説明

SCF分泌抑制剤、及び毛穴目立ち軽減用皮膚外用剤

【課題】線維芽細胞からの幹細胞因子(SCF)の分泌を抑制する新規な剤、及び毛穴目立ち軽減用皮膚外用剤の提供。
【解決手段】アマ(Linum usitatissimum L.)の種子の抽出物を有効成分とする線維芽細胞からの幹細胞因子(SCF)分泌抑制剤、及びアマの種子の抽出物を有効成分として含有する毛穴目立ち軽減用皮膚外用剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線維芽細胞からの幹細胞因子(SCF)分泌抑制剤、及び毛穴目立ち軽減用皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
毛穴の目立ちは、女性の肌悩みの上位に常に挙げられている。目立つ毛穴の構造は、毛孔部(漏斗部)が広がっているのではなく、その周囲がすり鉢のように陥没した形状になっていて、その部分が影のようになって目立っている。そのような毛穴構造になる原因の一つとして、毛孔部周囲の角層細胞の不全角化が挙げられる。目立つ毛穴部位では、皮脂分泌量が増加し、皮脂中の不飽和脂肪酸、ならびに皮脂中のトリアシルグリセロール及びアシルグリセロールがリパーゼにより分解することにより生じる不飽和脂肪酸が、炎症を引き起こすことにより、不全角化を引き起こすことが知られている(非特許文献1)。
【0003】
一方で、従来より、ストレスと毛穴の目立ちには関連性があると言われている。ストレスにより、神経末端よりサブスタンスP(以下SPと略)という神経ペプチドが放出され、皮脂腺を増大させ皮脂分泌を促進することが知られている(非特許文献2)。また、このSPが、真皮線維芽細胞に作用すると、線維芽細胞はSCF(幹細胞因子)を分泌し、肥満細胞を活性化させること、その後、活性化された肥満細胞からインターロイキン−6(以下IL−6と略)が分泌され、皮脂腺を肥大化させ皮脂分泌を促進することも明らかになっている(非特許文献3、4)。従って、SPの存在下においてSCFの分泌を抑制することができれば、皮脂腺の肥大化を抑制でき、さらには過剰な皮脂分泌を抑制することができ、それにより毛穴の目立ちが軽減されることが期待される。
【0004】
一方、皮膚外用剤は皮膚に直接塗布されることから、有効成分として用いられる薬効剤には高い安全性が求められる。そのため、従来、種々の植物抽出物について、その薬効が検討されている。例えば、アマ種子の抽出物にはメラニン産生抑制作用があること(特許文献1)、及びアマの抽出物には微生物性リパーゼ阻害作用があること(特許文献2)が知られている。しかし、上記皮脂分泌に関与するSCFに対する分泌抑制作用については、従来知られていない。
【特許文献1】特開2001−261570号公報
【特許文献2】特許第4044274号公報
【非特許文献1】フレグランスジャーナル、2004年3月号 41〜47頁
【非特許文献2】厚生科学研究費助成金(感覚器障害及び免疫・アレルギー等に関する研究事業)分担報告書 218〜220頁
【非特許文献3】Dermatology,206(1),17−23 (2003)
【非特許文献4】European Journal of Dermatology,12(5),422−427(2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、安全性が良好な、線維芽細胞からの幹細胞因子(SCF)の分泌抑制剤を提供することを課題とする。
また、本発明は、過剰な皮脂の分泌を抑制することによって、毛穴の目立ちを軽減する皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記課題を解決するため種々検討した結果、サブスタンスP(SP)の作用によって促進される線維芽細胞からのSCFの分泌は、アマ種子の抽出物を存在させることによって抑制し得ることを見出し、この知見に基づいてさらに検討を重ね、本発明を完成するに至った。
即ち、前記課題を解決するため、本発明は、アマ(Linum usitatissimum L.)の種子の抽出物を有効成分とする線維芽細胞からの幹細胞因子(SCF)分泌抑制剤を提供する。
また、別の観点から、本発明によって、アマ(Linum usitatissimum L.)の種子の抽出物を有効成分として含有する毛穴目立ち軽減用皮膚外用剤が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、安全性が良好な、線維芽細胞からの幹細胞因子(SCF)分泌抑制剤を提供することができる。
また、本発明によれば、線維芽細胞からのSCFの分泌を抑制することによって、過剰な皮脂の分泌を抑制し、その結果、毛穴の目立ちを軽減する新規な皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「〜」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。
本発明は、アマ(Linum usitatissimum L.)の種子の抽出物を有効成分とする線維芽細胞からのSCF分泌抑制剤に関する。アマは、アマ科アマ属の植物の1種であり、中央アジアが原産とされるが、日本、中国、朝鮮半島、アメリカ、カナダ、ロシア、ベルギー等で栽培されている一年草である。種子から得られる亜麻仁油は乾性脂肪油であり、油絵具、印刷用インク等の工業用品の他、せっけん、軟膏等の薬用品に使われている。
【0009】
本発明に用いるアマ種子の抽出物は、水溶性抽出物であるのが好ましい。従って、本発明に用いられるアマ種子の抽出物は、水性溶媒を用いて抽出された抽出物であるのが好ましい。該水性溶媒としては、水、及び水と親水性有機溶媒との混合溶媒などが挙げられる。前記親水性溶媒の例には、メチルアルコール、エチルアルコール等の低級一価アルコール;及びグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール;などが含まれるが、これらに限定されるものではない。抽出は、アマの種子を、室温又は加温下で溶媒中に所定の時間浸漬することによって実施できる。また、抽出前に、種子に対して、乾燥、細切、圧搾又は醗酵等の前処理を行うこともできる。
【0010】
前記アマ種子の抽出物は、調製後、そのまま前記薬効剤として用いることができる。また、所望により、適宜の期間そのまま放置し熟成させた後に、前記薬効剤として用いることもできる。必要ならば、本発明の効果に影響のない範囲で、更に、濾過又はイオン交換樹脂等により、脱臭、脱色等の精製処理を施して用いることもできる。又、液体クロマトグラフィー等の分離手段を用い、活性の高い画分を取り出して用いることもできる。
【0011】
前記アマ種子の抽出物は、液状、ペースト状、ゲル状等いずれの形態であってもよい。抽出溶媒を含む液状の抽出物を、減圧乾燥、又は凍結乾燥などにより乾固させて固体状とした後に用いることもできる。また、スプレードライ等により乾燥させて粉末として用いることもできる。
【0012】
アマ種子の抽出物は、サブスタンスP(SP)の作用により真皮線維芽細胞から幹細胞因子(SCF)が分泌されるのを抑制する作用がある。SCFは、肥満細胞を活性化することが知られているが、活性化した肥満細胞は、インターロイキン−6(IL−6)を分泌し、このIL−6は、皮脂腺を肥大活性化させて、過剰な皮脂分泌の一因になる。アマ種子の抽出物は上記作用があるので、ストレスなどの要因によって神経細胞からSPが分泌されても、アマ種子の抽出物を皮膚に適用し、真皮中に存在させることによって、真皮線維芽細胞からSCFが分泌されるのを抑制することができる。その結果、皮脂が過剰に分泌されることに起因する毛穴の目立ちを軽減することができる。
【0013】
本発明は、アマ種子の抽出物を有効成分として含有する毛穴目立ち軽減用皮膚外用剤にも関する。本発明の皮膚外用剤中のアマ種子の抽出物の含有量は、固形分として、好ましくは0.0001〜20質量%(以下単に「%」で示す)であり、より好ましくは0.001〜10%である。この範囲内であれば、前記抽出物を安定に配合することができ、且つ毛穴の目立ちに対して高い軽減効果を発揮することができる。
【0014】
本発明の皮膚外用剤は、前記アマ種子の抽出物を常法に従い、種々の形態の基剤に配合して製剤化することにより調製できる。更に、前記抽出物を他の薬効剤の一種又は二種以上と組み合わせて配合することによって、その薬効をより高めた、もしくはその薬効とともに他の薬効も奏する皮膚外用剤を調製することができる。他の薬効剤の例には、美白剤、紫外線防御剤、抗菌剤、殺菌剤、皮脂分泌調整剤、抗炎症剤、細胞賦活剤、活性酸素除去剤、及び保湿剤などが含まれるが、これらに限定されることはない。
【0015】
美白剤の例には、アスコルビン酸又はその誘導体、アルブチン、エラグ酸、リノール酸、ビタミンE及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体、トラネキサム酸、胎盤抽出物、カミツレ抽出物、海藻抽出物、ケイケットウ抽出物、ゴカヒ抽出物、コメヌカ抽出物、小麦胚芽抽出物、サイシン抽出物、サンザシ抽出物、サンペンズ抽出物、シラユリ抽出物、シャクヤク抽出物、センプクカ抽出物、大豆抽出物、茶抽出物、糖蜜抽出物、ビャクレン抽出物、ブドウ抽出物、マイカイカ抽出物、モッカ抽出物、ユキノシタ抽出物等が含まれる。
【0016】
紫外線防御剤としては、例えば、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸ナトリウム、4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
【0017】
抗菌剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、等が挙げられる。
【0018】
殺菌剤としては、例えば、サリチル酸、塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール、イオウ及びその誘導体、ユーカリ抽出物、チョウジ抽出物、ドクダミ抽出物等が挙げられる。
【0019】
皮脂分泌調整剤としては、例えば、シモツケソウ抽出物、カンゾウ抽出物、エイジツ抽出物、オウゴン抽出物、オウバク抽出物、クジン抽出物、ホップ抽出物、クレソン抽出物、ピリドキシン及びその誘導体、オウレン抽出物、タチジャコウソウ抽出物、セイヨウハッカ抽出物、ヨモギ抽出物等が挙げられる。
【0020】
抗炎症剤としては、例えば、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、アルテア抽出物、アシタバ抽出物、アルニカ抽出物、インチンコウ抽出物、イラクサ抽出物、オウバク抽出物、オトギリソウ抽出物、カミツレ抽出物、キンギンカ抽出物、コンフリー抽出物、サルビア抽出物、シコン抽出物、シソ抽出物、シラカバ抽出物、ゲンチアナ抽出物等が挙げられる。
【0021】
細胞賦活剤の例には、カフェイン、鶏冠抽出物、貝殻抽出物、貝肉抽出物、ローヤルゼリー、シルクプロテイン及びその分解物又はそれらの誘導体、ラクトフェリン又はその分解物、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸等のムコ多糖類またはそれらの塩、コラーゲン、酵母抽出物、乳酸菌抽出物、ビフィズス菌抽出物、醗酵代謝抽出物、イチョウ抽出物、オオムギ抽出物、センブリ抽出物、タイソウ抽出物、ニンジン抽出物、ローズマリー抽出物、グリコール酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸等が含まれる。
【0022】
活性酸素除去剤は、過酸化脂質生成抑制等の作用を有しており、例えば、スーパーオキサイドディスムターゼ、マンニトール、クエルセチン、カテキン及びその誘導体、ルチン及びその誘導体、ボタンピ抽出物、ヤシャジツ抽出物、メリッサ抽出物、羅漢果抽出物、レチノール及びその誘導体、カロチノイド等のビタミンA類、チアミンおよびその誘導体、リボフラビンおよびその誘導体、ニコチン酸およびその誘導体等のビタミンB類、トコフェロール及びその誘導体等のビタミンE類、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。
【0023】
保湿剤としては、例えば、エラスチン、ケラチン等のタンパク質またはそれらの誘導体、加水分解物並びにそれらの塩、グリシン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、テアニン等のアミノ酸及びそれらの誘導体、ソルビトール、エリスリトール、トレハロース、イノシトール、グルコース、蔗糖およびその誘導体、デキストリン及びその誘導体、ハチミツ等の糖類、D−パンテノール及びその誘導体、尿素、リン脂質、セラミド、ショウブ抽出物、ジオウ抽出物、センキュウ抽出物、ゼニアオイ抽出物、ドクダミ抽出物、ハマメリス抽出物、ボダイジュ抽出物、マロニエ抽出物、マルメロ抽出物等が挙げられる。
【0024】
また、本発明の皮膚外用剤には、本発明の薬効剤以外の任意の成分を配合することができる。そのような成分としては、例えば、アミノ酸、脂質、糖、ホルモン、酵素、核酸などの生理活性物質等を挙げることができるが、これらに限定されることはない。また、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧料や医薬部外品、皮膚外用剤等の製造に通常使用される成分、例えば、水(精製水、温泉水、深層水等)、油剤、界面活性剤、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、包接化合物、香料、消臭剤、塩類、pH調整剤、清涼剤、植物・動物・微生物由来の抽出物、血行促進剤、収斂剤、抗脂漏剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、他のビタミン類等を必要に応じて用いることができる。
【0025】
本発明の皮膚外用剤は、パウダー、パウダーファンデーション等の粉体;石けん、リップスティック等の固体;クリーム、乳液、クリームファンデーション等の乳化物;化粧水、美容液等の液体;など、種々の形態の化粧料組成物であるのが好ましい。但し、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0026】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
【0027】
[例1:アマ種子の抽出液の調製]
アマ種子100gを粉砕した後、精製水1.5Lを加え、室温にて7日間抽出を行った後、ろ過してアマ種子の抽出液1Lを得た(抽出液中の乾燥固形分5.9%)。
【0028】
[例2:線維芽細胞からのSCF分泌抑制作用試験]
ヒト由来真皮線維芽細胞を12ウエルプレートに、1ウエルにつき70000個を播種し、5%CO2インキュベーターに静置した。1日後に、例1で調製したアマ種子抽出液を1(v/v)%の濃度で、及びサブスタンスPを10ng/mLの濃度で添加し、再びインキュベーターに静置した。2日後に細胞を回収し、蛋白粗抽出物を得た。その後、この蛋白粗抽出物について、ELISAによりSCF産生量を求めた。また、サブスタンスPのみを上記と同濃度で添加し、アマ種子抽出液を添加しないサンプル群についても、同様にしてSCF量を求めた。結果を下記表に示す。なお、下記表中には、サブスタンスP及びアマ種子抽出液の双方とも添加していないサンプル群のSCF産生量を100%とし、それに対する割合としてそれぞれ示した。
【0029】
【表1】

【0030】
上記表に示した結果から、線維芽細胞にサブスタンスPのみを作用させると、SCFの分泌が促されSCF産生量が増加するが、アマ種子抽出液を添加することにより、サブスタンスPの存在下での線維芽細胞からのSCFの分泌は抑制され、SCF産生量を格段に軽減できることが理解できる。
【0031】
[例3:毛穴目立ち軽減作用の評価]
(化粧水の調製)
以下の組成の化粧水を、以下の方法により調製した。
(処方) (%)
(1)グリセリン 5.0
(2)1,3−ブチレングリコール 6.5
(3)ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタンモノラウリン酸エステル 1.2
(4)エチルアルコール 8.0
(5)アマ種子の抽出液*1 4.0
(6)防腐剤 適量
(7)精製水 残量
*1 例1で調製したもの
(製法)
A.(3)、(4)及び(6)を混合溶解する。
B.(1)、(2)、(5)及び(7)を混合溶解する。
C.AとBを混合して均一にし、化粧水を得た。
【0032】
また、アマ種子の抽出液を混合しなかった以外は同様にして比較例用化粧水を調製した。
【0033】
(化粧水の評価)
毛穴の目立ちを気にしているパネル7人に、左右頬部の一方に上記調製したアマ種子の抽出液を配合した化粧水を、他方にアマ種子の抽出液を配合していない比較例用化粧水を、1日に2回、4週間塗布してもらった。左右頬部の毛穴の目立ち具合を以下の4段階の目視評価で判定し、パネル全員の平均を求めた。
(評価基準)
1:毛穴が目立たない
2:毛穴がやや目立つ
3:毛穴が目立つ
4:非常に毛穴が目立つ
【0034】
(評価結果)
アマ種子の抽出液を配合した実施例の化粧水は、平均値は使用前は3.375点であり、使用後は2.625点であった。一方、比較例の化粧水の平均値は使用前は3.375点であり、使用後は3.375点であった。この結果より、アマ種子の抽出物は、化粧水等の皮膚外用剤に配合されてもその効能を失わず、皮膚に適用されることにより、皮脂の過剰分泌の抑制に寄与し、実際に毛穴の目立ちを軽減する効果を奏することが理解できる。
【0035】
[例4:乳液]
(処方) (%)
(1)ポリオキシエチレン(10E.O.)ソルビタンモノステアレート 1.0
(2)ポリオキシエチレン(60E.O.)ソルビットテトラオレエート 0.5
(3)グリセリルモノステアレート 1.0
(4)ステアリン酸 0.5
(5)ベヘニルアルコール 0.5
(6)スクワラン 5.0
(7)防腐剤 0.1
(8)カルボキシビニルポリマー 0.1
(9)水酸化ナトリウム 0.05
(10)エチルアルコール 5.0
(11)精製水 残量
(12)アマ種子の抽出液*1 1.0
(13)グリチルレチン酸ステアリル*2 0.1
(14)ホップ抽出物*3 0.2
(15)エイジツ抽出物*4 1.0
(16)香料 適量
*1 例1で調製したもの
*2 丸善製薬社製
*3 丸善製薬社製
*4 丸善製薬社製
【0036】
(製法)
A.成分(1)〜(7)、(13)を加熱混合し、70℃に保つ。
B.成分(9)と(11)の一部を加熱混合し、70℃に保つ。
C.BにAを加えて混合し、均一に乳化する。
D.Cを冷却後、(11)の残部に溶かした(12)、(14)、(15)及び(8)、(10)、(16)を加え、均一に混合して乳液を得た。
【0037】
[例5:クリーム]
(処方) (%)
(1)ミツロウ 6.0
(2)セタノール 5.0
(3)還元ラノリン 5.0
(4)スクワラン 30.0
(5)親油型モノステアリン酸グリセリル 4.0
(6)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(20E.O) 2.0
(7)アマ種子の抽出液*1 0.5
(8)ヨモギ抽出物*2 0.5
(9)カンゾウ抽出物*3 0.5
(10)セイヨウハッカ抽出物*4 0.5
(11)防腐剤 適量
(12)香料 適量
(13)精製水 残量
*1 参考例1にて調製したもの
*2 丸善製薬社製
*3 丸善製薬社製
*4 SILAB社製
(製法)
A.成分(1)〜(6)および(11)を混合し、加熱して70℃に保つ。
B.成分(13)の一部を加熱して70℃に保つ。
C.AにBを加え、(13)の残部で溶解した(7)〜(10)及び(12)を混合した後、冷却してクリームを得た。
【0038】
[例6:ゲル軟膏]
(処方) (%)
(1)カルボキシビニルポリマー 1.0
(2)トリエタノールアミン 1.0
(3)1,3ブチレングリコール 10.0
(4)アマ種子の抽出液*1 2.0
(5)塩酸ピリドキシン*2 0.1
(6)シモツケソウ抽出物*3 0.3
(7)タチジャコウソウ抽出物*4 0.3
(8)ユーカリ抽出物*5 0.3
(9)クレソン抽出物*6 0.3
(10)精製水 残量
*1 参考例1で製造したもの
*2 シグマ社製
*3 SILAB社製
*4 丸善製薬社製
*5 丸善製薬社製
*6 丸善製薬社製
【0039】
(製法)
A.成分(1)及び(3)〜(10)を混合溶解する。
B.Aに成分(2)を加え、混合して均一にし、ゲル軟膏を得た。
【0040】
例4〜6は、いずれも皮膚に継続的に適用することにより、毛穴の目立ちを軽減する皮膚外用剤であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アマ(Linum usitatissimum L.)の種子の抽出物を有効成分とする線維芽細胞からの幹細胞因子(SCF)分泌抑制剤。
【請求項2】
アマ(Linum usitatissimum L.)の種子の抽出物を有効成分として含有する毛穴目立ち軽減用皮膚外用剤。

【公開番号】特開2009−242311(P2009−242311A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91686(P2008−91686)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】