SAWデバイス
【課題】圧電基板上に異なる共振周波数のSAW素子を2個備え、SAW素子の入力端または出力端の少なくとも一方が共通端子により接続されて共通化されたSAWデバイスにおいて、寄生容量および寄生インダクタンスが大きく異なることによる発生する、周波数特性の歪み、スプリアス周波数などの異常発振を抑制することを目的とする。
【解決手段】高周波側のSAW素子6を第1幅員の第1電極指と、第1電極指から第1間隙をおいて配置された第2幅員の第2電極指と、第2電極指から第2間隙をおいて配置された第3幅員の第3電極指と、第1電極指と第3電極指との隣にそれぞれ配置された第3間隙の半分のスペースとを備えた単位区間を複数区間繰返して構成され、第1電極指と第3電極指とを同相とし、第2電極指と第1電極指および第3電極指とを逆相とし、第1幅員と第3幅員とを同値とし、第1間隙と第2間隙とを同値とすることを特徴とする。
【解決手段】高周波側のSAW素子6を第1幅員の第1電極指と、第1電極指から第1間隙をおいて配置された第2幅員の第2電極指と、第2電極指から第2間隙をおいて配置された第3幅員の第3電極指と、第1電極指と第3電極指との隣にそれぞれ配置された第3間隙の半分のスペースとを備えた単位区間を複数区間繰返して構成され、第1電極指と第3電極指とを同相とし、第2電極指と第1電極指および第3電極指とを逆相とし、第1幅員と第3幅員とを同値とし、第1間隙と第2間隙とを同値とすることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SAW共振子などのSAWデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から圧電基板上に単一の共振周波数のSAW(Surface Acoustic Wave)素子を備えたシングルチャンネルSAW共振子などのSAWデバイスが、無線データ伝送手段として一般的に用いられている。そして、伝送されるデータ量の増加に伴い、異なる共振周波数のSAW素子を複数、たとえば2個必要とされている。そこで、2個の異なる共振周波数のSAW素子と、それぞれ個別の共振回路とを備えたマルチチャンネルSAW共振子を構成すると、このSAW共振子が大型化してしまう。このため、これらのSAW素子の入力端または出力端の少なくとも一方が共通端子により接続されて共通化されたマルチチャンネルSAW共振子が検討されている。
一方で、特定の範囲(通過帯域)内の周波数を通し、特定の範囲(通過帯域)外の周波数を通さないまたは減衰させるSAWフィルターにおいては、圧電基板上に中心周波数が互いに異なるSAW素子を複数備えたマルチバンドSAWフィルターが開示されており、SAW素子を構成する反射器の隣り合う電極指のピッチまたはライン比を調整することによりスプリアスの抑制を図っている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−289234号公報(3頁〜9頁、図1〜図24)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、圧電基板上に異なる共振周波数のSAW素子を2個備え、SAW素子の入力端または出力端の少なくとも一方が共通端子により接続されて共通化されたことにより、寄生容量および寄生インダクタンスが大きく異なるため、周波数特性が歪み、スプリアス周波数などの異常発振が起こってしまうという課題がある。この課題は、SAWフィルターでは周波数特性が多少歪んでも、フィルターとしての機能が損なわれるほどの問題ではないが、特定の共振周波数で発振させるクロック源としてのSAW共振子などのSAWデバイスでは大きな問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものである。以下の形態または適用例により実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかるSAWデバイスは、圧電基板と、前記圧電基板上に形成された複数のSAW素子とを有し、複数の前記SAW素子は、それぞれ異なる共振周波数を発振し、複数の前記SAW素子の入力端または出力端の少なくとも一方が共通化されたSAWデバイスであって、複数の前記SAW素子のうち、少なくとも高周波側の前記SAW素子は、第1幅員の第1電極指と、前記第1電極指から第1間隙をおいて配置された第2幅員の第2電極指と、前記第2電極指から第2間隙をおいて配置された第3幅員の第3電極指と、前記第1電極指と前記第3電極指との隣にそれぞれ配置された第3間隙の半分のスペースとを備えた単位区間を複数区間繰返して構成され、前記第1電極指と前記第3電極指とを同相とし、前記第2電極指と前記第1電極指および前記第3電極指とを逆相とし、前記第1幅員と前記第3幅員とを同値とし、前記第1間隙と前記第2間隙とを同値とすることを要旨とする。
【0007】
これによれば、高周波側のSAW素子において、前記電極構成を採ることによって高次モードのスプリアスは高周波側のSAW素子の共振周波数よりも高周波側にのみ現れるため、前記高次モードスプリアスによる低周波側共振周波数への影響をほぼなくすことができる。そのため、低周波側のSAW素子の低周波側共振周波数に異常発振を発生させることを抑制することができ、低周波側共振周波数および高周波側共振周波数の異常発振を抑制し精度良く発振させるSAWデバイスを提供することができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかるSAWデバイスにおいて、複数の前記SAW素子の全ては、第1幅員の第1電極指と、前記第1電極指から第1間隙をおいて配置された第2幅員の第2電極指と、前記第2電極指から第2間隙をおいて配置された第3幅員の第3電極指と、前記第1電極指と前記第3電極指との隣にそれぞれ配置された第3間隙の半分のスペースとを備えた単位区間を複数区間繰返して構成され、前記第1電極指と前記第3電極指とを同相とし、前記第2電極指と前記第1電極指および前記第3電極指とを逆相とし、前記第1幅員と前記第3幅員とを同値とし、前記第1間隙と前記第2間隙とを同値として構成したことが好ましい。
これによれば、低周波数及び高周波数両方のSAW素子において高次モードのスプリアスはそれぞれの共振周波数よりも高周波側に現れるため、上述と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態にかかるSAW共振子を示す概略構成図。
【図2】第1実施形態にかかるSAW共振子のIDT電極(反射反転型IDT電極)の概略構成図。
【図3】第1実施形態にかかるSAW共振子のIDT電極(反射反転型IDT電極)の反射ベクトルを示す図。
【図4】第1実施形態にかかるSAW共振子のIDT電極(反射反転型IDT電極)の定在波の分布を示す図。
【図5】第1実施形態にかかるSAW共振子の正規型IDT電極の概略構成図。
【図6】第1実施形態にかかるSAW共振子の正規型IDT電極の反射ベクトルを示す図。
【図7】第1実施形態にかかるSAW共振子の正規型IDT電極の定在波の分布を示す図。
【図8】第1実施形態にかかるSAW共振子の発振状態を計測した結果を示す図。
【図9】正規型IDT電極で構成した場合のSAW共振子の発振状態を計測した結果を示す図。
【図10】第2実施形態にかかるSAW共振子の構成例を示す概略構成図。
【図11】第2実施形態にかかる低周波側のSAW素子の構成例を示す概略構成図。
【図12】第2実施形態にかかるSAW共振子の発振状態を計測した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施形態では、SAWデバイスとしてSAW共振子を例に挙げて説明する。
【0011】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について、図1を参照して説明する。
図1は、第1実施形態のSAW共振子を示す概略構成図である。
【0012】
図1に示すようにSAW共振子10は、圧電基板11と2個のSAW素子6,7と、出力側端子部OUT1,2と、入力側端子部INとを備えている。
【0013】
圧電基板11は、圧電効果を有する水晶からなる。SAW素子6,7は、たとえばアルミニウム(Al)などの導電性金属材料で形成されている。SAW素子6,7は、同一膜厚tで形成されている。ここで、同一膜厚tは設計値を示し、蒸着またはスパッタリングなどの製造方法によって形成される際の製造誤差が含まれる。そして、入力側端子部INおよび出力側端子部OUT1,2は、たとえばアルミニウム(Al)などの導電性金属材料で形成されている。
【0014】
SAW素子7は、出力端8と入力端5とを備えている。SAW素子6は、出力端4と入力端5とを備えている。このようにして、SAW素子6,7の入力端5は、共通化されている。
【0015】
SAW素子7は、入力端5へ接続され、共通化された入力端5の端部T5から、入力側端子部INに電気的に接続されている。SAW素子7は、出力端8へ接続され、出力端8の端部T3から、出力側端子部OUT1に電気的に接続されている。
SAW素子6は、入力端5へ接続され、共通化された入力端5の端部T5から、入力側端子部INに電気的に接続されている。SAW素子6は、出力端4へ接続され、出力端4の端部T4から、出力側端子部OUT2に電気的に接続されている。
【0016】
高周波側のSAW素子6は、反射器23とIDT電極22とを備えている。そして、低周波側のSAW素子7は、反射器13とIDT電極12とを備えている。
【0017】
このようにして構成されたSAW素子6,7は、それぞれ異なる共振周波数を発振する。このため、以下では、SAW素子6が高周波側共振周波数を発振するとし、SAW素子7が低周波側共振周波数を発振するとして説明する。
【0018】
まず、高周波側のSAW素子6のIDT電極22について、図2から図4および図1を参照して説明する。図2は、SAW素子6のIDT電極22の概略構成図である。図3は、SAW素子6のIDT電極22の反射ベクトルΓ1を示す図である。図4は、SAW素子6のIDT電極22のストップバンドの両端(下端および上端)におけるそれぞれの定在波の分布を示す図である。
【0019】
図2(a)に示すように、IDT電極22は、第1幅員W1の第1電極指1、第2幅員W2の第2電極指2、および第3幅員W3の第3電極指3と、バスバー26,27とを備えている。第1電極指1と第2電極指2とは、第1間隙g1をおいて配置され、第2電極指2と第3電極指3とは、第2間隙g2をおいて配置されている。
【0020】
IDT電極22は、第1電極指1と、第1間隙g1と、第2電極指2と、第2間隙g2と、第3電極指3と、第1電極指1および第3電極指3の両側の(g3)/2のスペースとから成る単位区間、すなわち一波長λあたり3本の電極指(第1電極指1、第2電極指2、および第3電極指3)で構成される単位区間を圧電基板11上に繰り返し配列したものである。図2(a)に示す構成のIDT電極22を、反射反転型IDT電極22とも記して説明する。ここで、第1幅員W1と第3幅員W3とを同値(W1=W3)とし、第1間隙g1と第2間隙g2とを同値(g1=g2)とする。第1電極指1、第2電極指2、ならびに第3電極指3の数量および長さは、適宜決定される。
【0021】
そして、第1電極指1と第3電極指3とは、バスバー26に連結され、第2電極指2は、バスバー27に連結されている。第1電極指1と第3電極指3とを同相とし、第1電極指1および第3電極指3と、第2電極指2とは逆相として駆動するものとする。
【0022】
図1に示すように、反射器23は、IDT電極22で励振される弾性表面波が伝播する方向に、IDT電極22を両側から挟むように配置されている。そして、反射器23は、反射器バスバー29と、電極指1,2,3(図2参照)に対向して形成された複数の反射指28とが連結された構造となっている。
【0023】
そして、第1電極指1と第3電極指3とは、バスバー26を経由して出力端4へ接続され、端部T4から出力側端子部OUT2に接続されている。第2電極指2は、バスバー27を経由して共通化された入力端5へ接続され、端部T5から入力側端子部INに接続されている。そして、高周波側共振周波数が出力される。
【0024】
図2(b)は、図2(a)のA−A断面図であり、IDT電極22に高周波電圧を印加してIDT電極22を駆動した場合のある瞬間の表面電位を示したものである。このように、一波長λあたり電極指を3本(第1電極指1、第2電極指2、および第3電極指3)としたIDT電極22の単位区間あたりの反射係数(反射ベクトル)Γ1を求める。
【0025】
図3を参照し、第2電極指2の中央を反射の基準として、IDT電極22の反射ベクトルГ1について説明する。
図3(a)に示すようにIDT電極22の任意の1区間、つまり第1電極指1〜第3電極指3において各両端の6つのエッジ面e1〜e6からの反射ベクトルE1〜E6を求めてみると、図3(b)に示すように6つの反射ベクトルE1〜E6が求まる。この反射ベクトルE1〜E6の合成ベクトルは、図3(b)に示すように反射ベクトルГ1となる。
【0026】
反射ベクトルГ1は、第2電極指2中央においてπ/2の位相を示している。この位相差による反射中心(□印)の空間的位置は、表面波の位相回転は往復が寄与するため、第2電極指2の中央から空間的にλ/4だけ離れた位置になる。つまり、第1実施形態に係るIDT電極22では、ストップバンドの上端および下端の周波数におけるそれぞれの定在波分布は図4に示すようになる。
図4において、ストップバンド下端の周波数における定在波を実線で示し、ストップバンドの上端の周波数における定在波を一点鎖線で示している。そして、反射中心を□印で示し、励振中心を○印で示している。
一方、波長λの表面波を励起する駆動力(IDT電極に印加した電圧により機械的な変位を起こす力)は、周知のように図2(b)に示した表面電位分布をフーリエ級数展開したときの最低次成分となる。これを計算して求めた駆動力分布は、図4に破線で示した波長λの正弦波となる。図4に示すように、励振中心(○印)は第2電極指2の中心に位置し、反射中心(□印)は第2電極指2の中央からλ/4離れた位置になる。
【0027】
このように、一点鎖線で示すストップバンド上端の周波数における定在波の腹が、励振中心と一致するため、ストップバンド上端の周波数が強勢に励振される。一方、実線で示すストップバンド下端の周波数における定在波の節が励振中心と一致し、無限周期構造では励振されないことを示している。
【0028】
しかし、実際の有限周期構造では、実線で示すストップバンド下端の定在波は、一点鎖線で示すストップバンド上端の定在波に比べて弱く励振される。このため、第1実施形態にかかるIDT電極22(反射反転型電極)の構成を用いると、ストップバンド上端の定在波は強く励振されることになる。
【0029】
このストップバンド上端の周波数の縦の高次モードは、シミュレーションの結果によると次数が高いほど高い周波数に現れることが判明した。
【0030】
次に、低周波側のSAW素子7のIDT電極12について、図1および図5から図7を参照して説明する。図5は、SAW素子7のIDT電極12の概略構成図である。図6は、SAW素子7のIDT電極12の反射ベクトルΓ2を示す図である。図7は、SAW素子7のIDT電極12のストップバンドの両端(下端および上端)におけるそれぞれの定在波の分布を示す図である。
【0031】
図5(a)に示すように、IDT電極12は、複数の電極指14,15とバスバー16,17とを備えている。電極指14と電極指15とが交互に配置されるとともに、接触しないように形成されている。複数の電極指14は、バスバー16に連結されている。複数の電極指15は、バスバー17に連結されている。
電極指14と、電極指15を隔てた隣の電極指14とは、間隔(波長)λ1で配置されている。同様に、電極指15と、電極指14を隔てた隣の電極指15とは、間隔(波長)λ1で配置されている。ここで、電極指14,15の数量、長さ、および幅員は、適宜決定される。図5に示す構成のIDT電極12を、正規型IDT電極12とも記して説明する。
【0032】
波長λ1は、このIDT電極12の連続する任意の電極指14の中央から隣の電極指14の中央までに相当し、このIDT電極12の連続する任意の電極指15の中央から隣の電極指15の中央までに相当する。ここで、低周波側のSAW素子7の間隔(波長)λ1は、高周波側のSAW素子6の間隔(波長)λに比べて、長い。そして、電極指14と電極指15とは逆相にて駆動するものとする。
【0033】
図1に示すように、反射器13は、IDT電極12で励振される弾性表面波が伝播する方向に、IDT電極12を両側から挟むように配置されている。そして、反射器13は、反射器バスバー19と、電極指14,15(図5参照)に対向して形成された複数の反射指18とが連結された構造となっている。
【0034】
そして、電極指14は、バスバー16を経由して共通化された入力端5へ接続され、端部T5から入力側端子部INに接続されている。そして、電極指15は、バスバー17を経由して出力端8へ接続され、端部T3から出力側端子部OUT1に接続されている。そして、低周波側共振周波数が出力される。
【0035】
図5(b)は、図5(a)のB−B断面図であり、IDT電極12に高周波電圧を印加して、IDT電極12を駆動した場合のある瞬間の表面電位を破線にて示したものである。IDT電極12は幅の等しい電極指14,15が(λ1)/2の周期で配置されている。
図6を参照し、任意の電極指14,15の中央を反射の基準として、1対(1基本単位を電極指2本で構成)あたりの反射係数(反射ベクトル)Γ2について説明する。
【0036】
図6(a)に示すように、IDT電極12の任意の一波長λ1分の反射を考えるに当たって、各電極指14,15の圧電基板に垂直なエッジ面をr1〜r4とする。この4つのエッジ面r1〜r4からの反射ベクトルは、図6(b)に示すように、エッジ面r1,r3からの反射ベクトルR1,R3はそれぞれ等しく、大きさと位相角とが同じとなり、エッジ面r2,r4からの反射ベクトルR2,R4はそれぞれ等しくなる。したがって、図6(b)に示すように4つの反射ベクトルR1〜R4を合成した反射ベクトルが1基本単位(1対)あたりの反射ベクトルΓ2となり、電極指14,15の中央を基準としたとき(−π)/2の位相となっている。
ここで、図3(b)に示したIDT電極(反射反転型電極)22の反射ベクトルГ1と、図6(b)に示したIDT電極(正規型IDT電極)12の反射ベクトルГ2とは、異なることが確認できる。つまり、反射ベクトルГ1と反射ベクトルГ2との位相はπだけ異なる。
【0037】
図7は、IDT電極(正規型IDT電極)12のストップバンドの両端(下端および上端)におけるそれぞれの定在波の分布を示す図である。ストップバンドの下端における定在波を実線で示す。ストップバンド上端における定在波を一点鎖線で示す。そして、反射中心を□印で示し、励振中心を○印で示している。
ストップバンドの下端における定在波は電極指14,15中央位置、つまり反射中心(□印)位置で腹となり、ストップバンド上端における定在波は反射中心(□印)位置において節となる。なお、ストップバンド上端の定在波は、無限周期構造では励振されないが、実際のIDT構造のように有限構造となるとストップバンド下端における定在波よりも弱いものの励振されることになる。
一方、波長λ1の表面波を励起する駆動力(IDT電極に印加した電圧により機械的な変位を起こす力)は、周知のように図5(b)に示した表面電位分布をフーリエ級数展開したときの最低次成分となる。これを計算して求めた駆動力は、図7に破線で示した波長λ1の正弦波となる。このように破線で示された正弦波の極値の位置が励振中心(○印)である。
【0038】
図7に示すように、励振中心(○印)と反射中心(□印)が重なると、実線で示したストップバンド下端の定在波は破線で示した駆動力分布と同相となり、強勢に励振されることになる。
【0039】
ここで、図7と図4とを比較する。図4に示すように、図7に示された反射中心(□印)が、励振中心(○印)に対してλ/4だけずれたのに伴い、各定在波分布もそれぞれλ/4だけずれている。IDT電極(正規型IDT電極)12の構成を用いる場合と、IDT電極(反射反転型電極)22の構成を用いる場合とでは、結果として駆動分布に対する定在波のそれぞれの腹と節の位置関係が図7のそれとは入れ替わっていることが確認できる。このようにして、実線で示すストップバンド下端の定在波は、一点鎖線で示すストップバンド上端の定在波に比べて弱く励振される。このため、IDT電極22(反射反転型電極)の構成を用いると、ストップバンド上端の定在波は強く励振されることになることが確認できる。
【0040】
したがって、本実施形態によれば、高周波側のSAW素子6を反射反転型IDT電極で構成した場合、高次モードのスプリアスは高周波側SAW素子6の共振周波数よりも高周波側にのみ現れるため、低周波側のSAW素子7の低周波側共振周波数に異常発振を発生させることを抑制することができる。このため、低周波側共振周波数および高周波側共振周波数の異常発振を抑制し精度良く発振させるSAW共振子10を提供することができる。
【0041】
以下に、第1実施形態のSAW共振子10について、SAW素子6、およびSAW素子7の周波数特性を観察した。
【0042】
図8は、第1実施形態のSAW共振子10の周波数特性を計測した結果を示す図であり、(a)はインピーダンス特性を、(b)は挿入損失特性を示している。
図9は、高周波側のSAW素子6を、低周波側のSAW素子7と同様の構成、つまり上述した正規型IDT電極で構成したSAW共振子の周波数特性を計測した結果を示す図であり、(a)はインピーダンス特性を、(b)は挿入損失特性を示している。以下、図8と図9とを比較した。
【0043】
図8に示すように、第1実施形態の高周波側のSAW素子6を反射反転型電極で構成したSAW共振子10は、太い実線で示した低周波側のSAW素子7の低周波側共振周波数には異常発振が発生していない。そして、細い実線で示した高周波側のSAW素子6の高次縦モードスプリアスは高周波領域に発生している。
一方で、第1実施形態とは異なり、高周波側のSAW素子6を低周波側のSAW素子7と同様の構成、つまり上述した正規型IDT電極で構成したSAW共振子10では、図9に示すように、細い実線で示した高周波側のSAW素子6において、一点鎖線で示した低周波領域(低周波側SAW素子の共振周波数付近)に高次縦モードのスプリアスが発生している。
【0044】
このように、周波数特性を観察し比較したように、上述と同様の効果を奏することが確認できる。
【0045】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、図10、図11、および図1を参照して説明する。
第2実施形態のSAW共振子10は、図1に示した第1実施形態と同様の構成であるが、低周波側のSAW素子7の構成が相違する。このため、同様の構成については、同一の符号を付与し、構成の説明を省略する。図10は、第2実施形態にかかるSAW共振子10の構成例を示す概略構成図である。図11は、第2実施形態にかかる低周波側のSAW素子7aの構成例を示す概略構成図である。
【0046】
図10に示すように、低周波側のSAW素子7aは、IDT電極12aと反射器13とを備えている。
図11に示すように、IDT電極12aは、第1幅員Wa1の第1電極指1a、第2幅員Wa2の第2電極指2a、および第3幅員Wa3の第3電極指3aと、バスバー16a,17aとを備えている。第1電極指1aと第2電極指2aとは、第1間隙ga1をおいて配置され、第2電極指2aと第3電極指3aとは、第2間隙ga2をおいて配置されている。そして、第1電極指1aと第3電極指3aとは、バスバー16aに連結され、第2電極指2aは、バスバー17aに連結されている。第1電極指1aと第3電極指3aとを同相とし、第1電極指1aおよび第3電極指3aと、第2電極指2aとは逆相として駆動するものとする。
第1電極指1aと、第1間隙ga1と、第2電極指2aと、第2間隙ga2と、第3電極指3aと、第1電極指1aおよび第3電極指3aの両側の(ga3)/2のスペースとから成る単位区間、すなわち一波長λ1あたり3本の電極指(第1電極指1a、第2電極指2a、および第3電極指3a)で構成される単位区間を圧電基板11上に繰り返し配列したものである。さらに、第1幅員Wa1と第3幅員Wa3とを同値(Wa1=Wa3)とし、間隙ga1と第2間隙ga2とを同値(ga1=ga2)とする。第1電極指1a、第2電極指2a、ならびに第3電極指3aの数量および長さは、適宜決定される。
【0047】
第1電極指1aと第3電極指3aとは、バスバー16aを経由して共通化された入力端5へ接続され、端部T5から入力側端子部INに接続されている。第2電極指2aは、バスバー17aを経由して出力端8へ接続され、端部T3から出力側端子部OUT1に接続されている。そして、低周波側共振周波数が出力される。
【0048】
したがって、本実施形態によれば、高周波側のSAW素子6、および低周波側のSAW素子7aを反射反転型電極で構成した場合、高次モードのスプリアスは全てのSAW素子6,7aのそれぞれの共振周波数よりも高周波側にのみ現れるため、低周波側のSAW素子7aの低周波側共振周波数に異常発振を発生させることを抑制することができる。このため、低周波側共振周波数および高周波側共振周波数の異常発振を抑制し精度良く発振させるSAW共振子10を提供することができる。
【0049】
以下に、第2実施形態のSAW共振子10について、SAW素子6、およびSAW素子7aの周波数特性を観察した。
【0050】
図12は、第2実施形態のSAW共振子10の周波数特性を計測した結果を示す図であり、(a)はインピーダンス特性を、(b)は挿入損失特性を示している。以下、図12と図9とを比較した。
【0051】
図12に示すように、第2実施形態の高周波側のSAW素子6および低周波側のSAW素子7aを反射反転型IDT電極で構成したSAW共振子10は、太い実線で示した低周波側のSAW素子7aの低周波側共振周波数、および細い実線で示した高周波側のSAW素子6の高周波側共振周波数には、それぞれ異常発振が発生していなく、それぞれSAW素子6およびSAW素子7aの高次縦モードスプリアスは高周波領域に発生している。
一方で、第2実施形態とは異なり、高周波側のSAW素子6、および低周波側のSAW素子7を、上述した正規型IDT電極で構成したSAW共振子10では、図9に示すように、細い実線で示した高周波側のSAW素子6において、一点鎖線で示した低周波領域(低周波側SAW素子の共振周波数付近)に高次縦モードのスプリアスが発生している。
【0052】
このように、発振状態を観察し比較したように、上述と同様の効果を奏することが確認できる。
【0053】
なお、上記課題の少なくとも一部を解決できる範囲での変形、改良などは前述の実施形態に含まれるものである。
【0054】
たとえば、第1実施形態の第1電極指1と第3電極指3とは、バスバー26を経由して出力端4へ接続され、出力側端子部OUT2に接続され、第2電極指2は、バスバー27を経由して共通化された入力端5へ接続され、入力側端子部INに接続されているとしたが、これに限るものではない。たとえば、第2電極指2は、バスバー26を経由して共通化された入力端5へ接続され、入力側端子部INに接続され、第1電極指1と第3電極指3とは、出力端4へ接続され、出力側端子部OUT2に接続されているとしてもよい。
また、第2実施形態の第1電極指1aと第3電極指3aとは、バスバー16aを経由して共通化された入力端5へ接続され、入力側端子部INに接続され、第2電極指2aは、バスバー17aを経由して出力端8へ接続され、出力側端子部OUT1に接続されているとしたが、これに限るものではない。たとえば、第2電極指2aは、バスバー16aを経由して共通化された入力端5へ接続され、入力側端子部INに接続され、第1電極指1aと第3電極指3aとは、バスバー17aを経由して出力端8へ接続され、出力側端子部OUT1に接続されているとしてもよい。
【0055】
そして、圧電基板上に異なる共振周波数のSAW素子を2個備え、SAW素子の入力端が共通端子により接続されて共通化されたSAW共振子を例に挙げて説明したがこれに限るものではなく、圧電基板上に異なる共振周波数のSAW素子を3個以上備え、SAW素子の入力端または出力端の少なくとも一方が共通端子により接続されて共通化されたSAW共振子であってもよい。
【0056】
また、SAW素子の入力端が共通端子により接続されて共通化されたことを例に挙げて説明したがこれに限るものではなく、SAW素子の出力端が共通端子により接続されることで共通化されてもよい。
【0057】
さらに、SAWデバイスとしてSAW共振子を例に挙げて説明したがこれに限るものではなく、発振回路を備えたSAW発振器、またはモジュール化されたSAWモジュールであってもよい。
【0058】
そして、圧電基板の材料としては、水晶だけに限らず、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電体、または、シリコンなどの半導体であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…第1電極指、2…第2電極指、3…第3電極指、4,8…出力端、5…入力端、6…SAW素子、7…SAW素子、10…SAW共振子、11…圧電基板、12…IDT電極(正規型IDT電極)、22…IDT電極(反射反転型電極)、g1…第1間隙、g2…第2間隙、OUT1,2…出力側端子部、IN…入力側端子部、W1,Wa1…第1幅員…、W2,Wa2…第2幅員、W3,Wa3…第3幅員、λ,λ1…波長(間隔)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、SAW共振子などのSAWデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から圧電基板上に単一の共振周波数のSAW(Surface Acoustic Wave)素子を備えたシングルチャンネルSAW共振子などのSAWデバイスが、無線データ伝送手段として一般的に用いられている。そして、伝送されるデータ量の増加に伴い、異なる共振周波数のSAW素子を複数、たとえば2個必要とされている。そこで、2個の異なる共振周波数のSAW素子と、それぞれ個別の共振回路とを備えたマルチチャンネルSAW共振子を構成すると、このSAW共振子が大型化してしまう。このため、これらのSAW素子の入力端または出力端の少なくとも一方が共通端子により接続されて共通化されたマルチチャンネルSAW共振子が検討されている。
一方で、特定の範囲(通過帯域)内の周波数を通し、特定の範囲(通過帯域)外の周波数を通さないまたは減衰させるSAWフィルターにおいては、圧電基板上に中心周波数が互いに異なるSAW素子を複数備えたマルチバンドSAWフィルターが開示されており、SAW素子を構成する反射器の隣り合う電極指のピッチまたはライン比を調整することによりスプリアスの抑制を図っている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−289234号公報(3頁〜9頁、図1〜図24)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、圧電基板上に異なる共振周波数のSAW素子を2個備え、SAW素子の入力端または出力端の少なくとも一方が共通端子により接続されて共通化されたことにより、寄生容量および寄生インダクタンスが大きく異なるため、周波数特性が歪み、スプリアス周波数などの異常発振が起こってしまうという課題がある。この課題は、SAWフィルターでは周波数特性が多少歪んでも、フィルターとしての機能が損なわれるほどの問題ではないが、特定の共振周波数で発振させるクロック源としてのSAW共振子などのSAWデバイスでは大きな問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものである。以下の形態または適用例により実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかるSAWデバイスは、圧電基板と、前記圧電基板上に形成された複数のSAW素子とを有し、複数の前記SAW素子は、それぞれ異なる共振周波数を発振し、複数の前記SAW素子の入力端または出力端の少なくとも一方が共通化されたSAWデバイスであって、複数の前記SAW素子のうち、少なくとも高周波側の前記SAW素子は、第1幅員の第1電極指と、前記第1電極指から第1間隙をおいて配置された第2幅員の第2電極指と、前記第2電極指から第2間隙をおいて配置された第3幅員の第3電極指と、前記第1電極指と前記第3電極指との隣にそれぞれ配置された第3間隙の半分のスペースとを備えた単位区間を複数区間繰返して構成され、前記第1電極指と前記第3電極指とを同相とし、前記第2電極指と前記第1電極指および前記第3電極指とを逆相とし、前記第1幅員と前記第3幅員とを同値とし、前記第1間隙と前記第2間隙とを同値とすることを要旨とする。
【0007】
これによれば、高周波側のSAW素子において、前記電極構成を採ることによって高次モードのスプリアスは高周波側のSAW素子の共振周波数よりも高周波側にのみ現れるため、前記高次モードスプリアスによる低周波側共振周波数への影響をほぼなくすことができる。そのため、低周波側のSAW素子の低周波側共振周波数に異常発振を発生させることを抑制することができ、低周波側共振周波数および高周波側共振周波数の異常発振を抑制し精度良く発振させるSAWデバイスを提供することができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかるSAWデバイスにおいて、複数の前記SAW素子の全ては、第1幅員の第1電極指と、前記第1電極指から第1間隙をおいて配置された第2幅員の第2電極指と、前記第2電極指から第2間隙をおいて配置された第3幅員の第3電極指と、前記第1電極指と前記第3電極指との隣にそれぞれ配置された第3間隙の半分のスペースとを備えた単位区間を複数区間繰返して構成され、前記第1電極指と前記第3電極指とを同相とし、前記第2電極指と前記第1電極指および前記第3電極指とを逆相とし、前記第1幅員と前記第3幅員とを同値とし、前記第1間隙と前記第2間隙とを同値として構成したことが好ましい。
これによれば、低周波数及び高周波数両方のSAW素子において高次モードのスプリアスはそれぞれの共振周波数よりも高周波側に現れるため、上述と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態にかかるSAW共振子を示す概略構成図。
【図2】第1実施形態にかかるSAW共振子のIDT電極(反射反転型IDT電極)の概略構成図。
【図3】第1実施形態にかかるSAW共振子のIDT電極(反射反転型IDT電極)の反射ベクトルを示す図。
【図4】第1実施形態にかかるSAW共振子のIDT電極(反射反転型IDT電極)の定在波の分布を示す図。
【図5】第1実施形態にかかるSAW共振子の正規型IDT電極の概略構成図。
【図6】第1実施形態にかかるSAW共振子の正規型IDT電極の反射ベクトルを示す図。
【図7】第1実施形態にかかるSAW共振子の正規型IDT電極の定在波の分布を示す図。
【図8】第1実施形態にかかるSAW共振子の発振状態を計測した結果を示す図。
【図9】正規型IDT電極で構成した場合のSAW共振子の発振状態を計測した結果を示す図。
【図10】第2実施形態にかかるSAW共振子の構成例を示す概略構成図。
【図11】第2実施形態にかかる低周波側のSAW素子の構成例を示す概略構成図。
【図12】第2実施形態にかかるSAW共振子の発振状態を計測した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施形態では、SAWデバイスとしてSAW共振子を例に挙げて説明する。
【0011】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について、図1を参照して説明する。
図1は、第1実施形態のSAW共振子を示す概略構成図である。
【0012】
図1に示すようにSAW共振子10は、圧電基板11と2個のSAW素子6,7と、出力側端子部OUT1,2と、入力側端子部INとを備えている。
【0013】
圧電基板11は、圧電効果を有する水晶からなる。SAW素子6,7は、たとえばアルミニウム(Al)などの導電性金属材料で形成されている。SAW素子6,7は、同一膜厚tで形成されている。ここで、同一膜厚tは設計値を示し、蒸着またはスパッタリングなどの製造方法によって形成される際の製造誤差が含まれる。そして、入力側端子部INおよび出力側端子部OUT1,2は、たとえばアルミニウム(Al)などの導電性金属材料で形成されている。
【0014】
SAW素子7は、出力端8と入力端5とを備えている。SAW素子6は、出力端4と入力端5とを備えている。このようにして、SAW素子6,7の入力端5は、共通化されている。
【0015】
SAW素子7は、入力端5へ接続され、共通化された入力端5の端部T5から、入力側端子部INに電気的に接続されている。SAW素子7は、出力端8へ接続され、出力端8の端部T3から、出力側端子部OUT1に電気的に接続されている。
SAW素子6は、入力端5へ接続され、共通化された入力端5の端部T5から、入力側端子部INに電気的に接続されている。SAW素子6は、出力端4へ接続され、出力端4の端部T4から、出力側端子部OUT2に電気的に接続されている。
【0016】
高周波側のSAW素子6は、反射器23とIDT電極22とを備えている。そして、低周波側のSAW素子7は、反射器13とIDT電極12とを備えている。
【0017】
このようにして構成されたSAW素子6,7は、それぞれ異なる共振周波数を発振する。このため、以下では、SAW素子6が高周波側共振周波数を発振するとし、SAW素子7が低周波側共振周波数を発振するとして説明する。
【0018】
まず、高周波側のSAW素子6のIDT電極22について、図2から図4および図1を参照して説明する。図2は、SAW素子6のIDT電極22の概略構成図である。図3は、SAW素子6のIDT電極22の反射ベクトルΓ1を示す図である。図4は、SAW素子6のIDT電極22のストップバンドの両端(下端および上端)におけるそれぞれの定在波の分布を示す図である。
【0019】
図2(a)に示すように、IDT電極22は、第1幅員W1の第1電極指1、第2幅員W2の第2電極指2、および第3幅員W3の第3電極指3と、バスバー26,27とを備えている。第1電極指1と第2電極指2とは、第1間隙g1をおいて配置され、第2電極指2と第3電極指3とは、第2間隙g2をおいて配置されている。
【0020】
IDT電極22は、第1電極指1と、第1間隙g1と、第2電極指2と、第2間隙g2と、第3電極指3と、第1電極指1および第3電極指3の両側の(g3)/2のスペースとから成る単位区間、すなわち一波長λあたり3本の電極指(第1電極指1、第2電極指2、および第3電極指3)で構成される単位区間を圧電基板11上に繰り返し配列したものである。図2(a)に示す構成のIDT電極22を、反射反転型IDT電極22とも記して説明する。ここで、第1幅員W1と第3幅員W3とを同値(W1=W3)とし、第1間隙g1と第2間隙g2とを同値(g1=g2)とする。第1電極指1、第2電極指2、ならびに第3電極指3の数量および長さは、適宜決定される。
【0021】
そして、第1電極指1と第3電極指3とは、バスバー26に連結され、第2電極指2は、バスバー27に連結されている。第1電極指1と第3電極指3とを同相とし、第1電極指1および第3電極指3と、第2電極指2とは逆相として駆動するものとする。
【0022】
図1に示すように、反射器23は、IDT電極22で励振される弾性表面波が伝播する方向に、IDT電極22を両側から挟むように配置されている。そして、反射器23は、反射器バスバー29と、電極指1,2,3(図2参照)に対向して形成された複数の反射指28とが連結された構造となっている。
【0023】
そして、第1電極指1と第3電極指3とは、バスバー26を経由して出力端4へ接続され、端部T4から出力側端子部OUT2に接続されている。第2電極指2は、バスバー27を経由して共通化された入力端5へ接続され、端部T5から入力側端子部INに接続されている。そして、高周波側共振周波数が出力される。
【0024】
図2(b)は、図2(a)のA−A断面図であり、IDT電極22に高周波電圧を印加してIDT電極22を駆動した場合のある瞬間の表面電位を示したものである。このように、一波長λあたり電極指を3本(第1電極指1、第2電極指2、および第3電極指3)としたIDT電極22の単位区間あたりの反射係数(反射ベクトル)Γ1を求める。
【0025】
図3を参照し、第2電極指2の中央を反射の基準として、IDT電極22の反射ベクトルГ1について説明する。
図3(a)に示すようにIDT電極22の任意の1区間、つまり第1電極指1〜第3電極指3において各両端の6つのエッジ面e1〜e6からの反射ベクトルE1〜E6を求めてみると、図3(b)に示すように6つの反射ベクトルE1〜E6が求まる。この反射ベクトルE1〜E6の合成ベクトルは、図3(b)に示すように反射ベクトルГ1となる。
【0026】
反射ベクトルГ1は、第2電極指2中央においてπ/2の位相を示している。この位相差による反射中心(□印)の空間的位置は、表面波の位相回転は往復が寄与するため、第2電極指2の中央から空間的にλ/4だけ離れた位置になる。つまり、第1実施形態に係るIDT電極22では、ストップバンドの上端および下端の周波数におけるそれぞれの定在波分布は図4に示すようになる。
図4において、ストップバンド下端の周波数における定在波を実線で示し、ストップバンドの上端の周波数における定在波を一点鎖線で示している。そして、反射中心を□印で示し、励振中心を○印で示している。
一方、波長λの表面波を励起する駆動力(IDT電極に印加した電圧により機械的な変位を起こす力)は、周知のように図2(b)に示した表面電位分布をフーリエ級数展開したときの最低次成分となる。これを計算して求めた駆動力分布は、図4に破線で示した波長λの正弦波となる。図4に示すように、励振中心(○印)は第2電極指2の中心に位置し、反射中心(□印)は第2電極指2の中央からλ/4離れた位置になる。
【0027】
このように、一点鎖線で示すストップバンド上端の周波数における定在波の腹が、励振中心と一致するため、ストップバンド上端の周波数が強勢に励振される。一方、実線で示すストップバンド下端の周波数における定在波の節が励振中心と一致し、無限周期構造では励振されないことを示している。
【0028】
しかし、実際の有限周期構造では、実線で示すストップバンド下端の定在波は、一点鎖線で示すストップバンド上端の定在波に比べて弱く励振される。このため、第1実施形態にかかるIDT電極22(反射反転型電極)の構成を用いると、ストップバンド上端の定在波は強く励振されることになる。
【0029】
このストップバンド上端の周波数の縦の高次モードは、シミュレーションの結果によると次数が高いほど高い周波数に現れることが判明した。
【0030】
次に、低周波側のSAW素子7のIDT電極12について、図1および図5から図7を参照して説明する。図5は、SAW素子7のIDT電極12の概略構成図である。図6は、SAW素子7のIDT電極12の反射ベクトルΓ2を示す図である。図7は、SAW素子7のIDT電極12のストップバンドの両端(下端および上端)におけるそれぞれの定在波の分布を示す図である。
【0031】
図5(a)に示すように、IDT電極12は、複数の電極指14,15とバスバー16,17とを備えている。電極指14と電極指15とが交互に配置されるとともに、接触しないように形成されている。複数の電極指14は、バスバー16に連結されている。複数の電極指15は、バスバー17に連結されている。
電極指14と、電極指15を隔てた隣の電極指14とは、間隔(波長)λ1で配置されている。同様に、電極指15と、電極指14を隔てた隣の電極指15とは、間隔(波長)λ1で配置されている。ここで、電極指14,15の数量、長さ、および幅員は、適宜決定される。図5に示す構成のIDT電極12を、正規型IDT電極12とも記して説明する。
【0032】
波長λ1は、このIDT電極12の連続する任意の電極指14の中央から隣の電極指14の中央までに相当し、このIDT電極12の連続する任意の電極指15の中央から隣の電極指15の中央までに相当する。ここで、低周波側のSAW素子7の間隔(波長)λ1は、高周波側のSAW素子6の間隔(波長)λに比べて、長い。そして、電極指14と電極指15とは逆相にて駆動するものとする。
【0033】
図1に示すように、反射器13は、IDT電極12で励振される弾性表面波が伝播する方向に、IDT電極12を両側から挟むように配置されている。そして、反射器13は、反射器バスバー19と、電極指14,15(図5参照)に対向して形成された複数の反射指18とが連結された構造となっている。
【0034】
そして、電極指14は、バスバー16を経由して共通化された入力端5へ接続され、端部T5から入力側端子部INに接続されている。そして、電極指15は、バスバー17を経由して出力端8へ接続され、端部T3から出力側端子部OUT1に接続されている。そして、低周波側共振周波数が出力される。
【0035】
図5(b)は、図5(a)のB−B断面図であり、IDT電極12に高周波電圧を印加して、IDT電極12を駆動した場合のある瞬間の表面電位を破線にて示したものである。IDT電極12は幅の等しい電極指14,15が(λ1)/2の周期で配置されている。
図6を参照し、任意の電極指14,15の中央を反射の基準として、1対(1基本単位を電極指2本で構成)あたりの反射係数(反射ベクトル)Γ2について説明する。
【0036】
図6(a)に示すように、IDT電極12の任意の一波長λ1分の反射を考えるに当たって、各電極指14,15の圧電基板に垂直なエッジ面をr1〜r4とする。この4つのエッジ面r1〜r4からの反射ベクトルは、図6(b)に示すように、エッジ面r1,r3からの反射ベクトルR1,R3はそれぞれ等しく、大きさと位相角とが同じとなり、エッジ面r2,r4からの反射ベクトルR2,R4はそれぞれ等しくなる。したがって、図6(b)に示すように4つの反射ベクトルR1〜R4を合成した反射ベクトルが1基本単位(1対)あたりの反射ベクトルΓ2となり、電極指14,15の中央を基準としたとき(−π)/2の位相となっている。
ここで、図3(b)に示したIDT電極(反射反転型電極)22の反射ベクトルГ1と、図6(b)に示したIDT電極(正規型IDT電極)12の反射ベクトルГ2とは、異なることが確認できる。つまり、反射ベクトルГ1と反射ベクトルГ2との位相はπだけ異なる。
【0037】
図7は、IDT電極(正規型IDT電極)12のストップバンドの両端(下端および上端)におけるそれぞれの定在波の分布を示す図である。ストップバンドの下端における定在波を実線で示す。ストップバンド上端における定在波を一点鎖線で示す。そして、反射中心を□印で示し、励振中心を○印で示している。
ストップバンドの下端における定在波は電極指14,15中央位置、つまり反射中心(□印)位置で腹となり、ストップバンド上端における定在波は反射中心(□印)位置において節となる。なお、ストップバンド上端の定在波は、無限周期構造では励振されないが、実際のIDT構造のように有限構造となるとストップバンド下端における定在波よりも弱いものの励振されることになる。
一方、波長λ1の表面波を励起する駆動力(IDT電極に印加した電圧により機械的な変位を起こす力)は、周知のように図5(b)に示した表面電位分布をフーリエ級数展開したときの最低次成分となる。これを計算して求めた駆動力は、図7に破線で示した波長λ1の正弦波となる。このように破線で示された正弦波の極値の位置が励振中心(○印)である。
【0038】
図7に示すように、励振中心(○印)と反射中心(□印)が重なると、実線で示したストップバンド下端の定在波は破線で示した駆動力分布と同相となり、強勢に励振されることになる。
【0039】
ここで、図7と図4とを比較する。図4に示すように、図7に示された反射中心(□印)が、励振中心(○印)に対してλ/4だけずれたのに伴い、各定在波分布もそれぞれλ/4だけずれている。IDT電極(正規型IDT電極)12の構成を用いる場合と、IDT電極(反射反転型電極)22の構成を用いる場合とでは、結果として駆動分布に対する定在波のそれぞれの腹と節の位置関係が図7のそれとは入れ替わっていることが確認できる。このようにして、実線で示すストップバンド下端の定在波は、一点鎖線で示すストップバンド上端の定在波に比べて弱く励振される。このため、IDT電極22(反射反転型電極)の構成を用いると、ストップバンド上端の定在波は強く励振されることになることが確認できる。
【0040】
したがって、本実施形態によれば、高周波側のSAW素子6を反射反転型IDT電極で構成した場合、高次モードのスプリアスは高周波側SAW素子6の共振周波数よりも高周波側にのみ現れるため、低周波側のSAW素子7の低周波側共振周波数に異常発振を発生させることを抑制することができる。このため、低周波側共振周波数および高周波側共振周波数の異常発振を抑制し精度良く発振させるSAW共振子10を提供することができる。
【0041】
以下に、第1実施形態のSAW共振子10について、SAW素子6、およびSAW素子7の周波数特性を観察した。
【0042】
図8は、第1実施形態のSAW共振子10の周波数特性を計測した結果を示す図であり、(a)はインピーダンス特性を、(b)は挿入損失特性を示している。
図9は、高周波側のSAW素子6を、低周波側のSAW素子7と同様の構成、つまり上述した正規型IDT電極で構成したSAW共振子の周波数特性を計測した結果を示す図であり、(a)はインピーダンス特性を、(b)は挿入損失特性を示している。以下、図8と図9とを比較した。
【0043】
図8に示すように、第1実施形態の高周波側のSAW素子6を反射反転型電極で構成したSAW共振子10は、太い実線で示した低周波側のSAW素子7の低周波側共振周波数には異常発振が発生していない。そして、細い実線で示した高周波側のSAW素子6の高次縦モードスプリアスは高周波領域に発生している。
一方で、第1実施形態とは異なり、高周波側のSAW素子6を低周波側のSAW素子7と同様の構成、つまり上述した正規型IDT電極で構成したSAW共振子10では、図9に示すように、細い実線で示した高周波側のSAW素子6において、一点鎖線で示した低周波領域(低周波側SAW素子の共振周波数付近)に高次縦モードのスプリアスが発生している。
【0044】
このように、周波数特性を観察し比較したように、上述と同様の効果を奏することが確認できる。
【0045】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、図10、図11、および図1を参照して説明する。
第2実施形態のSAW共振子10は、図1に示した第1実施形態と同様の構成であるが、低周波側のSAW素子7の構成が相違する。このため、同様の構成については、同一の符号を付与し、構成の説明を省略する。図10は、第2実施形態にかかるSAW共振子10の構成例を示す概略構成図である。図11は、第2実施形態にかかる低周波側のSAW素子7aの構成例を示す概略構成図である。
【0046】
図10に示すように、低周波側のSAW素子7aは、IDT電極12aと反射器13とを備えている。
図11に示すように、IDT電極12aは、第1幅員Wa1の第1電極指1a、第2幅員Wa2の第2電極指2a、および第3幅員Wa3の第3電極指3aと、バスバー16a,17aとを備えている。第1電極指1aと第2電極指2aとは、第1間隙ga1をおいて配置され、第2電極指2aと第3電極指3aとは、第2間隙ga2をおいて配置されている。そして、第1電極指1aと第3電極指3aとは、バスバー16aに連結され、第2電極指2aは、バスバー17aに連結されている。第1電極指1aと第3電極指3aとを同相とし、第1電極指1aおよび第3電極指3aと、第2電極指2aとは逆相として駆動するものとする。
第1電極指1aと、第1間隙ga1と、第2電極指2aと、第2間隙ga2と、第3電極指3aと、第1電極指1aおよび第3電極指3aの両側の(ga3)/2のスペースとから成る単位区間、すなわち一波長λ1あたり3本の電極指(第1電極指1a、第2電極指2a、および第3電極指3a)で構成される単位区間を圧電基板11上に繰り返し配列したものである。さらに、第1幅員Wa1と第3幅員Wa3とを同値(Wa1=Wa3)とし、間隙ga1と第2間隙ga2とを同値(ga1=ga2)とする。第1電極指1a、第2電極指2a、ならびに第3電極指3aの数量および長さは、適宜決定される。
【0047】
第1電極指1aと第3電極指3aとは、バスバー16aを経由して共通化された入力端5へ接続され、端部T5から入力側端子部INに接続されている。第2電極指2aは、バスバー17aを経由して出力端8へ接続され、端部T3から出力側端子部OUT1に接続されている。そして、低周波側共振周波数が出力される。
【0048】
したがって、本実施形態によれば、高周波側のSAW素子6、および低周波側のSAW素子7aを反射反転型電極で構成した場合、高次モードのスプリアスは全てのSAW素子6,7aのそれぞれの共振周波数よりも高周波側にのみ現れるため、低周波側のSAW素子7aの低周波側共振周波数に異常発振を発生させることを抑制することができる。このため、低周波側共振周波数および高周波側共振周波数の異常発振を抑制し精度良く発振させるSAW共振子10を提供することができる。
【0049】
以下に、第2実施形態のSAW共振子10について、SAW素子6、およびSAW素子7aの周波数特性を観察した。
【0050】
図12は、第2実施形態のSAW共振子10の周波数特性を計測した結果を示す図であり、(a)はインピーダンス特性を、(b)は挿入損失特性を示している。以下、図12と図9とを比較した。
【0051】
図12に示すように、第2実施形態の高周波側のSAW素子6および低周波側のSAW素子7aを反射反転型IDT電極で構成したSAW共振子10は、太い実線で示した低周波側のSAW素子7aの低周波側共振周波数、および細い実線で示した高周波側のSAW素子6の高周波側共振周波数には、それぞれ異常発振が発生していなく、それぞれSAW素子6およびSAW素子7aの高次縦モードスプリアスは高周波領域に発生している。
一方で、第2実施形態とは異なり、高周波側のSAW素子6、および低周波側のSAW素子7を、上述した正規型IDT電極で構成したSAW共振子10では、図9に示すように、細い実線で示した高周波側のSAW素子6において、一点鎖線で示した低周波領域(低周波側SAW素子の共振周波数付近)に高次縦モードのスプリアスが発生している。
【0052】
このように、発振状態を観察し比較したように、上述と同様の効果を奏することが確認できる。
【0053】
なお、上記課題の少なくとも一部を解決できる範囲での変形、改良などは前述の実施形態に含まれるものである。
【0054】
たとえば、第1実施形態の第1電極指1と第3電極指3とは、バスバー26を経由して出力端4へ接続され、出力側端子部OUT2に接続され、第2電極指2は、バスバー27を経由して共通化された入力端5へ接続され、入力側端子部INに接続されているとしたが、これに限るものではない。たとえば、第2電極指2は、バスバー26を経由して共通化された入力端5へ接続され、入力側端子部INに接続され、第1電極指1と第3電極指3とは、出力端4へ接続され、出力側端子部OUT2に接続されているとしてもよい。
また、第2実施形態の第1電極指1aと第3電極指3aとは、バスバー16aを経由して共通化された入力端5へ接続され、入力側端子部INに接続され、第2電極指2aは、バスバー17aを経由して出力端8へ接続され、出力側端子部OUT1に接続されているとしたが、これに限るものではない。たとえば、第2電極指2aは、バスバー16aを経由して共通化された入力端5へ接続され、入力側端子部INに接続され、第1電極指1aと第3電極指3aとは、バスバー17aを経由して出力端8へ接続され、出力側端子部OUT1に接続されているとしてもよい。
【0055】
そして、圧電基板上に異なる共振周波数のSAW素子を2個備え、SAW素子の入力端が共通端子により接続されて共通化されたSAW共振子を例に挙げて説明したがこれに限るものではなく、圧電基板上に異なる共振周波数のSAW素子を3個以上備え、SAW素子の入力端または出力端の少なくとも一方が共通端子により接続されて共通化されたSAW共振子であってもよい。
【0056】
また、SAW素子の入力端が共通端子により接続されて共通化されたことを例に挙げて説明したがこれに限るものではなく、SAW素子の出力端が共通端子により接続されることで共通化されてもよい。
【0057】
さらに、SAWデバイスとしてSAW共振子を例に挙げて説明したがこれに限るものではなく、発振回路を備えたSAW発振器、またはモジュール化されたSAWモジュールであってもよい。
【0058】
そして、圧電基板の材料としては、水晶だけに限らず、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電体、または、シリコンなどの半導体であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…第1電極指、2…第2電極指、3…第3電極指、4,8…出力端、5…入力端、6…SAW素子、7…SAW素子、10…SAW共振子、11…圧電基板、12…IDT電極(正規型IDT電極)、22…IDT電極(反射反転型電極)、g1…第1間隙、g2…第2間隙、OUT1,2…出力側端子部、IN…入力側端子部、W1,Wa1…第1幅員…、W2,Wa2…第2幅員、W3,Wa3…第3幅員、λ,λ1…波長(間隔)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板と、
前記圧電基板上に形成された複数のSAW素子とを有し、
複数の前記SAW素子は、それぞれ異なる共振周波数を発振し、
複数の前記SAW素子の入力端または出力端の少なくとも一方が共通化されたSAWデバイスであって、
複数の前記SAW素子のうち、少なくとも高周波側の前記SAW素子は、
第1幅員の第1電極指と、
前記第1電極指から第1間隙をおいて配置された第2幅員の第2電極指と、
前記第2電極指から第2間隙をおいて配置された第3幅員の第3電極指と、
前記第1電極指と前記第3電極指との隣にそれぞれ配置された第3間隙の半分のスペースとを備えた単位区間を複数区間繰返して構成され、
前記第1電極指と前記第3電極指とを同相とし、前記第2電極指と前記第1電極指および前記第3電極指とを逆相とし、
前記第1幅員と前記第3幅員とを同値とし、前記第1間隙と前記第2間隙とを同値とすることを特徴とするSAWデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のSAWデバイスであって、
複数の前記SAW素子の全ては、
第1幅員の第1電極指と、
前記第1電極指から第1間隙をおいて配置された第2幅員の第2電極指と、
前記第2電極指から第2間隙をおいて配置された第3幅員の第3電極指と、
前記第1電極指と前記第3電極指との隣にそれぞれ配置された第3間隙の半分のスペースとを備えた単位区間を複数区間繰返して構成され、
前記第1電極指と前記第3電極指とを同相とし、前記第2電極指と前記第1電極指および前記第3電極指とを逆相とし、
前記第1幅員と前記第3幅員とを同値とし、前記第1間隙と前記第2間隙とを同値とすることを特徴とするSAWデバイス。
【請求項1】
圧電基板と、
前記圧電基板上に形成された複数のSAW素子とを有し、
複数の前記SAW素子は、それぞれ異なる共振周波数を発振し、
複数の前記SAW素子の入力端または出力端の少なくとも一方が共通化されたSAWデバイスであって、
複数の前記SAW素子のうち、少なくとも高周波側の前記SAW素子は、
第1幅員の第1電極指と、
前記第1電極指から第1間隙をおいて配置された第2幅員の第2電極指と、
前記第2電極指から第2間隙をおいて配置された第3幅員の第3電極指と、
前記第1電極指と前記第3電極指との隣にそれぞれ配置された第3間隙の半分のスペースとを備えた単位区間を複数区間繰返して構成され、
前記第1電極指と前記第3電極指とを同相とし、前記第2電極指と前記第1電極指および前記第3電極指とを逆相とし、
前記第1幅員と前記第3幅員とを同値とし、前記第1間隙と前記第2間隙とを同値とすることを特徴とするSAWデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のSAWデバイスであって、
複数の前記SAW素子の全ては、
第1幅員の第1電極指と、
前記第1電極指から第1間隙をおいて配置された第2幅員の第2電極指と、
前記第2電極指から第2間隙をおいて配置された第3幅員の第3電極指と、
前記第1電極指と前記第3電極指との隣にそれぞれ配置された第3間隙の半分のスペースとを備えた単位区間を複数区間繰返して構成され、
前記第1電極指と前記第3電極指とを同相とし、前記第2電極指と前記第1電極指および前記第3電極指とを逆相とし、
前記第1幅員と前記第3幅員とを同値とし、前記第1間隙と前記第2間隙とを同値とすることを特徴とするSAWデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−245663(P2010−245663A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89798(P2009−89798)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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