説明

TNFスーパーファミリーコレクチン融合タンパク質

本発明は、コレクチン三量体形成ドメインと、融合タンパク質をコードする核酸分子と、およびその核酸分子を含む細胞とに融合したTNFスーパーファミリー(TNFSF)サイトカインまたはその受容体結合ドメインを含む融合タンパク質に関する。融合タンパク質は、三量体複合体として、またはそのオリゴマーとして存在する。この融合タンパク質、核酸、および細胞は、医薬組成物として、または治療への応用、診断への応用、および/もしくは研究への応用に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コレクチン三量体形成ドメインと、融合タンパク質をコードする核酸分子と、核酸分子を有する細胞とに融合したTNFスーパーファミリー(TNFSF)サイトカインまたはその受容体結合ドメインを含む融合タンパク質に関する。融合タンパク質は、三量体複合体としてまたはそのオリゴマーとして存在する。本明細書に説明されるような融合タンパク質、核酸、細胞は、医薬組成物としてまたは治療への応用、診断への応用、および/もしくは研究への応用に適している。
【0002】
腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーのリガンドは、免疫系で重要な役割を果たしているだけでなく、上皮構造および内皮構造の発生にも関与してきた。1 TNFファミリーリガンドは、三量体II型の膜貫通タンパク質として主に発現され、および三量体としても構築される可溶性変異体にプロセシングされることが多い。1,2 一部のTNFリガンドの脱落は、それらに対応する受容体を活性化するそれらの能力を妨げることなく、かつそれらの生理的機能にとって重大なことでさえあるのだが、他のTNFリガンドは、タンパク質分解機能によって不活性される。2 活性でないまたはわずかに不十分に活性である可溶性TNFリガンドは、それらの同族の受容体と依然として相互作用する。例えば、TNF、CD95L、TRAIL、およびCD40Lの可溶型は、それぞれTNFR2、CD95、TRAILR2、およびCD40と相互作用するが、これらの受容体によってシグナル伝達を活性化しないか、あるいはわずかに不十分に活性化する。3〜6 特に、不活性の可溶性TNFリガンドまたは不十分に活性の可溶性TNFリガンドは、それらの結合活性を人為的に高めることによって高活性分子に変えられることができる。例えば、TNF、CD95L、TRAIL、およびCD40Lの可溶性Flag標識した変異体は、それらがFlag特異的モノクローナル抗体M2で架橋された場合、それぞれTNFR2、CD95、TRAILR2、およびCD40によって頑強なシグナル伝達を刺激する。同様に、可溶性CD95Lおよび可溶性CD40Lの六量体融合タンパク質および十二量体融合タンパク質ならびに大腸菌(E.coli)内に産生されたTFNリガンドの非特異的凝集型製剤は、高活性を示す。6〜8
【0003】
TNFファミリーのリガンドの構造的特徴は、カルボキシ末端の「TNF2ホモロジードメイン」(THD)または「受容体結合ドメイン」(RBD)であり、両用語は、TNFリガンドの膜貫通型および可溶型の両方の部分であり、本明細書では同様に使用される。1〜2 種々のTNFリガンドのTHDは、ほぼ同一の三次元的折り畳み構造の形をとり、かつ三量体に自己会合を起こす芳香族性残基および疎水性残基のフレームワークで構成されている。1〜2 THDは受容体結合も媒介する。一般に、TNFファミリーの三量体リガンドは、それらに対応する受容体(複数の受容体を含む)の3つの分子に結合する。この単独の相互作用は、受容体関連の細胞内シグナル伝達経路を活性化するにはかならずしも十分ではない。三量体シグナル伝達の能力のあるリガンド受容体複合体の最初の形成は、超分子クラスターへの第2の多量体化を伴うことをいくつかの系統の証拠が示唆している。9〜11 TNF受容体活性化におけるこれらの2つの段階(1.リガンド結合;2.受容体リガンド複合体の二次凝集)は、脂質ラフト局在化、細胞骨格支持体、受容体自己凝集、受容体関連のアダプタータンパク質を含むいくつかの因子に種々の程度で依存するだけでなく、リガンド受容体相互作用の親和性および結合活性、ならびにリガンドが受容体にどのような方法で提示されるか(膜リガンドもしくは固定化リガンド対可溶化リガンド、三量体対高凝集体)に依存する。
【0004】
TNFスーパーファミリーサイトカインの三量体複合体を組換え単量体ユニットから製造するのは難しいことが公知である。
【0005】
例えば、WO01/49866は、TNFサイトカインおよび多量体化成分を含む組換え融合タンパク質を開示している。しかし、これらの融合タンパク質の不利な点は、三量体形成ドメインが通常、高分子量を有することおよび/または三量体形成が多少非効率的であることである。
【0006】
Schneider et al.(J Exp Med 187 (1989), 1205−1213)は、TNFサイトカインの三量体がN末端に位置する安定化モチーフによって安定化されると説明している。CD95Lでは、CD95L受容体結合ドメインの三量体の安定化は、細胞膜近くに位置しているN末端アミノ酸ドメインによっておそらく起こる。
【0007】
Shiraishi et al.(Biochem Biophys Res Commun 322 (2004), 197−202)は、CD95Lの受容体結合ドメインがN末端に位置する人工αヘリックスコイルドコイル(ロイシンジッパー)モチーフによって安定化され得ると説明している。しかし、ポリペプチド鎖の相互の配向(例えば平行配向または逆平行配向)は、ほとんど予測できないことが分った。さらに、コイルドコイルジッパーモチーフにおける7アミノ酸繰り返しの最適数は、決定するのは難しい。さらに、コイルドコイル構造は、pHおよび/またはイオン強度の変化後に、高分子凝集体を形成する傾向がある。
【0008】
McAlinden et al.(J of Biol Chem, 2002, 277(43): 41274−41281)は、ヒトIIA型プロコラーゲンアミノ酸配列と、ラットサーファクタントタンパク質(SP−D)のネックドメインの最初の2つの7アミノ酸繰り返しに相当する14アミノ酸配列との間の融合タンパク質の製造を開示している。
【0009】
WO01/42298は、シグナル配列、コラーゲンドメイン、およびネックドメインを含むサーファクタントタンパク質Dと、CD40Lとの間の融合タンパク質の製造を開示している。それらの融合タンパク質の不利な点は、それらが高い免疫抗原性を示す多量体凝集体をもたらすこと、およびそれらが機能的に明確な三量体リガンドを産生しないことである。
【0010】
良好な三量体形成特性および改善した医薬品特性を組み合わせた効率的な組換え生産を可能にする、TNFサイトカインまたは受容体結合ドメインを含む融合タンパク質を提供することが本発明の目的であった。
【0011】
本発明は、(i)TNFスーパーファミリーサイトカインまたはその受容体結合ドメインと、(ii)コレクチン三量体形成ドメインとを含む融合タンパク質に関する。
【0012】
本発明は、さらに、本明細書に説明されるような融合タンパク質をコードする核酸分子、および本明細書に説明されるような核酸分子で形質転換されたもしくは核酸分子をトランスフェクトした細胞または非ヒト生物に関する。
【0013】
本発明は、また、活性剤として本明細書に説明されるような融合タンパク質、核酸分子、もしくは細胞を含む医薬品組成物または診断組成物に関する。
【0014】
本発明は、また、療法での使用のための本明細書に説明されるような融合タンパク質、核酸分子、または細胞(例えば、増殖性障害、特にTNFサイトカインの機能障害に関連しておよび/または付随して起こる障害(例えば腫瘍(固形腫瘍もしくはリンパ性腫瘍)、感染症、炎症性疾患、代謝疾患、自己免疫障害(例えばリウマチ様疾患および/もしくは関節疾患)、変性疾患(例えば神経変性疾患(多発性硬化症等))、アポトーシス関連疾患、ならびに移植拒絶反応)の予防および/または処置における医薬組成物の製造のための本明細書に説明されるような融合タンパク質、核酸分子、または細胞の使用)に関する。
【0015】
融合タンパク質は、単量体タンパク質または多量体タンパク質であることもある。好ましくは、融合タンパク質は同一または異なることもある3つの単量体ユニットからなる三量体複合体として存在する。好ましくは、三量体複合体は、3つの同一の融合タンパク質からなる。さらに好ましい実施形態では、三量体複合体は、本明細書に説明されるような3つの融合タンパク質間の共有結合(例えば、本明細書に説明されるようなコレクチン三量体形成ドメイン(ii)のシステイン間のジスルフィド架橋の共有結合)によって形成される。そのような三量体複合体は、生物活性を示す。しかし、三量体複合体のオリゴマー(例えば基本的な三量体構造が2倍、3倍、もしくは4倍存在する明確な複合体)も、生物活性を有することが分った。従って、三量体複合体のオリゴマーも好ましい。
【0016】
融合タンパク質の一つの成分(i)は、TNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインである。好ましくは、成分(i)は、対立遺伝子変異および/またはその誘導体を含む、哺乳類のサイトカイン、特にヒトサイトカイン、またはその受容体結合ドメインである。さらに、TNFサイトカインは、対応するサイトカイン受容体に結合する能力がある、および好ましくはそれによってアポトーシス活性または増殖活性が起こり得る受容体活性化の能力がある、その受容体結合ドメインである。サイトカインは、例えば、TNFスーパーファミリーメンバー(例えば第1表に示されるようにヒトTNFSF−1〜18)から、好ましくはLTA(配列番号1)、TNFα(配列番号2)、LTB(配列番号3)、OX40L(配列番号4)、CD40L(配列番号5)、CD95L(配列番号6)、CD27L(配列番号7)、CD30L(配列番号8)、CD137L(配列番号9)、TRAIL(配列番号10)、RANKL(配列番号11)、TWEAK(配列番号12)、APRIL1(配列番号13)、APRIL2(配列番号14)、BAFF(配列番号15)、LIGHT(配列番号16)、TL1A(配列番号17)、GITRL(配列番号18)、EDA−A1(配列番号19)、EDA−A2(配列番号20)、またはその受容体結合ドメインから選択されてもよい。それぞれのタンパク質の好ましい受容体結合ドメインは、第1表(NH2−aa〜COOH−aa)に示され、および、例えば、LTA(配列番号1)の59〜205もしくは60〜205、TNFα(配列番号2)の86〜233、LTB(配列番号3)の82〜244もしくは86〜244、OX40L(配列番号4)の52〜183もしくは55〜183、CD40L(配列番号5)の112〜261もしくは117〜261、CD27L(配列番号7)の51〜193もしくは56〜193、CD30L(配列番号8)の97〜234、98〜234、もしくは102〜234、CD137L(配列番号9)の86〜254、RANKL(配列番号11)の161〜317、TWEAK(配列番号12)の103〜249、104〜249、もしくは105〜249、APRIL1(配列番号13)の112〜247もしくは113〜247、APRIL2(配列番号14)の112〜250もしくは113〜250、BAFF(配列番号15)の140〜285、LIGHT(配列番号16)の91〜240、TL1A(配列番号17)の91〜251もしくは93〜251、GITRL(配列番号18)の52〜177、EDA−A1(配列番号19)の245〜391、EDA−A2(配列番号20)の245〜389のアミノ酸を含む。
【0017】
より好ましくは、TNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインは、CD95LもしくはTRAILまたはそれらの受容体結合ドメインから選択される。特に好ましい実施形態では、TNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインは、ドメインに位置する膜のない受容体結合ドメインを含むTNFサイトカインの細胞外部分を含む。
【0018】
好ましい実施形態では、融合タンパク質のTNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインは、ヒトCD95L(配列番号6)、特にヒトCD95Lのアミノ酸142〜281または144〜281から選択される。
【0019】
さらに好ましい実施形態では、融合タンパク質のTNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインは、ヒトTRAIL(配列番号10)、特にヒトTRAILのアミノ酸95〜281、116〜281、117〜281、118〜281、119〜281、または120〜281から選択される。別の好ましい実施形態では、ヒトTRAILは、最初のアミノ酸(配列番号10のアミノ酸281)として95〜120からの任意のアミノ酸を含む。
【0020】
本発明のさらに好ましい実施形態では、本明細書に説明されるような融合タンパク質のTNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインは、TRAIL受容体1(TRAILR1)および/またはTRAIL受容体2(TRAILR2)を結合および/または活性化する、TNFスーパーファミリーのサイトカインもしくはその受容体結合ドメインの変異体を含む。その変異体の結合および/または活性は、例えば本明細書に(例えば実施例に)開示されるようなアッセイによって、またはvan der Sloot et al.(PNAS, 2006, 103:8634−8639)、 Kelley et al.(J. Biol. Chem., 2005, 280:2205−2215)、またはMacFarlane et al.(Cancer Res., 2005, 65: 11265−11270)に開示されるアッセイによって、例えば測定され得る。
【0021】
変異体は、任意の技法および当業者によって知られている技法、例えばder Sloot et al.(PNAS, 2006, 103:8634−8639)、Kelley et al.(J. Biol. Chem., 2005, 280:2205−2215)、またはMacFarlane et al.(Cancer Res., 2005, 65: 11265−11270に開示されている技法によって生成され得、および構造突然変異のいずれの型(例えばアミノ酸の置換、欠失、重複、および/または挿入)を含み得る。好ましい実施形態は、置換の生成である。置換は、本明細書に説明されるようなTNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインの少なくとも一つのアミノ酸に影響することがある。好ましい実施形態では、置換は、TRAIL(例えばヒトTRAIL(例えば配列番号10))のアミノ酸のうちの少なくとも一つに影響することがある。これに関して好ましい置換は、配列番号10のヒトTRAILの以下のアミノ酸:R130、G160、Y189、R191、Q193、E195、N199、K201、Y213、T214、S215、H264、I266、D267、D269のうちの少なくとも一つに影響する。配列番号10のヒトTRAILの好ましいアミノ酸置換は、以下の置換:R130E、G160M、Y189A、Y189Q、R191K、Q193S、Q193R、E195R、N199V、N199R、K201R、Y213W、T214R、S215D、H264R、I266L、D267Q、D269H、D269R、またはD269Kのうちの少なくとも一つである。
【0022】
アミノ酸置換(複数の置換を含む)は、TRAILR1またはTRAILR2のいずれかに対してもしくはいずれかの上で、TRAIL(例えばヒトTRAIL)の結合および/または活性に影響することがある。あるいは、アミノ酸置換(複数の置換を含む)は、TRAILR1またはTRAILR2の両方に対してもしくは両方の上で、TRAIL(例えばヒトTRAIL)の結合および/または活性に影響することがある。TRAILR1またはTRAILR2の結合および/または活性は、正に影響される(すなわち、受容体のより強い、より選択的なもしくは特異的な結合、および/またはより多くの活性化)こともある。あるいは、TRAILR1またはTRAILR2の結合および/または活性は、負に影響される(すなわち、受容体のより弱い、より選択的でないもしくはより特異的でない結合、および/または活性化がより少ないまたは活性化がない)こともある。
【0023】
TRAILR1およびTRAILR2の両方の結合および/または活性に影響するアミノ酸置換(複数の置換を含む)を有するTRAIL変異体の例は、例えば、MacFarlane et al.(上記参照)の第1表に見出されることもあり、および配列番号10の次の2つのアミノ酸置換(Y213WおよびS215D)または次の一つのアミノ酸置換(Y189A)を有するヒトTRAIL変異体を含むこともある。
【0024】
TRAILR1の結合および/または活性に影響するアミノ酸置換(複数の置換を含む)を有するTRAIL変異体の例は、例えば、MacFarlane et al.(上記参照)の第1表に見出されることもあり、および配列番号10の次の4つのアミノ酸置換(N199V、K201R、Y213W、およびS215D)もしくは次の5つのアミノ酸置換(Q193S、N199V、K201R、Y213W、およびS215D)を有するヒトTRAIL変異体を含むこともあり、またはKelley et al.(上記参照)の第2表に見出されることもあり、および次の6つのアミノ酸置換(Y213W、S215D、Y189A、Q193S、N199V、およびK201R、またはY213W、S215D、Y189A、Q193S、N199R、およびK201R)を有するヒトTRAIL変異体を含むこともある。
【0025】
TRAILR2の結合および/または活性に影響するアミノ酸置換(複数の置換を含む)を有するTRAIL変異体の例は、例えば、MacFarlane et al.(上記参照)の第1表もしくはKelley et al.(上記参照)の第2表に見出されることもあり、および配列番号14の次の6つのアミノ酸置換(Y189Q、R191K、Q193R、H264R、I266L、およびD267Q)、またはvan der Sloot et al.の第2表(上記参照)に見出されることもあり、および次の1つのアミノ酸置換(D269H)、次の2つのアミノ酸置換(D269HおよびE195R、またはD269HおよびT214R)を有するヒトTRAIL変異体を含むこともある。
【0026】
さらに好ましい実施形態では、融合タンパク質のサイトカイン部分は、ヒトLIGHT(配列番号16)、特に配列番号16のアミノ酸91〜240に由来する。
【0027】
さらに好ましい実施形態では、融合タンパク質のサイトカイン部分は、ヒトAPRIL(配列番号13または14)、特に配列番号13のアミノ酸112〜247もしくは113〜247または配列番号14のアミノ酸112〜250もしくは113〜250に由来する。
【0028】
可動性リンカーエレメントは、TNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメイン(i)と、本明細書に説明するようなコレクチン三量体形成ドメイン(ii)との間に加えて位置していることもある。可動性リンカーエレメントは、好ましくは3〜20のアミノ酸の長さ、特に6、9、10、12、15、または18のアミノ酸の長さを有する。より好ましくは、可動性リンカーエレメントの長さは、9〜15のアミノ酸である。可動性リンカーエレメントは、好ましくは、グリシン/セリン・リンカー、すなわち実質的にアミノ酸グリシンおよびセリンからなるペプチドリンカーである。特に好ましい実施形態では、可動性リンカーエレメントは、アミノ酸配列(GSS)(SSG)(GSG)(配列中、a、b、cは、各0、1、2、3、4、5、または6である)を有する。TNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインがGで終結する(例えばヒトTRAIL(配列番号10))場合、そのようなGはリンカー配列(GSS)(SSG)(GSG)中のリンカーの最初のGを形成し得ることは、当業者にとって明らかである。
【0029】
コレクチン三量体形成ドメイン(ii)は、任意のコレクチンファミリーメンバーを含んでもよい。そのようなメンバーおよびそれらの構造は、例えば、Hakansson et al.(Protein Science, 2000, 9:1607−1617)に要約されており、およびサーファクタントタンパク質D、サーファクタントタンパク質A、マンナン結合タンパク質A、マンナン結合タンパク質C、肝臓コレクチン1、胎盤コレクチン1、またはコレクチン11を含むことがある。本明細書に説明されるようなコレクチン三量体形成ドメインは、本明細書に説明されるようなTNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインと異なる種に由来してもよい。あるいは、本明細書に説明されるようなコレクチン三量体形成ドメインは、本明細書に説明されるようなTNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインと同一の種に由来してもよい。好ましい実施形態では、本明細書に説明されるようなコレクチンドメインは、ヒトに由来し、および本明細書に説明されるようなTNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインは、ヒトに由来する。好ましい実施形態では、コレクチン三量体形成ドメインは、サーファクタントタンパク質Dのネックおよび糖結合ドメイン(CRD)ドメイン、特に配列番号21のヒトサーファクタントタンパク質Dに由来するアミノ酸217〜375、218〜375、219〜375、220〜375、221〜375、222〜375、223〜375、224〜375、225〜375を含む。別の好ましい実施形態では、コレクチン三量体形成ドメインは、サーファクタントタンパク質Dのネックドメイン、特に配列番号21のヒトサーファクタントタンパク質Dに由来するアミノ酸217〜257、218〜257、219〜257、220〜257、221〜257、222〜257、223〜257、224〜257、または225〜257を含む。別の好ましい実施形態では、コレクチン三量体形成ドメインは、コレクチン11のネックおよび糖結合ドメイン(CRD)ドメイン、特に配列番号22のヒトコレクチン11のアミノ酸110〜271、116〜271、または121〜271を含む。別の好ましい実施形態では、コレクチン三量体形成ドメインは、コレクチン11のネックドメイン、特に配列番号22のヒトコレクチン11のアミノ酸110〜147、110〜148、110〜149、110〜150、110〜151、116〜147、116〜148、116〜149、116〜150、116〜151、121〜147、121〜148、121〜149、121〜150、または121〜151を含む。
【0030】
コレクチン三量体形成ドメイン(ii)は、マンノースに結合しない変異体(例えばサーファクタントタンパク質Dまたはコレクチン11の変異体)を含むこともある。そのような変異体は、当業者に公知の方法、例えばCrouch et al.(J Biol Chem, 2006, 281 (26): 18008−18014)に開示された方法で同定され得る。コレクチン三量体形成ドメイン(ii)は、本明細書に説明されるように少なくとも一つのアミノ酸置換を含み、および本明細書に説明されるように作製され得る変異体をさらに含むこともある。そのようなアミノ酸置換は、療法でおよび/または医薬組成物として用いられるとき、コレクチン三量体形成ドメインのそのリガンドマンノースとの結合を修飾することもあり、ならびに本明細書に説明されるように融合タンパク質のクリアランス速度の変化をもたらすこともある。そのような修飾は、マンノースとの結合を減少させること、または結合をなくすこと、および低クリアランス速度をもたらすこともある。そのような修飾は、例えば、配列番号21のヒトサーファクタントタンパク質Dのアミノ酸位F355に影響するアミノ酸置換によって、特にアミノ酸置換F355A、F355S、F355T、F355E、F355D、F355K、またはF355Rによって達成され得る。置換F355Dが特に好ましい。あるいは、この修飾は、マンノースとの結合の増加および高クリアランス速度をもたらすこともある。そのような修飾は、例えば、配列番号21のヒトサーファクタントタンパク質Dのアミノ酸位F355に影響するアミノ酸置換によって、特にアミノ酸置換F355L、F355Y、またはF355Wによって達成され得る。
【0031】
本明細書に説明されるように本発明の融合タンパク質では、コレクチン三量体形成ドメイン(ii)は、TNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメイン(i)のC末端に位置していてもよい。従って、融合タンパク質は、本明細書に説明されるようなTNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインと、ネックドメイン単独またはネックおよびCRDドメイン(例えば、両方ともに本明細書に説明されるようなサーファクタントタンパク質DのネックドメインとCDRおよび/もしくはネックドメイン、またはコレクチン11のネックドメインとCRDおよび/もしくはネックドメインを有し、ここで、これらのドメインは、TNFスーパーファミリーまたはその受容体結合ドメイン(i)のC末端に位置している)を有するコレクチン三量体形成ドメインとを含むこともある。この実施形態では、コレクチン三量体形成ドメインはネックドメインとCRDとを含むことが好ましい。
【0032】
本発明の本明細書に説明されるような融合タンパク質では、コレクチン三量体形成ドメイン(ii)は、TNFスーパーファミリーのサイトカインおよびその受容体結合ドメイン(i)のN末端に位置していることもある。従って、融合タンパク質は、本明細書に説明されるようなTNFスーパーファミリーのサイトカインおよびその受容体結合ドメインと、ネックドメイン(例えば、両方とも本明細書に説明されるようなサーファクタントタンパク質Dのネックドメインまたはコレクチン11のネックドメインを有し、ここで、これらのドメインはTNFスーパーファミリーまたはその受容体結合ドメイン(i)のN末端に位置している)を有するコレクチン三量体形成ドメインとを含むこともある。
【0033】
好ましい実施形態では、融合タンパク質は、TRAIL、特にヒトTRAILもしくはその受容体結合ドメインまたは本明細書に説明されるようなTRAILの変異体、好ましくは、ヒトTRAIL(配列番号10)の95〜281、116〜281、117〜281、118〜281、119〜281、または120〜281と、本明細書に説明されるようなコレクチン三量体形成ドメインもしくはその変異体、特にサーファクタントタンパク質DのCRDおよびネックドメイン、好ましくは、配列番号21のヒトサーファクタントタンパク質Dのアミノ酸217〜375、218〜375、219〜375、220〜375、221〜375、222〜375、223〜375、224〜375、225〜375とを含む。ここで、本明細書に説明されるようにコレクチン三量体形成ドメインは、TRAILまたは変異体TRAILのC末端に位置している。これに関して好ましい融合タンパク質は、配列番号26または27である。あるいは、上述の融合タンパク質は、本明細書に説明されるようなリンカー、例えば、アミノ酸配列(GSS)(SSG)(GSG)(配列中、a、b、cは、各0、1、2、3、4、5、または6である)を有するリンカーをさらに含むこともある。好ましくは、リンカーは9〜15のアミノ酸の長さを有する。
【0034】
好ましい実施形態では、融合タンパク質は、本明細書に説明されるようなTRAIL、特にヒトTRAILもしくはその受容体結合ドメインまたはTRAILの変異体、好ましくは、ヒトTRAIL(配列番号10)の95〜281、116〜281、117〜281、118〜281、119〜281、または120〜281と、本明細書に説明されるようなコレクチン三量体形成ドメインもしくはその変異体、特にサーファクタントタンパク質Dのネックドメイン、好ましくは、配列番号21のヒトサーファクタントタンパク質Dのアミノ酸217〜257、218〜257、219〜257、220〜257、221〜257、222〜257、223〜257、224〜257、または225〜257とを含む。ここで、本明細書に説明されるようにコレクチン三量体形成ドメインは、TRAILまたは変異体TRAILのC末端に位置している。これに関して好ましい融合タンパク質は、配列番号28である。あるいは、上述の融合タンパク質は、本明細書に説明されるようなリンカー、例えば、アミノ酸配列(GSS)(SSG)(GSG)(配列中、a、b、cは、各0、1、2、3、4、5、または6である)を有するリンカーをさらに含むこともある。好ましくは、リンカーは9〜15のアミノ酸の長さを有する。
【0035】
別の好ましい実施形態では、融合タンパク質は、本明細書に説明されるようなTRAIL、特にヒトTRAILもしくはその受容体結合ドメインまたはTRAILの変異体、好ましくは、ヒトTRAIL(配列番号10)の95〜281、116〜281、117〜281、118〜281、119〜281、または120〜281と、本明細書に説明されるようなコレクチン三量体形成ドメインもしくはその変異体、特にコレクチン11のCRDおよびネックドメイン、好ましくは、配列番号22のヒトコレクチン11のアミノ酸110〜217、116〜271、または121〜271とを含む。ここで、本明細書に説明されるようにコレクチン三量体形成ドメインは、TRAILまたは変異体TRAILのC末端に位置している。これに関して好ましい融合タンパク質は、配列番号29または30である。あるいは、上述の融合タンパク質は、本明細書に説明されるようなリンカー、例えば、アミノ酸配列(GSS)(SSG)(GSG)(配列中、a、b、cは、各0、1、2、3、4、5、または6である)を有するリンカーをさらに含むこともある。好ましくは、リンカーは9〜15のアミノ酸の長さを有する。
【0036】
別の好ましい実施形態では、融合タンパク質は、本明細書に説明されるようなTRAIL、特にヒトTRAILもしくはその受容体結合ドメインまたはTRAILの変異体、好ましくは、ヒトTRAIL(配列番号10)の95〜281、116〜281、117〜281、118〜281、119〜281、または120〜281と、本明細書に説明されるようなコレクチン三量体形成ドメインもしくはその変異体、特にコレクチン11のネックドメイン、好ましくは、配列番号22のヒトコレクチン11のアミノ酸110〜147、110〜148、110〜149、110〜150、110〜151、116〜147、116〜148、116〜149、116〜150、116〜151、121〜147、121〜148、121〜149、121〜150、または121〜151とを含む。ここで、本明細書に説明されるようにコレクチン三量体形成ドメインは、TRAILまたは変異体TRAILのC末端に位置している。これに関して好ましい融合タンパク質は、配列番号31である。あるいは、上述の融合タンパク質は、本明細書に説明されるようなリンカー、例えば、アミノ酸配列(GSS)(SSG)(GSG)(配列中、a、b、cは、各0、1、2、3、4、5、または6である)を有するリンカーをさらに含むこともある。好ましくは、リンカーは9〜15のアミノ酸の長さを有する。これに関して好ましい融合タンパク質は、配列番号36または37である。
【0037】
好ましい実施形態では、融合タンパク質は、本明細書に説明されるようなTRAIL、特にヒトTRAILもしくはその受容体結合ドメインまたはTRAILの変異体、好ましくは、ヒトTRAIL(配列番号10)の95〜281、116〜281、117〜281、118〜281、119〜281、または120〜281と、本明細書に説明されるようなコレクチン三量体形成ドメインもしくはその変異体、特にサーファクタントタンパク質Dのネックドメイン、好ましくは、配列番号21のヒトサーファクタントタンパク質のアミノ酸217〜257、218〜257、219〜257、220〜257、221〜257、222〜257、223〜257、224〜257、または225〜257とを含む。ここで、本明細書に説明されるようにコレクチン三量体形成ドメインは、TRAILまたは変異体TRAILのN末端に位置している。あるいは、上述の融合タンパク質は、本明細書に説明されるようなリンカー、例えば、アミノ酸配列(GSS)(SSG)(GSG)(配列中、a、b、cは、各0、1、2、3、4、5、または6である)を有するリンカーをさらに含むこともある。好ましくは、リンカーは9〜15のアミノ酸の長さを有する。
【0038】
別の好ましい実施形態では、融合タンパク質は、本明細書に説明されるようなTRAIL、特にヒトTRAILもしくはその受容体結合ドメインまたはTRAILの変異体、好ましくは、ヒトTRAIL(配列番号10)の95〜281、116〜281、117〜281、118〜281、119〜281、または120〜281と、本明細書に説明されるようなコレクチン三量体形成ドメインもしくはその変異体、特にコレクチン11のネックドメイン、好ましくは、配列番号22のヒトコレクチン11のアミノ酸110〜147、110〜148、110〜149、110〜150、110〜151、116〜147、116〜148、116〜149、116〜150、116〜151、121〜147、121〜148、121〜149、121〜150、または121〜151とを含む。ここで、本明細書に説明されるようにコレクチン三量体形成ドメインは、TRAILまたは変異体TRAILのN末端に位置している。これに関して好ましい融合タンパク質は、配列番号32〜34である。あるいは、上述の融合タンパク質は、本明細書に説明されるようなリンカー、例えば、アミノ酸配列(GSS)(SSG)(GSG)(配列中、a、b、cは、各0、1、2、3、4、5、または6である)を有するリンカーをさらに含むこともある。好ましくは、リンカーは9〜15のアミノ酸の長さを有する。好ましい融合タンパク質は、これに関しては配列番号35である。
【0039】
別の好ましい実施形態では、融合タンパク質は、本明細書に説明されるようなCD95L、特にヒトCD95Lまたはその受容体結合ドメイン、例えば配列番号40のアミノ酸21〜160と、ネックドメインおよび場合によりヒトSP−DのCRD、例えば配列番号40のアミノ酸172〜209および210〜327を含むコレクチン三量体形成ドメインと、または本明細書に説明されるようなそれぞれその変異体とを含む。好ましくは、融合タンパク質は、本明細書に説明されるようなリンカー(例えば可動性リンカー)、より好ましくは、好ましくは9〜15のアミノ酸の長さを有する本明細書に説明されるようなグリシン/セリン・リンカーを含むこともある。これに関して好ましい融合タンパク質は、配列番号40、特に配列番号40のアミノ酸21〜327である。
【0040】
別の好ましい実施形態では、融合タンパク質は、本明細書に説明されるようなLIGHT、特にヒトLIGHTまたはその受容体結合ドメイン、好ましくは配列番号41のアミノ酸21〜170と、ネックドメインおよび場合によりヒトSP−DのCRD、例えば配列番号41のアミノ酸182〜219および220〜337を含むコレクチン三量体形成ドメインと、または本明細書に説明されるようなそれぞれその変異体とを含む。好ましくは、サイトカインおよびコレクチンドメインは、好ましくは9〜15のアミノ酸の長さを有する本明細書に説明されるようなリンカー(例えばグリシン/セリン・リンカー)によって結合される。これに関して好ましい融合タンパク質は、配列番号41、特に配列番号41のアミノ酸21〜327である。
【0041】
別の好ましい実施形態では、融合タンパク質は、本明細書に説明されるような、TRAIL、特にヒトTRAILもしくはその受容体結合ドメインまたはTRAILの変異体、例えば、配列番号43(野生型TRAIL)のアミノ酸21〜181、配列番号47(TRAILR1変異タンパク質)のアミノ酸21〜181、または配列番号48(TRAILR2変異タンパク質)のアミノ酸21〜181を含む。さらに、融合タンパク質は、ネックドメインおよび場合によりヒトSP−DのCRD(例えば、配列番号43のアミノ酸193〜230および231〜384)、または本明細書に説明されるようにそれぞれその変異体(例えば配列番号49もしくは50に示されるような変異体)から選択されるコレクチン三量体形成ドメインを含む。好ましくは、融合ポリペプチドは、ヒトSP−Dのネック領域およびCDRの両方を含む。サイトカインおよびコレクチンドメインは、好ましくは、リンカー(例えば、本明細書に説明されるようなグリシン/セリン・リンカー)によって結合される。好ましくは、リンカーは、9〜15のアミノ酸の長さを有する。これに関して好ましい融合タンパク質は、(i)配列番号43、特に配列番号43のアミノ酸21〜348、(ii)配列番号44、特に配列番号44のアミノ酸21〜230、(iii)配列番号47、特に配列番号47のアミノ酸21〜348、(iv)配列番号48、特に配列番号48のアミノ酸21〜348、(v)配列番号49、特に配列番号49のアミノ酸21〜348、または(vi)配列番号50、特に配列番号50のアミノ酸21〜348を含む。
【0042】
別の好ましい実施形態では、融合タンパク質は、TRAIL、特にヒトTRAILもしくはその受容体結合ドメインまたは上述のようにTRAILの変異体と、ヒトコレクチン11のネックドメインであるコレクチン三量体形成ドメインと、場合によりヒトコレクチン11のCRD(例えば、それぞれ配列番号45のアミノ酸193〜224および225〜347)とを含む。好ましくは、CRDは存在する。好ましくは、サイトカインおよびコレクチンドメインは、好ましくは9〜15のアミノ酸の長さを有する本明細書に説明されるようなリンカー(例えばグリシン/セリン・リンカー)によって結合される。これに関して好ましい融合タンパク質は、配列番号45および配列番号46、特に配列番号45のアミノ酸21〜347または配列番号46のアミノ酸21〜229である。
【0043】
別の好ましい実施形態では、融合タンパク質は、本明細書に説明されるようなAPRIL、特にヒトAPRIL、またはその受容体結合ドメイン(例えば配列番号51のアミノ酸21〜158)と、本明細書に説明されるようなコレクチン三量体形成ドメインと、特にネックドメインおよび場合によりヒトSP−DのCRDと、または本明細書に説明されるような変異体(例えばそれぞれ配列番号51のアミノ酸170〜207および208〜325)とを含む。好ましくは、サイトカインおよびコレクチンドメインは、好ましくは9〜15のアミノ酸の長さを有する本明細書に説明されるようなリンカー(例えばグリシン/セリン・リンカー)によって結合される。これに関して好ましい融合タンパク質は、配列番号51、特に配列番号51のアミノ酸21〜325である。
【0044】
本明細書に説明されるような融合タンパク質は、プロセシング(例えば適した宿主細胞における細胞外分泌)を可能にするN末端のシグナルペプチドドメインをさらに含むこともある。好ましくは、N末端のシグナルペプチドドメインは、プロテアーゼ(例えばシグナルペプチダーゼ切断部位)を含み、および従って、成熟タンパク質を得るために発現後または発現の間に除去されてもよい。好ましい実施形態では、N末端のシグナルペプチドドメインは、配列番号23、配列番号24、または配列番号25の配列を含む。
【0045】
さらに、融合タンパク質は、N末端またはC末端に位置することもある認識/精製ドメイン(例えばStrep−tagドメインおよび/またはポリHisドメイン)を含む。
【0046】
融合タンパク質は、例えば1〜50、好ましくは10〜30のアミノ酸の長さを有するC末端の可動性エレメントをさらに含んでもよい。この可動性エレメントは、本明細書に説明されるような認識/精製ドメインを含むこともあり、および/またはこのドメインに結合することもある。
【0047】
本発明のさらなる態様は、本明細書に説明されるような融合タンパク質をコードする核酸分子に関する。核酸分子は、DNA分子(例えば二本鎖もしくは一本鎖DNA分子)またはRNA分子であり得る。核酸分子は、融合タンパク質もしくはその前駆体(例えば、本明細書に説明されるようなシグナル配列を含み得る融合タンパク質のプロ−もしくはプレ−プロ体)と、または本明細書に説明されるような融合タンパク質の好ましくはN末端および/もしくはC末端に位置している分泌もしくは精製のための他の異種アミノ酸部分とをコードし得る。核酸分子は、異種アミノ酸部分がプロテアーゼ切断部位(例えば第X因子、トロンビンもしくはIgAプロテアーゼ切断部位)を介して第一のドメインおよび/または第二のドメインに結合されることもある融合タンパク質をコードし得る。
【0048】
本明細書に説明されるような融合タンパク質のコード配列を含む核酸の例は、配列番号38、39、または42である。
【0049】
核酸分子は、発現制御配列(例えば、所望の宿主細胞で核酸分子の発現を可能にする発現制御配列)に作用可能に結合され得る。核酸分子は、ベクター、例えばプラスミド、バクテリオファージ、ウイルスベクター、染色体組み込みベクター上に位置してもよい。適切な発現制御配列およびベクターの例は、例えば、Sambrook et al.(1989) Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press、およびAusubel et al.(1989), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons、またはそれらの最新版に説明されている。
【0050】
種々の発現ベクター/宿主細胞系を用いて、本発明の融合タンパク質をコードする核酸配列を発現させてもよい。適切な宿主細胞としては、これらに限定されないが、細菌等の原核細胞(例えば大腸菌)、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞、または動物細胞等の真核宿主細胞、好ましくは哺乳類細胞、およびより好ましくはヒト細胞が挙げられる。本明細書に説明されるような融合タンパク質をコードする核酸分子は、適切な宿主細胞(例えば大腸菌、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞、動物細胞(例えば哺乳類細胞またはヒト細胞))での発現のためのコドン出現頻度を考えて最適化されてもよい。
【0051】
さらに、本発明は、本明細書に説明されるような核酸分子で形質転換された、またはトランスフェクトされた非ヒト生物(マウスもしくはラット)に関する。そのような生物は、相同組換えを含む遺伝子伝達に関する公知の方法によって作製されたノックアウト生物を含んでもよい。あるいは、そのような生物は、本明細書に説明されるような核酸分子のいくつかのコピーを有するトランスジェニック生物を含んでもよい。トランスジェニック生物の作製は当該技術分野で公知である。
【0052】
融合タンパク質、それをコードする核酸、形質転換細胞もしくはトランスフェクトされた細胞、ならびに三量体複合体または三量体複合体のオリゴマーは、すべて本明細書に説明されるように医薬品への応用、診断への応用、および/または研究への応用のために使用され得る。これらの応用の場合、そのようなタンパク質をヒトに適用するとき、免疫効果を最小限に抑えるために、本明細書に説明されるようなTNFスーパーファミリーサイトカインもしくその受容体結合ドメインおよび本明細書に説明されるようなコレクチン三量体形成ドメインが両方とも同一の種(例えばヒト)に由来する融合タンパク質を使用することが好ましい。さらに、本明細書に説明されるようなTNFスーパーファミリーサイトカインもしくはその受容体結合ドメインの、本明細書に説明されるようなネック−コレクチン三量体形成ドメイン(例えばサーファクタントタンパク質Dもしくはコレクチン11に由来するネックドメイン)との融合は、速いクリアランスをもたらし得る。あるいは、本明細書に説明されるようなTNFスーパーファミリーサイトカインもしくはその受容体結合ドメインの、本明細書に説明されるようなネックおよびCRD−コレクチン三量体形成ドメイン(例えばサーファクタントタンパク質Dもしくはコレクチン11に由来するネックおよびCRDドメイン)との融合は、遅いクリアランスをもたらし得る。本明細書に説明されるようなコレクチン三量体形成ドメインの変異体を使用することにより、本明細書で説明するような方法で、融合タンパク質のクリアランス速度を変更し得る。
【0053】
本発明のさらなる態様は、活性剤としてすべて本明細書に説明されるような少なくとも一つの融合タンパク質、それをコードする核酸、形質転換細胞もしくはトランスフェクトした細胞、ならびに三量体複合体もしくは三量体複合体のオリゴマーを含む医薬品組成物または診断組成物に関する。
【0054】
すべて本明細書に説明されるような少なくとも一つの融合タンパク質、それをコードする核酸、形質転換細胞もしくはトランスフェクトした細胞、ならびに三量体複合体もしくは三量体複合体のオリゴマーは、療法で、例えば、種々の増殖性障害から選択された障害、特にTNFサイトカインの機能障害に関連しておよび/または付随して起こる障害、例えば腫瘍(例えば固形腫瘍もしくはリンパ性腫瘍)、感染症、炎症性疾患、代謝疾患、自己免疫障害(例えばリウマチ様疾患および/もしくは関節疾患)、変性疾患(例えば神経変性疾患(多発性硬化症等))、アポトーシス関連疾患、ならびに移植拒絶反応の予防および/または処置で使用され得る。
【0055】
組成物は、単独療法として、またはさらなる薬物(例えば細胞分裂阻害剤もしくは化学療法剤、副腎皮質ステロイド薬、および/または抗生物質)との併用療法として投与されてもよい。好ましくは、組成物は、腫瘍選択的なアポトーシスの感作剤および/または誘発剤(例えば、実施例2.8に記述)とともに投与される。
【0056】
融合タンパク質は、それを必要とする被験者、特にヒト患者に、特定の状態の治療のために十分な用量を適切な方法で投与される。例えば、融合タンパク質は、薬学的に許容される担体、希釈剤、および/またはアジュバントとともに医薬組成物として配合され得る。治療効果および毒性は、標準プロトコールに従って決定され得る。医薬組成物は、全身的に(例えば腹腔内に、筋肉内に、もしくは静脈内に)または局所的に(例えば鼻腔内に、皮下に、もしくはくも膜下腔内に)投与され得る。静脈投与が好ましい。
【0057】
投与される融合タンパク質の用量は、当然、処置されるべき被験者、被験者の体重、疾患の種類および重症度、投与方法、および処方する医師の判断に依存する。融合タンパク質の投与に関しては、0.001〜100mg/lkgの一日量が適切である。
【0058】
第1表は、本発明で使用され得るTNFスーパーファミリーのサイトカインの一覧表を示す。
第1表
【0059】
【表1】

【0060】
別の態様では、本発明は、減少した糖結合能力を有する糖鎖認識ドメインを含み、少なくとも一つの異種ポリペプチドもしくはポリペプチドドメインならびにそのような融合ポリペプチドをコードする核酸分子に場合により融合したヒトサーファクタントタンパク質D(SP−D)の新規のアミノ酸置換変異体に関する。好ましくは、本発明の変異型SP−Dポリペプチドは、配列番号21のヒトサーファクタントタンパク質DのF355位にアミノ酸置換、特に親水性アミノ酸または荷電アミノ酸によるアミノ酸置換(例えばF355S、F355T、F355E、F355D、F355H、またはF355R、特にF355D)を有する。異種ポリペプチドもしくはポリペプチドドメインは、好ましくは哺乳類、例えばヒト由来(上述するように例えばTNSFサイトカインドメイン)である。変異型SP−Dポリペプチドは、好ましくは、上述のようにSP−Dネックドメインを含む。異種ポリペプチドは、SP−DドメインのN末端および/またはC末端に融合され得る。好ましくは、リンカー(例えば、本明細書で上述するようなリンカー)は、SP−Dおよび異種ポリペプチドドメインの間に存在する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、アフィニティー精製したCD95L−ASPDのSECを示す。
【図2】図2は、アフィニティー精製したCD95L−ASPDからのSEC画分A1〜A11の銀染色ゲルを示す。
【図3】図3は、アフィニティー精製したCD95L−ASPDからのSEC画分A1〜A15によって誘導されたJurkal細胞上のカスパーゼ活性を示す。
【図4】図4は、WM35、HT1080、およびHeLa細胞に対するCD95L−ASPDの細胞障害性を示す。
【図5】図5は、アフィニティー精製したLIGHT−ASPDのSECを示す。
【図6】図6は、HVEM−Fcの固定化LIGHT−ASPDとの結合を示す。
【図7】図7は、TRAILコンストラクトを一過性にトランスフェクトした一過性トランスフェクトHEK細胞からのウエスタンブロットを示す。
【図8】図8は、Jurkat−T細胞におけるカスパーゼ活性を示す。
【図9】図9は、TRAIL−ASPDのサイズ排除クロマトグラフィーを示す。
【図10】図10は、ヒト癌細胞に対するTRAIL−ASPDの細胞障害活性を示す。
【図11】図11は、JurkatにおけるTRAIL−ASPD誘導カスパーゼ活性を示す。
【図12】図12は、HT1080細胞に対するTRAIL−ASPDまたはTRAIL−DSPDによる細胞障害アッセイを示す。
【図13】図13は、TRAIL−SPDコンストラクトまたはTRAIL受容体選択的SPDコンストラクトを一過性にトランスフェクトした一過性トランスフェクトHEK細胞からのウエスタンブロットを示す。
【図14】図14は、TRAIL受容体1−FcまたはTRAIL受容体2−Fcによって差動的に検出されたストレプタクチンプレート上で固定化したTRAIL受容体選択的リガンドを示す。
【図15】図15は、TRAIL受容体の受容体選択的「変異タンパク質」リガンドとの結合を示す。
【図16】図16は、アフィニティー精製したTRAILR1変異タンパク質−ASPDのサイズ排除クロマトグラフィーを示す。
【図17】図17は、アフィニティー精製したTRAILR1変異タンパク質−ASPDからのSEC画分A1〜A14の銀染色SDS−PAGEを示す。
【図18】図18は、アフィニティー精製したTRAILR1変異タンパク質−ASPDからのSEC画分A1〜A14のJurkat細胞上でのカスパーゼ活性を示す。
【図19】図19は、アフィニティー精製したTRAILR2変異タンパク質−ASPDのサイズ排除クロマトグラフィーを示す。
【図20】図20は、アフィニティー精製したTRAILR2変異タンパク質−ASPDからのSEC画分A1〜A14の銀染色SDS−PAGEを示す。
【図21】図21は、アフィニティー精製したTRAILR2変異タンパク質−ASPDからのSEC画分A1〜A14のJurkatによるJurkat細胞死滅アッセイを示す。
【図22】図22は、ヒト癌細胞に対するTRAIL−ASPD、TRAILR1変異タンパク質−ASPD、およびTRAILR2変異タンパク質−ASPDの細胞障害活性を示す。
【図23】図23は、高度に可溶性な受容体選択的TRAIL−SPDタンパク質を示す。
【図24】図24は、アフィニティー精製したTRAIL−ASPD_F335AのSECを示す。
【図25】図25は、SEC画分A1〜A13の銀染色SDS−PAGEを示す。
【図26】図26は、ヒト癌細胞に対するTRAIL−ASPD_F335Aの細胞障害効果を示す。
【図27】図27は、アフィニティー精製したTRAIL−ASPD_F335DのSECを示す。
【図28】図28は、アフィニティー精製したTRAIL−ASPD_F335DからのSECの銀染色SDS−PAGEを示す。
【図29】図29は、ヒト癌細胞に対するTRAIL−SPD_F335Dの細胞障害効果を示す。
【図30】図30は、TRAIL−ASPD融合タンパク質の糖質との結合を示す。
【図31】図31は、TRAIL−ASPD(A)またはTRAIL−ASPD_F335D(B)融合タンパク質についての薬物動態を示す。
【図32】図32は、初代ヒト肝細胞におけるカスパーゼ活性を示す。
【図33】図33は、三量体形成APRILコンストラクトを一過性にトランスフェクトしたHEK239細胞からの上清のウエスタンブロットを示す。
【図34】図34は、APRIL−ASPDに結合するTACI−Fcを示す。
【0062】
融合タンパク質の基本構造
以下に、本発明の組換えタンパク質の基本構造を、本明細書に説明されるようなTNFスーパーファミリーサイトカインを例示して示す。
【0063】
1.1 シグナルペプチドの配列

【0064】
1.2 フラッグ−エピトープ/エンテロキナーゼ−プロセシング部位

【0065】
1.3 ヒトコレクチン
サーファクタントタンパク質D(配列番号21)

【0066】
コレクチン11(配列番号22)

【0067】
ヒトコレクチンサーファクタントタンパク質Dおよびコレクチン11の種々の断片は、本明細書に説明されるような三量体形成ドメインとして考えられる。
【0068】
1.4 可動性リンカーエレメント
(GSS)(SSG)(GSG)(配列中、a、b、cは、各0、1、2、3、4、5、または6である)。
【0069】
1.5 TNFスーパーファミリーサイトカイン/その受容体結合ドメイン(第1表も参照)

【0070】

【0071】

【0072】

【0073】

【0074】

【0075】

【0076】
種々の断片(例えばTNFスーパーファミリーサイトカインの受容体結合ドメイン)は、本明細書に説明されるように考えられる。
【0077】
1.6 融合タンパク質の例

【0078】

【0079】

【0080】

【0081】

【0082】

【0083】
実施例
1. 材料および方法
1.1 三量体形成ドメインに由来のC末端に位置するコレクチンによって安定化したTNF−SFタンパク質の構築
ヒトコレクチン11(Col11)、コレクチン11「コイルドコイル」(CC11)、ヒト肺サーファクタントタンパク質D(SP−D)、SP−Dの「コイルドコイル」(CCSPD)に由来する三量体形成モチーフ(第2表および第3表)を、それぞれCD95Lのヒト受容体結合ドメイン(RBD)(「CD95L−RBD」;Glu142−Leu281)、ヒトTRAIL−RBD(Gln120−Gly281)、ヒトLIGHT−RBD(Glu91−Val240)、およびヒトAPRIL−RBD(Lys113−Leu250)にC末端融合させた。
【0084】
【表2】

第2表:三量体形成モチーフの構築のために使用した野生型配列由来の領域の一覧表
三量体形成モチーフ
【0085】
【表3】

第3表:安定したTNFSF融合タンパク質を作製するために使用したC末端三量体形成モチーフの説明
【0086】
TNFSF−RBDと三量体形成ドメインとの間に、可動性リンカーエレメントを種々の長さで置いた(第4表):
【表4】

第4表:リンカー名およびアミノ酸配列(G=グリシン;S=セリン)
【0087】
1.2 発現コンストラクトの作製
本明細書に説明されるような融合タンパク質をコードする核酸分子は、融合タンパク質を発現するための適切なベクターにクローン化され得る。そのようなベクターを作製するために必要な分子ツールは、当業者に公知であり、ならびに制限酵素、ベクター、およびベクターを伝播するための適切な宿主を含む。
【0088】
精製および分析の戦略のために、Strep−tagII(アミノ酸配列WSHPQFEK)をC末端に加えた。この親和性タグを、可動性リンカーエレメント(アミノ酸配列PSSSSSSA)によって三量体形成ドメインに結合させた。分泌に基づいた発現を可能にさせるために、ヒトIgκに由来するシグナルペプチドを前述のタンパク質のN末端に融合させた。この融合タンパク質のアミノ酸配列を逆翻訳して、哺乳類細胞に基づいた発現のためにそれらのコドン出現頻度を最適化した。遺伝子合成を、ENTELECHON GmbH(ドイツ国レーゲンスブルク)によって行った。最終的な発現カセットを、プラスミドの固有なHind−III部位およびNot−I部位を用いて、pCDNA4−HisMaxの主鎖にサブクローニングした。すべての発現カセットを常にDNA配列決定によって確認した。
【0089】
データを以下のコンストラクトについてここに提示する(第5a表および第5b表):
【表5】

第5a表:表示したデータを有するTRAIL融合タンパク質の概要。黒丸はデータが提示されていることを、n.s.は示されてないことを示す。
【0090】
【表6】

第5b表:表示したデータを有するLIGHT、APRIL、およびCD95Lのコンストラクトの概要。黒丸はデータが提示されていることを、n.s.は示されてないことを示す。
【0091】
1.3 TNFスーパーファミリーの遺伝子操作したリガンドの発現および精製
10%のFBS、100ユニット/mlのペニシリン、および100μg/mlのストレプトマイシンを補充したDMEM+GlutaMAX(GibCo)培地で増殖させたHEK293T細胞を、本明細書に説明されるような融合タンパク質をコードするプラスミドに一過性にトランスフェクトした。トランスフェクションから3日後、組換えタンパク質を含有する細胞培養の上清を収集して、300xgで遠心分離し、続いて0.22μm無菌フィルターを通す濾過によって浄化した。アフィニティー精製のために、4mlの50%ストレプタクチン・セファロース(IBA GmbH、ドイツ国ゲッティンゲン)を2mlカラムに充填して、30mlのリン酸緩衝食塩水、pH7.4(PBS;Invitrogen Cat. 10010)または緩衝液W(100mMのTris−HCl、150mMのNaCl、pH8.0)で平衡化した。細胞培養の上清を、4℃で、カラムに2ml/分の流速で注いだ。続いて、カラムをPBSまたは緩衝液Wで洗浄して、特異的に結合したタンパク質を5×2mlの緩衝液E(PBSまたは2.5mMのデスチオビオチンを加えた緩衝液W、pH7.4)を加えることによって段階的に溶出させた。溶出液画分のタンパク質含有量を、吸収分光法および銀染色SDS−PAGEによって分析した。陽性画分を、続いて限外濾過(Sartorius, Vivaspin, 10,000Daカットオフ)によって濃縮し、さらにサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって分析した。
【0092】
Aktaクロマトグラフィーシステム(GE−Healthcare)を用いて、SECをSuperdex200カラム上で行った。カラムをPBS(Invitrogen Cat. 10010)で平衡化して、濃縮したストレプタクチン精製タンパク質をSECカラム上に、0.5ml/分の流速で添加した。この溶出を、280nmの吸光度で観察した。精製したタンパク質の見かけの分子量を、ゲル濾過の標準タンパク質(Bio−Rad GmbH、ドイツ国ミュンヘン)によるSuperdex200カラムのキャリブレーションに基づいて決定した。
【0093】
1.4 細胞死アッセイ
カスパーゼ活性化を分析するために、Jurkat A3永久ヒトT細胞株(カタログ番号CRL2570、ATCC)による細胞アッセイを用いた。Jurkat細胞を、10%FBS(Biochrom)、100ユニット/mlのペニシリン、および100μg/mlのストレプトマイシン(GibCo)を補充したRPMI1640培地+GlutaMAX(GibCo)を用いてフラスコ内で増殖させた。アッセイの前に、ウェルあたり100,000細胞を96ウェルのマイクロタイタプレートに播種した。架橋抗体の有無にかかわらずタンパク質を含有する異なる溶液をウェルに添加(最終容量:200μl)し、続いて37℃で3時間インキュベートした。20μlの溶解緩衝液(250mMのHEPES、50mMのMgCl2、10mMのEGTA、5%のTriton−X−100、100mMのDTT、10mMのAEBSF、pH 7.5)を加えることで、細胞を溶解させて、プレートを氷上で30分から2時間インキュベートした。アポトーシスはカスパーゼの活性の増加に近似する。従って、特定のカスパーゼ基質Ac−DEVD−AFC(Biomol)の切断を用いてアポトーシスの程度を決定した。カスパーゼ活性アッセイのために、20μlの細胞可溶化物を黒い96ウェルマイクロタイタープレートに移した。50mMのHEPES、1%のショ糖、0.1%のCHAPS、50μMのAc−DEVD−AFC、および25mMのDTT、pH7.5を含有する80μlの緩衝液を添加した後、プレートを、Tecan Infinite F500マイクロタイタープレートリーダーに移し、蛍光強度の増加を観察した(励起波長400nm、発光波長505nm)。
【0094】
HT1080線維肉腫細胞、HeLa子宮頚癌細胞、およびWM35黒色腫細胞における細胞死の決定のために、10%FBS(Biochrom)を補充したRPMI1640培地+GlutaMAX(GibCo)の96ウェルプレートに15,000細胞をプレーティングして、一晩培養した。Colo205細胞の場合、50,000細胞をプレーティングして一晩培養した。翌日、表示したリガンドで細胞を刺激して、さらに18時間インキュベートした。HeLa細胞およびHT1080細胞に対しては、リガンドによる刺激の間、2.5μg/mlの最終濃度のシクロヘキシミド(Sigma)を使用した。緩衝液KV(0.5%のクリスタルバイオレット、20%のメタノール)を用いて染色することによって、HT1080、HeLa、およびWM35の細胞死を定量化した。染色後、ウェルを水で洗浄して、風乾した。メタノールで溶出させた色素を、595nmの吸光度でELISAリーダーを用いて測定した。Colo205細胞の生存能をMTSアッセイ(Promega)によって定量化した。
【0095】
1.5 肝細胞の細胞障害アッセイ
TRAIL融合タンパク質の効果を決定するために、初代ヒト肝細胞を健常なドナーから調製して、96ウェルプレートでウェルあたり25,000細胞を用いて、Williams E培地で培養した。2日目に培地を、10%のFCS、ヒトインスリン、ペニシリン/ストレプトマイシン、最小必須培地(MEM)、ピルビン酸ナトリウム、および10mMのHEPESを補充したDMEM−F12に変えて、もう一日培養した。3日目に、架橋抗体(StrepMabimmo, IBA GmbH)の存在下または非存在下で、表示したタンパク質の濃度を変えて細胞を刺激した。化学療法剤とリガンドの同時処置の潜在的な肝毒性作用を評価するために、TRAIL−ASPD_F335Dを種々の濃度で、5mMのドキソルビシンまたは5mMのゲムシタビンとともに同時インキュベートした。細胞を37℃、5%CO2で、5時間または24時間インキュベートし、次いで、「細胞死アッセイ」のセクションで説明するように、カスパーゼ活性の決定のために溶解した。
【0096】
1.6 ストレプタクチン−ELISA
構築したリガンドとの受容体の結合を決定するために、ストレプタクチンをコーティングした96ウェルマイクロプレートを使用した。従って、一過性にトランスフェクトしたHEK293細胞、マウス血清、または精製タンパク質からの上清をストレプタクチンプレート(IBA GmbH)上で、PBS中で1〜3時間固定化した。試料を、ELISA結合/遮断緩衝液(PBS、0.1%のTween−20、20%のSuperBlock T20−PBS(Pierce))で希釈した。プレートを、PBS+0.1%のTween−20で洗浄して、マウス坑TRAIL抗体(Pharmingen,クローンRIK−2)、TRAIL受容体1−Fc(R&D Systems)、TRAIL受容体2−Fc(R&D Systems)、TACI−Fc(R&D Systems)、またはHVEM−Fc(R&D Systems)とともに室温で1時間インキュベートした。プレートを再び洗浄して、Fcタンパク質を、坑ヒト−もしくは坑マウス−Fc特異的ペルオキシダーゼ結合型抗体(Sigma)を用いて検出した。呈色反応を、ウェルあたり100μlのTMB基質(Kem−En−Tec Diagnostics)を添加することで行った。停止液として25%のH2OS4を25μl加えてから、450nmおよび630nmでの吸光度をELISAリーダーで測定した。値を、450nm〜630nmとしてMS Excelで算出した。
【0097】
1.7 マンナン結合アッセイ
ELISAプレート(Nunc Maxisorp)を、無菌のコーティング緩衝液(15mMのNa2CO3、35mMのNaHCO3、0.025%のNaN3、pH9.6)中で、10μg/ウェルの酵母マンナン(Sigma)とともに4℃で一晩インキュベートした。プレートを、最初に緩衝液BB(20mMのTris、140mMのNaCl、5mMのCaCl2、0.1%のBSA、および20%のSuperBIock T20−PBS(Pierce))とともに室温で1時間インキュベートし、次に緩衝液BB中で、表示したリガンドの濃度を変えてさらに90分間インキュベートした。プレートを緩衝液WB(20mMのTris、140mMのNaCl、5mMのCaCl2、0.05%のTween−20)で洗浄して、緩衝液BB中で、ストレプタクチン−HRP(IBA GmbH)を用いての検出を行った。プレートを洗浄して、TMB基質(Kem−En−Tec Diagnostics)で展開させた。停止液として25%のH2OS4を25μl加えてから、450nmおよび630nmでの吸収をELISAリーダーで測定した。値を、450nm〜630nmとしてMS Excelで算出した。
【0098】
1.8 TRAIL−SPD融合タンパク質の薬物動態
雄CDIマウス(Charles River)に、300μlのPBS(Invitrogen)に溶解させた10μgのタンパク質を静脈内注入した。0分(投与前)、5分後、30分後、2時間後、6時間後、および24時間後に血液を採取した。各時点で、試料を2つ採取した。血液試料を処理して血清を取得し、−15℃で保管した。TRAIL融合タンパク質の濃度を、以下(第1.9章)に説明するようにELISAを用いて測定し、半減期を算出した(GraphPad Prism v4.0)。
【0099】
1.9 マウス血清中のTRAILコンストラクトの定量化ためのELISA
マウス血清(薬物動態研究に由来する)中のTRAILタンパク質の濃度を定量化するために、96ウェルマイクロプレートを使用するELISA方法を用いた。
【0100】
ELISAプレートを、2μg/mlのマウス坑TRAIL(クローンRIK−2、Pharmingen)で37℃で1時間コーティングした。プレートをPBS+0.1%のTween−20で洗浄し、StartingBlock(登録商標)(Pierce)を用いて、37℃で30分間遮断した後、濃度0.2%および5%の血清試料、キャリブレーション試料、ならびに対照試料を加えて、37℃で1時間インキュベートした。潜在的なマトリクス効果を明らかにするために、キャリブレーション試料および対照試料をそれぞれTRAILバッチ(TRAIL−ASPDもしくはTRAIL−ASPD_F335AもしくはTRAIL−ASPD_F335D)から調製し、次いで0.2%または5%の無処置のプールしたCDIマウス血清を補充した。所定のアッセイウインドウでのTRAIL定量化の精度および正確さを確実にするために、対照試料(高濃度、中濃度、および低濃度のTRAILコンストラクト)を品質管理として加えた。プレートを再び洗浄し、次いでStrepTagを含有するTRAILコンストラクトを、1:1000に希釈したStrepTactin−POD(IBA)を用いて検出した。すべての試料およびタンパク質を、ELISA緩衝液(PBS、0.1%のTween−20、5%のStartingBlock(Pierce))で希釈した。ウェルあたり100μlのTMB基質(Kem−En−Tec Diagnostics)を加えてから、呈色反応を開始した。停止液として25%のH2OS4を25μl加えてから、450nmおよび630nmでの吸光度をELISAリーダーで測定した。値を、450nm〜630nmとしてMS Excelで算出した。
【0101】
2. 結果
2.1 CD95L融合タンパク質の特徴づけ(CD95L−ASPD)
ランニング緩衝液としてPBSを用いて、ストレプタクチンアフィニティー精製したCD95L−ASPDから0.5ml(0.86mgのタンパク質)をSuperdex200カラム上に0.5ml/分の流速で添加した。0.5mlの画分を収集した(A1〜A11を表示する)。サイズ排除基準から測定すると、11.92mlでの主ピークの保持量は、170kDaに相当した。これは、タンパク質がグリコシル化単量体で構成された三量体であることを示した。単量体ポリペプチドの算出分子量は、38kDaである。画分A1〜A11のアリコートをSDS−PAGEおよびカスパーゼ活性のために使用した。明確な三量体ピーク(画分A7〜A10)だけを、最終分析で用いた。結果を図1に示す。
【0102】
アフィニティー精製したCD95L−ASPDのサイズ排除クロマトグラフィーからのアリコートを、後に銀染色を伴うSDS−PAGEを還元するために使用した。およそ40〜45kDAで検出されたバンド(矢印で示す)は、CD95L−ASPDに相当した。三量体種は、画分A7〜A10に存在した。結果を図2に示す。
【0103】
アフィニティー精製したCD95L−ASPDを用いたSECからの画分A1〜A15から最終的に8倍に希釈したアリコートとともにJurkat細胞をインキュベートした。3時間のインキュベーション後、細胞を溶解して、カスパーゼ活性を蛍光発生アッセイで測定した。これらの細胞は架橋リガンドを広範に必要とすることが知られているように、Jurkatにおいて三量体ピークに相当する画分(画分A7〜A10)は弱いが明らかにカスパーゼ活性を誘導した。従って、画分A1〜A6において凝集した不明確な種は、カスパーゼ活性化の強力な誘導因子である(それ以上使用しなかった)。重要なことに、明確な三量体種(A7〜A10)だけを収集して、最終分析のために使用した。結果を図3に示す。
【0104】
架橋抗体(2.5マイクログラム/mlの坑Strep−tagII)の存在下または非存在下で、表示した濃度の精製した三量体CD95L−ASPDとともに、ヒト癌細胞株HT1080(A)、HeLa(B)、またはWM35(C)をインキュベートした。細胞を18時間インキュベートして、クリスタルバイオレット染色によって細胞障害性を分析した。結果として、CD95L−ASPDは、HeLa子宮頚癌細胞およびHT1080線維肉腫細胞では細胞死を誘導したが、WM35メラノーマ細胞では誘導しなかった。結果を図4に示す。
【0105】
CD95L−ASPDのアミノ酸配列を以下に示す。
【0106】

【0107】
2.2 LIGHT融合タンパク質(LIGHT−ASPD)の特徴づけ
ランニング緩衝液としてPBSを用いて、アフィニティー精製したLIGHT−ASPDから0.5ml(1.56mg)をSuperdex200カラム上に0.5ml/分の流速で添加して、分解させた。11.96mlで検出した主ピークは、サイズ170〜180kDaに相当し、LIGHT−ASPDが3つのグリコシル化単量体で構成された三量体であることを示した。三量体ピーク(画分A7〜A10)を収集して、最終分析で用いた。挿入図は、個別に精製した三量体LIGHT−ASPDの2つのバッチ(0917および0918と名付ける)の銀染色SDS−PAGEを示す。結果を図5に示す。
【0108】
ストレプタクチンをコーティングしたマイクロプレート上でStrep−tagIIを介して固定化させるために、アフィニティーおよびSEC精製した三量体LIGHT−ASPDを種々の濃度(0〜10マイクログラム/ml)で用いた。次いで、それぞれ100ng/mlの受容体HVEMのFc融合タンパク質およびTRAIL受容体1のFc融合タンパク質を使用してELISA設定で、LIGHT−ASPDを検出した。ELISAシグナルは、固定化リガンド量の増加とともにHVEM−Fcに対しては増加したが、分析した全範囲にわたりTRAIL受容体1−Fcに対してはシグナルが検出されなかった。これは、LIGHT−ASPDがその受容体HVEMに結合でき得る機能分子であることを示した。結果を図6に示す。
【0109】
LIGHT−ASPD融合タンパク質のアミノ酸配列を以下に示す:

【0110】
2.3 TRAIL融合タンパク質の特徴づけ
HEK293細胞に、TRAIL融合タンパク質をコードする24の異なる発現ベクターを一過性にトランスフェクトした(第6表)。
【0111】
【表7】

第6表:発現ベクターを一過性にトランスフェクションすることで生成した融合タンパク質の概要。リガンドTRAILを、6つの安定化三量体形成モチーフのうちの一つと、リンカーエレメント(A、B、C、およびDリンカー)とを含む融合タンパク質としてトランスフェクトした。
【0112】
上清をSDS−PAGEのために使用し、およびStrep−tagII特異的抗体を用いたウエスタンブロット分析によってTRAILコンストラクトを検出した。
【0113】
検出した特異的バンドを矢印で示す。発現強度は、構築のために使用した三量体形成モチーフの型(SPD>69/T4/コレクチン11/CCSPD/CC11)ならびにリンカーエレメントの長さ(A>B>C>D)に依存する。結果を図7に示す。
【0114】
Jurkat細胞を、架橋抗体(2.5マイクログラム/mlの坑Strep−tagII)の存在下(黒い棒、坑Strep−tagII)または非存在下(白い棒)で、一過性にトランスフェクトしたHEK細胞からの上清とともに3時間インキュベートした。上清は、種々のリンカーエレメント(A、B、C、およびDのリンカー)を介して融合した種々の三量体形成モチーフ(T4、69、SPD、CCSPD、Col11、CC11)を有するTRAIL融合タンパク質を含有した。負の対照として、トランスフェクトしてない細胞からの細胞上清を使用した。Jurkat細胞を溶解して、蛍光発生アッセイによってカスパーゼ活性を分析した。
【0115】
結果として、カスパーゼ活性は、使用したリンカーエレメントの型(A>B>C>D)によっておよび使用したFold−On上で減少した。TRAILコンストラクトを含有するコレクチン11またはコレクチン11のコイルドコイル(CCCol11)は、発現された(ウエスタンブロット分析によって示される)が機能的ではなく、フォールドオンモチーフに由来するSPDは、機能的なTRAILリガンドをもたらした。結果を図8に示す。
【0116】
ランニング緩衝液としてPBSを用いて、アフィニティー精製したTRAIL−ASPDを、0.5ml(0.4mgのタンパク質)をSuperdex200カラム上に0.5ml/分の流速で添加することで、SECにかけた。タンパク質溶出を、280nmでの吸収によって観察して、0.5mlの画分を収集した。サイズ排除基準から測定すると、12.28mlの保持量は135〜140kDaに相当する。これは、単量体ポリペプチドの算出分子量が40kDaであるので、TRAIL−ASPDはホモ三量体であることを示した。重要なことに、SECで分析した、野生型TRAIL−RBD配列からなるすべての融合タンパク質については、およそ8mlで、凝集した非活性TRAIL融合タンパク質に相当するさらなるピークが観察された。収集した画分A1〜A14から、三量体ピーク(A8〜A10)だけをさらなる分析のために使用した。結果を図9に示す。
【0117】
架橋抗体(2.5マイクログラム/mlの坑Strep−tagII)の存在下または非存在下で、ヒト癌細胞株(HeLa、HT1080、Colo205、またはWM35)を、表示した濃度の精製した三量体TRAIL−ASPDとともに18時間インキュベートした。細胞死を、クリスタルバイオレット染色(HeLa、WM35、およびHT1080)またはMTSアッセイ(Colo205)によって定量化した。高リガンド濃度でColo205細胞の生存能が上昇したことは、架橋抗体の制限のためと思われる。結果を図10に示す。
【0118】
ストレプタクチンをコーティングした96ウェルプレート上での固定化のために、アフィニティーおよびSEC精製した三量体TRAIL−ASPDを種々の濃度(A)または一定濃度(B)で用いた。次いで、ウェルあたり100,000のJurkat細胞を有するプレートを、37℃、5%CO2で、5時間インキュベートして、蛍光発生アッセイでカスパーゼ活性を測定した。特異性を分析するために、細胞を添加する前にプレート(B)を、アンタゴニスト坑TRAIL抗体(クローンRIK−2、Pharmingen)を表示した様々な濃度で30分間インキュベートした。結果を図表11に示す。
【0119】
同じ96ウェルプレート上で、HT1080細胞を、表示した濃度の精製三量体TRAIL−ASPDまたはTRAIL−DSPDとともにインキュベートした。翌日、クリスタルバイオレット染色によって細胞死を定量化した。TRAIL−DSPDおよびTRAIL−ASPDに対してそれぞれ27ng/mlおよび6ng/mlのEC50値が示されたように、Dリンカーの使用によって生理活性がおよそ4、5倍減少した。結果を図12に示す。
【0120】
TRAIL融合ポリペプチドの核酸配列およびアミノ酸配列を以下に示す。
【0121】

【0122】

【0123】

【0124】

【0125】
2.4 受容体選択的TRAIL(「変異タンパク質」)融合タンパク質の特徴づけ
HEK293細胞に、種々のTRAIL受容体選択的SPDコンストラクトをコードする発現プラスミドを一過性にトランスフェクトさせた:
番号 トランスフェクトした発現ベクター
1 TRAILR1変異タンパク質−A−SPD
2 TRAILR1変異タンパク質−A−CCSPD
3 TRAILR1変異タンパク質−D−SPD
4 TRAILR1変異タンパク質−D−CCSPD
5 TRAILR2変異タンパク質−A−SPD
6 TRAILR2変異タンパク質−A−CCSPD
7 TRAILR2変異タンパク質−D−SPD
8 TRAILR2変異タンパク質−D−CCSPD
9 TRAIL−A−SPD
10 TRAIL−A−CCSPD
11 TRAIL−D−SPD
12 TRAIL−D−CCSPD
トランスフェクションから3日後、上清を収集して、抗体特異的Strep−tagIIを使用するSDS−PAGEおよびウエスタンブロッティングのためにアリコートを使用した。およそ38kDa(SPD融合タンパク質)および28kDa(コイルドコイル−SPD融合タンパク質)で特異的バンドを検出した。発現したタンパク質の量は、リガントそれ自体(TRAILR1変異タンパク質>TRAILR2変異タンパク質>TRAIL)に、第二に使用したリンカーの長さ(A>D)、および第三に使用した三量体形成モチーフ(SPD>CCSPD)に依存した。見かけの分子量は、算出したサイズ(SPD融合タンパク質およびCCSPD融合タンパク質に対してそれぞれ40kDaおよび27kDa)から予想どおりであった。結果を図13に示す。
【0126】
SPD/ccSPDとTRAIL、TRAILR1変異タンパク質とTRAILR2変異タンパク質の融合タンパク質に対するTRAIL受容体1またはTRAIL受容体2の選択性は、ストレプタクチン−ELISAによって示された。従って、一過性にトランスフェクトしたHEK293細胞からの上清中のTRAIL−SPD融合タンパク質を、ストレプタクチンをコーティングしたマイクロプレート上で固定化した。トランスフェクトされてない細胞からの細胞上清を負の対照とした。結果を図14に示す。特異的に結合したタンパク質を、TRAIL受容体1−FcまたはTRAIL受容体2−Fcのいずれかの一定濃度(A、B)または種々の濃度(C、D)で検出した。(A)に示すように、SPD変異体に融合したリガンドTRAILR1変異タンパク質は、TRAIL受容体1によって検出されるが、リガンドTRAILR2変異タンパク質は検出されない。(B)に示すように、リガンドTRAILR2変異タンパク質は、TRAIL受容体2によって優先的に検出されるが、TRAILR1変異タンパク質のコンストラクトおよびTRAIL野生型コンストラクトは、同様に良好に検出される。(C)に示すように、TRAIL受容体1−Fcは、受容体の滴定範囲全体にわたり同様に良好にTRAILR1変異タンパク質−ASPDおよびTRAIL−ASPDに結合したが、TRAILR2変異タンパク質−ASPDは良好に検出されない。(D)に示すように、TRAIL受容体2−Fcは、分析した受容体の滴定範囲にわたりTRAILR2変異タンパク質−ASPDおよびTRAIL−ASPDに同様に良好に結合したが、TRAILR1変異タンパク質−ASPDのシグナルは、受容体の濃度の低下とともに急速に低下した。
【0127】
100マイクロリットルのPBS中1マイクログラム/mlのアフィニティー精製した三量体TRAIL−ASPD、TRAILR1変異タンパク質−ASPD、またはTRAILR2変異タンパク質−ASPDを、ストレプタクチンをコーティングしたマイクロプレート上でのStrep−tagIIを介する固定化のために使用した。結合リガンドを、TRAIL受容体1(A)またはTRAIL受容体2(B)のFc−融合タンパク質を用いてELISA設定で検出した。(A)に示すように、TRAILR2変異タンパク質−ASPDと比較して、TRAIL受容体1は、受容体選択的TRAILR1変異タンパク質−ASPDに優先的に結合した。(B)に示すように、TRAILR1変異タンパク質−ASPDと比較してTRAIL受容体2は、TRAILR2変異タンパク質−ASPDに優先的に結合した。結論として、SPDに融合した構築したTRAIL変異体は、受容体選択的である。結果を図15に示す。
【0128】
アフィニティー精製したTRAILR1変異タンパク質−ASPDを、0.5ml(0.95mgのタンパク質)をSuperdex200カラム上に添加することで、SECにかけた。結果を図16に示す。ランニング緩衝液としてPBSを用いて、タンパク質を0.5ml/分で分解させて、0.5mlの画分を収集した(画分A1〜A14を示す)。サイズ排除基準によって測定すると、12.46mlの保持量は140〜145kDaに相当した。10.83mlでの小ピークは、いくつかの凝集種を示した。しかし重要なことに、ランニングの前面(8ml)ではピークは検出されなかった。これは、野生型TRAILのアミノ酸配列の部分を含有するタンパク質と比較すると、この分子がさらに可溶性が高いことを示している。
【0129】
図17に示すように、その後に銀染色を伴う非還元(A)または還元(B)SDS−PAGEのために、アフィニティー精製したTRAILR1変異タンパク質−ASPDのサイズ排除クロマトグラフィーからのアリコートを使用した。非還元条件下で、35kDaおよび70kDaで2つのバンドを検出したが、還元条件下では、40kDaの一つのバンド(矢印で示す)を検出した。これは、ジスルフィド架橋分子の形成を示す。三量体種は画分A8〜A11に存在し、これを後の分析で使用した。
【0130】
アフィニティー精製したTRAILR1変異タンパク質−ASPDのSECからの画分A1〜A14から最終的に80倍に希釈したアリコートとともに、2.5マイクログラム/mlの架橋抗体の非存在下(白い棒)または存在下(黒い棒)でJurkat細胞をインキュベートした。結果を図18に示す。負の対照としてJurkat細胞を培地だけでインキュベートした。3時間のインキュベーション後、Jurkat細胞を溶解して、蛍光発生アッセイによってカスパーゼ活性を測定した。Jurkat細胞は主にTRAIL受容体2を発現することが示されているように、TRAILR1変異タンパク質−ASPDをStrep−tagII特異的抗体によって架橋したときでさえ、有意なカスパーゼ活性を誘導した画分はなかった。これは、TRAILR1変異タンパク質−ASPDがTRAIL受容体2に結合しないことを示した。
【0131】
図19に示すように、アフィニティー精製したTRAILR2変異タンパク質−ASPDを、0.5ml(0.5mgのタンパク質)をSuperdex200カラムに添加することで、サイズ排除クロマトグラフィーにかけた。ランニング緩衝液としてPBSを用いて、タンパク質を0.5ml/分で分解させて、0.5mlの画分を収集した(画分A1〜A14を示す)。サイズ排除基準から測定すると、12.60mlの保持量は130〜135kDaに相当した。これは、40kDaの予想される単量体分子量から算出されるようにTRAILR2変異タンパク質−ASPDがホモ三量体であることを示していた。重要なことに、95%以上が三量体ピーク画分に存在し、凝集体は検出されなかった。三量体ピークを、後の分析で使用した。
【0132】
図20に示すように、その後に銀染色を伴う非還元(A)または還元(B)SDS−PAGEのために、アフィニティー精製したTRAILR2変異タンパク質−ASPDのサイズ排除クロマトグラフィーからのアリコートを使用した。非還元条件下で、35kDaおよび70kDaで2つのバンドを検出したが、還元条件下では、およそ40kDaの一つのバンド(矢印で示す)を検出した。これは、ジスルフィド架橋分子の形成を示した。三量体種は画分A9〜A11に存在し、これを後の分析で使用した。
【0133】
TRAILR2変異タンパク質−ASPDによるJurkat細胞死滅アッセイの結果を図21に示す。アフィニティー精製したTRAILR2変異タンパク質−ASPDのSECからの画分A1〜A14からのアリコートとともに、架橋抗体(2.5マイクログラム/mlの坑Strep−tagII)の非存在下(白い棒)または存在下(黒い棒)で、Jurkat細胞をインキュベートした。試料を640倍の最終希釈で使用した。3時間のインキュベーション後、Jurkat細胞を溶解して、蛍光発生アッセイによってカスパーゼ活性を測定した。Jurkat細胞は、効率的シグナリングのために多量体を形成したリガンド形を必要とするTRAIL受容体2を主に発現することが示されているように、架橋したときに、TRAILR2変異タンパク質−ASPDはカスパーゼ活性を誘導した。これは、TRAILR2変異タンパク質−ASPDが機能分子であることを示した。
【0134】
種々のヒト癌細胞へのTRAIL−ASPD、TRAILR1変異タンパク質−ASPD、およびTRAILR2変異タンパク質−ASPDの細胞障害活性を図22に示す。表示した細胞株HT1080(AおよびB)、HeLa(CおよびD)、またはColo205(EおよびF)を、架橋抗体(坑Strep−tagII)の非存在下(A、C、およびE)または存在下(B、D、およびF)で、精製した三量体TRAIL−ASPD、TRAILR1変異タンパク質−ASPD、もしくはTRAILR2変異タンパク質−ASPDの種々の濃度で処置した。細胞を、表示した濃度のリガンドとともに18時間インキュベートし、次いで細胞死をクリスタルバイオレット染色(HT1080およびHeLa)またはMTSアッセイ(Colo205)によって定量化した。結果として、リガンドTRAIL−ASPDは、検査した3種類の細胞株上で細胞死を誘導し、およびTRAILR2変異タンパク質−ASPDは優れた細胞死滅活性を示した。対照的に、TRAIL受容体1選択的TRAILR1変異タンパク質−ASPDは、検査したいずれの細胞株上でも活性がなかった。
【0135】
アフィニティー精製したTRAILR2変異タンパク質−ASPDを、10kDa膜を通す遠心分離によってPBS中で20倍に濃縮して、2.5mg/mlの溶液を得た。この濃縮物から0.1mlをサイズ排除クロマトグラフィーにかけた。結果として、三量体ピークだけを検出し、凝集体は検出されなかった。これは、この組成物が向上した生成能力を有することを示した(図23)。同様の結果がTRAILRI変異タンパク質−ASPDに対しても達成された。TRAILRI変異タンパク質−ASPDは5.4mg/mlの濃縮溶液でさえも凝集の徴候を示さなかった(図示せず)。対照的に、野生型TRAIL配列から構成される受容体結合ドメインを含有する、検査したすべての融合タンパク質は、0.4m/ml程度の低い濃度で40%凝集体を有する凝集を示した。
【0136】
受容体選択的TRAIL変異タンパク質の融合ポリペプチドのアミノ酸配列を以下に示す。
【0137】

【0138】
2.5 SPD糖変異体の特徴づけ
図24に示すように、アフィニティー精製したTRAIL−ASPD_F335Aを、0.5mlのPBS溶液(0.4mgのタンパク質)を、Superdex200カラムに添加することによって、サイズ排除クロマトグラフィーにかけた。ランニング緩衝液としてPBSを用いて、タンパク質を0.5ml/分で分解させて、0.5mlの画分を収集した(画分A1〜A13を示す)。サイズ排除基準から測定すると、12.27mlの保持量は135〜145kDaに相当する。これは、40kDaの予想される単量体分子量から算出されるようにTRAIL−ASPD_F335Aがホモ三量体であることを示した。8.32mlおよび10.68mlでの2つのさらなるピークは、TRAIL−ASPD_F335Aの凝集体が形成されたことを示した。三量体ピークだけを、後の分析で使用した。
【0139】
サイズ排除クロマトグラフィーから収集した画分A1〜A13のアリコートを、還元SDS−PAGEによって分解し、次いでそのゲルを銀染色した(図25)。およそ40kDaで検出したバンドは、TRAIL−ASPD_F335Aに対して算出した40kDaの分子量に相当した。SEC流出の三量体分子(A8、A9、A10)に対応する陽性画分をプールして、さらなる分析で使用した。
【0140】
TRAIL−SPD糖変異体融合タンパク質のアミノ酸配列を以下に示す。
【0141】

【0142】
ヒト癌細胞へのTRAIL−ASPD_F335Aの細胞障害効果を図26に示す。架橋抗体(2.5マイクログラム/mlの抗Strep−tagII)の存在下または非存在下で、表示したヒト癌細胞株を、種々の濃度のアフィニティーおよびSEC精製した三量体TRAIL−ASPD_F335Aとともに一晩インキュベートした。細胞生存能を、クリスタルバイオレット染色(HT1080、HeLa、およびWM35)またはMTS(Colo205)によって定量化した。高リガンド濃度でColo205細胞の生存能が上昇したことは、架橋抗体の制限のためと思われる。
【0143】
図27に示すように、アフィニティー精製したTRAIL−ASPD_F335Dを、0.5ml(0.2mgのタンパク質)をSuperdex200カラムに添加することによってサイズ排除クロマトグラフィーにかけた。ランニング緩衝液としてPBSを用いて、タンパク質を0.5ml/分で分解し、0.5mlの画分を収集した(A1〜A13を示す)。サイズ排除基準から測定すると、12.29mlの保持量は135〜145kDaに相当する。これは、TRAIL−ASPD_F335Dが40kDaの予想される単量体分子量から算出されるようにホモ三量体であることを示した。8.35でのピークは、野生型TRAILアミノ酸配列の部分を含有するすべての融合タンパク質に対して一般的に見られる不活性なTRAIL−ASPD_F335D凝集体に相当した。
【0144】
サイズ排除クロマトグラフィーから収集した画分A1〜A13のアフィニティー精製したTRAIL−ASPD_F335Dのアリコートを、還元SDS−PAGEによって分解し、次いでそのゲルを銀染色した(図28)。およそ40kDaで検出したバンド(矢印で示した)は、TRAIL−ASPD_F335Dに対して算出した40kDaの分子量に相当した。三量体タンパク質(画分A8〜A10)を含有する画分をプールして、さらなる分析で使用した。
【0145】
架橋抗体(坑Strep−tagII)の存在下または非存在下で、ヒト癌細胞株HT1080(A)、HeLa(B)、WM35(C)、またはColo205(D)を、種々の濃度のアフィニティー精製した三量体TRAIL−ASPD_F335Dとともに一晩インキュベートした。細胞生存能を、クリスタルバイオレット染色(HT1080、HeLa、およびWM35)またはMTS(Colo205)によって定量化した。TRAIL−ASPD_F335Dが例証した癌細胞系で細胞死を誘導する能力があることをデータは示している(図29)。高リガンド濃度でColo205細胞の生存能が上昇したことは、架橋抗体の制限のためと思われる。
【0146】
2.6 SPD三量体形成モチーフ変異体の糖結合の特徴の分析
いくつかの種に由来する野生型で完全長のオリゴマーのSP−Dタンパク質およびヒトSP−Dの三量体ネック+CRDは、いくつかの異なる糖に結合することが示されている。さらに、ヒトSP−Dのネック+CRDは、免疫細胞(例えば好中球)のための走化性因子として役割を果たすことによって免疫調節効果を発揮することも示されている(Cai et al., 1999, Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 276:131−136)。他の細胞も、SP−Dによって補充されることもある。マルトースの添加によって走化性機能が抑制されるように、ヒトSP−Dのネック+CRDの走化性効果は、グリコ結合機能に依存することが示されている。従って、SP−Dが媒介する走化性機能を有するTNFSFのリガンドは、天然のアミノ酸配列を有するリガンドまたはそのコンストラクトと比較して、優れた活性であり得る。例えば、癌治療におけるように細胞効果が望ましい場合のシナリオでは、そのような記述されたリガンドが望ましいこともある。
【0147】
さらに、SP−Dが糖質機能をもたないリガンドは、他の設定で望ましいこともある。ヒトSP−Dの場合、アミノ酸フェニルアラニン335(配列番号21のアミノ酸355に相当する)がアラニンに変異されている変異体が記述されている(SPD_F335A, Crouch et al., JBC 281: 18008−18014)。この変異体は、極めて弱い糖結合を示した。しかし、糖結合を所望しない場合、荷電アミノ酸(例えば酸性アミノ酸)を導入することで、F335Aと比較してさらによくなることさえもある。従って、変異体SPD_F335Dは、F335A変異体よりも優れていることもある。
【0148】
TRAIL融合タンパク質の糖との結合を分析するために、酵母由来のマンナンをマイクロプレート上で固定化し、次いでTRAIL−SPD、TRAIL−SPD_F335A、またはTRAIL−SPD_F335Dの結合をELISAによって検出した。結果を図30に示す。予想したように、ELISAシグナルは、TRAIL−ASPDの濃度の増加とともに増加した。対照的に、糖変異型TRAIL−ASPD_F335Aは、極めて低いELISAシグナルを示した。さらに、新たに構築した変異体TRAIL−ASPD_F335Dは、最も低いELISAシグナルを示した(挿入図および矢印参照)。これは、変異体F335Dが前述のSP−D変異型F335Aと比較して、さらに低いマンナン結合親和性を有することを示した。
【0149】
2.7 TRAIL−SPD融合タンパク質の薬物動態
TRAIL−SPD融合タンパク質の半減期を測定するために、10マイクログラムのTRAIL−ASPD(A)またはTRAIL−ASPD_F335D(B)を雄CD1マウスの静脈内に注入し、次いで血清試料をいくつかの時点(投与前、5分後、30分後、2時間後、6時間後、および24時間後)で採取した。マウスの血清中のTRAILタンパク質を、ELISAによって定量化し、そのデータを用いて半減期を算出した。結果を図31に示す。分析した2つのタンパク質に関しては、TRAIL−ASPD(A)およびTRAIL−ASPD_F335D(B)に対して7〜14時間の半減期を算出した。観察期間中、死亡したまたは不耐性の徴候を示した動物はなかった。げっ歯類において3〜5分の範囲で半減期間を有することが報告されている(Kelley et. al 2001)野生型TRAILと比較して、血清半減期が少なくとも80倍向上したことを、データは示している。
【0150】
2.8 TRAIL−ASPD融合タンパク質の細胞障害性
TRAIL−ASPD、TRAIL−ASPD_F335A、またはTRAIL−ASPD_F335Dの潜在的な肝毒性作用を分析するめに、初代ヒト肝細胞(PHH)を、架橋抗体(坑Strep−tagII)とともにまたは架橋抗体なして、種々の濃度の表示したTRAIL−SPD−融合タンパク質とともにインキュベートした。対照として、CD95Lの安定化変異体、CD95L−T4(WO2008/025516に記載されている)を用いた。結果を図32に示す。
【0151】
さらに、5mMの化学療法薬とのPHHの同時インキュベーションの効果を、TRAIL−ASPD_F335Dに対して分析した。インキュベーションから5時間後(A、B、およびE)または24時間後(C、D、およびF)細胞を溶解して、カスパーゼ活性を蛍光発生アッセイによって評価した。
【0152】
結果として、リガンドを抗体によって二次的に架橋した場合でも、分析したすべてのTRAIL−SPD融合タンパク質は、肝毒性作用を誘導しなかった。対照的に、CD95L−T4は、活性カスパーゼ(A〜D)の増加によって示されたように肝毒性である。化学療法薬との三量体TRAIL−ASPD_F335Dによる初代ヒト肝細胞の5時間の同時インキュベーションの間、カスパーゼ活性は誘導されなかった(E)。しかし、ドキソルビシンとの同時インキュベーションから24時間後、可溶性TRAIL−ASPD_F335Dは強力なカスパーゼ活性シグナルを誘導した(F)。
【0153】
これは、本発明のTRAIL融合タンパク質が医薬用途において望ましくない肝毒性を示し得ないことを示している。従って、TRAIL融合タンパク質は、好ましくは、薬物と併用して投与される。それらの薬物は、アポトーシス増感剤および/もしくはアポトーシス誘発剤(例えばオキサリプラチン、シスプラチン、5−フルオロウラシル,、エトポシド、ゲムシタビン、イリノテカンの化学療法薬)、またはBcl2結合分子(例えば低分子もしくはペプチド化合物。これらはBcl2ファミリー、特にBc12またはBclxlのポリペプチドに結合する)である。
【0154】
2.9 APRIL融合タンパク質の特徴づけ
HEK293細胞に、APRIL−A69(WO2008025516)、APRIL−ASPD、APRIL−ACCSPD、またはAPRIL−ACol11をコードする発現ベクターを一過性にトランスフェクした。3日後、上清を、ウエスタンブロッティングによって分泌タンパク質について分析した。結果を図33に示す。APRIL融合タンパク質の検出のために、Strep−tagIIに特異的な抗体を使用した。矢印は、およそ40kDa(それぞれAPRIL−ASPDおよびAPRIL−ACol11)で、ならびにおよそ25kDa(それぞれAPRIL−A69およびAPRIL−ACCSPD)で検出した特異的バンドを示す。従って、APRIL発現カセットは機能的であり、これらのタンパク質が適切に折り畳まれていることをタンパク質の分泌は示した。分析した他のTNFSFタンパク質に関しては、最高レベルの分泌タンパク質は、ヒトSP−Dのコイルドコイル「ネック」+CRDから構成された三量体形成モチーフに融合したAPRILに見られた(APRIL−ASPD、レーン番号2)。APRIL−ASPDを用いて、受容体TAClとの結合を分析した。
【0155】
構築したAPRIL−ASPD融合タンパク質が機能的であることを示すために、APRILの公知の受容体(すなわちTACl)との結合を評価した(図34)。従って、一過性にトランスフェクトしたHEK293細胞からの上清中のAPRIL−ASPDを、ストレプタクチンをコーティングしたマイクロプレート上で固定化した。トランスフェクトしていないHEK293細胞からの細胞上清を負の対照として用いた。ペルオキシダーゼと結合した、後に坑ヒトFc特異的抗体とのインキュベーションを伴う、種々の濃度のTACI−Fcを用いて、特異的に結合したタンパク質を検出した。結果として、ELISAシグナルは、TACI−Fcの濃度の増加とともに増加し、APRIL−ASPDが機能分子であることを示した。
【0156】
APRIL融合タンパク質のアミノ酸配列を以下に示す。
【0157】

【0158】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)TNFスーパーファミリーサイトカインまたはその受容体結合ドメインと、
(ii)コレクチン三量体形成ドメインと
を含む融合タンパク質。
【請求項2】
(i)および(ii)の間に可動性リンカーエレメントをさらに含む、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
前記可動性リンカーエレメントが3〜20のアミノ酸の長さ、特に3、6、9、10、12、15、または18のアミノ酸の長さを有する、請求項2に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
前記可動性リンカーエレメントがグリシン/セリン・リンカーである、請求項2または3に記載の融合タンパク質。
【請求項5】
前記可動性リンカーエレメントがアミノ酸配列(GSS)(SSG)(GSG)(配列中、a、b、cは、各0、1、2、3、4、5、または6である)を有する、請求項4に記載の融合タンパク質。
【請求項6】
前記可動性リンカーエレメントが9〜15のアミノ酸の長さを有する、請求項2から5までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項7】
(i)がLTA(配列番号1)、TNFα(配列番号2)、LTB(配列番号3)、OX40L(配列番号4)、CD40L(配列番号5)、CD95L(配列番号6)、CD27L(配列番号7)、CD30L(配列番号8)、CD137L(配列番号9)、TRAIL(配列番号10)、RANKL(配列番号11)、TWEAK(配列番号12)、APRIL1(配列番号13)、APRIL2(配列番号14)、BAFF(配列番号15)、LIGHT(配列番号16)、TL1A(配列番号17)、GITRL(配列番号18)、EDA−A1(配列番号19)、EDA−A2(配列番号20)またはその受容体結合ドメインから選択される、請求項1から6までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項8】
(i)がLTA(配列番号1)の59〜205または60〜205、TNFα(配列番号2)の86〜233、LTB(配列番号3)の82〜244または86〜244、OX40L(配列番号4)の52〜183または55〜183、CD40L(配列番号5)の112〜261または117〜261、CD27L(配列番号7)の51〜193または56〜193、CD30L(配列番号8)の97〜234、98〜234、または102〜234、CD137L(配列番号9)86〜254、RANKL(配列番号11)の161〜317、TWEAK(配列番号12)の103〜249、104〜249、または105〜249、APRIL1(配列番号13)の111〜247または112〜247、APRIL2(配列番号14)の111〜247または112〜250、BAFF(配列番号15)の140〜285、LIGHT(配列番号16)の91〜240、TL1A(配列番号17)の91〜251または93〜251、GITRL(配列番号18)の52〜177、EDA−A1(配列番号19)の245〜391、EDA−A2(配列番号20)の245〜389のアミノ酸を含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項9】
(i)がCD95Lまたはその受容体結合ドメインであり、(i)が好ましくはヒトCD95L(配列番号6)の142〜281または144〜281のアミノ酸を含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項10】
(i)がTRAILまたはその受容体結合ドメインであり、(i)が好ましくはヒトTRAIL(配列番号10)の95〜281、116〜281、117〜281、118〜281、119〜281、または120〜281のアミノ酸を含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項11】
(i)がTRAILR1および/またはTRAILR2に結合および/または活性化するTRAILの変異体もしくはその受容体結合ドメインを含む、請求項1から7または10までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項12】
(i)が少なくとも一つのアミノ酸置換を含む、請求項1から11までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項13】
前記アミノ酸置換がヒトTRAIL(配列番号10)の次のアミノ酸位、R130、G160、Y189、R191、Q193、E195、N199、K201、Y213、T214、S215、H264、I266、D267、D269のうちの少なくとも一つで行われ、および前記アミノ酸置換が好ましくは次のアミノ酸位、R130E、G160M、Y189A、Y189Q、R191K、Q193S、Q193R、E195R、N199V、N199R、K201R、Y213W、T214R、S215D、H264R、I266L、D267Q、D269H、D269R、またはD269Kのうちの少なくとも一つである、請求項11または12に記載の融合タンパク質。
【請求項14】
(ii)がサーファクタントタンパク質D、サーファクタントタンパク質A、マンナン結合タンパク質A、マンナン結合タンパク質C、肝臓コレクチン1、胎盤コレクチン1、またはコレクチン11である、請求項1から13までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項15】
(ii)が配列番号21のヒトサーファクタントタンパク質Dの217〜375、218〜375、219〜375、220〜375、221〜375、222〜375、223〜375、224〜375、225〜375のアミノ酸を含む、請求項1から14までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項16】
(ii)が配列番号21のヒトサーファクタントタンパク質Dの217〜275、218〜275、219〜275、220〜275、221〜275、222〜275、223〜275、224〜275、225〜275のアミノ酸を含む、請求項1から14までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項17】
(ii)が少なくとも一つのアミノ酸置換を含む、請求項1から15までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項18】
前記アミノ酸置換が配列番号21のヒトサーファクタントタンパク質Dのアミノ酸位F355で行われ、および前記アミノ酸置換が好ましくは次のF355A、F355S、F355T、F355E、F355D、F355K、またはF355Rのうちの一つである、請求項17に記載の融合タンパク質。
【請求項19】
(ii)がマンノースに結合しない変異体を含む、請求項1から18までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項20】
(ii)が配列番号22のヒトコレクチン11の110〜271、116〜271、または121〜271のアミノ酸を含む、請求項1から14または19までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項21】
(ii)が配列番号22のヒトコレクチン11の110〜147、110〜148、110〜149、110〜150、110〜151、116〜147、116〜148、116〜149、116〜150、116〜151、121〜147、121〜148、121〜149、121〜150、または121〜151のアミノ酸を含む、請求項1から14または19までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項22】
(ii)が(i)のC末端に位置する、請求項1から21までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項23】
(ii)が(i)のN末端に位置する、請求項1から21までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項24】
プロテアーゼ切断部位を有し得るN末端シグナルペプチドドメインをさらに含み、前記N末端シグナルペプチドドメインが好ましくは配列番号23、配列番号24、または配列番号25の配列を含む、請求項1から23までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項25】
配列番号26〜36、配列番号37、配列番号40〜41、または配列番号43〜51の配列を含む、請求項1から24までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項26】
前記融合タンパク質が好ましくはN末端またはC末端に位置する認識/精製ドメインをさらに含む、請求項1から25までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項27】
前記認識/精製ドメインがStrep−tagまたはポリHisドメインである、請求項26に記載の融合タンパク質。
【請求項28】
前記認識/精製ドメインを有し得るおよび/または前記認識/精製ドメインに連結し得る末端の可動性エレメントをさらに含む、請求項1から27までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項29】
三量体複合体としてまたは三量体複合体のオリゴマーとして存在する、請求項1から28までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項30】
前記三量体複合体が三つの融合タンパク質間の共有結合によって形成され、および前記共有結合が好ましくは(ii)のシステイン間のジスルフィド架橋からなる、請求項29に記載の融合タンパク質。
【請求項31】
前記三量体複合体が三つの同一の融合タンパク質からなる、請求項29から30までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項32】
核酸分子であって、請求項1から28までのいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする核酸分子。
【請求項33】
発現制御配列に作用可能に結合される、請求項32に記載の核酸分子。
【請求項34】
ベクター上に位置する、請求項32または33に記載の核酸分子。
【請求項35】
請求項32から34までのいずれか1項に記載の核酸分子を形質転換されたまたはトランスフェクトされた細胞。
【請求項36】
原核細胞である、請求項35に記載の細胞。
【請求項37】
真核細胞、好ましくは哺乳類細胞、およびより好ましくはヒト細胞である、請求項35に記載の細胞。
【請求項38】
請求項32から34までのいずれか1項に記載の核酸分子を形質転換されたまたはトランスフェクトされた非ヒト生物。
【請求項39】
活性剤として請求項1から31までのいずれか1項に記載の融合タンパク質、請求項32から34のいずれかに記載の核酸分子、または請求項35から37までのいずれか1項に記載の細胞を含む、医薬組成物。
【請求項40】
活性剤として請求項1から31までのいずれか1項に記載の融合タンパク質、請求項32から34のいずれかに記載の核酸分子、または請求項35から37までのいずれか1項に記載の細胞を含む、診断組成物。
【請求項41】
療法で使用するための請求項1から31までのいずれか1項に記載の融合タンパク質、請求項32から34のいずれかに記載の核酸分子、または請求項35から37までのいずれか1項に記載の細胞。
【請求項42】
増殖性障害、特にTNFサイトカインの機能障害に関連しておよび/または付随して起こる障害、例えば腫瘍、例えば固形腫瘍もしくはリンパ性腫瘍、感染症、炎症性疾患、代謝疾患、自己免疫障害、例えばリウマチ様疾患および/もしくは関節疾患、変性疾患、例えば神経変性疾患、例えば多発性硬化症等、アポトーシス関連疾患、ならびに移植拒絶反応の予防および/または処置における医薬組成物の製造のための、請求項1から31いずれか1項に記載の融合タンパク質、請求項32から34までのいずれか1項に記載の核酸分子、または請求項35から37までのいずれか1項に記載の細胞の使用。
【請求項43】
アポトーシス増感剤および/またはアポトーシス誘導剤との組み合わせた請求項42に記載の使用。
【請求項44】
コレクチン三量体形成ドメイン型のヒトサーファクタントタンパク質Dを含むポリペプチドであって、F355S、F355T、F355E、F355D、F355K、またはF355Rから選択されるアミノ酸置換、および場合により異種ポリペプチドドメインを含む、ポリペプチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公表番号】特表2010−532978(P2010−532978A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515417(P2010−515417)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005644
【国際公開番号】WO2009/007120
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(505360362)アポゲニクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (8)
【氏名又は名称原語表記】Apogenix GmbH
【住所又は居所原語表記】Im Neuenheimer Feld 584,D−69120 Heidelberg,Germany
【Fターム(参考)】