説明

SLA契約支援方法及びシステム

【課題】 IaaS事業者とSaaS事業者、SaaS事業者と利用者、IaaS事業者と利用者がそれぞれ締結するSLAについて、偏った利害関係のない、適切なSLA契約の締結を支援することができるようにすること。
【解決手段】
IaaS事業者とSaaS事業者、SaaS事業者と利用者、IaaS事業者と利用者との間でSLA契約についてのひな形を用意し、このひな形を利用者に提示し、利用者からひな形に対する所望の契約内容を受付け、その受付けた契約内容について各事業者から合意したか否かを受付け、合意した項目についてデータベースに格納するという手順により、SLA契約を支援する構成にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の事業者が利用者に提供するコンピュータを利用したサービスに関するSLA(Service Level Agreement)契約を支援する方法及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
SLA契約とは、複数の事業者が利用者に提供するサービスの内容や範囲、前提事項を踏まえたうえで「サービス品質に対する利用者側の要求水準と提供者側の運営ルールについて明文化したもの」である。サービス利用契約を締結する際に、サービス提供者とサービスの利用者(以下、利用者)の合意の結果として、契約文書の一部もしくは独立した紙の文書として締結されるケースが多い。
【0003】
最近、アウトソーシングの導入支援装置として、サービスの運用要件についてアドバイスをするコンサルティングのための情報入力と、実際にユーザが希望するシステムを運用するための情報入力と、サービス品質を定量的に規定するSLAを取り決めるための情報入力とを同時に入力できる画面を表示するシステムが公開されている。
【0004】
図13は、このアウトソーシングの導入支援装置の概要を示すブロック構成図であり、締結するSLAの入力や表示のためのユーザ端末1、締結するSLAを支援するコンサル・運用・SLAサーバ10、提供するサービスの運用条件をアドバイスするためのコンサルデータベース20、サービスの品質を定量的に記述した運用SLAデータベース30、顧客情報を格納する顧客情報データベースとから構成されている。
このような構成のアウトソーシングの導入支援装置は、ユーザ端末1からのネットワークを介したアクセスに対し、該ユーザ端末1に、アウトソーシングを行なう上で運用要件についてアドバイスをするコンサルティングのための情報入力と、実際にユーザが希望するシステムを選択する運用のための情報入力と、サービス品質を定量的に規定するSLAを取り決めるための情報入力とを同時に入力できる画面を表示するようにしたことを特徴とする。
本発明に関連する先行技術文献としては下記特許文献1があげられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-185442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これまで、SLAはサーバやネットワークといったIT(Infomation Technology)基盤の運用管理のアウトソーシングにおいて利用が進んできた反面、業務用システムについては、ソフトウェア・パッケージを「製品」として利用者が購入し、自ら運用管理を行なうことが多かったこともあり、活用範囲が限られていた。
そこで、第三者のSaaS(Software as a Service)事業者がIaaS(Infrastructure as a Service)事業者と契約してハードウェア機器とネットワーク回線を使用し、そのハードウェア上でソフトウェア・パッケージの業務用システムとして運用管理を実施し、ネットワーク経由で利用者が「サービス」として購入して利用するサービス形態が出現してきた。このようなサービス形態においては、SaaS事業者はIaaS事業者とハードウェア機器とネットワーク回線を使用するSLAの契約を締結する一方で、SaaS事業者とSaaS利用者の間でSaaS事業者の提供するサービスを使用するSLA契約を締結する。
【0007】
しかしながら、SaaS事業者とIaaS事業者が締結したSLAの内容が、SaaS利用者にも暗黙的に適用されることが多い。このため、SaaS利用者がSaaS使用時に発生する一時的なSaaSが使用できない状態は、SaaS事業者のSLA違反なのか、またはIaaS事業者のSLA違反なのか分からないといった事態が生じている。
一方、SaaS事業者とIaaS事業者や、SaaS事業者と利用者のSLAに対する理解度が不十分で、三者がお互いに関連する場合の合意事項が明文化されていない場合や、明文化されていても、利用者は締結したサービスレベル以上のサービスを要求する場合が多い。
このような過度的な状況においては、利用者の要求水準(期待)と、IaaS事業者とSaaS事業者のサービス内容(現実)について、双方の認識が異なることが往々にしておこりがちである。
その結果、利用者の過度な期待や幻滅を招くのみならず、トラブルへと発展する恐れがある。
【0008】
本発明の目的は、IaaS事業者とSaaS事業者、SaaS事業者と利用者、IaaS事業者と利用者がそれぞれ締結するSLAについて、利用者、SaaS事業者、IaaS事業者にとって、偏った利害関係のない、適切なSLA契約の締結を支援することができる方法及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る複数のサービス事業者が提供するサービスを統合したSLA契約を支援する方法は、利用者が締結するSLAの項目と、IaaSが提供するサービスに該当するSLAの項目と、SaaSが提供するサービスに該当するSLAの項目をSLA契約のひな形として統合した状態で格納したデータベースと、SLAの契約の申し込みをする利用者端末と、この利用者端末とSaaS事業者の端末及びIaaS事業者の端末との間でSLA契約に関するデータを送受するSLA契約支援サーバとを備え、当該SLA契約支援サーバがSLA契約を支援する方法であって、
前記SLA契約支援サーバが、
前記利用者端末からSLA契約の申し込みを受付け、これに応答して前記SLA契約のひな形を格納したデータベースからSaaS事業者が締結するSLAの項目と、IaaS事業者が締結するSLAの項目をそれぞれ読み出し、前記利用者端末に送信して表示させ、表示されたSLAの各項目に対し、利用者が所望する契約内容を受付ける手段と、受付けたSLAの項目の内容をSLA項目格納データベースに格納するステップと、SLA項目格納データベースに格納された内容を読み出し、SaaS事業者及びIaaS事業者の端末に送信して表示させるステップと、
前記利用者端末からのSLA契約の申し込みに対し前記SaaS事業者及びIaaS事業者が確認し合意したか否かを示すメッセージを前記SaaS事業者及びIaaS事業者の端末から受付け、SLAサービスの利用者、前記SaaS事業者及びIaaS事業者の3者が合意したSLA項目の内容をSLA合意内容データベースに格納するステップとを実行し、SLA契約を支援することを特徴とする。
また、SLAサービス監視サーバによりSLA合意内容データベースに格納されたSLA項目の合意内容を取得し、SaaS事業者及びIaaS事業者が提供するサービスの実施状況を収集し、合意したSLA項目別に達成状況をサービス利用者、SaaS事業者及びIaaS事業者の端末に送信して表示させるステップをさらに備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る複数のサービス事業者が提供するサービスを統合したSLA契約を支援するシステムは、利用者が締結するSLAの項目と、IaaSが提供するサービスに該当するSLAの項目と、SaaSが提供するサービスに該当するSLAの項目をSLA契約のひな形として統合した状態で格納したデータベースと、
SLAの契約の申し込みをする利用者端末と、この利用者端末とSaaS事業者の端末及びIaaS事業者の端末との間でSLA契約に関するデータを送受するSLA契約支援サーバとを備え、
前記SLA契約支援サーバが、
前記利用者端末からSLA契約の申し込みを受付け、これに応答して前記SLA契約のひな形を格納したデータベースからSaaS事業者が締結するSLAの項目と、IaaS事業者が締結するSLAの項目をそれぞれ読み出し、前記利用者端末に送信して表示させ、表示されたSLAの各項目に対し、利用者が所望する契約内容を受付ける手段と、受付けたSLAの項目の内容をSLA項目格納データベースに格納する手段と、SLA項目格納データベースに格納された内容を読み出し、SaaS事業者及びIaaS事業者の端末に送信して表示させる手段と、
前記利用者端末からのSLA契約の申し込みに対し前記SaaS事業者及びIaaS事業者が確認し合意したか否かを示すメッセージを前記SaaS事業者及びIaaS事業者の端末から受付け、SLAサービスの利用者、前記SaaS事業者及びIaaS事業者の3者が合意したSLA項目の内容をSLA合意内容データベースに格納する手段とを備えることを特徴とする。
また、前記SLA合意内容データベースに格納されたSLA項目の合意内容を取得し、SaaS事業者及びIaaS事業者が提供するサービスの実施状況を収集し、合意したSLA項目別に達成状況をサービス利用者、SaaS事業者及びIaaS事業者の端末に送信して表示させるSLAサービス監視サーバをさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、IaaS事業者とSaaS事業者、SaaS事業者と利用者、IaaS事業者と利用者との間でSLA契約についてのひな形を用意し、このひな形を利用者に提示し、利用者からひな形に対する所望の契約内容を受付け、その受付けた契約内容について各事業者から合意したか否かを受付け、合意した項目についてデータベースに格納するという手順により、SLA契約を支援するという仕組みをとっているため、いずれかの事業者に利害が偏った契約が締結されたりするという弊害を防止することができる。
また、契約内容が実施されているかを監視サーバにより監視し、その監視結果を各事業者および利用者に送信して表示することにより、サービスが適切に実施されているかを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態例を示すシステム構成図である。
【図2】SLAひな形項目のデータ構成図である。
【図3】SLA合意項目のデータ構成図である。
【図4】SLA計測値のデータ構成図である。
【図5】サービス利用者が事業者と交わすSLA契約を申し込む流れ図である。
【図6】サービス利用者が依頼したSLA契約に事業者が回答する流れ図である。
【図7】サービス利用者が事業者と交わしたSLA契約の内容を確認する流れ図である。
【図8】SLA監視対象物を監視するための流れ図である。
【図9】SLA監視状況を表示するための流れ図である。
【図10】サービス利用者が事業者とSLAを契約するための入力画面を示す図である。
【図11】事業者がサービス利用者とSLAを契約するための入力画面を示す図である。
【図12】SLA達成状況を表示する画面を示す図である。
【図13】従来におけるアウトソーシング導入支援装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態を示すシステム構成図である。
この実施形態の複数のサービスを統合したSLA契約を支援するシステムは、SLAを締結する際のひな形となる項目を格納したSLA項目ひな形データベース11を備えたSLA生成サーバ12と、SLAの契約の申し込みをする利用者端末13、利用者のSLA契約の申し込み内容に対し該当するSLA項目のサービスを提供するSaaS事業者14、利用者のSLA契約の申し込み内容に対し該当するSLAの項目のサービスを提供するIaaS事業者15、利用者と事業者が合意して締結したSLAの項目を格納するSLA項目格納データベース16、SLA項目の設定値に対する達成状況を測定するSLA監視対象サーバ17、サービス利用者の端末18、SLA監視対象サーバとサービス利用者の端末に配備され、SLA達成状況を測定するSLA監視部171、181、SLA監視部が測定したデータを受け取るSLA監視サーバ19、SLA監視サーバが受け取った測定データを保存する収集データ格納データベース20、SLAの達成状況を表示するサービス利用者端末18、SaaS事業者端末21、およびIaaS事業者端末22から構成されている。
【0014】
SLA項目ひな形データベース11には、サービス利用者13がSaaS事業者14およびIaaS事業者15と交わすSLA契約のSLA項目の項目名や、候補値が登録されており、例えばオンライン応答時間は3秒以内もしくは5秒以内といった内容が格納されている。
SLA項目格納データベース16には、SLA項目ひな形データベース11に格納された内容を基にサービス利用者13がSaaS事業者14およびIaaS事業者15と合意したSLA契約のSLA項目の項目名と、項目値が格納されており、例えばオンライン応答時間は3秒以内といった内容が格納されている。
収集データ格納データベース20には、サービス利用者13がSaaS事業者14およびIaaS事業者15と合意したSLA契約のSLA項目のサービスに対する実施状況の測定値が格納されており、例えば、ある時刻に計測したオンライン応答時間は1.8秒といった内容が格納されている。
【0015】
SLA項目ひな形データベース11に格納されるSLA項目と項目値は、図2に示すように、SLA項目21、利用者が設定できる値の内容22と、SaaS事業者14やIaaS事業者15、もしくは双方が合意する対象か対象ではないかを定義するデータ23、24で構成されており、予めデータベース11に格納しておく。ここで例えば、SLA項目として「オンライン応答時間」、候補値として「3秒」、および「5秒」が格納されており、図10の画面を表示するための入力となる。
SLA項目格納データベース16に格納されるSLA項目と項目値は、図3に示すように、図10の画面でサービス利用者13がSLA契約申し込み時に入力したSLAの項目の値と、SaaS事業者14やIaaS事業者15、もしくは双方が合意した内容が格納されるSLA項目格納データベース16のデータ構成図で、サービス利用者13がSLA項目に設定した値32と、SaaS事業者14やIaaS事業者15、もしくは双方が合意したかどうか33,34とを格納する。ここで例えば、SLA項目として「オンライン応答時間」、サービス利用者が設定した値として「3秒」、合意する事業者として「SaaS事業者」、事業者の合意結果として「合意済」が格納される。
【0016】
収集データ格納データベース20に格納されるSLA項目と測定値は、図4に示すように、図2でサービス利用者13がSLA契約申し込み時に入力したSLA項目に対する測定値43と収集時刻42とが格納される。ここで例えば、ある時刻に計測したオンライン応答時間は1.8秒といった内容が格納されている。
【0017】
図5は図1のシステム構成図に従い、サービス利用者13がSaaS事業者14およびIaaS事業者15と交わすSLA契約を申し込む際の処理を示す流れ図である。
利用者13がWebブラウザでSLAサーバ12にアクセス(ステップ511)すると、SLA生成サーバ12はSLA項目ひな形データベース11からSLA項目を抽出(ステップ521)し、SLA項目を利用者端末に送信する(ステップ522)。
利用者端末は、WebブラウザにSLA項目のひな形を表示する(ステップ512)。
利用者13は表示されたSLA項目に対し所望の値を設定(ステップ513)した後、SLA項目値の設定が終了したことをSLA生成サーバ12に通知(ステップ514)する。すると、SLA生成サーバ12は利用者から受付けたSLA項目の値をSLA項目格納データベース16に格納する(ステップ523)。
【0018】
図6は、サービス利用者13が申し込んだSLAの項目内容にSaaS事業者14およびIaaS事業者15が回答する際の処理を示す流れ図である。
SLA生成サーバ12は、SaaS事業者14に対して契約依頼メールを送信する(ステップ611)。すると、SaaS事業者14は受信した契約依頼メールを表示(ステップ621)し、当該メール内に記述されたURLでSLA生成サーバ12にアクセスする(ステップ622)。SLA生成サーバ12は契約が仕掛かりとなっているSLAの項目をSaaS事業者14の端末に送信(ステップ612)する。すると、SaaS事業者14の端末は受信したSLAの項目をWebブラウザに表示する(ステップ623)。
SaaS事業者14はSLA項目の値(内容)を確認し(ステップ624)、SLA契約項目を確認し、合意したことを通知するメッセージをSLA生成サーバ12に送信する(ステップ625)。すると、SLA生成サーバ12はSaaS事業者14の確認結果をSLA項目格納データベース16に保存する(ステップ613)。
次に、SLA生成サーバ12は、IaaS事業者15に対して契約依頼メールを送信(ステップ614)する。すると、IaaS事業者15の端末は受信メールを表示(ステップ631)し、メール内に記述されたURLでSLA生成サーバ12にアクセスする(ステップ632)。
SLA生成サーバ12は契約が仕掛かりとなっているSLAの項目をIaaS事業者15の端末に送信(ステップ615)する。すると、IaaS事業者15の端末は受信したSLAの項目をWebブラウザに表示する(ステップ633)。
IaaS事業者15はSLA項目の値(内容)を確認し(ステップ634)、SLA契約項目を確認し、合意したことを通知するメッセージをSLA生成サーバ12に送信する(ステップ635)。すると、SLA生成サーバ12はIaaS事業者15の確認結果をSLA項目格納データベース16に保存する(ステップ616)。
【0019】
図7は、利用者13がSaaS事業者14およびIaaS事業者15と合意したSLA契約の内容を確認する際の処理を示す流れ図である。
SLA生成サーバ12はSLA契約内容をPDFに変換し、デジタル署名を実施(ステップ721)し、SLA契約が完了したことを利用者13、SaaS事業者14およびIaaS事業者15のそれぞれにメール送信する(ステップ722)。すると、サービス利用者13(ステップ711)、SaaS事業者14(ステップ731)、IaaS事業者15(ステップ741)がSLA契約完了メールを受信し、SLA契約に関する一連の処理を終了する。
【0020】
図8は、SLA項目格納データベース16に格納されたSLA項目の設定値(合意内容)に対する達成状況を測定する処理を示す流れ図である。
SLA項目に対応する監視対象サーバ17内に配置されたSLA監視部171、サービス利用者端末18内に配置されたSLA監視部181、SaaS事業者端末31に配置されたSLA監視部211、IaaS事業者端末32に配置されたSLA監視部221がSLA監視サーバ19に合意したサービスに関する測定データを送信すると(ステップ911)、SLA監視サーバ19は受信した測定データを収集データ格納データベース20に格納する。
【0021】
図9は、SLAの達成状況を表示する処理を示す流れ図である。
サービス利用者13、SaaS事業者14、およびIaaS事業者15の各端末がSLA監視サーバ19にアクセスすると(ステップ911)、SLA監視サーバ19はSLA項目格納データベース16からSLA項目と設定した値を抽出すると共に(ステップ921)、収集データ格納データベース20から測定値を抽出し(ステップ922)、SLA項目と測定値、および達成状況のデータをサービス利用者13、SaaS事業者14、およびIaaS事業者15の各端末に送信(ステップ923)する。これにより、アクセスした各端末のWebブラウザには図11に示すような内容の画面が表示される。
【0022】
図10は、サービス利用者13がSaaS事業者14およびIaaS事業者15とSLAを契約する際の入力画面の例を示す図であり、SLA項目101の設定値102を選択または値を直接入力する。
【0023】
図11は、契約しようとしているSLAの項目を誰が合意するかを解決している。
図2のサービス利用者13が依頼したSLA契約にSaaS事業者14およびIaaS事業者15が回答する際の入力画面で、SaaS事業者14はサービス利用者13が設定したSLA項目111の利用者設定値112を確認のうえ、SaaS事業者合意欄113に合意を設定する。IaaS事業者15も同様にしてサービス利用者13が設定したSLA項目の利用者設定値112を確認のうえ、IaaS事業者合意欄114に合意を設定する。
【0024】
図12は、SLAの達成状況を表示する画面の例を示す図であり、SLAの可視化を解決している。この例では契約したSLA項目121、設定値122に対する測定値123、およびSLAの達成状況124を表示する。
例えば、サービス稼働率90%以上の設定値に対し、実際の測定値は100%であり、達成状況としてOKであることが表示される。
オンライン応答時間、サポート体制、サービス平均復旧時間、サービス障害通知時間、サービス障害監視間隔についても設定値と測定値が表示される。
なお、上記実施形態においてはSLA契約を特定のSaaS事業者とIaaS事業者との間で実施する構成を説明したが、サービス利用者が提示した予算などの契約条件に応じて複数のサービス提供事業者から適切な事業者を選択するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0025】
11 SLA項目ひな型データベース
12 SLA生成サーバ
13 サービス利用者
14 SaaS事業者
15 IaaS事業者
17 SLA監視対象サーバ
19 SLA監視サーバ
20 収集データ格納データベース
172 アプリケーション装置
181 利用者のSLA項目監視部
182 利用者のSLA項目表示部
211 SaaS事業者のSLA項目監視部
212 SaaS事業者SLA項目表示部
221 IaaS事業者SLA項目監視部
222 IaaS事業者SLA項目表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が締結するSLAの項目と、IaaSが提供するサービスに該当するSLAの項目と、SaaSが提供するサービスに該当するSLAの項目をSLA契約のひな形として統合した状態で格納したデータベースと、SLAの契約の申し込みをする利用者端末と、この利用者端末とSaaS事業者の端末及びIaaS事業者の端末との間でSLA契約に関するデータを送受するSLA契約支援サーバとを備え、当該SLA契約支援サーバがSLA契約を支援する方法であって、
前記SLA契約支援サーバが、
前記利用者端末からSLA契約の申し込みを受付け、これに応答して前記SLA契約のひな形を格納したデータベースからSaaS事業者が締結するSLAの項目と、IaaS事業者が締結するSLAの項目をそれぞれ読み出し、前記利用者端末に送信して表示させ、表示されたSLAの各項目に対し、利用者が所望する契約内容を受付ける手段と、受付けたSLAの項目の内容をSLA項目格納データベースに格納するステップと、SLA項目格納データベースに格納された内容を読み出し、SaaS事業者及びIaaS事業者の端末に送信して表示させるステップと、
前記利用者端末からのSLA契約の申し込みに対し前記SaaS事業者及びIaaS事業者が確認し合意したか否かを示すメッセージを前記SaaS事業者及びIaaS事業者の端末から受付け、SLAサービスの利用者、前記SaaS事業者及びIaaS事業者の3者が合意したSLA項目の内容をSLA合意内容データベースに格納するステップとを実行し、SLA契約を支援することを特徴とするSLA契約支援方法。
【請求項2】
前記SLA合意内容データベースに格納されたSLA項目の合意内容を取得し、SaaS事業者及びIaaS事業者が提供するサービスの実施状況を収集し、合意したSLA項目別に達成状況をサービス利用者、SaaS事業者及びIaaS事業者の端末に送信して表示させるSLAサービス監視サーバをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のSLA契約支援方法。
【請求項3】
利用者が締結するSLAの項目と、IaaSが提供するサービスに該当するSLAの項目と、SaaSが提供するサービスに該当するSLAの項目をSLA契約のひな形として統合した状態で格納したデータベースと、
SLAの契約の申し込みをする利用者端末と、この利用者端末とSaaS事業者の端末及びIaaS事業者の端末との間でSLA契約に関するデータを送受するSLA契約支援サーバとを備え、
前記SLA契約支援サーバが、
前記利用者端末からSLA契約の申し込みを受付け、これに応答して前記SLA契約のひな形を格納したデータベースからSaaS事業者が締結するSLAの項目と、IaaS事業者が締結するSLAの項目をそれぞれ読み出し、前記利用者端末に送信して表示させ、表示されたSLAの各項目に対し、利用者が所望する契約内容を受付ける手段と、受付けたSLAの項目の内容をSLA項目格納データベースに格納する手段と、SLA項目格納データベースに格納された内容を読み出し、SaaS事業者及びIaaS事業者の端末に送信して表示させる手段と、前記利用者端末からのSLA契約の申し込みに対し前記SaaS事業者及びIaaS事業者が確認し合意したか否かを示すメッセージを前記SaaS事業者及びIaaS事業者の端末から受付け、SLAサービスの利用者、前記SaaS事業者及びIaaS事業者の3者が合意したSLA項目の内容をSLA合意内容データベースに格納する手段とを備えることを特徴とするSLA契約支援システム。
【請求項4】
前記SLA合意内容データベースに格納されたSLA項目の合意内容を取得し、SaaS事業者及びIaaS事業者が提供するサービスの実施状況を収集し、合意したSLA項目別に達成状況をサービス利用者、SaaS事業者及びIaaS事業者の端末に送信して表示させるSLAサービス監視サーバをさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のSLA契約支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−198747(P2012−198747A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62131(P2011−62131)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)