SARデータ処理方法及びSARデータ処理システム
【課題】山岳地域のような地形歪みがある地域におけるバイオマス量の推定を可能とする。
【解決手段】地上の標高に係るDEMデータからSARシミュレーション画像データを作成する(S104)。作成されたSARシミュレーション画像データを、SAR画像データに一致させるようにパラメータを選択する(S106)。一致させたSARシミュレーション画像データとSAR画像データとに基づいて、SAR画像データの地形歪み量を算出する(S107)。SARシミュレーション画像データとSAR画像データとに基づいて、SAR画像データの散乱強度を算出する(S108)。SAR画像データに対し、地形歪み量補正及び散乱強度補正を施し、地形歪みがある地域におけるバイオマス量の推定を行う。
【解決手段】地上の標高に係るDEMデータからSARシミュレーション画像データを作成する(S104)。作成されたSARシミュレーション画像データを、SAR画像データに一致させるようにパラメータを選択する(S106)。一致させたSARシミュレーション画像データとSAR画像データとに基づいて、SAR画像データの地形歪み量を算出する(S107)。SARシミュレーション画像データとSAR画像データとに基づいて、SAR画像データの散乱強度を算出する(S108)。SAR画像データに対し、地形歪み量補正及び散乱強度補正を施し、地形歪みがある地域におけるバイオマス量の推定を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工衛星や航空機などの飛行体から地上に向けてマイクロ波を送信し、地上からの反射波を受信することで取得されるSAR画像データを処理するためのSARデータ処理方法、及びそのようなSARデータ処理方法が用いられるSARデータ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人工衛星や航空機などの飛行体にマイクロ波合成開口レーダ(SAR)を搭載し、このSARによって地上の状態をリモートセンシングする測定手法が行われている。SARは、地上に向けてマイクロ波を送信し、地上からの反射波を受信することでSAR画像データを取得するものである。SARで用いられるマイクロ波の波長は、およそ15cm〜30cm程度であり、SARセンサから送信されるマイクロ波は雲などを透過するために、天候によらず観測が可能であるという特徴を有している。
【0003】
取得されたSAR画像データは、農林業分野や水資源分野に利用されている。農林業分野では、農作物の群落の構造差、植被率、バイオマス要素の調査、土壌の構造差(表面の粗度)、土壌水分(含水量)の測定調査のために、また、水資源分野では、雪質、積雪水量、積雪深などの測定調査のためにそれぞれ使用されている。
【0004】
SAR画像データ利用技術としては、例えば、特許文献1(特開2004−37339号公報)に、計測森林における樹種を代表する樹木に基づいて組立てたマイクロ波森林後方散乱モデルより、有り得る森林パラメータから森林の理論マイクロ波後方散乱ミュラー行列又はストークス行列のデータベースを構築する工程(17)と、前記構築したデータベースの理論マイクロ波後方散乱ミュラー行列又はストークス行列と波長帯15cm〜30cmのLバンド全偏波SARデータより算出された実測マイクロ波後方散乱ミュラー行列又はストークス行列とを比較し、一致しない場合は前記データベースに戻り、前記実測マイクロ波後方散乱ミュラー行列又はストークス行列と最も類似する理論マイクロ波後方散乱ミュラー行列又はストークス行列を検出して一致であると認定する工程(19)と、前記比較工程(19)で一致したときの森林パラメータ又は一致であると認定したときの森林パラメータをSARセンサーで実測された森林パラメータとして決定し、前記決定した森林パラメータに基づいて森林のバイオマスを定量的に求める工程(20)とを含む森林のバイオマスの定量計測法が記載されている。
【特許文献1】特開2004−37339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のSAR画像データ利用によるリモートセンシングで、山地林におけるバイオマス量を推定するにあたっては、以下のような2つの問題があった。
(問題点1)地形の影響;
森林資源の多くは山岳地域(山地林)にあり、このような山地ではSARからの波長・偏波に関わらず、フォアショートニングに代表される地形歪み(散乱断面積の相違)によりバイオマス量の推定は困難である。
(問題点2)バイオマス量の推定限界(Biomass Saturation Limit);
SARで推定できるバイオマス量は、約150t/haまでであり、樹齢20年以上の樹木のバイオマス量の推定は困難(たとえば Ranson et al., 1994)
である.
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、地上の標高に係るDEMデータからSARシミュレーション画像データを作成するSARシミュレーション画像データ作成ステップと、前記SARシミュレーション画像データ作成ステップで作成されたSARシミュレーション画像データを、SAR画像データに一致させるようにパラメータを選択するデータ一致ステップと、前記データ一致ステップで一致させた前記SARシミュレーション画像データと前記SAR画像データとに基づいて、前記SAR画像データの地形歪み量を算出する地形歪み量算出ステップと、前記データ一致ステップで一致させた前記SARシミュレーション画像データと前記SAR画像データとに基づいて、前記SAR画像データの散乱強度を算出する散乱強度算出ステップと、前記SAR画像データに対し、地形歪み量補正及び散乱強度補正を施す地形歪み・散乱強度補正ステップと、を有することを特徴とするSARデータ処理方法である。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のSARデータ処理方法において、さらに、前記地形歪み・散乱強度補正ステップが施された前記SAR画像データに対し、局所入射角補正を施す局所入射角補正ステップを有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載のSARデータ処理方法において、前記局所入射角補正ステップを施された前記SAR画像データによって、バイオマス量を推定するバイオマス量推定ステップを有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のSARデータ処理方法において、前記SAR画像データ取得ステップにおいては、前記飛行体から地上に水平偏波を送信し、地上からの垂直偏波を受信(HV偏波と称す)することによってSAR画像データを取得することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のSARデータ処理方法を用いたことを特徴とするダイヤSARデータ処理システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のSARデータ処理方法及びSARデータ処理システムによれば、地上の標高に係るDEMデータから作成されたSARシミュレーション画像データと、実際に飛行体によって取得されたSAR画像データに一致させ、一致させたSARシミュレーション画像データとSAR画像データとに基づいて、SAR画像データの地形歪み量と散乱強度を算出し、SAR画像データに対して地形歪み量補正及び散乱強度補正を施すので、山岳地域のような地形歪みがある地域におけるバイオマス量の推定が可能となる。
【0012】
また、本発明のSARデータ処理方法及びSARデータ処理システムによれば、地上からのHV偏波を受信することによって取得されたSAR画像データを利用するので、約150t/haを超えるバイオマス量の推定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】SARによるバイオマス量推定の原理を説明する図である。
【図2】地形によるマイクロ波の反射の様子を模式的に示す図である。
【図3】地形がSAR画像データに与える影響を説明する図である。
【図4】地上バイオマス量と散乱強度との関係を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法を実行させるシステム構成の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るSARデータ処理システムにおける処理フローチャートを示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法における歪み量δxの概念を説明する図である。
【図8】SARによって取得されたSAR画像データとDEMデータから作成されたSARシミュレーション画像データを示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法における散乱強度の導出を説明する図である。
【図10】本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法における補正処理を実施したSAR画像データを示す図である。
【図11】衛星搭載SARからのマイクロ波入射角に対する散乱強度比の変化を示す図である。
【図12】散乱強度と材積量との関係を示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法によって補正処理を実施したSAR画像データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1はマイクロ波合成開口レーダ(SAR)によるバイオマス量推定の原理を説明する図である。人工衛星や航空機などの飛行体に搭載されるSARセンサから送信されたマイクロ波は、葉を透過して樹幹によって反射する。このような樹幹によるマイクロ波の反射強度から幹材積を推定することが可能であり、過去の研究例から平坦地の森林では、森林からの電波の散乱強度と森林バイオマス量に相関があることが分かっている
図1に示すように、地形が平坦な場合においては、成長した森林にマイクロ波が照射されると、強いマイクロ波の散乱が観測され、疎林にマイクロ波が照射されると、中程度のマイクロ波の散乱が観測され、草地にマイクロ波が照射されると、弱いマイクロ波の散乱が観測される。
【0015】
すなわち、衛星搭載のSARから発射された電波(マイクロ波)は森林の樹木間で散乱され、この散乱したマイクロ波を衛星搭載のSARで観測するが、この時の散乱された電波強度は森林における樹木の量(バイオマス量)に応じて変化し、バイオマス量が多いほど強い電波が観測される。
【0016】
SARで強い散乱強度が観測される地域を明るく、弱くしか観測されない地域を暗く表すと、森林に覆われた(明るい)地域と、伐採された(暗い)地域が表現できる。SARに利用される電波は雲を透過するため、雲に覆われやすい熱帯雨林地域でも森林の定期的な観測が可能である。
【0017】
次に、SARで観測されるデータの地形による影響について説明する。図2は地形によるマイクロ波の反射の様子を模式的に示す図であり、図2(A)は平坦地におけるマイクロ波の反射を示しており、図2(B)は産地におけるマイクロ波の反射を示している。図2において、T0、T1、T2、T3、T4、T5は、人工衛星搭載のSARにより送信されたマイクロ波の等時面を示しており、σは散乱面積を示している。図2(A)に示すように平坦地では、散乱面積σは一定となり、SARで受信される反射波の散乱強度は一定となるが、図2(B)に示すように山地では、地形の影響によりそれぞれ散乱面積が異なるものとなるので、SARで受信される反射波の散乱強度が地形起伏に依存したものとなる。
【0018】
図3は地形がSAR画像データに与える影響を説明する図である。図3(A)は地形の一断面を示しており、図3(B)は人工衛星に搭載された光学センサーによって取得された画像データを示しており、図3(C)は人工衛星に搭載されたSARによって取得され
たSAR画像データを示しており、図3(D)はSAR画像データによって把握される地形の断面を示している。また、図3中の矢印はSARからのマイクロ波の照射方向を示している。
【0019】
図3に示すように、地形に起伏があると、斜面の向きによって散乱面積が変化し(左側)、位置によって観測面積が大きく変化してしまう。また、この影響により画像に歪みが発生し、位置を正確に表せない。起伏のある山間部では、これら2つの影響による電波強度の変化が大きく、SAR画像データの電波強度の差から森林バイオマス量を推定することが不可能である。
【0020】
図3(A)と図3(D)を比較すると分かるように、SAR画像データは、実際の地形データを伸縮や短縮させる(すなわち、歪ませる)ものとなっている。
【0021】
このように、前述した(問題点1)のように、森林資源の多くは山岳地域(山地林)に存在するにもかかわらず、山岳地域のような地形歪みがある地域におけるバイオマス量の推定がこれまで困難なものとなっていた。
【0022】
次に、前述した(問題点2)についてより詳しく説明する。図4は地上バイオマス量と散乱強度との関係を示す図である。約150t/haまでについては、散乱される電波強度は、地上バイオマス量と概ね比例的な関係にあり、観測した電波強度から地上バイオマス量を推定することが可能である。地上バイオマス量がこれより多くなると、電波強度はこれ以上強くならず、バイオマス量推定はできなくなる。すなわち、SARで推定できるバイオマス量は、約150t/haまでであり、樹齢20年以上の樹木のバイオマス量の推定が困難であるという問題があった。
【0023】
以下、上記のような(問題点1)及び(問題点2)を解決するための手段についてより詳細に説明する。図5は本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法を実行させるシステム構成の一例を示す図である。
【0024】
図5において、10はシステムバス、11はCPU(Central Processing Unit)、12はRAM(Random Access Memory)、13はROM(Read Only Memory)、14は外部情報機器との通信を司る通信制御部、15はキーボードコントローラなどの入力制御部、16はディスプレイコントローラなどの出力制御部、17は外部記憶装置制御部、18はキーボード、ポインティングデバイス、マウスなどの入力機器からなる入力部、19はLCDディスプレイなどの表示装置や印刷装置からなる出力部、20はHDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置である。
【0025】
図5において、CPU11は、ROM13内のプログラム用ROM、或いは、大容量の外部記憶装置20に記憶されたプログラム等に応じて、外部機器と通信することでデータを検索・取得したり、また、図形、イメージ、文字、表等が混在した出力データの処理を実行したり、更に、外部記憶装置20に格納されているデータベースの管理を実行したり、などといった演算処理を行うものである。
【0026】
また、CPU11は、システムバス10に接続される各デバイスを統括的に制御する。ROM13内のプログラム用ROMあるいは外部記憶装置20には、CPU11の制御用の基本プログラムであるオペレーティングシステムプログラム(以下OS)等が記憶されている。また、ROM13あるいは外部記憶装置20には出力データ処理等を行う際に使用される各種データが記憶されている。RAM12は、CPU11の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
【0027】
入力制御部15は、キーボードや不図示のポインティングデバイスからの入力部18を制御する。また、出力制御部16は、LCDディスプレイ等の表示装置やプリンタなどの印刷装置の出力制御を行う。
【0028】
外部記憶装置制御部17は、ブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、プリンタドライバ等を記憶するHHD(Hard
Disk Drive)や、或いは場合によってはフレキシブルディスク(FD)等の外部記憶装置20へのアクセスを制御する
また、通信制御部14は、ネットワークを介して、外部機器と通信を制御するものであり、これによりシステムが必要とするデータを、インターネットやイントラネット上の外部機器が保有するデータベースから取得したり、外部機器に情報を送信したりすることができるように構成される。
【0029】
外部記憶装置20には、CPU11の制御プログラムであるオペレーティングシステムプログラム(以下OS)以外に、本発明のSARデータ処理方法をCPU11上で動作させるシステムプログラム、及びこのシステムプログラムで用いるデータなどがインストールされ保存・記憶されている。本実施形態に係るSARデータ処理システムにおいては、アプリケーションプログラムとして外部記憶装置20に表計算ソフトウエア(マイクロソフト社製のエクセルなど)がインストールされ、同ソフトウエアが提供する機能を利用している。
【0030】
本発明のSARデータ処理方法を実現するシステムプログラムで利用される特有のデータとしては、SAR画像データベース210、DEMデータベース220があり、これらデータが外部記憶装置20に保存されていることが想定されているが、場合によっては、これらのデータを通信制御部14を介してインターネットやイントラネット上の外部機器から取得するように構成することも可能である。
【0031】
以上のように構成される本発明の実施形態に係るSARデータ処理システムの構成において、外部記憶装置20に記憶されるSAR画像データデータベース210は、人工衛星や航空機などの飛行体に搭載されるSARから地上に電波を送信し、地上からの反射波を受信することで取得されるデータを取得である。
【0032】
また、外部記憶装置20に記憶されるDEMデータベース220におけるDEMはDegital Elevation Modelの略であり、DEMデータベース220は区画毎(メッシュ毎)の標高データである。
【0033】
次に、以上のように構成されるシステムにおけるSARデータ処理方法を説明する。図6は本発明の実施形態に係るSARデータ処理システムにおける処理フローチャートを示す図である。図6において、ステップS100でSARデータ処理システムの処理が開始されると、続いてステップS101に進み、処理対象領域のSAR画像データを外部記憶装置20のSAR画像データベース210から取得する。
【0034】
次のステップS102では、処理対象領域のDEMデータを外部記憶装置20のDEMデータベース220から取得する。
【0035】
ステップS103では、SAR画像データにおける歪み量δxを算出するためのパラメータであるa、b、cに初期値を設定する。ここで、歪み量δxについて図7を参照して説明する。図7は本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法における歪み量δxの概念を説明する図である。
【0036】
起伏のある地域で観測されたSAR画像データは、地表の起伏によりフォアショートニングやレイオーバーなどの地形歪みが含まれている。これら地形歪みの影響を除去するため、DEMデータからSARシミュレーション画像データを作成し、SAR画像データが最も良くマッチングする倒れ込み量の推定を行う。なお、このような地形起伏による歪みの補正を地形補正と呼ぶ。地形歪み量(δx)は、画像X方向の位置(x)と標高データ(H)から以下の関係式(1)によって近似することできる。
【0037】
δx=(ax+b)H+c (1)
ここで、a、b、cの3変数のうちaはオフナディア角に、bはNear/Farによる入射角の変化に関する係数であり、cは姿勢の位置情報のズレに起因する平行移動項である。なお、ステップS103における初期値の設定では、初めに衛星の姿勢情報からa、bの2変数を算出し、cには0を初期値として与える。
【0038】
ステップS104では、設定されたa、b、cから歪み量δxを求め、この歪み量δxに基づいて、DEMデータからSARシミュレーション画像データを作成する。
【0039】
ステップS105においては、SARシミュレーション画像データとSAR画像データとの面積相関係数を算出する。なお、面積相関係数は局所的な最大値を得てしまうことが予想されることから、a、b、cの3変数の変化幅を最初大きくし、探索を進めるに従い刻み幅を小さくすることが好ましい。ステップS106では、ステップS105で算出された面積相関係数が所定値以上であるか否かが判定される。ステップS106における判定結果がYESであるときにはステップS107に進み、NOであるときにはステップS112に進む。
【0040】
ステップS106における判定結果がNOであるときに進むステップS112では、新たなa,b,cのセットが設定される。本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法では、これらa、b、cの3変数を最急降下法により求める。
【0041】
ステップS106における判定結果がYESであるときに進むステップS107では、SARシミュレーション画像データとSAR画像データとから、地形歪み量(伸張・短縮量)を算出する。
【0042】
シミュレーション画像では地形の伸張・短縮量を信号強度として表している。つまり、地形が短縮されて観測される斜面(Foreslope)では、衛星は広い範囲から後方散乱波を受信しているため大きな値となり、逆に地形が伸張して観測される斜面(Backslope)では、狭い範囲からの後方散乱波を受信しているため小さな値となる。
【0043】
図8(A)は飛行体搭載のSARによって取得されたSAR画像データであり、図8(B)はDEMデータから作成されたSARシミュレーション画像データの一例である。図8(B)は、最適化したa、b、cから作成したシミュレーション画像であり、濃淡の差は地形の伸張・短縮量の差を表している。SARシミュレーション画像データはSAR画像データとほぼ類似した画像となっている。このように山間部では、SARの情報のほとんどが地形情報(散乱断面積の差)であることを示している。
【0044】
ステップS108では、SARシミュレーション画像データとSAR画像データとから、散乱強度を算出する。図9は本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法における散乱強度の導出を説明する図である。DEMデータから散乱断面積が推定できるので,これとSAR画像データにおける受信強度の関係から検量線が作成できる。図9においては、平坦地を1として対数表記している。
【0045】
面積相関係数が所定値以上であるSARシミュレーション画像データにおける信号強度は、SARが観測した散乱面積と比例すると考えられる。もし、SARの信号強度が散乱面積と完全な比例関係にあるならば、平坦地を観測した散乱面積に補正する(受信した信号強度を受信散乱面積で割り戻す)だけで、SARの受信強度を平坦地で観測した状態に補正することが可能である。この作業を「散乱強度補正」と呼ぶ。
【0046】
図9は本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法における散乱強度の導出を説明する図である。図9は統計的な手法によってこの関係を示したグラフである。横軸は地形の伸張・短縮量を意味し、0は平坦地を、0以下は地形が伸張する(受信する散乱断面積が狭い)Back slopeを、0以上は地形が短縮する(散乱断面積が広い)Fore
slopeを表す。縦軸は、それぞれの信号強度の平均値をプロットした。
【0047】
図9に示すようなグラフを作成すると、受信する散乱面積と受信強度とは完全な比例関係にないことが判る。これは、森林などによる体積散乱が等方的ではないことを示しており、受信強度を平坦地で観測した場合の後方散乱値に補正する際にはこのようなキャリブレーションが必要であることを示している。ここでは、補正曲線を4次式で回帰して用いた。この補正曲線とSARの信号強度およびシミュレーション画像の地形の伸張・短縮量の3つを用いると、SAR画像を平坦地で観測した状態に補正することができる。
【0048】
ステップS109においては、SAR画像データに対し、地形歪み量(伸張・短縮量)補正及び散乱強度補正を実施する。図10は本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法における補正処理を実施したSAR画像データを示す図であり、図10(A)はSAR画像データに対して地形歪み量(伸張・短縮量)補正を行ったものを示し、図10(B)はこれに加えさらに散乱強度補正を行ったものを示している。すなわち、図10(A)は正射投影(地形歪み量(伸張・短縮量)補正処理)したSAR画像データであり、図10(B)は散乱強度補正(正射投影にもなっている)した画像データである。図10(A)の正射投影図ではFore slope(西側斜面)は明るく、Back slope(東側斜面)は暗く表現されており、地形を明瞭に識別できる画像となっている。一方、図10(B)の散乱強度補正画像では、地形による濃淡が完全に除去されていることが判る。また、図10(A)の正射投影画像では地形情報以外を山間部で識別できないが、図10(B)の散乱強度補正画像では山間部での濃淡を明瞭に識別することができる。これら山間部での濃淡の差は、地表を覆う構成物の差による散乱値の違い(植生域ではバイオマス量)を表している。
【0049】
図10(B)の散乱強度補正画像の黒で示した紐状の地域は、地形が急峻なためレイオーバーが生じている地域を表している。レイオーバーが生じている地域では複数の地点からの信号が重複しており、散乱強度補正でもこれら信号を分離できないため、散乱強度補正の計算をしていない。
【0050】
ステップS110においては、局所入射角補正を実施する。ステップS109の補正処理を行った段階で散乱断面積の補正は行われているが、斜面の法線と入射方向のなす角(入射角)の変化による後方散乱強度への影響は考慮されていない。図11は平坦面の散乱強度を基準として、入射角に対する散乱強度比の変化を示している。これによれば、昇交および降交軌道ともほぼ同じ変化を示し、平坦面よりも入射角が小さい場合(斜面が衛星方向に向く斜面)には、最大10%程度大きな後方散乱値が観測されることを示している。また、平坦面よりも入射角が大きい場合には入射角60°付近まではほぼ補正は不要であるが、これを超える場合には最大15%程度小さな後方散乱値が観測されていることを示している。つまり、体積散乱が主となる森林からの後方散乱強度には明らかな入射角依存性があり、バイオマス量推定時には局所入射角補正が必要であることが明らかとなった
。ここでは図11で示した統計的な手法から、局所入射角補正を行った。
【0051】
ステップS111におけるバイオマス量の推定では、画像データにおける濃淡の差を抽出することで、地域毎のバイオマス量の推定を行い、ステップS113でSARデータ処理システムの処理を終了する。
【0052】
本発明のSARデータ処理方法及びSARデータ処理システムによれば、地上の標高に係るDEMデータから作成されたSARシミュレーション画像データと、実際に飛行体によって取得されたSAR画像データに一致させ、一致させたSARシミュレーション画像データとSAR画像データとに基づいて、SAR画像データの地形歪み量と散乱強度を算出し、SAR画像データに対して地形歪み量補正及び散乱強度補正を施すので、山岳地域のような地形歪みがある地域におけるバイオマス量の推定が可能となる。
【0053】
次に、バイオマス量の推定限界を向上するための方法について説明する。図12は散乱強度と材積量との関係を示す図であり、図12(A)は地上に垂直偏波を送信し、地上からの垂直偏波を受信することによってSAR画像データを取得した場合(HH偏波)を示しており、図12(B)は地上に水平偏波を送信し、地上からの垂直偏波を受信することによってSAR画像データを取得した場合(HV偏波)を示している。また、図13は本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法によって補正処理を実施したSAR画像データを示す図であり、図13(A)はSAR画像データに対して地形歪み量(伸張・短縮量)補正を行ったものを示しており、図13(B)はHH偏波のSAR画像データに対して散乱強度補正を行ったものを示しており、図13(C)はHV偏波のSAR画像データに対して散乱強度補正を行ったものを示している。
【0054】
図13(B)及び図13(C)で示すように、HH・HV偏波とも地形の影響が明瞭に除去されていることが解る。また、後方散乱補正画像には山間部で明るさの違いが認められ、この濃淡の差が山間部におけるバイオマス量の違いを表していることになる。なお、HHとHVの両者を比較するとHH偏波に対しHV偏波では明暗のコントラストが高く、輪郭も明瞭となっている。HH偏波でコントラストが低くなっている理由は、地表と樹幹による2回反射が多く観測されるためと考えられ、HV偏波がより正確なバイオマス量を反映すると考えられる。
【0055】
図12に示すように、本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法においては、地上からのHV偏波を受信することによって取得されたSAR画像データを利用することにより、約150t/haを超えるバイオマス量の推定が可能となる。
【符号の説明】
【0056】
10・・・システムバス、11・・・CPU(Central Processing Unit)、12・・・RAM(Random Access Memory)、13・・・ROM(Read Only Memory)、14・・・通信制御部、15・・・入力制御部、16・・・出力制御部、17・・・外部記憶装置制御部、18・・・入力部、19・・・出力部、20・・・外部記憶装置、210・・・SAR画像データベース、220・・・DEMデータベース
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工衛星や航空機などの飛行体から地上に向けてマイクロ波を送信し、地上からの反射波を受信することで取得されるSAR画像データを処理するためのSARデータ処理方法、及びそのようなSARデータ処理方法が用いられるSARデータ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人工衛星や航空機などの飛行体にマイクロ波合成開口レーダ(SAR)を搭載し、このSARによって地上の状態をリモートセンシングする測定手法が行われている。SARは、地上に向けてマイクロ波を送信し、地上からの反射波を受信することでSAR画像データを取得するものである。SARで用いられるマイクロ波の波長は、およそ15cm〜30cm程度であり、SARセンサから送信されるマイクロ波は雲などを透過するために、天候によらず観測が可能であるという特徴を有している。
【0003】
取得されたSAR画像データは、農林業分野や水資源分野に利用されている。農林業分野では、農作物の群落の構造差、植被率、バイオマス要素の調査、土壌の構造差(表面の粗度)、土壌水分(含水量)の測定調査のために、また、水資源分野では、雪質、積雪水量、積雪深などの測定調査のためにそれぞれ使用されている。
【0004】
SAR画像データ利用技術としては、例えば、特許文献1(特開2004−37339号公報)に、計測森林における樹種を代表する樹木に基づいて組立てたマイクロ波森林後方散乱モデルより、有り得る森林パラメータから森林の理論マイクロ波後方散乱ミュラー行列又はストークス行列のデータベースを構築する工程(17)と、前記構築したデータベースの理論マイクロ波後方散乱ミュラー行列又はストークス行列と波長帯15cm〜30cmのLバンド全偏波SARデータより算出された実測マイクロ波後方散乱ミュラー行列又はストークス行列とを比較し、一致しない場合は前記データベースに戻り、前記実測マイクロ波後方散乱ミュラー行列又はストークス行列と最も類似する理論マイクロ波後方散乱ミュラー行列又はストークス行列を検出して一致であると認定する工程(19)と、前記比較工程(19)で一致したときの森林パラメータ又は一致であると認定したときの森林パラメータをSARセンサーで実測された森林パラメータとして決定し、前記決定した森林パラメータに基づいて森林のバイオマスを定量的に求める工程(20)とを含む森林のバイオマスの定量計測法が記載されている。
【特許文献1】特開2004−37339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のSAR画像データ利用によるリモートセンシングで、山地林におけるバイオマス量を推定するにあたっては、以下のような2つの問題があった。
(問題点1)地形の影響;
森林資源の多くは山岳地域(山地林)にあり、このような山地ではSARからの波長・偏波に関わらず、フォアショートニングに代表される地形歪み(散乱断面積の相違)によりバイオマス量の推定は困難である。
(問題点2)バイオマス量の推定限界(Biomass Saturation Limit);
SARで推定できるバイオマス量は、約150t/haまでであり、樹齢20年以上の樹木のバイオマス量の推定は困難(たとえば Ranson et al., 1994)
である.
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、地上の標高に係るDEMデータからSARシミュレーション画像データを作成するSARシミュレーション画像データ作成ステップと、前記SARシミュレーション画像データ作成ステップで作成されたSARシミュレーション画像データを、SAR画像データに一致させるようにパラメータを選択するデータ一致ステップと、前記データ一致ステップで一致させた前記SARシミュレーション画像データと前記SAR画像データとに基づいて、前記SAR画像データの地形歪み量を算出する地形歪み量算出ステップと、前記データ一致ステップで一致させた前記SARシミュレーション画像データと前記SAR画像データとに基づいて、前記SAR画像データの散乱強度を算出する散乱強度算出ステップと、前記SAR画像データに対し、地形歪み量補正及び散乱強度補正を施す地形歪み・散乱強度補正ステップと、を有することを特徴とするSARデータ処理方法である。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のSARデータ処理方法において、さらに、前記地形歪み・散乱強度補正ステップが施された前記SAR画像データに対し、局所入射角補正を施す局所入射角補正ステップを有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載のSARデータ処理方法において、前記局所入射角補正ステップを施された前記SAR画像データによって、バイオマス量を推定するバイオマス量推定ステップを有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のSARデータ処理方法において、前記SAR画像データ取得ステップにおいては、前記飛行体から地上に水平偏波を送信し、地上からの垂直偏波を受信(HV偏波と称す)することによってSAR画像データを取得することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のSARデータ処理方法を用いたことを特徴とするダイヤSARデータ処理システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のSARデータ処理方法及びSARデータ処理システムによれば、地上の標高に係るDEMデータから作成されたSARシミュレーション画像データと、実際に飛行体によって取得されたSAR画像データに一致させ、一致させたSARシミュレーション画像データとSAR画像データとに基づいて、SAR画像データの地形歪み量と散乱強度を算出し、SAR画像データに対して地形歪み量補正及び散乱強度補正を施すので、山岳地域のような地形歪みがある地域におけるバイオマス量の推定が可能となる。
【0012】
また、本発明のSARデータ処理方法及びSARデータ処理システムによれば、地上からのHV偏波を受信することによって取得されたSAR画像データを利用するので、約150t/haを超えるバイオマス量の推定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】SARによるバイオマス量推定の原理を説明する図である。
【図2】地形によるマイクロ波の反射の様子を模式的に示す図である。
【図3】地形がSAR画像データに与える影響を説明する図である。
【図4】地上バイオマス量と散乱強度との関係を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法を実行させるシステム構成の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るSARデータ処理システムにおける処理フローチャートを示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法における歪み量δxの概念を説明する図である。
【図8】SARによって取得されたSAR画像データとDEMデータから作成されたSARシミュレーション画像データを示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法における散乱強度の導出を説明する図である。
【図10】本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法における補正処理を実施したSAR画像データを示す図である。
【図11】衛星搭載SARからのマイクロ波入射角に対する散乱強度比の変化を示す図である。
【図12】散乱強度と材積量との関係を示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法によって補正処理を実施したSAR画像データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1はマイクロ波合成開口レーダ(SAR)によるバイオマス量推定の原理を説明する図である。人工衛星や航空機などの飛行体に搭載されるSARセンサから送信されたマイクロ波は、葉を透過して樹幹によって反射する。このような樹幹によるマイクロ波の反射強度から幹材積を推定することが可能であり、過去の研究例から平坦地の森林では、森林からの電波の散乱強度と森林バイオマス量に相関があることが分かっている
図1に示すように、地形が平坦な場合においては、成長した森林にマイクロ波が照射されると、強いマイクロ波の散乱が観測され、疎林にマイクロ波が照射されると、中程度のマイクロ波の散乱が観測され、草地にマイクロ波が照射されると、弱いマイクロ波の散乱が観測される。
【0015】
すなわち、衛星搭載のSARから発射された電波(マイクロ波)は森林の樹木間で散乱され、この散乱したマイクロ波を衛星搭載のSARで観測するが、この時の散乱された電波強度は森林における樹木の量(バイオマス量)に応じて変化し、バイオマス量が多いほど強い電波が観測される。
【0016】
SARで強い散乱強度が観測される地域を明るく、弱くしか観測されない地域を暗く表すと、森林に覆われた(明るい)地域と、伐採された(暗い)地域が表現できる。SARに利用される電波は雲を透過するため、雲に覆われやすい熱帯雨林地域でも森林の定期的な観測が可能である。
【0017】
次に、SARで観測されるデータの地形による影響について説明する。図2は地形によるマイクロ波の反射の様子を模式的に示す図であり、図2(A)は平坦地におけるマイクロ波の反射を示しており、図2(B)は産地におけるマイクロ波の反射を示している。図2において、T0、T1、T2、T3、T4、T5は、人工衛星搭載のSARにより送信されたマイクロ波の等時面を示しており、σは散乱面積を示している。図2(A)に示すように平坦地では、散乱面積σは一定となり、SARで受信される反射波の散乱強度は一定となるが、図2(B)に示すように山地では、地形の影響によりそれぞれ散乱面積が異なるものとなるので、SARで受信される反射波の散乱強度が地形起伏に依存したものとなる。
【0018】
図3は地形がSAR画像データに与える影響を説明する図である。図3(A)は地形の一断面を示しており、図3(B)は人工衛星に搭載された光学センサーによって取得された画像データを示しており、図3(C)は人工衛星に搭載されたSARによって取得され
たSAR画像データを示しており、図3(D)はSAR画像データによって把握される地形の断面を示している。また、図3中の矢印はSARからのマイクロ波の照射方向を示している。
【0019】
図3に示すように、地形に起伏があると、斜面の向きによって散乱面積が変化し(左側)、位置によって観測面積が大きく変化してしまう。また、この影響により画像に歪みが発生し、位置を正確に表せない。起伏のある山間部では、これら2つの影響による電波強度の変化が大きく、SAR画像データの電波強度の差から森林バイオマス量を推定することが不可能である。
【0020】
図3(A)と図3(D)を比較すると分かるように、SAR画像データは、実際の地形データを伸縮や短縮させる(すなわち、歪ませる)ものとなっている。
【0021】
このように、前述した(問題点1)のように、森林資源の多くは山岳地域(山地林)に存在するにもかかわらず、山岳地域のような地形歪みがある地域におけるバイオマス量の推定がこれまで困難なものとなっていた。
【0022】
次に、前述した(問題点2)についてより詳しく説明する。図4は地上バイオマス量と散乱強度との関係を示す図である。約150t/haまでについては、散乱される電波強度は、地上バイオマス量と概ね比例的な関係にあり、観測した電波強度から地上バイオマス量を推定することが可能である。地上バイオマス量がこれより多くなると、電波強度はこれ以上強くならず、バイオマス量推定はできなくなる。すなわち、SARで推定できるバイオマス量は、約150t/haまでであり、樹齢20年以上の樹木のバイオマス量の推定が困難であるという問題があった。
【0023】
以下、上記のような(問題点1)及び(問題点2)を解決するための手段についてより詳細に説明する。図5は本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法を実行させるシステム構成の一例を示す図である。
【0024】
図5において、10はシステムバス、11はCPU(Central Processing Unit)、12はRAM(Random Access Memory)、13はROM(Read Only Memory)、14は外部情報機器との通信を司る通信制御部、15はキーボードコントローラなどの入力制御部、16はディスプレイコントローラなどの出力制御部、17は外部記憶装置制御部、18はキーボード、ポインティングデバイス、マウスなどの入力機器からなる入力部、19はLCDディスプレイなどの表示装置や印刷装置からなる出力部、20はHDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置である。
【0025】
図5において、CPU11は、ROM13内のプログラム用ROM、或いは、大容量の外部記憶装置20に記憶されたプログラム等に応じて、外部機器と通信することでデータを検索・取得したり、また、図形、イメージ、文字、表等が混在した出力データの処理を実行したり、更に、外部記憶装置20に格納されているデータベースの管理を実行したり、などといった演算処理を行うものである。
【0026】
また、CPU11は、システムバス10に接続される各デバイスを統括的に制御する。ROM13内のプログラム用ROMあるいは外部記憶装置20には、CPU11の制御用の基本プログラムであるオペレーティングシステムプログラム(以下OS)等が記憶されている。また、ROM13あるいは外部記憶装置20には出力データ処理等を行う際に使用される各種データが記憶されている。RAM12は、CPU11の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
【0027】
入力制御部15は、キーボードや不図示のポインティングデバイスからの入力部18を制御する。また、出力制御部16は、LCDディスプレイ等の表示装置やプリンタなどの印刷装置の出力制御を行う。
【0028】
外部記憶装置制御部17は、ブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、プリンタドライバ等を記憶するHHD(Hard
Disk Drive)や、或いは場合によってはフレキシブルディスク(FD)等の外部記憶装置20へのアクセスを制御する
また、通信制御部14は、ネットワークを介して、外部機器と通信を制御するものであり、これによりシステムが必要とするデータを、インターネットやイントラネット上の外部機器が保有するデータベースから取得したり、外部機器に情報を送信したりすることができるように構成される。
【0029】
外部記憶装置20には、CPU11の制御プログラムであるオペレーティングシステムプログラム(以下OS)以外に、本発明のSARデータ処理方法をCPU11上で動作させるシステムプログラム、及びこのシステムプログラムで用いるデータなどがインストールされ保存・記憶されている。本実施形態に係るSARデータ処理システムにおいては、アプリケーションプログラムとして外部記憶装置20に表計算ソフトウエア(マイクロソフト社製のエクセルなど)がインストールされ、同ソフトウエアが提供する機能を利用している。
【0030】
本発明のSARデータ処理方法を実現するシステムプログラムで利用される特有のデータとしては、SAR画像データベース210、DEMデータベース220があり、これらデータが外部記憶装置20に保存されていることが想定されているが、場合によっては、これらのデータを通信制御部14を介してインターネットやイントラネット上の外部機器から取得するように構成することも可能である。
【0031】
以上のように構成される本発明の実施形態に係るSARデータ処理システムの構成において、外部記憶装置20に記憶されるSAR画像データデータベース210は、人工衛星や航空機などの飛行体に搭載されるSARから地上に電波を送信し、地上からの反射波を受信することで取得されるデータを取得である。
【0032】
また、外部記憶装置20に記憶されるDEMデータベース220におけるDEMはDegital Elevation Modelの略であり、DEMデータベース220は区画毎(メッシュ毎)の標高データである。
【0033】
次に、以上のように構成されるシステムにおけるSARデータ処理方法を説明する。図6は本発明の実施形態に係るSARデータ処理システムにおける処理フローチャートを示す図である。図6において、ステップS100でSARデータ処理システムの処理が開始されると、続いてステップS101に進み、処理対象領域のSAR画像データを外部記憶装置20のSAR画像データベース210から取得する。
【0034】
次のステップS102では、処理対象領域のDEMデータを外部記憶装置20のDEMデータベース220から取得する。
【0035】
ステップS103では、SAR画像データにおける歪み量δxを算出するためのパラメータであるa、b、cに初期値を設定する。ここで、歪み量δxについて図7を参照して説明する。図7は本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法における歪み量δxの概念を説明する図である。
【0036】
起伏のある地域で観測されたSAR画像データは、地表の起伏によりフォアショートニングやレイオーバーなどの地形歪みが含まれている。これら地形歪みの影響を除去するため、DEMデータからSARシミュレーション画像データを作成し、SAR画像データが最も良くマッチングする倒れ込み量の推定を行う。なお、このような地形起伏による歪みの補正を地形補正と呼ぶ。地形歪み量(δx)は、画像X方向の位置(x)と標高データ(H)から以下の関係式(1)によって近似することできる。
【0037】
δx=(ax+b)H+c (1)
ここで、a、b、cの3変数のうちaはオフナディア角に、bはNear/Farによる入射角の変化に関する係数であり、cは姿勢の位置情報のズレに起因する平行移動項である。なお、ステップS103における初期値の設定では、初めに衛星の姿勢情報からa、bの2変数を算出し、cには0を初期値として与える。
【0038】
ステップS104では、設定されたa、b、cから歪み量δxを求め、この歪み量δxに基づいて、DEMデータからSARシミュレーション画像データを作成する。
【0039】
ステップS105においては、SARシミュレーション画像データとSAR画像データとの面積相関係数を算出する。なお、面積相関係数は局所的な最大値を得てしまうことが予想されることから、a、b、cの3変数の変化幅を最初大きくし、探索を進めるに従い刻み幅を小さくすることが好ましい。ステップS106では、ステップS105で算出された面積相関係数が所定値以上であるか否かが判定される。ステップS106における判定結果がYESであるときにはステップS107に進み、NOであるときにはステップS112に進む。
【0040】
ステップS106における判定結果がNOであるときに進むステップS112では、新たなa,b,cのセットが設定される。本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法では、これらa、b、cの3変数を最急降下法により求める。
【0041】
ステップS106における判定結果がYESであるときに進むステップS107では、SARシミュレーション画像データとSAR画像データとから、地形歪み量(伸張・短縮量)を算出する。
【0042】
シミュレーション画像では地形の伸張・短縮量を信号強度として表している。つまり、地形が短縮されて観測される斜面(Foreslope)では、衛星は広い範囲から後方散乱波を受信しているため大きな値となり、逆に地形が伸張して観測される斜面(Backslope)では、狭い範囲からの後方散乱波を受信しているため小さな値となる。
【0043】
図8(A)は飛行体搭載のSARによって取得されたSAR画像データであり、図8(B)はDEMデータから作成されたSARシミュレーション画像データの一例である。図8(B)は、最適化したa、b、cから作成したシミュレーション画像であり、濃淡の差は地形の伸張・短縮量の差を表している。SARシミュレーション画像データはSAR画像データとほぼ類似した画像となっている。このように山間部では、SARの情報のほとんどが地形情報(散乱断面積の差)であることを示している。
【0044】
ステップS108では、SARシミュレーション画像データとSAR画像データとから、散乱強度を算出する。図9は本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法における散乱強度の導出を説明する図である。DEMデータから散乱断面積が推定できるので,これとSAR画像データにおける受信強度の関係から検量線が作成できる。図9においては、平坦地を1として対数表記している。
【0045】
面積相関係数が所定値以上であるSARシミュレーション画像データにおける信号強度は、SARが観測した散乱面積と比例すると考えられる。もし、SARの信号強度が散乱面積と完全な比例関係にあるならば、平坦地を観測した散乱面積に補正する(受信した信号強度を受信散乱面積で割り戻す)だけで、SARの受信強度を平坦地で観測した状態に補正することが可能である。この作業を「散乱強度補正」と呼ぶ。
【0046】
図9は本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法における散乱強度の導出を説明する図である。図9は統計的な手法によってこの関係を示したグラフである。横軸は地形の伸張・短縮量を意味し、0は平坦地を、0以下は地形が伸張する(受信する散乱断面積が狭い)Back slopeを、0以上は地形が短縮する(散乱断面積が広い)Fore
slopeを表す。縦軸は、それぞれの信号強度の平均値をプロットした。
【0047】
図9に示すようなグラフを作成すると、受信する散乱面積と受信強度とは完全な比例関係にないことが判る。これは、森林などによる体積散乱が等方的ではないことを示しており、受信強度を平坦地で観測した場合の後方散乱値に補正する際にはこのようなキャリブレーションが必要であることを示している。ここでは、補正曲線を4次式で回帰して用いた。この補正曲線とSARの信号強度およびシミュレーション画像の地形の伸張・短縮量の3つを用いると、SAR画像を平坦地で観測した状態に補正することができる。
【0048】
ステップS109においては、SAR画像データに対し、地形歪み量(伸張・短縮量)補正及び散乱強度補正を実施する。図10は本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法における補正処理を実施したSAR画像データを示す図であり、図10(A)はSAR画像データに対して地形歪み量(伸張・短縮量)補正を行ったものを示し、図10(B)はこれに加えさらに散乱強度補正を行ったものを示している。すなわち、図10(A)は正射投影(地形歪み量(伸張・短縮量)補正処理)したSAR画像データであり、図10(B)は散乱強度補正(正射投影にもなっている)した画像データである。図10(A)の正射投影図ではFore slope(西側斜面)は明るく、Back slope(東側斜面)は暗く表現されており、地形を明瞭に識別できる画像となっている。一方、図10(B)の散乱強度補正画像では、地形による濃淡が完全に除去されていることが判る。また、図10(A)の正射投影画像では地形情報以外を山間部で識別できないが、図10(B)の散乱強度補正画像では山間部での濃淡を明瞭に識別することができる。これら山間部での濃淡の差は、地表を覆う構成物の差による散乱値の違い(植生域ではバイオマス量)を表している。
【0049】
図10(B)の散乱強度補正画像の黒で示した紐状の地域は、地形が急峻なためレイオーバーが生じている地域を表している。レイオーバーが生じている地域では複数の地点からの信号が重複しており、散乱強度補正でもこれら信号を分離できないため、散乱強度補正の計算をしていない。
【0050】
ステップS110においては、局所入射角補正を実施する。ステップS109の補正処理を行った段階で散乱断面積の補正は行われているが、斜面の法線と入射方向のなす角(入射角)の変化による後方散乱強度への影響は考慮されていない。図11は平坦面の散乱強度を基準として、入射角に対する散乱強度比の変化を示している。これによれば、昇交および降交軌道ともほぼ同じ変化を示し、平坦面よりも入射角が小さい場合(斜面が衛星方向に向く斜面)には、最大10%程度大きな後方散乱値が観測されることを示している。また、平坦面よりも入射角が大きい場合には入射角60°付近まではほぼ補正は不要であるが、これを超える場合には最大15%程度小さな後方散乱値が観測されていることを示している。つまり、体積散乱が主となる森林からの後方散乱強度には明らかな入射角依存性があり、バイオマス量推定時には局所入射角補正が必要であることが明らかとなった
。ここでは図11で示した統計的な手法から、局所入射角補正を行った。
【0051】
ステップS111におけるバイオマス量の推定では、画像データにおける濃淡の差を抽出することで、地域毎のバイオマス量の推定を行い、ステップS113でSARデータ処理システムの処理を終了する。
【0052】
本発明のSARデータ処理方法及びSARデータ処理システムによれば、地上の標高に係るDEMデータから作成されたSARシミュレーション画像データと、実際に飛行体によって取得されたSAR画像データに一致させ、一致させたSARシミュレーション画像データとSAR画像データとに基づいて、SAR画像データの地形歪み量と散乱強度を算出し、SAR画像データに対して地形歪み量補正及び散乱強度補正を施すので、山岳地域のような地形歪みがある地域におけるバイオマス量の推定が可能となる。
【0053】
次に、バイオマス量の推定限界を向上するための方法について説明する。図12は散乱強度と材積量との関係を示す図であり、図12(A)は地上に垂直偏波を送信し、地上からの垂直偏波を受信することによってSAR画像データを取得した場合(HH偏波)を示しており、図12(B)は地上に水平偏波を送信し、地上からの垂直偏波を受信することによってSAR画像データを取得した場合(HV偏波)を示している。また、図13は本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法によって補正処理を実施したSAR画像データを示す図であり、図13(A)はSAR画像データに対して地形歪み量(伸張・短縮量)補正を行ったものを示しており、図13(B)はHH偏波のSAR画像データに対して散乱強度補正を行ったものを示しており、図13(C)はHV偏波のSAR画像データに対して散乱強度補正を行ったものを示している。
【0054】
図13(B)及び図13(C)で示すように、HH・HV偏波とも地形の影響が明瞭に除去されていることが解る。また、後方散乱補正画像には山間部で明るさの違いが認められ、この濃淡の差が山間部におけるバイオマス量の違いを表していることになる。なお、HHとHVの両者を比較するとHH偏波に対しHV偏波では明暗のコントラストが高く、輪郭も明瞭となっている。HH偏波でコントラストが低くなっている理由は、地表と樹幹による2回反射が多く観測されるためと考えられ、HV偏波がより正確なバイオマス量を反映すると考えられる。
【0055】
図12に示すように、本発明の実施形態に係るSARデータ処理方法においては、地上からのHV偏波を受信することによって取得されたSAR画像データを利用することにより、約150t/haを超えるバイオマス量の推定が可能となる。
【符号の説明】
【0056】
10・・・システムバス、11・・・CPU(Central Processing Unit)、12・・・RAM(Random Access Memory)、13・・・ROM(Read Only Memory)、14・・・通信制御部、15・・・入力制御部、16・・・出力制御部、17・・・外部記憶装置制御部、18・・・入力部、19・・・出力部、20・・・外部記憶装置、210・・・SAR画像データベース、220・・・DEMデータベース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上の標高に係るDEMデータからSARシミュレーション画像データを作成するSARシミュレーション画像データ作成ステップと、
前記SARシミュレーション画像データ作成ステップで作成されたSARシミュレーション画像データを、前記SAR画像データ取得ステップで取得されたSAR画像データに一致させるようにパラメータを選択するデータ一致ステップと、
前記データ一致ステップで一致させた前記SARシミュレーション画像データと前記SAR画像データとに基づいて、前記SAR画像データの地形歪み量を算出する地形歪み量算出ステップと、
前記データ一致ステップで略一致させた前記SARシミュレーション画像データと前記SAR画像データとに基づいて、前記SAR画像データの散乱強度を算出する散乱強度算出ステップと、
前記SAR画像データに対し、地形歪み量補正及び散乱強度補正を施す地形歪み・散乱強度補正ステップと、を有することを特徴とするSARデータ処理方法。
【請求項2】
さらに、前記地形歪み・散乱強度補正ステップが施された前記SAR画像データに対し、局所入射角補正を施す局所入射角補正ステップを有することを特徴とする請求項1に記載のSARデータ処理方法。
【請求項3】
前記局所入射角補正ステップを施された前記SAR画像データによって、バイオマス量を推定するバイオマス量推定ステップを有することを特徴とする請求項2に記載のSARデータ処理方法。
【請求項4】
前記SAR画像データ取得ステップにおいては、前記飛行体から地上に水平偏波を送信し、地上からの垂直偏波を受信することによってSAR画像データを取得することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のSARデータ処理方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のSARデータ処理方法を用いたことを特徴とするSARデータ処理システム。
【請求項1】
地上の標高に係るDEMデータからSARシミュレーション画像データを作成するSARシミュレーション画像データ作成ステップと、
前記SARシミュレーション画像データ作成ステップで作成されたSARシミュレーション画像データを、前記SAR画像データ取得ステップで取得されたSAR画像データに一致させるようにパラメータを選択するデータ一致ステップと、
前記データ一致ステップで一致させた前記SARシミュレーション画像データと前記SAR画像データとに基づいて、前記SAR画像データの地形歪み量を算出する地形歪み量算出ステップと、
前記データ一致ステップで略一致させた前記SARシミュレーション画像データと前記SAR画像データとに基づいて、前記SAR画像データの散乱強度を算出する散乱強度算出ステップと、
前記SAR画像データに対し、地形歪み量補正及び散乱強度補正を施す地形歪み・散乱強度補正ステップと、を有することを特徴とするSARデータ処理方法。
【請求項2】
さらに、前記地形歪み・散乱強度補正ステップが施された前記SAR画像データに対し、局所入射角補正を施す局所入射角補正ステップを有することを特徴とする請求項1に記載のSARデータ処理方法。
【請求項3】
前記局所入射角補正ステップを施された前記SAR画像データによって、バイオマス量を推定するバイオマス量推定ステップを有することを特徴とする請求項2に記載のSARデータ処理方法。
【請求項4】
前記SAR画像データ取得ステップにおいては、前記飛行体から地上に水平偏波を送信し、地上からの垂直偏波を受信することによってSAR画像データを取得することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のSARデータ処理方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のSARデータ処理方法を用いたことを特徴とするSARデータ処理システム。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図11】
【図12】
【図3】
【図8】
【図10】
【図13】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図11】
【図12】
【図3】
【図8】
【図10】
【図13】
【公開番号】特開2011−185834(P2011−185834A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53098(P2010−53098)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、独立行政法人産業技術総合研究所、{平成19年度石油資源遠隔探知技術の実用研究開発}、および平成20年度、独立行政法人産業技術総合研究所、{平成20年度石油資源遠隔探知技術の実用研究}委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(599091542)日鉱探開株式会社 (1)
【出願人】(502243789)財団法人資源・環境観測解析センター (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、独立行政法人産業技術総合研究所、{平成19年度石油資源遠隔探知技術の実用研究開発}、および平成20年度、独立行政法人産業技術総合研究所、{平成20年度石油資源遠隔探知技術の実用研究}委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(599091542)日鉱探開株式会社 (1)
【出願人】(502243789)財団法人資源・環境観測解析センター (1)
【Fターム(参考)】
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