説明

TFTアレイ検査装置およびTFTアレイ検査方法

【課題】複数種類のパネルレイアウトについて、メンテナンス後において、各パネルの特定部位の座標情報の取得に要する時間を短縮し、オペラータの操作を軽減する。
【解決手段】TFTアレイが形成された基板上に荷電ビームを照射して走査し、当該荷電ビーム走査で得られる走査画像に基づいてTFTアレイを検査するTFTアレイ検査において、複数種類のパネルレイアウトのTFTアレイを検査対象とし、これら複数種類のパネルレイアウトの各パネルの位置を特定する座標情報について、複数種類のパネルレイアウトの内の一種類のパネルレイアウトについては走査画像から取得して登録し、他の残りのパネルレイアウトについては走査画像を取得することなく、登録した座標情報を用いて旧座標情報を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TFTディスプレイ装置を製造する工程におけるTFTアレイ工程において、製造されたTFTアレイが正しく駆動するか否かを検査する検査装置および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
TFTディスプレイ装置に用いるTFTアレイ基板の製造工程では、製造されたTFTアレイが正しく駆動するかの検査が行われる(特許文献1,2)。
【0003】
TFTディスプレイのTFTアレイを検査するTFTアレイ検査装置において、例えば、検査対象であるTFTアレイに検査信号を印加してアレイを所定電位状態とし、TFTアレイ上に電子ビームやイオンビーム等の荷電ビームを二次元的に照射して走査し、このビーム走査で得られる走査画像に基づいてTFTアレイを検査することが知られている。
【0004】
基板上には各パネルに対応して複数のアクティブエリアが配置されている。このアクティブエリア内には、複数のピクセルに対応してTFTアレイが形成されており、このTFTアレイに駆動信号を印加することによって特定のピクセルを駆動することができる。
【0005】
TFTアレイ検査において、TFTアレイに所定パターンの駆動信号を印加し、基板内に形成されたパネルの各ピクセルを所定パターンで駆動して所定の電位状態とし、これらのピクセルに荷電ビームを照射し、照射点から放出される二次電子等を検出する。この荷電ビーム照射をパネル内で走査することによって、パネル内の各ピクセルから検出信号を検出し走査画像を取得する。
【0006】
従来、ピクセルに対して荷電ビームを走査する際、各ピクセルに対して例えば4×4点あるいは4×3点の荷電ビームを照射し、この荷電ビームの照射点をサンプリング点として、一ピクセルについて複数のサンプリング点の検出信号を検出し、この検出信号を用いて各ピクセルに対応するアレイの欠陥を検出するための信号強度を算出している。
【0007】
各ピクセルに対して荷電ビームを走査し、ピクセル内の照射点に荷電ビームを照射するには、基板上のアクティブエリア(以下では、パネルで表す)内における各ピクセルの座標が既知であることが求められる。
【0008】
従来、各パネルのコーナー部分の座標を予め求めて登録しておき、登録したパネルコーナーの座標に基づいてパネル内の各ピクセルに対して荷電ビームを照射する位置を定め、この照射位置に荷電ビームを照射している(特許文献3)。
【0009】
図8は基板上のパネル(アクティブエリア)の特定部位の座標位置を求める例を模式的に示している。
【0010】
パネルの特定部位の座標位置は、基板を走査して得られる走査画像から求められる。走査画像は、TFTアレイが形成された基板上において荷電ビームを二次元的に走査することによって取得する。TFTアレイ検査は、この走査画像からTFTアレイが形成されたパネル(アクティブエリア)を検査対象領域として、そのパネルに形成されるピクセルの欠陥検査を行う。
【0011】
図8(a)は、基板の走査画像を示し、図8(b)は走査画像中の一パネルの表示画像を示している。
【0012】
図8(a)に示す走査画像において、基板11上に形成されるTFTアレイとして、[00],[01],[02],[03],〜,[23]の12面のパネル12を配列した例を示している。各パネル12には、複数のピクセル(図示していない)形成される。このパネルの配列数及び配列パターンはこの例に限らず任意とすることができる。
【0013】
TFTアレイ検査では、走査画像中のパネル12を検査対象領域とし、パネル12中に含まれるピクセルの欠陥検査を行う。基板11上の各パネル12の位置を特定するために、走査画像10からパネル12の特定部位14の座標位置を取得する。パネル12の矩形形状の4つのコーナー部位を特定部位14-1〜14-4とし、この特定部位14-1〜14-4の座標位置を求めることにより、各パネル12の位置を特定する。パネル12の位置を特定することで、パネル12の各ピクセルの位置を特定する。
【0014】
走査画像からパネルの特定部位の座標位置の取得する方法では、走査画像10を表示部(図示していない)上に表示し、この表示画像のパネル像の特定部位を指定し、指定位置の座標を取得する。
【0015】
図8(b)は、図8(a)の走査画像中の一つのパネルを表示部(図示していない)のディスプレイ上に表示した表示画像を示している。走査画像表示領域21は、[00]で示されるパネル12のパネル像22を表示している。パネル像22の矩形形状の輪郭において、例えば4つのコーナー部位23-1〜23-4を特定部位とし、この特定部位を指定することによって座標位置を取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2004−271516号公報
【特許文献2】特開2004−309488号公報
【特許文献3】国際公開番号WO2006/112242
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従来は、基板上に配置される複数のパネル(アクティブエリア)内の各ピクセルの座標を得るために、各パネルに定めた特定部位の座標情報を走査画像から予め求めて登録している。
【0018】
TFTアレイ装置のメンテナンスにおいて、荷電ビームを照射する荷電ビーム源や基板を載置するステージを調整する場合がある。荷電ビーム源のメンテナンスでは、フィラメント等の部品を交換する場合がある。
【0019】
荷電ビーム源やステージ等の走査系のメンテナンスは、基板上への荷電ビームの照射位置に影響を与え、メンテナンス前後において照射位置にずれが生じる場合がある。このように、荷電ビームの照射位置に位置ずれが生じると、走査画像から取得されるパネルの座標がメンテナンスの前後で位置ずれが生じる場合がある。位置ずれが生じた座標情報を用いてパネル位置を特定し、ピクセルに荷電ビームを照射すると照射位置がずれることになる。パネルの座標の位置ずれは、上記したメンテナンスによる位置ずれの他、荷電ビームを照射する機構あるいは基板を支持する支持機構等の走査系の位置ずれによって発生する。
【0020】
そのため、従来、メンテナンス等の走査系において位置ずれ要因が発生した後には、パネルの特定部位の座標を再度取得して登録する必要がある。基板上に形成されるパネルのレイアウトは複数種類あるため、パネルレイアウト毎にパネルの特定部位の座標情報を登録する必要がある。
【0021】
図9は、メンテナンス後に行う座標情報の登録を説明するための図である。なお、パネルの特定部位としてパネルコーナーを用いる例を示している。
【0022】
図9(a)に示すパネルAは基板上に12枚のパネルが配置される例を示し、図9(b)に示すパネルBは基板上に20枚のパネルが配置される例を示している。
【0023】
メンテナンス前のパネルコーナーの座標情報CD(Aold)およびCD(Bold)は、メンテナンス後にそれぞれ取得した走査画像から座標情報CD(Anew)およびCD(Bnew)を登録する。図9(c)は、メンテナンス後にパネルコーナーの座標情報を登録する状態を示している。
【0024】
上記したように、従来のTFTアレイ検査装置では、メンテナンス等の走査系において位置ずれ要因が発生した後に、複数種類のパネルレイアウトの基板を検査する場合には、各パネルレイアウトのパネルコーナーの座標情報を再度取得して登録する必要があり、操作に長時間を要するという問題がある。
【0025】
TFTディスプレイの製造工程では、種々のパネルレイアウトの基板が製造されTFTアレイ検査工程で検査が行われるため、TFTアレイ検査装置のメンテナンス後において、検査を行うパネルレイアウトの種類毎にパネルコーナーの座標情報を登録する必要がある。
【0026】
また、パネルコーナーの座標情報の登録はオペレータによる操作を必要とする。通常、基板製造において、製造される基板のパネルレイアウトの種類が変更されるタイミングは不定期であり、どの時点でパネルレイアウトが変更されるかは不明である。そのため、無人による検査を行うTFTアレイ検査装置では、オペレータの配備を、パネルコーナーの座標情報の変更がされていない基板が現れるタイミングに合わせすることは難しい。
【0027】
検査対象の全種類のパネルレイアウトについてパネルコーナーの座標情報を全て登録が完了するまでオペレータを配備すれば、オペレータの配備のタイミングの問題は解消するものの、コストの上昇を招くという問題がある。
【0028】
そこで、本発明は上記課題を解決して、複数種類のパネルレイアウトについて、各パネルの特定部位の座標情報の取得に要する時間を短縮し、オペラータの操作を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、TFTアレイが形成された基板上に荷電ビームを照射して走査し、当該荷電ビーム走査で得られる走査画像に基づいてTFTアレイを検査するTFTアレイ検査において、複数種類のパネルレイアウトのTFTアレイを検査対象とし、これら複数種類のパネルレイアウトの各パネルの位置を特定する座標情報について、複数種類のパネルレイアウトの内の一種類のパネルレイアウトについては走査画像から取得して登録し、他の残りのパネルレイアウトについては走査画像を取得することなく、登録した座標情報を用いて旧座標情報を更新する。
【0030】
一種類のパネルレイアウトで求めた座標情報を、他の残りのパネルレイアウトの座標情報の更新に利用することによって、走査画像の取得や、座標情報を求めて登録するためのオペレータの操作を省くことができ、各パネルの特定部位の座標情報の取得に要する時間を短縮し、オペレータの操作を軽減することができる。
【0031】
メンテナンス等のTFTアレイ検査装置側の走査系の位置ずれ要因によって生じる特定部位の座標位置に位置ずれは、検査対象であるTFTアレイ基板側のパネルレイアウトに依存しないため、複数種類のパネルレイアウトのTFTアレイにおいて、一種類のパネルレイアウトについて求めた特定部位の位置ずれ量は、他の種類のパネルレイアウトの特定部位の位置ずれ量と同量となる。
【0032】
本発明は、複数種類のパネルレイアウトにおいて、何れのパネルレイアウトの特定部位の位置ずれ量は共通であるという特徴を利用し、一種のパネルレイアウトについて求めた特定部位の位置ずれ量を他のパネルレイアウトの特定部位の座標位置の特定に用いる。これによって、特定部位に位置ずれの検出を一種のパネルレイアウトのみについて行い、他のパネルレイアウトについては特定部位の位置ずれの検出を不要とする。
【0033】
本発明は、TFTアレイ検査方法の形態と、TFTアレイ検査装置の形態の2つの形態とすることができる。
【0034】
本発明のTFTアレイ検査方法の形態は、TFTアレイが形成された基板上に荷電ビームを照射して走査し、この荷電ビーム走査で得られる走査画像に基づいてTFTアレイを検査するTFTアレイ検査方法であり、複数種類のパネルレイアウトのTFTアレイを検査対象とする。
【0035】
TFTアレイ検査方法は、複数種類のパネルレイアウトの内の一種類のパネルレイアウトについて、走査画像を取得する走査画像取得工程と、走査画像取得工程で取得した走査画像において、基板上に形成されるパネルの特定部位の座標情報を求め、求めた座標情報を登録済みの旧座標情報に代えて登録する登録工程と、登録工程で登録した座標情報と旧座標情報との差分情報を算出する差分算出工程と、複数種類のパネルレイアウトの内の前記一種類を除く残余の種類のパネルレイアウトについて、各種類のパネルレイアウトのパネルの特定部位の登録済みの旧座標情報を、差分算出工程で算出した差分情報を用いて更新する更新工程とを備える。
【0036】
一種類のパネルレイアウトを有するTFTアレイについては、登録工程で登録した座標情報に基づいて荷電ビームを走査する。一方、残余の種類のパネルレイアウトを有するTFTアレイについては、更新工程で更新した座標情報に基づいて荷電ビームを走査する。各走査で得られた走査画像に基づいてTFTアレイを検査する。
【0037】
本発明のTFTアレイ検査方法は、座標情報として、走査系に対するパネルの特定部位の座標位置、又は、走査画像の基準位置からパネルの特定部位までに照射される荷電ビームのビームドット数を用いて、パネルおよびピクセルの位置を特定する。
【0038】
走査系に対するパネルの特定部位の座標位置を座標情報とする形態では、登録工程はこの座標位置を登録し、差分算出工程は登録した座標位置と先に登録済みの旧座標位置との差分値を算出し、更新工程は残余の種類のパネルレイアウトにおける座標位置と差分値との加算によって残余の種類のパネルレイアウトにおける座標位置の更新値を算出する。
【0039】
また、走査画像の基準位置からパネルの特定部位までに照射される荷電ビームのビームドット数を座標情報とする形態では、登録工程はこのビームドット数を登録し、差分算出工程は登録したビームドット数と積に登録済みのビームドット数との第1の差分値を算出し、更新工程はビームドット数の第1の差分値と、一種類のパネルレイアウトにおけるビームドット間のピッチ長との積算によってずれ量を算出し、算出したずれ量を残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット間のピッチ長で除算することによって、残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット数の第2の差分値を算出し、残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット数と算出した第2の差分値との加算によって残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット数の更新値を算出する。
【0040】
また、走査画像の基準位置からパネルの特定部位までに照射される荷電ビームのビームドット数を座標情報とする形態において、ずれ量を算出することなく更新を行うこともできる。
【0041】
この形態では、登録工程はビームドット数を登録し、差分算出工程は登録したビームドット数と先に登録済みのビームドット数との第1の差分値を算出し、更新工程は、ビームドット数の第1の差分値と、残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット間のピッチ長に対する一種類のパネルレイアウトにおけるビームドット間のピッチ長の比率との積算によって残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット数の更新値を算出する。
【0042】
本発明のTFTアレイ検査装置の形態は、TFTアレイが形成された基板上に荷電ビームを照射して走査し、この荷電ビーム走査で得られる走査画像に基づいてTFTアレイを検査するTFTアレイ検査装置であり、複数種類のパネルレイアウトのTFTアレイを検査対象とする。
【0043】
TFTアレイ検査装置は、座標情報を走査画像から取得して登録あるいは更新する座標情報登録更新部を備える。この座標情報登録更新部は、複数種類のパネルレイアウトの内の一種類のパネルレイアウトについて、走査画像を取得する走査画像取得部と、走査画像取得部で取得した走査画像において、基板上に形成されるパネルの特定部位の座標情報を求め、求めた座標情報を登録済みの旧座標情報に代えて登録する登録部と、登録部で登録した座標情報と旧座標情報との差分情報を算出する差分算出部と、複数種類のパネルレイアウトの内の前記一種類を除く残余の種類のパネルレイアウトについて、各種類のパネルレイアウトのパネルの特定部位の登録済みの旧座標情報を差分算出工程で算出した差分情報を用いて更新する更新部とを備える。
【0044】
なお、走査画像取得部、登録部、差分算出部、および更新部は、各機能を実行する構成に対応する部分であるが、各部はそれぞれ個別のハードウエアで構成する他、CPUおよびCPUを駆動するソフトウエアによって構成することができる。また、登録部と更新部を一つの構成要素によって構成するなど、各機能を組み合わせた構成としてもよい。
【0045】
一種類のパネルレイアウトを有するTFTアレイについては、登録部で登録した座標情報に基づいて荷電ビームを走査する。一方、残余の種類のパネルレイアウトを有するTFTアレイについては、更新部で更新した座標情報に基づいて荷電ビームを走査する。各走査で得られた走査画像に基づいてTFTアレイを検査する。
【0046】
本発明のTFTアレイ検査装置は、座標情報として、走査系に対するパネルの特定部位の座標位置、又は、走査画像の基準位置からパネルの特定部位までに照射される荷電ビームのビームドット数を用いて、パネルおよびピクセルの位置を特定する。
【0047】
走査系に対するパネルの特定部位の座標位置を座標情報とする形態では、登録部はこの座標位置を登録し、差分算出部は登録した座標位置と先に登録済みの旧座標位置との差分値を算出し、更新部は残余の種類のパネルレイアウトにおける座標位置と差分値との加算によって残余の種類のパネルレイアウトにおける座標位置の更新値を算出する。
【0048】
また、走査画像の基準位置からパネルの特定部位までに照射される荷電ビームのビームドット数を座標情報とする形態では、登録部はこのビームドット数を登録し、差分算出部は登録したビームドット数と積に登録済みのビームドット数との第1の差分値を算出し、更新部はビームドット数の第1の差分値と、一種類のパネルレイアウトにおけるビームドット間のピッチ長との積算によってずれ量を算出し、算出したずれ量を残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット間のピッチ長で除算することによって、残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット数の第2の差分値を算出し、残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット数と算出した第2の差分値との加算によって残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット数の更新値を算出する。
【0049】
また、走査画像の基準位置からパネルの特定部位までに照射される荷電ビームのビームドット数を座標情報とする形態において、ずれ量を算出することなく更新を行うこともできる。
【0050】
この形態では、登録部はビームドット数を登録し、差分算出部は登録したビームドット数と先に登録済みのビームドット数との第1の差分値を算出し、更新部は、ビームドット数の第1の差分値と、残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット間のピッチ長に対する一種類のパネルレイアウトにおけるビームドット間のピッチ長の比率との積算によって残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット数の更新値を算出する。
【0051】
本発明のTFTアレイ検査方法およびTFTアレイ検査装置の各形態において、パネルの特定部位としてパネルコーナーを用いることができる。
【発明の効果】
【0052】
本発明によれば、複数種類のパネルレイアウトについて、メンテナンス等の検査装置の走査系において位置ずれ要因が発生した後において、各パネルの特定部位の座標情報の取得に要する時間を短縮し、オペラータの操作を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明のパネルの座標情報の登録および更新の概要を説明するための説明図である。
【図2】本発明のパネルの座標情報の登録および更新の概要を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明のTFTアレイ検査装置の構成例を説明するための図である。
【図4】座標位置の取得の第1の例を説明するためのフローチャートである。
【図5】座標位置の取得の第2の例を説明するためのフローチャートである。
【図6】座標位置の取得の第2の例を説明するための図である。
【図7】座標位置の取得の第3の例を説明するためのフローチャートである。
【図8】従来のTFTアレイ検査において、基板上のパネル(アクティブエリア)の特定部位の座標位置を走査画像から求める例を示す図である。
【図9】従来のTFTアレイ検査において、座標情報の登録を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら詳細に説明する。以下では、図1,2を用いて本発明のTFTアレイ検査において、パネルの座標情報の登録および更新を説明し、図3を用いて本発明のTFTアレイ検査装置の構成例を説明し、図4を用いてパネルの座標情報の登録および更新の第1の例を説明し、図5,6を用いてパネルの座標情報の登録および更新の第2の例を説明し、図7を用いてパネルの座標情報の登録および更新の第3の例を説明する。
【0055】
はじめに、本発明のパネルの座標情報の登録および更新の概要を、図1の説明図および図2のフローチャートを用いて説明する。
【0056】
図1(a),(b)は,複数種類のパネルレイアウトとしてパネルAとパネルBの二つのパネルレイアウトの例を示している。パネルAは一TFT基板内に12枚のパネルを配置したパネルレイアウト例であり、パネルBは一TFT基板内に20枚のパネルを配置したパネルレイアウト例である。
【0057】
各パネルレイアウトにおいて、各パネル101の位置を特定するための特定部位として、パネル101の4角の位置にあるパネルコーナー102を設定し、この座標位置によってパネル101に位置を特定すると共に、パネル101内に備えるピクセルの位置を特定する。パネルコーナー102を識別する情報および座標位置を座標情報CDで表している。
【0058】
図1では、パネルAの座標位置をメンテナンス後に取得した走査画像から取得して登録し、パネルB,C,…の座標位置をパネルAの座標位置の取得で算出した差分を用いて算出して更新する例を示している。
【0059】
図1(a)において、パネルAのパネルレイアウトにおいて、メンテナンス前に先に登録されている座標情報CD(Aold)に対して、メンテナンス後の座標情報CD(Anew)は走査画像から取得される。取得された座標情報CD(Anew)は登録される(図1(c)のパネルA)。
【0060】
ここで、メンテナンスの前後の座標位置の位置ずれは、座標情報CD(Anew)と座標情報CD(Aold)との差分ΔCD(=CD(Anew)−CD(Aold))を算出することによって求められる。以下では、座標位置を座標情報CDで表し、差分をΔCDで表している。
【0061】
図1(b)において、パネルBのパネルレイアウトにおいて、メンテナンス前に先に登録されている座標情報CD(Bold)に対して、メンテナンス後の座標情報CD(Bnew)を、旧座標情報CD(Bold)に差分ΔCDを加算することによって算出する。座標情報CD(Bnew)はCD(Bnew)=CD(Bold)+ΔCDで表される。算出した座標情報CD(Bnew)によって座標情報を更新する(図1(c)のパネルB)。
【0062】
パネルCのパネルレイアウトについても、メンテナンス後の座標情報CD(Cnew)を、旧座標情報CD(Cold)に差分ΔCDを加算することによって算出する。座標情報CD(Cnew)はCD(Cnew)=CD(Cold)+ΔCDで表される。算出した座標情報CD(Cnew)によって座標情報を更新する(図1(c)のパネルC)。
【0063】
図2のフローチャートにおいて、メンテナンスが実行された後(S1)、S2〜S5の各工程で各パネルの特定部位の座標情報を取得し、S6の工程において取得した座標情報に基づいてTFTアレイ検査を行う。なお、以下では、パネルの特定部位としてパネルコーナーの位置を用いた例を示す。
【0064】
複数種類のパネルレイアウトの内で一種類のパネルレイアウトを有したパネルについて走査画像を取得する。以下では、走査画像から座標情報を取得するパネルをパネルAとし、差分を用いて座標情報を取得するパネルをパネルA以外の残りのパネルB,C,…とする例を示す(S2)。
【0065】
S2の工程で取得した走査画像から、パネルの特定部位としてパネルコーナーの座標位置を求め、パネルAのパネル種を特定する情報と共に座標情報CD(Anew)を、先に登録されていた旧の座標情報CD(Aold)に代えて登録する(S3)。
【0066】
登録した座標情報CD(Anew)と旧の座標情報CD(Aold)との差分ΔCDを算出する。差分ΔCDは(CD(Anew)−CD(Aold))によって算出することができる(S4)。
【0067】
パネルA以外の残りのパネルB,C,…のパネルコーナーの座標位置の座標情報CD(Bnew),CD(Cnew),…を、S4で算出した差分ΔCDを用いて更新する。パネルBのパネルコーナーの座標情報CD(Bnew)については、(CD(Bold)+ΔCD)によって更新し、パネルCのパネルコーナーの座標情報CD(Cnew)については、(CD(Cold)+ΔCD)によって更新する(S5)。
【0068】
パネルAのパネルレイアウトの基板を検査する場合には、S4の工程で登録した座標情報CD(Aold)を用い走査画像上においてパネルおよびピクセルを特定してTFTアレイを検査する。
【0069】
一方、パネルB,C,…のパネルレイアウトの基板を検査する場合には、S5の工程で更新した座標情報CD(Bold),CD(Cold),…を用い走査画像上においてパネルおよびピクセルを特定してTFTアレイを検査する(S6)。
【0070】
次に、本発明のTFTアレイ検査装置の構成例を、図3を用いて説明する。
図3は、本発明のTFTアレイ検査装置の構成例を説明するための概略ブロック図である。図3において、TFTアレイ検査装置1は、電子ビーム源2、ステージ3、検出器4、走査画像取得部5,走査画像記憶部6、座標情報登録更新部7,座標情報記憶部8、制御部9を備える。なお、図3に示す構成例は、荷電ビーム源として電子ビーム源を用いて基板に電子線を照射し、検出器として二次電子を検出する二次電子検出器を用いて基板から放出される二次電子を検出する例を示している。
【0071】
電子ビーム源2及びステージ3は、制御部9の制御によって、ステージ3に載置したTFTアレイ基板(図示していない)上で電子ビームを走査し、TFTアレイ基板からの二次電子を検出器4で検出する。走査画像取得部5は検出器4で検出した二次電子を入力し、TFTアレイ基板の走査画像を形成する。形成された走査画像は、走査画像記憶部6に記憶する。
【0072】
本発明のTFTアレイ検査装置1は、取得した走査画像に基づいてTFTアレイ検査を行う。TFTアレイ検査では、TFTアレイ基板のパネル(アクティブエリア)に設定した特定部位の座標情報に基づいてパネルの位置を特定し、パネル内のピクセルの位置を特定している。
【0073】
図3に示す構成では、走査画像記憶部6に格納した走査画像を表示部20に表示することができる。表示部20に表示した表示画像を観察することによって、TFTアレイ基板のパネル(アクティブエリア)の特定部位を確認し、座標情報登録更新部7において、その特定部位および当該特定部位の座標位置を座標情報として取得することができる。
【0074】
表示部20は、TFTアレイ基板が有する複数のパネルの走査画像を予め設定された順に従って表示する他、全パネルを一括して表示する表示形態を備える。また、表示部20は、液晶表示ディスプレイやCRT等の任意の表示装置を用いることができる。
【0075】
座標情報登録更新部7は、座標情報取得部7a,登録部7b,差分算出部7c,および更新部7dを備える。
【0076】
座標情報取得部7aは、走査画像記憶部6に格納される走査画像を用いて、TFTアレイ基板のパネル(アクティブエリア)に設定した特定部位の座標位置を取得する。特定部位の座標位置の取得は、表示部20に表示された表示画像上において特定部位を指定し、その座標位置を取得する形態、あるいは、走査画像の画像データに基づいてパネル(アクティブエリア)の境界位置を検出することで座標位置を取得する自動抽出の形態によって行うことができる。
【0077】
表示部20に表示された表示画像上で特定部位を指定することによって座標位置を取得する形態では、指定手段(図示していない)および座標位置読み出し手段(図示していない)を備える。指定手段は、表示部20に表示される表示画像上の位置を指定し、座標位置読み出し手段は、指定手段で指定された位置の座標位置を走査画像記憶部6から読み出す。
【0078】
指定手段による特定部位の指定は、予め設定された順番に沿って行う他、予め設定された順序に限らず任意の順番で指定してもよい。
【0079】
指定手段は、表示部20上のカーソルを移動し、カーソル位置の入力を操作するマウスやキー等の装置や、タッチパネル等の表示部20の表示面上で位置指定を行う装置等の任意の位置指定装置を用いることができる。
【0080】
登録部7bは、座標情報取得部7aで取得した特定部位の座標位置と、当該特定部位を識別する情報とを座標情報として座標情報記憶部8に記憶する。
【0081】
差分算出部7cは、座標情報取得部7aで取得した特定部位の座標位置と、同じ種類のパネルレイアウトにおいて同特定部位について先に登録しておいた旧座標位置との差分を算出する。算出した差分は、メンテナンス等によって生じた検査系の位置ずれ量を表している。旧座標位置は、座標情報記憶部8から読み出すことができる。
【0082】
更新部7dは、差分算出部7cで算出した位置ずれ量を用いて先に登録しておいた旧座標位置を更新して座標位置を求め、更新した特定部位の座標位置と、当該特定部位を識別する情報とを座標情報として座標情報記憶部8に記憶する。
【0083】
ここで、座標情報記憶部8へ座標情報を記憶する処理において、一種類のパネルレイアウトについて走査画像から取得した特定部位の座標位置を位置情報として記憶する処理を“登録”で表し、一種類のパネルレイアウトの走査画像から取得した位置情報に基づいて得られた位置ずれを利用して、他の種類のパネルレイアウトの特定部位の座標位置を求め、この座標位置を位置情報として記憶する処理を“更新”で表している。
【0084】
座標情報記憶部8は、座標位置登録更新部7で取得した特定部位の座標情報を記憶する。
【0085】
制御部9は、座標情報記憶部8に登録された座標位置を読み出して、電子ビーム源2やステージ3を駆動して、TFTアレイ基板(図示していない)上を再度走査し、二次電子を検出器4で検出し、走査画像を取得する。
【0086】
以下、座標位置の取得の第1,2,3の例について説明する。なお、以下では、メンテナンスによって座標情報に位置ずれが生じる例によって説明しているが、位置ずれの要因はメンテナンスに限らず、走査系に起因する要因によって走査画像における座標位置に位置ずれが生じた場合について適用することができる。
【0087】
第1の例は、走査画像をディスプレイ上に表示して特定部位を指定し、特定部位の座標位置を長さで表す例であり、第2,3の例は、走査画像の画像処理によって特定部位を検出し、走査画像の特定部位の座標位置をビームドット数で表す例である。第2の例はメンテナンス前後の座標位置のずれを表す差分ΔCDについて、ビームドット数と長さとの間の変換を行う例であり、第3の例はメンテナンス前後の座標位置のずれを表す差分ΔCDについて、長さに変換することなくビームドット数で行う例である。
【0088】
[座標位置の取得の第1の例]
座標位置の取得の第1の例について図4のフローチャートを用いて説明する。なお、図2で示したフローチャートと共通する工程については同一の符号を用いて説明する。
【0089】
図4のフローチャートでは、図2に示したフローチャートのS1,S2の工程により電子ビームをTFTアレイ基板上で走査して走査画像を取得した後に行うS3の工程について説明する。
【0090】
座標位置を取得する工程では、走査画像記憶部に記憶する走査画像を表示部のディスプレイ上に表示し、座標位置を求めるパネルを選択する。基板上に設けられた複数のパネルから選択は、予め設定された順に行う他、入力部(図3には図示していない)から任意に選択するようにしてもよい(S3a)。
【0091】
S3aの工程で選択したパネルの走査画像を表示部のディスプレイ上に表示する(S3b)。
【0092】
図8はディスプレイ上の表示画面例を示している。図8に示す表示画像例では、ディスプレイの走査画像表示領域21に選択したパネルのパネル像22を表示している。ここでは、矩形形状のパネル像22の4つのパネルコーナー(図中の丸数字で示す23−1〜23−4)を特定部位として設定している。オペレータは、表示されたパネル像22を観察してパネルコーナーを確認し、このパネルコーナーにカーソルやポインターを移動して位置合わせすることで、特定部位を指定し (S3c)、指定したパネルコーナーの座標位置を取得し、登録部7bによってパネルのパネルコーナーを識別する情報と共に座標情報記憶部8に格納する(S3d)。
【0093】
走査画像表示領域21に表示されたパネルの全コーナー部位について前記S3c,S3dを繰り返し(S3e)、また、TFTアレイ基板が備える全パネルについて前記S3c〜S3dを繰り返すことによって、TFTアレイ基板が有する全パネルの特定部位の座標位置を取得し登録する(S3f)。
【0094】
[座標位置の取得の第2の例]
次に、座標位置の取得の第2の例について図5のフローチャートを用いて説明する。なお、図2で示したフローチャートと共通する工程については同一の符号を用いて説明する。
【0095】
図5のフローチャートに示す例では、図2に示したフローチャートのS1,S2の工程により電子ビームをTFTアレイ基板上で走査して走査画像を取得した後、S3A〜S3Bの工程によって一種類のパネルの座標位置を走査画像に基づいて取得して登録し、S4A〜S4Cの工程によってメンテナンス前後の座標位置の差分を算出し、S5Aの工程で残りの種類のパネルの座標位置を差分を用いて更新し、S6Bの工程で登録した座標位置および更新した座標位置を用いて、パネルおよびピクセルの位置を特定してTFTアレイ検査を行う。
【0096】
S3Aの工程では、複数種類のパネルレイアウトの内の一種類のパネルレイアウトのパネルを走査して得られた走査画像において、特定部位として例えばパネルコーナーを特定する。
【0097】
S3Bの工程では、S3Aで特定した特定部位であるパネルコーナーに対応する位置を、走査ビームのビームドット数によって求める。走査ビームは、基板上を所定のピッチで照射して走査する。各照射位置は走査画像上においてビームドットとして表され、基準位置からのビームドット数は基板上の位置に対応している。したがって、基準位置から特定部位までの間に存在するビームドット数から、特定部位の基板上の位置を特定することができる。
【0098】
基準位置は、例えば、走査画像の端部や、走査画像上に定めた基準点を用いることができる。走査画像上に定めた基準点は、例えば、ステージ上に設けた基準マークの走査画像上の位置を用いることができる。
【0099】
走査ビームのパネルコーナーの座標位置を、基準位置からのビームドット数NAnewによって求める。求めたビームドット数NAnewを座標位置として登録する。
【0100】
S4Aの工程では、元の走査画像のパネルコーナーの位置に対応するビームドット数NAoldと、S3Bの工程で求めて登録したビームドット数NAnewとの第1の差分ΔNAを算出する。第1の差分ΔNAは(NAnew−NAold)によって表すことができる。
【0101】
S4Bの工程では、座標位置の位置ずれの長さΔLAを算出する。位置ずれの長さΔLAの算出は、ビームドット数から長さへの変換によって行う。第1の差分ΔNAは、メンテナンス前後における座標位置の位置ずれをビームドット数で表したものである。位置ずれの長さΔLAは、ビームドット数で表した差分ΔNAと、パネルAのビームピッチPAとの積(ΔNA×PA)によって表される。ビームドット数から長さへの変換は、ビームドット数とビームピッチとの積算の演算で表される。
【0102】
S4Cの工程では、異なる種類のパネルレイアウトにおいて、ビームドット数で表される位置ずれを算出する。ここで、異なる種類のパネルレイアウトのパネルとしてパネルBについて説明する。
【0103】
ビームドット数で表される位置ずれに相当する第2の差分ΔNBは、長さからビームドット数への変換によって行う。第2の差分ΔNBは、位置ずれの長さΔLAをパネルBのビームピッチPBで除した値(ΔNB=ΔLA/PB)によって表される。長さからビームドット数への変換は、長さをビームピッチで除算する演算で表される。
【0104】
S5Aの工程では、パネルBのビームドット数NBoldをS4Cで求めた第2の差分ΔNBを用いて更新する。メンテナンス後のパネルBのビームドット数ΔNBnewは、ビームドット数NBoldに第2の差分ΔNBを加算することで求めることができる。ビームドット数ΔNBnewは、ΔNBnew=NBold+ΔNBで表すことができる。他のパネルC,D,…についても、パネルBと同様にして求めることができる。
【0105】
S6Aの工程のTFTアレイの検査では、パネルAについては登録したビームドット数NAnewを用いて特定部位を特定し、その他のパネルB,C,…については更新したビームドット数NBnew,NCnew,…を用いて特定部位を特定して行う。
【0106】
図6(a)はパネルAにおける第1の差分ΔNAを説明するための図であり、図6(b)はパネルBにおける第2の差分ΔNBを説明するための図である。
【0107】
図6(a)において、パネルコーナー102oldはメンテナンス前のパネルAのパネルの特定部位を示し、パネルコーナー102newはメンテナンス後のパネルAのパネルの特定部位を示している。パネルAでは、特定部位の差分は、ビームドット数を用いた場合にはΔN=(NAnew−NAold)で表され、長さを用いた場合にはΔLAで表される。
【0108】
一方、図6(b)において、パネルコーナー102oldはメンテナンス前のパネルBのパネルの特定部位を示し、パネルコーナー102newはメンテナンス後のパネルBのパネルの特定部位を示している。パネルBでは、特定部位の差分は、ビームドット数を用いた場合にはΔN=(NBnew−NBold)で表され、長さを用いた場合には、パネルAと同じΔLAで表される。
【0109】
[座標位置の取得の第3の例]
次に、座標位置の取得の第3の例について図7のフローチャートを用いて説明する。なお、図2で示したフローチャートと共通する工程については同一の符号を用いて説明する。
【0110】
図7のフローチャートに示す例では、図2に示したフローチャートのS1,S2の工程により電子ビームをTFTアレイ基板上で走査して走査画像を取得した後、S3A〜S3Bの工程によって一種類のパネルの座標位置を走査画像に基づいて取得して登録し、S4A,S4Bの工程によってメンテナンス前後の座標位置の差分を算出し、S5Aの工程で残りの種類のパネルの座標位置を差分を用いて更新し、S6Bの工程で登録した座標位置および更新した座標位置を用いて、パネルおよびピクセルの位置を特定してTFTアレイ検査を行う。
【0111】
第3の例において、図5のフローチャートで示す第2の例との相違は、第2の例における、S4Bのビームドット数から長さへの変換、およびS4Cの長さからビームドット数との変換に代えて、S4D,S4Eの工程において、ビームドット数からビームドット数への変換によって行う点にある。
【0112】
第3の例は、S3A,S3Bの工程、S5A,S5Bの工程については第2の例と共通するため、以下ではS4の工程についてのみ説明する。
【0113】
S4Dの工程は第2の例のS4Aの工程と同様であり、元の走査画像のパネルコーナーの位置に対応するビームドット数NAoldと、S3Bの工程で求めて登録したビームドット数NAnewとの第1の差分ΔNAを算出する。差分ΔNAは(NAnew−NAold)によって表すことができる。
【0114】
S4Eの工程では、異なる種類のパネルレイアウトにおいて、ビームドット数で表される位置ずれに相当する第2の差分を算出する。ここで、異なる種類のパネルレイアウトのパネルとしてパネルBについて説明する。
【0115】
ビームドット数で表される位置ずれに相当する第2の差分ΔNBは、異なるパネルレイアウト間におけるビームドット数の変換によって行う。ビームドット数の変換は、異なるパネルレイアウト間のビームピッチの比率を用いて行う。
【0116】
第2の差分ΔNBは、第1の差分ΔNAに、パネルAのビームピッチPAとパネルBのビームピッチPBとの比率PA/PBを乗算した値(ΔNB=ΔNA×PA/PBA)によって表される。ビームドット数間の変換は、ビームピッチの比率を乗算する演算で表される。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、TFTアレイの基板は液晶基板や有機ELとすることができ、液晶基板や有機ELを形成する成膜装置の他、種々の半導体基板を形成する成膜装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0118】
1 TFTアレイ検査装置
2 電子ビーム源
3 ステージ
4 検出器
5 走査画像形成部
6 走査画像記憶部
7 座標情報登録更新部
7a 座標情報取得部
7b 登録部
7c 差分算出部
7d 更新部
8 座標情報記憶部
9 制御部
10 走査画像
11 基板
12 パネル
14 特定部位
20 表示部
21 走査画像表示領域
22 パネル像
101 パネル
102 パネルコーナー
102new パネルコーナー
102old パネルコーナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TFTアレイが形成された基板上に荷電ビームを照射して走査し、当該荷電ビーム走査で得られる走査画像に基づいてTFTアレイを検査するTFTアレイ検査方法において、
複数種類のパネルレイアウトのTFTアレイを検査対象とし、
前記複数種類のパネルレイアウトの内の一種類のパネルレイアウトについて、走査画像を取得する走査画像取得工程と、
前記走査画像取得工程で取得した走査画像において、基板上に形成されるパネルの特定部位の座標情報を求め、当該座標情報を登録済みの旧座標情報に代えて登録する登録工程と、
前記登録した座標情報と旧座標情報との差分情報を算出する差分算出工程と、
前記複数種類のパネルレイアウトの内の前記一種類を除く残余の種類のパネルレイアウトについて、各種類のパネルレイアウトのパネルの特定部位の登録済みの旧座標情報を前記差分情報を用いて更新する更新工程とを備え、
前記一種類のパネルレイアウトを有するTFTアレイについては前記登録した座標情報に基づいて荷電ビームを走査し、前記残余の種類のパネルレイアウトを有するTFTアレイについては前記更新した座標情報に基づいて荷電ビームを走査して得られた走査画像に基づいてTFTアレイを検査することを特徴とする、TFTアレイ検査方法。
【請求項2】
前記座標情報は、走査画像において前記パネルの特定部位の走査系に対する座標位置であり、
前記登録工程は前記座標位置を登録し、
前記差分算出工程は、前記登録した座標位置と登録済みの旧座標位置との差分値を算出し、
前記更新工程は
前記残余の種類のパネルレイアウトにおける座標位置と前記の差分値との加算によって残余の種類のパネルレイアウトにおける座標位置の更新値を算出することを特徴とする、請求項1に記載のTFTアレイ検査方法。
【請求項3】
前記座標情報は、走査画像の基準位置から前記パネルの特定部位までに照射される荷電ビームのビームドット数であり、
前記登録工程は前記ビームドット数を登録し、
前記差分算出工程は、前記登録したビームドット数と登録済みのビームドット数との第1の差分値を算出し、
前記更新工程は
前記ビームドット数の第1の差分値と、前記一種類のパネルレイアウトにおけるビームドット間のピッチ長との積算によってずれ量を算出し、
前記ずれ量の前記残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット間のピッチ長による除算によって、前記残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット数の第2の差分値を算出し、
前記残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット数と前記第2の差分値との加算によって残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット数の更新値を算出することを特徴とする、請求項1に記載のTFTアレイ検査方法。
【請求項4】
前記座標情報は、走査画像の基準位置から前記パネルの特定部位までに照射される荷電ビームのビームドット数であり、
前記登録工程は前記ビームドット数を登録し、
前記差分算出工程は、前記登録したビームドット数と登録済みのビームドット数との第1の差分値を算出し、
前記更新工程は、前記ビームドット数の第1の差分値と、前記残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット間のピッチ長に対する前記一種類のパネルレイアウトにおけるビームドット間のピッチ長の比率との積算によって残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット数の更新値を算出することを特徴とする、請求項1に記載のTFTアレイ検査方法。
【請求項5】
前記パネルの特定部位はパネルコーナーであることを特徴とする、請求項1から4に何れか一つに記載のTFTアレイ検査方法。
【請求項6】
TFTアレイが形成された基板上に荷電ビームを照射して走査し、当該荷電ビーム走査で得られる走査画像に基づいてTFTアレイを検査するTFTアレイ検査装置において、
複数種類のパネルレイアウトのTFTアレイを検査対象とし、
前記複数種類のパネルレイアウトの内の一種類のパネルレイアウトについて、走査画像を取得する走査画像取得部と、
前記走査画像取得部で取得した走査画像において、基板上に形成されるパネルの特定部位の座標情報を求め、当該座標情報を登録済みの旧座標情報に代えて登録する登録部と、
前記登録した座標情報と旧座標情報との差分情報を算出する差分算出部と、
前記複数種類のパネルレイアウトの内の前記一種類を除く残余の種類のパネルレイアウトについて、各種類のパネルレイアウトのパネルの特定部位の登録済みの旧座標情報を前記差分情報を用いて更新する更新部とを備え、
前記一種類のパネルレイアウトを有するTFTアレイについては前記登録した座標情報に基づいて荷電ビームを走査し、前記残余の種類のパネルレイアウトを有するTFTアレイについては前記更新した座標情報に基づいて荷電ビームを走査して得られた走査画像に基づいてTFTアレイを検査することを特徴とする、TFTアレイ検査装置。
【請求項7】
前記座標情報は、走査画像において前記パネルの特定部位の走査系に対する座標位置であり、
前記登録部は前記座標位置を登録し、
前記差分算出部は、前記登録した座標位置と登録済みの旧座標位置との差分値を算出し、
前記更新部は
前記残余の種類のパネルレイアウトにおける座標位置と前記の差分値との加算によって残余の種類のパネルレイアウトにおける座標位置の更新値を算出することを特徴とする、請求項6に記載のTFTアレイ検査装置。
【請求項8】
前記座標情報は、走査画像の基準位置から前記パネルの特定部位までに照射される荷電ビームのビームドット数であり、
前記登録部は前記ビームドット数を登録し、
前記差分算出部は、前記登録したビームドット数と登録済みのビームドット数との第1の差分値を算出し、
前記更新部は
前記ビームドット数の第1の差分値と、前記一種類のパネルレイアウトにおけるビームドット間のピッチ長との積算によってずれ量を算出し、
前記ずれ量の前記残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット間のピッチ長による除算によって、前記残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット数の第2の差分値を算出し、
前記残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット数と前記第2の差分値との加算によって残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット数の更新値を算出することを特徴とする、請求項6に記載のTFTアレイ検査装置。
【請求項9】
前記座標情報は、走査画像の基準位置から前記パネルの特定部位までに照射される荷電ビームのビームドット数であり、
前記登録部は前記ビームドット数を登録し、
前記差分算出部は、前記登録したビームドット数と登録済みのビームドット数との第1の差分値を算出し、
前記更新部は、前記ビームドット数の第1の差分値と、前記残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット間のピッチ長に対する前記一種類のパネルレイアウトにおけるビームドット間のピッチ長の比率との積算によって残余の種類のパネルレイアウトにおけるビームドット数の更新値を算出することを特徴とする、請求項6に記載のTFTアレイ検査装置。
【請求項10】
前記パネルの特定部位はパネルコーナーであることを特徴とする、請求項6から9に何れか一つに記載のTFTアレイ検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−127914(P2012−127914A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281839(P2010−281839)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】