説明

TNFSF一本鎖分子

本発明は、3つの可溶性TNFスーパーファミリー(TNFSF)サイトカインドメインを含む一本鎖融合タンパク質と、これらの融合タンパク質をコードする核酸分子とに関する。これらの融合タンパク質は実質的に非凝集性であり、治療用、診断用および/または研究用の適用に適している。本発明はさらに、本明細書に記載の融合タンパク質をコードする核酸分子と、本明細書に記載の核酸分子で形質転換または形質移入された細胞または非ヒト生物とにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3つの可溶性TNFスーパーファミリー(TNFSF)サイトカインドメインを含む一本鎖融合タンパク質と、これらの融合タンパク質をコードする核酸分子とに関する。これらの融合タンパク質は実質的に非凝集性であり、治療用、診断用および/または研究用の適用に適している。
【背景技術】
【0002】
TNFSFサイトカインの三量体化(例えば、CD95リガンド(CD95L))は、効率的な受容体結合および活性化に必要であることが公知である。しかし、TNFスーパーファミリーサイトカインの三量体複合体は、組換え体モノマー単位から調製するのが困難である。
【0003】
特許文献1および特許文献2は、TNFサイトカインおよび多量体化コンポーネント、とりわけC1qタンパク質ファミリーのタンパク質またはコレクチンを含む組換え体融合タンパク質を開示する。しかし、これらの融合タンパク質の不利な点は、三量体化ドメインが通常、大きな分子量を有すること、および/または三量体化がかなり効率が悪いことである。
【0004】
非特許文献1は、TNFサイトカインの三量体が、N末端に位置する安定化モチーフによって安定化されると記載している。CD95Lでは、おそらく、細胞質膜の近くに位置するN末端アミノ酸ドメインによって、受容体結合ドメイン三量体の安定化が引き起こされる。
【0005】
特許文献2は、N末端に位置する人工のαヘリックスコイルドコイル(ロイシンジッパー)モチーフによって、CD95Lの受容体結合ドメインが安定化されうると記載している。しかし、ポリペプチド鎖の相互に対する方向性(例えば、並列方向または逆平行方向)はほとんど予測できないことが見出された。さらに、コイルドコイルジッパーモチーフにおける、7アミノ酸繰り返しの最適な数は決定が困難である。加えて、コイルドコイル構造は、pHおよび/またはイオン強度の変化の後に高分子凝集体を形成する傾向を有する。
【0006】
特許文献3は、細胞性受容体の細胞外リガンド結合ドメインに結合する一本鎖オリゴマーポリペプチドであって、少なくとも3つの受容体結合部位を含み、該結合部位のうち、少なくとも1つが細胞性受容体のリガンド結合ドメインに結合でき、少なくとも1つが細胞性受容体のリガンド結合ドメインに効果的に結合できず、それによって、一本鎖オリゴマーポリペプチドが受容体に結合できるが、受容体を活性化できない、ポリペプチドに関する。例えば、単量体は、TNFファミリー、とりわけTNF−αのサイトカインリガンドに由来するものである。
【0007】
特許文献4は、TNFファミリーリガンドメンバーのうち少なくとも3つの単量体と、該TNFリガンドファミリーメンバーの単量体を相互に連結する少なくとも2つのペプチドリンカーとを含む一本鎖融合ポリペプチドを開示する。しかし、最近の実験は、これらの一本鎖融合ポリペプチドが望ましくない凝集を示すことを示した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第01/49866号
【特許文献2】国際公開第02/09055号
【特許文献3】国際公開第01/25277号
【特許文献4】国際公開第2005/103077号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Schneiderら、J Exp Med、187巻(1989年)、1205〜1213頁
【非特許文献2】Shiraishiら、Biochem Biophys Res Commun、322巻(2004年)、197〜202頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、凝集に関する良好な安定性を併せもつ効率的な組換え製造を可能にする、少なくとも3つのTNFサイトカインドメインを含む一本鎖融合タンパク質を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
(i)第1の可溶性TNFファミリーサイトカインドメイン、
(ii)第1のペプチドリンカー、
(iii)第2の可溶性TNFファミリーサイトカインドメイン、
(iv)第2のペプチドリンカー、および
(v)第3の可溶性TNFファミリーサイトカインドメイン
を含み、実質的に非凝集性である、一本鎖融合ポリペプチドに関する。
【0012】
本発明はさらに、本明細書に記載の融合タンパク質をコードする核酸分子と、本明細書に記載の核酸分子で形質転換または形質移入された細胞または非ヒト生物とにも関する。
【0013】
本発明は、本明細書に記載の融合タンパク質、核酸分子、または細胞を活性薬として含む医薬組成物または診断用組成物にも関する。
【0014】
本発明は、治療における使用のため、例えば、TNFSFサイトカインの機能障害によって引き起こされる、これに関連する、および/またはこれに伴う障害、とりわけ、腫瘍、例えば固形もしくはリンパ腫瘍などの増殖性障害;感染症;炎症性疾患;代謝病;自己免疫障害、例えば、リウマチ様および/もしくは関節炎疾患;変性疾患、例えば、多発性硬化症などの神経変性疾患;アポトーシス関連疾患または移植拒絶反応の予防および/または治療における医薬組成物を調製するための、本明細書に記載の融合タンパク質、核酸分子、または細胞の使用のための、本明細書に記載の融合タンパク質、核酸分子、または細胞にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一本鎖融合ポリペプチドのドメイン構造を示す図である。I.、II.、III.可溶性TNFファミリーサイトカインドメイン。
【図2】図2は、TNF−SFタンパク質の一般構造を表す模式図である。■■■細胞膜、N末端は細胞内に位置する。1.逆平行βフォールディングされた受容体結合ドメイン(RBD)、2.RBDと細胞膜との境界面、3.プロテアーゼ切断部位。
【図3】図3は、非変性TNF−SF三量体の構造を表す模式図である。円柱構造はRBDを表し、N末端がRBDを細胞膜に連結している。
【図4】図4は、TNFサイトカインの受容体結合ドメインを含む3つの可溶性ドメインの構造を表す模式図である。I.、II.、III.可溶性TNFファミリーサイトカインドメイン。
【図5】図5は、3つの可溶性ドメインのNおよびC末端が表面を形成することを特徴とする、TNFサイトカインのRBDを含む可溶性ドメインの三量体化を示す図である。
【図6】図6は、ストーク領域のすべてまたは一部を含む一本鎖TNF−SFの構造を表す模式図である。この図は、次の可溶性ドメインのN末端までの距離を埋め合わせるのに、より長いリンカーが必要であることを示す。
【図7】図7は、当技術分野で公知のscFv−TNF−SF融合タンパク質を示す図である。
【図8】図8は、当技術分野で公知のFc−TNF−SF融合タンパク質を示す図である。
【図9】図9Aは、追加のFab抗体断片を含む一本鎖融合ポリペプチドを示す図であり、図9Bは、追加のscFv抗体断片を含む一本鎖融合ポリペプチドを示す図である。
【図10】図10は、ジスルフィド架橋を介した、2つのN末端融合scFc融合ポリペプチドの二量体化を示す図である。
【図11】図11は、ジスルフィド架橋を介した、2つのC末端融合scFc融合ポリペプチドの二量体化を示す図である。
【図12】図12は、リンカーを介した一本鎖融合ポリペプチドの二量体化を示す図である。
【図13】図13は、第2の融合ポリペプチドに、またはscFv融合ポリペプチドにさらに融合している追加Fab抗体断片を含む一本鎖融合ポリペプチドを示す図である。
【図14】図14は、ジスルフィド架橋を介した2つのscFab融合ポリペプチドの二量体化を示す図である。
【図15】図15は、Fvおよび/またはFab抗体断片をさらに含む、N末端融合したscFc融合ポリペプチドを示す図である。
【図16】図16は、Fvおよび/またはFab抗体断片をさらに含む、C末端融合したscFc融合ポリペプチドを示す図である。
【図17】図17は、組換え発現および精製されたTNF−SFメンバーの非変性条件下でのSEC分析を示す図である。Superdex200カラムにおける、精製TNF−SFメンバーの非変性条件下(例えば:PBS、pH7.4)での2通りのSEC分析が例として示されている。図は、溶離容積(ml)に対してプロットした280nm(mAU)の吸光度を示す。黒塗りの矢は、規定の可溶性三量体TNF−SFタンパク質を含有する画分の溶離ピークを示す。三角形は、オリゴマー化TNF−SFの溶離ピークを示す。白抜きの矢は、分離するには大き過ぎる(>800kDa)タンパク質−凝集体を含有する、SECカラムのボイド容積を示す。図17A:TNF−SFタンパク質凝集。図Aは、多量のオリゴマー化/凝集タンパク質を含有する(ボイド容積における多量のタンパク質の溶出および多量のオリゴマータンパク質によって示される)TNF−SFタンパク質調製物の分析を例として示す。図17B:TNF−SFタンパク質規定可溶性タンパク質。図Bは、規定の可溶性タンパク質をほとんど専ら含有する(ボイド容積で溶出するタンパク質の不在およびオリゴマーとして溶出するタンパク質が極めて限定的な量であることによって示される)TNF−SFタンパク質調製物の分析を例として示す。
【図18】図18は、組換え発現およびアフィニティー精製されたFab−scTRAILR2−SSSSのSEC分析を示す図である。
【0016】
PBS、pH7.4を用いた、Superdex200カラムにおけるFab−scTRAILR2−SSSSのSEC分析。図は、溶離容積(ml)に対してプロットした280nm(mAU)の吸光度を示す。タンパク質は、68kDaの見かけのMWに対応する14.56mlの溶離容積で明確なピークとして溶出する。オリゴマー化/凝集タンパク質を示す、保持容積がより小さい追加のタンパク質ピークは観察できなかった。
【図19】図19は、組換え発現およびアフィニティー精製されたFab−scTRAILR2−SNSNのSEC分析を示す図である。
【0017】
PBS、pH7.4を用いた、Superdex200カラムにおけるFab−scTRAILR2−SNSNのSEC分析。図は、溶離容積(ml)に対してプロットした280nm(mAU)の吸光度を示す。タンパク質は、87kDaの見かけのMWに対応する14.12mlの溶離容積で明確なピークとして溶出する。オリゴマー化/凝集タンパク質を示す、保持容積がより小さい追加のタンパク質ピークは観察できなかった。
【図20】図20は、組換え発現およびアフィニティー精製されたFab−scTRAILwt−SNSNのSEC分析を示す図である。
【0018】
PBS、pH7.4を用いた、Superdex200カラムにおけるFab−scTRAILwt−SNSNのSEC分析。図は、溶離容積(ml)に対してプロットした280nm(mAU)の吸光度を示す。タンパク質は、94kDaの見かけのMWに対応する13.99mlの溶離容積で明確なピークとして溶出する。12.00mlにおける小さな追加のタンパク質ピークを観察することができた。このピークの見かけのMwは約270kDaに対応しており、Fab−scTRAILwt−SNSNの規定の三量体化を示す。12.00mlにおけるピークの総タンパク質量は、総タンパク質の<3%に相当する。分析されたFab−scTRAILwt−SNSNの97%超は、規定の可溶性状態(3つの受容体結合モジュールの正しいアセンブリ)にある。28kDaのMWに対応する16.12mlのピークはFab軽鎖ポリペプチドを含有し、ピーク面積の分析には含まれなかった。
【図21】図21は、ヒトscTRAILリンカーグリコシル化を示す図である。
【0019】
図21A。一本鎖TRAILコンストラクトの受容体結合モジュールを連結するのに使用されたリンカー(複数可)のアミノ酸配列。Gly281はそれぞれの受容体結合モジュールの最後のアミノ酸をコードし、配列GSGN/SGN/SGSはリンカー配列をコードし、Arg121は後続のTRAIL受容体結合ドメインの最初のアミノ酸をコードする。設計されたリンカー配列は、示されている1または2の位置に、2カ所の推定上のN結合型グリコシル化部位を含有する。これらの位置で、示されているように配列を変えた(バージョンI、II、III)。
【0020】
図21B。リンカー位置の組合せ:scTRAIL分子は、示されているようにリンカー1およびリンカー2で連結された3つの相同体モジュール(灰色の円筒)を含有する。2つのリンカーのそれぞれが、「A」に記載の通り、N結合型グリコシル化用に設計できる。リンカーのすべての可能な組合せを含有する9つの異なったタンパク質の完全なセットを、リンカー1および2についてBに示されている配列に基づいて設計できる(これらのうち6つのタンパク質が発現された−「C」を参照)。
【0021】
図21C。グリコシル化への様々なリンカー配列の影響をテストするために発現されたscTRAILコンストラクトの用語体系。
【図22】図22は、組換え体scTRAILコンストラクトのウェスタンブロット分析を示す図である。
【0022】
様々なリンカー配列を有する一本鎖TRAILタンパク質を組換え発現し、SDS−PAGEによって分離し、PVDF膜に転写した。結合したタンパク質は、Strep−Tagを認識するマウスモノクローナル抗体と、それに続くペルオキシダーゼ結合二次抗マウス抗体とで検出した。示されているように様々なTRAIL変異体を添加した。scTRAIL−リンカー変異体の異なったグリコシル化を示すMWシフトに留意されたい。
【図23】図23は、scCD95L(配列番号27)を一時発現しているHEK293細胞の細胞培養上清の収集、および様々な濃度におけるJurkat細胞の刺激への使用を示す図である。上清は、さらなる改変なしに直接用いるか、scCD95Lタンパク質を架橋するために抗Streptag抗体(2μg/ml)が添加された。Jurkat細胞をHEK293細胞培養上清と共に37°で3時間インキュベートし、溶解し、カスパーゼ活性について分析した。架橋されたscCD95−Stを含有した細胞上清のみがJurkat細胞内のカスパーゼ活性を増大させた。これは、scCD95L単独では、アポトーシス促進性となりうる高次の凝集体を形成しないことを示す。
【図24】図24は、HEK293細胞の一時形質移入、他の真核細胞の安定的形質移入、または原核細胞を用いた発現によって、タンパク質scCD95L(配列番号27)を産生できることを示す図である。組換え体タンパク質は、StrepTactinセファロースマトリックスを用いることによってアフィニティー精製できる。結合したタンパク質は、デスチオビオチンを含有するバッファーで溶出できる。図2は、アフィニティー精製の溶出分画(レーン1〜5;分画2は陽性である)の銀染されたSDS−PAGEを示す。scCD95Lを含有する溶出分画をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)に添加することができた。タンパク質はわずかな凝集体含有量しか示さないことが期待される。
【図25】図25は、様々なリンカー(配列番号28に由来する)を有する一本鎖TRAILタンパク質を一時発現するHEK293細胞の細胞培養上清の収集、および様々な希釈率でのJurkat細胞の刺激(例として、この図では1:8希釈が示されている)を示す図である。上清は、さらなる改変なしに直接用いるか、scTRAILタンパク質を架橋するために抗Streptag抗体(2μg/ml Strep MAB Immo)が添加された。Jurkat細胞をHEK293細胞培養上清と共に37°で3時間インキュベートし、溶解し、カスパーゼ活性について分析した。架橋されたscTRAILwtタンパク質を含有した細胞培養上清は、Jurkat細胞におけるカスパーゼ活性の増大を誘導した。これは、scTRAILwtタンパク質単独では、アポトーシス促進性でありうる高次の凝集体を低量しか形成しないことを示す。
【図26】図26は、scTRAILコンストラクトコンポーネントのモジュール継承が与える、Fab−scTRAIL融合タンパク質のそれらの発現速度への影響を示す図である。一時発現実験からのHEK293T細胞培養上清のウェスタンブロット。Fab−scTRAILタンパク質の形成に必要なポリペプチド鎖を別々に発現させたか(レーン1〜10)、代わりに、共発現実験を行った(レーン11〜13)。還元SDS−PAGEの後に、タンパク質をニトロセルロース膜に転写し、一次ABとして抗Streptag特異mABを用いて、Streptagを含有するタンパク質を検出した。軽鎖−scTRAIL(R2特異的)タンパク質は、付属の重鎖の非存在下でさえ分泌された(レーン1〜4)。対照的に、重鎖−scTRAIL(R2特異的)融合タンパク質は、付属の軽鎖の非存在下では分泌されなかった(レーン5〜8)。レーン13で例示されるように、重鎖−scTRAIL(R2特異的)融合タンパク質は、軽鎖の存在下でのみ分泌された。
【図27】図27は、様々なリンカーを有するscTRAILwt−Fc融合タンパク質を一時発現しているHEK293T細胞の細胞培養上清の収集、および様々な希釈率でのJurkat細胞の刺激への使用を示す図である。上清はさらなる改変なしに直接用いた(図XX−A)。Jurkat細胞をHEK293T細胞培養上清と共に37°で3時間インキュベートし、溶解し、カスパーゼ活性について分析した。scTRAILwt−Fc含有上清には、顕著なアポトーシス促進能が既に存在していた。これは、scTRAILwt−Fc融合タンパク質単独で、アポトーシス促進性となりうる二量体アセンブリを形成することを示す。
【図28】図28は、Fab−scTRAILコンストラクトがFab断片を介してHT1080細胞に結合し、それによって、scTRAILの細胞傷害性生理活性を増強することを示す図である。TNFスーパーファミリーの人工架橋されたリガンドまたは膜結合リガンドの使用は、可溶性のホモ三量体リガンドと比較して優れた生理活性を有することが周知である。したがって、一本鎖TRAIL(scTRAIL)コンストラクトを、これらのscTRAILタンパク質に融合したHer2選択的Fab断片(「パーツズマブ」)を介して、抗原Her2を発現する細胞上に局所濃縮することによって、それらの細胞傷害性生理活性が増強されるはずである。同様に、Her2特異的Fab断片(パーツズマブ−Fab)とのプレインキュベーションによる細胞上のHer2結合部位のブロッキングは、Fab−scTRAIL融合タンパク質の細胞傷害性生理活性を減少させるのみであるはずである。図28Aに示すように、タンパク質濃度の増大に従って生存率が低減するので、scTRAILコンストラクトはHT1080細胞の死を誘導する。これと一致して、HT1080細胞をFab断片(パーツズマブ−Fab)と共にプレインキュベーションし、続いてFab−scTRAILコンストラクト(Fab−scTRAILR2−SNSNまたはFab−scTRAILwt−SNSN)と共に一終夜インキュベーションすると、Fab−scTRAILコンストラクトの細胞傷害性活性を低減させ(図28B)、一方Fabのみでは細胞死を誘導しない(パーツズマブ−Fab)。これは、Fab−scTRAILコンストラクトがFab断片を介してHT1080細胞に結合し、それによって、scTRAILの細胞傷害性生理活性を増強することを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明によれば、2つのペプチドリンカーによって連結された少なくとも3つの可溶性TNFファミリーリガンドドメインを含む実質的に非凝集性の融合ポリペプチドが提供される。
【0024】
「非凝集性」という用語は、調製物中の単量体含有量が≧50%、好ましくは、≧70%、より好ましくは、≧90%であることを指す。単量体含有量と凝集体含有量との比率は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて凝集体形成の量を検査することによって決定できる。凝集に関する安定性は、様々な貯蔵条件下、例えば、4℃または25℃で、例えば、数日間から何日間か(a few to several days)、何週間、何カ月間か(weeks and months)までの特定の期間の後に、SECによって決定できる。融合タンパク質について、実質的に非凝集性と分類されるためには、4℃または25℃で、何日間か、例えば、10日間の期間の貯蔵の後に、単量体含有量が上記に特定した通りであることが好ましく、より好ましくは、この期間は、数週間、例えば、2、3、または4週間、最も好ましくは、数カ月間、例えば、2または3カ月間である。
【0025】
ヒトJurkat細胞上のscCD95Lの場合、例えばアポトーシス誘導能の増大はその凝集状態と相関するので、凝集に関する融合ポリペプチドの安定性も、融合ポリペプチドの生物活性を検査することによって決定できる。
【0026】
一本鎖融合ポリペプチドは、そのNおよび/またはC末端に位置してもよい追加のドメインを含みうる。追加の融合ドメインの例は、例えば、一本鎖抗体もしくは抗体断片もしくは他のターゲティング分子、またはさらに別のサイトカインドメイン(例えば、インターロイキン)である。
【0027】
一本鎖融合タンパク質は、TNFスーパーファミリーのサイトカインに由来する3つの可溶性ドメインを含む。それらの可溶性ドメインは、対立遺伝子変種および/またはその誘導体を含めた、哺乳動物、とりわけヒトのサイトカインに由来することが好ましい。可溶性ドメインは、膜局在ドメインの無い受容体結合ドメインを含めた、TNFSFサイトカインの細胞外部分を含む。TNFスーパーファミリーのタンパク質は、15〜30アミノ酸のN末端部分、いわゆるストーク領域を介して膜にアンカリングされている。ストーク領域は、三量体化に寄与し、細胞膜までの特定の距離をもたらす。しかし、ストーク領域は受容体結合ドメイン(RBD)の一部ではない。
【0028】
重要なことに、RBDは、そのNおよびC末端アミノ酸の特定の局在を特徴とする。前記アミノ酸は、すぐに側に隣接しており、三量体の軸に中心に位置している。RBDの最初のN末端アミノ酸は、RBDのC末端アミノ酸と逆平行β鎖を形成する(図2および3)。
【0029】
したがって、RBDの逆平行β鎖は、ストーク領域のアミノ酸を介して細胞膜中に連結およびアンカリングされている、細胞膜との境界面を形成する。一本鎖融合タンパク質の可溶性ドメインは、ストーク領域由来のいかなるアミノ酸も欠失しているTNF−SFサイトカインの受容体結合ドメインを含むことが極めて好ましい(図4および5)。さもなければ、1つの可溶性ドメインのC末端を次の可溶性ドメインのN末端に連結する長いリンカーが、次の可溶性ドメインのN末端ストーク領域を埋め合わせるのに必要であろう(図6)。これは、不安定性および/または凝集体の形成をもたらしうるであろう。
【0030】
そのような可溶性ドメインのさらに別の利点は、いかなる抗薬物抗体もRBDのNおよびC末端アミノ酸に接近できないことである。
【0031】
一本鎖融合ポリペプチドは、それぞれのサイトカイン受容体のための少なくとも1つの機能的結合部位を含む規則的三量体構造を形成できることが好ましい。
【0032】
融合ポリペプチドは、1、2または3つの機能的なサイトカイン受容体結合部位、すなわち、サイトカイン受容体と複合体を形成できるアミノ酸配列を含みうる。したがって、可溶性ドメインの少なくとも1つは、対応するサイトカイン受容体に結合できる。一実施形態では、可溶性ドメインの少なくとも1つは受容体を活性化でき、それによって、アポトーシス活性および/または増殖活性が作用されうる。さらに別の実施形態では、可溶性ドメインの1つまたは複数が受容体活性化できないものとして選択される。
【0033】
可溶性ドメインは、表1に示すように、TNFスーパーファミリーメンバー、例えば、ヒトTNFSF−1から−18およびEDA−A1から−A2、好ましくは、LTA(配列番号1)、TNFα(配列番号2)、LTB(配列番号3)、OX40L(配列番号4)、CD40L(配列番号5)、CD95L(配列番号6)、CD27L(配列番号7)、CD30L(配列番号8)、CD137L(配列番号9)、TRAIL(配列番号10)、RANKL(配列番号11)、TWEAK(配列番号12)、APRIL1(配列番号13)、APRIL2(配列番号14)、BAFF(配列番号15)、LIGHT(配列番号16)、TL1A(配列番号17)、GITRL(配列番号18)、EDA−A1(配列番号19)およびEDA−A2(配列番号20)に由来するものでありうる。それぞれのタンパク質の好ましい可溶性ドメインは、表1(NH−aaからCOOH−aa)に示されており、例えば、LTA(配列番号1)のアミノ酸59〜205、60〜205または64〜205、TNFα(配列番号2)のアミノ酸86〜233、LTB(配列番号3)のアミノ酸82〜244または86〜244、OX40L(配列番号4)のアミノ酸52〜183または55〜183、CD40L(配列番号5)のアミノ酸112〜261、117〜261または121〜261、CD27L(配列番号7)のアミノ酸51〜193または56〜193、CD30L(配列番号8)のアミノ酸97〜234、98〜234または102〜234、CD137L(配列番号9)のアミノ酸86〜254、RANKL(配列番号11)のアミノ酸161〜317、TWEAK(配列番号12)のアミノ酸103〜249、104〜249、105〜249または106〜249、APRIL1(配列番号13)のアミノ酸112〜247、APRIL2(配列番号14)のアミノ酸112〜250、BAFF(配列番号15)のアミノ酸140〜285、TL1A(配列番号17)のアミノ酸91〜251、93〜251または97〜251、GITRL(配列番号18)のアミノ酸52〜177、EDA−A1(配列番号19)のアミノ酸245〜391、EDA−A2(配列番号20)のアミノ酸245〜389を含む。
【0034】
可溶性ドメインは、CD95L、TRAILまたはLIGHT由来であることがより好ましい。特に好ましい実施形態では、可溶性ドメインは、ヒトCD95L、とりわけ配列番号6のアミノ酸144、145または146に始まり、とりわけアミノ酸144〜281、145〜281または146〜281を含むもの、またはヒトTRAIL、とりわけ、配列番号10のアミノ酸120〜122から始まり、とりわけアミノ酸120〜281、121〜281または122〜281を含むものから選択される。場合によって、配列番号6のアミノ酸Lys145が非荷電アミノ酸、例えばSerまたはGlyによって置き換えられていてもよい。場合によって、配列番号10のアミノ酸Arg121が非荷電アミノ酸、例えばSerまたはGlyによって置き換えられていてもよい。さらに別の好ましい実施形態では、可溶性ドメインは、ヒトLIGHT、とりわけ配列番号16のアミノ酸93、94または95から始まり、とりわけ配列番号16のアミノ酸93〜240、94〜240または95〜240を含むものから選択される。
【0035】
上述のように、可溶性ドメインは、配列番号1〜20に示す野生型配列を含みうる。しかし、これらの可溶性ドメインの1つまたは複数への突然変異、例えば、可溶性ドメインの結合特性を改変する(例えば、増大または低減する)突然変異の導入が可能であることに留意するべきである。一実施形態では、対応するサイトカイン受容体に結合できない可溶性ドメインを選択できる。そのような突然変異の例は、ヒトCD95L(配列番号6)のアミノ酸Y218の、別のアミノ酸、例えば、R、K、SまたはDによる置き換えである。さらに、他の細胞および/または細胞外コンポーネント、例えば、細胞外マトリックスへの結合を改変する突然変異を導入できる。そのような突然変異の例は、CD95L(配列番号6)のアミノ酸K177の、別のアミノ酸、例えば、E、DまたはSによる置き換えである。
【0036】
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、可溶性サイトカインドメイン(i)が、TRAIL受容体1(TRAILR1)および/またはTRAIL受容体2(TRAILR2)を結合および/または活性化するTNFスーパーファミリーサイトカインの突然変異体またはその受容体結合ドメインを含む。突然変異体の結合および/または活性は、例えば、van der Slootら(PNAS、2006年、103巻、8634〜8639頁)、Kelleyら(J. Biol. Chem.、2005年、280巻、2205〜2215頁)、またはMacFarlaneら(Cancer Res.、2005年、65巻、11265〜11270頁)に記載のアッセイによって測定できる。
【0037】
突然変異体は、当業者に公知の任意の技法、例えば、van der Slootら(PNAS、2006年、103巻、8634〜8639頁)、Kelleyら(J. Biol. Chem.、2005年、280巻、2205〜2215頁)、またはMacFarlaneら(Cancer Res.、2005年、65巻、11265〜11270頁)に記載の技法によって生成でき、任意のタイプの構造突然変異、例えば、アミノ酸の置換、欠失、複製および/または挿入を含みうる。好ましい実施形態は、置換の生成である。置換は、本明細書に記載のTNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインの少なくとも1つアミノ酸に作用しうる。好ましい実施形態では、置換は、TRAIL、例えばヒトTRAIL(例えば、配列番号10)のアミノ酸の少なくとも1つに作用しうる。この関連で好ましい置換は、配列番号10のヒトTRAILの以下のアミノ酸、すなわち、R130、G160、Y189、R191、Q193、E195、N199、K201、Y213、T214、S215、H264、I266、D267、D269のうちの少なくとも1つに作用する。配列番号10のヒトTRAILの好ましいアミノ酸置換は、以下の置換、すなわち、R130E、G160M、Y189A、Y189Q、R191K、Q193S、Q193R、E195R、N199V、N199R、K201R、Y213W、T214R、S215D、H264R、I266L、D267Q、D269H、D269R、またはD269Kのうちの少なくとも1つである。
【0038】
アミノ酸置換(複数可)は、TRAILR1またはTRAILR2のいずれかへの、またはこれらのいずれかにおける、TRAIL、例えばヒトTRAILの結合および/または活性に作用しうる。代わりに、アミノ酸置換(複数可)は、TRAILR1およびTRAILR2の両方への、またはこれら両方における、TRAIL、例えばヒトTRAILの結合および/または活性に作用しうる。TRAILR1および/またはTRAILR2の結合および/または活性は、正の作用、すなわち、受容体の、より強い、より選択的、もしくはより特異的な結合および/またはより大きな活性化を受けうる。代わりに、TRAILR1および/またはTRAILR2の結合および/または活性は、負の作用、すなわち、受容体の、より弱い、より非選択的、もしくはより非特異的な結合および/またはより小さな活性化を受けうるもしくはまったく活性化を受け得ない。
【0039】
TRAILR1およびTRAILR2の両方の結合および/または活性化に作用する本発明のアミノ酸置換(複数可)を有するTRAIL突然変異体の例は、例えば、MacFarlaneら(上記参照)の表1に見出されうるものであり、配列番号10の次の2アミノ酸置換:Y213WおよびS215D、または1アミノ酸置換:Y189Aを有するヒトTRAIL突然変異体を含みうる。
【0040】
TRAILR1の結合および/または活性化に作用する本発明のアミノ酸置換(複数可)を有するTRAIL突然変異体の例は、例えば、MacFarlaneら(上記参照)の表1に見出されうるものであり、配列番号10の次の4アミノ酸置換:N199V、K201R、Y213W、およびS215D、もしくは次の5アミノ酸置換:Q193S、N199V、K201R、Y213W、およびS215Dを有するヒトTRAIL突然変異体を含みうる、またはKelleyら(上記参照)の表2に見出されうるものであり、次の6アミノ酸置換:Y213W、S215D、Y189A、Q193S、N199V、およびK201R、もしくはY213W、S215D、Y189A、Q193S、N199R、およびK201Rを有するヒトTRAIL突然変異体を含みうる。
【0041】
TRAILR2の結合および/または活性化に作用する本発明のアミノ酸置換(複数可)を有するTRAIL突然変異体の例は、例えば、MacFarlaneら(上記参照)の表1もしくはKelleyら(上記参照)の表2に見出されうるものであり、配列番号10の次の6アミノ酸置換:Y189Q、R191K、Q193R、H264R、I266L、およびD267Qを有するヒトTRAIL突然変異体を含みうる、またはvan der Slootら(上記参照)の表2に見出されうるものであり、次の1アミノ酸置換:D269H、または次の2アミノ酸置換:D269HおよびE195RもしくはD269HおよびT214Rを有するヒトTRAIL突然変異体を含みうる。
【0042】
したがって、好ましい一実施形態は、本明細書に記載の融合タンパク質であって、可溶性ドメインの少なくとも1つが、TRAILR1および/またはTRAILR2を結合および/または活性化する、TRAILまたはその受容体結合ドメインの変異体を含む融合タンパク質である。
【0043】
TRAIL誘発性受容体凝集の低減を示すTRAIL突然変異体のさらに別の例は、H168(S、T、Q)、R170(E、S、T、Q)、およびH177(S、T)である。
【0044】
本明細書に記載のTRAILまたは受容体結合ドメインの突然変異体を含む融合タンパク質の好ましい一実施形態は、コンポーネント(i)が少なくとも1つのアミノ酸置換、とりわけ下記に示すものを含む融合タンパク質である。
【0045】
そのようなアミノ酸置換は、ヒトTRAIL(配列番号10)の次のアミノ酸位置:R130、G160、H168、R170、H177、Y189、R191、Q193、E195、N199、K201、Y213、T214、S215、H264、I266、D267、D269のうちの少なくとも1つに作用する。
【0046】
そのようなアミノ酸置換は、次のもの:R130E、G160M、H168(S、T、Q)、R170(E、S、T、Q)、H177(S、T)、Y189A、Y189Q、R191K、Q193S、Q193R、E195R、N199V、N199R、K201R、Y213W、T214R、S215D、H264R、I266L、D267Q、D269H、D269R、またはD269Kの少なくとも1つである。
【0047】
好ましいTRAIL−R2選択的ドメインは、アミノ酸置換Y189Q、R191K、Q193R、H264R、I266L、およびD267Qを含む。
【0048】
好ましいTRAIL−R1選択的ドメインは、アミノ酸置換Y189A、Q193S、N199V、K201R、Y213W、およびS215Dを含む。
【0049】
本発明の一本鎖融合分子は、3つの可溶性のサイトカインドメイン、すなわち、コンポーネント(i)、(iii)、および(v)を含む。本発明によれば、第2および/または第3の可溶性TNFスーパーファミリーサイトカインドメインが、アミノ酸配列突然変異を場合によって含むN末端短縮されたドメインである場合、驚いたことに、凝集に対する一本鎖TNFファミリーサイトカイン融合ポリペプチドの安定性が増強されることが見出された。したがって、第2および第3の可溶性TNFファミリーサイトカインドメインの両方が、N末端領域のアミノ酸配列突然変異を好ましくは可溶性サイトカインドメインのN末端の最初の5アミノ酸以内に場合によって含むN末端短縮されたドメインであることが好ましい。これらの突然変異は、中性アミノ酸、とりわけセリンまたはグリシンによる、荷電アミノ酸、例えば酸性または塩基性アミノ酸の置き換えを含みうる。
【0050】
それとは対照的に、第1の可溶性TNFファミリーサイトカインドメインの選択はそれほど重要ではない。ここでは、完全長N末端配列を有する可溶性ドメインを使用できる。しかし、第1の可溶性のサイトカインドメインもまた、N末端短縮され、場合によって突然変異導入された配列を有してもよいことに留意するべきである。
【0051】
本発明の好ましい実施形態では、可溶性TNFファミリーサイトカインドメイン(i)、(iii)、および(v)は、可溶性CD95Lドメイン、とりわけ可溶性ヒトCD95Lドメインである。第1の可溶性CD95Lドメイン(i)は、天然、短縮および/または突然変異導入配列から選択できる。第1のドメイン(i)のN末端配列は、例えば、ヒトCD95Lのアミノ酸Glu142とVal146との間で始まるものでありえ、Arg144および/またはLys145が中性アミノ酸によって、例えば、SerまたはGlyによって置き換えられていてもよい。しかし、第2および第3の可溶性のCD95Lドメイン(iii)および(v)は、短縮および/または突然変異導入配列から選択される。可溶性CD95Lドメイン(iii)および(v)のうち少なくとも1つは、ヒトCD95Lのアミノ酸Arg144とVal146との間で始まるN末端配列を有することが好ましく、ここで、Arg144および/またはLys145が中性アミノ酸によって、例えばSerまたはGlyによって置き換えられていてもよい。特に好ましい実施形態では、第2および第3の可溶性CD95Lドメインが、
(a)Arg144−(Gly/Ser)145−Val(146)
(b)(Gly/Ser)144−Lys145−Val(146)、および
(c)(Gly/Ser)144−(Gly/Ser)145−Val(146)
から選択されるN末端配列で始まる。
【0052】
さらに、CD95LドメインがヒトCD95Lのアミノ酸Leu281で終わることが好ましい。
【0053】
可溶性CD95Lドメインは、哺乳動物、例えばヒト野生型の配列を含みうる。しかし、特定の実施形態では、CD95L配列は、細胞外マトリックスへの結合の低減もしくは完全阻害をもたらす突然変異、例えば、位置Lys177における突然変異、例えば、Lys177→Glu、Asp、もしくはSer、ならびに/またはCD95L受容体への結合を低減および/もしくは阻害する突然変異、例えば、位置Tyr218における突然変異、例えば、Tyr218→Arg、Lys、Ser、Aspを含みうる。本発明の特定の実施形態では、3つの可溶性CD95Lモジュールの1つが、受容体結合の低減を有する配列変異体である。他の実施形態では、モジュールのうち2つが、受容体結合の低減をもたらす突然変異を含有する。
【0054】
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、可溶性TNFファミリーサイトカインドメイン(i)、(iii)、および(v)が可溶性TRAILドメイン、とりわけ可溶性ヒトTRAILドメインである。第1の可溶性TRAILドメイン(i)は、天然、短縮および/または突然変異導入配列から選択できる。したがって、第1の可溶性TRAILドメイン(i)は、ヒトTRAILのアミノ酸Glu116とVal122との間で始まりうるN末端配列を有し、Arg121が中性アミノ酸、例えば、SerまたはGlyによって置き換えられていてもよい。第2および第3の可溶性TRAILドメイン(iii)および(v)は、好ましくはヒトTRAILのアミノ酸Gly120とVal122との間で始まる短縮N末端配列を有し、Arg121が別のアミノ酸、例えば、SerまたはGlyによって置き換えられていてもよい。
【0055】
可溶性TRAILドメイン(iii)および(v)のN末端配列は、
(a)Arg121−Val122−Ala123、および
(b)(Gly/Ser)121−Val122−Ala123
から選択されることが好ましい。
【0056】
可溶性TRAILドメインは、ヒトTRAILのアミノ酸Gly281で終わることが好ましい。特定の実施形態では、TRAILドメインは、上述の通りの内部突然変異を含みうる。
【0057】
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、可溶性TNFファミリーサイトカインドメイン(i)、(iii)、および(v)が、可溶性LIGHTドメイン、とりわけ可溶性ヒトLIGHTドメインである。第1の可溶性LIGHTドメイン(i)は、天然、短縮および/または突然変異導入配列から選択できる。したがって、第1の可溶性のLIGHTドメイン(i)は、ヒトLIGHTのアミノ酸Glu91とAla95との間で始まりうるN末端配列を有する。第2および第3の可溶性LIGHTドメイン(iii)および(v)は、好ましくはヒトLIGHTのアミノ酸Pro94とAla95との間で始まる短縮N末端配列を有する。可溶性LIGHTドメインは、アミノ酸Val240で終わることが好ましい。
【0058】
一本鎖融合ポリペプチドのコンポーネント(ii)および(iv)は、コンポーネント(i)と(iii)の間または(iii)と(v)の間にそれぞれ位置するペプチドリンカーエレメントである。柔軟なリンカーエレメントは、3〜8アミノ酸の長さ、とりわけ、3、4、5、6、7または8アミノ酸の長さを有する。リンカーエレメントは、グリシン/セリンリンカー、すなわち、アミノ酸グリシンおよびセリンから実質的になるペプチドリンカーであることが好ましい。可溶性サイトカインドメインがSまたはGで終わる(C末端)場合、例えばヒトTRAILの場合、リンカーは、SまたはGの後で始まる。可溶性サイトカインドメインがSまたはGから始まる(N末端)場合、リンカーはこのSまたはGの前で終わる。
【0059】
リンカー(ii)およびリンカー(iv)が同じ長さのものである必要はないことに留意するべきである。潜在的な免疫原性を低減させるために、より短いリンカーの使用が好まれうる。加えて、より短いリンカーによって、凝集体を形成する傾向が低減している一本鎖分子がもたらされることが明らかになった。一方、本明細書に開示のものより実質的に長いリンカーは、好ましくない凝集特性を示しうる。
【0060】
望ましい場合には、リンカーは、グリコシル化部位Asn−Xaa−Serを形成しうるアスパラギン残基を含みうる。特定の実施形態では、リンカーの1つ、例えば、リンカー(ii)またはリンカー(iv)がグリコシル化部位を含む。他の実施形態では、両方のリンカー(iv)がグリコシル化部位を含む。scTNF−SFタンパク質の可溶性を増大させるため、および/または潜在的免疫原性を低減させるために、リンカー(ii)もしくはリンカー(iv)または両方がグリコシル化部位を含むことが好ましいことがありうる。
【0061】
好ましいリンカー配列は、GSGSGSGS(配列番号52)、GSGSGNGS(配列番号53)、GGSGSGSG(配列番号21)、GGSGSG(配列番号22)、GGSG(配列番号23)、GGSGNGSG(配列番号24)、GGNGSGSG(配列番号25)、およびGGNGSG(配列番号26)から選択される。
【0062】
融合タンパク質は、適した宿主細胞におけるプロセシング、例えば細胞外分泌を可能にするN末端シグナルペプチドドメインを追加して含みうる。N末端シグナルペプチドドメインは、プロテアーゼ切断部位、例えばシグナルペプチダーゼ切断部位を含み、それによって、成熟タンパク質を得るために、発現後または発現中に除去されうることが好ましい。さらに、融合タンパク質は、認識/精製ドメイン、例えば、FLAGドメイン、Strep−tagもしくはStrep−tag IIドメインおよび/またはポリHisドメインを含むか、これに連結した、例えば、1〜50、好ましくは10〜30アミノ酸の長さを有するC末端エレメントを追加して含みうる。
【0063】
さらに、融合ポリペプチドは、さらに別のドメイン、例えば、一本鎖抗体または抗体断片ドメインなどのターゲティングドメインをN末端および/またはC末端に追加して含みうる。適した抗体の特定の例は、EGFRファミリーメンバーに対する抗体などの抗腫瘍抗体である。他のターゲッティング分子の適した例は、インターロイキンなどのサイトカインである。
【0064】
本発明の特定の融合タンパク質の例は、配列番号27、28、29、43、45、47、49、および51である。
【0065】
本発明のさらに別の態様は、本明細書に記載の融合タンパク質をコードする核酸分子に関する。核酸分子は、DNA分子、例えば、二本鎖もしくは一本鎖DNA分子またはRNA分子でありうる。核酸分子は、融合タンパク質またはその前駆体、例えば、融合タンパク質のNおよび/またはC末端に位置することが好ましい分泌または精製用シグナル配列または他の異種アミノ酸部分を含みうる、融合タンパク質のプロ型もしくはプレプロ型をコードしうる。異種アミノ酸部分は、プロテアーゼ切断部位、例えば、活性化第X因子、トロンビンまたはIgAプロテアーゼ切断部位を介して第1および/または第2のドメインに連結されうる。
【0066】
本発明の特定の核酸配列の例は、配列番号30、31、32、44、46、48、および50である。
【0067】
核酸分子は、発現制御配列、例えば、所望の宿主細胞における核酸分子の発現を可能にする発現制御配列に作用性に連結されうる。核酸分子は、ベクター、例えば、プラスミド、バクテリオファージ、ウイルスベクター、染色体挿入型ベクターなどに配置されうる。例えば、適した発現制御配列およびベクターの例は、Sambrookら(1989年)、「Molecular Cloning, A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Press、およびAusubelら(1989年)、「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley & Sons、またはこれらのより最近の版に記載されている。
【0068】
様々な発現ベクター/宿主細胞系が、本発明の融合タンパク質をコードする核酸配列を発現するのに使用できる。適した宿主細胞には、細菌、例えば大腸菌などの原核細胞、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞、または動物細胞、好ましくは哺乳動物細胞、より好ましくはヒト細胞などの真核宿主細胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
さらに、本発明は、上述の核酸分子で形質転換または形質移入された非ヒト生物に関する。そのようなトランスジェニック生物は、相同組換えを含めた、遺伝子導入の公知の方法によって作製できる。
【0070】
本発明のさらに別の態様は、すべて本明細書に記載されている、少なくとも1つの融合タンパク質、それらをコードするそれぞれの核酸、または形質転換もしくは形質移入された細胞を活性薬として含む医薬組成物または診断用組成物に関する。
【0071】
すべて本明細書に記載されている、少なくとも1つの融合タンパク質、それらをコードするそれぞれの核酸、または形質転換もしくは形質移入された細胞は、治療、例えば、TNF−SFサイトカインの機能障害によって引き起こされる、これに関連する、および/またはこれに伴う障害、とりわけ、腫瘍、例えば固形もしくはリンパ腫瘍などの増殖性障害;感染症;炎症性疾患;代謝病;自己免疫障害、例えば、リウマチ様および/もしくは関節炎疾患;変性疾患、例えば、多発性硬化症などの神経変性疾患;アポトーシス関連疾患または移植拒絶反応の予防および/または治療で使用できる。
【0072】
「TNF−SFサイトカインの機能障害」という用語は、本明細書で使用される場合、TNF−SFサイトカインの正常な機能または発現から逸脱するTNF−SFサイトカインの任意の機能または発現と理解され、例には、当該TNF−SFサイトカインの正常な生理的な発現レベルと比較した、TNF−SF遺伝子またはタンパク質の過剰発現、TNF−SFサイトカイン遺伝子またはタンパク質の低減または消失した発現、当該TNF−SFサイトカインの正常な生理活性または結合と比較した、TNF−SFサイトカインの活性増大、TNF−SFサイトカインの活性の低減または消失、任意の結合パートナーへの、例えば、受容体、とりわけCD95、TRAIL受容体または別のサイトカイン分子へのTNF−SFサイトカインの結合増大、任意の結合パートナーへの、例えば、受容体、とりわけCD95、またはTRAIL受容体または別のサイトカイン分子への結合の低減または消失が挙げられる。
【0073】
組成物は、単独治療として投与しても、さらに別の投薬、例えば、細胞増殖抑制剤または化学療法剤、コルチコステロイド、および/または抗生物質との併用療法として投与してもよい。
【0074】
融合タンパク質は、適した手段による特定の状態を治療するのに十分な用量で、それを必要とする対象、とりわけヒト患者に投与される。例えば、融合タンパク質は、薬学的に許容される担体、希釈剤および/またはアジュバントと共に医薬組成物として製剤化できる。治療有効性および毒性は、標準プロトコールに従って決定できる。医薬組成物は、全身投与、例えば、腹腔内、筋肉内もしくは静脈内投与、または局所投与、例えば、鼻腔内、皮下もしくは髄腔内投与できる。静脈内投与が好ましい。
【0075】
投与される融合タンパク質の用量は、当然ながら、治療される対象、対象の体重、疾患のタイプおよび重度、投与の方法、ならびに処方する医師の判断に依る。融合タンパク質の投与には、0.001〜100mg/kgの日用量が適している。
【実施例】
【0076】
1.一本鎖CD95L融合タンパク質(scCD95L)の製造
以下に、ヒトCD95リガンドの受容体結合ドメインに例示される本発明の組換え体タンパク質の一般構造(図1)を示す。
【0077】
1.1 ポリペプチド構造
A)アミノ酸Met1〜Ser21
Igκシグナルペプチド、アミノ酸Gly20の後に想定シグナルペプチダーゼ切断部位。
【0078】
B)アミノ酸Glu22〜Leu161
ヒトCD95リガンドの第1の可溶性サイトカインドメイン(CD95L;K145S突然変異を含む、配列番号6のアミノ酸142〜281)。
【0079】
C)アミノ酸Gly162〜Gly169
第1のペプチドリンカーエレメント。
【0080】
D)アミノ酸Arg170〜Leu307
ヒトCD95リガンドの第2の可溶性サイトカインドメイン(CD95L;K145S突然変異を含む、配列番号6のアミノ酸144〜182)。
【0081】
E)アミノ酸Gly308〜315
第2のペプチドリンカーエレメント。
【0082】
F)アミノ酸Arg316〜Leu453
ヒトCD95リガンドの第3の可溶性サイトカインドメイン(CD95L;K145S突然変異を含む、配列番号6のアミノ酸144〜281)。
【0083】
G)アミノ酸Gly457〜Lys472
Strep−tag IIモチーフを有するペプチドリンカー。
【0084】
scCD95Lのアミノ酸配列を配列番号27に示す。融合ポリペプチドは、配列GGSGSGSG(配列番号21)を有する第1および第2のペプチドリンカーを含む。さらに別の好ましいリンカー配列は、上述の配列番号22〜26である。第1および第2のペプチドリンカー配列は、同一である必要がないことに留意するべきである。
【0085】
シグナルペプチド配列(A)は、任意の他の適した、例えば、哺乳動物のシグナルペプチド配列によって置き換えることができる。Strep−tag IIモチーフ(G)は、所望の場合、他のモチーフによって置き換えても、除去してもよい。
【0086】
図23に示す通り、scCD95L(配列番号27)を一時発現しているHEK293細胞の細胞培養上清を収集し、様々な濃度でJurkat細胞を刺激するのに用いた。上清は、さらなる改変なしに直接用いるか、scCD95Lタンパク質を架橋するために抗Streptag抗体(2μg/ml)が添加された。架橋されたscCD95L−Stを含有した細胞上清のみがJurkat細胞内のカスパーゼ活性を増大させた。これは、scCD95L単独では、アポトーシス促進性となりうる高次の凝集体を形成しないことを示す。
【0087】
1.2 ポリペプチドをコードする遺伝子カセット
合成遺伝子は、適した宿主細胞、例えば、昆虫細胞または哺乳動物細胞での発現についてのコドン使用頻度に鑑みて最適化できる。好ましい核酸配列を配列番号30に示す。
【0088】
1.3 クローニングストラテジー
合成遺伝子は、例えば制限酵素加水分解によって、適した発現ベクターにクローニングできる。
【0089】
2.一本鎖TRAIL融合タンパク質(Sc TRAIL wt)の製造
2.1 ポリペプチド構造
A)アミノ酸Met1〜Gly20
Igκシグナルペプチド、アミノ酸Gly20の後に想定シグナルペプチダーゼ切断部位。
【0090】
B)アミノ酸Gln21〜Gly182
ヒトTRAILリガンドの第1の可溶性サイトカインドメイン(TRAIL、配列番号10のアミノ酸120〜281)。
【0091】
C)アミノ酸Gly183〜Ser190
第1のペプチドリンカーエレメント、Xと指定された2個のアミノ酸は両方ともSか、一方がSであり、かつもう一方がNである。
【0092】
D)アミノ酸Arg191〜Gly351
ヒトTRAILリガンドの第2の可溶性サイトカインドメイン(TRAIL、配列番号10のアミノ酸121〜281)。
【0093】
E)アミノ酸Gly352〜Ser359
第2のペプチドリンカーエレメントXと指定された2個のアミノ酸は両方ともSか、一方がSであり、かつもう一方がNである。
【0094】
F)アミノ酸Arg360〜Gly520
ヒトTRAILリガンドの第3の可溶性サイトカインドメイン(TRAIL、配列番号10のアミノ酸121〜Gly281)。
【0095】
G)アミノ酸Gly521〜Lys538
Streptag IIモチーフを有するペプチドリンカーエレメント。
【0096】
Sc TRAIL wtのアミノ酸配列を配列番号28に示す。
【0097】
示したリンカーを、例えば、配列番号21.26に示す他の好ましいリンカーで置き換えてもよい。第1および第2のペプチドリンカーは、同一である必要がないことに留意するべきである。
【0098】
シグナルペプチド配列(A)は、任意の他の適した、例えば、哺乳動物のシグナルペプチド配列によって置き換えることができる。Strep−tag IIモチーフ(G)は、所望の場合、他のモチーフによって置き換えても、除去してもよい。
【0099】
様々なリンカーで一本鎖TRAILがタンパク質を一時発現するHEK293細胞の細胞培養上清(総計9通りの異なったリンカー組合せで、配列番号28に由来する)を収集し、様々な希釈率でJurkat細胞を刺激するのに用いた(例として、1:8希釈を図25に示す)。上清は、さらなる改変なしに直接用いるか、scTRAILwtタンパク質を架橋するために抗Streptag抗体(2μg/ml Strep MAB Immo)が添加された。Jurkat細胞をHEK293細胞培養上清と共に37°で3時間インキュベートし、溶解し、カスパーゼ活性について分析した。架橋されたscTRAILwtタンパク質を含有した細胞培養上清は、Jurkat細胞におけるカスパーゼ活性の増大を誘導した(グラフの右側に示す結果)。これは、scTRAILwtタンパク質単独では、アポトーシス促進性でありうる高次の凝集体を低量しか形成しないことを示す。
【0100】
2.2 ポリペプチドをコードする遺伝子カセット
合成遺伝子は、適した宿主細胞、例えば、昆虫細胞または哺乳動物細胞での発現についてのコドン使用頻度に鑑みて最適化できる。好ましい核酸配列を配列番号31に示す。
【0101】
3.一本鎖突然変異導入TRAIL融合タンパク質(scTRAIL(R2特異的))の製造
以下に、TRAIL受容体R2への選択的結合のための突然変異を含む一本鎖TRAILポリペプチドの構造を示す。
【0102】
3.1 ポリペプチド構造
A)アミノ酸Met1〜Ser29
Igκシグナルペプチド、アミノ酸Gly20の後に想定シグナルペプチダーゼ切断部位、およびペプチドリンカー。
【0103】
B)アミノ酸Arg29〜Gly190
ヒトTRAILリガンドの第1の可溶性のサイトカインドメイン(TRAIL、突然変異Y189Q、R191K、Q193R、H264R、I266L、およびD267Qを含む、配列番号10のアミノ酸121〜281)。
【0104】
C)アミノ酸Gly191〜Ser198
第1のペプチドリンカーエレメント、Xに指定されたアミノ酸は実施例2に示す通り。
【0105】
D)アミノ酸Arg199〜Gly359
ヒトTRAILリガンドの第2の可溶性のサイトカインドメイン(Bに示す突然変異を含む、配列番号10のTRAILアミノ酸121〜281)。
【0106】
E)アミノ酸Gly360〜Ser367
第2のペプチドリンカーエレメント、アミノ酸Xは実施例2に示す通り。
【0107】
F)アミノ酸Arg368〜Gly528
ヒトTRAILリガンドの第3の可溶性のサイトカインドメイン(TRAIL、Bに示す突然変異を含む、配列番号10のアミノ酸121〜281)。
【0108】
G)アミノ酸Gly529〜Lys546
Strep−tag IIモチーフを有するペプチドリンカー。
【0109】
scTRAIL(R2特異的)のアミノ酸配列を配列番号29に示す。
【0110】
示したリンカーを、例えば、配列番号21〜26に示す他の好ましいリンカーで置き換えてもよい。第1および第2のペプチドリンカーは、同一である必要がないことに留意するべきである。
【0111】
シグナルペプチド配列(A)は、任意の他の適した、例えば、哺乳動物のシグナルペプチド配列によって置き換えることができる。Streptag IIモチーフ(G)は、所望の場合、他のモチーフによって置き換えても、除去してもよい。
【0112】
3.2 ポリペプチドをコードする遺伝子カセット
合成遺伝子は、適した宿主細胞、例えば、昆虫細胞または哺乳動物細胞での発現についてのコドン使用頻度に鑑みて最適化できる。好ましい核酸配列を配列番号32に示す。
【0113】
4.発現および精製
a)融合ポリペプチドのクローニング、発現、および精製
10%FBS、100単位/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを補ったDMEM+GlutaMAX(GibCo)中で培養したHek293T細胞を、融合ポリペプチドのための発現カセットを含有するプラスミドで一時的に形質移入した。最終産物を得るのに、例えば、Fab−scTNF−SF融合タンパク質(図9A)のために、複数のポリペプチド鎖が必要である場合、発現カセットは、1つのプラスミド上で連結されるか、または形質移入中に異なったプラスミド上に置かれた。組換え体融合ポリペプチドを含有する細胞培養上清は形質移入後3日目に採取し、300×gの遠心分離およびそれに続く0.22μm無菌フィルターを通した濾過によって清澄化した。アフィニティー精製のために、Streptactin Sepharoseをカラムに充填し(ゲルベッド1ml)、15mlのバッファーW(100mM Tris−HCl、150mM NaCl、pH8.0)またはPBS pH7.4で平衡化し、細胞培養上清を4ml/分の流速でカラムに添加した。続いて、カラムを15mlのバッファーWで洗浄し、結合したポリペプチドを段階的に7×1mlのバッファーE(100mM Tris HCl、150mM NaCl、2.5mMデスチオビオチン、pH8.0)の添加によって溶出した。代わりに、2.5mMデスチオビオチンを含有するPBS、pH7.4をこの段階に用いることもできる。溶出液画分のタンパク質の量を定量し、ピーク画分を限外濾過によって濃縮し、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)でさらに精製した。
【0114】
SECは、Aktaクロマトグラフィーシステム(GE−Healthcare)を用いて、Superdex200カラムで行った。カラムをリン酸緩衝食塩水で平衡化し、濃縮されたStreptactin精製ポリペプチドを0.5ml/分の流速でSECカラムに添加した。ポリペプチドの溶出プロフィルを280nmの吸光度によってモニターした。
【0115】
非変性条件下における精製融合ポリペプチドの見かけの分子量を決定するために、分子量が公知である標準タンパク質をSuperdex200カラムに添加した。標準タンパク質の溶離容積に基づいて、検量線をプロットし、精製融合ポリペプチドの見かけの分子量を決定した。
【0116】
5.アポトーシスアッセイ
様々なCD95−リガンド(CD95L)およびTRAIL融合ポリペプチドコンストラクトのアポトーシス誘導活性を決定するために、Jurkat A3永久T細胞系を用いた細胞アッセイを用いた。Jurkat細胞は、10%FBS、100単位/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシンを補ったRPMI 1640培地+GlutaMAX(GibCo)を含むフラスコ内で培養した。アッセイの前に、ウェルあたり100,000の細胞を96ウェルマイクロタイタープレートに播種した。様々な濃度の融合ペプチドをウェルに添加した後、37℃で3時間インキュベーションした。溶解バッファー(250mM HEPES、50mM MgCl、10mM EGTA、5%Triton−X−100、100mM DTT、10mM AEBSF、pH7.5)を添加することによって細胞を溶解させ、プレートを30分間から2時間氷上に置いた。アポトーシスは、カスパーゼ、例えば、カスパーゼ−3の活性増大を伴う。それゆえ、アポトーシスの程度を決定するのに、特異的なカスパーゼ基質Ac−DEVD−AFC(Biomol)の切断が用いられた。実際、カスパーゼ活性は、ヨウ化プロピジウムおよびHoechst−33342で細胞を染色した後に形態学的に決定されたアポトーシス細胞のパーセントと相関する。カスパーゼ活性アッセイのために、20μlの細胞溶解液を黒い96ウェルマイクロタイタープレートに移した。50mM HEPES、1%スクロース、0.1%CHAPS、50μM Ac−DEVD−AFCおよび25mM DTT、pH7.5を含有するバッファー80μlを添加した後に、プレートをTecan Infinite 500マイクロタイタープレートリーダーに移し、蛍光強度の増大をモニターした(励起波長400nm、発光波長505nm)。
【0117】
5.1 細胞死アッセイ
HT1080線維肉腫細胞における細胞死の測定のために、15,000細胞を96ウェルプレートにプレーティングし、10%FBS(Biochrom)を補ったRPMI 1640培地+GlutaMAX(GibCo)中に一終夜置いた。細胞を最終濃度2.5g/mlのシクロヘキシミド(Sigma)と共にインキュベートした。細胞死は、バッファーKV(0.5%クリスタルバイオレット、20%メタノール)で染色することによって定量化した。染色の後に、ウェルを水で洗浄し、空気乾燥させた。色素をメタノールで溶出し、595nmの光学濃度をELISAリーダーで測定した。
【0118】
6.安定性/凝集試験
6.1.凝集分析の原理(可溶性タンパク質の定義)
単量体(TNF−SF受容体結合モジュールの規定の三量体アセンブリ)の含有量および凝集体は、実施例4に記載の分析的SECによって測定される。この特定の目的には、生理的pHの生理的塩濃度を含有するバッファー(例えば、0.9%NaCl、pH7.4;PBS pH7.4)中で分析を行う。典型的な凝集分析は、Superdex200カラム(GE Healthcare)で行われる。このカラムは、10〜800kDaの範囲のタンパク質を分離する。
【0119】
非変性条件下における精製融合ポリペプチドの見かけの分子量を決定するために、分子量が公知である標準タンパク質をSuperdex200カラムに添加する。標準タンパク質の溶離容積に基づいて検量線をプロットし、精製融合ポリペプチドの見かけの分子量を溶離容積に基づいて計算する。
【0120】
可溶性の非凝集タンパク質−例えば、三量体TNF−SFのSECの分析は、通常、規定の溶離容積に明確な単一タンパク質ピークを示す。この溶離容積は、特定のタンパク質の見かけの天然分子量に対応しており、一次アミノ酸配列に基づいて計算されるおおよその理論的分子量に応じる。
【0121】
タンパク質凝集が起こった場合には、SEC分析は、より小さな保持容積の追加のタンパク質ピークを示す。TNF−SFファミリーメンバーでは、可溶性タンパク質の凝集が独特の様式で起こる。タンパク質は、「三量体」のオリゴマーを形成する傾向があり、ノナマー(3×3)および27量体(3×9)を形成する。これらのオリゴマーは、凝集種子として働き、オリゴマーが高含有量だと、タンパク質の凝集をもたらす可能性がある。高分子量のオリゴマーおよび凝集体は、Superdex200カラムのボイド容積で溶出し、それらの非変性分子量についてSECによって分析することができない。TNF−SFタンパク質の規定の可溶性三量体調製物およびオリゴマー化/凝集調製物のSECの分析の例を図17に示す。
【0122】
(完全な)凝集の誘導により、TNF−SF融合タンパク質の精製調製物は、好ましくは、規定の三量体タンパク質のみ、および極めて低量のオリゴマー化タンパク質のみを含有するべきである。
【0123】
特定のTNF−SFタンパク質調製物の凝集/オリゴマー化の程度をSEC分析をベースにして、それぞれ規定の三量体およびオリゴマー/凝集体画分についてOD280図のピーク面積を計算することによって決定する。総ピーク面積をベースにして、規定の三量体タンパク質のパーセントを以下の通りに計算する。
【0124】
(%三量体含有量=[三量体のピーク面積]/[総ピーク面積]×100)
この本文で用いられる可溶性タンパク質の定義は、0.2〜10.0mg/mlの典型的なタンパク質濃度範囲内で>90%の含有量にて特定の可溶性タンパク質(TNF−SFドメインの三量体アセンブリ)を含有する、生理的pHの生理的塩濃度バッファー中における精製TNF−SFタンパク質のタンパク質調製物について記述するものである。
【0125】
6.2 精製されたsc−TRAIL変異体のSEC凝集分析
3種の異なるsc−TRAIL変異体が形質移入され、記載の通りにアフィニティー精製された。続いて、6.1に記載のSEC分析を用いて、精製タンパク質を、それらにおける規定の可溶性タンパク質の含有量について分析した。一本鎖融合タンパク質の特定の場合には、三量体とは、単一ペプチド鎖によってコードされる3つのコードTNF−SFドメインの三量体アセンブリを記述するものである(正式には、一本鎖TNF−SFタンパク質は、一本鎖アセンブリが分子内相互作用を形成するのみであり[すべてのタンパク質ドメインは単一ペプチド鎖によってコードされている]、異なる個々のポリペプチド鎖間の分子間相互作用を形成するわけではないので、単量体である)。
【0126】
SECによって分析したタンパク質は以下の通りであった。
【0127】
1.)Fab−sc−TRAIL(R2特異的)−SNSN(図19):
TRAIL受容体2相互作用に特異的なTRAILの一本鎖融合タンパク質のN末端側に融合したFabドメインを含む融合タンパク質であり、グリコシル化される。
【0128】
2.)Fab−sc−TRAIL(R2特異的)−SSSS(図18)
TRAIL受容体2相互作用に特異的なTRAILの一本鎖融合タンパク質のN末端側に融合したFabドメインを含む融合タンパク質であり、グリコシル化されない。
【0129】
3.)Fab−sc−TRAIL−wt−SNSN(図20):
一本鎖TRAILのN末端側に融合したFabドメインを含む融合タンパク質であり、グリコシル化される。
【0130】
TRAILの3つの精製Fab−scコンストラクトのSEC分析は、すべてのタンパク質について、規定の可溶性タンパク質画分を示す単一タンパク質ピークを明らかにした(>95%の三量体)。これらのタンパク質について計算された見かけのMW(カラムの較正に基づく)は、精製タンパク質について、TNF−SF−ドメインの三量体結合を強く指示する。分析されたタンパク質はいずれも凝集の指標を示さなかった(図18、19、20)。
【0131】
グリコシル化されている可能性のある「Fab−sc−TRAIL−R2−SNSN」と、非グリコシル化「Fab−sc−TRAIL−R2−SSSS」との比較は、Fab−sc−TRAIL(R2特異的)−SNSNのグリコシル化による見かけの非変性MWの有意差を示す。
【0132】
抗体fv−断片との融合タンパク質としてのsc−TNF−SFメンバーの発現は、タンパク質の凝集を促進することが公知である。Fab−sc−TRAIL変異体の構築原則は、発現されたTRAIL変異体の凝集を示さず、それゆえ、タンパク質の可溶性に関して有益である。
【0133】
6.3 sc−TRAILリンカー変異体の示差的なグリコシル化
タンパク質のグリコシル化は、組換え体Sc−TNF−SFコンストラクトにとって、潜在的な免疫原性および安定性に関して有益でありうる。sc−TRAILコンストラクトのグリコシル化を得るために、規定の位置に推定上のN結合型グリコシル化部位を含有する特定のリンカー配列を設計した(図21−Aを参照)。組換え体発現、および後続のウェスタンブロット分析によって、リンカー配列中のアスパラギン(N)のそれぞれの位置がタンパク質の後続のグリコシル化に重要であることが明らかにされた。驚いたことに、グリコシル化されるアスパラギンの優先的なリンカー位置は、図21−Aに記載の「2」の位置
【0134】
【化1−1】

であると同定された。アスパラギンが他の位置に位置する場合(例えば、位置「1」
【0135】
【化1−2】

、図21−A参照)それぞれのアスパラギンのグリコシル化は起こらない。この特質は、様々なsc−TRAIL変異体のウェスタンブロット分析によって確認できた。リンカー1のアスパラギンとリンカー2のアスパラギンとの両方が位置「2」に位置する場合、それぞれのsc−TRAIL変異体について、有意なグリコシル化依存的MWシフトが観察できた(図22)。グリコシル化されたsc−TRAILリンカー変異体のMWシフトは、SEC分析後に見かけのMWを計算することによっても確認できた(図18、19)。グリコシル化されないFab−sc−TRAIL(R2特異的)SSSSは、グリコシル化されたFab−sc−TRAIL(R2特異的)SNSN(87kDa)と比較して、明らかにより低いMW(68kDa)を有する。
【0136】
この分析に基づいて、本発明者らは、リンカー配列(複数可)内のアスパラギンの位置を改変することによる、sc−TRAILコンストラクトの示差的なグリコシル化を主張する。グリコシル化は、タンパク質分解に対して、リンカー配列を保護し、タンパク質を安定できるであろう。加えて、リンカー配列のグリコシル化は、免疫系によるリンカー配列の認識を防止する可能性があり、タンパク質の免疫原性を低減させる可能性がある。したがって、リンカー配列のグリコシル化は、sc−TRAILコンストラクトの免疫原性およびタンパク質分解安定性に関して有益であり、タンパク質の半減期に影響を与える可能性がある。組換え体TNF−SFメンバーの免疫原性および安定性を改変するのに、リンカーの特異的な示差的グリコシル化が使用できる。
【0137】
6.3.延長されたリンカー配列およびN末端ストーク残基を有するsc−TRAIL(sc−TRAIL−(95−281)−ロング)の発現および分析
WO/2005/103077には、本明細書でsc−TRAIL−(95−281)−ロングと命名された、各TRAILモジュールが配列番号10の残基95〜281を含む一本鎖TRAIL融合ポリペプチドが記載されている。TRAILモジュールは、少なくとも12アミノ酸(GGGSGGGSGGGS)を含むGlycin Serinリンカーによって連結される。本発明のTRAILモジュール(配列番号10の残基121〜281を含む)と比較して、ストーク領域を含めた追加の25アミノ酸が隣接するTRAILモジュールのそれぞれに存在する。
【0138】
sc−TRIALコンストラクトへのリンカー配列の影響を分析するために、sc−TRAIL−(95−281)−ロングを分析する。発現、精製、および後続のSEC分析は、12aaリンカーを有するsc−TRAIL−(95−281)−ロングおよび追加のストーク配列が発現され、HEK293T細胞の細胞培養上清中に分泌されることを明らかにする。しかし、精製タンパク質のSECの分析は、sc−TRAIL−(95−281)−ロングが、オリゴマー化または凝集型のタンパク質を大量に含む複数のピークを示すことを示す。sc−TRAIL−(95−281)−ロングの凝集は、N末端ストークの追加残基と組み合わされた延長リンカー配列の直接的影響である。結果は、このコンストラクトで用いられたより長いリンカーがコンストラクトの凝集特性の増大をもたらすことを示す。
【0139】
7.1つまたは複数の追加ドメインを含む一本鎖融合ポリペプチドの構築
7.1.可溶性TNF−SFおよび当技術分野で公知の抗体断片のアセンブリ
当技術分野では、三量体の三量体化および/または二量体化を得るために、可溶性TNF−SFサイトカインドメインを抗体断片に融合できることが公知である。一本鎖抗体と、TNF−RBDおよびストーク領域を含む可溶性ドメインとからなる一本鎖scFv−TNF−SF融合タンパク質が構築されている。対応する三量体は、3つの一本鎖抗体および3つの可溶性ドメインからなる(図7)。
【0140】
加えて、各融合タンパク質がN末端分子内Fc−ドメインおよびC末端可溶性ドメインを含むFc−TNF−SF融合タンパク質が構築されている(図8)。可溶性ドメインの二量体化は、ジスルフィド架橋を介した2つのFc−ドメインのアセンブリで実現される。続いて、1つのFc−TNF−SF融合タンパク質からの2つの可溶性ドメインと、別のFc−TNF−SF融合タンパク質からの1つの可溶性ドメインとの組合せによって三量体を得る。図4から推論できるように、三量体の二量体化も、N末端Fc−TNF−SF融合によって媒介される。結論として、3つのFc−抗体断片が三量体の二量体単位で存在する。しかし、そのような融合タンパク質は、大分子量凝集体を形成する可能性が高く、これが大きな不利益となっている。
【0141】
7.2 1つまたは複数の追加ドメインを含む本発明の融合タンパク質
1つまたは複数の追加ドメインを含む本発明の融合タンパク質は、いくつかの方法で構築できる。以下では、追加ドメインを有する融合タンパク質の構築を、細胞表面抗原ErbB2に対する指向性を有する抗体パーツズマブで例示する。
【0142】
重鎖のアミノ酸配列を以下の配列番号33に示す。
【0143】
【化1−3】

軽鎖のアミノ酸配列を以下の配列番号34に示す。
【0144】
【化2】

7.2.1
一実施形態では、本発明の融合ポリペプチドは、NまたはC末端Fab抗体断片をさらに含む(図9A)。
【0145】
scTNF−SF融合ポリペプチドのN末端への抗体Fab断片の融合は、以下の2つのストラテジーで実現されうる。
【0146】
(i)重鎖配列は、さらなるアミノ酸によってIgG1ヒンジ領域から伸長されて、一本鎖TNF−SF融合タンパク質に融合する。
【0147】
IgG1ヒンジ領域を、以下に示す配列番号35のアミノ酸配列を含む。
【0148】
【化3】

好ましい実施形態では、Fabドメインは、重鎖のC末端システイン(ヒンジ領域のC1)でCH1ドメインが終了するように選ばれる。このシステインは、軽鎖とのジスルフィド結合を形成するのに必要である。
【0149】
後続のリンカーは、IgGヒンジ領域の部分(例えば、DKTHTまたはDKT)を含むが、ヒンジ領域のさらなるシステインは含まない。代わりに、グリシン/セリンリンカーが使用される。さらなるシステインが存在しないので、2本のポリペプチド鎖を含む単量体融合タンパク質が得られる。リンカーは、3〜15アミノ酸の長さを有することが好ましい。リンカーは、下記に示すリンカー1〜7から選択されることがより好ましい。
【0150】
【化4】

scTNF−SFモジュールのN末端側に位置する重鎖モジュールを有する好ましいアミノ酸配列は、配列番号45、配列番号47、および配列番号49に示されている。産生目的には、これらのポリペプチド鎖を、Fab軽鎖ポリペプチド(配列番号40)と共に共発現させ、Fab−scTRAIL融合ポリペプチドを最終的に得る。
【0151】
(ii)軽鎖配列は、一本鎖TNF−SF融合タンパク質に融合させる。
【0152】
軽鎖(例えば、配列番号34)の定常領域は、C末端システイン残基で終わる。この残基は、重鎖のC1ヒンジシステインで共有結合によって架橋されうる。軽鎖配列とTNF−SF融合タンパク質との連結には、下記に示す通り、リンカー1〜7を用いることが好ましい。リンカー5〜7が好ましい(上記参照)。
【0153】
サイトカインモジュールに隣接したリンカー内の最後のアミノ酸は、GlyまたはSerのいずれかであることが好ましい。以下に、好ましいリンカー配列を示す。
【0154】
さらに、リンカーは、Nグリコシル化モチーフ(NXS/T、配列中、Xは任意のアミノ酸でありうる)を含みうる。
【0155】
scTNF−SFモジュールのN末端側に位置する軽鎖モジュールを有するアミノ酸配列の一実施形態を配列番号51に示す。
【0156】
Fab−scTNF−SF融合タンパク質の場合、2本のポリペプチド鎖の共発現が、scTNF−SFモジュールに追加されるFabモジュールの正しいアセンブリを得るのに必要である。(図9A参照)。パーツズマブ重鎖および軽鎖モジュール(配列番号33および配列番号34)は、シグナルペプチドを付与され、逆翻訳され、この結果得られた合成遺伝子(配列番号41および配列番号42)は、scTRAILwt特異的またはscTRAILR2特異的遺伝子モジュール(配列番号31および配列番号32)の上流に遺伝学的に融合された。この結果得られた遺伝子カセットの例を配列番号46、48、および50に示す。適切な発現ベクター中にサブクローニングした後、この結果得られたプラスミドから選択したものをHEK293T細胞の一時的なタンパク質発現に用いた。重鎖TRAILまたは軽鎖TRAIL発現プラスミドは、単独で、または必要とされる軽鎖もしくは重鎖をコードする、Fab断片のベクターと組み合わせて形質移入した(図26)。驚いたことに、融合タンパク質内のモジュールの組合せは、分泌ベースの発現中におけるscTRAILタンパク質の相対的安定性に影響を与えた。Fabドメインの軽鎖モジュールがscTRAILドメインのN末端側に融合される場合(配列番号51に例示される)、別々に発現された際に、発現産物がそれ自体安定であり、分泌される(レーン1〜4、図26)。したがって、そのような融合ポリペプチドが重鎖モジュールと共に共発現される場合、2つの主要なタンパク質種、すなわち、(1)2本のポリペプチド鎖からなるFab−scTRAIL融合タンパク質、および(2)混入物として、機能的Fabドメインの無い軽鎖−scTRAIL融合タンパク質が潜在的生産過程中に形成されると予測できる。それゆえ、発現のためにscTNF−SF−モジュールのN末端側に重鎖モジュールを融合させて、この技術的不利益を避けるのが好ましい。
【0157】
scTRAIL−モジュールのN末端側に融合させた重鎖モジュールを有する本発明の組換え体Fabを含むscTRAIL融合タンパク質(Fab−scTRAILR2−SNSNまたはFab−scTRAILwt−SNSN)の機能解析を図28に示す。図19および20に例示されるように、最終精製ステップとして、サイズ排除クロマトグラフィーを用いた。
【0158】
TNFスーパーファミリーの人工架橋されたリガンドまたは膜結合リガンドを用いることによって、可溶性のホモ三量体リガンドと比較して優れた生理活性が容易に実現できる。したがって、一本鎖TRAIL(scTRAIL)コンストラクトを、これらのscTRAILタンパク質に融合したHer2選択的Fab断片(「パーツズマブ」)を介して、抗原Her2を発現する細胞上に局所濃縮することによって、それらの細胞傷害性生理活性が増強されるはずである。同様に、Her2特異的Fab断片(パーツズマブ−Fab)とのプレインキュベーションによる細胞上のHer2結合部位のブロッキングは、Fab−scTRAIL融合タンパク質の細胞傷害性生理活性を減少させるのみであるはずである。図28Aに示すように、タンパク質濃度の増大に従って生存率が低減するので、scTRAILコンストラクトはHT1080細胞の死を誘導する。これと一致して、HT1080細胞をFab断片(パーツズマブ−Fab)と共にプレインキュベーションし、続いてFab−scTRAILコンストラクト(Fab−scTRAILR2−SNSNまたはFab−scTRAILwt−SNSN)と共に一終夜インキュベーションすると、Fab−scTRAILコンストラクトの細胞傷害性活性を低減させ(図28B)、一方Fabのみでは細胞死を誘導しない。
【0159】
技術的効果の増大は、TNFスーパーファミリーの人工架橋されたリガンドまたは膜結合リガンドの使用によって実現でき、可溶性のホモ三量体リガンドと比較して特に優れた生理活性をもたらす。したがって、一本鎖TRAIL(scTRAIL)によって例示されるようなリガンドまたは一本鎖リガンドを細胞上または隣接細胞上に局所濃縮すると、これらの融合タンパク質の生理活性を増強するはずである。これらの一本鎖リガンドの局所濃縮(またはターゲッティング)は、例えば、細胞、例えば腫瘍細胞などに存在している任意の抗原に結合するアミノ酸配列を有する一本鎖リガンドを融合させることによって特異的に誘導することができる。抗原結合配列の例は、scFvまたはFab断片などの抗体から得ることができる。標的細胞上に発現されている抗原の例は、EGFRファミリーの受容体などの受容体、または結合抗体を生成できる任意の他の抗原でありうる。この関連で特別に興味深いのは、腫瘍または癌細胞に特異的な細胞表面抗原である。
【0160】
7.2.2
別の実施形態では、本発明の融合ポリペプチドは、追加のNまたはC末端scFv抗体断片をさらに含む(図9B)。
【0161】
この実施形態では、上述のリンカー5〜7が使用できる。さらに、リンカーは、Nグリコシル化モチーフを含みうる。
【0162】
一本鎖サイトカイン融合タンパク質に融合させるための好ましい一本鎖Fv−パーツズマブ断片は、配列番号33のアミノ酸Glu1〜Ser119および配列番号34のAsp−Lys107またはThr109を含みうる。VH断片およびVL断片はリンカーによって連結できる。
【0163】
パーツズマブのscFv−ドメインの一実施形態を、以下の配列番号36に示す。
【0164】
【化5】

アミノ酸1〜20(下線部)は、N末端分泌シグナルペプチドを構成する。
【0165】
7.2.3
さらに別の実施形態では、本発明の融合ポリペプチドは、追加のNまたはC末端Fc抗体断片を含む(図10および11)。
【0166】
Fc抗体断片ドメインは、ヒト免疫グロブリンG重鎖由来、とりわけヒト免疫グロブリンIgG1重鎖由来であることが好ましい。特に好ましい実施形態では、Fcドメインのアミノ酸配列は、配列番号37に示される。
【0167】
【化6】

アミノ酸Lys1〜Glu16はヒンジ領域を規定する。
【0168】
C末端融合(図11)には、Fc−ドメインは完全な定常ドメイン(配列番号37のアミノ酸17〜230)および一部分または完全なヒンジ領域、例えば、完全なヒンジ領域またアミノ酸Asp4から始めるヒンジ領域を含むことが好ましい。
【0169】
C末端Fc抗体断片(例えば、図11)を連結するための好ましいリンカーを以下に示す。
【0170】
【化7】

すべてのリンカーがGlyGlyから始まる。但し、TRAILのC末端アミノ酸がGlyであることを考慮に入れる。リンカーの位置3では、代わりに、ProまたはSerが存在する。リンカー8は、重鎖のCys1システインを含む。
【0171】
リンカー8〜10は、他のポリペプチド、例えば、さらなるscTNF−SF融合タンパク質のC末端融合にも適していることに留意するべきである。
【0172】
詳細には、scTRAILwtモジュール(配列番号28)、scTRAIL(R2特異的)モジュール(配列番号29)、およびscCD95Lモジュール(配列番号27)を、配列番号37のAsp4から始まるヒトIgG1のFcドメインのN末端に、表2に示す4つのリンカーエレメントを用いて融合させた。
【0173】
【表2】

精製および特性分析用に、Strep−tag II(アミノ酸配列WSHPQFEK)をFc−ドメインのC末端側に配置した。このアフィニティータグは、CH3配列のC末端リジン残基を置換する柔軟なリンカーエレメント(アミノ酸配列SSSSSSA)によってCH3ドメインに連結された。記載したタンパク質モジュールと同様に、scTNF−SF融合タンパク質のアミノ酸配列は逆翻訳され、それらのコドン使用頻度を哺乳動物細胞ベースの発現用に最適化した。遺伝子合成は、ENTELECHON GmbH(独国Regensburg)によって行われた。より大きな融合タンパク質のための発現カセットは、適したサイズおよび適した制限酵素パターンのDNAモジュールで始まる通常のクローニング手順によって組み立てられた。例として、結果として得られる一本鎖TRAILwt FC01融合タンパク質(scTRAILwt−FC01)用の遺伝子カセットを配列番号44に示し、コードされているタンパク質配列を配列番号43に示す。短縮されたリンカー変異体(表1)をコードする遺伝子カセットを、配列番号44から始めて、PCRベースのサブクローニングストラテジーによって生成した。最終発現カセットを中間クローニングベクターから切り離し、pCDNA4−HisMaxのバックボーンに、このプラスミドのユニークなHind−III部位、Not−I部位またはXba−I部位を用いてサブクローニングした。FabおよびFc融合タンパク質のアセンブリには、ベクターバックボーンにユニークなSgS−I部位を導入し、Not−I部位を置き換えた。すべての発現カセットをDNAシーケンシングによって慣行的に確かめた。
【0174】
タンパク質をHEK293T細胞で一時的に発現させ、細胞培養上清を、それらのプロアポトーシス活性についてモニターした。図27に示すように、本発明のscTRAIL−Fc融合タンパク質は、カスパーゼ活性の顕著な増大を誘導することができた。これは、2つのscTRAILwtモジュールのFcベースの二量体化の効力を確認する。同様の結果がscTRAIL(R2特異的)−Fc融合タンパク質についても得られた(データは示されていない)。
【0175】
Fc−抗体断片がscTNF−SF融合タンパク質のN末端に融合される場合(図10参照)、Fcモジュールのアミノ酸配列は、以下の配列番号38に示す通りであることが好ましい。
【0176】
【化8−1】

アミノ酸1〜20(下線部)は、N末端分泌シグナルペプチドを構成する。
【0177】
FcモジュールをScTNF−SF融合タンパク質に連結するには、Gly/Serリンカーを用いることが好ましい。すべてのリンカーは、セリンで始まるのが好ましく、グリシンまたはセリンで終わるのが好ましい。好ましいリンカー配列11〜12を以下に示す。
【0178】
【化8−2】

7.3 本発明の一本鎖融合タンパク質の二量化
7.3.1 1つの追加ドメインを含む一本鎖融合ポリペプチド
本発明の三量体融合タンパク質は、さらに二量体化させることができる。
【0179】
一実施形態では、本明細書に定義されるリンカー構造を介して第1の融合タンパク質のC末端を直接的に第2の融合タンパク質のN末端に連結した場合に二量体化が得られる(図12)。
【0180】
別の実施形態では、追加ドメインとしてFab抗体断片を含む本発明の融合タンパク質を、本発明のさらに別の融合タンパク質と、本明細書に定義されるリンカーを介して直接的に、または本発明のさらに別の融合タンパク質に融合したscFv抗体断片を介して間接的に連結できる(図13)。それによって、本発明の三量体融合タンパク質の二量体化が実現される。
【0181】
別の実施形態では、追加ドメインとしてFab抗体断片を含む本発明の2つの融合タンパク質のアセンブリを介して三量体の二量体化を得ることができる(図14)。この場合、分子間ジスルフィド架橋が形成される。
【0182】
scTNF−SFドメインのN末端側の二量体化Fab断片(例えば、図14)の構築には、IgGヒンジ領域(配列番号35)の天然システイン残基を用いることが好ましい。
【0183】
Fab配列のC末端システインは、軽鎖とジスルフィド結合を形成する、ヒンジ領域のC1残基に対応することが好ましい。第2のシステインC2は、2つのFabモジュールの共有結合に使用できる。第3のシステイン残基C3は、オープンとなっていても、隣接鎖のC3と連結していてもよい。Fab重鎖配列と、scTNF−SFドメインのN末端との間の好ましいリンカーは、以下に示すリンカー13〜22である。
【0184】
【化9】

さらに、リンカーは、上述のように、Nグリコシル化モチーフの取込みによって修飾されていてもよい。
【0185】
さらに別の実施形態では、追加のNおよび/またはC末端ドメインとしてFc抗体断片を含む本発明の融合タンパク質の二量体化は、前記融合タンパク質のうちの2つの間の分子間ジスルフィド架橋の形成によって得ることもできる。その場合、三量体融合タンパク質の二量体あたり1つのFc抗体断片が存在するのみである。それによって、当技術分野のFc抗体断片融合タンパク質とは対照的に、高分子量の凝集体が形成される可能性はそれほど高くない。
【0186】
7.3.2 複数の追加ドメインを含む一本鎖融合ポリペプチド
一本鎖融合ポリペプチドは、1つまたは複数の追加ドメイン、例えば、さらに別の抗体断片および/またはさらに別のターゲティングドメインおよび/またはさらに別のサイトカインドメインを含みうる。
【0187】
一追加ドメインとしてFc抗体断片を含む本発明の融合タンパク質は、さらに別のFabまたはscFv抗体断片に、N末端融合Fc抗体断片のN末端を介して(図15)連結することも、Fc抗体断片がそのC末端で本発明の融合タンパク質に連結している場合には、さらに別のリンカー構造を介して直接的にそのN末端で(図16)連結することもできる。
【0188】
さらに別の抗体断片に加えて、またはさらに別の抗体断片の代わりに、さらに別のサイトカイン(好ましくはインターロイキン)が融合タンパク質に連結していてもよい。それによって、アゴニストscCD95LとアンタゴニストscCD95L分子の組合せ、または代わりに、scTRAIL(R1特異的)とscTRAIL(R2特異的)の組合せを得ることが可能である。
【0189】
前記融合タンパク質はアポトーシスの誘導に特に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)第1の可溶性TNFスーパーファミリーサイトカインドメイン、
(ii)第1のペプチドリンカー、
(iii)第2の可溶性TNFスーパーファミリーサイトカインドメイン、
(iv)第2のペプチドリンカー、および
(v)第3の可溶性TNFスーパーファミリーサイトカインドメイン
を含み、実質的に非凝集性である、一本鎖融合ポリペプチド。
【請求項2】
前記可溶性TNFスーパーファミリーサイトカインドメインが可溶性CD95LまたはTRAILドメインから選択される、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記第2および/または第3の可溶性TNFスーパーファミリーサイトカインドメインが、アミノ酸配列突然変異を場合によって含むN末端短縮ドメインである、請求項1または2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
前記可溶性TNFスーパーファミリーサイトカインドメインの少なくとも1つ、とりわけ前記可溶性TNFスーパーファミリーサイトカインドメイン(iii)および(v)の少なくとも1つが、ヒトCD95Lのアミノ酸Arg144とVal146との間で始まるN末端配列を有する可溶性CD95Lドメインであり、Arg144および/またはLys145が中性アミノ酸によって、例えば、SerまたはGlyによって置き換えられていてもよい、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項5】
前記可溶性TNFスーパーファミリーサイトカインドメインの少なくとも1つ、とりわけ前記可溶性TNFスーパーファミリーサイトカインドメイン(iii)および(v)の少なくとも1つが、
(a)Arg144−(Gly/Ser)145−Val(146)、
(b)(Gly/Ser)144−Lys145−Val(146)、および
(c)(Gly/Ser)144−(Gly/Ser)145−Val(146)
から選択されるN末端配列を有する可溶性CD95Lドメインである、請求項4に記載のポリペプチド。
【請求項6】
前記可溶性CD95LドメインがヒトCD95LのLeu281で終わる、ならびに/または位置Lys177の突然変異、例えば、Lys177→Glu、AspもしくはSer、および/もしくは位置Tyr218の変異、例えば、Tyr218→Arg、Lys、Ser、Aspを場合によって含む、請求項2から5のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項7】
前記可溶性TNFスーパーファミリーサイトカインドメインの少なくとも1つ、とりわけ前記可溶性TNFスーパーファミリーサイトカインドメイン(iii)および(v)の少なくとも1つが、ヒトTRAILのアミノ酸Gln120とVal122との間で始まるN末端配列を有する可溶性TRAILドメインであり、Arg121が中性アミノ酸、例えば、SerまたはGlyで置き換えられていてもよい、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項8】
前記可溶性TNFスーパーファミリーサイトカインドメインの少なくとも1つ、とりわけ前記可溶性TNFスーパーファミリーサイトカインドメイン(iii)および(v)の少なくとも1つが
(a)Arg121−Val122−Ala123、および
(b)(Gly/Ser)121−Val122−Ala123
から選択されるN末端配列を有する可溶性TRAILドメインである、請求項7に記載のポリペプチド。
【請求項9】
前記可溶性TRAILドメインがヒトTRAILのアミノ酸Gly281で終わる、および/または位置R130、G160、H168、R170、H177、Y189、R191、Q193、E195、N199、K201、Y213、T214、S215、H264、I266、D267もしくはD269または前記位置の2カ所以上の突然変異を場合によって含む、請求項7または8に記載のポリペプチド。
【請求項10】
前記第1および前記第2のペプチドリンカーが、独立して3〜8アミノ酸の長さ、とりわけ3、4、5、6、7または8アミノ酸の長さを有し、好ましくはグリシン/セリンリンカーであり、グリコシル化されていてもよいアスパラギン(asparigine)残基を場合によって含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項11】
プロテアーゼ切断部位を含んでいてもよいN末端シグナルペプチドドメインを追加して含む、ならびに/または認識/精製ドメインを含んでいてもよい、および/もしくは認識/精製ドメインに連結していてもよいC末端エレメントを追加して含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項12】
N末端および/またはC末端にさらに別のドメイン、例えば、FabまたはFc断片ドメインなどの一本鎖抗体または抗体断片を追加して含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項13】
好ましくは発現制御配列と作用性に連結している、請求項1から11のいずれか一項に記載の融合ポリペプチドをコードする核酸分子。
【請求項14】
請求項13に記載の核酸分子で形質転換または形質移入された細胞または非ヒト生物であって、前記細胞が、例えば、原核細胞または真核細胞、好ましくは哺乳動物細胞、より好ましくはヒト細胞である、細胞または非ヒト生物。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載の融合タンパク質または請求項13に記載の核酸分子を活性薬として含む医薬組成物または診断用組成物であって、とりわけ治療における使用のため、さらにとりわけ、TNFサイトカインの機能障害によって引き起こされる、これに関連する、および/またはこれに伴う障害、とりわけ、腫瘍、例えば固形もしくはリンパ腫瘍などの増殖性障害;感染症;炎症性疾患;代謝病;自己免疫障害、例えば、リウマチ様および/もしくは関節炎疾患;変性疾患、例えば、多発性硬化症などの神経変性疾患;アポトーシス関連疾患または移植拒絶反応の予防および/または治療における使用のための組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図23】
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【図25】
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【図27】
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【図28】
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【図21】
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【図22】
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【図24】
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【図26】
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【公表番号】特表2011−528562(P2011−528562A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519138(P2011−519138)
【出願日】平成21年7月18日(2009.7.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059269
【国際公開番号】WO2010/010051
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(505360362)アポゲニクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (8)
【氏名又は名称原語表記】Apogenix GmbH
【住所又は居所原語表記】Im Neuenheimer Feld 584,D−69120 Heidelberg,Germany
【Fターム(参考)】