説明

SMS生成物の模様付け

【課題】
スパンボンド法において模様を有する不織物の形成用の装置及び方法を提供する。
【解決手段】
第1のベルト上に不織材料の第1のウェブを形成するためのスパンボンド装置と、第2のベルト上に不織材料の第2のウェブを形成するためのメルトブロー装置とを含む不織物の製造装置及び製造方法。第2のベルトは第1のベルトの移動方向とは反対に移動し、そして形成後、模様を第1のウェブ上に第2のウェブを堆積させることにより複合スパンボンド及びメルトブローウェブを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織ウェブ、特にスパンボンド及びスパンボンド−メルトブロー−スパンボンド(SMS)法により形成された不織ウェブに模様を付ける製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、典型的に熱可塑性樹脂製フィラメントまたは繊維から形成されたスパンボンドウェブまたは布を製造するための装置は存在する。このような装置は1998年9月29日に刊行された特許文献1に開示されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。典型的には、このような装置はストランドのカーテンを作るための紡糸口金と、ストランドのカーテンに対し冷却用プロセス空気を吹き付けることにより熱可塑性フィラメントを形成するためのプロセス空気送風機とを含む。熱可塑性フィラメントは次いで典型的には、熱可塑性フィラメントの空気力学的延伸のためのプロセス空気により空気力学的に伴出され、そして拡散機を通過後、互いに絡み合ったフィラメントを捕集しそこにウェブを形成するために、連続して循環している篩いベルト上に堆積される。このようにして形成されたウェブまたは布は、次いで更なる加工に委ねられる。
【0003】
不織材料を製造するためのスパンボンド法においては、熱可塑性繊維形成ポリマーは押し出し機に投入され、そして直線状または円周状の紡糸口金を通過させる。押し出されたポリマー流は、急速に冷却され、そして空気及び/または機械的牽引ローラーにより細繊化されることにより、望ましい直径の固化フィラメントに形成される。固化フィラメントは、次いでコンベヤーベルト上に敷かれることによりウェブに形成される。ウェブは次いでローラーで結合されることによりスパンボンドウェブに形成される。
【0004】
不織材料を製造するためのメルトブロー法においては、熱可塑性形成ポリマーは押し出し機に投入され、次いでダイ幅1インチ当たり20から40の小さなオリフィスを含む直線状ダイを通過させられる。加熱空気の収束流は、押し出されたポリマー流を急速に細繊化することにより固化フィラメントを形成する。固化フィラメントは、続いて捕集スクリーンまたは織材料もしくは不織材料からなる他の層に高速空気により吹き付けられて、メルトブローウェブに形成される。
【0005】
スパンボンド及びメルトブロー法は、図1に示されるSMSのような応用において組み合わせることができる。SMSにおいては、スパンボンドビーム12によりベルトまたはコンベヤー10上にスパンボンド材料の第1の層が形成される。ベルト10は典型的には、スパンボンド工程中で正確な形成ができるように均一な表面と空気透過性を有する。スパンボンド材料は、上流側と下流側プレスロール16と16’の間の位置におけるベルト10上に堆積されることによりウェブが形成される。プレスロール16と16’は、ベルト10とウェブの間のいかなる空気漏れも排除するように機能することにより、最高に加熱されたプレスロールの圧力と温度により引き起こされる予備結合を増大させる。ベルト10上への熱可塑性繊維の捕集を補助するために、真空箱14はベルト10の下方に設置され、ベルトへの吸引に使用される。スパンボンド工程に必要な気流は、装置から真空箱14により吸引される。
【0006】
次に、メルトブロービーム18中で小さい繊維がスパンボンドウェブ層上に吹き付けられる。メルトブロー工程中に典型的には、予備圧縮プレスロールは必要としない。
【0007】
最後に、プレスロール22を伴う第2のスパンボンドビーム20は、メルトブロー層と第1のスパンボンド層とから形成されるウェブ上に、第2のスパンボンド層を形成する。複合スパンボンド−メルトブロー−スパンボンド材料は、次いでカレンダーまたはドライヤー機械(不図示)を通過して固められる。
【0008】
最初は、望ましい地形上の特徴を有するコンベヤーまたは形成ベルトが、SMSまたはスパンボンド生成物上に模様を形成するのに必要な全てであるように見えるかもしれないが、プレスロールと熱可塑性材料を組み合わせることにより、コンベヤーの模様の鏡像を有するスパンボンド材料が作られることも直感できる。しかし、参照により本明細書に組み込まれる特許文献2に記載されているように、速さの競合因子、望ましくない印の回避、空気透過性、及び減少した跳ね返りの点で、事実上コンベヤーとして地形的模様のベルトを使用することを非常に難しくしている。
【0009】
従来技術として、不織ウェブまたはその前駆体上に模様を付ける他の方法が記載されている。例えば、その開示は参照により本明細書に組み込まれる特許文献3が参照とされる。特許文献3には、スパンレーシング(spunlacing)法と、不織材料上に模様を押印するための装置とが記載されている。特に、特許文献3には、スパンレーシング技術により形成された不織布上に、模様を押印するための方法及び装置が記載されている。そこに記載されているように、不織材料が形成され、そして模様を有するワイヤースクリーン上に移動される。不織材料は次いで一系列の水噴出で処理されて、不織物にワイヤースクリーンの形状を呈させる。このようにして、ワイヤースクリーンに由来する模様が不織物に分け与えられた結果、模様付けされた不織物となる。
【0010】
スパンレーシングに適用する場合は、この方法は非常に満足すべきものとなった。しかし、本発明はスパンボンド装置及び方法に関するものである。従って、模様付けされたスパンボンド不織物の製造装置及び製造方法、特に模様付けされたSMS不織物の製造装置及び製造方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,814,349号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2003/0164199号明細書
【特許文献3】米国特許第5,115,544号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、スパンボンド法において模様を有する不織物の形成用の装置及び方法を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、模様が形成されたスパンボンド及びメルトブロー複合布織物の形成用の装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的は、第1のベルト上に不織材料の第1のウェブを形成するための少なくとも1つのスパンボンド装置と、第2のベルト上に不織材料の第2のウェブを形成するための少なくとも1つのメルトブロー装置とを含む不織物の製造装置を提供することにより、通常達成されるであろう。形成後、第2のベルトにより、第1のウェブ上に第2のウェブを堆積させることにより複合スパンボンド及びメルトブローウェブが形成される。
【0015】
本発明の他の形態は、スパンボンド工程において第1のベルト上に不織材料の第1のウェブを形成する段階、メルトブロー工程において第2のベルト上に不織材料の第2のウェブを形成する段階を含む、模様付けされた不織物を形成する方法に関する。不織物の第1及び第2のウェブは次いで結合されて、複合不織ウェブが形成される。
【0016】
本発明を特徴付ける新規性の種々の形態は、特に、添付した特許請求の範囲において指摘され、そしてこの開示の一部分を形成する。本発明、その作用の優位性及びその使用により達成される特別な目的を更に理解するために、参照は、本発明の好ましい実施形態と一緒に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来技術のスパンボンド−メルトブロー−スパンボンド不織物形成ラインの側面図である。
【図2】本発明の一形態に係るスパンボンド−メルトブロー−スパンボンド不織物形成ラインの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施例として与えられかつ本発明をそれのみに限定しない以下の詳細な説明は、同じ参照図番は、同じ要素及び部分を表している添付図面と一緒になって、最も良さを認められるであろう。ここで図2に転じると、本発明の一形態に係るスパンボンド−メルトブロー−スパンボンド不織物形成ラインが示される。この本発明の実施形態において、図1中のスパンボンドビーム12及び20と変わりはない。図1に示される例のように、スパンボンドウェブ24は、スパンボンドビーム12とプレスロール16により形成される。真空箱14は、ベルト10上へ熱可塑性繊維を捕集するために、そしてウェブ24の形成を妨害するのを防ぐためスパンボンド工程において使用される空気を除去するために、作用する。
【0019】
SMSラインをメルトブローセクションまで下流に進むと、2つのローラー28に支持された模様付けベルト26があり、それはこの実施例ではベルト10の進行方向とは反対に進行する。このベルト26は、メルトブロービーム18の下方に取り付けられ、好ましくは模様付け布である。ベルト26上に形成されたメルトブローウェブ32がスパンボンドウェブ24上に堆積するように、メルトブロー繊維はベルト26上に敷かれて、次いでベルト10上に運ばれる。
【0020】
模様付け布26は、模様付けされた表面を、堆積したメルトブロー繊維上に供給する。メルトブロー工程により繊維に適用される熱及び空気圧力により、この工程で形成されたウェブはベルト26の模様を採用する。この作り方において、メルトブローウェブ32をスパンボンドウェブ24に結合させることにより、模様付けされたSMS不織物を作ることができる。一方、模様付けスリーブで被覆されたドラムもベルト26の代わりに使用することができる。このような変更において、ドラムは、メルトブロー繊維が堆積する領域の下流に、そしてこのような繊維がまだ冷却されず、ドラム上の模様を押印するのに十分なだけ近接して置かれる。
【0021】
既知のSMS工程のように、空気の分配及び除去は考慮すべき重要なファクターである。メルトブロー工程の間にメルトブロー繊維及びベルト26に適用される高圧空気により、そして模様付けベルト26の上部と下部の間の乱気流を防ぐために、拡散機30が取り付けられて真空箱14の中に空気の流れを進行させる。拡散機は、ベルト26の裏側、複合ウェブ及びベルト10に働く空気圧の力を減少させるように作用して、ベルト26の部分間の乱気流を除去する。真空箱14は、ウェブの破壊を防ぐために、装置からの空気を除去するのに使用される。
【0022】
メルトブローウェブ32とスパンボンドウェブ34を結合することにより結合されたウェブ34を形成した後、結合されたウェブ34を第2のスパンボンドビーム20を通過させるようにしてもよい。
【0023】
このように、これまでの記載により明らかにされた事項から、先に示した目的が効果的に達成されることが示され、そして上記方法の実行においてまた示された構造において、本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、一定の改変が行われてもよいことから、上記記載に含まれまた添付図面に示された全ての事項は限定的な意味ではなく例証として解釈されねばならない。
【符号の説明】
【0024】
10 ベルト
12 スパンボンドビーム
14 真空箱
16 プレスロール
16’ プレスロール
18 メルトブロービーム
20 スパンボンドビーム
22 プレスロール
24 ウェブ
26 ベルト
28 ローラー
30 拡散機
32 メルトブローウェブ
34 スパンボンドウェブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織材料の第1のウェブを形成するための少なくとも1つのスパンボンド装置
前記第1のウェブ上に不織材料の第2のウェブを形成することにより、複合スパンボンド及びメルトブローウェブを形成するための少なくとも1つのメルトブロー装置、及び
メルトブロー繊維が堆積する領域の下流に、そしてこのような繊維がまだ冷却されず、ドラム上の模様を押印するのに十分なだけ近接して置かれる、前記複合ウェブに模様を伝達するための模様付けドラム
を含む、不織物の製造装置。
【請求項2】
更に、前記複合ウェブ上に第3のウェブを形成しそこへ結合させる第2のスパンボンド装置を含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
スパンボンド工程において不織材料の第1のウェブを形成する段階、
メルトブロー工程において前記第1のウェブ上に不織材料の第2のウェブを形成する段階、
前記不織材料の第1及び第2のウェブを結合することにより複合不織ウェブを形成する段階、及び
メルトブロー繊維が堆積する領域の下流に、そしてこのような繊維がまだ冷却されず、ドラム上の模様を押印するのに十分なだけ近接して置かれる模様付けドラムを使用して前記組み合わされたウェブに模様を形成する段階
を含む、模様付けされた不織物を形成する方法。
【請求項4】
更に、複合ウェブ上にスパンボンド不織材料の第3のウェブを形成する段階を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
更に、プレスロール中で第3のウェブと複合ウェブの組み合わせをプレスする段階を含む請求項4に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−207363(P2012−207363A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−168013(P2012−168013)
【出願日】平成24年7月30日(2012.7.30)
【分割の表示】特願2007−546827(P2007−546827)の分割
【原出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(591097414)アルバニー インターナショナル コーポレイション (110)
【氏名又は名称原語表記】ALBANY INTERNATIONAL CORPORATION
【Fターム(参考)】