説明

TNFスーパーファミリー融合タンパク質

本発明は、TNFスーパーファミリー(TNFSF)サイトカイン、又は三量体化ドメインと融合させたそれらの受容体結合ドメインを含有する融合タンパク質、及び該融合タンパク質をコードする核酸分子に関する。該融合タンパク質は、三量体化合物として、又はそれらのオリゴマーとして存在し、かつ治療、診断、及び/又は研究の用途に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TNFスーパーファミリー(TNFSF)サイトカイン、又は三量体化ドメインと融合させたそれらの受容体結合ドメインを含有する融合タンパク質、及び該融合タンパク質をコードする核酸分子に関する。該融合タンパク質は、三量体化合物として、又はそれらのオリゴマーとして存在し、かつ治療、診断、及び/又は研究の用途に適している。
【0002】
技術水準
TNSFサイトカイン、例えばCD95リガンド(CD95L)の三量体化は、効率的な受容体結合及び活性を要求することが公知である。しかしながら、TNFスーパーファミリーサイトカインの三量体複合体は、組換え単量体単位からの製造が難しい。
【0003】
WO 01/49866号及びWO 02/09055号は、TNFサイトカイン及び多量体化構成成分、特にC1qタンパク質群からのタンパク質又はコレクチンを含有する組換え融合タンパク質を開示している。しかしながら、これら融合タンパク質の欠点は、通常三量体化ドメインが大きな分子量を有すること、かつ/又は三量体化がむしろ非効率的であることである。
【0004】
Schneider et al.(J Exp Med 187(1989)、1205〜1213)は、TNFサイトカインの三量体が、N−末端に位置する安定化モチーフによって安定化されることを記載している。CD95Lにおいて、CD95L−受容体結合ドメイン三量体の安定化は、おそらく、細胞膜の近くに位置するN−末端アミノ酸ドメインによって生じる。
【0005】
Shiraishi et al.(Biochem Biophys Res Commun 322(2004)、197〜202)は、CD95Lの受容体結合ドメインが、N−末端に位置する人工のα−ヘリックスのコイルドコイル(ロイシンジッパー)モチーフによって安定化されてよいことが記載されている。しかしながら、お互いにポリペプチド鎖の配向、例えば平行又は逆行性の配向を、ほとんど予測できないことが見出された。さらに、コイルドコイルのジッパーモチーフにおける7残基の繰り返しの最適数は、決定することが難しい。加えて、コイルドコイル構造は、pH及び/又はイオン強度の変更後に、高分子凝集物を形成する傾向を有する。
【0006】
本発明の目的は、良好な三量体の特性を兼ねた効率的な組換え型の製造を可能にするTNFサイトカイン又はそれらの受容体結合ドメインを含有する融合タンパク質を提供することである。
【0007】
発明の概要
本発明は、
(i)TNF−スーパーファミリーサイトカイン又はそれらの受容体結合ドメイン、
(ii)構成成分(i)と(iii)との間の可撓性リンカー要素、及び
(iii)フィブリチン(fibritin)三量体化ドメイン
を含有する融合タンパク質に関する。
【0008】
さらに本発明は、本明細書において記載されている融合タンパク質をコードする核酸分子に、及び本明細書において記載されている核酸分子で形質転換又は形質移入させた細胞又は非ヒト生物に関する。
【0009】
本発明は、活性剤として、本明細書において記載されている融合タンパク質、核酸分子、又は細胞を含有する医薬又は診断組成物にも関する。
【0010】
本発明は、療法における使用、例えばTNFサイトカインの機能不全によって生じる、TNFサイトカインの機能不全に関連する、及び/又はTNFサイトカインの機能不全に附随する疾患、特に腫瘍のような増殖性疾患、例えば充実性腫瘍又はリンパ腺腫瘍;感染症;炎症性疾患;代謝疾患;自己免疫異常、例えばリウマチ及び/又は関節疾患;変性疾患、例えば多発性硬化症のような神経組織変性疾患;アポトーシス関連性疾患、又は移植拒絶反応の予防及び/又は治療における医薬組成物の製造のための本明細書において記載されている融合タンパク質、核酸分子、又は細胞の使用のための、本明細書において記載されている融合タンパク質、核酸分子、又は細胞にも関する。
【0011】
図面の説明
図1:A)ストレプタクチンアフィニティー精製hs95L−AT4のSEC分析:固定化ストレプタクチンからデスチオビオチンによって溶離されたアフィニティー精製タンパク質を、Superdex200カラム上に置いた。SEC作業のタンパク質溶離分布を、OD280で測定した。それぞれのhs95L−AT4のピークの保持体積及び画分数を示す。
B)SDS−PAGE銀染色によるhs95L−AT4のSEC画分の分析:Aにおいて示されたSEC画分を、SDS−PAGEによって分離し、そして次に銀染色によって分析した。画分数及び標準タンパク質の分子量(kDa)を示す。
【0012】
図2:hs95L−AT4の天然の見かけの分子量の決定
精製されたhs95L−AT4の見かけの分子量を、ゲル濾過標準タンパク質(Bio−Rad GmbH、Muenchen、Germany)でのSuperdex200カラムの較正をもとに決定した。較正標準の溶離体積を、それぞれの分子量の対数と対照してプロットして、較正曲線を作成した。hs95L−AT4の見かけのMwは、それぞれの溶離体積13.85mlに基づいて算出された。表は、SEC分析の結果を要約する。
【0013】
図3:Jurkat細胞においてアポトーシスを誘発するSEC画分の電位によるhs95L−AT4のSEC画分(図1で示される)の分析。SEC画分のタンパク質含量は、カスパーゼ活性を誘発するそれらの能力と合致する。
【0014】
図4:APG101によるhs95L−AT4誘発性アポトーシスの阻害
hs95L−AT4を、APG101の種々の量で30分間インキュベートし、Jurkat細胞に添加し、そして次にアポトーシスを、カスパーゼ活性の分析によって測定した。グラフは、hsCD95−AT4誘発性アポトーシスに対して投与量に依存するAPG101の拮抗作用を示す。
【0015】
図5:A)ストレプタクチンアフィニティー精製hs95L−A69のSEC分析:固定化ストレプタクチンからデスチオビオチンによって溶離されたアフィニティー精製タンパク質を、Superdex200カラム上に置いた。SEC作業のタンパク質溶離分布を、OD280で測定した。それぞれのhs95L−A69のピークの保持体積及び画分数を示す。
B)SDS−PAGE銀染色によるSEC画分の分析:Aにおいて示されたSEC画分を、SDS−PAGEによって分離し、そして次に銀染色によって分析した。画分数及び標準タンパク質の分子量(kDa)を示す。
C)Jurkat細胞においてアポトーシスを誘発するSEC画分の電位によるhs95L−A69のSEC画分(Aで示される)の分析。SEC画分のタンパク質含量は、カスパーゼ活性を誘発するそれらの能力と合致する。
【0016】
図6:A)ストレプタクチンアフィニティー精製hsTRAIL−AT4のSEC分析:固定化ストレプタクチンからデスチオビオチンによって溶離されたアフィニティー精製タンパク質を、Superdex200カラム上に置いた。hsTRAIL−AT4のピークのタンパク質溶離分布、及び画分数を示す。
B)SDS−PAGE銀染色によるhsTRAIL−AT4のSEC画分の分析:Aにおいて示されたSEC画分を、SDS−PAGEによって分離し、そして次に銀染色によって分析した。画分数及び標準タンパク質の分子量(kDa)を示す。
C)Jurkat細胞においてアポトーシスを誘発するSEC画分の電位によるhsTRAIL−AT4のSEC画分(Aで示される)の分析。SEC画分のタンパク質含量は、カスパーゼ活性を誘発するそれらの能力と合致する。
【0017】
発明の詳細な説明
従って、本発明は、
(i)TNF−スーパーファミリーサイトカイン又はそれらの受容体結合ドメイン、
(ii)構成成分(i)と(iii)との間の可撓性リンカー要素、及び
(iii)フィブリチン三量体化ドメイン
を含有する融合タンパク質に関する。
【0018】
前記融合タンパク質は、単量体タンパク質又は多量体タンパク質であってよい。有利には、該融合タンパク質は、同一又は異なってよい3個の単量体単位からなる三量体複合体として存在する。有利には、三量体複合体は、3個の同一の融合タンパク質からなる。該三量体複合体は、それ自体、生物学的活性を示す。しかしながら三量体複合体のオリゴマーは、例えば基本となる三量体構造が、2、3又は4倍である複合体を定義し、かつ生物学的活性も有することが見出された。
【0019】
該融合タンパク質の構成成分(i)は、TNFスーパーファミリーのサイトカイン又はそれらの受容体結合ドメインである。有利には、構成成分(i)は、対立遺伝子の突然変異体及び/又はそれらの誘導体を含む哺乳動物の、特にヒトのサイトカイン又はそれらの受容体結合ドメインである。さらに、TNFサイトカインは、対応するサイトカイン受容体へ結合できる、及び有利にはアポトーシス又は増殖性の活性を生じてよい受容体活性の可能性がある受容体結合ドメインであることが好ましい。該サイトカインは、例えば、TNFスーパーファミリーの構成要素、例えば表1において示されたヒトTNFSF−1〜−18から、有利には、LTA(配列番号25)、TNFα(配列番号26)、LTB(配列番号27)、OX40L(配列番号28)、CD40L(配列番号29)、CD95L(配列番号30)、CD27L(配列番号31)、CD30L(配列番号32)、CD137L(配列番号33)、TRAIL(配列番号34)、RANKL(配列番号35)、TWEAK(配列番号36)、APRIL 1(配列番号37)、APRIL 2(配列番号38)、BAFF(配列番号39)、LIGHT(配列番号40)、TL1A(配列番号41)、GITRL(配列番号42)、EDA−A1(配列番号43)、EDA−A2(配列番号44)、又はそれらの受容体結合ドメインから選択されてよい。それぞれのタンパク質の好ましい受容体結合ドメインは、表1(NH2−aa〜COOH−aa)において示され、かつ例えばLTA(配列番号25)の59〜205又は60〜205、TNFα(配列番号26)の86〜233、LTB(配列番号27)の82〜244又は86〜244、OX40L(配列番号28)の52〜183又は55〜183、CD40L(配列番号29)の112〜261又は117〜261、CD27L(配列番号31)の51〜193又は56〜193、CD30L(配列番号32)の97〜234、98〜234又は102〜234、CD137L(配列番号33)の86〜254、RANKL(配列番号35)の161〜317、TWEAK(配列番号36)の103〜249、104〜249又は105〜249、APRIL 1(配列番号37)の112〜247、APRIL 2(配列番号38)の112〜250、BAFF(配列番号39)の140〜285、LIGHT(配列番号40)の91〜240、TL1A(配列番号41)の91〜251又は93〜251、GITRL(配列番号42)の52〜177、EDA−A1(配列番号43)の245〜391、EDA−A2(配列番号44)の245〜389のアミノ酸を含有する。
【0020】
さらに有利には、構成成分(i)は、CD95L、TRAILもしくはTNFα、又はそれらの受容体結合ドメインから選択される。特に好ましい一実施態様において、構成成分(i)は、膜ドメインを有さない受容体結合ドメインを含むTNFサイトカインの細胞外タンパク質を含有する。特に好ましい一実施態様において、組換え融合タンパク質の構成成分(i)は、ヒトCD95L、特に配列番号30の142〜281又は144〜281のアミノ酸、又はヒトTRAIL、特に配列番号34の116〜281、118〜281又は120〜281のアミノ酸から選択される。
【0021】
本発明のさらに好ましい一実施態様において、本明細書において記載されている融合タンパク質の、TNFスーパーファミリーのサイトカイン又はそれらの受容体結合ドメイン、例えばTRAILは、TRAIL受容体1(TRAILR1)及び/又はTRAIL受容体2(TRAILR2)を結合する、かつ/又は活性化するTNFスーパーファミリーのサイトカイン又はそれらの受容体結合ドメインの突然変異体を含む。該突然変異体の結合及び/又は活性化は、例えばvan der Sloot et al.(PNAS、2006、103:8634〜8639)、Kelley et al.(J.Biol.Chem.、2005、280:2205〜2215)、又はMacFarlane et al.(Cancer Res.、2005、65:11265〜11270)において開示されているアッセイによって決定されてよい。
【0022】
該突然変異体は、あらゆる技術によって生成されてよく、かつ当業者によって公知であり、例えばan der Sloot et al.(PNAS、2006、103:8634〜8639)、Kelley et al.(J.Biol.Chem.、2005、280:2205〜2215)、又はMacFarlane et al.(Cancer Res.、2005、65:11265〜11270)において記載されている技術は、あらゆるタイプの構造変異体、例えばアミノ酸の置換、欠失、重複及び/又は挿入を含んでよい。好ましい一実施態様は、置換の発生である。該置換は、本明細書において記載されているTNFスーパーファミリーのサイトカイン又はそれらの受容体結合ドメインの少なくとも1つのアミノ酸に影響を及ぼしてよい。好ましい一実施態様において、該置換は、TRAIL、例えばヒトTRAIL(例えば配列番号34)の少なくとも1つのアミノ酸に影響を及ぼしてよい。これに関連する好ましい置換は、配列番号34のヒトTRAILのアミノ酸:R130、G160、Y189、R191、Q193、E195、N199、K201、Y213、T214、S215、H264、I266、D267、D269の少なくとも1つに影響を及ぼす。配列番号34のヒトTRAILの好ましいアミノ酸置換は、次の置換:R130E、G160M、Y189A、Y189Q、R191K、Q193S、Q193R、E195R、N199V、N199R、K201R、Y213W、T214R、S215D、H264R、I266L、D267Q、D269H、D269R、又はD269Kの少なくとも1つである。
【0023】
アミノ酸置換は、TRAIL、例えばヒトTRAILと、TRAILR1又はTRAILR2のどちらかとの結合、及び/又どちらかに対する活性に影響を及ぼしてよい。代わりに、該アミノ酸置換は、TRAIL、例えばヒトTRAILと、TRAILR1及びTRAILR2の双方との、又は双方での、結合並びに/又は活性に影響を及ぼしてよい。TRAILR1及び/又はTRAILR2の結合及び/又は活性は、積極的に、すなわちより強い、前記受容体のより選択的又は特異的な結合及び/又はより活性化に影響されてよい。代わりに、TRAILR1及び/又はTRAILR2の結合及び/又は活性は、消極的に、すなわちより弱い、前記受容体のより少ない選択的又は特異的な結合及び/又はより小さい活性化に影響されてよい。
【0024】
TRAILR1とTRAILR2との双方の結合及び/又は活性に影響を及ぼす本発明のアミノ酸置換を有するTRAILの突然変異体の例は、例えばMacFarlane et al.(前記参照)の表1において見出されてよく、かつ次の配列番号34の2個のアミノ酸置換Y213W及びS215D、又は次の1個のアミノ酸置換Y189Aを有するヒトTRAIL突然変異体を含有してよい。
【0025】
TRAILR1の結合及び/又は活性に影響を及ぼす本発明のアミノ酸置換を有するTRAILの突然変異体の例は、例えばMacFarlane et al.(前記参照)の表1において見出されてよく、かつ次の配列番号34の4個のアミノ酸置換N199V、K201R、Y213W及びS215Dを有する、もしくは次の5個のアミノ酸置換Q193S、N199V、K201R、Y213W及びS215Dを有するヒトTRAIL突然変異体を含有してよく、又はKelley et al.(前記参照)の表2において見出されてよく、かつ次の6個のアミノ酸置換Y213W、S215D、Y189A、Q193S、N199V、及びK201Rを有する、もしくはY213W、S215D、Y189A、Q193S、N199R、及びK201Rを有するヒトTRAIL突然変異体を含有してよい。
【0026】
TRAILR2の結合及び/又は活性に影響を及ぼす本発明のアミノ酸置換を有するTRAILの突然変異体の例は、例えばMacFarlane et al.(前記参照)の表1において、もしくはKelley et al.(前記参照)の表2において見出されてよく、かつ次の配列番号34の6個のアミノ酸置換Y189Q、R191K、Q193R、H264R、I266L、及びD267Qを有するヒトTRAIL突然変異体を含有してよく、又はvan der Sloot et al.(前記参照)の表2において見出されてよく、かつ次の1個のアミノ酸置換D269Hを有する、次の2個のアミノ酸置換D269H及びE195Rを有する、もしくはD269H及びT214Rを有するヒトTRAIL突然変異体を含有してよい。
【0027】
従って好ましい一実施態様は、本明細書において記載されている融合タンパク質であり、その際構成成分(i)は、TRAILR1及び/又はTRAILR2を結合かつ/又は活性化するTRAILの又はそれらの受容体結合ドメインの突然変異体を含有する。
【0028】
本明細書において記載されているTRAILの又は受容体結合ドメインの突然変異体を含有する融合タンパク質の好ましい一実施態様は、構成成分(i)が、少なくとも1つのアミノ酸置換を含有する融合タンパク質である。
【0029】
かかるアミノ酸置換は、次のヒトTRAIL(配列番号34)のアミノ酸の位置:R130、G160、Y189、R191、Q193、E195、N199、K201、Y213、T214、S215、H264、I266、D267、D269の少なくとも1つに影響を及ぼす。
【0030】
かかるアミノ酸置換は、R130E、G160M、Y189A、Y189Q、R191K、Q193S、Q193R、E195R、N199V、N199R、K201R、Y213W、T214R、S215D、H264R、I266L、D267Q、D269H、D269R、又はD269Kの少なくとも1つである。
【0031】
構成成分(ii)は、構成成分(i)と(iii)との間に位置する可撓性リンカー要素である。有利には、該可撓性リンカー要素は、長さ5〜20のアミノ酸、特に長さ6、9、12、15又は18のアミノ酸を有する。該リンカー要素は、有利には、グリシン/セリンリンカー、すなわち実質的にアミノ酸のグリシン及びセリンからなるペプチドリンカーである。特に好ましい一実施態様において、該リンカーは、アミノ酸配列(GSS)a(SSG)b(GS)c(S)dを有し、その際a、b、c、dは、それぞれ0、1、2、3、4、又は5である。特定のリンカー配列の例は、GSS GSS GSS GS(a=3 b=0,b=0,c=1;d=0)(配列番号19の161〜171のアミノ酸、もしくは配列番号20の182〜192のアミノ酸を参照)、又はSSG SSG SSG S(a=0;b=3,c=0;d=1)である。TNFスーパーファミリーのサイトカイン又はそれらの受容体結合ドメインが、G、例えばヒトTRAIL(配列番号34)で既に終了する場合においては、かかるGが、リンカー配列(GSS)a(SSG)b(GS)c(S)d(配列番号20のアミノ酸182を参照)における該リンカーの最初のGを形成してよいことが、当業者に明らかである。
【0032】
構成成分(iii)は、フィブリチン三量体化ドメイン、特にバクテリオファージのフィブリチン三量体化ドメイン、よりいっそう詳述すればバクテリオファージT4、又は関連したバクテリオファージ、例えばT(表2において示されるバクテリオファージ又はファージRB69もしくはファージAR1でさえも)からのフィブリチン三量体化ドメインである。T4フィブリチン三量体化ドメインは、例えば、US 6,911,205号又はWO 01/19958号の、本明細書において参照によって組み込まれる内容において記載されており、かつ配列番号23の配列を有する。RB69フィブリチン三量体化ドメインは、配列番号24の配列を有する。
【0033】
より好ましくは、構成成分(iii)は、アミノ酸配列(G)YIPEAPRDGQ AYVRKDGEWV LLSTFL(配列番号8、又は配列番号23の458〜484もしくは459〜484のアミノ酸)、又はそれらに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有する配列変異体を含有する。好ましい配列変異体の例は、表3において示されている。
【0034】
より好ましくは、構成成分(iii)は、アミノ酸配列(G)YIEDAPSDGKFYVRKDGAWVELPTA(配列番号9、又は配列番号24の455〜480もしくは456〜480のアミノ酸)、又はそれらに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有する配列変異体を含有する。
【0035】
さらに、構成成分(iii)は、20から30までのアミノ酸の長さを有することが好ましい。
【0036】
本発明の融合タンパク質において、構成成分(i)は、構成成分(iii)のN−末端に位置することが好ましい。しかしながら、本発明は、構成成分(iii)が、構成成分(i)のN−末端に位置する実施態様にも関する。前記の構成成分(i)及び(iii)は、互いに直接側面に位置してよく、又は例えば本明細書において記載されている(例えば配列番号19及び20を参照)リンカー配列によって分けられてよい。
【0037】
前記の融合タンパク質は、好適な宿主細胞中の処理、例えば細胞外分泌物を可能にする、N−末端シグナルペプチドドメインを付加的に含有してよい。有利には、N−末端シグナルペプチドドメインは、プロテアーゼ、例えばシグナルペプチダーゼ開裂部位を含有し、かつ従って発現後又は発現中に除去されて、成熟タンパク質を得てよい。さらに、該融合タンパク質は、認識/精製ドメイン、例えばFLAGドメイン、Strep−タグドメイン及び/又はポリ−Hisドメインを含んでよい、又は該ドメインに連結してよい、例えば1〜50、有利には10〜30のアミノ酸の長さを有する、C−末端可撓性要素を付加的に含有してよい。
【0038】
本発明の特定の融合タンパク質の例は、配列番号1、19、及び20である。
【0039】
本発明の他の側面は、本発明において記載されている融合タンパク質をコードする核酸分子に関する。該核酸分子は、DNA分子、例えば二本鎖もしくは一本鎖DNA分子、又はRNA分子であってよい。該核酸分子は、有利には融合タンパク質のN−及び/又はC−末端に位置する分泌又は精製のための単独の配列又は他の異形アミノ酸タンパク質を含有してよい、融合タンパク質又はそれらの前駆体、例えば融合タンパク質のプロ体又はプロプレ体をコードしてよい。異形アミノ酸タンパク質は、プロテアーゼ開裂部位、例えば第Xa因子、トロンビン又はIgAプロテアーゼ開裂部位を介して最初の及び/又は二番目のドメインに連結されてよい。
【0040】
本発明の特定の核酸配列の例は、配列番号2、21、及び22である。
【0041】
前記核酸分子は、発現調節配列、例えば所望の宿主細胞中で核酸分子の発現を可能にする発現調節配列に作動的に連結されてよい。該核酸分子は、ベクター、例えばプラスミド、バクテリオファージ、ウイルス性ベクター、染色体組込みベクター等の上に置かれてよい。好適な発現調節配列及びベクターの例は、例えばSambrook et al.(1989)Molecular Cloning,A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press、及びAusubel et al.(1989)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、又はそれらの最新版によって記載されている。
【0042】
種々の発現ベクター/宿主細胞形は、本発明の融合タンパク質をコードする核酸配列を発現するために使用されてよい。好適な宿主細胞は、制限されることなく、バクテリア、例えば大腸菌のような原核細胞、酵母菌、昆虫細胞、植物細胞、又は動物細胞、有利には哺乳動物細胞、及びより有利にはヒト細胞のような真核宿主細胞を含む。
【0043】
さらに、本発明は、前記に記載されている核酸分子で形質転換又は形質移入された非ヒト生物に関する。かかる遺伝子導入生物は、相同組換えを含む遺伝子導入の公知の方法によって生成されてよい。
【0044】
全て本明細書において記載されている、前記の融合タンパク質、そのためにコードするそれぞれの核酸、形質転換又は形質移入された細胞、並びに三量体複合体又は三量体複合体のオリゴマーは、医薬の、診断の及び/又は研究の用途のために使用されてよい。
【0045】
本発明の他の側面は、活性剤として、全て明細書において記載されている、少なくとも1つの融合タンパク質、そのためにコードする少なくとも1つのそれぞれの核酸分子、少なくとも1つの形質転換又は形質移入された細胞、並びに少なくとも1つの三量体複合体又は三量体複合体のオリゴマーを含有する、医薬又は診断組成物に関する。
【0046】
全て明細書において記載されている、少なくとも1つの融合タンパク質、そのためにコードする少なくとも1つのそれぞれの核酸分子、少なくとも1つの形質転換又は形質移入された細胞、並びに少なくとも1つの三量体複合体又は三量体複合体のオリゴマーは、療法において、例えばTNFサイトカインの機能不全によって生じる、TNFサイトカインの機能不全に関連する、及び/又はTNFサイトカインの機能不全に附随する疾患、特に腫瘍のような増殖性疾患、例えば充実性腫瘍又はリンパ腺腫瘍;感染症;炎症性疾患;代謝疾患;自己免疫異常、例えばリウマチ及び/又は関節疾患;変性疾患、例えば多発性硬化症のような神経組織変性疾患;アポトーシス関連性疾患、又は移植拒絶反応の予防及び/又は治療において、使用されてよい。
【0047】
本明細書において使用される"TNFサイトカインの機能不全"という用語は、TNFサイトカインの通常の機能又は発現、例えばTNF遺伝子又はタンパク質の過剰発現、前記TNFサイトカインの通常の生理学的発現レベルと比較してTNFサイトカイン遺伝子又はタンパク質の低減又は破壊させた発現、前記TNFサイトカインの通常の生理学的発現レベルと比較して、TNFサイトカインの増強させた活性、TNFサイトカインの低減又は破壊させた活性、TNFサイトカインとあらゆる結合相手との、例えば受容体、特にTRAIL受容体又は他のサイトカイン分子との増強させた結合、TNFサイトカインとあらゆる結合相手との、例えば受容体、特にTRAIL受容体又は他のサイトカイン分子との低減又は破壊させた結合から逸脱するTNFサイトカインのあらゆる機能又は発現として理解されるべきである。
【0048】
前記の組成物は、単剤療法として、又は他の薬剤、例えば細胞増殖抑制剤もしくは化学療法薬、コルチコステロイド及び/又は抗生物質との併用療法として投与されてよい。
【0049】
前記融合タンパク質は、特定の条件の治療のために好適な手段による十分な投与量で、それらを必要とする被験者、特にヒトの患者に投与される。例えば、該融合タンパク質は、製剤学的に認容性のキャリヤー、希釈液及び/又は補助剤と共に医薬組成物として配合されてよい。治療の有効性及び毒性は、標準のプロトコルによって決定されてよい。該医薬組成物は、全身的に、例えば腹膜内に、筋肉内に、もしくは静脈内に、又は局所的に、例えば鼻腔内に、皮下に、もしくはクモ膜下に投与されてよい。静脈内投与が好ましい。
【0050】
投与される融合タンパク質の投与量は、もちろん、被験者の体重、病気のタイプ及び重さ、投与方法、及び処方医の判断に対して、治療されるべき被験者に依存する。融合タンパク質の投与のために、0.001〜100mg/kgの日用量が好適である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1−A】ストレプタクチンアフィニティー精製hs95L−AT4のSEC分析を示す図。
【図1−B】SDS−PAGE銀染色によるhs95L−AT4のSEC画分の分析を示す図。
【図2】hs95L−AT4の天然の見かけの分子量の決定を示す図。
【図3】Jurkat細胞においてアポトーシスを誘発するSEC画分の電位によるhs95L−AT4のSEC画分の分析を示す図。
【図4】APG101によるhs95L−AT4誘発性アポトーシスの阻害を示す図。
【図5】Aは、ストレプタクチンアフィニティー精製hs95L−A69のSEC分析を示す図。Bは、SDS−PAGE銀染色によるSEC画分の分析を示す図。Cは、Jurkat細胞においてアポトーシスを誘発するSEC画分の電位によるhs95L−A69のSEC画分(Aで示される)の分析を示す図。
【図6】Aは、ストレプタクチンアフィニティー精製hsTRAIL−AT4のSEC分析を示す図。Bは、SDS−PAGE銀染色によるhsTRAIL−AT4のSEC画分の分析を示す図。Cは、Jurkat細胞においてアポトーシスを誘発するSEC画分の電位によるhsTRAIL−AT4のSEC画分(Aで示される)の分析を示す図。
【0052】
実施例
1.融合タンパク質の製造
次において、本発明の組換えタンパク質の基本的な構造を、ヒトのCD95リガンドの受容体結合ドメインのための例として示す。
【0053】
1.1 ポリペプチド構造
A)アミノ酸Met1〜Gly20
アミノ酸Gly20とGlu21との間のシグナルペプチダーゼ開裂部位を呈する、IgKappa−シグナルペプチド
B)アミノ酸Glu21〜Leu160
ヒトCD95リガンドの受容体結合ドメイン(CD95L;配列番号30の142〜281のアミノ酸)
C)アミノ酸Gly161〜Ser171
CD95Lと三量体化ドメインとの間の30Åまでの距離を提供する可撓性リンカー要素
D)アミノ酸Gly172〜Leu198
バクテリオファージT4−フィブリチンの三量体化ドメイン(配列番号23の458〜484のアミノ酸)
E)アミノ酸Ser199〜Lys222
6xHis−StrepタグIIモチーフを有する可撓性成分。
【0054】
得られたタンパク質を、hs95L−AT4とした。
【0055】

【0056】
1.2 ポリペプチドをコードする遺伝子カセット
合成遺伝子を、好適な宿主細胞、例えば昆虫細胞又は哺乳動物細胞中で発現するためのそのコドン使用頻度を考慮して最適化してよい。
【0057】

【0058】
1.3 hs95L−AT4のクローニング法
前記の合成遺伝子を、Cpo−I/Hind−III加水分解によって導入プラスミドから切除し、かつ好適なベクター中にクローンを作る。
【0059】
C−末端のStrepタグ−IIのための配列コードは、例えば平滑末端カッターのEco47−III及びOli−Iでの同時の加水分解、及びベクターの再連結によって削除してよい。従って、終止コドンを、6xHistagの下流で、制限酵素の半分の部位の融合によって導入する。
【0060】
A)Eco47−III及びOli−Iでの加水分解前の前記カセットの3’末端

【0061】
B)加水分解及び再連結後の該カセットの3’末端

【0062】
合成遺伝子の配列:

【0063】
2.発現及び精製
a)hs95L−AT4のクローニング、発現及び精製
10%FBS、100unit/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンで補足したDMEM+GlutaMAX(GibCo)中で成長させたHek293T細胞を、hs95L−AT4のための発現カセットを含むプラスミドで瞬間的に形質移入した。組換えhs95L−AT4を含む細胞培養液の上清を、形質移入の3日後に回収し、そして300gで遠心分離して、引き続き0.22μmの滅菌フィルターを通して濾過することによって不純物を除去した。アフィニティー精製のために、ストレプタクチンセファロースを、カラム(ゲル層1ml)へ充填し、15mlの緩衝液W(100mMトリス−HCl、150mM NaCl pH8.0)で平衡化し、そして細胞培養液の上清を、4ml/minの流速で該カラムに適用した。続いて、該カラムを、15mlの緩衝液Wで洗浄し、そして結合したhs95L−AT4を、7x1mlの緩衝液E(100mMトリス−HCl、150mM NaCl、2.5mMデスチオビオチン pH8.0)の添加によって段階的に溶離した。溶離液の画分のタンパク質量を定量化し、そしてピークの画分を、限界濾過によって濃縮して、さらにサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって精製した。
【0064】
SECを、Superdex200カラム上でAktaクロマトグラフィーシステム(GE−ヘルスケア)を使用して実施した。該カラムを、リン酸緩衝食塩水で平衡化し、そして濃縮されたストレプタクチン精製hs95L−AT4を、0.5ml/minの流速でSECカラム上に置いた。280nmでの吸光度によって観測されたhs95L−AT4の溶離分布図は、13.85mlで顕著なタンパク質のピークを示した(図1A)。続いて、ピークの画分を、SDS−PAGE及び銀染色による変性条件下で分析した(図1B)。標準タンパク質での較正に基づいて、hs95L−AT4は、約30KDaで流れる。計算されたhs95L−AT4モノマーの理論的分子量は、22.4KDaである。SDS−PAGE後の約30KDaのより高い見かけの分子量は、有利には、hs95L−AT4の炭水化物の改質による。
【0065】
精製hs95L−AT4の見かけの分子量の決定のために、天然の条件下で、Superdex200カラムを、公知の分子量の標準タンパク質で装填した。標準タンパク質の溶離体積に基づいて、較正曲線を求め、そして精製hs95L−AT4の見かけの分子量を、hs95L−AT4の安定した三量体構造を示す90.3KDaであること決定した(図2;表4)。
【0066】
b)ヒトCD95L−A69(hs95L−A69)及びヒトTRAIL−AT4(hsTRAIL−AT4)のクローニング、発現及び精製
hs95L−A69−及びTRAIL−AT4−構成体のアミノ酸配列(配列番号19及び配列番号20)を、逆翻訳し、そしてそれらのコドン使用頻度を、哺乳動物の細胞を基礎とした発現のために最適化した。遺伝子合成を、ENTELECHON GmbH(Regensburg、Germany)によって行った。
【0067】
最終的に、hs95L−A69及びhsTRAIL−AT4−発現カセット(配列番号21及び配列番号22)を、プラスミドの特有のHind−Ill−及びNot−I−部位を使用して、pCDNA4−HisMax−主鎖(INVITROGEN)中にサブクローンした。
【0068】
hs95L−A69及びhsTRAIL−AT4タンパク質を、hsCD95L−AT4に関して記載された(2aを参照)、それぞれのcDNA−構成体をコードするプラスミドで瞬間的に形質移入させたHek293T細胞の組織培養液の上清から精製した。一時的に、組換え発現させたタンパク質を、ストレプタクチンアフィニティークロマトグラフィーを介して最初に精製した。二番目の工程において、アフィニティーピークの画分を、SECを介してさらに精製及び分析した(図5A及び6A)。精製タンパク質の純度を調べるために、続いて、SEC画分を、SDS−PAGE及び銀染色によって分析した(図5B及び6B)。SECからの記録を、加えて、それぞれのタンパク質の天然の見かけの分子量を決定するために使用した。
【0069】
3.アポトーシスのアッセイ
Jurkat A3の永久T細胞株での細胞アッセイを、種々のCD95リガンド(CD95L)構成体の活性を含むアポトーシスを決定するために使用した。Jurkat細胞を、フラスコ中で、10%FBS、100unit/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンで補足させたRPMI 1640培地+GlutaMax(GibCo)で育てた。アッセイの前に、100000個の細胞を、96−ウェル微量定量プレート中へウェル毎に播いた。ウェルへCD95Lを種々の濃度で添加し、続いて37℃で3時間インキュベートした。細胞を、溶解緩衝液(250mM HEPES、50mM MgCI2、10mM EGTA、5%Triton−x−100、100mM DTT、10mM AEBSF、pH7.5)を添加することによって溶解し、そしてプレートを30分間氷上に置いた。アポトーシスは、カスパーゼ3及びカスパーゼ7の増強させた活性によって平行する。従って、特定のカスパーゼ3/7基質Ac−DEVD−AFC(Biomol)の開裂を、アポトーシスの限界を決定するために使用した。実際に、カスパーゼ活性は、ヨウ化プロピジウム及びHoechst−33342での細胞の染色後に形態学的に決定されたアポトーシスの細胞の百分率と関係がある。カスパーゼ活性のアッセイのために、細胞溶解産物20μlを、黒い69−ウェル微量定量プレートへ移した。50mM HEPES、1%スクロース、0.1%CHAPS、50μM Ac−DEVD−AFC及び25mM DTT、pH7.5を含有する80μl緩衝液の添加後に、該プレートを、Tecan GeniosProの微量定量プレートリーダーに移し、そして蛍光強度の増強を、観測した(励起波長400nm、発光波長505nm)。例示的に、図3は、この細胞アポトーシスアッセイにおけるCD95リガンドhs95L−AT4のSEC画分のカスパーゼアッセイの導入を実証する。カスパーゼ活性の限界は、図1A及び1Bにおいて示されているSEC画分のhs95L−AT4含量とよく一致する。
【0070】
Jurkat A3の永久T細胞株での細胞アッセイを、hs95L−A69及びhsTRAIL−AT4活性を含むアポトーシスを決定するためにも使用した。Jurkat細胞(ウェル毎に100000細胞)を、リガンドで、3時間、37℃でインキュベートした。細胞を溶解し、そしてアポトーシス導入を、特定のカスパーゼ3/7基質Ac−DEVD−AFCの開裂の決定によって観測した。
【0071】
これらの見かけの分子量に基づいて、hs95L−A69及びhsTRAIL−AT4の双方の精製タンパク質を、発現し、そしてJurkat細胞上でアポトーシスを含む、安定した同一の三量体化タンパク質として精製した。第一級アミノ酸配列の塩基に対して計算された理論的分子量でSDS−PAGE及びSECによって決定された見かけの分子量を比較した要約を、表4に示す。
【0072】
このアポトーシスアッセイを、APG101の生物学的活性の決定のためにも使用した。APG101は、ヒトFcでヒトCD95−受容体(CD95リガンドの生体内での結合相手)の細胞外ドメインを含む融合タンパク質である。APG101は、リガンドと結合することによってCD95Lの効果を含むアポトーシスを拮抗する。CD95LのJurkat細胞への添加の前に、一定の濃度でのCD95Lを、30分間37℃で、APG101の種々の濃度でインキュベートした。APG101の効果の例を、図4で示す。CD95リガンドhs95L−AT4は、投与量依存法でカスパーゼ活性、APG101によって破壊された効果を含む。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
【表3】

【0076】
【表4】

【配列表フリーテキスト】
【0077】
配列番号1:hs95L−AT4
配列番号2:遺伝子カセット
配列番号3:合成構成物
配列番号4:加水分解前の3’末端
配列番号5:合成構成物
配列番号6:加水分解後の3’末端
配列番号7:合成遺伝子
配列番号8:T4 foldon
配列番号9:腸内細菌ファージRB69
配列番号10:ファージAR1
配列番号11:T4 foldon突然変異タンパク質
配列番号12:T4 foldon突然変異タンパク質
配列番号13:T4 foldon突然変異タンパク質
配列番号14:T4 foldon突然変異タンパク質
配列番号15:T4 foldon突然変異タンパク質
配列番号16:T4 foldon突然変異タンパク質
配列番号17:T4 foldon突然変異タンパク質
配列番号18:T4 foldon突然変異タンパク質
配列番号19:hs95L−A69
配列番号20:hsTRAIL−AT4
配列番号21:hs95L−A69
配列番号22:hsTRAIL−AT4
配列番号23:腸内細菌ファージT4
配列番号24:腸内細菌ファージRB69
配列番号25:ヒトLTA
配列番号26:ヒトTNFa
配列番号27:ヒトLTA及びヒトLTB
配列番号28:ヒトOX40L
配列番号29:ヒトCD40L
配列番号30:ヒトCD95L
配列番号31:ヒトCD27L
配列番号32:ヒトCD30L
配列番号33:ヒトCD137L
配列番号34:ヒトTRAIL
配列番号35:ヒトRANKL
配列番号36:ヒトTWEAK
配列番号37:ヒトAPRIL−1
配列番号38:ヒトAPRIL−2
配列番号39:ヒトBAFF
配列番号40:ヒトLIGHT
配列番号41:ヒトTL1A
配列番号42:ヒトGITRL
配列番号43:ヒトEDA−A1
配列番号44:ヒトEDA−A2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)TNF−スーパーファミリーサイトカイン又はそれらの受容体結合ドメイン、
(ii)構成成分(i)と(iii)との間の可撓性リンカー要素、及び
(iii)フィブリチン三量体化ドメイン
を含有する融合タンパク質。
【請求項2】
構成成分(i)が、CD95L、TRAIL、TNFα、またはそれらの受容体結合ドメインから選択される、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
構成成分(i)が、CD95L又はそれらの受容体結合ドメインである、請求項2に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
構成成分(i)が、ヒトCD95L(配列番号30)の142〜281又は144〜281のアミノ酸を含有する、請求項3に記載の融合タンパク質。
【請求項5】
構成成分(i)が、TRAIL又はそれらの受容体結合ドメインである、請求項2に記載の融合タンパク質。
【請求項6】
構成成分(i)が、ヒトTRAIL(配列番号34)の116〜281、118〜281又は120〜281のアミノ酸を含有する、請求項5に記載の融合タンパク質。
【請求項7】
構成成分(ii)が、5〜20のアミノ酸、特に6、9、12、15又は18のアミノ酸の長さを有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項8】
構成成分(ii)が、グリシン/セリンリンカーである、請求項7に記載の融合タンパク質。
【請求項9】
構成成分(ii)が、アミノ酸配列(GSS)a(SSG)b(GS)c(S)dを有し、その際a、b、c、dが、それぞれ0、1、2、3、4、又は5である、請求項8に記載の融合タンパク質。
【請求項10】
構成成分(iii)が、バクテリオファージフィブリチン三量体化ドメインである、請求項1から9までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項11】
構成成分(iii)が、バクテリオファージT4フィブリチン三量体化ドメインである、請求項10に記載の融合タンパク質。
【請求項12】
構成成分(iii)が、アミノ酸配列(G)YIPEAPRDGQ AYVRKDGEWV LLSTFL(配列番号23の458〜484又は459〜484のアミノ酸)、又はそれに対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含有する、請求項11に記載の融合タンパク質。
【請求項13】
構成成分(iii)が、バクテリオファージRB69フィブリチン三量体化ドメインである、請求項10に記載の融合タンパク質。
【請求項14】
構成成分(iii)が、アミノ酸配列G)YIEDAPSDGKFYVRKDGAWVELPTA(配列番号24の455〜480又は456〜480のアミノ酸)、又はそれに対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含有する、請求項13に記載の融合タンパク質。
【請求項15】
構成成分(i)が、構成成分(iii)のN−末端に位置する、請求項1から14までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項16】
構成成分(iii)が、構成成分(i)のN−末端に位置する、請求項1から14までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項17】
プロテアーゼ開裂部位を含有してよい、N−末端シグナルペプチドドメインを付加的に含有する、請求項1から16までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項18】
認識/精製ドメインを有する、かつ/又は該ドメインに連結してよい、C−末端可撓性成分を付加的に含有する、請求項1から17までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項19】
三量体複合体又は三量体複合体のオリゴマーとして存在する、請求項1から18までのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項20】
前記の複合体が、3個の同一の融合タンパク質からなる、請求項19に記載の融合タンパク質。
【請求項21】
請求項1から18までのいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする核酸分子。
【請求項22】
配列番号2、配列番号21、又は配列番号22の配列を含む、請求項21に記載の核酸分子。
【請求項23】
発現調節配列と作動的に連結する、請求項21又は22に記載の核酸タンパク質。
【請求項24】
ベクター上に位置する、請求項21から23までのいずれか1項に記載の核酸タンパク質。
【請求項25】
請求項21から24までのいずれか1項に記載の核酸分子で形質転換又は形質移入された細胞。
【請求項26】
原核細胞である、請求項25に記載の細胞。
【請求項27】
真核細胞、有利には、哺乳動物細胞、及びより有利にはヒト細胞である、請求項25に記載の細胞。
【請求項28】
請求項21から24までのいずれか1項に記載の核酸分子で形質転換又は形質移入された非ヒト生物。
【請求項29】
活性剤として、請求項1から20までのいずれか1項に記載の融合タンパク質、もしくは請求項21から24までのいずれか1項に記載の核酸分子、又は請求項25から27までのいずれか1項に記載の細胞を含有する、医薬組成物。
【請求項30】
活性剤として、請求項1から20までのいずれか1項に記載の融合タンパク質、もしくは請求項21から24までのいずれか1項に記載の核酸分子、又は請求項25から27までのいずれか1項に記載の細胞を含有する、診断組成物。
【請求項31】
療法における使用のための、請求項1から20までのいずれか1項に記載の融合タンパク質、もしくは請求項21から24までのいずれか1項に記載の核酸分子、又は請求項25から27までのいずれか1項に記載の細胞。
【請求項32】
TNFサイトカインの機能不全によって生じる、TNFサイトカインの機能不全に関連する、及び/又はTNFサイトカインの機能不全に附随する疾患、特に腫瘍のような増殖性疾患、例えば充実性腫瘍又はリンパ腺腫瘍;感染症;炎症性疾患;代謝疾患;自己免疫異常、例えばリウマチ及び/又は関節疾患;変性疾患、例えば多発性硬化症のような神経組織変性疾患;アポトーシス関連性疾患、又は移植拒絶反応の予防及び/又は治療における医薬組成物の製造のための、請求項1から20までのいずれか1項に記載の融合タンパク質、もしくは請求項21から24までのいずれか1項に記載の核酸分子、又は請求項25から27までのいずれか1項に記載の細胞の使用。

【図1−A】
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【図1−B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−501191(P2010−501191A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525967(P2009−525967)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007517
【国際公開番号】WO2008/025516
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(505360362)アポゲニクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (8)
【氏名又は名称原語表記】Apogenix GmbH
【住所又は居所原語表記】Im Neuenheimer Feld 584,D−69120 Heidelberg,Germany
【Fターム(参考)】