説明

Srcファミリーキナーゼ阻害剤

本発明は、Srcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼの活性を調節する能力を持つ抗炎症剤として使用するための、一般式I:


[式中、X、A、R1およびR2は明細書中に定義されるとおりである。]
の化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Srcキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼの阻害剤として使用するための、以下に定義する式Iの化合物、ならびにSrcキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼが関わる炎症性の疾患または障害の予防または処置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質チロシンキナーゼは、タンパク質基質中のチロシン残基へのアデノシン三リン酸の末端リン酸基の転移を触媒する酵素のファミリーである。タンパク質基質上のチロシン残基のリン酸化は、免疫系の細胞(例えばT細胞)の成長および活性化など、広範囲にわたるさまざまな細胞内過程を制御する細胞内シグナルの伝達につながる。T細胞活性化はいくつかの炎症性状態および免疫系の他の障害(例えば自己免疫性疾患)に関係づけられるので、タンパク質チロシンキナーゼの活性の調節は、炎症性疾患の処置に対する興味深いルートであると思われる。数多くのタンパク質チロシンキナーゼが同定されており、それらは受容体タンパク質チロシンキナーゼ、例えばインスリン受容体である場合も、非受容体タンパク質チロシンキナーゼである場合もある。
【0003】
Srcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼは、炎症性応答に関係する細胞内シグナル伝達にとって、とりわけ重要であることが見出されている(D. Okutaniら, Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol. 291, 2006, pp. L129-L141;CA. Lowell, Mol. Immunol. 41, 2004, pp. 631-643参照)。いくつかのSrcファミリータンパク質チロシンキナーゼ、例えばSrc、YesおよびFynは、さまざまな細胞タイプおよび組織中で発現され、他の発現は特異的細胞タイプ、例えば造血細胞に限定される。すなわちタンパク質チロシンキナーゼLckは、ほとんどもっぱらT細胞でのみ、T細胞受容体の下流で活性化される最初のシグナリング分子として発現され、その活性はT細胞シグナル伝達にとって不可欠である。Hck、LynおよびFgrの発現は、成熟した単球およびマクロファージにおいて、LPSなどの炎症性刺激によって増加する。また、主なB細胞Srcファミリーキナーゼ、すなわちLyn、FynおよびBlkの遺伝子発現が乱されると、未成熟B細胞は成熟B細胞へと変化することができなくなる。Srcファミリーキナーゼはまた、単球、マクロファージおよび好中球の動員および活性化に不可欠であり、組織細胞の炎症性応答に関与することが確認されている。例えばHck、LynおよびFgrの発現は、成熟した単球およびマクロファージにおいて、LPSなどの炎症性刺激によって増加することが見出されている。
【0004】
かなりの数の自己免疫性疾患および炎症性疾患が、T細胞およびB細胞ならびに免疫系の他の細胞、例えば単球およびマクロファージの活性化を伴う。したがって、これらの細胞タイプの活性化を阻害する能力を持つ化合物は、そのような疾患の処置において有用な治療剤であると考えられる。
【0005】
WO 2005/054179では、式Iの化合物が、VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤として開示され、VEGF依存性の血管新生および細胞増殖に関連する疾患の処置に使用することが提案されている。この文献には、これらの化合物が他のキナーゼ、例えばSrcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼの阻害剤として活性であるかもしれないこと、また、そのため抗炎症剤および免疫調節剤としての有用性を示すかもしれないことは、開示されていない。
【発明の概要】
【0006】
本発明につながる研究の過程で、驚いたことに、WO 2005/054179に開示された化合物のサブセットが、いくつかの他のチロシンキナーゼ、例えば細胞における炎症性応答または免疫応答に関与するタンパク質チロシンキナーゼに対しても活性を持つことが見出された。したがって、それらの化合物は、VEGF受容体の阻害剤として作用することに加えて、上に示したとおり多くの非感染性炎症性または自己免疫性の疾患および障害においてアップレギュレートされるSrcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼの活性を調節する能力を持つ。
【0007】
すなわち本発明は、Srcタンパク質チロシンキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼの活性を調節する能力を持つ抗炎症剤として使用するための、一般式Iの化合物、およびその薬学的に許容できる塩、水和物または溶媒和物に関する:
【化1】

[式中、Xは窒素またはCHを表す;
Aは、直鎖状、分枝鎖状および/または環状の飽和または不飽和炭化水素基、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、またはヘテロアリールを表し、これらはいずれも、R1からなる群より独立して選択される一つ以上の置換基で置換されてもよい;
R1は、オキソ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、カルボキシ、シアノ、アルコキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルウレイド、アルキルチオウレイド、アルキルカルボニル、アルコキシスルホニルオキシ、アミノスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、アルキルスルホニル、ホルミル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールおよび直鎖状または分枝鎖状の飽和または不飽和炭化水素基を表し、該アミノ、アルコキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルウレイド、アルキルチオウレイド、アルキルカルボニル、アルコキシスルホニルオキシ、アミノスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、アルキルスルホニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールおよび直鎖状または分枝鎖状の飽和または不飽和炭化水素基は、R3からなる群より独立して選択される一つ以上の置換基で置換されてもよい;
R2は、アミノ、アミノスルホニル、アミノカルボニル、アルキルウレイド、アルキルチオウレイドまたはアミノカルボニルオキシを表し、該アミノ、アミノスルホニル、アミノカルボニル、アルキルウレイド、アルキルチオウレイドまたはアミノカルボニルオキシはいずれも、R3からなる群より独立して選択される一つ以上の置換基で置換されてもよい;
R3は、水素、シクロアルキル、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル-ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルカルボニルアミノ、シクロアルケニル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシイミノ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルウレイド、アルキルチオウレイド、アルキルカルボニル、アルコキシスルホニルオキシ、アミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ホルミル、アミノカルボニル、およびアルキルカルボニルアミノを表し、該アミノ、イミノ、シクロアルキル、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル-ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルカルボニルアミノ、シクロアルケニル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシイミノ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルウレイド、アルキルチオウレイド、アルキルカルボニル、アルコキシスルホニルオキシ、アミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノカルボニル、およびアルキルカルボニルアミノは、水素、ハロゲン、オキソ、チオキソ、ヒドロキシル、アミノ、イミノ、ニトロ、カルボキシ、シアノ、アルコキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシスルホニルオキシ、アミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノカルボニルオキシ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、ホルミル、アミノカルボニル、トリフルオロメチル、アルキルカルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、アルキルウレイド、アルキルチオウレイド、ヘテロアリール、シクロアルキル、アルキル、シクロアルケニル、アルケニル、アルキニル、およびアルキルアミノカルボニルからなる群より独立して選択される一つ以上の置換基で置換されてもよい]。
【0008】
もう一つの態様において、本発明は、細胞における炎症および/または免疫応答に関与するSrcタンパク質チロシンキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼの活性を調節する方法であって、Srcタンパク質チロシンキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼを少なくとも一つは発現させる細胞を、該細胞における該タンパク質チロシンキナーゼの活性を調節するのに有効な量の、上に定義した式Iの化合物と接触させることを含む方法に関する。
【0009】
もう一つの態様において、本発明は、細胞における炎症および/または免疫応答に関与するJAKタンパク質チロシンキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼの活性を調節する方法であって、JAKタンパク質チロシンキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼを少なくとも一つは発現させる細胞を、該細胞における該タンパク質チロシンキナーゼの活性を調節するのに有効な量の、上に定義した式Iの化合物と接触させることを含む方法に関する。
【0010】
もう一つの態様において、本発明は、細胞における炎症および/または免疫応答に関与するRAFファミリーのセリン/スレオニンキナーゼの活性を調節する方法であって、RAFファミリーキナーゼを発現させる細胞を、該細胞における該RAFファミリーキナーゼの活性を調節するのに有効な量の、上に定義した式Iの化合物と接触させることを含む方法に関する。
【0011】
もう一つの態様において、本発明は、細胞における炎症および/または免疫応答に関与するcKitおよびFms/CSF-1Rからなる群より選択される受容体チロシンキナーゼの活性を調節する方法であって、cKitまたはFms/CSF-1Rの少なくとも一つを発現させる細胞を、該細胞における該受容体チロシンキナーゼの活性を調節するのに有効な量の、上に定義した式Iの化合物と接触させることを含む方法に関する。
【0012】
さらにもう一つの態様において、本発明は、Srcタンパク質チロシンキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼ、および/またはJak-2および/またはRaf-1および/またはcKitおよび/またはFms/CSF-1Rキナーゼの、細胞における炎症誘発活性を低下させる方法であって、少なくとも一つのSrcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼ、および/またはJak-2および/またはRaf-1および/またはcKitおよび/またはFms/CSF-1Rキナーゼを発現させる細胞を、該キナーゼの活性を阻害するのに有効な量の、上に定義した一般式Iの化合物と接触させることを含む方法に関する。
【0013】
さらにもう一つの態様において、本発明は、上に定義した一般式Iの化合物の使用であって、少なくとも一つのSrcタンパク質チロシンキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼ、および/またはJak-2および/またはRaf-1および/またはcKitおよび/またはFms/CSF-1Rキナーゼが重要に関与する非感染性炎症性または自己免疫性の疾患または状態を予防または処置する医薬組成物を製造するための使用に関する。
【0014】
さらにもう一つの態様において、本発明は、少なくとも一つのSrcタンパク質チロシンキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼ、および/またはJak-2および/またはRaf-1および/またはcKitおよび/またはFms/CSF-1Rキナーゼが重要に関与する非感染性炎症性または自己免疫性の疾患または状態を予防または処置する方法であって、その必要がある患者に、上に定義した一般式Iの化合物を有効量で投与することを含む方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
定義
用語「炭化水素基」は、水素および炭素原子だけを有する基を示すものとし、これは、一つ以上の二重および/または三重炭素-炭素結合を含有してもよく、分枝鎖状部分または直鎖状部分と組み合わされた環状部分を含んでもよい。前記炭化水素は1〜20個の炭素原子を含み、好ましくは1〜12個、例えば1〜6個、例えば1〜4個、例えば1〜3個、例えば1〜2個の炭素原子を含む。この用語は、以下に示すアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキニルおよびアリールを包含する。
【0016】
本発明において、用語「アルキル」は、一つの水素原子を炭化水素から除去した場合に得られる基を示すものとする。アルキルは1〜20個、好ましくは1〜12個、例えば2〜6個、例えば3〜4個の炭素原子を含む。この用語は次のサブクラスを包含する:直鎖アルキル(n-アルキル)、第二級アルキルおよび第三級アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルおよびイソヘキシル。
【0017】
用語「シクロアルキル」は、3〜20個の炭素原子、好ましくは3〜10個の炭素原子、特に3〜8個の炭素原子、例えば3〜6個の炭素原子、例えば4〜5個の炭素原子を含む、飽和シクロアルカン基(二環式または三環式基などの多環式基を包含する)、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルおよびアダマンチルを示すものとする。
【0018】
用語「シクロアルケニル」は、3〜20個の炭素原子を含み、典型的には3〜10個の炭素原子、例えば3〜6個の炭素原子、例えば4〜5個の炭素原子を含む、モノ-、ジ-、トリ-またはテトラ-不飽和非芳香族環式炭化水素基(多環式基を包含する)、例えばシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプテニル、またはビシクロ[4.1.0]ヘプテニルを示すものとする。
【0019】
用語「アルケニル」は、2〜10個の炭素原子、特に2〜6個の炭素原子、例えば2〜4個の炭素原子を含む、モノ-、ジ-、トリ、テトラ-またはペンタ-不飽和炭化水素基、例えばエテニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ノネニル、またはヘキセニルを示すものとする。
【0020】
用語「アルキニル」は、1〜5個のC-C三重結合および2〜20個の炭素原子を含み、そのアルカン鎖が典型的には2〜10個の炭素原子、特に2〜6個の炭素原子、例えば2〜4個の炭素原子を含む炭化水素基、例えばエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルまたはヘキシニルを示すものとする。
【0021】
用語「ヘテロアリール」は、1〜6個のヘテロ原子(O、SおよびNから選択される)および1〜20個の炭素原子、例えば1〜5個のヘテロ原子および1〜10個の炭素原子、例えば1〜5個のヘテロ原子および1〜6個の炭素原子、例えば1〜5個のヘテロ原子および1〜3個の炭素原子を含む、場合によっては炭素環式環または複素環式環と縮合した、複素環式芳香環の基、特に、O、SおよびNから選択される1〜4個のヘテロ原子または1〜2個のヘテロ原子を持つ5もしくは6員環、または場合によっては、1〜4個のヘテロ原子を持つ縮合二環式環であって、少なくとも一つの環が芳香族であるもの、例えばピリジル、キノリル、イソキノリル、インドリル、テトラゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリミジニル、ピラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、1,2,4-トリアゾリル、イソオキサゾリル、ピロリジニル、チエニル、ピラジニル、ピリミジニル、[1,2,3]トリアゾリル、イソチアゾリル、テトラヒドロフラニル、イミダゾ[2,1-b]チアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、2H-クロメニル、またはベンゾフラニルを包含するものとする。
【0022】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、O、NまたはSから選択される1〜6個のヘテロ原子、好ましくは1〜3個のヘテロ原子を含む、上に定義したシクロアルキル基(炭素環式環と縮合していてもよい多環式基を包含する)、例えばテトラヒドロピラニル、モルホリン、イミダゾリジニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、またはピペリジニルを示すものとする。
【0023】
用語「ヘテロシクロアルケニル」は、O、NまたはSから選択される1〜6個のヘテロ原子、好ましくは1〜3個のヘテロ原子を含む、上に定義したシクロアルケニル基(炭素環式環と縮合していてもよい多環式基を包含する)、例えば1,6-ジヒドロピリジニル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]-トリアゾリル、4,5-ジヒドロ-オキサゾリル、1H-インダゾリル、1-H-ピラゾリル、または4,5-ジヒドロ-イソオキサゾリルを示すものとする。
【0024】
用語「アリール」は、6〜20個の炭素原子、例えば6〜14個の炭素原子、好ましくは6〜10個の炭素原子を含む芳香族炭素環式環の基、特に5または6員環、場合によっては、少なくとも一つの芳香環を持つ縮合炭素環式環、例えばフェニル、ナフチル、アントラセニル、インデニルまたはインダニルを示すものとする。
【0025】
用語「ハロゲン」は、周期表第7主族に由来する置換基、好ましくはフルオロ、クロロおよびブロモを示すものとする。
【0026】
用語「アルケニルカルボニルオキシ」は、式-O-C(O)-Rの基[式中、Rは上に示したアルケニルである]、例えばアクリロイルオキシを示すものとする。
【0027】
用語「アミノ」は、式-NR2の基[式中、各Rは独立して、水素、上に示したアルキル、アルケニル、シクロアルキル、またはアリールを表す]、例えば-NH2、アミノフェニル、メチルアミノ、ジエチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、-NH-フェニル、t-ブチルアミノまたはエチルアミノを示すものとする。
【0028】
用語「イミノ」は、式=N-Rの基[式中、Rは水素、または上に示したアルキルを表す]を示すものとする。
【0029】
用語「アルコキシ」は、式-ORの基[式中、Rは上に示したアルキルまたはアルケニルを表す]、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシなどを示すものとする。
【0030】
用語「アルキルチオ」は、式-S-Rの基[式中、Rは上に示したアルキルである]を示すものとする。
【0031】
用語「アルコキシカルボニル」は、式-C(O)-O-Rの基[式中、Rは上に示したアルキルである]、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n-プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルなどを示すものとする。
【0032】
用語「アルキルカルボニルオキシ」は、式-O-C(O)-Rの基[式中、Rは上に示したアルキルである]、例えばメチルカルボニルオキシ、またはエチルカルボニルオキシを示すものとする。
【0033】
用語「アルコキシカルボニルオキシ」は、式-O-C(O)-O-Rの基[式中、Rは上に示したアルキルである]を示すものとする。
【0034】
用語「アルキルカルボニル」は、式-C(O)-Rの基[式中、Rは上に示したアルキルである]、例えばアセチルを示すものとする。
【0035】
用語「アルキルウレイド」は、式-NR'-C(O)-NH-Rの基[式中、R'は水素、または上に示したアルキルであり、Rは水素、上に示したアルキルまたはシクロアルキルである]、例えば-NH-C(O)-NH2、メチルウレイド、エチルウレイド、t-ブチルウレイド、シクロヘキシルウレイド、メチルチオウレイド、イソプロピルウレイド、またはn-プロピルウレイドを示すものとする。
【0036】
用語「アルキルチオウレイド」は、式-NR'-C(S)-NH-Rの基[式中、R'は水素、または上に示したアルキルであり、Rは水素、上に示したアルキルまたはシクロアルキルである]、例えば-NH-C(S)-NH2を示すものとする。
【0037】
用語「アルコキシスルホニルオキシ」は、式-O-S(O)2-O-Rの基[式中、Rは上に示したアルキルである]を表すものとする。
【0038】
用語「アミノスルホニル」は、式-S(O)2-NR2の基[式中、各Rは独立して、水素、上に示したアルキルまたはアリールを表す]を示すものとする。
【0039】
用語「アミノカルボニルオキシ」は、式-NR'-C(O)-O-Rの基[式中、R'は水素、または上に示したアルキルであり、Rは上に示したアルキルである]、例えばアミノカルボニル-t-ブトキシを示すものとする。
【0040】
用語「アルキルスルホニルアミノ」は、式-NR'-S(O)2-Rの基[式中、Rは上に示したアルキルであり、R'は水素、または上に示したアルキルである]、例えばメチルスルホニルアミノを示すものとする。
【0041】
用語「アリールスルホニルアミノ」は、式-NR'-S(O)2-Rの基[式中、Rは上に示したアリールであり、R'は水素、または上に示したアルキルである]、例えばフェニルスルホニルアミノを示すものとする。
【0042】
用語「ヘテロアリールスルホニルアミノ」は、式-NR'-S(O)2-Rの基[式中、Rは上に示したヘテロアリールであり、R'は水素、または上に示したアルキルである]、例えばチアゾールスルホニルアミノを示すものとする。
【0043】
用語「アルコキシイミノ」は、式=N-O-Rの基[式中、Rは上に示したアルキルである]、例えばメトキシイミノを示すものとする。
【0044】
用語「アミノカルボニル」は、式-C(O)-NR'2の基[式中、各R'は独立して水素、上に示したアルキル、アルケニルまたはアリールである]、例えばカルバモイル、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、またはブチルアミノカルボニルを示すものとする。
【0045】
用語「アルキルカルボニルアミノ」は、式-NR'-C(O)-Rの基[式中、R'は水素、または上に示したアルキルであり、Rは上に示したアルキルである]、例えばアセチルアミノを示すものとする。
【0046】
用語「ヘテロシクロアルキルカルボニルアミノ」は、式-NR'-C(O)-R[式中、R'は水素、または上に示したアルキルであり、Rは上に示したヘテロシクロアルキルである]、例えばピロリジニルカルボニルアミノを示すものとする。
【0047】
用語「アリールスルホニルアミノ」は、式-NR'-S(O)2-Rの基[式中、R'は水素、または上に示したアルキルであり、Rは上に示したアリールである]を示すものとする。
【0048】
用語「アリールスルホニル」は、式-S(O)2-Rの基[式中、Rは上に示したアリールである]を示すものとする。
【0049】
用語「アルキルスルホニル」は、式-S(O)2-Rの基[式中、Rは上に示したアルキルである]、例えばメチルスルホニルを示すものとする。
【0050】
用語「薬学的に許容できる塩」は、式Iの化合物を、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、ガラクタル酸、乳酸、マレイン酸、L-リンゴ酸、フタル酸、クエン酸、プロピオン酸、安息香酸、グルタル酸、グルコン酸、D-グルクロン酸、メタンスルホン酸、サリチル酸、コハク酸、マロン酸、酒石酸、ベンゼンスルホン酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファミン酸またはフマル酸などの適切な無機酸または有機酸と反応させることによって製造される塩を示すものとする。式Iの化合物の薬学的に許容できる塩は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化銀、アンモニアなどの適切な塩基との反応によって製造することもできる。
【0051】
用語「溶媒和物」は、化合物(例えば式Iの化合物)と溶媒(例えばアルコール、グリセロールまたは水)との相互作用によって形成される化学種であって、前記化学種が固体形態であるものを示すものとする。水が溶媒である場合、前記化学種を水和物という。
【0052】
用語「Src」は、広範囲にわたる細胞中で発現され、マクロファージでは誘導的に発現される、Srcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼを示すために用いられる。Srcは、炎症性遺伝子発現のシグナル伝達経路に関与して、例えばLPSで刺激されたマクロファージにおけるTNF-α発現を媒介する。
【0053】
用語「Yes」は、広範囲にわたる細胞で発現されるSrcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼを示すために用いられる。Yesは、免疫細胞および炎症細胞におけるサイトカインシグナリングの下流でのシグナリングに関係づけられる。
【0054】
用語「Fyn」は、とりわけT細胞、B細胞、NK細胞およびマスト細胞中で発現されるSrcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼを示すために用いられ、これは、T細胞受容体を介したシグナリング(接着を介したシグナリング)に関与する。これはマスト細胞の脱顆粒およびサイトカイン産生に不可欠な役割を持つ。
【0055】
用語「Lck」は、とりわけT細胞およびNK細胞中で発現されるSrcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼを示すために用いられ、これは、T細胞の活性化および分化に中心的役割を果たす。
【0056】
用語「Lyn」は、T細胞、B細胞、NK細胞、好中球、好酸球、マクロファージ、単球、マスト細胞および樹状細胞などの造血細胞中で遍在的に発現されるSrcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼを示すために用いられ、これは、とりわけB細胞応答の調節に関与する。
【0057】
用語「Hck」は、とりわけ好中球、好酸球、単球、マクロファージおよび樹状細胞中で発現されるSrcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼを示すために用いられ、これは、最終的には増殖、分化および移動を含む細胞過程に影響を及ぼすさまざまな細胞外シグナルの伝達に関与する。
【0058】
用語「Fgr」は、とりわけ好中球、好酸球、単球、マクロファージおよび樹状細胞中で発現されるSrcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼを示すために用いられ、これは、B細胞受容体、FcRおよびインテグリン受容体ファミリーからのシグナリングカスケードに関与する。
【0059】
用語「Jak-2」は、免疫細胞中で高発現されるJAK(ヤヌスタンパク質チロシンキナーゼ)ファミリーのタンパク質チロシンキナーゼを示すために用いられ、これは、炎症誘発性サイトカインIL-6、IFN-γ、IL-3、IL-5およびGM-CSFを含む多くのサイトカインおよび増殖因子の下流でのシグナリングにとって不可欠である。
【0060】
用語「cKit」は、幹細胞因子(SCF)の受容体であって正常な造血に必要とされる受容体チロシンキナーゼを示すために用いられる。SCFはマスト細胞の発生、増殖および生存に必要なので、cKitはマスト細胞機能に不可欠な役割を果たす。SCFは、最適なIgE/抗原誘発性マスト細胞脱顆粒およびサイトカイン産生にとって不可欠である。c-kitの活性化は好酸球の活性化および脱顆粒を誘発する。
【0061】
用語「Fms/CSF-1R」は、CSF-1の受容体であって主として単球およびマクロファージによって発現される受容体チロシンキナーゼを示すために用いられる。CSF-1は、炎症時にマクロファージのエフェクター機能において中心的役割を果たし、マクロファージの分化、生存および機能を制御する。
【0062】
用語「Raf-1」は、RAFファミリーのチロシンキナーゼ様セリン/スレオニンキナーゼを示すために用いられ、そのメンバーは、GTP結合型Rasによって動員されてMEK-MAPキナーゼ経路を活性化する主要なエフェクターである。この経路は、炎症誘発性サイトカインGM-CSFの発現に関係づけられると共に、好中球の寿命を損なうことによる慢性炎症の発生に関係づけられている。
【0063】
好ましい実施形態
式Iの化合物およびそれらの化合物を製造する方法は、参照にその全体が本明細書に援用されるWO 2005/054179に開示されている。この刊行物では、該化合物が、血管新生(新しい血管の形成)に関与する受容体チロシンキナーゼVEGF-R2(KDR)の阻害剤であることが示されている。したがって、そのようなVEGF-R2の阻害剤は、血管新生が重要な役割を果たす疾患、例えばがん、網膜症および加齢性黄斑変性症などの処置に使用することが提案されている。しかし驚いたことに、先にWO 2005/054179で血管新生阻害剤として開示された一定の化合物は、炎症および免疫応答に関与するタンパク質チロシンキナーゼの極めて強力な阻害剤であり、したがって、病理発生過程において炎症が主要な役割を果たす疾患(特にSrcファミリーキナーゼが関わる炎症性または自己免疫性の疾患)の抑制剤として、潜在的可能性を持つことが見出された。
【0064】
特に、式Iの化合物は、タンパク質チロシンキナーゼSrc、Yes、Fyn、Lyn、Fgr、LckまたはHckの一つ以上の活性を、1μMの濃度で試験した場合に、少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、強力に阻害することが見出された。さらに、式Iの化合物は、タンパク質チロシンキナーゼJak-2を、1μMの濃度で試験した場合に、少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、強力に阻害することが見出された。また、式Iの化合物は、セリン/スレオニンキナーゼRaf-1を、1μMの濃度で試験した場合に、少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、強力に阻害することも見出された。また、式Iの化合物は、受容体チロシンキナーゼcKitおよびFsm/CSF-1Rを、1μMの濃度で試験した場合に、少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、強力に阻害することも見出された。
【0065】
現時点において好ましい実施形態では、式Iの化合物が、前記キナーゼの一つ以上を、下記実施例1に開示するような適切なインビトロアッセイで決定した場合に、200nM以下のIC50で阻害する能力を持つ。したがって式Iの化合物は、これらのキナーゼの一つ以上を、100nM以下のIC50で、例えば50nM以下、特に30nM以下、例えば25nM以下、20nM以下、15nM以下または10nM以下のIC50で、阻害する能力を持ちうる。好ましい実施形態では、式Iの化合物が、上に示したキナーゼのうちの少なくとも2個、または少なくとも3個、または少なくとも4個、または少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個、または少なくとも9個、または少なくとも10個、または好ましくは全てを、200nM以下のIC50で阻害する能力を持つ。
【0066】
驚いたことに、R2がアルキルウレイド、アルキルチオウレイド、アミノカルボニルまたはアミノスルホニル基などの窒素原子を含有する官能基を含む式Iの化合物は、Srcファミリータンパク質チロシンキナーゼのとりわけ効果的な阻害剤であるらしいことが見出された。いかなる特定の理論にも束縛されるわけではないが、分子中の窒素含有官能基の存在は、キナーゼの活性部位またはその近傍における特異的なATP競合的および/または非競合的相互作用をもたらすと考えられる。
【0067】
抗炎症剤として役立ちうる式Iの化合物の例を以下に示す:
2-[(2-アミノ-ピリジン-4-イルメチル)-アミノ]-N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-ベンズアミド(化合物1)、
N-(4-フルオロ-ベンジルオキシ)-2-[(2-モルホリン-4-イル-ピリジン-4-イルメチル)-アミノ]-ベンズアミド(化合物2)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-[(2-メタンスルホニルアミノ-ピリジン-4-イルメチル)-アミノ]-ベンズアミド(化合物3)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-[(2-メタンスルホニルアミノ-ピリジン-4-イルメチル)-アミノ]-ベンズアミド(化合物4)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-メチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物5)、
N-(4-シアノ-2-メトキシ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-メチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物6)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(3-メチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物7)、
N-(2,3-ジフルオロ-4-メチル-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-メチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物8)、
[3-(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-ウレイド]-酢酸エチルエステル(化合物9)、
(3-{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-ウレイド)-酢酸エチルエステル(化合物10)、
【0068】
[3-(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-ウレイド]-酢酸(化合物11)、
(3-{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-ウレイド)-酢酸(化合物12)、
2-メチル-アクリル酸2-[3-(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-ウレイド]-エチルエステル(化合物13)、
2-メチル-アクリル酸2-(3-{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-ウレイド)-エチルエステル(化合物14)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-({2-[3-(2-ヒドロキシ-エチル)-ウレイド]-ピリジン-4-イルメチル}-アミノ)-ベンズアミド(化合物15)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-({2-[3-(2-ヒドロキシ-エチル)-ウレイド]-ピリジン-4-イルメチル}-アミノ)-ベンズアミド(化合物16)、
酢酸(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イルカルバモイル)-メチルエステル(化合物17)、
酢酸{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イルカルバモイル}-メチルエステル(化合物18)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(2-ヒドロキシ-アセチルアミノ)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物19)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(シクロプロパンカルボニル-アミノ)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物20)、
【0069】
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(シクロプロパンカルボニル-アミノ)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物21)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-({2-[2-(2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-4-イル)-アセチルアミノ]-ピリジン-4-イルメチル}-アミノ)-ベンズアミド(化合物22)、
2-{[2-(3-メチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-N-(テトラヒドロ-ピラン-2-イルメトキシ)-ベンズアミド(化合物23)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-イソプロピル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物24)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-エチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物25)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(3-イソプロピル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物26)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(3-プロピル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物27)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(3-エチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物28)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(3-メチル-チオウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物29)、
2-{[2-(3-t-ブチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-N-シクロペンチルメトキシ-ベンズアミド(化合物30)、
【0070】
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-シクロヘキシル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物31)、
2-{[2-(3-シクロヘキシル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-N-シクロペンチルメトキシ-ベンズアミド(化合物32)、
N-{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-イソニコチンアミド(化合物33)、
1-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-ピロリジン-2-カルボン酸{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-アミド(化合物34)、
1-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-ピロリジン-2-カルボン酸(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-アミド(化合物35)、
1-アセチル-ピペリジン-4-カルボン酸{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-アミド(化合物36)、
1-アセチル-ピペリジン-4-カルボン酸(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-アミド(化合物37)、
ピロリジン-2-カルボン酸(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-アミド(化合物38)、および
ピロリジン-2-カルボン酸{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-アミド(化合物39)。
【0071】
本発明の目的にとって特に興味深いと現時点で考えられる化合物は、下記の実施例で化合物6と表記されるN-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(3-メチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミドである。
【0072】
式Iの化合物は、Srcファミリータンパク質チロシンキナーゼおよび他のキナーゼに対するその阻害活性の結果として、Srcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼ、および/またはJak-2および/またはRaf-1および/またはcKitおよび/またはFms/CSF-1Rキナーゼが重要に関与する非感染性炎症性または自己免疫性の疾患または状態の処置に、有用であると考えられる。
【0073】
そのような上記非感染性炎症性の疾患または状態の例は、急性炎症性疾患、例えば急性肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、アレルギー、アナフィラキシー、敗血症もしくは移植片対宿主病、または慢性炎症性疾患、例えばアトピー性皮膚炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、変形性関節症、痛風、乾癬性関節炎、肝硬変もしくは多発性硬化症からなる群より選択される。
【0074】
上記のような自己免疫性疾患の例は、自己免疫性胃炎、アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺炎、慢性特発性じんま疹、慢性免疫性ポリネフロパシー(polynephropathy)、糖尿病、糖尿病性腎症、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、原発性胆汁性肝硬変、全身性エリテマトーデスおよび甲状腺眼症からなる群より選択される。
【0075】
現時点において、式Iの化合物は、非感染性(例えばアレルギー性)結膜炎、ぶどう膜炎、虹彩炎、角膜炎、強膜炎、上強膜炎、交感性眼炎、眼瞼炎、乾性角結膜炎、または免疫学的角膜移植片拒絶などといった、非感染性炎症性の眼疾患または眼状態の処置に、とりわけ有用であると考えられる。
【0076】
式Iの化合物を患者に投与する際の用量は、処置する疾患または状態の重症度および投与経路に依存しうる。しかし一般的には、式Iの化合物は0.1〜500mg/kg体重の量で投与しうる。
【0077】
式Iの化合物は、経口(徐放または持続放出を包含する)、直腸、非経口(皮下、腹腔内、筋肉内、関節内および静脈内を包含する)、経皮、眼、局所外用、鼻または口腔投与に適した形態の医薬製剤に、適切に組み込むことができる。
【0078】
製剤は、例えばRemington「The Science and Practice of Pharmacy」第20版(2000)に開示されているような薬学分野で周知の方法のいずれによっても、都合よく製造することができる。どの方法も、活性成分を、一つ以上の補助成分を構成する担体と混合するステップを含む。一般に製剤は、活性成分を液状担体もしくは微細固形担体またはその両方と均一によく混合し、次に必要であれば、その生成物を所望の製剤へと付形することによって製造される。
【0079】
式Iの化合物を含有する経口投与に適した製剤は、各々が予め決定された量の活性成分を含有するカプセル剤、サシェ、錠剤またはロゼンジなどの個別単位の形態;粉末剤または顆粒剤の形態;水性液体またはエタノールもしくはグリセロールなどの非水性液体中の溶液剤または懸濁剤の形態;あるいは水中油型乳剤または油中水型乳剤の形態をとりうる。その油は、例えば綿実油、ゴマ油、ヤシ油またはラッカセイ油などの食用油であることができる。水性懸濁剤用の適切な分散剤または懸濁剤には、合成または天然ゴム、例えばトラガカント、アルギナート、アラビアゴム、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ゼラチン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマーおよびポリビニルピロリドンが含まれる。活性成分はまた、巨丸剤、舐剤またはペーストの形態で投与することもできる。
【0080】
錠剤は、活性成分を、場合によっては一つ以上の補助成分と共に、圧縮または成形することによって製造することができる。圧縮錠剤は、場合によっては、結合剤、例えばラクトース、グルコース、デンプン、ゼラチン、アラビアゴム、トラガカントゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ロウなど;滑沢剤、例えばオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなど;崩壊剤、例えばデンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドンなど;または分散剤、例えばポリソルベート80と混合された、粉末または顆粒などの流動性の形態にある活性成分を、適切な機械で圧縮することによって製造することができる。成形錠剤は、不活性液状希釈剤で湿らせた粉状活性成分と適切な担体との混合物を適当な機械で成形することによって製造することができる。
【0081】
直腸投与用の製剤は、本発明の化合物が低融点の水溶性または水不溶性固体、例えばカカオ脂、硬化植物油、ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコールの脂肪酸エステルなどと混合された坐剤の形態をとることができ、一方、エリキシル剤はパルミチン酸ミリスチルを使って製造することができる。
【0082】
非経口投与に適した製剤は、好ましくは受容者の血液と等張性である活性成分の滅菌油性または水性調製物、例えば等張食塩水、等張グルコース溶液または緩衝溶液を、都合よく含む。製剤は、例えば細菌保持フィルターを通した濾過、製剤への滅菌剤の添加、製剤の照射、または製剤の加熱などにより、都合よく滅菌することができる。例えば「Encyclopedia of Pharmaceutical Technology」第9巻(1994)に開示されているようなリポソーム製剤も非経口投与に適している。
【0083】
あるいは、式Iの化合物を、使用直前に滅菌溶媒にたやすく溶解される滅菌固形調製物、例えば凍結乾燥粉末として提供することもできる。
【0084】
経皮製剤は硬膏剤または貼付剤の形態をとりうる。
眼投与に適した製剤は、活性成分の滅菌水性調製物の形態をとることができ、これは、微結晶の形態、例えば水性微結晶懸濁液の形態をとりうる。例えば「Encyclopedia of Pharmaceutical Tehcnology」第2巻(1989)に開示されているようなリポソーム製剤または生分解性ポリマー系も、眼投与用に活性成分を提供するために使用することができる。
【0085】
局所外用投与または眼投与に適した製剤には、液状または半液状調製物、例えばリニメント剤、ローション剤、ゲル剤、塗布剤、水中油型もしくは油中水型乳剤、例えばクリーム剤、軟膏もしくはペースト;または溶液剤もしくは懸濁剤、例えば滴剤が含まれる。
【0086】
鼻投与または口腔投与に適した製剤には、粉末、自噴および散布製剤、例えばエアロゾル剤およびアトマイザーが含まれる。そのような製剤は、例えば「Modern Pharmaceutics」、第2版、G.S. BankerおよびCT. Rhodes編、Marcel Dekker、New York、427〜432頁;「Modern Pharmaceutics」、第3版、G.S. BankerおよびC.T. Rhodes編、Marcel Dekker、New York、618〜619頁および718〜721頁、ならびに「Encyclopedia of Pharmaceutical Technology」、第10巻、J SwarbrickおよびJ.C. Boylan編、Marcel Dekker、New York、191〜221頁に、より詳しく開示されている。
【0087】
上述の成分に加えて、式Iの化合物の製剤は、一つ以上の追加成分、例えば希釈剤、緩衝剤、着香剤、着色剤、表面活性剤、増粘剤、保存剤、例えばヒドロキシ安息香酸メチル(酸化防止剤を含む)、乳化剤などを含みうる。
【0088】
活性成分を薬学的に許容できる無毒性の酸または塩基との塩の形態で投与する場合、好ましい塩は、特定の適当な吸収速度が得られるように、例えば易水溶性であるか、または水に溶けにくい。
【0089】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は決して特許請求される発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0090】
実施例1
キナーゼスクリーニング
70のチロシンキナーゼ(受容体チロシンキナーゼとタンパク質チロシンキナーゼの両方)および134のセリン/スレオニンキナーゼを含むスクリーニングパネルから得られる204のキナーゼを使って、化合物6を1μMの濃度においてインビトロで試験した。各組換えキナーゼ(5〜10mU)を[γ-33P-ATP]、タンパク質基質、化合物と共にインキュベートし、MgATPの添加によって反応を開始させた。40分間のインキュベーション後に、5μLの3%リン酸溶液を添加することによって、反応を停止させた。次に、10μLの反応液をP30フィルターマット上にスポットし、75mMリン酸中で5分間の洗浄を3回行い、メタノール中で1回洗浄してから、乾燥させ、シンチレーション計数を行った。このアッセイにおけるATPの最終濃度は10μMだった。
【0091】
表1は、化合物6によって約50%以上阻害された、炎症および免疫応答に関与するチロシンキナーゼを、各キナーゼについて得られた阻害百分率およびIC50値(得られた場合)と共に示している。
【0092】
[表1]

【0093】
また化合物Aは、セリン/スレオニンキナーゼRaf-1(チロシンキナーゼと類縁関係にあるRAFファミリーの一員)を1μMの濃度で91%、また14nMのIC50で阻害することも明らかになった。
【0094】
この表は、T細胞、B細胞およびマクロファージの活性化および機能を含む炎症および免疫に重要な役割を持つチロシンキナーゼに対する化合物6の強力なインビトロ効果を示している。これらのキナーゼは、1μMにおいて、91〜100%の阻害百分率で強力に阻害される。
【0095】
実施例2
LPS誘発性TNF-α応答
TNF-αは、インビトロでもインビボでも、LPSによる刺激後に、主として単球/マクロファージから放出される。急性モデル「LPS誘発性TNF-α応答」では、インビボでのTNF-α放出を阻害する試験化合物の能力を、マウスで測定した。
【0096】
LPS(1.0mg LPS/kg 腹腔内)を注射する1時間前に、化合物6を1群あたり6匹のC3H/HeN雌マウス(Taconic、Denmark)に経口投与した。LPS投与の80〜90分後に血液サンプルを採った。TNF-αの血漿レベルをサンドイッチELISAで分析した。
【0097】
化合物6は、このマウスモデルにおいて、TNFαの明確な抑制を示した。下記表2からわかるように、TNF-αレベルは、腹腔内投与後も経口投与後も、3〜30mg/kgの用量で明確に抑制された。
【0098】
[表2]

【0099】
実施例3
移植片対宿主(GvH)
T細胞活性化は獲得免疫系の一部であり、多くの炎症性疾患の重要な機序である。局所移植片対宿主(GvH)モデルは、一方向(one-way)アロ反応性が誘発されるインビボモデルである。すなわち、近交系Lewisラットから得た精製リンパ球をLewis×Brownラットの後脚に局所注射すると、それらは、該Lewis×Brown Norway交配ラットにおける該同種異系細胞に対する限局的なT細胞依存性リンパ球増殖応答をもって応答する。
【0100】
0日目に、Lewis雌ラット(ドナーラット)から得たアロ反応性リンパ球(100μl中に2×107細胞)を、6〜8匹の雄LewBN交配ラット(レシピエントラット)群の後脚の一方に皮下注射した。7日後にラットを安楽死させ、局所リンパ節(膝窩リンパ節(PLN))、脾臓および胸腺を摘出し、重量を測定した。試験化合物は、0日目から6日目まで毎日1回、レシピエントラットに投与した。ドナーラットを処置する場合は、試験化合物を-7日目から-1日目まで毎日1回投与した。PLNの重量増加の抑制を使って、化合物の効果を測定した。
【0101】
このモデルを使って、T細胞活性化を阻害する試験化合物の能力が評価され、かつ/またはそれらの一般的免疫抑制効果が評価される。
【0102】
いくつかの投与スケジュール、すなわち、0〜6日目の経口投与、0〜6日目の腹腔内投与、および-7〜-1日目のドナーラットの処置で、化合物6を試験した。
【0103】
0日目から6日目まで毎日1回の化合物6(25および50mg/kg)の腹腔内投与後は、リンパ節サイズに45〜55%の明白な抑制が起こり、群間でも各群内のラット間でも偏差はわずかで、用量応答は観察されなかった。
【0104】
毎日1回、50mg/kgの経口投与を、二つの実験で試験した。この投与スケジュールを使用したところ、多少の効果が観察されたが、投薬群内の動物間にも、二つの実験で得られた結果の間にも、大きな偏差が観察された。
【0105】
最後に、25mg/kg 腹腔内による-7日目から-1日目までのドナーラットの前処置を、レシピエントラットの処置と共に、およびレシピエントラットの処置を伴わずに試みた。1回目の実験では、前処置に明白な抑制効果が見られた。しかし2回目の実験ではこれを再現することができなかった。
【0106】
[表3]

結果を賦形剤対照に対する%として表す。
前処置:0〜6日目にレシピエントをメチルセルロースで処置;-7日目から-1日目までドナーを化合物6で腹腔内処置。
前+後(処置):0〜6日目にレシピエントを化合物6で腹腔内処置;-7日目から-1日目までドナーを化合物6で腹腔内処置。
【0107】
実施例4
コラーゲン誘発性関節炎(CIA)
コラーゲン誘発性関節炎は、よく使用され広く受け入れられている関節炎モデルである。免疫学的には、このモデルはTh1応答によって支配され、抗原特異的であり、B細胞応答とT細胞応答の両方に依存する。このモデルは、ヒトにおける慢性関節リウマチに有効な大半の治療法(NSAIDを除く)に応答する。
【0108】
材料
ニワトリ由来II型コラーゲン(Sigma C9301)
0.05M 酢酸
フロイント完全アジュバント、5mg/ml(FCA5)、SSI、Denmark
フロイント不完全アジュバント(FIA)、SSI、Denmark
プレドニゾロン(Prednisolonacetat Vet、10mg/ml(Intervet、Holland))
懸濁液賦形剤(Tween 80 4g、カルボキシメチルセルロース7H4XF 2g、NaCl 8g、H2O 1リットル)。
【0109】
方法
マウス
関節炎を誘発するために、マウスを、FCA(2mg/mlの結核菌)中のCII乳剤(2mg/ml)100μlで、尾基部に皮内(i.d.)免疫処置した。21日後に、FIA中のCII乳剤(1mg/ml)100μlで、マウスを再びi.d.免疫処置した。試験化合物を、処置の開始時から実験終了の前日まで、毎日1回投与した。
【0110】
CIAに関する臨床スコア
CIA誘発の21日後から開始して、マウスを週に2回体重測定し、四肢の炎症を0から4の階級で評価した:
0:正常
1:1〜2個のつま先関節に腫脹があるか、またはつま先関節の腫脹を伴わず中足/中手に腫脹がある
2:>2個のつま先関節に腫脹があるか、またはつま先関節および中足/中手に腫脹がある
3:中足/中手を含む脚に重度の腫脹がある
4:皮膚の亀裂をもたらす極めて重度の腫脹がある。動物を安楽死させる。
四肢のスコアの和を、各マウスに関する関節炎スコアとして報告する。したがって可能な最大スコアは16である。
【0111】
処置効果の算出
関節炎スコアの曲線下面積(AUC)を全てのマウスについて算出し、それを疾患指数として使用した。化合物の処置効果(抑制効果)は、1−(AUC処置群)/(AUC賦形剤群)として算出される。
【0112】
統計
全ての群から得られるAUCの中央値をクラスカル・ワーリス検定を使って比較した。クラスカル・ワーリス検定でP<0.05の場合は、マン・ホイットニー検定を使って、薬物処置群内の個々のマウスに関するAUCを、賦形剤で処置した対照群内のマウスに関するAUCと比較した(有意水準P<0.05)。
【0113】
ラット
Lewis近交系ラット(Harlan)(各群雌6匹、約11週齢)を、不完全フロイトアジュバント(FIA)中のCII乳剤(1mg/ml)200μlで、尾基部に皮内(i.d.)免疫処置した。10日後に、FIA中のCII乳剤(1mg/ml)50μlで、ラットを再び免疫処置した。12日目から、マウスモデルについて説明したように、各脚の炎症の階級を評価し、計算した。試験化合物は、10日目から、または14日目から、経口投与した。処置の最終日は実験終了の前日とした。
【0114】
結果
マウス
マウスでは、関節炎の臨床症状が21〜30日目から現われるが、免疫学的過程は最初の免疫処置の直後に始まる。関節炎の最初の臨床徴候の(10日目または14日目)に処置を開始した場合、化合物6は、関節炎の度合を有意に抑制した(表5)。しかし、関節炎の最初の臨床徴候の(21〜28日目)に処置を開始した場合は、化合物6による処置に効果はなかった(表6)。
【0115】
[表5]

【0116】
[表6]

【0117】
ラット
CIAラットモデルの条件では、ラットが典型的には14日目付近で関節炎の臨床徴候を示す。化合物6を二つの実験で試験した。第1の実験では、化合物6を二つの群において50mg/kg(腹腔内)で試験し、それぞれ10日目および14日目に処置を開始した。10日目に処置を開始した場合には関節炎の徴候が完全に抑制されたのに対し、14日目に処置を開始した場合、化合物6には効果がなかった(表7)。
【0118】
第2の実験では、化合物6を、10日目から処置を開始して3つの用量(腹腔内)(5、10および25mg/kg)で、また14日目から処置を開始して25mg/kgの用量で、試験した。処置を10日目に開始した場合、化合物6には用量依存的効果があり、25mg/kgの最高用量ではスコアが79%抑制され、5mg/kgおよび10mg/kgの用量では、それぞれ55%および57%抑制された。14日目に投薬を開始した群では、有意な効果が観察されなかった(表8)。
【0119】
[表7]

【0120】
[表8]

【0121】
実施例6
皮膚炎症モデル
化合物6を皮膚炎症の急性オキサゾロンモデルで試験した。
急性オキサゾロンモデルはアレルギー性接触皮膚炎モデルである。このモデルでは、耳にオキサゾロンをチャレンジする7日前に、剃毛した腹部にこの化合物を局所適用することにより、BALB/cマウスをオキサゾロンに対して1回感作させる。耳厚を化合物処置の24、48、72および96時間後に測定し、賦形剤による処置と比較する。この研究では、チャレンジの30分後に100mg/kgの化合物6をマウスに経口投与したところ、72時間後の結果が、賦形剤のみによる処置と比較して、耳腫脹の28%の抑制を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Srcタンパク質チロシンキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼの活性を調節する能力を持つ抗炎症剤として使用するための、一般式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩、水和物もしくは溶媒和物:
【化1】

[式中、Xは窒素またはCHを表す;
Aは、直鎖状、分枝鎖状および/または環状の飽和または不飽和炭化水素基、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、またはヘテロアリールを表し、これらはいずれも、R1からなる群より独立して選択される一つ以上の置換基で置換されてもよい;
R1は、オキソ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、カルボキシ、シアノ、アルコキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルウレイド、アルキルチオウレイド、アルキルカルボニル、アルコキシスルホニルオキシ、アミノスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、アルキルスルホニル、ホルミル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールおよび直鎖状または分枝鎖状の飽和または不飽和炭化水素基を表し、該アミノ、アルコキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルウレイド、アルキルチオウレイド、アルキルカルボニル、アルコキシスルホニルオキシ、アミノスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、アルキルスルホニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールおよび直鎖状または分枝鎖状の飽和または不飽和炭化水素基は、R3からなる群より独立して選択される一つ以上の置換基で置換されてもよい;
R2は、アミノ、アミノスルホニル、アミノカルボニル、アルキルウレイド、アルキルチオウレイドまたはアミノカルボニルオキシを表し、該アミノ、アミノスルホニル、アミノカルボニル、アルキルウレイド、アルキルチオウレイドまたはアミノカルボニルオキシはいずれも、R3からなる群より独立して選択される一つ以上の置換基で置換されてもよい;
R3は、水素、シクロアルキル、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル-ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルカルボニルアミノ、シクロアルケニル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシイミノ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルウレイド、アルキルチオウレイド、アルキルカルボニル、アルコキシスルホニルオキシ、アミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ホルミル、アミノカルボニル、およびアルキルカルボニルアミノを表し、該アミノ、イミノ、シクロアルキル、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル-ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルカルボニルアミノ、シクロアルケニル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシイミノ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルウレイド、アルキルチオウレイド、アルキルカルボニル、アルコキシスルホニルオキシ、アミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノカルボニル、およびアルキルカルボニルアミノは、水素、ハロゲン、オキソ、チオキソ、ヒドロキシル、アミノ、イミノ、ニトロ、カルボキシ、シアノ、アルコキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシスルホニルオキシ、アミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノカルボニルオキシ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、ホルミル、アミノカルボニル、トリフルオロメチル、アルキルカルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、アルキルウレイド、アルキルチオウレイド、ヘテロアリール、シクロアルキル、アルキル、シクロアルケニル、アルケニル、アルキニル、およびアルキルアミノカルボニルからなる群より独立して選択される一つ以上の置換基で置換されてもよい]。
【請求項2】
炎症および/または免疫応答に関与する少なくとも一つのSrcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼの阻害剤である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Srcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼがSrc、Yes、Fyn、Fgr、Lck、LynおよびHckから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
さらにJAKファミリーのタンパク質チロシンキナーゼ、特にJAK-2の阻害剤でもある、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
さらにRAFセリン/スレオニンキナーゼファミリーのセリン/スレオニンキナーゼの阻害剤でもある、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
RAFファミリーのセリン/スレオニンキナーゼがRaf-1である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
さらにcKitおよびFms/CSF-1Rからなる群より選択される受容体チロシンキナーゼの阻害剤でもある、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
前記タンパク質チロシンキナーゼを200nM以下のIC50で阻害する、請求項2に記載の化合物。
【請求項9】
前記タンパク質チロシンキナーゼを100nM以下のIC50で阻害する、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
前記タンパク質チロシンキナーゼを50nM以下、特に30nM以下、例えば25nM以下、20nM以下、15nM以下または10nM以下のIC50で阻害する、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
請求項2〜7に挙げたキナーゼのうちの少なくとも2個、または少なくとも3個、または少なくとも4個、または少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個、または少なくとも9個、または少なくとも10個、または好ましくは全てを、200nM以下のIC50で阻害する阻害剤である、請求項2〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
R2が、請求項1で定義したR3からなる群より独立して選択される一つ以上の置換基で置換されてもよい、アルキルウレイド、アルキルチオウレイド、アミノカルボニルまたはアミノスルホニルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
下記化合物からなる群より選択される、請求項12に記載の化合物:
2-[(2-アミノ-ピリジン-4-イルメチル)-アミノ]-N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-ベンズアミド(化合物1)、
N-(4-フルオロ-ベンジルオキシ)-2-[(2-モルホリン-4-イル-ピリジン-4-イルメチル)-アミノ]-ベンズアミド(化合物2)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-[(2-メタンスルホニルアミノ-ピリジン-4-イルメチル)-アミノ]-ベンズアミド(化合物3)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-[(2-メタンスルホニルアミノ-ピリジン-4-イルメチル)-アミノ]-ベンズアミド(化合物4)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-メチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物5)、
N-(4-シアノ-2-メトキシ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-メチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物6)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(3-メチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物7)、
N-(2,3-ジフルオロ-4-メチル-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-メチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物8)、
[3-(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-ウレイド]-酢酸エチルエステル(化合物9)、
(3-{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-ウレイド)-酢酸エチルエステル(化合物10)、
[3-(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-ウレイド]-酢酸(化合物11)、
(3-{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-ウレイド)-酢酸(化合物12)、
2-メチル-アクリル酸2-[3-(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-ウレイド]-エチルエステル(化合物13)、
2-メチル-アクリル酸2-(3-{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-ウレイド)-エチルエステル(化合物14)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-({2-[3-(2-ヒドロキシ-エチル)-ウレイド]-ピリジン-4-イルメチル}-アミノ)-ベンズアミド(化合物15)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-({2-[3-(2-ヒドロキシ-エチル)-ウレイド]-ピリジン-4-イルメチル}-アミノ)-ベンズアミド(化合物16)、
酢酸(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イルカルバモイル)-メチルエステル(化合物17)、
酢酸{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イルカルバモイル}-メチルエステル(化合物18)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(2-ヒドロキシ-アセチルアミノ)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物19)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(シクロプロパンカルボニル-アミノ)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物20)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(シクロプロパンカルボニル-アミノ)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物21)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-({2-[2-(2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-4-イル)-アセチルアミノ]-ピリジン-4-イルメチル}-アミノ)-ベンズアミド(化合物22)、
2-{[2-(3-メチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-N-(テトラヒドロ-ピラン-2-イルメトキシ)-ベンズアミド(化合物23)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-イソプロピル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物24)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-エチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物25)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(3-イソプロピル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物26)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(3-プロピル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物27)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(3-エチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物28)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(3-メチル-チオウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物29)、
2-{[2-(3-t-ブチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-N-シクロペンチルメトキシ-ベンズアミド(化合物30)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-シクロヘキシル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物31)、
2-{[2-(3-シクロヘキシル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-N-シクロペンチルメトキシ-ベンズアミド(化合物32)、
N-{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-イソニコチンアミド(化合物33)、
1-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-ピロリジン-2-カルボン酸{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-アミド(化合物34)、
1-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-ピロリジン-2-カルボン酸(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-アミド(化合物35)、
1-アセチル-ピペリジン-4-カルボン酸{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-アミド(化合物36)、
1-アセチル-ピペリジン-4-カルボン酸(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-アミド(化合物37)、
ピロリジン-2-カルボン酸(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-アミド(化合物38)、および
ピロリジン-2-カルボン酸{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-アミド(化合物39)。
【請求項14】
Srcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼ、および/またはJak-2および/またはRaf-1および/またはcKitおよび/またはFms/CSF-1Rキナーゼが重要に関与する非感染性炎症性または自己免疫性の疾患または状態の処置に使用するための、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項15】
非感染性炎症性の疾患または状態が、急性炎症性疾患、例えば急性肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、アレルギー、アナフィラキシー、敗血症もしくは移植片対宿主病、または慢性炎症性疾患、例えばアトピー性皮膚炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、変形性関節症、痛風、乾癬性関節炎、肝硬変もしくは多発性硬化症からなる群より選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
自己免疫性疾患が、自己免疫性胃炎、アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺炎、慢性特発性じんま疹、慢性免疫性ポリネフロパシー、糖尿病、糖尿病性腎症、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、原発性胆汁性肝硬変、全身性エリテマトーデスおよび甲状腺眼症からなる群より選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
非感染性炎症性疾患が、非感染性炎症性の眼疾患または眼状態、例えば非感染性(例えばアレルギー性)結膜炎、ぶどう膜炎、虹彩炎、角膜炎、強膜炎、上強膜炎、交感性眼炎、眼瞼炎、乾性角結膜炎、または免疫学的角膜移植片拒絶である、請求項14に記載の化合物。
【請求項18】
細胞における炎症および/または免疫応答に関与するSrcタンパク質チロシンキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼの活性を調節する方法であって、Srcタンパク質チロシンキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼを少なくとも一つは発現させる細胞を、該細胞における該タンパク質チロシンキナーゼの活性を調節するのに有効な量の、請求項1に記載の式Iの化合物と接触させることを含む方法。
【請求項19】
Srcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼがSrc、Yes、Fyn、Fgr、Lck、LynおよびHckから選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
細胞における炎症および/または免疫応答に関与するJAKタンパク質チロシンキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼの活性を調節する方法であって、JAKタンパク質チロシンキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼを少なくとも一つは発現させる細胞を、該細胞における該タンパク質チロシンキナーゼの活性を調節するのに有効な量の、請求項1に記載の式Iの化合物と接触させることを含む方法。
【請求項21】
JAKファミリーのタンパク質チロシンキナーゼがJAK-2である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
細胞における炎症および/または免疫応答に関与するRAFファミリーのセリン/スレオニンキナーゼの活性を調節する方法であって、RAFファミリーキナーゼを発現させる細胞を、該細胞における該RAFファミリーキナーゼの活性を調節するのに有効な量の、請求項1に記載の式Iの化合物と接触させることを含む方法。
【請求項23】
RAFファミリーのセリン/スレオニンキナーゼがRaf-1である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
細胞における炎症および/または免疫応答に関与するcKitおよびFms/CSF-1Rからなる群より選択される受容体チロシンキナーゼの活性を調節する方法であって、cKitまたはFms/CSF-1Rの少なくとも一つを発現させる細胞を、該細胞における該受容体チロシンキナーゼの活性を調節するのに有効な量の、請求項1に記載の式Iの化合物と接触させることを含む方法。
【請求項25】
式Iの化合物が前記タンパク質チロシンキナーゼを200nM以下のIC50で阻害する能力を持つ、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
式Iの化合物が前記タンパク質チロシンキナーゼを100nM以下のIC50で阻害する能力を持つ、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
式Iの化合物が前記タンパク質チロシンキナーゼを、50nM以下、特に30nM以下、例えば25nM以下、20nM以下、15nM以下または10nM以下のIC50で阻害する能力を持つ、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
式Iの化合物が、請求項18〜24に挙げたキナーゼのうちの少なくとも2個、または少なくとも3個、または少なくとも4個、または少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個、または少なくとも9個、または少なくとも10個、または好ましくは全てを、200nM以下のIC50で阻害する能力を持つ、請求項18〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
R2が、請求項1で定義したR3からなる群より独立して選択される一つ以上の置換基で置換されてもよい、アルキルウレイド、アルキルチオウレイド、アミノカルボニルまたはアミノスルホニルである、請求項18に記載の方法。
【請求項30】
式Iの化合物が下記化合物からなる群より選択される、請求項29に記載の方法:
2-[(2-アミノ-ピリジン-4-イルメチル)-アミノ]-N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-ベンズアミド(化合物1)、
N-(4-フルオロ-ベンジルオキシ)-2-[(2-モルホリン-4-イル-ピリジン-4-イルメチル)-アミノ]-ベンズアミド(化合物2)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-[(2-メタンスルホニルアミノ-ピリジン-4-イルメチル)-アミノ]-ベンズアミド(化合物3)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-[(2-メタンスルホニルアミノ-ピリジン-4-イルメチル)-アミノ]-ベンズアミド(化合物4)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-メチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物5)、
N-(4-シアノ-2-メトキシ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-メチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物6)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(3-メチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物7)、
N-(2,3-ジフルオロ-4-メチル-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-メチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物8)、
[3-(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-ウレイド]-酢酸エチルエステル(化合物9)、
(3-{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-ウレイド)-酢酸エチルエステル(化合物10)、
[3-(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-ウレイド]-酢酸(化合物11)、
(3-{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-ウレイド)-酢酸(化合物12)、
2-メチル-アクリル酸2-[3-(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-ウレイド]-エチルエステル(化合物13)、
2-メチル-アクリル酸2-(3-{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-ウレイド)-エチルエステル(化合物14)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-({2-[3-(2-ヒドロキシ-エチル)-ウレイド]-ピリジン-4-イルメチル}-アミノ)-ベンズアミド(化合物15)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-({2-[3-(2-ヒドロキシ-エチル)-ウレイド]-ピリジン-4-イルメチル}-アミノ)-ベンズアミド(化合物16)、
酢酸(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イルカルバモイル)-メチルエステル(化合物17)、
酢酸{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イルカルバモイル}-メチルエステル(化合物18)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(2-ヒドロキシ-アセチルアミノ)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物19)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(シクロプロパンカルボニル-アミノ)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物20)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(シクロプロパンカルボニル-アミノ)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物21)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-({2-[2-(2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-4-イル)-アセチルアミノ]-ピリジン-4-イルメチル}-アミノ)-ベンズアミド(化合物22)、
2-{[2-(3-メチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-N-(テトラヒドロ-ピラン-2-イルメトキシ)-ベンズアミド(化合物23)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-イソプロピル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物24)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-エチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物25)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(3-イソプロピル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物26)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(3-プロピル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物27)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(3-エチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物28)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(3-メチル-チオウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物29)、
2-{[2-(3-t-ブチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-N-シクロペンチルメトキシ-ベンズアミド(化合物30)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-シクロヘキシル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物31)、
2-{[2-(3-シクロヘキシル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-N-シクロペンチルメトキシ-ベンズアミド(化合物32)、
N-{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-イソニコチンアミド(化合物33)、
1-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-ピロリジン-2-カルボン酸{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-アミド(化合物34)、
1-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-ピロリジン-2-カルボン酸(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-アミド(化合物35)、
1-アセチル-ピペリジン-4-カルボン酸{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-アミド(化合物36)、
1-アセチル-ピペリジン-4-カルボン酸(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-アミド(化合物37)、
ピロリジン-2-カルボン酸(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-アミド(化合物38)、および
ピロリジン-2-カルボン酸{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-アミド(化合物39)。
【請求項31】
Srcタンパク質チロシンキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼの、細胞における炎症誘発活性を低下させる方法であって、Srcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼを少なくとも一つは発現させる細胞を、該細胞における該タンパク質チロシンキナーゼの活性を阻害するのに有効な量の、請求項1に記載の式Iの化合物と接触させることを含む方法。
【請求項32】
Srcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼがSrc、Yes、Fyn、Fgr、Lck、LynおよびHckから選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
JAKタンパク質チロシンキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼの、細胞における炎症誘発活性を低下させる方法であって、JAKタンパク質チロシンキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼを少なくとも一つは発現させる細胞を、該細胞における該タンパク質チロシンキナーゼの活性を阻害するのに有効な量の、請求項1に記載の式Iの化合物と接触させることを含む方法。
【請求項34】
JAK-Aファミリーのタンパク質チロシンキナーゼがJAK-2である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
RAFファミリーのセリン/スレオニンキナーゼの、細胞における炎症誘発活性を低下させる方法であって、RAFファミリーキナーゼを発現させる細胞を、該細胞における該RAFファミリーキナーゼの活性を阻害するのに有効な量の、請求項1に記載の式Iの化合物と接触させることを含む方法。
【請求項36】
RAFファミリーのセリン/スレオニンキナーゼがRaf-1である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
cKitおよびFms/CSF-1Rからなる群より選択される受容体チロシンキナーゼの、細胞における炎症誘発活性を低下させる方法であって、cKitまたはFms/CSF-1Rの少なくとも一つを発現させる細胞を、該細胞における該受容体チロシンキナーゼの活性を阻害するのに有効な量の、請求項1に記載の式Iの化合物と接触させることを含む方法。
【請求項38】
式Iの化合物が前記タンパク質チロシンキナーゼを200nM以下のIC50で阻害する能力を持つ、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
式Iの化合物が前記タンパク質チロシンキナーゼを100nM以下のIC50で阻害する能力を持つ、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
式Iの化合物が前記タンパク質チロシンキナーゼを50nM以下、特に30nM以下、例えば25nM以下、20nM以下、15nM以下または10nM以下のIC50で阻害する能力を持つ、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
式Iの化合物が、請求項28〜34に挙げたキナーゼのうちの少なくとも2個、または少なくとも3個、または少なくとも4個、または少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個、または少なくとも9個、または少なくとも10個、または好ましくは全てを、200nM以下のIC50で阻害する能力を持つ、請求項31〜37のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
R2が、請求項1で定義したR3からなる群より独立して選択される一つ以上の置換基で置換されてもよい、アルキルウレイド、アルキルチオウレイド、アミノカルボニルまたはアミノスルホニルである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
式Iの化合物が下記化合物からなる群より選択される、請求項42に記載の方法:
2-[(2-アミノ-ピリジン-4-イルメチル)-アミノ]-N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-ベンズアミド(化合物1)、
N-(4-フルオロ-ベンジルオキシ)-2-[(2-モルホリン-4-イル-ピリジン-4-イルメチル)-アミノ]-ベンズアミド(化合物2)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-[(2-メタンスルホニルアミノ-ピリジン-4-イルメチル)-アミノ]-ベンズアミド(化合物3)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-[(2-メタンスルホニルアミノ-ピリジン-4-イルメチル)-アミノ]-ベンズアミド(化合物4)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-メチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物5)、
N-(4-シアノ-2-メトキシ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-メチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物6)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(3-メチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物7)、
N-(2,3-ジフルオロ-4-メチル-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-メチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物8)、
[3-(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-ウレイド]-酢酸エチルエステル(化合物9)、
(3-{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-ウレイド)-酢酸エチルエステル(化合物10)、
[3-(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-ウレイド]-酢酸(化合物11)、
(3-{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-ウレイド)-酢酸(化合物12)、
2-メチル-アクリル酸2-[3-(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-ウレイド]-エチルエステル(化合物13)、
2-メチル-アクリル酸2-(3-{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-ウレイド)-エチルエステル(化合物14)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-({2-[3-(2-ヒドロキシ-エチル)-ウレイド]-ピリジン-4-イルメチル}-アミノ)-ベンズアミド(化合物15)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-({2-[3-(2-ヒドロキシ-エチル)-ウレイド]-ピリジン-4-イルメチル}-アミノ)-ベンズアミド(化合物16)、
酢酸(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イルカルバモイル)-メチルエステル(化合物17)、
酢酸{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イルカルバモイル}-メチルエステル(化合物18)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(2-ヒドロキシ-アセチルアミノ)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物19)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(シクロプロパンカルボニル-アミノ)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物20)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(シクロプロパンカルボニル-アミノ)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物21)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-({2-[2-(2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-4-イル)-アセチルアミノ]-ピリジン-4-イルメチル}-アミノ)-ベンズアミド(化合物22)、
2-{[2-(3-メチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-N-(テトラヒドロ-ピラン-2-イルメトキシ)-ベンズアミド(化合物23)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-イソプロピル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物24)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-エチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物25)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(3-イソプロピル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物26)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(3-プロピル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物27)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(3-エチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物28)、
N-シクロペンチルメトキシ-2-{[2-(3-メチル-チオウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物29)、
2-{[2-(3-t-ブチル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-N-シクロペンチルメトキシ-ベンズアミド(化合物30)、
N-(4-シアノ-ベンジルオキシ)-2-{[2-(3-シクロヘキシル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-ベンズアミド(化合物31)、
2-{[2-(3-シクロヘキシル-ウレイド)-ピリジン-4-イルメチル]-アミノ}-N-シクロペンチルメトキシ-ベンズアミド(化合物32)、
N-{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-イソニコチンアミド(化合物33)、
1-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-ピロリジン-2-カルボン酸{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-アミド(化合物34)、
1-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-ピロリジン-2-カルボン酸(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-アミド(化合物35)、
1-アセチル-ピペリジン-4-カルボン酸{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-アミド(化合物36)、
1-アセチル-ピペリジン-4-カルボン酸(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-アミド(化合物37)、
ピロリジン-2-カルボン酸(4-{[2-(4-シアノ-ベンジルオキシカルバモイル)-フェニルアミノ]-メチル}-ピリジン-2-イル)-アミド(化合物38)、および
ピロリジン-2-カルボン酸{4-[(2-シクロペンチルメトキシカルバモイル-フェニルアミノ)-メチル]-ピリジン-2-イル}-アミド(化合物39)。
【請求項44】
少なくとも一つのSrcタンパク質チロシンキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼ、および/またはJak-2および/またはRaf-1および/またはcKitおよび/またはFms/CSF-1Rキナーゼが重要に関与する非感染性炎症性または自己免疫性の疾患または状態を予防または処置する医薬組成物を製造するための、請求項1に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項45】
非感染性炎症性の疾患または状態が、急性炎症性疾患、例えば急性肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、アレルギー、アナフィラキシー、敗血症もしくは移植片対宿主病、または慢性炎症性疾患、例えばアレルギー、アナフィラキシー、アトピー性皮膚炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、変形性関節症、痛風、乾癬性関節炎、肝硬変もしくは多発性硬化症からなる群より選択される、請求項44に記載の使用。
【請求項46】
自己免疫性疾患が、自己免疫性胃炎、アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺炎、慢性特発性じんま疹、慢性免疫性ポリネフロパシー、糖尿病、糖尿病性腎症、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、原発性胆汁性肝硬変、全身性エリテマトーデスおよび甲状腺眼症からなる群より選択される、請求項44に記載の使用。
【請求項47】
非感染性炎症性疾患が、非感染性炎症性の眼疾患または眼状態、例えば非感染性(例えばアレルギー性)結膜炎、ぶどう膜炎、虹彩炎、角膜炎、強膜炎、上強膜炎、交感性眼炎、眼瞼炎、乾性角結膜炎、または免疫学的角膜移植片拒絶である、請求項44に記載の使用。
【請求項48】
少なくとも一つのSrcタンパク質チロシンキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼ、および/またはJak-2および/またはRaf-1および/またはcKitおよび/またはFms/CSF-1Rキナーゼが重要に関与する非感染性炎症性または自己免疫性の疾患または状態を予防または処置する方法であって、その必要がある患者に、請求項1に記載の式Iの化合物を有効量で投与することを含む方法。
【請求項49】
非感染性炎症性の疾患または状態が、急性炎症性疾患、例えば急性肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、アレルギー、アナフィラキシー、敗血症もしくは移植片対宿主病、または慢性炎症性疾患、例えばアトピー性皮膚炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、変形性関節症、痛風、乾癬性関節炎、肝硬変もしくは多発性硬化症からなる群より選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
自己免疫性疾患が、自己免疫性胃炎、アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺炎、慢性特発性じんま疹、慢性免疫性ポリネフロパシー、糖尿病、糖尿病性腎症、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、原発性胆汁性肝硬変、全身性エリテマトーデスおよび甲状腺眼症からなる群より選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
非感染性炎症性疾患が、非感染性炎症性の眼疾患または眼状態、例えば非感染性(例えばアレルギー性)結膜炎、ぶどう膜炎、虹彩炎、角膜炎、強膜炎、上強膜炎、交感性眼炎、眼瞼炎、乾性角結膜炎、または免疫学的角膜移植片拒絶である、請求項48に記載の方法。

【公表番号】特表2010−524864(P2010−524864A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503354(P2010−503354)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【国際出願番号】PCT/DK2008/000134
【国際公開番号】WO2008/128538
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(508069752)レオ ファーマ アクティーゼルスカブ (22)
【Fターム(参考)】