説明

SGLT2阻害剤、DPP−IV阻害剤、更に必要により抗糖尿病薬を含む医薬組成物及びその使用

【課題】1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常及び高血糖症より選ばれる1つ以上の状態の治療又は予防に適している医薬組成物を提供する。
【解決手段】SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬を含む請求項1に記載の医薬組成物を用いる。更に、代謝障害及び関連する状態を予防するか又は治療する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常及び高血糖症より選ばれる1つ以上の状態の治療又は予防に適しているSGLT2-阻害剤、DPPIV阻害剤及び後述されるグループG3より選ばれる第3の抗糖尿病薬を含む医薬組成物に関する。
更に、本発明は、それを必要としている患者における以下の方法であって、SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び、必要により、後に定義される第3の抗糖尿病薬を組み合わせて又は交互に投与することを特徴とする、前記方法に関する
- 代謝障害を予防するか、進行を遅らせるか、遅延させるか、又は治療する方法;
- 血糖コントロールを改善させ且つ/又は空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビンHbA1cを低下させる方法;
- 耐糖能異常、空腹時血糖異常、インスリン抵抗性からの進行及び/又はメタボリック症候群から2型糖尿病への進行を予防するか、遅らせるか、遅延させるか又は逆転させる方法;
- 糖尿病の合併症からなる群より選ばれる状態又は障害を予防するか、進行を遅らせるか、遅延させるか又は治療する方法;
- 体重及び/又は体脂肪を減少させるか又は体重及び/又は体脂肪の増加を予防するか又は体重及び/又は体脂肪の減少を促進させる方法;
- 膵臓ベータ細胞の変性を予防するか又は治療し且つ/又は膵臓ベータ細胞の機能を改善させ且つ/又は回復させ且つ/又は膵臓インスリン分泌の機能を回復させる方法;
- 異所性脂肪の異常蓄積に起因する疾病又は状態を予防するか、遅らせるか、遅延させるか又は治療する方法;
- インスリン感受性を維持し且つ/又は改善させ且つ/又は高インスリン血症及び/又はインスリン抵抗性を治療するか又は予防する方法、
- 移植術後の糖尿病の新規発症(NODAT)及び/又は移植後メタボリック症候群(PTMS)を予防するか、進行を遅らせるか、遅延させるか、又は治療する方法;
- 微小血管又は大血管の疾患及び事象、移植片拒絶、感染及び死が含まれるNODAT及び/又はPTMS関連合併症を予防するか、遅延させるか、又は減少させる方法;
- 高尿酸血症及び高尿酸血症関連状態を治療する方法;
- 腎臓結石を治療又は予防する方法;
- 低ナトリウム血症を治療する方法。
更に、本発明は、上文及び下文に記載される方法に用いられる薬剤の製造のためのSGLT2阻害剤の使用に関する。
更に、本発明は、上文及び下文に記載される方法に用いられる薬剤の製造のためのDPP IV阻害剤の使用と関する。
更に、本発明は、上文及び下文に記載される方法に用いられる薬剤の製造のための以下に定義される第3の抗糖尿病薬の使用に関する。
本発明は、また、上文及び下文に記載される方法に用いられる薬剤の製造のための本発明の医薬組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
2型糖尿病は、合併症の頻度が高いために平均余命の著しい短縮につながる増加しつつある疾患である。糖尿病関連の微小血管の合併症であることから、2型糖尿病は、現在、工業世界における成人発症の失明、腎不全、及び切断の最もよくある原因である。更に、2型糖尿病の存在は、心臓血管疾患リスクが2〜5倍の増加と関連している。
長い闘病の後、ほとんどの2型糖尿病患者は、最終的には経口治療に失敗し、毎日の注射及び複数の毎日のグルコース測定を必要とするインスリン依存性になるであろう。
UKPDS(英国糖尿病前向き研究)から、メトホルミン、スルホニル尿素又はインスリンによる集中治療が血糖コントロール(HbA1cの差〜0.9%)の制限された改善のみを生じることが証明された。更に、集中治療群の範囲内の患者でさえ、血糖コントロールが時間が経つにつれて著しく悪化し、これはβ-細胞機能の劣化によるものと考えられた。重要なことに、集中治療は、大血管合併症、即ち、心臓血管事象の有意な減少と関連しなかった。それ故、多くの2型糖尿病患者は、部分的に既存の血糖降下治療の長期効力の制限、許容性及び投薬の不便さがあることから依然として治療が不充分である。
治療(例えば、一次治療又は二次治療、及び/又は単独治療又は(初回或いは追加)併用治療)で従来用いられる経口抗糖尿病薬としては、メトホルミン、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、グリニド及びα-グルコシダーゼ阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0003】
高い治療不全発生率は、2型糖尿病患者における高い長期高血糖症関連合併症又は慢性損傷(微小血管及び大血管の合併症、例えば、糖尿病性腎症、網膜症もしくは神経障害、又は心臓血管合併症を含む)率の主な一因である。
それ故、安全性プロファイルの改善を同時に示しつつ、血糖コントロールに関して、疾患修飾性に関して及び心臓血管の罹患率及び死亡率の減少に関して良好な効力を有する方法、薬剤及び医薬組成物の医学的な要求が満たされていない。
SGLT2阻害剤は、2型糖尿病患者における血糖コントロールの治療又は改善に開発されている新規な種類の物質を表すものである。SGLT2阻害剤として先行技術には、例えば、国際公開第01/27128号パンフレット、同第03/099836号パンフレット、同第2005/092877号パンフレット、同第2006/034489号パンフレット、同第2006/064033号パンフレット、同第2006/117359号パンフレット、同第2006/117360号パンフレット、同第2007/025943号パンフレット、同第2007/028814号パンフレット、同第2007/031548号パンフレット、同第2007/093610号パンフレット、同第2007/128749号パンフレット、同第2008/049923号パンフレット、同第2008/055870号パンフレット、同第2008/055940号パンフレットにはグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体が記載されている。グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は、尿糖排出のインデューサとして、また、糖尿病治療の薬剤として提唱されている。
【0004】
グルコースの腎臓ろ過及び再取り込みは、他の機序の中でも定常状態血漿グルコース濃度に関与しているので、抗糖尿病標的として利用することができる。腎臓の上皮細胞全体のろ過グルコースの再取り込みは、ナトリウム勾配に沿って細管における刷子縁膜に位置するナトリウム依存性グルコース共輸送体(SGLT)を介して進行する。その表現パターンだけでなくその物理化学的性質が異なるSGLTイソ型が少なくとも3つある。SGLT2は腎臓においてのみ発現されるが、SGLT1は腸、結腸、骨格筋、心筋のような他の組織でも更に発現される。SGLT3は、輸送機能のない腸の間質細胞においてグルコースセンサであることが見いだされた。潜在的に、他の関連した、しかしまだ確認されていない遺伝子が、更に腎臓グルコース再取り込みに関与することがあり得る。正常血糖下に、グルコースは腎臓におけるSGLTによって完全に再吸収されるが、腎臓の再取り込み容積は10mMより高いグルコース濃度で飽和され、糖尿(“糖尿病”)になる。この閾値濃度は、SGLT2-阻害によって減少させることができる。SGLT-阻害が血糖濃度の低下及び糖尿につながる血液に糸球体ろ液からグルコースの再取り込みを部分的に阻止することがSGLT阻害剤フロリジンによる試験において示された。
DPP IV阻害剤は、2型糖尿病患者における血糖コントロールの治療又は改善に開発されている物質の他の新規な種類を表すものである。
例えば、DPP IV阻害剤及びその使用は、国際公開第2002/068420号パンフレット、同第2004/018467、同第2004/018468号パンフレット、同第2004/018469号パンフレット、同第2004/041820号パンフレット、同第2004/046148号パンフレット、同第2005/051950号パンフレット、同第2005/082906号パンフレット、同第2005/063750号パンフレット、同第2005/085246号パンフレット、同第2006/027204号パンフレット、同第2006/029769号パンフレット、同第2007/014886号パンフレット; 同第2004/050658号パンフレット、同第2004/111051号パンフレット、同第2005/058901号パンフレット、同第2005/097798号パンフレット; 同第2006/068163号パンフレット、同第2007/071738号パンフレット、同第2008/017670号パンフレット; 同第2007/054201号パンフレット、同第2007/128721号パンフレット又は同第2007/128761号パンフレットに開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、特に2型糖尿病の代謝障害を予防するか、進行を遅らせるか、遅延させるか又は治療する医薬組成物及び方法を提供することである。
本発明の目的は、更に、血糖コントロールを改善させる医薬組成物及び方法をそれを必要としている患者において、特に2型糖尿病患者において提供することである。
本発明の他の目的は、抗糖尿病薬、例えばメトホルミンによる単独治療にもかかわらず、又は2つの抗糖尿病薬による併用治療にもかかわらず不充分な血糖コントロールを有する患者の血糖コントロールを改善させる医薬組成物及び方法を提供することである。
本発明の他の目的は、耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、インスリン抵抗性及び/又はメタボリック症候群から2型糖尿病への進行を予防するか、遅らせるか又は遅延させる医薬組成物及び方法を提供することである。
本発明の更に他の目的は、糖尿病の合併症からなる群からの状態又は障害を予防するか、進行を遅らせるか、遅延させるか又は治療する医薬組成物及び方法を提供することである。
本発明の目的は、更に、体重を減少させるか体重の増加を予防する医薬組成物及び方法をそれを必要としている患者において提供することである。
本発明の他の目的は、良好から非常に良好までの薬理学的特性及び/又は薬物速度論的特性及び/又は物理化学的特性を有する、代謝障害、特に、糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、及び/又は高血糖症の治療に高い効力を有する新規な医薬組成物を提供することである。
本発明の目的は、更に、上文及び以下の説明によって及び実施例によって当業者にとって明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで、驚くべきことに、本発明の範囲内で、SGLT2阻害剤及びDPP IV阻害剤及び後に定義されるグループG3より選ばれる第3の抗糖尿病薬を含む医薬組成物が、有利には、患者において代謝障害、特に、血糖コントロールを予防するか、進行を遅らせるか、遅延させるか又は治療するのに使用し得ることが見いだされた。これにより、2型糖尿病、過体重、肥満、糖尿病と隣接した病態の合併症の治療及び予防における新規な治療可能性が開かれる。
それ故、第1の態様において、本発明は、
(a)SGLT2阻害剤と、
(b)DPPIV阻害剤と、
(c)ビグアナイド、チアゾリジンジオン、スルホニル尿素、グリニド、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、GLP-1類似体又はその医薬的に許容され得る塩からなるグループG3より選ばれる第3の抗糖尿病薬と
を含む医薬組成物を提供する。
本発明の他の態様において、それを必要としている患者において1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、高血糖症、食後高血糖、過体重、肥満、メタボリック症候群及び妊娠性糖尿病からなる群より選ばれる代謝障害を予防するか、進行を遅らせるか、遅延させるか又は治療する方法であって、上文及び下文に定義される、SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び、必要により、第3の抗糖尿病薬を患者に、例えば、組み合わせて又は交互に、投与することを特徴とする、前記方法が提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、それを必要としている患者において血糖コントロールを改善させ且つ/又は空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビンHbA1cを低下させる方法であって、上文及び下文に定義される、SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び、必要により、第3の抗糖尿病薬を患者に、例えば、組み合わせて又は交互に、投与することを特徴とする、前記方法が提供される。
本発明の医薬組成物は、また、耐糖能異常(IGT)空腹時血糖異常(IFG)、インスリン抵抗性及び/又はメタボリック症候群と関連した疾病又は状態に関して有益な疾患修飾性を有し得る。
本発明の他の態様において、それを必要としている患者において、耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、インスリン抵抗性及び/又はメタボリック症候群から2型糖尿病への進行を予防するか、遅らせるか、遅延させるか又は逆転させる方法であって、上文に及び下文に定義される、SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び、必要により、第3の抗糖尿病薬を患者に、例えば、組み合わせて又は交互に、投与することを特徴とする、前記方法が提供される。
本発明の医薬組成物の使用のように、それを必要としている患者における血糖コントロールの改善が得られ、また、血糖値増加に関連するか或いはそれによって引き起こされる状態及び/又は疾病を治療することができる。
【0008】
本発明の他の態様によれば、それを必要としている患者において、糖尿病の合併症、例えば、白内障又は微小血管疾患もしくは大血管疾患、例えば、腎症、網膜症、神経障害、組織虚血、糖尿病性足、動脈硬化、心筋梗塞、急性冠動脈症候群、不定狭心症、安定狭心症、卒中、末梢性動脈閉塞症、心筋症、心不全、心拍障害、血管再狭窄からなる群より選ばれる状態又は疾患を予防するか、進行を遅らせるか、遅延させるか又は治療する方法であって、上文及び下文に定義される、SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び、必要により、第3の抗糖尿病薬を、例えば、組み合わせて又は交互に、投与することを特徴とする、前記方法が提供される。特に、糖尿病性腎症、例えば、過灌流、タンパク尿、アルブミン尿の1つ以上の態様を治療するか、進行を遅らせるか又は発症を遅延させるかもしくは予防することができる。用語“組織虚血”は、特に、糖尿病性大血管障害、糖尿病性微小血管障害、創傷治癒障害、糖尿病性潰瘍を含む。用語“微小血管疾患及び大血管疾患”と“微小血管合併症及び大血管合併症”は、本出願においては同じ意味で用いられる。
本発明の医薬組成物の投与によって、また、SGLT2阻害剤の活性によって、過剰な血糖値は脂肪のように不溶の貯蔵形態に変換されないが、患者の尿によって排出される。SGLT2阻害剤を用いる動物モデルにおいて、体脂肪の低下が大多数の観測された体重減少と考えられるが、体内の水分又はタンパク質含量の著しい変化が観測されないことが分かる。それ故、結果として体重の増加又は体重の減少さえもない。
【0009】
本発明の他の態様によれば、それを必要としている患者において体重及び/又は体脂肪を減少させるか又は体重及び/又は体脂肪の増加を予防するか又は体重及び/又は体脂肪の減少を促進させる方法であって、上文及び下文に定義される、SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び、必要により、第3の抗糖尿病薬を患者に、例えば、組み合わせて又は交互に投与することを特徴とする、前記方法が提供される。
本発明の組成物のSGLT2阻害剤の薬理作用は、インスリンから独立している。それ故、膵臓ベータ細胞への負担を追加せずに血糖コントロールの改善が可能である。本発明の医薬組成物の投与によって、ベータ細胞変性及びベータ細胞機能の低下、例えば、アポトーシス又は膵臓ベータ細胞の壊死を遅延させるか又は予防することができる。更にまた、膵臓細胞の機能も改善又は回復させることができ、膵臓ベータ細胞の数及びサイズが増加する。高血糖症によって妨害される膵臓ベータ細胞の分化状態及び過形成が本発明の医薬組成物による治療によって標準化することができることが示され得る。
本発明の他の態様において、それを必要としている患者において膵臓ベータ細胞の変性及び/又は膵臓ベータ細胞の機能の低下を予防し、遅らせ、遅延させ又は治療し且つ/又は膵臓ベータ細胞の機能を改善させ及び/又は回復させ且つ/又は膵臓インスリン分泌の機能を回復させる方法であって、上文及び下文に定義される、SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び、必要により、上文及び下文に定義される第3の抗糖尿病薬を患者に、例えば、組み合わせて又は交互に、投与することを特徴とする、前記方法が提供される。
【0010】
本発明の組み合わせ又は医薬組成物の投与によって、特に肝臓の、異所性脂肪の異常蓄積が低下又は阻止され得る。それ故、本発明の他の態様において、それを必要としている患者において、特に肝臓の、異所性脂肪異常蓄積によるものと考えられる疾病又は状態を予防するか、遅らせるか、遅延させるか又は治療する方法であって、上文及び下文に定義される、SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び、必要により、第3の抗糖尿病薬を患者に、例えば、組み合わせて又は交互に投与することを特徴とする、前記方法が提供される。肝臓脂肪の異常蓄積によるものと考えられる疾病又は状態は、特に、一般的脂肪肝、非アルコール性脂肪肝(NAFL)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、高カロリー食誘発性脂肪肝、糖尿病性脂肪肝、アルコール誘発性脂肪肝又は毒性脂肪肝からなる群より選ばれる。
その結果として、本発明の他の態様は、それを必要としている患者においてインスリン感受性を維持し更に/又は改善させ更に/又は高インスリン血症及び/又はインスリン抵抗性を治療するか又は予防する方法であって、上文に及び下文に定義される、SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び、必要により、第3の抗糖尿病薬を患者に、例えば、組み合わせて又は交互に、投与することを特徴とする、前記方法を提供する。
本発明の他の態様において、それ必要としている患者において移植後新規発生糖尿病(NODAT)及び/又は移植後メタボリック症候群(PTMS)を予防するか、進行を遅らせるか、遅延させるか、又は治療する方法であって、上文及び下文に定義される、SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び、必要により、第3の抗糖尿病薬を患者に、例えば、組み合わせて又は交互に、投与することを特徴とする、前記方法が提供される。
【0011】
本発明の態様によれば、更に、NODAT及び/又は微小血管又は大血管の疾患及び事象、移植片拒絶、感染及び死が含まれるPTMS関連合併症を予防するか、遅延させるか、又は減少させる方法であって、上文及び下文に定義される、SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び、必要により、第3の抗糖尿病薬を患者に、例えば、組み合わせて又は交互に、投与することを特徴とする、前記方法が提供される。
本発明の医薬組成物は、患者における血清合計尿酸塩レベルの低下を促進させることができる。それ故、本発明の他の態様によれば、それを必要としている患者において、高尿酸血症及び高尿酸血症関連状態、例えば、痛風、高血圧症、腎不全を治療する方法であって、上文及び下文に定義される、SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び、必要により、第3の抗糖尿病薬を患者に、例えば、組み合わせて又は交互に、投与することを特徴とする、前記方法が提供される。患者は、糖尿病患者又は非糖尿病患者であり得る。
医薬組成物の投与は、グルコースの尿排出を増加させる。これにより浸透圧排出と水流出が増加し、尿酸塩レベルの低下が腎臓結石の治療又は予防として有益である。それ故、本発明の態様において、更に、それを必要としている患者において腎臓結石を治療又は予防する方法であって、上文及び下文に定義される、SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び、必要により、第3の抗糖尿病薬を患者に、組み合わせて又は交互に投与することを特徴とする、前記方法が提供される。
【0012】
本発明の態様によれば、更に、それを必要としている患者において低ナトリウム血症、水分保持及び水中毒を治療する方法であって、上文及び下文に定義される、SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び、必要により、第3の抗糖尿病薬を患者に、例えば、組み合わせて又は交互に、投与することを特徴とする、前記方法が提供される。本発明の医薬組成物の投与によってこれらの疾患及び障害と関連する水分保持及び電解液平衡異常を逆転させるために腎臓に作用することにより低ナトリウム血症、水分保持及び水中毒の作用を逆転させることが可能になる。
本発明の他の態様によれば、それを必要としている患者において、下記のための薬剤を製造するためのSGLT2阻害剤の使用であって、上文及び下文に定義される、SGLT2阻害剤を、DPPIV阻害剤及び、必要により、第3の抗糖尿病薬と、例えば、組み合わせて又は交互に、投与することを特徴とする、前記使用が提供される
- 1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、高血糖症、食後高血糖、過体重、肥満、メタボリック症候群及び妊娠性糖尿病からなる群より選ばれる代謝障害を予防するか、進行を遅らせるか、遅延させるか又は治療する; 又は
- 血糖コントロールを改善させ且つ/又は空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビンHbA1cを低下させる; 又は
- 耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、インスリン抵抗性及び/又はメタボリック症候群から2型糖尿病への進行を予防するか、遅らせるか、遅延させるか又は逆転させる; 又は
- 糖尿病の合併症、例えば、白内障又は微小血管疾患もしくは大血管疾患、例えば、腎症、網膜症、神経障害、組織虚血、動脈硬化、心筋梗塞、卒中、末梢性動脈閉塞症からなる群より選ばれる状態又は疾患を予防するか、進行を遅らせるか、遅延させるか又は治療する; 又は
- 体重及び/又は体脂肪を減少させるか又は体重及び/又は体脂肪の増加を予防するか又は体重及び/又は体脂肪の減少を促進させる; 又は
- 膵臓ベータ細胞の変性及び/又は膵臓ベータ細胞の機能の低下を予防するか、遅らせるか、遅延させるか又は治療し且つ/又は膵臓ベータ細胞の機能を改善させ且つ/又は回復させ且つ/又は膵臓インスリン分泌の機能を回復させる; 又は
- 肝臓脂肪の異常蓄積によるものと考えられる疾病又は状態を予防するか、遅らせるか、遅延させるか又は治療する; 又は
- インスリン感受性を維持し且つ/又は改善させ且つ/又は高インスリン血症及び/又はインスリン抵抗性を治療又は予防する;
- 移植後新規発生糖尿病(NODAT)及び/又は移植後メタボリック症候群(PTMS)を予防するか、進行を遅らせるか、遅延させるか、又は治療する;
- NODAT及び/又は微小血管又は大血管の疾患及び事象、移植片拒絶、感染及び死が含まれるPTMS関連合併症を予防、遅延、又は減少させる;
- 高尿酸血症及び高尿酸血症関連状態を治療する;
- 腎臓結石を治療又は予防する;
- 低ナトリウム血症を治療する。
【0013】
本発明の他の態様によれば、それを必要としている患者において、下記のための薬剤を製造するための上文及び下文に定義されるDPP IV阻害剤の使用であって、DPP IV阻害剤を、上文及び下文に定義されるSGLT2阻害剤及び、必要により、第3の抗糖尿病薬と、例えば、組み合わせて又は交互に、投与することを特徴とする、前記使用が提供される
- 1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、高血糖症、食後高血糖、過体重、肥満及びメタボリック症候群からなる群より選ばれる代謝障害を予防するか、進行を遅らせるか、遅延させるか又は治療する; 又は
- 血糖コントロールを改善させ且つ/又は空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビンHbA1cを低下させる; 又は
- 耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、インスリン抵抗性及び/又はメタボリック症候群から2型糖尿病への進行を予防するか、遅らせるか、遅延させるか又は逆転させる; 又は
- 糖尿病の合併症、例えば、白内障又は微小血管疾患もしくは大血管疾患、例えば、腎症、網膜症、神経障害、組織虚血、動脈硬化、心筋梗塞、卒中、末梢性動脈閉塞症からなる群より選ばれる状態又は疾患を予防するか、進行を遅らせるか、遅延させるか又は治療する; 又は
- 体重及び/又は体脂肪を減少させるか又は体重及び/又は体脂肪の増加を予防するか又は体重及び/又は体脂肪の減少を促進させる; 又は
- 膵臓ベータ細胞の変性及び/又は膵臓ベータ細胞の機能の低下を予防するか、遅らせるか、遅延させるか又は治療し且つ/又は膵臓ベータ細胞の機能を改善及び/又は回復させ且つ/又は膵臓インスリン分泌の機能を回復させる; 又は
- 肝臓脂肪の異常蓄積によるものと考えられる疾病又は状態を予防するか、遅らせるか、遅延させるか又は治療する; 又は
- インスリン感受性を維持及び/又は改善させ且つ/又は高インスリン血症及び/又はインスリン抵抗性を治療又は予防する。
【0014】
本発明の他の態様によれば、それを必要としている患者において、下記のための薬剤を製造するための上文及び下文に定義される第3の抗糖尿病薬の使用であって、第3の抗糖尿病薬を、上文及び下文に定義される、SGLT2阻害剤及びDPPIV阻害剤と、例えば、組み合わせて又は交互に、投与することを特徴とする、前記使用が提供される
- 1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、高血糖症、食後高血糖、過体重、肥満及びメタボリック症候群からなる群より選ばれる代謝障害を予防するか、進行を遅らせるか、遅延させるか又は治療する; 又は
- 血糖コントロールを改善させ且つ/又は空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビンHbA1cを低下させる; 又は
- 耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、インスリン抵抗性及び/又はメタボリック症候群から2型糖尿病への進行を予防するか、遅らせるか、遅延させるか又は逆転させる; 又は
- 糖尿病の合併症、例えば、白内障又は微小血管疾患もしくは大血管疾患、例えば、腎症、網膜症、神経障害、組織虚血、動脈硬化、心筋梗塞、卒中、末梢性動脈閉塞症からなる群より選ばれる状態又は疾患を予防するか、進行を遅らせるか、遅延させるか又は治療する; 又は
- 体重及び/又は体脂肪を減少させるか又は体重及び/又は体脂肪の増加を予防するか又は体重及び/又は体脂肪の減少を促進させる; 又は
- 膵臓ベータ細胞の変性及び/又は膵臓ベータ細胞の機能の低下を予防するか、遅らせるか、遅延させるか又は治療し且つ/又は膵臓ベータ細胞の機能を改善させ且つ/又は回復させ且つ/又は膵臓インスリン分泌の機能を回復させる; 又は
- 肝臓脂肪の異常蓄積によるものと考えられる疾病又は状態を予防するか、遅らせるか、遅延させるか又は治療する; 又は
- インスリン感受性を維持及び/又は改善させ且つ/又は高インスリン血症及び/又はインスリン抵抗性を治療又は予防する。
本発明の他の態様において、上文及び下文に記載される治療及び予防の方法のための薬剤を製造するための本発明の医薬組成物の使用が提供される。
【0015】
定義
本発明の医薬製薬組成物の用語“有効成分”は、本発明のSGLT2阻害剤及び/又はDPP IV阻害剤を意味する。
ヒトの患者の用語“肥満度指数”又は“BMI”は、BMIの単位がkg/m2であるように、キログラムの体重をメートルの身長の2乗で割ったものとして定義される。
用語“過体重”は、個体のBMIが25kg/m2以上から30kg/m2未満までの状態として定義される。用語“過体重”及び“前肥満”は、同じ意味に用いられる。
用語“肥満”は、個体のBMIが30kg/m2以上である状態として定義される。WHOの定義によれば、用語肥満は次のように分類され得る: 用語“クラスI肥満”は、BMIが30kg/m2以上であるが35kg/m2未満である状態である; 用語“クラスII肥満”は、BMIが35kg/m2以上であるが40kg/m2未満である状態である; 用語“クラスIII肥満”は、BMIが40kg/m2以上である状態である。
用語“内臓型肥満”は、ウエストとヒップの比率が男性で1.0以上、女性で0.8以上が測定される状態として定義される。これにより、インスリン抵抗性の危険及び糖尿病前症の発症が定義される。
用語“腹部肥満”は、通常、ウエスト回りが男性で>40インチ又は102cm、女性で>35インチ又は94cmである状態として定義される。日本人の民族性又は日本人の患者に関して、腹部肥満は、男性でウエスト回り≧85 cm、女性で≧90 cmとして定義され得る(例えば、日本のメタボリックシンドローム診断基準検討委員会を参照のこと)。
【0016】
用語“正常血糖”は、被検者の空腹時血糖濃度が正常範囲内、70mg/dL(3.89ミリモル/l)を超え100mg/dL未満(5.6mmoI/L)未満である状態として定義される。“空腹時”という言葉は、医学用語として通常の意味を有する。
用語“高血糖”は、被検者が正常範囲よりも大きい空腹時血糖濃度、100mg/dL(5.6のmmoI/L)を超える状態として定義される。“空腹時”という言葉は、医学用語として通常の意味を有する。
用語“低血糖”は、被検者が正常範囲よりも小さい血糖濃度、特に70mg/dL(3.89ミリモル/L)未満を有する状態として定義される。
用語“食後の高血糖”は、被検者が200mg/dL(11.11ミリモル/l)を超える食後2時間の血糖濃度又は血清グルコース濃度を有する状態として定義される。
用語“空腹時血糖異常”又は“IFG”は、被検者が100〜125mg/dl(即ち、5.6〜6.9ミリモル/l)、特に110mg/dLを超え、126mg/dI(7.00ミリモル/l)未満の範囲の空腹時血糖濃度又は空腹時血清グルコース濃度を有する状態として定義される。“空腹時正常グルコース”を有する被検者は、100mg/dlより小さい、即ち、5.6ミリモル/lより小さい空腹時グルコース濃度を有する。
用語“耐糖能異常”又は“IGT”は、被検者が140mg/dI(7.78ミリモル/l)を超え200mg/dL(11.11ミリモル/l)未満の食後2時間の血糖濃度又は血清グルコース濃度を有する状態として定義される。異常グルコース耐性、即ち、食後2時間の血糖濃度又は血清グルコース濃度は、絶食後75gのグルコースを摂取した2時間後に血漿dl当たりのグルコースmgの血糖値として測定され得る。“正常グルコース耐性”をもつ被検者は、140mg/dI(7.78ミリモル/l)より小さい食後2時間の血糖濃度又は血清グルコース濃度を有する。
【0017】
用語“高インスリン血症”は、正常血糖をもつか或いはもたない、インスリン抵抗性をもつ被検者が、ウエストとヒップの比率が<1.0(男性の場合)又は<0.8(女性の場合)であるインスリン抵抗性のない正常なやせ型個体より高い空腹時又は食後の血清又は血漿のインスリン濃度を有する状態として定義される。
用語“インスリン感受性”、“インスリン抵抗性改善”又は“インスリン抵抗性低下”は、同義であり、同じ意味で用いられる。
用語“インスリン抵抗性”は、グルコース負荷に対して正常な応答を超えて循環するインスリンレベルが正常血糖状態を維持するのに必要とされる状態として定義される(Ford ES, et al. JAMA. (2002) 287:356-9)。インスリン抵抗性を決定する方法は、正常血糖-高インスリン血症クランプ試験である。インスリンとグルコースとの比は、合わせたインスリン-グルコース注入技術の範囲内で決定される。グルコース吸収が調べられるバックグラウンド集団の25パーセンタイルより小さい場合には、インスリン抵抗性であることが分かる(WHOの定義)。クランプよりむしろより面倒でない試験は、静脈内グルコース耐性検査の間、血中のインスリン濃度とグルコース濃度が一定の時間間隔で測定され、これらからインスリン抵抗性が算出されるいわゆる最小のモデルと呼ばれる。本方法については、肝と末梢のインスリン抵抗性を区別することは可能でない。
【0018】
更に、“インスリン抵抗性に対するホメオスタシスモデル評価(HOMA-IR)”スコア、インスリン抵抗性の信頼性の高い指標を評価することによってインスリン抵抗性、治療に対するインスリン抵抗性患者の応答、インスリン感受性及び高インスリン血症が数量化され得る(Katsuki A, et al. Diabetes Care 2001; 24: 362-5)。更に、インスリン感受性についてHOMA-インデックスの定量(Matthews et al., Diabetologia 1985, 28: 412-19)、インタクトプロインスリンとインスリンとの比(Forst et al., Diabetes 2003, 52(Suppl.1): A459)及び正常血糖クランプ研究の方法を参照する。更に、血漿アジポネクチンレベルがインスリン感受性の潜在的代用物としてモニタされ得る。ホメオスタシス評価モデル(HOMA)-IRスコアによるインスリン抵抗性の推定値は、下記式で算出される(Galvin P, et al. Diabet Med 1992;9:921-8):
HOMA-IR =[空腹時血清インスリン(μU/mL)]×[空腹時血漿グルコース(ミリモル/l)/22.5]
一般に、他のパラメーターは、インスリン抵抗性を評価するために日常的な臨床診療において用いられる。好ましくは、例えば、トリグルセリドレベルの増加がインスリン抵抗性の存在と有意に相関するので、患者のトリグリセリド濃度が用いられる。
IGTもしくはIFG又は2型糖尿病を発症しやすい体質の患者は、高インスリン血症を有する正常血糖を有するものであり、定義によりインスリン抵抗性である。インスリン抵抗性を有する典型的な患者は、通常過体重か又は肥満である。インスリン抵抗性が検出される場合には、糖尿病前症の存在の特に強い徴候である。従って、グルコース恒常性を維持するために、健康な人の2-3倍のインスリンを必要とし、これにより、臨床症状を生じないことがあり得る。
【0019】
膵臓ベータ細胞の機能を調べる方法は、インスリン感受性、高インスリン血症又はインスリン抵抗性に関する上記方法と同様である: ベータ細胞機能の改善は、例えば、ベータ細胞機能のHOMA-インデックスを決定することによって(Matthews et al., Diabetologia 1985, 28: 412-19)、インタクトプロインスリンとインスリンとの比(Forst et al., Diabetes 2003, 52(Suppl.1): A459)、経口グルコース負荷試験又は食事負荷試験後のインスリン/C-ペプタイド分泌、又は高血糖クランプ試験及び/又はしばしば試料採取された静脈内グルコース負荷試験後の最小モデリングを使うことによって(Stumvoll et al., Eur J Clin Invest 2001, 31: 380-81)測定し得る。
用語“糖尿病前症”は、個体が2型糖尿病を発症しやすい状態である。糖尿病前症は、高い正常範囲内の空腹時血糖≧100 mg/dL (J. B. Meigs, et al. Diabetes 2003; 52:1475-1484)及び空腹時高インスリン血症(高血漿インスリン濃度)をもつ個体を含むように耐糖能異常の定義を広げる。糖尿病前症を深刻な健康への害として確認するための科学的且つ医学的な基礎は、米国糖尿病協会及び 国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所によって共同で発行された“2型糖尿病の予防又は遅延”と題する見解報告書の中で説明されている(Diabetes Care 2002; 25:742-749)。
インスリン抵抗性を有するような個体は、以下の属性: 1)過体重又は肥満、2)高血圧、3)高脂血症、4) IGTもしくはIFG又は2型糖尿病の診断をもつ1人以上の一等親血縁者の2つ以上を有する人々である。インスリン抵抗性は、HOMA-IRスコアを算出することによってこれらの個体において確認され得る。本発明のために、インスリン抵抗性は、個体がHOMA-IRスコア>4.0又はグルコースとインスリン分析を行っている研究室のために定義されるように正常の上限より大きいHOMA-IRスコアを有する臨床状態として定義される。
【0020】
用語“2型糖尿病”は、被検者が125mg/dL(6.94ミリモル/l)を超える血糖濃度又は血清グルコース濃度を有する状態として定義される。血糖値の測定は、通常の医学分析における標準手順である。グルコース負荷試験が行われる場合には、75gのグルコースが空腹時に摂取された2時間後、血漿dL当たり200mgのグルコース(11.1ミリモル/l)を超える。グルコース負荷試験において、75gのグルコースが10-12時間の絶食後に試験される患者に経口投与され、グルコースを摂取する直前と摂取する1及び2時間後に血糖値が記録される。健常者において、グルコースを摂取する前の血糖値は、血漿dL当たり60〜110mg、グルコースを摂取した1時間後は200mg未満、2時間後は140mg未満となる。2時間後の値が140〜200mgである場合には、これは耐糖能異常とみなされる。
用語“後期2型糖尿病”には、二次的薬剤障害不全患者、インスリン治療の徴候及び微小血管及び大血管合併症、例えば、糖尿病性腎症、又は冠状動脈性心臓病(CHD)への進行が含まれる。
用語“HbA1c”は、ヘモグロビンB鎖の非酵素的糖化の産物を意味する。その定量は、当業者に周知である。糖尿病の治療をモニタするのに、HbA1c値は、例外的な重要性を有する。その生産が本質的に血糖値と赤血球の寿命に左右されるので、“血糖メモリ”という意味のHbA1cは4-6週間前の平均血糖値を反映する。HbA1c値が集中的な糖尿病治療によって一貫して良く調整される糖尿病患者(即ち、試料中の合計ヘモグロビン<6.5%)は、糖尿病性微小血管障害からかなり良好に保護されている。例えば、メトホルミンはそれだけで、糖尿病患者のHbA1c値の平均改善を1.0 - 1.5%程度達成する。このHbA1C値の低下は、<6.5%、好ましくは<6% HbA1cの望ましい標的範囲を達成するためにすべての糖尿病患者には充分ではない。
【0021】
本発明の範囲の用語“不充分な血糖コントロール”又は“不適当血糖コントロール”は、患者が6.5%より大きい、特に7.0%より大きい、更に好ましくは7.5%より大きい、特に8%より大きいHbA1c値を示す状態を意味する。
“メタボリック症候群”は、“X症候群”(代謝障害に関連して用いられる場合)とも呼ばれ、“代謝異常症候群”とも呼ばれ、症候群複合体であり、基本的な特徴はインスリン抵抗性である(Laaksonen DE, et al. Am J Epidemiol 2002;156:1070-7)。ATP III/NCEPガイドラインによれば(Executive Summary of the Third Report of the National Cholesterol Education Program (NCEP) Expert Panel on Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults (Adult Treatment Panel III) JAMA: Journal of the American Medical Association (2001) 285:2486-2497)、メタボリック症候群の診断は、以下の危険因子の3つ以上が存在する場合になされる:
1. 腹部肥満、ウエスト回りが男性で>40インチ又は102cm、女性で>35インチ又は94cmとして定義される; 又は日本人の民族性又は日本人の患者に関して、ウエスト回りが男性で≧85 cm、女性で≧90 cmとして定義される;
2. 中性脂肪:≧150 mg/dL
3. HDL-コレステロール男性で<40mg/dL
4. 血圧≧130/85mm Hg(SBP≧130又はDBP≧85)
5. 空腹時血糖≧100 mg/dL
NCEP定義は、有効とされている(Laaksonen DE, et al. Am J Epidemiol. (2002) 156:1070-7)。血中の中性脂肪とHDLコレステロールもまた、医学分析における標準法によって求めることができ、例えば、Thomas L (Editor): "Labor und Diagnose", TH-Books Verlagsgesellschaft mbH, Frankfurt/Main, 2000に記載されている。
一般に用いられる定義によれば、収縮期血圧(SBP)が140mm Hgの値を超え、拡張期血圧(DBP)が90mm Hgの値を超える場合には、高血圧症が診断される。患者が発症糖尿病を罹患している場合には、現在、収縮期血圧を130mm Hgより低いレベルに低下させ、拡張期血圧を80mm Hgより低く低下させるように推奨される。
【0022】
NODAT(移植術後に新しく発症した糖尿病)及びPTMS(移植後のメタボリック症候群)の定義は、2型糖尿病については米国糖尿病協会診断の基準、メタボリック症候群については国際糖尿病連合(IDF)及びアメリカ心臓協会/全国心臓肺臓血液学会に厳密に従う。NODAT及び/又はPTMSは、微小血管疾患及び大血管疾患及び事象、移植片拒絶、感染、及び死のリスク増加と関連する。多くの予測の判断材料は、移植時の年齢の高さ、男性の性別、移植前、肥満度指数、移植前糖尿病及び免疫抑制を含むNODA及び/又はTPTMSと関連する潜在的危険因子と確認された。
用語“妊娠性糖尿病”(妊娠糖尿病)は、妊娠中に発症し、通常は出産の直後に再び停止する糖尿病の形態を意味する。妊娠性糖尿病は、妊娠の24週〜28週に行われるスクリーニングテストによって診断される。通常は、血糖値が50gのブドウ糖液の投与の1時間後に測定される簡易検査である。この1時間値が140mg/dlを超える場合には、妊娠糖尿病が疑われる。最終確認は、標準グルコース負荷試験によって、例えば、75gのグルコースを用いて得ることができる。
用語“高尿酸血症”は、高血清合計尿酸塩レベルの状態を意味する。ヒト血中尿酸濃度3.6mg/dL(約214μモル/L)〜8.3mg/dL(約494μモル/L)は、米国医師会によって正常であるとみなされる。高血清合計尿酸塩レベル、又は高尿酸血症は、いくつかの疾患としばしば関連している。例えば、高血清合計尿酸塩レベルは、痛風として知られるタイプの関節における関節炎につながり得る。痛風は、血流における合計尿酸塩レベルが高濃度のために関節、腱及び周囲組織の関節軟骨上に尿酸一ナトリウム又は尿酸結晶の蓄積によって生じる状態である。これらの組織上の尿酸塩又は尿酸の蓄積は、これらの組織の炎症反応を引き起こす。尿酸又は尿酸塩が腎臓において結晶する場合、尿中の尿酸の飽和レベルは腎臓結石を形成することになり得る。更に、高血清合計尿酸塩レベルは、心臓血管疾患及び高血圧症を含む、いわゆるメタボリック症候群としばしば関連している。
【0023】
用語“低ナトリウム血症”は、血漿ナトリウムが135mml/Lのレベルより低下する場合に認識される、ナトリウムの不足の有無による陽性の水分バランスの状態を意味する。低ナトリウム血症は、水を過剰に消費する個体における分離で生じ得る状態である; しかしながら、しばしば低ナトリウム血症は、薬剤の合併症又は水の排出減少につながる他の基礎にある病状である。低ナトリウム血症は、過剰水の貯留による、細胞外液の正常な張性が安全限界より低下する場合に生じる水中毒につながることがあり得る。水中毒は、脳機能の潜在的に致命的な障害である。典型的な水中毒の症状には、吐き気、嘔吐、頭痛及び倦怠が含まれる。
本発明の範囲内の用語“SGLT2阻害剤”は、ナトリウム-グルコーストランスポータ2(SGLT2)、特にヒトSGLT2に阻害作用を示す化合物、特にグルコピラノシル誘導体、即ち、グルコピラノシル部分を有する化合物に関する。IC50として測定されるhSGLT2に対する阻害作用は、好ましくは1000nM未満、より好ましくは100nM未満、最も好ましくは50nM未満である。SGLT2阻害剤のIC50値は、通常は0.01nMを超えるか、又は0.1nM以上である。hSGLT2に対する阻害作用は、文献において既知の方法によって、特に国際公開第2005/092877号パンフレット又は同第2007/093610号パンフレット(23/24頁)に記載されるように求めることができ、これらの明細書の記載は、本願明細書に全体として含まれるものとする。用語“SGLT2阻害剤”は、また、その医薬的に許容され得る塩、その水和物及び溶媒和物を含み、それぞれの結晶形態が含まれる。
【0024】
本発明の範囲内の用語“DPPIV阻害剤”は、酵素ジペプチジルペプチダーゼIVに阻害活性を示す化合物に関する。このような阻害活性は、IC50値に特徴を有し得る。DPPIV阻害剤は、好ましくは、IC50値が10000nM未満、好ましくは1000nM未満を示す。ある種のDPPIV阻害剤は、IC50値が100nM、又は≦50nMさえも示す。DPPIV阻害剤のIC50値は、通常は0.01nMを超え、又は0.1nM超えることさえある。DPPIV阻害剤には、生体化合物及び非生体化合物、特に非ペプチド化合物が含まれ得る。DPPIVに対する阻害作用は、文献において既知の方法によって、特に国際公開第02/068420号パンフレット又は同第2004/018468号パンフレット(34頁)に記載されるように求めることができ、これらの明細書の記載は、本願明細書に全体として含まれるものとする。用語“DPPIV阻害剤”は、また、その医薬的に許容され得る塩、その水和物及び溶媒和物を含み、それぞれの結晶形態が含まれる。
用語“治療”及び“治療する”は、特に顕在的形態で、前記状態をすでに発症した患者の治療を含む。治療的治療は、個々の適応の徴候を軽減するために状態を逆転させるか又は部分的に逆転させるための対症治療又は適応の状態を逆転させるか或いは部分的に逆転させるか又は疾患の進行を停止させるか或いは遅らせるための原因治療であり得る。このように、本発明の組成物及び方法は、例えば、ある期間にわたる治療的治療としてだけでなく、慢性治療に用いることができる。
用語“予防的に治療する”、“予防的に治療する”及び“予防する”は同じ意味で用いられ、上文で述べた症状を発症するリスクがある患者の治療を含むので、前記リスクを低下させる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、SGLT2阻害剤(A)、DPPIV阻害剤(B)、メトホルミン(Met)及びその組み合わせ(A+Met、B+Met、A+B、A+B+Met)を投与したズッカーラットにおけるグルコースAUCとして、グルコース推移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の態様、特に医薬組成物、方法及び使用は、上文及び下文に定義される、SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬に関係する。本発明の方法及び使用において、第3の抗糖尿病薬が、必要により、投与されてもよい。即ち、SGLT2阻害剤とDPPIV阻害剤は、第3の抗糖尿病薬と組み合わせて又は第3の抗糖尿病薬と組み合わせずに投与される。好ましくは本発明の方法及び使用において、SGLT2阻害剤とDPPIV阻害剤は、第3の抗糖尿病薬と組み合わせて投与される。
好ましくは、SGLT2阻害剤、又は前述のSGLT2阻害剤の1つのプロドラッグは、式(I)のダパグリフロジン、カナグリフロジン、アチグリフロジン(atigliflozin)、レモグリフロジン、セルグリフロジン及びグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体からなるグループG1より選ばれる
【0027】
【化1】

【0028】
(式中、R1は、Cl、メチル又はシアノを示し; R2は、H、メチル、メトキシ又はヒドロキシを示し、R3は、エチル、シクロプロピル、エチニル、エトキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシを示す)。
式(I)の化合物及びその合成方法は、例えば、以下の特許出願に記載されている: 国際公開第2005/092877号パンフレット、同第2006/117360号パンフレット、国際公開第2006/117359号パンフレット、国際公開第2006/120208号パンフレット、国際公開第2006/064033号パンフレット、国際公開第2007/031548号パンフレット、国際公開第2007/093610号パンフレット、国際公開第2008/020011号パンフレット、国際公開第2008/055870号パンフレット。
式(I)の上記グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体において、置換基の以下の定義が好ましい。
好ましくは、R1は、クロロ又はシアノ; 特にクロロを示す。
好ましくは、R2は、Hを示す。
好ましくは、R3は、エチル、シクロプロピル、エチニル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシを示す。更に好ましくは、R3は、シクロプロピル、エチニル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシを示す。最も好ましくは、R3は、エチニル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシを示す。
式(I)の好ましいグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は、化合物(I.1)〜(I.11)の群より選ばれる:
【0029】
【化2】





【0030】
式(I)の更に好ましいグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は、化合物(I.6)、(I.7)、(I.8)、(I.9)及び(I.11)より選ばれる。
それ故、グループG1は、好ましくは、ダパグリフロジン、レモグリフロジン、化合物(I.6)、化合物(I.7)、化合物(I.8)、化合物(I.9)及び化合物(I.11)からなる。
更に好ましくは、グループG1は、ダパグリフロジン及び化合物(I.9)からなる。
本発明によれば、式(I)の上記グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体の定義がその水和物、溶媒和物及び多形形態、及びそのプロドラッグも含むことは理解すべきである。好ましい化合物(I.7)に関して、有利な結晶形態は、国際公開第2007/028814号パンフレットに記載されており、この明細書の記載は本願明細書に全体として含まれるものとする。好ましい化合物(I.8)に関して、有利な結晶形態は、国際公開第2006/117360号パンフレットに記載されており、この明細書の記載は本願明細書に全体として含まれるものとする。好ましい化合物(I.9)に関して、有利な結晶形態は、国際公開第2006/117359号パンフレットに記載されており、この明細書の記載は本願明細書に全体として含まれるものとする。好ましい化合物(I.11)に関して、有利な結晶形態は、国際公開第2008/049923号パンフレットに記載されており、この明細書の記載は本願明細書に全体として含まれるものとする。これらの結晶形態は、SGLT2阻害剤の良好なバイオアべイラビリティを可能にする良好な溶解特性を有する。更にまた、結晶形態は、物理化学的に安定であるので、医薬組成物の良好な貯蔵安定性を与える。
本明細書に使われる用語“ダパグリフロジン”は、その水和物及び溶媒和物を含むダパグリフロジン、及びその結晶形態を意味する。化合物及びその合成方法は、例えば国際公開第03/099836号パンフレットに記載されている。好ましい水和物、溶媒和物及び結晶形態は、例えば、国際公開第2008/116179号パンフレット及び国際公開第2008/002824号パンフレットに記載されている。
本明細書に使われる用語“カナグリフロジン”は、その水和物及び溶媒和物を含むカナグリフロジン、及びその結晶形態を意味し、以下の構造を有する:
【0031】
【化3】

【0032】
化合物及びその合成方法は、例えば、国際公開第2005/012326号パンフレット及び国際公開第2009/035969号パンフレットに記載されている。好ましい水和物、溶媒和物及び結晶形態は、例えば、国際公開第2008/069327号パンフレットに記載されている。
本明細書に使われる用語“アチグリフロジン”は、その水和物及び溶媒和物を含むアチグリフロジン、及びその結晶形態を意味する。化合物及びその合成方法は、例えば、国際公開第2004/007517号パンフレットに記載されている。
本明細書に使われる用語“レモグリフロジン”は、その水和物及び溶媒和物を含むレモグリフロジン及びレモグリフロジンのプロドラッグ、特にレモグリフロジンエタボネート、及びその結晶形態を意味する。その合成方法は、例えば、欧州特許第1213296号明細書及び同第1354888号明細書に記載されている。
本明細書に使われる用語“セルグリフロジン”は、その水和物及び溶媒和物を含むセルグリフロジン及びセルグリフロジンのプロドラッグ、特にセルグリフロジンエタボネート、及びその結晶形態を意味する。その製造方法は、例えば、欧州特許第1344780号明細書及び同第1489089号明細書に記載されている。
疑いを避けるために、指定されたSGLT2阻害剤に関連して上で引用された上記文献の各々の開示は、本願明細書に全体として詳細に含まれるものとする。
本発明の態様、特に医薬組成物、方法及び使用は、上文及び下文に定義されるDPP IV阻害剤、又はそのプロドラッグ、又はその医薬的に許容され得る塩を意味する。
【0033】
好ましくは、DPPIV阻害剤は、リナグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、サクサグリプチン、デナグリプチン、カルメグリプチン、メログリプチン及びドゥトグリプチンからなるグループG2、又は前述のDPPIV阻害剤の1つの医薬的に許容され得る塩、又はそのプロドラッグより選ばれる。
本明細書に使われる用語“リナグリプチン”は、その水和物及び溶媒和物を含むリナグリプチン及びその医薬的に許容され得る塩、及びその結晶形態を意味する。結晶形態は、国際公開第2007/128721号パンフレットに記載されている。リナグリプチンの製造方法は、例えば、国際公開第2004/018468号パンフレット及び同第2006/048427号パンフレットに記載されている。リナグリプチンは、有利な薬理学的特性、受容体選択性及び有利な副作用プロファイルを有する例外的な効力と持続的効果を組み合わせるか又は本発明のSGLT2阻害剤と第3の抗糖尿病薬と組み合わせて用いられる場合に予想外の治療利点又は改善をもたらすので、構造的に匹敵するDPPIV阻害剤と区別される。
本明細書に使われる用語“シタグルプチン”は、その水和物及び溶媒和物を含むシタグルプチン(又はMK-0431)及びその医薬的に許容され得る塩、及びその結晶形態を意味する。一実施態様において、シタグルプチンは、リン酸二水素塩、即ち、シタグリプチンリン酸塩の形である。態様においては、更に、シタグリプチンリン酸塩は、結晶の無水物又は一水和物の形である。本実施態様の種類は、シタグリプチンリン酸塩一水和物を意味する。シタグリプチン遊離塩基及びその医薬的に許容され得る塩は、米国特許第6,699,871号明細書及び国際公開第03/004498号パンフレットの実施例7に開示されている。結晶シタグリプチンリン酸塩一水和物は、国際公開第2005/003135号パンフレット及び同第2007/050485号パンフレットに開示されている。例えば、本化合物又はその塩を製造するか又は配合するプロセスの詳細については、従って、これらの引例を参照する。シタグリプチンの錠剤製剤は、商品名Januvia(登録商標)として市販されている。
【0034】
本明細書に使われる用語“ビルダグリプチン”は、その水和物及び溶媒和物を含むビルダグリプチン(又はLAF-237)及びその医薬的に許容され得る塩、及びその結晶形態を意味する。ビルダグリプチンの個々の塩は、国際公開第2007/019255号パンフレットに開示されている。ビルダグリプチンの結晶形態及びビルダグリプチン錠剤製剤は、国際公開第2006/078593号パンフレットに開示されている。ビルダグリプチンは、国際公開第00/34241号パンフレット又は国際公開第2005/067976号パンフレットに記載されるように配合し得る。ビルダグリプチン放出調節製剤は、国際公開第2006/135723号パンフレットに記載されている。例えば、本化合物又はその塩を製造するか又は配合するプロセスの詳細については、従って、これらの引例及び米国特許第6,166,063号明細書を参照する。ビルダグリプチンの錠剤製剤は、商品名Galvus(登録商標)として市販されていると思われる。
本明細書に使われる用語“サクサグリプチン”は、その水和物及び溶媒和物を含むサクサグリプチン(又はBMS-477118)及びその医薬的に許容され得る塩、及びその結晶形態を意味する。一実施態様において、サクサグリプチンは、遊離塩基又はHCl塩(例えば、その水和物を含む、一塩酸塩又は二塩酸塩として)、又は国際公開第2004/052850号パンフレット及び国際公開第2008/131149号パンフレットに開示されているモノ安息香酸塩の形である。実施態様において、更に、サクサグリプチンは、遊離塩基の形である。実施態様において、また更に、国際公開第2004/052850号パンフレットに開示されているように、サクサグリプチンは遊離塩基の一水和物の形である。サクサグリプチンを調製する方法は、また、国際公開第2005/106011号パンフレット及び同第2005/115982号パンフレットに開示されている。サクサグリプチンは、国際公開第2005/117841号パンフレットに記載されるように錠剤に配合され得る。例えば、本化合物又はその塩を製造するか又は配合するプロセスの詳細については、従って、これらの引例及び米国特許第6,395,767号明細書及び国際公開第01/68603号パンフレットを参照する。
【0035】
本明細書に使われる用語“デナグリプチン”は、その水和物及び溶媒和物を含む、デナグリプチン(又はGSK-823093)及びその医薬的に許容され得る塩、及びその結晶形態を意味する。一実施態様において、デナグリプチンは、国際公開第03/002531号パンフレットの実施例2に開示されるように塩酸塩又は国際公開第2005/009956号パンフレットに開示されるようにトシレート塩の形である。この実施態様の種類は、デナグリプチントシレートを意味する。結晶性無水デナグリプチントシレートは、国際公開第2005/009956号パンフレットに開示されている。本化合物又はその塩を製造するプロセスの詳細については、従って、これらの引例及び米国特許第7,132,443号明細書を参照する。
本明細書に使われる用語“アログリプチン”は、その水和物及び溶媒和物を含む、アログリプチン(又はSYR-322)及びその医薬的に許容され得る塩、及びその結晶形態を意味する。一実施態様において、アログリプチンは、国際公開第2007/035629号パンフレットに開示されるように各々その安息香酸塩、その塩酸塩又はそのトシレート塩の形である。本実施態様の種類は、アログリプチン安息香酸塩を意味する。アログリプチン安息香酸塩の多形は、国際公開第2007/035372号パンフレットにおいて開示されている。アログリプチンの調製方法は、国際公開第2007/112368号パンフレットに、詳しくは、同第2007/035629号パンフレットに開示されている。アログリプチン(即ち、その安息香酸塩)は、国際公開第2007/033266号パンフレットに記載されるように錠剤に配合され投与され得る。例えば、本化合物又はその塩を製造するプロセスの詳細については、従って、これらの引例及び米国特許出願公開第2005/261271号明細書、欧州特許第1586571号明細書及び国際公開第2005/095381号パンフレットを参照する。
【0036】
本明細書に使われる用語“カルメグリプチン”は、その水和物及び溶媒和物を含む、カルメグリプチン及びその医薬的に許容され得る塩、及びその結晶形態を意味する。本化合物(詳しくはその二塩酸塩)の調製方法もまた、国際公開第2008/031749号パンフレット、同第2008/031750号パンフレット及び同第2008/055814号パンフレットに開示されている。本化合物は、国際公開第2007/017423号パンフレットに記載されるように医薬組成物に配合され得る。例えば、本化合物又はその塩を製造、配合又は使用するプロセスの詳細については、従って、これらの引例及び国際公開第2005/000848号パンフレットを参照する。
本明細書に使われる用語“メログリプチン”は、その水和物及び溶媒和物を含む、メログリプチン及びその医薬的に許容され得る塩、及びその結晶形態を意味する。その調製方法は、特に、国際公開第2006/040625号パンフレット及び同第2008/001195号パンフレットに開示されている。特に特許請求された塩には、メタンスルホン酸塩及びp-トルエンスルホン酸塩が含まれる。例えば、本化合物又はその塩を製造、配合又は使用するプロセスの詳細については、従って、これらの引例を参照する。
本明細書に使われる用語“デュトグリプチン”は、その水和物及び溶媒和物を含む、デュトグリプチン(又はPHX-1149、PHX-1149T)及びその医薬的に許容され得る塩、及びその結晶形態を意味する。その調製方法は、特に、国際公開第2005/047297号パンフレットに開示されている。医薬的に許容され得る塩には、酒石酸塩が含まれる。例えば、本化合物又はその塩を製造、配合又は使用するプロセスの詳細については、従って、これらの引例を参照する。
【0037】
疑いを避けるために、指定されたDPP IV阻害剤に関連して上で引用した上記の文献の各々の開示は、本願明細書に全体として詳細に含まれるものとする。
第3の抗糖尿病薬は、ビグアナイド、チアゾリジンジオン、スルホニル尿素、グリニド、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、GLP-1類似体又はその医薬的に許容され得る塩からなるグループG3より選ばれる。以下において、第3の抗糖尿病薬に関する好ましい実施態様を記載する。
グループG3は、ビグアナイドを含む。ビグアナイドの例は、メトホルミン、フェンホルミン及びブホルミンである。好ましいビグアナイドは、メトホルミンである。ビグアナイド、特にメトホルミンと組み合わせたSGLT2阻害剤及びDPPIV阻害剤は、より有効な血糖コントロールを与えることができ、例えば、2型糖尿病と一般に関連しているメタボリック症候群に対して全体的に有益な効果を有する体重を減少させるために、ビグアナイドと相乗的に作用させることになる。
本明細書に使われる用語“メトホルミン”は、メトホルミン又はその医薬的に許容され得る塩、例えば、塩酸塩、メトホルミン(2:1)フマレート塩、メトホルミン(2:1)スクシネート塩、臭化水素酸塩、p-クロロフェノキシアセテート塩又はエンボネート、及び一塩基性及び二塩基性カルボン酸の他の既知のメトホルミン塩を意味する。本明細書に使われるメトホルミンがメトホルミン塩酸塩であることが好ましい。
グループG3は、チアゾリジンジオンを含む。チアゾリジンジオン(TZD)の例は、ピオグリタゾン及びロシグリタゾンである。TZD治療は、重い体重増加と脂肪再分布に関連している。更に、TZDは、体液貯留を引き起こし、鬱血性心不全患者においては示されない。TZDによる長期治療は、更に、骨破壊のリスク増加と関連している。SGLT2阻害剤及びDPPIV阻害剤の体重減少能力のような有利な特性は、TZDによる治療の副作用を最小限にすることができる。
【0038】
本明細書に使われる用語“ピオグリタゾン”は、エナンチオマー、その混合物及びそのラセミ体を含む、ピオグリタゾン、又はその医薬的に許容され得る塩、例えば、塩酸塩を意味する。
本明細書に使われる用語“ロシグリタゾン”は、そのエナンチオマー、その混合物及びそのラセミ体を含む、ロシグリタゾン、又はその医薬的に許容され得る塩、例えば、マレイン酸塩を意味する。
グループG3は、スルホニル尿素を含む。スルホニル尿素の例は、グリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリボルヌリド、グリブリド、グリソキセピド及びグリクラジドである。好ましいスルホニル尿素は、トルブタミド、グリキドン、グリベンクラミド及びグリメピリド、特にグリベンクラミド及びグリメピリドである。スルホニル尿素の効力が治療の過程で徐々になくなるので、SGLT2阻害剤及びDPPIV阻害剤とスルホニル尿素との組み合わせは、より良好な血糖コントロールに関して患者に追加の利点を与えることができる。また、スルホニル尿素による治療は、通常、治療の過程で段階的な体重増加と関連し、SGLT2阻害剤とDPPIV阻害剤の体重減少能力がスルホニル尿素による治療のこの副作用を最小限にし且つメタボリック症候群を改善することができる。この組み合わせは、また、スルホニル尿素の望ましくない副作用であるより低い低血糖に変えることになるスルホニル尿素の投与量の減少を可能にすることができる。
【0039】
本明細書に使われるグループ“グリベンクラミド”、“グリメピリド”、“グリキドン”、“グリボルヌリド”、“グリクラジド”、“グリソキセピド”、“トルブタミド”及び“グリピジド”の各用語は、それぞれの活性薬剤又はその医薬的に許容され得る塩を意味する。
グループG3は、グリニドを含む。グリニドの例は、ナテグリニド、レパグリニド及びミチグリニドである。これらの効力が治療の過程で徐々になくなるので、SGLT2阻害剤とメグリチニドとの組み合わせはより良好な血糖コントロールに関して患者に追加の利点を与えることができる。また、メグリチニドによる治療は、通常、治療の過程で段階的な体重増加と関連し、SGLT2阻害剤の体重減少能力がメグリチニドによる治療の副作用を最小限にし且つメタボリック症候群を改善することができる。この組み合わせが、また、メグリチニドの望ましくない副作用であるより低い低血糖に変えることになるメグリチニドの投与量の減少を可能にすることができる
本明細書に使われる用語“ナテグリニド”は、そのエナンチオマー、その混合物及びそのラセミ体を含むナテグリニド、又はその医薬的に許容され得る塩及びエステルを意味する。
本明細書に使われる用語“レパグリニド”は、そのエナンチオマー、その混合物及びそのラセミ体を含むレパグリニド、又はその医薬的に許容され得る塩及びエステルを意味する。
【0040】
グループG3は、α-グルコシダーゼ阻害剤を含む。アルファ-グルコシダーゼ阻害剤の例は、アカルボース、ボグルボース及びミグリトールである。SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及びアルファ-グルコシダーゼ阻害剤の組み合わせからの追加の利点は、個々の薬剤のより少ない用量でより有効な血糖コントロールに関係することができ、特にアルファ-グルコシダーゼ阻害剤の望ましくない胃腸副作用を低下させることになる。追加の利点は、その組み合わせが膵臓のアルファ細胞とベータ細胞に対して予想される長期の利点を有するそれぞれの単独治療よりより高い全身性レベルの全身性GLP-1を生じ得ることになる。更にまた、腸のグルコース取り込みの阻害と血糖の尿中排泄を増加させることを双方組み合わせると、それぞれの単独治療より非常に効率的に、血糖、特に食後グルコースピークを低下させることができる。アルファ-グルコシダーゼ阻害剤は、吸収されないか又は極めて少ない体内吸収を有するので、DPPIVとSGLT2阻害剤のクリアランスを妨害しないように予想される。
本明細書に使われるグループ“アカルボース”、“ボグリボース”及び“ミグリトール”の各用語は、それぞれの活性薬剤又はその医薬的に許容され得る塩を意味する。
グループG3は、GLP-1類似体の阻害剤を含む。GLP-1類似体の例は、エクセナチド及びリラグルチドである。SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及びGLP-1類似体の組み合わせは、個々の薬剤のより少ない用量で優れた血糖コントロールを達成することができる。更に、GLP-1類似体の体重減少能力は、DPPIV阻害剤とSGLT2阻害剤の体重コントロールの可能性によって更に増強されることが予想される。一方、GLP-1類似体の用量低下がDPP IV及びSGLT2阻害剤と組み合わせて適用される場合、副作用(例えば、吐き気、嘔吐)の減少を得ることができる。
本明細書に使われるグループ“エクセナチド”及び“リラグルチド”の各用語は、それぞれの活性薬剤又はその医薬的に許容され得る塩を意味する。
第1の実施態様E1において、本発明の医薬組成物、方法及び使用は、好ましくは、SGLT2阻害剤が式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体より選ばれる組み合わせに関する
【0041】
【化4】

【0042】
(式中、R1、R2及びR3は上文の通り定義される)。
更に好ましくは、SGLT2阻害剤は、上文に定義されるように化合物(I.1)〜(I.11)のグループより選ばれる。最も好ましくは、第1の実施態様によれば、SGLT2阻害剤は、化合物(I.9)である。
第1の実施態様によれば、DPPIV阻害剤と第3の抗糖尿病薬は、好ましくは、表1の項目に従って選ばれる。
【0043】
表 1



【0044】
第2の実施態様E2において、本発明の医薬組成物、方法及び使用は、好ましくは、DPPIV阻害剤がリナグリプチンである組み合わせに関する。第2の実施態様によれば、SGLT2阻害剤と第3の抗糖尿病薬は、好ましくは、表2の項目に従って選ばれる。
【0045】
表 2



【0046】
表1及び表2に記載される本発明の組み合わせの中で、組み合わせNo. E1.1〜E1.18とE2.1〜E2.18、特にE1.10〜E1.18とE2.10〜E2.18、特にE1.11とE2.11が更に好ましい。
本発明のSGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬の組み合わせは、特に下文に記載される患者において、SGLT2阻害剤又はDPP IV阻害剤又は第3の抗糖尿病薬のみを用いる単独治療、例えば、メトホルミンの単独治療と比較して、血糖コントロールを著しく改善する。更にまた、本発明のSGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬の組み合わせは、特に、下文に記載される患者において、SGLT2阻害剤とDPP IV阻害剤を用いるか又はSGLT2阻害剤と第3の抗糖尿病薬を用いるか又はDPPIV阻害剤と第3の抗糖尿病薬を用いる併用治療と比較して、血糖コントロールを改善する。血糖コントロールの改善は、血糖低下の増加及びHbA1c低下の増加として決定される。患者、特に下文に記載される患者における単独治療においては、血糖コントロールは、通常は、ある種の最高用量を超える薬剤の投与によってほとんど改善することができない。更に、最高用量を用いる長期治療は、潜在的な副作用からみて不必要であり得る。それ故、SLGT2阻害剤又はDPP IV阻害剤又は第3の抗糖尿病薬のみを用いる単独治療によってすべての患者において満足な血糖コントロールを達成することができない。SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬より選ばれる2つだけの薬剤を用いる併用治療でさえ、すべての患者において及び/又は長期にわたって完全な血糖コントロールを得ることができない。このような患者において、糖尿病の進行は続くことになり、糖尿病と関連する合併症、例えば大血管合併症が起こり得る。本発明の医薬組成物及び方法は、対応する単独治療又は組み合わせパートナーの2つだけを用いた治療と比較して多くの患者について、また、長期の治療的治療についてHbA1c値の望ましい目標範囲、例えば<7%、好ましくは<6.5%への低下を可能にする。
【0047】
更に、本発明のSGLT2阻害剤、DPP IV阻害剤及び第3の治療剤の組み合わせは、SGLT2阻害剤、DPP IV阻害剤又は第3の抗糖尿病薬又は有効成分の2つ又は3つもの用量の低下を可能にする。用量の減少は、より多くの用量の有効成分の1つ以上を用いる治療において副作用に潜在的に苦しむことになる患者には、特に第3の抗糖尿病薬によって引き起こされる副作用に関して有益である。それ故、本発明の医薬組成物及び方法は、副作用が少なく、それによってより許容できる治療が行われるとともに治療による患者の服薬遵守が改善される。
DPP IV阻害剤を用いる単独治療又はDPPIV阻害剤及び本発明の第3の抗糖尿病薬を用いる併用治療は、患者のインスリン分泌能力又はインスリン感受性から独立していない。一方、本発明のSGLT2阻害剤の投与による治療は、患者のインスリン分泌能力又はインスリン感受性に左右されない。それ故、優勢であるインスリンレベル又はインスリン抵抗性及び/又は高インスリン血症から独立している患者は、本発明のSGLT2阻害剤とDPPIV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬との組み合わせを用いる治療から利益を得ることができる。これらの優勢であるインスリンレベル又はこれらのインスリン抵抗性又は高インスリン血症から独立しているこれらの患者は、更に、SGLT2阻害剤を組み合わせて又は交互に投与することから、DPP IV阻害剤と第3の抗糖尿病薬の組み合わせで治療することができる。
本発明のDPP IV阻害剤は、患者のグルカゴン分泌を - 活性GLP-1レベルの増加によって - 低下させることができる。それ故、これにより肝臓グルコース生産が制限される。更にまた、DPP IV阻害剤によって生産される高活性GLP-1レベルは、ベータ細胞再生及び新生に対して有益な作用を有する。DPP IV阻害剤のすべてのこれらの特徴によって、SGLT2阻害剤との組み合わせが非常に有効で且つ治療的に適切になる。
【0048】
本発明が治療又は予防を必要としている患者を表す場合には、主にヒトにおける治療及び予防に関するが、医薬組成物を哺乳動物における動物薬にそれに応じて用いることもできる。本発明の範囲において、成人の患者は、好ましくは18歳以上の年齢のヒトである。また、本発明の範囲において、患者は、青年期のヒト、即ち、年齢が10〜17歳、好ましくは年齢が13〜17歳のヒトである。青年期集団において本発明の医薬組成物を投与すると非常に良好なHbA1c低下と空腹時血漿グルコースの非常に良好な低下を見ることができると考えられる。更に、青年期集団において、特に過体重及び/又は肥満患者において、顕著な減量を認めることができると考えられる。
上文に記載されるように本発明の医薬組成物の投与によって、特に本明細書におけるSGLT2阻害剤の高SGLT2阻害活性からみて、過剰な血糖が患者の尿によって排出されるので、体重の増加或いは体重の減少さえも生じることにならない。それ故、本発明の治療又は予防は、有利には、過体重及び肥満、特にクラスI肥満、クラスII肥満、クラスIII肥満、内臓肥満及び腹部肥満からなる群より選ばれる状態の1つ以上から診断されるこのような治療又は予防を必要としている患者に適している。更に、本発明の治療又は予防は、有利には、体重増加が禁忌である患者に適している。治療における体重増加作用は、例えば、第3の抗糖尿病薬の投与のために、減弱されるか又はそれによって避けることさえできる。
本発明の医薬組成物、特に本明細書におけるSGLT2阻害剤は、血糖コントロールに関して、特に空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビン(HbA1c)の低下からみて非常に良好な効力を示す。本発明の医薬組成物を投与することによって、好ましくは1.0%以上、より好ましくは、2.0%以上、更により好ましくは3.0%以上のHbA1cの低下を達成することができ、低下は、特に1.0%〜3.0%の範囲である。
【0049】
更にまた、本発明の方法及び/又は使用は、有利には、以下の状態の1又は2つ以上を示す患者に適用できる:
(a) 100mg/dL又は110mg/dLを超える、特に125mg/dLを超える空腹時血糖又は血清グルコース濃度;
(b) 140mg/dL以上の食後血漿グルコース;
(c) 6.5%以上、特に7.0%以上、特に7.5%以上、更に8.0%以上のHbA1c値。
本発明は、また、2型糖尿病を有するか又は糖尿病前症の第1の徴候を示す患者において血糖コントロールを改善させるための医薬組成物の使用を開示する。従って、本発明は、また、糖尿病予防を含む。それ故、糖尿病前症の上述の徴候の1つが存在するとすぐに本発明の医薬組成物が血糖コントロールを改善するために用いられる場合には、顕在的な2型糖尿病の発症が遅延又は予防され得る。
更にまた、本発明の医薬組成物は、特にインスリン依存患者の治療に、即ち、インスリン又はインスリン誘導体又はインスリン代用品又はインスリン又はその誘導体又は代用品を含む製剤で治療されるか或いは治療されることになるか又は治療を必要とする患者に適している。これらの患者には、糖尿病2型患者及び糖尿病1型患者が含まれる。
それ故、本発明の好ましい実施態様によれば、耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、インスリン抵抗性、メタボリック症候群及び/又は2型又は1型糖尿病で診断されるそれを必要としている患者において血糖コントロールを改善させ且つ/又は空腹時グルコース、食後血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビンHbA1cを低下させる方法であって、上文及び下文に定義される、SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬が患者に、例えば、組み合わせて又は交互に投与されることを特徴とする、前記方法が提供される。
【0050】
本発明の他の好ましい実施態様によれば、2型糖尿病患者において、特に成人の患者において、食事や運動の補助として、血糖コントロールを改善させる方法が提供される。
本発明の医薬組成物を用いることにより、特に抗糖尿病薬による治療にもかかわらず、例えばメトホルミン、SGLT2阻害剤又はDPPIV阻害剤による経口単独治療又はメトホルミンとSGLT2阻害剤との組み合わせ又はメトホルミンとDPPIV阻害剤、特に本発明のSGLT2阻害剤、又は本発明のDPP IV阻害剤との組み合わせの最大の推奨された又は許容された用量にもかかわらず不充分な血糖コントロールを有する患者においてさえ血糖コントロールの改善を達成することができることが分かる。メトホルミンに関して最大の推奨された又は許容された用量は、例えば、2000mg/日、1500mg/日、例えばアジア諸国において)又は1日3回850mg又はその等価物である。本発明のSGLT2阻害剤に関して、特に化合物(I.9)に関して最大の推奨された又は許容された用量は、例えば、1日1回100mg又は50mg又は25mg又は10mg又はその等価物である。リナグリプチンに関して最大の推奨された又は許容された用量は、例えば、1日1回10mg、好ましくは5mg又はその等価物である。シタグリプチンに関する最大の推奨された又は許容された用量は、例えば、1日1回100mg又はその等価物である。
【0051】
それ故、本発明の方法及び/又は使用は、有利には、以下の状態の2つ以上を示す患者において適用できる:
(a) 食事や運動だけによる不充分な血糖コントロール;
(b) メトホルミンによる経口単独治療にもかかわらず、特にメトホルミンの最大の推奨された又は許容された用量の経口単独治療にもかかわらず不充分な血糖コントロール;
(c) 第3の抗糖尿病薬による経口単独治療にもかかわらず、特に第3の抗糖尿病薬の最大の推奨された又は許容された用量の経口単独治療にもかかわらず不充分な血糖コントロール;
(d) SGLT2阻害剤による経口単独治療にもかかわらず、特にSGLT2阻害剤の最大の推奨された又は許容された用量の経口単独治療にもかかわらず不充分な血糖コントロール;
(e) DPPIV阻害剤による経口単独治療にもかかわらず、特にDPPIV阻害剤の最大の推奨された又は許容された用量の経口単独治療にもかかわらず不充分な血糖コントロール;
(f) SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬の群より選ばれる2つの薬剤による併用治療にもかかわらず不充分な血糖コントロール;
(g) SGLT2阻害剤及び第3の抗糖尿病薬(例えばメトホルミン)による経口併用治療にもかかわらず、特に組み合わせパートナーの少なくとも1つの最大の推奨された又は許容された用量の経口単独治療にもかかわらず不充分な血糖コントロール;
(h) DPPIV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬(例えばメトホルミン)による経口併用治療にもかかわらず、特に組み合わせパートナーの少なくとも1つの最大の推奨された又は許容された用量の経口単独治療にもかかわらず不充分な血糖コントロール。
【0052】
本発明のSGLT2阻害剤の投与による血糖値の低下は、インスリン非依存性である。それ故、本発明の医薬組成物は、特に以下の状態の1つ以上を有する診断される患者の治療に適している
- インスリン抵抗性、
- 高インスリン血症、
- 糖尿病前症、
- 2型糖尿病、特に後期2型糖尿病を有する
- 1型糖尿病。
更にまた、本発明の医薬組成物は、特に以下の状態の1つ以上を有する診断される患者の治療に適している
(a) 肥満(クラスI、II及びIII肥満を含む)、内臓肥満及び/又は腹部肥満、
(b) 中性脂肪血中濃度≧150mg/dL、
(c) HDL-コレステロール血中濃度が女性の患者で<40mg/dL、男性患者で<50mg/dL、
(d) 収縮期血圧≧130 mm Hg、拡張期血圧≧85 mm Hg、
(e) 空腹時血糖値≧100 mg/dL。
耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、インスリン抵抗性及び/又はメタボリック症候群で診断される患者が心臓血管の疾患、例えば、心筋梗塞、冠動脈性心疾患、心不全、血栓塞栓症を発症するリスクの増加を受けると考えられる。本発明の血糖コントロールは、心臓血管のリスクの低下をもたらし得る。
【0053】
更にまた、本発明の医薬組成物及び方法は、特に、臓器移植後の患者、特に以下の状態の1つ以上を有する診断される患者の治療に適している
(a) 高齢、特に50歳を超える
(b) 男性;
(c) 過体重、肥満(クラスI、II及び/又はIII肥満を含む)、内臓肥満及び/又は腹部肥満、
(d) 前移植糖尿病、
(e) 免疫抑制治療。
更にまた、本発明の医薬組成物及び方法は、特に、以下の状態の1つ以上を有する診断される患者の治療に適している:
(a) 低ナトリウム血症、特に慢性低ナトリウム血症;
(b) 水中毒;
(c) 水貯留;
(d) 135ミリモル/l未満の血漿ナトリウム濃度。
患者は、糖尿病又は非糖尿病哺乳動物、特にヒトであり得る。
更にまた、本発明の医薬組成物及び方法は、特に、以下の状態の1つ以上を有する診断される患者の治療に適している:
(a) 高血清尿酸レベル、特に6.0mg/dL(357μモル/L)を超える;
(b) 痛風性関節炎の履歴、特に再発性痛風性関節炎;
(c) 腎臓結石、特に再発性腎臓結石;
(d) 腎臓結石形成の傾向が高い。
【0054】
本発明の医薬組成物は、特にSGLT2阻害剤及びDPPIV阻害剤のため、良好な安全性プロファイルを示す。それ故、本発明の治療又は予防は、有利には、他の抗糖尿病薬、例えばメトホルミンによる単独治療が禁忌であり且つ/又は治療用量でこのような薬剤に対して不耐性である患者において可能である。特に、本発明の治療又は予防は、有利には、以下の障害: 腎不全又は腎疾患、心臓病、心不全、肝臓病、肺疾患、異化状態及び/又はラクテートアシドーシスの危険、又は妊娠しているか又は授乳の間の女性患者の1つ以上に対してリスクを示すか或いはリスクが増加した患者において可能であり得る。
更にまた、本発明の医薬組成物の投与が低血糖のリスクを生じないか或いはリスクが低いことがわかる。それ故、本発明の治療又は予防は、また、有利には、低血糖のリスクを示すか或いはリスクが増加した患者において可能である。
本発明の医薬組成物は、特に、上文及び下文に記載される疾患及び/又は状態の長期治療又は予防に、特に2型糖尿病患者の長期血糖コントロールに適している。
上文及び下文に用いられる用語“長期”は、12週間より長い、好ましくは25週間より長い、より好ましくは1年より長い期間内で患者を治療するか又は患者に投与することを示す。
それ故、本発明の特に好ましい実施態様は、2型糖尿病患者において、特に後期2型糖尿病患者において、特に、過体重、肥満(クラスI、クラスII及び/又はクラスIII肥満を含む)、内臓肥満及び/又は腹部肥満が更に診断される患者において、血糖コントロールを改善、特に長期改善する治療、好ましくは経口治療のための方法を提供する。
SGLT2阻害剤、DPP IV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬が組み合わせて、例えば、同時に1つの単一製剤又は2つ又は3つの個別製剤で投与される場合とこれらが交互に、例えば、連続して2つ又は3つの個別製剤で投与される場合の双方に上述の作用が認められる。
【0055】
患者に投与され且つ本発明の治療又は予防に用いるのに必要とされる本発明の医薬組成物の量が、投与経路、治療又は予防が必要とされる状態の種類及び重篤度、患者の年齢、体重及び状態、併用薬で変動し、最終的には付き添い医師の裁量になることが理解されるであろう。しかしながら、一般に、本発明のSGLT2阻害剤、DPP IV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬は、組み合わせて及び/又は交互に投与することによって治療される患者における血糖コントロールが改善される充分な量で医薬組成物又は剤形に含まれる。
高尿酸血症又は高尿酸血症関連状態の治療については、本発明のSGLT2阻害剤が患者の血漿グルコースホメオスタシスを妨害せずに、特に低血糖を誘導せずに高尿酸血症を治療するのに充分である量で医薬組成物又は剤形に含まれる。
腎臓結石の治療又は予防については、本発明のSGLT2阻害剤が患者の血漿グルコースホメオスタシスを妨害せずに、特に低血糖を誘導せずに腎臓結石を治療するか又は予防するのに充分である量で医薬組成物又は剤形に含まれる。
低ナトリウム血症及び関連状態の治療については、本発明のSGLT2阻害剤が患者の血漿グルコースホメオスタシスを妨害せずに、特に低血糖を誘導せずに低ナトリウム血症又は関連状態を治療するのに充分である量で医薬組成物又は剤形に含まれる。
SGLT2阻害剤の量の以下の好ましい範囲において、本発明の医薬組成物及び方法及び使用に使われるDPP IV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬が記載される。これらの範囲は、成人の患者、特に、例えば、約70kgの体重のヒトに対して、1日に投与される量を表し、1日2、3、4回以上の投与に関して及び他の投与経路に関して及び患者の年齢に関してそれに応じて適合され得る。用量及び量の範囲は、個々の活性部分について算出される。有利には、本発明の併用治療は、単独治療に用いられるか又は慣用の治療に用いられるより少ない用量の個々のSGLT2阻害剤、個々のDPP IV阻害剤及び/又は個々の第3の抗糖尿病薬を用いるので、これらの薬剤が単独治療として用いられる場合に受ける可能な毒性及び有害な副作用が避けられる。
【0056】
本発明の範囲内の医薬組成物は、好ましくは経口投与される。投与の他の形態も可能であり、以下に記載される。好ましくは、SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び/又は第3の抗糖尿病薬を含む1つ以上の剤形は、経口であるか又は通常周知のものである。
一般に、本発明の医薬組成物及び方法におけるSGLT2阻害剤の量は、好ましくは、前記SGLT2阻害剤を用いる単独治療に通常推奨される量の1/5〜1/1の範囲にある。
SGLT2阻害剤の好ましい用量範囲は、0.5mg〜200mg、より好ましくは1〜100mg、最も好ましくは1〜50mg/日の範囲にある。経口投与が好ましい。それ故、医薬組成物は、上述された量、特に1〜50mg又は1〜25mgを含むことができる。具体的な有効性成分含量
(例えば、錠剤又はカプセル当たり)は、例えば、1、2.5、5、7.5、10、12.5、15、20、25又は50mgの式(I)の化合物、特に化合物(I.9)、又はダパグリフロジンである。有効成分の適用は、1日3回まで、好ましくは1日1、2回行うことができる。
一般に、本発明の医薬組成物及び方法におけるDPP IV阻害剤の量は、好ましくは、前記DPP IV阻害剤を用いる単独治療に通常推奨される量の1/5〜1/1の範囲にある。
経口投与される場合のリナグリプチンの好ましい用量範囲は、0.5mg〜10mg/日、好ましくは2.5mg〜10mg、最も好ましくは1mg〜5mg/日である。医薬組成物における量の好ましい範囲は、0.5〜10mg、特に1〜5mgである。具体的な有効性成分含量の例は、1、2.5、5又は10mgである。有効成分の適用は、1日3回まで、好ましくは1日1又は2回行うことができる。リナグリプチンに適切な製剤は、国際公開第2007/128724号パンフレットに開示されている製剤であってもよく、この明細書の開示は本願明細書に含まれるものとする。
【0057】
経口投与される場合のシタグリプチンの好ましい用量範囲は、10〜200mg、特に25〜150mg/日である。シタグリプチンの推奨された用量は、1日1回活性部分(遊離塩基無水物)について算出された100mg又は1日2回50mgである。特に25〜100mg、医薬組成物中の量の好ましい範囲は、10〜150mgである。例は、25、50、75又は100mgである。有効成分の適用は、1日3回まで、好ましくは1日1又は2回まで行うことができる。シタグリプチンの塩、特にリン酸塩一水和物の等価量は、それに応じて算出され得る。シタグリプチンの調整された用量、例えば25〜50mgは、好ましくは腎臓不全患者に用いられる。
経口投与される場合のビルダグリプチンの好ましい用量範囲は、1日10〜150mg、特に1日25〜150mg、25〜100mg又は25〜50mg又は50〜100mgである。例えば、ビルダグリプチンの1日の投与は、50又は100mgである。医薬組成物中の量の好ましい範囲は、10〜150mg、特に25〜100mgである。例は、25、50、75または100mgである。有効成分の適用は、1日3回まで、好ましくは1日1又は2回行うことができる。
経口投与される場合のアログリプチンの好ましい用量範囲は、1日5〜250mg、特に1日10〜150mgである。医薬組成物中の量の好ましい範囲は、5〜150mg、特に10〜100mgである。例は、10、12.5、20、25、50、75及び100 mgである。有効成分の適用は、1日3回まで、好ましくは1日1又は2回行うことができる。
経口投与される場合のサクサグリプチンの好ましい用量範囲は、1日2.5〜100mg、特に1日2.5〜50mgである。医薬組成物中の量の好ましい範囲は、2.5〜100mg、特に2.5〜50mgである。例は、2.5、5、10、15、20、30、40、50及び100mgである。有効成分の適用は、1日3回まで、好ましくは1日1又は2回行うことができる。
【0058】
経口投与される場合のデュトグリプチンの好ましい用量範囲は、1日50〜400mg、特に1日100〜400mgである。医薬組成物中の量の好ましい範囲は、50〜400mgである。例は、50、100、200、300、400mgである。有効成分の適用は、1日3回まで、好ましくは1日1又は2回行うことができる。
一般に、本発明の医薬組成物及び方法における第3の抗糖尿病薬の量は、好ましくは、前記抗糖尿病薬を用いる単独治療に通常推奨される量の1/5〜1/1の範囲にある。単独治療と比較して低用量の第3の抗糖尿病薬を用いると、その薬剤が単独治療として用いられる場合に受ける可能な毒性及び有害な副作用を避けるか又は最小限にすることができる。
経口投与される場合のメトホルミンの好ましい用量範囲は、250〜3000mg、特に500〜2000mg/日である。医薬組成物中の量の好ましい範囲は、それぞれ250〜1000、特に500〜1000mg又は250〜850mgである。例は、500、750、850又は1000mgである。好ましくは、前記量の投与は、1日1回、2回又は3回である。例えば、好ましくは500、750及び850mgの量は1日1回、1日2回又は1日3回の投薬を必要とし、好ましくは1000mgの量は1日1回又は1日2回の投薬を必要とする。ある種の放出制御或いは徐放性製剤は、1日1回の投薬を可能にする。メトホルミンは、例えば、商標GLUCOPHAGETM、GLUCOPHAGE-DTM又はGLUCOPHAGE-XRTMとして市販されている形態で投与することができる。
経口投与される場合のピオグリタゾンの好ましい用量範囲は、5〜50mg/日である。医薬組成物中の量の好ましい範囲は、それぞれ5〜50mg、10〜45mg及び15〜45mgである。例は、15、30又は45mgである。好ましくは、前記量の投与は、1日1回又は2回、特に1日1回である。ピオグリタゾンは、例えば、商標ACTOSTMとして市販されている形態で投与することができる。
【0059】
経口投与される場合のロシグリタゾンの好ましい用量範囲は、1mg〜10mg/日である。医薬組成物中の量の好ましい範囲は、1〜10mg、2〜8mg、4〜8mg及び1〜4mgである。例は、1、2、4又は8mgである。好ましくは、前記量の投与は、1日1回又は2回である。好ましくは、用量は、1日8mgを超えてはならない。ロシグリタゾンは、例えば、商標AVANDIATMとして市販されている形態で投与することができる。
経口投与される場合のチアゾリジンジオン(上で記載されたピオグリタゾン又はロシグリタゾン以外)の好ましい用量範囲は、2〜100mg/日である。1日1回、2回又は3回投与する医薬組成物中の量の好ましい範囲は、それぞれ2〜100、1〜50及び1〜33mgである。
経口投与される場合のグリベンクラミドの好ましい用量範囲は、0.5〜15mg、特に1〜10mg/日である。医薬組成物中の量の好ましい範囲は、0.5〜5mg、特に1〜4mgである。例は、1.0、1.75及び3.5mgである。好ましくは、前記量の投与は、1日1回、2回又は3回である。グリベンクラミドは、例えば、商標EUGLUCONTMとして市販されている形態で投与することができる。
経口投与される場合のグリメピリドの好ましい用量範囲は、0.5〜10mg、特に1〜6mg/日である。医薬組成物中の量の好ましい範囲は、0.5〜10mg、特に1〜6mgである。例は、1、2、3、4、及び6mgである。好ましくは、前記量の投与は、1日1回、2回又は3回、好ましくは1日1回である。グリメピリドは、例えば、商標AMARYLTMとして市販されている形態で投与することができる。
【0060】
経口投与される場合のグリキドンの好ましい用量範囲は、5〜150mg、特に15〜120mg/日である。医薬組成物中の量の好ましい範囲は、5〜120mg、特に5〜30mgである。例は、10、20、30mgである。好ましくは、前記量の投与は、1日1回、2回、3回又は4回である。グリキドンは、例えば、商標GLURENORMTMとして市販されている形態で投与することができる。
経口投与される場合のグリボルヌリドの好ましい用量範囲は、5〜75mg/日である。医薬組成物の量の好ましい範囲は、5〜75mg、特に10〜50mgである。好ましくは、前記量の投与は、1日1回、2回又は3回である。
経口投与される場合のグリクラジドの好ましい用量範囲は、20〜300mg、特に40〜240mg/日である。医薬組成物中の量の好ましい範囲は、20〜240mg、特に20〜80mgである。例は、20、30、40および50mgである。好ましくは、前記量の投与は、1日1回、2回又は3回である。
経口投与される場合のグリソキセピドの好ましい用量範囲は、1〜20mg、特に1〜16mg/日である。医薬組成物中の量の好ましい範囲は、1〜8mg、特に1〜4mgである。好ましくは、前記量の投与は、1日1回、2回、3回又は4回である。
経口投与される場合のトルブタミドの好ましい用量範囲は、100〜3000mg、好ましくは500〜2000mg/日である。医薬組成物中の量の好ましい範囲は、100〜1000mgである。好ましくは、前記量の投与は、1日1回又は2回である。
経口投与される場合のグリピジドの好ましい用量範囲は、1〜50mg、特に2.5〜40mg/日である。1日1回、2回又は3回投与する医薬組成物の量の好ましい範囲は、それぞれ1〜50、0.5〜25及び0.3〜17mgである。
【0061】
経口投与される場合のナテグリニドの好ましい用量範囲は、30〜500mg、特に60〜360mg/日である。医薬組成物中の量の好ましい範囲は、30〜120mgである。例は、30、60及び120mgである。好ましくは、前記量の投与は、1日1回、2回又は3回である。ナテグリニドは、例えば、商標STARLIXTMとして市販されている形態で投与することができる。
経口投与される場合のレパグリニドの好ましい用量範囲は、0.1〜16mg、特に0.5〜6mg/日である。
医薬組成物中の量の好ましい範囲は、0.5〜4mgである。例は、0.5、1、2又は4mgである。好ましくは、前記量の投与は、1日1回、2回、3回又は4回/日である。レパグリニドは、例えば、商標NOVONORMTMとして市販されている形態で投与することができる。
経口投与される場合のアカルボースの好ましい用量範囲は、50〜1000mg、特に50〜600mg/日である。医薬組成物中の量の好ましい範囲は、50〜150mgである。例は、50及び100mgである。好ましくは、前記量の投与は、1日1回、2回、3回又は4回/日である。アカルボースは、例えば、商標GlucobayTMとして市販されている形態で投与することができる。
経口投与される場合のボグリボースの好ましい用量範囲は、100〜1000mg、特に200〜600mg/日である。医薬組成物中の量の好ましい範囲は、50〜300mgである。例は、50、100、150、200及び300mgである。好ましくは、前記量の投与は、1日1回、2回、3回又は4回/日である。ボグリボースは、例えば、商標BasenTM又はVoglisanTMとして市販されている形態で投与することができる。
【0062】
経口投与される場合のミグリトールの好ましい用量範囲は、25〜500mg、特に25〜300mg/日である。医薬組成物中の量の好ましい範囲は、25〜100mgである。例は、25、50及び100mgである。好ましくは、前記量の投与は、1日1回、2回、3回又は4回/日である。ミグリトールは、例えば、商標GlysetTMとして市販されている形態で投与することができる。
GLP-1類似体、特にエクセナチドの好ましい用量範囲は、5〜30μg、特に5〜20μg/日である。医薬組成物中の量の好ましい範囲は、5〜10μgである。例は、5及び10μgである。好ましくは、前記量の投与は、皮下注射によって1日1回、2回、3回又は4回である。エクセナチドは、例えば、商標ByettaTMとして市販されている形態で投与することができる。長時間作用性製剤、好ましくは週1回の皮下注射は、0.1〜3.0mg、好ましくは0.5〜2.0mgのエクセナチドの量を含む。例は、0.8mg及び2.0mgである。エクセナチドの長時間作用性製剤の例は、Byetta LARTMである。
リラグルチドの好ましい用量範囲は、0.5〜3mg、特に0.5〜2mg/日である。医薬組成物の量の好ましい範囲は、0.5〜2mgである。例は、0.6、1.2及び1.8mgである。好ましくは、前記量の投与は、皮下注射によって1日1回又は2回である。
本発明の医薬組成物又は方法又は使用におけるSGLT2阻害剤、DPP IV阻害剤及び第3の治療剤の量は上文に示されるそれぞれの用量範囲に対応する。例えば、本発明の医薬組成物及び方法及び使用における好ましい用量範囲は、式(I)のSGLT2阻害剤、特に化合物(I.9)の量が1〜50mg(特に1〜25mg)、リナグリプチンの量が0.5〜10mg(特に1〜5mg)及びメトホルミンの量が250〜1000mg(特に250〜850mg)である。経口投与は、1日1回又は2回が好ましい。
【0063】
本発明の医薬組成物又は方法又は使用における好ましい用量範囲の他の例は、式(I)のSGLT2阻害剤、特に化合物(I.9)の量が1〜50mg(特に1〜25mg)、リナグリプチンの量が0.5〜10mg(特に1〜5mg)及びピオグリタゾンの量が5〜50mg(特に10〜45mg)である。1日1回の経口投与が好ましい。
本発明の医薬組成物又は方法又は使用における好ましい用量範囲の他の例は、ダパグリフロジンの量が1〜50mg(特に1〜25mg)、リナグリプチンの量が0.5〜10mg(特に1〜5mg)及びメトホルミンの量が250〜1000mg(特に250〜850mg)である。1日1回又は2回の経口投与が好ましい。
本発明の医薬組成物又は方法又は使用における好ましい用量範囲の他の例は、式(I)のSGLT2阻害剤、特に化合物(I.9)の量が1〜50mg(特に1〜25mg)、ビルダグリプチンの量が10〜150mg(特に25〜100mg)及びメトホルミンの量が250〜1000mg(特に250〜850mg)である。経口投与は、1日1回又は2回が好ましい。
本発明の医薬組成物又は方法又は使用における好ましい用量範囲の他の例は、式(I)のSGLT2阻害剤、特に化合物(I.9)の量が1〜50mg(特に1〜25mg)、アログリプチンの量が5〜150mg(特に10〜100mg)及びメトホルミンの量が250〜1000mg(特に250〜850mg)である。経口投与は、1日1回又は2回が好ましい。
本発明の医薬組成物又は方法又は使用における好ましい用量範囲の他の例は、式(I)のSGLT2阻害剤、特に化合物(I.9)の量が1〜50mg(特に1〜25mg)、サクサグリプチンの量が2.5〜100mg(特に2.5〜50mg)及びメトホルミンの量が250〜1000mg(特に250〜850mg)である。経口投与は、1日1回又は2回が好ましい。
【0064】
本発明の方法及び使用において、SGLT2阻害剤及びDPP IV阻害剤及び第3の治療剤は、組み合わせて又は交互に投与される。用語“組み合わせて投与”は、有効成分を同時に、即ち、一斉に、又は本質的に同時に投与することをを意味する。用語“交互に投与”は、まず、1つ又は2つの有効成分を投与し、一定の時間の後、その他の2つ又は1つの有効成分を投与すること、即ち、3つの有効成分の少なくとも2つが順次投与されることを意味する。一定の時間は、30分から12時間まで範囲であり得る。組み合わせて又は交互にする投与は、1日1回、2回、3回又は4回、好ましくは1日1回又は2回であり得る。
SGLT2阻害剤及びDPP IV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬の投与に関して、すべての3つの有効成分が、1つの単一剤形で、例えば、1つの錠剤又はカプセルで存在してもよく、又は有効成分の1つか2つが、個別剤形で、例えば、2つの異なる又は同一の剤形で存在してもよい。
交互に投与することに関して、有効成分の1つか2つが、個別剤形で、例えば、2つの異なる又は同一の剤形で存在する。
それ故、本発明の医薬組成物は、SGLT2阻害剤、DPP IV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬を含む単一剤形として存在し得る。或いはまた、本発明の医薬組成物は、一方の剤形がSGLT2阻害剤を含み、もう一方の剤形がDPP IV阻害剤と第3の抗糖尿病薬を含むか、又は一方の剤形がSGLT2阻害剤と第3の抗糖尿病薬を含み、もう一方の剤形がDPP IV阻害剤を含む2つの個別剤形として存在し得る。或いはまた、本発明の医薬組成物は、1つの剤形がSGLT2阻害剤を含み、第2の剤形がDPP IV阻害剤を含み、第3の剤形が第3の抗糖尿病薬を含む3つの個別剤形として存在し得る。
【0065】
それ故、一実施態様によれば、本発明の医薬組成物は、SGLT2阻害剤とDPP IV阻害剤が単一剤形で存在し、第3の抗糖尿病薬が個別剤形で存在することを特徴とする。
他の実施態様によれば、本発明の医薬組成物は、SGLT2阻害剤と第3の抗糖尿病薬が単一剤形で存在し、DPP IV阻害剤が個別剤形で存在することを特徴とする。
他の実施態様によれば、本発明の医薬組成物は、DPP IV阻害剤と第3の抗糖尿病薬が単一剤形で存在し、SGLT2阻害剤が個別剤形で存在することを特徴とする。
他の実施態様によれば、本発明の医薬組成物は、SGLT2阻害剤、DPP IV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬が単一剤形で存在することを特徴とする。
他の実施態様によれば、本発明の医薬組成物は、SGLT2阻害剤、DPP IV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬が各々個別剤形で存在することを特徴とする。
一方の有効成分が、もう一方の有効成分、例えば、1日1回投与を必要とするものよりしばしば、例えば、1日2回投与しなければならない場合が生じ得る。それ故、用語“組み合わせて又は交互に投与”には、最初にすべて有効成分が組み合わせて又は交互に投与され、一定の時間の後、1つの有効成分だけが再び投与されるか又はその逆にする投与計画も含まれる。
それ故、本発明は、また、一方の剤形がSGLT2阻害剤、DPP IV阻害剤及び第3の治療剤を含み、もう一方の剤形が第3の治療剤だけを含む個別剤形で存在する医薬組成物を含む。
個別又は複数の剤形として、好ましくはパーツキットとして存在する医薬組成物は、患者の個々の治療要求に柔軟に合わせる併用治療に有効である。
【0066】
第1の実施態様によれば、好ましいパーツキットは、以下を含む
(a) SGLT2阻害剤及び少なくとも1つの医薬的に許容され得る担体を含む剤形を含有する第1のコンテインメント、及び
(b) DPP IV阻害剤と少なくとも1つの医薬的に許容され得る担体を含む剤形を含有する第2のコンテインメント及び、及び
(b) 第3の抗糖尿病薬と少なくとも1つの医薬的に許容され得る担体を含む剤形を含有する第2のコンテインメント。
第2の実施態様によれば、好ましいパーツキットは、以下を含む
(a) SGLT2阻害剤と第3の抗糖尿病薬と少なくとも1つの医薬的に許容され得る担体を含む剤形を含有する第1のコンテインメント、及び
(b) DPP IV阻害剤と少なくとも1つの医薬的に許容され得る担体を含む剤形を含有する第2のコンテインメント。
第3の実施態様によれば、好ましいパーツキットは、以下を含む
(a) SGLT2阻害剤と少なくとも1つの医薬的に許容され得る担体を含む剤形を含有する第1のコンテインメント、及び
(b) DPP IV阻害剤と第3の抗糖尿病薬と少なくとも1つの医薬的に許容され得る担体を含む剤形を含有する第2のコンテインメント。
第4の実施態様によれば、好ましいパーツキットは、以下を含む
(a) SGLT2阻害剤とDPPIV阻害剤と少なくとも1つの医薬的に許容され得る担体を含む剤形を含有する第1のコンテインメント、及び
(b) 第3の抗糖尿病薬と少なくとも1つの医薬的に許容され得る担体を含む剤形を含有する第2のコンテインメント。
【0067】
本発明の態様は、更に、本発明の個別剤形として存在する医薬組成物及び個別剤形が組み合わせて又は交互に投与されべきである説明書を含むラベル又は添付文書を備える製造品である。
第1の実施態様によれば、製造品は、(a)本発明のSGLT2阻害剤を含む医薬組成物及び(b)薬剤が、例えば、組み合わせて又は交互に、投与され得るか又は投与されることになる説明書を含むラベル又は添付文書を備え、薬剤が本発明のDPP IV阻害剤を含むか、薬剤が本発明の第3の抗糖尿病薬を含むか又は薬剤は本発明のDPPIV阻害剤と第3の抗糖尿病薬を含む。
第2の実施態様によれば、製造品は、(a)本発明のDPP IV阻害剤を含む医薬組成物及び(b)薬剤が、例えば、組み合わせて又は交互に、投与され得るか又は投与されることになる説明書を含むラベル又は添付文書を備え、薬剤が本発明のSGLT2阻害剤を含むか、薬剤が本発明の第3の抗糖尿病薬を含むか又は薬剤が本発明のSGLT2阻害剤と第3の抗糖尿病薬を含む。
第3の実施態様によれば、製造品は、(a)本発明のDPP IV阻害剤と第3の抗糖尿病薬を含む医薬組成物及び(b)薬剤が、例えば、組み合わせて又は交互に、投与され得るか又は投与されることになる説明書を含むラベル又は添付文書を備え、薬剤が本発明のSGLT2阻害剤を含む。
第4の実施態様によれば、製造品は、(a)本発明のSGLT2阻害剤と第3の抗糖尿病薬を含む医薬組成物及び(b)薬剤が、例えば、組み合わせて又は交互に、投与され得るか又は投与されることになる説明書を含むラベル又は添付文書を備え、薬剤が本発明のDPP IV阻害剤を含む。
【0068】
本発明の医薬組成物の望ましい用量は、1日1回で又は適切な間隔で投与される分割量、例えば、2回、3回以上/日として都合よく存在することができる。
医薬組成物は、液体又は固体の形態で又は吸入又は吹送による投与に適している形態で経口、直腸、経鼻、局所(頬側及び舌下を含む)、経皮、膣又は非経口的(筋肉内、皮下及び静脈内を含む)投与のために配合され得る。経口投与が好ましい。製剤は、必要に応じて、分離した用量単位で都合よく存在することができ、製薬技術において周知の方法のいずれかによって調製することができる。すべての方法は、有効成分と液体担体又は微粉固体担体又はその双方の様に、1つ以上の医薬的に許容され得る担体とを結合する工程、次に、必要ならば、生成物を望ましい製剤に成形する工程を含む。
医薬組成物は、錠剤、顆粒剤、微粒剤、散剤、カプセル剤、カプレット剤、軟カプセル剤、丸剤、経口液剤、シロップ剤、乾燥シロップ剤、咀嚼錠、トローチ剤、発泡錠、点滴剤、懸濁剤、高速溶解錠剤、経口速分散性錠剤等の形で配合することができる。
医薬組成物及び剤形は、好ましくは、1つ以上の医薬的に許容され得る担体を含む。好ましい担体は、製剤の他の成分と適合する意味で“許容され得る”ものでなければならず、その受容体に有害であってはならない。医薬的に許容され得る担体の例は、当業者に既知である。
【0069】
経口投与に適している医薬組成物は、各々が有効成分の所定量を含有する、分離した単位、例えば、軟ゼラチンカプセル剤を含むカプセル剤、カシェ剤又は錠剤として; 粉末又は顆粒として; 溶液、懸濁液又は、エマルジョンとして、シロップ剤、エリキシル剤又は自己乳化デリバリーシステム(SEDDS)として都合よく存在することができる。有効成分は、また、ボーラス、舐剤又はパスタとして存在することができる。経口投与のための錠剤及びカプセルは、慣用の賦形剤、例えば、結合剤、充填剤、滑沢剤、崩壊剤、又は湿潤剤を含有することができる。錠剤は、当該技術において周知の方法に従って被覆され得る。経口液体製剤は、例えば、水性又は油性の懸濁剤、液剤、乳剤、シロップ剤又はエリキシル剤の形であってもよく、使用前に水又は他の適切な賦形剤と構成する乾燥製品として存在してもよい。このような液体製剤は、慣用の添加剤、例えば、懸濁剤、乳化剤、非水性賦形剤(食用油を含むことができる)、又は防腐剤を含有することができる。
本発明の医薬組成物は、また、非経口投与(例えば、注射、例えば、ボーラス注射又は連続注入による)のために配合することができ、アンプル、薬剤充填済み注射器、低容量注入器又は防腐剤が添加された多回投与容器での単位用量形態で存在することができる。組成物は、油性又は水性賦形剤中の懸濁剤、液剤又は乳剤のような形態を取ることができ、懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤のような製剤化剤を含有することができる。或はまた、有効成分は、使用前に適切な賦形剤、例えば、滅菌した発熱物質を含まない水と構成するのための、滅菌固体の無菌分離によって又は溶液から凍結乾燥によって得られる粉末形態であり得る。
担体が固体である直腸投与に適している医薬組成物は、最も好ましくは、単位用量坐剤として存在する。好適な担体には、カカオバター及び当該技術において一般に用いられる他の材料が含まれ、坐剤は、活性化合物と軟化された又は融解された担体と混合によって都合よく形成し、続いて冷却し型に成形することができる。
本発明の医薬組成物及び方法は、3つの有効成分の1つか2つだけを含む医薬組成物及び方法と比較して上文に記載される疾患及び状態の治療及び予防において有利な効果を示す。有利な効果は、例えば、効力、有効性成分含量、投薬回数、薬力学特性、薬動力学特性、少しの副作用、便宜、服薬遵守等に関して見ることができる。
【0070】
本発明のSGLT2阻害剤及びそのプロドラッグの製造方法は、当業者に既知である。有利には、本発明の化合物は、上文に引用された特許出願を含む文献に記載される合成方法を用いて調製することができる。好ましい製造方法は、国際公開第2006/120208号パンフレット及び同第2007/031548号パンフレットに記載されている。好ましい化合物(I.9)に関して、有利な結晶形態は、国際公開第2006/117359号パンフレットに記載され、これにより本願明細書に全体として含まれるものとする。
リナグリプチンに関して、合成の方法は、当業者及び文献に記載されるように、特に国際公開第2002/068420号パンフレット、同第2004/018468号パンフレット又は同第2006/048427号パンフレットに記載されるように既知であり、これらの開示は本願明細書に含まれるものとする。具体的なDPP IV阻害剤の多形結晶変性及び製剤は、それぞれ国際公開第2007/128721号パンフレット及び同第2007/128724号パンフレットに開示され、これらの開示は、本願明細書に全体として含まれるものとする。
DPP IV阻害剤のための合成方法は、更に、科学文献において及び/又は公開された特許文献において、特に上文で引用されたものに記載されている。
有効成分、特にDPP IV阻害剤及び/又は第3の抗糖尿病薬は、医薬的に許容され得る塩の形で存在し得る。医薬的に許容され得る塩は、これらに限定されないが、例えば、塩酸、硫酸及びリン酸のような無機酸の塩; シュウ酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸及びグルタミン酸のような有機カルボン酸の塩及びメタンスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸のような有機スルホン酸の塩が挙げられる。塩は、化合物と酸を溶媒と分解するものにおける適切な量と比で組み合わせることによって形成することができる。これらは、また、カチオン又はアニオン交換によって他の塩の形態から得ることができる。
【0071】
有効成分又はその医薬的に許容され得る塩は、溶媒和物、例えば、水和物又はアルコール付加物の形で存在し得る。
本発明の範囲内の上述の組み合わせ及び方法のいずれも、当該技術において既知である動物モデルによって試験することができる。以下に、本発明の医薬組成物及び方法の薬理的に適切な特性を評価するのに適している生体内試験を記載する:
本発明の医薬組成物及び方法は、dB/dBマウス、ob/obマウス、ズッカー肥満(fa/fa)ラット又はズッカー糖尿病肥満(ZDF)ラットのような遺伝的に高インスリン性又は糖尿病性の動物において試験し得る。更に、これらは、ストレプトゾトシンによって前処理されるHanWistar又はSprague Dawleyラットのような試験的に誘導された糖尿病をもつ動物において試験することができる。
本発明の組み合わせの血糖コントロールに対する効果は、経口的ブドウ糖負荷試験で上文に記載される動物モデルでSGLT2阻害剤及びDPP IV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬を単独で、また、組み合わせて単一投薬した後に試験することができる。血糖の時間経過は、一晩絶食した動物の経口糖負荷後に行われる。本発明の組み合わせは、ピークグルコース濃度の低下又はグルコースAUCの低下によって測定されるように、3つの有効成分の2つだけの組み合わせを用いた各単独治療又は2剤併用療法と比較して血糖推移を著しく改善する。更に、SGLT2阻害剤及びDPP IV阻害剤及び第3の治療剤を単独で、また、組み合わせて上文に記載した動物モデルで連続投与した後、血糖コントロールに対する効果は、血中HbA1c値を測定することによって求めることができる。本発明の組み合わせは、各単独治療と比較して又は、例えば、SGLT2阻害剤と第3の抗糖尿病薬又はDPPIV阻害剤と第3の治療剤を使う、3つの有効成分の2つだけの組み合わせを用いる2剤併用治療に比較して、HbA1cを著しく低下させる。
【0072】
SGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬の1つ以上の可能な用量減少は、上文に記載される動物モデルにおいて低用量の組み合わせ及び単独治療又は2剤併用治療の血糖コントロールに対する作用によって試験することができる。低用量での本発明の組み合わせは、プラセボ治療と比較した血糖コントロールを著しく改善するが、低用量での単独治療又は2剤組み合わせ治療は改善しない。
本発明の治療の改善されたインスリン非依存性は、上文に記載される動物モデルの経口グルコース負荷試験における単一投与後に示され得る。血漿インスリンの時間経過は、一晩絶食した動物におけるグルコース負荷後に行われる。DPP IV阻害剤と第3の抗糖尿病薬と組み合わせたSGLT2阻害剤は、DPP IV阻害剤単独より低血糖推移で、より低いインスリンピーク濃度又はインスリンAUCを示すであろう。
単一投薬又は連続投薬後の本発明の治療による活性GLP-1レベルの増加は、空腹か又は食後の状態で上文に記載される動物モデルの血漿のレベルを測定することによって求めることができる。同様に、血漿中のグルカゴンレベルの低下が同じ状態下で測定され得る。DPP IV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬と組み合わせたSGLT2阻害剤は、SGLT2阻害剤単独より活性GLP-1濃度が高くなり、低グルカゴン濃度が低くなる。
ベータ細胞再生及び新生に対する本発明のSGLT2阻害剤、DPP IV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬の組み合わせの優れた効果は、上文に記載される動物モデルにおける連続投薬の後に、膵臓インスリン含量の増加を測定することによって、又は膵臓切片の免疫組織化学染色後の形態計測的分析によってベータ細胞質量の増加を測定することによって、又は分離した膵島におけるグルコース刺激インスリン分泌の増加を測定することによって求めることができる。
【0073】
薬理学的実施例
以下の実施例は、本発明の組み合わせの血糖コントロールに対する有益な効果を示すものである。
【0074】
実施例1:
第1の実施例によれば、経口グルコース負荷試験は、一晩絶食した雄ズッカーラット(Crl:ZUC(Orl)Leprfa)又はズッカー糖尿病肥満(ZDF)ラット(ZDF/Crl-Leprfa/Crl)において行われる。投与前血液試料を尾部出血によって得る。血糖はグルコメータによって測定し、動物を血糖(n = 5/グループ)について無作為化する。その後、グループに、賦形剤のみ(0.015% Polysorbat 80を含有する0.5%水性ヒドロキシエチルセルロース)又はSGLT2阻害剤又はDPPIV阻害剤又は第3の抗糖尿病薬を含有する賦形剤の単一経口投与又はSGLT2阻害剤とDPP IV阻害剤と第3の抗糖尿病薬の組み合わせを投与する。或はまた、それぞれの薬剤の複数回投与後にも試験を行い、チアゾオリジンジオンの場合のように明らかになることをもはや必要としない抗糖尿病効果を説明することもできる。動物に、化合物投与の30分後に経口グルコース負荷(2g/kg)をかける。血糖は、グルコース負荷の30分、60分、90分及び120分後に尾部血液で測定する。グルコース推移を、グルコースAUCを算出することによって数量化する。データを平均±SEMとして示す。対応のない両側スチューデントt検定を、対照グループと活性グループの統計的比較のために用いる。統計的比較は、スチューデントt検定によって行われる。
以下の個々の実施例は、それぞれの単独治療と2剤組み合わせと比較した場合にSGLT2阻害剤(I.9)とDPPIV阻害剤リナグリプチン及び第3の抗糖尿病薬としてのメトホルミンとの組み合わせの血糖コントロールに対する優れた効果を示すものである。実験動物の使用に関するすべての試験プロトコールは、連邦倫理委員会によって審査され、政府機関の承認を得た。経口グルコース負荷試験を、上記のように一晩絶食した雄ズッカーラットの単一経口投薬後に行った。対照動物には、賦形剤のみを投与した。化合物Aは、0.5mg/kg体重の投与量のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体(I.9)である。化合物Bは、0.5mg/kg体重の投与量のリナグリプチンである。Metは、50mg/kg体重の投与量のメトホルミンである。組み合わせにおいて、化合物をそれぞれの単独治療と同じ用量で一緒に投与した。結果を図1に示す。
比較と対照のP値を棒より上の記号によって示す。グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、リナグリプチン及びメトホルミンの3併用と組み合わせのそれぞれの2剤組み合わせと単独治療との比較のためのP値を下の図に示す(#、p < 0.1; *、p < 0.05; **、p < 0.01; ***、p < 0.001)。0.05より小さいp値は統計的に有意であるとみなされ、0.1と0.05の間のp値は傾向を示すとみなされる。すべてグループを比較するp値の全集合を以下の表3に示す。
【0075】

【0076】
低用量の単独治療としてここで用いられる化合物のいずれもが耐糖能に対する作用を有しなかった。驚くべきことに、グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体とリナグリプチンとメトホルミンの3剤併用が対照に対して16%だけ著しくグルコース推移を低下させ、単独治療の各々と比較した場合だけでなく、2剤併用の各々と比較した場合にも、合計グルコースAUCのこの低下もまた統計的に有意であることがわかった。
【0077】
実施例2:
第2の実施例によれば、経口グルコース負荷試験は、体重約200gの一晩絶食した雄スプラグダウレイ(Crl:CD(SD))において行われる。投与前血液試料を尾部出血によって得る。血糖はグルコメータによって測定し、動物を血糖(n = 5/グループ)について無作為化する。その後、グループに、賦形剤のみ(0.015% Polysorbat 80を含有する0.5%水性ヒドロキシエチルセルロース)又はSGLT2阻害剤又はDPPIV阻害剤又は第3の抗糖尿病薬を含有する賦形剤の単一経口投与又はSGLT2阻害剤とDPP IV阻害剤と第3の抗糖尿病薬の組み合わせを投与する。或いはまた、賦形剤のみ又はSGLT2阻害剤又はDPP IV阻害剤と第3の抗糖尿病薬又は第3の抗糖尿病薬を含有する賦形剤の単一経口投与又はSGLT2阻害剤とDPP IV阻害剤と第3の抗糖尿病薬の組み合わせを投与する。或はまた、それぞれの薬剤の複数回投与後にも試験を行い、チアゾオリジンジオンの場合のように明らかになることをもはや必要としない抗糖尿病効果を説明することもできる。動物に、化合物投与の30分後に経口グルコース負荷(2g/kg)をかける。血糖は、グルコース負荷の30分、60分、90分及び120分後に尾部血液で測定する。グルコース推移を、グルコースAUCを算出することによって数量化する。データを平均±SEMとして示す。統計的比較は、スチューデントt検定によって行われる。
【0078】
実施例3: 糖尿病前症の治療
病理学的空腹時グルコース及び/又は耐糖能異常によって確認される糖尿病前症の治療において本発明の医薬組成物の効力を臨床試験を用いて試験することができる。短期間(例えば2-4週間)の試験では、空腹時グルコース値及び/又は食後又は試験の治療期間後の負荷試験(経口グルコース負荷試験又は所定の食後の食物負荷試験)後のグルコース値を求めるとともに試験の開始の前の値と及び/又はプラセボグループの値と比較することによって治療の成功を調べる。更に、フルクトサミン値を治療法の前後で求めるとともに初期値及び/又はプラセボ値と比較することができる。空腹時又は非空腹時の血糖値の著しい低下から、治療の効力が証明される。長期間(12週間以上)の試験において治療の成功がHbA1c値を求め、初期値及び/又はプラセボグループの値と比較して治療の成功を試験する。初期値及び/又はプラセボ値と比較したHbA1c値の著しい変化から、糖尿病前症を治療するための本発明の組み合わせの効力が証明される。
【0079】
実施例4: 顕在的な2型糖尿病の予防
病理学的空腹時グルコース及び/又は耐糖能異常(糖尿病前症)患者の治療もまた、顕在的な2型糖尿病への移行を予防する目標を追求している。治療の効力は、糖尿病前症患者が本発明の医薬組成物又はプラセボ又は非薬剤治療又は他が薬剤で長期間(例えば1-5年)治療する比較臨床試験において調べることができる。治療中及び治療の終わりに、空腹時グルコース及び/又は負荷試験(例えばoGTT)を求めることによって、どのくらい多くの患者が顕在的な2型糖尿病、即ち、空腹時血糖値>125mg/dl及び/又はoGTTの2時間値>199mg/dlを示すかを求めるために調べる。他の治療形態の1つと比較して本発明の組み合わせで治療される場合、顕在的な2型糖尿病を示す患者の数の著しい減少から、糖尿病前症から顕在的な糖尿病への移行を阻止する点で効力が証明される。
【0080】
実施例5: 2型糖尿病の治療
グルコース代謝状況の急激な改善を生じることに加えて、本発明の医薬組成物で2型糖尿病患者を治療すると、代謝状況の悪化を長期的に阻止する。これにより、患者が本発明の医薬組成物でより長期間、例えば、3ヶ月〜1年又は1〜6年もの間治療され、他の抗糖尿病薬剤で治療した患者と比較されることが見られ得る。空腹時グルコース及び/又はHbA1c値の増加が全く見られないかわずかしか見られない場合には他の抗糖尿病薬剤で治療した患者と比較した治療的成功が明白である。他の薬剤で治療された患者と比較して、本発明の医薬組成物で治療される患者の著しく小さな割合が追加の経口抗糖尿病薬剤で又はインスリンで又はインスリン類似体での治療が必要とされる点までグルコース代謝位置(例えば>6.5%又は>7%までHbA1c値の増加)の悪化を受ける場合には治療的成功の証拠が更に得られる。
【0081】
実施例6: インスリン抵抗性の治療
異なる長さの時間(例えば、2週間〜12ヶ月)行う臨床試験において、治療の成功は、高インスリン正常血糖クランプ試験を用いて調べられる。初期値と比較して又はプラセボグループと比較して又は異なる治療法を与えたグループと比較して試験の終わりのグルコース注入速度の著しい上昇はインスリン抵抗性の治療における本発明の医薬組成物の効力を証明する。
【0082】
実施例7: 高血糖の治療
異なる長さの時間(例えば、1日〜24ヶ月)行う臨床試験において、高血糖患者の治療の成功は、空腹時グルコース又は非空腹時グルコース(例えば、食後又はoGTT又は所定の食事時による負荷試験後)を求めることによって調べられる。初期値と比較して又はプラセボグループ、又は異なる治療を与えたグループと比較して、試験中又はその終わりのこれらのグルコース値の著しい低下は、高血糖の治療において本発明の医薬組成物の効力を証明するものである。
【0083】
実施例8: 微小血管合併症又は大血管合併症の予防
本発明の医薬組成物による2型糖尿病又は糖尿病前症患者の治療は、微小血管合併症(例えば、糖尿病性ニューロパシー、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎障害、糖尿病性足、糖尿病性潰瘍)又は大血管合併症(例えば、心筋梗塞、急性冠動脈症候群、不定狭心症、安定狭心症、卒中、末梢動脈閉塞症、心筋症、心不全、心拍障害、血管再狭窄)を発症するリスクを予防するか又は減少させる。2型糖尿病又は糖尿病前症患者は、長期間、例えば、1-6年間、本発明の医薬組成物又は本発明の有効成分の組み合わせで治療し、他の抗糖尿病薬剤又はプラセボで治療された患者と比較した。他の抗糖尿病薬剤又はプラセボで治療された患者と比較して治療成功の証拠は、より少数の単一又は複数の合併症に見られる。大血管事象、糖尿病性足及び/又は糖尿病性潰瘍の場合、既往歴及び種々の試験法によって数が計数される。糖尿病性網膜症の場合、治療の成功は、コンピュータ制御の照明及び目に対する背景の評価又は他の眼科方法によって求められる。糖尿病性ニューロパシーの場合、既往歴及び臨床試験に加えて、神経伝導速度は、例えば、調整されたチューニングフォークを用いて測定することができる。糖尿病性腎障害に関して、試験の開始、その間及び終わりに、以下のパラメーターを調べることができる: アルブミンの分泌、クレアチニンクリアランス、血清クレアチニン値、2剤に対する血清クレアチニン値にかかる時間、透析が必要になるまでにかかる時間。
【0084】
実施例9: メタボリック症候群の治療
本発明の医薬組成物の効力は、空腹時グルコース又は非空腹時グルコース(例えば、食後又はoGTTによる負荷試験又は所定の食事後)又はHbA1c値を求めることによって種々の試験時間(例えば、12週間〜6年間)による臨床試験において試験することができる。初期値と比較して又はプラセボグループ、又は異なる治療を与えるグループと比較して試験中又はその終わりにグルコース値又はHbA1c値の著しい低下は、メタボリック症候群の治療における有効成分又は有効成分の組み合わせの効力を証明する。この実施例は、試験の初めの出発値と比較して又はプラセボで治療される一群の患者又は異なる治療と比較して収縮期血圧及び/又は拡張期血圧の低下、血漿中性脂肪の低下、総コレステロール又はLDLコレステロールの低下、HDLコレステロールの増加又は体重の減少である。
【0085】
実施例10a: NODAT及び/又はPTMS、及びNODAT/PTMS関連合併症の予防
本発明の製薬組成物による臓器移植後の患者の治療は、NODAT及び/又はPTMS、及び関連合併症の発症を阻止する。治療の効力は、移植前又は移植直後の患者を本発明の医薬組成物で又はプラセボで又は非薬剤治療又は他の薬剤で長期間(例えば1-5年間)治療する比較臨床試験において調べることができる。治療中及びその終わりに、NODAT、PTMS、微小血管合併症、大血管合併症、移植片拒絶、感染及び死の発生が評価されるであろう。これらの合併症を受ける患者の数の著しい減少から、NODAT、PTMS及び関連合併症の発症を阻止する点で効力が証明される。
【0086】
実施例10b: 関連合併症を予防、遅延又は低下するNODAT及び/又はPTMSの治療
本発明の医薬組成物によるNODAT及び/又はPTMS患者の治療は、NODAT/PTMS関連合併症の発症を阻止、遅延又は減少させる。治療の効力は、NODAT及び/又はPTMS患者を本発明の医薬組成物で又はプラセボで又は非薬剤治療又は他の薬剤で長期間(例えば1-5年間)治療する比較臨床試験において調べることができる。治療中及びその終わりに、微小血管合併症、大血管合併症、移植片拒絶、感染及び死が評価される。これらの合併症を受ける患者の数の著しい減少から、NODAT及び/又はPTMS関連合併症の発症を阻止、遅延又は減少させる点で効力が証明される。
【0087】
実施例11a: 妊娠糖尿病の治療
短期間(例えば2-4週間)行う臨床試験において、空腹時グルコース値及び/又は食後又は試験の治療期間の終わりの負荷試験(経口グルコース負荷試験又は所定の食事後の負荷試験の後の食物負荷試験)後のグルコース値を求め、試験の開始前の値及び/又はプラセボグループの値と比較することにより治療の成功を調べる。更に、治療の前後にフルクトサミン値を求め、初期値及び/又はプラセボ値と比較することができる。空腹時又は非空腹時の血糖値の著しい低下から、本発明の医薬組成物が証明される。
長く行う試験(12週間以上)において、HbA1c値(初期値とプラセボグループと比較して)を求めることによって治療の成功を調べる。出発値及び/又はプラセボ値と比較したHbA1c値の著しい変化から、妊娠糖尿病の治療における本発明の医薬組成物の効力が証明される。
【0088】
実施例11b: 妊娠糖尿病にかかった女性の治療
妊娠糖尿病患者は、妊娠後に顕在的な2型糖尿病かかるリスクが著しく増加する。治療により、顕在的なタイプ2への移行を阻止する目標を与えることができる。このために、妊娠糖尿病の病歴を有する女性は、本発明の医薬組成物又はプラセボ又は非薬剤治療又は他の薬剤で長期間(例えば1-4年間)治療される。治療中及びその終わりに空腹時グルコースを求めることによって及び/又はどのくらい多くの患者が顕在的な2型糖尿病(空腹時血糖値>125mg/dl及び/又はoGTT後の2時間値>199mg/dl)を発症したかを見る負荷試験(例えばoGTT)によって検査が行われる。異なるタイプの治療と比較した本発明の医薬組成物で治療した場合に顕在的な2型糖尿病を発症する患者の数の著しい減少は、妊娠糖尿病の病歴をもつ女性において顕在的な糖尿病を阻止する点で医薬組成物の効力の証拠である。
【0089】
実施例12: 高尿酸血症の治療
正常範囲(8.3mg/dL又は494μモル/Lを超える)より高い尿酸値をもつ患者又は痛風又は痛風性関節炎の病歴患者又は6.0mg/dL又は357μモル/Lを超える尿酸値をもつ患者は、痛風又は痛風性関節炎の将来のエピソードの著しいリスクを有し、また、心臓血管疾患のリスクも増加する。治療により、痛風又は痛風性関節炎の将来のエピソード又は再燃を阻止する手段として尿酸の血清レベルを低下させる目標を与えることができる。更に、血清尿酸値を低下させると、心臓血管疾患のリスクを低下させることができる。このために、高い尿酸値又は痛風又は痛風性関節炎の病歴を有する患者は、本発明の医薬組成物又はプラセボ又は非薬剤治療又は他の薬剤で長期間(例えば6ヶ月〜4年間)治療される。治療中及びその終わりに、血清尿酸値及び痛風又は痛風性関節炎発生のエピソードの数を求めることによって検査が行われる。本発明の医薬組成物で治療した場合に異なるタイプの治療と比較して6.0mg/dLより低い尿酸の低下及び/又は痛風又は痛風性関節炎発生の少しのエピソードは、偶発性の痛風又は痛風性関節炎を阻止するか又は高尿酸血症を治療する点で医薬組成物の効力の証拠である。
【0090】
実施例13: 低ナトリウム血症の治療
低ナトリウム血症及び水中毒をもつ患者は、水吸収の増加のためにしても水摂取量の増加にしても、中枢神経系異常及びおそらく死のリスクがある。治療により、間質液のナトリウム濃度全体を増加させる目標によりナトリウムバランスを妨害することなく腎臓ろ液中に排出される自由水の量を増加させる目標を与えることができる。このために、低ナトリウム血症の病歴患者を、本発明の医薬組成物又はプラセボ又は非薬剤治療又は他の薬剤で短期間(例えば3〜6ヶ月)、血清ナトリウムレベルの定期評価について治療する。異なるタイプの治療と比較した本発明の医薬組成物で治療した場合のこの期間に報告される通常範囲へのナトリウム濃度の増加は、低ナトリウム血症を治療する点で医薬組成物の効力の証拠である。
【0091】
実施例14: 腎臓結石の治療/予防
腎臓結石、特にカルシウム、混合カルシウム、及び尿酸石の病歴患者は、しばしば高尿酸血症の病歴を有する。これらの腎結石は、溶質中の尿酸塩又は他の結晶化物質の結晶化が更に腎結石の形成を誘導することができる腎臓ろ液中に病巣を形成する小さな尿酸塩結晶に関係する場合がある。これらの石は、ある種の腎臓感染症(例えばサンゴ状石)によって引き起こされる腎臓石と関係がない。治療により、中性溶質(例えばグルコース)及び腎臓ろ液の自由水分の増加の目標が与えられ、腎臓ろ液中の尿酸塩の絶対量の可能な増加にもかかわらず、それを尿酸塩病巣が形成するのを難しくすることができる。これらの中性溶質及び自由水は、また、尿酸石以外の石の形成を低下させられる。このために、腎臓結石、特にカルシウム、混合カルシウム及び尿酸石の病歴患者を、本発明の医薬組成物又はプラセボ又は非薬剤治療又は他の薬剤で長期間(例えば6ヵ月〜4年間)治療する。異なるタイプの治療と比較して本発明の医薬組成物で治療した場合のこの期間中に報告される腎臓結石、特にカルシウム、混合カルシウム及び尿酸石の数の減少は、腎臓結石、特にカルシウム、混合カルシウム、及び尿酸石を阻止する点で医薬組成物の効力の証拠である。
【0092】
製剤の実施例
当該技術において既知の方法と同様にして得ることができる以下の製剤の実施例は、これらの実施例の内容に限定することなくより完全に本発明を例示するものである。用語“有効成分”は、本発明の1つ以上の化合物を示す。即ち、例えば、表1又は2に記載される組み合わせより選ばれる、本発明のSGLT2阻害剤、DPP IV阻害剤又は第3の抗糖尿病化合物又は前記有効成分の2つ又は3つの組み合わせを示す。DPP IV阻害剤リナグリプチンに適している追加の製剤は製剤は、国際公開第2007/128724号パンフレットに開示されたものであってもよく、この明細書の開示は本願明細書に全体として含まれるものとする。他のDPP IV阻害剤に適している追加の製剤は、市販されている製剤、又は“発明の背景”の項に引用された特許出願に記載されている製剤、又は文献に記載されているもの、例えば、“医薬品集”(ドイツ)の又は“医師用添付文書集”の最新号に開示されているものであり得る。
【0093】
実施例1: 10mlの組成物に対して75mgの有効成分を含有するドライアンプル:
有効成分 75.0mg
マンニトール 50.0mg
注射用蒸留水 全量10.0ml
調製:
有効成分とマンニトールを水に溶解する。包装後、溶液を凍結乾燥する。すぐに用いられる溶液を製造するために、生成物を注射用蒸留水に溶解する。
【0094】
実施例2: 2mlの組成物に対して35mgの有効成分を含有するドライアンプル:
有効成分 35.0mg
マンニトール 100.0mg
注射用蒸留水 全量2.0ml
調製:
有効成分とマンニトールを水に溶解する。包装後、溶液を凍結乾燥する。すぐに用いられる溶液を製造するために、生成物を注射用蒸留水に溶解する。
【0095】
実施例3: 50mgの有効成分を含有する錠剤:
組成:
(1) 有効成分 50.0mg
(2) マンニトール 98.0mg
(3) トウモロコシデンプン 50.0mg
(4) ポリビニルピロリドン 15.0mg
(5) ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
215.0mg
調製:
(1)、(2)、及び(3)を一緒に混合し、(4)の水溶液で粒状にする。乾燥した粒状材料に(5)を添加する。この混合物から錠剤に押圧し、2平面で、両側に切子面があり、一方の側に分割するノッチがある。
錠剤の直径: 9mm.
【0096】
実施例4: 350mgの有効成分を含有する錠剤
調製:
(1) 有効成分 350.0mg
(2) マンニトール 136.0mg
(3) トウモロコシデンプン 80.0mg
(4) ポリビニルピロリドン 30.0mg
(5) ステアリン酸マグネシウム 4.0mg
600.0mg
(1)、(2)、及び(3)を一緒に混合し、(4)の水溶液で粒状にする。乾燥した粒状材料に(5)を添加する。この混合物から錠剤に押圧し、2平面で、両側に切子面があり、一方の側に分割するノッチがある。
錠剤の直径: 12mm.
【0097】
実施例5: 850mgの有効成分を含有する錠剤
調製:
(1) 有効成分 850.0mg
(2) マンニトール 300.0mg
(3) トウモロコシデンプン 200.0mg
(4) ポリビニルピロリドン 70.0mg
(5) ステアリン酸マグネシウム 10.0mg
1430.0mg
(1)、(2)、及び(3)を一緒に混合し、(4)の水溶液で粒状にする。乾燥した粒状材料に(5)を添加する。この混合物から錠剤に押圧し、2平面で、両側に切子面があり、一方の側に分割するノッチがある。
錠剤の直径: 12mm.
【0098】
実施例6: 50mgの有効成分を含有するカプセル
組成:
(1) 有効成分 50.0mg
(2) 乾燥トウモロコシデンプン 58.0mg
(3) マンニトール 50.0mg
(4) ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
160.0mg
調製:
(1)を(3)で研和する。この研和物を(2)と(4)の混合物に激しく混合しながら添加する。この粉末混合物をサイズ3硬カプセルにカプセル充填機で装填する。
【0099】
実施例7: 350mgの有効成分を含有するカプセル:
組成:
(1) 有効成分 350.0mg
(2) 乾燥トウモロコシデンプン 46.0mg
(3) マンニトール 30.0mg
(4) ステアリン酸マグネシウム 4.0mg
430.0mg
調製:
(1)を(3)と研和する。この研和物を(2)と(4)の混合物に激しく混合しながら添加する。この粉末混合物をサイズ0硬カプセルにカプセル充填機で装填する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) SGLT2阻害剤と、
(b) DPPIV阻害剤と、
(c) ビグアナイド、チアゾリジンジオン、スルホニル尿素、グリニド、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、GLP-1類似体又はその医薬的に許容され得る塩からなるグループG3より選ばれる第3の抗糖尿病薬と
を含む医薬組成物。
【請求項2】
SGLT2阻害剤、又はそのプロドラッグが、式(I)のダパグリフロジン、カナグリフロジン、アチグリフロジン、レモグリフロジン、セルグリフロジン及びグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体からなるグループG1より選ばれる、請求項1に記載の医薬組成物
【化1】


(式中、R1は、Cl、メチル又はシアノを示し; R2は、H、メチル、メトキシ又はヒドロキシを示し、R3は、エチル、シクロプロピル、エチニル、エトキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシを示す)。
【請求項3】
DPP IV阻害剤が、リナグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、サクサグリプチン、デナグリプチン、カルメグリプチン、メログリプチン及びドゥトグリプチンからなるグループG2、又は前述のDPPIV阻害剤の1つの医薬的に許容され得る塩、又はそのプロドラッグより選ばれる、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
第3の抗糖尿病薬が、メトホルミン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾン、シグリタゾン、グリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリボルヌリド、グリブリド、グリソエピド、グリクラジド、ナテグリニド、レパグリニド、ミチグリニド、アカルボース、ボグリボース、ミグリトール、エクセナチド及びリラグルチド又は前述の治療剤の1つの医薬的に許容され得る塩からなる群より選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、組成物が、SGLT2阻害剤、DPP IV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬の組み合わせた使用又は同時使用もしくは連続使用に適していることを特徴とする、前記組成物。
【請求項6】
1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常、空腹時血糖異常、高血糖症、食後高血糖症、過体重、肥満、メタボリック症候群、妊娠糖尿病、移植後新規発生糖尿病(NODAT)及びそれと関連する合併症、及び移植後メタボリック症候群(PTMS)及びそれと関連する合併症からなる群より選ばれる代謝性疾患をそれを必要としている患者において予防するか、進行を遅らせるか、遅延させるか、又は治療する方法であって、請求項1又は2に記載のSGLT2阻害剤、請求項1又は3に記載のDPP IV阻害剤及び、必要により、請求項1又は4に記載の第3の抗糖尿病薬を患者に組合わせて又は交互に投与することを特徴とする、前記方法。
【請求項7】
それを必要としている患者において血糖コントロールを改善させ且つ/又は空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビンHbA1cを低下させる方法であって、請求項1又は2に記載のSGLT2阻害剤、請求項1又は3に記載のDPP IV阻害剤及び、必要により、請求項1又は4に記載の第3の抗糖尿病薬を患者に組み合わせて又は交互に投与することを特徴とする、前記方法。
【請求項8】
それを必要としている患者において耐糖能異常、空腹時血糖異常、インスリン抵抗性及び/又はメタボリック症候群から2型糖尿病への進行を予防するか、遅らせるか、遅延させるか又は逆転させる方法であって、請求項1又は2に記載のSGLT2阻害剤、請求項1又は3に記載のDPP IV阻害剤及び、必要により、請求項1又は4に記載の第3の抗糖尿病薬を患者に組み合わせて又は交互に投与することを特徴とする、前記方法。
【請求項9】
それを必要としている患者において糖尿病の合併症、例えば、白内障又は微小血管疾患もしくは大血管疾患、例えば、腎症、網膜症、神経障害、組織虚血、糖尿病性足、動脈硬化、心筋梗塞、急性冠動脈症候群、不定狭心症、安定狭心症、卒中、末梢性動脈閉塞症、心筋症、心不全、心拍障害、血管再狭窄からなる群より選ばれる状態又は疾患を予防するか、進行を遅らせるか、遅延させるか又は治療する方法であって、請求項1又は2に記載のSGLT2阻害剤、請求項1又は3に記載のDPP IV阻害剤及び、必要により、請求項1又は4に記載の第3の抗糖尿病薬を患者に組み合わせて又は交互に投与することを特徴とする、前記方法。
【請求項10】
それを必要としている患者において体重及び/又は体脂肪を減少させるか又は体重及び/又は体脂肪の増加を予防するか又は体重及び/又は体脂肪の減少を促進させる方法であって、請求項1又は2に記載のSGLT2阻害剤、請求項1又は3に記載のDPP IV阻害剤及び、必要により、請求項1又は4に記載の第3の抗糖尿病薬を患者に組み合わせて又は交互に投与することを特徴とする、前記方法。
【請求項11】
それを必要としている患者において膵臓ベータ細胞の変性及び/又は膵臓ベータ細胞の機能の低下を予防し、遅らせ、遅延させ又は治療し且つ/又は膵臓ベータ細胞の機能を改善させ且つ/又は回復させ且つ/又は膵臓インスリン分泌の機能を回復させる方法であって、請求項1又は2に記載のSGLT2阻害剤、請求項1又は3に記載のDPP IV阻害剤及び、必要により、請求項1又は4に記載の第3の抗糖尿病薬を患者に組み合わせて又は交互に投与することを特徴とする、前記方法。
【請求項12】
それを必要としている患者において異所性脂肪異常蓄積によるものと考えられる疾病又は状態を予防するか、遅らせるか、遅延させるか又は治療する方法であって、請求項1又は2に記載のSGLT2阻害剤、請求項1又は3に記載のDPP IV阻害剤及び、必要により、請求項1又は4に記載の第3の抗糖尿病薬を患者に組み合わせて又は交互に投与することを特徴とする、前記方法。
【請求項13】
それを必要としている患者においてインスリン感受性を維持し更に/又は改善させ更に/又は高インスリン血症及び/又はインスリン抵抗性を治療するか又は予防する方法であって、請求項1又は2に記載のSGLT2阻害剤、請求項1又は3に記載のDPPIV阻害剤及び、必要により、請求項1又は4に記載の第3の抗糖尿病薬を患者に組み合わせて又は交互に投与することを特徴とする、前記方法。
【請求項14】
それを必要としている患者において高尿酸血症及び高尿酸血症関連状態、腎臓結石及び低ナトリウム血症を治療し且つ予防する方法であって、請求項1又は2に記載のSGLT2阻害剤、請求項1又は3に記載のDPP IV阻害剤及び、必要により、請求項1又は4に記載の第3の抗糖尿病薬を患者に組み合わせて又は交互に投与することを特徴とする、前記方法。
【請求項15】
請求項6、7、8、9、10、11、12、13又は14に記載の方法に用いられる薬剤を製造するための請求項1又は2に記載のSGLT2阻害剤の使用。
【請求項16】
請求項6、7、8、9、10、11、12、13又は14に記載の方法に用いられる薬剤を製造するための請求項1又は3に記載のDPP IV阻害剤の使用。
【請求項17】
請求項6、7、8、9、10、11、12、13又は14に記載の方法に用いられる薬剤を製造するための請求項1又は4に記載の第3の抗糖尿病薬の使用。
【請求項18】
下記のための薬剤を製造するための請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用
それを必要としている患者において、
- 1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常、空腹時血糖異常、高血糖症、食後高血糖、過体重、肥満、メタボリック症候群、妊娠糖尿病からなる群より選ばれる代謝障害を予防するか、進行を遅らせるか、遅延させるか又は治療する; 又は
- 血糖コントロールを改善させ且つ/又は空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビンHbA1cを低下させる; 又は
- 耐糖能異常、インスリン抵抗性及び/又はメタボリック症候群から2型糖尿病への進行を予防するか、遅らせるか、遅延させるか又は逆転させる; 又は
- 糖尿病の合併症、例えば、白内障又は微小血管疾患もしくは大血管疾患、例えば、腎症、網膜症、神経障害、組織虚血、糖尿病性足、動脈硬化、心筋梗塞、急性冠動脈症候群、不定狭心症、安定狭心症、卒中、末梢性動脈閉塞症、心筋症、心不全、心拍障害、血管再狭窄からなる群より選ばれる状態又は疾患を予防するか、進行を遅らせるか、遅延させるか又は治療する; 又は
- 体重及び/又は体脂肪を減少させるか又は体重及び/又は体脂肪の増加を予防するか又は体重及び/又は体脂肪の減少を促進させる; 又は
- 膵臓ベータ細胞の変性及び/又は膵臓ベータ細胞の機能の低下を予防するか、遅らせるか、遅延させるか又は治療し且つ/又は膵臓ベータ細胞の機能を改善させ且つ/又は回復させ且つ/又は膵臓インスリン分泌の機能を回復させる; 又は
- 異所性脂肪の異常蓄積によるものと考えられる疾病又は状態を予防するか、遅らせるか、遅延させるか又は治療する; 又は
- インスリン感受性を維持し且つ/又は改善させ且つ/又は高インスリン血症及び/又はインスリン抵抗性を治療するか又は予防する;
- 移植後新規発生糖尿病(NODAT)及び/又は移植後メタボリック症候群(PTMS)を予防するか、進行を遅らせるか、遅延させるか、又は治療する;
- NODAT及び/又は微小血管又は大血管の疾患及び事象、移植片拒絶、感染及び死が含まれるPTMS関連合併症を予防するか、遅延させるか、又は減少させる;
- 高尿酸血症及び高尿酸血症関連状態を治療する;
- 腎臓結石を治療するか又は予防する;
- 低ナトリウム血症を治療する。
【請求項19】
患者が、過体重、肥満、内臓肥満及び腹部肥満からなる群より選ばれる状態の1つ以上から診断される個体である、請求項6〜14のいずれか1項に記載の方法又は請求項15〜18のいずれか1項に記載の使用。
【請求項20】
患者が以下の状態の1又は2つ以上を示す個体である、請求項6〜14のいずれか1項に記載の方法又は請求項15〜18のいずれか1項に記載の使用:
(a) 110mg/dLを超える、特に125mg/dLを超える空腹時血糖又は血清グルコース濃度;
(b) 140mg/dL以上の食後血漿グルコース;
(c) 6.5%以上、特に7.0%以上のHbA1c値。
【請求項21】
患者が、以下の状態の1、2又は3つ以上を示す個体である、請求項6〜14のいずれか1項に記載の方法又は請求項15〜18のいずれか1項に記載の使用
(a) 肥満、内臓肥満及び/又は腹部肥満、
(b) 中性脂肪血中濃度≧150mg/dL、
(c) HDL-コレステロール血中濃度が女性の患者で<40mg/dL、男性患者で<50mg/dL、
(d) 収縮期血圧≧130 mm Hg、拡張期血圧≧85 mm Hg、
(e) 空腹時血糖値≧100 mg/dL。
【請求項22】
患者が、食事や運動にもかかわらず又はSGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤又は第3の抗糖尿病薬による単独治療にもかかわらず又はSGLT2阻害剤、DPPIV阻害剤及び第3の抗糖尿病薬のグループより選ばれる2つの物質を有する併用療法にもかかわらず不充分な血糖コントロールを有する、請求項6〜14のいずれか1項に記載の方法又は請求項15〜18のいずれか1項に記載の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2012−523374(P2012−523374A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549562(P2011−549562)
【出願日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051736
【国際公開番号】WO2010/092125
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】