説明

SIPネットワークにおいてあらかじめ分散された静的ネットワークアドレスマップを用いることによりヒューマン/マシン通信リンクを迅速に確立するためのシステム

ヒューマンインタラクティブメディアのための通信リンクをより効率的に確立することによって自然な人間/人間のコミュニケーションにより一層近づくようにヒューマン/マシン通信を強化する方法およびシステムが提供される。具体的には、この方法およびシステムによって接続の速度および品質が改良され、ユーザエクスペリエンスがより自然なものとなる。この方法は、セッション開始プロトコル(SIP)呼要求をエンドポイント(EP)から受信するステップを含む。この方法は、外部アドレスに一意にマップされSIP内部ルータにあらかじめ分散されたEPの内部アドレスに基づいて外部アドレスを決定する。この方法は、EPの内部アドレスをEPの外部アドレスに置き換えるためにSIP呼要求を修正するステップを含む。この方法は、EPにEPの外部アドレスを転送するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(分野)
本発明は、一般にネットワーク電話通信に関し、より詳細には、ヒューマン/マシン通信リンク(human/machine communication link)を確立および維持するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
現在の通信システムは、ある距離を隔てた人間と人間のコミュニケーションを容易にする。顔を合わせて話すなどの直接的な人間/人間の対話は、情報を運ぶ他の信号と比較すると、比較的遅延がなく、ノイズもなく、均一で、安定している。したがって、人間/人間の話をサポートする典型的な通信システムは、遅延、ノイズ、不均一性、および不安定性などの信号歪みを最小限にするかまたは少なくとも減少させるように構成される。
【0003】
ある距離を隔てたコミュニケーションの一般的な1つの手法がネットワーク電話通信である。一般に、ネットワーク電話通信システムは、音声を表すデジタル信号を交換する。いくつかのネットワーク電話通信システムでは、デジタル信号は、捕捉したアナログ音声信号の処理の結果である。他のネットワーク電話通信システムでは、デジタル信号の1つまたは複数は、元の信号としてマシンによって生成される。
【0004】
ネットワーク電話通信が普及したのは、1つには、標準的なプロトコルである「セッション開始プロトコル(SIP)」が登場したからである。一般に、いくつかのSIPシステムは、ある一定のプロトコルに従って、ヒューマンインタラクティブメディア(human−interactive media)のための通信リンクを確立および維持する。いくつかの場合では、このヒューマンインタラクティブメディアは、人間のユーザに配信するために合成音声を作成するソフトウェアシステムによって提供される。他の場合には、ヒューマンインタラクティブメディアは、別の人間によって生成され、デジタル化されて、ネットワーク上で送られる。したがって、SIPシステムは、人間/人間のコミュニケーションとヒューマン/マシン通信の両方をサポートする。
【0005】
しかし、これらのシステムには多数の欠点がある。たとえば、通常の顔を合わせての人間/人間のコミュニケーションにおいて人間が信号歪みを除去することに一般的に長けているのは、1つには、ボディランゲージなどの視覚的情報がさらなる文脈を提供するからである。人間は、ある距離を隔てた人間/人間のコミュニケーションにおいて歪み信号から意味を抽出することにおいても、マシンよりはるかに優れている。
【0006】
しかし、ヒューマン/マシン通信では、信号歪みが、信号処理と内容抽出の両方で重大な問題を引き起こすことがある。たとえば、不安定な接続は、高いドロップアウトが欠点であり、ヒューマン/マシン通信を大きく劣化させることがある。初期設定期間は、特に信号歪みが起こりやすく、ヒューマンインタフェースデバイスとヒューマン/マシン通信のためのターゲットアプリケーションをホストするマシンの間のリンクの効率的な接続設定が必要となる。
【0007】
典型的な従来技術によるシステムでは、プライベートネットワークを望ましくない通信から保護するために、ネットワークアドレス変換(NAT)を使用する。一般に、NATシステムでは、プライベートネットワーク内のエンドポイントに対するプライベートアドレスのリストを用いる。典型的なNATシステムは、そのプライベートアドレスを外部インターネットプロトコル(IP)アドレスに再マップし、次にこのIPアドレスを使用して、プライベートネットワークの外部のデバイスと接触する。NATデバイスは、変換されたアドレスのリストを保持し、外部デバイスへの安全な接続を作成するが、この外部デバイスは内部アドレスを知らない。この外部デバイスは、適切な内部アドレスにメッセージを転送するNATデバイスを通して外部IPアドレスにより通信する。NATシステムは、異なるポートにマップされた同じ外部IPアドレスを複数のデバイスが共有できるポートアドレス変換(ネットワークアドレスポート変換すなわちNAPT)を含む場合もある。
【0008】
しかし、典型的なNATシステムは、意味があり集中的なヒューマン/マシンの対話が必要とする、遅延がなく、ノイズもなく、均一で、一定した音をサポートするのに必要な呼設定効率を達成することはできない。この欠点は、アプリケーションロジック、アプリケーションの状態、および音声認識リソースを含む十分なインタラクティブアプリケーションドライバによる高い性能を持つプロセッサを必要とする高度なインタラクティブメディアアプリケーションを使用する環境ではさらに一層顕著である。NATの十分な動作性能がない場合、ヒューマン/マシン通信リンクの呼設定処理は、満足できない接続時間および/または増加した信号歪みを引き起こすほど早く、通信の障害をもたらし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(概要)
本発明の一般的な態様では、ヒューマンインタラクティブメディアのための通信リンクを確立するための方法が提供される。この方法は、セッション開始プロトコル(SIP)内部ルータによって実行される、SIP呼要求をエンドポイント(EP)から受信するステップを含む。この方法は、SIP内部ルータによって実行される、EPの内部アドレスに基づいて外部アドレスを決定するステップを含み、各EPは複数のEPのうちの1つであり、各EPは、外部アドレスに一意にマップされたあらかじめ構成された内部アドレスを有する。この方法は、SIP内部ルータによって実行される、EPの内部アドレスをEPの外部アドレスに置き換えるためにSIP呼要求の内容を修正するステップと、この修正されたSIP呼要求を、SIP呼要求で識別されたコールプロバイダ(call provider)に送信するステップとを含む。この方法は、SIP内部ルータによって実行される、コールプロバイダがSIP呼要求を受け入れる場合、EPにEPの外部アドレスを転送するステップを含む。この方法は、EPとコールプロバイダの間にヒューマンインタラクティブメディアのための通信リンクを確立するステップを含み、EPはEPの外部アドレスを使用し、通信リンクはSIP内部ルータを含まない。
【0010】
好ましい一実施形態では、SIP内部ルータは、複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの一意の関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む。
【0011】
別の実施形態では、ネットワークアドレス変換(NAT)ルータがSIP内部ルータに結合し、このNATルータは、複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの一意の関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む。この方法は、NATルータによって実行される、EPの内部アドレスを外部アドレスに置き換えるためのSIP内部ルータからの修正された呼要求のソース情報を変換するステップを含む。この方法は、NATルータによって実行される、コールプロバイダにこの修正および変換された呼要求を転送するステップを含む。この方法は、NATルータによって実行される、EPとコールプロバイダの間の通信リンクを容易にするステップを含む。
【0012】
さらに別の実施形態では、この方法は、複数のSIP内部ルータのうちの1つであるSIP内部ルータを含み、各SIP内部ルータは、複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの一意の関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む。別の実施形態では、複数のネットワークアドレス変換(NAT)ルータがSIP内部ルータに結合し、各NATルータは、複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの一意の関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む。
【0013】
さらに別の実施形態では、複数のネットワークアドレス変換(NAT)ルータがSIP内部ルータに連結し、各NATルータは、複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの一意の関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む。SIP内部ルータは複数のSIP内部ルータのうちの1つであり、各SIP内部ルータは、複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの一意の関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む。
【0014】
さらに別の実施形態では、複数のネットワークアドレス変換(NAT)ルータがSIP内部ルータに結合し、各NATルータは、複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの一意の関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む。SIP内部ルータは複数のSIP内部ルータのうちの1つであり、各SIP内部ルータは、あらかじめ構成されたマップを含み、各SIP内部ルータは、アドレスがマップに示されているEPのサブセットに専用のものである。
【0015】
本発明の別の一般的な態様では、ヒューマンインタラクティブメディアのための通信リンクを確立するための方法が提供される。この方法は、セッション開始プロトコル(SIP)内部ルータによって実行される、SIP呼要求をコールプロバイダから受信するステップを含む。この方法は、SIP呼要求に基づいて複数のエンドポイント(EP)のうちの1つのEPを選択するステップを含む。この方法は、SIP内部ルータによって実行される、EPの内部アドレスを決定するステップを含み、各EPは複数のEPのうちの1つであり、各EPは、外部アドレスに一意にマップされたあらかじめ構成された内部アドレスを有する。この方法は、SIP内部ルータによって実行される、選択されたEPがSIP呼要求の受け入れに使用可能かどうかを判断するステップを含む。この方法は、SIP内部ルータによって実行される、選択されたEPがSIP呼要求の受け入れに使用可能である場合、EPにEP外部アドレスを転送するステップを含む。この方法は、コールプロバイダにヒューマンインタラクティブメディアのための通信パケットを送信するステップを含み、EPはEPの外部アドレスを使用し、通信リンクはSIP内部ルータを含まない。
【0016】
好ましい一実施形態では、SIP内部ルータは、複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む。
【0017】
別の実施形態では、ネットワークアドレス変換(NAT)ルータがSIP内部ルータに結合し、このNATルータは、複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの一意の関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む。この方法は、NATルータによって実行される、EPの内部アドレスを外部アドレスに置き換えるためのSIP内部ルータからの修正された呼要求のソース情報を変換するステップを含む。この方法は、NATルータによって実行される、コールプロバイダにこの修正および変換された呼要求を転送するステップを含む。この方法は、NATルータによって実行される、EPとコールプロバイダの間の通信リンクを容易にするステップを含む。
【0018】
さらに別の実施形態では、SIP内部ルータは複数のSIP内部ルータのうちの1つであり、各SIP内部ルータは、複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む。別の実施形態では、複数のネットワークアドレス変換(NAT)ルータがSIP内部ルータに結合し、各NATルータは、複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む。
【0019】
さらに別の実施形態では、複数のネットワークアドレス変換(NAT)ルータがSIP内部ルータに結合し、各NATルータは、複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む。SIP内部ルータは複数のSIP内部ルータのうちの1つであり、各SIP内部ルータは、複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む。
【0020】
さらに別の実施形態では、複数のネットワークアドレス変換(NAT)ルータがSIP内部ルータに結合し、各NATルータは、複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む。SIP内部ルータは複数のSIP内部ルータのうちの1つであり、各SIP内部ルータは、あらかじめ構成されたマップを含み、各SIP内部ルータは、このマップに含まれるアドレスを有するEPのサブセットに専用のものである。
【0021】
本発明の別の一般的な態様では、ヒューマンインタラクティブメディアのための通信リンクを確立するための装置が提供される。この装置は、複数のエンドポイント(EP)を含み、各EPは、あらかじめ構成された一意の内部アドレスと、一意の外部アドレスとを有し、各EPは、呼要求を送信するように構成され、各呼要求は、ターゲットを示し、送信元EPの内部アドレスを含む。この装置は、複数のEPに結合されたSIP内部ルータを含み、このSIP内部ルータは、各EPの内部アドレスおよび外部アドレスを示すあらかじめ構成されたマップを含む。このSIP内部ルータは、呼要求を送信するEPの内部アドレスをEPの外部アドレスに置き換えるために各呼要求を修正するように構成される。この装置は、このSIP内部ルータおよび複数のEPに結合されたネットワークアドレス変換(NAT)ルータを含み、このNATルータは、各修正された呼要求を、呼要求に示されたターゲットに送信するように構成される。このNATルータは、ターゲットから応答を受信するようにさらに構成され、この応答は、ターゲットが呼要求を受け入れるかどうかを示し、このNATルータは、この応答をSIP内部ルータに送信するようにさらに構成される。このSIP内部ルータは、この応答に対応する呼要求を送信するEPにその応答および外部アドレスを送信するようにさらに構成される。EPは、ターゲットにヒューマンインタラクティブメディアのための通信パケットを送信するようにさらに構成され、この通信パケットは外部アドレスを含み、SIP内部ルータは、通信パケットを受信しない。
【0022】
好ましい一実施形態では、SIP内部ルータは、複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む。一実施形態では、NATルータは、複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む。
【0023】
別の実施形態では、SIP内部ルータは複数のSIP内部ルータのうちの1つであり、各SIP内部ルータは、複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む。別の実施形態では、複数のネットワークアドレス変換(NAT)ルータがSIP内部ルータに結合し、各NATルータは、複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む。
【0024】
さらに別の実施形態では、複数のネットワークアドレス変換(NAT)ルータがSIP内部ルータに結合し、各NATルータは、複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む。SIP内部ルータは複数のSIP内部ルータのうちの1つであり、各SIP内部ルータは、あらかじめ構成されたマップを含む。
【0025】
本発明は、以下の詳細な説明を以下の図と併せ読めば、より十分に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、複数のコールプロバイダとの間でインターネットを介してヒューマンインタラクティブメディアと通信するための本発明の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】図2は、ヒューマンインタラクティブメディアのためのアウトバウンド通信リンクを確立するためのプロトコルを示すプロトコル図である。
【図3】図3は、ヒューマンインタラクティブメディアと通信するためのアウトバウンド通信リンクを確立するための方法の論理的動作ステップを表すハイレベル流れ図である。
【図4】図4は、ヒューマンインタラクティブメディアのためのインバウンド通信リンクを確立するためのプロトコルを示すプロトコル図である。
【図5】図5は、ヒューマンインタラクティブメディアと通信するためのインバウンド通信リンクを確立するための方法の論理的動作ステップを表すハイレベル流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(詳細な説明)
図1は、本発明と複数のコールプロバイダ114の間の通信を提供するようにネットワーク112に接続された本発明の一実施形態を示すハイレベルブロック図である。外部ネットワーク100は、ネットワーク112と、ネットワーク112に結合された複数のコールプロバイダとを含む。ネットワーク112は、インターネット、ワイドエリアネットワーク、公衆交換電話網、またはインターネットプロトコル(IP)ベースの交換接続をサポートするように構成された他の任意の適切なネットワークとすることができる。コールプロバイダ114はそれぞれ、エンドユーザ(図示せず)にボイスオーバーIP(VoIP)サービスを提供するように構成された、その他の点では従来型の(otherwise conventional)コールプロバイダである。
【0028】
システム102は、ネットワーク112にそれぞれ結合された複数のネットワークインタフェース110を含む。一般に、各ネットワークインタフェース110は、以下でより詳細に説明するように、ネットワーク112とシステム102の種々の構成要素との間でIPパケットをルーティングするように構成された、その他の点では従来型のネットワークインタフェースである。具体的には、各インタフェース110は、1つまたは複数のSIP内部ルータ120、1つまたは複数のエンドポイント(EP)130、および少なくとも1つのジョブ開始サービス(JIS)140に結合される。さらに、以下で図2に関してより詳細に説明するように、一実施形態では、各インタフェース110は、EP130のグループに対する外部アドレス(ポート割り当ての有無を問わない)への内部アドレス(ポート割り当ての有無を問わないIPアドレス)の完全な1対1の静的な割り当てを維持する。
【0029】
一般に、各SIP内部ルータ120は、以下でより詳細に説明するように、コールプロバイダ114と特定のEP130の間にエンドツーエンドの通信リンクを確立する。図示の実施形態では、各SIP内部ルータ120は独立して動作する。一実施形態では、各SIP内部ルータ120は、システム102に著しく影響を及ぼす性能の損傷を引き起こすことなく、このシステムに追加または削除されるように構成される。以下で図2に関してより詳細に説明するように、一実施形態では、各SIP内部ルータ120は、EP130のグループに対する外部アドレス(ポート割り当ての有無にかかわらず)への内部アドレス(ポート割り当ての有無にかかわらないIPアドレス)の完全な1対1の静的な割り当てマッピングを維持する。
【0030】
一般に、各EP130は、その他の点では従来型である、SIPが有効化されたコンピュータベースまたはサーバベースのホストであり、アプリケーションサービスリソースを提供するように構成される。一実施形態では、アプリケーションサービスリソースは、ヒューマンインタラクティブメディアを配信またはサポートするように構成された任意の適切なリソースである。一実施形態では、各EP130は、ステートフル(state−full)で、人間との対話専用/人間との対話のために取り付けられたものである。図示の実施形態では、各EP130は独立して動作し、個々のEP130は、他のシステム構成要素の動作のかなりの性能劣化を引き起こさずに、追加、削除、またはその他の方法で変更されることができる。
【0031】
図示の実施形態では、各SIP内部ルータ120は、システム102内のEP130のすべてのうちの特定のサブセットに結合する。一実施形態では、各SIP内部ルータ120は、システム102内のあらゆるEP130に結合する。一実施形態では、各SIP内部ルータ120は、システム102内のEP130のすべてのうちの所定のサブセットに結合する。一実施形態では、各SIP内部ルータ120は、システム102内のEP130のすべてのうちの、動的に割り当てられたサブセットに結合する。一実施形態では、各SIP内部ルータ120は、システム102内のEP130のすべてのうちの排他的なサブセットに結合する。一代替実施形態では、各SIP内部ルータ120は、システム102内のEP130のすべてのうちのサブセットに結合し、そのサブセットは、別のSIP内部ルータ120にも結合された1つまたは複数のEP130を含む。
【0032】
しかし、いずれの場合においても、各SIP内部ルータ120は、そのSIP内部ルータ120に直接的に接続されたEP130のすべてに対する完全な1対1のアドレスマップを維持する。この完全な1対1のアドレスマップは、あらかじめ分散された(pre−distributed)静的なネットワークアドレスマップである。一実施形態では、以下でより詳細に説明するように、あらかじめ分散された静的なネットワークアドレスマップは、インタフェース110によって保たれるNATテーブルのコピーである。一般に、あらかじめ分散された静的なネットワークアドレスマップは、たとえばSIP呼要求に応答してなど、SIP内部ルータ120がその中に含まれる情報へのアクセスを必要とする前に、SIP内部ルータ120に伝播される。本明細書では、SIP内部ルータ120が、アドレス指定されたパケットを別のルータに送信しなくても、このアドレス指定されたパケットをEP130に送ることができるとき、このSIP内部ルータ120は、そのEP130に直接的に接続される。
【0033】
同様に、図示の実施形態では、各インタフェース110は、システム102内のSIP内部ルータ120のすべてのうちのSIP内部ルータ120の特定のサブセットに結合する。一実施形態では、各インタフェース110は、システム102内のあらゆるSIP内部ルータ120に結合する。一実施形態では、各インタフェース110は、システム102内のSIP内部ルータ120のすべてのうちの所定のサブセットに結合する。一実施形態では、各インタフェース110は、システム102内のSIP内部ルータ120のすべてのうちの動的に割り当てられたサブセットに結合する。一実施形態では、各インタフェース110は、システム102内のSIP内部ルータ120のすべてのうちの排他的なサブセットに結合する。一代替実施形態では、各インタフェース110は、システム102内のSIP内部ルータ120のすべてのうちのサブセットに結合し、そのサブセットは、別のインタフェース110にも結合された1つまたは複数のSIP内部ルータ120を含む。
【0034】
しかし、いずれの場合においても、各インタフェース110は、それ自身がそのインタフェース110に直接的に接続された各SIP内部ルータ120に直接的に接続されたEP130のすべてに対する完全な1対1のアドレスマップを維持する。本明細書では、SIP内部ルータ120が、アドレス指定されたパケットを別のルータに送信しなくても、このアドレス指定されたパケットをインタフェース110に送ることができるとき、このSIP内部ルータ120は、そのインタフェース110に直接的に接続される。
【0035】
非常に一般的に、システム102は、呼要求を受信し、システム102とターゲットのコールプロバイダ114の間の通信リンクの確立を要求する。この要求は、特定のアプリケーションサービスリソースのサポートなどのある一定のリンク特性を含み、ある決まったEP130のための外部アドレスを含む。インタフェース110は、呼要求IPヘッダ内の外部アドレスを変換して、ターゲットのEP130の内部アドレスを得る。インタフェース110は、呼要求を、ターゲットのEP130にサービスを提供するSIP内部ルータ120にルーティングする。
【0036】
SIP内部ルータ120は、呼要求SIPヘッダ内の外部アドレスを変換して、ターゲットのEP130の内部アドレスを得て、ターゲットのEP130が要求を受け入れる場合は、外部アドレスを使用して、選択されたEP130とターゲットのコールプロバイダ114の間に通信リンクを確立する。通信リンクを確立すると、EP130とコールプロバイダ114は、「直接的に」、すなわち通信経路にSIP内部ルータ120を含めずに、通信する。
【0037】
一般に、インバウンド要求(プロバイダからエンドポイントへ)は、コールプロバイダ114が(ネットワーク112およびインタフェース110を通して)SIP内部ルータ120に要求を送信することによって開始される。同様に、アウトバウンド要求(エンドポイントからプロバイダへ)は、ジョブ開始サービス(JIS)140が(インタフェース110を通して、または直接的に)SIP内部ルータ120に要求を送信することによって開始される。一実施形態では、アウトバウンド要求は、ターゲットのコールプロバイダ114を指定する「返信先(refer−to)」アドレスを含み、JIS140が代わりに呼設定を要求しているEP130の内部アドレスを使用する。一般に、システム102の構成要素は、以下で図2〜図5に関してより詳細に説明するように動作する。
【0038】
図2は、一実施形態に従ってヒューマンインタラクティブメディアのためのアウトバウンド通信リンクを確立するためのプロトコル200を示すプロトコル図である。具体的には、図2は、EP130とコールプロバイダ114の間に通信リンクが確立されるときのインタフェース110、コールプロバイダ114、SIP内部ルータ120、EP130、およびJIS140の相互作用を示す。
【0039】
(1)で示すように、EP130は、SIP呼要求を開始し、SIP内部ルータ120に呼要求を送信する。一実施形態では、JIS140は、EP130の代わりにSIP呼要求を開始する。どちらの場合にも、呼要求は、ターゲットのコールプロバイダ114を識別し、EP130の内部アドレスを使用して、そのEP130を識別する。一実施形態では、この呼要求は、SIPヘッダを含む。
【0040】
図示の実施形態では、EP130は、呼ホスト(call host)230を含む。一般に、呼ホスト230は、ヒューマンインタラクティブメディアのためのサービスの回線をサポートするように構成された、その他の点では従来型の呼ホストである。一般に、呼ホスト230は、アプリケーションサービスリソースを提供するようにまとめて構成されたその他の点では従来型のヒューマンインタラクティブメディアサーバの動作を制御するように構成される。
【0041】
SIP内部ルータ120は、SIP呼要求を受信し、SIPヘッダ内のEP130の内部アドレスをEP130の外部アドレスに変換する。一実施形態では、システム102内の各EP130は一意の内部IPアドレスによって識別され、この内部IPアドレスは、外部IPアドレスに一意にマップされる。一実施形態では、システム102内の各EP130は、内部IPアドレスとポートの一意の組み合わせによって識別され、この組み合わせは、外部IPアドレスに一意にマップされる。一実施形態では、システム102内の各EP130は、内部IPアドレスとポートの一意の組み合わせによって識別され、この組み合わせは、外部IPアドレスとポートの一意の組み合わせに一意にマップされる。一実施形態では、あらゆる内部IPアドレス/ポートは、静的に割り当てられた外部IPアドレス/ポートとの1対1の関連付けをなしてマップする。
【0042】
図示の実施形態では、SIP内部ルータ120は、アドレスマップ220に1対1のアドレスマッピングをまとめたもの(compilation)を維持する。一実施形態では、アドレスマップ220はルックアップテーブルである。一般に、アドレスマップ220は、任意の適切なデータ構造により構成されることができる。一実施形態では、アドレスマップ220は、システム102内のあらゆるEP130の1対1のアドレスマッピングを含む。一代替実施形態では、アドレスマップ220は、SIP内部ルータ120に直接的に接続されたあらゆるEP130の1対1のアドレスマッピングを含む。
【0043】
SIP内部ルータ120は、EP130の内部アドレスをそれに対応する外部IPアドレスに置き換えるために呼要求SIPヘッダを修正する。(2)で示すように、インタフェース110は、呼要求をSIP内部ルータ120に渡す。
【0044】
インタフェース110は、SIP内部ルータ120からSIP呼要求を受信し、ターゲットのコールプロバイダ114にインターネット経由で伝送するためにSIP呼要求の準備を行う。一実施形態では、インタフェース110は、IPヘッダでSIP呼要求をカプセル化する。一実施形態では、インタフェース110は、IPヘッダ内のEP130の内部アドレスをEP130の外部アドレスに変換する。一代替実施形態では、インタフェース110は、EP130の外部アドレスを使用してIPヘッダを生成する。
【0045】
図示の実施形態では、インタフェース110は、アドレスマップ210に1対1のアドレスマッピングをまとめたものを維持する。一実施形態では、アドレスマップ210はルックアップテーブルである。一般に、アドレスマップ210は、任意の適切なデータ構造により構成可能である。一実施形態では、アドレスマップ210は、システム102内のあらゆるEP130の1対1のアドレスマッピングを含む。一代替実施形態では、アドレスマップ220は、それ自体がインタフェース110に直接的に接続された各SIP内部ルータ120に直接的に接続されたあらゆるEP130の1対1のアドレスマッピングを含む。
【0046】
(3)で示すように、インタフェース110は、ターゲットのコールプロバイダ114にSIP呼要求を転送する。ターゲットのコールプロバイダ114が呼を受け入れる場合、(4)で示すように、コールプロバイダ114は、呼要求を受け入れる応答を送信する。次に、(5)で示すように、インタフェース110は、SIP内部ルータ120に、ターゲットのコールプロバイダ114がSIP呼要求を受け入れることを通知する。
【0047】
次に、(6)で示すように、SIP内部ルータ120は、EP130に、SIP呼要求が受け入れられたことを通知する。さらに、SIP内部ルータ120は、EP130に、そのEP130の内部アドレスに対応する外部アドレスを通知する。一実施形態では、SIP内部ルータ120は、EP130に呼の受け入れを通知するメッセージ内のSIPヘッダを介して、EP130に外部アドレスを通知する。SIP内部ルータ120はまた、EP130の代わりにメディア通信リンクを確立する。
【0048】
(7)で示すように、EP130は、EP130の外部アドレスを使用して、インタフェース110との通信リンクに沿って通信する。(8)で示すように、インタフェース110は、同様にEP130の外部アドレスを使用して、コールプロバイダ114との通信リンクに沿って通信する。
【0049】
(7)で示すように、EP130は、SIP内部ルータ120を介してではなく、インタフェース110を介して、コールプロバイダ114と通信する。すなわち、一実施形態では、SIP内部ルータ120は、通信リンクを確立することのみを担当し、呼要求が受け入れられ、通信リンクが確立されると、通信メッセージ経路から脱落する。一実施形態では、SIP内部ルータ120は、コールプロバイダ114と選択されたEP130の間に直接的なエンドツーエンド接続を確立する。したがって、一実施形態では、SIP内部ルータ120は、通信リンクをサポートするために呼状態またはプロキシメディアストリームを維持する必要はない。
【0050】
したがって、プロトコル200は、SIP内部ルータ120およびインタフェース110によってアドレスマップで実施された完全な1対1のマッピングに基づいてNAT対応(NAT−capable)SIP通信リンクを確立するように構成されたシステムを提供する。上述のように、プロトコル200を実施するシステムは、完全にマップされたアドレス空間において、インタフェース110とSIP内部ルータ120の間でアドレス変換タスクを分けることによって、呼要求に対して迅速かつ効率的に応答するように構成されることができる。
【0051】
図3は、ヒューマンインタラクティブメディアと通信するための通信リンクを確立するための方法の論理的動作ステップを表す流れ図である。ブロック305で示されるように、処理が始まり、SIP内部ルータ120が、あらかじめ構成されたEP130内部アドレスを使用するEP130(またはEP130の代わりのJIS)からSIP呼要求を受信する。
【0052】
次に、ブロック310に示すように、SIP内部ルータ120が、EP310の内部アドレスを使用してEP130の外部アドレスを決定する。上述のように、一実施形態では、SIP内部ルータ120は、アドレスマップ220に含まれる情報によって、EP310の外部アドレスを決定する。次に、ブロック315に示すように、SIP内部ルータ120は、EPの内部アドレスをEPの外部アドレスに置き換えるためにSIP呼要求を修正する。
【0053】
次に、ブロック320に示すように、インタフェース110が、ターゲットのコールプロバイダ114にこの修正されたSIP呼要求を送信する。上述のように、一実施形態では、インタフェース110は、ターゲットのコールプロバイダ114にこの修正されたSIP呼要求を送信するために、EP130の外部アドレスを含むIPヘッダを使用する。
【0054】
次に、決定ブロック325に示すように、SIP内部ルータ120が、EP130にEP130の外部アドレスを転送する。上述のように、一実施形態では、SIP内部ルータ120が、SIP呼要求が受け入れられたことをEP130に通知するSIPヘッダによってEP130の外部アドレスを転送する。
【0055】
次に、ブロック330に示すように、SIP内部ルータ120が、選択されたEP130とコールプロバイダ114との間に通信リンクを確立し、処理が終了する。上述のように、確立された通信リンクは、SIP内部ルータ120を含まない。EP130は、EPの外部アドレスを使用してコールプロバイダ114と通信する。
【0056】
図4は、一実施形態に従ってヒューマンインタラクティブメディアのためのインバウンド通信リンクを確立するためのプロトコル400を示すプロトコル図である。具体的には、図3は、EP130とコールプロバイダ114の間に通信リンクが確立されるときのインタフェース110、コールプロバイダ114、SIP内部ルータ120、およびEP130の相互作用を示す。
【0057】
(1)で示すように、インタフェース110は、SIP呼要求を受信し、EP130の外部アドレスによってターゲットのEP130を識別する。一実施形態では、インタフェース110は、EP130の外部アドレスを関連付けられたEP130の内部アドレスに変換する。(2)で示すように、インタフェース110は、ターゲットのEP130に直接的に結合されたSIP内部ルータ120にこのSIP呼要求を転送する。
【0058】
SIP内部ルータ120は、SIP呼要求を受信し、(SIP呼要求の)SIPヘッダ内のEP130の外部アドレスをEP130の内部アドレスに変換する。SIP内部ルータ120は、ターゲットのEP130による受け入れまたは拒否のためにEP130に呼要求を転送する。
【0059】
(3)で示すように、ターゲットのEP130が呼要求を受け入れる場合、SIP内部ルータ120は、ターゲットのEP130にEP130の外部アドレスを転送する。SIP内部ルータ120はまた、EP130の代わりにメディア通信リンクを確立する。
【0060】
(4)で示すように、EP130は、EP130の外部アドレスを使用して、インタフェース110との通信リンクに沿って通信する。(5)で示すように、インタフェース110は、同様にEP130の外部アドレスを使用して、コールプロバイダ114との通信リンクに沿って通信する。
【0061】
(4)で示すように、EP130は、SIP内部ルータ120を介してではなく、インタフェース110を介して、コールプロバイダ114と通信する。すなわち、一実施形態では、SIP内部ルータ120は、通信リンクを確立することのみを担当し、呼要求が受け入れられ、通信リンクが確立されると、通信メッセージ経路から脱落する。一実施形態では、SIP内部ルータ120は、コールプロバイダ114と選択されたEP130の間に直接的なエンドツーエンド接続を確立する。したがって、一実施形態では、SIP内部ルータ120は、通信リンクをサポートするために呼状態またはプロキシメディアストリームを維持する必要はない。
【0062】
したがって、プロトコル400は、SIP内部ルータ120およびインタフェース110によってアドレスマップで実施された完全な1対1のマッピングに基づいてNAT対応SIP通信リンクを確立するように構成されたシステムを提供する。上述のように、プロトコル400を実施するシステムは、完全にマップされたアドレス空間において、インタフェース110とSIP内部ルータ120の間でアドレス変換タスクを分けることによって、呼要求に対して迅速かつ効率的に応答するように構成されることができる。
【0063】
図5は、ヒューマンインタラクティブメディアと通信するための通信リンクを確立するための方法の論理的動作ステップを表す流れ図である。ブロック505に示すように、処理が始まり、SIP内部ルータ120が、SIP呼要求をコールプロバイダから受信し、EP130の外部アドレスによってターゲットのEP130を識別する。
【0064】
次に、ブロック510に示すように、SIP内部ルータ120が、EP310の外部アドレスを使用してEP130の内部アドレスを決定する。上述のように、一実施形態では、SIP内部ルータ120は、アドレスマップ220に含まれる情報によって、EP310の内部アドレスを決定する。次に、ブロック515に示すように、SIP内部ルータ120は、ターゲットのEP130がSIP呼要求の受け入れに使用可能かどうかを判断する。
【0065】
次いで、ブロック520に示すように、ターゲットのEP130が使用可能な場合、SIP内部ルータ120が、ターゲットのEP130にSIP呼要求およびEP外部アドレスを転送する。一実施形態では、SIP内部ルータ120は、SIPヘッダによってEP130の外部アドレスを転送する。
【0066】
次に、ブロック525に示すように、SIP内部ルータ120は、選択されたEP130とコールプロバイダ114との間に通信リンクを確立し、処理が終了する。上述のように、確立された通信リンクは、SIP内部ルータ120を含まない。EP130は、EPの外部アドレスを使用してコールプロバイダ114と通信する。
【0067】
したがって、上述のように、本明細書で開示される実施形態は、EP130のアドレスの静的なマッピングを提供し、インタフェース110およびSIP内部ルータ130はそれぞれ、完全なアドレス変換情報を維持する。そのように構成されているので、本明細書で開示される実施形態は、EP130の大規模な集団との高速なSIP認識通信のために構成されることができる。さらに、一実施形態では、静的なマッピングにより、コールプロバイダ114は、どのIPアドレスおよび/またはポートの範囲からメッセージを受信するかを正確に認識し、ファーエンドのセキュリティを強化することもできる。
【0068】
さらに、開示される実施形態は、EP130にEPの外部アドレスを伝達するように構成されたSIPヘッダを提供する。そのように構成されているので、SIPは、EP130とコールプロバイダ114の間のノード距離を短縮させ、インタフェース110によって直接的に通信するための安全なメディア接続を可能にする。
【0069】
したがって、本明細書で開示される実施形態は、これまでのシステムおよび方法に対する利点を提供する。たとえば、一般に使用されるNATは、たとえば米国特許第7,522,617号に記載されるように、少数の共有IPエンドポイントの動的なマッピングのために構成されることができる。しかし、動的なマッピングは、多数の内部エンドポイントを有するシステムには適していない。このようなシステムでは、動的なマッピングは低速で、すべてのリソースを十分に利用することはできない。本明細書で開示される実施形態は、ヒューマン/マシン通信のためのSIPシステムにおける静的なマッピングおよび改良された呼設定を提供する。
【0070】
いくつかのシステムは、大きなIPポート空間のためのより高速な代替策を達成することを希望して、静的なマッピングを試みてきた。単純なIPルータは静的なマッピングを実施できるが、単純なIPルータは、エンドツーエンドメディア接続に不可欠なSIP認識ができない。SIPのサポートがなければ、静的なマッピングは、十分なヒューマン/マシン通信の要件を満たすことはできない。本明細書で開示される実施形態は、ヒューマン/マシン通信のためのSIPシステムにおける静的マッピングおよび改良された呼設定を提供する。
【0071】
米国特許第7,624,195号には、別の手法が記載されている。その手法とは、内部ルータなどの他のネットワークデバイスにNAT機能を分散させることである。このようなシステムでは、内部ルータは、NATに外部のIPアドレスおよびポート範囲を要求し、次いで、返されたアドレス情報を使用してメッセージ内容を変換する。内部ルータはこのメッセージをNATに転送し、ここでNATは、同じネットワーク変換情報によりIPアドレス情報を変換する。この手法は、動的なマッピングまたは静的なマッピングのどちらかを使用して実施できるが、どちらのタイプのマッピングにも欠点がある。
【0072】
たとえば、この手法を使用して静的にマッピングされた典型的なシステムでは、NATデバイスがアドレス変換テーブル全体を保持し、変換情報は、接続要求ごとに内部ルータのみに与えられる。この接続設定は、内部ルータがNATデバイスから情報を要求しなければならない追加のステップを必要とするが、このステップが接続時間の遅延をもたらし、これにより性能が劣化する。動的にマッピングされたシステムでは、マッピングが時間と共に変化するので、問題はさらに悪化する。しかし、本明細書で開示される実施形態は、ヒューマン/マシン通信のためのSIPシステムにおける静的マッピングおよび改良された呼設定を提供する。
【0073】
さらに、SIP機能性がなければ、ファイアウォールによって保護された別個のネットワークの2つのデバイスを接続する処理がさらに必要とされる。たとえば、米国特許第7,522,594号では、第1のネットワークが、NATのマッピング機構を確かめるために複数のメッセージを送信することによって第2のネットワークを保護するファイアウォールを予想することについて記載されている。しかし、本明細書で開示される実施形態は、ヒューマン/マシン通信のためのSIPシステムにおける静的なマッピングおよび改良された呼設定を提供し、これにより、本明細書で開示されるSIPヘッダは外部のIPアドレス情報を含むように構成できるので、ファイアウォール予測が不要になる。したがって、インタフェース110から送信されるメッセージは、メッセージが元の送信者(すなわちEP130)にルーティングし返すことが可能なチャネルを開く返信先アドレスを含むように構成されることができる。
【0074】
したがって、本明細書で開示される実施形態は、静的なNAT集団内のポート/IPの完全な列挙によって内部リソースの完全なマッピングを提供する。これは、内部ルータレベルでのアドレス変換と組み合わせると、直接的かつ高品質でファイアウォールが設置され(firewalled)SIPが有効化されたメディアルーティングを実現する。さらに、リソースのクラウド全体の完全な1対1の静的な割り当ては、最高の利用率を実現する。したがって、本明細書で開示される実施形態は、設定の遅延および潜在的なパケット損失を低下させ、ヒューマン/マシン通信の信頼性を改良する。
【0075】
請求される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、他の変更形態および実装形態が当業者には想到されよう。したがって、以下の請求項に示される場合を除き、上記の説明は、本発明を限定することを意図したものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒューマンインタラクティブメディアのための通信リンクを確立するための方法であって、
セッション開始プロトコル(SIP)内部ルータによって実行される、SIP呼要求をエンドポイント(EP)から受信することと、
前記SIP内部ルータによって実行される、前記EPの内部アドレスに基づいて外部アドレスを決定することであって、
各EPが複数のEPのうちの1つであり、
各EPが、外部アドレスに一意にマップされたあらかじめ構成された内部アドレスを有する、ことと、
前記SIP内部ルータによって実行される、前記EPの内部アドレスを前記EPの外部アドレスに置き換えるために前記SIP呼要求の内容を修正することと、
前記修正されたSIP呼要求を、前記SIP呼要求で識別されたコールプロバイダに送信することと、
前記SIP内部ルータによって実行される、前記コールプロバイダが前記SIP呼要求を受け入れる場合、前記EPに前記EPの外部アドレスを転送することと、
前記EPと前記コールプロバイダの間にヒューマンインタラクティブメディアのための通信リンクを確立することであって、
前記EPが前記EPの外部アドレスを使用し、
前記通信リンクが前記SIP内部ルータを含まない、ことと
を含む方法。
【請求項2】
前記SIP内部ルータが、前記複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの一意の関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記SIP内部ルータに結合されたネットワークアドレス変換(NAT)ルータであって、前記複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの一意の関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含むNATルータと、
前記NATルータによって実行される、前記EPの内部アドレスを前記外部アドレスに置き換えるための前記SIP内部ルータからの前記修正された呼要求のソース情報を変換することと、
前記NATルータによって実行される、前記コールプロバイダに前記修正および変換された呼要求を転送することと、
前記NATルータによって実行される、前記EPと前記コールプロバイダの間の前記通信リンクを容易にすることと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記SIP内部ルータが複数のSIP内部ルータのうちの1つであり、各SIP内部ルータが、前記複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの一意の関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数のネットワークアドレス変換(NAT)ルータが前記SIP内部ルータに結合し、各NATルータが、前記複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの一意の関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
複数のネットワークアドレス変換(NAT)ルータが前記SIP内部ルータに結合し、
各NATルータが、前記複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの一意の関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含み、
前記SIP内部ルータが、複数のSIP内部ルータのうちの1つであり、
各SIP内部ルータが、前記複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの一意の関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
複数のネットワークアドレス変換(NAT)ルータが前記SIP内部ルータに結合し、
各NATルータが、前記複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの一意の関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含み、
前記SIP内部ルータが、複数のSIP内部ルータのうちの1つであり、
各SIP内部ルータが、前記あらかじめ構成されたマップを含み、
各SIP内部ルータが、アドレスが前記マップに示されているEPのサブセットに専用のものである、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ヒューマンインタラクティブメディアのための通信リンクを確立するための方法であって、
セッション開始プロトコル(SIP)内部ルータによって実行される、SIP呼要求をコールプロバイダから受信することと、
前記SIP呼要求に基づいて複数のエンドポイント(EP)のうちの1つのEPを選択することと、
前記SIP内部ルータによって実行される、前記EPの内部アドレスを決定することであって、
各EPが複数のEPのうちの1つであり、
各EPが、外部アドレスに一意にマップされたあらかじめ構成された内部アドレスを有する、ことと、
前記SIP内部ルータによって実行される、前記選択されたEPが前記SIP呼要求の受け入れに使用可能かどうかを判断することと、
前記SIP内部ルータによって実行される、前記選択されたEPが前記SIP呼要求の受け入れに使用可能である場合、前記EPに前記EPの外部アドレスを転送することと、
前記コールプロバイダにヒューマンインタラクティブメディアのための通信パケットを送信することであって、
前記EPが前記EPの外部アドレスを使用し、
前記通信リンクが前記SIP内部ルータを含まない、ことと
を含む、方法。
【請求項9】
前記SIP内部ルータが、前記複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記SIP内部ルータに結合されたネットワークアドレス変換(NAT)ルータであって、前記複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの一意の関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含むNATルータと、
前記NATルータによって実行される、前記EPの内部アドレスを前記外部アドレスに置き換えるための前記SIP内部ルータからの前記修正された呼要求のソース情報を変換することと、
前記NATルータによって実行される、前記コールプロバイダに前記修正および変換された呼要求を転送することと、
前記NATルータによって実行される、前記EPと前記コールプロバイダの間の前記通信リンクを容易にすることと
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記SIP内部ルータが複数のSIP内部ルータのうちの1つであり、各SIP内部ルータが、前記複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
複数のネットワークアドレス変換(NAT)ルータが前記SIP内部ルータに結合し、各NATルータが、前記複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
複数のネットワークアドレス変換(NAT)ルータが前記SIP内部ルータに結合し、
各NATルータが、前記複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含み、
前記SIP内部ルータが、複数のSIP内部ルータのうちの1つであり、
各SIP内部ルータが、前記複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項14】
複数のネットワークアドレス変換(NAT)ルータが前記SIP内部ルータに結合し、
各NATルータが、前記複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含み、
前記SIP内部ルータが、複数のSIP内部ルータのうちの1つであり、
各SIP内部ルータが、前記あらかじめ構成されたマップを含み、
各SIP内部ルータが、前記マップに含まれるアドレスを有するEPのサブセットに専用のものである、
請求項8に記載の方法。
【請求項15】
ヒューマンインタラクティブメディアのための通信リンクを確立するための装置であって、
複数のエンドポイント(EP)であって、
各EPが、あらかじめ構成された一意の内部アドレスと、一意の外部アドレスとを有し、
各EPが、呼要求を送信するように構成され、
各呼要求が、ターゲットを示し、
前記送信元EPの前記内部アドレスを含む、複数のEPと、
前記複数のEPに結合されたSIP内部ルータであって、
前記SIP内部ルータが、各EPの内部アドレスおよび外部アドレスを示すあらかじめ構成されたマップを含み、
前記SIP内部ルータが、前記呼要求を送信する前記EPの前記内部アドレスを前記EPの前記外部アドレスに置き換えるために各呼要求を修正するように構成される、SIP内部ルータと、
前記SIP内部ルータおよび前記複数のEPに結合されたネットワークアドレス変換(NAT)ルータであって、
前記NATルータが、各修正された呼要求を、前記呼要求に示された前記ターゲットに送信するように構成され、
前記NATルータが、前記ターゲットから応答を受信するようにさらに構成され、
前記応答が、前記ターゲットが前記呼要求を受け入れるかどうかを示し、
前記NATルータが、前記SIP内部ルータに前記応答を送信するようにさらに構成される、NATルータと
を備え、
前記SIP内部ルータが、前記応答に対応する前記呼要求を送信する前記EPにその応答および前記外部アドレスを送信するようにさらに構成され、
前記EPが、前記ターゲットにヒューマンインタラクティブメディアのための通信パケットを送信するようにさらに構成され、
前記通信パケットが前記外部アドレスを含み、
前記SIP内部ルータが、前記通信パケットを受信しない、装置。
【請求項16】
前記SIP内部ルータが、前記複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記NATルータが、前記複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記SIP内部ルータが複数のSIP内部ルータのうちの1つであり、各SIP内部ルータが、前記複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
複数のネットワークアドレス変換(NAT)ルータが前記SIP内部ルータに結合し、各NATルータが、前記複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項20】
複数のネットワークアドレス変換(NAT)ルータが前記SIP内部ルータに結合し、
各NATルータが、前記複数のEPのうちの各EPに対する外部アドレスとの内部アドレスの関連付けを示すあらかじめ構成されたマップを含み、
前記SIP内部ルータが、複数のSIP内部ルータのうちの1つであり、
各SIP内部ルータが、前記あらかじめ構成されたマップを含む、
請求項15に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−518513(P2013−518513A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551148(P2012−551148)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/056342
【国際公開番号】WO2011/093936
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(512134956)エライザ コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】