説明

SOAシステム、サービスバス装置、転送定義生成方法、及びコンピュータプログラム

【課題】サービスバス装置を備えるSOAシステムにおいて、メッセージ転送速度を向上するための新しい枠組みを提供する。
【解決手段】本発明のSOAシステムは、サービスバス装置と、該サービスバス装置よりクライアント端末側に接続され、設定された転送定義に基づいてクライアント端末側から受信した情報を転送する情報転送装置と、複数のサービス提供装置とを含んで構成される。サービスバス装置は、自装置のルーティング機能による処理に用いるルーティングルールを示す情報に基づいて、前記転送定義を示す情報を生成し、該転送定義が情報転送装置に設定されるように、前記生成した情報を情報転送装置へ送信する。かかる転送定義は、クライアント端末側からサービスバス装置のルーティング機能による処理のみを必要とする情報を受信した場合に、該受信した情報を、複数のサービス提供装置のうち宛先であるサービス提供装置へ直接転送することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SOAシステムにおける情報の転送技術に関する。
【背景技術】
【0002】
SOA(Service Oriented Architecture)システムでは、既存システムや一般公開されているWebサービスやWebAPIを上手く組み合わせるための装置として、サービスバス装置を用いる場合がある。一般に、サービスバス装置は、非特許文献1に記載されているように、メッセージ変換機能、プロトコル変換機能、メッセージルーティング機能を有している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】WebOTX Enterprise Service Busマニュアル、http://www.nec.co.jp/WebOTX/download/develop.html#manualにてダウンロード可能なWebOTXマニュアルのWebOTX Enterprise Service Busの項
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の発明者は、サービスバス装置を備えるSOAシステムでは、サービスバス装置の上記機能のうち、メッセージ変換機能やプロトコル変換機能を使用せず、メッセージルーティング機能のみを使用する場合があることに気付いた。そして、メッセージルーティング機能のみを使用する場合には、サービスバス装置はメッセージを単に転送しているにすぎず、サービスバス装置を中継せずにサービス提供装置へ直接接続する場合と比較して、システム全体の性能(メッセージ転送速度)が劣る可能性があることに気付いた。
【0005】
本発明は、サービスバス装置を備えるSOAシステムにおいて、メッセージ転送速度を向上するための新しい枠組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のSOAシステムは、ルーティング機能を含む複数の機能を有するサービスバス装置と、該サービスバス装置よりクライアント端末側に接続され、設定された転送定義に基づいて前記クライアント端末側から受信した情報を転送する情報転送装置と、前記クライアント端末が送信する情報に応答して処理結果を出力可能な複数のサービス提供装置とを含んで構成されるSOAシステムにおいて、前記サービスバス装置は、前記ルーティング機能による処理に用いるルーティングルールを示す情報に基づいて前記転送定義を示す情報を生成し、該転送定義が前記情報転送装置に設定されるように、前記生成した情報を前記情報転送装置へ送信する転送定義生成手段であって、前記転送定義は、前記クライアント端末側から前記サービスバス装置のルーティング機能による処理のみを必要とする情報を受信した場合に、該受信した情報を、前記複数のサービス提供装置のうち宛先であるサービス提供装置へ直接転送することを含む、転送定義生成手段を備える、ことを特徴とするSOAシステム。
【0007】
本発明のサービスバス装置は、設定された転送定義に基づいてクライアント端末側から受信した情報を転送する情報転送装置と、前記クライアント端末が送信する情報に応答して処理結果を出力可能な複数のサービス提供装置とを含んで構成されるSOAシステム中で、ルーティング機能を含む複数の機能を有し、前記情報転送装置の前記サービス提供装置側に接続されるサービスバス装置において、前記ルーティング機能による処理に用いるルーティングルールを示す情報に基づいて前記転送定義を示す情報を生成し、該転送定義が前記情報転送装置に設定されるように、前記生成した情報を前記情報転送装置へ送信する転送定義生成手段であって、前記転送定義は、前記クライアント端末側から前記サービスバス装置のルーティング機能による処理のみを必要とする情報を受信した場合に、該受信した情報を、前記複数のサービス提供装置のうち宛先であるサービス提供装置へ直接転送することを含む、転送定義生成手段を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の転送定義生成方法は、設定された転送定義に基づいてクライアント端末側から受信した情報を転送する情報転送装置と、前記クライアント端末が送信する情報に応答して処理結果を出力可能な複数のサービス提供装置とを含んで構成されるSOAシステム中で、ルーティング機能を含む複数の機能を有し、前記情報転送装置の前記サービス提供装置側に接続されるサービスバス装置による転送定義生成方法であって、前記ルーティング機能による処理に用いるルーティングルールを示す情報に基づいて前記転送定義を示す情報を生成し、該転送定義が前記情報転送装置に設定されるように、前記生成した情報を前記情報転送装置へ送信するステップであって、前記転送定義は、前記クライアント端末側から前記サービスバス装置のルーティング機能による処理のみを必要とする情報を受信した場合に、該受信した情報を、前記複数のサービス提供装置のうち宛先であるサービス提供装置へ直接転送することを含む、ステップを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明のコンピュータプログラムは、上記転送定義生成方法を情報処理装置に実行させることを特徴とする。
【0010】
なお、本発明において、手段とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの手段や装置が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の手段や装置の機能が1つの物理的手段や装置により実現されても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、サービスバス装置を備えるSOAシステムにおいて、情報転送装置が受信した情報が、サービスバス装置に転送されたならば、該サービスバス装置のメッセージルーティング機能によってのみ処理される場合には、前記受信した情報を、サービスバス装置への転送処理を省略して、サービス提供装置へ直接転送することができる。これにより、システム全体の性能(メッセージ転送速度)を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態のSOAシステムの全体構成を示す図である。
【図2】ルーティングルールの内容を示す図である。
【図3】SOAシステムによるHTTPリバースプロキシに対する転送定義の設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】SOAシステムによる情報転送処理のフローチャートである。
【図5】SOAシステムによるHTTPリバースプロキシからの転送定義の解除処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】SOAシステムの別の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態として、クライアント端末からWebアプリケーションサーバへのメッセージの転送速度を向上するための枠組みについて、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、第1実施形態のSOAシステム1の構成を示す。
【0015】
SOAシステム1は、複数のクライアント端末100a〜cと、情報転送装置(第1実施形態では、HTTPリバースプロキシ)101と、サービスバス装置102と、複数のサービス提供装置(第1実施形態では、Webアプリケーションサーバ)103a〜cとを含んで構成される。第1実施形態では、クライアント端末100a〜cとHTTPリバースプロキシ101とは、インターネット等の通信回線を介して接続され、HTTPリバースプロキシ101と、サービスバス装置102と、Webアプリケーションサーバ103a〜cとは、イントラネット等の通信回線を介して接続される。なお、第1実施形態では、HTTPリバースプロキシ101のホスト名は、host103.local.comであり、サービスバス装置102のホスト名は、host104.local.comとする。
【0016】
クライアント端末100a〜cは、SOAシステム1の利用者が操作する一般的なパーソナルコンピュータである。なお、クライアント端末100a〜cの台数は、図示の例(3台)に限定されず、利用者数に応じて任意の台数を用いることができる。
【0017】
HTTPリバースプロキシ101は、設定されて転送定義に基づいて、特定のサーバへの要求を中継するプロキシサーバであり、転送定義記憶手段104、転送定義登録手段105、及びHTTPメッセージ転送手段106を備える。なお、転送定義記憶手段104は、HTTPリバースプロキシ101が備えるハードディスク(HDD)等の記憶装置を用いて機能的に実現され、転送定義登録手段105及びHTTPメッセージ転送手段106は、HTTPリバースプロキシ101が備えるHDDに記憶されている所定のコンピュータプログラムをCPUがRAM上に読み出して実行することにより機能的に実現される。以下、各機能手段について説明する。
【0018】
転送定義記憶手段104は、クライアント端末100a〜cから受信した情報の転送先を示す転送定義情報を記憶する。
【0019】
転送定義登録手段105は、受信した転送定義情報を転送定義記憶手段104に格納する、すなわち転送定義を設定(登録)する。第1実施形態では、転送定義情報は、サービスバス装置102から受信するものとする。
【0020】
HTTPメッセージ転送手段106は、クライアント端末100a〜cから受信した情報(第1実施形態では、HTTPメッセージ)を、転送定義情報に基づいて転送する。HTTPメッセージ転送手段106は、設定された転送定義に基づいて、従来のSOAシステムにおいてはサービスバス装置102へ送信していた情報であっても、かかる情報の内容に応じて、サービスバス装置102を迂回(省略)してWebアプリケーションサーバ103a〜cへ直接送信する。かかる情報転送処理の詳細については、図4を参照して後述する。
【0021】
サービスバス装置102は、既存システムや一般公開されているWebサービスやWebAPIを連携させるための情報処理装置であり、従来の装置と同様に、メッセージ変換機能、プロトコル変換機能、メッセージルーティング機能を有する。また、第1実施形態では、メッセージルーティング機能を実現するための手段として、ルーティングルール記憶手段110、及びルーティングルール登録手段111等を備えるだけでなく、本発明における特徴的な機能を実現するための手段として、転送定義生成手段115(第1実施形態では、転送定義抽出手段112及び転送定義変換手段113)を備える。なお、ルーティングルール記憶手段110は、サービスバス装置102が備えるハードディスク(HDD)等の記憶装置を用いて機能的に実現され、ルーティングルール登録手段111、転送定義抽出手段112、及び転送定義変換手段113は、サービスバス装置102が備えるHDDに記憶されている所定のコンピュータプログラムをCPUがRAM上に読み出して実行することにより機能的に実現される。以下、各機能手段について説明する。
【0022】
ルーティングルール記憶手段110は、サービスバス装置102がクライアント側(例えばHTTPリバースプロキシ101)から受信した情報の転送先等(ルーティングルール)を示す情報を記憶する。例えば、ルーティングルールを示す情報は、図2に示すように、クライアント端末100a〜c側から受信する情報(受信情報)201と、該受信情報に基づいて決定される転送先を含む情報(転送情報)202とを含む。また、受信情報201及び転送情報202は、HTTPリバースプロキシ101に設定される第1の転送定義情報として、少なくとも、ロール、プロトコル、及びURLを示す情報をそれぞれ含む。ロールを示す情報としては、受信情報201に関しては"コンシューマ"と記述され、転送情報202に関しては"プロバイダ"と記述される。プロトコルを示す情報としては、通信される情報のプロトコル(第1実施形態では、HTTP)が記述される。URLを示す情報としては、受信情報201に関しては、該受信情報201に含まれるアクセス先を示すURLが記述され、転送情報202に関しては、情報転送先のURLが記述される。すなわち、図2に示すルーティングルールは、少なくとも、「HTTPプロトコルでhttp://host103.local.com:8080/esb/loginにアクセスした場合、http://host104.local.com:8000/page/login.jspにフォワードする」ことを意味する。
【0023】
ルーティングルール登録手段111は、サービスバス装置102に接続される管理端末114からルーティングルールを示す情報を受信すると、該受信したルーティングルールを示す情報をルーティングルール記憶手段110に格納するとともに、転送定義抽出手段112へ渡す。サービスバス装置102は、かかる登録されたルーティングルールに基づいて、クライアント側から受信した情報(例えば、HTTPリバースプロキシ101)から受信した情報の転送先を決定し、かかる受信した情報を前記決定した転送先へ送信する。
【0024】
転送定義生成手段115は、ルーティングルールを示す情報に基づいて転送定義を示す情報を生成し、該転送定義がHTTPリバースプロキシ101に設定されるように、前記生成した情報をHTTPリバースプロキシ101へ送信する。より詳細には、転送定義生成手段115は、転送定義抽出手段112及び転送定義変換手段113による機能によって、転送定義の生成を行う。
【0025】
転送定義抽出手段112は、ルーティングルール登録手段111から受け付けたルーティングルールを示す情報から、HTTPリバースプロキシ101に登録すべき第1の転送定義情報を抽出する。抽出する情報の詳細については、図3等を参照して後述する。
【0026】
転送定義変換手段113は、転送定義抽出手段112から入力された情報、すなわちルーティングルールを示す情報から抽出された第1の転送定義情報がHTTPリバースプロキシ101によって解釈不可能な情報の場合、かかる第1の転送定義情報を、HTTPリバースプロキシ101が解釈可能(HTTPリバースプロキシ101に設定可能)な第2の転送定義情報に変換し、該変換により生成される第2の転送定義情報を、かかる転送定義が設定されるようにHTTPリバースプロキシ101へ送信する。なお、第1の転送定義情報がHTTPリバースプロキシ101によって解釈可能な情報の場合、転送定義変換手段113は、かかる第1の転送定義情報をHTTPリバースプロキシ101へ送信する。
【0027】
Webアプリケーションサーバ103a〜cは、それぞれ固有のアプリケーションがインストールされており、クライアント端末100a〜cからのHTTPメッセージに応じて、かかるアプリケーションに関する処理結果を出力する。
【0028】
図3は、SOAシステム1によるHTTPリバースプロキシ101に対する転送定義の設定処理の流れを示すフローチャートである。以下、図3等を参照して、かかる処理の内容を説明する。なお、本明細書において、フローチャート等に示す各工程(符号が付与されていない部分的な工程を含む)は処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。
【0029】
まず、サービスバス装置102のルーティングルール登録手段111は、管理端末114からルーティングルールを示す情報を受信すると(S301の判断がYes)、該ルーティングルールを設定する、すなわち前記受信したルーティングルールを示す情報をルーティングルール記憶手段110に格納するとともに(S302)、転送定義抽出手段112へ渡す(S303)。
【0030】
転送定義抽出手段112は、ルーティングルール登録手段111から受け取ったルーティングルールを示す情報から、HTTPリバースプロキシ101に設定すべき第1の転送定義情報を抽出し、転送定義変換手段113へ渡す(S304)。具体的には、図2に示すルーティングルールを示す情報のうち、受信情報201及び転送情報202それぞれに含まれる、ロールとプロトコルとURLとを示す情報を抽出する。
【0031】
そして、転送定義変換手段113は、転送定義抽出手段112から入力された第1の転送定義情報がHTTPリバースプロキシ101によって解釈不可能な情報かどうかを判断する(S305)。
【0032】
第1の転送定義情報がHTTPリバースプロキシ101によって解釈可能かどうかは、例えば、予めサービスバス装置102のHDD等の記憶装置に登録される、第1の転送定義情報の形式と、HTTPリバースプロキシ101の種類等を示す情報と、第2の転送定義情報の形式との対応関係を表す情報に基づいて決定することができる。
【0033】
かかる判断の結果、第1の転送定義情報がHTTPリバースプロキシ101によって解釈不可能な情報の場合(S305の判断がNoの場合)、第1の転送定義情報を、HTTPリバースプロキシ101が解釈可能な第2の転送定義情報に変換し(S306)、該変換により生成される第2の転送定義情報を、かかる転送定義が設定されるようにHTTPリバースプロキシ101へ送信する(S307)。
【0034】
一方、第1の転送定義情報がHTTPリバースプロキシ101によって解釈可能な情報の場合(S305の判断がYesの場合)、転送定義変換手段113は、かかる第1の転送定義情報をHTTPリバースプロキシ101へ送信する(S307)。
【0035】
HTTPリバースプロキシ101では、転送定義登録手段105は、サービスバス装置102から転送定義情報を受信すると(S308の判断がYes)、転送定義を設定する、すなわち受信した転送定義情報を転送定義記憶手段104に格納する(S309)。第1実施形態では、図2に示す転送情報202に含まれる第1の転送定義情報に基づいて生成された第2の転送定義情報が設定される。これにより、HTTPリバースプロキシ101のHTTPメッセージ転送手段106は、該設定された転送定義に基づき、クライアント端末101a〜cがHTTPプロトコルでhttp://host103.local.com:8080/esb/loginにアクセスした場合、http://host104.local.com:8000/page/login.jspにフォワードするという処理を実行する。
【0036】
図4は、SOAシステム1による情報転送処理のフローチャートである。以下、図4等を参照して、かかる処理の内容を説明する。
【0037】
HTTPリバースプロキシ101のHTTPメッセージ転送手段106は、クライアント端末(例えば、100a)からのHTTPメッセージを受信すると(S401の判断がYes)、転送定義格納手段104に格納されている転送定義情報に基づいて、情報転送先を決定する(S402)。
【0038】
具体的には、クライアント端末100aからサービスバス装置102のルーティング機能以外の機能による処理を必要とする情報を受信した場合、前記受信した情報の転送先をサービスバス装置102に決定し(この場合、宛先は、サービスバス装置102から変更されない)、クライアント端末100aからサービスバス装置102のルーティング機能による処理のみを必要とする情報を受信した場合、前記受信した情報の転送先を、サービスバス装置102ではなく、複数のWebアプリケーションサーバ103a〜cのうち、転送定義情報によって決定される転送先のサーバに決定する。
【0039】
より詳細には、クライアント端末100aから受信した情報が、HTTPプロトコルでhttp://host103.local.com:8080/esb/loginにアクセスするという内容の場合、設定されている転送定義情報に基づいて、情報転送先であるhttp://host104.local.com:8000/page/login.jsp(例えばWebアプリケーションサーバ103a)へ、HTTPメッセージを転送する(S403)。
【0040】
一方、クライアント端末100aから受信した情報が、サービスバス装置102のルーティング機能以外の機能による処理を必要とする情報の場合、前記受信したHTTPメッセージをそのままサービスバス装置102へ転送する(S403)。
【0041】
図5は、SOAシステム1によるHTTPリバースプロキシ101からの転送定義の解除処理の流れを示すフローチャートである。以下、図5等を参照して、かかる処理の内容を説明する。
【0042】
まず、サービスバス装置102のルーティングルール登録手段111は、管理端末114から、ルーティングルールの解除指示を受信すると(S501の判断がYes)、解除の対象となるルーティングルールに対応する転送定義の解除要求を、HTTPリバースプロキシ101へ送信する(S502)。
【0043】
HTTPリバースプロキシ101では、転送定義登録手段105は、サービスバス装置102から転送定義の解除要求を受信すると(S503の判断がYes)、解除対象となる転送定義を解除する、すなわち、転送定義情報を転送定義記憶手段104から削除する(S504)。
【0044】
以上のように、第1実施形態のSOAシステム1によれば、サービスバス装置102よりクライアント側に接続される情報転送装置(HTTPリバースプロキシ101など)が、クライアント端末100a〜cから受信した情報について、サービスバス装置102のルーティング機能以外の機能による処理を必要とする情報の場合、転送先をサービスバス装置102に決定し、一方、サービスバス装置102のルーティング機能による処理のみを必要とする情報の場合、転送先を、サービスバス装置102ではなく、複数のWebアプリケーションサーバ103a〜cのうち、転送定義情報によって決定される転送先のサーバに決定する。
【0045】
これにより、サービスバス装置102を必須の構成要素として備えるSOAシステム1において、クライアント側から送信される情報がサービスバス装置102宛に送信された場合に、かかる情報がサービスバス装置102のメッセージルーティング機能によってのみ処理される場合(例えば、HTTPメッセージが転送された場合場合など)には、サービスバス装置102への転送処理を省略し、Webアプリケーションサーバ103a〜cへ直接転送することで、システム全体の性能(メッセージ転送速度)を向上させることができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく種々に変形して適用することが可能である。
【0047】
[変形例]
例えば、図6のSOAシステム601に示すように、サービスバス装置102よりクライアント側に接続される情報転送装置を複数台設けてもよい。また、第1実施形態では、情報転送装置として、HTTPリバースプロキシ101を用いているが、情報転送機能を有する任意のネットワーク機器602a,602bを用いることができる。なお、図示のSOAシステム601において、ネットワーク機器601a,601b以外の構成要素が有する機能は、第1実施形態で説明したものと同様である。
【0048】
また例えば、第1実施形態では、転送定義抽出手段112及び転送定義変換手段113をサービスバス装置102に備えている例を示したが、サービスバス装置102とは異なる装置(例えば、管理端末114など)に備えるようにしてもよい。
【0049】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限定されない。
【0050】
(付記1)ルーティング機能を含む複数の機能を有するサービスバス装置と、該サービスバス装置よりクライアント端末側に接続され、設定された転送定義に基づいて前記クライアント端末側から受信した情報を転送する情報転送装置と、前記クライアント端末が送信する情報に応答して処理結果を出力可能な複数のサービス提供装置とを含んで構成されるSOAシステムにおいて、前記サービスバス装置は、前記ルーティング機能による処理に用いるルーティングルールを示す情報に基づいて前記転送定義を示す情報を生成し、該転送定義が前記情報転送装置に設定されるように、前記生成した情報を前記情報転送装置へ送信する転送定義生成手段であって、前記転送定義は、前記クライアント端末側から前記サービスバス装置のルーティング機能による処理のみを必要とする情報を受信した場合に、該受信した情報を、前記複数のサービス提供装置のうち宛先であるサービス提供装置へ直接転送することを含む、転送定義生成手段を備える、ことを特徴とするSOAシステム。
【0051】
(付記2)前記転送定義生成手段は、前記ルーティングルールを示す情報から前記転送定義を示す第1の情報を抽出する転送定義抽出手段と、前記抽出した転送定義を示す第1の情報を、前記情報転送装置に設定可能な第2の情報に変換し、該転送定義が前記情報転送装置に設定されるように、前記変換により生成された第2の情報を前記情報転送装置へ送信する転送定義変換手段と、を備える、ことを特徴とする付記1に記載のSOAシステム。
【0052】
(付記3)設定された転送定義に基づいてクライアント端末側から受信した情報を転送する情報転送装置と、前記クライアント端末が送信する情報に応答して処理結果を出力可能な複数のサービス提供装置とを含んで構成されるSOAシステム中で、ルーティング機能を含む複数の機能を有し、前記情報転送装置の前記サービス提供装置側に接続されるサービスバス装置において、前記ルーティング機能による処理に用いるルーティングルールを示す情報に基づいて前記転送定義を示す情報を生成し、該転送定義が前記情報転送装置に設定されるように、前記生成した情報を前記情報転送装置へ送信する転送定義生成手段であって、前記転送定義は、前記クライアント端末側から前記サービスバス装置のルーティング機能による処理のみを必要とする情報を受信した場合に、該受信した情報を、前記複数のサービス提供装置のうち宛先であるサービス提供装置へ直接転送することを含む、転送定義生成手段を備えることを特徴とするサービスバス装置。
【0053】
(付記4)設定された転送定義に基づいてクライアント端末側から受信した情報を転送する情報転送装置と、前記クライアント端末が送信する情報に応答して処理結果を出力可能な複数のサービス提供装置とを含んで構成されるSOAシステム中で、ルーティング機能を含む複数の機能を有し、前記情報転送装置の前記サービス提供装置側に接続されるサービスバス装置による転送定義生成方法であって、前記ルーティング機能による処理に用いるルーティングルールを示す情報に基づいて前記転送定義を示す情報を生成し、該転送定義が前記情報転送装置に設定されるように、前記生成した情報を前記情報転送装置へ送信するステップであって、前記転送定義は、前記クライアント端末側から前記サービスバス装置のルーティング機能による処理のみを必要とする情報を受信した場合に、該受信した情報を、前記複数のサービス提供装置のうち宛先であるサービス提供装置へ直接転送することを含む、ステップを含むことを特徴とする転送定義生成方法。
【0054】
(付記5)付記4に記載の転送定義生成方法を情報処理装置に実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0055】
1…SOAシステム、100a〜c…クライアント端末,101…HTTPリバースプロキシ、102…サービスバス装置、103a〜c…Webアプリケーションサーバ、104…転送定義記憶手段、105…転送定義登録手段、106…HTTPメッセージ転送手段、110…ルーティングルール記憶手段、111…ルーティングルール登録手段、112…転送定義抽出手段、113…転送定義変換手段、114…管理端末、転送定義生成手段115

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーティング機能を含む複数の機能を有するサービスバス装置と、該サービスバス装置よりクライアント端末側に接続され、設定された転送定義に基づいて前記クライアント端末側から受信した情報を転送する情報転送装置と、前記クライアント端末が送信する情報に応答して処理結果を出力可能な複数のサービス提供装置とを含んで構成されるSOAシステムにおいて、
前記サービスバス装置は、前記ルーティング機能による処理に用いるルーティングルールを示す情報に基づいて前記転送定義を示す情報を生成し、該転送定義が前記情報転送装置に設定されるように、前記生成した情報を前記情報転送装置へ送信する転送定義生成手段であって、前記転送定義は、前記クライアント端末側から前記サービスバス装置のルーティング機能による処理のみを必要とする情報を受信した場合に、該受信した情報を、前記複数のサービス提供装置のうち宛先であるサービス提供装置へ直接転送することを含む、転送定義生成手段を備える、
ことを特徴とするSOAシステム。
【請求項2】
前記転送定義生成手段は、
前記ルーティングルールを示す情報から前記転送定義を示す第1の情報を抽出する転送定義抽出手段と、
前記抽出した転送定義を示す第1の情報を、前記情報転送装置に設定可能な第2の情報に変換し、該転送定義が前記情報転送装置に設定されるように、前記変換により生成された第2の情報を前記情報転送装置へ送信する転送定義変換手段と、
を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のSOAシステム。
【請求項3】
設定された転送定義に基づいてクライアント端末側から受信した情報を転送する情報転送装置と、前記クライアント端末が送信する情報に応答して処理結果を出力可能な複数のサービス提供装置とを含んで構成されるSOAシステム中で、ルーティング機能を含む複数の機能を有し、前記情報転送装置の前記サービス提供装置側に接続されるサービスバス装置において、
前記ルーティング機能による処理に用いるルーティングルールを示す情報に基づいて前記転送定義を示す情報を生成し、該転送定義が前記情報転送装置に設定されるように、前記生成した情報を前記情報転送装置へ送信する転送定義生成手段であって、前記転送定義は、前記クライアント端末側から前記サービスバス装置のルーティング機能による処理のみを必要とする情報を受信した場合に、該受信した情報を、前記複数のサービス提供装置のうち宛先であるサービス提供装置へ直接転送することを含む、転送定義生成手段を備えることを特徴とするサービスバス装置。
【請求項4】
設定された転送定義に基づいてクライアント端末側から受信した情報を転送する情報転送装置と、前記クライアント端末が送信する情報に応答して処理結果を出力可能な複数のサービス提供装置とを含んで構成されるSOAシステム中で、ルーティング機能を含む複数の機能を有し、前記情報転送装置の前記サービス提供装置側に接続されるサービスバス装置による転送定義生成方法であって、
前記ルーティング機能による処理に用いるルーティングルールを示す情報に基づいて前記転送定義を示す情報を生成し、該転送定義が前記情報転送装置に設定されるように、前記生成した情報を前記情報転送装置へ送信するステップであって、前記転送定義は、前記クライアント端末側から前記サービスバス装置のルーティング機能による処理のみを必要とする情報を受信した場合に、該受信した情報を、前記複数のサービス提供装置のうち宛先であるサービス提供装置へ直接転送することを含む、ステップを含むことを特徴とする転送定義生成方法。
【請求項5】
請求項4に記載の転送定義生成方法を情報処理装置に実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−170636(P2011−170636A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33999(P2010−33999)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】