説明

SMOアンタゴニストであるトリアゾール誘導体

本発明は、Smo拮抗作用によって改善され得る状態を治療又は予防する方法を提供し、この方法は、有効量の式Iの化合物、又は式Iの化合物:
【化1】


[式中、X、Y、及びZのうち2つは、窒素原子を表し、その他のものは、酸素原子を表し;R及びRは、それらが結合する原子と一緒になって、1〜2個のフッ素原子で置換されていてもよいシクロブチル環を表し、Rは、水素若しくはフッ素原子を表すか;又は、Rは、メチルを表し、Rは、メチル若しくはフッ素原子を表し、Rは、フッ素原子を表す]
若しくはその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含んでなる組成物を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソニックヘッジホッグ(Sonic Hedgehog)経路の阻害剤、特に、Smoアンタゴニストである、トリアゾール誘導体に関する。したがって、本発明の化合物は、癌をはじめとする異常なヘッジホッグ経路活性化と関連している疾患、例えば、基底細胞癌、髄芽腫、前立腺癌、膵臓癌、乳癌、結腸癌、骨癌、及び小細胞肺癌、及び上部消化管の癌の治療にとって有用である。
【背景技術】
【0002】
ヘッジホッグタンパク質(Hh)は、ショウジョウバエにおいて最初に発見された分泌型シグナル伝達タンパク質である。それらは高度に疎水性のタンパク質であり、分泌された後、拡散し、組織において勾配を構築し得、これは胚の適切な発達において最重要の役割を有する。ヒトでは空間及び時間的分布パターンの異なる3種のHh相同体:ソニックヘッジホッグ(SHH)、インディアンヘッジホッグ(IHH)、及びデザートヘッジホッグ(DHH)が同定されている。
【0003】
Hhシグナル伝達カスケードは、Hhがその受容体パッチド(Ptch)と結合すると開始される。Hhの不在下では、Ptchは、Hhシグナル伝達の重要な媒介物質である、別の膜貫通タンパク質、スムースンド(Smoothened)(Smo)の活性を阻害する。Smoは、Gタンパク質共役受容体(GPCR)スーパーファミリーを彷彿とさせる構造を有するが、任意のHhの結合に関与していない。Hhが存在する場合には、HhはPtchと結合して不活性複合体を形成し、SmoのPtch阻害を軽減し、Hh反応経路を活性化する。次いで、Hhシグナルが、タンパク質複合体を介してショウジョウバエでは転写因子キュビタスインターラプツ(cubitus interrupts)(Ci)、哺乳類ではGLI転写因子に送られる。Hhシグナル伝達の不在下では、Ciは切断され、アミノ末端断片は、Hh標的遺伝子転写の阻害剤として作用する。Hhシグナル伝達の際には、Ciの切断は防がれ、Ciは標的遺伝子転写のアクチベーターとなる。
【0004】
SHHシグナル伝達の胚損失は、単眼症及びその他の発達異常をもたらし得るが(Chiang CらNature383:407〜413頁(1996年))、SHH経路の不適当な活性化は、細胞増殖及び腫瘍の生成の増大につながると考えられており、さまざまな種類の悪性腫瘍、例えば、基底細胞癌(BCC)、髄芽腫、膵臓癌、小肺癌、前立腺癌(PC)、乳癌、消化管腫瘍、及び皮膚癌と関連している(Kiselyov AS Anti−cancer Agents in Medicinal Chemistry6:445〜449頁(2006年)及びSidransky D Nature Genet.14:7〜8頁(1996年))。したがって、Hh経路は、種々の状態の重要な薬理学的標的である。
【0005】
癌におけるHh経路の異常な活性化は、経路における突然変異によって(リガンド非依存性)、又はHh過剰発現を介して(リガンド依存性)のいずれかによって引き起こされると考えられている。
【0006】
Ptch1における突然変異は、母斑性基底細胞癌症候群(ゴーリン症候群とも呼ばれる)、いくつかの発達異常及び多数の基底細胞癌(BCC)、髄芽腫、横紋筋肉腫、及びいくつかのその他の腫瘍を発生する素因を特徴とする状態と関係していた。Ptchを不活化し、Smoを活性化する突然変異はまた、弧発性BCC及び髄芽腫、並びにいくつかのその他の弧発性腫瘍においても見られている(Reifenberger JらCancer Res.58:1798〜1803頁(1998年)及びXie JらNature391:90〜92頁(1998年))。
【0007】
植物由来催奇性アルカロイドシクロパミン及びジェルビンは、SHHシグナル伝達の直接阻害によって(Cooper MKらScience280:1603〜1607頁(1998年)及びIncardona JPらDevelopment125:3553〜3562頁(1998年))、Smoと結合することによって(Chen JKらGenes Dev.16:2743〜2748頁(2002年))全前脳症を引き起こすと証明されている。インビトロ試験によって、催奇形物質シクロパミンは、Ptch−/−マウス由来の線維芽細胞、数種の神経膠芽腫/神経膠腫細胞株、髄芽腫細胞株、扁平上皮癌細胞株、及びSCLC細胞株の異常な細胞増殖を阻害し得ることがわかった(Bak MらPharmacogenomics 4(4):411〜429頁(2003年))。シクロパミンはまた、髄芽腫のモデルにおいてインビボで効力を示している(Dahmane NらDevelopment128:5201〜5212頁(2001年)及びBerman CMらScience 297:1559〜1561頁(2002年))。合成Hhアンタゴニストが、SHH反応性細胞モデルにおいて同定されており、いくつかはSmoを標的とし(Chen JKらProc.Natl.Acad.Sci.USA99:14071〜14076頁(2002年)、Frank−Kamenetsky MらJ.Biol.1:10(2002年)及びWilliams JAらProc.Natl.Acad.Sci.USA100:4616〜4621頁(2003年))、その他のものはSmoの下流の未知標的を標的とする(Chen JKらProc.Natl.Acad.Sci.USA99:14071〜14076頁(2002年))。
【0008】
Hh過剰発現は、Hh標的遺伝子の発現の増大を伴うことがあり、広範なヒト腫瘍生検及び細胞株、例えば、小細胞肺癌,膵臓腺癌、食道癌、胃癌、及び胆道癌、前立腺癌、乳癌、結腸癌、及び肝臓癌において検出されることが報告により示されてきた(Rubin LLらNature Reviews Drug Discovery 5:1026〜33頁(2006年))。
【0009】
US2006/040459には、代謝疾患を治療するのに有用な11−β−ヒドロキシステロイド(hydroxysteriod)デヒドロゲナーゼ1型(11β-HSD1又はHSD1)阻害剤として、特定のトリアゾールが記載されている。
【発明の概要】
【0010】
ここで、驚くべきことに、これらの化合物は、Hh経路の阻害剤、特に、Smoアンタゴニストであるということがわかった。
【0011】
本発明は、Smo拮抗作用によって改善され得る状態を治療又は予防するための医薬の製造のための、構造式I:
【0012】
【化1】

【0013】
[式中、
X、Y、及びZのうち2つは、窒素原子を表し、その他のものは、酸素原子を表し;
及びRは、それらが結合する原子と一緒になって、1〜2個のフッ素原子で置換されていてもよいシクロブチル環を表し、Rは、水素若しくはフッ素原子を表すか;
又は、
は、メチルを表し、
は、メチル又はフッ素原子を表し、
は、フッ素原子を表す]
で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
【0014】
本発明はまた、有効量の式Iの化合物、又は式Iの化合物を含んでなる組成物を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、Smo拮抗作用によって改善され得る状態を治療又は予防する方法を提供する。
【0015】
本発明はまた、癌を治療又は予防するための医薬を製造するための、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
【0016】
本発明はまた、有効量の式Iの化合物、又は式Iの化合物を含んでなる組成物を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、癌を治療又は予防する方法を提供する。
【0017】
一実施形態では、X及びYの一方は、Oであり、もう一方は、Nであり、Zは、Nである。
【0018】
別の実施形態では、XはOであり、YはNであり、ZはNである。
【0019】
一実施形態では、Rはメチルであり、Rはフッ素であり、Rはフッ素である。
【0020】
別の実施形態では、R及びRは、それらが結合する原子と一緒になって、2個のフッ素原子によって置換されたシクロブチル環を形成し、Rは水素である。
【0021】
別の実施形態では、R及びRは、それらが結合する原子と一緒になって、3,3−ジフルオロシクロブチルを形成し、Rは水素である。
【0022】
本発明はまた、Smo拮抗作用によって改善され得る状態を治療又は予防するための医薬を製造するための、構造式II:
【0023】
【化2】

【0024】
[式中、R、R、及びRは、上記で定義のとおりである]
で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の使用も提供する。
【0025】
式IIに関しての好ましい記号は、式Iについて先に定義されたものを準用する。
【0026】
本発明はまた、Smo拮抗作用と関連している疾患、例えば、癌を治療するための医薬を製造するための、化合物:
【0027】
5−(1,1−ジフルオロエチル)−3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,2,4−オキサジアゾール;
【0028】
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
【0029】
本発明はまた、Smo拮抗作用と関連している疾患、例えば、癌を治療するための医薬を製造するための、化合物:
【0030】
5−(3,3−ジフルオロシクロブチル)−3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,2,4−オキサジアゾール;
【0031】
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
【0032】
本発明はまた、Smo拮抗作用と関連している疾患、例えば、癌を治療するための医薬を製造するための、化合物:
5−(1−フルオロ−1−メチルエチル)−3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,2,4−オキサジアゾール;
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
【0033】
本発明はまた、Smo拮抗作用と関連している疾患、例えば、癌を治療するための医薬を製造するための、化合物:
2−(1,1−ジフルオロエチル)−5−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール;
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
【0034】
本発明はまた、Smo拮抗作用と関連している疾患、例えば、癌を治療するための医薬を製造するための、化合物:
2−(3,3−ジフルオロシクロブチル)−5−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
【0035】
本発明はまた、Smo拮抗作用と関連している疾患、例えば、癌を治療するための医薬を製造するための、化合物:
2−(1−フルオロ−1−メチルエチル)−5−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール;
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
【0036】
本発明はまた、その範囲内に、上記式Iの化合物のN−オキシドを含む。一般に、このようなN−オキシドは、任意の利用可能な窒素原子上で形成され得る。N−オキシドは、湿潤アルミナの存在下、式Iの化合物を、オキソンと反応させることなどの従来法によって形成され得る。
【0037】
本発明は、その範囲内に、上記式Iの化合物のプロドラッグを含む。一般に、このようなプロドラッグは、インビボで必要とされる式Iの化合物に容易に変換可能である式Iの化合物の機能的誘導体となる。適したプロドラッグ誘導体の選択及び調製のための従来手順は、例えば、「Design of Prodrugs」、H.Bundgaard編、Elsevier、1985年に記載されている。
【0038】
プロドラッグは、活性薬物を放出するために身体内での変換を必要とし、送達特性が親薬物分子を上回って改善されている、生物活性物質(「親薬物」又は「親分子」)の薬理学的に不活性な誘導体であってもよい。インビボでの変換は、例えば、いくつかの代謝過程、例えば、カルボン酸エステル、リン酸エステル、又は硫酸エステルの化学的又は酵素的加水分解又は感受性官能基の還元若しくは酸化の結果であり得る。
【0039】
本発明は、その範囲内に、式Iの化合物の溶媒和物及びその塩、例えば、水和物を含む。
【0040】
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸、及びキラル面を有してもよく(E.L.Eliel及びS.H.Wilen、Stereochemistry of Carbon Compounds、John Wiley & Sons、New York、1994年、1119〜1190頁に記載されるような)、ラセミ化合物、ラセミ混合物として、また、個々のジアステレオマーとして生じる場合があり、すべてのあり得る異性体及びその混合物、例えば、光学異性体、すべてのこのような立体異性体は、本発明に含まれる。さらに、本明細書に開示される化合物は、互変異性体として存在する場合もあり、一方の互変異性体構造のみが表されていても、両互変異性体の形態が、本発明の範囲によって包含されるものとする。
【0041】
本化合物は、種々の異性体の形態で存在する場合もあり、そのすべてが本発明によって包含される。
【0042】
構造式Iの化合物は、例えば、適した溶媒、例えば、メタノール若しくは酢酸エチル若しくはそれらの混合物からの分別結晶化によって、又は光学的に活性な固定相を用いるキラルクロマトグラフィーによって、その個々のジアステレオ異性体に分離することができる。絶対立体化学は、必要に応じて、既知絶対配置の不斉中心を含有する試薬を用いて誘導体化される、結晶性生成物又は結晶性中間体のX線結晶学によって調べることができる。
【0043】
或いは、一般構造式Iの化合物の任意の立体異性体は、光学的に純粋な出発物質又は既知絶対配置の試薬を用いる立体特異的合成によって得てもよい。
【0044】
本化合物は、いくつかの異なる多形の形態で存在し得る。
【0045】
式Iの化合物の遊離塩基、並びにその薬学的に許容される塩及び立体異性体が、本発明に含まれる。本発明の化合物は、アミン及び/又はN含有複素環部分のN原子(複数のN原子)でプロトン化されて、塩を形成し得る。用語「遊離塩基」とは、非塩の形態のアミン化合物を指す。包含される薬学的に許容される塩は、本明細書に記載される特定の化合物の例示される塩を含むだけでなく、遊離形態の式Iの化合物のすべての通常の薬学的に許容される塩も含む。記載される特定の塩化合物の遊離形態は、当技術分野における技術上既知の方法を用いて単離され得る。例えば、遊離形態は、塩を、希NaOH水溶液、炭酸カリウム、アンモニア、及び炭酸水素ナトリウムなどの適した希塩基性水溶液で処理することによって再生され得る。遊離形態は、極性溶媒における溶解度などの特定の物理的特性において幾分か、そのそれぞれの塩の形態と異なり得るが、酸性塩及び塩基性塩は、その他の点では、本発明の目的上、そのそれぞれの遊離形態と薬理的に同等である。
【0046】
本化合物の薬学的に許容される塩は、塩基性部分を含む本発明の化合物から、従来の化学法によって合成できる。一般に、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによって、又は適した溶媒若しくは溶媒の種々の組み合わせ中で、遊離塩基を、化学量論量若しくは過剰の、所望の塩を形成する無機若しくは有機酸と反応させることのいずれかによって調製される。
【0047】
したがって、本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、塩基性の本化合物を、無機酸、有機酸、又はポリマー酸と反応させることによって形成されるような、本発明の化合物の従来の非毒性塩を含む。例えば、従来の非毒性塩として、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、スルファミン酸、リン酸、亜リン酸、硝酸などといった無機酸に由来するもの、並びにマレイン酸、パモン酸、ヒドロキシマレイン酸、グルタミン酸、サリチル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、アスパラギン酸、エタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、トリフルオロ酢酸などといった有機酸から調製された塩が挙げられる。適したポリマー塩の例として、タンニン酸、カルボキシメチルセルロースなどのポリマー酸に由来するもが挙げられる。本発明の薬学的に許容される塩は、式(I)の化合物の1種の同等物及び無機酸又は有機酸の1、2、若しくは3種の同等物を含むことが好ましい。より詳しくは、本発明の薬学的に許容される塩として、トリフルオロ酢酸塩又は塩化物塩がある。一実施形態では、塩は、トリフルオロ酢酸塩である。別の実施形態では、塩は塩化物である。
【0048】
上記で記載される薬学的に許容される塩及びその他の通常の薬学的に許容される塩の調製は、Bergら(1977年)J.Pharm.Sci.、「Pharmaceutical Salts」、66:1〜19頁によってより十分に記載されている。
【0049】
また、生理学条件下では、化合物中の脱プロトン化酸性部分、例えば、カルボキシル基が、陰イオン性であり得、次いで、この電子電荷が、プロトン化又はアルキル化塩基性部分、例えば、第四窒素原子の陽イオン電荷に対するバランスを内部的に失わせ得るので、本発明の化合物は、内部塩又は両性イオンの可能性があるということも留意される。
【0050】
本発明の化合物は、標準的薬学のプラクティスに従って、哺乳類、好ましくは、ヒトに、単独で、又は医薬組成物中で、薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、アジュバント、増量剤、バッファー、安定化剤、保存料、滑沢剤と組み合わせて投与してもよい。
【0051】
本発明の化合物は、全身的に/末梢に、又は所望の作用部位にかかわらず、それだけには限らないが、経口(例えば、摂取による);局所(例えば、経皮、鼻腔内、眼への、頬側及び舌下を含む);肺への(例えば、口又は鼻を介した、例えば、エアロゾルを用いる、例えば、吸入又はガス注入療法);直腸;膣;非経口(例えば、皮下、皮内、筋肉内、静脈内、動脈内、心臓内、くも膜下腔内、脊髄内、嚢内、嚢下、眼窩内、腹腔内、気管内、角質下、間接内、くも膜下、及び胸骨内をはじめとする注射による);及びデポーのインプラントによる(例えば、皮下又は筋肉内)をはじめ、任意の手ごろな投与経路によって患者に投与してもよい。
【0052】
患者は、真核生物、動物、脊椎動物、哺乳類、げっ歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ科の動物(例えば、マウス)、イヌ科の動物(例えば、イヌ)、ネコ科の動物(例えば、ネコ)、ウマ科の動物(例えば、ウマ)、霊長類、シミアン(例えば、サル又は類人猿)、サル(例えば、マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)、又はヒトであり得る。
【0053】
本発明はまた、1種以上の本発明の化合物と、薬学的に許容される担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。有効成分を含有する医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性若しくは油性懸濁液、分散性散剤若しくは顆粒剤、エマルジョン、ハード若しくはソフトカプセル剤又はシロップ剤若しくはエリキシル剤のような、経口使用に適した形態であり得る。経口使用用に意図された組成物は、医薬組成物の製造の技術分野に公知の任意の方法に従って調製してよく、このような組成物は、薬学的に洗練された、美味な製剤を提供するよう、甘味剤、矯味剤、着色剤、及び保存剤からなる群より選択される1種以上の薬剤を含み得る。錠剤は、有効成分を、錠剤の製造に適している非毒性の薬学的に許容される賦形剤との混合物中に含む。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム;造粒剤及び崩壊剤、例えば、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウム、コーンスターチ、又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、ポリビニル−ピロリドン、又はアラビアゴム、及び滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクであり得る。錠剤はコーティングされていなくてもよいし、又は薬物の不快な味をマスクするための、又は消化管における崩壊及び吸収を遅延し、それによって長期間にわたる持続的作用を提供するために、技術上既知の方法によってコーティングされていてもよい。例えば、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース若しくはヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性錠剤マスキング物質、又はエチルセルロース、酢酸酪酸セルロースなどの時間遅延物質を使用してよい。
【0054】
経口使用用製剤はまた、有効成分が、不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、若しくはカオリンと混合されているハードゼラチンカプセル剤として、又は有効成分がポリエチレングリコールなどの水溶性担体若しくはオイル媒体、例えば、ピーナッツオイル、流動パラフィン、若しくはオリーブオイルと混合されているソフトゼラチンカプセル剤として提示してもよい。
【0055】
水性懸濁液は、活性物質を、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中に含む。このような賦形剤として、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントゴム、及びアラビアゴムがあり;分散剤又は湿潤剤は、天然に存在するリン脂質、例えば、レシチン、又はアルキレンオキシドの脂肪酸との縮合生成物、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、若しくはエチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレン−オキシセタノール、若しくはエチレンオキシドの、脂肪酸及びヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、若しくはエチレンオキシドの、脂肪酸及び無水ヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。水性懸濁液はまた、1種以上の保存料、例えば、エチル又はn−プロピルp−ヒドロキシベンゾアートと、1種以上の着色剤と、1種以上の矯味剤と、1種以上の甘味剤、例えば、スクロース、サッカリン、若しくはアスパルテームとを含み得る。
【0056】
油性懸濁液は、有効成分を、植物油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、若しくはココナッツオイル、又は鉱油、例えば、流動パラフィンに懸濁することによって製剤してもよい。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜蝋、ハードパラフィン、又はセチルアルコールを含み得る。美味な経口製剤を提供するために、上記のものなどの甘味剤及び矯味剤を加えてもよい。これらの組成物は、抗酸化物質、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール又はα−トコフェロールの添加によって保存できる。
【0057】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性散剤及び顆粒剤は、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤、及び1種以上の保存料との混合物中の有効成分を提供する。適した分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は、上記にすでに記載されているものによって示されている。さらなる賦形剤として、例えば、甘味剤、矯味剤、及び着色剤も存在し得る。これらの組成物は、抗酸化物質、例えば、アスコルビン酸の添加によって保存できる。
【0058】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態であり得る。油相は、植物油、例えば、オリーブ油若しくはラッカセイ油、又は鉱油、例えば、流動パラフィン又はこれらの混合物であり得る。適した乳化剤は、天然に存在するリン脂質、例えば、ダイズレシチン、並びに脂肪酸と無水ヘキシトールに由来するエステル若しくは部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレエート、並びに前記部分エステルのエチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。エマルジョンはまた、甘味料、矯味剤、保存料、及び抗酸化物質も含み得る。
【0059】
シロップ剤及びエリキシル剤は、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、又はスクロースを用いて製剤してよい。このような製剤はまた、鎮痛薬、防腐剤、矯味剤、及び着色剤及び抗酸化物質も含み得る。
【0060】
本医薬組成物は、滅菌注射用水溶液の形態であり得る。使用してもよい許容可能なビヒクル及び溶媒の中には、水、リンガー溶液、及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。
【0061】
滅菌注射用製剤はまた、有効成分が油相に溶解している滅菌注射用水中油型マイクロエマルジョンであり得る。例えば、有効成分をまず、ダイズオイルとレシチンの混合物に溶解してよい。次いで、このオイル溶液を、水とグリセロールの混合物に入れ、マイクロエミュレーション(microemulation)を形成するよう処理する。
【0062】
注射用溶液又はマイクロエマルジョンは、局所ボーラス注射によって患者の血流中に入れてもよい。或いは、本発明の化合物の一定循環濃度を維持するような方法で溶液又はマイクロエマルジョンを投与することが有利であり得る。このような一定濃度を維持するために、連続的静脈内送達装置を利用してもよい。このような装置の一例として、Deltec CADD−PLUS(商標)モデル5400静脈内ポンプがある。
【0063】
本医薬組成物は、筋肉内投与及び皮下投与用の滅菌注射用水性又は油性懸濁液の形態であり得る。この懸濁液は、上記に記載されている適した分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用い、既知技術に従って製剤してよい。滅菌注射用製剤はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液のような、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液又は懸濁液であり得る。さらに、滅菌固定油も、溶媒又は懸濁媒体として従来使用されている。この目的には、合成モノ又はジグリセリドをはじめ、任意の無刺激性固定油を使用してよい。さらに、脂肪酸、例えば、オレイン酸は注射用物質の調製において用途がある。
【0064】
式Iの化合物はまた、薬物の直腸投与のために坐剤の形態で投与してもよい。これらの組成物は、薬物を、常温では固体であるが直腸温度では液体であり、従って、直腸で融解して薬物を放出する適した非刺激性賦形剤と混合することによって調製できる。このような物質として、ココアバター、グリセリン化ゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコール、及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルの混合物が挙げられる。
【0065】
局所使用用には、式Iの化合物を含有する、クリーム、軟膏、ゼリー、溶液、又は懸濁液などが使用される。(この用途の目的上、局所適用はマウスウォッシュ及び口腔洗浄薬を含むものとする。)
【0066】
本発明の化合物は、適した経鼻ビヒクル及び送達装置の局所使用によって経鼻形態で、又は当業者に周知の経皮皮膚パッチの形態のものを用いて経皮経路によって投与してもよい。経皮送達系の形態で投与されるには、用量の投与は、当然、投与計画を通じて間欠的ではなく連続となる。本発明の化合物はまた、ココアバター、グリセリン化ゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコール、及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルの混合物などの基剤を使用して坐剤として送達してもよい。
【0067】
本発明の化合物を患者に投与する場合には、選択される用量レベルは、それだけには限らないが、特定の化合物の活性、個体の症状の重症度、投与経路、投与時間、化合物の排出速度、治療期間、組み合わせて使用されるその他の薬物、化合物、及び/又は物質並びに患者の年齢、性別、体重、状態、全体的な健康、及び以前の病歴をはじめとする種々の因子に応じて変わる。化合物の量及び投与経路は、最終的には、医師の裁量となるが、通常、用量は、実質的に有害な(harmful)又は有害な(deleterious)副作用を引き起こさずに所望の効果を達成する作用部位での局所濃度を達成するためのものとなる。
【0068】
インビボ投与は、治療過程を通じて、連続的に又は間欠的に(例えば、適当な間隔で分割用量で)1用量で達成されてもよい。投与の最も有効な手段及び用量を決定する方法は、当業者には周知であり、治療法に使用される製剤、治療法の目的、治療される標的細胞、及び治療される患者で変わる。単回又は複数回投与を、治療する医師によって選択される用量レベル及びパターンで実施してよい。
【0069】
一般に、活性化合物の適した用量は、1日あたり、患者の体重1キログラムあたり、約100μg〜約250mgの範囲である。活性化合物が塩、エステル、プロドラッグなどである場合には、投与される量は、親化合物に基づいて計算され、使用されるべき実際の重量は比例して増大する。
【0070】
本発明は、細胞を、正常なPtc活性を刺激し(agonize)、正常なヘッジホッグ活性を拮抗し、スムースンド活性を拮抗するか、又はGli活性を拮抗して、例えば、異常な増殖状態を戻す又は制御するのに十分な量の式Iの化合物と接触させることを含んでなる、ヘッジホッグシグナル伝達経路の活性化を阻害して、例えば、Ptch機能喪失型(loss−of−function)、ヘッジホッグ機能獲得型(gain−of−function)、スムースンド機能獲得型、又はGli機能獲得型などの表現型に起因する異常な増殖状態を阻害する方法を提供する。
【0071】
本発明は、過剰増殖性障害、すなわち、癌、並びにその他のヘッジホッグ経路媒介性障害又は状態の1以上の症状を、治療、改善するための方法、及び過剰増殖性障害、すなわち、癌、並びにその他のヘッジホッグ経路媒介性障害又は状態の重症度を低下させる方法をさらに提供する。
【0072】
多数の腫瘍及び増殖状態は、ヘッジホッグ経路に依存していることがわかっている。このような細胞の増殖及び生存は、本発明の化合物での処理によって影響を受け得る。例えば、ヘッジホッグ経路の低分子による阻害は、基底細胞癌(Williamsら、PNAS100:4616〜21頁(2003年))、髄芽腫(BermanらScience297:1559〜61頁(2002年))、膵臓癌、消化管癌、及び食道癌(BermanらNature425:846〜51頁(2003年)及びWO05/013800)、肺癌(WatkinsらNature422:313〜7頁(2003年))、及び前立腺癌(KarhadkarらNature431:707〜12頁(2004年))の増殖を阻害することがわかっている。
【0073】
さらに、多数の癌の種類、例えば、乳癌(KuboらCancer Research64:6071〜4頁(2004年))、肝細胞癌(Patilら(2005年)96th Annual AACR conference、abstract第2942番及びSicklickら(2005年)ASCO annual meeting、abstract第9610番)、血液悪性腫瘍(Watkins及びMatsui、公開されていない結果)、基底細胞癌(basal carcinoma)(BaleらHuman Molec.Genet.B:757〜762頁(2001年)、XieらNature391:90〜92頁(1998年))、髄芽腫(PietschらCancer Res.57:2085〜88頁(1997年))、及び胃癌(MaらCarcinogenesis5月19日、(2005年)(EPub))が、ヘッジホッグ経路の制御されない活性化を有することがわかっている。
【0074】
弧発性及び家族性BCCにおいて、機能障害性突然変異パッチド(patched)遺伝子の発現が報告されている。パッチド遺伝子突然変異又は欠失はまた、弧発性髄芽腫、髄膜腫、乳癌、食道扁平上皮癌、及び膀胱腫瘍においても見られている(Oncogene(1998)17、1167〜1172頁)。
【0075】
本発明の化合物は、Smo拮抗作用によって改善され得る状態を治療又は予防するために使用できる。本発明の化合物はまた、本明細書に記載される疾患を治療又は予防するための医薬の製造にとって有用である。
【0076】
本明細書に提供される化合物、組成物、及び方法は、癌の治療にとって特に有用であると思われる。本発明の化合物、組成物、及び方法によって治療できる癌として、それだけには限らないが、以下が挙げられる:心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫、及び奇形腫;:気管支原性肺癌(扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、中皮腫;胃腸:食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリン産生腫瘍、カルチノイド腫瘍、VIP産生腫瘍)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、結腸、結腸直腸、直腸;尿生殖路:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱、及び尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(セミノーマ、奇形腫、胚性期癌、奇形癌腫、絨毛癌、肉腫、間質性細胞癌腫、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝細胞腫(肝細胞癌)、胆管癌、胆芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫脊索腫、骨軟骨腫(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨腫、及び巨細胞腫;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、メニンギオサルコーマ(meningio肉腫)、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形神経膠芽腫、乏突起膠腫、シュワン腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科:子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頸癌、前腫瘍性子宮頸部形成異常)、卵巣(卵巣癌、[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類の癌腫]、顆粒膜−莢膜細胞腫瘍、セルトリ−ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(癌腫);血液学的:血液(骨髄性白血病[急性及び慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄性増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、ほくろ異形成母斑、脂肪腫、アンジオーマ、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;及び副腎:神経芽細胞腫。したがって、本明細書において提供される用語「癌性細胞」として、上記で同定される状態のいずれか1種を起こしている細胞が挙げられる。
【0077】
一実施形態では、本発明の化合物は、基底細胞癌、髄芽腫、前立腺癌、膵臓癌、乳癌、結腸癌、小細胞肺癌、肉腫、リンパ腫、白血病、消化管癌、多発性骨髄腫、神経膠腫、及びヘプタセルラー(heptacellular)から選択される癌を治療又は予防するために使用できる。本発明の化合物によって治療又は予防され得るさらなる癌として、非小細胞肺癌、弧発性及び家族性基底細胞癌、弧発性髄芽腫、髄膜腫、乳癌、食道扁平上皮癌、及び膀胱癌が挙げられる。
【0078】
実施形態では、本発明の化合物は、前立腺癌、非小細胞肺癌、消化管癌、及び膀胱癌から選択される癌を治療又は予防するために使用できる。
【0079】
ヘッジホッグ経路の阻害は、乾癬の症状を改善することがわかっている(Tasら、Dermatology20q:126〜131頁(2004年)及びUS2004/0072913)。
【0080】
本発明は、乾癬を治療又は予防するための医薬の製造のための式Iの化合物の使用をを提供する。
【0081】
本発明はまた、乾癬を治療又は予防する方法を提供し、この方法は、有効量の式Iの化合物、又は式Iの化合物を含んでなる組成物の、それを必要とする患者への投与を含んでなる。
【0082】
ヘッジホッグ活性化は、血管新生を刺激することがわかっており(PolaらNature Medicine7(6):706〜711頁(2001年)及びNagaseらGenes to Cells10(6):595〜604頁(2005年))、したがって、ヘッジホッグアンタゴニストとして作用する化合物は、血管新生アンタゴニストとして有用であり得る。
【0083】
本発明は、血管新生を治療又は予防するための医薬の製造のための式Iの化合物の使用をを提供する。
【0084】
本発明はまた、血管新生を治療又は予防する方法を提供し、この方法は、有効量の式Iの化合物又は式Iの化合物を含んでなる組成物の、それを必要とする患者への投与を含んでなる。
【0085】
式Iの化合物によって治療又は予防され得る、血管新生によって引き起こされる、支援される、又は血管新生と関連している疾患として、癌、眼の血管新生疾患、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植後拒絶反応、血管新生緑内障、水晶体後繊維増殖症、流行性角結膜炎、ビタミンA欠乏症、コンタクトレンズ過剰着用、アトピー性角膜炎、上輪部角膜炎、翼状片乾燥角膜炎、シェーグレン(Sjogren’s)、酒さ性ざ瘡、フィレクテヌローシス(phylectenulosis)、梅毒、マイコバクテリア感染、脂質変性、化学火傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染、帯状疱疹感染、原虫感染、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン角膜辺縁変性、辺縁角質溶解、関節リウマチ、全身性狼瘡、多発性動脈炎、外傷、ウェゲナーサルコイドーシス、強膜炎、スティーブンス・ジョンソン病、類天疱瘡放射状角膜切開、角膜移植後拒絶反応、関節リウマチ15(rheumatoid 15 arthritis)、変形性関節症慢性炎症(例えば、潰瘍性大腸炎又はクローン病)、血管腫、オスラー・ウェーバー・ランデュ病、及び遺伝性出血性末梢血管拡張症が挙げられる。
【0086】
一実施形態では、本発明の化合物は、パッチド機能喪失と関連している癌の治療及び予防にとって有用である。
【0087】
別の実施形態では、本発明の化合物は、スムースンド(smoothened)機能獲得と関連している癌の治療及び予防にとって有用である。
【0088】
式Iの化合物はまた、癌治療のための化学増感剤及び放射線増感剤として有用である。それらは、癌の治療を以前に受けたか、又は現在受けているか、受ける予定の哺乳類の治療にとって有用である。このようなその他の治療として、化学療法、放射線療法、手術、又は癌ワクチンなどの免疫療法が挙げられる。
【0089】
本化合物は、治療薬、抗癌剤、及び/又は放射線療法薬と組み合わせて、特に有用である。したがって、本発明は、同次投与、別個の投与又は逐次投与のための、式Iの本化合物の、治療薬、抗癌剤、及び/又は放射線療法薬との組み合わせを提供する。本発明の化合物及びその他の抗癌剤は、相加的に又は相乗的に作用し得る。本化合物と別の抗癌剤との相乗的組み合わせによって、これらの薬剤の一方又は両方の、より低用量、及び/又は本発明の化合物及びその他の抗癌剤の一方又は両方の、より少ない頻度の用量の使用が可能となり得、並びに/或いは、薬剤をより少ない頻度で投与することは、癌の治療において薬剤の効力を低減することなく、患者への薬剤の投与と関連した任意の毒性を低減し得る。さらに、相乗作用は、癌の治療における、これらの薬剤の効力の改善、及び/又はいずれかの薬剤単独の使用と関連した任意の有害な若しくは不要な副作用の低減をもたらし得る。
【0090】
治療薬、抗癌剤、及び/又は放射線療法は、当技術分野において周知の治療プロトコールに従って投与してよい。当業者には当然のことながら、治療薬、抗癌剤、及び/又は放射線療法の投与は、治療されている疾患及び抗癌剤の既知効果及び/又はその疾患に対する放射線療法に応じて変わり得る。また、熟練した臨床医の知識に従って、治療プロトコール(例えば、用量及び投与の時間)は、患者に投与された治療薬(すなわち、抗新生物剤又は放射線)の観察された効果を考慮して、また、投与された治療薬に対して観察された疾患の反応及び観察された悪影響を考慮して変わり得る。
【0091】
一実施形態では、式Iの化合物は、抗炎症薬、抗ヒスタミン剤、抗癌剤、免疫調節物質(imununomodulator)、治療抗体、及びタンパク質キナーゼ阻害剤、例えば、チロシンキナーゼ阻害剤から選択される1種以上の薬剤と組み合わせて投与してよい。
【0092】
別の実施形態では、同時投与、別個の投与、又は逐次投与のための式Iの化合物及び抗癌剤の組み合わせが提供される。
【0093】
本発明の化合物と組み合わせて用いるための癌薬剤又は化学療法薬の例は、Cancer Principles and Practice of Oncology V.T.Devita及びS.Hellman(編)、第6版(2001年2月15日)、Lippincott Williams & Wilkins Publishers及びWO2006/061638に見ることができる。当業者ならば、薬物及び関与する癌の個々の特徴に基づいて、薬剤のどの組み合わせが有用であろうかを見定めることができよう。このような薬剤として以下が挙げられる:エストロゲンレセプターモジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、その他の血管新生阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、細胞増殖及び生存シグナル伝達の阻害剤、ビスホスホネート、アロマターゼ阻害剤、siRNA治療薬、γ−セクレターゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ(RTK)を干渉する薬剤、細胞周期チェックポイントを干渉する薬剤。このような薬剤の例は、WO2006/061638に提供されている。
【0094】
本発明の併用療法における使用に適した抗癌剤として、それだけには限らないが、以下が挙げられる:1)アルカロイド、例えば、微小管阻害剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、及びビンデシンなど)、微小管安定化剤(例えば、パクリタキセル[タキソール]、及びドセタキセル、タキソテールなど)、及びクロマチン機能阻害剤、例えば、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド [VP−161、及びテニポシド[VM−261、など)などのトポイソメラーゼ阻害剤、及びトポイソメラーゼIを標的とする薬剤(例えば、
【0095】
カンプトテシン及びイシリノテカン[CPT−1 11など);2)共有結合DNA結合剤[アルキル化剤]、例えば、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イフォスファミド、及びブスルファン[ミレラン]など)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、ロムスチン、及びセムスチンなど)、及びその他のアルキル化剤(例えば、ダカルバジン、ヒドロキシメチルメラミン、チオテパ、及びミトシシン(Mitocycin)など);3)非共有結合DNA結合剤[抗腫瘍抗生物質]、例えば、核酸阻害剤(例えば、ダクチノマイシン[アクチノマイシンD1など)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン[ダウノマイシン、及びセルビジン]、ドキソルビシン[アドリアナイシン(Adrianycin)]、及びイバルビシン[イダマイシン]など)、アントラセネジオン(例えば、[ミトキサントロン]などのアントラサイクリン類似体など)、ブレオマイシン(ブレオキサン)など、及びプリカマイシン(ミトラマイシン)など;4)代謝拮抗剤、例えば、葉酸代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、フォレックス(Folex)、及びメキセート(Mexate)など)、プリン代謝拮抗剤(例えば、6−メルカプトプリン[6−MP、プリネトール]、6−チオグアニン[6−TG]、アザチオプリン、アシクロビル、ガンシクロビル、クロロデオキシアデノシン、2−クロロデオキシアデノシン[CdA]、及び2’−デオキシコホルマイシン[ペントスタチン]など)、ピリミジンアンタゴニスト(例えば、フルオロピリミジン[例えば、5−フルオロウラシル(アドルシル(Adrucil))、5−フルオロデオキシウリジン(FdUrd)(フロクスウリジン)]など)、及びシトシンアラビノシド(例えば、サイトサル(Cytosar)[アラ−C]及びフルダラビンなど);5)酵素、例えば、L−アスパラギナーゼ;6)ホルモン、例えば、グルココルチコイド、例えば、抗エストロゲン剤(例えば、タモキシフェンなど)、非ステロイド性抗アンドロゲン剤(例えば、フルタミドなど)、及びアロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール[アリミデックス]など);7)白金化合物(例えば、シスプラチン及びカルボプラチンなど);8)モノクローナル抗体がコンジュゲートしている抗癌剤、毒素、及び/又は放射性核種など;9)生物反応修飾物質(例えば、インターフェロン[例えば、IFN−αなど]及びインターロイキン[例えば、IL−2など]など);10)養子免疫療法;11)造血因子;12)腫瘍細胞分化を誘導する薬剤(例えば、オールトランス−レチノイン酸など);13)遺伝子治療技術;14)アンチセンス治療技術;15)腫瘍ワクチン;16)腫瘍転移に対して向けられた治療(例えば、バチミスタット(Batimistat)など);17)血管新生の阻害剤及びキナーゼ阻害剤。
【0096】
一実施形態では、第2の化合物として用いられる予定の血管新生阻害剤は、チロシンキナーゼ阻害剤、上皮由来増殖因子の阻害剤、線維芽細胞由来増殖因子の阻害剤、血小板由来増殖因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリンブロッカー、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサンポリスルフェート、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、又はVEGFに対する抗体から選択される。一実施形態では、エストロゲンレセプターモジュレーターは、タモキシフェン又はラロキシフェンである。
【0097】
本発明の併用療法において使用するための適した治療抗体として、HER2タンパク質に対する抗体、例えば、トラツズマブ(trastuzumab);増殖因子又は増殖因子受容体に対する抗体、例えば、血管内皮増殖因子を標的とするベバシズマブ、及び上皮成長因子を標的とするOSI−774;インテグリン受容体を標的とする抗体、例えば、ビタキシン(MEDI−522としても知られる)などが挙げられる。
【0098】
一実施形態では、基底細胞癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、リンパ腫、白血病、消化管癌、多発性骨髄腫、小細胞肺癌、神経膠腫、乳癌、ヘプタセルラー(heptacellular)、又は髄芽腫を治療又は予防する方法が提供され、この方法は、別の抗癌剤と組み合わせた、有効量の式Iの化合物の、それを必要とする患者への投与を含んでなる。
【0099】
一実施形態では、乾癬を治療又は予防する方法が提供され、この方法は、1種以上のその他の抗乾癬剤、例えば、それだけには限らないが、コルチコステロイド、タール、カルシポトリエン、タザロテン、カルシニューリン阻害剤、紫外線照射、メトトレキサート、レチノイド、シクロスポリン、免疫調節薬、エタネルセプト、アレファセプト、エファリズマブ、及びインフリキシマブと組み合わせた、有効量の式Iの化合物の、それを必要とする患者への投与を含んでなる。
【0100】
式の化合物は、放射線療法と組み合わせて使用してもよい。語句「放射線療法」とは、腫瘍の治療における電磁放射又は粒子放射の使用を指し、電離放射及び非電離放射の使用を含む。
【0101】
本発明の化合物は、本発明の化合物の単独又は放射線療法とともの使用に起因し得る、吐き気又は嘔吐、例えば、急性、遅発性、遅延相、及び予期嘔吐を治療するための制吐剤と組み合わせて使用してもよい。嘔吐の予防又は治療には、本発明の化合物を、その他の制吐剤、特に、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、5HT3受容体アンタゴニスト、例えば、オンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロン、及びザチセトロン(zatisetron)、GABAB受容体アゴニスト、例えば、バクロフェン、コルチコステロイド、例えば、デカドロン(デキサメタゾン)、ケナログ、アリストコート、ナサリド(Nasalide)、プレフェリド(Preferid)、ベネコルテン(Benecorten)、又は米国特許第2,789,118号、同2,990,401号、同3,048,581号、同3,126,375号、同3,929,768号、同3,996,359号、同3,928,326号、及び同3,749,712号に開示されるものなどのその他のもの;抗ドーパミン、例えば、フェノチアジン(例えば、プロクロルペラジン、フルフェナジン、チオリダジン、及びメソリダジン)、メトクロプラミド、又はドロナビノールと組み合わせて使用してもよい。別の実施態様では、本発明の化合物の投与に起因し得る嘔吐の治療又は予防のための、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、5HT3受容体アンタゴニスト、及びコルチコステロイドから選択される制吐剤との連結治療が開示されている。
【0102】
本発明の化合物はまた、貧血の治療において有用な薬剤とともに投与してもよい。このような貧血治療薬として、例えば、連続赤血球新生受容体アクチベーター(例えば、エポエチンα)がある。
【0103】
本発明の化合物はまた、好中球減少症の治療において有用である薬剤とともに投与してもよい。このような好中球減少症治療薬として、例えば、好中球の産生及び機能を調節する造血増殖因子、例えば、ヒト顆粒球コロニー刺激因子、(G−CSF)がある。G−CSFの例として、フィルグラスチムが挙げられる。
【0104】
本発明の化合物はまた、siRNA治療薬と組み合わせて、癌を治療又は予防するのに有用であり得る。
【0105】
本発明の化合物はまた、以下の治療薬と組み合わせて、癌を治療するのに有用であり得る:アバレリックス(プレナキシス・デポー(Plenaxis depot)(登録商標));アルデスロイキン(プロキン(Prokine)(登録商標));アルデスロイキン(プロロイキン(Proleukin)(登録商標));アレムツヅマブ(カンパス(登録商標));アリトレチノイン(パンレチン(登録商標));アロプリノール(ジロプリム(Zyloprim)(登録商標));アルトレタミン(ヘキサレン(登録商標));アミホスチン(エチオール(Ethyol)(登録商標));アナストロゾール(アリミデックス(登録商標));三酸化ヒ素(トリセノックス(登録商標));アスパラギナーゼ(エルスパール(Elspar)(登録商標));アザシチジン(ビダザ(Vidaza)(登録商標));ベバクジマブ(bevacuzimab)(アバスチン(登録商標));ベキサロテンカプセル(タルグレチン(登録商標));ベキサロテンゲル(タルグレチン(登録商標));ブレオマイシン(ブレノキサン(Blenoxane)(登録商標));ボルテゾミブ(ベルケード(登録商標));ブスルファン静脈内(ブスルフェクス(登録商標));ブスルファン経口(ミレラン(登録商標));カルステロン(メトサルブ(Methosarb)(登録商標));カペシタビン(ゼローダ(登録商標));カルボプラチン(パラプラチン(登録商標));カルムスチン(BCNU(登録商標)、BiCNU(登録商標));カルムスチン(グリアデル(登録商標));ポリフェプロサン(Polifeprosan)20インプラントととものカルムスチン(グリアデル ウエハー(登録商標));セレコキシブ(セレブレックス(登録商標));セツキシマブ(アービタックス(登録商標));クロラムブシル(ロイケラン(登録商標));シスプラチン(プラチノール(登録商標));クラドリビン(ロイスタチン(登録商標)、2−CdA(登録商標));クロファラビン(クロラー(Clolar)(登録商標));シクロホスファミド(シトキサン(登録商標)、ネオサール(Neosar)(登録商標));シクロホスファミド(シトキサン注射(登録商標));シクロホスファミド(シトキサン錠剤(登録商標));シタラビン(シトサール(Cytosar)−U(登録商標));シタラビンリポソーム(デポシト(DepoCyt)(登録商標));ダカルバジン(DTIC−ドム(Dome)(登録商標));ダクチノマイシン、アクチノマイシンD(コスメゲン(登録商標));ダルベポエチンアルファ(アラネスプ(登録商標));ダウノルビシンリポソーム(ダムオキソーム(DanuoXome)(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(ダウノルビシン(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(セルビジン(登録商標));デニロイキンジフチトクス(オンタック(Ontak)(登録商標));デクスラゾキサン(ジネカード(Zinecard)(登録商標));ドセタキセル(タキソテール(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシンPFS(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標)、ルベックス(Rubex)(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシンPFS注射(登録商標));ドキソルビシンリポソーム(ドキシル(Doxil)(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(ドロモスタノロン(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(マステロン注射(登録商標));エリオットB溶液(Elliott’s B Solution)(エリオットB溶液(Elliott’s B Solution)(登録商標));エピルビシン(エレンス(Ellence)(登録商標));エポエチンアルファ(エポゲン(登録商標));エルロチニブ(タルセバ(登録商標));エストラムスチン(エムシト(Emcyt)(登録商標));リン酸エトポシド(エトポフォス(Etopophos)(登録商標));エトポシド、VP−16(ベプシド(登録商標));エキセメスタン(アロマシン(登録商標));フィルグラスチム(ニューポジェン(登録商標));フロクスウリジン(動脈内)(FUDR(登録商標));フルダラビン(フルダラ(登録商標));フルオロウラシル、5−FU(アドルシル(Adrucil)(登録商標));フルベストラント(ファスロデックス(登録商標));ゲフィチニブ(イレッサ(登録商標));ゲムシタビン(ジェムザール(登録商標));ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ(登録商標));酢酸ゴセレリン(ゾラデックスインプラント(登録商標));酢酸ゴセレリン(ゾラデックス(登録商標));酢酸ヒストレリン(ヒストレリンインプラント(登録商標));ヒドロキシ尿素(ハイドレア(登録商標));イブリツモマブ・ティウキセタン(ゼバリン(登録商標));イダルビシン(イダマイシン(登録商標));イフォスファミド(IFEX(登録商標));メシル酸イマチニブ(グリーベック(登録商標));インターフェロンアルファ2a(ロフェロンA(登録商標));インターフェロンアルファ−2b(イントロンA(登録商標));イリノテカン(カンプトサール(登録商標));レナリドマイド(レブリミド(登録商標));レトロゾール(フェマーラ(登録商標));ロイコボリン(ウェルコボリン(Wellcovorin)(登録商標)、ロイコボリン(登録商標));酢酸ロイプロリド(エリガード(登録商標));レバミソール(エルガミソル(Ergamisol)(登録商標));ロムスチン、CCNU(CeeBU(登録商標));メクロレタミン、ナイトロジェンマスタード(マスタージェン(登録商標));酢酸メゲストロール(メゲース(登録商標));メルファラン、L−PAM(アルケラン(登録商標));メルカプトプリン、6−MP(プリネトール(登録商標));メスナ(メスネックス(登録商標));メスナ(メスネックスタブ(登録商標));メトトレキサート(メトトレキサート(登録商標));メトキサレン(ウバデックス(Uvadex)(登録商標));マイトマイシンC(ムタマイシン(登録商標));ミトタン(リソドレン(登録商標));ミトキサントロン(ノバントロン(登録商標));フェンプロピオン酸ナンドロロン(デュラボリン−50(登録商標));ネララビン(アラノン(Arranon)(登録商標));ノフェツモマブ(Nofetumomab)(ベルルマ(Verluma)(登録商標));オプレルベキン(ニューメガ(Neumega)(登録商標));オキサリプラチン(エロキサチン(登録商標));パクリタキセル(パキセン(Paxene)(登録商標));パクリタキセル(タキソール(登録商標));パクリタキセルタンパク質結合粒子(アブラキサン(登録商標));パリフェルミン(ケピバンス(Kepivance)(登録商標));パミドロネート(アレディア(登録商標));ペガデマーゼ(アダジェン(ペガデマーゼウシ)(登録商標));ペガスパルガーゼ(オンカスパール(Oncaspar)(登録商標));ベグフィルグラスチム(Pegfilgrastim)(ニューラスタ(登録商標));ペメトレキセド二ナトリウム(アリムタ(登録商標));ペントスタチン(ニペント(Nipent)(登録商標));ピポブロマン(ベルサイト(Vercyte)(登録商標));プリカマイシン、ミトラマイシン(ミトラシン(Mithracin)(登録商標));ポルフィマーナトリウム(フォトフリン(登録商標));プロカルバジン(マツラン(登録商標));キナクリン(アタブリン(登録商標));ラスブリカーゼ(エリテック(Elitek)(登録商標));リツキシマブ(リツキサン(登録商標));サルグラモスチム(ロイキン(登録商標));サルグラモスチム(プロキン(Prokine)(登録商標));ソラフェニブ(ネクサバール(登録商標));ストレプトゾシン(ザノサール(登録商標));マレイン酸スニチニブ(ステント(Sutent)(登録商標));タルク(スクレロソール(登録商標));タモキシフェン(ノルバデックス(登録商標));テモゾロミド(テモダール(登録商標));テニポシド、VM−26(ブモン(Vumon)(登録商標));テストラクトン(テスラック(Teslac)(登録商標));チオグアニン、6−TG(チオグアニン(登録商標));チオテパ(チオプレックス(Thioplex)(登録商標));トポテカン(ハイカムチン(登録商標));トレミフェン(フェアストン(登録商標));トシツモマブ(ベキサール(登録商標));トシツモマブ/I−131トシツモマブ(ベキサール(登録商標));トラスツズマブ(ヘルセプチン(登録商標));トレチノイン、ATRA(ベサノイド(登録商標));ウラシルマスタード(ウラシルマスタードカプセル(登録商標));バルルビシン(バルスター(Valstar)(登録商標));ビンブラスチン(ベルバン(Velban)(登録商標));ビンクリスチン(オンコビン(登録商標));ビノレルビン(ナベルビン(登録商標))、ゾレドロネート(ゾメタ(登録商標))、及びボリノスタット(ゾリンザ(登録商標))。
【0106】
本発明の化合物に関連して、用語「投与」及びその変形(例えば、化合物を「投与すること」)とは、化合物又は化合物のプロドラッグを、治療を必要とする動物の系に導入することを意味する。本発明の化合物又はそのプロドラッグが、1種以上のその他の活性物質(例えば、細胞傷害剤など)と組合せて提供される場合には、「投与」及びその変形は、本化合物又はそのプロドラッグとその他の物質の同時及び逐次導入を含むと各々理解される。
【0107】
本明細書で用いる場合、用語「組成物」とは、指定量の指定成分を含んでなる生成物並びに指定量の指定成分の組合せに直接的又は間接的に起因する任意の生成物を包含するものとする。
【0108】
本明細書で用いる場合、用語「治療上有効な量」とは、研究者、獣医、医師、又はその他の臨床医によって求められている、組織、系、動物、又はヒトにおける生物学的反応又は医学的反応を誘発する活性化合物又は医薬品の量を意味する。
【0109】
用語「癌を治療すること」又は「癌の治療」とは、癌性状態に冒された哺乳類への投与を指し、また癌性細胞を死滅させることによって癌性状態を軽減する効果だけでなく、癌の増殖及び/又は転移の阻害をもたらす効果も指す。
【0110】
中間体及び出発物質の合成が記載されていない場合は、これらの化合物は市販されているか、又は標準法によって、若しくは上記の合成、本明細書におけるスキーム及び実施例の拡張によって市販の化合物から作製できる。
【0111】
式Iの化合物は、公知の方法によって、又は本明細書における実施例に記載される方法によって、その他の式Iの化合物に変換され得る。
【0112】
本明細書に記載される、任意の合成シークエンスの間、関与する任意の分子上の感受性又は反応性基を保護することが必要である、及び/又は望ましい場合がある。これは、従来の保護基、例えば、Protecting Groups in Organic Synthesis、第3版、Greene、T.W.及びWuts、P.G.M.;Wiley Interscience、1999年及びKocienski,P.J.Protecting Groups,Thieme、1994年に記載されるものによって達成してよい。保護基は、好都合なその後の段階で、当技術分野で公知の方法を用いて除去され得る。例えば、Boc(t−ブトキシカルボニル)又はベンジルカルボニル保護基が存在する場合には、ほぼ室温で、TFA、DCM、及び/又はMeCNなどの溶媒を添加することによって、それを除去してもよい。本化合物はまた、水素雰囲気下、メタノールなどの溶媒中で、Pd/Cなどの触媒で処理することなどの標準法を用いて水素化してもよい。ほぼ室温で、HCl及び1,4−ジオキサンの存在下で、EtOAcを添加して、Boc又はベンジルカルボニル保護基を除去してもよい。
【0113】
本発明の化合物が、キラル中心を有する場合には、SFCを使用することなどの標準分離法によってラセミ混合物からエナンチオマーを分離してもよい。
【0114】
本明細書に記載され、以下に記載されるアッセイによって試験される例示化合物は、25μM未満のIC50値を有するとわかった。
【0115】
説明において使用した略語
AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル;BOC:t−ブチルオキシカルボニル;9−BBN:9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン;Bn:ベンジル;nBuLi:n−ブチルリチウム;Cbz:ベンジルオキシカルボニル;CDI:1,1’−カルボニルジイミダゾール;MeOTf:メチルトリフルオロメタンスルホネート;(COCl):塩化オキサリル;DAST:(ジエチルアミノ)スルファートリフルオリド;DCM:ジクロロメタン;DIEA:ジイソプロピルエチルアミン;DMAP:4−(ジメチルアミノ)ピリジン;DMC:2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロリド;DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;Et:エチル;EtN:トリエチルアミン;EtOAc:酢酸エチル;EtOH:エタノール;EtZn:ジエチル亜鉛;FCS:ウシ胎児血清;HATU:O−(7−アザベンゾトリアゾール)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;Me:メチル;MeCN:アセトニトリル;MeOH:メタノール;mCPBA:メタ−クロロ過安息香酸;MS:マススペクトル;NaOAc:酢酸ナトリウム;NBS:N−ブロモスクシンイミド;PBS:リン酸緩衝生理食塩水;Ph:フェニル;PyBROP:ブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;PPh:トリフェニルホスフィン;pyr:ピリジン;SOCl:塩化チオニル;TFA:トリフルオロ酢酸;TFFH:N,N,N’,N’−テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート;THF:テトラヒドロフラン;TLC:薄層クロマトグラフィー;及びTsOH:p−トルエンスルホン酸;
【0116】
Shh−LightIIレポーターアッセイ
同一ウェルにおいて、ホタル及びウミシイタケ(Renilla)ルシフェラーゼを測定するよう設計されたアッセイ
アッセイに先立って、Shh−LightII細胞(ATCCカタログ番号CRL−2795)を増殖培地で培養した。
【0117】
アッセイプロトコール:
−1日目:60,000個のShh−LightII細胞を、DMSO/阻害剤の存在下でアッセイ培地75μL/ウェルに播種する。
0日目:37℃、10%COで一晩インキュベートした後、3μMの、水中、プルモルファミン(Calbiochem540220)を加える。
1日目:37℃、10%COで30時間インキュベートした後、アッセイを、増殖培地中で細胞に直接展開する。
−75μlのデュアルグロー(DualGlow)ルシフェラーゼ試薬(Promega、E2940)を加える
−暗所で10分間インキュベートする
−ルミノメーター:PerkinElmer製TopCountでプレートを読み取る
−75μlのデュアルグローストップ&グロー(DualGlow Stop&Glow)を加える
−暗所で10分間インキュベートする
−ルミノメーター:PerkinElmer製TopCountでプレートを読み取る
−結果は、ホタル/ウミシイタケ間の比である
【0118】
増殖培地:
増殖用:
DMEM:0.11G/LのPyrを含み、ピリドキシンを含む、ダルベッコの改変イーグル培地(GIBCOカタログ番号:41966−029)。培地は、10% FCS(ウシ胎児血清)、1% ペニシリン−ストレプトマイシン(10mg/ml)(GIBCO、15140−114)、及び1% L−グルタミン200MM(100×)(GIBCO、3042190)及び0.4mg/mlのG418(Roche)及び0.15mg/mlゼオシン(Zeocyne)(Invitrogen R−250−01)で補完しておいた。細胞は10% COで培養した。
【0119】
アッセイ用:
DMEM:フェノールレッドを含まない、0.11G/L Pyrを含み、ピリドキシンを含む、ダルベッコの改変イーグル培地(GIBCOカタログ番号:21063−045)。培地は、2% FCS(ウシ胎児血清)、1%ペニシリン−ストレプトマイシン(10mg/ml)(GIBCO、15140−114)、及び1% L−グルタミン200MM(100×)(GIBCO、3042190)で補完しておいた。細胞は10% COで培養した。DMSO 0.25%。
【0120】
SHH Smo結合アッセイ
トランスフェクトされたCos7細胞では、本発明者らはSMOリガンドシクロパミン−ボディピー(bodipy)の結合を測定できた。
アッセイプロトコール:
−1日目:ペトリディッシュ10cmに、3,500,000個のCos7細胞を播種する。
0日目:細胞を、リポフェクタミン2000(Invitrogen)及びプラスミドpSMO−Mycを用いてトランスフェクトする。5時間後、96ウェルプレートにおいて、細胞を、増殖DMEM(10%FCS)中に播種する:100μlウェルあたり15,000個細胞。
1日目:トランスフェクションの24時間後、培地をアッセイDMEM(フェノールレッドを含まない、2%FCS)と交換し、化合物/DMSO 0.5%を加える。37℃、5% CO2でインキュベートする。
2日目:16時間後、シクロパミン−ボディピー(Bodipy)(Toronto Research Chemical、B674800)を、50nMの終濃度で加える。37℃ 5%COで4時間インキュベートする。次いで、細胞を、3.5%ホルムアルデヒド100μl/mlで10分間固定する。細胞をPBSで3回洗浄し、核を1.5μMヨウ化プロピジウムで染色する。Acumen Explorerで読み取る。
【0121】
−増殖培地:
増殖用:
DMEM:0.11G/L Pyrを含み、ピリドキシンを含むGIBCO ダルベッコの改変イーグル培地(GIBCO、41966−029)。培地は、10% FCS(GIBCO、10106−169)、1% ペニシリン−ストレプトマイシン(10mg/ml)(GIBCO、15140−114)、及び1% L−グルタミン200MM(100×)(GIBCO、3042190)で補完しておいた。細胞は5% COで培養した。
【0122】
アッセイ用:
DMEM:フェノールレッドを含まない、0.11G/L Pyrを含み、ピリドキシンを含む、GIBCO ダルベッコの改変イーグル培地(GIBCO、21063−045)。培地は、2% FCS(GIBCO、10106−169)、1%ペニシリン−ストレプトマイシン(10mg/ml)(GIBCO、15140−114)、及び1% L−グルタミン200MM(100×)(GIBCO、3042190)で補完しておいた。細胞は5% COで培養した。DMSO 0.5%。
【0123】
マウス髄芽腫細胞に対する抗増殖活性
Smoアンタゴニストの、原発性の、同種移植片を外植されたマウス髄芽腫細胞の増殖を阻害する能力を測定した。確立された腫瘍細胞株とは対照的に、外植後のこれらの細胞では、HH経路は活性のままであり、腫瘍は、その生存/増殖について、HH経路活性化への特異的依存性を維持する。細胞増殖を50%阻害するのに必要な濃度(CC50)を、合成Smoアゴニストの不在下又は存在下で求めた。
【0124】
髄芽腫細胞は、外植された腫瘍から得(Oncogene(2002年)21、7580〜7584頁)、100,000個細胞/mLの濃度でNPMMに再懸濁し、100μLのNPMM中、5000個細胞/ウェルの初期濃度で96ウェルマイクロプレートに播種した。0.3μMの合成アゴニストの不在下又は存在下で、Smoアンタゴニストを、7点にわたる段階希釈(0.03〜25μM濃度範囲、0.25%DMSO)で加えた。次いで、細胞を、5% CO下、37℃で96時間インキュベートし、BrdUを添加後、さらに24時間インキュベートした。次いで、製造業者の使用説明書に従って、BrdU化学発光イムノアッセイキット(Roche Applied Scienceカタログ番号11669915001)を用いてBrdUが組み込まれたDNA(DNA−incorporated BrdU)を検出するために、細胞を固定し、処理した。TopCout機器(Perkin Elmer)を用いてシグナルを測定し、漸増濃度のアンタゴニストの存在下で残存するBrdU組み込みに基づいてCC50値を求めた。
【0125】
本発明に由来する化合物は、髄芽腫細胞増殖を用量依存的に阻害することができた。この阻止は、選択的Smoアゴニストの添加によって克服され、このことは、増殖阻害は、これらの細胞におけるHHシグナル伝達の干渉に選択的に起因するということを示唆する。アゴニストの不在下で測定されたCC50は、0.3μMであったが、アゴニストの付加によってCC50が、より大きい30μMにシフトされた。同様の活性が、本発明の狭い範囲内のすべてのその他の構造的に関連する化合物について合理的に期待できる。
【0126】
皮下に移植された原発性マウス髄芽腫異種移植片の増殖に対するSmoアンタゴニストの効果
本発明に由来する化合物の、インビボでヘッジホッグシグナル伝達依存性腫瘍の増殖を阻害する能力を評価した。誕生後照射された、Ptch−1ヘテロ接合体マウスに由来する原発性髄芽腫を含む異種移植片モデルを用いた。
【0127】
出生後照射されたPtch−/+マウスの小脳に由来する髄芽腫腫瘍(Oncogene(2002年)21、7580〜7584頁)を、インビボで皮下に連続継代した。この研究には、5週齢の免疫力低下マウスにおいて、50%マトリゲルの存在下で腫瘍を外植し、髄芽腫細胞の単一細胞懸濁液を皮下に注射した(250万個細胞/マウス)。腫瘍が、150mmの平均容積に達した時点で、マウスを無作為化し、0.5%メチルセルロースで希釈した本発明に由来する化合物を用い、40mg/kg若しくは80mg/kg1日1回(qd)、又は80mg/kg1日2回(bid)を用いて経口で処理した。対照マウスは、同一容積のビヒクルのみで処理した。腫瘍容積は、週に2回測定した。
【0128】
この実験によって、本発明に由来する化合物は、40及び80mg/kg/日の用量で腫瘍増殖阻害を引き起こし、80mg/kg1日2回の用量で腫瘍縮小につながることが実証された。
【0129】
同様の活性が、本発明の狭い範囲内のすべてのその他の構造的に関連する化合物について合理的に期待できる。
実施例1
【0130】
【化3】

【0131】
5−(1,1−ジフルオロエチル)−3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(1−H)
【0132】
【化4】

【0133】
工程A:
窒素雰囲気下、4−(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸1−A(Chapman,N.B.らJ.Org.Chem.、1970年、35、917頁)(4.0g、18.9mmol)を、無水塩化メチレン12mLに溶解し、塩化オキサリル(塩化メチレン中、2M、28mL、56mmol)で、続いて、DMF0.5mlで処理した。反応物を、窒素雰囲気下、室温で90分間撹拌し、次いで、蒸発させ真空下に20分間置いた。酸塩化物を、無水塩化メチレン(75mL)に溶解し、氷浴中で冷却し、次いで、メチルアミン(THF中、2M、57mL、113mmol)の溶液を滴下して処理した。アミンを添加すると、冷却浴を除去し、反応物を室温で30分間撹拌した。混合物を、塩化メチレン1000mLで希釈し、1NのHCl水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及びブラインで洗浄した。有機層を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させた。生成物を、0〜5%のMeOH/CHCl勾配で溶出するフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、メチル4−[(メチルアミノ)カルボニル]ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート1−Bを白色固体として得た。MS(ESI)=226.2(M+1)。
【0134】
工程B:
メチル4−[(メチルアミノ)カルボニル]ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート1−B(2.76g、12.3mmol)を、塩化メチレン(100ml)に溶解し、得られた溶液に塩化オキサリル(DCM中、2.0M、15.3ml)を加え、続いて、DMF(0.19ml、2.45mmol)を加えた。次いで、反応混合物を、窒素下、室温で2時間撹拌し、次いで、濃縮し、トルエンを用いて3回揮散させた。残渣を、トルエン(100ml)に再溶解し、5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−テトラゾール(3.15g、14.7mmol)で処理し、窒素下で12時間還流した。反応混合物からHCl塩として析出した生成物、1,2,4−トリアゾール1−Cを、DCMに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回洗浄し、乾燥し(MgSO)、揮散し、白色固体を得た。MS(ESI+)=394.2(M+1);H NMR(500MHz,CDCl):δ2.00(6H,m),2.18(6H,m),3.48(3H,s),3.72(3H,s),7.51(1H,m),7.71(2H,m),7.85(1H,m)ppm。
【0135】
工程C:
5% HO/MeOH(30ml)中のメチルエステル1−C(1.19g、3.0mmol)の溶液を、窒素雰囲気下、KOH(0.51g、9.0mmol)を用いて、60℃で18時間処理した。得られた混合物を濃縮し、水(150ml)で希釈し、EtOAcで洗浄し、HCl水溶液(1N)を用いてpH=3に酸性化した。沈殿物を濾過し、少量の水及びエーテルで洗浄し、真空下で乾燥し、淡紅色の固体(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸(1−D))を得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ2.00(6H,m),2.17(6H,m),3.55(3H,s),7.62(1H,m),7.85(2H,m),7.96(1H,m)ppm。
【0136】
工程D:
固体4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸(1−D、0.67g、1.77mmol)の一部を、CHCl(15ml)に懸濁し、窒素雰囲気下、1’,1’−カルボニルジイミダゾール(0.57g、3.54mmol)を用いて、室温で処理した。2時間後、濃水酸化アンモニウムを加え(40ml)、反応物を18時間撹拌した。粗混合物を水(150ml)で希釈し、3部分のCHCl(70ml)で抽出した。有機洗浄液を合わせ、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去し、カルボキサミド1−Eを白色粉末として得た。MS(ESI)=379.3(M+1)。
【0137】
工程E:
DMF(15ml)中のカルボキサミド1−E(0.64g、1.7mmol)及び塩化シアヌル(0.47g、2.53mmol)の溶液を、窒素雰囲気下、室温で撹拌した。2時間後、DMFを真空除去し、固体を、CHCl(100ml)に再懸濁し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、溶媒を減圧下で除去し、ニトリル1−Fを、淡黄色の固体として得た。MS(ESI)=361.3(M+1);H NMR(500MHz,CDCl):δ2.15(6H,m),2.22(6H,m),3.47(3H,s),7.51(1H,m),7.72(2H,m),7.87(1H,m)ppm。
【0138】
工程F:
エタノール(40ml)中の、ニトリル1−F(0.56g、1.6mmol)及びヒドロキシルアミン(50%水溶液、4ml)の溶液を、80℃で18時間加熱した。得られた混合物を室温に冷却し、真空濃縮した。固体をトルエンに懸濁し、溶媒を真空除去し、固体(1−G)を減圧下で乾燥し、さらなる精製を行わずに次の工程において使用した。MS(ESI)=394.3(M+1)。
【0139】
工程G:
無水DMF(30ml)中の、2,2−ジフルオロプロピオン酸(0.84g、7.63mmol)及びN’−ヒドロキシ−4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシミダミド(1−G)(1.0g、2.54mmol)の溶液に、HATU((2.93g、7.63mmol)、続いて、DIEA(2.2ml、12.7mmol)を加えた。得られた混合物を室温で48時間撹拌し、次いで、110℃で3時間加熱した。室温に冷却した後、溶媒を減圧下で除去した。残渣を、酢酸エチルに溶解し、水、飽和炭酸水素ナトリウム、及びブラインで洗浄した。粗生成物を、溶出剤として100%酢酸エチルを用いるカラムクロマトグラフィーによって精製し、1−Hを、白色粉末として得た。MS(ESI)=468.3(M+1);H NMR(500MHz,CDCl):δ2.10−2.34(15H,m),3.57(3H,s),7.73−7.75(3H,m),7.86(1H,m)ppm。Shh−LightIIアッセイ:IC50:5μMで35%抑制
実施例2
【0140】
【化5】

【0141】
5−(3,3−ジフルオロシクロブチル)−3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(2−E)
【0142】
【化6】

【0143】
工程A:
3−オキソシクロブタンカルボン酸(2−A)(1.0g、10.0mmol)を、無水エタノール(25ml)に溶解し、炭酸セシウム(1.66g、5.1mmol)を加えた。窒素下、室温で4時間撹拌した後、反応混合物を濃縮した。残渣を、無水アセトニトリル(50ml)に再溶解し、ベンジルブロミド(1.2ml、10.0ml)で処理した。混合物を、窒素下、室温で12時間撹拌させておいた。次いで、溶媒を減圧下で除去し、残渣を、酢酸エチル及び水の間に分配した。粗生成物を、100%ヘキサン〜96%ヘキサン/酢酸エチルの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、2−Bを得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ3.30−3.48(5H,m),5.22(2H,s),7.37−7.41(5H,m)ppm。
【0144】
工程B:
ベンジル3−オキソシクロブタンカルボキシレート(2−B)(1.23g、6.03mmol)を、塩化メチレン(35ml)に溶解した。窒素下、DAST(8.0ml、6.03mmol)、続いて、無水エタノール(0.4ml、7.23mmol)を加えた。混合物を12時間撹拌し、その後、塩化メチレンで希釈し、続いて、飽和炭酸水素ナトリウム、1N塩酸水溶液、及びブラインで洗浄した。有機層を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を、溶出剤として93%ヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、2−Cをオイルとして得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ2.81−2.93(4H,m),3.01−3.04(1H,m),5.20(2H,s),7.36−7.42(5H,m)ppm。
【0145】
工程C:
ベンジル3,3−ジフルオロシクロブタンカルボキシレート(2−C)(0.84g、3.72mmol)を、エタノール(40ml)に溶解し、約20mgの活性炭上パラジウムを加えた。この混合物を、水素雰囲気下、室温で12時間撹拌し、次いで、セライトのパッドを通して濾過した。濾液を濃縮し、真空乾燥し、2−Dを得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ2.86−2.93(4H,m),3.02−3.04(1H,m)ppm。
【0146】
工程D:
CHCl(8ml)中の、3,3−ジフルオロシクロブタンカルボン酸2−D(166mg、1.22mmol)及びカルボニルジイミダゾール(198mg、1.22mmol)の予め撹拌した溶液に、N’−ヒドロキシ−4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシミダミド(1−G)(120mg、0.305mmol)を加えた。得られた混合物を室温で48時間撹拌し、次いで、濃縮した。固体をトルエンに再懸濁し、窒素雰囲気下で3時間還流した。生成物を、0.1% TFAを含む、30〜80%アセトニトリル/水で溶出するC−18逆相HPLCによって精製し、2−Eを白色粉末として得た。MS(ESI)=494.2(M+1);H NMR(500MHz,CDCl):δ2.09(6H,m),2.31(6H,m),3.03−3.11(4H,m),3.57−3.61(4H,m),7.56(1H,m),7.71(2H,m),7.86(1H,m)ppm。
Shh−LightIIアッセイ:IC50:1.4μM。
実施例3
【0147】
【化7】

【0148】
5−(1−フルオロ−1−メチルエチル)−3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(3−A)
【0149】
【化8】

【0150】
無水DMF(2.5ml)中の、2−メチル−2−フルオロプロピオン酸(108mg、1.02mmol)及び1’1’−カルボニルジイミダゾール(144mg、0.888mmol)の溶液を、窒素雰囲気下、室温で30分間撹拌した。これに、N’−ヒドロキシ−4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシミダミド(1−G)(139.5mg、0.355mmol)を加え、この溶液をN下で一晩撹拌した。 反応物をヒートブロックにおいて100℃で1.5時間加熱した。DMFを真空除去し、固体を、CHCN(4ml)に再懸濁した。生成物を、10〜90% CHCN(0.1% TFA)/水(0.1% TFA)で溶出するC−18逆相クロマトグラフィーによって精製した。溶媒を除去し、残渣をDCMに取り、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液から遊離塩基にした。有機層を、MgSO上で乾燥させ、濾過した。溶媒をCHCN/水と置換し、凍結乾燥し、5−(1−フルオロ−1−メチルエチル)−3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(3−A)を白色固体として得た。MS(ESI)=464.13(M+1).H NMR(500MHz,CDCl):δ7.89−7.85(m,1H),7.75−7.69(m,2H),7.55(t,1H),3.52(s,3H),2.30(dd,6H),2.15(dd,6H),1.90(s,3H),1.86(s,3H).Shh−LightIIアッセイ:IC50:4.2μM。
実施例4
【0151】
【化9】

【0152】
2−(1,1−ジフルオロエチル)−5−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール(4−B)
【0153】
【化10】

【0154】
工程A:
酸1−D(1.0g、2.64mmol)を、DMF(30ml)に溶解し、TFFH(0.84g、3.18mmol)、続いて、トリエチルアミン(0.88ml、6.34mmol)及び無水ヒドラジン(0.12ml、3.95mmol)を加えた。この混合物を、窒素下、室温で12時間撹拌した。次いで、混合物を減圧下で濃縮してDMFを除去した。残渣を酢酸エチルに取り、飽和炭酸水素ナトリウム及びブラインで洗浄した。有機層を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。生成物(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボヒドラジド、4−A)を、トルエンを用いて、数回、同時蒸発させることによって、さらに乾燥し、その後、次の工程に用いた。MS(ESI)=394.2(M+1)。
【0155】
工程B:
4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボヒドラジド(4−A)(334mg、0.850mmol)及び2,2−ジフルオロプロピオン酸(78mg、0.708mmol)の混合物を、塩化メチレンに懸濁し、DMC(1.2g、7.08mmol)を固体として加えた。この混合物を窒素下、室温で48時間撹拌し、その後、塩化メチレンで希釈し、水、飽和炭酸水素ナトリウム、及びブラインで洗浄した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィーによって精製し、4−Bを白色固体として得た。MS(ESI)=468.3(M+1);H NMR(500MHz,CDCl):δ2.15−2.33(15H,m),3.52(3H,s),7.61(1H,m),7.72(2H,m),7.85(1H,m)ppm。Shh−LightIIアッセイ:IC50:9.3μM。
実施例5
【0156】
【化11】

【0157】
2−(3,3−ジフルオロシクロブチル)−5−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール(5−A)
【0158】
【化12】

【0159】
工程A:
トリアゾール5−Aを、実施例4、工程Bに記載される方法を用いて、ヒドラジド4−A(119mg、0.303mmol)及び3,3−ジフルオロシクロブタンカルボン酸(49.4mg、0.363mmol)から調製した。2−(3,3−ジフルオロシクロブチル)−5−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール(5−A)が、C−18逆相HPLCによって2回精製した後に(それぞれ、0.1% TFAを含む、20〜80%及び25〜50%アセトニトリル/水で溶出する)、白色粉末として単離された。MS(ESI)=494.2(M+1)。Shh−LightIIアッセイ:IC50:2μM。
実施例6
【0160】
【化13】

【0161】
2−(1−フルオロ−1−メチルエチル)−5−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール(6−B)
【0162】
【化14】

【0163】
工程A:
無水DMF(2ml)中の、2−メチル−2−フルオロプロピオン酸(70mg、0.66mmol)及び1’1’−カルボニルジイミダゾール(107mg、0.66mmol)の溶液を、窒素雰囲気下、室温で30分間撹拌した。この溶液に、ヒドラジド4−A(200mg、0.509mmol)を加え、溶液をN下で一晩撹拌した。DMFを真空除去し、固体を、幾分かのDMSOを含むCHCN(4ml)に再溶解した。生成物を、10〜90%のCHCN(0.1% TFA)/水(0.1% TFA)で溶出するC−18逆相クロマトグラフィーによって精製した。溶媒を、真空除去し、生成物をDCM及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液から遊離塩基にした。有機層を、MgSO上で乾燥し、濾過した。溶媒を除去し、生成物6−Aを得た。MS(ESI)=482.30(M+1)。
【0164】
工程B:
工程Aにおいて得られた物質に、トルエン(3mL)及び塩化チオニル(2mL)を加え、還流冷却器を取り付け、溶液を窒素下、85℃で加熱した。1時間後、溶媒を減圧下で除去し、残渣をトルエンに溶解し、トルエンを減圧下で除去した。残渣を、CHCN(4ml)に溶解し、生成物を、10〜90%CHCN(0.1% TFA)/水(0.1% TFA)で溶出するC−18逆相クロマトグラフィーによって精製した。溶媒を真空除去し、生成物を、DCM及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液から遊離塩基にした。有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過した。溶媒を除去し、生成物を、CHCN及び水から凍結乾燥し、2−(1−フルオロ−1−メチルエチル)−5−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール(6−B)を白色固体として得た。MS(ESI)=463.98(M+);H NMR(500MHz,CDCl):δ7.89−7.85(m,1H),7.76−7.70(m,2H),7.58(s,1H),3.53(s,3H),2.32(dd,6H),2.20(dd,6H),1.92(s,3H),1.87(s,3H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Smo拮抗作用によって改善され得る状態を治療又は予防する方法であって、有効量の以下の式Iの化合物、又は式Iの化合物:
【化1】

[式中、
X、Y、及びZのうち2つは、窒素原子を表し、その他のものは、酸素原子を表し;
及びRは、それらが結合する原子と一緒になって、1〜2個のフッ素原子で置換されていてもよいシクロブチル環を表し、Rは、水素若しくはフッ素原子を表すか;
又は、
は、メチルを表し、
は、メチル若しくはフッ素原子を表し、
は、フッ素原子を表す]
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含んでなる組成物を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる前記方法。
【請求項2】
X及びYの一方がOであり、もう一方が、Nであり、Zが、Nである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該化合物が、構造式II:
【化2】

で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該化合物が、
5−(1,1−ジフルオロエチル)−3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,2,4−オキサジアゾール;
5−(3,3−ジフルオロシクロブチル)−3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,2,4−オキサジアゾール;
5−(1−フルオロ−1−メチルエチル)−3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,2,4−オキサジアゾール;
2−(1,1−ジフルオロエチル)−5−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール;
2−(3,3−ジフルオロシクロブチル)−5−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール
2−(1−フルオロ−1−メチルエチル)−5−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール;
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該化合物が、
5−(1,1−ジフルオロエチル)−3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,2,4−オキサジアゾール;
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
該化合物が:
5−(3,3−ジフルオロシクロブチル)−3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,2,4−オキサジアゾール;
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
該化合物が:
5−(1−フルオロ−1−メチルエチル)−3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,2,4−オキサジアゾール;
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
該化合物が:
2−(1,1−ジフルオロエチル)−5−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール;
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
該状態が癌である、前記の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
該癌が、基底細胞癌、髄芽腫、前立腺癌、膵臓癌、乳癌、結腸癌、小細胞肺癌、肉腫、リンパ腫、白血病、消化管癌、多発性骨髄腫、神経膠腫、ヘプタセルラー、非小細胞肺癌、弧発性及び家族性基底細胞癌、弧発性髄芽腫、髄膜腫、乳癌、食道扁平上皮癌、及び膀胱癌から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の、癌治療のための化学増感剤及び放射線増感剤としての使用。
【請求項12】
癌の治療又は予防において使用するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項13】
同時投与、別個の投与、又は逐次投与のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、及び抗癌剤。
【請求項14】
Smo拮抗作用によって改善され得る状態を治療又は予防するための医薬の製造のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の使用。
【請求項15】
該癌が、前立腺癌、非小細胞肺癌、消化管癌、及び膀胱癌から選択される、請求項10に記載の方法。

【公表番号】特表2010−524937(P2010−524937A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504069(P2010−504069)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/004862
【国際公開番号】WO2008/130552
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】