説明

S1P受容体アゴニストの投与レジメン

【課題】 処置の最初の3から6日間に合計で標準1日用量のR倍(Rは蓄積率である)の1日用量を投与できるように上げ、その後標準1日用量または標準1日用量よりも低い1日用量で続ける投与レジメンで投与するS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストを提供すること。
【解決手段】 S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストを、処置の最初の3から6日間に合計で標準1日用量のR倍(Rは蓄積率である)の1日用量を投与できるように上げ、その後標準1日用量または標準1日用量よりも低い1日用量で続ける投与レジメンで投与することを見いだした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に移植患者または自己免疫性疾患または障害を有する患者の処置の過程におけるS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの投与レジメンに関する。
【背景技術】
【0002】
S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストは、1種またはそれ以上のスフィンゴシン−1リン酸受容体、例えばS1P1からS1P8でアゴニストとしてシグナリングする化合物である。S1P受容体に結合するアゴニストは、例えば細胞内ヘテロ三量体G−タンパク質からGα−GTPおよびGβγ−GTPへの解離、および/またはアゴニスト占有受容体のリン酸化の増大および下流シグナル経路/キナーゼの活性化をもたらし得る。
【0003】
S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストは、哺乳類、とりわけヒトの様々な状態の処置のための薬剤の製造のために重要な化合物である。例えば、移植の有効性はラット(皮膚、心臓、肝臓、小腸)、イヌ(腎臓)、およびサル(腎臓)モデルで証明されている。シクロスポリンAとの組合せ実験は、ラットの皮膚および心臓移植モデルおよびサルの腎臓移植において相乗効果を示した。エベロリムスと組み合わせたS1P受容体アゴニストまたはモジュレーターは、心臓(ラット)および腎臓(サル)同種移植の生存を延長する。それらの免疫調節効力のため、S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストはまた炎症性および自己免疫性疾患の処置のために有用である。さらにS1P受容体アゴニストの特徴は下記の文献で発見できる:
Brinkmann V, Chen S, Feng L, et al (2001) FTY720 alters lymphocyte homing and protects allografts without inducing general immunosuppression. Transplant Proc; 33:530-531.
Brinkmann V, Pinschewer D, Feng L, et al (2001) FTY720: altered lymphocyte traffic results in allograft protection (review). Transplantation; 72:764-769.
Pinschewer DD, Ochsenbein AF, Odermatt B, et al (2000) FTY720 immunosuppression impairs effector T-cell peripheral homing without affecting induction, expansion, and memory. J Immunol; 164:5761.
Yanagawa Y, Sugahara K, Kataoka H, et al (1998) FTY720, a novel immunosuppressant, induces sequestration of circulating mature lymphocytes by acceleration of lymphocyte homing in rats. II. FTY720 prolongs skin allograft survival by decreasing T cell infiltration into grafts but not cytokine production in vivo. J Immunol.; 160(11):5493-9.
【0004】
今回驚くべきことに、特定の投与レジメン、例えば負荷用量がさらなる期待していない利点を提供することを見いだした。
【0005】
個々のヒトS1P受容体へのS1P受容体アゴニストまたはモジュレーターの結合親和力は、下記のアッセイで測定し得る:
化合物のS1P受容体アゴニストまたはモジュレーター活性をヒトS1P受容体、S1P、S1P、S1P、S1PおよびS1Pで試験する。機能的受容体活性化は、安定に適当なヒトS1P受容体を発現するトランスフェクトCHOまたはRH7777細胞から生成される膜タンパク質への、化合物が誘発するGTP[γ−35S]結合を定量することにより評価する。使用されるアッセイ技術はSPA(シンチレーション近接ベースアッセイ)である。簡潔に、DMSO溶解化合物を連続的に希釈し、そして50mM Hepes、100mM NaCl、10mM MgCl、10μM GDP、0.1% 無脂肪BSAおよび0.2nM GTP[γ−35S](1200 Ci/mmol)の存在下、S1P受容体発現膜タンパク質(10−20μg/ウェル)を固定化したSPA−ビーズ(Amersham−Pharmacia)に加える。室温で120分間96ウェルマイクロタイタープレートにおいてインキュベーション後、非結合GTP[γ−35S]を遠心分離段階により分離する。膜結合GTP[γ−35S]により引き起こされるSPAビーズの発光をTOPカウントプレートリーダー(Packard)で定量化する。EC50を標準曲線適合ソフトウェアを使用し計算する。このアッセイにおいて、S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストは、好ましくはS1P受容体に対して<50nMの結合親和性を有する。
【0006】
好ましいS1P受容体アゴニストまたはモジュレーターは、例えばそれらのS1P結合特性に加えて、また加速的なリンパ球のホーミング特性を有する化合物、例えば全身性免疫抑制を引き起こすことなしに、循環から二次リンパ組織へのリンパ球の再分布(好ましくは可逆的)によりもたらされるリンパ球減少症を引き起こす化合物である。未処理細胞を隔離する;血液由来CD4およびCD8 T−細胞およびB−細胞を刺激して、リンパ節(LN)およびパイエル板(PP)に移動させる。
【0007】
リンパ球のホーミング特性は、下記の血液リンパ球涸渇アッセイで測定し得る:
S1P受容体アゴニストもしくはモジュレーターまたはビヒクルをラットに胃管栄養法により経口投与する。血液学的モニタリングのために、尾血液を個々の基準値を得るための−1日目に、そして適用後2、6、24、48および72時間に得る。このアッセイにおいて、S1P受容体アゴニストまたはモジュレーターは、例えば<20mg/kgの用量で投与したとき末梢血リンパ球を、例えば50%まで涸渇させる。
【0008】
S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストは、一般的に2−置換2−アミノ−プロパン−1,3−ジオールまたは2−アミノ−プロパノール誘導体、例えば、式X
【化1】

[式中、ZはH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、フェニル、OHにより置換されているフェニル、ハロゲン、C3−8シクロアルキル、フェニルおよびOHにより置換されているフェニルからなる群から選択される1から3個の置換基により置換されているC1−6アルキル、またはCH−R4z{R4zはOH、アシルオキシまたは式(a)
【化2】

(式中、Zは直接結合またはO、好ましくはOであり;
5zおよびR6zはそれぞれ、独立して、H、または所望により1、2または3個のハロゲン原子により置換されているC1−4アルキルである。)
の残基である。}であり
1zはOH、アシルオキシまたは式(a)の残基であり;そしてR2zおよびR3zはそれぞれ、独立して、H、C1−4アルキルまたはアシルである。]の基を含む化合物のような、スフィンゴシン類似体である。
【0009】
式Xの基は、ZおよびR1zの少なくとも1個が式(a)の残基であるかまたは該残基を含む得られた分子が、スフィンゴシン−1−リン酸受容体の1種またはそれ以上でアゴニストとしてシグナリングする限り、親水性または親油性であり得、そして1個またはそれ以上の脂肪族、脂環、芳香族および/またはヘテロ環残基を含み得る部分に末端基として結合している官能基である。
【0010】
適当なS1P受容体アゴニストまたはモジュレーターの例は、例えば:
−EP627406 A1に記載の化合物、例えば式I
【化3】

[式中、Rは直鎖または分岐鎖(C12−22)であり
−これらは鎖内に二重結合、三重結合、O、S、NR(RはH、C1−4アルキル、アリール−C1−4アルキル、アシルまたは(C1−4アルコキシ)カルボニルである)、およびカルボニルから選択される結合またはヘテロ原子を有し得、そして/または
−これらは、C1−4アルコキシ、C2−4アルケニルオキシ、C2−4アルキニルオキシ、アリールC1−4アルキル−オキシ、アシル、C1−4アルキルアミノ、C1−4アルキルチオ、アシルアミノ、(C1−4アルコキシ)カルボニル、(C1−4アルコキシ)−カルボニルアミノ、アシルオキシ、(C1−4アルキル)カルバモイル、ニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシイミノ、ヒドロキシまたはカルボキシを置換基として有し得るか;または

−アルキルが直鎖または分岐鎖(C6−20)炭素であるフェニルアルキル;または
−アルキルは直鎖または分岐鎖(C1−30)炭素であるフェニルアルキルであり、該フェニルアルキルは
−所望によりハロゲンにより置換されている直鎖または分岐鎖(C6−20)炭素、
−所望によりハロゲンにより置換されている直鎖または分岐鎖(C6−20)アルコキシ、
−直鎖または分岐鎖(C6−20)アルケニルオキシ、
−フェニル−C1−14アルコキシ、ハロフェニル−C1−4アルコキシ、フェニル−C1−14アルコキシ−C1−14アルキル、フェノキシ−C1−4アルコキシもしくはフェノキシ−C1−4アルキル、
−C6−20アルキルにより置換されているシクロアルキルアルキル、
−C6−20アルキルにより置換されているヘテロアリールアルキル、
−ヘテロ環式C6−20アルキル、または
−C2−20アルキルにより置換されているヘテロ環式アルキルにより置換されており、
そして
該アルキル部分は
−炭素鎖内に、結合またはヘテロ原子は、二重結合、三重結合、O、S、スルフィニル、スルホニル、またはNR(Rは上記定義のとおりである)から選択され、そして
−C1−4アルコキシ、C2−4アルケニルオキシ、C2−4アルキニルオキシ、アリールC1−4アルキルオキシ、アシル、C1−4アルキル−アミノ、C1−4アルキルチオ、アシルアミノ、(C1−4アルコキシ)カルボニル、(C1−4アルコキシ)カルボニルアミノ、アシルオキシ、(C1−4アルキル)カルバモイル、ニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシまたはカルボキシを置換基として有し得、そして
、R、RおよびRはそれぞれ、独立して、H、C1−4アルキルまたはアシルである。]
の化合物または薬学的に許容されるそれらの塩または水和物;
【0011】
−EP 1002792 A1に記載の化合物、例えば式II
【化4】

[式中、mは1から9であり、そしてR’、R’、R’およびR’はそれぞれ、独立して、H、C1−6アルキルまたはアシルである。]
の化合物または薬学的に許容されるそれらの塩または水和物;
【0012】
−EP0778263 A1に記載の化合物、例えば式III
【化5】

[式中、WはH;C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニル;非置換もしくはOH置換フェニル;R’’O(CH;またはハロゲン、C3−8シクロアルキル、フェニルおよびOHにより置換されているフェニルからなる群から選択される1から3個の置換基により置換されているC1−6アルキルであり;
XはHまたは、例えば、C1−6アルキル、OH、C1−6アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、C1−6アルキルアミノ、アシルアミノ、オキソ、ハロC1−6アルキル、ハロゲン、非置換フェニルおよびC1−6アルキル、OH、C1−6アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アミノ、C1−6アルキルアミノ、アシルアミノ、ハロC1−6アルキルおよびハロゲンからなる群から選択される1から3個の置換基により置換されているフェニルからなる群から選択される1から3個の置換基により置換されている、非置換もしくはp個の炭素原子を有する置換直鎖アルキルまたは非置換もしくは(p−1)個の炭素原子を有する置換直鎖アルコキシであり;YはH、C1−6アルキル、OH、C1−6アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アミノ、C1−6アルキルアミノ、アシルアミノ、ハロC1−6アルキルまたはハロゲンであり、Zは単結合またはq個の炭素原子を有する直鎖アルキレンであり、
pおよびqはそれぞれ、独立して、1から20の整数であり(ただし6p+q23である)、m’は1、2または3であり、nは2または3であり、
R’’、R’’、R’’およびR’’はそれぞれ、独立して、H、C1−4アルキルまたはアシルである。]
の化合物または薬学的に許容されるそれらの塩または水和物;
【0013】
−WO02/18395に記載の化合物、例えば式IVaまたはIVb
【化6】

[式中、XはO、S、NR1sまたは基−(CHna−(該基は非置換または1から4個のハロゲンにより置換されている)であり;nは1または2であり、R1sはHまたはアルキルが非置換またはハロゲンにより置換されている(C1−4)アルキルであり;R1aはH、OH、(C1−4)アルキルまたはアルキルが非置換または1から3個のハロゲンにより置換されているO(C1−4)アルキルであり;R1bはH、OHまたはアルキルは非置換またはハロゲンにより置換されている(C1−4)アルキルであり;R2aはそれぞれ、独立してHまたはアルキルは非置換またはハロゲンにより置換されている(C1−4)アルキルから選択される;R3aはH、OH、ハロゲンまたはアルキルは非置換またはハロゲンにより置換されているO(C1−4)アルキルであり;そしてR3bはH、OH、ハロゲン、アルキルは非置換またはヒドロキシにより置換されている(C1−4)アルキル、またはアルキルは非置換またはハロゲンにより置換されているO(C1−4)アルキル;Yは−CH−、−C(O)−、−CH(OH)−、−C(=NOH)−、OまたはSであり、そしてR4aは(C4−14)アルキルまたは(C4−14)アルケニルである。]
の化合物または薬学的に許容されるそれらの塩または水和物;
【0014】
−WO 02/076995に記載の化合物、例えば式V
【化7】

[式中、
は1、2または3であり;
はOまたは直接結合であり;
1cはH;所望によりOH、アシル、ハロゲン、C3−10シクロアルキル、フェニルまたはヒドロキシ−フェニレンにより置換されているC1−6アルキル;C2−6アルケニル;C2−6アルキニル;または所望によりOHにより置換されているフェニルであり;
2c
【化8】

{式中、R5cはHまたは所望により1、2または3個のハロゲン原子により置換されているC1−4アルキルであり、そしてR6cはHまたは所望によりハロゲンにより置換されているC1−4アルキルである。}であり
3cおよびR4cはそれぞれ、独立して、H、所望によりハロゲンにより置換されているC1−4アルキル、またはアシルであり、そして
は所望により鎖内に酸素原子を有してもよく、そして所望によりニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシまたはカルボキシにより置換されていてもよいC13−20アルキルであるか;または式(a)
【化9】

{式中、R7cはH、C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシであり、そしてR8cは置換C1−20アルカノイル、C1−14アルキルが所望によりハロゲンまたはOHにより置換されているフェニルC1−14アルキル、シクロアルキルまたはフェニル環が所望によりハロゲン、C1−4アルキルおよび/またはC1−4アルコキシにより置換されているシクロアルキルC1−14アルコキシまたはフェニルC1−14アルコキシ、フェニルC1−14アルコキシ−C1−14アルキル、フェノキシC1−14アルコキシまたはフェノキシC1−14アルキルである。}の残基であり
はまた、R1cがC1−4アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであるとき、R8cがC1−14アルコキシである式(a)の残基である。]
の化合物または、
【0015】
式VI
【化10】

[式中、
は2、3または4であり
1xはH;所望によりOH、アシル、ハロゲン、シクロアルキル、フェニルまたはヒドロキシ−フェニレンにより置換されているC1−6アルキル;C2−6アルケニル;C2−6アルキニル;または所望によりOHにより置換されているフェニルであり;
2xはH、C1−4アルキルまたはアシルであり
3xおよびR4xはそれぞれ、独立してH、所望によりハロゲンにより置換されているC1−4アルキルまたはアシルであり
5xはH、C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシであり、そして
6xはシクロアルキルにより置換されているC1−20アルカノイル;シクロアルキル環が所望によりハロゲン、C1−4アルキルおよび/またはC1−4アルコキシにより置換されているシクロアルキルC1−14アルコキシ;フェニル環が所望によりハロゲン、C1−4アルキルおよび/またはC1−4アルコキシにより置換されているフェニルC1−14アルコキシであり、
6xはまた、R1xがOHにより置換されているC2−4アルキルであるとき、C4−14アルコキシであるか、またはR1xがC1−4アルキルであるとき、ペンチルオキシまたはヘキシルオキシであり
ただし、R6xはR5xがHであるか、またはR1xがメチルであるとき、フェニル−ブチレンオキシ以外である。]
の化合物または薬学的に許容されるそれらの塩または水和物;
【0016】
−WO 02/06268A1に記載の化合物、例えば式VII
【化11】

[式中、R1dおよびR2dはそれぞれ、独立して、Hまたはアミノ−保護基であり;
3dは水素、ヒドロキシ−保護基または式
【化12】

の基であり
4dはC1−4アルキルであり;
は1から6の整数であり;
はエチレン、ビニレン、エチニレン、式−D−CH−(Dはカルボニル、−CH(OH)−、O、SまたはNである)を有する基、アリールまたは上記定義のとおりの群から選択される3個までの置換基により置換されているアリールであり;
は単結合、C1−10アルキレン、群aおよび群bから選択される3個までの置換基により置換されているC1−10アルキレン、炭素鎖の中または末端にOまたはSを有するC1−10アルキレン、または群aおよび群bから選択される3個までの置換基により置換されている炭素鎖の中または末端にOまたはSを有するC1−10アルキレンであり;
5dは水素、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロ環式基、群aおよび群bから選択される3個までの置換基により置換されているC3−6シクロアルキル、群aおよび群bから選択される3個までの置換基により置換されているアリール、または群aおよび群bから選択される3個までの置換基により置換されているヘテロ環式基であり;
6dおよびR7dはそれぞれ、独立して、Hまたは群aから選択される置換基であり;
8dおよびR9dはそれぞれ、独立して、Hまたは所望によりハロゲンにより置換されているC1−4アルキルであり;
<群a>は、ハロゲン、低級アルキル、ハロゲノ低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、カルボキシル、低級アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、低級脂肪族アシル、アミノ、モノ低級アルキルアミノ、ジC1−4アルキルアミノ、アシルアミノ、シアノまたはニトロであり;そして
<群b>は、それぞれ、所望により群aから選択される3個までの置換基により置換されているC3−6シクロアルキル、アリールまたはヘテロ環式基であり;
ただしR5dが水素であるとき、Yは単結合または直鎖C1−10アルキレンである。]
の化合物または薬学的に許容されるそれらの塩または水和物;
【0017】
−特開2002−316985に記載の化合物、例えば式VIII
【化13】

[式中、R1e、R2e、R3e、R4e、R5e、R6e、R7e、n、XおよびYは、JP−14316985に記載されている。];
の化合物または薬学的に許容されるそれらの塩または水和物;
【0018】
−WO 03/29184およびWO 03/29205に記載の化合物、例えば式IX
【化14】

[式中、XはO、S、SOまたはSOであり
1fはハロゲン、トリハロメチル、OH、C1−7アルキル、C1−4アルコキシ、トリフルオロメトキシ、フェノキシ、シクロヘキシルメチルオキシ、ピリジルメトキシ、シンナミルオキシ、ナフチルメトキシ、フェノキシメチル、CH−OH、CH−CH−OH、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルフィニル、C1−4アルキルスルホニル、ベンジルチオ、アセチル、ニトロまたはシアノ、またはフェニル、フェニルC1−4アルキルまたはフェニル−C1−4アルコキシ(フェニル基はそれぞれ、所望によりハロゲン、CF、C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシにより置換されている)であり;
2fはH、ハロゲン、トリハロメチル、C1−4アルコキシ、C1−7アルキル、フェネチルまたはベンジルオキシであり;
3fはH、ハロゲン、CF、OH、C1−7アルキル、C1−4アルコキシ、ベンジルオキシまたはC1−4アルコキシメチルであり;
4fおよびR5fはそれぞれ、独立してHまたは式
【化15】

{式中、R8fおよびR9fはそれぞれ、独立して、Hまたは所望によりハロゲンにより置換されているC1−4アルキルである。}の基であり;そして
は1から4の整数である。]の化合物または薬学的に許容されるそれらの塩または水和物、
例えば2−アミノ−2−[4−(3−ベンジルオキシフェノキシ)−2−クロロフェニル]エチル−1,3−プロパン−ジオール、2−アミノ−2−[4−(ベンジルオキシフェニルチオ)−2−クロロフェニル]エチル−1,3−プロパン−ジオール、2−アミノ−2−[4−(3−ベンジルオキシフェノキシ)−2−クロロフェニル]プロピル−1,3−プロパン−ジオールまたは2−アミノ−2−[4−(ベンジルオキシフェニルチオ)−2−クロロフェニル]プロピル−1,3−プロパン−ジオール
または薬学的に許容されるそれらの塩または水和物;
【0019】
−WO 03/062252A1に記載の化合物、例えば式X
【化16】

[式中、
Arはフェニルまたはナフチルであり;mおよびnはそれぞれ、独立して0または1であり;AはCOOH、PO、POSOPO(C1−3アルキル)OHおよび1H−テトラゾール−5−イルから選択され;R1gおよびR2gはそれぞれ、独立してH、ハロゲン、OH、COOHまたは所望によりハロゲンにより置換されているC1−4アルキルであり;R3gはHまたは所望によりハロゲンまたはOHにより置換されているC1−4アルキルであり;R4gはそれぞれ、独立してハロゲン、または所望によりハロゲン置換C1−4アルキルまたはC1−3アルコキシであり;そしてRおよびMはそれぞれ、WO03/062252A1のBおよびCそれぞれに示すとおりの意味の1つを有する。]
の化合物または薬理学的に許容されるそれらの塩、溶媒和物または水和物;
【0020】
−WO 03/062248A2に記載の化合物、例えば式XI
【化17】

[式中、Arはフェニルまたはナフチルであり;nは2、3または4であり;AはCOOH、1H−テトラゾール−5−イル、PO、PO、−SOHまたはPO(R5h)OH(R5hはC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、フェニル、−CO−C1−3アルコキシおよび−CH(OH)−フェニル(該フェニルまたはフェニル部分は所望により置換されている)から選択される)であり;R1hおよびR2hはそれぞれ、独立してH、ハロゲン、OH、COOH、または所望によりハロゲノ置換C1−6アルキルまたはフェニルであり;R3hはHまたは所望によりハロゲンおよび/もしくはOHにより置換されているC1−4アルキル;R4hはそれぞれ、独立してハロゲノ、OH、COOH、C1−4アルキル、S(O)0,1または21−3アルキル、C1−3アルコキシ、C3−6シクロアルコキシ、アリールまたはアラルコキシ(aralkoxy)(アルキル部分は所望により1−3個のハロゲンにより置換されていてもよい);ならびにRおよびMはそれぞれ、WO03/062248A2のBおよびCそれぞれに示すとおりの意味の1つを有する。]
の化合物または薬理学的に許容されるそれらの塩、溶媒和物または水和物;
【0021】
−WO 04/103306A、WO 05/000833、WO 05/103309またはWO 05/113330に記載の化合物、例えば式XIIaまたはXIIb
【化18】

[式中、
はCOOR5k、OPO(OR5k、PO(OR5k2、SOOR5k、POR5kOR5kまたは1H−テトラゾール−5−イル(R5kはHまたはC1−6アルキルである)であり;
は結合、C1−3アルキレンまたはC2−3アルケニレンであり;
は所望によりハロゲン、OH、NO、C1−6アルキル、C1−6アルコキシから選択される1から3個の基により置換されているC6−10アリールまたはC3−9ヘテロアリール;ハロ置換C1−6アルキルおよびハロ置換C1−6アルコキシであり;
はWO 04/103306Aに示すとおりのヘテロ環式群、例えばアゼチジンであり;
1kは所望によりC1−6アルキル、C6−10アリール、C6−10アリールC1−4アルキル、C3−9ヘテロアリール、C3−9ヘテロアリールC1−4アルキル、C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルキルC1−4アルキル、C3−8ヘテロシクロアルキルまたはC3−8ヘテロシクロアルキルC1−4アルキルにより置換されているC6−10アリールまたはC3−9ヘテロアリール(R1kの任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルはハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびハロ置換−C1−6アルキルまたは−C1−6アルコキシから選択される1から5個の基により置換されていてもよい)であり;
2kはH、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり:そして
3kまたはR4kはそれぞれ、独立して、H、ハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたはハロ置換C1−6アルキルもしくはC1−6アルコキシである。]
の化合物およびそれらのN−オキシド誘導体またはプロドラッグ、または薬理学的に許容されるそれらの塩、溶媒和物または水和物である。
【0022】
本発明のさらなる態様にしたがって、本発明の組合せ剤において使用するためのS1P受容体アゴニストまたはモジュレーターはまた、選択的S1P1受容体、例えば35S−GTPγS結合アッセイで評価したS1P1受容体に対するEC50対S1P3受容体に対するEC50の比により判断して、S1P3受容体より少なくとも20倍、例えば100、500、1000または2000倍のS1P1受容体に対する選択性を有する化合物であり得、該化合物は35S−GTPγS結合アッセイにより評価されるとき100nMまたはそれ以下のS1P1受容体への結合に対してEC50を有する。S1P1受容体アゴニストまたはモジュレーターの代表例は、例えばWO 03/061567に記載の化合物であり(この全体を出典明示により本明細書に包含させる)、例えば式XIIIまたはXIV
【化19】

の化合物である。
【0023】
式IからXIVの化合物が分子内に1個またはそれ以上の不斉中心を有するとき、本発明は様々な光学異性体を包含すると理解するべきであり、同様にラセミ体、ジアステレオ異性体および混合物を包含する。アミノ基をもつ炭素原子が不斉であるとき、式IIIまたはIVbの化合物は、好ましくはこの炭素原子でR−配置を有する。
【0024】
式IからXIVの化合物は遊離または塩形で存在し得る。式IからXIVの化合物の薬学的に許容される塩の例は、無機酸との塩、例えば塩酸塩、臭化水素塩および硫酸塩、有機酸との塩、例えば酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩、または適当なとき、金属、例えばナトリウム、カリウム、カルシウムおよびアルミニウムとの塩、アミン、例えばトリエチルアミンとの塩、および二塩基アミノ酸、例えばリシンとの塩を含む。本発明の組合せ剤の化合物および塩は、水和物および溶媒和物形を含む。
【0025】
上記のアシルはRがC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルまたはフェニル−C1−4アルキルである基R−CO−であり得る。特に明記しない限り、アルキル、アルコキシ、アルケニルまたはアルキニルは直鎖または分岐鎖であり得る。
【0026】
アリールはフェニルまたはナフチル、好ましくはフェニルであり得る。
【0027】
式Iの化合物において、Rとしての炭素鎖が置換されているとき、それは好ましくはハロゲン、ニトロ、アミノ、ヒドロキシまたはカルボキシにより置換されている。炭素鎖が所望により置換されているフェニレンにより妨げられているとき、炭素鎖は好ましくは非置換である。フェニレン部分が置換されているとき、それは好ましくはハロゲン、ニトロ、アミノ、メトキシ、ヒドロキシまたはカルボキシにより置換されている。
【0028】
好ましい式Iの化合物は、Rが、所望によりニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシまたはカルボキシにより置換されているC13−20アルキルであるものであり、そして、より好ましくはRが、所望によりハロゲンにより置換されているC6−14−アルキル鎖により置換されているフェニルアルキルであり、そしてアルキル部分が所望によりヒドロキシにより置換されているC1−6アルキルであるものである。より好ましくは、Rが直鎖または分岐鎖、好ましくは直鎖C6−14アルキルより置換されているフェニルで置換されているフェニル−C1−6アルキルである。C6−14アルキル鎖はオルト、メタまたはパラ、好ましくはパラであり得る。
【0029】
好ましくはRからRのそれぞれはHである。
【0030】
上記式VIIにおいて、“ヘテロ環式基”は、S、OおよびNから選択される1から3個のヘテロ原子を有する5から7員ヘテロ環式基を示す。このようなヘテロ環式基の例は、上記で示されたヘテロアリール基、および部分的にまたは完全に水素化されたヘテロアリール基、例えばフリル、チエニル、ピロリル、アゼピニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピラニル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、ピロリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、チアゾリジニルまたはピラゾリジニルに対応するヘテロ環式化合物を含む。
【0031】
好ましいヘテロ環式基は、5−または6−員ヘテロアリール基であり、そしてもっとも好ましいヘテロ環状基は、モルホリニル、チオモルホリニルまたはピペリジニル基である。
【0032】
好ましい式Iの化合物は、2−アミノ−2−テトラデシル−1,3−プロパン−ジオールである。特に好ましい式IのS1P受容体アゴニストは、FTY720、すなわち遊離形または薬学的に許容される塩形の2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオール(以後化合物Aと呼ぶ)、例えば式:
【化20】

で示されるとおりの塩酸塩である。
【0033】
好ましい式IIの化合物は、R’からR’はそれぞれ、Hであり、そしてmは4であるものであり、すなわち遊離形または薬学的に許容される塩形の2−アミノ−2−{2−[4−(1−オキソ−5−フェニルペンチル)フェニル]エチル}プロパン−1,3−ジオール(以後化合物Bと呼ぶ)、例えば塩酸塩である。
【0034】
好ましい式IIIの化合物は、WはCHであり、R’’からR’’はそれぞれ、Hであり、Zはエチレンであり、Xはヘプチルオキシであり、そしてYはHであるものであり、すなわち遊離形または薬学的に許容される塩形の2−アミノ−4−(4−ヘプチルオキシフェニル)−2−メチル−ブタノール(以後化合物Cと呼ぶ)、例えば塩酸塩である。R−エナンチオマーが特に好ましい。
【0035】
好ましい式IVaの化合物は、(R2aはHであり、R3aはOHであり、XはOであり、R1aおよびR1bはOHである)FTY720−リン酸塩である。好ましい式IVbの化合物は、(R2aはHであり、R3bはOHであり、XはOであり、R1aおよびR1bはOHであり、YはOであり、そしてR4aはヘプチルである)化合物C−リン酸塩である。好ましい式Vの化合物は化合物B−リン酸塩である。
【0036】
好ましい式Vの化合物は、リン酸モノ−[(R)−2−アミノ−2−メチル−4−(4−ペンチルオキシ−フェニル)−ブチル]エステルである。
【0037】
好ましい式VIIIの化合物は、(2R)−2−アミノ−4−[3−(4−シクロヘキシルオキシブチル)−ベンゾ[b]チエン−6−イル]−2−メチルブタン−1−オールである。
【0038】
好ましい式XIIaの化合物は、例えば1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸、またはそのプロドラッグである。
【0039】
本発明にしたがって、処置の最初の3から6日間、好ましくは4または5日間、最も好ましくは4日間に該S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの用量を合計で該S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの標準1日用量のR倍(Rは蓄積率である)を投与できるように上げ、その後処置を標準またはそれより低い1日用量の該S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストで続ける方法で投与する薬剤の製造におけるS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの使用を提供する。
【0040】
好ましい薬剤は、移植患者のために、とりわけ腎臓、心臓、肺もしくは肝臓移植のための生存率の延長、特に同種移植生存率の延長を提供する、または自己免疫性疾患、例えば多発性硬化症、ループス腎炎、リウマチ性関節炎、炎症性腸疾患もしくは乾癬を有する患者のための薬剤を含む。
【0041】
通常長期間の薬剤摂取を考慮して、標準1日用量(維持量とも呼ばれる)は、有効な処置を提供する薬剤またはその活性な代謝物の定常状態のトラフ血中濃度のために必要であるS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの用量に言及する。該用量は蓄積率(R)に依存する。血中濃度は任意の時点の血中の薬剤濃度を意味する。トラフ血中濃度は投与前の血中濃度に対応する。定常状態はトラフであれ血中濃度であれ長期的に安定であることを意味する。定常状態トラフ血中濃度は、例えば、3ヶ月以降いつでも投与前血液サンプルを得ることにより評価され得る。蓄積率(R)は定常状態トラフの2回目の投与直前のトラフに対する比率で計算される。
【0042】
好ましくは、処置の最初の3から6日間にS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの用量は段階的に増加する。その後処置を標準1日用量または1日用量よりも低い用量の維持療法で続ける。処置を1日用量よりも低い用量で続けるとき、それは例えばS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの標準1日用量の約1/50から1/2、好ましくは1/50から1/10であり得る。
【0043】
好ましくは、処置の最初の3から6日間、好ましくは4または5日間、最も好ましくは4日間に該S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの全量は、該S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの標準1日用量の3から21倍、より好ましくは4から12倍、特に約10倍まで段階的に増加する。例えば、1、2、3および4日目のそれぞれの負荷用量は標準1日用量の1;1.5−2;2−3;および3−4倍であり得る。
【0044】
本発明の好ましい態様にしたがって、負荷レジメンの最後の日、例えば4日目の高い負荷レジメンの1回分の用量は、S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの維持量の4倍である。負荷レジメンの1、2および3日目の分割用量は、例えばS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの最も高い1回分の用量の約1/4;1/2;および3/4であり得る。
【0045】
特にS1P受容体モジュレーターまたはアゴニスト、例えば好ましいS1P受容体モジュレーターFTY720の好ましい用量は、最初の期間の4日間にそれぞれ例えば2−5、5−10、10−15および15−20mg、例えば2.5mg/5mg/7.5mg/10mgまたは5mg/10mg/15mg/20mgのレジメンである。その後処置を、例えば2.5mgまたは5mgの1日用量、またはそれより低い1日用量、例えば0.1から0,5mgの維持療法で続ける。
【0046】
本発明のさらなる態様において、S1P受容体アゴニストまたはモジュレーター、例えば好ましいS1P受容体モジュレーターFTY720の好ましい負荷レジメンは、例えば最初の期間の4日間、それぞれ0.5mg/1mg/1.5mg/2mgであり得る。その後処置を維持療法、例えば0,5mgの1日用量で続ける。
【0047】
一連のさらなる特定のまたは別の態様において、本発明はまた以下を提供する:
1.1 1週間以内にS1P受容体モジュレーターまたはアゴニスト血中濃度の定常状態に到達する方法で対象に投与する薬剤の製造における、S1P受容体モジュレーターまたはアゴニスト、例えばFTY720の使用。
到達される定常状態は、対象が十分に免疫抑制されている、例えば急性移植拒絶反応の徴候もしくは症状または自己免疫疾患の再発もしくはリバウンドを示さないことである。処置の最初の3から6日間、好ましくは4または5日間、最も好ましくは4日間にS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの1日用量を該S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの標準1日用量の3から21倍まで段階的に増加させ、その後処置を標準1日用量のS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストで続ける。
【0048】
1.2 1週間以内にS1P受容体モジュレーターまたはアゴニスト血中濃度の定常状態に到達し、そしてその後処置を標準1日用量よりも低い用量で続ける方法で対象に投与する薬剤の製造における、S1P受容体モジュレーターまたはアゴニスト、例えばFTY720の使用。
【0049】
1.3 処置の最初の4日間にS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの用量がそれぞれ標準1日用量の1;1.5−2;2−3;および3−4倍であり、そしてその後処置をS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの標準1日用量で、またはそれより低い1日用量で続けるような方法で投与する薬剤の製造における、S1P受容体モジュレーターまたはアゴニスト、例えばFTY720の使用。
【0050】
1.4 処置の最初の4日間中、S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの用量がそれぞれS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの最も高い1回分の用量の1/4;1/2;および3/4;ならびにS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの維持量の4倍、そしてその後処置をS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの維持量で、または所望によりそれより低い1日用量で続ける方法で投与する薬剤の製造における、S1P受容体モジュレーターまたはアゴニスト、例えばFTY720の使用。
【0051】
1.5 処置の最初の3から6日間、好ましくは4または5日間、最も好ましくは4日間にS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの用量を合計で標準1日用量のR倍のS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストを投与できるように上げ、そしてその後処置をS1P受容体アゴニストの標準1日用量でまたはそれより低い1日用量で続ける方法で投与する薬剤の製造における、S1P受容体モジュレーターまたはアゴニスト、例えばFTY720の使用。
【0052】
1.6 負荷レジメン後、標準1日用量よりも低い1日用量で投与する薬剤の製造における、S1P受容体モジュレーターまたはアゴニスト、例えばFTY720の使用。
【0053】
1.7 負荷レジメン後、1日用量0.1から0.5mgで投与する薬剤の製造における、FTY720の使用。
【0054】
2. 1対象で週間以内にS1P受容体アゴニスト血中濃度が定常状態に到達する薬学的に有効量のS1P受容体モジュレーターまたはアゴニスト、例えばFTY720を対象に投与することを含む、処置を必要とする対象における移植拒絶反応を阻害するまたは自己免疫疾患を処置するための方法。その後処置をS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの標準1日用量でまたはそれより低い用量で続ける。
【0055】
2.1 最初の3から6日間、好ましくは4または5日間、最も好ましくは4日間に該S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの3から21倍の増加の1日用量を投与することを含む、1週間以内に対象のS1P受容体モジュレーターまたはアゴニスト血中濃度の定常状態を産生する方法。
【0056】
2.2 処置の最初の3から6日間、好ましくは4または5日間、最も好ましくは4日間中、合計で標準1日用量のR倍を投与できるように用量を増加させるような方法でS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストを投与し改善する、S1P受容体モジュレーターまたはアゴニスト、例えばFTY720での処置法。その後処置を標準有効1日用量でまたは1日用量よりも低い用量で続ける。
【0057】
2.3 処置の最初の3から6日間、好ましくは4または5日間、最も好ましくは4日間に用量を合計で標準1日用量のR倍を投与できるように段階的に増加させ、そしてその後処置を標準1日用量でまたはそれよりも低い1日用量で続けるような方法でS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストを投与する、対象の延長された移植生存率を提供するための方法。
【0058】
2.4 負荷レジメン後、S1P受容体モジュレーターまたはアゴニスト、例えばFTY720を標準1日用量よりも低い1日用量で、対象に投与することを含む、処置を必要とする対象における移植拒絶反応を阻害するまたは自己免疫疾患を処置するための方法。
【0059】
2.5 負荷レジメン後、FTY720を1日用量約0.1から0.5mgで、対象に投与することを含む、処置を必要とする対象における自己免疫疾患を処置するための方法。
【0060】
3. 処置の最初の3から6日間、好ましくは4または5日間、最も好ましくは4日間にS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの1日用量が徐々に増加し、そのためこの最初の期間について1日単位に存在する全量が標準1日用量のR倍の該S1P受容体アゴニストに対応する、様々な1日用量のS1P受容体モジュレーターまたはアゴニスト、例えばFTY720の薬剤の1日単位を含むキット。
【0061】
3.1 処置の最初の4日間にS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの1日用量がそれぞれ標準1日用量の1;1.5−2;2−3;および3−4倍である、様々な1日用量のS1P受容体モジュレーターまたはアゴニスト、例えばFTY720の薬剤の1日単位を含むキット。キットはさらにS1P受容体モジュレーターまたはアゴニスト、例えばFTY720の標準1日用量の単位、または標準より低い1日用量でのその後の処置のための単位を含み得る。キットはまた指示書を含み得る。
【0062】
3.2 処置の最初の4日間中、S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの1日用量がそれぞれS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの最も高い1回分の用量の1/4;1/2;および3/4;ならびにS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの維持量の4倍である、様々な1日用量のS1P受容体モジュレーターまたはアゴニスト、例えばFTY720の薬剤の1日単位を含むキット。キットはさらにS1P受容体モジュレーターまたはアゴニスト、例えばFTY720の標準1日用量の単位、または標準より低い1日用量でのその後の処置のための単位を含み得る。キットはまた指示書を含み得る。
【0063】
本発明にしたがって対象に投与するS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの負荷レジメンは、移植後最初の3−6日間に投与するか、移植手術前にさえ開始してよく、または自己免疫疾患治療の開始時、またはS1P受容体モジュレーターもしくはアゴニスト治療の中断後に投与する。
【0064】
上記定義の疾患および状態におけるS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの用法の有用性は、標準動物試験または例えば下記の方法にしたがう臨床試験で証明し得る。
【実施例】
【0065】
2相の負荷レジメン試験:
最初の基線(−2日目):−2日目、包含/除外基準確認および基線評価のために、対象は少なくとも投与12時間前に試験センターに入る。
【0066】
プラセボ導入(−1日目):−1日目、対象に1回、FTY720のプラセボを与える。
FTY720処置(1−7日間):すべての対象に下記のとおりに7日間連続的に1日1回FTY720を経口投与で与える。
1日目:−1日目に投与したまさにその時間に、対象に1個の5mgのFTY720を経口投与する。
2−4日目:一般的に継続的FTY720の5mgをqd投与した患者で測定されるFTY720の定常状態濃度に到達するために、対象に、2日目に1個の10mgのFTY720を経口投与し、3日目に1個の15mgのFTY720を経口投与し、そして4日目に1個の20mgのFTY720を経口投与する。
5−7日目:対象に1個の5mgのFTY720を経口投与する。
【0067】
薬物動態的、薬力学的および安全性評価を複数回投与試験中、記載の時間行う。対象を7日目の最後の薬剤投与後約24時間の、安全評価完了後(すなわち、8日目)に試験センターから出す。
分析、媒体および方法
FTY720をLC/MS/MSを使用し全血で測定する(LLOQ=0.080ng/mL)。
PK評価:1日目にtmax、Cmax、AUC(0−24)を得るためのノンコンパートメント解析。薬剤蓄積および定常状態の達成を見積もるために、ピークおよびトラフ濃度を2日目から7日目までまとめる。
【0068】
リンパ球評価
リンパ球絶対数のための血液サンプルを、スクリーニング時、すなわち最初の基線(−2日目)、1日目(投与6時間前)、3日目(投与前)、5日目(投与前)および7日目(投与前)に回収する。
該サンプルを薬力学のために分析する。
【0069】
上記方法を繰り返してよく、そして次いで患者を5日処置し、次いで0.5mg/kgの一日維持量で処置する。患者はより低い定常状態血中濃度を有する。
【0070】
上記方法を下記の負荷処置を用いて繰り返し得る:
1. 1日目:−1日目に投与したまさにその時間に、対象に1個の2.5mgのFTY720を経口投与する。
2−4日目:一般的に継続的にFTY720の2.5mgをqd投与した患者で測定されるFTY720の定常状態濃度に到達するために、対象に、2日目に1個の5mgのFTY720を経口投与し、3日目に1個の7.5mgのFTY720を経口投与し、そして4日目に1個の10mgのFTY720を経口投与する。
5−7日目およびそれ以降:対象に1個の2.5mgのFTY720を経口投与する。
【0071】
2. 1日目:−1日目に投与したまさにその時間に、対象に1個の1.25mgのFTY720を経口投与する。
2−4日目:一般的に継続的にFTY720の1.25mgをqd投与した患者で測定されるFTY720の定常状態濃度に到達するために、対象に、2日目に1個の2.5mgのFTY720を経口投与し、3日目に1個の3.75mgのFTY720を経口投与し、そして4日目に1個の5mgのFTY720を経口投与する。
5−7日目およびそれ以降:対象に1個の1.25mgのFTY720を経口投与する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1週間以内にS1P受容体モジュレーターまたはアゴニスト血中濃度の定常状態に到達する方法で対象に投与する薬剤の製造における、S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの使用。
【請求項2】
1週間以内にS1P受容体モジュレーターまたはアゴニスト血中濃度の定常状態に到達し、そしてその後処置を標準1日用量よりも低い用量で続ける方法で対象に投与する薬剤の製造における、S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの使用。
【請求項3】
処置の最初の3から6日間に該S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの用量を該S1P受容体アゴニストの標準1日用量の3から21倍まで段階的に増加させる、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
最初の期間が4または5日間である、請求項1、2または3に記載の使用。
【請求項5】
処置の最初の3から6日間に合計で標準1日用量のR倍を投与できるように用量を増加させ、そしてその後処置を標準1日用量または標準1日用量よりも低い1日用量で続ける方法で該S1P受容体アゴニストを投与する、S1P受容体アゴニスト処置を提供するための方法。
【請求項6】
対象で1週間以内にS1P受容体アゴニスト血中濃度が定常状態に到達する薬学的に有効量のS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストを対象に投与することを含む、処置を必要とする対象における移植拒絶反応を阻害するまたは自己免疫疾患もしくは障害を処置するための方法。
【請求項7】
S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストでの処置法において、処置の最初の3から6日間に合計で標準1日用量のR倍を投与できるように用量を増加させる方法でS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストを投与するのが改善である。
【請求項8】
負荷レジメン後、標準1日用量よりも低い1日用量でS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストを対象に投与することを含む、処置を必要とする対象における移植拒絶反応を阻害するまたは自己免疫疾患を処置するための方法。
【請求項9】
処置の最初の3から6日間にS1P受容体アゴニストの1日用量が徐々に増加し、そのためこの最初の期間について1日単位に存在する全量が標準1日用量のR倍の該S1P受容体アゴニストに対応する、様々な1日用量のS1P受容体アゴニストの薬剤の1日単位を含むキット。
【請求項10】
S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの1日用量がそれぞれS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの最も高い1回分の用量の1/4;1/2;および3/4;ならびにS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの維持量の4倍である、様々な1日用量のS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの薬剤の1日単位、および標準1日用量のS1P受容体モジュレーターまたはアゴニストの単位、または標準1日用量よりも低い1日用量でのその後の処置のための単位を含むキット。
【請求項11】
S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストが、式X
【化1】

[式中、ZはH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、フェニル、OHにより置換されているフェニル、ハロゲン、C3−8シクロアルキル、フェニルおよびOHにより置換されているフェニルからなる群から選択される1から3個の置換基により置換されているC1−6アルキル、またはCH−R4z{R4zはOH、アシルオキシまたは式(a)
【化2】

(式中、Zは直接結合またはO、好ましくはOであり;
5zおよびR6zはそれぞれ、独立して、H、または所望により1、2または3個のハロゲン原子により置換されているC1−4アルキルである。)
の残基である。}であり
1zはOH、アシルオキシまたは式(a)の残基であり;そしてR2zおよびR3zはそれぞれ、独立して、H、C1−4アルキルまたはアシルである。]の基を含む、請求項1から11のいずれかに記載の使用、方法またはキット。
【請求項12】
S1P受容体モジュレーターまたはアゴニストが遊離形または薬学的に許容される塩形の2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオール、2−アミノ−2−[4−(3−ベンジルオキシフェノキシ)−2−クロロフェニル]エチル−1,3−プロパン−ジオール、2−アミノ−2−[4−(ベンジルオキシフェニルチオ)−2−クロロフェニル]エチル−1,3−プロパン−ジオールまたは1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸である、請求項13に記載の使用、方法またはキット。

【公開番号】特開2012−107059(P2012−107059A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−40574(P2012−40574)
【出願日】平成24年2月27日(2012.2.27)
【分割の表示】特願2007−543584(P2007−543584)の分割
【原出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】