説明

SIP端末管理システム、SIPサーバ及びSIP端末管理方法

【課題】SIP端末へ追加実装を行わず、SIP端末の死活監視の通信量を低減する。
【解決手段】本発明に係るSIP端末管理システムは、SNMPに対応した管理ステーション10と、SIPに対応したSIP端末30と、前記SIP端末とSIP通信を行うSIPサーバ20と、を備え、前記SIPサーバ20は、前記SIP端末30との前記SIP通信に基づき前記SIP端末30の動作状況を管理する代理応答機能部23を備え、前記代理応答機能部23は、前記管理ステーション10から前記SIP端末30への応答要求に対し、前記SIP端末30の代わりに前記動作状況に基づく応答をする、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、SIP端末管理システム、SIPサーバ及びSIP端末管理方法に関し、特に、SNMP(非特許文献1、2)に対応した管理ステーションが、SIP(非特許文献3、4)に対応したSIP端末を管理可能なSIP端末管理システム、SIPサーバ及びSIP端末管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業等(国、自治体、学校等)におけるプライベートネットワークで接続されている機器の管理は、図4(a)に示すように、SNMP(Simple Network Management Protocol)を用いるものが多い。SNMPに関しては、管理ステーション及び管理対象機器(SNMP端末)についても、既存の技術及び製品が活用可能である。企業等のプライベートネットワークで多く使われるSNMPでは、管理ステーション(マネージャ)からSNMP端末(エージェント)に対して、管理情報(Management Information Base情報、以下「MIB情報」)取得のためのリクエスト(例えばSNMP Get Request)が送信される。SNMP端末は、リクエストを受信すると、管理ステーションに対して、リクエストへのレスポンスを送信する。また、SNMP端末は、管理ステーションに対して、あらかじめ指定したイベントが発生した際や、管理情報値があらかじめ設定したしきい値を超過するなどした際に、トラップ(通知)を送信する。SNMPを用いた機器管理を行う場合、SNMP端末の動作状況の監視(死活監視)には、管理ステーションからの応答要求(PING、ICMP Echo Request、非特許文献5)を併用することが多い。
【0003】
一方、通信事業者ネットワーク、特に、移動体通信事業者のネットワークに接続されるモバイル利用者端末は、スマートフォンやタブレットなど多様化している。これらのモバイル利用者端末は、音声通信に対応したSIP端末として、通信事業者ネットワーク又は企業等プライベートネットワークに設置されているSIPサーバに接続され、音声通話端末として使用されることもある。
【0004】
モバイル利用者端末(SIP端末)の管理にあたり、通信事業者のネットワークでは、例えば図4(b)に示すようにOMA(Open Mobile Alliance、非特許文献6)に準拠したデバイス管理アーキテクチャを利用する方法がある。OMAとは、モバイルデバイス標準を管理し、モバイルによるWebアプリケーションの技術標準化を目指す業界団体である。OMAに準拠したデバイス管理アーキテクチャは、情報の交換にSync MLを用いる。Sync MLとは、異なるデバイス間でのデータ同期の標準である。XMLベースのマークアップが用いられ、OMAで定義されるほとんどのプロトコルの基本として使用される。Sync MLドキュメントはメッセージと呼ばれる。Sync MLにはTCP/IP、HTTP、SSL/TLS、MD5、URI等、一般的なインターネットコンテンツタイプと符号化等のトランスポート、完全性、セキュリティ関連の標準が利用される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】"RFC1157: SNMP: Simple Network Management Protocol"、[online]、1990年5月、<URL: http://www.ietf.org/rfc/rfc1157.txt>
【非特許文献2】Wikipedia、 "Simple Network Management Protocol"、[online]、[平成23年5月23日検索]、インターネット〈URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/Simple_Network_Management_Protocol〉
【非特許文献3】"RFC3261:SIP: Session Initiation Protocol"、[online]、2002年6月、<URL: http://www.ietf.org/rfc/rfc3261.txt>
【非特許文献4】千村保文、坂口克彦 監修、"次世代SIP教科書"、株式会社インプレスR&D発行、2010年3月、ISBN978-4-8443-2828-5
【非特許文献5】Wikipedia、 "Ping"、[online]、[平成23年5月23日検索]、インターネット〈URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/Ping〉
【非特許文献6】マイケル・ブレナー、ムサ・アンメホパ著、"OMA標準テキスト"、株式会社リックテレコム発行、2010年3月、ISBN978-4-89797-827-7
【非特許文献7】北原静香、"連載:監視を自動化するSNMP(3)"、[online]、2003年4月25日、インターネット〈URL:http://www.atmarkit.co.jp/fnetwork/rensai/snmp03/01.html〉
【非特許文献8】ゴンザロ・カマリロ、ミゲール・A・マーリン著、"IMS標準テキスト(改定版)"、株式会社リックテレコム発行、2010年年3月、ISBN978-4-89797-842-0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、企業等プライベートネットワーク又は通信事業者ネットワークに接続されたSIPに対応したモバイル利用者端末(SIP端末)を含む全ての機器の管理にあたっては、SNMPとOMAの二つのデバイス管理アーキテクチャを利用する必要があり、1つのデバイス管理アーキテクチャによる統合管理が出来ないという問題があった。
【0007】
また、著しく記憶容量および処理能力の制限されたモバイル利用者端末(SIP端末)である小型機器において、OMAのデバイス管理アーキテクチャを利用する場合、HTTPをベースとしたSync MLの機能実装を行う必要があるため、当該小型機器の記憶容量および処理能力の負担が増えるという問題があった。
【0008】
さらに、モバイル利用者端末(SIP端末)に対する動作状況の監視(死活監視)は定期的に行われるものであるため、死活監視に関する通信量が増えるという問題があった。
【0009】
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、モバイル利用者端末(SIP端末)へのSync MLの実装を必要とせず、モバイル利用者端末(SIP端末)の死活監視の通信量を低減可能な、SIP端末管理システム、SIPサーバ及びSIP端末管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した諸課題を解決すべく、本発明に係るSIP端末管理システムは、SNMPに対応した管理ステーションと、SIPに対応したSIP端末と、前記SIP端末とSIP通信を行うSIPサーバと、を備え、前記SIPサーバは、前記SIP端末との前記SIP通信に基づき前記SIP端末の動作状況を管理する代理応答機能部を備え、前記代理応答機能部は、前記管理ステーションから前記SIP端末への応答要求に対し、前記SIP端末の代わりに前記動作状況に基づく応答をする、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るSIPサーバは、SIP端末とSIP通信を行うSIPサーバであって、前記SIP端末との前記SIP通信に基づき前記SIP端末の動作状況を管理する代理応答機能部を備え、前記代理応答機能部は、SNMPに対応した管理ステーションから前記SIP端末への応答要求に対し、前記SIP端末の代わりに前記動作状況に基づく応答をする、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るSIP端末管理方法は、SNMPに対応した管理ステーションと、SIPに対応したSIP端末と、前記SIP端末とSIP通信を行うSIPサーバと、を備えるSIP端末管理システムにおけるSIP端末管理方法であって、前記SIPサーバが、前記SIP端末との前記SIP通信に基づき前記SIP端末の動作状況を管理するステップと、前記管理ステーションから前記SIP端末への応答要求に対し、前記SIP端末の代わりに前記動作状況に基づく応答をするステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るSIP端末管理システム、SIPサーバ及びSIP端末管理方法によれば、モバイル利用者端末(SIP端末)へのSync MLの実装を必要とせず、モバイル利用者端末(SIP端末)の死活監視の通信量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るSIP端末管理システムの構成を示す図である。
【図2】SIP端末管理システムの機能ブロックを示す図である。
【図3】SIP端末管理システムの処理シーケンスを示す図である。
【図4】従来の端末管理システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以降、諸図面を参照しながら、本発明の実施態様を詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るSIP端末管理システムの構成を示す図である。SIP端末管理システムは、SNMPに対応した管理ステーション10と、SIPサーバ20と、SIP端末(管理対象機器)30と、SNMP端末40とを備え、通信事業者ネットワークに属するSIP端末(管理対象機器)30と、企業等プライベートネットワークに属するSNMP端末40との管理を統一的に行うものである。ここで、管理ステーション10とSNMP端末40との間の機器管理に関する通信は、既存のSNMPを用いるものとし、本実施形態において詳述は行わない。これ以降、管理ステーション10、SIPサーバ20、及びSIP端末(管理対象機器)30の処理について詳述する。
【0017】
図2は、図1に示すSIP端末管理システムの機能ブロックを示す図である。SIPサーバ20は、プロキシー・サーバ21及び登録サーバ22に加え、代理応答機能部23を備える。SIP端末(管理対象機器)30は、ユーザー・エージェント31に加え、管理対象機能部32を備える。
【0018】
管理ステーション10は、既存のSNMPに対応した機器管理を行うものである。管理ステーション10は、SIPサーバ20の代理応答機能部23へ、SIP端末(管理対象機器)30の動作状況を問い合わせる応答要求(ICMP Echo Request)や、SIP端末(管理対象機器)30の管理情報(MIB情報)を問い合わせるリクエスト(SNMP Get Request)を送信する。また、管理ステーション10は、代理応答機能部23から、応答要求に対する応答返答(ICMP Echo Reply)及び不達通知(ICMP Destination Unreachable)、リクエストに対するレスポンス(MIB情報)、及びトラップによる通知を受信する。
【0019】
SIP端末(管理対象機器)30は、例えばSIPに対応したスマートフォンやタブレット端末であり、SIPメッセージを用いて、SIPサーバ20に対して自端末の登録情報や自端末の管理情報を送信するものである。
【0020】
ユーザー・エージェント31は、SIP端末(管理対象機器)30が起動した場合や、SIPのユーザー・エージェント・タイマ(図示せず)が0になる前に、プロキシー・サーバ21に登録(Register)メッセージを送信する。この登録メッセージには、送信元となるSIP端末(管理対象機器)30のSIP URIが含まれる。また、ユーザー・エージェント31は、プロキシー・サーバ21から登録完了メッセージを受信した場合、ユーザー・エージェント・タイマに有効期限(Expires)を設定する。ユーザー・エージェント31は、ユーザー・エージェント・タイマを1秒毎に1減算する。
【0021】
管理対象機能部32は、代理応答機能部23に対して、SIP端末(管理対象機器)30の管理情報を含むレスポンスを送信し、また、トラップを通知する機能部である。管理対象機能部32は、代理応答機能部23からリクエスト(代理応答機能部23によりSNMPメッセージからSIPメッセージに変換されたもの)を受信すると、当該リクエストに対する管理情報(SNMPにおけるMIB情報に相当する情報)をレスポンスとして代理応答機能部23に送信する。また、管理対象機能部32は、あらかじめ指定したイベントの発生や、管理情報値があらかじめ設定したしきい値を超過するなどの際に、トラップ(通知)を代理応答機能部23に送信する。なお、これらの「イベント」や「しきい値」については、管理者が管理ステーション10を介して指定して管理対象機能部32で保持するものであり、SNMPの標準的な機能に準じたものであるため、本発明での詳述は行わない。
【0022】
SIPサーバ20は、SIP端末(管理対象機器)30とSIP通信を行い、SIP端末(管理対象機器)30の動作状況(死活状況)を管理するとともに、管理ステーション10からSIP端末(管理対象機器)30への応答要求及びリクエストに対して、SIP端末(管理対象機器)30の代理で応答し、又は、SIP端末(管理対象機器)30にSIPメッセージに変換したリクエストを送信するものである。
【0023】
プロキシー・サーバ21は、ユーザー・エージェント31から登録メッセージを受信した場合、登録サーバ22に登録メッセージを送信する。プロキシー・サーバ21は、登録サーバ22から登録完了メッセージを受信した場合、ユーザー・エージェント31に登録完了メッセージを送信する。プロキシー・サーバ21は、SIPメッセージを媒介する時に、セッション有効期限(Session Expires)が含まれている場合には、表1に示すセッション・タイマ管理表を参照し、対応するSIP URIのセッション・タイマに、当該セッション有効期限を設定する。なお、セッション有効期限は、例えばユーザー・エージェント31からの登録メッセージなどに含まれるものである。プロキシー・サーバ21は、セッション・タイマを1秒毎に1減算する。プロキシー・サーバ21は、セッション・タイマが0以下になった場合、キープアライブエラーが発生したものとして、代理応答機能部23に対し、SIP URI及び「SIP端末(管理対象機器)通信異常」を送信し、当該SIP URIに対するセッション・タイマの減算を終了する。
【0024】
【表1】

【0025】
登録サーバ22は、プロキシー・サーバ21から登録メッセージを受信した場合、SIP端末(管理対象機器)30の認証を行う。なお、認証については、SIPで通常行われる処理を用いることとし、その認証方式の詳細については詳述しない。認証に成功した場合、登録サーバ22は、代理応答機能部23にSIP端末(管理対象機器)30のSIP URI及び「SIP端末(管理対象機器)正常」を送信し、登録完了メッセージをプロキシー・サーバ21に送信する。また、登録サーバ22は、表2に示すタイマ管理表を参照し、対応するSIP URIのタイマをあらかじめ定められた初期値(例えば3,600秒)で初期化する。また、登録サーバ22は、当該タイマを1秒毎に1減算する。登録サーバ22は、タイマが0以下になった場合は、タイムアウトが発生したものとして、代理応答機能部23に対し、SIP URI及び「SIP端末(管理対象機器)通信異常」を送信し、当該SIP URIに対するタイマの減算を終了する。
【0026】
【表2】

【0027】
代理応答機能部23は、SIP端末(管理対象機器)30とのSIP通信に基づきSIP端末(管理対象機器)30の動作状況を管理し、管理ステーション10に対し、SIP端末(管理対象機器)30の代わりに、動作状況に基づく応答をする機能部である。代理応答機能部23は、登録サーバ22から、SIP URI及び「SIP端末(管理対象機器)正常」を受信した場合には、表3に示す管理表を参照し、対応するSIP URIの状態を「正常」とする。また、代理応答機能部23は、プロキシー・サーバ21または登録サーバ22から、SIP URI及び「SIP端末(管理対象機器)通信異常」を受信した場合には、対応するSIP URIの状態を「異常」とする。代理応答機能部23は、管理ステーション10から応答要求(ICMP Echo Request)を受信した場合、表3に示す管理表を参照し、当該応答要求の対象IPアドレスに該当する状態が正常の場合は、応答返答(ICMP Echo Reply)を送信し、異常の場合は、不達通知(ICMP Destination Unreachable)を送信する。なお、代理応答機能部23は、送信の際、対象IPアドレスを送信元アドレスとして管理ステーション10への応答を行う。
【0028】
【表3】

【0029】
代理応答機能部23は、管理ステーション10からリクエストを受信する。代理応答機能部23は、リクエストのうち値が常に変化するもの(MIB情報のうち「○○数」など常に変化しているもの。例えば非特許文献7参照。)は、当該リクエストの対象IPアドレスに基づき、表3に示す管理表を参照し、IPアドレスに対応するSIP URIに対して、SIPメッセージに変換したリクエストを送信する。代理応答機能部23は、リクエストのうち値の変化がしないもの(MIB情報のうち「物理アドレス」、「メディアタイプ」など値が変化しないもの)については、当該リクエストへのレスポンスを保管している場合は、当該リクエストの対象IPアドレス毎に管理されている管理情報(MIB情報)に基づき、レスポンスを管理ステーション10に対して送信する。なお、この際、代理応答機能部23は、対象IPアドレスを送信元アドレスとして管理ステーション10への応答を行う。代理応答機能部23は、当該リクエストへのレスポンスが保管されていない場合は、当該リクエストの対象IPアドレスに基づき、表3に示す管理表を参照し、IPアドレスに対応するSIP URIに対してSIPメッセージに変換したリクエストを送信する。
【0030】
代理応答機能部23は、SIP端末(管理対象機器)30からレスポンスまたはトラップを受信する。当該レスポンスが変化しないものであれば、代理応答機能部23は、当該レスポンスを保管する。代理応答機能部23は、当該レスポンスまたはトラップのSIP URIに基づき、表3に示す管理表を参照し、SIP URIに対応するIPアドレスを送信元として、レスポンスまたはトラップをSNMPメッセージに変換して管理ステーション10に送信する。なお、代理応答機能部23は、複数の異なる対象IPアドレスの応答要求およびレスポンスを受信し処理できるものとする。
【0031】
図3は、本発明に係るSIP端末管理システムの処理シーケンスを示す図である。なお、本発明に係る処理を明りょうにするため、図3に示す処理シーケンスにおいて、通常のSIPにおいて必要となる処理のうち、登録(Register)する際のチャレンジレスポンス処理、通知(Notify)を受けるための事前の通知要求(Subscribe)の送信処理、登録未完了時のユーザー・エージェント31による再登録処理などのエラー処理などは記載を省略している。
【0032】
ユーザー・エージェント31は、SIP端末(管理対象機器)30が起動した場合、プロキシー・サーバ21に登録メッセージを送信する(ステップS101)。プロキシー・サーバ21は、ユーザー・エージェント31から登録メッセージを受信した場合、登録サーバ22に登録メッセージを送信する(ステップS102)。登録サーバ22は、プロキシー・サーバ21から登録メッセージを受信した場合、SIP端末(管理対象機器)30の認証を行う(ステップS103)。認証に成功した場合、登録サーバ22は、代理応答機能部23にSIP端末(管理対象機器)30のSIP URI及び「SIP端末(管理対象機器)正常」を送信し(ステップS104)、登録完了メッセージをプロキシー・サーバ21に送信する(ステップS105)。プロキシー・サーバ21は、登録サーバ22から登録完了メッセージを受信した場合、ユーザー・エージェント31に登録完了メッセージを送信する(ステップS106)。
【0033】
(死活監視:動作正常時)
管理ステーション10は、SIPサーバ20の代理応答機能部23へ、SIP端末(管理対象機器)30の動作状況を問い合わせる応答要求を送信する(ステップS107)。代理応答機能部23は、表3に示す管理表を参照し、当該応答要求の対象IPアドレスに該当する状態が正常の場合は、応答返答(ICMP Echo Reply)を送信する(ステップS108)。
【0034】
(管理情報取得:レスポンスが変化しない場合)
管理ステーション10は、SIPサーバ20の代理応答機能部23へ、SIP端末(管理対象機器)30の管理情報(MIB情報)を問い合わせるリクエストを送信する(ステップS109)。代理応答機能部23は、リクエストに対するレスポンスが変化しないものについては、当該レスポンスが保管されている場合、保管されているレスポンスを管理ステーション10に対して送信する(ステップS110)。
【0035】
(管理情報取得:レスポンスが変化する場合)
管理ステーション10は、SIPサーバ20の代理応答機能部23へ、SIP端末(管理対象機器)30の管理情報(MIB情報)を問い合わせるリクエストを送信し、代理応答機能部23は、レスポンスが変化するものは、当該リクエストをSIPメッセージに変換して対応するSIP URIの管理対象機能部32に送信する(ステップS111)。管理対象機能部32は、受信したリクエストに対する管理情報(MIB情報)をレスポンスとして代理応答機能部23に送信し、代理応答機能部23は、受信したレスポンスをSNMPメッセージに変換して管理ステーション10に送信する(ステップS112)。
【0036】
(トラップ通知)
また、管理対象機能部32は、あらかじめ指定したイベントの発生や、管理情報値があらかじめ設定したしきい値を超過するなどの際に、トラップ(通知)を代理応答機能部23に送信し、代理応答機能部23は、受信したトラップをSNMPメッセージに変換して管理ステーション10に送信する(ステップS113)。
【0037】
(死活監視:動作異常時)
登録サーバ22は、タイマが0以下になった場合は、タイムアウトが発生したものとして、代理応答機能部23に対し、SIP URI及び「SIP端末(管理対象機器)通信異常」を送信する(ステップS114)。また、プロキシー・サーバ21は、セッション・タイマが0以下になった場合、キープアライブエラーが発生したものとして、代理応答機能部23に対し、SIP URI及び「SIP端末(管理対象機器)通信異常」を送信する(ステップS115)。管理ステーション10は、SIPサーバ20の代理応答機能部23へ、SIP端末(管理対象機器)30の動作状況を問い合わせる応答要求を送信する(ステップS116)。代理応答機能部23は、表3に示す管理表を参照し、当該応答要求の対象IPアドレスに該当する状態が異常の場合は、不達通知(ICMP Destination Unreachable)を送信する(ステップS117)。
【0038】
このように、本実施形態によれば、代理応答機能部23は、SIP端末(管理対象機器)30とのSIP通信に基づきSIP端末(管理対象機器)30の動作状況を管理し、管理ステーション10からSIP端末(管理対象機器)30への応答要求に対し、SIP端末(管理対象機器)30の代わりに動作状況に基づく応答をする。これにより、SIP端末(管理対象機器)30へのSync MLの実装を必要とせず、SIP端末(管理対象機器)30の死活監視の通信量を低減することができる。特に、移動体通信において、SIPによる通信の状態に基づき、代理応答機能部23が管理ステーション10からの応答要求に返答することにより、SIP端末(管理対象機器)30において管理のための通信が発生しないため、無線通信に関する電力消費を抑えることができる。
【0039】
また、代理応答機能部23は、管理ステーション10からSIP端末(管理対象機器)30に対する管理情報のリクエストを受信すると、リクエストをSIPメッセージに変換してSIP端末(管理対象機器)30に送信し、SIP端末(管理対象機器)30の管理対象機能部32は、SIPメッセージに変換されたリクエストに対する管理情報をレスポンスとして代理応答機能部23に送信し、代理応答機能部23は、レスポンスをSNMPメッセージに変換して管理ステーション10に送信する。これにより、企業等プライベートネットワークに接続されたSNMP端末と、通信事業者ネットワークに接続されたスマートフォンやタブレットなどのSIP端末とを、SNMPに対応した管理ステーションで一括して統合して管理することができる。特に、ディスプレイを持たない単体電話機やインターフォンなど、コストの要因から著しく記憶容量および処理能力の制限されたSIP端末でも、容易に機器管理を行うことができる。
【0040】
また、代理応答機能部23は、管理ステーション10からリクエストを受信した際、リクエストに対するレスポンスを保管しており、当該レスポンスが変化しないものである場合、保管しているレスポンスを管理ステーション10に送信する。これにより、機器管理に伴う新たな通信の発生を極力抑えることができるようになる。
【0041】
(第2の実施形態)
第2の実施形態におけるSIP端末管理システムは、第1の実施形態に加え、プレゼンス・エージェント(図示せず)を備えたものである。第1の実施形態では、SIP端末(管理対象機器)30の死活監視は、ユーザー・エージェント31からの登録メッセージや、プロキシー・サーバ21のセッション・タイマ及び登録サーバ22のタイマを利用するものであった。第2の実施形態によれば、SIP端末(管理対象機器)30の動作状況の把握をプレゼンス・エージェントにより行うことができ、これにより正確にSIP端末(管理対象機器)30の動作状況を監視することが可能となる。なお、第2の実施形態における各機能部の基本的な動作は第1の実施形態における動作と同等であるため記載を省略する。これ以降、プレゼンス・エージェントに関する各機能部の動作を詳述する。
【0042】
プレゼンス・エージェントは、既存の技術(例えば、非特許文献8)を用いてSIP端末(管理対象機器)30の状態(正常/異常)といったプレゼンスを管理するものであり、例えば、通信事業者ネットワーク上にプレゼンスサーバとして配置されるものである。
【0043】
SIP端末(管理対象機器)30のユーザー・エージェント31は、SIP端末(管理対象機器)30の起動時や、利用者からの操作があった場合に、プレゼンス・エージェントに対して「プレゼンス情報(稼働中)」を発行(PUBLISH)する。また、ユーザー・エージェント31は、SIP端末(管理対象機器)30の終了時や、利用者からの停止操作があった場合に、プレゼンス・エージェントに対して「プレゼンス情報(停止中)」を発行(PUBLISH)する。なお、この場合、プレゼンス・エージェントには、有効期限を0秒としたプレゼンス情報が発行される。
【0044】
代理応答機能部23は、SIP端末(管理対象機器)30が増えた場合、プレゼンス・エージェントに対して、当該SIP端末(管理対象機器)30に関する通知要求(SUBSCRIBE)を送信する。代理応答機能部23は、SIP端末(管理対象機器)30が増えた場合、プレゼンス・エージェントに対して、当該SIP端末(管理対象機器)30に関する通知要求の終了を送信する。
【0045】
プレゼンス・エージェントは、代理応答機能部23からSIP端末(管理対象機器)30に関する通知要求(SUBSCRIBE)を受信すると、当該SIP端末(管理対象機器)30に関するプレゼンス情報を通知(NOTIFY)する。
【0046】
代理応答機能部23は、プレゼンス・エージェントより通知(NOTIFY)を受診する。代理応答機能部23は、通知(NOTIFY)として「プレゼンス情報(稼働中)」を受信した場合には、表3に示す管理表を参照し、対応するSIP URIの状態を「正常」とする。また、代理応答機能部23は、通知(NOTIFY)として「プレゼンス情報(停止中)」を受信した場合には、対応するSIP URIの状態を「異常」とする。
【0047】
このように、プレゼンス・エージェントを用いることにより、より正確にSIP端末(管理対象機器)30の動作(死活)状況を監視することが可能となる。
【0048】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 管理ステーション
20 SIPサーバ
21 プロキシー・サーバ
22 登録サーバ
23 代理応答機能部
30 SIP端末(管理対象機器)
31 ユーザー・エージェント
32 管理対象機能部
40 SNMP端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SNMPに対応した管理ステーションと、
SIPに対応したSIP端末と、
前記SIP端末とSIP通信を行うSIPサーバと、を備え、
前記SIPサーバは、前記SIP端末との前記SIP通信に基づき前記SIP端末の動作状況を管理する代理応答機能部を備え、
前記代理応答機能部は、前記管理ステーションから前記SIP端末への応答要求に対し、前記SIP端末の代わりに前記動作状況に基づく応答をする、ことを特徴とするSIP端末管理システム。
【請求項2】
前記代理応答機能部は、前記管理ステーションから前記SIP端末に対する管理情報のリクエストを受信すると、前記リクエストをSIPメッセージに変換して前記SIP端末に送信し、
前記SIP端末は、前記SIPメッセージに変換された前記リクエストに対する管理情報をレスポンスとして前記代理応答機能部に送信する管理対象機能部を備え、
前記代理応答機能部は、前記レスポンスをSNMPメッセージに変換して前記管理ステーションに送信する、ことを特徴とする請求項1に記載のSIP端末管理システム。
【請求項3】
前記代理応答機能部は、前記管理ステーションから前記リクエストを受信した際、前記リクエストに対するレスポンスを保管しており、当該レスポンスが変化しないものである場合、当該レスポンスを前記管理ステーションに送信する、ことを特徴とする請求項2に記載のSIP端末管理システム。
【請求項4】
SIP端末とSIP通信を行うSIPサーバであって、
前記SIP端末との前記SIP通信に基づき前記SIP端末の動作状況を管理する代理応答機能部を備え、
前記代理応答機能部は、SNMPに対応した管理ステーションから前記SIP端末への応答要求に対し、前記SIP端末の代わりに前記動作状況に基づく応答をする、ことを特徴とするSIPサーバ。
【請求項5】
前記代理応答機能部は、前記管理ステーションから前記SIP端末に対する管理情報のリクエストを受信すると、前記リクエストをSIPメッセージに変換して前記SIP端末に送信し、
前記代理応答機能部は、前記SIP端末から受信した前記リクエストに対するレスポンスをSNMPメッセージに変換して前記管理ステーションに送信する、ことを特徴とする請求項4に記載のSIPサーバ。
【請求項6】
前記代理応答機能部は、前記管理ステーションから前記リクエストを受信した際、前記リクエストに対するレスポンスを保管しており、当該レスポンスが変化しないものである場合、当該レスポンスを前記管理ステーションに送信する、ことを特徴とする請求項5に記載のSIPサーバ。
【請求項7】
SNMPに対応した管理ステーションと、
SIPに対応したSIP端末と、
前記SIP端末とSIP通信を行うSIPサーバと、を備えるSIP端末管理システムにおけるSIP端末管理方法であって、
前記SIPサーバが、
前記SIP端末との前記SIP通信に基づき前記SIP端末の動作状況を管理するステップと、
前記管理ステーションから前記SIP端末への応答要求に対し、前記SIP端末の代わりに前記動作状況に基づく応答をするステップと、を含むことを特徴とするSIP端末管理方法。
【請求項8】
前記SIPサーバが、前記管理ステーションから前記SIP端末に対する管理情報のリクエストを受信すると、前記リクエストをSIPメッセージに変換して前記SIP端末に送信するステップと、
前記SIP端末が、前記SIPメッセージに変換された前記リクエストに対する管理情報をレスポンスとして前記代理応答機能部に送信するステップと、
前記SIPサーバが、前記レスポンスをSNMPメッセージに変換して前記管理ステーションに送信するステップと、を含むことを特徴とする請求項7に記載のSIP端末管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−17036(P2013−17036A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148381(P2011−148381)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】