説明

SD−OCTシステムによる光断層画像取得装置

【課題】光断層像を取得すると同時にスペクトル形状の制御が可能なSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置を提供する。
【解決手段】上記光断層画像取得装置が、2つ以上のSLD121,122で構成される光源部120と、測定対象物の情報を得るためのラインセンサ162及び分光器161を含み構成される受光部160と、2つ以上のSLDの出射光を合波し、受光部に導く受光部側合波部151と、2つ以上のSLDの出射光のスペクトルを、1つのモニタでモニタすることが可能に構成されたモニタ部140と、SLDを駆動する駆動部180と、モニタ部でのモニタ結果を、駆動部にフィードバックする制御部170と、を有し、駆動部では、ラインセンサが信号を読みだす周期時間である受光周期のうちの任意の受光周期内で、2つ以上のSLDが同時に駆動せず、各々1つが駆動する時間を有するように駆動可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SD−OCTシステムによる光断層画像取得装置に関し、特にSLD(スーパールミネッセントダイオード)を用いたSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体組織の光断層画像を取得する際にOCT(Optical Coherence Tomography)システムによる光断層画像取得装置が用いられる。
このような光断層画像取得装置の一つであるSD−OCT(Spectral Domain OCT)システムによる光断層画像取得装置では、つぎのようにして生体の深さ方向の反射光強度分布を得ている。
すなわち、光源から出射された低コヒーレント光を測定光と参照光とに分割したのち、測定光を反射させた光と参照光の干渉光を分光し、ラインセンサでスペクトル情報を得て、フーリエ変換することで生体の深さ方向の反射光強度分布を得ている。
このシステムに必要とされる光源として、広帯域な低コヒーレント光を用いると分解能が向上することが知られている。
また、スペクトル形状も単峰性の形状が望ましく、そこから崩れていくとフーリエ変換後のSNRの悪化や断層像のにじみが生じるなど、取得した断層像の品質劣化原因となる。
そこで、SD−OCTシステムによる光断層画像取得装置の光源には広帯域かつ単峰性のスペクトル形状が求められ、半導体素子からなるSLD(Super Luminescent Diode:スーパールミネッセントダイオード)の利用が考えられる。
SLDは発光ダイオードのように広帯域なスペクトル形状を示しながら、半導体レーザ同様に1mW以上の光出力を得ることが可能な素子である。
【0003】
SLDにおいてスペクトルを広帯域化する方法として、活性層に発光波長が異なる非対称多重量子井戸構造(A−MQW:Asymmetric Multiple Quantum Well)を備えることが挙げられる。
しかし、この構造においても広帯域化、単峰性スペクトル、高光出力を両立することは困難であり、例えば、広帯域なスペクトルを有するが、非対称なスペクトル形状をとってしまうという問題があった。
そこで、これらを両立する方法として特許文献1にあるように、複数のSLDを合波することによって、1つのSLDのみでは実現が困難であった高光出力や広帯域化を図る方法が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−149808号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】IEEE J.Quantum Electronics,Vol.42,No.12,pp.1256−1262,2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
SD−OCTシステムにより光断層画像を取得する際、広帯域なスペクトルを有する光源として複数SLDを合波して用いることがある。
ところで、取得した断層像の画像品質にはスペクトル形状が重要である。そのため、スペクトル形状の制御として断層像取得の際にスペクトル形状をモニタし、フィードバックをかける必要がある。
上記のように複数SLDを合波している場合、温度変化によりスペクトル形状が変化したときに、複数SLDを合波した後のスペクトル形状でなく、1つ1つのSLDのスペクトル形状をモニタする必要がある。
しかし、個々のSLDに対して個々のモニタを用意するとコストが高くなってしまう。
そのため、2つ以上のSLDの出射光に対して1つのモニタを用いることが望ましい。
しかしながら、断層像の取得と同時に2つ以上のSLDの出射光のスペクトル形状を1つのモニタでモニタする場合、合波後のスペクトル形状はモニタできるが、1つ1つのSLDのスペクトル形状はモニタできない。そのため、断層像の取得と同時にスペクトル形状を制御することは困難であった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑み、2つ以上のSLDの出射光のスペクトル形状を1つのモニタでモニタする際に、光断層像を取得すると同時にスペクトル形状の制御が可能となるSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置は、
2つ以上のSLD(スーパールミネッセントダイオード)で構成される光源部と、
測定対象物の情報を得るためのラインセンサ及び分光器を含み構成される受光部と、
前記光源部の一端側から出射される前記2つ以上のSLDの出射光を合波し、前記受光部に導く受光部側合波部と、
前記光源部における2つ以上のSLDの出射光のスペクトルを、1つのモニタでモニタすることが可能に構成されたモニタ部と、
前記SLDを駆動する駆動部と、
前記モニタ部でのモニタ結果を、前記駆動部にフィードバックする制御部と、 を有し、
前記駆動部では、前記ラインセンサが信号を読みだす周期時間である受光周期のうちの任意の受光周期内で、
前記2つ以上のSLDが同時に駆動せず、各々1つが駆動する時間を有するように駆動可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、2つ以上のSLDの出射光のスペクトル形状を1つのモニタでモニタする際に、光断層像を取得すると同時にスペクトル形状の制御が可能となるSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1におけるSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置の構成例を説明する図。
【図2】本発明の実施例1におけるSLDの駆動方法を説明する図。
【図3】本発明の実施例1における光出力部の層構成を説明する断面模式図。
【図4】本発明の実施例1における光出力部の構造を説明する斜視図。
【図5】本発明の実施例1におけるSLDの活性層にA−MQWを用いたときのスペクトル図。
【図6】本発明の実施例1におけるSD−OCTシステムに適用した図1の受光部150の具体的構成について説明する図。
【図7】本発明の実施例2におけるSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置の構成例を説明する図。
【図8】本発明の実施例2におけるSLDの駆動方法を説明する図。
【図9】本発明の実施例3におけるSLDの駆動方法を説明する図。
【図10】本発明の実施例4におけるSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置の構成例を説明する図。
【図11】本発明の実施例4におけるSLDの駆動方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、SD−OCT(Spectral Domain OCT)システムによる光断層画像取得装置において、2つ以上のSLDの出射光のスペクトル形状を1つのモニタでモニタする際に、各SLDの駆動方法を以下に説明するように制御する。
そして、この制御により、光断層像を取得すると同時にスペクトル形状を制御することを可能としたものである。
以下に、本実施形態におけるSD−OCTシステムについて説明する。
本発明の実施形態におけるSD−OCTシステムは、低コヒーレンスで広帯域、単峰性なスペクトルを得るために2つ以上のSLD((スーパールミネッセントダイオード))からなる光源部、光源部からの光が入力され測定対象物の情報を得るためのラインセンサを備える。
更に、分光器を含む受光部、2つ以上のSLDの出射光を1つでモニタするモニタを有するモニタ部、2つ以上のSLDからの出射光を受光部に導く受光部側合波部、モニタ結果を駆動部にフィードバックする制御部、各SLDを駆動する駆動部を備える。
【0012】
従来のものにおいては、断層像を取得すると同時に、すなわち、2つ以上のSLDの出射光を合波しつつ、1つのモニタで各SLDのスペクトルをモニタすることはできない。
これに対して、本実施形態では上記した構成と駆動部の駆動方法に特徴を有することで上記課題を解決したものである。
これを実現する手段を説明するために、SD−OCTシステムでの断層像取得の原理について説明する。
上記のとおり、SD−OCTシステムでは、光源からの出射光を測定光と参照光とに分割したのち、測定光を反射させた光と参照光の干渉光を分光し、ラインセンサでスペクトル情報を得て、フーリエ変換することで生体の深さ方向の反射光強度分布を得ている。
ここで、受光部内でスペクトル情報を得るラインセンサでは一定時間は入射した光に応じた電荷を蓄積しておき、一定時間経過後にその電荷量を読みだす機構となっている。
そのため、この電荷蓄積時間内で入射する光出力が変動した場合、読み出される電荷量は個々の光出力でなく、光出力の積算値となる。
つまり、SD−OCTシステムにおいては、ラインセンサのキャリア蓄積時間内、すなわちラインセンサが信号を読みだす周期時間である受光周期内で積算した光量によりスペクトル形状が決定する。
【0013】
そこで、本実施形態ではラインセンサの動作原理を利用して、各SLDを駆動する駆動部では、2つ以上のSLDを随時、同時に駆動しなくても、受光周期内で所望のスペクトルが得られるように駆動電流や駆動時間を調整し、各SLDを駆動する。
さらに、前記ラインセンサが信号を読みだす周期時間である受光周期のうちの任意の受光周期内で、2つ以上のSLDが同時に駆動せず、各々1つが駆動する時間を有するように駆動可能に構成される。
これにより、受光周期内で所望のスペクトルを得ることができ、かつ各SLDが1つだけ駆動する時間でスペクトルをモニタすることができる。そのため、断層像の取得と同時に1つのモニタで各SLDのスペクトルをモニタすることが可能となる。
【実施例】
【0014】
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1として、本発明を適用したSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置の構成例について、図1を用いて説明する。
本実施例におけるSD−OCTシステムは、図1に示すように、
一端側と他端側の2方向に出射光を有する2つのSLD(SLD121とSLD122)からなる光源部120と、
光分割部151、参照光反射部152、測定部153、分光器154、ラインセンサ155で構成される受光部150と、を備える。
【0015】
また、SLD121とSLD122の出射光のスペクトルをモニタする分光器161とラインセンサ162で構成されるモニタ部160と、
SLD121とSLD122からの出射光を受光部150に導く受光部側合波部130と、を備える。
【0016】
更に、SLD121とSLD122からの出射光をモニタ部160に導くモニタ部側合波部140と、
モニタ部160でのモニタ結果を駆動部180にフィードバックする制御部170と、
受光周期内でSLD121とSLD122の駆動時間が重ならないように1つずつSLD121とSLD122を駆動する駆動部180と、
受光部150で得たスペクトル情報を画像に変換する画像変換部190と、を備える。
以上の本実施例の構成のように、各SLDからの2方向の出射光を断層像取得とスペクトルモニタにそれぞれ用いることで、分波部等を用いることなく、断層像取得とスペクトルモニタを同時に行うことができる。
【0017】
次に具体的に各構成部について説明する。
本実施例では、光源部120、受光部側合波部130、モニタ部側合波部140からなる光出力部110が同一基板上で作製されている。
そして、集積二重導波路(Integrated Twin Guide)構造とY分岐導波路構造を用いることで、SLD121とSLD122の出射光を1つの出力部に合波している。
本構造の層構成を示すために、光源部120、受光部側合波部130、モニタ部側合波部140の層構成の断面図を図3に、斜視図を図4に示す。
本実施例では、n型のGaAs基板210上に、
n型クラッド層220としてn−Al0.5GaAs、
導波路層230としてAl0.2GaAs、
n型クラッド層240としてn−Al0.5GaAs、
活性層250として3つの非対称多重量子井戸を用いたInGaAs/Al0.2GaAs、GaAs/Al0.2GaAs、AlGaAs/Al0.2GaAs量子井戸、
p型クラッド層260としてp−Al0.5GaAs、
コンタクト層270として高ドープのp−GaAs、
が、それぞれ積層される。
【0018】
また、コンタクト層の上部には上部電極280、基板の下には下部電極285が設けられている。
上部電極280にはTi/Au、下部電極285にはAuGe/Ni/Auが用いられる。
活性層250に非対称多重量子井戸を用いると、非特許文献1に示されるように注入電流量の違いによってスペクトルの広がりや形状変化が確認される。
素子形状として、図4に示されるように、SLD121とSLD122はリッジ部310を有し、コンタクト層270とp型クラッド層260の途中まで部分的に除去されている。
そして、SLD121とSLD122は活性層250下のn型クラッド層240途中までエッチングされることで分離される。
さらに、n型クラッド層240の途中まで部分的にエッチングを行うことでY分岐導波路320が形成される。
【0019】
SLD121とSLD122のリッジ幅は3um、リッジ長さは0.5mmである。
リッジ部310はリッジ端面での反射を防止するために、リッジ端面の垂線とリッジの長手方向に関し、7度傾斜する。
受光部側合波部130、モニタ部側受光部140ともにSLD121、SLD122と結合する部分のY分岐導波路320の角度はSLD121、SLD122の傾斜角と同様な傾斜角、ここでは7度傾斜する。
さらに、受光部側合波部130、モニタ部側受光部140の受光部150側、モニタ部160側の出力部も同様に7度傾斜する。
また、受光部側合波部130、モニタ部側受光部140の受光部150側、モニタ部160側の出力部の両端面は反射率を制御するために多層の誘電膜を付加してもよい。
受光部側合波部130とモニタ部側合波部140の構造は同じであり、さらに、SLD121とSLD122各々から出射される2方向の光の特性は同じであることが好ましい。
そうすることで、断層像取得に用いられる光出力とモニタする光出力が同じとなるため、より簡易にフィードバックを行うことが可能となる。
【0020】
つぎに、素子を作製する手順について説明する。
まず、GaAs基板210上に、半導体層構成をつぎのように順次成長させる。すなわち、n型クラッド層220、導波路層230、n型クラッド層240、活性層250、p型クラッド層260、コンタクト層270を例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて、順次成長させる。
各層が積層されたウエハを一般的な半導体リソグラフィー法および半導体エッチングを用いてリッジ部310を形成する。
例えば、スパッタ法を用いて誘電体膜、例えば、SiO2を形成した後、半導体リソグラフィー法を用いてフォトレジストでリッジ形成のためのストライプ形成マスクを形成する。
そこで、ドライエッチング法を用いて、ストライプ形成マスク以外の部分の半導体を選択的に除去する。このとき、除去する部分はp型クラッド層260の途中までで、例えば、深さは0.8μmのリッジ形状を形成する。
【0021】
その後、誘電体膜、例えばSiO2を半導体表面に形成し、フォトリソグラフィー法によって、リッジ部310上部のSiO2とSLD121とSLD122を形成する部分以外のSiO2を部分的に除去する。
次に、真空蒸着法およびリソグラフィー法を用いてSLD121とSLD122の上部に上部電極280を形成する。上部電極280は、例えばTi/Auである。
次に、フォトリソグラフィー法およびドライエッチングを用いて、SLD121とSLD122の上部以外の半導体層を除去する。
ここでは、活性層250と導波路層230の間のn型クラッド層240の途中までエッチングを行うことで、SLD121とSLD122を分離する。
さらに、フォトリソグラフィー法およびドライエッチングを用いて、SLD121とSLD122とY分岐導波路320以外の半導体層を除去し、活性層250と導波路層230の間のn型クラッド層240の途中までエッチングを行う。
これにより、集積二重導波路、およびY分岐導波路が形成されるため、SLD121とSLD122で発生した光を受光部150側とモニタ部160側の出力部に導くことができる。
そして、下部電極285を形成する。下部電極285は、例えばAuGe/Ni/Auである。良好な電気特性を得るため、高温窒素雰囲気中で電極と半導体を合金化する。
最後に、劈開により端面に結晶面を出し、反射率を調整するための誘電体膜を両端面にコーティングして完成する。
【0022】
このように作製される光出力部110のSLD121とSLD122の出射光を光ファイバを用いて受光部150とモニタ部160に入射する。
入射光を用いて、受光部150では断層像を取得し、モニタ部160ではSLD121とSLD122の各スペクトルをモニタする。
モニタ部160でのモニタ結果をもとに、制御部170により駆動部180でのSLD121とSLD122の駆動電流を制御する。
【0023】
図6にSD−OCTシステムに適用した図1の受光部150の具体的構成を示し、光断層像を取得する過程を説明する。
図6に示す受光部は、光出力部110、光出力部110から出射された光を参照光と測定光に分割する光分割部151、参照光反射部152、測定対象物650とそこに光を照射するための照射光学系640からなる測定部153を備える。また、反射した参照光と反射した測定光を合波する光結合部651、光スペクトルの情報を得るスペクトル検出部660およびスペクトル情報を画像に変換する画像変換部190を備える。
光出力部110はSLD121とSLD122、2つの出射光をつなぐ受光部側合波部130、光ファイバへ光を結合するレンズ605より構成されている。光分割部151により参照光と測定光に分波し、分波された光の一部は参照光反射部152へ入る。ここでは、光分割部151と光結合部651は同一のファイバカプラを用いている。
【0024】
参照光反射部152はコリメータレンズ631および632、反射鏡633で構成されており、反射鏡633で反射し再度光ファイバへ入射する。光ファイバから光分割部151で分波されたもう片方の光である測定光は、測定部153へ入る。
測定部153の測定光学系640はコリメータレンズ641および642、光路を90°曲げるための反射鏡643で構成されている。
照射光学系640は入射した光を測定対象物650へ入射するとともに、反射光を再び光ファイバへ結合する役割がある。
そして、参照光学系152および測定部153から戻ってきた光は光結合部651を通り、スペクトル検出部660へ入る。
スペクトル検出部660はコリメータレンズ661および662、分光器154および分光器154により分光された光のスペクトル情報を得るためのラインセンサ155で構成されている。分光器154はグレーティングを用いている。スペクトル検出部660はそれに入射した光のスペクトル情報を得る構成となっている。
スペクトル検出部660で得た情報は、断層画像へ変換するための画像変換部190で画像へ変換され、最終的な出力である断層画像情報が得られる。
【0025】
つぎに、上記システムを用いた本実施例の駆動方法を説明する。
SLD121とSLD122を受光部150内のラインセンサ155の各受光周期内でSLD121を駆動した後、SLD122を駆動する。
SLD121とSLD122は受光周期内で駆動が始まり、終わるようになっており、同時に駆動することはない。
SLD121とSLD122の駆動時間は同じとし、受光周期と各SLDを次に駆動するまでの時間周期は同じである。
SLD121とSLD122の駆動電流を調整することで、受光周期内での合波スペクトルを所望の形状となるようにしている。
このように、受光周期内でSLD121とSLD122を駆動することで所望のスペクトルを得ることができ、各SLDが1つだけ駆動する時間でスペクトルをモニタでき、フィードバックを行うことができる。
ここで、所望のスペクトル形状としては単峰性のスペクトルが望ましいが、取得した断層像のにじみを発生するフーリエ変換した際のサイドローブ量が一定値以下となるようなスペクトル形状であれば、断層像を取得してもよい。よって、制御部170と駆動部180でのスペクトル形状制御はスペクトル形状をこの許容範囲内で制御し続けるように調整を行う。
【0026】
更に、具体的な駆動方法について、以下に説明する。
まず、本実施例でのSLD121とSLD122の駆動電流変化による光スペクトルの変化を説明する。本実施例のA−MQWにおいて、駆動電流を大きくすると短波長側からの発光強度が強くなる。
駆動電流50mAでは単峰性のスペクトルが確認できるが、駆動電流100mAでは短波長側にピークが発生し、2山のスペクトル形状をとる。
ここで、SLD121では50mA、SLD122では100mAで駆動し、それぞれの出射光を合波すると、単峰性に近いスペクトル形状を得ることができる。
本実施例ではSLD121を50mA、SLD122を100mA近傍で駆動し、随時像取得を行うために、一定範囲内でスペクトル形状を制御する。
【0027】
図2に、時間経過に対するSLD121、SLD122それぞれの駆動電流値変化を受光周期と共に示す。
受光周期は50us、SLD121とSLD122の駆動時間は10usである。受光周期開始から、SLD121は5usから15us、SLD122は20usから30usの間で駆動している。
受光周期1内でSLD121が駆動している時間t1の間に、モニタ部160のラインセンサ162でSLD121のスペクトル形状を計測する。
また、SLD122が駆動している時間t2の間に、モニタ部160のラインセンサ162でSLD122のスペクトル形状を計測する。
ここで、SLD121とSLD122のスペクトル形状が計測できるため、その結果からSLD121とSLD122を合波したスペクトル形状を読み出す。
この結果が所望のスペクトル形状からずれている場合、受光周期2でSLD121、SLD122を駆動するまでの間に、それを調整するように次の受光周期2でのSLD121、SLD122の駆動電流を決定する。
受光周期2では、受光周期1の結果を受けた駆動電流でSLD121、SLD122を駆動し、再び各スペクトルをモニタし、フィードバックを行う。
以降これを繰り返す。これにより、熱等によりスペクトル形状が変化していったときに一定範囲内でスペクトル形状を制御することが可能となる。
【0028】
例えば、図2では受光周期1でSLD121を50mA、SLD122を100mAで駆動した場合に、
SLD121は(a1)、SLD122は(a2)に示すようなスペクトル形状を計測し、その合波スペクトルは(a3)に示すような単峰性のスペクトル形状になっている。
受光周期2では、受光周期1と同様にSLD121を50mA、SLD122を100mAで駆動する。
そのときに、SLD121のスペクトル(b1)では(a1)に比べて強度の低下、SLD122のスペクトル(b2)では(a2)に比べて短波長側の強度の増加が計測されたとする。
すると、合波スペクトル(b3)は単峰性から少し歪んだ形状となる。
そこで、受光周期3ではSLD121とSLD122のスペクトルが(c1)、(c2)となり、
合波スペクトル(c3)が単峰性形状となるように、SLD121では駆動電流を55mAに増加、SLD122では駆動電流を95mAに減少することで調整を行う。
このように、合波スペクトルの形状がずれていったときに随時駆動電流を調整することで、断層像を取得可能な範囲内でスペクトル形状を制御する。
なお、事前にスペクトルの電流、温度依存性を測定しておくことで各SLDのスペクトルの調整を行う。
ここでは、SLD121とSLD122の駆動時間を同じとし、駆動周期も一定としたことで、スペクトルの読み出しや調整を簡単にしたが、SLD121とSLD122の駆動時間を変えることでスペクトルの調整を行ってもよい。SLD121とSLD122の駆動時間を変えると、合波スペクトルは出力の積分値であるため、スペクトル形状を様々な形状に制御することができるようになる。
【0029】
スペクトル計測結果のフィードバックに関して、ここではある受光周期で計測した結果を反映させるため、次の受光周期の駆動電流にフィードバックしている。しかし、フィードバックが間に合わない場合などは直後の受光周期に対してではなく、2周期、3周期後の駆動電流にフィードバックをかけてもよい。
モニタ部160のスペクトルを検知するセンサは高速でスペクトルを検知することができるものがよく、各SLDの駆動時間はこの検知時間より長い時間であるのがよい。
光源部のSLDを2つとしたが、3つ以上の構成としてもよく、その際にも各SLDが受光周期内で同時に駆動せずに1つずつ順次駆動する。
また、SLDを3つとしたときに、モニタの数は1つでなく、2つとして、そのうち1つは2つのSLDの出射光をモニタし、もう1つは残り1つのSLDの出射光をモニタする構成としてもよい。
【0030】
本実施例のようにモノリシックに光源部、受光部側合波部、モニタ部側合波部を作製する場合には、活性層としてA−MQWを用いることがより効果的である。
例えば、量子井戸3つのA−MQWを用いたInGaAs/Al0.2GaAs、GaAs/Al0.2GaAs、AlGaAs/Al0.2GaAs活性層を利用した、SLD長0.4mm、リッジ幅3umのSLDを作製したときのスペクトルを図5に示す。
駆動電流50mAでは半値幅が狭いが単峰性のスペクトル、駆動電流100mAでは半値幅が拡大しているが短波側のピークが大きくなってしまっている。
そこで、50mAと100mAの特性を足し合わせると半値幅が広く、より単峰性に近いスペクトルを得ることが確認できる。
このように、A−MQWを用いると同一形状のSLDの駆動電流を変化することだけで、異なるスペクトルをもつSLDが作製可能となる。
【0031】
なお、上記形成方法や半導体材料、電極材料、誘電体材料などは実施形態で開示したものに限るものではなく、本発明の主旨を外れないものであれば、他の方法、材料を利用することも可能である。
例えば、基板はp型GaAs基板を用いてもよく、その場合、各半導体層の導電型もそれに応じて変更させる。
活性層は量子井戸構造に限られたものでなく、バルク材や量子ドットを用いてもよい。
また、波長、材料もこれに限られたものでなく、GaInP、AlGaInN、AlGaInAsP、AlGaAsSb等の発光材料を用いてもよい。
リッジ幅は3um、リッジ長さは0.5mmでなくてもよく、適宜変化させてもよい。また、各SLDでそれぞれリッジ幅やリッジ長さを違うものにしてもよい。
特に各SLDでリッジ長さを変えた場合には、スペクトル形状や光出力が大きく変化するため、同一電流を各SLDに流しても異なるスペクトル形状を得ることが可能となる。
各SLDはリッジ部を用い、リッジを傾斜した構造を用いたが、SLDとして動作する構造であればよく、例えば、傾斜リッジを用いずに窓構造で反射を抑える構造を用いてもよい。
光分割部はファイバカプラでなく、ビームスプリッター等を用いてもよい。
モニタ部の構成はSLDからの出射光のスペクトルをモニタできる構成であれば本構成に限らない。
合波部としてY分岐型の合波器を用いたが、これに限定されるものではなく、MMI(マルチモード干渉)型などの合波できる機能を持つ他の合波方法であってもよい。
また、ここではモノリシックに光源部、受光部側合波部、モニタ部側合波部を作製したが、光源部のSLDを別々に作製し、それをファイバカプラ等で合波して本構成を満たしてもよい。
【0032】
[実施例2]
実施例2として、実施例1とは異なる形態のSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置の構成例について説明する。
本実施例では、SD−OCTシステムとして、光源部は2つのSLDを備える。実施例1のときは2方向に出射光を有し、それぞれ断層像取得、モニタに用いていたのに対して、本実施例では2つのSLDはそれぞれ1方向の出射光を用いる。そして、それを合波した後に分波する分波部を有し、分波した光を受光部とモニタ部に利用する構成を採る。
駆動方法として、2つのSLDは受光周期内で各々1つだけ駆動する時間を有し、それ以外の時間は2つのSLDが同時に駆動する。
以下では、実施例1との差分について説明し、実施例1と基本的な構造や層構成は特に言及しない限りは同じものとし、同一符号を用いる。
【0033】
つぎに、図7を用いて、本実施例での光断層画像を取得するSD−OCTシステムについて説明する。
本実施例のD−OCTシステムは、図7に示すように、2つのSLDであるSLD721とSLD722からなる光源部720と、
SLD721とSLD722からの出射光を受光部150に導く受光部側合波部130と、
受光部側合波部130でSLD721とSLD722の出射光を合波した合波光を分波する分波部750と、
分波した一方の光を受光し測定対象物の情報を得る受光部150と、
分波したもう一方の光のスペクトルをモニタする分光器161とラインセンサ162で構成されるモニタ部160と、を備える。
また、モニタ部160でのモニタ結果を駆動部180にフィードバックする制御部170と、
受光周期内でSLD721とSLD722が各々1つだけ駆動する時間を有し、それ以外の時間は2つのSLDを同時に駆動する駆動部180と、
受光部150で得たスペクトル情報を画像に変換する画像変換部190と、を備える。
【0034】
この構成では、実施例1と比べ、受光部側合波部130にモニタ部に導く合波部を兼ねさせることによってモニタ部側合波部がなくなり、分波部750が追加されている。
例えば、SLD721、SLD722において、2方向の出射光の光特性が異なっているような場合に、実施例1ではそれぞれの相関関係を得る必要があった。しかし、本実施例では合波して分波した光を像取得とモニタに用いているため、フィードバックをかけることが容易となる。
これは、例えば、SLD721、SLD722各々の駆動方法として多電極を用いて複数の電流を1つのSLDに印加した場合には、SLD721、SLD722の2方向の出射光の特性が異なることがあるため、効果的な構成であるといえる。
【0035】
つぎに、本実施例の駆動方法について図8を用いて説明する。
ここでは、実施例1と同様な層構造を用いて、各SLDは同様な特性を得るものとする。
SLD721を50mA、SLD722を100mA近傍で駆動する。
受光周期は50us、SLD721のみを50mAで駆動する時間t1は10us、SLD722のみを100mAで駆動する時間t2は10us、SLD721を50mA、SLD722を100mAで同時に駆動する時間t3は30usである。
このように、2つのSLDを、受光周期内における所定の時間だけ各々1つだけ駆動する時間を有し、受光周期内における前記所定の時間以外の時間には、2つのSLDが同時に駆動する。
実施例1と同様に、SLD721とSLD722の駆動電流を調整することで、受光周期内での合波スペクトルを所望の形状となるようにしている。
モニタ部160のラインセンサ162で、受光周期1内のt1の間にSLD721のスペクトル形状(8a1)を、t2の間にSLD722のスペクトル形状(8a2)を計測する。
また、合波スペクトル(8a3)に関してはt1、t2の間に得た情報から合波スペクトルを算出してもよいし、t3の間に合波スペクトルを直接計測してもよい。実施例1と同様にこの結果を受光周期2での駆動電流にフィードバックする。
【0036】
具体的には、受光周期1で、SLD721のスペクトル(8a1)の強度が小さく、SLD722のスペクトル(8a2)では短波長側の強度が大きいため、合波スペクトル(8a3)は単峰性から少し歪んだ形状となっている。
そこで、受光周期2では単峰性形状に修正するため、SLD721では駆動電流を55mAに増加、SLD722では駆動電流を95mAに減少することで合波スペクトル(8b3)が単峰性形状となるように調整を行っている。
このように駆動すると、実施例1と比べ、各SLDを光らせている時間が長いため、像取得により多くの光量を無駄なく利用することが可能である。
駆動方法はこれに限らず、2つのSLDが受光周期内で各々1つだけが駆動される時間を有するならば、SLD721、SLD722のみが駆動する時間は連続である必要はない。SLD721のみが駆動するt1、2つが同時に駆動するt31、SLD722のみが駆動するt2、2つが同時に駆動するt32のように駆動してもよい。
ここでは、SLD721とSLD722の駆動時間を同じとし、駆動周期も一定としているが、SLD721とSLD722の駆動時間を変えることでスペクトルの調整を行ってもよい。
【0037】
[実施例3]
実施例3として、上記各実施例とは異なる形態のSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置の構成例について説明する。
以下では、実施例1、2との差分について説明する。
本実施例では、SD−OCTシステムを用いた光断層画像装置の構成としては、実施例1と同様な構成とし、光源部120は2つのSLD、SLD921とSLD922で構成する。実施例1と基本的な構造や層構成は特に言及しない限りは同じものとし、同一符号を用いる。なお、実施例1の構成でなく、実施例2の構成をとってもよい。
駆動方法として、2つのSLDは任意の受光周期毎に各々1つだけ駆動する時間を有するように駆動し、その間の受光周期内では2つのSLDはともにCW駆動する。
【0038】
つぎに、図9を用いて本実施例の駆動方法について説明する。
ここでは、実施例1と同様な層構造を用いて、各SLDは同様な特性を得るものとする。SLD921を50mA、SLD922を100mA近傍で駆動する。受光周期は50usであり、受光周期1ではSLD921とSLD922の駆動時間は10us、SLD921は50mAで5usから15us、SLD922は100mAで20usから30usの間、駆動している。
実施例1の時と同様に、受光周期1内でSLD921が駆動している時間t1の間にSLD921のスペクトル形状を、SLD922が駆動している時間t2の間にSLD922のスペクトル形状を計測する。
受光周期1でのSLD921とSLD922のスペクトルのモニタ結果(9a1)、(9a2)から、受光周期2での合波スペクトル(9b3)が単峰性形状となるように各駆動電流を決定する。
そして、受光周期2から受光周期4までの間、各駆動電流、ここではSLD921は55mA、SLD922は95mAでCW駆動する。
受光周期5では再び、受光周期1のときと同様な時間周期でSLD921は55mA、SLD922は95mAで10usずつ駆動し、その結果を受光周期6の駆動電流にフィードバックする。
【0039】
このように、2つのSLDは任意の受光周期毎に受光周期内で各々1つだけ駆動する時間を有するように駆動して各SLDのスペクトルをモニタし、それ以外の受光周期では2つのSLDはともにCW駆動する。
そうすることで、随時フィードバックを行うことはしないが、実施例1よりも効率的に光出力を利用することが可能となる。
駆動方法として、各SLDが各々1つだけ駆動する時間を有する任意の受光周期内では、実施例2のように2つのSLDは受光周期内で各々1つだけが駆動する時間を有し、それ以外の時間は2つのSLDを同時に駆動してもよい。
また、ここでは2つのSLDがCW駆動する受光周期は3周期としているが、任意の周期としてもよい。
【0040】
[実施例4]
実施例4として、上記各実施例とは異なる形態の光断層画像を取得するSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置の構成例について説明する。
以下では、実施例1、2、3との差分について説明する。
本実施例では、SD−OCTシステムを用いた光断層画像装置の構成としては、光源部は2つのSLDで構成され、2つのSLDの出射光をモニタ部でモニタする直前に位置し、任意時間、スペクトルをモニタ可能とするSW部を有する。
SW部は任意の受光周期毎に1つのSLDのみのスペクトルをモニタできるように駆動する。SW部を有すれば、実施例1、実施例2のどちらの形態に適応してもよく、図10では実施例1に適応した構成を示す。
光源部1020はSLD1021とSLD1022で構成され、モニタ部側合波部130とモニタ部160の間にSW部1050を有する。
例えば、SW部1050は光をさえぎるようなシャッターを用いる。なお、実施例1と基本的な構造や層構成は特に言及しない限りは同じものとし、同一符号を用いる。
駆動方法として、2つのSLDは受光周期内で各々1つだけ駆動する時間を有するように駆動し、SW部は任意の受光周期毎にSLD1021、SLD1022のどちらかのみのスペクトルをモニタできるように駆動する。
【0041】
つぎに、図11を用いて本実施例の具体的な駆動方法について説明する。
ここでは、実施例1と同様な層構造を用いて、各SLDは同様な特性を得るものとする。SLD1021を50mA、SLD1022を100mA近傍で駆動する。
SLD1021とSLD1022の駆動時間は実施例1と同様に、受光周期は50us、
受光周期1ではSLD1021とSLD1022の駆動時間は10us、SLD1021は50mAで5usから15us、SLD1022は100mAで20usから30usの間、駆動している。
その後の受光周期でも同様の時間間隔で駆動する。
SW部1050のシャッターは受光周期1ではSLD1021が駆動しているときのみOPEN(ON)し、それ以外のときはCLOSE(OFF)する。
それにより、受光周期1ではSLD1021のみのスペクトル(11a1)をモニタすることとなる。
さらに、受光周期2、受光周期3でもSLD1021が駆動しているときのみシャッターをOPENし、SLD1021のスペクトル(11a2)、(11a3)をモニタする。
【0042】
次に、受光周期4ではシャッターをSLD1022が駆動しているときのみOPENし、それ以外のときはCLOSEすることで、SLD1022のみのスペクトル(11b1)をモニタする。
受光周期5、受光周期6でも同様にSLD1022のみのスペクトル(11b2)、(11b3)をモニタする。
そして、受光周期1から受光周期3で得たSLD1021の結果と、受光周期4から受光周期6で得たSLD1022の結果である合波スペクトル(11c3)を受光周期7で合波スペクトル(11d3)が単峰性形状となるように駆動電流を調整する。
図11では、具体的に受光周期7でSLD1021は55mA、SLD1022は95mAで駆動する。
そして、受光周期8から受光周期10でSLD1021のスペクトル計測を行う、ということを繰り返す。
【0043】
このように、各SLDのスペクトルを複数の受光周期によりモニタし、各SLDのスペクトルを取り終えたら次の受光周期にフィードバックをかけることで、断層像取得を行いながら、任意の受光周期毎にフィードバックをかけることができる。
本実施例は1つの受光周期内のみでは各SLDのスペクトルをモニタできない場合等、複数の受光周期で積算してスペクトルを測定する必要があるときに効果的である。
2つのSLDの駆動方法として、受光周期内で各々1つだけ駆動する時間を有するように駆動すれば、実施例2のように2つのSLDは受光周期内で各々1つだけが駆動される時間を有し、それ以外の時間は2つのSLDを同時に駆動してもよい。
そのときもシャッターは各SLDが1つだけ駆動しているときにOPENするように駆動する。
【0044】
ここでは各SLDのスペクトルをモニタする受光周期は3周期としているが、任意の周期としてもよい。
シャッターは各SLDが1つだけ駆動しているときにOPENするように駆動しているが、各SLDを1つだけモニタできるようであれば、OPENしている時間は各SLDの駆動時間と同じでなくてもよい。
SW部は任意時間、スペクトルをモニタ可能とするものであれば、シャッター以外を用いてもよい。
ここで、各実施例で示したSLDの駆動方法とSD−OCTシステムの構成、特に光出力部の構成は各実施例上の組み合わせのみでなく、可能な限りどのように組み合わせて使用してもよい。
SLDの数や駆動時間、フィードバック方法等も各実施例で示したものを適当な範囲内で別の実施例について適応してもよい。
【符号の説明】
【0045】
110:光出力部
120:光源部
121、122:SLD(スーパールミネッセントダイオード)
130:受光部側合波部
140:モニタ部側合波部
150:受光部
151:光分割部
152:参照光反射部
153:測定部
154:分光器
155:ラインセンサ
160:モニタ部
161:分光器
162:ラインセンサ
170:制御部
180:駆動部
190:画像変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SD−OCT(Spectral Domain OCT)システムによる光断層画像取得装置であって、
2つ以上のSLD(スーパールミネッセントダイオード)で構成される光源部と、
測定対象物の情報を得るためのラインセンサ及び分光器を含み構成される受光部と、
前記光源部の一端側から出射される前記2つ以上のSLDの出射光を合波し、前記受光部に導く受光部側合波部と、
前記光源部における2つ以上のSLDの出射光のスペクトルを、1つのモニタでモニタすることが可能に構成されたモニタ部と、
前記SLDを駆動する駆動部と、
前記モニタ部でのモニタ結果を、前記駆動部にフィードバックする制御部と、 を有し、
前記駆動部では、前記ラインセンサが信号を読みだす周期時間である受光周期のうちの任意の受光周期内で、
前記2つ以上のSLDが同時に駆動せず、各々1つが駆動する時間を有するように駆動可能に構成されていることを特徴とするSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置。
【請求項2】
前記光源部は、前記一端側と他端側の2方向に出射光を出射するように構成され、
前記他端側から出射される出射光を、前記モニタ部に導くモニタ部側合波部を有することを特徴とする請求項1に記載のSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置。
【請求項3】
前記受光部側合波部で合波された合波光を、2つに分波する分波部を有し、
前記分波部で分波された光が前記受光部と前記モニタ部に入力されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置。
【請求項4】
前記受光部側合波部が、前記光源部から出射される前記2つ以上のSLDの出射光を合波し、前記モニタ部に導く合波部を兼ねていることを特徴とする請求項3に記載のSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置。
【請求項5】
前記光源における前記一端側からの出射光と前記他端側からの出射光は、同じ光出力となるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置。
【請求項6】
前記2つ以上のSLDが、前記受光周期内で駆動時間が重ならないように1つずつ順次駆動し、
前記2つ以上のSLD全てが1回ずつ駆動し終えるまでにかかる総駆動時間が、前記受光周期より短くなるように駆動することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置。
【請求項7】
前記2つ以上のSLDを、前記受光周期内における所定の時間だけ各々1つだけ駆動する時間を有し、
前記受光周期内における前記所定の時間以外の時間には、前記2つ以上のSLDが同時に駆動することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置。
【請求項8】
前記2つ以上のSLDが任意の前記受光周期毎に、各々1つだけ駆動する時間を有するように駆動し、
それ以外の前記受光周期では、該受光周期内でCW駆動することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置。
【請求項9】
前記2つ以上のSLDの前記出射光を前記モニタ部で、任意の時間におけるスペクトルをモニタ可能とするSW部を有し、
任意の前記受光周期毎に1つの前記SLDのみをモニタできるようにSW部を駆動することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置。
【請求項10】
前記2つ以上のSLDは全ての前記受光周期内で各々1つだけ駆動する時間を有するように駆動することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項、または請求項9に記載のSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置。
【請求項11】
前記2つ以上のSLDが各々1つだけ駆動する時間は、前記モニタ部でスペクトルを検知する時間より長いことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置。
【請求項12】
前記制御部はある前記受光周期内におけるモニタ部でのモニタ結果を、次の前記受光周期内で駆動部に反映し、
前記2つ以上のSLDを駆動するように駆動部を制御することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のSD−OCTシステムによる光断層画像取得装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−88416(P2013−88416A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232492(P2011−232492)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】