説明

T細胞ヘルプを誘発する組成物

本発明は、少なくとも部分的には、MHCII結合ペプチドを含む組成物、およびそれに関連する方法に関する。一実施形態では、MHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年8月26日出願の米国仮特許出願第61/237,147号明細書および2010年1月6日出願の米国仮特許出願第61/335,611号明細書(それら各々の全内容は参照により本明細書中に援用される)の米国特許第119条下での利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
特定のワクチンの活性は、付随するT細胞ヘルプの供給によって促進されうる。T細胞ヘルプは、MHCIIとの複合体を形成しうる特定のペプチド抗原の提示を通じて誘発されうる。必要なことは、ワクチン応答における改善されたT細胞ヘルプを誘発しうる組成物および方法である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、本発明は、A−x−B;および医薬的に許容できる賦形剤を含む組成物に関し、ここで、xは、リンカーを含むかまたはリンカーを全く含まず;ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み;ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、またここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない。
【0004】
一態様では、本発明は、A−x−B;および医薬的に許容できる賦形剤を含む組成物に関し、ここで、xは、リンカーを含むかまたはリンカーを全く含まず;ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み;ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、またここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない。
【0005】
一態様では、本発明は、A−x−B;および医薬的に許容できる賦形剤を含む組成物に関し、ここで、xはリンカーを含むかまたはリンカーを全く含まず;ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み;ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、またここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない。
【0006】
一態様では、本発明は、A−x−B;および医薬的に許容できる賦形剤を含む組成物に関し、ここで、xはリンカーを含むかまたはリンカーを全く含まず;ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み;ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、またここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない。
【0007】
一態様では、本発明は、A−x−B;および医薬的に許容できる賦形剤を含む組成物に関し、ここで、xは、アミドリンカー、ジスルフィドリンカー、硫化物リンカー、1,4−二置換1,2,3−トリアゾールリンカー、チオールエステルリンカー、ヒドラジドリンカー、イミンリンカー、チオ尿素リンカー、アミジンリンカー、またはアミンリンカーを含むリンカーを含み;ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み;ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、またここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない。
【0008】
一態様では、本発明は、A−x−B;および医薬的に許容できる賦形剤を含む組成物に関し、ここで、xは、ペプチド配列、リソソームプロテアーゼ切断部位、生分解性ポリマー、置換もしくは未置換アルカン、アルケン、芳香族もしくは複素環リンカー、pH感受性ポリマー、ヘテロ二官能性リンカーまたはオリゴマーグリコールスペーサー(oligomeric glycol spacer)を含むリンカーを含み;ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み;ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、またここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない。
【0009】
一態様では、本発明は、A−x−Bを含む組成物をコードする1つまたは複数の単離核酸を含む組成物に関し、ここで、2つ以上の単離核酸が存在する場合、単離核酸は、A−x−Bを含む組成物をともにコードし、ここで、xは、リンカーを全く含まないか、アミドリンカーまたはペプチドリンカーを含み、ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、またここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない。
【0010】
一態様では、本発明は、A−x−Bを含む組成物をコードする1つまたは複数の単離核酸を含む組成物に関し、ここで、2つ以上の単離核酸が存在する場合、単離核酸は、A−x−Bを含む組成物をともにコードし、ここで、xは、アミドリンカーであるか、リンカーでないか、またはペプチドリンカーであり、ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、またここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない。
【0011】
一態様では、本発明は、A−x−Bを含む組成物をコードする1つまたは複数の単離核酸を含む組成物に関し、ここで、2つ以上の単離核酸が存在する場合、単離核酸は、A−x−Bを含む組成物をともにコードし、ここで、xは、アミドリンカーであるか、リンカーでないか、またはペプチドリンカーであり、ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、またここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない。
【0012】
一態様では、本発明は、A−x−Bを含む組成物をコードする1つまたは複数の単離核酸を含む組成物に関し、ここで、2つ以上の単離核酸が存在する場合、単離核酸は、A−x−Bを含む組成物をともにコードし、ここで、xは、アミドリンカーであるか、リンカーでないか、またはペプチドリンカーであり、ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、またここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない。
【0013】
一態様では、本発明は、A−x−Bを含む組成物をコードする1つまたは複数の単離核酸を含む組成物に関し、ここで、2つ以上の単離核酸が存在する場合、単離核酸は、A−x−Bを含む組成物をともにコードし、ここで、xは、アミドリンカーであり、ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、またここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない。
【0014】
一態様では、本発明は、A−x−Bを含む組成物をコードする1つまたは複数の単離核酸を含む組成物に関し、ここで、2つ以上の単離核酸が存在する場合、単離核酸は、A−x−Bを含む組成物をともにコードし、ここで、xは、リソソームプロテアーゼ切断部位を含むペプチドリンカーであり、ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み;ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、またここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない。
【0015】
一態様では、本発明は、配列が配列番号1〜46として示されるアミノ酸配列のいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む組成物に関する。
【0016】
一態様では、本発明は、配列が配列番号1〜46として示されるアミノ酸配列のいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離核酸を含む組成物に関する。
【0017】
一態様では、本発明は、配列が配列番号47〜68として示される核酸配列のいずれか1つに対して少なくとも60%の同一性を有する核酸配列を含む単離核酸を含む組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ペプチド刺激CD4+/CD45RAlow/CD62Lhigh中央記憶T細胞内でのIFN−γ発現を示すフローサイトメトリーデータの代表例を示す。
【図2】非刺激CD4+/CD45RAmed/CD62Lhigh/IFN−γ+T細胞に対して正規化された中央記憶T細胞のパーセントを示す。クラスIIペプチドキメラは、強固なCD4記憶T細胞リコール応答をもたらす。ペプチドは、4μMの最終濃度で加えられた。陰性および陽性PBMC対照はそれぞれ、刺激されないかまたは5つのペプチドのプール(5PP)で刺激された。フローサイトメトリー分析に先立ち、細胞は、CD4−FITC、CD45RA−PEおよびCD62LCy7PEで染色された。次いで、細胞は、透過性にされ、固定され、またIFN−γで染色された。中央記憶T細胞は、CD4+/CD45RAmedium/CD62Lhigh/IFN−γ+である。示される値は、CD4+/CD62Lゲート内に見出されるCD62L+/IFN−γ+細胞のパーセントである。同値は、各ドナーに対する非刺激対照における値を差し引くことによって正規化された。
【図3】ペプチドに対して応答する記憶T細胞について陽性の(20のうちの)ドナー数を示す。ドナーは、値がCD4+CD45RAlow集団内の中央記憶T細胞に対応する0.08%より大きい場合、陽性であると考えられた。
【図4】ペプチドに特異的なCD4+/CD45RAlow/CD62Lhigh中央記憶T細胞内でのTNF−αおよびIFN−γの発現を示すフローサイトメトリーデータの代表例を示す。クラスIIペプチドキメラは、強固な樹状細胞/CD4中央記憶T細胞のリコール応答をもたらす。単球が、磁気ビーズ陰性選択によってPBMCから単離され、IL−4およびGM−CSF中で1週間成長し、樹状細胞(DC)分化が誘導された。自己CD4+細胞が、凍結保存PBMCから単離され、ペプチドの存在または不在下でDCとともに培養された。中央記憶T細胞内でのTNF−αおよびIFN−γの発現の検出は、上記のように行われた。未熟中央記憶T細胞が、IFN−γ/TNF−αおよびIL−2を発現する一方、免疫委任エフェクター記憶T細胞は、IL−4またはIFN−γのみを発現する。
【図5】ペプチドに特異的なCD4+/CD45RAlow/CD62Lhigh中央記憶T細胞内でのIL−4、TNF−α、またはIFN−γの発現のパーセントを示す。ペプチドの存在または不在下で、樹状細胞/自己CD4 T細胞共培養物中でのサイトカイン発現が示される。(非刺激物に対して正規化された)フローサイトメトリーによって回収された75000の事象あたりのサイトカイン陽性記憶T細胞の数が示される。
【図6】ペプチドに特異的なCD4+/CD45RAlow/CD62Lhigh中央記憶T細胞内でのTNF−α+IFN−γまたはTNF−α+IL−4の同時発現のパーセントを示す。ペプチドの存在または不在下で、樹状細胞/自己CD4 T細胞共培養物中でのサイトカイン同時発現が示される。
【図7】TT830pDTt変異体(それぞれ、配列番号13、108〜113、126、114〜118)を示す。
【図8】CD4+/CD45RAlow(4つのドナー)中でのCD62L+/IFN−γ+中央記憶T細胞のパーセントを示す。クラスIIペプチドキメラは、強固なCD4記憶T細胞のリコール応答をもたらす。中央記憶T細胞は、CD4+/CD45RAlow/CD62L+/IFN−γ+である。示される値は、CD4+/CD62Lゲート内で見出されるCD62L+/IFN−γ+細胞のパーセントである。
【図9】アデノウイルスエピトープを有するキメラペプチドを使用するCD4+/CD45RAlow/CD62Lhigh中央記憶T細胞(16のドナー)のパーセントを示す。クラスIIペプチドキメラは、強固なCD4記憶T細胞のリコール応答をもたらす。中央記憶T細胞は、CD4+/CD45RAlow/CD62L+/IFN−γ+である。示される値は、CD4+/CD62Lゲート内で見出されるCD62L+/IFN−γ+細胞のパーセントである。配列番号13、17、19および20がそれぞれ示される。
【図10】アデノウイルスAdVkDTt変異体におけるCD4+/CD45RAlow/CD62Lhigh中央記憶T細胞(16のドナー)のパーセントを示す。修飾AdVkDTtペプチドキメラは、強固なCD4記憶T細胞のリコール応答をもたらす。中央記憶T細胞は、CD4+/CD45RAlow/CD62L+/IFN−γ+である。示される値は、CD4+/CD62Lゲート内で見出されるCD62L+/IFN−γ+細胞のパーセントである。配列番号71〜73および127〜129がそれぞれ示される。
【図11】高度に保存されたpan HLA−DR特性について選択された、インフルエンザにおけるキメラエピトープを示す。配列番号39〜44、32および93〜98がそれぞれ示される。
【図12】キメラの保存されたインフルエンザエピトープにおけるCD4+/CD45RAlow/CD62Lhigh中央記憶T細胞(5つのドナー)のパーセントを示す。高度に保存された修飾インフルエンザペプチドキメラは、強固なCD4記憶T細胞のリコール応答をもたらす。中央記憶T細胞は、CD4+/CD45RAlow/CD62L+/IFN−γ+である。示される値は、CD4+/CD62Lゲート内で見出されるCD62L+/IFN−γ+細胞のパーセントである。配列番号101〜106がそれぞれ示される。
【図13】本発明の組成物および合成ナノ担体を用いて得られる抗ニコチン力価を示す。
【図14】本発明の組成物および合成ナノ担体を用いて得られる抗ニコチン力価を示す。
【図15】Immune Epitope Database(IEDB)T細胞エピトープ予測プログラムを用いたキメラエピトープ選択を示す。各ペプチドにおいては、3つの方法(ARB、SMM_alignおよびSturniolo)の各々を用いたパーセンタイルランク(percentile rank)が、ペプチドのスコアをSWISSPROTデータベースから選択された500万のランダムな15merのスコアと比較することによって得られた。次いで、3つの方法におけるパーセンタイルランクを用い、コンセンサス法におけるランクが得られた。小さい数の(small numbered)パーセンタイルランクは、高親和性を示す。予測される高親和性結合(<3のトップパーセンタイル)は、太字で示される。対立遺伝子分布は、ヨーロッパ人口(ブルガリア、クロアチア、キューバ(Eu)、チェコ、フィンランド、グルジア、アイルランド、北アメリカ(Eu)、スロベニア)について示される。
【図16】単一およびキメラエピトープで予想されるHLA−DR集団範囲(population coverage)−ヨーロッパを示す。
【図17】インフルエンザA型における各クラスIIエピトープの予測される結合分析を示す。配列番号78〜82は、表の最初のカラム中に表される。
【図18】インフルエンザA型におけるキメラエピトープの予測される結合分析を示す。
【図19】インフルエンザA型およびB型における保存されたpan−クラスII PB1キメラペプチドを示す。配列番号101〜106は、表の最初のカラム中に表される。
【図20】予測されるクラスIIに対する結合親和性の低下を伴わないアミノ酸置換を示す。配列番号2、120〜122、3および123〜125がそれぞれ示される。
【0019】
本発明について詳述する前に、本発明が、当然変化しうるものとして、特別に例示される材料またはプロセスパラメータに限定されないことは理解されるべきである。また、本明細書で使用される用語が、あくまで本発明の特定の実施形態を記述することを目的とし、本発明を説明するための代替用語の使用の限定が意図されていないことは理解されるべきである。
【0020】
本明細書中で引用されるすべての発行物、特許および特許出願は、上記または下記のいずれかであっても、あらゆる目的においてそれら全体が参照により本明細書中に援用される。
【0021】
単数形「a」、「an」および「the」は、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、文脈において特に明示されない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「ポリマー」という呼称は、2つ以上のかかる分子の混合物を含み、「溶媒」という呼称は、2つ以上のかかる溶媒の混合物を含み、「接着剤」という呼称は、2つ以上のかかる材料の混合物を含むなどである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
A.はじめに
発明者は、予想外にまた驚くべきことに、上記の課題および制限が、本明細書で開示される本発明を実施することによって克服できることを発見した。特に、発明者は、予想外に、当該技術分野における課題および制限に対処するような本発明の組成物および関連する方法を提供することが可能であることを発見した。
【0023】
ワクチンに対する免疫応答は、ワクチン中にクラスII結合記憶エピトープを含めることにより、有効に促進され、より強固な抗体応答をもたらすことが可能である。しかし、クラスIIは、3つの異なる遺伝子セット(HLA−DR、DPおよびDQ)から構成され、各々は異なるエピトープ結合親和性を有する。さらに、遺伝子の各々は、集団内に見出されうるいくつかの対立遺伝子を有し、それらは可変エピトープ結合能を有するタンパク質を生成することから、個別のT細胞エピトープは、制限されたクラスII対立遺伝子である。したがって、エピトープのクラスII制限は、エピトープが制限された集団範囲を有するという点で問題を引き起こす。広範な集団範囲を得るため、ペプチドであれば、DP、DQ、およびDRに対して無差別(promiscuous)かつ非選択的であるように設計されなければならないことになる。この問題は、ペプチドが、集団の大部分が暴露されている抗原に対して特異的であり、かつHLAクラスII対立遺伝子の全体にわたって広範な活性を有するように設計することにより、克服されうる。広範であるが制限された活性を有する個別のエピトープは、例えば、破傷風毒素(TT)およびジフテリア毒素(DT)など、共通のワクチン中に見出されるエピトープを含む。さらに、集団の大部分が、暴露されておりかつ活性抗体力価(active antibody titre)を有する対象の、アデノウイルス(AdV)などの天然ウイルス中に見出されるエピトープは、幅広い集団範囲を有しうる。望ましくは、設計されるペプチドは、優性DP4対立遺伝子(DPA101/DPB1401およびDPA10103/DPB10402)に対する高親和性エピトープおよび/あるいはHLA−DRまたはHLA−DQ対立遺伝子に対する高親和性エピトープを有することで、集団内での広範な反応性を有することになる。広範なクラスIIペプチドを同定するため、発明者は、予測されるHLAクラスII親和性に基づき、キメラエピトープを設計し、試験した。
【0024】
実施例中に示されるように、予測されるHLAクラスII親和性に基づいて設計された本発明のペプチドは、ヒトにおける複数のHLAクラスIIのDP、DQ、およびDR対立遺伝子全体にわたって広範囲性を示し、かつ強固な記憶T細胞活性化をもたらす。これらの新しいペプチドは、いくつかのクラスII対立遺伝子全体にわたる広範囲性、およびCD4+記憶T細胞のリコール応答をもたらす上での有意な改善を示す。
【0025】
実施例1〜4は、一般的な本発明のアプローチを例示する。実施例5および6は、ペプチドの物理特性の改良およびインフルエンザウイルスから得られるかまたは誘導される本発明の組成物を例示する。実施例7〜13は、本発明の組成物の様々な適用を例示する。
【0026】
本発明は、ここでより詳細に説明されることになる。
【0027】
B.定義
「アジュバント」は、特異的抗原を構成しないが、同時投与される抗原に対する免疫応答の強さおよび寿命を増強する作用剤を意味する。かかるアジュバントは、限定はされないが、パターン認識受容体、例えばToll様受容体、RIG−1およびNOD様受容体(NLR)の刺激剤、無機塩類、例えばカリ明礬、腸内細菌(Enterobacteria)、例えば大腸菌(Escherihia coli)、サルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、もしくはフレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)のモノホスホリル脂質(MPL)A、または具体的にはMPL(登録商標)(AS04)(別々に上記細菌のMPL A)と結合されたカリ明礬、サポニン、例えばQS−21、Quil−A、ISCOM、ISCOMATRIX(商標)、エマルジョン、例えばMF59(商標)、Montanide(登録商標)ISA51およびISA720、AS02(QS21+スクアレン+MPL(登録商標))、リポソームおよびリポソーム製剤、例えばAS01、合成のもしくは特異的に調製された微粒子および微小担体、例えば淋菌(N.gonorrheae)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)およびその他の細菌由来の外膜小胞(OMV)、またはキトサン粒子、デポー形成剤(depot−forming agent)、例えばPluronic(登録商標)ブロック共重合体、特異的に修飾または調製されたペプチド、例えばムラミールジペプチド、アミノアルキルグルコサミニド4−ホスフェート(glucosaminide 4−phosphate)、例えばRC529、またはタンパク質、例えば細菌トキソイドもしくは毒素断片を含みうる。
【0028】
実施形態では、アジュバントは、限定はされないが、Toll様受容体(TLR)、具体的には、TLR2、3、4、5、7、8、9および/またはその組み合わせを含む、パターン認識受容体(PRR)に対するアゴニストを含む。他の実施形態では、アジュバントは、Toll様受容体3に対するアゴニスト、Toll様受容体7および8に対するアゴニスト、またはToll様受容体9に対するアゴニストを含み、好ましくは、列挙されたアジュバントは、イミダゾキノリン;R848など;アデニン誘導体、例えば米国特許第6,329,381号明細書(Sumitomo Pharmaceutical Company)に開示されたもの;免疫刺激性DNA;または免疫刺激性RNAを含む。特定の実施形態では、合成ナノ担体は、アジュバントとして、toll様受容体(TLR)7および8に対するアゴニスト(「TLR7/8アゴニスト」)である化合物を組み込む。限定はされないが、イミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、6,7−融合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、および1,2−架橋イミダゾキノリンアミンを含む、米国特許第6,696,076号明細書(Tomaiらに付与)に開示されたTLR7/8アゴニスト化合物が有用である。好ましいアジュバントは、イミキモドおよびレシキモド(R848としても知られる)を含む。特定の実施形態では、アジュバントは、DC表面分子CD40に対するアゴニストであってもよい。特定の実施形態では、耐性でなく免疫を刺激するため、合成ナノ担体は、(ナイーブT細胞のプライミングにとって必要とされる)DC成熟と、抗体免疫応答を促進するサイトカイン、例えばタイプIインターフェロンの産生とを促進するアジュバントを取り込む。実施形態では、アジュバントはまた、免疫刺激性RNA分子、例えば限定はされないが、二本鎖RNAまたはポリI:C(TLR3刺激剤)、および/または、F.Heilら、「Species−Specific Recognition of Single−Stranded RNA via Toll−like Receptor 7 and 8」 Science 303(5663)、1526−1529頁(2004年);J.Vollmerら、「Immune modulation by chemically modified ribonucleosides and oligoribonucleotides」、国際公開第2008033432A2号パンフレット;A.Forsbachら、「Immunostimulatory oligoribonucleotides containing specific sequence motif(s) and targeting the Toll−like Receptor 8 pathway」、国際公開第2007062107A2号パンフレット;E.Uhlmannら、「Modified oligoribonucleotide analogs with enhanced immunostimulatory activity」、米国特許出願公開第2006241076号明細書;G.Lipfordら、「Immunostimulatory viral RNA oligonucleotides and use for treating cancer and infections」、国際公開第2005097993A2号パンフレット;G.Lipfordら、「Immunostimulatory G,U−containing oligoribonucleotides,compositions,and screening methods」、国際公開第2003086280A2号パンフレットに開示されたものを含んでもよい。一部の実施形態では、アジュバントは、TLR−4アゴニスト、例えば細菌リポ多糖(LPS)、VSV−G、および/またはHMGB−1であってもよい。一部の実施形態では、アジュバントは、TLR−5アゴニスト、例えばフラジェリン、またはその一部または誘導体、例えば限定はされないが、米国特許第6,130,082号明細書、米国特許第6,585,980号明細書、および米国特許第7,192,725号明細書に開示されたもの、を含んでもよい。特定の実施形態では、合成ナノ担体は、タイプIインターフェロン分泌を誘発し、かつ、TおよびB細胞活性化を刺激し、抗体産生および細胞毒性T細胞応答の増大をもたらす、CpGを含む免疫刺激性DNA分子などのToll様受容体(TLR)−9に対するリガンドを組み込む(Kriegら、CpG motifs in bacterial DNA trigger direct B cell activation.、Nature.1995年、374:546−549頁;Chuら、CpG oligodeoxynucleotides act as adjuvants that switch on T helper 1(Th1) immunity. J.Exp.Med.1997年、186:1623−1631頁;Lipfordら、CpG−containing synthetic oligonucleotides promote B and cytotoxic T cell Responses to protein antigen:a new class of vaccine adjuvants. Eur.J.Immunol.1997年、27:2340−2344頁;Romanら、Immunostimulatory DNA sequences function as T helper−1−promoting adjuvants. Nat.Med.1997年、3:849−854頁;Davisら、CpG DNA is a potent enhancer of specific immunity in mice immunized with recombinant hepatitis B surface antigen. J.Immunol.1998年、160:870−876頁;Lipfordら、Bacterial DNA as immune cell activator. Trends Microbiol.1998年、6:496−500頁;米国特許第6,207,646号明細書(Kriegらに付与);米国特許第7,223,398号明細書(Tuckらに付与);米国特許第7,250,403号明細書(Van Nestらに付与);または米国特許第7,566,703号明細書(Kriegらに付与))。
【0029】
一部の実施形態では、アジュバントは、壊死細胞(例えば尿酸結晶)から放たれる炎症誘発性刺激であってもよい。一部の実施形態では、アジュバントは、補体カスケードの活性化成分であってもよい(例えばCD21、CD35など)。一部の実施形態では、アジュバントは、免疫複合体の活性化成分であってもよい。アジュバントはまた、補体受容体アゴニスト、例えばCD21またはCD35に結合する分子を含む。一部の実施形態では、補体受容体アゴニストは、合成ナノ担体の内因性補体オプソニン化を誘導する。一部の実施形態では、アジュバントは、サイトカインであり、細胞によって放出される小タンパク質または生物学的因子(5kD〜20kDの範囲内)であり、細胞−細胞相互作用、コミュニケーションおよび他の細胞の挙動に対して特異的効果を有する。一部の実施形態では、サイトカイン受容体アゴニストは、小分子、抗体、融合タンパク質、またはアプタマーである。
【0030】
実施形態では、アジュバント投与の少なくとも一部は、合成ナノ担体とカップリングされる場合があり、好ましくは、アジュバント投与の全部が、合成ナノ担体とカップリングされる。他の実施形態では、アジュバント投与の少なくとも一部が合成ナノ担体とカップリングされることはない。実施形態では、アジュバント投与は、2種以上のアジュバントを含む。例えば、また限定はされないが、異なるTLR受容体に対して作用するアジュバントは併用してもよい。例として、実施形態では、TLR7/8アゴニストは、TLR9アゴニストと併用してもよい。別の実施形態では、TLR7/8アゴニストは、TLR4アゴニストと併用してもよい。さらに別の実施形態では、TLR9アゴニストは、TLR3アゴニストと併用してもよい。
【0031】
「投与する」または「投与」は、薬剤を薬理学的に有用な方法で対象に提供することを意味する。
【0032】
「抗原」は、B細胞抗原またはT細胞抗原を意味する。
【0033】
「B細胞抗原」は、B細胞によって認識され、かつB細胞において免疫応答を引き起こす任意の抗原(例えば、B細胞上のB細胞受容体によって特異的に認識される抗原)を意味する。一部の実施形態では、T細胞抗原である抗原がまた、B細胞抗原である。他の実施形態では、T細胞抗原がさらにB細胞抗原であることはない。B細胞抗原は、限定はされないが、タンパク質、ペプチド、小分子、および炭水化物を含む。一部の実施形態では、B細胞抗原は、非タンパク質抗原である(すなわち、タンパク質またはペプチド抗原ではない)。一部の実施形態では、B細胞抗原は、病原菌に関連した炭水化物である。一部の実施形態では、B細胞抗原は、病原菌に関連した糖タンパク質または糖ペプチドである。病原菌は、細菌、ウイルス、真菌、原生動物、または寄生虫であってもよい。一部の実施形態では、B細胞抗原は、免疫原性が乏しい抗原である。一部の実施形態では、B細胞抗原は、乱用物質またはその一部である。一部の実施形態では、B細胞抗原は、中毒性のある物質(addictive substance)またはその一部である。中毒性のある物質は、限定はされないが、ニコチン、麻酔剤、鎮咳剤、精神安定剤、および鎮静剤を含む。一部の実施形態では、B細胞抗原は、毒素、例えば化学兵器または天然源から誘導される毒素である。B細胞抗原はまた、有害な環境作用物質(hazardous environmental agent)であってもよい。一部の実施形態では、B細胞抗原は、自己抗原である。他の実施形態では、B細胞抗原は、アロ抗原、アレルゲン、接触感作物質、変性疾患抗原、ハプテン、感染性疾患抗原、癌抗原、アトピー性疾患抗原、自己免疫疾患抗原、中毒性のある物質、異種抗原、または代謝性疾患酵素もしくはその酵素生成物である。
【0034】
「カップリングする(Couple)」または「カップリングされた(Coupled)」または「カップリングする(Couples)」(および類似するもの)は、ある実体(例えばある部分)を別の1つの実体と化学的に結合することを意味する。一部の実施形態では、カップリングは、共有結合である。非共有結合の実施形態では、非共有カップリングは、限定はされないが、電荷相互作用、親和性相互作用、金属配位、物理吸着、宿主−ゲスト相互作用、疎水性相互作用、TTスタッキング相互作用、水素結合相互作用、ファンデルワールス相互作用、磁気相互作用、静電相互作用、双極子−双極子相互作用、および/またはそれらの組み合わせを含む非共有的相互作用によって媒介される。
【0035】
「誘導される」は、供給源から取得され、かつ実質的修飾を受けることを意味する。例えば、天然ペプチドまたは核酸、好ましくは天然コンセンサスペプチドまたは核酸に対してわずか50%の同一性を有する配列を有するペプチドまたは核酸であれば、天然ペプチドまたは核酸から誘導されると述べられることになる。しかし、誘導される核酸は、遺伝子コードの縮重のみに起因し、天然核酸配列、好ましくは天然コンセンサス核酸配列に対して同一でない配列を有する核酸を含むように意図されていない。実質的修飾は、問題の材料の化学的または免疫学的特性に有意に影響を与える修飾である。誘導されるペプチドおよび核酸はまた、前記誘導されるペプチドおよび核酸における化学的または免疫学的特性が、天然ペプチドまたは核酸に対して改変されている場合、天然ペプチドまたは核酸配列に対して50%を超える同一性を有する配列を有するものを含み得る。これらの化学的または免疫学的特性は、親水性、安定性、MHCIIに対する結合親和性、および合成ナノ担体などの担体とのカップリング能を含む。
【0036】
「剤形」は、対象への投与に適した培地、キャリア、媒体、またはデバイスの中の薬剤を意味する。
【0037】
「カプセル化する」または「カプセル化される」は、合成ナノ担体内部に封入する、好ましくは合成ナノ担体内部に完全に封入することを意味する。カプセル化される物質の大部分もしくは全部は、合成ナノ担体に対して外部の局所環境に暴露されない。カプセル化は、物質が合成ナノ担体に対して外部の局所環境に暴露された状態で残される、合成ナノ担体の表面上の物質の少なくとも一部の存在とは区別される。一実施形態では、物質の少なくとも一部が合成ナノ担体の表面上に存在している状態をもたらすプロセスの例が吸着である。
【0038】
「MHCII結合ペプチド」は、主要組織適合性複合体クラスIIに、ペプチド/MHC複合体がT細胞上のT細胞受容体と相互作用できるだけの十分な親和性で結合するペプチドを意味する。ペプチド/MHC複合体とT細胞上のT細胞受容体との相互作用は、従来の技術を用いるサイトカイン産生および/またはT細胞増殖の測定を通じて確定されうる。実施形態では、MHCII結合ペプチドは、MHCII分子への結合に対して、5000nM以下、好ましくは500nM以下、またより好ましくは50nM以下の親和性IC50値を有する。実施形態では、(明らかに第1、第2、および第3のMHCII結合ペプチドを含む)本発明に従うMHCII結合ペプチドは、5−mer以上の長さを有し、またタンパク質と同程度の大きさであってもよい。他の実施形態では、(明らかに第1、第2、および第3のMHCII結合ペプチドを含む)本発明に従うMHCII結合ペプチドは、5−mer〜50−merの範囲、好ましくは5−mer〜40−merの範囲、より好ましくは5−mer〜30−merの範囲、またさらにより好ましくは6−mer〜25−merの長さを有する。
【0039】
「同一性」は、一次元配列アラインメントにおいて同様に配置されたアミノ酸もしくは残基または核酸塩基のパーセントを意味する。同一性は、比較されている配列がいかに密接に関連するかについての尺度である。一実施形態では、2つの配列間の同一性は、BESTFITプログラムを用いて判定することができる。実施形態では、列挙されるMHCII結合ペプチド(A、B、もしくはCなど)は、天然HLA−DP結合ペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチド、および/または天然HLA−DR結合ペプチドに対し、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97%、またはさらにより好ましくは少なくとも99%の同一性を有しうる。実施形態では、A、B、およびCは、互いに100%同一でなく、また実施形態では、AおよびBは、互いに100%同一でない。実施形態では、列挙される核酸は、天然HLA−DP結合ペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチド、および/または天然HLA−DR結合ペプチドをコードする核酸配列、あるいはそれらをコードする核酸配列に相補的である核酸配列に対し、少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97%、またはさらにより好ましくは少なくとも99%の同一性を有しうる。
【0040】
「単離核酸」は、その天然環境から分離され、その同定または使用を可能にするだけの十分な量で存在する核酸を意味する。単離核酸は、(i)例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってインビトロで増幅されるか;(ii)クローニングによって組換え的に生成されるか;(iii)切断およびゲル分離に従って精製されるか;あるいは(iv)例えば化学合成によって合成されるものであってもよい。単離核酸は、当該技術分野で周知の組換えDNA技術によって容易に操作可能なものである。したがって、5'および3'制限部位が既知であるかまたはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のプライマー配列が開示されている、ベクター内に含まれるヌクレオチド配列は、単離されていると考えられるが、その天然宿主内にその天然状態で存在する核酸配列はそうではない。単離核酸は、実質的に精製されてもよいが、そうである必要はない。例えば、クローニングまたは発現ベクター内部の単離された核酸は、それが属する細胞内にほんのわずかな割合の材料を含みうる点で、純粋ではない。しかし、かかる核酸は、同用語が、それが当業者に既知の標準的技術によって容易に操作可能である理由で本明細書中で使用される場合、単離される。本明細書中に提供される核酸のいずれもが、単離されていてもよい。
【0041】
「単離ポリペプチド」は、その天然環境から分離され、その同定または使用を可能にするだけの十分な量で存在するポリペプチドを意味する。これは、例えば、ポリペプチドが、(i)発現クローニングによって選択的に生成されてもよく、あるいは(ii)クロマトグラフィーまたは電気泳動に従って精製されてもよいことを意味する。単離タンパク質またはポリペプチドは、実質的に純粋でありうるが、その必要がない。単離ポリペプチドは、薬剤中で医薬的に許容できる担体と混合可能であることから、ポリペプチドは、薬剤の重量に対してほんのわずかな割合を含んでもよい。にもかかわらず、ポリペプチドは、生体内でそれが結合可能な物質から分離されている点で単離されており、例えば他のタンパク質から単離されている。本明細書中に提供されるペプチドまたはポリペプチドのいずれもが、単離されていてもよい。
【0042】
「リンカー」は、2つの化学成分を、単一の共有結合または複数の共有結合のいずれかを通じて互いに連結する部分を意味する。
【0043】
「合成ナノ担体の最大寸法」は、合成ナノ担体の任意の軸に沿って測定されるナノ担体の最大寸法を意味する。「合成ナノ担体の最小寸法」は、合成ナノ担体の任意の軸に沿って測定される合成ナノ担体の最小寸法を意味する。例えば、回転楕円体の合成ナノ担体の場合、合成ナノ担体の最大および最小寸法は、実質的に同一となり、かつその直径のサイズとなる。同様に、立方形の合成ナノ担体の場合、合成ナノ担体の最小寸法は、その高さ、幅または長さの最小となる一方、合成ナノ担体の最大寸法は、その高さ、幅または長さの最大となる。一実施形態では、試料中の合成ナノ担体の総数に基づく、試料中の合成ナノ担体の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最小寸法は、100nmより大きい。一実施形態では、試料中の合成ナノ担体の総数に基づく、試料中の合成ナノ担体の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最大寸法は、5μm以下である。好ましくは、試料中の合成ナノ担体の総数に基づく、試料中の合成ナノ担体の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最小寸法は、110nm以上、より好ましくは120nm以上、より好ましくは130nm以上、またより好ましくはさらに150nm以上。好ましくは、試料中の合成ナノ担体の総数に基づく、試料中の合成ナノ担体の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最大寸法は、3μm以下、より好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下、より好ましくは800nm以下、より好ましくは600nm以下、またより好ましくはさらに500nm以下である。好ましい実施形態では、試料中の合成ナノ担体の総数に基づく、試料中の合成ナノ担体の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最大寸法は、100nm以上、より好ましくは120nm以上、より好ましくは130nm以上、より好ましくは140nm以上、またより好ましくはさらに150nm以上である。合成ナノ担体サイズの測定値は、合成ナノ担体を液体(通常は水性)培地中に懸濁し、動的光散乱(例えばBrookhaven ZetaPALS機器を使用)を使用することによって得られる。
【0044】
「天然HLA−DP結合ペプチド」は、MHCクラスIIヒト白血球抗原DPに、ペプチド/HLA−DP複合体がT細胞上のT細胞受容体と相互作用することを可能にするだけの十分な親和性で特異的に結合する、自然から得られるかまたは誘導されるペプチドを意味する。実施形態では、天然HLA−DP結合ペプチドは、MHCクラスIIヒト白血球抗原DPに対し、5000nM以下、好ましくは500nM以下、またより好ましくは50nM以下の親和性IC50値を有する。実施形態では、天然HLA−DP結合ペプチドは、限定はされないが、破傷風菌(Clostridium tetani)、B型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、種痘ウイルス、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、水疱瘡ウイルス、麻疹ウイルス、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、ムンプスウイルス、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、ヒトアデノウイルス(Human adenoviridae)、および/または天然痘ウイルスを含む、ウイルス、細菌または酵母から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む。クラスIIエピトープの予測が、Immune Epitope Database(IEDB)(http://www.immuneepitope.org/)T細胞エピトープ予測ツールを使用して行われた。各ペプチドにおいて、3つの方法(ARB、SMM_alignおよびSturniolo)の各々に対するパーセンタイルランクが、ペプチドのスコアをSWISSPROTデータベースから選択された500万のランダムな15merのスコアと比較することによって得られた。次いで、3つの方法におけるパーセンタイルランクを用い、コンセンサス法におけるランクが得られた。
【0045】
「天然HLA−DQ結合ペプチド」は、MHCクラスIIヒト白血球抗原DQに、ペプチド/HLA−DQ複合体がT細胞上のT細胞受容体と相互作用することを可能にするだけの十分な親和性で特異的に結合する、自然から得られるかまたは誘導されるペプチドを意味する。実施形態では、天然HLA−DQ結合ペプチドは、MHCクラスIIヒト白血球抗原DQに対し、5000nM以下、好ましくは500nM以下、またより好ましくは50nM以下の親和性IC50値を有する。実施形態では、天然HLA−DQ結合ペプチドは、限定はされないが、破傷風菌(Clostridium tetani)、B型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、種痘ウイルス、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、水疱瘡ウイルス、麻疹ウイルス、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、ムンプスウイルス、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、ヒトアデノウイルス(Human adenoviridae)、および/または天然痘ウイルスを含む、ウイルス、細菌または酵母から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む。クラスIIエピトープの予測が、Immune Epitope Database(IEDB)(http://www.immuneepitope.org/)T細胞エピトープ予測ツールを使用して行われた。各ペプチドにおいて、3つの方法(ARB、SMM_alignおよびSturniolo)の各々に対するパーセンタイルランクが、ペプチドのスコアをSWISSPROTデータベースから選択された500万のランダムな15merのスコアと比較することによって得られた。次いで、3つの方法におけるパーセンタイルランクを用い、コンセンサス法におけるランクが得られた。
【0046】
「天然HLA−DR結合ペプチド」は、MHCクラスIIヒト白血球抗原DRに、ペプチド/HLA−DR複合体がT細胞上のT細胞受容体と相互作用することを可能にするだけの十分な親和性で特異的に結合する、自然から得られるかまたは誘導されるペプチドを意味する。実施形態では、天然HLA−DR結合ペプチドは、MHCクラスIIヒト白血球抗原DRに対し、5000nM以下、好ましくは500nM以下、またより好ましくは50nM以下の親和性IC50値を有する。実施形態では、天然HLA−DR結合ペプチドは、限定はされないが、破傷風菌(Clostridium tetani)、B型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、種痘ウイルス、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、水疱瘡ウイルス、麻疹ウイルス、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、ムンプスウイルス、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、ヒトアデノウイルス(Human adenoviridae)、および/または天然痘ウイルスを含む、ウイルス、細菌または酵母から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む。クラスIIエピトープの予測が、Immune Epitope Database(IEDB)(http://www.immuneepitope.org/)T細胞エピトープ予測ツールを使用して行われた。各ペプチドにおいて、3つの方法(ARB、SMM_alignおよびSturniolo)の各々に対するパーセンタイルランクが、ペプチドのスコアをSWISSPROTデータベースから選択された500万のランダムな15merのスコアと比較することによって得られた。次いで、3つの方法におけるパーセンタイルランクを用い、コンセンサス法におけるランクが得られた。
【0047】
「得られる」は、実質的修飾を伴わずに供給源から取得されることを意味する。実質的修飾は、問題の材料の化学的または免疫学的特性に有意に作用する修飾である。例えば、非限定例として、天然ペプチドまたはヌクレオチド配列、好ましくは天然コンセンサスペプチドまたはヌクレオチド配列に対し、90%超、好ましくは95%超、好ましくは97%超、好ましくは98%超、好ましくは99%超、好ましくは100%の同一性を有する配列、ならびに天然ペプチドまたは核酸と有意に異ならない化学的および/または免疫学的特性、を有するペプチドまたは核酸であれば、天然ペプチドまたはヌクレオチド配列から得られると称されることになる。得られる核酸は、専ら遺伝子コードの縮重に起因し、天然コンセンサスヌクレオチド配列と同一でない配列を有する核酸を含むように意図される。かかる核酸は、さらに、天然ヌクレオチド配列、好ましくは天然コンセンサスヌクレオチド配列に対して90%未満の同一性を有する配列を有してもよい。これらの化学的または免疫学的特性は、MHCIIに対する親水性、安定性、結合親和性、ならびに合成ナノ担体などの担体とのカップリング能を含む。
【0048】
「医薬的に許容できる賦形剤」は、本発明の組成物、剤形、ワクチンなどの実施形態を調合する上で、列挙されるペプチドと併用される薬理学的に不活性な材料を意味する。医薬的に許容できる賦形剤は、限定はされないが、糖類(グルコース、ラクトースなど)、抗菌剤などの防腐剤、再構成補助剤(reconstitution aid)、着色剤、生理食塩水(リン酸塩緩衝生理食塩水など)、緩衝液、分散剤、安定化剤、本明細書中に記載の他の賦形剤、および従来既知の他のかかる材料を含む、当該技術分野で既知の種々の材料を含む。
【0049】
「対象」は、ヒトおよび霊長類などの温血の哺乳類;鳥類;ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマおよびブタなどの家庭内または家畜動物;マウス、ラットおよびモルモットなどの実験動物;魚類、爬虫類、および野生動物などを含む動物を意味する。
【0050】
「合成ナノ担体」は、天然に見出されない、サイズが5μm以下の少なくとも一次元を占める離散物体を意味する。アルブミンナノ粒子は、一般に合成ナノ担体中に含められるが、特定の実施形態では、合成ナノ担体は、アルブミンナノ粒子を含まない。実施形態では、合成ナノ担体は、キトサンを含まない。
【0051】
合成ナノ担体は、限定はされないが、1つまたは複数の脂質に基づくナノ粒子、ポリマーナノ粒子、金属ナノ粒子、界面活性剤に基づくエマルション、デンドリマー、バッキーボール、ナノワイヤ、ウイルス様粒子、ペプチドもしくはタンパク質に基づく粒子(アルブミンナノ粒子など)、および/または、脂質−ポリマーナノ粒子などの、ナノ材料の組み合わせを用いて開発されるナノ粒子であってもよい。合成ナノ担体は、限定はされないが、回転楕円体、立方形、角錐形(pyramid)、長方形、円筒形、ドーナツ形などを含む種々の異なる形状であってもよい。本発明による合成ナノ担体は、1つ以上の表面を含む。本発明の実施における使用に適しうる典型的な合成ナノ担体は、(1)米国特許第5,543,158号明細書(Grefらに付与)に開示された生分解性ナノ粒子、(2)公開された米国特許出願公開第20060002852号明細書(Saltzmanらに付与)の高分子ナノ粒子、(3)公開された米国特許出願公開第20090028910号明細書(DeSimoneらに付与)のリソグラフィで作製されたナノ粒子、(4)国際公開第2009/051837号パンフレット(von Andrianらに付与)の開示物、または(5)公開された米国特許出願公開第2008/0145441号明細書(Penadesらに付与)に開示されたナノ粒子を含む。実施形態では、合成ナノ担体は、1:1、1:1.2、1:1.5、1:2、1:3、1:5、1:7を超える、または1:10を超えるアスペクト比を有しうる。
【0052】
約100nm以下、好ましくは100nm以下の最小寸法を有する本発明による合成ナノ担体は、補体を活性化する水酸基を有する表面を含まないか、あるいは補体を活性化する水酸基でない部分から本質的になる表面を含む。好ましい実施形態では、約100nm以下、好ましくは100nm以下の最小寸法を有する本発明による合成ナノ担体は、補体を実質的に活性化する表面を含まないか、あるいは補体を実質的に活性化しない部分から本質的になる表面を含む。より好ましい実施形態では、約100nm以下、好ましくは100nm以下の最小寸法を有する本発明による合成ナノ担体は、補体を活性化する表面を含まないか、あるいは補体を活性化しない部分から本質的になる表面を含む。一実施形態では、本発明に従う合成ナノ担体は、ウイルス様粒子を含まない。
【0053】
「T細胞抗原」は、CD4+T細胞抗原またはCD8+細胞抗原を意味する。「CD4+T細胞抗原」は、CD4+T細胞によって認識され、かつそれにおいて免疫応答を引き起こす任意の抗原、例えば、CD4+T細胞上のT細胞受容体により、クラスII主要組織適合性複合体分子(MHC)に結合された抗原もしくはその一部の提示を介して特異的に認識される抗原を意味する。「CD8+T細胞抗原」は、CD8+T細胞によって認識され、かつそれにおいて免疫応答を引き起こす任意の抗原、例えば、CD8+T細胞上のT細胞受容体により、クラスI主要組織適合性複合体分子(MHC)に結合された抗原もしくはその一部の提示を介して特異的に認識される抗原を意味する。一部の実施形態では、T細胞抗原である抗原がまた、B細胞抗原である。他の実施形態では、T細胞抗原がさらにB細胞抗原であることはない。T細胞抗原は、一般に、タンパク質またはペプチドであるが、脂質および糖脂質などの他の分子であってもよい。T細胞抗原は、CD4+T細胞応答またはCD8+T細胞応答を刺激する抗原である。
【0054】
「ワクチン」は、特定の病原体または疾患に対する免疫応答を改善する物質の組成物を意味する。ワクチンは、典型的には、特定の抗原を外来物として認識し、それを対象の身体から除去するための、対象の免疫系を刺激する因子を有する。また、ワクチンが免疫学的「記憶」を確立することにより、個人が再免疫される場合、抗原は速やかに認識され、応答を受けることになる。ワクチンは、(例えば任意の病原体による未来の感染を予防するため)予防的でありうるか、または治療的でありうる(例えば癌の処置を目的とした腫瘍特異的抗原に対するワクチン)。本発明に従うワクチンは、1つまたは複数のMHCII結合ペプチド、あるいは、1つまたは複数のMHCII結合ペプチドをコードするかまたはそれをコードする1つまたは複数の核酸に対して相補的である、1つまたは複数の核酸を含んでもよい。
【0055】
C.本発明のペプチドおよびそれを作製しかつ使用する方法
実施形態では、本発明の組成物およびそれに関する方法は、A−x−Bを含み、ここで、xは、リンカーを含むかまたはリンカーを全く含まない場合があり、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつBは、第2のMHCII結合ペプチドを含む。さらに、実施形態では、本発明の組成物およびそれに関する方法は、A−x−B−y−Cを含み、ここで、xは、リンカーを含むかまたはリンカーを全く含まない場合があり、yは、リンカーを含むかまたはリンカーを全く含まない場合があり、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつCは、第3のMHCII結合ペプチドを含む。
【0056】
特定の実施形態では、xおよび/またはy(yが存在する場合)は、リンカーを全く含まない場合があり、この場合、A、B、C、および各々の様々な組み合わせは、本発明の組成物中に混合物として存在しうる。混合物として存在しうるかかる組み合わせの例として、限定はされないが、AおよびB、AおよびB−y−C、A−x−BおよびC、AおよびBおよびCなどが挙げられ、ここで、「および」は、結合の不在を意味するように使用され、また「−x−」または「−y−」は、結合の存在を意味するように使用される。かかる混合物のアプローチを用いることで、多数の異なるMHCII結合ペプチドを容易に組み合わせ、それにより、例えばMHCII結合ペプチドの残基を有する単一のより大きい分子を生成する上で、使いやすさおよび/または合成の簡素化を提供することが可能である。混合物は、従来の薬剤混合法を用いて調合してもよい。これらは、2種以上の懸濁液(各々、1つまたは複数のペプチドセットを含有する)が直接組み合わされるか、または希釈剤を有する1つまたは複数の容器を介して結合される液体−液体混合を含む。ペプチドはまた、粉末形態で生成または保存されうることから、場合により、乾燥粉末−粉末混合を、2種以上の粉末を共通の媒体に再懸濁できるように、実施することが可能である。ペプチドの特性およびその相互作用ポテンシャルに依存し、混合経路のいずれであっても優位性が与えられうる。
【0057】
混合物は、従来の製剤加工および配合技術を用いて作製することで、有用な剤形に到達してもよい。本発明の実施での使用に適した技術は、Handbook of Industrial Mixing:Science and Practice、Edward L.Paul,Victor A.Atiemo−Obeng、およびSuzanne M.Kresta編、2004年、John Wiley & Son、Inc.;およびPharmaceutics:The Science of Dosage Form Design、第2版、M.E.Auten編、2001年、Churchill Livingstoneにおいて見出されうる。実施形態では、ペプチド混合物を含む典型的な本発明の組成物は、無機または有機緩衝液(例えば、リン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、またはクエン酸塩のナトリウムまたはカリウム塩)およびpH調整剤(例えば塩酸、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム、クエン酸塩もしくは酢酸塩の塩、アミノ酸およびそれらの塩)、抗酸化剤(例えばアスコルビン酸、α−トコフェロール)、界面活性剤(例えばポリソルベート20、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン9−10ノニルフェノール、デオキシコール酸ナトリウム)、溶液および/または冷凍/溶解安定化剤(cryo/lyo stabilizer)(例えば、スクロース、ラクトース、マンニトール、トレハロース)、浸透圧調整剤(osmotic adjustment agent)(例えば、塩または糖類)、抗菌剤(例えば、安息香酸、フェノール、ゲンタマイシン)、消泡剤(例えば、ポリジメチルシロゾン(polydimethylsilozone))、防腐剤(例えば、チメロサール、2−フェノキシエタノール、EDTA)、高分子安定化剤および粘度調整剤(viscosity−adjustment agent)(例えば、ポリビニルピロリドン、ポロキサマ488、カルボキシメチルセルロース)、ならびに共溶媒(例えば、グリセロール、ポリエチレングリコール、エタノール)を含んでもよい。
【0058】
実施形態では、xおよび/またはy(それが存在する場合)は、リンカーを含んでもよい。実施形態では、リンカーは、MHCII結合ペプチドの一部であるアミノ酸(天然または修飾のいずれか)に直接接続してもよく、またはリンカーは、原子、好ましくは複数の原子の付加により、MHCII結合ペプチドに連結してもよい。リンカーは、限定はされないが、合成の容易性、化学的切断の促進、MHCII結合ペプチドの分離、(ジスルフィドのような)化学反応部位および/またはプロテアーゼ切断部位の挿入を含む多くの理由で有用でありうる。リンカーは、本発明の組成物が対象に投与される場合に遭遇する、特定の生理的条件下で切断される切断可能なリンカーおよび典型的な生理的条件下で切断しにくい切断不能なリンカーを含んでもよい。
【0059】
特定の実施形態では、xおよび/またはy(それが存在する場合)は、アミドリンカー、ジスルフィドリンカー、硫化物リンカー、1,4−二置換1,2,3−トリアゾールリンカー、チオールエステルリンカー、またはイミンリンカーを含むリンカーを含んでもよい。本発明の実施において有用な追加的なリンカーは、チオールおよび酸から形成されるチオールエステルリンカー、ヒドラジンおよび酸から形成されるヒドラジドリンカー、アミンおよびアルデヒドまたはケトンから形成されるイミンリンカー、チオールおよびチオイソシアネート(thioisocyante)から形成されるチオ尿素リンカー、アミンおよびイミデートエステルから形成されるアミジンリンカー、ならびにアミンおよびアルデヒドの還元的アミノ化から形成されるアミンリンカーを含む。実施形態では、xおよび/またはy(それが存在する場合)は、ペプチド配列、好ましくは、リソソームプロテアーゼ切断部位(例えばカテプシン切断部位)、生分解性ポリマー、置換もしくは未置換アルカン、アルケン、芳香族もしくは複素環リンカー、pH感受性ポリマー、ヘテロ二官能性リンカーまたはオリゴマーグリコールスペーサーを含む配列を含むリンカーを含んでもよい。
【0060】
切断可能なリンカーは、限定はされないが、ペプチド配列、好ましくは、リソソームプロテアーゼ切断部位;生分解性ポリマー;pH分解性ポリマー;またはジスルフィド結合を含むペプチド配列を含む。リソソームプロテアーゼ切断部位は、セリンプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼ、アスパルテートプロテアーゼ、亜鉛プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、システインプロテアーゼ(AMSH/STAMBP、カテプシンF、カテプシン3、カテプシンH、カテプシン6、カテプシンL、カテプシン7/カテプシン1 カテプシンO、カテプシンA、カテプシンS、カテプシンB、カテプシンV、カテプシンC/DPPI、カテプシンX/Z/P、カテプシンD、レグマイン)を含むリソソームプロテアーゼによって切断されることが具体的に知られているペプチド配列を含む。生分解性ポリマーは、種々の生理的条件下で分解する一方、pH分解性ポリマーは、低い(生理的pHに満たない)pH条件下で加速度的に分解する。特定の実施形態では、リンカーのペプチド配列は、配列番号99または119で示されるアミノ酸配列を含む。
pmglp(配列番号99)
skvsvr(配列番号119)
【0061】
追加的な情報については、A.Purcellら、「More than one reason to rethink the use of peptides in vaccine design.」 J.Nat Rev Drug Discov.2007年;5:404−14頁;R.Beiら、「TAA polyepitope DNA−based vaccines:A potential tool for cancer therapy.」 J Biomed Biotech.2010年;102785:1−12頁;W.Wriggersら、「Control of protein functional dynamics by peptide linkers.」 Biopolymers.2005年;80(6):736−46頁;J.Timmermanら、「Carrier protein conjugate vaccines:the “missing link” to improved antibody and CTL responses?」 Hum Vaccin.2009年3月;5(3):181−3頁 B.Lawら、Proteolysis:a biological process adapted in drug delivery,therapy,and imaging.」 Bioconjug Chem.2009年9月;20(9):1683−95頁において見出されうる。
【0062】
アミドリンカーは、第1の化学成分上のアミノ基と第2の化学成分のカルボキシル基との間に形成されるリンカーである。これらのリンカーは、好適に保護されたアミノ酸またはポリペプチドと化学的構造を形成する、従来のアミドリンカーのいずれかを用いて作製することができる。一実施形態では、列挙されるアミドリンカーであれば、AおよびB(またはBおよびCなど)の合成全体にわたって形成可能であることから、xおよび/またはyの生成が簡素化される。このタイプの連結化学反応は、切断可能な連結基を含むように容易に調整可能である。
【0063】
ジスルフィドリンカーは、例えばR−S−S−Rの型の2つの硫黄原子間のリンカーである。ジスルフィドリンカーは、メルカプタン置換基(−SH)を有するペプチドなど、2つの同じもしくは異なる分子の酸化的カップリング、または、好ましくは、例えばHN−R−S−S−R−COH(式中、アミノおよび/またはカルボキシル機能は好適に保護される)の型の予め形成されたリンカーの使用により、形成することができる。このタイプの連結化学反応は、還元的切断の影響を受けやすく、その場合、2つの別個の記憶ペプチド(memory peptide)の分離に至ることになる。これは、還元的環境が免疫学的対象の標的区画であるリソソーム内に見出されうることから、有意である。
【0064】
ヒドラジドおよびアルデヒド/ケトンの化学反応を用い、リンカーを形成してもよい。第1のペプチド鎖に対する末端でヒドラジドまたはアルデヒド/ケトン機能を有する第1のペプチドが調製される。第2のペプチド鎖に対する末端でヒドラジド(第1のペプチドがアルデヒド/ケトンを有する場合)またはアルデヒド/ケトン(第1のペプチドがヒドラジドを有する場合)のいずれかを有する第2のペプチドが調製される。次いで、2つのペプチドの反応が可能になり、それによって2つのペプチドがヒドラゾン機能を通じて連結される。一般に、このようにして形成されるヒドラゾン結合は、酸性条件下、例えばリソソーム内に見出される条件下で切断可能である。リンカーの安定性の増大が所望される場合、ヒドラゾンを還元し、対応する安定な(切断不能な)アルキル化ヒドラジドを形成することができる(対応するアルキルアミンを形成するためのアルデヒドまたはケトンによるアミンの還元的アミノ化と同様)。
【0065】
切断不能なリンカーは、種々の化学反応を用いて形成可能であり、また多数の異なる物質を用いて形成可能である。一般に、リンカーは、各々のかかる切断不能なリンカーが、リソソームpH条件下で12時間超にわたり安定である場合、切断不能であると考えられる。切断不能なリンカーの例として、限定はされないが、アミン、硫化物、トリアゾール、ヒドラゾン、アミド(エステル)、および置換もしくは未置換アルカン、アルケン、芳香族化合物または複素環;ポリマー;オリゴマーグリコールスペーサー;および/または非天然もしくは化学修飾されたアミノ酸を有する基が挙げられる。以下は、いくつかの一般的方法の例である。リストは決して完全ではなく、多数の他の方法が考えられる。
【0066】
硫化物リンカーは、例えばR−S−Rの型である。このリンカーは、メルカプタンのアルキル化またはペプチドなどの第1の分子上のメルカプタンのペプチドなどの第2の分子上の活性化アルケンへのMichael付加、あるいはペプチドなどの第1の分子上のメルカプタンのペプチドなどの第2の分子上のアルケンへのラジカル付加によって作製可能である。硫化物リンカーはまた、例えばHN−R−S−R−COH(ここで、アミノおよび/またはカルボキシル機能は好適に保護される)として、予め形成可能である。このタイプのリンカーは、切断に対して抵抗性を示すが、それを使用し、2つの好適に置換され、また保護されたペプチドを特異的に連結することが可能である。
【0067】
トリアゾールリンカーは、具体的には、
【化1】

(式中、RおよびRは、任意の化学的実体であってもよい)
の型の1,2,3−トリアジンであってもよく、また第1のペプチドに結合されたアジドの第2のペプチドに結合されたアルキン末端への1,3−双極性付加によって作製される。この化学反応は、Sharplessら、Angew.Chem.Int.Ed.41(14)、2596頁、(2002年)によって詳述されており、「Sharplessクリック反応」と称されることが多い。第1のペプチド鎖の末端でアジドまたはアルキン機能を有する第1のペプチドが調製される。第2のペプチド鎖の末端でアルキン(第1のペプチドがアジドを有する場合)またはアジド(第1のペプチドがアルキンを有する場合)のいずれかを有する第2のペプチドが調製される。次いで、2つのペプチドにより、2つのペプチドを1,2,3−トリアジン機能を通じて連結する触媒の存在下または不在下、3+2付加環化での反応が可能になる。
【0068】
硫黄「クリック」反応を用い、リンカーを形成してもよい。第1のペプチド鎖の末端でメルカプタンまたはアルケン機能を有する第1のペプチドが調製される。第2のペプチド鎖の末端でアルケン(第1のペプチドがメルカプタンを有する場合)またはメルカプタン(第1のペプチドがアルケンを有する場合)のいずれかを有する第2のペプチドが調製される。2つのペプチドにより、2つのペプチドを硫化物機能を通じて連結する、光またはラジカル源の存在下での反応が可能になる。
【0069】
Michael付加反応を用い、リンカーを形成してもよい。種々のMichaelアクセプタおよびドナーの対がこの目的に使用可能であるが、この方法の好ましい例は、MichaelドナーとしてのメルカプタンおよびMichaelアクセプタとしての活性化アルケンの使用である。この反応は、アルケンが電子欠乏である必要があり、かつラジカル触媒作用が必要でないという点で、上記の硫黄クリック反応と異なる。第1のペプチド鎖の末端でメルカプタンまたはアルケン機能を有する第1のペプチドが調製される。第2のペプチド鎖の末端でアルケン(第1のペプチドがメルカプタンを有する場合)またはメルカプタン(第1のペプチドがアルケンを有する場合)のいずれかを有する第2のペプチドが調製される。2つのペプチドにより、2つのペプチドを硫化物機能を通じて連結する酸または塩基の存在下での反応が可能になる。
【0070】
実施形態では、AおよびB;AおよびC、BおよびC、ならびにA、B、およびCはそれぞれ、異なるMHCII結合レパートリーを有するペプチドを含む。DP、DQおよびDRは、独立した遺伝子によってコードされるタンパク質である。非近交系ヒト集団においては、DP、DQおよびDRの多数の変異体(対立遺伝子)が存在し、また各対立遺伝子は、異なる特性を示すペプチド結合を有する。例えば、特定の天然HLA−DP結合ペプチドは、一部のDP対立遺伝子に結合しうるが、それ以外に結合しない場合がある。ペプチド「結合レパートリー」は、個別のペプチドが結合することになるDP、DQおよび/またはDR中に見出される対立遺伝子の組み合わせを示す。すべてのDP、DQおよび/またはDR対立遺伝子に結合することにより、最大100%までの高い百分率の人においてメモリリコール(memory recall)応答を生成する、ペプチドおよび/またはその組み合わせの同定により、ワクチン効率を改善する手段が提供される。
【0071】
実施形態では、AおよびBはそれぞれ、異なる感染性生物から得られるかまたは誘導される配列を含む。実施形態では、A、B、およびCはそれぞれ、異なる感染性生物から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む。実施形態では、好ましいペプチド配列であれば、T細胞によって認識可能なペプチドまたはタンパク質エピトープの配列であってもよい。好ましいペプチド配列は、破傷風菌(Clostridium tetani)、B型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、種痘ウイルス、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、水疱瘡ウイルス、麻疹ウイルス、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、ムンプスウイルス、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、ヒトアデノウイルス(Human adenoviridae)、天然痘ウイルス、および/または、ヒトへの感染能を有し、かつ感染の開始後に感染性生物に特異的なヒトCD4+記憶細胞を生成する感染性生物、から得られるかまたは誘導されるMHCII結合ペプチドを含む。実施形態では、MHCII結合ペプチドは、破傷風菌(Clostridium tetani)、B型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、種痘ウイルス、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、水疱瘡ウイルス、麻疹ウイルス、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、ムンプスウイルス、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、ヒトアデノウイルス(Human adenoviridae)、天然痘ウイルス、および/またはヒトへの感染能を有し、かつ感染の開始後に感染性生物に特異的なヒトCD4+記憶細胞を生成する感染性生物、から得られるかまたは誘導される天然HLA−DP結合ペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチド、および/または天然HLA−DR結合ペプチドに対し、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97%、またはさらにより好ましくは少なくとも99%の同一性を有するペプチドを含む。実施形態では、A、B、およびCは、下記の実施例1〜6において概説される一般的方法を用い、最適な免疫応答を提供するように選択される。
【0072】
特定の実施形態では、加工、調合のしやすさなどの目的で、および/または生体系内部での改善された送達のため、MHCII結合ペプチドの水溶解度を増加させることが望ましい場合がある。このため、親水性N末端および/またはC末端アミノ酸を付加するか、結合部位間にアミノ酸配列を付加もしくは修飾するか、または結合部位アミノ酸に置換を施すことにより、親水性の増大が得てもよい。親水性の増大は、例えば、低下したGRAVY(Grand Average of Hydropathy)スコアを介して測定し得る。有望な修飾の設計は、実現可能な場合、結合親和性に対する潜在的な負の効果を回避するかまたは制限するなどの影響を受けうる。
【0073】
1つの有望な修飾経路は、結合部位エピトープに隣接するアミノ酸に基づく非結合部位アミノ酸の付加である(特に、それら隣接するアミノ酸がペプチドの平均または局所親水性を増大させることになる場合)。すなわち、その天然拡張配列内の結合部位エピトープが、親水性アミノ酸により、Nおよび/またはC末端側に隣接される場合、ペプチド内のそれら隣接する親水性アミノ酸の一部を保護することは、その水溶解度を増大させる。溶解度を増大させる可能性が高くなる隣接配列の不在下で、または親水性のさらなる増大が所望される場合、望ましくは天然配列に対する類似性に基づき、非天然による付加(non−native addition)を行ってもよい。アミノ酸の類似性は、Blosum 45もしくはPAM250マトリックスなどの指標により、または当該技術分野で既知の他の手段により、判定してもよい。例えば、エピトープが、−1.0のGRAVYスコアを有し、かつN末端で天然アミノ酸配列EASFによって先行される場合(GRAVY=0.075)、EASFを含むためのペプチドの伸長であれば、GRAVYスコアが低下することになる。あるいは、AとS、SとN、またはFとYなど、前記EASFリード配列に対する1つまたは複数の置換(例えばEASY、GRAVY=−0.95)、または切断および置換(例えばNY、GRAVY=−2.4)の場合でも、親水性の増大を得ることができる。
【0074】
場合により、ペプチドの水溶解度を低下させ、例えば疎水性担体マトリックス内部への封入を改善することが好ましい場合がある。かかる場合、親水性を低下させる以外は上記と同様の付加および置換を行ってもよい。
【0075】
1つまたは複数のpH値でペプチドの正味電荷を調節することが、さらに有利でありうる。例えば、最低溶解度がペプチドのpI(等電pH)で観察される場合がある。低下した溶解度(pH7.4)およびpH3.0で増大した溶解度を有することが望ましくなる場合、アミノ酸配列に対する修飾または付加を行い、7.4のpIを得て、またpH3.0で有意な正味の正の電荷を得ることが可能である。塩基性ペプチドの場合、EもしくはDなどの酸性残基の付加またはKとEの置換が、pIが低下しうる場合の修飾例である。
【0076】
ペプチドの生物学的または化学的安定性はまた、当該技術分野で既知の技術を用いる、アミノ酸または末端修飾基の付加または置換によって改善されうる。例として、限定はされないが、アミド化およびアセチル化が挙げられ、かつそれはまた、例えば、C末端Q(Gln)を、再配列を受けにくいLもしくは他のアミノ酸と置換する場合の置換を含んでもよい。
【0077】
実施形態では、本発明は、配列が配列番号1〜46として示されるアミノ酸配列のいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、および好ましくは、本明細書中の別の個所に記載されるMHCII分子に結合するポリペプチドを含む組成物を対象とする。
NNFTVSFWLRVPKVSASHLET(配列番号1)(21,TT317557(950−969));
TLLYVLFEV(配列番号2)(9,AdVhex64950(913−921));
ILMQYIKANSKFIGI(配列番号3)(15,TT27213(830−841));
QSIALSSLMVAQAIPLVGEL(配列番号4)(20,DT52336(331−350));
TLLYVLFEVNNFTVSFWLRVPKVSASHLET(配列番号5)(30,AdVTT950);
TLLYVLFEVILMQYIKANSKFIGI(配列番号6)(24,AdVTT830);
ILMQYIKANSKFIGIQSIALSSLMVAQAIPLVGEL(配列番号7)(35,TT830DT);
QSIALSSLMVAQAIPLVGELILMQYIKANSKFIGI(配列番号8)(35,DTTT830);
ILMQYIKANSKFIGIQSIALSSLMVAQ(配列番号9)(27,TT830DTtrunc);
QSIALSSLMVAQAIILMQYIKANSKFIGI(配列番号10)(29,DTtruncTT830);
TLLYVLFEVPMGLPILMQYIKANSKFIGI(配列番号11)(29,AdVpmglpiTT830);
TLLYVLFEVKVSVRILMQYIKANSKFIGI(配列番号12)(29,AdVkvsvrTT830);
ILMQYIKANSKFIGIPMGLPQSIALSSLMVAQ(配列番号13)(32,TT830pmglpDTTruncまたはTT830pDTt);
ILMQYIKANSKFIGIKVSVRQSIALSSLMVAQ(配列番号14)(32,TT830kvsvrDTTrunc1);
TLLYVLFEVQSIALSSLMVAQ(配列番号15)(21,AdVDTt);
TLLYVLFEVpmglpQSIALSSLMVAQ(配列番号16)(26,AdVpDTt);
TLLYVLFEVkvsvrQSIALSSLMVAQ(配列番号17)(26,AdVkDTt);
TLLYVLFEVpmglpNNFTVSFWLRVPKVSASHLET(配列番号18)(35,AdVpTT950);
TLLYVLFEVkvsvrNNFTVSFWLRVPKVSASHLET(配列番号19)(35,AdVkTT950);
ILMQYIKANSKFIGIQSIALSSLMVAQTLLYVLFEV(配列番号20)(36,TT830DTtAdV);
TLLYVLFEVILMQYIKANSKFIGIQSIALSSLMVAQ(配列番号21)(36,AdVTT830DTt);
QSIALSSLMVAQAIPLV(配列番号22)(17,DTt−3);
IDKISDVSTIVPYIGPALNI(配列番号23)(20,TT632)
QSIALSSLMVAQAIPLVIDKISDVSTIVPYIGPALNI(配列番号24)(37,DTt−3TT632);
IDKISDVSTIVPYIGPALNIQSIALSSLMVAQAIPLV(配列番号25)(37,TT632DTt−3);
QSIALSSLMVAQAIPLVpmglpIDKISDVSTIVPYIGPALNI(配列番号26)(43,DTt−3pTT632);
IDKISDVSTIVPYIGPALNIpmglpQSIALSSLMVAQAIPLV(配列番号27)(43,TT632pDTt−3);
YVKQNTLKLAT(配列番号28)(11,minX);
CYPYDVPDYASLRSLVASS(配列番号29)(19,7430);
NAELLVALENQHTI(配列番号30)(14,31201t);
TSLYVRASGRVTVSTK(配列番号31)(16,66325);
EKIVLLFAIVSLVKSDQICI(配列番号32)(20,ABW1);
QILSIYSTVASSLALAIMVA(配列番号33)(20,ABW2);
MVTGIVSLMLQIGNMISIWVSHSI(配列番号34)(24,ABP);
EDLIFLARSALILRGSV(配列番号35)(17,AAT);
CSQRSKFLLMDALKLSIED(配列番号36)(19,AAW);
IRGFVYFVETLARSICE(配列番号37)(14,IRG);
TFEFTSFFYRYGFVANFSMEL(配列番号38)(21,TFE);
LIFLARSALILRkvsvrNAELLVALENQHTI(配列番号39)(31,AATk3120t);
NAELLVALENQHTIkvsvrLIFLARSALILR(配列番号40)(31,3120tkAAT);
ILSIYSTVASSLALAIkvsvrLIFLARSALILR(配列番号41)(33,ABW2kAAT);
LIFLARSALILRkvsvrILSIYSTVASSLALAI(配列番号42)(33,AATkABW2);
LIFLARSALILRkvsvrCSQRSKFLLMDALKL(配列番号43)(32,AATkAAW);
CSQRSKFLLMDALKLkvsvrLIFLARSALILR(配列番号44)(32,AAWkAAT);
TFEFTSFFYRYGFVANFSMELIRGFVYFVETLARSICE(配列番号45)(38,TFEIRG)(配列番号103);または
IRGFVYFVETLARSICETFEFTSFFYRYGFVANFSMEL(配列番号46)(38,IRGTFE)(配列番号104)
【0078】
本発明に従うペプチド、特にMHCII結合ペプチドは、種々の従来の技術を用いて作製してもよい。特定の実施形態では、ペプチドは、Merrifieldまたはそれに類する樹脂を使用する固体支持体上の合成などの標準的方法を用い、合成的に作製してもよい。これは、かかる合成用に設計された機械の有無にかかわらず行うことができる。
【0079】
他の実施形態では、本発明に従うペプチド、特にMHCII結合ペプチドを発現するため、組換え技術を用いてもよい。かかる実施形態では、全ペプチド配列(およびリンカー配列(妥当な場合))をコードする核酸であれば、細胞系に形質移入される場合、転写されることになる発現ベクターにクローン化されることになる。実施形態では、発現ベクターは、特に、プラスミド、レトロウイルス、またはアデノウイルスを含んでもよい。ペプチド(および連結基(存在する場合))に対するDNAは、標準の分子生物学的アプローチを用い、例えばポリメラーゼ連鎖反応を用いることによって単離し、DNA断片を生成することができ、次いでそれは精製され、発現ベクターにクローン化され、細胞系に形質移入される。本発明の実施において有用な追加的技術は、Current Protocols in Molecular Biology、2007年、John Wiley and Son,Inc.;Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第3版) Joseph Sambrook,Peter MacCallum Cancer Institute(Melbourne,Australia);David Russell,University of Texas Southwestern Medical Center(Dalla、Cold Spring Harbor)において見出されうる。
【0080】
本発明の組換えペプチドの生成は、異なる生物由来の細胞、例えばCHO細胞、昆虫細胞(例えばバキュロウイルス発現用)、大腸菌(E.coli)などを使用し、いくつかの方法で行ってもよい。さらに、最適なタンパク質翻訳を得るため、核酸配列は、細胞の供給元である生物において一般に使用されるコドンを含むように修飾し得る。配列番号1〜46は、破傷風トキソイド、ジフテリア毒素、およびアデノウイルスペプチドから得られるかまたは誘導される配列の例を含み、また配列番号47〜68は、ヒトおよび大腸菌(E.coli)における好ましいコドン使用に基づく、等価なDNA配列を含む。特定種におけるコドン使用が最適化されたDNAを使用することにより、最適な組換えタンパク質の生成が可能になりうる。コドン頻度は、例えば様々なコドン使用レコードから入手可能な頻度データを使用し、ヒトでの使用を意図して最適化可能である。1つのかかるレコードが、Codon Usage Databaseである。Y.Nakamuraら、「Codon usage tabulated from the international DNA sequence databases:status for the year 2000.」 Nucl.Acids Res.28、292頁(2000年)。
【0081】
実施形態では、本発明の組成物は、本明細書中に提供されるペプチドをコードする核酸を含む。かかる核酸は、A、B、もしくはC、またはそれらの組み合わせをコードすることができる。核酸は、DNAまたはRNA、例えばmRNAであってもよい。実施形態では、本発明の組成物は、本明細書中に提供される核酸のいずれかの相補体、例えば完全長相補体、または(遺伝子コードの縮重に起因する)縮重物(degenerate)を含む。
【0082】
実施形態では、核酸は、A−x−Bをコードし、ここで、xは、アミドリンカーまたはペプチドリンカーであり、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつBは、第2のMHCII結合ペプチドを含む。さらに、実施形態では、核酸は、A−x−B−y−Cをコードし、ここで、xは、アミドリンカーまたはペプチドリンカーであり、yは、アミドリンカーまたはペプチドリンカーであり、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつCは、第3のMHCII結合ペプチドを含む。
【0083】
目的の特定の配列は、下に列挙される。天然配列は、組成物1(C1)である。ヒトコドン使用の頻度に基づく最良のヒト配列は、組成物2(C2)である。変換は、The Sequence Manipulation Suite:JavaScript(登録商標) programs for analyzing and formatting protein and DNA sequences. Biotechniques 28:1102−1104頁(http://www.bioinformatics.org/sms2/rev_trans.html)を用いて行われた。
TT950:NNFTVSFWLRVPKVSASHLET(配列番号1)
C1:aataattttaccgttagcttttggttgagggttcctaaagtatctgctagtcatttagaa(配列番号47)AF154828 250−309

C2(ヒト):
aacaacttcaccgtgagcttctggctgagagtgcccaaggtgagcgccagccacctggagacc(配列番号48)

AdV:TLLYVLFEV(配列番号2)
C1:acgcttctctatgttctgttcgaagt(配列番号49)
FJ025931 20891−20917
C2(ヒト):
accctgctgtacgtgctgttcgaggtg(配列番号50)

TT830:ILMQYIKANSKFIGI(配列番号3)
C1:attttaatgcagtatataaaagcaaattctaaatttataggtata(配列番号51)
X06214 2800−2844
C2(ヒト):
Atcctgatgcagtacatcaaggccaacagcaagttcatcggcatc(配列番号52)

DT:QSIALSSLMVAQAIPLVGEL(配列番号4)
C1:caatcgatagctttatcgtctttaatggttgctcaagctataccattggtaggagagcta(配列番号53)
FJ858272 1066−1125
C2(ヒト):
cagagcatcgccctgagcagcctgatggtggcccaggccatccccctggtgggcgagctg(配列番号54)

キメラエピトープ:

AdVTT950:TLLYVLFEVNNFTVSFWLRVPKVSASHLET(配列番号5)
C2(ヒト):
accctgctgtacgtgctgttcgaggtgaacaacttcaccgtgagcttctggctgagagtgcccaaggtgagcgccagccacctggagacc(配列番号55)

AdVTT830:TLLYVLFEVILMQYIKANSKFIGI(配列番号6)
C2(ヒト):

accctgctgtacgtgctgttcgaggtgatcctgatgcagtacatcaaggccaacagcaagttcatcggcatc(配列番号56)

TT830DT:ILMQYIKANSKFIGIQSIALSSLMVAQAIPLVGEL(配列番号7)
C2(ヒト):

atcctgatgcagtacatcaaggccaacagcaagttcatcggcatccagagcatcgccctgagcagcctgatggtggcccaggccatccccctggtgggcgagctg(配列番号57)

DT TT830:QSIALSSLMVAQAIPLVGELILMQYIKANSKFIGI(配列番号8)
C2(ヒト):

cagagcatcgccctgagcagcctgatggtggcccaggccatccccctggtgggcgagctgatcctgatgcagtacatcaaggccaacagcaagttcatcggcatc(配列番号58)

TT830DTtrunc:ILMQYIKANSKFIGIQSIALSSLMVAQ(配列番号9)
C2(ヒト):

atcctgatgcagtacatcaaggccaacagcaagttcatcggcatccagagcatcgccctgagcagcctgatggtggcccag(配列番号59)

DT trunc TT830:QSIALSSLMVAQAIILMQYIKANSKFIGI(配列番号10)
C2(ヒト):
cagagcatcgccctgagcagcctgatggtggcccaggccatcatcctgatgcagtacatcaaggccaacagcaagttcatcggcatc(配列番号60)

予測されたキメラカテプシン切断ユニバーサルエピトープ

AdVpmglpTT830:TLLYVLFEVPMG.LPILMQYIKANSKFIGI(配列番号11)
C1(大腸菌(E.coli)):
accctgctgtatgtgctgtttgaagtgccgatgggcctgccgattctgatgcagtatattaaagcgaacagcaaatttattggcatt(配列番号61)
C2(ヒト):
accctgctgtacgtgctgttcgaggtgcccatgggcctgcccatcctgatgcagtacatcaaggccaacagcaagttcatcggcatc(配列番号62)

AdVkvsvrTT830:TLLYVLFEVKVS.VRILMQYIKANSKFIGI(配列番号12)
C1(大腸菌(E.coli)):

accctgctgtatgtgctgtttgaagtgaaagtgagcgtgcgcattctgatgcagtatattaaagcgaacagcaaatttattggcatt(配列番号63)
C2(ヒト):
accctgctgtacgtgctgttcgaggtgaaggtgagcgtgagaatcctgatgcagtacatcaaggccaacagcaagttcatcggcatc(配列番号64)

TT830pmglpDTtrunc:ILMQYIKANSKFIGIPMG.LPQSIALSSLMVAQ(配列番号13)
C1(大腸菌(E.coli)):
attctgatgcagtatattaaagcgaacagcaaatttattggcattccgatgggcctgccgcagagcattgcgctgagcagcctgatggtggcgcag(配列番号65)
C2(ヒト):

atcctgatgcagtacatcaaggccaacagcaagttcatcggcatccccatgggcctgccccagagcatcgccctgagcagcctgatggtggcccag(配列番号66)

TT830kvsvrDTtrunc:ILMQYIKANSKFIGIKVS.VRQSIALSSLMVAQ(配列番号14)
C1(大腸菌(E.coli)):

attctgatgcagtatattaaagcgaacagcaaatttattggcattaaagtgagcgtgcgccagagcattgcgctgagcagcctgatggtggcgcag(配列番号67)
C2(ヒト):

atcctgatgcagtacatcaaggccaacagcaagttcatcggcatcaaggtgagcgtgagacagagcatcgccctgagcagcctgatggtggcccag(配列番号68)
【0084】
実施形態では、ペプチドリンカーは、リソソームプロテアーゼ切断部位(例えばカテプシン切断部位)を含む。特定の実施形態では、ペプチドリンカーをコードする核酸配列は、配列番号69または70として示される核酸配列、その縮重物または相補体を含む。
ccgatgggcctacca(配列番号69)
aaggtctcagtgagaac(配列番号70)
【0085】
実施形態では、本発明の核酸によってコードされるA、Bおよび/またはCは、天然HLA−DP、HLA−DQ、またはHLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有する。特定の実施形態では、核酸によってコードされるA、Bおよび/またはCは、天然HLA−DP、HLA−DQ、またはHLA−DR結合ペプチドに対し、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97%、またはさらにより好ましくは少なくとも99%の同一性を有する。好ましくは、かかる核酸は、MHCクラスII分子に結合するペプチドをコードする。
【0086】
実施形態では、核酸は、それ故、天然HLA−DP、HLA−DQ、またはHLA−DR結合ペプチドをコードする核酸配列に対して少なくとも60%の同一性を有する核酸配列を含む。特定の実施形態では、核酸は、天然HLA−DP、HLA−DQ、またはHLA−DR結合ペプチドをコードする核酸配列に対し、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも75%、さらにより好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97%、またはさらにより好ましくは少なくとも99%の同一性を有する。
【0087】
パーセント同一性は、インターネット(ftp:/ncbi.nlm.nih.gov/pub/)を通じて入手可能な、NCBI(Bethesda,Maryland)によって開発された様々な公的に利用可能なソフトウェアツールを用いて計算されうる。典型的なツールは、http://wwww.ncbi.nlm.nih.govで利用可能なBLASTシステムを含む。ペアワイズおよびClustal Wアラインメント(BLOSUM30マトリックスセッティング)ならびにKyte−Doolittleハイドロパシー分析は、MacVector配列分析ソフトウェア(Oxford Molecular Group)を用いて得ることができる。上記核酸のワトソン−クリック(Watson−Crick)相補体(完全長相補体を含む)もまた、本発明によって包含される。
【0088】
また、本明細書中に提供される核酸のいずれかにハイブリダイズする核酸が、本明細書中に提供される。標準の核酸ハイブリダイゼーション法を用い、選択されたパーセント同一性の関連核酸配列が同定可能である。本明細書で使用される用語「ストリンジェントな条件」は、当該技術分野で周知であるパラメータを示す。かかるパラメータは、塩、温度、プローブ長などを含む。ハイブリダイゼーション時に得られた塩基ミスマッチの量は、約0%(「高ストリンジェンシー」)から約30%(「低ストリンジェンシー」)の範囲でありうる。高ストリンジェンシー条件の一例が、ハイブリダイゼーション緩衝液(3.5×SSC、0.02%フィコル、0.02%ポリビニルピロリドン、0.02%ウシ血清アルブミン、2.5mM NaH2PO4(pH7)、0.5%SD、2mM EDTA)中、65℃でのハイブリダイゼーションである。SSCは0.15M塩化ナトリウム/0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7であり、SDSはドデシル硫酸ナトリウムであり、またEDTAはエチレンジアミン四酢酸である。ハイブリダイゼーション後、核酸が移される膜は、例えば、室温で2×SSC、次いで最大68℃の温度、0.1〜0.5×SSC/0.1×SDSで洗浄される。
【0089】
実施形態では、核酸は、プロモーターに作動可能に連結することができる。原核生物宿主における発現は、原核生物調節領域を用いて行うことができる。真核生物宿主における発現は、真核生物調節領域を用いて行うことができる。かかる領域は、一般に、RNA合成の開始を誘導するのに十分なプロモーター領域を含み得る。実施形態では、核酸は、宿主の性質に依存し、転写および翻訳調節配列をさらに含んでもよい。転写および翻訳調節シグナルは、ウイルス源、例えばレトロウイルス、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、シミアンウイルス、またはそれに類するものから得られるかまたは誘導されてもよい。
【0090】
実施形態では、核酸は、所望される配列を宿主細胞染色体に融合する能力があるベクターに挿入される。追加的因子もまた、mRNAの最適な合成にとって必要とされうる。これらの因子は、スプライスシグナル、ならびに転写プロモーター、エンハンサー、および終結シグナルを含んでもよい。
【0091】
実施形態では、核酸は、レシピエント宿主内での自己複製能を有するプラスミドまたはウイルスベクターに組み込まれる。この目的のため、多種多様なベクター、例えば原核生物および真核生物ベクターのいずれかを使用してもよい。真核生物ベクターは、ウイルスベクターであり得る。例えば、限定はされないが、ベクターは、ポックスウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、アデノウイルスベクターまたは多数のレトロウイルスベクターのいずれかであり得る。ウイルスベクターは、挿入DNAまたは挿入RNAの発現を引き起こすため、DNAまたはRNAウイルスのいずれかを含む。
【0092】
ベクターまたは他のコンストラクトは、種々の好適な手段、すなわち、形質転換、形質移入、複合、原形質融合、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクションなどのいずれかにより、適切な宿主細胞に導入することができる。さらに、DNAまたはRNAは、細胞に直接注入することができ、または微粒子もしくはナノ粒子、例えば本明細書中に提供される合成ナノ担体に付着させてから、細胞膜を貫通するように駆動してもよい。
【0093】
D.本発明のペプチド:組成物および方法の使用
本発明の組成物が任意の好適な方法で作製可能であり、かつ本発明が本明細書中に記載の方法を用いて生成可能な組成物に全く限定されることがないことは理解されるべきである。適切な方法の選択は、関連している特定の部分の特性に注意を払う必要がある場合がある。
【0094】
本発明の組成物は、限定はされないが、非経口(皮下、筋肉内、静脈内、または皮内など);経口;経鼻、経粘膜、直腸;眼、または経皮を含む、種々の投与経路によって投与してもよい。
【0095】
本明細書中に記載の組成物および方法を用い、免疫応答を誘発、促進、抑制、誘導、または再誘導することができる。本明細書中に記載の組成物および方法は、癌、感染性疾患、代謝疾患、変性疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、免疫学的疾患、あるいは他の障害および/または症状などの状態の予防および/または処置のために使用することができる。本明細書中に記載の組成物および方法はまた、依存、例えばニコチンまたは麻酔剤への依存の処置のために使用することができる。本明細書中に記載の組成物および方法はまた、毒素、毒性物質、環境毒素、または他の有害な作用剤への暴露に起因する状態の予防および/または処置のために使用することができる。本明細書中に記載の組成物および方法はまた、例えば本明細書中に提供される組成物がインビボまたはインビトロでT細胞と接触状態に置かれる場合、T細胞増殖またはサイトカイン産生を誘発または促進するように使用することができる。
【0096】
一実施形態では、本発明の組成物は、複合体、または非複合体、ワクチンと並行投与してもよい。実施形態では、本発明の組成物は、担体ペプチドまたはタンパク質、あるいは1つまたは複数の抗原と共有結合または非共有結合してもよい。有用な担体は、限定はされないが、破傷風トキソイド(TT)、ジフテリアトキソイド(DT)、ジフテリア毒素の非毒性突然変異体CRM197、B群髄膜炎菌(N.meningitidis)由来の外膜タンパク質複合体、およびスカシ貝ヘモシアニン(KLH)を含む、複合ワクチンにおいて有用であることで知られる担体タンパク質を含む。他の担体は、本明細書中の他の個所に記載の合成ナノ担体、および従来から既知でありうる他の担体を含み得る。
【0097】
複合は、従来の共有または非共有複合技術を用いて行ってもよい。かかる複合されるかまたは従来のワクチン中に本発明の組成物を使用するための有用な技術は、限定はされないが、概して、M.D.Lairmoreら、「Human T−lymphotropic virus type 1 peptides in chimeric and multivalent constructs with promiscuous T−cell epitopes enhance immunogenicity and overcome genetic restriction.」 J Virol.Oct;69(10):6077−89頁(1995年);C.W.Rittershauseら、「Vaccine−induced antibodies inhibit CETP activity in vivo and reduce aortic lesions in a rabbit model of atherosclerosis.」 Arterioscler Thromb Vasc Biol.Sep;20(9):2106−12頁(2000年);MV Chengalvalaら、「Enhanced immunogenicity of hepatitis B surface antigen by insertion of a helper T cell epitope from tetanus toxoid.」 Vaccine.Mar 5;17(9−10):1035−41頁(1999年);NK Dakappagariら、「A chimeric multi−human epidermal growth factor receptor−2 B cell epitope peptide vaccine mediates superior antitumor responses.」 J Immunol.Apr 15;170(8):4242−53頁(2003年);J.T.Garrettら、「Novel engineered trastuzumab conformational epitopes demonstrates in vitro and in vivo antitumor properties against HER−2/neu.」 J Immunol.Jun 1;178(11):7120−31頁(2007年)において記載されるものを含む。
【0098】
他の実施形態では、本発明の組成物は、媒体中で、抗原または従来のワクチンと組み合わせ、注入可能な混合物を形成してもよい。混合物は、従来の製剤加工および配合技術を用いて作製することで、有用な剤形に到達できる。本発明の実施での使用に適した技術は、限定はされないが、M.F.Powellら、Vaccine Design、1995年、Springer−Verlag発行;またはL.C.Paolettiら編、Vaccines:from Concept to Clinic.A Guide to the Development and Clinical Testing of Vaccines for Human Use 1999年、CRC Press発行、を含む種々のソースにおいて見出されうる。
【0099】
実施形態では、本発明の組成物は、合成ナノ担体と併用してもよい。多種多様な合成ナノ担体は、本発明に従って使用してもよい。一部の実施形態では、合成ナノ担体は、球体または回転楕円体である。一部の実施形態では、合成ナノ担体は、平面または円盤状である。一部の実施形態では、合成ナノ担体は、立方体または立方形である。一部の実施形態では、合成ナノ担体は、長円または楕円である。一部の実施形態では、合成ナノ担体は、円筒形、円錐形、または角錐形である。
【0100】
サイズ、形状、および/または組成の点から比較的均一である合成ナノ担体の集団を、各合成ナノ担体が類似の特性を有するように使用することは望ましい場合が多い。例えば、合成ナノ担体の総数に基づいて、合成ナノ担体の少なくとも80%、少なくとも90%、もしくは少なくとも95%は、合成ナノ担体の平均直径または平均寸法の5%、10%、もしくは20%の範囲内に含まれる最小寸法または最大寸法を有してもよい。一部の実施形態では、合成ナノ担体の集団は、サイズ、形状、および/または組成に関して異種であってもよい。
【0101】
合成ナノ担体は、固体または空洞であってもよく、また1つ以上の層を含んでもよい。一部の実施形態では、各層は、それ以外の層に対して固有の組成および固有の特性を有する。一例だけ示すと、合成ナノ担体は、コア/シェル構造を有してもよく、ここでコアは第1層(例えばポリマーコア)であり、またシェルは第2層(例えば脂質二重層または単層)である。合成ナノ担体は、複数の異なる層を含んでもよい。
【0102】
一部の実施形態では、合成ナノ担体は、場合により、1つ以上の脂質を含んでもよい。一部の実施形態では、合成ナノ担体は、リポソームを含んでもよい。一部の実施形態では、合成ナノ担体は、脂質二重層を含んでもよい。一部の実施形態では、合成ナノ担体は、脂質単層を含んでもよい。一部の実施形態では、合成ナノ担体は、ミセルを含んでもよい。一部の実施形態では、合成ナノ担体は、脂質層(例えば、脂質二重層、脂質単層など)によって囲まれたポリマーマトリックスを含むコアを含んでもよい。一部の実施形態では、合成ナノ担体は、脂質層(例えば、脂質二重層、脂質単層など)によって囲まれた非ポリマーコア(例えば、金属粒子、量子ドット、セラミック粒子、骨粒子、ウイルス粒子、タンパク質、核酸、炭水化物など)を含んでもよい。
【0103】
一部の実施形態では、合成ナノ担体は、1つ以上のポリマーを含んでもよい。一部の実施形態では、かかるポリマーは、コーティング層(例えば、リポソーム、脂質単層、ミセルなど)によって囲まれうる。一部の実施形態では、合成ナノ担体の様々な成分は、ポリマーとカップリングされうる。
【0104】
一部の実施形態では、免疫特徴表面、標的化部分、オリゴヌクレオチドおよび/または他の要素は、ポリマーマトリックスと共有結合されうる。一部の実施形態では、共有結合は、リンカーによって媒介される。一部の実施形態では、免疫特徴表面、標的化部分、オリゴヌクレオチドおよび/または他の要素は、ポリマーマトリックスと非共有結合されうる。例えば、一部の実施形態では、免疫特徴表面、標的化部分、オリゴヌクレオチドおよび/または他の要素は、ポリマーマトリックスの内部にカプセル化され、それによって囲まれ、および/またはその全体にわたって分散されうる。その他または追加として、免疫特徴表面、標的化部分、オリゴヌクレオチドおよび/または他の要素は、疎水性相互作用、電荷相互作用、ファンデルワールス力などにより、ポリマーマトリックスと結合されうる。
【0105】
多種多様なポリマーおよびそれからポリマーマトリックスを形成するための方法は、既知である。一般に、ポリマーマトリックスは、1つ以上のポリマーを含む。ポリマーは、天然または非天然(合成)ポリマーであってもよい。ポリマーは、2つ以上のモノマーを含むホモポリマーまたは共重合体であってもよい。配列の観点では、共重合体は、ランダム、ブロックであってもよく、またはランダムおよびブロック配列の組み合わせを含んでもよい。典型的には、本発明によるポリマーは、有機ポリマーである。
【0106】
本発明における使用に適したポリマーの例は、限定はされないが、ポリエチレン、ポリカーボネート(例えば、ポリ(1,3−ジオキサン−2−オン))、ポリ無水物(例えば、ポリ(セバシン酸無水物))、ポリプロピルフメレート(polypropylfumerate)、ポリアミド(例えばポリカプロラクタム)、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル(例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド)、ポリラクチド−コ−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酸(例えばポリ(β−ヒドロキシアルカノエート))、ポリ(オルソエステル)、ポリシアノアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、ポリ尿素、ポリスチレン、およびポリアミンを含む。
【0107】
一部の実施形態では、本発明によるポリマーは、米国食品医薬品局(U.S.Food and Drug Administration)(FDA)によって、21C.F.R.177.2600下でヒト使用が認可されているポリマー、例えば限定はされないが、ポリエステル(例えば、ポリ乳酸、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(1,3−ジオキサン−2−オン));ポリ無水物(例えば、ポリ(セバシン酸無水物));ポリエーテル(例えばポリエチレングリコール);ポリウレタン;ポリメタクリル酸塩;ポリアクリル酸塩;およびポリシアノアクリレートを含む。
【0108】
一部の実施形態では、ポリマーは親水性であってもよい。例えば、ポリマーは、アニオン基(例えば、リン酸基、硫酸基、カルボン酸基);カチオン基(例えば、第四級アミン基);または極性基(例えば、水酸基、チオール基、アミン基)であってもよい。一部の実施形態では、親水性ポリマーマトリックスを含む合成ナノ担体は、合成ナノ担体中に親水性環境をもたらす。一部の実施形態では、ポリマーは、疎水性であってもよい。一部の実施形態では、疎水性ポリマーマトリックスを含む合成ナノ担体は、合成ナノ担体中に疎水性環境をもたらす。ポリマーの親水性または疎水性の選択は、合成ナノ担体内部に組み込まれる(例えばカップリングされる)材料の性質に対して影響を有しうる。
【0109】
一部の実施形態では、ポリマーは、1つ以上の部分および/または官能基で修飾してもよい。種々の部分または官能基は、本発明に従って使用してもよい。一部の実施形態では、ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、炭水化物、および/または多糖類由来の非環状ポリアセタールで修飾してもよい(Papisov、2001年、ACS Symposium Series、786:301頁)。特定の実施形態は、米国特許第5543158号明細書(Grefらに付与)または国際公開第2009/051837号パンフレット(Von Andrianらによる)の一般的な教示を用いて行ってもよい。
【0110】
一部の実施形態では、ポリマーは、脂質または脂肪酸基で修飾してもよい。一部の実施形態では、脂肪酸基は、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、またはリグノセリン酸のうちの1つ以上であってもよい。一部の実施形態では、脂肪酸基は、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、α−リノール酸、γ−リノール酸、アラキドン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、またはエルカ酸のうちの1つ以上であってもよい。
【0111】
一部の実施形態では、ポリマーは、乳酸およびグリコール酸単位、例えばポリ(乳酸−コ−グリコール酸)およびポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(集合的に本明細書中で「PLGA」と称される)を含む共重合体;ならびにグリコール酸単位(本明細書中で「PGA」と称される)および乳酸単位、例えばポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸、ポリ−D,L−乳酸、ポリ−L−ラクチド、ポリ−D−ラクチド、およびポリ−D,L−ラクチド(集合的に本明細書中で「PLA」と称される)を含むホモポリマー、を含むポリエステルであってもよい。一部の実施形態では、典型的なポリエステルは、例えば、ポリヒドロキシ酸;PEG共重合体ならびにラクチドおよびグリコリドの共重合体(例えば、PLA−PEG共重合体、PGA−PEG共重合体、PLGA−PEG共重合体、およびそれらの誘導体)を含む。一部の実施形態では、ポリエステルは、例えば、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)−PEG共重合体、ポリ(L−ラクチド−コ−L−リジン)、ポリ(セリンエステル)、ポリ(4−ヒドロキシ−L−プロリンエステル)、ポリ[α−(4−アミノブチル)−L−グリコール酸]、およびそれらの誘導体を含む。
【0112】
一部の実施形態では、ポリマーは、PLGAであってもよい。PLGAは、乳酸およびグリコール酸の生体適合性および生分解性共重合体であり、かつ様々な形態のPLGAは、乳酸:グリコール酸の比によって特徴づけられる。乳酸は、L−乳酸、D−乳酸、またはD,L−乳酸であってもよい。PLGAの分解速度は、乳酸:グリコール酸比を変更することによって調節してもよい。一部の実施形態では、本発明に従って使用されるべきPLGAは、約85:15、約75:25、約60:40、約50:50、約40:60、約25:75、または約15:85の乳酸:グリコール酸比によって特徴づけられる。
【0113】
一部の実施形態では、ポリマーは、1つ以上のアクリルポリマーであってもよい。特定の実施形態では、アクリルポリマーは、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート共重合体、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミド共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸無水物)、メチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)共重合体、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレート共重合体、グリシジルメタクリレート共重合体、ポリシアノアクリレート、および上記ポリマーのうちの1つ以上を含む組み合わせを含む。アクリルポリマーは、第四級アンモニウム基の含量が少ない、アクリル酸およびメタクリル酸エステルの完全に重合された共重合体を含んでもよい。
【0114】
一部の実施形態では、ポリマーは、カチオンポリマーであってもよい。一般に、カチオンポリマーは、核酸の負に帯電した鎖(例えば、DNA、またはそれらの誘導体)を濃縮し、および/または保護することができる。ポリ(リジン)(Zaunerら、1998年、Adv.Drug Del.Rev.、30:97頁;およびKabanovら、1995年、Bioconjugate Chem.、6:7頁)、ポリ(エチレンイミン)(PEI;Boussifら、1995年、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA、1995年、92:7297頁)、およびポリ(アミドアミン)デンドリマー(Kukowska−Latalloら、1996年、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA、93:4897頁;Tangら、1996年、Bioconjugate Chem.、7:703頁;およびHaenslerら、1993年、Bioconjugate Chem.、4:372頁)などのアミン含有ポリマーは、生理的pHで正に帯電し、核酸とイオン対を形成し、種々の細胞系における形質移入を媒介する。実施形態では、本発明の合成ナノ担体は、カチオンポリマーを含まなくてもよい(または除外してもよい)。
【0115】
一部の実施形態では、ポリマーは、カチオン側鎖を担持する分解性ポリエステルであってもよい(Putnamら、1999年、Macromolecules、32:3658頁;Barreraら、1993年、J.Am.Chem.Soc.、115:11010頁;Kwonら、1998年、Macromolecules、22:3250頁;Limら、1999年、J.Am.Chem.Soc.、121:5633頁;およびZhouら、1990年、Macromolecules、23:3399頁)。これらのポリエステルの例として、ポリ(L−ラクチド−コ−L−リシン)(Barreraら、1993年、J.Am.Chem.Soc.、115:11010頁)、ポリ(セリンエステル)(Zhouら、1990年、Macromolecules、23:3399頁)、ポリ(4−ヒドロキシ−L−プロリンエステル)(Putnamら、1999年、Macromolecules、32:3658頁;およびLimら、1999年、J.Am.Chem.Soc.、121:5633頁)、およびポリ(4−ヒドロキシ−L−プロリンエステル)(Putnamら、1999年、Macromolecules、32:3658頁;およびLimら、1999年、J.Am.Chem.Soc.、121:5633頁)が挙げられる。
【0116】
これらや他のポリマーの特性およびそれらを調製するための方法は、当該技術分野で周知である(例えば、米国特許第6,123,727号明細書;米国特許第5,804,178号明細書;米国特許第5,770,417号明細書;米国特許第5,736,372号明細書;米国特許第5,716,404号明細書;米国特許第6,095,148号明細書;米国特許第5,837,752号明細書;米国特許第5,902,599号明細書;米国特許第5,696,175号明細書;米国特許第5,514,378号明細書;米国特許第5,512,600号明細書;米国特許第5,399,665号明細書;米国特許第5,019,379号明細書;米国特許第5,010,167号明細書;米国特許第4,806,621号明細書;米国特許第4,638,045号明細書;および米国特許第4,946,929号明細書;Wangら、2001年、J.Am.Chem.Soc.、123:9480頁;Limら、2001年、J.Am.Chem.Soc.、123:2460頁;Langer、2000年、Acc.Chem.Res.、33:94頁;Langer、1999年、J.Control.Release、62:7頁;およびUhrichら、1999年、Chem.Rev.、99:3181頁を参照)。より一般的には、特定の好適なポリマーを合成するための種々の方法は、Concise Encyclopedia of Polymer Science and Polymeric Amines and Ammonium Salts、Goethals編、Pergamon Press、1980年;Principles of Polymerization、Odian編、John Wiley & Sons、第4版、2004年;Contemporary Polymer Chemistry、Allcockら編、Prentice−Hall、1981年;Demingら、1997年、Nature、390:386頁;および米国特許第6,506,577号明細書、米国特許第6,632,922号明細書、米国特許第6,686,446号明細書、および米国特許第6,818,732号明細書において記載がなされている。
【0117】
一部の実施形態では、ポリマーは、直鎖状または分枝状ポリマーであってもよい。一部の実施形態では、ポリマーは、デンドリマーであってもよい。一部の実施形態では、ポリマーは、実質的に互いに架橋されていてもよい。一部の実施形態では、ポリマーは、実質的に架橋を含まなくてもよい。一部の実施形態では、ポリマーは、架橋ステップを受けることなく、本発明に従って使用してもよい。さらに、本合成ナノ担体が、上記および他のポリマーのいずれかの、ブロック共重合体、グラフト共重合体、混和物、混合物、および/または付加物を含んでもよいことは理解されるべきである。当業者は、本明細書中に列挙されるポリマーが、例示的な、包括的でない、本発明に従って使用可能なポリマーのリストを示すことを理解するであろう。
【0118】
一部の実施形態では、合成ナノ担体は、ポリマー成分を含まなくてもよい。一部の実施形態では、合成ナノ担体は、金属粒子、量子ドット、セラミック粒子などを含んでもよい。一部の実施形態では、非重合体合成ナノ担体は、非重合体成分の凝集体、例えば金属原子(例えば金原子)の凝集体である。
【0119】
一部の実施形態では、合成ナノ担体は、場合により、1つ以上の両親媒性実体を含んでもよい。一部の実施形態では、両親媒性実体は、安定性が高まり、均一性が改善され、または粘度が高まった合成ナノ担体の生成を促進しうる。一部の実施形態では、両親媒性実体は、脂質膜(例えば、脂質二重層、脂質単層など)の内部表面と結合されうる。当該技術分野で既知の多数の両親媒性実体は、本発明による合成ナノ担体の作製における使用に適する。かかる両親媒性実体は、限定はされないが、ホスホグリセリド;ホスファチジルコリン;ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC);ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE);ジオレイルオキシプロピルトリエチルアンモニウム(DOTMA);ジオレイルホスファチジルコリン;コレステロール;コレステロールエステル;ジアシルグリセロール;ジアシルグリセロールスクシネート;ジホスファチジルグリセロール(DPPG);ヘキサデカノール;ポリエチレングリコール(PEG)などの脂肪アルコール;ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル;表面活性脂肪酸、例えばパルミチン酸またはオレイン酸;脂肪酸;脂肪酸モノグリセリド;脂肪酸ジグリセリド;脂肪酸アミド;ソルビタントリオレアート(Span(登録商標)85)グリココレート;ソルビタンモノラウレート(Span(登録商標)20);ポリソルベート20(Tween(登録商標)20);ポリソルベート60(Tween(登録商標)60);ポリソルベート65(Tween(登録商標)65);ポリソルベート80(Tween(登録商標)80);ポリソルベート85(Tween(登録商標)85);ポリオキシエチレンモノステアレート;サーファクチン;ポロキサマー;ソルビタントリオレアートなどのソルビタン脂肪酸エステル;レシチン;リゾレシチン;ホスファチジルセリン;ホスファチジルイノシトール;スフィンゴミエリン;ホスファチジルエタノールアミン(セファリン);カルジオリピン;ホスファチジン酸;セレブロシド;リン酸ジセチル;ジパルミトイルホスファチジルグリセロール;ステアリルアミン;ドデシルアミン;ヘキサデシル−アミン;アセチルパルミテート(acetyl palmitate);グリセロールリシノレエート;ヘキサデシルステレート;イソプロピルミリステート;チロキサポール;ポリ(エチレングリコール)5000−ホスファチジルエタノールアミン;ポリ(エチレングリコール)400−モノステアレート;リン脂質;高い界面活性剤特性を有する合成および/または天然洗剤;デオキシコール酸塩;シクロデキストリン;カオトロピック塩;イオン対試薬;ならびにそれらの組み合わせを含む。両親媒性実体成分は、異なる両親媒性実体の混合物であってもよい。当業者は、これが、典型的であり、包括的でない、界面活性剤活性を有する物質のリストを示すことを理解するであろう。任意の両親媒性実体は、本発明に従って使用されるべき合成ナノ担体の生成において使用してもよい。
【0120】
一部の実施形態では、合成ナノ担体は、場合により、1つ以上の炭水化物を含んでもよい。炭水化物は、天然または合成であってもよい。炭水化物は、誘導体化された天然炭水化物であってもよい。特定の実施形態では、炭水化物は、限定はされないが、グルコース、フルクトース、ガラクトース、リボース、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース、セロビオース、マンノース、キシロース、アラビノース、グルクロン酸、ガラクトロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、およびノイラミン酸を含む、単糖類または二糖類を含む。特定の実施形態では、炭水化物は、限定はされないが、ブルラン、セルロース、微晶質セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシセルロース(HC)、メチルセルロース(MC)、デキストラン、シクロデキストラン(cyclodextran)、グリコーゲン、ヒドロキシエチルスターチ、カラギーナン、グリコン、アミロース、キトサン、N,O−カルボキシメチルキトサン、アルギンおよびアルギン酸、デンプン、キチン、イヌリン、コンニャク、グルコマンナン、プスチュラン(pustulan)、ヘパリン、ヒアルロン酸、カードラン、およびキサンタンを含む多糖類である。実施形態では、本発明の合成ナノ担体は、炭水化物、例えば多糖類を含まない(または詳細には除外する)。特定の実施形態では、炭水化物は、限定はされないが、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、およびラクチトールを含む、糖アルコールなどの炭水化物誘導体を含んでもよい。
【0121】
本発明による組成物は、薬学的に許容できる賦形剤と組み合わされた本合成ナノ担体またはワクチンコンストラクトを含んでもよい。組成物は、有用な剤形に到達するため、従来の医薬品製造および配合技術を用いて作製してもよい。一実施形態では、本合成ナノ担体は、防腐剤とともに注入するため、無菌生理食塩溶液中に懸濁される。実施形態では、典型的な本発明の組成物は、無機または有機緩衝液(例えば、リン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、またはクエン酸塩のナトリウムまたはカリウム塩)およびpH調整剤(例えば塩酸、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム、クエン酸塩もしくは酢酸塩の塩、アミノ酸およびそれらの塩)、抗酸化剤(例えばアスコルビン酸、α−トコフェロール)、界面活性剤(例えばポリソルベート20、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン9−10ノニルフェノール、デオキシコール酸ナトリウム)、溶液および/または冷凍/溶解安定化剤(例えば、スクロース、ラクトース、マンニトール、トレハロース)、浸透圧調整剤(例えば、塩または糖類)、抗菌剤(例えば、安息香酸、フェノール、ゲンタマイシン)、消泡剤(例えば、ポリジメチルシロゾン)、防腐剤(例えば、チメロサール、2−フェノキシエタノール、EDTA)、高分子安定化剤および粘度調整剤(例えば、ポリビニルピロリドン、ポロキサマ488、カルボキシメチルセルロース)、ならびに共溶媒(例えば、グリセロール、ポリエチレングリコール、エタノール)を含む賦形剤を含んでもよい。
【0122】
本発明に従うMHCII結合ペプチドは、限定はされないが、C.Asteteら、「Synthesis and characterization of PLGA nanoparticles」 J.Biomater.Sci.Polymer Edn、第17巻、第3号、247−289頁(2006年);K.Avgoustakis 「Pegylated Poly(Lactide) and Poly(Lactide−Co−Glycolide) Nanoparticles:Preparation,Property and Possible Applications in Drug Delivery」 Current Drug Delivery 1:321−333頁(2004年);C.Reisら、「Nanoencapsulation I.Methods for preparation of drug−loaded polymer nanoparticles」 Nanomedicine 2:8−21(2006年)を含む種々の方法を用い、合成ナノ担体にカプセル化してもよい。限定はされないが、米国特許第6,632,671号明細書(Ungerに付与)、2003年10月14日に開示された方法を含む、ペプチドなどの材料を合成ナノ担体にカプセル化するのに適した他の方法を用いてもよい。別の実施形態では、MHCII結合ペプチドは、概して、M.Singhら、「Anionic microparticles are a potent delivery system for recombinant antigens from Neisseria meningitidis serotype B.」 J Pharm Sci.Feb;93(2):273−82頁(2004年)に記載のように、合成ナノ担体の表面に吸着させてもよい。
【0123】
実施形態では、本発明に従う組成物は、抗原および/またはアジュバントを含んでもよい。実施形態では、本発明に従うワクチンは、抗原および/またはアジュバントとともに本発明の組成物を含んでもよい。本発明の実施において有用な、異なるタイプの抗原および/またはアジュバントは、本明細書中の別の個所に記載されている。本明細書中の別の個所に記載のように、本発明の組成物のMHCII結合ペプチドは、抗原および/またはアジュバントに共有的または非共有的にカップリングされてもよく、またはそれらは、抗原および/またはアジュバントと混合されてもよい。材料をカップリングまたは混合するための一般的技術は、本明細書中の別の個所に記載されており、かかる技術を、本発明の組成物のMHCII結合ペプチドを、抗原および/またはアジュバントを対象または相手にカップリングまたは混合するのに適してもよい。利用可能な共有複合方法に関する詳細な説明については、Hermanson G.T.「Bioconjugate Techniques」、第2版、Academic Pres、Inc.発行、2008年を参照のこと。共有結合に加え、カップリングは、予め形成された担体、例えば合成ナノへの吸着により、または担体、例えば合成ナノ担体の形成の間でのカプセル化により、行ってもよい。好ましい実施形態では、本発明の組成物のMHCII結合ペプチドは、合成ナノ担体にカップリングされ、合成ナノ担体はまた、抗原および/またはアジュバントにカップリングされる。
【0124】
合成ナノ担体は、当該技術分野で既知の多種多様な方法を用いて調製してもよい。例えば、合成ナノ担体は、ナノ沈殿、流体チャネルを用いるフローフォーカシング、スプレー乾燥、単一および二重エマルション溶媒蒸発、溶媒抽出、相分離、ミリング、マイクロエマルション法、マイクロ加工、ナノ加工、犠牲層、単純および複合コアセルベーション、および当業者に周知の他の方法のような方法によって形成してもよい。その他または追加として、単分散半導体、導電性、磁性、有機、および他のナノ材料のための水性および有機溶媒合成については、記載がなされている(Pellegrinoら、2005年、Small、1:48頁;Murrayら、2000年、Ann.Rev.Mat.Sci.、30:545頁;およびTrindadeら、2001年、Chem.Mat.、13:3843頁)。追加的な方法が、文献において記載がなされている(例えば、Doubrow編、「Microcapsules and Nanoparticles in Medicine and Pharmacy」 CRC Press、Boca Raton、1992年;Mathiowitzら、1987年、J.Control.Release、5:13頁;Mathiowitzら、1987年、Reactive Polymers、6:275頁;およびMathiowitzら、1988年、J.Appl.Polymer Sci.、35:755頁、さらに米国特許第5578325号明細書および米国特許第6007845号明細書を参照)。
【0125】
様々な材料が、限定はされないが、C.Asteteら、「Synthesis and characterization of PLGA nanoparticles」 J.Biomater.Sci.Polymer Edn、第17巻、第3号、247−289頁(2006年);K.Avgoustakis 「Pegylated Poly(Lactide) and Poly(Lactide−Co−Glycolide) Nanoparticles:Preparation,Properties and Possible Applications in Drug Delivery Current Drug Delivery」 1:321−333頁(2004年);C.Reisら、「Nanoencapsulation I.Methods for preparation of drug−loaded polymeric nanoparticles」 Nanomedicine 2:8−21頁(2006年)を含む種々の方法を用い、望ましくは合成ナノ担体へのカプセル化を通じてカップリングしてもよい。材料、例えばオリゴヌクレオチドを合成ナノ担体にカプセル化するのに適した他の方法、例えば限定はされないが、米国特許第6,632,671号明細書(Ungerに付与)(2003年10月14日)中に開示される方法を用いてもよい。
【0126】
特定の実施形態では、合成ナノ担体は、ナノ沈殿プロセスまたはスプレー乾燥によって調製される。合成ナノ担体の調製に使用される条件を変更することにより、所望されるサイズまたは特性(例えば、疎水性、親水性、外的形態、「粘性」、形状など)の粒子が生成されうる。合成ナノ担体を調製する方法および使用される条件(例えば、溶媒、温度、濃度、気流速度など)は、合成ナノ担体にカップリングされるべき材料および/またはポリマーマトリックスの組成物に依存する場合がある。
【0127】
上記の方法のいずれかによって調製される粒子が所望される範囲外のサイズ範囲を有する場合、粒子を、例えばふるいを使用してサイジングしてもよい。
【0128】
本発明の組成物が任意の好適な方法で作製可能であり、かつ本発明が本明細書中に記載の方法を用いて生成可能な組成物に決して限定されないことは理解されるべきである。適切な方法の選択には、結合されている特定の部分の特性への注意が必要な場合がある。
【0129】
一部の実施形態では、本合成ナノ担体は、無菌条件下で作製されるか、最終滅菌されている。これは、得られる組成物が無菌性および非感染性を示すことから、非滅菌組成物と比較される場合、安全性が改善されることを保証しうる。これは、特に、合成ナノ担体を受ける対象が、免疫不全を有し、感染症を患っており、および/または感染症にかかりやすい場合において、貴重な安全性尺度を提供する。一部の実施形態では、本合成ナノ担体は、凍結乾燥させ、長期間活性を低下させることのない調合方法に応じて、懸濁液中にまたは凍結乾燥粉末として保存してもよい。
【0130】
本組成物は、限定はされないが、非経口(皮下、筋肉内、静脈内、または皮内など);経口;経鼻、経粘膜、直腸;眼、または経皮を含む種々の投与経路によって投与してもよい。
【実施例】
【0131】
E.実施例
本発明は、本発明の特定の態様および実施形態の、限定としてではなくあくまで例示目的で、含められる以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されるであろう。
【0132】
当業者は、直前に記載の実施形態の様々な適応および修飾が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく設けられうることを理解するであろう。当該技術分野で既知の他の好適な技術および方法は、本明細書中に記載の本発明の説明を踏まえた、当業者による極めて多数の特定のモダリティにおいて適用することができる。
【0133】
したがって、本発明が、本明細書中に詳述される場合と異なるように実施することができることが理解されるべきである。上記は、例示的であっても、限定的でないことが意図されている。多数の他の実施形態が、当業者にとっては、上記をレビューする際に理解されるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を踏まえ、またかかる特許請求の範囲において権利を与えられた相当物の全範囲と併せて、判断される必要がある。
【0134】
実施例1:ユニバーサル記憶ペプチドの生成
キメラペプチドを生成するため、クラスIIエピトープの予測を、Immune Epitope Database(IEDB)(http://www.immuneepitope.org/)T細胞エピトープ予測ツールを使用して行った。各ペプチドにおいては、予測ツールは、3つの方法(ARB、SMM_alignおよびSturniolo)の各々に対し、パーセンタイルランクを生成する。ランキングは、ペプチドのスコアをSWISSPROTデータベースから選択される5百万のランダムな15merのスコアに対して比較することによって生成される。次いで、3つの方法に対するパーセンタイルランクの中央値を用い、コンセンサス法におけるランクを生成する。コンセンサス法を用いて評価されるべきペプチドは、ヒトに感染し、感染開始後にその感染性生物に特異的なヒトCD4+記憶細胞を生成する能力がある感染性生物を含む様々な供給源から誘導されるかまたは得られる配列を用いて生成してもよい。かかる感染性生物の例を、本明細書中の他の箇所で言及している。
【0135】
特定の実施形態では、予測HLA−DRおよびHLA−DPエピトープを同定するため、個別のタンパク質およびペプチドエピトープを、破傷風毒素、ジフテリア毒素またはアデノウイルスから選択し、分析した。全タンパク質分析においては、HLA−DR予測エピトープを、コンセンサスランキング(予測される高親和性バインダー)およびHLA−DR対立遺伝子全体にわたる広範囲性に基づいて選択した。さらに、HLA−DP0401およびDP0402に対する予測される高親和性バインダーであるエピトープを選択した。DPに対するこれら2つの対立遺伝子を、北アメリカにおける高パーセントの集団(約75%)内で見出されることが理由で選択した。特定の実施形態では、個別のエピトープから得られた結果に基づき、場合により、予測される最も広い範囲および高親和性結合をもたらすことになるキメラペプチドを生成した。図15〜16を参照のこと。図15に示されるように、AもしくはB単独を有するが双方を有しない組成物に対してより広範な予測範囲およびより高い親和性結合を有するA−x−B型を有する組成物が生成されうる。
【0136】
場合により、カテプシン切断部位を、ペプチドの接合部に挿入した。使用のため、キメラペプチドを合成し(GenScript)、水に再懸濁した。
【0137】
上記の特定の実施形態を使用し、HLA−DRおよびHLA−DP結合ペプチドを含む最適化された組成物を生成したが、同じ技術を用い、HLA−DQ結合ペプチドを含む最適化された組成物を生成してもよい。
【0138】
実施例2:コアアミノ酸配列評価
HLA−DPおよびHLA−DRに特異的なエピトープの双方は、切断分析により、コア結合エピトープについて評価している(1,2)。特異的HLA−クラスIIタンパク質に対して選択的なコアアミノ酸配列が、いくつかのエピトープにおいて共通に見出されている。この例として、HLA−DP4に対するペプチド結合特異性のスーパータイプを構成することが同定されている共通のコア結合構造が挙げられる(3)。これらのコアアミノ酸が高親和性結合を可能にする構造配置を維持する可能性は高い。結果として、クラスIIに対する結合能を阻害することなく、非コア領域のアミノ酸を類似の化学特性と置換することが可能である(4)。これは、置換分析、次いでエピトープ結合予測プログラムを用いて実験的に示されうる。分析を行うため、個別のアミノ酸置換を導入し、クラスIIに対する予測される親和性結合を、IEDB T細胞結合予測ツールを用いて判定した(図20を参照)。
【0139】
この場合、2つの例を示し、ここでパートAでは、アデノウイルスエピトープにおける最大70%の置換が、DP4への結合に対する親和性を破壊することはなかった。パートBでは、破傷風トキソイドエピトープにおける最大70%の置換が、そのHLADR0101もしくはHLADR0404(DR対立遺伝子を代表する)に対する予測される結合を阻害しないことを示した。したがって、アミノ酸配列の修飾を通じた広範なHLA範囲を有する高親和性キメラペプチドの生成により、ペプチドのMHCIIに対する結合能は破壊されなかった。さらに、改善されたペプチドの予測される親和性が、本実施例において示されるように、アミノ酸の置換によって得ることができる。
【0140】
上記の特定の実施形態を用い、HLA−DRもしくはHLA−DP結合ペプチドを含む最適化された組成物を例示したが、同じ技術を使用し、HLA−DQ結合ペプチドを含む最適化された組成物を生成することが可能である。
【0141】
参考文献:
1.いくつかのDR結合エピトープの切断分析。O'Sullivan D.、Sidney J.、Del Guercio M.F.、Colon S.M.、SetteA.J Immunol.1991年2月15日;146(4):1240−6頁。
2.アデノウイルスヘキソンT細胞エピトープは、大部分の成体によって認識され、最も共通のクラスII対立遺伝子であるHLA DP4によって制限される。Tang J.、Olive M.、Champagne K.、 Flomenberg N.、Eisenlohr L.、Hsu S.、Flomenberg P.Gene Ther.2004年9月;11(18):1408−15頁。
3.最も頻出するHLAII分子であるHLA−DP4は、新しいスーパータイプのペプチドの結合特異性を規定する。Castelli F.A.、Buhot C.、Sanson A.、Zarour H.、Pouvelle−Moratille S.、Nonn C.、Gahery−Segard H.、Guillet J.G.、Menez A.、Georges B.、Maillere B.J Immunol.2002年12月15日;169(12):6928−34頁。
4.CD4(+)T細胞エピトープの予測がHLA−DP4分子に制限される。Busson M.、 Castelli F.A.、Wang X.F.、Cohen WM、Charron D.、Menez A.、Maillere B.J Immunol Methods.2006年12月 20;317(1−2):144−51頁。
【0142】
実施例3:ペプチドの評価
キメラエピトープペプチドを含む本発明の組成物を、(1)リコール応答の効力;(2)無作為集団の試料集団(N=20)に対するリコール応答の頻度;および(3)個体(N=20)内での抗原特異的記憶T細胞の頻度について評価した。
【0143】
単一のエピトープおよびキメラエピトープの効力を、ヒトPBMCをペプチドでインビトロで24時間刺激し、次いで細胞をフローサイトメトリーによって分析することによって評価した。活性化CD4中央記憶T細胞は、表現型:CD4+CD45RAlow CD62L+IFN−γ+を有する。選択されたエピトープに特異的なリコール応答の集団内での頻度を評価するため、20の末梢血ドナーを、サイトカイン発現の誘発について評価した。
【0144】
要するに、全血は、Research Blood Components(Cambridge)から得た。血液を、リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)中で1:1に希釈し、次いで35mLを、50mLの管内、12mLのFicoll−paque premium(GE Healthcare)上に重層した。管を1400RPMで30分間回転し、遷移期PBMCを回収し、10%ウシ胎仔血清(FCS)を有するPBSで希釈し、1200rpmで10分間回転した。細胞を、細胞凍結媒体(cell freezing media)(Sigma製)に再懸濁し、直ちに−80℃で一晩凍結させた。長期間貯蔵する間、細胞を液体窒素に移した。細胞を、必要に応じて解凍し(37℃の水槽)、10%FCSを有するPBSに再懸濁し、沈降させ、5%熱不活化ヒト血清(Sigma)l−グルタミン、ペニシリンおよびストレプトマイシン)を補充した培地(RPMI[cellgro])中、5×10個の細胞/mLに再懸濁した。
【0145】
記憶T細胞リコール応答アッセイにおいては、細胞を、(GenScriptから入手した)本発明に記載の4μMのペプチドを有する24ウェルプレート内で、37℃(5%CO2)で2時間培養した。次いで、培地の1mLあたり1μLのブレフェルジンA(Golgiplug,BD)を添加し、細胞を37℃のインキュベーターに4〜6時間戻した。次いで、細胞をより低温(27℃)のインキュベーター(5%CO2)に一晩移し、次いでフローサイトメトリー分析のために処理した。活性化記憶T細胞の検出を、細胞とCD4−FITC、CD45RA−PE、CD62L−Cy7PE(BD)とのインキュベーションと、その後の膜浸透化および固定(BD)によって行った。インターフェロン−γの細胞内発現を、インターフェロン−γ−APCモノクローナル(BioLegend)を使用して検出した。次いで、200,000〜500,000個の細胞を、FACSCalibreフローサイトメーターおよびCellquestソフトウェアを使用して分析した。細胞は、CD4+、CD45RAmedium、CD62LhighおよびIFN−γ陽性である場合、陽性とスコアリングした。
【0146】
キメラペプチドによる活性化を示すフローサイトメトリーデータの代表例を図1に示し、すべてのデータの概要を図2に示す。
【0147】
データは次のことを示す。(1)本発明に従うキメラペプチドは、個別のペプチド単独の場合より多数の中央記憶T細胞を活性化し、またキメラペプチドTT830pmglpDTt(カテプシン切断部位を有する)は、最大の応答をもたらした。(2)本発明のキメラペプチドは、個別のペプチドの場合より多くの人々からリコール応答を得て、TT830pmglpDTtは20/20のドナーにおいて陽性である(図3)。(3)カテプシン切断部位を有するキメラペプチドTT830pmglpDTtは、その個別の成分(TT830およびDT)単独よりも高い活性を示し、また切断部位を有しない以外は同一のペプチド(TT830DT)より優れており、これは、カテプシン切断部位の本発明のキメラペプチドへの付加が促進されたリコール応答を提供しうることを示唆している。(4)データから、図15に示されるT細胞エピトープ予測分析が確認される。分析によると、TT830およびDTエピトープ(TT830DTt)の双方からなるキメラペプチドが、広範囲のHLA−DR対立遺伝子にわたって最高の結合親和性を提供することになり、またカテプシン切断部位を含めることにより(TT830pmglpDTt)、応答が促進されることが予測された。TT830またはTT950のDPに特異的なエピトープAdVへの付加により、陽性応答(responders)の数が、AdVエピトープ単独の場合に対して改善されなかった。AdVTT830の高親和性および広範囲性は、AdVおよびTT830の接合部でのネオエピトープ(neoepitope)の生成に起因するもであった。高親和性の予測がもたらされうる一方、ネオエピトープは、免疫された個体においてメモリリコール応答を誘発しないことになる。エピトープ間にカテプシン切断部位を含めることにより、ネオエピトープが除外される。ある場合には、カテプシン切断部位の挿入により、おそらくは、エピトープをクラスII結合に適さないようにする構造上の改変に起因し、AdVエピトープ(AdVpTT830)の活性が除かれた。
【0148】
実施例4:ペプチド活性化記憶T細胞の試験
初期の中央記憶細胞は、特定のペプチドで再活性化される場合、複数のサイトカイン(IL−2、TNF−α、IFN−γ)を発現する一方、免疫委任(committed)エフェクター記憶T細胞は、TH2免疫委任エフェクター記憶に対してIL−4を、またTH1免疫委任エフェクター記憶に対してIFN−γを選択的に発現すると考えられる。ペプチド活性化記憶T細胞の状態を、樹状細胞/CD4細胞共培養物の多色細胞内サイトカイン分析を用いて試験した。
【0149】
ヒト末梢血単球を、樹状細胞への分化を誘導するため、陰性選択の磁気ビーズ(Dynal)を用いて単離し、GM−CSFおよびIL−4の存在下で1週間培養した。同種CD4 T細胞を、磁気ビーズ分離(Dynal)を用いて単離し、ペプチドの存在または不在下、DCの存在下で共培養した。そのポイントからの刺激および分析用のプロトコルは、実施例2における上記のPBMCにおける場合と同一である。
【0150】
ペプチドTT830DT(配列番号7)およびTT830pDTt(TT830pmglpDTTruncまたは配列番号13)による刺激の結果、TNF−αおよびIFN−γの発現が増大したが、IL−4では増大しなかった(図4、5)。多色フローサイトメトリーによると、TT830DTtおよびTT830pDTtの双方で処理されたPBMCが、ペプチド誘発性のTNF−αおよびIFN−γの同時発現を有するが、TNF−αおよびIL−4の同時発現を有しないことが示されたが(図6)、これは初期の中央記憶細胞が活性化されることを示唆している。
【0151】
TTおよびDTに由来するHLA−DRエピトープとともに、DP4に特異的なアデノウイルスエピトープからの配列を有する一連のキメラペプチドを、エピトープ間のカテプシンリンカーの存在下および不在化で作成した(図8)。上記のように、細胞を、4μMの本発明に従うペプチド(GenScriptから入手)を有する24ウェルプレート内で、37℃および5%CO2で2時間培養した。次いで、培地の1mLあたり1μLのブレフェルジンA(Golgiplug,BD)を添加し、細胞を37℃のインキュベーターに4〜6時間戻した。次いで、細胞をより低温(27℃)のインキュベーター(5%CO2)に一晩移し、次いでフローサイトメトリー分析のために処理した。活性化記憶T細胞の検出を、細胞とCD4−FITC、CD45RA−PE、CD62L−Cy7PE(BD)とのインキュベーションと、その後の膜浸透化および固定(BD)によって行った。インターフェロン−γの細胞内発現を、インターフェロン−γ−APCモノクローナル(BioLegend)を使用して検出した。次いで、200,000〜500,000個の細胞を、FACSCalibreフローサイトメーターおよびCellquestソフトウェアを使用して分析した。細胞は、CD4+、CD45RAmedium、CD62LhighおよびIFN−γ陽性である場合、陽性とスコアリングした。記憶T細胞のリコール応答についての4つのドナーの分析によると、個別のペプチド、およびカテプシン切断部位を有しないヘテロ二量体ペプチドが、「kvsvr」カテプシン切断部位を有するヘテロ三量体ペプチド(AdVkDTt、AdVkTT950)に対するドナー応答と比べてより弱い応答をもたらすことが示された。さらに、AdV、DT、およびTTエピトープを有するヘテロ三量体ペプチド(TT830DTAdV)がまた、4つ全部のドナーにおいてリコール応答を示した。
【0152】
実施例5:物理特性を調節するためのMHCII結合ペプチドの修飾
図7に示されるようにペプチド特性を変更するため、一連の修飾TT830pDTt(配列番号13)配列を生成した。これらのタイプの修飾の一般的範囲および性質については、本明細書中の別の個所で説明されている。ペプチドの修飾の初期の目的は、1)水溶解度を改善すること(より低いGRAVY−ハイドロパシシティのグランドアベレージ(Grand Average of hydropathicity)、2)Nおよび/またはC末端アミノ酸の修飾を通じてpIを変化させること、3)内部結合を修飾すること(Cat S切断PMGLP)、および外部および内部結合の双方を修飾すること、4)Cathespin B切断に変更するかまたは他のペプチド分解プロセスを創出することにより、Cat S結合部位の修飾を通じたエンドソーム区画内でのペプチドの処理の重要性を理解すること、であった。
【0153】
さらに、ペプチドの疎水性を改変し、かつpIをほぼ中性のpHまで低下させるため、AdVkDT配列のバリエーションを生成した。N末端への配列付加が、部分的に、AdV由来エピトープのN末端に先行する天然アミノ酸配列に対する類似性によって誘導された。
AdVkDTd1 EESTLLYVLFEVkvsvrQSIALSSLMVAQK(30)、pI=6.6〜7.1(配列番号71)
AdVkDTd2 ESTLLYVLFEVkvsvrQSIALSSLMVAQKE(30)、pI=6.6〜7.1(配列番号72)
AdVkDTd3 KESTLLYVLFEVkvsvrQSIALSSLMVAQE(30)、pI=6.6〜7.1(配列番号73)
【0154】
AdVkDTの変異体(配列番号71〜73)における結果を示す(図10)。3つの異なるドナーからのすべての実験において、AdVkDT変異体(配列番号71〜73)は、非刺激(NS)対照と比べて、強固なリコール応答を誘発した。
【0155】
実施例6:インフルエンザに特異的な記憶ペプチド
特定の単一の病原体で最適化された本発明に従う組成物の例として、インフルエンザA型、インフルエンザAおよびB型、またはインフルエンザA、B、およびC型内で高度に保存されたpan HLA−DRエピトープを、http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiからのNational Institute of Health’s(NIH) Blastプログラムおよびヌクレオチドデータベースを、Immune Epitope Database(IEDB)(http://www.immuneepitope.org/)T細胞エピトープ予測ツールを使用したクラスIIエピトープ予測と併用し、同定した(図11および12)。個別のエピトープおよびキメラエピトープにおけるT細胞エピトープ予測結果を図17〜19に示し、予測された高親和性を有するキメラエピトープを、記憶T細胞応答を生成する能力について試験した。要するに、PBMCを、4μMのペプチドを有する24ウェルプレート内、37℃(5%CO2)で2時間培養した。次いで、ブレフェルジンAを添加し、細胞を37℃のインキュベーターに4〜6時間戻した。次いで、細胞をより低温(27℃)のインキュベーター(5%CO2)に一晩移し、次いでフローサイトメトリー分析のために処理した。活性化記憶T細胞の検出を、細胞とCD4−FITC、CD45RA−PE、CD62L−Cy7PE(BD)とのインキュベーションによって行った。次いで、200,000〜500,000個の細胞を、FACSCalibreフローサイトメーターおよびCellquestソフトウェアを使用して分析した。細胞は、CD4+、CD45RAmedium、CD62LhighおよびIFN−γ陽性である場合、陽性とスコアリングした。

個別のエピトープ:
(minx) YVKQNTLKLAT (配列番号74)
7430) CYPYDVPDYASLRSLVASS (配列番号75)
(31201t)NAELLVALENQHTI (配列番号76)
(66325) TSLYVRASGRVTVSTK (配列番号77)
(ABW1) EKIVLLFAIVSLVKSDQICI (配列番号78)
(ABW2) QILSIYSTVASSLALAIMVA (配列番号79)
(ABP) MVTGIVSLMLQIGNMISIWVSHSI(配列番号80)
(AAT) EDLIFLARSALILRGSV (配列番号81)
(AAW) CSQRSKFLLMDALKLSIED (配列番号82)
(IRG) IRGFVYFVETLARSICE (配列番号83)
(TFE) TFEFTSFFYRYGFVANFSMEL(配列番号84)
(MMM) MMMGMFNMLSTVLGV (配列番号85)

キメラエピトープ:
AATk3120t LIFLARSALILRkvsvrNAELLVALENQHTI (配列番号86)
3120tkAAT NAELLVALENQHTIkvsvrLIFLARSALILR (配列番号87)
ABW2kAAT ILSIYSTVASSLALAIkvsvrLIFLARSALILR (配列番号88)
AATkABW2 LIFLARSALILRkvsvrILSIYSTVASSLALAI (配列番号89)
AATkAAW LIFLARSALILRkvsvrCSQRSKFLLMDALKL (配列番号90)
AAWkAAT CSQRSKFLLMDALKLkvsvrLIFLARSALILR (配列番号91)
ABW9hema EKIVLLFAIVSLVKSDQICI (配列番号92)
MMMTFE MMMGMFNMLSTVLGVTFEFTSFFYRYGFVANFSMEL (配列番号93)
TFEMMM TFEFTSFFYRYGFVANFSMELMMMGMFNMLSTVLGV (配列番号94)
TFEIRG TFEFTSFFYRYGFVANFSMELIRGFVYFVETLARSICE (配列番号95)
IRGTFE IRGFVYFVETLARSICETFEFTSFFYRYGFVANFSMEL (配列番号96)
MMMkIRG MMMGMFNMLSTVLGVkvsvrIRGFVYFVETLARSICE (配列番号97)
IRGkMMM IRGFVYFVETLARSICEkvsvrMMMGMFNMLSTVLGV (配列番号98)
【0156】
キメラインフルエンザペプチド配列を図11に示す。5つのPBMCドナーからのT細胞記憶リコール応答を図12に示す。記憶T細胞リコール応答は、キメラエピトープAAWkAAT、AATkABW2、3120tkAAT、およびABW2kAATについて陽性であったが、非キメラH5に制限されたpan HLA−DRエピトープABW9においてはそうではなかった。これらのデータは、インフルエンザに特異的なペプチドを有する、4つの本発明のキメラの保存されたエピトープが、メモリリコール応答の誘発において活性があることを示す。
【0157】
実施例7:合成ナノ担体調合物(予想)
レシキモド(別名R848)は、米国特許第5,389,640号明細書(Gersterらに付与)の実施例99中に提供される合成に従って合成する。PLA−PEG−ニコチン複合体は、Selecta Biosciencesにて、従来の複合方法を用いて調製する。PLAは、D,L−ラクチド(MW=約15KD〜18KD)を用いる開環重合によって調製する。PLA構造は、NMRによって確認する。ポリビニルアルコール(Mw=11KD〜31KD、85%が加水分解された)は、VWR scientificから購入する。これらを使用し、以下の溶液を調製する。
1.塩化メチレン中レシキモド(7.5mg/mL)
2.塩化メチレン中PLA−PEG−ニコチン(100mg/mL)
3.塩化メチレン中PLA(100mg/mL)
4.水中ペプチド(10mg/mL)、ペプチドは、配列:
ILMQYIKANSKFIGIPMGLPQSIALSSLMVAQ(配列番号13)を有する
5.水中ポリビニルアルコール(50mg/mL)
【0158】
溶液#1(0.4mL)、溶液#2(0.4mL)、溶液#3(0.4mL)および溶液#4(0.1mL)を小バイアル内で結合させ、混合物を、Branson Digital Sonifier 250を使用し、50%の振幅で40秒間超音波処理する。このエマルションに溶液#5(2.0mL)を添加し、Branson Digital Sonifier 250を使用し、35%の振幅で40秒間の超音波処理により、第2のエマルションを形成する。これを、水(30mL)を有するビーカーに添加し、この混合物を室温で2時間撹拌し、ナノ粒子を形成する。ナノ担体分散体の一部(1.0mL)を水(14mL)で希釈し、これを、100KDの膜カットオフを有するAmicon Ultra遠心濾過装置での遠心分離によって濃縮する。容量が約250μLである場合、水(15mL)を添加し、粒子を、Amicon装置を使用して再び約250μLに濃縮する。リン酸塩緩衝生理食塩水(pH=7.5、15mL)での2回目の洗浄を同様にして行い、最終濃縮物を全容量が1.0mLになるまでリン酸塩緩衝生理食塩水で希釈する。これにより、濃度が約2.7mg/mLの最終ナノ担体分散体が得られると予想される。
【0159】
実施例8:合成ナノ担体調合物(予想)
レシキモド(別名R848)は、米国特許第5,389,640号明細書(Gersterらに付与)の実施例99中に提供される合成に従って合成する。PLA−PEG−ニコチン複合体は、Selecta Biosciencesにて調製する。PLAは、D,L−ラクチド(MW=約15KD〜18KD)を用いる開環重合によって調製する。PLA構造は、NMRによって確認する。ポリビニルアルコール(Mw=11KD〜31KD、85%が加水分解された)は、VWR scientificから購入する。これらを使用し、以下の溶液を調製する。
1.塩化メチレン中PLA−R848複合体(100mg/mL)
2.塩化メチレン中PLA−PEG−ニコチン(100mg/mL)
3.塩化メチレン中PLA(100mg/mL)
4.水中ペプチド(12mg/mL)、ペプチドは、配列:
TLLYVLFEVNNFTVSFWLRVPKVSASHLET(配列番号5)を有する
5.水中ポリビニルアルコール(50mg/mL)
【0160】
溶液#1(0.25〜0.75mL)、溶液#2(0.25mL)、溶液#3(0.25〜0.5mL)および溶液#4(0.1mL)を、小型バイアル内で混合し、混合物を、Branson Digital Sonifier 250を使用し、50%振幅で40秒間超音波処理する。このエマルジョンに溶液#5(2.0mL)を添加し、Branson Digital Sonifier 250を使用し、35%振幅、40秒間の超音波処理により、第2のエマルジョンを形成する。これを、リン酸塩緩衝溶液(30mL)を含有するビーカーに添加し、この混合物を室温で2時間撹拌し、ナノ粒子を形成する。粒子を洗浄するため、ナノ粒子分散体(dispersion)の一部(7.0mL)を、遠心管に移し、5,300gで1時間回転し、上清を除去し、ペレットを7.0mLのリン酸塩緩衝生理食塩水に再懸濁する。予想される最終のナノ粒子分散体が約10mg/mLであるように、遠心分離手順を繰り返し、ペレットを2.2mLのリン酸塩緩衝生理食塩水に再懸濁する。
【0161】
実施例9:本発明の組成物と担体タンパク質との複合(予想)
ペプチド(配列番号5)を、担体タンパク質CRM197への複合のため、C末端に、追加的なGly−CysでCysのC末端のチオール基を介して修飾する。CRM197は、その一次配列内に1つのアミノ酸変化を有するジフテリア毒素の非毒性突然変異体である。分子のアミノ酸位置52に存在するグリシンは、単一の核酸コドン変化を介してグルタミン酸と置換される。この変化に起因し、タンパク質は、ADP−リボシルトランスフェラーゼ活性が欠損し、非毒性になる。それは、58,408Daの分子量を有する。
【0162】
CRM197の遊離アミノ基は、過剰なブロモ酢酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(Sigma Chemical Co.(St.Loui、Mo.))との反応によってブロモアセチル化する。CRM197(15mg)は、1.0M NaHCO3(pH8.4)中に溶解し、氷で冷却する。ブロモ酢酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルの溶液(200μLのジメチルホルムアミド(DMF)中、15mg)をCRM197溶液に徐々に添加し、溶液を、暗所、室温で、緩やかに2時間混合する。次いで、得られたブロモアセチル化(活性化)タンパク質を、10K MWCO膜による透析を介する血液透析濾過(diafiltration)によって精製する。ブロモアセチル化の度合いを、活性化CRM197をシステインと反応させた後、アミノ酸分析および得られたカルボキシメチルシステイン(CMC)の定量を行うことによって判定した。
【0163】
ブロモアセチル化CRM197を、pH9.0で1M炭酸ナトリウム/重炭酸塩緩衝液中に溶解し、アルゴン下、2〜8℃で維持した。1M炭酸ナトリウム/重炭酸塩緩衝液(pH9.0)中のペプチド(TLLYVLFEVNNFTVSFWLRVPKVSASHLET−G−C(配列番号107;変更された配列番号5))(10mg)の溶液をブロモアセチル化CRM197溶液に添加し、混合物を、2〜8℃で15〜20時間撹拌する。次いで、残存するブロモアセチル基を、20倍モル過剰のN−アセチルシステアミンで、2〜8℃で4〜8時間キャッピングする。次いで、得られたペプチド−CRM197複合体を、0.01Mリン酸ナトリウム緩衝液/0.9%NaCl(pH7.0)に対する透析濾過による10K MWCO膜上での透析濾過により、室温で精製する。残余分のペプチド−CRM197複合体を回収し、SDS−PAGEにより、アミノ酸分析により、タンパク質含量について(LowryまたはMicro−BCA比色分析アッセイ)、またマウスにおける免疫原性について分析する。
【0164】
実施例10:本発明の組成物と抗原を含む従来のワクチンとの混合(予想)
PLAを、D,L−ラクチド(MW=約15KD〜18KD)を用いる開環重合によって調製する。PLA構造を、NMRによって確認する。ポリビニルアルコール(Mw=11KD〜31KD、87〜89%が加水分解された)は、VWR scientificから購入する。これらを使用し、以下の溶液を調製する。
1.塩化メチレン中PLA(100mg/mL)
2.塩化メチレン中PLA−PEG(100mg/mL)
3.水溶液中ペプチド(配列番号91の配列を有するペプチド)(10mg/mL)
4.水またはリン酸塩緩衝液中ポリビニルアルコール(50mg/mL)
【0165】
溶液#1(0.5〜1.0mL)、溶液#2(0.25〜0.5mL)、および溶液#3(0.05〜0.3mL)を、ガラス製プレッシャーチューブ内で混合し、混合物を、Branson Digital Sonifier 250を使用し、50%振幅で40秒間超音波処理する。このエマルジョンに溶液#4(2.0〜3.0mL)を添加し、Branson Digital Sonifier 250を使用し、30%振幅、40〜60秒間の超音波処理により、第2のエマルジョンを形成する。これを、リン酸塩緩衝溶液(30mL)を含有するビーカーに添加し、この混合物を室温で2時間撹拌し、ナノ担体を形成する。粒子を洗浄するため、ナノ担体分散体の一部(27.0〜30.0mL)を、遠心管に移し、21,000gで45分間回転し、上清を除去し、ペレットを30.0mLのリン酸塩緩衝生理食塩水に再懸濁する。遠心分離手順を繰り返し、ペレットを8.1−9.3mLのリン酸塩緩衝生理食塩水に再懸濁する。
【0166】
一定分量4mLの懸濁された合成ナノ担体を遠心分離し、合成ナノ担体を静置する。上清を廃棄し、0.5mLの懸濁液Fluarix(登録商標)三価インフルエンザウイルスワクチンを添加する。混合ワクチンを撹拌し、ナノ担体を再懸濁し、得られた懸濁液を、使用前に−20℃で保存する。
【0167】
実施例11:本発明の組成物と金ナノ担体とのカップリング(予想)
ステップ1:金ナノ担体(AuNC)の形成:500mLの1mM HAuCl4の水溶液を加熱し、コンデンサを備えた1Lの丸底フラスコ内で、激しく撹拌しながら10分間還流する。次いで、50mLの40mMクエン酸三ナトリウムの溶液を、撹拌溶液に速やかに添加する。得られた深いワインレッド溶液を還流下で25〜30分間保持し、熱を回収し、溶液を室温まで冷却する。次いで、溶液を0.8μmの膜フィルタを通して濾過し、AuNC溶液を得る。AuNCを、可視分光学および伝導電子顕微鏡を使用して特徴づける。AuNCは、直径が約20nmであり、クエン酸塩によってキャッピングされ、520nmで吸収ピークを有する。
【0168】
ステップ2:AuNCへの直接的ペプチド複合:実施例9のC末端ペプチド(C末端システインを有する配列番号5のペプチド)を、AuNCに以下のようにしてカップリングする。ペプチド145μlの溶液(10mM(pH9.0)炭酸塩緩衝液中、10μΜ)を、1mLの20nm直径のクエン酸塩でキャッピングされた金ナノ粒子(1.16nM)に添加し、チオール対金のモル比2500:1を得る。混合物を、アルゴン下、室温で1時間撹拌し、金ナノ粒子上でチオールとクエン酸塩との完全な交換を可能にする。次いで、ペプチド−AuNC複合体を、12,000gで30分間の遠心分離によって精製する。さらなる分析およびバイオアッセイのため、上清をデカントし、ペプチド−AuNCを含有するペレットを、WFI水1mLに再懸濁する。
【0169】
実施例12:実施例5の修飾組成物を使用する合成ナノ担体
レシキモド(別名R848)は、米国特許第5,389,640号明細書(Gersterらに付与)の実施例99中に提供される合成に従って合成し、アミドリンカーを使用し、PLGAに複合し、PLGA−R848を形成した。PLGA(IV0.10dL/g)およびPLA(IV0.21dL/g)は、Lakeshore Biomaterialsから購入した。PLA−PEG−ニコチン複合体は、従来の複合方法を用い、Selecta Biosciencesにて調製した。ポリビニルアルコール(Mw=11KD〜31KD、87〜89%が加水分解された)は、JT Bakerから購入した。
【0170】
これらを使用し、以下の溶液を調製した。
1.塩化メチレン中PLGA−R848(100mg/mL)
2.塩化メチレン中PLA−PEG−ニコチン(100mg/mL)
3.塩化メチレン中PLA(100mg/mL)
4.10%DMSO、50%乳酸USP、および40%水からなる溶液中ペプチド(10mg/mL)、ペプチドは、配列:EESTLLYVLFEVKVSVRQSIALSSLMVAQK(配列番号71)を有する
5.pH8のリン酸塩緩衝液中ポリビニルアルコール(50mg/mL)
【0171】
小容器内で、溶液#1(0.5mL)、溶液#2(0.25mL)および溶液#3(0.25mL)を混合し、溶液#4(0.25mL)を添加し、混合物を、Branson Digital Sonifier 250を使用し、50%振幅で40秒間超音波処理した。このエマルジョンに溶液#5(2.0mL)を添加した。混合物を、Branson Digital Sonifier 250を使用し、30%振幅で40秒間超音波処理し、第2のエマルジョンを形成した。次いで、このエマルジョンを、70mM(pH8)リン酸塩緩衝溶液(30mL)を含有する50mLの撹拌ビーカーに添加し、次いで室温で2時間撹拌し、合成ナノ担体を形成した。
【0172】
合成ナノ担体を洗浄するため、合成ナノ担体分散体の一部(27.5mL)を、50mLの遠心管に移し、4℃、9500rpm(13,800g)で1時間回転し、上清を除去し、ペレットを27.5mLのPBS(リン酸塩緩衝生理食塩水)に再懸濁した。合成ナノ担体分散体の設定濃度が10mg/mLであるため、遠心分離に基づく洗浄手順を繰り返し、ペレットを8.5gのリン酸塩緩衝生理食塩水に再懸濁した。実濃度の重量測定を行い、その後、濃度をPBS中で5mg/mLに調整した。
【0173】
合成ナノ担体調合物の免疫原性を、C57BL6マウスにおける接種試験によって判定した。接種は、0日目のプライミングに続き、14および28日目の追加免疫(boost)といったスケジュールに従い、ナイーブC57BL6マウス(5マウス/群)の後足蹠皮下に行った。各接種においては、全部で100μgのナノ担体を、後肢あたり50μgで注射した。26、40、55、および67日目、血清を採取した。血清についての抗ニコチン抗体力価を、EC50値として測定した。同様に、対照群に、陽性対照として既知のマウスMHCII結合ペプチド(オバルブミン323〜339アミド)を組み込むかまたはMHCII結合ペプチドを全く有しない、同じ高分子製剤の合成ナノ担体を使用し、接種した。データを図13に示す。
【0174】
実施例13:本発明の組成物を使用する合成ナノ担体
PLGA(5050DLG2.5A、IV0.25dL/g)は、Lakeshore Biomaterialsから購入した。PLA−PEG−ニコチン複合体を、Selecta Biosciencesにて調製した。ポリビニルアルコール(Mw=11KD〜31KD、87〜89%が加水分解された)は、JT Bakerから購入した。
【0175】
これらを使用し、以下の溶液を調製した。
1.塩化メチレン中PLGA(100mg/mL)
2.塩化メチレン中PLA−PEG−ニコチン(100mg/mL)
3.水中10%DMSOからなる溶媒中ペプチド(4mg/mL)、ペプチドは、配列:ILMQYIKANSKFIGIPMGLPQSIALSSLMVAQ(配列番号13)を有する
4.pH8のリン酸塩緩衝液中ポリビニルアルコール(50mg/mL)
【0176】
小容器内で、溶液#1(0.375mL)および溶液#3(0.125mL)を混合し、0.50mLの塩化メチレンで希釈した後、溶液#3(0.25mL)を添加し、混合物を、Branson Digital Sonifier 250を使用し、50%振幅で40秒間超音波処理した。このエマルジョンに溶液#4(3.0mL)を添加した。混合物を、Branson Digital Sonifier 250を使用し、30%振幅で60秒間超音波処理し、第2のエマルジョンを形成した。次いで、このエマルジョンを、70mM(pH8)リン酸塩緩衝溶液(30mL)を含有する50mLの撹拌ビーカーに添加し、次いで室温で2時間撹拌し、合成ナノ担体を形成した。
【0177】
粒子を洗浄するため、合成ナノ担体分散体の一部(29mL)を、50mLの遠心管に移し、4℃、21,000rcfで45分間回転し、上清を除去し、ペレットを29mLのPBS(リン酸塩緩衝生理食塩水)に再懸濁した。合成ナノ担体分散体の設定濃度が10mg/mLであるため、遠心分離に基づく洗浄手順を繰り返し、ペレットを4.4gのPBSに再懸濁した。実濃度の重量測定を行い、その後、濃度をPBS中で5mg/mLに調整した。
【0178】
合成ナノ担体調合物の免疫原性を、BALB/cマウスにおける接種試験によって判定した。合成ナノ担体は、注射の直前に、マウス−活性CpGアジュバントPS−1826の溶液と混合した。接種は、0日目のプライミングに続き、14および28日目の追加免疫といったスケジュールに従い、ナイーブBALB/cマウス(5マウス/群)の後足蹠皮下に行った。各接種においては、全部で100μgの合成ナノ担体および20μgのPS−1826を、後肢間に等間隔に注射した。26および40日目、血清を採取した。血清についての抗ニコチン抗体力価を、EC50値として測定した。同様に、対照群に、既知のマウスMHCII結合ペプチド(オバルブミン323〜339アミド)を組み込んだ陽性対照の合成ナノ担体、およびMHCII結合ペプチドが欠如した陰性対照のナノ担体を有する類似の高分子製剤の合成ナノ担体を使用し、接種した。結果を図14に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A−x−B、および
医薬的に許容できる賦形剤を含み、
ここで、xは、リンカーを含むかまたはリンカーを全く含まず、
ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、
ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、かつ、
ここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない、
組成物。
【請求項2】
xは、アミドリンカー、ジスルフィドリンカー、硫化物リンカー、1,4−二置換1,2,3−トリアゾールリンカー、チオールエステルリンカー、ヒドラジドリンカー、イミンリンカー、チオ尿素リンカー、アミジンリンカー、またはアミンリンカーを含むリンカーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
xは、ペプチド配列、リソソームプロテアーゼ切断部位、生分解性ポリマー、置換もしくは未置換アルカン、アルケン、芳香族もしくは複素環リンカー、pH感受性ポリマー、ヘテロ二官能性リンカーまたはオリゴマーグリコールスペーサーを含むリンカーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
xは、リンカーを全く含まず、かつAおよびBは、前記組成物中に存在する混合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するペプチドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも90%の同一性を有するペプチドを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するペプチドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも90%の同一性を有するペプチドを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するペプチドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも90%の同一性を有するペプチドを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するペプチドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも90%の同一性を有するペプチドを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するペプチドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも90%の同一性を有するペプチドを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するペプチドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも90%の同一性を有するペプチドを含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記第1のMHCII結合ペプチドは、5−mer〜50−merの範囲の長さを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記第1のMHCII結合ペプチドは、5−mer〜30−merの範囲の長さを有する、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記第1のMHCII結合ペプチドは、6−mer〜25−merの範囲の長さを有する、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記第2のMHCII結合ペプチドは、5−mer〜50−merの範囲の長さを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記第2のMHCII結合ペプチドは、5−mer〜30−merの範囲の長さを有する、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記第2のMHCII結合ペプチドは、6−mer〜25−merの範囲の長さを有する、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記天然HLA−DP結合ペプチドは、破傷風菌(Clostridium tetani)、B型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、種痘ウイルス、エプスタイン−バーウイルス、水疱瘡ウイルス、麻疹ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ムンプスウイルス、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、ヒトアデノウイルス(Human adenoviridae)、天然痘ウイルス、または、ヒトへの感染能を有し、かつ感染の開始後に感染性生物に特異的なヒトCD4+記憶細胞を生成する前記感染性生物、から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記天然HLA−DQ結合ペプチドは、破傷風菌(Clostridium tetani)、B型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、種痘ウイルス、エプスタイン−バーウイルス、水疱瘡ウイルス、麻疹ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ムンプスウイルス、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、ヒトアデノウイルス(Human adenoviridae)、天然痘ウイルス、または、ヒトへの感染能を有し、かつ感染の開始後に感染性生物に特異的なヒトCD4+記憶細胞を生成する前記感染性生物、から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記天然HLA−DR結合ペプチドは、破傷風菌(Clostridium tetani)、B型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、種痘ウイルス、エプスタイン−バーウイルス、水疱瘡ウイルス、麻疹ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ムンプスウイルス、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、ヒトアデノウイルス(Human adenoviridae)、天然痘ウイルス、または、ヒトへの感染能を有し、かつ感染の開始後に感染性生物に特異的なヒトCD4+記憶細胞を生成する前記感染性生物、から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
AおよびBは、異なる感染性生物から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
AおよびBは、同一の感染性生物から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
AおよびBは、異なるMHCII結合レパートリーを有するペプチドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
A、x、またはBは、A−x−Bの水溶解度を増大させる配列または化学修飾を含み、ここで、前記配列または化学修飾は、親水性Nおよび/またはC末端アミノ酸、疎水性Nおよび/またはC末端アミノ酸の付加、約7.4のpIを得て、かつ約pH3.0で正の正味電荷を得るためのアミノ酸の置換、ならびに再配列を受けやすいアミノ酸の置換を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
前記組成物は、
A−x−B−y−C、および
医薬的に許容できる賦形剤
を含み、
ここで、yは、リンカーを含むかまたはリンカーを全く含まなくてもよく、
ここで、Cは、第3のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第3のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、かつ
ここで、A、B、およびCは、互いに100%の同一性を有しない、
請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
yは、アミドリンカー、ジスルフィドリンカー、硫化物リンカー、1,4−二置換1,2,3−トリアゾールリンカー、チオールエステルリンカー、ヒドラジドリンカー、イミンリンカー、チオ尿素リンカー、アミジンリンカー、またはアミンリンカーを含むリンカーを含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
yは、ペプチド配列、リソソームプロテアーゼ切断部位、生分解性ポリマー、置換もしくは未置換アルカン、アルケン、芳香族もしくは複素環リンカー、pH感受性ポリマー、ヘテロ二官能性リンカーまたはオリゴマーグリコールスペーサーを含むリンカーを含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項33】
yは、リンカーを全く含まず、かつA−x−BおよびCは、前記組成物中に存在する混合物を含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項34】
前記第3のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するペプチドを含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項35】
前記第3のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも90%の同一性を有するペプチドを含む、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記第3のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するペプチドを含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項37】
前記第3のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも90%の同一性を有するペプチドを含む、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記第3のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するペプチドを含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項39】
前記第3のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも90%の同一性を有するペプチドを含む、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記第3のMHCII結合ペプチドは、5−mer〜50−merの範囲の長さを有する、請求項30に記載の組成物。
【請求項41】
前記第3のMHCII結合ペプチドは、5−mer〜30−merの範囲の長さを有する、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記第3のMHCII結合ペプチドは、6−mer〜25−merの範囲の長さを有する、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記天然HLA−DP結合ペプチドは、破傷風菌(Clostridium tetani)、B型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、種痘ウイルス、エプスタイン−バーウイルス、水疱瘡ウイルス、麻疹ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ムンプスウイルス、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、ヒトアデノウイルス(Human adenoviridae)、天然痘ウイルス、または、ヒトへの感染能を有し、かつ感染の開始後に感染性生物に特異的なヒトCD4+記憶細胞を生成する前記感染性生物、から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項44】
前記天然HLA−DQ結合ペプチドは、破傷風菌(Clostridium tetani)、B型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、種痘ウイルス、エプスタイン−バーウイルス、水疱瘡ウイルス、麻疹ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ムンプスウイルス、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、ヒトアデノウイルス(Human adenoviridae)、天然痘ウイルス、または、ヒトへの感染能を有し、かつ感染の開始後に感染性生物に特異的なヒトCD4+記憶細胞を生成する前記感染性生物、から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項45】
前記天然HLA−DR結合ペプチドは、破傷風菌(Clostridium tetani)、B型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、種痘ウイルス、エプスタイン−バーウイルス、水疱瘡ウイルス、麻疹ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ムンプスウイルス、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、ヒトアデノウイルス(Human adenoviridae)、天然痘ウイルス、または、ヒトへの感染能を有し、かつ感染の開始後に感染性生物に特異的なヒトCD4+記憶細胞を生成する前記感染性生物、から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項46】
A、B、およびCのそれぞれは、異なる感染性生物から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項47】
A、B、およびCのそれぞれは、同一の感染性生物から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項48】
A、B、およびCのそれぞれは、異なるMHCII結合レパートリーを有するペプチドを含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項49】
A、x、B、y、またはCは、A−x−B−y−Cの水溶解度を増大させる配列または化学修飾を含み、ここで、前記配列または化学修飾は、親水性Nおよび/またはC末端アミノ酸、疎水性Nおよび/またはC末端アミノ酸の付加、約7.4のpIを得て、かつ約pH3.0で正の正味電荷を得るためのアミノ酸の置換、ならびに再配列を受けやすいアミノ酸の置換を含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項50】
A−x−B、および
医薬的に許容できる賦形剤
を含む組成物であって、
ここで、xは、リンカーを含むかまたはリンカーを全く含まず、
ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、
ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、かつ
ここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない、
組成物。
【請求項51】
A−x−B、および
医薬的に許容できる賦形剤
を含む組成物であって、
ここで、xは、リンカーを含むかまたはリンカーを全く含まず、
ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、
ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、かつ
ここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない、
組成物。
【請求項52】
A−x−B、および
医薬的に許容できる賦形剤
を含む組成物であって、
ここで、xは、リンカーを含むかまたはリンカーを全く含まず、
ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、
ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、かつ
ここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない、
組成物。
【請求項53】
A−x−B、および
医薬的に許容できる賦形剤
を含む組成物であって、
ここで、xは、アミドリンカー、ジスルフィドリンカー、硫化物リンカー、1,4−二置換1,2,3−トリアゾールリンカー、チオールエステルリンカー、ヒドラジドリンカー、イミンリンカー、チオ尿素リンカー、アミジンリンカー、またはアミンリンカーを含むリンカーを含み、
ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、
ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、かつ
ここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない、
組成物。
【請求項54】
A−x−B、および
医薬的に許容できる賦形剤
を含む組成物であって、
ここで、xは、ペプチド配列、リソソームプロテアーゼ切断部位、生分解性ポリマー、置換もしくは未置換アルカン、アルケン、芳香族もしくは複素環リンカー、pH感受性ポリマー、ヘテロ二官能性リンカーまたはオリゴマーグリコールスペーサーを含むリンカーを含み、
ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、
ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、かつ
ここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない、
組成物。
【請求項55】
A−x−Bを含む組成物をコードする1つまたは複数の単離核酸を含む組成物であって、ここで、2つ以上の単離核酸が存在する場合、前記単離核酸は、A−x−Bを含む前記組成物をともにコードし、
ここで、xは、リンカーを全く含まないか、アミドリンカーを含むかまたはペプチドリンカーを含み、
ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、
ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、かつ
ここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない、
組成物。
【請求項56】
xは、リソソームプロテアーゼ切断部位を含むペプチドリンカーである、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
xは、リンカーでなく、かつAおよびBはそれぞれ、前記組成物中の別々の単離核酸によってコードされる、請求項55に記載の組成物。
【請求項58】
xは、リンカーでなく、かつAおよびBは、前記組成物中の同じ単離核酸によってコードされる、請求項55に記載の組成物。
【請求項59】
前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するペプチドを含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項60】
前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも90%の同一性を有するペプチドを含む、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するペプチドを含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項62】
前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも90%の同一性を有するペプチドを含む、請求項61に記載の組成物。
【請求項63】
前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するペプチドを含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項64】
前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも90%の同一性を有するペプチドを含む、請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するペプチドを含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項66】
前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも90%の同一性を有するペプチドを含む、請求項65に記載の組成物。
【請求項67】
前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するペプチドを含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項68】
前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも90%の同一性を有するペプチドを含む、請求項67に記載の組成物。
【請求項69】
前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するペプチドを含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項70】
前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも90%の同一性を有するペプチドを含む、請求項69に記載の組成物。
【請求項71】
前記第1のMHCII結合ペプチドは、5−mer〜50−merの範囲の長さを有する、請求項55に記載の組成物。
【請求項72】
前記第1のMHCII結合ペプチドは、5−mer〜30−merの範囲の長さを有する、請求項71に記載の組成物。
【請求項73】
前記第1のMHCII結合ペプチドは、6−mer〜25−merの範囲の長さを有する、請求項72に記載の組成物。
【請求項74】
前記第2のMHCII結合ペプチドは、5−mer〜50−merの範囲の長さを有する、請求項55に記載の組成物。
【請求項75】
前記第2のMHCII結合ペプチドは、5−mer〜30−merの範囲の長さを有する、請求項74に記載の組成物。
【請求項76】
前記第2のMHCII結合ペプチドは、6−mer〜25−merの範囲の長さを有する、請求項75に記載の組成物。
【請求項77】
前記天然HLA−DP結合ペプチドは、破傷風菌(Clostridium tetani)、B型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、種痘ウイルス、エプスタイン−バーウイルス、水疱瘡ウイルス、麻疹ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ムンプスウイルス、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、ヒトアデノウイルス(Human adenoviridae)、天然痘ウイルス、または、ヒトへの感染能を有し、かつ感染の開始後に感染性生物に特異的なヒトCD4+記憶細胞を生成する前記感染性生物、から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項78】
前記天然HLA−DQ結合ペプチドは、破傷風菌(Clostridium tetani)、B型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、種痘ウイルス、エプスタイン−バーウイルス、水疱瘡ウイルス、麻疹ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ムンプスウイルス、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、ヒトアデノウイルス(Human adenoviridae)、天然痘ウイルス、または、ヒトへの感染能を有し、かつ感染の開始後に感染性生物に特異的なヒトCD4+記憶細胞を生成する前記感染性生物、から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項79】
前記天然HLA−DR結合ペプチドは、破傷風菌(Clostridium tetani)、B型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、種痘ウイルス、エプスタイン−バーウイルス、水疱瘡ウイルス、麻疹ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ムンプスウイルス、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、ヒトアデノウイルス(Human adenoviridae)、天然痘ウイルス、または、ヒトへの感染能を有し、かつ感染の開始後に感染性生物に特異的なヒトCD4+記憶細胞を生成する前記感染性生物、から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項80】
AおよびBは、異なる感染性生物から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項81】
AおよびBは、同一の感染性生物から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項82】
AおよびBは、異なるMHCII結合レパートリーを有するペプチドを含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項83】
A、x、またはBは、A−x−Bの水溶解度を増大させる配列または化学修飾を含み、ここで、前記配列または化学修飾は、親水性Nおよび/またはC末端アミノ酸、疎水性Nおよび/またはC末端アミノ酸の付加、約7.4のpIを得て、かつ約pH3.0で正の正味電荷を得るためのアミノ酸の置換、ならびに再配列を受けやすいアミノ酸の置換を含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項84】
前記組成物は、
A−x−B−y−Cを含む組成物をコードする1つまたは複数の単離核酸を含み、ここで、2つ以上の単離核酸が存在する場合、前記単離核酸は、A−x−B−y−Cを含む前記組成物をともにコードし、
ここで、yは、アミドリンカーであるか、リンカーでないか、またはペプチドリンカーであり、
ここで、Cは、第3のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第3のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、かつ
ここで、A、B、およびCは、互いに100%の同一性を有しない、
請求項55に記載の組成物。
【請求項85】
yは、リソソームプロテアーゼ切断部位を含むペプチドリンカーである、請求項84に記載の組成物。
【請求項86】
yは、リンカーでなく、かつA−x−BおよびCは、前記組成物中の2つ以上の別々の単離核酸によってコードされる、請求項84に記載の組成物。
【請求項87】
xは、アミドリンカーまたはペプチドリンカーであり、かつA−x−BおよびCは、前記組成物中の別々の単離核酸によってコードされる、請求項86に記載の組成物。
【請求項88】
xは、アミドリンカーまたはペプチドリンカーであり、かつA−x−BおよびCは、前記組成物中の同じ単離核酸によってコードされる、請求項86に記載の組成物。
【請求項89】
xは、リンカーでなく、かつA、BおよびCはそれぞれ、前記組成物中の別々の単離核酸によってコードされる、請求項84に記載の組成物。
【請求項90】
xは、リンカーでなく、かつA、BおよびCは、前記組成物中の同じ単離核酸によってコードされる、請求項84に記載の組成物。
【請求項91】
xは、リンカーでなく、かつAおよびBは、前記組成物中の同じ単離核酸によってコードされ、かつCは、別々の単離核酸によってコードされる、請求項84に記載の組成物。
【請求項92】
xは、リンカーでなく、かつAおよびCは、前記組成物中の同じ単離核酸によってコードされ、かつBは、別々の単離核酸によってコードされる、請求項84に記載の組成物。
【請求項93】
Yは、リンカーでなく、かつA−x−BおよびCは、前記組成物中の同じ単離核酸によってコードされる、請求項84に記載の組成物。
【請求項94】
前記第3のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するペプチドを含む、請求項84に記載の組成物。
【請求項95】
前記第3のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも90%の同一性を有するペプチドを含む、請求項94に記載の組成物。
【請求項96】
前記第3のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するペプチドを含む、請求項84に記載の組成物。
【請求項97】
前記第3のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも90%の同一性を有するペプチドを含む、請求項96に記載の組成物。
【請求項98】
前記第3のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するペプチドを含む、請求項84に記載の組成物。
【請求項99】
前記第3のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも90%の同一性を有するペプチドを含む、請求項98に記載の組成物。
【請求項100】
前記第3のMHCII結合ペプチドは、5−mer〜50−merの範囲の長さを有する、請求項84に記載の組成物。
【請求項101】
前記第3のMHCII結合ペプチドは、5−mer〜30−merの範囲の長さを有する、請求項100に記載の組成物。
【請求項102】
前記第3のMHCII結合ペプチドは、6−mer〜25−merの範囲の長さを有する、請求項101に記載の組成物。
【請求項103】
前記天然HLA−DP結合ペプチドは、破傷風菌(Clostridium tetani)、B型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、種痘ウイルス、エプスタイン−バーウイルス、水疱瘡ウイルス、麻疹ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ムンプスウイルス、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、ヒトアデノウイルス(Human adenoviridae)、天然痘ウイルス、または、ヒトへの感染能を有し、かつ感染の開始後に感染性生物に特異的なヒトCD4+記憶細胞を生成する前記感染性生物、から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む、請求項84に記載の組成物。
【請求項104】
前記天然HLA−DQ結合ペプチドは、破傷風菌(Clostridium tetani)、B型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、種痘ウイルス、エプスタイン−バーウイルス、水疱瘡ウイルス、麻疹ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ムンプスウイルス、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、ヒトアデノウイルス(Human adenoviridae)、天然痘ウイルス、または、ヒトへの感染能を有し、かつ感染の開始後に感染性生物に特異的なヒトCD4+記憶細胞を生成する前記感染性生物、から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む、請求項84に記載の組成物。
【請求項105】
前記天然HLA−DR結合ペプチドは、破傷風菌(Clostridium tetani)、B型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、種痘ウイルス、エプスタイン−バーウイルス、水疱瘡ウイルス、麻疹ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ムンプスウイルス、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、ヒトアデノウイルス(Human adenoviridae)、天然痘ウイルス、または、ヒトへの感染能を有し、かつ感染の開始後に感染性生物に特異的なヒトCD4+記憶細胞を生成する前記感染性生物、から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む、請求項84に記載の組成物。
【請求項106】
A、B、およびCはそれぞれ、異なる感染性生物から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む、請求項84に記載の組成物。
【請求項107】
A、B、およびCはそれぞれ、同一の感染性生物から得られるかまたは誘導されるペプチド配列を含む、請求項84に記載の組成物。
【請求項108】
A、B、およびCはそれぞれ、異なるMHCII結合レパートリーを有するペプチドを含む、請求項84に記載の組成物。
【請求項109】
A−x−Bを含む組成物をコードする1つまたは複数の単離核酸を含む組成物であって、ここで、2つ以上の単離核酸が存在する場合、前記単離核酸は、A−x−Bを含む前記組成物をともにコードし、
ここで、xは、アミドリンカーであるか、リンカーでないか、またはペプチドリンカーであり、
ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、
ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、かつ
ここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない、
組成物。
【請求項110】
A−x−Bを含む組成物をコードする1つまたは複数の単離核酸を含む組成物であって、ここで、2つ以上の単離核酸が存在する場合、前記単離核酸は、A−x−Bを含む前記組成物をともにコードし、
ここで、xは、アミドリンカーであるか、リンカーでないか、またはペプチドリンカーであり、
ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、
ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、かつ
ここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない、
組成物。
【請求項111】
A−x−Bを含む組成物をコードする1つまたは複数の単離核酸を含む組成物であって、ここで、2つ以上の単離核酸が存在する場合、前記単離核酸は、A−x−Bを含む前記組成物をともにコードし、
ここで、xは、アミドリンカーであるか、リンカーでないか、またはペプチドリンカーであり、
ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、
ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、かつ
ここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない、
組成物。
【請求項112】
A−x−Bを含む組成物をコードする1つまたは複数の単離核酸を含む組成物であって、ここで、2つ以上の単離核酸が存在する場合、前記単離核酸は、A−x−Bを含む前記組成物をともにコードし、
ここで、xは、アミドリンカーであり、
ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、
ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、かつ
ここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない、
組成物。
【請求項113】
A−x−Bを含む組成物をコードする1つまたは複数の単離核酸を含む組成物であって、ここで、2つ以上の単離核酸が存在する場合、前記単離核酸は、A−x−Bを含む前記組成物をともにコードし、
ここで、xは、リソソームプロテアーゼ切断部位を含むペプチドリンカーであり、
ここで、Aは、第1のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第1のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、
ここで、Bは、第2のMHCII結合ペプチドを含み、かつ前記第2のMHCII結合ペプチドは、天然HLA−DP結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、天然HLA−DQ結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド、または天然HLA−DR結合ペプチドに対して少なくとも70%の同一性を有するペプチドを含み、かつ
ここで、AおよびBは、互いに100%の同一性を有しない、
組成物。
【請求項114】
請求項55〜113のいずれか一項に記載の1つまたは複数の単離核酸の完全長相補体である1つまたは複数の単離核酸を含む組成物。
【請求項115】
前記1つまたは複数の単離核酸は、DNAまたはRNAである、請求項55〜113のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項116】
請求項1、30、または55に記載の組成物を含む合成ナノ担体を含む組成物。
【請求項117】
1つまたは複数の抗原をさらに含む、請求項116に記載の組成物。
【請求項118】
請求項1、30、または55に記載の組成物の少なくとも一部は、前記合成ナノ担体の表面上に存在する、請求項116に記載の組成物。
【請求項119】
請求項1、30、または55に記載の組成物の少なくとも一部は、前記合成ナノ担体によってカプセル化される、請求項116に記載の組成物。
【請求項120】
請求項1、30、または55に記載の組成物を含むワクチン
を含む剤形。
【請求項121】
抗原をさらに含む、請求項120に記載の剤形。
【請求項122】
アジュバントをさらに含む、請求項120に記載の剤形。
【請求項123】
前記ワクチンは、合成ナノ担体を含む、請求項120に記載の剤形。
【請求項124】
前記ワクチンは、請求項1に記載の組成物に複合された担体を含む、請求項120に記載の剤形。
【請求項125】
ポリペプチドを含む組成物であって、その配列は、(配列番号1〜46として示される)以下のアミノ酸配列、すなわち
NNFTVSFWLRVPKVSASHLET(配列番号1)(21,TT317557(950−969));
TLLYVLFEV(配列番号2)(9,AdVhex64950(913−921));
ILMQYIKANSKFIGI(配列番号3)(15,TT27213(830−841));
QSIALSSLMVAQAIPLVGEL(配列番号4)(20,DT52336(331−350));
TLLYVLFEVNNFTVSFWLRVPKVSASHLET(配列番号5)(30,AdVTT950);
TLLYVLFEVILMQYIKANSKFIGI(配列番号6)(24,AdVTT830);
ILMQYIKANSKFIGIQSIALSSLMVAQAIPLVGEL(配列番号7)(35,TT830DT);
QSIALSSLMVAQAIPLVGELILMQYIKANSKFIGI(配列番号8)(35,DTTT830);
ILMQYIKANSKFIGIQSIALSSLMVAQ(配列番号9)(27,TT830DTtrunc);
QSIALSSLMVAQAIILMQYIKANSKFIGI(配列番号10)(29,DTtruncTT830);
TLLYVLFEVPMGLPILMQYIKANSKFIGI(配列番号11)(29,AdVpmglpiTT830);
TLLYVLFEVKVSVRILMQYIKANSKFIGI(配列番号12)(29,AdVkvsvrTT830);
ILMQYIKANSKFIGIPMGLPQSIALSSLMVAQ(配列番号13)(32,TT830pmglpDTTrunc);
ILMQYIKANSKFIGIKVSVRQSIALSSLMVAQ(配列番号14)(32,TT830kvsvrDTTrunc1);
TLLYVLFEVQSIALSSLMVAQ(配列番号15)(21,AdVDTt);
TLLYVLFEVpmglpQSIALSSLMVAQ(配列番号16)(26,AdVpDTt);
TLLYVLFEVkvsvrQSIALSSLMVAQ(配列番号17)(26,AdVkDTt);
TLLYVLFEVpmglpNNFTVSFWLRVPKVSASHLET(配列番号18)(35,AdVpTT950);
TLLYVLFEVkvsvrNNFTVSFWLRVPKVSASHLET(配列番号19)(35,AdVkTT950);
ILMQYIKANSKFIGIQSIALSSLMVAQTLLYVLFEV(配列番号20)(36,TT830DTtAdV);
TLLYVLFEVILMQYIKANSKFIGIQSIALSSLMVAQ(配列番号21)(36,AdVTT830DTt);
QSIALSSLMVAQAIPLV(配列番号22)(17,DTt−3);
IDKISDVSTIVPYIGPALNI(配列番号23)(20,TT632)
QSIALSSLMVAQAIPLVIDKISDVSTIVPYIGPALNI(配列番号24)(37,DTt−3TT632);
IDKISDVSTIVPYIGPALNIQSIALSSLMVAQAIPLV(配列番号25)(37,TT632DTt−3);
QSIALSSLMVAQAIPLVpmglpIDKISDVSTIVPYIGPALNI(配列番号26)(43,DTt−3pTT632);
IDKISDVSTIVPYIGPALNIpmglpQSIALSSLMVAQAIPLV(配列番号27)(43,TT632pDTt−3);
YVKQNTLKLAT(配列番号28)(11,minX);
CYPYDVPDYASLRSLVASS(配列番号29)(19,7430);
NAELLVALENQHTI(配列番号30)(14,31201t);
TSLYVRASGRVTVSTK(配列番号31)(16,66325);
EKIVLLFAIVSLVKSDQICI(配列番号32)(20,ABW1);
QILSIYSTVASSLALAIMVA(配列番号33)(20,ABW2);
MVTGIVSLMLQIGNMISIWVSHSI(配列番号34)(24,ABP);
EDLIFLARSALILRGSV(配列番号35)(17,AAT);
CSQRSKFLLMDALKLSIED(配列番号36)(19,AAW);
IRGFVYFVETLARSICE(配列番号37)(14,IRG);
TFEFTSFFYRYGFVANFSMEL(配列番号38)(21,TFE);
LIFLARSALILRkvsvrNAELLVALENQHTI(配列番号39)(31,AATk3120t);
NAELLVALENQHTIkvsvrLIFLARSALILR(配列番号40)(31,3120tkAAT);
ILSIYSTVASSLALAIkvsvrLIFLARSALILR(配列番号41)(33,ABW2kAAT);
LIFLARSALILRkvsvrILSIYSTVASSLALAI(配列番号42)(33,AATkABW2);
LIFLARSALILRkvsvrCSQRSKFLLMDALKL(配列番号43)(32,AATkAAW);
CSQRSKFLLMDALKLkvsvrLIFLARSALILR(配列番号44)(32,AAWkAAT);
TFEFTSFFYRYGFVANFSMELIRGFVYFVETLARSICE(配列番号45)(38,TFEIRG);または
IRGFVYFVETLARSICETFEFTSFFYRYGFVANFSMEL(配列番号46)(38,IRGTFE)
のいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組成物。
【請求項126】
前記ポリペプチドの配列は、配列番号1〜46として示されるアミノ酸配列のいずれか1つに対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項125に記載の組成物。
【請求項127】
前記ポリペプチドの配列は、配列番号1〜46として示されるアミノ酸配列のいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項126に記載の組成物。
【請求項128】
前記ポリペプチドの配列は、配列番号1〜46として示されるアミノ酸配列のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項125に記載の組成物。
【請求項129】
ポリペプチドをコードする単離核酸を含む組成物であって、前記ポリペプチドの配列は、配列番号1〜46として示されるアミノ酸配列のいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組成物。
【請求項130】
前記ポリペプチドの配列は、配列番号1〜46として示されるアミノ酸配列のいずれか1つに対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項129に記載の組成物。
【請求項131】
前記ポリペプチドの配列は、配列番号1〜46として示されるアミノ酸配列のいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項130に記載の組成物。
【請求項132】
前記ポリペプチドの配列は、配列番号1〜46として示されるアミノ酸配列のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項130に記載の組成物。
【請求項133】
請求項129〜132のいずれか1項に記載の単離核酸の完全長相補体である単離核酸を含む組成物。
【請求項134】
単離核酸を含む組成物であって、前記単離核酸の配列は、(配列番号47〜68として示される)以下の核酸配列
TT950 NNFTVSFWLRVPKVSASHLET
C1:aataattttaccgttagcttttggttgagggttcctaaagtatctgctagtcatttagaa(配列番号47)AF154828 250−309
C2(ヒト):
aacaacttcaccgtgagcttctggctgagagtgcccaaggtgagcgccagccacctggagacc(配列番号48)

AdV TLLYVLFEV
C1:acgcttctctatgttctgttcgaagt(配列番号49)
FJ025931 20891−20917
C2(ヒト):
accctgctgtacgtgctgttcgaggtg(配列番号50)

TT830:ILMQYIKANSKFIGI
C1:attttaatgcagtatataaaagcaaattctaaatttataggtata(配列番号51)
X06214 2800−2844
C2(ヒト):
Atcctgatgcagtacatcaaggccaacagcaagttcatcggcatc(配列番号52)

DT:QSIALSSLMVAQAIPLVGEL
C1:caatcgatagctttatcgtctttaatggttgctcaagctataccattggtaggagagcta(配列番号53)
FJ858272 1066−1125
C2(ヒト):
cagagcatcgccctgagcagcctgatggtggcccaggccatccccctggtgggcgagctg(配列番号54)

AdVTT950:TLLYVLFEVNNFTVSFWLRVPKVSASHLET
C2(ヒト):
accctgctgtacgtgctgttcgaggtgaacaacttcaccgtgagcttctggctgagagtgcccaaggtgagcgccagccacctggagacc(配列番号55)

AdVTT830:TLLYVLFEVILMQYIKANSKFIGI
C2(ヒト):
accctgctgtacgtgctgttcgaggtgatcctgatgcagtacatcaaggccaacagcaagttcatcggcatc(配列番号56)

TT830DT:ILMQYIKANSKFIGIQSIALSSLMVAQAIPLVGEL
C2(ヒト):
atcctgatgcagtacatcaaggccaacagcaagttcatcggcatccagagcatcgccctgagcagcctgatggtggcccaggccatccccctggtgggcgagctg(配列番号57)

DTTT830:QSIALSSLMVAQAIPLVGELILMQYIKANSKFIGI
C2(ヒト):
cagagcatcgccctgagcagcctgatggtggcccaggccatccccctggtgggcgagctgatcctgatgcagtacatcaaggccaacagcaagttcatcggcatc(配列番号58)

TT830DTtrunc:ILMQYIKANSKFIGIQSIALSSLMVAQ
C2(ヒト):
atcctgatgcagtacatcaaggccaacagcaagttcatcggcatccagagcatcgccctgagcagcctgatggtggcccag(配列番号59)

DTtruncTT830:QSIALSSLMVAQAIILMQYIKANSKFIGI
C2(ヒト):
cagagcatcgccctgagcagcctgatggtggcccaggccatcatcctgatgcagtacatcaaggccaacagcaagttcatcggcatc(配列番号60)

AdVpmglpTT830:TLLYVLFEVPMG.LPILMQYIKANSKFIGI
C1(大腸菌(E.coli)):
accctgctgtatgtgctgtttgaagtgccgatgggcctgccgattctgatgcagtatattaaagcgaacagcaaatttattggcatt(配列番号61)
C2(ヒト):
accctgctgtacgtgctgttcgaggtgcccatgggcctgcccatcctgatgcagtacatcaaggccaacagcaagttcatcggcatc(配列番号62)

AdVkvsvrTT830:TLLYVLFEVKVS.VRILMQYIKANSKFIGI
C1(大腸菌(E.coli)):
accctgctgtatgtgctgtttgaagtgaaagtgagcgtgcgcattctgatgcagtatattaaagcgaacagcaaatttattggcatt(配列番号63)
C2(ヒト):
accctgctgtacgtgctgttcgaggtgaaggtgagcgtgagaatcctgatgcagtacatcaaggccaacagcaagttcatcggcatc(配列番号64)

TT830pmglpDTtrunc:ILMQYIKANSKFIGIPMG.LPQSIALSSLMVAQ
C1(大腸菌(E.coli)):
attctgatgcagtatattaaagcgaacagcaaatttattggcattccgatgggcctgccgcagagcattgcgctgagcagcctgatggtggcgcag(配列番号65)
C2(ヒト):
atcctgatgcagtacatcaaggccaacagcaagttcatcggcatccccatgggcctgccccagagcatcgccctgagcagcctgatggtggcccag(配列番号66)

TT830kvsvrDTtrunc:ILMQYIKANSKFIGIKVS.VRQSIALSSLMVAQ
C1(大腸菌(E.coli)):
attctgatgcagtatattaaagcgaacagcaaatttattggcattaaagtgagcgtgcgccagagcattgcgctgagcagcctgatggtggcgcag(配列番号67)
C2(ヒト):
atcctgatgcagtacatcaaggccaacagcaagttcatcggcatcaaggtgagcgtgagacagagcatcgccctgagcagcctgatggtggcccag(配列番号68)
のいずれか1つに対して少なくとも60%の同一性を有する核酸配列を含む、組成物。
【請求項135】
前記単離核酸の配列は、配列番号47〜68として示される核酸配列のいずれか1つに対して少なくとも70%の同一性を有する、請求項134に記載の組成物。
【請求項136】
前記単離核酸の配列は、配列番号47〜68として示される核酸配列のいずれか1つに対して少なくとも80%の同一性を有する、請求項135に記載の組成物。
【請求項137】
前記単離核酸の配列は、配列番号47〜68として示される核酸配列のいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項136に記載の組成物。
【請求項138】
前記単離核酸の配列は、配列番号47〜68として示される核酸配列のいずれか1つの核酸配列を含む、請求項134に記載の組成物。
【請求項139】
請求項134〜138のいずれか一項に記載の単離核酸の完全長補体である単離核酸を含む組成物。
【請求項140】
請求項125に記載の組成物を含む合成ナノ担体
を含む剤形。
【請求項141】
抗原をさらに含む、請求項140に記載の剤形。
【請求項142】
請求項125に記載の組成物の少なくとも一部は、前記合成ナノ担体の表面上に存在する、請求項140に記載の剤形。
【請求項143】
請求項125に記載の組成物の少なくとも一部は、前記合成ナノ担体によってカプセル化される、請求項140に記載の剤形。
【請求項144】
請求項125または134に記載の組成物を含むワクチン
を含む剤形。
【請求項145】
抗原をさらに含む、請求項144に記載の剤形。
【請求項146】
アジュバントをさらに含む、請求項144に記載の剤形。
【請求項147】
前記ワクチンは、合成ナノ担体を含む、請求項144に記載の剤形。
【請求項148】
前記ワクチンは、請求項125または134に記載の組成物に複合された担体を含む、請求項144に記載の剤形。
【請求項149】
請求項1〜119または125〜139のいずれか一項に記載の組成物を対象に投与するステップを含む方法。
【請求項150】
請求項120〜124または140〜148のいずれか一項に記載の剤形を対象に投与するステップを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2013−503159(P2013−503159A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526724(P2012−526724)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/002330
【国際公開番号】WO2011/031298
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(511254321)セレクタ バイオサイエンシーズ インコーポレーテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】SELECTA BIOSCIENCES,INC.
【住所又は居所原語表記】480 Arsenal Street,Building One,Watertown,MA 02472,U.S.A.
【Fターム(参考)】