説明

SiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーの製造方法およびその使用

【課題】SiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーの製造方法およびその使用を提供する。
【解決手段】本発明の対象は、第3主族および/または第3亜族の1つもしくは複数の元素化合物の存在下で触媒としての化学量論的に過剰のα,ω−二水素−ポリジメチルシロキサンによるポリエーテルジオールのそれ自体周知の方法に従った変換による反復(AB)単位のSiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーの製造方法であり、これは、アルコール成分の変換が完全に行われた後、≡Si(H)基がガス定量的に検出できなくなるまで反応が行われることを特徴とする方法であり、かつこうして製造された化合物、およびポリウレタン−エーテルフォームの製造のための界面活性添加剤としてのその使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反復(AB)単位のSiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロック−コポリマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン軟質フォームの製造に際しては、原料の混合物にはポリシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロック混合ポリマーが添加されるが、これらは様々な機能があり、とりわけ均一の孔構造の形成を可能にし、かつ反応が終了するまで形成されるフォームを安定化する。しかし、すべてのポリシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロック混合ポリマーが同様に適しているわけではない。ポリウレタンフォーム安定剤として使用可能であるために、ポリオキシアルキレンブロックおよびブロック混合ポリマーのポリシロキサンブロックはバランスのとれた比で存在する必要があり、ここで両方のブロックの構造もきわめて重要である。この場合、できるだけ有効なフォーム安定剤の構造のために、ポリオキシ−アルキレンブロックおよびポリシロキサンブロックに対する多数の変数が存在する。
【0003】
ポリオキシアルキレンブロックは、さまざまなオキシアルキレン単位、主にオキシエチレン、オキシプロピレン、およびオキシブチレン単位により構成されうる。この場合、これらの単位の互いに対する重量比、そのシーケンス、およびポリオキシアルキレンブロックのモル重量は変動しうる。ポリオキシアルキレンブロックの末端基も重要であり、これはポリウレタン形成に関して反応性(例えば、OH基)または不活性(例えば、アルコキシ基)でありうる。ポリオキシアルキレン−ブロックは、加水分解的に安定したC−Si−結合または加水分解的にあまり安定でないC−O−Si−結合によってポリシロキサンブロックと結合されうる。この場合、さまざまなポリオキシアルキレンブロックもポリシロキサンブロックに結合されうる。
【0004】
ポリシロキサンブロックはSi単位の種類および比率に関して変動しうる。シロキサンブロックは直鎖または分岐型であり、かつさまざまな分子量を有しうる。ポリオキシアルキレンブロックは、末端および/または側一定にポリシロキサンブロックに結合されうる。
【0005】
ポリシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロック混合ポリマーのフォーム安定剤としての有効性の予測は、ある程度に示されうる。したがって、当業者は、変動の可能性をさらに実験的に試験する必要がある。ほとんど予測不可能な多数の変動可能性に照らし、ポリウレタン製造のために特に有効な特殊な構造パラメータおよび適切なブロック混合ポリマーの発見は、進歩性および発明性を示す。
【0006】
平均の分子においてさまざまなポリオキシアルキレン残基を有するポリシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロック混合ポリマーが、すでに繰り返し記載されている。多数の対応する公報から代表的な次のステップを挙げることができる。
【0007】
(特許文献1)において、反復(AB)単位を有するSiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーの製造方法が記載されている。この方法によれば、アミノシロキサン、ポリオキシアルキレンジオール、および溶媒からなる反応マトリックスには高温で少量の四級アミン、例えば、一連の芳香族アミン(ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、チノリン、イミダゾール等)、および/または一連の脂環式アミン基(チヌクリジン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等)、および本明細書では具体的には1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデス−7−エンが添加され、かつ一般的反応≡SiNH+HOC≡→≡SiOC≡+NHによる目的の分子量形成までアンモニアの放出により重縮合反応が行われる。
【0008】
ポリウレタンフォームの製造のためのこれらの化合物、その使用、およびその製造方法が、すでに(特許文献2)に記載されている。これによって、この文献の内容は、参考文献として導入され、本出願の開示内容の一部とみなされる。
【0009】
これらのポリエーテルシロキサンは、ポリウレタンフォーム材の製造に貴重な界面活性添加剤であり、具体的には、エーテルフォームまたは連続気泡の硬質フォームにおけるその気泡連続の作用が要求される。その工業的合成が不利であることは、塩量が負荷となるアルミ成分の製造および結合方法自体が高価であり、かつある程度、企業で実施する際に簡単に扱えない問題のある化合物で作業する必要があることからわかる。
【0010】
【特許文献1】DE10 2005 039 931.2
【特許文献2】米国特許第3,836,560号明細書
【特許文献3】DE103 12 636.8
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の課題は、改善された特徴を有する(AB)−ブロックコポリマーで製造可能な簡単な経済的に有意義な方法を開発することであった。
【0012】
(特許文献3)において、≡Si(H)単位を含有する分岐型ポリオルガノシロキサンの少なくとも1つのアルコールによる変換方法が請求されており、これは方法のステップにおいて、第3主族および/または第3亜族の1つもしくは複数の元素化合物を触媒として使用することにより、ポリオルガノシロキサンの≡Si(H)単位において使用したアルコールのアルコール残基によって現存の水素原子を部分的または完全に置換することを特徴とする。
【0013】
この引例の教示によれば、部分置換されたポリオルガノシロキサンも製造され、これらは置換SiOC単位のほかにまだ変換されていない≡Si(H)単位を有する。さらに、SiH基のアルコール基に対する材料分量比は、好ましくは、1:0.1〜1:0.99モル当量の範囲に設定される。
【0014】
過少化学量論的比でのかかる変換によって、残基が未変換のSi−H−官能基において維持されたままとなり、これはその後のステップ、例えば、シリコン−炭素−結合が形成されるヒドロシリル化反応において、変換され、混合生成物を製造しうる。
【0015】
意外にもここで、開示された従来技術を逸脱して、化学量論的に過剰のα,ω−二水素−ポリジメチルシロキサンを有するポリエーテルジオールを触媒として第3主族および/または第3亜族の1つもしくは複数の元素化合物の存在下で変換させ、次いで、≡Si(H)基がガス定量的に検出できなくなるまで、アルコール成分が完全に変換した後に反応が行われると、反復(AB)単位を有する高分子の直鎖状SiOC結合ポリジメチル−シロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーへの作用が明らかになることが見出された。ガス定量的SiH値測定は、確立した方法による試料のアルコール誘導分解によって行われる。
【0016】
当業者には予測不可能に、このようにして、ポリウレタンフォーム(PUフォーム)、具体的にはPU軟質フォームの製造に際しての安定剤として飛躍的に優れた特徴を有する構造が維持される。
【課題を解決するための手段】
【0017】
したがって、本発明の対象が、第3主族および/または第3亜族の1つもしくは複数の元素化合物の存在下で触媒としての化学量論的に過剰のα,ω−二水素−ポリジメチルシロキサンによるポリエーテルジオールのそれ自体周知の方法に従った変換による反復(AB)単位のSiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーの製造方法であり、これは、アルコール成分が完全に変換された後、≡Si(H)基がガス定量的に検出できなくなるまで反応が行われることを特徴とする。
【0018】
本発明の別の対象が、上記の方法により製造されるSiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーである。
【0019】
本発明の別の対象が、ポリウレタン−エーテルフォームの製造のための界面活性添加剤としての本発明による方法により製造される化合物の使用である。
【0020】
本発明の別の対象が特許請求の範囲によって特徴づけられている。
【0021】
混合ポリマーのシロキサンブロックAは、主として、直鎖状シロキサンポリマーまたは反復シロキサン単位を有する鎖であり、これらは実験式(−RSiO−)によって表示されうる。
【0022】
直鎖状ブロック混合ポリマーのポリオキシアルキレンブロック(B)は、反復オキシアルキレン単位(−C(2n−m)O−)を含有するオキシアルキレンポリマーである。
【0023】
各々のシロキサンブロック(A)の中程度の分子量は、約650〜6500g/モル、好ましくは、800〜1500g/モル、特に好ましくは、約1000〜1200g/モルである。
【0024】
本発明により製造される混合ポリマーの各々のポリオキシアルキレンブロックの中程度の分子量は、およそ600〜10,000g/モル、好ましくは、1,000〜5,000g/モルである。
【0025】
個々のオキシアルキレン単位またはシロキサンブロックの大きさは必ずしも均一ではなく、上記の範囲内で任意に変動しうる。
【0026】
個々のポリオキシアルキレン単位は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドテトラヒドロフランの群から、好ましくは、少なくとも2つのモノマー単位、具体的にはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドによる混合生成物から選択される少なくとも1つのオキシレンアルキレンモノマーからなる付加生成物である。
【0027】
ポリオキシアルキレンブロックは、実質的に、オキシエチレン単位またはオキシプロピレン単位から成り、好ましくは、ブロックにおけるオキシアルキレン単位の総含有量に対して約30〜70重量%のオキシエチレン比率および70〜30重量%のオキシプロピレン比率の混合オキシエチレンおよびオキシプロピレン単位である。
【0028】
総シロキサンブロック比率(A)はコポリマーにおいて20〜50重量%、好ましくは、25〜40重量%であり、ポリオキシアルキレンブロックの比率が80〜50重量%であり、かつブロックポリマーは、少なくとも10,000g/モル〜約160,000g/モル、好ましくは、15,000g/モル〜約100,000g/モル、具体的には20,000g/モル〜約36,000g/モルの中程度の数値の分子量Mnを有する。中程度のモル量の測定はGPC分析の周知の方法に基づく。
【0029】
本発明に有効な触媒としては、第3主族のルイス酸元素化合物、具体的には、ボロン含有および/またはアルミニウム含有元素化合物が好ましい。第3亜族のルイス酸元素化合物のうち、具体的には、スカンジウム含有、イットリウム含有、ランタン含有および/またはランタノイド含有ルイス酸が好ましい。本発明によれば、第3主族および/または第3亜族の元素原子は、特に好ましくは、ハロゲン化物、アルキル化合物、フルオロ含有、脂環式および/または複素環化合物として使用される。
【0030】
本発明の好ましい実施形態では、第3主族の元素化合物としてボロン含有触媒を使用し、具体的には、ハロゲン化物、アルキル化合物、フルオロ含有、脂環式および/または複素環化合物を使用することが意図される。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、フッ化および/または非フッ化有機ホウ素化合物、具体的には、以下より選択されるものが使用されることが意図される。
【0032】
(C)(CB、(CB、(C)BF、BF(C、B(C、BCl(C)、BCl(C、B(C)(C、B(Ph)(C)、[C(mCFB、[C(pOCF)]B、(C)B(OH)、(CBOH、(CBH、(C)BH、(C11)B(C、(C14B)(C)、(CB(OC)、(CB−CHCHSi(CH
【化1】

具体的には、トリス(ペルフルオロトリフェニルボラン)[1109−15−5]、三フッ化ホウ素−エーテル[109−63−7]、ボラン−トリフェニルホスフィン錯体[2049−55−0]、トリフェニルボラン[960−71−4]、トリエチルボラン[97−94−9]および三フッ化ホウ素[10294−34−5]、トリス(ペンタフルオロフェニル)−ボロキシン(9Cl)[223440−98−0]、4,4,5,5,−テトラメチル−2−(ペンタフルオロフェニル)−1,3,2−ジオキサボロラン(9Cl)[325142−81−2]、2−(ペンタフルオロフェニル)−1,3,2−ジオキサボロラン(9Cl)[336880−93−4]、ビス(ペンタフルオロフェニル)シクロへキシルボラン[245043−30−5]、ジ−2,4−シクロペンタジエン−1−イル(ペンタフルオロフェニル)−ボラン(9Cl)[336881−03−9]、(ヘクサヒドロ−3a(1H)−ペンタレニル)ビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(9Cl)[336880−98−9]、1,3−[2−[ビス(ペンタフルオロフェニル)ボリル]エチル]テトラメチルジロキサン[336880−99−0]、2,4,6−トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラジン(7Cl、8Cl、9Cl)[1110−39−0]、1,2−ジヒドロ−2−(ペンタフルオロフェニル)−1,2−アザボリン(9Cl)[336880−94−5]、2−(ペンタフルオロフェニル)−1,3,2−ベンゾジオキサボロル(9Cl)[336880−96−7]、トリス(4−トリフルオロメトキシフェニル)ボラン[336880−95−6]、トリス(3−トリフルオロメチルフェニル)ボラン[24455−00−3]、トリス(4−フルオロフェニル)ボラン[47196−74−7]、トリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボラン[146355−09−1]、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン[154735−09−8]、メチリウムトリフェニルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸[136040−19−2]、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンチフルオロフェニル)ホウ酸および前記触媒の混合物。
【0033】
本発明の別の好ましい実施形態は、フッ化および/または非フッ化オルガノアルミニウム化合物、具体的には、下記から選択されるものが使用されることが意図される。
【0034】
AlCl3[7446−70−0]、アセチル酢酸アルミニウム[13963−57−0]、AlF3[7784−18−1]、トリフルオロメタンスルホン酸アルミニウム[74974−61−1]、ジ−i−塩化ブチルアルミニウム[1779−25−5]、ジ−i−水素化ブチルアルミニウム[1191−15−7]、トリエチルアルミニウム[97−93−8]およびその混合物。
【0035】
本発明の別の好ましい実施形態では、フッ化および/または非フッ化オルガノスカンジウム化合物、具体的には、以下から選択されるものが使用されることが意図される。
【0036】
塩化スカンジウム(III)[10361−84−9]、スカンジウム(III)フッ化[13709−47−2]、スカンジウム(III)ヘクサフルオロアセチルアセトネート[18990−42−6]、スカンジウム(III)トリフルオロメタンスルホネート[144026−79−9]、トリス(シクロペンタジエニル)スカンジウム[1298−54−0]およびその混合物。
【0037】
本発明の別の好ましい実施形態では、フッ化および/または非フッ化オルガノイットリウム化合物、具体的には、以下から選択されるものが使用されることが意図される。
【0038】
トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム[1294−07−1]、塩化イットリウム(III)[10361−92−9]、フッ化イットリウム(III)[13709−49−4]、ヘクサフルオロアセチル酢酸イットリウム(III)[18911−76−7]、ナフテン酸イットリウム(III)[61790−20−3]およびその混合物。
【0039】
本発明の別の好ましい実施形態では、フッ化および/または非フッ化オルガノランタン化合物、具体的には、以下から選択されるものが使用されることが意図される。
【0040】
塩化ランタン(III)[10099−58−8]、フッ化ランタン(III)[13709−38−1]、ヨウ化ランタン(III)[13813−22−4]、トリフルオロメタンスルホン酸ランタン(III)[52093−26−2]、トリス(シクロペンタジエニル)ランタン[1272−23−7]およびその混合物。
【0041】
本発明の別の好ましい実施形態では、フッ化および/または非フッ化オルガノランタノイド化合物、具体的には、以下から選択されるものが使用されることが意図される。
【0042】
臭化セリウム(III)[14457−87−5]、塩化セリウム(III)[7790−86−5]、フッ化セリウム(III)[7758−88−5]、フッ化セリウム(IV)[60627−09−0]、トリフルオロアセチル酢酸セリウム(III)[18078−37−0]、トリス(シクロペンタジエニル)セリウム[1298−53−9]、フッ化ユーロピウム(III)[13765−25−8]、塩化ユーロピウム(II)[13769−20−5]、ヘクサフルオロアセチル酢酸プレソジーム(Praesodym)(III)[47814−20−0]、フッ化プレソジーム(Praesodym)(III)[13709−46−1]、トリフルオロアセチル酢酸プレソジーム(Praesodym)(III)[59991−56−9]、塩化サマリウム(III)[10361−82−7]、フッ化サマリウム(III)[13765−24−7]、ナフテン酸サマリウム(III)[61790−20−3]、トリフルオロアセチル酢酸サマリウム(III)[23301−82−8]、フッ化イッテルビウム(III)[13760−80−8]、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)[54761−04−5]、トリス(シクロペンタジエニル)イッテルビウム[1295−20−1]およびその混合物。
【0043】
この場合、触媒は均質にまたは不均質触媒として使用されうる。同様に、均質化異種もしくは不均質化同種触媒としての構成が本発明のために可能である。
【0044】
触媒は通常、前記水素シロキサンおよびポリエーテルに対して約0.01〜約0.2重量%、好ましくは、0.03〜0.10重量%の量で使用される。
【0045】
α,ω−水素シロキサンのポリエーテルジオールに対するモル比は、1.10〜約2.00、好ましくは、1.25〜1.55、具体的には、1.35〜1.45の範囲である。
【0046】
本発明による方法は、一般に、一般式(II)
【化2】

[式中、
Rは、互いに独立して、一価C1−〜C18−、好ましくは、C1−〜C4−炭化水素残基、具体的にはメチル残基であり、
bは、8〜80、好ましくは、10〜50、特に好ましくは、10〜25である。]のポリオルガノシロキサンを含有する−Si(H)単位を、
一般式(III)
HO−(C(2n−m)O−)−H
(III)
[式中、
は、互いに独立して、C〜Cアルキル残基、好ましくは、メチルおよびエチル残基であり、
nは、2〜4であり、
mは、0または1であり、
xは、1〜200、好ましくは、10〜00、具体的には、35〜60の値である。]を有するポリエーテルジオールの群から選択される少なくとも1つのアルコールで変換することによって実施され、ここで、
オキシアルキレンエーテル残基内のオキシアルキレン部分−(C(2n−m)O−)は、互いに異なりうるとともに、個々の部分(C(2n−m)O−)の順序は任意でありうるが、具体的には、ブロックポリマー、ランダムポリマー、およびその組合せを包含する。
【0047】
本発明によれば、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)がコポリマーとして存在するポリエーテルジオールが好ましい。特に好ましいのは、ブロック状の構造を有し、かつオキシアルキレン単位の総含有量に対して約30〜70重量%のEO比率を含有するEO/POコポリマーである。
【0048】
本発明による化合物の特に高感度かつ説得力のある評価が、得られたコポリマーをポリウレタン形成におけるフォーム安定剤として、具体的にはエーテルフォームまたは連続気泡硬質フォームの製造のために導入される応用技術試験により可能となる。フォーム安定剤における構造上の欠点は、技術的に不適切な挙動、例えば、収縮もしくは崩壊での膨張に際して認識される。
【実施例】
【0049】
製造例:
本発明による方法に従って請求されるSiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーの製造は、選択的に適切な溶剤の使用の有無によって行われうる。高分子とともにそれに伴う高粘度のSiOC結合コポリマーを得る場合、その製造は、合成中および合成後のその優れた扱いやすさのために適切にそれぞれのα,ω−水素シロキサンによるそれぞれのポリエーテルジオールの変換によって適切な溶剤において行われうる。適切な溶媒は、とりわけアルカン、シクロアルカン、アルキル芳香族であり、ここで具体的には120℃を超える沸点を有する高沸点溶剤が好ましい。
【0050】
場合により1つの溶剤を含む、少なくとも1つのポリエーテルジオールおよび1つもしくは複数のα,ω−水素シロキサンからなる反応パートナーは、原則として、高温において緊密な混合下でともに提供され、かつ十分な量の本発明による触媒の添加によって変換されうるか、連続的に反応も行われうる。これとともに、具体的には、ポリエーテルジオールまたはポリエーテルジオールの混合が高温での高沸点溶媒において最初に少量の本発明によりともに使用される触媒で衝突され、次いで十分な混合下で計量制御してα,ω−水素シロキサンまたは1つもしくは複数のα,ω−水素シロキサンの混合物で衝突される操作が好ましい。本発明により請求されるコポリマーのガス放出下で行われる製造は、このようにして良好に調節および制御される。個々の成分は、最終生成物の構造の制御のために連続的に添加されうる。
【0051】
α,ω−水素シロキサンのポリエーテルジオールに対するモル比は、1.10〜2.00、好ましくは、1.25〜1.55、特に1.35〜1.45の範囲である。
【0052】
触媒は、通常、上記水素シロキサンおよびポリエーテルに対して約0.01〜約0.2重量%、好ましくは、0.03〜0.10重量%の量で使用される。
【0053】
本発明によるコポリマーの製造のための反応温度は、60℃〜140℃、好ましくは、100℃〜120℃である。
【0054】
実施例1:本発明による
KPGスターラー、分液漏斗、内部温度計、および排気管を有する還流冷却器を備えた500mlの四首フラスコに2,800g/モルの中程度のモル重量、および約1:1のエチレンオキシド/プロピレンオキシド比のポリオキシアルキレンジオール55.0gを約280〜230℃の沸点範囲を有する直鎖状アルキルベンゾール85.3gとともに提供する。次いで、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(反応物の総量に対して1000ppm)85.3mgを添加し、付加物を110℃に加熱する。反応温度の達成後、使用ポリエーテルに対して35%過剰でのα,ω−水素シロキサン(中程度の鎖長N=15)30.3gを滴下し、すぐに使用する水素生成が十分に制御されるようにする。化学量論的シロキサン量の添加後、明らかな粘度上昇を観察する。反応の終了は、減少するガス生成で明らかに確認される。ガス定量的SiH測定により完全な変換が裏づけられる。
【0055】
実施例2:本発明によらない
KPGスターラー、分液漏斗、内部温度計、および排気管を有する還流冷却器を備えた500mlの四首フラスコに2,800g/モルの中程度のモル重量、および約1:1のエチレンオキシド/プロピレンオキシド比のポリオキシアルキレンジオール55.0gを約280〜230℃の沸点範囲を有する直鎖状アルキルベンゾール77.5gとともに提供する。次いで、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(反応物の総量に対して1000ppm)77.5mgを添加し、付加物を110℃に加熱する。反応温度の達成後、α,ω−水素シロキサン(中程度の鎖長N=15)22.5g(使用ポリオキシアルキレンジオールに対して当量)を滴下し、すぐに使用する水素生成が十分に制御されるようにする。化学量論的シロキサン量の添加後、明らかな粘度上昇を観察する。反応の終了は、減少するガス生成で明らかに確認される。ガス定量的SiH測定により完全な変換が裏づけられる。
【0056】
実施例3:本発明による
KPGスターラー、分液漏斗、内部温度計、および排気管を有する還流冷却器を備えた500mlの四首フラスコに2,800g/モルの中程度のモル重量、および約1:1のエチレンオキシド/プロピレンオキシド比のポリオキシアルキレンジオール55.0gを約280〜230℃の沸点範囲を有する直鎖状アルキルベンゾール85.3gとともに提供する。次いで、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン85.3mgを添加し、付加物を110℃に加熱する。反応温度の達成後、使用ポリエーテルに対して45%過剰でのα,ω−水素シロキサン(中程度の鎖長N=15)32.6gを滴下し、すぐに使用する水素生成が十分に制御されるようにする。化学量論的シロキサン量の添加後、明らかな粘度上昇を観察する。反応の終了は、減少するガス生成で明らかに確認される。ガス定量的SiH測定により完全な変換が裏づけられる。
【0057】
実施例4:本発明による
KPGスターラー、分液漏斗、内部温度計、および排気管を有する還流冷却器を備えた500mlの四首フラスコに2,800g/モルの中程度のモル重量、および約1:1のエチレンオキシド/プロピレンオキシド比のポリオキシアルキレンジオール41.3gを約280〜230℃の沸点範囲を有する直鎖状アルキルベンゾール75.0gとともに提供する。次いで、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(反応物の総量に対して1000ppm)75.0mgを添加し、付加物を110℃に加熱する。反応温度の達成後、使用ポリエーテルジオールに対して100%過剰でのα,ω−水素シロキサン(中程度の鎖長N=15)33.7gを滴下し、すぐに使用する水素生成が十分に制御されるようにする。化学量論的シロキサン量の添加後、明らかな粘度上昇が観察されるが、これは最後の20%シロキサンの添加時に再び低下する。反応の終了は、減少するガス生成で明らかに確認される。
【0058】
本発明による方法に従って得られたポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーのフォーム安定剤としての検査:
応用技術試験は、次のように構成されるエーテルフォームの典型的な形成に役立つ。
【0059】
【表1】

【0060】
被験フォーム安定剤の適合検査の実施:
2−エチルヘキサン酸スズ(II)、3つのポリオール、水、および3つのアミン触媒を紙コップに入れ、60秒間、1,000U/分で回転スターターにより混合する。次いで、イソシアン酸塩を添加し、同じスターターにより7秒間、1,500U/分で組込む。その際にコップ内の混合物はフォーム形成し始める。したがって、これを攪拌の終了直後に膨張箱へ注ぐ。これは17×17cmの表面積および30cmの高さを有する。外側へPUフォームによる厚さ5cmの断熱材が急速すぎる冷却を阻止する。内側には、硬化フォームをその後に取出すことができるように、プラスチックフォイルを有する箱が配置される。フォームは膨張箱に注いだ後に上昇する。理想的な場合、フォームは最大の上昇限度に到達後に吹き飛び、次いでわずかに再び低下する。この場合、フォーム気泡の気泡膜が開放し、フォーム材の連続気泡構造が維持される。安定化作用が少なすぎる場合、PUフォームは最大の上昇限度に到達前に崩壊する。安定化が強すぎる場合、フォームはきわめて長く上昇し、吹き飛ばない。次いできわめて独立気泡の構造によれば、フォームは冷却ガスの体積収縮によってその後の冷却時に収縮する。
【0061】
上記の実施例の反応生成物の膨張の結果:
(本発明による)実施例1における観察:
フォームは上昇し、約2分後に吹き飛び、その後の冷却時には変化しない。その後の検査では10セル/cmのセル数および70mmの気孔が測定される(動圧測定、同等圧を生じる水柱の高さを測定)。これは十分微細かつ連続気泡構造を具体的に示す(独立フォームとされるのは約300mm水柱から)。このフォームは所望のエーテルフォームの特徴を有する。実施例1のフォーム安定剤はこのフォーム型の製造に適している。
【0062】
実施例2(本発明によらない)における観察:
フォームは上昇し、吹き飛ばない。その代わりに、フォームは長く(3分超)上昇する。その後の冷却時にフォームは強く収縮する。物理的特徴の測定を収縮に基づき行うことはできない。この実施例のフォーム安定剤はエーテルフォーム材の製造に不適切である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第3主族および/または第3亜族の1つもしくは複数の元素化合物の存在下で触媒としての化学量論的に過剰のα,ω−二水素−ポリジメチルシロキサンによるポリエーテルジオールのそれ自体周知の方法に従った変換による反復(AB)単位のSiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーの製造方法において、アルコール成分の変換が完全に行われた後、≡Si(H)基がガス定量的に検出できなくなるまで反応が行われることを特徴とする方法。
【請求項2】
α,ω−水素シロキサンのポリエーテルジオールに対する比が1.10〜2.00の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のSiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーの製造方法。
【請求項3】
前記反応が60℃〜140℃の温度で実施されることを特徴とする請求項1に記載のSiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーの製造方法。
【請求項4】
第3主族の元素化合物として、ボロン含有および/またはアルミニウム含有触媒および/または第3亜族の元素化合物としてスカンジウム含有、イットリウム含有、ランタン含有および/またはランタノイド含有触媒を使用することを特徴とする請求項2に記載のSiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーの製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載のSiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーの製造方法において、
(C)(CB、(CB、(C)BF、BF(C、B(C、BCl(C)、BCl(C、B(C)(C、B(Ph)(C)、[C(mCFB、[C(pOCFB、(C)B(OH)、(CBOH、(CBH、(C)BH、(C11)B(C、(C14B)(C)、(CB(OC)、(CB−CHCHSi(CH
【化1】

具体的には、トリス(ペルフルオロトリフェニルボラン)[1109−15−5]、三フッ化ホウ素−エーテル[109−63−7]、ボラン−トリフェニルホスフィン錯体[2049−55−0]、トリフェニルボラン[960−71−4]、トリエチルボラン[97−94−9]および三フッ化ホウ素[10294−34−5]、トリス(ペンタフルオロフェニル)−ボロキシン(9Cl)[223440−98−0]、4,4,5,5,−テトラメチル−2−(ペンタフルオロフェニル)−1,3,2−ジオキサボロラン(9Cl)[325142−81−2]、2−(ペンタフルオロフェニル)−1,3,2−ジオキサボロラン(9Cl)[336880−93−4]、ビス(ペンタフルオロフェニル)シクロへキシルボラン[245043−30−5]、ジ−2,4−シクロペンタジエン−1−イル(ペンタフルオロフェニル)−ボラン(9Cl)[336881−03−9]、(ヘクサヒドロ−3a(1H)−ペンタレニル)ビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(9Cl)[336880−98−9]、1,3−[2−[ビス(ペンタフルオロフェニル)ボリル]エチル]テトラメチルジシロキサン[336880−99−0]、2,4,6−トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラジン(7Cl、8Cl、9Cl)[1110−39−0]、1,2−ジヒドロ−2−(ペンタフルオロフェニル)−1,2−アザボリン(9Cl)[336880−94−5]、2−(ペンタフルオロフェニル)−1,3,2−ベンゾジオキサボロル(9Cl)[336880−96−7]、トリス(4−トリフルオロメトキシフェニル)ボラン[336880−95−6]、トリス(3−トリフルオロメチルフェニル)ボラン[24455−00−3]、トリス(4−フルオロフェニル)ボラン[47196−74−7]、トリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボラン[146355−09−1]、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン[154735−09−8]、メチリウムトリフェニルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸[136040−19−2]、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンチフルオロフェニル)ホウ酸および前記触媒の混合物よりなる群から選択される触媒を使用することを特徴とする方法。
【請求項6】
前記触媒が、前記水素シロキサンおよびポリエーテルに関して0.01〜0.2重量%の量で使用されることを特徴とする請求項1に記載のSiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーの製造方法。
【請求項7】
RがCH−である各々のシロキサンブロック(A)(−RSiO−)の中程度の分子量が650〜6000g/モルであることを特徴とする請求項1に記載のSiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーの製造方法。
【請求項8】
RがCH−であるシロキサンブロック(X)(−RSiO−)、(Y)(−RSiO−)の中程度の分子量が、互いに独立して、74〜518g/モルであり、かつX+Yの分子量が148〜3000g/モルであることを特徴とする請求項1に記載のSiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーの製造方法。
【請求項9】
ポリオキシアルキレンブロック(B)(−C(2n−1)O−)が、ブロックにおけるオキシアルキレン単位の総含有量に対して約30〜70重量%のオキシエチレン比率および70〜30重量%のオキシプロピレン比率の混合オキシエチレンおよびオキシプロピレン単位を含有することを特徴とする請求項1に記載のSiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーの製造方法。
【請求項10】
各々のポリオキシアルキレンブロック(B)(C(2n−1)O)の中程度の分子量が約600〜10,000g/モルであることを特徴とする請求項1に記載のSiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーの製造方法。
【請求項11】
シロキサンブロックAの全コポリマーにおける比率が20〜50重量%であることを特徴とする請求項1に記載のSiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーの製造方法。
【請求項12】
前記ブロックコポリマーが10,000g/モル〜約1600,000g/モルの中程度の分子量を有することを特徴とする請求項1に記載のSiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーの製造方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法に従って製造される、反復(AB)単位を有するSiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマー。
【請求項14】
ポリウレタン−エーテルフォームの製造のための界面活性添加剤としての請求項13に記載のSiOC結合、直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン−ブロックコポリマーの使用。

【公開番号】特開2008−156637(P2008−156637A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325003(P2007−325003)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】