説明

SIVA3、その製造および使用

本発明は、SIVAのスプライス変異体、SIVA3、およびその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SIVAのスプライス変異体、SIVA3およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
TNF/NGFレセプターファミリーのメンバーは、ほとんど全ての種類の細胞において発現され、広範囲に渡る多様な細胞活性をモジュレートしている。それらは、タンパク質合成とは独立した細胞の変化、最もよく知られているものとしてはカスパーゼ介在性細胞死(外因性細胞死経路)を誘導する能力、ならびに転写および転写後レベルの両方において遺伝子発現パターンをモジュレートする能力の両方を有する。これらの効果は、免疫防御のほとんどすべての態様や胚発生および組織恒常作用の制御に貢献する。それらは、細胞の種類および活性化レセプターの正体ならびに多数の他の決定因子に依存し、いくつかの作用は他のものと対立さえし得る。この広範囲に及ぶ活性は、むしろ少ない数のシグナル伝達タンパク質により媒介される。そのうち最も特徴付けられているのが、2つのデスドメイン含有アダプター、FADD/MORT1およびTRADD、インデューサーカスパーゼ、カスパーゼ−8およびカスパーゼ−10、TRAFリング−フィンガータンパク質のメンバー、ならびにアポトーシスタンパク質1の細胞阻害剤(cIAP1)およびcIAP2(IAPモチーフを有するリング−フィンガータンパク質)である。(Wallachら、Annu Rev Immunol. 1999; 17:331-67. Review)(Locksleyら、Cell. 2001 Feb 23;104(4):487-501)。この限られたタンパク質がレセプターの多方面にわたる様々な作用をどのように媒介するのか、また誘導された作用の性質をどのように必要に応じたものに調整するのかは、まだほとんど理解されていない。
【0003】
TNF/NGFレセプターファミリーのメンバーの近位シグナル伝達活性に関与することが示唆されている付加的なタンパク質であるSIVAは、イーストツーハイブリッド試験におけるCD27レセプターへのその結合に基づいて同定された(Prasadら、1997)。TNF/NGFレセプターファミリーのいくつかの他のメンバーとのSIVAの関連性については、いくつかの証拠も示された(NocentiniおよびRiccardi、2005)。SIVAの存在は、数年間にわたり知られており、長期間過剰発現した場合このタンパク質が細胞を殺すことが示された(Prasadら、1997)。しかしながら、これがSIVAの真の唯一の活性かどうかは知られていない。SIVAは、他の既知のタンパク質のいずれとも、近接した構造的類似性は有していない。初めにデスドメインと類似していると思われたSIVA内のある領域は、そのドメインとして特徴付けられるような構造的特徴は有していない。その領域のC末端では、タンパク質はシステイン残基が比較的豊富であり、これは明らかにいくつかの亜鉛イオンの結合に寄与している(Nestlerら、2006)。しかしながら、この領域のアミノ酸配列は、既知の亜鉛結合モチーフのいずれとも厳密には適合しない。このタンパク質の中心の短いα−へリックス領域は、抗アポトーシスタンパク質BCL−XLに結合するが(Xueら、2002)、そのシステインリッチ領域(CRR)により保存される機能は知られていない。
【0004】
SIVAは、2つの択一的スプライスアイソフォームまたはスプライス変異体、SIVA1およびSIVA2として存在することが知られている。SIVA1はより長く、その中心部分に推定両親媒性へリックスを有するデスドメインホモロジー領域(DDHR)を含む。SIVA2はより短く、DDHRを欠く。両アイソフォーム共にB−ボックス様リング−フィンガーとC−末端にジンクフィンガー様ドメインを含む。SIVA1およびSIVA2の両方の強制発現は、アポトーシスを誘導することが示されている(Prasadら、1997、Yoonら、1998、Spinicelliら、2003、Pyら、2004)。SIVA1誘導アポトーシスは、その両親媒性へリックス領域を介する抗アポトーシスBcl−2ファミリーメンバーへの結合と阻害によりなされると示唆されている(Chuら、2005;Chuら、2004;Xueら、2002)。そのアポトーシス促進的役割と一致して、SIVAは、腫瘍サプレッサーp53およびE2F1の直接的な転写ターゲットである(Fortinら、2004)。証拠における様々な点から、SIVAがストレス誘導タンパク質であり、急性虚血性傷害において(Padanilamら、1998)、コクサキーウイルス感染において(Henkeら、2000)、およびシスプラチン治療によって(Qinら、2002)、ならびにアポトーシスを誘導するTIP30の発現によって(Xiaoら、2000)もアップレギュレートされるということが示唆される。近年、SIVA1およびSIVA2のデスドメインではない共通N−およびC−末端が、カスパーゼ依存性ミトコンドリア経路の活性化によりリンパ系細胞におけるアポトーシスを媒介するのに十分可能であることが示された(Pyら、2004)。
【0005】
最近、SIVAがNF−κB誘導キナーゼ(NIK)に結合し、その機能を制御し(Ramakrishnanら、2004)、ユビキチン化関連活性を有し、自己ユビキチン化、TRAF2(TNFレセプター関連アダプタータンパク質2)のユビキチン化を直接誘導することができること、およびSIVA2がE3リガーゼである(国際公開第2007/7080593号パンフレット)ということが見出された。
【0006】
ユビキチン化は、タンパク質がユビキチンという名の小さいタンパク質(本来は、ユビキタスイムノポイエティックポリペプチド(UBIP))の共有結合により翻訳後修飾される真核生物に特有のプロセスを意味する。ユビキチンリガーゼは、ユビキチンを標的タンパク質のリジン残基に共有結合させるタンパク質である。ユビキチンリガーゼは、通常、ポリユビキチン化、すなわち二番目のユビキチンが一番目のユビキチンに結合し;三番目のユビキチンが二番目のユビキチンに結合するなどのポリユビキチン化に関与している。ユビキチンリガーゼは、「E3」と呼ばれ、ユビキチン活性化酵素(本明細書では「E1」という)およびユビキチン複合酵素(本明細書では「E2」という)と共に機能する。1つの主要なE1酵素は、すべてのユビキチンリガーゼによって共有され、ATPを用いて結合のためにユビキチンを活性化し、E2酵素にユビキチンを引き渡す。E2酵素は、特異的E3パートナーと相互作用し、ユビキチンを標的タンパク質に移す。多重タンパク質複合体でもあり得るE3は、ユビキチン化を特定の基質タンパク質へ標的化しなければならない。E3は、E2酵素からユビキチンを受け取り、標的タンパク質または基質タンパク質にそれを渡す場合もあれば、他のケースでは、E3はE2酵素と基質との両方と相互作用することにより作用する場合もある。
【0007】
NIK(MAP3K14)は、TRAF2に結合するタンパク質のスクリーニングにおいて発見された(Malininら、1997)。NIKの過剰発現の際のNF−κBの著しい活性化と、触媒的に不活性なNIK突然変異体の発現の際の多様な誘導薬剤に応答するNF−κB活性化の効果的な阻害は、NIKがNF−κB活性化のシグナル伝達に関与していることを示唆した(Malininら、1997)。
【0008】
リンパ器官におけるNF−κB種のパターン評価から、Relタンパク質およびIκBを含むNF−κB複合体の制御におけるその役割とは別に、NIKは、他のNF−κB種の発現/活性化の制御にも関与しているということが示唆された。実際、NIKは、p100の部位特異的リン酸化に関与していることが示されており、p100のユビキチン化およびp52を形成するための活性なプロセッシングを誘発する分子としての機能を果たす。このp100プロセッシング活性は、NIKのaly変異により除去されることが見出された(Xiaoら、2001b)。
【0009】
胸腺ストローマにおいてNIKは、免疫寛容を維持するのに必須なTreg細胞の正常な産生にとって重要である。NIKの突然変異は、alyマウスにおける、胸腺構造の破壊、Treg細胞の産生障害をもたらす(Kajiuraら、2004)。一貫して、NIK−欠損マウスの研究は、Treg細胞の成長および拡大の制御におけるNIKの役割も示唆している(Luら、2005)。この知見は、ストローマ依存的な自己寛容確立におけるNIKの必須の役割を示唆している。NIKは、ウイルス感染の結果としてNF−κB活性化にも参加する。呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス)感染は、NIKのキナーゼ活性の増加、胞(alveolus)様a549細胞における活性化NIK、IKK1、p100および処理p52を含む複合体の形成をもたらす。この場合、NIK自体はp52に結合した核に移行し、驚くべきことに、この事象は正準NF−κB経路活性化の活性化に先行する(Choudharyら、2005)。この知見は、NIKが実際にNF−κBのメディエータとしての機能を果たすが、他の機能も果たし得るということ、ならびにNIKが細胞およびレセプター特異的にこれらの機能を発揮するということを示している。
【0010】
NIKは、NIK分子内の「活性化ループ」のリン酸化の結果として活性化される。実際、このループ内のリン酸化部位(Thr−559)の変異により、NIK過剰発現時のNF−κBの活性は妨げられる(Linら、1999)。加えて、NIKの活性は、そのキナーゼモチーフの上流および下流領域が互いに結合する能力を通して制御されているようである。NIKのキナーゼモチーフの下流のC−末端領域は、直接IKK1(Regnierら、1997)ならびにp100(Xiaoら、2001b)に結合できることが示されており、これらの相互作用は、NF−κBシグナル伝達におけるNIK機能に必要とされるようである。NIKのN末端領域は、塩基性のモチーフ(BR)およびプロリンリッチ繰り返しモチーフ(PRR)から成る、負の調節ドメイン(NRD)を含む(XiaoおよびSun、2000)。N−末端NRDは、NIKのC−末端領域とシスで相互作用し、それによりNIKのその基質(IKK1およびp100)への結合を阻害する。異所的に発現したNIKは、自発的にオリゴマーを形成し、このオリゴマーにおいては、各NIK分子におけるN−末端領域のC−末端領域へのこれらの結合が崩壊するようであり、高レベルの構造的活性化が示される(Linら、1999)。NIKのC−末端領域のTRAF2(ならびに他のTRAF類)への結合が、最も活性化プロセスに関与するようである。しかしながら、その関与の正確な様式は知られていない。
【0011】
近年、NIK調節の新規な機序が大きな注目を集めている。これは、NIKのプロテアソーム介在性分解を導く、NIKとTRAF3との動的相互作用に関する。興味深いことに、CD40およびBLySのようなNF−κBの代替的経路の誘導因子は、TRAF3の分解とNIK発現の同時増強を誘導することが示されている(Liaoら、2004)。
【0012】
NIK作用における下流の機序はかなり限定された情報しかない。NIKは、そのC−末端領域のIKK1への結合を通して、IκBキナーゼ(IKK)複合体を活性化できるということを示す証拠が提示されている。実際、IKK1の活性化ループにおいけるセリン−176をリン酸化し、それにより活性化できることが示されている(Lingら、1998)。
【0013】
NIKは、正準NF−κB経路には全く関与せず、むしろ代替的経路を活性化するためにもっぱら機能するということが示唆された(総説としてPomerantzおよびBaltimore参照)。しかしながら、リンパ球におけるTNFによるIκB分解の誘導はNIKと無関係であるが、いずれもNF−κB2/p100プロセッシングも誘導する、CD70、CD40リガンドおよびBlyS/BAFFによるIκB分解の誘導は、NIK機能に依存するということが最近示された(Ramakrishnanら、2004)。CD70およびTNFの両方は、IKKキナーゼ複合体のそのレセプターへの動員を誘導する。CD70の場合、TNFとは異なり、このプロセスはNIK動員と関連しており、その後にまさにIKK1とNIKとの長期に渡るレセプター会合が続く。IKK複合体のCD70への動員は、NIKの動員とは異なり、NIKキナーゼ機能に依存する。この知見から、NIKは、標準および非標準NF−κB二量体の両方を活性化する特異的誘導因子により開始される独自の近位シグナル伝達事象に関与することが示される。
【0014】
YamamotoおよびGaynorは、ヒト疾患の原因におけるNF−κBの役割を概説している(YamamotoおよびGaynor、2001)。NF−κB経路の活性化は、喘息、リウマチ性関節炎(TakおよびFirestein、this perspectiveseries ref. Karinら、2000参照)および炎症性大腸炎などの慢性炎症性疾患の原因に関係している。加えて、NF−κB調節の改変は、アテローム性動脈硬化症(CollinsおよびCybulsky、this series, ref. Leonardら、1995参照)、アルツハイマー病(Mattson Camandola、this series, ref. Linら、1999参照)などの炎症性応答が少なくとも部分的に関与している他の疾患に関係し得る。また、NF−κB経路の異常は、しばしば多様なヒト癌にも見られる。
【0015】
いくつかの系統の証拠が、サイトカイン遺伝子のNF−κB活性が、肺における炎症の浸潤と多くのサイトカインおよびケモカインの脱制御に特徴付けられる喘息の病因への重要な一因であるということを示唆している(Lingら、1998)。同様に、NF−κB経路の活性化も、リウマチ性関節炎の病因において役割を果たしているようである。TNF−などのサイトカインは、NF−κBを活性化し、リウマチ性関節炎の患者の滑液中で増加し、慢性炎症性変化およびこれらの患者の間接に見られる滑膜の過形成の一因となる(Malininら、1997)。TNF−に対する抗体や、TNF−に結合する切断型TNF−レセプターの投与は、リウマチ性関節炎の患者の症状を顕著に改善できる。
【0016】
リンパ球およびマクロファージの両方による炎症性サイトカインの産生の増加も、クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性大腸炎の病因に関係があるとされている(Matsumotoら、1999)。NF−κB活性化は、活性クローン病の患者および潰瘍性大腸炎の患者由来の粘膜生検標本に見られる。炎症性大腸炎の患者のステロイドによる治療は、生検標本におけるNF−κB活性を減少させ、臨床症状を軽減する。これらの結果から、NF−κB経路の刺激は、これらの疾患に関連して増強される炎症性応答に関与し得るということを示唆する。
【0017】
アテローム性動脈硬化症は、損傷した血管壁の内皮および平滑筋に対するおびただしい数の傷害(insults)によって誘発される(Matsushimaら、2001)。内皮細胞、平滑筋、マクロファージおよびリンパ球から放出される多数の成長因子、サイトカインおよびケモカインは、この慢性の炎症性線維増殖性プロセスに関与している(Matsushitaら、2001)。炎症性応答および細胞増殖の制御に関与する遺伝子のNF−κB調節は、アテローム性動脈硬化症の開始および進行において重要な役割を果たすようである。
【0018】
また、NF−κB経路の調節異常は、アルツハイマー病の病因にも関与し得る。たとえば、NF−κBの免疫反応性は、大部分はアルツハイマー病の初期の老人斑型中または周囲に見られ、一方、成熟斑型は非常に減少したNF−κB活性を示す(Mercurioら、1999)。したがって、NF−κB活性化は、アルツハイマー病の初期段階のあいだの老人斑および神経細胞アポトーシスの開始に関与し得る。これらのデータから、NF−κB経路の活性化は、病因に関係した炎症性要素を有する多数の疾患においてある役割を果たし得る。
【0019】
宿主免疫および免疫応答の増加により特徴付けられる疾患の病因における役割に加え、NF−κB経路の構造的活性化は、いくつかのヒト癌の病因にも関係する。NF−κB経路の調節異常は、白血病、リンパ腫、および固形腫瘍などの多種多様なヒト悪性腫瘍に頻繁に見られる(Miyawakiら、1994)。これらの異常は、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、および結腸癌などの多様な腫瘍の核における構造的に高いレベルのNF−κBをもたらす。これらの変画の大部分は、NF−κB経路の活性化を誘導するシグナル伝達経路を活性化する調節タンパク質における変化によるもののようである。しかしながら、NF−κBファミリーメンバーをコードする遺伝子の増幅および再配列に加え、IBタンパク質を不活性化する突然変異は、いくつかの腫瘍で見られるNF−κBの核レベルを増強させることができる。
【0020】
免疫系の発達および機能の調節への寄与とは別に、NIKは、乳腺発達などの様々な非免疫機能の調節にも関与していると思われる(Miyawakiら、1994)。NIKは、リンパ系器官の発達にもある役割を有する(Shinkuraら、1999)。インビトロ研究は、骨格筋細胞分化を導くシグナル伝達(Canicioら、2001)、およびニューロンの生存および分化(Foehrら、2000)にNIKが関係しているとみなされた。
【0021】
悪性腫瘍疾患や、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、免疫性疾患および移植関連疾患などの病的免疫応答と関連付けられる疾患などの、NIKおよび/またはNF−κB分子の調節を欠いた活性と関連付けられる多数の命に関わる病気および/または消耗性疾患のための満足のいく治療が必要とされている。
【発明の概要】
【0022】
1つの側面において、本発明は、(a)配列番号1(図3)記載のアミノ酸配列を含むSIVA3;またはそのムテイン;アイソフォーム;融合タンパク質;機能的誘導体;断片;活性画分;もしくは円順列変異誘導体をコードするポリヌクレオチド;(b)中程度にストリンジェントな条件下で配列番号2のヌクレオチド119〜324までの範囲のポリヌクレオチド配列またはその断片にハイブリダイズできる配列を含むポリヌクレオチド;(c)配列番号2の119〜324に含まれるポリヌクレオチド配列由来の、少なくとも10、11〜29、30〜50、および50〜199の連続したヌクレオチド、および200〜205の連続したヌクレオチドの断片を含むポリヌクレオチド(d)配列番号2(図2)の配列を有する受託番号CNCM I−3880のクローンから選択される単離ポリヌクレオチドに関する。
【0023】
1つの実施態様では、本発明は、配列番号2記載の配列を含むポリヌクレオチドに関する。
【0024】
本発明の別の実施態様では、ポリヌクレオチドは、中程度にストリンジェントな条件下で配列番号2のヌクレオチド119〜325までのポリヌクレオチド配列またはその断片にハイブリダイズできる配列を含み、該ポリペプチドがSIVA3特異的リボザイム、アンチセンス配列、siRNA、shRNA、プローブまたはプライマーである。
【0025】
別の側面において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターまたはSIVA3ポリペプチドの内因性遺伝子活性化を可能にすることができる細胞において機能的なDNA調節配列を有するベクター、およびそのようなベクターを含む哺乳類(たとえばHeLa、293T HEKおよびCHO細胞)、昆虫および酵母細胞から選択される真核細胞などの宿主細胞に関する。
【0026】
別のさらなる側面において、本発明は、本発明の宿主細胞を育成すること、および産生されたSIVA3ポリペプチドを単離することを含むSIVA3ポリペプチドの産生方法を提供する。また、SIVA3ポリペプチドの産生方法は、トランスジェニック動物の産出および該動物の体液から産生されたタンパク質を単離することを含み得る。
【0027】
別のさらなる側面において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドにコードされるSIVA3ポリペプチドまたはその塩;配列番号1のアミノ酸40〜108由来のアミノ酸配列を含むポリペプチドと少なくとも20%、または50%、80%、90%および95%同一性を有するSIVA3ポリペプチドまたはその塩、または配列番号2記載のヌクレオチド配列によりコードされるSIVA3ポリペプチドまたはその塩を提供する。
【0028】
なお別のさらなる側面において、本発明は、SIVA3ポリペプチドを用いて製造され、配列番号1のアミノ酸40〜108の範囲のポリペプチドを結合することができるポリクローナルまたはモノクローナル抗体、キメラ抗体、完全ヒト化抗体、抗−抗Id抗体、またはその断片を提供する。
【0029】
本発明の1つの目的は、発達障害;たとえば黒色腫、肉腫、腎腫瘍、結腸腫瘍のような腫瘍性疾患などの細胞増殖性障害;遺伝性障害;神経系障害;代謝異常;感染症および他の病的症状;変形性関節炎、自己免疫疾患、自己免疫性心筋炎I、リウマチ性関節炎、乾癬、全身性多発性硬化症、およびエリテマトーデスなどの免疫性障害;糸球体腎炎、鼻炎、HCV介在慢性肝炎、A型胃炎などの慢性胃炎、混合性結合組織疾患(MCTD)、結膜炎、ブドウ膜炎、糖尿病、消化器系炎症、自己免疫性ブドウ膜網膜炎、原発性オリゴデンドログリオパチーを伴う多発性硬化症、クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性大腸炎、重症筋無力症、髄炎、敗血症、内毒素性ショック、悪液質、筋肉痛、強直性脊椎炎、喘息、気道炎症などの炎症性疾患;創傷治癒;皮膚疾患;老化;原虫(plasmodium)感染、細菌感染およびウイルス感染などの感染症から選択される疾患、障害または症状の治療のための医薬の製造における、本発明のSIVA3ポリペプチドまたはその塩;本発明のポリヌクレオチド配列;本発明のベクター;本発明の宿主細胞;および/または本発明の抗体の使用を提供することである。
【0030】
本発明の1つの実施態様において、その使用は、細胞における不適切なNIK介在活性またはNIK−介在NF−κB活性のために増加された宿主免疫、免疫応答および/または細胞増殖により特徴付けられる疾患、障害または症状のためのものである。
【0031】
本発明の別の実施態様において、その使用は、細胞における不適切なNIK介在活性またはNIK−介在NF−κB活性のために減少された宿主免疫応答および/または細胞増殖により特徴付けられる疾患、障害または症状のためのものである。
【0032】
本発明の別の目的は、生物学的サンプルにおけるSIVA3ポリペプチド発現の検出方法;SIVA3のアゴニストおよびアンタゴニストをスクリーニングする方法;SIVA3のレベルと関連した疾患の診断方法、SIVA3のレベルと関連した治療をフォローアップするための方法および/またはSIVA3のレベルと関連した疾患、障害または症状を同定するための方法の開発における、本発明のSIVA3ポリペプチドまたはその塩;本発明のポリヌクレオチド配列;本発明のベクター;本発明の宿主細胞;および/または本発明の抗体の使用を提供することである。
【0033】
本発明の1つの実施態様において、その方法は、体液、細胞抽出物およびDNA発現ライブラリから選択されたサンプルから、SIVA3を結合する、SIVA3のアゴニストおよびアンタゴニストをスクリーニングするためのものであり、SIVA3を本発明の抗体で免疫沈降すること、および共沈したタンパク質を同定すること、または酵母ツーハイブリット法においてプレイもしくはベイトとしてSIVA3を用い、SIVA3結合タンパク質をクローニングすることを含む。
【0034】
本発明の別の実施態様において、その方法は、対象における増殖性障害または免疫障害の診断のためのものであり、(a)対象由来の生物学的サンプルを得ること;および(b)健常な対象におけるレベルと比較した該サンプル中のSIVA3の変化したレベルを検出することを含み、該変化したレベルが、対象における増殖性障害または免疫障害の診断となる。
【0035】
本発明の別のさらなる実施態様において、その方法は、患者における増殖性障害または免疫障害のための治療のフォローアップのためのものであり、(a)治療を受ける前後の患者由来の生物学的サンプルを得ること;および(b)治療前後の患者のサンプルにおけるSIVA3のレベルを検出すること、および(c)治療の前後の患者におけるSIVA3のレベルを比較することを含み、治療後のSIVA3のレベルの変化が患者における治療の有効性の指標となる。
【0036】
本発明はまた、医薬的に許容され得る担体および本発明のSIVA3ポリペプチドまたはその塩;本発明のポリヌクレオチド;本発明のベクター;本発明の宿主細胞;および/または本発明の抗体を含む医薬組成物を提供する。
【0037】
SIVA3に拮抗するポリペプチドまたは低分子またはSIVA3作動性のポリペプチドまたは低分子をスクリーニングする方法であって、SIVA3介在NIK分解を阻害することができる、NIK介在NF−κB活性化を阻害することができる;およびSIVA3ポリペプチドとアポトーシスタンパク質1の細胞性阻害剤(cIAP1)またはTNF−レセプター関連アダプタタンパク質2(TRAF2)との相互作用を阻害することができる分子をスクリーニングし選択することを含む方法もまた、本発明により提供される。
【0038】
また、必要とするヒト患者の所望の部位でSIVA3ポリペプチドの発現を誘導することを含む、免疫疾患または癌を治療するための遺伝子治療方法も本発明により提供される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1A】SIVAの更なるアイソフォーム(SIVA3)が末梢血単球細胞(PBMCs)において発現されることを示す。逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)の使用により、SIVA1、SIVA2およびSIVA3の発現が静止PBMCにおいて検出された。M=分子量マーカー。
【図1B】SIVAの更なるアイソフォーム(SIVA3)が末梢血単球細胞(PBMCs)において発現されることを示す。PBMCから増幅された全長SIVA3。
【図2】SIVA3のヌクレオチド配列を示す。
【図3】SIVA3のアミノ酸配列を示す。
【図4】細胞におけるNIK、p100およびp52のレベルに対する増加されたSIVA3発現の効果を示す。Mycタグ化NIK発現ベクターは、HeLa細胞においてFLAG−SIVA3発現ベクターの濃度の増加を伴って同時トランスフェクトされ、細胞においてNIKおよびp100/p52の細胞レベルがトランスフェクションの30時間後に評価された。WB=ウェスタンブロット、TLC=全細胞ライセート。
【図5】SIVA3はNIKと共免疫沈降しないということを示す。FLAG−SIVA2またはFLAG−SIVA3発現ベクターは、HEK−293T細胞中にNIK発現ベクターと同時トランスフェクトされる。24時間後、細胞が溶解され、NIKは抗−NIK抗体と免疫沈降し、共沈したSIVAはウェスタンブロッティングによりモニターされた。WB=ウェスタンブロット、TLC=全細胞ライセート、IP=免疫沈降。
【図6】SIVA2およびSIVA3が内因性のアポトーシスタンパク質1の細胞阻害剤(cIAP1)と共免疫沈降することを示す。FLAG−SIVA2またはFLAG−SIVA3発現ベクターは、HEK−293T細胞中にトランスフェクトされた。24時間後、細胞が溶解され、内因性cIAP1は抗−cIAP1抗体と免疫沈降し、共沈したSIVAはウェスタンブロッティングにより検出された。
【図7】HIS−SIVA2またはHIS−SIVA3は、HEK−293T細胞中にFLAG−TRAF2と同時トランスフェクトした。24時間後、細胞が溶解され、FLAG−TRAF2は抗−FLAG抗体と免疫沈降し、共沈したSIVAはウェスタンブロッティングにより検出された。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の知見によれば、本明細書で「SIVA3」と名付けられたSIVAの新しいスプライス変異体は、単球細胞において発現された。SIVA3は、SIVA2アイソフォームと異なり、NF−κB誘導キナーゼ(NIK)に結合しないが、SIVA2と類似して細胞におけるNIKレベルをダウンレギュレートし、そしてアポトーシスタンパク質1の細胞阻害剤(cIAP1)およびTNF−レセプター関連アダプタタンパク質2(TRAF2)を結合することができる。
【0041】
本発明は、1つの側面において、特にNIKが炎症および細胞生存経路などのNF−κB誘導のモジュレーションおよびメディエーションに関与する場合、NIKの細胞内レベルをモジュレートすることができるSIVA3ポリペプチドに関する。したがって、本発明は、SIVA3またはSIVA3ムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能的誘導体、活性画分、断片、円順列変異誘導体および塩に関する。配列番号1に示す配列のSIVA3、そのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能的誘導体、活性画分、断片、および円順列変異誘導体は、本明細書において「SIVA3ポリペプチド」と総称される。SIVA3ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列、または図3における配列40〜108の範囲のアミノ酸配列の少なくとも1部を有する。本発明の1つの実施態様において、SIVA3ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸40〜108由来のアミノ酸配列を含むポリペプチドと少なくとも20%、または50%、80%、90%および95%同一性を有する。本発明の別の実施態様において、SIVA3ポリペプチドは、配列番号2(図2)記載のヌクレオチド配列の全部または1部によりコードされる。本発明の別のさらなる実施態様において、SIVA3ポリペプチドは、配列番号2の119〜324のヌクレオチドを含むヌクレオチド配列によりコードされる。
【0042】
SIVA3ポリペプチドまたはその塩の使用に加え、本発明は、該ポリペプチドをコードする核酸配列;該核酸配列を含むベクター;該核酸配列またはベクターを含む宿主細胞;組織内の該ポリペプチドレベルを変えるために有効な化合物;および/またはSIVA3を認識し特異的に結合する抗体の、診断;治療、治療法のフォローアップ;および/またはSIVA3のアゴニストまたはアンタゴニストの同定のためのスクリーニング方法における使用に関する。
【0043】
その塩;機能的誘導体:アイソフォーム;活性画分;円順列変異体;前駆体および断片ならびにそのムテイン(すなわち、構造の1つ以上のアミノ酸が削除または他のアミノ酸により置換され、または1つ以上のアミノ酸がポリペプチドまたはタンパク質を得るために付加された他のタンパク質またはポリペプチド)を含むSIVA3ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドと実質的に同じ活性を有するべきである。このようなポリペプチドは、対応する「融合タンパク質」、すなわち配列番号1のアミノ酸配列またはその突然変異体が他のタンパク質、たとえば免疫グロブリンと融合され、体液における長く続く半減期を有するポリペプチドも含む。
【0044】
本発明のSIVA3ポリペプチドは以下に規定するような本発明のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドを含むことも理解されるべきである。
【0045】
配列番号1に示されるSIVA3の活性の例としては、細胞または組織におけるNIKレベルのダウンレギュレーション;細胞または組織におけるNIK介在NF−κB活性化のダウンレギュレーション;cIAP1結合およびTRAF2結合などがあるがそれらに限定されるものではない。したがって、本発明のSIVA3ポリペプチドは、配列番号1に示されるSIVA3のこれらの活性の少なくとも1つを有する。
【0046】
本明細書中において用語「塩」は、本発明のポリペプチドのカルボキシル基の塩およびアミノ基の酸付加塩の両方を意味する。カルボキシル基の塩は、本技術分野において既知の手段により形成することができ、たとえばナトリウム、カルシウム、アンモニウム、第二鉄または亜鉛の塩などの無機塩、ならびにたとえばトリエタノールアミン、アルギニン、リジンなどのアミン、ピペラジン、プロカインと形成されるものなどの有機塩基との塩が挙げられる。酸付加塩は、たとえば、塩酸または硫酸などの塩鉱物酸との塩、酢酸またはシュウ酸などの有機酸との塩が挙げられる。もちろん、いずれの塩もSIVA3と実質的に同様の活性を有さなければならない。
【0047】
本明細書において使用される場合、用語「断片」は、ポリペプチド分子の一部または一部分(part or fraction)を意味し、ただし、そのより短いペプチドは、SIVA3の所望の生物学的活性を保持することを条件とする。断片は、ポリペプチドのいずれかの末端からアミノ酸を除去し、得られた断片の生物学的活性、たとえばcIAP1への結合、TRAF3への結合、NIK分解の誘導、および/またはNIK媒介NF−κB活性化を細胞において試験することにより容易に調製され得る。一度に1つのアミノ酸をポリペプチドのN−末端またはC−末端のいずれかから除去するプロテアーゼは当技術分野において知られており、所望の生物学的活性を保持する断片は、そのようなプロテアーゼにより通常の実験で得ることができる。
【0048】
タンパク質の「活性画分」として、本発明は、その化合物自体のポリペプチド鎖の任意の断片または前駆体単独、またはそこに結合された関連分子または残基との組合せであって、このような断片または前駆体が、医薬としてSIVA3と同じ活性を示す、たとえば糖またはリン酸エステルの残基、またはポリペプチド分子の集合体を意味する。「前駆体」は、ヒト体内または動物体内においてSIVA3に変換できる化合物である。
【0049】
本明細書において使用する場合、定義「機能的誘導体」は、既知の方法によりアミノ酸部分の側鎖に、または末端N−またはC−基上に存在する官能基から製造される誘導体を意味し、それらが薬学的に許容され得る、すなわちそれらがタンパク質の活性を破壊することなく、それらを含む医薬組成物に毒性を与えることのない場合本発明に包含される。このような誘導体は、たとえば、カルボキシル基のエステルまたは脂肪族アミド、およびたとえばアルカノイル−もしくはアロイル−基などのアシル基と形成される、遊離のアミノ基のN−アシル誘導体もしくは遊離のヒドロキシル基のO−アシル誘導体を含む。SIVA3は、安定性、半減期、バイオアベイラビリティー、人体による寛容、または免疫原性などのタンパク質の性質を改善するためにポリマーと結合されても良い。したがって、本発明の1つの実施態様は、アミノ酸残基の1つ以上の側鎖として存在する1つ以上の官能基に結合された少なくとも1つの部分を含むSIVA3の機能的誘導体に関する。本発明の1つの実施態様は、ポリエチレングリコール(PEG)に結合されたSIVA3ポリペプチドに関する。PEG化は、たとえば、国際公開第92/13095号パンフレットに記載された方法などの既知の方法により実施され得る。
【0050】
本明細書において使用される場合、用語「円順列変異誘導体」は、直鎖状分子を意味し、終端が、直接またはリンカーを介して一緒に連結されて環状分子を生成し、ついでその環状分子が別の位置で開環され、元の分子とは異なる終端を有する新しい直鎖状分子を生成する。環状変異は、構造が環化され、ついで開環された分子と等価である分子を含む。したがって、円順列変異分子は、直鎖状分子として、環化および開環工程を経ることなくデノボ合成されてもよい。円順列変異誘導体の製造法は国際公開第95/27732号パンフレットに記載されている。
【0051】
本明細書において使用される場合、用語「ムテイン」は、SIVA3の類似体を意味する。本発明は、本発明の前記SIVA3タンパク質の類似体であって、本質的にSIVA3の天然に存在する配列のみを有するSIVA3タンパク質と同じ生物学的活性を本質的に保持する類似体にも関する。そのような「類似体」は、約30個までのアミノ酸残基が、この種の修飾が実質的にタンパク質自体に関するタンパク質類似体の生物学的活性を変化しないように、SIVA3タンパク質において欠失、付加または他のアミノ酸残基によって置換されているものであっても良い。したがって、元のSIVA3と比較した場合に得られた生成物の活性が大幅に変化させることなく、SIVA3の天然に存在する構成成分の1つ以上のアミノ酸残基は、異なるアミノ酸残基により置換されるかまたは欠失され、または1つ以上のアミノ酸残基がSIVA3の元の配列に付加される。これらのムテインは、既知の合成技術および/または部位特異的突然変異誘発法、または任意のほかの好適な技術により製造される。
【0052】
あらゆるそのようなムテインは、好ましくは、基本のSIVA3と実質的に同様の活性を有するように、基本のSIVA3と充分に重複したアミノ酸配列を有する。したがって、任意の所定のムテインが、本発明の基本のSIVA3と実質的に同じ活性を有するかどうかを、そのような類似体を以下の実施例に説明する生物学的活性試験に付すこと、たとえばcIAP1への結合、TRAF2への結合、NIK分解の誘導、および/または細胞におけるNIK媒介NFκB活性化の阻害などを含む日常の実験により決定することができる。
【0053】
本発明にしたがって使用することができるSIVA3タンパク質のムテイン、またはそれをコードする核酸は、日常的に過度の実験を伴うことなく、本願明細書に示された教示および助言に基づき当業者により得ることができる置換ペプチドまたはポリヌクレオチドとして、実質的に対応する配列の有限集合を含む。タンパク質の化学および構造の詳しい説明については、Schulz, G.E.ら、Principle of Protein Structure, Spring-Verlag, New York, 1978; およびCreighton, T.E., Proteins: Structure and Molecular Properties, W.H. Freeman & Co., San Francisco, 1983を参照。これらの文献は参考文献として本明細書に組み込まれる。コドン選択などのヌクレオチド配列置換の提示については、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology, Greene PublicationsおよびWiley Interscience, New York, NY, 1987-1995; Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, 1989参照。
【0054】
本発明によれば、ムテインの好ましい変化は、「保存的」置換として知られるものである。本質的に天然に存在するSIVA3配列を有するSIVA3タンパク質における保存的なアミノ酸置換は、充分同様の物理化学的性質を有するグループ内の同義アミノ酸を含み、そのグループのメンバー間の置換はその分子の生物学的機能を保存する(Granthem, Science, Vol. 185, pp. 862-864(1974))。アミノ酸の挿入および欠失は、特に挿入または欠失が、数個のアミノ酸、たとえば30個以下および好ましくは10個以下を伴い、また機能的コンフォメーションに絶対不可欠な、たとえばシステイン残基などのアミノ酸を除去または取換えない場合、前記定義された配列においてその機能を変化させることなくなされ得るということが明らかである(Anfinsen, “Principles That Govern The Folding of Protein Chains”, Science, Vol. 181, pp. 223-230(1973))。そのような欠失および/または挿入により作製された類似体は本発明の範囲に入る。
【0055】
好ましくは、同義的アミノ酸のグループは表Iに定義されるものである。より好ましくは、同義的アミノ酸のグループは表IIに定義されるものであり、最も好ましくは、同義的アミノ酸のグループは表IIIに定義されるものである。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
【表3】

【0059】
SIVA3のムテインを得るために使用することができるタンパク質におけるアミノ酸置換の製造例には、Markらの米国特許RE33,653号明細書、米国特許第4,959,314号明細書、米国特許第4,588,585号明細書および米国特許第4,737,462号明細書;Kothsらの米国特許第5,116,943号明細書;Namenらの米国特許第4,965,195号明細書、Chongらの米国特許第4,879,111号明細書;およびLeeらの米国特許第5,017,691号明細書に示されたもの;ならびに米国特許第4,904,584号明細書(Strawら)に示されたリジン置換タンパク質などのあらゆる既知の方法工程が含まれる。
【0060】
本発明のもう1つの好ましい実施態様において、本発明において使用するためのSIVA3タンパク質のあらゆるムテインは、本発明の前記SIVA3タンパク質の配列と本質的に対応するアミノ酸配列を有する。用語「本質的に対応する」とは、特に、SIVA3に対するその影響が懸念される限りにおいてその基本の特徴に影響しない、基本のSIVA3タンパク質の配列に対して変化の少ないムテインを包含することが意図される。通常、「本質的に対応する」という言葉に該当するとみなされる変化の種類は、本発明のSIVA3タンパク質をコードするDNAの従来の突然変異誘発技術から生じるものであり、数個の重要でない修飾、および所望の活性について前述した方法でスクリーニングに帰着する。
【0061】
本発明の1つの実施態様において、このムテインはいずれも、配列番号1に示すSIVA3の配列と少なくとも40%の同一性を有し、より好ましくは、SIVA3の配列と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または最も好ましくは、少なくとも90%の同一性を有する。本発明のさらなる実施態様において、任意のこのようなムテインは、SIVA3のアミノ酸40〜108の配列と少なくとも20%の同一性を有し、より好ましくは、SIVA3のアミノ酸40〜108の配列と少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有する。
【0062】
本発明はまた、SIVA3アイソフォームまたはSIVA1および2以外のスプライス変異体を包含する。様々な形のタンパク質が、異なってはいるが関連した遺伝子から産生され得るか、または選択的スプライシングにより同じ遺伝子から生まれ得る。また、アイソフォームは、単一ヌクレオチド多型、同じ遺伝子のアレル間の小さな遺伝的相違により形成される。タンパク質アイソフォームは、同じタンパク質の別のアイソフォームとほんのわずかな相違を有するタンパク質の型である。本発明の1つの実施態様において、SIVA3アイソフォームは、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドに少なくとも50%および80%のアミノ酸同一性を有するものであり、より好ましいアイソフォームは、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドに少なくとも90%の同一性を有するものであり、最も好ましい変異体は、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドに少なくとも95%の同一性を有するものである。本発明のさらなる実施態様において、SIVA3アイソフォームは、配列番号1のアミノ酸40〜108のアミノ酸配列に少なくとも20%、または50%、80%、90%および95%の同一性を有するものである。
【0063】
同一性は、配列を比較することにより決定される、2つ以上のポリペプチド配列または2つ以上のポリヌクレオチド配列の間の関係を示す。概して、同一性とは、比較される配列の長さにわたって、2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチドの、それぞれヌクレオチド対ヌクレオチドのまたはアミノ酸対アミノ酸の正確な一致を意味する。
【0064】
正確に一致していない配列に対して、「%の同一性」が決定され得る。概して、比較すべき2つの配列は、配列間の最大の相関が生じるように並べられる。これには、アライメントの程度を高めるために、配列の片方または両方どちらかに「ギャップ(gap)」の挿入を含んでもよい。%同一性は、比較される配列それぞれの長さ全体にわたって決定され得(いわゆるグローバルアラインメント)、これは同一かかなり類似した配列に特に適しており、またはより短い定義された長さにわたって決定され得(いわゆるローカルアラインメント)、これは不揃いな長さの配列に適している。
【0065】
本明細書において使用される場合、用語「配列同一性」は、アミノ酸配列が、ClustalW多重配列アラインメントプログラムのウインドウズインターフェースである(Thompsonら、1994)、Clustal−Xプログラムを用いる低ホモロジー領域の改良版で、HanksおよびQuinn(1991)によるアライメントにより比較されるということを意味する。Clustal−Xプログラムは、ftp://ftp-igbmc.u-strasbg.fr/pub/clustalx/でインターネットにより利用可能である。もちろん、このリンクが使えなくなった場合は、当業者は過度の実験をすることなく標準的なインターネット検索技術を用いて他のリンクからこのプログラムのバージョン類を見つけることができるということが理解されるべきである。他に特段の定めがない限り、本明細書において引用されるプログラムはいずれも、本願の有効出願日現在で、最新バージョンが本発明を実施するために使用されるものである。
【0066】
「配列同一性」を決定するための前記方法が、何らかの理由により有効でないと判断される場合、次の技術により配列同一性を決定することができる。配列は、Genetic Computing Group’s GDAP(グローバルアライメントプログラム)のバージョン9を用いて、−12のギャップオープンペナルティー(ギャップの最初の空値について)と−4のギャップ拡張ペナルティー(ギャップにおける付加的な連続した空値それぞれ毎に)とを有する初期値(BLOSUM62)マトリックス(−4〜+11の値)を用いて整列される。アラインメント後、%同一性が一致数を請求する配列におけるアミノ酸数の割合として表現することにより計算される。
【0067】
本発明によるムテインは、ストリンジェントな条件下で本発明によるSIVA3タンパク質をコードするDNAまたはRNAにハイブリダイズし、本質的にSIVA3をコードする天然に存在する配列の全てを含むDNAまたはRNAなどの核酸によってコードされるものを含む。たとえば、そのようなハイブリダイズするDNAまたはRNAは、図2および配列番号1に示される配列などを有する本発明の同じタンパク質をコードするものであるが、しかしそのヌクレオチドは、遺伝コードの縮重のために天然由来のヌクレオチド配列とはヌクレオチド配列が異なる、すなわち、多少異なるヌクレオチド配列がなお、この縮重により同じアミノ酸配列をコードし得る。
【0068】
本明細書中で使用される用語「ハイブリダイゼーション」とは、核酸の1つの鎖を塩基対を介して相補鎖と結びつける任意のプロセスを含むものとする(Coombs J, 1994, Dictionary of Biotechnology, Stockton Press, New York NY)。「増幅」は、核酸配列のさらなるコピーの産生として定義され、通常、本技術分野において周知のポリメラーゼ連鎖反応技術を用いて行われる(DieffenbachおよびDveksler, 1995, PCR Primer, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Plainview NY)。
【0069】
「ストリンジェンシー」は、典型的には、約Tm−5℃(プローブの融解温度より5℃低い)〜Tmより約20〜25℃低い範囲で見られる。
【0070】
用語「ストリンジェントな条件」は、当業者が通常「ストリンジェント」と呼ぶハイブリダイゼーションおよびそれに続く洗浄条件をいう。Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publications and Wiley Interscience, New York, NY, 1987-1995;Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989)参照。
【0071】
本明細書中で使用される場合、ストリンジェントな条件は、ハイブリダイゼーション実験において使用される温度の関数、ハイブリダイゼーション溶液における一価の陽イオンのモル濃度およびホルムアミドの割合である。所定の条件の組に関連したストリンジェンシーの程度を決定するために、まずDNA−DNAハイブリッドの融解温度Tmとして表現される100%同一性のハイブリット安定性を決定するためのMeinkothら(1984)の方程式を使用する。
Tm=81.5C+16.6(LogM)+0.41(%GC)−0.61(%ホルム)−500/L
式中、Mは一価の陽イオンのモル濃度であり、%GCは、DNA中のGおよびCヌクレオチドの割合であり、%ホルムは、ハイブリダイゼーション溶液中のホルムアルデヒドの割合であり、Lは、塩基対におけるハイブリッドの長さである。Tmが、100%同一性ハイブリッドに対して計算されるTmから減少される1Cにつき、許容されるミスマッチの量は約1%ずつ増加する。したがって、特定の塩およびホルムアルデヒド濃度での任意の所定のハイブリダイゼーション実験に対して使用されるTmがMeinkothの方程式による100%ハイブリッドの計算Tmより10C低い場合、ハイブリダイゼーションは約10%までミスマッチがあっても生じるであろう。
【0072】
本明細書において使用される場合、「高度にストリンジェントな条件」とは、上記方程式により計算されるか、正確に測定されるかのいずれかの場合に、標的配列との完全な二本鎖に対するTmより10C以下低いTmを提供するものである。「中程度にストリンジェントな条件」とは、上記方程式により計算されるか、正確に測定されるかのいずれかの場合に、標的配列との完全な二本鎖に対するTmより20C以下低いTmを提供するものである。非限定的な高度にストリンジェント(ハイブリッドの計算または測定Tmより5〜10C低い)および中程度にストリンジェント(ハイブリッドの計算または測定Tmより15〜20C低い)な条件の例は、ハイブリッドの計算されたTmより適切に低い温度で、2×SSC(標準生理食塩水クエン酸塩)および0.5%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の洗浄条件を使用する。条件の究極のストリンジェンシーは、使用されるハイブリダイゼーション条件が、安定性の低いハイブリッドが安定したハイブリッドを伴い形成できる条件である場合特に、主に洗浄条件による。高度なストリンジェンシーでの洗浄条件は、その結果安定性の低いハイブリッドを除外する。上述の高度にストリンジェントな洗浄条件から中程度にストリンジェントな洗浄条件で使用できる一般的なハイブリダイゼーション条件は、6×SSC(または6×SSPE(標準生理食塩水−リン酸−EDTA))、5×デンハルト試薬、0.5%SDS、100μg/mlの変性し断片化したサケ精子DNAの溶液におけるTmより約20〜25C低い温度でのハイブリダイゼーションである。混合プローブを用いる場合、SSCの代わりに塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)を使用することが好ましい(Ausubel, 1987, 1999)。
【0073】
SIVA3のDNA配列(配列番号2)およびその対応する推定アミノ酸配列(配列番号1)は、本発明により確立され、図2および3にそれぞれ開示される。SIVA3スプライス変異体はエクソン1および4によりコードされ、SIVA1およびSIVA2にほとんど相同性をもたないことが見出された。実際、SIVA3は、SIVA2に約35%(110中39アミノ酸)同一であり、SIVA1への同一性は22%(175アミノ酸中39アミノ酸)を下回る。
【0074】
したがって、本発明は、(a)配列番号1記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能的誘導体、断片、活性画分、円順列変異誘導体から選択されるSIVA3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;(b)中程度にストリンジェントな条件下で配列番号2のヌクレオチド119〜324までの範囲のポリヌクレオチド配列またはその断片にハイブリダイズできる配列を含むポリヌクレオチド;(c)配列番号2の119〜324ヌクレオチド残基由来の、少なくとも10、11〜29、30〜50、および50〜199の連続したヌクレオチド、および200〜205の連続したヌクレオチドの断片を含むポリヌクレオチドなどの精製または単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0075】
本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードする精製された核酸分子またはポリヌクレオチドを提供する。本発明は、高度にストリンジェントな条件下で本発明の核酸分子とハイブリダイズする精製された核酸分子またはポリヌクレオチド;本発明のポリペプチドをコードする精製された核酸分子またはポリヌクレオチド;中程度にストリンジェントな条件下で配列番号1のアミノ酸残基40〜108をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする精製された核酸分子またはポリヌクレオチド;または中程度にストリンジェントな条件下で、配列番号2のヌクレオチド残基119〜324のポリヌクレオチド断片にハイブリダイズする精製された核酸分子またはポリヌクレオチド;または配列番号2の配列を有する受託番号CNCM I−3880のクローンも提供する。
【0076】
本明細書において使用される場合、用語「核酸分子」または「ポリヌクレオチド」とは、一本鎖または二本鎖のいずれかの形態でのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドポリマーを意味し、特段の定めがない限り、天然に存在するヌクレオチドと同様の方法で機能できる天然に存在するヌクレオチドの既知の類似体を含むポリヌクレオチドを包含する。核酸分子をDNA配列により表す場合、「U」(ウリジン)が「T」(チミジン)に取って代わった対応するRNA配列を有するRNA分子をも含むことは理解されるであろう。
【0077】
本発明のポリヌクレオチドは、縮重コドンを含むポリヌクレオチドおよび/または高度にストリンジェントな条件下で上記に示す配列の相補鎖にハイブリダイズするポリヌクレオチドも含む。
【0078】
SIVA3のポリヌクレオチドは、たとえばノーザンブロット分析またはPCRによりサンプル中のSIVA3ポリペプチドの発現レベルを検出するためのプローブおよび/またはプライマーとして使用できる。少なくとも10、好ましくは19〜29の連続したヌクレオチドのSIVA3ポリヌクレオチドがプライマーとして使用でき(図1にまとめられた1つの実施例に示されるように)、そして200〜2500の連続ヌクレオチドにおよぶ断片がプローブとして使用できる。1つの実施態様において、本発明は、配列番号2のヌクレオチド残基119〜324から、少なくとも10、好ましくは19〜29、および30〜50の連続ヌクレオチドにおよぶ断片、および50〜200の連続ヌクレオチドにおよぶ断片を提供する。
【0079】
以下のプライマー、CGCGGATCCACCATGCCCAAGCGGAGCTGCCCC(配列番号3)、およびリバース:CCGCTCGAGGCCAGCCTCAGGTCTCGAACATGG(配列番号4)がSIVA1およびSIVA2の元の終止コドンでPCRによりSIVA3発現を検出するために使用することができる。しかし、全長SIVA3発現を排他的にモニターするためには、元の終止コドンの後、フレームシフト後に生じる最初の終止コドンで、以下のプライマーが使用できる。
フォワード:CGCGGATCCACCATGCCCAAGCGGAGCTGCCCC(配列番号5)
リバース:CCGCTCGAGAGAGGTTTATTCATTCTGTCATTAGG(配列番号6)
【0080】
また、本発明のポリヌクレオチドは、細胞においてSIVA3をサイレンスまたは阻害するための低分子干渉RNA(siRNA)として使用してもよい。したがって、本発明は、配列番号2の配列にRNAレベルで同一である核酸配列の15と30との間の連続ヌクレオチドを含むsiRNAを提供する。1つの実施態様において、本発明は、配列番号2のヌクレオチド残基119〜324からの配列にRNAレベルで同一である核酸配列の15と30との間の連続ヌクレオチドを含むsiRNAを提供する。本発明は、SIVA1またはSIVA2の核酸配列における一続きのヌクレオチドとして存在する配列を含む任意の断片含むことを意図するものではなく、含まないことに留意すべきである。
【0081】
siRNAは、特定のmRNA標的の転写後のサイレンシングのために広く使用される。siRNAは、15および30bp長の、典型的には9〜21bp長の、各3’末端に突出する2つのヌクレオチドを有する二本鎖RNAで構成される。あるいは、27−mer平滑末端ヌクレオチドが使用され得る。たとえば、特定のsiRNAは、特定のmRNA標的の転写後のサイレンシングに使用することができる(DorsettおよびTuschl, 2004)。RNAiにおける標的特異性は、RNA−RNA配列認識および塩基対形成により達成される。siRNAは、通常19〜21塩基対長の、各3’末端に突出する2つのヌクレオチドを有する二本鎖RNAで構成される。あるいは、27−mer平滑末端ヌクレオチドが、遺伝子サイレンシングにおいて改善された有効性を示すので使用され得る(Kim, Behlkeら、Nat Biotechnol. 2005 Feb;23(2):222-6. Epub 2004 Dec 26)。siRNAの細胞中への輸送は、リポソーム中への封入により、または高い脂溶性薬剤への共有結合により増進してもよい。Soutschekら、(2004)。
【0082】
SIVA3ポリペプチド発現の阻害剤の別の例としては、特異的低分子ヘアピン型RNA(short hairpin RNA)(shRNA)がある。shRNA発現ベクターを構築するための設計およびクローニング戦略は、本技術分野において公知である(McIntyreおよびGregoryら、BMC Biotechnology 2006, 6:1)。
【0083】
遺伝子の既知のmRNA配列が与えられれば、該mRNA配列に特異的に結合し切断するRNA分子であるリボザイムが設計され得る(たとえば、Chenら、Ann N Y Acad Sci. 1992 Oct 28;660:271-3; Nucleic Acids Res. 1992 Sep 11;20(17):4581-9, ZhaoおよびPick, Nature. 1993 Sep 30;365(6445):448-51., Shoreら、Oncogene. 1993 Nov;8(11):3183-8., JosephおよびBurke, J Biol Chem. 1993 Nov 25;268(33):24515-8, Shimayamaら、Nucleic Acids Symp Ser. 1993;(29):177-8参照)。
【0084】
本発明のポリヌクレオチドを含むベクターおよび該ベクターを有する宿主細胞も本発明により提供される。
【0085】
1つの実施態様において、本発明は、転写および翻訳調節エレメントなどの1つ以上の他のポリヌクレオチドに作動可能に連結されたSIVA3のポリヌクレオチドを提供する。そのようなポリヌクレオチドは、ベクター中に含有させることができ、該ベクターは発現ベクターであり得、そしてその核酸分子またはベクターは、宿主細胞中に含有させることができる。ベクターの例としては、クローニングベクター、発現ベクター、プラスミドベクター、およびウイルスベクターが挙げられるがそれらに限定されるものではない。通常、本発明のポリヌクレオチドのほかに、ベクターは、選択可能なマーカー、プロモーターやポリアデニル化シグナル配列などの転写調節エレメント、リボソーム結合部位などの翻訳調節エレメントを含むことができる。プロモーター配列は、そこに作動可能に連結されたポリヌクレオチドの組織特異的発現を提供できる。
【0086】
ベクターは、通常所望により原核または真核宿主系、またはその両方における複製に必要とされるエレメントを含む。そのようなベクターには、プラスミドベクター、ならびにバクテリオファージ、バキュロウイルスベクターおよび特定の宿主系、特に哺乳動物系での使用のために開発されたウイルスベクターなどのウイルスベクターがあり、たとえばレトロウイルスベクター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に基づくものなどのレンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクターなどがある。これらのウイルスベクターは周知であり、商業的に入手できる。
【0087】
発現ベクターは、SIVA3ポリペプチドの発現のために組換え宿主細胞中にトランスフェクトできる。宿主細胞は、細菌細胞などの原核細胞、酵母また哺乳類細胞などの真核細胞である。宿主細胞は、たとえば大量の単離タンパク質を得るために高レベルの発現に対して選択される。宿主細胞は、細胞培養培地中に維持されるか、または生物中のインビボの細胞でもあり得る。
【0088】
本発明は、SIVA3ポリペプチドの産生方法も提供する。
【0089】
本発明のポリペプチドは、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターを含有する宿主細胞を好適な条件下で培養し該ポリペプチドを発現させ、任意にはその培養培地からポリペプチドを単離することにより産生できる。
【0090】
さらに、本発明は、原核細胞または哺乳類、昆虫類および酵母細胞などの真核細胞から選択される宿主細胞を提供する。本発明の1つの実施態様において、その細胞は、HeLa、293THEKまたはCHO細胞であり、本発明のポリペプチドを産生する方法において本発明のポリペプチドをコードする発現ベクターを含む。あるいは、本発明は、トランスジェニック動物の作製および該動物の体液からの産生されたタンパク質の単離を含む本発明のポリペプチドを産生する方法を提供する。
【0091】
SIVA3ポリペプチドは、該ポリペプチドをコードするベクターによりトランスフェクト、形質導入または感染された細菌または真核宿主細胞において、またはトランスジェニック動物において産生され得る。トランスジェニック動物を用いる場合、その乳中に異種ポリペプチドを産生することが特に有利である。
【0092】
哺乳類細胞におけるSIVA3ポリペプチドの発現は、そのポリペプチドをコードするDNAを、プロモーター、任意にはイントロン配列およびスプライシングドナー/アクセプターシグナル、およびさらに任意には終止配列および分泌シグナルペプチドを含むベクターに、周知の技術(たとえば、Current Protocols in Molecular Biology、16章に記載されている)により挿入することにより実施してもよい。
【0093】
哺乳類細胞におけるSIVA3ポリペプチドの発現は、たとえばSIVA3ポリペプチドをコードする内因性遺伝子の発現の増加を誘導することにより実施してもよい。内因性のSIVA3の発現を変化させることも、疾患、障害または症状を治療するために採用することができる。本発明は、本発明の内因性ポリペプチドのレベルを有効に変化できる、または内因性ポリペプチドの活性を調節することができる化合物を包含する。必要に応じて、本発明の化合物は、遺伝子の発現レベルまたは内因性ポリペプチドの活性を増加または減少させ得る。そのような化合物は、充分でない量のポリペプチドを発現する細胞においてSIVA3ポリペプチドの内因性産生を誘導するためのベクターであり得る。そのベクターは、SIVA3ポリペプチドの発現を望まれる細胞において機能する調節配列を含み得る。そのような調節配列は、たとえば、プロモーターまたはエンハンサであり得る。ついで、調節配列は、相同組換えによりゲノムの正しい遺伝子座に導入され、調節配列は、発現の誘導または増強が必要とされる遺伝子と作動可能に連結され得る。その技術は、通常、「内因性遺伝子活性化」(EGA)と呼ばれ、国際公開第91/09955号パンフレットに記載されている。
【0094】
当業者には、内因性SIVA3ポリペプチドが過剰発現され、細胞中に過剰量のポリペプチドが生じた場合、直接的にSIVA3ポリペプチド発現を閉鎖することも可能であるということが理解されるであろう。そうするために、サイレンシングエレメントなどの負の調節エレメントがSIVA3の遺伝子座に導入され、ゆえにSIVA3発現のダウンレギュレーションまたは抑制を導く。当業者は、そのようなSIVA3発現のダウンレギュレーションまたはサイレンシングは、疾患を予防および/または治療するためにSIVA3アンタゴニストの使用と同じ効果を有するということを理解するであろう。
【0095】
本発明は、SIVA3のアゴニストおよびアンタゴニストをスクリーニングする方法も提供する。
【0096】
SIVA3ポリペプチドの機能の同定は、疾患の治療および/または診断において使用できる化合物の同定のためのスクリーニング方法の設計への道を開く。本発明により、HeLa細胞におけるSIVA3レベルの増加がこれらの細胞でのNIKの分解を誘導するということが見出された。ゆえに、本発明により、SIVA3により媒介されるNIK分解に続いてp100/p52の細胞レベルが変化するので、SIVA3はNIKのレベルおよび代替的経路を経て誘導されるNF−κB活性を調節する能力があることが見出された。本発明により、SIVA3とSIVA2との間の配列の違いにもかかわらず、そしてSIVA2と異なりSIVA3はNIKに結合しないけれども、SIVA3はSIVA2同様NIK分解を誘導することができる。ゆえに、内因性スプライス変異体、またはアイソフォームSIVA3は、NIKに結合せず、細胞中のNIKレベルをダウンレギュレートし、NIK介在NFκB活性化に影響を及ぼし、cIAP1およびTRAF2に結合する能力を有しそれを調節し得る。したがって、SIVA3に特異的に結合し(かつSIVA1またはSIVA2には結合せず)、本発明のSIVA3ポリペプチドの機能を調節するSIVA3のアゴニストおよびアンタゴニストは、本明細書中「SIVA3モジュレーティング化合物」と名付けられ、同定された。SIVA3モジュレーティング化合物は、酵素などのタンパク質、抗体、天然または修飾基質、レセプター、2500ダルトンまで、好ましくは850ダルトンまたはそれ以下までの有機分子であり得る低有機分子、ペプチド類似物、無機分子、前述したものの構造的または機能的模倣物がある。SIVA3モジュレーティング化合物は、SIVA3ポリペプチドをコードする天然の遺伝子の発現を変えることができるか、またはSIVA3ポリペプチドの活性を調節できるということで同定することができる。
【0097】
SIVA3の発現および/または活性を変更する能力を有するSIVA3モジュレーティング化合物は、スクリーニング法においてSIVA3の前記活性を用いて同定してもよい。たとえば、スクリーニング法は、たとえば細胞におけるNIKレベルのSIVA3介在調節、NF−κB活性化のSIVA3介在阻害、SIVA3のcIAP1への結合およびSIVA3のTRAF2への結合に対する候補化合物の効果を検査することを含み得る。そのようなスクリーニング法は、本発明の態様として含まれる。
【0098】
本発明の1つの実施態様において、本発明は、SIVA3に拮抗するまたはSIVA3作動性のペプチドまたは低分子をスクリーニングする方法であって、(i)NIKの分解を許容する条件下で、候補薬剤の存在下または非存在下にSIVA3およびNIKを接触すること、(ii)該候補薬剤の存在下または非存在下にNIKおよび/またはp100/p52のレベルを測定すること、(iii)該候補薬剤の存在下および非存在下におけるNIKおよび/またはp100/p52のレベルを比較することを含み、該候補薬剤の存在下におけるNIKおよび/またはp100/p52の変化が、候補薬剤がNIKおよび/またはNIK介在NF−κBのレベルをモジュレートする能力があることの指標となり、NIKの分解および/またはp100の分解阻害を増加させる場合にアゴニストとして使用でき、SIVA3により介在されるNIKの分解および/またはp100の分解阻害を阻害する場合にアンタゴニストとして使用できることの指標となる方法を提供する。
【0099】
さらなる実施態様において、スクリーニングアッセイは、細胞に基づくアッセイであり、前記接触は細胞内部で実施される。細胞は、タグ付1−NIK発現ベクターおよびタグ付2−SIVA3発現ベクターを発現する組換え細胞であり得、NIKおよび/またはp100/p52の細胞レベルは、下記に例示するようなタグ1に特異的な抗体および/またはp100および/またはp52に対する抗体を用いてウェスタンブロッティングにより評価される。
【0100】
1つの付加的な実施態様において、本発明は、SIVA3に拮抗するまたはSIVA3作動性のペプチドまたは低分子のスクリーニング方法であって、(i)SIVA3のTRAF2またはcIAP1への結合を許容する条件下で、候補薬剤の存在下または非存在下にSIVA3をTRAF2またはcIAP1と接触させること、(ii)候補薬剤の存在下または非存在下でSIVA3−TRAF2またはSIVA3−cIAP1複合体のレベルを測定すること、(iii)候補薬剤の存在下または非存在下でSIVA3−TRAF2またはSIVA3−cIAP1複合体のレベルを比較することを含み、該候補薬剤の存在下におけるSIVA3−TRAF2またはSIVA3−cIAP1複合体のレベルの変化が、候補薬剤がSIVA3−TRAF2またはSIVA3−cIAP1複合体のレベルをモジュレートする能力があるということおよびSIVA3のアゴニストまたはアンタゴニストであるということの指標となる方法を提供する。
【0101】
1つの実施態様において、SIVA3アゴニストまたはアンタゴニスト化合物は、体液、細胞抽出物およびDNA発現ライブラリから選択されるサンプルから誘導され得る。アゴニストアンタゴニストタンパク質は、限定されるものではないが、後述の実施例に示すようにSIVA3ポリペプチドと特異的抗体との共免疫沈降;SIVA3ポリペプチドをプレイまたはベイトとして使用する本技術分野で周知の(および米国特許第7,189,535号明細書に記載されている)ツーハイブリット法;および固定化されたSIVA3ポリペプチドを用いるアフィニティークロマトグラフィーなどのスクリーニング法により単離することができる。
【0102】
本発明はまた、配列番号1のアミノ酸配列、特に40〜108のアミノ酸におよぶ配列を含むSIVA3ポリペプチドを用いて製造されるポリクローナルまたはモノクローナル抗体、キメラ抗体、完全ヒト化抗体、抗−抗−Id抗体またはそれらの断片を提供する。この定義は、SIVA1およびSIVA2 にも結合することができる抗体を排除するものである。
【0103】
「完全ヒト化抗体」は、ヒトイムノグロブリンの可変領域および定常領域の両方を含有する分子である。完全ヒト化抗体は、自己免疫疾患などの慢性および再発性疾患のために繰り返し治療が必要とされる治療用途に使用できる可能性がある。完全ヒト化抗体の1つの製造方法は、マウス体液性免疫システムの「ヒト化」、すなわち、ヒト免疫グロブリン(Ig)遺伝子座を内因性Ig遺伝子が不活性化されたマウスへ導入することによりヒトIg(キセノマウス)を産生することができるマウス系統を作製することからなる。Ig遺伝子座は、それらの物理的構造と、広い免疫応答を最終的に生み出すために必要とされる遺伝子再配列および発現プロセスとの両方の点から極めて複雑である。抗体の多様性は、主にIg遺伝子座に存在する種々のV、D、およびJ遺伝子間のコンビナトリアル再配列により作り出される。これらの遺伝子座はまた、抗体の発現、対立遺伝子排除、クラススイッチおよび親和性成熟を制御する、散在調節エレメントを含む。未再配列ヒトIgトランス遺伝子のマウスへの導入により、マウス組換え機構は、ヒト遺伝子と競合するということが証明されている。さらに、種々のイソ型の抗原特異的hu−mAbsを分泌するハイブリドーマが抗原とのキセノマウス免疫により得られる。
【0104】
完全ヒト化抗体およびその製造方法は、本技術分野において公知である(Mendezら、Nature Genetics 15:146-156(1997); Buggemannら、Eur. J. Immunol. 21:1323-1326(1991); Tomizukaら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:722-727(2000); 特許国際公開第98/24893号パンフレット )。
【0105】
抗体の別の種類は、抗−イディオタイプの抗体である。抗−イディオタイプ(抗−Id)抗体は、通常抗体の抗原結合部位と関連した固有の抗原決定基を認識する抗体である。Id抗体は、抗−Idが製造されるMabの源として種および遺伝子型が同じ動物(たとえば、マウス系統)を免疫することにより製造できる。免疫された動物は、免疫化抗体のイディオタイプ決定基を認識し、これらのイディオタイプ決定基に対する抗体(抗Id抗体)を産生することにより、これに応答する。たとえば、米国特許第4,699,880号明細書参照、これは参考文献として本明細書に全体が組み込まれる。
【0106】
また、抗Id抗体は、さらに別の動物において免疫応答を誘導し、いわゆる抗−抗Id抗体を産生させるための「免疫原」として使用され得る。抗−抗Idは、抗−idを誘導した元のmAbとエピトープが同一であり得る。したがって、MAbのイディオタイプ決定基に対する抗体を使用することにより、同一の特異性の抗体を発現する他のクローンを同定することが可能である。
【0107】
用語「抗体」は、完全な分子と、抗原に結合できるその断片、たとえばFabおよびF(ab’)2の両方を含むことを意味する。FabおよびF(ab’)2断片は、完全な抗体のFc断片を欠き、より迅速に循環から消え、完全な抗体よりも非特異的組織結合が少ない(Wahlら、1983)。
【0108】
本発明に有用なFabおよびF(ab’)2および抗体のほかの断片は、完全な抗体分子について本明細書開示される方法にしたがい、SIVA3ポリペプチドの検出および定量のために使用してもよい。そのような断片は、通常パパイン(Fab断片の製造)またはペプシン(F(ab’)2断片の製造)などの酵素を用いて、タンパク質の開裂により製造される。
【0109】
抗体は、これが、分子と特異的に反応することができ、それにより、該分子が抗体に結合する場合、分子に「結合することができる」と言える。用語「エピトープ」は、任意の分子の抗体によって結合され得、また該抗体によって認識され得る部分を指すことを意図する。エピトープまたは「抗原決定基」は、通常、分子の化学的に活性な表面基(たとえば、アミノ酸または糖側鎖など)からなり、特異的な三次元の構造的特徴および特異的な帯電特性を有する。
【0110】
本発明において有用な抗体(またはその断片)はSIVA3のインサイチュ検出のために、免疫蛍光顕微鏡法または免疫電子顕微鏡法などの場合に組織学的に使用され得る。インサイチュ検出は、患者から組織学的試験片を取り出し、かかる試験片に対して本発明の標識抗体を提供することによりなされ得る。抗体(または断片)は、好ましくは、標識抗体(または断片)を生物学的サンプルに適用することにより、またはこの上に重層することにより提供される。このような手順の使用により、SIVA3ポリペプチドの存在のみならず、試験した組織上での分布もまた調べることが可能である。本発明を用い、当業者には、このようなインサイチュ検出を達成するために、任意の多種多様な組織学的方法(染色手順など)を改変し得ることが容易にわかるであろう。
【0111】
本発明のSIVA3ポリペプチドのレベルの検出のためのこのようなアッセイは、通常、生物学的液体、リンパ球もしくは白血球などの採取したての細胞由来の組織抽出物、または組織培養物中でインキュベートされている細胞などの生物学的サンプルを、SIVA3ポリペプチドを同定することができる検出可能な標識抗体の存在下でインキュベートすること、および本技術分野で周知の多数の技術のいずれかにより抗体を検出することを含む。
【0112】
「生物学的液体」、または生物学的サンプルは、細胞、細胞成分または細胞製品由来のまたは含有する任意の液体を示す。生物学的液体は、限定されるものではないが、細胞培養上清、細胞ライセート、除去処理細胞ライセート(cleared cell lysates)、細胞抽出物、組織抽出物、血液、血漿、血清、乳およびそれらの画分を含む。
【0113】
生物学的サンプルは、固相支持体もしくは担体(たとえば、ニトロセルロースなど)または細胞、細胞粒子もしくは可溶性タンパク質を固定化することができる他の固体支持体もしくは担体と処理され得る。該支持体または担体を、次いで、適当なバッファーで洗浄した後、上記のようにして、本発明による検出可能な標識抗体で処理し得る。固相支持体または担体を、次いで、該バッファーでの2回目の洗浄を行ない、未結合抗体を除去する。次いで、固体支持体または担体上の結合標識の量を、慣用的な手段により検出し得る。
【0114】
「固相支持体」、「固相担体」、「固体支持体」、「固体担体」、「支持体」または「担体」は、抗原または抗体を結合することができる任意の支持体または担体を意図する。周知の支持体または担体としては、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロンアミラーゼ、天然および修飾セルロース、ポリアクリルアミド、斑レイ岩ならびにマグネタイトが挙げられる。担体の性状は、本発明の目的のために、ある程度可溶性のあるもの、または不溶性であり得る。支持体材料は、結合された分子が抗原または抗体に結合することができるものであれば、事実上任意の可能な構造的構成を有し得る。したがって、支持体または担体の構成は、ビーズのような球状、テストチューブの内側表面または棒状物の外側表面のような円柱であり得る。あるいはまた、表面は、シート、試験細片などの平坦なものであってもよい。好ましい支持体または担体としては、ポリスチレンビーズが挙げられる。当業者には、抗体または抗原に結合させるための他の好適な担体がわかるだろうし、または常套的な実験法の使用により、これを確認することができるだろう。
【0115】
本発明の所与のロットの抗体の結合活性は、上記のように、周知の方法にしたがって測定され得る。当業者は、常套的な実験法を用いることによる各測定のための作業条件および最適なアッセイ条件を決定することができよう。
【0116】
通例、または特定の状況に必要であるように、洗浄、攪拌、振とう、濾過など他の工程をアッセイに追加してもよい。
【0117】
本発明による抗体が検出可能に標識され得る方法の1つは、これを酵素に連結することによるものであり、酵素イムノアッセイ(EIA)において使用され得る。この酵素は、今度は、後に適切な基質に曝露した場合、たとえば分光測光的手段、蛍光分析的手段により、または可視化手段により検出可能な化学的部分を生じるような様式で基質と反応する。抗体を検出可能に標識するために使用することができる酵素としては、限定されるものではないが、リンゴ酸脱水素酵素、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、δ−5−ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコール脱水素酵素、α−グリセロリン酸脱水素酵素、トリオースリン酸イソメラーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、グルコアミラーゼ(glucoamylase)およびアセチルコリンエステラーゼが挙げられる。検出は、酵素用の発色性基質を用いる比色分析方法によってなされ得る。検出はまた、同様に調製された標準品と比較した基質の酵素的反応の程度の視覚による比較によってもなされ得る。
【0118】
検出は、任意の多様な他のイムノアッセイを用いてなされ得る。たとえば、抗体または抗体断片を放射能で標識することにより、ラジオイムノアッセイ(RIA)の使用によってR−PTPアーゼを検出することが可能である。RIAの充分な記載は、Laboratory Techniques and Biochemistry in Molecular Biology,(Work, T. S.らによる), North Holland Publishing Company, NY (1978)(具体的な記載は、Chard, T.による表題“An Introduction to Radioimmne Assay and Related Techniques”の章になされている)に見出され得、参考文献として本明細書に組み込まれる。放射性同位体は、gカウンターもしくはシンチレーションカウンターの使用などの手段によって、またはオートラジオグラフィーによって検出することができる。
【0119】
本発明による抗体を蛍光化合物で標識することも可能である。蛍光により標識された抗体を適切な波長の光に曝露すると、その存在が、蛍光によって検出され得る。中でも、最も一般的に使用される蛍光標識化合物は、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、ピコシアニン、アロピコシアニン、o−フタルアルデヒドおよびフルオレサミンである。
【0120】
抗体はまた、152Eなどの蛍光発光性金属、またはランタノイド系の他のものを用いて検出可能に標識することもできる。これらの金属は、ジエチレントリアミン五酢酸(ETPA)などの金属キレート化基を用いて抗体に結合させることができる。
【0121】
抗体はまた、化学発光化合物に結合させることによって検出可能に標識することもできる。次いで、化学発光タグ化抗体の存在を、化学的反応の過程で生じる発光の存在を検出することによって調べる。特に有用な化学発光標識化合物の例は、ルミノール、イソルミノール、セロマティックアクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩およびシュウ酸エステルである。
【0122】
同様に、生物発光化合物も、本発明の抗体を標識するために使用され得る。生物発光は、触媒性タンパク質が化学発光反応の効率を増大させる生物学的な系において見られる化学発光の1種である。生物発光タンパク質の存在は、発光の存在を検出することによって調べる。標識の目的に重要な生物発光化合物は、ルシフェリン、ルシフェラーゼおよびエクオリンである。
【0123】
本発明の抗体分子は、イムノメトリックアッセイ(「2部位」または「サンドイッチ」アッセイとしても知られる)における利用に適合したものであり得る。典型的なイムノメトリックアッセイにおいて、ある量の非標識抗体(または抗体の断片)を固体支持体または担体に結合させ、ある量の検出可能に標識された可溶性抗体を添加し、固相抗体、抗原および標識抗体間で形成される三元複合体の検出および/または定量を可能にする。
【0124】
典型的かつ好ましいイムノメトリックアッセイとしては、「フォワード」アッセイ(これは、固相に結合した抗体をまず試験対象試料と接触させ、抗原を試料から二元固相抗体−抗原複合体の形成によって抽出する)が挙げられる。適当なインキュベーション期間の後、固体支持体または担体を洗浄し、未反応抗原(あれば)を含む液体サンプルの残渣を除去し、次いで、未知量の標識抗体(これは「レポーター分子」としての機能を果たす)を含む溶液と接触される。標識抗体が、非標識抗体により固体支持体または担体に結合した抗原と複合体形成するのを可能にするための第2のインキュベーション期間後、固体支持体または担体に2回目の洗浄を行ない、未反応標識抗体を除去する。
【0125】
別の型の「サンドイッチ」アッセイ(これもまた本発明の抗原について有用であり得る)において、いわゆる「同時」および「逆」アッセイが使用される。同時アッセイは、固体支持体または担体に結合した抗体および標識抗体の両方が試験対象試料に同時に添加されるため、単一のインキュベーション工程を伴う。インキュベーションが完了した後、固体支持体または担体を洗浄し、液体サンプルの残渣および非複合体化標識抗体を除去する。次いで、固体支持体または担体に結合した標識抗体の存在を、慣用的な「フォワード」サンドイッチアッセイのようにして、調べる。
【0126】
「逆」アッセイでは、まず標識抗体の溶液の液体サンプルへの添加、続いて、適当なインキュベーション期間後での固体支持体または担体に結合した非標識抗体の添加の段階的添加を用いる。第2のインキュベーション後、固相を慣用的な様式で洗浄し、試験対象試料の残余および未反応標識抗体溶液を除く。次いで、固体支持体または担体に結合した標識抗体の測定を、「同時」および「フォワード」アッセイのようにして調べる。
【0127】
RIAやELISAなどのイムノアッセイの創造は、多くの文献や教科書、およびその他の刊行物に記載されている。参考文献は、国際公開第97/03998号パンフレットの48頁4行〜52頁27行に述べられている。本発明のイムノアッセイは、2つの一般型とするならば、第1は、固定化されたSIVA3ポリペプチドまたはその等価ペプチドを用いるイムノアッセイがSIVA3の定量化に使用され得る。第2は、SIVA3ポリペプチドのエピトープに対する固定化された抗体を用いるイムノアッセイがSIVA3ポリペプチドの定量に使用され得る。
【0128】
そのようなアッセイは、アポトーシスおよび/または免疫に関する経路に関与するSIVA3および他のポリペプチドのレベルが、そのような経路の関与の可能性がある多くの疾患、障害または症状において評価されることを必要とする場合、診断における使用を見出し得る。
【0129】
用語、タンパク質およびポリペプチドは本明細書において互換性がある。
【0130】
本発明はまた、対象における増殖性障害または免疫障害などの疾患の診断方法であって、(a)対象由来の生物学的サンプルを得ること;および(b)健常な対象におけるレベルと比較した該サンプル中のSIVA3の変化したレベルを検出することを含み、該変化したレベルが、該疾患の診断である方法における、本発明の以下の薬剤、たとえばSIVA3ポリペプチドまたはその塩;ポリヌクレオチド配列;ベクター;本発明の宿主細胞;および/または抗体の使用を提供する。
【0131】
同様のアッセイが、患者における増殖性障害または免疫障害のための特定の療法の有効性のフォローアップのために使用することができる。したがって、患者における増殖性障害または免疫障害のための治療のフォローアップのための方法であって、(a)対象由来の生物学的サンプルを得ること;および(b)健常な対象におけるレベルと比較した該サンプル中のSIVA3のレベル、または治療前、治療中または治療後の患者のSIVA3のレベルを検出することを含み、該レベルが健常者に近接している、または治療後または治療中の患者におけるより正常なレベルへの変化が患者における治療の有効性の指標となる方法において、SIVA3ポリペプチドまたはその塩;ポリヌクレオチド配列;ベクター;本発明の宿主細胞;および/または抗体を使用することができる。
【0132】
SIVA3のNIKに対する効果は、いくつかの結果を招く。第1はNIK活性の分解である。これは本明細書中で、過剰発現されたSIVA3はNIKの分解を誘導するという細胞に基づくアッセイにおいて証明されている。第2はNF−κBの阻害である。これは、本明細書中で、過剰発現されたSIVA3が、NIKの過剰発現により誘導されるNF−κB活性化を減少させる細胞に基づくアッセイにおいて証明されている。結論として、SIVA3ポリペプチド、抗体または核酸分子、または本発明のベクター、SIVA3モジュレーティング化合物または宿主細胞は、たとえば不適切なNIK介在活性またはNIK介在NF−κB活性により特徴付けられる疾患、障害または症状(たとえば、発達障害、細胞増殖性障害および免疫性障害など)におけるNIKおよびNF−κBの活性のモジュレーティングにおいて有用である。本発明の1つの実施態様において、疾患、障害または症状は、増加されたNIKおよびNFκB活性により介在される宿主免疫の増加、炎症性応答および/または細胞増殖の増加に特徴付けられ、ゆえにSIVA3ポリペプチドまたは任意の他のアゴニストは、該疾患、障害または症状の治療に使用され得る。別の実施態様では、疾患、障害または症状は、減少されたNIKおよびNFκB活性により介在される宿主免疫応答および/または細胞増殖の減少により特徴付けられ、ゆえに、たとえば特異的siRNA、shRNA,リボザイム、抗体または任意の他のアンタゴニストによるSIVA3ポリペプチドのサイレンシングを使用することができる。
【0133】
したがって、SIVAポリペプチド、抗体または核酸分子、SIVA3モジュレーティング化合物、本発明のベクターまたは宿主細胞は、SIVA3のレベルまたは活性に関連する状況の療法(予防または治療)または診断において使用することができる。このような状況には、発達障害;たとえば癌、黒色腫、肉腫、腎腫瘍、結腸腫瘍などの腫瘍性疾患などの細胞増殖性障害;遺伝性障害;神経系障害;代謝異常;感染症および他の病的症状;変形性関節症、自己免疫疾患、リウマチ性関節症、乾癬、全身性多発性硬化症、およびエリテマトーデスなどの免疫障害;糸球体腎炎、アレルギー、鼻炎、結膜炎、ブドウ膜炎、消化系炎症、クローン病および潰瘍性大腸炎などの炎症性大腸炎、重症筋無力症、膵炎、敗血症、内毒素性ショック、悪液質、筋肉痛、強直性脊椎炎、喘息、気道炎症などの炎症性障害;創傷治癒;皮膚病;老化;ならびに、原虫(plasmodium)、細菌感染症およびウイルス感染症などの感染症がある。したがって、SIVAポリペプチドまたは核酸分子、または本発明のベクターまたは宿主細胞、またはSIVA3結合化合物は、そのような状況の治療のための医薬の製造において使用することができる。
【0134】
本発明の1つの実施態様において、SIVA3の減少、NIK活性および/またはNF−κB活性の増加が関係する、原発腫瘍および転移の両方を含む悪性腫瘍などの疾患、障害または症状は、NIKの活性および/またはNF−κB活性をダウンレギュレーション/阻害できる本発明のポリペプチドを投与することにより治療され得る。
【0135】
本発明の別の実施態様において、SIVA3の減少、NIK活性および/またはNF−κB活性の増加が関係する、炎症性疾患、障害または症状などの疾患、障害または症状は、NIKの活性および/またはNF−κB活性をダウンレギュレーション/阻害できる本発明のポリペプチドを投与することにより治療され得る。
【0136】
本発明は、細胞におけるSIVA3レベルまたは活性を変化させるため、そしてSIVA3が、直接的またはこの経路の他のモジュレータ/メディエータを介して間接的に関与する炎症、細胞死または細胞生存経路に対する細胞内効果をモジュレート/媒介するための、SIVA3モジュレーティング化合物、本発明のベクターまたは宿主細胞およびSIVA3の活性またはレベルを変えることができる他の化合物の使用を提供する。その使用は、該細胞を1つ以上の以下の分子:SIVA3ポリペプチド、SIVA3特異的抗体または核酸分子、SIVA3モジュレーティング化合物、SIVA3コーディングベクター、およびSIVA3の活性またはレベルを変えることができる化合物で治療することを含み、該細胞の治療は、該細胞内にその1つ以上の分子を導入することを含む。本発明の1つの実施態様において、本発明のSIVA3ポリヌクレオチドは、該ポリヌクレオチドの宿主細胞への挿入を、該配列が該細胞において発現されるようにできる好適なベクターに担持される。そのベクターは、治療されるべき細胞の表面上の特定の細胞表面レセプターに結合する能力があるウイルス表面タンパク質(リガンド)をコードする配列および該細胞において発現されるとSIVA3の活性を変える能力がある本発明のポリペプチドをコードする第2配列も担持するウイルスベクターであってよい。
【0137】
細胞中のSIVA3レベルおよび活性をSIVA3ポリペプチド、抗体または核酸分子、SIVA3モジュレーティング化合物、本発明のベクターまたは宿主細胞を用いて変えることは、該細胞をSIVA3ポリペプチド、SIVA3特異的抗体または核酸分子、SIVA3モジュレーティング化合物、SIVA3コーディングベクター、SIVA3ポリペプチドを発現する細胞およびSIVA3の活性またはレベルを変えることができる化合物で治療することを含み、該治療が、それらが該細胞における細胞外表面に露出している好適な化合物の適用により実施される場合、該組成物は、細胞外適用のために製剤化され、あるいは該治療が、該細胞において細胞内法によりなされる場合、該組成物は、細胞内適用のために製剤化される。
【0138】
SIVA3ポリペプチド、SIVA3特異的抗体または核酸分子、SIVA3モジュレーティング化合物、およびSIVA3コーディングベクターは、細胞においてSIVA3により直接的または間接的にモジュレート/媒介されるプロセスをモジュレートするために使用できる。その使用は、該細胞を、SIVA3ポリペプチド、抗体または核酸分子、SIVA3モジュレーティング化合物、本発明のベクターまたは宿主細胞およびSIVA3の活性またはレベルを変えることができる他の化合物で治療することを含み、該細胞の該治療は、該細胞中にSIVA3ポリペプチド、抗体または核酸分子、SIVA3モジュレーティング化合物、本発明のベクターまたは宿主細胞およびSIVA3の活性またはレベルを変えることができる他の化合物を導入することを含む。1つの実施態様において、SIVA3により媒介/モジュレートされるモジュレーティングプロセスには、細胞におけるNIK活性およびNF−κB活性が含まれる。治療することのできる細胞の非限定的な例は、腫瘍細胞、HIV感染細胞または単核細胞の異常細胞などの他の異常細胞がある。本発明の1つの実施態様において、その腫瘍またはHIV感染細胞または他の異常細胞は、特定の腫瘍細胞表面レセプターまたはHIV感染細胞表面レセプターまたは以上単核細胞などの他の異常細胞にあるレセプターに結合することができるウイルス表面タンパク質をコードする配列と、該腫瘍細胞HIV感染細胞または他の異常細胞において発現されるとSIVA3レベルを増強させ、直接または間接的に該細胞を殺すことができるSIVA3ポリペプチドをコードする配列とを担持する組換え動物ウイルスベクターで感染される。
【0139】
SIVA3ポリペプチド、抗体または核酸分子、SIVA3結合化合物、本発明のベクターまたは宿主細胞は、重要な診断ツールとして役に立つことができる。これらのツールを用い、特にSIVA3を調べるために設計されたアッセイおよびキットが設計される。診断キットまたはアッセイにおける試薬の例としては、限定されるものではないが、SIVA3発現の検出を可能にする、SIVA3に対する抗体、SIVA3特異的プローブまたはPCRおよび配列決定プライマーなどのSIVA3ポリヌクレオチドが挙げられる。
【0140】
したがって、本発明は対象における疾患を診断するための方法および/またはキットであって、該対象由来の組織における本発明のSIVA3ポリペプチドの発現または活性のレベルを評価し、その発現または活性のレベルを対照レベルと比較することを含む方法および/またはキットを提供する。対照レベルは健常者のレベルである。その対照レベルと異なる対象におけるSIVA3ポリペプチドまたは活性のレベルが疾患の指標となる。また、本発明は、患者における疾患の治療的処置を、その治療的処置の前、後および/または中で患者由来の組織中の本発明のSIVA3ポリペプチドの発現または活性のレベルをモニターすることによりモニターする方法を提供する。治療的処置前の患者のSIVA3ポリペプチドのレベルまたは活性と異なる治療的処置後の患者におけるSIVA3ポリペプチドのレベルまたは活性が、治療の有用性の指標となる。組織におけるSIVA3ポリペプチドの発現のレベルは、後述の実施例に示すように、たとえば特異的プローブによるハイブリダイゼーション;特異的抗体;SIVA3に特異的なプライマーを用いるRT−PCRにより、測定することができる。本発明の特定の方法およびキットを用い、SIVA3は、SIVA3のレベルとヒトの疾患、障害または症状との関係を見つけるために使用され得、その後該疾患、障害または症状はSIVA3のレベルを調節することができる薬剤を投与することにより予防、治療または軽減し得る。
【0141】
さらに、本発明は、SIVA3ポリペプチド、抗体または核酸分子、SIVAモジュレーティング化合物、本発明のベクターまたは宿主細胞およびSIVA3の活性またはレベルを変えることができる他の化合物を、疾患、障害または症状の診断または治療のための医薬の製造において使用するために提供する。
【0142】
また、本発明は、患者における疾患の治療方法であって、必要とする患者に治療的に有効量のSIVA3ポリペプチド、抗体または核酸分子、SIVAモジュレーティング化合物、本発明のベクターまたは宿主細胞およびSIVA3の活性またはレベルを変えることができる他の化合物を投与することを含む方法を提供する。さらなる実施態様において、本発明は、NIKにより生じる、またはNIKと関連する疾患、障害または症状の治療および/または予防方法であって、必要とする対象に治療的に有効量のSIVA3ポリペプチド、抗体または核酸分子、SIVA結合化合物、本発明のベクターまたは宿主細胞およびSIVA3の活性またはレベルを変えることができる他の化合物を投与することを含む方法に関する。SIVA3の活性またはレベルを変えることは、SIVA3の活性またはレベルを増加させることまたは減少させることである。
【0143】
SIVA3ポリペプチドまたは核酸分子、またはベクターまたは宿主細胞、またはSIVA3ポリペプチドのレベルまたは活性を増加させることができる本発明の化合物などのSIVA3のアゴニストは、たとえば、SIVA3をコードする天然の遺伝子の発現が、またはSIVA3ポリペプチドの活性が、健常患者における発現または活性のレベルと比較した場合、異常患者においてより低い疾患、障害または症状において使用され得る。対して、アンチセンス核酸分子、siRNA、リボザイムおよびリガンドなどの、抗体およびSIVA3結合タンパク質などのSIVA3のアンタゴニストは、SIVA3をコードする天然の遺伝子の発現が、またはSIVA3ポリペプチドの活性が、健常患者における発現または活性のレベルと比較した場合、異常患者においてより高い疾患、障害または症状において使用され得る。
【0144】
1つの態様において、本発明は、SIVA3をコードする天然の遺伝子の発現が、またはSIVA3ポリペプチドの活性が、健常患者における発現または活性のレベルと比較した場合、異常患者においてより低く、またはNIKまたはNFκBの活性が健常患者における発現または活性のレベルと比較した場合、異常患者においてより高い疾患の治療のための遺伝子治療の方法であって、SIVAポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを使用することにより、または「内因性遺伝子活性化」(EGA)により、必要とするヒト患者の所望の部位にSIVA3またはムテイン、断片の発現を誘導することを含む方法を提供する。内因性遺伝子活性化は、国際公開第91/09955号パンフレットに記載されている。
【0145】
別の態様において、本発明は、SIVA3をコードする天然の遺伝子の発現が、またはSIVA3ポリペプチドの活性が、健常患者における発現または活性のレベルと比較した場合、異常患者においてより高い、またはNIKまたはNFκBの活性が健常患者における発現または活性のレベルと比較した場合、異常患者においてより低い疾患のための遺伝子治療の方法であって、異常細胞に特異的siRNA、shRNA、リボザイム、SIVA3に対する細胞内発現抗体すなわちイントラボディ、またはSIVA3の他のアンタゴニストを導入することを含む方法を提供する。
【0146】
当業者は、SIVA3発現のダウンレギュレーションまたは抑制を細胞内で導く特異的サイレンシングsiRNA、shRNA、リボザイムなどの負の調節エレメントを導入することにより、疾患を予防および/または治療するためにSIVA3発現を停止することが可能であるということを理解するであろう。当業者は、このようなSIVA3発現のダウンレギュレーションまたはサイレンシングがSIVA3阻害剤またはアンタゴニストの使用と同じ効果を招くことを理解するであろう。
【0147】
これらのツールのいくつかの、治療にまたは診断にまたは調査に関連した使用は、生きている生物の細胞中へのそれらの導入を余儀なくさせる。この目的のために、ペプチド、タンパク質およびオリゴヌクレオチドの膜透過性を改善することが望まれる。新油性構造との誘導体化は、増強された膜透過性を有するペプチドおよびタンパク質の作製に使用され得る。たとえば、前述のように既知の膜向性ペプチドの配列が、ペプチドまたはタンパク質の配列に追加され得る。さらに、ペプチドまたはタンパク質は、少なくとも1つの極性または荷電された基で置換されている、前記炭化水素鎖などの部分的に新油性の構造により誘導体化され得る。たとえば、ペプチドのラウロイル誘導体は、Muranishiら1991年に説明されている。ペプチドおよびタンパク質のさらなる修飾には、Zachariaら1991年により説明されているように、スルホキシド基を作り出すメチオニン残基の酸化が含まれる。Zachariaおよび共同研究者らは、比較的疎水性のペプチド結合がそのケトメチレンイソエステル(COCH2)に置き換えられたペプチドまたは誘導体も記載している。これらの修飾そしてタンパク質およびペプチド化学の分野において当業者に知られた他の修飾が、膜透過性を向上させる。
【0148】
膜透過性を向上させる別の方法には、ペプチドまたはタンパク質の細胞取り込みを誘導するために細胞表面上のウイルスレセプターなどのレセプターの使用がある。この機序は、ウイルスにより頻繁に使用され、特定の細胞表面分子に特異的に結合する。結合すると、細胞はウイルスをその内部に取り込む。細胞表面分子は、ウイルスレセプターと呼ばれる。たとえば、インテグリン分子CARおよびAdVは、アデノウイルスに対するウイルスレセプターとして記載されている、Hemmiら1998年およびその参考文献参照。CD4、GPR11、GPR15およびSTRL33分子は、HIVに対するレセプター/コレセプターとして同定されている、Edingerら、1998年およびその参考文献参照。
【0149】
したがって、細胞表面レセプターに結合することが知られている分子へ、ペプチド、タンパク質またはオリゴヌクレオチドをコンジュゲートすることは、該ペプチド、タンパク質またはオリゴヌクレオチドの膜透過性を向上させる。コンジュゲートを形成するための好適な群の例は、糖、ビタミン、ホルモン、サイトカイン、トランスフェリン、アシアロ糖タンパク質などの分子である。Lowら(米国特許第5,108,921号明細書)は、ペプチド、タンパク質およびオリゴヌクレオチドの膜透過性を向上させる目的でのこれらの分子の使用とそのコンジュゲートの製造方法を記載している。
【0150】
Lowおよび共同研究者は、さらに葉酸またはビオチンなどの分子がそのコンジュゲートを生物における多数の細胞への標的とするために使用することができる。これは、これらの分子のレセプターが豊富にかつ非特異的に発現しているためである。
【0151】
本発明のペプチド、タンパク質またはオリゴヌクレオチドの膜透過性を向上させるための非細胞表面タンパク質の前記使用は、本発明の該ペプチド、タンパク質またはオリゴヌクレオチドを特定の種類の細胞または組織に標的化するのにも使用され得る。たとえば、癌細胞を標的化したい場合、それらの細胞の表面により豊富に発現される細胞表面タンパク質を使用することが好ましい。そのような例としては、葉酸レセプター、ムチン抗原MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、MUC5AC、MUC5BおよびMUC7、糖タンパク質抗原KSA、癌胎児性抗原、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、HER−2/neu、およびヒト絨毛性ゴナドトロピン−ベータがある。前記Wangら、1998年には、癌細胞を標的化するための葉酸の使用が教示されており、そしてZhangら、1998年には、様々な種類の癌および正常細胞において前述の他の各抗原の相対存在量が記載されている。
【0152】
本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドまたは化合物は、したがって、前記コンジュゲーション技術を用い、要望通りに特定の細胞種に標的化され得る。たとえば、リンパ球系統の細胞においてNIKを阻害したい場合、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドまたは化合物が、たとえばこれらの細胞上に発現されるMHCクラスII分子を用いることによってそのような細胞を標的とし得る。これは、前記MHCクラスII分子の定常領域に対する抗体またはその抗原結合部位を本発明のタンパク質またはペプチドとカップリングさせることにより達成される。さらに、様々なサイトカインに対する多数の細胞表面レセプターおよび他の細胞コミュニケーション分子が記載されており、これらの分子の多くは、多かれ少なかれ組織または細胞の種類に制限された様式で発現される。したがって、T細胞のサブグループを標的化したい場合、CD4 T細胞表面分子を本発明のコンジュゲートの生産に使用してもよい。CD4−結合分子はHIVウイルスにより提供され、その表面抗原gp42はCD4分子に特異的に結合することができる。
【0153】
1つの実施態様において、ペプチドおよびポリヌクレオチドは、ウイルスベクターを使用することにより細胞に導入し得る。この目的のためのワクシニアベクターの使用は、Current Protocols in Molecular Biologyの第16章に詳しく述べられている。アデノウイルスベクターの使用は、たとえばTeohら(Blood. 1998 Dec 15;92(12):4591-601)、Narumiら、1998年(Blood. 1998 Aug 1;92(3):822-33およびAm J Respir Cell Mol Biol. 1998 Dec;19(6):936-41)、Pedersonら、1998年(J Gastrointest Surg. 1998 May-Jun;2(3):283-91)、Guang-Linら、1998年(Transplant Proc. 1998 Nov;30(7):2923-4)およびそのなかの参考文献、Nishidaら、1998年(Spine. 1998 Nov 15;23(22):2437-42)、Schwarzenbergerら、1998年(J Immunol. 1998 Dec 1;161(11):6383-9)、ならびにCaoら、1998年(Gene Ther.1998 Aug;5(8):1130-6)により説明されている。アンチセンス配列のレトロウイルス導入は、Danielら、1998年(J Biomed Sci.1998 Sep-Oct;5(5):383-94)により説明されている。
【0154】
ベクターとしてウイルスを使用する場合、ウイルス表面タンパク質が通常そのウイルスの標的化に使用される。上記のアデノウイルスなどの多くのウイルスはその向細胞性がかなり非特異的であるため、細胞型または組織特異的プロモーターを使用することによりさらに特異性を与えることが望ましい。Griscelliら、1998年は、導入がアデノウイルスにより媒介される遺伝子の心臓特異的標的化のための心室特異的心臓ミオシン軽鎖2プロモーターを教示している。
【0155】
あるいは、ウイルスベクターは、その表面に付加的タンパク質を発現するように設計されてもよく、またはウイルスベクターの表面タンパク質は所望のペプチド配列を組み込むように変更してもよい。したがって、ウイルスベクターは、該ウイルスベクターを標的化するために使用され得る1つ以上の付加的なエピトープを発現するように設計されていても良い。たとえば、サイトカインエピトープ、MHCクラスII−結合ペプチド、またはホーミング分子由来のエピトープは、本発明の教示に従い、ウイルスベクターを標的化するために使用することができる。
【0156】
さらなる態様において、本発明は、SIVA3ポリペプチド、抗体または核酸分子、SIVA3結合化合物、本発明のベクター、または宿主細胞およびSIVA3の活性またはレベルを変えることができる他の化合物および薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物を提供する。
【0157】
本発明の医薬組成物は、意図する目的を達成するために、治療的に有効量の本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、SIVA3結合化合物を含む。さらに、医薬組成物は、本技術分野において周知なように、活性化合物の製剤への処理を促進し、この製剤を安定化できる薬学的に許容され得る界面活性剤、賦形剤、担体、希釈剤およびビヒクルなどの賦形剤および助剤を含む適切な薬学的に許容され得る担体を含んでもよい。
【0158】
本発明の組成物は、多種多様な方法で患者に投与することができる。肝臓内、皮内、経皮(たとえば徐放製剤などで)、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、経口、硬膜外、局所および鼻腔内投与などの任意の好適な投与経路が本発明により予想されるが、これらに限定されるものではない。組成物は、他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与することもできる。
【0159】
「薬学的に許容され得る」との定義は、活性成分の生物学的活性の有効性を妨害せず、かつ投与される宿主に対して毒性がない、あらゆる担体を包含することを意味する。たとえば、非経口投与については、本発明の物質は、生理食塩水、デキストロース溶液、血清アルブミンおよびリンガー溶液などのビヒクル中で注射用単位剤形に製剤され得る。
【0160】
「治療的に有効量」とは、その量が投与されると、本発明の物質が治療に有益な効果を誘導する量である。単回投与または複数回投与として個体に投与される投薬量は、投与経路、患者の状態および特徴(性別、年齢、体重、健康状態、および大きさ)、症状の範囲と重症度、併用療法、治療の頻度および所望の効果などの様々な因子によって変わり得る。確立された投与量の調整と取り扱いは、十分当業者の能力の範囲内である。
【0161】
用語「投薬量(dosage)」は、投与頻度および投与回数の決定および制御と関係する。
【0162】
本明細書において引用される、論文、要約、公開もしくは未公開特許出願、発行特許または他のあらゆる参考文献を含むすべての参考文献は、本明細書に参考文献として完全に組み込まれる。
【0163】
ここで、本発明を以下の非制限的な実施例により説明する。
【実施例】
【0164】
材料および方法
抗体:p52に対する抗体は、アップステート(Upstate)からp52およびp100の両方を認識する抗p52を購入した。抗−FLAG、抗−FLAG M2−ビーズはシグマから購入した。抗−NIKモノクローナル抗体、NIK−81は、NIKキナーゼドメイン内の配列(CRLGRGSFGEVHRMEDK−アミノ酸405〜420 配列番号7)に相当するKLH−結合ペプチドでマウスを免疫することにより作出した。抗−NIK、および抗myc(クローン−9E10)モノクローナル抗体は、それらの対応するペプチドが結合されたアフィニティーカラム上でマウスの腹水液から精製した。抗−cIAP1はR&Dシステムズから購入した。ヒトSIVA2に対するモノクローナル抗体は、細菌で産生されたGST−SIVA2により免疫することによりマウスで作出し、Trx−HIS−SIVA2でアフィニティー精製した。この抗体はSIVA1およびSIVA2の両方を認識した。
【0165】
哺乳類発現ベクター
SIVA3は、末梢血単球細胞からPCRによりクローン化された。SIVA2はESTからPCRによりクローン化された。SIVA配列は、NCBI配列 NM_021709(SIVA2)で検証した。6つのmycタグにN末端で融合した野生型NIK用のpCS3MTNIK発現ベクターは、Michael Kracht博士(ドイツ)から入手した。Flag−SIVA2、Flag−SIVA3、HIS−SIVA3およびFlag−TRAF2は、pcDNA3発現ベクター(インビトロジェン)にクローン化した。
【0166】
半定量的RT−PCRおよびリアルタイムPCR
RNAは、製造業者の取扱説明書にしたがい、RNeasy Mini Kit(キアゲン)を用いて製造された。SIVA2メッセージに対する半定量的RT−PCRは、MMLV逆転写酵素およびオリゴdTプライマー(プロメガ)でおこなった。SIVA1、SIVA2、およびSIVA3は、以下のプライマー:BamHI部位を含むセンス鎖、5'-cgcggatccaacatgcccaagcggagctgcccc-3'、およびXhoI部位を含むアンチセンス鎖5'-ccgctcgaggccagcctcaggtctcgaacatgg-3'を用いて増幅された。IL−6およびBLCメッセージの誘導は、ABI PRISM 7000配列検出システムにおいてアッセイ−オン−デマンド リアルタイムPCRにより定量された。図1AのPCR増幅用に使用されたプライマー配列は、フォワード:CGCGGATCCACCATGCCCAAGCGGAGCTGCCCC(配列番号3)、リバーズ:CCGCTCGAGGCCAGCCTCAGGTCTCGAACATGG(配列番号4)である。全長SIVA3(図1B)のPCR増幅用に使用されたプライマーは、フォワード:CGCGGATCCACCATGCCCAAGCGGAGCTGCCCC(配列番号5)、リバーズ:CCGCTCGAGAGAGGTTTATTCATTCTGTCATTAGG(配列番号6)である。フォワードプライマーは、開始コドンの前にBamHI部位を有するように設計され、そしてXhoI部位を有するリバースプライマーが設計された。フレームシフトから生じる最初の終止コドンで現実の終止コドンの下流。
【0167】
細胞
付着性細胞HEK−293TおよびHeLa(図4)は、ダルベッコ改変イーグル培地で培養した。両培養培地には、10%ウシ胎仔血清、100U/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシンを追加した。
【0168】
プラスミドトランスフェクション、イムノブロッティング、および免疫沈降:
イムノブロッティングおよび免疫沈降は、(Ramakrishnanら、2004)に記述されたように行った。
【0169】
イムノブロッティングおよび免疫沈降は、(Ramakrishnanら、2004)に記述されたように行った。通常、1.5×106細胞が10cmプレートに播種された。24時間インキュベーションした後、培養物を別々のプラスミドでトランスフェクトする一方、空のベクターを添加することによりプレートにつき15μgの総DNA濃度を維持した。
【0170】
通常、細胞は90mmプレート上に播かれ(1.5×106細胞/プレート)、リン酸カルシウム沈殿法(Sambrookら、1989)を用いて、1日後に10%FBSを有するDMEM培地10ml中にDNA総量10μgを用いてトランスフェクトされた。同時トランスフェクトについては、特段の定めがない限り、試験タンパク質をコードするプラスミドの1:1混合物を使用した。トランスフェクションの24時間後、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で1回すすぎ、1×完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(Complete Protease Inhibitor Cocktail)(ロッシュ モレキュラー バイオケミカルズ)を含む溶解緩衝液(10mM トリス−HCl(pH7.6)、250mM NaCl、1% NP−40、1mM EDTA、1mM PMSF)1ml中で溶解した。あらかじめ除去処理されたライセートを4℃で2時間、タンパク質−G−セファロースビーズ(アマシャム バイオサイエンス)にあらかじめ吸着された抗−mycまたは抗−HIS抗体2μgとインキュベートした。つぎにビーズを溶解緩衝液ですすぎ、SDS−PAGEにかけ、タンパク質をニトロセルロース膜に移し、指示抗体で調べた。抗体を西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)−結合二次抗体で、エンハンスド化学発光(ECL)ウェスタンブロッティング検出システム(アマシャム)を用いて製造者の取扱説明書にしたがい可視化した。
【0171】
細胞のライセートを調製するために、通常細胞をトランスフェクションの24時間後に回収し、ついで1%トリトンX−100溶解緩衝液[1%トリトンX−100、150mM NaCl、1mM EDTA、20mM トリス−cl(pH7.6)および1×完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(ロッシュ)]中に溶解した。全ての免疫沈降は、4℃で4時間、特異的抗体とタンパク質−G−セファロースビーズ(アマシャム バイオサイエンス)とでインキュベーションすることにより行われた。
【0172】
溶解条件は核抽出物および細胞質抽出物が分離される場所で異なる(Schreiberら、1989)。
【0173】
実施例1:SIVA3、内因性SIVAスプライス変異体の同定
末梢血単球細胞(PBMCs)におけるPCR(PCR条件:94度で3分変性、50度で1分アニーリング、72度で1分伸長、最終伸長5分、全35サイクル)によるSIVA発現の詳しい実験に際して、スプライス変異体SIVA1およびSIVA2両方の転写が見られ、その上さらに短い変異体(本明細書において「SIVA3」と名付ける)も見られた(図1A)。全長のSIVA3転写産物を増幅した(図1B)。
【0174】
SIVA3のヌクレオチド配列(配列番号1および図2)は、ワイズマン インスティチュート オブ サイエンス DNA配列決定機関(Weizmann Institute of Science DNA facility)において、pcDNAHIScベクター(インビトロジェン)にクローン化されたPCR産物を配列決定することにより同定し、SIVA3のアミノ酸配列(配列番号2および図3)は、ソフトウェアDNA striderで得られたDNA配列を翻訳することにより推定した。SIVA3配列は、SIVA2に約35%(110中39アミノ酸)同一であり、SIVA1への同一性は22%(175アミノ酸中39アミノ酸)を下回る。SIVA3転写産物は、SIVA1およびSIVA2のエクソン1および4を含むが、エクソン1とエクソン4との接合部でのフレームシフトにより、エクソン4の端部の元々の終止コドンを通過して読まれ、SIVAの3’非コード領域由来の付加的68アミノ酸を追加する結果となる。
【0175】
CNCM(Collection Nationale de Cultures de Microorganismes)でのSIVA3の受託番号は、CNCM I−3880である。
【0176】
実施例2:SIVA3はNIKの分解とNF−κB活性化の阻害を誘導する。
SIVA3の機能をさらに調べた。このために、myc−NIK発現ベクター(0.5μg)をFLAG−SIVA3発現ベクターの濃度を増加させながら(1.5μgおよび3.0μg)HeLa細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの30時間後、細胞を回収し、NIKおよびp100/p52の細胞レベルをウェスタンブロッティングにより評価した。
【0177】
図4にまとめた結果から、SIVA3レベルの増加が、NIKの分解と、p52を生成するためのp100の活性なプロセッシングの減少に反映されるようにNIKにより介在されるNF−κBの活性化の阻害とを誘導することが示される。
【0178】
次に、SIVA3がNIKと結合するかどうかを調べた。FLAG−SIVA2(8μg)またはFLAG−SIVA3(8μg)をmyc−NIK(7μg)とHEK−293T細胞に同時トランスフェクトした(1.5×106 90mmプレートに播種され、カルシウムリン酸法を用いてトランスフェクトされた)。24時間後、細胞を溶解し、NIKを抗−NIK抗体で免疫沈降し、共沈したSIVAをウェスタンブロッティングにより検出した。図5の結果は、SIVA3はNIKに結合しないことを示す。
【0179】
実施例3:SIVA3はアポトーシスタンパク質1の内因性細胞阻害剤(cIAP1)に結合する。
次に、SIVA2およびSIVA3が内因性細胞阻害剤(cIAP1)に結合できるかどうか検査した。このために、FLAG−SIVA2およびFLAG−SIVA3をHEK−293T細胞中にトランスフェクトした。24時間後、細胞溶解し、内因性cIAP1を抗−cIAP1抗体で免疫沈降し、共沈したSIVAをウェスタンブロッティングにより検出した。
図6および7にまとめた結果から、SIVA2およびSIVA3が共にcIAP1に結合することが示される。
【0180】
実施例4:SIVA3SIVA3はTRAF2に結合する。
本発明の発明者らは、SIVA2がTRAF2に結合してTRAF2のレベルを調節することを見出していた(国際公開第2007/080593)ので、SIVA3もTRAF2に結合するかどうか調べた。このために、HIS−SIVA2またはHIS−SIVA3発現プラスミドをFLAG−TRAF2とHEK−293T細胞に同時トランスフェクトした。24時間後、細胞溶解し、FLAG−TRAF2を抗−FLAG抗体で免疫沈降し、共沈したSIVAを抗HISを用いてウェスタンブロッティングにより検出した。図8および9にまとめた結果から、SIVA3がTRAF2に結合することが示される。
【0181】














【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号1記載のアミノ酸配列を含むSIVA3;またはそのムテイン;アイソフォーム;融合タンパク質;機能的誘導体;断片;活性画分;もしくは円順列変異誘導体をコードするポリヌクレオチド;(b)中程度にストリンジェントな条件下で配列番号2のヌクレオチド119〜324までの範囲のポリヌクレオチド配列またはその断片にハイブリダイズできる配列を含むポリヌクレオチド;(c)配列番号2の119〜324に含まれるポリヌクレオチド配列由来の、少なくとも10、11〜29、30〜50、および50〜199の連続したヌクレオチド、および200〜205の連続したヌクレオチドの断片を含むポリヌクレオチドから選択される単離ポリヌクレオチド。
【請求項2】
配列番号2記載の配列を含む請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
中程度にストリンジェントな条件下で配列番号2のヌクレオチド119〜324までの範囲のポリヌクレオチド配列またはその断片にハイブリダイズできる配列であって、該ポリヌクレオチドがSIVA3特異的リボザイム、アンチセンス配列、siRNA、shRNA、プローブまたはプライマーである請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
請求項1または2記載のポリヌクレオチド配列を含むベクターまたはSIVA3ポリペプチドの内因性遺伝子活性化を可能にすることができる細胞において機能的なDNA調節配列を有するベクター。
【請求項5】
請求項4記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項6】
細胞が哺乳類、昆虫および酵母細胞から選択される真核細胞である請求項5記載の宿主細胞。
【請求項7】
哺乳類細胞がHeLa、293T HEKおよびCHO細胞から選択される請求項6記載の宿主細胞。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれかに記載の宿主細胞を育成すること、および産生されたSIVA3ポリペプチドを単離することを含むSIVA3ポリペプチドの産生方法。
【請求項9】
請求項1または2記載のポリヌクレオチドにコードされるSIVA3ポリペプチドまたはその塩、配列番号1のアミノ酸40〜108由来のアミノ酸配列を含むポリペプチドと少なくとも20%、または50%、80%、90%および95%同一性を有するSIVA3ポリペプチドまたはその塩、または配列番号2記載のヌクレオチド配列によりコードされるSIVA3ポリペプチドまたはその塩。
【請求項10】
SIVA3ポリペプチドを用いて製造され、配列番号1のアミノ酸40〜108の範囲のポリペプチドを結合することができるポリクローナルまたはモノクローナル抗体、キメラ抗体、完全ヒト化抗体、抗−抗Id抗体、またはその断片。
【請求項11】
トランスジェニック動物の作出および該動物の体液から産生されたタンパク質を単離することを含むSIVA3ポリペプチドの産生方法。
【請求項12】
発達障害;黒色腫、肉腫、腎腫瘍、結腸腫瘍のような腫瘍性疾患などの細胞増殖性障害;遺伝性障害;神経系障害;代謝異常;感染症および他の病的症状;変形性関節炎、自己免疫疾患、自己免疫性心筋炎I、リウマチ性関節炎、乾癬、全身性多発性硬化症、およびエリテマトーデスなどの免疫性障害;糸球体腎炎、鼻炎、HCV介在慢性肝炎、A型胃炎などの慢性胃炎、混合性結合組織疾患(MCTD)、結膜炎、ブドウ膜炎、糖尿病、消化器系炎症、自己免疫性ブドウ膜網膜炎、原発性オリゴデンドログリオパチーを伴う多発性硬化症、クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性大腸炎、重症筋無力症、髄炎、敗血症、内毒素性ショック、悪液質、筋肉痛、強直性脊椎炎、喘息、気道炎症などの炎症性疾患;創傷治癒;皮膚疾患;老化;原虫感染、細菌感染およびウイルス感染などの感染症から選択される疾患、障害または症状の治療のための医薬の製造における、請求項9〜11のいずれかに記載のSIVA3ポリペプチドまたはその塩;請求項1〜3のいずれかに記載のポリヌクレオチド配列;請求項4記載のベクター;請求項5〜7のいずれかに記載の宿主細胞;および/または請求項12または13記載の抗体の使用。
【請求項13】
疾患、障害または症状が、細胞における不適切なNF−κB誘導キナーゼ(NIK)介在活性により特徴付けられる請求項12記載の使用。
【請求項14】
疾患、障害または症状が、細胞における不適切なNIK−介在NF−κB活性により特徴付けられる請求項13記載の使用。
【請求項15】
疾患、障害または症状が、宿主免疫、免疫応答および/または細胞増殖の増加により特徴付けられる請求項13または14記載の使用。
【請求項16】
疾患、障害または症状が、宿主免疫応答および/または細胞増殖の減少により特徴付けられる請求項13または14記載の使用。
【請求項17】
生物学的サンプルにおけるSIVA3ポリペプチド発現の検出方法;SIVA3のアゴニストおよびアンタゴニストをスクリーニングする方法;SIVA3のレベルと関連した疾患の診断方法、SIVA3のレベルと関連した治療をフォローアップするための方法および/またはSIVA3のレベルと関連した疾患、障害または症状を同定するための方法の開発における、請求項9〜11のいずれかに記載のSIVA3ポリペプチドまたはその塩;請求項1〜3のいずれかに記載のポリヌクレオチド配列;請求項4記載のベクター;請求項5〜7のいずれかに記載の宿主細胞;および/または請求項12または13記載の抗体の使用。
【請求項18】
前記方法が、体液、細胞抽出物およびDNA発現ライブラリから選択されたサンプルからSIVA3を結合する、SIVA3のアゴニストおよびアンタゴニストをスクリーニングするためのものであり、SIVA3を請求項12または13記載の抗体で免疫沈降すること、および共沈したタンパク質を同定すること、または酵母ツーハイブリット法においてプレイもしくはベイトとしてSIVA3を用い、SIVA3結合タンパク質をクローニングすることを含む請求項17記載の使用。
【請求項19】
対象における増殖性障害または免疫障害の診断方法における請求項17記載の使用であって、(a)対象由来の生物学的サンプルを得ること;および(b)健常な対象におけるレベルと比較した該サンプル中のSIVA3の変化したレベルを検出することを含み、該変化したレベルが、対象における増殖性障害または免疫障害の診断である使用。
【請求項20】
患者における増殖性障害または免疫障害のための治療のフォローアップ方法における請求17記載の使用であって、(a)治療を受ける前後の患者由来の生物学的サンプルを得ること;および(b)治療中または治療後の患者のサンプルにおけるSIVA3のレベルを検出すること、および(c)治療の前後の患者におけるSIVA3のレベルを比較することを含み、治療後のSIVA3のレベルの変化が患者における治療の有効性の指標となる使用。
【請求項21】
薬学的に許容され得る担体および請求項9〜11のいずれかに記載のSIVA3ポリペプチドまたはその塩;請求項1〜3のいずれかに記載のポリヌクレオチド配列;請求項4記載のベクター;請求項5〜7のいずれかに記載の宿主細胞;および/または請求項12または13記載の抗体を含む医薬組成物。
【請求項22】
SIVA3に拮抗するペプチドまたは低分子またはSIVA3作動性のペプチドまたは低分子をスクリーニングする方法であって、SIVA3介在NIK分解、NIK介在NF−κB活性化;およびSIVA3ポリペプチドとアポトーシスタンパク質1の細胞阻害剤(cIAP1)またはTNF−レセプター関連アダプタタンパク質2(TRAF2)との相互作用を阻害することができる分子をスクリーニングし選択することを含む方法。
【請求項23】
必要とするヒト患者の所望の部位でSIVA3ポリペプチドの発現を誘導することを含む、免疫疾患または癌を治療するための遺伝子治療方法。
【請求項24】
CNCMに受託番号I−3880で寄託されたSIVA3のDNA配列を有するクローン。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−517280(P2011−517280A)
【公表日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545609(P2010−545609)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【国際出願番号】PCT/IL2009/000151
【国際公開番号】WO2009/098700
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ウィンドウズ
【出願人】(500018608)イエダ リサーチ アンド ディベロップメント カンパニー リミテッド (35)
【Fターム(参考)】