説明

Si系結晶の成長方法、Si系結晶、Si系結晶基板及び太陽電池

キャスト法を用いたSi系結晶の成長方法において、前記Si系結晶の結晶方位を自在に制御することができ、前記Si系結晶から切り出して得たウエハが所定のエッチング操作後において、形状方位の揃ったテクスチャー構造を有するように、前記Si系結晶内に形状方位の揃った構造を簡易に形成する。キャスト成長用坩堝11の底部に、少なくともSiを含む結晶片12を配置する。次いで、キャスト成長用坩堝11内において、結晶片12の上方にSi原料13を配置する。次いで、キャスト成長用坩堝12を加熱して、結晶片12の少なくとも一部が残存するようにSi原料13を溶解して、Si融液14を形成する。次いで、Si融液14を冷却及び凝固させることにより、結晶片12の残部12AからSi系結晶を一方向成長させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Si系結晶の成長方法及びこの方法により得られたSi系結晶、並びに前記Si系結晶を利用したSi系結晶基板及び太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
最も安全で環境にやさしいSi太陽電池を地球規模で本格的に普及させるためには、高効率の太陽電池を豊富に存在する資源を用い、低コストで安全に生産できる技術開発が必要である。現在、国内外では、Si融液からキャスト法を用いて太陽電池にデバイス化する方法が実用技術として主流を占めている。
【0003】
しかしながら、キャスト法は、固液界面における温度勾配を増大させた、融液の凝固法をベースにしているため、結晶品質を十分に上げることが本質的に困難である。具体的には、キャスト法を用いて作製したSi多結晶は柱状結晶の組織を有しており、その結晶方位は乱雑であり、ほとんど規則性を有していない。
【0004】
このため、バルク状の前記Si多結晶を切り出してSiウエハを作製し、このウエハを用いて太陽電池を作製した際に、又は前記ウエハ上に所定のSi薄膜やSiGe薄膜を形成して太陽電池を作製した際に、前記太陽電池内に太陽光の反射を防止して、前記太陽光を有効に吸収するための形状方位の揃った構造を形成することができない。したがって、前記太陽電池の変換効率が劣化して、例えば単結晶Siウエハからなる太陽電池と比較した場合において、約8割以下にまで劣化してしまっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、キャスト法を用いたSi系結晶の成長方法において、前記Si系結晶の結晶方位を自在に制御することができ、前記Si系結晶から切り出して得たウエハが所定のエッチング操作後において、形状方位の揃ったテクスチャー構造を有するように、前記Si系結晶内に形状方位の揃った構造を簡易に形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、本発明は、
キャスト成長用坩堝の底部に、少なくともSiを含む結晶片を配置する工程と、
前記キャスト成長用坩堝内において、前記結晶片の上方にSi原料を配置する工程と、
前記キャスト成長用坩堝を加熱して、前記結晶片の少なくとも一部が残存するように前記Si原料を溶解して、Si融液を形成する工程と、
前記Si融液を冷却及び凝固させることにより、前記結晶片の残部からSi系結晶を一方向成長させる工程と、
を具えることを特徴とする、Si系結晶の成長方法に関する。
【0007】
本発明によれば、キャスト成長用坩堝の底部に少なくともSiを含む結晶片を配置し、次いで、前記結晶片の上方にSi原料を配置するようにしている。そして、前記Si原料を加熱溶解してSi融液を作製し、冷却凝固させて一方向成長させる際に、前記結晶片の少なくとも一部が溶解することなく残存するようにし、その残部が常に前記Si融液の底部と接触するようにしている。したがって、前記結晶片の前記残部からSi系結晶の核成長が開始し、次いで、凝固が進行するにつれて前記成長核からSi系結晶が一方向成長するようになる。
【0008】
この後の成長過程において、優先方位に対する結晶方位の整列メカニズムが働き、この結果、得られた前記Si系結晶中には形状方位が揃った組織構造が形成されるようになる。
【0009】
なお、上述のSi系結晶を切り出して得たウエハ面に所定のエッチング操作を行うことにより、形状方位の揃ったテクスチャー構造を形成することができる。
【0010】
また、前記結晶片を適宜選択し、例えば、所定の結晶方位に配向した主面を有する板状の結晶片を用いれば、前記Si系結晶は前記結晶片の前記主面の配向方向に影響を受けて成長するようになる。また、前記結晶片を粒状のものから構成すれば、前記結晶片の配向性自体は前記Si系結晶の成長に影響を与えず、種々の方位を有するものが混ざり合うようになる。この場合、前記Si系結晶の成長方位は、前記Si融液の組成や後の冷却凝固操作に依存するようになる。
【0011】
本発明の好ましい態様においては、前記Si融液を形成する工程において、前記結晶片の前記残部が前記Si融液の底部の全体を覆うようにする。これによって、前記キャスト成長用坩堝の底面における核形成サイト数を制御及び制限した状態から結晶成長を開始することができ、次いで一方向成長を行うことにより、前記Si系結晶の、結晶粒の方位整列効果を促進することができ、大きな結晶粒を有する形状方位の揃った組織構造、具体的には柱状組織を成長させることができるようになる。したがって、前記Si系結晶を切り出してウエハを形成した場合に、前記ウエハ表面には形状及び方位の揃ったテクスチャー構造が形成されるようになる。
【0012】
また、その後の成長条件の制御によって、前記Si系結晶における結晶粒の方位整列効果を促進することができ、前記Si系結晶から切り出したウエハの表面にはテクスチャー構造が確実に形成されるようになる。
【0013】
また、本発明の他の好ましい態様においては、前記Si融液を形成する工程において、前記キャスト成長用坩堝の下部を冷却することにより、前記結晶片の前記少なくとも一部を残存させるようにする。これによって、前記キャスト成長用坩堝の形状及び大きさや、加熱炉の形状及び特性、さらには前記結晶片の組成及び量などに依存することなく、所定量の結晶片を常に溶解することなく残存させることができる。
【0014】
さらに、本発明のその他の好ましい態様においては、前記Si系結晶を一方向成長させる工程において、前記Si系結晶の成長速度を制御する。結晶欠陥が導入されないようにするには、前記Si系結晶の成長速度を低くし、結晶粒の方位整列を促進する場合には、前記Si系結晶の成長速度を高くすることが要求される。したがって、これらのバランスを考慮した上で、前記Si系結晶の成長速度を適宜すれば、その成長速度に応じて所定の結晶方向に配向した前記Si系結晶を得ることができる。
【0015】
また、本発明の他の好ましい態様においては、前記Si系結晶を一方向成長させる工程において、前記Si系結晶の成長途中で、前記Si系結晶の成長速度を増大させるようにする。これによって、前記Si系結晶の方位整列効果を増大させることができる。
さらに、本発明のその他の好ましい態様においては、前記Si融液中に所定の追加元素を添加し、前記Si系結晶の成長方位を制御するようにすることが好ましい。
【0016】
本発明のその他の特徴及び利点については、以下の発明の実施の形態において説明する。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、キャスト法を用いたSi系結晶の成長方法において、前記Si系結晶の結晶方位を自在に制御することができ、前記Si系結晶から切り出して得たウエハが所定のエッチング操作後において、形状方位の揃ったテクスチャー構造を有するように、前記Si系結晶内に形状方位の揃った構造を簡易に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明のSi系結晶の作製方法の一例を説明するための図である。最初に、図1に示すように、キャスト成長用坩堝11の底部に結晶片12を配置し、結晶片12の上方のSi原料13を配置する。坩堝11は図示しない加熱炉内に配置されている。また、坩堝11の底部は平坦又は円錐状であることが好ましい。
【0019】
結晶片12は板状及び粒状などいずれの形態をも採ることができる。上述したように、板状の結晶片の場合、後に得るSi系結晶の成長方位は前記結晶片の主面の結晶方位に影響を受けるようになる。なお、結晶片12は単結晶及び多結晶のいずれであっても良い。
【0020】
また、結晶片12の大きさは1mm〜10mmであることが好ましい。これによって、後の得るべきSi系結晶の核生成数を制限し、大きな粒径を有する柱状組織の成長が促進され、一方向成長を行うことによって、結晶方位の整列した大粒径の柱状組織を有するSi系多結晶を得ることができる。そして、このSi系多結晶から切り出した結晶方位の揃ったウエハに対し、所定のエッチング操作を施すことによって、形状及び方位の揃ったテクスチャー構造を簡易に形成することができるようになる。
【0021】
結晶片12が板状の場合、前記大きさは板状の結晶片の一辺当りの大きさを意味する。結晶片12が粒状の場合、前記大きさは粒状の結晶片の直径を意味する。
【0022】
さらに、結晶片12は少なくともSiを含むことが要求されるが、目的とするSi系結晶の一方向成長に影響を与えない元素として、例えばGeなどを含むことができる。この場合、結晶片12は、Si1−XGe(0≦X<1)なる組成を有するようになる。但し、後に得るSi融液の組成や冷却凝固操作を適宜に制御することにより、結晶片12をGeのみから構成しても、目的とするSi系結晶を得ることができる。
【0023】
次いで、図2に示すように、坩堝11を図示しない加熱炉によって加熱し、Si原料13を溶解させて、Si融液14を生成する。この場合、結晶片12もある程度の量が溶解してSi融液14中に入り込むようになる。しかしながら、本発明においては、例えば坩堝11の下方から坩堝11の底部に直接当るようにして冷却ガスを導入する、あるいは坩堝11の下部を加熱炉の加熱領域外に位置するようにし、前記底部を冷却して結晶片12の少なくとも一部が残存するようにする。
【0024】
また、結晶片12の残部12AはSi融液14の底部全体を覆っている。したがって、目的とするSi系結晶の成長初期の核形成数を制御及び制限でき、一方向成長を行うことにより、大粒径の柱状組織化より促進することができ、所定の成長条件の制御により、結晶粒の方位が整列した前記Si系結晶を得ることができる。この結果、前記Si系結晶から切り出したウエハ表面には、所定のエッチング工程後において形状方位の揃ったテクスチャー構造を確実に形成できるようになる。
【0025】
次いで、図2に示すように、坩堝11を矢印Pで示される方向に引き下げることにより、Si融液14中に矢印Pと同方向に温度勾配を生ぜしめることができ、Si融液14の下方において冷却が進行し、結晶片12の残部12Aから核生成が生じて凝固が始まり、次いで凝固が進行することにより、生成した核から一方向成長が開始されて、図3に示すように、Si融液14の下方で結晶化が進行し、柱状組織を有するSi系結晶15が生成するようになる。その後、坩堝11をさらに下方に引き下げることにより凝固が進行して、Si融液14の全体が結晶化してSi系結晶15に転換する。
【0026】
Si系結晶15は、結晶片12の残部12Aから成長した核を中心として、一方向成長することにより得られたものであるので、その内部には優先方位において粒径が制御されるとともに、結晶粒の方位が整列した結晶構造が形成されるようになる。なお、一般的には、柱状組織の多結晶となる。
【0027】
坩堝11の引き下げ速度は、Si系結晶15の成長速度に直接影響を与えるものであるため、Si系結晶15の成長速度を考慮して適宜に決定する。Si系結晶15内に結晶欠陥が導入されないようにするには、坩堝11の引き下げ速度を低下させ、Si系結晶15の成長速度を低くする。Si系結晶15の結晶粒の方位整列を促進する場合には、坩堝11の引き下げ速度を増大させ、Si系結晶15の成長速度を高くする。
【0028】
なお、結晶欠陥の導入と結晶粒の方位整列とをバランスさせた状態で、坩堝11の引き下げ速度を制御し、Si系結晶15の成長速度を制御することによって、Si系結晶15の成長方位を制御することができる。例えば、Si系結晶15の成長速度を0.1mm/分〜1mm/分とすることにより、Si系結晶の成長方位を[111]方向に制御できるようになる。また、Si系結晶15の成長速度を1mm/分〜10mm/分とすることにより、Si系結晶の成長方位を[110]又は[112]方向に制御できるようになる。
【0029】
また、Si系結晶15の成長速度を増大させることにより、方位整列が促進されるので、Si系結晶15の成長途中、例えば結晶片12の残部12Aからの核生成が終了した後において、坩堝11の引き下げ速度を増大させ、Si系結晶15の成長速度を大きくすることにより、方位整列効果を促進することができる。さらに、坩堝11の底部の冷却効果を増大させるために、冷却体を坩堝11の前記底部近傍に配置することにより、成長初期の成長速度を大きな範囲で制御することができ、方位整列効果を促進することが可能となる。
【0030】
このようにして結晶粒の方位が整列した柱状組織を有するSi系多結晶が得られるようになり、このようなSi系多結晶から切り出したウエハ表面に所定のエッチング操作を施すことにより、形状方位の揃ったテクスチャー構造を簡易に形成できるようになる。
【0031】
また、Si融液14中に所定の追加元素を添加することによっても、Si系結晶15の成長方位を制御することができる。前記追加元素としては、当然にSi系結晶15の一方向制御を妨げないものであることが要求され、具体的には、Geなどを例示することができる。
【0032】
Si融液14中にGeを0.1原子%〜20原子%の範囲で含有させることにより、Si系結晶15を[110]方向に成長させることができる。また、Si融液14中にGeを20原子%以上、好ましくは80原子%以下で含有させることにより、Si系結晶15を[100]方向に成長させることができる。なお、Si融液14中の組成を制御することによりSi系結晶15の成長方向を制御する場合は、結晶片12を粒状のものから構成するなどして、上述した結晶成長になるべく影響を与えないようにすることが好ましい。
【0033】
また、特に結晶片12を板状のものから構成した、その結晶面を[111]、[100]又は[110]方向に揃えて配置することにより、Si系結晶15の上述したような方位整列を促進させることができる。
【0034】
また、前記追加元素として、Geの代わりにC、Ga、In、Al、P、As、Sb及びBからなる群より選ばれる少なくとも一つを選択することもできる。これらの元素を前記追加元素として使用する場合、その添加量は0.1原子%〜20原子%にする。
【0035】
以上のようにして得たSi系結晶15はバルク状であるため、これを切り出してウエハとすることにより、太陽電池などの基板として使用することのできるSi系結晶基板を提供することができる。この場合、前記基板上には動作層を積層する。前記動作層は、高品質なSiやSiGeなどからなるエピタキシャル結晶薄膜などから構成する。前記薄膜は、液相エピタキシャル法、気相エピタキシャル法、又は分子線エピタキシャル法などを用いて作製することができる。
【0036】
また、前記ウエハを動作用結晶として用い、直接的に太陽電池として使用することができる。この場合、前記ウエハ内にpn接合を設けて動作層とし、さらにその表面に所定のエッチングを施してテクスチャー構造を形成する。
【0037】
上記いずれの場合においても、得られた太陽電池は太陽光の反射を抑制し、高い変換効率を実現できるようになる。
【実施例】
【0038】
(実施例1)
内径30mmの石英坩堝内に、直径3〜8mmのSi結晶片を入れ、次いで、前記Si結晶片の上方に純Si結晶からなるSi原料を入れた。次いで、前記坩堝を所定の加熱炉内に入れて保持した後、炉内を1450℃に加熱して、前記Si原料を溶解し、Si融液を作製した。なお、坩堝の下部を冷却ガスを循環させることにより冷却し、前記Si結晶片が完全に溶解しないようにした。また、前記加熱炉内には40℃/cmの温度勾配が生じるようにした。次いで、前記坩堝を0.4mm/分なる速度(成長速度)で引き下げ、所定のSi系結晶を得た。
【0039】
図4は、前記Si系結晶の断面におけるOIM(Orientation Image Microscope)写真である。図4から、前記Si系結晶は結晶粒の約50%が[111]配向していることが判明した。
【0040】
(実施例2)
前記坩堝を1.1mm/分なる速度(成長速度)で引き下げた以外は、実施例1と同様にしてSi系結晶を得た。図5は、前記Si系結晶の断面のOIM写真である。図5から、前記Si結晶は約50%の結晶粒が[112]配向していることが判明した。
【0041】
(実施例3)
前記Si融液中にGeを50原子%の割合で含有させ、前記坩堝を0.5mm/分で引き下げた以外は、実施例1と同様にしてSi系結晶を得た。このときの配向性をOIMによって調べたところ、[100]方向又は[110]方向に配向していることが確認された。
【0042】
(実施例4)
前記Si融液中にGeを1原子%の割合で含有させ、前記坩堝を0.3mm/分で引き下げた以外は、実施例1と同様にしてSi系結晶を得た。図6は、前記Si系結晶の断面のOIM写真である。図6から、前記Si結晶は約70%が[110]配向していることが分かる。
【0043】
以上、実施例1〜4から明らかなように、本発明によれば、所定の方位に配向した結晶粒を多く含む柱状組織のSi系多結晶が得られることが判明した。この方位配列効果は、坩堝底部の形状、成長初期の冷却効果を高めることによりさらに増大させることが可能である。
【0044】
(実施例5)
実施例1〜4で得られたSi系結晶から20×18mm、厚さ500μmのウエハを切り出し、これを基板として用いることにより、スライディングボード法によってSi薄膜及びSiGe薄膜のエピタキシャル成長を実施した。なお、前記Si薄膜及び前記SiGe薄膜に対するSi原料及びSiGe原料は、GaあるいはIn溶媒又はAuBi合金溶媒中に飽和させて用いた。
【0045】
Ga溶媒及びIn溶媒を用いた場合は、前記基板と前記飽和溶媒とを接触させた状態で、1200℃から1000℃の温度範囲で、前記飽和溶媒を0.5℃/分の冷却速度で100℃低下させ、前記基板上に前記Si薄膜又は前記SiGe薄膜を形成した。AuBi合金溶媒を用いた場合は、前記基板と前記飽和溶媒とを接触させた状態で、1000℃から500℃の温度範囲で、前記飽和溶媒を0.5℃/分の冷却速度で100℃低下させ、前記基板上に前記Si薄膜又は前記SiGe薄膜を形成した。
【0046】
OIMによる観察の結果、いずれの溶媒を用いた場合においても、前記Si薄膜及び前記SiGe薄膜内は、前記基板の結晶粒の配向方位を反映した所定の配向方位を有する結晶組織が形成されていることが判明した。
【0047】
以上、具体例を示しながら発明の実施の形態に則して本発明を説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない範囲において、あらゆる変形や変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明のSi系結晶の作製方法の一例を説明するための図である。
【図2】同じく、本発明のSi系結晶の作製方法の一例を説明するための図である。
【図3】同じく、本発明のSi系結晶の作製方法の一例を説明するための図である。
【図4】本発明のSi系結晶のOIM写真である。
【図5】同じく、本発明のSi系結晶のOIM写真である。
【図6】同じく、本発明のSi系結晶のOIM写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャスト成長用坩堝の底部に、少なくともSiを含む結晶片を配置する工程と、
前記キャスト成長用坩堝内において、前記結晶片の上方にSi原料を配置する工程と、
前記キャスト成長用坩堝を加熱して、前記結晶片の少なくとも一部が残存するように前記Si原料を溶解して、Si融液を形成する工程と、
前記Si融液を冷却及び凝固させることにより、前記結晶片の残部からSi系結晶を一方向成長させる工程と、
を具えることを特徴とする、Si系結晶の成長方法。
【請求項2】
前記結晶片は、Si1−XGe(0≦X<1)なる組成を有することを特徴とする、請求項1に記載のSi系結晶の成長方法。
【請求項3】
前記結晶片の大きさが1mm〜10mmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のSi系結晶の成長方法。
【請求項4】
前記結晶片は板状又は粒状であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載のSi系結晶の成長方法。
【請求項5】
前記板状の結晶片の結晶面を、[111]、[100]又は[110]方向に揃えて配置することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載のSi系結晶の成長方法。
【請求項6】
前記Si融液を形成する工程において、前記結晶片の前記残部が前記Si融液の底部の全体を覆うようにすることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載のSi系結晶の成長方法。
【請求項7】
前記Si融液を形成する工程において、前記キャスト成長用坩堝の下部を冷却することにより、前記結晶片の前記少なくとも一部を残存させるようにすることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載のSi系結晶の成長方法。
【請求項8】
前記キャスト成長用坩堝の底部は平坦又は円錐状に形成されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載のSi系結晶の成長方法。
【請求項9】
前記Si系結晶を一方向成長させる工程において、前記Si系結晶の成長速度を制御することにより、前記Si系結晶の成長方位を制御することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一に記載のSi系結晶の成長方法。
【請求項10】
前記Si系結晶の成長速度を0.1mm/分〜1mm/分とし、前記Si系結晶の成長方位を[111]方向に制御することを特徴とする、請求項9に記載のSi系結晶の成長方法。
【請求項11】
前記Si系結晶の成長速度を1mm/分〜10mm/分とし、前記Si系結晶の成長方位を[110]又は[112]方向に制御することを特徴とする、請求項9に記載のSi系結晶の成長方法。
【請求項12】
前記Si系結晶を一方向成長させる工程において、前記Si系結晶の成長途中で、前記Si系結晶の成長速度を増大させ、前記Si系結晶の方位整列効果を増大させることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一に記載のSi系結晶の成長方法。
【請求項13】
前記Si融液中に所定の追加元素を添加し、前記Si系結晶の成長方位を制御することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一に記載のSi系結晶の成長方法。
【請求項14】
前記追加元素はGeであることを特徴とする、請求項13に記載のSi系結晶の成長方法。
【請求項15】
前記Si融液中の前記Geの配合量を0.1原子%〜20原子%とし、前記Si系結晶の成長方位を[110]方向に制御することを特徴とする、請求項14に記載のSi系結晶の成長方法。
【請求項16】
前記Si融液中の前記Geの配合量を20原子%以上とし、前記Si系結晶の成長方位を[100]方位に制御することを特徴とする、請求項14に記載のSi系結晶の成長方法。
【請求項17】
前記追加元素は、C、Ga、In、Al、P、As、Sb及びBからなる群より選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする、請求項13に記載のSi系結晶の成長方法。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一に記載の方法で形成されたことを特徴とする、Si系結晶。
【請求項19】
柱状組織を有する多結晶であることを特徴とする、請求項18に記載のSi系結晶。
【請求項20】
請求項18又は19に記載のSi系結晶から作製したことを特徴とする、Si系結晶基板。
【請求項21】
請求項20に記載のSi系結晶基板を含むことを特徴とする、太陽電池。
【請求項22】
請求項18又は19に記載のSi系結晶を含むことを特徴とする、太陽電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【国際公開番号】WO2005/007938
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【発行日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511863(P2005−511863)
【国際出願番号】PCT/JP2004/010213
【国際出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】