説明

Solanum属の植物由来の水溶性抽出物およびそれらの調製方法、ならびに水溶性抽出物を含む薬学的組成物

【課題】腫瘍/ガン細胞(特に、肝ガン細胞、肺ガン細胞、および乳ガン細胞)の増殖を抑制するための有効成分として、植物由来の水溶性抽出物を含む薬学的組成物を提供する。
【解決手段】Solanum属の植物由来の水溶性抽出物は、実質的に少なくとも60%〜90%のソラマージン(solamargine)およびソラソニン(solasonine)からなる。Solanum属の植物由来の水溶性抽出物を調製する方法は、酸を用いる加水分解、塩基を用いる沈殿、ならびにクロロホルム、アルコールおよび水を抽出溶媒として使用する分離処理の工程を包含する。本水溶性抽出物は、腫瘍/ガン細胞、特に、肝臓ガン細胞、肺ガン細胞および乳ガン細胞の増殖を阻害するための薬学的組成物における有効成分として使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1)発明の分野
本発明は、Solanum属の植物由来の水溶性抽出物、それらの調製方法、および前記を含む薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
2)関連技術の開示
癌は、世界的にヒトの主な死亡原因の1つであり、肺癌、肝癌、および乳癌は最も代表的である。癌の発生機構は、いまだ完全には理解されていないが、被験者での癌の開始(onset)は、前記被験者において生じる、異常なおよび制御できない細胞分裂によって引き起こされると考えられている(非特許文献1、非特許文献2および非特許文献3)。
【0003】
一般に、ヒトまたは動物体内の細胞の成長および分化は、ヒトまたは動物体内に存在する成長ホルモンによって厳密に制御されている。細胞が、内因性および/または外因性要因によって引き起こされた遺伝子突然変異を細胞内に蓄積した場合、前記細胞は、次に細胞の制御できない成長および分裂を導く、間違ったシグナル伝達を生じ、そのため結果として徐々にガン細胞の形成を生じる(非特許文献4)。
【0004】
近年、世界中の研究者らは、癌の働きを研究するために努力してきた。しかし、現在開発され、また用いられている癌治療は、満足な治療効果を提供することができない。患者の個人的な要因に加え、抗ガン薬物の重篤な副作用および該薬物に対するガン細胞の抵抗性は、臨床治療において直面する主な問題である。
【0005】
病院で用いられる公知の西洋医学が、癌疾患に対する現在の治療を効果的に改良することに失敗したという事実を考慮し、ある研究者らは、癌疾患の開始機構の研究結果に基づいて、癌症状の治療または緩和のために使用され得る、漢方薬(TCM)または薬草由来の活性成分を見いだすことを試みた。
【0006】
アポトーシスは、動物細胞の成長を調節する生得(natural)機構であり(非特許文献5)、動物の成長過程において生じる自然な組織収縮および吸収などの自然な細胞死の調節において重要な役割を果たすと考えられている。加えて、ヒト細胞が損傷され、修復され得ない場合、癌細胞の形成を防止するためにアポトーシスが開始される。
【0007】
アポトーシスの主要な形態学的特徴は:アポトーシス小体の形成、染色体の凝縮、およびDNAの断片化を含む(非特許文献6、非特許文献7および非特許文献8)。アポトーシスの間、死亡した細胞の残骸は、炎症反応を誘導することなく食作用を介して近隣の細胞およびマクロファージにより、速やかに摂取される(非特許文献9)。加えて、フローサイトメトリーによって細胞周期の変化を検出した場合、sub-G1ピークの存在を観察することができる(非特許文献10および非特許文献11)。したがって、sub-G1ピークは、アポトーシスを受けている細胞を識別する典型的なマーカーであると考えられている。
【0008】
細胞は、その細胞のアポトーシス機構が制御不能であれば、癌細胞になるということが文献に報告されている(非特許文献12および非特許文献13)。したがって、アポトーシスは、腫瘍研究の主題になっている。加えて、アポトーシスは、特定の抗癌薬によって誘導される事が報告されている(非特許文献14、非特許文献15、非特許文献16、および非特許文献17)。したがって、アポトーシスは、抗癌薬の世界的な開発において、重要な方向を示す。
【0009】
疾患の処置のための漢方薬または薬用植物(herbal medicine)の使用には、長い歴史がある。現在、かなり多くの研究者らが、漢方薬または薬用植物由来の有効な抗癌薬物を見いだそうと努力している。しかし、漢方薬または薬用植物の適用は、いまだに経験論に基づいており、また十分な科学的証拠によって支えられていない。加えて、漢方薬または薬用植物の活性成分の抽出、および用量ならびに品質管理が科学的に扱われていないため、該医薬によって現れる治療効果が首尾一貫しない。
【0010】
さらに、漢方薬または薬用植物由来の活性成分のほとんどは、水不溶性である。水不溶性材料を動物の体内に経口的に投与または注射した場合、これらの意図された治療効果は、吸収困難性(difficulty in absorption)のために達成されない事がある。これらは、漢方薬および薬用植物の開発および適用を妨害する主な制限である。
【0011】
医薬として使用され得る植物は、非常に多い。植物原料から抽出された多くのタンパク質阻害物質(inhibitor)は、抗癌療法において使用されている事が周知である。抗癌可能性を有するこれらのタンパク質阻害物質のうち、Solanum属の植物由来のステロイドアルカロイドは、潜在的な抗癌薬物ということが見いだされている。
【0012】
Solanum incanum L.(Solanum incanum Ruiz. & Pav.、ラテン語でSolanum coagulans Forsskalおよび英語でbitter appleとしても知られる。)は、ステロイドグリコアルカロイドを含む事が公知である(非特許文献18)。加えて、多くのSolanum属の植物、例えば中国語でLong Kuiおよび英語でblack nightshadeとしても知られる、Solanum indicum、Solanum nigrum(非特許文献19)、Solanum capsicastrum(英語でfalse Jerusalem cherryとして知られる )、Solanum xanthocarpum、Solanum melongena(非特許文献20)、Solanum coagulans、Solanum tuberosum(非特許文献21)、Solanum sodomeum(オーストラリアにおいてapple of Sodomとして知られる)、Solanum tuburosum、Solanum aculeastrum(非特許文献22)、Solanum lycocarpum(非特許文献23)、Solanum khasianum(非特許文献24)、Solanum suaveolens(非特許文献25)、Solanum uporo(非特許文献26)、Solanum abutiloides(非特許文献27)、Solanum coccineum(非特許文献28)、Solanum unguiculatum(非特許文献29)、Solanum robustum(非特許文献30)、Solanum anguivi(非特許文献31)、Solanum platanifolium(非特許文献32)、Solanum mammosum(非特許文献33)、などは、ステロイドグリコアルカロイドを含む事が報告されている。
【0013】
今日まで、Solanum属の前述の植物から得ることができるステロイドアルカロイドは、例えばソラマージン(solamargine)、ソラソニン(solasonine)、カーシアニン(khasianine)およびソラソジン(solasodine)を含む(非特許文献34、および非特許文献35)。ソラニンンおよびソラマージンの構造は、以下の通りである:
【0014】
【化1】

【0015】
【化2】

【0016】
加えて、研究は、様々な植物原料から得られたソラマージンは、以下の生物の成長を阻害し得る事を示した:Trypanosoma cruziなどの寄生虫;Tribolium castaneum(red flour beetleとして知られる)、Manduca sexta(tobacco hornwormとして知られる)などの昆虫;Phoma medicaginisおよびRhizoctomia solaniなど糸状菌(mold);ならびにLymnaeacubensisおよびBiomphalaria grabrataなどの軟体動物(非特許文献36、非特許文献37、非特許文献38)。
【0017】
さらに、Chun-Nan Linらは、ソラマージンはSolanum incanumの果実から得られること、およびその構造はステロイドアルカロイドグリコシドに属することを報告した。該化合物は、CCl4-誘導性損傷から肝臓を保護し、ならびにJTC-26およびヒトPLC/PRF/5肝癌細胞の成長を阻害することが見いだされた(非特許文献39)。
【0018】
Shu-Hui Hsuらは、ソラマージンの細胞毒性の機構を研究し、Hep3Bおよび正常な皮膚線維芽細胞などの細胞死を、アポトーシスの経路を介して促進する事を見いだした。特に、細胞のアポトーシスのプロセスに関与するTNF受容体Iの遺伝子発現が、ソラマージンによってアップレギュレートされる事を見いだした(非特許文献40)。
【0019】
Katsuya Fukuhara およびIsao Kubohasは、非特許文献41において、熟したSolanum incanumの果実を、室温においてメタノールで抽出したことを報告した。その後、減圧下において溶媒を除去し、そして残留物を凍結乾燥して暗褐色の抽出物を得た。次に、該抽出物を、メタノール(1%)を含む水に懸濁した。不水溶性部分を除去した後、該懸濁液を、n-ヘキサン、クロロフォルム、エチルアセテート、および水で分配し、そして生物活性を有する水層を得た。この様にして得られた生物活性を有する該水層を、その後2つの主要な化合物、ソラマージンおよびソラニンを得るように、回転式多段向流クロマトグラフィー(rotation locular countercurrent cromatography)および液滴向流クロマトグラフィー(droplet countercurrent cromatography)にかけた。
【0020】
Ke Huらは、乾燥したSolanum nigrumの全草(whole herb)を、75%エタノールで還
流(reflux)したことを、非特許文献42において開示した。真空中で溶媒を除去して褐色の残留物を得、これを石油エーテルで脱脂して抽出物を得た。得られた抽出物を水に懸濁し、マクロレジン(macroresin)カラム上でクロマトグラフィーにかけた。60%エタノール溶離液中に、活性化合物が存在した。その後、60%エタノール溶離液をH2Oで分配し、そしてn-BuOHで抽出し、それからこの様にして得られた該n-BuOH抽出物を、β2-ソラマージン、ソラマージンおよびデガラクトチゴニン(degalactotigonin)を生じるために、溶離液としてCHCl3-MeOH-H2Oを使用するシリカゲル上、および溶離液としてMeOH-H2O(60:40)を使用するSephadex LH-20上でカラムクロマトグラフィーにかけた。しかし、この論文は、どのようにして水溶性生物活性抽出物をSolanum nigrumから得る事ができるのかを教えていない。
【0021】
特許文献1は、オーストラリアにおいてapple of Sodomとして知られるSolanum sodomeumの植物原料を、2%または3%の酢酸などの希釈した酸性溶液で抽出して第1の酸性抽出物(上清部分)を得、その後、第1の酸性抽出物から分離した後、該固形残留物を他の容積の希釈酸溶液で抽出して第2の酸性抽出物(上清部分)をえた。第1および第2の酸性抽出物を混合した後、沈殿物を得るために塩基を加えた。該沈殿物を、沸騰したエタノール中に溶解した。エタノール除去後、微粉末抽出物(BEC001として呼ばれる(referredto))を得た。BEC001抽出物を、更に分離し、そしてソラマージン、ソラソニンならびにソラドジン(soladodine)のモノおよびジ-グリコシドを含む様々なグリコアルカロイドを生じるために精製した。
【0022】
特許文献1は、H2OをBEC001抽出物の担体として使用できる事を述べているが、該抽出物は、前記特許の実施例において、本質的にジメチルスルホキシド溶液(DMSO)、パラフィン、亜鉛軟膏、亜鉛クリーム、およびセトマクロゴール(界面活性剤)と共に処方される。
【0023】
さらに、特許文献2によると、in vitroにおける細胞毒性実験で使用されるソラソジン(solasodine)グリコシドを、5%DMSO溶液を生じるために最初にDMSOに溶解し、そしてその後希釈した。加えて、該実験に使用したソラソジングリコシドは、ソラマージン(33%)、ソラソニン(33%)、ならびにジ−およびモノ−グリコシド(34%)を含む混合物(BECとして呼ばれる)の形態、または別々の成分の形態(ソラマージン、ソラニン、ジ−およびモノ−グリコシドの混合物、ならびにソラソジンのアグリコン)のいずれかである。
【0024】
前述のステロイドアルカロイドが水不溶性であることから、前述の特許および文献においてアルコール蒸留が一般的な抽出方法であり、通常、抽出部分を解析のために有機溶媒、すなわちDMSOに溶解する。水不溶性材料は、動物の体内に直接注射するには適当でなく、また経口投与の間に消化管によって吸収されない事もないことから、ステロイドアルカロイドの治療効果は達成され得ず、それによってステロイドアルカロイドの薬学的な利用および開発が制限されている。
【0025】
本出願人は、ソラマージンおよび/またはソラニンの乾燥粉末は、DMSOの前処理なしには、水に全く溶解せず、またDMSOで処理した後でさえも完全には水に溶解しないということを見いだした。特に、特許文献1に開示される方法を使用して抽出されたステロイドアルカロイドを、蒸留水中に溶解する事はできなかった。ソラマージンまたはソラソニンを、最初にDMSOに溶解した後は水に溶解する事ができるが、その濃度が高すぎれば(5mg/mlより大きい)沈殿する。加えて、DMSO(>1%)それ自体が細胞に対して強い細胞毒性を有
し、したがって、その濃度は、5%未満に調製されなければならない。そのような事実は、Solanum属の植物から抽出されたステロイドアルカロイドを溶解するためのDMSO有機溶
媒の使用には、限界があるということを明確に示している。
【0026】
前述の事を考慮すると、現在、ステロイドアルカロイドは、主に限られた、また小規模な方法で、かつ単独の(single)バッチ(batch)において化学的に製造されており、そ
して商業使用のための大規模なSolanum属の植物から水溶性ステロイドアルカロイドを抽
出するための効率的なプロセスがない。それ自体、薬剤および薬物の製造にステロイドアルカロイドを利用することが制限されている。
【特許文献1】EP 0 020 029 A1
【特許文献2】US 5,958,770
【非特許文献1】Chen, P.L., et al. (1990), Science, 250, 1576-1580
【非特許文献2】Finlay, C.A., et al. (1989), Cell, 57, 1083-1093
【非特許文献3】Baker, S.J., et al. (1990) Science, 249, 912-915
【非特許文献4】Kerr, J.F.R. (1971) J. Pathol., 105, 13-20
【非特許文献5】Martin, S.J. and Green, D.R. (1995), Crit. Rev. Oncol. Hemat., 18, 137-153
【非特許文献6】Arends, M.J. and Wyllie, A.H. (1991) Int. Rev. Exp. Pathol.,32, 223-254
【非特許文献7】Dive, C., et al. (1992) Biochim. Biophys. Acta 1133, 275-285
【非特許文献8】Darzynkiewicz, Z., et al. (1992) Cytometry, 13, 795-808
【非特許文献9】Sarraf, F.E. and Bowen, I.D. (1988) Cell Tissue Res. 21, 45-49
【非特許文献10】Alzerreca, A. and Hart, G. (1982) Toxicology Lett. 12, 151-155
【非特許文献11】Lin, C.N., et al. (1986) J. Taiwan Pharm. Assoc. 38, 166
【非特許文献12】Carson, D.A. and Ribeiro, J.M. (1993) Lancet 341, 1251-1254
【非特許文献13】Kaufmann, S.H. (1989) Cancer Res. 49, 5870-5878
【非特許文献14】Wyllie, A.H., et al. (1980) Int. Rev. Cytol. 68, 251-306
【非特許文献15】Wyllie, A.H., et al. (1984) J Pathol. 142, 67-77
【非特許文献16】Barry, M.A., et al. (1990) Biochem. Pharmacol., 40, 2353-2362
【非特許文献17】Hickman, J.A. (1992) Cancer Metast. Rev., 11, 121-139
【非特許文献18】Kuo, K.W., et al. (2000), Biochemical Pharmacology, 60 (12): 1865-73
【非特許文献19】Hu, K., et al. (1999), Planta Medica, 65 (1): 35-8
【非特許文献20】Blankemeyer, J.T., et al. (1998), Food & Chemical Toxicology, 36 (5): 383-9
【非特許文献21】Friedman, M., et al. (1996), Journal of Nutrition, 126 (4): 989-99
【非特許文献22】Wanyonyi, A.W., et al. (2002), Phytochemistry, 59 (1): 79-84
【非特許文献23】Peters, V.M., et al. (2001), Contraception, 63 (1):53-5
【非特許文献24】Putalun, W., et al. (2000), Biological & Pharmaceutical Bulletin, 23 (1): 72-5
【非特許文献25】Ripperger, H., et al. (1997), Phytochemistry, 46 (7): 1279-82
【非特許文献26】Ripperger, H., et al. (1997), Phytochemistry, 44,(4): 731-4
【非特許文献27】Tian, R.H., et al. (1997), Phytochemistry, 44 (4): 723-6
【非特許文献28】Lorey, S., et al. (1996), Phytochemistry, 41 (6): 1633-5
【非特許文献29】Sarg, T.M., et al. (1995), Pharmacy World & Science, 17 (6): 191-4
【非特許文献30】Ripperger, H. (1995), Phytochemistry 39 (6): 1475-7
【非特許文献31】Ripperger, H., et al. (1994), Phytochemistry, 37 (6): 1725-7
【非特許文献32】Puri, R., et al. (1994), Journal of Natural Products 57 (5): 587-96
【非特許文献33】Alzerreca, A., et al. (1982), Toxicology Letters, 12 (2-3): 151-5
【非特許文献34】Chataing, B., et al. (1998), Planta Medica 64, 31-36
【非特許文献35】Weissenberg, M., et al. (1998), Phytochemistry 47, 203-209
【非特許文献36】Chataing, B., et al. (1998), Planta Medica, 64, 31-36
【非特許文献37】Fewell, A.M., et al. (1994), Phytochemistry, 37, 1007-1011
【非特許文献38】Lin, C.N., et al. (1990), J. Nat. Prod., 53, 513-516
【非特許文献39】Lin, C. N. et al. (1986), J. Natural Prod., 53, 513-516
【非特許文献40】Hsu, S. H. et al. (1996), Biochem. Biophys. Res. Comm., 229, 1-5
【非特許文献41】Fukuhara K. and Kubohas I. (1991), Phytochemistry, 30 (2):685-687
【非特許文献42】Ke Hu et al. (1999) , Planta Medica., 65, 35-38
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0027】
発明の要約
従って、第1の局面において、Solanum属の植物由来の水溶性ステロイドアルカロイドをラージスケールで生産するために、本発明は、Solanum属の植物由来の水溶性抽出物を提供する(ここで、この抽出物は、実質的に、少なくとも60〜90%のソラマージン(solamargine)およびソラソニン(solasonine)からなり、そしていかなる他の溶媒および/または溶媒アジュバントの添加を伴わずに、純水または中性のpH値を有する水に直接溶解され得、その結果2から20mg/ml、あるいはそれ以上の範囲の水溶性を有する帯黄色の澄んだ透明の水溶液が形成される)。
【0028】
第2の局面において、本発明は、腫瘍/ガン細胞(特に、肝ガン細胞、肺ガン細胞、および乳ガン細胞)の増殖を抑制するための有効成分として、水溶性抽出物を含む薬学的組成物を提供する。
【0029】
第3の局面において、本発明は、以下:
(a)Solanum属の植物の植物原料(plant material)を3〜5のpH値を有する酸性水溶液を用いる抽出処理にかけ、水溶液を得る工程;
(b)工程(a)において得られた水溶液のpH値を塩基でpH8〜10に調整し、沈殿物を形成させる工程;
(c)工程(b)において形成された沈殿物を水で洗浄し、その後乾燥し、乾燥生成物を得る工程;
(d)工程(c)において得られた乾燥生成物をクロロホルムと混合し、その後適量の100%アルコールを添加し、クロロホルム−アルコール混合物を形成させる工程;
(e)工程(d)において形成されるクロロホルム−アルコール混合物を、予め決められた水:アルコール比を有する水/アルコール溶液と混合し、クロロホルム−ベース(chloroform-based)層および非−クロロホルム−ベース(non-chloroform-based)層を含む混合物を得る工程;
(f)工程(e)において得られた混合物からクロロホルム−ベース層を取り除き、その後適量の水を添加する工程;および
(g)工程(f)の結果生じる混合物から上清を得、その後その上清を乾燥する工程(ここで、結果生じた乾燥生成物は水に直接的に溶解され得、帯黄色の澄んだ透明の水溶液を形成する)
を包含する、Solanum属の植物から水溶性抽出物を調製するための方法を提供する。
【0030】
本発明の上記および他の目的、特徴、および利点は、添付の図面と共に、以下の詳細な説明および好ましい実施形態への参照によって、明らかになるであろう。
発明の詳細な説明
本発明は、水に直接溶解して、澄んだ透明水溶液を形成することができ、そしてそれゆえ医薬品および薬物の製造に適する、ステロイドアルカロイドを含むSolanum属の植物から得られた水溶性抽出物を提供する。
【0031】
特に、本発明は、Solanum属の植物から得られた水溶性抽出物を提供する(これは、実質的に、少なくとも60〜90%のソラマージン(solamargine)およびソラソニン(solasonine)からなり、そしていかなる他の溶媒および/または溶媒アジュバントの添加を伴わずに、純水または中性のpH値を有する水に直接溶解し得、その結果2から20mg/mlの範囲、あるいはそれ以上の水溶性を有する帯黄色の澄んだ透明の水溶液が形成される)。
【0032】
本発明は、以下:
(a)Solanum属の植物の植物原料(plant material)を3〜5のpH値を有する酸性水溶液を用いる抽出処理にかけ、水溶液を得る工程;
(b)工程(a)において得られる水溶液のpH値を塩基でpH8〜10に調整し、沈殿物を形成させる工程;
(c)工程(b)において形成される沈殿物を水で洗浄し、その後乾燥し、乾燥生成物を得る工程;
(d)工程(c)において得られる乾燥生成物をクロロホルムと混合し、その後適量の100%アルコールを添加し、クロロホルム−アルコール混合物を形成させる工程;
(e)工程(d)において形成されるクロロホルム−アルコール混合物を、予め決められた水:アルコール比を有する水/アルコール溶液と混合し、クロロホルム−ベース(chloroform-based)層および非−クロロホルム−ベース(non-chloroform-based)層を含む混合物を得る工程;
(f)工程(e)において得られる混合物からクロロホルム−ベース層を取り除き、次いで適量の水を添加する工程;および
(g)工程(f)の結果生じる混合物から上清を得、その後その上清を乾燥する工程(ここで、結果生じた乾燥生成物は水に直接的に溶解され得、帯黄色の澄んだ透明の水溶液を形成する)
を包含する、水溶性抽出物を調製するための方法を提供する。
【0033】
好ましくは、工程(a)において、Solanum属の植物の植物原料は、予備処理において切り刻まれている(chopped)。
【0034】
好ましくは、工程(a)において、植物原料は、Solanum属の植物の果実、根、茎、および葉の少なくとも1つである。本発明の好ましい実施形態において、工程(a)において使用される植物原料は、Solanum属の植物の果実である。本発明のさらに好ましい実施形態において、工程(a)において使用される植物原料は、Solanum属の植物の植物全体である。
【0035】
好ましくは、水溶性抽出物は、
ソラヌム インサヌム L(Solanum incanum L)、ソラヌム インディクム(Solanum indicum)、ソラヌム ニグルム(Solanum nigrum)、ソラヌム カプシカストルム(Solanum capsicastrum)、ソラヌム キサントカルプム(Solanum xanthocarpum)、ソラヌム メロンゲナ(Solanum melongena)、ソラヌム コアグランス(Solanum coagulans)、ソラヌム トゥニグルム(Solanum tunigrum)、ソラヌム ソドメウム(Solanum sodomeum)、ソラヌム トゥーベロースム(Solanum turburosum)、ソラヌム アクレアストルム(Solanum aculeastrum)、ソラヌム リコカルプム(Solanum lycocarpum)、ソラヌム カーシアヌム(Solanum khasianum)、ソラヌム スアヴェオレンズ(Solanum suaveolens)、ソラヌム ウポロ(Solanum uporo)、ソラヌム アブチロイデス(Solanum abutiloides)、ソラヌム コッシネウム(Solanum coccineum)、ソラヌム ウングイキュラツム(Solanum unguiculatum)、ソラヌム ロブスツム(Solanum robustum)、ソラヌム アングイヴィ(Solanum anguivi)、ソラヌム プラタニオフォリウム(Solanum platanifolium)、及びソラヌム マッモスム(Solanum mammosum)
からなる群より選択されるソラヌム(Solanum)属の植物から得られる。
【0036】
本発明の好ましい実施形態において、水溶性抽出物は、Solanum incanum L. から得られる。本発明のさらに好ましい実施形態において、水溶性抽出物は、Solanum nigrumから得られる。
【0037】
好ましくは、該方法の工程(a)において、水溶液は、抽出処理に続いて遠心または濾過を行うことによって得られる。
【0038】
好ましくは、工程(a)において、抽出処理において使用される酸性水溶液は、蟻酸、酢酸、または塩酸を含む水溶液である。
【0039】
好ましくは、工程(b)において、塩基は、好ましくは、アルカリ水酸化物(alkali hydroxides)および水酸化アンモニウムからなる群より選択される化合物を含むアルカリ性水溶液である。本発明の好ましい実施形態において、アルカリ性水溶液は水酸化アンモニウムを含む。本発明の別の好ましい実施形態において、アルカリ性水溶液は、水酸化ナトリウムを含む。
【0040】
好ましくは、該方法の工程(b)において、沈殿物は、pH値調整に続いて遠心または濾過を行うことによって得られる。
【0041】
好ましくは、該方法の工程(c)において、乾燥処理は、凍結乾燥、噴霧乾燥、エバポレーション、加熱乾燥、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。本発明の1つの好ましい実施形態において、乾燥処理は、低温処理によって有効成分の安定性および活性を改善するために使用される凍結乾燥によって行われる。
【0042】
好ましくは、該方法の工程(c)において、工程(b)において形成される沈殿物が水で洗浄され、過剰な塩基を取り除くために遠心され、そして蒸留水中に懸濁され、次いで乾燥処理が行われる。
【0043】
該方法の工程(d)において、クロロホルムおよびアルコールの量は、工程(c)から得られる乾燥生成物がそれらに溶解することができさえすれば、特に重要ではない。本発明の好ましい実施形態において、アルコールの量は、工程(d)において使用されるクロロホルムの量より多くない。
【0044】
好ましくは、該方法の工程(d)および(e)において、アルコールは、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。本発明の好ましい実施形態において、工程(d)および(e)において使用されるアルコールは、メタノールである。
【0045】
好ましくは、工程(e)において使用される水/アルコール溶液において、水の含有量がアルコールの含有量以上である。より好ましくは、水対アルコール比は、1:1である。
【0046】
好ましくは、該方法の工程(f)において、工程(e)から得られた混合物中のクロロホルム−ベース層は、遠心または濾過を行うことによって取り除かれる。
【0047】
好ましくは、該方法の工程(g)において、上清は、工程(f)において結果的に生じる混合物を遠心または濾過することによって得られる。
【0048】
好ましくは、該方法の工程(g)において、乾燥処理は、凍結乾燥、噴霧乾燥、エバポレーション、減圧下における濃縮、加熱乾燥、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。好ましい実施形態において、工程(g)において行われる乾燥処理は、減圧下における濃縮および凍結乾燥を包含する。
【0049】
所望されるならば、工程(g)において得られる乾燥生成物は、水に再溶解され得(re-dissolved)、次いで遠心および乾燥処理が行われる。
【0050】
本発明に従う抽出物は、飲料水または滅菌水に直接的に溶解され得、帯黄色の澄んだ透明の水溶液を形成する。従って、本発明によって得られる抽出物は、真に水溶性抽出物である。
【0051】
本発明の方法から調製される水溶性抽出物は、実質的に、少なくとも60%−90%のソラマージンおよびソラソニンからなる。さらに、本出願人は、ある因子が、本発明の方法を用いて得られる水溶性抽出物におけるソラソニンおよびソラマージンの含有量および比率に影響を与えるかもしれないことを見出した。
【0052】
これらの因子として、Solanum属の植物の種(species)およびこの抽出方法において使用される植物の部位(単数/複数)、ならびに使用されるアルコールおよび塩基の型が挙げられる。
【0053】
例えば、Solanum incanum L.の熟した果実から生産される水溶性抽出物において、HPLC分析に従うと、ソラマージンの含有率はソラソニンの含有率よりも高い。さらに、33%の塩基性NH4OH溶液と比較すると、工程(b)における塩基として10M NaOH 塩基性溶液を用いることによって得られる水溶性抽出物において、ソラマージン含有率はソラソニン含有率よりも低い。加えて、工程(d)においてエタノールを用いることによって得られる水溶性抽出物におけるソラソニンおよびソラマージンの含有率は、メタノールを用いることによって得られるものの約50%である。さらに、Solanum nigrumの熟していない(unripe)果実(暗緑色)から得られる抽出物は、ソラソニンおよびソ
ラマージンのより高い含有率を有し、一方熟した果実(暗紫色)および植物の他の部分は、より低い含有率を有する。Solanum nigrumからの抽出物におけるソラソニンおよびソ
ラマージンの含有率は、Solanum incanum L.から得られる抽出物におけるものと異なる。それゆえ、当業者は、適切な操作条件と共に、Solanum属の植物の適切な種(species)を選択すること、および植物の適切な部分(単数または複数)を用いることによって、所望の水溶性抽出物を調製することができる。
【0054】
本発明の好ましい実施形態において、抽出処理を行うための工程(a)において使用される水溶液は酢酸を含み、沈殿物を形成するための工程(b)において使用される塩基性溶液は水酸化アンモニウムを含み、そして工程(d)および(e)において使用されるアルコールはメタノールである。
【0055】
好ましくは、水溶性抽出物は75%以上のソラマージンおよびソラソニンからなる。
【0056】
水溶性抽出物におけるソラソニン対ソラマージン比は、好ましくは、0.3:1.0から1.0:0.6までの範囲であり、より好ましくは0.4:1.0から0.9:1.0までの範囲である。本発明の好ましい実施形態において、水溶性抽出物におけるソラソニン対ソラマージン比は、約0.7:1.0である。
【0057】
好ましくは、抽出物は、ナノ粒子サイズ(nanoparticle size)を有する水溶性粒子の形態をとる。より好ましくは、抽出物は、1μmより小さい粒子サイズを有する水溶性粒子の形態をとる。
【0058】
本発明に従う水溶性抽出物は、腫瘍/ガン細胞(特に、肝ガン細胞、肺ガン細胞、および乳ガン細胞)の増殖に抑制効果を有することが証明された。さらに、本発明に従う水溶性抽出物から得られるソラソニンおよびソラマージンもまた、このような抑制効果が実証された。それゆえ、本発明に従って調製される水溶性抽出物、ならびにそれらの中に含まれるソラソニンおよびソラマージンが、抗−腫瘍または抗−ガン組成物の調製において用途を見出し得ることが期待される。
【0059】
従って、本発明はまた、本発明に従う水溶性抽出物、またはその水溶性抽出物から得られるソラソニンおよびソラマージンを含む薬学的組成物を提供する。水溶性抽出物から精製されるソラソニンおよびソラマージンはまた、水に直接的に溶解し得る。
【0060】
必要に応じて、本発明に従う薬学的組成物は、さらに、薬剤−製造技術において広く使用される薬学的に許容される担体を含む。薬学的に許容される担体は、例えば、水、生理食塩水、緩衝液、崩壊剤、結合剤、賦形剤、滑沢剤、および吸収遅延剤(absorption retardant)を含む1つ以上の試薬を含む。
【0061】
本発明に従う薬学的組成物は、非経口または経口経路によって、滅菌水溶液または懸濁液、滅菌粉末、錠剤、カプセル剤、クリーム、軟膏剤などを含む適切な製剤において、投与され得る。本発明に従う薬学的組成物は、好ましくは、水性注射、粉末注射、注射用凍結乾燥生成物などの注射剤として適するよう処方される。
【0062】
必要に応じて、本発明の薬学的組成物は、単独にか、またはさらなる抗−腫瘍/抗−ガン剤(例えば、マイトマイシン、アドリアマイシン、アクチノマイシン、シス−プラチン(cis-platin)など)と共に、投与され得る。
【0063】
本発明に従う薬学的組成物の投薬量および間隔(interval)は、以下の因子に依存する:処置される疾患の重篤度、投与経路、および処置される被験体の体重、年齢、健康状態、および応答(response)に依存する。概して、本発明に従う薬学的組成物は、経口的にか、または腹腔的に、2−6mg/kgの日用量で、単一の投与形態または異なる複数−投与形態(multi-dosage form)において、投与される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
本発明は、例示のみの目的のために与えられ且つ本発明の範囲を制限することを意図されない以下の実施例への参照を用いて、詳細に説明されるであろう。
実施例1.水溶性抽出物の調製
Solanum incanum L. の熟した果実500gを、1000mlの純水の添加に引き続いて粉砕した。得られた水性混合物へ、99.5%の酢酸を滴下して、pH値を4.0へ調整し、続いて室温で12時間振盪した。水性混合物を遠心分離することによって上清みを得、そして33%NH4OH塩基性溶液をそこへ滴下して、上清みのpH値を9.0へ調整し、そして沈殿物が形成された。4,500rpmでの遠心分離(Beckman Coulter, Avanti J-25, JA-14 Rotor)を行うことによって沈殿物を得、そしてその中に存在する残余の塩基性溶液を、沈殿物を水で洗浄し続いて4,500rpmでの遠心分離によって除去した。このようにして得た沈殿物を蒸留水中に懸濁させ、そして凍結乾燥(Virtis, Freezemobile 12ES)へ供して、5gの乾燥粉末を得た。乾燥粉末は、大部分が水性溶液中に懸濁され、そして水中に直接溶解し得ず、またはそのうちの非常に少量のみが直接溶解し得る。
【0065】
水中に直接溶解し得る抽出物の調製のために、2gの乾燥粉末を試薬等級のクロロホルム50mlに溶解させ、続いて40mlの100%メタノールを添加しそして振盪して、均質な懸濁液を形成させた。上清みを、4,500rpmでの遠心分離または濾過によって得た。70mlのメタノール:水溶液(1:1)を上清みへ添加し、そして十分に混合した。得られた混合物を、12,000rpmで10分間遠心分離した。得られた上清みを取り出し、そして120mlの蒸留水をそこへ添加し、そして十分に振盪した。その間に、上清みが薄黒く(murky)なった。上清みを更に12,000rpmで10分間遠心分離して、沈殿物を除去した。得られた上清みを減圧下55℃での濃縮に供して、メタノールを除去し、続いて凍結乾燥を行って乾燥粉末を得た。
【0066】
この段階で得られた乾燥粉末は、蒸留水中に直接溶解して、クリアかつ透明で黄色がかった溶液が形成され得る。依然としていくらかの沈殿物が存在する場合、それは、12,000rpmで10分間遠心分離することによって除去され得、そして得られる上清みは、凍結乾燥へ直接供されて、減圧下での濃縮の工程なしに水溶性乾燥粉末が得られ得る。
【0067】
一般的に、800mgの水溶性乾燥粉末が、Solanum incanum L.の果実500gから抽出され得る。HPLC分析において、該水溶性乾燥粉末の主成分は、ソラマージン(solamargine)およびソラソニン(solasonine)であると観察され、ここで、ソラマージンの含有量は、ソラソニンのそれよりも高かった(実施例2および図1Aを参照のこと)。
【0068】
あるいは、上述の調製プロセスにおいて、該果実は、3%または5%の1000ml酢酸水溶液中に浸漬されそして切断され得る。更に、室温で12時間水性混合物を振盪する工程を行う代わりに、形成される水性混合物は、50℃で5時間、または80℃で2時間振盪され得る。あるいは、水酸化ナトリウム水溶液が、NH4OH水溶液の代替物として使用され得る。
実施例2.水溶性抽出物の成分の同定 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して、本発明の方法から得られる水溶性抽出物の主成分を決定した。
方法:
この実施例において、使用した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、LiChroCART 250−4 Lichropher 100 RP−18eのカラム(5μm)、および250mm x 4mmの寸法を有する、Agilent Technologyies(Waldbronn,Germany)製の1100モデルであり;60%アセトニトリル/40%再蒸留水(pH=2.8)を移動相として使用し;そして流速は1ml/分であった。この実験において使用したソラソニンおよびソラマージンの標準試料は、Kaohsiung Medical大学薬学部のChun-Nan Lin教授から提供され、そしてこの2つの標準試料は、Gan, K.H., Lin, C.N. and Won, S.J. (1993), Journal of Natural Products 56, 15-21において開示される精製方法に従って得られた。
【0069】
実施例1の方法に従うSolanum incanum L.およびSolanum nigrumの果実から調製された好適な量の水溶性抽出物を、純水に溶解させ、そして以下の条件に従うHPLC分析に供した:
1.Solanum incanum L.の水溶性抽出物(25μg)、ソラソニン(5μg)と混合したSolanum incanum L.の水溶性抽出物(25μg)、およびソラマージン (5μg)と
混合したSolanum incanum L.の水溶性抽出物(25μg):
2.Solanum nigrumの水溶性抽出物(25μg)、ソラソニン (10μg)と混合し
たSolanum nigrumの水溶性抽出物(25μg)、およびソラマージン(10μg)と混合したSolanum nigrumの水溶性抽出物(25μg):ならびに
3.それぞれ、50μg、40μg、30μg、20μg、10μgおよび5μgの量のSolanum incanum L.の水溶性抽出物。
結果:
図1Aは、Solanum incanum L.の果実由来の水溶性抽出物のHPLCスペクトルを示す。図1Bおよび1Cに示される保持時間と比較すると、図1Aにおける第1ピークはソラソニンに対応しそして第2のそれはソラマージンに対応し、そしてソラマージンの含有量はソラソニンのそれよりも多いことが判る。
【0070】
図2A−2Cを参照すると、HPLCスペクトルは、Solanum nigrumの果実由来の水溶性抽出物はまた、ソラソニンおよびソラマージンに対応する2つのピークを提供することを示した。しかし、Solanum nigrumの果実由来の水溶性抽出物とSolanum incanumのそれ
との差異は、Solanum nigrumにおいてソラソニンの含有量はソラマージンのそれよりも多いという点にある。
【0071】
更に、図1A−1Cおよび図2A−2Cに示されるように、本発明に従う水溶性抽出物は、ソラソジン(solasodine)を含まず、そしてEP 0 020 029 A1に開示される抽出物とは明らかに異なっていた。
【0072】
図3A−3Fは、それぞれ、75μg、50μg、40μg、30μg、20μg、および10μgの量のSolanum incanum L.由来の水溶性抽出物のHPLCスペクトルである。Solanum incanum L.の水溶性抽出物の2つの主成分のピーク値は水溶性抽出物の濃度に比例して変動することがわかる。
【0073】
ソラソニンおよびソラマージンの比率について、それは、HPLC溶出スペクトル(HPLC eluting spectrum)に従ってコンピュータプログラム(Agilent ChemStation Integrator Algorithm)を使用して自動化積分(automated integration)によって評価され得る。鋭いまたは丸いピーク形状がスペクトルに現れる場合、このような変化は、果実の熟度および季節の因子に起因し得る。26の反復実験に基づいて、Solanum incanum L.の水溶性抽出物は、約0.3:1.0から約1.0:1.0までの範囲内、そして主に0.4:1.0から0.9:1.0までの範囲内のソラソニン対ソラマージン比を有することがわかった。
【0074】
実験結果から、本出願人は、本発明に従う水溶性抽出物は、実質的に、少なくとも60〜95%(好ましくは、75%を超える)のソラソニンおよびソラマージンからなることを見出した。
【0075】
本出願人はまた、ソラソニンおよびソラマージンの含有量および比率は、線形関係で、HPLC分析において使用される水溶性抽出物の濃度に伴って変化することを見出した。図4は、線形回帰を使用してプロットされた検量線を示す図であり、ここで、7の濃度のSolanum incanum L.水溶性抽出物を、三重でHPLC分析に供し、そして値(平均±SD)を、2つの主要成分のHPLCピーク面積の積分から算出した。図4に示される結果は、ソラソニンおよびソラマージンのピーク値が、水溶性抽出物の濃度に伴って線形関係で上昇および下降することを明確に示した。従って、2つの成分、ソラソニンおよびソラマージンは、本発明に従う水溶性抽出物の品質管理についての指標成分(index component
)として使用され得る。
【0076】
更に、水に直接溶解され得るソラマージンおよびソラソニンは、前述のHPLC条件を使用して、本発明の水溶性抽出物から更に精製され得る。
実施例3.水溶性抽出物の溶出に対するpHの効果
方法:
水溶性抽出物の溶出に対するpHの影響を測定するために、実施例1の方法を使用して調製したSolanum incanum L.の水溶性抽出物(40μg)を、以下のHPLC条件下で、実施例2において使用したのと同一の装置を使用してのHPLC分析に供した:
1.カラム:LiChroCART 250-4 Lichropher 100 RP-18e(5μm)、250mm×4mm;および
2.移動相:60%アセトニトリル/40%再蒸留水[2.3、2.5、2.8、3.0および3.2へpH調整した]。
結果:
図5A−5Eは、種々のpH値でのSolanum incanum L.由来の水溶性抽出物のHPLCスペクトルを示す。示されるように、水溶性抽出物の主成分の保持時間は、移動相のpH値の上昇によって、遅延した。溶出プロフィールは僅かに変化したが、2成分ピークプロフィールは依然として維持された。
実施例4.水溶性抽出物の粒度の比較 この実施例を、本発明の方法を使用して調製されたSolanum incanum L.由来の水溶性抽出物と、EP 0 020 029 A1の実施例2に開示される方法を使用して得られるものとの間の、粒度における差異を比較するために行った。
方法:
本発明に従ってSolanum incanum L.から調製された水溶性抽出物50mg、およびEP 0020 029 A1の実施例2に開示される方法に従ってSolanum incanum L.から調製された抽出物50mgを、それぞれ、50mlの蒸留水に溶解させ、そして粒度分析器(Beckman Coulter LS 230, Coulter Corporation, Miami, USA)を使用して粒度分析に供した。
結果:
図6を参照して、EP 0 020 029 A1の実施例2に開示される方法に従ってSolanum incanum L.から調製された抽出物の平均粒度は238.2μmであり、そして粒度分布(particle size distribution)は1.8μm〜1500μmの範囲内であり、そして多量の不溶性沈殿物が水溶液中に存在した(図6Aを参照のこと)。これに対して、本発明に従ってSolanum incanum L.から調製した水溶性抽出物の平均粒度は、0.418μmであり、そして粒度分布は0.28μm〜0.65μmの範囲内であった(図6Bを参照のこと)。本発明に従う抽出物は、水に完全に溶解され得る。
実施例5.水溶性抽出物の溶解性の比較
この例示的実験は、本発明の方法を使用して調製したSolanum incanum L.由来の水溶性抽出物とEP 0 020 029 A1の実施例2に開示される方法を使用して得たものとの間の水溶性(water-solubility)における差異を比較するために行った。
方法:
本発明に従ってSolanum incanum L.から調製された水溶性抽出物5mg、およびEP 0 020 029 A1の実施例2に開示される方法に従ってSolanum incanum L.から調製された抽出物5mgを、それぞれ、2mlの蒸留水に溶解させ、そして12,000rpmで遠心分離して、上清みを得た。20μlの上清みを取り出し、そして本発明の実施例2に開示される手順に従ってHPLC分析に供した。
結果:
図7Aおよび7Bは、それぞれ、EP 0 020 029 A1の実施例2に開示される方法に従ってSolanum incanum L.から調製した抽出物(図7A)および本発明に従ってSolanum incanum L.から調製した水溶性抽出物(図7B)の水溶性を示すグラフである。示されるように、本発明に従ってSolanum incanum L.から調製した水溶性抽出物は、より良好な水溶性を有する。
【0077】
上記実施例および図から、慣用方法を使用して調製された抽出物と比較した場合、本発明に従ってSolanum属の植物から調製された水溶性抽出物は、実際に、水に溶解してクリアかつ透明な水溶液を形成し得ることが明らかである。これは、本発明に従ってSolanum属の植物から調製された水溶性抽出物は、ナノ粒度、特に1μm未満を有するという事実に起因し得る。従って、本発明に従ってSolanum属の植物から調製された水溶性抽出物は、ステロイドアルカロイドを含む医薬、特に癌治療のための医薬の製造における使用に好適であることが予想される。
【0078】
従って、本発明に従ってSolanum属の植物から調製された水溶性抽出物の生物活性(bio-activity)を証明するために、本発明の実施例1において調製したSolanum incanum L.の水溶性抽出物を、薬理学的効果について試験した。
薬理学的実験1.
インビトロでの水溶性抽出物の抗癌活性
本発明に従ってSolanum属の植物から得られた水溶性抽出物が抗癌活性を有するかどうかを測定するために、Hep3B、H441、およびMCF−7の主要な癌細胞を分析標的(analytic targets)として使用した。ここで、Hep3BおよびH441は、American Type Culture Collection(ATCC、P.O. Box 1549, Manassas, VA 20108 USA)から購入し、そしてMCF−7は、Food Industry Research and Development Institute(331 Shih-Pin Road, Hsinchu, 300 Taiwan R.O.C.)から購入した。
方法:
Hep3Bをダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)においてインキュベートし、一方、H441およびMCF−7をRPMI−1640においてインキュベートした(培地は両方とも、10%ウシ胎仔血清および40mg/Lゲンタマイシンを含有した)。
【0079】
癌細胞の細胞傷害性を、テトラゾリウム塩アッセイ(tetrazolium salt assay)(MTS,Mosmann. T., 1983, Immmunol. Meth., 65, 55-63)を使用して測定し、これは、製造者の手順に従って細胞生存度(cell viability)の比色分析測定について行った(CellTiter 96TM AQ, Promega, Madison, USA)。
【0080】
細胞を、96−ウェルプレートに1×104細胞/ウェルで接種し、そして少なくとも16時間、37℃で、5%CO2インキュベータにおいてインキュベートした。Solanum incanum L.由来の水溶性抽出物を、滅菌注射用水(sterile injection water)に溶解させて種々の試験濃度を得、これを、ウェル中の各癌細胞をインキュベートしている培地へ添加し、そして12時間反応させた。次いで、20μlのMTSを各ウェルへ添加し、そしてこの溶液を3時間反応させた。反応完了時に、各ウェルにおける吸光度を、ELISA reader 312e, Bio-TEKを使用することによって、490nmで測定した。各値を、3つの実験からの平均±SDとして表現した。
結果:
図8A〜8Cは、Hep3B、H441、およびMCF−7の増殖を阻害することに対する、本発明に従ってSolanum incanum L.から調製した水溶性抽出物の効果を示すグラフである。本発明に従ってSolanum incanum L.から調製した水溶性抽出物は、これらの癌細胞の増殖を有効に阻害することが観察された。
薬理学的実験2
遺伝子チップを使用することによる、本発明に従うSolanum incanum L.から調製した水溶性抽出物の肺癌細胞中の遺伝子調節機構に対する効果の測定
癌処置に関する開発および研究における進路をはっきりと示すように、そして発癌性因子に関する研究および効果的な抗癌医薬の開発において補助するように、本発明に従うSolanum incanum L.から調製された水溶性抽出物の癌細胞における遺伝子調節に対する効果を理解するために本実験を行い、遺伝子チップ技術によって本発明の水溶性抽出物の調節効果を決定した。
【0081】
本実験において、市販の遺伝子チップアレイ(SuperArray Inc.,Bethesda,MD,USA)を使用して本発明に従うSolanum incanum
L.から調節された水溶性抽出物のH441癌細胞における遺伝子調節に対する効果を測定した。
【0082】
最初にRNAサンプルを、本発明に従うSolanum incanum L.から調節した水溶性抽出物(100μg/ml)で2時間処理した癌細胞から、および抽出物で
処理していない癌細胞(コントロールグループ)から単離した。標識したcDNAを[32P]−dCTPを使用して逆転写を行うことによって作製し、これを遺伝子チップアレイ(SuperArray Inc.,Bethesda,MD,USA)上でのDNAフラグメントでのハイブリダイゼーションのためのプローブとして使用し得た。反応した遺伝子チップアレイを、オートラジオグラフィーを使用してx線フィルムに暴露した。
結果:
図9を参照すると、H441を本発明に従うSolanum incanum L.から調製した水溶性抽出物で2時間処理した後、癌細胞の死と正に関連する腫瘍壊死因子レセプターI(TNFR−I)およびTNFレセプター関連因子−1(TRAF−1)の遺伝子発現はアップレギュレートされるが、一方アポトーシスタンパク質2(IAP−2)のインヒビターおよびアポトーシスインビヒター4(API−4)(これは細胞死を阻害する)の遺伝子発現は、抽出物の影響に起因してダウンレギュレートされた。従って、本発明に従うSolanum incanum L.から調製された水溶性抽出物は、TNFR−IおよびTRAF−1の遺伝子発現を開始し得ることが理解され得る。
薬理学的実験3
本発明に従うSolanum incanum L.から調製された水溶性抽出物の癌細胞の細胞周期に対する効果
フローサイトメトリー(「FACScan」;Becton Dickinson Corp.)を使用して、細胞を本発明に従うSolanum incanum L.から調製された水溶性抽出物で処理する前および後に、癌細胞の細胞周期の変化を測定した。
方法:
最初に、35mmプレート中で1×106癌細胞を16時間インキュベートした後、本発明に従うSolanum incanum L.から調製された水溶性抽出物(30μg/ml)を各プレートに添加して、0、1、3、5、および8時間反応させた。各反応時間が終了したときに、細胞を1×トリプシンでトリプシン処理し、そして上清および培地を回収した。細胞含有上清を15ml遠心分離チューブに移し、1000rpmで5分間遠心分離してペレットを得た。300μlの1×PBSを添加しそして十分に混合した後、300μl細胞懸濁液をマイクロチューブに移し、そして700μl無水アルコール中で固定した。固定された細胞を少なくとも30分間、4℃の冷蔵庫で静置し、1200rpmで5分間、4℃で遠心分離した。遠心分離後、上清を得て十分に混合した。445μlの1×PBS溶液を上清に添加しそして十分に混合し、その後5μlのRNase(10mg/ml)を添加してRNAを消化した。細胞を50μlの10%Triton−
X100で浸透し、そして37℃で1時間、インキュベーター中でインキュベートし、その後遠心分離した。上清を取り出し、そして495μlのPBS溶液と十分に混合した。細胞を4℃で15〜30分間、暗所中で5μlのヨウ化プロピジウム(5mg/ml)で染色し、その後濾過および分析した。
細胞周期の測定
フィルターに接着した細胞を1×PBS溶液中に十分に懸濁し、そして100細胞/秒でフローサイトメトリー(Beckman−Coulter FACScan)に導入した。10,000細胞を一度に分析した。細胞を半径75μmを有する孔を通過させ、細胞容量に比例して電流パルスシグナルを生成した。細胞を488mmでアルゴンイオンのレーザービームによって励起させて蛍光を発生させた。得られたデータを使用して、細胞周期を測定するためにWinmdiソフトウェアと組み合わせてDNA含量を分析した。
結果:
表1は、本発明に従うSolanum incanum L.から調製された水溶性抽出物で処理したHep3B、H441およびMCF−7の細胞周期の変化を示し、ここで、sub−G1ピークの上昇によって、癌細胞が水溶性抽出物によって誘導されたアポトーシスを起こすことが示された。
【0083】
表1に示されるように、癌細胞における細胞周期のsub−G1ピークは1時間以内に劇的に増加し、そしてこれは反応時間の増加と共に増加した。癌細胞は、高投薬量の抽出物の結果として、細胞膜の破損によって死んだ。本発明に従うSolanum incanum L.から調製された水溶性抽出物は3種類の癌細胞のアポトーシス機構を開始し得ることが示されている。
【0084】
【表1】

【0085】
薬理学的実験4
本発明に従うSolanum incanum L.から調製された水溶性抽出物の癌細胞形態に対する効果
本発明に従うSolanum incanum L.から調製された水溶性抽出物によって誘導される癌細胞の形態学的変化を詳細に調べるために、ヘマトキシリンで染色した癌細胞の形態を、光学顕微鏡を使用して検査した。
方法:
最初に、本発明に従うSolanum incanum L.の水溶性抽出物(30μg/ml)で1、3、5、および8時間処理した適切な量の肝癌細胞、肺癌細胞、および乳癌細胞を、800rpmで10分間、サイトスピン中で遠心分離して細胞スライド(cytoslide)を得た。細胞を、4%のパラホルムアルデヒド中で30分間固定し、そしてヘマトキシリンで染色し、その後70%、80%、90%、95%、および100%無水アルコールによって過剰の染料を除去した。細胞スライドを脱水処理のためにキシレン中に配置し、そしてカバースライドおよびマウンティング媒体によってカバーした。細胞形態の変化を、光学顕微鏡(Olympus CX−40)を使用して400Xで観察しそして記録した。
結果:
図10は、本発明に従うSolanum incanum L.から調製された水溶性抽出物(30μg/ml)で、細胞を1、3、5、および8時間処理する前および後のヒト癌細胞の形態学的変化を示し、ここで、ラインAはHep3Bを示し、ラインBはH441を示し、そしてラインCはMCF−7を示す。抽出物で処理されていない細胞をコントロールグループとして使用し、そして矢印は、細胞の典型的な形態学的変化を示した。
【0086】
図10において示されるように、核(nucleuses)の減少、クロマチン凝縮、およびアポトーシス小体の存在が、癌細胞が本発明に従うSolanum incanum L.から調製された水溶性抽出物で1時間処理された後、癌細胞中で観察された。同時に、癌細胞の形態学的変化が、細胞膜が最終的に破壊するまで、反応時間の進行と共にますます明らかとなった。
【0087】
sub−G1ピーク、クロマチン凝縮、およびアポトーシス小体の存在はアポトーシスに特徴的であるので、このアッセイおよび薬理学的実験3において示される結果は、本発明に従うSolanum incanum L.から調製された水溶性抽出物が細胞死を誘導するために癌細胞においてアポトーシスの機構を開始し得ることを明確に示す。
薬理学的実験5
本発明に従うSolanum incanum L.から調製された水溶性抽出物のインビボでの抗癌効果
本発明に従うSolanum incanum L.由来の水溶性抽出物のインビボでの抗癌効果を確認するために、ヌードマウスをインビボ動物モデルとして使用した。
方法:
最初に、2×107H441細胞を、ヌードマウスBABL/c−nu−nu(8週齢、約20〜25g)の後部側腹に皮下注射によって移植した。腫瘍が形成してこれが増殖し始めた後(約10日)、腫瘍を有するヌードマウスを6〜7匹のマウスのグループに無作為に配置した。
【0088】
注射グループにおけるヌードマウスは、一日に一回、0.8mm針を使用して、水中に溶解した220μg水溶性抽出物で腹腔内投与した。注射を3日間続け、そして4日間中断した。マウスを2日毎に計量し、そして腫瘍サイズをマイクロメーターを使用して測定した。次の処置過程を進め、そして観察を2ヶ月にわたって続けた。腫瘍体積を、長さ×幅×(高さ/2)の積として計算した。
【0089】
経口投与グループマウスにおける各ヌードマウスは、1日に一回、フィーダーによって水溶性抽出物(600μg)を経口投与した。フィーディングは5日連続し、そして2日間中断した。ヌードマウスの体重および腫瘍サイズを上記様式で記録した。投与および観察を2ヶ月にわたって続けた。腫瘍体積もまた上記様式で計算した。
結果:
図11A、11B、および11Cはそれぞれ、ヌードマウスにおける腫瘍サイズの変化を示し、ここで、図11Aは、本発明に従うSolanum incanum L.から得られた水溶性抽出物を投与されていないコントロールグループのマウス(6匹のヌードマウス)における腫瘍サイズにおけるサイズの変化を示した;図11Bは、経口投与グループ(7匹のヌードマウス)における腫瘍サイズにおける変化を示した;そして図11Cは、注射グループ(7匹のヌードマウス)における腫瘍サイズにおける変化を示した。
【0090】
図11A、11B、および11Cにおいて示されるように、本発明に従うSolanum incanum L.から得られた水溶性抽出物を投与されていないコントロールグループのマウスにおける腫瘍のサイズは、速やかに増加することが見出された(1ヶ月後には本来のサイズの約6倍)。しかし、本発明に従うSolanum incanum L.から得られた水溶性抽出物を経口投与されたヌードマウスにおける腫瘍は、大きく萎縮したかまたは消滅した。いくつかにおける腫瘍はサイズにおいてわずかに増加したが、増殖速度はコントロールグループと比較してはるかに遅かった。本発明に従うSolanum incanum L.から得られた水溶性抽出物を腹腔内投与されたヌードマウスに関しては、全てのマウスにおける腫瘍が萎縮したかまたは消滅した。これらの結果によって、本発明に従うSolanum incanum L.から得られた水溶性抽出物の経口または腹腔内投与は、ヌードマウスに移植された腫瘍の増殖を遅延させること、そのサイズを減少させること、およびこれを除去さえすることにおいて効果的であり、そして経口投与グループにおけるよりも腹腔内投与グループにおいて効果が優れていたことが示された。
薬理学的実験6
本発明に従うSolanum incanum L.の水溶性抽出物からさらに精製されたソラソニン(solasonine)およびソラマージン(solamargine)のインビボでの抗癌効果
本実験を使用して、HPLCを使用して本発明に従うSolanum incanum
L.の水溶性抽出物から精製されたソラソニンおよびソラマージンの生物活性を、研究した。
方法:
実施例2において記載されたHPLC手順に従って、2つの化合物(ソラソニンおよびソラマージン(これらは同様に水中に直接溶解され得る))を、本発明に従うSolanum incanum L.の水溶性抽出物からさらに分離および精製した。
【0091】
細胞毒性を、薬理学的試験1において開示されるMTSテトラゾリウム塩アッセイによって決定した。H441細胞を、本発明に従うSolanum incanum L.の水溶性抽出物から精製された種々の投薬量のソラソニンおよびソラマージンで12時間処理し、その後製造業者の手順に従って細胞生存度の比色定量測定を行った(CellTiter 96TM AQ,Promega,Madison,USA)。データを3回の実験から平均値±SDとして表した。
結果:
図12は、ヒト肺癌細胞の増殖が、本発明に従うSolanum incanum L.の水溶性抽出物から精製したソラソニンおよびソラマージンによって効果的に阻害され得ることを示す。示されるように、本発明に従うSolanum incanum L.の水溶性抽出物から精製されたソラソニンおよびソラマージンは、顕著な抗癌活性を有する。
【0092】
要約すると、本出願人は、Solanum属の植物由来の水溶性抽出物を首尾よく得、水溶性抽出物の抽出の間に科学的分析のための条件を確立し、そして効果的な品質管理が可能となるようにその活性化合物を得た。さらに、本発明に従う水溶性抽出物は、癌細胞の増殖を阻害しそして癌細胞のアポトーシス機構を開始する活性を有することが証明された。これらの事実によって、本発明の水溶性抽出物は癌細胞の増殖を阻害することおよび癌細胞を検出することにおいて潜在能力を有することが示される。
【0093】
本明細書中に引用される全ての特許および参考文献は、本明細書中にその全体が参考として援用される。対立する場合には、本発明の記載(定義を含む)が優先する。
【0094】
本発明は上記の特定の実施形態を参照して記載されているが、多数の改変およびバリエーションが、本発明の範囲および精神から逸脱することなく行われ得ることが明らかである。従って、本発明は添付の特許請求の範囲に示される場合にのみ制限されることが意図される。
【0095】
なお、本発明は以下項1〜59にも関する。
項1.実質的に少なくとも60%〜90%のソラマージン(solamargine)およびソラソニン(solasonine)からなるソラヌム(Solanum)属の植物由来の水溶性抽出物。
項2.ソラヌム インサヌム L(Solanum incanum L)、ソラヌム インディクム(Solanum indicum)、ソラヌム ニグルム(Solanum nigrum)、ソラヌム カプシカストルム(Solanum capsicastrum)、ソラヌム キサントカルプム(Solanum xanthocarpum)、ソラヌム メロンゲナ(Solanum melongena)、ソラヌム コアグランス(Solanum coagulans)、ソラヌム トゥニグルム(Solanum tunigrum)、ソラヌム ソドメウム(Solanum sodomeum)、ソラヌム トゥーベロースム(Solanum turburosum)、ソラヌム アクレアストルム(Solanum aculeastrum)、ソラヌム リコカルプム(Solanum lycocarpum)、ソラヌム カーシアヌム(Solanum khasianum)、ソラヌム スアヴェオレンズ(Solanum suaveolens)、ソラヌム ウポロ(Solanum uporo)、ソラヌム アブチロイデス(Solanum abutiloides)、ソラヌム コッシネウム(Solanum coccineum)、ソラヌム ウングイキュラツム(Solanum unguiculatum)、ソラヌム ロブスツム(Solanum robustum)、ソラヌム アングイヴィ(Solanum anguivi)、ソラヌム プラタニオフォリウム(Solanum platanifolium)、ソラヌム マッモスム(Solanum mammosum)
およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるソラヌム(Solanum)属の植物から抽出される、項1に記載の水溶性抽出物。
項3.ソラヌム インサナム L(Solanum incanum L)から抽出される、項2に記載の水溶性抽出物。
項4.ソラヌム ニグルム(Solanum nigrum)から抽出される、項2に記載の水溶性抽出物。
項5.(a)ソラヌム(Solanum)属の植物の植物原料(plant material)を3〜5のpH値を有する酸性水溶液を用いる抽出処理にかけ、水溶液を得る工程;
(b)工程(a)において得られた水溶液のpH値を塩基でpH8〜10に調整し、沈殿物を形成させる工程;
(c)工程(b)において形成された沈殿物を水で洗浄し、その後乾燥し、乾燥生成物を得る工程;
(d)工程(c)において得られた乾燥生成物をクロロホルムと混合し、その後適量の100%アルコールを添加し、クロロホルム−アルコール混合物を形成させる工程;
(e)工程(d)において形成されたクロロホルム−アルコール混合物を、予め決められた水:アルコール比を有する水/アルコール溶液と混合し、クロロホルム−ベース(chloroform-based)層および非−クロロホルム−ベース(non-chloroform-based)層を含む混合物を得る工程;
(f)工程(e)において得られた混合物からクロロホルム−ベース層を取り除き、適量の水を添加する工程;および
(g)工程(f)の結果生じる混合物から上清を得、その後その上清を乾燥する工程(ここで、結果生じた乾燥生成物は水に直接的に溶解され得、帯黄色の澄んだ透明の水溶液を形成する)
を包含する方法から調製される、項1に記載の水溶性抽出物。
項6.前記方法の工程(a)において、使用される植物原料が、前記ソラヌム(Solanum)属の植物の果実、根、茎および葉の少なくとも1種である、項5に記載の水溶性抽出物。
項7.前記方法の工程(a)において、使用される植物原料が前記ソラヌム(Solanum)属の植物の果実である、項6に記載の水溶性抽出物。
項8.前記方法の工程(a)において、植物原料が前記ソラヌム(Solanum)属の植物の植物全体である、項6に記載の水溶性抽出物。
項9.前記方法の工程(a)において、前記ソラヌム(Solanum)属の植物の植物原料が予備処理において切り刻まれている(chopped)、項5に記載の水溶性抽出物。
項10.前記方法の工程(a)において、水溶液が、抽出処理に続いて遠心を行うことによって得られる、項5に記載の水溶性抽出物。
項11.前記方法の工程(a)において、抽出処理における酸性水溶液が、蟻酸、酢酸、または塩酸を含む水溶液である、項5に記載の水溶性抽出物。
項12.前記方法の工程(b)において、塩基が、アルカリ水酸化物(alkalihydroxides)および水酸化アンモニウムからなる群より選択される化合物を含むアルカリ性水溶液である、項5に記載の水溶性抽出物。
項13.前記方法の工程(b)において、塩基が、水酸化アンモニウムを含むアルカリ性水溶液である、項12に記載の水溶性抽出物。
項14.前記方法の工程(b)において、塩基が、水酸化ナトリウムを含むアルカリ性水溶液である、項12に記載の水溶性抽出物。
項15.前記方法の工程(b)において、沈殿物が、pH値の調整に続いて遠心を行うことによって得られる、項5に記載の水溶性抽出物。
項16.前記方法の工程(c)において、乾燥処理が、凍結乾燥(lyophilization)、噴霧乾燥(spray-drying)、エバポレーション(evaporation)、加熱乾燥(heat-drying)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、項5に記載の水溶性抽出物。
項17.前記方法の工程(c)において、乾燥生成物が、工程(b)において形成される沈殿を水で洗浄し、該洗浄された沈殿物を水に懸濁し、次いで凍結乾燥を行うことによって得られる、項5に記載の水溶性抽出物。
項18.前記方法の工程(d)および(e)において、アルコールが、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、項5に記載の水溶性抽出物。
項19.前記方法の工程(f)において、クロロホルム−ベース層の除去が遠心によって行われる、項5に記載の水溶性抽出物。
項20.前記方法の工程(g)において、乾燥処理が、凍結乾燥(lyophilization)、噴霧乾燥(spray-drying)、エバポレーション(evaporation)、加熱乾燥(heat-drying)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、項5に記載の水溶性抽出物。
項21.ナノ粒子サイズ(nanoparticle size)を有する水溶性粒子の形態である、項1に記載の水溶性抽出物。
項22.1μmより小さい粒子サイズを有する水溶性粒子の形態である、項20に記載の水溶性抽出物。
項23.75%を超えるソラソニン(solasonine)およびソラマージン(solamargine)から構成される、項1に記載の水溶性抽出物。
項24.0.3:1.0から1.0:0.6までの範囲のソラソニン対ソラマージン比を有する、項1に記載の水溶性抽出物。
項25.0.4:1.0から0.9:1.0までの範囲のソラソニン対ソラマージン比を有する、項1に記載の水溶性抽出物。
項26.約0.7:1.0のソラソニン対ソラマージン比を有する、項1に記載の水溶性抽出物。
項27.2から20mg/ml、またはそれ以上の範囲の水溶性(water solubility)を有する、項1に記載の水溶性抽出物。
項28.腫瘍/ガン細胞の増殖を阻害することにおいて有効な医薬品の製造において使用され得る、項1〜27のいずれか1項に記載の水溶性抽出物。
項29.項1〜27のいずれか1項に記載の水溶性抽出物、および必要に応じて薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
項30.項1〜27のいずれか1項に記載の水溶性抽出物、および必要に応じて薬学的に許容される担体を含む、腫瘍/ガン細胞の増殖を阻害するための薬学的組成物。
項31.(a)ソラヌム(Solanum)属の植物の植物原料(plant material)を3〜5のpH値を有する酸性水溶液を用いる抽出処理にかけ、水溶液を得る工程;
(b)工程(a)において得られた水溶液のpH値を塩基でpH8〜10に調整し、沈殿物を形成させる工程;
(c)工程(b)において形成された沈殿物を水で洗浄し、その後乾燥し、乾燥生成物を得る工程;
(d)工程(c)において得られる乾燥生成物をクロロホルムと混合し、その後適量の100%アルコールを添加し、クロロホルム−アルコール混合物を形成させる工程;
(e)工程(d)において形成されるクロロホルム−アルコール混合物を、予め決められた水:アルコール比を有する水/アルコール溶液と混合し、クロロホルム−ベース(chloroform-based)層および非−クロロホルム−ベース(non-chloroform-based)層を含む混合物を得る工程;
(f)工程(e)において得られる混合物からクロロホルム−ベース層を取り除き、次いで適量の水を添加する工程;および
(g)工程(f)の結果生じる混合物から上清を得、その後その上清を乾燥する工程;(ここで、結果生じた乾燥生成物は水に直接的に溶解され得、帯黄色の澄んだ透明の水溶液を形成する)
を包含する、ソラヌム(Solanum)属の植物から水溶性抽出物を調製するための方法。
項32.工程(a)において、前記ソラヌム(Solanum)属の植物の植物原料が予備処理において切り刻まれている(chopped)、項31に記載の方法。
項33.工程(a)において、植物原料が、前記ソラヌム(Solanum)属の植物の果実、根、茎、および葉の少なくとも1種である、項31に記載の方法。
項34.工程(a)において、植物原料が前記ソラヌム(Solanum)属の植物の果実である、項31に記載の方法。
項35.工程(a)において、植物原料が前記ソラヌム(Solanum)属の植物の植物全体である、項31に記載の方法。
項36.工程(a)において、植物原料が、
ソラヌム インサヌム L(Solanum incanum L)、ソラヌム インディクム(Solanum indicum)、ソラヌム ニグルム(Solanum nigrum)、ソラヌム カプシカストルム(Solanum capsicastrum)、ソラヌム キサントカルプム(Solanum xanthocarpum)、ソラヌム メロンゲナ(Solanum melongena)、ソラヌム コアグランス(Solanum coagulans)、ソラヌム トゥニグルム(Solanum tunigrum)、ソラヌム ソドメウム(Solanum sodomeum)、ソラヌム トゥーベロースム(Solanum turburosum)、ソラヌム アクレアストルム(Solanum aculeastrum)、ソラヌム リコカルプム(Solanum lycocarpum)、ソラヌム カーシアヌム(Solanum khasianum)、ソラヌム スアヴェオレンズ(Solanum suaveolens)、ソラヌム ウポロ(Solanum uporo)、ソラヌム アブチロイデス(Solanum abutiloides)、ソラヌム コッシネウム(Solanum coccineum)、ソラヌム ウングイキュラツム(Solanum unguiculatum)、ソラヌム ロブスツム(Solanum robustum)、ソラヌム アングイヴィ(Solanum anguivi)、ソラヌム プラタニオフォリウム(Solanum platanifolium)、ソラヌム マッモスム(Solanum mammosum)
およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるソラヌム(Solanum)属の植物に由来する、項31に記載の方法。
項37.工程(a)において、植物原料がソラヌム インサヌム L(Solanum incanum L.)由来である、項36に記載の方法。
項38.工程(a)において、植物原料がソラヌム ニグルム(Solanum nigrum)由来である、項36に記載の方法。
項39.工程(a)において、水溶液が、抽出処理に続いて遠心を行うことによって得られる、項31に記載の方法。
項40.工程(a)において、抽出処理における酸性水溶液が、蟻酸、酢酸、または塩酸を含む水
溶液である、項31に記載の方法。
項41.工程(b)において、塩基が、アルカリ水酸化物(alkali hydroxides)および水酸化アンモニウムからなる群より選択される化合物を含むアルカリ性水溶液である、項31に記載の方法。
項42.工程(b)において、塩基が、水酸化アンモニウムを含むアルカリ性水溶液である、項41に記載の方法。
項43.工程(b)において、塩基が、水酸化ナトリウムを含むアルカリ性水溶液である、項41に記載の方法。
項44.工程(b)において、沈殿物が、pH値調整に続いて遠心を行うことによって得られる、項31に記載の方法。
項45.工程(c)において、乾燥処理が、凍結乾燥(lyophilization)、噴霧乾燥(spray-drying)、エバポレーション(evaporation)、加熱乾燥(heat-drying)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、項31に記載の方法。
項46.工程(c)において、乾燥生成物が、工程(b)において形成される沈殿を水で洗浄し、該洗浄された沈殿物を水に懸濁し、次いで凍結乾燥を行うことによって得られる、項31に記載の方法。
項47.工程(d)および(e)において、アルコールが、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、項31に記載の方法。
項48.工程(f)において、クロロホルム−ベース層の除去が遠心によって行われる、項31に記載の方法。
項49.工程(g)において、乾燥処理が、凍結乾燥(lyophilization)、噴霧乾燥(spray-drying)、エバポレーション(evaporation)、加熱乾燥(heat-drying)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、項31に記載の方法。
項50.工程(g)から結果生じる生成物が、ナノ粒子サイズ(nanoparticle size)を有する水溶性粒子の形態である、項31に記載の方法。
項51.工程(g)から結果生じる生成物が、1μmより小さい粒子サイズを有する水溶性粒子の形態である、項50に記載の方法。
項52.工程(g)から結果生じる生成物が、実質的に少なくとも60%〜90%のソラソニン(solasonine)およびソラマージン(solamargine)からなる、項31に記載の方法。
項53.工程(g)から結果生じる生成物が、75%を超えるソラソニン(solasonine)およびソラマージン(solamargine)から構成される、項52に記載の方法。
項54.工程(g)から結果生じる生成物が、0.3:1.0から1.0:0.6までの範囲のソラソニン対ソラマージン比を有する、項31に記載の方法。
項55.工程(g)から結果生じる生成物が0.4:1.0から0.9:1.0までの範囲のソラソニン対ソラマージン比を有する、項31に記載の方法。
項56.工程(g)から結果生じる生成物が、約0.7:1.0のソラソニン対ソラマージン比を有する、項31に記載の方法。
項57.工程(g)から結果生じる生成物が、2から20mg/ml、またはそれ以上の範囲の水溶性(water solubility)を有する、項31に記載の方法。
項58.項31〜57のいずれか1項に記載の方法によって調製される水溶性抽出物、および必要に応じて薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
項59.項31〜57のいずれか1項に記載の方法によって調製される水溶性抽出物、および必要に応じて薬学的に許容される担体を含む、腫瘍/ガン細胞の増殖を阻害するための薬学的組成物。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1A】図1Aは、Solanum incanum L.から得られた水溶性抽出物(25μg)のHPLCスペクトルを示す。
【図1B】図1Bは、ソラソニン(5μg)を混合したSolanum incanum L.から得られた水溶性抽出物(25μg)のHPLCスペクトルを示す。
【図1C】図1Cは、ソラマージン(5μg)を混合したSolanum incanum L.から得られた水溶性抽出物(25μg)のHPLCスペクトルを示す。
【図2A】図2Aは、Solanum nigrum から得られた水溶性抽出物(25μg)のHPLCスペクトルを示す。
【図2B】図2Bは、ソラソニン(5μg)を混合したSolanum nigrumから得られた水溶性抽出物(25μg)のHPLCスペクトルを示す。
【図2C】図2Cは、ソラマージン(5μg)を混合したSolanum nigrumから得られた水溶性抽出物(25μg)のHPLCスペクトルを示す。
【図3A】図3A−3Fは、種々の濃度を有するSolanum incanum L. から得られた水溶性抽出物のHPLCスペクトルである。
【図3B】図3A−3Fは、種々の濃度を有するSolanum incanum L. から得られた水溶性抽出物のHPLCスペクトルである。
【図3C】図3A−3Fは、種々の濃度を有するSolanum incanum L. から得られた水溶性抽出物のHPLCスペクトルである。
【図3D】図3A−3Fは、種々の濃度を有するSolanum incanum L. から得られた水溶性抽出物のHPLCスペクトルである。
【図3E】図3A−3Fは、種々の濃度を有するSolanum incanum L. から得られた水溶性抽出物のHPLCスペクトルである。
【図3F】図3A−3Fは、種々の濃度を有するSolanum incanum L. から得られた水溶性抽出物のHPLCスペクトルである。
【図4】図4は、図3A−3FのHPLCスペクトルから推定されるSolanum incanum L.の水溶性抽出物における主成分の量的基準(quantitative standards)を示すグラフである。
【図5A】図5A−5Fは、種々のpH値におけるSolanum incanum L. から得られた水溶性抽出物のHPLCスペクトルである。
【図5B】図5A−5Fは、種々のpH値におけるSolanum incanum L. から得られた水溶性抽出物のHPLCスペクトルである。
【図5C】図5A−5Fは、種々のpH値におけるSolanum incanum L. から得られた水溶性抽出物のHPLCスペクトルである。
【図5D】図5A−5Fは、種々のpH値におけるSolanum incanum L. から得られた水溶性抽出物のHPLCスペクトルである。
【図5E】図5A−5Fは、種々のpH値におけるSolanum incanum L. から得られた水溶性抽出物のHPLCスペクトルである。
【図5F】図5A−5Fは、種々のpH値におけるSolanum incanum L. から得られた水溶性抽出物のHPLCスペクトルである。
【図6】図6は、それぞれ、本発明に従うSolanum incanum L. から、あるいはEP 0 020 029 A1の方法から得られる水溶性抽出物の粒子サイズにおける比較結果を示す。
【図7A】図7Aおよび7Bは、本発明に従うSolanum incanum L. から、あるいはEP 0 020 029 A1の方法から得られた水溶性抽出物のHPLCスペクトルであり、ここで、この2つの方法から得られた50μgの水溶性抽出物は水に溶解され、その後HPLC分析される。
【図7B】図7Aおよび7Bは、本発明に従うSolanum incanum L. から、あるいはEP 0 020 029 A1の方法から得られた水溶性抽出物のHPLCスペクトルであり、ここで、この2つの方法から得られた50μgの水溶性抽出物は水に溶解され、その後HPLC分析される。
【図8A】図8A−8Cは、本発明に従うSolanum incanum L. から得られる一連の投与量の水溶性抽出物のヒト肝ガン、肺ガンおよび乳ガン細胞の増殖に及ぼす抑制効果を示すグラフである。
【図8B】図8A−8Cは、本発明に従うSolanum incanum L. から得られる一連の投与量の水溶性抽出物のヒト肝ガン、肺ガンおよび乳ガン細胞の増殖に及ぼす抑制効果を示すグラフである。
【図8C】図8A−8Cは、本発明に従うSolanum incanum L. から得られる一連の投与量の水溶性抽出物のヒト肝ガン、肺ガンおよび乳ガン細胞の増殖に及ぼす抑制効果を示すグラフである。
【図9】図9は、遺伝子チップ上のオートラジオグラフィー結果(本発明に従うSolanum incanum L. から得られる水溶性抽出物の肺ガン細胞の遺伝子調節に及ぼす影響を示す)を示す1セットのグラフである(ここで、RNAサンプルは、Solanum incanum L.から得られた水溶性抽出物(100μg/ml)で2時間処理された肺ガン細胞から単離され、そして標識cDNAを生成する[32P]−dCTPを用いる逆転写にかけられ、そしてこのように得られる標識cDNAは、遺伝子チップアレイ上のDNAフラグメントへハイブリダイズされ、その後X−線フィルムへのオートラジオグラフィーが行われる);
【図10】図10は、本発明に従うSolanum incanum L. から得られる水溶性抽出物で処理される肝ガン細胞(ラインA)、肺ガン細胞(ラインB)、および乳ガン細胞(ラインC)の形態学的変化を示す1セットの写真である。
【図11A】図11A、11Bおよび11Cは、本発明に従うSolanum incanum L. から得られた水溶性抽出物を投与されていないヌードマウス、該抽出物を経口投与されたヌードマウス、および該抽出物を腹腔内に投与されたヌードマウスにおける腫瘍の大きさにおける変化を示すグラフであり、ここで、各曲線は、1匹のヌードマウスにおける腫瘍の大きさにおける変化を表す。
【図11B】図11A、11Bおよび11Cは、本発明に従うSolanum incanum L. から得られた水溶性抽出物を投与されていないヌードマウス、該抽出物を経口投与されたヌードマウス、および該抽出物を腹腔内に投与されたヌードマウスにおける腫瘍の大きさにおける変化を示すグラフであり、ここで、各曲線は、1匹のヌードマウスにおける腫瘍の大きさにおける変化を表す。
【図11C】図11A、11Bおよび11Cは、本発明に従うSolanum incanum L. から得られた水溶性抽出物を投与されていないヌードマウス、該抽出物を経口投与されたヌードマウス、および該抽出物を腹腔内に投与されたヌードマウスにおける腫瘍の大きさにおける変化を示すグラフであり、ここで、各曲線は、1匹のヌードマウスにおける腫瘍の大きさにおける変化を表す。
【図12】図12は、本発明に従うSolanum incanum L. から得られたソラソニンおよびソラマージンのヒト肺ガン細胞の増殖に及ぼす抑制効果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に少なくとも60%〜90%のソラマージン(solamargine)およびソラソニン(solasonine)からなるソラヌム(Solanum)属の植物由来の水溶性抽出物。
【請求項2】
ソラヌム インサヌム L(Solanum incanum L)、ソラヌム インディクム(Solanum indicum)、ソラヌム ニグルム(Solanum nigrum)、ソラヌム カプシカストルム(Solanum capsicastrum)、ソラヌム キサントカルプム(Solanum xanthocarpum)、ソラヌム メロンゲナ(Solanum melongena)、ソラヌム コアグランス(Solanum coagulans)、ソラヌム トゥニグルム(Solanum tunigrum)、ソラヌム ソドメウム(Solanum sodomeum)、ソラヌム トゥーベロースム(Solanum turburosum)、ソラヌム アクレアストルム(Solanum aculeastrum)、ソラヌム リコカルプム(Solanum lycocarpum)、ソラヌム カーシアヌム(Solanum khasianum)、ソラヌム スアヴェオレンズ(Solanum suaveolens)、ソラヌム ウポロ(Solanum uporo)、ソラヌム アブチロイデス(Solanum abutiloides)、ソラヌム コッシネウム(Solanum coccineum)、ソラヌム ウングイキュラツム(Solanum unguiculatum)、ソラヌム ロブスツム(Solanum robustum)、ソラヌム アングイヴィ(Solanum anguivi)、ソラヌム プラタニオフォリウム(Solanum platanifolium)、ソラヌム マッモスム(Solanum mammosum)
およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるソラヌム(Solanum)属の植物から抽出される、請求項1に記載の水溶性抽出物。
【請求項3】
ソラヌム インサナム L(Solanum incanum L)から抽出される、請求項2に記載の水溶性抽出物。
【請求項4】
ソラヌム ニグルム(Solanum nigrum)から抽出される、請求項2に記載の水溶性抽出物。
【請求項5】
ナノ粒子サイズ(nanoparticle size)を有する水溶性粒子の形態である、請求項1に記載の水溶性抽出物。
【請求項6】
1μmより小さい粒子サイズを有する水溶性粒子の形態である、請求項5に記載の水溶性抽出物。
【請求項7】
75%を超えるソラソニン(solasonine)およびソラマージン(solamargine)から構成される、請求項1に記載の水溶性抽出物。
【請求項8】
0.3:1.0から1.0:0.6までの範囲のソラソニン対ソラマージン比を有する、請求項1に記載の水溶性抽出物。
【請求項9】
0.4:1.0から0.9:1.0までの範囲のソラソニン対ソラマージン比を有する、請求項1に記載の水溶性抽出物。
【請求項10】
約0.7:1.0のソラソニン対ソラマージン比を有する、請求項1に記載の水溶性抽出物。
【請求項11】
2から20mg/ml、またはそれ以上の範囲の水溶性(water solubility)を有する、請求項1に記載の水溶性抽出物。
【請求項12】
腫瘍/ガン細胞の増殖を阻害することにおいて有効な医薬品の製造において使用され得る、請求項1〜11のいずれか1項に記載の水溶性抽出物。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の水溶性抽出物、および必要に応じて薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の水溶性抽出物、および必要に応じて薬学的に許容される担体を含む、腫瘍/ガン細胞の増殖を阻害するための薬学的組成物。
【請求項15】
(a)ソラヌム(Solanum)属の植物の植物原料(plant material)を3〜5のpH値を有する酸性水溶液を用いる抽出処理にかけ、水溶液を得る工程;
(b)工程(a)において得られた水溶液のpH値を塩基でpH8〜10に調整し、沈殿物を形成させる工程;
(c)工程(b)において形成された沈殿物を水で洗浄し、その後乾燥し、乾燥生成物を得る工程;
(d)工程(c)において得られる乾燥生成物をクロロホルムと混合し、その後適量の100%アルコールを添加し、クロロホルム−アルコール混合物を形成させる工程;
(e)工程(d)において形成されるクロロホルム−アルコール混合物を、予め決められた水:アルコール比を有する水/アルコール溶液と混合し、クロロホルム−ベース(chloroform-based)層および非−クロロホルム−ベース(non-chloroform-based)層を含む混合物を得る工程;
(f)工程(e)において得られる混合物からクロロホルム−ベース層を取り除き、次いで適量の水を添加する工程;および
(g)工程(f)の結果生じる混合物から上清を得、その後その上清を乾燥する工程;(ここで、結果生じた乾燥生成物は水に直接的に溶解され得、帯黄色の澄んだ透明の水溶液を形成する)
を包含する、ソラヌム(Solanum)属の植物から水溶性抽出物を調製するための方法。
【請求項16】
工程(a)において、前記ソラヌム(Solanum)属の植物の植物原料が予備処理において切り刻まれている(chopped)、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
工程(a)において、植物原料が、前記ソラヌム(Solanum)属の植物の果実、根、茎、および葉の少なくとも1種である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
工程(a)において、植物原料が前記ソラヌム(Solanum)属の植物の果実である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
工程(a)において、植物原料が前記ソラヌム(Solanum)属の植物の植物全体である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
工程(a)において、植物原料が、
ソラヌム インサヌム L(Solanum incanum L)、ソラヌム インディクム(Solanum indicum)、ソラヌム ニグルム(Solanum nigrum)、ソラヌム カプシカストルム(Solanum capsicastrum)、ソラヌム キサントカルプム(Solanum xanthocarpum)、ソラヌム メロンゲナ(Solanum melongena)、ソラヌム コアグランス(Solanum coagulans)、ソラヌム トゥニグルム(Solanum tunigrum)、ソラヌム ソドメウム(Solanum sodomeum)、ソラヌム トゥーベロースム(Solanum turburosum)、ソラヌム アクレアストルム(Solanum aculeastrum)、ソラヌム リコカルプム(Solanum lycocarpum)、ソラヌム カーシアヌム(Solanum khasianum)、ソラヌム スアヴェオレンズ(Solanum suaveolens)、ソラヌム ウポロ(Solanum uporo)、ソラヌム アブチロイデス(Solanum abutiloides)、ソラヌム コッシネウム(Solanum coccineum)、ソラヌム ウングイキュラツム(Solanum unguiculatum)、ソラヌム ロブスツム(Solanum robustum)、ソラヌム アングイヴィ(Solanum anguivi)、ソラヌム プラタニオフォリウム(Solanum platanifolium)、ソラヌム マッモスム(Solanum mammosum)
およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるソラヌム(Solanum)属の植物に由来する、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
工程(a)において、植物原料がソラヌム インサヌム L(Solanum incanum L.)由来である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
工程(a)において、植物原料がソラヌム ニグルム(Solanum nigrum)由来である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
工程(a)において、水溶液が、抽出処理に続いて遠心を行うことによって得られる、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
工程(a)において、抽出処理における酸性水溶液が、蟻酸、酢酸、または塩酸を含む水
溶液である、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
工程(b)において、塩基が、アルカリ水酸化物(alkali hydroxides)および水酸化アンモニウムからなる群より選択される化合物を含むアルカリ性水溶液である、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
工程(b)において、塩基が、水酸化アンモニウムを含むアルカリ性水溶液である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
工程(b)において、塩基が、水酸化ナトリウムを含むアルカリ性水溶液である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
工程(b)において、沈殿物が、pH値調整に続いて遠心を行うことによって得られる、請求項15に記載の方法。
【請求項29】
工程(c)において、乾燥処理が、凍結乾燥(lyophilization)、噴霧乾燥(spray-drying)、エバポレーション(evaporation)、加熱乾燥(heat-drying)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項30】
工程(c)において、乾燥生成物が、工程(b)において形成される沈殿を水で洗浄し、該洗浄された沈殿物を水に懸濁し、次いで凍結乾燥を行うことによって得られる、請求項15に記載の方法。
【請求項31】
工程(d)および(e)において、アルコールが、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項32】
工程(f)において、クロロホルム−ベース層の除去が遠心によって行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項33】
工程(g)において、乾燥処理が、凍結乾燥(lyophilization)、噴霧乾燥(spray-drying)、エバポレーション(evaporation)、加熱乾燥(heat-drying)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項34】
工程(g)から結果生じる生成物が、ナノ粒子サイズ(nanoparticle size)を有する水溶性粒子の形態である、請求項15に記載の方法。
【請求項35】
工程(g)から結果生じる生成物が、1μmより小さい粒子サイズを有する水溶性粒子の形態である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
工程(g)から結果生じる生成物が、実質的に少なくとも60%〜90%のソラソニン(solasonine)およびソラマージン(solamargine)からなる、請求項15に記載の方法。
【請求項37】
工程(g)から結果生じる生成物が、75%を超えるソラソニン(solasonine)およびソラマージン(solamargine)から構成される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
工程(g)から結果生じる生成物が、0.3:1.0から1.0:0.6までの範囲のソラソニン対ソラマージン比を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項39】
工程(g)から結果生じる生成物が0.4:1.0から0.9:1.0までの範囲のソラソニン対ソラマージン比を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項40】
工程(g)から結果生じる生成物が、約0.7:1.0のソラソニン対ソラマージン比を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項41】
工程(g)から結果生じる生成物が、2から20mg/ml、またはそれ以上の範囲の水溶性(water solubility)を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項42】
請求項15〜41のいずれか1項に記載の方法によって調製される水溶性抽出物、および必要に応じて薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項43】
請求項15〜41のいずれか1項に記載の方法によって調製される水溶性抽出物、および必要に応じて薬学的に許容される担体を含む、腫瘍/ガン細胞の増殖を阻害するための
薬学的組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−145849(P2007−145849A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339796(P2006−339796)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【分割の表示】特願2003−306481(P2003−306481)の分割
【原出願日】平成15年8月29日(2003.8.29)
【出願人】(503315263)徳英生物科技股▲分▼有限公司 (3)
【出願人】(503315274)
【Fターム(参考)】