説明

TGFβ阻害活性を有する化合物の新規用途

【課題】血管内皮前駆細胞または血管内皮細胞の効率のよい製造方法の提供、ならびに虚血性疾患および血管透過性亢進を伴う疾患の治療法の提供。
【解決手段】細胞または細胞画分を、TGFβ阻害活性を有する化合物を含んでなる培地において培養することを含んでなる、血管内皮前駆細胞または血管内皮細胞の製造方法、ならびにTGFβ阻害活性を有する化合物を被験者に投与することを含んでなる、虚血性疾患の治療法および血管透過性亢進を伴う疾患における血管透過性の改善法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】
発明の分野
本発明は、TGFβ阻害化合物を用いた血管内皮前駆細胞および血管内皮細胞の体外分化・増幅法に関するものである。さらに、本発明は、TGFβ阻害化合物を用いた虚血性疾患または血管透過性の亢進を伴う疾患の治療法に関するものである。
【0002】
背景技術
虚血性心疾患や慢性閉塞性動脈硬化症患者に対しては、生活習慣の改善勧告に加え、薬物療法や運動療法などが行われる。FontaneIII度またはIV度の重症患者に対しては、血管造影を行った後に経血管的な血管形成術、さらには外科的なバイパス手術が試みられる。これらの一連の方法は確立された有効な治療法であるが、一定の確率(30〜40%)で、拡張した血管やバイパスの再狭窄や閉塞が見られる。特に、Buerger病として知られる閉塞性血栓血管炎(TAO)の患者のように、器質的な血栓の内径が小さい場合には、血管形成術やバイパス手術は再狭窄を起しやすいため、施行不可能である。このような患者に対しては、新たな治療法が必要となっている(最新医学、57巻、1号、2002)。
【0003】
胎児の血管形成には、血管発生と血管新生の2つの段階があるとされている。血管発生は、血管内皮前駆細胞(EPC;Endothelial Progenitor Cell)が目的部位で分化しながら血管を形成する過程とされる。分化した、または分化しつつある血管内皮細胞(EC;Endothelial Cell)は血管腔を形成し、お互いに融合されて血管叢を形成する。これに対し、血管新生は、既成の血管が刺激を受け、細胞の増殖・遊走を経て新たな血管を作り出す過程をいう。つまり、胎児血管形成は血管発生に始まり、後に血管新生がなされて完了することになる。一方で、成体においては、創傷治癒、癌などの病的血管形成、または子宮卵巣などでの生理的血管形成には、既存血管から新たな血管を作り出す血管新生の機序だけが存在すると考えられていた。ところが、最近になって血管内皮前駆細胞が成体血液中で発見され、胎児内だけでなく、成体においても同じ機構(血管新生と血管発生の機序)で血管形成がなされることが判明した(最新医学、57巻、1号、2002)。
【0004】
ヒト血管内皮前駆細胞は、末梢血、G−CSF動員末梢血、臍帯血または骨髄のCD34+細胞、AC133+細胞もしくはFlk−1+細胞(VEGFR2細胞とも呼ばれ、ヒト由来である場合にはKDR+細胞とも呼ばれる)またはこれらの細胞を含む単核球画分から得られることが知られており(Blood 95: 952, 2000; J. Clin. Invest. 105: 1527, 2000; Pro. Nat. Acad. Sci. USA 97: 3422, 2000)、よって、これらの細胞または細胞画分は血管内皮前駆細胞の供給源として用いることができる。
【0005】
循環器領域では、虚血部位の血管新生療法や動脈硬化部位の血管内皮再生療法として、増殖させた血管内皮前駆細胞を投与する方法(細胞医療)が考えられている。Kalkaらにより、成人末梢血を培養して血管内皮細胞を得た後、これを利用して免疫不全マウスの下肢虚血モデルにヒト血管内皮前駆細胞を投与すると、新生血管の増加がもたらされ、虚血筋肉組織内の血流改善が促進されることが確認された(Proc. Natl. Acd. Sci. USA 97: 3422-3427, 2000)。この療法は免疫不全ラットの心筋梗塞モデルにも応用され、組織学的に新生血管の増生および心筋壊死の現象を誘導し、心筋の機能改善にも役割を果たすことが判明している(Circulation 103: 634-637, 2001)。この血管内皮前駆細胞治療の最大の利点は、自分の細胞を末梢血液から採取して治療に応用できるところにある。よって、血管内皮前駆細胞治療は倫理面でも免疫学的にも問題がなく、血管内皮前駆細胞の前駆細胞としての増殖・分化を利用した強力かつ生理的な先進的治療として注目されている。しかし、成人末梢血由来の血管内皮前駆細胞には量的な制限があるため、この治療法を臨床的に実用化するためには効率の良い血管内皮前駆細胞の増幅法の確立が必要とされている(最新医学、57巻、1号、2002)。
【0006】
血管内皮前駆細胞を投与する細胞医療以外の試みとして、心血管領域においては、血管新生に対するプラスの因子であるVEGFの遺伝子や蛋白質を利用した血管新生療法の基礎的・臨床的研究が急速に進んでいる。しかし、VEGFによって形成された血管は、正常のものに比べて透過性が高く、穴の空きやすい脆弱な管であることが判明し、問題も指摘されている(最新医学、57巻、1号、2002;血管生物学、児玉龍彦ら、講談社、1997)。
【0007】
前記血管透過性の亢進を伴う疾患としては、例えば、糖尿病の合併症である糖尿病性細小血管症(例えば、網膜症、腎症、神経障害など)および糖尿病性大血管症(例えば、虚血性心疾患、脳血管障害、閉塞性動脈硬化症など)が知られている。細小血管症は、細小血管壁を構成する血管内皮細胞および該細胞を支持する基底膜の弾力性および強度の喪失、血管透過性の亢進に起因するものとされている(最新医学、57巻、6号、2002)。その他、脳卒中および脳挫傷などの後に起こる血管性脳浮腫、脳虚血および低酸素血症などの後に起こる細胞毒性脳浮腫、全身浮腫、網膜浮腫、肺水腫、糖尿病などの疾患においても血管透過性の亢進が観察されており、いずれの疾患も重篤であることから、血管透過性の改善法およびそのための治療剤の開発が望まれている。
【0008】
TGFβ(Transforming Growth Factor-β)は強力な細胞増殖抑制因子であり、多くの細胞の機能や増殖を抑制することが知られている。TGFβ1の細胞増殖阻害作用は、細胞周期のG1期からS期への移行が阻害されることによる。これは、細胞周期を制御する因子の一つであるRb蛋白質がTGFβの作用により低リン酸化状態に維持されるためである。G1期からS期への移行に関与するRb蛋白質のリン酸化は、サイクリン依存性キナーゼ(Cdk)とこれに結合するサイクリンとによって調節されている。TGFβはCdk4の合成を抑制し、また、Cdkの下流で作用するとCdk2−サイクリンE複合体の活性を抑制する。さらに、TGFβはCdkインヒビターであるp21cip/WAF1やp15INK4Bなどの発現を促進し、結果的にp27Kip1の活性を促進することが知られている。これらの一連の反応によって、TGFβによる細胞周期の停止が起こると考えられている(J. Lab. Clin. Med. 128: 355-360, 1996)。このような作用は、2種類のセリン/スレオニンキナーゼ型レセプター(I型とII型)を介したものであり、TGFβのI型レセプターとしてはALK−5(activin receptor-like kinases-5)が同定されている。
【0009】
TGFβと血管内皮細胞との関係では、ALK−5のノックアウトマウスにおいて重篤な血管の発達異常が報告され、TGFβの血管形成への関与が明らかとなっている (非特許文献1:EMBO, 20: 1663-1673, 2001)。細胞を利用したin vitro実験においては、TGFβは、VEGFのレセプターであるFlk−1の遺伝子発現に対して抑制的に働くことが報告されている (非特許文献2:J. Biol. Chem. 271; 11500-11505, 1996)。しかし、そのTGFβによる血管形成メカニズムについては不明なところが多い。幾つかの研究グループにより、TGFβが、細胞外基質、基質分解酵素の産生、および接着因子の発現亢進を介して血管新生誘導に関与することが報告されているが(非特許文献3:Genes Dev. 10: 2462-2477, 1996;非特許文献4:Jpn. J. Cancer Res. 84: 589-593, 1993)、反対に、TGFβ阻害により血管新生が亢進するという報告もみられる (非特許文献5:Cell Growth & Differ. 1; 367-374, 1990)。さらに、血管内皮細胞及び平滑筋細胞はともに血管内皮前駆細胞から発生することが知られているが、それらの分化に対するTGFβシグナルの関与は明らかとされていない。
【0010】
TGFβ阻害活性を有する化合物としては多種多様なものが知られており、例えば、次のPCT国際公開パンフレットに記載されたものを挙げることができる:WO99/05109、WO99/51623、WO00/44743、WO00/55129、WO01/62756、WO01/72737(特許文献1)、WO01/76604、WO02/40462、WO02/40467、WO02/40468、WO02/40486、WO02/40476、WO02/55077、WO02/66462、WO02/062753、WO02/062776、WO02/062787、WO02/062793、WO02/062794、WO02/094833、およびWO02/10131。
【0011】
【非特許文献1】
EMBO, 20: 1663-1673, 2001
【非特許文献2】
J. Biol. Chem. 271; 11500-11505, 1996
【非特許文献3】
Genes Dev. 10: 2462-2477, 1996
【非特許文献4】
Jpn. J. Cancer Res. 84: 589-593, 1993
【非特許文献5】
Cell Growth & Differ. 1; 367-374, 1990
【特許文献1】
国際公開第01/72737号パンフレット
【0012】
【発明の概要】
本発明者らは、まず、TGFβ中和抗体を用いてTGFβ阻害による血管内皮細胞の増幅を行なうことが出来るか否かを、マウス胚幹細胞(ES細胞)から分化したFlk−1陽性細胞を用いた血管内皮細胞分化系(Yamashita et al., Nature 408: 92-96, 2000)にて検討した。しかし、TGFβ中和抗体にそのような活性を見出すことはできなかった。通常、レセプターが細胞に発現している場合、リガンドがなくとも微量のシグナルが恒常的に伝達されることが知られている。また、細胞が産生するTGFβが該細胞の受容体に結合してシグナルが伝達される場合、細胞外から中和抗体などでそのシグナルを阻害するのは困難であることも知られている。そこで、細胞内に伝達されるTGFβシグナルをキナーゼ阻害活性を有する化合物を用いて抑制した場合の効果について検討したところ、以下のような現象が見られた。
【0013】
(1)TGFβ阻害化合物は、平滑筋細胞への分化に比較して、血管内皮細胞への分化を促進した。
(2)TGFβ阻害化合物は血管内皮細胞の細胞増殖に対し促進的に作用した。
(3)TGFβ阻害化合物は接着因子であるClaudin-5の発現を亢進させ、細胞間接着性を亢進させた。
(4)TGFβ阻害化合物は、ES細胞由来の血管内皮前駆細胞だけでなく、ヒト末梢血単核球に対しても作用し、血管内皮前駆細胞の増殖および分化を促進した。
(5)TGFβ阻害化合物は血管新生を促進した。
【0014】
これらの現象は、分子構造において骨格の異なるTGFβ阻害低分子化合物について観察されており、従って、TGFβ阻害化合物に共通な現象であることも示された。
【0015】
本発明者らは、上記の現象に基づき、血管内皮前駆細胞および血管内皮細胞の体外分化/増幅法に関して、TGFβ阻害活性を有する化合物が血管内皮前駆細胞および血管内皮細胞の体外分化/増幅に有効であるとの知見を得た。さらに、本発明者らは、TGFβ阻害活性を有する化合物が、虚血性疾患および血管透過性の亢進を伴う疾患の治療剤として有効であるとの知見を得た。本発明はこれら知見に基づくものである。
【0016】
従って、本発明の第一の目的は、TGFβ阻害化合物を用いた血管内皮前駆細胞および血管内皮細胞の効率の良い製造方法を提供することにある。そして、本発明による血管内皮前駆細胞または血管内皮細胞の製造方法は、細胞または細胞画分を、TGFβ阻害活性を有する化合物を含んでなる培地において培養することを含んでなるものである。
【0017】
本発明の第二の目的は、TGFβ阻害化合物を用いた虚血性疾患の治療のための医薬組成物および血管透過性の亢進を伴う疾患において血管透過性を改善するための医薬組成物を提供することにある。そして、本発明による虚血性疾患治療用の医薬組成物は、本発明による製造方法により製造された血管内皮前駆細胞および/または血管内皮細胞、あるいは、TGFβ阻害活性を有する化合物を含んでなるものである。さらに、本発明による、血管透過性の亢進を伴う疾患において血管透過性を改善するための医薬組成物は、TGFβ阻害活性を有する化合物を含んでなるものである。
【0018】
本発明の第三の目的は、本発明による方法により製造された血管内皮前駆細胞および血管内皮細胞を用いたティッシュエンジニアリング技術を提供することにある。
【0019】
本発明により、血管内皮前駆細胞および血管内皮細胞の製造効率が改善され、また、虚血性疾患および血管透過性の亢進を伴う疾患の新たな治療法およびそのための医薬が提供される。
【0020】
【発明の具体的説明】
本発明による血管内皮前駆細胞または血管内皮細胞の製造方法においては、細胞または細胞画分が、TGFβ阻害化合物を含んでなる培地において培養される。
【0021】
本明細書において、「TGFβ阻害活性を有する化合物」または「TGFβ阻害化合物」とは、TGFβ阻害活性、すなわち、サイトカインの一種であるTGFβの、細胞内または組織内における活性を阻害する作用を有する化合物をいう。TGFβ阻害活性は、当業者に公知の方法、例えば、J. Boil. Chem., 273, 21145-21152 (1998)に記載の方法、国際公開第01/72737号パンフレットに記載の方法などにより測定することができる。
【0022】
前記細胞または細胞画分は、血管内皮前駆細胞または血管内皮細胞に分化しうるものであればよく、特に制限されないが、好ましくはFlk−1細胞、単核球画分、CD34細胞、またはAC133細胞とされる。前記Flk−1細胞は、胚幹細胞から得られたものであることが好ましい。前記CD34細胞およびAC133細胞は、単核球画分から得られたものであることが好ましい。前記単核球画分は、末梢血または臍帯血から得られたものであることが好ましく、さらに、該末梢血は、G−CSFまたはGM−CSFを投与したヒトから得られたものであることが好ましい。
【0023】
前記培地は、細胞の分化を可能とするものであればよく、特に制限されない。このような培地としては多種多様なものが当技術分野において知られており、また、多くのものが市販されている。よって、当業者は、培養に用いる細胞または細胞画分の種類および目的とする分化細胞の種類に応じて、適切な培地を選択または調製することができる。前記培地は、好ましくは血管内皮前駆細胞分化用の培地または血管内皮細胞分化用の培地とされる。
【0024】
前記培地へのTGFβ阻害化合物の添加量は特に制限されるものではないが、好ましくは0.1〜50μM、より好ましくは0.5〜20μMとされる。
【0025】
本発明の好ましい実施態様によれば、前記培地は、血管内皮前駆細胞または血管内皮細胞の増殖を促進する少なくとも一種のサイトカインを含んでなるものとされ、このようなサイトカインは、例えば、VEGF−A、VEGF−C、VEGF−E、aFGF、bFGF、EGF、TGFα、PD−ECGF、PDGF、TNFα、HGF、およびIGF−1からなる群より選択することができる。さらに、前記培地は、好ましくはVEGF−A、VEGF−C、およびVEGF−Eからなる群より選択される少なくとも一種のサイトカインを含んでなるものとされ、さらに好ましくは、これらに加えてbFGF、IGF−1およびEGFを含んでなるものとされる。
【0026】
他の培養条件は、一般に細胞の増殖を目的として用いられる条件であればよく、特に制限されない。すなわち、培地への細胞または細胞画分の添加量、培養温度、CO濃度、培養期間などの条件は、当業者が適宜設定することができる。培養温度は、好ましくは約37℃とされる。また、必要に応じて、CO濃度を調節してもよく、好ましくは約5%とすることができる。
【0027】
上記の方法により得られた血管内皮前駆細胞および/または血管内皮細胞は、虚血性疾患を治療する目的で、背景技術の項で説明したような細胞医療において利用することができる。
【0028】
従って、本発明によれば、治療上有効な量の、本発明による方法によって製造された血管内皮前駆細胞および/または血管内皮細胞を被験者に投与することを含んでなる、虚血性疾患の治療方法が提供される。被験者は、好ましくは哺乳動物とされ、例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物とされる。
【0029】
前記虚血性疾患としては、例えば、外傷、移植時の拒絶反応、虚血性脳血管障害(例えば、脳卒中、脳梗塞など)、虚血性腎疾患、虚血性肺疾患、感染症に関連する虚血性疾患、四肢の虚血性疾患(例えば、閉塞性動脈硬化症など)、虚血性心疾患(例えば、虚血性心筋症、心筋梗塞症、虚血性心不全など)などが挙げられる。
【0030】
本発明による方法によって製造された血管内皮前駆細胞および/または血管内皮細胞は、細胞医療の分野において一般に用いられる投与経路および治療上有効量で投与することができる。よって、投与経路は特に制限されるものではないが、好ましくは非経口投与、より好ましくは皮下投与、静脈内投与、冠血管カテーテル投与、筋肉内投与、または心筋内投与とされる。治療上有効量もまた特に制限されるものではなく、被験者の状態、例えば、患者の年齢、体重、性別、疾患の相違、症状の程度などを考慮して適宜決定される。
【0031】
また、本発明によれば、虚血性疾患治療用医薬の製造のための、本発明による方法により製造された血管内皮前駆細胞および/または血管内皮細胞の使用が提供される。
【0032】
さらに、本発明によれば、本発明による方法により製造された血管内皮前駆細胞および/または血管内皮細胞を含んでなる、虚血性疾患を治療するための医薬組成物が提供される。この医薬組成物は、上述の投与経路および投与量に応じて、または細胞医療における周知技術に従い、当業者によって適宜製造されうる。
【0033】
TGFβ阻害化合物は、ex vivoだけでなく、in vivoにおいても血管内皮前駆細胞および/または血管内皮細胞の分化および増幅を促進する。よって、TGFβ阻害化合物を被験者に直接投与することによっても、虚血性疾患を治療することが可能である。また、TGFβ阻害化合物の直接投与により、血管透過性の亢進を伴う疾患において血管透過性を改善することも可能である。
【0034】
従って、本発明によれば、治療上有効な量のTGFβ阻害化合物を被験者に投与することを含んでなる、虚血性疾患の治療方法または血管透過性の亢進を伴う疾患において血管透過性を改善する方法が提供される。被験者は、好ましくは哺乳動物とされ、例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物とされる。
【0035】
また、本発明によれば、虚血性疾患治療用医薬または血管透過性の亢進を伴う疾患において血管透過性を改善するための医薬の製造のための、TGFβ阻害化合物の使用が提供される。
【0036】
さらに、本発明によれば、TGFβ阻害化合物を含んでなる、虚血性疾患を治療するための医薬組成物または血管透過性の亢進を伴う疾患において血管透過性を改善するための医薬組成物が提供される。
【0037】
前記虚血性疾患としては、例えば、外傷、移植時の拒絶反応、虚血性脳血管障害(例えば、脳卒中、脳梗塞など)、虚血性腎疾患、虚血性肺疾患、感染症に関連する虚血性疾患、四肢の虚血性疾患(例えば、閉塞性動脈硬化症など)、虚血性心疾患(例えば、虚血性心筋症、心筋梗塞症、虚血性心不全など)などが挙げられる。
【0038】
前記血管透過性の亢進を伴う疾患としては、例えば、糖尿病の合併症である糖尿病性細小血管症(例えば、網膜症、腎症、神経障害など)および糖尿病性大血管症(例えば、虚血性心疾患、脳血管障害、閉塞性動脈硬化症など)、血管性脳浮腫(脳卒中および脳挫傷などの後に起こることが知られている)、細胞毒性脳浮腫(脳虚血および低酸素血症などの後に起こることが知られている)、全身浮腫、網膜浮腫、肺水腫、糖尿病などが挙げられる。
【0039】
TGFβ阻害化合物は、経口および非経口(例えば、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸投与、経皮投与)のいずれかの投与経路で投与することができる。従って、TGFβ阻害化合物を含んでなる医薬組成物は、投与経路に応じた適当な剤型に製剤化される。具体的には、経口剤としては、錠剤、カプセル剤、散在、顆粒剤、シロップ剤などが挙げられ、非経口剤としては、注射剤、座剤、テープ剤、軟膏剤などが挙げられる。
【0040】
これらの各種製剤は、通常用いられている賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、希釈剤などを用いて常法により製造することができる。
【0041】
賦形剤としては、例えば、乳糖、ブドウ糖、コーンスターチ、ソルビット、結晶セルロースなどが、崩壊剤としては、例えば、デンプン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン末、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、デキストリンなどが、結合剤としては例えばジメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが、滑沢剤としては、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、硬化植物油などがそれぞれ挙げられる。
【0042】
また、上記注射剤は、必要により緩衝剤、pH調整剤、安定化剤、等張化剤、保存剤などを添加して製造することができる。
【0043】
本発明によるTGFβ阻害化合物を含んでなる医薬組成物において、TGFβ阻害化合物の含有量は、その剤型に応じて異なるが、通常全組成物中0.5〜50重量%、好ましくは1〜20重量%である。
【0044】
TGFβ阻害化合物の投与量は、患者の年齢、体重、性別、疾患の相違、症状の程度などを考慮して、個々の場合に応じて適宜決定されるが、例えば0.1〜100mg/kg、好ましくは0.1〜30mg/kgの範囲であり、これを1日1回または数回に分けて投与する。
【0045】
本発明の好ましい実施態様によれば、TGFβ阻害化合物の虚血性疾患治療用途において、TGFβ阻害化合物は、血管内皮前駆細胞または血管内皮細胞の増殖を促進する少なくとも一種のサイトカインとともに併用され、このようなサイトカインは、例えば、VEGF−A、VEGF−C、VEGF−E、aFGF、bFGF、EGF、TGFα、PD−ECGF、PDGF、TNFα、HGF、およびIGF−1からなる群より選択することができる。さらに、TGFβ阻害化合物と併用されるサイトカインは、好ましくはVEGF−A、VEGF−C、およびVEGF−Eからなる群より選択される少なくとも一種のサイトカインとされる。さらに好ましくは、TGFβ阻害化合物と併用されるサイトカインは、VEGF−A、VEGF−C、およびVEGF−Eからなる群より選択される少なくとも一種のサイトカイン、ならびにbFGF、IGF−1およびEGFとされる。従って、TGFβ阻害化合物の虚血性疾患治療用途において、TGFβ阻害化合物はこのようなサイトカインとともに投与され、医薬組成物中に含まれ、または医薬の製造において使用される。
【0046】
本発明による血管内皮前駆細胞または血管内皮細胞の製造方法により製造されたこれらの細胞は、ティッシュエンジニアリングにおいて使用することができる。例えば、これらの血管内皮前駆細胞または血管内皮細胞を用いることにより、血管を製造してこれをバイパス手術に使用することができ、あるいは、血管または血管を含む組織を製造してこれを治療のための移植手術に使用することができる。
【0047】
式(I)のTGFβ阻害化合物
本発明の好ましい態様によれば、TGFβ阻害化合物は、本発明者らによりTGFβ阻害活性を有することが確認されている下記の式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物とされる:
【化22】

[上記式(I)中、
Xは、CHまたはNを表し、
Zは、−O−、−NH−、−S−または−C(=O)−を表し、
およびRは、同一または異なっていてもよく、水素原子、−(CH)m−Rで表し{ここでRは、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、飽和もしくは不飽和の3〜6員の炭素環式基もしくは複素環式基、または−NR(RおよびRは、同一または異なっていてもよく、水素原子、または水酸基により置換されていてもよいC1−6アルキル基を表し、RとRとは、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員複素環式基を形成していてもよく(この複素環式基は1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい)、この複素環式基は、水酸基に置換されていてもよいC1−4アルキル基、または飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよい)を表し、mは1〜5の整数を表し、かつ、この基におけるアルキル鎖部分−(CH)m−は、水酸基、酸素原子、または−OR基(ここでRはC1−4アルキル基またはC1−4アルキルカルボニル基を表す)により置換されていてもよい}、
Aは、下式(a1)〜(a4)からなる群より選択されるいずれかの基を表す:
(1) 式(a1)の基:
【化23】

(上記式(a1)において、
〜Rは、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
1−6アルキル基、
ハロゲン原子またはフェニル基により置換されていてもよいC1−10アルコキシ基、
2−6アルケニルカルボニルオキシ基、
1−4アルキルカルボニル基、または
ハロゲン原子により置換されていてもよいフェニル基を表し、
とR、RとR、およびRとRとはそれぞれ、それらが結合している炭素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員炭素環式基または複素環式基を形成してもよく、
は、
水素原子、
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基により置換されていてもよいC1−8アルキル基、
フェニル基により置換されていてもよいC2−6アルケニル基、
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員の炭素環式基もしくは複素環式基(この炭素環式基または複素環式基はC1−4アルキル基により置換されていてもよい)、または
下記式(a1-i)または(a1-ii)、のいずれかの基を表し:
【化24】

(上記式において、
は、
フェニル基により置換されていてもよいC1−10アルキル基、
2−8アルケニル基、または
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基(この炭素環式基はハロゲン原子により置換されていてもよい)を表し、
およびR10は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
1−6アルキル基、
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基(この炭素環式基はハロゲン原子により置換されていてもよい)、または
ハロゲン原子により置換されていてもよいナフチルを表し、
とR10とは、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基を形成していてもよく(この複素環式基は1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい)、この複素環式基は、水酸基に置換されていてもよいC1−4アルキル基、または飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよい)、
(2) 式(a2)の基:
【化25】

(上記式(a2)において、
〜Rは、上記式(a1)と同じであり、
11およびR12は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
1−6アルキル基、
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基(この炭素環式基はハロゲン原子により置換されていてもよい)、または
ハロゲン原子により置換されていてもよいナフチルを表し、
11とR12とは、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基を形成していてもよく(この複素環式基は1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい)、この複素環式基は、水酸基に置換されていてもよいC1−4アルキル基、または飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよい)、
(3) 式(a3)の基:
【化26】

(上記式(a3)において、
13〜R16は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
1−6アルキル基、
1−8アルコキシ基、
1−4アルキルカルボニル基、または
フェニルカルボニル基を表し、
13とR14、およびR14とR15とはそれぞれ、それらが結合している炭素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員炭素環式基または複素環式基を形成してもよい)、および
(4) 式(a4)の基:
【化27】

(上記式(a4)において、
17〜R21は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
水酸基もしくはフェニル基により置換されていてもよいC1−6アルキル基、
1−8アルコキシ基、
1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、酸素原子もしくはフェニル基により置換されていてもよいC2−6アルケニル基、
1−4アルキル基により置換されていてもよいフェニルカルボニル基、
フェニル基により置換されていてもよいアミノ基、
ニトロ基、または
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員の炭素環式基もしくは複素環式基(この炭素環式基または複素環式基はC1−6アルキル基により置換されていてもよい)を表し、
17とR18、または、R20とR21とは、それらが結合している炭素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員炭素環式基または複素環式基を形成してもよく、
18とR19、または、R19とR20とは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ハロゲン原子、C1−4アルキル基、C1−4アルキルカルボニル基、C1−6アルコキシカルボニル基または酸素原子により置換されていてもよい、飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基もしくは複素環式基を形成してもよく、この炭素環式基もしくは複素環式基はさらに他の飽和または不飽和の5または6員の炭素環式基または複素環式基と縮合して、式(a4)の6員炭素環と共に三環式基を形成してもよい)]。
【0048】
式(I)の化合物において、基または基の一部としての「アルキル」、「アルコキシ」、および「アルケニル」という語は、基が直鎖または分枝鎖のアルキル基、アルコキシ基、およびアルケニル基を意味する。
【0049】
また、式(I)の化合物において、基または基の一部としての「アルキルカルボニル」、「アルコキシカルボニル」、および「アルケニルカルボニルオキシ」という語は、基が直鎖または分枝鎖のアルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、およびアルケニルカルボニルオキシ基を意味する。
【0050】
従って、式(I)の化合物において、例えば、基または基の一部としての「C1−10アルキル」および「C1−10アルコキシ」という場合は、基が直鎖または分枝鎖の炭素数1〜10のアルキル基およびアルコキシ基を意味する。
【0051】
式(I)の化合物において、「C1−10アルキル」は、好ましくはC1−8アルキル、より好ましくはC1−6アルキル、さらに好ましくはC1−4アルキルである。「C1−8アルキル」は、好ましくはC1−6アルキル、より好ましくはC1−4アルキルである。「C1−6アルキル」は、好ましくはC1−4アルキル、より好ましくはC1−2アルキルである。「C1−4アルキル」は、好ましくはC1−2アルキルである。
【0052】
式(I)の化合物において、「C1−10アルコキシ」は、好ましくはC1−8アルコキシ、より好ましくはC1−6アルコキシ、さらに好ましくはC1−4アルコキシである。「C1−8アルコキシ」は、好ましくはC1−6アルコキシ、より好ましくはC1−4アルコキシである。「C1−4アルコキシ」は、好ましくはC1−2アルコキシである。
【0053】
式(I)の化合物において、「C2−8アルケニル」は、好ましくはC2−6アルケニル、より好ましくはC2−4アルケニルである。「C2−6アルケニル」は、好ましくはC2−4アルケニルである。
【0054】
式(I)の化合物において、「C1−4アルキルカルボニル」は、好ましくはC1−2アルキルカルボニルである。
【0055】
式(I)の化合物において、「C1−6アルコキシカルボニル」は、好ましくはC1−4アルコキシカルボニル、より好ましくはC1−2アルコキシカルボニルである。
【0056】
式(I)の化合物において、「C2−6アルケニルカルボニルオキシ」は、好ましくはC2−4アルケニルカルボニルオキシである。
【0057】
上記C1−10アルキルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル等が挙げられる。
【0058】
上記C1−10アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ等が挙げられる。
【0059】
上記C2−6アルケニルの例としては、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基が挙げられる。
【0060】
上記C1−4アルキルカルボニルの例としては、アルデヒド基、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、n−ブチルカルボニル、i−ブチルカルボニル、s−ブチルカルボニルが挙げられる。
【0061】
上記C1−6アルコキシカルボニルの例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、i−プロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、i−ブトキシカルボニル、s−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等が挙げられる。
【0062】
上記C2−6アルケニルカルボニルオキシの例としては、アリルカルボニルオキシ、ブテニルカルボニルオキシ、ペンテニルカルボニルオキシ、ヘキセニルカルボニルオキシが挙げられる。
【0063】
式(I)の化合物において「により置換されていてもよいアルキル」とは、アルキル上の1またはそれ以上の水素原子が1またはそれ以上の置換基(同一または異なっていてもよい)により置換されたアルキルおよび非置換アルキルを意味する。置換基の最大数はアルキル上の置換可能な水素原子の数に依存して決定できることは当業者に明らかであろう。これらはアルキル基以外であって置換可能な基を有する基、例えば、アルコキシ、アルケニル、フェニル、フェニルカルボニル、ナフチル等についても同様である。
【0064】
式(I)の化合物において、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を意味する。
【0065】
式(I)の化合物において、「不飽和の炭素環」および「不飽和の複素環」とは、二重結合等の不飽和結合を1以上有する炭素環および複素環を意味する。
【0066】
式(I)の化合物において「飽和または不飽和の5または6員の炭素環式基」は、好ましくは飽和または不飽和の6員炭素環であることができる。飽和または不飽和の5または6員炭素環の例としては、フェニル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。
【0067】
式(I)の化合物において「飽和または不飽和の5または6員の複素環式基」は、飽和または不飽和の5または6員の単環性複素環式基を意味する。すなわち、飽和または不飽和の5または6員複素環は、1〜3個、好ましくは1または2個の異種原子を含み、残りの環員原子が炭素原子である複素環であることができる。複素環式基は、酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選択される異種原子を1個以上含む。複素環基の例としては、ピリジル、フリル、チエニル、ピロリル、ピリダジル、ピリミジル、モルホリニル、モルホリノ、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾイル、イソチアゾリルおよびピラジルが挙げられる。
【0068】
また、この複素環式基は、必要に応じて、C1−6アルキル基、水酸基に置換されていてもよいC1−4アルキル基、または飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよい。
【0069】
飽和または不飽和の3〜6員炭素環式基は、好ましくは、飽和または不飽和の3〜5員炭素環式基、より好ましくは飽和または不飽和の3員炭素環式基であることができる。
【0070】
飽和または不飽和の3〜6員複素環式基は、酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から選択される異種原子(好ましくは酸素原子)を1個以上含む。好ましくは、飽和または不飽和の3〜6員複素環式基は、異種原子を1または2個含み、残りの環員原子が炭素原子である複素環式基であることができる。飽和または不飽和の3〜6員複素環は、好ましくは、飽和または不飽和の3〜5員複素環式基、より好ましくは飽和または不飽和の3員複素環式基であることができる。
【0071】
飽和または不飽和の炭素環式基および複素環式基は、他の飽和または不飽和の炭素環式基もしくは複素環式基と縮合して二環式基、好ましくは飽和または不飽和の9〜12員の二環性炭素環式基または複素環式基、を形成していてもよい。このような二環式基としては、ナフチル、キノリル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリル、1,4−ベンゾオキサニル、インダニル、インドリル、および1,2,3,4−テトラヒドロナフチルが挙げられる。
【0072】
本発明の好ましい実施態様によれば、RおよびRは、同一または異なっていてもよく、C1−6アルキル基、および下式(i)〜(iv)の基からなる群より選択されるいずれかの基を表す:
【化28】

(これらの式において、
式(i)におけるアルキル鎖の部分は、水酸基、または−OR基(ここでRはC1−4アルキル基またはC1−4アルキルカルボニル基を表す)により置換されていてもよく(好ましくはこのアルキル鎖の部分は、水酸基により置換されているか、または置換されておらず)、
22とR23、またはR24とR25は、同一または異なっていてもよく、水素原子、または水酸基により置換されていてもよいC1−6アルキル基を表し、
22とR23、またはR24とR25は、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員複素環式基を形成していてもよく(この複素環式基は1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい)、この複素環式基は、水酸基に置換されていてもよいC1−4アルキル基、または飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよく、
Halはハロゲン原子を表し、
nは1〜4の整数を表す)。
【0073】
本発明の一つの好ましい実施態様によれば、RおよびRの少なくとも一方が、式(i)〜(iv)からなる群より選択されるいずれかの基を表す場合には、Aは、前記式(a1)〜(a3)のいずれかの基を表し、より好ましくは式(a1)基を表す。
【0074】
本発明のより好ましい実施態様によれば、RおよびRは、同一または異なっていてもよく、C1−6アルキル基、および下式(i-a)〜(iv)の基からなる群より選択されるいずれかの基を表す:
【0075】
【化29】

(これらの式において、
22とR23、またはR24とR25は、同一または異なっていてもよく、水素原子、または水酸基により置換されていてもよいC1−6アルキル基を表し、
22とR23、またはR24とR25は、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員複素環式基を形成していてもよく(この複素環式基は1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい)、この複素環式基は、水酸基に置換されていてもよいC1−4アルキル基、または飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよく、
n1は2〜4の整数を表す)。
【0076】
およびRの少なくともいずれか一方が、前記(iv)である場合には、好ましくは、R24とR25は、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員複素環式基を形成し(この複素環式基は1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい)、例えば、モルホリンを形成することができる。
【0077】
およびRの少なくともいずれか一方が、C1−6アルキル基である場合には、C1−6アルキルは好ましくはC1−4アルキル、より好ましくはメチルまたはエチル、最も好ましくはメチルである。
【0078】
Aが式(a1)である場合において、該式(a1)におけるR〜Rは、同一または異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、ハロゲン原子またはフェニル基により置換されていてもよいC1−10アルコキシ基、C2−6アルケニルカルボニルオキシ基、C1−4アルキルカルボニル基、またはハロゲン原子により置換されていてもよいフェニル基を表し、
とR、RとR、およびRとRとはそれぞれ、それらが結合している炭素原子と一緒になって飽和または不飽和(好ましくは不飽和)の5または6員炭素環式基または複素環式基を形成してもよい。このように、RとR、RとR、およびRとRとが炭素環式基または複素環式基を形成する場合には、RとR、RとR、およびRとRのいずれか1つの組み合わせの位置において環式基を形成しても良いが、RとR、RとR、およびRとRのいずれか2以上の位置において、それぞれ環式基を形成してもよい。この場合、式(a1)の炭素環と共に、三環式基を形成することができる。
【0079】
本発明の一つの好ましい実施態様によれば、該式(a1)におけるR〜Rの少なくとも1つは水素原子以外の基である。
【0080】
本発明の別の好ましい実施態様によれば、RおよびRがC1−6アルキル基である場合に、該式(a1)におけるR〜Rの少なくとも1つは水素原子以外の基である。
【0081】
Aが式(a1)である場合において、該式(a1)におけるRは、水素原子、飽和の5もしくは6員炭素環式基により置換されていてもよいC1−8アルキル基、フェニル基により置換されていてもよいC2−6アルケニル基、飽和もしくは不飽和の5もしくは6員の炭素環式基もしくは複素環式基(この炭素環式基または複素環式基はC1−4アルキル基により置換されていてもよい)、または式(a1-i)または(a1-ii)の基、のいずれかの基を表す。
ここで、飽和もしくは不飽和の5もしくは6員の炭素環式基もしくは複素環式基は、好ましくは、C1−4アルキル基により置換されていてもよいフェニル基、飽和の5または6員の炭素環式基、または、不飽和の5または6員の複素環式基を表す。
【0082】
好ましくは、該式(a1)中のRは、飽和もしくは不飽和の5もしくは6員の炭素環式基もしくは複素環式基(この炭素環式基または複素環式基はC1−4アルキル基により置換されていてもよい)、式(a1-i)の基、または式(a1-ii)の基のいずれかの基を表す。
【0083】
別の好ましい実施態様によれば、式(a1)におけるRは、フェニル基により置換されていてもよいC2−6アルケニル基、または式(a1-i)または(a1-ii)の基のいずれかの基を表す。
【0084】
本発明の別の好ましい実施態様によれば、RおよびRがC1−6アルキル基である場合に、該式(a1)におけるRは、式(a1-i)または(a1-ii)の基のいずれかの基を表す。
【0085】
Aが式(a1)である場合において、該式(a1)におけるRは、好ましくは、非置換C1−8アルキル基、フェニル基により置換されたC1−4アルキル基、C2−6アルケニル基、またはハロゲン原子により置換されていてもよいフェニル基を表す。
【0086】
Aが式(a1)である場合において、該式(a1)におけるRおよびR10は、好ましくは、同一または異なっていてもよく、水素原子、C1−6アルキル基、飽和の5または6員炭素環式基、ハロゲン原子により置換されていてもよいフェニル基、またはナフチル基を表し、
とR10とは、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基を形成していてもよく(この複素環式基は1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい)、この複素環式基は、メチル基、ヒドロキシメチル基、または飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよい。
【0087】
Aが式(a2)である場合において、R11およびR12は、好ましくは、同一または異なっていてもよく、水素原子、C1−6アルキル基、飽和の5または6員炭素環式基、またはフェニル基を表し、
11とR12とは、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基を形成していてもよい(この複素環式基は1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい)、この複素環式基は、メチル基、ヒドロキシメチル基、または飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよい。
【0088】
より好ましくは、R11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基を形成し(この複素環式基は1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい)、この複素環式基は、メチル基、ヒドロキシメチル基、または飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよい。R11およびR12は、例えば、飽和の6員複素環式基を形成することができる。
【0089】
Aが式(a3)である場合において、好ましくは、R13およびR14が水素原子であって、R15およびR16が、同一または異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、C1−4アルキル基、C1−8アルコキシ基、C1−3アルキルカルボニル基、またはフェニルカルボニル基を表す。
より好ましくは、R13およびR14が水素原子であって、R15が、C1−4アルキル基を表し、R16が、水素原子、ハロゲン原子、C1−4アルキル基、C1−8アルコキシ基、またはC1−3アルキルカルボニル基を表す。
【0090】
ここでR16がC1−3アルキルカルボニル基を表す場合には、R16は−C(=O)R36で表すことができる。このとき、R36はメチル基、エチル基、n−プロピル基、またはi−プロピル基であることができ、好ましくはR34はメチル基である。
【0091】
Aが式(a4)である場合において、好ましくは、R17、R18、R20、およびR21は、前記した通りであって、かつ、R19が、
1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、酸素原子もしくはフェニル基により置換されていてもよいC2−6アルケニル基、
ニトロ基、または
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員の炭素環式基もしくは複素環式基(この炭素環式基または複素環式基はC1−6アルキル基により置換されていてもよい)を表すか、または
18とR19、または、R19とR20とが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ハロゲン原子、C1−6アルコキシカルボニル基または酸素原子により置換されていてもよい、飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基もしくは複素環式基を形成する(この炭素環式基もしくは複素環式基はさらに他の飽和または不飽和の5または6員の炭素環式基または複素環式基と縮合して、式(a4)の6員炭素環と共に三環式基を形成してもよい)。
【0092】
本発明のより好ましい実施態様によれば、上記の場合に、R17、R18、R20、およびR21は、
水素原子、
ハロゲン原子、
水酸基もしくはフェニル基により置換されていてもよいC1−6アルキル基、
1−8アルコキシ基、
1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、酸素原子もしくはフェニル基により置換されていてもよいC2−6アルケニル基、
1−6アルキル基により置換されていてもよいフェニル基、
フェニル基により置換されていてもよいアミノ基(ここでフェニル基は水酸基、ハロゲン原子、C1−4アルキル基によりさらに置換されていてもよい)、
ニトロ基、または、
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員の炭素環式基もしくは複素環式基を表し、
17とR18、または、R20とR21とは、それらが結合している炭素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員炭素環式基または複素環式基を形成してもよい。
【0093】
17またはR21が置換されていてもよいC2−6アルケニル基である場合には、好ましくは、これらは−C=C(R26)(R27)で表すことができる。ここで、R26およびR27は、同一または異なっていてもよく、水素原子、C1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、C1−4アルコキシカルボニル基、またはフェニル基を表し、より好ましくは、R26およびR27は、同一または異なっていてもよく、水素原子、C1−2アルコキシカルボニル基、またはフェニル基を表す。
【0094】
17またはR21がフェニル基により置換されていてもよいアミノ基である場合には、好ましくは、これらは下記式で表すことができる
【化30】

(上記式中、
28〜R32は、同一または異なっていてもよく、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、またはC1−4アルキル基を表し、より好ましくは、R28〜R32は全て水素原子を表す)。
【0095】
18とR19、または、R19とR20とが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、炭素環式基または複素環式基を形成することができる場合には、式(a4)の炭素環と共に、二環式基、例えばナフチル、インドール、ベンズイミダゾール、キノリン等の基を形成することができる。
例えば、該二環式基がインドール環の形態である場合、式(a4)は下記式で表すことができる。
【化31】

(上記式中、
33〜R35は、同一または異なっていてもよく、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、C1−2アルキルカルボニル、C1−2アルコキシカルボニル基またはC1−4アルキル基を表し、より好ましくは、R35は水素原子を表す)。
【0096】
ハロゲン原子、C1−6アルコキシカルボニル基または酸素原子により置換されていてもよい、飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基もしくは複素環式基を形成する(この炭素環式基もしくは複素環式基はさらに他の飽和または不飽和の5または6員の炭素環式基または複素環式基と縮合して、式(a4)の6員炭素環と共に三環式基を形成してもよい)。
【0097】
本発明の好ましい実施態様によれば、Zは、−O−、−NH−または−C(=O)−を表し、より好ましくは−O−、または−C(=O)−を表す。
【0098】
本発明の好ましい実施態様によれば、
XがCHを表し、かつZが−O−を表す場合には、Aは式(a1)〜(a4)の基から選択され、
XがNを表し、かつZが−O−を表す場合には、Aは式(a1)であり、または
XがCHを表し、かつZが−C(=O)−を表す場合には、Aは式(a1)である。
【0099】
本発明の一つの好ましい実施態様によれば、式(I)の化合物は、下記式(100)の化合物であることができる。
【化32】

[上記式中、
Xは、CHまたはNを表し、
Zは、−O−、−NH−、−S−または−C(=O)−を表し、
101およびR102は、同一または異なっていてもよく、
1−6アルキル基、または
式(i-a)〜(iv)の基からなる群より選択されるいずれかの基を表し:
103〜R106は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
1−6アルキル基、
ハロゲン原子またはフェニル基により置換されていてもよいC1−10アルコキシ基、
2−6アルケニルカルボニルオキシ基、
1−4アルキルカルボニル基、または
ハロゲン原子により置換されていてもよいフェニル基を表し、
103とR104、R104とR105、およびR105とR106とはそれぞれ、それらが結合している炭素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員炭素環式基または複素環式基を形成してもよく、
108は、
フェニル基により置換されていてもよいC1−10アルキル基、
2−8アルケニル基、または
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基(この炭素環式基はハロゲン原子により置換されていてもよい)を表す]。
【0100】
本発明の一つのより好ましい実施態様によれば、式(100)において、R103〜R106の少なくとも一つは、水素原子以外の基であり、かつ、R108は、非置換C1−8アルキル基、フェニル基により置換されたC1−4アルキル基、C2−8アルケニル基、またはハロゲン原子により置換されていてもよいフェニル基を表す。
【0101】
本発明の一つの好ましい実施態様によれば、式(I)の化合物は、下記式(200)の化合物であることができる。
【化33】

[上記式中、
Xは、CHまたはN、好ましくはCHを表し、
Zは、−O−、−NH−、−S−または−C(=O)−、好ましくは−O−を表し、
201およびR202は、同一または異なっていてもよく、
1−6アルキル基、または
式(i-a)〜(iv)の基からなる群より選択されるいずれかの基を表し、
203〜R206は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
1−6アルキル基、
ハロゲン原子またはフェニル基により置換されていてもよいC1−10アルコキシ基、
2−6アルケニルカルボニルオキシ基、
1−4アルキルカルボニル基、または
ハロゲン原子により置換されていてもよいフェニル基を表し、
203とR204、R204とR205、およびR205とR206とはそれぞれ、それらが結合している炭素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員炭素環式基または複素環式基を形成してもよく、
209およびR210は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
1−6アルキル基、
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基(この炭素環式基はハロゲン原子により置換されていてもよい)、または
ハロゲン原子により置換されていてもよいナフチルを表し、
209とR210とは、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基を形成していてもよく(この複素環式基は1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい)、この複素環式基は、水酸基に置換されていてもよいC1−4アルキル基、または飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよい]。
【0102】
本発明の一つのより好ましい実施態様によれば、式(200)において、
203〜R206の少なくとも一つが水素原子以外の基であり、かつ
209とR210とが、その少なくとも一方が水素原子であって、他方が水素原子、C1−4アルキル基、飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基(この炭素環式基はハロゲン原子により置換されていてもよい)、またはナフチルを表すか、または
209とR210とが、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基を形成する(この複素環式基は1以上の異種原子をさらに含んでいてもよく、水酸基に置換されていてもよいC1−4アルキル基、または飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよい)]。
【0103】
本発明の一つの好ましい実施態様によれば、式(I)の化合物は、下記式(300)の化合物であることができる。
【化34】

[上記式中、
Xは、CHまたはN、好ましくはCHを表し、
Zは、−O−、−NH−、−S−または−C(=O)−、好ましくは−O−を表し、
301およびR302は、同一または異なっていてもよく、
1−6アルキル基、または
式(i-a)〜(iv)の基からなる群より選択されるいずれかの基を表し、
303〜R306は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
1−6アルキル基、
ハロゲン原子またはフェニル基により置換されていてもよいC1−10アルコキシ基、
2−6アルケニルカルボニルオキシ基、
1−4アルキルカルボニル基、または
ハロゲン原子により置換されていてもよいフェニル基を表し、
303とR304、R304とR305、およびR305とR306とはそれぞれ、それらが結合している炭素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員炭素環式基または複素環式基を形成してもよく、
311およびR312は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
1−6アルキル基、
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基(この炭素環式基はハロゲン原子により置換されていてもよい)、または
ハロゲン原子により置換されていてもよいナフチルを表し、
311とR312とは、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基を形成していてもよく(この複素環式基は1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい)、この複素環式基は、水酸基に置換されていてもよいC1−4アルキル基、または飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよい]。
【0104】
本発明の一つのより好ましい実施態様によれば、式(300)において、
303〜R306の少なくとも一つが水素原子以外の基であり、かつ
311とR312とが、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基を形成する(この複素環式基は、1以上の異種原子をさらに含んでいてもよく、かつ、水酸基に置換されていてもよいC1−4アルキル基、または飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよい)。
【0105】
本発明の一つの好ましい実施態様によれば、式(I)の化合物は、下記式(400)の化合物であることができる。
【化35】

[上記式中、
Xは、CHまたはN、好ましくはCHを表し、
Zは、−O−、−NH−、−S−または−C(=O)−、好ましくは−O−を表し、
401およびR402は、同一または異なっていてもよく、
1−6アルキル基、または
式(i-a)〜(iv)の基からなる群より選択されるいずれかの基を表し、
413およびR414は、水素原子を表し、
415は、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−8アルコキシ基、C1−4アルキルカルボニル基、またはフェニルカルボニル基を表し、
416は、水素原子、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−8アルコキシ基、C1−4アルキルカルボニル基、またはフェニルカルボニル基を表す]。
【0106】
本発明の一つのより好ましい実施態様によれば、式(400)において、
415は、C1−6アルキル基、さらに好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基を表し、
416は、水素原子、ハロゲン原子、またはC1−4アルキルカルボニル基を表す。
【0107】
本発明の一つの好ましい実施態様によれば、式(I)の化合物は、下記式(500)の化合物であることができる。
【化36】

[上記式中、
Xは、CHまたはN、好ましくはCHを表し、
Zは、−O−、−NH−、−S−または−C(=O)−、好ましくは−O−を表し、
501およびR502は、同一または異なっていてもよく、
1−6アルキル基、または
式(i-a)〜(iv)の基からなる群より選択されるいずれかの基を表し、
517、R518、R520および、R521は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
水酸基もしくはフェニル基により置換されていてもよいC1−6アルキル基、
1−8アルコキシ基、
1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、酸素原子もしくはフェニル基により置換されていてもよいC2−6アルケニル基、
1−4アルキル基により置換されていてもよいフェニルカルボニル基、
フェニル基により置換されていてもよいアミノ基、
ニトロ基、または
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員の炭素環式基もしくは複素環式基(この炭素環式基または複素環式基はC1−6アルキル基により置換されていてもよい)を表し、
517とR518、または、R520とR521とは、それらが結合している炭素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員炭素環式基または複素環式基を形成してもよく、
519は、
1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、酸素原子もしくはフェニル基により置換されていてもよいC2−6アルケニル基、
ニトロ基、または
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員の炭素環式基もしくは複素環式基(この炭素環式基または複素環式基はC1−6アルキル基により置換されていてもよい)を表すか、または
518とR519、または、R519とR520とが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ハロゲン原子、C1−6アルコキシカルボニル基または酸素原子により置換されていてもよい、飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基もしくは複素環式基を形成する(この炭素環式基もしくは複素環式基はさらに他の飽和または不飽和の5または6員の炭素環式基または複素環式基と縮合して、R517基が結合している6員炭素環と共に三環式基を形成してもよい)]。
【0108】
本発明の一つのより好ましい実施態様によれば、式(500)において、
519は、
1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、酸素原子もしくはフェニル基により置換されていてもよいC2−6アルケニル基、
ニトロ基、または
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員の炭素環式基もしくは複素環式基(この炭素環式基または複素環式基はC1−6アルキル基により置換されていてもよい)を表す。
【0109】
式(I)の化合物は、塩の形態とすることができ、これを治療および医薬用途に用いる場合には薬学上許容される塩とすることができる。好ましい例としては、ナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩のようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような低級アルキルスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩のようなアリールスルホン酸塩、フマル酸、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、アスコルビン酸塩のような有機酸塩、およびグリシン塩、フェニルアラニン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩などが挙げられる。
【0110】
式(I)の化合物は、溶媒和物とすることができる。このような溶媒和物としては、水和物、アルコール和物(例えば、メタノール和物、エタノール和物)、およびエーテル和物(例えば、ジエチルエーテル和物)が挙げられる。
【0111】
式(I)のTGFβ阻害化合物の製造
式(I)の化合物は、例えば、スキーム1からスキーム13に従って製造できる。式(I)の化合物の合成に必要な出発物質は市販されているか、または常法によって容易に製造できる。なお、スキーム中のR〜R36は上記において定義された内容と同義である。
【0112】
下記スキーム中において、中間体であるキノロン誘導体は、例えば、WO97/17329号等に従って合成することができる。
また、4−クロロキノリン誘導体は、例えば、Org. Synth. Col. Vol.3, 272 (1955), Acta Chim. Hung., 112, 241 (1983) またはWO98/47873号に記載されているような慣用方法に従って合成することができる。
4−クロロキナゾリン誘導体は、J. Am. Chem. Soc., 68, 1299 (1946), J. Am. Chem. Soc., 68, 1305 (1946) や小竹監修、大有機化学、17巻、150頁、朝倉書店(1967年発行)に記載されているような慣用方法に従って合成することができる。
【0113】
式(I)において、Aが式(a4)の基を表す化合物は、例えば、下記スキーム1およびスキーム2に従って製造することができる。
スキーム1:
【化37】

【0114】
スキーム2:
【化38】

【0115】
目的とする4−フェノキシキノリン誘導体、4−アニリノキノリン誘導体、または相当するキナゾリン誘導体は、適当な溶媒(例えばo−ジクロロベンゼン)中または無溶媒中において、フェノール誘導体または相当するアニリン誘導体に対して、4−クロロキノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体を作用させることによって合成することができる。なお上記スキーム1において塩素化剤としては塩化ホスホリルが挙げられる。
【0116】
式(I)において、Aが式(a1)の基を表す化合物(特にオルトケトン類の化合物)は、例えば、下記スキーム3に従って製造することができる。
スキーム3:
【化39】

【0117】
このスキームにおいては、下記のような3通りの経路により、目的とする式(I)の化合物を合成することができる:
(i) 4−クロロキノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、適当な溶媒(例えばo−ジクロロベンゼン)中または無溶媒中において、フェノール誘導体または相当するアニリン誘導体を作用させることにより、目的とする式(I)の化合物を合成することができる(上記工程(1));
(ii) 4−クロロキノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、適当な溶媒(例えばo−ジクロロベンゼン)中または無溶媒中において、オルトブロモフェノール誘導体または相当するオルトブロモアニリン誘導体と反応させ(上記工程(2))、次いで、金属塩基(例えばn−ブチルリチウム)を用いてブロム部位を極性転換し、発生したアニオンと酸クロリドを反応させる(上記工程(3))ことにより、目的とする式(I)の化合物を製造することができる;
(iii) 4−クロロキノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、適当な溶媒(例えばo−ジクロロベンゼン)中または無溶媒中において、オルトヒドロキシベンズアルデヒド誘導体または相当するオルトアミノベンズアルデヒド誘導体と反応させる(上記工程(4))。次いで、そこにアルキル化剤(例えばメチルマグネシウムブロミド)を反応させて(上記工程(5))、生成したアルコールを酸化する(上記工程(6))ことにより、目的とする式(I)の化合物を製造することができる。
【0118】
式(I)において、Aが式(a1)の基を表す化合物(特にアミド化合物)は、例えば、下記スキーム4に従って製造することができる。
スキーム4:
【化40】

【0119】
4−クロロキノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、適当な溶媒(例えばo−ジクロロベンゼン)中または無溶媒中において、オルトヒドロキシ安息香酸エステル誘導体または相当するオルトアミノ安息香酸エステル誘導体を作用させ、エステル型の式(I)の化合物を製造することができる(上記工程(1))。次いで、該エステル型の化合物をアルカリを用いて加水分解し(上記工程(2))、縮合剤(例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)を用いてアミンと反応させる(上記工程(3))ことにより、目的とする式(I)の化合物を合成することができる。
【0120】
式(I)において、7位に所望の置換基を有する化合物は、例えば、下記スキーム5に従って製造することができる。
スキーム5:
【化41】

【0121】
用意した7−ベンジルオキシ−4−クロロキノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、適当な溶媒(例えばo−ジクロロベンゼン)中または無溶媒中において、フェノール誘導体あるいは相当するアニリン誘導体を作用させる(上記工程(1))。次いで、この得られた中間体3に、酸を用いてベンジル基を脱保護して(上記工程(2))、得られた中間体4を塩基存在下アルキル化剤(例えば1ブロモ−2−クロロエタン)と反応させる(上記工程(3))ことにより、目的とする式(I)の化合物を合成することができる。
【0122】
式(I)において Zが−C(=O)−である化合物は、例えば、下記スキーム6に従って製造することができる。
スキーム6:
【化42】

【0123】
用意した4−キノロン誘導体または相当するキナゾロン誘導体に対して、臭素化剤(例えば臭化ホスホリル)を作用させる(上記工程(1))。次いで、金属塩基(例えばn−ブチルリチウム)を用いてブロム部位を極性転換して、発生したアニオンと酸クロリドを反応させる(上記工程(2))ことにより、目的とする式(I)の化合物を製造することができる。
【0124】
式(I)において、Aが式(a4)の基を表し、かつそのR21が置換されていてもよいアルケニル基である化合物は、例えば、下記スキーム7に従って製造することができる。
スキーム7:
【化43】

【0125】
4−クロロキノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、適当な溶媒(例えばo−ジクロロベンゼン)中または無溶媒中において、オルトヒドロキシベンズアルデヒド誘導体または相当するオルトアミノベンズアルデヒド誘導体を作用させ(上記工程(1))、次いで、リンイリドと反応させる(上記工程(2))ことにより、目的とする式(I)の化合物を合成することができる。
【0126】
式(I)において、Aが式(a2)の基を表す化合物は、例えば、下記スキーム8に従って製造することができる。
スキーム8:
【化44】

【0127】
4−クロロキノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、適当な溶媒(例えばo−ジクロロベンゼン)中または無溶媒中において、オルトヒドロキシベンズアルデヒド誘導体または相当するオルトアミノベンズアルデヒド誘導体を作用させて(上記工程(1))、次いで、アミン(R1112NH)と反応させ、イミン形成後に還元する(上記工程(2))ことにより、目的とする式(I)の化合物を合成することができる。
【0128】
式(I)において、Aが式(a4)の基を表し、かつその置換基としてフェニル基により置換されたアミノ基を有する化合物は、例えば、下記スキーム9に従って製造することができる。
スキーム9:
【化45】

【0129】
4−クロロキノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、適当な溶媒(例えばo−ジクロロベンゼン)中または無溶媒中において、オルトニトロフェノール誘導体または相当するオルトニトロアニリン誘導体を作用させ(上記工程(i))、次いで、ニトロ基を還元し(上記工程(ii))、フェニルボロン酸誘導体と反応させる(上記工程(iii))ことにより、目的とする式(I)の化合物を合成することができる。
【0130】
式(I)において、Aが式(a4)の基を表し、かつその置換基として窒素を含む5員環複素環式基を有する化合物は、例えば、下記スキーム10に従って製造することができる。
スキーム10:
【化46】

【0131】
4−クロロキノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、適当な溶媒(例えばo−ジクロロベンゼン)中または無溶媒中において、5−ヒドロキシインドール誘導体または相当する5−アミノインドール誘導体を作用させ(上記工程(i))、次いでそのアミノ基を、アルキル化剤(例えばヨウ化メチル)を用いてアルキル化するか、またはアシル化剤(例えば塩化アセチル)を用いてアシル化することにより(上記工程(ii))、目的とする式(I)の化合物を合成することができる。
【0132】
式(I)において、Aが式(a4)の基を表す化合物は、例えば、下記スキーム11によっても製造することができる。
スキーム11:
【化47】

【0133】
4−クロロキノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、適当な溶媒(例えばo−ジクロロベンゼン)中または無溶媒中において、3−ヒドロキシ−6−ニトロベンズアルデヒド誘導体または相当する5−アミノ−2−ニトロベンズアルデヒド誘導体を作用させ(上記工程(i))、次いでそのホルミル基を還元する(上記工程(ii))。次に、得られた化合物のニトロ基を還元して(上記工程(iii))、そこにカルボニル化剤(例えばトリホスゲン)を作用させる(上記工程(iv))ことにより、目的とする化合物を合成することができる。
【0134】
式(I)において、Aが式(a1)の基を表す化合物は、例えば、下記スキーム12によっても製造することができる。
スキーム12:
【化48】

【0135】
アニソール誘導体を、ルイス酸存在下酸クロリドと作用させ(上記工程(i))、そのメトキシ基を脱保護する(上記工程(ii))。次いで、これを、4−クロロキノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、適当な溶媒(例えばo−ジクロロベンゼン)中または無溶媒中において作用させる(上記工程(iii))ことにより、目的とする化合物を合成することができる。
【0136】
式(I)において、Aがピリジン環、すなわち式(a3)の基を表す化合物は、例えば、下記スキーム13に従って製造することができる。
スキーム13:
【化49】

【0137】
4−クロロキノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、適当な溶媒(例えばo−ジクロロベンゼン)中または無溶媒中において、3−ヒドロキシピリジン誘導体または相当する3−アミノピリジン誘導体を作用させる(上記工程(i))ことにより、目的とする化合物を合成することができる。
【0138】
あるいは、4−クロロキノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、適当な溶媒(例えばo−ジクロロベンゼン)中または無溶媒中において、3−ヒドロキシ−2−ピリジンカルボアルデヒド誘導体または相当する3−アミノ−2−ピリジンカルボアルデヒド誘導体を作用させ(上記工程(ii))、次いでアルキル化剤(例えばメチルマグネシウムブロミド)を反応させる(上記工程(iii))。次に、得られたアルコール性化合物を酸化する(上記工程(iv))ことにより、目的とする化合物を合成することができる。
【0139】
式(II)のTGFβ阻害化合物
本発明の他の好ましい態様によれば、TGFβ阻害化合物は、国際公開第01/72737号パンフレットにおいてTGFβ阻害活性を有することが確認されている下記の式(II)で示される化合物またはその塩とされる:
【0140】
【化50】

【0141】
{上記式中、Rは、ハロ、−O−C1−6アルキル、−S−C1−6アルキル、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−O−(CH−Ph、−S−(CH−Ph、シアノ、フェニルおよびCOR(ここで、Rは水素またはC1−6アルキルであり、nは0、1、2または3である)からなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよいナフチルまたはフェニルであるか、あるいはRは5〜7員の芳香環または非芳香環(ここで、該環はN、OおよびSから独立に選択されるヘテロ原子を3個まで含んでいてもよい)と縮合したフェニルであり;
はH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、フェニル、NH(CH−Ph、NH−C1−6アルキル、ハロ、またはアルコキシであり;
はCOOH、テトラゾール、CN、NO、OH、−S−C1−6アルキル、−SO−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、SONH、CHO、CHOH、(CHNH、CONHOR’、O(CHCOR’、O(CHCONHR’、CONHR’、(CHCOR’、または(CH−CONHR’(ここで、R’は水素またはC1−6アルキルであり、nは0、1、2または3である )であり;かつ、
およびXの一方はNまたはCR”であり、他方はNR”またはCHR”(ここでR”は水素、C1−6アルキル、またはC3−7シクロアルキルである)であるか、あるいはXおよびXの一方がNまたはCR”であるとき、他方はSまたはOであってもよい}。
【0142】
本発明の好ましい実施態様によれば、上記式(II)の化合物としては、Rが、ハロ、−O−C1−6アルキル、−S−C1−6アルキル、C1−6アルキル、−O−(CH−Ph、−S−(CH−Ph、シアノ、フェニルおよびCOR(ここで、Rは水素またはC1−6アルキルであり、nは0、1、2または3である)からなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよいナフチルまたはフェニルであるか、あるいはRが5〜7員の芳香環または非芳香環(ここで、該環はN、OおよびSから独立に選択されるヘテロ原子を2個まで含んでいてもよい)と縮合したフェニルであり;
がH、NH(CH−PhまたはNH−C1−6アルキルであり;かつ
がCOH、CONH、CN、NO、C1−6アルキルチオ、SO−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、SONH、CONHOH、NH、CHO、CHOH、CHNH、またはCOR(ここで、Rは水素またはC1−6アルキルである)である化合物は除かれる。
【0143】
式(II)の点線で示されている二重結合は、互変体環型の化合物を表す。XまたはXのいずれかが炭素であるとき、この二重結合は炭素またはヘテロ原子のいずれかに対するものであり得ると理解される。XおよびXの両者が炭素であるとき、この二重結合はXまたはXのいずれかに対するものであり得る。XおよびXの両者がヘテロ原子であるとき、この二重結合は置換されていないヘテロ原子に対するものである。
【0144】
好ましくは、Rは置換されていてもよいナフチルまたはフェニルである。より好ましくは、Rは、ハロ、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオおよびフェニルからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであるか、あるいはRは5〜7員の芳香環または非芳香環(ここで、該環は、N、OおよびSから独立に選択されるヘテロ原子を2個まで含んでいてもよい)と縮合したフェニル(=Oにより置換されていてもよい)であり、例えば、Rは、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノキサリニル、ベンゾ[1,2,5]オキサジアゾリル、ベンゾ[1,2,5]チアジアゾリル、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾ[1,4]オキサジニル−3−オンまたはベンゾオキサゾリル−2−オンを表す。
【0145】
好ましくは、Rは水素以外のものである。Rが水素以外であるとき、それはピリジル環の窒素に対してオルトに位置するのが好ましい。Rは、好ましくはメチルである。
【0146】
好ましくは、RはCOH、CONH、CONHOH、CHOH、CNまたはテトラゾールである。
【0147】
好ましくは、XおよびXの一方はNまたはCR”であり、他方はNR”またはCHR’であり、ここで、R”は水素、C1−6アルキルまたはC3−7シクロアルキルである(ただし、XおよびXの少なくとも一方はNまたはNR”である)か、あるいはXおよびXの一方がNであり、他方がOである。より好ましくは、XおよびXの一方はNであり、他方はNR”である。
【0148】
好ましくは各R”は水素である。
【0149】
式(II)の化合物は、好ましくは800未満、より好ましくは600未満の分子量を有する。
【0150】
式(II)の具体的化合物としては、以下の化合物およびその塩が挙げられる:
4−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−5−ピリジン−2−イル−1H−イミダゾール−2−イル)フェノール、
4−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−5−ピリジン−2−イル−1H−イミダゾール−2−イル)−N−メチル−ベンズアミド、
4−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−5−ピリジン−2−イル−1H−イミダゾール−2−イル)−N−メトキシ−ベンズアミド、
2−{4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−2−[4−(2H−テトラゾール−5−イル)−フェニル]−1H−イミダゾール−5−イル}−ピリジン、
[4−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−5−ピリジン−2−イル−1H−イミダゾール−2−イル)−フェノキシ]−酢酸、
4−[4−(4−フルオロ−3−メトキシフェニル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル]ベンゾニトリル、
4−[4−(4−フルオロ−3−メトキシフェニル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル]ベンズアミド、
4−[4−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル]ベンゾニトリル、
4−[4−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル]ベンズアミド、
4−[4−ベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール−5−イル−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル]ベンゾニトリル、
4−[4−ベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール−5−イル−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル]ベンズアミド、
4−[4−(6−メトキシナフタレン−2−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル]ベンゾニトリル、
4−[4−(6−メトキシナフタレン−2−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル]ベンズアミド、
4−[4−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール−5−イル−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル]ベンゾニトリル、
4−[4−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール−5−イル−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル]ベンズアミド、
4−[4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル]ベンゾニトリル、
4−[4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル]ベンズアミド、
6−[2−(4−シアノフェニル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−イル]−キノキサリン、および
6−[2−(4−カルボキシアミドフェニル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−イル]−キノキサリン。
【0151】
式(II)の化合物の安定な塩としては、限定されるものではないが、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、臭化水素酸塩、および硝酸塩などの無機酸との塩、またはリンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、パルミチン酸塩、サリチル酸塩、およびステアリン酸塩などの有機酸との塩が挙げられる。治療または医薬用途においては、これらの塩は薬学上許容されるものとすることが好ましい。
【0152】
式(II)の化合物のいくつかは水性溶媒および有機溶媒などの溶媒から結晶化または再結晶させることができる。このような場合、溶媒和物を形成してもよい。前記溶媒和物には、水和物ならびに凍結乾燥などの過程で生じ得る種々の水分量を含んだ化合物をはじめとする化学量論溶媒和物が含まれる。治療または医薬用途においては、これらの溶媒和物は薬学上許容されるものとすることが好ましい。
【0153】
式(II)の化合物の幾つかは、光学異性体、例えばジアステレオ異性体およびあらゆる比率での異性体混合物(例えば、ラセミ混合物)の形態で存在し得る。本発明では、このような総ての形態、特に純粋な異性体を用いることができる。種々の異性体は、常法によりあるものを他のものから分離または分割することもでき、あるいはいずれかの所定の異性体を従来の合成法または立体特異的または不斉合成により得ることもできる。
【0154】
式(II)の化合物は医薬組成物としての使用が意図されることから、実質的に純粋な形態とすることが好ましく、例えば、少なくとも60重量%の純度、より好ましくは少なくとも75重量%の純度、さらに好ましくは少なくとも85重量%の純度、さらに好ましくは少なくとも98重量%の純度とされる。式(II)の化合物の、医薬組成物で用いられるより純粋な形態を調製するために、純度の低い化合物調製物を用いてもよく、このような化合物調製物は、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも5重量%、さらに好ましくは10〜59重量%の式(II)の化合物またはその誘導体を含んでいなければならない。
式(II)の化合物において「C1−6アルキル」とは、単独であれ、より大きな基、例えばC1−6アルコキシの一部であれ、その鎖長が限定されない限り、限定されるものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルをはじめとする、1〜6個の炭素原子の直鎖または分枝鎖の基を意味する。
【0155】
式(II)の化合物において、C1−6ハロアルキル基は1以上のハロ原子、CFをはじめとする特定のC1−6ハロアルキル基を含んでもよい。
【0156】
式(II)の化合物において「ハロ」または「ハロゲン」とは、塩素、フッ素、ヨウ素および臭素元素に由来する基を意味するのに互換的に用いる。
【0157】
式(II)の化合物において「シクロアルキル」とは、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルをはじめとする、好ましくは炭素3〜7個の環式基を意味するのに用いる。
【0158】
式(II)の化合物において「アリール」とは、5〜14員の置換または非置換芳香環、または限定されるものではないがフェニル、ナフチルをはじめ、二環もしくは三環を含む環構造を意味するのに用いる。
【0159】
式(II)のTGFβ阻害化合物の製造
式(II)のTGFβ阻害化合物は、国際公開第01/72737号パンフレットに記載の方法に従って製造することができる。
【0160】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に記載の態様に限定されるものではない。
【0161】
例1:TGFβ阻害化合物の製造
化合物1
4−[4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−5−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル]−ベンズアミド
【0162】
【化51】

国際公開第01/72737号パンフレットの「Example 17」に記載されている方法に従って、表題の化合物を合成した。
【0163】
化合物2
{4−[4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−5−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル]−フェニル}−メタノール
【0164】
【化52】

【0165】
1−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)エタン−1,2−ジオン(2.04g)、テレフタルアルデヒド酸メチル(10ml)、酢酸アンモニウム(3.08g)をTHF/メタノール(10ml/2ml)に溶解し、60℃にて18時間撹拌した。室温に冷却後、減圧下にて溶媒を留去し、残渣に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した後、酢酸エチル層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下にて溶媒を留去し、得られた残渣をクロロホルム−メタノール系のシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、4−[4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−5−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル]安息香酸メチルを得た(1.72g、収率56%)。
【0166】
4−[4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−5−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル]安息香酸メチル(1.72g)をTHF(20ml)に溶解し、−78℃に冷却し、1M DIBAL溶液(20ml)をゆっくり加えた。−78℃にて1時間撹拌した後、反応液に水を加えた。酢酸エチルで抽出した後、酢酸エチル層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下にて溶媒を留去し、得られた残渣をクロロホルム−メタノール系のシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、表題の化合物を得た(1.58g、収率99%)。
【0167】
H−NMR(CDCl,400MHz):δ2.47(s,3H),4.63(s,2H),5.93(s,2H),6.80(d,J=8.0Hz,1H),6.89(d,J=7.6Hz,1H)、7.06−7.09(m,2H),7.25−7.29(m,3H),7.36(m,1H),7.80(d,J=8.0Hz,2H);質量分析値(ESI−MS,m/z): 386(M+1)
【0168】
化合物3
1−[2−(6,7−ジメトキシキノリン−4−イルオキシ)−4,5−ジメチルフェニル]−1−エタノン
【0169】
【化53】

【0170】
4−クロロ−6,7−ジメトキシキノリン(100mg)、4,5−ジメチル−2−ヒドロキシアセトフェノン(220mg)、4−ジメチルアミノピリジン(164mg)をo−ジクロロベンゼン(6ml)に懸濁し、120℃にて24時間撹拌した。室温に冷却後、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、酢酸エチル層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下にて溶媒を留去し、得られた残渣をアセトン−ヘキサン系のカラムクロマトグラフィーで精製することにより、表題の化合物を得た(34mg、収率22%)。
【0171】
H−NMR(CDCl,400MHz):δ2.22(s,3H), 2.26(s,3H), 2.40(s,3H), 3.97(s,3H), 3.98(s,3H), 6.33(d,J=5.4Hz,1H),6.85(s,1H),7.37(s,1H),7.48(s,1H),7.65(s,1H),8.41(d,J=5.4Hz,1H);質量分析値(ESI−MS,m/z):352(M+1)
【0172】
化合物4
4−[(2−ヨード−6−メチル−3−ピリジル)オキシ]−6,7−ジメトキシキノリン
【0173】
【化54】

【0174】
4−クロロ−6,7−ジメトキシキノリン(229mg)、3−ヒドロキシ−2−ヨード−6−メチルピリジン(486mg)、4−ジメチルアミノピリジン(390mg)をo−ジクロロベンゼン(5ml)に懸濁し、140℃にて一晩撹拌した。室温に冷却後、アセトン−クロロホルム系のカラムクロマトグラフィーで精製することにより、表題の化合物を得た(47mg、収率11%)。
【0175】
H−NMR(CDCl,400MHz):δ2.62(s,3H),4.06(s,3H),4.07(s,3H),6.35(d,J=5.4Hz,1H),7.19(d,J=8.1Hz,1H),7.31(d,J=8.1Hz,1H),7.46(s,1H),7.58(s,1H),8.51(d,J=5.4Hz,1H);質量分析値(ESI−MS,m/z):423(M+1)
【0176】
化合物5
1−{2−[7−(2−イミダゾール−1−イルエトキシ)−6−メトキシキノリン−4−イルオキシ]−4,5−ジメチルフェニル}エタノン
【0177】
【化55】

【0178】
7−ベンジルオキシ−4−クロロ−6−メトキシキノリン(1.50g)、2−ヒドロキシ−4,5−ジメチルアセトフェノン(3.63g)、4−ジメチルアミノピリジン(2.71g)をo−ジクロロベンゼン(30ml)に懸濁し、120℃にて一晩撹拌した。室温に冷却後、反応液に水を加え、クロロホルムで抽出した後、クロロホルム層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下にて溶媒を留去し、得られた残渣をアセトン−ヘキサン系の薄層クロマトグラフィーで精製することにより、1−[2−(7−ベンジルオキシ−6−メトキシキノリン−4−イルオキシ)−4,5−ジメチルフェニル]エタノンを得た(1.10g、収率37%)。
【0179】
1−[2−(7−ベンジルオキシ−6−メトキシキノリン−4−イルオキシ)−4,5−ジメチルフェニル]エタノン(1.10g)をメタンスルホン酸(0.85ml)とトリフルオロ酢酸(10ml)の混合溶液に懸濁し、70℃にて1.0時間撹拌した。減圧下にて溶媒を留去し、得られた残渣に水を加え、炭酸水素ナトリウム粉末で中和した後、クロロホルムで抽出した。次いで、クロロホルム層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下にて溶媒を留去し、得られた残渣をアセトン−ヘキサン系のカラムクロマトグラフィーで精製することにより、1−[2−(7−ヒドロキシ−6−メトキシキノリン−4−イルオキシ)−4,5−ジメチルフェニル]エタノン(150mg)および1−ブロモ−2−クロロエタン(700mg)を得た(収率83%)。
【0180】
1−[2−(7−ヒドロキシ−6−メトキシキノリン−4−イルオキシ)−4,5−ジメチルフェニル]エタノン(150mg)、1−ブロモ−2−クロロエタン(191mg)、炭酸カリウム(307mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(6ml)に懸濁し、室温にて一晩撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、酢酸エチル層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下にて溶媒を留去し、得られた残渣をアセトン−ヘキサン系の薄層クロマトグラフィーで精製することにより、1−{2−[7−(2−クロロエトキシ)−6−メトキシキノリン−4−イルオキシ]−4,5−ジメチルフェニル}エタノンを得た(122mg、収率68%)。
【0181】
1−{2−[7−(2−クロロエトキシ)−6−メトキシキノリン−4−イルオキシ]−4,5−ジメチルフェニル}エタノン(52mg)、イミダゾール(49mg)、炭酸カリウム(90mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(2ml)に懸濁し、80℃にて一晩撹拌した。室温に冷却後、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、酢酸エチル層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下にて溶媒を留去し、得られた残渣をメタノール−クロロホルム系の薄層クロマトグラフィーで精製することにより、表題の化合物を得た(29mg、収率52%)。
【0182】
H−NMR(CDCl−d,400MHz):δ2.22(s,3H),2.25(s,3H),2.39(s,3H),3.95(s,3H),4.35(t,J=6.2Hz,2H),4.44(t,J=6.2Hz,2H),6.32(d,J=5.6Hz,1H),6.85(s,1H),7.00(s,1H),7.07(s,1H),7.29(s, 1H),7.49(s,1H),7.63(m,2H),8.40(d,J=5.6Hz,1H);質量分析値(ESI−MS,m/z): 432(M+1)
【0183】
例2:化合物1〜5のTGFβ阻害活性
J. Boil. Chem., 273, 21145-21152 (1998)に記載の方法に準じて、化合物1〜5のTGFβシグナル抑制作用を評価した。
【0184】
具体的には、ルシフェラーゼ遺伝子の上流に、プロモーターとしてTGFβシグナル伝達因子であるSmadの結合配列をタンデムに4個繋げたものをレポーター遺伝子((SBE)4-Luc)として用いた。このレポーター遺伝子を、ヒト肺ガン上皮細胞(A549)(ATCCより入手可能)に導入して、安定的に発現可能な細胞株を構築した。
【0185】
この細胞に、被験化合物と、TGFβ−1(2ng/ml)とを添加して4時間培養した。なおここで被験化合物としては、前記例で合成した本発明による化合物をそれぞれ使用した。培養後、細胞のルシフェラーゼ活性を化学発光法(Steady Glo(商標) Luciferase assay system, プロメガ)により測定した。
【0186】
同様にして、TGFβのみを添加して細胞を培養した場合と、TGFβおよび被験化合物のいずれも添加しないで培養した場合(コントロール)とについてもルシフェラーゼ活性を測定した。
【0187】
これらの測定結果に基づいて、下記の式に従ってTGFβ阻害率(%)を算出した。
【0188】
TGFβ阻害率(%)=(A−B)/(A−C)×100
[式中、A、BおよびCはそれぞれ下記を意味する:
A: TGFβ1を添加し、かつ被験化合物は添加しない場合におけるルシフェラーゼ活性(Relative Luciferase unit)
B: TGFβ1および被験化合物の両方を添加した場合におけるルシフェラーゼ活性(Relative Luciferase unit)
C: TGFβ1および被験化合物を共に添加しない場合におけるルシフェラーゼ活性(Relative Luciferase unit)]
【0189】
試験は、被験化合物の濃度3μMおよび10μMの場合についてそれぞれ行った。
【0190】
結果は、表1に示されるとおりであった。
結果に示されるように、本発明による化合物がTGFβの作用に拮抗する活性を有することが明らかとなった。
【0191】
【表1】

【0192】
例3:血管内皮細胞の細胞増殖に対するTGFβ阻害化合物の促進作用
ES細胞から分化したFlk−1陽性細胞を内皮細胞に分化させる過程においてTGFβ阻害化合物を作用させ、血管内皮細胞の細胞増殖に対するTGFβ阻害化合物の効果を検討した。実験方法及び培養は、前述のYamashitaらの方法(Nature 408: 92-96, 2000)に従った。
【0193】
すなわち、1×104個のES細胞(クローン名:CCE細胞)をES細胞分化用培地(αMEM (GIBCO)、50μM 2−メルカプトエタノール (GIBCO) 、50U/ml ペニシリン/ストレプトマイシン(GIBCO)、10%牛胎児血清(FCS)) に懸濁後、10cm collagen IV-coated plate (IWAKI)上に播種し、5%CO存在下、37℃にて4日間培養を行った。4日後、分化したFlk−1陽性細胞を含む細胞集団より、PE-conjugatedマウス抗Flk−1抗体(Pharmingen)を結合させた後、MACSカラムを用いてFlk−1陽性細胞を分取した。こうして得た1×104個のFlk−1陽性細胞を、被験物質として化合物1(1μM)、化合物4(5μM)または化合物3(5μM)を含む血管分化用培地(αMEM、50μM 2−メルカプトエタノール、50U/ml ペニシリン/ストレプトマイシン、10%FCS、30ng/ml VEGF−A (R&D))に懸濁して、フィブロネクチンコートを行った24穴組織培養用プレート(IWAKI)上に播種し、37℃で3日間培養することにより内皮細胞へと分化させ、被験物質の効果を検討した。
【0194】
3日後、細胞の特徴付けのために以下の方法に従って免疫染色を実施した。細胞をプレートに固定化させるため、上清を吸引後、4%パラホルムアルデヒド(PFA)を加え、室温で5〜10分間静置した。細胞固定化後、PBSで2回洗浄し、0.3%H/メタノールを加え、室温で20〜30分間静置し、脱色させた。脱色後、PBSで2回洗浄し、その後2%スキムミルク/PBSを加え、室温で30分間静置し、ブロッキングを施した。その後、1次抗体として2%スキムミルクで200倍に希釈したラット抗PECAM1抗体(Mec13.3: Pharmingen)及び300倍希釈したマウス抗平滑筋アクチン−α(SMA−α)抗体(1A4: Sigma)を加え、室温で2時間インキュベートした。2時間のインキュベート後、PBS−T(0.05%Tween20を含むPBS)で3回洗浄し、さらに2次抗体として2%スキムミルクでそれぞれ200倍希釈したヤギ抗マウスIgG-HRP(Zymed)とヤギ抗ラットIgG-Alkali Phosphatase (AP)(Zymed)を加え、室温で2時間インキュベートした。2時間のインキュベート後、PBS−T(0.05%Tween20を含むPBS)で3回洗浄し、その後0.025%DABを含むPBS−Tを加え、室温で10〜20分間静置した。SMA−α染色用のHRP発色は、0.15%H/PBS−Tを加えることによって行い、適当な発色(茶色)が得られたところでPBS−Tで2回洗浄し、反応を停止させた。さらに、NBT/BCIP stock solution(Roche)を含むAP液(100mM Tris (pH9.5)、100mM NaCl、50mM MgCl2、5mM Levamisole)を加えることにより、AP染色(PECAM1用)を施した。適当な発色(紫色)が得られたところで、PBS−Tで2回洗浄し、反応を停止させた。検体は、4%パラホルムアルデヒド(PFA)を用いて再度固定化させた後、保存した。
【0195】
その結果、VEGF単独で培養したものと比較し、TGFβ阻害化合物の共存群では、いずれの化合物においても明確な細胞数の増加が認められた。骨格の異なる化合物で同じ結果が得られたことより、本作用はTGFβ阻害化合物に共通の現象であることが示唆された。以上のことより、TGFβ阻害化合物は、血管内皮細胞の細胞増殖に対して促進的に働くことが明らかとなった。
【0196】
例4:TGFβ阻害化合物のもつ血管内皮細胞分化促進作用
ES細胞から分化したFlk−1陽性細胞を内皮細胞に分化させる過程にTGFβ阻害化合物を作用させ、TGFβ阻害化合物の血管内皮細胞分化に対する効果を検討した。実験方法及び培養は例3の方法に従って行ったが、ただし、後半の培養(血管分化用培地での培養)に供したFlk−1陽性細胞の細胞数は1×103個とした。被験物質としては化合物1を用い、後半の培養より終濃度1μMで添加した。
【0197】
まず、例3によって得られた免疫染色データにより、VEGF単独で培養したものと比較し、TGFβ阻害化合物共存下で培養したものは、紫で染色された内皮細胞コロニーが顕著に増加し、さらにそのコロニーも大きいことが分かる。
【0198】
次に、下記の表1は、本例における培養により出現したコロニーを、免疫染色データおよび形態に基づいて、3つの集団(シート状にコロニーを形成した血管内皮細胞群、分散してコロニーを形成した血管内皮細胞群、平滑筋コロニー群)に分類し、コロニーの内訳をまとめたものである。
【0199】
【表2】

【0200】
表1から明らかなように、VEGF単独で培養したものと比較し、TGFβ阻害化合物共存下で培養したものでは、シート状の血管内皮細胞のコロニー形成率が増加し、反対に分散型の血管内皮細胞コロニーおよび平滑筋コロニーの形成率が減少していた。この結果より、TGFβ阻害化合物には、平滑筋細胞への分化に比較し、血管内皮細胞への分化を促進させる作用があることが明らかとなった。
【0201】
例5:TGFβ阻害化合物の細胞間接着性亢進作用
例3により得られた培養細胞の写真を高倍率で拡大したところ、VEGFのみで培養した血管内皮細胞シートでは、細胞と細胞の境界線が不鮮明であったのに対し、TGFβ阻害化合物を含む条件で培養した血管内皮細胞シートでは、細胞と細胞の境界線が明瞭であった。VEGF単独で培養した細胞での結果は、VEGF投与により形成された血管は脆弱で、血管透過性が高い(細胞間接着性が弱い)というin vivoでの知見と一致するものであった。一方で、TGFβ阻害化合物共存下における結果は、TGFβ阻害化合物が脆弱な(細胞間接着性が弱い)血管を正常化させることを示唆するものであった。
【0202】
例6:TGFβ阻害化合物添加によるClaudin5蛋白質の発現亢進
TGFβ阻害化合物として化合物1を用い、例3の実験条件に従って形成された4日目の内皮細胞シートに対し、抗Claudin5染色を実施した。免疫染色は例3の方法に従って行った。抗Claudin5抗体はZymedより入手したものを使用した。
【0203】
その結果、VEGFのみで培養した内皮細胞シートの染色に比し、TGFβ阻害化合物添加により形成されたシートは強く染色され、顕著にClaudin5蛋白質が発現亢進していることが明らかとなった。このことより、例5で観察された血管内皮シート内の細胞間接着性亢進は、Claudin5の発現亢進を介したものであることが示唆された。
【0204】
例7:血管内皮前駆細胞培養に対するTGFβ阻害化合物の効果
ヒト末梢血単核球を血管内皮前駆細胞へ分化・増幅させる培養を行い、そこへTGFβ阻害化合物を添加することにより、TGFβ阻害化合物の血管内皮前駆細胞の分化・増幅培養に対する効果を検討した。被験物質としては、化合物1、2、4および5を用いた。培養はKalkaらの方法(Proc. Natl. Acd. Sci. USA 97: 3422-3427, 2000)に従い、培養3日目から被験物質を添加した。
【0205】
すなわち、健常人ボランティアの末梢血200mlをリン酸緩衝生理食塩水で2倍に希釈した後、リンホプレップ(d=1.077;第一化学薬品社より購入)に重層して、密度勾配比重遠心(400×g、25分間)を行い、単核球画分を得た。この画分をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄後、混入した赤血球を除くために溶血し、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄した。こうして得た単核球を5%のFCSを添加したEGM−2培地(購入時に添付されてきたVEGF、EGF、bFGF、IGF−1、アスコルビン酸、およびGA−1000を添加。Clonetics社製)に懸濁して、あらかじめフィブロネクチンコートを行った24穴組織培養用プレート(Falcon社製)に、5000個/mm、総培地量500μlとなるように播種し、5%CO存在下、37℃にて培養を開始した。被験物質は、ジメチルスルホキシド(DMSO;和光純薬社製)に溶解し、3日目に添加した(被験物質終濃度10μM、DMSO終濃度0.05%)。4日目に、接着していない細胞と培養上清を静かに除き、被験物質をそれぞれ10μMの濃度となるように懸濁した新しいEGM−2培地500μlを添加した。さらに、5%CO存在下、37℃にて3日間培養(計7日間培養)した後、培養上清を除き、DiI標識アセチルLDL(10μg/ml)(Molecular Probes社製)を溶解した新しいEGM−2培地を添加し、37℃で2時間培養を行い、DiI標識アセチルLDLを取り込ませた。その後、上清を除去し、洗浄および固定化を行なった後、100倍希釈したFITC標識化UEA−1(Sigma社製)を添加し、室温で1時間反応させ、洗浄した。その後、それぞれのウェルを蛍光顕微鏡で観察した。陽性対照にはヒト臍帯静脈内皮細胞(Clonetics社より入手)を用い、陰性対照にBalb/c 3T3細胞(アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)より入手)を用いた。顕微鏡観察において、倍率200倍で5視野観察し、DiI標識アセチルLDLの取り込みおよびFITC標識化UEA−1染色の二重染色像が確認された紡錘形細胞を血管内皮前駆細胞として、その細胞数を数えた。
【0206】
結果を図1に示した。図1から明らかなように、被験物質はいずれも、10μMの濃度で血管内皮前駆細胞数を増加させた。
【0207】
例8:TGFβ阻害活性を有する化合物のin vivo血管新生促進作用
TGFβ阻害化合物の血管新生に対する作用を評価するため、マトリゲル・プラグ・アッセイを実施した。1mlのマトリゲル(BD Biosciences Bedford, MA)に400ngのhuman basic FGF(R&D)、50μgのheparin(アヴェンティス・ファーマ株式会社)および被験物質としての化合物1(終濃度1μM)(もしくはDMSO)を氷上で加え、調製されたゲルをBL/6マウスの下腹部皮下に0.2mlずつ注射した。6〜8日後、マトリゲル中に陥入した血管を実体顕微鏡で観察した。
【0208】
その結果、bFGF単独の対照と比較し、TGFβ阻害化合物を含むマトリゲル内において、顕著な血管数の増加が認められ、TGFβ阻害化合物に血管新生促進作用があることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、血管内皮前駆細胞の増幅培養に対するTGFβ阻害化合物の効果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞または細胞画分を、TGFβ阻害活性を有する化合物を含んでなる培地において培養することを含んでなる、血管内皮前駆細胞または血管内皮細胞の製造方法。
【請求項2】
細胞または細胞画分がFlk−1細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Flk−1細胞が胚幹細胞から得られたものである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
細胞または細胞画分が単核球画分である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
単核球画分が末梢血または臍帯血から得られたものである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
末梢血がG−CSFまたはGM−CSFを投与したヒトから得られたものである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
細胞または細胞画分がCD34細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
CD34細胞が末梢血または臍帯血由来の単核球画分から得られたものである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
末梢血がG−CSFまたはGM−CSFを投与したヒトから得られたものである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
細胞または細胞画分がAC133細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
AC133細胞が末梢血または臍帯血由来の単核球画分から得られたものである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
末梢血がG−CSFまたはGM−CSFを投与したヒトから得られたものである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
培地が、VEGF−A、VEGF−C、VEGF−E、aFGF、bFGF、EGF、TGFα、PD−ECGF、PDGF、TNFα、HGF、およびIGF−1からなる群より選択される少なくとも一種のサイトカインをさらに含んでなるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
培地が、VEGF−A、VEGF−C、およびVEGF−Eからなる群より選択される少なくとも一種のサイトカインを含んでなるものである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
培地が、VEGF−A、VEGF−C、およびVEGF−Eからなる群より選択される少なくとも一種のサイトカイン、ならびにbFGF、IGF−1およびEGFを含んでなるものである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
TGFβ阻害活性を有する化合物が、式(I)の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物である、請求項1に記載の方法:
【化1】

[上記式(I)中、
Xは、CHまたはNを表し、
Zは、−O−、−NH−、−S−または−C(=O)−を表し、
およびRは、同一または異なっていてもよく、水素原子、−(CH)m−Rで表し{ここでRは、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、飽和もしくは不飽和の3〜6員の炭素環式基もしくは複素環式基、または−NR(RおよびRは、同一または異なっていてもよく、水素原子、または水酸基により置換されていてもよいC1−6アルキル基を表し、RとRとは、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員複素環式基を形成していてもよく(この複素環式基は1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい)、この複素環式基は、水酸基に置換されていてもよいC1−4アルキル基、または飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよい)を表し、mは1〜5の整数を表し、かつ、この基におけるアルキル鎖部分−(CH)m−は、水酸基、酸素原子、または−OR基(ここでRはC1−4アルキル基またはC1−4アルキルカルボニル基を表す)により置換されていてもよい}、
Aは、下式(a1)〜(a4)からなる群より選択されるいずれかの基を表す:
(1) 式(a1)の基:
【化2】

(上記式(a1)において、
〜Rは、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
1−6アルキル基、
ハロゲン原子またはフェニル基により置換されていてもよいC1−10アルコキシ基、
2−6アルケニルカルボニルオキシ基、
1−4アルキルカルボニル基、または
ハロゲン原子により置換されていてもよいフェニル基を表し、
とR、RとR、およびRとRとはそれぞれ、それらが結合している炭素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員炭素環式基または複素環式基を形成してもよく、
は、
水素原子、
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基により置換されていてもよいC1−8アルキル基、
フェニル基により置換されていてもよいC2−6アルケニル基、
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員の炭素環式基もしくは複素環式基(この炭素環式基または複素環式基はC1−4アルキル基により置換されていてもよい)、または
下記式(a1-i)または(a1-ii)、のいずれかの基を表し:
【化3】

(上記式において、
は、
フェニル基により置換されていてもよいC1−10アルキル基、
2−8アルケニル基、または
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基(この炭素環式基はハロゲン原子により置換されていてもよい)を表し、
およびR10は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
1−6アルキル基、
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基(この炭素環式基はハロゲン原子により置換されていてもよい)、または
ハロゲン原子により置換されていてもよいナフチルを表し、
とR10とは、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基を形成していてもよく(この複素環式基は1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい)、この複素環式基は、水酸基に置換されていてもよいC1−4アルキル基、または飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよい)、
(2) 式(a2)の基:
【化4】

(上記式(a2)において、
〜Rは、上記式(a1)と同じであり、
11およびR12は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
1−6アルキル基、
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基(この炭素環式基はハロゲン原子により置換されていてもよい)、または
ハロゲン原子により置換されていてもよいナフチルを表し、
11とR12とは、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基を形成していてもよく(この複素環式基は1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい)、この複素環式基は、水酸基に置換されていてもよいC1−4アルキル基、または飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよい)、
(3) 式(a3)の基:
【化5】

(上記式(a3)において、
13〜R16は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
1−6アルキル基、
1−8アルコキシ基、
1−4アルキルカルボニル基、または
フェニルカルボニル基を表し、
13とR14、およびR14とR15とはそれぞれ、それらが結合している炭素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員炭素環式基または複素環式基を形成してもよい)、および
(4) 式(a4)の基:
【化6】

(上記式(a4)において、
17〜R21は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
水酸基もしくはフェニル基により置換されていてもよいC1−6アルキル基、
1−8アルコキシ基、
1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、酸素原子もしくはフェニル基により置換されていてもよいC2−6アルケニル基、
1−4アルキル基により置換されていてもよいフェニルカルボニル基、
フェニル基により置換されていてもよいアミノ基、
ニトロ基、または
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員の炭素環式基もしくは複素環式基(この炭素環式基または複素環式基はC1−6アルキル基により置換されていてもよい)を表し、
17とR18、または、R20とR21とは、それらが結合している炭素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員炭素環式基または複素環式基を形成してもよく、
18とR19、または、R19とR20とは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ハロゲン原子、C1−4アルキル基、C1−4アルキルカルボニル基、C1−6アルコキシカルボニル基または酸素原子により置換されていてもよい、飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基もしくは複素環式基を形成してもよく、この炭素環式基もしくは複素環式基はさらに他の飽和または不飽和の5または6員の炭素環式基または複素環式基と縮合して、式(a4)の6員炭素環と共に三環式基を形成してもよい)]。
【請求項17】
TGFβ阻害活性を有する化合物が、式(II)の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物である、請求項1に記載の方法:
【化7】

{式中、Rは、ハロ、−O−C1−6アルキル、−S−C1−6アルキル、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−O−(CH−Ph、−S−(CH−Ph、シアノ、フェニルおよびCOR(ここで、Rは水素またはC1−6アルキルであり、nは0、1、2または3である)からなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよいナフチルまたはフェニルであるか、あるいはRは5〜7員の芳香環または非芳香環(ここで、該環はN、OおよびSから独立に選択されるヘテロ原子を3個まで含んでいてもよい)と縮合したフェニルであり;
はH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、フェニル、NH(CH−Ph、NH−C1−6アルキル、ハロ、またはアルコキシであり;
はCOOH、テトラゾール、CN、NO、OH、−S−C1−6アルキル、−SO−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、SONH、CHO、CHOH、(CHNH、CONHOR’、O(CHCOR’、O(CHCONHR’、CONHR’、(CHCOR’、または(CH−CONHR’(ここで、R’は水素またはC1−6アルキルであり、nは0、1、2または3である )であり;かつ、
およびXの一方はNまたはCR”であり、他方はNR”またはCHR”(ここでR”は水素、C1−6アルキル、またはC3−7シクロアルキルである)であるか、あるいはXおよびXの一方がNまたはCR”であるとき、他方はSまたはOであってもよい}。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法により製造された血管内皮前駆細胞または血管内皮細胞を含んでなる、虚血性疾患を治療するための医薬組成物。
【請求項19】
虚血性疾患が、外傷、移植時の拒絶反応、虚血性脳血管障害、虚血性腎疾患、虚血性肺疾患、感染症に関連する虚血性疾患、四肢の虚血性疾患、および虚血性心疾患からなる群より選択されるものである、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
TGFβ阻害活性を有する化合物を含んでなる、虚血性疾患を治療するための医薬組成物。
【請求項21】
虚血性疾患が、外傷、移植時の拒絶反応、虚血性脳血管障害、虚血性腎疾患、虚血性肺疾患、感染症に関連する虚血性疾患、四肢の虚血性疾患、および虚血性心疾患からなる群より選択されるものである、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
VEGF−A、VEGF−C、VEGF−E、aFGF、bFGF、EGF、TGFα、PD−ECGF、PDGF、TNFα、HGF、およびIGF−1からなる群より選択される少なくとも一種のサイトカインをさらに含んでなる、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項23】
VEGF−A、VEGF−C、およびVEGF−Eからなる群より選択される少なくとも一種のサイトカインを含んでなる、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
VEGF−A、VEGF−C、およびVEGF−Eからなる群より選択される少なくとも一種のサイトカイン、ならびにbFGF、IGF−1およびEGFを含んでなる、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
TGFβ阻害活性を有する化合物が、式(I)の化合物、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物である、請求項20に記載の医薬組成物:
【化8】

[上記式(I)中、
Xは、CHまたはNを表し、
Zは、−O−、−NH−、−S−または−C(=O)−を表し、
およびRは、同一または異なっていてもよく、水素原子、−(CH)m−Rで表し{ここでRは、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、飽和もしくは不飽和の3〜6員の炭素環式基もしくは複素環式基、または−NR(RおよびRは、同一または異なっていてもよく、水素原子、または水酸基により置換されていてもよいC1−6アルキル基を表し、RとRとは、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員複素環式基を形成していてもよく(この複素環式基は1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい)、この複素環式基は、水酸基に置換されていてもよいC1−4アルキル基、または飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよい)を表し、mは1〜5の整数を表し、かつ、この基におけるアルキル鎖部分−(CH)m−は、水酸基、酸素原子、または−OR基(ここでRはC1−4アルキル基またはC1−4アルキルカルボニル基を表す)により置換されていてもよい}、
Aは、下式(a1)〜(a4)からなる群より選択されるいずれかの基を表す:
(1) 式(a1)の基:
【化9】

(上記式(a1)において、
〜Rは、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
1−6アルキル基、
ハロゲン原子またはフェニル基により置換されていてもよいC1−10アルコキシ基、
2−6アルケニルカルボニルオキシ基、
1−4アルキルカルボニル基、または
ハロゲン原子により置換されていてもよいフェニル基を表し、
とR、RとR、およびRとRとはそれぞれ、それらが結合している炭素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員炭素環式基または複素環式基を形成してもよく、
は、
水素原子、
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基により置換されていてもよいC1−8アルキル基、
フェニル基により置換されていてもよいC2−6アルケニル基、
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員の炭素環式基もしくは複素環式基(この炭素環式基または複素環式基はC1−4アルキル基により置換されていてもよい)、または
下記式(a1-i)または(a1-ii)、のいずれかの基を表し:
【化10】

(上記式において、
は、
フェニル基により置換されていてもよいC1−10アルキル基、
2−8アルケニル基、または
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基(この炭素環式基はハロゲン原子により置換されていてもよい)を表し、
およびR10は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
1−6アルキル基、
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基(この炭素環式基はハロゲン原子により置換されていてもよい)、または
ハロゲン原子により置換されていてもよいナフチルを表し、
とR10とは、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基を形成していてもよく(この複素環式基は1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい)、この複素環式基は、水酸基に置換されていてもよいC1−4アルキル基、または飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよい)、
(2) 式(a2)の基:
【化11】

(上記式(a2)において、
〜Rは、上記式(a1)と同じであり、
11およびR12は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
1−6アルキル基、
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基(この炭素環式基はハロゲン原子により置換されていてもよい)、または
ハロゲン原子により置換されていてもよいナフチルを表し、
11とR12とは、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基を形成していてもよく(この複素環式基は1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい)、この複素環式基は、水酸基に置換されていてもよいC1−4アルキル基、または飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよい)、
(3) 式(a3)の基:
【化12】

(上記式(a3)において、
13〜R16は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
1−6アルキル基、
1−8アルコキシ基、
1−4アルキルカルボニル基、または
フェニルカルボニル基を表し、
13とR14、およびR14とR15とはそれぞれ、それらが結合している炭素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員炭素環式基または複素環式基を形成してもよい)、および
(4) 式(a4)の基:
【化13】

(上記式(a4)において、
17〜R21は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
水酸基もしくはフェニル基により置換されていてもよいC1−6アルキル基、
1−8アルコキシ基、
1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、酸素原子もしくはフェニル基により置換されていてもよいC2−6アルケニル基、
1−4アルキル基により置換されていてもよいフェニルカルボニル基、
フェニル基により置換されていてもよいアミノ基、
ニトロ基、または
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員の炭素環式基もしくは複素環式基(この炭素環式基または複素環式基はC1−6アルキル基により置換されていてもよい)を表し、
17とR18、または、R20とR21とは、それらが結合している炭素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員炭素環式基または複素環式基を形成してもよく、
18とR19、または、R19とR20とは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ハロゲン原子、C1−4アルキル基、C1−4アルキルカルボニル基、C1−6アルコキシカルボニル基または酸素原子により置換されていてもよい、飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基もしくは複素環式基を形成してもよく、この炭素環式基もしくは複素環式基はさらに他の飽和または不飽和の5または6員の炭素環式基または複素環式基と縮合して、式(a4)の6員炭素環と共に三環式基を形成してもよい)]。
【請求項26】
TGFβ阻害活性を有する化合物が、式(II)の化合物、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物である、請求項20に記載の医薬組成物:
【化14】

{式中、Rは、ハロ、−O−C1−6アルキル、−S−C1−6アルキル、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−O−(CH−Ph、−S−(CH−Ph、シアノ、フェニルおよびCOR(ここで、Rは水素またはC1−6アルキルであり、nは0、1、2または3である)からなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよいナフチルまたはフェニルであるか、あるいはRは5〜7員の芳香環または非芳香環(ここで、該環はN、OおよびSから独立に選択されるヘテロ原子を3個まで含んでいてもよい)と縮合したフェニルであり;
はH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、フェニル、NH(CH−Ph、NH−C1−6アルキル、ハロ、またはアルコキシであり;
はCOOH、テトラゾール、CN、NO、OH、−S−C1−6アルキル、−SO−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、SONH、CHO、CHOH、(CHNH、CONHOR’、O(CHCOR’、O(CHCONHR’、CONHR’、(CHCOR’、または(CH−CONHR’(ここで、R’は水素またはC1−6アルキルであり、nは0、1、2または3である )であり;かつ、
およびXの一方はNまたはCR”であり、他方はNR”またはCHR”(ここでR”は水素、C1−6アルキル、またはC3−7シクロアルキルである)であるか、あるいはXおよびXの一方がNまたはCR”であるとき、他方はSまたはOであってもよい}。
【請求項27】
TGFβ阻害活性を有する化合物を含んでなる、血管透過性の亢進を伴う疾患において血管透過性を改善するための医薬組成物。
【請求項28】
血管透過性の亢進を伴う疾患が、糖尿病性細小血管症、糖尿病性大血管症、血管性脳浮腫、細胞毒性脳浮腫、全身浮腫、網膜浮腫、肺水腫、および糖尿病からなる群より選択されるものである、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
TGFβ阻害活性を有する化合物が、式(I)の化合物、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物である、請求項27に記載の医薬組成物:
【化15】

[上記式(I)中、
Xは、CHまたはNを表し、
Zは、−O−、−NH−、−S−または−C(=O)−を表し、
およびRは、同一または異なっていてもよく、水素原子、−(CH)m−Rで表し{ここでRは、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、飽和もしくは不飽和の3〜6員の炭素環式基もしくは複素環式基、または−NR(RおよびRは、同一または異なっていてもよく、水素原子、または水酸基により置換されていてもよいC1−6アルキル基を表し、RとRとは、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員複素環式基を形成していてもよく(この複素環式基は1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい)、この複素環式基は、水酸基に置換されていてもよいC1−4アルキル基、または飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよい)を表し、mは1〜5の整数を表し、かつ、この基におけるアルキル鎖部分−(CH)m−は、水酸基、酸素原子、または−OR基(ここでRはC1−4アルキル基またはC1−4アルキルカルボニル基を表す)により置換されていてもよい}、
Aは、下式(a1)〜(a4)からなる群より選択されるいずれかの基を表す:
(1) 式(a1)の基:
【化16】

(上記式(a1)において、
〜Rは、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
1−6アルキル基、
ハロゲン原子またはフェニル基により置換されていてもよいC1−10アルコキシ基、
2−6アルケニルカルボニルオキシ基、
1−4アルキルカルボニル基、または
ハロゲン原子により置換されていてもよいフェニル基を表し、
とR、RとR、およびRとRとはそれぞれ、それらが結合している炭素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員炭素環式基または複素環式基を形成してもよく、
は、
水素原子、
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基により置換されていてもよいC1−8アルキル基、
フェニル基により置換されていてもよいC2−6アルケニル基、
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員の炭素環式基もしくは複素環式基(この炭素環式基または複素環式基はC1−4アルキル基により置換されていてもよい)、または
下記式(a1-i)または(a1-ii)、のいずれかの基を表し:
【化17】

(上記式において、
は、
フェニル基により置換されていてもよいC1−10アルキル基、
2−8アルケニル基、または
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基(この炭素環式基はハロゲン原子により置換されていてもよい)を表し、
およびR10は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
1−6アルキル基、
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基(この炭素環式基はハロゲン原子により置換されていてもよい)、または
ハロゲン原子により置換されていてもよいナフチルを表し、
とR10とは、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基を形成していてもよく(この複素環式基は1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい)、この複素環式基は、水酸基に置換されていてもよいC1−4アルキル基、または飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよい)、
(2) 式(a2)の基:
【化18】

(上記式(a2)において、
〜Rは、上記式(a1)と同じであり、
11およびR12は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
1−6アルキル基、
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基(この炭素環式基はハロゲン原子により置換されていてもよい)、または
ハロゲン原子により置換されていてもよいナフチルを表し、
11とR12とは、それらが結合している窒素原子と一緒になって飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基を形成していてもよく(この複素環式基は1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい)、この複素環式基は、水酸基に置換されていてもよいC1−4アルキル基、または飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環式基により置換されていてもよい)、
(3) 式(a3)の基:
【化19】

(上記式(a3)において、
13〜R16は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
1−6アルキル基、
1−8アルコキシ基、
1−4アルキルカルボニル基、または
フェニルカルボニル基を表し、
13とR14、およびR14とR15とはそれぞれ、それらが結合している炭素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員炭素環式基または複素環式基を形成してもよい)、および
(4) 式(a4)の基:
【化20】

(上記式(a4)において、
17〜R21は、同一または異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
水酸基もしくはフェニル基により置換されていてもよいC1−6アルキル基、
1−8アルコキシ基、
1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、酸素原子もしくはフェニル基により置換されていてもよいC2−6アルケニル基、
1−4アルキル基により置換されていてもよいフェニルカルボニル基、
フェニル基により置換されていてもよいアミノ基、
ニトロ基、または
飽和もしくは不飽和の5もしくは6員の炭素環式基もしくは複素環式基(この炭素環式基または複素環式基はC1−6アルキル基により置換されていてもよい)を表し、
17とR18、または、R20とR21とは、それらが結合している炭素原子と一緒になって飽和または不飽和の5または6員炭素環式基または複素環式基を形成してもよく、
18とR19、または、R19とR20とは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ハロゲン原子、C1−4アルキル基、C1−4アルキルカルボニル基、C1−6アルコキシカルボニル基または酸素原子により置換されていてもよい、飽和もしくは不飽和の5もしくは6員炭素環式基もしくは複素環式基を形成してもよく、この炭素環式基もしくは複素環式基はさらに他の飽和または不飽和の5または6員の炭素環式基または複素環式基と縮合して、式(a4)の6員炭素環と共に三環式基を形成してもよい)]。
【請求項30】
TGFβ阻害活性を有する化合物が、式(II)の化合物、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物である、請求項27に記載の医薬組成物:
【化21】

{式中、Rは、ハロ、−O−C1−6アルキル、−S−C1−6アルキル、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−O−(CH−Ph、−S−(CH−Ph、シアノ、フェニルおよびCOR(ここで、Rは水素またはC1−6アルキルであり、nは0、1、2または3である)からなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよいナフチルまたはフェニルであるか、あるいはRは5〜7員の芳香環または非芳香環(ここで、該環はN、OおよびSから独立に選択されるヘテロ原子を3個まで含んでいてもよい)と縮合したフェニルであり;
はH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、フェニル、NH(CH−Ph、NH−C1−6アルキル、ハロ、またはアルコキシであり;
はCOOH、テトラゾール、CN、NO、OH、−S−C1−6アルキル、−SO−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、SONH、CHO、CHOH、(CHNH、CONHOR’、O(CHCOR’、O(CHCONHR’、CONHR’、(CHCOR’、または(CH−CONHR’(ここで、R’は水素またはC1−6アルキルであり、nは0、1、2または3である )であり;かつ、
およびXの一方はNまたはCR”であり、他方はNR”またはCHR”(ここでR”は水素、C1−6アルキル、またはC3−7シクロアルキルである)であるか、あるいはXおよびXの一方がNまたはCR”であるとき、他方はSまたはOであってもよい}。

【図1】
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【公開番号】特開2006−217801(P2006−217801A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−7547(P2003−7547)
【出願日】平成15年1月15日(2003.1.15)
【出願人】(000253503)麒麟麦酒株式会社 (247)
【出願人】(899000024)株式会社東京大学TLO (50)
【Fターム(参考)】