説明

T型カルシウムチャネル阻害剤

式(1)
【化1】


[式中、Arは、フェニル基、ピリジル基、フリル基または2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−4−イル基を意味し、含窒素ヘテロ環部分は1,4−ジヒドロピリジン環またはピリジン環であり、Zは式(2)
【化2】


またはCOを意味し、RおよびRは、それぞれ独立して、C1−6アルキル基、ANR、CHOANR等を意味し、含窒素ヘテロ環が1,4−ジヒドロピリジン環を意味するとき、Rは、C1−6アルキル基、ANR、AN(CHCHNR、AN(CHCHO、AORまたはベンジル基を意味し、Rは水素原子、C1−20アルキル基、またはANR
【化3】


で表される基を意味する。]で表される化合物、その医薬的に許容される塩またはそれらの溶媒和物であるT型カルシウムチャネル阻害剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的なT型カルシウムチャネル阻害作用を示すピリジン化合物および1位に置換基を有する1,4−ジヒドロピリジン化合物、およびT型カルシウムチャネル阻害作用が有効な疾患の治療薬または予防薬に関する。
【背景技術】
【0002】
経口抗高血圧高圧作用を示し、狭心症、脳血管障害、高血圧症等の循環器系疾患の改善に有効な数多くの1,4−ジヒドロピリジン化合物が知られている(例えば、特許文献1〜12参照)。該化合物が示す上記の効果は、主にL型カルシウムチャネル阻害作用に基づく血管拡張作用によるものである。
【0003】
近年、1,4−ジヒドロピリジン化合物の中から、L型カルシウムチャネル阻害作用に加え、T型カルシウムチャネル阻害作用をも併せ持つ化合物が見出されてきている(例えば、非特許文献1および2参照)。
【0004】
T型カルシウムチャネルの活性化は、心肥大(例えば、非特許文献3参照)、心不全(例えば、非特許文献3参照)、心筋症(例えば、非特許文献4参照)、心房細動を始めとする頻脈性不整脈(例えば、非特許文献5参照)、動脈硬化(例えば、非特許文献6参照)、腎炎、腎症を始めとする腎障害(例えば、非特許文献7参照)、腎不全(例えば、非特許文献7参照)、炎症および浮腫(例えば、非特許文献8参照)、高アルドステロン血症(例えば、非特許文献9参照)、神経因性疼痛(例えば、非特許文献10参照)、てんかん(例えば、非特許文献11参照)、癌(例えば、非特許文献12参照)等の発症に関与することが報告されており、従って、T型カルシウムチャネル阻害剤は、これらの疾患の治療または予防に有効と考えられる。
【0005】
一方、1,4−ジヒドロピリジン−5−ホスホネート誘導体およびピリジン−5−ホスホネート誘導体が抗癌剤薬効増強作用を有すること(例えば、特許文献13参照)、また虚血−再灌流障害に対する心臓保護効果を有すること(例えば、特許文献14参照)が報告されているが、それらのT型カルシウムチャネル阻害剤としての可能性については言及されていない。
【特許文献1】特開昭61−30591号公報
【特許文献2】特開昭60−69089号公報
【特許文献3】特開平01−275591号公報
【特許文献4】特開昭61−63688号公報
【特許文献5】特開昭63−233992号公報
【特許文献6】特開昭62−169795号公報
【特許文献7】特開昭62−169796号公報
【特許文献8】特開昭58−167569号公報
【特許文献9】特開昭55−301号公報
【特許文献10】特開昭62−174017号公報
【特許文献11】特開昭60−97956号公報
【特許文献12】特開昭49−108082号公報
【特許文献13】特開平02−138221号公報
【特許文献14】特開2002−226376号公報
【非特許文献1】Mol. Pharmacol.,61, p.649-658, (2002)
【非特許文献2】Masumiya H. et al.: Eur. J. Pharmacol. 335,p.15-21 (1997)
【非特許文献3】Mulder P. et al.: J. Am. Coll. Cardiol. 29, p.416-421 (1997)
【非特許文献4】Villame J. et al.: Cardiovasc Drugs Ther. 15, p.41-48 (2001)
【非特許文献5】Fareh S. et al.: Circulation 100, p.2191-2197 (1999)
【非特許文献6】Noll G. and Luscher T. F.: Cardiology 89, p.10-15 (1998)
【非特許文献7】Baylis C. et al.: Am. J. Kidney Dis. 38 p.1292-1297 (2001)
【非特許文献8】Bilici D. et al.: Pharmacol. Res. 44, p.527-531 (2001)
【非特許文献9】Lenglet S. et al.: Endocrinology 143, p.1748-60 (2002)
【非特許文献10】McCallum J. B. et al.: Anesthesiology 98, p.209-216 (2003)
【非特許文献11】Porcello D. M. et al.: J. Neurophysiol. 89, p.177-185 (2003)
【非特許文献12】Mc Calmont W. F. et al.: Bioorg. Med. Chem. Lett. 14(14), p.3691-3695 (2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、T型カルシウム阻害作用に基き上記の疾患を治療するに際し、1,4−ジヒドロピリジン化合物では、同時に奏されるL型カルシウムチャネル阻害作用に基づく強い血管拡張作用や心機能への影響が、治療時の阻害要因となる可能性があり、また血管拡張作用に基づく頭痛、ほてり、めまい、浮腫の発生等、生活の質(Quality of Life)の低下を招く可能性があることが危惧される。従って、上記疾患の治療薬として、L型カルシウムチャネル阻害作用が弱いかまたは殆どL型カルシウムチャネル阻害作用を示さない、T型カルシウムチャネル阻害剤を見出すことができれば、非常に有用であると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、1,4−ジヒドロピリジン化合物をピリジンに酸化するか、または1,4−ジヒドロピリジン化合物の1位に置換基を導入すると、L型カルシウムチャネル阻害作用は減弱するのに対して、T型カルシウムチャネル阻害作用はある程度維持され、結果的にT型カルシウムチャネルに選択的な阻害作用は殆どそのまま維持されるを示す化合物になることを見いだし、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は、
1. 次式(1)
【化1】

[式中、
Arは、フェニル基、ピリジル基、フリル基または2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−4−イル基(該フェニル基、ピリジル基、フリル基および2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−4−イル基は、NO、CF、Br、Cl、F、C1−20アルキル基、OH、OR、OCHF、COOR、NH、NHR、NR、CONH、CONHR、CONR、COSR、SR、S(O)R、S(O)、SOH、SO、SONH、SONHR、SONR、CNおよびフェニルオキシ基の中から選択される1個または2個の置換基によって任意に置換されてもよく、ここで
およびRは、それぞれ独立して、C1−6アルキル基を意味する。)を意味し、;
含窒素ヘテロ環部分は、1,4−ジヒドロピリジン環またはピリジン環であり;
Zは、次式(2)
【化2】

{式中、
およびRは、それぞれ独立して、OH、C1−6アルコキシ基、C3−6アルケニルオキシ基、C3−6アルキニルオキシ基、OAr、OANR、OAN(CHAr)R、OAOR、OACN、NH、NHR、NR、1−ピペリジニル基または1−ピロリジニル基を意味するか、RおよびRは一緒になってOYO、NHYO、RNYO、NHYNH、RNYNHまたはRNYNRを意味し、ここで
およびRは、上記と同じ意味を有し、
Arは、フェニル基(該フェニル基は、ハロゲン原子、C1−3アルキル基またはC1−3アルコキシ基によって任意に置換されてもよい。)を意味し、
Aは、C2−6アルキレン基(該C2−6アルキレン基は、C1−3アルキル基またはArによって任意に置換されてもよい。)を意味し、そして
Yは、直鎖のC2−4アルキレン基(該C2−4アルキレン基は、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシカルボニル基またはArによって任意に置換されてもよい。)を意味する。}で表される基を意味するか、または
COを意味し、ここで
は、C1−6アルキル基(該C1−6アルキル基は、C1−3アルコキシ基によって任意に置換されてもよい。)を意味し;
およびRは、それぞれ独立して、C1−6アルキル基、ANR、CHOANR、Ar、CH=CHAr、CHCH(OH)Ar、CHO、CN、CHOH、CHOR、AN(CHCHNRまたはNRを意味し、ここで
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル基(該C1−6アルキル基は、フェニル基で任意に置換されてもよく、ここで該フェニル基は、C1−6アルコキシ基またはハロゲン原子で任意に置換されてもよい。)またはフェニル基(該フェニル基は、C1−6アルコキシ基またはハロゲン原子で任意に置換されてもよい。)を意味し、
ArおよびAは、上記と同じ意味を有し;
含窒素ヘテロ環部分が1,4−ジヒドロピリジン環であるとき、Rは、C1−6アルキル基、ANR、AN(CHCHNR、AN(CHCHO、AORまたはベンジル基を意味し、ここで
、RおよびAは、上記と同じ意味を有し;そして
は、水素原子、C1−20アルキル基、C2−6アルケニル基もしくはC2−6アルキニル基(該C1−20アルキル基、C2−6アルケニル基およびC2−6アルキニル基は、フェニル基で任意に置換されてもよく、ここで該フェニル基は、C1−6アルコキシ基またはハロゲン原子で任意に置換されていてもよい。)、ANR、または次式
【化3】

で表される基を意味し、ここで
、RおよびAは、上記と同じ意味を有し
oおよびpは、それぞれ独立して、3または4を意味し、そして
qは、1、2または3を意味する。]で表される化合物、その医薬的に許容される塩またはそれらの溶媒和物であるT型カルシウムチャネル阻害剤、
2. Rは、ANR、または次式
【化4】

で表される基を意味し、ここで
、R、A、o、qおよびpは、上記と同じ意味を有し;そして
は、C1−6アルキル基を意味する、1.記載のT型カルシウムチャネル阻害剤、
3. RはC1−6アルキル基、CNまたはNHを意味する、2.記載のT型カルシウムチャネル阻害剤、
4. Rは、ANR、CHOANRまたはCHCHN(CHCHNRを意味し、ここで
A、RおよびRは、上記と同じ意味を有し;
は、C1−20アルキル基、C2−6アルケニル基またはC2−6アルキニル基(該C1−20アルキル基、C2−6アルケニル基およびC2−6アルキニル基は、フェニル基で任意に置換されてもよく、ここで該フェニル基は、C1−6アルコキシ基またはハロゲン原子で任意に置換されてもよい。)を意味し;そして
は、C1−6アルキル基を意味する、1.記載のT型カルシウムチャネル阻害剤、
5. 含窒素ヘテロ環部分は1,4−ジヒドロピリジン環であり;そして
Zは、式(2)で表される基を意味する、1.ないし4.のうちの何れか1つに記載のT型カルシウムチャネル阻害剤、
6. RおよびRは一緒になってOYO、NHYO、RNYO、NHYNH、RNYNHまたはRNYNRを意味し、ここで
Yは、直鎖のC2−4アルキレン基(該C2−4アルキレン基は、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシカルボニル基またはArによって置換されてもよい。)を意味する、5.記載のT型カルシウムチャネル阻害剤、
7. Arは、フェニル基、3−ニトロフェニル基、2−ニトロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−ピリジル基、3−ピリジル基、2−ピリジル基または2,3−ジクロロフェニル基を意味する、6.記載のT型カルシウムチャネル阻害剤、
8. 含窒素ヘテロ環部分はピリジン環であり;そして
Zは、式(2)で表される基を意味する、1.ないし4.のうちの何れか1つに記載のT型カルシウムチャネル阻害剤、
9. RおよびRは一緒になってOYO、NHYO、RNYO、NHYNH、RNYNHまたはRNYNRを意味し、ここで
Yは、直鎖のC2−4アルキレン基(該C2−4アルキレン基は、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシカルボニル基またはArによって任意に置換されてもよい。)を意味する、8.記載のT型カルシウムチャネル阻害剤、
10. Arは、フェニル基、3−ニトロフェニル基、2−ニトロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−ピリジル基、3−ピリジル基、2−ピリジル基または2,3−ジクロロフェニル基を意味する、9.記載のT型カルシウムチャネル阻害剤、
11. 含窒素ヘテロ環部分は1,4−ジヒドロピリジン環であり;そして
Zは、COを意味する、1.ないし4.のうちの何れか1つに記載のT型カルシウムチャネル阻害剤、
12. Arは、フェニル基、3−ニトロフェニル基、2−ニトロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−ピリジル基、3−ピリジル基、2−ピリジル基または2,3−ジクロロフェニル基を意味する、11.記載のT型カルシウムチャネル阻害剤、
13. 含窒素ヘテロ環部分はピリジン環であり;そして
Zは、COを意味する、1.ないし4.のうちの何れか1つに記載のT型カルシウムチャネル阻害剤、
14. Arは、フェニル基、3−ニトロフェニル基、2−ニトロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−ピリジル基、3−ピリジル基、2−ピリジル基または2,3−ジクロロフェニル基を意味する、13.記載のT型カルシウムチャネル阻害剤、
15. 1.記載のT型カルシウムチャネル阻害剤を含有する医薬、
16. 前記医薬は、T型カルシウムチャネル阻害作用が有効な疾患の治療薬または予防薬である、15.記載の医薬、
17. 前記疾患は、心肥大、心不全、心筋症、心房細動、頻脈性不整脈、動脈硬化、腎炎、腎症、腎障害、腎不全、炎症、浮腫、高アルドステロン血症、神経因性疼痛、てんかんまたは癌である、16.記載の医薬、
18. 1.記載の式(1)で表される化合物、その医薬的に許容される塩またはそれらの溶媒和物の有効量を投与することからなる、心肥大、心不全、心筋症、心房細動、頻脈性不整脈、動脈硬化、腎炎、腎症、腎障害、腎不全、炎症、浮腫、高アルドステロン血症、神経因性疼痛、てんかんまたは癌の予防または治療方法、並びに
19. 心肥大、心不全、心筋症、心房細動、頻脈性不整脈、動脈硬化、腎炎、腎症、腎障害、腎不全、炎症、浮腫、高アルドステロン血症、神経因性疼痛、てんかんまたは癌の予防剤または治療剤を製造するための1.記載の式(1)で表される化合物、その医薬的に許容される塩またはそれらの溶媒和物の使用
を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、更に詳細に本発明を説明する。
尚、本明細書中、「n」はノルマルを、「i」はイソを、「s」はセカンダリーを、「t」はターシャリーを、「c」はシクロを、「Ph」はフェニル基を意味する。
【0010】
以下、本明細書中に記載する各置換基を説明する。
【0011】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。
【0012】
1−3アルキル基としては直鎖、分岐または環状のものが含まれ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基およびc−プロピル基が挙げられる。
【0013】
1−6アルキル基としては直鎖、分岐または環状のものが含まれ、例えば、上記C1−3アルキル基に挙げた基に加えて、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、c−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、3−メチル−n−ブチル基、1,1−ジメチル−n−プロピル基、c−ペンチル基、2−メチル−c−ブチル基、n−ヘキシル基、1−メチル−n−ペンチル基、2−メチル−n−ペンチル基、1,1−ジメチル−n−ブチル基、1−エチル−n−ブチル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピル基、c−ヘキシル基、1−メチル−c−ペンチル基、1−エチル−c−ブチル基、1,2−ジメチル−c−ブチル基等が挙げられる。
【0014】
1−20アルキル基としては直鎖、分岐または環状のものが含まれ、例えば、上記C1−6アルキル基に挙げた基に加えて、n−ヘプチル基、2−c−ペンチルエチル基、n−オクチル基、2−c−ヘキシルエチル基、3−c−ペンチル−n−プロピル基、n−ノニル基、3−c−ヘキシル−n−プロピル基、4−c−ペンチル−n−ブチル基、n−デシル基、4−c−ヘキシル−n−ブチル基、5−c−ペンチル−n−ペンチル基、n−ウンデシル基、5−c−ヘキシル−n−ペンチル基、6−c−ペンチル−n−ヘキシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等が挙げられる。
【0015】
2−6アルケニル基としては直鎖または分岐のものが含まれ、例えば、エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−メチル−1−エテニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−エチルエテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−n−プロピルエテニル基、1−メチル−1−ブテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、2−エチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基、1−i−プロピルエテニル基、1,2−ジメチル−1−プロペニル基、1,2−ジメチル−2−プロペニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−メチル−1−ペンテニル基、1−メチル−2−ペンテニル基、1−メチル−3−ペンテニル基、1−メチル−4−ペンテニル基、1−n−ブチルエテニル基、2−メチル−1−ペンテニル基、2−メチル−2−ペンテニル基、2−メチル−3−ペンテニル基、2−メチル−4−ペンテニル基、2−n−プロピル−2−プロペニル基、3−メチル−1−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、3−メチル−3−ペンテニル基、3−メチル−4−ペンテニル基、3−エチル−3−ブテニル基、4−メチル−1−ペンテニル基、4−メチル−2−ペンテニル基、4−メチル−3−ペンテニル基、4−メチル−4−ペンテニル基、1,1−ジメチル−2−ブテニル基、1,1−ジメチル−3−ブテニル基、1,2−ジメチル−1−ブテニル基、1,2−ジメチル−2−ブテニル基、1,2−ジメチル−3−ブテニル基、1−メチル−2−エチル−2−プロペニル基、1−s−ブチルエテニル基、1,3−ジメチル−1−ブテニル基、1,3−ジメチル−2−ブテニル基、1,3−ジメチル−3−ブテニル基、1−i−ブチルエテニル基、2,2−ジメチル−3−ブテニル基、2,3−ジメチル−1−ブテニル基、2,3−ジメチル−2−ブテニル基、2,3−ジメチル−3−ブテニル基、2−i−プロピル−2−プロペニル基、3,3−ジメチル−1−ブテニル基、1−エチル−1−ブテニル基、1−エチル−2−ブテニル基、1−エチル−3−ブテニル基、1−n−プロピル−1−プロペニル基、1−n−プロピル−2−プロペニル基、2−エチル−1−ブテニル基、2−エチル−2−ブテニル基、2−エチル−3−ブテニル基、1,1,2−トリメチル−2−プロペニル基、1−t−ブチルエテニル基、1−メチル−1−エチル−2−プロペニル基、1−エチル−2−メチル−1−プロペニル基、1−エチル−2−メチル−2−プロペニル基、1−i−プロピル−1−プロペニル基、1−i−プロピル−2−プロペニル基等が挙げられる。
【0016】
2−6アルキニル基としては直鎖または分岐のものが含まれ、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、1−メチル−3−ブチニル基、2−メチル−3−ブチニル基、3−メチル−1−ブチニル基、1,1−ジメチル−2−プロピニル基、2−エチル−2−プロピニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、4−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、1−メチル−2−ペンチニル基、1−メチル−3−ペンチニル基、1−メチル−4−ペンチニル基、2−メチル−3−ペンチニル基、2−メチル−4−ペンチニル基、3−メチル−1−ペンチニル基、3−メチル−4−ペンチニル基、4−メチル−1−ペンチニル基、4−メチル−2−ペンチニル基、1,1−ジメチル−2−ブチニル基、1,1−ジメチル−3−ブチニル基、1,2−ジメチル−3−ブチニル基、2,2−ジメチル−3−ブチニル基、3,3−ジメチル−1−ブチニル基、1−エチル−2−ブチニル基、1−エチル−3−ブチニル基、1−n−プロピル−2−プロピニル基、2−エチル−3−ブチニル基、1−メチル−1−エチル−2−プロピニル基、1−i−プロピル−2−プロピニル基等が挙げられる。
【0017】
1−3アルコキシ基としては直鎖、分岐または環状のものが含まれ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、c−プロポキシ基等が挙げられる。
【0018】
1−6アルコキシ基としては直鎖、分岐または環状のものが含まれ、例えば、上記C1−3アルコキシ基に挙げた基に加えて、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、c−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、1−メチル−n−ブトキシ基、2−メチル−n−ブトキシ基、3−メチル−n−ブトキシ基、1,1−ジメチル−n−プロポキシ基、c−ペンチルオキシ基、2−メチル−c−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、1−メチル−n−ペンチルオキシ基、2−メチル−n−ペンチルオキシ基、1,1−ジメチル−n−ブトキシ基、1−エチル−n−ブトキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロポキシ基、c−ヘキシルオキシ基、1−メチル−c−ペンチルオキシ基、1−エチル−c−ブトキシ基、1,2−ジメチル−c−ブトキシ基等が挙げられる。
【0019】
3−6アルケニルオキシ基としては直鎖または分岐のものが含まれ、例えば、2−プロペニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、2−メチル−2−プロペニルオキシ基、1−メチル−2−プロペニルオキシ基、2−ペンテニルオキシ基、3−ペンテニルオキシ基、4−ペンテニルオキシ基、1−メチル−2−ブテニルオキシ基、1−メチル−3−ブテニルオキシ基、2−エチル−2−プロペニルオキシ基、2−メチル−2−ブテニルオキシ基、2−メチル−3−ブテニルオキシ基、3−メチル−2−ブテニルオキシ基、3−メチル−3−ブテニルオキシ基、1,1−ジメチル−2−プロペニルオキシ基、1,2−ジメチル−2−プロペニルオキシ基、2−ヘキセニルオキシ基、3−ヘキセニルオキシ基、4−ヘキセニルオキシ基、5−ヘキセニルオキシ基、1−メチル−2−ペンテニルオキシ基、1−メチル−3−ペンテニルオキシ基、1−メチル−4−ペンテニルオキシ基、2−メチル−2−ペンテニルオキシ基、2−メチル−3−ペンテニルオキシ基、2−メチル−4−ペンテニルオキシ基、2−n−プロピル−2−プロペニルオキシ基、3−メチル−2−ペンテニルオキシ基、3−メチル−3−ペンテニルオキシ基、3−メチル−4−ペンテニルオキシ基、3−エチル−3−ブテニルオキシ基、4−メチル−2−ペンテニルオキシ基、4−メチル−3−ペンテニルオキシ基、4−メチル−4−ペンテニルオキシ基、1,1−ジメチル−2−ブテニルオキシ基、1,1−ジメチル−3−ブテニルオキシ基、1,2−ジメチル−2−ブテニルオキシ基、1,2−ジメチル−3−ブテニルオキシ基、1−メチル−2−エチル−2−プロペニルオキシ基、1,3−ジメチル−2−ブテニルオキシ基、1,3−ジメチル−3−ブテニルオキシ基、2,2−ジメチル−3−ブテニルオキシ基、2,3−ジメチル−2−ブテニルオキシ基、2,3−ジメチル−3−ブテニルオキシ基、2−i−プロピル−2−プロペニルオキシ基、1−エチル−2−ブテニルオキシ基、1−エチル−3−ブテニルオキシ基、1−n−プロピル−2−プロペニルオキシ基、2−エチル−2−ブテニルオキシ基、2−エチル−3−ブテニルオキシ基、1,1,2−トリメチル−2−プロペニルオキシ基、1−メチル−1−エチル−2−プロペニルオキシ基、1−エチル−2−メチル−2−プロペニルオキシ基、1−i−プロピル−2−プロペニルオキシ基等が挙げられる。
【0020】
3−6アルキニルオキシ基としては直鎖または分岐のものが含まれ、例えば、2−プロピニルオキシ基、2−ブチニルオキシ基、3−ブチニルオキシ基、1−メチル−2−プロピニルオキシ基、2−ペンチニルオキシ基、3−ペンチニルオキシ基、4−ペンチニルオキシ基、1−メチル−2−ブチニルオキシ基、1−メチル−3−ブチニルオキシ基、2−メチル−3−ブチニルオキシ基、1,1−ジメチル−2−プロピニルオキシ基、2−エチル−2−プロピニルオキシ基、2−ヘキシニルオキシ基、3−ヘキシニルオキシ基、4−ヘキシニルオキシ基、5−ヘキシニルオキシ基、1−メチル−2−ペンチニルオキシ基、1−メチル−3−ペンチニルオキシ基、1−メチル−4−ペンチニルオキシ基、2−メチル−3−ペンチニルオキシ基、2−メチル−4−ペンチニルオキシ基、3−メチル−4−ペンチニルオキシ基、4−メチル−2−ペンチニルオキシ基、1,1−ジメチル−2−ブチニルオキシ基、1,1−ジメチル−3−ブチニルオキシ基、1,2−ジメチル−3−ブチニルオキシ基、2,2−ジメチル−3−ブチニルオキシ基、1−エチル−2−ブチニルオキシ基、1−エチル−3−ブチニルオキシ基、1−n−プロピル−2−プロピニルオキシ基、2−エチル−3−ブチニルオキシ基、1−メチル−1−エチル−2−プロピニルオキシ基、1−i−プロピル−2−プロピニルオキシ基等が挙げられる。
【0021】
1−6アルコキシカルボニル基としては直鎖、分岐または環状のものが含まれ、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、c−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、s−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、c−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、1−メチル−n−ブトキシカルボニル基、2−メチル−n−ブトキシカルボニル基、3−メチル−n−ブトキシカルボニル基、1,1−ジメチル−n−プロポキシカルボニル基、c−ペンチルオキシカルボニル基、2−メチル−c−ブトキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、1−メチル−n−ペンチルオキシカルボニル基、2−メチル−n−ペンチルオキシカルボニル基、1,1−ジメチル−n−ブトキシカルボニル基、1−エチル−n−ブトキシカルボニル基、1,1,2−トリメチル−n−プロポキシカルボニル基、c−ヘキシルオキシカルボニル基、1−メチル−c−ペンチルオキシカルボニル基、1−エチル−c−ブトキシカルボニル基、1,2−ジメチル−c−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0022】
2−4アルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。
2−6アルキレン基としては、上記C2−4アルキレン基に挙げた基に加えて、ペンチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
【0023】
好ましいRとしては以下の群のものが挙げられる:
1.メチル基、エチル基、i−プロピル基、i−ブチル基およびメトキシエチル基。
2.メチル基およびエチル基。
【0024】
好ましい式(2)で表される基としては以下の群のものが挙げられる:
1.ジメチルホスホニル基、ジエチルホスホニル基、2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−イル基、5,5−ジメチル−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−イル基および4,6−ジメチル−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−イル基。
2.ジエチルホスホニル基、5,5−ジメチル−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−イル基および4,6−ジメチル−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−イル基。
【0025】
好ましいArとしては、以下の群のものが挙げられる:
1.フェニル基、4−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、2−ニトロフェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、4−ピリジル基、3−ピリジル基、2−ピリジル基および2,3−ジクロロフェニル基。
2.フェニル基、3−ニトロフェニル基、2−ニトロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、4−ピリジル基、3−ピリジル基、2−ピリジル基および2,3−ジクロロフェニル基。
3.フェニル基、3−ニトロフェニル基、2−ニトロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、4−ピリジル基、3−ピリジル基および2−ピリジル基。
4.フェニル基、3−ニトロフェニル基、2−ニトロフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、4−ピリジル基、3−ピリジル基および2−ピリジル基。
【0026】
好ましいRとしては以下の群のものが挙げられる:
1.C1−6アルキル基。
2.メチル基。
【0027】
好ましいRとしては以下の群のものが挙げられる:
1.C1−6アルキル基、CNおよびNH
2.メチル基、CNおよびNH
3.ANR、CHOANRおよびCHCHN(CHCHNR
4.CHOANR
5.CHOCHCHNH
【0028】
好ましいRとしては以下の群のものが挙げられる:
1.C1−20アルキル基、C2−6アルケニル基およびC2−6アルキニル基(該C1−20アルキル基、C2−6アルケニル基およびC2−6アルキニル基は、フェニル基で任意に置換されてもよく、ここで該フェニル基は、C1−6アルコキシ基またはハロゲン原子で任意に置換されていてもよい)。
2.メチル基、エチル基、i−プロピル基、i−ブチル基およびメトキシエチル基。
3.ANR並びに次式
【化5】

で表される基。
4.次式
【化6】

で表される基。
【0029】
好ましいRとしては以下の群のものが挙げられる:
1.AN(CHCHO。
2.CHCHN(CHCHO。
【0030】
本発明の式(1)で表される化合物では、塩の形成可能な化合物であるときはその医薬的に許容し得る塩、また溶媒和物を形成可能な化合物であるときにはその溶媒和物もT型カルシウムチャネル阻害剤として用いることができる。
【0031】
医薬的に許容し得る塩としては塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、リン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、グルコン酸塩、サリチル酸塩等が挙げられる。
【0032】
好ましくは、塩酸塩およびメタンスルホン酸塩が挙げられる。
【0033】
溶媒和物としては、医薬的に許容し得るものであれば、特に限定されるものではなく、具体的には、水和物、エタノール和物等を挙げることができる。
【0034】
本発明の式(1)で表される化合物、その医薬的に許容される塩またはそれらの溶媒和物であるT型カルシウムチャネル阻害剤、該T型カルシウムチャネル阻害剤を含有する医薬、または該T型カルシウムチャネル阻害剤を含有するT型カルシウムチャネル阻害作用が有効な疾患の治療薬または予防薬は、通常錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、シロップ剤等の経口投与剤、直腸投与剤、経鼻吸収剤、経膣吸収剤等の経粘膜吸収剤、経肺吸収剤、吸入剤、点眼剤、経皮吸収剤または注射剤として投与できる。本剤は1個の治療剤として、あるいは他の治療剤との混合物として投与できる。本発明の式(1)で表される化合物は単体で投与してもよいが、一般的には医薬組成物の形態で投与する。それらの製剤は、薬理的、製剤学的に許容し得る添加物を加え、常法により製造できる。即ち、経口剤には通常の賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤、可塑剤、コーティング剤等の添加物を使用できる。経口用液剤は、水性または油性懸濁液、溶液、乳濁液、シロップ、エリキシル等の形態であってよく、または使用前に水または他の適当な溶媒で調製するドライシロップとして供されてもよい。前記液剤は、懸濁化剤、香料、希釈剤または乳化剤のような通常の添加剤を含むことができる。直腸内投与する場合は座剤として投与できる。座剤はカカオ脂、ラウリン脂、マクロゴール、グリセロゼラチン、ウィテップゾール、ステアリン酸ナトリウム、それらの混合物等、適当な物質を基剤として、必要に応じて乳化剤、懸濁化剤、保存剤等を加えることができる。注射剤は、水性または用時溶解型剤形を構成し得る注射用蒸留水、生理食塩水、5%ブドウ糖溶液、プロピレングリコール等の溶解剤または溶解補助剤、pH調節剤、等張化剤、安定化剤等の製剤成分が使用される。
【0035】
本発明の薬剤をヒトに投与する場合は、その投与量を患者の年齢、状態等により決定するが、通常成人の場合、経口剤あるいは直腸内投与では0.1〜1000mg/ヒト/日程度、注射剤では0.05mg〜500mg/ヒト/日程度である。これらの数値はあくまでも例示であり、投与量は患者の症状にあわせて決定される。
【0036】
本発明を使用する場面としては、T型カルシウムチャネル阻害作用を有する式(1)で表される化合物を使用することにより病態の改善が期待できる場面が挙げられる。具体的には、心肥大、心不全、心筋症、心房細動を始めとする頻脈性不整脈、動脈硬化、腎炎、腎症を始めとする腎障害、腎不全、炎症および浮腫、高アルドステロン血症、神経因性疼痛、てんかん、癌等の治療や予防に有用である。
【0037】
本発明の式(1)で表される化合物は、1,4−ジヒドロピリジン化合物を酸化するかまたは、1,4−ジヒドロピリジン化合物の1位に置換基を導入することにより製造できる。
【0038】
製造方法をスキーム1に示す。
スキーム1
【化7】

【0039】
即ち、本発明の式(1)で表される化合物のうち、含窒素ヘテロ環部分がピリジン環である式(1−a)で表される化合物は、1,4−ジヒドロピリジン化合物(3)を、硝酸、亜硝酸、クロム酸、ヨウ素等の酸化剤で酸化することにより製造できる。
【0040】
また、本発明の式(1)で表される化合物のうち、含窒素ヘテロ環部分が1,4−ジヒドロピリジン環である式(1−b)で表される化合物は、1,4−ジヒドロピリジン化合物(3)を、水素化ナトリウム等の塩基の存在下、R−X(式中、Rは上記と同じ意味を有し、そしてXは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、パラトルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等の脱離基を意味する。)を作用させることにより製造できる。
【0041】
なお、1,4−ジヒドロピリジン化合物(3)のうち、Zが式(2)で表される基を意味する化合物は、特開昭59−161392号公報、特開昭60−69089号公報、特開昭60−248693号公報、特開昭60−258194号公報、特開昭61−30591号公報、特開昭61−37793号公報、特開昭61−63688号公報、特開昭61−210092号公報、特開昭61−254596号公報、特開昭62−169795号公報、特開昭62−169796号公報、特開昭62−195392号公報、特開昭63−68591号公報、特開昭63−233992号公報、特開平01−113398号公報および特開平01−275591号公報に記載の製造方法に従って製造できる。
【0042】
また、1,4−ジヒドロピリジン化合物(3)のうち、ZがCOを意味する化合物は、特開昭58−167569号公報、特開昭55−301号公報、特開昭57−171968号公報、特開昭60−97956号公報、特開昭49−108082号公報、特開昭52−5777号公報、特開昭47−34368号公報、特開昭47−34369号公報、特開昭52−59161号公報、特開昭55−9083号公報、特開昭60−233058号公報および特開昭58−67668号公報に記載の製造方法に従って製造できる。
【0043】
以下、本発明を実施例にて詳述するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例に使用した化合物の構造式を以下に示す。
【化8】

【0044】
実施例に記載の化合物(5)は、特開平2−138221号公報に記載された酸化例2に従って製造し、化合物(6)は、特開平2−138221号公報に記載された酸化例1に従って製造した。
実施例に記載の化合物(4)は、化合物(5)をベンジルハライドでベンジル化した後、塩酸塩とすることにより製造した。
【0045】
実施例に記載の化合物(7)は、特開昭57−171968号公報に記載の製造方法を参考にして製造した1,4−ジヒドロピリジン化合物(3a)を酸化し、塩酸塩とすることにより以下のように製造した。
【化9】

化合物(3a)1.0097gを32.5%硝酸に加え、50℃で15分間攪拌した。放冷後、反応液にクロロホルム300mLおよび飽和炭酸水素ナトリウム水溶液300mLを加えた後、分液した。有機層を濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィー(溶出液酢酸エチル:ヘキサン=1:1、V/V)により目的物を分離し、淡黄色油状の化合物0.7193g(76.7%)を得た。
NMRスペクトル(300MHz, CDCl3, δ):1.00-1.20(1H, m), 1.40-1.80(3H, m), 1.80-2.20(2H, m), 2.30-2.55(2H, m), 2.61(3H, s), 2.60(3H, s), 3.35-3.50(2H, m), 3.57(3H, s), 4.75-4.87(1H, m), 7.20-7.60(7H, m), 8.08-8.18(2H, m)
【0046】
得られた化合物0.7070gをクロロホルム200mLおよび1mol/Lの塩酸100mLに加え分液し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、再度濃縮し、無色固体の化合物(7)0.7270g(89.8%)を得た。
【0047】
実施例に記載の化合物(8)は、特開昭57−171968号公報に記載の製造方法を参考にして製造した1,4−ジヒドロピリジン化合物(3a)の塩酸塩の1位にメチル基を導入し、塩酸塩とすることにより以下のように製造した。
【化10】

化合物(3a)の塩酸塩1.01g(1.86mmol)を529mg(3.73mmol)のヨウ化メチルの入ったテトラヒドロフラン10mLに加え、3℃まで冷却した。次いで水素化ナトリウム(55%)244mg(5.59mmol)を添加し、3〜6℃で4時間撹拌した。得られた反応混合物に200mLのクロロホルムと50mLの水を加え、振盪後、静置、分液した。クロロホルム層を取り、溶媒留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル40g、酢酸エチル/ヘキサン=2/3)で精製したところ、目的のN−メチル体237mg(24.4%)を淡黄色油状物として得た。
この油状物207mgに200mLのクロロホルムと100mLの1mol/L塩酸を加え、振盪後、静置、分液した。クロロホルム層を取り、5gの無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に濾過、溶媒留去することによって化合物(8)246mgを淡黄色固体として得た。
この化合物はジアステレオマー混合物であり、下記のHPLC分析では主として、保持時間が37.88分、39.82分の2本のピークに分離した。
[HPLC条件]
カラム:L−columnODS
溶離液:CHCN−0.01Maq.AcONH=3/2(v/v)
流量:1.0mL/分
温度:40℃
波長:254nm
【0048】
実施例に記載の化合物(9)は、特開昭63−233992号公報の実施例25に記載の化合物(3b)を用いて1位に置換基を導入した後、塩酸塩(2塩酸塩)とすることにより以下のように製造した。
【化11】

【0049】
薬理試験例1:哺乳動物細胞(BHK cells)に発現させたT型Caチャネルに及ぼす影響
Wakamori M. et al.の方法(Wakamori M. et al.: J. Biol. Chem. 273, 34857-34867, 1998)に準じ、T型Caチャネル(α1G)(Perez-Reyes E.: J. Bioenerg. Biomembr. 30, 313-318, 1998)を発現させたBHK(baby hamster kidney)細胞を用いてwhole cell patch clamp法による電気生理学的評価を行った。
各Caイオン電流は、膜電位−80mVに保持した細胞に脱分極パルス(−20mV)を与えたときの内向き電流としてパッチクランプアンプを介して測定した。各化合物は、細胞外測定溶液中に溶解して灌流して適用し、適用5分後のCaイオン電流の変化を測定した。
結果を、溶媒対照のCa電流量(100%)に対する発明化合物のCa電流量抑制率(%:平均値)として以下の表に示す。
【表1】

【0050】
薬理試験例2:哺乳動物細胞(BHK cells)に発現させたL型およびT型Caチャネルに及ぼす影響
Wakamori M. et al.の方法(Wakamori M. et al.: J. Biol. Chem. 273, 34857-34867, 1998)に準じ、L型CaチャネルあるいはT型Caチャネル(α1G)(Perez-Reyes E.: J. Bioenerg. Biomembr. 30, 313-318, 1998)を発現させたBHK(baby hamster kidney)細胞を用いてwhole cell patch clamp法による電気生理学的評価を行った。
各Caイオン電流は、膜電位−80mVに保持した細胞に脱分極パルス(L型Caチャネルは10mV、T型Caチャネルは−20mV)を与えたときの内向き電流としてパッチクランプアンプを介して測定した。化合物(9)は、細胞外測定溶液中に溶解して灌流して適用し、適用5分後のCaイオン電流の変化を測定した。
結果を、溶媒対照のCa電流量(100%)に対する発明化合物のCa電流量抑制率(%)として以下の表に示す。
【表2】

【0051】
製剤例1
以下の成分を含有する顆粒剤を製造した。
【表3】

式(1)で表される化合物と乳糖を60メッシュの篩に通した。コーンスターチを120メッシュの篩に通した。これらをV型混合機にて混合した。混合末に低粘度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)水溶液を添加し、練合、造粒(押し出し造粒:孔径0.5〜1mm)した後、乾燥した。得られた乾燥顆粒を振動篩(12/60メッシュ)で篩過し顆粒剤を得た。
【0052】
製剤例2
以下の成分を含有するカプセル充填用散剤を製造した。
【表4】

式(1)で表される化合物と乳糖を60メッシュの篩に通した。コーンスターチを120メッシュの篩に通した。これらとステアリン酸マグネシウムをV型混合機にて混合しカプセル充填用散剤を得た。10倍散100mgを5号硬ゼラチンカプセルに充填しカプセル剤とした。
【0053】
製剤例3
以下の成分を含有するカプセル充填用顆粒剤を製造した。
【表5】

式(1)で表される化合物と乳糖を60メッシュの篩に通した。コーンスターチを120メッシュの篩に通した。これらをV型混合機にて混合した。混合末に低粘度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)水溶液を添加し、練合、造粒した後、乾燥した。得られた乾燥顆粒を振動篩(12/60メッシュ)で篩過し整粒しカプセル充填用顆粒剤を得た。この150mgを4号硬ゼラチンカプセルに充填しカプセル剤とした。
【0054】
製剤例4
以下の成分を含有する錠剤を製造した。
【表6】

式(1)で表される化合物と乳糖と微結晶セルロース、CMC−Na(カルボキシメチルセルロースナトリウム塩)を60メッシュの篩に通し、混合した。混合末にステアリン酸マグネシウムを添加し、製剤用混合末を得た。この混合末を直打し150mgの錠剤を得た。
【0055】
製剤例5
以下の成分を含有する静脈用製剤を製造した。
【表7】

式(1)で表される化合物を飽和脂肪酸グリセリド中に溶解し静脈用製剤を得た。上記成分の溶液は通常、1分間に1mLの速度で患者に静脈内投与し得る。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の化合物は、選択的なT型カルシウムチャネル阻害作用を有することから、血圧、心機能および生活の質(Quality of Life)に悪影響を与えることなく心肥大、心不全、心筋症、心房細動を始めとする頻脈性不整脈、動脈硬化、腎炎、腎症を始めとする腎障害、腎不全、浮腫、炎症、高アルドステロン血症、神経因性疼痛、てんかん、癌等の治療に使用できると考えられる。従って、本発明は、有効、安全かつ生活の質(Quality of Life)を考慮した上記疾患に対する治療薬を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(1)
【化1】

[式中、
Arは、フェニル基、ピリジル基、フリル基または2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−4−イル基(該フェニル基、ピリジル基、フリル基および2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−4−イル基は、NO、CF、Br、Cl、F、C1−20アルキル基、OH、OR、OCHF、COOR、NH、NHR、NR、CONH、CONHR、CONR、COSR、SR、S(O)R、S(O)、SOH、SO、SONH、SONHR、SONR、CNおよびフェニルオキシ基の中から選択される1個または2個の置換基によって任意に置換されてもよく、ここで
およびRは、それぞれ独立して、C1−6アルキル基を意味する。)を意味し、;
含窒素ヘテロ環部分は、1,4−ジヒドロピリジン環またはピリジン環であり;
Zは、次式(2)
【化2】

{式中、
およびRは、それぞれ独立して、OH、C1−6アルコキシ基、C3−6アルケニルオキシ基、C3−6アルキニルオキシ基、OAr、OANR、OAN(CHAr)R、OAOR、OACN、NH、NHR、NR、1−ピペリジニル基または1−ピロリジニル基を意味するか、RおよびRは一緒になってOYO、NHYO、RNYO、NHYNH、RNYNHまたはRNYNRを意味し、ここで
およびRは、上記と同じ意味を有し、
Arは、フェニル基(該フェニル基は、ハロゲン原子、C1−3アルキル基またはC1−3アルコキシ基によって任意に置換されてもよい。)を意味し、
Aは、C2−6アルキレン基(該C2−6アルキレン基は、C1−3アルキル基またはArによって任意に置換されてもよい。)を意味し、そして
Yは、直鎖のC2−4アルキレン基(該C2−4アルキレン基は、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシカルボニル基またはArによって任意に置換されてもよい。)を意味する。}で表される基を意味するか、または
COを意味し、ここで
は、C1−6アルキル基(該C1−6アルキル基は、C1−3アルコキシ基によって任意に置換されてもよい。)を意味し;
およびRは、それぞれ独立して、C1−6アルキル基、ANR、CHOANR、Ar、CH=CHAr、CHCH(OH)Ar、CHO、CN、CHOH、CHOR、AN(CHCHNRまたはNRを意味し、ここで
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル基(該C1−6アルキル基は、フェニル基で任意に置換されてもよく、ここで該フェニル基は、C1−6アルコキシ基またはハロゲン原子で任意に置換されてもよい。)またはフェニル基(該フェニル基は、C1−6アルコキシ基またはハロゲン原子で任意に置換されてもよい。)を意味し、
ArおよびAは、上記と同じ意味を有し;
含窒素ヘテロ環部分が1,4−ジヒドロピリジン環であるとき、Rは、C1−6アルキル基、ANR、AN(CHCHNR、AN(CHCHO、AORまたはベンジル基を意味し、ここで
、RおよびAは、上記と同じ意味を有し;そして
は、水素原子、C1−20アルキル基、C2−6アルケニル基もしくはC2−6アルキニル基(該C1−20アルキル基、C2−6アルケニル基およびC2−6アルキニル基は、フェニル基で任意に置換されてもよく、ここで該フェニル基は、C1−6アルコキシ基またはハロゲン原子で任意に置換されていてもよい。)、ANR、または次式
【化3】

で表される基を意味し、ここで
、RおよびAは、上記と同じ意味を有し
oおよびpは、それぞれ独立して、3または4を意味し、そして
qは、1、2または3を意味する。]で表される化合物、その医薬的に許容される塩またはそれらの溶媒和物であるT型カルシウムチャネル阻害剤。
【請求項2】
は、ANR、または次式
【化4】

で表される基を意味し、ここで
、R、A、o、qおよびpは、上記と同じ意味を有し;そして
は、C1−6アルキル基を意味する、請求項1記載のT型カルシウムチャネル阻害剤。
【請求項3】
はC1−6アルキル基、CNまたはNHを意味する、請求項2記載のT型カルシウムチャネル阻害剤。
【請求項4】
は、ANR、CHOANRまたはCHCHN(CHCHNRを意味し、ここで
A、RおよびRは、上記と同じ意味を有し;
は、C1−20アルキル基、C2−6アルケニル基またはC2−6アルキニル基(該C1−20アルキル基、C2−6アルケニル基およびC2−6アルキニル基は、フェニル基で任意に置換されてもよく、ここで該フェニル基は、C1−6アルコキシ基またはハロゲン原子で任意に置換されてもよい。)を意味し;そして
は、C1−6アルキル基を意味する、請求項1記載のT型カルシウムチャネル阻害剤。
【請求項5】
含窒素ヘテロ環部分は1,4−ジヒドロピリジン環であり;そして
Zは、式(2)で表される基を意味する、請求項1ないし4のうちの何れか1項に記載のT型カルシウムチャネル阻害剤。
【請求項6】
およびRは一緒になってOYO、NHYO、RNYO、NHYNH、RNYNHまたはRNYNRを意味し、ここで
Yは、直鎖のC2−4アルキレン基(該C2−4アルキレン基は、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシカルボニル基またはArによって置換されてもよい。)を意味する、請求項5記載のT型カルシウムチャネル阻害剤。
【請求項7】
Arは、フェニル基、3−ニトロフェニル基、2−ニトロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−ピリジル基、3−ピリジル基、2−ピリジル基または2,3−ジクロロフェニル基を意味する、請求項6記載のT型カルシウムチャネル阻害剤。
【請求項8】
含窒素ヘテロ環部分はピリジン環であり;そして
Zは、式(2)で表される基を意味する、請求項1ないし4のうちの何れか1項に記載のT型カルシウムチャネル阻害剤。
【請求項9】
およびRは一緒になってOYO、NHYO、RNYO、NHYNH、RNYNHまたはRNYNRを意味し、ここで
Yは、直鎖のC2−4アルキレン基(該C2−4アルキレン基は、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシカルボニル基またはArによって任意に置換されてもよい。)を意味する、請求項8記載のT型カルシウムチャネル阻害剤。
【請求項10】
Arは、フェニル基、3−ニトロフェニル基、2−ニトロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−ピリジル基、3−ピリジル基、2−ピリジル基または2,3−ジクロロフェニル基を意味する、請求項9記載のT型カルシウムチャネル阻害剤。
【請求項11】
含窒素ヘテロ環部分は1,4−ジヒドロピリジン環であり;そして
Zは、COを意味する、請求項1ないし4のうちの何れか1項に記載のT型カルシウムチャネル阻害剤。
【請求項12】
Arは、フェニル基、3−ニトロフェニル基、2−ニトロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−ピリジル基、3−ピリジル基、2−ピリジル基または2,3−ジクロロフェニル基を意味する、請求項11記載のT型カルシウムチャネル阻害剤。
【請求項13】
含窒素ヘテロ環部分はピリジン環であり;そして
Zは、COを意味する、請求項1ないし4のうちの何れか1項に記載のT型カルシウムチャネル阻害剤。
【請求項14】
Arは、フェニル基、3−ニトロフェニル基、2−ニトロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−ピリジル基、3−ピリジル基、2−ピリジル基または2,3−ジクロロフェニル基を意味する、請求項13記載のT型カルシウムチャネル阻害剤。
【請求項15】
請求項1記載のT型カルシウムチャネル阻害剤を含有する医薬。
【請求項16】
T型カルシウムチャネル阻害作用が有効な疾患の治療薬または予防薬である、請求項15記載の医薬。
【請求項17】
前記疾患は、心肥大、心不全、心筋症、心房細動、頻脈性不整脈、動脈硬化、腎炎、腎症、腎障害、腎不全、炎症、浮腫、高アルドステロン血症、神経因性疼痛、てんかんまたは癌である、請求項16記載の医薬。
【請求項18】
請求項1記載の式(1)で表される化合物、その医薬的に許容される塩またはそれらの溶媒和物の有効量を投与することからなる、心肥大、心不全、心筋症、心房細動、頻脈性不整脈、動脈硬化、腎炎、腎症、腎障害、腎不全、炎症、浮腫、高アルドステロン血症、神経因性疼痛、てんかんまたは癌の予防または治療方法。
【請求項19】
心肥大、心不全、心筋症、心房細動、頻脈性不整脈、動脈硬化、腎炎、腎症、腎障害、腎不全、炎症、浮腫、高アルドステロン血症、神経因性疼痛、てんかんまたは癌の予防剤または治療剤を製造するための請求項1記載の式(1)で表される化合物、その医薬的に許容される塩またはそれらの溶媒和物の使用。

【国際公開番号】WO2005/051402
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【発行日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515791(P2005−515791)
【国際出願番号】PCT/JP2004/017490
【国際出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】