説明

SDI中継システム

【課題】 従来のDC電圧成分をAC信号成分に重畳する信号をインターフェースとする装置においては、特段電源投入制御/電源停止制御を行わずに、AC信号成分にDC電圧成分を供給し、誤って他の機器に接続した場合、DC電圧成分によって機器を破損するという問題があった。
本発明は、AC信号成分にDC電圧成分が重畳されている信号ラインに対応していない機器に誤って接続した場合でも、機器を破損させることのないSDI中継装置を提供することを課題としている。
【解決手段】 本発明のSDI中継システムは、電源投入操作をする端で、予め安全な低電圧を信号ラインに送出し、これが正しく他端に届いたことで途中の接続が全て正常であることを検出し、このときだけ正規のラインDC電圧を供給する。また受信端からラインに対して電圧を供給することで送信端での負荷の開放の検出回路を不要とし、受信端が入力信号を検出できないときはラインへのDC電圧供給を止める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送信号の伝送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の誤接続防止機能を有する装置は、例えば監視用カメラに搭載されるような技術として、定電流のDC重畳に於いて大電流を検出したら負荷を開放することによりカメラの電源がオン/オフを繰り返し、表示画像で異常を認識するという誤接続防止機能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−229271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のDC電圧成分をAC信号成分に重畳する信号をインターフェースとする装置においては、特段電源投入制御、電源停止制御を行わずに、AC信号成分にDC電圧成分を供給し、これにより、誤って他の機器に接続した場合、DC電圧成分によって機器を破損するという問題があった。また、ラインの電源投入シーケンス自体が確立されていなかった。さらに、一旦電源がONになった後にケーブルを外して、それを他の機器に接続した場合には、やはり信号ラインに供給されているDC電圧成分が機器を破損する恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決し、AC信号成分にDC電圧成分が重畳されている信号ラインに対応していない機器に、誤って接続した場合でも、機器を破損させることのない安全なSDI(Serial Digital Interface)中継システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決する為に、本発明のSDI中継システムは、電源投入操作をする端で、予め安全な低電圧を信号ラインに送出し、これが正しく他端に届いたことで途中の接続が全て正常であることを検出し、このときだけ正規のラインDC電圧を供給する。また受信端からラインに対して電圧を供給することで送信端での負荷の開放の検出回路を不要とし、受信端が入力信号を検出できないときはラインへのDC電圧供給を止めることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明では最初に電源投入する際に特別なシーケンスがあり、電源投入操作をする端で最初に安全な低電圧をラインに供給し、これが正しく他端で検出された時にこの他端から正規のDCをラインに供給する。このため、途中に他の機器が誤接続された状態ではDCが供給されないので安全である。
【0008】
ここで電源投入操作端(送信端側)からはライン電圧を供給せず、受信端だけが正規のライン電圧を供給するので、ケーブルが外れたことは受信端における受信信号が途切れたことの検出で可能である。たとえば、キャリアディテクトやCDRのPLLロック信号などを利用して受信信号が正しく受信できないときはケーブルが外れたとして、ライン電圧供給をストップする。これによりラインにDCが供給されている最中にケーブルが外れてもDC供給が絶たれて安全である。
【0009】
本発明によれば、AC信号成分にDC電圧成分を供給/停止する際、電源投入制御、電源停止制御を行うので、誤って当初/途中から他の機器に誤接続した場合でも、DC電圧成分によって他の機器を破損するという事故が防止出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の機能ブロック図である。
【図2】本発明の処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図によって本発明を説明する。
【0012】
図1において起動ボタン3によりシステム全体に低い直流電圧が供給される。ここではこの電圧を低電圧と呼ぶ。この低電圧は信号系の回路は動作せず、かつ通常の測定器など他の機器に印加しても安全な電圧である。
【0013】
この低電圧は、低電圧検出器10により検出される。もし途中のケーブル等が正規に接続されていない場合は、低電圧検出器10には低電圧が届かない。従って、低電圧検出器10が低電圧を検出したとすれば、システムが正規に接続されている状態であると認識する。
【0014】
低電圧検出器10の出力はシステム全体の電源を投入するトリガとして使われる。低電圧検出器10が低電圧を検出した場合は、低電圧検出器10の出力が正規電源11をドライブして、システム全体の電源が投入される。
【0015】
正規電源が投入されたことによって、低電圧検出器10の動作を停止させる。この場合、低電圧検出器10の出力は正規電源側にてラッチされており、低電圧電源2の動作が停止しても電源は供給し続けられる。これにより、電源断の手段が有効になる。
【0016】
上記低電圧検出器10の出力をラッチしない場合は、電源断の指令を低電圧検出器10が受けて、その出力を反転させ、正規電源11をOFFする。図1は前者の構成が描かれている。
【0017】
図1の構成において、信号送信端がシステム起動能力を持ち、信号受信端が電源供給能力を持つ様にすると、動作中にケーブルを抜いた場合にも都合が良い。これは、ケーブルが抜かれたことを検知するのは送信端より受信端の方が信号到達の監視が容易なためである。
【0018】
受信端でケーブルが抜けたことを検知するには、受信器内のキャリアディテクト信号やクロックリカバリ回路のPLLロック信号がそのまま使える。図1の実施例ではPLLのロック信号で正規電源11をリセットしている。
【0019】
電源がOFFした後、電圧が低下していき、ある低電圧に達すると、低電圧検出器10が働いて再起動してしまう恐れがある。これを防ぐために低電圧検出器10は電源OFF信号から一定時間はONになれないようなディスエイブル機能を持たせるか、一端電圧がほぼ0Vになるまで再起しない機能を持つ。
【0020】
図2は本発明の処理フローチャートであり、受信端の低電圧検出の有無により正規電圧付加の有無が選択される。
【符号の説明】
【0021】
1 元電源
2 低電圧電源
3 起動ボタン
4 バイアスティー
5 送信器
6,7,8 中継器
9 バイアスティー
10 低電圧検出器
11 正規電源
12 元電源
13 受信器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DC電圧成分とAC信号成分が重畳されたSDI信号の中継システムにおいて、電源投入シーケンスおよび/または電源断シーケンスにより、誤接続を防止する機能を有することを特徴とするSDI中継システム。
【請求項2】
前記誤接続防止機能は、電源投入操作をする端で、安全な低電圧を事前にラインへ送出し、これが正しく他端に届いたことで途中の接続が全て正常であることを検出し、このときだけ正規のラインDC電圧を供給することを特徴とする請求項1に記載のSDI中継システム。
【請求項3】
前記誤接続防止機能で、電源投入は送信端で行い、受信端に電源投入信号を送り、これを受けた受信端がラインに正規電力を供給することを特徴とする請求項2に記載のSDI中継システム。
【請求項4】
前記誤接続防止機能は、受信端が入力信号を検出できないときはライン信号へのDC電圧供給を止めることを特徴とする請求項2に記載のSDI中継システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−77743(P2011−77743A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225816(P2009−225816)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000101330)アストロデザイン株式会社 (28)
【Fターム(参考)】