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Staphylococcus感染に対する多糖類ワクチン
説明

Staphylococcus感染に対する多糖類ワクチン

【課題】Staphylococcus感染に対する多糖類ワクチンの提供。
【解決手段】本発明は、Staphylococcusの脱アセチル化ポリN−アセチル化グルコサミン(dPNAG)の組成物に関する。このdPNAGは、天然供給源から単離され得、または新規に合成され得る。本発明はまた、Staphylococcus aureus、S.epidermidis、関連する他のコアグラーゼ陰性Staphylococcusまたはコアグラーゼ陽性Staphylococcus、およびica(細胞内接着)遺伝子座を有する他の生物によって引き起こされる感染に対する能動免疫を誘導するワクチンとしての、dPNAGの使用に関する。本発明はさらに、dPNAGに指向される抗体について使用する方法、特に、同じレベルの感染に対する受動免疫を誘導するために使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Staphylococcus感染の処置および予防のための免疫を誘導す
るために有用な多糖類組成物に関する。本発明はまた多糖類ベースの抗原、それに関連す
る抗体および診断キットを作製および使用する方法、ならびにこの多糖類とそれに対する
抗体の能動免疫および受動免疫を誘導するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Staphylococcusは、通常ヒトの粘液膜および肌に生息しコロニーを作る
、グラム陽性の細菌である。肌または粘膜液が、手術の間または他の外傷で損傷する場合
、このStaphylococcusは、内部の組織へのアクセスを獲得し得、感染の発
生を引き起こす。Staphylococcusが局所的に増殖しまたはリンパ系または
血液系に侵入する場合、Staphylococcus菌血症に関する合併症のような重
篤な感染合併症が生じ得る。これらの合併症としてさまざまな臓器における敗血症性ショ
ック、心内膜炎、関節炎、骨髄炎、肺炎および膿瘍が挙げられる。
【0003】
Staphylococcusは、遊離したコアグラーゼを産生するコアグラーゼ陽性
生物、および遊離したコアグラーゼを産生しないコアグラーゼ陰性生物の両方を含む。S
taphylococcus aureusは最も一般的コアグラーゼ陽性形態である。
S. aureusは、一般的に局所部位、管外または管内のいずれかにおいて感染を引き
起し、最終的に菌血症を引き起こし得る。S.aureusはまた、急性骨髄炎の主な原
因であり、Staphylococcus肺炎感染を引き起こす。さらに、S.aure
usは、細菌性髄膜炎の症例の約1〜9%および脳膿腫の症例の10〜15%の原因であ
る。
【0004】
少なくとも21種類のコアグラーゼ陰性のStaphylococcus種が公知であ
り、それにはS.epidermidis、S.saprophyticus、S.ho
minis、S.warneri、S.haemolyticus、S.saproph
iticus、S.cohnii、S.xylosus、S.simulansおよびS
.capitisが含まれる。S.epidermidisは静脈へのアクセスデバイス
に関連する最も頻繁な感染原因因子であり、主要な院内の菌血症における最も頻繁な分離
菌である。S.epidermidisはまた人工弁の心内膜炎にも関連する。
【0005】
Staphylococcusはまた、動物における一般的な細菌感染源である。例え
ば、Staphylococcus乳腺炎は、ウシ、ヒツジおよびヤギのような反芻動物
における一般的問題である。この疾患は一般的に、抗生物質で処方されてこの感染が軽減
されるが、この処置は費用のかかる手順でありかつ、今もなお乳製品の損失を引き起こす
。現在までに同定されている最も有効なワクチンは、皮下に投与された無傷のS.aur
eusワクチンである。しかし、生ワクチンの投与は感染の危険が伴う。この理由より、
多くの研究者は、S.aureus死菌ワクチンを産生し、および/またはS.aure
usに対する免疫を誘導する夾膜の多糖類または細胞壁成分を単離することを試みてきた
。しかし、これらの試みは成功していない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明はコアグラーゼ陰性Staphylococcusおよびコアグラーゼ陽性St
aphylococcusに対するヒトおよび動物の免疫に有用な方法および生産物に関
する。この発明により、S.aureusおよびS.epidermisのようなSta
phylococcusからのほとんどアセテート残基で置換されていない、表面多糖類
そしてポリN−アセチルグルコサミン(PNAG)が、インビボで高い免疫原性を有し、
オプソニン死滅および感染からの保護を仲介する抗体を優先的に誘発することが発見され
た。それゆえ、この多糖類は、とりわけ、Staphylococcusに対する抗体依
存性免疫応答を含む、免疫応答の生成において有用である。
【0007】
一つの局面では、この発明は、少なくとも2つの単量体単位の長さを有するβ−1,6
−グルコサミンポリマーを含む単離された多糖類を含む組成物を提供する。ここで、グル
コサミンのアミノ基の50%未満がアセテートに置換されている。一つの局面では、その
組成物が滅菌されている(例えば、それはインビボ注射に適している)。別の局面では、
本発明は、少なくとも2つの単量体単位の長さを有するβ−1,6−グルコサミンポリマ
ーを含む単離された多糖類を含む組成物を提供する。ここで、グルコサミンのアミノ基の
50%未満がアセテートに置換されており、そしてその多糖類はキャリアー化合物と結合
体化している。
【0008】
本明細書全体において、「本発明の多糖類」とは、アセテート置換が50%未満である
StaphylococcusポリN−アセチルグルコサミン(PNAG)表面多糖類を
いう。この多糖類は本明細書において脱アセチル化PNAG(dPNAG)と称される。
dPNAGは、完全にまたは部分的に脱アセチル化され得、ただしアセチル化の範囲は0
から50%未満であることが理解される。本明細書において使用される場合、天然PNA
Gはさまざまな程度のアセチル化を有するPNAGの形態の混合物である。天然PNAG
はdPNAGを含み得るが、しかし、高いアセチル化形態のPNAGを有する混合物とし
て存在する。本明細書において使用される「高いアセチル化」形態のPNAGとは50%
より多くのアセテート置換を有するPNAGである。
【0009】
いくつかの実施形態は、本発明の様々な局面に等しく適用される。これらの実施形態を
以下に記載する。
【0010】
一つの実施形態では、この単離された多糖類は次に示す構造によって定義される:
【0011】
【化4】

【0012】
ここで、nは4より大きいまたは等しい整数であり、Rは−NH−CO−CHおよび−
NHからなる群より選択され、R基の50%未満は−NH−CO−CHである。この
多糖類がキャリアー化合物またはキャリアー化合物と結合しているリンカーと結合体化し
ている、本発明のいくつかの局面のnは2、3、4、またはそれより大きい。
【0013】
一つの実施形態では、この多糖類は、少なくとも800ダルトンの分子量を有し、他方
、他の実施形態では、分子量は、少なくとも1000ダルトンである。なおさらなる実施
形態では、分子量は、少なくとも1200ダルトン、少なくとも2000ダルトンより大
きく、少なくとも2500ダルトン、少なくとも5000ダルトン、少なくとも7500
ダルトン、少なくとも10,000ダルトン、少なくとも25,000ダルトン、少なくと
も50,000ダルトン、少なくとも75,000ダルトン、および少なくとも100,0
00ダルトンからなる群より選択される。なおさらなる実施形態では、分子量は、少なく
とも125,000ダルトン、少なくとも150,000ダルトン、少なくとも200,0
00ダルトン、少なくとも250,000ダルトン、少なくとも300,000ダルトン、
少なくとも350,000ダルトン、少なくとも400,000ダルトン、少なくとも45
0,000ダルトン、および少なくとも500,000ダルトンからなる群より選択される

【0014】
この単離された多糖類は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5
または少なくとも6の単量体単位の長さを有し得る。他の実施形態では、この多糖類の長
さは、少なくとも6単量体単位、少なくとも10単量体単位、少なくとも20単量体単位
、少なくとも50単量体単位、少なくとも100単量体単位、少なくとも200単量体単
位、少なくとも300単量体単位、少なくとも400単量体単位および少なくとも500
単量体単位からなる群より選択される。
【0015】
他の実施形態では、グルコサミンのアミノ基(またはR基)の、45%以下、40%以
下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%
以下または1%以下がアセテートに置換される。なおさらなる実施形態では、グルコサミ
ンのアミノ基のいずれもがアセテートで置換されていない。このdPNAGはこれらのい
ずれかであり得る。
【0016】
それゆえに、この多糖類は、ヘテロ置換ポリマーであり得、ここで、このR基はアセテ
ート置換基(例えば、−NH−CO−CH)および非置換アミン基(例えば−NH
の混合物であり、ただし、これらの基の50%はアセテートに置換される。このR基の全
てがアミノ基である(いずれもがアセテート置換されていない)場合、この多糖類はまた
、ホモ置換され得る。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、この単離された多糖類はキャリアー化合物と結合体
化され得る。このキャリアー化合物はリンカーを通してこの多糖類と結合体化され得る。
このキャリアー化合物はペプチドキャリアー化合物であり得るが、しかし、このキャリア
ー化合物はそれに限定されない。
【0018】
これらのおよび他の実施形態では、この単離された多糖類を含む組成物は、薬学的に受
容可能なキャリアーをさらに含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、この組成物は、少なくとも90%純粋、少なくとも95%純
粋、少なくとも97%純粋または少なくとも99%純粋である(すなわち、この組成物に
おいて存在するこの多糖類の、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%
または少なくとも99%がdPNAGである)。なお他の実施形態では、この組成物は、
リン酸塩またはテイコ酸を実質的に含まない。好ましくは、この組成物は、グルコサミン
のアミノ(R)基において50%より多くのアセテート置換、75%より多くのアセテー
ト置換、90%より多くのアセテート置換を有する多糖類を実質的に含まない。
【0020】
いくつかの実施形態では、この多糖類は次以下の構造からなる。
【0021】
【化5】

【0022】
ここで、X1、X2、X3,X4,X5およびX6の各々は、H,キャリアー化合物また
はキャリアー化合物に結合するリンカーのいずれかであり;およびY1,Y2およびY3
の各々は、OH、キャリアー化合物またはキャリアー化合物に結合するリンカーのいずれ
かである。いくつかの実施形態では、キャリアー化合物またはキャリアー化合物に結合す
るリンカーのうち一つのみが、この構造と結合体化される。他の実施形態では、X1,X
2、X3,X4、X5またはX6の一つのみが、キャリアー化合物またはキャリアー化合
物に結合するリンカーと結合体化される。なおさらなる他の実施形態では、Y1,Y2ま
たはY3の一つのみが、キャリアー化合物またはキャリアー化合物と結合するリンカーと
結合体化される。なおさらなる他の実施形態では、キャリアー化合物またはキャリアー化
合物に結合するリンカーのうち一つのみが、このX1,X2、X3,X4、X5、X6、
Y1,Y2またはY3の位置のうちの一つにおいて結合体化する。このキャリアー化合物
は多糖類であり得る。他の実施形態では、このキャリアー分子は、他の多糖類、ペプチド
などのような一つ以上のキャリアー化合物に、必要に応じて、直接またはリンカーを介し
て置換された多糖類である。いくつかの実施形態では、このキャリアー多糖類は、N−ア
セチル−ベータ(β)1−6グルコサミンではない。Xがキャリアー化合物またはキャリ
アー化合物と結合しているリンカーである、本発明のいくつかの局面では、nは、2、3
、4またはそれより大きくあり得る。
【0023】
本発明は、本発明の多糖類のいずれかを含む、薬学的組成物を提供する。この組成物は
、ワクチンとして使用され得る。これらの組成物は、抗原特異的免疫応答のような免疫応
答を刺激する有効な量でこの多糖類を含む。このワクチン組成物が、薬学的に受容可能な
キャリアーおよび/またはアジュバントをさらに含み得る。この薬学的組成物は、キャリ
アー化合物と、直接またはリンカーを介してのいずれかで、結合体化された多糖類を含み
得る。
【0024】
本発明の他の局面は、本発明のこの多糖類を作製するための方法を提供する。これらの
方法は以下に記載される。
【0025】
一つの局面では、本発明は以下に示す方法によって調製される、単離された多糖類を提
供する:濃縮された細菌の細胞体調製物から多糖類粗調製物をエタノール沈澱する工程;
この粗多糖類をリゾチームおよびリソスタフィンを用いて同時に消化し、次いで、ヌクレ
アーゼおよびプロテイナーゼKを連続して用いて消化して、消化された多糖類調製物を形
成させる工程;この消化された多糖類調製物をサイズ分画する工程;アセチル化多糖類の
画分を単離する工程;このアセチル化多糖類を脱アセチル化して、脱アセチル化多糖類(
すなわち、50%未満のアセテート置換を有する多糖類)を産生する工程。
【0026】
別の局面では、本発明はまた、以下の方法によって調製される、多糖類を含む多糖類抗
原を提供する:細菌培養物から純粋でない多糖類を調製する工程;この純粋でない多糖類
を酸または塩基とともにインキュベートさせて、半純粋な多糖類を産生する工程;この調
製物を中和する工程;この中和された調製物をフッ化水素酸中でインキュベートさせる工
程。一つの実施形態では、この方法はさらに、この調製物からアセチル化多糖類を単離す
る工程、およびこのアセチル化多糖類を脱アセチル化して、脱アセチル化多糖類を産生す
る工程を含む。一つの実施形態では、このアセチル化多糖類は、50%未満である所望の
程度にまで、化学的に脱アセチル化される。別の実施形態では、このアセチル化多糖類は
、50%未満である所望の程度にまで、塩基性溶液とともにインキュベートされることに
より、脱アセチル化される。なお別の実施形態では、このアセチル化多糖類は酵素学的に
、脱アセチル化される。
【0027】
様々な実施形態は、上記の方法に適用される。これらのさらなる実施形態のいくつかは
、以下に記載される。この細菌培養物は、コアグラーゼ陰性Staphylococcu
s培養物またはコアグラーゼ陽性Staphylococcus培養物であり得る。この
細菌培養物は、Staphylococcus aureus培養物またはStaphy
lococcus epidermidis培養物であり得る。別の実施形態では、多糖
類調製物は、カラムを用いてサイズ分画される。
【0028】
本発明の多糖類の調製物の例は、以下の通りである:細菌培養物は、強塩基および強酸
とともにインキュベートされて、酸または塩基性溶液が作製される。次いでこの酸溶液お
よび塩基性溶液は、pH2に中和されて、抗原粗懸濁液が生産される。この抗原粗懸濁液
は、脱イオン化水のような溶液に対して透析され、そして不溶性粗抗原が収集される。こ
の不溶性粗抗原は、凍結乾燥され得、次いで緩衝液中で再懸濁され得る。この緩衝液は5
0mM PBSおよび100mM Trisからなる群より選択され得、150mM N
aClを伴う。上記強塩基または強酸は、1N NaOHまたは1M HClより強くあ
り得る。いくつかの実施形態では、この強塩基および強酸は、5N NaOHまたは5M
HClである。別の実施形態では、細菌培養抽出物は、18〜24時間にわたり強塩基
または強酸中で攪拌される。この強塩基または強酸の抽出はくりかえされ得る。この方法
は、抗原調製物を処理して、アセテート置換の所望の程度に到達するまでアミノ結合化ア
セテート基を除去して、脱アセチル化PNAGを産生する工程をさらに含む。脱アセチル
化は、化学的にまたは酵素学的のいずれかで行われ得る。例えば、この抗原調製物は、1
.0N NaOH中で、2〜20時間にわたり37℃でインキュベートされ得る。このイ
ンキュベーションはまた、より長い時間またはより高い温度でより弱い塩基中で、または
より短い時間もしくはより低い温度でより強い塩基中で行われ得る。
【0029】
あるいは、上記の方法は、さらなる脱アセチル化の必要なしに、50%未満のアセテー
ト置換を有する調製物から単離された画分を代わりに含み得る。
【0030】
なお別の局面では、本発明は、薬学的組成物を作製するための方法を提供する。一つの
実施形態では、この多糖類は、薬学的に受容可能なキャリアーおよび/またはアジュバン
トと合わされる。別の実施形態では、この多糖類は、直接またはリンカーを介してのいず
れかで、キャリアー化合物と結合体化され、次いで必要に応じて薬学的に受容可能なキャ
リアーおよび/またはアジュバントと合わされる。
【0031】
本明細書に記載の脱アセチル化多糖類(すなわちdPNAG)は、のいずれもは本発明
の薬学的または予防方法において使用され得る。
【0032】
別の局面では、本発明は、被験体、好ましくは非げっ歯類被験体における、Staph
ylococcus感染を予防するための方法を提供する。本発明は、本発明の任意の多
糖類を、Staphylococcusに対する免疫応答を誘導するための有効な量で、
それを必要とする被験体を、投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、Staph
ylococcusはStaphylococcus aureusであり、および他の
実施形態では、StaphylococcusはStaphylococcus epi
dermidisである。
【0033】
この被験体は、Staphylococcus感染され得る任意の被験体であり、およ
び好ましくはげっ歯類ではない。いくつかの実施形態では、この被験体、ヒトの被験体で
あり、そして他の実施形態では、この被験体は、霊長類、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツ
ジ、イヌまたはネコである。
【0034】
いくつかの実施形態では、この被験体は、Staphylococcusにさらされる
危険状態にあり、そして他の実施形態では、この被験体はStaphylococcus
にさらされた被験体である。いくつかの実施形態では、この被験体は、60歳を超えるヒ
トである。この被験体は、健康な被験体であり得る。いくつかの実施形態では、この被験
体は、医療デバイス移植物を受けていない。
【0035】
好ましくは、この多糖類は、本明細書において記載されているかまたは当該分野におい
て公知であるように、ワクチンとして処方される。関連する実施形態では、この多糖類は
、アジュバントとともに投与される。他の実施形態では、この多糖類は、被験体に全身投
与される。この抗原は、キャリアー化合物と結合体化され得る。いくつかの実施形態では
、このキャリアー化合物は、ペプチド化合物であるが、これに限定されない。
【0036】
別の局面では、本発明は、被験体におけるStaphylococcus感染に対する
能動免疫を誘導するための方法を提供する。この方法は、Staphylococcus
感染に対する能動免疫を誘導するための有効な量の、任意の上記の多糖類を含む組成物を
、被験体に投与する段階を含む。一つの実施形態では、この方法は、Staphyloc
occus aureusによる感染に対する免疫を誘導するための方法である。別の実
施形態では、この方法は、Staphylococcus epidermidisによ
る感染に対する免疫を誘導するための方法である。
【0037】
本発明の別の局面によって、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を産生する
ための方法は提供される。この方法は、Staphylococcusに対して特異的な
抗体を産生するために有効な量の、アジュバントおよび本発明の任意の多糖類を、被験体
に投与する工程、およびこの被験体から抗体を単離する工程を含む。本発明のこれらおよ
び他の局面では、この多糖類は抗原として使用される。一つの実施形態では、この被験体
は、ヒトであり、他方、他の実施形態ではこの被験体は、ウサギ、マウスまたはラットの
ような非ヒト被験体である。この方法は、この抗体を精製する工程をさらに含み得る。
【0038】
別の局面では、本発明は、モノクローナル抗体を産生するための方法を提供する。この
方法は、Staphylococcusに対して特異的な抗体を産生するのに有効な量の
本発明の単離された多糖類およびアジュバントを被験体に投与する工程、この被験体から
脾臓細胞を採取する工程、この被験体からの脾臓細胞と骨髄腫細胞とを融合する工程、な
らびに融合サブクローンから抗体産生物を採取する工程を包含する。
【0039】
本発明のなお別の局面によって、本発明の多糖類に対して特異的なモノクローナル抗体
を同定する方法が提供される。この方法は、非ヒト被験体における抗原に対する免疫応答
を誘導する工程、この被験体から抗体産生細胞を単離する工程、抗体産生細胞から不死化
細胞を産生する工程、および本発明の多糖類を用いて、この不死化細胞がこのモノクロー
ナル抗体を産生する能力を試験する工程を含む。一つの実施形態では、この方法はまた、
この不死化細胞の上清からモノクローナル抗体を単離する工程を含む。
【0040】
本発明は、本発明の単離された多糖類に選択的に結合する、単離された結合因子を含む
組成物をさらに提供する。一つの実施形態では、この単離された結合因子はペプチドであ
る。このペプチドは、抗体、またはそのフラグメントであり得る。この抗体は、ポリクロ
ーナル抗体であり得る。この抗体は、ヒトの抗体またはキメラ抗体であり得る。いくつか
の重要な実施形態では、この抗体はヒトの抗体である。いくつかの実施形態では、この単
離された結合因子は、dPNAGに特異的に結合する。他の実施形態では、この単離され
た結合因子は、dPNAGおよびdNAGの高いアセチル化形態の両方と結合する。
【0041】
いくつかの実施形態によって、この単離された結合因子は、検出可能標識と結合体化さ
れる。この検出可能標識は、放射性標識、酵素、ビオチン分子、アビジン分子または蛍光
色素からなる群より選択され得る。この単離された結合因子は、抗生物質のような殺菌剤
と結合体化され得る。
【0042】
本発明の別の局面によって、被験体においてStaphylococcus感染に対す
る能動免疫を誘導する方法が提供される。この感染は、Staphylococcus
aureus感染またはStaphylococcus epidermis感染であり
得るが、これに限定されない。この方法は、dPNAGと結合する上記の抗体のひとつの
、Staphylococcusのオプソニン化を誘導するのに有効な量を、被験体に投
与する工程を含む。
【0043】
Staphylococcus感染の予防を意図された上記の方法は、そのような感染
の発生の危険状態にある被験体に対して行われ得る。これらの方法は、同様に、Stap
hylococcus感染を有する被験体の処置に適用され得る。本発明の予防および治
療方法は、天然PNAGを発現する細菌種からの感染を有するか、または感染する危険状
態にある被験体において使用され得る。
【0044】
さらなる局面では、本発明は、Staphylococcus感染を有する被験体を処
置するための方法を提供する。その方法は、本発明の単離された多糖類と結合する、単離
された結合因子を、Staphylococcus感染を阻害するのに有効な量で被験体
に投与する工程を含む。重要な実施形態では、この結合因子は、PNAGの高いアセチル
化形態およびdPNAGと結合する。
【0045】
一つの実施形態では、このStaphylococcus感染は、Staphyloc
occus epidermidis感染およびStaphylococcus aur
eus感染からなる群より選択される。別の実施形態では、この単離された結合因子は、
抗生物質のような殺菌剤と結合体化される。
【0046】
本発明の別の局面では、多糖類が被験体においてStaphylococcus感染か
ら保護する能力を評価するための方法を提供する。この方法は、この多糖類の有効な量を
、被験体に投与する工程(ここで、この多糖類は、能動免疫を誘導する)、この被験体に
Staphylococcusをさらす工程、およびこの被験体におけるStaphyl
ococcusの存在について試験する工程を包含する。
【0047】
なお別の局面では、本発明は、サンプルにおけるdPNAGの存在を同定する方法を提
供する。その方法は、サンプルを、dPNAGと結合する単離された結合因子と接触させ
る工程、および単離された結合因子のこのサンプルへの結合を検出する工程を含む。単離
された結合因子のこのサンプルへの結合は、このサンプルにおけるdPNAGの存在を示
す。この結合因子がまたPNAGにも結合する場合、この方法はまたこのサンプルにおけ
るPNAGの存在を検出するために使われ得る。一つの実施形態では、このサンプルは、
被験体から得られる生物学的サンプルである。この生物学的サンプルは、尿、血、膿、皮
膚、痰、関節液、リンパおよび乳汁からなる群より選択され得る。一つの実施形態では、
この単離された結合因子は、本明細書に記載の検出可能標識のような検出可能標識と結合
体化される。サンプルはまた、移植可能な医療デバイスまたは移植された医療デバイスの
スワブから得られ得る。
【0048】
本発明の限定の各々は、本発明の様々な実施形態を包含し得る。それゆえ、任意の一つ
の要素、または要素の結合を含む、本発明の限定の各々は、本発明の各々の局面に含まれ
得ることが予想される。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
少なくとも4つの単量体単位の長さを有するβ−1,6−グルコサミンポリマーを含む
単離された多糖類を含む組成物であって、ここで、グルコサミンのアミノ基の50%未満
がアセテートに置換され、かつ、該組成物は滅菌されている、組成物。
(項目2)
少なくとも2つの単量体単位の長さを有し、かつ、キャリアー化合物と結合したβ−1
,6−グルコサミンポリマーを含む単離された多糖類を含む組成物であって、ここで、該
多糖類のグルコサミンのアミノ基の50%未満がアセテートに置換されている、組成物。
(項目3)
前記単離された多糖類は、次の構造を有し、
【化1】



ここで、nは少なくとも4である整数であり、Rは−NH−CO−CHおよび−NH
からなる群より選択され、ただし、R基の50%未満は−NH−CO−CHであり、か
つ、該多糖類は少なくとも800ダルトンの分子量を有する、項目1または2に記載の組成物。
(項目4)
前記R基の45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未
満、15%未満、10%未満、または5%未満が−NH−CO−CHである、項目3に記載の組成物。
(項目5)
前記R基のいずれも−NH−CO−CHではない、項目3に記載の組成物。
(項目6)
nが少なくとも6、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも1
00、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400および少なくとも500
からなる群より選択された整数である、項目3に記載の組成物。
(項目7)
前記単離された多糖類が、ヘテロに置換されたポリマーである、項目1または2に記
載の組成物。
(項目8)
前記単離された多糖類が、少なくとも800ダルトンの分子量を有する、項目1また
は2に記載の組成物。
(項目9)
前記単離された多糖類が、少なくとも1000ダルトン、少なくとも1200ダルトン
、少なくとも1500ダルトン、少なくとも2000ダルトン、少なくとも2500ダル
トン、少なくとも5000ダルトン、少なくとも7500ダルトン、少なくとも10,0
00ダルトン、少なくとも25,000ダルトン、少なくとも50,000ダルトン、少
なくとも75,000ダルトンおよび少なくとも100,000ダルトンからなる群より
選択された分子量を有する、項目1または2に記載の組成物。
(項目10)
前記単離された多糖類が、少なくとも125,000ダルトン、少なくとも150,0
00ダルトン、少なくとも200,000ダルトン、少なくとも250,000ダルトン
、少なくとも300,000ダルトン、少なくとも350,000ダルトン、少なくとも
400,000ダルトン、少なくとも450,000ダルトンおよび少なくとも500,
000ダルトンからなる群より選択された分子量を有する、項目1または2に記載の組成物。
(項目11)
β−1,6−グルコサミンポリマーの長さが、少なくとも6、少なくとも10、少なく
とも20、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、
少なくとも400、少なくとも500の単量体単位からなる群より選択される、項目1
または2に記載の組成物。
(項目12)
グルコサミンのアミノ基の40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%
未満、15%未満、10%未満または5%未満がアセテートに置換されている、項目1
または2に記載の組成物。
(項目13)
前記グルコサミンのアミノ基のいずれもアセテートに置換されていない、項目1また
は2に記載の組成物。
(項目14)
前記組成物は、少なくとも90%純粋、少なくとも95%純粋、少なくとも97%純粋
および少なくとも99%純粋からなる群より選択される純度を有する、項目1または2
に記載の組成物。
(項目15)
前記単離された多糖類がキャリアーと結合体化している、項目1に記載の組成物。
(項目16)
前記単離された多糖類が、リンカーを介して前記キャリアー化合物と結合体化している
、項目1または15に記載の組成物。
(項目17)
前記キャリアー化合物が、ペプチドキャリアーである、項目1または15に記載の組
成物。
(項目18)
薬学的に受容可能なキャリアーをさらに含む、項目1または2に記載の組成物。
(項目19)
前記組成物が滅菌されている、項目2に記載の組成物。
(項目20)
前記単離された多糖類はワクチンとして処方される、項目1または2に記載の組成物

(項目21)
前記単離された多糖類は、次に示す構造
【化2】



からなり、ここで、X1、X2、X3、X4、X5およびX6の各々は、H、キャリアー
化合物、またはキャリアー化合物と結合したリンカーのいずれかであり;ならびに、Y1
、Y2およびY3の各々は、OH、キャリアー化合物、またはキャリアー化合物と結合し
たリンカーのいずれかである、項目1または2に記載の組成物。
(項目22)
キャリアー化合物、またはキャリアー化合物と結合したリンカーのうちの一つだけが、
前記構造と結合体化している、項目21に記載の組成物。
(項目23)
X1、X2、X3、X4、X5またはX6のうちの一つだけが、キャリアー化合物また
はキャリアー化合物と結合したリンカーと結合体化している、項目22に記載の組成物。
(項目24)
Y1、Y2またはY3のうちの一つだけが、キャリアー化合物またはキャリアー化合物
と結合したリンカーと結合体化している、項目21に記載の組成物。
(項目25)
前記キャリアー化合物が、N−アセチルβ1−6グルコサミンではない多糖類である、
項目22に記載の組成物。
(項目26)
濃縮された細菌の細胞体調製物から、多糖類の粗調製物をエタノール沈澱させる工程;
該粗多糖類をリゾチームおよびリソスタフィンを用いて同時に消化し、次にヌクレアーゼ
およびプロテイナーゼKを用いて連続して消化して、消化された多糖類調製物を形成させ
る工程;
該消化された多糖類調製物をサイズ分画する工程;
アセチル化多糖類の画分を単離する工程;および
該アセチル化多糖類の画分を脱アセチル化して、50%未満のアセテート置換を有する多
糖類を生産する工程;
を包含する、項目1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13
に記載の単離された細菌性多糖類を作製する方法。
(項目27)
細菌培養物から純物でない多糖類を調製する工程;
該純粋でない多糖類を酸または塩基とともにインキュベートさせて、半純粋の多糖類調製
物を生産する工程;
該調製物を中和する工程;
中和された該調製物をフッ化水素酸中でインキュベートさせる工程;
該調製物からアセチル化多糖類を単離させる工程;および
該アセチル化多糖類を脱アセチル化して、50%未満のアセテート置換を有する多糖類を
生産する工程;
を包含する、項目1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13
に記載の単離された細菌性の多糖類を作製する方法。
(項目28)
細菌培養物から純粋でない多糖類を調製する工程;
該純粋でない多糖類を酸または塩基とともにインキュベートとさせて、半純粋の多糖類調
製物を生産する工程;
該調製物を中和する工程;
中和された該調製物をフッ化水素酸中でインキュベートさせる工程;および
該調製物から50%未満のアセテート置換を有する多糖類を単離する工程;
を包含する、項目1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13
に記載の単離された細菌性多糖類を作製する方法。
(項目29)
前記細菌培養物が、コアグラーゼ陰性staphylococcus培養物である、請
求項26、27または28に記載の方法。
(項目30)
前記細菌培養物が、staphylococcusaureus培養物、またはst
aphylococcus epidermidis培養物である、項目26、27ま
たは28に記載の方法。
(項目31)
前記単離された多糖類が、少なくとも1000ダルトン、少なくとも1200ダルトン
、少なくとも1500ダルトン、少なくとも2000ダルトン、少なくとも2500ダル
トン、少なくとも5000ダルトン、少なくとも7500ダルトン、少なくとも10,0
00ダルトン、少なくとも25,000ダルトン、少なくとも50,000ダルトン、少
なくとも75,000ダルトンおよび少なくとも100,000ダルトンからなる群より
選択された分子量を有する、項目26、27または28に記載の方法。
(項目32)
前記単離された多糖類が、少なくとも125,000ダルトン、少なくとも150,0
00ダルトン、少なくとも200,000ダルトン、少なくとも250,000ダルトン
、少なくとも300,000ダルトン、少なくとも350,000ダルトン、少なくとも
400,000ダルトン、少なくとも450,000ダルトンおよび少なくとも500,
000ダルトンからなる群より選択された分子量を有する、項目26、27または28
に記載の方法。
(項目33)
前記単離された多糖類が、少なくとも90%純粋、少なくとも95%純粋、少なくとも
97%純粋および少なくとも99%純粋からなる群より選択された純度を有する、項目
26、27または28に記載の方法。
(項目34)
前記単離された多糖類と、少なくとも一つのキャリアー化合物とを結合体化させる工程
を包含する、項目26、27または28に記載の方法。
(項目35)
前記キャリアー化合物が、リンカーを介して前記単離された多糖類と結合体化される、
項目34に記載の方法。
(項目36)
前記キャリアー化合物がペプチドキャリアーである、項目34に記載の方法。
(項目37)
前記アセチル化多糖類が化学的に脱アセチル化される、項目26または27に記載の
方法。
(項目38)
前記アセチル化多糖類が、塩基性溶液とのインキュベーションにより脱アセチル化され
る、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記アセチル化多糖類が、酵素学的に脱アセチル化される、項目26または27に記
載の方法。
(項目40)
前記多糖類調製物が、カラムを用いてサイズ分画される、項目26に記載の方法。
(項目41)
前記単離された多糖類を、ワクチンとして処方する工程をさらに包含する、項目26
、27または28に記載の方法。
(項目42)
薬学的に受容可能なキャリアーの中に、免疫応答を刺激するために有効な量で、項目
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、17、2
1、22、23、24または25に記載の単離された多糖類を含む薬学的組成物。
(項目43)
アジュバントをさらに含む、項目42に記載の薬学的組成物。
(項目44)
前記免疫応答が抗原特異的免疫応答である、項目42に記載の薬学的組成物。
(項目45)
項目1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、
17、21、22、23、24または25のいずれか一項に記載の単離された多糖類の、
Staphylococcusに対する免疫応答を誘導するために有効な量を、Stap
hylococcus感染を有するか、または発生する危険状態にある、非げっ歯類被験
体に投与する工程を包含する、非げっ歯類被験体におけるStaphylococcus
感染を処置、または予防するための方法。
(項目46)
前記StaphylococcusはStaphylococcus aureusで
ある、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記Staphylococcusは、Staphylococcus epider
midisである、項目45に記載の方法。
(項目48)
前記非げっ歯類被験体が、ヒト被験体である、項目45に記載の方法。
(項目49)
前記非げっ歯類被験体が、霊長類、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌおよびネコからなる群より選択される、項目45に記載の方法。
(項目50)
前記非げっ歯類被験体がStaphylococcusにさらされる危険状態にある、項目45に記載の方法。
(項目51)
前記非げっ歯類被験体がStaphylococcusにさらされた被験体である、請求項45に記載の方法。
(項目52)
前記単離された多糖類が、アジュバントと結合体化されて投与される、項目45に記載の方法。
(項目53)
前記単離された多糖類がワクチンとして処方される、項目45に記載の方法。
(項目54)
前記単離された多糖類は
【化3】



の構造を有し、ここで、nは少なくとも4であり、Rは−NH−CO−CHおよび−N
からなる群より選択され、ただし該R基の50%未満が−NH−CO−CHである項目45に記載の方法。
(項目55)
前記被験体が医療デバイスの移植物を受けていない被験体である、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記多糖類が全身に投与される、項目45に記載の方法。
(項目57)
前記単離された多糖類がアジュバントとともに投与される、項目45に記載の方法。
(項目58)
前記単離された多糖類がキャリアー化合物と結合体化される、項目45に記載の方法

(項目59)
前記キャリアー化合物がペプチドキャリアーである、項目58に記載の方法。
(項目60)
項目1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、17、21、22、23、24または25に記載の単離された多糖類の、Staphylococcusに対して特異的な抗体を生産するための有効な量およびアジュバントを、
被験体に投与する工程;および
該被験体から抗体を単離する工程;
を包含する、抗体を生産するための方法。
(項目61)
項目1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、
17、21、22、23、24または25に記載の単離された多糖類の、Staphyl
ococcusに対して特異的な抗体を生産するために有効な量およびアジュバントを、
被験体に投与する工程;
該被験体から脾臓細胞を採取する工程;
該被験体からの脾臓細胞と骨髄種細胞とを融合する工程;および
融合サブクローンから生産された抗体を採取する工程;
を包含する、モノクローナル抗体を生産するための方法。
(項目62)
項目1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、
17、21、22、23、24または25に記載の単離された多糖類およびアジュバント
を、被験体へ投与することによって、前記細菌性多糖類に対する免疫応答を刺激する工程
;および
該被験体から抗体を採取する工程;
を包含する、細菌性多糖類に対するポリクローナル抗体を生産する方法。
(項目63)
前記抗体を単離する工程をさらに含む、項目62に記載の方法。
(項目64)
前記被験体がウサギである、項目62に記載の方法。
(項目65)
前記被験体がヒトである、項目62に記載の方法。
(項目66)
前記多糖類に対する免疫応答を誘導する工程;
該被験体から抗体産生細胞を単離する工程;
該抗体産生細胞から不死化細胞を生産する工程;および
項目1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、1
7、21、22、23、24または25に記載の単離された多糖類を用いて、該不死化細
胞がモノクローナル抗体を生産する能力を試験する工程;
を包含する、非ヒト被験体における多糖類に対して特異的なモノクローナル抗体を同定する方法。
(項目67)
前記不死化細胞の上清からモノクローナル抗体を単離する工程をさらに包含する、請求項66に記載の方法。
(項目68)
項目1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、
17、21、22、23、24または25に記載の単離された多糖類と結合する、単離された結合因子を含む組成物。
(項目69)
前記単離された結合因子がペプチドである、項目68に記載の組成物。
(項目70)
前記ペプチドが抗体、またはそのフラグメントである、項目69に記載の組成物。
(項目71)
前記抗体がポリクローナル抗体である、項目70に記載の組成物。
(項目72)
前記抗体がヒト抗体、またはキメラの抗体である、項目71に記載の組成物。
(項目73)
前記抗体がヒト抗体である、項目71に記載の組成物。
(項目74)
前記単離された結合因子が検出可能標識と結合体化される、項目68に記載の組成物

(項目75)
前記検出可能標識が、放射性標識、酵素、ビオチン分子、アビジン分子および蛍光色素
からなる群より選択される、項目74に記載の組成物。
(項目76)
前記単離された結合因子が殺菌剤と結合体化されている、項目68に記載の組成物。
(項目77)
前記殺菌剤が抗生物質である、項目76に記載の組成物。
(項目78)
サンプルを、項目68に記載の単離された結合因子と接触させる工程;および
該単離された結合因子と該サンプルとの結合を検出する工程を包含し、ここで、該単離さ
れた結合因子の結合は、該細菌性多糖類が該サンプル中に存在することを示す、50%未
満のアセテート置換を有する細菌性多糖類がサンプル中に存在することを同定する方法。
(項目79)
前記サンプルが被験体からの生物学的サンプルである、項目78に記載の方法。
(項目80)
前記生物学的サンプルが、尿、血、膿、肌、痰、関節液、リンパおよび乳汁からなる群
より選択される、項目78に記載の方法。
(項目81)
前記単離された結合因子が検出可能標識と結合体化される、項目78に記載の方法。
(項目82)
Staphylococcus感染を阻害するための有効な量で、項目68に記載の
単離された結合因子を、それを必要とする被験体に、投与する工程を包含する、Stap
hylococcus感染を有するか、または発生する危険状態にある被験体を処置する
ための方法。
(項目83)
Staphylococcus感染が、Staphylococcus epider
midis感染およびStaphylococcus aureus感染からなる群より
選択される、項目82に記載の方法。
(項目84)
前記単離された結合因子が殺菌剤と結合体化される、項目82に記載の方法。
(項目85)
前記殺菌剤が抗生物質である、項目82に記載の方法。
【0049】
(配列表の簡単な説明)
配列番号1は、S.aureusからのica遺伝子座のヌクレオチド配列であり、そ
れは、GenBankにおいて受託番号AF086783として寄託された。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、天然PNAGに対する抗体の結合を示す。この抗体は、ジフテリアトキソイドと結合体化された天然PNAGに対して惹起された。
【図2】図2は、脱アセチル化PNAGに対する抗体の結合を示す。この抗体は、ジフテリアトキソイドと結合体化されたdPNAGに対して惹起された。
【図3】図3は、ジフテリアトキソイド(DTm)と結合体化された天然PNAGを用いて、一週間おきに、3回皮下に免疫したマウス(1グループにつき10匹)において得られる抗体力価を示す。動物は、凡例で示される投与量で、免疫された。血液サンプルは、最終免疫化後、1〜4週、毎週得られた。
【図4】図4は、ジフテリアトキソイド(DTm)と結合体化されたdPNAGを用いて、一週間おきに、3回皮下に免疫したマウス(1グループにつき10匹)において得られる抗体力価を示す。動物は、凡例で示される投与量で、免疫された。血液サンプルは、最終免疫化後、1〜4週、毎週得られた。
【図5】図5は、ジフテリアトキソイドと結合体化されるdPNAGを用いて、免疫されたウサギの血清から得られた抗体による、凡例で示された、Staphylococcus菌株のオプソニン性殺傷(ウサギ1)を示す。各点は、指示された希釈で殺傷された平均パーセントを示す。
【図6】図6は、ジフテリアトキソイドと結合体化されたdPNAGを用いて、免疫されたウサギの血清からの抗体による、凡例で示された、Staphylococcus菌株のオプソニン性殺傷(ウサギ2)を示す。各点は、指示された希釈で殺傷された平均パーセントを示す。
【図7】図7は、ジフテリアトキソイドに結合体化された天然PNAGを用いて、免疫されたウサギの血清からの抗体による凡例で示された、Staphylococcus菌株のオプソニン性殺傷(ウサギ3)を示す。各点は、指示された希釈で殺傷された平均パーセントを示す。
【図8】図8は、ジフテリアトキソイドに結合体化された天然PNAGを用いて、免疫されたウサギの血清からの抗体によって、凡例で示された、Staphylococcus菌株のオプソニン性殺傷(ウサギ4)を示す。各点は、指示された希釈で殺傷された平均パーセントを示す。
【図9】図9は、X軸上で示されたStaphylococcus菌株に対する、4匹のウサギの血清から得られた抗体の、オプソニン性殺傷力価をまとめる。このウサギは、上記の図の凡例で記載されている通りである。各バーは、この細菌の40%以上が殺傷された血清希釈の対数を示す。10より下のバーは、1:10の血清希釈では、細菌の40%を殺傷できない血清を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(発明の詳細な説明)
本発明は、Staphylococcus細菌から得られる多糖類の抗体に関する。こ
れらの抗体は、細菌感染に対する免疫を誘導するために、ならびに診断目的および治療目
的のための抗体を産生するために有用である。
【0052】
本発明は、乏しくアセチル化されている(すなわち脱アセチル化された)ポリ−N−ア
セチルグルコサミン(PNAG)(本明細書ではdPNAGと称する)が、高度に免疫原
性であり、従って、インビボで保護性免疫応答を刺激するための適切なワクチン候補に相
当するという発見に部分的に基づく。脱アセチル化PNAGは、アミノ基の50%未満が
アセテート置換されているPNAGである。いくつかの好ましい実施形態では、35%以
下のアセテート置換が存在し、他方、他の実施形態では、15%以下のアセテート置換が
存在する。本発明によって、dPNAGは、天然PNAGよりも、オプソニンの保護性抗
体をより良好に惹起できることがさらに発見された。「天然」PNAGとは、0〜100
%に及ぶアセチル化レベルの範囲内の、天然存在するPNAGの混合物が自然に生じるこ
とをいう。従ってPNAGは、本明細書に記載の脱アセチル化方法を用いて、天然PNA
Gから得られ得る。dPNAGに対して調製される抗体は、S.aureusおよびS.
epidermidisのようなStaphylococcusに対して有効である。従
って、本発明によって、アセチル化の程度が、インビボでの抗体投与において誘導される
免疫応答のレベルに影響することが発見された。dPNAG投与の後に惹起される抗体は
、dPNAGを認識し、および重要な実施形態ではまた、PNAGの高いアセチル化形態
を認識する。
【0053】
本発明は、単離されたdPNAGの組成物、単離する方法、およびいくつかの例ではd
PNAGを精製する方法、ならびに、インビボでの治療方法、予防方法および診断方法を
含む、使用方法を提供する。本明細書で使用される場合、このdPNAGは、dPNAG
抗原として称され得る。後者の用語は、交換可能であることを意図される。本発明はまた
、ワクチンとして使用され得るdPNAGの薬学的組成物を提供する。
【0054】
いくつかの局面では、dPNAGは、次の構造を有する。
【0055】
【化6】

【0056】
ここで、nは2から300以上に及ぶ整数であり、Rは−NH−CO−CHおよび−N
からなる群より選択される。ただし、R基の50%未満は−NH−CO−CHであ
る。dPNAGは、ベータ(β)1−6結合を有する(すなわちdPNAGは、ベータ(
β)1−6結合によってともに結合されているグルコサミン単量体単位で構成される)。
【0057】
dPNAGは、全てのR基が置換されていない(すなわち、R=NH)である場合、
ホモポリマーであり得る。ホモポリマーは、グルコサミン残基のR基が同一である、dP
NAGである。dPNAGはまた、R基の位置が、−NHおよび−NH−CO−CH
基の混合物を有するヘテロポリマーであり得る。ただし、R基の50%未満がアセテート
に置換される。この実施形態によると、R基の49%未満、45%未満、40%未満、3
5%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満ま
たは1%未満がアセテートに置換され得る。
【0058】
dPNAGのサイズは大いに変動し、そして本明細書に記載のようにdPNAGがキャ
リアー化合物と結合体化されるかどうかに依存する。いくつかの局面では、dPNAG抗
原は、少なくとも100,000ダルトンの分子量を有する。他の局面では、dPNAG
抗原は、2000ダルトン未満の分子量を有する。PNAGの分子量は、少なくとも20
0ダルトン、または少なくとも400ダルトン、または少なくとも600ダルトン、また
は少なくとも800ダルトンであり得る。より低い分子量のdPNAGは、本発明によっ
て、好ましくはキャリアー化合物と結合体化される場合に、使用され得る。これらのdP
NAGは、2〜3単量体単位程度に小さくあり得るが、好ましくは少なくとも4〜6単量
体単位の長さである。これらに対応する分子量は、約400、約600、約800、約1
000および約1200ダルトンである。500から20,000,000ダルトンまで
の間の多糖類は、典型的である。
【0059】
理解されるように、上記の構造におけるnの値は、この抗原の分子量に対して影響を与
える。nが300以上の場合は、この構造における最小多糖類の分子量は60,918ダ
ルトンである(300単位×203ダルトン/単位+末端残基における置換基についての
18ダルトン)。この抗原が100,000ダルトンの最小分子量を有する場合、この多
糖類は、300単位より多くを有するか、またはこの多糖類は、この分子量における違い
を創出するキャリアー化合物と結合体化されるかのいずれかである。
【0060】
本発明は、dPNAG抗原の、天然に存在する形態および合成された形態の両方を提供
する。本明細書に記載のように、この天然に存在するdPNAGは、天然に存在する供給
源に存在する、または天然に存在する供給源から単離され得るか、もしくは天然に存在す
る供給源に由来し得るdPNAGである。dPNAG抗原はまた、単離された形態で提供
される。dPNAGのような単離された多糖類は、通常存在する環境から取り出され、従
って分離される。いくつかの例では、単離された多糖類は、構造的にまたは機能的に特徴
付けられた他の化合物から充分に分離される。例えば、単離された多糖類は、その化学的
組成を決定するために「配列決定され」得る。
【0061】
dPNAGは、このica遺伝子座を有する任意の細菌株から調製され得る。これらの
株としては、S.epidermisおよびS.aureusが挙げられるが、これらに
限定されず、このica遺伝子座においてこの遺伝子で形質転換されている他の株(例え
ばS.carnosus)も含む。特に、dPNAGは、S.epidermis RP
62A(ATCC番号35984)、S.epidermis RP12(ATCC番号
35983)、S.epidermis M187、S.carnosus TM300
(pCN27)、S.aureus RN4220(pCN27)およびS.aureu
s MN8ムコイドを含む特定の株から調製され得る。
【0062】
一つの方法は、塩基または酸とともに純粋でないPNAGをインキュベートして、半純
粋のPNAG調製物を生産する工程、この調製物を中和する工程、およびさらにこの中和
された調製物をさらに処置してdPNAGを生産する工程を含む。
【0063】
純粋でない天然PNAGは、細胞および無細胞培養物上清を含む、細菌培養物からの天
然PNAG粗調製物を抽出して、このPNAG粗調製物から高い分子量の天然PNAG豊
富な材料を単離を生じさせる工程を包含する様々な方法によって調製され得、そしてメタ
ノール、エタノール、アセトンまたはおよび水溶液から多糖類の沈澱を引き起こす能力を
有すると当該者に知られている他の任意の有機溶媒のような溶媒を用いて、高い分子量の
PNAG豊富な材料を含む純粋でないPNAGを最初に沈澱することによって得られ得る
。この天然PNAG粗調製物を抽出する工程、および純粋でない天然PNAG抗原調製物
を単離して、そして沈澱する工程は、米国特許第5,055,455号を含む方法のよう
な、当該分野で知られている任意の方法によって行われる。この純粋でない材料は、精製
され、そして脱アセチル化されて、そして本発明のdPNAGが生産される。
【0064】
この精製工程は、リゾチーム、リソスタフィンおよびプロテイナーゼKのような細胞壁
破壊因子、ならびにDNAおよびRNAを消化するDNaseおよびRNaseのような
ヌクレアーゼ酵素を含む、生物学的材料を消化し得る細菌性酵素とともに、純粋でないP
NAGをインキュベートすることによって達成される。そのあとに、溶液からPNAGを
沈澱させる溶媒を添加する工程、この沈澱を収集する工程およびNaOHのような塩基、
またはHClのような酸中でPNAGを再溶解する工程、その次に中和する工程が続く。
この中和は、このインキュベーションされる工程が酸で行われた場合は塩基を用いて、ま
たはこのインキュベーションされる工程が塩基で行われた場合は酸を用いて、達成され得
る。次いで、この中性材料からの不溶性画分は、例えば、フッ化水素酸中でインキュベー
ションされて、純粋な天然PNAG抗原を生産すること、またはpHが4.0より小さい
緩衝液中で再溶解され、そのあと分子篩および/またはイオン交換クロマトグラフィーで
処理されるような、処理をされる。
【0065】
別の単離方法は、強塩基または強酸とともにこの細菌をインキュベートさせることによ
って、細菌培養物からPNAG粗懸濁物を抽出する工程を含む。好ましくは、細菌は、少
なくとも2時間、およびより好ましくは少なくとも5時間、10時間、15時間、18時
間または24時間、強塩基または強酸中で攪拌される。この強塩基または強酸は、任意の
タイプの強塩基または強酸であり得るが、好ましくは少なくとも1MNaOHまたはHC
lの強さを有する。いくつかの実施形態では、この強塩基または強酸は、5MNaOHま
たは5MHClである。次いで、この酸溶液または塩基溶液は、遠心分離されて、細胞体
が収集される。いくつかの実施形態では、この抽出手順は、数回繰り返される。生じた酸
溶液または塩基溶液は、約pH7に中和され、次いで透析されて、不溶性の純粋でないP
NAGが生産される。
【0066】
dPNAGは、50%よりも多くアセテート置換された天然に存在する多糖類から合成
され得る。例えば、このdPNAG抗原は、化学手段(例えば、塩基処理)、または酵素
手段によって、高度なアセチル化グルコサミンポリマーを脱アセチル化することにより合
成され得る。
【0067】
dPNAG抗原はまた、デノボで合成され得る(例えば、Melean et al.
Carbohydrate Research,337:1893−1916,2002
を参照)。出発材料としては、ポリグルコース(すなわち、デキストラン)、キチンまた
はキトサンのようなポリグルコサミン、およびポリグルコサミノウロン酸が挙げられるが
、これらに限定されない。ポリグルコサミノウロン酸はまた、本発明のdPNAG抗原を
生産するために使用され得る。様々な置換基を有するポリグルコサミンはまた、このPN
AG抗原を生産するために改変され得る。例えば、多糖類細胞内付着因子(PIA)は、
β−1−6結合型グルコサミン残基の高度なアセチル化ポリマーである。PIAは次の構
造を有する。
【0068】
【化7】

【0069】
イミン部分(C−NH)を含むこれらの多糖類に対して、遊離アミノ基は、当業者に公
知の通常の化学技術によって形成され得る。一つの適切な方法は、ホウ化水素ナトリウム
の使用を含む。このイミン基はホウ化水素ナトリウムを用いて還元され得、遊離アミノ基
が生成され得る。これは、2時間室温で攪拌しながら、5mg過剰ホウ化水素を、蒸留水
に溶解させた多糖類に加えることによって行われる。次いで、この混合物は水に対して透
析され、そして凍結乾燥される。(例えば、DiFabio,et al. Bioch
em J.,1987 15;244(1):27−33を参照)。
【0070】
本発明は、様々な純度のdPNAG調製物を提供する。本明細書に記載のように、「純
粋なdPNAG調製物」は、単離されまたは合成されて、そして92%より多く不純物が
ないdPNAG調製物である。これらの不純物は、高度のアセテート置換PNAG形態(
すなわち、50%より多いアセテート置換体)、ガラクトース、リン酸塩、テイコ酸など
を含む。いくつかの実施形態では、dPNAG組成物は、少なくとも93%、94%、9
5%、96%、97%、98%、99%不純物がない、または100%不純物がない。
【0071】
dPNAG組成物はまた、不純物が「実質的にない」と称され得る。例えば、ガラスト
−スが実質的にないdPNAG組成物は、dPNAGを含む調製物の中に、10%未満、
好ましくは5%未満、より好ましくは1%未満のガラストースの存在を指し示す。
【0072】
このdPNAG組成物の純度の程度は、当該分野で公知の任意の手段で評価され得る。
例えば、この純度は、ガスクロマトグラフィーおよび核磁気共鳴のような化学的分析アッ
セイで評価して、この材料の構造的側面を確認し得る。
【0073】
いくつかのdPNAG調製物の別の主な不純物は、ホスフェートを含むテイコ酸であり
得る。このテイコ酸不純物は、本発明のdPNAG抗原の、化学的特徴付けおよび免疫原
性の両方を妨害し得る。本明細書に記載の本発明の方法は、テイコ酸が実質的にない単離
されたdPNAG調製物を生産する能力を有する。テイコ酸が実質的にないdPNAG調
製物とは、1.0%未満のホスフェート、より好ましくは0.1%未満のホスフェートを
有するdPNAG調製物である。このサンプル中に存在するホスフェートの量は、当該分
野で公知の任意の手段によって評価され得る。ホスフェート不純物の量は、Keleti
,G.およびW.H.Lederer,((1974)Handbook of Mic
romethods for the Biological Sciences Va
n Nostrand Reinhold Co.,New York)に記載の方法を
用いて評価され得、これは本明細書により、参考として援用される。手短に言えば、この
アッセイは次のように行われる:100μgのサンプルに、43.5mlの水、6.5m
lの70%過塩素酸(HClO)および50mlの20N硫酸(HSO)をともに
加えて作製された溶液を100μl加える。これは、その上部に大理石を有するチューブ
の中で、2時間95℃で加熱される。次いで、この混合物は、165℃にて乾燥機の中に
置かれ、そしてさらに2時間加熱され、次いで室温まで冷却される。次に、下に記載の方
法で作製された試薬5が1ml、このサンプルに加えられる:
試薬1:10mlの水に溶解させた酢酸ナトリウム.3HO 1.36グラム
試薬2:20mlの水に溶解させたモリブデン酸アンモニウム500mg
試薬3:2mlの試薬1、2mlの試薬2および16mlの水
試薬4:使用直前に調製される、20mlの水に溶解させたアスコルビン酸2mg
試薬5:氷浴中で、試薬3を9mlおよび試薬4を1ml加える。
【0074】
試薬5を加えたあと、チューブは徹底的に混合され、そしてこの光学密度が分光光度計
で820ナノメートルで読まれる。第一リン酸ナトリウム(チューブ1本につき0.1〜
5μgの範囲)からなる検量線を用いて、この試験サンプル中に存在するホスフェートの
量を計算する。(Lowry,O.H.,N.R.Roberts,K.Y.Leine
r,M.L.Wu and A.L.Farr.,(1954),Biol.Chem.
207,1.)。
【0075】
本発明の組成物は、感染のような病理学的状態のインビトロ、インサイチュおよびイン
ビボでの診断を含む、様々な異なる適用に対して有用である。この組成物を用いて、イン
ビボで被験体を免疫して、感染を予防または処置し得る。この組成物はまた、本発明のd
PNAG組成物と同じ目的のために有用である、抗体および他の結合性ペプチドを発生さ
せるために使用され得る。従って、本発明は、dPNAGまたは対応する結合因子(例え
ば、抗体)を含む薬学的組成物を包含する。この薬学的組成物は、それを必要とする被験
体に能動免疫または受動免疫のいずれかを誘導させる、ワクチン接種目的のために使用さ
れ得る。本発明はまた、dPNAGと結合する抗体のような結合因子を生産するための方
法を提供し、この結合因子はStaphylococcus感染および関連する状態の診
断および処置において使用され得る。
【0076】
dPNAGは、結合体化された形態または結合体化されない形態で使用され得る。結合
体化された形態では、dPNAGは直接またはリンカーを介してのいずれかでキャリアー
化合物と結合体化され得る。この結合体化は、グルコサミン単量体単位またはポリマー末
端において任意の位置で生じ得る。
【0077】
本明細書において使用される「キャリアー化合物」は、直接またはリンカーを介しての
いずれかで多糖類と結合体化され得、および免疫学的に活性または不活性であり得る化合
物である。
【0078】
キャリアー化合物としては、タンパク質またはペプチド、多糖類、核酸または他のポリ
マー、脂質および小分子が挙げられるが、それらに限定されない。例えば、タンパク質と
しては、血清アルブミン、免疫グロブリン、アポリポタンパク質およびトランスフェリン
のような血漿タンパク質;TRPLE、β−ガラクトシダーゼ、ヘルペスgDタンパク質
、アレルゲン、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイドのポリペプチド、サルモネラの
フラゲリン、ヘモフィルスのピリン、ヘモフィスルスの15kDa膜タンパク質、ヘモフ
ィスルスの28〜30kDa膜タンパク質、ヘモフィスルスの40kDa膜タンパク質、
Escherichia coli、非耐熱性(heat−label)エンテロトキシ
ンltb、コレラ毒素のような細菌性ポリペプチド、またはロタウイルスVPおよび呼吸
器系合胞体ウイルスfタンパク質および呼吸器系合胞体ウイルスgタンパク質を含むウイ
ルスタンパク質を含む。本発明において有用なタンパク質は、哺乳動物に対して投与する
のに安全であり、および必要に応じて免疫学的に有用なキャリアータンパク質である任意
のタンパク質を含む。
【0079】
免疫化に特に有用であるキャリアー化合物としては、キーホールリンペットヘモシアニ
ン、血清アルブミン、ウシのチログロブリン、またはダイズトリプシンインヒビターのよ
うなタンパク質が挙げられる。免疫される動物のその種において免疫原性である任意の他
の化合物が、同様にして使用され得る。
【0080】
多糖類をタンパク質に結合体化させる多くの方法が、当該分野で公知である。一般的に
、この多糖類は、活性化され得るか、さもなければ結合体化されやすくさせられるべきで
あり、すなわち、少なくとも一つの部分が、タンパク質または他分子と共有結合する能力
を有するようになされなければならない。多くのそのような方法は、当該分野で公知であ
る。例えば、Jenningsに対して発行された、米国特許第4,356,170号は
、過ヨウ素酸を使用して多糖類のアルデヒド基を生成させ、次いでシアノホウ化水素を用
いて還元的アミノ化が行われることを記載する。Tsay et al.に対して発行さ
れた、米国特許第4,663,160号もまた、過ヨウ素酸を使用してアルデヒド基を生
成させるが、次いでシアノホウ化水素のような還元剤の存在下で、シフの塩基反応を用い
て(縮合剤の存在下で調製される)4〜12炭素部分を用いて誘導されたタンパク質に、
多糖類を結合させた。Gordonに対して発行された、米国特許第4,619,828
号は、臭化シアンを用いて多糖類を活性化させ、次いで4〜8炭素原子のスペーサーブリ
ッジを通して、活性化された多糖類とこのタンパク質を結合体化させた。Anderso
nおよびClementsに対して発行された、米国特許第4,808,700号では、
多糖類は、過ヨウ素酸塩による限定的酸化的開裂、グリコシダーゼによる加水分解、また
は酸加水分解を用いて改変され、少なくとも一つの還元末端を生成させ、そしてシアノホ
ウ化水素の存在下において還元性アミノ化を通してタンパク質と結合体化された。Por
roおよびCostantinoに対して発行された、米国特許第4,711,779号
は、シアノホウ化水素ナトリウムを用いて還元した末端基に、第一級アミノ基を導入する
ことによって多糖類を活性化し、次にアジピン酸の存在下でエステルに転換し、そしてジ
メチルスルホキシドのような有機溶媒の存在下で、トキソイドと結合体化させることを記
載した。結合体化の多くの他の方法は当該分野で公知である。
【0081】
キャリアー化合物は、リンカーまたはスペーサーを介してdPNAGと結合体化され得
る。多糖類は、当該分野で公知の任意の手段によって、リンカーまたはスペーサーと結合
され得る。その手段としては、例えば、この多糖類の遊離還元末端を使用して、スペーサ
ーまたはリンカーとの共有結合を生成する方法である。共有結合は、dPNAGの遊離還
元末端を遊離1−アミノグリコシド(1−aminoglycocide)に転換するこ
とによって生成され得る。次いでそれは、アシル化によりスペーサーと共有結合され得る
。(Lundquist et al.,J.Carbohydrate Chem.,
10:377(1991))。あるいは、dPNAGは、このスペーサー上での活性基と
してN−ヒドロキシスクシンイミド活性エステルを用いて、このスペーサーと共有結合さ
れ得る。(Kochetkow,Carbohydrate Research,146
:C1(1986))。dPNAGの遊離還元末端はまた、ヨウ素および水酸化カリウム
を用いてラクトンに転換され得る。(Isabell et al.,Methods
of Carbohydrate Chemistry,Academic Press
,New York(1962))。このラクトンは、このスペーサーまたはこのリンカ
ー上にある第一級アミノ基を用いて、このスペーサーと共有結合され得る。dPNAGの
遊離還元末端はまた、還元性アミノ化を用いて、このリンカーまたはこのスペーサーと共
有結合され得る。
【0082】
本発明は、dPNAGと結合する抗体を含む。この抗体は、モノクローナル抗体または
ポリクローナル抗体のいずれかであり得る。このdPNAG抗体はdPNAGに結合し、
そしてまた、50%より多くアセチル化されたPNAG形態と結合し得る。
【0083】
ポリクローナル抗体は、一般的に、抗体およびアジュバントの複数回の皮下注射または
腹腔内注射によって動物の中に惹起させられる。dPNAGに対するポリクローナル抗体
は、dPNAGの結合体化された形態または結合体化されない形態を、単独で、またはア
ジュバントとの組み合わせにより、注射することにより生成され得る。
【0084】
ポリクローナル抗体調製物の例を次に示す。dPNAGまたはdPNAG結合体は、フ
ロイント完全アジュバントのようなアジュバントと結合体化され、(例えば、1〜3容積
フロイント中に、ウサギまたはマウスに対して100μgの結合体)、そして複数箇所の
皮内に注射される。約1ヶ月後、この動物は、複数箇所の皮下に注射されたアジュバント
中の抗原または抗原結合体の、初回投与量の5分の1〜10分の1量を用いて追加免疫さ
れる。一週間〜二週間後、この動物から採血され、そしてその血清は抗体の存在について
アッセイされる。この動物は、抗体力価がプラトーに達するまで繰り返し追加免疫され得
る。この動物には、dPNAG単独、dPNAG結合体、または異なるキャリアー化合物
と結合体化されたdPNAGが、アジュバントとともにまたはアジュバントなしで注射さ
れ得る。いくつかの実施形態では、この追加免疫は、dPNAGではなくPNAGを含み
得、またはこの追加免疫は、dPNAGおよびPNAGの混合物を含み得る。
【0085】
ポリクローナル抗体源を供給することに加えて、この免疫された動物は、抗dPNAG
モノクローナル抗体を生成させるために使用され得る。本明細書において使用されるよう
に、用語「モノクローナル抗体」とは、dPNAGの同じエピトープ(すなわち、抗原決
定基)と結合する免疫グロブリンの均質の集団をいう。このエピトープはまた、50%よ
り多くアセチル化されたPNAG形態の中にも存在し得る。モノクローナル抗体は、同じ
Ig遺伝子再配列を有し、従って同一の結合特異性を示す。モノクローナル抗体は、当該
分野で公知の任意の方法、例えば、骨髄腫細胞と融合またはエプスタインバーウイルス形
質転換により免疫された動物から単離された脾臓細胞を不死化すること、および所望の抗
体を発現するクローンについてスクリーニングすることによって調製され得る。他の方法
は、再配列されたIg遺伝子配列の単離および不死化細胞株中へのクローニングを含む。
モノクローナル抗体を調製する方法および使用する方法は、当該分野において周知である

【0086】
マウスの抗dPNAGモノクローナル抗体は、免疫抗原としてdPNAGを利用するこ
れらの任意の方法によって作製され得る。抗dPNAGモノクローナル抗体を生成するた
めの方法の次に示す記載は、例示であり、および例示の目的のためのみに提供される。B
alb/cマウスは、完全フロイントアジュバントの中の精製されたdPNAGの約75
〜100μgを用いて、腹腔内免疫される。不完全フロイントアジュバント中の約25〜
50μgの追加免疫注射は、初回注射後約15日および約35日に投与される。60〜6
5日目に、このマウスはアジュバントの非存在下で約25μgのdPNAGの追加免疫注
射を受ける。あるいは、追加免疫注射は、天然PNAG調製物、またはdPNAGとPN
AGとの混合物を含み得る。3日後、このマウスは殺され、そして、Oiに記載されてい
るような手順により、ポリエチレングリコールを用いて、単離された脾臓細胞がマウスの
骨髄腫NS−1細胞に融合される(Oi VT:Immunoglobulin−pro
ducing hybrid cell lines in Herzenberg L
A(ed):Selected Methods in Cellular Biolo
gy,San Francisco,CA,Freeman,(1980))。ハイブリ
ドーマ細胞は、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジン(HAT)を用いて選択
され、そして培養中で増殖される。融合後14日〜15日間、抗dPNAGモノクローナ
ル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、固定されたヤギ抗マウスIgG有する、馴化培
地から抗dPNAG抗体を捕獲すること、次いで特異的に結合した125I−標識される
dPNAGまたは125I−標識されるPNAGの定量化することによる固相ラジオイム
ノアッセイを用いて同定される。dPNAGに対する抗体に対して陽性であると試験され
たハイブリドーマは、限界希釈によりサブクローニングされ、および再試験される。次い
で、ハイブリドーマに関する腹水は、プリスタンで初回刺激されたBALB/cマウス中
で、マウス1匹につき約1×10個の細胞を注射することによって調製される。この選
択されたモノクローナル抗体が濃縮された濃縮物は、S−200上でゲル濾過によって腹
水から生産され、NHSOを用いて濃縮される。このペレットは、50%グリセロー
ル/HOのような適切な保存溶液中に溶解され、そして4℃で保存される。
【0087】
本明細書において使用される「抗dPNAG抗体」は、ヒト化抗体および抗体フラグメ
ント、ならびにdPNAGおよびいくつかの例では50%より多くアセチル化されたPN
AG形態に結合する、インタクトなモノクローナル抗体およびインタクトなポリクローナ
ル抗体を含む。本明細書において使用される「ヒト化モノクローナル抗体」とは、ヒト化
モノクローナル抗体またはその機能的に活性なフラグメントであり、このフラグメントは
、少なくとも、ヒト定常領域およびヒト以外の種の哺乳動物からのdPNAG結合領域(
たとえば、CDR)を有する。単離された形態の、または薬学的調製物中のインタクトな
ヒト化抗dPNAGモノクローナル抗体は、本発明のいくつかの局面に特に適切である。
ヒト化抗体は、このヒト化抗体がdPNAGおよび好ましくは天然PNAG形態を特異的
に認識するが、ヒトにおいて抗体それ自体に対する免疫応答を惹起しないという点で特に
臨床的有用性を有する。一つの好ましい実施形態では、マウスのCDRを、ヒト化抗体の
フレームワーク領域へグラフト化して「ヒト化抗体」を調製する。例えば、Riechm
ann et al.,Nature 332,323(1988);M.S.Neub
erger et al.,Nature 314,268(1985)およびEPA
0 239 400(1987年9月30日公開)を参照。
【0088】
ヒトモノクローナル抗体は、当該分野で公知の任意の方法(Borrebaeck e
t alに対して発行された米国特許第5,567,610号、Ostbergに対して
発行された米国特許第565,354号、Baker et al,Kozber,J.
Immunol.133:3001(1984)、Brodeur,et al.,Mo
noclonal Antibody Production Techniques
and Applications,p.51−63(Marcel Dekker,I
nc,new York,1987)およびBoerner et al.,J.Imm
unol.,147:86−95(1991)に対して発行された米国特許第5,571
,893号で公開されている方法)によって作製され得る。ヒトモノクローナル抗体を調
製するための通常の方法に加えて、そのような抗体はまた、ヒト抗体を生成する能力のあ
る、トランスジェニック動物を免疫することによって調製され得る(例えば、Jakob
ovit et al.,PNAS USA,90:2251(1993),Jakob
ovits et al.,Nature,362:255−258(1993),Br
uggermann et al.,Year in Immunol.,7:33(1
993)およびLongbergに対して発行された米国特許第5,569,825号)

【0089】
dPNAGおよび好ましくは他の天然PNAG形態と反応する、ヒト化モノクローナル
抗体を調製するための方法の、次に示す例はまた、例示であり、および例示の目的のため
のみに提供される。例えば、ヒト化モノクローナル抗体は、ヒト以外の哺乳動物の抗体の
非CDR領域を、ヒト化抗体の同様の領域と取り替えることによって組み立てられ得、他
方、このもともとの抗体のエピトープ特異性を維持され得る。例えば、非ヒトCDRおよ
び必要に応じていくつかのフレームワーク領域は、ヒトFRおよび/またはFc/pFc
’領域と共有結合され、機能的抗体が生産し得る。米国では、Protein Desi
gn Labs(Mountain View California),Abgeni
x,およびMedarexのような、商業的に、特異的なマウス抗体領域からヒト化抗体
を合成する企業が存在する。
【0090】
欧州特許出願第0239400号(その全体の内容は、本明細書により参考として援用
される)は、マウス(またはヒト以外の他の哺乳動物)抗体の少なくともCDR部分がヒ
ト化抗体中に含まれるヒト化クローナル抗体の生産および使用の例示的教示を提供する。
手短に言うと、次に示す方法は、少なくともマウスCDRの一部分を含む、ヒト化CDR
モノクローナル抗体を構築するために有用である。少なくともIgの重鎖または軽鎖の可
変領域(ヒト抗体からのフレームワーク領域を含む)およびマウス抗体のCDR領域を少
なくともコードするDNA配列から作動可能に結合される、適切なプロモーターを含む、
第一の複製可能な発現ベクターが調製される。必要に応じて相補的なヒトIgの軽鎖また
は重鎖の可変領域を少なくともコードするDNA配列を作動可能に結合させる適切なプロ
モーターを含む第二の複製可能な発現ベクターが調製される。次いで、このベクターを用
いて、細胞株が形質転換される。好ましくは、この細胞株は、骨髄腫細胞株、ハイブリド
ーマ細胞株、トリオーマ細胞株もしくはクアドローマ細胞株のようなリンパ系起源の、哺
乳動物の不死化細胞株であるか、またはウイルスを用いる形質転換によって不死化された
正常のリンパ系細胞である。次いで、この形質転換された細胞株を、当業者において公知
の条件下で培養して、このヒト化抗体が生産される。
【0091】
欧州特許出願第0239400号の中で示されているように、複製可能ベクターに挿入
されるための特定の抗体ドメインを作製するためのいくつかの技術は、当該分野において
周知である。(好ましいベクターおよび組換え技術は、下でより詳細に議論される)。例
えば、この領域をコードするDNA配列は、オリゴヌクレオチド合成によって調製され得
る。あるいは、粘着末端を有する二本鎖の合成または制限されたサブクローニングされた
CDRカセットが、フレームワーク領域の結合部において連結され得るように、4つのフ
レームワーク領域が、結合部において適切な制限部位とともに融合される、CDR領域が
欠如している合成遺伝子。別の方法は、オリゴヌクレオチド部位指向性変異誘発による可
変CDRを含むドメインをコードするDNA配列の調製物を含む。これらの方法の各々は
、当該分野で周知である。それゆえ、当業者は、マウスCDRを含むヒト化抗体の、その
エピトープに対する抗体の特異性を破壊することなく、マウスCDR領域を含むヒト化抗
体を構築し得る。
【0092】
ヒト抗体はまた、dPNAGに対する抗体を生産する血液またはヒト組織から抗体産生
リンパ球を回収することによって得られ得る。これらのリンパ球は、適切な培養条件下に
おいて実験室でリンパ球自身を増殖させる細胞を生産するために処置され得る。この細胞
培養物はまた、dPNAGに対する抗体の生産についてスクリーニングされ得、次いでク
ローニングされ得る。クローニング培養物を用いて、dPNAGに対するヒトモノクロー
ナル抗体を生産し得、またはこの抗体の重鎖または軽鎖の様々な部分をコードする遺伝子
エレメントがクローニングされ得、そして異なるタイプの抗体の生産のために核酸ベクタ
ー中へ挿入される。
【0093】
抗体フラグメントに結合するdPNAGもまた、本発明によって包含される。当該分野
で周知のように、抗体分子の小さい一部分のみであるパラト−プは、そのエピトープに対
する抗体の結合に関与する(一般的に、Clark,W.R.(1986)The Ex
perimental Fondations of Modern Immunolo
gy Wiley&Sons,Inc.,New York;Roitt,I.(199
1)Essential Immunology,7th Ed.,Blackwell
Scientific Publications,Oxfordを参照)。例えば、
この抗体のpFc’領域およびFc領域は、補体カスケードのエフェクターであるが、抗
原の結合に関与しない。pFc’領域が酵素学的に切除されている抗体、またはpFc’
領域なしで生産されている抗体(F(ab’)フラグメントと称される)は、インタク
トな抗体の両方の抗原結合部位を保持する。単離されたF(ab’)フラグメントは、
その2つの抗原結合部位のために、二価のモノクローナルフラグメントと称される。同様
に、Fc領域が酵素学的に切除されている抗体、またはFc領域なしで生産されている抗
体(Fabフラグメントと称される)は、インタクトな抗体分子の抗原結合部位のうちの
一つを保持する。さらに前進すると、このFabフラグメントは、共有結合した抗体軽鎖
とFdと称される抗体重鎖の一部(重鎖可変領域)からなる。このFdフラグメントは抗
体特異性の主な決定基であり(単一Fdフラグメントは、抗体特異性を変えることなしに
、10個までの異なる軽鎖と結合され得る)、そしてこのFdフラグメントは、単離物の
際エピトープが結合する能力を保持する。
【0094】
用語Fab、Fc、pFc’、F(ab’)およびFvは、いずれも標準的な免疫学
的意味で使用される[Klein,Immunology(John Wiley,Ne
w York,NY,1982);Clark,W.R.(1986)The Expe
rimental Fondations of Modern Immunology
(Wiley&Sons,Inc.,New York);Roitt,I.(1991
)Essential Immunology,7th Ed.,(Blackwell
Scientific Publications,Oxford)]。周知の機能的
活性抗体フラグメントとしては、抗体のF(ab’)フラグメント、Fabフラグメン
ト、FvフラグメントおよびFdフラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。
インタクトな抗体のFcフラグメントが欠損したこれらのフラグメントは、循環からより
急速に除去され、そしてインタクトな抗体よりも少ない特異的組織結合性を有し得る(W
ahl et al.,J.Nucl.Med.24:316−325(1983))。
例えば、単鎖抗体は、Ladner et al.に対して発行された米国特許第4,9
46,778号に記載の方法に従って構築され得る。そのような単鎖抗体は、可撓性のあ
るリンカー部分によって結合された軽鎖および重鎖の可変領域を含む。単離された可変の
重鎖の単ドメイン(単ドメイン抗体(「Fd」))を得るための方法もまた、報告されて
いる(例えば、Ward et al.,Nature 341:644−646(19
89)を参照、これは、単離された形態において抗体重鎖可変領域(V単ドメイン抗体
)と結合する標的エピトープに対して充分な親和力を有する、抗体重鎖可変領域を同定す
るためのスクリーニングする方法を開示する。)。公知の抗体重鎖可変領域配列および軽
鎖可変領域配列に基づく組換えFvフラグメントを作製するための方法は、当該分野で公
知であり、そして例えばMoore et al.米国特許第4,462,334号に記
載されている。抗体フラグメントの使用および生産を記載する他の参考文献は、例えば、
Fabフラグメント(Tijssen,Practice and Theory of
Enzyme Immunoassays(Elsevieer,Amsterdam
,1985))、Fvフラグメント(Hochman et al.,Biochemi
stry 12:1130(1973);Sharon et al.,Biochem
istry 15:1591(1976);Ehrilch et al.,米国特許第
4,355,023号)および抗体分子の一部(Audilore−Hargreave
s,米国特許第4,470,925号)を含む。従って、当業者は、このdPNAGエピ
トープに対する抗体の特異性を破壊することなく、インタクトな抗体の様々な部分から抗
体フラグメントを構築し得る。抗dPNAG抗体によって認識されるエピトープはまた、
他の天然PNAG形態上に存在し得ることが理解される。
【0095】
この抗体フラグメントはまた、「ヒト化抗体フラグメント」を包含する。当業者が認識
するように、そのようなフラグメントは、インタクトなヒト化抗体の伝統的な酵素学的開
裂によって調製され得る。しかし、関与する構築物の性質のために、インタクトな抗体が
そのような開裂に対して感受性がない場合、言及されるこの構築物は、出発材料として使
用される免疫グロブリンフラグメントを用いて調製され得、または、組換え技術が使用さ
れる場合、そのDNA配列それ自身が、所望のフラグメント(これを、化学的手段または
生物学的手段によってインビボまたはインビトロにおいて組み合わせて、最終の所望のイ
ンタクトな免疫グロブリンフラグメントが調製され得る。)をコードするために改変され
得る。
【0096】
dPNAGに対して結合特異性を有する他のdPNAG結合因子は、本発明の診断的方
法において使用され得る。いくつかの慣用のアッセイは、dPNAG結合性ペプチドを容
易に同定するために使用され得る。本発明のペプチドを同定するためのスクリーニングア
ッセイは、例えば、Hart,et al.,J.Biol.Chem.269:124
68(1994)に記載されているようなファージディスプレイ手順を用いて行われる。
Hart et al.は、哺乳動物細胞レセプターに対する新しいペプチドのリガンド
を同定するための繊維状ファージディスプレイライブラリーを報告する。一般的に、例え
ば、M13またはfdファージを用いたファージディスプレイライブラリーは、上述の参
考文献に記載のような通常の手順を用いて調製される。このライブラリーは、4〜80ア
ミノ酸残基を含む挿入物を提示する。必要に応じて、この挿入物は、完全に縮重のペプチ
ド配列または偏ったペプチド配列のアレイを表す。dPNAGに選択的に結合するリガン
ドは、dPNAGに結合するリガンドをファージ表面に発現するファージを選択すること
によって得られる。次いで、これらのファージは、何サイクルかの再選択に供されて、最
も有用な結合性特徴を有するペプチドリガンドを発現するファージが同定される。代表的
には、最良の結合性特徴(例えば、最も高い親和性)を示すファージを、核酸分析により
特徴付けて、ファージ表面上に発現するペプチドの特定アミノ酸配列を同定し、そしてd
PNAGへの最適の結合性を達成するために、発現されたペプチドの長さを同定する。
【0097】
あるいは、そのようなペプチドのリガンドは、一つまたはより多くのアミノ酸を含むペ
プチドの組み合わせライブラリーから選択され得る。そのようなライブラリーはさらに、
非ペプチド合成部分を含んで合成される。この部分は、天然に存在する対応物と比較して
酵素学的に分解を受け難い。
【0098】
ペプチドがdPNAGと結合するかどうかを決定するために、任意の公知の結合実験が
使用され得る。例えば、このペプチドは、表面上に固定され、次いで標識されたdPNA
Gと接触させられる。次いで、このペプチドと相互作用するdPNAGの量またはこのペ
プチドと結合しない量を定量して、ペプチドがdPNAGと結合するかどうかを決定し得
る。固定された抗dPNAG抗体を有する表面は、ポジティブコントロールとして使用さ
れ得る。結合アッセイはまた、推定上のdPNAG特異的抗体がPNAGの他の天然形態
と結合する程度を決定し得る。
【0099】
本発明の組成物は、多くのインビボまたはインビトロにおいての目的のために有用であ
る。例えば、本発明の組成物は、例えば、Staphylococcus感染、およびP
NAGを生成する他の細菌種によって引き起こされる感染を予防するための、ヒトおよび
動物に対しての能動免疫のためのワクチンとして;Staphylococcus感染を
予防または処置するための、他の動物またはヒトに対して投与され得る抗dPNAG抗体
を生産するためのヒトまたは動物の免疫のためのワクチンとして;Staphyloco
ccus感染を予防する能力のあるモノクローナル抗体、抗体の作成に必要である遺伝子
のライブラリー、またはペプチド模倣物のような生物学的因子に対してスクリーニングす
るための抗原として;Staphylococcus感染、およびPNAGを生成する細
菌の他の種によって引き起こされる感染に対する診断的試薬として;ならびに、Stap
hylococcus感染およびPNAGを生成する細菌の他の種により引き起こされる
感染に対する感受性に関して、ヒトまたは動物の免疫状態を決定するための診断的試薬と
して抗体応答を生産するために有用である。
【0100】
dPNAGは、被験体におけるStaphylococcusによる感染に対する能動
免疫を誘導することによってPNAGを作成する細菌を有する感染に対して、被験体を保
護するために使用され得る。この方法は、本発明の任意のPNAG組成物の、Staph
ylococcusに対する抗体応答のような免疫応答を誘導するための有効な量を、被
験体に投与することによって達成される。本明細書において使用される「能動免疫」とは
、いくつかのリンパ系細胞の、抗体を生産する細胞への分化を引き起こし、およびある例
では、他のリンパ系細胞へ分化する、抗原を被験体に導入することを含む。記憶細胞は、
抗体を分泌しないが、抗体が再度身体へ投与される場合に抗原を感知するために、その抗
体を記憶細胞膜へ取り込む。
【0101】
この方法は、Staphylococcusによる感染に対する免疫を誘導するために
有用である。本明細書において使用される「Staphylococcus」とは、この
PNAGを発現する全てのStaphylococcus細胞種をいう。任意の特定の機
構により拘束されることは意図しないが、PNAGの高いアセチル化(例えば、50%よ
り多くアセチル化されている形態)は、dPNAGと同じ程度まで、オプソニンの保護的
な抗体の生産を顕在化することができないと考えられる。Staphylococcus
として分類される細菌は、当業者において周知であり、および微生物学文献の中で記載さ
れている。PNAGを発現するStaphylococcusとして、Staphylo
coccus epidermidis(RP62A(ATCC番号35984)、RP
12(ATCC番号35983)、およびM187を含む)、Staphylococc
us aureus(RN4220(pCN27)およびMN8ムコイドを含む)、およ
びica遺伝子座(TM300(pCN27)を含む)上の遺伝子を用いて形質転換され
たStaphylococcus carnosusのような菌株が挙げられるが、これ
らに限定されない。PNAGを発現する他の細菌株は、通常の当業者によって容易に同定
され得る。例えば、ica遺伝子座を発現するStaphylococcus細菌は、P
NAGを発現する。通常の当業者は、ica遺伝子座の核酸配列が公知である(配列番号
1およびHeilmann,C.,O.Schweitzer,C.Gerke,N.V
anittanakom,D.Mack and F.Gotz(1996)Molec
ular basis of intercellular adhesion in
the biofilm−forming Staphylococcus epide
rmidis.Molec.Microbiol.20:1083に、通常記載されてい
る)ので、ica遺伝子座に関連するmRNAまたはタンパク質の発現に対して容易にス
クリーニングされ得る。PNAGを発現する細菌株はまた、抗PNAG抗体または抗dP
NAG抗体を用いて、免疫電子顕微鏡(または他の免疫実験)によって同定され、この細
菌の表面上のPNAGの存在を検出し得る。加えて、細菌株の夾膜は、単離され得、液体
クロマトグラフィーおよび質量分析を用いて分析され得る。
【0102】
本明細書において使用される「被験体」とは、温血哺乳動物であり、および、例えば、
ヒト、霊長類、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、およびネコを含む。いくつかの
実施形態では、この被験体は非げっ歯類被験体である。非げっ歯類被験体は、上述で定義
された任意の被験体であるが、特にマウス、ラット、およびウサギのようなげっ歯類を除
外する。いくつかの実施形態では、好ましい被験体はヒトである。
【0103】
dPNAGは、抗原に対する抗体応答のような免疫応答を誘導する能力のある任意の被
験体に投与され得る。この抗体は特に、免疫応答を生産する能力およびStaphylo
coccus感染を発生する危険状態にある能力を有する被験体に、Staphyloc
occusによって引き起こされる全身性感染に対する能動免疫を誘導することに適合す
る。免疫応答を生産する能力およびStaphylococcus感染を発生する危険状
態にある能力を有する被験体は、環境性Staphylococcusにさらされる危険
状態にある免疫体系を所有する哺乳動物である。例えば、入院患者は、病院の環境におい
てこの細菌にさらされる状態にある結果として、Staphylococcus感染を発
生する危険状態にある。S.aureusによる感染を発生する、特に高い危険集団は、
例えば、透析を受ける腎臓病患者、および高い危険の外科手術を受ける個人を含む。S.
epidermidisによる感染を発生する高い危険集団はまた、例えば、静脈系(例
えば、中心系)、または人工器官(例えば、臀部または膝に代わる人工器官)のような内
在性医療デバイスを有する患者を含む。なぜなら、臨床的分離菌は、しばしば、(生物膜
または粘液と称される)細胞外材料であるために、可塑性表面に高く接着するからである
。いくつかの実施形態では、この被験体は医療デバイス移植物を受け入れられており、お
よび他の実施形態では、この被験体は医療デバイス移植物を受け入れられていないが、医
療デバイス移植物を受け入れる予定はあり得る。S.epidermidisによる感染
を発生させる危険状態にある被験体は、例えば、化学療法を受ける早期産新生児および患
者が含まれる。
【0104】
dPNAGは、抗体応答を誘導するための有効な量を、被験体に投与され得る。本明細
書において使用される「免疫応答(例えば、抗体応答)を誘導するための有効な量」は、
(i)例えば、被験体(被験体は、dPNAGおよびPNAGの高いアセチル化形態の両
方を認識し得る)において抗dPNAG抗体の生産を誘導すること、記憶細胞およびおそ
らく細胞毒性リンパ球反応などの生産を誘導することによって、被験体自身の免疫保護を
生産する際に被験体を補助すること、および/または(ii)Staphylococc
usにさらされる被験体において、Staphylococcusによる感染が発生する
ことを予防することに対して充分であるdPNAGの量である。
【0105】
いくつかの好ましい実施形態では、免疫応答を刺激するためのdPNAGワクチンの有
効な量は、Staphylococcusの少なくとも2種類(例えば、S.aureu
sおよびS.epidermidis)と交差反応する抗体の生産を誘発する能力がある
dPNAGワクチンの量である。
【0106】
当業者は、dPNAGの量が、当該分野において公知の慣用の方法によって能動免疫を
誘導するために充分であるかどうかを評価し得る。例えば、哺乳動物の中で抗体を生産す
るための特異的な抗原の能力は、dPNAG抗原を用いてマウスまたは他の被験体におい
て抗体をスクリーニングすることによって評価され得る。
【0107】
本発明の抗dPNAG抗体は、感染因子にさらされる危険状態にあるそれらの被験体に
おける全身感染の発生を予防することによって、被験体において受動免疫を誘導するため
に有用である。Staphylococcus aureusのようなStaphylo
ccusによる感染に対する受動免疫を誘導するための方法は、例えばStaphylo
coccus aureusのようなStaphylococcusのオプソニン化を引
き起こすことによって、Staphylococcusに対する免疫応答を誘導するため
の抗dPNAG抗体の有効な量を被験体に投与されることによって行われる。本明細書に
おいて使用される「受動免疫」とは、被験体に対する抗体の投与を包含し、ここで、この
抗体は、Staphylococcus細菌の表面に接着して、そしてStaphylo
coccus細菌が食作用されることを引き起こすような、異なる被験体(同一のおよび
異なる種の被験体を含む)において生産される。
【0108】
この抗dPNAG抗体は、受動免疫を誘導するために、Staphylococcus
感染を発生する危険状態にある任意の被験体に投与され得、およびいくつかの実施形態で
は、dPNAGに対する能動免疫を誘導する能力のない被験体のために特に適合し得る。
dPNAGを用いてのワクチン接種は、高い免疫無防備状態である危険状態の被験体に完
全に有効ではあり得ないので、これらの被験体は、Staphylococcus au
reusのようなStaphylococcusに対して惹起された抗体調製物を用いて
の処置から利益を得ている。免疫応答を誘導する能力のない被験体とは、免疫無防備状態
の被験体(例えば、化学療法を受ける患者、AIDS患者など)、または免疫系のまだ発
生していない被験体(例えば、早期産新生児)が挙げられる。
【0109】
この抗dPNAG抗体は、Staphylococcus感染を発生する危険状態にあ
る被験体に投与され、この感染因子が体の中で繁殖することを予防し得またはこの感染因
子を殺傷し得る。この抗PNAG抗体はまた、Staphylococcusによって引
き起こされる感染を既に有している被験体に投与され、この感染因子が体の中で繁殖する
ことを予防し得またはこの感染因子を殺傷し得る。
【0110】
本発明の抗dPNAG抗体は、Staphylococcus aureusのような
Staphylococcusに対して免疫応答を誘導するための有効な量を、被験体に
投与される。本明細書において使用される「Staphylococcusに対して免疫
応答を誘導するための有効な量」とは、抗dPNAG抗体の量が、(i)Staphyl
ococcusにさらされた被験体において、Staphylococcusによる感染
が発生することを予防する;(ii)感染の発生を阻害する、すなわちStaphylo
coccusの発生を阻止するまたは遅らせる、および/または(iii)Staphy
lococcus感染を軽減する、すなわち、感染した被験体における、Staphyl
ococcus細菌の根絶に対して充分であることである。
【0111】
当業者で公知の慣用の手順を用いて、抗dPNAG抗体の量は、抗体のオプソニンの程
度を予測するインビトロのオプソニン化分析において、「Staphylococcus
に対する免疫応答を誘導するための有効な量」であるかどうかを決定され得る。Stap
hylococcus細菌をオプソニン化する抗体は、Staphylococcus細
菌のサンプルに加えるときにStaphylococcus細菌の食作用を引き起こす抗
体である。オプソニン化分析は、比色定量分析、化学発光分析、蛍光または放射性同位元
素標識取り込み分析、細胞仲介性細菌分析または細菌のオプソニン潜在性を測定する他の
分析であり得る。次に示すオプソニン化分析は、抗dPNAG抗体の有効な量を決定する
ために使用され得る。抗dPNAG抗体は、Staphylococcus細菌、および
真核生物食作用性細胞、および必要に応じて補体タンパク質と共にインキュベートされる
。抗PNAG抗体のオプソニンの能力は、インキュベーションのあとに残っているSta
phylococcusの量に基づいて決定される。これは、2つの同様のアッセイ(こ
のうち、一方のみがオプソニン化免疫グロブリンを含む)間で、生存するStaphyl
ococcusの数を比較することによって達成される。制御非特異的免疫グロブリンと
のインキュベーションと比較すると、Staphylococcusの数の減少は、オプ
ソニン化を指し示す。
【0112】
本発明の方法はまた、抗dPNAGpure抗体のStaphylococcusのオプソ
ニン化を誘導するための有効な量を被験体に投与することによって、被験体においてSt
aphylococcusに対する受動免疫を誘導するために有効である。本明細書にお
いて使用される抗dPNAGpure抗体とは、本発明の純粋なdPNAG抗体と特定に相互
作用し、そしてコアグラーゼ陰性Staphylococcusまたはコアグラーゼ陽性
Staphylococcusのオプソニン化を誘導するが、dPNAGの純粋でない調
製物と相互作用し得ない抗体である。上述において議論されるように、純粋でないdPN
AG調製物は、テイコ酸またはこの抗原の免疫原性を妨げ得る他の不純物によって汚染さ
れ得る。当業者は、容易に、抗dPNAG抗体が、慣用の結合アッセイを用いて抗dPN
AGpure抗体であるかどうかを同定し得る。例えば、抗dPNAG抗体は、表面に固定さ
れ得、次いで標識された純粋でないdPNAG調製物または標識された純粋なdPNAG
調製物と接触され得る。この抗体と接触するdPNAG調製物(純粋な調製物対純粋でな
い調製物)の量、またはこの抗体と結合しない量は、次いで、この抗体が純粋でないdP
NAG調製物と結合するかどうかを決定するために定量され得る。重要な実施形態では、
この抗dPNAGpure抗体は、コアグラーゼ陰性Staphylococcusおよびコ
アグラーゼ陽性Staphylococcusに対して有効であり、ならびにその表面に
dPNAGまたは高くアセチル化されたPNAGを発現する、任意の適切な微生物に対し
て有効である。
【0113】
dPNAG抗原は、ワクチンとして処方され得る。ワクチンとして処方するための適切
なキャリア媒体は、リン酸ナトリウム緩衝化生理食塩水(pH7.4)、またはリン酸ナ
トリウム緩衝化生理食塩水(pH6)中で懸濁された0.125Mリン酸アルミニウムゲ
ル、および他の従来型の媒体を包含する。一般的に、ワクチンは、この抗原を約5〜約1
00μgおよび好ましくは約10〜50μg含み、温血の哺乳動物において有効なレベル
の抗体を誘発させる。このdPNAGがワクチンとして投与されるとき、必要に応じてア
ジュバントを含む。
【0114】
用語「アジュバント」とは、dPNAGへ組み込まれるまたはdPNAGとともに同時
に投与される、被験体において免疫応答を増強する任意の物質を含むことを意味する。ア
ジュバントは、アルミニウム化合物、例えば、ゲル、水酸化アルミニウムおよびリン酸ア
ルミニウム、およびフロイント完全アジュバントまたはフロイント不完全アジュバント(
例えば、この中では、このdPNAG抗原は、パラフィン油エマルジョンの中の滅菌水の
水層に組み込まれる)が挙げられるが、これらに限定されない。パラフィン油は、油の異
なるタイプ、例えば、スクアレンまたは落花生油に置き換えられ得る。アジュバント性質
を有する他の材料は、BCG(弱毒化Mycobacterium tuberculo
sis)、リン酸カルシウム、レバミゾ−ル、イソプリノシン、多価陰イオン(例えば、
ポリA:U)、レンチナン、百日咳毒、リピドA、サポニン、QS−21、およびペプチ
ド(例えば、ムラミルジペプチド)を含む。希土類塩、例えば、ランタンおよびセリウム
はまた、アジュバントとして使用され得る。アジュバントの量は、被験体および部分的な
使用されるdPNAG抗原(例えば、アセテート置換の程度)に依存し得、そして過度の
実験法なしで、当業者によって容易に決定され得る。
【0115】
一般的に、治療目的のために投与されるとき、本発明の処方物は、薬学的に受容可能な
溶液中において適用される。そのような調製物は、慣用的に、薬学的に受容可能な塩濃度
、緩衝物質、防腐剤、適合性キャリアー、アジュバント、および必要に応じて他の薬学的
成分を含む。
【0116】
本発明の組成物は、それ自体が(ニート)または薬学的に受容可能な塩の形において投
与され得る。医薬の中で使われるとき、この塩は薬学的に受容可能であるべきだが、非薬
学的に受容可能な塩は、都合よく、薬学的に受容可能な塩それ自体を調製するために使用
され得、および本発明の範囲から除外され得ない。そのような薬理学的に受容可能な塩お
よび薬学的に受容可能な塩としては、次に示す酸から調製されるものが挙げられるが、こ
れらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリ
チル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン
酸、コハク酸、ナフタレン−2−スルホン酸、およびベンゼンスルホン酸。また、薬学的
に受容可能な塩は、カルボン酸ナトリウム塩、カルボン酸カリウム塩またはカルボン酸カ
ルシウム塩のような、アルカリ金属塩またはアルカリ土類塩として調製され得る。
【0117】
適切な緩衝物質は、酢酸および塩(1〜2%W/V);クエン酸および塩(1〜3%W
/V);ホウ酸および塩(0.5〜2.5%W/V);およびリン酸および塩(0.8〜
2%W/V)を含む。適切な防腐剤は、塩化ベンザルコ二ウム(0.003〜0.03%
W/V);クロロブタノール(0.3〜0.9%W/V);パラベン(0.01〜0.2
5%W/V)およびチメロサール(0.004〜0.02%W/V)を含む。
【0118】
本発明は、医療的使用のために、一つまたはより多くの薬学的に受容可能なキャリアー
および必要に応じて他の薬学的成分とともにdPNAGを包含する、薬学的組成物を提供
する。本明細書において使用される用語「薬学的に受容可能なキャリアー」とは、下記に
おいてより充分に記載されるが、ヒトまたは他の動物への投与に適合する、適合性固体賦
形剤または適合性液体賦形剤、希釈剤、またはカプセル化する物質を意味する。本発明で
は、用語「キャリアー」は、有機成分または無機成分、天然物または合成物(これらとと
もに、主成分は、この適用を容易にするために結合される)を表す。この薬学的組成物の
成分はまた、dPNAGと、およびお互いと、この所望の薬学的有効性を実質的に損なう
相互作用がないような様式において、混合される能力がある。
【0119】
非経口投与に適する組成物は、都合よく、この多糖類の滅菌した水溶性調製物を含み、
この調製物はこの受容者の血液に対して等張性であり得る。とりわけ、使用され得る受容
可能な媒体および溶媒は、水、リンゲル液、および等張性塩化ナトリウム溶液である。加
えて、滅菌した不揮発性油は、慣習的に、溶媒または懸濁培地として使用される。この目
的のために、任意の無刺激性不揮発性油は、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを
含んで使用され得る。加えて、オレイン酸のような脂肪酸は、注射可能物質の調製物にお
いて用途が見つけられる。皮下投与、筋肉内投与、腹腔内投与、静脈内投与などに適した
キャリアー処方物は、Remington’s Pharmaceutical Sci
ences,Mack Publishing Company,Easton,PAに
おいて見つけられ得る。
【0120】
本発明の調製物は、有効な量で投与される。上述で議論されるような有効な量は、単独
のまたはさらなる用量とともに、それぞれ感染性細菌の能動免疫またはオプソニン化を誘
導するdPNAGまたは抗dPNAG抗体の量である。投与形態にも依存するが、1ナノ
グラム/キログラム〜100ナノグラム/キログラムまでの範囲の投与量が、有効である
ことが考えられる。好ましい範囲は、500ナノグラムと500マイクログラム/キログ
ラムの間、およびより好ましくは1マイクログラムと100マイクログラム/キログラム
の間であると考えられる。この絶対量は、この投与がこの細菌を有する高い危険状態にあ
るがまだ感染していない被験体、または既に感染している被験体に対して行われるのかど
うか、併用治療、投与の数および個人の患者の性質(年齢、身体状態、大きさおよび体重
を含む)のさまざまな要素に依存する。これらは当業者に周知の要素であり、および慣用
の実験法を用いてのみ扱われ得る。最大投与量、つまり安全な医療判断によって最高に安
全な投与量が使用されることが、一般的に好まれる。
【0121】
本発明の薬学的組成物の複数の用量が、考慮される。一般的な免疫計画は、抗体の高い
用量を投与し、その次に、数週期間待った後、抗体のより低い用量が続くことを包含する
。なおさらなる投与量は、同様に投与され得る。受動免疫に対する投薬計画は、必要な場
合はより頻繁に投与する点において、全く異なる。細菌感染に対して増大される免疫応答
、および/またはその後の感染からの保護が結果として起こる、任意の養生法が使用され
得る。特定のdPNAGの複数の投与量の送達に対する所望の時間間隔は、慣用の実験法
のみを用いて、当業者により決定され得る。
【0122】
様々な投与経路が利用可能である。もちろん、選択される特定の様式は、選択される特
定のdPNAG、治療される特定の状態、および治療的有効性のために必要である投与量
に依存する。本発明の方法は、一般的に言えば、医療的に受容可能である任意の様式の投
与を用いて実行され得、このことは、臨床的に受容可能でない有害な効果を引き起こすこ
となく、有効なレベルの免疫応答を生産する任意の様式を意味する。投与の好ましい様式
は、非経口経路である。用語「非経口」は、皮下注射、静脈内注射、筋肉間注射、腹腔内
注射、または注入技術を包含する。他の経路としては、口、鼻、皮膚、舌下、および局所
経路が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
この組成物は、単位投薬形態の中に都合よく存在し得、および薬学分野で周知の任意の
方法によって調製され得る。全ての方法は、dPNAGまたはdPNAG結合因子を、一
つまたはより多くの付属成分を構成するキャリアーとの会合へと導く工程を包含する。一
般的に、この組成物は、このポリマーを、液体キャリアー、微細に分離された固体キャリ
アー、または両方と、均等におよび親密に会合へと導くことによって調製され、次いで、
必要な場合、この生成物を成型させる。このポリマーは、凍結乾燥されて保存され得る。
【0124】
他の送達系としては、時間放出送達系、遅延放出送達系、または持続性放出送達系を挙
げることができる。そのような系は、本発明の多糖類の、繰り返される投与を避け、被験
体およびその医師にとっての利便性を増やす。多くのタイプの放出送達系は、当業者に公
知であり利用できる。これらとしては、ポリ乳酸およびポリグルコール酸、ポリ無水物お
よびポリカプロラクトンのような、ポリマーに基づく系;コレステロール、コレステロー
ルエステル、およびモノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリドのような脂肪
酸または中性脂肪;ヒドロゲル放出系;シラスティック系;ペプチドに基づく系;ワック
スコーティング、便利な結合剤および賦形剤を用いて圧縮される錠剤、部分的に融解され
る移植物などが挙げられる。特定例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定さ
れない:(a)侵食系(この中では、多糖類が、米国特許第4,452,775号(Ke
nt):同4,667,014号(Nestor et al.);および同4,748
,034号および同5,239,660号(Leonard)で見出されるマトリックス
内の形態に含まれる)および(b)拡散系(その中では、主薬が、制御された速度で、米
国特許第3,832,253号(Higuchi et al.)および同3,854,
480号(Zaffaroni)において見出されるポリマーを通して浸透する)。加え
て、ポンプに基づくハードウェア送達系が使用され得、これらのいくつかは移植に対して
適応する。
【0125】
本発明のPNAG抗原は、PNAG抗原自身によってアジュバントの性質を有し得ると
いうことがまた、当業者によって評価され得る。本明細書において記載の多糖類がヒト免
疫応答を増大させるまでの程度において、PNAG抗原は、他の材料との結合体化におい
て、アジュバントとして使用され得る。
【0126】
本発明のdPNAG抗原および抗dPNAG抗体は、別の抗細菌性(すなわち、殺菌性
)薬物とともに、または抗細菌性反応混液(cocktail)の形態において、または
他の細菌性抗原もしくは抗細菌性抗体とともに、送達され得る。抗細菌性抗生物質反応混
液は、本発明の任意の組成物と、抗細菌性薬物との混合物である。細菌感染の処置におけ
る抗生物質の使用は、慣用されている。能動免疫を誘導するための抗原、および受動免疫
を誘導するための抗体の使用もまた、慣用されている。この実施形態では、共通の投与ビ
ヒクル(例えば、錠剤、移植物、注射溶液など)は、本発明において有効な組成物と、抗
細菌性抗生物質薬物および/または抗原もしくは抗体とを含み得る。あるいは、この抗細
菌性抗生物質薬物および/または抗原もしくは抗体は、別々に投与され得る。この抗細菌
性物質(例えば、抗生物質)はまた、dPNAGまたは抗dPNAG抗体と結合体化され
得る。
【0127】
抗細菌性抗生物質薬物は、周知であり、ペニシリンG、ペニシリンV、アンピシリン、
アモキシリン、バカンピシリン、シクラミン、エピシリン、ヘタシリン、ピバンピシリン
、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルク
ロキサシリン、カルベニシリン、チカルシリン、アブロシリン、メズロシリン、ピペラシ
リン、アムジノシリン、セファレキシン、セフラジン、セファドキシル、セファクロール
、セファゾリン、セフロキシムアキセティル(axetil)、セファマンドール、セフ
ォニシド、セフォキシチン、セフォタキシン、セフチゾキシム、セフメノキチン、セフト
リアキソン、モキサラクタム、セフォテタン、セフォペラゾン、セフタジジム、イミペネ
ム、クラブラネイト、タイメンチン、スルバクタム、ネオマイシン、エリスロマイシン、
メトロニダゾール、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リンコマイシン、バンコ
マイシン、トリメトプリム−スルファメトキサゾール、アミノグリコシド類、キノロン類
、テトラサイクリン類およびリファンピン(Goodman and Glilman’
s,Pharmacological Basics of Therapeutics
,8th Ed.,1993,McGraw Hill Inc.を参照)が挙げられる

【0128】
他の多糖類抗原および抗体は、当該分野で周知である。例えば、下に示す多糖類抗原お
よび/またはそれに対する抗体は、このdPNAG抗原および/または抗体との結合体で
投与され得る:Salmonella typhi夾膜 V抗原(Szu,S.C.,
X.Li,A.L. Stone and J.B.Robbins,Relation
between structure and immunologic prope
rties of the Vcapsular polysaccharide,I
nfection and Immunity. 59:4555−4561(1991
));E.Coli K5夾膜(Vann,W.,M.A.Schmidt,B.Jan
n and K.Jann,The structure of the capsul
ar polysaccharide(K5 antigen) of urinary
tract infective Escherichia coli,010:K5
:H4.A polymer similar to desulfo−heparin
,Eupopean Journal of Biochemistry.116:35
9−364,(1981);Staphylococcus aureus5型夾膜(F
ournier,J.−M.,K.Hannon,M.Moreau,W.W.Kara
kawa and W.F.Vann,Isolation of type 5 ca
psular polysaccharide from Staphylococcu
s aureus,Ann.Inst.Pasteur/Microbiol.(Par
is).138:561−567,(1987));Rhizobium melilo
ri エクス多糖類(expolysaccharide)II(Glazebrook
,J.and G.C.Walker,a novel expolysacchari
de can function in place of the calcoflu
or−binding expolysaccharide in nodulatio
n of alfalfa by Rhizobium meliloti,Cell.
65:661−672(1989));B群SteptococcusIII型(We
ssels,M.R.,V.Pozagay,D.L.Kasper and H.J.
Jennings,Structure and immunochemistry o
f an oligosaccharide repeating unit of t
he capsular polysaccharide of type III g
roup B Streptococcus,Journal of Biologic
al Chemistry.262:8262−8267(1987));Pseudo
monas aeruginosa Fisher 7O特異的側鎖(Knirel,Y
.A.,N.A.Paramonov,E.V.Vinogradov,A.S.Sha
shkow,B.A.N.K.Kochetkov,E.S.Stanislavsky
and E.V.Kholodkova,Somatic antigens of
Pseudomonas aeuginosa The structure of O
−specific polysaccharide chains of lipop
olysaccharides of P.aeruginosa O3(Lanyi)
,025(Wokatsh) and Fisher immunotypes 3 a
nd 7,European Journal of Biochemistry. 1
67:549,(1987));Shigella sonnei O特異的側鎖(Ke
nne,L.,B.Lindberg and K.Petersson,Struct
ual studies of the O−specific side chain
s of the Shigella Sonnei phase I lipopol
ysaccharide,Carbohydrate Research.78:119
−126,(1980));S.pneumoniaeI型夾膜(Lindberg,B
.,Lindqvist,B.,Lonngren,J.,Powell,D.A.,S
tructual studies of the capsular polysac
charide from Streptococcus pneumoniae ty
pe 1,Carbohydrate Research.78:111−117(19
80));およびStreptococcus pneumoniae群抗原(Jenn
ings,H.J.,C.Lugowski and N.M.Young,Struc
ture of the complex polysaccharide C−sub
stance from Streptococcus pneumoniae typ
e 1,Biochemistry.19:4712−4719(1980))。
【0129】
他の非ポリペプチド抗原またはそれに対する抗体は、当業者に周知であり、および本発
明のdPNAG組成物との結合体で使用され得る。
【0130】
このdPNAG抗原および抗体はまた、被験体もしくはサンプルの免疫状態を決定する
ための診断アッセイにおいて有用であり、または免疫アッセイにおいての試薬として使用
され得る。例えば、この抗体は、サンプル中において、表面にPNAGを有する細菌の存
在を検出するために使用され得る。この細菌がサンプル中に存在する場合、この抗体はこ
の感染された被験体を治療するために使用され得る。この抗体はまた、PNAG抗原の存
在に対して、細菌をスクリーニングするために使用され得、および複合混合物から、dP
NAGまたはPNAG抗原、およびdPNAGまたはPNAG抗原を含む細菌を単離する
ために使用され得る。
【0131】
上述に記載のアッセイおよび当該分野で公知の任意の他のアッセイは、このdPNAG
または抗体、および/または、免疫したこのdPNAGまたは不溶性マトリックス上の抗
体を標識することによって達成され得る。dPNAGおよび/または抗体を用いての、こ
の分析的および診断的方法は少なくとも次に示す試薬のうちの一つを使用する:標識され
た分析アナログ、免疫された分析アナログ、標識された結合パートナー、免疫された結合
パートナー、および滅菌結合体。使用される標識は、分析物とその結合パートナーとの結
合を妨げない、任意の検出可能な官能基であり得る。多数の標識は、免疫アッセイにおけ
るそのような使用について公知である。例えば、蛍光色素、化学発光標識および放射性標
識のような直接的に検出され得る化合物、ならびに、酵素のように、反応または誘導体化
を通して検出され得る化合物。これらのタイプの標識の例としては、32P、14C、
25I、H、および131I 放射性同位元素、希土類キレートまたはフルオレセイン
およびその類似体のような蛍光体、ローダミンおよびその類似体、ダンシル、ウンベリフ
ェロン、ルシフェラーゼ(ホタルルシフェラーゼおよび細菌性ルシフェラーゼ(米国特許
第4,737,456号))、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン(2,
3−dihydrophthalavinediones)、西洋ワサビペルオキシダー
ゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リ
ゾチーム、糖オキシダーゼ(グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、およ
びグルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ)が挙げられる。ウリカーゼオキシダ
ーゼおよびキサンチンオキシダーゼのような複素環式オキシダーゼは、過酸化水素を使用
する酵素と結合して、HRP、ラクトペルオキシダーゼまたはマイクロペルオキシダーゼ
、ビオチンアビジン、スピンラベル、バクテリオファージラベルのような色素前駆物質、
および安定した遊離基を酸化させる。
【0132】
この標識は、当業者に公知の方法によってdPNAGまたは抗dPNAGと結合体化さ
れ得る。例えば、米国特許第3,940,475号および同3,645,090号は、蛍
光体および酵素の、抗体との結合体化を述べる。他のアッセイは、抗原および抗体ととも
に慣用されると報告されており、および本発明によって使用され得、組成物およびサンド
イッチアッセイを含む。
【0133】
本発明は、dPNAG発現宿主細胞を生産することによってdPNAG抗原を調製する
方法、ica遺伝子座を細胞へ導入し、そのような細胞からPNAG抗原を単離し、そし
てdPNAGを形成するための抗原を脱アセチル化することによってdPNAG抗原を調
製する方法を包含する。PNAG宿主細胞は、ica遺伝子(配列番号1)をコードする
核酸を用いて、形質導入または形質転換した細胞に、トランスフェクトすることによって
調製され得る。この細胞は、真核細胞または原核細胞であり得るが、好ましくは、細菌細
胞であり得る。この細胞は、天然にてPNAGを発現しないStaphylococcu
sであり得る。
【0134】
一つの実施形態では、このica核酸は、真核細胞または原核細胞内にica核酸の発
現を指向させる遺伝子発現配列に作動可能に結合される。この「遺伝子発現配列」は、プ
ロモーター配列またはプロモーター−エンハンサーの組み合わせのような、任意の調節ヌ
クレオチド配列であり、作動可能に結合されているicaの核酸の有用な転写および翻訳
を容易にする。例えば、この遺伝子発現配列は、構成的なプロモーターまたは誘導的なプ
ロモーターのような、哺乳動物のプロモーターまたはウィルスのプロモーターであり得る
。構成的な哺乳動物プロモーターとしては、次に示す遺伝子:ヒポキサンチン ホスホリ
ボシル トランスフェラーゼ(HPTR)、アデノシンデアミナーゼ、ピルビン酸キナー
ゼ、およびβ−アクチンについてのプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない
。細胞において構成的に機能する例示的なウイルスプロモーターは、例えば、サルウイル
ス、パピローマウイルス、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ラウス肉
腫ウイルス、サイトメガロウイルス、モロミー白血病ウイルスおよび他のレトロウイルス
の末端反復配列(LTR)、および単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモータ
ーが挙げられる。他の構成的なプロモーターは、当業者に公知である。本発明の遺伝子発
現配列として有用であるプロモーターはまた、誘導的なプロモーターを含む。誘導的なプ
ロモーターは、誘導因子の存在下において発現される。例えば、メタロチオネインプロモ
ーターは、ある金属イオンの存在下において、転写および翻訳を促進するために誘導され
る。他の誘導的なプロモーターは、当業者に公知である。
【0135】
一般的に、この遺伝子発現配列は、必要ならば、それぞれ転写および翻訳の開始に関与
する5’非転写配列および5’非翻訳配列に含まれる。5’非転写配列は、作動可能に結
合されたica核酸の転写制御のためのプロモーター配列を含むプロモーター領域を含む
。この遺伝子発現配列は、必要に応じて、所望のようなエンハンサー配列または上流の活
性化配列を含む。
【0136】
このica核酸配列およびこの遺伝子発現配列は、それらが、この遺伝子発現配列の影
響または制御下において、このicaコード配列の転写および/または翻訳を配置するよ
うな方法で、共有結合される場合、「作動可能に結合される」と言われる。機能的タンパ
ク質に翻訳されるica配列(2つのDNA配列)は、5’遺伝子発現配列中のプロモー
ターの誘導がica配列の転写を発生させる場合、およびこの2つのDNA配列間の結合
の性質が(1)フレームシフト変異の誘導を発生させない、(2)このica配列の転写
を指示するためのプロモーター領域の能力を妨げない、または(3)タンパク質に翻訳さ
れるための対応するRNA転写物の能力を妨げない場合に、作動可能に結合されると言わ
れる。従って、遺伝子発現配列は、その遺伝子発現配列が生じる転写物が、所望のタンパ
ク質またはポリペプチドに翻訳され得るようにica核酸配列の転写を実行する能力を有
する場合、ica核酸配列と作動可能に結合されていることになる。
【0137】
本発明のica核酸は、単独で、またはベクターとの会合において、その宿主細胞に送
達され得る。最も広い意味において、「ベクター」とは、(1)PNAG合成に関与する
タンパク質をコードするica遺伝子座中のこの遺伝子を含む核酸分子の送達、または(
2)標的細胞によって、PNAG合成に関与するタンパク質をコードするica遺伝子座
中のこの遺伝子を含む核酸分子の取り込み:を容易にする能力のある任意の媒体である。
好ましくは、このベクターは、このベクターの欠如を発生させる分解の程度に関連する分
解を減らして、標的細胞へica分子を運ぶ。一般的に、本発明において有用なベクター
は、2種類:生物学的ベクターおよび化学的/物理的ベクターに分割される。生物学的ベ
クターは、ica核酸の、標的細胞への送達、標的細胞によっての取り込みに対して有用
である。化学的/物理的ベクターは、ica核酸またはicaポリペプチドの、標的細胞
への送達、標的細胞によっての取り込みに対して有用である。
【0138】
生物学的ベクターとしては、プラスミド、ファージミド、ウィルス、ウィルス由来の他
のビヒクル、もしくは、本発明の核酸配列の挿入または組み込みによって操作されている
細菌源、および本発明の核酸配列を付与し得る遊離した核酸フラグメントが挙げられるが
、これらに限定されない。ウイルスベクターは、生物学的ベクターの好ましい型であり、
次に示すウイルス:以下のようなレトロウイルス、モロニーマウス白血病ウイルス;ハー
ベイマウス肉腫ウイルス;マウス乳癌ウイルス;ラウス肉腫ウイルス;アデノウイルス;
アデノ随伴ウイルス;SV40型ウイルス;ポリオーマウイルス;エプスタイン−バーウ
イルス;パピローマウイルス;ヘルペスウイルス;ワクシニアウイルス;ポリオウイルス
、およびあらゆるレトロウイルスのようなRNAウイルスが挙げられるが、これらに限定
されない。名前はつけられていないが当該分野で公知である、他のベクターも容易に使用
され得る。
【0139】
好ましいウイルスベクターは、不必須遺伝子が重要遺伝子と置き換えられた、非細胞変
性真核生物ウィルスに基づく。非細胞変性ウイルスはレトロウイルスを含み、レトロウイ
ルスの生活観は、引き続くプロウイルスの宿主細胞内DNAへの組み込みを含むゲノムウ
イルスRNAのDNAへの逆転写を含む。一般的に、このレトロウイルスは、複製不十分
(すなわち、所望のタンパク質の合成を指示する能力はあるが、感染粒子を製造する能力
はない)である。複製不十分のレトロウイルスを生産するための標準的プロトコル(外因
性遺伝子材料のプラスミドへの組み込み工程、プラスミドを組み込んだパッケージング細
胞の形質転換工程、パッケージング細胞株による組換えレトロウイルスの生産工程、組織
培養液からのウイルス粒子の収集工程、およびウイルス粒子を用いた標的細胞の感染工程
を包含する)は、Kriegler,M.,「Gene Transfer and E
xpression,A Laboratory Manual」、W.H.Freem
an Co.,New York(1990)and Murry,E.J.Ed.「M
ethods in Molecular Biology」,vol.7,Human
a Press,Inc.,Cliffton,New Jersey(1991)にお
いて、提供される。
【0140】
ある適用のための別の好ましいウィルスは、アデノ随伴ウィルス、二本鎖DNAウィル
スである。このアデノ随伴ウィルスは、複製不十分であるように操作され得、広い範囲の
型および種類の細胞を感染する能力を有する。それは、さらに、熱溶媒安定性および脂質
溶媒安定性;多様な系統の細胞においての高い形質導入頻度;および重感染抑制の欠如と
それに伴って形質導入の複数の系列を許すような、有利さを有する。伝えるところによれ
ば、このアデノ随伴ウィルスは、部位特異的な方法において、ヒト細胞内DNAへ組み込
まれ得、それに関する挿入性変異誘発の可能性および挿入された遺伝子発現の変異性の可
能性を最小化する。加えて、野生型アデノ随伴ウイルス感染は、選択圧の欠如下において
少なくとも100回継代の間、組織培養が続けられており、このことは、このアデノ随伴
ウイルスのゲノム組換えは、比較的、安定した事象であることを暗に意味する。このアデ
ノ随伴ウィルスはまた、染色体外の様式において機能し得る。
【0141】
この生物学的ベクターに加えて、化学的/物理的ベクターは、ica分子を標的細胞に
運ぶために使用され得、そしてその結果取り込みを容易にし得る。本明細書において使用
されるように、「化学的/物理的ベクター」とは、ica分子を細胞へ運ぶ能力のある、
細菌源またはウイルス源由来の分子以外の天然分子または合成分子をいう。
【0142】
本発明の好ましい化学的/物理的ベクターは、コロイド状分散系である。コロイド状分
散系としては、水の中に油があるエマルジョン、ミセル、混合ミセル、およびリポソーム
を含む、脂質に基づく系が挙げられる。本発明の好ましいコロイド状系は、リポソームで
ある。リポソームは、インビボまたはインビトロにおいて送達ベクターとして有用である
人工膜管である。大きな単膜管(LUV)は、0.2〜4.0μmのサイズの範囲であり
、大きな高分子をカプセル化し得ることが示されている。RNA、DNA、およびインタ
クトなビリオンは、水性内部の中でカプセル化され得、そして生物学的活性形態で細胞に
送達され得る(Fraley,et al.,Trends Biochem.Sci.
,(1981)6:77)。リポソームが有用な遺伝子伝達ベクターであるために、一つ
以上の次に示す特徴を与えられなければならない:(1)生物学的活性を保持した状態で
、高い効率で、重要な遺伝子のカプセル化;(2)高い効率で、標的細胞の細胞質への、
この小胞の水性含量の送達;および(3)遺伝子情報の正確な発現および有用な発現。
【0143】
リポソームは、例えば、LIPOFECTINTMおよびLIPOFECTACETM
(これらはN−[1−(2,3ジオレイルオキシ)−プロピル]−N,N,N−トリメチ
ルアンモニウム クロリド(DOTMA)およびジメチルジオクタデシルアンモニウムブ
ロミド(DDAB)のようなカチオン脂質で構成される)のように、Gibco BRL
から、商業的に利用できる。リポソームを作製する方法は当該分野で周知であり、および
多くの発行物において記載されている。リポソームはまた、Gregoriadis,G
.によって、Trends in Biotechnology,(1985)3:23
5−241中で、概説されている。
【0144】
コンパクション因子はまた、単独で、もしくは、生物学的ベクターまたは本発明の化学
的/物理的ベクターとの結合体化状態で、使用され得る。本明細書において使用される「
コンパクション因子」とは、核酸上のマイナス電荷を中和し、それにより核酸の微細な顆
粒へのコンパクションを可能にするヒストンのような因子をいう。この核酸のコンパクシ
ョンは、標的細胞による核酸の取り込みを容易にする。このコンパクション因子は、単独
で使用され得る、すなわち、細胞によってより効率よく取り込まれる形態で、またはより
好ましくは一つ以上の上述で記載のベクターとの結合体化状態で、ica分子を送達し得
る。
【0145】
このica核酸の標的細胞による取り込みを容易にするために使用され得る、他の例示
的組成物としては、リン酸カルシウムおよび細胞内輸送の他の化学的媒介物、マイクロイ
ンジェクション組成物、エレクトロポレーション組成物、および相同的組換え組成物(例
えば、ica核酸を標的細胞の染色体内の前もって選んでおいた位置に組み込むため)が
挙げられる。
【0146】
次の例は、説明図の目的のために含まれるが、本発明の有効範囲を限定することは意図
されない。
【実施例】
【0147】
(実施例1:PNAGの精製)
dPNAGは、ica遺伝子座を発現する任意の細菌株から生産され得ることが、本発
明によって発見された。特に、これらの細菌株としては、Staphylococcus
epidermidis、Staphylococcus aureus、およびこの
遺伝子を用いてica遺伝子座に形質変換されたStaphylococcus car
nosusのような他のStaphylococcus株が挙げられる。次に示す特定菌
株は、その特定菌株からdPNAGを精製するために、本発明によって使用され得る。(
その細菌株としては、S.epidermidis RP62A(ATCC番号3598
4)、S.epidermidis RP12(ATCC番号35983)、Staph
ylococcus epidermidis M187、S.carnosus TM
300(pCN27)、S.aureus RN4220(pCN27)、およびS.a
ureus MN8ムコイドが挙げられる。)
以下は、ica遺伝子座を含むStaphylococcusからdPNAGを生産す
るために使用され得る方法である。
【0148】
出発材料は、次に示すような方法で細菌を増殖させることにより、ica遺伝子座を発
現するStaphylococcusの培養物から調製する:この多糖類は、16リット
ルの細菌増殖培地の培養物から調製される。好ましい培地は、RPMI−1640 AU
TO−MOD(加圧滅菌(Sigma Chemical Co.,St,Mo.)によ
る滅菌を許容するために修正されたRPMIの調製物)に基づく化学的に規定された培地
(CDM)である。このCDMは、アミノ酸、ビタミンおよびヌクレオチドを、他のCD
M(Hussain,M.,J.G.M.Hastings,and P.J.Whit
e,1991)中で見出されるそれらの濃度に合わせるために、付加的に追加する。コア
グラーゼ陰性Staphylococcusによる粘液生産物のための化学的に規定され
た培地(J.Med.Microbiol.34:143−147)。この培地にまた、
1%の最終濃度にまでショ糖およびグルコースを追加する。
【0149】
液体培養物を、多糖類を生産する細菌株の単一のコロニーを用いて播種する。この好ま
しい菌株は、Staphylococcus aureus MN8m(この多糖類の恒
常的な過剰生産者である菌株)を命名される。単一のコロニーを、トリプシンの大豆寒天
プレート、または細菌増殖培地の同様のプレートから取り、そして37℃で増殖させる。
10〜42℃の温度もまた受容可能である。液体培養物を、1〜96時間37℃でインキ
ュベート、他方、連続的に攪拌させながら、2リットル/分の速度で酸素を用いて流す。
このpHは、pH滴定器を通したNaOHの付加によって、増殖期間中7.0に維持する
。増殖期間の最後に、細胞体を、30分間で9000gの割合で沈降させ、そしてその上
清を、接線方向に流す濾過(10,000〜500,000分子量の分離膜)を通して、
〜500mlまで集める。エタノールの2つの容量物と、多糖類粗調製物を調製するため
に加える。この沈殿物は、遠心分離によって回収され、水中で再懸濁され、そして蒸留水
に対して一晩透析する。この抗体は、不溶性である。この不溶性粗抗体は、50mlのリ
ン酸緩衝化生理食塩水(PBS、0.1Mリン酸塩、0.15M塩化ナトリウム)中で懸
濁され、0.5〜16時間37℃でライソゾーム(0.5mg)およびリソスタフィン(
0.5mg)を用いて消化する。抗原懸濁液をさらに、0.5〜16時間37℃でヌクレ
アーゼ(0.5mg)を用いて処理し、次に37〜56℃でプロテイナーゼK(5mg)
を用いて0.5〜16時間インキュベーションする。透析および凍結乾燥後、乾燥した抽
出物は、5M HCl中で再溶解し、およびpHは、4N NaOHを用いて、2に調整
する。この溶液の20mlアリコートを、206nmでの光学的吸収により同定された、
溶出した多糖類を有する0.1N HCl/0.15M NaCl緩衝液を用いて、Se
phacryl S−300(Pharmacia,Piscataway,NJ)で詰
められた5×88cmカラムに適用する。分子サイズの連続的範囲を表す多糖類に対応す
る画分を、別々に保存し、水に対して透析し、そして凍結乾燥する。あるいは、サイズ分
画は、ダイアフィルトレーション膜の使用のように、当該分野で公知の様々な代替の手順
を用いて行われ得る。
【0150】
アシル化の程度は、化学的に処理される天然の多糖類によって調整され得る。従って、
50%より多いアセテートを有する多糖類は単離され、そして脱アセチル化され、所望の
アセチル化レベルを達成する。グルコサミンからアミノ結合されたアセテート基を除去す
るための処理は、公知の塩基溶液中でされる。好ましい手法は、1.0M NaOH中で
、2〜20時間37℃においてのインキュベーションである。より弱塩基性溶液およびよ
り長いインキュベーション時間、またはより高い温度、もしくは、より短いインキュベー
ション時間またはより低い温度に加えてより強塩基性溶液は、等しく有効的である。一般
的に、10より上にpHを上げる任意の処理は、適切な温度下において有効である。
【0151】
また、この抗原を脱アセチル化する酵素学的手段が存在する。酵素学的手段は、クロラ
ムフェニコール脱アセチラーゼおよびicaB遺伝子産物に関連する酵素のような、脱ア
セチル化酵素を含む。
【0152】
(実施例2:dPNAGジフテリアトキソイド(DTm)結合体化ワクチンの調製)
DTmを、還元性アミノ化によって精製されたdPNAGと共有結合させた。アルデヒ
ド基を初め、下に示す工程1に記載のグルタルアルデヒドを用いたタンパク質の処理によ
って、デフテリアトキソイド(DTm)の表面上に導入した。活性化型DTmは、引き続
いて、下に示す工程2に記載の還元剤(シアノホウ化水素化ナトリウム)の存在下で、活
性化型DTmの遊離したアミノ基を通してdPNAGとともに反応させた。
【0153】
(工程1)グルタルアルデヒドを用いたDTmの活性化
10mgのDTm(4.86mg/ml溶液(20mM HEPES緩衝液、50mM
NaCl、pH8))を、10kDa MWCO透析カセットを用いて、室温で3時間、
0.1M 炭酸塩緩衝液(pH10)に対して透析した。このタンパク質溶液を、完全に
炭酸塩緩衝液を用いて交換した場合、グルタルアルデヒドを、最終濃度1.25%にまで
加え、そしてこの混合物を2時間室温で攪拌させた。生産されたこの活性化型DTmは、
リン酸緩衝化生理食塩水(PBS、pH7.4)に交換し、そして10kDa MWCO
濾過膜を用いて限外濾過によって約10mg/mlまで濃縮した。
【0154】
(工程2)活性化型DTmとPNAGの結合
PNAGを、Maira et al.(Maira−Litran T,Krope
c A,Abeygunawardana C,Joyce J,Mark IIIG,
Goldmann DA,and Pier GB.Immunochemical p
roperties of the staphylococcal poly−N−a
cetyl glucosamine surface polysaccharide
.Infect.Immun.2002;70:4433−4440)に記載のように、
精製した。Maira et al.中でPNAG−IIと命名した、この材料の一画分
を、この脱アセチル化PNAG(dPNAG)を調製するために使用した。天然PNAG
を、5M NaOH中で、2mg/mlの濃度にまで溶解させ、そして攪拌させながら3
7℃でインキュベートした。18時間後、このサンプルを、氷のスラリー上に置き、そし
て10℃以下へ冷却させた。5N HClもまた、氷上で冷却させ、そしてこの溶液が中
性のpHに到達するまで、0.5mLアリコート中に加えた。このdPNAG溶液を、次
いで、10KiloDalton Molecular Weight Cutoff(
10K MWCO)透析カセット中で、蒸留水に対して一晩中透析し、凍結乾燥した。こ
の手順は、15〜20%のアセテート置換を有するdPNAGを生産した。
【0155】
精製されたdPNAG(10mg)を、5M HClの0.25ml中で溶解し、等量
の5M NaOHを用いて中和し、そして最終容積がPBSを用いて2mlに調整した。
dPNAG溶液は、中性のpHにおいて不溶性であるが、わずかな酸性pHまたは塩基性
pHにおいて、完全な可溶性で残存する。従って、溶解性を保証するために、dPNAG
溶液のpHは、9.0を調整した。dPNAG(10mg)を、PBS中で、活性化型D
Tmの10mg/ml溶液の1mlと混合し、そしてこの反応のpHを7.5に調整した
。200mgの精製されたシアノホウ化水素ナトリウムを、この混合物に加え、そしてこ
の反応は、混合されながら37℃14時間暗闇中で進行することを可能にした。この時間
の後、この反応混合物を、0.1M炭酸塩緩衝液(0.15M NaCl、pH10(1
0kDa MWCO透析カセット))を用いた透析によって交換し、そしてこの高い分子
量結合体化物を、Superose 6 prep−gradeカラムを用いて、ゲル濾
過クロマトグラフィーによって、精製分離した。dPNAG−DTm結合体化物は、20
mM HEPES緩衝液(50mM NaCl、pH8)に対して透析され、−2℃で凍
結保存した。
【0156】
(実施例3:天然PNAG−DTm結合体化ワクチンの調製)
天然PNAG(この場合、95%〜100%アセテート置換を有する)は、有機のシア
ノ化薬剤(1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート(CD
AP))を用いて、精製されたDTmと共有結合し、下に示す工程1に記載のこの多糖類
の水酸基を活性化した。続いて、CDAP−活性化型PNAGを、付加的なスペーサー分
子の必要なしで、下に示す工程2に記載のDTmと結合した。
【0157】
(工程1)CDAPを用いたPNAGの活性化
10mgの精製されたPNAGを、150マイクロリットルの5M HCl中に溶解さ
れ、等量の5M NaOHを用いて中和し、そしてホウ酸塩緩衝液(pH9.2)を用い
て1mlまで希釈した。CDAPを、アセトニトリル中で100mg/ml濃度に作製し
、そして1ヶ月に至るまで−20℃で保存した。200μlのCDAP(20mgを含む
)を、ホウ酸塩緩衝液中の以前にボルテックスされたPNAG−II(Maira,et
al.Infect.Immun.2002,70:4433−4440)溶液中へゆ
っくりとピペットで移し(この有機性共通溶液の速い添加は、この多糖類を沈澱させる)
、そしてこの反応を、2分間進行させた。
【0158】
(工程2)DTmを用いたCDAP−活性化型PNAGの結合
5mgのDTm(保存溶液は、20mM HEPES緩衝液(50mM NaCl、p
H8))を、10kDa MWCO透析カセットを用いて、3時間ホウ酸塩緩衝液(pH
9.2)に対して透析させた。CDAPを用いたPNAGの活性化の後、5mgのDTm
を、すぐに加え、そしてこの混合物は、攪拌させながら3時間室温で反応させた。この時
間の後、この高い分子量の結合体化物を、Superose 6 prep−grade
カラムを用いてゲル濾過クロマトグラフィーによって、結合しなかった成分から精製させ
た。PNAG−DTm結合体化物を含む画分は貯蔵し、濃縮し、そして−20℃で凍結保
存した。
【0159】
(実施例4:ウサギの中においての抗血清の生産)
精製されたPNAG−DTmまたはdPNAG−DTmに対する抗体を、10μgの結
合体化された多糖類を用いた2回の皮下免疫によって、完全フロイントアジュバントを用
いた1回目の投与および不完全フロイントアジュバントを用いた2回目の投与に対して乳
化され、その後に、一週間後に、3日おきに3回、生理食塩水中の抗体が静脈注射するこ
とによって、ニュージーランド白色ウサギ中において惹起させた。ウサギから、二週間ご
とに採血し、そして血清を結合免疫測定法(ELISA)により試験した。PNAGまた
はdPNAG−DTmのいずれかを用いて免疫された2匹の代表的なウサギから、ELI
SAによって得られた結合曲線は、図1および図2にそれぞれ示す。力価は、Maira
et al(Maira−Litran T,Kropec A,Abeygunaw
ardana C,Joyce J,MarkIIIG,Goldmann DA, a
nd Pier GB. Immunochemical properties of
the staphylococcal poly−N−acetyl glucos
amine surface polysaccharide.Infect.Immu
n.2002;70:4433−4440)で記載のようにして決定した。
【0160】
(実施例5:マウスにおけるPNAG−DTmおよびdPNAG−DTmの免疫化)
10匹のマウス(Swiss Webster;雌,年齢は生後5〜7週間)の集団を
、一週間おきに、0.1mlのPBS中の、1.5μg,0.75μgまたは0.15μ
gの、PNAG−DTmおよびdPNAG−DTmの結合体化多糖類を皮下免疫され、そ
して3回目の免疫後、4週間毎週採血した。コントロール集団は、同じ割合で、結合体化
されていない多糖類とタンパク質の混合物を用いて免疫させた。天然の結合体化物および
脱アセチル化結合体化物を用いて免疫されたマウスの力価は、それぞれ、図3および図4
に示す。コントロール集団は、使用された投与量では、どんな力価も発生しなかった。
【0161】
(実施例6:破傷風トキソイドと結合体化したPNAGおよびdPNAGを生産させた
ウサギ抗血清のオプソニンの殺菌活性)
2匹のウサギを、上述で記載のようにジフテリアトキソイドと結合体化されたPNAG
を用いて免疫し、そして2匹のウサギを、上述で記載のようにジフテリアトキソイドと結
合体化させたdPNAGを用いて、免疫した。オプソニンの殺菌活性を、Maira e
t al.(Maira−Litran T,Kropec A,Abeygunawa
rdana C,Joyce J,Mark IIIG,Goldmann DA,an
d Pier GB.Immunochemical properties of t
he Staphylococcal poly−N−acetyl glucosam
ine surface polysaccharide.Infect.Immun.
2002;70:4433−4440)に記載された方法を用いて、決定した。力価を決
定し、そして40%以上の細菌が殺傷される血清希釈として力価を定義した。様々なSt
aphylococcus菌株に対する4匹のウサギ抗血清の結合曲線を、図5〜図8に
示す。菌株M187は、S.epidermidis菌株であり;他の菌株はすべてS.
aureus菌株である。力価の比較は、図9に示す。
【0162】
(等価物)
上に記載された明細書は、当業者が本発明を実行するのを可能にするために十分である
と考えられる。本発明は、提供された実施例による有効範囲において、限定されない。な
ぜなら、実施例は、本発明の一つの局面のただ一つの例示として意図され、他の機能的な
等価な実施形態は、本発明の範囲内にあるからである。本明細書に示されている例および
本明細書に記載されている例に加えて、本発明の様々な変更は、上の記載から当業者にと
って明白になり、そして添付の特許請求の範囲内に含まれる。本発明の有利点および目的
は、必ずしも、本発明のそれぞれの実施形態によって包含されない。
【0163】
この出願において言及されるすべての参考文献、特許および特許発行物は、その全体が
参考文献として本明細書において援用される。
【数1】

【数2】

【数3】

【数4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−10789(P2013−10789A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−222333(P2012−222333)
【出願日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【分割の表示】特願2004−552204(P2004−552204)の分割
【原出願日】平成15年11月12日(2003.11.12)
【出願人】(503146324)ザ ブリガム アンド ウィメンズ ホスピタル インコーポレイテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】The Brigham and Women’s Hospital, Inc.
【Fターム(参考)】