに
b)非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの単量体または三量体を該生物学的材料から精製し、それにより該組成物を生成させる工程
を含む、方法。
【請求項51】
前記生物学的材料が、昆虫細胞の馴化培養培地または細胞溶解物、哺乳動物細胞の馴化培養培地または細胞溶解物、鳥類細胞の馴化培養培地または細胞溶解物、酵母細胞の馴化培地または細胞溶解物、テトラヒメナ細胞の馴化培養培地または細胞溶解物、およびその組合せからなる群より選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
b)において、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド三量体を精製する、請求項50または51に記載の方法。
【請求項53】
b)において、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド単量体を精製する、請求項50または51に記載の方法。
【請求項54】
b)での精製がサイズ排除クロマトグラフィーを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドが、改変型融合ペプチドをさらに含むものである、請求項50〜54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記可溶性の非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドが、furmt、furdel、Delp21 furx、Delp23 furx、Delp21 furdel、Delp23 furdel、および第Xa因子構築物からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチドを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項57】
非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む前記組成物に実質的に脂質とリポタンパク質が含まれていない、請求項50〜56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
請求項50〜57のいずれか1項に記載の方法を用いて作製された可溶性の非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの単量体または三量体を含む組成物。
【請求項59】
免疫原性組成物である、請求項58に記載の組成物。
【請求項60】
非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの単量体、三量体または単量体と三量体の組合せを含む組成物を作製するための方法であって、
a)非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む生物学的材料を準備する工程であって、該非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列は改変型フリン切断部位を含み、101位付近と161位付近との間に存在するリジン残基とアルギニン残基は欠失しているか、あるいはリジンもしくはアルギニンではないアミノ酸で置き換えられており、該RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、該ポリペプチドを101位付近と161位付近との間を非切断の状態で産生する宿主細胞から得られ、該RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは101位付近と161位付近との間が切断されていない、工程;ならびに
b)非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの単量体、三量体または単量体と三量体の組合せを、該生物学的材料から精製する工程
を含む、方法。
【請求項61】
前記生物学的材料が、昆虫細胞の馴化培養培地または細胞溶解物、哺乳動物細胞の馴化培養培地または細胞溶解物、鳥類細胞の馴化培養培地または細胞溶解物、酵母細胞の馴化培地または細胞溶解物、テトラヒメナ細胞の馴化培養培地または細胞溶解物、およびその組合せからなる群より選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
b)において、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド三量体を精製する、請求項60または61に記載の方法。
【請求項63】
b)において、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド単量体を精製する、請求項60または61に記載の方法。
【請求項64】
b)において、非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド単量体と非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド三量体を精製する、請求項60または61に記載の方法。
【請求項65】
b)での精製がサイズ排除クロマトグラフィーを含む、請求項60〜64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドが、改変型融合ペプチドをさらに含むものである、請求項60〜64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドが、Furx、Furx R113Q K123N K124N、Delp21 furxおよびDelp23 furxからなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチドを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項68】
非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む前記組成物に実質的に脂質とリポタンパク質が含まれていない、請求項60〜67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
請求項60〜68のいずれか1項に記載の方法を用いて作製された可溶性の非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む組成物。
【請求項70】
免疫原性組成物である、請求項69に記載の組成物。
【請求項71】
切断型RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの単量体、三量体または単量体と三量体の組合せを含む組成物を作製するための方法であって、
a)改変型融合ペプチドを含む切断型RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む生物学的材料を準備する工程;および
b)切断型RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを該生物学的材料から精製する工程
を含む、方法。
【請求項72】
前記RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドが、アミノ酸137〜152付近が欠失しているか、アミノ酸137〜153付近が欠失しているか、アミノ酸137〜145付近が欠失しているか、アミノ酸137〜146付近が欠失しているか、またはアミノ酸137〜142付近が欠失しているアミノ酸配列を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記生物学的材料が、昆虫細胞の馴化培養培地または細胞溶解物、哺乳動物細胞の馴化培養培地または細胞溶解物、鳥類細胞の馴化培養培地または細胞溶解物、酵母細胞の馴化培地または細胞溶解物、テトラヒメナ細胞の馴化培養培地または細胞溶解物、およびその組合せからなる群より選択される、請求項71または72に記載の方法。
【請求項74】
b)において、切断型RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド三量体を精製する、請求項71〜73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
b)において、切断型RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド単量体を精製する、請求項71〜73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
b)において、切断型RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド単量体と切断型RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチド三量体を精製する、請求項71〜73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
b)での精製がサイズ排除クロマトグラフィーを含む、請求項71〜73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドが、少なくとも融合ペプチド欠失ポリペプチドを含むものである、請求項71に記載の方法。
【請求項79】
非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む前記組成物に実質的に脂質とリポタンパク質が含まれていない、請求項71〜78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
請求項71〜79のいずれか1項に記載の方法を用いて作製された可溶性の非切断型のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む組成物。
【請求項81】
免疫原性組成物である、請求項80に記載の組成物。
【請求項82】
RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む組成物を作製するための方法であって、
a)改変型フリン切断部位を133〜136位に含むRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを準備する工程であって、該可溶性のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、該ペプチドを、136/137位が切断されていないがFを含むサブユニットと会合しているF断片の形態で産生する細胞から分泌される、工程;ならびに
b)準備した該RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを、RSV Fタンパク質のエクトドメインを101位と161位との間の部位で切断するプロテアーゼで切断し、それにより該組成物を生成させる工程
を含む、方法。
【請求項83】
a)において準備する前記RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを精製する、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
a)において準備する前記RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを、昆虫細胞、哺乳動物細胞、鳥類細胞、酵母細胞、テトラヒメナ細胞またはその組合せにおいて発現させる、請求項82または83に記載の方法。
【請求項85】
a)において準備する前記RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを、細胞馴化培養培地、細胞抽出物またはその組合せにおいて準備する、請求項82〜84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを、昆虫細胞馴化培養培地、哺乳動物細胞馴化培養培地、鳥類細胞馴化培養培地、酵母細胞馴化培養培地、テトラヒメナ細胞馴化培養培地およびその組合せからなる群より選択される細胞馴化培養培地において準備する、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドが少なくともC末端フリンポリペプチドを含む、請求項82〜86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
b)において作製される前記切断型RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドに実質的に脂質とリポタンパク質が含まれていない、請求項82〜87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
請求項82〜88のいずれか1項に記載の方法を用いて作製された切断型RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む組成物。
【請求項90】
免疫原性組成物である、請求項89に記載の組成物。
【請求項91】
RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む組成物を作製するための方法であって、
a)改変型フリン切断部位を133〜136位に含むRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む生物学的材料を準備する工程であって、該可溶性のRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドは、該ペプチドを、136/137位が切断されていないがFを含むサブユニットと会合しているF断片の形態で産生する細胞から分泌され、ただし、該改変型フリン切断部位はアミノ酸131〜134の欠失ではないものとする、工程;ならびに
b)該RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを該生物学的材料から精製し、それにより該組成物を生成させる工程
を含む、方法。
【請求項92】
前記生物学的材料が、昆虫細胞の馴化培養培地または細胞溶解物、哺乳動物細胞の馴化培養培地または細胞溶解物、鳥類細胞の馴化培養培地または細胞溶解物、酵母細胞の馴化培地または細胞溶解物、テトラヒメナ細胞の馴化培養培地または細胞溶解物、およびその組合せからなる群より選択される、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
b)において、RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドの単量体、三量体または単量体と三量体の組合せを精製する、請求項91または92に記載の方法。
【請求項94】
b)での精製がサイズ排除クロマトグラフィーを含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
該RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドが少なくともC末端フリンポリペプチドを含む、請求項91〜94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
RSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む前記組成物に実質的に脂質とリポタンパク質が含まれていない、請求項91〜95のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
請求項92〜96のいずれか1項に記載の方法を用いて作製されたRSV Fタンパク質のエクトドメインポリペプチドを含む組成物。
【請求項98】
免疫原性組成物である、請求項97に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−533558(P2012−533558A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520789(P2012−520789)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/042161
【国際公開番号】WO2011/008974
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】