SC構造における空隙検査方法
【課題】
SC構造における鋼板とコンクリートの間に生じた空隙を、低コストで効率よく検査する方法を提供する。
【解決手段】
本発明のSC構造における空隙検査方法は、鋼板表面側から打音法などを用いて鋼板とコンクリート間に生じた空隙箇所を検出し、空隙箇所を間に挟まない第1発信点と第1受信点を鋼板表面に設定し、第1発信点から発せられた音響波を第1受信点にて観測し、観測波形における特徴点までの第1到達時間を求め、空隙箇所を間に挟んだ第2発信点と第2受信点を鋼板表面に設定し、第2発信点から発せられた音響波を第2受信点にて観測し、観測波形における特徴点までの第2到達時間を求め、第1到達時間と第2到達時間の差に基づいて空隙の深さを推定し、推定された空隙の深さが許容されるものか否かを判定することを特徴としている。
SC構造における鋼板とコンクリートの間に生じた空隙を、低コストで効率よく検査する方法を提供する。
【解決手段】
本発明のSC構造における空隙検査方法は、鋼板表面側から打音法などを用いて鋼板とコンクリート間に生じた空隙箇所を検出し、空隙箇所を間に挟まない第1発信点と第1受信点を鋼板表面に設定し、第1発信点から発せられた音響波を第1受信点にて観測し、観測波形における特徴点までの第1到達時間を求め、空隙箇所を間に挟んだ第2発信点と第2受信点を鋼板表面に設定し、第2発信点から発せられた音響波を第2受信点にて観測し、観測波形における特徴点までの第2到達時間を求め、第1到達時間と第2到達時間の差に基づいて空隙の深さを推定し、推定された空隙の深さが許容されるものか否かを判定することを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板で形成された外枠内部にコンクリートが充填されたSC構造に関するものであり、特に、鋼板とコンクリート間に生じた空隙の検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子力発電プラントのように放射線を遮蔽する必要がある建屋構造体として鋼板とコンクリートを組み合わせたSC構造が注目を集めている(特許文献1)。
【0003】
SC構造(鋼板コンクリート構造)は、従来の鉄筋コンクリート構造(RC構造)において鉄筋を鋼板に置き換えた構造であって、鋼板をコンクリート打設のための外枠と兼用することができるため、RC構造と比較した場合、鉄筋工事、並びに、外枠工事が不要となる。そのため、現場作業を大幅に省力化し、建設工程の短縮を図ることが可能である。また、RC構造と比較して強度が高いため、同じ強度のものを造る場合において鋼材料の量を抑え経済性を向上させることが可能である。さらには、コンクリート打設時における外枠を必要としないため建設中に発生する廃棄物の量を抑えることが可能となり、環境負荷を低減したものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−64636号公報
【特許文献2】特許第2740438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにSC構造は、従来のRC構造と比べ、各種のメリットを有する工法ではあるが、コンクリートの未充填などにより鋼板とコンクリートの間に大きな空隙が発生した場合には、設計上必要な構造性能が不足してしまう可能性がある。一方、コンクリートが密実に打設された場合であっても、コンクリートの乾燥収縮に伴って空隙が生じる場合がある。このような空隙は設計上許容される範囲であり、構造性能低下の問題が生じることはない。
【0006】
図1には、SC構造の各種状態における断面図が示されている。図1(a)は、鋼板とコンクリートの間に空隙が生じていない断面図である。図1(b)は、鋼板とコンクリートの間に軽微な空隙が生じている場合の断面図である。この図のような軽微な空隙の多くは、鋼板とコンクリートの間にコンクリートが隙間無く充填されていても、コンクリートの乾燥収縮を原因として生じる。構造物の設計は、このような乾燥収縮をある程度予想して行うため、構造性能上の問題となることはない。図1(c)は、鋼板とコンクリートの間に有害、すなわち構造性能上の問題となる可能性のある空隙が生じている場合の断面図である。こういった空隙の多くは、コンクリートが充填されなかったことを原因として生じる。
【0007】
SC構造では、コンクリートが固まった後、鋼板表面を叩いて反響音を確認すること(打音法)や、赤外線カメラを用いるなどといった非破壊検査法により、鋼板とコンクリートの間に空隙が生じているか否か、すなわち、図1(a)の状態と、図1(b)、(c)の状態とを判別することは可能である。しかしながら、このような非破壊検査法では、図1(b)のように軽微な空隙であるのか、図1(c)のように構造性能に影響を及ぼす有害な空隙であるか否か、言い換えると、空隙の深さがどの程度であるかまで判定すること
はできなかった。
【0008】
従来、このような空隙を検査するため、非破壊検査法で診断した空隙箇所の鋼板部分に小さな孔を空けてその深さを測定し、有害な空隙であるか否かを検査することが一般的であった。このような検査方法を使用した場合、鋼板に膨大な数の孔を空ける必要があり、孔を空けること自体が構造性能に影響を及ぼしてしまうため、現実的な検査方法とはいえるものではなかった。
【0009】
一方、コンクリート内部に生じた空隙の検査方法として、特許文献2には、高抵抗素子を用いたコンクリート充填確認方法が記載されている。このコンクリート充填確認方法では、型枠内の内側の所定位置に固定された高抵抗素子に流れる電流を、コンクリート充填時とコンクリート打設時で計測し、これらから求めた充填度に基づいて打設したコンクリートの空隙を検出している。
【0010】
この特許文献2に記載の空隙検査方法は、空気が絶縁体であり、コンクリートが電流を通す特性を利用したものである。しかしながら、この空隙検査方法は、高抵抗素子が配置された周辺における空隙の有無を確認することができる程度であって、SC構造における鋼板とコンクリートの間に生じた空隙が有害なものか否かを検査することはできない。また、SC構造では電流を通す鋼板が用いられているため、高抵抗素子が鋼板に接触した場合には誤検出を生じてしまう可能性がある。さらには、高抵抗素子をコンクリート内部に配置する必要があるため、費用が大きくなるとともに、作業の手間も増えることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、SC構造における鋼板とコンクリートの間に生じた空隙を、低コストで効率よく検査する方法を提供することを目的としている。そのため、本発明の空隙検査方法は、鋼板で形成された外枠内部にコンクリートが充填されたSC構造において、鋼板表面側から打音法などを用いて鋼板とコンクリート間に生じた空隙箇所を検出し、空隙箇所を間に挟まない第1発信点と第1受信点を鋼板表面に設定し、第1発信点から発せられた音響波を第1受信点にて観測し、観測波形における特徴点までの第1到達時間を求め、空隙箇所を間に挟んだ第2発信点と第2受信点を鋼板表面に設定し、第2発信点から発せられた音響波を第2受信点にて観測し、観測波形における特徴点までの第2到達時間を求め、第1到達時間と第2到達時間の差に基づいて空隙の深さを推定し、当該空隙が許容されるものか否かを判定することを特徴とするものである。
【0012】
さらに、本発明の空隙検査方法は、第1到達時間と第2到達時間の差に基づいて推定された空隙の深さが、設定された閾値より大きい場合、当該空隙は許容されないものであると判定することとしている。
【0013】
さらに、本発明の空隙検査方法は、空隙箇所を間に挟まない第1発信点と第1受信点において、第1発信点から発せられた音響波を第1受信点で観測することでコンクリート内部の伝搬速度を推測し、第1到達時間と第2到達時間の差に基づいて推定される空隙の深さは、推測されたコンクリート内部の伝搬速度を利用して推定されることとしている。
【0014】
さらに、本発明の空隙検査方法において、空隙の深さが許容されるものか否かの判定は、第1発信点と第1受信点の間の距離と、第2発信点から第2受信点の間の距離が等距離となるように第1到達時間、あるいは、第2到達時間を補正して行われることとしている。
【0015】
さらに、本発明の空隙検査方法において、第1到達時間と第2到達時間に基づいて推定された空隙の深さを提示することとしている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】SC構造の各種状態における断面図。
【図2】SC構造の各種状態における断面図、並びに、音響波伝搬の様子を示す図。
【図3】本発明の実施形態に係る空隙の深さの推定を説明するための図。
【図4】本発明の実施形態で用いる空隙検査装置を示す図。
【図5】本発明の実施形態で用いる空隙検査装置の一部を示すブロック図。
【図6】本発明の実施形態に係る空隙検査の様子を示す図。
【図7】本発明の実施形態に係る空隙検査の工程を示すフロー図。
【図8】SC構造内に形成された空隙の一例を示す図。
【図9】本発明の他の実施形態に係る空隙検査装置の一部を示す図。
【図10】本発明の他の実施形態に係る空隙検査装置の一部を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図2は、図1と同様、SC構造の各種状態における断面図であるとともに、音響波伝搬の様子を示す図であって、本発明の基本原理を説明するための図である。図2(a)に示すようにSC構造は、外枠として形成された鋼板内部にコンクリートを充填することで形成される。図2(a)は、鋼板とコンクリートの間に空隙がない場合が示されている。この図において鋼板表面に第1発信点、第1発信点から距離Lだけ離れた点に第1受信点を設定する。
【0018】
第1発信点は、音響波を発する場所であって、この場所から発信子などの音響素子を用いて超音波あるいは衝撃弾性波などの音響波が発せられる。音響素子を用いることに代え、ハンマーなどで打撃を加えることで音響波を発することとしてもよい。第1受信点は第1発信点から発せられた音響波を観測するために設けられた場所であって、振動を電気信号に変換する受信子を接触させることで音響波の観測が行われる。
【0019】
第1発信点から発せられた音響波は、図に示すように鋼板を伝搬する成分Ssと、コンクリートを伝搬する成分Scに分けられる。鋼板を伝搬する成分Ssは、到達時間をts、鋼板内部の伝搬速度をVsとすると、ts=L/Vsで得られるため簡単に識別することができ、空隙推定には関係ないため除外することができる。また、コンクリートを伝搬する成分Scは、実際には、鋼板の厚み分だけ鋼板を伝搬したものであるが、鋼板の厚さを通過する伝搬時間がきわめて短いため、この鋼板を伝搬する分は無視できる。そのため、コンクリート内部の伝搬速度Vcは、第1発信点から第1受信点までの音響波の到達時間をtcとした場合、近似的にVc≒L/tcにて推定することができる。
【0020】
図2(b)は、鋼板とコンクリートの間に軽微な空隙を有する場合を示した図である。このような軽微な空隙は、コンクリートの乾燥収縮によって発生することが多く、予想した設計が行われるため問題となる可能性は低い。空隙の位置は、鋼板表面を叩きその反響音を確認することで空隙の位置を確認できる打音法などで事前に確認される。第2発信点と第2受信点は、鋼板表面上、空隙を挟んで対向する位置であって、鋼板とコンクリートが接触している位置に配される。ここでは説明を簡単にするため第2発信点と第2受信点間の距離を図2(a)と同じLとしている。第2発信点、第2受信点ともに、できるだけ空隙に近い位置に配することが好ましい。できるだけ空隙に近く配することでより正確に空隙を検査することが可能となる。
【0021】
第2発信点、第2受信点は、それぞれ図2(a)で説明した第1発信点、第1受信点と同様、音響波の発信、受信を行う場所であり、第2発信点から発せられた音響波は、第2受信点に配置される受信子にて観測される。鋼板とコンクリートの間に空隙を有する場合、図2(a)の空隙なしの場合と比較して、コンクリート内部を伝搬する成分Scは空隙
の分だけ迂回する必要がある。そのため伝搬時間は空隙なしの場合よりも大きくなる。
【0022】
図2(c)には、図2(b)よりも空隙が大きい場合であって、構造性能上有害となる場合が示されている。この図においても説明を簡単にするため第2発信点と第2受信点間の距離を図2(a)と同じLとしている。図2(b)と比較すると分かるようにコンクリート内部を伝搬する成分Scは、空隙が大きい分、迂回しなくてはならず図2(b)よりもさらに伝搬時間を必要とする。
【0023】
本発明は、コンクリート内部を伝搬する成分Scの伝搬時間の違いに基づいて鋼板とコンクリートの間に生じた空隙の大きさを検査するものである。具体的には図2(a)のように空隙のない箇所で計測された成分Scの伝搬時間と、図2(b)、図2(c)のように空隙を挟んで計測された成分Scの伝搬時間の差に基づいて、空隙の深さを推定し、当該空隙が許容される程度のものか否かが判定される。このように本発明によれば、SC構造において鋼板表面から鋼板とコンクリートの間に生じた空隙を非破壊で判定することが可能となるため、鋼板に孔を空けるなど構造性能に影響を及ぼす検査を行う必要がない。また、コンクリートを充填する前などで事前の準備を必要とすることもないため、作業効率、コスト的にも優れたものとなっている。
【0024】
図3は、本発明の実施形態における空隙の深さの推定について説明するための図であって、図2(c)と同様のSC構造の断面図となっている。第2発信点と第2受信点は距離Lだけ離れて配されている。図に示すように空隙の形状は予想することが困難であるが、本実施形態では、空隙の形状を破線で示すような矩形形状と仮定して空隙の深さを推定する。第2発信点から第2受信点までの音響波(せん断波)の伝搬時間をt2とする。一方、コンクリート内部において距離Lだけ伝搬する時間は、図2(a)で説明した空隙なしにおける第1発信点から第1受信点までの伝搬時間t1に略等しい。したがって、空隙の形状を矩形と過程した場合には、図2(a)による測定でt1を測定し、Δt=t2−t1を求めることで空隙の深さDは次式(1)にて表すことができる。
【0025】
2×D≒Vc×Δt …(1)
なお、本式の算出において鋼板の厚さによる遅延も十分小さいものとみなして省略している。Vcはコンクリート内部における音響波(せん断波)の伝搬速度であり、予め用意された値を用いることとしてもよいし、図2(a)で説明したように実際のSC構造で測定した波形から推定することとしてもよい。このように実際のSC構造において伝搬速度Vcを推測した場合には、環境条件を揃えることで深さDの推定をより正確なものとすることが可能となる。
【0026】
本実施形態では、このような推定方法により推定された空隙の深さDを閾値と比較し、閾値よりも大きい場合、有害な空隙、すなわち、許容されない空隙として判定される。閾値は建造物の構造など各種条件に従って適宜に設定される。
【0027】
以上、本発明では鋼板表面から打音法などによって特定された空隙について、許容される大きさ(深さ)か否かを非破壊で判定することができる。また、同条件のSC鋼板を利用し、空隙なしの箇所で測定された伝搬時間を利用することで、条件を揃えて正確に深さを推定することが可能となっている。さらには、空隙なしの箇所で推測された伝搬速度を利用することで、さらに正確に空隙の深さを推定することが可能となる。
【0028】
では、このような空隙検査方法を実現するための構成について説明を行う。図4は本発明に係る実施形態で用いる空隙検査装置を示す図である。この実施形態では空隙検査装置は、汎用のパソコン30、AD・DA変換器31、発信子10、受信子20にて構成されている。発信子10、受信子20は対象となるSC構造の鋼板表面に配される。音響波の
伝達効率を向上させるため鋼板と発信子10、受信子20の間にゼリーなどを介在させてもよい。音響波として超音波を利用した場合に特に有効である。
【0029】
パソコン30から出力された音響波信号は、AD・DA変換器31のDA変換部を介し発信子10に供給され、音響波として発信子10から出力される。一方、受信子20を介して受信された音響波は、AD・DA変換器31のAD変換部を介してパソコン30へと送信される。パソコン30では受信された波形を記憶するとともに当該波形を表示させてコンクリート内部を伝搬する成分Scの伝搬時間t2とt1の差Δtが求められる。Δtはパソコンに表示された波形から操作者の目視で求めてもよいし、パソコンに搭載されたプログラムで受信波形の特徴点を抽出して自動で行われることとしてもよい。さらには、空隙の深さDの推定、そして、閾値との比較についてもプログラムによって自動化されることとしてもよい。
【0030】
図5は、図4におけるパソコン30をさらに詳細に説明したものであって、空隙検査装置の一部についてのブロック図を示したものとなっている。パソコン30は、制御部32、入力部33、外部インターフェイス部34、記憶部35、音声出力部36、表示部37などにて構成される。また、各構成は内部バスを介して接続されている。
【0031】
制御部32は、CPU、RAMなどを含んで構成され、パソコンを統括して制御を行う手段である。入力部33は、キーボードなど操作者の各種命令を受け取る手段であって、本発明の実施形態では、空隙なしの測定か空隙ありの測定かの指定や、空隙の深さの閾値などを指定すること行われる。外部インターフェイス部34は、AD・DA変換器31と各種信号のやり取りを行う手段であって、USBやシリアルポートなどが使用される。記憶部35は、受信子20から外部インターフェイス部34を介して取り込まれた波形や、空隙の深さを推定するために必要とされる各種パラメータなどを記憶するための手段であって、ハードディスク装置、あるいは、メモリ装置などがこれに用いられる。空隙深さの推定、判定のためのプログラムもこの記憶部35に記憶させてもよい。
【0032】
表示部37は、操作者に各種情報を表示するための手段であって、液晶表示装置などが用いられる。この表示部37には、一般的なオシロスコープのように観測された複数の波形を表示させ、カーソルを用いるなどして2点間の時間差を計測するようにしてもよい。このような構成によれば(1)式で必要とされるΔtを手動にて容易に求めることが可能となる。音声出力部36は、ビープ音や音声など各種サウンドを出力することが可能な手段であって、空隙の判定結果を各種サウンドで操作者に対して提示することに利用されるものとしてもよい。
【0033】
図6は、本発明の実施形態に係る空隙の深さの推定を説明するための図である。図6(a)は、空隙なしの場合を示した図であり、SC構造の断面図と、その右側に受信子20で受信した観測波形が模式的に示されている。図6(b)は、空隙ありの場合を示した図であって、SC構造の断面図と、その右側に受信子20で受信した観測波形が模式的に示されている。
【0034】
ここでは説明を簡単にするため、図6(a)の空隙なし、図6(b)の空隙あり共に発信子10、受信子20間の距離Lを等しくしている。空隙の計測をより正確にするためには、できるだけ空隙に近い位置に発信子10、受信子20を配置することが好ましく、発信子10と受信子20間の距離は空隙の大きさに応じて変化させることが好ましい。発信子10と受信子20間の距離を変化させた場合には、空隙なし、あるいは、空隙ありのどちらかに距離を合致させるように伝搬時間を換算(補正)すればよい。
【0035】
図6(a)の右側には空隙なしにおける観測波形が模式的に示されている。本実施形態
では、発信子10から発せられた音響波として単発の正弦波を模式的に示しているが、このような形態に限らず、発信子10から発信する音響波としては連続波を用いることとしてもよい。式(1)で必要とされる伝搬時間の差Δtの計測には、発信子10から音響波を発してから、観測波形の特徴点までの到達時間を用いることとしている。空隙ありの場合についても観測波形において同種の特徴点を利用し、各到達時間の差を取ることで、実際の伝搬時間の差に近似した値を得ることが可能となる。本実施形態では特徴点として観測波形の立ち上がり点、たとえば、測定開始から初めて所定値以上になった点を利用しているが、最大値、最小値、ゼロクロス点など波形の特徴を顕著に示す点であれば適宜に採用することができる。
【0036】
図6の観測波形の模式図では、空隙なしにおける立ち上がり点1までの到達時間T1と、空隙ありにおける立ち上がり点2までの到達時間T2の差によって、式(1)で必要とされるΔtを計測することができる。また、図6(a)の空隙なしの場合において、コンクリート内部の伝搬速度を推定し、空隙の深さの推定に用いることとしてもよい。図6(a)のように観測波形の立ち上がり点を特徴点とした場合には、Vc≒L/T1として、コンクリート内部の伝搬速度を推定することが可能である。この場合、鋼板の厚さ方向による遅延は十分小さいものとして無視している。
【0037】
このようにして求められたΔtを、式(1)に適用し、空隙の深さDを推定することが可能となる。そして、推定された空隙の深さが閾値を超えるか否かを判定することで、当該空隙が許容されるか否かを判定することが可能となる。
【0038】
図7は、本発明の実施形態に係る空隙検査の工程を示すフロー図である。まず、S102では、打音法などを使用して空隙箇所の検出が行われる。検出された空隙は鋼板表面からその存在箇所が分かるようにその輪郭をチョークなどで印しておくことが好ましい。なお、この空隙箇所の検出は、コンクリートや鋼板の厚さ、材質などSC構造の条件が略等しい範囲で行うとよい。S103では、S102にて空隙が存在していたか否かが判定される。判定すべき対象となる空隙が存在しない場合には、S111に移行してS102で検査した範囲における空隙検査を終了する。
【0039】
S103にて空隙があると判定された場合には、S104に移行して、まず空隙のない箇所における計測、すなわち、図6(a)で説明した形態にて音響波の観測が実行され、観測波形の特徴点までの到達時間T1が求められる。このように、同一条件下のSC構造では、空隙のない箇所における計測を一度だけ行うこととして作業の効率化を図ることが可能となっている。
【0040】
本実施形態ではS105において、空隙のない箇所を利用しコンクリート内部における伝搬速度Vcの推測が実行される。コンクリート内部の伝搬速度Vcを実際のSC構造を利用して推測することで、空隙深さの推定精度を高めることが可能となる。なお、この伝搬速度Vcは、このような推測に代え、予め設定された値を利用するものであってもよい。
【0041】
S106では、空隙の深さの閾値が設定される。この閾値の設定は判定をプログラムにより自動で行う場合に必要とされるものであり、測定範囲のSC構造に必要とされる空隙深さが、パソコン30の入力部33を介して入力される。
【0042】
S107〜S109は、ある1つの空隙に対する深さの推定、空隙の判定に関する一連の工程であって、空隙が複数存在する場合にはこれら工程が各空隙に対して実行される。S107では、空隙のある箇所における計測、すなわち、図6(b)で説明した形態にて音響波の観測が実行され、観測波形の特徴点までの到達時間T2が求められる。S108
では、到達時間T2とS104で取得した到達時間T1の差ΔTを式(1)に適用して空隙の深さDが推定される。推定された深さDは、S109にて設定された閾値と比較され、閾値よりも大きい場合には当該空隙が許容されないものと判定される。空隙の深さの推定、判定をプログラムにより自動化して行った場合には、判定の結果が表示部37、あるいは、音声出力部36から操作者に対して提示される。その際、推定した空隙の深さDも提示することとしてもよい。
【0043】
これら空隙の判定に関する一連の工程は、1つの空隙に対して複数回行うことが好ましい。図8は、SC構造内に形成された空隙の一例を示す図であって、(a)は鋼板正面からみた空隙の様子を示す図であり、破線にて空隙の輪郭が示されている。(b)には(a)のA−A’間の断面図が示され、(c)には(a)のB−B’間の断面図が示されている。この図に示されるように空隙は必ずしも一様な深さで形成されるものとは限らず、(b)に示されるように許容範囲の深さの断面と、(c)に示されるように許容されない深さの部分を有する場合がある。このような空隙は、コンクリートの乾燥収縮とコンクリートの未充填が同じ箇所で発生したときに発生することが多い。このような複合的な発生原因による空隙において、許容されない深さを有するか否かを確実に判定するためには、1つの空隙に対して、複数の方向からS107〜S109の一連の工程を繰り返して行うことが好ましい。
【0044】
全ての空隙について、その深さの推定と判定が終了した場合(S110)には、S111に移行してS102で検査した範囲における空隙検査を終了する。なお、許容されない深さを有する空隙が検出された場合には、当該空隙に対する処置、あるいは、該当範囲の再施工が施される。
【0045】
以上、本発明の実施形態に係る空隙検査装置、並びに、空隙検査工程について説明したが、本実施形態によれば、完成後におけるSC構造において非破壊で、かつ、低コストで鋼板とコンクリートの間に生じた空隙を検査することが可能になる。本実施形態では、発信子10、受信子20が独立して構成されているため、計測時に発信子10と受信子20間の距離を計測する必要がある。次にあげる2つの実施形態は、この発信子10と受信子20の間の距離の計測を省略することのできる応用形態となっている。
【0046】
図9に示す実施形態では、発信子10と受信子20は、支持部11に固定されている。発信子10と受信子20の間の距離はL1にて固定されているため、計測毎に発信子10と受信子20間の距離を計測する必要がない。また、支持部11には把持部12が固定されており、操作者が把持しやすく構成されている。操作者は把持部12を握り発信子10の発信面10aと受信子20の受信面20aを鋼板に接触させた上で、発信子10から音響波を発信し、受信子20にて観測波形の受信を行う。本実施形態では、支持部11内にAD・DA変換器31を収納した形態となっており、支持部11から延出したケーブルはパソコン30に直接接続されている。また、把持部12には、操作部13が設けられており、操作者はこの操作部13を介して、パソコン30側に空隙なしの計測であるのか、空隙ありの計測であるのかを指定したり、音響波の出力開始を指令したりすることが可能となっている。
【0047】
このように本実施形態では、発信子10と受信子20の間の距離を固定長とするため、距離の計測を省略することが可能となる。なお、ケーブルにて各種信号をパソコン30に伝達する構成としたが、パソコン30で担う機能を支持部11など筐体内に含めることで一体構成とすることとしてもよい。
【0048】
図9の構成によれば、発信子10と受信子20間の距離の計測を行う必要がないが、距離が固定されてしまうため、空隙にできるだけ近い箇所に発信子10、受信子20を配置
することが好ましい図6(b)の測定においては精度が低くなる可能性がある。図10はこのような問題点に着目したものであって、支持部11が伸縮自在に構成された実施形態となっている。図10(a)に示されるように支持部11は中空状に形成された支持部11aと、その中に嵌め込まれた支持部11bにて構成されており、図10(b)に示されるように収縮させて発信子10と受信子20間の距離を短くすることが可能となっている。
【0049】
また、支持部11には支持部11aと支持部11bの相対位置を検出するセンサーが設けられており、当該センサーが検出した相対位置に基づいて、発信子10と受信子20間の距離を検出することが可能となっている。検出された距離はケーブルを介してパソコン30に送信され、空隙の深さの推定に利用される。このような実施形態によれば、発信子10と受信子20間の距離を自動で計測することが可能となり、作業の効率化を図ると共に、空隙の深さの推定精度を高めることが可能となる。なお、本実施形態では把持部12についても支持部11と同様に伸縮可能になっており、伸張した場合、収縮した場合のどちらにおいてもバランスのよい位置で把持することが可能となっている。
【0050】
以上、本発明の各種実施形態について説明を行ったが、本発明によればSC構造における鋼板とコンクリートの間に生じた空隙を低コストで効率よく判定することが可能となる。なお、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0051】
10…発信子、10a…発信面、11…支持部、12…把持部、13…操作部、20…受信子、20a…受信面、30…パソコン、31…AD・DA変換器、32…制御部、33…入力部、34…外部インターフェイス部、35…記憶部、36…音声出力部、37…表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板で形成された外枠内部にコンクリートが充填されたSC構造に関するものであり、特に、鋼板とコンクリート間に生じた空隙の検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子力発電プラントのように放射線を遮蔽する必要がある建屋構造体として鋼板とコンクリートを組み合わせたSC構造が注目を集めている(特許文献1)。
【0003】
SC構造(鋼板コンクリート構造)は、従来の鉄筋コンクリート構造(RC構造)において鉄筋を鋼板に置き換えた構造であって、鋼板をコンクリート打設のための外枠と兼用することができるため、RC構造と比較した場合、鉄筋工事、並びに、外枠工事が不要となる。そのため、現場作業を大幅に省力化し、建設工程の短縮を図ることが可能である。また、RC構造と比較して強度が高いため、同じ強度のものを造る場合において鋼材料の量を抑え経済性を向上させることが可能である。さらには、コンクリート打設時における外枠を必要としないため建設中に発生する廃棄物の量を抑えることが可能となり、環境負荷を低減したものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−64636号公報
【特許文献2】特許第2740438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにSC構造は、従来のRC構造と比べ、各種のメリットを有する工法ではあるが、コンクリートの未充填などにより鋼板とコンクリートの間に大きな空隙が発生した場合には、設計上必要な構造性能が不足してしまう可能性がある。一方、コンクリートが密実に打設された場合であっても、コンクリートの乾燥収縮に伴って空隙が生じる場合がある。このような空隙は設計上許容される範囲であり、構造性能低下の問題が生じることはない。
【0006】
図1には、SC構造の各種状態における断面図が示されている。図1(a)は、鋼板とコンクリートの間に空隙が生じていない断面図である。図1(b)は、鋼板とコンクリートの間に軽微な空隙が生じている場合の断面図である。この図のような軽微な空隙の多くは、鋼板とコンクリートの間にコンクリートが隙間無く充填されていても、コンクリートの乾燥収縮を原因として生じる。構造物の設計は、このような乾燥収縮をある程度予想して行うため、構造性能上の問題となることはない。図1(c)は、鋼板とコンクリートの間に有害、すなわち構造性能上の問題となる可能性のある空隙が生じている場合の断面図である。こういった空隙の多くは、コンクリートが充填されなかったことを原因として生じる。
【0007】
SC構造では、コンクリートが固まった後、鋼板表面を叩いて反響音を確認すること(打音法)や、赤外線カメラを用いるなどといった非破壊検査法により、鋼板とコンクリートの間に空隙が生じているか否か、すなわち、図1(a)の状態と、図1(b)、(c)の状態とを判別することは可能である。しかしながら、このような非破壊検査法では、図1(b)のように軽微な空隙であるのか、図1(c)のように構造性能に影響を及ぼす有害な空隙であるか否か、言い換えると、空隙の深さがどの程度であるかまで判定すること
はできなかった。
【0008】
従来、このような空隙を検査するため、非破壊検査法で診断した空隙箇所の鋼板部分に小さな孔を空けてその深さを測定し、有害な空隙であるか否かを検査することが一般的であった。このような検査方法を使用した場合、鋼板に膨大な数の孔を空ける必要があり、孔を空けること自体が構造性能に影響を及ぼしてしまうため、現実的な検査方法とはいえるものではなかった。
【0009】
一方、コンクリート内部に生じた空隙の検査方法として、特許文献2には、高抵抗素子を用いたコンクリート充填確認方法が記載されている。このコンクリート充填確認方法では、型枠内の内側の所定位置に固定された高抵抗素子に流れる電流を、コンクリート充填時とコンクリート打設時で計測し、これらから求めた充填度に基づいて打設したコンクリートの空隙を検出している。
【0010】
この特許文献2に記載の空隙検査方法は、空気が絶縁体であり、コンクリートが電流を通す特性を利用したものである。しかしながら、この空隙検査方法は、高抵抗素子が配置された周辺における空隙の有無を確認することができる程度であって、SC構造における鋼板とコンクリートの間に生じた空隙が有害なものか否かを検査することはできない。また、SC構造では電流を通す鋼板が用いられているため、高抵抗素子が鋼板に接触した場合には誤検出を生じてしまう可能性がある。さらには、高抵抗素子をコンクリート内部に配置する必要があるため、費用が大きくなるとともに、作業の手間も増えることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、SC構造における鋼板とコンクリートの間に生じた空隙を、低コストで効率よく検査する方法を提供することを目的としている。そのため、本発明の空隙検査方法は、鋼板で形成された外枠内部にコンクリートが充填されたSC構造において、鋼板表面側から打音法などを用いて鋼板とコンクリート間に生じた空隙箇所を検出し、空隙箇所を間に挟まない第1発信点と第1受信点を鋼板表面に設定し、第1発信点から発せられた音響波を第1受信点にて観測し、観測波形における特徴点までの第1到達時間を求め、空隙箇所を間に挟んだ第2発信点と第2受信点を鋼板表面に設定し、第2発信点から発せられた音響波を第2受信点にて観測し、観測波形における特徴点までの第2到達時間を求め、第1到達時間と第2到達時間の差に基づいて空隙の深さを推定し、当該空隙が許容されるものか否かを判定することを特徴とするものである。
【0012】
さらに、本発明の空隙検査方法は、第1到達時間と第2到達時間の差に基づいて推定された空隙の深さが、設定された閾値より大きい場合、当該空隙は許容されないものであると判定することとしている。
【0013】
さらに、本発明の空隙検査方法は、空隙箇所を間に挟まない第1発信点と第1受信点において、第1発信点から発せられた音響波を第1受信点で観測することでコンクリート内部の伝搬速度を推測し、第1到達時間と第2到達時間の差に基づいて推定される空隙の深さは、推測されたコンクリート内部の伝搬速度を利用して推定されることとしている。
【0014】
さらに、本発明の空隙検査方法において、空隙の深さが許容されるものか否かの判定は、第1発信点と第1受信点の間の距離と、第2発信点から第2受信点の間の距離が等距離となるように第1到達時間、あるいは、第2到達時間を補正して行われることとしている。
【0015】
さらに、本発明の空隙検査方法において、第1到達時間と第2到達時間に基づいて推定された空隙の深さを提示することとしている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】SC構造の各種状態における断面図。
【図2】SC構造の各種状態における断面図、並びに、音響波伝搬の様子を示す図。
【図3】本発明の実施形態に係る空隙の深さの推定を説明するための図。
【図4】本発明の実施形態で用いる空隙検査装置を示す図。
【図5】本発明の実施形態で用いる空隙検査装置の一部を示すブロック図。
【図6】本発明の実施形態に係る空隙検査の様子を示す図。
【図7】本発明の実施形態に係る空隙検査の工程を示すフロー図。
【図8】SC構造内に形成された空隙の一例を示す図。
【図9】本発明の他の実施形態に係る空隙検査装置の一部を示す図。
【図10】本発明の他の実施形態に係る空隙検査装置の一部を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図2は、図1と同様、SC構造の各種状態における断面図であるとともに、音響波伝搬の様子を示す図であって、本発明の基本原理を説明するための図である。図2(a)に示すようにSC構造は、外枠として形成された鋼板内部にコンクリートを充填することで形成される。図2(a)は、鋼板とコンクリートの間に空隙がない場合が示されている。この図において鋼板表面に第1発信点、第1発信点から距離Lだけ離れた点に第1受信点を設定する。
【0018】
第1発信点は、音響波を発する場所であって、この場所から発信子などの音響素子を用いて超音波あるいは衝撃弾性波などの音響波が発せられる。音響素子を用いることに代え、ハンマーなどで打撃を加えることで音響波を発することとしてもよい。第1受信点は第1発信点から発せられた音響波を観測するために設けられた場所であって、振動を電気信号に変換する受信子を接触させることで音響波の観測が行われる。
【0019】
第1発信点から発せられた音響波は、図に示すように鋼板を伝搬する成分Ssと、コンクリートを伝搬する成分Scに分けられる。鋼板を伝搬する成分Ssは、到達時間をts、鋼板内部の伝搬速度をVsとすると、ts=L/Vsで得られるため簡単に識別することができ、空隙推定には関係ないため除外することができる。また、コンクリートを伝搬する成分Scは、実際には、鋼板の厚み分だけ鋼板を伝搬したものであるが、鋼板の厚さを通過する伝搬時間がきわめて短いため、この鋼板を伝搬する分は無視できる。そのため、コンクリート内部の伝搬速度Vcは、第1発信点から第1受信点までの音響波の到達時間をtcとした場合、近似的にVc≒L/tcにて推定することができる。
【0020】
図2(b)は、鋼板とコンクリートの間に軽微な空隙を有する場合を示した図である。このような軽微な空隙は、コンクリートの乾燥収縮によって発生することが多く、予想した設計が行われるため問題となる可能性は低い。空隙の位置は、鋼板表面を叩きその反響音を確認することで空隙の位置を確認できる打音法などで事前に確認される。第2発信点と第2受信点は、鋼板表面上、空隙を挟んで対向する位置であって、鋼板とコンクリートが接触している位置に配される。ここでは説明を簡単にするため第2発信点と第2受信点間の距離を図2(a)と同じLとしている。第2発信点、第2受信点ともに、できるだけ空隙に近い位置に配することが好ましい。できるだけ空隙に近く配することでより正確に空隙を検査することが可能となる。
【0021】
第2発信点、第2受信点は、それぞれ図2(a)で説明した第1発信点、第1受信点と同様、音響波の発信、受信を行う場所であり、第2発信点から発せられた音響波は、第2受信点に配置される受信子にて観測される。鋼板とコンクリートの間に空隙を有する場合、図2(a)の空隙なしの場合と比較して、コンクリート内部を伝搬する成分Scは空隙
の分だけ迂回する必要がある。そのため伝搬時間は空隙なしの場合よりも大きくなる。
【0022】
図2(c)には、図2(b)よりも空隙が大きい場合であって、構造性能上有害となる場合が示されている。この図においても説明を簡単にするため第2発信点と第2受信点間の距離を図2(a)と同じLとしている。図2(b)と比較すると分かるようにコンクリート内部を伝搬する成分Scは、空隙が大きい分、迂回しなくてはならず図2(b)よりもさらに伝搬時間を必要とする。
【0023】
本発明は、コンクリート内部を伝搬する成分Scの伝搬時間の違いに基づいて鋼板とコンクリートの間に生じた空隙の大きさを検査するものである。具体的には図2(a)のように空隙のない箇所で計測された成分Scの伝搬時間と、図2(b)、図2(c)のように空隙を挟んで計測された成分Scの伝搬時間の差に基づいて、空隙の深さを推定し、当該空隙が許容される程度のものか否かが判定される。このように本発明によれば、SC構造において鋼板表面から鋼板とコンクリートの間に生じた空隙を非破壊で判定することが可能となるため、鋼板に孔を空けるなど構造性能に影響を及ぼす検査を行う必要がない。また、コンクリートを充填する前などで事前の準備を必要とすることもないため、作業効率、コスト的にも優れたものとなっている。
【0024】
図3は、本発明の実施形態における空隙の深さの推定について説明するための図であって、図2(c)と同様のSC構造の断面図となっている。第2発信点と第2受信点は距離Lだけ離れて配されている。図に示すように空隙の形状は予想することが困難であるが、本実施形態では、空隙の形状を破線で示すような矩形形状と仮定して空隙の深さを推定する。第2発信点から第2受信点までの音響波(せん断波)の伝搬時間をt2とする。一方、コンクリート内部において距離Lだけ伝搬する時間は、図2(a)で説明した空隙なしにおける第1発信点から第1受信点までの伝搬時間t1に略等しい。したがって、空隙の形状を矩形と過程した場合には、図2(a)による測定でt1を測定し、Δt=t2−t1を求めることで空隙の深さDは次式(1)にて表すことができる。
【0025】
2×D≒Vc×Δt …(1)
なお、本式の算出において鋼板の厚さによる遅延も十分小さいものとみなして省略している。Vcはコンクリート内部における音響波(せん断波)の伝搬速度であり、予め用意された値を用いることとしてもよいし、図2(a)で説明したように実際のSC構造で測定した波形から推定することとしてもよい。このように実際のSC構造において伝搬速度Vcを推測した場合には、環境条件を揃えることで深さDの推定をより正確なものとすることが可能となる。
【0026】
本実施形態では、このような推定方法により推定された空隙の深さDを閾値と比較し、閾値よりも大きい場合、有害な空隙、すなわち、許容されない空隙として判定される。閾値は建造物の構造など各種条件に従って適宜に設定される。
【0027】
以上、本発明では鋼板表面から打音法などによって特定された空隙について、許容される大きさ(深さ)か否かを非破壊で判定することができる。また、同条件のSC鋼板を利用し、空隙なしの箇所で測定された伝搬時間を利用することで、条件を揃えて正確に深さを推定することが可能となっている。さらには、空隙なしの箇所で推測された伝搬速度を利用することで、さらに正確に空隙の深さを推定することが可能となる。
【0028】
では、このような空隙検査方法を実現するための構成について説明を行う。図4は本発明に係る実施形態で用いる空隙検査装置を示す図である。この実施形態では空隙検査装置は、汎用のパソコン30、AD・DA変換器31、発信子10、受信子20にて構成されている。発信子10、受信子20は対象となるSC構造の鋼板表面に配される。音響波の
伝達効率を向上させるため鋼板と発信子10、受信子20の間にゼリーなどを介在させてもよい。音響波として超音波を利用した場合に特に有効である。
【0029】
パソコン30から出力された音響波信号は、AD・DA変換器31のDA変換部を介し発信子10に供給され、音響波として発信子10から出力される。一方、受信子20を介して受信された音響波は、AD・DA変換器31のAD変換部を介してパソコン30へと送信される。パソコン30では受信された波形を記憶するとともに当該波形を表示させてコンクリート内部を伝搬する成分Scの伝搬時間t2とt1の差Δtが求められる。Δtはパソコンに表示された波形から操作者の目視で求めてもよいし、パソコンに搭載されたプログラムで受信波形の特徴点を抽出して自動で行われることとしてもよい。さらには、空隙の深さDの推定、そして、閾値との比較についてもプログラムによって自動化されることとしてもよい。
【0030】
図5は、図4におけるパソコン30をさらに詳細に説明したものであって、空隙検査装置の一部についてのブロック図を示したものとなっている。パソコン30は、制御部32、入力部33、外部インターフェイス部34、記憶部35、音声出力部36、表示部37などにて構成される。また、各構成は内部バスを介して接続されている。
【0031】
制御部32は、CPU、RAMなどを含んで構成され、パソコンを統括して制御を行う手段である。入力部33は、キーボードなど操作者の各種命令を受け取る手段であって、本発明の実施形態では、空隙なしの測定か空隙ありの測定かの指定や、空隙の深さの閾値などを指定すること行われる。外部インターフェイス部34は、AD・DA変換器31と各種信号のやり取りを行う手段であって、USBやシリアルポートなどが使用される。記憶部35は、受信子20から外部インターフェイス部34を介して取り込まれた波形や、空隙の深さを推定するために必要とされる各種パラメータなどを記憶するための手段であって、ハードディスク装置、あるいは、メモリ装置などがこれに用いられる。空隙深さの推定、判定のためのプログラムもこの記憶部35に記憶させてもよい。
【0032】
表示部37は、操作者に各種情報を表示するための手段であって、液晶表示装置などが用いられる。この表示部37には、一般的なオシロスコープのように観測された複数の波形を表示させ、カーソルを用いるなどして2点間の時間差を計測するようにしてもよい。このような構成によれば(1)式で必要とされるΔtを手動にて容易に求めることが可能となる。音声出力部36は、ビープ音や音声など各種サウンドを出力することが可能な手段であって、空隙の判定結果を各種サウンドで操作者に対して提示することに利用されるものとしてもよい。
【0033】
図6は、本発明の実施形態に係る空隙の深さの推定を説明するための図である。図6(a)は、空隙なしの場合を示した図であり、SC構造の断面図と、その右側に受信子20で受信した観測波形が模式的に示されている。図6(b)は、空隙ありの場合を示した図であって、SC構造の断面図と、その右側に受信子20で受信した観測波形が模式的に示されている。
【0034】
ここでは説明を簡単にするため、図6(a)の空隙なし、図6(b)の空隙あり共に発信子10、受信子20間の距離Lを等しくしている。空隙の計測をより正確にするためには、できるだけ空隙に近い位置に発信子10、受信子20を配置することが好ましく、発信子10と受信子20間の距離は空隙の大きさに応じて変化させることが好ましい。発信子10と受信子20間の距離を変化させた場合には、空隙なし、あるいは、空隙ありのどちらかに距離を合致させるように伝搬時間を換算(補正)すればよい。
【0035】
図6(a)の右側には空隙なしにおける観測波形が模式的に示されている。本実施形態
では、発信子10から発せられた音響波として単発の正弦波を模式的に示しているが、このような形態に限らず、発信子10から発信する音響波としては連続波を用いることとしてもよい。式(1)で必要とされる伝搬時間の差Δtの計測には、発信子10から音響波を発してから、観測波形の特徴点までの到達時間を用いることとしている。空隙ありの場合についても観測波形において同種の特徴点を利用し、各到達時間の差を取ることで、実際の伝搬時間の差に近似した値を得ることが可能となる。本実施形態では特徴点として観測波形の立ち上がり点、たとえば、測定開始から初めて所定値以上になった点を利用しているが、最大値、最小値、ゼロクロス点など波形の特徴を顕著に示す点であれば適宜に採用することができる。
【0036】
図6の観測波形の模式図では、空隙なしにおける立ち上がり点1までの到達時間T1と、空隙ありにおける立ち上がり点2までの到達時間T2の差によって、式(1)で必要とされるΔtを計測することができる。また、図6(a)の空隙なしの場合において、コンクリート内部の伝搬速度を推定し、空隙の深さの推定に用いることとしてもよい。図6(a)のように観測波形の立ち上がり点を特徴点とした場合には、Vc≒L/T1として、コンクリート内部の伝搬速度を推定することが可能である。この場合、鋼板の厚さ方向による遅延は十分小さいものとして無視している。
【0037】
このようにして求められたΔtを、式(1)に適用し、空隙の深さDを推定することが可能となる。そして、推定された空隙の深さが閾値を超えるか否かを判定することで、当該空隙が許容されるか否かを判定することが可能となる。
【0038】
図7は、本発明の実施形態に係る空隙検査の工程を示すフロー図である。まず、S102では、打音法などを使用して空隙箇所の検出が行われる。検出された空隙は鋼板表面からその存在箇所が分かるようにその輪郭をチョークなどで印しておくことが好ましい。なお、この空隙箇所の検出は、コンクリートや鋼板の厚さ、材質などSC構造の条件が略等しい範囲で行うとよい。S103では、S102にて空隙が存在していたか否かが判定される。判定すべき対象となる空隙が存在しない場合には、S111に移行してS102で検査した範囲における空隙検査を終了する。
【0039】
S103にて空隙があると判定された場合には、S104に移行して、まず空隙のない箇所における計測、すなわち、図6(a)で説明した形態にて音響波の観測が実行され、観測波形の特徴点までの到達時間T1が求められる。このように、同一条件下のSC構造では、空隙のない箇所における計測を一度だけ行うこととして作業の効率化を図ることが可能となっている。
【0040】
本実施形態ではS105において、空隙のない箇所を利用しコンクリート内部における伝搬速度Vcの推測が実行される。コンクリート内部の伝搬速度Vcを実際のSC構造を利用して推測することで、空隙深さの推定精度を高めることが可能となる。なお、この伝搬速度Vcは、このような推測に代え、予め設定された値を利用するものであってもよい。
【0041】
S106では、空隙の深さの閾値が設定される。この閾値の設定は判定をプログラムにより自動で行う場合に必要とされるものであり、測定範囲のSC構造に必要とされる空隙深さが、パソコン30の入力部33を介して入力される。
【0042】
S107〜S109は、ある1つの空隙に対する深さの推定、空隙の判定に関する一連の工程であって、空隙が複数存在する場合にはこれら工程が各空隙に対して実行される。S107では、空隙のある箇所における計測、すなわち、図6(b)で説明した形態にて音響波の観測が実行され、観測波形の特徴点までの到達時間T2が求められる。S108
では、到達時間T2とS104で取得した到達時間T1の差ΔTを式(1)に適用して空隙の深さDが推定される。推定された深さDは、S109にて設定された閾値と比較され、閾値よりも大きい場合には当該空隙が許容されないものと判定される。空隙の深さの推定、判定をプログラムにより自動化して行った場合には、判定の結果が表示部37、あるいは、音声出力部36から操作者に対して提示される。その際、推定した空隙の深さDも提示することとしてもよい。
【0043】
これら空隙の判定に関する一連の工程は、1つの空隙に対して複数回行うことが好ましい。図8は、SC構造内に形成された空隙の一例を示す図であって、(a)は鋼板正面からみた空隙の様子を示す図であり、破線にて空隙の輪郭が示されている。(b)には(a)のA−A’間の断面図が示され、(c)には(a)のB−B’間の断面図が示されている。この図に示されるように空隙は必ずしも一様な深さで形成されるものとは限らず、(b)に示されるように許容範囲の深さの断面と、(c)に示されるように許容されない深さの部分を有する場合がある。このような空隙は、コンクリートの乾燥収縮とコンクリートの未充填が同じ箇所で発生したときに発生することが多い。このような複合的な発生原因による空隙において、許容されない深さを有するか否かを確実に判定するためには、1つの空隙に対して、複数の方向からS107〜S109の一連の工程を繰り返して行うことが好ましい。
【0044】
全ての空隙について、その深さの推定と判定が終了した場合(S110)には、S111に移行してS102で検査した範囲における空隙検査を終了する。なお、許容されない深さを有する空隙が検出された場合には、当該空隙に対する処置、あるいは、該当範囲の再施工が施される。
【0045】
以上、本発明の実施形態に係る空隙検査装置、並びに、空隙検査工程について説明したが、本実施形態によれば、完成後におけるSC構造において非破壊で、かつ、低コストで鋼板とコンクリートの間に生じた空隙を検査することが可能になる。本実施形態では、発信子10、受信子20が独立して構成されているため、計測時に発信子10と受信子20間の距離を計測する必要がある。次にあげる2つの実施形態は、この発信子10と受信子20の間の距離の計測を省略することのできる応用形態となっている。
【0046】
図9に示す実施形態では、発信子10と受信子20は、支持部11に固定されている。発信子10と受信子20の間の距離はL1にて固定されているため、計測毎に発信子10と受信子20間の距離を計測する必要がない。また、支持部11には把持部12が固定されており、操作者が把持しやすく構成されている。操作者は把持部12を握り発信子10の発信面10aと受信子20の受信面20aを鋼板に接触させた上で、発信子10から音響波を発信し、受信子20にて観測波形の受信を行う。本実施形態では、支持部11内にAD・DA変換器31を収納した形態となっており、支持部11から延出したケーブルはパソコン30に直接接続されている。また、把持部12には、操作部13が設けられており、操作者はこの操作部13を介して、パソコン30側に空隙なしの計測であるのか、空隙ありの計測であるのかを指定したり、音響波の出力開始を指令したりすることが可能となっている。
【0047】
このように本実施形態では、発信子10と受信子20の間の距離を固定長とするため、距離の計測を省略することが可能となる。なお、ケーブルにて各種信号をパソコン30に伝達する構成としたが、パソコン30で担う機能を支持部11など筐体内に含めることで一体構成とすることとしてもよい。
【0048】
図9の構成によれば、発信子10と受信子20間の距離の計測を行う必要がないが、距離が固定されてしまうため、空隙にできるだけ近い箇所に発信子10、受信子20を配置
することが好ましい図6(b)の測定においては精度が低くなる可能性がある。図10はこのような問題点に着目したものであって、支持部11が伸縮自在に構成された実施形態となっている。図10(a)に示されるように支持部11は中空状に形成された支持部11aと、その中に嵌め込まれた支持部11bにて構成されており、図10(b)に示されるように収縮させて発信子10と受信子20間の距離を短くすることが可能となっている。
【0049】
また、支持部11には支持部11aと支持部11bの相対位置を検出するセンサーが設けられており、当該センサーが検出した相対位置に基づいて、発信子10と受信子20間の距離を検出することが可能となっている。検出された距離はケーブルを介してパソコン30に送信され、空隙の深さの推定に利用される。このような実施形態によれば、発信子10と受信子20間の距離を自動で計測することが可能となり、作業の効率化を図ると共に、空隙の深さの推定精度を高めることが可能となる。なお、本実施形態では把持部12についても支持部11と同様に伸縮可能になっており、伸張した場合、収縮した場合のどちらにおいてもバランスのよい位置で把持することが可能となっている。
【0050】
以上、本発明の各種実施形態について説明を行ったが、本発明によればSC構造における鋼板とコンクリートの間に生じた空隙を低コストで効率よく判定することが可能となる。なお、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0051】
10…発信子、10a…発信面、11…支持部、12…把持部、13…操作部、20…受信子、20a…受信面、30…パソコン、31…AD・DA変換器、32…制御部、33…入力部、34…外部インターフェイス部、35…記憶部、36…音声出力部、37…表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板で形成された外枠内部にコンクリートが充填されたSC構造において、
鋼板表面側から打音法などを用いて鋼板とコンクリート間に生じた空隙箇所を検出し、
空隙箇所を間に挟まない第1発信点と第1受信点を鋼板表面に設定し、第1発信点から発せられた音響波を第1受信点にて観測し、観測波形における特徴点までの第1到達時間を求め、
空隙箇所を間に挟んだ第2発信点と第2受信点を鋼板表面に設定し、第2発信点から発せられた音響波を第2受信点にて観測し、観測波形における特徴点までの第2到達時間を求め、
第1到達時間と第2到達時間の差に基づいて空隙の深さを推定し、当該空隙が許容されるものか否かを判定することを特徴とする
SC構造における空隙検査方法。
【請求項2】
第1到達時間と第2到達時間の差に基づいて推定された空隙の深さが、設定された閾値より大きい場合、当該空隙は許容されないものであると判定する
請求項1に記載のSC構造における空隙検査方法。
【請求項3】
空隙箇所を間に挟まない第1発信点と第1受信点において、第1発信点から発せられた音響波を第1受信点で観測することでコンクリート内部の伝搬速度を推測し、
第1到達時間と第2到達時間の差に基づいて推定される空隙の深さは、推測されたコンクリート内部の伝搬速度を利用して推定される
請求項1または請求項2に記載のSC構造における空隙検査方法。
【請求項4】
空隙の深さが許容されるものか否かの判定は、第1発信点と第1受信点の間の距離と、第2発信点から第2受信点の間の距離が等距離となるように第1到達時間、あるいは、第2到達時間を補正して行われる
請求項1から請求項3の何れか1項に記載のSC構造における空隙検査方法。
【請求項5】
第1到達時間と第2到達時間に基づいて推定された空隙の深さを提示する
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のSC構造における空隙検査方法。
【請求項1】
鋼板で形成された外枠内部にコンクリートが充填されたSC構造において、
鋼板表面側から打音法などを用いて鋼板とコンクリート間に生じた空隙箇所を検出し、
空隙箇所を間に挟まない第1発信点と第1受信点を鋼板表面に設定し、第1発信点から発せられた音響波を第1受信点にて観測し、観測波形における特徴点までの第1到達時間を求め、
空隙箇所を間に挟んだ第2発信点と第2受信点を鋼板表面に設定し、第2発信点から発せられた音響波を第2受信点にて観測し、観測波形における特徴点までの第2到達時間を求め、
第1到達時間と第2到達時間の差に基づいて空隙の深さを推定し、当該空隙が許容されるものか否かを判定することを特徴とする
SC構造における空隙検査方法。
【請求項2】
第1到達時間と第2到達時間の差に基づいて推定された空隙の深さが、設定された閾値より大きい場合、当該空隙は許容されないものであると判定する
請求項1に記載のSC構造における空隙検査方法。
【請求項3】
空隙箇所を間に挟まない第1発信点と第1受信点において、第1発信点から発せられた音響波を第1受信点で観測することでコンクリート内部の伝搬速度を推測し、
第1到達時間と第2到達時間の差に基づいて推定される空隙の深さは、推測されたコンクリート内部の伝搬速度を利用して推定される
請求項1または請求項2に記載のSC構造における空隙検査方法。
【請求項4】
空隙の深さが許容されるものか否かの判定は、第1発信点と第1受信点の間の距離と、第2発信点から第2受信点の間の距離が等距離となるように第1到達時間、あるいは、第2到達時間を補正して行われる
請求項1から請求項3の何れか1項に記載のSC構造における空隙検査方法。
【請求項5】
第1到達時間と第2到達時間に基づいて推定された空隙の深さを提示する
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のSC構造における空隙検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−133415(P2011−133415A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294475(P2009−294475)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
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