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Si−O−Si結合を含む化合物を用いた硬質超撥水性材料の作製法及び硬質超撥水性素子
説明

Si−O−Si結合を含む化合物を用いた硬質超撥水性材料の作製法及び硬質超撥水性素子

【課題】Si−O−Si結合を含む化合物の表面にマイクロ/ナノ微細凹凸構造を形成し、その表面をシリカガラス化することにより、ロータス効果による超撥水性と、シリカガラス化による表面硬質性を実現する。
【解決手段】Si−O−Si結合を含む固体化合物としてのシリコーン(シリコーンゴム、シリコーン樹脂等)1の表面に、マイクロ/ナノ周期構造4を形成した後、波長190nm以下の光5を照射することにより、前記微細凹凸構造表面をシリカガラス化する。これにより、超撥水性と表面硬質性と兼ね備えた硬質超撥水性材料が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Si−O−Si結合を含む化合物を用いた硬質超撥水性材料の作製法及び硬質超撥水性素子に関する。
【背景技術】
【0002】
電子工学、光工学、建築工学あるいは自動車工学分野において、硬質超撥水性材料は必要不可欠である。現在、硬質超撥水性材料は、シリカガラスなどの硬質材料に超撥水性を示す物質をコーティングすることが多い。しかし、表面にコーティングした超撥水性物質は硬質性を示すわけではなく、十分な特性が得られているとは言い難い。一方、硬質材料表面にマイクロ/ナノ周期構造を形成し、ロータス効果による超撥水性の発現に関する研究開発が盛んであるが、硬質材料故その微細加工は困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−123816号公報 この特許文献1はレーザー光を用いたSi−O−Si結合を含む固体化合物の表面改質法について述べている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
Si−O−Si結合を含む化合物の表面を、硬質かつ超撥水性に改質する手法の確立を課題とする。
【0005】
そこで、本発明は、上記の点に鑑み、Si−O−Si結合を含む化合物の表面にマイクロ/ナノ微細凹凸構造を形成し、その表面をシリカガラス(SiO)化することにより、ロータス効果による超撥水性と、シリカガラス化による表面硬質性を併せ持つ硬質超撥水性材料の作製法及び硬質超撥水性素子を提供することを目的とする。
【0006】
本発明のその他の目的や新規の特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係るSi−O−Si結合を含む化合物を用いた硬質超撥水性材料の作製法は、Si−O−Si結合を含む固体化合物表面に、マイクロ/ナノ微細凹凸構造を形成した後、波長190nm以下の光を照射することにより、前記微細凹凸構造表面をシリカガラス化することを特徴としている。
【0008】
本発明の第2の態様に係るSi−O−Si結合を含む化合物を用いた硬質超撥水性材料の作製法は、Si−O−Si結合を含む固体化合物表面に、レーザー光によりマイクロ/ナノ微細凹凸構造を形成した後、波長190nm以下の光を照射することにより、前記微細凹凸構造表面をシリカガラス化することを特徴としている。
【0009】
本発明の第3の態様に係るSi−O−Si結合を含む化合物を用いた硬質超撥水性材料の作製法は、Si−O−Si結合を含む固体化合物表面に、フレネル回折のかかったレーザー光を用いたアブレーションによりマイクロ/ナノ微細凹凸構造を形成した後、波長190nm以下の光を照射することにより、前記微細凹凸構造表面をシリカガラス化することを特徴としている。
【0010】
本発明の第4の態様に係るSi−O−Si結合を含む化合物を用いた硬質超撥水性材料の作製法は、Si−O−Si結合を含む固体化合物表面に、光学的に干渉させたレーザー光を用いたアブレーションによりマイクロ/ナノ微細凹凸構造を形成した後、波長190nm以下の光を照射することにより、前記微細凹凸構造表面をシリカガラス化することを特徴としている。
【0011】
本発明の第5の態様に係るSi−O−Si結合を含む化合物を用いた硬質超撥水性材料の作製法は、Si−O−Si結合を含む固体化合物表面に、光学的に干渉させた波長190nm以下の光を照射することにより、シリカガラス化したマイクロ/ナノ微細凹凸構造を形成することを特徴としている。
【0012】
本発明の第6の態様に係る硬質超撥水性素子は、前記第1、第2、第3、第4又は第5の態様の作製法で得られた硬質超撥水性材料を有することを特徴としている。
【0013】
本発明の第7の態様に係る硬質超撥水性素子は、前記第1、第2、第3、第4又は第5の態様の作製法で得られた硬質超撥水性材料を、他の材料と複合化したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、Si−O−Si結合を含む固体化合物表面に、マイクロ/ナノ微細凹凸構造を形成した後、波長190nm以下の光を照射することにより、前記微細凹凸構造表面をシリカガラス(SiO)化することによって、Si−O−Si結合を含む固体化合物を基礎とした硬質超撥水性材料及び硬質超撥水性素子の作製法を確立でき、電子工学、光工学、建築工学あるいは自動車工学分野での材料開発ならびに素子作製の基盤技術として必要不可欠な技術となる。また本発明は、これら分野にとどまらず、今後超撥水性材料を基にして発展する材料科学の分野に多大に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るSi−O−Si結合を含む化合物を用いた硬質超撥水性材料の作製法及び硬質超撥水性素子の第1の実施の形態を示す構成図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0017】
図1で本発明に係るSi−O−Si結合を含む化合物を用いた硬質超撥水性材料の作製法及び硬質超撥水性素子の第1の実施の形態を説明する。図1(A)は、Si−O−Si結合を含む固体化合物表面にフレネル回折のかかったレーザー光を用いたアブレーションによりマイクロ/ナノ微細凹凸構造としてマイクロ/ナノ周期構造を形成する工程の実施の形態で用いる実験概略構成であり、Si−O−Si結合を含む固体化合物としてのシリコーン(シリコーンゴム、シリコーン樹脂等)1表面にはマスク3が対向配置され、レーザー光2がマスク3の開口3a(方形が好ましい)を通してシリコーン1表面に照射される。その際、マスク3とシリコーン1との距離(間隙)Dを調整して適切値とすることにより、レーザー光2にフレネル回折がかかり、アブレーションによりマイクロ/ナノ周期構造が形成される。また、形成される構造の周期は、マスク3の開口3aの開口寸法と、マスク3とシリコーン1との距離Dの調整にて行うことができる。
【0018】
ここで、マイクロ/ナノ微細凹凸構造とはマイクロメートルオーダーからナノメートルオーダーの範囲の微細凹凸構造であり、マイクロメートルオーダーの周期構造からナノメートルオーダーの周期構造を含み、複数の周期構造が混在している場合や非周期構造も含むものとする。
【0019】
図1(B)は、同図(A)の工程に続くシリコーン表面のシリカガラス化工程であり、シリコーン1の表面に形成されたマイクロ/ナノ周期構造4の表面に、波長190nm以下の光5が照射され、シリカガラス(SiO)化が誘起される。
【0020】
この工程の光5としては、例えば波長190nm以下の真空紫外レーザー光を用い、アブレーション閾値以下で照射することで、シリコーン表面のシリカガラス化が可能である。
【0021】
このようにして得られた硬質超撥水性材料を利用、加工等することで、硬質超撥水性材料を有する硬質超撥水性素子を構成することができる。
【0022】
また、硬質超撥水性材料を、他の材料(例えばポリカーボネート等の樹脂板等)と複合化(例えば貼り合わせ、接着等)して硬質超撥水性素子を構成することが可能である。
【0023】
このような硬質超撥水性素子は、窓材(自動車、電車、飛行機用等)やその他撥水性の要求される外装材等に利用可能である。
【0024】
この第1の実施の形態によれば、次の通りの効果を得ることができる。
【0025】
(1)図1(A)においては、マイクロ/ナノ周期構造の形成によって、Si−O−Si結合を含む固体化合物としてのシリコーン1の表面に超撥水性を発現させることができる。
【0026】
(2)図1(B)においては、超撥水性が発現したSi−O−Si結合を含む固体化合物としてのシリコーン1の表面をシリカガラス(SiO)化することにより、硬質性も付与することができる。
【0027】
図2は本発明の第2の実施の形態を示す。この場合、Si−O−Si結合を含む固体化合物としてのシリコーン1の表面に、光学的に干渉させた波長190nm以下の光6を照射することにより、シリカガラス化したマイクロ/ナノ周期構造を形成している。
【0028】
光学的に干渉させた波長190nm以下の光6は、例えば波長190nm以下の第1のレーザー光6aと同波長の第2のレーザー光6bとを重畳して干渉させることで得ることができる。レーザー光源は共通でレーザー光を2つに分岐してから重畳させてもよいし、2つのレーザー光源を用いても良い。
【0029】
光6はシリコーン1の表面の照射位置によって周期的に強度が変化するため、光強度の大きい部分のシリコーン1の表面はシリカガラスへの改質が進み、光強度の小さい部分のシリコーン1の表面はシリカガラスへの改質が少ない。シリコーンゴムの場合、シリカガラス化により体積が収縮するため、シリカガラス化の強弱の周期により、表面に周期的な微細凹凸、つまりマイクロ/ナノ周期構造が形成されることになる。
【0030】
発明者はレーザー光源として波長157nmのFレーザーを用いた実験において、シリカガラス化したマイクロ/ナノ周期構造が形成されることを確認している。
【0031】
この第2の実施の形態で得られた硬質超撥水性材料を利用、加工等することで、硬質超撥水性材料を有する硬質超撥水性素子を構成することができる。
【0032】
また、硬質超撥水性材料を、他の材料(例えばポリカーボネート等の樹脂板等)と複合化(例えば貼り合わせ、接着等)して硬質超撥水性素子を構成することが可能である。
【実施例】
【0033】
以下、本発明に係るSi−O−Si結合を含む化合物を用いた硬質超撥水性材料の作製法を実施例で詳述する。
【0034】
Ni製マスク(開口30μm角メッシュ)とシリコーンゴム(厚さ2mm)表面との距離を、スペーサーにて0.1〜1.2μmまで変化させ、波長790nm、パルス幅130fs(フェムト秒)のTi:sapphireフェムト秒レーザーをマスクを通してシリコーンゴム表面に照射した。そのときの照射条件は、エネルギー密度0.15〜8J/cm、パルス繰り返し周波数1kHz、照射時間1〜30sとした。その結果、シリコーンゴム上には、サブミクロンオーダー(1ミクロン未満で1ミクロンに近い範囲)での周期構造の形成が認められた。また、マスクとシリコーンとの距離を変化させることにより、形成した微細凹凸構造の周期を変化させることができた。
【0035】
形成した周期構造の表面に、μl(マイクロリットル)オーダーの水滴を滴下し、水との接触角を測定した結果、周期構造が形成されていないシリコーンゴム(約100度)と比べて、接触角は著しく大きくなった。
【0036】
周期構造が形成されたシリコーンゴム表面に、波長157nmのFレーザー光を照射した。そのときの条件は、エネルギー密度14mJ/cm、パルス繰り返し周波数10Hz、照射時間40sとした。フーリエ変換赤外分光分析ならびにX線光電子分光分析より、Fレーザー光が照射された周期構造の表面は、炭素混入のないシリカガラス(SiO)に改質されていることがわかった。
【0037】
シリカガラス化した周期構造を有するシリコーンゴム表面の「傷付き難さ」を評価するために、シリカガラス化した周期構造を有するシリコーンゴムをポリカーボネート板上に貼り合わせ、シリコーンゴム側からテーバー磨耗試験を行った。その結果、バルクのガラスのヘイズ値(約2%)とほぼ同じ値が得られた。
【0038】
上記実施例で述べたように、Si−O−Si結合を含む固体化合物表面に、マイクロ/ナノ周期構造を形成した後、波長190nm以下の光を照射することにより、周期構造表面をシリカガラス(SiO)化することにより、従来困難とされてきた硬質で超撥水性を呈する、Si−O−Si結合を作製することができるようになる。この結果は、電子工学、光工学、建築工学あるいは自動車工学分野での材料開発ならびに素子作製に適用可能になるなど、その用途はあらゆる分野で有用である。
【0039】
以上本発明の実施の形態及び実施例について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
【0040】
以下変形例について述べると、図1(A)では、Si−O−Si結合を含む固体化合物表面にフレネル回折のかかったレーザー光を用いたアブレーションによりマイクロ/ナノ微細凹凸構造を形成したが、光学的に干渉させたレーザー光を用いたアブレーションによりマイクロ/ナノ微細凹凸構造を形成してもよい。この場合、レーザー光源は共通でレーザー光を2つに分岐してから重畳、干渉させてもよいし、2つのレーザー光源を用いても良い。さらに、プラズマ加工によりSi−O−Si結合を含む固体化合物表面にマイクロ/ナノ微細凹凸構造を形成してもよい。この微細凹凸構造は周期構造であっても、非周期構造であってもよい。
【0041】
また、図1(B)のSi−O−Si結合を含む固体化合物の表面のシリカガラス化工程はレーザー光によるアブレーションは必要無いので(アブレーション閾値以下なので)、レーザー光以外の光源の利用も可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 シリコーン
2 レーザー光
3 マスク
4 マイクロ/ナノ周期構造
5 波長190nm以下の光
6 光学的に干渉させた波長190nm以下の光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Si−O−Si結合を含む固体化合物表面に、マイクロ/ナノ微細凹凸構造を形成した後、波長190nm以下の光を照射することにより、前記微細凹凸構造表面をシリカガラス化することを特徴とするSi−O−Si結合を含む化合物を用いた硬質超撥水性材料の作製法。
【請求項2】
Si−O−Si結合を含む固体化合物表面に、レーザー光によりマイクロ/ナノ微細凹凸構造を形成した後、波長190nm以下の光を照射することにより、前記微細凹凸構造表面をシリカガラス化することを特徴とするSi−O−Si結合を含む化合物を用いた硬質超撥水性材料の作製法。
【請求項3】
Si−O−Si結合を含む固体化合物表面に、フレネル回折のかかったレーザー光を用いたアブレーションによりマイクロ/ナノ微細凹凸構造を形成した後、波長190nm以下の光を照射することにより、前記微細凹凸構造表面をシリカガラス化することを特徴とするSi−O−Si結合を含む化合物を用いた硬質超撥水性材料の作製法。
【請求項4】
Si−O−Si結合を含む固体化合物表面に、光学的に干渉させたレーザー光を用いたアブレーションによりマイクロ/ナノ微細凹凸構造を形成した後、波長190nm以下の光を照射することにより、前記微細凹凸構造表面をシリカガラス化することを特徴とするSi−O−Si結合を含む化合物を用いた硬質超撥水性材料の作製法。
【請求項5】
Si−O−Si結合を含む固体化合物表面に、光学的に干渉させた波長190nm以下の光を照射することにより、シリカガラス化したマイクロ/ナノ微細凹凸構造を形成することを特徴とするSi−O−Si結合を含む化合物を用いた硬質超撥水性材料の作製法。
【請求項6】
請求項1,2,3,4又は5記載の作製法で得られた硬質超撥水性材料を有することを特徴とする硬質超撥水性素子。
【請求項7】
請求項1,2,3,4又は5記載の作製法で得られた硬質超撥水性材料を、他の材料と複合化したことを特徴とする硬質超撥水性素子。

【図1】
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【図2】
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