説明

TMEM22ペプチドおよびそれを含むワクチン

SEQ ID NO:33のアミノ酸配列から構成されるか、またはHLA抗原と結合するその断片から構成され、かつ細胞傷害性Tリンパ球(CTL)誘導能を有し、そのためがん免疫療法、より詳細にはがんワクチンとの関連において用いるのに適している単離されたペプチドを本明細書に記載する。本発明はさらに、前述のペプチドまたは断片に対して1個、2個、または数個のアミノ酸の挿入、置換または付加を含むが、それでもなお、必要な細胞傷害性T細胞誘導能を保持しているペプチドを提供する。さらに、前述のこれらのペプチドのいずれかをコードする核酸、ならびに前述のペプチドまたは核酸のいずれかを含む薬学的な剤、物質、および組成物も提供する。本発明のペプチド、核酸、薬学的な剤、物質、および組成物は、がんおよび腫瘍の治療に特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物科学の分野、より具体的にはがん療法の分野に関する。特に本発明は、がんワクチンとして非常に有効な新規ペプチド、ならびに腫瘍を治療および予防するための薬物に関する。
【0002】
優先権
本出願は、2009年12月14日に出願された米国仮出願第61/286,213号、2009年12月17日に出願された米国仮出願第61/287,650号、および2010年4月21日に出願された米国仮出願第61/326,380号の恩典を主張し、それらの内容はその全体が、目的を問わず、参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
CD8陽性CTLは、主要組織適合複合体(MHC)クラスI分子上に見出される腫瘍関連抗原(TAA)由来のエピトープペプチドを認識し、その後、腫瘍細胞を殺傷することが実証されている。TAAの最初の例としてメラノーマ抗原(MAGE)ファミリーが発見されて以来、他の多くのTAAが、免疫学的アプローチによって発見されている(非特許文献1、2)。これらのTAAのうちのいくつかは、現在、免疫療法の標的として臨床開発の過程にある。
【0004】
有望なTAAは、がん細胞の増殖および生存に不可欠なTAAである。そのようなTAAを免疫療法の標的として用いることにより、療法によって誘発される免疫選択の結果としてのTAAの欠失、突然変異、または下方制御に起因し得るがん細胞の免疫回避の詳述されているリスクが最小限に抑えられ得る。したがって、強力かつ特異的な抗腫瘍免疫応答を誘導し得る新規TAAの同定により、様々な種類のがんに対するペプチドワクチン接種戦略のさらなる開発および臨床研究の前進が保証される(非特許文献3〜10)。現在までに、これらのTAA由来ペプチドを用いた臨床試験がいくつか報告されている。残念ながら、現在のがんワクチン治験の多くは低い客観的奏効率しか示していない(非特許文献11〜13)。したがって、免疫療法の標的として有用な新規TAAの同定が依然として必要とされている。
【0005】
この目的のために、23,648個の遺伝子を含む網羅的ゲノムcDNAマイクロアレイを用いる遺伝子発現プロファイル解析により、TMEM22(GenBankアクセッション番号NM_025246、NM_001097599、NM_001097600)、膜貫通タンパク質22(transmembrane protein 22)が、腎細胞癌(RCC)の細胞増殖と関連のある膜貫通タンパク質として同定された(非特許文献14)。ノーザンブロット解析により、TMEM22の発現は、調べたRCC臨床試料および細胞株の大多数では特異的に上方制御され、調べた正常ヒト組織ではほとんど検出不可能な発現であることが確認されている。さらに、特異的siRNAによるTMEM22発現の下方制御は、RCC細胞増殖の有意な低下をもたらすことが示されている(非特許文献15)。しかし、がん細胞に関連したTMEM−22の病態生理学的役割および生物学的機能はまだ報告されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Boon T, Int J Cancer 1993, 54(2): 177-80
【非特許文献2】Boon T & van der Bruggen P, J Exp Med 1996, 183(3): 725-9
【非特許文献3】Harris CC, J Natl Cancer Inst 1996, 88(20): 1442-55
【非特許文献4】Butterfield LH et al., Cancer Res 1999, 59(13): 3134-42
【非特許文献5】Vissers JL et al., Cancer Res 1999, 59(21): 5554-9
【非特許文献6】van der Burg SH et al., J Immunol 1996, 156(9): 3308-14
【非特許文献7】Tanaka F et al., Cancer Res 1997, 57(20): 4465-8
【非特許文献8】Fujie T et al., Int J Cancer 1999, 80(2): 169-72
【非特許文献9】Kikuchi M et al., Int J Cancer 1999, 81(3): 459-66
【非特許文献10】Oiso M et al., Int J Cancer 1999, 81(3): 387-94
【非特許文献11】Belli F et al., J Clin Oncol 2002, 20(20): 4169-80
【非特許文献12】Coulie PG et al., Immunol Rev 2002, 188: 33-42
【非特許文献13】Rosenberg SA et al., Nat Med 2004, 10(9): 909-15
【非特許文献14】Hirota E et al., Int J Oncol. 2006; 29(4):799-827
【非特許文献15】Dobashi S et al., Oncol Rep. 2009; 21(2):305-12
【発明の概要】
【0007】
本発明は、免疫療法の適切な標的として役立つ可能性のある新規ペプチドの発見に一部基づいている。TAAは一般に免疫系にとって「自己」として認知され、そのため多くの場合は免疫原性を有しないため、適切な標的の発見は極めて重要である。TMEM22(例えば、SEQ ID NO:91および92に記載の通り、またGenBankアクセッション番号NM_025246、NM_001097599、NM_001097600にも示される通り)が、急性骨髄性白血病(AML)、膀胱癌、胆管細胞癌(CCC)、食道癌、リンパ腫、前立腺癌、腎細胞癌(RCC)、および小細胞肺癌(SCLC)を含むがこれらに限定されないがんの組織において上方制御されると同定されていることの認識に立ち、本発明は、免疫療法の候補標的としてTMEM22に着目する。
【0008】
この目的のために、本発明は、TMEM22に特異的な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を誘導する能力を有する、TMEM22の特異的エピトープペプチドの同定に少なくとも一部向けられている。以下に詳述するように、健常ドナーから得た末梢血単核細胞(PBMC)を、TMEM22由来のHLA−A2402またはHLA−A0201結合候補ペプチドを用いて刺激した。その後、各候補ペプチドをパルスしたHLA−A24またはHLA−A2陽性標的細胞に対する特異的細胞傷害性を有するCTL株を樹立した。以上を総合すると、これらの結果は、これらのペプチドが、TMEM22を発現する細胞に対して強力かつ特異的な免疫応答を誘導し得るHLA−A24拘束性またはHLA−A2拘束性エピトープペプチドであることを実証している。これらの結果は、TMEM22は免疫原性が強く、かつそのエピトープは腫瘍免疫療法の有効な標的であることをさらに実証している。
【0009】
したがって、HLA抗原と結合し、かつCTL誘導能を有する、単離されたTMEM22(SEQ ID NO:92)ペプチドまたはその断片を提供することは、本発明の1つの目的である。そのようなペプチドは、エクスビボでCTLを誘導するために用いてもよく、または、例としてAML、膀胱癌、CCC、食道癌、リンパ腫、前立腺癌、RCC、およびSCLCを含むがこれらに限定されないがんに対する免疫応答を誘導するために対象に投与してもよい。好ましいペプチドはノナペプチドまたはデカペプチドであり、より好ましくは、強力なCTL誘導能を示し、かつSEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、10、12、16、18、19、22、28、31、35、38、41、48、61、62、65、67、70、74、77、および83の中より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドである。
【0010】
本発明はまた、改変ペプチドが元のペプチドの必要なCTL誘導能を保持する限り、1個、2個、またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、または付加されているSEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、10、12、16、18、19、22、28、31、35、38、41、48、61、62、65、67、70、74、77、および83のアミノ酸配列を有する改変ペプチドも企図する。
【0011】
さらに、本発明は、本発明のペプチドのいずれかをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。これらのポリヌクレオチドは、CTL誘導能を有する抗原発現細胞(APC)を誘導するために用いてもよく、または、本発明のペプチドと同様に、がんに対する免疫応答を誘導するために対象に投与してもよい。
【0012】
対象に投与された場合、本発明のペプチドは、各ペプチドを標的とするCTLを誘導するように、APCの表面上に提示される。したがって、CTLを誘導する剤であって、本発明の1種もしくは複数種のペプチドまたはそのようなペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むそのような剤を提供することは、本発明の1つの目的である。本発明はさらに、本発明の1種もしくは複数種のペプチドまたはそのようなペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む薬剤であって、例としてAML、膀胱癌、CCC、食道癌、リンパ腫、前立腺癌、RCC、およびSCLCを含むがこれらに限定されないがんの治療および/もしくは予防、ならびに/または術後のその再発を予防するのに有用な、そのような薬剤を企図する。したがって、がんの治療および/もしくは予防、ならびに/または術後のその再発の予防のために製剤化されかつ本発明のペプチドまたはポリヌクレオチドのいずれかを含む薬剤を提供することは、本発明のさらに別の目的である。本発明の薬剤は任意で、有効成分として、本発明のペプチドまたはポリヌクレオチドの代わりにまたはそれに加えて、本発明のペプチドのいずれかを提示するAPCまたはエキソソームを含み得る。
【0013】
本発明のペプチドおよびポリヌクレオチドを、例えば、対象由来のAPCを本発明のペプチドと接触させるか、または本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドをAPCに導入することにより、HLA抗原と本発明のペプチドとの複合体を表面上に提示するAPCを誘導するために用いることができる。そのようなAPCは、標的ペプチドに対する高いCTL誘導能を有し、そのためがん免疫療法に有用である。したがって、CTL誘導能を有するAPCを誘導するための方法、ならびにそのような方法によって得られるAPCを提供することは、本発明の別の目的である。
【0014】
CTLを誘導するための方法であって、CD8陽性細胞を、本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソームと共培養する段階、または本発明のペプチドと結合するT細胞受容体(TCR)サブユニットをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子を導入する段階を含む方法を提供することは、本発明の1つのさらなる目的である。本方法によって得られるCTLは、例としてAML、膀胱癌、CCC、食道癌、リンパ腫、前立腺癌、RCC、およびSCLCを含むがこれらに限定されないがんの治療および/または予防にも有用である。したがって、本方法によって得られるCTLを提供することは、本発明の別の目的である。
【0015】
さらに、がんに対する免疫応答を、それを必要とする対象において誘導するための方法であって、TMEM22またはその断片を含む剤または組成物、TMEM22またはその断片をコードするポリヌクレオチド、およびTMEM22またはその断片を提示するエキソソームまたはAPCを対象に投与する段階を含むそのような方法を提供することは、本発明の1つのさらなる目的である。
【0016】
本発明の適用性は、例としてAML、膀胱癌、CCC、食道癌、リンパ腫、前立腺癌、RCC、およびSCLCを含むがこれらに限定されないがんを含む、TMEM22過剰発現に関連するかまたはTMEM22過剰発現から生じるいくつかの疾患のいずれにも及び得る。
【0017】
上記に加え、本発明のその他の目的および特徴は、添付の図面および実施例と併せて以下の詳細な説明を読むことによって、より十分に明らかになるであろう。しかし、前述の発明の概要および以下の詳細な説明はいずれも例示的な態様であり、本発明または本発明のその他の代替的な態様を限定するものではないことが理解されるべきである。特に、本発明をいくつかの特定の態様を参照して本明細書において説明するが、その説明は本発明を例証するものであり、本発明を限定するものとして構成されていないことが理解されよう。添付の特許請求の範囲によって記載される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者は様々な変更および適用に想到することができる。同様に、本発明のその他の目的、特徴、利益、および利点は、本概要および以下に記載する特定の態様から明らかになり、当業者には容易に明白になるであろう。そのような目的、特徴、利益、および利点は、添付の実施例、データ、図面、およびそれらから引き出されるあらゆる妥当な推論と併せて上記から、単独で、または本明細書に組み入れられる参考文献を考慮して、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の様々な局面および適用は、図面の簡単な説明ならびに本発明の詳細な説明およびその好ましい態様を考慮することで、当業者に明白となるであろう。
【図1】図1は、TMEM22由来のペプチドを用いて誘導したCTLにおけるIFN−γ ELISPOTアッセイの結果を示している写真を示す。TMEM22−A24−9−390(SEQ ID NO:1)で刺激したウェル番号#4(a)、TMEM22−A24−9−274(SEQ ID NO:2)で刺激した#7(b)、TMEM22−A24−9−372(SEQ ID NO:3)で刺激した#3および#5(c)、TMEM22−A24−9−331(SEQ ID NO:4)で刺激した#8(d)、TMEM22−A24−9−385(SEQ ID NO:5)で刺激した#4、#6、および#7(e)、TMEM22−A24−9−204(SEQ ID NO:6)で刺激した#3、#4、および#5(f)、TMEM22−A24−9−297(SEQ ID NO:10)で刺激した#3、#6、および#8(g)、TMEM22−A24−9−98(SEQ ID NO:12)で刺激した#3(h)、TMEM22−A24−9−375(SEQ ID NO:16)で刺激した#2および#4(i)、TMEM22−A24−10−137(SEQ ID NO:18)で刺激した#5(j)、TMEM22−A24−10−140(SEQ ID NO:19)で刺激した#1(k)、TMEM22−A24−10−204(SEQ ID NO:22)で刺激した#2、#3、および#4(l)、TMEM22−A24−10−282(SEQ ID NO:28)で刺激した#1、#6、#8(m)、ならびにTMEM22−A24−10−177(SEQ ID NO:31)で刺激した#7(n)におけるCTLはそれぞれ、対照と比較して強力なIFN−γ産生を示した。これらの画像のウェル上の四角は、対応するウェルからの細胞を、CTL株を樹立するために増殖させたことを示す。対照的に、典型的な陰性データの例として、TMEM22−A24−10−8(SEQ ID NO:17)で刺激したCTLからは、ペプチドをパルスした標的細胞に対する特異的IFN−γ産生が示されなかった(o)。これらの画像のウェル上の四角は、対応するウェルからの細胞を、CTL株を樹立するために増殖させたことを示す。図中、「+」は、適切なペプチドをパルスした標的細胞に対するIFN−γ産生を示し、「−」は、いずれのペプチドもパルスしていない標的細胞に対するIFN−γ産生を示す。
【図2】図2は、IFN−γ ELISAアッセイによって検出した、TMEM22−A24−9−390(SEQ ID NO:1)(a)、TMEM22−A24−9−274(SEQ ID NO:2)(b)、TMEM22−A24−9−372(SEQ ID NO:3)(c)、TMEM22−A24−9−331(SEQ ID NO:4)(d)、TMEM22−A24−9−385(SEQ ID NO:5)(e)、TMEM22−A24−9−204(SEQ ID NO:6)(f)、TMEM22−A24−9−297(SEQ ID NO:10)(g)、TMEM22−A24−9−375(SEQ ID NO:16)(h)、TMEM22−A24−10−137(SEQ ID NO:18)(i)、TMEM22−A24−10−204(SEQ ID NO:22)(j)、TMEM22−A24−10−282(SEQ ID NO:28)(k)、およびTMEM22−A24−10−177(SEQ ID NO:31)(l)で刺激したCTL株のIFN−γ産生を示している折れ線グラフを示す。これらの結果は、各ペプチドによる刺激によって樹立されたCTL株が、対照と比較して強力なIFN−γ産生を示したことを実証している。図中、「+」は、適切なペプチドをパルスした標的細胞に対するIFN−γ産生を示し、「−」は、いずれのペプチドもパルスしていない標的細胞に対するIFN−γ産生を示す。
【図3】図3は、TMEM22−A24−9−331(SEQ ID NO:4)(a)、TMEM22−A24−9−204(SEQ ID NO:6)(b)、TMEM22−A24−9−297(SEQ ID NO:10)(c)、およびTMEM22−A24−10−204(SEQ ID NO:22)(d)で刺激したCTL株から限界希釈によって樹立されたCTLクローンのIFN−γ産生を示している折れ線グラフを示す。これらの結果は、各ペプチドによる刺激によって樹立されたCTLクローンが、対照と比較して強力なIFN−γ産生を示したことを実証している。図中、「+」は、各ペプチドをパルスした標的細胞に対するIFN−γ産生を示し、「−」は、いずれのペプチドもパルスしていない標的細胞に対するIFN−γ産生を示す。
【図4】図4は、TMEM22およびHLA−A2402を外因的に発現する標的細胞に対する特異的CTL活性を示している折れ線グラフを示す。HLA−A2402または全長TMEM22遺伝子をトランスフェクトしたCOS7細胞を対照として調製した。TMEM22−A24−9−385(SEQ ID NO:5)を用いて樹立されたCTL株は、TMEM22およびHLA−A2402の両方をトランスフェクトしたCOS7細胞に対して特異的CTL活性を示した(菱形)。一方、HLA−A2402(三角)またはTMEM22(丸)のいずれかを発現する標的細胞に対して、有意な特異的CTL活性は検出されなかった。
【図5−1】図5a〜fは、TMEM22由来のペプチドを用いて誘導したCTLにおけるIFN−γ ELISPOTアッセイの結果を示している写真を示す。TMEM22−A02−9−338(SEQ ID NO:35)を用いたウェル番号#4(a)、TMEM22−A02−9−381(SEQ ID NO:38)を用いた#2(b)、TMEM22−A02−9−367(SEQ ID NO:41)を用いた#6(c)、TMEM22−A02−9−218(SEQ ID NO:48)を用いた#3(d)、TMEM22−A02−10−217(SEQ ID NO:61)を用いた#5(e)、およびTMEM22−A02−10−304(SEQ ID NO:62)を用いた#8(f)におけるCTLはそれぞれ、対照と比較して強力なIFN−γ産生を示した。これらの画像のウェル上の四角は、対応するウェルからの細胞を、CTL株を樹立するために増殖させたことを示す。対照的に、典型的な陰性データの例として、TMEM22−A02−9−305(SEQ ID NO:33)で刺激したCTLからは特異的IFN−γ産生が示されなかった(m)。図中、「+」は、適切なペプチドをパルスした標的細胞に対するIFN−γ産生を示し、「−」は、いずれのペプチドもパルスしていない標的細胞に対するIFN−γ産生を示す。
【図5−2】図5g〜mは、TMEM22由来のペプチドを用いて誘導したCTLにおけるIFN−γ ELISPOTアッセイの結果を示している写真を示す。TMEM22−A02−10−167(SEQ ID NO:65)を用いたウェル番号#4(g)、TMEM22−A02−10−363(SEQ ID NO:67)を用いた#6(h)、TMEM22−A02−10−103(SEQ ID NO:70)を用いた#5(i)、TMEM22−A02−10−195(SEQ ID NO:74)を用いた#5(j)、TMEM22−A02−10−229(SEQ ID NO:77)を用いた#5(k)、およびTMEM22−A02−10−356(SEQ ID NO:83)を用いた#6(l)におけるCTLはそれぞれ、対照と比較して強力なIFN−γ産生を示した。これらの画像のウェル上の四角は、対応するウェルからの細胞を、CTL株を樹立するために増殖させたことを示す。対照的に、典型的な陰性データの例として、TMEM22−A02−9−305(SEQ ID NO:33)で刺激したCTLからは特異的IFN−γ産生が示されなかった(m)。図中、「+」は、適切なペプチドをパルスした標的細胞に対するIFN−γ産生を示し、「−」は、いずれのペプチドもパルスしていない標的細胞に対するIFN−γ産生を示す。
【図6−1】図6a〜fは、IFN−γ ELISAアッセイによって検出した、TMEM22−A02−9−338(SEQ ID NO:35)(a)、TMEM22−A02−9−381(SEQ ID NO:38)(b)、TMEM22−A02−9−218(SEQ ID NO:48)(c)、TMEM22−A02−10−217(SEQ ID NO:61)(d)、TMEM22−A02−10−304(SEQ ID NO:62)(e)、およびTMEM22−A02−10−167(SEQ ID NO:65)(f)で刺激したCTL株のIFN−γ産生を示している折れ線グラフを示す。これらの結果は、各ペプチドによる刺激によって樹立されたCTL株が、対照と比較して強力なIFN−γ産生を示したことを実証している。図中、「+」は、適切なペプチドをパルスした標的細胞に対するIFN−γ産生を示し、「−」は、いずれのペプチドもパルスしていない標的細胞に対するIFN−γ産生を示す。
【図6−2】図6g〜jは、IFN−γ ELISAアッセイによって検出した、TMEM22−A02−10−363(SEQ ID NO:67)(g)、TMEM22−A02−10−103(SEQ ID NO:70)(h)、TMEM22−A02−10−195(SEQ ID NO:74)(i)、およびTMEM22−A02−10−356(SEQ ID NO:83)(j)で刺激したCTL株のIFN−γ産生を示している折れ線グラフを示す。これらの結果は、各ペプチドによる刺激によって樹立されたCTL株が、対照と比較して強力なIFN−γ産生を示したことを実証している。図中、「+」は、適切なペプチドをパルスした標的細胞に対するIFN−γ産生を示し、「−」は、いずれのペプチドもパルスしていない標的細胞に対するIFN−γ産生を示す。
【図7−1】図7a〜fは、TMEM22−A02−9−381(SEQ ID NO:38)(a)、TMEM22−A02−9−218(SEQ ID NO:48)(b)、TMEM22−A02−10−217(SEQ ID NO:61)(c)、TMEM22−A02−10−304(SEQ ID NO:62)(d)、TMEM22−A02−10−167(SEQ ID NO:65)(e)、およびTMEM22−A02−10−363(SEQ ID NO:67)(f)で刺激したCTL株から限界希釈によって樹立されたCTLクローンのIFN−γ産生を示している折れ線グラフを示す。これらの結果は、各ペプチドによる刺激によって樹立されたCTLクローンが、対照と比較して強力なIFN−γ産生を示したことを実証している。図中、「+」は、適切なペプチドをパルスした標的細胞に対するIFN−γ産生を示し、「−」は、いずれのペプチドもパルスしていない標的細胞に対するIFN−γ産生を示す。
【図7−2】図7g〜iは、TMEM22−A02−10−103(SEQ ID NO:70)(g)、TMEM22−A02−10−195(SEQ ID NO:74)(h)、およびTMEM22−A02−10−356(SEQ ID NO:83)(i)で刺激したCTL株から限界希釈によって樹立されたCTLクローンのIFN−γ産生を示している折れ線グラフを示す。これらの結果は、各ペプチドによる刺激によって樹立されたCTLクローンが、対照と比較して強力なIFN−γ産生を示したことを実証している。図中、「+」は、適切なペプチドをパルスした標的細胞に対するIFN−γ産生を示し、「−」は、いずれのペプチドもパルスしていない標的細胞に対するIFN−γ産生を示す。
【図8】図8は、TMEM22およびHLA−A0201を外因的に発現する標的細胞に対する特異的CTL活性を示している折れ線グラフを示す。HLA−A0201または全長TMEM22遺伝子をトランスフェクトしたCOS7細胞を対照として調製した。TMEM22−A02−10−195(SEQ ID NO:74)を用いて樹立されたCTLクローンは、TMEM22およびHLA−A0201の両方をトランスフェクトしたCOS7細胞に対して特異的CTL活性を示した(黒菱形)。一方、HLA−A0201(三角)またはTMEM22(丸)のいずれかを発現する標的細胞に対して、有意な特異的CTL活性は検出されなかった。
【発明を実施するための形態】
【0019】
態様の説明
本発明の態様を実施または試験するにあたって、本明細書に記載の方法および材料と類似のまたは同等のいかなる方法および材料も用いることができるが、好ましい方法、装置、および材料をここに記載する。しかし、本発明の材料および方法について記載する前に、本明細書に記載の特定の大きさ、形状、寸法、材料、方法論、プロトコール等は慣例的な実験法および最適化に応じて変更可能であるため、本発明がこれらに限定されないことが理解されるべきである。本記載に使用する専門用語は特定の型または態様のみを説明する目的のためのものであり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することは意図しないことも、また理解されるべきである。
【0020】
本明細書において言及される各出版物、特許、または特許出願の開示は、その全体が参照により本明細書に明確に組み入れられる。しかし、本明細書中のいかなるものも、本発明が先行発明によりそのような開示に先行する権利を与えられないと承認するものとしては解釈されるべきではない。
【0021】
別段の定めのない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている用語と同じ意味を有する。矛盾する場合には、定義を含め、本明細書が優先される。加えて、材料、方法、および例は、単に例証するためのものであり、限定することは意図しない。
【0022】
I.定義
本明細書で用いる「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」という単語は、特に別段の指定のない限り「少なくとも1つ」を意味する。
【0023】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、本明細書で互換的に用いられ、アミノ酸残基のポリマーを指す。本用語は、1個または複数個のアミノ酸残基が修飾された残基であるか、または対応する天然アミノ酸の人工的な化学的模倣体などの非天然残基であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然アミノ酸ポリマーに適用される。
【0024】
本明細書で時として用いる「オリゴペプチド」という用語は、長さが20残基またはそれ未満、典型的には15残基またはそれ未満の本発明のペプチド、および典型的には約8〜約11残基、しばしば約9または10残基から構成される本発明のペプチドを指すのに用いられる。
【0025】
本明細書で用いる「アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸および合成アミノ酸、ならびに天然アミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を指す。天然アミノ酸とは、遺伝暗号によってコードされるアミノ酸、および細胞内で翻訳後に修飾されたアミノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、およびO−ホスホセリン)である。「アミノ酸類似体」という語句は、天然アミノ酸と同じ基本化学構造(水素、カルボキシ基、アミノ基、およびR基に結合したα炭素)を有するが、修飾されたR基または修飾された骨格を有する化合物(例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニン、スルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム)を指す。「アミノ酸模倣体」という語句は、一般的なアミノ酸とは異なる構造を有するが、同様の機能を有する化合物を指す。
【0026】
アミノ酸は、本明細書において、IUPAC−IUB生化学命名法委員会(Biochemical Nomenclature Commission)の推奨する、一般に公知の3文字表記または1文字表記により参照されてもよい。
【0027】
「遺伝子」、「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、および「核酸」という用語は、本明細書において互換的に用いられ、特に別段の指定のない限り、アミノ酸と同様に、一般に受け入れられている1文字コードにより参照される。
【0028】
「組成物」、「物質」、および「剤」という用語は本明細書で互換的に用いられ、特定量の特定成分を含む生成物、ならびに特定量の特定成分の組み合わせから直接または間接的に生じる任意の生成物を指す。「薬学的組成物」に関するそのような用語は、有効成分と担体を構成する任意の不活性成分とを含む生成物、ならびに任意の2つもしくはそれ以上の成分の組み合わせ、複合体形成、もしくは凝集から、1つもしくは複数の成分の解離から、または1つもしくは複数の成分の他の種類の反応もしくは相互作用から直接または間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図される。したがって、本発明との関連において、「薬学的組成物」という用語は、本発明の化合物と薬学的または生理学的に許容される担体とを混合することにより作製される任意の組成物を指す。本明細書で使用する「薬学的に許容される担体」または「生理学的に許容される担体」という語句は、ポリファーマコフォアにスキャフォールドされた対象をある器官または身体の一部から別の器官または身体の一部へ運搬または輸送することに関与する、液体もしくは固体増量剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、または封入材料を含むがこれらに限定されない、薬学的または生理学的に許容される材料、組成物、物質、または媒体を意味する。
【0029】
本明細書における「有効成分」という用語は、生物学的活性または生理的活性のある、剤または組成物中の物質を指す。特に、薬学的な剤または組成物において、「有効成分」とは、目的の薬理学的効果を示す物質を指す。例えば、がんの治療または予防に用いるための薬学的な剤または組成物の場合、剤または組成物中の有効成分は、がん細胞および/または組織に対して直接的または間接的に、少なくとも1つの生物学的作用または生理的作用をもたらし得る。好ましくは、そのような作用には、がん細胞増殖の低下または阻害、がん細胞および/または組織の損傷または殺傷などが含まれ得る。典型的には、有効成分の間接的効果は、がん細胞を認識または殺傷するCTLの誘導である。製剤化される前には、「有効成分」は「バルク」、「原薬」、または「原体」とも称される。
【0030】
本発明の薬学的な剤または組成物は、特にワクチンとして使用される。本発明との関連において、「ワクチン」という語句(「免疫原性組成物」とも称される)は、動物に接種した際に抗腫瘍免疫を誘導する機能を有する物質を指す。
【0031】
別段の定めのない限り、「がん」という用語は、TMEM22遺伝子を過剰発現するがんを指し、その例には、急性骨髄性白血病(AML)、膀胱癌、胆管細胞癌(CCC)、食道癌、リンパ腫、前立腺癌、腎細胞癌(RCC)、および小細胞肺癌(SCLC)が含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
別段の定めのない限り、「細胞傷害性Tリンパ球」、「細胞傷害性T細胞」、および「CTL」という用語は本明細書において互換的に用いられ、特に別段の指定のない限り、非自己細胞(例えば、腫瘍細胞、ウイルス感染細胞)を認識し、そのような細胞の死滅を誘導することができるTリンパ球のサブグループを指す。
【0033】
別段の定めのない限り、本明細書で用いる「HLA−A24」という用語は、典型的には、HLA−A2402などのサブタイプを指す。
【0034】
別段の定めのない限り、本明細書で用いる「HLA−A2」という用語は、典型的には、HLA−A0201およびHLA−A0206などのサブタイプを指す。
【0035】
別段の定めのない限り、本明細書で用いる「キット」という用語は、試薬と他の物質との組み合わせに関して用いられる。本明細書では、キットはマイクロアレイ、チップ、マーカー等を含み得ることが企図される。「キット」という用語は、試薬および/または物質の特定の組み合わせに限定されないことが意図される。
【0036】
対象または患者との関連において、本明細書で用いる「HLA−A2陽性」という語句は、その対象または患者がHLA−A2抗原遺伝子をホモ接合的またはヘテロ接合的に保有し、HLA−A2抗原が対象または患者の細胞においてHLA抗原として発現していることを指す。
【0037】
同様に、対象または患者との関連において、本明細書で用いる「HLA−A24陽性」という語句もまた、その対象または患者がHLA−A24抗原遺伝子をホモ接合的またはヘテロ接合的に保有し、HLA−A24抗原が対象または患者の細胞においてHLA抗原として発現していることを指す。
【0038】
本発明の方法および組成物ががんの「治療」との関連において有用である限り、治療が、TMEM22遺伝子の発現の低下、または対象におけるがんの大きさ、広がり、もしくは転移能の減少などの臨床的利点をもたらす場合に、治療は「有効である」と見なされる。治療を予防的に適用する場合、「有効な」とは、治療によって、がんの形成が遅延されるもしくは妨げられるか、またはがんの臨床症状が妨げられるもしくは緩和されることを意味する。有効性は、特定の腫瘍の種類を診断または治療するための任意の公知の方法と関連して決定される。
【0039】
本発明の方法および組成物ががんの「予防(preventionおよびprophylaxis)」との関連において有用である限り、そのような用語は本明細書において互換的に用いられ、疾患による死亡率または罹患率の負荷を軽減させる任意の働きを指す。予防(preventionおよびprophylaxis)は、「第一次、第二次、および第三次の予防レベル」で行われ得る。第一次の予防(preventionおよびprophylaxis)は疾患の発生を回避するのに対し、第二次および第三次レベルの予防(preventionおよびprophylaxis)は、疾患の進行および症状の出現を予防することに加え、機能を回復させ、かつ疾患関連の合併症を減少させることによって、既存の疾患の悪影響を低下させることを目的とした働きを包含する。あるいは、予防(preventionおよびprophylaxis)は、特定の障害の重症度を緩和すること、例えば腫瘍の増殖および転移を減少させることを目的とした広範囲の予防的療法を含み得る。
【0040】
本発明との関連において、がんの治療および/もしくは予防、ならびに/または術後のその再発の予防は、以下の段階、がん細胞の外科的切除、がん性細胞の増殖の阻害、腫瘍の退行または退縮、寛解の誘導およびがんの発生の抑制、腫瘍退縮、ならびに転移の低減または阻害などの段階のいずれかを含む。がんの効果的な治療および/または予防は、死亡率を減少させ、がんを有する個体の予後を改善し、血中の腫瘍マーカーのレベルを低下させ、かつがんに伴う検出可能な症状を緩和する。例えば、症状の軽減または改善は効果的な治療および/または予防を構成し、10%、20%、30%、もしくはそれ以上の軽減もしくは安定した疾患を含む。
【0041】
本発明との関連において、「抗体」という用語は、指定のタンパク質またはそのペプチドと特異的に反応する免疫グロブリンおよびその断片を指す。抗体には、ヒト抗体、霊長類化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヒト化抗体、他のタンパク質または放射標識と融合させた抗体、および抗体断片が含まれ得る。さらに、本明細書において抗体は広義で使用され、具体的には完全なモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの完全な抗体から形成される多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)を包含し、また所望の生物学的活性を示す限り、抗体断片を包含する。「抗体」は、すべてのクラス(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM)を示す。
【0042】
II.ペプチド
TMEM22由来のペプチドがCTLによって認識される抗原として機能することを実証するために、TMEM22(SEQ ID NO:92)由来のペプチドを解析して、それらが、通常見られるHLAアリルであるHLA−A24またはHLA−A2によって拘束される抗原エピトープであるかどうかを判定した(Date Y et al., Tissue Antigens 47: 93-101, 1996;Kondo A et al., J Immunol 155: 4307-12, 1995;Kubo RT et al., J Immunol 152: 3913-24, 1994)。
【0043】
TMEM22由来のHLA−A24結合ペプチドの候補を、HLA−A24に対するそれらの結合親和性に基づいて同定した。以下のペプチドを候補ペプチドとして同定した:
TMEM22−A24−9−390(SEQ ID NO:1)、
TMEM22−A24−9−274(SEQ ID NO:2)、
TMEM22−A24−9−372(SEQ ID NO:3)、
TMEM22−A24−9−331(SEQ ID NO:4)、
TMEM22−A24−9−385(SEQ ID NO:5)、
TMEM22−A24−9−204(SEQ ID NO:6)、
TMEM22−A24−9−368(SEQ ID NO:7)、
TMEM22−A24−9−37(SEQ ID NO:9)、
TMEM22−A24−9−297(SEQ ID NO:10)、
TMEM22−A24−9−137(SEQ ID NO:11)、
TMEM22−A24−9−98(SEQ ID NO:12)、
TMEM22−A24−9−197(SEQ ID NO:13)、
TMEM22−A24−9−283(SEQ ID NO:14)、
TMEM22−A24−9−142(SEQ ID NO:15)、
TMEM22−A24−9−375(SEQ ID NO:16)、
TMEM22−A24−10−137(SEQ ID NO:18)、
TMEM22−A24−10−140(SEQ ID NO:19)、
TMEM22−A24−10−153(SEQ ID NO:20)、
TMEM22−A24−10−170(SEQ ID NO:21)、
TMEM22−A24−10−204(SEQ ID NO:22)、
TMEM22−A24−10−257(SEQ ID NO:23)、
TMEM22−A24−10−319(SEQ ID NO:24)、
TMEM22−A24−10−355(SEQ ID NO:25)、
TMEM22−A24−10−372(SEQ ID NO:26)、
TMEM22−A24−10−402(SEQ ID NO:27)、
TMEM22−A24−10−282(SEQ ID NO:28)、
TMEM22−A24−10−297(SEQ ID NO:29)、
TMEM22−A24−10−104(SEQ ID NO:30)、および
TMEM22−A24−10−177(SEQ ID NO:31)。
【0044】
さらに、これらのペプチドを負荷した樹状細胞(DC)によるT細胞のインビトロでの刺激後、以下の各ペプチドを用いてCTLの樹立に成功した:
TMEM22−A24−9−390(SEQ ID NO:1)、
TMEM22−A24−9−274(SEQ ID NO:2)、
TMEM22−A24−9−372(SEQ ID NO:3)、
TMEM22−A24−9−331(SEQ ID NO:4)、
TMEM22−A24−9−385(SEQ ID NO:5)、
TMEM22−A24−9−204(SEQ ID NO:6)、
TMEM22−A24−9−297(SEQ ID NO:10)、
TMEM22−A24−9−375(SEQ ID NO:16)、
TMEM22−A24−10−137(SEQ ID NO:18)、
TMEM22−A24−10−204(SEQ ID NO:22)、
TMEM22−A24−10−282(SEQ ID NO:28)、および
TMEM22−A24−10−177(SEQ ID NO:31)。
【0045】
TMEM22由来のHLA−A2結合ペプチドの候補を、HLA−A2に対するそれらの結合親和性に基づいて同定した。以下のペプチドを候補ペプチドとして同定した:
TMEM22−A2−9−196(SEQ ID NO:32)、
TMEM22−A2−9−262(SEQ ID NO:34)、
TMEM22−A2−9−338(SEQ ID NO:35)、
TMEM22−A2−9−213(SEQ ID NO:36)、
TMEM22−A2−9−379(SEQ ID NO:37)、
TMEM22−A2−9−381(SEQ ID NO:38)、
TMEM22−A2−9−364(SEQ ID NO:39)、
TMEM22−A2−9−320(SEQ ID NO:40)、
TMEM22−A2−9−367(SEQ ID NO:41)、
TMEM22−A2−9−99(SEQ ID NO:42)、
TMEM22−A2−9−380(SEQ ID NO:43)、
TMEM22−A2−9−337(SEQ ID NO:44)、
TMEM22−A2−9−302(SEQ ID NO:45)、
TMEM22−A2−9−112(SEQ ID NO:46)、
TMEM22−A2−9−143(SEQ ID NO:47)、
TMEM22−A2−9−218(SEQ ID NO:48)、
TMEM22−A2−9−225(SEQ ID NO:49)、
TMEM22−A2−9−265(SEQ ID NO:50)、
TMEM22−A2−9−357(SEQ ID NO:51)、
TMEM22−A2−9−230(SEQ ID NO:52)、
TMEM22−A2−9−345(SEQ ID NO:53)、
TMEM22−A2−9−360(SEQ ID NO:54)、
TMEM22−A2−9−217(SEQ ID NO:55)、
TMEM22−A2−9−211(SEQ ID NO:56)、
TMEM22−A2−9−234(SEQ ID NO:57)、
TMEM22−A2−9−123(SEQ ID NO:58)、
TMEM22−A2−9−247(SEQ ID NO:59)、
TMEM22−A2−9−105(SEQ ID NO:60)、
TMEM22−A2−10−217(SEQ ID NO:61)、
TMEM22−A2−10−304(SEQ ID NO:62)、
TMEM22−A2−10−212(SEQ ID NO:63)、
TMEM22−A2−10−320(SEQ ID NO:64)、
TMEM22−A2−10−167(SEQ ID NO:65)、
TMEM22−A2−10−338(SEQ ID NO:66)、
TMEM22−A2−10−363(SEQ ID NO:67)、
TMEM22−A2−10−296(SEQ ID NO:68)、
TMEM22−A2−10−112(SEQ ID NO:69)、
TMEM22−A2−10−103(SEQ ID NO:70)、
TMEM22−A2−10−136(SEQ ID NO:71)、
TMEM22−A2−10−265(SEQ ID NO:72)、
TMEM22−A2−10−337(SEQ ID NO:73)、
TMEM22−A2−10−195(SEQ ID NO:74)、
TMEM22−A2−10−205(SEQ ID NO:75)、
TMEM22−A2−10−269(SEQ ID NO:76)、
TMEM22−A2−10−229(SEQ ID NO:77)、
TMEM22−A2−10−148(SEQ ID NO:78)、
TMEM22−A2−10−133(SEQ ID NO:79)、
TMEM22−A2−10−359(SEQ ID NO:80)、
TMEM22−A2−10−380(SEQ ID NO:81)、
TMEM22−A2−10−224(SEQ ID NO:82)、
TMEM22−A2−10−356(SEQ ID NO:83)、
TMEM22−A2−10−379(SEQ ID NO:84)、
TMEM22−A2−10−291(SEQ ID NO:85)、
TMEM22−A2−10−301(SEQ ID NO:86)、
TMEM22−A2−10−378(SEQ ID NO:87)、
TMEM22−A2−10−302(SEQ ID NO:88)、
TMEM22−A2−10−287(SEQ ID NO:89) 、および
TMEM22−A2−10−130(SEQ ID NO:90)。
【0046】
さらに、これらのペプチドをパルスした(負荷した)樹状細胞(DC)によるT細胞のインビトロでの刺激後、以下の各ペプチドを用いてCTLの樹立に成功した:
TMEM22−A2−9−338(SEQ ID NO:35)、
TMEM22−A2−9−381(SEQ ID NO:38)、
TMEM22−A2−9−367(SEQ ID NO:41)、
TMEM22−A2−9−218(SEQ ID NO:48)、
TMEM22−A2−10−217(SEQ ID NO:61)、
TMEM22−A2−10−304(SEQ ID NO:62)、
TMEM22−A2−10−167(SEQ ID NO:65)、
TMEM22−A2−10−363(SEQ ID NO:67)、
TMEM22−A2−10−103(SEQ ID NO:70)、
TMEM22−A2−10−195(SEQ ID NO:74)、
TMEM22−A2−10−229(SEQ ID NO:77)、および
TMEM22−A2−10−356(SEQ ID NO:83)。
【0047】
樹立されたこれらのCTLは、各ペプチドをパルスした標的細胞に対して強力な特異的CTL活性を示す。本明細書におけるこれらの結果は、TMEM22がCTLによって認識される抗原であること、およびそれらのペプチドがHLA−A24またはHLA−A2拘束性TMEM22のエピトープペプチドであることを実証している。
【0048】
TMEM22遺伝子は、AML、膀胱癌、CCC、食道癌、リンパ腫、前立腺癌、RCC、およびSCLCを含むがこれらに限定されないがんの細胞および組織では過剰発現されるが、ほとんどの正常器官では発現されないため、これは免疫療法の優れた標的である。したがって、本発明は、CTLによって認識されるTMEM22のエピトープに相当するノナペプチド(9個のアミノ酸残基から構成されるペプチド)およびデカペプチド(10個のアミノ酸残基から構成されるペプチド)を提供する。本発明のノナペプチドおよびデカペプチドの特に好ましい例には、SEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、10、12、16、18、19、22、28、31、35、38、41、48、61、62、65、67、70、74、77、および83の中より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドが含まれる。
【0049】
一般に、Parker KC et al., J Immunol 1994 Jan 1, 152(1): 163-75、Buus et al.(Tissue Antigens., 62:378-84, 2003)およびNielsen et al.(Protein Sci., 12:1007-17, 2003, Bioinformatics, 20(9):1388-97, 2004)に記載されているソフトウェアプログラムなど、インターネット上で現在利用可能なソフトウェアプログラムを用いて、様々なペプチドとHLA抗原との間の結合親和性をインシリコで算出することができる。HLA抗原との結合親和性は、例えば、Parker KC et al., J Immunol 1994 Jan 1, 152(1): 163-75;およびKuzushima K et al., Blood 2001, 98(6): 1872-81の参考文献に記載されているように測定することができる。結合親和性を測定するための方法は、例えば、Journal of Immunological Methods, 1995, 185: 181-190;およびProtein Science, 2000, 9: 1838-1846に記載されている。したがって、そのようなソフトウェアプログラムを用いて、HLA抗原との高い結合親和性を有するTMEM22由来の断片を選択することができる。したがって、本発明は、そのような公知のプログラムを用いて同定された、HLA抗原と結合するTMEM22由来の任意の断片から構成されるペプチドを包含する。本発明のペプチドは、TMEM22の全長ペプチドであってもよい。
【0050】
本発明のペプチドは、結果として生じるペプチドがそのCTL誘導能を保持する限り、付加的なアミノ酸残基を隣接させることができる。本発明のペプチドに隣接する具体的なアミノ酸残基は、それらが元のペプチドのCTL誘導能を損なわない限り、任意の種類のアミノ酸から構成され得る。したがって、本発明は、TMEM22由来のペプチドを含み、かつHLA抗原に対する結合親和性を有するペプチドを包含する。そのようなペプチドは、典型的には約40アミノ酸未満であり、多くの場合は約20アミノ酸未満であり、通常は約15アミノ酸未満である。
【0051】
一般に、あるペプチド中の1個、2個、またはそれ以上のアミノ酸の改変は該ペプチドの機能に影響を及ぼさず、場合によっては元のタンパク質の所望の機能を増強することさえある。実際に、改変ペプチド(すなわち、元の参照配列と比較して、1個、2個、または数個のアミノ酸残基が改変された(すなわち、置換、欠失、付加、または挿入された)アミノ酸配列から構成されるペプチド)は、元のペプチドの生物学的活性を保持することが知られている(Mark et al., Proc Natl Acad Sci USA 1984, 81: 5662-6;Zoller and Smith, Nucleic Acids Res 1982, 10: 6487-500;Dalbadie-McFarland et al., Proc Natl Acad Sci USA 1982, 79: 6409-13)。したがって、一態様において、本発明のペプチドは、CTL誘導能を有し得、かつ1個、2個、またはさらにそれ以上のアミノ酸が付加、挿入、および/または置換されている、SEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、10、12、16、18、19、22、28、31、35、38、41、48、61、62、65、67、70、74、77、および83の中より選択されるアミノ酸配列を有し得る。
【0052】
当業者は、単一のアミノ酸またはわずかな割合のアミノ酸を変更する、アミノ酸配列に対する個々の付加または置換が、元のアミノ酸側鎖の特性の保存をもたらす傾向があることを認識する。したがって、それらはしばしば「保存的置換」または「保存的改変」と称され、この場合、タンパク質の変化により、元のタンパク質と類似の機能を有する改変タンパク質が生じる。機能的に類似しているアミノ酸を提示する保存的置換の表は、当技術分野において周知である。保存することが望ましいアミノ酸側鎖の特性の例には、例えば、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、ならびに以下の官能基または特徴を共通して有する側鎖が含まれる:脂肪族側鎖(G、A、V、L、I、P);ヒドロキシル基含有側鎖(S、T、Y);硫黄原子含有側鎖(C、M);カルボン酸およびアミド含有側鎖(D、N、E、Q);塩基含有側鎖(R、K、H);ならびに芳香族含有側鎖(H、F、Y、W)。加えて、以下の8群はそれぞれ、相互に保存的置換であるとして当技術分野で認められているアミノ酸を含む:
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、スレオニン(T);および
8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton,Proteins 1984を参照されたい)。
【0053】
このような保存的改変ペプチドもまた、本発明のペプチドと見なされる。しかし、本発明のペプチドはこれらに限定されず、得られた改変ペプチドが元のペプチドのCTL誘導能を保持する限り、非保存的な改変を含み得る。さらに、改変ペプチドは、TMEM22の多型変異体、種間相同体、およびアリルのCTL誘導可能なペプチドを排除しない。
【0054】
より高い結合親和性を達成するために、本発明のペプチドに対してアミノ酸残基を挿入、置換、または付加してもよく、あるいは本発明のペプチドからアミノ酸残基を欠失させてもよい。必要なCTL誘導能を保持するために、好ましくは少数の(例えば、1個、2個、または数個の)またはわずかな割合のアミノ酸のみを改変(挿入、欠失、付加、および/または置換)する。本明細書において、「数個」という用語は、5個またはそれ未満のアミノ酸、例えば4個、3個、またはそれ未満を意味する。改変されるアミノ酸の割合は、好ましくは20%もしくはそれ未満、より好ましくは15%もしくはそれ未満、さらにより好ましくは10%もしくはそれ未満、または1〜5%である。
【0055】
免疫療法との関連で用いられた場合、本発明のペプチドは、好ましくはHLA抗原との複合体として、細胞またはエキソソームの表面上に提示されるべきである。天然に提示されるペプチドに加えて、HLA抗原への結合によって提示されるペプチドの配列の規則性は既知であることから(J Immunol 1994, 152: 3913;Immunogenetics 1995, 41: 178;J Immunol 1994, 155: 4307)、そのような規則性に基づいた改変を本発明の免疫原性ペプチドに導入することができる。
【0056】
例えば、HLA−A24との結合を高めるためには、N末端から2番目のアミノ酸をフェニルアラニン、チロシン、メチオニン、もしくはトリプトファンで置換すること、および/またはC末端のアミノ酸をフェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、もしくはメチオニンで置換することが望ましい可能性がある。したがって、SEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、10、12、16、18、19、22、28、および31の中より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドであって、SEQ ID NOのアミノ酸配列のN末端から2番目のアミノ酸がフェニルアラニン、チロシン、メチオニン、もしくはトリプトファンで置換されている、および/またはSEQ ID NOのアミノ酸配列のC末端がフェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、もしくはメチオニンで置換されているペプチドが、本発明に包含される。
【0057】
あるいは、高いHLA−A2結合親和性を示すペプチドにおいて、N末端から2番目のアミノ酸をロイシンもしくはメチオニンで置換すること、またはC末端のアミノ酸をバリンもしくはロイシンで置換することが望ましい可能性がある。したがって、SEQ ID NO:35、38、41、48、61、62、65、67、70、74、77、および83の中より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドであって、前記SEQ ID NOのアミノ酸配列のN末端から2番目のアミノ酸がロイシンもしくはメチオニンで置換されている、および/または前記SEQ ID NOのアミノ酸配列のC末端がバリンもしくはロイシンで置換されているペプチドが、本発明に包含される。
【0058】
末端のアミノ酸においてだけでなく、ペプチドの潜在的なT細胞受容体(TCR)認識部位においても、置換を導入することができる。いくつかの研究は、例えばCAP1、p53(264−272)、Her−2/neu(369−377)、またはgp100(209−217)など、アミノ酸置換を有するペプチドが元の機能と同等であるかまたはより優れた機能を有し得ることを実証している(Zaremba et al. Cancer Res. 57, 4570-4577, 1997、T. K. Hoffmann et al. J Immunol. (2002) Feb 1;168(3):1338-47.、S. O. Dionne et al. Cancer Immunol immunother. (2003) 52: 199-206、およびS. O. Dionne et al. Cancer Immunology, Immunotherapy (2004) 53, 307-314)。
【0059】
本発明はまた、記載されたペプチドのN末端および/またはC末端に対する1個、2個、または数個のアミノ酸の付加も企図する。高いHLA抗原結合親和性を有し、かつCTL誘導能を保持するそのような改変ペプチドもまた、本発明に含まれる。
【0060】
しかし、ペプチド配列が、異なる機能を有する内因性または外因性タンパク質のアミノ酸配列の一部と同一である場合、自己免疫障害および/または特定の物質に対するアレルギー症状などの副作用が誘発される可能性がある。したがって、ペプチドの配列が別のタンパク質のアミノ酸配列と一致する状況を回避するために、利用可能なデータベースを用いて最初に相同性検索を行うことが好ましい。相同性検索から、対象ペプチドと比較して1個または2個のアミノ酸が異なるペプチドでさえも存在しないことが明らかになった場合には、そのような副作用の危険を全く伴うことなしに、HLA抗原とのその結合親和性を増大させるため、および/またはそのCTL誘導能を増大させるために、該対象ペプチドを改変することができる。
【0061】
上記のようにHLA抗原に対する高い結合親和性を有するペプチドは、非常に効果的であると予測されるが、高い結合親和性の存在を指標として選択された候補ペプチドを、CTL誘導能の有無についてさらに調べる。本明細書において「CTL誘導能」という語句は、抗原提示細胞(APC)上に提示された場合に、CTLを誘導するペプチドの能力を示す。さらに、「CTL誘導能」は、CTL活性化を誘導する、CTL増殖を誘導する、CTLによる標的細胞の溶解を促進する、およびCTLのIFN−γ産生を増加させる、ペプチドの能力を含む。
【0062】
CTL誘導能の確認は、ヒトMHC抗原を保有するAPC(例えば、Bリンパ球、マクロファージ、および樹状細胞(DC))、またはより具体的にはヒト末梢血単核白血球由来のDCを誘導し、ペプチドで刺激した後、CD8陽性細胞と混合し、その後、標的細胞に対してCTLによって産生および放出されたIFN−γを測定することにより達成される。反応系として、ヒトHLA抗原を発現するように作製されたトランスジェニック動物(例えば、BenMohamed L, Krishnan R, Longmate J, Auge C, Low L, Primus J, Diamond DJ, Hum Immunol 2000 Aug, 61(8): 764-79, Related Articles, Books, Linkout Induction of CTL response by a minimal epitope vaccine in HLA A*0201/DR1 transgenic mice: dependence on HLA class II restricted T(H) responseに記載されているもの)を用いることができる。例えば、標的細胞を51Cr等で放射標識することが可能であり、標的細胞から放出された放射能から細胞傷害活性を算出することができる。あるいは、固定化したペプチドを保有するAPCの存在下で、CTLによって産生および放出されたIFN−γを測定し、抗IFN−γモノクローナル抗体を用いて培地上の阻止帯を可視化することによって、CTL誘導能を評価することができる。
【0063】
上記のようにペプチドのCTL誘導能を調べた結果、SEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、10、12、16、18、19、22、28、31 35、38、41、48、61、62、65、67、70、74、77、および83によって示されるアミノ酸配列を有するペプチドの中より選択されるノナペプチドまたはデカペプチドが、HLAに対する高い結合親和性に加えて、特に高いCTL誘導能を示すことが判明した。したがって、これらのペプチドは本発明の好ましい態様として例示される。
【0064】
さらに、相同性解析の結果から、そのようなペプチドが、他のいかなる公知のヒト遺伝子産物に由来するペプチドとも有意な相同性を有していないことが示された。そのため、免疫療法に用いた場合に未知のまたは望ましくない免疫応答が生じる可能性は低くなっている。したがって、この局面からもまた、これらのペプチドはがん患者においてTMEM22に対する免疫を誘発するのに有用である。したがって、本発明のペプチドは、好ましくは、SEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、10、12、16、18、19、22、28、31、35、38、41、48、61、62、65、67、70、74、77、および83の中より選択されるアミノ酸配列からなるペプチドである。
【0065】
上記の改変に加えて、本発明のペプチドは、結果として生じる連結ペプチドが、必要なCTL誘導能を保持する限り、他のペプチドに連結させることもできる。「他の」適切なペプチドの例には、本発明のペプチドまたは他のTAAに由来するCTL誘導性ペプチドが含まれる。ペプチド間のリンカーは当技術分野で周知であり、例えばAAY(P. M. Daftarian et al., J Trans Med 2007, 5:26)、AAA、NKRK(R. P. M. Sutmuller et al., J Immunol. 2000, 165: 7308-7315)、またはK(S. Ota et al., Can Res. 62, 1471-1476、K. S. Kawamura et al., J Immunol. 2002, 168: 5709-5715)である。
【0066】
例えば、HLAクラスIおよび/またはクラスIIを介する免疫応答を増大させるために、TMEM22ではない腫瘍関連抗原ペプチドを実質的に同時に使用することもできる。がん細胞が2種類以上の腫瘍関連遺伝子を発現し得ることは、十分に確立されている。したがって、特定の対象がさらなる腫瘍関連遺伝子を発現するかどうかを判定すること、ならびに続いて本発明によるTMEM22組成物またはワクチン中に、そのような遺伝子の発現産物に由来するHLAクラスIおよび/またはHLAクラスII結合ペプチドを含めることは、当業者の慣例的な実験法の範囲内である。
【0067】
HLAクラスIおよびHLAクラスII結合ペプチドの例は当業者に公知であり(例えば、Coulie, Stem Cells 13:393-403, 1995を参照されたい)、本明細書に開示したものと同様の様式で本発明において用いることができる。当業者は、1種もしくは複数種のTMEM22ペプチドおよび1種もしくは複数種のTMEM22ではないペプチドを含むポリペプチド、またはそのようなポリペプチドをコードする核酸を、分子生物学の標準的な手順に従って調製することができる。
【0068】
上記の連結ペプチドを本明細書では「ポリトープ」と称し、これはすなわち、様々な配置(例えば、連鎖状、重複)で連結され得る、2つまたはそれ以上の潜在的な免疫原性または免疫応答刺激性ペプチドの群である。ポリポア(polypore)(またはポリトープをコードする核酸)を標準的な免疫化プロトコールで例えば動物に投与して、免疫応答の促進、増強、および/または誘発における該ポリトープの有効性を試験することができる。
【0069】
ペプチドを直接的にまたは隣接配列の使用により連結して、ポリトープを形成することができ、ポリトープのワクチンとしての使用は当技術分野において周知である(例えば、Thomson et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 92(13):5845-5849, 1995;Gilbert et al., Nature Biotechnol. 15(12):1280-1284, 1997;Thomson et al., J Immunol. 157(2):822-826, 1996;Tarn et al., J Exp. Med. 171(1):299-306, 1990を参照されたい)。様々な数および組み合わせのエピトープを含むポリトープを調製することができ、CTLによる認識について、および免疫応答の増大における有効性について試験することができる。
【0070】
さらに、記載されたペプチドは、それらが元のペプチドのCTL誘導能を保持する限り、他の物質にさらに連結させることもできる。例示的な物質には、ペプチド、脂質、糖および糖鎖、アセチル基、天然および合成のポリマー等が含まれる。本発明のペプチドは、修飾によって元のペプチドの生物学的活性が損なわれない限り、糖鎖付加、側鎖酸化、および/またはリン酸化などの修飾を含むことができる。このような種類の修飾は、付加的な機能(例えば、標的化機能および送達機能)を付与すること、および/またはペプチドを安定化することができる。
【0071】
例えば、ポリペプチドのインビボ安定性を高めるために、D−アミノ酸、アミノ酸模倣体、または非天然アミノ酸を導入することが当技術分野において公知であり、この概念を本発明のポリペプチドに対して用いることもできる。ポリペプチドの安定性は、いくつかの方法でアッセイすることができる。例えば、ペプチダーゼ、ならびにヒトの血漿および血清などの様々な生物学的媒質を用いて、安定性を試験することができる(例えば、Verhoef et al., Eur J Drug Metab Pharmacokin 1986, 11: 291-302を参照されたい)。
【0072】
さらに、上述したように、1個、2個、または数個のアミノ酸残基により置換、欠失、または付加されている改変ペプチドの中から、元のペプチドと比較して同じかまたはそれよりも高い活性を有するものをスクリーニングまたは選択することができる。したがって本発明はまた、元のものと比較して同じかまたはそれよりも高い活性を有する改変ペプチドをスクリーニングまたは選択する方法を提供する。例えば、方法は以下の段階を含み得る:
a:本発明のペプチドの少なくとも1個のアミノ酸残基を置換、欠失、または付加する段階、
b:ペプチドの活性を測定する段階、および
c:元のものと比較して同じかまたはそれよりも高い活性を有するペプチドを選択する段階。
【0073】
本明細書において、活性には、MHC結合活性、APCまたはCTL誘導能、および細胞傷害活性が含まれ得る。
【0074】
本発明のペプチドがシステイン残基を含む場合、それらのペプチドはシステイン残基のSH基間のジスルフィド結合を介して二量体を形成する傾向がある。したがって、本発明のペプチドの二量体も、本発明のペプチドに含まれる。
【0075】
本明細書において、本発明のペプチドはまた、「TMEM22ペプチド」または「TMEM22ポリペプチド」と記載することもできる。
【0076】
III.TMEM22ペプチドの調製
周知の技法を用いて、本発明のペプチドを調製することができる。例えば、組換えDNA技術または化学合成を用いて、ペプチドを合成的に調製することができる。本発明のペプチドは、個々に、または2つもしくはそれ以上のペプチドから構成されるより長いポリペプチドとして、合成することができる。その後ペプチドを単離する、すなわち、他の天然の宿主細胞タンパク質およびそれらの断片、または他のいかなる化学物質も実質的に含まないように精製または単離することができる。
【0077】
本発明のペプチドは、修飾によって元のペプチドの生物学的活性が損なわれない限り、糖鎖付加、側鎖酸化、またはリン酸化などの修飾を含み得る。他の例示的な修飾には、例えばペプチドの血清半減期を延長させるために用いることができる、D−アミノ酸または他のアミノ酸模倣体の取り込みが含まれる。
【0078】
選択されたアミノ酸配列に基づいた化学合成によって、本発明のペプチドを得ることができる。該合成に適合させることのできる従来のペプチド合成法の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:
(i)Peptide Synthesis, Interscience, New York, 1966;
(ii)The Proteins, Vol. 2, Academic Press, New York, 1976;
(iii)「ペプチド合成」(日本語), 丸善, 1975;
(iv)「ペプチド合成の基礎と実験」(日本語), 丸善, 1985;
(v)「続医薬品の開発」(日本語), 第14巻(ペプチド合成), 広川書店, 1991;
(vi)WO99/67288;および
(vii)Barany G. & Merrifield R.B., Peptides Vol. 2, "Solid Phase Peptide Synthesis", Academic Press, New York, 1980, 100-118。
【0079】
あるいは、ペプチドを産生するための任意の公知の遺伝子工学的方法を適合させて、本発明のペプチドを得ることもできる(例えば、Morrison J, J Bacteriology 1977, 132: 349-51;Clark-Curtiss & Curtiss, Methods in Enzymology (eds. Wu et al.) 1983, 101: 347-62)。例えば、最初に、目的のペプチドを発現可能な形態で(例えば、プロモーター配列に相当する調節配列の下流に)コードするポリヌクレオチドを有する適切なベクターを調製し、適切な宿主細胞に形質転換する。次いで、該宿主細胞を培養して、関心対象のペプチドを産生させる。インビトロ翻訳系を適合させて、ペプチドをインビトロで作製することもできる。
【0080】
IV.ポリヌクレオチド
本発明はまた、前述の本発明のペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチドを提供する。これらには、天然TMEM22遺伝子(GenBankアクセッション番号NM_025246、NM_001097599、NM_001097600(例えば、SEQ ID NO:91))由来のポリヌクレオチド、およびその保存的に改変されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドが含まれる。本明細書において「保存的に改変されたヌクレオチド配列」という語句は、同一のまたは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする配列を指す。遺伝暗号の縮重のため、数多くの機能的に同一の核酸が任意の特定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、およびGCUはすべて、アミノ酸のアラニンをコードする。したがって、あるコドンによってアラニンが指定される任意の位置において、コードされるポリペプチドを変化させることなく、該コドンを、記載された対応するコドンのいずれかに変更することができる。そのような核酸の変異は「サイレント変異」であり、保存的に改変された変異の一種である。ペプチドをコードする本明細書中のあらゆる核酸配列は、該核酸のあらゆる可能なサイレント変異をも表す。核酸中の各コドン(通常メチオニンに対する唯一のコドンであるAUG、および通常トリプトファンに対する唯一のコドンであるTGGを除く)を改変して、機能的に同一の分子を得ることができることを、当業者は認識するであろう。したがって、ペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、開示した各配列において非明示的に説明されている。
【0081】
本発明のポリヌクレオチドは、DNA、RNA、およびそれらの誘導体から構成され得る。DNAはA、T、C、およびGなどの塩基から適切に構成され、RNAではTはUに置き換えられる。当業者は、非天然塩基もまたポリヌクレオチドに含まれることを認識する。
【0082】
本発明のポリヌクレオチドは、介在するアミノ酸配列を間に伴って、または伴わずに、本発明の複数のペプチドをコードし得る。例えば、介在するアミノ酸配列は、ポリヌクレオチドまたは翻訳されたペプチドの切断部位(例えば、酵素認識配列)を提供し得る。さらに、ポリヌクレオチドは、本発明のペプチドをコードするコード配列に対する任意の付加的配列を含み得る。例えば、ポリヌクレオチドは、ペプチドの発現に必要な調節配列を含む組換えポリヌクレオチドであってもよく、またはマーカー遺伝子等を有する発現ベクター(プラスミド)であってもよい。一般に、例えばポリメラーゼおよびエンドヌクレアーゼを用いる従来の組換え技法によりポリヌクレオチドを操作することによって、そのような組換えポリヌクレオチドを調製することができる。
【0083】
組換え技法および化学合成技法のいずれを用いても、本発明のポリヌクレオチドを作製することができる。例えば、適切なベクターに挿入することによってポリヌクレオチドを作製することができ、これはコンピテント細胞にトランスフェクトした場合に発現され得る。あるいは、PCR技法または適切な宿主内での発現を用いて、ポリヌクレオチドを増幅することもできる(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1989を参照されたい)。あるいは、Beaucage SL & Iyer RP, Tetrahedron 1992, 48: 2223-311;Matthes et al., EMBO J 1984, 3: 801-5に記載されている固相技法を用いて、ポリヌクレオチドを合成することもできる。
【0084】
V.エキソソーム
本発明はさらに、本発明のペプチドとHLA抗原との間に形成された複合体を自身の表面上に提示する、エキソソームと称される細胞内小胞を提供する。エキソソームは、例えば公表特許公報 特表平11−510507号およびWO99/03499に詳述されている方法を用いて調製することができ、治療および/または予防の対象となる患者から得られたAPCを用いて調製することができる。本発明のエキソソームは、本発明のペプチドと同様の様式で、ワクチンとして接種することができる。
【0085】
複合体中に含まれるHLA抗原の型は、治療および/または予防を必要とする対象のものと一致しなければならない。例えば日本人集団では、HLA−A24およびHLA−A2(特にHLA−A2402、HLA−A0201、およびHLA−A0206)が広く一般的であり、したがってこれは日本人患者の治療に適していると考えられる。日本人および白人の間で高発現するA24型またはA2型の使用は、有効な結果を得るのに好ましく、HLA−A2402、HLA−A0201、およびHLA−A0206などのサブタイプもまた使用される。典型的には、クリニックにおいて、治療を必要とする患者のHLA抗原の型を予め調べることにより、特定の抗原に対して高レベルの結合親和性を有する、または抗原提示によるCTL誘導能を有するペプチドの適切な選択が可能となる。さらに、高い結合親和性およびCTL誘導能の両方を有するペプチドを得るために、天然のTMEM22部分ペプチドのアミノ酸配列に基づいて、1個、2個、または数個のアミノ酸の置換、挿入、および/または付加を行うことができる。
【0086】
本発明のエキソソームに対してA24型HLA抗原を用いる場合、SEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、10、12、16、18、19、22、28、および31のうちのいずれか1つの配列を有するペプチドが使用される。
【0087】
あるいは、本発明のエキソソームに対してA2型HLA抗原を用いる場合、SEQ ID NO:35、38、41、48、61、62、65、67、70、74、77、および83の中より選択される配列を有するペプチドが使用される。
【0088】
VI.抗原提示細胞(APC)
本発明はまた、HLA抗原と本発明のペプチドとの間に形成された複合体を自身の表面上に提示する単離されたAPCを提供する。APCは、治療および/または予防の対象となる患者に由来してもよく、かつ単独で、または本発明のペプチド、エキソソーム、もしくはCTLを含む他の薬物と組み合わせて、ワクチンとして投与することができる。
【0089】
APCは特定の種類の細胞に限定されず、これには、リンパ球によって認識されるように自身の細胞表面上にタンパク質性抗原を提示することが知られている樹状細胞(DC)、ランゲルハンス細胞、マクロファージ、B細胞、および活性化T細胞が含まれる。DCは、APCの中で最も強力なCTL誘導作用を有する代表的なAPCであるため、DCは本発明のAPCとして使用される。
【0090】
例えば、末梢血単球からDCを誘導し、次にそれらをインビトロ、エクスビボ、またはインビボで本発明のペプチドと接触させる(で刺激する)ことによって、本発明のAPCを得ることができる。本発明のペプチドを対象に投与する場合、本発明のペプチドを提示するAPCが該対象の体内で誘導される。したがって、本発明のAPCは、本発明のペプチドを対象に投与した後、該対象からAPCを回収することによって得ることができる。あるいは、本発明のAPCは、対象から回収されたAPCを本発明のペプチドと接触させることによって得ることもできる。
【0091】
対象においてがんに対する免疫応答を誘導するために、本発明のAPCを単独で、または本発明のペプチド、エキソソーム、もしくはCTLを含む他の薬物と組み合わせて、対象に投与することができる。例えば、エクスビボ投与は以下の段階を含み得る:
a:第1の対象からAPCを回収する段階、
b:段階aのAPCをペプチドと接触させる段階、および
c:段階bのAPCを第2の対象に投与する段階。
【0092】
第1の対象と第2の対象は同一の個体であってもよく、または異なる個体であってもよい。あるいは、本発明によれば、抗原提示細胞を誘導する薬学的組成物を製造するための本発明のペプチドの使用が提供される。加えて、本発明は、抗原提示細胞を誘導する薬学的組成物を製造するための方法または工程を提供する。さらに、本発明はまた、抗原提示細胞を誘導するための本発明のペプチドを提供する。段階bによって得られるAPCは、例としてAML、膀胱癌、CCC、食道癌、リンパ腫、前立腺癌、RCC、およびSCLCを含むがこれらに限定されないがんを治療および/または予防するためのワクチンとして投与することができる。
【0093】
本発明はまた、APCを誘導するための薬学的組成物を製造するための方法または工程であって、本発明のペプチドを薬学的に許容される担体とともに混合または製剤化する段階を含む方法も提供する。
【0094】
本発明の一局面によると、APCは高レベルのCTL誘導能を有する。「高レベルのCTL誘導能」という用語における高レベルとは、ペプチドと接触させていないAPC、またはCTLを誘導することができないペプチドと接触させたAPCによるCTL誘導能のレベルと比較したものである。高レベルのCTL誘導能を有するそのようなAPCは、上記の方法に加え、本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドをインビトロでAPCに導入する段階を含む方法によって調製することができる。導入する遺伝子は、DNAまたはRNAの形態であってよい。導入の方法の例には、特に限定されることなく、リポフェクション、エレクトロポレーション、およびリン酸カルシウム法などの、当分野において従来より実施されている様々な方法が含まれる。より具体的には、Cancer Res 1996, 56: 5672-7;J Immunol 1998, 161: 5607-13;J Exp Med 1996, 184: 465-72;公表特許公報第2000−509281号に記載されているように、それを実施することができる。遺伝子をAPCに導入することによって、該遺伝子は細胞内で転写、翻訳等を受け、次いで、得られたタンパク質はMHCクラスIまたはクラスIIによってプロセシングされて、提示経路を経て本発明のペプチドが提示される。
【0095】
VII.細胞傷害性Tリンパ球(CTL)
本発明のペプチドのいずれかに対して誘導されたCTLは、インビボでがん細胞を標的とする免疫応答を増強するため、ペプチド自体と同様の様式でワクチンとして用いることができる。したがって本発明はまた、本発明のペプチドのいずれかによって特異的に誘導または活性化された、単離されたCTLも提供する。
【0096】
そのようなCTLは、(1)本発明のペプチドを対象に投与し、対象からCTLを回収すること、または(2)対象由来のAPC、およびCD8陽性細胞、もしくは末梢血単核白血球をインビトロで本発明のペプチドと接触させ(で刺激し)、次にCTLを単離すること、または(3)CD8陽性細胞もしくは末梢血単核白血球を、HLA抗原と本発明のペプチドとの複合体を自身の表面上に提示するAPCもしくはエキソソームとインビトロで接触させ、次にCTLを単離すること、または(4)本発明のペプチドに結合するT細胞受容体(TCR)サブユニットをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子をCTLに導入することによって得ることができる。前述のAPCおよびエキソソームは上記の方法によって調製することができ、(4)の方法は「VIII.T細胞受容体(TCR)」の章において以下に詳述する。
【0097】
本発明のCTLは、治療および/または予防の対象となる患者に由来してよく、かつ単独で投与すること、または効果を調節する目的で本発明のペプチドもしくはエキソソームを含む他の薬物と組み合わせて投与することができる。得られたCTLは、本発明のペプチド、例えば誘導に用いた同一のペプチドを提示する標的細胞に対して特異的に作用する。標的細胞は、がん細胞のようにTMEM22を内因的に発現する細胞、またはTMEM22遺伝子をトランスフェクトした細胞であってよく、かつ本発明のペプチドによる刺激によって該ペプチドを細胞表面上に提示する細胞もまた、活性化されたCTLの攻撃の標的となり得る。
【0098】
VIII.T細胞受容体(TCR)
本発明はまた、T細胞受容体(TCR)のサブユニットを形成し得るポリペプチドをコードする核酸を含む組成物、およびそれを使用する方法を提供する。TCRサブユニットは、TMEM22を発現する腫瘍細胞に対する特異性をT細胞に付与するTCRを形成する能力を有する。当技術分野における公知の方法を用いることにより、本発明の1種または複数種のペプチドで誘導されたCTLのTCRサブユニットとしてα鎖およびβ鎖の核酸を同定することができる(WO2007/032255、およびMorgan et al., J Immunol, 171, 3288 (2003))。例えば、TCRを解析するためにはPCR法が好ましい。解析のためのPCRプライマーは、例えば、5'側プライマーとしての5'−Rプライマー(5'−gtctaccaggcattcgcttcat−3')(SEQ ID NO:93)、および3'側プライマーとしての、TCRα鎖C領域に特異的な3−TRa−Cプライマー(5'−tcagctggaccacagccgcagcgt−3')(SEQ ID NO:94)、TCRβ鎖C1領域に特異的な3−TRb−C1プライマー(5'−tcagaaatcctttctcttgac−3')(SEQ ID NO:95)、またはTCRβ鎖C2領域に特異的な3−TRβ−C2プライマー(5'−ctagcctctggaatcctttctctt−3')(SEQ ID NO:96)であってよいが、これらに限定されない。TCR誘導体は、TMEM22ペプチドを提示する標的細胞と高い結合力で結合することができ、かつ任意で、TMEM22ペプチドを提示する標的細胞の効率的な殺傷をインビボおよびインビトロで媒介する。
【0099】
TCRサブユニットをコードする核酸を、適切なベクター、例えばレトロウイルスベクターに組み込むことができる。これらのベクターは、当技術分野において周知である。該核酸またはそれらを有用に含むベクターを、T細胞、例えば患者由来のT細胞に導入することができる。有利には、本発明は、患者自身のT細胞(または別の哺乳動物のT細胞)の迅速な改変により、優れたがん細胞殺傷特性を有する改変T細胞を迅速かつ容易に作製することを可能にする容易に入手可能な組成物を提供する。
【0100】
特異的TCRとは、TCRがT細胞の表面上にある場合に、本発明のペプチドとHLA分子との複合体を特異的に認識して、標的細胞に対する特異的活性をT細胞に付与し得る受容体である。上記複合体の特異的認識は任意の公知の方法によって確認することができ、好ましい方法には、例えば、HLA分子および本発明のペプチドを用いるテトラマー解析、ならびにELISPOTアッセイが含まれる。ELISPOTアッセイを行うことにより、細胞表面上にTCRを発現するT細胞がそのTCRによって細胞を認識すること、およびシグナルが細胞内で伝達されることを確認することができる。上述した複合体が、その複合体がT細胞表面上に存在する場合にT細胞に細胞傷害活性を付与することができることの確認を、公知の方法によって行うこともできる。好ましい方法には、例えば、HLA陽性標的細胞に対する細胞傷害活性の測定、例えばクロム放出アッセイなどが含まれる。
【0101】
また、本発明は、例えば、HLA−A24との関連においてSEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、10、12、16、18、19、22、28、および31のTMEM22ペプチド、さらにはHLA−A2との関連においてSEQ ID NO:35、38、41、48、61、62、65、67、70、74、77、および83のTMEM22ペプチドと結合するTCRサブユニットポリペプチドをコードする核酸の形質導入によって調製されるCTLも提供する。
【0102】
形質導入されたCTLは、インビボでがん細胞にホーミングすることができ、かつ周知のインビトロ培養法によって増殖させることができる(例えば、Kawakami et al., J Immunol., 142, 3452-3461 (1989))。本発明のCTLは、治療または予防を必要としている患者におけるがんの療法または予防に有用な免疫原性組成物を形成するために用いることができる(WO2006/031221)。
【0103】
IX.薬学的な剤、物質、または組成物
TMEM22の発現は、正常組織と比較してAML、膀胱癌、CCC、食道癌、リンパ腫、前立腺癌、RCC、およびSCLCを含むがんにおいて特異的に上昇するため、本発明のペプチドまたはそのようなペプチドをコードするポリヌクレオチドを、がんまたは腫瘍の治療および/もしくは予防、ならびに/または術後のその再発の予防に用いることができる。したがって、本発明は、本発明のペプチドまたはそれらのペプチドをコードするポリヌクレオチドの1種または複数種を有効成分として含む、がんまたは腫瘍の治療および/もしくは予防のための、ならびに/または術後のその再発の予防のための薬学的な剤、物質、または組成物を提供する。あるいは、薬学的な剤、物質、または組成物として用いるために、本発明のペプチドを、前述のエキソソームまたはAPCなどの細胞のいずれかの表面上に発現させることができる。加えて、本発明のペプチドのいずれかを標的とする前述のCTLもまた、本発明の薬学的な剤、物質、または組成物の有効成分として用いることができる。
【0104】
本発明の薬学的な剤、物質、または組成物はまた、ワクチンとして使用される。本発明において、「ワクチン」(免疫原性組成物とも称される)という語句は、動物に接種した際に抗腫瘍免疫を誘導する機能を有する物質を指す。
【0105】
本発明の薬学的な剤、物質、または組成物は、ヒト、ならびに非限定的にマウス、ラット、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ、サル、ヒヒ、およびチンパンジー、特に商業的に重要な動物または家畜を含む任意の他の哺乳動物を含む対象または患者において、がんを治療および/もしくは予防するため、ならびに/または術後のその再発を予防するために用いることができる。
【0106】
別の態様において、本発明はまた、がんまたは腫瘍を治療するための薬学的な組成物または剤の製造における、以下の中より選択される有効成分の使用を提供する:
(a)本発明のペプチド;
(b)本明細書に開示するペプチドを発現可能な形態でコードする核酸;
(c)本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソーム;および
(d)本発明の細胞傷害性T細胞。
【0107】
あるいは、本発明はさらに、がんまたは腫瘍の治療において用いるための、以下の中より選択される有効成分を提供する:
(a)本発明のペプチド;
(b)本明細書に開示するペプチドを発現可能な形態でコードする核酸;
(c)本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソーム;および
(d)本発明の細胞傷害性T細胞。
【0108】
あるいは、本発明はさらに、がんまたは腫瘍を治療するための薬学的な組成物または剤を製造するための方法または工程であって、以下の中より選択される有効成分を薬学的にまたは生理学的に許容される担体とともに製剤化する段階を含む方法または工程を提供する:
(a)本発明のペプチド;
(b)本明細書に開示するペプチドを発現可能な形態でコードする核酸;
(c)本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソーム;および
(d)本発明の細胞傷害性T細胞。
【0109】
別の態様において、本発明はまた、がんまたは腫瘍を治療するための薬学的な組成物または剤を製造するための方法または工程であって、以下の中より選択される有効成分と薬学的にまたは生理学的に許容される担体とを混合する段階を含む方法または工程を提供する:
(a)本発明のペプチド;
(b)本明細書に開示するペプチドを発現可能な形態でコードする核酸;
(c)本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソーム;および
(d)本発明の細胞傷害性T細胞。
【0110】
あるいは、薬学的な組成物または剤または本発明を、がんまたは腫瘍の予防、および術後のその再発の予防のいずれかまたは両方のために用いてもよい。
【0111】
本発明の薬学的な剤、物質、または組成物は、ワクチンとして使用される。上述したように、本発明との関連において、「ワクチン」(「免疫原性組成物」とも称される)という語句は、動物に接種した際に抗腫瘍免疫を誘導する機能を有する物質を指す。
【0112】
本発明の薬学的な剤、物質、または組成物は、ヒト、ならびに非限定的にマウス、ラット、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ、サル、ヒヒ、およびチンパンジー、特に商業的に重要な動物または家畜を含む任意の他の哺乳動物を含む対象または患者において、がんまたは腫瘍を治療および/もしくは予防するため、ならびに/または術後のその再発を予防するために用いることができる。
【0113】
本発明により、SEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、10、12、16、18、19、22、28、および31の中より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドは、強力かつ特異的な免疫応答を誘導し得るHLA−A24拘束性エピトープペプチドまたはその候補であることが見出され、またSEQ ID NO:35、38、41、48、61、62、65、67、70、74、77、および83の中より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドは、強力かつ特異的な免疫応答を誘導し得るHLA−A2拘束性エピトープペプチドまたはその候補であることが見出された。したがって、SEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、10、12、16、18、19、22、28、31、および35、38、41、48、61、62、65、67、70、74、77、83のアミノ酸配列を有するこれらのペプチドのいずれかを含む本発明の薬学的な剤、物質、または組成物は、それぞれ、HLA抗原がHLA−A24およびHLA−A2である対象への投与のために特に適している。同じことが、これらのペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチド(すなわち、本発明のポリヌクレオチド)を含む薬学的な剤、物質、または組成物にも当てはまる。
【0114】
本発明の薬学的な剤、物質、または組成物によって治療されるがんまたは腫瘍は、限定的でなく、TMEM22が関与する(例えば、過剰発現する)あらゆる種類のがんまたは腫瘍を含み、これには、AML、膀胱癌、CCC、食道癌、リンパ腫、前立腺癌、RCC、およびSCLCが含まれるがこれらに限定されない。
【0115】
本発明の薬学的な剤、物質、または組成物は、前述の有効成分に加えて、がん性細胞に対するCTLを誘導する能力を有するその他のペプチド、該その他のペプチドをコードするその他のポリヌクレオチド、該その他のペプチドを提示するその他の細胞等を含み得る。本明細書において、がん性細胞に対するCTLを誘導する能力を有するその他のペプチドは、がん特異的抗原(例えば、同定されたTAA)によって例示されるが、これに限定されない。
【0116】
必要に応じて、本発明の薬学的な剤、物質、または組成物は、その他の治療物質が、例えば本発明のペプチドのいずれかなどの有効成分の抗腫瘍効果を阻害しない限り、有効成分として該治療物質を任意に含み得る。例えば、製剤は、抗炎症剤、鎮痛剤、化学療法薬等を含み得る。医薬自体にその他の治療物質を含めることに加えて、本発明の医薬を、1つまたは複数のその他の薬理学的物質と連続してまたは同時に投与することもできる。医薬および薬理学的物質の量は、例えば、使用する薬理学的物質の種類、治療する疾患、ならびに投与のスケジュールおよび経路に依存する。
【0117】
本明細書において具体的に言及される成分に加えて、本発明の薬学的な剤、物質、または組成物は、対象となる製剤の種類を考慮して、当技術分野において慣例的なその他の剤も含み得ることが理解されるべきである。
【0118】
本発明の一態様において、本発明の薬学的な剤、物質、または組成物を、例えばがんなどの治療されるべき疾患の病態を治療するのに有用な材料を含む製品およびキットに含めることができる。該製品は、ラベルを有する本発明の薬学的な剤、物質、または組成物のいずれかの容器を含み得る。適切な容器には、ボトル、バイアル、および試験管が含まれる。該容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。容器上のラベルには、剤が、疾患の1つまたは複数の状態の治療または予防のために用いられることが示されるべきである。ラベルはまた、投与等に関する指示も示し得る。
【0119】
本発明の薬学的な剤、物質、または組成物を含むキットは、上記の容器に加えて、任意で、薬学的に許容される希釈剤を収容した第2の容器をさらに含み得る。それは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、注射針、シリンジ、および使用説明書を備えた包装封入物を含む、商業上の観点および使用者の観点から望ましいその他の材料をさらに含み得る。
【0120】
必要に応じて、有効成分を含む1つまたは複数の単位剤形を含み得るパックまたはディスペンサー装置にて、薬学的な剤、物質、または組成物を提供することができる。該パックは、例えば、ブリスターパックのように金属ホイルまたはプラスチックホイルを含み得る。パックまたはディスペンサー装置には、投与に関する説明書が添付され得る。
【0121】
(1)有効成分としてペプチドを含む薬学的な剤、物質、または組成物
本発明のペプチドは、薬学的な剤、物質、または組成物として直接投与してもよく、または必要であれば、従来の製剤化法によって製剤化してもよい。後者の場合、本発明のペプチドに加えて、薬物に通常用いられる担体、賦形剤等が特に制限なく必要に応じて含まれ得る。そのような担体の例は、滅菌水、生理食塩水、リン酸緩衝液、培養液等である。さらに、薬学的な剤、物質、または組成物は、必要に応じて、安定剤、懸濁液、保存剤、界面活性剤等を含み得る。本発明の薬学的な剤、物質、または組成物は、抗がん目的に用いることができる。
【0122】
インビボでCTLを誘導するために、本発明のペプチドを、本発明のペプチドの2つまたはそれ以上で構成される組み合わせとして調製することができる。ペプチドの組み合わせはカクテルの形態をとってもよく、または標準的な技法を用いて互いに結合させてもよい。例えば、ペプチドを化学的に結合させても、または単一の融合ポリペプチド配列として発現させてもよい。組み合わせにおけるペプチドは、同一であってもよく、または異なっていてもよい。本発明のペプチドを投与することにより、ペプチドはHLA抗原によってAPC上に高密度で提示され、次いで、提示されたペプチドとHLA抗原との間に形成された複合体に対して特異的に反応するCTLが誘導される。あるいは、対象由来のAPC(例えば、DC)を本発明のペプチドで刺激することによって得られ得る、本発明のペプチドのいずれかを細胞表面上に提示するAPCを、対象に投与し、結果として、その対象においてCTLを誘導し、がん細胞に対する攻撃性を増大させることができる。
【0123】
有効成分として本発明のペプチドを含む、がんまたは腫瘍の治療および/または予防のための薬学的な剤、物質、または組成物は、細胞性免疫を効率的に誘導することが知られているアジュバントもまた含み得る。あるいは、薬学的な剤、物質、または組成物は、他の有効成分と共に投与してもよく、または顆粒内へ製剤化することによって投与してもよい。アジュバントとは、免疫学的活性を有するタンパク質と共に(または連続して)投与した場合に、該タンパク質に対する免疫応答を増強する化合物を指す。本明細書において企図されるアジュバントには、文献(Clin Microbiol Rev 1994, 7: 277-89)に記載されているものが含まれる。適切なアジュバントの例には、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ミョウバン、コレラ毒素、サルモネラ毒素等が含まれるが、これらに限定されない。
【0124】
さらに、リポソーム製剤、直径数マイクロメートルのビーズにペプチドが結合している顆粒製剤、およびペプチドに脂質が結合している製剤を好都合に用いてもよい。
【0125】
本発明の別の態様において、本発明のペプチドはまた、薬学的に許容される塩の形態で投与してもよい。塩の好ましい例には、アルカリ金属との塩、金属との塩、有機塩基との塩、有機酸との塩、および無機酸との塩が含まれる。本明細書で使用する「薬学的に許容される塩」とは、その化合物の生物学的有効性および特性を保持し、かつ塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などの無機酸または無機塩基との反応によって得られる塩を指す。塩の好ましい例には、アルカリ金属との塩、金属との塩、有機塩基との塩、有機酸との塩、および無機酸との塩が含まれる。
【0126】
いくつかの態様において、本発明の薬学的な剤、物質、または組成物は、CTLを刺激する(prime)成分をさらに含み得る。脂質は、ウイルス抗原に対してインビボでCTLを刺激し得る物質として同定されている。例えば、パルミチン酸残基をリジン残基のεアミノ基およびαアミノ基に付着させ、次に本発明のペプチドに連結させることができる。次いで、脂質付加したペプチドを、ミセルもしくは粒子の状態で直接投与するか、リポソーム中に取り込ませて投与するか、またはアジュバント中に乳化させて投与することができる。CTL応答の脂質による刺激の別の例として、適切なペプチドに共有結合している場合、トリパルミトイル−S−グリセリルシステイニル−セリル−セリン(P3CSS)などの大腸菌(E.coli)リポタンパク質を用いてCTLを刺激することができる(例えば、Deres et al., Nature 1989, 342: 561-4を参照されたい)。
【0127】
投与方法は、経口、皮内、皮下、静脈内注射等、および全身投与または標的部位の近傍への局所投与であってよい。投与は、単回投与によって行うこともできるし、または複数回投与によってブーストすることもできる。本発明のペプチドの用量は、治療される疾患、患者の年齢、体重、投与方法等に応じて適宜調整することができ、これは通常0.001mg〜1000mg、例えば0.1mg〜10mgであり、数日〜数ヶ月に1度投与することができる。当業者は、適切な用量を適宜選択することができる。
【0128】
(2)有効成分としてポリヌクレオチドを含む薬学的な剤、物質、または組成物
本発明の薬学的な剤、物質、または組成物はまた、本明細書に開示するペプチドを発現可能な形態でコードする核酸を含み得る。本明細書において、「発現可能な形態で」という語句は、ポリヌクレオチドが、細胞に導入された場合に、抗腫瘍免疫を誘導するポリペプチドとしてインビボで発現することを意味する。例示的な態様において、関心対象のポリヌクレオチドの核酸配列は、該ポリヌクレオチドの発現に必要な調節エレメントを含む。ポリヌクレオチドには、標的細胞のゲノムへの安定した挿入が達成されるように、必要なものを備えさせることができる(相同組換えカセットベクターの説明に関しては、例えばThomas KR & Capecchi MR, Cell 1987, 51: 503-12を参照されたい)。例えば、Wolff et al., Science 1990, 247: 1465-8;米国特許第5,580,859号;第5,589,466号;第5,804,566号;第5,739,118号;第5,736,524号;第5,679,647号;およびWO98/04720を参照されたい。DNAに基づく送達技術の例には、「裸のDNA」、促進された(ブピバカイン、ポリマー、ペプチド媒介性)送達、カチオン性脂質複合体、および粒子媒介性(「遺伝子銃」)または圧力媒介性の送達が含まれる(例えば、米国特許第5,922,687号を参照されたい)。
【0129】
ウイルスベクターまたは細菌ベクターによって、本発明のペプチドを発現させることもできる。発現ベクターの例には、ワクシニアウイルスまたは鶏痘ウイルスなどの弱毒化ウイルス宿主が含まれる。このアプローチは、例えば、ペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現させるためのベクターとして、ワクシニアウイルスの使用を伴う。宿主に導入すると、組換えワクシニアウイルスは免疫原性ペプチドを発現し、それによって免疫応答を誘発する。免疫化プロトコールに有用なワクシニアベクターおよび方法は、例えば米国特許第4,722,848号に記載されている。別のベクターはBCG(カルメット・ゲラン桿菌)である。BCGベクターは、Stover et al., Nature 1991, 351: 456-60に記載されている。治療的な投与または免疫化に有用である多種多様な他のベクター、例えばアデノウイルスベクターおよびアデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、チフス菌(Salmonella typhi)ベクター、無毒化炭疽毒素ベクター等が明らかである。例えば、Shata et al., Mol Med Today 2000, 6: 66-71;Shedlock et al., J Leukoc Biol 2000, 68: 793-806;Hipp et al., In Vivo 2000, 14: 571-85を参照されたい。
【0130】
ポリヌクレオチドの対象内への送達は、直接的であってもよく、この場合にはポリヌクレオチドを保有するベクターに対象を直接曝露し、または間接的であってもよく、この場合にはまずインビトロで細胞を関心対象のポリヌクレオチドで形質転換し、次いで該細胞を対象内に移植する。これら2つのアプローチはそれぞれ、インビボおよびエクスビボの遺伝子治療として公知である。
【0131】
遺伝子治療の方法の一般的な総説に関しては、Goldspiel et al., Clinical Pharmacy 1993, 12: 488-505;Wu and Wu, Biotherapy 1991, 3: 87-95;Tolstoshev, Ann Rev Pharmacol Toxicol 1993, 33: 573-96;Mulligan, Science 1993, 260: 926-32;Morgan & Anderson, Ann Rev Biochem 1993, 62: 191-217;Trends in Biotechnology 1993, 11(5): 155-215を参照されたい。本発明にも用いることのできる、組換えDNA技術の分野において一般に公知の方法は、eds. Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY, 1993;およびKrieger, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NY, 1990に記載されている。
【0132】
投与方法は、経口、皮内、皮下、静脈内注射等であってよく、全身投与または標的部位の近傍への局所投与が使用される。投与は、単回投与によって行うこともできるし、または複数回投与によってブーストすることもできる。適切な担体中のポリヌクレオチドの用量、または本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドで形質転換された細胞中のポリヌクレオチドの用量は、治療される疾患、患者の年齢、体重、投与方法等に応じて適宜調整することができ、これは通常0.001mg〜1000mg、例えば0.001mg〜1000mg、例えば0.1mg〜10mgであり、数日に1度〜数ヶ月に1度投与することができる。当業者は、適切な用量を適宜選択することができる。
【0133】
X.ペプチド、エキソソーム、APC、およびCTLを用いる方法
本発明のペプチドおよびポリヌクレオチドを用いて、APCおよびCTLを誘導することができる。本発明のエキソソームおよびAPCを用いて、CTLを誘導することもできる。ペプチド、ポリヌクレオチド、エキソソーム、およびAPCは、CTL誘導能を他の化合物が阻害しない限り、該化合物と組み合わせて用いることができる。したがって、前述の本発明の薬学的な剤、物質、または組成物のいずれかを用いてCTLを誘導することができる。それに加えて、前記ペプチドおよびポリヌクレオチドを含むものを用いて、以下に説明するように、APCを誘導することもできる。
【0134】
(1)抗原提示細胞(APC)を誘導する方法
本発明は、本発明のペプチドまたはポリヌクレオチドを用いて、高いCTL誘導能を有するAPCを誘導する方法を提供する。
【0135】
本発明の方法は、APCを本発明のペプチドとインビトロ、エクスビボ、またはインビボで接触させる段階を含む。例えば、APCを該ペプチドとエクスビボで接触させる方法は、以下の段階を含み得る:
a:対象からAPCを回収する段階;および
b:段階aのAPCを該ペプチドと接触させる段階。
【0136】
APCは特定の種類の細胞に限定されず、リンパ球によって認識されるように自身の細胞表面上にタンパク質性抗原を提示することが知られているDC、ランゲルハンス細胞、マクロファージ、B細胞、および活性化T細胞を含む。APCの中で最も強力なCTL誘導能であることから、好ましくはDCを用いることができる。本発明の任意のペプチドを単独で、または本発明の他のペプチドと組み合わせて、段階bのペプチドとして用いることができる。
【0137】
あるいは、本発明のペプチドを対象に投与して、該ペプチドをインビボでAPCと接触させることができる。その結果、高いCTL誘導能を有するAPCを該対象の体内で誘導することができる。したがって、本発明はまた、インビボでAPCを誘導するために本発明のペプチドを対象に投与する方法も企図する。本発明のペプチドがインビボで発現してAPCと接触し、結果的に、高いCTL誘導能を有するAPCが誘導されるように、本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現可能な形態で対象に投与することも可能である。したがって、本発明はまた、インビボでAPCを誘導するために本発明のポリヌクレオチドを対象に投与する方法も企図する。「発現可能な形態」という語句は、上記の「IX.薬学的な剤、物質(2)ポリヌクレオチドを有効成分として含む薬学的な剤、物質」の章に定義されている。
【0138】
さらに、本発明は、CTL誘導能を有するAPCを誘導するために、本発明のポリヌクレオチドをAPCに導入することを含む。例えば、本方法は以下の段階を含み得る:
a:対象からAPCを回収する段階;および
b:本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドを導入する段階。
段階bは、「VI.抗原提示細胞」の章に上述したように行うことができる。
【0139】
あるいは本発明は、以下の段階のうちの1つを含み得る、TMEM22に対するCTL活性を特異的に誘導する抗原提示細胞(APC)を調製するための方法を提供する:
(a)APCを、本発明のペプチドとインビトロ、エクスビボ、またはインビボで接触させる段階;および
(b)本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドをAPCに導入する段階。
【0140】
(2)CTLを誘導する方法
本発明はまた、本発明のペプチド、ポリヌクレオチド、またはエキソソーム、またはAPCを用いてCTLを誘導する方法を提供する。
【0141】
本発明はまた、本発明のペプチドとHLA抗原との複合体を認識するT細胞受容体(TCR)サブユニットを形成し得るポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いて、CTLを誘導する方法を提供する。好ましくは、CTLを誘導するための方法は、以下の中より選択される少なくとも1つの段階を含む:
(a)CD8陽性T細胞を、HLA抗原と本発明のペプチドとの複合体を自身の表面上に提示する抗原提示細胞および/またはエキソソームと接触させる段階;ならびに
(b)本発明のペプチドとHLA抗原との複合体を認識するTCRサブユニットを形成し得るポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをCD8陽性細胞に導入する段階。
【0142】
本発明のペプチド、ポリヌクレオチド、APC、またはエキソソームを対象に投与すると、該対象の体内でCTLが誘導され、がん細胞を標的とする免疫応答の強度が増強される。したがって本発明はまた、CTLを誘導するために本発明のペプチド、ポリヌクレオチド、APC、またはエキソソームを対象に投与する段階を含む方法も企図する。
【0143】
あるいは、それらをエクスビボで用いることによってCTLを誘導することもできる。そのような場合、CTLの誘導後に活性化CTLを対象に戻す。例えば、CTLを誘導するための本発明の方法は以下の段階を含み得る:
(a)対象からAPCを回収する段階;
(b)段階(a)のAPCをペプチドと接触させる段階;および
(c)段階(b)のAPCをCD8陽性細胞と共培養する段階。
【0144】
上記の段階(c)においてCD8陽性細胞と共培養するAPCは、「VI.抗原提示細胞」の章に上述したように、本発明のポリヌクレオチドを含む遺伝子をAPCに導入することによって調製することもできるが、本発明はこれに限定されず、HLA抗原と本発明のペプチドとの複合体を自身の表面上に効果的に提示する任意のAPCを包含する。
【0145】
そのようなAPCの代わりに、HLA抗原と本発明のペプチドとの複合体を自身の表面上に提示するエキソソームを用いることもできる。すなわち、本発明はまた、HLA抗原と本発明のペプチドとの複合体を自身の表面上に提示するエキソソームを、CD8陽性細胞と共培養する方法も企図する。そのようなエキソソームは、「V.エキソソーム」の章に上述した方法によって調製することができる。
【0146】
さらに、本発明のペプチドに結合するTCRサブユニットをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子をCD8陽性細胞に導入することによって、CTLを誘導することができる。そのような形質導入は、「VIII.T細胞受容体(TCR)」の章に上述したように行うことができる。
【0147】
加えて、本発明は、CTLを誘導する薬学的な剤、物質、または組成物を製造するための方法または過程であって、本発明のペプチドを薬学的に許容される担体とともに混合または製剤化する段階を含む方法を提供する。
【0148】
(3)免疫応答を誘導する方法
さらに本発明は、TMEM22に関連する疾患に対して免疫応答を誘導するための方法を提供する。適切な疾患にはがんが含まれ、その例には、AML、膀胱癌、CCC、食道癌、リンパ腫、前立腺癌、RCC、およびSCLCが含まれるが、これらに限定されない。
【0149】
本方法は、本発明のペプチドのいずれかまたはそれらをコードするポリヌクレオチドのいずれかを含む剤または組成物を投与する段階を含む。本発明の方法はまた、本発明のペプチドのいずれかを提示するエキソソームまたはAPCの投与も企図する。詳細については、「IX.薬学的な剤、物質、または組成物」の項、特に本発明の薬学的な剤、物質、および組成物のワクチンとしての使用について記載している部分を参照されたい。加えて、免疫応答を誘導するために本発明の方法に使用することができるエキソソームおよびAPCは、上記「V.エキソソーム」、「VI.抗原提示細胞(APC)」、ならびに「X.ペプチド、エキソソーム、APC、およびCTLを用いる方法」の(1)および(2)の項において詳述している。
【0150】
本発明はまた、免疫応答を誘導する薬学的な剤、物質、または組成物を製造するための方法または過程であって、本発明のペプチドを薬学的に許容される担体とともに混合または製剤化する段階を含む方法を提供する。
【0151】
あるいは、本発明の方法は、以下を含むワクチンまたは薬学的組成物を投与する段階を含み得る:
(a)本発明のペプチド;
(b)本明細書に開示するペプチドを発現可能な形態でコードする核酸;
(c)本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCもしくはエキソソーム;または
(d)本発明の細胞傷害性T細胞。
【0152】
本発明との関連において、TMEM22を過剰発現するがんをこれらの有効成分で治療することができる。このようながんの例には、AML、膀胱癌、CCC、食道癌、リンパ腫、前立腺癌、RCC、およびSCLCが含まれるが、これらに限定されない。したがって、有効成分を含むワクチンまたは薬学的組成物を投与する前に、治療すべきがん細胞または組織中のTMEM22の発現レベルが同じ器官の正常細胞と比較して増強されているかどうかを確認することが好ましい。したがって1つの態様において、本発明は、TMEM22を(過剰)発現するがんを治療するための方法を提供し、該方法は以下の段階を含み得る:
i)治療すべきがんを有する対象から得られたがん細胞または組織中のTMEM22の発現レベルを決定する段階;
ii)TMEM22の発現レベルを正常対照と比較する段階;および
iii)上記の(a)〜(d)の中より選択される少なくとも1つの成分を、正常対照と比較してTMEM22を過剰発現するがんを有する対象に投与する段階。
【0153】
あるいは本発明はまた、TMEM22を過剰発現するがんを有する対象への投与に使用するための、上記の(a)〜(d)の中より選択される少なくとも1つの成分を含むワクチンまたは薬学的組成物を提供する。換言すれば、本発明はさらに、本発明のTMEM22ポリペプチドで治療すべき対象を同定するための方法であって、対象由来のがん細胞または組織中のTMEM22の発現レベルを決定する段階を含み、該レベルが、該遺伝子の正常対照レベルと比較して上昇していることにより、該対象が本発明のTMEM22ポリペプチドで治療され得るがんを有していることが示される方法を提供する。本発明のがんを治療する方法を、以下、より詳細に説明する。
【0154】
目的とするTMEM22の転写産物または翻訳産物を含む限り、対象由来の任意の細胞または組織をTMEM22発現の測定に使用することができる。適切な試料の例には、身体組織、ならびに血液、痰、および尿などの体液が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、対象由来の細胞または組織試料は、上皮細胞、より好ましくはがん性上皮細胞、またはがんの疑いがある組織に由来する上皮細胞を含む細胞集団を含む。さらに、必要に応じて、得られた身体組織および体液から細胞を精製し、その後これを対象由来試料として用いてもよい。
【0155】
本発明との関連において、がん性でないと判明している生物学的試料から決定された対照レベルは「正常対照レベル」と称される。一方、対照レベルががん性生物学的試料から決定される場合には、これは「がん性対照レベル」と称される。試料の発現レベルと対照レベルとの差を、その発現レベルが細胞のがん性状態または非がん性状態に応じて異ならないことが判明している対照核酸、例えばハウスキーピング遺伝子の発現レベルに対して正規化することができる。例示的な対照遺伝子には、β−アクチン、グリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素、およびリボソームタンパク質P1が含まれるが、これらに限定されない。
【0156】
本発明の方法によって治療すべき対象は、好ましくは哺乳動物である。例示的な哺乳動物には、例えばヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、およびウシが含まれるが、これらに限定されない。
【0157】
本発明によれば、対象から得られたがん細胞または組織中のTMEM22の発現レベルを決定する。発現レベルは、当技術分野で公知の方法を用いて、転写(核酸)産物レベルで決定することができる。例えば、TMEM22のmRNAを、ハイブリダイゼーション法(例えば、ノーザンハイブリダイゼーション)によってプローブを用いて定量することができる。検出は、チップまたはアレイにおいて行うことができる。アレイの使用は、TMEM22の発現レベルを検出するのに好ましい。当業者は、TMEM22の配列情報を利用して、そのようなプローブを調製することができる。例えば、TMEM22のcDNAをプローブとして用いることができる。必要に応じて、プローブを、色素、蛍光物質、および同位体などの適切な標識で標識してもよく、該遺伝子の発現レベルを、ハイブリダイズした標識の強度として検出してもよい。
【0158】
さらに、増幅に基づく検出法(例えば、RT−PCR)によりプライマーを用いて、TMEM22の転写産物を定量してもよい。そのようなプライマーはまた、該遺伝子の入手可能な配列情報に基づいて調製することができる。
【0159】
具体的には、本発明の方法に用いられるプローブまたはプライマーは、ストリンジェントな条件下、中程度にストリンジェントな条件下、または低ストリンジェントな条件下で、TMEM22のmRNAとハイブリダイズする。本明細書で使用する「ストリンジェントな(ハイブリダイゼーション)条件」という語句は、プローブまたはプライマーがその標的配列とはハイブリダイズするが、その他の配列とはハイブリダイズしない条件を指す。ストリンジェントな条件は配列に依存し、異なる状況下では異なる。より長い配列の特異的ハイブリダイゼーションは、短い配列よりも高い温度で観察される。一般に、ストリンジェントな条件の温度は、所定のイオン強度およびpHにおける特定の配列の融解温度(Tm)よりも約5℃低くなるように選択する。Tmとは、平衡状態で、標的配列に相補的なプローブの50%が標的配列とハイブリダイズする(所定のイオン強度、pH、および核酸濃度における)温度である。標的配列は一般に過剰に存在するため、Tmでは、平衡状態でプローブの50%が占有される。典型的には、ストリンジェントな条件とは、pH7.0〜8.3において塩濃度がナトリウムイオン約1.0M未満、典型的にはナトリウムイオン(または他の塩)約0.01〜1.0Mであり、かつ温度が、短いプローブまたはプライマー(例えば、10〜50ヌクレオチド)に関しては少なくとも約30℃、およびより長いプローブまたはプライマーに関しては少なくとも約60℃である条件である。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加によって達成してもよい。
【0160】
プローブまたはプライマーは特定のサイズのものであってよい。サイズは少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも12ヌクレオチド、少なくとも15ヌクレオチド、少なくとも20ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチド、少なくとも30ヌクレオチドの範囲であってよく、プローブおよびプライマーのサイズは5〜10ヌクレオチド、10〜15ヌクレオチド、15〜20ヌクレオチド、20〜25ヌクレオチド、および25〜30ヌクレオチドの範囲にわたってよい。
【0161】
あるいは、本発明の診断のために翻訳産物を検出することができる。例えば、TMEM22タンパク質(SEQ ID NO:92)の量を測定することができる。翻訳産物としてタンパク質の量を測定する方法には、タンパク質を特異的に認識する抗体を用いる免疫測定法が含まれる。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであってよい。さらに、断片または改変抗体がTMEM22タンパク質への結合能を保持する限り、抗体の任意の断片または改変物(例えば、キメラ抗体、scFv、Fab、F(ab')2、Fv等)を検出に用いることができる。タンパク質を検出するためのこのような種類の抗体を調製する方法は、当技術分野において周知であり、本発明において任意の方法を使用して、そのような抗体およびそれらの等価物を調製することができる。
【0162】
TMEM22遺伝子の発現レベルをその翻訳産物に基づいて検出する別の方法として、TMEM22タンパク質に対する抗体を用いる免疫組織化学的解析により、染色の強度を観察してもよい。すなわちこの測定では、強力な染色により、該タンパク質の存在/レベルの増加が示され、それと同時にTMEM22遺伝子の高発現レベルが示される。
【0163】
例えばTMEM22遺伝子を含む標的遺伝子のがん細胞における発現レベルは、そのレベルが、対応する標的遺伝子の対照レベル(例えば、正常細胞中のレベル)から例えば10%、25%、もしくは50%上昇するか;または1.1倍超、1.5倍超、2.0倍超、5.0倍超、10.0倍超、もしくはそれ以上まで上昇する場合に、上昇していると判定され得る。
【0164】
対照レベルは、疾患状態(がん性または非がん性)が判明している対象から予め採取し保存しておいた試料を用いることにより、がん細胞と同時に決定することができる。加えて、治療すべきがんを有する器官の非がん性領域から得られた正常細胞を、正常対照として用いてもよい。あるいは、対照レベルは、疾患状態が判明している対象に由来する試料中のTMEM22遺伝子の予め決定された発現レベルを解析することによって得られた結果に基づいて、統計的方法により決定してもよい。さらに、対照レベルは、以前に試験された細胞に由来する発現パターンのデータベースに由来し得る。さらに、本発明の一局面によれば、生物学的試料中のTMEM22遺伝子の発現レベルを、複数の参照試料から決定された複数の対照レベルと比較することもできる。対象由来の生物学的試料の組織型と類似の組織型に由来する参照試料から決定された対照レベルを用いることが好ましい。さらに、疾患状態が判明している集団におけるTMEM22遺伝子の発現レベルの基準値を用いることが好ましい。基準値は、当技術分野において公知の任意の方法によって得ることができる。例えば、平均値 +/−2S.D.または平均値 +/−3S.D.の範囲を、基準値として用いることができる。
【0165】
本発明との関連において、がん性でないと判明している生物学的試料から決定された対照レベルは、「正常対照レベル」と称される。一方、対照レベルががん性生物学的試料から決定される場合には、これは「がん性対照レベル」と称される。
【0166】
TMEM22遺伝子の発現レベルが正常対照レベルと比較して上昇しているか、またはがん性対照レベルと類似している/同等である場合、該対象は治療すべきがんを有すると診断され得る。
【0167】
本発明はまた、(i)対象が治療すべきがんを有するかどうかを診断する方法、および/または(ii)がん治療のための対象を選択する方法を提供し、該方法は以下の段階を含む:
(a)治療すべきがんを有する疑いのある対象から得られたがん細胞または組織中のTMEM22の発現レベルを決定する段階;
(b)TMEM22の発現レベルを正常対照レベルと比較する段階;
(c)TMEM22の発現レベルが正常対照レベルと比較して上昇している場合に、該対象を治療すべきがんを有すると診断する段階;および
(d)段階(c)において対象が治療すべきがんを有すると診断される場合に、がん治療のために該対象を選択する段階。
【0168】
あるいは、そのような方法は以下の段階を含む:
(a)治療すべきがんを有する疑いのある対象から得られたがん細胞または組織中のTMEM22の発現レベルを決定する段階;
(b)TMEM22の発現レベルをがん性対照レベルと比較する段階;
(c)TMEM22の発現レベルががん性対照レベルと類似しているか、または同等である場合に、該対象を治療すべきがんを有すると診断する段階;および
(d)段階(c)において対象が治療すべきがんを有すると診断される場合に、がん治療のために該対象を選択する段階。
【0169】
本発明はまた、本発明のTMEM22ポリペプチドで治療され得るがんに罹患している対象を判定するためのキットを提供し、該キットはまた、がんの予後を評価する、および/またはがん療法、特にがん免疫療法の有効性をモニターするのにも有用であり得る。適切ながんの具体例には、AML、膀胱癌、CCC、食道癌、リンパ腫、前立腺癌、RCC、およびSCLCが含まれるが、これらに限定されない。より詳細には、キットは、対象由来のがん細胞中のTMEM22遺伝子の発現を検出するための少なくとも1つの試薬を含むことが好ましく、そのような試薬は以下の中より選択される:
(a)TMEM22遺伝子のmRNAを検出するための試薬;
(b)TMEM22タンパク質を検出するための試薬;および
(c)TMEM22タンパク質の生物学的活性を検出するための試薬。
【0170】
TMEM22遺伝子のmRNAを検出するのに適した試薬の例には、TMEM22 mRNAの一部に対する相補的配列を有するオリゴヌクレオチドなどの、TMEM22 mRNAに特異的に結合するか、またはTMEM22 mRNAを同定する核酸が含まれる。このような種類のオリゴヌクレオチドは、TMEM22 mRNAに特異的なプライマーおよびプローブによって例証される。このような種類のオリゴヌクレオチドは、当技術分野において周知の方法に基づいて調製することができる。必要に応じて、TMEM22 mRNAを検出するための試薬を固体基質上に固定化することができる。さらに、TMEM22 mRNAを検出するための2つ以上の試薬をキット中に含めることもできる。
【0171】
一方、TMEM22タンパク質を検出するのに適した試薬の例には、TMEM22タンパク質に対する抗体が含まれる。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであってよい。さらに、断片または改変抗体がTMEM22タンパク質への結合能を保持する限り、抗体の任意の断片または改変物(例えば、キメラ抗体、scFv、Fab、F(ab')2、Fv等)を試薬として用いることもできる。タンパク質を検出するためのこのような種類の抗体を調製する方法は、当技術分野において周知であり、本発明において任意の方法を使用して、そのような抗体およびそれらの等価物を調製することができる。さらに、直接連結技法または間接標識技法により、抗体をシグナル発生分子で標識することができる。標識、および抗体を標識し、標的に対する抗体の結合を検出する方法は当技術分野において周知であり、任意の標識および方法を本発明に使用することができる。さらに、TMEM22タンパク質を検出するための2つ以上の試薬をキット中に含めることもできる。
【0172】
キットは、前述の試薬のうちの2つ以上を含み得る。キットはさらに、TMEM22遺伝子に対するプローブまたはTMEM22ペプチドに対する抗体を結合させるための固体基質および試薬、細胞を培養するための培地および容器、陽性および陰性対照試薬、ならびにTMEM22ペプチドに対する抗体を検出するための二次抗体を含み得る。例えば、がんを有さない対象、またはがんに罹患しているもしくは罹患していない対象から得られた組織試料は、有用な対照試薬として役立ち得る。本発明のキットは、緩衝液、希釈剤、フィルター、注射針、シリンジ、および使用説明書を備えた包装封入物(例えば、文書、テープ、CD−ROM等)を含む、商業上の観点および使用者の観点から望ましいその他の材料をさらに含み得る。これらの試薬等は、ラベルを貼った容器中に保持され得る。適切な容器には、ボトル、バイアル、および試験管が含まれる。該容器は、ガラスまたはプラスチックなどの種々の材料から形成され得る。
【0173】
本発明の一態様において、試薬がTMEM22 mRNAに対するプローブである場合には、該試薬を多孔性ストリップなどの固体基質上に固定化して、少なくとも1つの検出部位を形成させることができる。多孔性ストリップの測定または検出領域は、それぞれが核酸(プローブ)を含む複数の部位を含み得る。検査ストリップはまた、陰性および/または陽性対照用の部位を含み得る。あるいは、対照部位は、検査ストリップとは別のストリップ上に位置し得る。任意で、異なる検出部位は異なる量の固定化核酸を含み得る、すなわち、第1検出部位ではより多い量の固定化核酸を、および以降の部位ではより少ない量の固定化核酸を含み得る。試験試料を添加すると、検出可能なシグナルを呈する部位の数により、試料中に存在するTMEM22 mRNAの量の定量的指標が提供される。検出部位は、適切に検出可能な任意の形状で構成することができ、典型的には、検査ストリップの幅全体にわたるバーまたはドットの形状である。
【0174】
本発明のキットは、陽性対照試料またはTMEM22標準試料をさらに含み得る。本発明の陽性対照試料は、TMEM22陽性試料を回収し、次にそれらのTMEM22レベルをアッセイすることによって調製することができる。あるいは、精製TMEM22タンパク質またはポリヌクレオチドを、TMEM22を発現しない細胞に添加して、陽性試料またはTMEM22試料を形成してもよい。本発明において、精製TMEM22は組換えタンパク質であってよい。陽性対照試料のTMEM22レベルは、例えばカットオフ値よりも高い。
【0175】
一態様において、本発明はさらに、本発明の抗体またはその断片を特異的に認識することができるタンパク質またはその部分タンパク質を含む診断キットを提供する。
【0176】
本発明のタンパク質の部分ペプチドの例には、本発明のタンパク質のアミノ酸配列中の少なくとも8個、好ましくは15個、およびより好ましくは20個の連続したアミノ酸から構成されるポリペプチドが含まれる。本発明のタンパク質またはペプチド(ポリペプチド)を用いて試料(例えば、血液、組織)中の抗体を検出することにより、がんを診断することができる。本発明のタンパク質およびペプチドを調製するための方法は、上記の通りである。
【0177】
抗TMEM22抗体の量と、上記のような対応する対照試料中の抗TMEM22抗体の量との差を測定することにより、本発明のがんを診断する方法を実施することができる。対象の細胞または組織が該遺伝子の発現産物(TMEM22)に対する抗体を含み、この抗TMEM22抗体の量が正常対照中の抗TMEM22抗体の量と比較してカットオフ値のレベルよりも高いと判定される場合に、該対象ががんに罹患していることが疑われる。
【0178】
別の態様において、本発明の診断キットは、本発明のペプチドおよびそれに結合しているHLA分子を含み得る。抗原性ペプチドおよびHLA分子を使用して抗原特異的CTLを検出するための方法は、既に確立されている(例えば、Altman JD et al., Science. 1996, 274(5284): 94-6)。したがって、腫瘍抗原特異的CTLを検出するための検出法に、本発明のペプチドとHLA分子との複合体を適用することができ、それによってがんの再発および/または転移のより早期の発見が可能になる。さらに、本発明のペプチドを有効成分として含む医薬を適用できる対象を選択するために、または医薬の治療効果を評価するために、これを使用することができる。
【0179】
詳細には、公知の方法に従って(例えば、Altman JD et al., Science. 1996, 274(5284): 94-6を参照されたい)、放射標識HLA分子と本発明のペプチドとの四量体などのオリゴマー複合体を調製することができる。この複合体を用いて、例えば、がんに罹患している疑いのある対象に由来する末梢血リンパ球中の抗原ペプチド特異的CTLを定量することにより、診断を行うことができる。
【0180】
本発明はさらに、本明細書に記載されるペプチドエピトープを用いて、対象の免疫学的応答を評価するための方法または診断用の剤を提供する。本発明の一態様において、本明細書に記載するようなHLA拘束性ペプチドを、対象の免疫応答を評価または予測するための試薬として用いることができる。評価される免疫応答は、免疫原を免疫担当細胞とインビトロまたはインビボで接触させることにより誘導され得る。好ましい態様において、免疫学的応答を評価するための免疫担当細胞は、末梢血、末梢血リンパ球(PBL)、および末梢血単核細胞(PBMC)から選択し得る。そのような免疫担当細胞を回収または単離するための方法は当技術分野において周知である。いくつかの態様においては、ペプチドエピトープを認識して結合する抗原特異的CTLの産生をもたらし得る任意の物質または組成物を、試薬として用いてもよい。ペプチド試薬を免疫原として使用しなくてもよい。そのような解析に用いられるアッセイ系には、四量体、細胞内リンホカイン染色、およびインターフェロン放出アッセイ、またはELISPOTアッセイなどの比較的最近の技術開発が含まれる。好ましい態様において、ペプチド試薬と接触させる免疫担当細胞は、樹状細胞を含む抗原提示細胞であってよい。
【0181】
例えば、本発明のペプチドを四量体染色アッセイにおいて使用して、腫瘍細胞抗原または免疫原への曝露後の抗原特異的CTLの存在について末梢血単核細胞を評価することができる。HLA四量体複合体を使用して、抗原特異的CTLを直接可視化し(例えば、Ogg et al., Science 279: 2103-2106, 1998;およびAltman et al, Science 174: 94-96, 1996を参照されたい)、末梢血単核細胞の試料中の抗原特異的CTL集団の頻度を測定することができる。本発明のペプチドを使用する四量体試薬は、以下に記載するように作製することができる。
【0182】
HLA分子に結合するペプチドは、対応するHLA重鎖およびβ2−ミクログロブリンの存在下で再び折り畳まれて、3分子複合体を生成する。この複合体において、該重鎖のカルボキシ末端の前もってタンパク質中に作製した部位をビオチン化する。次にストレプトアビジンを該複合体に添加して、3分子複合体およびストレプトアビジンから構成される四量体を形成する。蛍光標識ストレプトアビジンの手法によって、この四量体を使用して、抗原特異的細胞を染色することができる。次いで、この細胞を例えばフローサイトメトリーによって同定することができる。そのような解析を、診断または予後診断目的に使用することができる。この手順によって同定された細胞を治療目的に使用することもできる。
【0183】
本発明はまた、本発明のペプチドを含む、免疫リコール応答を評価するための試薬を提供する(例えば、Bertoni et al, J. Clin. Invest. 100: 503-513, 1997、およびPenna et al., J Exp. Med. 174: 1565-1570, 1991を参照されたい)。例えば、治療すべきがんを有する個体からの患者PBMC試料を、特異的ペプチドを用いて抗原特異的CTLの有無について解析することができる。PBMCを培養し、該細胞を本発明のペプチドで刺激することによって、単核細胞を含む血液試料を評価することができる。適切な培養期間後、増殖した細胞集団を例えばCTL活性について解析することができる。
【0184】
本発明のペプチドは、ワクチンの有効性を評価するための試薬として用いることもできる。免疫原をワクチン接種した患者から得られたPBMCを、例えば上記の方法のいずれかを用いて解析することができる。患者のHLA型を決定し、該患者に存在するアリル特異的分子を認識するペプチドエピトープ試薬を解析のために選択する。ワクチンの免疫原性は、PBMC試料中のエピトープ特異的CTLの存在によって示され得る。本発明のペプチドは、当技術分野で周知の技法を用いて抗体を作製するために使用することもでき(例えば、CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY, Wiley/Greene, NY;およびAntibodies A Laboratory Manual, Harlow and Lane, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989を参照されたい)、この抗体は、がんを診断、検出、またはモニターするための試薬として使用され得る。そのような抗体は、HLA分子との関連でペプチドを認識する抗体、すなわちペプチド−MHC複合体に結合する抗体を含み得る。
【0185】
本発明のペプチドおよび組成物はさらなる用途をいくつか有し、そのうちの一部を本明細書に記載する。例えば、本発明は、TMEM22免疫原性ポリペプチドの発現を特徴とする障害を診断または検出する方法を提供する。これらの方法は、生物学的試料中でのTMEM22 HLA結合ペプチド、またはTMEM22 HLA結合ペプチドとHLAクラスI分子との複合体の発現を測定する段階を含む。ペプチドまたはペプチドとHLAクラスI分子との複合体の発現は、該ペプチドまたは該複合体の結合パートナーを用いてアッセイすることによって、測定または検出することができる。好ましい態様において、ペプチドまたは複合体の結合パートナーは、該ペプチドを認識してこれに特異的に結合する抗体であってよい。腫瘍生検材料などの生物学的試料中のTMEM22の発現は、TMEM22プライマーを用いる標準的なPCR増幅プロトコールによって試験することもできる。腫瘍発現の例は本明細書に提示してあり、TMEM22増幅のための例示的な条件およびプライマーのさらなる開示は、WO2003/27322に見出すことができる。
【0186】
好ましくは診断法は、対象から単離された生物学的試料をTMEM22 HLA結合ペプチドに特異的な物質と接触させて、該生物学的試料中のTMEM22 HLA結合ペプチドの存在を検出する段階を含む。本明細書で使用する「接触させる」とは、剤と生物学的試料中に存在するTMEM22 HLA結合ペプチドとの間の特異的相互作用が可能となるように、生物学的試料を、例えば濃度、温度、時間、イオン強度の適切な条件下で、剤に十分に近接させて配置することを意味する。一般に、剤と生物学的試料を接触させるための条件は、分子と生物学的試料中のその同族物(例えば、タンパク質とその受容体同族物、抗体とそのタンパク質抗原同族物、核酸とその相補的配列同族物)との間の特異的相互作用を促進するための、当業者に公知の条件である。分子とその同族物との間の特異的相互作用を促進するための例示的な条件は、Lowらに対して発行された米国特許第5,108,921号に記載されている。
【0187】
本発明の診断法は、インビボおよびインビトロの一方または両方で行うことができる。したがって、生物学的試料は、本発明においてインビボまたはインビトロに位置し得る。例えば、生物学的試料はインビボの組織であってよく、かつTMEM22免疫原性ポリペプチドに特異的な剤を用いて、組織中のそのような分子の存在を検出することができる。あるいは、生物学的試料をインビトロで採取または単離することができる(例えば、血液試料、腫瘍生検材料、組織抽出物)。特に好ましい態様において、生物学的試料は細胞を含む試料であってよく、より好ましくは、診断または治療する対象から採取された腫瘍細胞を含む試料であってよい。
【0188】
あるいは、フルオレセイン標識HLA多量体複合体で染色することによって、抗原特異的T細胞の直接的な定量を可能にする方法により、診断を行うこともできる(例えば、Altman, J. D. et al., 1996, Science 274: 94;Altman, J. D. et al., 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 10330)。細胞内リンホカイン染色、およびインターフェロン−γ放出アッセイ、またはELISPOTアッセイもまた提供されている。多量体染色、細胞内リンホカイン染色、およびELISPOTアッセイはすべて、より慣例的なアッセイより少なくとも10倍感度が高いようである(Murali-Krishna, K. et al., 1998, Immunity 8: 177;Lalvani, A. et al., 1997, J. Exp. Med. 186: 859;Dunbar, P. R. et al., 1998, Curr. Biol. 8: 413)。五量体(例えば、US2004−209295A)、デキストラマー(dextramer)(例えば、WO02/072631)、およびストレプタマー(streptamer)(例えば、Nature medicine 6. 631-637 (2002))を使用することもできる。
【0189】
例えば、いくつかの態様において、本発明は、本発明のTMEM22ペプチドの少なくとも1つを投与された対象の免疫学的応答を診断または評価するための方法を提供し、該方法は以下の段階を含む:
(a)免疫原を、該免疫原に対して特異的なCTLの誘導に適した条件下で免疫担当細胞と接触させる段階;
(b)段階(a)で誘導されたCTLの誘導レベルを検出または決定する段階;および
(c)対象の免疫学的応答をCTL誘導レベルと相関させる段階。
【0190】
本発明において、免疫原は、(a)SEQ ID NO:1〜16、18〜32、および34〜90のアミノ酸配列の中より選択されるTMEM22ペプチド、そのようなアミノ酸配列を有するペプチド、ならびにそのようなアミノ酸配列が1個、2個、またはそれ以上のアミノ酸置換によって改変されたペプチド、のうち少なくとも1つである。一方、免疫原特異的CTLの誘導に適した条件は当技術分野において周知である。例えば、免疫担当細胞を、免疫原特異的CTLを誘導するために免疫原の存在下でインビトロで培養してもよい。免疫原特異的CTLを誘導する目的で、任意の刺激因子を細胞培養物に添加してもよい。例えば、IL−2は、CTL誘導のための好ましい刺激因子である。
【0191】
いくつかの態様において、ペプチドがん療法によって治療される対象の免疫学的応答をモニターまたは評価する段階は、治療前、治療中、および/または治療後に行うことができる。一般に、がん療法プロトコール中、免疫原性ペプチドは、治療される対象に繰り返し投与される。例えば、免疫原性ペプチドを3〜10週間にわたって毎週投与してもよい。したがって、対象の免疫学的応答は、がん療法プロトコール中に評価またはモニターされ得る。あるいは、がん療法に対する免疫学的応答を評価またはモニターする段階が、療法プロトコールの完了時であってもよい。
【0192】
本発明によれば、免疫原特異的CTLの誘導が対照と比較して強化されていることにより、評価または診断される対象が、投与された免疫原に対して免疫学的に応答したことが示される。免疫学的応答を評価するのに適した対照には、例えば、免疫担当細胞をペプチドと接触させていない場合の、またはいかなるTMEM22ペプチドとも異なるアミノ酸配列(例えば、ランダムなアミノ酸配列)を有する対照ペプチドと接触させている場合の、CTL誘導レベルが含まれる。
【0193】
1つの好ましい態様においては、対象に投与された各免疫原間で免疫学的応答を比較することにより、対象の免疫学的応答を配列特異的な様式で評価する。特に、いくつかの種類のTMEM22ペプチドについての混合物を対象に投与する場合であっても、免疫学的応答はペプチドに依存して異なる可能性がある。その場合には、各ペプチド間で免疫学的応答を比較することにより、対象がより強い応答を示すペプチドを同定することができる。
【0194】
XI.抗体
本発明はさらに、本発明のペプチドに結合する抗体を提供する。好ましい抗体は本発明のペプチドに特異的に結合し、本発明のペプチドではないものには結合しない(または弱く結合する)。あるいは、抗体は本発明のペプチドおよびその相同体に結合する。本発明のペプチドに対する抗体は、がんの診断および予後診断のアッセイ、ならびに画像化方法論において使用され得る。同様に、そのような抗体は、TMEM22ががん患者において同じく発現または過剰発現する限り、他のがんの治療、診断、および/または予後診断において使用され得る。さらに、細胞内で発現する抗体(例えば、一本鎖抗体)は、TMEM22の発現が関与するがんの治療において治療的に使用することができ、そのようながんの例には、AML、膀胱癌、CCC、食道癌、リンパ腫、前立腺癌、RCC、およびSCLCが含まれるが、これらに限定されない。
【0195】
本発明はまた、TMEM22タンパク質(SEQ ID NO:92)、またはその断片であるSEQ ID NO:1〜16、18〜32、および34〜90の中より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを検出および/または定量するための様々な免疫学的アッセイを提供する。そのようなアッセイは、必要に応じて、TMEM22タンパク質またはその断片を認識してそれと結合し得る1種または複数種の抗TMEM22抗体を含み得る。本発明との関連において、TMEM22ポリペプチドに結合する抗TMEM22抗体は、好ましくは、SEQ ID NO:1〜16、18〜32、および34〜90の中より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを認識する。抗体の結合特異性は、阻害試験で確認することができる。すなわち、解析される抗体と全長TMEM22ポリペプチドとの間の結合が、SEQ ID NO:1〜16、18〜32、および34〜90の中より選択されるアミノ酸配列を有する任意の断片ポリペプチドの存在下で阻害される場合、この抗体が該断片に特異的に結合することが示される。本発明との関連において、そのような免疫学的アッセイは、様々な種類の放射免疫測定法、免疫クロマトグラフ技法、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、酵素結合免疫蛍光測定法(ELIFA)等を含むがこれらに限定されない、当技術分野で周知の様々な免疫学的アッセイ形式の範囲内で行われる。
【0196】
本発明の免疫学的であるが非抗体性の関連アッセイには、T細胞免疫原性アッセイ(阻害性または刺激性)およびMHC結合アッセイもまた含まれ得る。加えて、TMEM22を発現するがんを検出し得る免疫学的画像化法も、本発明によって提供され、これには、本発明の標識抗体を使用する放射性シンチグラフィー画像化法が含まれるが、これに限定されない。そのようなアッセイは、TMEM22を発現するがんの検出、モニタリング、および予後診断において臨床的に使用することができ、そのようながんの例には、AML、膀胱癌、CCC、食道癌、リンパ腫、前立腺癌、RCC、およびSCLCが含まれるが、これらに限定されない。
【0197】
本発明はまた、本発明のペプチドに結合する抗体を提供する。本発明の抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体などの任意の形態で用いることができ、これには、ウサギなどの動物を本発明のペプチドで免疫することにより得られる抗血清、すべてのクラスのポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体、ヒト抗体、ならびに遺伝子組換えにより作製されたヒト化抗体が含まれる。
【0198】
抗体を得るための抗原として用いられる本発明のペプチドは、任意の動物種に由来し得るが、好ましくはヒト、マウス、またはラットなどの哺乳動物、より好ましくはヒトに由来する。ヒト由来のペプチドは、本明細書に開示するヌクレオチド配列またはアミノ酸配列から得ることができる。
【0199】
本発明によれば、免疫抗原として用いられるペプチドは、完全なタンパク質または該タンパク質の部分ペプチドであってよい。部分ペプチドは、例えば、本発明のペプチドのアミノ(N)末端断片またはカルボキシ(C)末端断片を含み得る。
【0200】
本明細書では、抗体を、TMEM22ペプチドの全長または断片のいずれかと反応するタンパク質と定義する。好ましい態様において、本発明の抗体は、SEQ ID NO:1〜16、18〜32、および34〜90の中より選択されるアミノ酸配列を有するTMEM22の断片ペプチドを認識し得る。オリゴペプチドを合成する方法は、当技術分野において周知である。合成後、免疫原として使用する前にペプチドを任意に精製してもよい。本発明において、免疫原性を高めるために、オリゴペプチド(例えば、9merまたは10mer)を担体と結合または連結させてもよい。担体として、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)が周知である。KLHとペプチドを結合する方法もまた、当技術分野において周知である。
【0201】
あるいは、本発明のペプチドまたはその断片をコードする遺伝子を公知の発現ベクターに挿入することができ、次にこれを用いて本明細書に記載のように宿主細胞を形質転換する。所望のペプチドまたはその断片を、任意の標準的な方法により宿主細胞の外部または内部から回収することができ、後にこれを抗原として用いることができる。あるいは、ペプチドを発現する細胞全体もしくはそれらの溶解物、または化学合成したペプチドを抗原として用いてもよい。
【0202】
任意の哺乳動物を抗原で免疫することができるが、細胞融合に用いられる親細胞との適合性を考慮に入れることが好ましい。一般に、齧歯目(Rodentia)、ウサギ目(Lagomorpha)、または霊長目(Primate)科の動物を使用することができる。齧歯目科の動物には、例えばマウス、ラット、およびハムスターが含まれる。ウサギ目科の動物には、例えばウサギが含まれる。霊長目科の動物には、例えばカニクイザル(Macaca fascicularis)、アカゲザル、マントヒヒ、およびチンパンジーなどの狭鼻下目(Catarrhini)(旧世界ザル)のサルが含まれる。
【0203】
動物を抗原で免疫する方法は、当技術分野で公知である。抗原の腹腔内注射または皮下注射は、哺乳動物を免疫するための標準的な方法である。より具体的には、抗原を適量のリン酸緩衝食塩水(PBS)、生理食塩水等で希釈し、懸濁させる。必要に応じて、抗原懸濁液を、フロイント完全アジュバントなどの適量の標準的アジュバントと混合し、乳化した後、哺乳動物に投与することができる。その後、適量のフロイント不完全アジュバントと混合した抗原を、4〜21日ごとに数回投与することが好ましい。免疫化には、適切な担体を用いてもよい。上記のように免疫した後、血清を、所望の抗体の量の増加に関して標準的方法で調べることができる。
【0204】
本発明のペプチドに対するポリクローナル抗体は、血清中の所望の抗体の増加に関して調べた免疫後の哺乳動物から血液を回収し、任意の従来法により血液から血清を分離することによって、調製することができる。ポリクローナル抗体はポリクローナル抗体を含む血清を含んでよく、またポリクローナル抗体を含む画分を該血清から単離してもよい。免疫グロブリンGまたはMは、本発明のペプチドのみを認識する画分から、例えば、本発明のペプチドを結合させたアフィニティーカラムを用いた上で、この画分をプロテインAまたはプロテインGカラムを用いてさらに精製して、調製することができる。
【0205】
モノクローナル抗体を調製するには、抗原で免疫した哺乳動物から免疫細胞を回収し、上記のように血清中の所望の抗体のレベル上昇について確かめた上で、細胞融合に供する。細胞融合に用いる免疫細胞は、好ましくは脾臓から得ることができる。上記の免疫細胞と融合させる別の好ましい親細胞には、例えば、哺乳動物の骨髄腫細胞、およびより好ましくは薬物による融合細胞の選択のための特性を獲得した骨髄腫細胞が含まれる。
【0206】
公知の方法、例えば、Milstein et al.(Galfre and Milstein, Methods Enzymol 73: 3-46 (1981))の方法に従って、上記の免疫細胞と骨髄腫細胞とを融合させることができる。
【0207】
細胞融合によって結果として得られたハイブリドーマは、それらをHAT培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含む培地)などの標準的な選択培地中で培養することによって選択することができる。細胞培養は典型的に、HAT培地中で、所望のハイブリドーマを除く他のすべての細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な期間である数日間から数週間にわたって継続する。その後、標準的な限界希釈を行い、所望の抗体を産生するハイブリドーマ細胞をスクリーニングおよびクローニングすることができる。
【0208】
ハイブリドーマを調製するために非ヒト動物を抗原で免疫する上記の方法に加えて、EBウイルスに感染したリンパ球などのヒトリンパ球を、ペプチド、ペプチドを発現している細胞、またはそれらの溶解物でインビトロにおいて免疫することもできる。次いで、免疫後のリンパ球を、U266などの無限に分裂可能なヒト由来骨髄腫細胞と融合させて、該ペプチドに結合し得る所望のヒト抗体を産生するハイブリドーマを得ることができる(特開昭63−17688号)。
【0209】
続いて、得られたハイブリドーマをマウスの腹腔内に移植し、腹水を抽出する。得られたモノクローナル抗体は、例えば、硫酸アンモニウム沈殿、プロテインAもしくはプロテインGカラム、DEAEイオン交換クロマトグラフィー、または本発明のペプチドを結合させたアフィニティーカラムにより精製することができる。本発明の抗体は、本発明のペプチドの精製および検出のためだけでなく、本発明のペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストの候補としても使用することができる。
【0210】
あるいは、免疫したリンパ球などの、抗体を産生する免疫細胞を癌遺伝子によって不死化し、モノクローナル抗体の調製に用いることもできる。
【0211】
このようにして得られるモノクローナル抗体は、遺伝子操作技法を用いて組換えにより調製することもできる(例えば、MacMillan Publishers LTD (1990)により英国で刊行された、Borrebaeck and Larrick, Therapeutic Monoclonal Antibodiesを参照されたい)。例えば、抗体をコードするDNAを、抗体を産生するハイブリドーマまたは免疫化リンパ球などの免疫細胞からクローニングし、適切なベクターに挿入した上で、宿主細胞に導入して、組換え抗体を調製することができる。本発明はまた、上記のようにして調製された組換え抗体を提供する。
【0212】
さらに、本発明の抗体は、本発明のペプチドの1種または複数種に結合する限り、抗体の断片または修飾抗体であってもよい。例えば、抗体断片は、Fab、F(ab')、Fv、またはH鎖およびL鎖由来のFv断片が適切なリンカーによって連結されている一本鎖Fv(scFv)であってよい(Huston et al., Proc Natl Acad Sci USA 85: 5879-83 (1988))。より具体的には、抗体断片は、抗体をパパインまたはペプシンなどの酵素で処理することにより作製することができる。あるいは、抗体断片をコードする遺伝子を構築し、発現ベクターに挿入し、適切な宿主細胞内で発現させることができる(例えば、Co et al., J Immunol 152: 2968-76 (1994);Better and Horwitz, Methods Enzymol 178: 476-96 (1989);Pluckthun and Skerra, Methods Enzymol 178: 497-515 (1989);Lamoyi, Methods Enzymol 121: 652-63 (1986);Rousseaux et al., Methods Enzymol 121: 663-9 (1986);Bird and Walker, Trends Biotechnol 9: 132-7 (1991)を参照されたい)。
【0213】
抗体は、ポリエチレングリコール(PEG)などの様々な分子との結合によって修飾することができる。本発明は、そのような修飾抗体を提供する。修飾抗体は、抗体を化学的に修飾することによって得ることができる。これらの修飾法は、当技術分野で慣例的である。
【0214】
あるいは、本発明の抗体は、非ヒト抗体に由来する可変領域とヒト抗体に由来する定常領域との間のキメラ抗体として、または非ヒト抗体に由来する相補性決定領域(CDR)と、ヒト抗体に由来するフレームワーク領域(FR)および定常領域とを含むヒト化抗体として得ることもできる。そのような抗体は、公知の技術に従って調製することができる。ヒト化は、齧歯類のCDRまたはCDR配列でヒト抗体の対応する配列を置換することによって行うことができる(例えば、Verhoeyen et al., Science 239:1534-1536 (1988)を参照されたい)。したがって、そのようなヒト化抗体は、実質的に完全には満たないヒト可変ドメインが、非ヒト種由来の対応する配列によって置換されたキメラ抗体である。
【0215】
ヒトのフレームワーク領域および定常領域に加えて、ヒト可変領域をも含む完全なヒト抗体を用いることもできる。そのような抗体は、当技術分野で公知の様々な技法を用いて作製することができる。例えば、インビトロの方法には、バクテリオファージ上に提示されたヒト抗体断片の組換えライブラリーの使用が含まれる(例えば、Hoogenboom & Winter, J. Mol. Biol. 227: 381 (1991))。同様に、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を、内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活性化されたトランスジェニック動物、例えばマウスに導入することによって、ヒト抗体を作製することもできる。このアプローチは、例えば米国特許第6,150,584号、第5,545,807号;第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,661,016号に記載されている。
【0216】
上記のようにして得られた抗体は、均質になるまで精製してもよい。例えば、一般的なタンパク質に対して用いられる分離法および精製法に従って、抗体の分離および精製を行うことができる。例えば、これらに限定されないが、アフィニティークロマトグラフィーなどのカラムクロマトグラフィー、フィルター、限外濾過、塩析、透析、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動、および等電点電気泳動の使用を適切に選択しかつ組み合わせることにより、抗体を分離および単離することができる(Antibodies: A Laboratory Manual. Ed Harlow and David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory (1988))。プロテインAカラムおよびプロテインGカラムをアフィニティーカラムとして使用することができる。用いられるべき例示的なプロテインAカラムには、例えば、Hyper D、POROS、およびSepharose F.F.(Pharmacia)が含まれる。
【0217】
例示的なクロマトグラフィーには、アフィニティークロマトグラフィー以外に、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー等が含まれる(Strategies for Protein Purification and Characterization: A Laboratory Course Manual. Ed Daniel R. Marshak et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press (1996))。クロマトグラフィー手順は、HPLCおよびFPLCなどの液相クロマトグラフィーによって行うことができる。
【0218】
例えば、吸光度の測定、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、酵素免疫測定法(EIA)、放射免疫測定法(RIA)、および/または免疫蛍光法を用いて、本発明の抗体の抗原結合活性を測定することができる。ELISAの場合、本発明の抗体をプレート上に固定化し、本発明のペプチドを該プレートに添加し、次に抗体産生細胞の培養上清または精製抗体といった所望の抗体を含む試料を添加する。次いで、一次抗体を認識し、アルカリホスファターゼなどの酵素で標識された二次抗体を添加し、プレートをインキュベートする。続いて洗浄後に、p−ニトロフェニルリン酸などの酵素基質を該プレートに添加し、吸光度を測定して、試料の抗原結合活性を評価する。抗体の結合活性を評価するために、C末端またはN末端断片などのペプチド断片を抗原として用いてもよい。本発明の抗体の活性を評価するために、BIAcore(Pharmacia)を用いてもよい。
【0219】
本発明の抗体を本発明のペプチドを含むと考えられる試料に対して曝露し、該抗体と該ペプチドとによって形成される免疫複合体を検出または測定することにより、上記の方法によって本発明のペプチドの検出または測定が可能になる。
【0220】
本発明によるペプチドを検出または測定する方法はペプチドを特異的に検出または測定することができるため、この方法は、該ペプチドを使用する種々の実験において使用され得る。
【0221】
XII.ベクターおよび宿主細胞
本発明はまた、本発明のペプチドをコードするヌクレオチドが導入されたベクターおよび宿主細胞を提供する。本発明のベクターは、宿主細胞中に本発明のヌクレオチド、特にDNAを保持するため、本発明のペプチドを発現させるため、または遺伝子治療用に本発明のヌクレオチドを投与するために使用することができる。
【0222】
大腸菌が宿主細胞であり、ベクターを大腸菌(例えば、JM109、DH5α、HB101、またはXL1Blue)内で増幅して大量に生成する場合、ベクターは、大腸菌内で増幅するための「複製起点」と、形質転換された大腸菌を選択するためのマーカー遺伝子(例えば、アンピシリン、テトラサイクリン、カナマイシン、クロラムフェニコール等の薬物によって選択される薬物耐性遺伝子)とを有する必要がある。例えば、M13系ベクター、pUC系ベクター、pBR322、pBluescript、pCR−Script等を用いることができる。加えて、pGEM−T、pDIRECT、およびpT7もまた上記のベクターと同様に、cDNAのサブクローニングおよび抽出に用いることができる。ベクターを本発明のタンパク質の産生に用いる場合には、発現ベクターが使用され得る。
【0223】
例えば、大腸菌内で発現させる発現ベクターは、大腸菌内で増幅するために上記の特徴を有する必要がある。JM109、DH5α、HB101、またはXL1 Blueなどの大腸菌を宿主細胞として用いる場合、ベクターは、大腸菌内で所望の遺伝子を効率的に発現し得るプロモーター、例えば、lacZプロモーター(Ward et al., Nature 341: 544-6 (1989);FASEB J 6: 2422-7 (1989))、araBプロモーター(Better et al., Science 240: 1041-3 (1988))、T7プロモーター等を有する必要がある。この点に関して、例えば、pGEX−5X−1(Pharmacia)、「QIAexpressシステム」(Qiagen)、pEGFP、およびpET(この場合、宿主は好ましくはT7 RNAポリメラーゼを発現するBL21である)を上記のベクターの代わりに用いることができる。さらにベクターは、ペプチド分泌のためのシグナル配列を含んでもよい。ペプチドを大腸菌のペリプラズムに分泌させる例示的なシグナル配列は、pelBシグナル配列(Lei et al., J Bacteriol 169: 4379 (1987))である。ベクターを標的宿主細胞に導入する手段には、例えば塩化カルシウム法およびエレクトロポレーション法が含まれる。
【0224】
大腸菌に加えて、例えば、哺乳動物由来の発現ベクター(例えば、pcDNA3(Invitrogen)、およびpEGF−BOS(Nucleic Acids Res 18(17): 5322 (1990))、pEF、pCDM8)、昆虫細胞由来の発現ベクター(例えば、「Bac−to−BACバキュロウイルス発現系」(GIBCO BRL)、pBacPAK8)、植物由来の発現ベクター(例えば、pMH1、pMH2)、動物ウイルス由来の発現ベクター(例えば、pHSV、pMV、pAdexLcw)、レトロウイルス由来の発現ベクター(例えば、pZIpneo)、酵母由来の発現ベクター(例えば、「ピキア(Pichia)発現キット」(Invitrogen)、pNV11、SP−Q01)、および枯草菌(Bacillus subtilis)由来の発現ベクター(例えば、pPL608、pKTH50)を、本発明のポリペプチドの産生に使用することができる。
【0225】
ベクターをCHO、COS、またはNIH3T3細胞などの動物細胞内で発現させるためには、ベクターはこのような細胞における発現に必要なプロモーター、例えば、SV40プロモーター(Mulligan et al., Nature 277: 108 (1979))、MMLV−LTRプロモーター、EF1αプロモーター(Mizushima et al., Nucleic Acids Res 18: 5322 (1990))、CMVプロモーター等、および好ましくは形質転換体を選択するためのマーカー遺伝子(例えば、薬物(例えば、ネオマイシン、G418)によって選択される薬物耐性遺伝子)を有する必要がある。これらの特徴を有する公知のベクターの例には、例えばpMAM、pDR2、pBK−RSV、pBK−CMV、pOPRSV、およびpOP13が含まれる。
【0226】
以下の実施例は、本発明を説明するため、ならびに本発明の作製および使用において当業者を支援するために提示される。本実施例は、本発明の範囲を別に限定することを決して意図するものではない。
【実施例】
【0227】
材料および方法
細胞株
HLA−A2402陽性Bリンパ芽球様細胞株であるTISIは、IHWG Cell and Gene Bank(Seattle, WA)から購入した。HLA−A0201陽性Bリンパ芽球様細胞株であるT2、およびアフリカミドリザル腎細胞株であるCOS7は、ATCCから購入した。
【0228】
TMEM22由来ペプチドの候補選択
HLA−A2402分子と結合するTMEM22由来の9merおよび10merペプチドを、結合予測ソフトウエア「BIMAS」(www−bimas.cit.nih.gov/molbio/hla_bind)(Parker et al.(J Immunol 1994, 152(1): 163-75)、Kuzushima et al.(Blood 2001, 98(6): 1872-81))および「NetMHC 3.0」(www.cbs.dtu.dk/services/NetMHC/)(Buus et al.(Tissue Antigens., 62:378-84, 2003)、Nielsen et al.(Protein Sci., 12:1007-17, 2003, Bioinformatics, 20(9):1388-97, 2004))を用いて予測した。さらに、HLA−A0201分子と結合するTMEM22由来の9merおよび10merペプチドを、「NetMHC3.0」を用いて予測した。これらのペプチドは、Bio Synthesis Inc.(Lewisville, Texas)により、標準的な固相合成法によって合成し、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製した。該ペプチドの純度(>90%)および同一性を、それぞれ分析用HPLCおよび質量分析によって決定した。ペプチドをジメチルスルホキシド(DMSO)に20mg/mlで溶解し、−80℃で保存した。
【0229】
インビトロでのCTL誘導
単球由来の樹状細胞(DC)を抗原提示細胞(APC)として用いて、ヒト白血球抗原(HLA)上に提示されたペプチドに対する細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を誘導した。他所に記載されているように、DCをインビトロで作製した(Nakahara S et al., Cancer Res 2003 Jul 15, 63(14): 4112-8)。具体的には、Ficoll−Plaque(Pharmacia)溶液によって健常なボランティア(HLA−A2402陽性またはHLA−A0201陽性)から単離した末梢血単核細胞(PBMC)を、プラスチック製の組織培養ディッシュ(Becton Dickinson)へ付着させることによって分離し、それらを単球画分として濃縮した。2%の加熱非動化した自己血清(AS)を含むAIM−V培地(Invitrogen)中、1000U/mlの顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)(R&D System)および1000U/mlのインターロイキン(IL)−4(R&D System)の存在下で、単球が濃縮された集団を培養した。7日間の培養後、サイトカインで誘導したDCに、AIM−V培地中で37℃で3時間、3μg/mlのβ2−ミクログロブリンの存在下で20μg/mlの各合成ペプチドをパルスした。
【0230】
作製された細胞は、自身の細胞表面上に、CD80、CD83、CD86、およびHLAクラスIIなどのDC関連分子を発現しているようであった(データは示さず)。次いで、ペプチドパルスしたこれらのDCをX線照射(20Gy)により不活化し、CD8 Positive Isolation Kit(Dynal)を用いた陽性選択によって得られた自己CD8+T細胞と1:20の比率で混合した。これらの培養物を48ウェルプレート(Corning)中に準備し、各ウェルは、0.5mlのAIM−V/2%AS培地中に、1.5×10個のペプチドパルスしたDC、3×10個のCD8+T細胞、および10ng/mlのIL−7(R&D System)を含んだ。3日後、これらの培養物に、IL−2(CHIRON)を最終濃度20IU/mlまで添加した。7日目および14日目に、ペプチドパルスした自己DCでT細胞をさらに刺激した。
【0231】
DCは上記と同じ方法によって毎回調製した。21日目に、3回目のペプチド刺激後、ペプチドパルスしたTISI細胞(A24)またはT2細胞(A2)に対してCTLを試験した(Tanaka H et al., Br J Cancer 2001 Jan 5, 84(1): 94-9;Umano Y et al., Br J Cancer 2001 Apr 20, 84(8): 1052-7;Uchida N et al., Clin Cancer Res 2004 Dec 15, 10(24): 8577-86;Suda T et al., Cancer Sci 2006 May, 97(5): 411-9;Watanabe T et al., Cancer Sci 2005 Aug, 96(8): 498-506)。
【0232】
CTL増殖手順
Riddellら(Walter EA et al., N Engl J Med 1995 Oct 19, 333(16): 1038-44;Riddell SR et al., Nat Med 1996 Feb, 2(2): 216-23)によって記載されている方法と類似の方法を用いて、CTLを培養下で増殖させた。40ng/mlの抗CD3モノクローナル抗体(Pharmingen)の存在下で、マイトマイシンCによって不活化した2種類のヒトBリンパ芽球様細胞株と共に、合計5×10個のCTLを25mlのAIM−V/5%AS培地中に懸濁した。培養開始1日後に、120IU/mlのIL−2を該培養物に添加した。5、8、および11日目に、30IU/mlのIL−2を含む新たなAIM−V/5%AS培地を、該培養物に供給した(Tanaka H et al., Br J Cancer 2001 Jan 5, 84(1): 94-9;Umano Y et al., Br J Cancer 2001 Apr 20, 84(8): 1052-7;Uchida N et al., Clin Cancer Res 2004 Dec 15, 10(24): 8577-86;Suda T et al., Cancer Sci 2006 May, 97(5): 411-9;Watanabe T et al., Cancer Sci 2005 Aug, 96(8): 498-506)。
【0233】
CTLクローンの樹立
96丸底マイクロタイタープレート(Nalge Nunc International)においてCTL0.3個、1個、および3個/ウェルとなるように、希釈を行った。CTLを、1×10個細胞/ウェルの2種類のヒトBリンパ芽球様細胞株、30ng/mlの抗CD3抗体、および125U/mlのIL−2と共に、合計150μl/ウェルの5%AS含有AIM−V培地中で培養した。10日後、50μl/ウェルのIL−2を、IL−2の最終濃度が125U/mlに到達するように該培地に添加した。14日目にCTL活性を試験し、上記と同じ方法を用いてCTLクローンを増殖させた(Uchida N et al., Clin Cancer Res 2004 Dec 15, 10(24): 8577-86;Suda T et al., Cancer Sci 2006 May, 97(5): 411-9;Watanabe T et al., Cancer Sci 2005 Aug, 96(8): 498-506)。
【0234】
特異的CTL活性
特異的CTL活性を調べるために、インターフェロン(IFN)−γ酵素結合免疫スポット(ELISPOT)アッセイおよびIFN−γ酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を行った。具体的には、ペプチドパルスしたTISI(A24)またはT2(A2)(1×10個/ウェル)を刺激細胞として調製した。48ウェル中の培養細胞を応答細胞として使用した。IFN−γ ELISPOTアッセイおよびIFN−γ ELISAアッセイは、製造業者の手順に従って行った。
【0235】
標的遺伝子およびHLA−A24/HLA−A02のいずれか一方または両方を強制的に発現する細胞の樹立
標的遺伝子、HLA−A2402、またはHLA−A0201のオープンリーディングフレームをコードするcDNAをPCRによって増幅した。PCR増幅産物を発現ベクターにクローニングした。製造業者の推奨する手順に従ってリポフェクタミン2000(Invitrogen)を用いて、標的遺伝子およびHLA−A24/A2陰性細胞株であるCOS7に該プラスミドをトランスフェクトした。トランスフェクションから2日後、トランスフェクトした細胞をベルセン(Invitrogen)を用いて回収し、CTL活性アッセイのための標的細胞(5×10個細胞/ウェル)として使用した。
【0236】
結果1
がんにおけるTMEM22発現の増強
cDNAマイクロアレイを用いて様々ながんから得られた包括的な遺伝子発現プロファイルデータにより、TMEM22(GenBankアクセッション番号NM_025246、NM_001097599、NM_001097600;例えば、SEQ ID NO:91)の発現が上昇していることが明らかになった。TMEM22発現は、6例のAMLのうち1例、29例の膀胱癌のうち1例、1例のCCCのうち1例、41例の食道癌のうち6例、1例のリンパ腫のうち1例、6例の前立腺癌のうち4例、13例のRCCのうち9例、および21例のSCLCのうち13例において、確かに上昇していた(表1)。
【0237】
(表1)対応する正常組織と比較してがん性組織においてTMEM22の上方制御が観察された症例の比

【0238】
結果2
TMEM22由来のHLA−A24結合ペプチドの予測
表2aおよび2bは、HLA−A24に結合するTMEM22の9merおよび10merペプチドを、結合親和性の高い順に示す。SEQ ID NO:1〜9および17〜27のペプチドはBIMASによって予測した。SEQ ID NO:10〜16および28〜31のペプチドはNetMHC 3.0によって予測した。エピトープペプチドを決定するために、HLA−A24結合能を潜在的に有する合計31種のペプチドを選択して調べた。
【0239】
(表2a)TMEM22に由来するHLA−A24結合9merペプチド

【0240】
(表2b)TMEM22に由来するHLA−A24結合10merペプチド

開始位置は、TMEM22のN末端からのアミノ酸残基の数を示す。
結合スコアは「BIMAS」に由来する。
解離定数[Kd(nM)]は「NetMHC3.0」に由来する。
【0241】
HLA−A2402拘束性のTMEM22由来の予測ペプチドによるCTLの誘導、およびTMEM22由来ペプチドで刺激したCTL株の樹立
TMEM22由来のペプチドに対するCTLを、「材料および方法」に記載したプロトコールに従って作製した。IFN−γ ELISPOTアッセイによって、ペプチド特異的なCTL活性を測定した(図1a〜n)。以下のウェル番号は、対照ウェルと比較して強力なIFN−γ産生を示した:TMEM22−A24−9−390(SEQ ID NO:1)で刺激したウェル番号#4(a)、TMEM22−A24−9−274(SEQ ID NO:2)で刺激した#7(b)、TMEM22−A24−9−372(SEQ ID NO:3)で刺激した#3および#5(c)、TMEM22−A24−9−331(SEQ ID NO:4)で刺激した#8(d)、TMEM22−A24−9−385(SEQ ID NO:5)で刺激した#4、#6、および#7(e)、TMEM22−A24−9−204(SEQ ID NO:6)で刺激した#3、#4、および#5(f)、TMEM22−A24−9−297(SEQ ID NO:10)で刺激した#3、#6、および#8(g)、TMEM22−A24−9−98(SEQ ID NO:12)で刺激した#3(h)、TMEM22−A24−9−375(SEQ ID NO:16)で刺激した#2および#4(i)、TMEM22−A24−10−137(SEQ ID NO:18)で刺激した#5(j)、TMEM22−A24−10−140(SEQ ID NO:19)で刺激した#1(k)、TMEM22−A24−10−204(SEQ ID NO:22)で刺激した#2、#3、および#4(l)、TMEM22−A24−10−282(SEQ ID NO:28)で刺激した#1、#6、および#8(m)、ならびにTMEM22−A24−10−177(SEQ ID NO:31)で刺激した#7(n)。一方、表2に示されるその他のペプチドは、HLA−A2402との結合活性を有する可能性があるにもかかわらず、それらのペプチドでの刺激では、強力なIFN−γ産生を検出することができなかった。例えば、典型的な陰性データとして、TMEM22−A24−10−8(SEQ ID NO:17)で刺激したCTLからは特異的IFN−γ産生が観察されなかった(図1(o))。これらの結果は、TMEM22に由来する14種のペプチドが、強力なCTLを誘導することができるペプチドとしてスクリーニングされたことを示している。
【0242】
TMEM22特異的ペプチドに対するCTL株およびクローンの樹立
上記「材料および方法」の章に記載した通りに、TMEM22−A24−9−390(SEQ ID NO:1)を用いたウェル番号#4、TMEM22−A24−9−274(SEQ ID NO:2)を用いた#7、TMEM22−A24−9−372(SEQ ID NO:3)を用いた#5、TMEM22−A24−9−331(SEQ ID NO:4)を用いた#8、TMEM22−A24−9−385(SEQ ID NO:5)を用いた#6、TMEM22−A24−9−204(SEQ ID NO:6)を用いた#3、TMEM22−A24−9−297(SEQ ID NO:10)を用いた#8、TMEM22−A24−9−375(SEQ ID NO:16)を用いた#4、TMEM22−A24−10−137(SEQ ID NO:18)を用いた#5、TMEM22−A24−10−204(SEQ ID NO:22)を用いた#3、TMEM22−A24−10−282(SEQ ID NO:28)を用いた#8、およびTMEM22−A24−10−177(SEQ ID NO:31)を用いた#7において、IFN−γ ELISPOTアッセイにより検出されるペプチド特異的CTL活性を示した細胞を増殖させ、限界希釈によってCTL株を樹立した。これらのCTL株のCTL活性をIFN−γ ELISAアッセイによって測定した(図2a〜l)。すべてのCTL株は、ペプチドをパルスしなかった標的細胞と比較して、対応するペプチドをパルスした標的細胞に対して強力なIFN−γ産生を示した。さらに、CTL株から限界希釈によってCTLクローンを樹立し、ペプチドをパルスした標的細胞に対するCTLクローンからのIFN−γ産生をIFN−γ ELISAアッセイによって測定した。図3a〜dにおいて、TMEM22−A24−9−331(SEQ ID NO:4)、TMEM22−A24−9−204(SEQ ID NO:6)、TMEM22−A24−9−297(SEQ ID NO:10)、およびTMEM22−A24−10−204(SEQ ID NO:22)で刺激したCTLクローンから強力なIFN−γ産生が測定された。
【0243】
TMEM22およびHLA−A2402を発現する標的細胞に対する特異的CTL活性
これらのペプチドに対して産生された樹立CTL株を、TMEM22およびHLA−A2402遺伝子を発現する標的細胞を認識する能力に関して調べた。全長TMEM22およびHLA−A2402遺伝子の両方をトランスフェクトしたCOS7細胞(TMEM22およびHLA−A2402遺伝子を発現する標的細胞の特異的モデル)に対する特異的CTL活性を、対応するペプチドによって産生されたCTL株を用いて試験した。全長TMEM22遺伝子またはHLA−A2402のいずれかをトランスフェクトしたCOS7細胞を対照として調製した。図4において、TMEM22−A24−9−385(SEQ ID NO:5)で刺激したCTLは、TMEM22およびHLA−A2402の両方を発現するCOS7細胞に対して強力なCTL活性を示した。一方、対照に対して有意な特異的CTL活性は検出されなかった。したがって、これらのデータにより、TMEM22−A24−9−385(SEQ ID NO:5)のペプチドが内因的にプロセシングされ、HLA−A2402分子とともに標的細胞上に提示され、CTLによって認識されることが明確に実証された。これらの結果は、TMEM22に由来するこのペプチドが、TMEM22を発現する腫瘍を有する患者に対するがんワクチンとして適している可能性を示している。
【0244】
抗原ペプチドの相同性解析
TMEM22−A24−9−390(SEQ ID NO:1)、TMEM22−A24−9−274(SEQ ID NO:2)、TMEM22−A24−9−372(SEQ ID NO:3)、TMEM22−A24−9−331(SEQ ID NO:4)、TMEM22−A24−9−385(SEQ ID NO:5)、TMEM22−A24−9−204(SEQ ID NO:6)、TMEM22−A24−9−297(SEQ ID NO:10)、TMEM22−A24−9−98(SEQ ID NO:12)、TMEM22−A24−9−375(SEQ ID NO:16)、TMEM22−A24−10−137(SEQ ID NO:18)、TMEM22−A24−10−140(SEQ ID NO:19)、TMEM22−A24−10−204(SEQ ID NO:22)、TMEM22−A24−10−282(SEQ ID NO:28)、およびTMEM22−A24−10−177(SEQ ID NO:31)で刺激したCTLは、有意かつ特異的なCTL活性を示した。この結果は、TMEM22−A24−9−390(SEQ ID NO:1)、TMEM22−A24−9−274(SEQ ID NO:2),TMEM22−A24−9−372(SEQ ID NO:3)、TMEM22−A24−9−331(SEQ ID NO:4)、TMEM22−A24−9−385(SEQ ID NO:5)、TMEM22−A24−9−204(SEQ ID NO:6)、TMEM22−A24−9−297(SEQ ID NO:10)、TMEM22−A24−9−98(SEQ ID NO:12)、TMEM22−A24−9−375(SEQ ID NO:16)、TMEM22−A24−10−137(SEQ ID NO:18)、TMEM22−A24−10−140(SEQ ID NO:19)、TMEM22−A24−10−204(SEQ ID NO:22)、TMEM22−A24−10−282(SEQ ID NO:28)、およびTMEM22−A24−10−177(SEQ ID NO:31)の配列が、ヒト免疫系を感作することが知られている他の分子に由来するペプチドと相同的であるという事実に起因する可能性がある。この可能性を排除するために、BLASTアルゴリズム(http://www.ncbi.nlm.nih.gov /blast/blast.cgi)を用いて、クエリーとしてのこれらのペプチド配列に対して相同性解析を行ったが、有意な相同性を有する配列は認められなかった。この相同性解析の結果は、TMEM22−A24−9−390(SEQ ID NO:1)、TMEM22−A24−9−274(SEQ ID NO:2)、TMEM22−A24−9−372(SEQ ID NO:3)、TMEM22−A24−9−331(SEQ ID NO:4)、TMEM22−A24−9−385(SEQ ID NO:5)、TMEM22−A24−9−204(SEQ ID NO:6)、TMEM22−A24−9−297(SEQ ID NO:10)、TMEM22−A24−9−98(SEQ ID NO:12)、TMEM22−A24−9−375(SEQ ID NO:16)、TMEM22−A24−10−137(SEQ ID NO:18)、TMEM22−A24−10−140(SEQ ID NO:19)、TMEM22−A24−10−204(SEQ ID NO:22)、TMEM22−A24−10−282(SEQ ID NO:28)、およびTMEM22−A24−10−177(SEQ ID NO:31)の配列が固有のものであること、したがって本発明者らの知る限りでは、これらの分子が、ある非関連分子に対して意図しない免疫学的応答を引き起こす可能性はほとんどないことを示している。
【0245】
結論として、TMEM22に由来する新規HLA−A24エピトープペプチドが同定された。さらに、本明細書における結果は、TMEM22のエピトープペプチドががん免疫療法における使用に適し得ることを実証している。
【0246】
結果3
TMEM22由来のHLA−A02結合ペプチドの予測
表3aおよび3bは、HLA−A02に結合するTMEM22の9merおよび10merペプチドを、結合親和性の高い順に示す。エピトープペプチドを決定するために、HLA−A02結合能を有する可能性がある合計59種のペプチドを選択して調べた。
【0247】
(表3a)TMEM22に由来するHLA−A02結合9merペプチド

【0248】
(表3b)TMEM22に由来するHLA−A02結合10merペプチド

開始位置は、TMEM22のN末端からのアミノ酸残基の数を示す。
解離定数[Kd(nM)]は「NetMHC3.0」に由来する。
【0249】
HLA−A0201拘束性のTMEM22由来の予測ペプチドによるCTLの誘導
TMEM22由来のペプチドに対するCTLを、「材料および方法」に記載したプロトコールに従って作製した。IFN−γ ELISPOTアッセイによって、ペプチド特異的なCTL活性を測定した(図5a〜l)。以下のウェル番号は、対照ウェルと比較して強力なIFN−γ産生を示した:TMEM22−A02−9−338(SEQ ID NO:35)を用いたウェル番号#4(a)、TMEM22−A02−9−381(SEQ ID NO:38)を用いた#2(b)、TMEM22−A02−9−367(SEQ ID NO:41)を用いた#6(c)、TMEM22−A02−9−218(SEQ ID NO:48)を用いた#3(d)、TMEM22−A02−10−217(SEQ ID NO:61)を用いた#5(e)、TMEM22−A02−10−304(SEQ ID NO:62)を用いた#8(f)、TMEM22−A02−10−167(SEQ ID NO:65)を用いた#4(g)、TMEM22−A02−10−363(SEQ ID NO:67)を用いた#6(h)、TMEM22−A02−10−103(SEQ ID NO:70)を用いた#5(i)、TMEM22−A02−10−195(SEQ ID NO:74)を用いた#5(j)、TMEM22−A02−10−229(SEQ ID NO:77)を用いた#5(k)、およびTMEM22−A02−10−356(SEQ ID NO:83)を用いた#6(l)。一方、表3aおよび3bに示されるその他のペプチドは、HLA−A0201との結合活性を有する可能性があるにもかかわらず、それらのペプチドでの刺激では、特異的なCTL活性を測定することができなかった。典型的な陰性データとして、TMEM22−A02−9−305(SEQ ID NO:33)で刺激したCTLからは特異的IFN−γ産生が観察されなかった(m)。したがって、これらの結果は、TMEM22に由来する12種のペプチドが、強力なCTLを誘導することができるペプチドとしてスクリーニングされたことを示している。
【0250】
TMEM22由来ペプチドに対するCTL株およびクローンの樹立
上記「材料および方法」の章に記載した通りに、TMEM22−A02−9−338(SEQ ID NO:35)を用いたウェル番号#4(a)、TMEM22−A02−9−381(SEQ ID NO:38)を用いた#2(b)、TMEM22−A02−9−218(SEQ ID NO:48)を用いた#3(c)、TMEM22−A02−10−217(SEQ ID NO:61)を用いた#5(d)、TMEM22−A02−10−304(SEQ ID NO:62)を用いた#8(e)、TMEM22−A02−10−167(SEQ ID NO:65)を用いた#4(f)、TMEM22−A02−10−363(SEQ ID NO:67)を用いた#6(g)、TMEM22−A02−10−103(SEQ ID NO:70)を用いた#5(h)、TMEM22−A02−10−195(SEQ ID NO:74)を用いた#5(i)、およびTMEM22−A02−10−356(SEQ ID NO:83)を用いた#6(j)において、IFN−γ ELISPOTアッセイにより検出されるペプチド特異的CTL活性を示した細胞を増殖させ、限界希釈によってCTL株を樹立した。これらのCTL株のCTL活性をIFN−γ ELISAアッセイによって測定した(図6a〜j)。これらのCTL株は、ペプチドをパルスしなかった標的細胞と比較して、対応するペプチドをパルスした標的細胞に対して強力なIFN−γ産生を示した。さらに、「材料および方法」に記載した通りに、CTL株から限界希釈によってCTLクローンを樹立し、ペプチドをパルスした標的細胞に対するCTLクローンからのIFN−γ産生をIFN−γ ELISAアッセイによって測定した。TMEM22−A02−9−381(SEQ ID NO:38)(a)、TMEM22−A02−9−218(SEQ ID NO:48)(b)、TMEM22−A02−10−217(SEQ ID NO:61)(c)、TMEM22−A02−10−304(SEQ ID NO:62)(d)、TMEM22−A02−10−167(SEQ ID NO:65)(e)、TMEM22−A02−10−363(SEQ ID NO:67)(f)、TMEM22−A02−10−103(SEQ ID NO:70)(g)、TMEM22−A02−10−195(SEQ ID NO:74)(h)、およびTMEM22−A02−10−356(SEQ ID NO:83)(i)で刺激したCTLクローンから強力なIFN−γ産生が測定された(図7a〜i)。
【0251】
TMEM22およびHLA−A0201を発現する標的細胞に対する特異的CTL活性
各ペプチドに対して産生された樹立CTL株およびクローンを、TMEM22およびHLA−A0201分子を発現する標的細胞を認識する能力に関して調べた。全長TMEM22およびHLA−A0201遺伝子の両方をトランスフェクトしたCOS7細胞(TMEM22およびHLA−A0201遺伝子を発現する標的細胞の特異的モデル)に対する特異的CTL活性を、対応するペプチドによって産生されたCTL株およびクローンを用いて試験した。全長TMEM22またはHLA−A0201のいずれかをトランスフェクトしたCOS7細胞を対照として調製した。図8において、TMEM22−A02−10−195(SEQ ID NO:74)で刺激したCTLクローンは、TMEM22およびHLA−A0201の両方を発現するCOS7細胞に対して強力なCTL活性を示した。一方、対照に対して有意な特異的CTL活性は検出されなかった。したがって、これらのデータにより、TMEM22−A02−10−195(SEQ ID NO:74)のペプチドが内因的にプロセシングされ、HLA−A0201分子とともに標的細胞上に提示され、CTLによって認識されることが明確に実証された。これらの結果は、TMEM22に由来するこれらのペプチドを、TMEM22を発現する腫瘍を有する患者に対するがんワクチンに適用できる可能性を示している。
【0252】
抗原ペプチドの相同性解析
TMEM22−A02−9−338(SEQ ID NO:35)、TMEM22−A02−9−381(SEQ ID NO:38)、TMEM22−A02−9−367(SEQ ID NO:41)、TMEM22−A02−9−218(SEQ ID NO:48)、TMEM22−A02−10−217(SEQ ID NO:61)、TMEM22−A02−10−304(SEQ ID NO:62)、TMEM22−A02−10−167(SEQ ID NO:65)、TMEM22−A02−10−363(SEQ ID NO:67)、TMEM22−A02−10−103(SEQ ID NO:70)、TMEM22−A02−10−195(SEQ ID NO:74)、TMEM22−A02−10−229(SEQ ID NO:77)、およびTMEM22−A02−10−356(SEQ ID NO:83)で刺激したCTLは、有意かつ特異的なCTL活性を示した。この結果は、TMEM22−A02−9−338(SEQ ID NO:35)、TMEM22−A02−9−381(SEQ ID NO:38)、TMEM22−A02−9−367(SEQ ID NO:41)、TMEM22−A02−9−218(SEQ ID NO:48)、TMEM22−A02−10−217(SEQ ID NO:61)、TMEM22−A02−10−304(SEQ ID NO:62)、TMEM22−A02−10−167(SEQ ID NO:65)、TMEM22−A02−10−363(SEQ ID NO:67)、TMEM22−A02−10−103(SEQ ID NO:70)、TMEM22−A02−10−195(SEQ ID NO:74)、TMEM22−A02−10−229(SEQ ID NO:77)、およびTMEM22−A02−10−356(SEQ ID NO:83)の配列が、ヒト免疫系を感作することが知られている他の分子に由来するペプチドと相同的であるという事実に起因する可能性がある。この可能性を排除するために、BLASTアルゴリズム(www.ncbi.nlm.nih.gov /blast/blast.cgi)を用いて、クエリーとしてのこのペプチド配列に対して相同性解析を行ったが、有意な相同性を有する配列は認められなかった。この相同性解析の結果は、TMEM22−A02−9−338(SEQ ID NO:35)、TMEM22−A02−9−381(SEQ ID NO:38)、TMEM22−A02−9−367(SEQ ID NO:41)、TMEM22−A02−9−218(SEQ ID NO:48)、TMEM22−A02−10−217(SEQ ID NO:61)、TMEM22−A02−10−304(SEQ ID NO:62)、TMEM22−A02−10−167(SEQ ID NO:65)、TMEM22−A02−10−363(SEQ ID NO:67)、TMEM22−A02−10−103(SEQ ID NO:70)、TMEM22−A02−10−195(SEQ ID NO:74)、TMEM22−A02−10−229(SEQ ID NO:77)、およびTMEM22−A02−10−356(SEQ ID NO:83)の配列が固有であることを示している。したがって、これらの分子が、ある非関連分子に対して意図しない免疫学的応答を引き起こす可能性はほとんどない。
【0253】
結論として、TMEM22に由来する新規HLA−A0201エピトープペプチドが同定され、それらをがん免疫療法に適用できることが実証された。
【0254】
産業上の利用可能性
本発明は、新規TAA、特に、強力かつ特異的な抗腫瘍免疫応答を誘導し、かつ幅広いがんの種類に対する適用性を有する、TMEM22由来の新規TAAを提供する。このようなTAAは、TMEM22に関連した疾患、例えばがん、より詳細にはAML、膀胱癌、CCC、食道癌、リンパ腫、前立腺癌、RCC、およびSCLCに対するペプチドワクチンとしてのさらなる開発を保証する。
【0255】
本明細書において、本発明をその特定の態様に関して詳細に説明しているが、前述の説明は本質的に例示的かつ説明的なものであって、本発明およびその好ましい態様を説明することを意図していることが理解されるべきである。慣例的な実験を通して、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更および改変がその中でなされ得ることを容易に認識するであろう。したがって、本発明の境域および境界は、上記の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物によって規定されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HLA抗原と結合し、かつ細胞傷害性Tリンパ球(CTL)誘導能を有する単離されたペプチドであって、SEQ ID NO:92のアミノ酸配列またはその免疫学的活性断片からなる、単離されたペプチド。
【請求項2】
HLA抗原がHLA−A24またはHLA−A2である、請求項1記載の単離されたペプチド。
【請求項3】
SEQ ID NO:1〜16、18〜32、および34〜90からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1または2記載の単離されたペプチド。
【請求項4】
1個、2個、または数個のアミノ酸が挿入、置換、欠失、または付加されているSEQ ID NO:1〜16、18〜32、および34〜90からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、請求項1〜3記載の単離されたペプチド。
【請求項5】
HLA−A24との関連において、以下の特徴の一方または両方を有する、請求項4記載の単離されたペプチド:
(a)N末端から2番目のアミノ酸が、フェニルアラニン、チロシン、メチオニン、およびトリプトファンの群から選択される;ならびに
(b)C末端のアミノ酸が、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、およびメチオニンの群から選択される。
【請求項6】
HLA−A2との関連において、以下の特徴の一方または両方を有する、請求項4記載の単離されたペプチド:
(a)N末端から2番目のアミノ酸が、ロイシンおよびメチオニンからなる群より選択される;ならびに
(b)C末端のアミノ酸が、バリンおよびロイシンからなる群より選択される。
【請求項7】
ノナペプチドまたはデカペプチドである、請求項1〜6記載の単離されたペプチド。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項9】
CTLを誘導するための剤であって、請求項1〜7のいずれか一項記載の1種もしくは複数種のペプチド、または請求項8記載の1種もしくは複数種のポリヌクレオチドを含む、剤。
【請求項10】
がんの治療および/もしくは予防、ならびに/または術後のその再発の予防のための薬剤であって、請求項1〜7のいずれか一項記載の1種もしくは複数種のペプチド、または請求項8記載の1種もしくは複数種のポリヌクレオチドを含む、薬剤。
【請求項11】
HLA抗原がHLA−A24またはHLA−A2である対象への投与のために製剤化される、請求項10記載の薬剤。
【請求項12】
以下の段階のうちの1つを含む、CTL誘導能を有する抗原提示細胞(APC)を誘導するための方法:
(a)APCを、請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチドとインビトロ、エクスビボ、またはインビボで接触させる段階;および
(b)請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチドをコードするポリヌクレオチドをAPCに導入する段階。
【請求項13】
以下の段階のうちの少なくとも1つを含む方法のいずれかによって、CTLを誘導するための方法:
(a)CD8陽性T細胞を、HLA抗原と請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチドとの複合体を自身の表面に提示するAPCと共培養する段階;
(b)CD8陽性T細胞を、HLA抗原と請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチドとの複合体を自身の表面上に提示するエキソソームと共培養する段階;および
(c)請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチドと結合するT細胞受容体(TCR)サブユニットポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子を、T細胞に導入する段階。
【請求項14】
HLA抗原と請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチドとの複合体を自身の表面上に提示する、単離されたAPC。
【請求項15】
請求項12記載の方法によって導入される、請求項14記載のAPC。
【請求項16】
請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチドを標的とする、単離されたCTL。
【請求項17】
請求項13記載の方法によって誘導される、請求項16記載のCTL。
【請求項18】
対象においてがんに対する免疫応答を誘導する方法であって、請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチド、その免疫学的活性断片、または該ペプチドもしくは該断片をコードするポリヌクレオチドを含む剤を該対象に投与する段階を含む、方法。
【請求項19】
請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むベクター。
【請求項20】
請求項19記載の発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトした宿主細胞。
【請求項21】
SEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、10、12、16、18、19、22、28、31、35、38、41、48、61、62、65、67、70、74、77、および83の群から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項3〜7のいずれか一項記載の単離されたペプチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−513549(P2013−513549A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527547(P2012−527547)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【国際出願番号】PCT/JP2010/007228
【国際公開番号】WO2011/074236
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(502240113)オンコセラピー・サイエンス株式会社 (142)
【Fターム(参考)】