説明

TLRアゴニスト

【課題】TLR誘発シグナル伝達を増大させる化合物、即ち、ウイルス又は細菌によるインターフェロン産生阻害を妨げるか、又はTLRアゴニストを使用して先天免疫系を調整する機能を有する化合物を提供する。
【解決手段】本発明は、TLRアゴニスト結合体(化合物)及び組成物、並びにこれらを使用する方法を提供する。本発明の化合物は、合成免疫調整剤の広域スペクトル、長期作用型及び無毒性の組み合わせであり、これらは、哺乳動物、好ましくはヒトの免疫系を活性化するのに有用であり、且つ標的細胞のエンドソーム内の受容体にファーマコフォア(pharmacophore)を向け、ファーマコフォアにより誘発されるシグナル伝達を強化するのを助ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2005年8月22日に出願された米国仮出願第60/710,337号(この出願は、参考として本明細書に援用される)からの優先権を主張する。
【0002】
(政府の資金援助)
本明細書に記載の発明は、国立医薬品食品衛生研究所の承認を受け、補助金番号3 UO1 AI056453−01により連邦政府の支援を受けて行われたものである。連邦政府は、本発明における特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
過去十年間に微生物病原体を生得的に認識する分子的基礎に関して、多くの知見が得られてきた。多くの体細胞は、適応免疫系から独立して、潜在的な病原体を検出する一連のパターン認識受容体を発現することが一般的に認められている(非特許文献1)。これらの受容体は病原体関連分子パターン(PAMP)と呼ばれる微生物の構成要素と相互作用すると考えられている。PAMPの例には、ペプチドグリカン、グラム陽性菌細胞壁由来のリポテイコ酸、(微生物の炭水化物では一般的であるがヒトでは稀である)糖マンノース、細菌DNA、ウイルス由来二本鎖RNA、及び真菌細胞壁由来グルカンが含まれる。PAMPは一般的に以下のような特定の基準を満たす:(a)微生物では発現するものの、哺乳動物の宿主では発現しない、(b)広範な病原体で構造が保存されている、及び(c)天然免疫を刺激する機能を有する。toll様受容体(TLR)は、PAMPの検出において、及び微生物感染に対する初期反応において中心的な役割を果たすことが判明している(非特許文献2)。10種類の哺乳動物TLR、及びこれらの幾つかのアゴニストが同定されている。例えば、TLR7及びTLR9はそれぞれ、イミキモド及び免疫刺激CpGオリゴヌクレオチド(ISS−ODN)を認識し、これに反応する。合成免疫調整剤R−848(レシキモド)は、TLR7及びTLR8の両方を活性化する。TLRの刺激は(アダプタータンパク質MyD88、転写因子NF−κB、並びに炎症性及びエフェクターサイトカインに関係する)一般的なシグナル伝達カスケードを開始し、特定の細胞型は特定のTLRを産生する傾向がある。例えば、TLR7及びTLR9は主に、樹状細胞(DC)及びBリンパ細胞内のエンドソームの内面に存在する(ヒトの場合。マウスではマクロファージがTLR7及びTLR9を発現する)。一方で、TLR8はヒトの血液単球に存在する(非特許文献3を参照)。
インターフェロン(INF)も、特にウイルス感染後の免疫反応の効果的な誘導に関連する(非特許文献4)。しかし、多くのウイルスは、種々のレベルでインターフェロンの産生又は作用を阻害する種々のタンパク質を産生する。インターフェロン拮抗作用は、先天免疫及び適応免疫を回避する一般的な戦略の一部と考えられている(非特許文献5を参照)。TLRアゴニスト(TLR−L)は一部の治療法では十分に有効となる場合があるが、一部の例では微生物のインターフェロンアンタゴニストが合成TLR−Lのアジュバント効果を緩和する可能性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Janewayら、Annu Rev Immunol,(2002)20:197−216
【非特許文献2】Underhillら、Curr Opin Immunol,(2002)14:103−110
【非特許文献3】Hornungら、J. Immunol,(2002)168:4531−4537
【非特許文献4】Brassardら、J.Leukoc Biol,(2002)71:568−581
【非特許文献5】Levyら、Cytokine Growth Factor Rev,(2001)12:143−156
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、TLR誘発シグナル伝達を増大させる化合物、即ち、ウイルス又は細菌によるインターフェロン産生阻害を妨げるか、又はTLRアゴニストを使用して先天免疫系を調整する機能を有する化合物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、TLRアゴニスト結合体(化合物)及び組成物、並びにこれらを使用する方法を提供する。本発明の化合物は、合成免疫調整剤の広域スペクトル、長期作用型及び無毒性の組み合わせであり、これらは、哺乳動物、好ましくはヒトの免疫系を活性化するのに有用であり、且つ標的細胞のエンドソーム内の受容体にファーマコフォア(pharmacophore)を向け、ファーマコフォアにより誘発されるシグナル伝達を強化するのを助ける。本発明の化合物は、補助基に共有結合したファーマコフォアを含む。従って、以下の化学式(I)の化合物であって:
【0007】
【化1】

式中、Xが−O−、−S−、又は−NR−であり;
が水素、C1−10アルキル、又はC3−6シクロアルキルで置換されるC1−10アルキルであるか、或いはR及びRが、窒素原子と一緒になって、複素環式環又は置換複素環式環を形成してもよく、該置換基がヒドロキシ、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキレン、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキレン、又はシアノであり;
が(C−C10)アルキル、置換(C−C10)アルキル、C6−10アリール、又は置換C6−10アリール、C5−9複素環、置換C5−9複素環であり;
各Rが独立して水素、−OH、(C−C)アルキル、置換(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、置換(C−C)アルコキシ、−C(O)−(C−C)アルキル(アルカノイル)、置換−C(O)−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C10)アリール(アロイル)、置換C(O)−(C−C10)アリール、−C(O)OH(カルボキシル)、−C(O)O(C−C)アルキル(アルコキシカルボニル)、置換−C(O)O(C−C)アルキル、−NR、−C(O)NR(カルバモイル)、置換−C(O)NR、ハロ、ニトロ、又はシアノであり;
各R及びRが独立して、水素、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル、(C−C)アルカノイル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、アリール、アリール(C−C)アルキル、Het、Het(C−C)アルキル、又は(C−C)アルコキシカルボニルであり;
が結合又は結合基であり;及びRが補助基であり;
nが1、2、3又は4であり;mが1又は2であり;qが1又は2である、
化合物;
或いはその薬学的に許容される塩である、本発明の化合物が提供される。
【0008】
補助基は、炭素原子、酸素原子、水素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子からなる有機分子を含んでもよい。これらの基は体組織に有害ではない(例えば、これらは無毒であるか、及び/又は炎症を起こさない)。
【0009】
更に、本発明は又、化学式(I)の化合物の少なくとも1つ又はその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される希釈剤又は担体と共に含む薬学的組成物も提供する。
【0010】
一実施形態において、本発明は、ヒト等の哺乳動物における病態又は症状を予防又は処置する治療法であって、TLRの活性が関与しており、TLRの作用が望まれ、このような処置を必要とする哺乳動物に、化学式(I)の化合物の有効量又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。処置に好適である病態又は症状の非限定的な例には、癌の処置、細菌又はウイルス性疾患の処置、自己免疫疾患の処置、及びクローン病の処置が含まれる。
【0011】
本発明の化合物は又、細菌、ウイルス、癌細胞、癌特異的ペプチドに対するワクチン、癌に対するモノクローナル抗体のエンハンサー、中枢興奮薬、バイオ防衛のためのワクチンの調製に使用することができる。
【0012】
本発明は、医学療法に使用する(例えば、抗癌剤、細菌性疾患の治療薬、C型肝炎及びB型肝炎等のウイルス性疾患の治療薬、クローン病の治療薬、免疫疾患を処置するための治療薬として使用する)化学式(I)の化合物を提供する。更に、化学式(I)の化合物は、C型肝炎及びB型肝炎による発癌を予防すること、並びに化学式(I)の化合物を使用して、ヒト等の哺乳動物における癌、ウイルス性疾患、クローン病、及び免疫疾患の処置に有用な医薬品を製造することも提案する。
【0013】
特定の実施形態において、本発明は、化学式(I)のTLRアゴニスト化合物を投与することによって、哺乳動物におけるウイルス感染を処置する方法を提供する。ウイルス感染はRNAウイルス、TLRアゴニストとして作用するRNAウイルスの生成物、及び/又はDNAウイルスにより生じる。処置する特定のDNAウイルスは、B型肝炎ウイルスである。
【0014】
別の特定の実施形態において、本発明は、化学式(I)のTLRアゴニスト化合物の有効量を投与することによって、癌を処置する方法を提供する。癌は、例えば白血病、リンパ腫、骨髄腫、メラノーマ、又は腎臓癌等のインターフェロン感受性癌であってもよい。
【0015】
別の特定の実施形態において、本発明は、化学式(I)のTLRアゴニスト化合物又はこのような化合物の薬学的に許容される塩の有効量を投与することによって、自己免疫疾患を処置する方法を提供する。特定の自己免疫疾患は、多発性硬化症、狼瘡、関節リウマチ等である。
【0016】
特定の実施形態において、本発明は、化学式(I)のTLRアゴニスト化合物を投与することによって、クローン病を処置する方法を提供する。
【0017】
TLRアゴニストは、単官能TLRアゴニストポリマーであってよく、TLR−7アゴニスト又はTLR−8アゴニストから構成されてもよい。TLR7アゴニストは、7−チア−8−オキソグアノシニル(TOG)部分、7−デアザグアノシニル(7DG)部分、レシキモド部分、又はイミキモド部分であってもよい。TLR8アゴニストは、レシキモド部分であってよい。別の態様において、TLRアゴニストは、ヘテロ官能TLRアゴニストポリマーである。ヘテロ官能TLRアゴニストポリマーは、TLR−7アゴニスト及びTLR−8アゴニスト又はTLR−9アゴニスト、或いは3つのアゴニスト全てを含んでもよい。ヘテロ官能TLRアゴニストポリマーは、TLR−8アゴニスト及びTLR−9アゴニストを含んでもよい。
本発明は又、化学式(I)の化合物又はその塩を調製するのに有用である、本明細書に開示されるプロセス及び中間物も提供する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する:
(項目1)
化学式(IA):
【化2】

を有する化合物であって、
式中、Xが−O−、−S−、又は−NR−であり;
が水素、C1−10アルキル、又は置換C1−10アルキルであるか、或いはR及びRが、窒素原子と一緒になって、複素環式環又は置換複素環式環を形成してもよく、該アルキル、アリール、複素環式基上の該置換基が、ヒドロキシ、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキレン、C1−6アルコキシ、C3−6シクロアルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲン、又はアリールであり;
が水素、(C−C10)アルキル、置換(C−C10)アルキル、C6−10アリール、又は置換C6−10アリール、C5−9複素環、置換C5−9複素環であり;該アルキル、アリール、又は複素環式基上の該置換基が、ヒドロキシ、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキレン、C1−6アルコキシ、C3−6シクロアルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲン、又はアリールであり;
各Rが独立して、水素、−OH、(C−C)アルキル、置換(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、置換(C−C)アルコキシ、−C(O)−(C−C)アルキル(アルカノイル)、置換−C(O)−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C10)アリール(アロイル)、置換−C(O)−(C−C10)アリール、−C(O)OH(カルボキシル)、−C(O)O(C−C)アルキル(アルコキシカルボニル)、置換−C(O)O(C−C)アルキル、−NR、−C(O)NR(カルバモイル)、置換−C(O)NR、ハロ、ニトロ、又はシアノであり;該アルキル、アリール、又は複素環式基上の該置換基が、ヒドロキシ、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキレン、C1−6アルコキシ、C3−6シクロアルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲン、又はアリールであり;
各R及びRが独立して、水素、C1−6アルキル、C3−8シクロアルキル、C1−6アルコキシ、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル、(C−C)アルカノイル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、アリール、アリール(C−C)アルキル、Het、Het(C−C)アルキル、又は(C−C)アルコキシカルボニルであり;
が結合又は結合基であり;及びRが補助基である、
化合物;或いはその薬学的に許容される塩。
(項目2)
が硫黄原子である、項目1に記載の化合物。
(項目3)
が酸素原子である、項目1に記載の化合物。
(項目4)
が−NR−であり、Rが水素、C1−6アルキル、又は置換C1−6アルキルであり;
前記アルキル置換基が、C3−6シクロアルキル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、アミノ、シアノ、又はアリールである、項目1に記載の化合物。
(項目5)
が−NH−である、項目4に記載の化合物。
(項目6)
及びRが一緒になって、複素環式環又は置換複素環式環を形成する、項目1〜5の何れか1項に記載の化合物。
(項目7)
及びRが一緒になって、置換又は非置換モルホリノ環、ピペリジノ環、ピロリジノ環、又はピペラジノ環を形成する、項目6に記載の化合物。
(項目8)
が水素、C1−4アルキル、又は置換C1−4アルキルである、項目1〜7の何れか1項に記載の化合物。
(項目9)
が水素、CH−、CH−CH−、CHCHCH−、ヒドロキシC1−4アルキレン、又はC1−4アルコキシC1−4アルキレンである、項目8に記載の化合物。
(項目10)
が水素、CH−、CH−CH−、CH−O−CHCH−、又はCH−CH−O−CHCH−である、項目9に記載の化合物。
(項目11)
が水素、ハロゲン、又はC1−4アルキルである、項目1〜10の何れか1項に記載の化合物。
(項目12)
が水素、クロロ、ブロモ、CH−、又はCH−CH−である、項目11に記載化合物。
(項目13)
前記アルキル、アリール、又は複素環式基上の前記置換基が、ヒドロキシ、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキレン、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキレン、C3−6シクロアルキル、アミノ、シアノ、ハロゲン、又はアリールである、項目1〜12の何れか1項に記載の化合物。
(項目14)
が最大約24個の原子を有する結合又は鎖であり;該原子が、炭素、窒素、硫黄、非過酸化酸素、及びリンからなる群から選択される、項目1〜13の何れか1項に記載の化合物。
(項目15)
が約4〜12個の原子を有する結合又は鎖である、項目14に記載の化合物。
(項目16)
が約6個〜約9個の原子を有する結合又は鎖である、項目14に記載の化合物。
(項目17)

【化3】

である、項目14に記載の化合物。
(項目18)
前記補助基がアミノ酸、炭水化物、ペプチド、抗原、核酸、生体物質、又は微生物である、項目1〜17の何れか1項に記載の化合物。
(項目19)
前記ペプチドが2個〜約200個のアミノ酸残基を有する、項目18に記載の化合物。
(項目20)
前記ペプチドが10個〜約200個のアミノ酸残基を有する、項目19に記載の化合物。
(項目21)
前記補助基が炭水化物である、項目1〜18の何れか1項に記載の化合物。
(項目22)
前記核酸がDNA、RNA、又はPNAである、項目18に記載の化合物。
(項目23)
前記生体物質が細胞、脂質、ビタミン、又は補因子である、項目18に記載の化合物。
(項目24)
前記生体物質が細胞又は脂質である、項目23に記載の化合物。
(項目25)
前記抗原が微生物である、項目18に記載の化合物。
(項目26)
前記微生物がウイルス、細菌、寄生虫、又は真菌である、項目25に記載の化合物。
(項目27)
前記微生物がウイルス又は細菌である、項目26に記載の化合物。
(項目28)
前記細菌が炭疽菌(炭疽)、リステリア菌、野兎病菌、又はサルモネラ属である、項目27に記載の化合物。
(項目29)
前記サルモネラ属がネズミチフス菌又は腸炎菌である、項目28に記載の化合物。
(項目30)
前記ウイルスが、RNAウイルス、該RNAウイルスの生成物、又はDNAウイルスである、項目26に記載の化合物。
(項目31)
前記DNAウイルスがB型肝炎ウイルスである、項目30に記載の化合物。
(項目32)
項目1〜31の何れか1項に記載の化合物、及び薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
(項目33)
TLR受容体の活性が関与しており、このような活性のアゴニズムが望まれる、哺乳動物における病態又は症状を予防又は処置する治療法であって、このような処置を必要とする哺乳動物に、項目1〜31の何れか1項に記載の化合物の有効量を投与する工程を包含する、方法。
(項目34)
前記状態又は症状が、癌、細菌性疾患、ウイルス性疾患、自己免疫疾患、又はクローン病である、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記細菌が、炭疽菌(炭疽)、リステリア菌、野兎病菌、又はサルモネラ属である、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記サルモネラ属がネズミチフス菌又は腸炎菌である、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記ウイルスが、RNAウイルス、該RNAウイルスの生成物、又はDNAウイルスである、項目34に記載の方法。
(項目38)
前記DNAウイルスがB型肝炎ウイルスである、項目37に記載の方法。
(項目39)
癌が、例えば白血病、リンパ腫、骨髄腫、メラノーマ、又は腎臓癌のようなインターフェロン感受性癌である、項目34に記載の方法。
(項目40)
医学療法で使用するための、項目1〜31の何れか1項に記載の化合物。
(項目41)
前記医学療法が癌、細菌性疾患、ウイルス性疾患、自己免疫疾患、又はクローン病の処置である、項目40に記載の使用法。
(項目42)
癌、細菌性疾患、ウイルス性疾患、自己免疫疾患、又はクローン病を処置する医薬品を調製するための、項目1〜31に記載の何れか1項に記載の化合物の使用。
(項目43)
前記医薬品が生理学的に許容される担体を含む、項目42に記載の使用。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、化学式Iの化合物(OVA/IV150結合体)の吸収クロモフォア(約350nm)を示すグラフである。
【図2】図2は、骨髄由来樹状細胞(BMDC)の刺激を示すグラフである。
【図3】図3は、TLR7アゴニストUC−1V150とマウス血清アルブミン(MSA)の結合体化を示す図である。結合体化の成功は、UV分光法によって示される。MSAに対するUC−1V150の比率は、約5:1である。
【図4】図4A及び図4Bは、UC−1V150及びMSA結合体がネズミの骨髄由来マクロファージ(4A)とヒト末梢血単核球(4B)の両方を活性化したところを示す図である。細胞は、BMDM中で0.5nM〜10μM、PBMC中で0.1〜10μMの種々の濃度の化合物で培養した。24時間後に培養上清液を回収し、Luminexでサイトカインレベルを分析した。
【図5】図5A、図5B、図5C、及び図5Dは、UC−1V150/MSAの作用の力価と期間が増加したことを示す図である。C57BL/6マウスに、(A)TLRリガンドであるSM−360320 0.1マイクロモルを、又は(B)TLR7アゴニストUC−1V150(アルデヒド修飾SM−360320)又はUC−1V150/MSAの等量を、マウス1匹につき500μgMSAまで静注(i.v.)した。指示した時点で血清試料を回収し、Luminexでサイトカインレベルを分析した。MSAはマウス血清アルブミンである。元のTLR7リガンドSM−360320の作用は、2時間しか続かなかったが、UC−1V150/MSAの効果は少なくとも6時間まで伸びた。
【図6】図6は、不活性化されたSIVと結合体化したUC−1V150の作用(6A)、又はODNと共にOVAと結合体化したUC−1V150の作用(6B)を示す図である。骨髄BMDCは、指示の通り0.1μg/mLの種々の条件で24時間培養した。細胞上清中のIL−12レベルをELISAで測定した。
【図7A】図7A及び図7Bは、UC−1V150/MSAの力価が増加したことを示す図である。C57BL/6マウスは、1匹当たりSM−360320又はUC−1V150 380nmolを、又はUC−1V150/MSA 500μg(UC−1V150 3.8nmolと等価)を静注(i.v.)した。2時間後に血清試料を回収し、Luminexでサイトカインレベルを分析した。同様の効果を達成するには、UC−1V150/MSAに比べて、UC−1V150又はSM−360320では少なくとも100倍高い濃度が必要であった。
【図7B】図7A及び図7Bは、UC−1V150/MSAの力価が増加したことを示す図である。C57BL/6マウスは、1匹当たりSM−360320又はUC−1V150 380nmolを、又はUC−1V150/MSA 500μg(UC−1V150 3.8nmolと等価)を静注(i.v.)した。2時間後に血清試料を回収し、Luminexでサイトカインレベルを分析した。同様の効果を達成するには、UC−1V150/MSAに比べて、UC−1V150又はSM−360320では少なくとも100倍高い濃度が必要であった。
【図8】図8は、二重結合体(OVA/IV150/1043)のUVスペクトルを示す図である。
【図9】図9は、OVA/ODN/IV150結合体を使用して、BMDC中でIL−12を誘導したところを示す図である。
【図10】図10は、SIV粒子とIA化合物IV150の直接結合体化を示す図である。
【図11】図11は、化学式IAを有する化合物にウイルス粒子が付着した本発明の化合物を調製する機能、及び本化合物のTLRアゴニスト活性を示す図である。
【図12】図12は、リンカーとTLRリガンドを含む結合体に対して抗体の特異性が上昇する分子領域を示す図である。
【図13】図13A及び図13Bは、ウェスタンブロット分析でゲル上のそれぞれのレーンに適用された4種類の物質の相違を示す図である。図13Aでは、ゲル膜を抗オバルブミン(抗OVA)抗体でプロービングしたところ、全てのレーンから陽性のバンドが得られ、予想通りOVAが全てのレーンで検出されたことが示されている。図13Bでは、ゲル膜を結合体のTLRリガンド部分に対する選択性を高めた抗体でプロービングしたことから、レーン4のみが陽性であり、TLRリガンドに対する抗体の特異性が確認された。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(詳細な説明)
補助基の非限定的な例には、溶解性を向上させる側鎖、例えば、モルホリノ環、又はピペリジノ環、ピロリジノ環、ピペラジノ環等を含む基;アミノ酸、例えばジペプチド又はトリペプチドのアミノ酸のポリマー(タンパク質又はペプチド)等;炭水化物(多糖類)、例えばPNA、RNA、DNA等のヌクレオチド;例えばポリエチレングリコール、ポリラクチド等の有機物のポリマー;モノマー脂質及びポリマー脂質;不溶性有機ナノ粒子;例えば細胞、脂質、ビタミン、補因子等の非毒性生体物質(body substance)、及びウイルス、細菌、真菌等の微生物の抗原が含まれる。抗原は、不活性化された有機体全体、又はその部分構成要素等を含んでもよい。
【0020】
本発明の化合物は、以下の化学式(IA)を有する化合物を使用して調製することができる:
【0021】
【化4】

(式中、Xは、反応して結合基への結合を形成するか、又は反応して補助基への結合を形成することができる基である)。化学式(IA)を有する化合物の特定の群については、米国特許第6,329,381号に開示されている。
【0022】
特に記載がない限り、以下の定義を使用する:ハロはフルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨウ素である。アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル等は、直鎖基であっても分岐基であってもよいが;但し、「プロピル」等の個々の遊離基の言及は、直鎖遊離基のみを包含し、「イソプロピル」等の分岐異性体については特別に言及される。アリールは、フェニル遊離基、又は約9個〜10個の環原子を含み、少なくとも1つの環が芳香性であるオルト縮合二環式炭素環式遊離基を指す。ヘテロアリールは、炭素を含む5個〜6個の環原子及び1個〜4個のヘテロ原子を含む単環式芳香環の環状炭素を介して結合した遊離基を包含し、これらの1〜4個のヘテロ原子はそれぞれ、非ペルオキシド酸素、硫黄、N(X)(式中、Xは不在であるか、又はH、O、(C−C)アルキル、フェニル、ベンジルである)、並びにこれに由来する約8個〜10個の環原子のオルト縮合二環式複素環の遊離基、特に、ベンズ誘導体、又はプロピレン、トリメチレン、若しくはテトラメチレン二端遊離基をこれに縮合させることによって誘導されるものからなる群から選択される。
【0023】
当業者であれば、キラル中心を有する本発明の化合物が光学活性形態及びラセミ形態で存在し、単離される場合があることが理解されるであろう。一部の化合物は多形を示す場合がある。本発明は、本発明の化合物の任意のラセミ体、光学活性体、多形体、若しくは立体異性体、又はこれらの混合物であって、本明細書に記載の有用な性質を有するものを包含することが理解されるものとし、当該技術分野では、光学活性体を調製する方法(例えば、再結晶技法でラセミ体を分解する方法、光学活性を有する出発物質から合成する方法、キラル合成法、又はキラル固定相を使用したクロマトグラフィー分離法)、及び本明細書に記載の標準検査を使用するか、又は当該技術分野で周知のその他同様の検査を使用して、ニコチンアゴニスト活性を測定する方法が周知である。
【0024】
本発明の更なる実施形態として、化学式Iの化合物を調製するプロセス、又は化学式Iの化合物を調製するのに有用な中間物を調製するプロセスが提供される。本発明の更なる実施形態としては又、化学式Iの化合物を調製するのに有用な中間物も提供される。
【0025】
化合物が酸性塩又は塩基塩を形成するのに十分な程度の塩基性又は酸性である場合には、これらの化合物を塩として使用することも適切な場合がある。許容される塩の例には、例えばトシル酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α−ケトグルタル酸塩、及びα−グリセロリン酸塩等の、生理学的に許容される陰イオンを形成する酸と共に形成された有機酸付加塩がある。塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩、及び炭酸塩を含めた好適な無機塩も形成される場合がある。
【0026】
許容される塩は、例えばアミン等の十分に塩基性化合物を好適な酸と反応させて、生理学的に許容される陰イオンを得る等の、当該技術分野で周知の標準的な手順を使用して、得られる場合がある。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、若しくはリチウム)塩、又はアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩も作製することができる。
【0027】
アルキルには、直鎖又は分岐C1−10アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソブチル、1−メチルプロピル、3−メチルブチル、ヘキシル等が含まれる。
【0028】
低級アルキルには、直鎖又は分岐C1−6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル等が含まれる。
【0029】
「アルキレン」という用語とは、二価の直鎖又は分岐の炭化水素鎖(例えば、エチレン−CH−CH−)を指す。
【0030】
3−7シクロアルキルには、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等、並びにアルキル置換C3−7シクロアルキル基、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、又はペンチル等の直鎖若しくは分岐C1−6アルキル基、及びシクロペンチル又はシクロヘキシル等のC5−7シクロアルキル基が含まれる。
【0031】
低級アルコキシには、メトキシ、エトキシ、又はプロポキシ等のC1−6アルコキシ基が含まれる。
【0032】
低級アルカノイルには、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、又はヘキサノイル等のC1−6アルカノイル基が含まれる。
【0033】
7−11アロイルには、ベンゾイル又はナフトイル等の基が含まれる。
【0034】
低級アルコキシカルボニルには、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、又はプロポキシカルボニル等のC2−7アルコキシカルボニル基が含まれる。
【0035】
低級アルキルアミノ基とは、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ等のC1−6アルキル基で置換されるアミノ基を意味する。
【0036】
ジ(低級アルキル)アミノ基とは、同じであるか異なっているC1−6アルキル基(例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、エチルメチルアミノ)で置換されるアミノ基を意味する。
【0037】
低級アルキルカルバモイル基とは、C1−6アルキル(例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、プロピルカルバモイル、ブチルカルバモイル)で置換されるカルバモイル基を意味する。
【0038】
ジ(低級アルキル)カルバモイル基とは、同じであるか異なっているC1−6アルキル基(例えば、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、エチルメチルカルバモイル)で置換されるカルバモイル基を意味する。
【0039】
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子等のハロゲン原子を意味する。
【0040】
アリールは、フェニル、インデニル、又はナフチル等のC6−10単環式又は縮合環式アリール基を指す。
【0041】
複素環とは、例えば0個〜3個の窒素原子(−NR−)、0個〜1個の酸素原子(−O−)、及び0個〜1個の硫黄原子(−S−)等の少なくとも1つのヘテロ原子を含む、単環式飽和複素環式基、又は不飽和単環式基、縮合複素環式基を指す。飽和単環式複素環式基の非限定的な例には、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジル、ピペラジニル、又はピラゾリジニル等の5員又は6員の飽和複素環式基が含まれる。不飽和単環式複素環式基の非限定的な例には、フリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チエニル、ピリジル、又はピリミジニル等の5員又は6員の不飽和複素環式基が含まれる。不飽和縮合複素環式基の非限定的な例には、インドリル、イソインドリル、キノリル、ベンゾチゾリル(benzothizolyl)、クロマニル、ベンゾフラニル等の不飽和二環式複素環式基が含まれる。
【0042】
及びRは、これらが結合する窒素原子と一緒になって、複素環式環を形成することができる。複素環式環の非限定的な例には、1−ピロリジニル、4−モルホリニル、1−ピペリジル、1−ピペラジニル、又は1−ピラゾリジニル等の5員〜6員の飽和複素環、及び1−イミダゾリル等の5員〜6員の不飽和複素環が含まれる。
【0043】
のアルキル、アリール、複素環式基は、場合により1つ以上の置換基で置換されてもよく、これらの置換基は、同じであるか異なっており、これらには、低級アルキル;シクロアルキル、ヒドロキシル;ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、又は3−ヒドロキシプロピル等のヒドロキシC1−6アルキレン;低級アルコキシ;2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、又は3−メトキシプロピル等のC1−6アルコキシC1−6アルキル;アミノ;アルキルアミノ;ジアルキルアミノ;シアノ;ニトロ;アシル;カルボキシル;低級アルコキシカルボニル;ハロゲン;メルカプト;メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、又はブチルチオ等のC1−6アルキルチオ;メトキシエチルチオ、メチルチオエチルチオ、ヒドロキシエチルチオ、又はクロロエチルチオ等の置換C1−6アルキルチオ;アリール;4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、又は3,4−ジクロロフェニル等の置換C6−10単環式又は縮合環式アリール;フリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チエニル、ピリジル、又はピリミジニル等の5員又は6員の不飽和複素環;インドリル、イソインドリル、キノリル、ベンゾチアゾリル、クロマニル、ベンゾフラニル、又はフタリミノ(phthalimino)等の二環式不飽和複素環が含まれる。
【0044】
のアルキル、アリール、複素環式基は、場合により1つ以上の置換基で置換されてもよく、これらの置換基は、同じであるか異なっており、これらには、ヒドロキシル;メトキシ、エトキシ、又はプロポキシ等のC1−6アルコキシ;カルボキシル;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、又はプロポキシカルボニル等のC2−7アルコキシカルボニル、及びハロゲンが含まれる。
【0045】
のアルキル、アリール、複素環式基は、場合により1つ以上の置換基で置換されてもよく、これらの置換基は、同じであるか異なっており、これらには、C3−6シクロアルキル;ヒドロキシル;C1−6アルコキシ;アミノ;シアノ;アリール;4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−クロロフェニル、又は3,4−ジクロロフェニル等の置換アリール;ニトロ及びハロゲンが含まれる。
【0046】
及びR並びにこれらが結合する窒素原子と共に形成される複素環は、場合により1つ以上の置換基と置換されてもよく、これらの置換基は、同じであるか異なっており、これらには、C1−6アルキル;ヒドロキシC1−6アルキレン;C1−6アルコキシC1−6アルキレン;ヒドロキシル;C1−6アルコキシ;及びシアノを含む。
【0047】
本明細書で使用される「アミノ酸」という用語は、D体又はL体の天然のアミノ酸残基(例えば、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Glu、Gln、Gly、His、Hyl、Hyp、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、及びVal)、並びに非天然のアミノ酸(例えば、フォスフォセリン、フォスフォスレオニン、フォスフォチロシン、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸塩;馬尿酸、オクタヒドロインドール2カルボン酸、スタチン、1,2,3,4テトラヒドロイソキノリン3カルボン酸、ペニシラミン、オルニチン、シトルリン、−メチルアラニン、パラベンゾイルフェニルアラニン、フェニルグリシン、プロパルギルグリシン、サルコシン、及びtertブチルグリシン)を含む。この用語は又、従来のアミノ保護基(例えば、アセチル又はベンジルオキシカルボニル)を含む天然又は非天然のアミノ酸、並びにカルボキシ末端で保護された天然及び非天然のアミノ酸(例えば、(C−C)アルキル、フェニル若しくはベンジルエステル、又はアミド;或いはメチルベンジルアミド)を含む。その他の好適なアミノ保護基及びカルボキシ保護基は、当業者に既知である(T.W. Greene, Protecting Groups In Organic Synthesis;Wiley:New York 1981、及び本明細書に引用した参考文献を参照)。アミノ酸は、カルボキシ末端、アミノ末端を介して、又は例えばシステインの硫黄等のその他何れかの有益な結合部位を介して化学式(I)の化合物の残りに結合することができる。
【0048】
「toll様受容体」(TLR)という用語は、病原体関連分子パターン(PAMPs)に結合し、哺乳動物の免疫反応を促進する受容体ファミリーの1メンバーを指す。例えばTLR1−10等の10種類の哺乳動物のTLRが知られている。
【0049】
「toll様受容体アゴニスト」(TLRアゴニスト)という用語は、TLRに結合し受容体に拮抗する分子を指す。合成TLRアゴニストは、TLRに結合し受容体を活性化させるように設計された化合物である。本明細書に示される新規のTLRアゴニストの例には、「TLR−7アゴニスト」、「TLR−8アゴニスト」、及び「TLR−9アゴニスト」が含まれる。
【0050】
本明細書で使用される「核酸」という用語は、DNA、RNA、一本鎖、二本鎖、高度に凝集したハイブリダイゼーションモチーフ、及びこれらの任意の化学修飾を指す。修飾には、電荷の追加、分極率、水素結合、静電相互作用、及び核酸リガンドベース又は核酸リガンド全体へフラクショナリティーを組み込む化学基を提供することが含まれるが、これらに限定されない。このような修飾には、ペプチド核酸(PNA)、ホスホジエステル基修飾(例えば、ホスホロチオ酸塩、メチルホスホン酸塩)、2位の糖修飾、5位のピリミジン修飾、7位のプリン修飾、8位のプリン修飾、9位のプリン修飾、環外アミンの修飾、4チオウリジン置換、5ブロモ又は5ヨードウラシルの置換;バックボーン修飾、メチル化、及びイソ塩基、イソシチジン及びイソグアニジン等の通常とは異なる塩基対の組み合わせ等が含まれるが、これらに限定されない。核酸は又、例えばニトロインドール等の非天然の塩基も含んでよい。修飾は又、BHQ、フルオロフォア、又は別の部分によるキャッピング等の3’及び5’末端修飾を含んでもよい。
【0051】
の特定の値は、硫黄原子、酸素原子、又は−NR−である。
【0052】
別の特定のXは、硫黄原子である。
【0053】
別の特定のXは、酸素原子である。
【0054】
別の特定のXは、−NR−である。
【0055】
別の特定のXは、−NH−である。
【0056】
の特定の値は、水素、C1−4アルキル、又は置換C1−4アルキルである。
【0057】
及びRを合わせた特定の値は、これらが複素環式環又は置換複素環式環を形成した時の値である。
【0058】
及びRを合わせた別の特定の値は、置換又は非置換モルホリノ環、ピペリジノ環、ピロリジノ環、又はピペラジノ環である。
【0059】
の特定の値は水素、C1−4アルキル、置換C1−4アルキルである。
【0060】
別の特定のRには、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、メトキシメチル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、エトキシメチル、2−エトキシエチル、メチルチオメチル、2−メチルチオエチル、3−メチルチオプロピル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、2,2,2−トリフルオロエチル、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、メトキシカルボニルメチル、2−メトキシカルボニルエチル、3−メトキシカルボニルプロピル、ベンジル、フェネチル、4−ピリジルメチル、シクロヘキシルメチル、2−チエニルメチル、4−メトキシフェニルメチル、4−ヒドロキシフェニルメチル、4−フルオロフェニルメチル、又は4−クロロフェニルメチルがある。
【0061】
別の特定のRには、水素、CH−、CH−CH−、CHCHCH−、ヒドロキシC1−4アルキレン、又はC1−4アルコキシC1−4アルキレンがある。
【0062】
の別の特定の値は、水素、CH−、CH−CH−、CH−O−CHCH−、又はCH−CH−O−CHCH−である。
【0063】
の特定の値は、水素、ハロゲン、又はC1−4アルキルである。
【0064】
の別の特定の値は、水素、クロロ、ブロモ、CH−、又はCH−CH−である。
【0065】
アルキル基、アリール基、又は複素環式基上の置換の特定の置換基は、ヒドロキシ、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキレン、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキレン、C3−6シクロアルキル、アミノ、シアノ、ハロゲン、又はアリールである。
【0066】
の特定の値は、最大約24個の原子を有する結合又は鎖であり、これらの原子は、炭素、窒素、硫黄、非過酸化酸素(non−peroxide oxygen)、及びリンからなる群から選択される。
【0067】
の別の特定の値は、約4個〜12個の原子を有する結合又は鎖である。
【0068】
の別の特定の値は、約6個〜9個の原子を有する結合又は鎖である。
【0069】
の別の特定の値は、以下の化学式である:
【0070】
【化5】

の別の特定の値は、以下の化学式である:
【0071】
【化6】

特定の補助基は、アミノ酸、炭水化物、ペプチド、抗原、核酸、生体物質、又は微生物である。
【0072】
特定のペプチドは、2個〜約20個のアミノ酸残基を有する。
【0073】
別の特定のペプチドは、10個〜約20個のアミノ酸残基を有する。
【0074】
特定の補助基は炭水化物である。
【0075】
特定の核酸は、DNA、RNA、又はPNAである。
【0076】
特定の生体物質は、細胞、脂質、ビタミン、又は補因子である。
【0077】
別の特定の生体物質は細胞又は脂質である。
【0078】
特定の抗原は微生物である。
【0079】
特定の微生物は、ウイルス、細菌、又は真菌である。
【0080】
別の特定の微生物はウイルス又は細菌である。
【0081】
特定の細菌は、炭疽菌(炭疽菌)、リステリア菌、野兎病菌、又はサルモネラである。
【0082】
特定のサルモネラは、ネズミチフス菌(typhimurium)又は腸炎菌(enteritidis)である。
【0083】
特定のウイルスは、RNAウイルス、RNAウイルス生成物、又はDNAウイルスである。
【0084】
特定のDNAウイルスはB型肝炎ウイルスである。
【0085】
本発明の特定の化合物は、以下の一般化学式を有する:
【0086】
【化7】

(式中、IAは本明細書に開示されたものであり;Lは不在であるか、又は結合基であり;各A基は独立して補助基を表す)。
【0087】
一実施形態において、ウイルス感染は、重症急性呼吸器症候群(SARS)を起こすコロナウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスによって起きる。
【0088】
別の実施形態において、ウイルス感染は、重症急性呼吸器症候群(SARS)を生じるコロナウイルス、B型肝炎ウイルス、又はC型肝炎ウイルスにより生じる。
【0089】
処置できる特定の癌には、メラノーマ、表在性膀胱癌、光線角化症、上皮内腫瘍、及び基底細胞皮膚癌、扁平上皮癌等が含まれる。更に、本発明の方法には、例えば光線角化症又は上皮内腫瘍、家族性ポリポーシス(ポリプ)、子宮頚部形成異常、子宮頸癌、表在性膀胱癌、及び感染によるその他何れかの癌(例えば、リンパ腫、カポジ肉腫、白血病)等の前癌状態の処置が含まれる。
【0090】
処置できる病態又は症状の非限定的な例には、ウイルス性疾患、癌、並びに胃腸管、脳、皮膚、関節、及びその他の組織の炎症性疾患が含まれる。
【0091】
補助基は、(a)標的細胞のエンドソーム内の受容体にファーマコフォアを向けることを助ける、(b)受容体と架橋することによってファーマコフォアが導入するシグナル伝達を強化する、、及び/又は(c)ファーマコフォアが補助基(例えば、免疫反応)に対する反応を増強することによって、ファーマコフォア(化学式(I)の化合物)の薬理作用を強化すると考えられている。補助基は、一般的にファーマコフォアとの安定した結合を形成しなければならず、プロドラッグとして作用しない。
【0092】
本発明は、化学式(I)の化合物の組成物を、場合によりイノシンモノリン酸脱水素酵素(IMPDH)、このような化合物のエナンチオマー、このような化合物のプロドラッグ、又はこのような化合物の薬学的に許容される塩の阻害薬と共に含む。本明細書で使用される「IMPDH阻害薬」とは、酵素イノシンモノリン酸脱水素酵素の阻害薬を指す。現在、臨床では、リバビリン、ミゾリビン、及びミコフェノール酸モフェチルという3種類のIMPDH阻害薬が使用されている。リバビリン及びミゾリビンは、細胞内でリン酸化されIMP類似体を産生するプロドラッグである(Goldsteinら、Cuff Med Chem, 6:519−536 (1999))。ビラミジンはリバビリンのプロドラッグである。ミコフェノール酸モフェチルは免疫抑制薬であり、腸肝再循環に起因すると考えられる胃腸刺激性特性を有する(Papageorgiou C, Mini Rev Med Chem., 1:71−77 (2001))。プロドラッグであるミゾリビンアグリコンは、IMPDH阻害薬として使用される。ミゾリビン及びミゾリビンアグリコンのプロドラッグを含めたIMPDH阻害薬のその他の非限定的な例については、米国特許出願第20050004144号に開示されている。
【0093】
化合物が十分に塩基性又は酸性であり、安定した非毒性の酸性塩又は塩基性塩を形成する場合には、本化合物を塩として投与するのが適切な場合がある。薬学的に許容される塩の例には、例えばトシル酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸、酢酸塩、安息香酸塩、アスコビン酸、α−ケトグルタル酸塩、及びα−グリセロリン酸塩等の、生理学的に許容される陰イオンを形成する酸と共に形成された有機酸添加塩がある。塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩、及び炭酸塩を含めた好適な無機塩も形成される場合がある。
【0094】
薬学的に許容される塩は、例えばアミン等の十分に塩基性の化合物を好適な酸と反応させて、生理学的に許容される陰イオンを得る等の、当該技術分野で周知の標準的な手順を使用して、得られる場合がある。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、若しくはリチウム)塩、又はアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩も作製することができる。
【0095】
本発明の化合物(結合体)は、当該技術分野で既知の標準的な合成法を使用して調製することができる。一般的なエステル合成を次に示す。
【0096】
【化8】

【0097】
【化9】

特定の化合物を調製する更なる例は、本明細書に記載される。
【0098】
化学式Iの化合物は、薬学的組成物として配合し、選択した投与経路、即ち、経口投与又は非経口投与、静注、筋注、局所又は皮下投与経路に適合した種々の形態でヒト患者等の哺乳動物の宿主に投与することができる。
【0099】
従って、本化合物は、全身投与、例えば不活性希釈剤又は同化性の食用担体等の薬学的に許容される溶媒と組み合わせて経口投与する場合がある。本化合物は硬い又は柔らかいシェルゼラチンカプセル剤に封入する場合もあれば、錠剤に打錠される場合もあり、患者の食事の食物に直接混入される場合もある。経口治療投与の場合、有効な化合物を1つ以上の賦形剤と組み合わせて、摂取できる錠剤、バッカル錠剤、トローチ、カプセル剤、エリキシル、懸濁液、シロップ、オブラート等の形態で使用される場合がある。このような組成物及び調製は、少なくとも0.1%の有効な化合物を含んでいなければならない。組成物と調合物の割合は当然ながら異なる場合があり、好都合なことには、所与の単位投与形態の重量の約2%〜約60%となる場合がある。このような治療上有用な組成物における有効な化合物の量は、有効な投与レベルが得られるような量である。
【0100】
タブレット、トローチ、丸剤、カプセル剤等は又、以下を含有する場合がある:即ち、トラガカントゴム、アラビアゴム、コーンスターチ、又はゼラチン等の結合剤;第2リン酸カルシウム等の賦形剤;コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム等の潤沢剤;スクロース、フルクトース、ラクトース、又はアスパルテーム等の甘味料;ペパーミント、サリチル酸メチル、又はチェリーフレーバ等の香料添加剤が添加される場合がある。単位投与剤型がカプセルである場合、上記のタイプの材料に加えて、植物油又はポリエチレングリコールのような液体の担体を含む場合がある。その他種々の材料がコーティングとして、或いは固体の投与形態の物理的な形態をその他の様式で修飾する目的で存在する場合もある。例えば、タブレット、丸剤、又はカプセル剤は、ゼラチン、ワックス、シェラック、又は砂糖等でコーティングされる場合がある。シロップ又はエリキシルは、有効な化合物、甘味剤としてのスクロース又はフルクトース、保存剤としてのメチル及びプロピルパラベン、染料、及びチェリー又はオレンジフレーバー等の香料を含む場合がある。突然ながら、何れかの単位投与形態の調製に使用される何れの材料も、薬学的に許容され、使用する量で実質的に非毒性でなければならない。更に、有効な化合物は、徐放性製剤及びデバイスに組み困れる場合もある。
【0101】
有効な化合物は又、注入又は注射によって静脈内又は腹腔内投与される場合がある。有効な化合物又はその塩の溶液は、水中で調製してもよく、場合により非毒性の界面活性剤と混合してもよい。分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、及びこれらの混合物、油の中で調製することもできる。通常の保存及び使用条件下では、これらの製剤は、微生物の増殖を防ぐ防腐剤を含んでいる。
【0102】
注射又は注入に好適な医薬品投与形態は、無菌の注射又は注入溶液又は分散液を即席で調製するように適合された、場合によりリポソームに封入した有効成分を含む無菌の水溶液又は分散液又は無菌の散剤を含んでもよい。何れの場合も、最終的な投与形態は、製造及び保存条件下で無菌、液体、安定していなければならない。液体の担体又は溶媒は、例えば水、エタノール、多価アルコール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、植物油、無毒グリセリルエステル、及びこれらの好適な混合物を含む溶媒又は液体の分散媒体であってよい。適切な流動性は、例えばリポソームを配合する、分散液の場合には必要な粒径を維持する、又は界面活性剤を使用することによって、維持することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗菌薬及び抗真菌薬、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によって生じさせることができる。多くの場合、砂糖、緩衝剤、又は塩化ナトリウム等の等張剤を含むのが好ましい。注射可能な組成物の持続的吸収は、例えばモノステアリン酸アルミニウムとゼラチン等の、吸収遅延剤を組成物に使用することによって生じさせることができる。
【0103】
無菌の注射溶液は、必要量の有効化合物を、上記のその他種々の成分を含む好適な溶媒に組み込み、必要に応じて濾過滅菌することによって調製される。無菌の注射溶液を調製するための無菌散剤の場合、好ましい調製法には、真空乾燥及び凍結乾燥法があり、これによって有効な成分の粉末と、予め無菌濾過した溶液内に存在するその他何れかの所望の成分が得られる。
【0104】
局所投与の場合、本化合物は、純粋な形態、即ち、化合物が液体である時に適用される場合がある。しかし、一般的には、本化合物を、皮膚科学的に許容される担体(固体である場合もあれば、液体である場合もある)と組み合わせて、組成物又は配合物として皮膚に投与することが望ましい。
【0105】
有用な固体の担体には、タルク、クレイ、微結晶性セルロース、シリカ、アルミナ等の細かく分割された固体が含まれる。有用な液体の担体には、場合により非毒性の界面活性剤を使用して本化合物を効果的なレベルで溶解又は分散することができる、水、アルコール、グリコール、水アルコール/グリコールの混合物が含まれる。芳香剤及び追加の抗菌剤等の補助薬を追加して、所与の使用法の特性を最適化することもできる。得られた液体組成物は、吸収パッドから適用してもよければ、眼帯及びその他の包帯の含浸に使用してもよく、ポンプ型又はエアロゾルスプレーを使用して患部に噴霧してもよい。
【0106】
合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩及びエステル、脂肪族アルコール、修飾セルロース、又は修飾ミネラル剤等の増粘剤を液体担体と共に使用して、拡散性ペースト、ゲル、軟膏剤、石鹸等を形成し、使用者の皮膚に直接塗布することもできる。
【0107】
化学式Iの化合物を皮膚に送達するために使用できる有用な皮膚科用組成物の例は、当業者に既知である。例えば、Jacquetら、(米国特許第4,608,392号)、Geria(米国特許第4,992,478号)、Smithら、(米国特許第4,559,157号)、及びWortzman(米国特許第4,820,508号)を参照されたい。
【0108】
化学式Iの化合物の有用な投与量は、動物モデルにおけるこれらのin vitro活性とin vivo活性を比較することで決定することができる。マウス及びその他の動物における有効量をヒトに外挿するための方法は、当業者に既知である。例えば、米国特許第4,938,949号を参照されたい。
【0109】
一般的に、ローション等の液体組成物における化学式Iの化合物の濃度は、約0.1〜25重量%、好ましくは約0.5〜10重量%である。ゲル又は散剤等の半固体又は固体組成物の濃度は、約0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜2.5重量%である。
【0110】
処置に使用するのに必要な化合物、又はその有効な塩又は誘導体の量は、選択した特定の塩だけでなく、投与経路、処置する症状の性質、患者の年齢及び病態により異なり、最終的には主治医又は臨床医の判断による。
【0111】
しかし一般的に好適な用量は、約0.5〜約100mgの範囲、例えば、約10〜約75mg/体重kg/日(例えば、3〜約50mg/体重kg/日)、好ましくは6〜90mg/kg/日、最も好ましくは約15〜60mg/kg/日の範囲である。
【0112】
化合物は、単位用量形態で好都合に投与され、例えば単位用量形態当たり、5〜1000mg、好都合には10〜750mg、最も好都合には50〜500mgの有効成分を含む。
【0113】
理想的には、有効成分は約0.5〜約75μM、好ましくは約1〜50μM、最も好ましくは約2〜約30μMのピーク血漿濃度を達成するように投与しなければならない。これは例えば、場合により生理食塩液内に有効成分を0.05〜5%含む溶液を静注するか、又は有効成分を1〜100mg含むボーラスとして経口投与することによって達成される場合がある。望ましい血中濃度は、約0.01〜5.0mg/kg/時の連続静注によって、又は有効成分を約0.4〜15mg/kg含む間欠的注入によって維持される場合がある。
【0114】
所望の用量は、単回投与で、又は用量を1日当たり例えば2回、3回、4回又はそれ以上に分けて投与することにより好都合に提供される場合がある。分服は、例えば数回の緩めに間隔を空けて投与する等(吸入器から何回も吸入する、又は何回か点眼剤を目に適用する)更に分ける場合もある。
【0115】
本発明の化合物がTLRアゴニストとして作用する機能は、当業者に周知である薬学的モデル(Leeら、PNAS, 100 p6646−6651, 2003に開示される手順を含む)を使用して決定される場合がある。
【0116】
化学式(I)の化合物を調製するプロセスは、本発明の更なる実施形態として提供され、以下の手順によって説明される。これらの手順において、一般的な遊離基の意味は、特に記載がない限り、上記と同様である。
【実施例】
【0117】
一般的な化学
試薬及び溶媒は、Aldrich(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー)から調達した。未修正の融点は、Laboratory Device Mel−Temp IIキャピラリー融点装置で測定した。プロトン核磁気共鳴スペクトルは、Varian Unity 500 NMR分光光度計で499.8MHzにて記録するか、或いはVarian Mercury NMR分光光度計で400.06MHzにて記録した。化学シフトは、指示した基準からスケール上でppmにて報告した。陽性及び陰性のイオンループ質量スペクトルは、カリフォルニア大学サンディエゴ校化学学部(米国カリフォルニア州サンディエゴ)で実施した。元素分析は、NuMega Resonance Labs(米国カリフォルニア州サンディエゴ)で実施した。カラムクロマトグラフィーは、指示した溶媒系を使用してE Merckシリカゲル(230〜400メッシュ)上で実施した。分析薄層クロマトグラフィー(TLC)は、シリカゲル60F−254プレート(EM試薬)上で実施した。
【0118】
(実施例1) 4−(2,6−ジクロロプリン−9−イルメチル)ベンゾニトリルの調製
2,6−ジクロロ−9H−プリン(16mmol)をDMF(50mL)に溶解し、炭酸カリウム(50mmol)を加えた。次いで、α−ブロモ−p−トルニトリル(22mmol)を加え、混合物を室温にて16時間撹拌した。濾過により不溶性無機塩を除去した後、濾液を水(1,500mL)へ注ぎ、酢酸エチル(2×400mL)で抽出し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させることにより、残留物を得た。この残留物に、1:2:10の酢酸エチル/アセトン/ヘキサンを使用したフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーを実施した。収率は3.33gであった(69%)。UV、NMR、及びMSは構造体代入と一致していた。
【0119】
(実施例2) 4−(6−アミノ−2−クロロプリン−9−イルメチルベンゾニトリル)の調製
実施例1の生成物(1.9g)をスチールの反応槽に入れ、メタノリックアンモニア(80mL、7N)を加えた。密封した反応槽を60℃にて12時間加熱し、氷の中で冷却し、固体生成物を濾過した。収率は1.09gであった。UV、NMR、及びMSは構造体代入と一致していた。
【0120】
(実施例3) 4−[6−アミノ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]ベンゾニトリルの調製
ナトリウム金属(81mg)を2メトキシエタノール(30mL)中で加熱して溶解し、2−メトキシエタノールのナトリウム塩を生成する。この溶液に、メトキシエタノール(300mL、加熱)に溶解した実施例2の生成物(1.0g)を加える。反応混合液を115℃の温浴にて8時間加熱し、真空で乾燥近くまで濃縮し、残留物を酢酸エチルと水で分離する。ジクロロメタン中で5%のメタノールを使用した有機層のフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーを行い、763mgの生成物を得た。NMRは構造体代入と一致している。
【0121】
(実施例4) 4−[6−アミノ−8−ブロモ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]ベンゾニトリルの調製
実施例3の生成物(700mg)をジクロロメタン(400mL)に溶解し、臭素(7mL)を滴下する。混合物を室温にて一晩撹拌し、チオ硫酸ナトリウム(0.1M、2L)水溶液で抽出し、次いで重炭酸ナトリウム水溶液(500mL、飽和)で抽出する。有機層からの残留物に、ジクロロメタン中3%のメタノールを使用したシリカゲル上でクロマトグラフィーを行い、ブロモ生成物460mgを得る。NMR、UV、及びMSは構造体代入と一致している。
【0122】
(実施例5) 4−[6−アミノ−8−メトキシ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]ベンゾニトリルの調製
ナトリウムメトキシドを乾燥メタノール(30mL)中でナトリウム金属(81mg)の反応によって生成する。実施例4の生成物(700mg)は、乾燥ジメトキシエタンに溶解し、温度を100℃まで上げる。一晩反応させた後、混合物を真空で濃縮し、ジクロロメタン中5%メタノールを使用したシリカ上で残留物をクロマトグラフする。収率は120mgである。NMRは構造体代入と一致している。
【0123】
(実施例6) リチウムN、N’−(ジメチルエチレンジアミノ)アルミニウムヒドリドの調製
ニトリルをアルデヒド機能に変換するために使用するこの還元剤は、実質的に、Bull. Korean Chem. Soc. (2002), 23(12) 1697−1698に記載の通り調製する。乾燥THF中の0.5M溶液を調製する。
【0124】
(実施例7) 4−[6−アミノ−8−メトキシ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]ベンズアルデヒドの調製
実施例5の生成物(100mg)を乾燥THF(3mL)に溶解し、アルゴン下で0℃に冷却する。実施例6で生成した試薬(0.72mL)を反応フラスコに加え、混合液を0℃〜5℃にて1時間撹拌し、3M HClを添加して焼き入れする。次いで混合物を酢酸エチル、ジクロロメタンで抽出し、真空で濃縮して85mgを得る。NMRは構造体代入と一致している。
【0125】
(実施例8) 4−[6−アミノ−8−ヒドロキシ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]ベンズアルデヒド(1V150)の調製
実施例7の生成物(800mg)を、ヨウ化ナトリウム(504mg)及びアセトニトリル(40mL)と組み合わせた後、クロロトリメチルシラン(0.5mL)を緩徐に添加する。混合物を70℃にて3.5時間加熱し、冷却した後、濾過する。固形産物を水、次いでエーテルで洗浄し、406mgを得る。NMR、UV、及びMSは構造体代入と一致している。この材料はリンカーと補助基の間の結合体化反応に好適である。
【0126】
(実施例9) メチル4−[6−アミノ−8−メトキシ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]安息香酸塩の調製(Jayachitraら、Synth.
Comm, (2003) 33(19), 3461−3466に記載の手順)
実施例5の生成物(1mmol)を乾燥メタノール(5mL)に溶解し、新たに蒸留したBFエーテル化合物(4mmol)を溶液に加える。得られた混合物をアルゴン下で20時間還流する。溶媒を真空除去し、残留物をジクロロメタン(10mL)中で回収し、希釈した重炭酸ナトリウム水溶液(2×10mL)で抽出し、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させる。蒸発後、生成物をジクロロメタン中の5%メタノールを使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、0.8mmolを得る。
【0127】
(実施例10) 4−[6−アミノ−8−ヒドロキシ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]安息香酸の調製
実施例9の生成物(100mg)を、ヨウ化ナトリウム(63mg)及びアセトニトリル(10mL)と組み合わせた後、クロロトリメチルシラン(120mL)を緩徐に添加する。混合物を70℃にて6時間加熱し、冷却した後、濾過した。固形生成物を水、次いでエーテルで洗浄し、51mgを得る。
【0128】
(実施例11) 2,5−ジオキソピロリジン−1−イル4−[6−アミノ−8−ヒドロキシ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]安息香酸塩の調製
実施例10の生成物(2mmol)をジクロロメタン又はジオキサン(10mL)に溶解し、EDC(2mmol)を添加する。この溶媒に、N−ヒドロキシスクシンイミド(2mmol)を加え、得られた混合物を室温にて1時間撹拌する。混合物を真空乾燥させ、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して2mmolの生成物を得る。この生成物は1級アミンを含む結合体化反応に好適である。
【0129】
(実施例12) IV150とマウス血清アルブミン(MSA)の結合体化
SANHによるMSAの修飾:MSA 200μL(25mg/mL)を、結合体化緩衝剤(1M NaPi、pH=7.2)100μL及びPBS 690μLに混合した。DFM 10μL中のSANH 844μg(MSAに対し40倍モル過剰)をタンパク溶液に添加した(反応混合液中のMSAの最終濃度は5mg/mL)。その後緩徐な混合作用を室温にて2時間続けた。過剰なSANHを除去するために、反応混合液をPBSで平衡に保ったNAP−10カラムに投入し、修飾したMSAをPBS 1.5mLで溶出した。
【0130】
SANHで修飾したMSAへのIV150の添加:DMF 10μLに溶解したIV150 460μgをSANHで修飾したMSAに添加し、反応混合物を室温にて一晩培養した。過剰なIV150を除去するために、ミクロスピンカラム(Millipore:BIOMAX 5K)を使用して反応混合液を1mLに濃縮し、上記のようにNAP−10に投入した。
【0131】
本明細書で使用される略語は、化学及び生物学の技術分野における従来の意味を有する。本明細書で引用した全ての刊行物、特許、及び特許文書は、参考として本明細書で個別に援用される。矛盾がある場合は、本明細書中の定義を含め、本開示内容が優先される。以上において、本発明を、種々の特定の及び好ましい実施形態及び技法を参照しながら説明してきたが、本発明の趣旨及び適用範囲から逸脱しない範囲で多くの変更及び改変が行われる場合があることを理解しなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−40209(P2013−40209A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−254043(P2012−254043)
【出願日】平成24年11月20日(2012.11.20)
【分割の表示】特願2008−528017(P2008−528017)の分割
【原出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(506115514)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (87)
【Fターム(参考)】