説明

SMOアンタゴニストとしてのピペリジン及びピペラジン誘導体

本発明は、ソニックヘッジホッグ経路の阻害剤、特に、Smoアンタゴニストである、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩又は互変異性体に関する。したがって、本発明の組成物は、例えば、基底細胞癌、髄芽細胞腫、前立腺癌、膵臓癌、乳癌、結腸癌、骨癌及び小細胞肺癌並びに上部消化管の癌を含む、異常なヘッジホッグ経路活性化と関連している疾患の治療にとって有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソッニック・ヘッジホッグ(Sonic Hedgehog)経路の阻害剤、特にSmoアンタゴニストである、1,2,4−オキサジアゾール置換ピペリジン及びピペラジン誘導体に関する。したがって、本発明の化合物は、癌を含む、ヘッジホッグ経路の異常な活性化に関連した疾患、例えば、基底細胞癌、髄芽細胞腫、前立腺癌、膵臓癌、乳癌、結腸癌、骨癌、及び小細胞肺癌、及び上部胃腸管の癌の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
ヘッジホッグタンパク質(Hh)は、最初はショウジョウバエ(Drosophila)で発見された、分泌型シグナリングタンパク質である。それらは疎水性の高いタンパク質であり、分泌後に拡散して組織内で勾配を確立することができ、このことが胚の正しい発生において最も重要な役割をもつ。空間的及び時間的な分布パターンを異にする3つのHhホモローグ:ソニック(Sonic)ヘッジホッグ(SHH)、インディアン(Indian)ヘッジホッグ(IHH)、及びデザート(Desert)ヘッジホッグ(DHH)が、ヒトにおいて同定されてきた。
【0003】
Hhシグナリングカスケードは、その受容体パッチド(Ptch)へのHhの結合によって開始される。Hhがない場合、Ptchは、Hhシグナリングの重要な媒介物質である、別の膜スパニングタンパク質、スムーズンド(Smo)の活性を阻害している。Smoは、構造的にはG−タンパク質結合受容体(GPCR)スーパーファミリーを暗示させるが、Hhの結合には何ら関与していない。Hhが存在すると、それはPtchに結合して不活性な複合体を形成し、PtchによるSmoの阻害を解除し、そしてHh応答経路を活性化する。Hhシグナルは、次にタンパク質複合体により、ショウジョウバエでは転写因子であるキュビタスインタラプト(Ci;cubitus interrups)へ、また哺乳類ではGLI転写因子へ伝達される。Hhシグナリングがない場合、Ciは切断され、そのアミノ末端フラグメントが、Hh標的遺伝子転写の阻害剤として作用する。Hhシグナリングにより、Ciの切断は阻害され、そしてCiは標的遺伝子転写の活性剤となる。
【0004】
胚のSHHシグナリングの損失は、単眼症及び他の発生欠損を生じ得る(チャン(Chiang C)ら、「Nature」、1996年、第383巻、p.407−413)が、SHH経路の不適切な活性化は、細胞増殖の増大及び腫瘍形成をもたらすと考えられており、また、基底細胞癌(BCC)、髄芽細胞腫、膵臓癌、小細胞肺癌、前立腺癌(PC)、乳癌、消化管腫瘍、及び皮膚癌を含む、多くの異なるタイプの悪性疾患に関連づけられている(キセリョフ(Kiselyov AS)、「Anti−cancer Agents in Medicinal Chemistry」、2006年、第6巻、p.445−449、及びシドランスキー(Sidransky D)、「Nature Genet.」、1996年、第14巻、p.7−8)。したがって、Hh経路は、多様な症状のための重要な薬理学的標的である。癌におけるHh経路の異常な活性化は、経路における突然変異によるか(リガンド非依存性)、又はHhの過剰発現によるか(リガンド依存性)の、いずれかによって引き起こされるものと考えられている。
【0005】
Ptch1中の突然変異は、母斑性基底細胞癌症候群(ゴルリン(Gorlin)症候群とも称される)、多数の発生欠陥によって特徴づけられる症状、及び、多数の基底細胞癌(BCC)、髄芽細胞腫、横紋筋肉腫、及びいくつかの他の新生物の、発症に関する素因に関係づけられてきた。Ptchを不活性化し、かつSmoを活性化する突然変異はまた、散発性BCC及び髄芽細胞腫、及び他の数多くの散発性の腫瘍において検出されてきた(ライフェンベルガー(Reifenberger J)ら、「Cancer Res.」、1998年、第58巻、p.1798−1803、及びシエ(Xie J)ら、「Nature」、1998年、第391巻、p.90−92)。
【0006】
植物由来の催奇性アルカロイドである、シクロパミン及びジェルビンは、Smoに結合することで(チャン(Chen JK)ら、「Genes Dev.」、2002年、第16巻、p.2743−2748)、SHHシグナリングを直接阻害することにより(クーパー(Cooper MK)ら、「Science」、1998年、第280巻、p.1603−1607、及びインカルドナ(Incardona JP)ら、「Development」、1998年、第125巻、p.3553−3562)、全前脳胞症を引き起こすことが証明されてきた。インビトロの試験は、催奇性シクロパミンが、Ptch−/−マウス由来の線維芽細胞、いくつかの膠芽細胞腫/神経膠腫細胞系、髄芽細胞腫細胞系、扁平上皮細胞癌細胞系、及びSCLC細胞系の、異常な細胞増殖を阻害し得ることを示してきた(バク(Bak M)ら、「Pharmacogenomics」、2003年、第4巻、第4号、p.411−429)。シクロパミンはまた、髄芽細胞腫のモデルにおいて、インビボでも効力を示してきた(ダーマン(Dahmane N)ら、「Development」、2001年、第128巻、p.5201−5212、及びバーマン(Berman CM)ら、「Science」、2002年、第297巻、p.1559−1561)。合成Hh類似体が、SHH応答性の細胞モデルにおいて同定されてきており、あるものはSmoを標的とし(チャン(Chen JK)ら、「Proc.Natl.Acad.Sci.USA」、2002年、第99巻、p.14071−14076、フランク・カメネツキ−(Frank−Kamenetsky M)ら、「J.Biol.」、2002年、第1巻、p.10、及びウィリアムズ(Williams JA)ら、「Proc.Natl.Acad.Sci.USA」、2003年、第100巻、p.4616−4621)、また他のものは、Smoの下流の未知の標的を標的化する(チャン(Chen JK)ら、「Proc.Natl.Acad.Sci.USA」、2002年、第99巻、p.14071−14076)。
【0007】
報告により、Hhの過剰発現が、ある場合にはHh標的遺伝子の発現の増大を伴って、小細胞肺癌、膵臓腺癌、食道、胃、及び胆管の癌、前立腺癌、乳癌、結腸癌、及び肝臓癌を含む、広いスペクトルのヒト腫瘍生検材料及び細胞系において示されてきた(ルビン(Rubin LL)ら、「Nature Reviews Drug Discovery」、2006年、第5巻、p.1026−33)。
【0008】
本発明の化合物は、Hh経路の阻害剤、特にSmoアンタゴニストである。
【0009】
本発明は、構造式I:
【0010】
【化1】

【0011】
[式中、
Aは、Sであり、B及びDは、各々独立して、CH若しくはNであるか;又は
Aは、Oであり、B及びDの一方は、CHであり、もう一方は、CH若しくはNであり;
aは、0、1、2、3、4、5、又は6であり;
w、x、y、及びzは、各々独立して、0、1、又は2であり;
Lは、−(NR)−又は−(O)−であり;
Yは、CH、CR、又はNであり;
Yが、CH又はCRである場合には、R、R、R、R、及びRは、各々独立して、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、カルボキシ、ニトロ、OR、CO、又はCONRであり;
Yが、Nである場合には、R、R、R、及びRは、各々独立して、オキソ、シアノ、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、カルボキシ、CO、又はCONRであり;
は、水素、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシ、ニトロ、或いはC6−10アリール、C6−10アリールオキシ、C6−10アリールカルボニル、C3−10シクロアルキル、オキセタニル、アゼチジニル、N、O、及びSから独立に選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含有する5員ないし6員の飽和若しくは部分飽和複素環、N、O、及びSから独立に選択される1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する5員の芳香族複素環(該ヘテロ原子のうち2個以上がO又はSであることはない)、1、2、又は3個のN原子を含有する6員の芳香族複素環、又はN、O、及びSから独立に選択される1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する7員ないし15員の不飽和、部分飽和若しくは飽和複素環である環であり;これらの環はいずれも、(CH10から独立に選択される1、2、又は3個の基で置換されていてもよく;
eは、0、1、2、3、又は4であり;
は、水素又はC1−6アルキルであり;
及びRは、各々独立して、水素、C1−6アルキル、又はハロC1−6アルキルであり;
Hetは、ピリジン−2−イル又はR11から独立に選択される1、2、又は3個の基で置換されていてもよい、N、O、及びSから独立に選択される1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する7員ないし15員の不飽和複素環であり;
10及びR11は、各々独立して、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル、カルボキシ、ニトロ、OR、NR、NRCOR、NRS(O)、NRS(O)NR、CO、CONR、S(O)、S(O)NR、又はC3−10シクロアルキル、C6−10アリール、C6−10アリールオキシ、アゼチジニル、又はN、O、及びSから独立に選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含有する5員ないし6員の飽和若しくは部分飽和複素環である環であり;
及びRは、各々独立して、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、又はC3−10シクロアルキルであり;
rは、0、1、又は2であり;
Xは、C又はS=Oである]
の化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を提供する。
【0012】
一実施態様では、Aは、Sであり、B及びDは、各々独立して、CH又はNである。
【0013】
一実施態様では、Aは、Sであり、B及びDの一方は、Nであり、もう一方は、CH又はNである。
【0014】
別の実施態様では、Aは、Sであり、B及びDは各々、Nである。
【0015】
別の実施態様では、Aは、Sであり、B及びDの一方は、Nであり、もう一方は、CHである。
【0016】
別の実施態様では、Aは、Oであり、B及びDの一方は、CHであり、もう一方は、CH又はNである。
【0017】
別の実施態様では、Aは、Oであり、B及びDの一方は、CHであり、もう一方は、Nである。
【0018】
一実施態様では、wは、0である。
【0019】
一実施態様では、aは、0である。
【0020】
別の実施態様では、xは、0である。
【0021】
別の実施態様では、yは、0である。
【0022】
別の実施態様では、zは、0である。
【0023】
一実施態様では、Lは、−NR−、例えば、−NH−又は−N−(CH)−である。
【0024】
一実施態様では、Rは、水素又はメチルである。
【0025】
一実施態様では、Xは、Cである。
【0026】
一実施態様では、Yは、Nである。
【0027】
一実施態様では、Rは、C3−10シクロアルキル又は(CH10から独立に選択される1、2、又は3個の基で置換されていてもよい、N、O、及びSから独立に選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含有する6員の飽和複素環である。
【0028】
一実施態様では、eは、0である。
【0029】
一実施態様では、R10は、ハロゲン、C1−6アルキル、又はハロC1−6アルキルである。
【0030】
特定のR10基として、ハロゲン、例えば、フッ素がある。
【0031】
一実施態様では、R10は、非置換であるか、又はハロゲンから独立に選択される2個の基、例えば、フッ素で置換されている。
【0032】
特定のR基として、ジフルオロシクロヘキシル、シクロヘキシル、及びテトラヒドロピラニルがある。
【0033】
具体的なR基として、4,4−ジフルオロシクロヘキシル、シクロヘキシル、及びテトラヒドロ−2H−ピラン−4イルがある。
【0034】
一実施態様では、Hetは、R11から独立に選択される1、2、又は3個の基で置換されていてもよい、N、O、及びSから独立に選択される1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する8員ないし10員の不飽和複素環である。
【0035】
特定のHet基として、キノリニル、例えば、キノリン−2−イルがある。
【0036】
一実施態様では、R11は、ハロゲン、C1−6アルキル、又はハロC1−6アルキルである。
【0037】
一実施態様では、R及びRは、各々独立して、水素又はC1−6アルキルである。
【0038】
一実施態様では、
Aは、Sであり;
Bは、CH又はNであり;
Dは、Nであり;
Lは、−NR−であり;
Hetは、R11から独立に選択される1、2、又は3個の基で置換されていてもよいキノリニルであり;
11は、ハロゲン、C1−6アルキル、又はハロC1−6アルキルである。
【0039】
別の実施態様では、
Aは、Sであり;
Bは、CH又はNであり;
Dは、Nであり;
Lは、−NR−であり;
は、C3−10シクロアルキル又は(CH10から独立に選択される1、2、又は3個の基で置換されていてもよい、N、O、及びSから独立に選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含有する6員の飽和複素環であり;
eは、0であり;
10は、ハロゲン、C1−6アルキル、又はハロC1−6アルキルである。
【0040】
本発明はまた、式II:
【0041】
【化2】

【0042】
[式中、a、w、x、y、z、L、R、R、R、R、R、R、R、X、及びHetは、上記で定義のとおりであり、
Bは、CH又はNである]
の化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を提供する。
【0043】
本発明はまた、式III:
【0044】
【化3】

【0045】
[式中、a、w、x、y、z、L、R、R、R、R、R、R、R、X、及びHetは、上記で定義のとおりである]
で示される化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を提供する。
【0046】
本発明はまた、式IV:
【0047】
【化4】

【0048】
[式中、a、w、x、y、z、R、R、R、R、R、R、R、R、X、及びHetは、上記で定義のとおりであり;
Bは、CH又はNである]
の化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を提供する。
【0049】
一実施態様では、BはNである。
【0050】
別の実施態様では、Bは、CHである。
【0051】
本発明はまた、式V:
【0052】
【化5】

【0053】
[式中、a、w、x、y、z、R、R、R、R、R、R、R、R、X、及びHetは、上記で定義のとおりである]
で示される化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を提供する。
【0054】
本発明はまた、式VI:
【0055】
【化6】

【0056】
[式中、w、x、y、z、R、R、R、R、R、及びRは、上記で定義のとおりである]
の化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を提供する。
【0057】
本発明はまた、式VII:
【0058】
【化7】

【0059】
[式中、w、x、y、z、R、R、R、R、R、及びRは、上記で定義のとおりである]
の化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を提供する。
【0060】
式II、III、IV、V、VI、及びVIIの化合物に関する好適な形態は、式Iについて上記に定義された通りに準じる。
【0061】
不確かさを避けるために言えば、wが0である場合、Rが結合してよい炭素原子は、2個の水素原子に結合されており;また、wが1である場合、この炭素原子は1個の水素原子に結合される。同じことが、x、y、及びzの任意の1個以上が0又は1である場合に準用される。
【0062】
本発明はまた、その範囲内に、上記式Iの化合物のN−オキシドも包含する。一般に、かかるN−オキシドは、任意の利用可能な窒素原子上に形成されてよい。N−オキシドは、通常の手段により、例えば、式Iの化合物を湿潤アルミナの存在下でオキソンと反応させて形成してもよい。
【0063】
本発明は、その範囲内に、上記式Iの化合物のプロドラッグを包含する。一般に、かかるプロドラッグは、式Iの化合物の機能性の誘導体であって、式Iの所望の化合物へ、インビボで容易に変換し得るものとする。適当なプロドラッグ誘導体の選択及び調製のための通常法は、例えば、バンドガード(H.Bundgaard)編、「Design of Prodrugs(プロドラッグのデザイン)」、エルゼビア、1985年、に記載されている。
【0064】
プロドラッグは、生物活性物質(「親薬物」又は「親分子」)の薬理学的に不活性な誘導体であってよく、これは、活性薬物を放出するために、体内でのトランスフォーメーションを要するものであり、かつ親の薬剤分子に対し改善された送達特性を有するものである。インビボのトランスフォーメーションは、例えば、カルボキシルエステル、リン酸エステル、又は硫酸エステルの、化学的又は酵素的加水分解か、或いは感受性の官能基の還元又は酸化といった、ある代謝プロセスの結果としてであってよい。
【0065】
本発明は、その範囲内に、式Iの化合物の溶媒和物、及びその塩、例えば水和物を包含する。
【0066】
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸、及びキラル面を有してよく(エリエル(E.L.Eliel)及びウィレン(S.H.Wilen)著、「Stereochemistry of Carbon Compounds(炭素化合物の立体化学)」、ジョン・ウィリー&サンズ、ニューヨーク、1994年、p.1119−1190、に記載のように)、かつ、ラセミ体、ラセミ混合物として、及び個々のジアステレオマーとして生じ、全ての可能な異性体、及びそれらの混合物は、光学異性体を含め、かかる立体異性体の全てが本発明に含まれている。加えて、本明細書に開示された化合物は、互変異性体として存在してもよく、たとえ一方の互変異性体構造のみが描かれている場合でも、双方の互変異性体型が本発明の範囲によって包含されることが意図されている。
【0067】
当該化合物は、種々の異性体型で存在してよく、その全てが本発明により包含される。
【0068】
式Iの化合物は、適当な溶媒、例えばメタノール若しくは酢酸エチル、又はそれらの混合物、からの分別結晶によるか、又は、光学活性固定相を使用したキラルクロマトグラフィーにより、それらの個々のジアステレオマーへ分離してもよい。絶対立体化学は、結晶性生成物又は、必要に応じて既知の絶対配置の不斉中心を含有する試薬を用いて誘導体化される結晶性中間体の、X線結晶学によって決定してもよい。
【0069】
別法として、一般構造式Iの化合物の任意の立体異性体を、光学的に純粋な出発物質、又は絶対配置が既知である試薬を用いて、立体特異的合成によって得てもよい。
【0070】
該化合物は、多数の異なる結晶多形で存在してもよい。
【0071】
本発明の化合物上の置換基及び置換パターンが、化学的に安定な化合物でありかつ、当該技術分野における技術上既知の方法並びに以下に示される方法により、容易に入手可能な出発物質から容易に合成し得る化合物、を提供するべく、当業者により選択可能であることが理解される。もし置換基自体が1個より多くの基で置換されているなら、結果として安定な構造を生じる限り、これらの多数の基が、同じ炭素上か、又は異なる炭素上にあってもよいことが理解される。語句「置換されていてもよい」は、語句「未置換か、又は1以上の置換基で置換されている」と同等であると理解されるべきであり、かかる場合、好適な実施態様は、ゼロないし3個の置換基を有するであろう。さらに特別には、ゼロないし2個の置換基がある。飽和、部分飽和、又は不飽和ヘテロ環(複素環)上の置換基は、任意の置換可能な位置に結合可能である。
【0072】
本明細書で用いる場合、「アルキル」は、特定の数の炭素原子を有している、分枝、直鎖、及び環式の、飽和脂肪族炭化水素基を包含することを意味する。例えば、「C1−6アルキル」は、直鎖、分枝鎖、又は環式の配置の、1、2、3、4、5、又は6個の炭素を有する基を包含すると定義される。例えば、「C1−6アルキル」は、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルなどを包含する。好適なアルキル基は、メチル及びエチルである。用語「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を有している、単環、二環、又は多環式の、飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「C3−7シクロアルキル」は、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシル、などを包含する。本発明の1つの実施態様においては、用語「シクロアルキル」は、直前に記載された基を包含し、かつさらに、単環式の不飽和脂肪族炭化水素基を包含する。例えば、本実施態様において定義された「シクロアルキル」は、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、シクロブテニル、7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプチルなどを包含する。好適なシクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルである。
【0073】
本明細書で用いる場合、用語「C2−10アルケニル」は、2ないし10個(例えば、2ないし6個)の炭素原子と、少なくとも1つの炭素・炭素二重結合とを含有する、直鎖又は分枝鎖の、非芳香族炭化水素基を指す。好ましくは、1つの炭素−炭素二重結合が存在し、かつ4個までの非芳香族炭素−炭素二重結合が存在してよい。アルケニル基は、エテニル、プロペニル、ブテニル、及び2−メチルブテニルを包含する。好適なアルケニル基は、エテニル及びプロペニルを包含する。
【0074】
本明細書で用いる場合、用語「C2−10アルキニル」は、2ないし10個(例えば、2ないし6個)の炭素原子と、少なくとも1つの炭素・炭素三重結合とを含有する、直鎖又は分枝鎖の炭化水素基を指す。3個までの炭素・炭素三重結合が存在してよい。アルキニル基は、エチニル、プロピニル、ブチニル、及び3−メチルブチニルなどを包含する。好適なアルキニル基は、エチニル及びプロピニルを包含する。
【0075】
「アルコキシ」は、酸素架橋を介し結合した、指示された数の炭素原子からなるアルキル基を表わす。「アルコキシ」は、それ故、上記のアルキルの定義を包含する。適当なアルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、及びシクロペンチルオキシを包含する。好適なアルコキシ基は、メトキシ及びエトキシである。用語「C6−10アリールオキシ」は、同様に理解可能であり、この基の例はフェノキシである。
【0076】
用語「ハロC1−6アルキル」及び「ハロC1−6アルコキシ」は、1個以上(特に、1ないし3個)の水素原子が、ハロゲン原子、特にフッ素又は塩素原子により置換されている、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシ基を意味する。好適であるのは、フルオロC1−6アルキル及びフルオロC1−6アルコキシ基、特にフルオロC1−3アルキル及びフルオロC1−3アルコキシ基、例えば、CF、CHF、CHF、CHCHF、CHCHF、CHCF、OCF、OCHF、OCHF、OCHCHF、OCHCHF、又はOCHCF、最も具体的にはCF、OCF、及びOCHFである。
【0077】
本明細書で用いる場合、用語「ヒドロキシC1−6アルキル」は、1個以上(特に、1ないし3個)の水素原子がヒドロキシ基により置換されている、C1−6アルキル基を意味する。好適であるのは、CHOH、CHCHOH、及びCHOHCHである。用語「ヒドロキシC2−10アルケニル」及び「ヒドロキシC2−10アルキニル」は、同様に理解することができる。「ヒドロキシC2−10アルキニル」の例は、(ヒドロキシ)(メチル)ブチニルである。
【0078】
本明細書で用いるとき、用語「C1−6アルキルカルボニル」又は「C1−6アルコキシカルボニル」は、カルボニル(C=O)基を介して結合した、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシ基をそれぞれ意味する。C1−6アルキルカルボニル基の適当な例は、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、及びtert−ブチルカルボニルを包含する。C1−6アルコキシカルボニルの例は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、及びtert−ブトキシカルボニルを包含する。用語「C6−10アリールカルボニル」は、同様に理解可能であり、この基の例はベンゾイルである。
【0079】
本発明化合物中に存在する環は、単環又は多環式、特に二環式であってもよい。多環式の環は、縮合するか、架橋するか、又はスピロ結合していてもよい。
【0080】
本明細書で用いる場合、「C6−10アリール」は、6ないし10個の原子からなる任意の安定な単環又は二環式の炭素環であって、これにおいて少なくとも1つの環が芳香環である環を意味する。かかるアリール基の例は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、及びテトラヒドロベンゾ[7]アヌレンを包含する。好適なアリール基は、フェニル又はナフチル、特にフェニルである。
【0081】
7員ないし15員のヘテロ環(複素環、ヘテロシクリル)は、7員、8員、9員、10員、11員、12員、13員、14員、及び15員のヘテロ環(複素環)を包含する。同様に、7員ないし10員のヘテロ環(複素環)は、7員、8員、9員、10員の環を包含する。
【0082】
ヘテロアリールは不飽和のヘテロ環を示す。
【0083】
本発明の特別なヘテロ環(複素環)の例は、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフランジオニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾロニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、エポキシジル、フリル、フラザニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドリジニル、インドリニル、イソインドリニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリニル、イソオキサゾリニル、オキセタニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、テトラジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、キノリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、ジヒドロイソクロメニル、ジヒドロクロメニル、ジヒドロイミダゾロニル、ジヒドロトリアゾロニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロチアゾロピリミジニル、ジヒドロイミダゾピラジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリジノニル、イミダゾロニル、イソインドリノニル、オクタヒドロキノリジニル、オクタヒドロイソインドリル、イミダゾピリジニル、アザビシクロヘプタニル、クロメノニル、トリアゾロピリミジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、チアゾロトリアゾリル、アゾニアビシクロヘプタニル、アゾニアビシクロオクタニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、ジヒドロキナゾリニル、ジヒドロフタラジニル、ベンゾイソオキサゾリル、テトラヒドロナフチリジニル、ジベンゾ[b、d]フラニル、ジヒドロベンゾチアゾリル、イミダゾチアゾリル、テトラヒドロインダゾリル、テトラヒドロベンゾチエニル、ヘキサヒドロナフチリジニル、テトラヒドロイミダゾピリジニル、テトラヒドロイミダゾピラジニル、ピロロピリジニル、ジアゼパニル、アゾニアビシクロヘキサニル、アゾニアビシクロヘプタニル、アゼパニル、オクタヒドロピリドピラジニル、ジアザビシクロヘプタニル、ジアゾニアスピロデカニル、ジアゾニアスピロノナニル、オクタヒドロピロロピロリル、及びテトラヒドロトリアゾロピラジニル、及びそのN−オキシドである。ヘテロシクリル置換基の結合は、炭素原子を介するか、又はヘテロ原子を介して生じ得る。
【0084】
好適な5又は6員の、飽和又は部分飽和ヘテロ環(複素環)は、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラン、チオモルホリニル、アゾニアビシクロヘキサニル、アゾニアビシクロヘプタニル、及びテトラヒドロピラニルである。
【0085】
好適な5員の芳香族複素環は、チエニル、チアゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、チアジアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、及びピロリルである。
【0086】
好適な6員の芳香族複素環は、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、及びピラジニルである。
【0087】
好適な7ないし15員の、飽和、部分飽和又は不飽和のヘテロ環(複素環)は、ジアゼパニル、アゼパニル、テトラヒドロキノリニル、キノリニル、インドリル、イミダゾピリジニル、ベンゾチアゾリル、キノキサリニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾジオキソリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロインドリル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンゾイソチアゾリル、ジヒドロイミダゾピラジニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサジアゾリル、チアゾロトリアゾリル、ジヒドロチアゾロピリミジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロキナゾリニル、ジヒドロフタラジニル、インダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、テトラヒドロナフチリジニル、トリアゾロピリミジニル、ジベンゾ[b,d]フラニル、ナフチリジニル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソクロメニル、ジヒドロクロメニル、ジヒドロベンゾチアゾリル、イミダゾチアゾリル、テトラヒドロインダゾリル、テトラヒドロベンゾチエニル、ヘキサヒドロナフチリジニル、テトラヒドロイミダゾピリジニル、テトラヒドロイミダゾピラジニル、ピロロピリジニル、キナゾリニル、インドリジニル、オクタヒドロピリドピラジニル、ジアザビシクロヘプタニル、ジアゾニアスピロデカニル、ジアゾニアスピロノナニル、オクタヒドロピロロピロリル、及びテトラヒドロトリアゾロピラジニルである。
【0088】
本発明の範囲内の特定の化合物は、
N−(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)−4−[3−(キノリン−2−イル)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]ピペラジン−1−カルボキサミド;
N−(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)−4−[4−(キノリン−2−イル)−1,3−チアゾール−2−イル]ピペラジン−1−カルボキサミド;
N−(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)−4−[3−(キノリン−2−イル)イソオキサゾール−5−イル]ピペラジン−1−カルボキサミド;
2−{5−[4−(シクロヘキシルカルバモイル)ピペラジン−1−イル]−1,2,4−チアジアゾール−3−イル}キノリニウムトリフルオロアセタート;
2−(5−{4−[メチル(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)カルバモイル]ピペラジン−1−イル}−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)キノリニウムトリフルオロアセタート;
2−{2−[4−(シクロヘキシルカルバモイル)ピペラジン−1−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}キノリニウムトリフルオロアセタート;
2−(2−{4−[メチル(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)カルバモイル]ピペラジン−1−イル}−1,3−チアゾール−4−イル)キノリニウムトリフルオロアセタート;
2−{5−[4−(シクロヘキシルカルバモイル)ピペラジン−1−イル]イソオキサゾール−3−イル}キノリニウムトリフルオロアセタート;
及びその薬学的に許容される塩、遊離塩基、立体異性体、及び互変異性体である。
【0089】
本発明に包含されるのは、式Iの化合物の遊離塩基、並びにその薬学的に許容される塩及び立体異性体である。本発明の化合物は、アミン及び/又はN含有ヘテロ環基のN原子においてプロトン化して塩を生成することができる。用語「遊離塩基」は、非塩型のアミン化合物を指す。包含される薬学的に許容される塩は、本明細書記載の具体的な化合物に例示される塩を包含するだけでなく、式Iの化合物の遊離型の全ての典型的な薬学的に許容される塩も包含する。記載された具体的な塩化合物の遊離型は、当該技術分野における技術上既知の方法を用いて単離されてよい。例えば、遊離型は、その塩を、適当な塩基の希釈水溶液、例えばNaOH、炭酸カリウム、アンモニア、及び炭酸水素ナトリウムの希釈水溶液、で処理することにより再生してもよい。遊離型は、極性溶媒中の溶解度のような、ある物理的性質において、その各々の塩型と幾分異なってもよいが、本発明では、他の点において、酸及び塩基塩はその各々の遊離型と医薬的に同等である。
【0090】
本化合物の薬学的に許容される塩は、塩基性の基を含有する本発明化合物から、通常の化学的方法により合成することができる。一般に、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによるか、又は、遊離塩基を化学量論的な量の、又は過剰の、所望の塩形成性無機又は有機酸と、適当な溶媒又は溶媒の種々の組合せの中で反応させることにより調製される。
【0091】
したがって、本発明化合物の薬学的に許容される塩は、塩基性の当該化合物を無機又は有機酸又は高分子酸と反応させることにより生成される、本発明化合物の通常の非毒性塩を包含する。例えば、通常の非毒性塩は、無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、スルファミン酸、リン酸、亜リン酸、硝酸など)から誘導される塩、並びに有機酸(例えば、マレイン酸、パモン酸、ヒドロキシマレイン酸、グルタミン酸、サリチル酸トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、アスパラギン酸、エタンスルホン酸、エタン、ジスルホン酸、トリフルオロ酢酸など)から調製される塩を包含する。適当な高分子塩の例は、高分子酸、例えばタンニン酸、カルボキシメチルセルロースから誘導されるものを包含する。好ましくは、本発明の薬学的に許容される塩は、1当量の式(I)の化合物と、1、2、又は3当量の無機又は有機酸とを含有する。さらに特別には、本発明の薬学的に許容される塩は、トリフルオロ酢酸又はクロリド塩である。1つの実施態様では、塩はトリフルオロ酢酸である。別の実施態様では、塩は塩化物である。
【0092】
上記記載の薬学的に許容される塩及び他の典型的な薬学的に許容される塩の調製は、バーグ(Berg)ら著、「ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンセズ(J.Pharm.Sci.)、医薬用塩類(‘Pharmaceutical Salts’)」、1977年、第66巻、p.1−19により、さらに充分に記載されている。
【0093】
生理的条件下では、該化合物中の脱プロトン化された酸性基、例えばカルボキシル基が、アニオン性であってよく、かつ、この電子電荷が次に、プロトン化又はアルキル化された塩基性基、例えば第四級窒素原子のカチオン性電荷に対し、内部で平衡化されるかもしれないことから、本発明化合物が潜在的に内部塩又は両性イオンであることもまた注目されよう。
【0094】
本発明化合物は、哺乳類、好ましくはヒトに対し、単独で、又は医薬組成物において、薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、アジュバント、充填剤、緩衝剤、安定化剤、保存剤、潤滑剤と組合せて、標準的薬学のプラクティスに従って投与してもよい。
【0095】
本発明化合物は、制限されることなく、経口(例えば、消化により);局所(例えば、経皮、鼻腔内、眼、口腔、及び舌下を含む);肺(例としては、例えばエアロゾルを使用して、例えば口又は鼻からの、吸入又は通気療法により);直腸;膣;非経口(例えば、皮下、皮内、筋肉内、静脈内、動脈内、心臓内、髄腔内、脊髄内、嚢内、被膜下、眼窩内、腹腔内、気管内、表皮下、関節内、クモ膜下、及び胸骨内を含む注射により);及び、デポー剤の移植(例えば、皮下又は筋肉内)によるものを含め、全身/末梢であろうと、所望の活性の部位においてであろうと、任意の便利な投与経路により、患者へ投与してもよい。
【0096】
患者は、真核生物、動物、脊椎動物、哺乳類、げっ歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ科の動物(例えば、マウス)、イヌ科の動物(例えば、イヌ)、ネコ科の動物(例えば、ネコ)、ウマ科の動物(例えば、ウマ)、霊長類、シミアン(例えば、サル又は類人猿)、サル(例えば、マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)、又はヒトであってよい。
【0097】
本発明はまた、1つ以上の本発明化合物と薬学的に許容される担体とを含んでなる、医薬組成物も提供する。活性成分を含有する医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性又は油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、エマルジョン、硬又は軟カプセル、或いはシロップ又はエリキシルのような、経口使用に適した形態であってよい。経口使用を意図した組成物は、医薬組成物製造のための当該技術分野において周知の任意の方法に従って調製してもよく、かかる組成物は、医薬的に適切で口当たりの良い製剤を提供するため、甘味剤、着香剤、着色剤、及び保存剤からなる群より選択される、1つ以上の薬剤を含有してもよい。錠剤は、活性成分を、錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容される賦形剤との混合物中に含有する。これらの賦形剤は、例としては、不活性な希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム;造粒及び崩壊剤、例えば、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、コーンスターチ、又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、ポリビニル−ピロリドン、又はアラビアゴム、及び潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクであってよい。錠剤は、コートしなくてもよく、或いはそれらを、周知の技術によりコートして、薬物の不快な味をマスクするか、又は消化管内での崩壊及び吸収を遅延させ、それにより長期間にわたり持続作用を提供するようにしてもよい。例えば、例えばヒドロキシプロピル−メチルセルロース若しくはヒドロキシプロピルセルロースのような、水溶性の味覚マスキング剤、又は、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレートのような、時間遅延物質を使用してもよい。
【0098】
経口使用用の製剤はまた、活性成分が、不活性な固形希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセルとして、或いは、活性成分が、水溶性担体、例えばポリエチレングリコール、又は油性媒体、例えば、ラッカセイ油、流動パラフィン、又はオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセルとして供してもよい。
【0099】
水性懸濁液は、活性成分を、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中に含有する。かかる賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、及びアカシアゴムであり;分散又は湿潤剤は、天然産ホスファチド、例えばレシチン、又は、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、又は、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はエチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合物、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、又はエチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合物、例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタンでよい。水性懸濁液はまた、1つ以上の保存剤、例えば、エチル、又はn−プロピル p−ヒドロキシベンゾアート、1つ以上の着色剤、1つ以上の着香剤、及び1つ以上の甘味剤、例えばスクロース、サッカリン、又はアスパルテームも含有してよい。
【0100】
油性懸濁液は、活性成分を、植物油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油又はヤシ油か、或いは鉱物油、例えば流動パラフィン中に懸濁することにより製剤してもよい。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜蝋、固形パラフィン、又はセチルアルコールを含有してもよい。上記に示したような甘味剤、及び着香剤を添加して、口当たりの良い経口用製剤を提供するようにしてもよい。これらの組成物は、酸化防止剤、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール又はアルファー−トコフェロールの添加により調製してもよい。
【0101】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末及び顆粒は、活性成分を、分散又は湿潤剤、懸濁化剤、及び1つ以上の保存剤との混合物中に提供する。適当な分散又は湿潤剤、及び懸濁化剤は、上記のすでに列挙されたものに例示される。付加的な賦形剤、例えば、甘味剤、着香剤、及び着色剤もまた存在してよい。これらの組成物は、アスコルビン酸のような酸化防止剤の添加により保存してもよい。
【0102】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。油性相は、植物油、例えばオリーブ油又はラッカセイ油、或いは鉱物油、例えば流動パラフィン、又はこれらの混合物でよい。適当な乳化剤は、天然産ホスファチド、例えばダイズレシチン、及び、脂肪酸とヘキシトール無水物とから誘導されるエステル又は部分エステル、例えばモノオレイン酸ソルビタン、及び、前記部分エステルと、エチレンオキシドとの縮合物、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンでよい。エマルジョンはまた、甘味剤、着香剤、保存剤、及び酸化防止剤を含有してもよい。
【0103】
シロップ及びエリキシルは、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、又はスクロースを用いて製剤してもよい。かかる製剤はまた、粘滑剤、保存剤、着香剤及び着色剤、及び酸化防止剤を含有してもよい。
【0104】
医薬組成物はまた、無菌の注射用水溶液の形態であってもよい。使用してもよい許容されるビヒクル及び溶媒は、なかんずく、水、リンガー液、及び等張の塩化ナトリウム溶液である。
【0105】
無菌の注射用製剤はまた、活性成分が油性相中に溶解されている、無菌の注射可能な水中油型マイクロエマルジョンでよい。例えば、活性成分を、まず、ダイズ油及びレシチンの混合物中に溶解してもよい。この油性溶液を、次に、水とグリセロールとの混合物中へ投入し、マイクロエマルジョンを生成するべく加工する。
【0106】
注射用の溶液又はマイクロエマルジョンは、局所ボーラス注射により、患者の血中へ投与してもよい。別法として、その溶液又はマイクロエマルジョンを、本発明化合物の一定の血中濃度を維持するような方法で、投与することが有利であるかもしれない。かかる一定濃度を維持するため、持続静脈内送達装置を利用してもよい。かかる装置の一例は、デルテック(Deltec)CADD−PLUS(登録商標)モデル5400静脈内ポンプである。
【0107】
医薬組成物は、筋肉内及び皮下投与用の、無菌の注射用水性又は油脂性懸濁液の形態でもよい。この懸濁液は、当該技術分野において周知の方法により、上記に列挙されてきた適当な分散又は湿潤剤及び懸濁化剤を用いて製剤してもよい。無菌の注射用製剤はまた、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液のような、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の、無菌の注射用溶液又は懸濁液であってもよい。さらに、無菌の固定油が、溶媒又は懸濁媒体として慣習的に使用される。この目的のためには、合成モノ−、又はジグリセリドを含む、任意の無刺激性の固定油を使用してもよい。さらに、オレイン酸のような脂肪酸は、注射用物質の調製において用途がある。
【0108】
式Iの化合物はまた、薬物の直腸投与用の坐剤の形態で投与してもよい。これらの組成物は、該薬物を、常温では固定であるが直腸温度では液体であり、それ故直腸内で融解して該薬物を放出することができる、適当な非刺激性の賦形剤と混合することにより調製し得る。かかる物質は、カカオバター、グリセリンゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物、及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルを包含する。
【0109】
局所使用には、式Iの化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液その他が使用される。(本出願では、局所適用はマウスウォッシュ及びうがい薬を含むものとする。)
【0110】
本発明化合物は、適当な鼻腔内ビヒクル及び送達装置の局所使用により鼻腔内型で、又は、当業者に周知の経皮パッチの形態のものを用いて経皮経路により、投与することができる。経皮送達系の形態において投与されるためには、用量投与は、もちろん、用法用量全体を通し、断続的であるよりもむしろ連続的となるであろう。本発明化合物はまた、基剤、例えば、カカオバター、グリセリンゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物、及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルを用いた、坐剤として送達してもよい。
【0111】
本発明による化合物が患者へ投与される場合、選択される用量レベルは、制限されることなく、特定の化合物の活性、個々の症状の重さ、投与経路、投与時間、化合物の排出速度、治療継続時間、併用して使用する他の薬物、化合物、及び/又は物質、及び、患者の年齢、性別、体重、症状、全身の健康、及び以前の病歴を含む、多様な因子に依存するであろう。化合物の量及び投与経路は、最終的には医師の自由裁量にあるが、一般に、用量は、実質的に危険又は有害な副作用を引き起こすことなく所望の効果を達成する局所濃度を、活性部位において達成するためのものであろう。
【0112】
インビボの投与は、1つの用量で、連続的に、又は断続的に(例えば、適当な間隔での分割用量で)治療のコース全体を通して達成することができる。最も有効な投与手段及び用量を決定するための方法は、当該技術分野において周知であり、療法に使用される製剤、療法の目的、治療されている標的細胞、及び治療されている患者によって異なるであろう。治療する医師によって選択される用量レベル及びパターンを用いて、単回又は複数回の投与を行うことができる。
【0113】
一般に、活性化合物の適当な用量は、1日当たり患者の体重1キログラムあたり、約100μgないし約250mgの範囲内にある。活性化合物が塩、エステル、プロドラッグなどの場合、投与する量は、親化合物を基準に計算され、それ故、使用するべき正確な重量は、比例して増やされる。
【0114】
本発明は、ヘッジホッグシグナリング経路の活性化を阻害して、例えば、Ptch機能喪失(Ptch loss−of−function)、ヘッジホッグ機能獲得(hedgehog gain−of−function)、スムーズンド機能獲得(smoothened gain−of−function)、又はGli機能獲得(Gli gain−of−function)といった表現型からの結果として生じる、異常な増殖状態を阻害するための方法であって、正常なPtc活性を作動させ、正常なヘッジホッグ活性に拮抗し、スムーズンド活性(smoothened activity)に拮抗し、又はGli活性に拮抗するために充分な量の式Iの化合物を、細胞と接触させて、異常な増殖状態を逆転若しくは制御することを含んでなる該方法を提供する。
【0115】
本発明はさらに、過剰増殖性障害、すなわち癌、並びに他のヘッジホッグ経路に媒介される障害又は症状を、治療し、1つ以上の症候を改善し、かつ重篤性を低減するための方法を提供する。
【0116】
多くの腫瘍及び増殖性症状が、ヘッジホッグ経路に依存することが示されてきた。かかる細胞の増殖及び生存は、本発明の化合物を用いた治療によって影響される可能性がある。例えば、ヘッジホッグ経路の低分子阻害は、基底細胞癌(ウイリアムズ(Williams)ら、「PNAS」、2003年、第100巻、p.4616−21)、髄芽細胞腫(バーマン(Berman)ら、「Science」、2002年、第297巻、p.1559−61)、膵臓癌、胃腸癌、及び食道癌(バーマン(Berman)ら、「Nature」、2003年、第425巻、p.846−51、及びWO05/013800)、肺癌(ワトキンス(Watkins)ら、「Nature」、2003年、第422巻、p.313−7)、及び前立腺癌(カハドカ(Karhadkar)ら、「Nature」、2004年、第431巻、p.707−12)の増殖を阻害することが示されてきた。
【0117】
加えて、多くの癌タイプ、例えば、乳癌(クボ(Kubo)ら、「Cancer Research」、2004年、第64巻、p.6071−4)、肝細胞癌(heptacellular cancer)(パティル(Patil)ら、「第96回AACR年会議(Annual AACR conference)、抄録#2942」、2005年、及びシックリック(Sicklick)ら、「ASCO年会議(ASCO annual meeting)、抄録#9610」、2005年)、造血器腫瘍(ワトキンス(Watkins)及びマツイ(Matsui)、結果未発表)、基底癌(ベール(Bale)ら、「Human Molec.Genet.」、2001年、B:p.757−762、シエ(Xie)ら、「Nature」、1998年、第391巻、p.90−92)、髄芽細胞腫(Pietsch)ら、「Cancer Res.」、1997年、第57巻、p.2085−88)、及び胃癌(マー(Ma)ら、「Carcinogenesis」、2005年5月19日、(EPub))が、制御されない活性化をヘッジホッグ経路に有することが示されてきた。
【0118】
機能不全的に突然変異したパッチド遺伝子の発現は、散発性及び家族性のBCCにおいて報告されてきた。パッチド遺伝子の突然変異又は欠失はまた、散発性の髄芽細胞腫、髄膜腫、乳癌、食道扁平上皮細胞癌、及び膀胱腫瘍において検出されてきた(「Oncogene」、1998年、第17巻、p.1167−1172)。
【0119】
本発明の化合物は、Smo拮抗作用によって改善し得る症状を、治療又は予防するために使用し得る。本発明の化合物はまた、本明細書に記載された疾患の、治療又は予防用医薬の製造のためにも有用である。
【0120】
本発明は、Smo拮抗作用によって改善し得る症状の、治療又は予防用医薬の製造のための、式Iの化合物の使用を提供する。
【0121】
本発明はまた、Smo拮抗作用によって改善し得る症状を、治療又は予防するための方法であって、有効量の式Iの化合物、又は式Iの化合物を含んでなる組成物を、これを必要とする患者に投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0122】
本明細書に提供した化合物、組成物、及び方法は、特に、癌の治療に有用であると考えられる。本発明の化合物、組成物、及び方法によって治療してもよい癌は、これに限定されないが:心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫、及び奇形腫;:気管支原性癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中皮腫;胃腸:食道(扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(腺管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、結腸、結腸直腸、直腸;尿生殖路:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱及び尿道(扁平上皮細胞癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胎児性癌、奇形癌、絨毛上皮腫、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽細胞腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫軟骨腫、骨軟骨腫(骨軟骨性外骨症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫及び、巨細胞腫;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、上衣細胞腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性神経膠芽腫、乏突起神経膠腫、神経鞘種、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科系:子宮(子宮内膜癌)、子宮頚(子宮頚癌、前腫瘍性子宮頚部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、分類不能癌腫]、顆粒膜卵胞膜細胞腫、セルトリ−ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰(扁平上皮細胞癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(癌腫);血液系:血液(骨髄性白血病[急性及び慢性]、急性リンパ芽球生白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、脊髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、色素性異形成毋斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維種、ケロイド、乾癬;及び副腎:神経芽細胞腫を包含する。したがって、用語「癌性細胞」は、本明細書において生じた場合、上記に定義された症状の任意の1つに苦しむ細胞を包含する。
【0123】
1つの実施態様においては、本発明の化合物は、基底細胞癌、髄芽細胞腫、前立腺癌、膵臓癌、乳癌、結腸癌、小細胞肺癌、肉腫、リンパ腫、白血病、胃腸癌、多発性骨髄腫、神経膠腫、及び肝細胞癌から選択される癌を、治療又は予防するために使用し得る。本発明の化合物によって治療又は予防し得るさらなる癌は、散発性及び家族性の基底細胞癌、散発性髄芽細胞腫、髄膜腫、乳癌、食道扁平上皮細胞癌、及び膀胱癌を包含する。
【0124】
本発明はまた、癌の治療又は予防用の医薬製造のための、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の使用も提供する。
【0125】
本発明はまた、癌を治療又は予防するための方法であって、有効量の式Iの化合物、又は式Iの化合物を含んでなる組成物を、これを必要とする患者に投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0126】
ヘッジホッグ経路の阻害は、乾癬の症状を改善することが示されてきた(タス(Tas)ら、「Dermatology」、2004年、20q:126−131、及びUS2004/0072913)。
【0127】
本発明は、乾癬の治療又は予防用の医薬製造のための、式Iの化合物の使用を提供する。
【0128】
本発明はまた、乾癬を治療又は予防するための方法であって、有効量の式Iの化合物、又は式Iの化合物を含んでなる組成物を、これを必要とする患者に投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0129】
ヘッジホッグの活性化は、血管形成を刺激することが示されてきており(ポーラ(Pola)ら、「Nature Medicine」、2001年、第7巻、第6号、p.706−711、及びナガセ(Nagase)ら、「Genes to Cells」、2005年、第10巻、第6号、p.595−604)、それ故、ヘッジホッグアンタゴニストとして作用する化合物が、血管形成のアンタゴニストとして有用であってよい。
【0130】
本発明は、血管形成の治療又は予防用の医薬製造のための、式Iの化合物の使用を提供する。
【0131】
本発明はまた、血管形成を治療又は予防するための方法であって、有効量の式Iの化合物、又は式Iの化合物を含んでなる組成物を、これを必要とする患者に投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0132】
式Iの化合物によって治療又は予防し得る、血管形成によって引き起こされるか、血管形成によって支持されるか、又は血管形成に関連した疾患は、癌、眼性血管新生疾患、加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植片拒絶、血管新生緑内障、後水晶体線維増殖症、流行性角結膜炎、ビタミンA欠乏症、コンタクトレンズ過装着、アトピー性角膜炎、上輪部角膜炎、翼状乾性角膜炎、シューグレン症候群、酒さ様ざ瘡、フィレクテヌローシス(phylectenulosis)、梅毒、マイコバクテリア感染症、脂質変性症、化学火傷(chemical bums)、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染症、帯状ヘルペス感染症、原虫症、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン辺縁変性症、辺縁角質溶解、リウマチ様関節炎、全身性狼瘡、多発性動脈炎、外傷、ウェグナー・サルコイドーシス(Wegeners sarcoidosis)、強膜炎、スティーブン・ジョンソン病(Stevens Johnson disease)、類天疱瘡(Periphigoid)放射状角膜切開、角膜移植片拒絶、リウマチ様15関節炎、変形性関節症 慢性炎症(例えば、潰瘍性大腸炎又はクローン病)、血管腫、オスラー・ウェーバー・ランジュ病、及び遺伝性出血性毛細管拡張症を包含する。
【0133】
1つの実施態様においては、本発明の化合物は、パッチドの機能喪失に関連した癌を、治療及び予防するために有用である。
【0134】
別の実施態様においては、本発明の化合物は、スムーズンドの機能獲得に関連した癌を、治療及び予防するために有用である。
【0135】
式Iの化合物はまた、癌治療のための、化学増感剤及び放射線増感剤としても有用である。それらは、癌の治療を既に受けたか、現在受けているか、又は受けることになる、哺乳類の治療に有用である。そのような別の治療は、化学療法、放射線療法、外科手術、又は免疫療法、例えば癌ワクチンを包含する。
【0136】
本化合物は、治療剤、抗癌剤、及び/又は放射線療法剤との併用において、特に有用である。したがって、本発明は、式Iの本化合物と、治療剤、抗癌剤、及び/又は放射線療法剤との、同時の、別個の、又は連続的な投与のための組合せを提供する。本発明の化合物及び別の抗癌剤は、相加的又は相乗的に作用し得る。本発明の化合物と別の抗癌剤との相乗的組合せにより、これらの薬剤の一方若しくは双方のより低い投薬量での使用、及び/又は本発明化合物と別の抗癌剤の一方若しくは双方のより低い投薬頻度を可能にし、及び/又は、薬剤をより低い頻度で投与することで、癌の治療における該薬剤の効力を低減することなく、患者への薬剤投与に付随するいかなる毒性も低減することができる。加えて相乗効果は、結果として、癌の治療におけるこれらの薬剤の効力を改善し、及び/又は、これらの薬剤の単独使用に付随するいかなる有害若しくは望ましくない副作用も低減することになるかもしれない。
【0137】
治療剤、抗癌剤、及び/又は放射線療法は、当該技術分野において周知の治療プロトコールに従って投与してよい。当業者には、治療剤、抗癌剤、及び/又は放射線療法の投与が、治療される疾患と、当該疾患に対する抗癌剤及び/又は放射線療法の既知の効果とに依存して変動し得ることが明らかであろう。また、熟練した臨床家の知識に従い、治療プロトコール(例えば、投薬量及び投与時間)は、患者について観察された投与された治療剤(すなわち、抗新生物剤又は放射線)の効果の観点から、また投与された治療剤に対して観察された疾患の応答、及び観察された副作用の観点から、変動してもよい。
【0138】
1つの実施態様においては、式Iの化合物は、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、抗癌剤、免疫調節剤、治療用抗体、及びプロテインキナーゼ阻害剤、例えば、チロシンキナーゼ阻害剤から選択される、1種以上の薬剤と組合せて投与し得る。
【0139】
別の実施態様においては、同時の、別個の、又は連続した投与のための、式Iの化合物と抗癌剤との組合せが提供される。
【0140】
本発明の化合物と組合せて使用するための、癌の薬剤又は化学治療剤の例は、デビータ(V.T.Devita)及びヘルマン(S.Hellman)共編、「Cancer Principles and Practice of Oncology(癌の原理及び腫瘍学のプラクティス)」、第6版、リピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンス出版(Lippincott Williams&Wilkins Publishers)、2001年2月15日、及びWO2006/061638に見出すことができる。当業者は、薬物及び関係する癌の、特定の性質に基づき、どの薬剤の組合せが有用であるかを識別することができるであろう。かかる薬剤は、以下のものを包含する:エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤及び他の血管形成阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、ビスホスホナート、アロマターゼ阻害剤、SiRNA治療剤、γ−セクレターゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ(RTKs)を妨害する薬剤、及び細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤。かかる薬剤の例は、WO2006/061638に提供されている。
【0141】
本発明の併用療法における使用に適した抗癌剤は、これに限定されないが、1)アルカロイド:これは、微小管阻害剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、及びビンデシンなど)、微小管安定化剤(例えば、パクリタキセル[タキソール(Taxol)]、及びドセタキセル、タキソテールなど)、及びクロマチン機能阻害剤(トポイソメラーゼ阻害、例えばエピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド[VP−16]、及びテニポシド[VM−26]など)と、トポイソメラーゼIを標的とする薬剤(例えば、カンプトテシン及びイシリノテカン(Isirinotecan)[CPT−11]など)とを含む)を包含する;2)共有結合性のDNA結合剤[アルキル化剤]:これは、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、クロランブシル、シクロホスファミド、イフォスファミド、及びブスルファン[マイレラン(Myleran)]など)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチン、及びセムスチンなど)、及び他のアルキル化剤(例えば、ダカルバジン、ヒドロキシメチルメラミン、チオテパ、及びマイトマイシンなど)を包含する;3)非共有結合性のDNA結合剤[抗腫瘍抗生物質]:これは、核酸阻害剤(例えば、ダクチノマイシンン[アクチノマイシンD]など)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン[ダウノマイシン(Daunomycin)、及びセルビジン(Cerbidine)]、ドキソルビシン[アドリアマイシン]、及びイダルビシン[イダマイシン(Idamycin)]など)、アントラセンジオン(例えば、[ミトキサントロン(Mitoxantrone)]のようなアントラサイクリン類似体など)、ブレオマイシン(ブレノキサン)など、及びプリカマイシン(ミトラマイシン)など;4)代謝拮抗剤:これは、葉酸代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、フォレックス、及びメキサート(Mexate)など)、プリン代謝拮抗剤(例えば、6−メルカプトプリン[6−MP、プリネトール(Purinethol)]、6−チオグアニン[6−TG]、アザチオプリン、アシクロビル、ガンシクロビル、クロロデオキシアデノシン、2−クロロデオキシアデノシン[CdA]、及び2’−デオキシコフォルマイシン[ペントスタチン(Pentostatin)]など)、ピリミジンアンタゴニスト(例えば、フルオロピリミジン[例えば、5−フルオロウラシル(アドルシル)、5−フルオロデオキシウリジン(FdUrd)(フロクスウリジン(Floxuridine))など]、及びシトシンアラビノシド(例えば、サイトサール[アラ−C(ara−C)]及びフルダラビンなど)を包含する;5)酵素:これは、L−アスパラギナーゼを包含する;6)ホルモン:これは、グルココルチコイド、例えばアンチエストロゲン(例えば、タモキシフェンなど)、非ステロイド性アンチアンドロゲン(例えば、フルタミドなど)、及びアロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール[アリミデックス(Arimidex)]など)を包含する;7)白金化合物(例えば、シスプラチン及びカルボプラチンなど);8)モノクローナル抗体:これは、抗癌剤、毒素、及び/又は放射性核種などにコンジュゲートされている;9)生物応答修飾剤(例えば、インターフェロン[例えば、IFN−アルファなど]及びインターロイキン[例えば、IL−2など]);10)養子免疫療法;11)造血増殖因子;12)腫瘍細胞の分化を誘導する薬剤(例えば、オールトランスレチノイン酸など);13)遺伝子療法技術;14)アンチセンス療法技術;15)腫瘍ワクチン;16)腫瘍転移に向けた療法(例えば、バチミスタットなど);17)血管形成阻害剤及びキナーゼ阻害剤。
【0142】
1つの実施態様においては、第2の化合物として使用されるべき血管形成阻害剤は、チロシンキナーゼ阻害剤、上皮由来増殖因子の阻害剤、線維芽細胞由来増殖因子の阻害剤、血小板由来の増殖因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリン遮断薬、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサン多硫酸塩、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、又はVEGFに対する抗体から選択される。1つの実施態様においては、エストロゲン受容体モジュレータは、タモキシフェン又はラロキシフェンである。
【0143】
本発明の併用療法における使用に適した治療抗体は、HER2タンパク質に対する抗体、例えばトラツズマブ(trastuzuinab);増殖因子又は増殖因子受容体に対する抗体、例えば、ベバシズマブ(bevacizurnab)(これは、血管内皮増殖因子を標的とする)、及びOSI−774(これは、上皮増殖因子を標的とする);及び、インテグリン受容体を標的とする抗体、例えば、ビタキシン(MEDI−522としても知られる)などを包含する。
【0144】
1つの実施態様においては、基底細胞癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、リンパ腫、白血病、胃腸癌、多発性骨髄腫、小細胞肺がん、神経膠腫、乳癌、肝細胞癌、又は髄芽細胞腫を治療又は予防する方法であって、式Iの化合物の有効量を、別の抗癌剤と組合せて、これを必要とする患者に投与することを含んでなる該方法が提供される。
【0145】
1つの実施態様においては、乾癬を治療又は予防する方法であって、式Iの化合物の有効量を、これに限定されないが、コルチコステロイド、タール、カルシポトリエン、タザロテン、カルシネウリン阻害剤、紫外線照射、メトトレキサート、レチノイド、シクロスポリン、免疫調節剤、エタネルセプト、アレファセプト、エファリズマブ、及びインフリキシマブを包含する1種以上の別の抗乾癬剤と組合せて、これを必要とする患者に投与することを含んでなる該方法が提供される。
【0146】
該式の化合物は、放射線療法と組合せて使用し得る。用語「放射線療法」は、新生物の治療における電磁又は微粒子放射線の使用を指し、イオン化及び非イオン化放射線の使用を包含する。
【0147】
本発明の化合物を、抗嘔吐剤と一緒に使用して、本発明化合物単独の又は放射線療法との使用の結果として生じるかもしれない急性、遅発性、遅延相、及び予測性嘔吐を含めた、悪心又は嘔吐を治療してもよい。嘔吐の予防又は治療のためには、本発明化合物を、他の抗嘔吐剤、特にニューロキニン−1受容体アンタゴニスト;5HT3受容体アンタゴニスト、例えばオンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロン、及びザチセトロン;GABAB受容体アゴニスト、例えばバクロフェン;コルチコステロイド、例えばデカドロン(Decadron)(デキサメタゾン)、ケナログ(Kenalog)、アリストコート(Aristocort)、ナサライド(Nasalide)、プレフェリド(Preferid)、ベネコルテン(Benecorten)、又は他の、米国特許第2,789,118、2,990,401、3,048,581、3,126,375、3,929,768、3,996,359、3,928,326、及び3,749,712号に開示されたもの;抗ドーパミン作動薬、例えばフェノチアジン類(例えばプロクロペラジン、フルフェナジン、チオリダジン、及びメソリダジン)、メトクロプラマイド、又はドロナビノールと一緒に使用してもよい。別の実施態様においては、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、5HT3受容体アンタゴニスト、及びコルチコステロイドから選択される抗嘔吐剤との併用が、本化合物の投与の結果として生じるかもしれない嘔吐の治療又は予防用に開示されている。
【0148】
本発明化合物はまた、貧血症の治療において有用な薬剤とともに投与してもよい。かかる貧血症治療剤は、例えば、持続性の赤血球形成受容体活性化剤(例えばエポエチン・アルファ)である。
【0149】
本発明化合物はまた、好中球減少症の治療において有用な薬剤とともに投与してもよい。かかる好中球減少症治療剤は、例えば、ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)のような、好中球の産生及び機能を調節する造血成長因子である。G−CSFの例は、フィルグラスチムを包含する。
【0150】
本発明化合物はまた、siRNA治療法との併用において、癌の治療又は予防するために有用である。
【0151】
本発明化合物はまた、以下の治療剤との併用において、癌を治療するために有用である:アバレリックス(プレナキシス・デポ(Plenaxis depot)(登録商標));アルデスロイキン(プロカイン(Prokine)(登録商標));アルデスロイキン(プロロイキン(Proleukin)(登録商標));アレムツズマブ(キャンパス(Campath)(登録商標));アリトレチノイン(パンレチン(Panretin)(登録商標));アロプリノール(ザイロプリム(Zyloprim)(登録商標));アルトレタミン(ヘキサレン(Hexalen)(登録商標));アミフォスチン(エチヨル(Ethyol)(登録商標));アナストロゾール(アリミデックス(Arimidex)(登録商標));三酸化ヒ素(トリセノックス(Trisenox)(登録商標));アスパラギナーゼ(エルスパル(Elspar)(登録商標));アザシチジン(ビダザ(Vidaza)(登録商標));ベバシズマブ(アバスチン(Avastin)(登録商標));ベキサロテン・カプセル(タルグレチン(Targretin)(登録商標));ベキサロテン・ゲル(タルグレチン(Targretin)(登録商標));ブレオマイシン(ブレノキサン(Blenoxane)(登録商標));ボルテゾミブ(ベルケード(Velcade)(登録商標));ブスルファン・静脈内(ブスルフェックス(Busulfex)(登録商標));ブスルファン・経口(マイレラン(Myleran)(登録商標));カルステロン(メトサーブ(Methosarb)(登録商標));カペシタビン(ゼローダ(Xeloda)(登録商標));カルボプラチン(パラプラチン(Paraplatin)(登録商標));カルムスチン(BCNU(登録商標)、BiCNU(登録商標));カルムスチン(グリアデル(Gliadel)(登録商標));インプラント型ポリフェプロサン20カルムスチン(グリアデル・ウエファー(Gliadel Wafer)(登録商標));セレコキシブ(セレブレックス((Celebex)(登録商標));セツキシマブ(アービタックス(Erbitux)(登録商標));クロランブシル(ロイケラン(Leukeran)(登録商標));シスプラチン(プラチノール(Platinol)(登録商標));クラドリビン(ロイスタチン(Leustatin)(登録商標)、2−CdA(登録商標));クロファラビン(クロラール(Clolar)(登録商標));シクロホスファミド(サイトキサン(Cytoxan)(登録商標)、ネオサール(Neosar)(登録商標));シクロホスファミド(サイトキサン注射薬(Cytoxan Injection)(登録商標));シクロホスファミド(サイトキサン・タブレット(Cytoxan Tablet)(登録商標));シタラビン(サイトサール−U(Cytosar−U)(登録商標));リポソーム化シタラビン(DepoCyt(登録商標));ダカルバジン(DTIC−Dome(登録商標));ダクチノマイシン、アクチノマイシンD(コスメゲン(Cosmegen)(登録商標));ダルベポエチン・アルファ(アラネスプ(Arnesp)(登録商標));リポソーム化ダウノルビシン(DanuoXome(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(ダウノルビシン(Daunorubicin)(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(セルビジン(Cerbidine)(登録商標));デニロイキン・ディフィトックス(オンタック(Ontak)(登録商標));デクスラゾキサン(ザインカード(Zinecard)(登録商標));ドセタキセル(タキソテール(Taxotere)(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシンPFS(Adriamycin PFS)(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシン(Adriamycin)(登録商標)、ルベックス(Rubex)(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシンPFS注射薬(Adriamycin PFS Injection)(登録商標));リポソーム化ドキソルビシン(ドキシル(Doxil)(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(ドロモスタノロン(Dromostanolone)(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(マステロン注射薬(Masterone Injection)(登録商標));エリオットのB溶液(エリオットのB溶液(Elliott’s B Solution)(登録商標));エピルビシン(エレンス(Ellence)(登録商標));エポエチン・アルファ(エポジェン(epogen)(登録商標));エルロチニブ(タルセバ(Tarceva)(登録商標));エストラムスチン(Emcyt(登録商標));エトポシドリン酸塩(エトポフォス(Etopophos)(登録商標));エトポシド、VP−16(ベペシド(Vepesid)(登録商標));エキセメスタン(アロマシン(Aromasin)(登録商標));フィルグラスチム(ノイポゲン(Neupogen)(登録商標));フロクスウリジン(動脈内)(FUDR(登録商標));フルダラビン(フルダラ(Fludara)(登録商標));フルオロウラシル、5−FU(アドルシル(Adrucil)(登録商標));フルベストラント(ファスロデックス(Faslodex)(登録商標));ゲフィチニブ(イレッサ(Iressa)(登録商標));ゲムシタビン(ゲムザール(Gemzar)(登録商標));ゲムツズマブ・オゾガマイシン(マイロターグ(Mylotarg)(登録商標));ゴセレリン酢酸塩(ゾラデックス・インプラント(Zoladex Implant)(登録商標));ゴセレリン酢酸塩(ゾラデックス(Zoladex)(登録商標));ヒストレリン酢酸塩(ヒストレリン・インプラント(Histrelin implant)(登録商標));ヒドロキシウレア(ハイドレア(Hydrea)(登録商標));イブリツモマブ・チウキセタン(ゼヴァリン(Zevalin)(登録商標));イダルビシン(イダマイシン(Idamycin)(登録商標));イフォスファミド(IFEX(登録商標));イマチニブメシル酸塩(グリベック(Gleevec)(登録商標));インターフェロンアルファ2a(ロフェロンA(Roferon A)(登録商標));インターフェロンアルファ−2b(イントロンA(Intron A)(登録商標));イリノテカン(カンプトサール(Camptosar)(登録商標));レナリドマイド(レブリミド(Revlimid)(登録商標));レトロゾール(フェマーラ(Femara)(登録商標));ロイコボリン(ウェルコボリン(Wellcovorin)(登録商標)、ロイコボリン(Leucovorin)(登録商標));酢酸ロイプロリド(エリガード(Eligard)(登録商標));レバミソール(エルガミゾール(Ergamisol)(登録商標));ロムスチン、CCNU(CeeBU(登録商標));メクロレタミン、ナイトロジェンマスタード(マスタルゲン(Mustargen)(登録商標));酢酸メゲストロール(メゲース(Megace)(登録商標));メルファラン、L−PAM(アルケラン(Alkeran)(登録商標));メルカプトプリン、6−MP(プリネトール(Purinethol)(登録商標));メスナ(メスネックス(Mesnex)(登録商標));メスナ(メスネックス錠(Mesnex tabs)(登録商標));メトトレキサート(メトトレキセート(Methotrexate)(登録商標));メトキサレン(ウヴァデクス(Uvadex)(登録商標));マイトマイシンC(ミュータマイシン(Mutamycin)(登録商標));ミトタン(リソドレン(Lysodren)(登録商標));ミトキサントロン(ノバントロン(Novantrone)(登録商標));フェンプロピオン酸ナンドロロン(デュラボリン−50(Durabolin−50)(登録商標));ネララビン(アラノン(Arranon)(登録商標));ノフェツモマブ(ヴァールマ(Verluma)(登録商標));オプレルベキン(ニューメガ(Neumega)(登録商標));オキサリプラチン(エロキサチン(Eloxatin)(登録商標));パクリタキセル(パクセン(Paxene)(登録商標));パクリタキセル(タキソール(Taxol)(登録商標));パクリタキセル・タンパク質結合粒子(アブラキサン(Abraxane)(登録商標));パリフェルミン(ケピバンス(Kepivance)(登録商標));パミドロネート(アレディア(Aredia)(登録商標));ペグアデマーゼ(アダジェン(Adagen)(ウシ・ペグアデマーゼ(Pegademase Bovine))(登録商標));ペグアスパラガーゼ(オンキャスパー(Oncaspar)(登録商標));ペグフィルグラスチム(ニューラスタ(Neulasta)(登録商標));ペメトレキセド2ナトリウム(アリムタ(Alimta)(登録商標));ペントスタチン(ナイペント(Nipent)(登録商標));ピポブロマン(バーサイト(Vercyte)(登録商標));プリカマイシン、ミトラマイシン(ミトラシン(Mythracin)(登録商標));ポルフィマー・ナトリウム(フォトフリン(Photofrin)(登録商標));プロカルバジン(マツラン(Matulane)(登録商標));キナクリン(アタブリン(Atabrine)(登録商標));ラスブリカーゼ(エリテック(Elitek)(登録商標));リツキシマブ(リツキサン(Rituxan)(登録商標));サルグラモスチン(リューカイン(Leukine)(登録商標));サルグラモスチン(プロカイン(Prokine)(登録商標));ソラフェニブ(ネクサバール(Nexavar)(登録商標));ストレプトゾシン(ザノサール(Zanosar)(登録商標));スニチニブ・マレイン酸塩(スーテント(Sutent)(登録商標));タルク(スクレロゾール(Sclerosol)(登録商標));タモキシフェン(ノルバデックス(Nolvadex)(登録商標));テモゾロミド(テモダール(Temodar)(登録商標));テニポシド、VM−26(ヴァモン(Vumon)(登録商標));テストラクトン(テスラク(Teslac)(登録商標));チオグアニン、6−TG(チオグアニン(Thioguanine)(登録商標));チオテパ(チオプレックス(Thioplex)(登録商標));トポテカン(ハイカムチン(Hycamtin)(登録商標));トレミフェン(フェアストン(Fareston)(登録商標));トシツモマブ(ベキサール(Bexxar)(登録商標));トシツモマブ/I−131 トシツモマブ(ベキサール(Bexxar)(登録商標));トラツズマブ(ハーセプチン(Herceptin)(登録商標));トレチノイン、ATRA(ベサノイド(Vesanoid)(登録商標));ウラシル・マスタード(ウラシル・マスタード・カプセル(Uracil Mustard Capsules)(登録商標));バルルビシン(バルスター(Valstar)(登録商標));ビンブラスチン(ベルバン(Velban)(登録商標));ビンクリスチン(オンコビン(Oncovin)(登録商標));ビノレルビン(ナベルビン(Navelbine)(登録商標));ボリノスタット(ゾリンザ(Zolinza)(登録商標))、及びゾレドロネート(ゾメタ(Zometa)(登録商標))。
【0152】
本発明化合物に関し、用語「投与」及びその変形(例えば、化合物を「投与すること」)は、該化合物又は該化合物のプロドラッグを、治療を必要とする動物の系内へ投入することを意味する。本発明化合物又はそのプロドラッグを、1つ以上の他の活性薬剤(例えば、細胞傷害剤など)と組合せて供する場合、「投与」及びその変形は、各々、該化合物又はそのプロドラッグと他の薬剤との、同時の、及び連続した投入を包含することが理解される。
【0153】
本明細書で用いる場合、用語「組成物」は、指定された量の指定された成分を含んでなる生成物、並びに指定された量の指定された成分の組合せから結果として直接又は間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図される。
【0154】
用語「治療有効量」は、本明細書で用いる場合、組織、系、動物、又はヒトにおいて、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床家によって求められている生物学的又は医学的応答を誘発する、活性化合物又は医薬品の量を意味する。
【0155】
用語「癌を治療すること」又は「癌の治療」は、癌性症状に苦しむ哺乳類へ投与することを指し、また癌性細胞を殺すことにより癌性症状を緩和する作用を指すが、また結果として癌の増殖及び/又は転移の阻害を生じる作用も指す。
【0156】
本発明の化合物は、以下の方法に従って調製し得る。式中の全ての変数は、上記に定義されている。
【0157】
化学の説明において、及び以下の実施例において使用される略語:
DCM:ジクロロメタン;EtOH:エタノール;EtOAc:酢酸エチル;MeCN:アセトニトリル;MeOH:メタノール;THF:テトラヒドロフラン;TFA:トリフルオロ酢酸;LiHMDS:リチウムビス(トリメチルシリル)アミド;TCDI:1,1’−チオカルボニルジイミダゾール;DIPEA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン;TEA:トリエチルアミン;eq.:当量(複数可);sat.aq.:飽和水溶液;RT:室温;min:分;h:時間(複数可);M:モル濃度;NMR:核磁気共鳴;MS:質量分析;ES:エレクトロスプレー;RP−HPLC:逆相高圧液体クロマトグラフィー;TLC:薄層クロマトグラフィー。
【0158】
Xが、Cであり、Lが、NHである式Iの化合物は、式IAの化合物を、式IBの化合物と反応させることによって調製してもよい:
【0159】
【化8】

【0160】
[式中、すべての変数は、上記で定義のとおりである]。反応は、通常、およそ室温で、DCE及びDMFなどの溶媒中、DIPEAなどの塩基の存在下で実施する。
【0161】
YがNである式IAの化合物は、式ICの化合物を、式IDの化合物と反応させることによって調製してもよい:
【0162】
【化9】

【0163】
[式中、Pは、Bocなどの保護基であり、すべてのその他の変数は、上記で定義のとおりである]。反応は、通常、およそ室温で、THFなどの溶媒中で実施する。
【0164】
続いて、標準条件に従って保護基を除去してもよい。例えば、PがBocである場合には、およそ室温でMeOHなどの溶媒中にHClなどの酸を添加することによって除去してもよい。
【0165】
式ICの化合物は、約190℃又は還流で、式IEの化合物を、POClなどの試薬と反応させることによって調製してもよい:
【0166】
【化10】

【0167】
[式中、すべての変数は、上記で定義のとおりである]。TEAなどの塩基を添加してもよい。
【0168】
DがNであり、BがNであり、AがSである式IEの化合物は、最初に、式IFの化合物を、およそ室温で、THFなどの溶媒中、TCDIなどの試薬と反応させること、続いて、およそ室温で、BFEtOなどの薬剤を用いて処理することによって調製してもよい。
【0169】
【化11】

【0170】
[式中、すべての変数は上記で定義のとおりである]。
式IFの化合物は、式IG:
【0171】
【化12】

【0172】
[式中、Hetは、上記で定義のとおりである]の化合物を
通常、還流で、KCOなどの塩基、MeOHなどの溶媒の存在下でヒドロキシルアミンと反応させることによって調製してもよい。
【0173】
或いは、XがCであり、LがNRである式Iの化合物は、式IAの化合物を、通常、約−10℃で、DCMなどの溶媒中、DIPEAなどの塩基の存在下で、トリホスゲンを用いる処理によってクロロカルバモイル誘導体に変換すること、続いて、式IH:
【0174】
【化13】

【0175】
[式中、すべての変数は上記で定義のとおりである]
の化合物と反応させることによって調製してもよい。
【0176】
XがS=Oであり、LがNRである式Iの化合物は、式IHの化合物を、式IJ:
【0177】
【化14】

【0178】
[式中、すべての変数は上記で定義されるとおりである]
の化合物と反応させることによって調製してもよい。反応は、通常、約0℃で還流で、メチルトリフラート、MeCNなどの塩基、DCMなどの溶媒の存在下で実施する。
【0179】
AがSであり、BがCHであり、DがNである式IAの化合物は、式IKの化合物を、式IL:
【0180】
【化15】

【0181】
[式中、L’は、ハロゲン、例えば、臭素などの脱離基であり、すべてのその他の変数は上記で定義のとおりである]
の化合物と反応させることによって調製してもよい。反応は、通常、還流で、THFなどの溶媒の存在下で実施する。保護基は、標準条件、例えば、上記で記載されるものに従って除去してもよい。
【0182】
AがOであり、BがNであり、DがCHである式IEの化合物は、最初に、式IMの化合物を、およそ還流で、ピリジン及びエタノールなどの溶媒中で、NHOHと反応させること、続いて、およそ室温で、NaOHなどの塩基を用いて処理することによって調製してもよい。
【0183】
【化16】

【0184】
[式中、R’は、C1−6アルキルであり、Hetは、上記で定義のとおりである]。
【0185】
本発明の化合物を、以下のスキームに従って調製した。当技術分野で公知のその他の方法を使用して、本化合物を合成してもよい。
【0186】
スキーム1
ウレイド類似体は、通常、DCMなどの溶媒中、DIPEAなどの塩基の存在下、トリホスゲンを用いて処理することによる、クロロカルバモイル誘導体の調製と、それに続く、対応するアミンの添加によって調製してもよい。
【0187】
【化17】

【0188】
スキーム2
スルファミド断片を有する本発明のそれらの化合物は、J.Org.Chem.2003年、68巻、115頁に記載される手順に従って調製してもよい。ピペリジニル又はピペラジニル断片を、N,N’−スルフリルジイミダゾールのメチルトリフラートとの反応によって先に生成された、1−(1H−イミダゾール−1−イルスルホニル)−3−メチル−1H−イミダゾール−3−イウムトリフラートを用いて処理した。この中間体を、メチルトリフラートを用いて処理し、次いで、対応するアミンを、スキーム2に記載されるように加え、所望のSmoアンタゴニストを得た。
【0189】
【化18】

【0190】
スキーム3
1,2,4−チアジアゾール環を有する本発明のそれらの化合物の誘導体を合成するための手順を、スキーム3に示す。ヘテロアリールシアニドから出発し、還流に加熱されたMeOHなどの溶媒中、KCOなどの塩基の存在下、ヒドロキシルアミンとの反応によってヘテロアリールアミドオキシムを調製してもよい。ヘテロアリールアミドオキシムの、TDCIとの反応と、それに続く、Kohara、Y.ら、J.Heterocyclic Chem.2000年、37巻、1419頁に記載されるようなBFEtOを用いる処理によって、5−オキソ−1,2,4−チアジアゾール中間体が得られる。次いで、これらを、マイクロ波照射下でPOClと反応させて、3−ヘテロアリール−5−クロロ−1,2,4−チアジアゾールを生成してもよい。5−クロロ残基のモノ保護ピペラジン誘導体での置換は、Kondo、T.ら Bioorg. & Med.Chem.2008年、16巻、1613頁に記載されるように、THFのような溶媒中、TEAなどの塩基の存在下で実施してもよく、1−(3−ヘテロアリール−1,2,4−チアジアゾール−5−イル)ピペラジン中間体が得られる。最後に、当業者に公知の方法(すなわち:P=Bocである場合は、MeOH中のHClのような酸性媒体の使用)によるピペラジニル環の脱保護によってウレイド誘導体の調製を実施してもよく、それに続く、DCM中、DIPEAなどの塩基の存在下でのトリホスゲンを用いる活性化によって、クロロカルバモイル誘導体を生成し、これを、DCMのような溶媒中で、対応するアミンと反応させてもよい。或いは、DCE/DMFのような溶媒中、DIPEAのような塩基の存在下で、脱保護されたピペラジニル誘導体を、イソシアナートと反応させてもよい。
【0191】
【化19】

【0192】
スキーム4
1,3−チアゾール環を有する本発明のそれらの化合物の誘導体を合成するための手順を、スキーム4に示す。THFなどの溶媒中での、WO2006/085118に記載されるように、又は当業者に公知のその他の方法によって調製した2−ブロモ−1−(ヘテロアリール)エタノンの、WO2005/066180に記載されるように調製した保護されたカルバモチオイルピペラジンとの反応は、WO2005/066180に記載される1−(4−ヘテロアリール−1,3−チアゾール−2−イル)ピペラジン中間体の生成をもたらした。次いで、スキーム3に記載したものと同様の手順を使用してウレイド誘導体の調製を実施した。
【0193】
【化20】

【0194】
スキーム5
イソオキサゾール環を有する本発明のそれらの化合物の誘導体を合成するための手順を、スキーム5に示す。NaOHなどの塩基の存在下で、Chan,B.K.ら J.Org.Chem.2007年、72巻、8489頁に記載されるように、又は当業者に公知のその他の方法によって調製した3−オキソ−3−(ヘテロアリール)プロパン酸エステルの、Heravi,M.M.ら Synthetic Communication.2008年、38巻、135頁に記載されるNHOHとの反応によって、3−ヘテロアリールイソオキサゾール−5(4H)−オンが得られた。この化合物を、最初に、TEAなどの塩基の存在下でPOClを用いて処理し、それに続いて、THFなどの溶媒中、LiHMDSなどの塩基の存在下、5−クロロ残基を、モノ保護ピペラジン誘導体で置換することを含んでいた、Nantermet P.G.ら Bioorg. & Med.Chem.2002年、12巻、319頁に記載される2段階手順によって、1−(3−ヘテロアリールイソオキサゾール−5−イル)ピペラジン中間体に変換した。最後に、スキーム1に記載したものと同様の手順を使用して、ウレイド誘導体の調製を実施した。
【0195】
【化21】

【0196】
中間体及び出発物質の合成が記載されていない場合、これらの化合物は、市販されているか、又は市販の化合物から、標準的な方法によるか、若しくは上記の合成、スキーム、及び本明細書の実施例を延長することにより調製してもよい。
【0197】
式Iの化合物は、既知の方法によるか、又は本明細書の実施例に記載の方法により、式Iの別の化合物に変換してもよい。
【0198】
本明細書に記載された任意の合成順序の間に、関与する任意の分子上の、感受性又は反応性の基を保護することが必要、及び/又は望ましいことがある。このことは、通常の保護基により、例えば、グリーン(Greene,T.W.)及びウーツ(Wuts,P.G.)著、「Protecting Groups in Organic Synthesis」(有機合成における保護基)」、第3版、ウィリー・インターサイエンス(Wiley Interscience)、1999年、及びコチェンスキー(Kocienski,P.J.)著、「Protecting Groups(保護基)」、ティーム(Thieme)、1994年、に記載されたものによって達成してもよい。保護基は、当該技術分野からの既知の方法を用いて、後続の都合の良い工程において除去してもよい。例えば、Boc(tert−ブトキシカルボニル)又はベンジルカルボニル保護基が存在する場合、TFA、DCM、及び/又はMeCNといった溶媒を、ほぼ室温で添加することにより、それを除去してもよい。当該化合物はまた、標準的な方法を用いて水素化してもよく、例えば、Pd/Cのような触媒により、メタノールのような溶媒中、水素雰囲気下で処理する。また、EtOAcを、HCl及び1,4−ジオキサンの存在下で添加して、Boc又はベンジルカルボニル保護基を、ほぼ室温において除去してもよい。
【0199】
本発明の化合物がキラル中心をもつ場合、エナンチオマーを、SFCの使用のような標準的な分離法により、ラセミ混合物から分離してもよい。
【0200】
本明細書に記載し、かつ以下に記載したアッセイにより試験された、例示的な化合物は、5uM未満のIC50値をもつことが判明した。
【0201】
Shh−Light IIレポーターアッセイ
アッセイは、ホタル及びウミシイタケ(Renilla)のルシフェラーゼを、同一のウェル中で測定するべくデザインした。
【0202】
アッセイに先立ち、Shh−Light II細胞(ATCCカタログ番号 CRL−2795)を、増殖培地中で培養した。
アッセイプロトコール:
1日前:60,000個のShh−Light II細胞を、アッセイ培地75μL/ウェルにて、DMSO/阻害剤の存在下で播種する。
0日目:37℃、10% COで一晩インキュベートした後、水中3uMのプルモルファミン(Purmorphamine)(カルビオケム(Calbiochem) 540220)を添加する。
1日目:37℃、10% COで30時間のインキュベーションの後、増殖培地中の細胞に対し、アッセイを直接展開する。
・ デュアルグロー(DualGlow)ルシフェラーゼ試薬(プロメガ(Promega)、E2940)75μlを添加。
・ 暗中で、10分間インキュベート。
・ ルミノメーター(トップカウント(TopCount)、パーキンエルマー(PerkinElmer)による)で、プレートを読み取る。
・ デュアルグロー(DualGlow)ストップ・アンド・グロー(Stop&Glow)75μlを添加。
・ 暗中で、10分間インキュベート。
・ ルミノメーター(トップカウント、パーキンエルマーによる)で、プレートを読み取る。
・ アウトプットは、ホタル/ウミシイタケのカウント間の比率である。
増殖培地:
増殖用:
DMEM:0.11G/L Pyr入り、ピリドキシン入りの、ダルベッコ変法イーグル培地(ギブコ(GIBCO)カタログ番号:41966−029)。培地に、10% FCS(ウシ胎児血清)、1% ペニシリン−ストレプトマイシン(10mg/ml)(ギブコ、15140−114)、及び1% L−グルタミン 200MM(100x)(ギブコ、3042190)、及び0.4mg/mlのG418(ロシュ(Roche))、及び0.15mg/mlのゼオシン(Zeocyne)(インビトロジェン(Invitrogen) R−250−01)を補足した。細胞を、10% CO下で培養した。
アッセイ用:
DMEM:0.11G/L Pyr入り、ピリドキシン入りの、ダルベッコ変法イーグル培地(ギブコ(GIBCO)カタログ番号:21063−045)、フェノールレッドなし。培地に、2% FCS(ウシ胎児血清)、1% ペニシリン−ストレプトマイシン(10mg/ml)(ギブコ、15140−114)、及び1% L−グルタミン 200MM(100x)(ギブコ、3042190)を補足した。細胞を、10% CO下で培養した。DMSO 0.25%。
【0203】
SHH Smo 結合アッセイ
感染したCos7細胞において、本発明者らは、SMOリガンド シクロパミン−ボディピー(Cyclopamine−bodipy)の結合を測定し得る。
アッセイプロトコール:
1日前:3,500,000個のCos 7細胞を、10cmのペトリ皿に播種する。
0日目:細胞を、リポフェクタミン(Lipofectamine)2000(インビトロジェン)及びプラスミドpSMO−Mycでトランスフェクトする。5時間後、細胞を、96ウェルプレートにて、増殖用DMEM(10% FCS)中に播種する;100μlのウェル当たり15,000細胞。
1日目:トランスフェクションの24時間後、培地をアッセイ用DMEM(フェノールレッドなし、2% FCS)で交換し、そして化合物/DMSO 0.5%を添加する。
37℃、5% COでインキュベートする。
2日目:16時間後、シクロパミン−ボディピー(トロント・リサーチ・ケミカル(Toronto Research Chemical)、B674800)を、最終濃度50nMで添加する。37℃、5% COで、4時間インキュベートする。次に細胞を、3.5% ホルムアルデヒド 100μl/ウェルで、10分間固定する。細胞をPBSで3回洗浄し、1.5uM ヨウ化プロピジウムで染色する。アキューメン・エクスプロラー(Acumen Explorer)で読み取る。
増殖培地:
増殖用:
DMEM:0.11G/L Pyr入り、ピリドキシン入りの、ギブコダルベッコ変法イーグル培地(ギブコ、41966−029)。培地に、10% FCS(ギブコ、10106−169)、1% ペニシリン−ストレプトマイシン(10mg/ml)(ギブコ、15140−114)、及び1% L−グルタミン 200MM(100x)(ギブコ、3042190)を補足した。細胞を、5% CO下で培養した。
アッセイ用:
DMEM:0.11G/L Pyr入り、ピリドキシン入りの、ギブコダルベッコ変法イーグル培地(ギブコ、21063−045)、フェノールレッドなし。培地に、2% FCS(ギブコ、10106−169)、1% ペニシリン−ストレプトマイシン(10mg/ml)(ギブコ、15140−114)、及び1% L−グルタミン 200MM(100x)(ギブコ、3042190)を補足した。細胞を、5% CO下で培養した。DMSO 0.5%。
【実施例1】
【0204】
N−(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)−4−[3−(キノリン−2−イル)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]ピペラジン−1−カルボキサミド(A6)
工程1:N’−ヒドロキシキノリン−2−カルボキシイミダミド(A1)
MeOH(0.2M)中の、キノリン−2−カルボニトリルの溶液を、NHOH・HCl(2.25当量)及びKCO(1.35当量)を用いて処理した。反応混合物を還流に一晩加熱した。減圧下で溶媒を蒸発させた後、得られた残渣を、DCMに溶解し、水で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を蒸発させると、標題化合物が白色固体として得られた(85%)。MS(ES) C10O 要求値:187,実測値:188(M+H)
【0205】
工程2:3−(キノリン−2−イル)−1,2,4−チアジアゾール−5(4H)−オン(A2)
THF(0.25M)中の(A1)の溶液を、TCDI(2当量)を用いて処理した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで、水中に注ぎ入れ、EtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を減圧下で蒸発させると、淡黄色の固体が得られ、これをTHF(0.17M)に溶解した。得られた溶液を、BFEtO(3当量)を用いて処理し、室温で30分間撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、EtOAcで抽出した。合わせた有機相を乾燥させた(NaSO)。溶媒を減圧下で蒸発させると、標題化合物が得られた(50%)。MS(ES) C11OS 要求値:229,実測値:230(M+H)
【0206】
工程3:2−(5−クロロ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)キノリン(A3)
POCl(1M)中の(A2)の溶液を、マイクロ波照射下で190℃に1時間加熱した。反応混合物を氷−水中に注ぎ入れ、NaCO水溶液(飽和水溶液)を用いて中和した。次いで、EtOAcで抽出し、合わせた有機相を、食塩水で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を減圧下で蒸発させると、標題化合物が得られた(42%)。MS(ES) C11ClNS 要求値:247,249,実測値:248,250(M+H)
【0207】
工程4:t−ブチル4−[3−(キノリン−2−イル)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]ピペラジン−1−カルボキシラート(A4)
THF(0.2M)中の、t−ブチル1−ピペラジンカルボキシラート(2当量)の溶液に、TEA(2.5当量)及び(A3)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いで、水で希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を減圧下で蒸発させると、粗生成物が得られ、これをシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーカラムによって精製すると、標題化合物が得られた(67%)。MS(ES) C2023S 要求値:397,実測値:398(M+H)
【0208】
工程5:4−[3−(キノリン−2−イル)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]ピペラジン−1−イウムクロリド(A5)
HCl(ガス)で予め飽和させた、MeOH(0.25M)中の、(A4)の溶液を、室温で2時間撹拌した。次いで、反応混合物を濃縮し、残渣をEtOを用いて摩砕し、得られた固体を濾過すると、標題化合物が得られた(100%)。MS(ES) C1515S 要求値:297,実測値:298(M+H)
【0209】
工程6:N−(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)−4−[3−(キノリン−2−イル)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]ピペラジン−1−カルボキサミド(A6)
−20℃のDCM(0.12M)中の、(A5)及びDIPEA(5.3当量)の撹拌溶液に、トリホスゲン(0.33当量)を加えた。混合物を同一温度で20分間撹拌した。次いで、DCM(0.024M)中の、4,4−ジフルオロシクロヘキサンアミニウムクロリド(1当量)及びDIPEA(1当量)の溶液を加え、得られた混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させると、粗生成物が得られ、これを、分取RP−HPLCによって、溶出剤(カラム:C18)として水(+0.1% TFA)及びMeCN(+0.1% TFA)を使用して精製した。所望の画分を凍結乾燥すると、標題化合物が、そのトリフルオロアセタート塩として得られた。H NMR(400MHz,CDCl,300K)δ8.56(d,J=8.8Hz,2H)、8.50(d,J=8.2Hz,1H)、7.96−7.91(m,2H)、7.72(t,J=7.6Hz,1H)、4.59−4.57(m,1H)、3.73−3.66(m,5H)、3.56−3.53(m,4H)、2.05−1.94(m,4H)、1.88−1.72(m,2H)、1.55−1.45(m,2H).19FNMR(400MHz,CDCl,300K)δ−75.7(s,3F)、−94.8(d,J=24.8Hz,1F)、−101.5(d,J=24.8Hz,1F).MS(ES) C2224OS 要求値:458,実測値:459(M+H)
【実施例2】
【0210】
N−(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)−4−[4−(キノリン−2−イル)−1,3−チアゾール−2−イル]ピペラジン−1−カルボキサミド(B3)
工程1:t−ブチル4−[4−(キノリン−2−イル)−1,3−チアゾール−2−イル]ピペラジン−1−カルボキシラート(B1)
THF(0.13M)中の、2−ブロモ−1−(キノリン−2−イル)エタノン(WO2006/085118に記載されるように調製した)の溶液に、t−ブチル4−カルバモチオイルピペラジン−1−カルボキシラート(1当量)(WO2005/066180に記載されるように調製した)を加えた。反応混合物を還流に3時間加熱した。冷却した後、得られた沈殿物を濾過し、アセトン及びEtOで洗浄すると、標題化合物が得られた(57%)。MS(ES) C2325OS 要求値:396,実測値:397(M+H)
【0211】
工程2:4−[4−(キノリン−2−イル)−1,3−チアゾール−2−イル]ピペラジン−1−イウムクロリド(B2)
(B2)は、(B1)から、実施例1工程5に記載される手順に従って調製し、標題化合物が得られた(100%)。MS(ES) C1616S 要求値:296,実測値:297(M+H)
【0212】
工程3:N−(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)−4−[4−(キノリン−2−イル)−1,3−チアゾール−2−イル]ピペラジン−1−カルボキサミド(B3)
(B3)は、(B2)及び4,4−ジフルオロシクロヘキサンアミニウムクロリド(1当量)から、実施例1工程6に記載される手順に従って調製し、標題化合物が得られた(27%)。H NMR(400MHz,CDCl,300K)δ8.62−8.56(m,2H)、8.19−8.16(m,1H)、8.08(s,1H)、7.94−7.90(m,2H)、7.73−7.69(m,1H)、3.76−3.67(m,1H)、3.60−3.53(m,4H)、3.58−3.50(m,4H)、2.07−1.92(m,4H)、1.88−1.70(m,2H)、1.54−1.45(m,2H).MS(ES) C2325OS 要求値:457,実測値:458(M+H)
【実施例3】
【0213】
N−(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)−4−[3−(キノリン−2−イル)イソオキサゾール−5−イル]ピペラジン−1−カルボキサミド(C5)
工程1:3−(キノリン−2−イル)イソオキサゾール−5(4H)−オン(C1)
EtOH(0.5M)中の、NHOH・HCl(1当量)及びピリジン(1当量)の懸濁液を、NHOH・HClが完全に溶解するまで還流に加熱した。次いで、この溶液に、エチル3−オキソ−3−(キノリン−2−イル)プロパノアート(Chan,B.K.らJ.Org.Chem.2007年、72巻、8489頁に記載されるように調製した)を1時間かけて加えた。反応混合物を、還流に3時間加熱した。室温に冷却した後、2N NaOH(8当量)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。6N HClを用いて中和した後、水相をDCMで抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を減圧下で蒸発させると標題化合物が得られた(88%)。MS(ES) C12 要求値:212,実測値:213(M+H)
【0214】
工程2:2−(5−クロロイソオキサゾール−3−イル)キノリン(C2)
0℃のPOCl(1M)中の、(C1)の懸濁液に、TEA(1当量)を加えた。反応混合物を還流に2時間加熱した。室温に冷却した後、残渣を氷−水中に注ぎ入れ、NaCO水溶液(飽和水溶液)を用いて中和し、EtOAcで抽出した。合わせた有機相を、食塩水で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を減圧下で蒸発させると、標題化合物が得られた(10%)。MS(ES) C12ClNO 要求値:229,231,実測値:230,232(M+H)
【0215】
工程3:t−ブチル4−[3−(キノリン−2−イル)イソオキサゾール−5−イル]ピペラジン−1−カルボキシラート(C3)
0℃のTHF(0.2M)中の、t−ブチル1−ピペラジンカルボキシラート(2当量)の溶液を、LiHMDS(THF中の1M溶液、2当量)を用いて処理した。添加が終了した後、反応混合物を室温に加温し、さらに30分間撹拌した。次いで、THF(0.5M)中の、化合物(C2)の溶液を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。水でクエンチした後、EtOAcで抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を減圧下で蒸発させると、標題化合物が得られた(73%)。MS(ES) C2124要求値:380,実測値:381(M+H)
【0216】
工程4:4−[3−(キノリン−2−イル)イソオキサゾール−5−イル]ピペラジン−1−イウムクロリド(C4)
(C4)は、(C3)から、実施例1工程5に記載した手順に従って調製し、標題化合物が得られた(100%)。MS(ES) C1616O 要求値:280,実測値:281(M+H)
【0217】
工程5:N−(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)−4−[3−(キノリン−2−イル)イソオキサゾール−5−イル]ピペラジン−1−カルボキサミド(C5)
(C5)は、(C4)及び4,4−ジフルオロシクロヘキサンアミニウムクロリド(1当量)から、実施例1工程6に記載した手順に従って調製し、粗生成物が得られ、これを分取TLCによって精製すると、標題化合物.塩が得られた(31%)。H NMR(400MHz,CDCl,300K)δ8.69(d,J=8.4Hz,1H)、8.57(d,J=8.4Hz,1H)、8.38(d,J=8.4Hz,1H)、8.04−7.98(m,2H)、7.81(t,J=7.6Hz,1H)、6.47(s,1H)、3.74−3.71(m,1H)、3.49−3.47(m,8H)、2.03−1.94(m,4H)、1.84−1.76(m,2H)、1.51−1.43(m,2H).MS(ES) C2325要求値:441,実測値:442(M+H)
【0218】
以下の表中の化合物は、上記の手順に従って製造した。
【0219】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I:
【化1】

[式中、
Aは、Sであり、B及びDは、各々独立して、CH若しくはNであるか;又は
Aは、Oであり、B及びDの一方は、CHであり、もう一方は、CH若しくはNであり;
aは、0、1、2、3、4、5、又は6であり;
w、x、y、及びzは、各々独立して、0、1、又は2であり;
Lは、−(NR)−又は−(O)−であり;
Yは、CH、CR、又はNであり;
Yが、CH又はCRである場合には、R、R、R、R、及びRは、各々独立して、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、カルボキシ、ニトロ、OR、CO、又はCONRであり;
Yが、Nである場合には、R、R、R、及びRは、各々独立して、オキソ、シアノ、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、カルボキシ、CO、又はCONRであり;
は、水素、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシ、ニトロ、或いはC6−10アリール、C6−10アリールオキシ、C6−10アリールカルボニル、C3−10シクロアルキル、オキセタニル、アゼチジニル、N、O、及びSから独立に選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含有する5員ないし6員の飽和若しくは部分飽和複素環、N、O、及びSから独立に選択される1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する5員の芳香族複素環(該ヘテロ原子のうち2個以上がO又はSであることはない)、1、2、又は3個のN原子を含有する6員の芳香族複素環又はN、O、及びSから独立に選択される1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する7員ないし15員の不飽和、部分飽和、若しくは飽和複素環である環であり;これらの環はいずれも、(CH10から独立に選択される1、2、又は3個の基で置換されていてもよく;
eは、0、1、2、3、又は4であり;
は、水素又はC1−6アルキルであり;
及びRは、各々独立して、水素、C1−6アルキル、又はハロC1−6アルキルであり;
Hetは、ピリジン−2−イル又はR11から独立に選択される1、2、又は3個の基で置換されていてもよい、N、O、及びSから独立に選択される1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する7員ないし15員の不飽和複素環であり;
10及びR11は、各々独立して、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル、カルボキシ、ニトロ、OR、NR、NRCOR、NRS(O)、NRS(O)NR、CO、CONR、S(O)、S(O)NR、又はC3−10シクロアルキル、C6−10アリール、C6−10アリールオキシ、アゼチジニル、又はN、O、及びSから独立に選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含有する5員ないし6員の飽和若しくは部分飽和複素環である環であり;
及びRは、各々独立して、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、又はC3−10シクロアルキルであり;
rは、0、1、又は2であり;
Xは、C又はS=Oである]
の化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体。
【請求項2】
AがSであり、B及びDの一方が、Nであり、もう一方が、CH又はNである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
構造式II:
【化2】

[式中、a、w、x、y、z、L、R、R、R、R、R、R、R、X、及びHetは、請求項1に定義のとおりであり;
Bは、CH又はNである]
の請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体。
【請求項4】
構造式IV:
【化3】

[式中、a、w、x、y、z、R、R、R、R、R、R、R、R、X、及びHetは、請求項1に定義のとおりであり;
Bは、CH又はNである]
の請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体。
【請求項5】
式III:
【化4】

[式中、a、w、x、y、z、L、R、R、R、R、R、R、R、X、及びHetは、請求項1に定義のとおりである]
の請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体。
【請求項6】
Hetが、R11から独立に選択される1、2、又は3個の基で置換されていてもよい、N、O、及びSから独立に選択される1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する8員ないし10員の不飽和複素環である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
N−(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)−4−[3−(キノリン−2−イル)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]ピペラジン−1−カルボキサミド;
N−(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)−4−[4−(キノリン−2−イル)−1,3−チアゾール−2−イル]ピペラジン−1−カルボキサミド;
N−(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)−4−[3−(キノリン−2−イル)イソオキサゾール−5−イル]ピペラジン−1−カルボキサミド;
2−{5−[4−(シクロヘキシルカルバモイル)ピペラジン−1−イル]−1,2,4−チアジアゾール−3−イル}キノリニウムトリフルオロアセタート;
2−(5−{4−[メチル(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)カルバモイル]ピペラジン−1−イル}−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)キノリニウムトリフルオロアセタート;
2−{2−[4−(シクロヘキシルカルバモイル)ピペラジン−1−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}キノリニウムトリフルオロアセタート;
2−(2−{4−[メチル(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)カルバモイル]ピペラジン−1−イル}−1,3−チアゾール−4−イル)キノリニウムトリフルオロアセタート;
2−{5−[4−(シクロヘキシルカルバモイル)ピペラジン−1−イル]イソオキサゾール−3−イル}キノリニウムトリフルオロアセタート
から選択される請求項1に記載の化合物及びその薬学的に許容される塩、遊離塩基、立体異性体、及び互変異性体。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を、薬学的に許容される担体と関連して含む医薬組成物。
【請求項9】
同時、別個、又は逐次投与のための、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくはは互変異性体と、抗癌剤の組合せ。
【請求項10】
治療において使用するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体。
【請求項11】
Smo拮抗作用によって寛解され得る状態の治療又は予防において使用するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体。
【請求項12】
癌の治療又は予防において使用するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体。
【請求項13】
癌が、基底細胞癌、髄芽細胞腫、前立腺癌、膵臓癌、乳癌、結腸癌、小細胞肺癌、肉腫、リンパ腫、白血病、消化管癌、多発性骨髄腫、神経膠腫、ヘプタセルラー、弧発性及び家族性基底細胞癌、弧発性髄芽細胞腫、髄膜癌、乳癌、食道扁平上皮癌、及び膀胱癌から選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
癌の治療又は予防のための医薬を製造するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体の使用。
【請求項15】
癌を治療又は予防する方法であって、有効量の請求項1に記載の化合物又は請求項1に記載の化合物を含む組成物を、それを必要とする患者に投与するステップを含む前記方法。

【公表番号】特表2013−505228(P2013−505228A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529345(P2012−529345)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051582
【国際公開番号】WO2011/036478
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(501209427)イステイチユート・デイ・リチエルケ・デイ・ビオロジア・モレコラーレ・ピ・アンジエレツテイ・エツセ・エルレ・エルレ (90)
【Fターム(参考)】