TFPI−2の変異体クニッツドメインIに関連した方法および組成物

【課題】ウシ膵臓トリプシン阻害剤(BPTI)と同様に強力で、ヒトタンパク質ドメインとほぼ同一であり、抗原性の恐れが少ないプラスミン阻害剤の提供。
【解決手段】ヒト組織因子経路阻害剤−2(TFPI−2)は、短い酸性アミノ末端および非常に塩基性のC末端尾と共に直列で3種のクニッツ型(BPTIと同類)ドメインを含有する。当該クニッツ型ドメインを含むポリペプチドについて、1種以上の以下の置換を有するポリペプチド:ロイシンは、17位(BPTI番号付け)においてアルギニンまたはリジンに変わる;チロシンは、46位においてグルタミン酸に変わる;チロシンは、11位においてトレオニンに変わる;アスパラギン酸は、10位においてチロシンまたはグルタミン酸に変わる;アラニンは、16位においてメチオニンに変わる;アラニンは、16位においてグリシンに変わる;アラニンは、16位においてセリンに変わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府によって支援された研究に関する宣言
本発明は、NIH助成金HL−70369、HL64119およびHL−36365の下で、政府によって支援されて行われた。それゆえ、米国政府は、本発明において一定の権利を有し得る。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
線維素溶解に主に関与する作用物質は、活性型プラスミノーゲンであるプラスミンである。多くの物質は、プラスミノーゲンを活性化でき、例として、活性型ハゲマン因子、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ(uPA)、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)およびプラズマカリクレイン(pKA)が挙げられる。pKAは、ウロキナーゼの酵素前駆体形態の活性化因子でもあり、直接型プラスミノーゲン活性化因子でもある。
【0003】
プラスミンは、正常な血液循環において検出されないが、酵素前駆体であるプラスミノーゲンは、約3μM存在する。さらに、測量されていない量のプラスミノーゲンは、フィブリンおよび細胞外マトリクスと細胞表面の他の成分に結合する。正常血液は、プラスミンの生理的阻害剤、α2−プラスミン阻害剤(α2−PI)を約2μM含有する。プラスミンおよびα2−PIは、1:1複合体を形成する。マトリクスまたは細胞に結合したプラスミンは、α2−PIによって比較的阻害されにくい。従って、プラスミンの活性化は、α2−PIの中和能を超えることができ、このことは、線維素溶解促進状態を引き起こす。
【0004】
プラスミンは、一旦形成されると、(時として時期尚早に)フィブリンクロットを分解する;フィブリノーゲン(クロットを構築する物質)を消化し、このことは、分解産物からもろく容易に溶解するクロットを形成し、フィブリノーゲン分解産物による血小板粘着/凝固の阻害によって、止血を妨げる;血小板と直接相互作用して糖タンパクIbおよびIIb/IIIaを切断し、このことは、高せん断血流の範囲で損傷した内皮への粘着を防ぎ、血小板血栓形成に必要である凝集反応を妨げる(ADEL86);外因性の凝固経路の酵素をタンパク質分解で不活性化し、溶解促進状態をさらに促進する。
【0005】
過剰な出血につながる不適切な線維素溶解およびフィブリノーゲン溶解は、心肺バイパスのような体外循環を必要とする外科的処置を複雑にすることが多く、さらに血栓溶解療法および特に肝臓の臓器移植において見られる。出血性素因の高出現率を特徴とするその他の臨床疾患は、肝硬変、アミロイドーシス、急性前骨髄球性白血病および固形腫瘍を含む。止血の回復には、プラズマおよび/またはプラズマ産物の注入を必要とし、これには、免疫学的な反応および病原体、たとえば、肝炎ウイルスおよびHIVへの暴露という危険がある。
【0006】
非常に大量の血液の損失は、大量注入があっても溶解を妨害できる。生命にかかわる大事なとき、出血は、ε−アミノカプロン酸(HOOV93参照)(EACA)、トラネキサム酸またはアプロチニン(NEUH89)のような抗線溶剤で治療される。アプロチニンは、Trasyloluおよびウシ膵臓トリプシン阻害剤(BPTI)としても公知である。以下、アプロチニンは、「BPTI」と称す。EACAおよびトラネキサム酸は、プラスミンのクリングルに結合することによってプラスミンがフィブリンに結合することを妨害するだけであり、従って、血漿中に遊離のプロテアーゼとしてプラスミンを残す。BPTIは、プラスミンの直接阻害剤でありおよびこれらの薬剤の中で最も有効である。血栓性合併症、腎臓毒性、BPTIの場合は、免疫原性の可能性故に、これらの薬剤は、慎重に使用され、通常「最後の手段」(PUTT89)として温存される。抗線溶剤の3種すべては、標的特異性および親和性を欠き、特徴付けされていない代謝経路を通って組織および器官と相互に作用する。親和性が低いために必要な大量投与、特異性の欠如による副作用ならびに免疫応答の可能性および器官/組織毒性は、出血を防ぐようにまたは常用の術後の療法として輸血治療を回避または減らすようにこれらの抗線溶剤を予防的に使用することへの妨げを増やす。従って、安全な抗線溶剤が必要とされている。
【0007】
過剰出血は、不完全な凝固作用、高い線維素溶解活性またはこれら2つの条件の組み合わせによって生じ得る。最も出血しやすい体質では、プラスミンの活性を制御しなければばらない。失血を減らす際、ウシ膵臓トリプシン阻害剤(BPTI)の臨床的に有益な効果は、プラスミン(Kd約0.3nM)または血漿カリクレイン(Kd約100nM)あるいは両方の酵素の阻害の結果であると考えられる。
【0008】
興味深いことに、BPTI過敏反応は、アプロチニンを再投与した約1.2〜2.7パーセントの患者に起こる(非特許文献1(30))。この反応の50パーセントは、9パーセントの死亡率と共に生命にかかわる(非特許文献1(30))。従って、より強力にするために選択的に改良されたヒト分子が、非常に望まれている。このような分子は、より低い免疫原性も期待される。BPTIを使用するための副作用および毒性問題は、近年、概要が説明されている(非特許文献2)。テキシトリン(Textilinin)もアプロチニンと比較されるが、しかしながら、テキシトリン(Textilinin)はヘビタンパク質であり、それ故に免疫原性の問題と関連している(非特許文献3および特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7,070,969号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Beierlein W,Scheule AM,Dietrich W,Ziemer G.Forty years of clinical aprotinin use:a review of 124 hypersensitivity reactions.Ann Thorac Surg.79:741−748,2005
【非特許文献2】Managoら、N Engl J Med 2006;354:353−65
【非特許文献3】Pathophysiol Haemost Thromb.2005;34(4−5):188−93
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
当該技術分野において必要なのは、BPTIと同様に強力で(またはさらに強力で)、ヒトタンパク質ドメインとほぼ同一であり、それによって類似した療法の可能性を提供するが、抗原性の恐れが少ないプラスミン阻害剤である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の要旨
本明細書において具体化され、広く記載されるように、本発明の目的(1つ以上)によると、本発明は一様態において、1種以上の変異を有する配列番号1を含むポリペプチドに関する。たとえば、本明細書において、1種以上の以下の置換を有する配列番号1を提供する:ロイシンは、17位(BPTI番号付け)においてアルギニンまたはリジンに変わる;チロシンは、46位においてグルタミン酸に変わる;チロシンは、11位においてトレオニンに変わる;アスパラギン酸は、10位においてチロシンまたはグルタミン酸に変わる;アラニンは、16位においてメチオニンに変わる;アラニンは、16位においてグリシンに変わる;アラニンは、16位においてセリンに変わる。
【0013】
さらに、プラスミンを阻害するポリペプチドを、本明細書において開示する。また、プラスミンを阻害し、TFPI−2の野生型クニッツドメインと比較して抗凝固活性を軽減するポリペプチドを開示する。また、抗線溶剤として特異的なポリペプチドを本明細書において開示する。
【0014】
本明細書において論じるポリペプチドを含む組成物も開示する。
【0015】
本明細書において開示するポリペプチドをコードする核酸も開示する。
【0016】
本明細書において開示する有効量のポリペプチドにプラスミンを接触させることを含む少なくとも1種のプラスミン活性を阻害する方法も開示する。
【0017】
本明細書において開示する有効量のポリペプチドを対象へ投与することを含む、プラスミン活性の阻害を必要としている対象を治療する方法も提供する。プラスミン阻害の必要に関する病気、障害および処置の例としては、これに限定されるものではないが、腫瘍形成(Tumorogenesis)、血管形成、骨再形成、外科手術、血友病、整形外科手術、冠動脈バイパス移植(CABG)および全身性炎症反応症候群(SIRS)が挙げられる。
【0018】
本明細書において開示する有効量のポリペプチドを対象へ投与することを含む、関節リウマチの治療を必要とする対象において、それを処置する方法も開示する。
【0019】
さらに、KD1変異体とプラスミンの結晶構造をモデリングすること;プラスミンとKD1変異体との間の相互作用を決定すること;相互作用の結果に基づいて、そのKD1変異体がプラスミン阻害剤であるかどうかを決定すること;を含むプラスミン阻害剤を同定する方法を開示する。
【0020】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
1種以上のアミノ酸変異を有する配列番号1を含むポリペプチドであって、第1の変異が、BPTI番号付けシステムを使用して17位でのロイシンからアルギニンまたはリジンへの置換を含む、ポリペプチド。
(項目2)
前記ポリペプチドが第2の変異を含み、該第2の変異が、46位でのチロシンからグルタミン酸への置換を含む、項目1に記載のポリペプチド。
(項目3)
前記ポリペプチドが第2の変異を含み、前記第2の変異が、11位でのチロシンからトレオニンへの置換を含む、項目1に記載のポリペプチド。
(項目4)
前記ポリペプチドが第2の変異を含み、前記第2の変異が、10位でのアスパラギン酸からチロシンへの置換を含む、項目1に記載のポリペプチド。
(項目5)
前記ポリペプチドが第2の変異を含み、前記第2の変異が、10位でのアスパラギン酸からグルタミン酸への置換を含む、項目1に記載のポリペプチド。
(項目6)
前記ポリペプチドが第2の変異を含み、前記第2の変異が、16位でのアラニンからメチオニン、グリシンまたはセリンへの置換を含む、項目1に記載のポリペプチド。
(項目7)
前記アミノ酸変異が、46位でのチロシンからグルタミン酸への置換、11位でのチロシンからトレオニンへの置換、16位でのアラニンからメチオニン、グリシン、またはセリンへの置換、および10位でのアスパラギン酸からチロシンまたはグルタミン酸への置換からなる群より選択される1種以上の変異を含む、項目1に記載のポリペプチド。
(項目8)
項目1〜7のいずれか1項に記載のポリペプチドを含む、組成物。
(項目9)
項目1〜7のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする、核酸。
(項目10)
項目1〜7のいずれか1項に記載のポリペプチドの有効量をプラスミンと接触させることを含む、少なくとも1種のプラスミン活性を阻害する方法。
(項目11)
項目1〜7のいずれか1項に記載のポリペプチドの有効量を対象へ投与することを含む、プラスミン活性の阻害を必要としている対象を処置する方法。
(項目12)
前記対象が血管形成を有する、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記対象が腫瘍形成を有する、項目11に記載の方法。
(項目14)
前記対象が骨再形成を受けている、項目11に記載の方法。
(項目15)
前記対象が血友病を有する、項目11に記載の方法。
(項目16)
前記対象が整形外科手術を受けている、項目11に記載の方法。
(項目17)
前記対象が冠動脈バイパス移植(CABG)を受けている、項目11に記載の方法。
(項目18)
前記対象が全身性炎症反応症候群(SIRS)である、項目11に記載の方法。
(項目19)
項目1に記載のポリペプチドの有効量を対象へ投与することを含む、関節リウマチの治療をする必要とする対象において、それを治療する方法。
(項目20)
KD1変異体と一緒でのプラスミンの結晶構造をモデリングすること;
該プラスミンと該KD1変異体との間の相互作用を決定すること;
ステップbの結果に基づいて、該KD1変異体がプラスミン阻害剤であるかどうかを決定すること;
を含む、プラスミン阻害剤を同定する方法。
(項目21)
項目9に記載の核酸の有効量を対象へ投与することを含む、プラスミンの阻害を必要とする対象においてプラスミンを阻害する方法。
(項目22)
リガンドが前記ポリペプチドに結合している、項目1〜7のいずれか1項に記載のポリペプチド。
(項目23)
項目9に記載の核酸を含む、トランスジェニック動物。
(項目24)
前記ポリペプチドが、TFPI−2の野生型クニッツドメインと比較して低減した抗凝固活性を有する、項目11〜21のいずれか1項に記載の方法。
さらに、本明細書において開示する有効量の核酸を対象へ投与することを含む、プラスミンの阻害を必要とする対象においてプラスミンを阻害する方法を開示する。
【0021】
本明細書に援用され、かつその一部分を成す添付の図面は、本発明の実施形態を図解し、その記述とともに、本発明の原理を説明するのに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、プラスミンを用いるBPTIおよびKD1(TFPI−2のクニッツドメイン)のモデルを示す。上部は、BPTI(配列番号5)KD1(配列番号1のアミノ酸10〜67)Iの配列アライメントを示す。配列への9の追加は、KD1の番号付けをもたらす。モデルにおいて、プラスミン、BPTIおよびKD1は、リボンとして示される。プラスミン残基は、添え字pで示される。左側はBPTI:プラスミン複合体であり、右側はKD1:プラスミン複合体である。BPTIおよびKD1の両方の残基9、11、22、33および35は、疎水性コアを形成する。残基17、8、19および34からなるKD1同様のBPTIの疎水性パッチは、残基37{583}、39{585}および41{587}からなるプラスミンの疎水性パッチの相互作用を示す。KD1における酸性パッチのGlu39は、Arg175{719}と直接相互作用し、および水分子を介してプラスミン中の塩基性パッチArg100{644}およびArg221{767}と相互作用している可能性がある;BPTI中の残基39はArgなので、プラスミンとのこのような相互作用は不可能である。KD1のTyr46は、プラスミン中のLys60A{607}およびArg60D{610}と相互作用し;残基46はBPTI中ではLysなので、このような相互作用は不可能である。BPTI中のArg17は、プラスミン中のGlu73{623}と相互作用し;残基17はKD1ではLeuなので、このような相互作用は不可能である。BPTI中のThr11は、Gln192{738}のN側鎖とH結合し;残基11はKD1ではTyrなので、このような相互作用は不可能である。残基192は図に示されていない。また、プラスミン中のGlu60{606}と相互作用するBPTIおよびKD1両方においてArgである残基20は、図示されていない。BPTI中のP1残基15はLysであり、これは、水分子を介してSer190{736}のO側鎖およびAsp189{735}と相互作用することが示される。KD1中のP1残基15はArgであり、これもまた、プラスミン中のSer190およびAsp189と相互作用することが示される。プラスミンに用いられる付番方式は、キモトリプシンの付番方式である。挿入が起こる場合、キモトリプシン付番は、60Aおよび60Dのようにその後引き続いて大文字となる。波括弧中の番号は、プラスミノーゲンの付番を表す。
【図2】図2は、異なる時間(0.5および1時間)および基質(S−2251)濃度(0.5および1mM)におけるBPTIによるプラスミンの阻害を示す対照実験を示す。BPTIは、1±0.5)の見掛けの解離定数Kdでプラスミンと結合する。また、それらは、いずれもの基質によって誘発された結合阻害剤の置換に見えない。
【図3】図3は、異なる時間(0.5および1時間)および基質濃度(0.5および1mM)におけるWT KD1によるプラスミンの阻害を示し、WT KD1は、22±2nMの見掛けのKdでプラスミンと結合する。また、如何なる重要な基質誘発性の阻害剤の置換はない。
【図4】図4は、WT KD1、R15K/L17RおよびR15K(図に留意する、R24K=R15KおよびL26R=L17R、ここでR24KおよびL26Rは、KD1付番であり、R15KおよびL26Rは、BPTI付番である)によるプラスミンの阻害を示す。インキュベーションの時間は、37℃、1時間でありおよび基質濃度は、残存活性測定のため1mMであった。R15K/L17R変異体は、3±1nMの見掛けのKdでプラスミンを阻害する。R24K変異体は、9−11nMのKdでプラスミンを阻害する。WT KD1は、R24K変異体についての10±2nMのKdと2倍異なる22nMのKdでプラスミンを阻害する。L26R(BPTI付番におけるL17R)は、WT KD1より約4倍良好な6±2のKD値を得た。
【図5】図5は、リン脂質を加えた表面活性因子が、等量(75マイクロリットル)において、正常ヒト血漿と混合された例を示す。阻害剤(KD1WT、KD1L26RまたはBPTI)を含有する10マイクロリットルのバッファを加えおよび試料を37℃で5分間インキュベートした。37℃に予め温めた75マイクロリットルの25mMCaClはその後添加され、血液凝固の内因系経路を介してクロットを形成するのに必要な時間を記録した。このデータは、KD1WTおよびBPTIが、KD1のL26R変異体(BPTI付番中L17R)が凝固の内因系経路の阻害については無効であるのに対して、凝固の内因系経路を各々阻害することを示す。同様に、凝固の外因系経路は、L26R改変によって阻害されないことが期待される。
【図6】図6は、wt KD1およびL26Rの両方がマウスプラスミンを効果的に阻害したことを示す。Wt Kd1およびL26R変異体は、約80nMの見掛けのKD値でマウスプラスミンをかなり効果的に阻害する。wtおよびL26RKD1の両方について、1μMで完全な阻害が得られた。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
本発明は、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明およびそこに含まれる実施例、ならびに図面およびそれらについて前述したものと同様に以下に説明するものを参照することにより容易に理解されるであろう。
【0024】
A.定義
文脈上他の意味に解すべき場合を除き、本明細書および添付の請求の範囲で使用される単数形「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」および「この、その(the)」は、複数形指示対象を含む。従って、たとえば、「1つの小分子」に関しては、1以上の小分子の混合物を含むなどである。
【0025】
範囲は本明細書において「約」1つの特定の値からおよび/または「約」別の特定の値までで表現される得る。このような範囲が表現される場合、別の実施形態では、1つの特定の値からおよび/またはその他の特定の値までを含む。同様に、先行する「約」を使用して概算値を表現する場合、特定の値が別の実施形態の形を成すのは当然のことである。範囲の各端点が、その他の端点と関係して、およびその他の端点と独立しての両方で重要であることがさらに理解されるであろう。
【0026】
「より高く」「増加」「上昇する」または「上昇」という表現は、たとえば、対照物と比較して基本レベルを超えて増加することを言う。「低い」「より低い」「低減する」または「低減」という表現は、たとえば、対照物と比較して基本レベルを下回って減少することを言う。
【0027】
B.使用方法
ウシ膵臓トリプシン阻害剤(BPTI)は、クニッツ型セリンプロテアーゼ阻害剤である。それはプラスミンを阻害し、開心術で使用され、術前出血と血液製剤の投与を最低限に抑えるため整形外科手術において推奨されている(1−5)。近年、プラスミノーゲン/プラスミン系はまた、骨再形成および吸収(11−15)および腫瘍形成(Tumorogenesis)および血管形成(8、16、17)と同様に関節リウマチ(6−10)の発生に関与している。
【0028】
ヒト組織因子経路阻害剤−2(TFPI−2)は、短い酸性アミノ末端および非常に塩基性のC末端尾(18、19)と共に直列で3種のクニッツ型(BPTIと同類)ドメインを含有する、マトリクスセリンプロテアーゼ阻害剤または胎盤タンパク質5としても公知である。ケラチノサイト、真皮線維芽細胞、平滑筋細胞、合胞体栄養細胞層、滑膜芽細胞および内皮細胞を含むさまざまな細胞は、細胞外マトリクス(ECM)へのTFPI−2を合成および分泌する(20−23)。TFPI−2は、グリコシル化の相異のため、3種の形態で現れ、それは、Mr27,000、30,000および32,000である(24)。ヒトTFPI−2の第1クニッツドメイン(KD1)は、BPTIに対して相同的であり、また、プラスミンを阻害する(25)。KD1は、プラスミンの阻害に対して特異的であるが、TFPI−2のその他2つのクニッツドメインは、阻害活性を認めない。塩基性のC末端尾は、しかしながら、プラスミンの局所化された阻害のためにECMにおいてグリコサミン部分に対してTFPI−2を係留し得る。
【0029】
トリプシンとBPTIの結晶構造(26)およびトリプシンとKD1の結晶構造(27)は、決定された。ヒトプラスミンのプロテアーゼドメインの結晶構造はまた、決定された(28)。テンプレートとしてのこのような構造物を使用して、プラスミンおよびKD1同様、BPTIとプラスミンの複合体は、高度な正確さでモデル化された。阻害剤およびプラスミンのプロテイナーゼドメインの相対位置は維持され、微調整が、側鎖において行われた。疎水性/ファンデルワールス、水素結合およびイオン相互作用は、各プロテイナーゼ−阻害剤複合体間で観察された。このような相互作用のすべては、各阻害剤−プロテイナーゼ複合体の評価において意図され、およびすべての潜在的な水素結合供与体と水素結合受容体は、これらの相互作用に関与すると仮定された。バルク溶媒は、プロテイナーゼ−阻害剤複合体から排除され、そして、それに応じて、特異性において重要な役割を果たし得る水素結合およびイオン相互作用が正確に評価され得ると予想された。このような複合体をモデル化するためのプロトコールは、前述されている(29)。
【0030】
図1は、プラスミンと相互作用するBPTIおよびKD1中の残基を表す。図1で示されるモデルから、KD1において、Leu17からArgへおよびTyr11からThrへの変異は、ヒトプラスミンに関して非常に高い親和性および特異性を有する分子を生じる。Tyr46からGluへおよびAsp10からTyr(またはGlu)への変異はまた、プラスミン阻害に関して親和性および特異性を増す。一方、Glu39からArgへおよびTyr46からLysへの変異は、ヒトプラスミンに対するKD1の親和性の相当な喪失という結果になり得る。体系的に、Thr11およびArg17を有する改良されたKD1のように、機能獲得の結果となるこのような残基の変異は、BPTIおよび天然のKD1よりもさらに強力な分子を生じる。このような分子はまた、BPTIよりも免疫原性がない場合がある。選択的分子に対する塩基性の尾はまた、細胞外マトリクスでの半減期が増加するように、リンカーとしていくつかの余分な残基を含有するC末端に加えられ得る。本明細書において開示された有効量のポリペプチドにプラスミンを接触させることを含む少なくとも1種のプラスミン活性を阻害する方法を、本明細書において提供する。
【0031】
開示された分子およびポリペプチドのいくつかの形態は、プラスミンを阻害でき、TFPI−2の野生型クニッツドメインと比較して抗凝固活性を軽減する。開示された分子およびポリペプチドのいくつかの形態はまた、抗線溶剤として特異的である。従って、開示された分子およびポリペプチドのいくつかの形態は、抗線溶剤としてさらに活性で、もはや抗凝固活性を有さず、または抗凝固活性を軽減する。この特性により、このような分子およびポリペプチドは、出血を防ぐために非常に有用となる。
【0032】
また、本明細書において開示された有効量のポリペプチドを対象へ投与することを含む、プラスミン活性の阻害を必要としている対象を治療する方法を、提供する。プラスミン阻害の必要に関する病気、障害および治療法の例としては、これに限定されるものではないが、腫瘍形成(Tumorogenesis)、血管形成、骨再形成、外科手術、血友病、整形外科手術、冠動脈バイパス移植(CABG)および全身性炎症反応症候群(SIRS)を含む。
【0033】
また、本明細書において開示された有効量のポリペプチドを対象へ投与することを含む、関節リウマチの治療を必要とする対象において、それを治療する方法を、提供する。
【0034】
さらに、KD1変異体とプラスミンの結晶構造をモデリングすること;プラスミンとKD1変異体との間の相互作用を決定すること;相互作用に基づいて、そのKD1変異体がプラスミン阻害剤であるかどうかを決定すること;を含むプラスミン阻害剤を同定する方法を開示する。
【0035】
また、本明細書において開示された有効量の核酸を対象へ投与することを含む、それを必要とする対象においてプラスミンを阻害する方法を、提供する。
【0036】
また、失血を減らしたマウスモデルで、人が使用するための化合物の有効性を示す方法を、提供する。野生型KD1および開示された変異体の双方は、マウスプラスミンを阻害することが判明した(実施例3参照)。従って、変異体は、失血を減らしたマウスモデルで、有効性を示すのに使用できる。
【0037】
本発明のタンパク質は、たとえば、アミノ酸などの成分の連続的結合による非生物学的な合成、好適な宿主細胞における組換えDNA技術による産生、たとえば、好ましくない配列の除去および合成代置配列の結合による半合成を含むいずれもの従来の技術によって生産され得る。本明細書において開示されたタンパク質は、組換え的に、好適な宿主で、たとえば、バチルス、エシェリキア、サルモネラ、エルビニア属由来の細菌、およびハンゼヌラ、クリベロマイセス、ピチア、リノスポリジウム、サッカロミセスおよびシゾサッカロミセス属由来のイースト菌、またはCOS−1のような培養哺乳動物細胞で好ましくは生産する。より好適な宿主は、メタノール資化酵母、枯草菌、ブレビス菌、出芽酵母、大腸菌およびアルカン資化酵母種の微生物である。宿主細胞で機能的ないずれものプロモーターは、遺伝子発現をコントロールすることに用いてよい。
【0038】
タンパク質は、分泌されることができおよび順化培地から得られ得る。タンパク質が、正確に折り畳まれる傾向が強く、わずかな混入物質と共に順化培地で生産され得るので、分泌は好ましい経路である。分泌は必要ではない。
【0039】
糖鎖基の抗原性の可能性を減らすためにN結合型グリコシル化部位を欠くように設計されたタンパク質は、使用でき、およびその等価なタンパク質は:1)E.coli、2)B.subtilis、3)P.pastoris、4)S.cerevisiae、および5)哺乳動物細胞を含む多種多様な生物中に発現され得る。
【0040】
組み換え産物を分解するプロテアーゼを生産している宿主細胞の問題を減らすため、いくつかの手段が存在する。大腸菌中の枯草菌シグナルペプチダーゼの過発現は、異種融合タンパク質のさらなる発現を導く。また、PMSF(セリンプロテアーゼ阻害剤)の培地への追加が、融合タンパク質の収量を改良したことが報告されている。
【0041】
これらおよび本明細書において開示されたその他のタンパク質の産生に影響を及ぼし得るその他の要因は:1)コドン使用頻度(宿主のためにコドンの最適化が好まれる)、2)シグナル配列、3)対象とするプロセシング部位でのアミノ酸配列、プロセシング酵素の存在および局在、工学的産物を変更または分解し得るさまざまな酵素の欠失、変異または阻害、および分泌がさらに許容された宿主を作る変異(分泌許容宿主が好まれる)を含む。
【0042】
組換えDNA技術の一般的な原則の参照される参考文献には、Watsonら、Molecular Biology of the Gene、Volumes I and II、The Benjamin/Cummings Publishing Company,Inc. Menlo Park、Calif.(1987);Darnellら、Molecular Cell Biology、Scientific American Books,Inc.、New York、N.Y.(1986);Lewin,Genes II、John Wiley&Sons、New York、N.Y.(1985);Oldら、Principles of Gene Manipulation:An Introduction to Genetic Engineering、2d edition、University of California Press、Berkeley、Calif.(1981);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989);およびAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology、Wiley Interscience,N.Y.(1987、1992)が挙げられる。これらの参考文献は、本明細書に引用される参考文献として参照することによりその全体が本明細書に援用される。
【0043】
いずれもの好適な方法は、本発明の化合物をテストするのに用いることができる。Scatchard(Ann NY Acad Sci(1949)51:660−669)は、タンパク質結合に適用できる結合を測定および分析する古典的方法を解説した。この方法は、比較的純粋なタンパク質と非結合タンパク質から結合したタンパク質を区別するための能力を必要とする。
【0044】
Kdを測定する第2の適切な方法は、酵素に対する阻害活性を測定することである。測定されるKdが、1nMから1μMの範囲ならば、この方法は、発色性または蛍光性基質および数十マイクログラムから数ミリグラムの比較的純粋な阻害剤を必要とする。本発明のタンパク質は、5nMから50pMの範囲でKdを有し、ナノグラムからマイクログラムの阻害剤は十分である。この方法を使用するとき、阻害剤と酵素基質間の競争は、真実のKiより高く測定されたKiを与えることができる。
【0045】
第2の材料についてのタンパク質の親和性を決定する第3の方法は、M13のような遺伝子のパッケージにディスプレイされるタンパク質を有することであり、および固定化した「第2の材料」へ付着するためのタンパク質の能力を測定することである。遺伝子パッケージが増幅し得るので、この方法は非常に鋭敏である。プロテアーゼへの公知の親和性の阻害因子は、その他のファージディスプレイ阻害因子を判定するのに対する標準プロファイルを確立するために使用される。タンパク質結合を測定する任意の他の適切な方法も使用してよい。
【0046】
本発明のタンパク質は、多くても約5nM、多くても約300pMまたは100pMまたはそれ以下のプラスミンについてのKdを有することができる。結合は抑制性であり得、そのため、KiはKdと同じである。プラスミンのためのQS4のKiは、約2nMである。プラスミンのためのSPI11のKiは、約88pMである。
【0047】
薬学的に許容される担体において、in vivo投与が可能である組成物を、本明細書において開示する。「薬学的に許容される」は、生物学的に、またはほかの点で望ましくないということがない物質を意味する。すなわち、この物質は、核酸またはベクターとともに、製剤組成物に含有されるその他いずれもの成分とも有害な方法においていずれもの望ましくない生物学的効果または相互作用を引き起こすことなく、対象へ投与され得る。担体は、対象において活性成分のいずれもの分解を最小限にするため、および対象においていずれもの有害な副作用を最小限にするために必然的に選ばれ、このことは、当該技術分野において周知である。
【0048】
組成物は、経口、非経口(たとえば、静脈内)、筋肉内注射によって、腹腔内注射によって、経皮的に、体外で、局所的などで投与され得、これには、局所鼻腔内投与または吸入による投与を含む。本明細書において用いられるように、「局所鼻腔内投与」は、鼻孔の一方または両方を通る鼻および鼻道への組成物の送達を意味し、および噴霧メカニズムまたは点鼻メカニズムまたは核酸もしくはベクターのエアロゾル化を経由する送達を含み得る。吸入器による組成物の投与は、噴霧または液滴メカニズムによる送達によって鼻または口を通して可能である。送達はまた、挿管により呼吸器系(たとえば、肺)のいずれもの領域に直接行われ得る。必要とされる組成物の正確な量は、対象の種、年齢、体重および対象の一般の症状、治療中のアレルギー障害の重症度、特定の核酸またはベクターの使用、その投与方法などにより対象間で異なるであろう。従って、すべての組成物の正確な量を特定することは不可能である。しかしながら、適量は、本明細書において教示を与える日常の実験のみを使用し、当業者によって決定され得る。
【0049】
使用されるならば、組成物の非経口投与は、一般に注射によって特徴づけられる。注入物質は、液体溶液または懸濁液のどちらか一方、注射前の液体における懸濁液の溶液に好適な固形物またはエマルジョン類など、従来の形で調製され得る。つい最近修正された非経口投与へのアプローチは、一定の投薬量が持続するように、ゆっくりとした放出(slow release)または持続した放出(sustained release)システムの使用を必要とする。たとえば、米国特許第3,610,795号参照(参照することにより本明細書に援用される)。
【0050】
物質は、溶液、懸濁液(たとえば、微小粒子、リポソームまたは細胞に取り込まれる)中にあり得る。それらは、抗体、受容体または受容体リガンドを通して特殊な細胞型を標的とし得る。以下の参考文献は、腫瘍組織を特定のタンパク質の標的とする本テクノロジーの使用例である(Senterら、Bioconjugate Chem.、2:447−451、(1991);Bagshawe,K.D.、Br.J.Cancer、60:275−281、(1989);Bagshaweら、Br.J.Cancer、58:700−703、(1988);Senterら、Bioconjugate Chem.、4:3−9、(1993);Battelliら、Cancer Immunol. Immunother.、35:421−425、(1992);Pietersz and McKenzie、Immunolog.Reviews、129:57−80、(1992);およびRofflerら、Biochem.Pharmacol、42:2062−2065、(1991))。「ステルス(stealth)」のようなビヒクルおよびその他の抗体がコンジュゲートしたリポソーム(例えば、結腸癌腫を標的とする脂質で仲介された薬剤)、細胞特異的リガンドを介したDNAの受容体媒介ターゲッティング、リンパ球が指向する腫瘍ターゲッティング、およびin vivoマウスグリオーマ細胞の高度に特異的な治療力があるレトロウイルスターゲッティング。以下の参考文献は、腫瘍組織に対する特定のタンパク質を標的とする本テクノロジーの使用例である(Hughesら、Cancer Research、49:6214−6220、(1989);and Litzinger and Huang、Biochimica et Biophysica Acta、1104:179−187、(1992))。一般に、受容体は、構成的またはリガンド誘発のどちらか一方で、エンドサイトーシスの経路に関係する。クラスリン被覆ピットにおけるこのような受容体クラスターは、クラスリン被覆小胞によって細胞に侵入し、受容体が分類される酸性エンドソームを通過し、その後、細胞表面へリサイクルされて細胞内に保存されるか、またはリソソーム内で分解する。内在化経路は、たとえば、栄養物摂取、活性タンパク質の除去、高分子クリアランス、ウイルスおよび毒の日和見的侵入、リガンドの分離および分解および受容体レベルの調節など、さまざまな機能を供給する。多くの受容体が、細胞型、受容体濃度、リガンド型、リガンド価およびリガンド濃度に応じて2つ以上の細胞内経路をたどる。分子と細胞の受容体媒介性エンドサイトーシスメカニズムは、概説されている(Brown and Greene、DNA and Cell Biology 10:6、399−409(1991))。
【0051】
薬学的に許容される担体と組み合わせて治療的に使用できる組成物を、本明細書において提供する。
【0052】
好適な担体およびそれらの製剤は、Remingtonに記載されている:The Science and Practice of Pharmacy(19th ed.)ed.A.R.Gennaro,Mack Publishing Company,Easton,PA 1995。一般に、薬学的に許容される塩の適量は、製剤において使用され、製剤を等浸透圧にする。薬学的に許容される担体の例は、限定されるものではないが、生理食塩水、リンガー溶液およびデキストロース溶液を含む。溶液のpHは、好ましくは、約5から約8および一層好ましくは約7から約7.5である。更なる担体は、抗体を含有する疎水性固形物ポリマーの半透性のマトリクスのような持続放出調製物を含み、このマトリクスは、成形物、たとえば、フィルム、リポソームまたは微小粒子などの形である。特定の担体が、たとえば、投与の経路および投与される組成物の濃度に依存してより好ましい場合があることは、当業者において明らかである。
【0053】
製薬担体は、当業者において公知である。これらは、最も一般に、生理学的pHにおいて滅菌水、食塩水および緩衝液のような溶液を含む、ヒトに対して薬を投与するための標準的な担体である。組成物は、筋肉内または皮下に投与され得る。その他の化合物は、当業者によって使用される標準的な処置によって投与される。
【0054】
製剤組成物は、選択の分子に加えて、担体、増粘剤、希釈剤、緩衝剤、防腐剤、界面活性剤などを含み得る。製剤組成物はまた、抗菌薬、抗炎症薬、麻酔薬などのような1種以上の活性成分を含み得る。
【0055】
製剤組成物は、局所または全身的な処置を希望するかどうかおよび治療される領域次第でいくつもの方法によって投与され得る。投与は、局所的(経眼、経膣、経直腸、経鼻を含む)経口、吸入、またはたとえば静脈内点滴、皮下、腹膜内、または筋肉内注射によるなど非経口的であり得る。本開示の抗体は、静注、腹膜内、筋肉内、皮下、腔内または経皮投与で投与可能である。
【0056】
非経口投与のための調製物は、滅菌水溶液または非水溶液、懸濁液およびエマルジョンを含む。非水性溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油があり、オレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルがある。水性担体は、水、アルコール/水溶液、エマルジョンまたは懸濁液を含み、生理食塩水および緩衝化媒体を包含する。非経口ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンガーデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンガーまたは固定油を含む。静脈内ビヒクルは、流動食および栄養補充液、電解質補給物(リンガーデキストロースをベースとしたような)などを含む。防腐剤および他の添加物も存在し得、たとえば、抗菌物質、酸化防止剤、キレート試薬および不活性ガスなどである。
【0057】
局所投与用の製剤は、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、液滴、坐薬、スプレー、液体および粉末を含み得る。従来の製薬担体、水性、粉末または油性基剤、増粘剤などは、必要としてもよく、または望ましい場合がある。
【0058】
経口投与のための組成物は、粉末または顆粒、水または非水性媒体における懸濁液または溶液ならびに、カプセル、小袋または錠剤を含む。増粘剤、香味料、希釈剤、乳化剤、補助分散剤または結合剤が、望ましい場合がある。
【0059】
組成物のいくつかは、薬学的に許容される酸付加塩または塩基付加塩として潜在的に投与でき、これはたとえば、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸およびリン酸などの無機酸、およびたとえば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸およびフマル酸などの有機酸との反応によって形成されるか、またはたとえば、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、およびたとえば、モノ−、ジ−、トリアルキルおよびアリールアミンおよび置換したエタノールアミンなどの有機塩基との反応によって形成される。
【0060】
組成物を投与するための効果的投薬量およびスケジュールは、経験的に決定され得、およびこのような決定は当業者の範囲内である。組成物の投与のための投薬量範囲は、障害の徴候が影響する望ましい効果を生じるのに十分大きい投薬量範囲である。投薬量は、有害な副作用、たとえば、不必要な交差反応、アナフィラキシー性の反応などを引き起こすほど大きくてはいけない。一般に、投薬量は、患者において年齢、症状、性別および病気の程度、投与経路、または処方計画においてその他の薬を含むかどうかで変化し、当業者によって決定され得る。投薬量は、なんらかの禁忌(counterindication)の事象では、各医師によって調節可能である。投薬量は変化でき、1日または数日の間、1日1回以上の投薬が可能である。ガイダンスは、医薬品の与えられた種類の適切な投薬のための資料から入手できる。
【0061】
本発明のタンパク質はin vitroで、存在するプラスミンを測定するために、プラスミンを含有するであろういずれもの好適な試料に応用できる。このようにするため、アッセイは、存在するプラスミンの量に依存する検出可能なシグナルをもたらすシグナル生成システム(SPS)を含み得る。シグナルは、視覚的にまたは機械的に検出され得る。可能なシグナルは、着色、蛍光または発光生成物の生成、アッセイ成分または産物による吸収特性または輻射放出の特徴の変化、および成分または産物の沈殿または凝集を含む。
【0062】
診断薬と最も密接に関与するSPSの成分は、「標識」と呼ばれる。標識は、たとえば、ラジオアイソトープ、フルオロフォア、酵素、補酵素、酵素基質、高電子密度化合物または凝集性粒子である。ラジオアイソトープは、たとえば、γカウンターまたはシンチレーションカウンターを使用することによってまたはオートラジオグラフィによって検出できる。特に有用なアイソトープは、3H、125I、131I、35S、14Cおよび好ましくは、125Iである。また、化合物に蛍光化合物で標識を付けることは可能である。蛍光標識された化合物を、適切な波長の光に露光させる時、その存在を検出することができる。蛍光標識化合物の中で最も一般的に使用されるのは、フルオレセインイソチオシアナート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒドおよびフルオレスカミンである。あるいは、125Euまたはその他ランタニドなどの蛍光発光金属は、ジエチレントリアミン5酢酸またはエチレンジアミン4酢酸のような金属キレート基を用いて結合タンパク質に結合し得る。タンパク質はまた、ルミノール、イソルミノ、セロマティックアクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩およびシュウ酸エステルのような化学発光化合物にカップリングすることによって検出できるように標識化できる。同様に、ルシフェリン、ルシフェラーゼおよびエクオリンのような生物発光化合物は、結合タンパク質を標識化するのに使用できる。生物発光タンパク質の存在は、発光の存在を検出することによって決定される。酵素標識には、西洋ワサビペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼなどが好ましい。
【0063】
2つの基本タイプのアッセイ:異種および同種がある。異種アッセイでは、分析物への親和性分子の結合は、標識に影響を及ぼさない;従って、分析物の量を判定するため、結合した標識を遊離標識から分離しなければならない。同種アッセイでは、相互作用は標識の活性に影響を与え、分析物は分離せずに測定できる。
【0064】
一般に、プラスミン結合タンパク質(PBP)は、抗プラスミン抗体を使用するのと同じ方法で診断に使用できる。従って、アッセイのフォーマット次第で、このタンパク質を用いてプラスミンをアッセイしてもよいし、または競合阻害によって、プラスミンに結合する他の物質をアッセイしてもよい。
【0065】
試料は通常、血液、尿、リンパ液、精液、乳、または脳脊髄液のような生物学的流体、またはそれらの誘導体、または生物学的組織、たとえば、組織セクションまたはホモジネートである。どのようなものでも試料となる。試料が、生物学的流体または組織であるならば、ヒトまたはその他の哺乳動物、脊椎動物または動物、または植物から採取されるであろう。好ましい試料は血液または画分またはその誘導体である。
【0066】
一実施形態では、プラスミン結合タンパク質(PBP)は固定化され、および試料中のプラスミンは、既知量の標識プラスミン類似体または具体的に標識化できるプラスミン類似体と競合させる。「プラスミン類似体」は、プラスミンそれ自体を含めて、プラスミンがPBPに結合するのに対してプラスミンと競合できる分子である。プラスミン類似体は、既に標識されていてもよく、またはプラスミンからプラスミン類似体を区別する部分に標識を特異的に結合することによって後に標識されていてもよい。相を分離しおよびある相で標識化されたプラスミン類似体は、定量化される。
【0067】
「サンドイッチアッセイ」では、不溶化されたプラスミン結合剤(PBA)および標識化されたPBAの両方を用いる。プラスミン分析物は、不溶化されたPBAによって捕捉され、標識化されたPBAによってタグ化され、三次複合体を形成する。試薬は、任意の順序で試料へ加えることができる。PBA類は同じまたは異なってもよく、および単体のPBAは、本発明によるPBPでなければならない(その他のPBAは、たとえば、抗体であってよい)。三次複合体中の標識されたPBAの量は、試料中のプラスミンの量に正比例する。
【0068】
前記記載の2つの実施形態は、ともに異種アッセイである。同種アッセイは、PBPをプラスミンに結合することにより標識が影響を受けることのみを必要とする。プラスミン阻害剤を診断試薬として使用するならば、プラスミン分析物はそれ自体が標識として働くことができる。
【0069】
標識は、診断試薬を産生するため、直接または間接的(たとえば、標識化された抗PBP抗体を介して)、共有結合的(たとえば、SPDPを用いて)または非共有結合的に、プラスミン結合タンパク質に結合できる。同様に、プラスミン結合タンパク質は、固相(「捕促する」)診断試薬を形成するために固相支持体に結合できる。好適な支持体は、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼおよびマグネタイトを含む。担体は、ある程度可溶性であり得、または本発明の目的のため不溶性であり得る。支持体物質は、結合した分子がプラスミンを結合できる限りどのような構造を有してもよい。
【0070】
プラスミンに非常に強固に結合するクニッツドメインは、in vivo画像化のために使用される。病巣の画像診断は、モノクローナル抗体のため最大の商機のひとつと考えられたが、この好機は実現されなかった。相当な努力にもかかわらず、2種のモノクローナル抗体を基礎とした造影剤のみが承認された。モノクローナル抗体を用いて得られたこの不本意な結果は、大部分次の理由による:i)不十分な親和性および/または特異性;ii)標的部位への浸透不良;iii)非標的部位からの遅いクリアランス;iv)免疫原性;およびv)高い生成コストおよび低い安定性。
【0071】
これらの制限が、ペプチドによる造影剤の開発へ導いた。浸透不良および遅いクリアランス問題を潜在的に解決する一方で、ペプチドによる造影剤は、ほとんどの応用に有用であるべき十分な親和性、特異性およびin vivo安定性を有する可能性が低い。
【0072】
操作されたタンパク質は、造影剤としての要件に非常に適している。特に、公知のin vivoクリアランス速度および機構を有する小さく安定したヒト起源タンパク質ドメインが工学技術によって得られる並はずれた親和性および特異性は、初期に、より信頼性の高い結果、より低い毒性/副作用、さらに低い生産コストと貯蔵コスト、および標識調製のさらなる利便性をあわせて提供する。実際に、工学的に作製されたタンパク質造影剤を用いてリアルタイムの画像化の目的を達成できる。プラスミン結合タンパク質、たとえばSPI11は、内出血の部位を特定するために役立つ。
【0073】
放射性標識された結合タンパク質は、ヒトまたは動物の対象へ投与され得る。投与は一般に、その後の動的および/または静的画像化を、好適な放射線検出装置を使用することで可能にするのに十分な量で、たとえば、静脈内または動脈またはその他の投与手段の注射によって行われる。投与量は、診断に有効な画像を与えることができる最小量であり、公知の放射性画像化剤をガイドとして用いる当該技術分野において、従来の手段で決定することができる。
【0074】
一般に、画像化は対象の全身、または研究中の症状または病気に関連した身体または器官の一部で行なわれる。放射標識された結合タンパク質が、蓄積した。関連する標的器官において、所与の時点で蓄積した放射性標識された結合タンパク質の量は、その後、定量化され得る。
【0075】
特に好適な放射線検出装置は、γカメラのようなシンチレーションカメラである。カメラでの検出装置は、放射性崩壊を検知および記録(および任意にデジタル化)する。デジタル化した情報は、いずれもの好適な方法で分析でき、その多くは当該技術分野において公知である。たとえば、時間放射能分析は、経時的な標的器官による、放射標識された結合タンパク質のクリアランスによる取り込みを示すことができる。
【0076】
適したラジオアイソトープを選ぶ際に、さまざまな要因を考慮する。選ばれるアイソトープは:画像化の際、解像度の品質が良く、ヒトおよび動物の診断用途に安全でありおよび好ましくは、身体に受ける放射線の量を減らすように半減期が短いものである。使用するラジオアイソトープは、好ましくは薬理学的に不活性であるべきでありおよび投与量には実質的に生理学的効果を持たせるべきではない。結合タンパク質は、異なるヨウ素アイソトープ、たとえば123I、125Iまたは131I(たとえば、米国特許第4,609,725号を参照)を用いて放射標識され得る。標識の量は、適切にモニターされるべきである。
【0077】
ヒト対象に応用する際、身体の全曝露量を減らし、標識分子の検出可能性を最適にするため、標識用に125Iとは別のラジオアイソトープを使用することが所望され得る。ヒトに使用するための臨床利用の準備を考慮すると、好ましい放射性標識としては:99mTc、67Ga、68Ga、90Y、111In、113mIn、123I、186Re、188Reまたは211Atが挙げられる。放射標識されたタンパク質は、さまざまな方法で調製できる。これらは、クロラミン−Tまたはラクトペルオキシダーゼ法による放射ハロゲン化、および続く高圧液体クロマトグラフィによる精製が挙げられ、たとえば、Gutkowskaら、「Endocrinology and Metabolism Clinics of America:(1987)16(1):183参照のこと。放射標識されるその他の方法は、たとえばIODOBEADS(商標)などを使用することができる。
【0078】
放射標識されたタンパク質は、活性剤が哺乳動物における薬剤の作用部位に到達するのを可能にするいずれもの手段によって投与され得る。タンパク質は、経口投与するとき消化されてしまうため、非経口投与、すなわち静脈内注射 皮下注射、筋肉内注射が、通常吸収を最適にするために使用されるだろう。
【0079】
本発明のプラスミン結合タンパク質はまた、流体、たとえば、血液からプラスミンを精製するために使用できる。この目的のため、PBPは、好ましくは不溶性支持体に固定化される。このような支持体は、固相診断試薬を調製する際に有用なものとして既に記載されたものを含む。
【0080】
タンパク質は、タンパク質の分離または精製における基準のための分子量マーカーとして使用できる。タンパク質は分子量マーカーとしての役目を果たすため、変性する必要がある場合がある。タンパク質の第2の一般用途は、栄養源として加水分解タンパク質を使用することである。タンパク質はまた、溶液の粘度を上げるために使用できる。
【0081】
本発明のタンパク質は、本明細書において、さらに前に記載されているような治療および診断目的と同様に前述の目的のいずれもに使用できる。
【0082】
化学的ポリペプチド合成は当該技術分野において公知であり、および固相ポリペプチド合成の方法は、次の参考文献に詳しく記述され、参照することによりその全体が本明細書に援用される:(Merrifield、J Amer Chem Soc 85:2149−2154(1963);Merrifield、Science 232:341−347(1986);Wadeら、Biopolymers 25:S21−S37(1986);Fields、Int J Polypeptide Prot Res 35:161(1990);MilliGen Report No. 2および2a、Millipore Corporation、Bedford、Mass.、1987)Ausubelら、前掲、およびSambrookら、前掲。TanおよびKaiser(Biochemistry、1977、16:1531−41)は18年前にBPTIおよび相同体を合成した。
【0083】
当該技術分野において公知であるように、このような方法は、遊離アミノ、カルボキシルおよびチオ基のような反応性官能基をブロッキングまたは保護することを含む。ポリペプチド結合形成後、保護基を除去する。従って、各アミノ酸残基の添加は、保護および脱保護のためいくつかの反応ステップを必要とする。固相合成を利用した最近の方法は、C末端アミノ酸を、濾過できる不溶性樹脂粒子に共有結合させる。反応物は、自動機械を使用して適切な溶媒で樹脂粒子を洗浄によって取り除く。「tBoc」方法および「Fmoc」方法を含むさまざまな方法は、当該技術分野において周知である。とりわけ、Athertonら、J Chem Soc Perkin Trans 1:538−546(1981)およびSheppardら、Int J Polypeptide Prot Res 20:451−454(1982)を参照する。
【0084】
C.組成物
開示された組成物ならびに本明細書において開示された方法内で使用される組成物自身を調製するために使用される成分を、開示する。これらおよびその他の物質を本明細書において開示し、およびこれらの物質の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループなどを開示する時、各さまざまな個々および集団の組合せおよびこのような化合物の順序の特定の言及が明確に記載されていない場合でも、各々は、具体的に、本明細書において意図および記載されていると理解される。たとえば、特定のアミノ酸配列が開示され、考察され、そしてその配列内の複数の位置でなされ得る複数の改変がなされ得、考察されるならば、具体的に意図しているのは、そのアミノ酸の各々のかつあらゆる組み合わせおよび順序、ならびに特に反することが示されるのでない限りは可能な改変である。従って、分子A、BおよびCの種類が開示され、ならびに、分子D、EおよびFの種類ならびに組合せ分子の例A−Dが開示されるならば、次には、各々が独立に列挙されなくとも、各々は個々にかつ総合的に意図され、組み合わせA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−EおよびC−Fが開示されているとみなされること意味する。同様に、いずれものサブセットまたはこれらの組み合わせを、また開示する。従って、たとえば、A−E、B−FおよびC−Eのサブグループが開示されるとみなす。この概念は、限定されるものではないが、開示された組成物の産生および使用の方法のステップを含む出願のすべての側面に適用する。従って、さまざまな追加的ステップがあるならば、このようなそれぞれの追加的ステップは、開示された方法の特定の実施形態または実施形態の組み合わせで行え得ると理解する。
【0085】
配列番号1(クニッツ型ドメイン1またはKD1)を含むポリペプチドを、本明細書において開示する。配列番号1は次のように表される:DAAQEPTGNNAEICLLPLDGPCRALLLRYYYDRYTQSCRQFLYGGCEGNANNFYTWEACDDACWRIEKVPKV。
【0086】
配列番号2(ここで、BPTIで番号付けした17位のロイシンはアルギニンに改変している):DAAQEPTGNNAEICLLPLDYGPCRARLLRYYYDRYTQSCRQFLYGGCEGNANNFYTWEACDDACWRIEKVPKVを含むポリペプチドを、開示する。
【0087】
また、配列番号1よりもさらに短いポリペプチであり17位(L17R)での改変を含む配列番号3:NAEICLLPLDYGPCRARLLRYYYDRYTQSCRQFLYGGCEGNANNFYTWEACDDACWRIEも開示する。
【0088】
配列番号4を含むポリペプチドも開示する(ここで、BPTIで番号付けした17位のロイシンはアルギニンに改変しており、および16位のアラニンはメチオニンに改変している):DAAQEPTGNNAEICLLPLDYGPCRMRLLRYYYDRYTQSCRQFLYGGCEGNANNFYTWEACDDACWRIEKVPKV。
【0089】
17位置での疎水性アミノ酸(ロイシン)からアルギニンまたはリジンのような荷電アミノ酸への改変は、プラスミン阻害を著しく抑制することなく、KD1の抗凝固活性に影響することが判明した。特に有用なのは、抗凝固活性を消失しおよびプラスミン阻害が増大する、このような変異体ポリペプチドである。従って、17位の荷電または極性アミノ酸の含有物は、本明細書において具体的に意図される。
【0090】
配列番号1のポリペプチドはまた、1種以上の付加的な変異を包含する。本明細書において開示されているように、変異は、アミノ酸の付加、欠失または置換であってもよい。たとえば、17位でのロイシンからアルギニンへの改変に加えて、アミノ酸配列はまた、15位でのアルギニンからリジンへの改変、16位でのアラニンからメチオニンへの改変またはその両方を含み得る。15位でのその他の改変例は、たとえば、本明細書においてその全体が参照によって援用される、米国特許第4,595,674号に見出すことができる。
【0091】
また、46位のチロシンがグルタミン酸へと改変した配列番号1を含むポリペプチドを、本明細書において開示する。もう1つの実施形態では、11位のチロシンは、トレオニンへ改変し得る。もう1つの実施形態では、10位のアスパラギン酸は、チロシンまたはグルタミン酸へ改変し得る。このようなポリペプチドはまた、上記記載のように1種以上の付加的な変異を含み得る。要約すると、配列番号1へのアミノ酸の改変例は、表1で見られ得る。これらは単なる実施例であって、当業者であれば当然わかることであるが、いずれものこれらの変異は、単独でまたは本明細書で列挙される他の変異と組み合わせて、または記載されていないその他の変異と組み合わせて、可能な任意の順序もしくは組み合わせで使用できる。
【0092】
【表1】


また、本明細書において記載のポリペプチドに対応する組成物および核酸を、開示する。核酸、組成物および投与方法について以下に考察する。また、本明細書において開示されたポリペプチドをコードする核酸も開示する。ポリペプチドおよびそれに対応する核酸を、本明細書において開示する。いずれもの公知の変異体および誘導体または本明細書において開示された核酸およびタンパク質に起因するものを定義する一つの方法は、特定の既知の配列に対する相同性の観点から変異体および誘導体の定義付けを介することであると理解される。たとえば配列番号1は、KD1の特定の配列を示しおよび配列番号2は、変異を含むKD1の特定の配列を示す。本発明時に、当業者は、その他の変異が野生型の核酸およびタンパク質の両方で生じ得ることを理解している。その他が積極的に官能性に影響を及ぼすことができる中、その官能性に影響を及ぼさないそのいくつかの変異は、それ故選ばれる。規定の配列に対して、少なくとも、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99パーセント相同性を有する本明細書に開示されるこれらおよびその他の遺伝子およびタンパク質の変異体は、明確に開示されている。2つのタンパク質または核酸(遺伝子など)の相同性を判定する方法を当業者は容易に理解する。たとえば、相同性は、相同性がその最高レベルにあるように、2つの配列を整列させた後に計算できる。
【0093】
相同性を計算する別の方法は、公開されたアルゴリズムによって行うことができる。比較のための配列の最適な整列は、Smith and Waterman Adv.、Appl. Math. 2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムにより、Needleman and Wunsch J. Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アライメントアルゴリズムにより、Pearson and Lipman Proc. Natl. Acad. Sci.U.S.A.、85:2444(1988)の類似性のサーチ方法により、上記アルゴリズムのコンピューター支援実行(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)により、またはインスペクションにより、行うことができる。
【0094】
同じ種類の相同性は、少なくとも核酸アライメントに関連する物質を参照することにより本明細書に援用される、たとえば、Zuker,M.Science 244:48−52、1989、Jaegerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:7706−7710、1989、Jaegerら、Methods Enzymol. 183:281−306、1989において開示されるアルゴリズムによって、核酸について入手可能である。本明細書において開示される核酸をベースとした分子が存在するが、それには、たとえば、KD1ならびに本明細書において開示された任意のタンパク質をコードする核酸、ならびに、さまざまな機能的な核酸が挙げられる。たとえば、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体またはヌクレオチド代用物からなる核酸が開示されている。これらおよび他の分子の非限定の例は、本明細書において考察されている。たとえば、ベクターが細胞で発現される時、発現されたmRNAは、一般に、A、C、GおよびUからなると理解される。
【0095】
ヌクレオチドは、塩基部分、糖成分およびホスフェート部分を含有する分子である。ヌクレオチドは、ヌクレオシド間の結合を引き起こすそれらのホスフェート部分および糖成分を介して結合できる。ヌクレオチドの塩基部分は、アデニン−9−イル(A)、シトシン−1−イル(C)、グアニン−9−イル(G)、ウラシル−1−イル(U)およびチミン−1−イル(T)であり得る。ヌクレオチドの糖部分は、リボースまたはデオキシリボースである。ヌクレオチドのホスフェート部分は、5価ホスフェートである。ヌクレオチドの非限定の例は、3’−AMP(3’−アデノシン一リン酸)または5’−GMP(5’−グアノシン一リン酸)である。
【0096】
ヌクレオチド類似体は塩基部分、糖部分またはホスフェート部分のいずれかに対するある種の修飾を含有するヌクレオチドである。ヌクレオチドへの修飾は当該技術分野で周知でありこれにはたとえば、糖部分またはホスフェート部分の修飾と同様に、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチンおよび2−アミノアデニンを含む。
【0097】
ヌクレオチド代用物は、ヌクレオチドと機能的に類似した特性を有する分子であるが、ペプチド核酸(PNA)のようなホスフェート部分を含有しない分子である。ヌクレオチド代用物は、ワトソン−クリックまたはフーグスティーン様式において核酸を認識する分子であるが、ホスフェート部分以外の部分を介して結合している分子である。ヌクレオチド代用物は、適切な標的核酸との相互作用時、2重らせん型の構造に一致できる。たとえば、細胞取り込みなどを強めるために、他のタイプの分子(結合体(conjugate))をヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体へ結合することは可能である。結合体は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体に化学的に結合できる。このような結合体は、限定されるものではないが、コレステロール部分のような脂質部分を含む(Letsingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1989,86、6553−6556)。
【0098】
ワトソン−クリック相互作用は、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体またはヌクレオチド代用物のワトソン−クリックフェイス(Watson−Crick face)との少なくとも1種の相互作用である。ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体またはヌクレオチド代用物のワトソン−クリックフェイス(Watson−Crick face)は、プリンベースのヌクレオチド、ヌクレオチド類似体またはヌクレオチド代用物のC6位置およびピリミジンベースのヌクレオチド、ヌクレオチド類似体またはヌクレオチド代用物のC2、N3、C4位置を含む。
【0099】
フーグスティーン相互作用は、2重DNAの主溝で露出するヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体のフーグスティーンフェイス(Hoogsteen face)で行われる相互作用である。フーグスティーンフェイス(Hoogsteen face)は、N7位置およびプリンヌクレオチドのC6位置における反応性基(NH2またはO)を含む。
【0100】
たとえば、KD1およびその変異に関連したさまざまな配列、ならびにGenbankにおいて開示されている本明細書において開示のその他いずれものタンパク質があり、これらの配列などは、その全体が参照によって本明細書に援用され、同様にその中に含まれる個々のサブ配列について本明細書に援用される。
【0101】
さまざまな配列は、本明細書に提供され、そしてこれらおよびその他の配列は、Genbank、www.pubmed.gov.に見出され得る。配列矛盾と配列相違を解決しおよびその他関連した配列に対して特定の配列に関連する組成物および方法を調和させる方法を当業者は理解している。プライマーおよび/またはプローブは、本明細書において開示されかつ当該分野で公知の情報を考慮していずれもの配列について設計され得る。
【0102】
本明細書において開示された遺伝子と相互作用することが可能なプライマーおよびプローブを含む組成物が開示される。特定の実施形態では、プライマーは、DNA増幅反応を支えるのに使用される。一般に、プライマーは、配列特異的な方法で伸展させることができる。配列特異的な方法でのプライマーの伸長は、プライマーがハイブリダイズされるか、さもなければプライマーが結合される核酸分子の配列および/または組成物が、プライマーの伸長によって生産された産物の組成物または配列に直接作用または影響するいずれもの方法を含む。それ故、配列特異的な方法でのプライマーの伸長は、これに限定されるものではないが、PCR、DNA塩基配列決定法、DNA伸長、DNA重合、RNA転写または逆転写を含む。配列特異的な方法におけるプライマーを増幅する技法および条件が、好まれる。特定の実施形態では、プライマーが、PCRまたは直接配列決定のようなDNA増幅反応のため使用される。特定の実施形態では、プライマーはまた、たとえば、配列特異的な方法におけるプライマーの伸長に化学的に反応するように、プライマーの伸長に用いられるヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドが改良された非酵素技法を使用して伸長され得ると理解される。一般に、開示されるプライマーは、核酸もしくは核酸の領域とハイブリダイズするか、またはそれらのプライマーは核酸の相補体または核酸領域の相補体とハイブリダイズする。
【0103】
治療を必要とする対象へ核酸を投与することを含む対象を治療する方法は、本明細書において開示される。たとえば本明細書において開示されているものなど、KD1変異体をコードする核酸を送達する方法が、本明細書において開示される。これらの方法は、投与および対象の細胞へ外来性DNAの取り込み(すなわち、遺伝子形質導入またはトランスフェクション)を含む。開示された核酸は、当業者に十分理解されるように、裸のDNAまたはRNAの形であり、あるいは核酸は、抗体をコードするDNAフラグメントがプロモーターの転写調節下にあることによって核酸を細胞に送達するためのベクター中にあり得る。ベクターは、アデノウイルスベクター(Quantum Biotechnologies、Inc.社(Laval、Quebec、Canada)などの商用に利用可能な調製物であり得る。細胞への核酸またはベクターの送達は、さまざまなメカニズムを経由可能である。1つの例として、送達は、たとえば、LIPOFECTIN、LIPOFECTAMINE(GIBCO−BRL、Inc.社、Gaithersburg、MD)、SUPERFECT(Qiagen、Inc.社、Hilden、Germany)およびTRANSFECTAM(Promega Biotec、Inc.社、Madison、WI)などの商用に利用可能なリポソーム調製物を使用するリポソーム、ならびに当該分野において標準の手順によって開発された他のリポソームを介することができる。加えて、開示された核酸またはベクターは、SONOPORATION装置(ImaRx Pharmaceutical Corp.社、Tucson、AZ)の方法と同様に、Genetronics Inc.社(San Diego、CA)から入手可能である技術、電気穿孔によってin vivoに運ばれ得る。
【0104】
1つの例として、ベクター送達は、組換えレトロウイルスゲノムをパッケージングすることができるような、レトロウイルスベクターシステムのようなウイルスシステムを経由可能である(たとえば、Pastanら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 85:4486、1998;Millerら、Mol.Cell.Biol.6:2895、1986参照)。組換えレトロウイルスは、その後、感染およびそれによって広範の中和抗体(またはその活性な断片)をコードする核酸を感染細胞へ送達するのに使用できる。改変核酸を哺乳動物の細胞に取り込む正確な方法は、もちろん、レトロウイルスのベクターの使用に限られない。その他の技法は、アデノウイルスベクター(Mitaniら、Hum.Gene Ther.5:941−948、1994)、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(Goodmanら、Blood 84:1492−1500、1994)、レンチウイルスベクター(Naidiniら、Science 272:263−267、1996)、偽型レトロウイルスベクター(Agrawalら、Exper.Hematol.24:738−747、1996)の使用を含むこの手法のために広く利用可能である。リポソーム送達および受容体介在性およびその他のエンドサイトーシス機構(たとえば、Schwartzenbergerら、Blood 87:472−478、1996参照)のような、物理的な形質導入技法が使われることもできます。この開示された組成物および方法は、任意のこれらのまたは他の一般的に用いられる遺伝子移入方法と併せて使われ得る。
【0105】
1つの例として、抗体をコードする核酸がアデノウイルスベクターにおいて対象の細胞に運ばれるならば、ヒトへのアデノウイルスの投薬量は、1注射につき約107から109プラーク形成単位(pfu)に及び得るが、1注射につき1012pfu程度の高さであり得る(Crystal,Hum、Gene Ther.8:985−1001、1997;Alvarez and Curiel,Hum、Gene Ther.8:597−613、1997)。対象は、単回投与を受けることができ、あるいは、追加的な注射が必要ならば、不定期間および/または処置の有効性が確立するまでの間、それらは6ヶ月間隔(または当業者によって決定されるように、その他の適当な時間間隔)で反復投与できる。
【0106】
使用されるならば、核酸またはベクターの非経口投与は、一般に注射によって特徴づけられる。注入物質は、液体溶液または懸濁液、注射前の液体における懸濁液の溶液に好適な固体形態またはエマルジョン類のいずれかとして、従来の形態で調製され得る。つい最近修正された非経口投与へのアプローチは、一定の投薬量が持続するように、ゆっくりとした放出(slow release)または持続した放出(sustained release)システムの使用を包含する。たとえば、参照することにより本明細書に援用される米国特許第3,610,795号を参照。好適な製剤および治療化合物のさまざまな投与経路の追加議論は、たとえば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(19th ed.)ed.A.R.Gennaro、Mack Publishing Company、Easton、PA 1995に参照される。
【0107】
本明細書において考察されるように、公知であり本明細書で意図される多数のKD1タンパク質の変異体がある。具体的には、配列番号2のように、野生型を考慮して、好ましいKD1の変異が開示されている。本明細書において開示されている機能的なKD1変異体に加えて、KD1タンパク質の誘導体があり、これはまた本明細書において開示されているものとともに機能し、本明細書において意図される。タンパク質変異体および誘導体は、それがアミノ酸配列の改変を含み得ることが当業者には十分理解される。たとえば、アミノ酸配列の改変は、一般に3つのクラスのうちの1種以上:置換、挿入または欠失変異体に分類される。挿入は、単数または複数のアミノ酸残基の相互配列挿入と同様に、アミノおよび/またはカルボキシル末端縮合を含む。挿入は通常、たとえば、約1〜4残基のアミノまたはカルボキシル末端縮合したものより小さな挿入であり得る。実施例において記載のように、免疫原性融合タンパク質の誘導体は、in vitroでの架橋によって標的配列へ免疫原性を付与するのに十分大きいポリペプチドを融合させることによって作られるか、または融合物をコードするDNAで形質転換された組み換え細胞の培養によって作製される。欠失は、タンパク質配列から1種以上のアミノ酸残基を除去することによって特徴づけられる。一般に、約2〜6以下の残基は、タンパク質分子内のどの部分においても欠失させる。これらの変異体は通常、タンパク質をコードするDNAにおいてヌクレオチドの部位特異的変異誘発によって調製され、それによって変異体をコードするDNAを生産、およびその後組換え細胞培養物においてDNAを発現する。既知の配列を有するDNA中の所定部位において置換変異を作る技法、たとえばM13プライマー変異誘発およびPCR変異誘発は、よく知られている。アミノ酸置換には一般に、一つの残基の置換であるが、同時にすぐに複数の異なる場所で発生できる;挿入は通常、約1から10のアミノ酸残基である;および欠失は、約1から30の残基の範囲である。欠失または挿入は、好ましくは隣接した対でなされる、すなわち2つの残基の欠失または2つの残基の挿入でなされる。置換、欠失、挿入またはそのいずれもの組合せは、最終構築物に到達するために組み合されてもよい。変異は、リーディング・フレームの外に配列を置いてはならず、および好ましくは、第二のmRNA構造物をつくり得る相補的な領域をつくらない。置換変異体は、少なくとも1つの残基が取り除かれおよびその位置で異なる残基が挿入される変異体である。このような置換は一般に、次の表に従ってなされ、保存置換と称される。
【0108】
【表2】



機能または免疫学的同一性の実質的な変化は、表2に記載した置換よりも保存性の低い置換を選択することによって、すなわち、(a)たとえばシートまたは螺旋構造としての、置換領域におけるポリペプチド主鎖の構造(b)標的部位の分子の電荷または疎水性、もしくは、(c)側鎖の嵩高さ、の維持に対する効果がより大きく異なる残基を選択することによって行われる。一般に、タンパク質特性で最も大きな変化をもたらすと予想される置換は、(a)たとえば、セリルまたはスレオニルなどの親水性残基が、たとえば、ロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリルまたはアラニルなどの疎水性残基に代えて(で)置換されるもの;(b)その他いずれもの残基に代えて(または、よって)システインまたはプロリンが置換されるもの;(c)たとえば、リジル、アルギニルまたはヒスチジルなどの電気陽性側鎖を有する残基が、たとえば、グルタミルまたはアスパルチルなどの負電荷を有する残基に代えて(で)置換されるもの、または;(d)たとえば、フェニルアラニンなどの嵩高い側鎖を有する残基が、たとえば、この場合、グリシンなどのそのような側鎖を有さない残基に代えて(で)置換されるもの、(e)硫酸化および/またはグリコシル化の部位の数を増やすことによるものであろう。たとえば、生物学的および/または化学的に類似している別のものによる1つのアミノ酸残基の置換は、保存的置換として当業者に公知である。たとえば、保存的置換は、ある疎水性残基を別の残基に代えて、またはある極性残基を別の残基に代えて置き換えることである。この置換は、たとえば、GIy、Ala;Val、ILe、Leu;Asp、Glu;Asn、Gln;Ser、Thr;Lys、Arg;およびPhe、Tyrのような組み合わせを含む。各々明確に開示された配列の保存的に置換された変種は、本明細書において提供されるモザイクポリペプチドに含まれる。
【0109】
置換または欠失の変異誘発を使用して、N−グリコシル化(Asn−X−Thr/Ser)またはO−グリコシル化(SerまたはThr)の部位を挿入してもよい。システインまたはその他の不安定な残基の欠失も望まれ得る。潜在的なタンパク質分解部位、たとえばArgの欠失または置換は、たとえば、塩基性残基の1つを欠失させること、またはグルタミニルまたはヒスチジル残基によって1つを置換することによって成し遂げられる。
【0110】
特定の翻訳後誘導体化は、発現したポリペプチドに対する組換え宿主細胞の作用の結果である。グルタミニルおよびアスパラギニル残基はしばしば翻訳後に脱アミド化されて対応するグルタミルおよびアスパリル残基になる。あるいは、これらの残基を温和な酸性条件下で脱アミド化する。その他の翻訳後修飾には、プロリンおよびリジンの水酸化、セリンまたはスレオニン残基の水酸基のリン酸化、リジン、アルギニンおよびヒスチジン側鎖のo−アミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties、W.H.Freeman&&Co.San Francisco pp79−86[1983])、N−末端アミンのアセチル化、およびいくつかの例では、C-末端カルボキシルのアミド化が含まれる。
【0111】
本明細書において開示されたタンパク質の変異体および誘導体を規定する1つの方法が、特定の公知の配列に対する相同性/同一性に関して変異体と誘導体を規定することを介するものと理解される。たとえば、配列番号1は、KD1の特定の配列を示し、および配列番号2は、その変異体の特定の配列を示す。具体的には、言及した配列に対して少なくとも70%または75%または80%または85%または90%または95%の相同性を有するこれらおよび本明細書のその他のタンパク質の変異体を開示する。当業者は、2つのタンパク質の相同性を決定する方法を容易に理解する。たとえば、相同性がその最高レベルにあるように、相同性は2つの配列を整列させた後に計算され得る。相同性を計算する別の方法は、公開されたアルゴリズムによって実行され得る。比較のための配列の最適アライメントは、Smith and Waterman Adv. Appl. Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムによって、Needleman and Wunsch、J.MoL Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson and Lipman、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.85:2444(1988)の類似性のサーチ方法によって、これらのアルゴリズムのコンピューター支援実施(Wisconsin Genetics Software PackageにおけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA、Genetic Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WT)によって、または検定により、行われ得る。
【0112】
同じタイプの相同性は、たとえば、Zuker,M.Science 244:48−52、1989、Jaegerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:7706−7710、1989、Jaegerら、Methods Enzymol.183:281−306、1989(少なくとも核酸アライメントに関する物質について参照により本明細書に援用する)に開示されたアルゴリズムにより、核酸について得ることができる。
【0113】
保存的変異および相同性の説明は、変異体が保存的変異である特定の配列に対して少なくとも70%の相同性を有する実施形態のような、いずれもの組み合わせで一緒に組み合わされ得ると理解される。
【0114】
本明細書が種々のタンパク質とタンパク質配列を考察したとおり、このようなタンパク質配列をコードすることができる核酸も開示されると理解される。これは、特定のタンパク質配列に関連する全ての縮重配列、すなわち、1つの特定のタンパク質配列をコードする配列を有する全ての核酸、ならびに縮重核酸を含み、開示されたタンパク質配列の変異体および誘導体をコードする全ての核酸を含む。従って、各々の特定の核酸配列は、本明細書において書き出されないかもしれないが、実際、各々のかつあらゆる配列が、開示されたタンパク質配列を通して、本明細書において開示され、記述されることが理解される。また、どの特定のDNA配列が生物体内のタンパク質をコードするかを示すアミノ酸配列はないが、開示されたタンパク質の特定の変異体は、本明細書において開示され、タンパク質が生じる特定の領域においてタンパク質をコードする公知の核酸配列はまた、公知であって、本明細書において開示および記述されるということが理解される。
【0115】
開示された組成物に組み込まれ得る多数のアミノ酸およびペプチド類似体があると理解される。たとえば、多数のDアミノ酸、または表2で示されるものとは異なる機能的な置換基を有するアミノ酸がある。ペプチド類似体の立体異性体と同様に、天然に存在するペプチドの逆の立体異性体を開示する。これらのアミノ酸は、選ばれたアミノ酸でtRNA分子を改変させることによって、およびたとえば、アンバーコドンを利用する遺伝子構築物を工学的に作製して、部位特異的な方法で、ペプチド鎖へアミノ酸類似体を挿入することによって、ポリペプチド鎖に容易に組み込まれ得る。たとえば、(Thorsonら、Methods in Molec. Biol.77:43−73(1991)、Zoller、Current Opinion in Biotechnology、3:348−354(1992);Ibba、Biotechnology&genetic Enginerring Reviews 13:197−216(1995)、Cahillら、TIBS、14(10):400−403(1989);Benner、TIB Tech、12:158−163(1994);IbbaおよびHennecke、Bio/technology、12:678−682(1994)(それらすべては、少なくともアミノ酸類似体に関連する物質について、参照することにより本明細書に援用される)を参照のこと。
【0116】
ペプチドに類似する分子は生産され得るが、しかし、天然のペプチド連結を介してつながれない。たとえば、アミノ酸またはアミノ酸類似体の連結は、CH2NH−−、−−CH2S−−、−−CH2−−CH2−−、−−CH=CH−−(シスおよびトランス)、−−COCH2−−、−−CH(OH)CH2−−および−−CHH2SO――(これらおよびその他が、Spatola、A.F.、Chemistry and Biochemistry of Amino Acids、Peptides and Proteins,B.Weinstein、編集、Marcel Dekker、New York、p.267(1983);Spatola、A.F.、Vega Data(March 1983)、Vol.1、Issue3、Peptide Backbone Modifications(general review);Morley、Trends Pharm Sci(1980)pp.463−468;Hudson,D.ら、Int J Pept Prot Res 14:177−185(1979)(−−CH2NH−−、CH2CH2−−);Spatolaら、Life Sci 38:1243−1249(1986)(−−CHH2−−S);Harnn J.Chem.Soc Perkin Trans.I 307−314(1982)(−−CH−CH−、シスおよびトランス);Almquistら、J.Med.Chem.23:1392−1398(1980)(−−COCH2−−);Jennings−Whiteら、Tetrahedron Lett 23:2533(1982)(−−COCH2−−);Szelkeら、European Appln、EP45665CA(1982):97:39405(1982)(−−CH(OH)CH2−−);Holladayら、Tetrahedron. Lett 24:4401−4404(1983)(−−C(OH)CH2−−);and Hruby Life Sci 31:189−199(1982)(−−CH2−−S−−)で見出され得る);を含むことができ、そのそれぞれが参照によって本明細書に援用される。特に好ましいペプチドではない連鎖は、−−CH2NH-である。ペプチド類似体は、b−アラニン、g−アミノ酪酸などの結合分子間で2つ以上の原子を持つことができると理解される。
【0117】
アミノ酸類似体(単数または複数)およびペプチド類似体には、より経済的な生産、より大きな化学安定性、強化された薬理学的特性(半減期、吸収、効能、有効性など)、特異性変化(たとえば、生物活性の広範囲スペクトル)、抗原性の軽減などのような、強化されるかまたは望ましい特性がある場合が多い。
【0118】
D−アミノ酸がペプチダーゼなどによって認められないので、D−アミノ酸はより安定したペプチドを生み出すのに用いられる。同じタイプ(たとえば、L−リジンの代わりにD−リジン)のD−アミノ酸とのコンセンサス配列の1種以上のアミノ酸の系統的置換は、より安定したペプチドを生み出すのに用いられ得る。システイン残基は環化するか、または一緒に2つ以上のペプチドを結合するのに用いられる。これは、特定の構造にペプチドを拘束するために有益であり得る。(Rizo and Gierasch Ann.Rev.Biochem.61:387(1992)、参照により本明細書に援用する)。
【0119】
開示された核酸、ベクターおよび/または細胞を投与することを包含するトランスジェニック生物体の製造方法を開示する。
【0120】
本発明は、より詳細に以下の実施例で記述される。これらは一例に過ぎず、多数の改良および変形が、当業者には明らかとなる。
【0121】
本発明のプロセスは、その特定の実施形態の詳細な記述を参照して記載してきたが、それが添付の請求の範囲に含まれない限り、本発明の範囲を限定するものとみなされるものではない。
【0122】
以下の実施例は、本明細書における請求の範囲に記載されている化合物、組成物、記事、デバイスおよび/または方法がどのように作られて評価されたかを当業者に完全に開示し、説明するために提示するものであり、本発明の純粋な模範であることを意図しており、発明者が発明と考える範囲を限定するものではない。数字(例えば、量、温度など)に関しては、確実に誤記のないよう努めてきたが、あるい程度の誤差や偏差は考慮されるべきである。別途示されない限り、部は重量部であり、温度は℃または周囲温度であり、そして、圧力は大気または大気に近いものである。
【実施例】
【0123】
D.実施例
1.実施例1
材料および方法:発色性基質H−D−Val−Leu−Lys−p−ニトロアニリド(S−2251)は、DiaPharma Group Inc.(ウェストチェスター、OH)社より購入した。ヒトプラスミンは、Enzyme research laboratories社より購入した。ウシアプロチニン(BPTI)は、Zymogenetics社製を利用した。大腸菌株BL21(DE3)pLysおよびpET28a発現ベクターは、Novagen Inc.(マディソン、WI)社の製品であった。QuikChange(登録商標)部位特異的変異誘発キットは、Stratagene(ラホヤ、CA)社より入手した。
【0124】
野生型および変異体タンパク質の発現および精製。ヒトTFPI−2(KD1)の第1クニッツ型プロテイナーゼ阻害剤ドメインは、ヒスチジンタグを含有するpET28aベクターでクローニングした。この変異体は、部位特異的変異誘発によって得られた。このタンパク質は、T7プロモーターシステムを使用した大腸菌株BL21(DE3)pLysSのN末端ヒスチジンタグ化融合タンパク質として過剰発現した。過剰発現したタンパク質は、封入体として回収され、そしてタンパク質は、折り畳まれて、ヒスチジンタグフリーで精製された(27)。濃度は、UV分光法によって決定された。
【0125】
プラスミン阻害アッセイ。プラスミン阻害アッセイは、96穴マイクロタイタープレートで、37℃、1時間、100mMのNaCl、0.1mg/mLのBSA、5mMのCaCl2を含有するpH7.5の50mMトリス−HCl緩衝液に、さまざまな濃度の阻害剤調製物(BPTI、KD1WT、KD1変異体であるR24K、L26RまたはR24K/L26R)とプラスミンをインキュベートすることによって行われた。その後、発色性基質S−2251を加え、そして残りのアミド分解活性は、Molecular Devices社のUVmaxカイネティックマイクロプレートリーダーで、異なるエンドポイント(0.5および1時間)とS2251(0.5および1mM)濃度において測定された。プラスミン阻害データは、2次方程式の結合発現により分析された。
【0126】
対照実験において、基質濃度の増加によっていずれもの基質が結合阻害剤の置換を誘発するのかが最初の調査であった。BPTI(図2)およびWT KD1(図3)の両方がアッセイされおよび我々の結果は、基質濃度の増加によって、一見、結合阻害剤の置換がないように見えた。また、プラスミンと阻害剤のインキュベーション時間の増加が、阻害増強を起こすかどうか試験された。これはどちらのケース(図2および図3)でもなかった。これらの結果から、図4で提示された結果が確認される。プラスミン抑制研究より得られた結果は、R15K/L17R変異体がプラスミンの強力な阻害剤であり、および野生型KD1やR24K変異体のどちらよりもプラスミンを多様に強力に阻害する(図4)ことを示す。WTに対して22nM、R15Kに対して10nM、L26Rに対して6nMおよびR15K/L17Rに対して3nMのKi(阻害定数)値が得られた。従って、L17R改変はとても重要である。L17R改変は、分子モデリングに基づいて行われた。R15K/L17R変異体は、WT KD1(7倍)またはR15K(約2倍)変異体よりプラスミンにより強く結合する。L17R変異体は、WT KD1より約4倍強くプラスミンと結合し、従って、L26RまたはR15K/L17Rは、臨床療法においてBPTIと置き換えることができる。
【0127】
本出願全般にわたって、さまざまな刊行物が参照される。本発明に関する技術の状態をより完全に記述するために、これら刊行物の開示はその全体を参照により本出願に引用する。
【0128】
2.実施例2:TFPI−2のクニッツドメイン1(KD1)の内因系凝固阻害剤活性の緩和
命名法情報
R24(R15としても公知)は、P1である
A25(A16としても公知)は、P1’である
L26(L17としても公知)は、P2’である
TFPI−2は、おそらくXIa因子の阻害を経由して内因系凝固を阻害する(Petersenら、Biochemistry、1996 Jan 9;35(1):266−272)。全てのセリンプロテアーゼ同様に、XIa因子は、P1−P1’残基TRAEまたはTRVV(P2−P1−P1’−P2’)の間で切断する。従って、P2’位置でLeu(Valのような疎水性残基)を有するKD1WTは、XIa因子を阻害するはずである。従って、P2’位置でのLeuからArgへの変化は、この阻害を軽減/無効にするはずである。
【0129】
凝固の阻害試験に対する一般的な手順は、正常血漿のaPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)を分析することである。この試験において、リン脂質と表面活性剤は、等量(75マイクロリットル)の正常血漿と混合された。阻害剤(KD1WT、KD1L26RまたはBPTI)を含有する緩衝液10マイクロリットルは添加され、そして試料は37℃で5分間インキュベートされた。37℃に予め温めた75マイクロリットルの25mMCaClは、その後添加され、クロットを形成するのに要する時間が記録された。このデータは、図5に示されている。
【0130】
aPTT系において、凝固は、カリクレイン系を含む接触相によって、XII因子からXIIa因子への活性化によって開始する。XIIa因子は、その後、凝固カスケードにおいて、XI因子をXIa因子へ活性化する。
【0131】
BPTIは、カリクレインを阻害するのに対してKD1WTは、カリクレインおよびXIa因子を阻害する(Petersenら、1996)。これは、BPTIおよびKD1WTによるaPTTの延長を生じ得るが、KD1のL26R変異体は、aPTTを阻害(延長)しないことで示されたようにどちらも阻害しないと予想される(図5)。この観察から、L26RKD1が特異的プラスミン阻害剤となる。プラスミンに対する阻害力も、また同様に増加する。従って、L26RKD1は、クロット形成に影響がなくおよびWT KD1よりもさらに強力な阻害剤である。
【0132】
変異体タンパク質L26Rは、抗凝固剤として活性を失い、抗線溶剤として特異性となる。それ故、変異体は抗線溶剤としてより活性であるが、それはまたもはや抗凝固剤ではない。この特性は、出血を防ぐのに有用である。
【0133】
3.実施例3:マウスプラスミン阻害データ
WT KD1およびL26Rはどちらも、効果的にマウスプラスミンを阻害した。これは、図6に示されている。明らかにWT KD1およびL26R変異体は、約80nMというみかけのKd値でマウスプラスミンを阻害するのにかなり効果的である。WTおよびL26R KD1のどちらにも、1μMで完全な阻害を得た(Masciら、Blood Coagulation and Fibrinolysis 2000、Vol11、No4、pages 385−393、in vivoプラスミン阻害に関してその全体およびその内容を参照することにより本明細書に援用される)。野生型および変異体のどちらもマウスプラスミンを阻害するので、当業者は、動物の出血モデルにおいてin vivoでの効果を示すために変異体を使用することができる。
【0134】
マウスの尾静脈出血モデルは、ヘビプラスミン阻害剤の効果を研究するのに記載されている(Masciら;Blood Coagulation and Fibrinolysis 2000、Vol 11、pages 385−393)。マウスの尾静脈出血モデルを使用して、生理食塩水対照群と比べ、アプロチニン、WT KD1または変異体L26Rのどちらかを約100マイクログラム/マウスで静脈内投与した時、67〜70%の失血減少が観察された。これらの実験で使用されたプラスミン阻害剤の用量は、ヒトCPB(心肺バイパス)外科手術中に用いられた用量と類似していた(それはマウスの体重に対して調整される)。UCLAの動物倫理委員会が承認した全てのマウス実験およびマウスの体重に対して調整されるヒト外科手術の使用量は、実際これらの初期研究をベースにしたものであった。血清BUN/クレアチニンレベルは、薬剤の投与ののち、2日後および7日後は正常であった。組織の顕微鏡検査は、腎臓、心臓および脳などの主要臓器に損傷がないことを明らかにした。KD1WTおよびKD1L26Rは、アプロチニンとほぼ同様に効果的に失血を減少させた。しかしながら、使用された用量は、異なる阻害剤(アプロチニン、WT KD1またはL26R変異体)間で、違いが十分に分からないほど高い可能性のあることから、このことは予想されるものである。さらにヒトKD1L26Rは、より選択的にヒトプラスミンを阻害しおよび凝固を阻害しないので、ヒトにおいてより効果的になり得る。
【0135】
【表3−1】

【0136】
【表3−2】

【0137】
【表3−3】

【0138】
【表3−4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−63086(P2013−63086A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−269496(P2012−269496)
【出願日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【分割の表示】特願2008−548869(P2008−548869)の分割
【原出願日】平成18年12月29日(2006.12.29)
【出願人】(506115514)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (87)
【Fターム(参考)】