説明

SPR−MS連結法のための官能化バイオチップ

本発明は、表面プラズモン共鳴法(SPR)による分子間相互作用分析法と、質量分析法による構造同定法とを、両タイプの分析に同一の官能化媒体を用いてインラインで連結する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面プラズモン共鳴法(SPR)による分子間相互作用分析法と、質量分析法による構造同定法とを、両タイプの分析に同一の官能化支持体を用いてインラインで連結する方法に関する。
【0002】
プロテオミクス科学の進展に伴って、またゲノム科学の進展の延長線上において、特に、バイオマーカーを探索および同定するための効果的でハイスループットな解析技術に対する非常に高い需要が生じている。また、ゲノム、プロテオーム、およびグライコームの研究によって生み出されたすべてのデータは、ダイナミックに相互作用する生体分子の複合的なネットワークに基づいた細胞機能の体系を明らかにしている。プロテオームの制御に関与するさまざまな現象をより深く理解しようとして、数多くの研究が行われている。しかし、このネットワークの研究を可能にする適切な技術的解決法はほとんどない。プロテオミクスの近年の進展は、既存の技術の発展、および分離技術と質量分析とを連結することに基づいた新規の研究方法の進展によって得られたものである。すなわち、タンパク質を同定および分析するために、2次元電気泳動法と質量分析法とを組み合わせた方法、次に、液体クロマトグラフィー法(LC)と質量分析法、LC−MS、およびLC−MS−MSとを連結した方法が出現した。
【0003】
最近になって、ゲノムおよびプロテオームを探索するためにバイオチップ(ラボ・オン・チップ)が開発された。生体分子間の相互作用の研究については、表面プラズモン共鳴法(すなわちSPR)、および質量分析法(すなわちMS)、より具体的には、バイオチップそれ自体を唯一のインターフェイスとして用いるMALDI質量分析法という2つの分析技術を連結することによる新しい研究方法が有望であると考えられている。SPRは、動力学および熱力学的観点から生体分子間の相互作用を定量および分析することを可能にし、一方、MSは、それらの分子構造に関する情報を提供する。こうして、このBIA/MS(生体分子間相互作用分析/質量分析法の意)と呼ばれるストラテジーの最初の結果が、1997年にRandall W. Nelsonの研究チームによって得られた。それ以来、いくつかのチームが、さまざまなストラテジーによってSPR/MS連結法を容易にすべく全力を傾けてきた(Nedelkov, 2003)。
【0004】
最新の主な研究方法は、適当な緩衝液類による、SPRチップ上に保持されている分子の微量溶出(microelution)からなる。次に、この物質を濃縮し、そして、その塩を樹脂上で交換し、そして、質量分析によって分析する前に場合により処理する(誘導体化、ペプチド分解など)。これらの微量溶出による研究法によって、SPRにおいて保持された分子を回収し、次に、質量分析法によって分析することが可能となるが、それらには、一定の限界、特に、MS分析の前にいくつかの時間がかかり、かつ反応物を多く使用する工程を必要とするという問題がある(これは、回収される物質が、MSとは不適合であるため別の緩衝液と交換しなければならない変性緩衝液中に溶出されるからである)。これらのさまざまな工程は、コンタミネーションをもたらしたり、また、物質の損失をもたらしたりし、その結果、収率の低下および検出に問題を生じる可能性がある。
【0005】
2種類の解析、すなわちSPRおよびMALDI−MSを同一のチップ上で実施する第二のストラテジーが現在探究されているところである。これらのSPR−MS連結研究のほとんどは、現在のところ最も広く用いられているSPR分析システムであるBiacore装置上で実施されてきた。このBiacoreシステムは、内部でマイクロ流体が循環している閉鎖型チップ構造を用いている。SPR−MS分析をするには、SPR分析後、このチップをバイオセンサーから引き出して、洗浄し、そして乾燥させる。相互作用ゾーンは、バイオチップの内側に存在するため、直接接触することができない。そのため、バイオチップを開く必要がある。この処理は不可逆的であり、そしてBiacoreチップは、相互作用ゾーンを回収する過程で破壊されるため、繰り返しSPR分析に再利用することはできない(Nedelkov, J. Mol. Recogn. 2000, 13, 140-145)。また、このシステムは、SPR分析の過程で使用された界面活性剤または緩衝液を除去し、しかしまた、流体システムに存在する化合物であって、質量分析においてシグナルを低下させるものをすべて除去するための洗浄段階を含むSPR後処理工程を必要とする。この洗浄工程は、受容体−被分析物相互作用を破壊しない溶液を用いて実施されなければならない。さらに、Biacoreバイオチップでは、限られた数の受容体しか、これらのバイオチップの内側にあるマイクロチャネルに固定することができない(表面積約1mmについて最大4)。
【0006】
この状況に直面したところで、多数の分子を表面に蒸着させることができる「マイクロアレイ」フォーマットになったチップがかなりの数出現していることは、SPR分析の分野における有利な用途が予見できることを意味する。すなわち、Nedelkovら(2006)は、内部に440個のスポットが蒸着されている、プラスチック製支持体(CM5)内の閉鎖型Biacore型バイオチップを用いて、「マイクロアレイフォーマット」でSPRとMSとの連結法を行うことが可能であることを明らかにした。Biacore装置でSPR分析を行った後、SPR装置からバイオチップを取り出して、洗浄し、そして乾燥させた。次に、チップを傷つけることなくその回りにあるプラスチックを融解するよう設計されたホットパンチ(hot punch)で、この閉鎖型バイオチップを細かく分割した。そして、この分割されたチップを、支持体を用いて、MALDI−TOF質量分析装置内に置いた。これが、BiacoreSPR技術によるアレイフォーマットで示された最初のSPR−MS連結実験である。Nedelkovによって説明されたこの装置では、MS分析によってのみ、チップ上に置かれたさまざまなスポットの空間的分解が可能になる。これは、この実験で使用されたSPR装置では、SPRシグナルが流体の表面積全体(すなわち1mm)で平均化されるため、個々のスポットを区別するのは不可能だからである。したがって、このシステムでは、対象のスポットを識別することができず、多重分析を行うことができない。
【0007】
「マイクロアレイ」フォーマットに加えて、多重型、すなわち、同時にリアルタイムで分析される複数の試料についてのSPR分析結果を得ることを可能にする新しい画像化機能が出現している(表面プラズモン顕微鏡法、B. Rothenhausler, W. Knoll, Nature, 1988, 332, 615-617)。
【0008】
同一のバイオチップ型インターフェイス上におけるSPR分析技術とMALDI−MS分析技術との連結は、バイオチップを官能化するために開発された表面化学法に依存する。この化学法は、一方では、受容体の最適な結合を可能にしなければならず、他方では、SPR分析法およびMALDI−MS分析法に適合しなければならない。これに関連して、2002年にNedelkovは、金属表面上、特に金上で組織化単分子層を形成することが知られているMUA(メルカプトウンデカン酸)アルカンチオール鎖を用いる自己組織化単分子層(SAM)の利用を提案した(Proteomics 2002, 2 441-446)。最近になって、マイクロアレイフォーマットでのSPRi−MSシステムが提示されたが、そこでは、バイオチップをMUAアルカンチオール鎖で官能化する(Nedelkov, Analytical Chemistry 2007, pp. A-D)。しかし、このタイプのMUA自己組織化単分子層には、アルキル鎖の疎水性に起因する非特異性相互作用に関与するという欠点がある。
【0009】
このような状況において、本発明者らは、SPRを、質量分析法、特に、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(すなわちMALDI−MS)とインラインで連結することを含む本発明を開発した。その他の脱離イオン化法も、同一表面上およびマイクロアレイフォーマット内で行われるSPR−MSインライン連結法のために想定することができる:すなわち、DESI−MS(脱離エレクトロスプレーイオン化法)、FAB−MS(高速原子衝突法)またはSIMS−MS(二次イオン質量分析法)。これらのMS分析技術は、より具体的には、低質量(<2000Da)の被分析物に用いられるが、今までのところ、タンパク質など高質量の生体分子の分析を行うことは可能となっていない。
【0010】
本発明の目的は、SPR−MS連結分析法のための共通の支持体として使用することができるチップを製造する方法である。
【0011】
本発明の目的は、同一の支持体上および「マイクロアレイフォーマット」内で、SPRによる相互作用の分析および定量化から、質量分析法による精密な特性評価まで、SPR−MS実験を全て行うことを可能にする、生体分子の分析法でもある。すなわち、被分析物を移動させたり処理したりすることなしに全SPR−MS実験を行うことができる。これは、バイオチップに固定された受容体分子との特異的相互作用がSPR法によって検出される被分析物を、微量溶出工程を行うことなしに質量分析法によって直接分析できるからである。そのため、被分析物は変性緩衝液の作用から保護される。被分析物は質量分析法によりバイオチップ上で直接分析されるため、収量低下の原因となる抽出を受けない。使用される緩衝液はSPR分析法およびMS分析法に適合している。
【0012】
本発明者らは、以下の二つの分析技術を連結したものに適合させるようなやり方でSPRにおいて使用することができる固形支持体を官能化する方法を開発した:SPR法、特にSPR画像化法(SPRi)、および質量分析法(MS)、特にMALDI−MS。
【0013】
本発明に係る方法は、SPR分析法およびMS分析法のための分析用支持体(またはチップ)の金属面を官能化する方法であり、本発明において、この金属面は好ましくは金である。この方法は、前記支持体の金属面上にポリ(エチレンオキシド)(PEO)の自己組織化単分子層を直接グラフトすることを含む。そのために、PEOを、官能化すべき金属面と直接接触させ、官能化を化学的グラフトによって行う。
【0014】
都合のよいことに、このように修飾された支持体には、分子間の相互作用を精密に分析することを可能にしつつ、同時に、それらの構造分析も可能にするという性質をもつ。修飾された支持体は、被分析物と固定された受容体との相互作用を調べる過程で、単分子層に対する生体分子の非特異的相互作用をできる限り減少させることを可能にする。被分析物の非特異的吸着は、エチレンオキシド単位からなる自己集合単分子層の性質を選択することによって制限することができる。それによって、シグナル対ノイズ比を改善してSPR−MS連結法を有利に改良することも可能になる。修飾された支持体によって、SPRにおける受容体−被分析物の相互作用の後に、インサイチューにおけるタンパク分解を行うことも可能になる。このタンパク分解は、MSによる精密なプロテオーム分析に近づく手段を提供する。
【0015】
本発明に係る方法は、SPR分析法およびMS分析法のためのチップの金属面を官能化することを含む。当業者によく知られているように、SPR実験は、表面プラズモン共鳴現象を記録するための金属面を含む支持体(またはチップ)の官能化された金属面に「受容体」分子を結合させて行われる。そのため、表面プラズモン共鳴現象を観察するためには、銀、金、白金、アルミニウム、または銅でできた金属表面を使用する必要がある。有利には、支持体の金属面は金でできているが、これは、SPR法において、当業者によって最も一般的に使用されている金属である。
【0016】
SPRで用いられる支持体の寸法およびそれらを組み立てる方法は、当業者によく知られている。すなわち、一つの特定の実施態様において、支持体は、金属面、好ましくは金の表面を蒸着したスライドガラスからなる。金属面の厚さは、具体的には10nm〜100nmであってもよい。都合のよいことに、クロム層を、スライドガラスと金属面の間に挿入することができる。このクロム層は、厚さが1nm〜5nm、好ましくは、1〜2nmであってもよい。
【0017】
本発明の方法によれば、SPR支持体の金属面は、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)を前記金属面上に化学的に直接グラフトすることによって官能化される。したがって、この方法は、PEOを直接グラフトすることを含む。すなわち、中間分子なしに、PEOのチオール基の硫黄原子と支持体の金属面と間で強い相互作用が生じる。これらのPEO分子は、自己集合により単分子層に自己組織化する。この構造は、図1に示されている。
【0018】
本発明について、「自己集合」または「自己組織化」という用語は、PEO鎖が、グラフト後のスペースにおいて互いに自然に自己組織化することができることを意味する(Surface Science Reports 61 (2006) 445-463)。
本発明について、「単分子層」という用語には、金属面の平面で高密度かつ規則的な構造を形成する鎖が含まれる。これは、一般的には、アルカンチオールの例で見られる規則的な単一分子膜である。
【0019】
グラフトは、当業者に公知の手段で行うことができる。例えば、金属面を含む支持体を、グラフトされるPEOを含む溶液に直接浸すことができる。あるいは、このPEO溶液を、単に支持体の金属面に沈着させるだけでもよい。
【0020】
PEOを含む溶液は、支持体の金属面上におけるPEOの自己集合反応を妨げない適当な溶媒に溶解させた、グラフトされるべきPEOを含む。この溶媒は、具体的には、無水エタノール、水、ジクロロメタン、またはジメチルスルホキシドであってもよい。特に好適な実施態様において、用いられる溶媒は無水エタノールである。溶液中におけるPEO濃度は、一般的には0.5〜10mM、好ましくは1〜5mM、そして、特に好ましくは、PEO濃度は約2.5mMである。後者の濃度では、100%のグラフトが可能である。
【0021】
グラフトは、好ましくは4℃〜100℃、好ましくは10℃〜70℃、さらに好ましくは15℃〜30℃という温度で行われる。有利には、グラフトは常温すなわち20℃で行われる。圧力条件も調整することができる。すなわち、反応を、具体的には、10−5〜2気圧の圧力で行うこともできる。好ましくは、グラフト反応は大気圧で行われる。グラフト時間は少なくとも1時間である。好ましくは、グラフト時間は少なくとも6時間である。より長い反応時間、具体的には、少なくとも12時間または少なくとも24時間を想定することができる。当然ながら、数週間を超える期間、支持体を、グラフトされるPEOに接触させることも可能である。しかし、実際には、グラフト時間は一般的には15日未満、好ましくは7日未満であろう。
【0022】
有利には、グラフト反応は、少なくとも6時間、0.5〜2気圧にて、15℃〜30℃の無水エタノールに溶解したPEO溶液に支持体を浸して行われる。
【0023】
好ましくは、この反応は、支持体の金属面をPEOが被覆する程度が、70%よりも高く、好ましくは80%よりも高く、好ましくは90%よりも高く、好ましくは95%よりも高くなるように行う。さらに一層好ましくは、支持体を被覆する程度は、本質的には100%である。この比率は、被覆前に測定された伝導性と比較した、PEOによる被覆後の金属面の伝導性の阻害率に相当する。
【0024】
有利には、本発明に関連して用いられるPEOは、以下の化学式(I):
A−(CH−(O−CH−CH−D (I)
の化合物である。
ただし、式中:
− nは1または2に等しく;
− xは5から16までの整数であり;
− Aは、共有結合によってPEOを支持体の金属表面上に固定するための基であり;そして
− Dは、生体分子を結合させるために、場合により修飾された基である。
【0025】
官能化法の特定の実施態様において、nは2に等しい。一つの好適な実施態様において、xは8に等しい。
【0026】
本発明に係る官能化法の特に有利な実施態様において、PEOは短鎖PEO、具体的にはnが2に等しく、そしてxが8に等しいPEO、すなわち、以下の化学式:
A−(CH−(O−CH−CH−D
をもつ化合物である。
【0027】
A基は、PEO分子を支持体の金属面に固定するための基である。すなわち、金属面が金、銀、白金または銅でできている場合、Aはチオール基(−SH)であるが、これは、これらの金属上、特に金上でそれ自体をグラフトすることで当業者に知られており、硫黄は金に対する親和性が高い。したがって、有利には、本発明の一つの特定の実施態様は、上記した通りの方法であって、支持体の金属面の金属が金であり、そしてAが−SH基である方法に関する。
【0028】
本発明について、「受容体」分子は、生物学的な興味の対象となる分子、特にペプチド、糖、または核酸である。具体的には、「受容体」分子はタンパク質、オリゴ糖、またはオリゴヌクレオチドであってもよい。
【0029】
D基によって、分子が官能化支持体へ結合することが可能となる。したがって、D基の選択は固定される分子のタイプに依存し、この選択は、主に当業者の技術範囲内にある。D基としては、とりわけ、−COOH、−NH、および−CHOを挙げることができる。D基は、分子の直接結合、またはD基を修飾した後は、間接結合を可能にすることができる。
【0030】
具体的には、受容体分子が以下のものである場合:
−タンパク質である場合は、D基または修飾されたD基は、このタンパク質のN末端1級アミンとアミド結合を形成するN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)基、スクシンイミジルエステル基、またはスルホスクシンイミジルエステル基であってもよく;チオール化タンパク質と反応させてチオールエーテル結合を生じさせるためには、マレイミド官能化基またはヨードアセチル官能化基であってもよい;
−オリゴ糖である場合は、糖の還元性末端と共有結合反応させるためには、D基、または当業者によく知られている方法で修飾されたD基は;
−オリゴヌクレオチド(DNAまたはRNA)である場合は、D基または修飾されたD基は、それ自体が、1級アミン官能基によって末端の一方が官能化されている合成鎖とアミド結合を形成するスクシンイミジルエステルであってもよい。
【0031】
タンパク質の固定化について特に好適な実施態様において、D基は、修飾されるとN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)基、特に−COOH基を生じさせることができる基に相当する。
【0032】
本発明に係る官能化法の特に好適な実施態様において、支持体の金属面上にグラフトされるPEOは、化学式HS−CH−CH−(O−CH−CH−COOHをもつPEOである。
【0033】
グラフトされるPEO、具体的にはO−(2−メルカプトエチル)−O’−(2−カルボキシエチル)ヘプタエチレングリコールとしても知られている化学式HS−CH−CH−(O−CH−CH−COOHをもつPEOは市販されている。あるいは、グラフトされるPEOは、当業者の技術範囲内にすべて含まれる方法に従って合成することができる(J. Am. Chem. Soc. 1993, 115, 10714-10721)。
【0034】
特定の実施態様において、本発明に係る官能化法は、以下の工程:
1)支持体を事前に洗浄する工程;
2)上記した通り、洗浄された支持体上にPEOをグラフトし、自己集合させて、支持体の金属面上にある単分子層とする工程;
3)場合により、PEOのD基を修飾する工程
からなる。
【0035】
上記の洗浄工程1)は、当業者に知られている適当な方法で行う。特に、具体的には、官能化される金属面をUV−オゾン処理によって洗浄することも可能である。あるいは、この支持体をスルホクロム酸で洗浄することができる。
【0036】
工程2)で支持体上にPEOをグラフトした後、その後の処理を行うまで、またはSPRおよび/またはMSによる分析に使用するまで、官能化支持体を、好ましくは乾燥状態で、および/または、好ましくは低温状態(約4℃)、例えば、冷蔵庫内(具体的には、その中の空気中)で保存することができる。
【0037】
工程3)は場合によるが、PEOのD基の修飾に相当する。当業者によく知られているように、修飾の必要性は、金属面上にグラフトされたPEOの末端にあるD基のタイプによって決まる。例えば、Dが−COOH基を表していれば、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を生じさせるために、このタイプの反応について知られている標準的条件下で後者を修飾することができる。PEOの末端の修飾に用いられるNHS基は、タンパク質結合剤としての活性をもつことでよく知られている(Macromolecules 35 (2002) 581-584)。
【0038】
工程3でPEOのD基の場合による選択的な修飾の後、SPRによる分析に使用するまで、場合により、その後MSによる分析に使用するまで、官能化支持体を(好ましくは乾燥状態で)、具体的には冷蔵庫内(具体的には、その中の空気中)で保存することができる。
【0039】
また、本発明は、SPR分析用支持体の金属面を官能化するために、想定される全ての変法に従って、上記の化学式(I)をもつPEOを使用することにも関する。
【0040】
本発明は、上記のPEOがグラフトされている金属面を含む、官能化されたSPR分析用支持体にも関する。ここで、本発明に係る官能化支持体とは、特に、上記の方法に従って得られる官能化支持体である。これは、ポリ(エチレンオキシド)自己組織化単分子層による、特にNHS基によって官能化された、特にPEOのD基または修飾されたD基による結合を介して官能化支持体上に固定された「受容体」分子を含むこともある。すなわち、支持体は、スポットのネットワークという形で「受容体」分子を含む。このスポットネットワークには、特にSPR実験またはMS実験に関連して、所定の「受容体」分子と被分析物試料との相互作用を特異的に分析することが可能になるという利点がある。
【0041】
また、本発明は、SPRによる分析、特にSPRiによる分析において、上記の官能化支持体を使用することにも関する。これに関連して、「受容体」分子は、D基または、特にNHS基によって官能化された修飾D基による結合を介して官能化支持体上に固定されている。
【0042】
「受容体」分子を固定するためのプロトコールは、当業者に知られているように、支持体上にグラフトされるPEOのD基のタイプおよび固定化すべき「受容体」分子のタイプによって決まる。
【0043】
受容体分子については、特にタンパク質(抗原、抗体、ペプチド)、核酸(DNA、RNA、オリゴヌクレオチド)、および炭水化物(オリゴ糖)を挙げることができる。支持体上にグラフトされるPEOのD基を適切に選択して、これら様々なタイプの分子を支持体上に固定することができる。
【0044】
D基を修飾してNHS基またはNHS誘導体を生じさせる特定の実施態様において、「受容体」分子の固定化工程の最後に反応しないNHS基の不活化工程を行う必要がある。この目的には、特にリジン溶液を使用することができる。リジンは、この溶液中に10μMから10mMの濃度で存在している。
【0045】
有利には、「受容体」分子は、SPRi分析を行うためには、上記した官能化支持体上に固定されている。従来のSPR分析法に較べて、SPRi分析は、多数の試料を標識化することなく、多重フォーマット、すなわち同時かつリアルタイムの分析(検出、定量化、可視化)の利用を可能にする。これを行うためには、「受容体」分子を、固定化分子という点でその組成が知られており、整理されているスポットのネットワークという形にして活性化支持体の表面に固定する。このネットワークは、SPRにおける空間分析を初めて可能にするものである。すなわち、対象となるスポットが、SPRによって画像化を介して可視化される。
【0046】
この空間分解能は、MALDI−MS分析の過程でも保存されるであろう。各スポットをMS分析装置によって個別に調べるため、支持体上に特異的に保持された被分析物をMSによって同定することができる。
【0047】
SPR、特にSPRiによって分析を行うためには、受容体分子が固定されている官能化支持体を、SPRi分析装置または従来型のSPR分析装置の中に置く。そして、SPRまたはSPRiによるデータを取得して利用する。
【0048】
本発明に係る官能化支持体の主な利点は、SPR分析とSPRi分析の簡易かつ改善された連結が可能になる点、および表面上での非特異的結合に起因する干渉、特に上記したMUAによって官能化された他の支持体の使用中に観察される干渉を最小限に抑えられる点である。実際、SPR分析、有利にはSPRi分析の後、「受容体」分子が固定されている官能化支持体は、SPR分析装置、またはSPRi分析装置から取り出され、官能化支持体を破壊することなく、およびSPR分析の過程で特異的に保持された被分析物を微量溶出したり、緩衝溶液を交換したりすることなしに、MALDI−MS質量分析装置内に直接(中間工程なしに)設置される。このことは、SPR支持体に結合している分子を溶離するのに通常用いられる溶媒が、MSに適合しないため、緩衝液交換という追加工程を必要とすることから特に有利である。この追加工程は時間がかかり、そして異物混入および物質損失をもたらす可能性がある。
【0049】
このように、本発明に係る官能化支持体によって、収率の向上を伴った簡易化されたSPR−MS連結法を設立することが可能になる。したがって、本発明は、支持体に置かれた試料の分子相互作用の分析を、質量分析法、好ましくはMALDI質量分析法によって同一支持体に置かれたこの試料の構造分析法と連結された表面プラズモン共鳴法によって行うために、上記したように修飾された支持体を使用することにも関する。
【0050】
言い換えれば、本発明は、2種類の連続した分析法、すなわちSPRによる分析法、その後、質量分析法による分析を行うために、上記したような官能化支持体を使用することにも関する。
【0051】
本発明は、また、特にMALDI型、特にMALDI−TOF型の質量分析実験において、上記したような官能化支持体を使用することにも関する。
【0052】
MALDI分析法による分析の場合には、当業者は、支持体上に存在する試料を適当なマトリックスで被覆する必要があることを知っている(Hillenkamp, F.; Karas, M.; Beavis, R. C.; Chait, B. T. Analytical Chemistry 1991, 63, A1193-A1202)。
【0053】
当業者は、特に、表面上にて直接、インサイチューにて局所的酵素分解という工程を行なうことによって、官能化支持体に固定された「受容体」分子上に保持された被分析物のタンパク質分析に本発明に係る支持体を利用することができる。これにより、MALDI−MSによるタンパク質のペプチドフィンガープリントか、またはMALDI−MS/MSによるその配列を得ることができる。
【0054】
本発明は、より具体的には、以下の工程:
1)一つ以上の「受容体」分子を本発明に係る官能化支持体上に固定する工程;その後、
2)SPR解析装置内にこの支持体を設置して、固定された「受容体」分子と被分析物試料との相互作用をSPRによって分析する工程;その後、
3)支持体をSPR解析装置から取り出して、この支持体を質量分析装置に設置し、SPR分析の過程で「受容体」分子によって特異的に保持された被分析物をMSによって構造分析する工程
を含む、SPR、特にSPRiによる分析法を、MS、特にMALDIによる分析法と連結する方法に関する。
【0055】
MS法によって、本発明に係る官能化支持体に共有結合した受容体分子によって特異的に保持されている被分析物を構造的に同定することが可能であろう。
【0056】
本発明について、「被分析物」という用語は、その存在を同定するため、および/または、その特性(例えば:含有量、濃度)を測定するために分析法にかけられる化学物質または化合物を意味する。これらは、特に、上記したような支持体上に固定された「受容体」分子と相互作用する能力を測定することが望ましい化学物質もしくは化合物である。被分析物は、その内容が不明な混合物、例えば、タンパク質、炭水化物、核酸などの抽出物に相当するものであってもよい。また、この混合物は、公知のタンパク質、炭水化物、核酸などの混合物を含んでいてもよい。
【0057】
1)の固定化工程の過程で、一つ以上の「受容体」分子を固定することができる。ここでは、数十、数百、さらには数千の異なった「受容体」分子を固定することができる。有利には、「受容体」分子は、本発明に係る支持体上に分離したかつ秩序正しい態様にて、スポット状に固定されている。すなわち、これら「受容体」分子それぞれの位置を直接指定することができるため、SPR分析およびMS分析を個別に、スポット毎に(すなわち、「受容体」分子毎に)行うことが可能となる。したがって、官能化支持体によって、SPR分析の後に行われるMS分析の過程で、有利に多重化することができる。
【0058】
本発明の特に好適な一つの実施態様において、MS分析は、MALDI−MSによって行われる。これに関連して、MALDI分析に適合するマトリックスを、質量分析計に導入される前に、支持体上に蒸着する。
【0059】
このように、本発明の方法の発明者らは、本発明に係る官能化支持体により、固定化された「受容体」分子に対応する各スポット上で局所的な酵素分解を行うことが可能になったことを実証することができた。すなわち、選択された酵素をスポット上に直接置くことができる。この追加的な官能性を備えることによって、本発明で説明されているインラインでのSPRi−MS連結法は、利用者に、官能化支持体上において以下の2種類のMS分析法を選択することを提供する:一つは、酵素分解を行うことなしに、受容体上に既に特異的保持されている被分析物の全質量を測定することが可能な方法、そしてもう一つは、保持されている被分析物(タンパク質、炭水化物、核酸)をインサイチューで酵素処理することを含み、より詳細な構造データをもたらす方法。
【0060】
このように、本発明は、SPR、特にSPRiによる分析法をMS、特にMALDI−MS、またはMS/MSによる分析法と連結する方法であって、以下の工程:
1)一つ以上の「受容体」分子を本発明に係る官能化支持体上に固定する工程;その後に
2)支持体をSPR解析装置に設置して、固定された「受容体」分子と被分析物の試料との相互作用をSPRによって分析する工程;その後、
3)官能化支持体上に固定された「受容体」分子のスポット上に保持されている被分析物をインサイチューで局所的に酵素分解した後、前記支持体を質量分析装置に設置し、分子の分解産物で官能化支持体上に存在する被分析物の分解産物をMSまたはMS/MSによって構造分析する工程
を含む方法にも関する。
【0061】
例えば、タンパク質分析の場合には、表面上で直接行われるタンパク質分解によって、MALDI−MSによるタンパク質のペプチドフィンガープリントまたはMALDI−MS/MSによるその配列を得ることが可能となる。したがって、この官能性を備えているため、本発明に記載されているインラインでのSPRi−MS連結法は、特にプロテオーム解析を行う場合に精密な構造解析を初めて可能にするのである。
【0062】
さらに、これら二つの分析法を、以下の順序に従って、同一の官能化支持体上で連続的に組み合わせることができる:SPR分析および被分析物の捕捉、MSによるこの被分析物の全質量の特徴づけ、その後、この被分析物の酵素分解およびMSによる第二の分析。これは、被分析物の全質量の利用を可能にするインラインSPRi/MALDI−MS連結法の後、本著者らが、支持体に結合した分子をインサイチューで酵素分解するために、MALDI−MSによる特性評価に必要なマトリックスを除去することが可能であることを実証ができたからである。マトリックスの除去は、この用途では酸を含まないマトリックス可溶化溶液で濯ぐことによって行われる。具体的には、アセトニトリル型またはエタノール型の可溶化溶液を使用することができる。
【0063】
この場合、本発明は、SPR、特にSPRiによる分析法を、MS、特にMALDI−MSによる分析法と連結する方法であって、以下の工程:
1)一つ以上の「受容体」分子を、本発明に係る官能化支持体上に固定する工程;その後、
2)支持体をSPR解析装置に設置して、固定された「受容体」分子と被分析物の試料との相互作用をSPRによって分析する工程;その後、
3)支持体をSPR解析装置から取り出して、前記支持体を質量分析装置に設置し、SPR分析の過程で「受容体」分子によって特異的に保持された被分析物をMSによって構造分析する工程;その後
4)官能化支持体上に固定された「受容体」分子のスポット上に保持されている被分析物をインサイチューで局所的に酵素分解し、MALDI−MSによる分析に適したマトリックスで試料を被覆し、前記支持体を質量分析装置に設置し、官能化支持体上に存在する分子の分解産物をMALDI MSまたはMALDI MS/MSによって構造分析する工程
を含む方法にも関する。
【0064】
一つの特定の実施態様において、上記の工程3)の構造分析をMALDI−MSによって行う。この場合、この分析の後、MALDI−MSに用いられたマトリックスを、工程4を行う前に除去する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】金でできた金属面を含む、本発明に係る支持体、およびこの表面を官能化する工程を示す略図である。この表面は、HS−CH−CH−(O−CH−CH−COOHの化学式を有するPEOで官能化された後、このPEOはNHS基で修飾される。
【図2】PEO−NHS自己組織化単分子層と、SPR−MSバイオチップの金表面にグラフトされたMUA−CDI自己組織化単分子層とを比較した結果を示している。
【図3】本発明によるPEO−NHS表面処理を受けたバイオチップにおける、被分析物がそれらの受容体に対して特異的な相互作用を示したSPRi実験を示している。
【図4】金表面上の自己組織化PEO−NHS単分子層型のバイオチップ上におけるSPRi−MALDI−TOFMS連結法の例を示す。
【図5】SPRi実験後のプロテオーム分析、およびその後のインサイチューで分解された被分析物のMALDI−TOF質量分析(MS)による解析の例を示す。実験は、自己組織化PEO−NHS単分子層型のバイオチップの金の表面上で行われた。
【図6】SPRi実験の後のプロテオーム分析、および、その後、バイオチップによって捕捉されたオボアルブミンタンパク質のインサイチュー分解に由来するペプチドのMALDI−MS/MSによるシーケンシングの例を示す。実験は、自己組織化PEO−NHS単分子層型のバイオチップの金表面上で行われた。バイオチップ上での分解に由来するペプチドのMALDI−MS/MSスペクトル、および「マスコット(Mascot)」コンピューターツールを用いて保持されたタンパク質の同定結果が図上に示されている。
【0066】
実施例
実施例1:PEO−NHS自己組織化単分子層スライドを調製するためのプロトコール
取り外し可能なバイオチップの寸法
12mm×28mmの寸法の500μm厚スライドガラス。
クロムの厚さ:1nmから2nm。
表面に蒸着される金層の厚さ:50nm。
【0067】
PEOの特性
使用される二官能化PEOは市販品である(Sigma−Aldrich;ref:672688)。これは、8個のEO[エチレンオキシド]ユニットからなり、そしてその両端で官能化されているO−(2−メルカプトエチル)−O’−(2−カルボキシエチル)ヘプタエチレングリコールである:
HS−CH−CH−(O−CH−CH−COOH
(M=458.56g.mol−1
【0068】
チオール(メルカプト)機能により、スライドガラスの金属表面上にポリマーをしっかりと固定することができる。もう一方の末端にあるカルボン酸官能基により、「受容体」生体分子を共有結合させるのに必要な鎖を官能化することができる。
【0069】
バイオチップの表面において自己組織化単分子層の形態でPEO−NHSの蒸着を調製するためのプロトコール
事前洗浄工程の後、まず自己組織化単分子層を形成させるためにPEOを蒸着した後、次の工程で、そのカルボキシル末端をN−ヒドロキシスクシンイミド基で官能化する(概略図1参照)。
1)UV−オゾン処理によるスライドガラスの洗浄
上記した寸法の金被覆スライドガラスを、金面を上にしてオプティカルペーパー(optical paper)の上に置き、UV−オゾン処理を1時間行う。
【0070】
2)PEO蒸着:スライド用プロトコール
100mlビーカーの中で、3mg(6.54×10−6モル)のHS−CH−CH−(O−CH−CH−COOHを、2.6mlの無水エタノールに溶解する(最終PEO濃度2.5mMすなわち1.15mg/ml)。この溶液をビーカー内で均質化してから、UV−オゾン処理直後のスライドガラスを前記ビーカー内に入れる。
【0071】
次に、このビーカーをパラフィルムで3層に覆って蒸発を防ぐ。その後、ビーカーを6時間撹拌する(振とう台速度=20)。この工程の後、PEO処理したスライドガラスを回収し、そして、余分な溶液を吸い取り紙で吸収する。そして、処理されたスライドガラスを2槽の無水エタノール内ですすぎ、乾燥させてから、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)との官能化反応を行うまで、冷蔵庫内に保存する。
【0072】
3)N−ヒドロキシスクシンイミドによるPEO官能化
100mlビーカー内で、27.6mg(2.4×10−4モル)のN−ヒドロキシスクシンイミド、53mg(2.6×10−4モル)のN,N’−ジクロヘキシルカルボジイミド、および3.5mg(0.23×10−4モル)の4−ピロリジノピリジンを含有するDMSO溶液1.09mlを調製する。その後、この溶液を均質化する。
【0073】
その後、PEOであらかじめ処理されたスライドガラスを、新たに調製したDMSO溶液に入れて、ビーカーをパラフィルムで2層に覆う。反応は、この溶液を撹拌しながら(振とう台速度=20)24時間作用させて行う。余分な溶液を吸い取り紙で取り除いてから、スライドガラスをDMSO槽内で1回、次に超純水槽内で5回、次いで、無水エタノール槽内で1回すすいだ。このように処理されたスライドガラスを乾燥させてから、使用するまで乾燥条件下で冷蔵庫に保存した。
【0074】
実施例2:金表面のPEO−NHS自己組織化単分子層型バイオチップ上でのSPRi実験の提示
本実施例は、本発明に従ってPEO−NHS表面処理を施したバイオチップにおける、被分析物がそれらの受容体に対して特異的な相互作用を示したSPRi実験に関する(図3参照)。
【0075】
本実験は、抗体を含まないため被分析物の吸着が記録されない領域(抗体なしでPEO−NHS化学法を行った領域に対応する領域)で行われた測定の結果と比較した、官能化表面上に固定された抗オボアルブミン抗体および抗β−ラクトグロブリン抗体のスポット(600nMおよび6μM)上への2種類のタンパク質被分析物であるオボアルブミンおよびβ−ラクトグロブリンの吸着能に関する。
【0076】
実験条件は、以下の通りである:
オボアルブミンおよびβ−ラクトグロブリンと、表面に固定された抗オボアルブミン抗体およびβ−ラクトグロブリン抗体との相互作用をSPRiによって測定する。実験開始時に、抗体と反応していないPEO官能化表面のNHS基を中和するために、リジン(100μM)を注入する。次に、上記2つのタンパク質、オボアルブミンおよびβ−ラクトグロブリン(50μg/ml)を、流量50μl/分で連続的に注入した。β−ラクトグロブリン溶液の濃度を上げながら(1、10、100および200μg/ml)、次に、オボアルブミン溶液(1、10、100および200μg/ml)の濃度を上げながら注入する。泳動用緩衝液は、10mM酢酸アンモニウム、pH7.5である。示された画像は、それぞれの抗体への上記タンパク質の濃度200μg/mlについての吸着を例示するものである。リジンで不活化されたPEO−NHS官能化表面には、いずれのタンパク質も全く吸着されない。
【0077】
実施例3:金表面におけるPEO−NHS自己組織化単分子層型バイオチップでのSPRi−MALDI−TOF質量分析連結法の提示
本実施例は、本発明に従って表面処理を行ったバイオチップ上でのSPRi−MALDI−TOF質量分析連結法に関する(図4参照)。
【0078】
本実施例は、オボアルブミンおよびβ−ラクトグロブリンと、官能化表面上にスポット状に固定された、抗オボアルブミン抗体および抗β−ラクトグロブリン抗体(600nMおよび6μM)のそれぞれとの相互作用のSPR分析、およびMALDI−TOF質量分析によるタンパク質被分析物の検出に関する。
【0079】
実験条件は、以下の通りである。オボアルブミンおよびβ−ラクトグロブリンと、表面に固定された抗オボアルブミン抗体およびβ−ラクトグロブリン抗体との相互作用をSPRiによって測定する。実験開始時に、抗体と反応していないPEO官能化表面のNHS基を中和するために、リジン(100μM)を注入する。次に、上記2つのタンパク質、オボアルブミンおよびβ−ラクトグロブリン(50μg/ml)の混合液を、流量50μl/分で注入する。2種類のタンパク質混合液の注入開始時が時間t=0に対応する。次に、官能化支持体を、10mM酢酸アンモニウムランニング緩衝液、pH7.5で10分間すすいだ(t=9分からt=19分)。SPRiによって相互作用データを記録した後、バイオチップをSPR装置から取り出して乾燥させる。
【0080】
図4に示されている画像は、注入してから9分後にタンパク質が、それぞれの抗体に吸着されたことを示すものである。MALDI−TOF質量スペクトルをポジティブリニアモード(positive linear mode)で行う(反復ショット回数100および蓄積回数500;加速電圧25kV;格子電圧93%;抽出遅延時間450ns;レーザー光量2800)。選択されたMALDIマトリックスは、50/50の水/アセトニトリルの0.1%TFA中10−1MのHABA[2−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)安息香酸]である。このマトリックスを、抗体スポット上に蒸着し、またPEO−NHS−Lysで官能化されているが抗体のない金の領域にも蒸着する。
【0081】
PEO−NHSで官能化され、そしてリジンで中和された支持体の上では、いかなる相互作用も検出されない。本実施例中の抗オボアルブミン抗体および抗β−ラクトグロブリン抗体は、1.8fmol/mmのタンパク質を特異的に保持した。本実施例で得られたMALDI−TOF質量スペクトルは、その質量によれば、その抗体上に特異的に保持されたタンパク質に起因する一価イオンに対応するピークを示している。
【0082】
実施例4:SPR−MSバイオチップの金表面にグラフトされたPEO−NHS型自己組織化単分子層とMUA−CDI型自己組織化単分子層との比較
本実施例は、本発明によるPEO自己組織化単分子層の表面化学法と、文献でより一般的に説明されているSPRにおける表面化学法、すなわちMUAによる官能化との比較に関する。
【0083】
この比較は、2つのタイプの官能化表面に置かれた抗β−ラクトグロブリン抗体スポットへのβ−ラクトグロブリンの吸着能力に関し、また、抗体を含まない領域上でSPRによって測定された非特異的吸着レベルにも関する。
【0084】
実験条件は、以下の通りである。β−ラクトグロブリンと、2つのタイプの表面上に固定された抗β−ラクトグロブリン抗体(6μM)との相互作用をSPRによって測定する。実験開始時に、抗体と反応していない、PEOおよびMUAのそれぞれによって官能化された表面のNHS基およびCDI(カルボニルジイミダゾール)基を中和するためにリジン(100μM)を注入する。次に、β−ラクトグロブリン溶液(50μg/ml)を、流量50μl/分で注入した。β−ラクトグロブリンの注入開始時が、時間t=0に対応する。そして、官能化支持体を、10mM酢酸アンモニウムランニング緩衝液、pH7.5で5分間すすぐ(t=9分からt=14分)。
【0085】
その結果を図2に示す。
【0086】
なお、MUA−CDIで官能化された領域(図2、無抗体)は、5分間すすいでも、タンパク質を非特異的に保持している。したがって、抗体に特異的に吸着されたタンパク質を定量化する際には、この非特異的吸着を考慮に入れる必要がある(図2D)。また、この非特異的吸着は、プローブ上に特異的に保持されたタンパク質を質量分析法によって同定する過程を困難にする原因となりうる。
【0087】
本発明で提案されているPEOによる化学法では、抗体で処理されていない領域上でのこのようなタンパク質吸着は完全に無視できる程度である(図2A)から、抗体上に特異的に吸着したタンパク質を定量化する際に何も調整する必要がない(図2B)。
【0088】
PEO−NHSで官能化された金表面およびMUA−CDIで官能化された金表面上で上記のプロトコールに従って行ったSPRi実験後のMS分析の結果、2種類の表面処理によって固定された抗体スポット上でタンパク質が検出される。一方、リジン処理によって不活性化された、抗体スポットをもたないMUA−CDI官能化表面は、MALDI−MSによるタンパク質の検出をもたらす。SPRiによる分析、それに続くMALDI分析の過程におけるこれらの結果は、MUA−CDI官能化が、これらの分析法に悪影響を及ぼす非特異的結合を生じる可能性があることを示している。
【0089】
実施例5:SPR−MALDI−MS分析の過程におけるインサイチューでのタンパク質分解
金表面上のPEO−NHS型自己組織化単分子層のバイオチップで行われるSPRi実験およびインサイチューで分解された被分析物のMALDI−TOF質量分析の後に行われるプロテオーム解析の提示
本実施例は、本発明に係る官能化支持体上におけるSPRi分析の過程で固定化抗体によって被分析物を捕捉した後に、MALDI−TOF質量分析によりインラインで分析されるトリプシン分解に関する。
【0090】
本実験は、インラインでのSPRi処理−MALDI−MS連結法の後に得られるプロテオームデータの利用可能性に関する。本実験は、官能化表面に蒸着または固定された抗オボアルブミン抗体および抗β−ラクトグロブリン抗体のスポット上におけるオボアルブミンおよびβ−ラクトグロブリンの相互作用に関する。
【0091】
実験条件は、実施例2と同じである。オボアルブミンおよびβ−ラクトグロブリンと、表面に固定された抗オボアルブミン抗体およびβ−ラクトグロブリン抗体(6μM)との相互作用をSPRiによって測定する。このために(実施例2と同じように)、実験開始時に、抗体と反応していないPEO官能化表面のNHS基を中和するためにリジン(100μM)を注入する。次に、2種類のタンパク質、すなわちオボアルブミンおよびβ−ラクトグロブリン(50μg/ml)の混合液500μlを流量50μl/分で注入する。このタンパク質混合液の注入開始時が時間t=0に対応する。次に、官能化支持体を、10mM酢酸アンモニウムランニング緩衝液、pH7.5で10分間すすいだ(t=8分からt=18分)。SPRiデータが記録されたところで、バイオチップをSPR装置から取り出して乾燥させる。保持された量は、抗β−ラクトグロブリン抗体スポット上ではβ−ラクトグロブリンが約40pg/mmであり、抗オボアルブミン抗体スポット上ではオボアルブミンが約48pg/mmである。このタンパク質分解は、トリプシンを抗体スポット上に沈着させ、チップを、湿式チャンバー内で37℃にて1時間保温することにより、インサイチューで行われる。MALDI−TOF質量スペクトルが、リフレクトロン方式(反復ショット回数100および蓄積回数500;加速電圧20kV;格子電圧68%;抽出遅延時間350ns;レーザー光量2400)で生成される。選択されたMALDIマトリックスは、50/50の水/アセトニトリル0.1%TFA中10-1MのHCCA[α-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸]である。このマトリックスを抗体スポット上に蒸着する。得られた質量スペクトルはさまざまなシグナルを示すが、その中から、被分析物の分解産物に対応するシグナルを同定することは可能である。
【0092】
実施例6:インサイチューでのタンパク質分解およびMALDI−MS/MSタンデム質量分析法によるシーケンシングによる、SPRiバイオチップ上で捕捉されたタンパク質の同定法
本実施例は、SPRi実験の後に行われるMALDI−MSおよびMALDI−MS/MSによるプロテオーム解析を提示するものである。特異的に保持されたタンパク質のインサイチュー・タンパク質分解によって形成されたペプチドの配列決定によって、その同一性を明確に決定することが可能となる。この実験は、金表面上のPEO−NHS型の自己組織化単分子層バイオチップで行われる。
【0093】
したがって、本実施例は、SPRi分析の過程における固定化抗体によるタンパク質の捕捉、および本発明に係る官能化支持体上でのインサイチュー・トリプシン分解の後に行われる、MALDI−MS/MSによるインラインでのペプチドの配列決定法に関する。
【0094】
本実験は、インラインでのSPRi−トリプシン処理−MALDI−MSおよびMALDI−MS/MS連結法の後に特異的に保持されたタンパク質を同定することが可能であることを例示するものである。この原理の説明に役立つ実施例は、オボアルブミンと、官能化表面上に固定化された抗オボアルブミン抗体との相互作用に関するものである(図6参照)。
【0095】
(実施例1に従って調製された)表面上への抗オボアルブミン抗体の固定化、および、その後のオボアルブミンと抗オボアルブミン抗体の相互作用をSPRiによって測定する。オボアルブミン(200μl、100μg/ml)を、流量50μl/分で注入する。SPRiデータを記録したところで、バイオチップをSPR装置から取り出して乾燥させる。抗オボアルブミン抗体スポット上に保持されたオボアルブミンの量は約29pg/mmである。このタンパク質分解は、トリプシン(0.5μg/スポット)を沈着させ、チップを室温にて1時間保温することにより、インサイチューで行われる。20分毎に2回、1μlの0.1M酢酸アンモニウム、pH8(トリプシン希釈緩衝液)をスポットに添加して、タンパク質分解反応培地を維持する。そして、同じバイオチップの表面からMALDI−MS質量スペクトルおよびMALDI−MS/MS質量スペクトルを記録する(レーザー光量4900;加速電源1:8kV;衝突セル7kV;電源2:15kV)。選択されたMALDIマトリックスは、50/50の水/アセトニトリル0.1%TFA中10-1MのHCCA[α-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸]である。得られたMALDI−MSスペクトルは、さまざまなシグナルを示すが、その中で9種類のペプチドが、オボアルブミン分解産物に相当するものである(m/z1345.73;1555.72;1571.71;1581.72;1597.71;1687.83;1773.89;1858.96;2008.94)。これらのイオンのうち、最も豊富にある3種類をMS/MS実験用に選択した(m/z1555.7、1687.8および1773.9)。これらのペプチドのそれぞれから得られた断片イオンによって、以下のペプチド配列:
【表1】


を、当業者に周知のMASCOTソフトウェアを用いて明確に同定することが可能となる。
【0096】
MASCOTソフトウェアを使用したデータバンク(SwissProt 56.2)検索により、スポット上に特異的に保持されているタンパク質を、これら3種類のペプチド配列に基づいて正確に同定することが可能となる(図6参照)。オボアルブミンが明確に同定される(Mowseスコア145、配列カバー率11%)。
【0097】
同一の方法に従って、別のタンパク質、すなわち、バイオチップ上にグラフトされた抗β−ラクトグロブリン抗体によって特異的に保持され、バイオチップ上で直接分解されたβ−ラクトグロブリンを用いて、このSPRi−MALDI−MS/MS分析を反復した。分解によって生じた8種類のペプチドをMALDI−MSによって同定した。そのうちの2種類(m/z2313.27およびm/z2707.3)に基づいて、MS/MS実験を行った後、データバンク(SwissProt 56.2)検索を行うことにより、対応する2種類のペプチドの配列(それぞれ、
【表2】


の同定が可能となり、その結果、Mowseスコア120で保持されているタンパク質(配列カバー率25%)の同定が可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面プラズモン共鳴法による分析のための支持体の金属面を官能化する方法であって、前記方法は、前記支持体の前記金属面上に直接ポリ(エチレンオキシド)の自己組織化単分子層をグラフトすることを含み、
前記金属面の前記金属が金であり、そして
前記ポリ(エチレンオキシド)が、以下の化学式(I)
A−(CH)n−(O−CH−CH−D (I)
(式中:
nは1または2に等しく;
xは5から16までの整数であり;
Aは、強い相互作用によってPEOを前記支持体の前記金表面上に固定するための基であり;そして
Dは、生体分子を結合させるために、場合により修飾された基である)の化合物である、方法。
【請求項2】
nが2と等しいである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
xが8と等しいである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
Aが−SH基に相当する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記PEOが、化学式HS−CH−CH−(O−CH−CH−COOHをもつO−(2−メルカプトエチル)−O‘−(2−カルボキシエチル)ヘプタエチレングリコールである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
以下の一連の工程:
1)前記支持体を事前に洗浄する工程;
2)前記PEOを前記支持体上にグラフトする工程;および
3)場合により、前記PEOのD基を修飾する工程
を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記洗浄が、UV−オゾン処理によって行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
D基が、工程3)で、N−ヒドロキシスクシンイミド基を生じるように修飾されている−COOH基を表す、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記グラフトが、溶液中にグラフトされる前記ポリ(エチレンオキシド)を含む容器の中に前記支持体を浸漬させることにより行われる、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
表面プラズモン共鳴法による分析のための官能化支持体であって、ポリ(エチレンオキシド)の自己組織化単分子層が直接グラフトされている金属面を含み、
前記金属面は金でできており、そして
前記ポリ(エチレンオキシド)が、以下の化学式(I)
A−(CH−(O−CH−CH−D (I)
(式中:
nは1または2であり;
xは5から16までの整数であり;
Aは、強い相互作用によって前記PEOを前記支持体の前記金表面上に固定するための基であり;そして
Dは、生体分子を結合させるために場合により修飾された基である)の化合物である、官能化支持体。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法によって製造される、請求項10に記載の官能化支持体。
【請求項12】
グラフトされたポリ(エチレンオキシド)を用いた結合を介して前記支持体に固定された「受容体」分子をさらに含む、請求項10または11に記載の官能化支持体。
【請求項13】
表面プラズモン共鳴実験、特に、表面プラズモン共鳴画像化(SPRi)実験における、請求項10〜12のいずれか一項に記載の官能化支持体の使用。
【請求項14】
「受容体」分子を前記支持体の前記表面に結合させること、および表面プラズモン共鳴法によって、特にSPRiによって、前記分子の相互作用を調べることを含む、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
質量分析実験において、前記官能化支持体に共有結合した受容体分子によって特異的に保持されている被分析物を構造的に同定するための、請求項10から12のいずれか一項に記載の官能化支持体の使用。
【請求項16】
前記質量分析がMALDI型イオン化によって行われる、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
以下:
SPRによる分析:次いで
質量分析法による分析
の2つの連続した分析を行うための請求項11に記載の官能化支持体の使用。
【請求項18】
表面プラズモン共鳴による分析が、表面プラズモン共鳴画像化法による分析である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
MSによる分析が、MALDI型の分析、特にMALDI−TOF型の分析である、請求項17または18に記載の使用。
【請求項20】
SPRによる分析、特にSPRiを、MALDI MSまたはMS/MSによる分析と連結する方法であって、
1)一つ以上の「受容体」分子を、請求項10または11に記載の官能化支持体上に固定すること;その後、
2)前記支持体をSPR解析装置に設置して、固定された前記「受容体」分子と被分析物の試料との前記相互作用をSPRによって分析すること;その後
3)前記支持体を前記SPR解析装置から取り出して、前記支持体を質量分析装置に設置し、前記SPR分析の過程で前記「受容体」分子によって特異的に保持された前記被分析物をMSによって構造分析すること
を含む方法。
【請求項21】
SPRによる分析、特にSPRiを、MSによる分析、特にMALDI MSまたはMS/MSによる分析と連結する方法であって、
1)一つ以上の「受容体」分子を、請求項10または11に記載の官能化支持体上に固定すること;その後、
2)前記支持体をSPR解析装置に設置して、固定された前記「受容体」分子と被分析物の試料との前記相互作用をSPRによって分析すること;
3)前記官能化支持体上に固定された前記「受容体」分子の前記スポット上に保持されている前記被分析物をインサイチューで局所的に酵素分解した後、前記官能化支持体上に存在する前記被分析物の分解産物をMSまたはMS/MSによって構造分析すること
を含む方法。
【請求項22】
SPRによる分析、特にSPRiを、MSによる分析、特にMALDI MSによる分析と連結する方法であって、
1)一つ以上の「受容体」分子を、請求項10または11に記載の官能化支持体上に固定すること;その後、
2)前記支持体をSPR解析装置に設置して、固定された前記「受容体」分子と被分析物の試料との前記相互作用をSPRによって分析すること;その後、
3)前記支持体を前記SPR解析装置から取り出して、前記支持体を質量分析装置に設置し、前記SPR分析の過程で前記「受容体」分子によって特異的に保持された前記被分析物をMSによって構造分析すること;その後
4)前記官能化支持体上に固定された前記「受容体」分子の前記スポット上に保持されている前記被分析物をインサイチューで局所的に酵素分解した後、前記支持体を質量分析装置に設置し、前記官能化支持体上に存在する前記分子の分解産物をMALDI MSまたはMALDI MS/MSによって構造分析すること
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−505007(P2011−505007A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535435(P2010−535435)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際出願番号】PCT/FR2008/052149
【国際公開番号】WO2009/071852
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(506159091)
【出願人】(595040744)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク (88)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【出願人】(503119487)ユニヴェルシテ・デヴリ・ヴァル・デソンヌ (1)
【Fターム(参考)】