説明

TEM8ペプチドおよびそれを含むワクチン

本発明において、SEQ ID NO:3、4、9、23、25、30、60、63、または68のアミノ酸配列を含むペプチドは、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)誘導能を有することが示された。したがって本発明は、SEQ ID NO:3、4、9、23、25、30、60、63、および68の群より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドを提供する。該ペプチドは、そのCTL誘導能が維持されている限り、1個、2個、または数個のアミノ酸置換または付加を含んでよい。さらに本発明は、これらのペプチドのいずれかを含む、腫瘍の治療および/もしくは予防、ならびに/または術後のその再発の防止のための調合薬剤を提供する。本発明の調合薬剤は、ワクチンを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年4月11日に提出された米国仮出願第60/911,194号の恩典を主張し、その開示内容の全体は、あらゆる目的でその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明は、生物科学の分野、より具体的には、がん治療の分野に関する。特に本発明は、がんワクチン、ならびに腫瘍の治療および防止のための薬物として極めて有効であるTEM8ペプチドに関する。
【背景技術】
【0003】
CD8陽性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)は、主要組織適合複合体(MHC)クラスI分子上の腫瘍関連抗原(TAA)由来のエピトープペプチドを認識し、その後、腫瘍細胞を殺傷することが証明されている。TAAの最初の例としてのメラノーマ抗原(MAGE)ファミリーの発見以来、他の多くのTAAが免疫学的アプローチによって発見されており(Boon T, Int J Cancer 1993 May 8, 54(2): 177-80;Boon T & van der Bruggen P, J Exp Med 1996 Mar 1, 183(3): 725-9)、これらのTAAのいくつかは、現在、免疫療法の標的として臨床開発の過程にある。
【0004】
強力かつ特異的な抗腫瘍免疫応答を引き起こす新規なTAAの同定は、様々な種類のがんにおけるペプチドワクチン接種戦略の臨床的応用のさらなる進展を保証する(Harris CC, J Natl Cancer Inst 1996 Oct 16, 88(20): 1442-55;Butterfield LH et al., Cancer Res 1999 Jul 1, 59(13): 3134-42;Vissers JL et al., Cancer Res 1999 Nov 1, 59(21): 5554-9;van der Burg SH et al., J Immunol 1996 May 1, 156(9): 3308-14;Tanaka F et al., Cancer Res 1997 Oct 15, 57(20): 4465-8;Fujie T et al., Int J Cancer 1999 Jan 18, 80(2): 169-72;Kikuchi M et al., Int J Cancer 1999 May 5, 81(3): 459-66;Oiso M et al., Int J Cancer 1999 May 5, 81(3): 387-94)。これまでに、これらの腫瘍関連抗原由来ペプチドを用いたいくつかの臨床試験が報告されている。残念ながらこれまでのところ、これらがんワクチン試験では低い客観的反応率しか観察され得なかった(Belli F et al., J Clin Oncol 2002 Oct 15, 20(20): 4169-80;Coulie PG et al., Immunol Rev 2002 Oct, 188: 33-42;Rosenberg SA et al., Nat Med 2004 Sep, 10(9): 909-15)。
【0005】
有効性のこの相対的な欠如の、一つの可能性のある原因は、固形腫瘍で頻発しT細胞媒介性抗腫瘍応答を著しく損なう、腫瘍細胞上のヒト白血球抗原(HLA)クラスI分子の発現の喪失または下方制御であり得る(Cormier JN et al., Int J Cancer 1998 Feb 9, 75(4): 517-24;Hicklin DJ et al., Mol Med Today 1999 Apr, 5(4): 178-86;Paschen A et al., Int J Cancer 2003 Mar 1, 103(6): 759-67)。たとえ腫瘍関連抗原を標的とするがんワクチンによって強力な細胞障害性Tリンパ球(CTL)が誘導されたとしても、標的細胞が十分量のHLAクラスI分子を発現していない場合には、CTLは標的細胞を認識できない。
【0006】
腫瘍の血管新生は、腫瘍の進行に決定的に関与する。HLAクラスI分子は内皮細胞で下方制御されないため、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)1および2を標的とする内皮細胞に基づくアプローチに従って、腫瘍の血管新生に対して有効なワクチンが開発され得ることがすでに証明されている(Wada S et al., Cancer Res 2005 Jun 1, 65(11): 4939-46;Ishizaki H et al., Clin Cancer Res 2006 Oct 1, 12(19): 5841-9)。さらに、これらの治療標的は腫瘍非依存性であるため、腫瘍微小環境における血管内皮細胞の枯渇は、多様な悪性腫瘍に対して有効である可能性がある。さらに、腫瘍内皮細胞は血流中のリンパ球に容易に接近され、CTLは、他のいずれの組織種にも浸透することなく内皮細胞に直接ダメージを与えることができる。加えて、腫瘍血管系内のたとえ少数の内皮細胞の溶解でさえ、血管の完全性の破壊をもたらし、このようにして多数の腫瘍細胞の抑制をもたらし得る(Folkman J, Nat Med 1995 Jan, 1(1): 27-31)。したがって、腫瘍内皮細胞はがん免疫療法のための優れた標的である。腫瘍の血管新生を特異的かつ効率的なCTL応答で抑制するために、血管新生に関連する分子の中から適切な標的が選択される必要がある。
【0007】
TEM8を含む腫瘍内皮マーカー(TEM)は、正常組織と比較して腫瘍関連内皮中で特異的に上昇していることが分かっている(St Croix B et al., Science 2000 Aug 18, 289(5482): 1197-202)。TEM8転写産物は、肺および脳の腫瘍ならびに肝転移で発現された。TEM8を標的とする治療は、広範な腫瘍の種類に適用可能である。例えばWO 2005/048943は、腫瘍関連抗原をコードするワクチンと共に、TEM8の細胞外ドメインをコードするベクターを含むワクチンの使用を提案している。しかしながらこの文献は、TEM8発現ベクターの導入が腫瘍関連内皮に対してCTLの誘導を引き起こすといういかなる証拠も提供しておらず、またTEM8タンパク質内のエピトープの位置に関するいかなる情報も提供していない。
【発明の概要】
【0008】
腫瘍微小環境を標的とするがん治療、特に腫瘍の血管新生を標的とするがん治療の臨床効果を改善することが重要である。本発明は、抗腫瘍免疫療法の標的として、腫瘍の血管に着目する。特に本発明は、TEM8が広範な腫瘍の種類の血管で発現していると考えられていることから、腫瘍内皮マーカー8(TEM8)(GenBankアクセッション番号NM_032208(SEQ ID NO:75)の遺伝子にコードされたGenBankアクセッション番号NP_115584(SEQ ID NO:76))を標的とする。本発明は、対応する分子に特異的なCTLを誘導するエピトープペプチドを含むTEM8遺伝子産物を提供する。健常ドナーから得た末梢血単核細胞(PBMC)を、TEM8由来の候補ペプチドに結合するHLA−A2402またはHLA−A0201を用いて刺激した。さらに本発明は、それぞれの候補ペプチドをパルスした、HLA−A24陽性またはHLA−A02陽性の標的細胞を特異的に認識する、樹立されたCTL、ならびに腫瘍の血管上に発現されたTEM8に対して強力かつ特異的な免疫応答を誘導し得るHLA−A24またはHLA−A02拘束性エピトープペプチドを提供する。これらの結果は、TEM8は免疫原性が強く、かつそのエピトープは腫瘍免疫療法の有効な標的であることを示している。
【0009】
したがって本発明は、細胞傷害性T細胞の誘導能を有する単離されたノナペプチドまたはデカペプチドを提供し、該ノナペプチドまたはデカペプチドは、SEQ ID NO:76のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含む。具体的には、本発明は、SEQ ID NO:3、4、9、23、25、30、60、63、および68の群より選択されるアミノ酸配列を含みかつCTL誘導能を有するペプチドを提供する。本発明のペプチドは、改変されたペプチドが元のCTL誘導能を維持している限り、1個、2個、またはそれ以上のアミノ酸が置換または付加されているペプチドを含む。
【0010】
対象に投与した場合、本発明のペプチドは抗原を発現する細胞の表面上に提示され、その後それぞれのペプチドを標的とするCTLを誘導する。したがって、本発明の一態様において、本発明のペプチドのいずれかを提示する抗原提示細胞およびエキソソーム、ならびに抗原提示細胞を誘導するための方法も提供される。
【0011】
本発明のTEM8ポリペプチドまたは該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ならびにTEM8ポリペプチドを提示するエキソソームおよび抗原提示細胞の投与によって、抗腫瘍免疫応答が誘導される。したがって本発明は、該ポリペプチドまたはそれらをコードするポリヌクレオチド、ならびにそれらの活性成分として該エキソソームおよび抗原提示細胞を含む調合薬剤を提供する。本発明の調合薬剤は、ワクチンとして使用される。
【0012】
さらに本発明は、がん(腫瘍)を治療および/もしくは予防する(すなわち、防止する)、ならびに/または術後のその再発を防止する方法、ならびにCTLを誘導する方法、腫瘍関連内皮に対する免疫応答および同様に抗腫瘍免疫を誘導する方法を提供し、該方法は、TEM8ポリペプチド、TEM8ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、TEM8ポリペプチドを提示するエキソソームもしくは抗原提示細胞、または本発明の調合薬剤を投与する工程を含む。
【0013】
さらに、本発明のTEMポリペプチドを標的とするCTLは、腫瘍関連内皮を標的とする免疫応答を増強する。したがって本発明は、本発明のTEMポリペプチドを標的とするCTLを提供する。本発明のCTLはまた、がんに対するワクチンとしても使用される。
【0014】
前述の本発明の概要および以下の詳細な説明の両方は、例示的な態様であって、本発明または本発明の他の代替の態様を限定するものではないと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】TEM8由来のペプチドを用いて誘導されたCTLについてのIFN−γ ELISPOTアッセイの結果を示した写真を示す。TEM8−A24−9−39(SEQ ID NO:3)で刺激したウェル番号#5および#6におけるCTL(a)、TEM8−A24−9−277(SEQ ID NO:4)で刺激したウェル番号#6におけるCTL(b)、TEM8−A24−10−277(SEQ ID NO:9)で刺激したウェル番号#3におけるCTL(c)、TEM8−A02−9−337(SEQ ID NO:23)で刺激したウェル番号#3におけるCTL(d)、TEM8−A02−9−338(SEQ ID NO:25)で刺激したウェル番号#6におけるCTL(e)、TEM8−A02−9−278(SEQ ID NO:30)で刺激したウェル番号#3におけるCTL(f)、TEM8−A02−10−338(SEQ ID NO:60)で刺激したウェル番号#2におけるCTL(g)、TEM8−A02−10−265(SEQ ID NO:63)で刺激したウェル番号#5におけるCTL(h)、ならびにTEM8−A02−10−333(SEQ ID NO:68)で刺激したウェル番号#4におけるCTL(i)は、それぞれ対照と比較して、強力なIFN−γ産生を示した。対照的に、ネガティブデータ(CTL誘導なし)の典型例として、ペプチドパルスした標的細胞に対して、TEM8−A02−9−207(SEQ ID NO:46)で刺激したCTLからの特異的IFN−γ産生は示されなかった(j)。予測したペプチドの大部分がCTL誘導を示さず、したがって本発明では、ポジティブデータ(CTL誘導)に的を絞った。これら画像のウェル上にある四角は、対応するウェルからの細胞が増殖してCTL株を樹立したことを示す。図中、「+」は、適切なペプチドをパルスした標的細胞に対するIFN−γ産生を示し、「−」は、いずれのペプチドもパルスしていない標的細胞に対するIFN−γ産生を示す。
【図2】TEM8−A24−9−39(SEQ ID NO:3)(a)、TEM8−A24−9−277(SEQ ID NO:4)(b)、TEM8−A24−10−277(SEQ ID NO:9)(c)、TEM8−A02−9−337(SEQ ID NO:23)(d)、TEM8−A02−9−338(SEQ ID NO:25)(e)、TEM8−A02−9−278(SEQ ID NO:30)(f)、TEM8−A02−10−338(SEQ ID NO:60)(g)、TEM8−A02−10−265(SEQ ID NO:63)(h)、およびTEM8−A02−10−333(SEQ ID NO:68)(i)で刺激したCTL株の樹立について、IFN−γ ELISAアッセイを用いた結果を示した折れ線グラフを示す。各ペプチドでの刺激によって樹立されたCTL株は、対照と比較して、強力なIFN−γ産生を示すことが証明された。対照的に、ネガティブデータの典型例として、ペプチドパルスした標的細胞に対して、TEM8−A02−9−207(SEQ ID NO:46)で樹立したCTL株からの特異的IFN−γ産生は示されなかった(j)。図中、「+」は、適切なペプチドをパルスした標的細胞に対するIFN−γ産生を示し、「−」は、いずれのペプチドもパルスしていない標的細胞に対するIFN−γ産生を示す。
【図3】TEM8−A24−9−277(SEQ ID NO:4)(a)、TEM8−A24−10−277(SEQ ID NO:9)(b)、TEM8−A02−9−337(SEQ ID NO:23)(c)、TEM8−A02−9−338(SEQ ID NO:25)(d)、およびTEM8−A02−10−265(SEQ ID NO:63)(e)を用いて刺激したCTLクローンの樹立を示した折れ線グラフを示す。各ペプチドでの刺激によって樹立されたCTLクローンは、対応するペプチドをパルスした標的細胞に対して、強力なIFN−γ産生を示した。一方、いずれのペプチドもパルスしていない標的細胞に対しては、IFN−γ産生を示さなかった。図中、「+」は、適切なペプチドをパルスした標的細胞に対するIFN−γ産生を示し、「−」は、いずれのペプチドもパルスしていない標的細胞に対するIFN−γ産生を示す。
【図4】TEM8およびHLA−A2402またはHLA−A0201を内発的に発現している標的細胞に対する特異的CTL活性を示した折れ線グラフを示す。TEM8遺伝子の全長をトランスフェクトした、またはTEM8由来の適切でないペプチドを用いてパルスすることにより対応するHLA遺伝子をトランスフェクトしたCOS7細胞を、対照として調製した。(a)TEM8−A24−9−277(SEQ ID NO:4)を用いて樹立したCTLクローンは、TEM8およびHLA−A24の両方をトランスフェクトしたCOS7細胞に対して高い特異的CTL活性を示した(黒いひし形の印)。一方、HLA−A2402(白抜きの三角形の印)またはTEM8(白抜きの円)のいずれかを発現している標的細胞に対しては、有意な特異的CTL活性は検出されなかった。(b)TEM8−A02−10−265(SEQ ID NO:63)で樹立したCTLクローンは、TEM8およびHLA−A02の両方をトランスフェクトしたCOS7細胞に対して、高い特異的CTL活性を示した(黒いひし形の印)。一方、HLA−A0201(白抜きの三角形の印)またはTEM8(白抜きの円)のいずれかを発現している標的細胞に対しては、有意な特異的CTL活性は検出されなかった。
【図5】TEM8−A24−9−277ペプチドを用いたワクチン接種のインビボの免疫原性および抗腫瘍効果を示す。(a)「材料と方法」に記載したプロトコールに従って、TEM8エピトープペプチドのインビボ免疫原性を調べた。不完全フロイントアジュバント(IFA)とコンジュゲートしたTEM8−A24−9−277(SEQ ID NO:4)(M1〜M5)またはIFAのみ(N1およびN2)を、BALB/cマウスに注射した。図中、「+」は、ペプチドをパルスした標的細胞に対するIFN−γ産生を示し(黒い棒線)、「−」は、いずれのペプチドもパルスしていない標的細胞に対するIFN−γ産生を示す(白い棒線)。ワクチン接種したマウス由来の脾細胞は、いずれのペプチドもパルスしていない標的細胞に対してはIFN−γを産生することなく、TEM8−A24−9−277(SEQ ID NO:4)をパルスしたRLmale1細胞に対してはIFN−γを産生した。SFCは、スポットを形成している細胞を示す。(b)TEM8エピトープペプチドを用いたワクチン接種による抗腫瘍効果を、予防的設定(preventive setting)として試験した。TEM8−A24−9−277(SEQ ID NO:4)とコンジュゲートしたIFA(黒い三角形の印)またはペプチドとコンジュゲートしていないIFA(白抜きのひし形の印)を、7日前および0日目にBALB/cマウスに注射した。0日目に、5×10個のCT26マウス結腸直腸癌細胞株を、ワクチン接種したマウスに皮下注射した。腫瘍サイズを5匹のマウスの平均として示す。エピトープペプチドのワクチン接種により、腫瘍増殖の抑制の有意な差が観察された(;P<0.05)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
I.定義
本明細書において用いる「a」、「an」、および「the」という単語は、特に指示がなければ「少なくとも1つ」を意味する。
【0017】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーに言及するために本明細書において区別なく使用される。この用語は、1個または複数のアミノ酸残基が修飾された残基であるか、または例えば対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的模倣体等の天然に存在しない残基であるアミノ酸ポリマーと、天然に存在するアミノ酸ポリマーとに適用される。
【0018】
本明細書において用いる「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を指す。天然に存在するアミノ酸とは、遺伝子コードによってコードされたアミノ酸、ならびに細胞中で翻訳後に修飾されたアミノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、およびO−ホスホセリン)のことである。「アミノ酸類似体」という語句は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造(水素、カルボキシ基、アミノ基、およびR基に結合したα炭素)を有するが、改変されたR基または改変された骨格(例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニン、スルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム)を有する化合物を指す。「アミノ酸模倣体」という語句は、異なる構造を有するが、一般的アミノ酸と同様の機能を有する化合物を指す。
【0019】
本明細書において、アミノ酸は、IUPAC−IUB生化学命名法委員会によって推奨される、それらの一般的に公知の三文字表記または一文字表記によって表されてもよい。
【0020】
「遺伝子」、「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、および「核酸」という用語は、特に指示がなければ本明細書において区別なく使用され、かつそれらの一般的に受け入れられている一文字コードによって表されるアミノ酸と類似している。
【0021】
特に定義されなければ、本明細書において用いるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって共通して理解される用語と同じ意味を有する。
【0022】
II.ペプチド
TEM8由来のペプチドが、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)によって認識される抗原として機能することを証明するために、TEM8(GenBankアクセッション番号NP_115584(SEQ ID NO:76))由来のペプチドを分析し、それらが、通常HLA対立遺伝子に見られるHLA−A24またはHLA−A02によって拘束される抗原エピトープであるかどうかを確認した(Date Y et al., Tissue Antigens 47: 93-101, 1996;Kondo A et al., J Immunol 155: 4307-12, 1995;Kubo RT et al., J Immunol 152: 3913-24, 1994)。HLA−A24およびHLA−A02 に結合する、TEM8由来のペプチドの候補を、HLA−A24およびHLA−A02に対するそれらの結合親和性に関する情報を用いて同定した。これらのペプチドを保持した樹状細胞(DC)によるT細胞のインビトロでの刺激後、以下の各ペプチドを用いてCTLの樹立に成功した。
TEM8−A24−9−39(SEQ ID NO:3)、
TEM8−A24−9−277(SEQ ID NO:4)、
TEM8−A24−10−277(SEQ ID NO:9)、
TEM8−A02−9−337(SEQ ID NO:23)、
TEM8−A02−9−338(SEQ ID NO:25)、
TEM8−A02−9−278(SEQ ID NO:30)、
TEM8−A02−10−338(SEQ ID NO:60)、
TEM8−A02−10−265(SEQ ID NO:63)、および
TEM8−A02−10−333(SEQ ID NO:68)。
【0023】
これらの樹立されたCTLは、それぞれのペプチドをパルスした標的細胞に対して強力な特異的CTL活性を示した。これらの結果は、TEM8がCTLによって認識される抗原であること、かつ以下のペプチドがHLA−A24またはHLA−A02によって拘束されるTEM8のエピトープペプチドであることを示している。
TEM8−A24−9−39(SEQ ID NO:3)、
TEM8−A24−9−277(SEQ ID NO:4)、
TEM8−A24−10−277(SEQ ID NO:9)、
TEM8−A02−9−337(SEQ ID NO:23)、
TEM8−A02−9−338(SEQ ID NO:25)、
TEM8−A02−9−278(SEQ ID NO:30)、
TEM8−A02−10−338(SEQ ID NO:60)、
TEM8−A02−10−265(SEQ ID NO:63)、および
TEM8−A02−10−333(SEQ ID NO:68)。
【0024】
TEM8遺伝子は大部分のがん患者で過剰に発現しているため、これは向上した臨床効果を有する免疫療法のための優れた標的である。したがって本発明は、CTLに認識されるTEM8由来のエピトープのノナペプチド(9個のアミノ酸残基からなるペプチド)およびデカペプチド(10個のアミノ酸残基からなるペプチド)を提供する。本発明において、ノナペプチドまたはデカペプチドのアミノ酸配列をSEQ ID NO:76から選択してもよい。したがって本発明は、細胞傷害性T細胞誘導能を有する単離されたペプチドを提供し、該ペプチドは、SEQ ID NO:76のアミノ酸配列から選択される9個または10個の連続したアミノ酸配列を含む。より具体的には、いくつかの態様において、本発明は、SEQ ID NO:3、4、9、23、25、30、60、63、および68の群より選択されるアミノ酸配列からなるペプチドを提供する。
【0025】
一般的に、インターネット上で現在入手可能なソフトウェアプログラム、例えばParker KC et al., J Immunol 1994 Jan 1, 152(1): 163-75に記載されているソフトウェアプログラム等を用いて、インシリコで種々のペプチドとHLA抗原との間の結合親和性を算出することができる。例えばParker KC et al., J Immunol 1994 Jan 1, 152(1): 163-75;およびKuzushima K et al., Blood 2001, 98(6): 1872-81に記載されているように、HLA抗原との結合親和性を測定することができる。結合親和性を決定する方法は、例えばJournal of Immunological Methods, 1995, 185: 181-190;Protein Science, 2000, 9: 1838-1846に記載されている。したがって本発明は、そのような公知のプログラムによってHLA抗原に結合すると判定されたTEM8のペプチドを包含する。
【0026】
さらに、本発明のこれらのペプチドを、該ペプチドがそのCTL誘導能を維持している限り、付加的アミノ酸残基を隣接させることができる。CTL誘導能を有するそのようなペプチドは、例えば約40アミノ酸未満、しばしば約20アミノ酸未満、通常約15アミノ酸未満である。SEQ ID NO:3、4、9、23、25、30、60、63、および68の群より選択されるアミノ酸配列からなるペプチドに隣接するアミノ酸配列は、元のペプチドのCTL誘導能を損なわない限り、限定されずかつ任意の種類のアミノ酸から構成可能である。したがって本発明は、CTL誘導能を有するペプチドであって、SEQ ID NO:3、4、9、23、25、30、60、63、および68の群より選択されるアミノ酸配列を含むペプチドも提供する。
【0027】
一般的に、あるタンパク質中の1個もしくは複数のアミノ酸の改変が該タンパク質の機能に影響を及ぼさないこと、または、ある場合には元のタンパク質の所望の機能を促進することさえあることが知られている。実際、改変したペプチド(すなわち、元の参照配列に対して1個、2個、または数個のアミノ酸残基を置換または付加することによって改変したアミノ酸配列から構成されるペプチド)が元のペプチドの生物活性を維持することが知られている(Mark et al., Proc Natl Acad Sci USA 1984, 81: 5662-6;Zoller and Smith, Nucleic Acids Res 1982, 10: 6487-500;Dalbadie-McFarland et al., Proc Natl Acad Sci USA 1982, 79: 6409-13)。したがって、本発明の一態様において、CTL誘導能を有する本発明のペプチドは、1個、2個、またはさらにそれ以上のアミノ酸が付加および/または置換された、SEQ ID NO:3、4、9、23、25、30、60、63、または68のアミノ酸配列を含むアミノ酸から構成可能である。
【0028】
1アミノ酸またはわずかな割合のアミノ酸を変化させる、アミノ酸配列に対する個々の付加または置換が、結果的に元のアミノ酸側鎖の特性の保存をもたらすこと;ゆえに、それは「保存的置換」または「保存的改変」と称され、タンパク質の改変が結果的に同様の機能を有するタンパク質をもたらすことを、当業者は認識するであろう。機能的に類似しているアミノ酸を提示する保存的置換の表は、当技術分野において周知である。アミノ酸側鎖の特性の例としては、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、ならびに以下の官能基または特徴を共通して有する側鎖である:脂肪族側鎖(G、A、V、L、I、P);ヒドロキシル基を含む側鎖(S、T、Y);硫黄原子を含む側鎖(C、M);カルボン酸とアミドを含む側鎖(D、N、E、Q);塩基を含む側鎖(R、K、H);および、芳香族を含む側鎖(H、F、Y、W)。さらに、以下の8つのグループはそれぞれ、相互に保存的置換であるアミノ酸を含む:
(1)アラニン(A)、グリシン(G);
(2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
(3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
(4)アルギニン(R)、リジン(K);
(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
(7)セリン(S)、スレオニン(T);および
(8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton, Proteins 1984を参照)。
【0029】
このような保存的に改変したペプチドもまた、本発明のペプチドと見なされる。しかしながら、本発明のペプチドはそれに限定されず、該ペプチドがCTL誘導能を維持している限り、非保存的な改変を含むことができる。さらに、この改変したペプチドは、TEM8の、多型バリアント、種間ホモログ、および対立遺伝子のCTL誘導可能なペプチドを排除しない。
【0030】
必要なCTL誘導能を維持するために、少数の(例えば、1個、2個、もしくは数個の)またはわずかな割合のアミノ酸を改変する(付加または置換する)ことが可能である。本明細書において、「数個」という用語は、5個またはそれ未満のアミノ酸、例えば3個またはそれ未満を意味する。改変するアミノ酸の割合は、20%またはそれ未満、例えば15%またはそれ未満、例えば10%または1〜5%であってよい。
【0031】
本発明のペプチドであるTEM8−A24−9−39(SEQ ID NO:3)、TEM8−A24−9−277(SEQ ID NO:4)、TEM8−A24−10−277(SEQ ID NO:9)、TEM8−A02−9−337(SEQ ID NO:23)、TEM8−A02−9−338(SEQ ID NO:25)、TEM8−A02−9−278(SEQ ID NO:30)、TEM8−A02−10−338(SEQ ID NO:60)、TEM8−A02−10−265(SEQ ID NO:63)、およびTEM8−A02−10−333(SEQ ID NO:68)のホモロジー解析により、それらは他の任意の公知のヒト遺伝子産物に由来するペプチドとは有意な相同性を有しないことが示された。このことは、免疫療法に用いた場合に未知または望ましくない免疫応答の可能性を低める。したがって、この観点からも、これらのペプチドは、腫瘍関連内皮上のTEM8に対する腫瘍患者の免疫を誘発するために使用される。
【0032】
免疫療法に用いた場合、本発明のペプチドは、HLA抗原との複合体として細胞またはエキソソームの表面上に提示される。したがって、それらのCTL誘導能に加えて、HLA抗原に対する高い結合親和性を有するペプチドを選択することが可能である。さらに、より高い結合親和性を達成するために、アミノ酸残基の置換、付加等によってペプチドを改変することができる。天然に提示されるペプチドに加えて、HLA抗原への結合によって提示されるペプチド配列の規則性はすでに公知であるため(J Immunol 1994, 152: 3913;Immunogenetics 1995, 41: 178;J Immunol 1994, 155: 4307)、そのような規則性に基づいた改変を本発明の免疫原性ペプチド内に導入することができる。例えば、高いHLA−A24結合親和性を示すペプチドは、N末端から2番目のアミノ酸がフェニルアラニン、チロシン、メチオニン、またはトリプトファンで置換されており、かつ、C末端のアミノ酸がフェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、またはメチオニンで置換されているペプチドも、有利に使用することができる。したがって、N末端から2番目のアミノ酸がフェニルアラニン、チロシン、メチオニン、もしくはトリプトファンで置換されているSEQ ID NO:3、4、もしくは9のアミノ酸配列を有するペプチド、および/またはC末端がフェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、もしくはメチオニンで置換されているペプチドは、本発明に包含される。
【0033】
一方、N末端から2番目のアミノ酸がロイシンまたはメチオニンで置換されており、かつC末端のアミノ酸がバリンまたはロイシンで置換されているペプチドを、高いHLA−02結合親和性を有するペプチドとして用いることができる。したがって、N末端から2番目のアミノ酸がロイシンもしくはメチオニンで置換されており、かつ/またはC末端がバリンもしくはロイシンで置換されている、SEQ ID NO:23、25、30、60、63、および68のアミノ酸配列のいずれかを有するペプチドは、本発明に包含される。末端のアミノ酸においてだけでなく、ペプチドの潜在的なTCR認識の部位においても、置換を導入することができる。いくつかの研究は、例えばCAP1、p53(264−272)、Her−2/neu(369−377)、またはgp100(209−217)等、ペプチド中のアミノ酸置換が元のものと同等またはより優れたものであり得ることを証明している(Zaremba et al., Cancer Res. 57, 4570-4577, 1997;T.K. Hoffmann et al., J Immunol. (2002) Feb 1, 168(3): 1338-47;S.O. Dionne et al., Cancer Immunol immunother. (2003) 52: 199-206;およびS.O. Dionne et al., Cancer Immunology, Immunotherapy (2004) 53, 307-314)。
【0034】
さらに、本発明のペプチドのNおよび/またはC末端に1個〜2個のアミノ酸を付加することもできる。高いHLA抗原結合親和性を有し、かつCTL誘導能を維持しているそのような改変ペプチドもまた本発明に包含される。
【0035】
しかしながら、このペプチド配列が、異なる機能を有する内在性または外来のタンパク質のアミノ酸配列の一部と同一である場合、自己免疫異常または特定の物質に対するアレルギー症状等の副作用が誘発される可能性がある。したがって、ペプチドの配列が別のタンパク質のアミノ酸配列と一致する状況を回避するために、使用可能なデータベースを用いてホモロジー検索を実施することができる。ホモロジー検索から、対象ペプチドに対して1個または2個のアミノ酸の違いを有するペプチドさえも存在しないことが明らかになった場合には、前記副作用のいかなる危険も伴わずにHLA抗原とのその結合親和性を増大させかつ/またはそのCTL誘導能を増強させるために、この対象ペプチドを改変することができる。
【0036】
前述のように、HLA抗原に対する高い結合親和性を有するペプチドは非常に効果的であると期待されるが、指標としての高い結合親和性の存在に依って選択された候補ペプチドを、CTL誘導能の存在についてさらに検討する。本明細書において「CTL誘導能」という語句は、抗原提示細胞上に提示された場合に、CTLを誘導するペプチドの能力を表す。さらに「CTL誘導能」は、CTL活性化を誘導する、CTL増殖を誘導する、CTLによる標的細胞の溶解を促進する、ならびにCTLのIFN−γ産生を増加させる、ペプチドの能力を含む。
【0037】
CTL誘導能の確認は、ヒトMHC抗原を保持する抗原提示細胞(例えば、Bリンパ球、マクロファージ、および樹状細胞(DC))、またはより具体的にはヒト末梢血単核白血球由来のDCを誘導し、ペプチドを用いた刺激後にCD8陽性細胞と混合し、その後、標的細胞に対するCTLによって産生かつ放出されたIFN−γを測定することによってなされる。反応系として、ヒトHLA抗原を発現するように作製されたトランスジェニック動物(例えば、BenMohamed L, Krishnan R, Longmate J, Auge C, Low L, Primus J, Diamond DJ, Hum Immunol 2000 Aug, 61(8): 764-79, Related Articles, Books, Linkout Induction of CTL response by a minimal epitope vaccine in HLA A*0201/DR1 transgenic mice: dependence on HLA class II restricted T(H) responseに記載されているもの)を用いることができる。例えば、標的細胞を51Cr等で放射標識することができ、該標的細胞から放出された放射能から細胞傷害活性を算出することができる。あるいは、固定化したペプチドを保持する抗原提示細胞(APC)の存在下でCTLによって産生かつ放出されたIFN−γを測定し、抗IFN−γモノクローナル抗体を用いて培地上の阻害領域を可視化することによって、細胞傷害活性を調べることができる。
【0038】
前述のようにペプチドのCTL誘導能を検討した結果、HLA抗原に対する高い結合親和性を有するペプチドは、必ずしも高い誘導能を有するペプチドではなかった。さらに、SEQ ID NO:3、4、9、23、25、30、60、63、および68によって示されるアミノ酸配列を含むペプチドから選択されたノナペプチドまたはデカペプチドは、HLA抗原に対する高い結合親和性に加えて、特に高いCTL誘導能を示した。したがって、これらのペプチドは本発明の例示的な態様である。
【0039】
前述の本発明のペプチドの改変に加えて、本発明のペプチドを、それらがCTL誘導能を維持している限り、他の物質にさらに連結させることができる。例示的な物質には、ペプチド、脂質、糖および糖鎖、アセチル基、天然および合成のポリマー等が含まれる。前記ペプチドは、修飾によって本明細書において記載したペプチドの生物活性が損なわれない限り、糖鎖付加、側鎖酸化、またはリン酸化等の修飾を含み得る。これらの種類の修飾を、ポリペプチドに付加的機能(例えば、標的化機能および送達機能)を与える、またはポリペプチドを安定化するために実施することができる。
【0040】
例えば、ポリペプチドのインビボ安定性を増大させるために、D−アミノ酸、アミノ酸模倣体、または非天然アミノ酸を導入することが当技術分野において公知であり、この概念を本発明のペプチドにも適合させることができる。いくつもの方法でポリペプチドの安定性をアッセイすることができる。例えば、ペプチダーゼ、ならびにヒト血漿および血清等の種々の生物学的媒質を用いて安定性を試験することができる(例えば、Verhoef et al., Eur J Drug Metab Pharmacokin 1986, 11: 291-302を参照)。
【0041】
本明細書において、本発明のペプチドを「TEM8ペプチド」または「TEM8ポリペプチド」と記載することもできる。
【0042】
III.TEM8ペプチドの調製
周知の技術を用いて、本発明のペプチドを調製することができる。例えば、組換えDNA技術または化学合成によって、ペプチドを合成的に調製することができる。本発明のペプチドは、個々に、または2個以上のペプチドを含むより長いポリペプチドとして合成可能である。ペプチドを単離すること、すなわち、他の天然に存在する宿主細胞タンパク質およびその断片、または他の任意の化学物質を実質的に含まないように精製または単離することが可能である。
【0043】
選択されたアミノ酸配列に基づく化学合成によって、本発明のペプチドを得ることができる。例えば、該合成に適合させることのできる従来のペプチド合成法としては、以下が挙げられる:
(i)Peptide Synthesis, Interscience, New York, 1966;
(ii)The Proteins, Vol. 2, Academic Press, New York, 1976;
(iii)Peptide Synthesis(日本語), Maruzen Co., 1975;
(iv)Basics and Experiment of Peptide Synthesis(日本語), Maruzen Co., 1985;
(v)Development of Pharmaceuticals(第二版)(日本語), Vol. 14(peptide synthesis), Hirokawa, 1991;
(vi)WO99/67288;および
(vii)Barany G. & Merrifield R.B., Peptides Vol. 2, “Solid Phase Peptide Synthesis", Academic Press, New York, 1980, 100-118。
【0044】
あるいは、ペプチドを作製するための任意の公知の遺伝子工学方法(例えば、Morrison J, J Bacteriology 1977, 132: 349-51;Clark-Curtiss & Curtiss, Methods in Enzymology(Wu et al.版)1983, 101: 347-62)を適合させて、本発明のペプチドを得ることができる。例えば、まず、発現可能な形態(例えば、プロモーター配列に相当する調節配列の下流)で対象ペプチドをコードするポリヌクレオチドを有する適切なベクターを調製し、適切な宿主細胞を形質転換する。次いで、該宿主細胞を培養して、関心対象のペプチドを産生させる。また、インビトロ翻訳系を適合させてインビトロでも、該ペプチドを産生させることができる。
【0045】
IV.ポリヌクレオチド
本発明は、前述の本発明のペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチドを提供する。これらは、天然に存在するTEM8遺伝子(GenBankアクセッション番号NM_032208(SEQ ID NO:75))由来のポリヌクレオチド、およびその保存的に改変されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む。本明細書において「保存的に改変されたヌクレオチド配列」という語句は、同一または実質的に同一のアミノ酸配列をコードする配列を表す。遺伝子コードの縮重のため、多数の機能的に同一な核酸が任意の特定のタンパク質をコードする。例えば、GCA、GCC、GCG、およびGCUのコドンはすべて、アミノ酸のアラニンをコードする。したがって、あるコドンによってアラニンが特定されるあらゆる位置において、コードされたポリペプチドを変えることなく、該コドンを記載された相当するコドンのいずれかに変更することができる。このような核酸の変異は「サイレント変異」であり、保存的に改変した変異の1種である。あるペプチドをコードする本明細書中のあらゆる核酸配列はまた、該核酸のあらゆる潜在的なサイレント変異も説明する。核酸中の各コドン(通常メチオニンに対する唯一のコドンであるAUG、および通常トリプトファンに対する唯一のコドンであるTGGを除く)を改変して、機能的に同一な分子を作製することが可能であることを、当業者は認識するであろう。したがって、ペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、公開された各配列において非明示的に記載されている。
【0046】
DNA、RNA、およびその誘導体から、本発明のポリヌクレオチドを構成することができる。DNAはA、T、C、およびG等の塩基から適宜構成され、RNAではTはUに置き換わる。
【0047】
本発明のポリヌクレオチドは、介在するアミノ酸配列を間に伴って、または伴わずに、本発明の複数のペプチドをコードすることができる。例えば、介在するアミノ酸配列により、ポリヌクレオチドまたは翻訳されたペプチドの切断部位(例えば、酵素認識配列)を提供することができる。さらに、ポリヌクレオチドは、本発明のペプチドをコードするコード配列に対する任意の付加的配列を含むことができる。例えば、ポリヌクレオチドは、ペプチドの発現に必要な調節配列を含む組換えポリヌクレオチドであってよく、または、マーカー遺伝子等を有する発現ベクター(プラスミド)であってもよい。一般に、例えばポリメラーゼおよびエンドヌクレアーゼを用いる従来の組換え技術によりポリヌクレオチドを操作することによって、そのような組換えポリヌクレオチドを調製することができる。
【0048】
組換え技術および化学合成技術の両方を、本発明のポリヌクレオチドを作製するために使用することができる。例えば、適切なベクター内に挿入することによってポリヌクレオチドを作製することができ、コンピテント細胞内にトランスフェクトした場合に発現させることが可能である。あるいは、PCR技術または適切な宿主内での発現を用いることによって、ポリヌクレオチドを増幅させることができる(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1989を参照)。あるいは、Beaucage SL & Iyer RP, Tetrahedron 1992, 48: 2223-311;Matthes et al., EMBO J 1984, 3: 801-5に記載されているように、固相技術を用いることによって、ポリヌクレオチドを合成することができる。
【0049】
V.エキソソーム
本発明はさらに、エキソソームと称される細胞内小胞を提供し、それは本発明のペプチドとHLA抗原との間に形成される複合体をその表面上に提示する。例えば、日本国特許出願公表公報平11−510507号およびWO99/03499に詳述されている方法を用いることによって、ならびに治療および/または防止を受ける患者から得られたAPCを用いることによって、エキソソームを調製することができる。本発明のペプチドと同様に、本発明のエキソソームをワクチンとして接種することができる。
【0050】
複合体中に含まれるHLA抗原の型は、治療および/または防止を必要とする対象のものと一致しなければならない。例えば日本人に対して、HLA−A24、特にHLA−A2402が適合することが多い。日本人および白人の間で高発現するA−24型またはA−02型の使用は有効な結果を得るのに好ましく、A−2402およびA−0201等のサブタイプが使用される。典型的に、臨床では、治療を必要とする患者のHLA抗原の型はあらかじめ検査されており、これにより、この抗原に対して高レベルの結合親和性を有するペプチド、または抗原提示によるCTL誘導能を有するペプチドの適切な選択が可能となる。さらに、高い結合親和性とCTL誘導能を示すペプチドを得るために、天然に存在するTEM8の部分的なペプチドのアミノ酸配列に基づいて、1個、2個、または数個のアミノ酸の置換または付加を行ってもよい。
【0051】
本発明のエキソソームに対してA−24型のHLA抗原を用いる場合、SEQ ID NO:3、4、または9の配列を含むペプチドが使用され、一方、A−02型のHLA抗原を用いる場合、SEQ ID NO:23、25、30、60、63、または68の配列を含むペプチドが使用される。
【0052】
VI.抗原提示細胞(APC)
本発明はまた、HLA抗原と本発明のペプチドとの間に形成される複合体をその表面上に提示するAPCを提供する。本発明のペプチドに接触させることによって、または本発明のペプチドをコードするヌクレオチドを発現可能な形態で導入することによって得られるAPCは、治療および/または防止を受ける患者に由来することができ、かつ、単独で、または本発明のペプチド、エキソソーム、もしくは細胞傷害性T細胞を含む他の薬物と組み合わせて、ワクチンとして投与することができる。あるいは、本発明はまた、HLA抗原と共に本発明のペプチドを提示するAPCも提供し、該APCは、
(a)本発明のペプチドをAPCと接触させる、または
(b)前記ペプチドをコードするポリヌクレオチドをAPC内に導入して、APCを作製する
ことによって誘導される。
【0053】
前記APCは、特定の種類の細胞に限定されず、リンパ球によって認識されるようにその細胞表面上にタンパク質性抗原を提示することが知られているDC、ランゲルハンス細胞、マクロファージ、B細胞、および活性化T細胞を含む。DCは、APCの中で最も強力なCTL誘導作用を有する代表的なAPCであり、DCは本発明のAPCとして使用される。
【0054】
例えば、末梢血単球からDCを誘導し、次いで、それらをインビトロ、エクスビボ、またはインビボで本発明のペプチドと接触させる(で刺激する)ことによって、APCを得ることができる。本発明のペプチドを対象に投与した場合、本発明のペプチドを提示するAPCが該対象の体内で誘導される。「APCを誘導する」とは、細胞を、本発明のペプチドまたは本発明のペプチドをコードするヌクレオチドと接触させて(で刺激して)、HLA抗原と本発明のペプチドとの間に形成される複合体を細胞表面上に提示させることを含む。あるいは、APCが本発明のペプチドを提示できるようにAPCに該ペプチドを導入した後、該APCをワクチンとして対象に投与することができる。例えば、エクスビボ投与は、以下の工程を含んでもよい:
a:第一の対象からAPCを回収する工程;
b:工程aのAPCと前記ペプチドを接触させる工程;および
c:前記ペプチドを保持したAPCを第二の対象に投与する工程。
【0055】
前記第一の対象と第二の対象は、同一の個体であってよく、または異なる個体であってもよい。あるいは、本発明に従って、抗原提示細胞を誘導する薬学的組成物を製造するための本発明のペプチドの使用を提供する。さらに、本発明はまた、抗原提示細胞を誘導するための本発明のペプチドも提供する。工程bによって得られたAPCを、ワクチンとして前記対象に投与することができる。
【0056】
本発明の一態様において、APCは高レベルのCTL誘導能を有する。「高レベルのCTL誘導能」という用語における高レベルとは、ペプチドと接触させないAPC、またはCTLを誘導し得ないペプチドと接触させたAPCのCTL誘導能レベルと比較したCTL誘導能レベルである。高レベルのCTL誘導能を有するそのようなAPCを、本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子をインビトロでAPCに導入する工程を含む方法によって、調製することができる。導入する遺伝子は、DNAまたはRNAの形態であってよい。導入の方法の例としては、特に限定されることなく、当技術分野において従来より実施される種々の方法が含まれ、例えばリポフェクション、エレクトロポレーション、およびリン酸カルシウム法を使用することができる。より具体的には、Cancer Res 1996, 56: 5672-7;J Immunol 1998, 161: 5607-13;J Exp Med 1996, 184: 465-72;公表特許公報第2000−509281号に記載されているように、それを実施してもよい。遺伝子をAPC内に導入することによって、該遺伝子は細胞内で転写、翻訳等を受け、次いで、得られたタンパク質は、MHCクラスIまたはクラスIIによって処理されて、提示経路を通過して部分的なペプチドが提示される。
【0057】
VII.細胞傷害性T細胞
本発明のペプチドのいずれかに対して誘導された細胞傷害性T細胞は、インビボで腫瘍関連内皮を標的とする免疫応答を増強し、それゆえ、該ペプチドと同様にワクチンとして使用することができる。したがって本発明は、本発明のペプチドのいずれかよって特異的に誘導または活性化された、単離された細胞傷害性T細胞を提供する。好ましくは、本発明は、
(a)CD+T細胞を、HLA抗原と共に本発明のペプチドを提示するAPCと接触させる工程によって誘導された;または
(b)HLA−A24またはHLA−A2という状況で、本発明のペプチドと結合するTCRサブユニットポリペプチドをコードする核酸を形質導入された
単離された細胞傷害性T細胞を提供する。
【0058】
そのような細胞傷害性T細胞は、(1)対象に投与する、または(2)対象由来のAPC、およびCD8陽性細胞、もしくは末梢血単核白血球を、本発明のペプチドとインビトロで接触させる(刺激する)ことによって、得ることができる。
【0059】
本発明のペプチドを提示するAPCからの刺激によって誘導される細胞傷害性T細胞は、治療および/または防止を受ける患者に由来するものでよく、かつ、単独で、または効果を調節する目的で本発明のペプチドもしくはエキソソームを含む他の薬物と組み合わせて、投与することができる。得られた細胞傷害性T細胞は、本発明のペプチド、または例えば誘導に用いた同一のペプチドを提示する標的細胞に対して特異的に作用する。該標的細胞は、TEM8を内発的に発現する細胞、またはTEM8遺伝子をトランスフェクトされた細胞であってよく、かつ本発明のペプチドによる刺激によって該ペプチドを細胞表面上に提示する細胞は、活性化されたCTLの攻撃の標的となることもできる。
【0060】
VIII.T細胞受容体(TCR)
本発明はまた、T細胞受容体(TCR)のサブユニットを形成し得るポリペプチドをコードする核酸を含む組成物、およびそれを用いる方法を提供する。該TCRサブユニットは、TEM8を提示する腫瘍細胞に対する特異性をT細胞に与えるTCRを形成する能力を有する。当技術分野における公知の方法を用いることによって、本発明の1種または複数種のペプチドで誘導されたCTLのTCRサブユニットとしてのα鎖およびβ鎖の核酸を同定することができる(WO2007/032255およびMorgan et al., J Immunol, 171, 3288 (2003))。TCR誘導体は、TEM8ペプチドを提示する標的細胞と高い結合力で結合することができ、かつ任意でTEM8ペプチドを提示する標的細胞の効率的な殺傷をインビボおよびインビトロで媒介することができる。
【0061】
TCRサブユニットをコードする核酸を、適切なベクター、例えばレトロウイルスベクターに組み込むことができる。これらのベクターは、当技術分野において周知である。該核酸またはそれらを含むベクターを、T細胞、例えば患者由来のT細胞内に有効に導入することができる。有利には、本発明は、患者自身のT細胞(または他の哺乳動物のT細胞)の迅速な改変により、優れたがん細胞殺傷特性を有する改変T細胞を迅速かつ容易に作製することを可能とする、容易に入手可能な組成物を提供する。
【0062】
また本発明は、HLA−A24またはHLA−A2という状況で、例えばSEQ ID NO:3、4、9、23、25、30、60、63、および68のTEM8ペプチドに結合するTCRサブユニットポリペプチドをコードする核酸を導入することによって調製されるCTLを提供する。導入されたCTLは、インビボでがん細胞に向かわせることが可能であり、かつインビトロで周知の培養方法によって増加させることができる(例えば、Kawakami et al., J Immunol., 142, 3452-3461 (1989))。本発明のT細胞を用いて、治療または予防を必要としている患者のがんの治療または防止に有用な免疫原性組成物を形成することができる(WO2006/031221)。
【0063】
防止および予防は、疾患による死亡または罹患の負担を低下させる任意の行為を含む。防止および予防は、「第一、第二、および第三の予防レベルで」行われ得る。第一の防止および予防は、疾患の発生を回避するのに対し、第二および第三のレベルの防止および予防は、機能を回復させ、かつ疾患関連の合併症を減少させることによって、既存の疾患の悪影響を低下させるのに加え、疾患の進行および症状の出現を防止および予防することを目的とした行為を包含する。あるいは、防止および予防は、特定の疾患の重症度を軽減する、例えば、腫瘍の増殖および転移を減少させる、血管新生を減少させることを目的とした広範囲の予防的治療を含む。
【0064】
がんの治療および/または予防、ならびに/あるいは術後のその再発の防止は、以下の、例えばがん細胞の外科的除去、がん性細胞の成長の阻止、腫瘍の退縮または後退、寛解誘導およびがんの発生の抑制、腫瘍の後退、ならびに転移の低減または阻止の任意の段階を含む。がんの効果的な治療および/または予防は、死亡率を減少させ、がんを有する個体の予後を改善し、血中の腫瘍マーカーレベルを低下させ、かつがんにともなう検出可能な症状を軽減する。例えば、症状の軽減または改善は効果的な治療の構成要素であり、かつ/または予防は10%、20%、30%、もしくはそれ以上の軽減もしくは安定した疾患を含む。
【0065】
IX.調合薬剤
TEM8の発現は、正常組織と比較して腫瘍関連内皮において特に上昇しているため(St Croix B et al., Science 2000 Aug 18, 289(5482): 1197-202)、本発明のペプチドまたは該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを、がんの治療および/もしくは予防、ならびに/または術後のその再発の防止に用いることができる。したがって本発明は、本発明のペプチドの1種もしくは複数種、または該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを活性成分として含む、がんの治療および/もしくは予防のための、ならびに/または術後のその再発の防止のための調合薬剤を提供する。あるいは、調合薬剤としての使用のために、本発明のペプチドを、APC等の前述のエキソソームまたは細胞のいずれかの表面上に発現させることができる。さらに、本発明のペプチドのいずれかを標的とする前述の細胞傷害性T細胞もまた、本発明の調合薬剤の活性成分として使用することができる。
【0066】
本発明の調合薬剤は、ワクチンとして使用される。本発明において、「ワクチン」(免疫原性組成物とも称される)という語句は、動物内に接種すると抗腫瘍免疫を誘導する作用を有する物質を表す。
【0067】
本発明の調合薬剤を、ヒト、ならびにマウス、ラット、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ、サル、ヒヒ、およびチンパンジー、特に商業的に重要な動物または家畜を含むが、これに限定されない他の任意の哺乳動物を含む対象または患者における、がんの治療および/もしくは防止、ならびに/または術後のその再発の防止に用いることができる。
【0068】
本発明において、SEQ ID NO:3、4、または9のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、腫瘍関連内皮に対して強力かつ特異的な免疫応答を誘導し得るHLA−A24拘束性エピトープペプチドであることが分かっている。したがって、SEQ ID NO:3、4、および9のアミノ酸配列を有するこれらのポリペプチドの任意のものを含む本発明の調合薬剤は、HLA抗原がHLA−A24である対象への投与に特に適している。一方、SEQ ID NO:23、25、30、60、63、または68のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、腫瘍関連内皮に対して強力かつ特異的な免疫応答を誘導し得るHLA−A02拘束性エピトープペプチドであることが分かっている。したがって、SEQ ID NO:23、25、30、60、63、および68のアミノ酸配列を有するポリペプチドのいずれかを含むこれらのペプチドの任意のものを含む調合薬剤は、HLA抗原がHLA−A02である対象への投与に特に適している。同じことが、これらのポリペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチドを含む調合薬剤にもあてはまる。
【0069】
本発明の調合薬剤によって治療されるがんは限定されず、例えば膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、子宮内膜症、食道癌、胃癌、肝臓癌、肺癌、神経芽細胞腫、骨肉腫、卵巣癌、黒色腫、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、精巣腫瘍、または結腸直腸癌を含む、TEM8が関与するすべての種類のがんを含む(図5を参照)。
【0070】
本発明の調合薬剤は、前述の活性成分に加えて、がん性細胞に対してCTLを誘導する能力を有するその他のペプチド、該その他のペプチドをコードするその他のポリヌクレオチド、該その他のペプチドを提示するその他の細胞、またはそれと同様のものを含み得る。本明細書において、がん性細胞に対してCTLを誘導する能力を有するその他のペプチドは、がん特異的抗原(例えば、同定されたTAA)によって例示されるが、これに限定されない。
【0071】
必要に応じて、本発明の調合薬剤は、活性成分、例えば本発明のペプチドのいずれかの腫瘍関連内皮に対する抗腫瘍効果をその他の治療物質が阻害しない限り、活性成分として該物質を任意で含んでもよい。例えば、製剤は、抗炎症剤、鎮痛剤、化学療法剤等を含むことができる。医薬自体に他の治療物質を含めることに加えて、本発明の医薬を、1つまたは複数の他の薬理学的薬剤と連続してまたは同時に投与してもよい。医薬および薬理学的薬剤の量は、例えば、使用される薬剤の種類、治療する疾患、ならびに投与のスケジュールおよび経路によって決まる。
【0072】
本明細書において特に言及した成分に加えて、本発明の調合薬剤は、問題の製剤の種類を考慮して、当技術分野において慣例的な他の薬剤を含んでもよいことが理解されるべきである。
【0073】
本発明の一つの態様において、治療する疾患、例えばがんの病態を治療するのに有用な材料を含む製品およびキットに本発明の調合薬剤を含めてもよい。該製品は、ラベルを有する本発明の調合薬剤のいずれかの容器を含んでもよい。適切な容器は、ボトル、バイアル、および試験管を含む。容器は、ガラスまたはプラスチック等の様々な材料から形成されることが可能である。容器上のラベルには、前記薬剤が疾患の1つまたは複数の状態の治療または防止のために用いられることが示されるべきである。ラベルは、投与等に関する指示を示すこともできる。
【0074】
前述の容器に加えて、本発明の調合薬剤を含むキットは、任意で、薬学的に許容される希釈剤を収容した第二の容器をさらに含んでもよい。それは、使用のための指示書とともに、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、注射針、シリンジ、および添付文書を含む、商業上および利用者の立場から見て望ましい他の材料をさらに含むこともできる。
【0075】
必要に応じて、活性成分を含む一つまたは複数の剤形単位を含み得るパックまたはディスペンサー装置で、薬学的組成物を提供することができる。該パックには、例えばブリスターパック等の金属またはプラスチックホイルが含まれてよい。該パックまたはディスペンサー装置には、投与に関する指示書が添付されてよい。
【0076】
(1)活性成分としてペプチドを含む調合薬剤
本発明のペプチドは、調合薬剤として直接投与されてもよく、あるいは必要であれば、従来の製剤方法によって製剤される。後者の場合、本発明のペプチドに加えて、薬物に通常用いられる担体、賦形剤等が特に制限なく適宜含まれ得る。そのような担体の例は、滅菌水、生理食塩水、リン酸緩衝液、培養液等である。さらに該調合薬剤は、必要に応じて、安定剤、懸濁液、保存剤、界面活性剤等を含むことができる。本発明の調合薬剤を、抗癌目的に用いることができる。
【0077】
インビボでCTLを誘導するために、本発明のペプチドを2種以上含む組み合わせで本発明のペプチドを調製することが可能である。該ペプチドは、カクテルの状態であっても、または標準的方法を用いて互いにコンジュゲートしていてもよい。例えば、該ペプチドを化学的に連結させても、または1個の融合ポリペプチド配列として発現させてもよい。組み合わせの中のペプチドは、同一であっても異なっていてもよい。本発明のペプチドを投与することによって、該ペプチドはAPC上のHLA抗原によって高密度で提示され、次いで、提示されたペプチドと該HLA抗原との間に形成された複合体に特異的に反応するCTLが誘導される。あるいは、本発明のペプチドで刺激した対象からAPC(例えば、DC)を取り出すことによって、本発明のペプチドのいずれかを細胞表面上に提示するAPCを得、これらのAPC(例えば、DC)を前記対象に再度投与することによって該対象中でCTLを誘導し、結果として、腫瘍関連内皮に対する攻撃性を増大させることができる。
【0078】
活性成分として本発明のペプチドを含む、がんの治療および/または防止のための調合薬剤は、細胞性免疫が効果的に確立されるように、またはそれらを他の活性成分と共に投与できるように、およびそれらを顆粒内への製剤によって投与できるように、アジュバントを含んでもよい。アジュバントとは、免疫学的活性を有するタンパク質と一緒に(または、連続して)投与した場合に、該タンパク質に対する免疫応答を増強させる化合物を指す。利用できるアジュバントは、文献(Clin Microbiol Rev 1994, 7: 277-89)に記載されているものを含む。例示のアジュバントは、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ミョウバン、コレラ毒素、サルモネラ毒素等を含むが、これに限定されない。
【0079】
さらに、リポソーム製剤、ペプチドが直径数マイクロメートルのビーズに結合している顆粒製剤、および脂質がペプチドに結合している製剤を好都合に用いてもよい。
【0080】
いくつかの態様において、本発明の調合薬剤はCTLを刺激する(prime)構成成分を含む。脂質は、ウイルス抗原に対してインビボでCTLを刺激し得る作用物質として同定されている。例えば、パルミチン酸残基をリジン残基のεアミノ基およびαアミノ基に付着させ、次いで本発明のペプチドに連結させることができる。次いで、脂質付加したペプチドを、ミセルまたは粒子のいずれかの状態で直接投与すること、リポソーム中に取り込ませること、またはアジュバント中に乳化させることができる。CTL応答の脂質による刺激の別の例として、適切なペプチドに共有結合している場合、トリパルミトイル−S−グリセリルシステインリセリル−セリン(P3CSS)等の大腸菌(E.coli)リポタンパク質を用いてCTLを刺激することができる(例えば、Deres et al., Nature 1989, 342: 561-4を参照)。
【0081】
投与方法は、経口、皮内、皮下、または静脈内注射等の投与、および全身投与または標的部位付近への局所投与であってよい。投与は、単回投与によって行われても、または複数回投与によって強化されてもよい。本発明のペプチドの用量を、治療する疾患、患者の年齢、体重、および投与方法等に従って適切に調節することができ、これは通常0.001 mg〜1000 mg、例えば0.001 mg〜1000 mg、例えば0.1 mg〜10 mgであり、数日から数ヶ月に一度投与することができる。当業者は、適当な用量を適切に選択することができる。
【0082】
(2)活性成分としてポリヌクレオチドを含む調合薬剤
本発明の調合薬剤はまた、本明細書において開示されているペプチドをコードする核酸を発現可能な形態で含むことができる。本明細書中で「発現可能な形態で」という語句は、ポリヌクレオチドが、細胞内に導入された場合に、抗腫瘍免疫を誘導するポリペプチドとしてインビボで発現するであろうことを意味する。例示的な態様において、関心対象のポリヌクレオチドの核酸配列は、該ポリヌクレオチドの発現に必要な調節エレメントを含む。標的細胞のゲノム内への安定した挿入を実現するように、ポリヌクレオチドに必要なものを持たせることができる(相同的組換えカセットベクターの説明に関して、例えばThomas KR & Capecchi MR, Cell 1987, 51: 503-12を参照)。例えば、Wolff et al., Science 1990, 247: 1465-8;米国特許第5,580,859号;第5,589,466号;第5,804,566号;第5,739,118号;第5,736,524号;第5,679,647号;およびWO 98/04720を参照されたい。DNAに基づく送達技術の例は、「裸のDNA」、促進された(ブピバカイン、ポリマー、ペプチド媒介性)送達、カチオン性脂質複合体、および粒子媒介性(「遺伝子銃」)または圧力媒介性の送達を含む(例えば、米国特許第5,922,687号を参照)。
【0083】
ウイルスまたは細菌ベクターによって、本発明のペプチドを発現させることもできる。発現ベクターの例は、ワクシニアウイルスまたは鶏痘ウイルス等の弱毒化ウイルス宿主を含む。このアプローチは、例えば、ペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現させるためのベクターとして、ワクシニアウイルスの使用をともなう。宿主内へ導入すると、組換えワクシニアウイルスは免疫原性ペプチドを発現し、それによって、免疫応答を誘発する。免疫化プロトコールに有用なワクシニアベクターおよび方法は、例えば米国特許第4,722,848号に記載されている。別のベクターはBCG(カルメット−ゲラン桿菌)である。BCGベクターは、Stover et al., Nature 1991, 351: 456-60に記載されている。治療的投与または免疫化に有用である多種多様な他のベクター、例えばアデノおよびアデノ関連ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、チフス菌(Salmonella typhi)ベクター、および無毒化炭疽毒素ベクター等が明らかであろう。例えば、Shata et al., Mol Med Today 2000, 6: 66-71;Shedlock et al., J Leukoc Biol 2000, 68: 793-806;Hipp et al., In Vivo 2000, 14: 571-85を参照されたい。
【0084】
患者内へのポリヌクレオチドの送達は、直接的(この場合、ポリヌクレオチドを保持するベクターに患者を直接さらす)、または間接的(この場合、まず細胞を関心対象のポリヌクレオチドでインビトロで形質転換し、次いで該細胞を患者内に移植する)のいずれかであってよい。これら2つのアプローチは、それぞれ、インビボおよびエクスビボでの遺伝子治療として公知である。
【0085】
遺伝子治療の方法の一般的概説に関しては、Goldspiel et al., Clinical Pharmacy 1993, 12: 488-505;Wu and Wu, Biotherapy 1991, 3: 87-95;Tolstoshev, Ann Rev Pharmacol Toxicol 1993, 33: 573-96;Mulligan, Science 1993, 260: 926-32;Morgan & Anderson, Ann Rev Biochem 1993, 62: 191-217;Trends in Biotechnology 1993, 11(5): 155-215を参照されたい。本発明にも用いることのできる組換えDNA技術の分野において一般に公知の方法は、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY, 1993版;およびKrieger, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NY, 1990版に記載されている。
【0086】
投与方法は、経口投与、皮内投与、皮下投与、または静脈内注射等であってよく、全身投与または標的部位付近への局所投与が用いられる。投与は、単回投与によって行われても、または複数回投与によって強化されてもよい。適切な担体中のポリヌクレオチドまたは本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドで形質転換した細胞の用量を、治療する疾患、患者の年齢、体重、投与方法等に従って適切に調節することができ、これは通常0.001 mg〜1000 mg、例えば0.001 mg〜1000 mg、例えば0.1 mg〜10 mgであり、数日毎に1回から数ヶ月毎に1回投与することができる。当業者は、適当な用量を適切に選択することができる。
【0087】
X.ペプチド、エキソソーム、APC、およびCTLを用いる方法
APCおよびCTLを誘導するために、本発明のペプチドおよび該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いることができる。CTLを誘導するために、本発明のエキソソームおよびAPCも用いることができる。該ペプチド、ポリヌクレオチド、エキソソーム、およびAPCを、他の任意の化合物がそれらのCTL誘導能を阻害しない限り、該化合物と組み合わせて用いることができる。したがって、前述の本発明の調合薬剤の任意のものをCTLを誘導するために用いることができ、それに加えて、前記ペプチドおよびポリヌクレオチドを含むものも、以下に説明するように、APCを誘導するために用いることができる。
【0088】
(1)抗原提示細胞(APC)を誘導する方法
本発明は、本発明のペプチドまたは該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いた、APCを誘導する方法を提供する。APCの誘導は、前記の「VI.抗原提示細胞」の章に記載されているように行なうことができる。本発明はまた、高レベルのCTL誘導能を有するAPCを誘導する方法を提供し、その誘導は、上記の「VI.抗原提示細胞」の項目でも言及されている。好ましくは、本発明は、高いCTL誘導能を有するAPCを誘導する方法を提供し、該方法は、本発明のペプチドをAPCと接触させて、または該ペプチドをコードするポリヌクレオチドをAPC内に導入して、HLA抗原と共に本発明のペプチドを提示するAPCを作製する工程を含む。
【0089】
(2)CTLを誘導する方法
さらに本発明は、本発明のペプチド、該ペプチドをコードするポリヌクレオチド、または該ペプチドを提示するエキソソームもしくはAPCを用いた、CTLを誘導する方法を提供する。好ましい態様において、該方法はCD+T細胞を以下と接触させる工程を含む:
(a)HLA抗原と共に本発明のペプチドを提示するAPC;または
(b)本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子を抗原提示細胞内に導入することによって誘導されたAPC。
本発明のペプチドを対象に投与した場合、該対象の体内でCTLが誘導され、腫瘍関連内皮を標的とする免疫応答の強度が増強される。あるいは、対象由来のAPC、およびCD8陽性細胞、または末梢血単核白血球を、インビトロで本発明のペプチドと接触させ(で刺激し)、CTLを誘導後、活性化したCTL細胞を該対象に戻すエクスビボの治療法に、前記ペプチドおよび該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いることができる。例えば、該方法は、以下の工程を含むことができる:
a:対象からAPCを回収する工程;
b:工程aのAPCを前記ペプチドと接触させる工程;
c:工程bのAPCをCD+T細胞と混合し、CTLを誘導するために共培養する工程;および
d:工程cの共培養物からCD+T細胞を回収する工程。
【0090】
あるいは、本発明に従って、CTLを誘導する薬学的組成物を製造するための本発明のペプチドの使用を提供する。さらに、本発明はまた、CTLを誘導するための本発明のペプチドを提供する。
【0091】
工程dによって得られた細胞傷害活性を有するCD+T細胞を、ワクチンとして前記対象に投与することができる。前記の工程cにおいてCD+T細胞と混合するAPCを、前記の「VI.抗原提示細胞」の章で詳述されているように、本発明のペプチドをコードする遺伝子をAPC内に導入することによって調製することもできるが、それに限定されず、かつ前記T細胞に対して、本発明のペプチドを効果的に提示する任意のAPCまたはエキソソームを本発明の方法に用いることができる。
【0092】
本明細書中に記載されているものと同様または同等の方法および材料を、本発明の実施または試験に使用することができるが、適切な方法および材料が記載されている。本明細書中で言及するすべての出版物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参照により組み入れられる。矛盾する場合、定義を含む本明細書に従う。さらに、前記の材料、方法、および例は例示に過ぎず、限定することを意図するものではない。
【0093】
以下の実施例は、本発明を説明するため、ならびに当業者が同じものを作製および使用するのを支援するために提供される。該実施例は、本発明の範囲をいかなる形であれ他の方法で限定することを意図するものではない。
【0094】
実施例
材料および方法
細胞株
HLA−A24陽性ヒトBリンパ球をエプスタインバーウイルスで形質転換することによって、A24リンパ芽球状細胞株(A24LCL)を樹立した。ヒトBリンパ芽球状細胞株であるT2(HLA−A2)、COS7、およびマウス結腸直腸癌細胞株のCT26を、ATCCから購入した。マウスリンパ腫細胞株であるRLmale1を、東北大学附属医用細胞資源センターから購入した。
【0095】
TEM8由来のペプチドの候補選択
HLA−A2402およびHLA−A0201分子に結合するTEM8由来の9アミノ酸長および10アミノ酸長のペプチドを、Parker KC et al.(J Immunol 1994, 152(1): 163-75)およびKuzushima K et al.(Blood 2001, 98(6): 1872-81)によってアルゴリズムが記載されている結合予測ソフトウェア「BIMAS」(http://www−bimas.cit.nih.gov/molbio/hla_bind)を用いることによって予測した。これらのペプチドを、標準的な固相合成法に従ってSigma(札幌、日本)で合成し、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で精製した。該ペプチドの純度(>90%)および同一性を、それぞれ分析用HPLCおよび質量分析によって測定した。ペプチドをジメチルスルホキシド(DMSO)に20 mg/mlで溶解し、摂氏−80℃で保存した。
【0096】
インビトロでのCTL誘導
単球由来の樹状細胞(DC)を抗原提示細胞(APC)として用いて、ヒト白血球抗原(HLA)上に提示されたペプチドに対して応答する細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を誘導した。他で記載されているように、DCをインビトロで作製した(Nakahara S et al., Cancer Res 2003 Jul 15, 63(14): 4112-8)。具体的には、Ficoll−Plaque(Pharmacia)溶液によって正常なボランティア(HLA−A2402陽性またはHLA−A0201陽性)から単離した末梢血単核細胞(PBMC)を、プラスチック製の組織培養ディッシュ(Becton Dickinson)に付着させることによって分離して、それらを単球画分として濃縮した。2%の加熱不活性化した自己血清(AS)を含有するAIM−V培地(Invitrogen)中で、1000 U/mlの顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)(R&D System)および1000 U/mlのインターロイキン(IL)−4(R&D System)の存在下で、単球を濃縮した集団を培養した。培養7日後、サイトカインで誘導したDCに、AIM−V培地中で3時間、摂氏37℃にて、3μg/mlのβ2−マイクログロブリンの存在下で、20μg/mlの各合成ペプチドをパルスした。作製した細胞は、その細胞表面上に、CD80、CD83、CD86、およびHLAクラスII等のDC関連分子を発現していた(データは示さず)。次いで、ペプチドパルスしたこれらのDCを、マイトマイシンC(MMC)で不活性化し(30μg/mlで30分間)、CD8 Positive Isolation Kit(Dynal)を用いたポジティブ選択によって得た自己CD8+T細胞と1:20の比率で混合した。これらの培養物を48ウェルプレート(Corning)中に準備し;各ウェルは、0.5 mlのAIM−V/2% AS培地中に、1.5×10個のDC、3×10個のペプチドパルスしたCD8+T細胞、および10 ng/mlのIL−7(R&D System)を含んだ。3日後、これらの培養物にIL−2(CHIRON)を最終濃度20 IU/mlまで補充した。7日目および14日目に、ペプチドパルスした自己DCでT細胞をさらに刺激した。該DCを前述と同じ方法によって毎回調製した。21日目に、3回目のペプチド刺激後、ペプチドパルスしたA24LCL細胞に対してCTLを試験した(Tanaka H et al., Br J Cancer 2001 Jan 5, 84(1): 94-9;Umano Y et al., Br J Cancer 2001 Apr 20, 84(8): 1052-7;Uchida N et al., Clin Cancer Res 2004 Dec 15, 10(24): 8577-86;Suda T et al., Cancer Sci 2006 May, 97(5): 411-9;Watanabe T et al., Cancer Sci 2005 Aug, 96(8): 498-506)。
【0097】
CTL増幅手順
Riddell et al.(Walter EA et al., N Engl J Med 1995 Oct 19, 333(16): 1038-44; Riddell SR et al., Nat Med 1996 Feb, 2(2): 216-23)によって記載されている方法と同様の方法を用いて、培養下でCTLを増殖させた。40 ng/mlの抗CD3モノクローナル抗体(Pharmingen)の存在下で、MMCによって不活性化した2種類のヒトBリンパ芽球状細胞株と共に、合計5×10個のCTLを25 mlのAIM−V/5% AS培地中に懸濁した。培養を開始して1日後、120 IU/mlのIL−2を該培養物に添加した。5、8、および11日目に、30 IU/mlのIL−2を含有する新しいAIM−V/5% AS培地を、該培養物に供給した(Tanaka H et al., Br J Cancer 2001 Jan 5, 84(1): 94-9;Umano Y et al., Br J Cancer 2001 Apr 20, 84(8): 1052-7;Uchida N et al., Clin Cancer Res 2004 Dec 15, 10(24): 8577-86;Suda T et al., Cancer Sci 2006 May, 97(5): 411-9;Watanabe T et al., Cancer Sci 2005 Aug, 96(8): 498-506)。
【0098】
CTLクローンの樹立
96ウェル丸底マイクロタイタープレート(Nalge Nunc International)中に、1ウェル当たり0.3、1、および3 CTLとなるように希釈を行なった。1ウェル当たり合計150μlの、5% ASを含有するAIM−V培地中、1ウェル当たり1×10細胞の2種類のヒトBリンパ芽球状細胞株、30 ng/mlの抗CD3抗体、および125 U/mlのIL−2と共に、CTLを培養した。10日後、IL−2の最終濃度が125 U/mlに達するように、該培地に1ウェル当たり50μlのIL−2を添加した。14日目にCTL活性を試験し、前述と同じ方法を用いてCTLクローンを増殖させた(Uchida N et al., Clin Cancer Res 2004 Dec 15, 10(24): 8577-86;Suda T et al., Cancer Sci 2006 May, 97(5): 411-9;Watanabe T et al., Cancer Sci 2005 Aug, 96(8): 498-506)。
【0099】
特異的CTL活性
特異的CTL活性を調べるために、インターフェロン(IFN)−γ酵素結合イムノスポット(ELISPOT)アッセイおよびIFN−γ酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を行なった。具体的には、ペプチドパルスしたA24LCL(1×10個/ウェル)を、刺激細胞として調製した。48ウェル中の培養細胞または限界希釈後のCTLクローンを、レスポンダー細胞(responder cell)として用いた。IFN−γ ELISPOTアッセイおよびIFN−γ ELISAアッセイを、製造元の手順に従って行なった。
【0100】
BALB/cマウスにおけるエピトープペプチドの免疫原性
ペプチド特異的なCTLを刺激するために、マウス1匹につき、50μlのHLA−A24拘束性ペプチドと50μlのIFAを含有する100μlのワクチン混合物を用いて免疫化を行った。0日目の最初の免疫化にはマウスの右側腹部に、7日目の2回目の免疫化には左側腹部に、該ワクチンを皮下注射した。14日目に、IFN−γ ELISPOTアッセイ用に、ワクチン接種したマウス由来の脾細胞をレスポンダー細胞として用い、ペプチド有りまたはペプチド無しでパルスしたRLmale1細胞を刺激細胞として用いた。
【0101】
インビボ抗腫瘍効果
IFAコンジュゲートペプチドを用いて、7日前および0日目にワクチン接種を行なった。0日目に、BALB/cマウスの右側腹部内にCT26細胞(マウス1匹につき5×10細胞)を皮下注射した。2つの垂直径の積(mm)として腫瘍増殖を測定した。
【0102】
結果
HLA−A24に結合するTEM8由来ペプチドの予測
表1は、HLA−A2402およびHLA−A0201に結合するTEM8のペプチドを、結合親和性の高い順に示す。潜在的なHLA−A24結合能を有する合計21個のペプチドを選択して、エピトープペプチドを決定するために試験し(表1a)、潜在的なHLA−A2結合能を有する合計53個のペプチドを同様に選択して、エピトープペプチドを決定するために試験した(表1bおよび表1c)。予測したペプチドの大部分がCTL誘導を示さなかった。したがって本発明では、CTL誘導を示したペプチドに的を絞った。
【0103】
(表1a)HLA−A24に結合するTEM8由来ペプチド(9アミノ酸長および10アミノ酸長のペプチド)

【0104】
(表1b)HLA−A02に結合するTEM8由来の9アミノ酸長ペプチド

【0105】
(表1c)HLA−A02に結合するTEM8由来の10アミノ酸長ペプチド

開始位置は、TEM8のN末端からのアミノ酸残基の数を示す。
結合スコアは、「BIMAS」から導き出している。
【0106】
HLA−A2402またはHLA−A0201で拘束された、TEM8由来の予測されたペプチドを用いたCTLの誘導、およびTEM8由来ペプチドで刺激したCTL株の樹立
TEM8由来のペプチドに対するCTLを、「材料と方法」に記載したプロトコールに従って作製した。IFN−γ ELISPOTアッセイによって、ペプチド特異的なCTL活性を測定した(図1a〜i)。これにより、TEM8−A24−9−39(SEQ ID NO:3)、TEM8−A24−9−277(SEQ ID NO:4)、TEM8−A24−10−277(SEQ ID NO:9)、TEM8−A02−9−337(SEQ ID NO:23)、TEM8−A02−9−338(SEQ ID NO:25)、TEM8−A02−9−278(SEQ ID NO:30)、TEM8−A02−10−338(SEQ ID NO:60)、TEM8−A02−10−265(SEQ ID NO:63)、およびTEM8−A02−10−333(SEQ ID NO:68)は、対照ウェルと比較して、強力なIFN−γ産生を示すことが明らかになった。さらに、SEQ ID NO:3で刺激した陽性のウェル番号#5中の細胞、SEQ ID NO:4で刺激した#6中の細胞、SEQ ID NO:9で刺激した#3中の細胞、SEQ ID NO:23で刺激した#3中の細胞、SEQ ID NO:25で刺激した#6中の細胞、SEQ ID NO:30で刺激した#3中の細胞、SEQ ID NO:60で刺激した#2中の細胞、SEQ ID NO:63で刺激した#5中の細胞、およびSEQ ID NO:68で刺激した#4中の細胞を増幅し、CTL株を樹立した。それらのCTL株のCTL活性を、IFN−γ ELISAアッセイによって測定した(図2a〜i)。これにより、すべてのCTL株は、ペプチドをパルスしなかった標的細胞と比較して、対応するペプチドをパルスした標的細胞に対して強力なIFN−γ産生を示すことが明らかとなった。一方、表1に示された他のペプチドはHLA−A2402またはHLA−A0201との結合活性を有する可能性があるものの、それらを用いた刺激によって樹立されたCTL株はなかった。例えば、TEM8−A02−9−207(SEQ ID NO:46)で刺激したCTL応答の典型的なネガティブデータを、図1jと図2jに示す。結果的に、TEM8由来の9個のペプチドが、強力なCTL株を誘導することができたことからスクリーニングされたことが示された。
【0107】
TEM8特異的ペプチドに対するCTLクローンの樹立
さらに、「材料と方法」の項目に記載されているように、限界希釈によって各CTL株からCTLクローンを樹立し、ペプチドをパルスした標的細胞に対するCTLクローンからのIFN−γ産生を、IFN−γ ELISAアッセイによって測定した。図3において、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:25、およびSEQ ID NO:63で刺激したCTLクローンから、強力なIFN−γ産生が測定された。
【0108】
TEM8およびHLA−A2402またはHLA−A0201を内発的に発現している標的細胞に対する特異的CTL活性
これらのペプチドに対して作製した前記の樹立したCTL株またはクローンについて、TEM8およびHLA−A2402分子を内発的に発現している標的細胞を認識するそれらの能力を調べた。TEM8遺伝子の全長およびHLA−A2402分子の遺伝子の両方をトランスフェクトしたCOS7細胞に対する特異的CTL活性(TEM8およびHLA−A2402遺伝子を内発的に発現している標的細胞に対する特異的モデル)を、対応するペプチドによって作製したCTL株またはクローンをエフェクター細胞として用いて試験した。TEM8遺伝子の全長またはHLA−A2402のいずれかをトランスフェクトしたCOS7細胞を対照として調製した。図4aにおいて、CTLはTEM8およびHLA−A24の両方をトランスフェクトしたCOS7細胞に対して強力なCTL活性を示した。一方、前記対照に対して、有意な特異的CTL活性は検出されなかった。さらに、HLA−A2拘束性ペプチドに対して作製した樹立したCTL株またはクローンについても、TEM8およびHLA−A0201分子を内発的に発現している標的細胞を認識するそれらの能力を調べた。TEM8遺伝子の全長およびHLA−A0201分子の遺伝子の両方をトランスフェクトしたCOS7細胞に対する特異的CTL活性を試験した。対応するHLA−A2拘束性ペプチドによって誘導されたCTL株またはクローンをエフェクター細胞として用いた。TEM8遺伝子の全長またはHLA−A0201遺伝子のいずれかをトランスフェクトしたCOS7細胞を対照として用いた。図4bにおいて、SEQ ID NO:63で刺激したCTLは、TEM8およびHLA−A2の両方をトランスフェクトしたCOS7細胞に対して強力なCTL活性を示した。一方、前記対照に対して、有意な特異的CTL活性は検出されなかった。したがって、これらのデータにより、SEQ ID NO:4およびSEQ ID NO:63は、HLA−A2402またはHLA−A0201分子を有する標的細胞上に天然に発現していること、かつ前記CTLによって認識されたことが明確に示された。さらにそれは、TEM8由来のそれら2つのペプチドがCTLを誘導し得るエピトープペプチドであること、かつそれがTEM8を発現している細胞を有する患者に対して該がんワクチンを適用するのに役立つ可能性があることを示した。
【0109】
BALB/cマウスにおけるエピトープペプチドの免疫原性
BALB/cマウスに対するSEQ ID NO:4の免疫化を行ない、TEM8エピトープペプチドの免疫原性を評価した。IFAとコンジュゲートした該ペプチドの2回目の注射後、ペプチド特異的CTL活性をIFN−γ ELISPOTアッセイによって測定した。ワクチン接種したマウスから回収した脾細胞をレスポンダー細胞として用いた場合、強力なIFN−γ産生が特異的に検出された。図5aにおいて、SEQ ID NO:4に特異的なIFN−γ産生は5匹中4匹のマウス(M1、M3、M4、およびM5)から検出されたが、対照マウス(N1およびN2)では検出されなかった。これらのデータにより、SEQ ID NO:4は、ペプチドパルスした標的細胞に対して特異的CTLをインビボで誘導することが示された。
【0110】
TEM8エピトープペプチドによるワクチン接種の抗腫瘍効果
ペプチドを用いて抗腫瘍効果を調べるために、CT26腫瘍細胞株を用いてインビボ抗腫瘍モデルを調べた。7日前および0日目にSEQ ID NO:4の投与を行ない、0日目に、BALB/cマウスにCT26結腸直腸癌細胞を皮下注射した。SEQ ID NO:4をワクチン接種したマウスでは、対照マウスと比較して、腫瘍増殖が明らかに抑制されていた(図5b)。これにより、SEQ ID NO:4を用いたワクチン接種を受けたマウスにおける腫瘍増殖の抑制に関して、統計的に有意な差が示された(P<0.05)。
【0111】
抗原ペプチドのホモロジー解析
以下のペプチド:
TEM8−A24−9−39(SEQ ID NO:3)、
TEM8−A24−9−277(SEQ ID NO:4)、
TEM8−A24−10−277(SEQ ID NO:9)、
TEM8−A02−9−337(SEQ ID NO:23)、
TEM8−A02−9−338(SEQ ID NO:25)、
TEM8−A02−9−278(SEQ ID NO:30)、
TEM8−A02−10−338(SEQ ID NO:60)、
TEM8−A02−10−265(SEQ ID NO:63)、および
TEM8−A02−10−333(SEQ ID NO:68)
で刺激したCTLは、それぞれ、有意かつ特異的なCTL活性を示すことが立証された。この結果は、該ペプチドの配列が、ヒト免疫系を感作することが知られている他の分子に由来するペプチドと相同的であるという事実に起因する可能性がある。この可能性を排除するために、これらのペプチド配列に対して、有意な相同性を有する配列を示さないBLASTアルゴリズム(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/blast.cgi)をクエリーとして用いてホモロジー解析を行なった。このホモロジー解析の結果から、TEM8−A24−9−39(SEQ ID NO:3)、TEM8−A24−9−277(SEQ ID NO:4)、TEM8−A24−10−277(SEQ ID NO:9)、TEM8−A02−9−337(SEQ ID NO:23)、TEM8−A02−9−338(SEQ ID NO:25)、TEM8−A02−9−278(SEQ ID NO:30)、TEM8−A02−10−338(SEQ ID NO:60)、TEM8−A02−10−265(SEQ ID NO:63)、およびTEM8−A02−10−333(SEQ ID NO:68)の配列はそれぞれ固有のものであり、ゆえに、本発明者らの知る限りでは、これらの分子が、ある関連しない分子に対して予期しない免疫応答を引き起こす可能性はほとんどないことが示された。
【0112】
最終的に、TEM8由来の新規なHLA−A2402またはA0201エピトープペプチドを同定した。さらに、TEM8のエピトープペプチドはがん免疫療法に適用可能であることが立証された。
【0113】
産業上の利用可能性
本発明は、血管新生に関連する広範囲な疾患で形成される内皮細胞を標的とするCTLを誘導し、かつワクチンとして極めて有効な新規ペプチドを提供する。本発明はまた、これらのペプチドの任意のものを活性成分として含む、腫瘍等の血管新生に関連する疾患の治療および防止のための調合薬を提供する。本発明によれば、免疫を誘導するのに必要なペプチドの大きさは非常に小さい(例えば、9〜10アミノ酸残基)。したがって、該ペプチドの合成および精製をきわめて簡単に行なうことができるという点で、本発明は特に有利である。
【0114】
本明細書中で引用したすべての出版物、特許、および特許出願は、参照により本明細書中に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞傷害性T細胞誘導能を有する単離されたノナペプチドまたはデカペプチドであって、SEQ ID NO:76のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたノナペプチドまたはデカペプチド。
【請求項2】
SEQ ID NO:3、4、および9からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、ノナペプチドまたはデカペプチド。
【請求項3】
細胞傷害性Tリンパ球(CTL)誘導能を有するペプチドであって、
(a)SEQ ID NO:3、4、または9;および
(b)1個、2個、または数個のアミノ酸が置換または付加されているSEQ ID NO:3、4、または9
の群より選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド。
【請求項4】
(a)N末端から2番目のアミノ酸が、フェニルアラニン、チロシン、メチオニン、およびトリプトファンの群より選択される、置換;ならびに
(b)C末端のアミノ酸が、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、およびメチオニンの群より選択される、置換
からなる群より選択される、少なくとも1個の置換を有する、請求項3記載のペプチド。
【請求項5】
SEQ ID NO:23、25、30、60、63、および68からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、ノナペプチドまたはデカペプチド。
【請求項6】
CTL誘導能を有するペプチドであって、
(a)SEQ ID NO:23、25、30、60、63、または68;および
(b)1個、2個、または数個のアミノ酸が置換または付加されているSEQ ID NO:23、25、30、60、63、または68
の群より選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド。
【請求項7】
(a)N末端から2番目のアミノ酸が、ロイシンまたはメチオニンである、置換;および
(b)C末端のアミノ酸が、バリンまたはロイシンである、置換
からなる群より選択される、少なくとも1個の置換を有する、請求項6記載のペプチド。
【請求項8】
腫瘍の治療および/もしくは予防、ならびに/または術後のその再発の防止のための調合薬剤であって、請求項1〜7のいずれか一項記載の1種または複数種のペプチド、または該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、調合薬剤。
【請求項9】
HLA抗原がHLA−A24またはHLA−A02である対象への投与を意図した、請求項8記載の調合薬剤。
【請求項10】
がんの治療を意図した、請求項9記載の調合薬剤。
【請求項11】
ワクチンである、請求項10記載の調合薬剤。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチドとHLA抗原とを含む複合体をその表面上に提示する、エキソソーム。
【請求項13】
HLA抗原がHLA−A24である、請求項12記載のエキソソーム。
【請求項14】
HLA抗原がHLA−A2402である、請求項12記載のエキソソーム。
【請求項15】
HLA抗原がHLA−A02である、請求項12記載のエキソソーム。
【請求項16】
HLA抗原がHLA−A0201である、請求項12記載のエキソソーム。
【請求項17】
請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチドまたは該ペプチドをコードするポリヌクレオチドの使用による、高いCTL誘導能を有する抗原提示細胞を誘導するための方法。
【請求項18】
請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチドまたは該ペプチドをコードするポリヌクレオチドの使用による、CTLを誘導する方法。
【請求項19】
請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチドまたは該ペプチドをコードするポリヌクレオチドの使用による、高いCTL誘導能を有する抗原提示細胞を誘導するための方法であって、請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子を抗原提示細胞内に導入する工程を含む、方法。
【請求項20】
請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチドのいずれかを標的とする、単離された細胞傷害性T細胞。
【請求項21】
請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチドの使用によって誘導された、またはHLA−A24もしくはHLA−A2という状況で、請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチドと結合するTCRサブユニットポリペプチドをコードする核酸を形質導入された、単離された細胞傷害性T細胞。
【請求項22】
HLA抗原と請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチドとの複合体をその表面上に提示する、単離された抗原提示細胞。
【請求項23】
(a)請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチドもしくは該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを使用すること;または
(b)請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチドもしくは該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを使用し、抗原提示細胞が、請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子を抗原提示細胞内に導入することによって誘導されること
によって誘導された、抗原提示細胞。
【請求項24】
請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチド、免疫学的に活性なその断片、または該ペプチドまたは該断片をコードするポリヌクレオチドを含むワクチンを対象に投与する工程を含む、対象中で腫瘍関連内皮に対する免疫応答を誘導する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−523471(P2010−523471A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536553(P2009−536553)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際出願番号】PCT/JP2008/000932
【国際公開番号】WO2008/126413
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(502240113)オンコセラピー・サイエンス株式会社 (142)
【Fターム(参考)】