説明

TFTアレイ検査装置およびTFTアレイ検査方法

【課題】欠陥検出に用いる信号強度を算出するデータ点数をサンプリング点の点数よりも増やす。
【解決手段】TFT基板のピクセルに対して所定電圧の検査信号を印加してアレイを駆動し、ピクセル上に荷電ビームを照射して走査して検出される検出信号に基づいて行うTFT基板のアレイの検査において、一ピクセルから取得した複数のサンプリング点の信号強度を用いて当該ピクセルを代表する代表信号強度を求め、この代表信号強度に基づいて当該ピクセルに対応するアレイの欠陥検出を行うものであり、各ピクセルのサンプリング点の分布において、分布の偏りと反対方向の解像度が低いサンプリング点側の領域に補間データ点を定め、補間データ点を設定し信号強度を算出することによって、欠陥検出に用いる信号強度を算出するデータ点数をサンプリング点の点数よりも増やし、解像度の低下および欠陥検出の検出精度の低下を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶基板等のTFT基板のアレイを検査するTFTアレイ検査に関し、特に、TFTアレイの欠陥検出に関する。
【背景技術】
【0002】
TFTディスプレイ装置に用いるTFTアレイ基板の製造工程では、製造されたTFTアレイ基板が正しく駆動するかの検査が行われる(特許文献1,2)。
【0003】
TFTアレイ検査装置において、例えば、検査対象であるTFT基板上に形成されたアレイに検査信号を印加して所定の電位状態とし、基板上に電子ビームやイオンビーム等の荷電ビームを二次元的に照射して走査し、このビーム走査で得られる走査画像に基づいてTFTアレイを検査するアレイ検査装置が知られている。走査画像は、例えば、電子線照射によって基板から放出される二次電子をフォトマルチプライヤなどによってアナログ信号に変換して検出し、検出信号の信号強度に基づくアレイの電位状態に基づいてアレイ欠陥を判定している。
【0004】
TFT基板においてアレイとピクセルは対応して形成されているため、アレイに駆動信号を印加することによって特定のピクセルを駆動することができる。TFTアレイ検査において、一般に、アレイに所定パターンの駆動信号を印加して基板の各ピクセルを所定パターンで駆動し、これらのピクセルに電子線を照射し、照射点から放出される二次電子を検出する。この電子線照射をパネル内で走査して行うことによって、パネル内の各ピクセルから検出信号を取得している。
【0005】
ピクセルに対する電子線等の荷電ビームの走査において、従来、各ピクセルに対して例えば4×4点の荷電ビームを照射して照射点をサンプリング点とし、一ピクセルについて複数のサンプリング点の検出信号を検出し、この検出信号を用いて当該一ピクセルを代表する信号強度を算出し、この信号強度をピクセルに対応するアレイの欠陥を検出するための信号強度としている。
【0006】
図12は、従来のサンプリング例を説明するための概略図である。図12において、一つのピクセル100に対して4×4点の合計16点の荷電ビームを照射して各照射点をサンプリング点101とし、各サンプリング点101で検出される検出信号を用いて欠陥検出のための検出信号を取得している。図12において、各ピクセル100には所定の電位状態を生じさせ電圧パターンの検査信号が印加されている。
【0007】
各ピクセルの欠陥検出は、ピクセル100内の4×4点等のサンプリング点101の検出信号から欠陥検出用の信号強度を算出し、この信号強度とあらかじめ定めておいたしきい値と比較することによって行う。
【0008】
ピクセルの信号強度によってアレイ欠陥検出を行うには、各ピクセルの複数のサンプリング点101の信号強度から欠陥検出用の信号強度を算出する必要がある。この欠陥検出用の信号強度の算出には、各ピクセル100のサンプリング点101の信号強度が正しく反映されることが求められる。
【0009】
各ピクセル100の複数のサンプリング点101の内、隣接するピクセルに近いサンプリング点101の信号強度は、当該隣接ピクセルの電位状態の影響を受ける可能性があり、このような隣接ピクセルの電位状態の影響を受けた信号強度は、欠陥検出用の信号強度にとって誤差の要因となる。
【0010】
そのため、欠陥検出用の信号強度の算出において、隣接するピクセルの影響を低減させるために、一ピクセル100内で取得される複数のサンプリング点101の内から、隣接するピクセルに近いサンプリング点を除いて当該ピクセル100の中心近傍にあるサンプリング点を選択し、選択したサンプリング点の信号強度を用いて当該ピクセル100を代表する信号強度を算出し、算出した信号強度を当該ピクセル100の欠陥を検出する欠陥検出用の信号強度を求めている。
【0011】
例えば、一ピクセル100内の複数のサンプリング点101の重心を求め、この重心の近傍に一ピクセル内のサンプリング点の点数よりも少ないサンプリング点を選択する選択領域102を定め、選択領域102内にあるサンプリング点の信号強度を用いて欠陥検出用の信号強度を算出し、各ピクセル100を代表する代表点105の信号強度とし、欠陥検出用の信号強度として用いる。欠陥検出用の信号強度の算出は、例えば、選択したサンプリング点の信号強度に対して平均演算や中央値算出演算を施すことによって行うことができる。
【0012】
図12に示す例では、一ピクセル100についてx方向に4点y方向に4点の合計16点のサンプリング点101を求め、この16点にサンプリング点の中からピクセル100の重心近傍に定めた選択領域102に含まれるx方向に2点y方向に2点の合計4点のサンプリング点を選択し、この4点のサンプリング点101の信号強度から当該ピクセル100を代表する代表点105の信号強度を算出し、この信号強度を欠陥検出用の信号強度として用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−271516号公報
【特許文献2】特開2004−309488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
欠陥検出は、各ピクセルから取得した欠陥検出用の信号強度の強度分布に対して所定範囲を定め、対象ピクセルの信号強度が強度分布に定めた所定範囲内が否かによって行うことができる。欠陥検出に用いる所定範囲は、信号強度の強度分布の標準偏差に基づいて定めることができる。
【0015】
TFTアレイ検査において、一ピクセル当たりで取得するサンプリング点の点数を減少させることによって、TFTアレイ検査の検査時間を短縮し高速化することができる。
【0016】
例えば、x方向に4点y方向に4点の合計16点のサンプリング点の取得に対して、x方向に4点y方向に3点、又は、x方向に3点y方向に4点の合計12点、あるいはx方向に3点y方向に3点のサンプリング点の合計9点とすることでサンプリング点の点数を低減させることによってサンプリング処理に要する時間を短縮し、TFTアレイの検査を高速化することができる。
【0017】
しかしながら、サンプリング点の点数の減少による検査の高速化は、信号強度の強度分布を広げ、標準偏差を増大する要因となる標準偏差の増大は、欠陥検出の検出感度を低下させるという問題を招く。
【0018】
図13は、4点×4点の合計16点のサンプリング例と、4点×3点の合計12点のサンプリング例との解像度を比較するための図である。
【0019】
図13(a)は4×4の16点のサンプリング例と4×3の12点のサンプリング例を示し、図13(b)、(c)は各サンプリングで得られる信号強度の分布を示している。
【0020】
なお、ここでは、各ピクセルを2種類の電位状態とした場合に得られる信号強度を示し、信号強度が低い場合および高い場合を画像表示したときの明暗状態に合わせて、それぞれ黒および白で表している。
【0021】
図13(b)において、実線はサンプリング点数が16点であるときの強度分布を表し、破線はサンプリング点数が12点であるときの強度分布を表し、図13(c)は一数値例を示している。
【0022】
図13に示す例は、サンプリング点の点数を減らすことによって、標準偏差が大きくなり解像度が低下することを示している。解像度が低下した強度分布を用いてTFTアレイの欠陥検出を行うと、欠陥検出の検出精度が低下するという問題が発生する。
【0023】
したがって、サンプリング点の点数の低減は、TFTアレイ検査の検査時間を短縮して高速化することができるものの、解像度が低下し、欠陥検出の検出精度が低下するという問題があり、正常なピクセルを欠陥ピクセルとして誤検出したり、欠陥ピクセルを正常ピクセルとして誤検出するおそれがあるという問題がある。
【0024】
そこで、本発明は上記課題を解決して、複数のサンプリング点の信号強度から求めた信号強度に基づいて欠陥検出を行う際に、サンプリング点の点数が十分に得られない場合であっても、解像度の低下および欠陥検出の検出精度の低下を抑制することを目的とし、また、解像度の低下および欠陥検出の検出精度の低下を抑制するために、欠陥検出に用いる信号強度を算出するデータ点数をサンプリング点の点数よりも増やすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本願発明は、TFT基板のピクセルに対して所定電圧の検査信号を印加してアレイを駆動し、ピクセル上に荷電ビームを照射して走査して検出される検出信号に基づいて行うTFT基板のアレイを検査するTFTアレイ検査において、一ピクセルから取得した複数のサンプリング点の信号強度を用いて当該ピクセルを代表する代表信号強度を求め、この代表信号強度に基づいて当該ピクセルに対応するアレイの欠陥検出を行うものであり、各ピクセルのサンプリング点の分布において、サンプリング点の分布の偏りと反対方向の解像度が低いサンプリング点側の領域に補間データ点を定め、この補間データ点を設定し信号強度を算出することによって、欠陥検出に用いる信号強度を算出するデータ点数をサンプリング点の点数よりも増やし、解像度の低下および欠陥検出の検出精度の低下を抑制する。
【0026】
本発明はTFTアレイ検査方法の態様とTFTアレイ検査装置の態様とすることができる。
【0027】
[TFTアレイ検査方法の態様]
本願発明のTFTアレイ検査方法の態様は、TFT基板のピクセルに対して所定電圧の検査信号を印加してアレイを駆動し、前記ピクセル上に荷電ビームを照射して走査し、当該荷電ビーム走査で検出される検出信号に基づいてTFT基板のアレイを検査するTFTアレイ検査方法において、荷電ビームの照射によってピクセル毎に複数のサンプリング点の信号強度を検出する信号強度検出工程と、各ピクセルに補間データ点を定め、当該補間データ点の信号強度を前記サンプリング点の信号強度を用いて補間処理により求め、前記サンプリング点のデータ点に加えて前記補間データ点のデータ点を増加するデータ点増加工程と、増加したデータ点の中から、当該ピクセルの中心近傍にあって少なくとも前記補間データ点を含むデータ点を選択するデータ点選択工程と、選択したデータ点の信号強度を用いて当該ピクセルを代表する代表信号強度を算出する代表信号強度算出工程と、算出した代表信号強度に基づいて当該ピクセルの欠陥を判定する欠陥検出工程とを備える。
【0028】
TFT基板のピクセルについて、データ点増加工程とデータ点選択工程と代表信号強度算出工程と欠陥検出工程の各工程を行い、欠陥検出工程で欠陥検出されたピクセルに対応するアレイを欠陥アレイとして検出する。
【0029】
本願発明のTFTアレイ検査方法の態様において、データ点増加工程は2つの形態とすることができる。
【0030】
データ点増加工程の第1の形態は、ピクセルに対するサンプリング点の分布の偏りに基づいて補間データ点を定める形態である。
【0031】
第1の形態では、各ピクセル内のサンプリング点の当該ピクセルに対する分布の偏りを求め、求めたサンプリング点の分布の偏りに基づいて偏りと反対方向の解像度が低いサンプリング点側を求め、当該サンプリング点側の領域に補間データ点を定める。補間処理は、サンプリング点の分布の偏り方向に対して補間データ点を挟む2点のサンプリング点の信号強度の平均値を求め、求めた平均値を補間データ点の信号強度とする。
【0032】
データ点増加工程の第2の形態は、ピクセルに対して仮想的なサンプリング点を定め、このサンプリング点を補間データ点として定める形態である。
【0033】
第2の形態では、各ピクセル内に仮想的な基準データ点を定め、当該基準データ点を補間データ点として定めて記憶しておく。補間処理は、記憶する各補間データ点の近傍にあるサンプリング点を求め、補間データ点と求めたサンプリング点の位置データに基づいて距離を求め、求めた距離に基づいてサンプリング点の信号強度を内挿補間し、得られた信号強度を補間データ点の信号強度とする。
【0034】
[TFTアレイ検査装置の態様]
本願発明のTFTアレイ検査方法の態様は、TFT基板のピクセルに対して所定電圧の検査信号を印加してアレイを駆動し、ピクセル上に荷電ビームを照射して走査し、当該荷電ビーム走査で検出される検出信号に基づいてTFT基板のアレイを検査するTFTアレイ検査装置において、荷電ビームの照射によってピクセル毎に複数のサンプリング点の信号強度を検出する信号強度検出部と、各ピクセルに補間データ点を定め、当該補間データ点の信号強度を前記サンプリング点の信号強度を用いて補間処理により求め、サンプリング点のデータ点に加えて補間データ点のデータ点を増加するデータ点増加部と、増加したデータ点の中から、当該ピクセルの中心近傍にあって少なくとも補間データ点を含むデータ点を選択するデータ点選択部と、選択したデータ点の信号強度を用いて当該ピクセルを代表する代表信号強度を算出する代表信号強度算出部と、代表信号強度に基づいて当該ピクセルの欠陥を判定する欠陥検出部程とを備える。
【0035】
データ点増加部とデータ点選択部と代表信号強度算出部と欠陥検出部は、信号強度検出部で検出したピクセル毎の複数のサンプリング点の信号強度について行う。欠陥検出部で欠陥検出されたピクセルに対応するアレイを欠陥アレイとして検出する。
【0036】
データ点増加部の第1の形態は、ピクセルに対するサンプリング点の分布の偏りに基づいて補間データ点を定める形態である。
【0037】
第1の形態のデータ点増加部は、補間データ点を定める補間データ設定部と、補間データ点の信号強度を求める補間処理部とを備える。
【0038】
補間データ設定部は、各ピクセル内のサンプリング点の当該ピクセルに対する分布の偏りを求め、求めたサンプリング点の分布の偏りに基づいて、分布の偏りと反対方向の解像度が低いサンプリング点側を求め、当該サンプリング点側の領域に補間データ点を定める。
【0039】
補間処理部は、サンプリング点の分布の偏り方向に対して補間データ点を挟む2点のサンプリング点の信号強度の平均値を求め、求めた平均値を補間データ点の信号強度とする。
【0040】
データ点増加部の第2の形態は、ピクセルに対して仮想的なサンプリング点を定め、このサンプリング点を補間データ点として定める形態である。
【0041】
第2の形態のデータ点増加部は、補間データ点を定める補間データ設定部と、補間データ点の信号強度を求める補間処理部とを備える。
【0042】
補間データ設定部は、各ピクセル内に仮想的な基準データ点を定め、当該基準データ点を補間データ点として記憶する。
【0043】
補間処理部は、補間データ設定部が記憶する各補間データ点の近傍にあるサンプリング点を求め、求めたサンプリング点と前記補間データ点の位置データ、および当該サンプリング点の信号強度に基づいて信号強度を内挿補間し、内挿補間で得られた信号強度を補間データ点の信号強度とする。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、複数のサンプリング点の信号強度から求めた信号強度に基づいて欠陥検出を行う際に、サンプリング点の点数が十分に得られない場合であっても、解像度の低下および欠陥検出の検出精度の低下を抑制することができる。
【0045】
また、欠陥検出に用いる信号強度を算出するデータ点数をサンプリング点の点数よりも増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明のTFTアレイ検査の概要を説明するための図である。
【図2】本発明のTFTアレイ検査の第1の態様を説明するための図である。
【図3】本発明のTFTアレイ検査の第1の態様を説明するための図である。
【図4】本発明のTFTアレイ検査の第1の態様を説明するための図である。
【図5】本発明のTFTアレイ検査の第1の態様を説明するための図である。
【図6】本発明のTFTアレイ検査の第2の態様を説明するための図である。
【図7】本発明のTFTアレイ検査の第2の態様を説明するための図である。
【図8】本発明のTFTアレイ検査の装置構成例を説明するための図である。
【図9】本発明のTFTアレイ検査を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明のTFTアレイ検査の欠陥判定のしきい値を説明するための図である。
【図11】本発明のTFTアレイ検査の欠陥判定を説明するための図である。
【図12】従来のサンプリング例を説明するための概略図である。
【図13】4点×4点の合計16点のサンプリング例と、4点×3点の合計12点のサンプリング例との解像度を比較するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら詳細に説明する。以下では、図1を用いて本発明のTFTアレイ検査の概要を説明し、図2〜図5を用いて本発明のTFTアレイ検査の第1の態様を説明し、図6,7を用いて本発明のTFTアレイ検査の第2の態様を説明し、図8〜図11を用いて本発明のTFTアレイ検査の装置構成例および欠陥検出について説明する。
【0048】
はじめに、本発明のTFTアレイ検査の概要を、図1の説明図を用いて説明する。
図1(a)は基板上のピクセル100への電子線等の荷電ビームを照射して二次電子等の検出信号を取得するサンプリング点101を示している。図示する例は、一ピクセルに対してx方向に4点、y方向に3点の合計12点のサンプリング点101を取得する例を示している。
【0049】
TFTアレイ検査は、各ピクセルについて、複数のサンプリング点101の検出強度を用いて当該ピクセルを代表する代表点105の強度信号を算出し、代表点強度信号に基づいて欠陥検出を行う。
【0050】
図1(b)は一ピクセル100内で取得されるサンプリング点101を示し、y方向(図中の縦方向)のサンプリング点の点数はx方向のサンプリング点の点数よりも少ないため、y方向の解像度はx方向の解像度よりも低い。そのため、ピクセル100の中心に近いサンプリング点101を用いて代表点105に対応する代表点強度信号を算出した場合には、y方向の検出精度はx方向の検出精度よりも低くなる。
【0051】
そこで、本願発明は、図1(c)に示す様に、ピクセル100の中心に近い領域103を設定し、この領域103に補間データ点104を定め、補間データ点104を挟むサンプリング点101の検出強度を用いて補間処理を行って補間データ点104の信号強度を算出する。ピクセル100内のデータ点は、サンプリングで得られるサンプリング点101の他に補間処理で取得した補間データ点104が加わる。これによって、ピクセル内のデータ点の点数を増加させることができる。
【0052】
ピクセル100内において、ピクセル100の中心の近傍に、ピクセル100を代表する信号強度を取得するための選択領域102を設定する。選択領域102は、少なくとも補間データ点104を含む領域とする。
【0053】
選択領域102内に含まれる、サンプリング点101および補間データ点104を抽出し、これらサンプリング点101および補間データ点104の信号強度を用いて、ピクセル100を代表する信号強度を算出し、代表点105の信号強度とし、この信号強度を用いて当該ピクセルに対応するアレイの欠陥検出を行う。
【0054】
上記処理によって、ピクセルにおいて、サンプリング点の点数が低く解像度が低い方向について補間データ点を設定し、当該補間データ点の信号強度を算出することによって、ピクセル内のデータ点の点数を増加させることができ、補間データ点の信号強度を用いて算出した代表点の信号強度を用いて欠陥検出を行うことで、欠陥検出の検出精度を向上させることができる。
【0055】
本願発明のTFTアレイ検査において、データ点を増加する形態として、ピクセルに対するサンプリング点の分布の偏りに基づいて補間データ点を定める第1の形態と、ピクセルに対して仮想的なサンプリング点を定め、このサンプリング点を補間データ点として定める第2の形態を備える。
【0056】
以下、図2〜図5を用いてデータ点を増加する第1の形態を説明し、図6,7を用いてデータ点を増加する第2の形態を説明する。
【0057】
[データ点を増加する第1の形態]
データ点を増加する第1の形態は、各ピクセル内のサンプリング点の当該ピクセルに対する分布の偏りを求め、求めたサンプリング点の分布の偏りに基づいて、分布の偏りと反対方向のサンプリング点側を求め、当該サンプリング点側の領域に補間データ点を定める。補間処理は、分布の偏り方向に対して補間データ点を挟む2点のサンプリング点の信号強度の平均値を求め、求めた平均値を補間データ点の信号強度とする。
【0058】
図2および図3はy方向のサンプリング点数が少ない例を示し、図4はx方向のサンプリング点数が少ない例を示し、図5はx方向およびy方向のサンプリング点数が少ない例を示している。なお、ここでは、x方向およびy方向のサンプリング点数がそれぞれ4点である場合に対してサンプリング点の点数が少ない場合を例として示しているが、本願発明はこの例に限られるものではない。
【0059】
図2に示す例は、一ピクセル100においてx方向に4点y方向に3点の計12点のサンプリング点101が、y方向の一方向(図中の下方)に位置ずれしている例である(図2(a))。以下、y方向の位置ずれを図中の上方および下方で表す。
【0060】
サンプリング点101の分布がy方向の下方に偏って位置ずれしている場合には、位置ずれ方向と反対方向であるy方向の上方の2列のサンプリング点側に領域103を設定し、領域103に補間データ点104を定める。補間データ点104の信号強度は、例えば、y方向の上方の2列のサンプリング点の信号強度の平均値によって算出することができる(図2(b))。
【0061】
補間データ点を設定することにより、ピクセル100内のデータ点数は増加する。ピクセル100の中心近傍に選択領域102を設定する。選択領域102は、少なくとも補間データ点104が含まれるように設定する。選択領域102内に存在するデータ点の信号強度を用いて、ピクセル100を代表する信号強度を算出し、代表点105の信号強度とする。代表点105の信号強度を用いて当該ピクセル100に対応するアレイの欠陥検出を行う。
【0062】
図3に示す例は、一ピクセル100においてx方向に4点y方向に3点の計12点のサンプリング点101が、y方向の一方向(図中の上方)に位置ずれしている例である(図3(a))。
【0063】
サンプリング点101の分布がy方向の上方に偏って位置ずれしている場合には、位置ずれ方向と反対方向であるy方向の下方の2列のサンプリング点側に領域103を設定し、領域103に補間データ点104を定める。補間データ点104の信号強度は、例えば、y方向の下方の2列のサンプリング点の信号強度の平均値によって算出することができる(図3(b))。
【0064】
補間データ点を設定することにより、ピクセル100内のデータ点数は増加する。ピクセル100の中心近傍に選択領域102を設定する。選択領域102は、少なくとも補間データ点104が含まれるように設定する。選択領域102内に存在するデータ点の信号強度を用いて、ピクセル100を代表する信号強度を算出し、代表点105の信号強度とする。代表点105の信号強度を用いて当該ピクセル100に対応するアレイの欠陥検出を行う。
【0065】
図4に示す例は、一ピクセル100においてx方向に3点y方向に4点の計12点のサンプリング点101が、x方向の一方向(図中の左方)に位置ずれしている例である(図4(a))。以下、x方向の位置ずれを図中の左方および右方で表す。
【0066】
サンプリング点101の分布がx方向の左方に偏って位置ずれしている場合には、位置ずれ方向と反対方向であるx方向の右方の2列のサンプリング点側に領域103を設定し、領域103に補間データ点104を定める。補間データ点104の信号強度は、例えば、x方向の右方の2列のサンプリング点の信号強度の平均値によって算出することができる(図4(b))。
【0067】
補間データ点を設定することにより、ピクセル100内のデータ点数は増加する。ピクセル100の中心近傍に選択領域102を設定する。選択領域102は、少なくとも補間データ点104が含まれるように設定する。選択領域102内に存在するデータ点の信号強度を用いて、ピクセル100を代表する信号強度を算出し、代表点105の信号強度とする。代表点105の信号強度を用いて当該ピクセル100に対応するアレイの欠陥検出を行う。
【0068】
図5に示す例は、一ピクセル100においてx方向に3点y方向に3点の計9点のサンプリング点101からピクセルを代表する信号強度を求める例である。ここでは、サンプリング点101の分布が、ピクセル100に対して位置ずれしていない場合、x方向(図中の左右の横方向)、y方向(図中の上下の縦方向)、あるいはx方向およびy方向に位置ずれしている場合のいずれの場合にも適用することができる例を示している(図5(a))。
【0069】
9点のサンプリング点101に対して、中央の一点のサンプリング点と周囲の8点のサンプリング点とで囲まれる範囲を領域103として設定し、領域103内に4点の補間データ点104を設定する。補間データ点104の信号強度は、例えば、当該補間データ点104を囲む4点のサンプリング点の信号強度の平均値によって算出することができる(図5(b))。
【0070】
補間データ点104を設定することにより、ピクセル100内のデータ点数は増加する。図5の場合には、補間データ点104は4点であるため、ピクセル100内のデータ点は9点から13点に増加する。
【0071】
ピクセル100の中心近傍に選択領域102を設定する。選択領域102は、少なくとも補間データ点104が含まれるように設定する。図5(c)に示す例では、選択領域102は、ピクセル100の中央のサンプリング点と4点の補間データ点104を含む。
【0072】
選択領域102内に存在するデータ点の信号強度を用いて、ピクセル100を代表する信号強度を算出し、代表点105の信号強度とする。代表点105の信号強度を用いて当該ピクセル100に対応するアレイの欠陥検出を行う。
【0073】
前記した第1の形態において、補間処理として補間データ点を挟む2つのサンプリング点の信号強度の平均値を算出する例と示しているが、補間処理は平均値を算出する演算に限らず、補間データ点を挟む2つのサンプリング点の信号強度を、補間データ点とサンプリング点との間の距離に逆比例した値を求める内挿演算によって求めてもよい。
【0074】
[データ点を増加する第2の形態]
第2の形態では、各ピクセル内に仮想的な基準データ点を定め、当該基準データ点を補間データ点として定めて記憶しておく。補間処理は、記憶する各補間データ点の近傍にあるサンプリング点を求め、補間データ点と求めたサンプリング点の位置データに基づいて距離を求め、求めた距離に基づいてサンプリング点の信号強度を内挿補間し、得られた信号強度を補間データ点の信号強度とする。
【0075】
図6はy方向のサンプリング点数が少ない例を示し、図7はx方向およびy方向のサンプリング点数が少ない例を示している。なお、ここでは、x方向およびy方向のサンプリング点数がそれぞれ4点とし、一ピクセル当たり16点のデータ点を基準データ点とし、サンプリング点の信号強度を補間処理することによって補間データを求め、この補間データの信号強度を基準データ点における信号強度として求める例として示しているが、基準データ点の個数およびピクセル内の配置はこの例に限られるものではない。
【0076】
図6に示す例は、一ピクセル100においてx方向に4点y方向に3点の計12点のサンプリング点101を用いて、ピクセルを代表する信号強度を求める例である。ここでは、サンプリング点101の分布が、ピクセル100に対して位置ずれしいない場合、x方向(図中の左右の横方向)、y方向(図中の上下の縦方向)、あるいはx方向およびy方向に位置ずれしている場合のいずれの場合にも適用することができる例を示している(図6(a))。
【0077】
図7に示す例は、一ピクセル100においてx方向に3点y方向に3点の計9点のサンプリング点101を用いて、ピクセルを代表する信号強度を求める例である。ここでは、サンプリング点101の分布が、ピクセル100に対して位置ずれしいない場合、x方向(図中の左右の横方向)、y方向(図中の上下の縦方向)、あるいはx方向およびy方向に位置ずれしている場合のいずれの場合にも適用することができる例を示している(図7(a))。
【0078】
ここで、ピクセル100に対して仮想的な基準データ点を定める。図6(b)、図7(b)に示す基準データ点106は、一ピクセル100においてx方向に4点y方向に4点の計16点が均等に配置される例を示している。なお、この基準データ点106の配置および個数は、図6(b)、図7(b)の例に限られるものではない。
【0079】
基準データ点106を補間データ点104として定める。補間データ点を設定することにより、ピクセル100内のデータ点数は増加する。
【0080】
各補間データ点104の近傍にあるサンプリング点101を求め、補間データ点104と求めたサンプリング点の位置データに基づいて距離を求め、求めた距離に基づいてサンプリング点101の信号強度を内挿補間処理する。内挿補間処理で得られた信号強度を補間データ点の信号強度とする。なお、定めた基準データ点は記憶装置に記憶させておくことができる(図6(c)、図7(c))。
【0081】
ピクセル100の中心近傍に選択領域102を設定する。選択領域102は、少なくとも補間データ点104が含まれるように設定する。なお、選択領域102内に含まれる補間データ点を求めた後に、当該補間データ点の信号強度を補間処理によって求めても良い。
【0082】
選択領域102内に存在するデータ点の信号強度を用いて、ピクセル100を代表する信号強度を算出し、代表点105の信号強度とする。代表点105の信号強度を用いて当該ピクセル100に対応するアレイの欠陥検出を行う(図6(d)、図7(d))。
【0083】
次に、本発明のTFTアレイ検査を行う検査装置例および処理例を図8〜図11を用いて説明する。図8,図9は、本発明のTFTアレイ検査を行う検査装置の一構成例、処理例を説明するための図およびフローチャートである。
【0084】
図8は、本発明のTFTアレイ検査を行う検査装置に一構成例を説明するための図である。図8に示す構成例では、液晶基板等のTFT基板に電子線を照射し、TFT基板から放出される二次電子を検出し、二次電子の検出信号から信号画像を形成し、この信号画像に基づいて欠陥検出を行う構成例を示している。本発明は、検査対象の基板は液晶基板に限らず、また、基板走査は電子線に限らずイオンビーム等の荷電ビームとすることができる。また、検出信号は照射する荷電ビームに依存し、二次電子に限られるものではない。
【0085】
図8において、TFTアレイ検査装置1は、液晶基板等のTFT基板110を載置しXY方向に搬送自在とするステージ2と、ステージ2の上方位置にステージ2から離して配置された電子銃3と、TFT基板110のパネル111のピクセル(図示していない)から放出される二次電子を検出する検出器4とを備える。電子銃3および検出器4は複数の組み設けることができる。
【0086】
ステージ駆動制御部6はステージ2の駆動を制御し、電子線走査制御部5は電子銃3が照射する電子線の照射方向を含む照射条件を制御して、TFT基板110上を走査する電子線を制御する。信号処理部10は、検出器4で検出して二次電子の検出信号を信号処理してサンプリング点の信号強度を検出し、得られたサンプリング点の信号強度を用いて補間データ点の信号強度を求め、サンプリング点および補間データ点の信号強度を用いてピクセルを代表する信号強度を求め、求めた代表信号強度を用いて当該ピクセルの欠陥を検出する。欠陥を検出した検出位置によって欠陥ピクセルおよび対応する欠陥アレイを検出する。
【0087】
なお、ピクセルおよびアレイはTFT基板上に形成され、各ピクセルはアレイに対して電圧を印加することによって駆動されるため、ピクセルの欠陥検出はそのピクセルに対するアレイの検査に対応している。
【0088】
電子線走査制御部5,ステージ駆動制御部6,信号処理部10の各部の駆動動作は制御部7によって制御される。また、制御部7は、TFTアレイ検査装置1の全体の動作を含む制御を行う機能を有し、これらの制御を行うCPUおよびCPUを制御するプログラムを記憶するメモリ等によって構成することができる。
【0089】
ステージ2は、TFT基板110を載置するとともに、ステージ駆動制御部6によってX軸方向およびY軸方向に移動自在であり、また、電子銃3から照射される電子線は電子線走査制御部5によってX軸方向あるいはY軸方向に振らせることができる。ステージ駆動制御部6および電子線走査制御部5は単独あるいは協働動作によって、電子線をTFT基板110上で走査させ、TFT基板110のパネル111の各ピクセルに照射させることができる。
【0090】
信号処理部10は、検出器4からの検出信号に基づいてサンプリング点の信号強度を検出する信号強度検出部11と、検出した信号強度およびサンプリング点を記憶する記憶部12と、サンプリング点の信号強度を用いて各ピクセルについて欠陥検出用の信号強度を求める信号強度処理部13と、欠陥検出用の信号強度に基づいてピクセルの欠陥を判定する欠陥検出部14とを備える。
【0091】
信号強度処理部13は、各ピクセル中のデータ点を増加するデータ点増加部13aと、ピクセルを代表する代表信号強度を算出する算出処理に用いるデータ点をピクセル内から選択するデータ点選択部13b、データ点選択部13bで選択したデータ点の信号強度を用いて代表信号強度を算出する代表信号強度算出部13cとを備える。
【0092】
データ点増加部13aは、補間データ点設定部13a1と補間処理部13a2を備える。補間データ点設定部13a1は、各ピクセルのサンプリング点の信号強度を補間処理することで得られる補間データのデータ点を設定する。補間データ点の位置は、サンプリング点の分布に基づいて設定する他、予め基準データ点として定めておくことができる。
【0093】
サンプリング点の分布に基づいて設定する場合には、例えば、複数のサンプリング点の位置から等距離の関係にある位置を補正データ点の位置として設定することができ、走査によって得られたサンプリング点の位置情報に基づいて、補正データ点の位置情報を算出することで設定することができる。また、予め基準データ点として定めておく場合には、ピクセル内の位置を予め定めており、位置情報を記憶手段に格納しておくことができる。
【0094】
補間処理部13a2は、補間データ点設定部13a1で設定した補間データ点の信号強度を補間処理によって求める。例えば、x方向あるいはy方向に連続して並ぶ2つのサンプリング点の間に補間データ点を設定した場合には、両サンプリング点の信号強度を補間処理することで求める。補間処理は、両サンプリング点の信号強度の平均値を算出する他、2つのサンプリング点と補間データ点との距離に逆比例した値を算出する内挿処理とすることができる。補間処理に用いるサンプリング点は2点に限らず、補間データ点の近傍にある複数のサンプリング点を用いることができる。
【0095】
データ点選択部13bは、例えば、ピクセルの中心の近傍を定める選択領域を設定し、この選択領域内に含まれるデータ点を抽出することによって選択する。
【0096】
代表信号強度算出部13cは、データ点選択部13bで選択したデータ点の信号強度に基づいてピクセルを代表する代表処理強度を算出する。代表処理強度の算出は、選択したデータ点の信号強度の平均値を算出する他、ピクセルに中心位置と選択したデータ点との距離に反比例した係数を重み付けして算出することができる。
【0097】
欠陥検出部14は、信号強度処理部13で求めた代表信号強度としきい値とを比較することで行ってピクセルの欠陥を判定し、欠陥検出で検出された欠陥ピクセルに対応するアレイを欠陥アレイとして検出する。しきい値は、例えば、基板内の各ピクセルで求めた代表信号強度の平均値および標準偏差に基づいて定めることができる。
【0098】
次に、図9のフローチャートを用いてTFTアレイ検査の処理例を説明する。
信号強度検出部11は、検出器4の検出信号に基づいて基板上の各ピクセルにおけるサンプリング点の信号強度を検出する(S1)。
【0099】
各ピクセル内において、サンプリング点の分布の偏りを求める。サンプリング点の分布の偏りは、例えば、電子線の照射条件、ステージの移動等に基づいて求めることができる(S2)。
【0100】
各ピクセルにおいて、サンプリング点に加えてデータ点を増加する補間データ点を設定する。補間データ点は、例えば、サンプリング点の分布の偏りによって解像度が低い領域に定めることができ、これによって、ピクセル内のデータ点が少ないことによる解像度の低下を抑えることができる。補間データ点の設定は、上記の他に、ピクセル内に仮想的な基準データ点を予め定めておいてもよい(S3)。
【0101】
設定した補間データ点の信号強度を算出する。補間データ点の信号強度の算出は、補間データ点の周囲にあるサンプリング点の信号強度を用いて補間処理によって求めることができる。補間処理は、サンプリング点の信号強度を単純に算術平均値により求める演算処理の他に、補間データ点とサンプリング点との距離に基づいて内挿補間を行う演算処理としてもよい(S4)。
【0102】
ピクセル内のデータ点の中から、ピクセル中心の近傍にあるデータ点を選択する。データ点の選択は、ピクセルの中心近傍に少なくとも補間データ点を含む選択領域を設定し、この選択領域内に含まれる補間データ点、サンプリング点を抽出することで行うことができる。データ点の選択は、選択領域の位置座標とデータ点(補間データ点、サンプリング点)の位置座標を比較することで行うことができる(S5)。
【0103】
各ピクセルにおいて、当該ピクセル内で選択したデータ点の信号強度を用いてピクセルを代表する代表信号強度を算出し記憶する。代表信号強度に算出は、選択領域内にあるデータ点の信号強度の算術平均値を求める演算処理、あるいは、例えば、ピクセルの中心位置等の代表点と各データ点との距離に基づいて、距離に反比例した係数を重み付けして算出することができる。内挿補間を行う演算処理とすることができる(S6)
【0104】
前記したS2〜S6の工程を、基板内の全ピクセルあるいは検査対象の全ピクセルについて行い、得られた各ピクセルの代表信号強度を用いて次のS8の欠陥判定を行う(S7)。
【0105】
欠陥判定の工程S8では、各ピクセルの代表信号強度の強度分布を求め(S8a)、強度分布の信号強度の平均値、および標準偏差を求め、この平均値と標準偏差から欠陥判定のしきい値を求める。
【0106】
図10は、代表信号強度の強度分布を説明するための図であり、横軸は代表信号強度を表し、縦軸はデータ点の個数を表している。図10に示す代表信号強度の強度分布において、μを代表信号強度の平均値とし、σを代表信号強度の標準偏差とした場合には、ピクセルの欠陥判定のしきい値は例えば“μ−kσ”、“μ+kσ”で表すことができる。なお、ピクセルに2つの異なる電圧を印加した場合には、代表信号強度の強度分布には印加電圧に対応して2つのピークが現れる。
【0107】
このように、複数のピークが現れる場合には、代表信号強度の平均値μおよび標準偏差σはそれぞれのピークに対応して求める(S8b)。
【0108】
次に、欠陥判定を行う対象ピクセルの代表信号強度を読み出し(S8c)、読み出した対象ピクセルの代表信号強度としきい値とを比較する。対象ピクセルの代表信号強度が(μ−kσ)よりも小さい場合、あるいは(μ+kσ)よりも大きい場合には欠陥ピクセルと判定し、対象ピクセルの代表信号強度が(μ−kσ)と(μ+kσ)との間に挟まれる場合には正常ピクセルと判定する。なお、(μ−kσ)又は(μ+kσ)の信号強度については欠陥又は正常の何れかに設定する(S8e)。
【0109】
図11は、本願発明による代表信号強度の分布例を示す図および表である。図11に示す信号強度の分布は、高い電圧を印加したピクセルから得られる信号強度のピークと低い電圧を印加したピクセルから得られる信号強度のピークの2つのピークを有している。
【0110】
図11において、実線は一つのピクセル内に4×4の全16点のサンプリング点を取得したときの信号強度分布を示し、破線は一つのピクセル内に4×3の全12点のサンプリング点を取得し、このサンプリング点の信号強度に対して本願発明を適用して得られるデータ点に基づいて得られる信号強度分布を示している。
【0111】
図11の例によれば、本願発明を適用し、補間データ点を追加してデータ点を増加した場合には、サンプリング点が多い場合とほぼ同様の信号強度の分布となり、解像度の低下および欠陥検出の検出精度の低下を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、TFT基板は液晶基板や有機ELとすることができ、液晶基板や有機ELを形成する成膜装置の他、種々の半導体基板を形成する成膜装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0113】
1 アレイ検査装置
2 ステージ
3 電子銃
4 検出器
5 電子線走査制御部
6 ステージ駆動制御部
7 制御部
10 信号処理部
11 信号強度検出部
12 記憶部
13 信号強度処理部
13a データ点増加部
13a1 補間データ点設定部
13a2 補間処理部
13b データ点選択部
13c 代表信号強度算出部
14 欠陥検出部
100 ピクセル
101 サンプリング点
102 選択領域
103 領域
104 補間データ点
105 代表点
106 基準データ点
110 基板
111 パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TFT基板のピクセルに対して所定電圧の検査信号を印加してアレイを駆動し、前記ピクセル上に荷電ビームを照射して走査し、当該荷電ビーム走査で検出される検出信号に基づいてTFT基板のアレイを検査するTFTアレイ検査方法において、
前記荷電ビームの照射によってピクセル毎に複数のサンプリング点の信号強度を検出する信号強度検出工程と、
各ピクセルに補間データ点を定め、当該補間データ点の信号強度を前記サンプリング点の信号強度を用いて補間処理により求め、前記サンプリング点のデータ点に加えて前記補間データ点のデータ点を増加するデータ点増加工程と、
前記増加したデータ点の中から、当該ピクセルの中心近傍にあって少なくとも前記補間データ点を含むデータ点を選択するデータ点選択工程と、
前記選択したデータ点の信号強度を用いて当該ピクセルを代表する代表信号強度を算出する代表信号強度算出工程と、
前記代表信号強度に基づいて当該ピクセルの欠陥を判定する欠陥検出工程とを備え、
前記データ点増加工程と前記データ点選択工程と前記代表信号強度算出工程と前記欠陥検出工程をTFT基板のピクセルについて行い、前記欠陥検出工程で欠陥検出されたピクセルに対応するアレイを欠陥アレイとして検出することを特徴とする、TFTアレイ検査方法。
【請求項2】
前記データ点増加工程は、
各ピクセル内のサンプリング点の当該ピクセルに対する分布の偏りを求め、求めたサンプリング点の分布の偏りと反対方向のサンプリング点側の領域に補間データ点を定め、
前記補間処理は、前記サンプリング点の分布の偏り方向に対して前記補間データ点を挟む2点のサンプリング点の信号強度の平均値を求め、求めた平均値を補間データ点の信号強度とすることを特徴とする、請求項1に記載のTFTアレイ検査方法。
【請求項3】
前記データ点増加工程は、
各ピクセル内に仮想的な基準データ点を定め、当該基準データ点を補間データ点として定めて記憶しておき、
前記補間処理は、前記記憶する各補間データ点の近傍にあるサンプリング点を求め、補間データ点と求めたサンプリング点の位置データに基づいて距離を求め、求めた距離に基づいてサンプリング点の信号強度を内挿補間し、得られた信号強度を補間データ点の信号強度とすることを特徴とする、請求項1に記載のTFTアレイ検査方法。
【請求項4】
TFT基板のピクセルに対して所定電圧の検査信号を印加してアレイを駆動し、前記ピクセル上に荷電ビームを照射して走査し、当該荷電ビーム走査で検出される検出信号に基づいてTFT基板のアレイを検査するTFTアレイ検査装置において、
前記荷電ビームの照射によってピクセル毎に複数のサンプリング点の信号強度を検出する信号強度検出部と、
各ピクセルに補間データ点を定め、当該補間データ点の信号強度を前記サンプリング点の信号強度を用いて補間処理により求め、前記サンプリング点のデータ点に加えて前記補間データ点のデータ点を増加するデータ点増加部と、
前記増加したデータ点の中から、当該ピクセルの中心近傍にあって少なくとも前記補間データ点を含むデータ点を選択するデータ点選択部と、
前記選択したデータ点の信号強度を用いて当該ピクセルを代表する代表信号強度を算出する代表信号強度算出部と、
前記代表信号強度に基づいて当該ピクセルの欠陥を判定する欠陥検出部とを備え、
前記データ点増加部と前記データ点選択部と前記代表信号強度算出部と前記欠陥検出部は、前記信号強度検出部で検出したピクセル毎の複数のサンプリング点の信号強度について行い、前記欠陥検出部で欠陥検出されたピクセルに対応するアレイを欠陥アレイとして検出することを特徴とする、TFTアレイ検査装置。
【請求項5】
前記データ点増加部は、
補間データ点を定める補間データ設定部と、
補間データ点の信号強度を求める補間処理部とを備え、
前記補間データ設定部は、各ピクセル内のサンプリング点の当該ピクセルに対する分布の偏りを求め、求めたサンプリング点の分布の偏りと反対方向のサンプリング点側の領域に補間データ点を定め、
前記補間処理部は、前記サンプリング点の分布の偏り方向に対して前記補間データ点を挟む2点のサンプリング点の信号強度の平均値を求め、求めた平均値を補間データ点の信号強度とすることを特徴とする、請求項4に記載のTFTアレイ検査装置。
【請求項6】
前記データ点増加部は、
補間データ点を定める補間データ設定部と、
補間データ点の信号強度を求める補間処理部とを備え、
前記補間データ設定部は、各ピクセル内に仮想的な基準データ点を定め、当該基準データ点を補間データ点として記憶し、
前記補間処理部は、前記補間データ設定部が記憶する各補間データ点の近傍にあるサンプリング点を求め、求めたサンプリング点と前記補間データ点の位置データ、および当該サンプリング点の信号強度に基づいて信号強度を内挿補間し、内挿補間で得られた信号強度を補間データ点の信号強度とすることを特徴とする、請求項4に記載のTFTアレイ検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−15331(P2013−15331A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146566(P2011−146566)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】