説明

SDMAを使用してアップリンク帯域を割り当てるための帯域割当て基地局および方法

【課題】帯域要求のためのオーバーヘッドの量を低減する、ならびに同時に出される帯域要求が衝突することによって生じるレイテンシの増加を低減する。
【解決手段】アップリンク帯域要求メッセージは、1またはそれ以上の加入者局から、帯域要求コンテンション・チャネル上で受信される。アップリンク帯域要求メッセージは、ランダムに選択されたディスジョイント・パイロット・パターンのパイロット・サブキャリアを、選択された直交シーケンスで変調することによって、加入者局により生成される。アップリンク帯域要求メッセージが首尾よく検出および復号されたとき、基地局は加入者局にアップリンク帯域を割り当てる。基地局は、SDMA技術を用いて、直交シーケンスに基づいてチャネル応答を決定し、アップリンク帯域要求メッセージを検出および復号する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
いくつかの実施例は、ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおける帯域割当てに関する。いくつかの実施例は、WiMaxネットワークのようなブロードバンド・ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおけるアップリンク帯域要求およびアップリンク帯域要求のレンジングに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の多くのワイヤレス・アクセス・ネットワークでは、加入者局による帯域要求のために大量のオーバーヘッドが消費され、また、同時に出される要求が衝突することによってレイテンシが増加する。したがって、帯域要求のためのオーバーヘッドの量を低減する機器および方法、ならびに、同時に出される帯域要求が衝突することによって生じるレイテンシの増加を低減する機器および方法が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006−501770号公報
【特許文献2】特表2004−503181号公報
【特許文献3】特表2006−504335号公報
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】いくつかの実施例に従って、空間分割多元接続(SDMA)ワイヤレス・アクセス・ネットワークを示す。
【図2】いくつかの実施例に従って、アップリンク帯域要求プロセスにおけるアップリンクおよびダウンリンク・サブフレームを示す。
【図3】いくつかの実施例に従って、帯域要求コンテンション・チャネルを示す。
【図4】いくつかの実施例に従って、ディスジョイント・パイロット・パターンを示す。
【図5】いくつかの他の実施例に従って、アップリンク帯域要求プロセスにおけるアップリンクおよびダウンリンク・サブフレームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の記述および図面は、当業者が特定の実施例を実施できる程度に十分に開示される。他の実施例によって、構造的、論理的、電気的なプロセスまたは他の変更が組み込まれてもよい。本実施例は、単に実施可能なバリエーションを典型的に示したものである。個々のコンポーネントおよび機能は、必要であることが明示されない限りオプションであり、また、動作のシーケンスを変更することも可能である。いくつかの実施例の一部および構成は、他の実施例に包含されてもよく、または、他の実施例の一部および構成の代わりに用いられてもよい。請求項に記述された本発明の実施例は、それらの請求項において利用可能な均等物をすべて包含する。
【0006】
図1は、いくつかの実施例に従って、SDMAワイヤレス・アクセス・ネットワークを示す。ネットワーク100は、基地局102、および、1またはそれ以上の加入者局(SS)104を含む。マルチアクセスの実施例では、基地局102は、ダウンリンク(DL)サブフレーム107で送信することによって加入者局104と通信し、また、加入者局104は、アップリンク(UL)サブフレーム109で送信することによって基地局102と通信する。基地局102は、各加入者局104が現在のダウンリンク・サブフレームにおいて情報を受信するための特定の時間および周波数資源、および、各加入者局104が次のアップリンク・サブフレームにおいて情報を送信するための特定の時間および周波数資源を示すために、ダウンリンク・サブフレーム107内に1またはそれ以上のマップを含む。
【0007】
基地局102は、とりわけ、加入者局104と信号をやり取りするための物理(PHY)層回路112、および、加入者局104から受信した信号を処理し、かつ、加入者局104へ送信する信号を処理するための信号処理回路(SPC)114を含む。いくつかの実施例では、物理層回路112は、加入者局104から帯域要求コンテンション・チャネル(contention channel)上の直交シーケンスを受信するために形成される。以下でより詳細に記述されるように、信号処理回路類114は、加入者局104にアップリンク帯域を割り当てるために、受信信号を検出し、および/または復号する。
【0008】
いくつかの実施例では、基地局102は、複数のアンテナ103を通して加入者局104からとりわけ直交シーケンスを受信し、また、衝突している2またはそれ以上の直交シーケンスを識別するために、1またはそれ以上のSDMA技術を使用する。従って、衝突している加入者局の送信が、アップリンク帯域割当てのために検出される。これらの実施例は、以下でより詳細に記述される。
【0009】
いくつかの実施例では、基地局102および加入者局104は、直交周波数分割多重(OFDM)通信信号を使用するマルチキャリア通信技術を用いて通信する。OFDM信号は、複数の直交サブキャリアを含む。これらのマルチキャリアの実施例のいくつかにおいて、基地局102は、世界的に相互運用可能なマイクロ波アクセス(WiMax)通信局のようなブロードバンド・ワイヤレス・アクセス(BWA)ネットワーク通信局の一部であるが、本発明の範囲はこの点に制限されない。加入者局104は、WiMax加入者局のようなBWAネットワーク通信局であるが、本発明の範囲はこの点に制限されない。いくつかの実施例では、基地局102および加入者局104は、直交周波数分割多元接続(OFDMA)のような多元接続技術を用いて通信する。加入者局は、例えば、携帯情報端末(PDA)、ワイヤレス通信能力を備えたラップトップまたはポータブル・コンピュータ、ウェブ・タブレット、ワイヤレス電話、ワイヤレス・ヘッドホン、ページャ、インスタント・メッセージング装置、デジタル・カメラ、アクセス・ポイント、テレビ、医療機器(例えば、心拍数モニタ、血圧モニタなど)、あるいは情報をワイヤレスで受信および/または送信する他の装置のような、ほとんど全てのポータブル・ワイヤレス通信装置である。
【0010】
いくつかの実施例において、基地局102および加入者局104は、ワイヤレス・メトロポリタン・エリア・ネットワーク(WMAN)のための802.16−2004およびIEEE802.16(e)規格、およびそのバリエーションおよび発展形を含む、電気電子学会(IEEE)規格のような特定の通信規格に従って通信するが、本発明の範囲はこの点に制限されず、さらに、それらは、他の技術および標準に従った動作にも適する。いくつかの実施例では、基地局102および加入者局104は、IEEE802.16(m)タスク・グループの規定に従って動作する。IEEE802.16規格およびタスク・グループに関する詳細については、「IEEE Standards for Information Technology−−Telecommunications and Information Exchange between Systems」ローカル・メトロポリタン・エリア・ネットワーク−詳細仕様−16部:「Air Interface for Fixed Broadband Wireless Access Systems」2005年5月、および関連する改定/版を参照されたい。いくつかの実施例では、基地局102および加入者局104は、3GPP LTE規格に従って通信することができる。
【0011】
アンテナ103,105は、例えば、ダイポール・アンテナ、モノポール・アンテナ、パッチ・アンテナ、ループ・アンテナ、マイクロストリップ・アンテナ、またはRF信号の送信に適した他のタイプのアンテナを含む、1またはそれ以上の指向性または全方向性アンテナを含む。いくつかの実施例では、2またはそれ以上のアンテナの代わりに、複数のアパーチャを有する単一のアンテナが使用されてもよい。これらの実施例では、アパーチャのそれぞれが、個別のアンテナであると考えられる。SDMAおよびマルチユーザのマルチ入力マルチ出力(MIMO)のいつくかの実施例では、アンテナ103は、アンテナ103の各々とアンテナ105の各々との間に生じる空間ダイバシティおよび異なるチャネル特性を利用して有効に分離される。加入者局104は、単一のアンテナ105のみを有するように示されているが、加入者局104は、1またはそれ以上のアンテナを含んでもよい。
【0012】
図2は、いくつかの実施例に従って、アップリンク帯域要求プロセスにおけるアップリンクおよびダウンリンク・サブフレームを示す。アップリンク(UL)サブフレーム202,206,210は、アップリンク・サブフレーム109(図1)に対応し、また、ダウンリンク(DL)サブフレーム204,208は、ダウンリンク・サブフレーム107(図1)に対応する。
【0013】
これらの実施例では、基地局102(図1)は、アップリンク・サブフレーム202において、加入者局104(図1)から直交コードを受信し、ダウンリンク・サブフレーム204において、検出された直交コードをブロードキャストし、アップリンク・サブフレーム206において、検出された加入者局が何時アップリンク帯域要求を送信するのかを示す。基地局102(図1)は、ダウンリンク・サブフレーム208において、加入者局に帯域割当てを提供し、また、加入者局104(図1)は、ダウンリンク・サブフレーム208において、基地局102(図1)によって示されたように、アップリンク・サブフレーム210の部分でアップリンク・データを送信する。以下でより詳細に記述されるように、基地局102(図1)は、SDMA技術を用いて、アップリンク・サブフレーム202において衝突している加入者局から受信した信号を検出する。基地局102(図1)は、さらに、SDMA技術を用いて、アップリンク・サブフレーム206において同時に受信されたアップリンク帯域要求メッセージを復号する。
【0014】
図3は、いくつかの実施例に従って、帯域要求コンテンション・チャネルのタイルを示す。これらの実施例では、加入者局104(図1)は、アップリンク・サブフレーム202(図2)の期間に、2またはそれ以上のタイル302内で直交シーケンスを送信する。タイル302のそれぞれは、帯域要求コンテンション・チャネルの時間-周波数ブロックを含む。特定の加入者局によって利用される2またはそれ以上のタイルは、図のように、周波数サブキャリアの異なるセットを含む。基地局102(図1)は、複数の直交シーケンスのそれぞれを、受信された直交シーケンスに適用することにより、1またはそれ以上の加入者局104(図1)を検出する。これらの実施例では、基地局102(図1)は、アンテナ103(図1)を通して加入者局104(図1)から直交シーケンスを受信し、さらに、SDMA技術を用いて、衝突したかも知れない2またはそれ以上の直交シーケンスを識別する。これらの実施例では、加入者局104(図1)は、アップリンク・サブフレーム202(図2)の期間に、帯域要求コンテンション・チャネル上の2またはそれ以上の周波数直交タイル302内で直交シーケンスを送信する。
【0015】
図3に示されるように、各直交タイル302内で送信された直交シーケンスは、異なる周波数サブキャリア上で加入者局によって送信される。図3の例では、直交シーケンスの最初の3ビットが1つのサブキャリア上で送信され、次の3ビットが別のサブキャリア上で送信される等である。タイル302は、12ビットの送信のみについて示されるが、直交シーケンスは、一般に、より多くのビットを含む。
【0016】
図4は、いくつかの実施例に従って、ディスジョイント・パイロット・パターンを示す。いくつかの実施例では、基地局102(図1)は、ダウンリンク・サブフレーム204(図2)においてスケジュールをブロードキャストするが、それは、検出された直交コード、および、検出された各加入者局104(図1)に対する複数のディスジョイント・パイロット・パターン400の1つの割当てを含む。ディスジョイント・パイロット・パターン400のそれぞれは、アップリンク・サブフレーム206(図2)においてアップリンク帯域要求メッセージの検出された加入者局104(図1)によって後続の送信のために使用される。ディスジョイント・パイロット・パターン400は、直交(すなわち、オーバーラップしない)パイロット・サブキャリア402、および、非直交(すなわち、オーバーラップする)データ・サブキャリア404を含む。したがって、ディスジョイント・パイロット・パターン400Aのパイロット・サブキャリア402のそれぞれは、ディスジョイント・パイロット・パターン400Bの対応する位置に、ヌルのサブキャリア406を有し、また、ディスジョイント・パイロット・パターン400Bのパイロット・サブキャリア402のそれぞれは、ディスジョイント・パイロット・パターン400Aの対応する位置に、ヌルのサブキャリア406を有する。従って、ディスジョイント・パイロット・パターン400の1つのパイロット・サブキャリア402上で送信された直交シーケンスは、加入者局を識別するだけでなく、送信している加入者局のチャネル応答を決定するためにも使用される。従って、基地局102(図1)がSDMA処理技術を使用することによって、加入者局104(図1)は、同一周波数のデータ・サブキャリアを使用して、アップリンク帯域の要求を同時に出すことが可能になる。
【0017】
いくつかの実施例では、少なくともいくつかの加入者局104(図1)は、次のアップリンク・サブフレーム206(図2)において、アップリンク帯域要求メッセージの送信のために非直交データ・サブキャリア404を使用する。基地局102(図1)は、次のアップリンク・サブフレーム206(図2)において、2またはそれ以上の加入者局からアップリンク帯域要求メッセージを受信し、さらに、SDMA技術を用いて、同じデータ・サブキャリア404上で2またはそれ以上の加入者局104(図1)によって送信されたアップリンク帯域要求メッセージを分離する。これらの実施例では、アップリンク帯域要求メッセージは、ディスジョイント・パイロット・パターン400の相違を用いて送信される。図4は、2つのディスジョイント・パイロット・パターン400のみを示すが、いくつかの実施例では、3つ以上のディスジョイント・パイロット・パターンを使用してもよい。
【0018】
いくつかの実施例では、各加入者局104(図1)は、アップリンク・サブフレーム202(図2)において直交シーケンスを送信し、また、1つのアンテナ105(図1)を使用して、アップリンク・サブフレーム206(図2)においてアップリンク帯域要求メッセージを送信するが、これは必ずしも要求されない。他方、基地局102(図1)は、2またはそれ以上のアンテナ103(図1)を用いてアップリンク帯域要求メッセージを受信するが、そのためにSDMA技術が利用される。
【0019】
図1〜図4を参照して、いくつかの実施例において、直交シーケンスは、アップリンク・サブフレーム202におけるそれらの送信に先立って、加入者局104によってランダムに選択される。これらの実施例では、加入者局104は、アップリンク帯域要求を開始するために、アップリンク・サブフレーム202の期間中に2またはそれ以上のタイル302内のランダムに選択された直交シーケンスを送信する。これらの実施例では、加入者局104は、アップリンク帯域要求を開始するために、帯域要求コンテンション・チャネルを介して基地局102に対し、非直交コード、あるいは符号分割多重接合(CDMA)コードのような部分的直交コードの送信を差し控える。従来のWiMaxネットワークでは、加入者局による帯域要求は、1つのOFDMシンボルのサブキャリアの重要な部分上で変調された、非直交コードあるいはCDMAコードのような部分的直交コードを含む。
【0020】
これらの実施例では、各加入者局104は、帯域要求コンテンション・チャネル上で直交シーケンスを送信するために、2またはそれ以上のオーバーラップしないタイル302を選ぶ。タイルはランダムに選択されるので、加入者局104は、最終的には、他の加入者局によって選択されたタイルと完全または部分的にオーバーラップするタイルを選択することになる。基地局102によってSDMA技術が使用されることで、異なる直交コードの検出が促進される。
【0021】
SDMAの使用によって要求できるチャネル帯域が増大するので、衝突率および遅延が低減する。さらに、SDMAの使用によって、加入者局104のアンテナ105および基地局102のアンテナ103によって形成される増加した空間チャネルを使用してネットワーク処理能力が拡大する。実施例によれば、SDMAが帯域要求のために利用された場合、これによって、2またはそれ以上の加入者局104が同時に送信することが可能になる。これとは対照的に、従来の帯域要求スキームにおいて衝突が生じたときは、加入者局のいずれもが検出されない。
【0022】
従来の帯域要求スキームでは、CDMAコードは、加入者局を識別するために使用される。いくつかの実施例によれば、これらのCDMAコードは、1セットの直交シーケンスb,i=1,...Mに対して、
【数1】

で置き換えられる。あらゆる周波数オフセットが、ダウンリンク共通パイロットまたはプリアンブルを使用して修正可能であり、また、時間オフセットは、周期的なレンジングによって制限される。さらに、直交シーケンスは、複数のタイル302内で送信される。各タイル302は、時間-周波数資源のブロックであり、時間および周波数に隣接するサブキャリアを含む。各タイル302内で送信される直交シーケンスは同一であるが、異なるシーケンスが使用されてもよい。全タイル302にわたってチャネル応答はほとんど変わらず、そのタイルにわたって一定のものとして扱われる。
【0023】
いくつかの実施例では、各加入者局104は、Mシーケンスから1つをランダムに選択し、その選択されたシーケンスをタイル302によって形成される帯域要求コンテンション・チャネル上に送信する。いくつかの例実施例では、基地局102は4つの受信アンテナ103を使用して、それぞれが1つの送信アンテナ105を使用する2つの加入者局104からシーケンスを受信する。タイル「t」中の受信信号は、(1)のようにモデル化することができる。
【数2】

ここで、yiait(t)は、時間iにおける基地局アンテナiでの受信信号を表わす。hiaja(t)は、加入者jの送信アンテナから基地局アンテナiへのチャネル応答表わし、それはタイル上で一定であると仮定される。b=[bi,1 Λ bi,M]は、加入者iによって送信された直交シーケンスを表わす。Nia,it(t)は、時間iにおける基地局アンテナでの加法性白色ガウス雑音(AWGN)を表わす。2つの送信されたシーケンスは、次式に従って検出される。
【数3】

ここで、
【数4】

オリジナルのチャネルH(t)は、送信されたデータとして扱われ、オリジナル・データBは仮想データH(t)を運ぶチャネルとされる。あらゆる可能なシーケンスBは、受信信号Y(t)に一致させることが試みられる。最も適合するシーケンスが選択される。Bはユニット・ベクトルから成るので、ノイズ項N(t)は、方程式(2)において増幅されない。さらに、SDMAを使用することによって、2つの加入者局104の空間チャネルにおける相違に基づいてそれらを識別することができるので、2つの加入者局104が同じシーケンスを送信する場合でさえ、方程式(2)は、加入者局104を検出するために使用することができる。
【0024】
加入者局104が検出された後、基地局102は、帯域要求の実際の送出をスケジュールし、ダウンリンク・サブフレーム204においてスケジュールをブロードキャストする。アップリンク・サブフレーム206において加入者局104により出される帯域要求は、SDMAを使用して出される。これらの実施例では、SDMA処理技術は帯域要求のために拡張され、そして、基地局102は、同一のサブチャネル上で送信するために、時間-周波数サブチャネルを2またはそれ以上の検出された加入者局104に割り当て、さらに、2つのディスジョイント・パイロット・パターン400A,400Bを2つの検出された加入者局104へ割り当て、その結果、基地局102は、2つの加入者局104のそれぞれからのチャネル応答を推定する。これらの実施例では、基地局102は、ディスジョイント・パイロット・パターン400の異なる1つを、2つの検出された加入者局104へ割り当てる。2つの検出された加入者局104は、アップリンク・サブフレーム206における同一のサブチャネル上にそれらの帯域要求を出す。
【0025】
図5は、他のいくつかの実施例に従って、アップリンク帯域要求プロセスにおけるアップリンクおよびダウンリンク・サブフレームを示す。アップリンク(UL)サブフレーム506,510は、アップリンク・サブフレーム109(図1)に対応し、また、ダウンリンク(DL)サブフレーム508は、ダウンリンク・サブフレーム107(図1)の1つに対応する。
【0026】
これらの実施例では、アップリンク帯域要求メッセージは、アップリンク・サブフレーム506において、1またはそれ以上の加入者局104(図1)から帯域要求コンテンション・チャネル上で受信される。アップリンク帯域要求メッセージは、ランダムに選択されたディスジョイント・パイロット・パターン400(図4)のパイロット・サブキャリアを、ランダムに選択された直交シーケンスで変調することによって、加入者局104(図1)により生成される。アップリンク帯域要求メッセージが首尾よく検出および復号されたとき、アップリンク帯域の割当ては、ダウンリンク・サブフレーム508において加入者局104(図1)に提供される。これらの実施例では、図2のアップリンク帯域要求プロセスの最初の3ステップが組み合わされ、したがって、帯域の消費がより少なく、かつ、低減されたレイテンシで、帯域を迅速に割り当てることができる。
【0027】
これらの実施例では、基地局102(図1)は、2またはそれ以上のアンテナ103(図1)を通してアップリンク帯域要求メッセージを受信し、かつ、直交シーケンスに基づいてチャネル応答を決定するために、SDMA技術を適用してアップリンク帯域要求メッセージを検出および復号する。これらの実施例では、アップリンク帯域要求メッセージは、アップリンク・サブフレーム506において帯域要求コンテンション・チャネル上で受信される。
【0028】
これらの実施例では、加入者局104(図1)は、アップリンク帯域要求メッセージの送信に先立って、ディスジョイント・パイロット・パターン400(図4)のような複数のディスジョイント・パイロット・パターンの1つ、および、複数の直交シーケンスの1つをランダムに選択する。データ・サブキャリア404(図4)は、アップリンク帯域要求データ要素を用いて加入者局104(図1)によって変調される。これらの実施例では、基地局102(図1)は、複数の直交シーケンスのそれぞれを、ディスジョイント・パイロット・パターン400(図4)のパイロット・サブキャリア上で受信された信号に適用することにより、各加入者局104(図1)に対するチャネル応答を決定する。
【0029】
図1および図3〜図5を参照して、いくつかの実施例では、アップリンク・サブフレーム506において、単一のアップリンク帯域要求が1つの加入者局104から受信されたとき、基地局102は、最大比合成(MRC:maximam ratio combining)を使用してアップリンク帯域を検出し、次のダウンリンク・サブフレーム508において、アップリンク・データ送信のためのアップリンク帯域を1つの検出された加入者局に割り当てる。
【0030】
2つの衝突するアップリンク帯域要求が、2つの加入者局104から帯域要求コンテンション・チャネル上で受信された場合であって、かつ、2つの加入者局が異なるディスジョイント・パイロット・パターンおよび異なる直交シーケンスをランダムに選択した場合、基地局102は、空間デマルチプレクシング技術を用いてアップリンク帯域要求を検出および復号する。基地局102は、次のダウンリンク・サブフレーム508において、検出された加入者局104のそれぞれに対して、アップリンク・データ送信のためのアップリンク帯域の割当てを示す。したがって、これらの実施例では、4段階またはそれ以上の段階を必要とするCDMAコードを使用する従来のプロセスとは異なり、アップリンク帯域は2段階のプロセスで割り当てられる。これらの実施例では、空間デマルチプレクシング技術は、最小平均二乗誤差(MMSE)推定技術またはゼロ・フォーシング技術のいずれかを含むが、本実施例の範囲はこの点に制限されない。
【0031】
いくつかの実施例では、2つの衝突するアップリンク帯域要求が、2つの加入者局から帯域要求コンテンション・チャネル上で受信された場合であって、かつ、2つの加入者局が、同一のディスジョイント・パイロット・パターンおよび異なる直交シーケンスをランダムに選択した場合、基地局102は、空間デマルチプレクシング技術(例えば、MMSEまたはゼロ・フォーシング)を用いて、アップリンク帯域要求の少なくとも1つ(例えば、より高いエラー率を有するもの)を検出および復号する。さらに、基地局102は、少なくとも1つの加入者局が首尾よく検出されたとき、加入者局の少なくとも1つにアップリンク・データ送信のためのアップリンク帯域を割り当てる。これらの実施例では、衝突するアップリンク帯域要求メッセージは、アップリンク・サブフレーム506において、帯域要求コンテンション・チャネル上で受信される。
【0032】
いくつかの実施例では、2つの衝突するアップリンク帯域要求が、加入者局104から帯域要求コンテンション・チャネル上で受信された場合であって、かつ、2つの加入者局104が同一のディスジョイント・パイロット・パターンおよび同一の直交シーケンスを選択した場合、基地局102は、アップリンク帯域要求が検出および/または復号できない場合には、2つの加入者局104のどちらかに対するアップリンク・データ送信のための帯域の割当てを差し控える。これらの実施例では、2つの加入者局104が同一のディスジョイント・パイロット・パターンおよび同一の直交シーケンスを選択するので、基地局102は、アップリンク・サブフレーム506において、帯域要求コンテンション・チャネル上で受信されたアップリンク帯域要求のいずれも検出することができない。従って、基地局102は、次のダウンリンク・サブフレーム508において、帯域割当てを提供することができない。さらに、どちらの加入者局104も検出されないので、基地局102は、図2のアップリンク帯域要求プロセスにおけるように、衝突の無いアップリンク帯域要求を送出するために、加入者局104に対して送信資源を割り当てるために検出されたシーケンスをブロードキャストすることができない。
【0033】
いくつかの実施例では、加入者局104は、アップリンク帯域要求メッセージの送信のために、2つのディスジョイント・パイロット・パターン400の1つ、または、2つの直交シーケンスの1つをランダムに選択する。2を超える衝突するアップリンク帯域要求が、2つを超える加入者局104から帯域要求コンテンション・チャネル上で受信された場合、基地局102は、1またはそれ以上の加入者局104を検出するために、1またはそれ以上の直交シーケンスおよびパイロット・パターンの検出を試みる。基地局102は、さらに、ダウンリンク・サブフレーム204(図2)のようなダウンリンク・サブフレームにおいて、1またはそれ以上の検出された直交シーケンスおよびパイロット・パターンをブロードキャストし、検出された加入者局104のそれぞれに対して送信資源を割り当てる。送信資源は、衝突の無い帯域要求メッセージを再送信するために、検出された加入者局104によって使用される。これらの実施例では、基地局102は、1またはそれ以上の加入者局104を検出することだけはできるが、アップリンク帯域要求メッセージを復号することはできないであろう。したがって、検出された加入者局104は、次のアップリンク・サブフレームにおいて、アップリンク帯域要求メッセージを再送信するための送信資源が割り当てられる。
【0034】
いくつかの実施例では、各加入者局104は、ここに記述された動作を実行するためにPHY層回路および信号処理回路を含む。これらの実施例では、信号処理回路は、ディスジョイント・パイロット・パターン400の1つ、および、直交シーケンスの1つをランダムに選択する。PHY層回路は、帯域要求コンテンション・チャネル上でアップリンク帯域要求メッセージを送信するために形成される。PHY層回路は、ランダムに選択されたディスジョイント・パイロット・パターン400のパイロット・サブキャリアを、ランダムに選択された直交シーケンスで変調することによって、アップリンク帯域要求メッセージを生成する。
【0035】
基地局102は、いくつかの個別の機能要素を有するものとして示されるが、1またはそれ以上の機能要素が組み合わされてもよく、さらに、デジタル信号プロセッサ(DSP)を含む処理要素、および/または他のハードウェア要素のように、ソフトウェアで形成された要素の組み合わせによって実施される。例えば、いくつかの要素は、少なくともここに記述された機能を行なうために、1またはそれ以上のマイクロプロセッサ、DSP、特定用途向け集積回路(ASIC)、無線周波数集積回路(RFIC)、および、様々なハードウェアおよび論理回路の組み合わせを含む。いくつかの実施例では、基地局102の機能要素は、1またはそれ以上の処理要素上で動作する1またはそれ以上のプロセスに関する。
【0036】
特に明記されない限り、処理、演算、計算、決定、表示等の用語は、1またはそれ以上の処理またはコンピューティング・システム、あるいは同様の装置の動作および/またはプロセスに関するものであり、それは、処理システムのレジスタおよびメモリ内の物理(例えば、電子)量として表わされるデータを、処理システムのレジスタまたはメモリ、あるいは他の同様の情報格納装置、送信または表示装置内の物理量として同様に表わされる他のデータに、操作および変形する。さらに、ここに使用されるように、コンピューティング装置は、揮発性または不揮発性メモリ、あるいはそれらの組み合わせであるコンピュータによって読取り可能なメモリに結合された1またはそれ以上の処理要素を含む。
【0037】
本発明のいくつかの実施例は、1またはそれ以上のハードウェア、ファームウェア、およびソフトウェアの組み合わせにおいて実施される。本発明の実施例は、さらに、機械読取り可能な媒体上に格納された命令として実施され、それは、ここに記述された動作を実行するために、少なくとも1つのプロセッサによって読取られ、かつ実行される。機械読取り可能な媒体は、機械(例えばコンピュータ)によって読取り可能な形式で情報を格納および送信するための、あらゆるメカニズムを含む。例えば、機械読取り可能な媒体は、リードオンリ・メモリ(ROM)、ランダムアクセス・メモリ(RAM)、磁気ディスク格納媒体、光格納媒体、フラッシュ・メモリ装置、およびその他のものを含む。
【0038】
要約書は、読者が技術的な開示の性質および要点を確認するために、37C.F.R.セクション1.72(b)に基づいて要求される要約に適合するために提供される。それは、請求項の範囲または意味を制限または解釈するために使用されないという理解の下に提出される。以下の特許請求の範囲は、個別の実施例として独立している各請求項と共に、本発明の詳細な説明に組み入れられる。
【符号の説明】
【0039】
100 SDMAワイヤレス・アクセス・ネットワーク
102 基地局
103,105 アンテナ
104 加入者局
107 ダウンリンク・サブフレーム
109 アップリンク・サブフレーム
112 物理層回路
114 信号処理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
資源を加入者局に割当てるために基地局によって実行される資源割当て方法において、前記基地局および前記加入者局は、ロング・ターム・エボルーション(LTE)のための第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)規格(3GPP LTE)の1つに従って通信し、前記方法は、
アップリンク・チャネルの資源要素内でスケジュール要求を受信する段階であって、前記要求は、前記加入者局をスケジュールするための必要性を示し、かつ前記要求は、複数のアンテナを通して受信される、段階と、
割当てられた資源を示すマッピングをダウンリンク・チャネル上に提供することによって、資源割当てを前記加入者局に送信する段階と、からなり、
前記アップリンク・チャネルは、コンテンション・チャネルおよび非コンテンション・チャネルの何れか一方であり、
前記要求を非コンテンション・チャネル上で受信する場合、前記要求は、直交シーケンスで形成された割当て資源内で受信する、
ことを特徴とする資源割当て方法。
【請求項2】
前記スケジュール要求は、帯域割当てのための要求を含むことを特徴とする請求項1記載の資源割当て方法。
【請求項3】
前記スケジュール要求は、アンテナのための直交シーケンスに従って形成されることを特徴とする請求項1記載の資源割当て方法。
【請求項4】
前記スケジュール要求は、時間軸直交ブロック拡散で変調されたベース・リファレンス・シーケンスのサイクリック時間シフトを含むことを特徴とする請求項3記載の資源割当て方法。
【請求項5】
前記要求をコンテンション・チャネル上で受信する場合、前記方法は、空間分割多元接続(SDMA)技術を用いて、前記要求を区別する段階を含むことを特徴とする請求項1記載の資源割当て方法。
【請求項6】
複数のアンテナを用いて、アップリンク・データを前記割当て資源のブロック上で受信する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の資源割当て方法。
【請求項7】
ロング・ターム・エボルーション(LTE)のための第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)規格(3GPP LTE)の1つに従って、加入者局と通信するために構成された基地局において、前記基地局は、
アップリンク・チャネルの資源要素内でスケジュール要求を受信するための物理層回路であって、前記要求は、前記加入者局をスケジュールするための必要性を示し、かつ前記要求は、複数のアンテナを通して受信される、物理層回路と、
前記加入者局のための資源割当てを決定し、かつマッピングを生成する処理回路と、を含み、
前記物理層回路は、割当てられた資源を示す前記マッピングをダウンリンク上に送信し、
前記要求を非コンテンション・チャネル上で受信する場合、前記要求は、直交シーケンスで形成された割当て資源内で受信する、
ことを特徴とする基地局。
【請求項8】
前記スケジュール要求は、帯域割当てのための要求を含むことを特徴とする請求項7記載の基地局。
【請求項9】
前記スケジュール要求は、アンテナのための直交シーケンスに従って形成されることを特徴とする請求項7記載の基地局。
【請求項10】
前記スケジュール要求は、時間軸直交ブロック拡散で変調されたベース・リファレンス・シーケンスのサイクリック時間シフトを含むことを特徴とする請求項9記載の基地局。
【請求項11】
前記アップリンク・チャネルは、コンテンション・チャネルまたは非コンテンション・チャネルの何れかであることを特徴とする請求項7記載の基地局。
【請求項12】
前記要求をコンテンション・チャネル上で受信する場合、前記処理回路は、空間分割多元接続(SDMA)技術を用いて、前記要求を区別するために配置されていることを特徴とする請求項11記載の基地局。
【請求項13】
前記物理層回路は、複数のアンテナを用いて、アップリンク・データを前記割当て資源のブロック上で受信するために構成されることを特徴とする請求項7記載の基地局。
【請求項14】
信号処理回路は、
アップリンク・チャネルの資源要素内で受信されるスケジュール要求を処理し、前記要求は、前記加入者局をスケジュールするための必要性を示し、かつ前記要求は、複数のアンテナを通して受信され、
前記加入者局のための資源割当てを決定し、かつダウンリンク上の送信のために、前記加入者局に割当てられた資源を示すマッピングを生成するために配置され、
前記要求を非コンテンション・チャネル上で受信する場合、前記要求は、アンテナのために直交シーケンスで形成された割当て資源内で受信し、
前記アップリンク・チャネルは、コンテンション・チャネルまたは非コンテンション・チャネルの何れかである、
ことを特徴とする信号処理回路。
【請求項15】
前記アップリンク・チャネルは、コンテンション・チャネルおよび非コンテンション・チャネルの何れか一方であり、
前記要求をコンテンション・チャネル上で受信する場合、前記信号処理回路は、空間分割多元接続(SDMA)技術を用いて、前記要求を区別し、
前記信号処理回路は、ロング・ターム・エボルーション(LTE)のための第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)規格(3GPP LTE)の1つに従って、前記加入者局と通信する基地局の一部である、
ことを特徴とする請求項14記載の信号処理回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−13132(P2013−13132A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−190926(P2012−190926)
【出願日】平成24年8月31日(2012.8.31)
【分割の表示】特願2009−160445(P2009−160445)の分割
【原出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(591003943)インテル・コーポレーション (1,101)